運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1969-05-09 第61回国会 衆議院 建設委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年五月九日(金曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 始関 伊平君    理事 天野 光晴君 理事 大野  明君    理事 金丸  信君 理事 草野一郎平君    理事 田村 良平君 理事 井上 普方君    理事 佐野 憲治君 理事 吉田 之久君       伊藤宗一郎君    池田 清志君      稻村左近四郎君    丹羽喬四郎君       葉梨 信行君    廣瀬 正雄君       堀川 恭平君    森下 國雄君       山口 敏夫君    阿部 昭吾君       岡本 隆一君    金丸 徳重君       島上善五郎君    福岡 義登君       山崎 始男君    渡辺 惣蔵君       内海  清君    小川新一郎君       北側 義一君  出席国務大臣         建 設 大 臣 坪川 信三君  出席政府委員         建設政務次官  渡辺 栄一君         建設省都市局長 竹内 藤男君  委員外出席者         専  門  員 曾田  忠君     ————————————— 五月八日  委員金丸徳重君及び小川新一郎辞任につき、  その補欠として八百板正君及び大野潔君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員八百板正辞任につき、その補欠として金  丸徳重君が議長指名委員に選任された。 同月九日  委員大野潔辞任につき、その補欠として小川  新一郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 五月七日  建設業法改正反対に関する請願島上善五郎君  紹介)(第五八九九号)  自転車道整備等に関する法律制定に関する  請願砂田重民紹介)(第五九〇〇号)  同(永田亮一紹介)(第五九〇一号)  同(濱野清吾紹介)(第五九六〇号)  同(廣瀬正雄紹介)(第五九六一号)  同(湊徹郎紹介)(第五九六二号)  同外二件(吉田泰造紹介)(第五九六三号)  同(大野明紹介)(第六〇五九号)  同(太田一夫紹介)(第六〇六〇号)  同(加藤万吉紹介)(第六〇六一号)  同(北山愛郎紹介)(第六〇六二号)  同(楢崎弥之助紹介)(第六〇六三号)  同(野原正勝紹介)(第六〇六四号)  同外一件(広瀬秀吉紹介)(第六〇六五号)  同(松野頼三君紹介)(第六〇六六号)  同(山口シヅエ紹介)(第六〇六七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  都市開発法案内閣提出第七六号)(参議院  送付)      ————◇—————
  2. 始関伊平

    始関委員長 これより会議を開きます。  都市開発法案を議題といたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。岡本隆一君。
  3. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 新しい委員会室での建設委員会の第一陣を承って、非常に光栄です。  都市開発法を提案してこられましたが、その第一条にうたわれておる目的でありますが、非常に抽象的で、あいまいにより読み取れないのでありますが、まず第一に、そのいうところの「土地の合理的かつ健全な高度利用」とはいかなることを意味するのか、また、都市機能を更新するということはいかなることを意味するのか。現在進みつつあるところの再開発は、企業ベースで進められております。したがって、企業業務用スペースはどんどん開発されていきますが、居住用スペースはだんだん少なくなる、そのために、都心人口がどんどん郊外へ出てまいりまして、都市におけるところの人口ドーナツ化現象が起こってきている。したがって、それを是正することが、都市開発法制定の一番大きなねらいである、私はこのように理解しておるのでございます。しかしながら、この法律案の第一条にうたわれておる目的だけをすんなり読んでみますと、必ずしもそうとは受け取れない。どのようにでも読める。企業の側から見れば、都市の各地域地域機能を純化さしていく、つまり、都心部へどんどん事業所を集めて企業効率をあげる、仕事の能率をあげる、そういうふうなことも、言うなれば、合理的な高度利用であります。都市機能を更新していくということにもなっていく。だから、どのようにでも読み取れる。企業企業ベースで読み取れば、そのように読める。企業中心の行き方というふうな読み取り方もできます。また、われわれが言うように、住宅サイド住宅というもの、市民生活というものに重点を置くという考え方からいきますなれば、またそういうふうな意味にも読み取れる。どのようにでも読み取れるというような、非常に表現が抽象的であいまいでありますから、それをひとつきちっと具体的に直すべきである、私はこのように思うのでございますが、大臣から、第一番に、この「合理的かつ健全な高度利用」とはいかなることを意味するのか、「都市機能の更新」とは何を意味するのかということをはっきりとこの機会にわれわれにお示し置き願いたいと思うのであります。
  4. 坪川信三

    坪川国務大臣 もっともな御質問でございます。岡本委員が年来主張されております再開発法に対する根本的な問題にお触れになっておること、私は傾聴いたしておるような次第でございます。  過般の委員会においても申し上げましたごとく、この法案の第一条のねらいというものは、やはり土地でなくして空中権を十分利用するということ、それから人口の流れというものを横より縦に置くということ、それからいわゆる補償方式といいますか、補償につきましては価格主義よりか面積主義に置くということ、そして中高層建築に十分いわゆる土地建物とそして住居を含めましたねらいを持っての職住近接ということが、本法案の第一に目的とし、また、ねらっておる重要な問題点であり、岡本委員も主張されている日ごろの御高見に沿う点ではなかろうかとも私は考えておるのでございますが、土地の合理的かつ健全な高度利用の正確なるところの基本的な問題について十分ひとつ確認したいというおことばでございます。この法案の第一条には、「都市における土地の合理的かつ健全な高度利用」という表現がされておりますが、その具体的な内容につきましては、この法案の第四条第二項に規定されている市街地開発事業に関する都市計画を定める際の基準の形で示されております。すなわち、第四条第二項では、まず幹線道路下水道幹線などの都市の骨格的な公共施設について、当然すでに都市計画が定められており、あるいは再開発に関連してその都市計画が変更されておるので、その都市計画に適合した計画でなければならないということ。第二番目には、また近隣公園下水道枝管など地区サービス的な公共施設について適正に配置させて、良好な都市環境になるような計画でなければならないということ。第三番目は、建築物については、都市空間有効利用をはかるとともに、建物相互間の隣棟間隔が確保され、健全な高度利用形態になるよう、その地区にふさわしい容積建築面積、高さ、配列及び用途構成を備えた計画でなければならない。第四番目には、建築敷地については、健全な高度利用形態にふさわしい適正な規模の街区となるような計画でなければならないと定めております。合理的かつ健全な高度利用というものは、このような条件に適合したものでなければならぬ、こう考えておる次第であります。
  5. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 いま大臣が言われた範囲の中におきましては、都市人口ドーナツ化現象をどうして食いとめるかというふうなものが含まれておらない。従来自然発生的に人口企業が密集してまいりまして、そのために起こってくるところのいろいろな都市公害交通難であるとか、あるいはスモッグであるとか、あるいはまた騒音であるとか、そういった都市公害を排除し、そして風と光と緑とをもう一度都心に取り戻したい、そういうふうな意味におけるところの都市の再生と申しますか、再開発、そういうことが盛り込まれておるだけなんです。だから、そういうふうな意味におけるところの再開発ということでありますと、これは私が先ほど申しておるような考え方構想が全然入っておらない、こういうふうに思えるのでございますが、いかがですか。
  6. 坪川信三

    坪川国務大臣 そういう観点に立っての批判もあるかと思いますけれども、私といたしましては、この法の立法のねらいは、あくまでも、スプロール化されている無秩序な、ほんとうに病的な都市現象というものを、この法の制定によって空間土地建物を利用しながら都市環境整備が行なわれ得ることを大きく期待いたしておるような次第でございます。
  7. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 言うなれば、この第四条は、企業が無秩序に都市に集中してまいりまして、そのために起こったいろいろな都市問題を解決し、都市環境をよくするというふうな意味でこれは考えられて、都市計画内容としてそういうふうな事業を実施していく、こういうことをきめられている。そういうふうなものに対して、今度はもう一つ加わらなければいけない。それは、その地域地域ごと職住近接をやらしていく。職住近接をやらせるのには、どのような住宅配置をやるか、人口配分をどのようにやるかというふうなことをもあわせて考えていかなければいかぬ。そういう意味で、第五条が今度新たにわれわれの要求でつけ加えられたわけです。本来政府から出してきたところの提案には、住宅というものは全然構想の中に入っておらなかった。都市計画法をつくるときにも、住宅というものに対する配慮が足らなかったので、われわれはそれではいかぬじゃないかということで、住宅という構想都市計画法の中へ大きく差し込んでいったのです。今度の場合も、われわれはそういう考え方に立って——特に、この法案が提案される場合に、参議院先議にするかどうかという問題をめぐってわれわれのほうからクレームをつけて、とにかく、参議院先議にするならば、住宅というものをもっと重要視した法律案として出してきてもらいたい、こういう強い要求をして、この法律案として不十分ながら出てまいった。ところが、大臣に私どもがこの目的を具体的に示してもらいたいといってお伺いすると、もうしりからその住宅のほうを大臣は忘れて答弁していられる。そのことは、政府当局都市開発住宅というものを非常に軽視しておられることがそういうことになってきているのじゃないかと私は思うのでございますが、私は、その点、第五条というものをもっと重く考え——第四条で四項目出ておりますね、それをまた第五条として「住宅建設目標設定義務」という見出しを特別につけて出てきておる理由がそこにあるということを、よく大臣にももう一度再確認をしておいていただきたいと思うんですね。  そこで、この住宅建設目標をきめますのにあたって、一体政府のほうではどういうふうな考え方を持っておられるのか。都市計画をきめる場合に、その都市計画の中で、各地域ごとにどの程度の、たとえばヘクタール当たりどれだけの人口を収容するに足るだけの住宅をあわせていくのか。また、都市計画をきめる場合にいろいろの用途地域がきまります。その用途地域によって純住宅地域業務用地域とに分かれてまいりますと、人口収容力相当の相違があることはやむを得ません。しかしながら、業務用地域といえども、その業務用地域の中に相当数住宅を私は含むべきであると思うのでございますが、機能の純化ということになってまいりますと、たとえて言うなれば、すでにでき上がった丸ノ内のごとき地域については、いまから住宅をはさんでいくということはできないと思うのです。しかしながら、これからわれわれがいろいろな形で、たとえて言うなれば、オフィス街をつくるとか、商店街をつくるとか、あるいは流通業務地域をつくるとかいうようなことをやっていく場合に、これから再開発をやっていく場合には、その中に相当数住宅を織り込むという考え方が基本的な都市計画構想の中に入ってこなければいかぬ、また、建設省としてもそういう指導をしていただかなければいかぬと思うのです。自然発生的に企業にまかせておいたら、それは経済的に効率のいい業務用スペースばかり開発していって、どんどん人間を追い出していくということは、当然、いままでもそうでありましたし、これからだって、自然発生的な姿にまかせておけばそうなるに違いないと思うのです。だから、それをどのようにチェックするかということを考えていくことが、今度の都市開発法制定の大きなねらいであるということを考えていただかなければならぬと思うのでございますが、その辺についての御答弁をお願いしたいと思うのです。
  8. 竹内藤男

