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1969-03-17 第61回国会 衆議院 決算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年三月十七日(月曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 中川 俊思君    理事 大石 武一君 理事 鍛冶 良作君    理事 白浜 仁吉君 理事 丹羽 久章君    理事 田中 武夫君 理事 華山 親義君    理事 吉田 賢一君       海部 俊樹君    亀岡 高夫君       田澤 吉郎君    竹下  登君       中川 一郎君    中曽根康弘君       早川  崇君    水田三喜男君       赤路 友藏君    石野 久男君       浅井 美幸君  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         法 務 大 臣 西郷吉之助君         外 務 大 臣 愛知 揆一君         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君         文 部 大 臣 坂田 道太君         厚 生 大 臣 斎藤  昇君         農 林 大 臣 長谷川四郎君         通商産業大臣  大平 正芳君         運 輸 大 臣 原田  憲君         郵 政 大 臣 河本 敏夫君         労 働 大 臣 原 健三郎君         建 設 大 臣 坪川 信三君         自 治 大 臣         (北海道開発庁         長官)     野田 武夫君         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      保利  茂君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      床次 徳二君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長行政管         理庁長官)   荒木萬壽夫君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 有田 喜一君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      菅野和太郎君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      木内 四郎君  出席政府委員         内閣法制局長官 高辻 正巳君         人事院事務総局         職員局長    島 四男雄君         警察庁長官官房         長       浅沼清太郎君         警察庁刑事局長 内海  倫君         北海道開発政務         次官      近藤英一郎君         北海道開発庁総         務監理官    馬場 豊彦君         防衛庁人事教育         局長      麻生  茂君         法務省刑事局長 川井 英良君         大蔵政務次官  上村千一郎君         大蔵省主計局次         長       船後 正道君         大蔵省主計局次         長       海堀 洋平君         厚生省児童家庭         局長      渥美 節夫君         農林大臣官房長 大和田啓気君         農林省畜産局長 太田 康二君         農林省蚕糸園芸         局長      小暮 光美君         食糧庁長官   桧垣徳太郎君         郵政政務次官  木村 睦男君         建設省河川局長 坂野 重信君  委員外出席者         総理府人事局次         長       宮内 通雄君         大蔵省主計局主         計官      金光 邦夫君         大蔵省主税局税         制第一課長   安井  誠君         通商産業省公益         事業局技術長  藤井  孝君         会計検査院長  山崎  高君         会計検査院事務         総局次長    佐藤 三郎君         会計検査院事務         総局第二局長  石川 達郎君         会計検査院事務         総局第三局長  増山 辰夫君         北海道東北開発         公庫総裁    酒井 俊彦君         参  考  人         (電源開発株式         会社総裁)  大堀  弘君         参  考  人         (電源開発株式         会社理事)   石井由太郎君         専  門  員 池田 孝道君     ――――――――――――― 三月十七日  委員石田博英君、椎名悦三郎君、篠田弘作君、  菅波茂中曽根康弘君及び水田三喜男君辞任に  つき、その補欠として中川一郎君、亀岡高夫君、  田澤吉郎君、山田久就君竹下登君及び海部俊  樹君が議長指名委員に選任された。 同日  委員海部俊樹君、亀岡高夫君田澤吉郎君、竹  下登君、中川一郎君及び山田久就君辞任につき、  その補欠として水田三喜男君、椎名悦三郎君、  篠田弘作君、中曽根康弘君、石田博英君及び菅  波茂君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和四十一年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十一年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十一年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十一年度政府関係機関決算書  昭和四十一年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十一年度国有財産無償貸付状況計算書  〔総理府所管警察庁北海道開発庁)、北海  道東北開発公庫、全所管〕      ――――◇―――――
  2. 中川俊思

    中川委員長 これより会議を開きます。  昭和四十一年度決算外二件を一括して議題といたします。  この際、おはかりいたします。本件審査のため、本日参考人として電源開発株式会社より副総裁大堀弘君並びに理事石井由太郎君の方々に御出席を願い、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中川俊思

    中川委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。      ――――◇―――――
  4. 中川俊思

    中川委員長 それでは、総理府所管警察庁北海道開発庁及び北海道東北開発公庫について審査を行ないます。  これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。華山親義君。
  5. 華山親義

    華山委員 四十一年におきまして、融資実額計画よりも七十五億というふうに下回っておりまして、それにつきましての御説明説明の中に書いてありますので、その点につきましては触れませんが、この数字を見ますと、東北に比べて北海道のほうが多いようでございますけれども、何か北海道につきましては特殊の原因があったのかどうか伺いたいと思います。
  6. 酒井俊彦

    酒井説明員 昭和四十一年度の公庫融資状況でございますが、仰せがありましたように、七十億くらい減少いたしました。これにつきましては、四十一年四月のこれは期待額でございますが、北海道が百五億九千六百万円、東北が百七十六億五千万円、それに東北災害関係が、これは昭和石油でございますが、三億七千五百万円という御期待があったのでございますが、昭和四十二年一月付で見ますと北海道は百三十四件……。
  7. 華山親義

    華山委員 すみませんけれども、数字等私存じておりますから、なぜ北海道東北よりも下回り方がひどかったかということだけひとつお願いしたいと思います。
  8. 酒井俊彦

    酒井説明員 下回り下がひどかったということでございますが、実は私ども政府関係金融機関でございまして、景気が非常にダウンしておりまして、私のほうが実際に金を出してやろうというようなことを言いましても、企業側のほうがそういう計画は実はわれわれはまだちょっと早いというようなことがありましたり、それから工事計画が具体的に固まっておりませんものがあります。それからまた工事の繰り延べということによりまして一これは経済情勢によるものだと思いますが、それによりまして取り下げになりまして、それから融資条件にかなっていないものが出てくるというようなことで、一般的に民間の出足がわれわれが考えておりましたように伸びなかった、こういうことが原因だと考えております。
  9. 華山親義

    華山委員 時間もございませんので、おわかりにならなければそれでもいいのですけれども、融資の下回ったことは事実。そしてあの年もまたそういう年であったので、下回ることもあると思うのでございますけれども、この下回り方、下回りの割合が北海道のほうが東北よりもひどい。なぜ北海道に特にそういう傾向があらわれたのか。東北に比べて特殊の事情北海道にはあるのか、こういう点を伺ったのでございますけれども、いかがでございますか。
  10. 酒井俊彦

    酒井説明員 わかりました。北海道におきましては実は水産関係その他が非常に不漁の年でございまして、それに関連する設備投資等も手控えられたというようなこともございます。それから一般的にいいまして、不況のために購買力が下回っておりましたので、御承知のようにああいうところでございますから、農産物その他の買い上げというのが少なくて、設備投資をして製品をつくるというふうなことがなかった。また石炭がだんだん斜陽化しまして、この辺の購買力もだいぶ落ちたということでございます。
  11. 華山親義

    華山委員 それでわかりましたことは、東北もその中に入りますけれども、特に北海道におきましてはこの年には景気のダウンが強かった。特有の事情としては農産物なりあるいは漁業等の不振、石炭の不振ということが重なったんだ、こういうことでございますね。  それから出資をされておりますね。北海道につきまして二件、二億、東北につきまして二件、二億、これは融資でなくて出資をなさるというのはどういう原則に基づいての出資なのでございますか。
  12. 酒井俊彦

    酒井説明員 出資につきましては、これが五年、十年くらいの間採算がとれない、しかしもしそれが成功すれば非常に地域の開発に役立つということでやっておりまして、非常に公共性の強いものにやっております。
  13. 華山親義

