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1969-04-18 第61回国会 衆議院 建設委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年四月十八日(金曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 始関 伊平君    理事 天野 光晴君 理事 草野一郎平君    理事 田村 良平君 理事 井上 普方君    理事 佐野 憲治君 理事 吉田 之久君       伊藤宗一郎君    池田 清志君      稻村左近四郎君    進藤 一馬君       丹羽喬四郎君    葉梨 信行君       廣瀬 正雄君    古屋  亨君       堀川 恭平君    森下 國雄君       山口 敏夫君    阿部 昭吾君       岡本 隆一君    金丸 徳重君       北山 愛郎君    内海  清君       小川新一郎君    北側 義一君  出席国務大臣         建 設 大 臣 坪川 信三君  出席政府委員         大蔵大臣官房審         議官      細見  卓君         大蔵省主計局次         長       相沢 英之君         建設政務次官  渡辺 栄一君         建設省計画局長 川島  博君         建設省都市局長 竹内 藤男君         建設省住宅局長 大津留 温君  委員外出席者         建設省住宅局調         査官      沢田 光英君         自治省財政局財         政課長     首藤  堯君         自治省税務局固         定資産税課長  山下  稔君         専  門  員 曾田  忠君     ————————————— 四月十八日  委員山崎始男君及び内海清辞任につき、その  補欠として北山愛郎君及び池田禎治君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員北山愛郎君及び池田禎治辞任につき、そ  の補欠として山崎始男君及び内海清君が議長の  指名委員に選任された。     ————————————— 四月十七日  都市開発法案内閣提出第七六号(予) 同月十六日  自転車道整備等に関する法律制定に関する  請願浦野幸男紹介)(第四一九二号)  同(大村襄治紹介)(第四一九三号)  同外一件(山口敏夫紹介)(第四一九四号)  同外一件(渡辺美智雄紹介)(第四一九五  号)  同(石田幸四郎紹介)(第四一九六号)  同(大橋敏雄紹介)(第四一九七号)  同(広沢直樹紹介)(第四一九八号)  同(樋上新一紹介)(第四一九九号)  同(伊能繁次郎紹介)(第四四二四号)  同外二件(江崎真澄紹介)(第四四二五号)  同(大竹太郎紹介)(第四四二六号)  同(河村勝紹介)(第四四二七号)  同(始関伊平紹介)(第四四二八号)  同(田中伊三次君紹介)(第四四二九号)  同(高橋清一郎紹介)(第四四三〇号)  同(南條徳男紹介)(第四四三一号)  同(前尾繁三郎紹介(第四四三二号)  公営住宅法改悪反対に関する請願外一件(島  本虎三君紹介)(第四四三三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地価公示法案内閣提出第六二号)  土地価格抑制のための基本的施策に関する法  律案内海清君外一名提出、第五十八回国会衆  法第二〇号)      ————◇—————
  2. 始関伊平

    始関委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地価公示法案、及び、内海清君外一名提出土地価格抑制のための基本的施策に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。岡本隆一君。
  3. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 政府地価対策一環として地価公示法案を出してこられましたが、昨年の十一月に、地価対策閣僚協議会が、「地価対策について」ということで一応決定事項をつくっておられます。それにつきまして、私はきょうはそれを主体として大臣並びにその他関係各省の御意向をお伺いいたしたいと思うのでございますが、その前文の中で、非常に暴騰しておるところの地価は「住宅難をはじめとして国民生活産業経済の両面にわたって深刻な問題を惹起しており、」こういうふうなことが冒頭に書いてございますが、もちろん、住宅難については、これはきわめてわかりやすい問題でございますが、産業経済面地価がどのような影響を与えておるかということについて、建設大臣並びに大蔵省から、それについての御見解を承っておきたいと思います。
  4. 坪川信三

    坪川国務大臣 御指摘になりました、昨年閣議了承になりました地価対策閣僚協議会においての前文に指摘されているこれの問題につきましては、地価高騰による住宅難ということが国民生活に非常な深刻な影響を与えているということは、お話しのとおりでございます。また、それのみならず、産業経済の面においても非常な影響を及ぼしておるということ、すなわち、いわゆる公共用地取得ということに関連いたしまして、その公共事業投資効率が非常に低くされているということ、さらに、民間の各種産業設備投資に対する土地取得費というものがその占めるウエートも非常に大きくなってきておる、また、工業製品等の原価の上昇をもたらすばかりでなく、産業における適切な立地を困難にする等、経済面においては非常に大きな影響を与えておることを見ますときに、ぜひともこうした観点から地価安定策を推進いたすべきことは当然の施策だと考えて、いまの法案の御審議をわずらわしているのは、その一環としてお願いいたしておるような次第であります。
  5. 相沢英之

    相沢政府委員 産業経済地価対策が重要なことは、ただいま建設大臣から御答弁ございましたと私ども全く同じ意見でございますが、特に公共事業の執行上の問題としましても、現在、土地取得費が、公共事業の、全国で約二割、都市におきましては約四割を占める、しかもその比重が年々高まっているというような状況におきましては、この立ちおくれておりますところの社会資本整備促進する面におきましても、地価に対して対策を強力に進める必要があるというふうに私どもは考えております。
  6. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 地価高騰産業経済に及ぼすという今日のいろいろな影響力というものを考えていくときに、私は、やはり地価が非常なインフレ促進の一番大きな要因になっておるのではないか、こういうふうに思うのです。現在、昭和三十年ごろに比べまして消費者物価は倍ぐらい。ところが、日銀の卸売り物価指数なんかを見ていきますときに、三十年と四十三年と比べますと、卸売り物価は、三十年を一〇〇としますと、一〇八・九というふうな数字が出されております。卸売り物価は横ばいです。しかしながら、消費者物価指数は倍ぐらいになっているのではないか、私はこう思っております。ところが、市街地価格になりますと、三十年を一〇〇といたしまして、四十三年の九月の指数は一〇七三、つまり十倍になっておる。そうすると、物価は倍だが、しかしながら地価は十倍になっておるということですね。この異常な地価の値上がりというもので、企業にとりましても非常に大きな含み資産を持っておるし、地価が上がってくるから、勢い負債をどんどん背負ってそれで設備投資をどんどんやっていくというふうな形で、今日のいろいろの設備投資の過剰によるところのいわゆる景気の過熱、こういうようなものは地価暴騰というのが大きな要因になっておる。だから、いま日本のどんどん進んでいくインフレを押えようと思ったら、地価抑制をやらなければだめなんだというふうに私どもは考えておるのでございますが、大蔵省はそういうふうな問題についてどのように理解しておられるのか。いまの日本経済信用インフレを押えるには、地価抑制以外にない、こういうふうに私は思っておるのでございますが、大蔵省ではどういう見解を持っておられますか。
  7. 相沢英之

    相沢政府委員 地価に対する抑制対策を講ずる必要のあることにつきましては、私ども全く同じ意見でございます。ただ、地価がどうしてこのように上がるかというその原因を考えてみますと、根本的には、限られた土地に対する需要供給関係でございますから、これがきめ手になるという対策はなかなか求めにくいのではないか。したがいまして、いろいろな面から総合的に対策を進める必要があるのではないかというふうに考えております。
  8. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 対策はないではないが、やらないだけであると思うのです。きょうはいろいろそういう問題についても議論をしていきたいと思っておるのでありますが、主計局次長審議官もお急ぎのようでありますから、一応大蔵省についてお尋ねいたしたいことを先にお伺いしていこうと思いますが、地価対策として、それではこの公示制度というものが地価を押えるどのような効果を持つかということでございますが、これは、私どもはこれよりもむしろ税制のほうに大きな期待を置いておる。ところが、その税制が一向われわれの期待しておるような税制というものの改革が出てまいっておりません。今度大蔵省では土地税制改正をおやりになりましたが、なるほど多少の効果はございます。たとえば、短期保有土地に対しては今度は相当重課されるということですね。このことは思惑買いを押えるというような効果はございますけれども、個人の長期保有土地について分離課税にする、それと一緒に累進的に税率を上げていくというふうな制度でございますが、これは六年の間に二〇%まで進んでいくわけでございますが、こういうことではあまり大きな効果を期待できない。むしろ、じっと持っておって地価の上がるのを待っておったほうが、二〇%払ってもはるかに有利である。御承知のように、今度都市計画法が六月から実施されます。そういたしますと、いままで都市周辺の農地へどんどん出ていっておったところの開発エネルギーが、もう都市周辺のいわゆる市街化調整地域へは出ていくことができなくなる。そうすると、限られたところの狭い市街化地域、十年以内に都市化するというふうな方針のもとにきめられたところの市街化地域の中だけより宅地開発ができないことになります。そうなりますと、その市街化地域宅地開発エネルギーがどっと集中してまいりますから、地価暴騰するのです。そうすると、二年間ならば一〇%ですよ、さらにもう二年間は一五%、六年たてば二〇%になります、だから早く売りなさい、こう言ったところで、もう二、三年の間に倍にもなるんだったら、別にそんな税制はどうでもいい、税金二〇%払ったところでそのほうが有利だ、こういうことになってまいりますが、そういうような点、都市計画法の実施に併うところの開発エネルギー都市集中、それに伴うとこの地価暴騰というものを勘定の中に入れてこの税制をおつくりになったのか、そんなことと無関係にこの税制をおつくりになったのか、これをひとつ伺いたいと思うのです。
  9. 細見卓

    細見政府委員 最初に、分離課税にいたしましたのは、先ほど相沢次長からもお答えいたしましたように、土地需給関係からいたしまして、現在は供給されるほうが強くて、需要者のほうにいろいろな負担なり何なりがかかっていく、そういうことで、結局、大量の土地供給できるようになるべく安い税負担にすることが、ひいては需要者の、少なくとも全国的に見ました限りは、かなりの効果があるだろうというのが一つでございます。  それから、私どもたびたび申し上げておりますように、土地税制と申しますものは、やはり売買があるところで初めて働く税制でございますので、もちろん固定資産税は別でございますが、税制でできますことというのはおのずから限られておる。したがって、私どもは、この間におきまして土地需給関係が相当改善されるような基本的な施策が同時にとられることを強く期待いたしまして、一方、いま分離課税をいたしておりますと同時に、市街地等におきます面開発と申しますか、広い開発促進できるような施策もあわせ、つまり、交換に際しまして課税をしない、そういう形でどんどん面開発ができるような施策をあわせ講じておるつもりでございますが、おっしゃるように、土地税制ですべてが片づくというようなことは考えておりません。
  10. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 いまあなたの言われる分離課税にしたことは、ある程度これはいわゆる誘い水になります。土地供給を豊富にするための誘い水にはなります。しかしながら、その誘い水になる税率以上に地価が上がったのでは、やはり持っていたほうが得だから、勢い、遊ばせておる土地を吐き出させるような方法をとらなければいかぬ、そういう意味からは、保有に対して課税をしなければいかぬ。いまあなたの言われるのは、流通過程におけるところの課税だけを考えておられて、保有に対するところの課税というものを非常に軽視しておられるということですね。もちろん、これは固定資産税というふうな考え方もありますし、あるいはまた、保有に対して課税していくというふうな考え方、その他のまた違った考え方保有に対して課税するというふうな考え方もあると思うのでございますが、この保有に対して課税するということは、固定資産税制度があるから、大蔵省の知ったことじゃない、こういうことはないと思うのです。大蔵省は、固定資産税をも含め、流通にかけるか、あるいは保有にかけるかというふうな、土地に対する課税の全体的な体系というものについては、むしろやはり大蔵省が指導的な位置にあって税制をきめていかれるのではないかと思うのでございますが、地価抑制するための税制ということにつきましては、流通過程にかけるか、あるいは保有に対してかけるかという、このことが非常に重要だと思います。保有課税大蔵省はもっと積極的な態度をとっていただきたい。私はいつもこのことを主張しているのでありますが、どうですか。
  11. 細見卓

    細見政府委員 たびたび岡本先生に御激励をいただいておりまして、この空閑地税とかあるいは未利用地税とかというような名前で呼ばれております土地高度利用に対する奨励的な、あるいは逆に、低度利用に対する懲罰的な税制というようなものにつきまして、過去、一昨年の七月から昨年の七月まで一年にわたりまして各方面意見を聞き、私どもも基本的に、流通課税を安くする過程において、土地税制としては、低度利用保有と申しますか、保有課税をある程度強化するということが、いわば二本の柱であるということは十分了解いたしまして、土地利用税創設ということにつきましては、今後といえども、各方面土地政策が確立されまして、これが空閑地であるということが確立いたした場合には、われわれは税制でお役に立つならば考えていいという態度で基本的に研究いたしております。  なお、しかし、それまでに至ります過程におきまして、固定資産税負担もさることながら、固定資産税評価がまちまちであって、それがいろいろな意味土地の上にも悪い影響を与えておることも事実のように思いますので、これは自治省の所管のことではございますが、ぜひしっかりした公平な評価をしていただきたいということを強く要望しておる次第でございます。
  12. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 いま審議官の言われましたように、保有課税ということについてもわれわれも考えていないではない、それにはある程度の前提条件があるんだ、そのことは、この閣議了承地価要綱の中にも出ております。4の「未建築地利用促進」の項目の中に、保有に対して課税をするとするなればどういう土地について課税するかというふうな、いわゆる建築熟地という熟語が使われておりますが、建築熟地についての定義がなければいかぬ。だから、やはりそういうふうなゾーニングを先に建設省でやってくれというふうな話し合いが進んでいるやに聞いておるのでございますが、その話し合いの経過、そして大蔵省としてはどういうふうな条件が満たされるならば保有課税に踏み切っていいということを考えておられるのか、その大蔵省の出しておられる条件、そういうものをお示し願えたらけっこうだと思います。
  13. 細見卓

