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1969-06-26 第61回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年六月二十六日(木曜日)    午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 内海  清君   理事 稻村左近四郎君 理事 大竹 太郎君    理事 田中 榮一君 理事 山口シヅエ君    理事 板川 正吾君 理事 河村  勝君       加藤 六月君    川野 芳滿君       小峯 柳多君    久保 三郎君       古川 喜一君    岡沢 完治君       松本 忠助君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房陸上交通安全         調査室長    宮崎 清文君         警察庁交通局長 久保 卓也君         運輸省鉄道監督         局長      町田  直君  委員外出席者         科学技術庁計画         局資源課長   本橋 信夫君         文部省体育局体         育課長     西村 勝巳君         厚生省医務局総         務課長     上村  一君         消防庁防災救急         課長      中沖  豊君         日本国有鉄道総         裁       磯崎  叡君         日本国有鉄道副         総裁      山田 明吉君         日本国有鉄道常         務理事     一條 幸夫君     ————————————— 六月二十六日  委員河村勝辞任につき、その補欠として岡沢  完治君が議長指名委員に選任された。 同日  委員岡沢完治辞任につき、その補欠として河  村勝君が議長指名委員に選任された。 同日  理事河村勝君同日委員辞任につき、その補欠と  して河村勝君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  交通安全対策に関する件      ————◇—————
  2. 内海清

    内海委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。板川正吾君。
  3. 板川正吾

    板川委員 最近、国鉄に相次ぐ重大な事故が起こっております。まず、当局から、最近惹起しております脱線事故火災事故レール折損事故、こういった事故の概要について御報告をされたいと思います。
  4. 町田直

    町田政府委員 お配りいたしました資料に従いまして、簡単に御説明申し上げたいと思います。  お配りいたしました資料は、最近起こりました六件の事故資料がお配りしてございます。実は、その前に、五月十七日に東海道本線函南三島間、それから六月七日に山陽本線岩田島田間の事故というのがございます。これは少しさきのことになりましたので、資料としてはお配りしておりませんけれども、まとめまして簡単に御説明いたしたいと思います。  まず、お配りしてございます資料の一番最近の分について申し上げます。山陽本線防府富海間における列車火災事故、これは二十四日の十九時五十三分、ただいま申しました防府富海間において、特急客車の前から三両目に火が出ました。これが燃えた事故でござ、います。状況資料に書いてございますので、簡単に省略させていただきますけれども、大体現在のところ、次のページの「原因」というところにございますが、「前から三両目客車床下ユニットクーラーから発火して床上に燃焼した」というふうに考えられます。しかしながら、このユニットクーラーがどういうことで発火をしたかということにつきましては、現在まだ調査中でございまして、冷房の安全装置について試験をいたしておるところでございます。  それから、その次にございます山陽本線の厚狭−埴生間の列車脱線事故でございますが、これはその翌日の二十五日の三時三十七分、これは貨車でございまして、貨物列車の一車が脱線いたしたという事故でございます。これは原因は、大体現在のところ競合脱線ではないかというふうに考えられておりますけれども、ちょっと普通の競合脱線と事情の違うところがございまして、これは脱線いたしました車両が原型のまま残っておりますので、この車両そのもの試験をいたしまして、原因を究明いたしたいというふうにやっておる次第でございます。  それから、その次にまとめてございます資料がございます。これについて申し上げます。日にちの順序が逆になりますので、うしろのほうから御説明させていただきたいと思います。  一番最後につづってございます山手線渋谷駅に趣ける渋谷構内貨車脱線事故でございます。これは二十二日の四時五十一分、山手線渋谷構内におきまして貨車か十二両脱線いたしました事故でございます。これは大体うしろに書いてございますが、原因がはっきりしておりまして、渋谷構内貨物下り本線号分岐器尖端軌条折損いたしましたということが原因と思われております。なぜこれが折損いたしましたかということにつきまして、詳細にいま調査中でございますが、そういう意味の、そういう原因事故でございます。  それからその次でございますが、前のほうに返りまして、東海道本線保土ヶ谷戸塚間における列車脱線事故、これは六月十九日十八時十二分に起こっております。これも貨物脱線でございまして、保土ヶ谷戸塚間のトンネルの中で貨車脱線いたしました事故でございます。これは実は、脱線いたしました個所が、うしろページに書いてございますけれども曲線ではございません。直線の個所でございまして、上り勾配でございますので、はたして競合脱線かどうかということがはっきりいたしません。この点はなお詳細に調査をいたしておる最中でございます。  それから、その一つ前に返っていただきまして、根室本線の白糠−西庶路間における列車脱線、これは六月十六日に起こりまして、やはり貨車脱線いたしました。この原因は、大体場所が四百二メートルの曲線でございますので、おそらく、いわゆる競合脱線というふうに考えるべきだというふうに考えております。  それからその前でございますが、これは六月八日に起こりました東海道本線函南三島間の列車脱線でございます。これはやはり貨車脱線でございまして、この場所が下り勾配千分の十、しかも曲線でございますので、競合脱線というふうに考えられるわけでございます。  以上、お配りしてございます資料の御説明でございますが、この前に、先ほど申しました五月十七日と六月七日の二回、一カ所はいま御説明しました函南三島間と同じような個所で、やはり競合脱線と思われる二両の貨車脱線事故がございまして、六月七日のほうは、山陽本線岩田島田間におきまして、やはり競合脱線と思われる二両の脱線事故がございました。  たいへん申しおくれましたが、非常に原因のはっきりしないと申しますか、競合脱線というよりな事故でございますけれども貨車事故が非常に続きまして、私ども担当者といたしましてはまことに遺憾でございますし、申しわけない。これに対しましては、国鉄が中心になりましていろいろな措置を講じておりまするし、こういうことか全然起こらないようにしたいということでいろいろ努力いたしておる次第でございます。以上でございます。
  5. 板川正吾

    板川委員 国鉄総裁がまだ来ておりませんかり、私は、とりあえず、原因がわかっておると思われる渋谷駅におけるタンク車脱線事故の問題からひとつ質問していきたいと思います。  渋谷駅における石油貨物列車脱線事故は、二つの意味で重要だろうと私は思います。それは、貨車のほとんどが重油、軽油、灯油、ガソリン等石油列車であること、それから、これが新宿事故で指摘されたにかかわらず、依然として都心を走っている、こういうことであります。第二は、この渋谷事故の問題は、本線ポイントトング・レールが古いレール再生品であり、古きずがあっても、事前にこれを防止できないという国鉄関係者のいわばずさんな仕事が原因ではなかったかというふうに考えるわけであります。そこで伺いますが、国鉄における石油類貨車輸送状況をまず伺いたいと思います。たとえばどのくらいの車であり、年間どのくらいの輸送を担当しておるのか。石油類燃料輸送状況について国鉄当局から一応報告をしていただきたいと思います。
  6. 一條幸夫

    一條説明員 一條でございます。お答えを申し上げます。  ただいま御質問石油類輸送でございますか、石油類輸送は、輸送トン数で申しまして、国鉄貨物輸送量の約五・五%から六%でございます。現在石油類輸送いたしますための専用タンク車でございますが、これは約七千三百両ございます。これは国鉄自体の持っておりますもの、それから私有貨車の形でありますもの、両方含めまして七千三百両でございます。それから、輸送量でございますが、四十三年度の石油類輸送量は千二百五十万トンでございます。そのうち専用タンク車によりまして輸送されましたものがそのうちの九二%、千百五十万トンでございます。  それからもう一つつけ加えさしていただきますと、国内の石油輸送量の中で国鉄が分担しておりますものは約八%でございます。
  7. 板川正吾

    板川委員 この山手線貨物線におけるタンク車輸送状況はどの程度になっておりますか。たとえば一日平均専用列車として何本で、どのくらい輸送しておるのか。混合列車としてどのくらい輸送しておるのかひとつ伺いたいと思います。
  8. 一條幸夫

    一條説明員 山手線の問題の事故のありました渋谷付近で申し上げます。渋谷付近列車本数で申しまして、一日平均タンク車専用列車が六本でございます。それから普通列車に連結されておりますものがそれ以外に二十六本ございます。したがいまして、石油類輸送しております列車は、専用列車それから混結列車合わせて三十二本になりまして、両数が一日平均二百四十両でございます。
  9. 板川正吾

    板川委員 その中で米軍用として輸送されているものはどのくらいありますか。
  10. 一條幸夫

    一條説明員 米軍用輸送量は二百四十両のうちで両数で申しますと七十五両でございまして約三〇%にあたります。
  11. 板川正吾

    板川委員 石油類輸送は、年々非常に増加をいたしておるようであります。こういう、新宿構内における爆発火災事故という前の事故発生状況からしまして、この危険なタンク車都心を通っているということは、私は今日非常な問題だと思うのであります。ですからこれを将来すみやかにパイプラインによって安全な輸送をするという方向考えられなければならぬ。これは新宿事故のときにもやはり問題になった点でありますが、このパイプラインによって、内陸の石油輸送需要を果たしていく、輸送していくという計画は、国鉄当局にはどの程度進捗をしておるものでありますか。
  12. 一條幸夫

    一條説明員 ただいまのパイプライン輸送でございますが、国鉄ではただいまパイプライン輸送調査委員会を設けまして検討しておる最中でございますが、昨年国鉄財政再建推進会議におきましてもその問題が討議されまして、国鉄の持っております線路敷等を活用いたしまして、国鉄の持っております財産を活用して、パイプライン輸送をやるべきであるという意見が同会議意見書にもはっきり述べられております。私どもも現在の鉄道輸送力を有効に活用するという意味からいきましても、パイプライン輸送をぜひやるべきであろうというふうに考えまして、先ほど申しましたようなパイプライン調査委員会を設けまして検討をいたしております。現在までの段階では、技術的にどういう構造にすべきかということがおもな問題点でございまして、最近外国にも調査団を派遣しまして検討をいたしておりまして、近くその結論が出されるだろうという段階までにまいっております。  私どもは、石油類輸送量の多い地区につきまして、国鉄の持っております施設を最大限に活用いたしまして、パイプライン輸送をやりまして石油類輸送合理化に貢献をすると同時に、国鉄自体輸送力を他の方面に大いに活用するという方向考えております。  具体的な対象の地域といたしましては、全国的に見ますと石油類輸送量が相当多いところ、しかも将来それがふえるであろうところというようなところが問題になるわけでございまして、北海道の室蘭−札幌間あるいは東京の北部あるいは東京の西部あるいはその周辺、それから中部地方では四日市富山地区間、それから近畿地方にまいりまして下津−京阪地区というようなところが考えられます。この中で、私どもが急ぎたいと思っておりますのは、京浜鶴見地区から八王子方面、それから現在建設中の武蔵野環状線に沿いました地域について具体的な検討を進めております。  以上でございます。
  13. 板川正吾

    板川委員 科学技術庁に伺いますが、科学技術庁資源調査会報告というのが四十二年一月二十四日にパイプラインに関する調査報告というのが出ておりますが、この科学技術庁石油パイプライン輸送についての調査報告をまとめた内容について若干報告をしていただきたいと思います。
  14. 本橋信夫

