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1969-07-31 第61回国会 衆議院 決算委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年七月三十一日(木曜日)     午前十一時九分開議  出席委員    委員長 中川 俊思君    理事 鍛冶 良作君 理事 丹羽 久章君    理事 田中 武夫君 理事 華山 親義君    理事 吉田 賢一君       木部 佳昭君    菅波  茂君       田澤 吉郎君    竹内 黎一君       広川シズエ君    赤路 友藏君       石野 久男君    浅井 美幸君  出席政府委員         大蔵省主計局次         長       海堀 洋平君         運輸政務次官  村山 達雄君         運輸大臣官房会         計課長     中村 四郎君         運輸省船員局長 高橋 康一君         運輸省鉄道監督         局長      町田  直君         海上保安庁長官 河毛 一郎君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    大野 哲雄君         大蔵省主税局税         制第一課長   安井  誠君         会計検査院事務         総局第三局長  増山 辰夫君         会計検査院事務         総局第五局長  小熊 孝次君         日本国有鉄道総         裁       磯崎  叡君         日本国有鉄道常         務理事     井上 邦之君         日本国有鉄道常         務理事     長瀬 恒雄君         専  門  員 池田 孝道君     ————————————— 七月三十一日  委員石田博英君、篠田弘作君、早川崇君及び水  田三喜男辞任につき、その補欠として竹内黎  一君、木部佳昭君、広川シズエ君及び田澤吉郎  君が議長指名委員に選任された。 同日  委員木部佳昭君、田澤吉郎君、竹内黎一君及び  広川シズエ辞任につき、その補欠として篠田  弘作君、水田三喜男君、石田博英君及び早川崇  君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  閉会審査に関する件  昭和四十二年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十二年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十二年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十二年度政府関係機関決算書  昭和四十二年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十二年度国有財産無償貸付状況総計算書  (運輸省所管日本国有鉄道)      ————◇—————
  2. 中川俊思

    中川委員長 これより会議を開きます。  この際、ただいま理事会において御協議願いました閉会審査申し出に関する件についておはかりいたします。  すなわち、決算の適正を期するため、  一、 昭和四十二年度一般会計歳入歳出決算     昭和四十二年度特別会計歳入歳出決算     昭和四十二年度国税収納金整理資金受払計     算書     昭和四十二年度政府関係機関決算書  二、昭和四十二年度国有財産増減及び現在額総    計算書  三、昭和四十二年度国有財産無償貸付状況総計    算書  四、歳入歳出の実況に関する件  五、国有財産増減及び現況に関する件  六、政府関係機関経理に関する件  七、国が資本金を出資している法人会計に関    する件  八、国または公社が直接または間接に補助金、    奨励金助成金等を交付しまたは貸付金、    損失補償等財政援助を与えているものの    会計に関する件  以上八件について、閉会審査申し出をしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中川俊思

    中川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、委員派遣承認申請に関する件についておかりいたします。  閉会審査案件が本委員会に付託になり、調査のため現地に委員を派遣する必要が生じました際には、議長に対し委員派遣承認申請を行なうこととし、その手続につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中川俊思

    中川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  5. 中川俊思

    中川委員長 昭和四十二年度決算外二件を一括して議題といたします。  運輸省所管及び日本国有鉄道について審査を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。華山親義君。
  6. 華山親義

    華山委員 この前、運輸省所管につきまして、運輸省関係特殊法人役員給与が、四十三年には四十二年に比べて上げてあるが、なぜ四十三年に上げたのかということについてお尋ねをしたのでございますけれども、その際、政務次官は、この問題は運輸省のみならず各省全般にわたることであってというお話もございましたので、それであるならばこれを総括をしている大蔵省にお聞きしょうということであったわけであります。それでこの問題についてお聞きするのでございますけれども決算委員会理事といたしましては、理事会ということではございませんでしたけれども、とにかくこの問題について何らかの規制をいたしませんと、国民の世論にも反しますし、また将来の官僚、長い間役人をつとめられた人のその後における活動の面にも悪い影響を及ぼすのではないかということから、われわれはこの問題に取り組んでまいりました。しかし、まことに残念でございますけれども、いま各党の間で、まとまった意見となっておりません。しかしわれわれは、それだからといってこの問題を放てきするものではございません。今後も研究を続けてまいりたいと思いますので、 これに関連いたしまして一つ伺っておきたいと思うのでございますが、運輸省のみならず一般特殊法人が四十三年度から役員報酬を上げた、これはどういう理由によって上げたのか、大蔵省のほうからお聞きいたしたいと思います。
  7. 海堀洋平

    海堀政府委員 先生の御質問の点でございますが、四十三年の四月に上げたわけでございます。その四十三年の四月に上げましたのは、四十二年に公務員全体のベースアップがございました。これは四十二年でございますから、たぶん八月実施をきめた年だと思います。八月実施公務員給与全体を上げたのでございます。その際に、特別職につきましては数年間据え置かれておりましたので、相当高率の改定を行ないました。  従来、政府関係機関役員給与につきましては、その上げ幅につきましては、特別職や、それから一般職につきまして指定職ができまして以来は、特別職と一般織のうちの指定職上げ率というものを参考にして、その翌年の四月から上げるということを大体慣例といたしてきておりますので、四十二年の八月から四十三年四月におきます国家公務員特別職一般職のうちの指定職アップ率平均率をとりまして、これが一六%でございます。その一六%をもちまして、政府関係機関役員給与を二八%でかけ合わして出てくる数字、それを五千円単位にまるめまして、したがって多少二八%を上回るものもあれば、多少下回るものもあるというふうな形で改定をいたしたわけでございます。
  8. 華山親義

    華山委員 それで、いろいろな話を聞きますが、この委員会といたしまして正式にお聞きしたことがございませんので、ひとつお聞きしておきたいと思うのでございますけれども、いまのお話によりますと、この特殊法人給料というものは、国家国務員給与とやはり不可分の関係で考慮されているようであります。そういうふうなことでございますが、いろいろな表をこのいただいた調べによりまして分類をいたしますと、一々公社等の名前を申しませんが、日本専売公社国有鉄道日本電信電話公社日本輸出入銀行等、三十四の特殊法人につきましては、国務大臣給料四十万円をこえておる。最も高いのが大体四十七万円、国務大臣は四十万円、そういうのが三十四の法人にあります。これらの公社総裁あるいは理事長のことを言っておるのでございますが、そういう者はやはり国務大臣よりも上なんだというようなものの考えがあるのでございますか。
  9. 海堀洋平

    海堀政府委員 現在特別職俸給は、先生指摘のとおり、総理大臣が五十五万円、国務大臣が四十万円等でございます。これに対しまして、私のほうでいわゆるAランクと称しております三公社、それから輸出入銀行開発銀行、これをAランクとして処理をいたしておりますが、この総裁給料は四十七万円でございます。それからBランクと称しております、いわゆる公庫、それから規模の大きい公団等総裁給料は四十一万円でございます。したがいまして、先生指摘のとおり、これらの法人総裁給料国務大臣の四十万円を上回っているということは事実でございます。  上にしているのはなぜかという御質疑かと存じますが、実は初めにこの特殊法人が発足いたしました当時におきましては、考え方といたしまして、民間的な弾力性というか、そういうものを考慮したことから発足しているかと存じますが、総裁等給料は非常に高かったわけでございます。   〔委員長退席鍛冶委員長代理着席〕 それは常識的に見てもいかにも高過ぎるではないかというふうな考え方から、改定の際に除々は特別職公務員等との均衡をはかるように、その格差と申しますか、それは除々に縮めるようには努力してまいったわけでございまして、高くなければ絶対にいけないというふうな考え方に基づいているのではありませんで、発足の当初におきましても、たとえば昭和三十三年におきましては内閣総理大臣給料が十五万円の際に、輸開銀総裁給料は二十五万円だったわけであります。それを改定のつどできるだけ合理的に持っていきたいということで、現行に至っておるわけでございまして、いま申し上げましたAランク並びにBランク総裁給料国務大臣より高くなければならないという考え方で事を処理しておるわけではございませんが、給料のことでございますので、徐々に妥当なところに近づけていくというふうな考えに基づいて処理を今日までしてまいっておる次第でございます。
  10. 華山親義

    華山委員 いま政治を担当しておられる大臣もお見えになっておりませんから、事実だけを伺っておきますが、そういうふうな趣旨でございますけれども、とにかくいま申し上げましたのが三十四法人があるわけですけれども、民間の人は十社でございましたか、二十四社は官僚出身なんです。そういうふうな実態であることをひとつ申し上げておきたい。したがって、初めに民間から人を採ろうという趣旨で高かったということは、もう没却されている。原則がもはや官僚出身者の方々であって、そういう人々が大臣よりも高い仕事をしておられる、そういうふうには私には考えられません。これにつきまして御回答でもあればけっこうでございますけれども、先ほど申しましたとおり、事務官の方にお尋ねいたしておりますので、しいてお考えを求めるつもりはございません。何かお考えございましょうか。
  11. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 ありませんか。
  12. 華山親義

