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1969-05-07 第61回国会 衆議院 建設委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年五月七日(水曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 始関 伊平君    理事 天野 光晴君 理事 大野  明君    理事 金丸  信君 理事 草野一郎平君    理事 田村 良平君 理事 井上 普方君    理事 佐野 憲治君 理事 吉田 之久君       伊藤宗一郎君    池田 清志君      稻村左近四郎君    進藤 一馬君       丹羽喬四郎君    葉梨 信行君       廣瀬 正雄君    古屋  亨君       堀川 恭平君    山口 敏夫君       阿部 昭吾君    岡本 隆一君       金丸 徳重君    島上善五郎君       福岡 義登君    小川新一郎君       北側 義一君  出席国務大臣         建 設 大 臣 坪川 信三君  出席政府委員         建設政務次官  渡辺 栄一君         建設省都市局長 竹内 藤男君         建設省住宅局長 大津留 温君  委員外出席者         専  門  員 曾田  忠君     ————————————— 五月六日  委員小川新一郎辞任につき、その補欠として  大野潔君が議長指名委員に選任された。 同月七日  委員金丸徳重君及び大野潔辞任につき、その  補欠として八百板正君及び小川新一郎君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員八百板正辞任につき、その補欠として金  丸徳重君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 四月二十五日  建築基準法の一部を改正する法律案内閣提出  第一〇五号) 同日  自転車道整備等に関する法律制定に関する  請願天野公義紹介)(第五三五五号)  同(石野久男紹介)(第五三五六号)  同(加藤清二紹介)(第五三五七号)  同(鹿野彦吉君紹介)(第五三五八号)  同外一件(後藤俊男紹介)(第五三五九号)  同(佐々木更三君紹介)(第五三六〇号)  同(佐野憲治紹介)(第五三六一号)  同(斉藤正男紹介)(第五三六二号)  同(實川清之紹介)(第五三六三号)  同外一件(戸叶里子紹介)(第五三六四号)  同(古川喜一紹介)(第五三六五号)  同(矢尾喜三郎紹介)(第五三六六号)  同(八木一男紹介)(第五三六七号)  同(山崎始男紹介)(第五三六八号)  同(山本幸一紹介)(第五三六九号)  同(山本弥之助紹介)(第五三七〇号)  同(伊賀定盛紹介)(第五四八一号)  同(岡本隆一紹介)(第五四八二号)  同(田中榮一紹介)(第五四八三号)  同(高田富之紹介)(第五四八四号)  同(楯兼次郎君紹介)(第五四八五号)  同(中曽根康弘紹介)(第五四八六号)  同(中野四郎紹介)(第五四八七号)  同(平岡忠次郎紹介)(第五四八八号)  同(広川シズエ紹介)(第五四八九号)  同外三件(藤尾正行紹介)(第五四九〇号)  同(帆足計紹介)(第五四九一号)  同(柳田秀一紹介)(第五四九二号)  同(和田耕作紹介)(第五四九三号)  同(渡辺芳男紹介)(第五四九四号) 同月二十八日  自転車道整備等に関する法律制定に関する  請願有田喜一紹介)(第五六一一号)  同(石川次夫紹介)(第五六一二号)  同(勝澤芳雄紹介)(第五六一三号)  同(神近市子紹介)(第五六一四号)  同(佐野進紹介)(第五六一五号)  同(広沢賢一紹介)(第五六一六号)  同(堀昌雄紹介)(第五六一七号)  同(堀川恭平紹介)(第五六一八号)  同(三木喜夫紹介)(第五六一九号)  同(依田圭五君紹介)(第五六二〇号)  同(玉置一徳紹介)(第五六六四号)  同(八百板正紹介)(第五六六五号)  同外二件(吉田泰造紹介)(第五六六六号)  同(小川三男紹介)(第五八〇五号)  同(小林信一紹介)(第五八〇六号)  同(多賀谷真稔紹介)(第五八〇七号)  同外二件(吉田泰造紹介)(第五八〇八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  都市開発法案内閣提出第七六号)(参議院  送付)  建築基準法の一部を改正する法律案内閣提出  第一〇五号)      ————◇—————
  2. 始関伊平

