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1969-11-10 第61回国会 衆議院 決算委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年十一月十日(月曜日)     午前十時五十八分開議  出席委員    委員長代理 理事 鍛冶良作君    理事 白浜 仁吉君 理事 丹羽 久章君    理事 田中 武夫君 理事 華山 親義君    理事 吉田 賢一君       仮谷 忠男君    篠田 弘作君       菅波  茂君    八田 貞義君      三ツ林弥太郎君    赤路 友藏君       板川 正吾君    渡辺 惣蔵君       浅井 美幸君  出席国務大臣         通商産業大臣  大平 正芳君  委員外出席者         総理府人事局長 栗山 廉平君         防衛施設庁長官 山上 信重君         防衛施設庁施設         部長      鶴崎  敏君         経済企画庁国民         生活局長    八塚 陽介君         外務大臣官房領         事移住部長   遠藤 又男君         外務大臣官房領         事移住部移住課         長       稲吉日出蔵君         外務省経済局長 鶴見 清彦君         大蔵政務次官  上村千一郎君         大蔵省主計局給         与課長     谷口  昇君         大蔵省主計局主         計官      相原 三郎君         厚生大臣官房会         計課長     横田 陽吉君         厚生省公衆衛生         局栄養課長   月橋 得郎君         厚生省環境衛生         局長      金光 克己君         厚生省環境衛生         局食品化学課長 小島 康平君         厚生省国立衛生         試験所長    石舘 守三君         農林大臣官房経         理課長     樋貝  勇君         農林省農林経済        局企業流通部長 大河原太一郎君         農林省農政局参         事官      遠藤 寛二君         農林省農政局農         業協同組合課長 板野 権二君         農林省農地局管         理部長     小山 義夫君         食糧庁次長   馬場 二葉君         林野庁林政部長 大山 一生君         通商産業大臣官         房長      高橋 淑郎君         通商産業大臣官         房会計課長   飯塚 史郎君         通商産業大臣官         房審議官    成田 寿治君         通商産業省通商         局長      原田  明君         通商産業省通商         局輸入業務課長 柴田 益男君         通商産業省繊維         雑貨局長    三宅 幸夫君         運輸省鉄道監督         局長      町田  直君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 山口 真弘君         建設省河川局長 坂野 重信君         自治省行政局長 宮澤  弘君         日本国有鉄道常         務理事     長瀬 恒雄君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     小野  裕君         参  考  人         (海外移住事業         団理事長)   廣岡 謙二君         専  門  員 池田 孝道君     ――――――――――――― 十一月十日  委員石田博英君、椎名悦三郎君、根本龍太郎君、  石野久男君及び三宅正一辞任につき、その補  欠として三ツ林弥太郎君、八田貞義君、仮谷忠  男君、板川正吾君及び渡辺惣蔵君が議長指名  で委員に選任された。 同日  委員仮谷忠男君、八田貞義君、三ツ林弥太郎君、  板川正吾君及び渡辺惣蔵辞任につき、その補  欠として根本龍太郎君、椎名悦三郎君、石田博  英君、石野久男君及び三宅正一君が議長指名  で委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  歳入歳出実況に関する件  国有財産増減及び現況に関する件      ――――◇―――――
  2. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 これより会議を開きます。  本日は委員長が所用のため欠席されますので、指定により私が委員長の職務を行ないますから、よろしくお願いいたします。  これより歳入歳出実況に関する件及び国有財産増減及び現況に関する件について調査を行ないます。  この際、おはかりいたします。  先般、歳入歳出実況政府関係機関の経理及び国が資本金を出資している法人の会計に関する実情調査のため、当委員会委員を二班に分け、第一班を福島県、宮城県、岩手県、第二班を愛知県、福井県、大阪府、三重県にそれぞれ派遣いたしました。各班の派遣委員より報告書委員長まで提出されております。  この際、派遣委員からの報告聴取を省略し、会議録に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 御異議なしと認め、さよう決します。     ―――――――――――――   〔報告書本号末尾に掲載〕      ――――◇―――――
  4. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 次におはかりいたします。  歳入歳出実況に関する件及び国有財産増減及び現況に関する件の調査のため、本日へ参考人として海外移住事業団より理事長廣岡謙二君及び日本道路公団より理事小野裕君の方々出席を願い、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 御異議なしと認め、さよう決します。
  6. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 それでは、質疑の申し出がありますので、順次これを許します。丹羽久章君。
  7. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 私は去る九月に中川委員長と同行しましてペルー、ブラジル等へ参り、特にブラジルではリオ、サンパウロ等を視察いたしました。特にサンパウロではジャカレイという海外移住事業団直轄移住地を見せていただくことができました。ジャカレイ移住地サンパウロ市から自動車で約一時間くらい、距離にしてみますと六十キロか七十キロぐらいのところではなかろうかと思いますが、そのジャカレイでは、移住者代表者二十数名に来ていただきまして、小学校の隣にあるあまりりっぱでないいなか風の建物の中でその人々いろいろ話し合いをしてみたり、あるいは陳情を受けましたが、まず第一にお尋ねいたしたいと思いますことは、この人たち意見として、事業団はわれわれに非常に不当に高い価格土地を売りつけた、少なくとも現在ここに入ってみて、この付近の人たちに時価を聞いて調べてみると四倍も高い、こう言っているのです。何とかしてこの価格を調整してもらいたいということでありましたが、この点は移住者のことばを全部信ずるというわけではありませんが、ほんとうに現地の人の言っておるように、はたして高いのかどうか、この点をひとつ説明を願いたいと思うのです。私が質問することは、この会議録現地の人人の手に入ることはもちろんでありますから、現地人々は、政府のほうからどのような答弁をしていただけるかということに大きな関心を持っておりますので、ひとつこの点について御説明をお願いしたい、こう思います。
  8. 廣岡謙二

    廣岡参考人 事業団がただいまやっております土地分譲の方式は、土地を購入したあとで農耕に適しておる土地を小区画に割りまして、必要な道路橋梁等をつけまして移住者分譲いたしておるわけであります。分譲にあたりましては、これに要した造成費用分譲完了までの維持管理費などの見込み額土地購入費に加えまして、これを予定原価として区画数及び面積に応じて配分を行なって分譲価格をきめておるというのであります。したがいまして、この付加価値分だけ分譲土地費が高くなるということは当然でございまして、その価格につきましては、私ども決して不当に高いというものではなかったと考えております。  ただ、そういう代表者方々がそういうことを言われましたことは、必ずしもそういう点ではなかったのじゃないかと思うのでございます。  と申しますのは、ブラジルにおきましては御承知のように為替ルート下落がしばしばございまして、その一例として御説明申し上げますると、ただいまお話しのありました円建て契約であるジャカレイ移住地分譲価格は、同じ時点で近傍で契約された伯価建て契約土地に比べますと、ブラジル価で比較した場合、その後の為替レート下落ごとに高くなっておるという状態にございます。すなわち、土地購入時におけるレートで算出した分譲価格を今日の時点レートで比べてみますると、為替レートは約三十分の一に下落しておるという状態でございますから、円建て契約の場合は約三十倍になっておるわけであります。これに対しまして、伯価建ての場合はそのままで変わらないということになります。ところが、一方土地の値段は当時と今日では約二十倍も値上がりでございまして、したがって、この例によりますると、為替レートでスライドする円建て価格では土地価格は約三十倍になっておるのにかかわらず、土地一般的騰貴率は約二十倍ということで、その差だけが高いということになるわけでありまして、大体一・五倍高になっておるというように考えております。移住者の方が近隣と比べて四倍くらい高くなっておるという話でありますが、その根拠はわかりませんけれども、先ほど申しましたように、そういう意味からして、若干為替レートからくる考え方といたしますと、そうなると考えておったのじゃないかと思います。  ただ、近年ブラジルにおきましてはいろいろな法令が改廃されておるのでありまして、この問題につきましても、最近、ことしの三月に公布されました大統領令の四百九十四号というものによって円建て契約が一切不可能になるというような状態にも相なりましたので、現地通貨建てに当然切りかえてまいらなければならぬ事態に当面をいたしております。  この現地通貨建てに切りかえる場合は、為替差損もどういうように措置するかなど、事務的にも技術的にもいろいろ問題がございますので、目下これにつきましては関係当局とも十分な協議を遂げておる次第であります。これができ次第、現地の要望に沿うようにせっかく努力いたしてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  9. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 ただいま参考人でおいでいただきました廣岡理事長お話を聞きますと、この売り価格はそんなに高くない、現地では四倍と言っておるけれども、これは為替レート関係でそういうようになってきたのだし、あるいは工事をやった一部の負担である程度は高くなっておるけれども、そんな価格ではない、こうおっしゃいますが、私は現地人々とあなたのほうの人との立ち会いのもとでいろいろ話をしてみたのですよ。  そこで、工事費にかかったというのだが、それじゃ工事費というのはどのくらいかかったのだ、あるいは区画整理をしたというならば、整理をしたという上においてどんなような金がかかったのだ、なぜそれはここに入っている人たちに、もっと明細にこういうようにかかりましたよというような話をしてやらなかったか、こういうようなことを話してみたのですが、少しそこで話の食い違いというものがあって、彼らは、そんな金がかかるわけがありますか、道路だって何もできやしませんよ、自分たちがみんなで難儀をしてつくった道路なんですよ、こう訴えているんですから、いまの話のいき方は、いまの参考人の話と現地の話と、私ども――私どもだけではなくて、あなたのほうからの人も行っていらっしゃったと思うんですね、一部の人が。ですから、これはやはりある程度そういう不信感を持っているんです。同時に、いまの為替レートの問題はこれからあとから聞こうと思っておりますが、もう少しジャカレイの問題だけでも取り上げていただいて、実際にあなたが買われたものがあなた方が合併せられる前に買われたものであるかどうかということなんですよ、問題は。いいですか、理事長。あなた方が合併したのは三十八年ごろだったと思うんですがね。これはこのとき以後に買った土地じゃなかったですよ。その前に買った土地だということですね。そのときの帳面というのは実にずさんきわまる帳面であった、それを引き継いだんだ、だから、ややそういうところにも不備があったのだと言っているんですから、それを一方的に、ここにいる人たちの言っていることはちょっと話が違うんだと言って、頭ごなしにそういうことをおっしゃるということは――少なくとも私どもは、間違った話をここでどこまででもあなた方の間違いだと言って指摘しようとは考えていないんです。相当根拠を持って話し合いをしてきた結論をここで考えて、やれるかどうだ、高いと認めるかどうだということを聞いているんですから、この点、ひとつもう一度――私の与えられた時間は三十分ですから、長い話はせぬでもいいから簡単にひとつこの第一問だけの答えをしてもらいたいと思います。前はまだ帳面が十分でなかったからこういうように精算したんだ、したんだから、少しは高いかもしれないけれども、それは今後研究をしなければならぬというならそれでもいいし、絶対に一銭もまけてやることはできませんよというなら、また私は後日あらためてあなたに資料をまとめて聞きますから、その点、はっきりしていただきたいと思います。三十分ですからね、ひとつ頼みますよ。
  10. 廣岡謙二

    廣岡参考人 お答えいたします。  ジャカレイ土地工事をいたしましたのは三十五年のたしか三月でございまして、事業団が発足いたしましたのは三十八年の七月十五日、したがって前時代のことでございますから、いまの御質問に関する当時の資料を見てみますると、決してその間によけいな――何も道路をやっていなかったじゃないかというようなお話もいまございましたけれども現実に地区内における旧道を改修する八キロにわたる工事、また、新道を新しく造成いたしました十二・七キロの工事、さらに排水路といたしまして四・三キロの工事でありまするとか、あるいはコンクリート打ち工事であるとかいうようなことに現実に使っておることは事実でございまして、土地費といたしましては四千四百五十四万一千四百六十八円でございましたけれども、そういうもの、さらに公祖とか公課、一般管理費というようなものを含めますると七千五百万円くらいになっておりまして、その差額は、要するにただいま御説明いたしました工事費その他の一般管理経費でございまして、その間におけるものにつきましては、別にごまかしであるとか、移住者に対して隠しておったというような事実はないと考えておる次第でございます。
  11. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 理事長から、そういうことで道路も数十キロやったのだ、あるいは下水管もやったのだということでそのような単価になったのだとおっしゃるのですけれども、これはだいぶ現地との話し合いというものは食い違った点があるのです。だから、これは後日に譲って、ひとつ考慮して十分に研究してもらうという課題にしておきましょう。それ以上、きょうは時間がありませんから……。  そこで、第二の問題をちょっとお尋ねしたいと思いますが、この人たちは入植してから八年になるのですね。八年になるのだけれども、そのうちお金も払っておるようでありますが、地券はもちろんのこと、借地農としての契約も結んでもらえない、入植者として全く落ちつきのない存在になっているということなのです。三十何軒ここへ入植したのですが、ここ二、三年来でこの土地からもう逃げ出しておる者があるということですね。去年から今年にかけても七家族がどこかに蒸発してしまった、こういうような状態なのですよ。これについても、ひとつぜひ私どもから、何とかして地券とか、あるいは借地関係というようなものの契約を結んでもらうということによって、現地の銀行とか何かから借り入れもできるし、信用程度もうんと高くなるから、何とかこういうような方法を考えてもらいたい、それはいまの海外移住事業団でできなければ、外務省としてこういうようなことをひとつ考えてもらうようにぜひ話をしてくれぬか、私らは全く地についていないのだ、借地権もなければ、登記の証書というのか、お金は払ったけれども、いまだにそういうことがはっきりしてもらえぬということになってくると、何か私どもは不安であるということを強く主張しているのですが、この点はどうでしょうか。これは外務省でもどちらでもいいのでしょう、責任のあるほうからひとつ答弁をしていただければいいのですから。簡単にいたしてくださいね。
  12. 廣岡謙二

    廣岡参考人 ジャカレイ土地分譲分割払いによっておりますので、その完済後に地券をお渡ししておる、これは当然のことだと思うのであります。  ただ、いまお話しになりましたように、一部の人が脱耕しておる、落ちつかないとか、あるいはいろいろな事由があったと思いますけれども、脱耕しておる方もないではございませんけれども、しかしジャカレイは、冒頭お話しになりましたようにサンパウロから七十キロ前後ぐらいの位置に属しておりまして、近郊土地として、立地条件から申しますと、かなり恵まれた移住地であると考えておるわけでございます。また、その営農経営状態を調べてみましても、かなりの粗収入をあげておる方々が多いのでございまして、ただいま脱耕しておる一部の人たち譲渡契約を解除するというかっこうで解除して出ていった方ではありませんで、そのままにし、一時的に外へ出ておるという人もかなりおるようでございます。したがって、移住地経営を、さらに営農上からいたしましても、生活指導の面を今後だんだんと充実いたしてまいりますならば将来有望な土地であると思うのであります。しかし、現在排水関係でありますとか、そういう低地における施設がまだまだ整備を要する段階になっておりますので、私どもとしましては、これらの点につきましても現地の州の政府等と十分に連絡をとって、さらにこれを推進することによって移住地整備を一そうよくしていきたい、こう考えておる次第でございます。  そういうことでよろしゅうございますか。
  13. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 理事長にお尋ねしますが、そうすると、お金を払えば地券は与える、こうおっしゃるのですか。いま分割払いであるから、お金が全部払われてしまえば地券は与えますよ、こうおっしゃるのですか。
  14. 廣岡謙二

    廣岡参考人 ただ、ブラジルの国情から申しまして、ちょっと触れましたけれども、最近いろいろな法令が出てまいりまして、その一つには、移住事業団移住地ブラジルでは私法人下にありますので、ブラジル私営植民地ということになっておるわけでありますが、その登録義務を課する法律というものが出まして、当団は目下その登録手続中でございます。ところが、ブラジル取り扱い官庁は今日までずいぶんかわっておるわけであります。最初はINICという取り扱い官庁であったのが、SUPRAであるとか、さらにはINDAであるとか……。(丹羽(久)委員「どうなるかということさえ聞けばいいのです」と呼ぶ)取り扱い官庁が非常にかわってまいりますので、そのために、われわれ登録申請いたしておりましても、そういう関係でまだ認可にならない移住地もあるわけでありまして、それに基因しておるということが一つございます。  さらに、ことしの三月に出た大統領令でありますが、農村の土地取得制限法というものが公布されまして、そのために、当団移住地の存在しておる郡内の外国人土地所有面積実態が把握されないために不動産地券発行業務を停止した、この法令が出る前にそういう方面の十分な調査というものが完了されて公布されるのがわれわれの常識でございますけれども、そういうことなしにこの法令が公布されましたために、実態を明らかにするまでは地券業務を取り扱うところの不動産登記業務を停止されるということのために、この地券手続も遅延してまいっておるというようなことがございます。  こういういろいろな事由からして地券発給が思わしく進んでいないのでありますけれども、私どものほうも、出先の公館側とも十分連絡をお願いいたしまして、これらの問題がなるべく迅速に片づきますように鋭意折衝を続けておる次第でございまして、この問題が解決すれば、私どもといたしましても地券発給業務を至急に推進してまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  15. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 外務省遠藤領事移住部長にちょっと尋ねます。  いま廣岡理事長から話がありましたが、鋭意話を進めているとおっしゃいますけれども向こう法律で、何人によらず、この農地に対しての国外売買は認めないというようなことがいわれておるというのですけれども移住者たちは、お金は払いました、しかし自分のものにならないというとたいへんな不安だ、最初来るときには、それを払えば自分のものになるのだという考え、そういうような指導で来ている、こう言っているのですが、これは今後どういうふうに考えますか。その点明確に、彼らに安心の与えられるものの言い方をして説明をしてもらいたいと思うのです。
  16. 遠藤又男

    遠藤(又)説明員 この地券の問題は、ジャカレイだけでございませんで、ブラジル全体の問題でもございます。移住者、現在すでに送られている人たち、それから新しく出る人たちも含めまして、全体の士気にも関係する非常に重大問題でもございますので、こっちの東京ででももちろんそうでございますけれども現地大使館総領事館、みんなこの問題に真剣に取り組んでおりまして、ブラジル政府、それからブラジルのいろんな関係機関等とも鋭意折衝をしております。それで、お金さえ払えば問題なく取得ができるようにということで鋭意努力しておるところでございまして、これも遠からず解決するものと思っております。
  17. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 遠からず解決するといって、折衝段階において明るい見通しのあるような言質が向こうから出ておりますか。
  18. 遠藤又男

    遠藤(又)説明員 現在のところ必ずしも明るいとは申し上げられないかと思いますけれども現地大使館総領事館と力を合わせて、事業団現地機関とも力を合わせてやっておりまして、これは理屈からいいましても解決すべきものでございますし、だんだんと向こうもわかってきつつある状況でございますので、それでかならず解決するものと申し上げたわけでございます。
  19. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 それじゃ、外務省廣岡理事長にお願いしますけれども、これは非常に心配しておる問題ですから、やはりいまおっしゃったように、海外移住者全体、南米に対する問題ですから、ひとつ強力な推進をやっていただいて、そして本人たち落ちつきの出るようにやってやってくれませんか、これはたいへん心配しておりますから。  それから、ここで購入した分譲地の代金が問題であるといって、先ほどちょっと廣岡理事長から話がありましたが、彼らは四倍も高いといっておるのですけれども、それは別として、日本円で借りた金が、為替で支払うというと、最近たいへんな変動ですね。現地通貨で計算すると二十倍も三十倍にもなった金を払わなければならない、とてもそんなものは払えないと言っているのですよ。そういうような払い方でいくとたいへんだから払えない、これは何とか一日も早くいい方法を考えてもらいたい、円と現地金との開きが日がたつに従ってますます大きくなっていく、こういうのです。そういうことで、事業団だとか外務省だとか大蔵省が一体になっていただいて、何とか結論を出してもらってこの点の解決をしてもらいたい、こう言っておりますが、この問題に対しては、再三あなたのほうの耳にも入っておると思いますが、どういうように研究しておっていただけるか、見通しはどのように進めていこうとお考えになっておるか、この点もひとつ聞かしていただきたいと思うのです。
  20. 廣岡謙二

    廣岡参考人 為替差損の負担が移住者諸君にかかっておるということは、これは全くブラジル国側の事情によるものでありまして、移住者の責めに帰すべき問題ではございません。したがいまして、為替差損の問題につきましては私ども従前から頭を痛めておったわけでありますが、最近、先ほどちょっと触れましたように、円建て契約が全面的にできない、現地建てに切りかえなければならぬというような状態に相なってまいっておりますので、これも外務省大蔵省のほうにも十分にお願いをいたしまして、また、現にこの扱いにつきましてどうするかということは、せっかく御協議を願っておることでありまするが、その段階において、ある時点において、その為替差損を含めて、どういうようなかっこうでこれを処理しようかということを目下研究、検討中でございます。私ども、近くこれが何らかの合理的な、また実情に沿うような解決策として、解決することを期待をいたしておるようなわけであります。
  21. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 同じことを言うようですけれども、これはひとつぜひみんなで協議していただいて、そしてこれの返済方法に対する考え方というものは、向こう側と十分に話し合ってくれませんか。たいへん心配しておりますし、それは全体的だと思いますから、お願いします。  そこで、時間をオーバーしますから、あとはごく簡単に申しますが、先般国会で、移住者に対する渡航費の貸し付け金が免除されるという法案が、衆参両院を通過しました。この貸し付け金は、約千二百万円あまりが返済されておりますが、もうすでに返済した者と、それから全額が免除になった者との間にいささか不公平だ、こういうような声があがっておるように思うのです。この点をどのように今後取り扱ってくれるのか、何か適当な方法を研究しておられるのか、この点、ひとつ伺いたいと思います。  現地では、各自に返済するということはできないのだから、いまのところ、移住者のみんなの利益になるような仕事に補助金を、政府自体が出してやるというようなことで還元してやったらどうだ、あるいは還元してもらいたい、こう言っておるんですが、何かいい知恵がもうできましたかどうか。これは議員立法ですから、もしでき得ないということだったら、こういうような海外で相当御苦労しておられるたくさんの人々に対して、さらに一そうの考えをしてあげることも必要だと思いますので、この点、ひとつ伺っておきたいと思います。
  22. 遠藤又男