    細見政府委員 非常にむずかしい問題でございますので、私どもが一応の条件として考えておりますものも、ほんとうに役に立つといいますか、実行可能なものであるかということについては、なお今後検討いたさねばならないと思いますが、いやしくも税でございますから、未利用地というものが何であるかということについて、将来裁判とかなんとかいうような問題が起こってもそれにたえ得る、税で申します課税標準としての正確さということが第一に必要であろうと思います。その意味におきましては、何が未利用地であり、また、どの程度の利用が強制されるものといいますか、最低限度利用であるかということについてのはっきりした——そこへぼっと行って土地を買った人でも、これはこういう規制がある土地だということがおのずからわかるというようなものがあって、それがいわば網の目のように、大体それぞれの土地売買にあたってわかるというようなことになっておることが一方で必要であり、また、空閑地税を課さないといいますか、目的外利用というものについて行政的にしかるべき規制が行なわれておる、また逆に、土地を持っておって利用しようにも、なかなか思うような、空閉地税がかからないような利用がむずかしいというようなものにつきまして、一方では、行政的に助成の措置があって、建築資金を融資するとか、あるいは国で買い取るというようなことが、つまり、税を課されることに対して国民として納得のいく環境というものが、最低限必要ではなかろうかと考えております。
  14. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 都市計画法制定の一番大きな目的地価対策であったということは——政府並びに与党側は、あるいは公共投資効率化ということも大きな柱であったかもしれません。しかしながら、野党のわれわれが協力をしてこれを成立したということは、地価対策を何とか確立しないといかぬということにあったのは、御承知であろうと思うのであります。そういうふうな観点から、土地利用計画をやる、市街化地域調整地域とに分ける、市街化地域については、十年以内に土地を市街化させるというふうな構想に立って市街化地域というものを設定する、そういたしますと、その市街化地域については、十カ年についての市街化計画というものが樹立されなければなりません。また、樹立されるであろうと思います。そういたしますと、その設定された市街化地域へ順次道路あるいは排水路、できれば上下水道といったところの公共投資が行なわれます。行なわれたところについては、やはりその市街化計画に乗ったところの利用規制というものが当然あるべきであります。だから、そういうところについては、いわゆる建築熟地という定義をはめて、そのことについての一定の形におけるところの利用義務化、そこが工業用地と規定されればそれは工業の用に、あるいはそこが住宅地域となれば住居地域としての利用にというふうに行なわれていかなければならぬと思うのであります。また、それだけの大きな先行投資をやれば、当然そのようにしなければならぬのであって、大きな道路その他の公共投資をやりながら、そこで菜っぱをつくっておる、大根をつくっておるでは、投資をした目的は全く抹殺されることになりますから、当然そのような計画に乗ったところの利用をしなければなりません。そういうところについては、その目的に沿ったところの利用がされなければ、それは空閑地である、未利用地であるというふうな定義をしてもちっとも差しつかえないと思うのであります。また、その利用のしかたについても、あるシビル・ミニマムと申しますか、居住の用であるならば、標準家族五人、夫婦、子供三人については大体百坪、それをこえた使用については超過利用である、ぜいたくな利用である、だから超過利用の分については超過利用税をかけますよとか、幾らでも考え方はあると思うのです。また、固定資産税のかけ方でも、評価については、一定の同じ評価でなければうそだと思いますが、しかしながら、かけ方にいたしましても、たとえて言うなれば、業務用にかける税率と、居住用に使われておる土地に対する税率とは、区別をつけてもいいと思うのです。隣同士土地であっても、それは坪十万円なら十万円、五万円なら五万円という評価は同じであったとしましても、それが業務用に使われておる場合には、利潤がどんどん入ってくるのでありますから、これは税率を高くする、また、居住用に使われるところについては税率を低くするとか、税のかけ方についてはいろいろなくふうが——そういうことについては、しろうとの私が考えるよりも、あなた方のほうがはるかにすぐれたいろいろいいアイデアが出てくるであろうと思うのであります。そういうふうな形で、やろうと思えば幾らでもできると思うのでありますが、そういう点について一向みこしが上がらぬ。そして、いろいろな条件が満たされなければだめだとか言うが、そんな条件なんかあなたのほうで考えたらいいので、たとえて言えば、今度の土地税制改正でも、私らが考える以上に綿密なことをずっと考えて、こういうものについてはこうします、こういうものについてはこうしますと、実にこまかい配慮の上に立って税制を立てておられます。だから、そういうふうな頭のいいあなた方なら、われわれが考える以上に優秀な定義のしかたあるいは区別のしかた、ランクのつけ方というふうなものについて、どのようにでも知恵を働かしてくれると思うのであります。要はそれについての決意の問題、やるという姿勢の問題にあると思うのでございますが、どうですか。いまのはある程度のゾーニングが行なわれて、定義づけられるならば、課税に踏み切る、こういうことなんですね。
  15. 細見卓

    細見政府委員 私どもとしましては、ゾーニングだけではまだ不十分じゃないか、最低利用度というようなものが要るのじゃないか、かように考えております。
  16. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 大臣にお伺いいたしますが、いま、ゾーニングをやってもらい、最低利用度というものについての基準をきめてくれたらいい、こういうことでございます。ところが、今度地価対策としてあなたのほうが閣議できめられた要綱の中には、「土地有効利用促進」の第四として、「未建築地利用促進」という項目をうたっておられます。大蔵省でも、そういうようなゾーニングをやり、同時に利用基準というものをきめるなれば——「あわせて土地利用促進のための空閑地税等創設についても検討する。」ということがここにもはっきり書いてございますが、第一の四項、これは建設省としてはいかなる準備を進めておられますか。そしてまた、どのような形でいつごろこれを法律として国会に出してこられるのか、あるいはどのような方針でこれを実現されるのか。この未建築地利用促進に対する建設省の将来の考え方方針というものをこの機会にはっきりお示しを願いたいと思います。
  17. 坪川信三

    坪川国務大臣 地価対策一環としての重要な土地税制の面について、岡本委員財務当局に対して非常な要望をいただいておる、また、それの推進をはかる御熱意と御意見は、先ほどから十分承り、また、岡本委員のそうした励ましに対しまして私は感謝申し上げたいと思うのでございます。そうした立場から考えます閣議了承になりました土地対策一環としての第四の未利用地促進ということは、いわゆる地価対策に対して非常に重要な関連性を持つ一項でございまして、これにつきましてもいろいろと創意くふうをこらしておるのでございます。福田大蔵大臣が、過般の衆議院予算委員会において、いわゆる土地空閑地税の問題の社会党さんからの御質問に対しましても、これに対しては非常に積極的な考えを持つべきである、しかし、いま大蔵省政府委員が申しましたごとく、その技術上において準備を十分遂げなければならぬということで、目的については賛同いただき、その作業において慎重を期し、また準備もいたすべきであるという見解を述べましたとおりで、われわれといたしましても、大蔵大臣が答弁されましたあの協力体制に即応いたすべく、関係建設省の事務当局においては、絶えず大蔵省と折衝を保ちながら、その目標達成に作業を続け、また検討に鋭意努力いたしておりますが、いま直ちに、しからばその実現の目標のリミットというようなことになりますと、検討をいまさせているさなかでございますので、はっきりとした目標につきましてはまだ明らかにお答えする段階でないことを遺憾に思いますけれども、御趣旨のほどは私ども全く同感な気持ちでおりますので、その御趣旨に沿うよう、大蔵税務当局と十分連絡を密にいたしてこの問題の目標達成に努力をいたしたい、こう考えておる次第であります。
  18. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 地価抑制については、都市計画法土地利用区分をやっただけではだめなんだ、それに対して税制というもののてこ入れがなくては困るということは、建設省がかねがね言っておられるところであり、その税制の中で、保有に対して課税したほうが、土地をはき出さして——はき出させるというと表現が悪いかもしれませんが、とにかく供給を豊富にするということについては、市街化されて相当もう道路も下水道も完備しておるというふうなところで麦を栽培して、言うなればそういう低い利用度に置かれておるというようなところについては、それは本来のあるべき姿としてどんどん利用してもらわぬと困る、それには、やはりそういうふうな保有をしておるということに対して遠慮なく税金をかける、たとえば市街化地域市街地にあるところでも、姿が農地であれば、農作物がつくられておれば、いまは農地として固定資産税がかけられておる、しかしながら、それに対して、もうそういうところについては宅地として宅地並みに課税していく、宅地として課税されても、それが適当に利用されていれば宅地並みの課税であっていいが、それが宅地として適当に利用されておらずに、宅地とはいっても、ぺんぺん草が生えて、三年、五年、十年遊ばされておるというところについては、それ並みに利用促進させるような課税をやっていくというふうなことは、当然税制としてあるべき姿であって、また、国がいろいろな公共投資をやる限りにおいては、その公共投資がほんとうに生きてくるためにも、そういうふうな構想に立つところの税制というものが当然あるべきものである、だからこそ空閑地税という構想をひとつ何とか進めてもらえないかということで、大蔵省との間にいろいろの話し合いをしておられるということは、私どもも聞いておるのですね。ところが、建設省からそういう意見が出れば、大蔵省のほうは、それじゃ考えてもいいが、それには前提条件があります、ゾーニングの問題がある、利用基準の問題がある、それを解決していらっしゃい、それなら考えましょう、こういう回答が出ているんでしょう。そういうことになっておれば、建設省のほうでそれを急がなければだめじゃないですか。そういうようなクレームをつけられて——空閑地税をやってくれ、いや、やるなら前提条件がありますよ、その前提条件を満たしてきなさい、こういうようにクレームつけられて突っ返されて、ああさようでございますかということで引き下がっていてはだめじゃないですか。やはりそれについては、よし、それならおれのほうは本腰入れて次に手を打つ、こういう次の手をすぐに打ち返していかなければだめじゃないですか。もともと、この空閑地税をやったらどうだということをわれわれが提唱したときに、そういう土地利用区分が確立されぬのにそんなわけにいきません、だから土地利用区分を確立する、こういう意味で私ども都市計画法の成立に協力したのですよ。われわれが都市計画法協力したということは、地価暴騰させるためじゃないですよ。これもいまの税制のままで、いまの政府方針のままでいきましたならば、来年になったら地価暴騰しますよ。市街化地域市街化調整地域とに分けて、開発エネルギー市街化地域に集中する、そうすると、いま郊外でもってどんどん宅造をやっているところの宅造業者は、もう郊外では宅造はやれない、勢い市街化地域の中へ入ってきますよ。入ってこなければ、彼らは商売ですから、めし食えないです。だから、自分の商売を続けていく限りにおいては、どんどん市街化地域の中の土地を目ざして宅造をやるために買いあさりに入ってきますよ。それでもってものすごく買いあさり競争で地価がどんどんつり上がるということは、これはもう目に見えているのです。こんなことはもうしろうと目にもわかっているのですよ。だから、いまもう焦眉の問題になってきているわけです。市街化地域におけるところの地価暴騰というものは、焦眉の問題になっておる。この焦眉の問題になっているときに、もうどうにも手の打ちようがございません、こういうことでは、これは建設省としてもあまりにふがいないじゃないですか。大蔵省には、いつまでも遊ばして土地を持っておっては困る、そういうような人が多くて売り惜しみされては困るから、そういう売り惜しみに対しては課税するんだという方針を出してくれということを建設省からは要望しておきながら、やりましょう、やるが、それにはそれだけの条件を満たしてください、法制的な、制度的な条件を満たしてくださいという意見が出ているんですよ。いまもそれに対して、いや、いまはその段階でございません、これからひとつ検討いたしましてという、そんなゆっくりおっとりでは、これは来年にも差し迫っている地価暴騰をどうすることもできぬじゃないか。そうして出してきたのが地価公示法案だ。地価公示法案というのは、あなたのほうは、いまある姿をこうでございます、これだけのことでしょう。不動産鑑定士が諸般の状況を勘案して、設定されたところの各地点における地価は何ぼでございます——だから、上がれば上がっただけこれは年々改定することになっております。年々改定することになっておりますから、いや四十四年度はこうでございました、しかしながら、四十五年度なりましたらこのように上がりました、四十七年度はまたこんなに暴騰いたしておりますということを、鑑定士がそういうふうな地価公示をやるのですよ。この地価公示制度というものは、動いていくところの地価をストップするとか、くぎをさすとか、まあ多少の効果はありますよ。多少の効果はありますが、それは公共用地取得についてはこのようにいたしますということにおいて、公共用地取得されるときに、それ以上に買っては困りますよ、こういうことなんですが、これについてはまたあとで意見があります。しかしながら、そういうふうなことになっておる。ただそれだけのことであって、それじゃ四十四年度の価格はこうでございました、たとえて言うならば、坪三万円でございました、しかしながら、四十五年度になればそれが四万円に上がりました、四十七年度になればそれが地価暴騰で七万円になりました、言うならば、地価公示法というのはそういうふうな公示をする以外に道がないのでしょう。だから、これはぐっと大きくブレーキをかける力はない。多少のブレーキにならぬということは申しません。しかし大きな力はない。それに対してあなたのほうは、これからひとつゆっくり考えまして、そういうことでは困るじゃありませんか。だから、さっそく、そういうふうな前提条件、いま出されたところの地域の区分、ゾーニングの問題、それから利用基準をはっきりさす、この二つでいいのですね。これをはっきりさせておいてくださいよ。どういう条件を満たしたらあなたのほうは保有に対して課税するということに踏み切られるのか、それをはっきりしてください。いまの二つが満たされたらいいというのなら、その二つを満たすだけの条件の検討をやる、そして来国会には必ず出してくるということをこの機会に言明願わない限り、こんな、への突っぱりにも何にもならぬような地価公示法を成立させても意味ないですよ。だから、そういう点で建設大臣いかがですか。
  19. 坪川信三