    華山委員 その次には日本放送協会を初めといたしまして五十四の特殊法人、これは事務次官の現在の給料二十五万五千円をこえております。それは非常に幅があるのでございまして、日本放送協会の四十万円、東北開発株式会社の三十七万円、それから三十万円台が続きまして、三十六、三十五、三十四、三十三、三十二、こういうふうに並んでおりますが、私はちょっと妙に感じますので、いままでそういうことがお考えになってあったかどうかということについて伺いたいのでございますけれども、日本放送協会は先ほど言った国務大臣以上のグループに入っておらない。国務大臣より一万円安いわけですね。それから最も高い公社関係より七万円安い。またAグループに属するものの中にはいろいろなものがありますけれども、どういうわけでNHK——私は高いとか安いとか言っているのじゃない。NHKというものはあれだけの重要な仕事をし、法律上の拘束を受け、日本の文化に対して非常な貢献をしておるものと私は一応思う。その組織も全国的に非常に大きなものであって、職員も多いわけです。この日本放送協会国務大臣以上のいわばAグループに入らないで次官級といいますか、次官級よりも高いわけでありますけれども、そこに入っているというのは、何か均衡がとれないような気がするのです。  それで私は勘ぐるのですよ。日本放送協会役員は中から優秀な人が抜てきされてつくわけです。官界出身の人は、あそこはわりに少ない。ですから官界出身の人が少ない、部内で抜てきされるようなところの者は安くてもいいんだ、こういう考え方に出ているのでないかとさえ私は思う。私は具体的に安いとか高いとか言うわけじゃありませんけれども、たとえば日本電信電話公社とかあるいは国民金融公庫であるとかその他いろいろなところがありますが、日本放送協会があれだけの組織なりなにを持ちながら、これより落としてあるのはどういうわけか。私は政策のことを聞いているのじゃありませんから、沿革等について伺いたい。
  13. 海堀洋平

    海堀政府委員 先生御存じかと存じますが、大蔵大臣がこういった特殊法人役員給与について関与いたしておりますのは、予算の調整を通じまして、いわゆる政府関係機関予算という形で国会に提出いたします十四の法人、それから法律規定に基づきまして、役員給与については主務大臣承認を受けなければいけないという規定がございまして、その際にその主務大臣大蔵大臣協議しなければならないとされている法人が五十四ございます。したがって大蔵省が関与いたしておりますのは、その十四と五十四を足しました六十八の法人につきまして、予算もしくは法律規定に基づきまして関与いたしているわけでございます。日本放送協会につきましては、法律がございまして、この予算につきましては国会議決を要することになっているかと存じますが、これは郵政大臣所管でございまして、大蔵大臣は直接関与いたしておりません。したがいまして、その給与につきましても大蔵省協議も受けず、また意見を述べる立場にもないわけでございます。
  14. 華山親義

    華山委員 わかりましたけれども、国会議決を要するところのものは安い、大蔵省承認しあるいは認可するといいますか、そういうふうなものは高い、こういうことになりますね。おかしいと私は思いますよ。日本放送協会会長は四十万円程度でいいんだと自分も考え国会もこれを承認している、そういうものに私はならうべきだと思う。大蔵省承認は高くしていいし、国会に出すものは安くするんだ、こういうふうなものが底流にありとするならば私は間違いだと思う。それだからこそわれわれは国会としてこの問題にタッチしなければいけない、こういうことにもなるわけである。  そこで伺いますが、その次に東北開発株式会社の三十七万円。これにつきましても、あの会社自体につきましては相当同情すべき点もあり、東北開発株式会社を非常にルーズな悪い会社のようにいわれることについては、私も反感を持ちますけれども、とにかく東北開発株式会社会計経理上も赤字を持っているわけですし、整理せいといわれるわけです。民間会社だったらどうですか。私も中小企業の経験がありますけれども、民間会社だったならば、赤字になりそうだ、赤字になったというふうな段階では、社長というものはすべての給料を辞退するのが本来なんです。ところが実際にはどうなっておりますか存じませんけれども、東北開発株式会社は三十七万円、これは法律なのか承認なのかわかりませんが、そうなっているわけです。ふしぎにお思いになりませんか。特殊法人なるがゆえに、会社が損をしても高い俸給給料というものをもらわなければいけないのか、支給しなければいけないのか、その点について伺っておきたい。
  15. 海堀洋平

    海堀政府委員 東北開発株式会社は特別の法律に基づく会社でございますが、その政府規制の大要は、収支予算等につきまして、主務大臣認可を要することとなっております。この主務大臣企画庁長官になっているはずでございます。私のほうは、直接的には大蔵省協議を受けない形でございますが、事実上相当の出資をいたしておりますので、そういう際に何らかの形での事実上の相談とかいうようなことはあることがございます。しかし、法律的にいえば、収支予算等についての認可をする際に、その一環として役員給与主務大臣がチェックをしているという形でございまして、直接的には大蔵省としては関与しないという形になってございます。
  16. 華山親義

    華山委員 そういう点につきまして、私は非常にふしぎに思いますよ。一般民間会社であれば給与等は受けるべきじゃない。あるいはいまの総裁は、内部的には辞退しているのかもしれませんけれども、それは知りません。——そういうふうな関係で、特殊法人というものは、会社等に関しましては、世の中の会社と違うようなものの考え方をしている。こういう特殊法人の悪い性格といいますか、そういうところからやはり直していかなければいけないのじゃないか、こんなふうに思います。  日本放送協会の四十万円、それから東北開発株式会社の三十七万円、三十六万円が十七、八社あるようでございます。東北開発株式会社よりも一万円下げて、こういうのがたくさん並んでいる。これらのものがどうして一律にあるのか。そうして今度は一万円下げて、公庫というようなものが出てくる。そう言っちゃ失礼ですけれども、私、公庫公団理事長事務次官よりも重要な仕事をしているとは考えられない。その次に今度は三十四万円というのが、出てきますね。三十四万円のグループ五つありますね。その次に今度は三十三万円というのがある。一万円刻みにこう出てくるわけですけれども、一番最後には二十六万円、まあこれは事務次官よりも高いということでつくっただけのことでございます。どういうふうな基準で、どうしてこういう小刻みなことができるのですか、われわれは外部から見てわからないのです。
  17. 海堀洋平

    海堀政府委員 初めに政府関係機関ができましたのは、国民金融公庫日本輸出入銀行等金融関係機関ができたわけでございます。その際に、あれは日銀とか民間金融機関等役員との均衡をとりましてその役員給与をきめた。その後、先ほど申し上げましたように、やはり特別職との関係で少し高過ぎるのじゃないかということで、徐々に給与改定の際にそういう点を勘案して給与をきめてまいったわけでございます。その後にいろいろな公庫とかあるいは公団事業団が発足してきたわけでございます。その際に、どこにそれを位置づけるかということにつきまして一応の幾つかの判断基準、たとえば事業量、あるいは職員数あるいはその事業の大きさとかいうふうなことを勘案して幾つかのランク法人を分類いたしまして、そしてそれぞれの総裁あるいは理事長あるいは副理事長あるいは理事という人たち給料をきめているわけでございまして、大きくいって五つくらい、少しこまかく分けますと六つくらいのランクへの位置づけというものは、これを所管いたします各省大臣と話し合いまして、たとえばこの事業団はこの程度のクラスに位置づけすることが妥当であろうというふうに、相互に相談いたしまして位置づけをいたしているわけでございます。したがいまして、少しずつ違うというのは、確かに違っておるわけでございます。大きく分けて五つ、多少こまかな点を入れますと六つランクに分けて処理をいたしておりますので、同じ理事でございましても、それぞれの法人によって違うということに相なってございます。  それから、これは私のほうの調査では、あるいは先生のほうが正しいのかと存じますが、私のほうの調査によりますと、日本放送協会会長報酬は五十万円になっております。その点は副会長が三十九万円、技師長が三十七万円ということに相なっておりますので、あるいは私のほうの調査の間違いかと存じますが、四十万円というのは、あるいは少し古いのではないかというふうに考えております。
  18. 華山親義

    華山委員 間違えておったらたいへん失礼いたしました。各省からいただいた調べによって、私、出したつもりでございますけれども、あるいは見誤っておったのかもしれません。間違えておるとすれば、たいへん私の言い方が悪かったのですが、政府から出された調書の引き方が悪かったかもしれません。——NHKについてはことしの予算から会長が五十万円になったそうでございます。私の申し上げたのは四十四年一月の政府から出た資料に基づいたものでございます。  それからもう一つ伺いたいのでございますけれども、先ほど六つばかりのランクと申されましたけれども、そのランクにつきまして、いまここで時間がかかるのでしたらやむを得ませんが、どういうランクにどういう特殊法人が入っているのか、ひとつその表を見せていただきたいと思います。話は聞いておりますけれども、私見たことございませんので、お願いしたいと思います。
  19. 海堀洋平