    遠藤(又)説明員 ただいまお話のございましたように、本年の法律三十五号でもって貸し付けられました渡航費の免除が定められたわけでございますが、御指摘のとおり、本年の三月三十一日までに回収されました渡航費は千二百六十三万三千七百十円になります。  それで問題は、この回収金をどうするか。つまり、免除になったのにかかわらず、すでに貸し付けられた渡航費を進んで完済した人がおられるわけです。この間の不公平をどうするかという問題でございますが、これにつきましては、本年の四月二十三日、衆議院の外務委員会におきまして、この議員立法の法案の趣旨説明に当たられました北澤委員長が付言しておられます。それによりますと、「本法案に対しましては、過去に渡航費を返済した者との間に不公平が生じますので、これに対処する方法として、海外移住事業団が現在特別勘定に保管している回収金を移住者全体の利益になるように使用することが適当と思われます。よって、このような観点から、移住者の団体を選定し、これに対し、基金として回収金を寄贈することとし、あわせて貸し付け金を返済した移住者に対しましては、右団体より感謝状を贈る措置をとりたいと存じます。」こういう北澤委員長の御発言がございました。まことにこのとおりだと思います。  それで、現在、そのうち移住事業団が保管しておりますこの関係の資産三百六十八万八千二百四十九円、これは十月三十一日現在でございますが、このお金移住者全体の利益になるように活用したい、こう思うわけでございまして、この具体的案につきましては、目下関係機関の間でもって検討立案しているところでございまして、せっかくのお金でございますので、全体の利益に貢献するようにということでやっておるところでございます。
  23. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 いまのような趣旨で何かやってください、そういうような趣旨の説明がなされておるのです。  最後に、結論的に申し上げますと、外務省事業団廣岡理事長にお願いしたいと思いますことは、やはり現地に優秀な指導員が出ていらっしゃるということになっておろうかと思いますが、やはりもう少し人数をふやすことを考えていただきたい。そうしてこの働く人々、開拓していく人たちにも、現地でほんとうに親善関係を結んでいくのだ、同時にそこの国の利益になり、みずからもそこで繁栄していくのだ、そういう根本的理念でやっていただくように指導をし、あたたかい手で何かの点に相談に乗ってやる、こういうことが、今後この狭い領土から海外へ雄飛していく方々に対して、次から次へとそれが言い伝えられて、進んで出ていくようになると思うのですね。  たとえば、一つの調査からいきますと、三十八年という年は、これはどういう年であったか知らぬけれどもサンパウロを中心にして出ていかれた方は千五百二十六人、三十九年には千百五人、四十年には八百人足らず、四十一年には千五十九人、四十二年には八百八十四人、四十三年には六百人というような形になっているわけです。大体千人くらいが目標だということを聞いておりますけれども、六百人だというと半分くらいということになる。日本の経済が成長したから海外へは出たくないという考えがあるかもしれません。しかし、やはりああいう広いところで真剣に考えてもらってやってもらうなら、日本人と向こうとの友好関係というのも大きくなっていくのだし、まだまだ向こうでは幾らでも、日本人が行きますとやる仕事はたくさんあると思うのですよ。日本人の高度な農業技術を生かしていくということになる。そういうことから、ひとつあなたの使命というのは非常に大きいと思うのです。  それから、外務省のほうももう少しよく検討していただいて、予算の面の上においてそう引き締めな考え方をするのでなしに、大蔵省折衝していただいて、そうして事業に失敗するという人があれば、それはやはりあたたかい手を差し伸べて何か考えてやるというようなことで、もう一ぺん移住していく人々に対する再検討をしてもらうという必要があるのじゃないかと私は思うのです。ただ行けばあとはいいのだという考え方で、あるいは向こうへ行った人は、ただ単におまえたちは努力してやればいいのだというような考え方じゃなくて、やはりその年、年による考え方によってひとつ指導をやってもらうということが、日本から遠く離れて行った人たちの心のささえになると私は思うのです。どうかそういう意味で、ひとつうんと御努力を願いたいということを私は最後にお願いいたしまして、きょうの私の質問を一応終わろうと思います。  どうもありがとうございました。
  24. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 田中武夫君。
  25. 田中武夫

    ○田中(武)委員 きょうは、質問者が多いために時間があまりございませんので、私のほうもできるだけ簡単に質問をしたいと思いますから、答弁もひとつ簡潔に願いたいと思います。  実は、ここに二、三の新聞を持ってきております。これは十月二十八日の讀賣新聞関西版なんですが、「頭かかえる基地ニッポン 在日米軍が“無理難題”」こういう見出しで、あるいは東京で同じ日のやはり讀賣では、「米軍住宅とんだ注文一千万円の家四千戸日本の負担で建てろ」、こういう見出しで、在日米軍から施設庁に対しまして四千戸の住宅を設置してくれ、提供してくれ、こういう申し入れがあったということが報じられております。  そこで、そのことについてお伺いいたしたいのですが、平均の建て面積は百平方メートル、シャワー、暖房完備という家屋四千戸でございますが、大体一戸一千万円だから、そうすると四千戸なら四百億円ということになるわけですが、そういう申し入れがはたしてあったのかどうか。それから、その申し入れについては、おそらく安保条約第六条に基づく地位協定の二条二項によるものだと思うのですが、地位協定の二条二項は、末尾だけ読みますが、「新たに施設及び区域を提供することを合意することができる。」こういうようなことばになっております。すなおに条文を見る限り、合意することができる、だから断わることもできる、こういうように思うのですが、それらの事情につきまして、まず御答弁をお願いいたします。
  26. 山上信重

    ○山上説明員 お答え申し上げます。  在日米軍軍人の家族住宅につきましては、先般来米側から、現在基地外に住んでおる米軍人、軍属がたくさんおる、こういった基地外の住宅を借りたりあるいは借用いたしたりしておる者が多数おるということは、非常に管理上もあらゆる面で支障があるので、軍施設の中に、日本政府の負担で家族住宅を建ててもらえないかという話があることは事実でございます。現在、米軍の家族住宅は多くのものが施設の中にございますが、外におる者もございますので、そういった事情から要請が参っております。  これに対しまして、私のほうといたしましては、さような要請がございますから、どういうわけでそういう必要があるかということの詳細を、いままだ米軍から説明を求めておる段階でございます。地位協定によりますると、施設及び区域を提供することができるということになっておりますることは、ただいま田中先生のおっしゃったとおりでございまして、そういう規定の面から提供することもできるということで要請が出ておるのでございます。ただ、わがほうといたしましては、これはもちろんできることでもありますが、また同時に、事情によっていたさないという場合もあり得るわけでございますので、現在それらにつきましては、米軍の事情なりあるいは日本の財政の事情なり、いろいろな面を検討した上でいたさなければならぬと存じまして、慎重に検討いたしておるという段階でございます。
  27. 田中武夫

    ○田中(武)委員 現在、米軍及び軍属の住宅は、基地内と基地外含めて日本の中にどのくらいあるか。大体二万戸あると思うのですが、その住宅の使用の形式といいますか、これを、まず日本政府が建てたもの、それも講和発効以前に建てたものと、講和発効後、すなわち新旧――安保条約に基づいて、いまの地位協定等によって要求せられて建てたもの、これはあまりないように聞いておりますが、それから米軍がドルで建てたもの及び基地周辺で賃借りしておるもの、こういうものに分けることができると思いますが、それぞれの戸数が、わかっておるならば聞かしていただきたい。たとえば、米軍がドルで建てたものが幾ら、延べ何平米とか、あるいは日本が一般民間人の家屋を賃借りしておるのが幾ら、及びその家賃等について、ひとつお伺いしたい。
  28. 鶴崎敏

    ○鶴崎説明員 ただいま先生から御質問の点でございますが、これはきわめて概括的な把握でございますので、その点あらかじめ御了承いただきたいと思います。  まず、施設区域の中に米軍の住宅がございますが、これを分けますと、その大部分のものは日本政府が米側に提供しておるものでございます。これが全体で約八千四百戸になっております。それから、米政府自体が自己の費用で建てた建物、これが約二千世帯、それからそのほかに米軍人、軍属が自己の費用で建てたもの、個人負担で建てたもの、これが約一千百世帯、こういう形になっております。それから、施設区域の外で米軍人、軍属が日本の一般の民家を借りて住んでおるもの、これは全体で約七千八百世帯、こういう形になっておりまして、家賃がいかほどかというところまでは、ちょっと把握しておりません。それから、その個々の面積につきましては、いまこちらにデータを持っておりませんので、御了承をいただきたいと思います。
  29. 田中武夫

    ○田中(武)委員 いまの御答弁によると、米軍人及び軍属が自分の負担で借りている、あるいは建てたものと、日本の提供と、ほかにもありますが、二つに大きく分けられると思います。これは個人で借りる、あるいは建てるということと、何か基準があるのですか。こういう場合の人については個人が建てる、こういう場合には日本が提供しておる、こういうような基準でも一つあってそうなっておるのですか。それはどういうわけでそういうことになっておるのですか。
  30. 鶴崎敏

    ○鶴崎説明員 日本側は建物を提供しておりますけれども、これを米側がどういうふうにして使うかという一般的な原則としましては、日本の公務員の場合でもございますが、一応その官舎に入居する資格というものが米軍の内部ではさまっておりまして、その有資格者の中から、いろいろな家族の事情その他も勘案すると思いますが、そういうものを考えた上で、限られた提供建物に対して優先的に割り当てるということでございます。  それから、ドルの建物につきましても、これは同様ですが、ただ個人の負担で建てておるもの、これは自分の費用で建てるわけですから、これについては、別にそう資格云々ということはやかましくないのじゃないかと思うのでございます。  それで、こういったものに入らない人たちがかなりの数おりますが、これがやむを得ず施設区域外の住宅を借りておるというのが実情と思います。
  31. 田中武夫

    ○田中(武)委員 私の調査によりますと、現在施設庁のほうで、米軍人、軍属の住宅につきまして、土地を借りておるのが三億六千四百平方メートルですか、それから建物が延べで四百七十七万平米、そしてその賃借料として年間二十四億円あるいは二十五億円程度払っておる、こういうことになっておりますが、そういうことであるのか。これはどういう理由によって支払わねばならないのか。さらに四十五年度の予算で、米軍基地の統廃合計画に基づく移転等々のために百十億程度の予算を見込んでおる、こう聞いておりますが、いまの四千戸新たに建ててくれということは、四十五年度で、これはまだあなたのほうの計算にすぎぬ、要求の基礎にすぎぬと思うのですが、この百十億円ぐらいの予算を盛って建てたい、こういうのとは別個なんですね。
  32. 山上信重

    ○山上説明員 ただいまの米軍施設の移転の予算、これは特別会計並びに一般会計によりまして、かねて、昨年来計画いたしておりまする米軍施設整理、返還といったような一連の作業として、一部に移転を要するものが相当ございまするので、それに要する予算を計上いたしたものでございます。もちろんこの中には、横浜の家族住宅のような、住宅そのものを移転せしめるという意味合いで住宅に関連する予算もございますが、ただいま米側から話のありまするのは、これとは別に、基地の外にある、提供施設の外にある住宅に関連するポリシーとして何らかやっていただきたいということでございまして、明年度の予算にはまだ全然そういったものは計上いたしておりません。方針といたしましては、先ほど私がお答え申し上げたとおり、事情を聞いた上で、十分に慎重に検討したいという段階でございます。
  33. 田中武夫

    ○田中(武)委員 それでは、四千戸建ててくれという申し出について、まだ具体的な理由なんということは聞いていないわけですね。
  34. 山上信重

    ○山上説明員 施設の外に住宅があるので、これを外のままに置いておくことは管理上困難があるという概括的な理由は伺っております。ただ、それの具体的なそれぞれの実情というものがあるのではなかろうかと思われますので、そういう点について、もう少し詳細な説明をしてほしいということを求めておる、こういう段階でございます。
  35. 田中武夫

    ○田中(武)委員 二戸一千万円と新聞はいっておるわけなんですが、現在の公営住宅を建てるとすれば、一千万円あれば四戸ないし五戸は建つだろう、四十三年度の東京都における公営住宅の建設費は三百四十億、それで一万六千戸建てていますね。それから大阪府の四十四年度の同じく公営住宅の建設費は、百三十億で八千五百戸建てておる。いま国民は住宅難にあえいでおるわけです。  あまり微妙な点に触れないでくれ、こういう委員長代理の要請等もありましたので、あまり微妙な点には触れたくはないとは思うのですが、しかし、こういうような日本の住宅事情の中にあって、しかも、来年いわゆる七〇年問題を控えて、安保条約を国民は見直そう、考え直そう、こういう時期に、その安保条約六条に基づく地位協定によってそういうことの申し込みがあり、条文の上からはノーと言える余裕は十分にあると思うのです。それに対して、そういうことが行なわれるということで、国民感情からいっても微妙なものがあるのじゃないか、私はこのように思うわけです。さらに、その金をもってかりに公営住宅を建てるならば二万戸以上は建つわけですね。そういいうことも考えるべきではなかろうか、私はこのように考えるわけです。  それ以上のことは申し上げませんが、要は、アメリカはいまドル防衛というか、ドル危機に見舞われておる。したがって、ずばり言うならば、在日米軍の家屋、住宅まで手が回らない、だから、ひとつこれに基づいてやってくれよ、こういうことではなかろうかと思うのです。したがって私は、いつも六条の事前協議という問題が国会でも論議せられておるが、この六条及びそれに基づく地位協定によるもので、ノーが言えないということはないと思うのですが、そういうような点を十分に考えて今後折衝してもらいたい。私は、もっと突っ込んでできるならば、安保条約それ自体の本体あるいは地位協定の本体に立ち入っての議論をする用意をいたしております。しかし、委員長代理の懇請もありますので、そういうところまで論議はいたしませんが、あなたの答弁いかんによっては深く立ち入って論議をいたしますから、ひとつ施設庁長官としての腹を聞かしていただきたい。
  36. 山上信重

    ○山上説明員 目下米側から事情を聞こうとしておる段階でございます。地位協定には、そういう合意ができるという規定もございますが、日本の国内の財政事情あるいは国内の住宅事情、いろいろございます。私といたしましては、これらの点、十分に事情も聞き、また、そういう点も勘案して慎重に処置してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  37. 田中武夫

    ○田中(武)委員 あくまで国民が納得する線で交渉を進められるように要望いたします。もう一度お伺いいたします。
  38. 山上信重

    ○山上説明員 そういう心がけでおります。
  39. 田中武夫

    ○田中(武)委員 時間の関係がございますから、あと一問で終わります。  これも新聞情報によって知ったわけですが、米軍の北九州地区にある山田弾薬庫の弾薬を横田基地及び三沢基地に今月中、十一月末までに輸送するということが出ておりましたが、そういう申し入れがあったことが事実なのかどうかということ、そういうことがあるとするならば、その移すという理由はどういうことであったのか、あるいはその弾薬の種類というか数量、それから輸送の方法――これも続けて聞きますが、輸送の方法、米軍トラックによる輸送も考えられる、あるいは民間トラックによる輸送も考えられる、あるいは国鉄による輸送も考えられる。これは私の聞いたところでは一千五百トンということですが、そうすると、十五トン貨車でも百両分になるのですが、相当な量だと思うのです。そこで、どういう方法で輸送するということになっておるのか、あるいはもうその一部は輸送が終わっておるのか、あるいは民間トラックによる輸送をやる場合にはどういう契約になるのか、それには通運業法が適用せられ、その通運業法による料金が適用せられるのかどうか。それから、この輸送にあたっては横田基地、東京、三沢基地、青森、したがって本土を縦断して運ばれることになるので、その安全対策についてはどうなるのか、あるいはトラック輸送による場合には、その通過するところの警察等々にも十分に連絡がとってあるのかどうか。それは交通規則の適用はもちろん受けると思いますが、どういうようになっておるのか。これはたくさん一ぺんに聞きますが、時間の関係でこういう聞き方をいたしましたが、関係者から、国鉄を含めて御答弁を願います。答弁漏れがあるならば、あらためて御質問いたします。
  40. 山上信重

    ○山上説明員 施設庁としては、特に米軍からさような申し出をされておりませんので、これは輸送担当の省のほうからお答えしていただくことにいたしたいと思います。
  41. 町田直

    ○町田説明員 ただいまの先生の御質問の中で、私どもが承知しておりますことだけ申し上げます。  米軍の山田弾薬庫の弾薬輸送につきましては、米軍の輸送司令部から国鉄に対しまして、正式の輸送要請ではございませんで、照会と申しますか、ということが過日ございました。その内容につきましては、国鉄のほうから詳細につきましては答弁させていただきます。したがいまして、私は鉄道に関する輸送についてだけ申し上げます。  鉄道によります弾薬の輸送につきましては、運輸省令にございます火薬類運送規則というのがございます。また、国鉄には日本国有鉄道運転規則というのがございまして、これの定めによりまして輸送いたします場合には、これが安全であるというふうに考えておる次第でございます。
  42. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 ただいま国鉄関係につきまして運輸省のほうから御答弁ございましたが、国鉄に対しては、米軍の山田弾薬庫の輸送計画につきまして連絡はございました。しかし、米軍としましても、輸送手段につきましては目下検討中の模様でございまして、先ほどの御答弁どおり、正式な輸送要請と申しますのは、駅に対して運送の申し込みはまだございませんので、具体的には、私どもとして計画を立てている段階ではございません。
  43. 田中武夫

    ○田中(武)委員 そういたしますと、まだ数量、弾薬の種類等はわからないんですね。それから輸送の方法は、これは民間トラック等はなくて――といったって、鉄道で着いてから、貨物駅等からはやはりトラックを使うんだと思うんですが、これは長い間の輸送は、トラックでなくて、全部国鉄によるところの輸送になるわけですか。その辺のところはどうなんです。
  44. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 先ほど申しましたとおり、単に連絡があったということでございまして、数量につきましても、また内容につきしましても、正式なものは出ておりませんし、輸送方法につきましても、先ほど申しましたとおり、米軍でいろいろと検討しているという段階でございまして、まだ国鉄側に対して正式な輸送要請がきてないという段階でございます。
  45. 田中武夫

    ○田中(武)委員 もし民間トラック――これは駅へ着いてから、その横田基地なり三沢基地の具体的な弾薬庫へ運ぶのはトラックになると思うのです。その場合、民間トラックを使うのかどうか。国鉄が運ぶ場合、発駅まで、着駅から弾薬庫まではどこが運ぶんです。そういうことも計画がないわけですか。そういうときは、それはどうなります。  それから、時間がありませんから防衛施設庁のほうへお伺いいたしますが、これもやはり安保条約六条及び地位協定二条による提供ということになるのですか。それとも、その条約上の断われないという根拠――断わることもできると思いますが、それはどこに根拠がありますか。
  46. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 先ほどお答えしましたとおり、まだ正式にございませんが、かりに鉄道に輸送要請があるといたしますと、鉄道営業法の第六条によって行なうわけであります。両端の関係につきましては、かりに申し込みがございますとすれば、山田弾薬庫あるいは横田基地、三沢、両端とも専用線がございます。
  47. 田中武夫

    ○田中(武)委員 わかりました。それを申し入れてきたこと、あるいはそれに基づいての、申し入れについての交渉する根拠、やっぱり条約なり協定によるのでしょうね。
  48. 山上信重

    ○山上説明員 実は、施設庁の所掌としては、施設を提供しあるいは事故の補償をする、あるいは労務を提供するということはございますが、輸送については施設庁の所掌にないので、しかとしたお答えを申せるかどうか……
  49. 田中武夫

    ○田中(武)委員 これはどこになるのですか。
  50. 山上信重

    ○山上説明員 運輸省と存じますが、私どものほうの提供施設は、第二条の関係では厳密に施設であろうと思います。したがって、この輸送関係を利用するというのは、地位協定の七条に公共の事業、施設を使えるというようなことがございますので、あるいはそういうことが根拠になっているかとも存じますが、この点については、私のほうは所管を必ずしもしておりませんので、この程度で御了承願いたいと思います。
  51. 田中武夫

    ○田中(武)委員 じゃ、最後に運輸省。
  52. 町田直

    ○町田説明員 地位協定の解釈につきましては、実はいろいろ、と言っては申しわけありませんが、全般的に外務省であろうと思います。私どもは、地位協定についての正確な御答弁はいたしかねます。  ただ、先ほど国鉄長瀬常務理事から申しましたように、鉄道営業法というのがございまして、この六条で、「鉄道ハ左ノ事項ノ具備シタル場合二於テハ貨物ノ運送ヲ拒否スルコトヲ得ス」と、こういう規定がございます。それは、米軍でございましょうと、一般の民間でございましょうと同じでございまして、この規定によりまして、第一号から第五号までいろいろな条件がございますけれども、この条件に従って運送の申し込みがございました場合には、要するにそれを拒絶することはできない、こういう解釈をしておる次第でございます。
  53. 田中武夫

    ○田中(武)委員 申し合わせもあり、委員長代理からの要請もありますので、まことに残念ですが、一応繊維の問題はあと回しにして、この程度で終わります。しかし、満足をしたわけじゃございません。
  54. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 華山親義君。
  55. 華山親義

    ○華山委員 お急ぎの方もおありのようですから、順序がばらばらになりますけれども、考えてきた順序では進まないようでございますから、とりあえずお伺いいたします。  昭和二十八年の二月十二日に、林野庁の前橋営林局は、国有林野整備臨時措置法によって群馬県の吾妻郡嬬恋村に国有原野を売り渡しておりますけれども、国有林野整備臨時措置法によって村に売るという場合は、どういう場合でございますか。どういうことがあって売るのでございますか。自治省でもよろしゅうございますし、林野庁のほうからでもお答えがあれば……。いらっしゃらないのならあとにします。  それでは、村に所有権を移したということについて、これはあとでもお聞きいたしますが、その後嬬恋村では、その土地の芦生田農協から金を寄付でもさせたんですか、取りまして、そしてその村の所有にした。ところが、転用猶予期間の十カ年を経過するやいなや、村から農協に無償交付をした。それで、われわれはわかりませんけれども、話によれば、初めから約定があった。初めにその土地を村に売り渡されたときの代金百四十万円というものは農協から出させている、そしてその際に内約としまして、十カ年たったならばこれは農協のほうに返してあげます、その間の管理は農協のほうでやるということで、実際無償交付されたわけです。そうして、初めは坪平均十円で売られたものが、その農協では五百円ないし七百円で売ったといわれている。こういうふうなことについて、自治省は自治法のたてまえとかあるいは財政法のたてまえとか、そういうものから見てどういうふうなものでございましょう。
  56. 宮澤弘