    坪川国務大臣 都市計画法審議制定に際して、いま述べられましたように、地価高騰を憂慮して協力をしたのだというおことばをいただきましたが、そのとおり、野党の各位も高度な見地に立ってあの当時寄せられた御好意と、また、それらの決議等については、建設省当局も非常に感謝いたしております。したがいまして、いま御指摘になりました問題点につきましては、十分われわれといたしましては積極的に指導的な立場になって大蔵税務当局と折衝を続けてまいりたい、そして目標もいま御指摘になりましたところに置きながらやってまいりたい、税制調査会におけるところの前提条件としての要望されている点も私は非常に力強く思っており、したがって、これらの問題に対しましては、建設省は前向き——というよりか、積極的に指導的な立場で大蔵省と連絡をさらに強めながらその促進をはかりたい、こういう決意でございます。
  20. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 それではそのことを強く要望しておいて、次の問題に入りたいと思います。  公示価格の持つ効果あるいは拘束力というふうな問題でございますが、公示価格をきめるのには、公共用地取得価格の規準、この程度の価格でなにしなさいというふうなことでございますが、これを単に公共用地取得だけに限っておいたのではきわめて権威がないと思うのです。国がきめる価格は、たとえて言えば、固定資産税評価であるとか、あるいはまた、相続税の場合の評価であるとか、あるいは不動産の登記の場合、登録の場合の評価であるとか、いろいろな評価があるのでありますが、それが現在では非常にまちまちであります。だから、こういうような公示制度ができた限り、これを統一すべきでないか。そういたしますと、たとえて言うならば、固定資産税が公示価格のとおり評価が行なわれるとするならば、これは非常に税額が上がる、こういうことになれば、それなら税率をくふうすればいいのでありますから、一応その価格は統一する。税率については、その利用の姿によって税率を変えたり、あるいは現状に適合するような税率というものを考えていくが、しかしながら、評価については統一する、こういうふうなことが行なわれなければうそだと思うのですが、これについては自治省大蔵省ではどのようにお考えになっておりますか。この公示価格というものは、公共用地取得の場合の基準であって、固定資産税評価とは無関係なんだ、あるいはまた、相続税や不動産の登記とは無関係なんだ、こういうふうにお考えでありますか。あるいは国が地価公示制度をやる限り、やはり権威ある制度としてこれを尊重する、こういうことでございますか。大蔵省並びに自治省の御方針を承りたいと思います。
  21. 山下稔

    ○山下説明員 固定資産税は適正な時価によって評価される仕組みになっておりますので、今回公示されます地価公示法による適正な価格というものとは、本来均衡をとらなければならない性格のものであろうと思います。したがいまして、固定資産税評価にあたりましては、地価公示法による公示価格と均衡をはかるようにできるだけつとめてまいりたいと思っております。ただ、固定資産税評価は、御承知のとおり全国の土地の全筆について行なうものでございまして、たとえば宅地についてだけ見ましても、宅地の評価基準になります宅地の標準地だけでも約三十万筆に及ぶことになっております。したがいまして、公示されます公示個所が、承るところによりますと、さしあたって千カ所程度というふうに聞いておりますが、このように個所数が非常に違うということが、一つ公示価格と合わせなければならない点の技術上の検討点ではないかというふうに思っております。また、固定資産税は御承知のとおり三年ごとに評価をいたしますが、この評価には、全土地について評価をいたします関係で、準備期間を入れますと、非常に長期間を必要といたします。したがいまして、地価公示法による公示価格が、一月一日現在の状況で四月一日に公示されるというようなたてまえになっております以上、少なくとも当該年度の公示価格評価に用いるということは技術的に不可能でございます。そういたしますと、公示価格との均衡をはかります場合におきましても、時点的に時点修正等の必要性が生じますので、これら個所数の違いあるいは時点のズレというような点の技術的な検討を十分いたしたいと考えております。そこで、さしあたっての土地評価がえは四十五年度でございますが、四十五年度の評価がえでは、少なくとも今度実施されます公示価格を用いることができない状態でございますので、今回実施されます公示価格の実施の状況や、あるいは固定資産税の四十五年度の評価の実態等を総合的に勘案しながら、先ほど申し上げましたような技術的な点について検討いたしたいというふうに考えております。しかし、重ねて申し上げますように、基本的には両者は均衡をとらなければならないものというふうに理解をいたします。
  22. 細見卓

    細見政府委員 技術的な点を含めまして自治省固定資産税課長からお話がございましたので、つけ加えることはあるいは蛇足かもわかりませんが、私どものほうにございます相続税あるいは登録税の評価というようなものに、いずれも適正な時価ということをことばでうたっておるわけでございますから、およそ世の中に適正な時価が二つあるということはおかしいと思います。そういう意味で、本来統一される方向に向かうべきものだと思いますが、先ほども申し上げましたように、私どもは、相続税でありますと、いつ人がなくなるかわかりませんので、いろいろ技術的な調整があるとか、あるいは全国津々浦々までやっておかなければいかぬのに、新しい地価公示法による評価の地点と、それ以外のところをどう結びつけるか、いろいろ技術的な点は、いま固定資産税課長も申し上げましたように、今後の研究問題になっておりますが、基本的な方向は一致すべきものだと私考えます。
  23. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 大体御方針よくわかりましたが、それでは、その公示価格を今度公用地取得の場合に守らなければならぬということになっておるが、守らなかったらどうするのか。たとえて言うならば、新幹線がものすごく工事を急いだために、用地取得を急いだために、地価をつり上げました。いま万博がそうだと思うのです。期限がありますから、万博がそういうことをやっております。そういうふうな場合に、守らずに、事業主体がその公示価格をはかるかにこえて、一倍半も二倍半もの価格でもって用地買収した、こういうふうなことがあった場合に、これについては、そういう場合の罰則がどこにもないのです。ただ、不動産鑑定士が不行き届きなことがあった場合にはということで処罰の罰則が書いてございますが、しかしながら、公示価格を守らなかった事業主体については、事業主体の長とかその他の人には何にも罰則がない。そうすると、これは守らぬでもしようがない、とにかく要ったのだからどうしても必要だというのでまたがんばられてしまったら、どうにもしようがないから買います、こういうことでは、きわめて効果が薄いと思うのでありますが、この点については一体建設省はどういうふうな措置をとられますか、お伺いしておきたいと思います。
  24. 川島博

    ○川島(博)政府委員 御指摘のように、第九条で、公共用地の補償価格をきめる場合に、公示価格を規準とすべきことが定められておりますが、これに違反した場合の罰則については特に規定してないわけでございます。大体収用権をもって事業を実施するのは、国とか公団とか、あるいは地方公共団体、これが大部分でございますが、本来こういった公的機関が、法律でこの公示価格を規準とするということを義務づけらけました以上、かりに罰則があるから守るとか、ないから守らないということは考えられぬわけでございます。当然立法精神は十分に発揮されると思いますし、かりにこれに違反した場合には、それぞれ監督官庁なり会計検査院というものがございますから、そういった機関で当然チェックをされておしかりを受け、是正を迫られるというふうになると思いますし、また、現在各ブロックごとに、公共事業を行ないます各種の公的団体で用地対策の連絡会というものを組織しておりますが、これは常に相集まって補償価格の統一研究を行なっております。これらの機関を通じましても今後この九条を守っていただくように十分指導の徹底を期したいというふうに考えております。
  25. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 そうすると、この公示価格をこえて用地買収をした場合には、それは不当なる支出として交付税その他で差し引かれる、こういうふうな考え方——建設省としてはそういう措置を期待していられるかのようにいまは聞こえたのでございますが、自治省ではそのようにお考えですか。
  26. 首藤堯

    ○首藤説明員 ただいま御指摘のように、公示価格以上で買収したときに、それが直ちに交付税法の減額項目に当たるとはちょっと考えにくいと思いますが、ただいま局長が言われましたのは、公共団体でございますから、そのような制度ができれば、当然それを順守するようにつとむべきものではないか、また、そうなるだろう、こういうことだろうと了承いたしております。
  27. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 法律があれば、また、制度ができたら、それは守るべきもの、守るだろうという考え方は、甘いと思うのです。いまのように、公共用地取得については税制の上でも優遇措置がある、だから、高く買ってもらえばもらうだけ、言うなれば、まる取りということになるわけですね。そういうふうな優遇措置があるのに、その上、公示価格よりもはるかに高く、粘り得、ごね得ということがいま現実に行なわれておる。そうすると、結局は力関係ですよ。どうしてもいやだといってだだをこねれば——そのごね得が横行しておる。そうすると、公示価格をきめても、結局、公示価格はああそうですか、しかし、私のほうは要るのだから、放すのはいやです、どうでもほしければここまできなさい、こういうことになりかねない。政府がきめたって、土地の所有者のほうは簡単にそうはいかないと思うのです。ただ、用地取得をするところの事業主体のほうは、公示価格があるということは百も承知で、それを守りたいでしょう。だれもそれ以上の用地費を出したいところはないでしょう。しかしながら、手放すほうは、できるだけがんばらなければ損だ、こういうことになってくる。その場合にそれではどうにも打つ手がないじゃないかということを私は申し上げておるのであります。
  28. 川島博

    ○川島(博)政府委員 収用適格事業として収用権が与えられているのも、そういった無法な要求をする地主その他の地権者に対して、言うことを聞かなければ、第十条によって、収用委員会の裁決を申請する、収用委員会は公示価格を規準として考慮してきめなければならぬということになっておりますから、最終的には収用委員会が適正な値段をきめていただくということになると思います。   〔委員長退席、草野委員長代理着席〕
  29. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 この問題に入っていきますから、大蔵省のほうはお二人とも退席してけっこうです。  そうすると、あなたのほうは、その場合には収用法を発動さす、こういうことを言われます。ところが、収用法は、ことに公共用地取得に関する特別措置法というふうな、とにかく話がつかぬときには先に使わしてもらいます、そうしてその補償についてはあとからお話をいたしましょう、こういうふうな、言うならば、かなり事業主体に有利な法律まで、すでにわれわれ協力して成立しているにかかわらず、そういうふうなことについては寛容で、一向それを発動しておられない。相当長引くことのために、いろいろなにが起こるから、地価がその間に上がってきて、早く買収に応じた人と、二年、三年粘っておった人との間に格差ができるから、不公平だというので、今度は、いわゆる認定時価格で用地取得をやりましょう、こういうふうなことまで出てまいっております。その点、一体特別措置法はもう四、五年になると思うのでございますが、その四、五年間に何例発動しておりますか。
  30. 川島博

    ○川島(博)政府委員 特定公共事業の認定件数でございますが、三十六年以来の制度でございますけれども、三十六年に二件、三十七年に十四件、三十八年に十七件、三十九年に十件、四十年四件、四十一年三件、以上でございます。
  31. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 そして、これの緊急裁決が行なわれたのは何件ですか。
  32. 川島博

    ○川島(博)政府委員 裁決件数に関しましては、三十九年に二件、四十年に九件、四十一年に二件でございます。
  33. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 こういうものを発動せずに話し合いがつくことが望ましいのでありますが、しかしながら、いよいよということになればやむを得ない措置であるということで、私どもはこれを成立さしておるのであります。しかしながら、急ぐ工事についてはやはりこの特定公共事業としての認定を受けて、いよいよというときには、話し合いがつかなければ、最終的にはこの制度利用できるような措置をやらなければいかぬ。にもかかわらず、特定公共事業の認定というものがあまりにも少ないのではないかと私は思います。   〔草野委員長代理退席、委員長着席〕 また、こういう今度のような公示制度をつくられ、公示価格以上では用地買収はできません、しません、さらにまた、公示価格は年々——これは、いまでありますと、その三年前の価格が何ぼであったかというようなことについては、資料はあっても、なかなか確たる資料はないわけです。しかし、今度は、公示価格ができれば、何年についてはどの地点では幾らというのが非常にはっきりしてくる。そうすると、そのはっきりした当時の価格にさかのぼって、その後地価が上がっておっても、用地買収はできないということになってくるわけでございますから、これは改正された土地収用法の内容とともに、公示価格というものが非常に大きな——いまおっしゃるように、それ以上の価格では取得できないのです。いけなければ何によるのだ。土地収用法を発動するのです。こういうことである限り、それに伴うところの行政措置というものを建設省としてはきちっとやらなければ、結局その地価の変動に幾らでもずるずる引きずられていくのではないか。そしてまた、この公示価格というものは地価の騰勢に対する歯どめの役をちっとも果たさないということになってくると思うのでございます。そういう点についてもう少し建設省は今後姿勢を正していただく必要があるのではないかと思いますが、政務次官いかがでございますか。
  34. 渡辺栄一

    渡辺政府委員 ただいまの岡本先生の御意見でございますが、われわれも全く同感でございまして、今後はさらにきびしい態度で臨んでまいりたいと思っております。
  35. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 自治省にお尋ねをいたしますが、固定資産税評価がえを来年の一月になさるということを先ほどおっしゃっていましたが、また、そのように聞いておるのでございますが、この前の固定資産税評価がえはたしか三十九年であったと思う。あのときには、相当議論が出て、一挙に上がったのでは困る、漸進的に上げようというふうなことで、いろいろな措置を講じられたことを覚えておりますが、現状ではそれがどうなっておるのでしょうか。あのときは、一応その地域の売買価格と同じ程度のところまで評価をかえていくのだ、地価が非常に上がっておるから、その実勢価格と大体同じところへ持っていくのだというふうな方針でおられた模様でありますね。しかし、それじゃあまり住民の税負担に対して大きな影響があるから、それをある程度勘案しようということになったと記憶をしておりますが、現在は大体実勢価格に近づいておるのか、あるいは大体平均して、耕地については何分の一程度、あるいは宅地についてはどの程度というふうなことがおわかりになっていますでしょうか。
  36. 山下稔