    華山委員 従来からの実例を私二、三知っておりますけれども、いま総裁のおっしゃられたようなことばかりではないようでございますが、それにつきまして、具体的には出資をなすったのは北海道の二件はどういうものなのか、東北の二件はどういうものなのか、総裁おわかりでなければ係の方でもよろしゅうございますが、お伺いしたい。
  14. 酒井俊彦

    酒井説明員 北海道の二件は、苫小牧開発というもの、これは苫小牧で新港を掘っております。それから苫小牧埠頭、これは雑貨その他港運関係を扱う会社でございます。それから東北につきましては、実は御承知日本パーチクルボード更生のために――失礼しました。四十一年度は出資東北はございませんでした。
  15. 華山親義

    華山委員 東北で二件二億と書いてある。
  16. 酒井俊彦

    酒井説明員 全体としまして、いまの日本パーチクルボード、御承知と思いますが、これの更生のために仙台のほうで潤滑油をやる、それによって会社を生き返らせるという関係もございまして、それに出資をしたわけでございます。
  17. 華山親義

    華山委員 東北は二件。もう一件はどこですか。
  18. 酒井俊彦

    酒井説明員 もう一つ秋田天然ガスのパイプラインの会社がございますが、これに出資いたしております。秋田県、あの辺で天然ガスをずっと象潟その他へ配る会社でございます。
  19. 華山親義

    華山委員 私の知っている限りにおきましても、出資とするのか融資とするのかということにつきまして、必ずしも明確な基準がないように思われる。出資は大体の場合に固定的な資産に出されておるようにも考えられますけれども、こういう点はよほどきちんとした原則で今後も処理されていただきたいと思うわけであります。  次に滞貸償却引き当て金の残高五十五億七千万円、こういうことに相なっておりますが、今後特に、先ほどもお話がありましたけれども、北海道におきましては石炭不振等がございますし、石炭のみならずこれに関連するところのいろいろな産業にも影響があるのじゃないかと思いますが、今後この滞り貸しが多くなる、そういうふうなことが特に北海道方面につきまして予見されませんか、どうですか、お伺いしたいと思います。
  20. 酒井俊彦

    酒井説明員 滞り貸し等につきましては、幸いにしまして、最近また少し景気が上昇してまいりまして、環境がよくなりましたので、そういうことはないと思っております。ただ、いままでの滞り貸しにつきましては、すでに更生計画処理されてしまったものもございます。これから運用してまいります場合に、できるだけそういう滞り貸しがないように、また融資をいたしますにつきまして、できるだけそういう滞り貸しを生じそうなものは、運用なり出資、そういうことにしない方針十分担保等も取ってやりたいと思っております。  またいまお答え漏れしましたが、出資の場合の方針はどうか、これはおっしゃるように非常にかちっと明確にはなっておりません。ただ非常に公共性が強くて開発効果があがるというもの、それの固定資産の五割、これは業務方法書あるいは法律できまっております。
  21. 華山親義

    華山委員 私は長くお願いするのもどうかと思いますけれども、その点、私の耳に入ること、あるいは目に触れることは、まことに少数のことで特別のことだから、私の耳に入ったり目に入ったりするんでございましょうけれども、この出資融資の面につきまして混乱がございましたり、また滞り貸しにつきましてございましたり、そういう面につきまして、まことに残念ではありますけれども、いろいろほかからの圧迫、ほかからの圧迫ということばが悪ければ要請、そういうことに左右されているのではないかと思われる面も、疑えば私自身としては疑えるわけであります。そういうことがないように、過去においてそういうことはなかったということであればなおけっこうでございますけれども、ひとつお気をつけ願いたい、そういうふうにお願いをいたしたいと思います。  これで北海道のほうは終わります。
  22. 酒井俊彦

    酒井説明員 他からの影響によりましてそういうことになったというものはいままでございません。これははっきり申し上げますし、これからもそういうことのないようにしっかり引き締めてやりたい、かように考えております。
  23. 華山親義

    華山委員 北海道開発は、官庁の機構といたしまして、実施の面におきまして、ほかの官庁と例のないほど複雑な面がございますね。いろいろな計画なり予算なりは北海道開発庁につく、それを今度は各省に組みかえる、そういうふうなことで、実施は今度は関係各省、たとえば建設省なり農林省なりの指揮監督のもとに実施をする、まことに例のないやり方をやっているわけでございます。それにつきましては法律の規定もございますので、いまここで改めろと申すようなことになりますと、時間も長くなりますのでその点は省略いたしますが、このようなときに、いろいろ事業施行上の誤りがあった、そういう責任予算の振りかえを受けた各省にあるのか、北海道開発庁自体にあるのか、この点について伺いたい。
  24. 馬場豊彦

    馬場(豊)政府委員 お答えいたします。  開発庁仕事やり方華山先生のおっしゃるとおりでございますが、誤りがあったときの責任についてお答えをいたします。開発庁の本庁では、開発計画調査事業調整を主としてやっております。予算がきまりますと、それを関係各省に移しがえをして、事業実施は、直轄事業につきましては北海道開発局各省大臣の直接指揮を受けて実施をしております。したがいまして、その間、事業執行上の点がありますと、おっしゃるように各省大臣のほうに指摘があるのは当然かと思います。ただ事業調整計画等をやっておりますので、開発庁のほうもそういう指摘を片側で受けるのは当然でございまして、過去においても開発庁指摘があったこともございます。
  25. 華山親義

    華山委員 そうしますと、関係各省北海道開発庁というものは共同責任ということになるのでございますか。
  26. 馬場豊彦

    馬場(豊)政府委員 事業執行に関することは、各省大臣責任でございます。
  27. 華山親義

    華山委員 会計検査院に伺いますが、会計検査院は、いろいろな問題が起きたときにこれを問責追及する場合には、どの役所にやっておりますか。
  28. 増山辰夫

    増山会計検査院説明員 北海道開発庁の場合は、いまお話しのように予算が、たとえば建設省それから運輸省農林省に移しかえあるいは特別会計に繰り入れになりまして、その事業実施指揮監督各省大臣が持っておられるわけであります。ですから、事業実施上の責任各省大臣にあると私ども考えております。
  29. 華山親義

    華山委員 補助事業につきましてはどんなことになっているのでございますか。開発庁から伺います。
  30. 馬場豊彦

    馬場(豊)政府委員 直轄事業は先ほどのとおりでございまして、補助事業につきましては、やはり事業執行各省大臣から、たとえば北海道庁に補助するには、道庁のほうに直接参ります。市町村に補助する場合には、道庁を通じて市町村のほうに参ります。
  31. 華山親義

    華山委員 これを指揮監督するのはどちらですか。
  32. 馬場豊彦

    馬場(豊)政府委員 やはり事業執行は、各省大臣責任執行いたします。
  33. 華山親義

    華山委員 そういたしますというと、東京の北海道開発庁というものは企画官庁である、実施官庁じゃない、あれは実施官庁上級官庁じゃないというふうに理解してよろしゅうございますね。
  34. 馬場豊彦

    馬場(豊)政府委員 先ほどちょっと申し上げましたように、北海道開発庁調査は自分で直接やります。事業実施だけ各省大臣責任を持ってもらっておりますので、事業実施官庁ではございません。
  35. 華山親義

    華山委員 北海道開発局職員身分はあなたのほうで持っていらっしゃる、こういうことでございますか。
  36. 馬場豊彦

    馬場(豊)政府委員 ことばが足りませんでしたが、身分については北海道開発庁長官開発局職員責任を持っております。
  37. 華山親義

    華山委員 事業執行誤りのあった場合に、身分についてはあなたのほうで処置される、事業執行については各省が持つ、そういうことで各省が統一がとれますか。
  38. 馬場豊彦