    ○宮澤説明員 ただいま御質問の案件でございますが、実は先週末に、本日ここでお取り上げになるというお話がございまして、私どもも県を通じて多少調査をいたしました。ただ、何ぶん村に起きました案件でございますし、時間もだいぶたっておりますので、多少まだデータの不足の点もございます。そういうことで御答弁を申し上げるということを、まず御了承を得ておきたいと思います。  そこで、本件でございますが、私ども調査をいたしました限りにおきましては、ただいま御指摘のように、昭和二十八年でございますか、嬬恋村が前橋営林局長から林野の払い下げを受けているわけでございます。どういう場合に国有林野を払い下げるかという問題は、これは林野庁のほうから御答弁があろうと思うのでありますが、そこで払い下げを受けておりまして、やはり同じような時期に村といたしましては、嬬恋村にございます芦生田牧野農業協同組合、それから鎌原牧野農業協同組合、この両者と村長との間に契約を結んでおります。その契約の大体の内容は、結局その払い下げを受けました林野は両牧野協同組合が使用収益をする、こういう前提のもとにおける契約のようでございます。したがいまして、当時、営林局からは四十四町歩余、百四十万円で払い下げを受けておりますが、その百四十万円の金は両協同組合が村に納めまして、一応村の歳入にいたしまして、それで村はその財源をもって国有林野当局に支払いをいたしているわけでございます。  当時、どうしてこういうことを行なったかということを、多少調査をいたしてみたわけでございます。これはあるいは農林省当局から実態について後ほど御答弁があろうと思うのでございますけれども、両協同組合が、やはり元来この国有地について下草刈り等をいたしておりまして、結局当時は、おもに馬だそうでございますが、牧畜を中心にやっておりましたので、実際問題としては、両協同組合が下草刈り等に利用をしたり、あるいは植林をして撫育育成をしたい、こういう希望があったようでございます。そういうことを前提に、ただいまのような国有林から払い下げを受けると同時に、両協同組合にまた村としては実質上使用収益をさせる、ただし、先ほど御指摘がありましたように、国有林野の法律関係で、十年間はそういう措置ができないということになっておりますので、実際に所有権の移転登記をいたしましたのは、十年あまりたった後でございますが、実際問題といたしましては、払い下げを受けた当時から両協同組合が使用収益をしている、こういう実態のようでございます。
  57. 華山親義

    ○華山委員 林野庁の方にお伺いいたしますけれども、その当時の国有林野整備臨時措置法によって村に売り渡されたということでございますけれども、この法律のどういう趣旨から村に売り渡されて、村ではこれをどういうことに使うべきものなのか。
  58. 大山一生

    ○大山説明員 国有林野整備臨時措置法というのは二十六年にできまして、三十年の三月末で失効しております。この法律の趣旨は、たとえば国有林野といたしまして、小団地であるとかあるいは境界が錯綜しているところ、こういうところで国有林野として経営するのに適当でないところ、そして相手方がそこを林地として経営したい意思を持っており、またそのための経営計画が出され、それが適当なもの、こういうものに対して国有林野としては、経営上必要でないけれども、林地として、民有林として経営させるに適当であろうというようなところを払い下げる、こういうのが国有林野臨時措置法の趣旨でございます。  それで本件につきましては、二十八年の二月十二日に、その前から村といたしまして、嬬恋村の村議会において、これを払い下げを受けて林地として経営したい、そういう決議もあり、そして村当局のほうから経営計画も出されまして、その経営計画を審査した結果、これは林地として、民有林として十分経営できる、一方、国有林といたしましては、これが非常に孤立した小団地でございますので、国有林として経営することは必要としない、そういうことで払い下げをしたわけでございます。
  59. 華山親義

    ○華山委員 わかりました。それは私、林野庁のほうに手落ちがあったとは思いませんけれども、とにかくその計画書では、この村がやるということになっていなければ、当然村に出さないわけでございますね。農協がやるというなら農協にいくべきであって、村がやるという計画だから村に渡したわけでしょう。ところが、その村が、金は農協から出させて、農協にまかしておいて、そして最後には無償で交付した、こういう経過をとっているわけですね。私は、非常にこれは地方公共団体としておかしな形だと思う。それで、初め坪平均十円で買ったものが、よそに売ったときには七百円とか八百円とかということになっておる。七十倍、八十倍の値上がりを十年間にしているわけです。それを村のほうは全然目をつぶってしまって、自分の財産を無償で出してしまった。初めからもうそういうつもりであった。考えようによっては、国のほうが村のペテンにかかったようなものですね。私は非常にけしからぬことだと思う。  私は自治省にお聞きするのですけれども、こういうふうなことはあっていいものかどうかということをお聞きしているわけなんです。
  60. 宮澤弘

    ○宮澤説明員 確かに、形としては異常な形だろうと思います。決してこれは正常な形ではないと思います。  多少補足して説明をさしていただきますと、当時の払い下げのときの経営計画書を見ますと、地元に経営について委託をする、こういう条項は入っておりますが、おそらく営林当局もそのことは御存じであったろうと思います。  それから、形式的に、自治法上の手続上はたしてどうであったか。先ほどちょっと御質問がございまして、御答弁を漏らしておりましたが、これは御承知のように、地方自治法では財産の取得、処分、特定のものは議会の議決を経ることになっております。関係法律は途中で改正になっておりますけれども、趣旨はそう変わっておりません。二十八年当時、国有林野当局から山林の払い下げを受けるということについては、村議会の議決がございます。それから、先ほど申しました両農協にいずれ譲り渡す、こういうことに実質上なっておるわけでございますが、その件につきまして、やはり契約ということで議会の議決を経ております。これは、金はとにかく一時おまえのほうが出せ、いずれおまえのほうに譲ってやろう、平易に申しますとそういう中身の契約でございまして、結局、契約の履行を将来にかけた一種の売り渡し契約であろうと思います。これも議会の議決を経ております。したがいまして、形式的に申しますと、形は私は整っていると思います。しかし、実態が、もし農協に最終的にいくものであり、経営もそういうものでありますならば、当初から農協当局に払い下げをすべきであると思いますし、そういう点ではノーマルな形では決してないと私は思います。  したがいまして、こういうことがあっていいかどうかという御質問に対しましては、やはりこれは正常な形に当然戻すべきものであって、こういうことが将来あっていいと私は決して思っておりません。
  61. 華山親義

    ○華山委員 それでは、局長さんお急ぎだそうですから、よろしゅうございます。  それでお伺いいたしますけれども、この農協は解散したそうでございますね。農協関係の農林省の方にお伺いしたいのでございますけれども、これは一体どういう形で清算されましたか。
  62. 遠藤寛二

    遠藤(寛)説明員 お答え申し上げます。  私、平生農協関係を担当いたしておりませんので詳しい事情はちょっとわかりませんが、ただいま調べましたところまでをお答え申し上げます。  実は、先ほど自治省のほうからもお答えがございましたように、私どものほうもこの件につきましては非常に問題があると思いまして、ただいま県を督励いたしまして調査をやっております。その調査の詳しいことがわかりました段階でまたいろいろ申し上げることもあるかと思いますが、ただいままでわかっております関係では、農協は、お話しのございましたように四十三年の八月二日に解散総会を行ないまして、議決を行ないました。県庁に解散の申請を出しまして、県が受け付けましたのが十月の九日になっております。それから、解散の認可が十一月一日におりておりまして解散をいたしております。解散の理由といたしましては、牧畜をしないようになりましたために、組合、これが牧野農協でございますので、存在の意義がなくなったからという理由で解散をいたしております。  清算処理につきましては、解散当時におきまして財産ゼロという状態になっておりまして、したがいまして、清算すべき財産がなかったという形に実はなっておるわけでございます。
  63. 華山親義

    ○華山委員 清算すべき財産がないといったって、これは土地があるじゃないですか。自分土地が、とにかく村から無償で受けたものとかその他あったはずですけれども、清算するものがないというのもおかしいと思うのですが、何か答弁のお間違えでないですか。
  64. 遠藤寛二

    遠藤(寛)説明員 途中で説明が足りなかった点がございますが、同農協は、四十二年の九月に村から譲り受けました土地を会社に売却いたしております。それから、もともとそういう農協でございますので、事務所等、そういう財産はございませんでしたために、財産ゼロの状態で解散の申請が出ているということでございます。
  65. 華山親義

    ○華山委員 売った現金はどうなったのですか。農協に残っていなければいけないのですがね。わずかばかりの金ではない。調査中ならば調査中でよろしゅうございますが、それは土地はなくなったでしょうけれども、財産がないということはないと思う。土地を売ったから、したがってそこに金が残っていなくちゃいけない、常識的には。大きな金でございますからね。それがどういうふうに清算されたかということについて、まだお調べになっておらないわけでございますか。
  66. 遠藤寛二

    遠藤(寛)説明員 まことに申しわけないのでございますが、先ほど申し上げましたように、ただいま調査中でございまして、調査をいたしました上で、またお答え申し上げます。
  67. 華山親義

    ○華山委員 とにかく、それは財産がないんで清算人が財産なしということは、常識的にはとても考えられないですね。何かそこには――それは直接農林省がおやりになっていることではないですから、いま責任がどうこうとここで言ったってしょうがないですけれども、調べておいていただきたい。とにかく七十倍くらいの値段で売れたわけですからね。  それで、このことにつきまして私ずっと調べておりますと、別に中央官庁とか国の官庁のほうにいろいろな手落ちがあったとは、この経過から見て思いません。それで、その後においていろいろなところに転売をされて、そしていまいろいろな話を言う人もありますけれども、軽井沢の別荘地として売られているわけです。私は、その間の経過を見ますと、どういうふうにしたか知りませんけれども、国有地が転々として分割されて、そしてやられている。国有財産というものが、言うならば、まるで利権屋のもうけ口に変わっちゃっているわけです。そういう点で、これは今後よほど気をつけていただかないと、特に何か国有林野活用法ですか、というふうなこともありまして、あの目的は一体何だなんということで、非常に憶測もされるときでございますから、特に国有林野の奥地ということになりますと、いまの別荘ブームでございますから、私はどういうふうになるかわからないと思う。別荘になりそうなようなところは、やはりこれは国民のものとして、国民が一緒に使えるものとしてとっておいていただきたいと思う。そういう点――通産省、だれか来ていただいておりますか。  それで、私、ここで人の信用に関するようなことは言いませんけれども、いま問題になっている土地、それから、そのほかにも農林省から農協に対して直接渡った土地もございます。相当大きな面積でございますが、それが転売され、いろいろなことになっているということに関係していると思われる会社、そういう会社は石油業者が多い。この石油業界というものは、少しおかしくないかというふうな気が私するんですね。そして国税庁におきましても、何か法人税の脱税が石油関係のものにあったということで新聞に報道されているのでございますけれども、通産省にひとつお伺いしたいのですが、この石油には、大手のメーカーにはないでしょうけれども、仲買いとか代理店とかいろいろなものがあって、その中に業務転売、略して業転というものがあるといいますが、御承知でございますか。
  68. 成田寿治

    ○成田説明員 本件に関連しまして、いろいろ調べましたところによりますと、農協から土地を買いましたのは不動産会社であるようでございます。その不動産会社から一部転売を受けましたのが、ある石油販売業者、確かに石油販売業者が受けております。その一部をさらに同業者である他の石油販売業者にまた転売をしていることも明らかになっております。  御承知のように、石油につきましては石油業法というのがありまして、いろいろ国家的な立場からの規制をやっておりますが、規制の対象になっておりますのは、石油精製業者が規制の対象になっておりまして、ガソリンをスタンドで売っているような石油販売業者は届け出の規定はありますが、法律の規制にはなってない、自由競争みたいなかっこうに実際はなっているのでございます。そして、いま問題になっておる二つの石油販売業者を調べましたところ、スタンドを相当持っている会社もあるし、また、一社は二つくらいしか持っていない会社もありますが、両方ともあわせて石油販売のほかに不動産の売買業をやっております。それで、この問題の土地の売買に当たりましたのは兼業のほうの不動産売買のほうの面で、おそらく石油をスタンドで売るほうでなくて、そういう面から関係したのではないかということで、われわれ石油販売業界全体に対して一般的な監督に当たっておる通産省といたしましては、この前ガソリン税の脱税に関連しましたような不良ガソリンの問題等も起きておりまして、石油販売業界のあり方についてはもっと厳重な指導監督をやって、非常な適正なあり方というのを考えていきたいと思っております。  また兼業問題につきましても、これはまあ兼業だから自由だということで見放しておくべき問題でもなくて、やはり石油販売業の適正なあり方という面から、その点もいろいろ検討していきたいと思っておりますが、現在のたてまえではそういう石油販売業に対する法的な規制はなくて、いろいろ石油販売の面での行政的な指導を行なっておるという状態でございます。
  69. 華山親義

    ○華山委員 私、お聞きしましたのですが、こういうふうな業者の中には石油のから売りをして、出荷伝票、そういうものを手段にして、から売りを転売をしながら、その中でいろいろなことをやっている、もうける、そして不良業者がいるというと、結局それが何かおかしなものになってしまって、どこかの大手のほうが損害を受ける、そういうふうなことが行なわれる。そしてこの土地、私、具体的に言えば、非常に軽くおっしゃいましたけれども、もっと大きな土地が入っているようでございますけれども、二社ばかりじゃございません。そういうところにその資金が七、八億といわれるのですが、それがから売りから出てきたと、こういわれるんですね。  そういうふうなあまり上等でない業者に石油を扱わせるというのは、私は考えものだと思う。それですから、新聞にもいつか出たとおり、脱税は石油業と不動産業者に多いという。そして不動産業者と石油業者を一緒にした仕事をやっている。それは悪の集まりみたいなものですね。これはそういうふうな一種の悪徳業者に石油を扱わせるということは非常にまずいので、考えようによってみますと、朝鮮のノリだってそうだし、台湾のバナナだってそうだし、いろいろな話が出る。大体日本でできないもので外国から一手に入ってくるというものにはそういうことが起こりがちなんじゃないかというふうな気もするんですが、それだけならばいいんですけれども、それが一面、このごろガソリンスタンドの従業員は何と言っている。とにかくそういうまぜものをされたものを扱わされて、年がら年じゅうにおいをかがされて、手について、われわれの保健はどうなる、そういうことをやった業者というものは、これは国税の面から出てくるのですけれども、発表してもらいたい、こういうふうに言っておるわけです。それは国税庁のたてまえといたしましては、脱税の事件については一切発表しないということになっておりますから発表をしないようでございますけれども、私はこれはきょうは呼んでおりませんけれども、軽油についても同じことが言えると思う。軽油なんかについては、船の中でもまぜものをするそうだな。小さなタンカーで運ぶ途中でまぜものをして持っていく、そういうことで脱税をはかっている。要するに、ああいう石油類には税金が高い、ほかのまぜものには税金が低い、そういうことからまぜものが行なわれるというのですけれども、非常に私は困ったことだと思う。やはりこれは徹底した、そういうことが行なわれないような方法をお考えでございましょうか、ひとつ伺っておきたい。
  70. 成田寿治

    ○成田説明員 お答えいたします。  御指摘のように、石油の販売面では、いわゆる業転ものといいますか、販売業者から販売業者へ渡るまあブローカーみたいな商売をやっておるのが相当あるわけでございます。問題になっておる二つの販売業者のうちの一つは、確かに業転を商売としている会社のようにわれわれの調査によっても明らかでございます。  それで、業転の取引というのは、これはメーカーから一たん販売業者に出ますと、それが直接に消費者に行く場合は非常に簡単なんでありますが、いろいろなそこに商社なり販売業者が入って、いろいろ転々売買する。これは需給上からいたし方ない面もありますが、ただ、非常にその際市況上値段をくずすとか、あるいは、さっき御指摘のように、その間に悪い油をまぜて品質の不良化をやって利益をかせぐというような望ましくない行為が相当介入されておることも確かなようでございまして、われわれは市況対策上からも、また消費者行政の面から見ましても、業転のあり方というものを十分調査して、厳重にその調査の結果によって適正な姿に戻したい、なるたけ業転の取引というのは少ないほうがいいんじゃないか。そのためには元売り、精製の段階から相当販売については気を使って押えてもらうとか、あるいは販売業者の間では横の商業協同組合というのがありまして、これは全国的にも相当大きな組織になっておりまして、そういう横の組織を通してお互いに適正なあり方を監視し合うというような方法もいま検討してもらっておりまして、その方向で調査をやってもらっております。  それから、悪質業者を発表したらいいんじゃないかという御指摘もありましたが、これは税法のほうでは国税庁は名前は発表できないというたてまえで、今回二百件かありましたのは発表いたしておりませんが、通産省でこれは抜き取り検査ですが、毎年スタンドから灯油、ガソリン等のものを選びまして検出して、非常に悪いものについてはその名前を新聞紙上等に公表をやっております。非常に悪質の程度の高いものは大体毎年十件くらいでありますが、これがさつきの国税庁の範囲とは非常に違いますので、われわれその制度ももうちょっと大きく強化して、発表して、社会的制裁なり、悪いことをした者は損をするというようなかっこうのものにしていきたいというふうに、これも考究中でございます。
  71. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 田中君。
  72. 田中武夫

    ○田中(武)委員 通産大臣の時間の都合もあって、私の質問を中断し、また華山委員の質問を中断していただきまして質問に入りたいと思います。華山さんどうもすみません。  そこで、まず第一にお伺いしたいのは、繊維の自主規制の問題についてであります。  幸い、九月ワシントンで行なわれた専門家会議に団長として出席せられた前の繊維局長の高橋さんが見えておりますので、まず高橋さんに、時間の関係がありますから簡単でけっこうですが、この専門家会議の経過といいますか、ことに、そのときに日本側はどのような態度で臨んだのか、さらにアメリカの国内事情はどうであったか、また、米側の提出してまいりました資料で、日本の繊維輸出に関連をいたしましてアメリカが被害を受けておるという具体的な証明ができるような資料の提出があったかどうか、その辺のところに重点を置いて、ひとつ簡単に経過とその会議の内容をお答え願いたいと思います。
  73. 高橋淑郎

    ○高橋説明員 お答えいたします。  九月十六日から十九日までいわゆる日米繊維に関する専門家会議がワシントンで行なわれました。  会議の進め方としましては、先方が、米国繊維産業の事情につきまして、統計資料に基づき、また口頭により説明がございました。それに対しまして当方からいろいろな角度から質問をいたしました。会議の性格上、何か結論を得るというような趣旨の会議でございませんでしたので、いわゆる事実の調査ということに徹して帰国した次第でございます。帰国後、いろいろといま申し上げました資料その他に基づきまして検討、分析をいたしております。内容につきましては、随時大臣に御報告を申し上げております。  なお、米国の繊維産業が、輸入の増加、なかんずく日本からの輸入の増加によって直接繊維産業全体として重大なる被害をこうむっているかどうかという点につきましては、とりあえずの印象として、現時点においてそういう重大な被害が存しておるというような感じは受けておりません。  以上です。
  74. 田中武夫

    ○田中(武)委員 アメリカ側の提出せられた資料及びその説明から見ても、日本の繊維輸出がアメリカの業界に大きな被害を与えておるとは思わなかった、あるいはそのような十分な資料は出されなかった、このように理解していいのですね。
  75. 高橋淑郎

    ○高橋説明員 アメリカ側の主張するように、現在まで、あるいは現時点において、輸入が国内の繊維産業に直接の被害を与えているかどうかという点について、私としてはその点必ずしも納得できないということでございまして、資料の提出が不十分であるとかどうとかいうことではございません。
  76. 田中武夫

    ○田中(武)委員 そこで大臣にお伺いいたしますが、いま高橋官房長の御答弁、あるいはそれ以上の詳しいことをお聞きになったはずなんです。ところが、なぜアメリカが日本に対して繊維の輸出規制をしつこく迫ってくるのか、こういうことに  ついてどのように理解をしておられるか。  さらに二国間協定ということで執拗に日本に要求しております。アメリカに対して繊維製品を輸出している国、アメリカ側からいうならば輸入している国は、日本だけでなくて韓国、香港、台湾、イタリア等々あります。にもかかわらず、なぜ日本にだけそのような自主規制ないし二国間協定をしているのか、これをどのように理解しておられますか。まずその点をお伺いいたします。
  77. 大平正芳

    ○大平国務大臣 米国政府の気持ちを私がここで憶測するわけにまいりませんけれども、仰せのように、輸出国側の自主規制を求める意図を断念していないことば事実でございます。とりわけ日本に対して力点を置いてそういう要請を繰り返しておられることも事実でございますが、察するに、これは日本が対米繊維輸出国の中で最大の輸出国であるという認識を持たれておるからではないかと思います。
  78. 田中武夫

    ○田中(武)委員 そういうことであろうと思うのですが、いまの高橋団長の御報告によっても、日本の繊維輸出が、アメリカからいうならば輸入が、直接アメリカの業界に大きな被害を与えておるとは感じなかったというのです。にもかかわらずなぜこんなに執拗に迫ってくるのかということについて、私は一つの大きな疑問を持っておる。もちろんアメリカ政府及び業界の腹の中はわかりません。さらに二国間協定を提唱してくるということ、この問題についても、私、何らか意図があるのではないか、こういうふうにも感じられるわけです。  最初、この種のことにつきまして、大臣は、はっきりと反対である、こう仰せられておるし、国会におきましても何回かそのような答弁もあり、あるいは衆議院本会議等においても決議をなされておる。ところが最近、これは相手のあることでもあり外交的なものである、こういうことであるならそれもそうだろうと思いますが、二国間協定では困るが、多国間、すなわちアメリカに対して繊維製品等を輸出しておる国等を入れての多国間国際会議といいますか、それなら応じてもいい、こういうような態度が出先の大使館あたりから出されておることも具体的に聞いております。こういうように、最初は絶対反対だと言っておったのだが、国際会議なら応じてもいいというように変わってきたことは、ある意味においては政府のこの種の問題に対する基本的態度の後退ではなかろうか、あるいはそういうように変わらねばならない何らかの積極的な理由があったのかどうか、その点をお伺いいたします。
  79. 大平正芳