    海堀政府委員 大きく分けまして五つ、少しこまかい点を入れまして六つランクに分けておるわけでございますが、これはあくまで私のほうが関与しております六十八の特殊法人についてでございます。  本年四月現在で、まずAランクは国鉄、電電、専売の三公社、それから開銀、輸銀、それから暫定的に海外経済協力基金。  Bランク、これはいわゆる公庫でございます。国民金融公庫、住宅金融公庫農林漁業金融公庫中小企業金融公庫北海道東北開発公庫公営企業金融公庫中小企業信用保険公庫医療金融公庫、環境衛生金融公庫でございます。それから規模の大きな公団でございます。これは住宅公団、道路公団、首都高速道路公団阪神高速道路公団、水資源開発公団鉄道建設公団、新東京国際空港公団石油開発公団等でございます。それと日本貿易振興会、動力炉核燃料開発事業団というふうなものが入っております。  それからCランクは大きな事業団でございます。これは石炭鉱業合理化事業団、新技術開発事業団雇用促進事業団日本原子力船開発事業団産炭地振興事業団海外技術協力事業団海外移住事業団、労働福祉事業団中小企業振興事業団等でございます。それに国際観光振興会アジア経済研究所といったところでございます。それから京浜外貿埠頭公団阪神外貿埠頭公団等でございます。  それから。ランクとして小さな公団でございまして、農地開発機械公団森林開発公団船舶整備公団。  それからDランクといたしまして小規模事業団畜産振興事業団中小企業退職金共済事業団年金福祉事業団簡易保険郵便年金福祉事業団金属鉱物探鉱促進事業団糖価安定事業団、八郎潟新農村建設事業団公害防止事業団小規模企業共済事業団石炭鉱害事業団、それから国民生活研究所林業信用基金農業機械化研究所等でございます。  それからEランクといたしまして日本消防検定協会てん菜振興会建設業退職金共済組合社会保障研究所日本蚕糸事業団国立競技場教育会館国立劇場オリンピック記念青少年綜合センター清酒製造業退職金共済組合日本学術振興会社会福祉事業振興会等でございます。
  20. 華山親義

    華山委員 そのランクごとに、一番トップに立つ人の給料はどのくらいになっておりますか。
  21. 海堀洋平

    海堀政府委員 四十三年四月一日に改定いたしまして、まずAランク総裁が四十七万円、Bランク総裁が四十一万円、Cランク理事長でありまして三十六万円、Cの理事長が三十四万円、それからDランク理事長が三十二万五千円、Eランク理事長が二十六万五千円でございます。
  22. 華山親義

    華山委員 Dランクという一番小さい特殊法人トップの人の給料事務次官よりも高いということですね。私は少し常識的でないような気がしますよ。個々公団あるいは個々特殊法人のことは私言いません。これはその人にも関係することもございましょうし、われわれより月給が高いなんて私言いたくありませんから言いませんけれども、とにかくそういうDに属する人のトップ公務員トップといわれる次官よりも高いということは私はおかしいと思うのです。それから私よく考えるのでございますけれども、国家公務員として事務次官よりも高いのには東大、京大の学長がいられますね。二十八万円でしたかな。とにかく大学教授は二十八万円で押えられている。そういうふうなことを考えますと、私は印象としては総体的に高いと思わざるを得ません。民間会社等につきましては、自分でもうけているのですから、これは何とも私ども言うこともありませんけれども、とにかく財政の援助を受け、また財政投融資を受けている会社の人が東大学長よりも高い。私は世の中のものの考えとして均衡を失していると思う。これにつきましては、いま御意見事務官でいらっしゃいますから求めません。  それでよく退職金は六五%というふうなことをいわれますけれども、これはどこの特殊法人につきましてもそういう原則が成り立っているのか、ばらばらなのか伺っておきたい。
  23. 海堀洋平

    海堀政府委員 昭和三十三年の六月に、大部分の特殊法人につきまして、勤務月数につきまして、俸給月額の百分の六十五を退職金として支払うということにいたしたわけでございますが、現時点におきましても、二、三の例外はございます。しかし大体ほとんど大部分が百分の六十五ということに相なっております。
  24. 華山親義

    華山委員 これも私は世の中に通らないと思いますよ。自分の会社でもうけて、そして破産した場合には銀行に対して全責任を持つという民間会社じゃないわけです。  こういうことを言っておりますね、こういう公社公団等職員の組合等では。われわれは、大学を出て定年まで三十六年働いて、もらう退職金は五百六十万円、六百万に足りない。現在やめてですよ、今後給料も上がるからその分は別として。ところが、これらの役員の人々というものは、一年半あるいは二年で六百万円近い退職金がもらえる。あまりにもひどいじゃないか。こういうことを言いますね。私はもっともだと思います。  私はこの意味で、六五%というふうなことはむしろ非常識なんじゃないか、そういうふうな気がしてなりません。  この点も、事務官でいらっしゃる次長からは御意見はうかがわないでおきますけれども、私は、ほとんど全部のものが六五%の退職金ときめてあるということを聞きまして、非常に意外というか、がく然とした気持ちになりました。高いところがそのくらいもらっているのだろうくらいに私は思っていたのです。ところが、原則としてということについては、まことにどうもたいへん無軌道なような気がいたします。  そういうふうなこともございますし、この公団自体に働いているところの職員というものは、ほとんど役職員にはなれない。民間会社と違うのです。民間会社でも銀行でも、大体役職員になる人は、その銀行なり会社なりで育った人なんです。そういう人が長年つとめて、そしてその中の優秀な人が役員になって、そしてやめていく。そういうのとは違うのですね。官界からぴゆっと入って、そしてそれだけの、普通の人ならば三十何年間も働いて得られるところの退職金を、一年半や二年でもらえるというふうなことは、これはまことに不自然なことです。そういう点を、私はなおひとつ今後研究の課題にしたいと思います。  それからボーナスといいますか、賞与はどうなっているのですか。
  25. 海堀洋平

    海堀政府委員 予算措置をとっている法人、並びに先ほど申しました私のほうに協議を受けている法人につきましては、四・四カ月分の期末手当を支給しております。
  26. 華山親義

    華山委員 一般公務員と同じだということですね。
  27. 海堀洋平

    海堀政府委員 大部分の公務員と同じでございます。
  28. 華山親義

    華山委員 一般会社では、役員というものは賞与はもうかったときにはもらう、もうからないときにはもらわない、そういうのが原則ですよ。これはあたりまえのことです。特殊法人については、この中には会社というものもありますけれども、もうかろうがもうかるまいが、経理の内容がどうあろうとも、四・四カ月の賞与が出る。私はあなたのいままでのお話をいろいろ聞いて、これはほんとうに天国ですね。この中で鉄道の総裁であるとかあるいは電電公社総裁であるとか、そういうふうな人々は、事業をやっていくという面で非常に大きな会社人たちと同じようなものに考えられますけれども、そうでないものは、おおむね、ただきめられた範囲で、きめられた財源で仕事をしていけばそれでいいのでしょう。大会社の重役等と違って責任は持たないのです。それだからこそ、一般官吏並みにあなたのほうでもきちっとしたものを差し上げることになっている。それにしては、いろいろな面で非常に高い、常識でない、国民のものの考え方とは違った給与のあり方だと私は断ぜざるを得ません。このことにつきましても何か意見があったならば伺いたいのでございますが、どうですか、御意見ございますか。
  29. 海堀洋平

    海堀政府委員 その点につきましては先生と同意見でございます。実は政府関係機関というものはそれぞれ使命がございまして、利益を追求するという形ではございませんで、ある政府の政策を遂行していくという形をとっておりますので、必ずしもその利益に応じて役員の賞与を考えるというわけにはまいらないわけでございます。たとえば輸出入銀行というものは低利の融資をする。そのために非常に利益は少ない。開発銀行は産投から大きな出資金をもらっておりますので、年間百億をこえる利益をあげている。しかし、そこにやはりそれぞれの政策目的に従って事を処理しておりますので、役員の資与につきましては統一的な基準で取り扱うのはやむを得ないのじゃなかろうか。この点は、先生の御指摘のとおりでございます。
  30. 華山親義

    華山委員 私もことばが足りなかったので、利益によってやれということを言っているわけじゃありません。ただ、民間会社等においてはそういうものなんだぞということを申し上げた。こういうところに行かれた人は、これは役人天国ですね。いまの役人の方々は、私は安いと思う。そういう意味で申し上げたのでございます。きょうはいろいろ話を聞きますけれども、大蔵省の方においでを願って実際を知りたくて、そしてこれを議事録にとどめておきたいと思いまして御説明を願ったわけでありますから、大体私はこれで質問を終わります。
  31. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 関連して。大蔵省にちょっとお尋ねしますが、この問題は国民もいろいろ関心を持っているので、給与というよりも、退職金の百分の六十五というのは、入ると同時に積み立てられていくという問題ですね。これはすでに華山さんから聞かれて、重複していたらけっこうですが、そうでなかったらあなたのほうの立場上、はたしてこの退職金の百分の六十五というものを積み立てて差し上げるという金額的な問題は、大体普通だとお考えになっているか、もしくは十分考えなければならぬとお考えになっておるか、これはどうでしょう。
  32. 海堀洋平

    海堀政府委員 まず事実の関係を申し上げますと、初めに発足いたしました特殊法人といいますか、政府関係機関は、国民金融公庫でございます。その後輸出入銀行ができましたときに、この役員の退職金規定ができたわけでございます。これは百分の七十でございます。この百分の七十をきめましたのは、当時日銀だとかあるいは民間の金融機関役員の退職金の規定を参照にして百分の七十という率をきめましたのでございますが、その後三十三年の六月に百分の六十五に下げて現在に至っているわけでございます。支給率として、百分の六十五はどういうふうに考えておるかということにつきましては、私どもといたしましても確かに問題があろうということで、現在私のほうで民間会社役員の退職金の支給率等を調査、検討をいたしております。いずれにしましても、どういう方針で処理するかということは内閣の問題でございますので、私どもとしては事実の調査を鋭意進めている次第でございます。
  33. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 大蔵省はただ単にそれを払っているという事実に対する調査を進めておるだけであって、内閣がこれを決定することであるということですか、あまり私のほうには責任はありませんという御答弁ですか。
  34. 海堀洋平