    竹内政府委員 第五条の「住宅建設目標設定義務」を都市計画の上でどういうふうに指導していくかということでございますが、私どもは、住宅不足の著しい地域につきましては、それぞれ、先生おっしゃいましたように、住居地域住居地域の中でも、商住が混在しているような地域、あるいは混在していると申しますか、商住があわせて整備されるような地域、あるいは純粋の専用的な住居地域あるいは商業地域と、いろいろございます。それから、事業を行ないます地区現況がございます。そこにおきましてどういうような建物が建っておるか。この再開発事業は、原則として、そこにいる権利者をそのまま全部収容していこうということでございますので、当然その地区建物現況というものを考えていかなければならない。そういうような観点から、都市計画の上におきまして住宅をどれだけ乗せるかということを住宅建設目標として都市計画で定めるわけでございます。その場合に、もちろん、住宅地でございますと、原則として権利者に与えられるような床の部分は、これは実際の現況に合うように住宅配分をきめなければいかぬと思いますが、それ以外の余裕の床と申しますか、それは原則としてやはり住宅にしていくという考え指導していかなければならない、こう思っております。  それから商業地につきましても、特別な理由がありましてどうしてもそこへ商業施設等を入れなければならないという場合は別でございますが、原則として、四階以上と申しますか、そういうようなところについては住宅にしていくというような態度で都市計画設定指導をしてまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  9. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 それでは、この第五条で規定されております「住宅不足の著しい地域における市街地開発事業」という、その「住宅不足の著しい地域」ということは、これはもう首都圏近畿圏中部圏等大都市周辺はすべてそうでございますが、そういう地域全部をさすものでございますか、あるいはその中の一部をさすものなのか、その辺、このことば読み取り方を御説明願いたいと思います。
  10. 竹内藤男

    竹内政府委員 「住宅不足の著しい地域」とは、市街地の一部でもよろしゅうございますし、あるいはその市街地を中核とする都市圏の中で住宅不足が著しいという場合でも、どちらでもいいというふうに考えております。住宅不足が著しいというのは、私どもいまのところ考えておりますのは、大体人口増自然増を上回るような地区、あるいは市街地の一部の区域なり、あるいはそれを取り巻く全体の都市のいずれかにおきまして、人口増自然増を上回るような地域につきまして、「住宅不足が著しい地域」というものを具体的に示さなければいけませんので、通達等の形で明らかにしたい、こう思っておるわけでございます。ただ、それ以外にも、特に非住宅居住が多いとか、老朽住宅が多いとか、狭小過密が多いとかいうようなところは、当然「住宅不足の著しい地域」に入っております。こういうふうに考えております。
  11. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 そうすると、いわゆる人口急増地帯がすべて「住宅不足の著しい地域」というふうに読み取ってよろしゅうございますか。
  12. 竹内藤男

    竹内政府委員 そういうふうに考えております。
  13. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 そういうふうな地域ごと住宅建設目標を定めなければならぬ、こういうことになっておるのでございますが、そういたしますと、この市街化地域の中の——あとでまた議論しようと思いますが、高度利用地域をきめる、その高度利用地域をきめたところについては、ヘクタール当たり何名の人口を収容し、そのためには目標戸数としては住宅建設が大体どの程度必要であるということを同時にきめていけ、こういう意味でございますか。
  14. 竹内藤男

    竹内政府委員 高度利用地区は、建物容積率のいわば底上げをするわけでございます。その高度利用地区をきめます場合に、きめる際の考えの中には、そこにおきます人口密度でございますとか、建物容積でございますとか、住宅の別でございますとか、そういうようなものは考えていくと思いますけれども、いま第五条でいっている都市計画は、高度利用地区の中でさらに再開発事業を行ないます際に、あるいは再開発事業を行なわせるために、都市計画として事業区域及び事業計画をきめるわけです。その際に、再開発事業としての都市計画の中で、住宅をどれだけ再開発事業の中に盛り込みなさいということを都市計画としてきめる、こういうことでございます。先生承知のように、都市計画は、いわゆる事業都市計画の中で住宅の容量をきめていくということでございます。
  15. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 たとえて言えば、東京あるいは大阪、そういう都市についてはすでに一応の計画はあるといたしましても、新都市計画法が出発いたしますときに、新たなる構想都市計画をつくりまして、市街化地域調整区域に分けます。そしてその市街化地域は、一部既成市街地についてはどのように再開発するか、あるいはまた、新市街地についてはこれをどのように開発していくかということをきめるわけですね。その再開発をどのようにきめるかという計画を立てるときに、同時に再開発計画の中でこの住宅建設目標はきめていくべきであるというふうになっておるのではないかと私は思うのでございますが、いま局長が言われるのを承っておりますと、再開発計画を立てて高度利用地域をきめたときに、その高度利用地域について再開発計画が出てきたときに、その時点住宅建設戸数をきめていくのだ、こういうふうなことのようでございますが、これはどちらなんですか。
  16. 竹内藤男

    竹内政府委員 お答えいたします。  新しい都市計画法市街化区域調整区域設定をいたします。その際には、先生承知のように、市街化区域整備開発、保全の方針というのを同時にきめるわけであります。私どもは、この方針でいわゆるマスタープランと申しますか、どういうふうに住宅地区商業地区配分するか、あるいは幹線道路をどういうふうに設定するか、あるいはそれ以外の公共施設をどういうふうに配置するか、それから、先生言われましたようないわゆる面開発事業をどういうふうな時点で行なうかということをまず方針の中でうたわなければならぬ。それに基づきまして、知事なり市町村なりが具体的な都市計画を行なっていく。したがって、用途地域設定をする、あるいは公共施設の場所まできちっと入りました配置計画決定をする、あるいは事業計画決定をする、こういうような形で都市計画がきまっていくのではないかというふうに考えるわけであります。  その場合に、市街地開発事業について申しますと、方針の中に、東京都なら東京都でどの地域について再開発事業をやっていくべきかということが示され、具体的な都市計画といたしまして再開発事業都市計画がなされていく。その場合に、先生言われましたように、全部再開発候補地域につきまして都市計画決定の網をかぶせてしまう方式と、施行者が予想されるまである程度機が熟するのを待ちまして再開発都市計画をきめていくやり方、逐次やっていくやり方と一ぺんにやっていくやり方とが出てくるかと思います。それはそれぞれ知事なりがきめていくことになると思いますが、そういう場合に都市計画といたしましてきめますのは、あらましの事業計画とそれから施行区域でございまして、その際に、住宅建設をどれだけこの事業でやりなさいということがきまるわけです。その都市計画がきまりましてからあとで今度施行者が出てまいるわけであります。市街地開発事業都市計画でやるのだ、そのあとで、場合によりましては、組合がいろいろ相談しまして組合としてやろうという場合もございましょう。場合によっては、公共団体が乗り出す、住宅公団が乗り出すという場合もある。その場合に、施行者は、今度は実際の事業の具体的なもくろみをもちまして認可申請をしてくる。したがって、その認可申請のときには、当然都市計画できめられました住宅建設目標に縛られて事業計画はつくってこなければならないわけです。都市計画事業として行なうわけです。したがって、組合が持ってきました場合でも、当然その前にきまっております都市計画によって縛られていく、こういうふうに考えておるわけでございます。
  17. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 いまの御答弁では、速記録を読み返してみないと前後がはっきりしませんが、どうも最初部分あと部分とが少し矛盾しているように思うのです。最初は、この都市計画最初からきめておく場合と、あるいはまた、事業計画が出てきたときにその時点でやるのと、二つ方式がある、二つ住宅建設目標の置き方があるというふうに御答弁されて、後段になって、しかしながら、組合がやる場合にも、最初にきまった建設目標をおっかぶせるのだというふうな趣旨に最後のほうはなっている。しかし、最初にこの地域については一応住宅建設目標はこうなるべきだということをきめておかない限り、何もきまらなくて、民間の再開発事業に再開発を期待されるとするならば、業務用スペース面開発中心にしたところの計画となって出てくるということは、もうわかりきっているわけですね。そのときに、いや、それじゃいかぬのだ、これだけ乗せろということになってくると、いわゆる管理者側とそれから開発者側との間で衝突が起こってきて、あとになってなかなかめんどうなことになり、ある場合いろいろな政治力なんぞに押しまくられて、結局業務用面開発がどんどん進んでいく。ことに駅前、たとえば郊外電車駅前になるような、あるいは、たとえて言えば、東京都でいえば、環状線周辺ですね、そういうふうな、赤羽であるとか、池袋なんかでもどんどん進んでおりますが、その他、巣鴨であるとか、これから進むべきところ、そういうところでの再開発をやっていく場合、自然の成り行きにまかしていきますならば、そこのところはもういわゆる業務用のみが、オフィスその他のものばかりが建っていって、そこの住民はどんどんまたそれから外へ追い出されていくのですよ。だから、そういうところでやはり住民——たとえて言うならば、そういうふうな電車のターミナルですね、駅に近いところは、これは非常に通勤にも便利なものですから、さっき局長が言われたように、三階程度まではかりに業務用に使うとしても、それから上に積む分についてはこれは住宅用開発していく、こういうような方針をきちっと立てておけば、そういうものとして、頭から再開発はそういう形でやらなければならないものとして、計画のときにそういうふうな形でもって計画を立ててくると思うのです。だから、最初都市計画でぴしっと、今後再開発する場合に、どういう地域についてはどの程度のもの、どういう地域については何割程度住宅を乗っけなければならぬのだ、こうしておけば、そこに住む人は追い出されていかずに済むわけです。また、そこに住む人をそのまま収容する、あるいは余裕スペースですね、いわゆる処分床、できたときにゆとりがあって、それを譲渡するというふうな処分床については、これはそういうふうなものを上にたくさんとればとるほど、結局、言うところの事業効果経済効果は薄くなりますから、勢い地価は下がるのですよ。業務用スペースにどんどん使えるから、銀座かいわいなんか坪二百万、三百万というふうな呼び値が出てくるわけです。あれはどうしても住宅を乗っけなければならぬという業務をおっかぶせましたら、経済効果はそうあがりませんから、勢い地価が下がるのです。だから、地価抑制のためには、住宅を上へ乗っけるという義務を負わせる、そのことが都心部の地価を下げるのです。都市部の地価を下げたら、それはまたずっと周辺に波及していって、郊外の地価も下がるのです。だから、この都市開発法において、再開発計画でどのような住宅計画を立てるか、そのことが非常に大きな地価に対するところの影響があるということは、これは十分御承知だと思うのです。だから、そういう意味においては、やはりはっきりと、この第五条でいうところの、住宅建設目標を定めなければならぬということをきめられた、このことは、そういうふうな働きを期待しておる、そういうふうな機能を期待しておるのだと私は思うのでございます。またそのような運営がなされなければならぬと思うのでございますが、大臣、これはそのように読み取るべきであると思いますが、いかがですか。
  18. 坪川信三