    ○山下説明員 三十九年度に評価をいたしましたときには、適正な時価によって評価をいたしたわけでございますが、御承知のとおり、土地売買価格がかなり幅がございますので、課税上の安全度を見ておりますので、必ずしも最高の——いわゆる呼び値の最高の価格から比べれば若干低いということもあったかと思いますが、しかし、適正な時価で評価をいたしたことは間違いございませんが、次の評価年度でございます昭和四十二年度は、負担調整措置との関係もございまして、評価を見送っております。したがいまして、現在はすでに評価後五年を経過いたしておりますために、評価額は三十九年度の評価額、地価のほうは、その後若干の値上がりがあれば、そのギャップは当然生じているものと考えております。
  37. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 ただ、その当時の売買価格、ことに今度はその公示価格ができますと、言うなればその売買の実態に応じた価格になってまいりますね。つまり、公共用地取得するのでありますから、言うなれば売りたくない人から買うのですから、言うなれば呼び値に近いものになってくるわけですね。道路をつくるのだから土地を出してください、学校をつくるのだから土地を出してください、いや、私は売りたくないのですよ、そんなに言わずにということで、言うなれば本人の意思に反して買うわけですね。だから、これは言い値で買わなければなりませんね。言い値であるが、これは公の金だからそうべらぼうに出せません、まあこの辺でしんぼうしてくださいというふうな価格でありますから、売りたいという場合の価格よりもこれは上であるということは間違いないと思うのです。だから、そういうふうな価格が公示価格として出てまいります。そうすると、それに近づけて、それを勘案して、つまり公示価格よりも幾らか低く評価されるということは、これはあるであろうと思いますが、しかしながら、一応売買価格ということになってくると思うのですね。そうなってまいりますと、その土地固定資産税評価に、たとえば居住用土地についてそのように固定資産税——現在は評価額は非常に低いのです。それが大体適正価格まで上がっていくということになってくると、やはり国民の重税感というものが今度はたいへんなことになってくると思うのです。だから、固定資産税の場合は、業務用のものと、それから居住用のものとをやはり区別する必要があるのではないか。また、農地と宅地との間にも生産性の問題がありますからね。だから、利用の姿ですね、生産性の低いもの、それから遊休であるかどうか——これは空閑地税の構想ですが、その利用目的に沿っておるかどうかということですね、そんなことをいろいろあわせて、利用の姿によって税率区別をつける、ランクをつけるということが必要になってくるのではないか、こう思いますが、現状はどうなっておりますか。また、自治省でもそういうことをお考えになっていらっしゃるかどうかということをお尋ねしたいのです。
  38. 山下稔

    ○山下説明員 申し上げるまでもなく、固定資産税は、財産の価格に着目する税でございます。したがいまして、現実にその財産がどういうふうに利用されているかということによって差をつけるということについては、若干検討を要しなければならない点があると考えます。しかし、御指摘のように、固定資産税は今度六年ぶりの評価がえになりますために、多少の評価の上昇を示すところがあると思います。かたがた、現在実際の税負担は、三十九年度の新評価額にも到達していない、いわゆる三十八年度の評価額を基準にいたしまして負担調整措置を講じて、毎年若干ずつの負担増を来たしてきているということで、まだ三十九年度の評価額にも達していないというところもございます。こういう状況からいって、四十五年度に六年ぶりの評価がえをいたした場合、税負担のかなり増加するところも出てくると思います。この点については、政府税制調査会におきましても、四十五年度の評価がえの結果税負担に激変を来たさないよう適切な調整措置を検討すべきであるという答申もいただいておりますので、そうした線に沿って検討してまいりたいと思いますが、四十五年度の評価の結果の模様も見ました上で、税制調査会等にも御審議をお願いいたしまして、適切な負担調整措置を講じてまいりたいと考えております。
  39. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 そうすると、いままでは居住用土地業務用土地とは区分はないし、また、そういうことでは固定資産税課税方針としてはおかしい、こういうふうにお思いですか。
  40. 山下稔

    ○山下説明員 財産価値に着目して、財産価値に応じて負担を求める固定資産税の性格からいって、利用状況によって差をつけることには問題があるのではないかというふうに考えます。申し上げるまでもなく、固定資産税は全国の土地についての制度でございますために、地価対策が非常に問題になっている個所だけの措置として特別の措置を講ずるというわけにもまいりませんで、全国的に課税し、かつ財産価値に応じて負担を求めるという基本的な性格の範囲内において、合理的なあり方を検討すべきではないかというふうに考えます。
  41. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 しかし、財産としての価値が本来の価値と違った価値にいまなってきつつあるわけです。たとえて言うなれば、ある地域に住んでおりました、たまたまそこへ——たとえば一番の適例は、大阪の新幹線の駅前ですよ。あれもずいぶん問題が起こりましたが、いままでは草ぼうぼうとしたところだったわけですけれども、その近くにさびしい村落といいますか、勤労者向けの貸し家なんかたくさん建っておった。ところが、新幹線の駅前になったということで、が然地価暴騰いたしました。ところが、従来からそこに住んでおる人にとりましては、居住用の価値よりないわけです。本来あるべき姿は、居住の用に供しておるという価値よりないわけです。ところが、その隣のさら地につきましてはどのようにでも利用できまずから、非常な呼び値を呼んで、坪何十万ということになってまいりました。勢い、その坪何十万の隣の土地も、やはり潜在的な価値としては同じように坪何十万ということになっておるのでございます。しかしながら、それは本来の価値でなくて、いわゆる社会資本の投下に伴うところの利用価値というものが増加したということですね。しかし、それはそのような利用に供さなければそれだけの価値を発揮できないわけでありますから、したがって、その価値に応じたところの固定資産税というものには、居住している限りにおいては、たえられないという問題が出てくるわけですね。だから、そういう場合に、いまどんどん社会資本の投下と一緒に土地利用状況が変わっていく、変わっていったら、直ちにそれに準拠したように土地利用を一挙に変えろといわれても、これはなかなか困難でありますから、したがって、そういう新たに発展していくところについては、業務用に使っているところはそれだけの地代も払い、それだけの利用価値もあるから、もちろんそれ並みの課税があってもいい。しかしながら、従来からそういう生産性が低い、ことに居住用なんという場合には、生産性がない、消費用でにすね。消費用に使われるものと業務用に使われるものの間には、やはり税負担力に差がある。だから、同じ価値といっても、土地というものは本来の価値があるわけじゃない、いろいろな社会資本の投下と結びついて価値が出てくるわけでありますから、その価値の発生とマッチした課税というものが行なわれなければならぬということになってまいりますと、やはり利用状況に応じた固定資産の課税という考え方も、いまの地価のこのように大きな変動が起こっておる現状からいうならば、そういう考え方課税方針の中に今後入ってきてもいいのではないか、こう思うのでございますが、いかがでしょうか。
  42. 山下稔

    ○山下説明員 財産価値があってもそれに見合う収益が伴わない場合、特にそれを居住用財産と業務用財産とに区分してその点の調整をはかったらどうかという御意見だろうと拝聴いたしたのでございます。お考えとしてはよくわかるのでありますが、かりにそういう区分をいたしました場合においても、業務用財産の中でも、効率的に使っている場合と、きわめて非効率的に使っている場合とでは、同じ財産価値の土地でありながら収益が非常に違うという場合もあり得ると思います。そういうことを考えますと、単に居住用土地業務用土地とに区分するだけでその問題が解決するとも考えられないのでございます。しかし、お話しのようなお考えもよく理解できますが、そうしたことは租税体系全体の問題として検討すべきであろうと思いますが、ただ、租税体系の中のごく一部であります固定資産税ですべてそういう問題を解決するということには、先ほどから申し上げております固定資産税本来の本質からいって、限度があるのではないかというふうに考えます。地価対策上、あるいは保有課税の適正化の見地から、固定資産税に対していろいろの考え方があろうと思いますが、いま申し上げましたように、あくまでも本来の固定資産税の本質の範囲内で考えるべきであり、それ以上の必要がある場合には、たとえば空閑地税、あるいは開発利益吸収のための特別立法というようなことで考えていくほうが適当ではないかというふうに考えます。
  43. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 固定資産税というものについては、ベースとしてある定率のものを考えて、その上に、開発されて特に業務用に使われている場合には、それを上乗せした別の税制をつくる、また同時に、一面、もっと効率的に使わなければいかぬのに、非常に低利用なところについては、低利用という意味において、もっと利用を高めなさいというふうな税制を設けるというふうにして、固定資産税制度としては本来の価値というもの、そうなってくると、今度は、本来の価値というものに対する評価はこの公示価格とは違ったものでなければ困る、こういうことになってくるんじゃないでしょうか。評価は相当高いものになりますね。従来よりもずっと上がりますね。そうすると、その公示価格をさっき言われたようなところまで持っていったならば、従来の税率では困るから、固定資産税税率を低く下げる。公示価格にまで持っていくかわりに、税率は下げます、そしてそのかわりに、それを補完する意味において別な税制——利用促進税だとか、あるいは開発効果税、名前は少し不適当かもしれませんが、そういうふうな開発の恩恵を非常に受けておるから、それについてはその分いただきますよというふうな別の税制を補完的に、税率を下げてつくる、こういう構想ですか。
  44. 山下稔

    ○山下説明員 評価がえの結果非常に評価が上昇したために税負担に激変を生ずるおそれがあるという場合には、適切な負担調整措置を考えなければならないと考えますが、この点については、先ほども申し上げましたが、税制調査会等の審議をわずらわしたいというふうに考えております。ただ、その場合に、税率でやってはどうか、税率で調整することを考えているかという御指摘がございましたが、税率につきましては、たびたび申し上げますように、全国的な固定資産税でございますために、地価の非常に上昇しているところ、ほとんど上昇のないところ、全部ひっくるめて課税固定資産税でございますので、ただ単純に税率を下げますと、地価の上昇しているところはそれで調整ができますけれども、ほとんど上昇のないところは従来より非常な軽減になり、あるいは団体側からいえば非常に減収になるというような事態も起こりますので、全国一律に適用される税率による調整ということは非常にむずかしい問題があろうかと思います。したがいまして、そういう点も考慮しつつ、税負担の激変を生じないような環境整備というもののあり方について検討いたしたいというふうに考えております。
  45. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 そうすると、こういうことになるのですね。地価公示制ができたことによって、その地域地域で非常に値上がりの率において不同がある。非常な値上がりを起こしておる地域、そういうところの人たちは、公示制ができたことが非常に迷惑になってくる。従来二、三万でありましたところが、宅造ブームやその他でどんどん上がったり、あるいは従来村落でありましたところが繁華街になってきて、その周囲にものすごい宅地造成が行なわれて、そうして従来はさびしい商店街で地価もさほどでなかったところが、一挙にその周囲の新たに入居した人たちを受けるための商店街に発展してきましたために、その辺の地価は従来一万かそんな程度であったものが、十万、二十万というような呼び値になってまいりました。ところが、やはり従来そこで何も商売をされずに通勤者が住んでおります。銀行につとめている人、役所につとめている人もその辺に住んでおります。それは商店にするために売れば非常な価格になります。その呼び値だけの金は取れます。しかしながら、従来と同じ生活をしている限りにおいては、別に収入がふえるわけでもないのですね。ところが、そこのところは公示価格はぐんと上がります。そうすると、公示制度というものが非常な影響を与えてくるということになってまいるわけですね。それで、全国一律であるとどうにもならぬから、やはりその公示価格は公示価格として尊重して、それに近づけて固定資産税を動かせるようにしますということにいたしまと、公示価格というものが一応ある程度、先ほども申しましたように、用地取得が可能な価格ということになっておるだけに、実勢価格ですね、呼び値に近いものということになりますから、そういうことになれば、公示制度というものが、そういうふうな人口急増地帯の、しかも地価がどんどん上がっていく、地価の騰勢の激しい地域に住む人たちにとっては、大きな影響を持ってくるようになると思いますが、その点はいかがでしょうか。
  46. 山下稔

    ○山下説明員 先ほども申し上げましたが、固定資産税課税の基礎になります適正な時価、地価公示法によって公示されます適当な価格というものは、本来均衡がとられなければばならないものであろうと思います。したがいまして、地価公示法による公示価格があるから評価額が上がるということよりも、本来適正な時価がそこまでいっているので、固定資産の評価としても、その適正な時価に応じた評価をしなければならないということになるのであろうというふうに思います。
  47. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 影響が相当あると私は思いますし、それについてのお答えがもう一つ納得いかないのですが、問題提起として、こういうふうな問題がありますよ、だから将来の問題としてひとつ課税方針というものについて考えていただかなければならないのではないか、むしろ、そのことよりも、地価をぴしゃっと押えることができれば問題ないのですから、だからそのことはそのこととして、いまのままであるとそういういろいろな矛盾、問題が出てくるから、そういう点についても御配慮願わなければならぬという問題提起として受けとめておいていただきたいと思います。  そこで、今度は、都市計画法が実施されますと、十年間に必要な先行投資をやっていかなければならぬ、その先行投資に対して大体どれくらい建設省は考えていますかということを前にお尋ねいたしましたら、大体二十五兆二千八百億という数字が建設省ではじき出されております。非常にばく大な先行投資がこの都市計画法の実施とともに十カ年間に必要であるということになってまいりますが、この市街化区域に対する十カ年間二十五兆という財政投資、これは自治省も一応この数字をはじき出すのには協力をしておると思われますが、十カ年間に二十五兆といいますと、一カ年平均二兆五千億というふうな都市に対するところの先行投資が必要になってくると思うのでございますが、これははたして消化できるのかどうか、見通しをひとつ承りたいと思います。
  48. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 一応市街化区域において整備すべき都市施設の整備に要する費用につきまして、都市計画中央審議会で論議をいたしました検討過程において費用の概算を試算したわけでございます。関係各省と相談してつくった数字ではございません。その中で、総投資額が二十五兆でございますが昭和四十六年から昭和五十五年の十年間に要する公共投資の額は全体でおおむね二十一兆、公共投資と申しましても、もちろん、これは財政投融資その他の資金を含むわけでございます。この二十一兆というのは、現在の財政状況から見ますと非常に膨大な額でございますが、今後の国民総生産の伸び率との関連において一応チェックしたものがございます。三十三年度以降の国民総生産の実質伸び率が一一%でございますが、そのときの都市計画事業費の伸び率が約二〇%でございます。今後の国民総生産の推定伸び率をどう押えるかというのは、これは非常に問題でございますが、かりに八%程度といたした場合に、その相関関係から出しますと、年率一六%という数値が出てくるわけでございます。大体一六%伸びればこの二十一兆の需要額におおむねできる。しかし、これはマクロの計算でございますので、実際は前の年度のほうがたいへんなわけでございます。これは今年度国が直接タッチいたします都市計画事業の予算でございます。財政投融資を合わせまして四十四年度の予算では前年に比して二一%の伸びでございます。ただ、これはマクロの計算でございますので、特に前の五カ年くらいの計画はかなりたいへんなことになろうかと思います。それに対しまして、先生おっしゃいましたようないろんな意味での先行取得の資金というものは当然必要になってくる、こういうふうに考えております。
  49. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 膨大な先行投資が必要だ、その先行投資を必要とするだけにまたそれの用地取得というものがなかなか大きな問題でございますが、その一助にということで土地開発基金の制度が今度つくられました。その土地開発基金の制度を承りますと、大体ことしは交付税として六百億出るそうでございますが、これはことしだけのものですか、あるいは年々——いまのようにこれが十カ年計画で次々に事業をやっていかなければならぬ。だから、用地取得はやはり次から次へ広げて、事業を広げていくのには資金量は幾らでも必要でございますが、この十カ年間この都市計画事業を完全に行なわせるために、自治省のほうでは、二十五兆に及ぶところの大きな投資規模の中の一つの制度として開発基金の制度を設けられたのか、あるいは、何か聞くと、一応ことし出します、しかし来年からのことはわかりませんというふうなことでございますが、これは大蔵省がおられる間にこの議論に入ればよかったのですが、いかがでしょうか。
  50. 首藤堯