    本橋説明員 お答え申し上げます。  パイプラインは、流体を大量かつ連続的に輸送する手段といたしましては、安全性また経済性の両面ですぐれた特性を持っておりまして、世界的な趨勢を見ましても今後急速にこのパイプライン輸送というものが発展することが予想されておるわけでございます。わが国におきましてもこの種の輸送方式検討される必要性があるのではないかということでこの調査会がテーマとして取り上げたわけでございます。一方わが国では地理的な条件から沿岸タンカーというものに依存度が高いということ、また都市に人口、産業が集中しておるというようなことから、ほかの国とは趣が若干変わっておるわけでございまして、そういう点を考慮いたしまして将来のパイプライン発展の手がかりということと、それから石油関係流通面ないしはパイプラインを布設することによる地域開発というような資源利用の方策の一環といたしまして、調査会が取り上げて報告いたしたわけでございます。  内容といたしましては、わが国ではどのような類型石油パイプラインが導入が可能であるか、また望ましいか。またそれに関連いたしまして、技術上それから制度上、保安上どういう問題点があるかということを指摘しておるわけでございます。  この報告の骨子を申し上げますと、この石油パイプライン類型といたしましては、大都市石油製品でございますが、大都市製品パイプライン、それから工業都市間、あるいは工業開発地域間の製品パイプライン、それから原油または中間の原料パイプラインというものが考えられておるわけでありますが、例示的なモデルといたしまして、京阪神、首都環状熊谷ライン、それから富津・鹿島・五井ライン、広島・福岡ライン富山四日市ラインというようなことにつきまして、そのパイプ施設につきましてめいろいろな条件その他経済性等を試算しておるわけでございます。大都市におきましては、製品パイプライン経済性の面、あるいは都市交通の改善というようなものに役立つということで、積極的な検討が望ましいということを述べております。  またパイプ輸送保安に万全を期するために、技術基準の確立とか環境条件整備というようなことを検討する必要がある。さらにパイプラインが将来石油以外にも発展が予想されるので、施設運営を適正な秩序のもとに促進するための法制の整備について検討する必要があるということを述べております。  さらに技術的な問題、それからさらに流通体制の問題、さらに製品の規格の問題、そういうふうな研究課題が多くありますので、そういうものを早急に検討をすべきであるというようなことを報告内容として述べております。
  15. 板川正吾

    板川委員 外国でもパイプラインによる石油輸送というのは非常に行なわれておるようでありますが、日本の国土が地震が多いということもあろうかもしれませんが、しかし技術的に、あるいは保安上、さしたる問題は今日ない、パイプラインといっても、技術的にも保安上も問題はないというふうに考えてよろしいのでありますか、この調査の結果等については、その点はいかがですか。
  16. 本橋信夫

    本橋説明員 やはり技術的にも十分検討して保安ということも万全を期しませんと、いろいろな事故が起こるといけませんので、十分検討をしてほしいということを調査会では述べております。
  17. 板川正吾

    板川委員 技術問題あるいは保安上の問題、それに関連しまして法令の整備等が必要であるということを指摘しておるのであります。国鉄でも、先ほど言いましたように外国調査団を派遣してこの問題と取り組んで、近く具体的な結論も出すように努力したい、こういっておられるわけでありますが、この科学技術庁で発表しました石油輸送パイプライン調査報告ですね、これの考え方と、国鉄がいま検討しておる考え方と大きな食い違いがありますか。たとえばパイプラインルート——経営については意見が幾つも案がありますが、ルートについては大きな食い違いがありますか。
  18. 一條幸夫

    一條説明員 私、具体的には科学技術庁の出されております報告を存じ上げませんですが、大筋については食い違っておらないものと考えております。と申しますのは、私ども検討いたしておりますのも、現在石油類輸送量の多いルート、将来も輸送量が増加するであろうと思われますルートについて検討いたしておりますので、科学技術庁その他で御検討になっております考え方と食い違っていないものと私ども考えております。
  19. 板川正吾

    板川委員 パイプライン輸送というのは、一回敷きますと、工場の増設みたいに、またパイプを増設するということはなかなか困難でありますし、将来の需要を見越して、ある程度の大規模な設備をしておくということもあるでしょう。われわれ考えてみるのに、やはりこういったパイプライン輸送事業を行なうのは、国鉄のような公共企業体で行なうのがいいんじゃないだろうか、民間の資本を入れるよりもいいんじゃないかという感じがするわけであります。国鉄当局においても、ぜひひとつこの問題を真剣に取り上げて取り組んでもらいたい。そして新宿におけるタンク車炎上事故とかあるいは今回、火災にはならなかったけれども渋谷事故というようなことのないように、ひとつ早急に取り組んでもらいたい、こう思います。  この渋谷事故でもう一つの点は、脱線した原因ですね。トング・レール折損した部分に特別の加工部分があった、溶接して穴埋めしたところがある、そこからひび割れがあって、すでにその溶接部分から下は古いきずがあった、その溶接部分の穴埋めした上が新しいきずであるということが調査の結果、明らかにされておるようであります。この溶接埋め戻しをしたということが事故の直接の原因になっておるというのでありますが、この溶接埋め戻しをしたのはどこでやったのでありますか、調査して場所はわかりますか、どこでだれがやったのか。
  20. 一條幸夫

    一條説明員 ただいまの御質問分岐器尖端軌条部分加工をどこでやったかという御質問でございますが、これは九八%くらいまではそうだと思っておりますが、千葉に国鉄材修場というレールポイント部分のようなところの加工をいたします現場がございます。そこで昭和三十七年ころに加工されたものであろうと思っております。ただし残念ながらはっきりした記録がございません。
  21. 板川正吾

    板川委員 国鉄施設局保線課長通達というので、これは三十八年十二月十三日付で、「最近、特殊な分岐器の組立に当り、部品の不具合による接触を避けるため、本線レール底部の一部をガス切断し、そのまま本線に敷設するという事例があった。幸い事故に到る前に発見され処置されたが、関係者のカン、または経験によって、極めて安易な考えからレール分岐器加工することは非常に危険であるので、下記事項を厳守するよう、関係者に指導徹底されたい。」という通達が出ておりますね。これによると、このポイントレールについては所定以外の穴あけその他の加工を施したものは一切使用してはならない、こういうふうに通達が三十八年に出ております。そしてもし総点検をして、そういう違反のレールがあるならば、すみやかに更換せよ、またすぐに更換できなければ、その間「監視マークを付して監視を厳にすると共に、必要に応じて補強を行うこと。」こういうような通達が出ております。  渋谷駅のポイントトング・レールはいわば欠陥レールでありますが、この三十八年十二月の通達以前に改良された、そういう加工がされたようでありますが、その後国鉄は、こういう通達を出しておりながら、このトング・レール欠陥発見できなかったのは一体どういう理由によるものでありますか。これをひとつ伺いたい。
  22. 一條幸夫

    一條説明員 いま御指摘がございましたように、三十八年の十二月に保線課長名通達を出します前に、この渋谷事故原因になりました分岐器トング・レールは、加工されまして現地に敷設されたものだと思います。その通達後一斉点検をいたしまして、このような分岐器は一掃されていなければならないものでございまして、そういう分岐器尖端軌条が使われておりましたということは、私どものこれは明らかにミスでございます。その点はたいへん遺憾に存じております。ただし、この部分につきまして、平素検査あるいは点検を怠っていたものではございませんので、私どものきめられました検査方法等によりまして、できるだけのことはしてまいりましたのですが、実はこの折損をいたしました尖端軌条に穴がありまして、それを溶接埋め戻しをされていたということがわかりましたのは、この事故が起きましてその部材技術研究所に持ってまいりまして検討しました結果発見されました。こういうきずを発見いたしますのにワイヤブラシ等を使いまして表面のさびを落としまして点検をしているわけでございますが、平素のそういう点検のしかたではなかなか発見が困難なものでございます。それで最近では超音波探傷器のようなものも使用いたしておりますが、この尖端軌条のような形状のところは超音波探傷器によりましてもなかなかきずの発見が困難でございまして、最近そういうきずも何とかして発見をしたいということで超音波探傷器も直角の探傷だけではなくて斜角の探傷ができるようなものの整備も急いでおりますが、残念ながら非常に発見のむずかしいところでございました関係もありまして、こういうものが残っておったのでございます。しかし、いずれにいたしましても、これは私どもミスだと思っております。
  23. 板川正吾

    板川委員 保線課長通達によって、欠陥レール発見して取りかえろ、こういうことでしたが、その一斉点検にはひっかからなかった。しかしその後、国鉄には御承知のように、線路検査基準規程というものがあって、分岐器一般検査及び細密検査は年一回必ずやることになっておる。さらにポイント機能検査は月に一ぺんずつ必ずやれということになっておって、保線担当者はこういう規程に従って、特に本線ポイント等はおそらく必ず手抜きなく検査をされておったと思うのですね。この検査にも——特に三十八年以降、そこのポイントとして使用されておったようでありますから、機能検査は別として、年一回の細密検査には、私はこういう欠陥というのがなぜ発見できなかったのか。細密検査というときには、おそらく線路をはずしてそこを取りつけてみるのではなくて、ポイント部分トング・レールをはずして機能検査をされるのじゃないかと思うのです。だからそのときに、いま言ったワイヤブラシ等でそういう欠陥というのはなぜ発見できなかったか、こう思うのですが、この点はどうお考えですか。
  24. 一條幸夫

    一條説明員 御承知のように、レール機械部品のように表面をきれいに仕上げてある部材ではございませんで、鍛造をしっぱなしの荒い材料でございますので、さびております部分ワイヤブラシ等を使いまして精密に詳細に検査はいたしますけれども、小さなきずの場合にはなかなか発見が困難な場合が多いわけでございます。それで現在警察と共同で技術研究所で詳細な調査をいたしておりまして、そのきずの程度がどの程度のもので、表面にどの程度あらわれていたのか、それからそのきずの進行の状態がどの程度のもので、どういうスピードで進んだのか調査をいたしておりまして、その調査の結果は来週の初めにはまとまると思っておりますが、それによりまして私どもの今後の仕事のやり方も考えていかなければならないと思っております。いままで私ども技術研究所調査段階で聞いております範囲では、きずは確かにあったようですが、非常に発見の困難な程度のきずであったように思われます。しかし詳細な結果がまだ発表になっておりませんので、ただいま詳しく御報告できません。  以上でございます。
  25. 板川正吾

    板川委員 取りはずして探傷器を縦横に当てれば何とかわかるのじゃないかという感じがするのですが、われわれしろうと流に考えまして。そういう点でこの欠陥発見について体制が十分じゃないのじゃないか、こういう感じがいたします。  時間がありませんから、次に移りますが、問題のレールは八幡製鉄で昭和二十六年に製造されたものだ。それを十年ほど使って、三十七年ごろ古レールとしてポイントレールに再生をし先、こういうふうに報告をされておりますが、ちょうど昭和二十六年というのは朝鮮戦争の最中であって、戦後鉄の需要なんというのがなかったのが、急に朝鮮戦争が起こって一年目というところですから、鉄が値上がりしたりあるいは増産のために多少鉄の質が落ちておった時代じゃないかとしろうと流に考えるのです、その時期からいって。くず鉄がたいへんな値段で上がった時代ですから。ですから、そういう古い、材質の悪い時代の鉄を十年間も使ったほかに、さらにこれを大事なポイントにつくりかえて使う、こういうところに注意力が十分足りなかった点があるのじゃないだろうか、私はこう思います。最近は御承知のように日本の製鉄は自由圏でアメリカに次いで世界第二位でしょう。また日本の鉄の性質というのもこれまた優秀だといわれております。朝鮮戦争当時の古鉄を今日大事なポイントへ使っておって、いまならばものがあるんですから材質のいいものに切りかえていくべきじゃないか、こういうふうに考えるのでありますが、国鉄当局報告によると、三十九年以前の古レールポイントというのはこの際取りかえていくということでありますが、全部材質のいい時代のレールに取りかえていくべきじゃないかと思いますが、どのくらいの時間で全部ポイントについて古いレールを取りかえていきますか。
  26. 一條幸夫

    一條説明員 ただいまの御質問にお答えをいたしますが、確かに昭和二十六年ごろは一般的にはいい時代ではなかったと思いますが、当時におきましても、国鉄といたしましては製作監督を非常に厳重にやっておりまして、レール部材としては問題になるようなものは購入をしていなかったと私ども考えております。しかし先ほどお話がありましたように、昭和三十九年以前の分岐器の古い尖端軌条は全部取りかえるということで総点検を始めまして、——失礼いたしました。取りかえますのは昭和三十四年以前のものを取りかえる、十年以上の古いものは全部取りかえるという考え方で進んでおります。  それで、総点検でございますが、すでに着手をいたしておりまして、七月の十日ころまでに本線関係分岐器点検は全部終了をいたしまして、その際発見されました問題になりますものは直ちに取りかえるという体制で進んでおります。
  27. 板川正吾