    海堀政府委員 大蔵省が責任がないという意味ではございませんで、先ほど申し上げましたように、退職金の支給規定につきましても、予算でやるものは閣議決定をいたしまして、閣議決定は内閣で閣議決定をするわけでございます。それから大蔵大臣協議を受ける法人につきましても、原案をつくるのは主務大臣なものでございますから、そういう意味におきまして、大蔵省として調査をいたしまして、大蔵省だけできめられることではございませんので、内閣のほうでそれをどういうふうにされるかということをきめていただくことに相なろうかと存じます。
  35. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 一般の予算編成するときにいろいろ計上してあなたのほうへ出てくる、それを御検討になる、そうして決定せられる、そういう面から考えますと、その最高の責任者は大蔵大臣でありましょう。だから大蔵大臣主務大臣との話し合い、同時に内閣との話し合いで百分の六十五というものは認められてきた。だからそれは認めていくというのですが、結局公社公団事業団はあるところは一〇〇%、あるところは五〇%と、それぞれ国民の税金で出資しているのですから、それに対してあなたのほうの事務取り扱いとしての意見というものは、全然参考にも、あるいはそれに対する進言というものも、これに対して制限せられて、言うことができ得ない形になっているのですか、これをお取り扱いになるときに百分の七十あるいは百分の六十五というものは規定せられて、そして常にそういう金が出ていくということに対していささかどうかと思うけれどもということを大臣に進言せられたり、あるいは主務大臣とよく話し合ってみてください、百分の六十五というのは少しわがほうから考えてみても多いように思いますがというようなことを、あなた方は全然言う場がないのですか、その点どうでしょう。
  36. 海堀洋平

    海堀政府委員 先ほど申し上げましたように、大蔵省政府関係機関予算につきましては予算の調整を通じまして、それから公団事業団等につきましては、退職金規定主務大臣認可する際に、大蔵大臣協議するという形で大蔵省が関与していることは、先ほど申し上げましたとおりでございます。  したがいまして、もちろん大蔵省といたしましては、この現在きまっております率について、一番責任のある立場にあるわけでございます。したがいまして、現在いろいろな点からの御批判に対しまして、私のほうとしましてはできるだけ事実を調査いたしまして、民間ではこういうふうになっておりますということを上司に申し上げ、内閣の判断をまちたいというふうに考えている次第でございます。
  37. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 これはあえてこの決算委員会がことし取り上げただけじゃないのですよ。行管に対してもこういうようなあり方というものはよくない、考えなさいということを勧告をもうすでにしているのです。大蔵省のほうでもそれは読まれたはずでしょう。だから、少しは直ってくるかと思っておったが、なかなか直らないということで、本委員会はこれを相当深刻に解剖してきたわけなんです。だから、こういうことはやはり大蔵省自身もう少し——他のほうできめたのだから払う、それでずっと来たのだというような考え方というのは私はおかしいと思うのです。大蔵省は、もうわずかな金額のことに対しても、相当口やかましく、地方におけるところの起債においても、あるいはわずかな金をいただきたいと言っても、なかなか大蔵省はきびしい査定をしているのじゃないですか。こういうことは主務大臣がきめてきたから、百分の六十五というのは退職金の引き当てだ、ああそうですか、これはけっこうですと言って、民間事業の、全然あなたのほうに関係がないことならとにかく、国費でしょう。そうしてそれに出資しているのは、国家が国民の税金を出しているのです。当然大蔵省としても関心を大きく持つ必要が私はあると思うのです。  それでは、華山さんの質問に対するただ単なる関連ですから、私はきょうはこの程度にとどめますが、次長のお話を聞きますと、私は少し納得がいかない。ほとんどが、この問題に対しては、大臣とそうして主務大臣との話し合い、内閣の関係、こういうことで、私のほうは事務的な扱いだけの答弁のように私は聞き取れるのです。少し私は違うように思うのです。あなたのほうに熱意があれば、相当大臣にも話し合いの場があったはずだと私は思う。主務大臣との話し合いのときには、世間並みに考えても少し多いように思いますと言う。毎月、毎月が六十五ですから、それがみんなに聞かれて、一年の百分の六十五でなくて、一カ月の百分の六十五ですよ、私が説明しなくてもおわかりだと思うのです。といって、私はあえてこれを徹底的におけとかどうとかいうのじゃないのですよ。理屈が合えば当然それは持っていかれてもけっこうでしょう。だから、それはどこから割り出されたのだといって聞いてみれば、国民金融公庫ができて、その当時は百分の七十だった。それからそれが三十三年に百分の六十五になった。ただ単なるそういう話だ。  もう少し私は勉強しまして、この問題、そういうふうな御答弁ならば、私は深くお尋ねをいたしていきたいと思いますが、いまは関連ですから、これでおきましょう。
  38. 鍛冶良作

    鍛冶委員長代理 吉田賢一君。
  39. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 海難救助体制につきまして、例のいつでしたか、ぼりばあ丸が沈没いたしましたあのころから、たいへんどうも海難救助体制ということが、特に海上交通に従事する船員等におきましては非常に重大化しているらしい。   〔鍛冶委員長代理退席、丹羽(久)委員長代理着席〕 とりわけわが国におきましての海上交通、海運というものが、四面環海の日本でありますから、特別大きな注目を引いたことはもちろんでございましょう。そこで日本の場合はずいぶんとたくさんな海難があるようでございます。年間の海難総数は大小とりまぜて日本船だけで二千七、八百ぱいくらいになるかと思います。それから死者も千四、五百名になるのじゃないかと思います。そこであの際にも、救難の飛行機などの到着あるいはまた救助作業等がかなりおくれておったらしい、これは世上問題になりました。これはやはり海難救助体制の方面に相当な欠陥があるのではないであろうか。何か欠陥が、係安庁における救助体制が整っていないということになるのか、日本全体としてそういった制度がまだ完備しておらぬということになるのであろうか、その辺についてまず伺ってみたいと思います。
  40. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 ただいま先生からお話しございましたように、わが国におきましては、年々非常に多くの海難が発生いたしておりまして。四十三年一年間では二千五百件余にのぼっておる次第でございます。そこでお話しのございましたぼりばあ丸のように非常に大きな遠距離海難を含めまして、海上保安庁が現在どうような救助体制をとっておるかということでございますが、海上保安庁は現在巡視船及び巡視艇二百九十七隻、航空機を十八機持っております。これを全国百十七の基地に配属いたしまして、海難発生を電波でキャッチいたしますと、直ちに出動できるような体制をとっておりますと同時に、また特に日ごろより海難が非常に多く発生する海域がございます。そこでそのような海域につきましては常時前進哨戒体制をとりまして、緊急事態にできるだけ即応いたしますようにいたしております。  ただ先生も御指摘ございましたように、私どもの現在の救難体制というものは必ずしも完ぺきであるというふうには考えておりません。年々財政当局とも御相談いたしまして、逐次この中身を改善するように努力してまいっております。海上保安庁の現在の巡視船艇で、特に数年前までは旧海軍に属する非常に老齢船がございました。現在はこれはもうほとんど戦後の船にかわっております。ただ、同時に、戦後初期につくりました船がすでに耐用命数ができておる、かつまたスピードも非常におそいというようなことがございます。現在船艇につきましてはこのようなものを新しく、また高速なものにかえるように努力してまいっております。  また、特に航空機につきましては、御指摘のような点が多々ございます。今年三月、大型救難機といたしまして、YS11を就航さしたわけでございますが、今後さらにこの改善につきまして、前向きの方向で検討いたしたい、こう考えておる次第でございます。
  41. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これは、アメリカあたりにおきまして、一定の海域に行った船が、管制室のほうに船の所在もしくは海域に入ったことを報告する制度があるとかいうふうに聞き及んでおりますが、日本がそういうふうにでもなれば、日本の一定のある海域に入った、少なくとも日本船等は、ことごとく海上保安庁においてキャッチできるのではないだろうか。すわ海難、即時に出動ができる、こういう体制もその辺から整備していくということがまず第一である、そういうふうに考える。これはしろうとかもしれませんけれども、いかがでしょう。
  42. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 ただいまお話のございました、アメリカが行なっておる制度はアンバー制度という制度であろうと存じますが、これはアメリカのコーストガードが、必要な海域内におきまして、そこを航行しておる商船から、現在時点を報告させる、常に必要な海域にどのような船が通っておるかということを掌握いたしておきまして、海難が発生した場合、付近航行船舶に対しまして直ちに救助を要請するという制度でございます。  この制度につきましては、極東海域においてもしかれておりまして、これについては、海上保安庁もできるだけ海域の航行船舶を把握しておりますので、これをアンバーに報告いたしまして協力するという体制をとっております。  これを日本において独自に考えるかどうかということにつきましては、ただいま事務的に検討をいたしておる段階でございますが、当分はアメリカのアンバー制度というものに協力いたしまして行なうという体制でございます。  またぼりばあ丸のときにおましても、付近航行船舶の状況というものは非常に早く把握されておりますので、当面業務には支障がない、このように考えております。
  43. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 YS11を就航せしめる、これもわかるのでありますが、やはり、こんな広い海域でありますので、何機お持ちか知りませんけれども、かなりの数を用意するということにしておかなければ、いざというときに間に合わぬのではないだろうか。その辺からして、相当な計画をもって、これは保安庁としましてはすでに予算要求の時期にも入っておるのでございますから、計画に沿った予算編成、そういった段階に連んでいくべきだと考えるのですが、その辺はいかがでしょう。
  44. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 航空機の整備につきましては、今後さらに、当面四十五年度の予算政府原案を作成しなければならない段階に立ち至っておりますので、特に大型の救難機の増強につきましては、積極的にこれを要求原案の中に取り入れる方向で現在検討いたしておる次第でございます。
  45. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 その点は海上保安庁独自の立場で整備充実していくのか、あるいはそれとも海上自衛隊との連携、何か総合的な協力というもとにこれは進めていくのか、それはどちらになるのですか。
  46. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 救難機を整備するという観点につきましては、海上保安庁が海難救助の第一次的な責任を持っておりますので、そのような意味におきまして、海上保安庁が沿岸を十分救難でき得るという観点から、海上保安庁自身の計画をもちまして整備を進めていくことを、基本的な方針としております。ただ、実際問題といたしまして、現実に海難救助、その他が発生いたしました場合に、海上自衛隊において、たとえばヘリコプター等、海難救助にも利用し得る機種を持っております。したがいまして、このような場合におきましては、海上自衛隊と具体的には協定を結びまして、私どもの要請に応じて出動していただくという体制をとり、また事実そのような連携を密にいたしまして、具体的な海難にあたって協力、援助を得ておる次第でございます。
  47. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 何か、海水の温度との関係上、七、八時間も漂流すると船員は死亡する場合がある、こういうことも聞くのでございますが、やはり一たん海難の場合には即時に出動し得る体制というものが日本の海上保安庁を中心に進められていくのでなければ、今後日本船自身にたよる海運の将来のためにも非常に欠くるところが生ずるのではないだろうか。だから、海上保安庁は独自の省である限りは、独立いたしまして、一切の海難を引き受けるんだ、救援するんだ、こういう体制を相当長期的な視野でお立てになる、こういうことが重要なことになるのではないであろうか。またアンバーシステムのいまのお話にいたしましても、やはりこういう問題につきましても日本独自の立場におきましてこれを整備していく、こういうふうにしていかなければ、海洋開発の問題も日程にのぼろうとする段階でございますし、保安庁にも、その方面におきましても相当重要になるのではないだろうか。その辺は、できるだけ長期的視野に立って、計画性を持ってそして海難救助の体制の完備、それをねらって進められていくということが非常に大事な御使命ではないだろうか、こう思いますので伺った次第でございます。
  48. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 ただいま先生から海難救助体制の強化につきまして非常に示唆深い御指摘を賜わりまして、私どもも全くそのとおりであると存じます。今後海上保安庁の救難体制の整備につきまして格段の努力を払ってまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
  49. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それから船員の問題でございますが、いまの日本の経済界の実勢から、陸上におけるあらゆる企業の若年労働力の不足状況は御承知のとおりでございます。したがいまして、船員の補給は事実上相当困難を来たしておるんじゃないだろうか、こういうふうに実は考えるのです。そこにおきまして、一つは、たとえば例の、大学ではないけれども、海技大学校というものがございますね。海技大学校の実情を、私もしろうとながらちょっと調べてみましたところが、これは実に老朽した建物で、ろくに運動場もない、こういうようなところであります。これは言うなら船員の再教育の場でございましょう。けれどもしかるべき普通高校から即入学できる制度ではございませんし、また大学制度自身ではございませんので、一種の高度の職業教育的なものかもしれませんが、しかしいまの実情から見ますと非常に重要な機関でないか、こう思われるのであります。そこで、やはりこういう一つの教育制度につきましては、日本海運の現状から見ますと、船主が一々給与その他を補給して、そしてこの学校に入れることは困難です。されば、やはり国の力をもって、国費をもってできるだけこういった機関を充実して、そうして船員の再教育をして、しかるべき資格を与えるという道も開いていく。兼ねてそこで明るい職場づくりの前提にもなろうし、未来に希望も持てるだろうし、将来船員を望んで志願していく若年層もだんだんふえていくんではないだろうか。一つの、船員の補給難の現在における、一般から見忘れられておるような課題ではないだろうか、こういうふうに考えるのであります。だから、その意味におきましては、私どもは一見して非常に重要な問題がどうも放置されておるな、こう感じてきたのでございますが、この点は何か対策はないかどうか。ありとするならばやはりこれも早急に充実いたしまして、大事なときでありますので、いまこれを充実していくということは相当効果がある、こう思われますが、どうでしょう。
  50. 高橋康一