    ○首藤説明員 御指摘のように、今回、地方財政計画におきまして、六百億円を土地開発資金ということで一般財源として措置をいたしました。交付税を通じて地方公共団体に財源措置をする措置をとったわけでございます。この土地開発資金は、御案内のように、都市計画はもちろんでございますが、のみならず、他の事業におきましても、公共用地取得なんかが現在非常に各種の隘路になっておると思いますので、それを促進するためにとった措置でございます。したがいまして、この土地開発資金をもちまして先行取得をしました土地は、これが事業費に移り変わりますときには、当該事業費で買い取るというかっこうに相なります。したがいまして、この元金は、いわばつなぎ資金とでも申しますか、ころがる資金でございまして、いつまでも消えてなくならずに機能を発揮し得る、こういうつもりでおるわけであります。  なお、ことし六百億円の措置をいたしましたが、来年以降どうするかという御指摘でございます。明年以降の財政状況にもよると思いますけれども、私どもといたしましては、何とかこういった措置はしばらく続行いたしまして、また、積み立てをふやしてまいりまして、公共用地の先行取得に資してまいりたい、こういうような気持ちでおるわけであります。
  51. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 この基金は、一応資金として持っておって次々回転していくのだ、だからそんなにたくさん要らないのだというふうなことでございますけれども、しかしながら、都道府県で大体三億から五億ですね。指定都市でも三億くらいのことになるであろうと思うのでありますが、人口の急増に備え、そして都市計画を実施していくための用地取得ということになれば、三億や五億の金ではこれはどうにもならぬ。だから、もう少し続けて毎年やっていただいてこの資金量をふやしていただかぬことには、銀行の借り入れでやりますと相当の利息が必要でありますから、これは資金量をもっとふやすような努力をお願いしたいと思うのでございます。  それの要綱を見ますと、都道府県と指定都市、それからまた、人口十万以上の都市と、それから第三のグループとして、大都市周辺の一部市町村ということでございますが、この大都市周辺の一部市町村というのは、人口急増地帯ということがねらいであろうと思うのでございますが、それは大体どの程度の規模の市町村を考えておられるか。さらにまた、最近、たとえば多摩のごとき、いまは人口は少ない、しかしながら将来大きな団地の計画がありますから、もう数年を出ずして大きな人口にふくれ上がる。だから、そういう市町村では、あらかじめそれに備えての用地取得をやっておかなければならぬ。たとえて言うなれば、私のほうでも、住宅公団の団地で、現在は二万三千くらいの小さな町でございますが、それがもうここ数年の間には人口三万四、五千の住宅団地になる。そうしますと、それに接続してまた一万や二万の宅造がひっついてくるということになって、数年を出ずして人口数万にふくれ上がる、そのための準備をしておる町がございます。そういうふうなところは、現状としては小さな町であっても、やはり人口急増に備えたところの公共施設の整備をいまから進めていかなければならないということになりますと、こういう開発資金が必要でございますが、そういうことも配慮に入った制度でございますか、それを承りたいのです。
  52. 首藤堯

    ○首藤説明員 ただいま御指摘がありましたように、六百億と申します金は、ころがる資金ではございますが、これで決して十分だと思っておりません。したがいまして、今後とも財政の状況の許す限り積み立てをふやしていきたい、こう申し上げたわけでございます。  なお、この地方団体に対します具体の配分額は、これは平均的なものでございますが、標準団体における県、つまり人口百七十万人くらいの県で大かた五億見当、それから人口十万くらいの市で大かた一億見当。六百億という額でございますので、そのような見当で考えております。  御指摘のように、一応十万以上の市には開発基金を設置していただこうと思っておりますが、それ以下の市町村でも非常に公共用地の先行取得にいま特に迫られておるところがございますので、そういうところもなるたけ入れたいと思っているわけでございます。その基準は、ただいま御指摘がございましたように、人口が急増いたしておりますとか、あるいは昼間に流出をします人口が非常に多うございますとか、そのように大都市周辺で御指摘のように用地取得の急に迫られているようなところ、これは都市圏補正というようなことを実は交付税上の措置で申しておりますが、そのような面を考えまして、その補正を通じて入れていく、こういうことにしたいと思っております。しかし、何ぶんにも、初年度でございますが、六百億という金でございますので、これはあまり大きくたくさん指定をいたしましても、一団体ごとの金が小さくございますとこれは役をなしませんので、なるたけ集中的に金がいけばほんとうに役に立つ、こういうことになるように指定をしていく。なお、今後この積み立てを増加するに従って所要の市町村にも制度が広がっていくような配慮をしたいと思っております。なお、その場合、ごく特殊な地域でこの基金を設けなかったが、どうしても公共用地の先行取得が必要だ、こういうところもあろうかと思います。これはまた、つなぎのつなぎということにもなりましょうが、別途公共用地の先行取得債という地方債を準備いたしまして、そのような制度を通じて円滑な運営をはかっていきたい、このように考えております。
  53. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 この市街化調整地域ですね、いままでは市街化地域に関連した問題でございましたが、今度は調整地域開発でございます。これについて、都市計画法の三十四条の十号で、二十ヘクタール以上の団地開発ですね、これは調整地域の中にも特に知事の許可でもってやることができるということになっておりますが、これは、この都市計画法が成立いたしますときに、これを民間業者にやらせた場合にはいろいろな弊害が起こるが、どうするのだということを私が総理にお尋ねしたところ、いや、これは公的な機関以外には絶対にやらせないのだというようなことを総理は答えておられましたが、しかし、現実に、その後も都市計画法を何べん読みかえしてみても、知事の権限にまかされておって、その公的機関以外の民間の開発をチェックするような法的規制はどこにもございませんが、これは建設省としてはどういう方針でいかれますか、あくまでも民間の開発は押えて、公的機関による開発のみで進んでいかれるのか、あるいは知事が許可すれば、それはもうやはりそれでいいのだ、民間にもそういうふうな調整地域における開発をやらしていかれるのかということをお尋ねしておきたいと思います。
  54. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 都市計画法三十四条の十号のイでございます。これは「政令で定める面積を下らない」というふうに書いてございますが、政令では二十ヘクタールということを予定しているわけでございます。先生御承知のように、市街化調整区域は開発抑制すべき区域でございますから、この例外的な許可というのはもうなるべくやらぬという形で運用してまいりたいということは、この前の国会でしばしば答弁なされたとおりでございます。ただ、例外的にやります場合、考え方といたしましては、二十ヘクタール以上のまとまった規模のもので、しかも開発行為を行なおうとしておりますその開発行為の目的、たとえば、住宅地であるか、工場地であるかというような、目的とかあるいは規模から見まして、そういうような開発行為が、用地を市街化区域の中で取得することができない、市街化調整区域で開発するほかないというところに限って、例外的に、特に開発審査会の意見を聞きましていわば特別許可のような形で認めようということでございます。実際開発が行なわれます場合に、公的機関が行ないます住宅建設とかあるいは宅地開発というようなものは、その性格が庶民向けのものでございますので、そのまとまった規模の用地を市街化区域の中ではなかなか取得できないというようなことが場合によっては出てくるかと思います。また、公的機関のような有効な執行力を持っているものでないと、公共施設の整備もここは自分でやらなければならないような形になりますので、そういうような有効な執行力を持っているものでなければ、なかなか実際問題といたしまして宅地開発計画的に行なう能力が出てこないのじゃないか、したがいまして、市街化調整区域内で行なわれるこの例外許可による開発行為というものは、主として公的機関によるものが多くなってくるということが予想されるわけでございます。法律上は、先生おっしゃいましたように、公的機関に限ってはおりませんけれども、具体的にはそういうものが行なうのだということでございます。もちろん、市街化調整区域の中におきましても、優良農地とかその他がございまして、そういうところにつきましては当然農地の転用許可というものが残りますから、そういう観点におきまして優良農地等を避けるということは当然でございますけれども考え方としてはそういう考え方になる、こういうことでございます。
  55. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 ところで、建設省は最近、農協経営の住宅団地というふうな構想、つまり、市街化地域の農家に、もしくは農家の集団に金を貸して、それでもって住宅を建てさそうというふうな、農協経営の住宅団地というふうな構想を打ち出されたということが新聞報道に出ておりました。ところが、自民党案といたしまして、今度は、地主の住宅供給促進、私鉄と農民に融資する、民鉄と農民に融資をしてそうして宅地開発をやらせて、それでもって土地供給促進しよう、こういうふうな構想が自民党のほうから出てまいっております。この構想を見ますと、私鉄資本あるいは宅造資本に住宅建設用の資金を流して、それでもって団地づくりをやろうということになってまいりますと、どうもこれは調整地域の中へ、ばあんと農協と私鉄資本とが合体して、ひとつ君のところへ持っていこうか、それでもって団地開発をこっちのほうでやろうじゃないか、それで山林やその他をいい値でひとつ買ってやろうというふうなことで、それで宅造をやってはばんと大きな利益の獲得をたくらむというふうなことが出てくるのではないか。どうも自民党のこの案の、私鉄、農民に融資してというような考え方の中に、われわれの杞憂、私どもが懸念しておったことが織り込まれているのじゃないかというふうに思うのでございますが、そういうふうな例外的な宅地開発調整地域の中ではやらせないのです。ところが、政治的な圧力で、あるいは場合によれば、それが不当な政治献金なんかと結びついて、知事に圧力をかけてそういうふうな開発をやらせる、こういうことが起こらぬとも限らぬと思うのでございますが、今度の政令の中にそういうふうな規定を何か設けておられますか。この法律には、調整地域の中では民間の宅地開発はやらせないということはうたってございません。しかし、政令の中にそういうふうな調整地域におけるところのこの規模開発はこういうものに限るというふうなことで政令の中にきちんと私は書いておかれるべきだと思いますが、そういう政令を用意しておられますか、しておられませんか、その辺を承りたいと思います。
  56. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 都市計画法の施行法で区画整理法を改正いたしておりまして、区画整理組合が二十ヘクタール以上まとまって区画整理事業をやる場合にも、もちろん、都市計画法と同じようなきびしい条件のもとに、同じような手続のもとに、宅地開発を直接言えないものですから。区画整理のものを認めているわけです。したがいまして、例外的には、区画整理組合の形で地主さんが宅地を開発して住宅をお建てになるという場合も調整区域で出てくるかと思います。ただ、それ以外に民間が出てきた場合にどうするかという問題でございますが、先ほど申し上げましたような実態にはなるかと思いますけれども法律上は、開発許可につきまして公的機関がやるのと民間がやるのと区別いたしておりません。政令で規定するということは、私どもといたしまして現在考えてないわけでございます。
  57. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 法案審査中の話と、いまの局長の御答弁はちょっと話が違うのですが、調整地域では一切民間の開発をやらせません、そして、たとえば住宅公団であるとか、そういうような公的機関がやる場合はいざ知らず、それも特別の場合に限られておって、そんな、区画整理法に基づいて民間の地主が二十ヘクタール以上まとまれば何どきでもやれるんだというふうなことは全然おっしゃらなかったのです。法律の審査のときには、われわれをいいようにその場でごまかしておいて、できてしまったら、そういうことをぬけぬけとおっしゃるのは、ちょっとこれは背信行為だと思いますがね。
  58. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 区画整理組合は、先生御承知のように、区画整理法に基づく特別の法人でございますので、いわば公法人的な性格を持っております。したがいまして、いまの先生おっしゃいました公的機関に限るかどうかという場合には、公的機関のほうに入るのだろうと思います。法律のたてまえといたしましては、この条文上からいいまして、公的機関に限るということになっておりませんので、開発行為の例外許可の場合に、どういう性格の開発行為か、どういう規模の開発行為か、知事の判断のときに、公的機関がやるものについてしか認めない、あるいは民間のものについては認めないという判断が出てくるのじゃないか、こういうふうに考えているわけでございます。
  59. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 そうすると、都市計画法に基づいて知事が土地利用計画を立てます。調整地域市街化地域に区分いたします。そうすると、その調整地域に入った地域で、やはりその地価の値上がりを期待しておる人、何名か何十名かの集団が相談をして、区画整理組合をつくろうじゃないか、それでひとつこれを宅地にして——現状でいけば、農地だけにしか使えないということになれば、もう坪二千円をこえることはできないと思うのです。それでないと採算合わないですからね。だから、値上がりを期待すれば、期待利益というものを含めた価格というものがかりにあったとしても、一応流通価格としては反三十万から五十万をこえることはできないですね。ところが、それを宅地としてやれば、これはもう市街化区域における宅地の価格暴騰いたします。その価格に見合って、ちょっと不便でも、道路その他を整備して、車で走ってもらったら、坪何万かでもって宅地提供できますということになってまいりますと、もう土地利用区分というものを全然無視してどんどんそういう計画が農家の集団によって行なわれてくる、こういうことになってまいります。そうすると、それを助成するように、私のほうも一枚加わらしていただきましょうと、また私鉄なんかがこっそり金を出して、鉄道の駅の比較的近距離のところの宅地開発——どんどんもぐり込んで、仮面をかぶって表面に出ないで、ある程度成功してから顔を出す、仮面を脱ぐといたしましても、そういう無秩序な土地利用というものがどんどん行なわれる懸念がある。だから、そういう点について、そういうふうなことは行なわれないだろうな、また、そういうことをしたのでは、せっかくの土地利用計画の策定ということも、現在の個々のスプロールを集団的スプロールにするだけのことではないかということで、われわれはそういう点について相当だめ押しをしておいたはずです。ところが、いまや、区画整理法でやればやれるのです、それは公的機関でございます、これは、局長、話が違うじゃないですか。
  60. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 事業主体によってこの運用を変えるのかという御質問なものですから、そういうふうに申し上げたのですが、これはもうこの前の国会で申し上げましたとおり、こういうきびしい法律上の書き方をいたしておりますので、私どもとしましてはこれは認めたくないわけでございます。当時保利大臣が答えられましたように、例外中の例外としてしか運用したくない、こういうことで、都道府県あるいは市町村に対しましても私どもはこういう指導をしたい、こういうふうに考えておるわけであります。例外的にまれに行なわれる場合に主体によって区別するかという御質問につきましては、先ほど申し上げましたようなことになるわけでございます。
  61. 始関伊平