    板川委員 トング・レールの取りかえ、最近のものはどこでつくるのですか。やはり材修場あたりで削るのですか。古レールを削ってやるのですか。新品のものでつくるのですか。最近はどうなんですか。
  28. 一條幸夫

    一條説明員 作製をいたしますのは国鉄材修場でやりますものと部外の会社に外注をいたしておりますものと両方ございます。それで、新しいレールを使いますものと若干使いましたレールを使いますものとの割合は大体五〇%、五〇%くらい、新品のほうが若干多いと思います。新しいものを使うほうが五五%くらいでありますが、大体半々とお考え願っていいと思います。
  29. 板川正吾

    板川委員 新品はどこでつくるのですか。
  30. 一條幸夫

    一條説明員 材料は全部国鉄から支給いたしております。
  31. 板川正吾

    板川委員 材料は国鉄が支給して加工してもらう、それが半分くらい、それから材修場加工するのが半分くらい、こういうことですか。  新品の場合にはよけいな穴もあいていないと思いますし、詳しく検査をされると思いますから、今後そういうレール欠陥による折損というようなことは少なくなるだろうと思います。  時間がありませんので、総裁が来ましたから総裁質問を移してまいります。  磯崎総裁に一言申し上げたいのです。名総裁といわれた石田さんのあとを引き継いで、その意味ではまことに御苦労さんだ、こう思います。国鉄総裁としてぜひその任務を全うして国民の期待にこたえてもらいたい、こう思います。  そこで、私は新総裁に最近相次ぐ重大な国鉄事故についていかなる取り組み方、考え方があるのかということを伺いたいのでございます。  最近朝、新聞を見ますと目立つ記事は、必ず国鉄という字と、またも競合脱線、そのあと必ず、あわや大惨事になる寸前であった、車両火災があった、これもあわや大惨事事故になるところであった、レール折損脱線があった、これもまたあわや大惨事になる寸前であった、あわやがついておりますから、幸いにして不幸中の幸いだと思うのです。これはあわやがつかなかったらたいへんなことになるわけであります。国民はそのつど肝を冷したりまた沿線の住民はいわば戦々恐々としておる。都心の住民は非常に戦々恐々としておる。運賃値上げ後さらに事故の攻勢で、これはたまらないという気持ちを持っておるわけですが、新総裁として事故防止に対する取り組み方、心がまえ、これをひとつまず承っておきたいと思います。
  32. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 私、浅学非才の身をもって、前総裁のあとを受けまして国鉄総裁の重責をけがしたわけでございますが、就任後一カ月たたないうちに、先生のおっしゃったように非常に重大な事故をたびたび惹起いたしまして、いかなる理由にしろこれは私の全責任でございます。その意味で国民各位に対しまして私は深くおわびを申し上げる次第であります。  ただ私といたしましては、いろいろな事故のうちで原因のはっきりいたしましたもの、たとえば先ほどお話しの渋谷事故その他ございますが、原因のはっきりしたものにつきましては、これは関係部局におきまして、おのおの具体的な対策をとって一つ一つ絶滅していくことは、これは可能だというふうに存じております。  一番問題になりますいわゆる競合脱線というものにつきましての観念につきまして、私はいささかいままでのうちの部内の考え方考え方を異にいたしております。と申しますことは、私ども競合脱線ということばを使いますと、国鉄はいわゆる競合脱線ということばに隠れて、不可抗力だというふうに逃げ込むのじゃないかというふうな印象を世間に持たれ、またマスコミなどの扱い方などもそういう扱い方になっております。うちの部内にはそういう気持ちはないと思いますが、やはりそういうような風潮がないとはいえないというふうに私は思っております。これは数日も前から部内の技術者の諸君にも、この競合脱線は絶対不可抗力とは思わない、必ずこれは解明できるものだ、したがって、国鉄の面目にかけてもあるいは世界に誇る国鉄技術陣のメンツにかけてもこれは解明してくれということで、各方面にわたって検討してもらっておりますけれども、なかなか一〇〇%の解答は出ないと思います。しかし、かといって一〇〇%の解答が出ないから何もしないのだ、それが出るまで待つということでは絶対いけない。多少拙速であり多少ちぐはぐになってもやむを得ないから各部門部門で考えられること、たとえば線路の面でいけば、線路に護輪の線路をつける、タイヤを守るレールをつけるあるいはタイヤの面では、なるべく脱線しにくい踏面に削り直す、あるいはスピードそのものに問題があることも考えられるので、貨物列車にはとりあえず至急速度の自動記録計をつける、それぞれ各部門部門で考え得るあらゆる方法をやってみろということで、実はさる月曜日に、昨日の事故の起こる前に、とりあえず三十億、これはどこから出してもいい、どの予算を削ってもいいからということで、いまの三つの問題に金をさきまして、もっともその一部はすでにやり始めておりましたけれども、急ぐということで予算をそちらへ緊急に回すということによりまして、いわゆる原因不明と称される、外国ではアンノーンということばを使っておるそうでありますが、アンノーンじゃいけない、必ずキャノーンだということで原因を究明する。原因の究明ができぬ場合でも、各部門ごとにやれることはやるという覚悟でひとつやろうじゃないか、いわゆる不可抗力じゃないんだという信念でやってみろということを強く言っております。また御承知の北海道の狩勝峠の実験線におきましても、いままでは貨車を一両ずつ落としまして脱線の実験をいたしておりましたが、それではやはり競合脱線のほんとうの原因がつかめないということで、間もなく、七月になりまして早々でございますが、技師長を中心といたしました実験団を組織いたしまして、貨車十両編成の実験を実際やってみる、場合によっては機関車をつけてもいいからやってみるということによって、それによって金がかかってもいいというような思い切った実験方法も講じてくれということで、間もなく着手することになっておりますが、私といたしましては、その競合脱線には正面から取り組むという覚悟で、私自身は事務屋でございますが、国鉄全体として、技術も事務も一緒になって競合脱線に正面から取り組むんだ、逃げないんだという覚悟でもってこの問題を解決してまいりたい。もちろん百点の点は取らなくても、九十五点でも九十八点でもいいから、とにかくやってみるという覚悟で私はこの問題に取り組んでまいりたいという覚悟でございます。
  33. 板川正吾

    板川委員 私は、総裁として、大局的に国鉄の最高責任者としてこの相次ぐ事故をどうして防止するかという心がまえを聞いたわけでありますが、ある新聞によると、総裁事故防止について国鉄職員に訴えるとして、いまや地に落ちんとしている国鉄の栄光を職員の良識と努力で回復しようというふうに呼びかけておるという記事を見ました。私その記事を見まして、国鉄の栄光というような、いわば文学青年的センチメンタリズムでは人の心はつかめないんじゃないかという感じがしました。これは私は、事故防止にしろ仕事と取り組むにしろ、働く者への愛情、人間としての誠実さという反面に、仕事へのきびしい取り組み方、こういう態度で、きれいなことばよりも態度で誠実さを示すということのほうが必要ではないだろうかという感じがいたします。  総裁に私が注文したいことは、営業とか経営とかあるいは末端の技術面ですか、そういう面についてはそれぞれの担当者にまかして、総裁として、事故防止に全力投球をしてもらいたい。そうして、国民が安心して国鉄に乗れる、そうして国鉄の国民から持たれた信頼というものをこの際回復する、こういうふうに、事故防止のために総裁がひとつ全力投球をしてもらいたい。業務面とかあるいは経理面とか、そういう面はひとつまかしておやりになったらいかがでしょうと思いますが、総裁のこれに対する考え方はいかがですか。
  34. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 過般の、私の名前で管内全部に出しました、事故の続発に直面して職員諸君に訴えるという談話、これは私自分で書いたものでございます。いまの、先生のおっしゃった表現も確かに使っております。ただ私は就任に際しまして全職員に申しましたことは、いま一番国鉄で欠けておることは人間性の回復なんだ、あるいは人間関係の調和なんだということを私はるる申したわけでございます。そして、あまりにもわれわれ幹部が輸送力の増強あるいは財政の立て直しということに重点を置いたために、部内の人間関係の問題について、私自身副総裁として六年やってまいりました間にも、率直に申しまして重点の置き方が少なかったということを反省して、いやしくも総裁になった以上、私はもっぱらその問題に私自身の重点を置くのだということを、就任にあたりまして部内全般に申しましたので、それを受けましたのでああいうような表現を使ったわけでございまして、私といたしましては、いま先生のおっしゃったとおり、多少私は、実は御承知のとおりな性格で、仕事にこまかいと申しますか、こまかいことに口を出し過ぎる性質がございますけれども、今度は一切そういうことは副総裁以下にまかせます。私といたしましては、大きな立場に立ちまして、まず安全輸送。安全輸送がなければ財政の回復もなければ、せっかく先生方に御協力願いました日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の実施もできないということを身にしみて感じておりますので、まず安全輸送というものを骨格にし土台にした上で、これからの国鉄の大きな歩みを歩んでいくという深い決心をいたしておる次第でございます。その意味で、事務の末端につきましては、副総裁以下関係の幹部に全部まかせて、私としてはもっぱら人間問題並びに安全問題、これは両者一体と私は考えておりますが、それに取り組んでまいりたいという覚悟でございます。
  35. 板川正吾

    板川委員 ぜひひとつそういう高い立場から国民の期待にこたえてもらいたいと思います。  運輸省に伺いますが、御承知のように、国鉄の最近の事故は、原因不明と公認をされている。総裁は、私はそういう気持ちを持たない、こうおっしゃっておりますが、いままでは、競合脱線というのは原因不明なんだ、これはいまの国鉄技術をもってしても原因を究明することができない、先進国である外国でも競合脱線というのは起こっておる、しかもそれがやはり原因不明だといわれておる、だから競合脱線というのはもういまの国際的な技術においても、日本技術においても、原因を究明することができないのだといって、いわば不可抗力的な次元として扱う態度をとっておったのであります。  そこで、私、競合脱線といわれるものの資料をちょうだいして調べてみましたならば、昭和三十三年から四十二年、この十年間に、競合脱線といわれるものが四十四件ありますね。しかし、四十三年には年間に十件あります。四十四件というのは、年平均にして四・四件であります。外国でもあるようでありますから、それはあるいは少ないというかもしれません。とにかく、四・四件でああった。昨年は十件であった。しかし、ことしは、四月から六月二十五日、先ほど報告されました山陽線の厚狭−埴生間における列車脱線事故がありますね。この件まで入れますと、四月−六月間に八件いわゆる競合脱線といわれるものが起こっているのではないでしょうか。この八件といり件数は、年率にしますと三十二件に当たるわけですね、三カ月間で八件でありますから。これはもうたいへんな競合脱線原因不明といわれる事故が続発をしておるのであります。  いま、御承知のように国鉄は、スピード化し、過密ダイヤル化して、しかもそういう事態の中で脱線が起これば、これはたいへんな事故になる可能性を持っておる。先ほどもちょっと言いましたか、あわや大事故、あわや大惨事というのが相次いでおるのですね。運輸省として一体この競合脱線というものを原因不明として、やむを得ないとして考えておるのか。運輸省としては国鉄を監督する立場からして、この競合脱線原因究明といりのに一体どういう指導をとられておりますか、お伺いいたします。
  36. 町田直