    馬場(豊)政府委員 身分上は持っておりますので、もし誤りがあった場合には、身分上の処分等は全部開発庁長官がやっております。支障がないかというお話しでございますが、過去においてはそれでもって実施をしておりまして、支障がないと思っております。
  39. 華山親義

    華山委員 非常に異例なあり方だと思うのでございますけれども、その根本には、私は北海道開発庁あり方に問題があるように思われます。また開発局事務というものは、いろいろな面で各省やり方が違っているわけです。実施の面ではそう違わなくても、書類の形式とか報告とかいろいろな面で違っていると思いますけれども、そのことにつきまして末端の開発局が不便を感じているということはございませんか。
  40. 馬場豊彦

    馬場(豊)政府委員 事業実施につきましては、ずいぶんほかの省が関係いたしておりまして、特に大部分は建設省運輸省農林省仕事をやっておりまして、これが先生のおっしゃるように形式等が全部一致していれば不便はないわけでございますが、若干やはり仕事性質によりまして一致してない点がございます。ただ、現地関係事務者は、少なくとも年に一回は会合を開きまして、事務改善を毎年やっておりまして、統一できるものは統一して処理をしております。完全に一致する点までいっておりませんが、性質上やむを得ないものもございます。それからそういう処理は多少繁雑でございますが、過去において間違いを起こしたことはございません。
  41. 華山親義

    華山委員 北海道地下資源開発株式会社、そういう名前でしたか、ございましたね。名前は違っておるかもしれませんが、そういう会社解散になりましてただいま清算中と思われますが、清算はいつごろになると終わりますか。
  42. 馬場豊彦

    馬場(豊)政府委員 正確に言いますと北海道地下資源開発株式会社であります。昨年解散になりましてただいま清算中でございますが、五月末をもって清算事務を終了する予定でございます。
  43. 華山親義

    華山委員 清算の結果、一般会計から持ち出しになるようなことが予想されますか。
  44. 馬場豊彦

    馬場(豊)政府委員 清算計画を立てて実施しておりまして、この会社政府出資金をもとにやっておりまして、その出資金範囲内で清算をするということになっておりますので、それ以上の追加はいまのところは予定されておりません。
  45. 華山親義

    華山委員 欠損のまま済ますというわけにはいかないのでございますから、清算する以上、こういう会社でもありますし、一般会社とは違うわけですから、政府あと始末をしなければいけないが、その際に、政府から持ち出しをして債務を完結するということが可能かどうかということをいまの見込みでお聞きしているわけです。
  46. 馬場豊彦

    馬場(豊)政府委員 清算が終わってみないとわかりませんが、いまの見込みでは新しい持ち出しがないという見込み清算事務も逐一報告を受けておりますから、きょうな可能性はないと思います。
  47. 華山親義

    華山委員 ここに、就業された職員というのは相当専門家で優秀な人も多かったわけでございますけれども、このあとの再就職といいますか、そういうものの状況はいかがになっておりますか。
  48. 馬場豊彦

    馬場(豊)政府委員 昨年の八月時点で解散をいたしまして、それから残務整理清算をやっておるのでございますが、当時の職員のうち、解散に伴ってやめる方々が全部再就職をいたしたわけでございます。残務整理にただいま十二名残っておりまして、残務整理のでき次第、政府機関のあっせんによって再就職をはかっております。目下のところ、十二名のうち二名はすでに内定しておりまして、あとの十名もいろいろ配慮しておりますので、五月末の完了予定時には全部再就職ができる見通しでお世話をしておる次第でございます。
  49. 華山親義

    華山委員 次に警察庁にちょっと伺いたい。  いま問題になっておりまして、同僚の田中委員からもお聞きになっているわけでございますけれども、報償費の問題でございます。まことに失礼ではございますけれども、私お話を聞いておりますと非常にたよりない。たとえば機密費にかわるものとしておあげになるのが交際費であったりいたしますが、そんなことはありません。昔の機密費というものはいまないのでございますけれども、これにかわるべきものは何かということであれば、これは報償費なんです。交際費機密費にかわるものなどという考え方は全部間違いです。  それからもう一つは、これもまたあとで問題を起こすといけませんので取り消すなら取り消していただきたい。田中委員の質問に対して、ピストルの暴発があって、その際にけがをした相手方との示談によって二百万円でしたかで話が済んで、その二百万円の金は報償費から出したとおっしゃったが、報償費からそういうふうなものを出せるわけがないじゃないですか。間違っておるならば、あとで問題が起こるといけないから取り消しておいていただきたい。また、何から出たのかきちっと言っていただきたいと思うのです。
  50. 浅沼清太郎

    浅沼政府委員 お答え申し上げます。  第一点の交際費報償費でございますが、両方とも警察庁に費目がございまして、交際費はこの前申し上げたような使途に使います。報償費先生すでに御承知のとおりでございまして、各省、各庁の長がその所管行政を円滑にするために功労、寄与のあった者に対して予算範囲内で支出するというたてまえでございまして、そのたてまえに基づきまして、警察庁といたしましては表彰を受けた者に対する副賞、表彰金あるいは部外の協力者に対する報償あるいは賞じゅつ金あるいはさっきのお話しのように……。
  51. 華山親義

    華山委員 それはわかっている。昔の機密費というものはいまの交際費だと言ったから、間違いではないかと私は言うのです。
  52. 浅沼清太郎

    浅沼政府委員 その点、私のお答えが不十分であったことをおわびしたいと思いますが、機密費というものは現在はございません。  それから示談の場合県費で出しました、たしかあのとき二百万円とお答えしましたが、これは警察庁にあります報償費ではございませんで、県費で支出をいたしております。
  53. 華山親義

    華山委員 機密費というものは、教えるようでまことに失礼だけれども、かつての戦前の機密費というものは、これは会計検査院の検査を受けない全くベールに包まれたものなんです。報償費というものはとにかく何に使うかということをきめてあるわけです。ただ会計検査院の監査が一部簡易監査になっているということなんですね。そういう点をよくひとつ心得ておいていただきたい。まことに質問になりませんけれども、明白に区分していただきたいと思うのでございます。  会計検査院に伺いますが、この警察庁報償費、これは全部が簡易監査じゃない、簡易証明じゃない。一部は普通のものと同じように扱っているように私聞いておりますけれども、そうですか。
  54. 石川達郎

    ○石川会計検査院説明員 お答え申し上げます。  報償費につきましては、その一部が簡易証明の措置をとっているということはこれは御指摘のとおりでございます。警察庁につきましては表彰の経費あるいは賞じゅつ金につきましては、これはあるいは物件等で支給する場合等もございまするし、簡易証明による必要もなかろうということで、普通の証明をさせているわけでございます。ただ報償費のうち協力者に対する報償、これにつきまして簡易証明を認めているわけでございます。
  55. 華山親義

    華山委員 田中委員からあとでまたいろいろ御質問もあるかと存じますが、保留されておりますので、あの問題につきましてはいまここではお尋ねいたしません。ただ一つ、傷を受けた人とか、死んだ人とかに報償費から出されるという予算が来年度に組まれているということでございますけれども、大蔵省にお聞きいたしますが、そうですか。
  56. 金光邦夫