    ○大平国務大臣 仰せのように、繊維の輸出自主規制問題は、業界こぞって反対しておりまするし、また国会においても、委員会並びに本会議の御決議をいただいておるわけでございます。また、各政党におかれても同様の立場を明確にされておるわけでございますから、政府の立場はたいへん拘束されております。私どもが従来から申し上げており、また各政党、国会等が支持していただいておる、二国間協定の協議に応ずるというようなことはいたしませんという線は、終始貫いておるわけでございます。  ただ問題は、そういう貿易上のトラブルが起こった場合は、ガットの加盟国の間に起こった問題はガットのルールに従いまして処理していくということは、すでに定立された慣行でございます。でございまするから、アメリカ側が断念するわけにまいらないというのであれば、関係輸出国があるわけでございますから、輸出国の会議をガットを通じて御招集になりまして、その場で、対米繊維の輸入によりまして深刻な被害があるのかどうか、そういうところから究明するというのでありますならば、日本もあえて出席を拒む立場ではないということを申し上げておるまでであります。
  80. 田中武夫

    ○田中(武)委員 今月の十七日に佐藤総理は沖繩の返還交渉でアメリカへ行くわけなんです。いろいろのニュースその他を聞きますと、この沖繩交渉に繊維制限をからめてくるのではなかろうか、あるいは、そういうことについて、アメリカの国会というか、議会、下院等においてもそのような動きがあると聞いております。委員長代理から、微妙なときだけにあまりこの問題に深入りしないでくれという希望がございました。しかし、そういうときであるからこそ、業界もわれわれも国民も、沖繩と繊維、あるいは沖繩と経済、こういう問題について知りたいわけなんです。そこであえてこの問題を提起したわけなんですが、そのような動きに対して、政府として、通産大臣としてどのように受け取っておられるか、また具体的に繊維がからんで出てきた場合どのように処理するお考えであるのか。これは総理でなければ答えられないかもしれないが、ひとつどうすべきか、どうすることが望ましいか、その程度は、通産大臣、それから外務省も来ておられるはずですが、その点について外務省からも見解を承りたいと思います。
  81. 大平正芳

    ○大平国務大臣 たびたび本院の委員会、本会議で申し上げておりますように、沖繩問題と繊維問題とは何ら関係はございません。沖繩交渉が終わりましても繊維問題はあるかもしれませんし、その他の経済問題があるかもしれないわけでございまして、これは全然次元の違う問題でございますから、からみ合うというようなことはあり得ないことでございまするし、米国政府も日本政府もそのようには毛頭考えておりません。
  82. 田中武夫

    ○田中(武)委員 ところが、新聞のニュースその他によると、どうも沖繩の交渉の取引の具にこの種問題が取り上げられるのではなかろうかということを報じており、そういう動きがアメリカ内にあり、われわれとしてはまたそれを心配しておるということなんですが、それはもうあり得ないということがはっきりしておりますか。いかがでしょう。
  83. 大平正芳

    ○大平国務大臣 取引の具にするような性質のものではないということをいま申し上げたので、次元が全然違う問題でございまして、ただ、あえて言えば、これは日米間の問題であるという共通の性格は持っておりますね。したがいまして、佐藤・ニクソン会談の場合に、繊維ばかりじゃございませんが、日米間に横たわる経済問題などであまりがたぴししておることはマナーとしてよくないという外交感覚は、それはどなたもお持ちになると思いますが、おそらく新聞等で、そういうことでがたぴしすることはないのかという憂慮を示されておるんじゃなかろうかと思いますけれども、事柄の性質上、全く氷と炭みたいな違った問題でございまして、こっちをへこましてあっちをふやすというようなものでは決してないということは、あなたがよく御承知のとおりでございまして、その点は御懸念に及びません。
  84. 田中武夫

    ○田中(武)委員 そうであってほしいし、その決意を曲げていただかないことを約束していただきたいわけなんですが、ここで私、この段階において微妙な沖繩返還の問題で議論をしたり、理屈を言おうとは思っておりません。しかし、大臣も御承知のように、本年度の予算の締めくくり総括質問の際に、私、いささか詳細に沖繩問題を取り上げました。そのとき申し上げましたように、沖繩のアメリカの占領ないし占有は、私をして言わしめるならば国際法規違反の連続である。たとえば戦闘行為が終了したときには非戦闘員はうちへ帰さねばならぬ、あるいは私有財産は没収してはならないということは、ヘーグの陸戦規定の定めるところである。また、日本が国連へ加盟した段階において、平和条約三条がもう動かない状態に、いわゆる無効になっておるということは、国連憲章の主権平等の原則、それに基づく国連加盟国間において信託統治は認めない等々から、私、明らかに当時申し上げたのです。それに対して、法制局長官及び総理をはじめ居並ぶ各閣僚は異議がなかったのです。したがって私は、返してくれということは、懇請でなくて、堂々としてのこちらの権利の主張である、こういうように申し上げた。したがって、この繊維の問題と沖繩の問題は、全然次元の違う問題であり性質を異にするものである、このことを十分にひとつ考えて言っていただきたい。これは閣僚の一人として通産大臣から総理にさらに進言をしていただきたい、このように思うわけであるし、もしそういうことがかりに出てきたとしても、これは堂々としての権利の主張であるという上に立って、総理のほうで次元の違う問題とからめることのないようにひとつやっていただくように、いま総理を呼んで聞きたいのですが、そうもいきませんので、大平大臣から十分にひとつ配慮を願いたいと思いますが、これももうわかり切ったことでしょうが、あらためて決意のほどと、あるいは総理に対しての進言についてお伺いいたします。
  85. 大平正芳

    ○大平国務大臣 総理におかれましても、この両方の問題は性質を異にする問題で、取引の具になるべき問題でないということは重々御承知でございます。しかし、せっかくのお話でございますから、その趣旨はなるべく伝えておきます。
  86. 田中武夫

    ○田中(武)委員 それでは、沖繩と切り離しての繊維の問題を考えても、従来アメリカは自由な貿易の拡大、これを唱えてまいりました。あるいはガットの精神の維持といいましょうか、これもアメリカは主張してきた。ところがこの種制限は、この自由な貿易の拡大及びガット精神に反するものである、したがって沖繩と切り離してもき然たる態度で日本は臨んでいただきたい、このように思いますが、重ねて決意を御披露願います。
  87. 大平正芳

    ○大平国務大臣 仰せのとおりの気持ちで終始慎重に対処してまいりましたし、今後もそれを貫いていくつもりでございます。
  88. 田中武夫

    ○田中(武)委員 与えられた時間が三十分程度であり、大臣の時間の都合も、ことに外交的なインドネシアとの会合等があるようですから、私は繊維の問題はというか、これはこの程度にして次に入りたいと思います。  いまパリでOECD、すなわち経済協力開発機構の貿易委員会が開かれておる。それに日本は特恵関税についての日本案というものを提案しております。こういうことを提案せられたいきさつというか、理由というか、これは通産省だけの問題ではないと思いますが、その点。  さらに、そのことが実施せられた場合に大きく影響を受けるであろうと考えられるのが繊維、雑貨等だと思います。ことに繊維は、もう御承知のように、台湾だとか韓国だとか香港その他から、いわゆる開発途上国の追い上げというか、突き上げで、相当日本業界も影響を受けておる。また、ことにこの特恵関税によって開発途上国から安い繊維が入ってくるということになると、業界に及ぼす影響、さらにまたこれらの中小企業に及ぼす影響は甚大であろうと思います。それに対する対策等をどう考えておられるのかということ。さらに、四十二年に成立を見ました特定繊維工業構造改善臨時措置法ですか、また、ことしはそれに染色とメリヤスを追加いたしましたが、いま繊維業界はこの法律による改善事業と取り組んでおる。このようなときに、片やアメリカからの規制問題、また特恵関税の問題等々が一体改善事業とどのような関係を持ってくるのか、あるいは改善事業を進める上において大きな支障にはならないのかどうか、そういう点をあわせてひとつ大臣及び繊維雑貨局長あるいは通商局等の関係者から御答弁願います。
  89. 大平正芳

    ○大平国務大臣 わが国は、田中さんも御承知のように、貿易国家としてその生存と繁栄を期待しておる立場でございますから、国際的なマナーといたしまして、先進国との間にはできるだけより自由な貿易の拡大を追求していかなければなりませんが、同時に、発展途上国に対する先進国側の責任の一端を背負うということも、またわが国の国際的な義務であると心得ております。そういう環境の中でございますけれども、日本は御指摘のように低生産性部門をわりあいに多くかかえて、いまその体質の改善を急いでおる途中でございまするので、国際的な義務を果たす場合におきましても、国内の実態を十分踏まえた上で慎重でなければならないことは御指摘のとおりでございまして、私どももよくそれを心得ておるつもりでございます。OECDに出しました特恵関税の日本案というものも、事務当局から必要に応じて説明させますけれども、これはそういう考え方で日本の低生産性部面への影響を十分配慮した上で提案しておるつもりでございます。  繊維の構造改善その他の体質改善は、そういう環境でございまするから、わが国といたしましては、特恵関税政策がとられようととられまいと、後進国の低賃金産品の追い上げが今後もますます激しくなるものと思いまするから、わが国としては一歩次元の高い高級品をねらわなければなりませんし、またそれのにない手であるところの企業の体質を強固なものにし、かつ設備を近代化していくような措置を精力的にやらなければならぬわけでございまして、これは特恵関税政策があるからというのじゃなくて、本来そういう政策は精力的に進めなければならぬ性格のものであると心得ておる次第でございます。
  90. 三宅幸夫

    三宅説明員 今般繊維雑貨局長になりました三宅でございますが、いま鋭意勉強中でございますので、しばらく時間をかしていただきたいと思いますけれども、ただいま大臣の御答弁にありましたとおり、構造改善の計画は本年三年目、来年は四年目ということで、だんだんしり上がりに業界の空気も盛り上がってまいっておりますので、特恵問題の帰趨にかかわらず、従来の路線をさらに強力に推進してまいりたいと考えております。特恵の問題等につきましては通商局長のほうから申し上げます。
  91. 原田明

    ○原田説明員 特恵の供与につきましては、一方、国際的義務として進めなければならないと同時に、このやり方によりましては、特に先生御指摘の、わが国の繊維、雑貨その他の産業に及ぼす影響が大であると考えられますので、かねて私どものところでは、その方式が発展途上国の要望を満たしながら、しかもわが国のこういう産業に対する影響が及ばないようにという両方をいかにして調和するかということを考えながら方式を考えまして、去る十一月の六日にOECDの貿易委員会に提出をした次第でございます。  この方式によりますと、鉱工業品と大体申し上げてよろしいかと思いますが、鉱工業品につきましては、シーリングと申しますか、ワクを設けまして、原則としてそのワクの中の輸入につきましては無税の輸入を認めます。しかし、繊維の一部、雑貨の一部、それから非鉄金属の一部、農産加工品の一部といいましたような、わが国にとりまして、国内的に特に困難な事情のある、一般にセンシチブといわれております品目につきましては、そのシーリング、ワクはもちろん設定をいたしました上で、無税の特恵を与えるということをしませんで関税の下げ方は五〇%にとどめるという方式を考えまして、こういう原則にのっとりました方式をOECDに提出をしたという段階でございます。
  92. 田中武夫

    ○田中(武)委員 このOECDで日本案がそのまま通るというか、そういうことの見通しと、それからこれらが実施せられたときの対策――これが動き出すのは四十六年ですね。一年先になると思います。その間にできるだけの対策を先に立てておかねばならないと思います。同時にまた、やっていけないところができる。通産省自体も、中小紡績には転換指導をするというようなことも言っておられるのですが、これは繊維局長の分野に入りますか。中小紡績の転換指導というようなことも考えておられるようですが、そういうことは、具体的にどういうように転換さすのか、あるいは資金の点その他についてどうするのか。もう一度この構造改善の問題とあわせ御答弁を願います。第一の点の見通しはどうかということはさまったのですね。
  93. 原田明

    ○原田説明員 きまっております。
  94. 田中武夫

    ○田中(武)委員 きまったという上に立って御答弁願います。
  95. 三宅幸夫

    三宅説明員 日本案の内容の中には繊維品についての特段の配慮を加えつつございますが、しかし、後進国の追い上げは、そういう問題を含めて非常に激しいものがあるわけでございますので、従来大企業については省力化投資の促進、あるいは中小紡につきましては中小紡のグループ化の促進、あるいは機屋につきましては中小企業振興事業団を通ずる業界ぐるみの構造改善、こういったものを鋭意進めてまいりたいと思っております。  なお、去る国会で御審議をいただきまして追加のありました染色とメリヤスにつきましても、業界の空気が非常にまとまってまいりまして、近く具体的な措置に入ってまいりたい、かように考えております。  なお、雑貨につきましても、現在その問題点を検討中でございます。来年度予算におきます中小企業対策の一環として相当の努力を払ってまいりたいと考えております。
  96. 田中武夫

    ○田中(武)委員 時間がきたということでございますので、もう一問だけで終わりたいと思いますが、大臣、先ほど来申し上げているように、繊維はそういうことがなくても構造改善をやらなければならぬということで、四十二年に臨時措置法ができ、本年改正したが、それにプラス特恵関税問題、あるいはどうなるかわからないが、アメリカのそれにもう絶対応じない、こういう上に立って心配はないということですが、輸入制限問題等々かある。  そこで一つは、通産大臣としてのそういう構造改善とあわせての指導の問題等についての決意をお伺いしたいことと、もう一つは、この中で自由化という問題にも関連するのですが、皮製品の問題があります。これは御承知のように、六十一国会で同和対策事業特別措置法という長年の懸案が通ったわけです。大体皮革産業は同和地区が多いわけでありますが、そういう法律が成立したが、成立を見るまでにこれは十年もかかったと思います。それが成立後三カ月を出ない間に、自由化というような問題でこの種の業界関係者は相当頭を悩ましており、最近も陳情があったと思います。そういうようなことをあわせて、この自由化の問題あるいは特恵関税の問題等による中小弱小の業界あるいは企業に対してどのような方策を講ずべきなのか、講ぜねばならないのか、これは大臣から総括的にひとつ御答弁を願って終わりたいと思います。
  97. 大平正芳

    ○大平国務大臣 繊維産業は二百万近くの雇用を擁し、これによって生計を営んでいる関連世帯を加えますと九百万程度の人口を擁する大産業でございまして、わが国の産業政策の上におきましては重要な柱であると心得ております。しかも、これが人手の不足、後進国の追い上げ、先進国の自主規制の要請というような重ね重ねの困難を背負っておるわけでございまして、繊維政策は容易ならざるものであることは重々承知いたしておるのであります。したがって、私どもといたしましては、鋭意あらゆる対策を整えまして、この難局を何としても乗り切らなければならないというかたい決意で臨んでおりますし、今後御鞭撻のもとにベストを尽くしてまいりたいと思います。  それから皮革関係の産業でございますが、わが国の貿易及び資本の自由化のスケジュールの設定におきましても、いま御指摘の点はとりわけ私どもが心を砕いて配慮いたしたところでございます。先進国側からは非常に執拗な要請が繰り返しまいってきておりまするけれども、私どもといたしましてはまだ自信は持てない段階でございますので、鋭意この業界の近代化を進めることに当面専念すべきであろうと考えまして、各国からの自由化要請に対しましては、遺憾ながらまだいい返事はできないという段階でございます。
  98. 田中武夫

    ○田中(武)委員 これで質問を終わります。  時間の制約と委員長代理のたっての要望がございましたので、不十分でございましたが、残余の質問は留保ということにして、いままで大臣がお答えになったこと、これはぜひやっていただきたい、重ねて要望いたしまして、終わります。
  99. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 それでは、華山親義君。
  100. 華山親義

    ○華山委員 ただいまの田中先生の御質問に関連してお聞きするのでございますが、去年の日韓閣僚会議では、韓国側が付加価値関税というものを提唱いたしまして、品目を三十一品目でございましたか、あげてきた。その付加価値関税の中には、メリヤスとか、いま田中先生のおっしゃった皮革等も入っていたと思いますけれども、そういうものについて、当時の椎名通産大臣は私に対しまして、そういうことの韓国の申し入れは承知できない、断わる、こういうふうに言っておられましたが、ことしの日韓閣僚会議ですか、それにはそういう問題は出なかったのですか、出たのですか、どういうふうになっておりますか。
  101. 高橋淑郎

    ○高橋説明員 当時繊維雑貨局におりましたので、答弁させていただきます。  ことしの日韓閣僚会議におきまして、韓国側から付加価値関税制度の対象品目をふやしてほしいという要請は強くございました。しかし、国内の事情をいろいろ考えまして、いまお話しの繊維につきましては現在は応じがたいという態度で終始いたしております。
  102. 華山親義

    ○華山委員 付加価値関税を認めた品目というのはあるのでございますか。いま何かあるようなお話でございましたが。
  103. 高橋淑郎

    ○高橋説明員 この点は、付加価値関税制度が発足いたしておりまして、対象品目は、たしかいま九つ程度あると思います。繊維は対象になっておりません。
  104. 華山親義

    ○華山委員 付加価値関税は、韓国だけでなくて、これは最恵国約款にございますからどこの国にも適用になるわけでございますが、付加価値関税制度というものは、これは関税法等には関係なしにできるものでございますか。私、勉強しておりませんけれども、どういう形で行なわれるのですか。
  105. 高橋淑郎

    ○高橋説明員 これは関税法との関係が密接にございますので、法律を改正してこの制度をつくったわけであります。
  106. 華山親義

    ○華山委員 それでは通産省、よろしゅうございます。  米のことについてちょっとお聞きしたい。  ことしの米の予約概算払いはどのくらいの数量ですか。
  107. 馬場二葉

    ○馬場説明員 四十四年産米のいわゆる予約数量、事前売り渡し申し込み数量は、最終的には九百七十二万九千トンになっております。
  108. 華山親義

    ○華山委員 自主流通米は大体どのくらい出そうですか。
  109. 馬場二葉

    ○馬場説明員 自主流通米は今年は発足の当初でございますが、全体で百七十万トンの見込みを立てておったわけであります。その中で特に性格が異なるものがありますが、例の加工原材料用、酒米とモチ米の七十万トンは、ほぼ見込みどおり流通するだろうと期待しております。ウルチの主食用でございますが、これは現在のところ予想に反しましてきわめて低調でございまして、現在実績があがっておりますのは、八月、九月でございますが、両方を合わせまして約四万トンという実績になっております。
  110. 華山親義

    ○華山委員 何か数字が違っておりませんか。自主流通米百万トンの御予定じゃなかったですか。
  111. 馬場二葉

    ○馬場説明員 主食用のウルチの予定は百万トンでございましたが、私が申し上げましたのは、その中で現在までの実績が八月と九月で四万トン、指定法人から米の卸販売業者に売り渡されました自主流通米が四万トンということを申し上げたわけであります。
  112. 華山親義

    ○華山委員 先ほど予約のことで私お聞きいたしましたが、予約は全部の米についてやるということであったわけでありますけれども、ウルチについてはどのくらいの予約がございましたか。
  113. 馬場二葉

    ○馬場説明員 事前売り渡し申し込み数量はウルチとモチ米の内訳を分けております。ましてウルチの中でも原材料用と主食用とあるわけでございますが、その内訳はなくて、ただ四十四年産米としてこれだけ売る予定であるという申し込みを受け付けておりますので、その内容についてはさだかでありません。
  114. 華山親義

    ○華山委員 お見込みですけれども政府の買い上げはことし大体七百五十万トンでしたかね。この数字を見ておりますと七百五十万トンでは済みそうもありませんね。どんなお見込みですか。
  115. 馬場二葉

    ○馬場説明員 当初見込みました際は、四十四年産米も平年作程度できるだろうということと、過去の最大の出回り率を基準にいたしまして算定見込みを立てたわけでございますが、その後生産は、十月十五日に農林省の統計調査部から発表のありましたのは、水稲の作況指数が一〇三で、生産予想としては千四百五万トンということになったわけでございます。したがいまして、当初見込んだ平年作の数量よりある程度できそうだということでございますが、政府への売り渡し状況を見ますと、実は最近の最も新しい数字で十月の末の数字があるわけでございますが、これは前年の四十三年産米に比べまして現在九割程度の出回りになっておるわけでございます。こういうことでございますから、一体政府にどのくらい集まるかということは、先ほども御指摘の政府の手を通らない自主流通米の数量がどのくらいになるかということも関連いたしますので、ただいまのところもうしばらく推移を見ないと、政府に幾ら売り渡しがなされるかという見通しはちょっといまのところ立てにくい、こういう状況でございます。
  116. 華山親義

    ○華山委員 正確な数字は立てにくいですけれども、どうもいろいろな数字を聞いておりますと、ことしもやはりこの消費者価格と生産者価格の差額というものは一般会計で埋めなければいけないのですから、ことしもやはり補正予算を組まなければだめだという感じがしますが、どうでしょうね。そんなふうな感じは全然しませんか。
  117. 馬場二葉

    ○馬場説明員 ただいま申し上げましたように、四十四年産米の政府への売り渡し見込みは、特に本年は自主流通米という新しい仕組みができましたので、従来よりさらにむずかしいわけでありまして、もうしばらく推移を見ませんとわからないのと、それから、補正予算ということになりますと、食管特別会計の損益が一体どうなるかということが問題になるわけでございますが、これも損益に影響する要素はほかにも多々あるものでございますから、非常に申しわけありませんけれども、この点ももう少し推移を見ないと、いまのところ的確な判断を下すことは困難だと思います。
  118. 華山親義

    ○華山委員 それから、何か自主流通米のために補助金を出すということが新聞に出ておりますが、どういうことなのか、また、それは一体どういう予算のどの項目からそういうものが出るのか、御説明願いたい。
  119. 馬場二葉

    ○馬場説明員 自主流通米は、先生も御承知のように、消費者の嗜好に対応して政府の手を通らない米の流通を認めようということで発足したわけでございます。消費者の需要といいますのは、やはり年間を平均いたしまして、しかも安定した価格で入手したい、こういう需要であるわけでございます。自主流通米があまりに高い価格では需要者の要望にこたえられないわけでありまして、その自主流通米の価格の要素の一つには、いわゆる指定法人と称しておりますが、集荷団体のほうで保管しておる場合の金利、倉敷というのが相当かかるわけでございます。したがって、自主流通米を安定した価格で需要者の希望に応じて年間を通じて流通させるということになりますと、やはりその金利、倉敷増高相当分を政府がこの際助成をいたしまして、この制度を定着させる必要があるのではないか、こういうことで先般来財政当局と協議いたしておりましたところ、ようやく話がつきまして、いわゆる自主流通米の通年流通促進暫定措置ということで助成をいたすことに相なったわけでございます。ただいまのところ、その支出は食糧管理特別会計から支出をいたしたい、こういうふうに考えております。
  120. 華山親義