    始関委員長 これより会議を開きます。  内閣提出都市開発法案議題といたします。
  3. 始関伊平

    始関委員長 まず、提案理由説明を求めます。坪川建設大臣
  4. 坪川信三

    坪川国務大臣 ただいま議題となりました都市開発法案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  最近における都市への人口集中による過密化と不合理な土地利用とによりまして、都市機能は低下し、都市環境は悪化しつつありますが、これに対処いたしますためには、工場等の分散、副都心整備流通業務地の再配置都市施設整備、新市街地開発等の諸施策を講ずる必要があることはもとよりでありますが、これらの諸施策とともに、この際新たに都市における再開発を強力かつ円滑に推進するための制度を確立することがぜひとも必要であります。  現在、都市の再開発に関する法制としては、公共施設整備に関連する市街地改造に関する法律防災建築街造成法等があり、それぞれ効果を発揮してまいったのでありますが、いずれも都市の総合的な再開発のための手法としては不十分であり、これらを統合整備して、都市の再開発のための新たなる体制手法とを盛り込んだ法律制定が望まれていたのであります。都市の再開発は、建築物公共施設とを一体的に整備することにより、必要な道路公園駐車場等を備え、土地が合理的かつ高度に利用された健全な市街地の形成をはかろうとするものであります。  今回、この法律案によりまして、市街地の再開発に関する都市計画及びその施行者市街地開発事業における権利処理方式等市街地計画的な再開発に関し必要な事項を定め、時代の要請にこたえることといたした次第であります。  以上がこの法律案提案理由でありますが、以下この法律案要旨を御説明申し上げます。  第一に、市街地開発事業は、建築物容積率最低限度及び建築面積最低限度が定められた高度利用地区内にあることその他の一定の要件に該当する地区において施行することができることといたしております。  第二に、市街地開発事業に関する都市計画におきましては、市街地開発事業の名称及び施行区域のほか、公共施設配置及び規模並びに建築物及び建築敷地整備に関する計画を定めるとともに、住宅不足の著しい地域における市街地開発事業に関する都市計画においては、住宅建設の目標を定めなければならないことにいたしております。  第三に、市街地開発事業は、都市計画事業として施行することとし、その施行者は、市街地開発組合並びに地方公共団体及び日本住宅公団といたしております。  そのうち、市街地開発組合につきましては、事業施行地区内の土地所有者及び借地権者の三分の二以上の同意を得た上、都道府県知事認可を受けて設立されることといたしておりますが、なお、その事業の継続が困難となる場合の措置として、都道府県知事または市町村長において事業を代行することができることといたしております。  第四に、市街地開発事業手法は、従前の土地及び建物についての権利を新しい建築物とその土地に関する権利に円滑に変換せしめつつ建築物共同立体化公共施設整備をはかるものでありまして、事業施行地区内の関係権利者権利は、原則として、権利変換計画の定めるところに従い、本事業によって整備される土地共有持分または施設建築物の一部とその施設建築物のための地上権共有持分変換されることにいたしております。  第五に、関係権利者権利を保護するため、施行者権利変換計画を定めるにあたっては、審査委員または市街地開発審査会の議を経なければならないこととするほか、公衆の縦覧に供して関係権利者意見書を提出する機会を与えなければならないこととし、さらに建設大臣または都道府県知事認可を要することにいたしております。  第六に、市街地開発事業を促進する措置として、事業に必要な資金について国または地方公共団体は、補助金の交付、資金融通等の配慮をすることとし、施行者は、事業によって整備される重要な公共施設管理者に対して費用の負担を求めることができることとするほか、地方税法租税特別措置法等の一部を改正し、本事業に対する課税上の特例を定めることにいたしております。  第七に、この法律制定に伴って、都市計画法等の一部を改め、用途地域内の市街地において高度利用地区を設けることができることとするとともに、公共施設整備に関連する市街地改造に関する法律及び防災建築街造成法を廃止することとし、これに必要な経過措置を定めることといたしております。  以上がこの法律案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願い申し上げます。
  5. 始関伊平

    始関委員長 以上で本案趣旨説明は終わりました。      ————◇—————
  6. 始関伊平

    始関委員長 次に、内閣提出建築基準法の一部を改正する法律案議題といたします。
  7. 始関伊平

    始関委員長 まず、提案理由説明を求めます。坪川建設大臣
  8. 坪川信三

    坪川国務大臣 ただいま議題となりました建築基準法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  建築基準法は、建築物敷地構造設備及び用途に関する基準を定めたものでありますが、法制定以来二十年近くを経過し、その間の社会情勢変化建築技術進歩等により実情に沿わない点も生じてまいりましたので、次のような事項について改正を行なおうとするものであります。  第一に、都市における建築物用途純化土地高度利用の促進に関することであります。  建築物用途規制につきましては、都市の秩序ある発展に資するため、住環境の保護の強化を主眼として用途地域純化をはかることといたしました。すなわち、低層住宅地としての良好な環境を維持するための第一種住居専用地域中高層住宅地としての良好な環境を維持するための第二種住居専用地域近隣住宅地のための日用品店舗が立地する地域としての近隣商業地域等を新たに設けることといたしました。また、住居地域においては、特殊浴場を排除するとともに、公害を伴う工場制限を強化することといたしました。  建築物形態規制につきましては、土地の合理的な高度利用をはかるため、建築物の高さの制限原則として廃止し、これにかえてそれぞれの用途地域の特性に応じた容積率による制限とすることといたしました。さらに、第一種住居専用地域及び第二種住居専用地域においては、新たに北側隣地建築物の日照、採光、通風等を考慮した高さに関する斜線制限を設けることといたしております。また、都市における建築物敷地が狭小化している実情にかんがみ、現行の建蔽率の制限を緩和することといたしました。  第二に、建築物防災基準に関することであります。  最近相次いで発生した旅館、ホテル等火災による人身事故実情にかんがみ、室内の仕上げ材料制限する建築物の範囲を拡大するとともに、火災が発生した場合の避難及び消火が円滑に行なえるよう、新たに排煙設備、非常用照明装置及び非常用進入口設置基準を設けることといたしております。また、三十一メートルをこえる高層建築物には、新たに非常用昇降機設置を義務づけることといたしました。  第三に、執行体制整備に関することであります。  建築基準行政の適正な執行を確保するため、人口が二十五万以上の市は建築主事を置かなければならないこととするとともに、その他の市または町村においては、知事と協議の上、建築物全般に関する事務または小規模な建築物のみに関する事務について、これを執行させるため、建築主事を置くことができることといたしました。  また、違反建築に対処するため、新たに建築監視員制度を設け、管内を巡回して違反建築物使用制限、工事の施工の停止等を命ずる権限を行なわせることとするほか、違反是正を命じた場合において必要があるときは、現場に立て札を立てる等によりその旨を公示する制度を設けることといたしました。  第四に、この改正に伴って都市計画法等の一部を改めるとともに、この法律施行に必要な経過措置を定めることといたしております。  以上がこの法律案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願い申し上げます。
  9. 始関伊平