    ○金光説明員 おっしゃるとおりでございまして、従来からもそのとおりに組まれております。
  57. 華山親義

    華山委員 予算単価は死んだ人には幾らで、傷ついた人には幾らですか。
  58. 金光邦夫

    ○金光説明員 特に予算単価というものではございませんで、従来の経緯から計上してございます。
  59. 華山親義

    華山委員 警察庁は、その場合場合によって違うかもしれませんけれども、どういう額を、大体において死んだ人には幾ら、傷の程度によりましょうけれども、傷ついた人には幾ら、大体の見当でよろしゅうございますから、お聞かせ願いたい。
  60. 浅沼清太郎

    浅沼政府委員 お答え申し上げます。  死亡、いわゆる殉職でありますが、または不具廃疾のような重傷者に対しましては、賞じゅつ金を支給をいたしております。賞じゅつ金は、警察職員が危害を加えられ、または災害をこうむることの予知できるにかかわらず、あえてそういう職務を遂行したという場合に出るのでございまして、金額でございますが、その功労の程度その他によっていろいろございますけれども、見当で申し上げますると、殉職者賞じゅつ金は最高二百万円、一番下が五十万円でございます。それから不具廃疾者の賞じゅつ金、これは最高百五十万円、一番下が二十万、これはそれぞれの功労の程度その他によりまして違ってまいりまするけれども、大体そういう額でございます。
  61. 華山親義

    華山委員 死者は大体平均して百万円と考えまして、多いか少ないかの問題はここで論じませんけれども、大体給料の何日分くらいになりますか。
  62. 浅沼清太郎

    浅沼政府委員 お答えいたします。  ただいまの功労特に抜群の者最高二百万円の場合は、千五百十日分でございます。功労多大な者で五十万円といいます場合には、三百七十五日分でございます。
  63. 華山親義

    華山委員 地方公務員には、公務によって傷を負い、死亡した場合には、これを補償する法律がある。災害補償法といったと思いますけれども、国家公務員災害補償法、地方公務員災害補償法がある。そうして死亡した場合には千日分ときまっている。私はいま警察のやり方についてかれこれ申しません。ただ各庁がかってにこの千日分にプラスアルファをつけていくことが許されることなのかどうか。これは自衛隊についてそういうことがあるのかどうか。自衛隊では一体どれだけのプラスアルファをつけているのか。自衛隊でも飛行機のテストパイロットとか、災害の場合とか、危険な仕事があるわけです。また、厚生省にしたところが、麻薬取締官はきわめて危険な仕事をしている、そういうふうなことにプラスアルファ、こういうことになっておりますが、プラスアルファの実態を、総理府の人事局はあるということを考えられてこの立法をなすったのかどうか、伺いたい。
  64. 宮内通雄

    ○宮内説明員 お答え申し上げます。  ただいまの御質問は公務員等の災害補償法の問題になりますから、これにつきましてはその実施並びに解釈につきまして権限を持っております人事院のほうからお答え願いたいと思います。
  65. 華山親義

    華山委員 立法をされたのはあなたのほうですから、立法なすったときにはそういうことを考えたかと言っている。
  66. 宮内通雄

    ○宮内説明員 私のほうは、人事院のほうから専門の調査、研究をまちまして、その意見の申し出を受けますと、それによって立法の過程に移すわけでございます。
  67. 華山親義

    華山委員 時間がなくて困るのだけれども、あなたのほうで立法したのでしょう、その法律は。だからそのときに各省がプラスアルファというものがあるのだということを知って立法したのか、そういうことには無関係に立法したのかということを聞いている。
  68. 宮内通雄

    ○宮内説明員 お答え申し上げます。  ただいまの点につきましては、私どもはその事実は承知いたしております。
  69. 華山親義

    華山委員 プラスアルファということのあることを知って立法をしたわけですね。
  70. 宮内通雄

    ○宮内説明員 ただいまの御質問は、私、法形式の問題と理解いたしましたが、答弁は不十分でございましたから次のように直したいと思います。  御承知のように、公務災害によりまして国家公務員が死亡または負傷いたしました場合に、補償法による補償が行なわれることはこれは御指摘のとおりであります。ただこれとは別途に、警察庁等の官庁におきましては不具、廃疾または死亡の場合に報償費から別途の賞じゅつ金が出されるわけであります。ただこの賞じゅつ金は、本来その行為が特に賞すべきものである、そういった見地から表彰の一環として制度化されておりまして、したがって、そういう角度から行なわれておりますので、そういう意味合いにおきまして承知いたしております。
  71. 華山親義

    華山委員 大蔵省ではわかっていませんか。この賞じゅつ金なるものが自衛隊ではどうやっているか、警察の中ではどうやっているか。そういうふうな内容は予算編成のときによくごらんになると思いますけれども、わかっておりませんか。
  72. 金光邦夫

    ○金光説明員 担当が違うのでございますが、防衛庁の場合は、死亡した場合は警察と大体同じでございます。それから不具、廃疾になった場合は、国家公務員災害補償法の別表に定める一級から八級にしぼりをかけておりまして、そのほかいろいろの場合がございますが、以上のような状況でございます。
  73. 華山親義

    華山委員 とにかく答えがあいまいで、みなわからぬ。そんな何も、りっぱなお役人なんだ。出すべきものはきちっとして出したらいい。何かこうもやもやとして出すから、国民は、何か気の毒な人に――こういうふうな問題から発足することはまことにどうかと思いますけれども、何か役得でもあるような、公然でないものが出ているような印象を受けるわけですよ。  私はここで、時間がありませんから提案をいたしますけれども、危険を顧みず、危険な仕事であるということをわかってそこに行ったために傷を受けた、あるいはなくなられたというふうな場合には、やはり報償ということでなしに、賞じゅつ金なら賞じゅつ金として公然とお出しになったらどうですか。そうしてそれについてやはり一定の基準というものをおきめになる。これを法律ならば法律でもよろしい、しかし私は、党として聞いておりませんけれども、きめて、そしてそれは各省が平等でなければいけない。人事院はその公平を保つ意味からそのようにこれを見ていったらいい。最終の決定権は人事院がやったらいいと私は思う。そうでないと、各省が何かばらばらになって、特に私は最近省葬なんといって、高級官吏が省葬なんかやるということはまことにけしからぬと思っている。そういうプラスアルファ的なものはできるだけやめて、公然となさることを私はここでお願いしておきたい。人事院のお考えを伺っておきたい。いかがでございますか。
  74. 島四男雄

    ○島政府委員 ただいまの御質問の御趣旨は十分わかっておりますが、立法論としてはいろいろの考え方があろうと思います。現在の補償法の考え方は、あくまでも公務災害を受けた場合にそれを補てんするいわゆる損害賠償の性格でございますので、賞じゅつ金のような、いわば表彰制度の一環として行なわれるものとは性格を異にするという考え方のもとに、従来立法経過においては賞じゅつ金等については災害補償法に盛り込んでおらないわけでございます。ただ今後そういうものも補償法のワク内にある程度考える余地があるのではないかというお考えには、私ども十分傾聴いたして今後検討してまいりたい、こういうふうに思います。
  75. 華山親義

    華山委員 ことばはまことに悪いのでございますけれども、そういう功労者に対してやみでやってはいけない、政府は明確にやりなさいよ。やみでわけのわからないベールの中でやってはいけないと思う。そのことを御注意申し上げて、私はこれで終わります。
  76. 中川俊思

    中川委員長 浅井美幸君。
  77. 浅井美幸

    ○浅井委員 開発庁長官にお伺いしたいのですが、北海道倶楽部から寄付を受けた林町宿舎の問題について、若干お伺いします。  本来国で建てるべきところの国家公務員の宿舎を、一民間の倶楽部から寄贈を受けているということですが、倶楽部が自発的に寄贈したのかどうかわかりませんが、あなたのほうがこれをすんなり抵抗なしに受けたということに非常に問題があると思うのです。この点はどうでしょうか。
  78. 近藤英一郎