    始関委員長 岡本君、だいぶん時間が過ぎました。なるべく簡潔にお願いいたします。
  62. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 時間をだいぶ食っておりますから、ここらで終わろうと思いますが、いまの点、十分厳正に当初の方針を貫くようにひとつお願いをいたしたいと思うのです。  とにかく、公示制度地価抑制効果は、ある程度——というよりも、相当限界があるということだけはお認めになっておられますね。
  63. 川島博

    ○川島(博)政府委員 御指摘のように、地価対策は、いろいろな施策を総合的に強力に実施する必要がございます。単に地価公示制度創設のみをもって地価対策に十全であるとはさらさら考えておりません。
  64. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 したがって、これを補完する制度をつくらなければいかぬ。それにつきましては、先ほど私が指摘をいたしましたが、まず税制の面で補完していただかなければいかぬ。そうすると、税制の面で補完するのには、何といいますか、その前提条件としての、いろいろの大蔵省から出ておる制度整備がありますね。それを早急にやっていただかなければなりません。それと一緒に、土地の所有権にある程度の制限を加えないと、これはもう限りがないことですから、なかなか困難ですね。その点で、けさの新聞報道を見ておりますと、参議院の委員会で、土地所有権にある程度の制限を加える必要があると思うということを総理も答弁しておられるようでありますが、その内容がどの程度のものなのか、これから後また別な機会に私どもも総理にお尋ねをし、議論を深めていきたいと思うのでありますが、とにかく、私が申しておりますのは、地価公示制度というものは、力としては非常に弱い、だから、地価公示制度というものが地価抑制に対して大きな効果を果たすものであるというふうな評価は間違いであって、きわめて微々たるものであるが、しかし、公共用地取得についてはある程度の抑制効果がございますからね、だから、その点、これは無意味だとは申しません。しかし、きわめて不備なものでありますから、今後土地所有権をどのような形でか制限することによって、たとえば、私どもの言うがごとく、宅地管理法というような形で宅地の公的管理というところまで踏み切れるかどうか、できるならばそこまでの決意を私は持っていただきたいと思うのでございますが、それができないとしても、宅地のぜいたくな利用超過利用と申しますか、ある限界を越えた、たとえて言うなれば、大邸宅をかまえている人たちからは遠慮なしに高率の税金をちょうだいしてもいいし、また、思惑買いをして土地の値上がりを待っているような人たちに対しては、遠慮会釈なく課税することによって土地利用促進するというふうなことも当然やられなければなりません。だから、土地利用というものを、できるだけ全国民にひとしく有効に利用させるというような方向で今後建設省もどんどんそういう制度ができますように作業を進めていただきたいと思うのでございますが、政務次官に大臣にかわって建設省としての決意を承ることによって私の質問を終わりたいと思います。
  65. 渡辺栄一

    渡辺政府委員 ただいまの岡本先生からの御発言でございますが、私ども建設省といたしましても、現在の土地問題、特に地価問題は非常に重要な問題でございまして、建設委員会の御意見等も十分尊重いたしまして、鋭意努力をいたしておるところでございます。その一つの問題といたしまして地価公示法案をお願いしておるわけでございます。したがいまして、私どもは、地価公示法案によりまして土地問題の万全が期せられるというようなことは考えておりませんが、しかし、これは大きな前進であることは間違いない。ただ、今後の運用というようなものにつきまして十分御意見等も尊重して運営してまいらねばならぬと思っております。ただ、お話のございました宅地を公的に管理する、あるいは所有権の問題等につきましても御意見がございましたが、これは十分御意見は尊重してまいらねばならぬと思いますが、所有権の問題につきましては、なお今後十分各面から検討してまいらねばならぬ問題じゃないかと思いますが、その利用等につきましては、公共福祉の優先というような点につきましてわれわれといたしましても今後十分に万全を期してまいりたいと思います。特に、たびたび御主張いただいております空閑地税、これは、いろいろ技術的な問題はあると思いますが、趣旨におきましてそのような趣旨を生かしていく方向につきましてわれわれとしては努力いたしまして、地価公示法案をお願いしました機会に、さらに積極的に地価問題には取り組んでまいりたい、かように考えております。よろしくお願いしたいと思います。
  66. 始関伊平

    始関委員長 北側義一君。
  67. 北側義一

    ○北側委員 いろいろと同僚委員から、上程されております地価公示法案につきまして審議がされたわけでありますが、私は、この地価対策の経緯、この問題につきまして、昭和三十五年には、経済企画庁、また大蔵省建設省、これらがそれぞれの地価対策の構想を示して、その内容としては、供給対策、分散対策、また土地増価税、空閑地税、これらが取り上げられたというように聞いております。なお、昭和三十へ年には、不動産の鑑定評価に関する法律の公布にあたりまして、衆議院においては、地価公示制度制定して、地価安定のための実効ある措置を講ずる、このような附帯決議がなされたわけです。考えてみますと、この附帯決議がなされてからでもすでに六年たっておるわけです。その間、地価というものは年々非常に大きな値上がりを示して、そうして国民生活をあらゆる面で非常に圧迫しておる、このように私は考えるわけですが、なぜこのようにおくれたのか、また、今回出された地価公示法案が、なぜこの空閑地税、また土地増価税、これらを省いておるのかということにつきまして、非常に立法的に力の弱い地価対策になっておると思うのですが、そういう点どうでしょうか。
  68. 川島博

    ○川島(博)政府委員 地価公示制度の実施に関する提言、勧告等が過去累次にわたって行なわれたことは、先生の御指摘のとおりでございます。御承知のように、地価公示制度は、その基本におきまして、不動産鑑定士、鑑定士補を使いまして現地において地価調査を実施させるということが前提になるわけでございます。ところで、その実際の現地調査に当たります鑑定士制度は、先ほど先生の言われましたように、昭和三十八年度に立法化され、昭和三十九年度から国家試験を実施いたしまして、逐次鑑定士、鑑定士補が誕生をしてまいった次第でございますが、この鑑定士制度発足後五年にようやく二千名近い有資格者を確保できるに至った次第でございます。地価公示制度を実施いたします場合に、当面、本年度私どもは三百名以上の鑑定士を動員する予定でおりますが、これはやはり過去五年かかってできました二千名近い鑑定士という層の中から初めて三百名程度の委嘱が可能になった次第でございます。そういう点で、物理的と申しますか、こういう公示制度準備がいままでではなかなか整わなかったというところに理由があるわけでございます。  それから、空閑地税あるいは土地増価税等々、土地税制についても、過去数次の提言なり勧告があったわけでありますが、昭和三十九年五月の衆議院の決議でも、土地利用計画の確立、地価公示制度創設に加えて、空閑地税創設について決議がなされておるわけでございますが、これは先ほど来岡本先生の御質疑を通じてもおわかりのように、保有課税の強化を通じて土地利用促進しようという方向においては政府部内においても異論はないわけでございますけれども空閑地税を実施いたします場合には、いわゆる空閑地税を課すべき建築熟成地をどの程度の範囲にとるか、また、空閑地税を徴収すべき対象区域における空閑地とは一体何かということにつきまして、土地利用計画をさらにきめのこまかい制度として、現在の都市計画法なり建築基準法を加えましてもう少しきめのこまかい土地利用計画の法制化をはかることが前提であるという政府税制調査会の答申がございましたので、この前提要件をいかにして生かすかということに関しまして、大蔵、自治等の税制当局と私どもの間で検討を加えて今日に至っておる次第でございます。
  69. 北側義一

    ○北側委員 先ほど申しましたとおり、地価の問題は、昭和三十年から三十五年、三十六年、この期間に一番激しい値上がりを示しておるわけなんです。そして三十五年に、空閑地税とか土地増価税、こういうものの構想が練られたわけです。そうしますと現在約九年たっておるわけです。そして、九年間検討してきたということについては、一方では非常に大きな値上がりを示しておる、これはあまりにもマンマンデーというか、もうすでに検討する段階ではないと私は思うのです。先ほども岡本委員が言っておられましたが、これもうすでに実施する段階に来たと私は思うのですね。その問題がいまだに実現されておらない。今度の地価公示法案を見ましても、この一点が非常に大きな問題だと思うのです。だから、これをはたしていつごろまでに検討なさるつもりですか。
  70. 川島博

    ○川島(博)政府委員 おしかりを受けましてたいへん恐縮でございますが、私どもも、この土地対策の実施にあたりまして土地税制がいかに重要であるかということは、十分認識しておるわけでございますが、特に土地政策全般について申し上げますれば、まさに税制は補完的、流動的であろうかと思いますが、事いやしくも地価の安定という観点に問題をしぼってみますと、この土地税制の持つ役割りは非常に重要なものがあろうかと思います。そこで、政府は、おくればせながら、一昨年来税制調査会に土地税制部会を設けまして専門に審議をし、昨年の七月に土地税制についての答申を得、これが暮れの段階で立法化され、国会に提案されまして、先般成立を見た次第でございます。この今回成立を見ました土地税制の内容は、もちろん、一〇〇%われわれの要望——と申しますか、を盛ったものではないのでございますけれども、現在の各種の税制は、われわれの立場だけを考慮しておきめ願うわけにはまいらぬ点もあろうと思いますが、現在の段階であれだけの土地税制が現実に日本の法制の上で実現されたということは、数年前から考えてみると画期的なことじゃなかろうか。もちろん十分ではございませんけれども、今日の段階であれだけの税制が実現されたということについては、私は相当に評価すべきであろう。ただ、私どもは、立案する税制当局ではございませんで、むしろ税制当局を叱咤する立場で、北側先生と同じ立場にあるわけでございます。私ども個人的な見解としては、もちろん必ずしも十分ではございませんけれども、私は、今回の土地税制の改善は相当評価されてしかるべきだろうと考えております。
  71. 北側義一

    ○北側委員 私は、あくまでも地価の安定ということが、このたびこの法案提出された趣旨であろうと思うのです。そういう点から見て、ただいま申したようなことを私は申しているわけなんです。やる以上は、ここで徹底した考え方に立ってやらなければ——検討期間が少し長すぎると思うのです。そういう点で申し上げたわけなんです。また、現在の都市地価高騰、これはいま非常に激しいものがあるわけです。大体、この地価高騰の原因というものを知らなくては地価安定というものはなされないと思いますが、地価高騰の原因はどういうところにありますか。
  72. 川島博

    ○川島(博)政府委員 最近の地価の上昇が相当激しいことは、御指摘のとおりでございます。このように地価高騰いたします原因、これにはいろいろあるわけでございますが、やはり、基本的に申しますれば、何と申しましても、都市化に伴いまして人口、産業が特に大都市に集中する、そのために都市並びにその周辺の宅地に対する需要が急増いたしまして、需給のアンバランスを来たす、需要供給の不均衡がこの地価高騰の一番大きな原因でございますが、まあ副次的と申しますか、あわせまして、この地価がいつまでも上がるという事情を背景にいたしまして、当面必要なくても早く買っておこう、あるいは投機的に買ってもうけよう、こういった仮需要あるいは投機の増大、また、土地を持っている地主にいたしますれば、これを持っておれば将来もうかるということで売り控えをする、こういったことでさらに地価の増勢をあおる、加えまして、土地の市場というものが十分に確立をいたしておりませんので、地価の合理的な形成が困難であるということも、この地価の上昇傾向に拍車をかける原因になっておろうかと思います。
  73. 北側義一