    ○華山委員 やはり補正予算を組まなければだめなんじゃないですか。そういうことで、その倉敷料とか金利とかいうものはどこから出るのですか。何のところから出るのですか。いま補正予算を組まなければ出るところはないのじゃないですか。どうなんですか。
  121. 馬場二葉

    ○馬場説明員 ただいま考えておりますのは、国内米管理勘定から支弁をいたしたい、財源は予備費から充当してやるというふうに考えております。
  122. 華山親義

    ○華山委員 そういうやり方は私は少しむちゃだと思うな。あなたの二百二十五億円ですか、稲作対策特別事業費だって予備費から出すというのでしょう。自分で新しい制度を考えておいて予備費から出すというふうな考え方、それは私は間違いだと思う。そういうふうなことは初めからわかっているのでしょう。自主流通米だったならば、一年間かかるんだから、倉敷料もかかるだろうし、金利もかかるだろうし、金も出してやらなければいけないということは、当初予算のときにわかっていなくちゃいけない。あとから気がついて予備費予備費と言われたんでは、それは憲法の予備費の精神と違うと私は思う。「予見し難い予算の不足に充てるため」と書いてあるのであって、それを、自分が政策をあとからきめておいて予備費で出すというものの考え方は、私はおかしいと思うのですよ。大体、米が多く集まったとか、そういうことは予測できないのだから、それはしかたないと思いますけれども自分で考えた制度のために予備費を出すというものの考え方は私はどうかと思います。  実はこの前もお聞きいたしましたが、先ほども申しました二百二十五億の出し方はどういうふうにおきめになりましたか。
  123. 馬場二葉

    ○馬場説明員 あの二百二十五億は食糧庁の所管でございませんので、別途御説明がございますが、よろしゅうございますか。
  124. 遠藤寛二

    遠藤(寛)説明員 お答え申し上げます。  二百二十五億の、稲作対策特別事業と仮称しておりますが、それの事業費の財源につきましては、先生、予備費だとおっしゃったわけでございますけれども、予備費ということになりますか、あるいは補正を組むようなことになりますのか、まだ財源につきまして決定をしていない状況でございます。
  125. 華山親義

    ○華山委員 その点につきましては、私は予備費から出すべきじゃないと言いました。ところが、この間私、内閣常任委員会で公務員の給与の問題を聞いたときには、予備費のことに関連いたしまして、予備費から出すという計算をなすっていらっしゃった。私は予備費で出すべきものじゃないと思った。何も農民に与えられるべきものを削って官吏のほうに回せなんということは私は言いませんけれども、非常に重大な関連があるわけです。それで、どういうふうなことでお渡しになるか。農家に渡されるというのでしょう。農家に渡される以上は、農家がこれは対策費として使ったという実証をしなければいけない。会計検査院はそれでは許すまいと思う。ただ袋に入れて回したって、それはお見舞い金みたいなことではできないわけです。稲作対策の何に使ったか――私は各農家にやるということもおかしいと思うけれども、どういうふうなことでおやりになるのですか。
  126. 遠藤寛二

    遠藤(寛)説明員 お答えいたします。  仰せになりますとおり、各個人の事業ということでございますので、まあ各個人と限定したわけではございませんで、各個人の同意を得ました場合には、農家の集団とか、あるいは農協等が事業をやることも妨げないというやり方をいたしておりますけれども、しかし個人に金が渡ります場合もかなり多いかと存じます。その場合、おっしゃいますとおり、会計検査上などは非常に重大な問題になりかねないところでございますので、各人が四十四年度の稲作に関します何かの支出を行なったという証拠、証憑書類というものがない場合は、やはり支給ができないということになります。
  127. 華山親義

    ○華山委員 しかし、会計検査の立場からいうとおかしなものですね。これはいままで何かに使ったにきまっている。何かあるでしょう。農協に払った伝票とか、何かあるにきまっておりますからね。そういうことでは私は実際は証憑にならないと思うのですよ。これは会計検査院にも、いらっしゃらないようですから、あとで私、聞いてみますけれども、そんなあいまいな金を出しちゃいかぬと私は思うのです。その金を出すこと自体について、私は決算委員会ですからかれこれ申しませんけれども、おかしな金の出し方であり、また、そういう例は私はないと思うのですね。何か目的を立てて対策事業費ならわかるけれども、肥料を買った一部だとか、農機具を買った一部だとか、何でもいいけれども、そういう制度でかりにやるのですなんという、そういう金の出し方につきましては、私は決算委員の立場からいいますとたいへん問題だと思う。それだけ申し上げておきます。  ちょっと関連して御質問があるそうですから……。
  128. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 関連質問の申し出がありますので、これを許します。浅井美幸君。
  129. 浅井美幸

    ○浅井委員 いま自主流通米の話が出て、いろいろの問題がありましたけれども、私は、古米、古古米を豚のえさにするとか、いろんなうわさが出ておりますけれども、この際思い切って値段を下げて、三分の一の価格あるいは半分の価格で放出する計画は全然お持ちでないか、その点だけちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  130. 馬場二葉

    ○馬場説明員 いまの古米、古々米の処理につきましては、過剰米対策ということで食糧庁は、まあいわはあげて検討いたしております。四十五年度の予算編成の一つの重要な事項になるかと思いますが、検討しているところでございます。その際、よく家畜のえさということがありますけれども、やはり食糧庁としては、本来米は食糧として買い入れた米でございますので、やはり主食なりあるいは食品原料としてまず消費拡大をするのが第一義的ではないか、こういうことを考えておるわけでございます。したがって、それでもなおどうしても処理し切れないものを海外への輸出なり援助なりに出す、あるいは家畜のえさということになるかと思いますが、最初の主食になる場合の価格のことについての御指摘だと思うのです。  これはやはり会計上の問題もございまして、主食にはできるだけいいものから優先的に売却をするということを考えておりますので、これの値段を下げるということは、まあこれは非常に消費者価格関係する問題あるいは財政上の大きい問題でございますので、そう簡単に軽々しくはできないのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。  それともう一つは、主食の価格を下げるということになりますと、若干消費が拡大するかと思いますが、どうも最近の主食の動向を見ておりますと、おのずから米の――いわゆる胃袋が一定だといわれておりますが、米の消費量の実態が、いかに拡大に努力いたしましても、おのずから限度があるのではないかというようなこともありまして、ただいまのところ、最優先的にいいものを売却いたします主食については、価格の点については特別水準を下げるということは考えておりません。ただ、搗精度を上げて――ただいまの政府の売却米の搗精度は九〇・六九という搗精度、精白度でございます。これを少し精白度を上げるということではどうだろう。そうすると、政府の売る値段は下がるわけでございますが、そういうことはただいま検討をいたして、少しでも主食のほうに需要拡大の努力をいたしたい、こういうように考えております。
  131. 浅井美幸

    ○浅井委員 関連質問ですからあまり深くやりませんけれども、古米、古々米の処理、過剰米の処理に非常に悩まされておる問題であります。一家族平均五人で大きな子供さんがある場合に、月々一万円くらいの支出になる。いわゆる主食費の金額が非常にばかにならない。まして、自主流通米というものは価格を相当つり上げているわけであります。いわゆる物価の安定の上からも、貧乏人の人たち、あるいは経済的に非常に困難な人たちが多人数をかかえている場合、あるいは成人者等を多くかかえている場合は、やはりそういうような要望が最近とみに高くなっております。この点については、いまあなたも第一番目におっしゃった、いわゆる米が家畜のえさに供されるんではなくて、われわれ人間が食べるためにつくっておるんだ、そういう話でありました。この点の検討をさらになさるべきではないか。また、国民の要望が、少しくらいまずくても米を食べたい、安くていいものを食べたいというのではなくて、少しまずくてもいい、いわゆる経済上の問題からお米を食べたいという国民も多数いるということをやはり皆さん方も検討の段階に入れていただいて、私は、このことについての実施を強く望みたいと思うのです。それだけ私は望んで、関連質問を終わります。
  132. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 吉田賢一君。
  133. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 食品衛生の見地から、主として食品の添加物を中心にして質問を行なってみたいと思うのでありますけれども、御承知の通りに、戦後の経済の成長に伴いまして、特に最近国民の食生活が非常に多様化してまいっておることは顕著な事実であります。米食中心がパン等の粉食にだんだん変更されてまいりまして、牛乳は主食なり、こういうような民間の常識さえできております。一方、また考えますと、わが国の経済政策が従来とかく生産偏重でございまして、最近に至りまして、消費者保護の見地から消費経済政策をもっと重視しなければいかぬ、こういう世論がかなり高まっておることは、これも明らかなことであります。ごく最近に至りまして、先月でございましたか、例の国民生活審議会の消費者保護部会のほうからも、この食品の添加物についての安全性の確保、こういうことで強い要望の意見が出されております。要するに、国民の世論の代表と見るべきであります。一方また、マスコミ等を通じまして、例のチクロ騒動というものが展開されまして、いやが上にもこの食品に対する注意力は添加物等に集中するような傾向が強いというようなことになってまいっておりますので、私は、やはりこの際、食品の添加物等につきましては、あらゆる角度から、国の行政、施策の基本的な姿勢、またこれに臨むべきいろいろな具体的な施策等が明らかにされていくべき段階にもう来ているのではないか、こう思うのであります。こういうことを前提にいたしまして二、三伺ってみたいと思うのであります。  ちょっと時間の制約もございますので、恐縮ですけれども、できるだけ私も要点を端的に述べますから、どうぞそのおつもりでひとつ要点をぴしゃっと御答弁いただくよう皆さんにお願い申しておきます。  まず、このような一般的な考え方について、これはだれがいいのですか、環境衛生局長ですか、きょうは大臣もやむを得ざる所用で不在らしいですが、一般的な考え方についてちょっと一言……。
  134. 金光克己

    ○金光説明員 食品の添加物等に対する規制につきましての考え方でございますが、御承知のように、添加物の数も現在三百五十六というような種類がございまして、これに対しましては、昭和三十八年に厚生省の環境衛生局に食品化学課という新しい課を設けまして、添加物の規制に対しまして特に強化する方策をとってまいっております。自来、添加物につきまして再点検と申しますか、いろいろの角度から添加物に対しまして検討を加えまして、現在までに、先般のチクロを除きまして十三種類の添加物の指定を取り消した、かようなことでございまして、なお今後引き続きまして、添加物の規制等につきましてはさらに強化してまいりたい、かように考えている次第でございます。
  135. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 省内の意見を統一しなければいかぬ問題があると思うのです。やはりこのような国民生活が異常な変貌を呈したときに起こってくる食品衛生行政は、その施策の根底は、単に有害だとか有毒だとか、そういった消極的な点のみならず、やはり積極的に、いかに国民の健康を保持するか、いかに国民の成長を健全ならしめるかということから、食品について、これも国策の一環でありますから、したがいまして、厚生省は他のたとえば農林省、通産省あるいは研究施設は文部省、企画庁等々との横の連携を最も緊密にいたしまして、統一的な行政的立場をもって進んでいく、ばらばら行政は許されない重要課題だ、このように考えるのです。これはあなたに聞くのは適当でないかもしれませんが、省内を統一すべき根本的な課題だと思うのです。局長意見はどうですか。
  136. 金光克己

    ○金光説明員 私の立場と申しますか、環境衛生局におきましては、食品衛生法に基づきまして、食品の危害を防止するという観点から食品衛生行政をやってまいっておりますが、厚生省におきましては、御承知のように、公衆衛生局に栄養課というのがございまして、国民の栄養増進、健康増進ということを扱っておるわけであります。その一環としましても、食品につきましては、栄養改善法におきまして、特殊栄養食品ということで、特に栄養のために添加するものにつきましては厚生大臣の認可を受ける、かような制度になっておるわけであります。そういうことでございまして、厚生省におきましては、この食品衛生法に基づく行政、それから栄養改善法に基づきます国民の健康増進、この二つの行政につきましては、緊密なる態勢をとりながら進めておるわけでございます。なお、今後におきましても、国民の保健衛生という立場でさらに強化してまいりたいと考えております。  それから、経済企画庁を中心としました関係省の問題でございますが、これは経済企画庁のほうからお答えいただくことがいいかと思うのでございますが、現在も経済企画庁を中心に、食品行政につきましてはいかにあるべきかということを検討しておるような段階でございます。
  137. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私がこう言ったということを大臣におっしゃっておいてもらいたいと思います。あなたのほうは食品衛生法の見地から行政をやっておる、これは無理からぬ、当然かもわかりません。やはりこの種の国民生活に重大な変貌を呈してまいったときに、その食品行政国策というものは、ウエートがずっと大きくなっていかなければなるまいと思うのです。そのかまえでないと、とてもこれに応じきれない。したがって、そういうことについても、ただ現象を追い歩くということになっておるから、チクロ騒動が起こるんじゃないだろうか。たとえばチクロ等の問題につきましても、九州の熊本の大学のある教授とか東北のほうにおける大学のある教授などが、すでに幾多の重要論文を発表したことは御承知のとおりであります。ところが、いまごろになりましてから、おそまきながらようやく規定及び禁止の措置をとるような実情にあるわけです。ですから、この問題はよほど真剣な態度で取り組んで――食品衛生法だけ固執するというような、そんな小さな立場ではないのでございます。法律が必要なら法律をつくるべきです。改正が必要なら改正すべきです。各省庁統合するなら統合すべきです。別個行政機関をつくるならつくるべきです。技術者がないのなら技術者をつくればいいのです。諸般の問題もありますので、もっと根本的な取り組むべき姿勢を変えなければいくまいと思うのです。  これはあなたの答弁を求めてもちょっとお困りと思いますので、きょうは大臣も政務次官も出席しておりませんから、吉田がそういう発言をしておったということをお伝え願いたい。この食品国策は、同時に消費者保護の国策につながります。経済国策の根本の大きな要素に触れていくわけであります。今後の日本の国策の推進上大きな課題になりますので、そういう意味におきまして、各省やはり統一的態勢をとって進んでいってもらいたい、その一環としての食品衛生行政でなければならぬ、こういうような私の考え方なんでございます。だから、その点をぜひお伝えください。よろしゅうございますか。ちょっとノーとかイエスとか発言しておかぬと……。
  138. 金光克己

    ○金光説明員 ただいまの御指摘の点につきましては、十分大臣のほうにお伝えしたいと思います。
  139. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 どうぞお願いします。  そこで、食品の添加物は現在は三百五十六品目、こういうことになるわけですね。食品衛生法に基づくものでありますね。参考までに聞いておきますけれども、一体食品と称するもの、人間が摂取する上において有益な食品と称するもの、たとえば植物の分野におきましても、厚生省はどのくらいの数が地球上にあるか、日本にあるか、そういうことはつかんでおられますか。
  140. 金光克己

    ○金光説明員 ただいまの御質問の数につきましては、実態を把握しておりません。
  141. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 やはりこの食品の世界は無限拡大の可能性あり、それは自然の生産物、生物があるわけです。あるいは加工品もありましょう。等等ございましょうが、ともかく植物性のものだけでも、私らの調べによりますと、アメリカにおいてすでに三千種、神戸におるある老学者の調査によりますと八千種、八千種はすでに種類、品目を編さん中であります。こういうことでございまするので、人間が食うて栄養価値ありという植物がそのくらいの品目もあるようなんでございます。ということでございますので、今後いろんな食物が次から次へと出てくると思うのです。出てくると思いますが、それにどの程度栄養ありや、どの税度何を含んでおるか、その中にあるものは毒素があるかないかというようなことも、さらに発展して広がっていくべき課題になる可能性あり、こう思うのでございます。そういうこともあることを申し上げておきます。  そこで、あなたのほうで、添加物につきましては、チクロ問題以来国民は大きなショックを受けておるのでありまするが、添加物行政において、食品衛生の見地から、一体どこをねらうことが一番大事なこととしてつかんでおられるのだろうか。毒性の発見あるいは予防、そういうようなものが大事なんであろうか。あるいはそれ以外に、やはり食物ですから、食品ですから、添加物といえども食品の一部を構成することになっておるのですから、それは栄養の見地と比重は同じでなければ――同じというか、むしろ後者が主でなくちゃならぬじゃないかと、しろうとながら考えるのであります。でございまするので、添加物を中心にいたしました食品衛生のねらいというものは何が重点なんですか。
  142. 金光克己

    ○金光説明員 食品という立場での添加物のねらいでございますが、これにつきましては、第一番にはやはり食品衛生法に基づきます危害防止、いわゆる安全性の確保ということと、それから栄養改善法に基づきます健康の増進、この二つだと思います。しかしながら、その二つでございますが、まず最初に考えなければならぬのは、やはり安全性の確保ということだろうと思うのであります。そのためには、毒性の問題もございますし、発ガン性の問題もございましょうし、肝臓その他の障害の問題もございましょう。特にこれは急性毒あるいは慢性毒、特に最近におきましては慢性毒という立場で考えてやっておるわけでございます。そういうことでございますが、ただいま、先ほど申し上げましたように、これに加えまして、さらに食品という立場では、国民の健康増進という立場から、食品の開発と申しますか、検討を進めていくということも当然必要であろう、かように考えております。
  143. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 アメリカあたりに比較いたしまして、研究施設とか技術者等がかなりおくれているような感じがするのでございます。日本におきましては、こういう湿度の多い国でもありますし、ずいぶんと国の責任が多いだろう、かまうに思うのでございますが、そういう面から考えてみましても、日本のほうがずっとはるかに進んでおると考えてしかるべきじゃないかと思うのだが、逆にこう非常におくれておる。向こうから指摘されてびっくりして調査するというようなこと等等、アメリカあたりにおきましては禁止しておる品目も添加物としてこちらでは認めておるというようなものも幾つか一般に行なわれていると世上指摘されていますですね。そういうようなこともあるらしいですね。あるらしいですが、そういうことを考えますと、食品化学衛生の見地から化学的な検討を遂げるという機関は、厚生省としてはどこになるわけですか。国立衛生試験所一本ですか。衛生試験所の所長、見えていますね。
  144. 石舘守三

    石舘説明員 御指摘になりましたことは、まことに同感であります。この添加物等の安全性に関しましては、国際連合等においても関心を持ちまして、国際的にはFAOというような機関において一般的なものを国際的に検討、論議を重ねて、できるだけその線に沿うように世界的にも努力しておるところでございます。しかしながら、日本におきましては、私どもの衛生試験所がその安全性に対する責任を持っておる次第であります。御指摘のとおり、国民の食料品に関する関心度だけじゃなくして、食生活が急激に変化してくるという事実は、まことに目ざましいものがありまして、私どももそれに相応するような体制を整えたい、こう存じまして、私も、厚生省におきましてそれの隘路になるところは何かと申しますと、どうしても生物実験を精密にやらにゃいかぬ、化学的試験は比較的容易にできますけれども、生物実験で最後に安全を期さなければならぬので、この点のことを考慮しまして、数年来毒性部門というものの強化に努力してまいりました。しかしながら、御承知のとおり、なかなかわれわれの技術者の困難をそのまま予算に反映することが困難でありまして、数年前、動物実験毒性部門というものを強化し、さらに二年がかりで、さらに二倍に動物実験の施設を増加して、ことし一ぱいでどうやらある程度の化学的データが出るような体制をしいておるわけであります。こういうわけで、厚生省でいろいろ心配していただきまして、これは優先的に施設を拡充していただきました。また、予算も多少従来よりは余裕があるように心配してくれますが、この技術者というものは、特にこの安全性、発ガン性あるいは遺伝に関する影響というようなものには特殊な技術者を必要とします。これは簡単に一年、二年でそういう人間を養成することはできませんので、こういう人間の増強がきわめてわれわれが考えているよりもおくれております。今回も、こういう問題が起こらない前にわれわれがこういうことをやりたいと思って、せっかく設備と内容の充実を心がけておりますが、とかく時勢に研究体制が追いつかないという事実はあると思います。今後は、こういう意味において、厚生省としてもぜひこの問題を重大問題として推進していただきたいと念願する次第であります。
  145. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 やはり国立衛生試験所が唯一の厚生省の食品衛生研究施設というのであれば、私は、中途はんぱなへっぴり腰では、これは需要に応ずるような適切な措置を拡充し、人をつくることも困難であると思います。こんな問題はとっくにわかっておるのです。この委員会におきまして、十年以上前においても、黄変米のときも、黄変米の毒素を――私自身も東大の病理学の教室に数回通って、そうして乾質にしましたものを、ほした毒素のラットへの注射等についてもいろいろ伺ったのでございますが、一時間のうちに肝臓の細胞がこわれていくというほどの強烈な毒素を持っている。しかしながら、そのような問題でも、日本の食品衛生の世界はどのような受け取り方をしたであろうか。国会ではえらい問題になっているのですよ。どのような受け取り方をしたかということになると、これはどうかわかりませんわ。ふっと消えてしまったのではないだろうか。黄変米が深川の倉庫に一ぱいあったが、どこへ持っていったかわからぬ。おそらくいなかかあるいは横浜の場末あたりのどこかでライスカレーになったのじゃないかということをわれわれは実は考えるのですが、ということを思いますと、何か重大な問題があったときにはぴしゃっと取っ組んでいくこと、ことに今日は食生活が根本的に大きな変貌を遂げているが、国民の健康を守ることなくしては何の行政でありますか。研究所といったって、研究所所員の自治的な存在では絶対にありません。いかにしてその研究の成果が国民の福祉増進のために役立つかということ一本でなければならぬ。だから、あなたらにおきましてこれこれのことをしなければならぬ、たとえば学者がない、研究者がないというなら、どんどんつくればいいのです。即席にできないまでも、これはやはりりっぱな研究者、技術者を養成する、しかるべき機関をもって施設、技術を導入する、その予算を要求する。その予算がなければ職を放棄するくらいな気概でもって打ち当たっていくのでなければだめですよ。そうでなければ、中途はんぱな、おざなりな昔の官僚主義のぬる湯につかったような行政をやってもらっておりましては、チクロ騒動が起こって、いま何千万の国民は食品につきまして栄養価に対する一つの期待あるいは安心よりも、何か知らぬけれども、不安に襲われておるという事実を黙視してはいけません。こういうものは意外に大きいのですよ。心理的なものです。なぜならば、だれも国民のしろうとはわかりはしません。何の添加物、何に属する添加物がどんなふうに混合されて、どういう作用をしているか、そんなことは知りはしません。新聞に書かれたら初めてわかる。何も標を打ってあるのではあるまいし、あるいはそば屋へ行くとまっ白なそばが出てきて、このごろ白いそばができましたのかいなと思うたら、そんなものですよ。ですから、一般のしろうとの国民ではそれは納得できません。  だから、私は、やはりこの際厚生省としましては、大臣以下一本にならなければ一そうして食品衛生の基本的な大きな姿勢のあり方を変える。その一環といたしましての国立衛生試験所の画期的な充実、構造の大改造をする案を出す、それをもって各省をお説きになって、それでイニシアをとったらいいと思うのです。それで、企画庁にまかしておきますなんというような中途はんぱのことじゃとてもいけませんわ。企画庁といったところが、何も省一つ持っていはしませんわ。企画庁長官は省を持っていませんわ。国務大臣であるだけですよ。そんなところではあきませんわ。ですから、それは専門家のところでずっとつくらなければいけません。だから、それはぜひ、おそしといえども、臨時国会もまだですから、来年度予算に間に合うようにうんと何か要求したらいいと思うのですよ。ここは行政改革なんかも唱える場所ですから、あんまり要らぬものをふやしてもらっては絶対反対になりますけれども、必要なものはふやす。何となれば、それは国民に対する福祉増進のゆえにであります。こういう見地から考えまして、ぜひひとつあなたの試験所はほんとうに世界第一級の試験所にするようにせにゃいくまいと思いますね。衛生局長、どうです。あなたはやはりバックアップをせにゃいくまいな。
  146. 金光克己