    始関委員長 以上で本案趣旨説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ります。      ————◇—————
  10. 始関伊平

    始関委員長 再び都市開発法案議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、これを許します。山口敏夫君。
  11. 山口敏夫

    山口(敏)委員 ただいま坪川建設大臣から都市一再開発法案についての御説明があったわけでございますが、私は、この法案を拝見いたしまして、都市一つのこうした低迷といいますか、非常に住みにくい状態にある一つ都市をどういう形で再開発していくかという点について、たいへん画期的な法案ではなかろうかというふうにまず感じるわけであります。日ごろ総理も、発想転換というようなことを盛んに言われておりますけれども、こういう一つ発想転換というものが、大臣等のこの法案に対する一つ姿勢に感じられるわけでございます。特に私は、どちらかといいますとセクト主義的な権限というものを役所の中に拡大していこうとする官僚機構の中にあって、この再開発法案が、民間に対しても非常に大幅な権限といいますか、その連携の上に都市を再開発していこうという点については、非常にけっこうなことでないかというふうに思うわけでございます。さらに、竹内局長が書かれた論文にもございますけれども、公共団体等には、予算の制約もあり、資金的な余裕はない、しかも起債等制限されておるし、いろいろ人員等における制約もある。また、特に事業化されやすい商店街の再開発などの場合においては、店舗の配列であるとか、あるいは資金効率算定等経常面においては、役人の経験ではわからない面もあるし、また人的にもその能力に乏しいというような——非常に大胆な、いままでの役所の方の発想には見られないような一つ姿勢で、都市問題というものについて、何とか住みよい都市にしていこうという姿勢が感じられますことは、たいへんけっこうなことではなかろうかというふうに思うわけでございます。  そこで都市の再開発ということになるわけでありますけれども、その最も基本的な問題から、政府はじめ建設当局がどういう形で都市というものに対して理解をしておるのか。都市への人口集中による過密化と不合理な土地利用とにより部市機能が低下をしておるということになっておるわけでありますけれども、まあ非常に未来論も現在盛んになっておるわけでありますが、おそらく、二十年、三十年前における都市役割りとか目的あるいはその性格というものと、現在と、さらにこれから十年後、二十年後にわたる都市機能というものは、それぞれ時代によりあるいは社会的な背景により多少のニュアンスの変化というものはあると思うのであります。  まず、都市問題を論ずる前に、その基本的な問題点であるところの都市機能ということに対してどういうふうなお考えを持っておられるのか、その辺からお伺いをしていきたい、かように思うわけであります。
  12. 坪川信三

    坪川国務大臣 山口委員都市化の不幸な現実を十分把握されまして、本法案に対する御意見をいま深く傾聴いたしておるようなわけでございます。  何と申しましても、この無秩序な都市過密化に対する生活環境整備、また住宅環境整備、その他関連するところの諸施設整備、これをはかることが、目下の緊急の都市開発要務であろうと私は考えるのであります。かく考えますときに、土地の高度の利用あるいは職住近接、あるいは住宅その他都市環境整備を行なう場合におけるところの土地高度利用と、また、高層化によるところの土地高度利用と、また住宅施設と三者一体にいたしましてこの不幸な過密化都市の現象を是正していく、開発していくということは、最も緊急の要務であろう、こう考えまして、御承知のとおり、ただいま趣旨説明にも申し上げましたように、いわゆる都市構造の改変といいますか、都市構造変換を来たす措置を講ぜなければならない。副都心部建設とか、あるいは流通業務団地整備とか、あるいは幹線交通施設を行なうとか、あるいは都市高速鉄道あるいは都市高速道路主要道路整備などをいたしまして、市街化にわたるところの住宅共同化市街地土地有効利用ということによりまして、いわゆる横でなくして、縦に伸びました姿で施設土地住宅等拡充整備をはかるということが本法の制定のねらいであるということを御了察願いたいと思います。
  13. 山口敏夫

    山口(敏)委員 いま大臣からおっしゃられましたように、公害であるとか、あるいは住宅難であるとか、あるいは交通戦争であるとか、非常に都市機能というものが麻痺をしておる。さらに、そうした過密にあえぐ都市と同時に、過疎の問題もまたわれわれの前に大きく提起されておる。こういうような現状から、国土総合開発審議会で新全国総合開発計画というものがついこの間発表されたわけでありますけれども、この一つ計画と、それから建設省における都市計画法あるいは再開発法案との連携といいますか、その辺の意見調整というものはかなり十分行なわれたわけでありますか。
  14. 坪川信三

