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斉藤(正)
委員 私は、ただいま
委員長からおはかりがございました本
委員会に対する
請願二件のうち、特に
自然災害防止のため
気象業務の
整備拡充に関する
請願に
関連をし
発言をいたし、
関係政府当局の
見解をたださんとするものであります。
御承知のように、私
ども災害対策特別委員会は、去る
昭和四十三年九月十九日、「
自然災害の
防止に資するための
気象業務の
整備拡充に関する件」ということで
特別決議をいたしました。
政府当局に、
災害対策に対しまして、特に
気象業務の
整備拡充に対する
決議をいたしたわけであります。この
決議は、
災害による国土の荒廃あるいは
人命、
財産等々に対する激甚な被害というようなことに対して、いわゆる
気象業務を
整備拡充、充実することによって、その
投資効果ははかりしれないものがある。今日、
高度経済成長政策のもとでたいへんな各産業の発展があるわけでありますけれ
ども、
自然災害に対する
予防あるいは
自然災害を未然に防ぐというような
対策については、これらの諸
施策に比べて十分でない。かなり緊急を要する問題であっても、これが放置をされている。もし
事前にこれらの
施策が十分行なわれているならば、もっと
災害の
早期予報もできるであろうし、また
災害に対する万全の
対策も不可能ではなかろうということから、ここに五点の
決議をあげたわけでございます。
しかし私は、たとえば本年度、
昭和四十四年度の
災害関係の
予算を拝見いたしましても、これが必ずしも十分ではないというように
考えざるを得ないわけであります。すなわち、
昭和四十四年度における
防災関係予算というようなものを拝見いたしますと、まず
科学技術の
研究ということで、
関係省庁広範にわたってそれぞれの
予算が盛られておりますけれ
ども、その総額はわずかに二十八億七千万でありまして、基本的な
科学技術の
研究といったようなものがまだまだ十分でない。しかもこれをしさいに検討してみますと、たとえばこの
特別決議にあげられている
気象庁関係の
予算を見ましても、わずかに一億五千九百万であります。二十八億七千万のうちで
科学技術庁が十億二千五百万というような数字をあげておりますけれ
ども、最も
災害対策に必要であろうと思われる
気象庁のいわゆる
科学技術研究は一億五千九百万といったようなことで、ロケットが月へ行って
人間が月面を歩いたというようなこの
科学の
進歩に比べますと、
一体気象庁はこの一億五千九百万というような額で、いわゆる
気象観測の
科学技術の
研究ができるのかどうかということについて大きな疑問を持たざるを得ない。
災害の
予防については
気象庁四十七億というような
予算は計上されておりますけれ
ども、まず第一に
指摘をいたしたい点は、いま申し上げましたような
観点から、
気象庁の
科学技術の
研究といったような
項目に対する
予算措置がきわめて貧弱であって、国民の
要望にこたえていないということを痛切に感ずるわけでありますけれ
ども、これに対して
総理府ではどのようにお
考えになっておられるのか。
それから第二点は、
科学技術の
研究で各
省庁のそれぞれの
仕事を拝見いたしますとかなり重複をしておりますし、それぞれの
省庁が独自な
研究をされております。
総理府に伺えば、それはそれぞれの分野があってそれぞれの
研究をやり、これらを総合して
防災に役立てているんだというような御
答弁であろうというように思うわけでありますけれ
ども、はたしてそうなっているのかどうか、私は疑問を持たざるを得ない。
たとえば
地すべり対策というのがありますけれ
ども、この
地すべり対策は
科学技術庁でも行なっている、
通産省でも行なっている、
建設省でもやっている。
地震に対しましては、当然のことでありましょうけれ
ども、文部省としての部門があり、
通産省もやるし、海上保安庁もやる。
気象庁はもちろんやっておりますけれ
ども、さらに
建設省もやっているというようなことで、
地震一つを
考えましても五つの
省庁がその基礎的な
研究をされている。一体これでむだがないのか。あるいは同じような
研究をしているのではないのか。しからば重点的にこれをどこがやっているのかというような点について若干の疑問を持たざるを得ないわけでありますけれ
ども、一体こういうような各
省庁にわたる
災害関係の
科学技術の
研究の
脈絡統合といったようなものについてはどう
考えておられるのかということについても、
総理府から御
見解を伺いたいというように思うわけであります。
第三点は、
気象庁でありますけれ
ども、例の
定員一律
削減によって、
気象庁もそのあおりを食っていることは事実だと思うわけでありますけれ
ども、私がかつて
予算委員会分科会等で承ったところによりますれば、
関係当局は特に
気象庁については十分な
配慮をいただいて、最小限にとどめることができて
日常業務には差しつかえございませんというような
答弁をいただいたわけであります。私はもちろん一律
削減といったようなことに対しては反対でありまして、これは当然
軽重濃淡があってしかるべきだという立場をとるわけでありますけれ
ども、特に
気象観測といったような
仕事がじみな
仕事であり、日ごろは役立たないけれ
ども一たん事あればたいへんな
仕事であるということを
考えたときに、そしてまたこの
気象観測は長い間のデータの累積が結論を生むし、また
予報の結果を正確にする。そしてまた
予報の集積は迅速な報知という形をとらなければならぬという、いわゆる積み上げによる
効果というたようなものも
考えましたときに、
日常それほど注目を浴びていない、重要視されていない
平常業務であっても、そのことは決して
人員の
削減といったようなことによる不手ぎわがあってはならぬし、また手抜かりがあってはならぬというように強く感じているわけでありますけれ
ども、一体こういう一律
定員削減といったようなものに対する
気象庁がとってきた
態度、さらにこれからとろうとしている
態度について、まず一点伺わなければならぬと思うわけであります。
さらに
観測施設、庁舎を含めて、国の
施設で一番おくれている部類に
気象庁関係の
建物は入ると私は思うのです。
建物がそのようでございますから、中の
施設等々につきましてもこれまた
建物に従って古い。今日、防衛庁なりその他の機関が使っている
施設に比べれば、
気象庁の
施設、
器具機械類は決して
当代一流のものとはいえない。
国産の
機械ではるかに優秀なものができているのに、
予算の
関係上これを買うことができないというようなことも承っているわけでありますけれ
ども、先ほど申し上げました私の前提からいきますれば、私は
近代科学の粋を集めた
施設が当然完備されなければならぬ。そのことがばく大な
投資効果を生むものであり、
人命、
財産等々については、特に
人命についてはかけがえのないものだというようなことを
考えますれば、かつての大
災害による
死傷者の数等々に比べて、最近の
災害による
死傷者の数等はきわめて少なくなっていることは認めますけれ
ども、これを皆無にしていくということも、やはりそうした
施設の
完備充実によって不可能なことではないし、
災害を
事前にキャッチするためにも、また適切な
予防を講ずるためにも最も優先して
考えなければならない政治の課題だと
考えるわけでありますけれ
ども、こういう点についてどのようにお
考えになっているのか、伺いたいと思うわけであります。
以上、
総理府に対して二点、
気象庁に対して二点お伺いして、
見解をお尋ねいたすわけであります。