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1969-08-15 第61回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年八月十五日(金曜日)     午後一時三十一分開議  出席委員    委員長 川村 継義君    理事 池田 清志君 理事 上林山榮吉君    理事 細田 吉藏君 理事 湊  徹郎君    理事 斉藤 正男君 理事 神田 大作君       天野 光晴君    稻葉  修君       大野 市郎君    塩谷 一夫君       谷垣 專一君    塚田  徹君       中山 榮一君    水野  清君       稻村 隆一君    猪俣 浩三君       野口 忠夫君    華山 親義君       小沢 貞孝君    鈴切 康雄君  出席国務大臣         建 設 大 臣 坪川 信三君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      床次 徳二君  委員外出席者         総理府総務副長         官       岩倉 規夫君         内閣総理大臣官         房参事官    川上 幸郎君         警察庁警備局警         備課長     丸山  昮君         防衛庁防衛局運         用課長     安田  寛君         経済企画庁総合         開発局東北開発         室長      阿多 忠明君         大蔵省主計局主         計官      井上 幸夫君         文部省管理局教         育施設部指導課         長       栗山 幸三君         厚生省公衆衛生         局検疫課長   実川  渉君         厚生省環境衛生         局水道課長   国川 建二君         厚生省環境衛生         局公害部環境整         備課長     石丸 隆治君         厚生省社会局施         設課長     吉村  仁君         農林政務次官  小沢 辰男君         農林大臣官房参         事官      荒勝  巖君         農林省農林経済         局保険業務課長 松永 正隆君         農林省農政局農         産課長     上田 克己君         農林省農地局建         設部設計課長  松井 芳明君         農林省蚕糸園芸         局園芸振興課長 千野 知長君         林野庁指導部長 松本 守雄君         通商産業省鉱山         保安局鉱山課長 下河辺 孝君         通商産業省公益         事業局水力課長 鈴木  篁君         中小企業庁計画         部金融課長   井川  博君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部運         転車両課長   細谷 開造君         気象庁予報部長 毛利圭太郎君         気象庁予報部予         報課主任予報官 大野 義輝君         郵政大臣官房秘         書課長     江上 貞利君         建設省河川局長 坂野 重信君         建設省道路局国         道第一課長   高橋国一郎君         建設省住宅局住         宅総務課長   山岡 一男君         自治省財政局地         方債課長    山本 成美君         消防庁防災救急         課長      中沖  豊君         日本国有鉄道施         設局長     北澤 秀勝君     ――――――――――――― 八月十五日  委員福永一臣君、永井勝次郎君、平等文成君、  森義視君及び小川新一郎辞任につき、その補  欠として大野市郎君、華山親義君、稻村隆一君、  猪俣浩三君及び鈴切康雄君が議長指名委員  に選任された。 同日  委員鈴切康雄辞任につき、その補欠として小  川新一郎君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 八月五日  一、災害対策に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和四十四年七月下旬及び八月の集中豪雨並び  に台風第七号による災害対策      ――――◇―――――
  2. 川村継義

    川村委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  本日は、昭和四十四年七月下旬及び八月の集中豪雨並び台風第七号による災害対策について調査を進めます。  前回の委員会において、閉会中の委員派遣承認申請の諸手続につきましては委員長に一任願っているのでありますが、先刻の理事会の協議に基づき、今般の昭和四十四年八月の集中豪雨による被害状況調査のため、議長に対し、委員派遣承認申請を行ないたいと存じますので、御了承願います。  まず、被害状況及び対策概要等について政府当局から説明を聴取いたします。床次総理府総務長官
  3. 床次徳二

    床次国務大臣 昭和四十四年七月及び八月豪雨並びに台風第七号による災害につきまして御報告を申し上げますが、初めに、今回の豪雨等災害により不幸にもおなくなりになられました方々に対しまして、つつしんで哀悼の意を表するとともに、罹災された多くの方々には、政府といたしましてできるだけのことをいたし、一日も早く立ち直っていただけるよう努力する所存でございます。  まず、被害状況とそれに対する政府対策について御説明いたします。  今回の災害をもたらしたところの気象状況は、停滞していた前線が七月二十七日ごろから東北地方北陸地方北部大雨を降らせ、その後台風第七号が八月四日潮岬に上陸し、八月五日三陸沖に抜ける間、中部地方中心大雨をもたらしたのであります。また、この台風第七号の通過したあと、大陸方面から前線が再び南下し、八月七日ごろから山形地方中心大雨が降り始めるとともに、この前線北陸地方まで南下し、再び北上して東北地方北部から北海道方面に達する間、北陸中部及び東北地方南部記録的豪雨を降らせ、各地に大きな被害をもたらしたものであります。  今回の災害特色は、記録的な雨が短時間に降ったために、中小河川のはんらんによる被害が大きかったことであります。  政府といたしましては、十二日政府調査団現地に派遣することを決定し、同日午後各省庁連絡会議を開催して対策を協議いたしました。調査団は、本日まで新潟県、富山県の被害状況調査いたしておるところであります。  次に、現在までに判明いたしました被害の概況について御説明申し上げます。  まず、一般被害といたしましては、七月下旬の災害では、死者、行くえ不明一名、建物の全半壊流失三棟、床上床下浸水三千二百九十四棟であります。  台風第七号による被害は、死者、行くえ不明二十三名、建物の全半壊流失六十三棟、床上床下浸水五千八百十四棟であります。  八月七日以降の災害では、死者、行くえ不明四十一名、建物の全半壊流失四百三十四棟、床上床下浸水三万四千三百六十棟であります。  次に、施設関係等被害といたしましては、七月下旬の災害では、公共土木施設六十億円、農地等十八億円等、総計九十四億であります。  台風第七号による被害は、公共土木施設七十三億円、農地等十六億円、農作物等十九億円等、総計百三十四億円であります。  次に、八月七日以降の災害では、公共土木施設二百六十四億円、農地等七十五億円、農作物等三十六億円、中小企業関係百十八億円等、総計五百三十八億円であります。  次に、政府のとった措置を申し上げます。  警備救助活動について申し上げますと、各県警察では警察官を多数出動させ、被災者救出、救護、避難誘導交通確保等実施しております。消防機関職団員避難指示誘導、人命の救出救助及び行くえ不明者の捜索をはじめ、水防活動等実施しております。防衛庁では自衛隊員延べ六千五百五十六名を派遣したほか、車両航空機を出動させ、道路啓開、給水、孤立者救助等実施しております。海上保安庁でも巡視艇航空機により緊急物資等の輸送を行なっております。  災害救助法適用については、台風第七号による災害について静岡県等の一市三町、八月七日以降の災害については富山県ほか四県の二十市町村に発動し、避難所設置、たき出し、飲料水の供給、被服、寝具等の給与、医療、救出等実施しております。  防疫対策について申し上げますと、被災者検病調査を行ない、伝染病早期発見、流行の防止につとめており、避難所衛生管理を強化しております。  次に、災害を受けた住宅に対しては、災害復興のための住宅資金貸し付けを行なうことを検討しておるところであります。  文教対策としては、罹災児童、生徒の学習に支障を生じないよう、教科書の調査補給等を講ずるよう検討しているところであります。  交通関係について申し上げますと、国道八号線を除いた主要道路については一車線以上の交通確保いたしておりますが、国道八号線についても二十日ごろまでには全通する見込みであります。  国鉄については、現在の不通個所北陸線等三線区十二区間であります。  中小企業対策としては、政府系中小企業金融機関において、償還期限延長新規貸し付け優先取り扱い等措置を講じております。  公共土木施設等復旧及び農地農業用施設復旧については、緊急に復旧を必要とする個所については、応急工事査定着工を行なうよう指導しております。  被災者援護対策については、被災者に対して郵便はがき等無償交付為替貯金の非常取り扱い、救援小包無料取り扱い実施しております。  税制上の措置としては、申告納付等期限延長、租税の軽減免除、納税の猶予等を行なっております。  次に、普通交付税の繰り上げ交付についても検討しております。  以上、政府のとっております措置を簡単に御説明いたしましたが、今回の災害特色を教訓として、政府調査団調査結果等を十分検討した上、将来の対策を講じてまいりたいと考えております。  なお、恐縮ですが、私、会議がありますので失礼いたしますが、関係政府委員から詳細御説明申し上げます。
  4. 川村継義

  5. 小沢辰男

    小沢説明員 農林省関係概要について御報告を申し上げます。  八月六日以降の集中豪雨山形新潟富山長野福島というような各地に非常な被害発生さしたわけでございますが、八月十四日正午現在、都道府県からの報告によりますと九県に及んでおりまして、内訳は、農作物等水稲、果樹、野菜を中心に約三十五億六千万円、農地が約二千二百カ所の被害でありまして、約二十億四千万円、農業用施設が約四千百カ所、四十八億円、林野関係国有林を含めまして約四十六億二千万円、その他の施設合計二千万円でございまして、この被害総額約百五十億四千万円という状況でございます。これはあくまでも都道府県報告をもとにいたしましたものでございます。  対策概要を申し上げますと、農林省は、すでにさきの梅雨前線豪雨の際設置いたしました災害対策本部におきまして、今回の災害対策をもあわせて措置することにきめました。第一回会合を十三日に開催し、災害状況の把握並びに対策の推進を期したわけでございます。また、被害のはなはだしい北陸地方対策のため、北陸農政局にも災害対策本部設置いたしました。  なお、私、建設政務次官と、災害発生直後、十二日の夕方から十四日の夕方帰着いたしますまで、新潟富山両県を回って、特に被害のはなはだしい地域の状況を把握してまいりました。  被災者救援のための食糧関係におきましては、精米六トン、これは新潟四トン、富山二トン、食パン一万食分新潟、乾パン三千食分富山県、それぞれ応急配給をいたしました。  水稲はいまだかんがい期が続いておるので、用水施設等被害がある場合はたいへん問題があります。これらは応急水路設置等によりまして用水確保に遺憾のないよう処置するように指導指示をいたしてございます。緊急を要する個所につきましては査定をまたないで事前着工をするようにいたしたいと考えております。  山地の崩壊により人家、公共施設等被害を及ぼすおそれが大きく、民生安定上放置しがたい個所につきましては、緊急治山事業費をもって早急に復旧をはかることにいたしたいと思います。  なお、山くずれのため特に緊急に施行を行なう必要があるものにつきましては、とりあえず県の手持ちの経費の一部流用等を行なって施行するように指示をいたしました。  被災施設等査定につきましては、都道府県からの計画概要書の提出があり次第早急に実施いたす所存でございますが、すでにそれぞれ、政府調査団とは別個に担当官各地に派遣いたしております。  冠水、浸水地につきましては、いもち病等の病虫害の発生が懸念されますので、防除を適切に行なうよう指導につとめておる次第であります。  天災融資法適用自作農維持資金災害ワクの設定につきましては、統計調査部被害集計並びにそれぞれの農家の資金需要等を把握いたしました上で早急に検討をいたしてまいりたいと思っておる次第であります。  なお、詳細につきましては御質問により申し上げたいと思います。
  6. 川村継義

  7. 坂野重信

    坂野説明員 建設省関係被害状況を申し上げます。  現在までに判明いたしました建設省所管公共土木施設等被害は、公共土木施設におきましては、直轄災害が百四十九カ所、三十二億円、補助災害が六千万百三十七カ所、二百三十一億二千万円、合計六千二百八十六カ所、二百六十三億二千万円、都市施設は十四カ所、五千万円、合計六千三百カ所、二百六十三億七千万円でございます。  また、住宅被害は、全壊百五十一棟、半壊二百十五棟、流失六十三棟、床上浸水一万三千五百六十一棟、床下浸水二万七百九十九棟、合計三万四千七百八十九棟でございます。  次に、対策及びとりました措置について申し上げます。  被害の著しい新潟富山の両県につきましては、直ちに政府調査団を派遣されましたことは御承知のとおりでございますが、建設省におきましても、新潟富山山形長野福島の各県に対しまして、被害状況調査及び応急措置指導に当たらせるため、災害査定官等関係官を直ちに派遣いたしました。  第二番目としましては、堤防の破堤、道路交通不能等施設重要被災個所につきましては直ちに応急工事実施中でございまして、一般国道指定区間については、八号線を除き一車線以上の交通をすでに確保いたしました。また八号線につきましては目下鋭意応急工事実施中でございまして、二十日中には一車線以上を確保する予定でございます。  なお、現地準備完了次第緊急査定等実施いたしまして、本復旧にかかる予定でございます。  住宅につきましては、住宅金融公庫法施行規則第一条第三号の災害指定することを検討中でございます。  以上、簡単でございますが、建設省関係報告を終わります。
  8. 川村継義

    川村委員長 これにて説明を終わりました。他の関係省所管につきましては、質疑の中でお願いをいたします。     ―――――――――――――
  9. 川村継義

    川村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。稻葉修君。
  10. 稻葉修

    稻葉委員 総理府にお尋ねいたします。総理府総務長官から御説明があって承りましたが、まず第一に、今回の災害について、各県ごと激甚災害法適用見込みを伺います。山形県はいかがですか。新潟県はいかがですか。富山県はいかがですか。長野県はいかがですか。福島県はいかがですか。
  11. 川上幸郎

    川上説明員 ただいま先生から激甚適用状況はどうか、こういう御質問がございましたけれども、現在の段階におきましては、政府におきましては計数を集計いたしておる段階でございまして、各市町村別災害査定等関係がありますので、その全貌を把握するに至っておりません。したがいまして、もう少しその件につきましては時間をいただきたい、こういうふうに考えております。
  12. 稻葉修

    稻葉委員 私の見るところでは、従来の災害激甚法指定関係にかんがみ、今回は各県ごと県全域にわたるものでないがゆえに、県全体として激甚災害法適用を受ける見込みは少ないのではないかと経験上思うのですが、あなたもたいがいの災害をいままで経験してきて、集計しなければわからぬというものでもありますまい。どうですか。
  13. 川上幸郎

    川上説明員 ただいまの御質問、非常にきびしい御質問でございまして、私のほうといたしましては、いままでのいろいろな勘から申し上げますれば、まあ一つの目安らしきものは私個人としては申し上げられますが、少し、公式には申し上げにくい点でございます。ただいまの御質問、全体的な激甚指定ができるかもしくは局地激甚指定ができるかということによっておのずから変わってくるかと思いますが、特に全体的な激甚指定につきましては、これは現段階におきましては、ほんとうのところを申し上げまして、ちょっとむしろ困難なほうではなかろうかというふうに考えております。なお、局地激甚につきましては、これは相当のことは――私少し冒険でございますが、ある程度は出てくるのではないかと思っております。
  14. 稻葉修

    稻葉委員 そこで今度は局地激甚指定についての見込みをお尋ねいたします。  まず第一に、山形県の戸沢村はいかがですか。大石田町はいかがでしょう。
  15. 川上幸郎

    川上説明員 ただいま先生の御質問のございました局地激甚の件でございますが、これは内容を分けますと、公共土木農地等農業用関係、または中小企業関係でございます。この三つしかございません。これにつきましてはおのおのの立場は変わってまいりまして、各省から参っておりますので、本来でありますならば各省から説明していただいたほうがいいと思いますが、各町村ごとにおきましては、先生御存じのとおり局地激甚指定の基準をつくりますときに災害査定額、こういうふうになっておりまして、査定見込み額ではございません、査定額というふうになっておりますので、その関係で非常に定めにくい段階にあるということでありますので、先ほどちょっと申し上げましたように、局地激甚についてはいま先生がお示しになった市町村につきまして特に答えることはできませんが、今次災害にかかるものについては若干見込みがあるのではなかろうかと私は考えているわけでございます。
  16. 稻葉修

    稻葉委員 いまの段階ではっきりした返事をもらおうとも思っていないのです。ですから、わからぬならわからぬ、これはまあ見込みはないでしょう、これは見込みがありそうですねということを聞いているのです。いいですか、あまり答弁が長くなるようじゃ、ほかにたくさん質疑者がいるわけですから……。  新潟県に参ります。新潟県では、一番ひどいのは私の見るところ青海町、それから加茂市、ここは一番横綱じゃないかと思います。これは局地激甚指定見込み十分ありと私自身は思っているんですけれども、あなたはいかがですか。
  17. 川上幸郎

    川上説明員 お答えいたします。  建設省関係及び通産省関係にまたがりますので、各省からお答え願ったほうがいいのではないかと思われますが、私自身の意見と申されましたので、私自身の見たところでは、加茂市の中小企業につきましては相当脈があるのではなかろうか、こう考えておりますが、青海町につきましては現在のところ判断いたしかねております。
  18. 稻葉修

    稻葉委員 青海町について判断をいたしかねておるということですから、おそらくこれから申し上げるところも判断いたしかねるという返事にきまっているようなものだけれども、念のために聞いておきます。  糸魚川市はいかがですか。新井市はいかがでしょうか。松代町はいかがでしょうか。吉川町はどうでしょう。いかがです。
  19. 川上幸郎

    川上説明員 現在のところでは判断いたしかねます。
  20. 稻葉修

    稻葉委員 東蒲原郡上川村はいかがでしょうか。それから六日町はどうです。
  21. 川上幸郎

    川上説明員 残念ながら同様に、判断いたしかねます。
  22. 稻葉修

    稻葉委員 富山県に参ります。富山県ではずいぶんたくさんの市町に、三市六町に災害救助法適用を見ましたが、朝日町、滑川市、立山町、上市町、入善町、富山市、魚津市、宇奈月町、大山町、これらの市町について見込みはいかがでしょうか。
  23. 川上幸郎

    川上説明員 残念でございますが、調査中でございますので判断いたしかねます。
  24. 稻葉修

    稻葉委員 この中に加茂市程度の、たとえば中小企業について十分激甚法適用見込みはあると思われるようなところもありませんか。
  25. 川上幸郎

    川上説明員 私は、現在まで県で聞きました範囲におきましては、加茂市ほどの大きなところはございません。
  26. 稻葉修

    稻葉委員 長野県の一市一町一村、すなわち穂高町、松川村、大町市、福島県の金山町、昭和村、これらの市町村については同様でしょうか。
  27. 川上幸郎

    川上説明員 先生のおっしゃったとおり同様でございます。
  28. 稻葉修

    稻葉委員 各市町村において激甚法局地激甚指定を受けるかどうかは非常に市町村当局及び住民の関心の的でありますから、なるべく早く、あまり気を持たせるようなこともいかぬし、それからいつまでも指定になるべきところを指定してやらないというのも困るし、急いでこれらの点について、県を通じ住民がその概要を知り得るような事務の取り運びを切望いたします。ひとつ各農林省建設省中小企業庁等、鞭撻してやってもらいたい。  それから、今回の降雨災害について、私の感じでありますけれども、雨の量のわりあいに死者が多いように思います。警察庁に伺うところであろうが、何か避難対策とか避難命令とか、そういうことについて県及び市町村当局に手抜かりがあったのではなかろうかとさえ、まことに気の毒であるけれども思うようなところがあるのですが、政府調査団調査に行かれて、そういう点についてどういうお感じでしたか。
  29. 川上幸郎