    坪川国務大臣 御指摘になりました第五次全国総合開発試案に関連する建設省といたしましてのとるべき都市開発並びに都市計画推進、これは一体——といいますか、全く不離不即の立場からこれらに対する措置を講ぜなければならぬ、こう考えており、私も一応あの試案につきまして熟読をいたしているわけでありますが、それらの点については十分示唆に富んだ議論が展開されておることを読むにつけましても、私はこれらの点を十分踏まえまして都市開発都市計画推進をいたしてまいりまして、正常な住宅環境整備、また快適な商業地区の育成、また、道路あるいは公園その他に対するところの整備をはかってまいりたいと、こう考えております。
  15. 山口敏夫

    山口(敏)委員 私は、過密の問題一つ見ましても、過密地帯、いわゆる人口増世帯増等地帯は、都市のみならず、ヘレン・ケラーならぬ二重、三重の苦しみを背負っておると思うのです。その無計画な、あるいは無秩序な人口増というものが、どんどん新しい土地を求めてやってくる人々にも、しわ寄せといいますか、期待を裏切るような結果になり、また、いままで住んでおった方々に対してもそのしわ寄せがくるというようなことで、非常に過密の問題というものはわれわれもはだで感ずるほどの苦痛を伴っておるわけです。これは、都市のみならず、いわゆる首都圏であるとか近畿圏一つドーナツ状のところにもそうしたしわ寄せというものがきておる。しかし、その過密という問題も、この総合計画を見ると、最終的には、いわゆる二十年後等の社会においては非常に情報社会になるというふうなことをうたっておるわけですね。その情報社会ということをわれわれがわれわれなりにしろうと的に分析をしますと、情報社会とは何かということになりますと、いわゆる人間のコミニュケーションというか、人が集まって、住んで、そうして意見を交換し合う、その中から情報が出てくる、そういう点からいうと、非常に逆説的かもしれませんけれども、過密も善なり、要するに過密社会こそ、情報社会一つのトップをいく社会形態であるというようなことも考えられるわけです。  そこで、われわれは、しからばそうした国の立場における一つのビジョンが情報社会というものになるんだということを言いつつ、実際面においては過密生活都市機能も非常に低下して、そしてまた苦しい生活もしておる。非常に哲学的あるいは未来論的質問なんですけれども、過密情報社会、いわゆる自分たちが進んでいくべき社会一つの方向とのバランス、この辺はどうなっているか、局長にお伺いをしたいと思うのです。
  16. 竹内藤男

    竹内政府委員 たいへんむずかしい問題でございますので、やや私見にわたるかもしれませんけれども——全国総合開発計画は、現在の社会情勢を踏まえてできていくのではないかと思います。その場合に問題になりますのは、情報都市でなければ、あるいは大都市でなければ得られないということでは——やはり単に所得がふえるからとか、あるいは生活が快適になるからというだけで都市に集まるわけではないということは最近いわれております。したがって、全国的な交通網通信網というものを整備して、地方においてもその情報が享受できるような形にするということを一つねらっているのではないか、そういうふうな形におきまして、いわゆる過密を避けながら情報社会の恩典に浴していくというような形をねらっているのではないか、はなはだ私見で申しわけないのでございますが、私はそういうふうに考えているわけでございます。
  17. 山口敏夫

    山口(敏)委員 いわゆる都市集中というか、その辺の総合的なバランスのとれたわが国の国土開発というものはもちろん大切でありますし、そうしてもらわなければならないわけでありますけれども、この都市開発法によって住宅難や何かも非常に解消される、いわゆる都市住宅を持ち、職場住居近接するということによって交通難等も緩和されるし、それから住宅難も多少解消されるのではないか。確かにそういう点はあると思うのです。しかし私は、これは自分の持論なんですけれども、むしろ、これからの若い人たちは非常に合理的でありますし、またそういう計画に対して非常に期待するところもあろうと思うのですけれども、いわば人間社会生活を営んでいく上において、あるいは精神的な面における情操的なあるいは精神的な気分を高める土においては、むしろ、職場住居近接というものは、非常にとげとげしいというか、何かあまりにもリアリズム的過ぎて、何かゆとりとか、あるいは情緒とか、生活をゆっくり楽しむとか、そうした面における人間性の喪失というようなことにもつながっていくのではないか、したがって、もちろん、住居職場近接というものは、これは一つ政府機能というか、国の立場推進をしていかなければならないわけでありますけれども、やはり相対的な問題だと思うのです。両面からやっていかなければならない。立体的な一つ都市開発と同時に、平面的な開発というものもしていかなければならないんじゃないか。その辺の計画一つのプログラムというものをどういうかね合いでお進めになっておるのか、その辺もお伺いしておきたいと思います。
  18. 坪川信三