    ○高橋政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり船員の需給というものが現在の中小企業においては相当逼迫しております。また大企業におきましても全般的な労働力不足という現象から見まして、今後大量の船腹建造をやっていきます過程におきまして、逐次充足が困難になってくるというふうに見通されるわけであります。そのために新規の船員養成ということの観点から、商船大学あるいは商船高等専門学校というものによりますところの、あるいはまた海員学校、こういうものによりますところの新人教育ということが重要であり、またそのために必要な定員の増加あるいは学校施設の増加というようなことについても、本年度も若干着手しておるという状況でございますが、やはり今後の若年労働力の不足の傾向から見まして、中高年齢層の活用、そのための職業訓練ということが特に大事になるであろうというふうに、私どもも考えておる次第でございます。そういうような意味におきます再教育機関といたしまして現在海技大学校がございます。あるいはまたその他船舶職員養成協会というような民間の団体もございます。  海技大学校の施設につきましては先生指摘のとおり非常に不十分でございます。また貧弱でございます。そういうような点につきましては、従来とも若干ずつそういう施設の充実ということにつきましてはやってまいっておりますけれども、今後ともやはり必要でございます。そういう点で、たとえば寄宿舎あるいは講堂の充実というようなことについては私ども関係者といまいろいろ相談をしておるという段階でございます。  なお再教育を受けます場合にやはり問題になりますのは、再教育に出る船員というもののいわば手当というようなものについては非常に問題がございますので、そういうような点についても充実をはかるように努力してまいりたいと考えておる次第でございます。
  51. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 その船員の、特に遠洋航海に従事する船員の家庭の問題でございます。御承知のとおりに外国航路なんかに乗っております船員の家庭は、夫は船で暮らす、妻や子は陸上で家で暮らす。二つの分離した生活を一年じゅう営んでおるのでございます。そしてこれは横浜にあるいは神戸に、ニューヨーク航路あるいは欧州航路なりにおきましては年に三回多くて四回夫に面会に行く、数日そこで滞在する、こういう生活を実は繰り返しておるわけであります。そこでこの二重の生活にもっと潤いのある人間性を回復する、家庭に取り戻す、こういうことがわれわれの社会生活の面から見て非常に重要な課題でないかと考えます。  これにつきましてそのような家族を一体どう守ればいいか、そして夫婦、親子が一年に二、三回会って、そして楽しく、たとえ数日でも暮らしていくというようなことに対する保護、施設をどうしたらいいか、こういうことも大事なことでないか。これは一面におきまして船員を大切にするということにも通じる問題でありますから、この問題については——おそらく妻帯者数か約二十万あろうかと思われます。もっとも全部が全部遠洋ではございませんけれども、そこで何らかの方法でこれは国として施策はないか。——大蔵省きょうは税制課長見えておりますね。一点は、せめて横浜に来て、あるいは神戸に行って、一回にたとえば三万円ないし五万円を使いますと、年間にいたしましたら十万円ないしは十数万円要るわけであります。しかしこれは一年じゅうの楽しみでもあるし、また大きな望みなんですから、これにつきましては少なくとも国なり地方公共団体の税制、公租公課の面からでも優遇するということが一つの手ではないであろうか。これらの点につきましては税制審議会、財政調査会等におきまして、あるいは問題になったかもしれませんけれども、どうもそういう辺にも何の手ごたえもあらわれておりません。私はきめのこまかい施策を行ないまして、そして家族を保護し、家庭を明るくするということは、国税につきましては非常に大事な課題であると考えますので、これは船員の福祉増進を責任を持っておらるべき船員局長のお立場もあるし、大蔵省も何かその面から御協力あってしかるべきとだ思うのでありますが、この辺につきまして両当局から何らかの御説明を願っておきたい。
  52. 高橋康一

    ○高橋政府委員 船員の家族の問題であります。先生指摘になりましたように、外航船員の場合におきましては海上労働の特殊性といっておりますけれども、家族から離れて生活し、まずめったに内地に帰らないというような状況が多うございます。これに対応いたしまして、二つの方向で現在のやり方を進めておるわけであります。一つはなるべく船員の休暇期間というものを増大させる、現在船員法におきまして法定二十五日間ということでこの休暇期間中は乗船を離れてやっておるわけであります。この法定休暇につきましては、法定休暇が二十五日でございますが、現在は四十四年度におきましては三十七日というふうにその法定休暇期間というものを延ばし、それによって極力海上から陸上へおる期間を長くするということが一つの方向でございます。  もう一つの方向といたしまして、これに対応いたしまして乗り組みの船員のほかに予備員制度というものが設けられておりまして、予備員の中には、先ほどの再教育に行く人もございますが、陸上に勤務するという期間をなるべく置きましてやっていこうという方向を一つとっておるわけでございます。  それと同時に、今度は現実に乗り組んでおります場合に、港にそれぞれ帰ってまいります、そういった場合におきましては、家族との面談というようなことをやりますために、日本船員厚生協会あるいは船員保険会、あるいはそれらにつきまして国あるいは地方公共団体の補助というような手段を通じまして、国の、ないしは国関係の公益法人がつくっております宿泊施設が各港に散在しておりまして、大体全国で約五千名ぐらい収客できます。その他各社もまたそれぞれ五、六千名ぐらいの能力を持つ宿泊所を持っておる。そういうような休暇の増大、それから宿泊施設の増大というようなことによりまして、陸上から離れた海上労働の特殊性というものを極力少なくし、そして船員の家族生活というものをなるべく充実できるように私どもも考えており、またそういう方向で官労使ともにいろいろ努力を続けておるという状況でございます。
  53. 安井誠