    坪川国務大臣 いま岡本委員が御指摘になりました本法のねらいといたしましては、建設省といたしましては、市街地開発事業により建設される建築物については、この法案の第五条の規定によりまして住宅建設を義務づけるという意義は、新都市計画法による市街化区域設定して無秩序なスプロールを阻止することに対応して、内部の既成市街化地域において住宅の供給を促進することによって職住近接をはかってまいりたいというねらいが、先ほども申しましたとおりでございまして、岡本委員が御指摘になり、また御要望になりました、また憂慮されている点も、この点において私は対処でき得るものと大きく期待をいたしておるような次第でございます。
  19. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 そういたしますと、大臣にもう一つお伺いいたしますが、一応職住近接をねらいとしておる、したがって、職住近接をやろうと思えば、とにかく都心にも相当住宅をこれから建てていくというふうな方針でこの再開発法の運営をしていかなければならぬ、こういうことになっておりますが、しからば、現在でき上がりました三井霞が関ビル、それから最近浜松町に超高層ビルが建っておりますが、あれは何か世界貿易センターだということで、あれも完全なオフィスビルであります。ああいうものがどんどん建設が進められておる。ところが、そこへ集まるところのサラリーマンの数というものはおびただしいものでありますから、交通機関なんかもより一そう混雑が予想されますし、またその周辺におけるところの車の動きなんかもずいぶん変わってくると思うのです。そういう大きな業務用のビルができますと、車の動きなんかが大きく変わってくる。したがって、そういうふうなものが無制限にどんどん都心に建ってまいりますと、これは現実にいまいうところの職住近接とは離れた方向へ進んでいるわけなんです。だから、同じああいうものを建てさせるならば、もっと離れたところへ、たとえば第一生命が大井町へ移転していったように、少なくとも現在首都圏近畿圏整備法で工場や学校が規制されて、工場や学校は大きくなろうと思ったらよそへ行きなさい、こういうことになっていくと同じで、オフィスも大きくなろうと思えばよそへ出ていってください、もうすでに密集化した、たとえて言えば、千代田区であるとか、あるいは東京駅を中心にしたある距離の周辺、三キロか五キロか、ある線を引いて、大体その地域においてはもう超高層ビルはまかりなりません、あるいはオフィスの拡張はまかりなりません、こういったところの事業所の規制、これをやる必要があると思うのです。どんどんそういうふうな業務用面開発が進んでまいりますれば、工場や学校だけ規制しておいても、これはオフィスの規制をやらなければ、オフィスが何ぼでも集まってくるのをそのまま放置しておいたのでは、工場や学校を規制して疎開さしたことが何にもならない。工場や学校を規制さしておきながら、片一方でオフィスをどんどんつくらしておる。そのことが逆にまた都心の地価をつり上げていっておる。土地の利用効率は、工場や学校よりもオフィスに使ったほうがずっと高いのですよ。そこにおけるところの単位面積の、単位時間内の利潤のあげ方というものはオフィスが一番高いのです。だから、そういうふうなオフィスに貸せば、坪当たり何万という家賃で貸せるのですよ。そういうふうなオフィスをどんどんつくらすことによって、それでサラリーマンを都心に集める、いろいろな車の動きはどんどん激しくなるというふうなことで交通はひどくなる、さらにまたスモッグはひどくなる、銀座の柳は枯れてくるということになるのじゃないですか。だから、工場や学校を規制しておる首都圏整備法や近畿圏整備法では、同時にオフィスの規制も当然加えられるべきであるというふうに思うのでございますが、前からそういうことをわれわれは言っておるにかかわらず、政府のほうはみこしがあがらない。しかし、再開発には、そういうことも含めたところの再開発ということが必要じゃないか。さっき大臣も私にそういう御答弁をされましたが、職住近接をやる、都心に緑をふき返すのだというような形、そして都心に住む者の生活環境をよくするんだ、こういうふうな考え方でいかれるなれば、都心にこれ以上オフィスを集めることはやらない、やらせないという方向でこれから進んでいかれる御用意があるか、これを承りたい。
  20. 坪川信三

    坪川国務大臣 まことに適切な御指摘でもあり、御要望でもあり、私もその問題点については深い関心を持っておるような次第でございます。岡本委員も御承知のとおりに、もうすでにロンドンとかパリその他の世界の主要な都市におきましては、それらの方向で都市づくりをやっておるということも聞き及んでおりますが、昨年の十一月の佐藤内閣の地価対策の問題に対する対応策としましての土地高度利用あるいは有効利用というようなことを踏まえての問題点も指摘されておること、御承知のとおりでございます。私もこの指摘されました点を十分踏まえて、そして首都圏首都圏でこれらの問題点についての今後の対策等についても協議もいたしておる、こういうようなことでもございますので、建設省といたしましては、都市局といたしまして十分連絡と協議をいたしながら、これらの問題点の、岡本委員御指摘になりました線に沿うような一つの配慮と姿勢をもちまして積極的に検討を加えなければならぬ段階に入ってきておる、私はこういうような気持ちでおりますので、検討事項として真剣に取り組んでまいりたい、こう考えておる次第であります。
  21. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 それでは、ただいまの大臣のお答えを、そういう意味において、再開発法制定されるのを機会に、首都圏近畿圏整備法の、工場、学校等の規制の法律の中へ事務所を加える、そういう方向でこれから作業を始める、こういうふうな意味に承ってようございますか。
  22. 坪川信三

    坪川国務大臣 さっき私が申しましたごとく、この人口、産業の大都市集中に対する抑制策としましての協議事項とされました大都市機能の分散をはかるほか、大都市の一定地域における工場、事務所等の新増設についての制限抑制措置の協議をはかるということの検討事項に相なっておることは、御承知のとおりでございますので、私といたしましても、これらに対する規制対策というものをどう具体化していくかということをひとつ具体的に推し進めてまいりたい、こう考えております。
  23. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 現在自然発生的に進んでおる再開発は、言うなれば企業のための再開発である。だから、これを人間のための再開発住民のための再開発にしてもらいたい、こういう考え方から、特に第一条の目的についてはっきりそういうふうな意味を明らかにしておいていただきたいということを申し上げておるのでございまして、今後この法律が成立いたしましたら、どうぞひとつそういう方向で運用をお願いいたしたいと思います。  そこで、さらに住宅の問題について承ります。住宅建設目標でありますが、第十三条で、住宅建設目標が定められた市街地開発事業では、認可を申請する場合に「公的資金による住宅建設することが適当と認められる者に対して、これらの者が参加組合員として参加する機会を与えなければならない。」こういうふうなことがうたってございます。つまり、再開発組合をつくる、その場合に——これは公団がやる場合は頭からわかっております。また公共団体がやる場合も、もちろん公共用地を取得する、いわゆる市街地改造事業としてやるのでありますから、当然住宅をくっつけていくというような考え方に立ってやっていくであろう。問題は、やはりどうしても民間の資本を導入しようという考え方に立つところの組合の再開発の場合には、勢い経済ベースということをどうしても非常に強く考えていきますから、その中に公団住宅や公営住宅を乗せるというようなことはできるだけ避けようとするに違いない、私はこう思うのであります。だから、それを避けさせないようにするためにはどうすればよいか。ここにはただ「参加する機会を与えなければならない。」というふうにうたってございますが、ただ声をかけてみて、どうですか、ひとつ参加組合員として参加してもらえますかというふうに声をかければいいのか、あるいは、そうして声をかけても、その話に乗ってきたときに、たとえて言うならば、地価の算定その他について相当高い評価をして、もう参加しないようにしむけていくというようなことだったのでは、この十三条の精神は何にもならない、こういうことになると思うのでございますが、どういうことでございますか。ただ単に声をかければいいというのか、あるいは、できるだけそのような方向で努力させる、半ば義務づけられておる、こういうふうに考えていいのか。これは職住近接をやっていく場合に非常に重要なことでございまして、先ほどの話とも関係のあることでございますが、その読み取り方を伺いたいのであります。
  24. 竹内藤男

    竹内政府委員 先生おっしゃいますように、公団とか公共団体施行者であります場合には、当然こういう配慮をするだろうと思います。組合の場合に、住宅を乗せなければならないということは都市計画できまっております。そのあと事業が行なわれる。その場合に、その乗せられる住宅が、できる限り公的資金による住宅であることが望ましいわけでございます。認可申請の際に、組合のほうから公的住宅の供給主体に対しまして通知するなりあるいは協議するなりいたしまして、できる限り公的住宅供給主体がその住宅を埋めるようにしていきたいというのがこの考え方でございます。しかしながら、場合によりましては、組合側のほうの処分床が、公的住宅供給主体のほうではとても乗れないような価格でなければ手に入らない、あるいは、組合側のほうで特別な事情がありまして、どうしてもそこは自分たちの、たとえば従業員の住宅をふやしたいとかいうようなことで、住宅スペースを自分のほうで取らなければならないというような場合も出てまいるかと思います。そういうようなことが出てまいりますので、必ず公的住宅供給主体が参加組合員として参加を義務づけられているというものではございませんで、そういうようなことをやってまいりたいのでございますが、いろいろな事情がございますので、必ずしも参加組合員として入れない場合も出てくるであろう。しかし、少なくとも、いかなる場合でも公的資金による住宅建設主体に参加の機会を確保するということは必要であるという意味で、この規定を置いたわけでございます。  私ども考えの基本といたしましては、できる限り公的資金による住宅が乗ってもらいたい、こういう気持ちでおりますけれども、特別な場合に、いろいろな理由で必ずしも乗せることが適当でないという場合もございますので、義務づけてはありません。しかし、知らして協議する機会だけは与えたい、こういう考え方でございます。
  25. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 この法律は、ある意味におきましては非常に大きく私権を制限する法律なんです。とにかくその地域の者が、土地を持っている者あるいは借地権を持っている者、そういうふうな者の三分の二以上の同意があれば、三分の一の者が不同意であっても、いやでもおうでも従わなければならぬ、そして、言うなれば一種の土地収用法に近いような性格を持った法律で、これは非常に強くその土地の所有者あるいは建築物の所有者の私権を制限しておる法律なんです。そういうふうな強制権を与える反面、これはもう利益の追求はやりほうだいだということでは、これはおかしいと思うのです。他人のものをいやおうなしに無理にひったくって、家をつぶして建物を建て直すのだ、とにかく三分の二の者が賛成だったら、おまえが何ぼ反対してもつぶしてしまうんだ、その間よそへ行っておれ、行ってでき上がったらまた戻ってきてよい、おまえのところのなにはこれだけの価格に踏んで、それだけの価格相当のものをおまえのところにやるよ、こういうことなんですよ。そういうことになってくると、三分の一の人の意思を無視して再開発事業はどんどんやって、そのときにどんどん高く積み増すから、いままで平家ないしは二階の低層利用だったのを、五階、十階に積み増す、相当余りますので、余った分についてはこれは処分しますので、それでもうかった分をお互いに分け合おうじゃないか、こういうことなんですね。だから、そういうような場合に、それだけのなにを与えている者に、そんなに自由に——そこがまた、土地提供者に対して大きな利益を与えることが空間利用に対していい奨励策になるから、そうするんだといえば、それはわかります。しかしながら、それだけの強制権を国から法律によって与えられる限り、やはりある程度は利益追求に対しては制約が加わってあたりまえだと思うのです。だから、そういうような意味においては、ある程度の、その中の一部分は公共の福祉の用に供する、これだけ国民が住宅難で困っておるときには、国民の住宅難解消のために一部は提供いたしますというぐらいのことは義務づけてもいいのじゃないか、私はこう思うのです。  いまマンションが盛んに建っています。マンションの値段は高いですよ。新聞の広告を見ますと、一平米十一万円から十二万円ですね。そうすると、でき上がったマンションの坪当たりの価格というものは大体四十万です。とにかく、二十万ほどで建つ建物を、土地も何もあるからということで、交通も、都心に比較的近くて、たとえて言えば、東京駅へ電車で十五分、二十分ぐらいのところに建つからということで、それでもってとにかく建ったマンションを坪当たり四十万円というふうな価格でいま売られているわけです。だから、いまかりに再開発計画を進めて民間の者にやらしたら、とにかく業者が組合員に何ぼでもなれるのですから、業者が低層利用されている土地をそこそこの価格で買って、それでもって三分の二をまとめて、それでもう再開発事業をやりましょう、マンションにかえますということになるに違いないと思うのです。マンションにして、そのためにみんな坪四十万、五十万というふうな——これからもっと都心の銀座付近であるとか築地であるとかいうふうなところで再開発事業が進めば、それはもう当然そういうふうな価格になってくると思うのです。だから、そういうふうなことで、強制権は一方与えられる、しかしながら、公共の福祉には沿わない、利益の追求はやりほうだい、こういうふうなことでこの法律があっていいのかどうか。私は、そのような——話はかけますが、しかしながら、諸般の事情で——諸般の事情というのは、経済上の事由が一番大きなものになってくると思うのです。だから、そういうふうなことで、強権は与えられる、しかも利益の追求はしほうだい、こんなふうなことでは、おそらく、この法律は非常に——なるほど再開発はできます。再開発はできますが、しかしながら、再開発されたところのスペースというものは、国民の中のごく一部の、比較的経済的に恵まれた人のために行なわれるだけであって、そういうふうな恵まれた人のためにその空間が生み出されるだけであって、これはほんとうにブルーカラーが都心に住んで、それでもっていろいろなサービス面で、たとえて言えば、ビルにはなるほどホワイトカラーのサラリーマンも要ります、事務員も要ります。しかしながら、やはりビルには、掃除をする者も、あるいは夜警をする者も、あるいはボイラーをたく者も要る。いろいろな者が都心に住んで——しかも、サラリーマンは九時に出てくればいいのです。しかしながら、ブルーカラーは、六時、七時に出てきて、場合によれば徹夜で働いて保安作業をしなければならぬ。そういうような人たちこそ都心に住まわせてやらなければならぬ。それらの人たちの住んでおるところをどんどん郊外へ追いやってしまう。なるほど住宅は建ちました。都心住宅もできました。しかしながら、できたところの住宅は、そういうふうないわゆる経済的に恵まれた人たちあるいはバーのホステスのためにできた、あるいはそこらの商店のだんなさんのためにビルができて住宅ができたけれども、ブルーカラーはどんどん郊外へほうり出されていくんだ、こういうような都市開発法になったのではいかぬと思うのです。だから、ブルーカラーが都心に住むように、ほんとうに都心のいろいろな事業を円満に遂行さすために役立つような再開発法でなければならぬ。それには、やはりある程度開発された面というものは、公共の用に、公的機関に提供されなければならぬ、こういうふうに思うのであります。また、そういうふうな法律として運用してもらわなければ困る。また、そういう法律案として出してもらいたいということを強く要求したのでございますが、いま出てきておる段階では、現在の法律案には、そういう体制ができるようなことはどこにもうたわれておらない。だから私は、この機会にひとつ、そういうふうな点についてどのように運用していくのか、あるいはこの法律案の文章のとおりに運用していかれるとするならば、この法律ができたって、これは庶民のためになりません、だから、この運用をどのようにされるのか、これは大臣局長の双方からお答え願いたいと思うのです。
  26. 坪川信三