    坪川国務大臣 山口委員の新鮮な政治感覚から御指摘になりました点、どうあるべきかという問題、私は非常に重大な問題だと思います。  御承知のとおりに、引退いたしましたドゴールさんが、三年前だったかと思いますが、もうあと二十年ではおそらくパリ人口は全人口の五分の四を占めるであろう、それに対するパリ都市計画に対する設計というものに政治の上で深い関心と施策を与えなければならぬという観点から、パリ都市建設、再開発に指示を与えたということを私は記憶いたしておりますが、つい先日もフランスの大使と話し合ったときに、そうした悩みといいますか、苦しみといいますか、前途を憂えられた都市計画についての話をされ、もう二十年後には五分の四になってしまうであろうということからくるフランスの大きな政治上の問題点がある。私は、他山の石というような気持ちでなくして、ほんとうにわれわれ日本の国もこうした姿できますと、都市への人口集中というものはフランスと同じような姿になるのじゃないか、こう思いますと、過密対策も大事であり、また過疎対策も非常に重要である。いわゆる格差なき、均衡ある国土の建設ということが非常に重要な問題であると思います。とともに、都市開発都市計画推進にあたりましても、私は、やはり均衡のある都市環境づくりということが大事である、こういうような見通しを思うときに、いまの現状を見ますと、都市の中心部が全く空洞化してしまっておる。御承知のとおりに、この付近にある永田町小学校とか、銀座にある泰明小学校などは非常に減ってまいっておる。また、中学校などが在籍生徒数が非常に減ってしまっておる。こういうようなことを考えますときに、空洞化しているところの中心部に対する住宅対策及び諸対策が必要である。これを一つのねらいとして、再開発法審議をお願いしている気持ちもここにあるのでございます。とともに、病める現象の都市といいますか、全く病的になってしまっておる、これを清純な姿に戻すということが、私は都市開発都市計画の重要な役割りであり、またかくあるべきことは当然だ、こう思うような次第であります。空洞化いたしますとともに周辺地区が非常にスプロール化して無秩序になってきておるというようなことを思いますと、快適な商業地区、快適な住宅地区、快適な公園あるいはその他の公共事業推進というようなものを総合的に見て、格差なき都市建設が必要である、こういうような気持ちから本立法の御審議をお願いいたしておる気持ちを御了察いただき、山口委員の御意見も私は全く感銘して聞いておるような次第であります。
  19. 山口敏夫

    山口(敏)委員 快適な商業地区であるとか、あるいは快適な都市づくり、当然そういう形になっていってほしいわけでありますけれども、そうした公共施設設備等に関しましても、これは大臣はじめ建設当局の基本的な話を聞きましたものですから、また法案等の内容に触れていきたいと思うのですけれども、私は、この法案の特色の一つであると思われるものは、民間の非常に積極的な参加を呼びかけておるということではなかろうかと思うのです。これは余談でありますけれども、実際はこういうふうな形の、たとえば三分の二以上ですか、その賛成があれば、土地収用法ではないけれども、あれと同じような一つ権限というか、効力を発揮できるということは、そのくらいしなければなかなか都市開発というものはできないと思うのですね。けれども、昔われわれが小さいときに——大臣も映画をよく見られるかどうかわかりませんけれども、子供時代に映画を見ると、終戦のやみ市のようなマーケットで庶民が細々と生活をしておる、そこへあんちゃん風の、土方風のお兄さん連中がなぐり込んできて、ばたばた取りこわしをして、そこにキャバレーをつくるとか、何をつくるということで立ちのきを強制する、庶民は団結して立ち上がって自分たち土地を守るというような映画がだいぶ昔の映画にありましたけれども、そうした映画の光景を思い浮かべるまでもなく、みんなが組合で、全員が一致して再開発のためにこの細いあるいは空間をもっと利用しようじゃないか、もっと効率的な土地利用をしようじゃないかということで意見がまとまる場合はけっこうですけれども、特に、地方と違って、都会の場合には——これは地方であっても、区画整理の問題一つとってみても、当然憲法で保障されているとおりでありますけれども、かなり最近は自己主張が強く、なかなか事業推進できない、そうした時期において、都会においては地方より以上にそうした一つ意見の主張というものは強いものがあるのじゃないか。しばしば、こういう組合でこういう計画でこういう土地利用をしようじゃないかということをいっても、それに対する反対だとか異論というものが相当出てくるんじゃないか。そうしますと、いわゆる個人の権利であるとか、あるいは私有権の尊重であるとか、その辺の法律的な解釈にまで私は立ち至ると思うのですけれども、どの程度強い効力を発揮して、いわゆる反対しておる方々あるいは拒否をしておる方々に対して呼びかけられることができるのか、その辺もお伺いしたい。また、どうしてもいやだという立場の人に対してはどういうような道が開かれておるのか、その辺もちょっとお伺いをしておきたいと思うのです。
  20. 竹内藤男