    ○近藤(英)政府委員 お答えいたします。  公務員宿舎は、元来設置する場合は、国有財産法あるいは国家公務員宿舎法等の関係法令に基づいて、購入とか建設、寄贈、寄付あるいは借り受け等の方法でなされることになっておるのですが、ただいま御指摘の林町の宿舎につきましては、その受け入れにいろいろの経緯があったようでございますが、これについてはその詳細について総務監理官から経過の御報告をいたしたいと思います。
  79. 馬場豊彦

    馬場(豊)政府委員 御質問にかかります林町宿舎につきまして簡単に経緯を御説明申し上げます。  北海道開発庁昭和二十五年にできまして、当初の職員は大部分北海道関係から参っております。さようなことで、東京における宿舎がとりあえずございませんでしたので、当時北海道倶楽部が持っておりました林町の土地を借りまして、国でまず独身寮をつくりまして、その後世帯用のものをふやして職員が住んでおったわけです。それが昭和三十八年ごろになりまして、北海道倶楽部が財産処分をしたい、ついては土地の処分をしたいのだが、上にある宿舎の整理をしたいと、かような申し出がありまして、一方、居住者がおりますので、三百数坪のうち百坪分だけに新しい建物を建てて、住んでいる方をそこへ収容する、さようなことで残りの二百坪を資産処分として倶楽部がやりたいと、かような話がありまして、北海道倶楽部もおっしゃるように自主的な申し出でありますし、私のほうも職員がその場所からいなくなってしまうということは非常に困りますので、さような話を受けて、手続的には総理府のほうにお願いをして、新しい百坪の土地とそれから三階建てのアパートでございますが、その建物の寄付を受けた次第でございます。
  80. 浅井美幸

    ○浅井委員 この北海道倶楽部というのは、いろいろと知事さんも入っておられるそうでございますが、大体北海道出身の経済界の人たちが中心になって進められております。学校等でもPTAからの寄付行為というのは非常に前向きでこれを規制していこうとしております。しかるに国がこれらを堂々と受けておる。非常におかしいと思うのですがね。昭和二十三年の一月三十日の閣議決定でも、官庁は寄付を受けることを抑制するようにということになった。寄付行為については各主務大臣の認可が要るのだと思いますが、これはどうですか。
  81. 馬場豊彦

    馬場(豊)政府委員 二十三年の閣議決定ではおっしゃるようになっておりまして、ただいまおっしゃいました主務大臣はこの場合内閣総理大臣でございまして、総理大臣の認可を受けて特別に寄付を受けております。
  82. 浅井美幸

    ○浅井委員 この閣議決定の内容については、三十年にもう一ぺん改められて確認して、「寄付金の抑制について」の中には、「官庁の諸経費は予算でもってまかない、これがため、行政諸施策は国家財政との関連において実行可能のものに限定するようつとめること。」この項目がありますけれども、閣議決定でこのようにきめられてあるものがどうしてこのように受けられることになったのですか。
  83. 近藤英一郎

    ○近藤(英)政府委員 いまの御指摘の問題ですが、閣議決定のとおりやっておるのであります。
  84. 浅井美幸

    ○浅井委員 閣議決定のとおりやっておると言っても、その閣議決定の中に、「官庁の諸経費は予算でもってまかない、」とある。当然宿舎は予算でもってまかなうことなんでしょう。寄付を受けたのは予算でもってまかなったのですか、何が閣議どおりですか、答弁願います。
  85. 近藤英一郎

    ○近藤(英)政府委員 この宿舎の寄付の受け入れについては、総務監理官からお答えいたしましたとおり、特別の経緯がございましてやったのでございまして、いま経過の御報告があったとおりでございますが……。
  86. 浅井美幸

    ○浅井委員 そんなことを聞いておるのではないのですよ。特別の経緯があれば、この閣議決定の「官庁の諸経費は予算でもってまかない、」という項目は無視されてもいいのですか。それを私はいま聞いているのじゃないですか。特別の経緯とは何ですか。民間団体から寄贈を受けることについては主務大臣の認可を受けなければならないし、閣議決定においては、官庁の諸経費は予算でもってまかなわなければならぬとしているじゃないですか。それをいま、まかなってなかったじゃないですか。だからどういうわけだと聞いているのです。
  87. 馬場豊彦

    馬場(豊)政府委員 ちょっと説明不足かもしれませんが、先ほど申し上げましたように、まず林町宿舎ができました当初は、三百坪の土地を借りて、借り賃を国に払っておったわけです。その上に建てました建物は、国の経費で独身寮を建てて、そこに収容しておったわけでございます。
  88. 浅井美幸

    ○浅井委員 行政に疑惑を感ずるから一これを寄付することによって、北海道庁と北海道の地元の財界人とのつながりが特別にできるじゃないですか。関係ができるから、これがいわゆる行政への疑惑の根本になるから、みんながいかぬと言っているわけでしょう。その点について、特別の理由があったならばいいなんということでは済まされませんよ。政務次官、答弁してくださいよ。
  89. 近藤英一郎

    ○近藤(英)政府委員 お答えいたします。  確かに御指摘のとおり、倶楽部の構成メンバーは経済界の方々が入っておるわけでありますから、いろいろ疑惑を受けるようなことになることについてはまことによくないと思います。今後そういう点については十分注意していきたいと思っております。
  90. 浅井美幸

    ○浅井委員 時間がありませんからそれで終わりますけれども、こういう問題が重なってくることが、われわれの指摘するところの、あなた方が明朗でない行政を行なっているのではないかといわれる原因になるわけですから、よく注意してもらいたいと思います。  次に、政務次官にお伺いしますが、北海道開発コンサルタント株式会社、こういうものが設立されておりますが、これについて、開発庁からこの民間会社に多数の天下りがあります。この問題をお聞きしたいと思いますが、北海道開発庁北海道開発コンサルタント会社に支払った金額と内容を年度別にまず教えてもらいたいのです。
  91. 近藤英一郎

    ○近藤(英)政府委員 総務監理官からお答えさせます。
  92. 馬場豊彦

    馬場(豊)政府委員 年度別の詳しい資料はないのですが、四十一年度は調べてございますので、四十一年度についてお答えをいたしますと、北海道開発局から北海道開発コンサルタント株式会社へ発注した件数は二百九十五件でございまして、金額は四億五千四百七十四万五千円でございます。
  93. 浅井美幸

    ○浅井委員 もう一ぺん元へ戻しますが、この開発コンサルタント株式会社というものの設立目的は何ですか、これは民間会社でしょうね。
  94. 馬場豊彦

    馬場(豊)政府委員 民間会社でございます。設立の目的は、建設工事調査、設計、監理等の業務をやっております。
  95. 浅井美幸

    ○浅井委員 この出資金の割合でありますけれども、この出資金について国から出ておりますか。
  96. 馬場豊彦

    馬場(豊)政府委員 コンサルタント会社出資金は出ておりません。
  97. 浅井美幸

    ○浅井委員 この契約は、コンサルタント会社に対して発注量が二百九十五件、四億五千四百七十四万円出ましたですね。これに対する支出の予算科目は何になさっていますか。
  98. 馬場豊彦