    町田政府委員 御指摘のように、いわゆる競合脱線は最近非常にふえてきておりますが、先生も御承知のように、いわゆる鶴見事故、あのときが競合脱線ということでございます。これにつきまして、運輸省も監査委員会を通じて調査をいたしましたし、国鉄も非常に力を入れて調査をいたしましたが、競合脱線であるということはいわれますけれども、その具体的な問題点というものが必ずしも十分に解明されていなかったということが言えるのではないかと思います。最近の事故で、特に私どもが非常に重視いたしましたのは、先ほど御説明いたしましたように、五月十七日、六月八日と二度続けて、東海道線の函南三島間において、ほぼ同じような条件下で同じような脱線が起こったわけでございます。そこで、資料にございますが、六月九日に大臣名によりまして、国鉄総裁に対しまして、競合脱線という問題について、特にこの二つの事故が発生しているということを考える場合には、どうしても原因を究明して、そしてその対策を早急につくる必要があるのではないかということで、通達をいたした次第でございます。したがいまして、ただいま先生がおっしゃいましたように、競合脱線というのは原因がわからないんだというふうに考えておるわけではございませんで、これも先ほど総裁からお話ございましたように、国鉄としてはわざわざ狩勝の実験線におきまして数年かけてこの競合脱線を中心にした実験をいたしております。特にことしは一つ列車をつくりまして、それで実験をするということまでやっておりますので、運輸省としてはぜひともこの原因を究明しなさい、それからそれに対する対策を至急に立てるように、こういう考えを持っておる次第でございます。それから、この通達に対しましては、国鉄総裁のほうから、現在やっておりますことと、それから、その間におきましても、現在の段階ですべきことという報告が参っておりますので、それにつきましても、現在なすべきものについて至急に措置を講ずるようにということを重ねて運輸大臣から国鉄総裁のほうにお話しておる、こういう状態でございます。
  37. 板川正吾

    板川委員 私は国鉄事故原因究明というものにあまり金をかけないでおるという感じがするのですが、北海道の狩勝線における実験というもの、これは世界的に初めてだとかいろいろなことをいわれております。しかし、この実験の資料によりますと、九両か十両引っぱってみて、脱線さしてみるという程度のことであって、現実に実際と同じような状態に列車を組成して、同じような車を使って、同じようなスピードで、現地、現車、現時刻といいますか、同じような状態でやってみるというような、原因究明に徹底的に金をかけるということがいままでどうも欠けておったと思うのです。金をかけないで原因を究明しよう、そうしてわからなければ競合脱線で世界じゅうわからないんだからやむを得ないんだ、こういう態度があるのじゃないか。狩勝線における実験の費用がどのくらいかわかりませんけれども、ある意味では国鉄の財政からいって大した金じゃない。人命尊重ということを考えるなら、もっと金をかけた原因究明の実験があっていいんじゃないか、こういう感じがいたします。  そこで国鉄当局にお伺いいたしますが、先ほど言いましたように、競合脱線といわれるものが昨年は従来の十年間の実績の二倍、ことしは十倍になろうとしておる。この急増している原因は一体何だろう。技術的には別として、たとえばダイヤ改正、過密運転による影響などというものはないのだろうか。技術面もそうでありますが、そういう面がないのだろうか。それからもう一つは、動力車労組と一人乗務問題で長期の紛争が続いております。国鉄財政再建として各種の合理化というのを強行される方針が決定されておるようであります。それで、組合との話し合いというよりも、対決の姿勢というのが今日国鉄当局の態度ではないだろうか、そういうとげとげしい労使関係というものが何らかの形で——別に意識して事故を起こしているという意味じゃございません。何らかの影響で、競合脱線の競合の一つに入るかどうか知りませんが、事故が激増しておる中にそういう労使関係のとげとげしさ、あるいは過密ダイヤ、こういうものが原因にあるのじゃないかという感じがするのですが、この点に対して総裁の見解はいかがでしょう。
  38. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 ただいまの御質問、二点あると存じますが、まず第一に過密ダイヤ、いわゆる非常に稠密なダイヤと脱線関係でございます。この点につきましては、ダイヤと脱線の間にもう一つスピードという問題が入ると思います。もしいまのダイヤが非常に過密であるとすれば、これは無理をしてスピードを上げている、スピードを上げるからダイヤがよけい入るということになると思いますが、実際に過去の例を調べてみましても、これは機関士の供述による部分が相当多いのでございますけれども、大体平均速度が五十五キロ、昨日の朝は六十七キロでございます。いずれも昨年の秋の制限速度以下の速度で走って脱線地帯を通過しているということになっております。ただ、これには一つ前提がございまして、機関士の供述が一つの要素になっております。あとはいろいろ計算いたしておりますけれども、それがほんとうに正確かどうかということについて若干疑問がございます。それは、やはりいますでに全トラックについておりますような速度の自動記録計がついてない限り、これは不可能だと思います。機関士もあらゆる地点を通過する速度を全部記憶しているということは、これはあり得ないことでございますので、私どもといたしましては、まずいま先生のおっしゃったダイヤと事故の間に関係があるとすれば、これは速度ということにかんがみまして、とりあえず全貨物列車の機関車、約二千九百両ございますが、これに年度内に全部速度の自動記録計をつける、そういたしますと、どこでブレーキを使って、その脱線地点で何キロの速度が出たということがほとんど正確にわかるようになります。いまは先ほど申しましたとおり、大体機関士の記憶によって、それを逆算するという形になっております。その点が実はあいまいな点でございます。したがいまして、これは自動記録計をつけることによって、いまおっしゃったダイヤと事故関係はおのずから明白になってくる。いま五十五キロだと思っておりますけれども、実際は七十キロだったということがあるかもしれない。それは推定ではだめなので、結局科学的にその脱線地点を通過した速度がわからなければだめだと思いますので、それをまず第一にやるということで、約五億ぐらいでできますが、年度内にぜひとりあえず貨物列車だけつける。現在特急の電車と特急の気動車には全部つけてございます。もちろん新幹線には全部ついております。そういう方法によりまして科学的にスピードをトレースして、それによってもう一ぺんダイヤと事故関係を解明するということが必要だと思います。  それから第二の点は、労使関係の問題とこの問題の関連でございます。これにつきましては、もちろん先生のような御疑問をお投げくださるのは当然だと思いますが、私自身から考えますと、私自身も終戦後ほとんどずっと労働問題をやっておりましたが、ずいぶん労使間の空気がときによって変わっております。いまよりもっと先鋭な空気かあったこともございますし、また非常に調和と申しますか、穏やかな時代もございました。しかし、それと事故あるいは仕事の関係というものは、あまり過去の経験はございませんでしたけれども、しかし絶無とは言えないと私は存じます。ことに競合脱線原因になっております線路、車回、速度等の面から見まして、線路の保守などにつきましてはあるいはそういうことが考え得るかもしれない。その労使関係の影響を受けて、多少うまく保守できていないということがあり得るかもしれませんが、しかし速度とか車両につきましては、それはほとんどないのじゃないかというふうなことも考えられます。しかしいずれにいたしましても、そういう問題はやはり線路なら線路で労使関係以前に線路自身を強化する。軌道強化と申しますか、まくら木の丁数をふやすとか、あるいはバラストを厚くする、あるいはレールを重くするとか、こういう物理的、科学的な方法によって軌道を強化するということのほうが優先すべきである。必ずしも労働問題でもって線路が弱くなっているとかスピードが出し過ぎているということはまず絶無とは申しませんが、大体要素としては考えないでいい要素ではないかと思っております。しかし、やはり管理者の通達が十分徹底しないという問題あるいは管理者の業務命令さえ必ずしも一〇〇%聞かれないというふうな事態がストライキ等の間にはございますので、そういった問題が平常の場合にも出てきていはしないかということなどにつきましては、十分やはり考えなければいけない問題であるというふうに考えまして、皆無とは申し上げませんが、直接の関係はないというふうに私は申し上げていいと思います。
  39. 板川正吾

    板川委員 まあとにかく競合脱線といわれるものが相次いでいる。しかも従来、数年前までは年間五件に満たないものがことしは四十件をこえるかもしれぬという、いまの情勢でいけば多いのである。これは一体どこに原因があるかというのは、競合脱線がたとえば従来どおり原因が究明されないであるというのは、それはそれとしまして、激増しておる原因というのはどこにあるのだろうか。われわれもこれはわからないのです。いま言ったタコメーターをつけたというだけでも、これは私はわからぬと思う。どこかに激増しておる原因があるのではないだろうかというふうに考えて暗中模索すると、そうした労使関係のこともあり得るのじゃないかという感じがするわけであります。しかし、これはわれわれも確たる確信があって言うわけではないのでありまして、見解を伺ったわけであります。  時間がありませんから、最後に一つ。さっき総裁も触れられたのでありますが、事故が起きますと関係者はなるべく不利なことは言うまいという感じを持つのですね。これはわれわれの体験からいっても、事故が起こったらよけいなことは言うな、あとでよく考えてから——不利なことは言わずに都合のいいことだけ言わなくちゃならないという気持ちになって、これは不利な証言をする必要はないという問題と関連してやむを得ないと思うのですが、しかし実態を把握して、事故原因を究明して、解析して、それによって具体的な事故防止対策を立てるという意味で、事故原因をあくまでも追及するのが必要だと思います。まあできれば、これは私個人の私見ですが、総裁直属のもとに、重大な事故についてはその原因を徹底的に究明する。アメリカのFBIじゃないけれども、その連邦政府の特別な機関がその問題に徹底的に取り組む、そして原因を究明して対策を立てる、こういうようなことがあっていいのじゃないだろうか。そのためにあるいは事故原因究明のために金の支出を惜しまないという態度でやってもらいたいと思いますね。新聞によりますと、この間の三島事故ですね、相次いで同じ地点で同じような地形で競合脱線といわれるものが起こったために、現車組成をしていく、同じような列車を組成して同じような時間に同じような荷物を積んだもので実験しよう、こういうことを国鉄でやられるわけでありますが、実際そういうことでもやって原因を究明しないと、北海道で九両か十両引っぱってころがしたというだけでは、私は真剣な競合脱線原因究明の対策とは言えないのじゃないかと思います。この現車実験というのが終わったようでありますが、その結果は判明いたしましたか。
  40. 一條幸夫

    一條説明員 現車実験をいたしまして線路車両につきまして詳細なデータをとりまして現在検討中でございます。また技師長室、技術研究所が中心になりまして検討中でございまして、最終的な結論はまだ出ておりません。
  41. 板川正吾

    板川委員 ぜひひとつ不可抗力だとかやむを得ないとか——とにかく結果があるのですから原因を究明して対策を立ててもらいたい。国民の信用を回復してもらいたいということを要望いたしまして、時間となりましたので私の質問を終わります。
  42. 内海清