    竹内政府委員 先生御指摘のとおり、私どもとしましては、少なくとも街区単位、ブロック単位ぐらいで再開発を進めていかなければ都市の中に有効な空地もとれないということで、そういうことを考えているわけでございます。先生御指摘のように、やはり中にはどうしても全員同意でその仕事を進めることができないという場合がございます。そういう方々に対しますいわば説得力の根拠といたしまして、私どもは、三分の一以下の反対がありましても組合を設立することができる、そうして組合ができましたならば、そこの地区権利者の方々は全員組合員になる、こういう仕組みを考えたわけでございます。法律的には、したがいまして、発起人が組合設立の認可を受けます際に、権利者の三分の二以上の同意をとるわけでございます。三分の二以上の同意があれば、その定款なり事業計画なりにつきまして権利者の意見書を提出させ、それについて審査をいたしますと都道府県知事認可をする、こういう仕組みになっておりますので、法律上は、三分の一以下の反対がありましても強制的に組合の設立ができるということになっています。実際問題の運用といたしましては、先ほど申し上げましたように、できる限り全員の同意をとるような運用をいたしまして、どうしても聞かない場合に、少数者の同意がなくても組合が設立される、こういう運用の形にはなろうかと思いますが、法律上はいま申し上げましたとおりでございます。それから、組合ができましていよいよ事業を始めるということになりますと、その事業、つまり建築工事を始めます前に権利変換処分というものをやるわけです。それにつきましては、権利変換計画というものを立てまして、そうしてこれにつきましても関係権利者意見を聞き、さらに知事認可を得て、権利変換計画に基づいて権利を新しい権利に変えてしまうということをやるわけです。これにつきましては、組合の内部機関でございます総会なりにかけて進めていくわけでございます。したがいまして、総会の決定でございますので、これは多数の方の同意があれば、それで権利変換が進む、こういう形になります。
  21. 山口敏夫

    山口(敏)委員 私、正確には記憶していないのですけれども、西ドイツですか何かには、空閑地不利用税というのがあって、この通りは六階建て以上の建物を建てなければいかぬという一つ法律があって、それが二階なり三階建ての建物しか建っておらないと、空閑地不利用税というものが取られるという法律があると承っております。そういう一つの点から、むしろそういう強力な施策をやらないと、なかなか都市機能を最大限に活用するというわけにはいかないと思うのです。ぼくらがしろうと考えで見ておりましても、たとえば青山通りにしましても、あるいはオリンピック関係の道路拡張等の道路を見ておりましても、せっかくのチャンスに、せっかくどかして改装している建物が、みな二階建てとか、高くても三階建てなんですね。非常にもったいないと思いながら、ああいうふうに建て直しをするときにどうして高いビルを建てないのだろうかというふうに非常に残念に思ったし、また、建設省としてはあれをどういうふうな形にか指導できないのだろうかというふうに思ったわけですけれども、やはりああいう一つの現象を見ても、なかなかセクト的で、日本人の発想というのはどうも自己中心的であって、周辺整備の問題についても、美観の問題についてもな、いわけじゃないけれども、どうしても自分中心にして考えやすいわけです。そういう一つの典型が、せっかくああしたチャンスに——法案があろうがなかろうが、人に指導されようが、されまいが、何人かの人が寄り集まって相談をすれば、非常に大きな七階建て、八階建てのビルができるわけですが、それをしないで、わざわざせせこましいものをつくっておるということは、そうした一つのいや応ない性格的なものが、本質的なものがあると思うのです。やはりそういう面から見ても、都市開発法というものをかなり順調に進めていくためには、いま言いました空閑地不利用税じゃないけれども、そういう側面的な、それをバックアップするような法律や何かがあれば、再開発というものはなお一そう円滑に推進をされるのではないかというふうに考えるわけです。その辺のかね合いの法案というか、アベック的な、進めるための法案というものについては考えていないわけですか。
  22. 竹内藤男

    竹内政府委員 先生御指摘のとおり、確かにいま先生の申されましたような共同建築をなかなかしないということがございます。それを側面的に援助するような制度が考えられないかという問題でございますが、一つ考えておりますのは、この法案の中で都市計画法建築基準法改正いたしまして、高度利用地区というものを設定することになっております。高度利用地区と申しますのは、できる限り土地を高度に利用してもらおう、つまり建築物の容積を上げてもらおうという地区でございます。ただ、容積だけ申しますと、先生御指摘のように宅地が非常にこま切れでございますので、こま切れの宅地に細長いビルが建ってしまうということになりますので、最低の建築面積制限いたすことにいたしております。したがいまして、一定規模以上の底面積を持って、一定率以上の容積を持たなければならないということを都市計画地区として強制する地区制度を今度つくったわけでございます。その地区制度をかけておりまして、その中で、当然、民間の方々が共同で建物をお建てになるというような形で民間の建築が行なわれます場合には、それにつきましては、譲渡所得税の減税でございますとか、固定資産税の減税というようなことをやっていく、同時に、融資のあっせんも、国及び地方公共団体であっせんの努力をしなければならない、こういう規定を入れております。つまり、減税と融資という措置によりまして、民間建築が高度利用地区の中でその制限に基づいて大きく建てられていくことを促進していこう、こういう地区制を設けているわけでございます。  問題は、さらにその上に、利用していないところについて、あるいは利用のしかたが少ないものについて、たとえば空閑地税なり低利用税なりをかけるかどうかということでございますが、これにつきましては、もう従前からこの委員会で問題になっておりまして、私どもといたしまして、現在どういう制限をかけていけば税金が取りやすい方法でこの仕事が進められるかということを検討中でございます。問題は、その建築の促進をはかる地区をどういうふうに定めるか、また、空閑地というものの認定をどういうふうにしていくか、さらに、空閑地といいましても、いろいろ利用されている場合、農地として利用されている、あるいは駐車場として利用されている、あるいは工作物の敷地として利用されているというようなものをどういうふうに扱うか、かなり技術的な問題がございます。それから土地につきましても、土地を筆、つまり登記で押えるのか、あるいは実態で押えるのかという問題がございます。そういう点についていま検討中でございます。成案ができれば、またいつかの機会に国会で御審議をお願いしなければならない、そういうふうに考えております。
  23. 山口敏夫