    ○金光説明員 食品添加物を含めましての食品衛生行政につきまして、これを強化していかなければならぬということにつきましては、重々考えておるところでございます。そういうことでございまして、国立衛生試験所の施設整備等につきましても、逐次整備してまいっておるわけでございますが、今後におきまして人員の面、施設の面におきまして強力に整備をはかるように努力したいと考えております。また、一般の研究費等につきまして、実は来年度の予算におきましても、四十四年度に比較いたしまして数倍の予算を要求いたしておるわけでございまして、この中身は、主としてこういったいろいろの添加物その他の食品の研究調査費といったものでございまして、この面におきましても今後一そうの努力をしてまいりたい、かように決意いたしておる次第でございます。
  147. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこで、財政に触れますが、やはり来年度の財政計画において、食品衛生施策を遂行する上におきましてどのような計画を立てておるのか。四十五年度要求予算のこの面の具体的施策、趣旨、それをひとつ述べてください。
  148. 金光克己

    ○金光説明員 来年度予算に関連いたしまして、来年度食品衛生対策をいかように強化しようとしておるかということにつきまして御説明申し上げます。  食品衛生関係の予算でございますが、昭和四十四年度では約六千万円でございますが、四十五年度の要求といたしましては二億円を要求いたしております。  その中のおもなものでございますが、先ほど申し上げましたように、この予算の一番中核をなしておりますのは、やはり添加物その他の研究調査費でございます。その中の大きなものから申し上げますと、食品衛生調査研究費といたしまして三千五百万円ほどの予算を計上いたしておりますが、この中身は、たとえば合成食品の安全性に関する研究、それから相乗性試験、検査に関する件、これは御承知のように食品添加物等非常に種類が多うございますので、こういったものが相乗されましてどういうふうになるかといったような研究もこれから着手してまいりたいということでございます。それから合成飼料の調査研究でございます。食肉とか鶏卵その他の安全性と申しますか、飼料として使われたものにつきましての安全性についての研究ということでございます。それから添加物に対する検査費も、新たに催奇形試験あるいは添加物の使用の実態調査等、約九百万円計上いたしております。それから食品の残留農薬の対策費でございますが、前年の約二百万円に対しまして四千八百万円というように、かなりの増額をはかっております。それから、その他食品衛生行政の能率をあげるために、食品衛生パトロール車というものでございますが、これは昭和四十四年度におきまして初めて予算化されまして、各都道府県あるいは指定都市等におきますパトロール車に対しまして補助することにいたしておるわけでございますが、これの台数をふやしていくといったような予算、かようなものを予算化しておるわけでございます。  大体おもなる方向といたしましては以上のようなものでございまして、食品の安全性を守るための研究あるいは調査費といったことに重点を置いた予算を計上いたしておるというわけでございます。
  149. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 食品の残留農薬の問題ですが、これはまた扱い方によりましては非常に重大でございます。すべての食品が、これは農村の生産物かあるいは漁業の生産物か工場の生産物であります。そういたしますと、農薬の残留物が農作物に入っているということは、これは相当厳密に調査していく必要がある。決定をいたしまして、排除するなら排除するという措置がとられないといくまいと思うのでございます。食品中の農薬の残留物について、一体日本は世界一番単位面積の農薬の使用量、種類が多いといわれております。農薬の種類は三百か三千ですか、実質の品目は四千にも及ぶとか聞くのであります。  ともかく、いずれにしても、たんぼ、畑には薬をまいた、まいたというようなことで、省力農薬をやっておるのが実態でございます。といたしますと、残留物ありというような面について、これは奇形児を生ずるような原因になるのではないかとまでいわれておるような面があるらしいのですが、その残留物等につきまして相当厳密な調査研究をしていかなければいくまいと思うのですが、その辺についてのかまえ、これは農産物の生産行政を担当する農林省といたしまして、至大の関心を持って進んでいかなければならない。こんな農薬はんらんの時代ですから、特に重大な意義を持ってきたと思うのです。ちょっと農林省の説明をいただきたい。   〔鍛冶委員長代理退席、華山委員長代理着席〕
  150. 遠藤寛二

    遠藤(寛)説明員 御指摘いただきましたように、わが国の農業生産の場合、農薬を使わないという例はほとんどございませんので、最近の添加物の問題あるいは残留毒性につきましては、われわれといたしましても非常に重大な関心を持っているわけでございます。農産物の残留毒性の問題につきましては、いろいろ厚生省ともお打ち合わせをいたしておりますが、急性毒性の問題につきましては、農薬登録の際に大部分検定をいたします。それから慢性毒性につきましては、厚生省のほうで研究をやっていただくという分担をいたしてやっております。しかしながら、最近慢性毒性の問題が非常に多くなってまいりまして、そのさばきに非常に困るような状態になってまいりましたので、この毒性関係の研究機関として、農薬検査所の内部の研究施設、その他必要であれば検定機関を設置してはどうかというような検討をただいまいたして強化につとめております。そのほうの人員もここ三、四年の間に十数名増強をいたして、準備をいたしておるわけでございます。  それからもう一つ、食品の中の残留許容量でございますが、これにつきましては、厚生省と御協議いたしまして、逐次許容限界というものをきめてまいっております。ただいままでのところ、四種類ほどの作物につきまして五種類の農薬についての基準量がきめられておりますが、今後また近いうちにも、さらに数種類のものにつきましてそれをきめるということにいたしております。  この点につきましては、この基準量がきまってまいりますと、収穫の時期におきましてその基準量以下になるような指導をいたさなければなりませんので、許容基準がきまりますと、われわれのほうでは安全使用基準というのをすぐにつくりまして、各県を通じまして指導いたしまして、安全を期することにいたしております。この際、たとえば残留許容量ゼロということになりますと、その農薬は使用不能になるというようなことでございますが、私ども厚生省と連絡をいたしまして、そこまできびしくやってまいりたいと思っているわけでございます。
  151. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 国連のWHOとFAOの合同専門委員会があって、そういったところの各国への勧告もあったらしいのですが、厚生省といたしましては、特に抗生物質なんかにつきまして、相当厳格な基本的な基準をつくっていくことをする必要がこの際あるのではないだろうか。たとえば牛とか豚とか鶏とかに関する等の抗生物質の問題は、食生活との関連で相当重要でございますので、これもやはり厚生省の一重要使命になっていくのではないか、こう私は思うのです。衛生局長、その点ではどうですか。
  152. 金光克己

    ○金光説明員 ただいまの抗生物質の問題でございますが、これは食品衛生法のほうで、食品の中に含有してはならないというように規制されておるわけでございまして、WHO、FAOの合同専門委員会から勧告があったということでございますが、日本におきましては規制しておるということでございます。ただ、沿海漁業等の場合に、氷に一部使用するものですから、それによって残留するものは許容基準をきめて規制してある、かようなことでございまして、一般的には抗生物質は含有してはならぬということに規制されておるわけでございます。そういうことでございますが、こういった抗生物質の問題につきましては、現在研究を進めておるというようなことでございます。実態につきましての研究はいたしておるわけでございます。
  153. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 さっきも問題になっておりました古米とか古々米の問題ですが、これなんかも、たとえば牛に食わす、豚に食わす、鶏に食わす、いずれもえさとして、動物食品として適切にあらずということは、くろうと筋のみな言うところであります。こういう面に至るまで衛生試験所で研究するのか、あなたのほうで研究するのか、農林省で研究するのか、私はよくわかりませんけれども、いずれにいたしましても、食品衛生の問題がかなり重要になっているときでもございますので、せっかく予算を取ってやるという以上は、できるだけ手を広げて、可能な限り食品衛生の使命を全うするというふうな姿勢が私は好ましいと思う。なぜかならば、基本的な予算要求をしようという姿勢になっているわけでありますから、来年度予算には、そういうようなかまえは一つの萌芽として積極的に支援していくべきだと思うのです。  そこで、大蔵省、見えておりますね。相原主計官、いらしておりますね。あなたにお伺いしたいのですが、いまだんだん私が質問いたしておりましたような食生活の重要な段階に差しかかっておりますのと、食品衛生の問題がチクロを発端といたしまして、が然国民の視聴を集めておるときでございますので、基本的な姿勢をもってこの食品衛生施策を遂行する、そういうふうなかまえに各省一致の体制をとっていくことが大事じゃないか。最もあなたのほうは厚生省各般の施策に精通しておられるお立場ですから、およそいまお取り組みになろうとするあなたのほうのこの種の予算問題等に対する態度、姿勢など、抽象的なものでいいと思いますからお聞かせいただきたいと思います。
  154. 相原三郎

    ○相原説明員 お答えいたします。  先ほど来先生の御質疑を拝聴しまして、いろいろ感銘を受けたわけでございますが、ただいま四十五年度予算の編成作業中でございます。諸施策との均衡を十分配慮いたしまして、財源の許す範囲内で対処してまいりたい、こう考えております。
  155. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 消費者行政を推進する意味におきまして、私は消費者にできるだけ知識を持ってもらいたいし、また、ものを知る機会も必要であろう。あるいはまた、懇切にこれを指導するという必要もあろう。消費者行政の企画はいろいろあろうと思いますけれども、国民生活局長は見えておりますね、これは企画庁の立案されていくべき大きな柱の問題じゃないか、こう思うのであります。でありますので、現在の時点における消費者行政の基本的な姿勢、要綱は何か、こういうことについて説明を伺っておきたい、こう思います。
  156. 八塚陽介

    ○八塚説明員 お答えを申し上げます。  消費者行政の基本的な目標なり姿勢なりにつきましては、御承知のように、昨年の六月に制定を見ました消費者保護基本法の線にのっとってやっていくことが、われわれ行政府としては当然のことであるわけでございます。  消費者の問題を行政的に処理いたします場合には、二通りの接近方法があろうかと思います。一つは、たとえば食料品であるとか、あるいは衣料品であるとか、あるいは耐久消費財等のもの、その他サービス等、いわゆる物、サービスに着目して、それを消費者の観点からどうであるかというふうに進めていく場合、それからもう一つは、そういう物、サービスを通じまして、横からと申しますか、安全であるかどうか、あるいはそういうものを適切に選択できるように、たとえば競争条件が十分整った形で供給されているか、あるいは表示が十分してあって、そして消費者がそれに対応して選ぶことが適切にできるという観点からどうかというような、いわば機能別の接近方法があると思います。  そういうふうに縦横織りなして消費者保護行政が進められなければならないと思いますが、ただいま御指摘にもありましたように、最後は消費者がそういう環境の中で自主的に選択をし得る能力を持っていることが必要である。そういう意味におきましては、いわゆる消費者教育ということが必要になってくるかと存じます。しかし、いずれにいたしましても、その中で河に順位をつけるかということになりますと、最低限と申しますか、当然のこととして、やはり安全の問題が優先するだろうと思います。そういう観点から考えまして、最近、食品行政、特に食品衛生の問題が注目をあびております。衛生を所管いたされます厚生省においても、いままで御指摘があり、お答えがありましたように、今後力を入れていかれるわけでございますが、私どもといたしましても、ただいま申し上げましたような縦横から、きわめて複雑多岐になっておりますけれども、いずれもそれぞれ、いまのような情勢では進めていかなければならないと思っておりますので、特に最近のような情勢の中では、食品衛生の問題について、今後とも関係各省の御努力をお願いするとともに、私どものほうもその観点で十分応援、御協力をいたしたいというふうに考えております。
  157. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 反面におきまして、日本人は従来勘でおもにいったのではないかと思いますが、もっと科学的に食品の栄養価値を十分に認識、理解して臨んでいくということが、生活を合理化する上におきましても、消費生活を経済的に行なう意味におきましても、食品を通じる消費者行政の重要なポイントになるのではないであろうか。いかにして栄養の保証をするか。栄養学的な知識を高度に持って、具体的に各種食品の栄養について、従来の勘にあらず、栄養学的な見地から一々これを知っていくということが、たとえば台所を受け持つ主婦の重要な任務でないであろうか、こう思うのであります。わかったようで十分にわかっておりません。これもこの際一そう強調して、私は、この機会に、安全の反面、健康のもとの栄養、そういう面が大事でないか、こう思うのでありますが、抜かりないと思いますが、この点いかがでしょう。
  158. 八塚陽介

    ○八塚説明員 栄養の問題につきましては、先般厚生省のほうから御発表になりました調査等でも、現在の日本人のいわゆる栄養摂取の問題は、なお相当改善をされるべき状況のようでございます。したがいまして、栄養の問題は、消費者にとってあるいは生活にとって、当然きわめて重要な問題でございます。その意味におきまして、消費者のほうにおける栄養についての知識というものは、今後とも大いに啓発、啓蒙されなければならないと思います。ただ、日常の食生活の場合に、やはり人間が必ずしも合理的な観点のみで食生活をやらないで、やはり楽しみであるとか、余裕ができますと、そういう方向もやはり加味されないと、栄養も栄養として十分効果を発揮しないということもございます。それから、私も正直に申してしろうとでございますが、栄養学と申しますか、そういう知識は今後ともますます分化し、深化してまいりますと、どうしても消費者が一般的に深くきわめるということは無理な点も出てくると思います。そういう意味におきまして、やはり供給するほう、あるいは行政指導するほうは、あまり消費者が深いあるいは正確な学問的知識を当然持っておるというふうに考えてやらない。やはり一般の主婦というものの程度をおのずから頭に置いて今後とも栄養上の指導をやっていく、あるいはそういう制度を整えていくということでございます。
  159. 月橋得郎

    ○月橋説明員 栄養の問題に関しましては、厚生省では栄養課のほうで所管しておるわけでございます。ただいま先生の御指摘ございましたように、栄養に関しましてはかなり科学的な知識というのが必要であるわけでございますので、栄養改善法を所管いたします栄養課といたしましては、全国の保健所に栄養指導員というものを設置いたしまして、ここに常に適確な国民の栄養改善の思想、あるいはその知識を普及するための資料を提供いたしまして、それを根っこといたしまして、地域の各婦人層並びに集団給食施設等に対しまして適確な栄養指導をしていくという体制を整えてまいっておりまして、これが漸次全国的な組織に広がりつつあるという現状でございます。  ただ、先ほど来問題になっております食品の安全との関連につきましては、環境衛生局長も申し上げましたように、やや関連が薄れた形で行なわれておりますので、この両者を全く密接に一致させるような方法で今後栄養の改善指導というふうなものをはかってまいりたい、かように考えております。
  160. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 食品は国際的補給面がかなりあるのじゃないかと思っておるのでありますが、しかしながら、いま日本に対しまして食品の輸入というものは届けっぱなしでいいのであって、確実にそれがどこかの安全性の基準をパスしたから輸入可能なり、こういうことになっておらぬらしい。ただ厚生省といたしましては、係官を各貿易港等々に派遣いたしましてそれぞれしかるべき検査等をやっておるようでございますけれども、きわめて手薄であることは、これは常識でありますので、したがって年間何十万というこういう届け出品目に対しましても十分に手が回らぬということも、これまた公知の事実であります。  こういう点から考えてみましても、やはり国際的な輸入の問題、これは安全性の問題と同時に、また日本の栄養的な給源、補給の問題、かつまた、日本の農業あるいは漁業あるいはその他の加工産業等々との競争、保護の関係も生じてまいると思うのでありますが、いずれにいたしましても、これは貿易上の重要な課題といたしまして、安全を守り、かつまた日本人の健康を確保する、栄養の補給をする、この両全を期するということが貿易の使命である、こう思うのであります。こういった点からいたしまして、通産省におきましても、しかるべき行政指導あるいは選択等々も行なわれておると思います。農林省におきましても同様である。同時にこれは厚生省の所管にもなる等々、各省にまたがっておる課題でありますので、適当にひとつ御答弁願っておきたい、こう思います。
  161. 金光克己

    ○金光説明員 食品の衛生監視につきましては、御説明がございましたように、監視員を検疫所に配置してございまして監視をいたしておるわけでございます。しかしながら、御指摘のございましたように、年々輸入食品もふえてまいっておるような次第でございまして、こういった面につきましては、職員の人員の増等も逐次はかってまいりたいというようなことでやってまいっておりますが、今後さらに強化してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  162. 柴田益男

    ○柴田説明員 御説明申し上げます。  食品の衛生面の問題、あるいは積極的に栄養のあるものを輸入する問題につきましては、関係省の法律、たとえば食品衛生法あるいは関税法六十七条の輸入許可の問題等の運用の問題でございますが、われわれの所管しておりますところの輸入貿易管理令の運用におきましても、これらの法律を補完する立場から、この運用に際しまして、輸入業者を御趣旨に沿って積極的に指導してまいりたい、こういうふうに考えております。
  163. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 最後に申し上げておきたいことがあります。  例の、なくなったケネディ大統領のいわゆる消費者の四権利――安全である権利、知らされる権利、選択できる権利、その意思を反映する権利、これは、言うなれば世界的な全消費者の願いであるとさえいわれておるのであります。この上に私は、安全と、かつ適切である栄養、かつ、みずからそのいずれも選択し得るほんとの知識、そして生活をできるだけ合理化すること、ことに日本人は、日本食あり、あるいは中華料理食あり、西洋料理あり、朝鮮料理あり等々、実に世界的な多種多様な食品を摂取するという民族でございまするので、食品衛生の問題は、いま、たまたま世上に大きな話題を投げたのでございますけれども、これは国民の将来の健康保持のためには、きわめて重大な課題であることはいまさら申すまでもありません。  こういうことでありますから、やはり厚生省並びに各関係省庁は、せっかく一致せられて連絡をとって、おっしゃるがごとく、縦に横にその遺憾なきを期して施策を立て、進めていくという必要があろうと思うのであります。みんなともにひとつ相提携いたしまして、ばらばら行政にならぬように、もちはもち屋で大きな顔をするんじゃなく、全国民のための食品政策の重要性にかんがみまして、みんな一体となって御努力をせられんことを御希望申し上げておきます。要望をしておきます。これは答弁があってもなくてもよろしゅうございますから、しかるべき――何かありますか。何かあれば、環境衛生局長
  164. 金光克己

    ○金光説明員 先生御指摘になりました食品衛生の今後の問題でございますが、厚生省におきましてはもちろんのことでございますが、関係者とも十分連携を密にいたしまして、食品の安全を確保するように積極的な努力をしてまいりたい、かように考えております。
  165. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 終わります。   〔華山委員長代理退席、吉田(賢)委員長代理   着席〕
  166. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員長代理 浅井美幸君。
  167. 浅井美幸

    ○浅井委員 私は都市の河川敷の占用状況についてお伺いしたいのですけれども、建設省は三十九年に参議院、あるいは四十年に衆議院で河川敷地に関するいろいろな質問が出まして、そして問題点が指摘されて、その後それを改善しようという意向は出たのでありますけれども、一応河川審議会でも方針が定められて、河川敷の開放に一応努力をしておるあとは見られます。しかしながら、私がこれから指摘する問題は、そのような努力だといっておりますけれども、まだまだあまりにもずさんであり、不十分である、この辺についてお伺いしたいと思うのです。  まず、荒川あるいは多摩川の河川敷の占用料というのは、一アール当たり平均どのくらいになっておるか、この点についてお答え願いたいと思います。
  168. 坂野重信

    ○坂野説明員 お答えします。  一平米当たりで申し上げますと、年間で最低が大体三円ぐらい、最高では十五円ぐらいになっておろうかと思います。もちろん目的なり態様によって若干の差はございます。たとえば荒川の川口のような場合は、たしか六円くらいになっております。
  169. 浅井美幸

    ○浅井委員 いまの社会情勢から、市価の坪当たりの平均のいわゆる使用料と比べて河川の場合非常に安いのですけれども、なぜこんなに安くなっておりますか。
  170. 坂野重信

    ○坂野説明員 一般の民地の近傍類地のものに比較しますと、安いことは確かでございます。御指摘のとおりでございますが、ただ河川敷の場合、一般の民地の場合と比べましていろいろな制約がございます。それから物理的な条件からいっても、河川敷であるために洪水等の場合に非常に水をかぶるというような悪条件がございますし、それから占用の許可の条件等からいっても、期限を切っての占用であるというような問題もございます。あれやこれやで、一般の民地とは、経済的に見てもそういった相当悪い条件であるということで、やはり従来の慣例からいきましても、確かに御指摘のとおりかなり低い占用料でいっております。ただ、その占用料等につきましては、河川法に基づいて河川管理者は都道府県知事になっておりまして、知事の定める規則によって占用料というものを定めておるわけでありますが、先ほど申し上げたような事情で、一般の民地における貸借料等とは違っていることは確かであります。
  171. 浅井美幸

    ○浅井委員 その値段でいきますと、一年間で低いのが二円から三円と伺いました。したがって、坪に直しましたら六円六十銭ですか、あるいは七円、十円、高いもので年間五十円、そういうので開放し、いわゆる占用させている、そういうことでありますけれども、このゴルフ場を例にとってみます。ゴルフ場の場合に、たとえば一級河川、大臣の管理区間といいますか、これは全国でどのくらいの広さになりますか。また、件数はどのくらいになりますか。
  172. 坂野重信