    川上説明員 お答えいたします。  政府の第二次調査団は本日夕刻帰京いたしますので、直ちに明日各省を集めまして、調査団も交えましていろいろとその調査の結果について討議いたし、対策を樹立いたしたいと考えておりますが、先生御指摘の点の激甚の問題につきましては、地元住民の不安といいますのも私も新潟へ参りまして非常によくわかっておりますので、十分に各省に伝達いたしまして作業を急ぎたいと思います。  なお、人的被害の点でありますが、先生は雨量のわりあいに人的被害が多いのではないか、こうおっしゃいましたが、私が新潟県に参りました感じからいたしますと、富山県もやや似ておりますが、異常な豪雨であった。これはちょっと弁解じみますが、ほんとうに五十年来とか百年来の、これは地元の方にじかにお聞きしたのでありますが、そういう雨であった。特に新潟県におきまして、先生がおっしゃいました加茂市におきまして被害が出ております。私、実は行きます前は、これは警察もしくは消防署等伝達方法にゆるみがあったのではないかということも考えておったのでありますが、現地に行って事情をお聞きいたしますと、皆さん方は非常に注意しておられたということで、これはまことに不幸なことであったというふうに考えた次第であります。特に青海町でございまするが、これにつきましては物的被害、損傷しました家屋が非常に多くございまするが、人的被害はわずかに二名でございます。まして、これは起きました時刻は深夜でございまして、本来でございますれば百二十戸流失しましてそれで死者が二名ということはとうてい考えられませんが、その陰にはなみなみならぬ消防団の御努力があったと考えられますので、その点も御報告させていただきます。
  30. 稻葉修

    稻葉委員 建設省にお尋ねいたしますが、国道八号線をはじめ、国道復旧が大体、総理府総務長官の御報告によれば二十日までということですが、だいじょうぶですね。
  31. 坂野重信

    坂野説明員 先ほど申し上げましたように、一般国道不通区間につきましては、八号線を除きまして一車線以上の交通確保いたしております。八号線につきましては二十日ということを目標にしておりますが、二十日以前においてもできるだけ早く一車線確保するようにいま努力中でございます。その他市町村道等につきましては簡単にはまいりませんが、それぞれ最善の努力を払って早く交通確保いたすように努力いたすつもりでございます。
  32. 稻葉修

    稻葉委員 主要地方道等については、各県からあなたのところへ、いつごろまでに大体復旧見込みであるという報告が来ておりましたらお知らせ願います。
  33. 坂野重信

    坂野説明員 地方道につきましては、まだ各路線ごとにいついつまでにということは、はっきりしためどは全般的に立てておりませんが、できるだけ早急に調査しまして、一刻も早く復旧するように努力いたしたいと思います。
  34. 稻葉修

    稻葉委員 わが国は年々歳々災害がしょっちゅうあって、常襲みたいになっているものですから、災害復旧についても、どういうものか、われわれをはじめ少し神経が麻痺しておるように思いますが、これはいかぬことだと思いますね。もう少し実のある答弁をしてもらえないものだろうか。住民はいつこの橋が直るやらと思ってえらい心配しているんだけれども、大体二月後には改良復旧いたしますよというようなお返事がないと、こうやって災害対策特別委員会を急に招集してもらって、くにから皆さんおいでになったわけだが、いつになるかさっぱりわからぬ。それから局地激甚指定についても、一つくらいは見込みがありそうだというようなことでは、被災住民に対し、災害対策特別委員会としてもまことに権威のない話であるというふうに思います。それをあなたから御答弁をしていただくのもどうかとは思うが、もう少し政府は罹災民の気持ちになって、しっかりやってもらいたいものだと思います。  以上で私の質問は終わります。
  35. 大野市郎

    大野(市)委員 関連して二、三お伺いしたいのであります。  まず第一に、いままでよく小河川のはんらんなどでたいへんな水害が起きたのであります。今回の水害の根本原因は集中豪雨と理解をいたしますが、その発生の場所としては、今度は一級河川、中小河川のはんらんによって、場所が比較的限定されておるようであります。この一級河川、中小河川の管理責任者はどちらでございましょうか。
  36. 坂野重信

    坂野説明員 中小河川災害の多いことはよく承知しております。中小河川の整備についても最大の努力を払っておるわけでございますけれども、今度のように異常集中豪雨が予測しないところにたいへん多いということで、あちこち災害が起きてたいへん残念でございます。  中小河川の管理責任につきましては、全国の河川を一級河川と二級河川に分けておりまして、一級河川につきましては、全般的な責任は建設大臣にございますが、その中で特に区間指定をいたしました部分につきましては県知事に管理を委任しております。したがいまして、一級河川では建設大臣がみずから責任を持って管理するところと、県に管理を委任しておるところとあります。二級河川につきましては、県知事さんが全般的な管理責任を持っておるということでございます。  中小河川も一級河川に属するものと二級河川に属するものがございます。その他市町村の管理に属する、いわゆる普通河川といいますけれども、そういうものもまた別途にございます。
  37. 大野市郎

    大野(市)委員 今回、新潟県の加茂川、それから南魚沼郡の六日町にありますのは、これは一級河川と聞いております。特に六日町の宇田沢川と三国川の二つのはんらんが相当大きな被害を及ぼしておりますが、これは一級河川と聞いております。  私が特にこれを問題にするのは、実はその被害の破堤個所が二つの場所とも非常に似通った破堤の状況なんです。つまりV字型に湾曲してきた下流に当たる湾曲部のところに農林省の国営事業の取水場が設けられておるわけなんです。この二カ所とも同じなんです。そのV字型湾曲の下流に当たる、つまり絵にかいたら下に当たる部分の破堤でございますので、何か河川の管理と、農林省の取水口の取り入れに対する技術上の論争か何かがあったのではないかということを地元でしきりに言っておるのでございます。二つの破堤の状態が全く同様なる地形でありますので、私はここで問題にするのは、その問題点を遡及して言おうというのではないのでありまして、もしそういうような問題が、地元でささやかれているようなセクショナリズムが原因であったとすると人災になるのでありますから、災害復旧にあたって、一度上級官庁自体でこれらに対してとくとやはりそこを詰めていただきたい。私はしろうとでありますけれども、これを拝見して、それはどういうのかというと、V字型のところの取り入れ口が――本流は残った、本流は被害がなくて、その底辺にある取り入れ口がV字型の上部のような形に変更されて、新しい開拓された地帯あるいは国営開拓地がもろにさらに下部にえぐり取られて本流に変わっておるわけです。したがって、取水口も安全であれば橋梁も残っておるのです。橋が残っておる。取水口の建物は残っておる。そして、その下部にあった、りっぱにつくられた、たいへんな農家の費用負担をいたした耕地が全滅をいたしております。この点を申し上げて、復旧にあたって今後二度と心配のないような復旧対策をお願いいたしたい。まだ二日しかたっておらぬので、この点はその要望だけでけっこうなんです。それらの点に対するお答えは後日でけっこうです。  それから同時に、加茂市におきます加茂川の実態でありますが、これも集中豪雨の結果でありますから、私はある程度不可抗力であった事柄を認めざるを得ません。しかし、河川の状況をながめますと、加茂市に所属するけれども、そこが破堤をいたすときには隣村である田上村の穀倉地帯が全滅になる地形があるのです。ところが、この一級河川の堤防の姿が、加茂市に所属する地域内であるが、その部分だけが一段と下流の堤防より低くなっております。ですから、加茂川がはんらんをするときには田上村に流れ込むように設計ができている。これは現地で私は現場を見てきましたが、これらは河川管理者の責任はどうなるのでしょうか。これは直接の市町村長の責任に云々すべきものでないと思うのです。やはり上級官庁で目を通していただかないと、現場の隣接市町村の間には深刻なやはり争いが起きるわけなんです。その現場は加茂市の中にある。そして流れた場合は加茂市に行かないで田上村が全面的にお引き受けするという構造。今回の水が出たときにもその論争が、両市町村長の間で激論が戦わされたが、集中豪雨のために議論しているうちにすでに加茂市内において破堤が始まった。加茂市内において破堤が始まったあとで、さらに下流のその場所も予定どおり流水をしたのですから、これはあきらめております。両市町村ともあきらめており、この問題で今日問題が起きてはおりませんけれども、私ども国会におります者が現場を見ますときに、どうしてこんな事柄を今日まで放置しておったのかということで非常に責任を感じてまいったわけでございます。この点はひとつ、きょう起きたことでありませんのでお答えをいただきたい。
  38. 坂野重信

    坂野説明員 加茂川は、先ほどお話しいたしましたように、一級河川の中で知事に管理を委任しているところでございますので、直接的には知事の責任でございますが、この川自体がまだ未改修でございまして、改修の状態というものははかばかしくいっておりません。したがって、結果的にそういうような加茂の地先で破堤したものが田上のほうまでいっている、災害が及んでおると思いますが、そういうような計画的なはんらんといいますか、田上村をあらかじめ犠牲にするというようなこと、毛頭そういうことを計画的に考えているということは考えられません。まあ不幸な災害が起きましたので、早急に抜本的な改修計画を立てまして、問題をひとつ根本的に解決してまいりたいというぐあいに考えております。
  39. 大野市郎

    大野(市)委員 問題は、本日は別にその点のできたことをとやかく申すよりも、今後の問題で御注意を喚起したいのです。ただしかし申し上げておくが、その下流が高いんだから、流れてくれば、下流だけ何で高くしたかというので、まあしろうとで考えてもわれわれ疑問を持つのであります。どうかそういうことのないようにひとつ上級官庁で目を通して、住民に不安を与えないでいただきたい。  それじゃもう一点お願いいたしますが、そんなぐあいで農地の破損が出ておりますが、先ほどの総理府事官のお話で、加茂市の局地激甚災の適用見込みは濃厚であるということを述べられたので、私もそれがそうなるだろうというふうに見てまいった一人であります。とにかく一村一町あげてのたいへんな木材の加工場のために、非常に町全体が苦境に、市全体が苦境に立っておるのは事実でございます。どうかその点はひとつ十二分に考慮をしていただきたい。  残る問題は、やはり農地被害が出たのでありますが、六日町地帯の者も、いまの直接V字型でやられた場所はことし植えつけたばかりなんです。借財がたくさんあるわけなんです。それがもう、石ころだけでなくて岩石で埋まっておりますので、これらの地帯の者はぼう然としてなすところを知らない姿でありますので、この点は――農林省は担当の局長おられますか。
  40. 川村継義

    川村委員長 政務次官がおります。
  41. 大野市郎

    大野(市)委員 政務次官もおられますが、この復旧に対してただいまの天災融資法その他も、いずれもみな激甚災が適用になるかどうかでやはり事情も変わってまいりますので、その点の総合的な判断はまだつかないとは思いますが、こういう点に対しての農林省調査の現状において、それらの被害地の救済の方法についてどんな方法を考えておられますか。
  42. 小沢辰男

    小沢説明員 御承知のように激甚法の五条、六条の適用農地農業用施設、林道も含めまして激甚の対象になるかならぬかということは、大体私ども実際に査定をしてみました現実の被害額が総額約四十億を上回る場合というのが、いままでの例から見ましてそうなるだろうと思っております。現在までの県の報告によりますと七十四億円になるわけでございます。しかし、これは稻葉先生のお話ではありませんけれども、経験法則といいますか、経験からいいますと大体六掛け見当に見ておきませんと、実際の被害額との開きがどうも四割や四割五分ぐらいはあるようでございます、いままでのあれから見まして。したがいましてちょうどすれすれのところじゃないかというのが正直のところでございますが、しかしこれはもう何としても被害をお受けになった方々、または各市町村あるいは土地改良等を考えてみましたときに、高率補助による災害復旧でなければこれは納得しないだろうと思います。そういう意味で私は、事務当局としては非常に慎重な考えを持っておりますけれども、これは何としても政治的な判断も加えてぜひ激甚法適用をいたしたい、かようにいま考えておりますが、ただ実際に調査した結果、必要な四十億まではるかに及ばないという場合は、これはなかなか今回だけが救われるわけにいかない、従来はその四十億に満たないものを救っていないわけですから、そういう場合にはそれぞれ局地激甚の方途をいろいろ考えて、できるだけひとつ高率補助の適用に相なるように努力をすべきだ、かように考えます。
  43. 大野市郎

    大野(市)委員 最後にもう一点。そういうぐあいで、農地関係は冠水をしていま排水に懸命でありますが、時期で悪くて、ちょうど穂ばらみという時期でありまして、いま冠水すると、成熟期に一週間もつものがきょうの冠水二日で全滅の危機になっておるわけです。そのときに、幸い残ったものも実は病害虫が予想されるので、共同防除に対して何とか手厚い方法はないかという心配を現地はいたしておりますが、この点に対しての考え方をひとつお答え願いたい。
  44. 小沢辰男

    小沢説明員 農林関係に長い間携わっていただいて非常に詳しい先生でございますから、私からいまさら申し上げるあれはないのですけれども、かつて農薬等についての散布の補助をいたしたりしましたのですが、それがいろいろ会計検査院に、相当広範囲にわたって批難事項にあげられました。その金が実際の防除に使われないというような実情もございました。そういうようなことから、こういう薬品といいますか農薬等についての補助が実は行なわれていないわけでございます。そこで結局、県なり市町村なりのいろいろなくふうをするやり方、これは自治省の協力も得まして、そういうような考え方でひとつ交付税なり特別交付税なりの中の算定の中に入れていただいて、何とかひとつ実際問題として解決をしていただく以外にはいまのところ……。御承知のとおりかつて非常に悪いそういう例がございましたものですから、国として災害の場合の薬品の補助はいままではしておらないわけでございます。ただ早急に病害虫の発生の予防をしてもらわなければいけませんので、そういう点は現地の各県なり市町村なりとよく私ども農林関係の者が協議をし、指導いたしまして実施をしていただく。  それから、この二十日間ぐらいが一番用水が大事なときでございますので、先ほど申し上げましたように用水確保――用水路が相当やられておりまして非常に困難をきわめておるわけでございますから、これはひとつ査定前にでも思い切って実施をしていただいて、何とか用水確保をして残ったものを助けるようなくふうをやっていただきたい。これは緊急にひとつ査定前でも着工することを私どもは認めて万全を期するようにいたしたい、こういう指導をしておるわけであります。
  45. 大野市郎

    大野(市)委員 いまの御答弁のうちで、局長が言われるならそういう考えもあるかということでありますが、政務次官としてのあなたから、前に悪いやつがあったのでその事柄はどうもやれぬようになったんだからむずかしいぞというような考え方じゃ困りましてね。悪いやつは大いにひとつとっちめるべきであるが、共同防除の問題はそういうぐあいで何とか助けなければならぬ。方法はあるんだから、これはやはり部内を押えられまして、そういう悪いやつの監督は監督者がすべきなんだ。農民は防除が必要だというのだから、防除のために出した金が行くえ不明だなんということはもってのほかなんで、これはおのずから取り締まるべき機関があるはずなんだ。これはやはり政府の方針、農林省の方針としては、共同防除に対して救いの手を差し伸べるのだという基本方針を割り引きされたら断じて承知がなりませんよ。この点はもう一回、ひとつ考え方の基本を御訂正願いたい。
  46. 小沢辰男

    小沢説明員 私も実は政治家の端くれでございますから、事務的なことばかり考えておられませんで、先ほど言いましたように査定前といえども必要な用水確保については思い切ってやれということを、きのう、おとといと回りまして指示もしてきたわけでございますが、ただ補助対象にならぬものを、いかに政治的な配慮だといって、それは補助対象にしますということは、これはなかなか簡単には言えないと思うのでございます。それはいままででも県なり市町村長なりのくふうによってやっておるので、私はできる道があると思うのです。そういう点もお互いにひとつくふうをして、いわば事実上そういう負担を軽減しながらやる方法というものをお互いくふうすべきじゃないか。また、いままでそういうようなやり方でやってまいっておるわけでございます。しかしせっかくのお話ですから、私も個人的にはいまのお話のように、実際の耕作農民としますと水害でたたかれまして、しかもいま助けたい、何とかひとつここで病害虫の防除もしなければならないという場合に、何らかひとつ援助の手を伸べるべきではないかという気持ちもよくわかりますので、なおひとつ検討して、できるだけ方法を考え出しまして努力をいたしていきたいと思います。
  47. 大野市郎

    大野(市)委員 最後に一点。いまの問題で共同防除をやる結果は、農業共済の関係が資金的には助かってくるのですよ。だから、国家のふところからいうならば、補助金が出せないというのは出せない事情があったにしろ、出したっていいのですよ。だからそういうくふうをやはり一つずつの被害の実例から積み重ねていっていただきたいので、出さないことに役所できまったのだからもうだめなんだということにはなりません。この点は議論になりまして御迷惑ですからこれでやめますが、いまの共済基金との関係で国に損害がかからぬのですから、そういう積極的な方法の御検討を願いまして、私の追加質問を終わります。
  48. 川村継義

    川村委員長 斉藤正男君。
  49. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 私は台風第七号による天竜水系の水害について、たいへん残念なことでありますけれども、昨年に引き続き主として建設省に伺うわけであります。  昨年も申し上げましたけれども、三十六年、四十年、四十三年と連続災害がございまして、特に昨年の八月二十九日の災害に対しましては建設省としてもその復興に鋭意努力をしていただいて、従来見なかった改良復旧を計画され、一部分については実施をされておるわけでございますが、残念なことに一年たたないうちに同じ場所に同じような災害発生をいたしました。私どもは、ただ単なる天竜水系の水害ということでなくて、昭和三十二年でき上がりました佐久間ダム並びに秋葉ダムとの関係をお尋ねし今日までまいったわけでありますけれども、いち早く坂野局長は去る十一日現地を御視察いただきまして、つぶさに災害状況等も御見聞をいただいたわけでございます。  そこで、直接見ていただいた浦川地区、東雲名地区、横山地区、この三カ所について、災害の状態と、今後災害を未然に防ぐにはどう対処をしたらいいとお考えになっておられるのか。浦川、東雲名、横山の三地点に分けてひとつ、ごらんになった感想というよりも局長としてのお考えと今後の対策について御説明いただければありがたいと思います。
  50. 坂野重信