    坪川国務大臣 ただいま御指摘になりました私権に関する問題、非常に重要な問題ではあろうと思いますけれども、これの運用について私は万遺憾なきを期し得ますならば、こうした私権を無視するという問題の不幸というものは避け得る。御承知のとおりに、全部の意見を認めまして、そして全部の私権を認めてこれを適用したいというのが最上の目標でもあり、そうした姿も非常に好ましいことではありますけれども、それをいたしますならば、なかなか容易にその事業の遂行というものはでき得ないということは、防災街区のあの事業計画のときに、全員の認めるということによってかなり大きな弊害というようなものが出てまいった実績等も考えますときに、私はこうした制限を加えたような次第でございますので、これらにつきましては、その運用その他について万遺憾なきを期して、なるべくこれらの私権の不幸を避けるような配慮をいたしてまいりたい、こう考えております。
  27. 竹内藤男

    竹内政府委員 先生おっしゃいましたとおりでございまして、都市中心部の中に住宅が建ちましても、それができる限り庶民の入れるような住宅であることが望ましいわけでございます。したがいまして、施行者といたしましても、公共団体がやる、住宅公団がやるというような道を開いたわけでございますが、それだけでは不十分な面もございますので、公的資金による住宅建設主体が参加組合員になれるということにいたしまして、そして組合と一体になって公的資金による住宅建設のための再開発をやっていけるようにしようということが、私ども考え方の基本でございます。先ほど申し上げましたように、必ずしも義務づけるというところまではいき得ない実態がございますので、私どもといたしましては必ず連絡をして、そして参加組合員として積極的に参加できるような形をとってまいりたいというふうに考えて、法文上はこの十三条のような規定になっているわけでございます。公的住宅供給主体に対します指導あるいは組合に対します指導におきまして、できる限り公的資金による住宅が乗せられるように指導をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  28. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 しかし、いまそのように指導していきたいということでございますけれども、実際上は、法律的にはとにかく協議がととのわない、だから組合だけでやっていきますということでやれば、どうにもしようがないのでしょう。だから、ある。パーセンテージにおいて公的機関に開発面を提供しなければ開発事業の認可をしないというふうなことであれば、いやでも乗せなければならぬわけです。だから私どもは、そういうふうな義務づけをやりなさい、そうでなければ、不動産業者が、このごろはもうマンションブームで、どんどんマンションの建設の道具に再開発法を使いますよ。片や、事業用の面開発都心部は使われ、オフィス街はそういうような事業用の面開発に使われる。そして片や、比較的都心に近いところの再開発はマンション建設に向けられていく。マンション建設に向けられたときに、その開発されたものは、いまのマンションは一応坪四、五十万です。だから、そう大きくないものでも、五、六百万から一千万というような資金がなければ、そこへ入れないのですね。そういうふうな住宅建設ばかりになったのでは困るから、全部を提供せよとは言わない、しかしながら、あるパーセンテージにおいて公的な機関に——最上部でもいいから、上層部の一、二階、十階建てなら九階、十階ぐらいは公団や公営住宅に提供させなさい、そういうような義務をつけなさい、こういうことを口をすっぱく言ったわけです。ところが、局長は、まあこれでかんべんしてもらいたいということで出してこられた。それは提案権はあなたのほうにあるのでありまして、何ぼわれわれがそれはいやだと言ったところで出してこられるのだから、しようがない、しぶしぶ受け取って審議しているのでありますが、しかしながら、やはりそういうふうな再開発法であっては庶民のためにはならぬわけですね。大臣も先ほど、まあ私権の制限もやむを得ぬ——私も、私権の制限はもうやむを得ぬと思っているのですよ。都市の再開発のために、そして都心に住んでおるところの庶民がもっといい環境で住めるようにするためには、私権の制限というのはやむを得ぬし、どんどん収用権を発動してもいいと思うのです。しかしながら、今度でき上がったときにそこから庶民が閉め出されていくのだ、こういうことでは困ると思うのですね、いま、なるほど、従来そこに住んでいた人は全部そこへ入れるんだ、そういう考え方だと局長は言っておられます。しかしながら、処分床の全部が、言うなれば、所得が少なくも月に二十万や三十万なければ入れないという人たちにだけ開放されてしまいましたら、権利床を持って入った人も、それが比較的低所得層の人であったとすれば、周囲とそぐわないですから、結局売り払って郊外へ出ていくという、こういうふうな駆逐作用があるのです。だから、そういうふうな意味においては、結局、公営住宅あるいは公団住宅を乗っける、そして中間層あるいは低所得層もその中へ含んで入れていくということであれば、そこはやはり下町で面開発が行なわれ、下町に住んでおった人たち、下町で働いておった職人さんが相変わらずそこにかなり住んで、同じように仕事に従事していける、こういうふうな雰囲気が生まれるのです。ところが、全然違って、建物はごつうなった、そのために非常に高いものについておるというようなことでありますと、そういう下町に住んでおった人が下町を追ん出されていくという結果が出てくる、それを憂えるわけでございますが、いかがですか。そういうような意味においては、これを少し修正するなり、あるいはよほど運用について、そういうふうなある程度処分床の処分のしかたというものについての規制が加わらなければならないと思うのでございますが、いかがでございますか。
  29. 竹内藤男

    竹内政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、再開発をやる場所にもよりますけれども、地価が相当の価格のところで行ないますと、権利者に対しましては再開発事業ではいわばただで床をやってしまうわけでございますので、処分床で全部の事業費をまかなわなければいかぬわけです。したがいまして、当然、もとの土地建物の価格が高ければ、処分床の価格が高くなってくるわけであります。したがって、これをある一定の割合で全部公的住宅供給主体に引き渡せ、あるいは引き取れということは、実際問題としてそういかない場合が出てくる、こういうふうに考えるわけです。したがいまして、どうしてもそこは公的住宅をつくらなければいかぬ場所であるということであれば、やはりこれは都市計画できめられましたあとで、公共団体なり日本住宅公団なりが施行者として出てくるということにならざるを得ないだろう。しかし、できる限り公的住宅を乗っけたいという気持ちは私どもも持っておりますので、これは都道府県知事事業の認可をいたす前に協議をするわけでございますから、知事が認可をいたします際に十分公的資金の住宅供給主体と協議をしたか、そういう点につきましてチェックをいたすように指導をしてまいりたい、こういうふうに考えます。
  30. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 なるほど、いま局長が言われましたように、処分床によって事業費を生み出すということはわかっております。しかしながら、とにかく、その土地を使うのに、いままで一階か二階かで使っておったのでありますから、その坪当たりの建築費でもってその土地は使えるわけなんです。その延べ坪、そこに従来あったところの建物の大体の床面積ですね、その建築費にその坪数を掛けただけでもってその土地を高層利用できるわけですね。だから、その地代はそういうふうなものになっているわけなんです。だから、その上に乗っけた分についてはそれを割りつければいいだけであって、そんなに高いものにはつかないはずなんですね。いまマンションがどんどんあのように建っていくということは、坪四十万、五十万という価格で売れば、かりにそれが十階建てのもの——低層であればもっと安く建ちますが、高層のものになれば坪二十万近くはかかるかもしれない。かりに二十万近くかかったといたしましても、それを四十万、五十万に売ることはないんです。だから、そういうふうなものをもっと押えて提供できないのか、また、たとえて言えば、東京都でも都心市街地の公営住宅をつくっておりますし、公営住宅だって建設可能なんです。また市街地団地がどんどん公団によってつくられておる。その市街地団地をつくっておるのと同じ形式でやはり公団だって乗り出して、資金ワクがあれば市街地団地を再開発によってつくっていく道も開かれておる。だから、公団が加わっていけば、比較的安い——と言うと語弊がありますが、利潤を排除しますから、比較的安い住宅が提供できる。だから、できるだけこの事業の主体は公共団体や公団にやらせるべきである。また、再開発法の精神はそういうものでなければならぬ。しかしながら、いろいろそれらの団体には資金ワクがありますから、足りない分は民間資金を利用したい、こういうことであればいいと思うのです。しかしながら、どうも私どもの嗅ぐにおいでは、むしろ公団や地方公共団体はあまりやらないんじゃないか、そして民間開発がどんどん乗り出してくるのではないか、また政府もそれを期待しておるのではないか、こういうふうに私には思えるのでございますが、この法律では一体事業主体をどちらに多く期待しておられますか。
  31. 竹内藤男