    ○北側委員 そのようにいろいろたくさんの原因があるわけであります。  そこで、土地というものは、結局その場所が固定されておるわけです。そういう面で見まして、たとえば大都会で自分で住宅を建てよう、このように思っておる人も、大都会周辺は最近非常に地価値上がりによりまして住宅が建たない、ところが、地方都市に行きますと、地価が安いのでそのマイホームの夢がかなう、このようなことで、結局、需要供給関係で地方都市ではそのような住宅が建設されるような場合もある。そういう面から考えると、やはりこれは各都市の均衡ある発展というものが地価安定の一つの要因ではないか、このように私は思うわけなんです。そういう点、現在の都市化、これを見ますと、太平洋沿岸ベルト地帯というのは、昭和六十年ごろには約八千万になるであろう、このように推定されております。そういう手が現在打たれておっても、現在新産都市等ありますが、失敗しておるんじゃないか、こう私は思うわけです。また、都市のうちにおきましても、土地利用区分、このようなものをはっきりしていかなくてはならないのじゃないか、このように私は思うわけなんです。そういういわゆる諸機関が一体となっての地価安定というものが望まれるんじゃないか、このように私は思うのですが、その点、これらの対策は現在どうなっておりますか。
  74. 川島博

    ○川島(博)政府委員 地価問題のみでなく、日本の国土全般の開発という観点から考えますと、各地域がおしなべて均衡ある発展を遂げるように政府施策を実施する必要が十分あるわけでございます。現在の全国総合開発計画におきましても、そういった意味におきまして、都市過大化防止、地域格差の是正ということを二つの大きな桂に掲げておりますが、ただいま改定作業中の新しい全国総合開発計画におきましても、そういった全国土の均衡ある発展ということを前提に、北は北海道から南は九州に至るまで、鉄道あるいは道路等の輸送幹線を早急に整備いたしまして、同時に、各中核拠点を中心にいたしましてネットワークを形成する、さらに、末端の都市、農村につきましては、この中心都市を中心とする広域生活圏というものを設定して、単に産業のみならず、地域住民の生活環境の改善をはかって、全国土のすみずみまでを住みよい地域に持っていこう、こういうことでただいま改定作業が行なわれております。こういうことになりますと、当然に人口、産業の現在のような三大都市圏に対する極端な集中、偏在を是正していくことが必要になってくるわけでありますが、そういった政策を推進することによりまして、地価問題の解決にも大きな役割りが果たされることになろうというふうに考えております。
  75. 北側義一

    ○北側委員 そうすると、あなたの言われることは、なるほど非常に理論的なんですが、私思うのは、家際の問題として、こういう首都圏とか、あるいは中部圏とか近畿圏、これらの人口の増加というのは、現在手の打ちようがないような実態になっておるんじゃないかと思うのです。はたして、あなたの言われるような施策でこれはちゃんと食いとめて、そのような均衡ある都市、そういうのはできるんですか。
  76. 川島博

    ○川島(博)政府委員 もちろん、手をこまねいておれば、従前と同じような人口、産業の大都市集中は依然として続くであろうと思います。これに対しましては政府がいろいろな手を打つ必要があるわけでございますが、現在行なわれております新産都市あるいは工業整備特別地区といった工業を中心とする振興政策、あるいは大都市につきましては、現在首都圏、近畿圏等で実施されております学校、工場等の集中抑制政策、さらには、将来は事務所等の中枢管理機能に対する抑制策も当然検討すべき段階にくると思いますが、そういった大都市に対する抑制策、地方の都市に対する振興策、両々相まって実施をいたしてまいりますれば、従来のような地域的な偏向がだんだんと是正されていくことになろうというふうに考える次第でございます。
  77. 北側義一

    ○北側委員 そういう問題が一貫されたところにこの地価公示制度というものは非常に効力が発揮されると私は思うのです。それがなければ、この地価公示制度というものは、いままで何度も言われたとおり、これが制度化されても、実際の問題として、地価の安定ということを望むのは非常にむずかしい、このように私は思うわけなんです。あなたの言われたことは、いま検討なすっておる段階で、実施されるのはいつかわからないわけです。そういう点から言うと、この地価公示制度を提案されておりますが、はたしてこれで地価の安定はできるのかどうかということを私は非常に疑問に思うわけです。そういう一貫したものができて初めてこの地価公示制度も非常に効果を発すると私は思うのです。でなければ、現在の土地価格——これは先ほどから申し上げますとおり、とてもじゃないが、いまあなたのおっしゃったそういう検討という段階じゃないのです。すでに実施の段階に入っておるわけです。でなければ、この地価公示制度をつくっても、結局、政府の権威ある地価公示制度が、事実は、人が振り向かないような地価公示制度になる、そういうおそれはないか、それを私は心配するわけなんです。たとえば、この法案の中で、標準地を選定し、その正常な価格を公示する、このようにあるわけですが、これは具体的にどうするのですか。
  78. 川島博

    ○川島(博)政府委員 この公示価格は、法律の第二条にございますように、法律が通りました場合に新設をされます土地鑑定委員会が判定をするわけでございますが、土地鑑定委員会は、民間の鑑定士または鑑定士補二人以上を委嘱いたしまして、一地点について必ず二人以上の鑑定評価を求めるわけでございます。そしてこの二人以上の鑑定士から提出されました鑑定書をいろいろ審査いたしまして、また、必要な場合には調整を行なって、正常な価格を判定、公示するわけでございますが、「正常な価格」とは何かというと、これは二条の二項にございますように、「土地について、自由な取引が行なわれるとした場合におけるその取引において通常成立すると認められる価格」、すなわち、正常な適正な取引価格というものを判定して公示するということにいたしておる次第でございます。
  79. 北側義一

    ○北側委員 その地価調査の標準地となるところは、たとえば大阪、東京、名古屋は昭和四十四年度では何点ぐらいあるのですか。
  80. 川島博

    ○川島(博)政府委員 標準地でございますが、昭和四十四年度は全体で千十地点の調査を実施いたすことにいたしております。この中で、東京都及びその周辺地域には六百五十点、大阪市及びその周辺地域には二百四十点、名古屋市及びその周辺地域には八十地点、北九州市及びその周辺地域には四十地点、合計千十地点の標準地を選定し、調査をいたす予定にいたしております。
  81. 北側義一

    ○北側委員 一例をあげますと、いま言われたような大阪及びその周辺地区二百四十点の標準地をきめられるわけですが、これで他の一つの指標とするということは、非常にむずかしいと思うのです。というのは、あれだけの広範な範囲で——土地というのは、御存じのとおり、道路が通っておるか通っておらないか、いろんな条件によって地価が非常に変わるわけです。そういう点で、私思うのは、このようなわずかな標準地点を選んでやるよりも、むしろ一挙にやったほうがいいのじゃないか、そのように思うわけなのです。これではたしてそういうあれが得られると思いますか。
  82. 川島博

    ○川島(博)政府委員 私どもは、地価公示制度の将来の理想の状態におきましては、一方キロに一地点程度の標準地を設けまして、その価格を調査し、公示をすれば、いわゆる地価公示制度としては非常に理想的な状態が実現できるものと考えております。しかしながら、本年は制度創設の時期でもございますし、また、一方キロに一地点というような地点を選びましてかりに調査を実施いたしますためには、相当たくさんの鑑定士を動員する必要があります。しかしながら、現状二千人足らずの有資格者の現況を考えますと、そう直ちに理想的な状態で調査をするには、人間も不足でございますし、予算的にも相当膨大な費用を要するわけでございます。したがいまして、不十分ではございますけれども、とりあえずこの千地点程度の標準地を選びまして三大都市地域の地価公示をスタートさせることに踏み切った次第でございます。
  83. 北側義一

    ○北側委員 たとえば西ドイツにおいても、やはり地価公示制度が九年前に行なわれておるわけなんです。日本の今回示されましたこの地価公示制度とは幾分やり方において異なるわけですが、私は、そのような大都会でたとえばわずか二百四十点、そのような地点を定めてやるよりも、むしろ、そのときおりときおりに不動産の鑑定士がその土地の必要に応じた鑑定をやっていく、そういう方法もいいのじゃないか、このように考えておるわけなんです。その点どうでしょうか。
  84. 川島博

    ○川島(博)政府委員 外国におきまして地価公示でわが国と類似の制度を確立しておりますのは、御指摘のございました西ドイツ、台湾等があるわけでございますが、たとえば西ドイツの制度を見ますと、日本のように国が統一的に地価の調査をし、これを統一的に公示をするという制度ではございませんで、地方団体、すなわち、自由市とか郡に設置された鑑定委員会が、依頼者の依頼に応じて土地価格を調査をし、これを便宜一般に公表し利用に供するという制度になっておるわけでございます。これに対しまして、日本の今回の地価公示法は、国が土地鑑定委員会をして枢要な都市地域の地価調査を一斉に実施をし、これを統一的な基準で審査、調整を行なって公示する。したがって、この公示価格は、非常に慎重な手続で独立機関がきめるわけでございますから、いわば権威の高いものであり、また信頼性の高いものであろう、したがって、こういった方法によって決定され公示される価格は、当然に土地の売り手、買い手双方によって安心して援用され、これが地価形成の合理化に必ずや寄与するであろう、われわれはそれを確信をもって期待し、この制度を実施をするということにいたした次第でございます。
  85. 北側義一

    ○北側委員 そこで、現在大都会、たとえば先ほど言いました首都圏、中部圏、また近畿圏、ここらの周辺部の地価というのは、大体一年間で二一%近く上がっております。そこで、この法案を見ますと、年一回の鑑定評価で正当な価格を定めていこう、このようになっておるわけですが、その場合二一%近く一年間で非常に急騰しております地価を、はたして正当な価格が定められるかどうかということですね。かりに定めたとしても、その後においてその価格が実施されるかどうか、一般の土地売買の指標になるかどうかということですね。これは非常に疑問だと思うのです。その点どうでしょうか。
  86. 川島博

    ○川島(博)政府委員 御指摘のように、東京、大阪周辺の、いわゆるドーナツの皮の部分でございますが、ここにおきましては地価が非常に急騰いたしておりまして、東京周辺では一年間に二一%、大阪周辺では一四%程度、これは私どもがこの地価公示制度のトレーニングのための予備調査で実施いたしました地価調査の結果でございます。かなり高い数字が出ておるわけでございます。そこで、こういった情勢でございますので、いわゆる適正な土地の市場価格を公表する地価公示制度におきましては、やはりこの上昇を的確に反映した姿で行なう必要があろうと思います。そういった関係から、毎年一回公示をするということにいたしたわけでございますが、そういったかなりテンポの速い地価上昇になる時期におきましては、たとえば一年間の間に二割上がりますれば、公示価格から半年後に取引が行なわれる場合には、当然この半年間の値上がりというものを公示価格から補正をするという作業が伴わなければならないわけでございます。また、時間的なずれはあまりなくても、そこに地域条件が非常に変化した、たとえば新しく鉄道の駅が開設された、そういう客観条件の変化があれば、それに伴う補正を当然する必要がある。したがいまして、私どもはあくまで公示価格はものさしにしてもらうわけでありますから、ものさしと違うそういった物理的な条件あるいは時間的なずれというものができますれば、それは当然補正をした上で公示価格をものさしとして使っていただくということになりますので、必ずしもこの公示価格そのもので凍結をすることをしいているわけではございません。その辺はやはり当然補正ということを前提として公示価格をお使い願うということにいたしておるわけでございます。
  87. 北側義一

    ○北側委員 法案の第二十二条の中の五番目ですね。「土地の占有者は、正当な理由がない限り、第一項の規定による立入りを拒み、又は妨げてはならない。」、なおかつ、これについて、二十八条においては、「妨げた者は、十万円以下の罰金に処する。」こういうようにあるわけなんです。この「正当な理由」というのはどういうことですか。
  88. 川島博

    ○川島(博)政府委員 この種の規程は各種の法律に規程をされておるわけでございますが、この土地鑑定委員会のいたします現地の調査、これはもちろん国の機関が行ないます公的な行為でございますので、当然その人さまの占有する土地に立ち入らなければ調査ができない場合があるわけであります。しかしながら、やはり私有財産権というのは十分に尊重されなければなりませんので、あらゆる場合に、地主さんのあるいは家主さんの意向を無視して無理無理立ち入るということではなくて、いわゆる一般の社会通念から見て許される場合に入る、したがいまして、地主さんのほうにどうしても入ってもらっては困るという理由がある場合には入れない、こういう当然の規定をしたわけでございます。
  89. 北側義一

    ○北側委員 「正当な理由」とは、具体的にはどういう問題をあげられるのですか。
  90. 川島博

    ○川島(博)政府委員 具体的に例をあげよということでございますが、たとえば、当然立ち入ろうと思っていたうちで、お祝いとかあるいはお葬式とか、そういう行事をやっていて立て込んでいるというのに、無理やりに国の必要だからと踏み込んでいって調べる、そういうことは、やはり社会通念上許されないことでございます。そういった場合には、無理無理入ることはよろしくないというふうに考えております。
  91. 北側義一

    ○北側委員 そうすると、結局、「正当な理由」というのは、時間的な問題であって、永続的なものじゃないということですね。
  92. 川島博

    ○川島(博)政府委員 さように理解しております。
  93. 北側義一

    ○北側委員 私がそこを心配しますのは、たとえば今回の場合、公示された標準価格公共用地取得価格を統一して、これを取得基準としておるわけですね。そうしますと、たとえば公共事業が進められていく、しかもそれは都会であった、鑑定したその基準というものが、非常な地価の値上がりによって非常に低いものになる、そういう場合に、そういう計画のあるところは、やはりだれでも立ち入り検査を拒むんじゃないかと思うんですよ、そういうことをきめられると困るので。先ほどから私申しておりますとおり、東京周辺で値上がりが二一%、それから大阪周辺で一四%とおっしゃっていましたね、そのような地点は、一月にこの鑑定をして正当な評価をしてその価格をきめた、たとえば十二月に公共事業が行なわれる、そうしますと、非常にその格差が出てくると思うのですよ。その場合に、普通、人間でありますと、持っている人は、これからその土地がどれだけのものを生産していくか、そういういろいろな利潤や価値を考えると、反対する人は当然あると思うのですよ。そういう場合に、これをきめられて、泣く泣くでもこれを承知しなければならないのかどうかということですね。その点はどうですか。
  94. 川島博