    坂野説明員 天竜の災害につきましてはしばしば斉藤先生から御鞭撻いただいておるわけでございまして、今回も災害のあった数日以内に現地をつぶさに見たわけでございます。  まず第一番目の大千瀬川の浦川の災害復旧でございます。それは先生御承知のように、災害復旧に助成費を加えまして改良復旧で鋭意工事中でございましたのが、一年たたないうちに再び災害を受けたわけでございますが、幸いに一部築堤のできていました部分につきましては昨年よりも被害の程度が若干少なかった。水が入ったことは入ったけれども、裏水が入ったような状態でございました。しかし大千瀬のこの地区の中で、放水路工事につきましては用地買収等の関係もあって若干おくれぎみであったわけでございまして、今回の災害の経緯にかんがみて地元のほうもおそらく用地買収等については今後協力はいただけるものと期待しておりますので、一刻も早くこの大千瀬の一貫した災害の助成復旧、改良復旧を進めてまいりたいというぐあいに考えております。  横山地区につきましては、昨年の災害の経験にかんがみまして、建設省としてはこの地点については改修工事を重点的に振り向けまして、全国の中でも最もこの地区に重点を向けて事業費をつけて鋭意工事中でございましたけれども、先生御承知のように一カ所用地の交渉がはかどらないために、その地区から土俵の上を越えて災害を受けたというのはまことに残念でございまして、今後地元の協力を得て一刻も早くこの地区の少なくとも一角のブロックを早く完成してまいりたいというぐあいに考えておる次第でございます。  東雲名地区につきましては昨年来御指摘をいただき、また地元の要望もございましたので目下調査中でございますが、これはできれば四十五年度において工事に着工するように取り運んでまいりたいというぐあいに考えておるわけでございます。  なお、ダムの操作の問題につきましては、昨年の地元の要望もございますし、また先生からも御指摘がございましたので、中部地建を中心にいたしましてダム操作もずいぶん検討したわけでございます。その結果、昨年に比べまして今回のダム操作のほうがかなり進歩いたしていた、私どもの意に電力会社のほうもかなり協力していただいて、治水目的のために役立つような操作をできたというように考えておりますけれども、私現地に参りまして、地元の強い要望がございましたし、さらにもう少し何らかのいい方法がないかということにつきましては検討してまいりたいというように考えております。
  51. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 現地をごらんいただいて、対策につき考え方の御説明をいただいたわけでありますが、私はここに数種類の新聞を持っておるわけでございます。私も八月六日に現地へ参りました。三十六、四十、四十三、四十四――私は昨年オリンピック災害だということを申し上げたわけでありますけれども、これがダブルパンチを受けて、満一年にならないのにまた八月五日にやられたということで、現地はきわめて不満であります。朝日新聞がここにありますけれども、その記事をちょっと引用いたしますと、「昨年夏に続き、二度も台風による集中豪雨で三百二十戸、千三百五人が水害を受けた磐田郡佐久間町浦川。六日は天候も回復、町の人々は総出でドロにまみれた家財道具を洗ったり、ぬれた衣類を乾かすのに懸命だった。」「だが、町の人たちの表情は暗い。町区で自転車屋を営む伊藤友三郎さんは「昨年は電源開発会社からこの地区に千五百万円の見舞金をもらった。そんなものが何になる。おれたちは水につからぬようにしてもらえば、それでいいんだ。昔だって大雨は降ったさ。が、こんなことはなかった。秋葉ダムが出来て、大千瀬川の河床が高くなったからひどい目にあうんだ。だからおれたちはダムをぶちこわせと要求しているんだ」と、はき捨てるようにいう。」八月八日のコラムはこういうことを書いております。「北遠地方がまた“あばれ天竜”のえじきになった。一年もたたぬうちに二度の被害。被災地の状況をみようと国道百五十二号を磐田郡佐久間町浦川まで走ってみた。山の緑、谷間の清流、まさに秘境の美しさ。だが、道路はあちこちでくずれ、立木が倒れかかっていた。自然は美しくてもそこに住む人の生活は苦しい。災害が過疎に拍車をかけているようだ。浦川で畳表をはがしている老女に出会った。「去年もやられて、もうこの畳は使えません。せめてゴザにでもしようと思って……。水害続きで借金はふえるばかりでのう」暗然たる面持ちだった。が、壮年の人たちはもっと戦闘的だった。つまりダム公害への怒りだ。「三十二年に電源開発会社の秋葉ダムができて以来、大きな水害はこれで四度目。ダム上流では土砂が流れなくなって河床があがり、天竜川本流と大千瀬川の合流点である浦川がいつも被害を受ける。電発側は二十五キロも下流の秋葉ダムが影響しているとは考えられない、という。影響するかどうか、川の模型をつくって実験してみればわかるはず」と憎しみをこめて語る。この人たちは「電源開発のためわれわれだけが犠牲になるのはゴメンだ。われわれは安住の保障を求めているにすぎない」と主張する。現に去年夏の水害のあと十二世帯四十五人が浦川から去って行った。いままた愛知県への集団移住の話が持上がっている。このままでは政治不信の念が高まるばかりだ。ダム公害と道路整備に本腰を入れることが過疎防止への先決とみられているのだが……。」こういうことが書いてある。これは現地住民の考え方を端的にあらわしているというように私は思うわけであります。  九月早々災害対策特別委員会が招集をされて、さらにいろいろな質問やお願いをするわけでありますけれども、何といいましても佐久間、秋葉両ダムができてから河床の変動が激しい。ダムの下流が河床沈下し、ダムの上流が河床上昇するのは、これは常識でありますけれども、私はここに天竜川河状調査委員会調査をいたした資料を持っております。昨年も実はこれを引用してお尋ねをしたわけでございますけれども、特に浦川地区のいわゆる大千瀬川の河状がこの一年間でどう変わったかということが出ているわけであります。この一年間というよりも、昭和四十三年十一月に調査した結果と昭和四十二年十一月の調査の結果ということでございますから、その一年間にどう変わったかということになるわけでありますけれども、大千瀬川が天竜本川との合流点に近いところで観測地点七というのがございます。ここの河状は、平均で一メートル十五センチ、一番低いところで九十八センチ河床が上昇しているわけであります。そしてまたその少し上流のところは、平均で二メートル四十五センチ、一番低いところで一メートル五十九センチ、さらにその上流の観測点九では、平均では十六センチ下がっておりますけれども、一番低いところで二十三センチ上昇しておるわけであります。  こういうことを考えていきますと、ダムができる前の昭和三十一年と今日では、場所によっては二、三メートルの違いがあるわけでございまして、なぜ一体大千瀬川がこのように急激な河床の上昇を呈したのであろうか。私は昨年の質問の最後のときに伺いましたところが、川崎説明員はこう答弁しておるわけであります。「大千瀬川流域、特に浦川地区にもかなり堆砂をしておるわけでございます。これはやはりあの川の流域全体から土石が流出してくるのが結局河床が上昇してくる最大の原因ではないか。そういった意味ではあの流域全体の治山、砂防といいますか、そういうものをもう一度見直す。それから現在たまっております土石をどういうふうに処置するか。これは改修の計画との関連が出てくると思います。そういうことについては、局長からも総合的に検討しろというような指示を得ておりますので、現在直接管理しておりますのが愛知県と静岡県との両方にまたがっております。これに中部地建が入りまして三者で、現地で河川管理者としての立場から十分検討するということになっております。」こういうことで、建設省もダムの影響は大千瀬川の河床の上昇にはあまり関係ないという根拠に立っておられます。しからばこうこうこういう現実があるのだけれどもそれはなぜだと追及いたしましたら、わかりませんということです。わからぬじゃ政治にならぬじゃないかと言ったら、最後に、管理者である愛知県と静岡県と建設省の出先である中部地建で検討をいたします、こういうことで幕を閉じておったわけであります。ところが先ほど申し上げましたようなことで、ごく一部分は河床の沈下したところもありますけれども、大体はやはり天竜木川との合流点から観測点八、九、十、いずれも河床がおびただしく上昇しているという、この天竜川河状調査委員会調査の結果は歴然たるものがあると思うわけでございますが、一体その後河川管理者である愛知県と静岡県と中部地建は、大千瀬川の河床の上昇について検討いただいたのでありましょうか。あるいは検討しつつあるのでありましょうか。その辺を伺いたいと思います。
  52. 坂野重信

    坂野説明員 お答えいたします。  先生のさっき申されましたように、堆砂の状態は確かに先生おっしゃるような状態であると思います。開発課長が昨年答弁しているとおりでございまして、やはりダムの直接の影響というよりも、その川自体の本来性から発するいろいろな山地の状態というようなことからおそらくこういった堆砂状態ができておる。私も現地を見てそういう感を深めたわけでございます。  そこで、河川管理者たる両県と調査中でございますが、なかなか堆砂問題というのは、先生御承知のように非常に技術的にむずかしい問題でございますし、早急にこの堆砂の状態を防ぐにはどうするか、これらの対策を立てるには技術的に一体いかなる方策を進めるかというような問題につきまして、技術的にもある程度の調査期間も必要でございますので、そういう調査の結論を得た上でひとつ根本的な対策を立てたいというわけでございまして、目下引き続き調査中でございますので御了承願いたいと思います。
  53. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 先ほど地元住民のことばの中にありましたように、模型をつくって、ほんとうに秋葉ダムの影響が二十五キロ上流の大千瀬川にないのかというようなことを御検討いただくようなお気持ちはないでしょうか。というのは、今回の北陸、東北水害で、やはり只見川流域にもいわゆるダム災害といわれている災害が随所に発色をしているというようなことを考えましたときに、私どもは、やはり現地住民が心から納得するというためには、かなり科学的な根拠を持って臨まなければ説得は不可能じゃないかというように思うわけでございます。現地の責任者は、建設省と電発は共同して数百万円の金を使って模型をつくり、調査をした結果、関係ないという結論が出たということを実は昨年現地で公表してしまったのであります。私は寡聞にしてそういうことを聞いていないわけでありますけれども、明らかに現地の責任者は何か間違えておるのじゃないかというように思ったわけですが、数百万円の金を使って模型をつくり、ダムと大千瀬川等との関連について実験なり試験なりしたことがあるのでございましょうか。
  54. 坂野重信

    坂野説明員 私は現在のところ、そういう堆砂状況調査するためにそういった模型実験をやったということを実は聞いておりません。ただ、そういう模型実験等をやりましても、いろいろな技術的な問題がございまして、模型実験をやってもその辺が的確に量的につかめるかというと、むしろ全体の傾向ぐらいしかつかめないので、やはりこのくらいの問題になってくると、実地につきましていろいろな計算、精密計算、あるいは実地についての観測というものを長年にわたってやり、調査の積み重ねによって結論を出すという以外に方法はないのじゃないか。いろいろなダムの構造的な問題等につきましては模型実験もやっておりますけれども、模型実験のいわゆる技術的な限界というものがございますので、ちょっとこういう問題については模型実験をやってもかえって推定はなかなかむずかしいのじゃないかというぐあいに考えております。
  55. 川村継義

    川村委員長 斉藤委員、すみませんがちょっとしばらくお待ちください。  総務長官は三時からほかの重要なる事柄で出かけますが、総務長官に質疑のある方はこの際お願いしたいと思います。  小沢貞孝君。
  56. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 どのくらい時間があるのですか。
  57. 川村継義

    川村委員長 十分間。それから公明党さんもあります。
  58. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 時間もないようですので、総務長官に肝心なことだけお尋ねしたいと思います。  西日本を襲った、これは七月末の集中豪雨その他ではなくて、七・六集中豪雨、これについては激甚指定の政令はすでに出されているやに聞いております。これはそういうように理解してよろしゅうございますか。
  59. 床次徳二

    床次国務大臣 そのとおりであります。
  60. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 きょうも稻葉先生等をはじめ、激甚指定をということが盛んに国民の要望として出されておるわけです。そこで私は、七・六集中豪雨以降、大まかにいって三つあったのではないか。七月末、それから七号台風、それから今回の八月上旬の集中豪雨、この三つ続けてここで災害があったわけです。だから激甚指定をするにはこの三つをトータルして、農林施設あるいは公共土木中小企業その他の関係、こういうぐあいに、この三つの被害をトータルして、さて激甚指定になるかどうかという検討を加えるべきではないか、こういうように考えます。どうしてそう言うかというと、私は過去の激甚指定を受けた災害の例を見ると、ひどいのになると、四十一年十一月二十八日の政令三百七十号は、四十一年五月から十月までの期間内における長期にわたる低温及び同年十月上旬の降霜による災害、こういうぐあいに約半年の間続いたものをトータルして激甚法指定を出しているわけです。その他こういうことはたくさんあるわけです。四十一年八月十五日の政令二百八十八号、四十一年八月二十二日の政令二百九十四号、これはまた長いこと、四十一年台風四号、同年六月十九日から二十四日まで及び同月三十日から七月二日までの豪雨、同月七日から二十二日までの断続した豪雨並びに同年六月下旬及び七月の降ひょうによる災害、これだけトータルしてこの四十一年六月から七月にかけてのも激甚指定になったのです。  そういうぐあいにして見ると、過去激甚災害というのは、長い間のトータルをして激甚指定をしてきた。これは国民のためにたいへんありがたいことであったわけです。したがって今回も――先ほどの質問は、やっぱり被災地の人が被災地の目だけで見ているものだから、八月の上旬だけのところは富山はどうだ、新潟はどうだ、これはたぶんいけないのじゃないかという心配ばかりしているわけです。だから、七・六集中豪雨以前のものはもう政令指定してしまったのだから、それを改正をして、さらに七月末、七号台風及び今度の八月上旬のものを四つトータルすれば、これは当然今度の災害全部がおそらく、公共土木もしかりであろう、農地、農林業施設その他もそうであろう、こういうぐあいに私は判断できるわけであります。そういう目で事務当局に激甚災害指定ができるようにされぬものか、こういうぐあいにしていただくのが私は妥当ではないかと考えます。先ほど農林政務次官も、事務は別として、政治的に見ればそういうようにしなければならなそうな御答弁で、さっきの答弁から私は急に思いついてこういう質問をするわけであります。そういう感覚でひとつ、この間政令指定をしたものにこのあとの三つをプラスしてできないか、まずその第一点を質問したいと思います。
  61. 床次徳二

    床次国務大臣 事務的に申しますると、先ほど政務次官からお答えしたとおりだと思っております。それから、災害がそれぞれ違う気象条件のもとに発生しておりますので別々に分離するわけでありますが、この災害そのもののあとへすぐ雨が降ってまたくずれると、なかなか実際問題として分離不明の場合もあるわけであります。したがって、御意見のような政治的と申しまするか、観点に立ちまして一括して指定するということもあり得るわけであります。この点は、今日現地の皆さま方の状況をよく調べまして、積極的に進んでまいりたいと思います。ただ過去の例から申しまして、すでに決定してしまって分離したものを加えてやるということは、これはあまりはっきりしているのでちょっとむずかしいらしいのでありますが、その問題につきましては事務当局で検討いたしたいと思います。
  62. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 どうもうしろで川上さんが茶々を入れるから、せっかくのいい答弁がトータルでぼやけてしまっているわけでありますが、たとえば、これは私まだよく調べていないけれども、四十一年八月十五日の政令二百八十八号、そして改正をして四十一年八月二十二日、政令二百九十四号と、こう続いて出ているわけです。したがって、最初に政令を指定して出したそのあとへまた続いて出たという場合に、前のやつを改正して新しい政令を出す、こういうようにやったものではないかと私は推定をするわけです。よく聞いていてくれたですか、総務長官。それで私の言ったことは二つあるわけです。七・六集中豪雨に出した政令、これをあとの七月末、七号台風、八月集中豪雨。――その七・六政令は幾日の何号で出しましたか、そのほうから先に……。
  63. 川上幸郎

    川上説明員 ちょっといま資料を持っておりませんので、後刻お答えさせていただきます。
  64. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それで、七・六集中豪雨の政令が出されました。そのあと三つありました。そこで私は二つあると思います。七・六集中豪雨の政令を今日の時点になって改正する政令を出して、全部、西日本とあとの三つを一緒にトータルするという方法、それが一点。それがもしどうしてもだめであるならば、七月末、七号台風、八月上旬の集中豪雨、この三つをトータルして出すか。これはいずれも私は可能なような気がするわけです。
  65. 床次徳二

    床次国務大臣 御引例になりました四十一年の問題は、これは事項を追加したのでありまして、事後になりまして前の台風とあとの台風と全部一括して査定するという扱いではなかったように聞いております。しかし今度の台風におきましては、その後二回にわたり、また三回、追っかけて災害があったわけであります。その被害状況等については、査定の問題でありますので、十分ひとつ御要望というものを考えながら査定するようにいたしたいと思います。しかし、気象条件の違いますものを一括するということはなかなか理論的には無理でありますが、事情はいろいろ承っておりますので、その趣旨におきまして十分研究さして、その上でもって査定いたしたいと思います。
  66. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 川上事官にお尋ねいたしますが、四十一年八月十五日の政令二百八十八号、それが八月二十二日になって「改正」とここに書いてあるが、政令二百九十四号が出ているわけであります。そうすると、これは最初に政令で指定したものに、いまの長官の答弁だと、何か別の項目をくっつけた改正を出したように言っているみたいだけれども、これは公共土木公共土木で、農地、農林業施設についてはそれでと、こういうようにおそらく出されるのではないかと思いますが、どういうかっこうで出されているのですか。それによって私はことしだって、西日本を襲った七・六集中豪雨にあと三つあったものをトータルして、プラスして改正の政令を出せばいい。これは皆さんがみんな心配しているように、八月上旬の集中豪雨だけじゃとても無理かな、あの町はどうです、この町はどうですなんて、局地激甚災害なんというものは落ちこぼれのものをあとから拾ってやるようなものであって、さっきの農林政務次官のように、これはやはりトータルしてやるような方法を考えなければいけない。事実そういう例があったんだ。四十一年にあったならばそれをまずやるべきだ、かように考えるわけです。だから、前の実績はどういうことでこう改正したかということですね。
  67. 川上幸郎

    川上説明員 お答えいたします。  ただいま御質問がございました政令改正でございますが、これはたしか、長官がただいま申し上げましたとおりに、災害を合併したものではございませんで、条文追加でございます。適用すべき条文、これはたしか、私正確にはいま覚えておりませんが、当初は第五条の農地関係、それから第八条、これは農作物でございますか、を出しまして、これに新たに第十条及び二十一条か何かを、その後被害が増加いたしまして追加したものだ、こういうふうに理解しております。
  68. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 私、追加するという意味がわからないのです。最初の政令二百八十八号には第五条の農地関係、八条の何とか関係、その次の政令は前のときの被害と何か合わせて――第十条というと文教施設ですか中小企業ですか。
  69. 川上幸郎

    川上説明員 第十条は土地改良区等の行なわれます湛水排除事業でございます。
  70. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 わかりました。だから、政令が最初に出されたときには農地関係及び第八条が政令で出されて、その次のときに、追加したときに土地改良区関係が出されたということは、二つの災害をトタールしてその十条、二十一条というものが加わったんじゃないのですか。
  71. 川上幸郎