    竹内政府委員 この再開発事業でやります場合には、新しい建物の分だけを新しい建物の床に変えるわけではございませんで、借地権の価格につきましても床に変えるわけであります。それから、地主さんがおられまして、さら地を持っているというような場合に、そこに新しい建物のために地上権が設定されますので、その地上権を設定された補償分も床で与える。それから、従前木造の建物が建っておりましたときの借地権の割合と、新しい鉄筋なり鉄骨鉄筋の建物の地上権の借地権の割合というものは変わってくると思います。木造の場合ですと借地権割合が低いけれども相当堅固な永久建築物が建ってまいりますと、借地権の割合が多くなってくるということになります。そういう場合には当然差額分についても床で与える、こういうことにいたしておりますほかに、事業施行につきまして、一時仮住居を与えるとか仮営業所を与えるとかいう補償の問題もございますので、やはり再開発事業をやります場合には、処分床によってまかなわなければならない事業費というものが、現実の事業費としてはそう出てまいりませんけれども、権利床として与えますために、処分床のほうにかなり負担がかかってくるという実態がございまして、私どもの試算をいたした例等におきましても、かりに住宅として売ります場合にも、相当高い値段になるという実態があるわけであります。したがいまして、その処分床につきまして常にある割合を公的住宅にするということを義務づけるというような運用は、なかなかむずかしいのではないかということを申し上げたいと思います。  それから、それでは一体公共団体、公団と民間とどちらにウエートを置くのかということでございますが、私どもは、再開発をしようとするいろんな動機と申しますか、目的と申しますか、そういうものによって、大まかに言いますと、それぞれ役割りが変わってくるのではないか、たとえば、商店街の改造というのはいま相当行なわれておりますけれども、そういうようなものは一応組合がやる、ただ、江東地区の避難拠点をつくるとか、あるいは不良の住宅というものを改良していくとか、あるいは公共施設をつくるために再開発をやらなければならないというものにつきましては、これは公共団体が乗り出す例が多いのではないか、それから、住宅をどうしてもふやしていこうという場合には、住宅公団なり公共団体が出てくる、そういうふうに考えておりまして、どちらにウエートを置くかというのは、その目的なりあるいは動機なりによっておのずから分かれてくるのではないかというふうに考えておるわけでございます。私どもといたしましては、両方に対しましてできる限り強力な援助措置をとってまいりたい、こういうふうに考えております。
  32. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 そういうことになりますと、再開発事業というものは非常に高くつくから、公的な機関ではなかなかやりにくい、特に公共用地が必要な場合、いわゆる従来の市街地開発事業、そういうようなものは公共団体がやっていく、また、住宅地区改良法によるような、特に環境の悪いスラムクリアランス、これは公共団体がやるよりしかたがなかろう、しかしながら、公共団体はそういうことをやる資金ワクはあまり持っていないから、ほとんどそんなものは進んでいかないだろう、だから、どんどん進んでいくのは、組合によるところの再開発である。そして商店街においては商店街組合をつくってやるだろう。住宅街はマンション経営者なり不動産業者がやるだろう、こういうことなんですね。そうなってくると、商店街住宅街において行なわれるところの再開発というものは、これはもう民間開発になっていく、結果的には、私がさっき言ったような高い開発面の提供のみになって、ブルーカラーは都心から追い出される、こういうようなことになると思うのです。それなら、再開発に対するわれわれの期待は全く裏切られることになるじゃないですか。いまの局長答弁をお聞きになって、大臣、いかがお思いになりますか。私もあなたも、再開発に期待するところは同じなんですよ。ところが、この法律が動き出したら、結果的には、それこそ人間のクリアランスになってしまって、スラムクリアランスにならぬ、都市のクリアランスにならぬ。そんな再開発法では困るじゃないですか。
  33. 坪川信三

    坪川国務大臣 御指摘になりました事業の主体のウエートの問題でございますが、公共団体、公団、組合、この三つに依存をいたしておることでございますけれども、さっき局長が申しましたことについて御疑念をお持ちになったのも私は理解をいたします。政府として考えておりますのは、その事業執行の区域の内容の問題あるいはその事業の客観的な状況の問題、その他あらゆる点を十分勘案いたしまして、そんたくいたして、いま申した事業主体が執行するのでございますけれども政府として、また建設省としては、公共団体並びに公団、その他の政府関係の仕事において、全国的な都市計画というものの高所な立場に立ってこれを執行いたしたい。これを事業主体のウエートを置かなければならぬ重点に置きたい。こう申しますと、いま局長が申しましたように、私は直ちに早くやりたいというような気持ちを持っておりますのは、不幸な大都市のスプロール化した、病める現象のごとくになっておる庶民大衆のおられる市街の防災あるいは緊急避難に対するところの避難拠点というような問題を優先し、またこれを最も重点に置いて考えていかなければならぬ、こういうような気持ちを持っておりますので、政府といたしましては、そういうところに意を用いながら、重点的に、優先的に配慮をいたしてまいりたい、こういうような計画と、また具体的な行政指導もいたしてまいりたいという政府考えであることを御賢察いただきまして、本立法の措置をぜひお願いいたしまして、いま申しました諸般の重要な問題に至急取り組んでまいりたい、この熱意の気持ちだけでも御賢察いただけますならば、いまの御疑念もおのずから御理解いただけるのじゃないか。局長の申しましたのは、そうした気持ちで申し上げていることも、ひとつ御了察願いたい、こう思います。
  34. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 公共団体がやる事業については、防災拠点だとか、あるいは避難拠点というふうな考え方に立って進めていきたい、こういうことでありますと、たとえて言えば、東京のゼロメートル地帯というところで、台風でも起こったときには困るだろうから、みんなが逃げられる場所を一つつくっておこう、あるいは火事のときには、大震災のようなことが起こったときには、とにかくそこへ避難できるような場所を一部つくっておこう、だが、そのほかの周囲の広い範囲のところのものは従来の悪い住環境でしんぼうしてくれ、万一のときはここへ逃げてきたらいいんですよ、そんなことでは、大臣都市の再開発とはいえないのじゃないですか。やはりわれわれが都市の再開発という限り、庶民がほんとうに人間性を取り戻すような再開発ということを心がけねばならぬ。だから、公営住宅法の改正の問題のときにも、とにかく政府住宅対策に対する金のつぎ方が少な過ぎる、道路にどんどん金を投じて、そのために自動車ブームに追いまくられて、なるほど国民はマイカーでは走っておるが、そのために交通事故はふえる、スモッグはふえる、都心がより一そう住みにくいものになっていく、こういうふうに自動車産業で日本の経済をささえるよりも、住宅産業で日本の経済をささえたほうが賢いのだ、そしてその住宅産業にどんどんと資金をつぎ込むことによって国民の住環境をよくしなさい、こういうようなことを私は言っておるのです。だから、政府がそういう心がまえでやったら、それがよし高いものにつきましても、公営住宅形式で、あるいは公団住宅市街地団地形式でどんどん都心の再開発が進められるのです。ところが、そのような公営住宅や公団住宅として市街地開発をやろうといたしましても、片一方で民間開発組合開発が進んでいく。その組合開発は、処分床を非常に高い値で処分しますから、したがって非常に有利な条件で土地開発をしていきます。そうすると、公団や公共団体といったようないわゆる公的な機関はとても勝負できないのですよ。市街地土地を買って再開発を進めようと思っても、勝負にならないのですよ。みんな民間開発のほうに流れていってしまうんです。結局、民間の開発事業というものが非常に高いマンションペースでもって進められていくというところに問題があると思うのです。この法律の持っておる欠陥を私は強く指摘をいたしておきます。だから、今後の運用について——成立してないのにさきからそんなことを言う必要もないのですが、しかしながら、多勢に無勢ですから、いずれはあなた方のほうが強引に、われわれが何ぼ反対だといっても、押し切って成立させられるのだから、そういうことになったときには、やはりその運用について、十分この法律の持っておるところの欠陥というものを認識して、その上に立った運用をしていただくことを強く要望しておきたいと思います。  それからもう一つ、委員長さっきからもういいかげんにやめぬかというような顔ばかりしておられますし、委員会前に委員長も私にくぎをさしておられますから、もう一点重要なことを確かめておきたいと思うのです。それは権利変換計画の問題です。  この権利変換計画の中に、八十八条第五項に、事業の施行地区の中に借家権を持っておった者は、新たに建て直された家の中にも借家権を取得するということをはっきり書いてございます。ところが、借家権はなるほど保障されておりますが、しかしながら、借家の条件というものは保障されておらないのです。たとえて申しますならば、私、赤坂の宿舎におりますから、日常よく歩いてきます。そうすると、赤坂の溜池かいわいは、近くに霞が関ビルができましたし、また小松の大きなビルもできました。また、あそこには公団住宅も建っております。公団の市街地団地も建っております。都市開発相当どんどん進んでまいっております。だから、やがてはあのかいわいは再開発がされていくだろうと思うのです。ところが、あそこには、小さな、間口二間かそこらくらいの荒物屋さんもありますし、文具屋さんもあり、あるいはそこの横にうどん屋さんもあり、写真屋さんもある、散髪屋さんもあるというような、いわゆる全くダウンタウンの庶民というべき人たちが住んでおるわけです。ところが、そこに再開発が入ってまいりますと——それらの人は、おそらく戦中もしくは戦前からあそこに住んでおるに違いないんですね。また、昭和三十年に私が初めて出てまいりました当時の溜池かいわいというものは、全くの場末でした。溜池という地名はどういうところから出たのか知りませんが、とにかくあのかいわいは、自動車の修理屋なんかがたくさんあって、全く場末のところでありました。ところが、今日ではもう都心的な性格を持ってくるほど変貌いたしてまいっております。しかし、そこには従前どおりのささやかな商売をやって生活しておる人たちが住んでおるのです。それらの人は安い家賃で住んでおると思うのです。戦前からの家でありますから、あるいは戦災を受けたとしても直後に建てられたバラックでありますから、安い家賃で住んでおると思うのです。ところが、今度新たにできたととろに権利床としてかりに家主によって確保されたスペースでありましても、そこに入っていく場合には一体どうなるのか。そうすると、この第百二条によって「借家条件の協議及び裁定」ということで、所有者と借家権者はその条件について協議しなければならぬ。協議が成立しないときには、施行者が裁定するということになっているわけですね。だから、たとえば、いままで三千円か四千円の家賃で住んでおりました。しかし、それは十五坪か二十坪の二階建ての小さい建物です。そこで四、五千円払ってささやかな商売をやっておりました。ところが、今度権利床として獲得するのは、坪二十万くらいの金のいったところの建物の同じ面積が割り当てられるとするなれば、かりにそれが約三十坪として、六百万円ということになります。そうすると、その六百万円に対する適正な利潤を保証しなければならぬというようなことがここに書いてございますが、その裁定をする場合に、そういうふうな形で裁定をするのか、あるいは従来の家賃というものを勘案し、従来の家賃が大体四、五千円で済んでおったのだ、だから、それにほぼ近い、できるならばそれと同じ条件で住めるようにしてやるのか、その辺のことをはっきり具体的にお答えを願いたいと思うのです。新しく権利床として、べらぼうに上がってきたところの地価というものが織り込まれてべらぼうにその財産の価値が増しておるわけですね。それに対するところの適正な利潤という考え方なのか。あるいは、従来持っておった建物、それについては借家権もあり、所有権、借家権というふうなある区分があると思うんですね。だから、そういうふうな比率において大体従来の生活条件と変わらない条件でその新たなるところへ入ることができるのか、その辺のところをひとつ御説明願いたいと思うのです。
  35. 竹内藤男