    内海委員長 松本忠助君。
  43. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 磯崎総裁にお尋ねいたすわけでございますが、国鉄脱線事故が相次いでおりますことにつきましては、新聞あるいはテレビで十分承知もいたしておりますし、また運輸省からも事故の概要につきまして報告の提出がございましたのでわかっておりますが、磯崎裁総も就任早々まことにお気の毒である、こういう事故の頻発について心を痛めておられることは、私どももほんとうに総裁もお気の毒と思います。しかしこの事件を契機とし、因といたしまして、古いことばにございます毒を変じて薬となすというように、どうか国鉄の威信回復のためにせっかくの努力をされるように心から望んでおく次第でございます。  そこでわが党も、去る六月二十四日の午後、代表二名が総裁にお会いいたしまして党の考え方を申し入れ書をもってお渡しいたしました。二十二日の渋谷事故におきますタンク車脱線事故、またその前の東海道線における貨車脱線等非常に脱線事故が相次いでおりますし、今月に入ってす不に六回にも及んでいる。国民は国鉄に対して不信と不安の念を一そう深めてきているわけでございます。そこでまたこの事故によりまして貨車輸送あるいは旅客の輸送等に大きな支障を来たしておるわけでございます。わが党は国鉄に対して、この国民の不安を一掃し、安全輸送をはかるために次の対策を緊急かつ確実に実施されるように申し入れたわけですが、その一点といたしましては、相次ぐ事故についてその根本原因を徹底的に追及し、その原因を早急に究明すること。二番目に、国鉄が経営合理化のみに終始しているその姿勢にこそ事故発生の原因があると思われるので、国鉄はその姿勢を改め、安全第一主義に徹すべきである。その三点は、この際国鉄は、国鉄貨車、客車等の構造あるいは線路の構造等について総点検を行ない、改善すべき点は至急に改善し、輸送の安全に万全を期すべきである。このようなわれわれの考え総裁に申し入れしたわけであります。ところが、この申し入れを終わりまして帰りましたその日に、六月二十四日十九時五十三分には山陽本線防府富海間におきまして特急寝台車が火災事故を起こしております。さらに、そのあと七時間後の二十五日午前三時三十七分には山陽本線の厚狭−埴生駅間におきまして貨物列車脱線事故を起こしております。それからまたさらに、これらの脱線火災等の事故とは内容、性質が異なりますが、大森駅におきますところの朝寝坊の事件等がございまして、全くこのところ国鉄さんのやり方、国鉄さんの事故はお話にならない、こう思うわけでございます。これらの点につきまして、総裁は、わが党の申し入れ書に対して、またこれらの一連の事故に対して、どのように対処されるお考えか、まず第一点。それから次に、われわれは特に重視したい点は、人命にかかわる事故でございます。もちろん人命にかかわる事故が出ることはだれもかれも望んでおりませんし、出ないように祈っていることでございますけれども、どうもこのように事故が続出いたしますと、人命にかかわるような大事故が出るのではなかろうか、このような危惧の念がございます。かつては鶴見事故また三河島の事故、このように重大な人身事故もございました。その記憶はまだ世間でも薄れておりません。そこで、人命に関する事故を未然に防止するために、総裁はどのように対処されるか、これが第二点でございます。  以上二点について、総裁の率直なお考えを伺っておきたい。
  44. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 先般、御丁重に党としての事故問題に対する御意見を拝聴いたしました。私どもといたしましてはすぐそれを部内に披瀝いたしまして、おのおの具体的な対策をとるべく準備いたすことにした次第でございます。その晩にああいう事故が起こりまして、私としてはまことに申しわけない次第でございます。何と申しましても、いかなる原因によりましても、これは私の責任でございます。その意味で、私といたしましては、私に課せられ先天の試練というふうに考えまして、まっ正面にこの事故問題に取り組んでまいりたい。決して逃げない、ぶつかっていくというつもりでおります。それにはもちろん私のほうの技術者あるいはその他全部の協力が必要でございますけれども、あらゆる国鉄の力を総動員いたしまして、いままで原因不明等で片づけられがちであった問題を徹底的に究明していく。先般の申し入れの第一項の原因の究明につきましては、私といたしましては容赦余すところなく、徹底的にやっていくというつもりでおりますし、またいろいろ先ほど板川先生からも御質問がございましたけれども、科学的な方法によりまして、徹底的に究明していくというつもりでございます。したがいまして、最近の事故続発に対する私の心境といたしましては、もちろん国民に対するおわびは当然でございますが、それとともに、私自身に対する一つの大きな試練であるというふうに考えまして、そしてこれとまっ正面にぶつかっていくというのが私の心境でございます。  ただ、あまり部内の職員を萎縮させてしまいましても、これまたいけないのでございますので、実は昨晩のラジオ、テレビ等では、私は逆にあれで部内の職員に呼びかけるつもりで、元気出してやらなくちゃいかぬという激励の意味を含めまして、多少強いようなものの言い方もいたしましたけれども、こういう際にあまりにも部内が萎縮いたしますと、いつ事故が起こるかわからぬというふうな不安な気持ちでおりますと、それがまた原因になって事故が起こる。部内に対しましては、とにかくひとつ前進するんだ、あまりうしろ向きじゃなくてよろしいというふうな激励をいたしまして、実は昨日も全管理局長あてに通達いたしました。来月早々全国の管理局長を集めまして、そういう前向きの明るい気持ちでもってやらないと、事故が防げないというふうな指導のしかたもいたしてまいりたいというふうに考えます。これが第一でございます。  人命事故につきましては、私、実は三河島も鶴見もあるいはその前の桜木町も全部私自身で経験いたしておりまして、いかに人命事故が国民的に大問題であるかということは、痛切にはだ身で感じておるのでございます。したがいまして私といたしましては、もちろん人命事故は絶対に起こさないという深い決心を持っております。ただ、人命は大事だが貨物はどうでもいいということは、これも許されませんし、また旅客、貨物ともに絶対事故を起こさぬという精神でいくのが結局人命事故を救う道だと私は考えます。したがいまして、特に人命だけを尊重しろというふうなことを言いますと、逆にそれが人命事故に戻ってくるということがございますので、部内に対しましては、私は、旅客、貨物ともに同じように大事なんだということを申しております。ただ具体的な方策につきましては、たとえば脱線防止などにつきましても、まず複線区間で併発事故が起きない、貨物列車が万が一脱線しても、それが旅客列車に支障しない、いわゆる鶴見事故のような併発事故を起こさないということに——最近幸いに部内の職員も、過般の函南三島におきましても、特急「富士」の乗務員が非常に手配がよく、また過般の山口県の事故におきましても車掌の手配が非常によかった。事故を未然に防いだということは、私としては救われたという気持ちがいたしますけれども、複線区間が実はそういう意味で一番あぶないわけでございまして、複線区間に重点を置いて護輪レールいわゆる脱線防止レールをつける。あるいはさっき申しました貨物列車のタコメーターも、まず複線区間を走っている貨物列車からつける。複線区間にまず重点を置きますのは、そういう併発事故によって旅客の支障の起こることを絶対防ぐというつもりで実はやっております。したがいまして、単線区間に対する対策は多少おくれている。これはやむを得ないということで、多少の政策としてのニュアンスはつげておりますけれども、部内にはあくまでも旅客、貨物は一本だという指導のいたし方をいたしておりますが、実際のやり方といたしましては、極力人命に支障のないような事故防止のやり方をしてまいるつもりでおります。
  45. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いまの総裁の答弁を私も了承いたします。貨客ともに事故を未然に防止するという方策に対しては、どのようなたくさんのお金を費やしても惜しくはないと思います。事故が起きてしまって、その事故処理のためにお金を費やすんだったら、むしろ事故防止のために多額のお金を費やしても、決してとうとい人命にはかえられないと思いますので、どうか万全の処置をとっていただいて、できるところの問題からどんどん総裁の方針を下部まで徹底させて、そして事故防止に真剣に取り組んでいただきたい。この続発する事故におびえてしまって萎縮してしまうようなことであってはならぬと思います。磯崎総裁が新たなる覚悟をもって国鉄再建の十カ年計画に取り組んでいく当初にこのような事故が起きたことは、むしろ一つの試練と考えて、毒を変じて薬となす古諺にもあるとおり、りっぱに事故防止についてやっていただきたいことを重ねてお願いしておきます。  次に鉄監局長にお尋ねするわけでございますが、東海道の函南三島間の事故が二回ばかり引き続いて起きました。このような事故に運輸省でもびっくりしたわけでしょう。六月の九日に鉄監局長から国鉄総裁あてに通達が出されております。これも承知をしておりますが、これらのあと引き続いて事故が続発しているわけです。六月十六日の根室本線、十九日の東海道保土ケ谷−戸塚間の事故、また二十二日の渋谷駅のタンク車事故、そこで大臣も二十五日には総裁を運輸省に呼ばれて、厳重な注意を与えたようでありますけれども、運輸省は、局長通達や大臣の直接の注意等で事足れりと思っているのかどうか、他に対応策を考えていないのか、この点について局長から伺っておきたいと思います。
  46. 町田直

    町田政府委員 御承知のように、鉄道関係事故の場合には、運輸省としてなすべきことがいろいろございます。国鉄に関しましては、先ほどからも御説明がございましたように、国鉄自体の中に技術研究所等もございますし、それから相当な高度の技術陣を持った政策委員会というのがございます。そういうところで大体いままでの事故に対する対策、原因究明等はやっておりますので、特に私どものほうから直接に、たとえば先ほどちょっと申しましたが、鶴見事故の際には監査委員会というのがございました。これを通じまして、大臣から監査委員会に事故原因の究明の命令をしたわけでございますけれども、そういうことをすべきかどうかということも検討いたしておりましたが、現在の段階で、いま国鉄がやっておられます、先ほどから御説明ございました事故究明の方法あるいは事故対策というものにつきまして、この通牒に対しましても一応の報告をいただいておりますので、その点を昨日も大臣が特に総裁に対しまして、対策については早急に進めるようにということを指示をいたしたということでございます。現在の段階では、運輸省といたしましては、国鉄の行なっております事故原因の究明に対してできるだけ有効な指導をいたしていきたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  47. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大臣が総裁に対してのお話の中で特に国鉄職員の士気の問題、精神が弛緩しているのじゃないか、ことばは少し違うかもしれませんが、そういう意味のことについて大臣がきびしく総裁に注意を与えているようでございますけれども、この点についてどのようにお考えなのか。言うならば、一時南海電鉄で事故が非常に続出いたしました。ところが、最近は国鉄に比較しまして私鉄の事故はちょっと減っているようでございます。一応喜ばしいことでございますが、国鉄の職員と私鉄の従業員との間に安全輸送に対する考え方に相違があるとは私も思えない。であるけれども、大臣は特に総裁に対して国鉄職員の精神の弛緩の面を取り上げられているわけです。施設の面から考えましても、国鉄施設のほうが私鉄の施設よりも完備していると思うし、またお金も相当に国鉄は投入しているわけです。それなのに、なぜ国鉄事故が相次ぐのか、その点について精神的な弛緩という面を大臣は特に取り上げられたようでありますけれども、この点について何か確証があって大臣はそのように言われているのかどうか、これらの点について鉄監局長からお答え願います。
  48. 町田直

    町田政府委員 職員と申しますか、心がまえの問題につきましては、実は先生も御承知のように、昨年私鉄、国鉄を通じまして、俗に申しますうっかり事故と申しますか、居眠りをしてしまったとか、あるいは非常に極端な例では、酒を飲んで運転をしたとか、そういうことも続きまして、そういうことも含めまして、これも御報告いだしたと思いますけれども、運輸省に事故対策委員会というのを設けまして、民間の有識者の方々並びに国鉄、私鉄の方々にお集まりいただきまして事故対策委員会の答申をいただいたわけでございます。それは必ずしもいわゆる精神的な問題だけではございませんで、非常に総合的に、施設の問題あるいは労務管理の問題というものを全部ひっくるめました一つの答申をいただきまして、これをもとにして運輸省もいろいろ施策をいたしている。それから国鉄、私鉄に対しましてもこの意見書を通知いたしまして、十分これを含んで仕事をしていくようにという措置をいたしておる次第でございます。今回特に大臣が重ねて国鉄総裁に申しましたのは、先ほども先生から御指摘ありましたように、大森駅等で居眠りのために始発に間に合わなかったというようなことが重ねて起こったこと等もございまして、特にこれらが確証であるということではございませんけれども、そういうような徴候も見られるのではないかということで重ねて注意する、こういう趣旨で申し上げたというふうに私は理解しております。
  49. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 時間もございませんので、最後に鉄監局長並びに総裁にも聞いておいていただきたいことは、何としても国民は、事故がこのように続発することに対しては、国鉄に対しても不信の念を抱き、運賃は上がった、しかも事故が続発する、けが人が出たらたいへんなことになる、こういうふうに国民は危惧の念を抱いております。  そこで、監督の立場にある運輸省としても、また局長としても、国鉄と大いに協力をし合って話し合いをし、十分事故を未然に防止する点について特段の骨折りをし、そして国民の皆さま方の危惧の念を一刻も早く払拭するように、どうか最善の努力を払っていただきたいことを心から要望しておきます。
  50. 町田直