    山口(敏)委員 私は、決して税金を取るのが目的ということじゃなくて、「天と地」じゃありませんけれども、やはり天と地は万民が共有するものであるという一つ発想から、土地の効果的な活用というか、使用のためのいわゆる方法論をいろいろな角度から検討をいただいて、ひとつその推進をしていただきたいというふうに思うわけです。特に民間の方でこうした一つ事業に率先して御参加をいただき、そしてさらに都市の再開発のための御協力をいただく方々がどんどん出てきていただくことを私は期待するわけですけれども、そうした積極的な社会参加というか、開発意欲の旺盛な民間の方々がかりにおられても、最終的には、いま局長からも言われたような税金の問題と融資の問題に尽きるんじゃないかというふうに思うわけです。これは、大蔵省や何かは、せっかく——これは都市ではございませんけれども、いわゆるドーナツ状といわれるような首都圏とか近畿圏の近郊等の地区土地の問題に対して、むしろ、何となく、土地を手放すと結果的には経済的な面から見るとどうも割りの合わないというような税制もあったわけですね。それでは、幾ら土地の公共性とか、土地はすべての人たちが共有する。いわゆる私有は認めつつも共有すべき性質のものなんだということを言っても、そうした税制の面におけるバックアップであるとか、あるいは法律的な面における一つのバックアップであるとか、そういうものがなければ、なかなか長年先祖代々から後生大事にかかえておった土地を手放すというわけにはまいらないと思うわけですね。ですから、そういう土地一つの効果的な使用の問題においてもそうですけれども、先ほど言いましたように、たとえば、再開発法案が通って、そうして都市機能を活発にするための御参加をいただいた場合の減税の問題あるいは融資の問題も、一つの表面的な面においては局長も触れましたけれども、やはりどういう形でこれを——大蔵省がきょうはいませんけれども、大蔵省のほうの立場から、税制の面においてはどういう形で便宜をはかろうとしておるのか、また、資金を調達する面においても、一般の市中銀行を考えてみたときに、やはり経済の実情を見てみましてもなかなかむずかしいのではないか、また、非常に新しい制度でもありますし、その辺の啓蒙もおくれておれば、なかなか一般の市中銀行がこれらの問題に対して積極的に参加をしてくれるかどうか、そういうことも非常に大きな問題じゃないかというふうに思うわけです。この法律が強力に推進をされるためには、これは大臣も熱心に都市の再開発についてお考えをいただいておるわけでありますから、どうしても政府関係の金融機関の別ワクの融資ぐらいつくるんだ、その窓口をつくってこの法律をひとつ存分に都市の中において生かしていくんだというものがなければ、これは絵にかいたもちであって、実際上はなかなか——これは質問するつもりでおったのですけれども、時間の関係もありますから申し上げてしまいますが、前に二つできた法律と同じように、今度の再開発法が古くなってまた別の法律ということで、法律一つの自己満足のような形で、実際上はいつまでたっても都市のいわゆる有効的な活用というものができ得ないというふうに思うわけです。特にアメリカなんかにおいては、この再開発事業費については、連邦負担が一二%、市当局が六%、民間が八二%というようなことが書いてありますけれども、やはりそれぞれが負担して整備を進めておる現状になっておるわけですね。もちろん公共団体の負担も必要でありますけれども、たとえば八百屋さんとか、あるいは魚屋さんがみんな寄り集まって、じゃ今度新しい法律ができたから、こうすんべえやと言っても、なかなかこれはすぐにビルが建てられて、空間を利用されて都市機能を満足させるというわけにはいかないと思うのですね。ですから、その辺の熊さん、八つぁんもやはり気軽にこの法律利用されて窓口に行って相談して、じゃこのほうが得じゃないかということを言えるようなサービスも——せっかく局長が言う、もう役所の段階でやるのでは限界があるんだ、だからひとつ大いに民間の力を貸してもらって、そして民間と建設当局都市問題関係等が全く一体感をもって再開発をするんだという前向きの姿勢を存分に生かされるようにするためには、やはりそうしたほんとうに気やすく窓口に声をかけて、何でも気軽に相談できて、またその融資の面においても、税制の面においても、これこれこういうメリットがあるんだということがすぐわかるような、あるいはまた、応援できるようなものがなければいけないと思うのですね。その辺に対する大臣の、この法律推進の上の決意と、それから実際面においてはどういった一つのメリットを融資の面あるいは税制の面でやろうとされておるのか、すでにもうその内定されているものがあるならば、その辺も含めてお答えをいただきたいというふうに思います。
  24. 坪川信三