    竹内政府委員 百二条の問題でございますが、借家条件を裁定いたします際に考えるべき事項といたしまして、賃借りをいたします部分の構造、あるいは賃借り人の職業というようなものについて考慮して定めなければならないというふうに書いてあるわけでございます。具体的に申しますと、施設建築物の一部につきまして整備費が出てまいります。つまり建物のコストというものが出てまいります。コストの償却はいたさなければいかぬわけでございますので、その費用の償却額というものは家賃としての構成要素になってくるわけでございます。そのほか、維持管理費、地代、公租公課、損害保険料というものが家賃の構成要素になってくると思います。一方におきまして、具体の同類型の借家事例における賃料というものを基準賃料と申しておりますけれども、そういうような積み上げによります賃料と、一般的に同種のものがどれくらいの家賃を取っているかというような借家事例における賃料というもの、両方考えて具体的にはきまってくると思います。  ただ、この際申し上げておきたいのは、権利変換によります借家権の取得は法律上保証されておりますので、いわゆる積み上げの賃料の算定に際しましては、こういう考え方から、先ほど申し上げました費用償却額の基礎になります借家及び敷地の価額から従前の借家権価額に相当するものを差し引いたものを基礎にいたしまして家賃の計算をするようにしたい。家賃につきましては二つございまして、一つは、大家さんが出ていって、施行者が家主にかわって借家権を与える場合がございますが、これにつきましては政令で規定をいたすことになっておりますので、その政令の中におきましてはっきりと従前の借家権価額に相当するものを控除するということをうたいます。また、裁定につきましての指導についても、その政令と同じような指導をしていきたい、こういうふうに考えております。
  36. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 それでは、これは相当重要な問題であり、これについて反対の、この法律ができたら困るというふうな声の一つの中に、建物がりっぱに建ち直ったときには家賃が非常に高くなって、そのために、そこに借家権を与えられて住もうにも住めぬようになるのではないかという懸念ですね、そういう心配が、再開発法ができたのではおれたちはひどい目にあうんだというふうな声になって出てきておるわけなんですね。しかしながら、いま局長の御答弁によりますと、その人たちの借家権というものはきちんと守られるんだ、借家権が守られる限りにおいては、借家権部分相当するところの財産を借家人は持っておるんだという考え方に立ち、だからその借家権分だけ家賃は低くなるんだ、言うなれば、従来の家賃とあまり変わらないんだ、変わっても、少しそれが新しくなり、多少そこの条件がよくなった分幾らかの値上がりはあるとしても、生活に重大な影響を及ぼしてそこから出ていかざるを得ぬほど家賃が高くなるということはないんだ、上がったとしても五割か倍までだというふうなことで、従来の生活とあまり大きな変わりなしにそこに住むことができるんだ、こういうふうに理解をしてようございますか。また、その裁定は起業者がやる、その事業主体がやるということになっておりますね。それでいかない場合には、いずれは裁判所というふうなほうにいくのではありましょうけれども、しかしながら、初めは行政的な形で裁定が行なわれるのでありますから、その裁定を行なう場合の行政指導というものが非常に大きくものを言うと私は思うのです。だから、再開発事業が行なわれ、そこに従来住んでおった人がそのまま入れるのだ、こういうことをはっきりさしておいていただかぬことには困るのでありますが、その点もう一度御確認いただきたいと思うのです。
  37. 竹内藤男

    竹内政府委員 いまお答えいたしましたように、従前の借家権価額分は差し引きますので、家主との間で従来極端に安い家賃で入っていた人は別でございますが、普通の家賃で入っていた人につきましては影響が少ないことになるだろうというふうに私ども考えておるわけでございます。
  38. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 それでは、まだお伺いしたいことが残っておりますが、あまり長くなりますので、また次の機会に時間をいただくことにいたしまして、これで私の質問を一応終わります。
  39. 始関伊平

    始関委員長 福岡義登君。
  40. 福岡義登

    ○福岡委員 まず初めに、今回提案されました都市開発法の立法の意義とでもいいましょうか、そういう問題についてお伺いをしたいのでありますが、国土総合開発計画というものが審議会において先般答申されておるはずであります。これは現在どういう段階にあるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  41. 坪川信三

    坪川国務大臣 去る四月三十日に新国土総合開発の試案というものが発表されましたことは、御承知のとおりでございます。したがいまして、この答申に対しまして、政府といたしましては、あらゆる角度から十分協議いたしまして、そうして正式な決定の運びに相なるだろう、こう想像いたしております。
  42. 福岡義登

    ○福岡委員 そこで、国土の総合開発計画というものが固まってきた上で、たとえば都市開発あるいはその他の国土開発というものが一つの方針に基づいて行なわれることが理想的であろうと思う。そういう意味からいえば、今回提案されている都市開発法というものは、もう少し時期的にも内容的にも検討してみる必要があるんじゃないかと思うのですが、どう考えられますか。
  43. 坪川信三

    坪川国務大臣 間もなくそれぞれの答申に対する正式な決定をいたすことに相なることと思いますが、私といたしましては、あの試案が発表されましたそれぞれの問題点につきましてよく究明、また熟読いたした一人でございますが、そのときに私の受けました気持ちといいますか、印象といいますか、建設省がいま考えておりますところの国土開発、また都市開発という基本方針の軸においては何ら変わっていないということでございますので、これの発表あるいは決定いかんによってこれらの問題に対する変化とかあるいは左右されるというおそれはないものと私は深く確信いたしておるような次第であります。
  44. 福岡義登

    ○福岡委員 それならばお尋ねをするのですが、東京都に例をとってみて、東京都というますがあるわけです。現在の人口が御承知のように一千万こえておる。将来、東京都を再開発することによってどの程度のものを入れなければならぬのか、あるいは入れることが可能なのか。そういうように、都市開発といいましても、一定の目標がなければならぬ。いまは東京都に例をとってお尋ねをしておるのでありますが、では大阪は一体どうなのか、あるいは中部圏についてはどうなのかというように、国土の総合開発の立場から考えますと、それぞれ関連をした内容というものがきめられていかなければならぬと思う。そういう点についてお聞きするのですが、東京都を例にとれば、人口からいえば、将来どの程度のものを再開発をすることによって収容できるのか、あるいはしようとしておるのか、そういうものがあろうと思うのでありますが、それをお伺いしたいのであります。
  45. 坪川信三

    坪川国務大臣 政府のとっております国土開発の基本方針は、すなわち、わが国土の均衡のある開発建設でなければならないと考えておる次第であります。これが政府の国土建設の基本方針でございます。  申しましたごとく、生活の上においても、生産の上においても、あらゆる環境において均衡のとれた国土開発、国土建設、国民生活、国民産業、これを私の最終の目標の姿に置きたい、こう考えておるのでございます。したがいまして、いろいろ最終の目標といたします場合において、政府といたしまして、また政治の上において考えなければならぬことは、都市への産業、人口の過度な集中をあくまでも抑制してまいるということが、都市対策の基本方針でなければならぬと私は考えますとともに、過疎化しているところの地方に対しましては、やはりもっとあらゆる総合政策を推進いたしまして、生産と生活の場が魅力のある場になる、地方になるという総合政策を打ち立ててまいりたい、これが私の過密過疎に対する基本方針であります。したがいまして、福岡先生が御指摘になりました、あくまでも抑制してまいりたいという方針でいき、そしてそれに順応する都市計画の推進から都市開発法の御制定を願いたい、こういう方針でまいりますが、いま直ちに、しからば東京都の都市人口の集中というものの見通しあるいは目標ということを——いま結論という目標でなくして、われわれはあくまでそれを押えながらいきたいという方針で進んでおりますことで御了承願いたいと思います。
  46. 福岡義登

    ○福岡委員 直ちに数字的な御説明も無理だと思うのでありますが、考え方としまして、国土の均衡ある開発あるいは過疎の抑制、そういうお話はそれで了承できるのでありますが、都市開発法制定してみましても、新全国開発計画内容を見ましても、現在の人口が一億三百万人くらいのものが、昭和六十年には一億二千万ないし一億二千二、三百万人、こう踏んでおるわけであります。そうすると、その人口はどこに集中するのかということも一応めどがつくわけであります。また、分散させなければならぬという政策もとる必要があると思う。ですから、そういう大ワクのワク組みというものをある程度全国的な立場からきめておかなければ、法律だけつくっても意味がないじゃないか、あるいは組合などを通じてこういう事業を推進させてみましても、具体的な目標のない場合にはその意義は減少するのではないかということを申し上げておるわけでありまして、将来にわたっては一貫したそういう計画というものを立てて推進していただきたいということをお願いしたいわけであります。  そこで、直接都市開発法に関係があるかどうかはわかりませんが、かねてから私どもは、国土総合開発省もしくは庁でもいいのですが、強力な行政機能を備えたものを考えるべきではないかということを常々主張してきたのであります。新国土開発計画も、いまおっしゃったような事情にある今日ですから、この際ひとつ都市開発の問題とも関連をさせながら国土総合開発省というようなものを考えていく必要があると思うのですけれども、その点についてはどういうようにお考えですか。
  47. 坪川信三

    坪川国務大臣 現在のわが国の過密過疎からくるところの諸般の懸案課題が多くあることを憂慮されまして、福岡委員が大所高所に立っての国の政治の方針についての御高見については、私も深く敬意を表し上げたいと思います。  総合開発省といいますか、あるいは国土省といいますか、そういうようなことも真剣に考える段階がきつつあると思いますけれども、いまの時点におきましては、建設省という立場で国土の開発建設に何ら支障は来たさないと思いますが、しかし、さっき申しましたような重要なわが国の問題点が多くあることを考えますと、行く行くは将来において国家が実行に移さなければならない段階に入りつつあるのじゃないかということも想像されますので、政府といたしましても、これらの点につきましては各省庁との連絡を密にいたしながら、それらの対応策にまじめに取り組んでいくことが必要であろうと考えております。
  48. 福岡義登