    馬場(豊)政府委員 主として開発事業費でございます。調査費も入っておりますので、一部調査費もございます。
  99. 浅井美幸

    ○浅井委員 契約はどうですか。
  100. 馬場豊彦

    馬場(豊)政府委員 委託契約が主でございます。
  101. 浅井美幸

    ○浅井委員 そうすると、全然ほかの業者はなしに、この民間のコンサルタント株式会社だけに独占的に注文をなさっていらっしゃるわけですね。
  102. 馬場豊彦

    馬場(豊)政府委員 北海道にまことに建設関係の技術者が少ないということと、それからほかに特に設立当初はこういう会社がございませんでした。したがいまして、当初は特に結果的に北海道開発コンサルタント会社に発注したものが多かったわけでございますが、独占的に初めから指名をして入札しているということではございません。ほかに適当なものがあればそれも入れるわけでございますが、いま申し上げました事情で実質的にはほとんどこの開発コンサルタント会社に発注した例が多くなっております。
  103. 浅井美幸

    ○浅井委員 例が多くなっているというあなたのお話しですけれども、独占的にこのような民間会社をつくって、北海道開発庁がこれに対して初めから企画に参画しておる。だから多数の天下り人事になる。このコンサルタントの全体の仕事量というのは六億三千八百万円じゃないですか。その中の四億五千四百七十万円というのは約八割以上じゃないですか。それだけの発注量をやって支出の予算科目は開発事業費と調査費、そして競争入札ではない、独占的にこれは明らかに初めから話し合いが行なわれておる。だからこういう別会社の民間会社をつくって多数の天下り人事をやっておる。人員は一体何人天下りしたのですか。
  104. 馬場豊彦

    馬場政府委員 ただいま開発コンサルタント会社の従業員は約三百名おりますが、そのうちまあ天下り人事というのは当たらないかと思いますが、開発局並びに北海道庁の出身者、これが五、六十名占めて「おります。
  105. 浅井美幸

    ○浅井委員 これはいまの北海道開発コンサルタント株式会社の社長は津田さんですね。津田賢次、これは元開発局の首席開発調査官、これは開発庁をやめたのが、退職年月日は三十五年五月三十一日、社長に就職しているのが三十五年六月一日ですね。これはどうですか。
  106. 馬場豊彦

    馬場政府委員 その津田社長についてはそのとおりだと思いますが、ただその当時の事情といたしまして、先ほどもちょっと申し上げました北海道関係の特殊な技術者というのが不足でございましたので、官庁におりました技術経験を生かした人を登用するというようなことで、さような次第になったものと存じております。
  107. 浅井美幸

    ○浅井委員 人事院の方にお伺いしたいのですが、こういうのは、国家公務員が五月三十一日に退職して六月一日に直ちに民間会社に就任できるのですか。
  108. 中川俊思

    中川委員長 職員局長帰ったの。――それではあとから……。
  109. 浅井美幸

    ○浅井委員 それじゃ長官、このことについて、三十五年五月三十一日に退職して、六月一日に次の社長に就任しているのですが、この件どうですか。
  110. 野田武夫

    ○野田国務大臣 これは私は、おそらく人事院のほうと交渉をもっておりますから、その間の詳しい事情を知りませんが、やはり当然開発庁職員から社長になったのですから、人事院との交渉の経過と思いますから、それは人事院からやはり一ぺん聞いていただかないと、内容ははっきりわかりませんが、適当な何と申しますか、正式な折衝機関をもって正式にやったものだ、私はそう思っています。
  111. 浅井美幸

    ○浅井委員 長官、これは人事院の規則に定めておるのは、退職後二年間はこのような社長だとかあるいは重役にはつけないことになっているはずです。それがいまついておる。そればかりか、一番最近は四十三年四月一日ですけれども、この三十五年、三十六年、三十七年、三十八年と、これだけの、五十三名ものいわゆる部長あるいは課長、係長、こういうメンバーがどんどんどんどん北海道開発庁から、とのような民間のところへ天下りして、事業が差しつかえないのですか。組織ぐるみの天下りじゃないですかこれは。先ほど来の話から、これは明らかに国の出資もない民間会社です。その民間会社に、五十三名もこの短い期間の間にどんどんどんどん有能な国家公務員の人材が民間会社に天下りしておる。そのことについて長官どうですか。
  112. 野田武夫

    ○野田国務大臣 これはいま御指摘のとおりの会社になっておりますが、この内容を見ますと、北海道庁、市町村及び市町村会並びに民間から出資してこの開発コンサルタントをつくった。しかもその人事は北海道開発庁からもいっておりますが、北海道庁からも相当多数いっておるようであります。その当時の事情は、おそらく北海道開発という非常に大事な職責において、できるだけ、この会社をつくった以上はその目的を完遂するために、むだがないように、従来の経験、技術、そういうものを動員してやったほうがこの目的は達成できる、こう考えてこういう人事になった、私はそう思っております。したがって、いま御指摘の、いわゆる直ちに開発庁からいったのかどうかということは、これは人事院とのそのときの折衝等がありますから、ぜひそれをお聞き願うとけっこうかと思いますが、この目的と、それから多数の開発庁職員が入るのと北海道庁から入ってきたという事実におきまして、この会社の目的をひとつりっぱに、しかもすみやかに達成したい、こういう意図のもとにやったことだ、こう思っております。
  113. 浅井美幸

    ○浅井委員 それはいいことなんですか。民間会社に公務員がどんどん天下りをする。大量の人たちが天下りをして民間会社が興れは。――国家の行政のほうに支障があると私は言っておる。その国家の行政に支障があるものについて、あなたはその民間会社が発展すればそれは国の行政が発展することであって、国家公務員の人たちが天下りすることについては何ら問題ではない、あるいは北海道開発庁の行政が支障を来たしても問題はないとおっしゃるのですか。
  114. 野田武夫

    ○野田国務大臣 もちろん、北海道開発庁の業務が支障を来たすということはいいことではないし、また当然それは避けねばならぬことであります。そのときの事情でございますから、詳細に知りませんが、北海道開発庁北海道庁から入ったということは、支障のない範囲で選考したかと思っておりますが、あなたのおっしゃったとおり一つ会社ができたからそこにみんな入る。その場合に役所の仕事支障を来たす、これは絶対避けねばならぬことだし、いいことだということはもちろん言えないことです。
  115. 浅井美幸

    ○浅井委員 先ほどから私の言っていることは、いまあなたのことばはわかりますけれども、常務取締役、これらのメンバーが全部北海道開発庁の役人ですよ。その役人が全部天下りをして、政府出資金も出ていない、一民間会社を盛り立てるためにこれだけの人たちがいって、業務が差しつかえないのですか。そんな不必要な人たちを北海道開発庁はたくさんかかえていらっしゃるのですか。
  116. 野田武夫

    ○野田国務大臣 もちろん不必要なものはかかえておるはずはありません。当時の事情を私は詳細に知りませんが、ちょうど北海道開発計画の軌道に乗るころであって、相呼応してやったほうがいい、こう考えたのじゃないかと思いますが、それはあなたのお示しのとおり、役所の仕事支障があって、その支障を顧みずそういう人事をやったということならば、これはもう実に不合理なことであって、これはその当時はもちろんだが、今後ももちろんそういうことはあるべきことじゃありませんが、おそらくこの開発の目的を達成するにそのほうが、北海道開発庁北海道庁から動員して、早くひとつその目的の遂行にあたりたいというような気持ちでそういう人事をやったんじゃないか。これは推測ですから断定はしませんけれども、私はそう感じがいたしております。
  117. 浅井美幸