    町田政府委員 御指摘のとおりでございまして、そもそも鉄道に限らず、交通機関の一番根本は、安全ということでございます。特に国鉄につきましては、いま非常に財政再建の重大な時期でございますが、安全というものを無視して、財政再建ももちろんございませんし、国鉄の使命というものも果たせないわけでございますので、御指摘のように私どもは全力をあげまして事故の防止ということに努力いたしたいというふうに考えております。
  51. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 冒頭に先生から御激励のことばを賜わり、まことに私は感激いたしておりますけれども、やはり私といたしましては、私に課せられた任務、安全輸送ということを第一に心がけまして、今後極力こういった種類の事故のないように、また先ほど御質問の、いわゆる職員の士気の弛緩と申しますか、これらにつきましても、時間もございませんので詳しく申し上げませんが、私なりにいろいろ考えていることもございますので、それを少しずつでも実行してまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
  52. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 以上で、質問を終わります。
  53. 内海清

  54. 岡沢完治

    岡沢委員 私はきょうは、交通事故を中心とした応急措置、救急措置につきまして、お尋ねをいたしたいと思います。  冒頭、質問の機会を与えていただきましたことを、委員長理事並びに委員の先生方にお礼を申し上げます。  交通事故は、御承知のとおり、激増の一途をたどっておりますし、ことしも一般の予想では、死傷者が百万人をこえる、死者も二万人をこえるのではないかという悲しい、史上最悪の事態が予想されているわけであります。事故の形態につきましても、従来の車対人の、いわゆる凶器型から、高速道路の開通等によりまして、車対車、あるいは車対物の棺おけ型の事故の急増等が予想されるわけであります。一九六五年のWHOの交通事故に関する報告によりますと、負傷者が病院で治療を受けるまでに、もし適切な応急措置がとられた場合、死者の二〇%は命を取りとめられたであろうということがうたわれております。もしそういたしますと、日本の交通事故、特に死者の場合、本年度二万人がかりに予想されるといたしますと、その二〇%、四千人ぐらいは最初の応急措置の適切な手段によって命が救われるということが考えられるわけでございますし、また死ぬに至らない事故につきましても、治療期間が短縮され、あるいは応急措置に対する知識によりまして、むしろ事故を防ぐこともできるということが考えられるわけであります。そういう意味から、外国の例等も参照いたしまして、日本の応急措置、緊急措置について、特にその最初の治療について、初療訓練の教育等について、きょうは中心に尋ねてみたいと思うわけであります。  厚生省、お見えでございますか。——それでは、最初に厚生省に、日本の救急医療体制あるいは体系と申しますか、あるいは救急医療行政と申しますか、その大要をお尋ねいたします。
  55. 上村一

    ○上村説明員 お答え申し上げます。  救急医療の体制として私ども考えておりますのは、救急隊によって搬送された患者を、いまお話がございましたようにできるだけすみやかに治療するような体制を整備することというふうに考えておるわけでございます。  そこで初療を受け持つのが消防法によります厚生省令によりまして告示されました救急病院、救急診療所でございますので、その網の目をできるだけこまかく増していきたい。ちなみに制度ができました三十九年当時は千百カ所ばかりございました救急病院、診療所がことしの四月では約四千百四十ばかりにふえておるわけでございます。そういった病院、診療所で初療をする。それから頭の外傷等相当重い症状の患者については高度の治療ができるように、四十二年からでございますけれども、大体人口百万に一カ所くらいの割合に見当をつけまして、救急医療センターというものを国立なり公的な医療機関に整備中でございます。  施設整備関係ではこういうことになるわけでございますが、同時にスタッフの訓練ということが必要であると考えますので、告示病院、診療所のお医者さん方につきましては三十九年来各県に委託しまして研修をしてまいってきております。それから脳神経外科の医師につきましては、これは時期がおくれましたが、昨年度から学会に委託をして研修をするようにしてまいってきております。  おおむねいま申し上げたようなのが厚生省で考えている救急医療体制でございます。
  56. 岡沢完治

    岡沢委員 もう少し具体的に私のほうからお尋ねしたいのですが、たとえばアメリカ等で一般に普及されております救急医療用のテキストブックというもの、これは厚生省でなくても日赤その他で用意されているのかどうか、消防庁がお見えでございますから、消防庁のほうがもしそういう用意があればそういう実態、あるいは救急医療の映画等について計画をされたりあるいは実施をされておるのか、その辺の具体的な事実関係をまずお聞きいたしたいと思います。
  57. 上村一

    ○上村説明員 救急隊員の訓練の事柄は消防庁のお仕事になるわけでございますが、医師を対象にしました指針的なものは厚生省では用意いたしておりません。むしろ講習会の中で、たとえば内科の先生でも気管の切開をする必要が出てまいる場合もあるものでございますから、そういった実技を個別的に教えるというふうなやり方で指導してまいってきております。映画、パンフレット等はつくっておりません。
  58. 中沖豊

    ○中沖説明員 消防庁といたしましては、救急隊員の教養資料といたしまして、昭和四十二年に「救急処置」というテキストブックをつくりまして、これを地方に配付いたしております。  なお、消防大学校に昭和四十三年に救急科を設置いたしまして、地方の救急隊員の指導者の養成を行ないました。また各県の消防学校におきましては、救急課程の充実強化に努力をいたしておる次第でございます。
  59. 岡沢完治

    岡沢委員 消防庁に重ねてお尋ねいたしますけれども、テキストブックは救急隊員用としてはありますね。一昨年でしたか、救急映画の企画をなさって、予算措置ができなくて中止されたというような事実はございませんか。
  60. 中沖豊

    ○中沖説明員 先ほど申し上げました「救急処置」と申しますのは、このテキストブックは救急隊員に対する指導的な、教科書的なものでございます。  それから救急処置に関します映画につきましては予算化されておりません。
  61. 岡沢完治

    岡沢委員 文部省お見えでございますね。文部省のほうでたとえば中学校あるいは小学校の生徒あるいは高等学校の生徒に救急教育について何か実施をされたり、あるいはそれについての教材等の用意がありますか。
  62. 西村勝巳

    ○西村説明員 学校保健課長が担当でございますが、出張しておりますので、私、体育課長がかわってお答え申し上げます。  小学校、中学校の教育内容の中で、小学校においては体育の時間、それから中学校においては保健体育の保健の時間、そこで救急処置を指導するということになっております。小学校においては簡易な程度でございますが、目標といたしましては交通事故、遊びや運動の事故その他日常生活における事故原因と予防のしかたについて知り、安全についての規則を理解し、必要に応じて安全についてのきめをつくるというような目標を掲げまして、すり傷切り傷の手当や簡単な止血法、包帯の簡単なしかた及びやけどの簡単な手当について理解するとともに、それに必要な技能を養うというようなことを体育の時間の中で実施しております。  さらに中学校に参りますと、それをやや程度を高めまして、中学校に参りますと教科書がございます。小学校ではございません。中学の教科書のほうでは切り傷それから挫傷、それから凍傷、やけど、骨や関節の損傷などについての症状それから処置及び防止について理解するというような知識を深めまして、さらに実際の訓練といたしまして救急処置を指導することになっております。救急処置の方法それから救急用品とその利用法について理解し、包帯法、止血法=人工呼吸法及び運搬法ができるようにというようなことになっております。  高等学校もほぼこれと同じような形で教科書ができております。
  63. 岡沢完治

    岡沢委員 文部省のほうに重ねて……。  一応の教育をなさっているようでございますけれども、適切な統一された救急用のテキストブックあるいは救急映画等の用意はあるのでありますか。
  64. 西村勝巳

    ○西村説明員 中、高でございますと教科書の中にこのことが取り扱われております。それからスライド等につきましては、文部省として制作したものではございませんが、補助教材として使われるものは一般民間で使われるものを学校として採用して使われているということでございます。
  65. 岡沢完治

    岡沢委員 久保交通局長がお見えでございますが、警察官に対しての救急措置あるいは救急医療についての教育等はどのようなことになっておりますか。
  66. 久保卓也

    久保政府委員 警察ではだいぶ以前から救急法の教育については相当熱心にやっているつもりでありまして、一級から三級まで段階を分けております。そうしていつごろからか私存じませんが、相当以前から少なくとも学校の初任科を出るときには救急法の三級をとらせるようにしてやらしております。警務局で所管いたしておりますので、内容そのものはちょっと私存じません。
  67. 岡沢完治

    岡沢委員 警察庁のほうに、いま文部省あるいは消防庁に聞きましたが、救急医療のための視聴覚教育として映画とかあるいはその他のテキストブック等は警察では用意なさっておられますか。
  68. 久保卓也

    久保政府委員 映画はございませんが、テキストブックはあると思います。
  69. 岡沢完治

    岡沢委員 ここで私はアメリカの例を申し上げたいと思うのでございますけれども、アメリカでは小学校の五年生からジュニアコース、一般市民にはスタンダードコース、救急隊員、警察官、ボデーガード、工場の医務室勤務者、学校の先生などにはより高度な救急医療教育をやっているようでございます。その内容も気道の確保あるいは人工呼吸、出血、打ち身、骨折の措置など非常に多岐にわたっておりまして、その効果は交通事故だけではなしに、労働災害、学校、家庭内での事故、水難事故あるいはまた山の遭難事故等にも活用され非常に効果をあげているということでございます。いまわが国の場合それぞれお聞きいたしました。もちろん一応の教育指導等はなされておられるようでございますけれども、実際には、これは私個人も含めまして、この救急医療について、特に初療訓練については、日本の場合非常に立ちおくれておるのではないか。日本の現状が、これはここでちょうちょうする必要はございませんけれども、戦後の異常な経済の発展、特に車の増加、その反面悲しい交通事故の激増、あるいは公害問題、いわゆる素朴なあるいは原始的な時代には全く考えられなかった文明病的な悲劇と申しますか、被害と申しますか、激増しておりますし、その対策として、いわゆる車時代にふさわしい日本のこういう面でのおくれというものが残念ながら指摘されるのではないか。最近世上をにぎわしております欠陥車の問題もその一つでございましょう、あるいは道路の立ちおくれ等もその一つであるかもしれませんが、特にこれだけの交通難、あるいは車の増加とあわせまして、緊急医療、特に救急措置教育というものは、いままで忘れられておった部門であり、しかもきわめて必要な部門ではないかというように感ずるわけであります。アメリカで行なわれておりますいわゆる救急隊員、警察官、ボデーガードというものは、日本の場合ですと消防隊員とか警察官とか、学校の先生、自衛隊員等に相当するわけでございますけれども、さらには、いわゆる運転者が二千七百万人に達するという現状を見ました場合、あるいはまた車の数が世界で二位、三位を誇るという現状になりました場合に、一般市民も、この救急措置について一応の教育、知識を身につけるということがきわめて必要な時期にきているのではないかと感ずるわけであります。時間の関係もありますので、詳しいことをここで申し述べる必要もないかと思いますけれども、この際ぜひやってほしい問題として、救急医療のテキストブックの権威のある、しかもわかりやすい一般市民向けのものを、これは国定教科書の弊害というようなものは、こういう面では出てくるはずもございませんし、これはぜひつくってもらうということが必要ではないか。これはアメリカでやっておりますように小学校、中学校の必須課程としても教育の中に入れていただく、文部省でも考えていただく、また一般市民に対する教育としてもぜひ取り上げる、ことに自動車運転者が年間約三百万人新しく増加していくわけでございますけれども、この新しい免許証取得者には救急措置教育を受けることを必須的にするということか、事故防止にも、あるいはまた先ほど申しました死者を減らす面でも、あるいは治療の上で傷を小さくする面でもきわめて大切ではないか。そうういう意味から、大きな予算措置も要らないで、しかもきわめて効果的な効力を発揮できると思います救急医療対策を中心にした教材用の映画といものがこの際早急に考えられてしかるべきではないか。先ほど消防庁にお尋ねをいたしましたが、私の知っております範囲では、一昨年、消防庁で救急隊員用の教材映画、題名は、仮題でありますか、「応急措置」というのを制作する企画をなさったのが、予算の関係で延び延びになって現在に至っておるということであります。看護婦さん、准看護婦さんの教育、あるいは交通警察官やドライバーの啓蒙指導用の教材として、あるいは先ほど申しました一般の市民に対する教育としても、こういう映画は一本つくれば、著作権の問題があるにいたしましても、きわめて多方面に活用できるわけでございますから、ぜひ考えるべき段階ではないか。民間でも交通評論家の玉井義臣さんを中心にしてこういう企画があるようでございますけれども、またその企画が、やはり財政上の問題でなかなか実現がおくれているようでありますが、こういう問題は、私は、国家的な立場から国がこの交通安全対策に取り組むという政治上の責任からいたしましても、あるいはまた、できます映画の中身等からいたしましても、やはり権威がある、あるいは責任の持てる、また、どの面から見ても価値のある、あるいは批判に耐えられ、しかも実際に役立つような、そしてむずかしい技術じゃなしに、あるいは専門的な技術じゃなしに、視聴覚に訴えて、一般の市民にも、あるいは特別の職業の方々にはそれにふさわしいさらに高度なものをつくることによって、国民全体がこの交通時代にふさわしい応急処置の知識を持つということが、ほかにいろいろ交通事故防止に対する対策はもちろん考えられますけれども、私は、一つの消極面での取り組み方としてきわめて効果的ではないかと思うわけでございます。先ほど申しましたように、こういう映画あるいはテキストブックが普及することによって、国民全体が救急措置、特に初療措置についての知識を持つことによって、死者がかりに年間四千人も減らされる、あるいは百万人に達する負傷者の傷が、重傷にいくのが軽傷で済むというようなことができた場合、あるいはそういう知識があることによって事故を未然に防げた場合、きわめて大きな意義がある、また、政治的に果たすべき部門でもあるんじゃないかというふうに感ずるわけでございますが、これについて、宮崎陸上交通安全調査室長もお見えのようでありますので、総括される総理府の立場から、あるいは先ほどお尋ねいたしました警察庁あるいは厚生省、消防庁、文部省それぞれの立場から見解を聞かしていただき、何とかそれを実現するについて、特に時間的な問題がありますので、どこで企画されるのが適当かということを、締めくくり的に宮崎さんからでもお答えいただきたいと思います。
  70. 宮崎清文

