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磯崎説明員 御
指摘の点はまさに先生のおっしゃるとおりでございます。私
どもといたしましても高架下につきましては実はいろいろ
意見がございまして、もう思い切って高架下を普通の土地のように、たとえば権利金を取って貸してしまえという説もございます。しかし一たん権利金を取って、いわゆる民法上の賃貸借
契約になりますと、いざ
国鉄が使いたいとき、たとえば現在すでにやっておりますが、高架の上にさらに高架をつくる、さらに高架下に地下鉄をつくるというような、ほんとうに
国鉄が輸送プロパーに使うというときに、賃借権の問題で非常にもめるわけでございます。私
どもといたしましては、いまの高架下使用はいわゆる賃貸借でない、あくまでも一種の使用貸借的な無名
契約だということをいままでずっと裁判上主張してまいったのであります。したがいまして、賃貸借の場合と無名
契約の場合は非常に価格の査定が変わってくるわけでございます。したがいましていまのような、ことに先生の御
指摘の件のようないわゆる第三者使用――第三者使用の中にも自分で造作をして貸す場合と、全然造作しないで右から左に貸してしまう場合がございまして、これはほとんど右から左に、それを私
ども転貸と申しておりますが、これは大体整理いたしました。ただ御徒町のあめ屋横丁等は若干残っておりますが、これは大体訴訟でもって整理いたしておりますけれ
ども、いま第三者に造作をつくって賃貸するという問題につきましては、これをどう解決すべきか。いわゆるテナントから申しますれば、権利金を払って中間の人から借りている。中間の人と
国鉄との
契約は、単に使用貸借的な無名
契約であるというようなことで、いま先生がおっしゃったように非常に大きな差が出てくるわけであります。しかし一たん私のほうで、つまり輸送上必要だからそれを返せというふうな場合に、やはり間に入っている人は、テナントに対しては賃借権の保証をしなければならないのじゃないかというふうなことで、私
どもといたしましては高架下、特に東京、大阪の高架下が将来輸送上不必要かどうかということが一番
問題点であると思います。もしこれが大体要らないという見通しがつきますれば、もっと思い切って権利金をうんと高く取って貸してしまいます。そしてそのかわり賃借権を認めてしまうということが当然考えられるわけでございます。しかし、どうもいまの輸送情勢から申しますと、いま申しましたように、高架の下に地下を掘る、あるいは高架の上にさらに高架をつくるということがあり得るというふうに想定されますので、いまは無名
契約に基づく使用貸借という形にしておるのでございます。
実はこの間、一件、いま先生の御
指摘に近い例につきまして訴訟をいたしました。それがごく最近敗訴いたしまして、これは賃貸借だというふうな裁判所の見解でございました。それではたいへんなことになりますので、さっそく私のほうは東京高裁に六月三日に控訴いたしましたけれ
ども、裁判所の中でも、
国鉄の高架下あるいは国家の雑種
財産の貸借等についての法律的性格が非常にむずかしい。私
どももはっきり賃貸借で割り切れれば非常にすっきりすると思っておるのです。しかしそれができないという以上、結局いまの第三者に対する賃貸については、極力本人に勧奨しまして――中間者とテナントの賃料まで私のほうはなかなか介入するわけにまいりません。したがいまして、もう間に入るのをやめなさいというか、あるいは、間はもっとすっきりした、
国鉄が目の届く管理機関をつくって管理させるというふうな方法を抜本的に講じなければならない。もしそれができなければ、やはり中間者に対して訴訟を提起いたしまして、そして第三者使用を認めないという形にするかという実はせとぎわに入っております。不幸にして、先ごろの裁判で非常に不利な結果が出まして、いま実は弱っているわけでございますけれ
ども、私
どもといたしましては、あくまでもいまの時点で高架下を賃貸借で貸してしまうことは少し問題が大き過ぎる。しからば結局、いま中間に入っているいわゆるすっきりしない先ほどの御
指摘のような点については、何かこれに対しまして訴訟上の手段、あるいはもし訴訟上の手段でなければ勧奨と申しますか、勧告と申しますか、それによって解決しなければならぬ。現に先生の御
指摘の件は、ことしは
契約を結んでおりません。私のほうといたしましては、最後の条文に、いまあなたのやっている第三者賃貸ということは
国鉄では認めていないんだから、早くあなた自身が使うか、あるいはそれを
国鉄とテナントとのすっきりした関係にするか、そういうふうにしなさいということを必ず入れておりますが、いままでその条件だけを受けないというかっこうできております。ことしからは、もうそれじゃ全部
契約を締結しない。そういたしますと、向こうでは使用料を供託いたします。供託いたしますと、一応合法的になりますので、私
どもとしてはそれを強制退去さすことはできない。結局裁判で争うか、あるいは本人がほんとうに納得してすっきりした形にするか、あるいはいま先生のおっしゃったように、もう中間者とテナントが徹底的に争うか、そういうところまで実は事態が深刻化しているわけでございます。
ちょっとおわかりにくかったかと思いますが、私
ども最近の裁判で非常に弱っておりますのですが、これは東京高裁に控訴いたしましたので、私
どもはあくまでも賃借権を認めていないというたてまえを堅持してまいりますけれ
ども、はたして高架下をいま貸しているあの姿が賃貸借なのか、あるいは無名
契約なのかというその根本問題にさかのぼり、それが解決できますれば、非常にすっきりするというふうに思っております。その点、問題が全国に全部影響いたしますので、非常に重大な問題でございますが、私
どもといたしましては、どっちかにそろそろ考えなければいけないというふうな事態に立ち至っておることだけを申し上げておきます。