    ○浅井委員 あなた、推測しないほうがいいと思うのですよ。この開発調査官だとか建設部長だとか企画室長だとか工事事務所の所長だとか、――一ぺん五十何人の役職全部読みましょうか。係長、河川係長、道路調査係長、営繕監督官それから石建庶務係長そして土木試験所地質研究室副室長、橋梁係長、土質研究室副室長、建設監督官、開発専門官、これらのメンバーは、係長や課長やあるいは局長がどんどん行って、事業が差しつかえない、そしてまたこの民間会社をつくることが北海道開発をしていく目的にのっとっているからたくさん行ったんだと思われる、そういうあなたの解釈ですか。
  118. 野田武夫

    ○野田国務大臣 当時の事情はよくわかりませんが、おそらくそういうことで北海道庁とも打ち合わせて、そうしてお互い人事の動員計画をやろう、そうしてひとつ仕事を早く進めようというようなことがもとであって、しかしいまお示しになったことを見ますると、私は実は多少の行き過ぎがあったんじゃないかという感じをいたしております。しかしその事情がよくわかりませんものですから、おそらく人事院とも折衝していると思っております。しかし私の言うとおりその大きな目的は、ちょうど北海道開発庁北海道開発計画を遂行する、それにはどうしてもそういうような組織が必要だ。ついてはこれは普通の技術家ではいけない。北海道をほんとうに知って、いままでのいろいろの北海道開発計画に参加した者とかあるいはそういう者の技術とかそういう者の手腕とか頭脳とかというものを動員したほうがいいんじゃないか、そういうような考え方でその組織ができたと思っております。しかしいまお示しのとおり、内容を聞きますると、それは少し行き過ぎであったという感じが私自身もいたしております。
  119. 浅井美幸

    ○浅井委員 委員長、いま行き過ぎであるという話でありますけれども、長官の話では、当時の事情を知らないと言っているんです。もう一ぺん長官に当時の事情をよく調べていただきたいと思うのです。人事院が来ましたら私もう少しこれを聞きたいのですが、このことを一ぺん聞いておいてもらいたいのです。現在の社長であるところの津田賢次さんは当時主席開発調査官であったのです。この人は主席開発調査官でありながらこの開発コンサルタントの設立に対して非常に力を入れておった。したがって発起人総会にもこの人は出ておる。現職のときに、そういう民間会社をつくるときに出ておる。明らかに自分が退職する、先の会社に就任する、その会社の設立のときの話し合いに出ていて、そしてこの開発コンサルタント株式会社をつくることを非常に推進した。ですから明らかに事前にこのような民間会社をつくることについて在任当時からいろいろと画策をしておった、このように見られるわけです。いま長官の話を聞いておりますと、民間会社でも大きな目で見るならばみんな国益になることは間違いない。そこで、民間へいわゆる高級公務員あるいは公務員が天下りをすることは非常に問題になってきておる。しかもその会社の約八割を現在は開発庁自身が発注をしておる。四億五千四百七十四万円、二百九十五件の発注量を出して、そうしてコンサルタント全体の仕事量の八割以上を北海道開発庁は発注しておる。この事実について、そのような民間の会社をどんどんこれからも、ほかにももう一つ北海道開発のために役立つ民間会社ができるならば、このような事実、いままでと同じような事実がこれからもなされても長官はいいと思うのですか。
  120. 野田武夫

    ○野田国務大臣 いや、現在においては開発庁開発計画北海道庁の開発計画も大体軌道に乗っておりますし、特別役所の者を動員して新しい会社をつくってやるような必要が現在はありません。したがって、またそういう場合がいろんなほかの事情でかりにありましても、現在の開発庁職員を多数そういう会社にやるというようなことは、開発庁自身も困りますし、またやるべきことではないし、その点は御指摘のとおりであります。  当時を私多少聞いてみますると、コンサルタント会社設立のときは何しろ十年も前でございますし、技術者がまだ非常に少なかったのと、北海道開発がまだ軌道に乗っていない、そこで開発庁あたりは、若い職員が大ぜい行って、ひとつ北海道開発に取り組もう――自分の仕事ももちろんやっているけれども、コンサルタントの仕事でいろんな設計なんかをやるものですから、そのほうが基本的だというような考えで、いま御指摘のような若い職員が相当そのほうの会社に入った、こういう事情も一面あるようであります。それが非常に正しいことかということになりますと、私さっき申しましたとおり、これだけの大ぜいの職員会社に入っていくというようなことは、これは少し行き過ぎじゃないかというような感じをいたしております。今後はもちろんそういうことは絶対にあり得ない。何十人一ぺんに行くというようなことはあるものじゃありません。ただ十年前の北海道は、その開発というものが、すべての計画も未熟であったし、技術者も少なかったという特殊の事情があったということは、私はやや推定できる、こう思っております。
  121. 浅井美幸

    ○浅井委員 いま長官は十年前十年前とおっしゃる。これは三十五年、三十六年だけの話ではない。この天下りは三十七年、三十八年から四十三年まで続いておるというんですよ。最近までこれはずっと続いておって、五十三名、三百人の職員のうちの六分の一、そこまでの人事が行なわれなければならないかということなんです。  もう一つお伺いしたいのですが、このような民間会社の設立総会のときに、国家公務員がそこに参画して出席をしておるということについては、これは国家公務員法違反じゃないですか。
  122. 野田武夫

    ○野田国務大臣 おそらく発起人のほうで、何か開発庁の今後の意向を聞きたいとか何とかいうような、お客分として行ったかと思いますが、これはもちろん発起人としての態度をとったり、またその間に公務員としての立場を離れての態度をとる、姿勢をとるということは、これは不謹慎でありますから、おそらくそのときはいろいろ北海道開発事情を聞いたり、今後の計画を聞くために呼んだのじゃないか、こう思っておりますが、私はもちろんそういうところに公務員が行って発起人と同様の態度をとるということは不謹慎だと思っております。
  123. 浅井美幸

    ○浅井委員 いま一ぺん重ねて申し上げますけれども、総理が来るまでもう少し……。  発起人の中に入っていらっしゃるのです。この津田さんはじめ、このときに在職しておる取締役、常務、この人たちが発起人の中に入って、そしてまだ退職をしていなかったそのときにそのままそこに出席しておる。そしてこれが設立に対して、これだけの短い年月の間に多量の人たちが行くということは、あらかじめ北海道開発庁とコンサルタントが話し合いをしておかなければ、人事の問題で、あるいは今後の会社の運営に対して、これはだれが行くのだというポストをきめておかなければ、会社の設立なんかできるはずがない。だからあらかじめ、そのような北海道開発庁と一民間会社とが密着をしておるという明らかな事実が、これだけの大量の天下りになってきたわけであります。それを私は長官に言っているのです。
  124. 野田武夫

    ○野田国務大臣 これはまあ株式会社でございますから、もちろん営利会社になりますが、普通の営利会社と違いまして、このコンサルタントの創立のぐあいを見てみますと、北海道庁、市町村市町村会とかいうような、そういう公共団体が中心になって企画しておるようでありますし、その間にやはり北海道開発庁との関連もありますから、ここにそういう関連でいろいろなそういう御疑念、しかも不合理な点を御指摘になるような点があったと思っております。しかし動機といたしましては、いま申しましたように道庁はじめ地方公共団体が主として、もちろん民間も少し入っておりますが、こういう計画をし、創立したのでございますから、開発庁との連絡がどういうふうであったか知りませんが、普通のいわゆる営利会社の民間会社に対する態度と、多少の感覚といいますか、感じ方の違いがあったというようなことはわからぬでもないと思っております。しかし、事柄としては御指摘どおりやはり不合理な点が多いようでありまして、今後はこういうことは開発庁としても厳に慎みたい、こう思っております。
  125. 浅井美幸