    ○宮崎(清)政府委員 応急措置と申しますか、応急手当に関します知識を広く普及する必要があることは御指摘のとおりでございます。現在、先ほどから答弁がございましたように、関係省庁といたしましてもそれぞれの分野で努力いたしておるわけでございますが、救急につきましては交通安全一般と違いまして、広く国民一般を対象としたテキストブックあるいは映画等は残念ながらまだできていないのが実情でございます。したがいまして、御指摘の点はたいへんごもっともと存じますので、今後関係省庁とよく連絡をとりまして、前向きの姿勢で検討いたしたいと思います。  ただ、交通事故に関します限りは、御承知と思いますが、交通事故で負傷しました人で、重傷なものは主として頭部損傷でございます。頭部損傷が非常に多いわけでございます。その頭部損傷につきましては、これを早く専門のお医者さんのところに運び込むということが一番大事なわけでございまして、しろうとがあまりこれをいじくりますと、かえって悪いというようなことも聞いております。そこら辺のかね合いで、どの程度の応急手当に関する知識を普及するかというような技術的な問題もいろいろあろうかと存じますので、これらの点もあわせて検討いたしたいというふうに考えます。
  71. 岡沢完治

    岡沢委員 順番に聞きますが、その前に宮崎さんのお答えについて、ちょっと私から発言させていただきます。  いまの室長さんのあげ足をとるわけではございませんが、応急措置というのはむしろ病院に行くまでの、あるいはお医者さんの診察を受けるまでにどういう処置をするかということがむしろ大切なんで、いまおしっしゃったように、場合によってはしろうとが変にさわりますと、逆に助かるものが助からないという場合があります。しかし、確かに頭の傷が多いわけですが、たとえば首の位置をまっすぐにするというだけで気道が通じて助かる、これが逆にまくらでもして、わざわざ空気が頭に行くことを妨げてしまうといったように、ちょっとした知識が命を助けるか殺すかの境目になっていく、そういう初療操作を、映画を通じて一般的に知識として国民が持っておると持ってないとはえらい違いです。そういう点、まず映画の必要性、特に新しい武器として幸い日本の場合はテレビの普及等につきましても世界的な水準にあるわけでございますから、視聴覚教育には大いにこれを活用すべきではないかと思います。最初にお話ししましたように、各省庁からも私の見解について御意見とか、むしろ御指導がありましたら教えていただきたいと思います。
  72. 久保卓也

    久保政府委員 警察が従来やっておりました救急法は、お話の全般的な救急でありまして、特に交通事故に焦点を当てますと、先ほど御指摘もありましたように、詳しいことはともかくとして、負傷者をどういうふうに運んでいくか、その場合の配慮のしかたが非常に重要でありますので、私どもといたしましては警察官に対するそういった事故者の扱いを教えるということと同時に、御指摘のありました全般の人たちに対しましては、幸い安全協会もありますので、安全協会のほうと相談いたしまして、ドライバー一般に対する救急知識の教養ということについて相談してみたいと思います。  以上です。
  73. 西村勝巳

    ○西村説明員 救急措置につきましては小中高、特に中学校につきまして教科書の中で基本的な問題については触れているわけでございます。しかし、さらにこれを徹底するという意味で、今回教育内容も全面的に改めるという機会がございますので、「交通安全指導の手びき」というのを現在企画をしております。その中に先生のおっしゃる救急措置を含めてそういうものをつくったらどうか、そういう考え方を持っておるわけでございます。なお映画、スライド等につきましては——スライドにつきましては現にかなり使われているようでございますけれども、国としてどういうものを指導していったらいいか、そういう点についてはさらに検討させていただきたいと思います。
  74. 上村一

    ○上村説明員 厚生省といたしましては、教育をする相手は医師なり看護婦でございますので、医師なり看護婦の場合もそれぞれの人の経歴によってレベルが違うわけでございますから、一般的なものをつくることはそう簡単にはまいらないだろう、そう考えております。ただ一般国民なり、ドライバーを対象にしたそういった啓蒙的な計画がある場合には、医療のサイドでできるだけ教育してまいりたいと考えております。
  75. 中沖豊

    ○中沖説明員 消防庁といたしましては、応急措置に関することは先生の御指摘のとおりだと思います。したがいまして、関係各省庁ともよく協議いたしまして十分検討してまいりたいと思います。先ほど申しました消防大学校におきましても、こうした映画をできますれば積極的に活用したいと思いますし、玉井さんの現在企画されている件につきましても、玉井さんとも十分連絡いたしたいと考えております。  なお、私ども一昨年つくりました「救急処置」の続編と申しますか、さらに根本的なものを現在つくるように検討いたしております。
  76. 岡沢完治

    岡沢委員 消防庁非常に積極的でございますし、先ほど消防隊員用のテキストブックがあるということをおっしゃいました。私もきょう質問をするのにこうして総理府、警察庁、厚生省、文部省、ずらっと来ていただかなければならない。交通安全対策全体が各省庁にわたっておるという一つの適例かと思いますが、またそれぞれ決して無意味ではなしに、部門が違うし、関連があるわけでございますけれども、最終的にやはり行政の一元化と申しますか、いま私が申し上げました、またお願いいたしましたテキストブックにいたしましても、あるいはスライドにいたしましても映画にいたしましても、最終的にどこが一体責任をもってやっていただけるのか心配なんです。みなそれぞれ意欲を持っている、また文部省的な小中学校、高等学校の学生に対する教育の場合、あるいは厚生省のおっしゃる専門的な医者、看護婦に対する教材、あるいはまた警察及び消防の専門的なお立場の人に対する教育、それぞれ違うかもしれませんが、大部分が共通面があろうと思います。大きく分けましていわゆる救急体系、日本の場合消防関係の方が中心だと思いますが、あるいは自衛隊員また警察官、あるいは民間であるかもしれませんがボディガードの方々 あるいはアメリカの場合行なわれております工場の医務室勤務者、安全衛生管理者の方、あるいは学校の先生方、こういう特殊職業の方々を対象にした指導的な教材と、一般の市民、ことに運転免許証取得者に対する啓蒙的な教材の二つに分けて、やはり最も適切なのは総理府の宮崎室長のもとで取りまとめていただいて、いいことがわかっているけれども実行しないというのが残念ながらわれわれの欠点でございますから、先ほど申しましたように、これこそ緊急を要する問題としてぜひ取り上げていただきたい。すでに消防庁の岡村正明先生なんかも非常に熱心にこの問題と取り組んでいただいておるようでございますし、また都立墨東病院の四方先生なんかもこの問題については権威者として御勉強をしていただいておるようでございます。そういうその道の専門の方々の御協力をいただいて、玉井さんの御計画によりましても、二つの種類の映画をつくるのに一千万も要らないという予算的な見積もりもあるようでございます。国家予算から見まして死者を四千人減らすだけでもきわめて安い金額であると同時に、これによって、先ほど来繰り返しておりますような死傷者を減らすこと、あるいは事故を防止すること、あるいは先ほど来指摘いたしました応用範囲もきわめて広いということも含めまして、時間的な意味で早急に取り組んでいただく、またその結果を取りまとめて宮崎室長からも私に御報告いただきたい。そうでないと、またこの問題を取り上げてここでお尋ねをするというかっこうになろうかと思います。そういうことのないようにぜひ具体的な予算措置、また実現についての御協力をお願いいたしておきます。  この問題についての質問はこれで終わりまして、あとは警察庁の久保局長と文部省それから総理府の宮崎室長だけお残りいただいて、交通事故防止と関連いたしまして交通運転者の教育の問題についてお尋ねいたします。  時間の関係できょうは問題提起くらいに終わるかもしれませんが、交通事故防止につきましてはあらゆる角度からすでに検討されております。ことに、久保局長お見えでございますけれども、一般的に一番手っとり早い方法として取り締まりの面がある。昨年は道交法、特に刑法二百十一条の改正等もございました。また安全施設の問題がある、あるいはまた車の問題、特に道路の問題等も交通事故防止の対策面としてすでに十分に取り上げられておりますけれども、私はやはり問題は人の面を忘れて交通事故防止はあり得ないという立場から若干質問をし、また御意見を聞かせてもらいたいと思うわけであります。  私が申し上げるまでもなしに、昭和四十三年中の人身事故の発生件数は前年比二一%増の六十三万五千五十六件でございます。死者数は前年比四六%増の四千二百五十六人、負傷者数も前年比二六・四%増の八十二万八千七十一人、そして先ほども指摘させていただきましたように本年度は死傷は百万、死者が一万四千人、二万人に近くなるのではないかという悲しい推定がされるわけであります。事故原因についてもいろいろあります。しかしそのほとんどが車両側、運転者の過失ということもこれはもう残念ながら事実であります。もちろんそのために先ほど指摘いたしました道路の面、あるいは施設の面をおろそかにしていいというわけではございませんが、やはり運転者に原因があるというのが大半の事故の実態であります。そういうことを考えますと、運転者の教育ということがきわめて重要視されなければならないのでございますが、現実にはどうかということを申し上げますと、現在自動車運転免許を取る人人の実数につきまして、若干触れてみたいと思いますけれども、昨年度は二百八十万の新しいドライバーが生まれているわけです。そのうちの約七〇%がいわゆる自動車教習所の卒業生であります。免許試験の全受験者の中で、自動車教習所の卒業生は七〇%強でございますけれども、これを普通免許合格者、これは昨年の場合、二百十七万七千八百八名おられるわけでございますけれども、そのうちで教習所の卒業生は百八十五万七千六百九十四人、実に八五%をこれら自動車教習所の卒業生で占めておられるわけです。この実数は、義務教育学校法による中学の卒業生をはるかにこえておるわけでございまして、昨年の四十三年度の中学卒業生は、百八十四万四千二百七十八人でございますけれども、自動車教習所の卒業生は、二百六万五千八百八十六名、中学の卒業生よりも自動車学校を卒業する数のほうが多いわけであります。  そこで、この自動車教習所でどういう教育がなされておるか、あるいは自動車教習所の法的な位置づけは、どうであるかということを考えてみたいわけでございますけれども、私は自動車教習所の中での試験の実態、あるいは教習の実態等につきましては、ここでちょうちょうすることは避けたいと思いますけれども、技能試験あるいは法規の試験はございますけれども、いわゆる安全運転教育というのが、法律上は義務づけられていないわけであります。私はこの際、この自動車事故を防止するためにも、安全運転教育を自動車教習所の教習内容の中に法的に位置づける、あるいは運転免許試験を受ける場合には、安全運転教育を受けた、終了した証明書を必要とするというような措置が必要ではないか。あるいは三年ごとの例の運転免許の切りかえにつきましても、単に目の検査だけが行なわれておるのでありまして、それ以外の一切の試験はなしに当然に切りかえられる。これは御承知のように、道路事情、交通事情は全く変わっておるわけでございますけれども、十年前、二十年前に取った免許資格が、何らその後の法令の知識、安全の知識、技能の知識についてのテストなしに、目だけの検査で更新される。ここにも大きな事故原因があるんではないか。だから新規に運転免許を取る際に、安全運転教育を義務づけることが一つ。あるいは免許更新時にやはり安全運転教育についての何らかのテストをするる。あわせて技能テスト等も必要かもしれませんん。そういう制度上の改正ということも要求される時期に来ているのではないかというふうに感ずるわけでございますが、これについての交通局長の御意見を聞きたいと思います。
  77. 久保卓也