    川上説明員 これはあくまで、先ほど稻葉先生からも御指摘がありましたように、皆さんを安心いたさせるためになるべく早く政令を出すという趣旨にのっとりまして、被害額の確実に到達しておったもの、これをまず出しておきまして、以後その被害額がなお固まってまいりまして出していった、こういうような経過でございます。
  72. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そうすると、七・六の関西だか西日本の豪雨の政令はすでに出されました、こういう状態で了解しました。それはありがとうございました。しかし、それに続いて、ものの十日とたたないうちに七月末、それから七号、それから八月上旬の今回の集中豪雨、こういうように続いているわけです。そうすると、最初の政令を早々出してしまったものですから――過去の例におけるように、四十一年十一月二十八日の政令のように、これは五月から十月末までという、半年の間延々と続くものをトータルして政令を出しているわけです。それがたくさんあるわけです。昭和四十年のときは六月の上旬から七月末までのものをトータルして政令を出しているわけです。だから、早く出してありがたかったようなものの、あとから出てきた人にとっては食い逃げされたみたいなかっこうになってしまうわけです。だから、そこの便法をひとつ講ずることはできぬか。先ほど農林政務次官は、事務当局はこまかいこと、むずかしいことを言うが、しにかく農林省関係あるいは農地、農林業施設関係については政治的にも激甚災害にしたい、かように発言をされておるわけですから、その便法を講ずることはできぬですか。これは理論的には、過去そうやっているのですから、政令を一回食い逃げしちゃったからあともうだめだということは、三日ばかり災害がおくれてしまったから損しちゃった、こういうことになるわけです。
  73. 川上幸郎

    川上説明員 お答えいたします。  いろいろと誤解を生みましたようなのは、私の答弁が少し不鮮明だったからかと思います。これは、いろいろと政令改正等を行ないます場合は、私先ほど申し上げましたように、額がまず到達しておることがはっきりしておる、これにその後被害額がふえていって加わってきたという場合、それからたとえば前回の政令、これは鹿児島の場合でございますが、局地激甚の政令を出しておりますが、これでさえもやはり今後、あれは中小企業関係だけを出しておりますが、もし公共土木が該当するとなれば政令改正で局地激甚の政令を変えることがあるかと存じます。このようなものが先生の誤解をお生みになった原因ではないか、こう思うわけでございます。  長官の申しておりましたのは、この問題は二つの条件による。一つは、気象条件が違うのはこれはどう見ても一の災害ではない、だからそこに本来無理があるのだ。しかしながら、気象条件が違いましても二つの災害が相次いで起こりましたために被害がミックスしてしまう、このような場合には、査定におきましてもどちらの災害によるものであったかはっきりしない、このような場合は分離することも考えられる、一緒にすることも考えられるであろう、こういうことを長官はおっしゃったわけでございます。したがいまして、先生がおっしゃいましたように、七月六日のものに出しましたものと今回の三本のものとを一つにするということは、これはもう全然気象条件も異なっておりますし、災害におきましても分離は完全に可能でございますので、これは考えられないということを長官がおっしゃったわけでございます。  それから、次の三本の災害、これははたしてどうかという問題でございますが、これは長官は非常に政治的にお話ししておりますけれども、気象条件においては異なっておるという気象庁の見解を得ております。しかしながら、さてはたして分離は可能かどうかということにつきましては、長官も非常に含みのある発言をなさった、こういうふうに自分としては理解しておるわけであります。
  74. 床次徳二

    床次国務大臣 ただいま事務当局から御答弁いたしましたような次第であります。しかし、災害の実情というものを見まして、できるだけ不公平のないように扱わなければならない。事柄が災害でありますので、この点につきましては十分検討いたしまして、実情に合うように今後とも努力をいたしたいと思っております。
  75. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それでは今度農林政務次官に……。  最初に農林政務次官からああいうように積極的な答弁をいただいて、私たいへんありがたいと思っておるのですが、事務当局に最初お尋ねいたします。  七月末、これはいわゆる激甚災を適用するかどうかということ。農地農業用施設、林道、この災害は幾らありました。七月末の、それから七号、それから今度の災害は……。全くの推定でいいと思います。農林省でいう激甚災害指定する場合の数字をこの三つに分けて、大体のところでいいです。
  76. 荒勝巖

    荒勝説明員 お答えいたします。  七月下旬の豪雨に基づきますいわゆる激甚法の対象となります被害につきましては、都道府県からの報告で、まだ十分農林省査定等はいたしかねておりますが、おおむね十七億円強という数字になっております。それはいわゆる農地農業用施設と林道、この三つの被害でございます。それから、台風七号関係が約十六億でございます。林道を含めまして十六億でございます。  以上でございます。
  77. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それから、今回は……。
  78. 荒勝巖

    荒勝説明員 それはただいまお手元に差し上げております資料にありますが、今回の八月六日以降の豪雨につきましてはまだ現在集計中でございますが、約七十五億円強、こうなっております。
  79. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そうすると、十七億プラス十六億は三十三億、今度は七十五億前後、まだふえてくるかもしれないということになると、農林関係激甚指定の条件のBであるところの農業所得推計の〇・一五%は四十億だ、政務次官先ほど言われたとおりです。それを二・五倍もオーバーしているということになれば、これは明らかにどこかの県は例の農業所得推計の四%とかあるいは十億をこす県があるでしょうから――これは一番大きい県はどこですか。農業関係の一県で十億をこすようなところは。
  80. 荒勝巖

    荒勝説明員 ただいまの段階では新潟県だと判断しております。
  81. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 どのくらいですか。大体の見当でいいです。一番大きい県を二つばかり言ってもらえばいいのだ。
  82. 荒勝巖

    荒勝説明員 新潟県が、先ほど申し上げましたように約四十四億円強になっております。
  83. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そうすると政務次官、気象条件も若干は無理があろうけれども、さっきの積極的な御発言もあったとおり、七月末と七号と、それから八月上旬、この三つを合わせてもらえば、いまの御答弁をトータルすると百八億、約百十億になるわけです。だから四十億という、農業所得推計の〇・一五%も二倍半に突破するし、十億という県も、新潟は三倍も四倍もと、こういうことになるので、明らかに農業関係はこの激甚災の指定になるのだ、こういうふうに理解できるわけです。ひとつ政務次官御答弁をいただきたいと思うわけです。
  84. 小沢辰男

    小沢説明員 ちょっと小澤先生少し先走っておられるので、私は、まず今回の八月六日以降の集中豪雨による九県の被害総額をいろいろ調べまして、四十億になれば何も無理して前の七月末だとか台風だとか、気象条件がはっきり違うものまで含めなくてもいいわけでございます。したがって、今度のこのようにひどい七十五億という――一応各県からの被害状況報告が七十五億になっておりますから、私どものいままでの経験からいって大体六掛けで見ればいいところじゃないか。そうしますと四十億ちょっとこえる、あるいはそれがきびしくなれば若干下がるかというすれすれのところだ申し上げたわけなんでございます。したがって、その状況をもう少し見て、非常に無理だ、たとえば四十億見当だというのに三十八億だった、それでもなおかつしないとは何事だという議論のときに、前のやつをどうするかとか、どうしたら一体これが救われるかという御議論をされればいいので、今回はその問題はもうしばらくおいていただきまして、この八月六日以降の集中豪雨についてどうやらまあいけそうないますれすれのところでございますから、この辺はできるだけ激甚適用、五条、六条の適用になるように私どもも努力をいたしますので、その後の結果で御議論願いたいと思います。
  85. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 私途中にはさんだからここで質問をあれしますが、政務次官、出身県はどこですか。自分のところだけ分離して、よければそれだけでよろしい、こう言う。これは出身県の代表、代議士じゃないのですからね、日本の農林省の政務次官ですからね。私の言っているのは、七号やその前のやつで落ちこぼれになっているところがたいへんあるのだから、そういうものも含めてやるように言っていただくのが政務次官の御答弁じゃないですか、そういうことなんですよ。
  86. 小沢辰男

    小沢説明員 私、先ほどお答えしたのは、八月六日以降の集中豪雨が一体激甚災になるかならぬかということを、いま稻葉先生なり大野先生なりおっしゃいましたからお答え申し上げたので、いま先生は逆に角度を変えて、今度のやつでなくて、今度のものはまあまあそういうことでいきそうなようだが、前のものは救われなかったから、前のものを救うために今度のあとのやつを一緒にしろという御議論のようにいま初めてわかったわけでございますが、この点は、いかに私が政治家といえども、そう前の十七億、十六億の被害激甚災にするために、そのあとついいま起こりました被害まで一連のものとして全部とるかとらぬかというととは、ここで、大蔵大臣が来ましても、おそらくよろしゅうございますという、かような答弁はできないだろうと思う。しかし、おっしゃるように気象条件がたとえ違いましても、要するに罹災者を救済するというところに主眼がある法律でございますから、政治的には私どもよくわかりますので、先ほど総理府総務長官が言いましたように、これからひとつ前向きに検討いたしますけれども、私、先生のおっしゃることは前のほうをむしろ救うためにおっしゃっているということがいまようやくわかったわけでございまして、もう少しひとつ検討させていただきたいと思います。
  87. 川村継義

    川村委員長 たいへんお待たせいたしました。斉藤正男君。
  88. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 小澤委員の名質問で中断されましたが、ここに「天竜川河状調査概要」という静岡県企画調整部が出した冊子があるけれども、いわゆる天竜川がいかにあばれ天竜であるかということがるる述べられている中で「静かになった近代」という項がございまして、「近年にいたり、大正時代から昭和にかけては、記録のうえでも、人々の記憶のうえでも天竜川としての大水害はほとんど残っていない。これは明治維新以後、中央政府の樹立により、いままでの幕藩制度では局地的にばらばらにしかできなかった治水、水防が、ある程度計画的におこなわれるようになったためと思われる。」という一章がございまして、以下有名な金原明善翁の業績がたたえられておるわけです。この静岡県が出している冊子の中にも、大正から昭和にかけて、記録の上でも記憶の中でも大きな水害はなかったと書いてあるのです。ところが、御承知のように三十六、四十、四十三、四十四――まだことしも一、二回は来るだろうという覚悟を現地ではしておるわけでありますけれども、どうも解せぬ、こういうことが率直な現地の声であります。  そこで、ひとつぜひ考えていただきたいことを申し上げるわけでありますけれども、たびたび指導、助言、監督の結果、佐久間、秋葉両ダムの操作規定が改善をされました。先ほど言われましたように、ダム操作については電源開発株式会社もかなり細心な注意をされている事実は、私どもも率直にこれを認めます。問題は操作規程でございまして、たとえば佐久間ダムで申すならば、常時満水位が標高二百六十メートル、水位計による表示四十メートルであります。予備放流水位は標高で二百五十七・五メートル、水位計による表示三十七・五メートルでございまして、わずかに予備放流は二・五メートルであります。最低水位が標高二百二十メートル、水位計による表示ゼロメートルですから、四十メートルが最低と常時満水位の間にあるわけでありますけれども、この間予備放流水位は満水時よりもわずかに二・五メートルしかない。もう少しここで五十センチなり一メートルなり予備放流水位を下げることによってポケットが拡大をされれば洪水の予防になるという考え方が、これは市町村を含めて圧倒的な声であります。きょうはこういう性格の委員会でございますので、通産省も電源開発株式会社も私は呼んでおりませんけれども、やはり予備放流水位についてもう少し考えてもらわないとポケットの拡大ができないし、洪水予防に役立たないというように思うわけでございますが、この点を検討いただけるでしょうか。それとも再三の改正によってごく最近できたものだから、いま基本的なその問題を考える余裕はないとおっしゃるのか、いかがでございましょう。
  89. 坂野重信

    坂野説明員 実は昨年から先生の御指摘なり御鞭撻を受けて検討していることは先ほど申し上げたとおりでございまして、それに沿ってかなり改善されていることは事実でございまして、操作規程の現行の範囲内で極力やっていることは事実でございます。しかし操作規程をかなり昨年いろいろ御討議させていただきましたように慎重に、操作規程を改正してまだ日も浅いことでございますので、ぜひ検討いたしまして、操作規程を改正するかあるいは現行の範囲内で実質的に向上できるような方向でいけるかどうか、この辺の問題を含めてもう少し時間をかしていただきたいと思うわけです。十分先生の御要望の趣旨はよくわかります。私、地元に行っても激しい要望を受けておりますので、この辺のところをよく体して措置するようにいたしてまいりたいと思います。
  90. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 大体の考え方は概括的にわかりましたが、個々の地点についてもう一、二伺いたいと思います。  浦川地区の重なる水害につきましては、現地を御視察いただいて、放水路等の建設にあたり用地の買収が思わしくなかったという点で、現地側にも責任があるというように私は思うわけでございます。しかしながら再三、年に二回も二百数十戸が床上数メートルの――数メートルはオーバーですけれども、一メートル、二メートルというような浸水にあうということは、現地住民としては先ほど読み上げました新聞記事のとおりで、耐えがたいことだというように思うわけでございます。もう一点は、護岸やあるいはかさ上げ、あるいは川幅の拡張といったものに先がけて、堆積している土石を除いてもらいたかった、こういうことがいわれておるわけであります。もちろん若干のものは取ってあります。しかし不十分であったことは事実でございますので、あの河床の上昇、堆積した土石といったようなものの処理については、局長どのようにお考えでありましょうか。
  91. 坂野重信

    坂野説明員 先ほど申し上げましたように、私どもは大千瀬川全体につきまして、砂防の問題も含めて河川全体を検討中でございます。堆積の問題もその一環としてやっているわけでございますので、その辺の堆積の状態、河床の移動状態がどうなっているということをやはり基本的に突き詰めまして、その結果に基づきまして全体計画というものを策定して、そして処理するようなことで、ひとつ年次計画に基づいて考えたいわけでございます。さしあたっては災害を受けたところが一番問題でございますので、それに改良費というものをつけ加えて助成の事業をやっております。当面はともかくこの災害復旧を最優先ということでやっておりますが、堆積した土石の処理をいかにすべきかというような問題につきましてはもう少し時間をいただきまして、全体の調査の結果を待って、全体的な計画の一環として考えてまいりたいということでひとつ御了承願いたいと思います。
  92. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 東雲名につきましては先ほど答弁をいただきました。四十五年度でやりたいということでございますが、横山地区につきましては、一部これまた用地の関係等がありまして、予定にはなっているのに実施できなかったということで、たいへん残念でありますけれども、現地の要望は、御承知のようにダム操作規程の改正と、それから護岸早期完工と、さらにかさ上げ、この三点で総合的に水難から横山地区を守りたい。当然な要求であろうというふうに思うわけでありますが、ダム操作規程の改正はいまお尋ねして答弁をいただきました。それから護岸につきましては、鋭意精力的な御努力をいただいており、不日これが完成を見るわけでありますが、それでもなおあの地区の浸水ということは考えられるわけでございまして、最終的にはかさ上げといったようなことが当然だと思うわけでありますが、直接建設省の仕事であるかどうか、きわめて疑問でありますけれども、このかさ上げについて局長は一体どのようにお考えでございましょうか。
  93. 坂野重信

    坂野説明員 やはり直接の外水を防ぐということが私どもの治水の第一義的な方針でございまして、ほんとうにもう一カ所、狭い区間でございますが、あるいは用地交渉なり移転の問題等が片づけばおそらく今回間に合ったと思いますけれども、地元の一部に強烈な反対がございまして、そのために今度の出水期に間に合わなかったということで、非常に残念でございます。ともかく鋭意こういった外水を防ぐということに重点を置きまして、工事が完成いたしました暁はひとつ様子を見ながら内水排除の施設を考えるか、あるいはその他の方法があるかというようなことにつきましては、外堤防ができた段階において全般的な検討を進めたいというぐあいに考えております。
  94. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 最後に、大臣がお見えでございますので、ダムと利水の関係について一言だけお考えを聞かしていただきたいと思うのです。  治水ダムと利水ダムがあることは御承知のとおりでありますけれども、特に利水ダムのうち電力会社なり電源開発株式会社がつくっておりますいわゆる発電ダム、この発電ダムが洪水との関係において今日随所に問題を提起をしておることは御承知のとおりであります。後ほど関係議員からお尋ねがあるかと思いますけれども、只見川の水害につきましても明らかに東北電力なりあるいは電源開発株式会社との関係があると思うわけでありますが、電力会社なり電源開発株式会社に言わせれば、ばく大な投資をして、たまった水は金だ、水は電気だ、電気は金だという考え方から、たまった水を放水することについては非常な問題だ、これは私どももわかるわけであります。さればといって、そのダムの操作の誤りによって、あるいは誤りでなくても、ダムができたことによって自然の状態で流れていた河川が勢い変わってくることは当然だと思うわけであります。ここに人命尊重あるいは国土なり財産の保護、保全といったものと、電力あるいは産業といったものとの関連が出てくるというように思うわけでございます。私はかつて建設委員会でこうした問題について大臣にもお尋ねしたことがあるわけでありますけれども、今後ますますダムと水害の関係は放置できない問題になるだろう。私は、公害の一つにダム災害がある、決して電力会社なり電源開発株式会社が意識して洪水を起こそうとしたものでもなければ、また起きたものでもない、ダムをつくることによって自然的に発生する、これはダム公害だというように考えております。したがって、このことは広範な公害の一つとして、国が責任を持つべきものは持つべきだというように考えるわけであります。  そこで問題になるのは、予備放水をするのはいいけれども、降るつもりであった雨が降らなくてダムがからからになってしまった。あるいは発電に支障を来たしたという場合に、電源開発株式会社なりあるいは電力会社が、水害防止というたてまえから予備放水をしたことによる損害が起きるわけであります。その損害の補償をだれがするかということが明確になれば、私はあえて、たとえ一時的に発電力が低下しても人命なり財産の保護という大乗的な見地から予備放水することも当然だ、また電力会社なり電源開発株式会社もその裏づけがあれば地元住民の要望に沿ってポケットを拡大し、洪水を待つということも、利水ダムにおいても不可能なことではない。今日その法的根拠や国家的見地からの対策がないために予備放水を惜しむという傾向が強いというように考えるわけでありまして、ここにダムと洪水との関係を調整する政治課題があるというように思うわけでありますけれども、大臣の御見解を伺って、きょうのところの質問は納得がいけば終わりたいと思います。
  95. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 まずもって、今期の集中豪雨によって各地災害が頻発いたしておりますことはまことに憂慮にたえない次第でございます。それらに対しますところの状況、あるいは応急、緊急対策等につきましては総務長官からも御報告があったことと思います。また農林政務次官もおいでになっており、また建設省の河川局長も参っておりますので、それぞれの立場からそれぞれ報告なりあるいは対策を申し上げたと考えるのでございますが、建設省関係の責任大臣といたしまして、私は、これらの災害地における不幸な災害の頻発に対し、罹災者の各位につつしんで御見舞いの誠をささげますとともに、とうとい犠牲になられました各位に対し、心より哀悼の誠をささげたいと思う次第であります。  斉藤委員は、いわゆるダム管理、ことに治水ダムと発電との関係におけるところの問題点を解明されながら指摘されたのでございますが、あくまでも私は、ダムの操作に関しましては電力に支障を来たさない範囲内において十分管理及び維持、それらに対する監督を厳にいたしながら、効果的なる電力ダムの操作を管理いたしてまいりたいと考えておるような次第であります。あくまでも私の方針といたしましては、ダム管理、ことに発電関係のダムにつきましては電力に支障を来たさないという問題もやはり十分責任を持って考えなければなりませんとともに、流域住民の立場に立ってこれらに対するところのダム管理を厳に監視し、よりよき行政指導をいたすというのが私のダム管理に対する、ことに治水ダム、電力ダムに対するところの指導方針でございます。個々にわたる問題点につきましては、それぞれ河川局長が申し上げたとおりでございますので、私の基本的態度を表明申し上げ、また斉藤委員が御指摘になりましたそれぞれの適切な問題点につきましては、十分意に沿いながら指導をいたしてまいる方針であることを明らかにいたしておきたいと存じます。
  96. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 終わりたいと思ったのですが、重ねて大臣、言い直しました発電に影響のない範囲においてという一言が気に食わないわけです。発電に影響があっても、人命、財産の保護という立場を優先をして、電力会社に損をさせる。その損をさせた分が科学的に具体的に出るならば、国が最終的に補償をしても、人命、財産を守るという観点から――あなたは治水ダム、治水ダムと言いますけれども、あれは利水ダムです。治水ダムは水を治めるのですからそのようなことは比較的少なく、主として治水に重点を置いてやっていいと思うのですけれども、利水ダムとなると、いまおっしゃいましたように発電に支障があればダム操作は最小限にするということになるわけですから、ぜひひとつ、発電に支障があっても、電力会社、電源開発は損をしても、それは後ほど国がめんどうを見るということでの法の裏づけをもって人命、財産を守る立場に徹してほしい。こういうように私は申し上げたわけでありますけれども、もう一度そこを、いまの政府あるいは大臣のお考え方としては、発電に支障のないということがどうしてもとれないのかどうか、譲れないものかどうか、いかがでございましょうか。
  97. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 私の発言において、斉藤委員御心配のあまり曲解されているというのではございませんけれども、全く私は気持ちの上においては一緒でございます。あくまでも人命尊重、大事な国民の人命、財産を守るという立場がすべてに優先しなければならぬという考えは全く同一でございますので、その方針に従って私は適切な厳重な指導、管理をしてまいりたい、こういう気持ちでございます。斉藤委員と気持ちの上、また方法においても私はおのずから一致するものを御期待願いたいと思います。
  98. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 いずれまた九月の委員会でお尋ねいたすことにして、本日はこれで終わります。ありがとうございました。
  99. 川村継義