    ○坂野説明員 ゴルフ場としましては六十六件で、千七百五十ヘクタール、河川の面積の約八・五%ということになっております。
  173. 浅井美幸

    ○浅井委員 おたくからいただいた資料では、千八百三十四ヘクタールになっておりますが、これは違いますか。
  174. 坂野重信

    ○坂野説明員 四十三年四月二十四日現在でございます。あるいは時点がずれておるかもしれませんが、私の資料では千七百五十ヘクタールでございます。
  175. 浅井美幸

    ○浅井委員 この開放計画の中で、ゴルフ場の開放計画はどうなっていますか。
  176. 坂野重信

    ○坂野説明員 開放計画につきましては、とりあえず東京の多摩川、荒川、それから江戸川につきまして、四十一年から三カ年計画でいわゆる第一次の開放計画を立てたわけでございます。その一環といたしまして開放の計画を立てまして、多摩川の場合には、開放が、ゴルフ場が三十八ヘクタール、それから荒川の場合が十七ヘクタール、以上でございます。
  177. 浅井美幸

    ○浅井委員 そのほかないの。
  178. 坂野重信

    ○坂野説明員 現在のところそれが第一次の開放計画でございますゴルフ場に限らず、その他の非占用の開放をはかったわけでございます。開放したあと、できるだけ運動場あるいは公園緑地ということで現在整備中でございます。とりあえずの整備状況あるいは今後の周辺における需要状況等を見まして、今後の開放をどうするかというような問題を現在検討中でございます。  ただ、いたずらに現在使用しているもの、占用しているものを開放するだけが能ではございませんので、河川の中には、まだ未利用の荒れ地でもって整備すれば利用できるところもございますし、あるいは準開放で間に合うようなところもございます。そういうものを、公園計画というものを総合的に考えて、その一環として河川敷地、公園のあり方はどうあるべきかというようなことを勘案しながら今後の開放利用を考えていきたい、かように考えております。
  179. 浅井美幸

    ○浅井委員 開放計画については、当時の委員会でも取り上げられて、いわゆる河川というものは国有地である、あるいは国民のものである、   〔吉田(賢)委員長代理退席、鍛冶委員長代理着席〕 多摩川あるいは江戸川については都民のものであるということで、一般の大衆、いわゆるパブリック的なものにしたい、そういうことで決議も行ない、あるいはその方向に向かって進んだわけです。いま河川局長の話によれば、多摩川についても百九十九万四千四百九十九平米ある中で、わずか三件で十七万一千五百ヘクタールしか開放されていない。となりますと、百九十九万のうち十七万、一割に満たない、こういう開放しかできていない、こういう開放であります。ところが、当時問題になって占用許可の基本方針について準則が設けられました。あなた方の建設事務次官から通達が出て、  河川敷地は、河川の流路を形成し、洪水の際には安全にこれを流過せしめ、洪水による被害を除却し、又は軽減させるためのものであり、かつ公共用物として本来一般公衆の自由なる使用に供されるべきものであるので、原則としてその占用は認めるべきではないが、社会経済上必要やむを得ず許可する場合においては、河川敷地占用許可準則第3に従い処理するものとすること。   なお、次の各号に掲げる施設のためにする占用以外の占用は、許可しないものとすること。   一、公園、緑地及び広場   二、一般公衆の用に供する運動場(営利を目的とするものを除く。)   三、児童、生徒等が利用する運動場で学校教育法に規定する学校が設置し、管理するもの   四、採草放牧地その他これに類するもの   五、その他営利を目的としないもので、その占用の方法が河川管理に寄与するもの これ以外は許可しちゃならぬということになっている。ところが、いまあなたがおっしゃったように、六十六件これを許可しておる。これはどういうことでしょう。
  180. 坂野重信

    ○坂野説明員 御指摘のとおり、私どもは河川敷地の占用の問題につきましては、事務次官通達を四十年の十二月二十三日に出して、それによって諸般の施策をやっておるわけでございまして、その当時の事務次官通達の方針と現在に至るまでの方針は変更はいたしておりません。  ただ、先生もこれは御承知と思いますが、これはどちらかというと、河川敷地の占用の許可となっておりますが、まあ主として新規の占用をする場合にどういう考えかということでございまして、その中に既存の占用に対する措置というのが六番目にあげてありまして、逐次具体的な計画を立てて準則に適合するように措置するものとするということでございますので、この方針に沿って逐次改善に努力いたしているわけでございますが、先ほど申し上げましたように、この河川敷の開放といいますか、そういうものは、やはり周辺における需要の度合い、河川敷の利用の総合的な計画、その周辺における河川の利用――公園敷地と公園緑地とを含めた全体的な需要の度合いとか、あるいはそういった公園の計画というものを一環として考えるべきであって、ただいたずらにそういったゴルフ場であるからこれは絶対まかりならぬというのじゃなくて、やはり態様によって周辺の需要の度合いを勘案しながら逐次改善すべきであると私どもは考えておるわけでございます。  しかしながら、占用の原則としては、先生がおっしゃいましたようなことで、営利を目的としない公共的な自由使用の立場で使用に供すべきだというたてまえがございますので、ゴルフ場の第一次開放をしたあと、残したものの中でも、同じゴルフの経営にいたしましても、できるだけパブリック方式にいたして、そうして多数の人が安く利用できるというようなことをできるような行政指導を行なっているわけでございます。決して私どもはこのゴルフ場の開放の問題等についての方針に違反しているようなことはやっていないつもりでございまして、地建等に対してもよく地元の市町村等とも協議会等を持って、そしてよく打ち合わせをしながら地元の要望をできるだけ満たすような方向で検討をするように命じているわけでございますが、先ほど申し上げましたように、ゴルフ場を開放する以前においてまだ未利用の河川敷が相当残っておりますので、そういうものをやはり第一義的に考えて、できるだけ多くの人たちが利用できるというぐあいに考えるべきではないかというぐあいに考えて、現在いろいろ施策をとっているわけでございます。
  181. 浅井美幸

    ○浅井委員 あなたは先ほど未利用、未利用という話ばかりされていますけれども、いま河川敷で未利用というのは、いわゆる大衆が非常に使いにくい遠隔の場所、そういうところにあるから未利用なんであって、大衆が使いやすい、足場のよいそういう場所にはもうどんどんこういうようなゴルフ場ができておるのです。そのときに問題になって、河川敷の使用順位まで建設省は定めたといわれておる。一番が高速道路、国鉄の幹線建設などの特定事業、二番が道路、ダム、飛行場など公共の利益となる事業、三番が国や地方団体の事業、四番が学術、慈善、宗教団体などの公益を主とする事業、五番がその他の事業となっておる。ですからこのゴルフ場が問題になって、それについて改善をするということをいった。いまあなたはできるだけパブリックなオープン制のものにしたい――どこがその四十年のときと変わったのですか。ゴルフ場のいわゆる使用料で四十年から下がったところを教えてください。また、あなた方がいわゆる占用許可を出しておる、この一平米あたり二円から三円、あるいは十五円とおっしゃったけれども、それはその当時と変わっているなら言ってください。変わってないじゃないですか、使用料は。
  182. 坂野重信

    ○坂野説明員 占用料の問題につきましては、いろいろ担当の課長会議等を開いた場合に、そういう問題を私どもとしていろいろ意見交換をして、少なくともまず第一に、全国的にアンバラがあっては困るじゃないかということで、アンバラをまずなくする方向で何とかひとつ考えるべきじゃないかというぐあいにいろいろやっております。今後とも先生の御指摘もございますので、私どもとしては、できるだけ占用料の適正化といいますか、そういった適正な占用料というようなものを考えてまいりたいということでございます。  ゴルフ場の問題につきましては、いろいろ御指摘を受けているわけでございます。たとえば玉川の東急の経営していたゴルフ場等も、その当時はメンバー制でございましたものをパブリック制にいたしておりまして、はっきりしたデータはつかんでおりませんが、おそらくゴルフの料金等も安くしているのではないかというぐあいに考えております。私どもは決してゴルフ場の開放等に否定的な立場はとっておりませんし、先ほど申し上げましたように事務次官通達という方向は決して変えておりませんので、今後やはりさっき申し上げましたように、需要の度合いといいますか、公園緑地計画という総合的な立場に立って、必要とあらば、ひとつ既占用のゴルフ場についても開放にやぶさかではないということをこの際申し上げておきたいと思います。
  183. 浅井美幸

    ○浅井委員 「営利を目的としないもので、その占用の方法が河川管理に寄与するもの」という、営利を目的とするものに対しての貸し付けはどうなんですか。四十年にいわゆるこの準則ができたのです。それに対して契約は更新しているでしょう。それについてはどうなんですか。
  184. 坂野重信

    ○坂野説明員 占用の私どもの方針では、公園緑地につきましては五年、それから一般のものにつきましては三年ということで、その期限が済んだ時点においてまた新しく許可申請が出た場合においてはそのつど審査をしてやっているわけでございますが、先ほど申し上げましたように、そういった占用の問題につきましては都道府県知事にこれをまかせて、都道府県知事の条例によって占用料を別個の立場で取るということにしておりますので、その辺の適正化の問題につきましては、先生さっき御指摘になっております公正な占用料というものをできるだけ基準化してまいりたいというぐあいに考えておるわけでございます。
  185. 浅井美幸

    ○浅井委員 ぼくはいま占用料の話ではなくて――占用料も問題です、こんなべらぼうな安い値段で。いまごろゴルフ場なんか、会員券をつくって入会金を取って、そして使用料も取って、申し込みの何々クラブの規約というのも出ています。これ一ぺん内容を見てください、特別会員だというのを。あなた方、これ御存じなんでしょう。こういう営利企業をやっているじゃないですか。そして、土地は年に坪当たり十円とか二十円というそういう安い使用料でもってばく大な営業をやっておる。これは営利事業じゃないんですか。この営利を目的としたものに対しては、契約更新のときに何かの条件をつけたり、あるいはその契約というものについて取り消しはできないのかとわれわれ言っているんです。建設省として河川敷のいわゆる開放を決定したならば、なぜそれを四十年に追及されながらいままで実施していないのかということを私は聞いているのです。
  186. 坂野重信

    ○坂野説明員 それは先ほどお答えしたとおりでございまして、私どもは、ゴルフ場について具体的な開放計画が出てきた場合には、期間更新の場合にはそれに従ったような条件をつけ、また許可の期限というものもそれに沿って行なうわけでございます。
  187. 浅井美幸

    ○浅井委員 じゃどうしてわざわざ河川敷を使用しておるゴルフ場の開放計画を立てないのです。おかしいじゃないですか。あなたの言い方であったならば、ゴルフ場をわざわざ開放計画からはずして、未利用、未使用――不便なところを開放しようというんですか。どうなんですか。
  188. 坂野重信

    ○坂野説明員 先ほどからお答えしたとおりでございまして、私どもは第一次の開放計画をとりあえず東京都の周辺の三河川において立てて、それを実行したわけでございます。その実行した結果、公園緑地が河川の中においても逐次整備されておるわけです。しかし、これはまだ必ずしも全部完成しているわけじゃないです。ゴルフ場を開放したからといって、すぐ公園緑地、運動場ができるわけじゃございませんので、それに引き続いてそういった整備計画が必要でございます。その辺のでき上がった状態を見守りながら、先ほど申し上げたように、やはり公園緑地の需要度――公園計画というものは、私が申し上げるまでもなく、必ずしも河川敷地だけじゃなくて、都市周辺全体をながめた公園の総合計画、五カ年計画というものを立てて、その一環として、河川の開放すべきものはゴルフ場なりあるいはその他のものを利用して公園計画なり運動場の計画なりを立てるわけでございますので、その辺の総合的な計画の一環として河川の開放も考えるべきである。もちろん、先ほど申し上げましたように、私どもはすでに地建に通達を出しておりまして、地建でそういった公園の担当者あるいは河川の周辺の公共団体等と十分打ち合わせて、需要度を勘案しながらそういった計画を立てて、河川の適正な利用計画というものを立てて、やっていくようにということを指導してやっているわけです。  ただ、先生おっしゃるように、確かに第二次計画をどことどこでいつまでやるかということができていないということは非常に御不満だろうと思いますけれども、それはいま申し上げたように、何回も私繰り返したとおりでございます。
  189. 浅井美幸

    ○浅井委員 あなたと私は話が――故意に答弁をすれ違いになさっておるのかもしれませんが、いわゆるゴルフ場がある、開放計画ができた、開放した、開放したのは道路のほんの見せかけなんです。私はこの間ゴルフ場をみな見てきました。ところが、ゴルフ場の看板というものはほとんどかけていない。なぜかけてないか。いわゆる東京都民が開放開放ということでやかましく言う、言うからこの道路のそばだけ開放しておる。そしてあとは全部ゴルフ場に使わしておるけれども、全面的に開放したかのような印象を与えておる。そしてまだまだ都民というものは青い空と緑のこの森を求めておる。いま日曜日に行って、そういうふうな河川敷の使用の状況を一ぺん見てもらいたい。また、あなた方が開放している、開放していると言っているが、何々会社、いわゆる会社のテニスコート――開放計画の中に準開放として、たとえば三和信用金庫、毎週月曜日と金曜日、大洋ドライクリーニング、これは毎週月曜日と金曜日、これで開放したことになるか。大きな看板が立って網が立っておる。あるいはまた、入り口にしるしがある。会社の名前が書いてある。そこが常識的に考えて使えるかどうか。それは周知徹底されておるかどうか。ですから、行きたいけれども、行くどころじゃない。また、ゴルフ場なんというところは入り口にさくがあって入れない。そういうところには都民の人たちが行きたいと思っても行けないじゃないか。それは第一次開放計画ではなかったから……。あるいはまた、私がさっきから聞いておる、もう一つ違った点では、営利を目的とするものについては、この契約というものについて更新の場合に何らかの措置はあなた方講じないのか。営利を目的とするものには貸さないという準則をきめたんじゃないのかということです。それについて、営利を目的とするものに対しての契約更新の場合はどうなっているのかということなんです。
  190. 坂野重信

    ○坂野説明員 前段の準開放の問題で、あるいは一部、先生誤解があるかもしれません。私どもは開放計画の中には、全面開放という立場といわゆる準開放という立場をとっておりまして、準開放のほうは、これはある期限、ある日にちを切って、たとえば一週間のうち、日曜日であるとか土曜日であるとかいうような数日を限定いたしまして、それを一般の人に開放する、ふだんのウイークデーはもちろん会社占用でやるということでございます。その辺が、あるいは御指摘のように不徹底なところがあるかもしれません。その辺はよく調べまして、不徹底の点があれば、遺憾のないようにさしたいと思っております。  それから、先ほどの営利を目的とする問題、確かに準則にもあがっておりますし、私ども方向としては、先ほどから何べんも申し上げますように、そういう方向で進めるべく努力いたしておるわけでございますが、通達の中にもございますように、既存の問題については逐次ひとつやっていこうということで、その逐次ということがおそいじゃないかという御指摘を受けておるわけでございますが、これは先ほどから何べんも申し上げましたように、そういった実態に即して逐次、そういった営利を目的とするようなものにつきましては、ひとつ合理的に、あるいはだんだん需要度が逼迫してまいりました場合にはそこで打ち切るということもあるわけでございます。  まあ、はなはだ不満ではございましょうが、ひとつもう少し長い目で見ていただいて、私どもは決して消極的ではございません。いまでき上がっている多摩川にいたしましても、当初の予定に対して相当な、二割以上の実は実績をあげているわけでございます。その間にいろいろなトラブルがございました。しかし、私どもは私どもなりにき然たる態度で、あらゆる障害を排除して開放に尽くしたつもりでございまして、決して私どもは今後の河川敷の適正な利用あるいは開放等につきましても消極的な立場をとっているわけじゃございませんが、やはり開放するにはするなりで全般的な総合的な立場でひとつまいりたいということでございます。
  191. 浅井美幸

    ○浅井委員 こういうことが出ておりますがね。これは四十年の新聞ですが、   まじめに働いて、キチンと税金を納めている人が、ずいぶんバカを見ているのではないか。こう思わせるような不快な話がこのごろヤタラに多い。「玉川ゴルフ場」問題も、その一つだ。二十一日の衆院決算委員会で、この問題をとりあげたが、それによると、玉川ゴルフコースは、国有地である多摩川の河川敷を年間一平方メートル三円の使用料で借りている。ところが、道路公団が第三京浜国道をつくるために、ゴルフコースの一部に橋をかけるだけで三千四百万円の補償費を払ったそうだ。この補償費を道路公団の使用部分で割ってみると、一平方メートル当り一万二百三十八円となる。一年間三円で借りた土地だから、この補償費はじつに「三千四百年分」払ってくれたことになる。なんと気前のよいおカミだと、ゴルフ場経営者は喜ぶだろうが、この金は税金から出たものだ。国有地を一時使用させているのだから、「公共目的に使用する場合は、許可を取消し、補償費は払わない」とはじめから契約しておくのが当り前だろう。庶民に対してはナカナカ厳重にスジを通す役所が、こういうところで、スジを忘れたらしいのは、どういうことか。河川敷を管理する大元締は建設省だが、この中の委員は質問で「このゴルフ場ができた三十二年、当時の建設省次官、官房長、河川局長をはじめ課長補佐クラスまで、そろって入会した事実がある」と追及している。現職の幹部にも入会しているものがあって、建設省の御用ゴルフ場といわれているそうだ。業者に便宜と利益をはかってやるかわりに、ゴルフをやらせてもらい、遊ばせてもらうほど、わが国の高級役人の一部がみみっちい根性に成り下がったとは思いたくない。この“多摩川怪談”に対しては、たぶん、建設大臣から国民によく納得のゆくご説明があることと期待する。殺人的な朝の通勤列車で、神奈川方面の勤労者は毎朝、多摩川を越す。日曜でもないのに朝からゴルフをやっている人を見るが、アレは断じて“建設省”ではないと信ずる。 こういうようなことが新聞に書かれたことがありますけれども、こういうことから考えて、いまあなたが逐次だとかいろいろなことを言っておられますけれども、いまもう四年たっておる。逐次というのは、いつをさすのです。
  192. 坂野重信

    ○坂野説明員 はっきり申し上げますと、いつまでという実はそういった年次計画をつくっておりません。先ほど申し上げたように、そういった公園緑地の場所場所ごとの、河川ごとの、しかも地区別な需要といいますか、そういった総合的な立場に立ってひとつ考えてまいりたいということでございます。  ただ、私どもの一応の資料としては、地方建設局段階においては五カ年というものを想定をして、五カ年間にどういう計画でやるべきかという一つの資料をつくるようにというようなことで検討はさしております。
  193. 浅井美幸

    ○浅井委員 たとえば東京都民ゴルフ場というのが荒川にありますね。私は、東京都民ゴルフ場というものですから、一般のパブリックなものだと思って行ってみた。ところがそうじゃないのです。これは日観興業株式会社という営業会社がやっておる。こういうものを都民のゴルフ場に開放できないものか、どうでしょう。
  194. 坂野重信

    ○坂野説明員 同じような答弁になるわけでございますが、先生はゴルフ場全部を一挙に開放しろということだろうと思いますが、私どもの考えた荒川の開放計画というのは、やはり東京都において必要とする荒川周辺の公園の緑地面積、それから河川のほうから提供し得るゴルフ場の面積というものを勘案して、自動車の練習場あるいはゴルフ場にいたしましても、できるだけ橋梁に近いところというものを最重点にして、とりあえず第一次の計画というものを立てたわけでございます。  御承知のように、荒川は非常に低湿地帯でございまして、地盤沈下がひどくなっておるようなことで、一挙に開放しても、これを公園緑地のりっぱな都民のいこいの場にするためには、堤防をつくったり、さらに高水敷を土盛りをしたりしなければ、なかなかりっぱな緑地はできないというようなことでございますので、一挙に開放しても、開放したがそのあとはペンペン草がはえたということでは意味はないことでございます。やはり都民、区民の需要度というものを勘案しながら総合的にやっていく、公園計画のほうにいたしましても、予算の限度もございますし、都市局の問題でございますが、公園緑地計画という五カ年計画を立ててやっておりますので、その一環の立場としての開放計画というものがあるわけでございます。ただ、ゴルフ場を目のかたきにして、ゴルフ場だから開放するということでは私もないと思うわけでございます。
  195. 浅井美幸

    ○浅井委員 私は一挙に全部のゴルフ場を都民の広場に、あるいは都民のゴルフ場に変えてしまえと言ったのではない。入会金が高いし使用料も高いのですから、ゴルフの要望が高くなってきたなら高くなってきたとして、逐次大衆に還元するようにしたいとさっきあなたはおっしゃったのです。そのとおりに、なぜいまそういうふうなことで、都民のために開放したゴルフ場をつくる計画は全然ないかと聞いているのです。
  196. 坂野重信

    ○坂野説明員 私は河川管理者の立場でお答えしているわけです。そういう総合的な公園計画なり体育の立場、これはまた別の観点でひとつ総合的に考えていただく必要があると思うので、私は河川管理者の立場だけから申し上げているわけでございます。
  197. 浅井美幸

    ○浅井委員 では多摩川の問題に移りたいと思いますけれども、多摩川を占用していた株式会社トヨタ教育センターにはどういう条件で貸し付けたのですか。
  198. 坂野重信

    ○坂野説明員 ちょっといま資料があれでございますが、占用準則ができたのが、先生御指摘のように四十年の十二月ごろでございます。それまで旧河川法の間においては毎年更新ということでやっておりました。それ以後においては、公共的なものは、先ほど申し述べましたように五年以内、一般のものは三年以内ということでやっておりますから、その範囲内でまず期限を切る、それから開放の計画がございましたから、その辺をにらんで、これに支障ないようなことで条件をつけてやっておると思います。
  199. 浅井美幸

    ○浅井委員 河川の構築物等があった場合に、その構築物の撤去については、国として補償すべきものなんですか。
  200. 坂野重信

    ○坂野説明員 河川の占用の許可の立場からいいますと、そういった河川の工事を実施する立場、あるいは公共、公益の立場から、そういう原形に復旧するとか、あるいはいまおっしゃったように工作物を撤去するとかいうようなことがございました場合には、できるだけ許可期限を満了させて、それによって新規の許可をしないで、しかも補償なしでそういうものを占用許可権者にやらせるという立場をとっております。
  201. 浅井美幸