    ○福岡委員 大体わかりましたが、現在のようなばらばら行政で大きな仕事をしていこうと思えば、非常に無理があると思う。将来早急に、申し上げましたような内容の御検討をお願いしたいということをここで要望したいと思うのです。  次の問題は、都市開発よりも、過疎対策といいますか、分散政策を先行するべきではないかという点についてお伺いしたいと思う。  今日の過疎過密問題は、大臣もおっしゃいましたように、政治課題の中でも非常に緊急を要する課題であります。今回出されております都市開発法によりまして都市開発を行ないましても、その必要性は私どもは認めるのでありますが、投資効率は非常に悪いと思いますし、同時に、それが過疎対策にはつながらない。過密対策には通じますけれども、過疎対策には通じないと思う。ところが、分散政策なり過疎対策という事業考えますならば、それが間接的にではありますが過密対策にもつながっていくと思うのです。同時にまた、限られた資金の投資効率も非常に高いと思うのです。そういう観点から考えまして、都市の再開発の必要性も認めるけれども、まずやらなければならぬのは分散政策であり、過疎対策ではないかと思うんだが、その辺をどうお考えになるか、お伺いしたい。
  49. 坪川信三

    坪川国務大臣 いまの御意見、全く私も同感でございまして、いわゆる均衡のとれた国土建設開発をいたす場合においては、もうぜひとも過疎対策に対する重点政策を打ち出さなければならない。最近の山村、消防の維持する困難になってきておるほどの山村あるいは過疎の不幸な現象を思いますときに、私どもはこの不幸を取り除くといいますか、この対策を打ち出すことが、ひいてはプラスまた都市対策になるということに相なりますので、建設省といたしましては、過般一試案といたしまして計画もいたしておりますが、各地方建設局を中心といたしまして、最も過疎現象の激しい地点を取り上げまして、都市とその過疎を結ぶ道路の問題、あるいは河川の問題、下水の問題、街路事業の問題等、あらゆる政策を総合的に、ひとつモデル地区といいますか、不幸な地区設定いたしまして、標準地を設けまして、そうしてこれに対するそれぞれの対応策を打ち出してまいりたい、それを本年、四十四年度にぜひひとつ実施いたしてまいりたい、こういうような計画を立てており、これの推移によって来年からさらに私は拡大をして、そうしてこの過疎対策の対応策を緊急にいたしたい。これはやはり各省との連絡も非常に必要でございます。もちろん、自治省はじめ関係各省庁と連絡を密にいたしながら、いま福岡委員が強くお述べになり、私も共感を持っておりますこの問題には、建設省も強い姿勢でひとつ積極的にその方途を講じてまいりたい、こう思う次第でございます。
  50. 福岡義登

    ○福岡委員 いまのお話は新聞でも読ましていただきましたし、大体内容承知しておるつもりなんでありますが、これはおくれておるわけですね。都市開発法は五十五国会に出されておるわけです。いまの大臣の御説明なさった過疎対策問題は、最近になってようやく議論が始められたという段階なんですね。相当のおくれを示しておるわけであります。したがって、ピッチを上げていただくということになるのでありますが、自治省は自治省なりにああいう内容を検討いたしております。建設省建設省なりに、いまお話がありましたような構想が検討されておるわけであります。そこで、都市開発と同じように、過疎対策に関する特別立法、そういうものが考えられておるのかどうか。ただ行政のやりくりだけで処理されようとしておるのか、そこのところを——どもは当然立法措置が必要だと思うのでありますが、お聞かせいただきたいと思います。
  51. 坪川信三

    坪川国務大臣 いま御指摘になりました点は、私は、最も必要な問題である、こういうような観点をもちまして、政府といたしましてもこれらの対応策としましての特別立法を講ずべきである、こういうような政府考えで、前向きでもってこれに取り組まなければならぬ。ただ、いま各党間においていわゆる議員立法においてこの措置を講じたいという動きあるいは熱意も非常に高まってまいっておるというようなこともございますので、これらの点をわれわれは非常に期待もいたしておりますので、各党間また政府との間でこれらの動きをよく注視いたしながら話し合いのまとめをいたすべき時期がきておる、また、すべきである、こういうような決意でおる次第でございます。
  52. 福岡義登

    ○福岡委員 わかりました。またこの問題につきましては別の機会にでも意見を述べたいと思いますが、議員立法を待ってということではなくて、積極的に政府のほうでこの問題に取り組んでいただき、各党間の意見調整もしていただいて、早急に前へ進めていただくようにお願いしておきたいと思います。  次の問題は、分散政策で具体的なものについてひとつお伺いしたいと思います。  これはたしか首都圏整備事業だと思いますが、学園都市を筑波山ろくに建設をしていく。住宅公団かどこかで事業をやっておると思うのでありますが、相当以前にこの話は出ておるのでありますけれども、今日なおそれが具体化していないように思うわけであります。たいへんおくれておると思うのでありますが、どういう程度まで進んでおるのか、お伺いしたいと思います。
  53. 坪川信三

    坪川国務大臣 筑波学園都市建設ということは、わが国の未来に対する、また首都圏整備に関連する非常に重要な問題であり、昭和三十七年にその方針決定いたしたということから、茨城県の地元当局においては非常な協力と犠牲をわずらわしておる。土地提供に対しましても、もう八九%の土地提供をいただいておる。しかるに、その間において、首長であるところの村長さん等が、不幸な、住民との板ばさみになられて死を選ばれたというような悲劇すら、この問題に関連して起きておるということを考えますときに、私は、首都圏整備委員長としましても、また建設大臣という立場からも、この問題に対しては、政治の姿勢上放置するなんということは許されぬことである、こういうような気持ちと熱意を持ちまして、就任いたしまして、年が明けますとともに、私は閣議において発言をいたしまして、政府決定いたし、地方住民にかかる犠牲を求めながら放置するなんということは政治の許された姿ではないから、われわれ政府において責任をもってこれに対する協力体制をいたさなければならぬという発言をいたし、佐藤総理も非常に心配され、また強力な指示もいただきましたので、おかげで、三十六移転機関の中において、昭和四十七年までの前期において各省の間においてはもう十三機関が移転を決定いたしていただいたというような状況でありますとともに、残りの機関につきましては、通産省及び文部省に対しましてもそれぞれの主管大臣に私は強く要請いたしまして、すみやかなる決定を要請いたし、もう時日を要せずして文部省も通産省も具体的な方針決定する旨の回答をいただいておるというようなことでありますとともに、私はさらに現地に参りまして、そして知事あるいは関係市町村長に対する感謝と敬意を表しながら、今後の政府における方針を開陳いたしまして、地方の各位にも非常に喜んでもいただき、期待もいたしておる。これは私は当然の政治行動だと思っておるのでございます。そうしたことをやる場合においては、やはり受け入れ体制の場をりっぱにつくってあげるということが非常に重要な問題であろうと思います。したがいまして、本年度は住宅公団におきましては約十七億の事業費をもって住宅対策に力を入れる、いわゆる都市環境整備に力を入れなければならぬということで、下水の問題、それから街路の問題、それから住宅の問題、これに四十四年度は重点を置き、また道路の拡幅整備ということで——私も汽車で土浦でおりて参りましたが、上野をたちますと現地へ行くまで一時間二十分かかる、そうすると、子供さん等の教育の問題もありますし、学校の問題等も出てくる、宿舎の問題も出てくるということで、私は受け入れ体制の整備を急いで、安心して喜んであの学園都市筑波山ろくに来ていただいて、りっぱな人間形成あるいは研究の場の環境をつくっていただかなければならぬ。私はそのときに現地に住宅公団の総裁も連れてまいりまして、住宅公団の施設部長あるいは総裁にも指示いたしたのは、ここへ移転をしていただく方々は大体学究の徒が多いのだから、やはりこの静寂な頭脳環境都市にふさわしい住宅の設計も特別考えるように、言いかえますならば、技術者が多いことを考えるときに、その中に静かな研究室を配慮した住宅をつくるような設計をせよという指示をいたしました配慮もここにあります。いま実際に地震研究所その他はもう工事を始めております。建設省もそれぞれ移転計画を進めて事業に入りたい、こう思っておりますので、七年までに十一機関、残りの二十五機関は残り五年度にいたして、そして学園都市建設を実現いたしたい、こういう方針で私は指導いたしておることにおいて御了承いただきたい、こう思います。
  54. 福岡義登

    ○福岡委員 たいへんおくれておると思いますので、促進をしていただきたいということを強く要望しておきたいと思います。  それから、各機関が移転しましたあとの取り扱い、利用の問題、具体的にまだおきめになっていないと思うのでありますが、いやしくもこれらが民間の特定企業に払い下げられることがないように、たとえば都営住宅を建てるとか、あるいは住宅公団住宅を建てていくとか、有効な土地利用を考えていただきたいということを要望しておきたいと思う。
  55. 坪川信三

    坪川国務大臣 非常に大事な問題ですからお答えいたしておきたいと思いますが、この移転後の公有地の活用ということは、都市計画の上において、また住宅対策の上で非常に大事なことでございますので、大蔵大臣に対しましても私は閣議において要望いたしましたのは、この土地を大蔵省が売って、その財源をもって充てるというようなさもしい根性だけは私は絶対受けられないという発言までいたしまして、この活用に対しましては、都民のしあわせを願う立場での活用をいたしてまいりたい、こういう方針であることを御了承願いたいと思います。
  56. 福岡義登

    ○福岡委員 次の問題ですが、現在いろいろな開発事業が行なわれておるわけであります。その事業が過疎過密を促進するような方向で行なわれておる場合があるわけであります。たとえばダムの建設事業がそれであります。ダムの建設事業というのは、その事業内容からいたしまして、道路事業などと違いまして、一定の地域を、しかも相当広く利用しなければならぬということになるわけであります。したがって、ほとんどの場合、一つの部落あるいは多いときには二つも三つもの部落が水没地域になってしまうという場合が多いわけであります。そういう場合にどういうことになっておるかといいますと、高いか安いかの相違はありましても、補償をもらってそれぞれがどこかへ分散をしていく。大部分の人々は、転業をするために、いなかでは転業のいい先がないので、大体都会のほうに親類縁者、知人をたよって出ていっておると思うのであります。そこで、去年でしたか、この委員会で私も意見を述べたのでありますが、この種の事業を行なうときには、そういう金銭補償だけではなくて、それにかわる、水没をする部落にかわるようなものを開発いたしまして代替補償でもやっていく、つぶれる農地は、農地造成をする、水没する宅地は、宅地造成をする、学校もりっぱなものを考えていくというように、適当な地域を選定しまして、水没する地域にかわるべき部落を建設して代替補償をしていく、そういうことになれば、過疎対策にもなりますし、過密対策にもなると、同じ払う用地補償その他の金の使い方にしても有効になってくると思います。ところが、現在まではそういうことがあまりやられた例がないわけであります。金銭補償で各戸に補償をされて、そこでしまいということになっておるのでありますが、ぜひ今後は、この間知事会でも意見が出たようでありますが、そういう制度を確立していただきたい。それは過疎対策にもなるし、過密対策にもなるし、国土の開発ということにもなるし、悪い面は一つもないわけであります。ぜひそういう方向について必要ならば立法措置も講じていただきたいと思うのでありますが、どういうようにお考えになるか。
  57. 坪川信三