    川村委員長 稻村隆一君。
  100. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 今回の集中豪雨におきまして、政府当局におかれましては直ちに適切な処置をとっていただいたことを、心から地元住民といたしまして感謝申し上げる次第でございます。  ただ私、実は大野先生と同じ質問を申し上げるはずだったのです。関連で先にやられたものですから、私の質問する必要がなくなったかもしらぬのです。いずれ政府当局調査団がお帰りになってから詳しく対策をお尋ねしたいと思っておりますから、重ねてここで御質問申し上げる必要はないと思いますけれども、ただ政府当局の御答弁におきまして納得できないものがありますので、いま一度私は簡単にお尋ねしたいと思っております。  というのは、新潟県南魚沼郡六日町、これは農林次官も御視察になりましたが、三国川と宇田沢川の二つが同じ条件で破堤いたしまして、下流の開拓したばかりの水田がみんな水をかぶって収穫皆無になっているわけです。こういうことは、頭首工の上流の左岸が同じように破れておるわけです。だからその点で、地元住民の話を私そのまま受け取るわけじゃありませんけれども、これが前からしばしば、あぶない、洪水があると破れる危険性があるからといってその強化を建設省農林省に陳情しておったというのです。ところが、これもうわさですが、住元住民のお話によりますと、どうも農林省建設省でなわ張り争いがあるらしい。これはおかしな話ですけれども、そういうことでついに、これはどうしても護岸を強化しなければならぬことはわかっているのに、むだに日数を費やしてとうとうああいうふうになってしまった、これは実にけしからぬ、収穫皆無なんだから、きのうのテレビを見ますというと、地元では政府に対して損害賠償を要求するなんということがNHKのテレビに出ているわけなんです。そういうふうなことは、私はこれは重大な政府の責任だと思う。これはむろんすべては経験によっていい考えが浮かぶのだから、建設省でも農林省でも神さまじゃないのですから、設計上の間違い、技術上の間違いもそれはあるかもしれません。私ども専門家ではないからちっともわからぬのですが、しかし、これは重大な政府の責任だと思うのです。特に建設省の責任じゃないかと思う。それに対して、先ほど大野議員の御質問に対しましてどうも答弁がはっきりしない。現在の技術をもってすれば今後はこういうことは絶対にないように私はできると思うのです。ないようにこれはやっていただきたいし、できるでしょう。その点、はっきりした答弁をしていただきたいと思うのです。
  101. 小沢辰男

    小沢説明員 私も現地に参りましたときにそのことを聞きまして、現に頭首工の付近で破堤をして非常な災害を招いておるということを、現実の姿を知ってまいりましたのでございますが、私帰りましてからいろいろ検討をいたしまして、はたして先生のおっしゃるような事態であったのか、何か頭首工が、つくり方の技術的ないろいろな不備、あるいは設計上の不備ではありませんでしょうが、設計のやり方が若干支障があったのか、その辺のところをよく技術的に検討してみませんとこの問題が解明できません。ところが、私ども第一次の調査に参ったわけでございますが、第二次の調査に――実際あれは国営のもので、パイロット事業でやりました。その担当いたしました農政局の局長以下が第二次調査団でずっと行きましたので、昨日はまだ帰ってまいりませんが、いろいろ現地の事情等を十分よく調査をいたしまして、もし、現地方々のおっしゃっているように、先ほども大野先生からお話がありましたように、河川管理者のほうあるいは河川を改修する責任のある建設省と、それから私どものほうの利水をお願いする、その工事をやります農林省の方との間にいろいろ意思の疎通を欠いたり、あるいはまた現実になわ張り根性といいますか、そういうものが出たためにやるべき点がやっておらないというようなことがありましたならばこれはたいへんでございますので、十分よく検討したいと思います。ちょうど私も建設政務次官と一緒に行っておりましたので、二人で十分よく協議をしまして、今後そういうことのないように、これは当然していかなければならぬ。いずれにしましても、調査が技術的な面に非常に関係がありますので、今日までまだそれが行なわれておりませんが、いずれこの次の委員会までには十分検討をいたしましてお答えをいたしたいと思います。
  102. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 その点了承したいと思っております。  やはりこれは大野さんの御質問と同じなんですけれども、加茂川の問題ですね。あれは私の隣の町ですけれども、実際冷静に考えたらあんなおそろしい町には住めないですね。というのは、雨の降るたびごとに加茂川ははんらんするのです。上流が広くて下流が狭い。しかも加茂の町は至るところに橋がかかっている。その橋が洪水のたびごとに流れる。そしてそれが水の流れるのを妨げるというわけで、そこで町じゅうはんらんする。二階まで上がってしまうのですね。これは非常におっかないですね。新潟県では、かつて刈谷田川という、非常に手も足もつけられない川がありました。それが国会や政府の御努力で徹底的な河川改修をやりまして、いまでは安心できるようになったわけです。これと同じなんですね。これよりも私は御しやすいと思う。一昨年の洪水のときも同じように加茂川がはんらんして、町はえらい目にあったのです。たとえば三条のまん中を通っている五十嵐川などは、あの防災ダムができましてからその調整で、今度もひどい雨だったけれどもまあ何でもなかった、こういうふうな状態です。先ほど大野先生も言いましたけれども、加茂川がはんらんいたしますと、下流の田上、三条の下保内などは、これはきのう私も聞いたのですけれども、もうだいぶ被害を受けております。そういう意味で、ああいう河川に対しましては、刈谷田と同じように、徹底的に短期のうちにこれを改修しないと、ただ眼前のびほう策を幾らやってもだめだと私は思う。その点ひとつ、ああいうふうなはんらんが起きないように、加茂川並びに下条川、この二つの徹底的な改修を直ちに対策を立てて実行してもらいたい。その点、建設省のお考えを聞きたいと思うのですが、河川局長はどう考えておられますか。
  103. 坂野重信

    坂野説明員 加茂川につきましては、御指摘のとおりにまだ河川が未改修でございます。かつてこれは河川改良をやろうということでございましたが、先生おっしゃるようにこれは市街地を流れております。その辺に河川改修上の用地問題等、むずかしい問題があったためにおくれているという事態もございまして、現在局部改修ということで、町をはずれた下のほうのせきが非常にぐあいが悪いので、とりあえずそれを撤去しようというようなことで、局部的な改修は着工しているわけでございます。何しろ市街地の大きな用地補償等が伴いますので、これをやることになると相当思い切った地元の協力がなければいけませんけれども、こういう大災害を受けたのを契機にいたしまして、四十五年度から抜本的な計画を立てまして、中小河川の改修に新規に着工することで取り運んでまいりたいと思うわけであります。着工いたしました曉には、ぜひとも地元の用地関係の御協力を得て、事業をひとつ急速に進めるように、そういう点につきまして地元当局ともぜひとも事業の推進をはかってまいりたいと考えております。
  104. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 もう一つ私は加茂の問題について通産省の当局のほうにお尋ねしたいのですが、通産省はおいでになりますか。
  105. 川村継義

    川村委員長 はい。
  106. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 実は、御存じのように日本のいまの法律では個人の災害を救う法律はありませんから、これはこの前からしばしば、豪雪のときから問題になっていた。国会では、個人の災害を救う特別立法を制定するように満場一致で衆議院の災害対策特別委員会は決議しておる。ところが大蔵省が強硬に反対してとうとうお流れになった。こういうことになっているのですが、そこで、加茂の場合、これはどこでもそうですけれども、加茂川がはんらんして二階まで水が上がってしまって、それがために商店の被害はたいへんなものです。商店や工場の被害というものはばく大なものですよ。それに対して、わずかに国民金融公庫その他の銀行の融資があるだけです。それを一昨年だいぶ借りまして、まだ未済なのです。一番市民が心配しているのは、まだ払ってないのに今度申し込んでも貸してくれるだろうかという心配なんです。これをぜひひとつ政府当局に聞いてもらいたいということが加茂市民みんなの要望だったのです。きょう災害対策特別委員会があるから上京して当局に聞いてみよう、こういうので実は夜行で参ったわけでございます。悪質なものはしようがないけれども、かりに一昨年借りてまだ未済であっても融資の方法を当局においては講じていただけるでしょうか、これを私一言だけお尋ねしたいと思っております。
  107. 井川博

    ○井川説明員 お答えいたします。  災害を受けました場合に、復旧その他、中小企業者としては資金がたいへん要るということで、政府系の三機関、すなわち中小企業金融公庫、商工中金、それからさらには先生からただいまお話のございました国民金融公庫、それぞれがふだんの場合とは違った災害の特別貸し付けというものをいたすことになっております。今回の加茂市の災害につきましては、すでに現地に東京通産局等々の担当部長以下を調査に出しておりますが、現地からの報告によりますと、非常に大きい災害を受けているという報告に接しているわけでございまして、われわれといたしましてはこれらの三機関に対しまして、災害特別貸し付け実施をするようにという指示をいたしているわけでございます。ただいま御質問のございました償還がまだ終わってないというふうなことも、これは一昨年災害があったわけでございまして、当然想像できるむしろお気の毒な立場でございますので、われわれといたしましては先生の御指示のあった点を十分三機関指示をして、まだ償還が終わってなくても、新たな必要な貸し付けをするようにというふうな指導をしてまいりたいと考えておるわけでございます。
  108. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 ありがとうございました。これで終わります。
  109. 川村継義

  110. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 中央防災会議の重要メンバーである坪川建設大臣にお尋ねします。  八月四日の閣議だと思いますが、もう大臣忙しいから忘れておられるかもしれませんが、政令二百十五号で七月六日の西日本の集中豪雨激甚災の指定があったわけです。そのときの指定は、大臣の管轄する公共土木関係は抜かされておるわけです。なったのは農業施設関係だけが激甚災の指定になりました。その後二百十六号で中小企業関係局地激甚指定、こういうものがやはり閣議決定で政令指定になっておって、中央防災会議のトップのメンバーである坪川建設大臣関係のほうについては残念ながら激甚指定がないわけであります。そこで私は、大臣もそうだろうと思いますが、幾つも続いておる豪雨関係についてはどれもみんな激甚指定をしてもらいたい、これがもうきょうの災害対策特別委員会の各委員の声であるわけです。そこで私は期間を考えると、八月四日の閣議決定で出された政令はたぶん、私の記憶に間違いがなければ、七月六日の集中豪雨であったと思います。そのあと七月末にまた同じように、それから台風七号は八月四日から五日であります。その翌々日、八月七日以降の今度のものがきょうの大きな問題になっておるわけであります。そこで私はもう率直に申し上げて、七月六日の西日本を襲った集中豪雨以降四つの災害をトータルして激甚指定にならぬか、こういう質問を先ほど来しておるわけであります。総務長官並びに小沢農林政務次官から積極的な御答弁をいただいて感謝を申し上げておりますが、一番重要なメンバーである坪川大臣に最後にお尋ねをしたいわけであります。  そこでお尋ねをしたいことは、これは事務当局でけっこうですが、七月六日の集中豪雨公共土木施設関係査定見込み額だか査定額は幾らか、七月末は幾らか、七号台風は幾らか、今回は幾らか、その合計は幾らになりますか。別々でいいから事務当局から先にひとつ……。
  111. 坂野重信

    坂野説明員 実は資料をいまとりにやっておりますが、七月二十七日から八月二日までの秋田県を中心とする災害査定見込み、というよりも被害報告額は約六十億でございます。それから七号台風は七十二億、八月七日から十二日までが二百六十三億、合計いたしますと三百九十五億ということに相なります。そのうち補助関係だけを取り上げてみますと三百四十二億でございます。査定見込み額先生の御趣旨に沿ってとりますと、七月二十七日以降の災害を全部ひっくるめた場合二百九十億ということになるわけでございます。約三百億近いということでございますので、かりに事務的に七月以降の三つの災害を見ていきますと、先生御承知のようにB基準でいきますと、四十四年の全国の都道府県及び市町村の標準税収入が大体三百十億ということに相なりますので、ややそれに近い数字になるわけでございます。  ところが、結論的に申し上げて失礼でございますが、その指定をする場合にはまたその次の条件がございまして、都道府県の場合は、県災の査定見込み額がその県の標準税収入をこえる県が一つなければいかぬということでございます。いまのところ見渡してみますと、かりに三本を一本にしてもどうもそういうのはむずかしいのじゃないか。それからもう一つの条件は、市町村災害でもって、一つの都道府県の中で市町村災害査定見込み額が当該都道府県内の全市町村の標準税収入の二五%をこえる県が一つでもあるということでございますが、それもちょっといまのところはっきりわかりませんが、いまの見込みではかなりむずかしいのじゃないか。かなりというよりもきわめてむずかしいのではないかということで、かりに三本の災害を一本にしても、そういった基準のほうからいいますと、公共土木関係ではかなりむずかしい見込みだという現状でございます。ただ局地激甚災につきましては、かなりの市町村があるいは該当するのじゃないかということでございます。まあ現在のところ私の試算でございますが、かりにその災害に無理があって一本にしても、どうもちょっと建設関係は難点があるということでございます。
  112. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 いまの答弁の中で、七月六日の西日本を襲ったのについては御答弁がなかったのですが、それはどのくらいですか。大体でいいです。もう閣議決定が済んだのだが、土木は落とされちゃっている。
  113. 坂野重信

    坂野説明員 六月、七月の梅雨前線の北九州、南九州を中心とする直轄が六十億、それから補助が三百十二億、これは被害報告額でございます。したがって、査定見込み額は、これより落ちるわけでございます。両者合わせて三百七十二億でございます。
  114. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 私の質問はあとの三本だけ一緒にしろじゃないのです。建設大臣、八月四日の閣議で公共土木だけは西日本は落とされておるわけです。六十億と三百十二億、合計三百七十二億という公共土木査定見込み額だったわけです。しかるに八月四日の閣議のときには、農業用施設だけは激甚指定になったけれども、公共用土木はなっていないわけです。  そこで、私の質問せんとするのは、いまの事務当局と違うのです。この四本を一緒にしろ、こういうように言っているわけです。その理論的な根拠は、気象庁の気象条件云々ということをおそらく事務当局としては言われておるのではないかと思いますが、私が過去の例を調べてみると、先ほど総務長官にも申し上げたけれども、たとえば昭和三十八年の十月二十九日の政令三百五十九号によれば、六月二十九日から七月一日までの豪雨による災害、七月十日から十一日の豪雨による災害台風九号及び同年八月十四日から二十四日までの豪雨による災害と、四本、まさに四本トータルして一本というぐあいにして激甚災の指定を受けているわけです。これは六月二十九日から八月末までですから、二カ月間にわたってのトータルの災害を、公共土木はどうだから、農業施設はどうだから、こういうようにやっているわけです。今回の場合は気象条件が違うと言うならば、この当時も気象条件は同様であったと思います。そういう例はまだたくさんあるわけですが、たとえば昭和四十一年の十月二十日の政令三百五十三号の場合には、昭和四十一年八月中旬の豪雨及び同年台風十三号による災害、四十一年台風二十四号及び台風二十六号による災害、これも四本を合わせて一本にして激甚災害の政令の指定をやっているわけです。先ほどの総務長官のときの答弁で事務当局がちょっと引っかかったことは、これはもうすでに八月四日の閣議で政令は指定してしまいました。指定した内容は何かというと農業関係だけなんです。だから、この八月四日の閣議で政令を指定してしまっておるでしょうけれども、過去には二カ月も三カ月もにわたる災害四本、五本を一本にして激甚災に指定しておるのだから、今度も四本を一本にしたならば大臣の所管する公共土木も――農業関係は三本を一本でなりそうなんですが、四本を一本にすれば大臣の所管するところもなるのだから、そういうように指定してはどうか、こういう質問をしたところが、積極的な御答弁ですが、若干あいまいなところがあるようですので、大臣に、そういうようにして指定してもらえぬものか、こういう質問をするわけです。
  115. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 政治の要諦は何と申しましても行政に優先して政治があるところに、政治の重要性を期待もいたし、政治家の責任の重きことも私は痛感いたしておるような次第でございます。そうした見識とそうした使命の上に立ちまして、それぞれの行政的な事務的な手続――事務的な解釈から申し上げますならばいま河川局長が申し上げましたような実情であることは、小澤委員十分御理解はいただけておるものと、いまの御質問または御発言の内容を聞いておりまして私はそうした気持ちも十分理解申し上げて、また小澤委員の、公共事業の責任者である建設省の立場、また災害処理に対するところの重要なる使命感から励ましをいただいておることに対しても感謝を申し上げたい、私はこう思います。  その前提を申し上げまして、いまそれぞれの事情はございますけれども、やはり行政に優先して政治が必要でございます。これらの問題につきましては、建設省災害対策本部としての態度、立場からも、十分まじめに真剣に、前向きの姿勢をもって対策に取り組まなければならぬということを、いまさらのごとく私は痛感いたしておりますので、政府といたしましては、総務長官等とも十分協議をいたしまして、この問題にひとつ何らかの措置を講じてまいりたい。一つの政治という立場から必ずこれを解決すべきであるという、小澤議員と信念においても意見においても同一なところを持っておりますので、そうした点について、総務長官もきょう委員会において十分聞いておられますから、政府といたしまして十分統一的な結論を出してまいるよう最善の努力と配慮をいたしたい、私はこう考えておることを表明申し上げて御理解いただきたい、こう思います。
  116. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 建設大臣から非常に積極的な御答弁をいただいて、私はこういうように理解できるわけです。事務当局としては、政令を出してしまったからちょっとこの先のことはむずかしい、そういうように考えるでしょうけれども、過去の例からいってこれを区別する何らの理由を見出すことはできない、こう思いますので、この委員会はたしか九月九日にもう一回あると思いますが、ひとつそれまでには、三本一緒でなくて合わせて四本一緒、ここが非常に大事なところ、四本を一本にしての激甚指定を出していただくようにできるものと――大臣、ここは大事なところです、できるものと政治的に理解をしていいですか。四本一緒にできるものと政治的に理解をいたしまして次のこまかい点に入りたい、こういうように私は考えたい、こう思うわけです。――ちょっと大臣立って……。
  117. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 さっき申し上げました方針、信念で取り組むということを申し上げたような次第でございますが、賢明な小澤委員のことでございますから、その間にあってやはり事務的の上においてきびしいものも踏まえてあることも御理解願わなければならぬということをひとつ御理解おきいただきたいと思います。次の委員会までにわれわれといたしましてはひとつ十分検討を前向きの姿勢でやりたい、こう思っておりますので御理解願いたいと思います。
  118. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 ありがとうございました。  農林大臣のほうもいいわけですね。四本を一本。四本というよりも、一本が抜けてしまったから農林大臣のほうはつけ加えれば間違いないと思います。
  119. 小沢辰男