    ○安井説明員 ただいま吉田先生お話は、外国航路に就航しております船舶の乗り組み員が年に数回港へ入ってまいりましたときに、家族が寄港地まで面会に行く際の旅費等の費用を税制上何らか考慮したらどうかという御意見だと承ったわけでございます。私どもも外国航路に乗っておられる船員の方々の御苦労ということはよくわかるのでございますけれども、税制の問題としてこれを取り上げるということになりますと、いろいろ問題があるわけでございます。具体的に申し上げますと、たとえば国内でも勤務地が異なっておりまして、家族と離れて暮らしておる方でそのために帰られるという場合もあるわけでございまして、この場合の費用ということになりますと、これは一般的には所得の処分というふうに考えざるを得ないのではないかというふうに考えているわけでございます。またさらにかりにそのようなことを税制上しんしゃくするといたしますと、一律に何方というようなことはとうていできないわけでございまして、個別の事情を全部見なければならぬということになりまして、税制としては非常にむずかしい問題ではないかというふうに考えるわけでございます。実は税制調査会にも、この問題も含めましていろいろ個別の事情に基づきますところの考慮ということの御要望があったものでございますから、御検討をお願いしたのでございますけれども、税制調査会も、税制としてそういう個別事情をしんしゃくするということはおのずから限界があるのではないか、むしろ税制としては所得全体としての所得控除と申しますか、基礎控除や配偶者控除、扶養控除といったものの引き上げあるいは税率の軽減というようなことで対処することがむしろ優先的に考えられることではないか、このような御答申をいただいているわけでございます。
  54. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 いまの点はまた追って——さらに深追いしてもいいのでありますけれども、要はいずれにいたしましてもそのような生活の状態を大蔵省として税制の面からしかるべく考慮するということは不可能ではございません。これはあれとこれとの比較、あるいは内地勤務の場合との比較等もあろうかと思いますけれども、遠洋航路並びに遠洋漁船というようなものはどうしても必要なものです。これに対して手を打てないというのは、あまりにも大蔵省といたしましてこの種の問題に対する熱意が乏しい。もっと積極的に掘り下げてこの実態を把握いたしましたら、方法はある。私はどのような方法でもいいと思いますけれども、これはさらに検討してしかるべき結論を得るということにどうしてもすべき案件ではないであろうかと思います。ひとつあなたも、きょうはそのような御答弁でやむを得ませんけれども、ひとつお帰りになりましたら、これらの点につきましても、さらにいろいろな角度から再検討をせられるようなふうにおすすめ申し上げておきます。ぜひそうされたいと思います。  それから保安庁の関係ですが、船舶の安全の問題につきまして、例のフェリボートの安全性につきまして伺っておかなければいけないのでありますが、最近におきまして、明石の海峡で遭難が一つございました。これはもう御承知のとおりであります。最近、瀬戸内並びに伊勢湾等におきましてフェリーボートの盛んになってまいりましたことはたいへんなものでございまして、一般の自動車の交通用具といたしまして、あるいはレジャー用も中にはあるかと思いますけれども、相当の数がふえてまいっております。ところが現実におきまして、この保安の問題、安全性の問題ということは、これは相当重要らしいのですね。何しろみんな自動車の場合は、ガソリンを積んだ車が乗っておるわけですから、そうしてその車の中に運転者も乗り込んでおるわけですから、一朝そこに事故がございましたならば、一体人命はどうなるのだろうか、こういう問題もございます。最近、ずいぶんとたくさんな輸送量があるらしいのでございますが、この点につきましても、具体的にフェリーボートの安全性をどう対策を立てるべきであろうか、この点について何かお考えになっておられましょうか。
  55. 村山達雄

    ○村山(達)政府委員 お答え申し上げます。  御案内のように、フェリーボートは近年どんどん増加しておりまして、最近では全体の航路数にいたしまして百十九航路でございます。事業者数で九十九事業、隻数におきまして二百十隻、総トン数におきまして七万三千総トン、このように伸びておりまして、そのうちほとんど七割くらいは瀬戸内海に集中している状況でございます。これらのフェリボートの安全については、御指摘のように通常貨物だけを扱うものでなくて、トラック、人間が乗っておりますトラックを扱いますし、そこにはガソリンを積んでいるわけであります。  一方、保安のほうから現行制度をながめてみますと、実はこれは海上運送法上から規制しておる、つまり、事業のほうから規制するやり方、それから船員法のほうから規制しておるやり方、それから船舶安全法、つまり船の構造の面からやっておるわけでございまして、非常に複雑多岐にわたっているわけでございます。御指摘のように本年の五月にフェリボートが相次いで二つの事故を起こしたわけでございます。運輸省はさっそくこの問題を問題にいたしまして、とにかくいまの保安に関する法規が複雑多岐で、なかなか理解しにくい点もあると思いまして、直ちにこれらのものを全部取りまとめまして、いわば作業基準というようなものを運輸省でひとつ保安上の角度からつくってみようというので、先般一応の案を作成いたしまして、全国の海運局長に通達いたし、同時に業界にも通達をいたしておるわけでございます。これを一つのサンプルにいたしまして、それぞれのフェリーボートの事業者が、自分に適合した保安基準をみずからつくるようにいま指導している最中でございます。  なお、あの海難事故が起きましてから、省内におきまして関係部局でワーキンググループをつくりまして、いまこの作業基準的なもののほかに何らか新しい措置を、行政上あるいは必要とあれば立法上講ずべきじゃないかということで、その面についてもいま検討しておる、こういう次第でございます。
  56. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それからもう一点。これも保安庁関係ですが、来国会には例の海上交通法案を提出するような予定になっておりますかどうか、この点をちょっと伺っておきたいと思います。
  57. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 ただいまお話のございました海上交通法案でございますが、海上保安庁といたしましては、数年来このような法案の実現について努力してまいりました。またこの通常国会にも提出するよう種々努力いたしましたが、特に漁労の取り扱いにつきまして関係機関との了解に達することができず、国会に現在提出できない、こういう状況でございます。しかしながら、海上交通の現状から見ますと、船舶交通の安全と、災害の防止をはかることを目的といたします法規制を、私どもといたしましては早急に制定する必要がある、このように考えております。したがいまして、さらに今後このような点につきまして、関係方面が了解されるよう一段と努力をしてまいりたい、このように考えております。
  58. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 海上交通の問題は、特に瀬戸内におきましては、漁業との関係並びにずいぶんたくさんな船舶の交通の問題があり、あるいはまた架橋の問題等もあり等々いたしますので、これはやはり相当あらゆる角度から御検討になりまして、過誤なきを期していかねばなるまいじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございます。一そう関係方面とも連絡を密にしながら研究されるべきではないだろうか。陸上の交通に規制あり、海上の交通にも規制ありということは、これは当然考えられますけれども、同時にまた狭い海においてあらゆる職域がともに入り組んだような実情にもありますし、瀬戸内海におきまして一そう重要な関係が緊密にこんがらかっているように思いますから、その辺についての検討は十分にせられることを御希望申し上げておきます。  それから運輸省のほうに伺いたいのであります。深くは伺いませんが、例の本州−四国の架橋の問題でございます。大臣はまだ見えておりませんので、したがってこの点につきましては十分な御答弁をいただけないかと思いますが、いまの段階におきまして御説明できましょうか。ひとつ御説明願っておきましょう。
  59. 村山達雄

    ○村山(達)政府委員 御案内のとおりに、本四架橋の問題につきまして、運輸省関係いたしますのは、いわゆるAルート、それからDルートとございまして、従来それの調査を促進してまいったわけでございますが、おおよそ大体の調査は済みまして、すなわち工期あるいは工事費その他航行安全上の関連等の調査は相済みまして、現在はこの架橋によりましてどんな経済的効果がこの周辺で、四国あるいは中国、近畿、さらには全国において起きてくるか、こういう調査を進めており、その一応の答申が出まして、それを目下検討しておるという段階でございます。  日程といたしましては、しばしば建設大臣あるいは運輸大臣からお答え申し上げておりますように、できるだけ早い機会にこれを閣議決定まで持っていきたいという御答弁を申し上げておったわけでございますが、ごく最近両大臣が現地を飛行機で視察いたしまして、そして両大臣の間で今後の日程を打ち合わせたわけでございます。その結論といたしまして、八月の半ばくらいまでには事務的の検討を遂げたい。それからいわば本四架橋の関係閣僚協議会のようなものをこれから設けまして、そこにはかってまいる。それが済みましたら、それぞれ現行法できまっております、たとえば道路につきましては道路審議会、また鉄道につきましては鉄道建設審議会にはかっていく。そしてそのあとで最終的に閣議決定に持っていきたい。その時期はできるだけ九月の半ばぐらいには完了いたしたい、こういうように両大臣の間で話が詰まりまして、目下作業を進めておる、こういう段階でございます。
  60. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 財政資金の問題ですが、究極の工事総額は何の資金によるのであろうか。この辺について、これはまだ煮詰まった問題じゃないと思いますが、少なくとも方向だけはきめておかなければ、技術面、経済効果面、いろいろな面から十分検討したけれども、しかし、はたと行き詰まったのは資金面である、こういうことになるのではないだろうかという危惧も最近の情勢から見てせぬでもないのです。たとえば外国の資金を導入するということもちょっと困難ではないかと思うのであります。民間資金云々の議論もあるようでありますけれども、それもどうだろうか。一般会計によるのだろうか。しからずして何か財投の別の金でいくのだろうかというようないろいろなことを思ったりするのでありますけれども、この辺について、煮詰まっていなければそう深く伺う必要はございませんが、究極どの方向を向いておるのだろうかくらいでもお伺いできればと思います。
  61. 村山達雄