    ○浅井委員 そうすると、日本道路公団にお伺いしたいのですが、四十年の三月に、いま言われたように、できるだけ撤去については国としては補償しないという方針でありますけれども、千二百七十六万円の補償を教育センターにしていますけれども、その理由は何でしょうか。
  202. 小野裕

    小野参考人 お答えいたします。  私どもの東名高速建設にあたりまして、ちょうどだだいま御指摘の会社に貸付されておった占用地を通過したわけでございます。そのために、それまでは正常に経営しておりました自動車練習場並びにゴーカート遊戯場でございますが、これに対して、その設置しておる施設を移さなければならない、あるいは、その工事中あるいは移転の作業中営業を休ませなければならないということがございましたので、私どもとしましては、公団のこの公共事業に伴う損失補償ということで補償をいたしたわけでございます。
  203. 浅井美幸

    ○浅井委員 これは河川局長にお伺いしたいのですが、日本道路公団というのは公共事業ですね。いわゆる国の事業と同じであります。それがやる事業に対して、わざわざこのような補償を払うということはどうなんですか。
  204. 坂野重信

    ○坂野説明員 これは当事者同士の話し合い道路公団が判断して補償を払ったということだと思いますが、それに関する限りにおいては別に河川法の違反である、そういう立場はございません。
  205. 浅井美幸

    ○浅井委員 日本道路公団にお伺いしたいのですが、日本道路公団の事業というのは、国の事業じゃないですか。国の事業をやるのに、国の国有地をただみたいな安い値段で貸しておるものに対してまた占用料を払う、これは再三問題になった問題じゃないですか。どうなんですか。
  206. 小野裕

    小野参考人 道路公団の行なっております事業は、国の事業にかわる事業でもございますが、公団として、法人としての独自の事業にもなるわけでございます。国の事業を代行しておる部分ももちろんあるのでございますが、財産その他の関係におきまして公団独自の経営をしておるということになるわけでございます。  この公団道路を建設するにあたりましていろいろな補償問題が起こるわけでございますが、従来も御指摘あるいは御質問を受けた事例もございますけれども、私どもといたしましては、適正に運営し、あるいは経営しておる事業あるいは存在しておる財産というものに対しましまは、やはり民事的な立場で補償をすることが適当であろう、こういうふうに考えて実施してきたわけでございます。
  207. 浅井美幸

    ○浅井委員 道路公団が公共目的で、いま聞いたならば、多摩川の場合のトヨタ教育センターは毎年更新しておる。一年間で更新しているのですから、いわゆる返還を求めるのに対して、いわゆる工事をやるのに対して、この地域の返還を求めることに対する手続日本道路公団はおやりになったのですか。
  208. 小野裕

    小野参考人 お尋ねの点につきましては、道路公団といたしましては、特に早く明け渡してもらうようにというようなことは建設省にお願いはいたしておりません。ただ、私のほうで使わしてほしいということでお願いしたわけでございます。
  209. 浅井美幸

    ○浅井委員 日本道路公団はずいぶん怠慢ですね。いまの河川局長答弁でも、いわゆるこの契約更新にあたって、返還を求める場合にはその契約にうたえばその返還を求めることができる。純粋な公共事業をやるのに、これの返還を求めることができることをやらなかった。そうして、お上のお金を使うのにあたって、そういう千二百七十六万円もむざむざとこの株式会社トヨタ教育センターにお払いになったわけです。これはあなた方、怠慢のそしりを免れません。どうなんです。
  210. 小野裕

    小野参考人 一年ごとの期間、これは河川敷の占用について期限のあることは承知しておるのでありますが、ただ、これは従来の例からまいりまするならば、特別な支障のない限り更新されるというようなことになっておりまするので、私どもとしては、当時として、すぐその分について占用を解除するということの手続をするということまでは考えなかったわけでございます。
  211. 浅井美幸

    ○浅井委員 考えなかったというなら、あなた方は役人でおすわりになっておって、自分たちのいわゆる使命というものは果たしてないことになりますぞ。決算上問題です。日本道路公団というのは政府出資一〇〇%、政府の金が出ておる。あなた方が当事者としてその義務を怠ったというなら問題です。間違いございませんか。義務を怠ったのですか。
  212. 小野裕

    小野参考人 ただいまの点でございますが、その会社の許可されております占用の地域というものは広大な地域でございまして、そのうちのごく一部を東名高速が通ることになったわけでございます。たまたまそれに支障のありましたところについて、そこにあった、たとえば駐車場のような建物を移す、あるいは施設の一部を改造するというようなことが起こったわけでございまして、私どもとしては、そういうふうにたまたまひっかかった部分についてこれを移さざるを得ないという見地から話し合いをしたわけでございます。
  213. 浅井美幸

    ○浅井委員 答弁になっておらぬのですよ。千二百七十六万円は不当支出になりますよ。返還を求めれば返還させることができるものを、手続を怠ってあなた方は千二百七十六万円を払ったなら、あなた方は不当支出になります。問題です。一部であろうと全部であろうと、公共事業として使うことは、これがきまったならば返還を求めることができるとなっておるのが河川法じゃないですか。あなた方は、工事をするにあたって、河川法を調べなかったとか、あるいは知らなかったとか、そんなことでは済みません。どうなんですか。
  214. 小野裕

    小野参考人 いま話が途中で、私、説明不十分な点がございましたが、結果的にはこの部分については返還さしたことになるわけであります。ただ、そのひっかかりました部分に当たりました先方の権利あるいは財産というものについて、これを移させるということが起こりましたのは、道路建設のために起こったのでありまして、私どもは責任上この移転費を出してあげた、こういうことでございます。
  215. 浅井美幸

    ○浅井委員 河川局長、あなたはこのことについてどう思いますか。管理者でしょう。
  216. 坂野重信

    ○坂野説明員 管理者の占用に対するいろいろな条件なり、そういった必要に応じた場合の撤去の問題、この問題につきましては先ほど申し上げたとおりでございます。私ども指導方針としては、相手にできるだけ損失を与えないということを考えながら、そのかわり補償はしないが、できるだけ損失を与えないということで、できるだけ予告の期間を長く置いて、相手方ができるだけそういった占用の解除をする準備期間を考え、損失を最小限度にしようというのが私どもの方針でございます。そこで、おそらく道路公団のほうでも、長い期間があれば、そういうことについて管理者等とも十分協議する時間があったのではないかと思います。  ただ、河川法七十六条に「監督処分に伴う損失の補償等」という条項がございますが、その第一項に、河川の工事のため、あるいは公益上やむを得ない必要がある場合には、通常生ずべき損失を補償しなければならないという条項がございます。それからまた、相手方にそういった補償金額を支払わせることができるというような条項もございますので、私どもの立場からいうと、その辺がなかなかむずかしい問題でございますけれども、そういうような条項もございますので、そういう立場からいうと、別に道路公団のおやりになったことが河川法の違反であるというようなことはないわけでございます。ただ、私どもの方針として、先ほど申し上げるように、できるだけそういった事前予告という期間を与えて、その設置した施設が償却したかどうかというようなことも総合的に考えて、その上で河川敷の開放というものを考えて、その上に立って補償をしないという立場をとっているわけであります。
  217. 浅井美幸

    ○浅井委員 衆議院の決算委員会で決議されたのがありますが、「河川管理者は、国又は政府関係機関等から事業計画の連絡を受けた場合には、直ちに関係占用者に対し予告する等の措置を講じ、なお公共目的に使用する際には、河川管理者が直接に取消等の処分を行ない補償なく転用できるよう努めるべきである。」こうありますね。この場合、あなたがやらなかった。そうすると、あなたのほうでは予告をしなかった。日本道路公団のほうは連絡もしないし予告もしなかった、そういうことですね。道路公団、どうですか。
  218. 小野裕

    小野参考人 少しこまかい話になりますが、道路建設の場合に、いろいろ設計ができまして、主務官庁である建設省はもちろんでありますが、また、地元その他関係町村あるいは権利者等と設計協議をいたしまして、そのときに、こういう計画でこういうところにこうなるのだということで御相談をするわけでございますが、そういう際に建設省のほうにはお話をしておるわけでございます。また、地元関係者に対してもそういう説明をいたしておるわけでございます。私どもといたしましては、その敷地を買い取るとかあるいは敷地の使用権を消すとかいうことではなくて、敷地そのものの価値とか価格とか補償とかいうものは全然別でございまして、たまたま事業を継続しておるその会社に不測の損失を与えるということがございますので、それについての補償をいたした、これは一般の公共補償の場合にも当然のことではないかと私どもは考えております。
  219. 浅井美幸

    ○浅井委員 だから安いんですよ。だから占用料はこんなべらぼうに安いんじゃないですか。先ほど河川局長も洪水等があるからと言った。無条件で撤去してもらうという条件があるから、社会情勢から考えてみてべらぼうなこんな安い値段であるんじゃないですか。だからこれは問題になっている。かつて「河川敷地は国有財産であり且つ公共の用に供すべき行政財産であるにかかわらず、従来の河川敷地の管理状況は、最近の社会経済情勢にてらし、極めて遺憾な実情にある。即ち、多摩川、荒川、江戸川等の河川敷地は、多数のゴルフ場、自動車練習場等の尨大な資本投下を伴う営利企業に使用され、占用期間及び取消処分に伴う補償の有無等の許可条件も不明確のまま、極めて低額の占用料で使用されて来た。」こういう決議文になっているじゃないですか。普通一般の高い借地料を払って営業をやっている利権だとかあるいは借地権だとかいうものとこれは違うのですよ。特殊地域じゃないですか。だから安いんですよ。いまあなたお答えになった、公団の方でありますけれども、べらぼうな、坪が十円だとか五十円で年間貸してくれる土地がどこかにありますか、東京都のそばに。ないじゃないですか。だから問題になって、それは改めようということになったのです。ところが、四十年から四十四年になって、いま四年間たちましたけれども、少しも実情は改善されていないじゃないかと私は指摘しているのです。日本道路公団については、このときに問題になったのは玉川ゴルフコースのいわゆる補償額です。四千何百万やはり補償しておるんだ。きょう取り上げたのは荒川です。これらの事実に対して、むだに血税が使われておるということで指摘をされて、それでは改めましょうということで決議案ができて建設省もその姿勢になった。ところが四年たった今日、何にも変わっていない。だから問題だと私はここで取り上げているんじゃないですか。のらりくらりのらりくらりとあなた方はおっしゃっているけれども、事実はそのような奇々怪々なものがそのままこれだけ国会のこの委員会で指摘されて、大きな問題になって新聞にも取り上げられた問題がいまだに改善されていないという事実なんです。都民は広場を求めています。いこいの場を求めています。それを求めてないかのような、公園の計画だとか総合計画だとか、河川管理者のいわゆる範囲ではないとか、そういうずうずうしい考え方でおるから改善ができないのですよ。これは一部の利権屋です。安い金額で借りた土地で多くの収入があるような一部の特定業者であり、そしてその利権屋ですよ。国有財産に巣くう利権屋ですよ。それをあなた方はおおように見守っておる。いわゆる国民に対して還元をしようとしない。都民に開放しようとしない。その中途はんぱな姿勢がこのような結果になって四年間も放置されてきておる。これを私はいま言っているのです。道路公団もその施設に対してはもっともっと反省をしてもらわなければならぬ。いわゆる不当な使用と同じです。ですから私はそのことを取り上げているのです。これは厳重に私は指摘をしておきます。公明党としては河川の総点検を行なって、もっとあなた方がやってきたいろんなことについての実情を私は詳細に調査して、この次の決算委員会で臨時国会のときに取り上げます。あまり詳しくここで時間がありませんから言いません。  次の問題に移ります。  総理府にお伺いしたいのですけれども、ことしも公務員の給与改定について人事院の勧告がございましたけれども、これについて、総理府としての考え方は現在どうなっていましょうか。
  220. 栗山廉平

    ○栗山説明員 ことしの人事院勧告は、御承知のように八月の半ば、十五日に出たわけでございます。それから先週の七日の日まで給与閣僚会議が五回にわたって開かれております。なお明日の十一日にまた開くということでいま進んでおるわけでございますが、事務当局といたしましては、人事院から出されました勧告につきまして詳しい事務的な面でいろいろ研究いたしまして、これは今度のおそらく開かれます臨時国会に法案が出ることに相なろうかと、例年の例で思われますので、それの詳しい事務的な検討並びに案をつくりまして法制局の審理というような面を進めておる一方、また、今度財政面がございまするから、これは主として大蔵省でございましょうが、財政面からどういうふうになるか、これは大蔵省のほうから連絡を受けておりますけれども、そういうようなことによりまして、うちの総理府総務長官は先生御承知のように給与担当でございまするから、どうしてもこれは完全実施していただくようにわれわれからも総務長官に強く進言申し上げ、総務長官もそのたてまえでいろいろ御努力願っておるということでございます。
  221. 浅井美幸

    ○浅井委員 では大蔵省に先にお願いしたいのですが、公務員給与の改定について人事院では毎年完全実施を言っておりますけれども大蔵省はことしはどう考えているのですか。まず次官から。
  222. 上村千一郎

    ○上村説明員 先生も御承知と思いますが、この給与関係につきまして給与の主要閣僚の会議がございまして、年々といいますか、漸次ふえまして、いまいわゆる七人委員会ということになっております。そこにおきまして、いわば財源ももちろん考慮しながら、なお、あるいは総合的な政策あるいは物価、いろいろな諸般の点を考えまして高度の政治性をもって判断する、こういうふうなことになっておりまして、この十一月七日に第五回の閣僚会議をやりまして、明日あるということになっております。  人事院制度に基づきますれば、これは完全実施をしていくという方針ということ、これは国会の委員会におきましてもいろいろと御決議もありますし、そういう考え方でございますが、いまのようないろいろな諸般の事情を考慮しまして、どういうふうに対処するかということは、その年度年度によりまして大きく判断をいたしておるわけでございます。でございますので、大蔵当局としましては、もちろんそういう内閣全体の方針でございまするので、人事院制度の趣旨からいいまして、完全実施の方向へ前向きに検討するという態度に間違いございませんけれども、財政の実情につきましては、これは現実にいろいろございます。それを財政当局としては考えておる、こういう実情でございます。
  223. 浅井美幸

    ○浅井委員 完全実施をした場合にはどれくらいになるか、それから六月実施の場合、七月実施の場合どれくらいになりますか。
  224. 谷口昇

    ○谷口説明員 数字的な話を申し上げますと、人事院は五月に勧告をいたしておりますので、五月の完全実施という意味で先生の御質問がありましたので、五月実施の場合には千二百三十九億という金が所要財源として必要かと思います。ただし、先生十分御承知のとおりに、年度当初に五%、七月ということで予算を組んでおります。人件費の中にすでにその金額を計上しておりまして、それが四百四十三億ございます。したがいまして、その金額を差し引きますと七百九十六億というのが五月実施の場合の一般会計の負担でございます。同じ数字を六月で申し上げますと。これは千百五十八億が所要財源でございます。先ほどと同様四百四十三億を引きますと七百十五億ということに相なっております。七月実施という数字を申し上げますと、九百八十七億という所要財源でございます。四百四十三億を差し引きますと五百四十四億になる。かように考えております。
  225. 浅井美幸

    ○浅井委員 当初予算に四百四十三億いま組み込んでいるという話ですけれども、これでは昨年同様七月からの計画で五%の引き上げしか考えていない、このように私は思うのですがね。ことしの人事院のベースアップは物価の高騰によって一〇・二%アップというので食い違いがありますが、これを見ますると、当初から政府の考え方は人事院勧告を全然無視している、そういうふうに私は思いますけれども政府はこの人事院勧告を、尊重する、尊重すると再三言われておりますけれども、この予算の組み込み方を見ますと、いわゆる七月実施で五%アップ分しか組んでない。これは次官、どうでしょうか。
  226. 上村千一郎

    ○上村説明員 実は本年度の人事院勧告につきましては、こんなに高い率でくるとは考えなかったわけでございまして、そこにいろいろな見通しというものにつきまして違った点が出たということにつきましては御指摘のような点でございまするが、その間、予備費などその他で調整していこう、そして総合予算主義を堅持しながらいこうというような考え方で組んだわけでございます。結果としましては、いま先生御指摘のような金額、財源、そういうような問題につきまして相当違った結果が出てきた次第でございます。
  227. 浅井美幸

    ○浅井委員 この場合の財源ですが、いま総合予算主義のたてまえを堅持するとおっしゃいましたけれども、予備費の流用はここまで要りますか。組みかえ補正をしなければならないんだと思いますけれども、どうでしょうか。
  228. 谷口昇

    ○谷口説明員 お答えいたします前に、先生から先ほど五%、七月に組んだことは人事院の勧告を尊重することにならないではないかという御質問がありましたので、政務次官から御答弁がありましたけれども、事務的に補足させていただきたいと思います。  まず五%、七月の件でございますが、御承知のとおり、国家公務員法の二十八条には、「人事院は、毎年、少くとも一回、俸給表が適当であるかどうかについて国会及び内閣に同時に報告しなければならない。給与を決定する諸条件の変化より、俸給表に定める給与を百分の五以上増減する必要が生じたと認められるときは、人事院は、その報告にあわせて、国会及び内閣に適当な勧告をしなければならない。」という規定がございます。  そこで私どもは、人事院勧告のいままでの経緯を見ておりますと、四十四年度につきましても人事院勧告はあるであろう、そのパーセントが幾らになるかわかりませんが、とにかくあるであろうというふうに考えまして、先ほどお読みいたしました条文の「百分の五」というところを考えまして、百分の五以上になると勧告があるわけですから、百分の五を計上することによってこの給与改定について前向きに検討していこう、そのように実は四十四年度予算から考えさせていただいた次第でございます。  なお、七月の点につきましては、御承知のとおりに、去年七月ということで国会で御審議をいただきまして実施をいたしておりますが、その七月ということを尊重いたしまして、五%、七月ということで当初予算に組ませていただいた次第でございます。先生十分御承知と思いますが、事務的にふえんをさせていただきます。  次に、しからば人事院の勧告が実際に一〇・二%と出たのではないか、したがって、かりに七月実施としても差し引き五%の差がございますが、そこで財源をどうするか、こういう御質問かと理解をいたしましてお答えを申し上げますと、先生十分御案内のように、われわれのほうでは、こういう勧告が出まして、当初大蔵大臣はさっそくの記者会見で失心したということばを使いましたけれども、われわれ事務当局といたしましても、相当に大きな勧告の数字だ、従来は大体八尾だったのですが、一〇・二%という非常に大きな数字が出ましたので、それに関連をいたしまして、御案内のとおりに、九月十二日に閣議決定をもちまして各省庁の御協力をお願いいたしまして、節約ということを考えております。  なお、予備費の問題につきましては、当初四百四十三億という先ほど申しました数字で人件費に組み込んでございますけれども、そのほかに、やはり給与改善の経費あるいは災害復旧の経費という、いわば予見しがたいものと考えられる支出に備えて、御案内のとおりに九百億円の予備費を計上してございます。  そこで、その九百億円の予備費の支出の問題になるわけですけれども、その九百億円の中で、きょう現在ですでに百八十三億が災害復旧その他のために支出してございます。したがいまして、残りは約七百十七億ということに相なろうかと思いますが、その中から、先ほど七月実施の場合におきまして五百四十四億という所要財源が一般会計で要るということを申しましたが、その五百四十四億を差し引きます。さらに、御案内のとおりに、稲作転換奨励費というものの支出二百二十五億というものがすでに予定をされております。これは見込まれているということで、まだ現実には支出をしておりませんが、そういうことがすでに予定をされております。そういうものと、今後に災害発生が予想される、そういうものも含めまして、その予備費の総支出と、先ほど申しました予備費の財源から差し引きましたものと、先ほどの給与改善費との綱の引っぱり合いという形になりますか、そういうふうに考えております。なお、先ほど申しました節約による分、これを考えますこと等、まだ数字的には固まっていないのでございます。不用額というものが当然毎年幾らかございますが、そういうものを考えまして、かりに七月実施をした場合における五百四十四億の所要財源を捻出することを考えております。
  229. 浅井美幸

    ○浅井委員 そうすると、七月実施の場合は五百四十四億で何とか捻出できる、完全実施の場合は七百九十六億、六月実施の場合は七百十五億という金額ですね。いまあなたの答弁では、何とか組みかえだけでできて、いわゆる補正予算という別ワクを組まなくてもいいという考え方ですね。総合予算主義の中でできる、そういう答弁ですね。
  230. 谷口昇

    ○谷口説明員 ちょっと口があるいはすべったのではないかと思いますが、事務当局といたしましては、先ほどの数字から申しまして、七月実施でも非常に困難ではありますが、しかし、七月実施の場合には先ほどのような数字になりますという趣旨でございます。  それからなお補正予算の件でございますけれども、御承知のとおりに補正予算には二通りございますが、財政法二十九条にいう補正予算の中で追加以外の補正、いわば組みかえ予算でございますが、もし先ほど申しましたような節約をいたしたような場合には、当然この組みかえ補正ということは必要になるかと思います。
  231. 浅井美幸

    ○浅井委員 だから、六月実施の場合あるいは完全実施の場合は、これはいわゆる増額補正を行なわなければなりませんね。それを聞いているわけです。
  232. 谷口昇

    ○谷口説明員 先ほど来御答弁いたしておりますように、七月でも非常に困難でございますので、五月ということになりますと、当然そういうことになろうかと思います。
  233. 浅井美幸

    ○浅井委員 私たちはいわゆる完全実施を非常に強く要求しておりますから、あまり総合予算主義にとらわれないで、いわゆる補正予算を組まなければならない、増額補正を組まなければならないならば、いさぎよく増額補正の立場をとっても人事院の公務員給与の勧告どおりに完全実施の方向に進めてもらいたい。いわゆる政府首脳筋の考え方でも、六月実施ということがいま強く新聞等にも出てきております。大蔵省は少し渋っておるという話でありますけれども、この点について、きょうの質問としては、私は完全実施をどこまでも要求する立場でありますので、この点の御配慮を、政務次官もおいでになっているのでお願いしておきたい、こういうふうに思います。
  234. 上村千一郎

    ○上村説明員 実はいま事務当局のほうから計数上のことを率直にお答えを申し上げておるわけでございます。しかし、人事院勧告をどういうふうに実施するかということにつきましては、国会の御意思はよくわかっておりますし、人事院制度自身の趣旨もよくわかっておりますので、前向きに検討いたしていきたい、こういうふうに考えております。
  235. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 本日はこれにて散会いたします。     午後三時五十三分散会      ――――◇―――――