    小沢説明員 ただいまの大臣と同じ気持ちでございます。
  120. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 ありがとうございました。  それでは次の質問をいたしたいと思います。天災融資法の発動につきましては、国民経済に甚大な影響を与えるときには天災融資法の発動、こういうことになっておりますが、国民経済に甚大な影響を与えるとは、一、二年前は約三十億である、こういうようにいわれておったけれども、最近国民総生産もだいぶ上がってきたので、ことしあたりは国民経済に甚大な影響とは一体何億ぞや、まず事務当局にお尋ねをいたしたいと思うわけです。
  121. 荒勝巖

    荒勝説明員 天災融資法関係につきまして、国民経済に甚大な影響を与えるということについて金額的には最近書いておりません。したがいまして、私たち農林省といたしましては一応統計調査部の農作物の被害報告を三十億円、こういうことに置きまして天災融資法の発動要件と考えておるわけであります。
  122. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 前からの基準の三十億円を維持しておっていただいてたいへんありがとうございます。  ついては、七月六日の西日本の集中豪雨に基づく農作物の被害等は三十億円をこえて、これは天災融資法の発動、政令は制定されたかどうか、あるいはまたあとからまだ台風が来そうなので今日まで待っていただいておるのか、その辺をちょっとお尋ねいたしたいと思います。
  123. 荒勝巖

    荒勝説明員 前の西日本豪雨の場合につきましては、先ほどの閣議と同じ日にやはり天災融資法の発動をいたしまして、すでに貸し付けの手続を進めておる次第でございます。
  124. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そうすると、天災融資法の発動についても三本論か合わせて一本論か、これはやはり天災融資法の場合にもそういうように御考慮いただけるわけですね。
  125. 荒勝巖

    荒勝説明員 ただいまお手元に差し上げました資料によりますと、県からの報告によりますと、今回の八月六日以降の豪雨は一応三十五億円というふうになっておりまして、これを従来の統計調査部の統計の実績から逆算いたしますとおおむね二十億円程度ではなかろうか。今回のいわゆる八月六日の豪雨だけをとりますと、現在の段階ではまだ調査も十分できておりませんし、なお被害額も報告があるたびに多少ふえておりますので、調査の確定を待ち、なおかつ各県の資金需要を見まして天災融資法を発動するかどうかは検討いたしたい、こういうふうに考えております。
  126. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 七月末はいかがですか。七号は幾らですか。
  127. 荒勝巖

    荒勝説明員 七月末の分につきましては、これも現在の県の報告でありますが、約八億六千万円でございます。それから台風七号関係が約十九億円でございます。それから八月六日の豪雨が三十五億円強で、三つ合わせましてただいまの段階では六十三億円。以上でございます。
  128. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そうすると、山をかけてきている額は、大体額の割りから見ると、三十五億円の報告があったが二十億円ぐらいだろうというのを逆算すると、六割ぐらいに大体査定をできるじゃないか、こういうように思うわけです。そうすると、八・六億は約九億、二十億、三十五億、トータルをすると六十三、四億になると思います。これは三本トータルだけですよ。三本トータルだけで、六十三億の約六掛けということになると、六、六、三十六億、国民経済に甚大な影響を与える三十億を二割こす、こういうことになると思います。さらにそれを四本を一緒にするとこれは一〇〇%間違いない、こういうように理解できるわけです。いま四本トータル論の中で三本論を出したのではいけないのだけれども、三本論さえこれは国民経済に甚大な影響を及ぼす額をはるかにこえているということになれば、七月六日以降今日までに至る災害の四つのものについては天災融資法は発動される、こういうようにわれわれは理解できるわけです。のみならず激甚適用もできるような状態ではないか、こういうように考えますが、いかがでしょうか。
  129. 荒勝巖

    荒勝説明員 ただいまの段階ではわれわれ事務当局といたしましては、それぞれ被害が原因別に異なっておりますので、それぞれを別個に取り扱うような作業を進めている次第でございます。したがいまして、天災融資法の発動ができるかいなかというようなことがむしろわれわれとしては重大な関心事でございまして、激甚法適用をさらにそれに行なうということは一応無理なことではなかろうか、こういうように考えております。
  130. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これは防災会議の中で四本一本論になれば当然いいわけでしょう、もうはっきり言えば。天災融資法のほうはまた法律が違うからだめかね。これは日本政府のやることだからね。四本一本論のことができるのに、天災融資法という法律は四本一本論ができないという理由はどこにありますか。
  131. 小沢辰男

    小沢説明員 これは事務当局では答えがなかなかめんどうですから……。  災害を一つにすれば、これは天災融資法も一つの災害ということがいえるわけでございます。これは当然だと思います。ただ、一つの災害と見るかどうかに問題があるわけで、先ほどから御議論があるわけでございます。これはもう明らかに気象条件の違う全然別個のものでございますから、それを一つの災害と見るかどうかということが先ほど来の御議論のあるところでございまして、それを建設大臣もあるいは総理府総務長官も、できるだけ救済の側に立った考え方で検討しようという御答弁を申し上げておるわけでございます。いま検討しようというときに、どうじゃ、できるかどうかと言われましても、それ以上の答えはちょっとできないので、ひとつ御了承を賜わりたいと思います。
  132. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 はい、わかりました。  それではあとの質問者もあるので、あとはちょっと事務的なことですが、これも建設省関係だと思いますが、有料道路等の災害についてもこれは公共土木災害復旧と同じように扱えるかどうか、こういう問題についてお尋ねをいたします。そこで、私のほうからさらに申し上げますと、有料道路には二種類あって、いいほうと悪いほうとある、こういうように聞いておりますが、その辺の御見解をひとつお尋ねをしたいわけです。有料道路はもうけをやっているから、これはちょっと公共土木災害復旧と同じように扱えないのかな、こういうようにも考えるわけですが、その償却のしかただとかそのほかによって、有料道路公共土木災害復旧ができる、こういうように理解をしているわけですが、いかがでしょう。
  133. 坂野重信

    坂野説明員 先生御承知のように二種類ございまして、緊急措置法に基づく、いわゆる県等でやっている有料道路災害につきましては採択できるわけでございます。
  134. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 はい、ありがとうございました。  それでは次に、これは経済企画庁にお尋ねいたします。  中小企業庁等においては、この法律できめられて、中小企業激甚災はどうだとか、中小企業関係の融資があるわけなのだが、たとえば大きな発電所がやられてしまった、あるいはまた鉱山等がやられてしまった、大災害を受けてしまった、こういうような場合に、過去においては北海道東北開発公庫から災害に対して特に融資をしたというような例もあるやに聞いておるわけです。そういうことはやっていただいたでしょうか。
  135. 阿多忠明

    ○阿多説明員 私どものほうで所管いたしております関係について申し上げますと、北海道東北開発公庫というものがございますが、これが、昭和三十九年に新潟震災がございましたときに、対象となっております企業におきまして相当の災害をこうむりました関係等がありまして――災害の程度がそう大きくない場合には通常の公庫の資金のワク内で災害復旧の資金も出しておるのでございますけれども、新潟震災の場合にはその程度が非常に大きかったために、公庫の資金事情から見ましてまかない切れないということがございましたので、特に公庫の資金ワクにつきまして増額を要求いたしまして、その当時、三十九年度の公庫の資金ワクは二百九十億でございましたが、特に四十億円の追加を受けまして、四十億円につきまして新潟関係の企業の災害復旧資金として融資をしたという事例がございます。
  136. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 過去にそういう例もありますが、いわゆる災害のときには特別に金利を安くする、あるいはまた返済期限に特別な緩和条件を付する、こういうようなことについては、これはもう経済企画庁は考えていませんか。鉱山やあるいは発電所等が壊滅的な打撃を受けたというような場合に、一体その災害の原因は、責任はどこにあるぞやということの論議をしても始まらぬと思うのです。私はある程度は国でやらなければならぬものだと思うし、片方は営利会社ですから、そこの調和はたいへんむずかしいことだとは思うけれども、壊滅的な打撃を受けたような企業等については過去もやったのだから今度もやりましょう、こういうことになると思いますが、さらに積極的にいわゆる災害対策、こういう場からいえば経済企画庁は何らやっておらない、こういうように見えるわけです。金利低下、ワクの増大、返済期限延長、こういう問題についてどうでしょう。
  137. 阿多忠明

    ○阿多説明員 現在北東公庫の貸し付け条件等について申し上げますと、金利については八分二厘で貸しております。また貸し付け期限につきましては、設備資金について最長十年、融資比率につきましては最高七割までということになっております。ただ実情といたしましては、この限度まで貸し付けている例はあまりございませんので、かなりその限度をもっと下回ったところで貸し付けが行なわれておるわけでございますが、新潟震災の場合について見てみますと、金利や期間の限度については、これは一応業務法できめられておりまして軽々しく動かすことはできないので行なわれておりませんが、融資比率等につきましては、一般の案件に比しましてかなり手厚い配慮を加えまして融資をされております。
  138. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それではひとつ今回の場合もこれを大いに研究していただく、こういうことを希望しておきます。  それから川上事官のほうには、そういう問題についても――これは災害の中の一項目として中小企業までいっているのです。ずっと土木から始まって、それから地方債のことまでいっているのですけれども、いま言ったような問題についてはまだ災害対策上の特別なあれがないわけです。坪川大臣以下いらっしゃいますけれども、中央防災会議等においてもこの問題についてひとつ積極的に考えていただく、こういうように希望をして質問を終わりたいと思います。
  139. 川村継義

  140. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 新潟の水害といえば近年宿命的でありまして、昭和四十一年の七・一七、翌四十二年の八・二八水害、そして過日の八月九日未明の集中豪雨と、連続水害は実に集中豪雨による河川のはんらん、決壊という事態を招いておりますが、六月の新潟の気象台の発表によりますと、七月の後半に日本海方面に大雨が降る、水害発生のおそれがあるとの長期予報を発表しております。気象庁にお尋ねしたいことは、ここ数年来というものは非常に集中豪雨が全国的に襲いかかっておりまして、各地に非常に災害をもたらしているわけでありますが、こういう最近の集中豪雨というものは、これは一時的な天候異変によるものであるか、あるいは将来もこういうふうなことが起こり得る条件にあるのかどうかということについて、まず気象庁にお伺いいたします。
  141. 毛利圭太郎

    ○毛利説明員 お答え申し上げます。  近年の大きな天候の傾向といたしましては、最近北方方面に非常に強い、これは上空までおおいます強い空気がだんだん多くなってくる傾向がございまして、この影響が世界各地にも及んだのでございますが、日本といたしましてはある過渡期的な状態で、非常な変動の多い気候状態を持ってきつつある現状でございます。それに伴いまして、一方では雨が降るけれども一方では雨が降らないところがあるとか、例年に比べて涼しいところがある一方例年に比べて暑いところがあるという状況が、一つの変動の大きい状態として現在起こっておるのでございます。
  142. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうしますと、今後集中豪雨というものは、いま気象庁のほうからのお話でありますと、過渡期的であるとはいいながらも、多分にそういうふうな傾向は今後も起こり得る、そのように判断をしてもいいわけですか。
  143. 毛利圭太郎

    ○毛利説明員 お答え申し上げます。  いま先生のお話のございました集中豪雨という現象に限りますと、これは将来どうなるかということは非常に困難な問題でございます。ただ従来の傾向を見ておりまして、やはりこういう現象は多少、はっきりわかりませんけれども、起こるのは起こるだろう、その程度しかまだわかりません。
  144. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 今回の新潟県下の、要するに災害の危険個所は、県水防協議会によりますと約二千四百二十五カ所、中でも最高に危険と目されておるところが二百九十二カ所で、大体中越地方の信濃川支流に集中しております。今回の水害の中でも県水防協議会の指摘した欠陥河川が相当含まれておるわけです。すなわち起こるべくして起こったという感じを受けるのですが、こういうような欠陥河川に対する治水対策、また集中豪雨等の異変も十分考慮に入れた対策というものが必要になってきたと思うのですが、直轄河川ならざる中小河川に対するところの対策をどのように考えられておるか、まず河川局のほうにお伺いします。
  145. 坂野重信

    坂野説明員 お答えします。  先ほども気象庁のほうから御答弁がありましたように、最近の傾向、ここ数年間にわたって局地的な狭い範囲に集中的に豪雨があるという傾向が非常にに多発しておりますので、建設省といたしましても治水対策の方向をそういう方向に最近持っていっておるわけでありまして、現在第三次の治水事業五カ年計画が進行中でございますが、その重点といたしましても、やはり中小河川対策、つまり中小河川の改修工事あるいは中小河川に沿った治水ダムあるいは中小河川の上流の水源対策、そういうものを含めて治水対策を進めておりますけれども、何しろ治水施設の全般のレベルというものがまだ必ずしも完ぺきではございませんので、大河川が必ずしも進んでおるわけでもございませんが、大河川全般にわたる全流域に同時に長い雨が降るという傾向が比較的減っておるために、大河川の災害というものが比較的減っておるわけでございまして、決して大河川に完ぺきな治水施設というものができておるわけではございません。しかしながら、さっき申し上げましたような状況によって中小河川をめぐる水害が最近非常に激増しておりますので、それらを中心にして鋭意重点的に治水事業を進めておるわけであります。これは治水の長期計画等を立てて全般的にシラミつぶしに全国の河川を見ておるわけでありますけれども、それぞれの河川においてそれぞれの危険個所というものはまだたくさん残っておるわけでございまして、今度の水害等を見てみましても、改修の進んでおるところ、あるいは堤防のでき上がっておるところは災害を受けておりません。治水の堤防の未改修のところ、あるいは未着工のところ、あるいは未完成のところ、そういうところが主として災害を受けておるわけでございまして、そういった治水施設をやりさえすれば必ず災害は防げるわけでございますけれども、残念ながらそういった治水施設の現状というものは必ずしもまだ完ぺきでございません。そういう弱点が被害を受けるという実情にあるわけでございますので、できるだけひとつ今後そういったきめのこまかい治水対策を全国的に推進してまいりたいというふうに考えておるわけであります。
  146. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 確かにここのところ数年来、中小河川によるところのはんらんが引き続いて起きておるわけでありますけれども、いま建設省では中小河川に対するところの危険個所についての調査がなされておるかどうか。なされておるとすれば、全国で中小河川の危険個所、最も早急に手を打たなければならない個所、それは何カ所くらいあるか、あるいはそれが延べにしてどのくらいあるか、その点についてお伺いします。
  147. 坂野重信

    坂野説明員 先生御指摘になりましたように、各県の水防協議会でもって県ごとに各中小河川、大河川等を含めて、実は危険個所を、ABCというようないろんな表現のしかたがございますが、危険度に応じて区間なり個所を表にいたしております。それらの集計はいたしてございませんが、全般の関係を申し上げますと、全国的に中小河川の進捗の度合いというものは残念ながら、今後の投資を要する事業というものに比較いたしまして、金額の面ではわずかに二〇%の進捗しか見てないということで、ひとつ御賢察願いたいと思うわけでございます。
  148. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 このように、いわゆる欠陥河川の多い中小河川災害対策などは予算の含みが足りないのではないか、治水五カ年計画の一兆一千億円に対しても再検討を要するのではないかと思いますが、その点について建設省あるいは大蔵省においてどのようにお考えになっておるか。
  149. 坂野重信

    坂野説明員 先ほど申し上げましたように、中小河川あるいは都市河川の対策に私どもは非常に重点を置いておりまして、今年度におきましても、治水事業の全体の対前年比率は一六%ばかりでございますが、中小河川等につきましては二一%ばかり見込んでおりまして、したがって平均からいいますと、直轄河川等大河川に比べて中小の河川対策というものは非常に重点的に進めておりまして、五カ年計画におきましてもそれらを重点的に考えておるわけでございます。何はともあれ治水事業の五カ年計画というものをひとつ完遂できるように、私どもとしては努力いたさなければならぬわけでございます。先ほど申し上げましたように、五カ年計画そのものが中小河川対策を重点として考えておりますので、計画の変更は現在のところは必要ございません。ただ、こういった五カ年計画を計画どおりに進めるということが最も肝要じゃないかというぐあいに考えておるわけでございます。
  150. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 先ほども同僚議員から言われましたけれども、私も例の加茂川並びに福島県のほうの現場を視察してきたわけでありますが、加茂川というのは御存じのとおり平生は水位があるかないかの状態でありますけれども、一度集中豪雨になりますと予想外の溢水状態になるわけです。加茂川の上流は川幅が広くて下流は狭いという状態であることは、当然河川としては下流において水がのみ切れなくなって、はんらんを起こすということは目に見えて明らかでありますが、なぜそのまま今日まで放置をされておったか、そして河川の改修に対しては建設省としてはどのような計画を持っておられるか、その点についてお伺いいたします。
  151. 坂野重信