    ○川島(博)政府委員 この標準地の地価調査を行ない、それが公示されましても、別にその価格でしか土地の取引を禁止するわけではございませんので、そういった意味では、一般的に、標準地に選ばれ、これが公示価格として公表さることによって地主に損害が発生するということはあり得ないと私どもは考えておりますが、たまたまその土地公共事業の用地に当たって買収をされる——ただいま私どもは、大体一月一日に調査をいたしまして、四月一日に公示をする予定でございますが、それが十一月にかりに公共事業に当たって買収されるという場合には、公示価格の調査時点である一月一日から十一月の、たとえば十五日なら十五日までの十何カ月の間の時点修正による価格の修正は当然行なおなければならぬというふうに考えております。したがいまして、そういった十一月にこの買収をきれるのに、値段は一月一日の値段で押えられるのだということでありますれば、確かにこれは問題でございますけれども、当然時間的なずれにつきましては時点修正をして価格をきめるということになっておりますので、その点の御心配はないのではないかというふうに考えております。
  95. 北側義一

    ○北側委員 そうしますと、この地価公示制度というのは、要するに適正な地価、これをきめるだけのものであって、結局地価安定策ではないということですね。(「そのとおり」と呼ぶ者あり)
  96. 川島博

    ○川島(博)政府委員 そのとおりというお答えをしてもいいわけでございますけれども、問題は、世の中には売り手、買い手も無知であるがゆえに、いわゆる呼び値、つけ値による実際の取引が行なわれる、これはいわゆる適正な意味における実勢価格による取引ではございませんで、これはまさに実勢価格プラスアルファによる取引が行なわれておる、そういう意味における、何げない、わからないプラスアルファ分というものは、この公示制度では当然見るわけにはまいりません。したがいまして、往々にしてそういった特殊な価格で、売り手、買い手の無知のためにとっぴな価格でとっぴな取引が行なわれるという意味におきましては、そういうことは今後なくなるわけでございますから、そういう異常な取引価格がなくなるという意味においては少なくとも地価の安定に資するであろうと思います。しかし、何と申しましても、発表する価格は、別に政策的に時価よりも押えた価格でございませんで、適正な時価そのままを発表するわけでございますから、そういう意味においては、特にそのためにこの地価が政策的に抑制されるということにはならないわけでございます。
  97. 北側義一

    ○北側委員 そうしますと、やはり私が最初に申し上げましたとおり、三十五年当時からこの地価対策に対しては非常にいろいろな構想をなさっておられても、実効力のあるところの地価対策というものは結局いまだにできておらない、このように言ってもこれは過言ではないように思うのです。そういう点で、やはりこれからの地価問題というのはもっと私は抜本的なものでなければいけないと思うのです。これは各党——野党ですね、この間土地問題で四党会談がありましたが、そのときの意見を私読みますと、非常にりっぱな意見を全部言っておられます。また、各界のいろいろな意見も、もうここらでほんとうの抜本的な対策を練らなければいけない、このような意見がずいぶん出ておるわけです。私いますっと聞きまして、この地価公示制度も実際は地価安定政策ではなかった、ただ一部のそのような悪徳な業者、そういうものを手控えするだけの法案でしがなかったと、非常に残念に思うわけなんです。土地問題に対しては、住宅問題にしても都市開発にしても、非常にこれは大事な根本的な問題ですから、もっとやはり何らかの対策を考えていただきたいと思うのです。大臣、どうでしょう。
  98. 坪川信三

    坪川国務大臣 先ほどから北側委員の御指摘になりました点を傾聴いたしておりますが、われわれといたしましては、この法案によって地価安定にすべてをかけるというようなことではございません。先般も申し上げましたごとく、万能薬としてあるいは即効薬としての期待ということにつきましても、ある程度多く持っておりますけれども、すべてこれに依存、あるいはそれに対するところの施策をもういたさないのだというような気持ちはみじんもございません。北側委員御指摘のとおり、非常に重大な問題はやはり地価土地対策であろうと考えますので、総合的な計画的な政策をさらに各般にわたりながら求めつつ、地価対策の安定に十分——政府といたしまして、また建設省といたしましても、あらゆる総合的な施策をもちまして打ち立ててまいりたい、こう考えておる次第であります。
  99. 北側義一

    ○北側委員 ひとつ早くその点をお願いしたいと思うのです。この地価公示制度審議会で検討されたときに、住宅宅地審議会の宅地部会で各省の代表が寄っていろいろと意見を述べたらしいのですが、だいぶ批判的な意見が多かった、このように私は聞いておりますけれども、それはどういう意見ですか。
  100. 川島博

    ○川島(博)政府委員 住宅宅地審議会におきましては、昨年六回宅地部会で御審議を願ったわけでございます。ただいま、政府部内でいろいろ批判があったというお話でございましたが、それは、もちろん、初めのうちはいろいろな誤解等に基づいて意見を調整する段階もございましたけれど、最後に答申をする段階におきましては、これは政府部内のみならず、御出席の各委員の間でも全会一致で御答申を願ったわけでございます。特に申し上げておきますが、一番問題になりましたのは、何といっても、地価公示制度と、それから課税上の評価額との関連をどう考えるかという点でございます。これについてはたいへんな検討、議論があったわけでございますが、最終的には、先ほど大蔵省自治省両御当局から御説明がありましたように、いま直ちに課税上の評価額と関連させることは、この施行地域が非常に限られておるということから、困難であるけれども、将来は当然この両者は均衡を保持すべきであるという点では、大蔵省自治省当局を含めまして、政府は完全に意見の一致を見ている次第でございます。
  101. 北側義一

    ○北側委員 私は思うんですよ。たとえば、昭和四十二年の「国土建設の現況」ですね、これを見ますと、都市人口の分布密度、これはこのようになっておりますよ。その比率を諸外国に比べてみますと、日本は一・五四とすれば、アメリカは〇・〇四、イギリスは〇・三五、フランスは〇・一〇、オランダは〇・六一、西ドイツは〇・三八、イタリアは〇・一五、このようになっておるわけです。これはもう非常に市街地の人口の密度が高いわけです。そういうことを考えると、世界で一番大きな都市問題をかかえそうして苦しんでおるのはやはり日本ではないか、このように私は思うわけなんです。であるならば、その都市の一番最大の問題である土地対策、これがやはり国民生活に対して大きな弊害をもたらしておるということは、これはもう明らかなんです。であるならば、先ほどから何べんも言いますように、ここで世界に類例を見ないような、そういうはっきりした地価対策を私は打ち出さなければいけないと思うのです。検討するとか、たとえば考慮するとか、あまりにもこれは長過ぎます。一年とか二年とか検討するということは、これは話がわかりますが、もうこれを出してから、昭和三十年から昭和四十年ごろまでに地価が十倍上がっているのですよ。その段階で為政者がやらなければ、一体これはだれがやるんだというのです。だれでもこれは手を出せないのです。それをいまだに、そのような、地価安定政策でございませんと、のうのうと答弁する、これはどうも私納得いきません。だから、もっと早くひとつちゃんとやってもらいたいですね。これは先般四党の土地問題の討論会におきましてもいろいろな提案が出ているのです。少なくともこの地価公示制度だけでも、もっとそういう抜け穴のないようなものをつくってもらいたいのです。これを私ずっといままで審議して、ますます実感としてわいてきたわけなんです。地価問題がちゃんと解決されなければ、住宅問題も非常に問題が——たとえば、来年度からまた新五カ年計画を立てられる。昭和六十年度までに二千万戸ですが、大臣が言っておられるこういう問題も、これまた、言うだけで、実際解決されないのじゃないかと思うのです。この間審議した公営住宅法一部改正大臣の言われたことは、実際はやはりできないのじゃないか、このように私は思うわけなんです。現在見ますと、たとえば大都会におきましては、すでに公営住宅を建てる建設用地というものはだんだんなくなってきております。また、日本住宅公団の用地買収もいま非常に困難をきわめております。その家賃も、今度は面開発をするらしいのですが、それで見てみますと、一番高いところは三万円近くもしておるのです。これでこういう問題が全部だめになってしまうのです。そういう点、非常に残念だと思うのです。  こういう点について、大臣、住宅問題を一つとらえて質問しますが、そうすると、この地価公示制度では、公営住宅の用地買収にしてもそう大きな期待はかけられませんね。どうですか。
  102. 坪川信三

    坪川国務大臣 北側委員御心配のあまり、御指摘やら、また御叱正をちょうだいいたしており、また非常に悲観的な見通しをお述べになっておられる点もございますけれども、私は、やはりこれらに対しましては十分ひとつ意欲をもって——検討というような問題でなくして、実際問題として総合的計画的にその推進を住宅の面からも地価安定の面からもいたしてまいり、また、この公示制度によってやはり地価の安定ができまして、住宅の土地収用等にも大きな役割りを持ってくるものと私は深く期待もいたし、信じております。  先進国の例等もおあげになっておられましたが、ごもっともでございます。しかし、おことばを返す意味ではございませんが、やはり日本の国土と人口のアンバランスという問題点等も、私たちはその客観的の中に十分考慮いたしまして、そのアンバランスからくる不幸を避けながら、建設省のいわゆる公共事業の推進、社会資本の立ちおくれを取り返したい、この決意で、政府といたしましては最善の努力と対策を今後も続けてまいりたい、こう考えております。
  103. 北側義一

    ○北側委員 もう時間がありませんので、最後に一点だけ。  いま申しました公団住宅の件なんですが、これは大臣が常に、職住近接、このように言っておられるわけです。ことしの公団住宅の実態を見ますと、面開発を非常に力を入れてやる、このようにおっしゃっておられるのですが、この問題について、家賃が実際の問題として三万円近くなるようでは、これはどうしようもないですよね。そういう問題について、私はここで前にも申したとおり、やはり建設省も、そういう公団にまかすのではなくして、用地の取得にしましても、また家賃の問題にしましても、考える時点に来たんじゃないか、このように私は思うのです。でなければ、そういう面開発されて建ちましても、たとえば大阪の二十六号線のほうに建ちました住吉の市街地住宅にしましても、入居者が初め四割しかなかったのですね。あとはあき家なんです。一年間もあき家であるような、そういうところも実際問題としてあるわけなんですよね。これはなぜか。結局家賃が高いわけなんです。名古屋方面にもずいぶんあります。もうここらで考えなければいけない時期が来ているんじゃないでしょうか。まだずっとありますが、時間がないのでこれでやめますが、一点だけ最後にこれを聞いておきたいと思うのです。
  104. 坪川信三

    坪川国務大臣 公団住宅の四十四年度の建設方針といたしましては、三日前に公団住宅から発表いたしましたような方針であります。すなわち、質の改良を十分配慮いたしたい。いわゆる2DKを3DKにふやす方針のもとで建設を急ぎたい。いま御指摘になりました家賃の問題等につきましては、私の方針といたしましては、やはり統一した設計、統一した一つの規格に基づく工業化ということが、非常に重大な、家賃コストに響く、私はこう考えますときに、たとえばエレベーター等の生産等も、規模を統一いたしましてエレベーターが安く使用できるというような指導を業界にいまとりつつありますので、そうした面からも一つの役割りを果たしてくれるものである、また、総合的な建設事業の工業化をはかりまして、資材その他材料等の低廉化をはかる、あるいは工法上も、十分時代に即応いたす工法とともに、やはりこれが値段が上がるという問題に響かないようになるべく安くするというような方針の工法も考えてまいりたい、こういうような指導をいたしておりますので、御了承いだたきたい、こう思います。
  105. 北側義一

    ○北側委員 家賃対策とか、そういうものについては結局何も考えていないわけですか。家賃が三万円なら三万円ということについて……。
  106. 沢田光英

    ○沢田説明員 ただいまの御質問の、職住接近に伴います都市内部の……
  107. 北側義一

    ○北側委員 答えは簡単に。
  108. 沢田光英

    ○沢田説明員 最近の勤労者の所得が大体一〇%前後上がっております。こういうことに対処しまして、傾斜家賃というふうな思想の検討をいたしております。ただし、これは事務当局で検討いたしておるのでございまして、初めの家賃は安くいたしまして、だんだんと上げていく、数年後に終局の家賃に達する、こういうふうなことで、先ほど申し上げます勤労者の収入上昇にあわせて負担がやりやすいように、かような趣旨のものを考えて、いま検討中でございます。ただし、この問題に関しましては、公団の資金繰りあるいはそのほかの問題もございますので、慎重に検討いたしております。
  109. 北側義一

    ○北側委員 この傾斜家賃につきましても、聞くところによりますと、大蔵省のほうではあまりいい顔をしておらない、そのように聞いておるわけです。そうしますと、結局この地価公示制度も大量の宅地供給にはならないと私は思うのです。やはりいままでどおりの同じような姿になっていくのじゃないかと思います。そうすると、住宅の問題にしましても、これはますます非常に困難を来たすのじゃないか、こう思うわけなんです。これはもうここで何か抜本策を考えなければいけない時期に来ているのじゃないかと思うのです。私が建設委員になりましてから大臣がちょうど三人かわっておられるわけです。西村さんと保利さんと坪川さんと、大臣がかわるたびに、いつも同じような答弁が出てくるわけです。これはいつになったら解決できるのか、そういう不安がだれでもわいてくるのじゃないかと思うんですよ。これから、面開発にしても、公営住宅の家賃にしても、だんだん地価が上がればどうしたって家賃に響くのですからね。なるほど、所得も上がっております。しかし、所得の上がりよりも地価の上がるのが早いのですよ。それを考えておかぬといかぬと思うのです。だから、そういう点をひとつ大臣から最後にもう一言お願いします。
  110. 坪川信三

    坪川国務大臣 一言とおっしゃいますから、私も一言申し上げます。  最善の努力をいたしまして、これらの不幸を避けてまいりたい、こう申し上げて御了解いただきたいと思います。
  111. 始関伊平

    始関委員長 次回は、来たる二十三日午前十時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十一分散会