    坪川国務大臣 福岡委員の非常に真摯な御意見、私も非常に敬意を払ってお聞きいたしました。  私も就任いたしまして以来、ダム建設に対する現地の造成の問題については、全く福岡委員と同じ考え指導をいたしておるような次第でございまして、不幸な犠牲になられた地域住民に対する単なる補償金だけ、金さえあげればもうあとは放置すればいいんだというような方針でなくて、そのダムを建設することによってそこの土地の一つの大きな観光の資源にいたすとか、あらゆる措置を講ずべきであるというようなことを、水資源公団に対しましても、また河川局に対しましても私は指示をいたしました。先般高山ダムの竣工式に行ってまいりましたときも、御承知のとおりに、有名な百人一首にも出る梅の名所の地域の、風景その他においても非常な日本のよさのあふれた山村地域でございましたが、幸いにいたしましてそれらに対する配慮がこまかく行なわれて、古木の梅を移植いたしまして新たな名所を造成している姿、あるいは新たな道路をつくって、ダムを中心とした大きな観光開発をいたしている姿、そして住宅に対しましても、その山村から離れずに新たな景勝の地を選びながら部落づくりをやっておる、この姿を見ましたときに、私は非常にうれしさを感じた次第でございます。したがいまして、私がいま申しました方針をもってダム建設に関連する、過疎問題に関連する重要な——ことに、私から申し上げるまでもございませんが、ダムを建設するところは最も過疎の激しいところでございますので、ただ金だけやってあとは放置するというような無理解な施策は講じないよう、こまかい配慮と、また指導をいたしておることによって御了承願いたい、こう思います。
  58. 福岡義登

    ○福岡委員 行政措置でそういう妙味を生かしていただくということもけっこうなのでありますが、やはり制度として立法化する必要があるのじゃないかと思う。どこだったか例は忘れましたが、建設省は前向きでいま大臣がお答えになりましたような作業を進めようとしたけれども、文部省その他の省との意見調整ができないために、途中で相当計画を縮小せざるを得なかったという話も聞いておるわけであります。部落が移転をするということになれば、当然、学校その他の問題も関連してくるわけでありますから、ここでは単なる行政措置ということではなくて、そういう特別の立法が必要だと思うのでありますが、その点について……。
  59. 坪川信三

    坪川国務大臣 わが国の災害その他不幸な事件が数多く頻発しておることを考えますときに、治山、治水、利水ということは、私は、水対策の非常に根本をなす問題である、その解決の根源はダム建設にある、こう考えます。このダム建設に対しては、何といっても、地方地域住民の協力を得ずしてはこれは建設できないということになりました場合に、これを促進する意味からも、単なる行政指導竹なくして、いまおっしゃったような何らかの立法措置を講じましての開発事業制定を行なうということは、関係府県知事その他市町村の非常に要望されている問題点であることも私は承知いたしており、福岡委員のまことにごもっともな御意見の御開陳についても、私はそうした気持ちで傾聴いたしておるような次第でありまして、これらの点についてはひとつ前向きの姿勢で十分考えてまいりたい、こう考えております。
  60. 福岡義登

    ○福岡委員 早急に促進をしていただきたいということをお願いしておきます。  時間もなくなったんですが、次は、法案の具体的な内容についてお伺いをしたいと思うのであります。  先ほど岡本委員からも御質問があったと思うのでありますが、住宅建設目標設定の義務についてであります。「住宅不足の著しい地域」云々、こう書いてあるのでありますが、この住宅不足の著しい地域は、どういう基準に基づいてだれが認定をするのか、その基準というものが非常に問題だと思います。住宅不足の著しい地域、どういう基準でだれが認定をするのか。
  61. 竹内藤男

    竹内政府委員 法律上は、市街地開発事業に関する都市計画をきめますのは、都道府県知事でございます。したがいまして、知事計画設定をいたします場合に判断をし、それが多くの場合は建設大臣の認可にかかる、認可の際に、そういう地域において住宅建設目標が適正に定められておるかどうかというのをチェックする、こういうことになろうと思います。それから、内容といたしましては、先ほど岡本委員の御質問にお答えしたとおりでございますが、やはり具体的に地域を、こういう地域住宅不足の著しい地域に該当するんだということを明示してやりませんと、都市計画をいたします場合に、知事が適当にここは住宅不足が著しい地域でないという判定をするおそれもございます。私どもといたしましては、法律制定されました暁において、通達におきまして明らかにしていきたい、こういうふうに考えております。
  62. 福岡義登

    ○福岡委員 それに関連いたしまして、「確保されるべき住宅の戸数」というのがあるわけであります。そこで、これは非常に重要な問題だと思うのであります。冒頭大臣にもお伺いしましたように、六十年を想定いたしまして新国土総合開発計画というものがいま答申をされておる。ですから、全体的な視野に立ちまして、住宅が不足をしており、その地域なりその都市においてはどの程度の戸数が確保されなければならぬのかという計算は、その地域だけでの計算は非常にむずかしいと思うのであります。これこそ大ワクがきまっておらなければ、将来計画と関連をさせて考える場合に、適切な戸数というものは割り出せぬと思うのでありますが、その辺はどういうように作業をされようとしておるのか、お伺いしたいと思います。
  63. 竹内藤男

    竹内政府委員 先ほど申し上げましたように、その地域におきましては建物現況というのがございます。それから、その地域におきます住宅不足というのは、現在住宅建設五カ年計画でそれぞれ地域ごと住宅不足数というものをつかんでおりますので、そういうものを考えながら、その地域においてどれだけの住宅を再開発事業として確保するかというのをきめてまいるわけでございます。岡本委員にお答えいたしましたように、地域の性格によって違ってくると思いますが、住居地域等であれば、権利者に与える分は、これは権利者がいままで使っていたような用途の建物にしなければならぬと思います。それ以外の余裕分につきましては、住宅地域でありますれば、原則として住宅にする、商業地域でありますれば、上に乗る部分原則として住宅にしていく。先ほど四階以上と申し上げましたが、そういうような方針住宅の戸数を再開発事業によって確保していくということを考えておるわけでございます。
  64. 福岡義登

    ○福岡委員 いまの点は十分理解できないのですが、相当問題があることだけは間違いないと思います。  次の問題ですが、参加組合員についてであります。これも岡本委員から質問が出ておりましたが、参加組合員として、不動産会社などが営利を目的として入ってくる心配が多分にあると思うのであります。それをどうやって防止するか。参加組合制度を考えられたのは、民間資金を活用するという立場からだと思う。ですから、善良な、普通の者が参加組合員として入ってくる場合はいいといたしましても、営利を目的にした不動産会社などが入ってくることは相当警戒する必要があるのじゃないかというように思うのですが、その点はどう考えられますか。
  65. 竹内藤男

    竹内政府委員 参加組合員という制度は、実はこの再開発事業は、先ほど申し上げましたように、権利者に対しましては新しい建物の床をいわば無償で与える、したがいまして、余裕の床を売って事業費をまかなうというのが仕組みでございます。したがって、最後になって建物余裕部分を売って資金を回収すればいいわけでございますが、やはり組合事業を施行してまいります場合に、資金が円滑に入ってくることが必要なんです。そこで、最後に売る処分床をあらかじめ売ってしまう、建たないうちに売ってしまう、そしてその資金を参加組合員として組合に参加させる、組合の中に組み込みまして、負担金をとるという形で資金を出させていくということを考えておるわけでございまして、いわば青田売りと申しますか、できない建物をあらかじめ売り、相手方を参加組合員として参加をさせていく、こういう考え方でございます。それが組合自体の仕事の遂行上非常に理不尽なことをやりはしないかということでございますが、参加組合組合でございますので、表決権は一票でございます。しかも定款でこれを定めることにいたしております。定款で定めます場合には、当然権利者の同意を得るわけでございます。組合自体が定款で参加組合員を入れるかどうかということをきめるわけでございます。そして権利者の同意を得る、こういう形にいたしております上に、さらに知事の認可にもかけていく、そういうことによりまして、参加組合員が入りましたことによって組合が変な形にならないようにという配慮をいたしているわけでございます。
  66. 福岡義登

    ○福岡委員 時間がありませんので、この問題は留保しまして、もう一つだけお伺いしておきたいと思うのでありますが、都道府県知事組合事業代行を職権で決定する場合、申請があって代行する場合はそう問題はないと思いますが、職権で決定する場合が定められておるわけなんです。どういうことを想像しておるかということが一つであります。  それからもう一つは、補助金と資金のあっせん——政令で補助金については定めるとあるわけです。資金のあっせんというのは、一体特別なものが考えられておるのか、あるいは現行制度のそれぞれを活用するように道案内なり助言をしてやろうという程度のものか、その辺をお伺いしておきたいと思います。
  67. 竹内藤男

    竹内政府委員 再開発事業は、あらかじめ権利者土地なり建物なりを新しい権利に変え、あるいは消滅させるということをいたしまして、そして工事にかかって、そして建物をつくって、そして建物の権利がまた権利者なり組合なりに帰属するという形で行なわれるわけでございます。したがいまして、建物はこわされてしまったけれども家が建たないということになりますと、これはもう非常にひどいことになるわけでございます。そこで、組合自体がやってまいります際に、この法律におきましては非常に厳重な知事の監督規定を置いておりまして、特に事業促進につきましての命令まで出せるという規定をいたしておるわけでございます。どうしてもそういうふうな監督規定だけでは事業の推進をはかることができない、組合がどうにもにっちもさっちもいかないという場合が出てくる。多くの場合は資金がなくなるとかいうようなことが出てくるかと思います。そこで、組合理事者にかわって知事なり市町村長なりが組合の事務を代行するという規定を置いたわけであります。同時に、公共団体の債務保証の特例を設けまして、その組合事業代行が始まりました以後の組合の債務について公共団体が債務保証ができるというふうに規定を置きました。そうしてその債務保証を知事の代行によりまして必ず建物をつくり上げるのだということを保証したいというのが、この制度のねらいでございます。したがいまして、組合のほうに働きかけて、もうこの辺でひとつ知事代行にしたらどうかという場合もございましょうが、どうしても聞かなくても権利者のために知事が職権で乗り出すという場合が出てくると思います。  それから補助金の規定がございますが、補助金と資金のあっせんがございますが、資金のあっせんと申しますのは、通常、法律的には、資金の融通と申しますと、政府資金を貸すという場合をさすように使われております。あっせんといいますのは、たとえば政府関係機関が融資をするというのを、あっせんという形で法律上呼んでおります。したがいまして、現在考えておりますのは、住宅金融公庫におきます中高層融資あるいは中小企業振興事業団による融資、その他いろいろな政府関係機関がございます、そういう融資を考えております。それらの融資の中で、特に住宅金融公庫の中高層融資につきましては、優先的に再開発事業に対しては融資をするということを考えております。
  68. 福岡義登

    ○福岡委員 きょうのところは、時間がございませんので、以上で終わりたいと思います。
  69. 始関伊平

    始関委員長 次回は、来たる十四日委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時四分散会