    坂野説明員 加茂川につきましても、先ほど申し上げましたように河川の改修はまだ未完成でございます。未改修の区間の流下能力を申し上げますと、具体的な問題になりますが、毎秒約三百トンくらいの流下能力しかない。それに対して今回の雨量を見てみますとそれに倍する、あるいはそれ以上の流量が一ぺんにずっと押し寄せた、そこで不幸にして災害を見たわけでございます。  この河川の改修につきましてはかねがね考えておるわけでございますが、山と山との間にはさまれた非常に狭い町に対してまん中を川が流れているために、改修するとなると相当な移転補償という問題が出てくるわけでございます。従来はそういった面につきましてかなり地元としては反対の空気が強いということでございますので、とりあえず、町をはずれたところにせきがございまして、それが非常に悪影響を及ぼしておるので、そのせきを切り下げて、少しでも災害を防ごうという局部的な改修方式をとったわけでございますが、今回不幸にして災害を受けましたので、これを契機にしてひとつ抜本的な改修を、上流にダムがつくれるかどうかというようなこともあわせて検討いたしまして、明年度からできれば中小河川の本格的な改修に取りかかるように準備を進めてまいりたいというぐあいに考えております。
  152. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 最近集中豪雨による傾斜地の決壊が非常に多いわけです。それはやはり土地造成、土地開発等が山間でも行なわれ、集中豪雨とともに土砂が決壊することになると思うが、将来の土地造成、土地開発に対して農林省として十分考えなければならない問題だと思いますけれども、建設砂防、農林砂防という対策についての建設省及び農林省の考え方をお伺いします。  なお、農林省の方に、今度の加茂川について、家具業を主体とする木工業が盛んなところであったわけですが、上流においては製材所が非常に多くて、その流木によるところの被害も甚大であったわけです。この流木に対する今後の対策についてはどのようにお考えになっておるか、その点について……。
  153. 坂野重信

    坂野説明員 今度の災害にかんがみまして、当面の対策としては、災害復旧と同時にできるだけ緊急砂防等で取り上げられるものはひとつ取り上げてまいりたい、あるいは急傾斜法ができましたので、そういった緊急急傾斜というようなことで採択できるものはまた考えてまいりたい。また地すべり現象による災害も起きておりますので、そういうものも緊急的に取り上げてまいりたい。恒久対策といたしましては、先ほど申し上げました五カ年計画に基づきまして治山事業との調整をはかりながら、できるだけ危険な個所から重点的に砂防事業を進めてまいりたいというぐあいに考えております。
  154. 松本守雄

    ○松本説明員 流木についてのお尋ねでございます。山間部におきます伐採木が水害の際に流れ出るという点につきましては、そのようなことのないように指導をしておるところでございます。国有林の場合は各営林局、営林署に防災措置に関する要綱あるいは要領というものを策定いたさせまして、そういった点にも十分気をつけるようにという指示をいたしておるところでございます。先生のお尋ねの点が、あるいは製材所に積んである丸太が流れてくる、そういったものでございますれば、これは林野庁としては特にいまそういったものの指示はいたしておりませんが、かつて伊勢湾台風のときに名古屋の港湾地帯でラワン材の太いものが市内に流れ込んだという事態がありました。そういうこともありますので、今後そういった際にそういう危険の起こらないように、十分な指導に一そうつとめていかなければならない、このように考えております。
  155. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 確かに流木の被害というものは、今度の加茂市におけるところの被害もかなりひどい状況であったと思うのですが、ラワン丸太の長いのが流れてきて、そして家にぶつかってその家がこわれる、そのこわれた家がさらにまた次の家をこわすというような状態で、連鎖的に流失をしていったというような状態もあの現場にいてよくわかりますけれども、こういう問題についても、今後やはり水害については流木の問題は重要な要素を占めるのではないか、そう思うので、至急この問題については林野庁において指導を徹底していただきたい、そのように思うのですが、その点について……。
  156. 松本守雄

    ○松本説明員 お説の点につきまして、過去の実態あるいは今後の危険性を十分調査いたしまして対策を進めてまいりたい、このように考えております。
  157. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 現行の災害救助法適用期間は非常に短いわけであります。壊滅的な被害を受けた新潟県の加茂市、また富山県、福島県の只見川の沿岸流域は、今後相当長期間にわたって市当局が財政的な援助をしなければ生活ができない悲惨な状況下に置かれているわけでありますけれども、現状に適合する災害救助法適用期間というものがぜひとも必要ではないか。その点について、その基準の改定についてはどのようにお考えになっているか。
  158. 吉村仁

    ○吉村説明員 お答えいたします。  災害救助法によります期間を少し延長すべきではないかという先生方のいろいろな御要望が従来からあったわけでございます。災害救助法適用の期間の延長につきましては、たとえば避難所だとかあるいはたき出しにつきましては七日、それから被服、寝具の給与につきましては十日というような定められた一応の基準があるわけでございますが、災害の態様によりまして、非常に特別な場合にはこの期間を延長できることになっております。現にたいていの災害の場合におきましては期間更新ということで、実情に合うように特別基準を設定している現状でございます。したがいまして、今回の災害におきましても実情に応じて災害救助法の期間延長あるいは期間更新というようなことで、災害救助法の適正な適用をはかってまいりたい、かように考えております。
  159. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 加茂市においては、送水管が破壊されているために、飲料水に非常に困っているようであります。そしてどぶ川の水を利用して物を洗っている状態であります。おまけに、し尿処理槽の施設もだめになっているというような状態で、特に伝染病発生ということも十分懸念をされる状態でありますが、十三日現在に至っても、ちょうど私はその場所にいたのですが、消毒用の石灰すらもまだ配付されていない状態でありました。伝染病予防対策についてはどのような処置をされているか、また上水道の施設復旧に対して高率補助の適用ということについては、災害地の場合さらに考慮に入れてやるべきではないか、このように思うのですが、その点についてお伺いいたします。
  160. 実川渉

    ○実川説明員 お答え申し上げます。  災害被災地につきましては、直ちに清潔、消毒等を指示いたしまして実施いたしておりますし、また鼠族、昆虫が非常に発生することも考えられますので、必要な地域につきましては、鼠族、昆虫の防除をやっております。また避難所及び浸水地帯の住民に対しましては検病調査を行ないまして、伝染病の発見あるいは流行の阻止、そういうことにつとめておりまして、防疫体制といたしましては一応万全を期している次第でございます。なお、今日被災地におきまして伝染病発生は見られておりません。それからまた、先生御指摘のカルキが多少不足しているのではないかということですが、新潟県に問い合わせましたところ、十分あるそうでございますので御安心を願いたいと思います。
  161. 国川建二

    ○国川説明員 水道について申し上げます。  今回の集中豪雨関係の水道の被害は、主として富山県、新潟県、福島県でございますが、非常に軽微な被害を除きまして、おもな被害を受けました施設は、上水道が三カ所、簡易水道が二十三カ所ございます。特に被害の大きなものは、新潟県の加茂市の上水道でございますが、これは水源と上水道管の送水本管が、道路並びに河川護岸の決壊によりまして流失いたした被害でございます。そのために、直ちに給水車等によりまして飲料水の運搬給水を行ないまして、最小限の飲料水確保するよう努力いたしております。災害当初は交通の渋滞等がございまして必ずしも円滑な給水ができなかったかと思いますが、ただいま私どものほうからも担当官を派遣いたしておりまして、給水の確保並びに復旧の方法等につきまして、現在指導いたしております。  なお、被害の総額につきましては、これは県の報告でございますが、全体といたしましては約一億程度が見込まれております。なお詳細な調査その他を詰めまして具体的な対策を講じていきたい、さように考えております。
  162. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 水道のことは何をおいても一番先に必要欠くべからざる問題でありますけれども、実際に送水管が決壊をし、しかも橋げたがなくなってしまったような状態において、その復旧というものは私はかなりたいへんではないかと思いますが、それに対して国としてどのように指示しているか。また、それの復旧の見通しは大体いつごろか。また水がないために非常に衛生的にも悪いわけであって、その水がないことによって――先ほど防疫等の問題についても万全を期しているというお話がありましたけれども、やはり流行病、伝染病等が当然起こるおそれがあるわけですが、その点について具体的にひとつ……。
  163. 国川建二

    ○国川説明員 加茂市の事故でございますが、先ほど申しましたように、送水管の流失、折損等による事故でございますが、復旧の中で一番問題になっておりますのは、河川を横断しております水管橋が流れたということで、この復旧が技術的にもやや困難でございまして、現在資材その他はすにで現地に搬入いたしております。さらに当面労務者の確保等が困難であったわけでございますが、昨日現在六十人の労務者も確保できまして、昨日来昼夜兼行で復旧につとめておりますが、ただいまのところ復旧見込みは、一応十七日までには可能だということになっております。なおそれにつきましても、一時間でも早く復旧させるよう、ただいまいろいろ指導その他打ち合わせをしているわけでございます。  なおその他、水道水が確保できませんために、飲料水を運搬給水しているわけでございますが、もちろんこの間の水道水の消毒その他、水による伝染病発生等が絶対に起こらないように万全を期して指導いたしております。
  164. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 先ほども同僚委員からダムの放流による災害の点について質問があったのですが、福島県の只見川水域のはんらんについては、水害の大部分は東北電力の放水の不手ぎわによる人工災害ではないかの疑いがある、このように地元のほうでは言っているわけです。会津の坂下町には片門発電所、柳津町には柳津発電所、三島町には宮下発電所、金山町には本名、上田、滝発電所、只見町には田子倉発電所と、東北電力関係の発電所がありますが、ダムができる以前は、このような水害に見舞われたことは百年間以上もなかったと地元の人たちは言っております。この点、地元と東北電力との間で見解の相違から食い違いを見せておりますが、政府としても直ちに実情調査をして善処すべきではないかと私は思うのですが、その点について政府の見解をお聞きします。
  165. 坂野重信

    坂野説明員 御指摘のように只見川には非常にたくさんのダムがあるわけでございます。今回の災害の原因がダムの誤操作によるものではないかということで騒ぎが起きているということは私ども承知いたしております。私ども、直接的には通産省の所管でございますが、河川管理者としての立場もございますので、ただいま地方建設局に命じまして詳細な資料を持ち寄ることにいたしております。できれば係官等を現地に派遣いたしまして実情をまず調査してみたいというぐあいに考えております。
  166. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 先ほども話がありました個人災害に対する補償は皆無にひとしいわけでありますが、今度の場合におきますところの加茂市の被害は、零細企業、中小企業、家内工業等が非常に多いわけであります。しかも一階の天井くらいまでついているところもざらであるし、床上とはいいながらも床上何メートルというところがかなりあって、悲惨な状況を呈しておるわけであります。そういう方々に対する金融の融資に対しては政府としてはどのようにお考えになっているか。  それからさらに、調査段階でありますのでいまここでは結論というわけにはいかないと思いますけれども、融資対策について、天災融資法の早急な適用とかあるいは特別被害地域の適用及びその拡大ははかるとともに、農林漁業金融公庫資金、農業近代化資金、農業改良資金などの貸し付け条件の緩和及び償還猶予などの措置についても前向きにお考えになっているかどうか、その点についてお伺いします。
  167. 井川博

    ○井川説明員 御質問の第一点の中小企業金融の関係についてお答え申し上げます。  先ほど稻村先生の御質問に対しまして御答弁申し上げましたけれども、やはり中小企業者としてはさしあたり復旧のための金融の問題がございまして、政府系の三機関につきましては災害関係の特別貸し付け制度を発動するということにいたしてございます。お話にございました点、たとえば貸し付け限度を大きくする、あるいは貸し付け期間につきましても通常のものよりも長くする、据え置き期間も普通よりも長くする、いろいろな手続その他につきまして迅速にやるというふうな点、さらに従来貸し付けたものにつきましても、償還期限が参っておるものについてはこれを延長するというふうな処置を、すでに非常に大きい被災地については発動することにいたしてございます。
  168. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 最後ですが、今回の災害は御承知のとおり非常に甚大であります。こういう問題に対してどう国が処置をしていくかということについて、罹災者は非常に関心を持ち、また憂慮しているのであります。これに対して災害の実態を十分調査していただくことはもちろんでありますけれども、局地激甚等の指定等により災害の中からまた立ち直るという姿勢を与えることが、私は善政の一つではないかと思うのです。局地激甚指定等によって罹災者にあたたかい手を差し伸べていただきたいと思いますが、それに対する政府の御所見をお伺いします。
  169. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 御案内のごとく、わが国の地形的あるいは天然的、気象的な条件から災害が数多く出てまいりますことはまことに不幸なことでございます。これらの点を考えますときに、政府といたしましては災害対策こそ国の重要な施策の問題点であろうかと考えておる次第であります。特に、御承知のとおりに、災害対策基本法の制定あるいは治水五カ年計画の閣議決定によるところの今後の治水対策、あるいは中小河川対策あるいは都市河川対策等を含みながら、急傾斜地の特別災害の問題あるいは崩壊の問題等、あるいは砂防、土石流の問題、その他あらゆるダムの問題等を含めまして、総合的にこれらの災害復旧を恒久的に、また応急的に打ち立てなければならぬことは当然でございます。その基本姿勢は、先ほども申し上げましたごとく、やはり国民のとうとい生命、とうとい財産を守るという立場から、すべてに優先した措置を講じなければならぬということを考えており、また各部局に対しても指示もいたしておるような次第でございます。また、それらの点について各省とも所管をともにはいたしておりますけれども、政府の一体的な責任において、最大な計画的な総合的なる施策を万全を期しながら講じてまいりたい。いまお話しのありました局地激甚地の問題等の取り扱いにおきましても、私がさき申し上げましたような方針と姿勢を持って、今後もこれらに対してまじめに、緊急、恒久、それぞれ取り組む方針であることを表明申し上げて御理解をいただきたいと思います。
  170. 川村継義

  171. 華山親義

    華山委員 同僚議員からいろいろお尋ねもありましたので、なるべく重複しないようにお伺いいたしたいと思います。  県のほうからいろいろな要望書が出ておりますが、その中で目新しいことでございますけれども、農林省に伺いたいのでありますが、草地につきましても災害があったわけであります。この草地につきましては、いま復旧事業についての暫定措置に関する法律からは除外されて載っておりません。しかし今後畜産ということもあるわけでありまして、私は草地の災害というものにつきましてやはり補助、そういうふうなものがあってしかるべきものじゃないかと思う。この点について御所見を承りたい。
  172. 荒勝巖

    荒勝説明員 ただいま御指摘ありましたように、草地の災害につきましてはいわゆる災害関係の暫定法の適用がございません。しかし、これは全然災害があっても知らぬ顔というわけにはまいりませんので、暫定法とは無関係に、一応予算措置といたしまして、いわゆる予算補助でございますが、一定の採択基準以上のものにつきましては、年度末に草地災害復旧事業の実施要領を定めまして補助を行なうようなことになっております。実際に過去において起こりました例といたしましては、大体四五%くらいの補助率になっております。その採択基準につきましては、いわゆる一団地が一ヘクタール以上の草地について、事業主体の復旧面積が一カ所十万円以上の場合とか、それぞれ金額とかあるいはヘクタールとかいうことでやっておりまして、事業の実施主体が地方公共団体、農協あるいはその連合会とかというふうに、いわゆる五人以上の農業者が組織してやっております草地については、こういった補助率で年度末前後に事業補助をしておる、こういうかっこうになっております。
  173. 華山親義

    華山委員 そのおっしゃった金額あるいは率というふうなものは、一般の耕作地との比較はどうなっておりますか。草地のほうは低いのでございますか、同じでございます。
  174. 荒勝巖

    荒勝説明員 一般にその当該事由ごとにそれぞれ違いますし、また被害の甚大さにもよりまして補助率はみな多少異なっておりますが、いわゆる暫定法に基づく補助率は平均いたしますとおおむね八〇%前後じゃなかろうか。それからさらに激甚法適用を受けますと、査定を行なわぬとわからないのでございますが、結果論といたしますと九〇%をこえる補助率に総計いたしますとなっておりまして、それに比べますと草地の補助率は四五%というふうに、見かけは非常に悪いように見えるのでありますが、これにつきましては、政府としては別途いろいろ指導をしておるような次第でございます。
  175. 華山親義

    華山委員 現在の農政転換の時期に、この草地というものにつきまして他の田畑等と別個の扱いをしておるということはおかしいと思うのです。私は、法律を改正するなりあるいは予算措置をするということが――暫定的にはしかたがないとしても、他の田畑と同じようにしなければ私はいけないと思うのだ。そうしなければ、総合農政といってもいつまでも畜産というものは第二次的なものに置かれるのじゃないか。その点、政治的の問題があると思いますので、農林政務次官、ひとつお答えを願いたいと思います。
  176. 小沢辰男

    小沢説明員 確かにおっしゃるように、四五%と八割あるいは九割以上の場合とは非常に違いがございます。したがって、その点は事実上他のものと違いのないような措置を、いろいろな実はやり繰りでやるつもりでございます。しかし、対象は先ほど申し上げました基準に合うようなものでございますけれども、いま先生おっしゃるように、確かに不合理でございます。ただ、予算、いわゆる災害としての補助率が形式上そうなっておりますが、実質的には何らかの、私ども農林省のいろいろな施策にからませまして、実質上は支障のないようにいたしたい、かように考えております。
  177. 華山親義

    華山委員 私はそういう態度がおかしいと思うのですよ。何らかの形で金でめんどうを見てやるというふうなことをやるからおかしくなる。やれない場合にはやれなくなってしまう。なぜこれは法律を改正するなり、そういうことにして堂々とやれないのですか。
  178. 小沢辰男

    小沢説明員 おっしゃるように、やはりまっ正面からこの問題を解決すべきがほんとうだと思います。私もいま寡聞にして初めてでございますので、十分ひとつ今後検討させていただきたいと思います。
  179. 華山親義

    華山委員 ぜひひとつそういう点につきまして、今後の農政の問題でもございますのでお考えを願いたいと思っております。その他いろいろな問題がございますが、ここでは省略をいたします。  次に、建設省に伺いたいのでございますけれども、河川関係におきまして遊水地といわれるものがありますね。そういう名前を建設省はとっておられるかどうか、私存じませんけれども、山形県の場合、今度も災害の起きたところはいわゆる遊水地といわれるところなんです。大きな河川、国の直轄河川におきまして堤防のない地帯がある。なぜ堤防をつくらないのか。そこに遊水をさせないというと下流があぶなくなる。庄内の大美田がありますから、庄内の大美田を守るためには、あまり経済効果のないような中流部におきまして堤防をつくらないで、そこに溢水させておく。遊水地というふうに土地では言っておりますけれども、遊水地という観念、またそういう考え方というものは建設省にあるのでございますか。
  180. 坂野重信