    坪川国務大臣 山口委員の、いわゆる土地問題からくる都市の細分化といいますか、このまま放置いたしました場合には、共食いというような虫食い状況になってしまう、全く私もその憂いをともにする一人でございます。御承知のとおりに、今後大都市への建築投資などは二十年間で十六兆円に及ぶというようなことを予想されます場合に、何と申しましても、大都市が細分化されて、そして道路は全くクモの巣のごとく小さな私道までがふえまして、これからくるところの子供の不幸等も考えますときに、また生活環境の不幸なども考えるときに、私はこの法案の大きなねらいというものはこう考えているのでございます。もう山口委員承知のとおりでございまして、全く同感でございます。すなわち、土地を買わないで空中権をなるべく利用していきたいということが第一。その次は、やはり人の流れというものを、横でなくして、縦に持っていくということでこの不幸をなくしていきたい。また、補償方式につきましては、いわゆる価格補償でなくして面積主義にいきたいということ、そしてある程度住宅に対する義務づけをいたすというようなことが、私は、この法案一つの大きなねらいでもあり、そうでなければ、今後の細分化していく都市の不幸というものは非常な問題になる、こう思うときに、私は、前段で申し上げましたごとく、土地と建物と施設を一体化した秩序のある市街化都心部及び副都心部、周辺地区計画してまいりたい、こう考えておりますので、全く同感でありますとともに、この法律制定をいただきましてからの運営並びに推進ということが、私は都市過密対策の一つのバックボーンとして非常な期待と——また運用を誤ることによって都市の細分化、無秩序、スプロール化ということを来たすことを考えるときに、私は、そうした点に対する財政裏づけ措置をどうすべきかというようなことも、これは真剣に考えてまいりたい、こう考えておりますので、これらの問題点については前向きの姿勢をもって積極的に財政措置も講ずるような配慮を行政上財政上いたすべき時期は必ず到来するものでもあり、その準備をいたすべきである、こう考えておる次第であります。
  25. 山口敏夫

    山口(敏)委員 そうすると、融資等の点につきましては、一応別ワクでこの法案に伴ってこれだけの一つ政府融資的なものを考えるとか、あるいは特にこういう機関を窓口にして便宜をはかるとか、その辺の具体的な検討はまだされていないわけですか。
  26. 竹内藤男

    竹内政府委員 先生おっしゃいました融資の点でございますが、融資につきましては、一つは、住宅金融公庫の資金の中に中高層融資というものがございます。中高層融資のワクの中でこの再開発事業につきましては再優先に考慮するということを考えます。それから、商店街等の近代化を伴うような中小商店街改造の場合には、中小企業振興事業団が融資をいたしております中で考えるわけでございます。その他、ものによりましては中小企業金融公庫なり国民金融公庫あるいは商工中金というようなところの融資も考えられるわけでございます。  われわれといたしましては、その融資措置のほかに、補助制度をつくりたいということで、この法案にも補助制度が規定されているわけであります。これは少なくとも現在防災街区で行なっておりますような補助、これは大体六%でございますが、それくらいの補助は確保していきたい。さらに私どもの希望だけ申し上げますと、この補助制度の中身を充実させてまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。  それから窓口の問題でありますが、窓口は、これは私どもが指導いたしまして、市町村とか、あるいは東京でいいますと特別区というようなところに窓口を設けまして、再開発の指導は、商工担当の部局あるいは地方の商工会議所等とも連携をとりまして指導をしてまいりたい、こういうふうに考えるわけでございます。
  27. 山口敏夫

    山口(敏)委員 いま局長さんがおっしゃったように、この法律を実際的に運用していくためには、あくまで融資の問題が一番大きな点ではないかというふうに思うわけでございます。いろいろお伺いしたい点はまだ何点かございますけれども、この法案には多少まだ行き届かない点——というよりも、むしろもう少し強力なものを何点か含めなければならないというような感じも私は持っておりますが、いままでのわが国における都市計画事業推進の上におきましては、非常に画期的な法案一つではなかろうかというふうに思いますし、大臣はじめ建設当局の努力に対して敬意を表するわけでありますけれども、とにかく、この再開発法案ができる前にこれを補うべく実際上運用しておった二つの法律の面でも見られるように、それぞれ事業はやりましたけれども、成功した例と失敗した例からすれば、いろいろ問題点もあったのではないかと思うわけです。要は、法案ができたことに対する満足ではなくて、実効がなければ何の意味もないわけでありますし、特に、この間の全国総合計画ですか、そうした面から見るように、都市集中化というか、都市に対する国民のあこがれとか、あるいは仕事とかいう面における使用目的というものは非常に増大をしてくるわけでありますし、ますます都市への集中化が盛んになってくるわけであります。それは地域的なレベルの面もあるし、全国的なレベルの面においてでもあるし、いずれにしても都市機能というものをいまの時点において存分に解決をしておかないと、いずれ都市過密を通り過ぎていわゆるスラムにもなりかねないような状況をわれわれは考えて、一つのビジョンを打ち出していかなければならないわけでありますし、そういう一貫した姿勢のあらわれではなかろうかと思うわけでございますが、ひとつこれらの法案をより強力に推進されんことを期待いたしまして、私の概述的な質問を終わらしていただきたいと思います。
  28. 坪川信三

    坪川国務大臣 山口委員が未来の都市開発都市計画都市建設というイメージのもとにおいて御指摘になりました諸点につきましては、また励ましをいただきました点につきましては、私ども建設行政のそれぞれの責任者の立場から、十分御期待に沿うよう、法の制定をいただきました以上は、運営その他に万遺憾なきを期したいと考えておる次第であります。
  29. 始関伊平

    始関委員長 次回は、来たる九日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時四十分散会