    ○村山(達)委員 本四架橋の問題につきましてはAルート、Dルートがございまして、これを同時着工するかどうかあるいは道路と鉄道の併用にするかどうか、さらには鉄道を敷設するとして、新幹線方式によるかどうか、それらによりましておのずから資金の金額に違いがあると思うのでございますが、いずれにいたしましても相当膨大なる金額になることは間違いございません。したがってその財源問題は当然今後、先ほど申しました日程で各種の審議会あるいは閣僚協議会あるいは閣議決定の際にあわせて問題になると思うのでございます。現在の財投組織でそのまままかなっていける趨勢にあるのか、さらには、とてもそういうことでは足りないから、新たなる民間資金を財投の形で誘導してくるのか、あるいは財投以外の形で民間資金活用という方法にいくのか、あるいはそれらの事務費相当額くらいのものをいわば特別の財源——新幹線も論じられているわけでございますから、その一部でも税という形でまかなうのか、この辺のことが今後の経済の見通し、それと税収の見通しあるいは貯蓄の増加、設備投資その他住宅への投資との関連において論じられてくるのではないか。運輸省といたしましては目下事務的にそれらの問題を検討している、こういう段階でございます。
  62. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 大臣が日米経済会議ですかに引きとめられているとかで出席しにくいとかいう情報が入っておりますが、そうであれば、きょうの大臣に対する質問だけはぜひ保留させていただきたい、こう思うのでありますが、しかるべくお取り計らい願いたいと思います。——来れないのですね。
  63. 村山達雄

    ○村山(達)政府委員 きょうは日米合同委員会の最終日でございまして、午後一時ごろまではそちらにかかると思います。
  64. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうすると長くお待たせいたしておきましたので、国鉄に入りたいと思います。  磯崎さん、総裁に御就任になりまして、石田さんのあとをお受けになって大仕事をたくさんにおかかえになっておりますので、せっかく御健闘願いたいのであります。  そこで、一番伺ってみたい点は、かねて私もだんだんとお伺いしておりましたが、いわゆる国鉄の財政再建の問題ですね。結局はどこに問題の焦点を持っていけばいいんだろうか。国鉄の財政再建というものは非常に困難か、しょせんはむずかしいものなのか。それをどういうふうにおつかみになっておるのだろうか。この辺につきまして、だんだんあなたもいろいろな懇談会などで御意見も発表になっておるようでございますし、拝見もいたしましたが、総裁のお立場としてどういうふうにお考えになっておりますか。まずその点だけ伺っておきます。
  65. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 ただいま先生から私に対して過分な激励のおことばをいただきましてまことにありがとうございました。  国鉄の財政再建につきましては、すでに今国会の初めのほうにおきまして、運賃の問題あるいは財政再建の特別措置法等いろいろ法的措置を講じていただきまして、いわば三本の柱のうちの二本は、すでにおかげをもちまして一応緒についたというふうに思っております。したがいまして、一番根本は国鉄自体でやらなければならない問題、これが私に残されました一番大きな問題だと思っております。  これを二つに分けまして、一つはやはり何と申しましてもこれから国鉄という事業が伸びていかなければいけない。すでに御承知のとおり。昭和三十八年ごろまでは非常に収入の伸びがよかったのでございますが、その後道路あるいは自動車の発達あるいは内航海運の整備、港湾の整備等のために国鉄の市場のシェアが急激に落ちまして、そのために旅客、貨物とも非常に収入の伸びが鈍化いたしております。やはり企業として再建いたすためには、何と申しましてもそういう積極面の収入の増加ということがまず私は根本だと存じます。その根本的な収入の伸びがない限り、いかに努力しても企業としては先細りであろうというふうに考えます。したがいまして、私どもといたしましては、まず第一に今後どうやって企業の収入を伸ばしていくかという積極面に取り組んでまいっておるつもりでございますが、それと同時に、消極面でございますが、国鉄自体の合理化の問題には当然取り組まなければならないというふうに考えております。したがいまして、国鉄自体がなすべき仕事には積極、消極の両面がございまして、積極面をやらない限り、全体としては大きな希望は持てない。しかし、それだけではいけないので、消極面もそれと一緒にやってまいる、こういう私の考え方でございます。
  66. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 国鉄はここ二、三年間に一体どれだけの借金ができて、そしてどういう状態になるのですか。
  67. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 現時点におきます数字だけ簡単に申し上げますと、長期債務が約二兆でございます。これは御承知のとおりたとえば東海道新幹線の債務も入っておりますし、あるいはこの付近の通勤輸送の債務も入っております。これはいわば会社で申しますれば建設のための債務でございます。これは事柄によりましていつ返せるとかあるいは利子が払えるか払えないかという問題等はいろいろございますが、この長期負債につきましては、これは事業をやっていく以上持っているのは当然だと思います。現在国鉄の資産が償却費を計上いたしましたあと約二兆数千億ございますので、その程度の企業体ならば二兆くらいの借金を持っていることはそうふしぎはないというふうに考えます。しかし、そういう長期債務以外に毎年の損益上の赤が出てまいります。これは収支のバランスを失っているということでございます。もちろん、支出の中には減価償却費、利子等を計上いたしておりますが、昭和三十九年ごろから帳じりが赤になりまして、ことしの現時点におきましては累積の赤字が約二千七百億、これはいわば端的に申しますと、償却の分だけ償却しないで帳づらは赤になって出てきている、こういう経営のしかたでございまして、民間企業等におきましては非常にかんばしくない経営だと存じております。したがいまして借金の中に二つございまして、一つの長期債務は私は心配することはないと思います。しかし経営上の赤、これはまだ債務にはなっておりません。帳簿上の赤になっております。これがもし償却前の赤を示してまいりますと、これはたとえば利子を払うために借金をする、あるいは給料を払うために借金をするということになりまして、これはいわゆる赤字借り入れになってまいります。まだ幸い赤字借り入れまでにはなっておりませんが、もし今後条件が悪くなりますれば、赤字借り入れに転落することがあり得るような事態でございまして、この問題だけは何とか防ぎたいというのが私どもの考えでございます。
  68. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 国鉄というのは、結局独立採算の制度を守っていくというのが基本的になるのだろうか、そうではなしに。むしろ公共性というものに重点が置かれまして、そして何ほどか赤字が累積するともそれはやむを得ざる機関である、こういうことで割り切っていくのであろうかどうか。この辺について、外から見ておると、一体どちらなんだろうか。一つの企業のようでもあるし、公共性を失ってもらってはこれも困るし、さりとて幾ら赤字になってもいいという結果になることは、国民におっかぶさってくるのだしということを思いましたら、何かそこに、独立採算と公共性の関係につきまして、両全を期するというような手でもあるのかどうか。そこらの割り切り方ですね。根本的には、もちろんこれは国鉄が発足当時から当然それは頭に置いて、そして国鉄は何ぞや、将来どうするのか、どうあるべきかということを財政の面から検討されていって、一つの結論を持っておるかもしれませんけれども、どうもその辺がはっきりしないから、結果いろいろ波及するところ国民へということにもなり、問題が起こってくることになるんじゃないか。そこに何か問題があると思うのですが、どうでしょうか。
  69. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 その点につきましては、先生御承知のとおり、国鉄法ができましたときの国会の論議等をいろいろ拝聴いたしておりましたけれども、やはりその当時からの問題であったと私記憶いたしております。そして、やはり、国鉄法の第一条に書いておりますとおり、一つの観念論といたしましては、手段としては、あくまでも企業性でなければいけない。しかし目的はあくまでも公共性の追求だというふうに一応観念的には割り切って第一条が書いてございます。しかしながら、実際問題になりますと、いまの先生の御指摘のとおり、それじゃ幾ら損してもいいか。結局先ほど申しましたとおり、赤字借り入れでもするようになりますれば、これは結局国民の税金でしりぬぐいしていただくということになって、これも非常に大きな御迷惑を国民にかける。かといって、公共性を全部芽をつんでしまえば、これまた国民に迷惑をかけるということで、実際論といたしましては、その企業性と公共性の調和をはかりながらやってまいったわけでございますけれども、それは収入状態のよいときはそれでやれたわけでございます。しかしながら、いまのように非常に競争機関がふえ、すでに陸上交通におきましては、旅客の分野は国鉄で分担いたす分は四十数%に落ちております。貨物は二十数%に下がっております。したがいまして、全体の陸上交通を独占しておりました時代の公共性をいまの国鉄が全うすることは不可能だと思います。もしこれをやろうとすれば、非常にもうかるところでうんと運賃を上げる。しかし運賃を上げればそれだけお客が減るということになりますので、これも大体限界にきておると思います。したがいまして、ある程度公共性というものを追求しつつ、できるだけ企業性を立てさせていく。しかしやはりいまのようにほかの交通機関の伸びが非常にテンポが急でございますと、企業性というものをどこまで発揮できるのかということは相当問題だろうと思います。今度おかげさまで、ある程度政府から税金を私のほうに補給金、補助金の形でいただくことになりましたけれども、これが一体無限にふえていっていいものかどうかということもいろいろ問題だと思います。ということで、私どもといたしましては極力公共性を発揮しつつ、しかも一企業性でもって収益のあがるところではできるだけ収益をあげるという、必ずしもすっきりしない形でもって運営をしていっておるという実情だと思います。  ここで、はっきり独立採算制を捨ててしまうのか、あるいは全然企業性に徹するのか、この両面での徹し方につきましては、現時点では決しかねつつ、この間の十カ年計画におきましては、一応政府を通じましてある程度国民の税金をいただき、ある程度の運賃負担をしていただき、また国鉄自体が合理化を進めていけば、一応現在程度の公共性の維持はできる、こういうたてまえになっておるわけでございます。
  70. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 国鉄は、武士の商法という心がまえでやるべきではないだろう。もう一つは、やはりこんな技術革新時代でありますので、輸送機関としての国鉄の技術革新、経営の合理化、体質の改善、当然だろうと思います。そういう面につきまして、これは観念的かもしれませんけれども、合理化は反対するとか、また技術革新につきましてもとかく停滞がちではないだろうか。  しかし反面におきまして、東海道新幹線のごときすばらしい、能率のあがる国鉄あり。将来、日本じゅうあのようなりっぱな国鉄ができるようになれば、これは全く輸送機関の世界的なりっぱなものが日本にできるがな——日本全体に及ぼしたならばですね——というようなことも夢のように思うたりしまして、将来性が非常にあるように思われるが、何かはばんでおる。これはどういうわけなん、だろう。  国鉄の運営自体について国鉄の職員全体がひるがえって考え直してもらわなければいかぬ面があるのではないだろうか。もし、そうならば、この将来性、未来性が国鉄の将来を明るくしていく余地あり。  かねて伺っておりました、たとえばコンテナ輸送の問題にいたしましても、将来のことを考えましたならば、私は国鉄の貨物輸送においても陸海空がそれぞれ連携をとりまして、まだまだこれは開発の余地があるというふうに思われるのでございます。これはしろうとですから、深く調べたわけでも何でもございませんけれども、そこに十分な余地があるが、十分行なわれておらぬ、停滞がある。国鉄はもう老朽化してきて役に立たぬというふうな問題もまた起こってくる、こうなるのじゃないかと思うのだが、一切の技術の革新時代でありますので、体質を改善する、構造を改めていく、そして進歩に即応した国鉄を建設していく、こういうところに一つのイメージを持ってお進めになっていく、これが国民が国鉄に期待する一つでございます。  私は、その面につきまして国鉄の将来は日本においてはまだ大いに伸びる余地があるのじゃないだろうか、こういうふうにも考えるのですが、あるいはそれとも、とてもとてもいまの経済性から考えて世界的に引き合いませんということに帰着するのかどうか。そこらが、今後国鉄を背負っていかれる総裁としまして、腹のきめどころの一つにもなるのではないか、こうも思うのです。
  71. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 国鉄の将来の問題につきましては、まさに先生のおっしゃったとおりでございます。私は私なりにこういうふうな考え方を持っております。  いま先生の御指摘の東海道新幹線を例にとってみますと、ごく簡単な数字を申し上げますと、あれは職員一人当たり約二千万円近い水揚げをいたしております。二千万円と申しますと、日本の企業でもほとんど最高の部類に属する水揚げだと思います。ところが、東海道新幹線を除きました約二万キロに及びます鉄道の水揚げは、一人当たり約二百万円、ちょうど十分の一でございます。二千万円と二百万円が雑居しているところに国鉄の一つの現状の姿があるということだと思います。したがいまして、いま各党でいろいろお話が出ておるようでございますが、国鉄を新しい二十一世紀の鉄道として持っていくためには、やはり全国的な新幹線網といわないまでも、新幹線の一つの骨格をつくってしまうという考え方があるようでございます。これは東海道ほど収支状態はよくないといたしましても、非常に能率的のものをつくることはできると存じます。一方十九世紀の初頭からできました鉄道につきましては、やはり先生のおっしゃったように非常にいろいろの人的、物的の残渣が残っております。それをやはりある程度清算いたしませんと、これは非常に大きなお荷物になる、国鉄としての荷物のみならず、国民としての非常に大きな荷物になるというふうに考えます。したがいまして、その点につきましては、徹底的な技術革新をいたして、省力と申しますか、力をセーブする、そして人を減らしていく。そして保安装置、保安度は機械でカバーする。それから国鉄の守備範囲内でないものにつきましては、やはりそれをもっと簡易な交通機関に取りかえていくというこの二つの方法でもって、十九世紀から始まった現在の鉄道については機械化、近代化をしていく、これによりまして必ずあと百年以上の期間というものは、鉄道は国民の足としてお使いできるという、私は私なりの考え方を持っている次第でございます。
  72. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 国鉄と海運と私鉄ないしはトラックなりの総合的なコンテナ体制の整備という問題につきましては、これもまた運輸省としかるべく御協議になって積極的にこれを進めていって、調査研究、具体化していく、こういうことが一面輸送力の革新と申しますか、充実の面から見ても望ましい一つの緊急課題ではないであろうか。ただし、そうなる場合には、海上とそれからトラック等の輸送関係も適当にお互いの組み合わせをうまくやりませんと、からっぽの船を動かすという結果になりかねないと思いますから、その辺につきましては、いまの段階におきまして、あなたと海と、さらに空も誘って三者一体となりまして、もっと簡易な国内の大量航空コンテナとでもいうようなものもできまして、そして海陸空一体となったコンテナ体制化ということが近い将来の一つの夢になるべきではないでありましょうか。そうすることが日本の現在と将来の開発に大きな指標になっていくようにも思われます。国鉄さん、その辺についてまた一そうの御努力になってはどうかと思います。
  73. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 国鉄の貨物輸送のコンテナ化につきましては、たしか先生から数カ月前にやはり御意見を拝聴いたしたことがございます。やはり私どものほうでもいつまでも古い四輪の貨車で運ぶということは、非常に非現実的でございますので、ことしの四月から東海道につきましてはフレートライナーという名前をつけておりますけれども、コンテナ専用列車を走らせまして、大部分それがつきまして、最近はほとんどからなしで走っておるような次第でございます。このコンテナの大きさは海上コンテナと合わせておりまして、逆に海上コンテナを国鉄の貨車にも載せられるようにできております。まだ国内の航空貨物との調整はとっておりませんが、少なくとも海上コンテナと国鉄の貨車輸送は一貫して輸送できるようにいたしておりますし、また今度いま手をつけました東京の管内の大井埠頭におきましては、コンテナの埠頭と国鉄のコンテナのヤードをくっつけまして、そうして極力コンテナ貨物を国鉄側にすぐ載せる、あるいは国鉄の側からコンテナを持ってきて船に載せる、こういうような海陸の直結輸送体制をとってまいるという設計をいたしております。
  74. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 陸上交通の安全の問題についてちょっと伺っておきたいのでありますが、これはずいぶん問題が多岐にわたりますので、いろいろ伺わなければならぬと思いますけれども、時間の関係もありますから、ちょっと簡単に一、二点にとどめておきますが、いまの交通安全対策として一番重点を置いておられる点は何と何ということになっておりましょうか、この点をひとつ御説明をしてもらいたいと思います。
  75. 大野哲雄