    坂野説明員 遊水地といいますか、調整地といいますか、河川によってははっきり計画の中に見えておるものもございます。たとえば利根川等の場合におきましては渡良瀬遊水地と称するものが計画上遊水地としてございます。おそらく先生は最上川のことをおっしゃっていると思いますが、最上川につきましては計画遊水地というぐあいに見ているわけではございません。  ただ、先生御承知のように、大河川はやはり順を追って事業を進めておるわけでございまして、いきなり全面的に堤防をつくるとその影響があっちこっちにあらわれてくるということで、巨額の投資を要する中でどういう順序に従って事業を進めるかというようなことが問題でございます。たまたま地元で遊水地と思われているのはおそらく計画的な遊水地ではございませんので、工事の段階においていろいろなそういった狭窄部等の問題あるいは平地と狭窄部とのそういった水の配分の問題、洪水時における水の配分等の問題で事業の着手といいますか、そのスピードがむずかしい面においておくれているということだと私は考えております。  そこはなぜいろいろな問題があるかといいますと、そういった狭窄部の上流のほうにつきましては、いろいろな堤防を高くつくっても、今度はそこの内水の問題が出てくる、かつ非常に技術的な問題もございますので、そういった点につきましては調査を長年にわたって出水時に実はやっているわけでございます。そういった調査を積み重ねて、その上に立っての確信をもって仕事をやっておるというわけでございまして、仕事の順序としてはやはり災害の多い地区、同じ最上川の中でも災害の多い地区をまず重点的にやっていこうということで、そういう段取り上たまたまおくれているので、それが地元の方には、遊水地として計画的に何か見込んで、未来永劫にそういった治水をやってくれないのではないかというふうにあるいは誤解があるかもしれません。決してそういうつもりではございませんので、最上川としては非常に大河川でございますが、できるだけ私どもとしても伸び率はよその河川に比べても伸ばしているつもりでございますし、また必要なところは直轄の河川の区域延長ということも最近いたしておる次第でございますので、できるだけ地元に御迷惑をかけないように私ども事業を進めたいと思うわけでございます。が、やはり予算の制約等もございましてなかなか思うようにいかぬのが実情でございますが、その辺のところをよくわきまえまして事業を進めてまいりたい、かように考えます。
  181. 華山親義

    華山委員 土地の問題になって恐縮でございますけれども、私も前から県の仕事もいろいろしておった関係でいろいろのお話を承っておるのですが、毎年毎年大災害を起こすあの堤防のない土地、あれは私は、堤防をつくれない、最上川全体の河川から見ますというと堤防を速急にはつくれない計画上の場所なんじゃないのか、財政上の問題等ではないのではないのか、そういうふうに思います。たとえば大石田地区、あの辺は金さえあれば堤防のつくれる土地なんでございますか。私は、あの地区に堤防をつくる、そうすれば下流の狭窄部あるいは庄内地区の大美田地帯、そういう点に危険を及ぼす、そういうふうなことから、財政上の問題でなくて利水の関係でできなくていらっしゃるのではないか、こう思いますが、どうでございますか。
  182. 坂野重信

    坂野説明員 先ほど申し上げましたように、計画上これは遊水地だというぐあいには考えておりません。いろいろ検討をしておりまして、先ほど申し上げましたように、長年の調査の積み上げで、あるいはそれが計画上からいってどうしても遊水地にしたほうがいい、計画的な遊水地にすべきだという結論が出れば、私どもとしてはもちろん補助なりあるいは買収ということも考えて、計画的な遊水地というぐあいにすることもあり得るかと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、計画的な遊水地ということになれば、どこまでも買収するなりあるいは補償するなりということを当然考えなければいかぬわけでございますので、その辺はだんだん調査した結果そういう結論が出れば、そういう方向で今度はっきり計画上にもうたいたいと思いますが、現在の段階ではまだそこまで至っておりません。
  183. 華山親義

    華山委員 私考えるのでございますけれども、しろうとでございますから技術的なことはわかりませんが、私は一挙にしてあそこに堤防ができるということはなかなかむずかしい問題じゃないのか。そういたしますればどうしても上流の大きな支流、そういう面に洪水調整のダム等をつくりまして、そのあとでやるべき仕事じゃないかというふうにも考えるわけであります。この点につきまして、現在、たとえば寒河江川とか白川とか、あるいはこうした大支川につきましてダムをつくり、そこで調整をする、最上川に一時に増水しない、そういう段階において大石田地区というふうな、あるいは最上地区というふうなものについて堤防ができる、こういう段階になるんじゃないかと私はひそかに思うのでございますけれども、この点につきましてどんなふうにお考えになっておりますか。ひとつ伺ってみたいと思います。
  184. 坂野重信

    坂野説明員 御指摘のように、いま白川等のダムの計画につきましては、堤防とダム計画と実は見合って各河川ごとに総合的な治水対策をやっていきたいと考えておるわけでございまして、堤防をつくるとなると直接広い区間の用地買収等の問題が出てまいります。また堤防の経費等も非常にかさむというようなことも勘案して、水資源等の問題もございますので、できるだけダム方式でいきたいというのが私どもの基本的な方向でございます。たとえば近畿地方で最近伊賀上野に実は同じような話がございます。どの程度計画的にその実現をはかるべきか、あるいはダムでどの程度受け持たすべきかということを長年にわたって調査いたしております。ようやく最近になりまして上野に計画的な遊水地をつくり、上流のほうにダムをつくろうというふうなことなっております。最上川につきましてはその辺の調査もまだ続行中でございまして、できるだけひとつ調査を促進し、結論を早く出してみたいというふうに考えております。
  185. 華山親義

    華山委員 十何年もかかっている問題で、その当時からの問題でもございますので、ひとつ根本的にはどうあるべきか、単なる財政的なことのために中流地区の堤防ができないということであればまことに残念なことでございまして、早くやっていただきたい。しかし、堤防をつくることによって下流にも影響がある。大石田地区のすぐ下には狭窄しているところもございます。そういう技術的の問題もございますので、すみやかに最上川というものをどういうふうに全体的に把握するか、治水上把握するか、早くひとつ計画を立ててやっていただきたい。熱望をいたしておきます。  それから、最近中小河川ということがよくいわれますけれども、これは昔からあったのか、このごろやかましくなったのか、最近特に中小河川についての災害が多くなったのか、これはどちらなのですか。
  186. 坂野重信

    坂野説明員 それは先ほど申し上げましたように、やはり第一次的には非常に気象条件が、さっきも気象庁がおっしゃいましたように、昭和三十二、三年ごろからどうも局地的な集中豪雨の傾向が顕著になってきた、それがやはり第一の原因じゃないかと思います。決して建設省としては大河川だけに目を向けているのではなくて、中小河川について全体のいわば水系一貫主義という立場で進めておるわけでございます。決しておろそかにしているわけではありませんが、大河川全体に、広い流域に同時に雨が降るという傾向が比較的少なくなって、局地的に雨が降るという傾向が出てきたために、特に最近中小河川被害というものが目についてきたというぐあいに私は考えております。
  187. 華山親義

    華山委員 私、この大河川の改修のあり方、これる否認するわけじゃありませんし、それは適当な方法かと思いますけれども、とにかく大河川をまず改修していく、その際の改修のあり方、これがいわれるところの高水式ですね。堤防を高くして、そしてできるだけ直線に流す、こういう方法をおとりになったと私は思うのです。そうすれば洪水の場合大河川の水位が高くなる。したがってそれに注ぐところのいろいろな河川、そういうものが水がさばききれない、あるいは本流から逆流する、こういう現象が起きて、小さな川あるいはかんがい排水のためのみぞといいますか、そういうところまで水がさばききれないで、あるいは逆流してあふれる。それが山地等までに及んでいく、こういうことがあるように私は思います。この点いかがでございますか。私はいままでの高水式のやり方はやめろというわけではありません。従来でしたならば大河川は蛇行していた。蛇行する川幅の面積の広いところで水を吸収していた。それを堤防を高くして、川の占める割合といいますか、面積というものを少なくした。用地買収等の関係もありましょうけれども、こういうことが中小河川のはんらんに影響があるのじゃないか、私はそう思いますが、どうでしょう。
  188. 坂野重信

    坂野説明員 むずかしい問題でございますが、大河川を改修したために中小河川被害が出るということはございません。大河川は、改修としてはできるだけ水位を上げないように、そのために幅を広げる、ということは水位を上げないように広げるわけでございます。それから川底を掘る方式、いろいろございます。というのは、大河川の本川だけ流すつもりでなく、支川も合わせた全体の水の量をできるだけ早く海に持っていこうということでございまして、結果的には決して中小の河川を疎外するわけではございません。ただ局部的に、昔の状態では大きな川も小さな川も同時にはんらんするというか、そういった大きな川と同時に中小の河川、どちらかというと小さな川は早く水が出ちゃうわけです。ゆっくりあとで本川の水が出てくるというのが通常でございます。雨の降り方によって一がいに言えない場合もありますが、ただ先生おっしゃいましたように、川面の特に低いところについては、外水は防げたけれども内水があふれるというのが、量的にはわずかなものですが、ございます。その点につきましては、最近内水排除のポンプをつけるということを具体的に逐次やっておるわけでございます。大河川の改修ができたから中小河川の水はけが悪くなったと新聞紙上等に間違って出ておりますけれども、決してそういうことはございません。
  189. 華山親義

    華山委員 間違っておればけっこうでございますけれども、現地を見ますと、やはり大河川の水位が高くなりまして、それを締めるとかあるいはポンプで出すとかいうふうなことをやっておりますけれども、私はそういう影響があるのじゃないか。あるならばあるでやはりそれに対応するだけの、あるいは揚水ポンプのあり方とか、あるいは逆流を防ぐところの装置とか、そういうものを中小河川の改修ができる前におきましてよくひとつ整えていただきたい。このことをお願いをいたしたいと思うのであります。  それからもう一つ、これは具体的に起きた問題でございまして、このこと自体はあまり大きな災害でございませんけれども、観念的に大きな問題にも将来はあるいはなる場合もあるかと思いますので、ちょっと通産省にお聞きしておきたいのでございますが、山形県の西村山郡の西川町に高旭鉱山という鉱山があります。ここは新開発鉱業株式会社が銅を採掘しておったのでありますが、四十二年の十月から採算が合わないというので閉山をしております。この沈でん槽の堰堤が今度破れたわけです。そのために沈でん槽にあった沈でん物が流出しまして、下流におきまして数戸の家が押し流される。またその水には毒水があるのではないということから、水田にその水をとっておるところは大急ぎで締める。また寒河江市でございますけれども、その市では水道の水に一部入っておりましたのでそれをとめるというふうなことが起きたわけであります。観念論として伺いますけれども、こういうふうなことについて起きるところの損害、あるいは復旧、こういうものは一体会社がやるものですか、国がやるものでしょうか、ちょっと伺っておきたい。
  190. 下河辺孝

    ○下河辺説明員 お答えいたします。  この高旭鉱山の堆積場の事故でございますが、これはこの八月の九日に起きたものであります。当時あの地方はたいへんな豪雨がございまして、七日から九日にわたりまして約二百八十ミリ程度の雨が降った。特に八日の日は集中的に雨が降ったようでございまして、それらの関係もございまして、ここにございます堆積場の上流あるいはその側面のところにおきまして大きながけくずれが発生しております。そのがけくずれによります土砂の流れが堆積場に入りまして、そのために堆積場がこわれまして土砂流としまして下流に流れまして、下流にございます海味部落、そこの人家あるいは水田に被害を与えたというような事故が起きたわけでございます。  これにつきましては、多分に不可抗力的な事故ではございますけれども、鉱業の実施によってそこに堆積されておりましたものが流れたというようなこともございますので、現在会社といたしましても補償には誠意を持って当たりたいということで、災害直後本社から常務、専務、それに数人の方が現地を視察されたようでございますし、また来週早々、西川町、鉱山それから仙台の通産局、三者が集まりまして、補償の方針その他につきまして相談をするというような進捗状況に現在なっているわけでございます。  なお、水道につきましては、私のほうに入りました連絡でございますと、堆積場がこわれたということで直ちに西川町と寒河江市が水道の給水をとめまして、県の衛生研究所でその分析をしたところ、飲料に供して差しつかえがないという結果が出まして、その後使用しておりますというように聞いております。
  191. 華山親義

    華山委員 経過はわかりますけれども、こういうふうな場合には、復旧したり、それから損害のあった人に――家屋等も流されておるわけでございますし、それから田にそういう鉱滓等が積もったということもあるわけでございますが、そういうものにつきましては一体どこが責任があるのですか。その場合につきましては、いまおっしゃったとおり、やむを得ざる事故で会社に責めは帰せられないというふうなことから、会社には責任がない、こんなふうにでもなるわけでございますか。あるいはそれらの問題につきましては、これは民事上の問題であって、もし極端にいえば裁判所の問題であって、役所としてはこれにタッチすべき問題ではない、こんなふうにも考えられるわけでありますが、どういうふうにお考えになりますか。
  192. 下河辺孝

    ○下河辺説明員 鉱山側と被害者の方と話し合いがつかない場合には裁判ということもあろうかと思います。大体通産局の指導の方針としましては、鉱山の責任の範囲におきまして誠意を持って補償をさせる、あるいは復旧させるという方針でやっております。したがいまして、この災害につきましても、会社側も十分誠意を持って補償をいたしますと言っておるようでございますので、そういうような形で十分話し合いがつくのではないかというように考えておる次第であります。
  193. 華山親義

    華山委員 くどいようでございますけれども、個人的に受けた損害につきましては、私は補償ということは別問題といたしまして、そのままにほっておけないですね。そのままでほっておいたのではどんどん毒のような水が流れてくる、堰堤はこわれたのですから。この堰堤をつくるということは一体どこでやるのですか。
  194. 下河辺孝

    ○下河辺説明員 堆積場は鉱山の施設でございまして、鉱山は現在作業は休止しておりますけれども、そういう鉱害を防止するという義務は鉱山保安法に基づきまして鉱業権者にあるわけでございます。したがいまして、もちろん鉱山が、こわれたところを補修するという責任を持っているわけでございます。
  195. 華山親義

    華山委員 通産省は責任を持って鉱山にやらせていただけますね。
  196. 下河辺孝

    ○下河辺説明員 現地の鉱山保安監督局及び通産局にも十分連絡いたしまして、誠意ある、また責任のある処置をとるようにいたします。
  197. 華山親義

    華山委員 私は、この点につきまして農林省、それから建設省にもお願いしておきたい。そういうふうなことで補償をするとか復旧をするとかいうことに長く年月がかかってやってもらっては困る。災害復旧は特に早くやらなければいけない。そういう意味におきまして、会社のほうで責任を負うならば、会社のほうから金を取り立てることはよろしいのでございますけれども、それによってあるいは砂防等のこともできるわけです。農林省といたしましても田の復旧ということもできるわけです。そういうものをひとつ政府の手でやっていただきたい。そうしてそれによってかかった金というものはしかるべきものといたしまして会社に請求していただきたい。そうでなければ、会社との間でいろいろ地元と協議するといっておる間に長くかかってしまう。災害復旧の目的を達しない。こういうこともありますので、その点は農林省及び建設省でもひとつ御助力を願ってお考えいただきたい。その後、国庫において取るべき金があったならば会社から取っていただきたい。こういうことをお願いするわけでありますけれども、建設省農林省のお考えをお聞きしておきたい。
  198. 小沢辰男

    小沢説明員 どの程度農地、農作物に被害があるのか、その原因がおっしゃるように全く明白に会社側にあるのかないのか、きょう主管の局長がおりませんが、私帰りまして早急にこういう点を十分調査いたしたいと考えます。
  199. 坂野重信

    坂野説明員 建設省も同様でございます。
  200. 華山親義

    華山委員 くどいようですけれども、調査をしてやるなんといったってこんなことはたいへんですよ。調査はあとでもいいのです。とにかく復旧してもらいたい。そのあとで、調査した結果これが会社の責任であるならば会社から国家が金をもらう、こういうふうにしていただけませんと、住民、罹災者、そういう人たちは迷惑します。特に現在そこから毒水が流れておる。災害でなくとも流れておる。こういうふうなことが堰堤がこわれた以上あるわけですから、至急にひとつ国でやっていただいて、その後は国と会社との関係において処置していただきたい。この点をお願いいたしておきたいと思います。  それから一つここで承りたいのでございますけれども、これに限ったことでございませんが、災害ということになりますと、本省におきましても地方庁におきましても、役人の方々がたいへん御苦労をなさるわけであります。それにつきまして、災害復旧のやり方あるいはその金額が適正であるかどうかということにつきましては、施行する市町村あるいは府県のほかに本省がおやりになる、これは私は当然だと思う。そのほかに大蔵省としては地方の財務部がその金額がいいかどうかということでおやりになる。そのほかに会計検査院がおやりになる。会計検査院は、事後もありますけれども、大体の場合において事前におやりになる。そういたしますと、地方の役人というものはこれはたいへんですよ。山の中に二へんも三べんも行かなくちゃいけない。そして本省なり会計検査院にいわれるごとに設計を変えていく。第二次査定、第三次査定というふうなことが行なわれる。私は、このことのために施行がおくれるばかりでなくて、非常に苦労が多いと思う。それで、地方で設計をいたしまして、本省が行って実地にごらんになっていろいろアドバイスをなさる。その際に、最近では大蔵省の財務部も一緒に行かれるということで、相当改善はされたと私は思うのでありますけれども、会計検査院は別なんですね、これは。会計検査院にいろいろアドバイスなり注意を受ければまた設計をし直して、これが本省なりの承認を得なければいけない。こういうふうなことがあるわけでございます。私、会計検査院の機能ということにつきましては十分にこれを尊重はしなければいけないと思うわけでありますが、その点につきましていろいろ改善されるという話も聞きましたけれども、現在どうなっておりますか、どなたか御承知の方があったらお知らせ願いたい。
  201. 小沢辰男

    小沢説明員 おっしゃるように、災害査定につきましてはそれぞれ出先あるいは本省あるいは会計検査院とありまして、そういう面で先生の御指摘のような点もあろうかと思いますが、それぞれやはり法規に基づきました責任というものを果たさなければいけない立場でございますので、大部分はやむを得ない措置じゃないかと思いますが、会計検査院の事前のいろいろな審査につきましては逐次漸減する方向で、それぞれ合理化するようにいま努力をしているわけでございます。なお防災会議等でひとつ問題点として、各省それぞれよく協議をして、検討をしてみたいと思います。
  202. 華山親義

    華山委員 そういう面はついて、設計はできるだけ確実詳細にやるべきだと私は思いますけれども、それをひっくり返しもつくり返しということはあまりやっていただきたくないと思うのですね。それは山の中にリュックサックをしょって、そうして測量機を持って三べんも行かなくちゃいかぬなどということは、私はちょっとひどいと思うのですね。そういう点は、会計検査院は独立の機関ですから政府のほうからあまりやかましくも言えないと思いますけれども、何らかひとつお取り計らいをいただきたい。  それからちょっと申し上げます。会計検査院というものは工事の審査は全部するわけじゃありませんね。たとえば補助事業だったならば非常にパーセンテージは少ないのですよ。ところが災害事業だけは非常に高いのですね。災害事業というと、会計検査院の実地調査、実地検査の率というものは、パーセンテージは忘れましたけれども、非常に高いのですね。まあ高いのは私はかれこれ言うわけじゃありません。ただしかし、よく会計検査院と御相談になって、役人の方々の苦労が幾らかでも少なくて済むようにひとつ御配慮を願いたい、こういうふうに思います。  これで終わります。
  203. 川村継義

    川村委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。    午後五時三十四分散会