    久保政府委員 まず教科内容に安全運転を取り入れることにつきましては、御承知のように、従来は特に安全運転としての科目はなくて、一般の法令なり構造なりの中で教えておったわけでございますが、今回の改正によりまして、四月から安全運転につきましては、五時間教習することにななっておりまして、しかも安全運転の知識というパンフレットによって、この中から試験が出るというふうな教養のしかたをしておりますので、材料そのものとしては、一応よかろうと考えまするが、しかし学校の教養の中で、私が足りないと思いますのは、先般来御指摘もありましたような、視聴覚教育というようなものをもっと取り入れるべきではなかろうか。単に映画とか、スライドだけでなくして、やはりからだの感覚に訴えるような器材を開発すべきではなかろうか。現在ドライバーチェックとして、安全運転学校あたりでやっておりますが、いかにも数が少ないし、この免許者のマス化しておる今日においては、必ずしもそぐうものではなかろうと私考えます。したがいまいまして、大ぜいの人を対象にして技能的に教えること、一台々々の車に乗らなくても、大衆化された講習者に対して、教養し得るような器材を開発したい。これは現に局内に命じまして、検討を進めております。そのことは同じように、いまの更新時の場合も同じことでありますが、その問題はあとにいたしまして、更新の際の義務づけの問題でありますが、従来はもちろん任意制でやっております。二年前までは更新時の講習を受ける人は、全国で約半分の県で実施されておりますが、この四月に調べたところでは、全国で全部の県で実施いたしております。その数は必ずしも全国の調査をしたわけではありませんが、昨年の六月ごろには、約二十県の対象をとってみた場合に、更新を受ける人の九〇%が受講いたしておりましたた。この春に調べた場合には、これはわずかに五県だけの対象でありましたが、九四%に達しておるということで、任意制ではありますけれども、わりあいに受講率が非常によろしいということで、喜んでおるわけであります。そこで、これを義務づけする場合に、どういう問題があるかといいますと、義務づけるわけでありますから、その講習を受けなかった場合は、免許証を与えない、あるいは罰則をつけるということであります。罰則をもけることが適当でなければ、免許証はやらないぞということになるわけでありますが、従来の私ども考え方では、一応免許更新というのは、からだの欠格、その他がチェックされておれば、技能的にはだいじょうぶなんだ、法令的には知っておるんだという前提で済んでおった。したがって、講習を受けなければ免許証をやらない、更新してやらないというのは、少し行き過ぎではなかろうかというのが、私どもの従来の考え方でありました。そこで今日の交通情勢がどういうふうに変わっておるのか。また法令などの知識をどういうふうに更新する人は認識をしておるのかというチェックが行なわれていない。その点の判断がやや甘い点もあったかもしれませんが、そういうような考え方で、必ずしも更新の義務づけを必要としないのではなかろうかというのが、従来の考え方であります。ただ、警察部内でも、更新を義務づけてほしいという意見は相当にあります。そこで私どものように、ただ義務づけることだけで問題が足りるだろうか。単に講習に出てきて、聞いているということではなかなかいけないので、テストを兼ねて行なわねばならないというような面もありましょうが、その辺の従来の考え方と、いま御指摘になった、交通事情がどういうふうに変わっておるかという認識を、もう一度考え直してみて、いまの問題を検討してみたい、かように考えます。
  78. 岡沢完治

    岡沢委員 時間の関係問題点の指摘と、今後の課題を局長にお願いしたいのでございますけれども局長十分御承知のとおり、いま全国には二千百十一校の自動車教習所がございます。先ほど申しましたように、年間二百万人以上のドライバーを養成しておるわけであります。ところがこの法的位置づけを考えました場合に、いわゆる道交法の九十八条、法文に関する限りはこの一条だけが根拠の法文であります。道交法は取り締まりという文句がなくなりましたけれども、取り締まり法規であることには間違いない。私設自動車教習所が、道交法の中のたった一条で法的位置づけがなされておるというところに、教習所に対するる、あるいはドライバー養成機関に対する、従来の考え方の盲点があるのではないか。私は先ほど申しましたような意味で、義務教育の卒業者以上の人間を教育する機関、あるいはもう車の免許証を持つということは、社会的なむしろ常識になってまいりました。こういう場合に、自動車教習所を単なる取り締まりの対象として見るべき時期はもう過ぎたのではなのか。安全教育の機関として、あるいはまた運転者のマナーを養成する機関としてかなり教育的な要素を、あるいは事故防止の立場からの自動車教習所の使命、責任という問題もあわせて考えるべき時期にきているのではないか。単に地方の公安委員会の指導監督だけがなされる。町のタクシーの運転手が都合ですぐ教習所の指導員になる、教育者的な要素を要求するほうが無理でありますし、実際に教習所の税制面、金融面の措置等を考えてみました場合に、金融の面では一般のレジャー産業、キャバレー並みの扱いしか金融機関にはしてもらえない。法的にきわめて低い地位にある。税制措置につきましても、他の企業と比較いたしまして、その社会性あるいは公共性に比べて全く低い地位にあるということは否定できないと思います。自動車教習所は単なる営利企業として、もうけるための手段としてなされてはたいへんなことであります。そういう意味からも、一方で自動車教習所を二百万のドライバーを養成する機関として、交通事故防止あるいは安全教育、あるいは社会的な公共的な責任を持たした新しい時代の一つの社会教育の機関として評価していただくとともに、それにふさわしい責任を指導員の資格あるいは教習所の経理事情その他にも、特にまた安全教育の面でも要求をしていただいて、自動車教習所の中身をよくすることによって優秀なドライバーを社会に送り出す。そのことによって、一方で要請される車の増加あるいはドライバーの増加とあわせて、当然必要悪と見られるような事故を何とか少なくする努力をすべき時期ではないか、そういう面から自動車教習所の法的位置づけについて今後の展望とか、あるいは現時点における警察としての考え等がございましたら、この際明らかにしてもらいたいと思います。
  79. 久保卓也

    久保政府委員 現在の指定自動車教習所の卒業生が中学の卒業生よりも多いということで、この社会の中で占める立場というものが非常に重要である。特に運転者に事故原因の過半があることは言うまでもないわけでありますけれども、特に教習所というものが運転免許証取得者の七割以上を占めるという、この人たちが百万にもなんなんとする事故車に関連するところがきわめて多いわけでありまして、そういう意味でいいますと、一般の学校に対する政府の施策に比べて、非常に大きな社会教育の立場を占めておる自動車教習所に対する施策が非常に貧困であるということは私もいなめないと思います。そこで従来私が聞いておりました範囲では、指定自動車教習所について何らかの助成措置あるのは優遇措置というものを考えるべきであるという一般論は確かにそのとおりでありますが、具体的に考えてみますると、既存の法律の中で指定自動車教習所を特定の業種の中に指定するというところに問題があるように聞いておりまして、必ずしも立法化の問題ではないようなふうに私は聞いておったわけでありますが、ただ先ほど申し上げました、あるいはいま御指摘になりましたような非常に大きな社会教育的な立場を考えますると、一般的にいって政府がもっと関与すべきであり、もっと助成すべきであるということは確かにそのとおりであると考えます。したがいまして、具体的にどういった問題が問題になるのかというようなことについて、指定自動車教習所の連合会のほうと詰めてみたい、そういう上に立ってどういうような方策を立てるべきであるかということを考えてみたい、また学校法人にするということであれば文部省とも関係するような問題もありまするので、具体的な問題について今後検討を進めることにさしていただきたいと思います。
  80. 岡沢完治

    岡沢委員 時間の関係でこれで終わりますけれども、いま私自身が交通局長だけに聞くことがほんとうはむずかしい、またそうであるべきでない問題だという感じがいたします。局長自身からお答えいただきましたように、特に私が指摘した教育面を重視した場合に、これは文部省とも十分関連すると思いますし、特にそれを締めくくる意味で、総理府に設けられた陸上交通安全調査室の立場からもぜひこの問題は御検討いただきたい。学校における交通安全教育の内容等についても質問さしていただく予定でございましたが、皆さま方に御迷惑をかけてはいけませんので、これで終わらしてもらいますが、先ほどの救急医療の問題、交通安全教育の問題あわせまして、特に宮崎室長さんに、きょうの質問が何らかの形で実りあるものになるように、聞きっぱなしでなしに、ぜひ実を結んでいただきたい。特に緊急を要する映画の問題とテキストブックの問題、あわせましてアメリカ等ではこういう問題についてはむずかしい教育ではなしに、人体のモデル等を使いまして、それを政府あるいは日赤等が用意してすぐに貸し出しをする。一般市民にとりましても、ドライバーが人口の中で占める位置を考えました場合、一般的な知識として要求されておるし、市民もまたそれを知りたいという、これはいわば意欲をそそる対象でもあるわけでございまして、政府にそういうことを用意してもらった場合に、決して死蔵じゃなしに実際に生きて役立つと思うわけでありまして、そういう面からもぜひ具体化していただきたい。しかもそれを早急にしていただきたい。またそれについては、きょう御出席いただいた各省庁と十分な横の連絡をとっていただきたいということを重ねてお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
  81. 宮崎清文

    ○宮崎(清)政府委員 御指摘の二つの点につきましてはまことにごもっともと考えられますので、関係省庁と十分協議いたしまして、できるだけ実現可能な具体的な方策を検討いたしたいと思います。
  82. 岡沢完治

    岡沢委員 ありがとうございました。      ————◇—————
  83. 内海清

    内海委員長 この際、理事補欠選任についておはかりいたします。  理事河村勝委員辞任に伴い、理事一名が欠員となっております。この補欠選任につきましては、先例によりまして委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  84. 内海清

    内海委員長 御異議なしと認めます。よって、河村勝君を理事指名いたします。  次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後一時八分散会