    ○大野説明員 交通安全対策といたしまして、安全施設の整備の問題、それから安全思想の普及徹底の問題、それから安全運転の問題を含みますところの交通秩序の確立の問題、それに事故が起こりましてからの被害の軽減対策と申しますか、被害者救済対策、これを四本の柱、重点といたしまして、従来から対策を進めてまいったわけであります。そうしていま御審議をいただいておるわけでございますけれども、このたび交通安全対策基本法案を提出いたしまして、これらの政策を現実に進めていく場合に必要な体制の問題、それといろいろ研究開発というものを含みますところの一つの総合的な長期的な計画の策定というような点にも重点を置きまして、今後の施策を進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  76. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 交通の安全を期することは申すまでもございませんし、また、国策の重点的施策になっていること、現内閣の一つの重要政策になっていることはよく存じておるところでありますが、いまの一つの問題点といたしましては、事故被害者の救済問題は非常に大事な問題であります。これから起こるあらゆる問題を想定いたしますと、最近の死者とか、あるいはその他後遺症のある者等に対する救済の問題は、自賠法による三百万円ですか、その限度はいまのところございますけれども、それがしょっちゅう問題になるわけでございまして、少なくともやはり五百万円とか七百万円にするということにしませんと、あまりにも人命の軽視につながるのではないか、こういうことにもなります。日本は人命の軽視ということが交通禍の一つの重大な原因であるともいわれるのでありますが、世界的に大きな被害率、死者率を持っている日本でございますので、この点について、自賠法の保険給付の額の問題、これも相当議論されておると思いますが、大体の方向はどういうふうになりつつあるのでしょうか。
  77. 大野哲雄

    ○大野説明員 自賠法が施行されましてから、死亡の場合におきます保険金の給付額、これを三十万円から五十万円、それから百万円、百五十万円、三百万円、こういうふうに逐次上げてまいったわけでございますけれども、それによってはその後におきますところの被害者の救済が十分でない、こういうような実情にございますので、なおこれを五百万円程度まで引き上げたらどうか、こういうことで現在検討中でございます。
  78. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 きょうは、この程度でよろしゅうございます。
  79. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員長代理 次回は公報をもってお知らせいたすこととして、本日はこれにて散会をいたします。    午後一時二十二分散会