    ○浅井委員 総理お見えになったので、私もこれで終わりますけれども、あとでまた総理にもこの問題、関連してお伺いしたいと思うのです。  要は、このようななれ合いでもって民間会社をつくり、そこへ北海道開発庁からいわゆる国家公務員の多数の天下り人事がある、そして発注量がいわゆる八割以上をこすような民間会社をつくってきた、これについては国民はどうしても疑惑を抱かざるを得ないし、大問題でありますので、この点については後ほどまたもう一度聞かしていただきたい。  私の質問は以上で終わりたいと思います。
  126. 中川俊思

    中川委員長 これにて警察庁北海道開発庁及び北海道東北開発公庫に対する質疑は終了いたしました。  以上をもちまして昭和四十一年度決算外二件に対する各省所管審査を終了いたしました。      ――――◇―――――
  127. 中川俊思

    中川委員長 これより昭和四十一年度決算外二件について締めくくり総括質問に入ります。  御承知のごとく、これら各件は第五十八回国会に提出され、本委員会に付託されて以来、今日まで長時間にわたり、予算が効率的に使用されたかどうかを中心として審査を行ない、本日をもって各省所管審査を終了いたしました。  これより各省所管審査の経過に基づき、各件についてしめくくりの総括質問を行ないます。  なお内閣総理大臣の御出席は午後二時までとなっておりますので、あらかじめ御了承を願います。  この際、各委員質疑に入る前に際しまして、委員長より総理大臣に御質問を申し上げます。  先般来、総理大臣も御承知のとおり、衆議院の議院運営委員会におきましても、天下り人事が議題に供せられております。さらに行政管理庁におきましても、天下り人事についていろいろ資料を提出しておるようでございますので、本委員会におきましても、先般、公共企業体等に特に天下り人事が多いので、過去五カ年間における各公共企業体の役員の給料、経歴等につき、その資料の提出を要求いたしておりましたところ、本日その御提出が内閣からございました。これを拝見いたしますと、各企業体の給与その他が実にてんでんばらばらで、国民から見ますと、一体何の規定に基づいてこういう給与が支給されておるのかどうかという疑念がかなりあるようにうかがわれるのでございます。御案内のとおり、国家公務員には国家公務員法がございますし、さらに給与規定もございます。それぞれの規定に基づいて給与が支給されておると思うのでございますが、公共企業体にはそういうものがないように伺っておるのであります。したがって、内規等によってそれぞれ各企業体が個々別々に給与を定めておるのではないかというふうに考えられるのでございますが、もしそうだといたしますならば、公共企業体の役員に対しましても、給与規定であるとかあるいは公務員に準ずる規定を立法化すべきが妥当ではないかと存じます。公共企業体は公務員ではないという疑義もございますが、なるほど公務員ではございませんけれども、財政投融資によってほとんど全額国庫が支出しておる企業体が非常に多いわけでございますから、当然準公務員としてさような給与規定であるとかその他の一般採用規定等を設けるべく、立法が必要ではないかと存ずるわけでございますが、この点について総理の御所見を伺っておきたいと存じます。
  128. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 委員長御自身からお尋ねをいただいておる問題でございますので、これまた当委員会の問題でもあろう、かように思います。  公務員の天下り人事というのが批判の対象になっておりますが、私は公務員といえども、その所を得て、そうして国家、社会に奉仕すること、働ける間は働くことがよろしい、実はかように考えております。しかしどうも、ひもつきであるためにとかく誤解を招きやすいような言動がある、こういうことは慎まなければならない、かように思いますが、天下り人事が悪い、こう一口にはなかなか言えないのじゃないのか、かように思います。ただ給与がたいへん高いという、そういう意味から、いま給与について、内規もけっこうだが、法律をつくったらどうか、こういうお話ではないかと思います。いままでも公共企業体等の役員の給与、これは民間の給与とある程度の均衡を保つというか、そういう意味でこれと取り組んで内規をつくっております。しかし、その内規のつくり方が、公共企業体等が全部が一様ではございません。ある程度の差がどうしてもできてくる。しかし、これがいわゆる公務員から公共企業体に移ったその瞬間に給与等の待遇が変わっておりますので、ずいぶん奇異の感がしたり、ときに、ある一つの公共企業体に勤務して、やめてもう一つの次の公共企業体に移るという、そういうような場合だと、退職金を二重に取るとか三重に取るとかいうような問題が起こって、いままでもしばしば指摘され、それらについて主務官庁がずいぶん注意をしてまいったところであります。しかし、この問題は、いまの内規にいたしましても、民間の給与との関係一つの基準はつくっておる。また公共企業体同士でも、それぞれの格といってはいかがかと思いますが、大小等、またその仕事性質等にもよりましてある程度の差がある、かように考えておりますが、いま委員長から、ここまできたら、もうそろそろ立法化したらどうだ、こういう御注意でございますから、それらの点について全体をひっくるめて、公共企業体の役員のあり方、これをどうしたらいいか、そういうことももう一度検討してみることにしたい、かように思いますので、この点をひとつ御了承いただきたいと思います。
  129. 中川俊思

    中川委員長 これより各委員質疑に移ります。  質疑の通告がございますので、順次これを許します。丹羽久章君。
  130. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 私は自由民主党を代表して、昭和四十一年度決算外二件について、当決算委員会で審査してまいりました結果、感じたこと二点につきまして、総理大臣の決算等に対する基本的姿勢を伺い、総括質問といたしたいのであります。  第一点は、決算の重要性とその取り扱いについてであります。  決算の国会への提出は、憲法の第九十条により「国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。」となっており、これに従う財政法の第四十条には「内閣は、会計検査院の検査を経た歳入歳出決算を、翌年度開会の常会において国会に提出するのを常例とする。」と規定しております。  このことは国民の税金でまかなわれる国の収入支出に対し、その結果を国民の前に明らかにしようとするものでありますが、一方、国の収入支出についての決算が国会に提出された際、国会においては、その重要性にかんがみ、内閣から国会へ報告される一般報告的書類等とは異なり、これが決算委員会における議案の対象として取り扱われまして、会計検査院の提出の報告書、その他を参考といたしまして慎重な審査が行なわれ、これらの支出に対する批判検討がなされることは御承知のとおりであります。  またこの決算委員会における約一年間の審査結果は、単なる国の財政支出についての批判のみにとどまることはなく、将来の国の財政支出に対する警告ともなって、政府に今後の是正措置を要求する決議が行なわれているのであります。しかしながら、これらの決議に述べられる諸点は、毎年同様な問題の繰り返しにすぎないものもあって、その結果は必ずしも満足すべきものとはなっておりません。  そこで今回は、例年の決議の中に当決算委員会が示した諸点について、政府はその後どのような措置をとったかについて、次年度の決算が次の通常国会に提出されるまでに、当委員会へ報告願うようにしたいと思うのであります。これにより従来より一そう国民の代表である委員会の委員の意思を反映することができるとともに、今後の決算審査を、より実り多いものとすることができると考えるのであります。  憲法第八十三条には「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。」と、財政民主主義の原則を掲げており、これは国民が財政をコントロールする意味を述べたもので、近代国家としては当然のことであると思います。したがって、国会の議決により政府予算執行し、その結果として収入、支出の決算を国会に提出し、批判を受けることになるのであります。このような意味において、政府は当決算委員会の審査の結果ともいうべき決議に述べられた事項について、慎重な配慮のもとに改善措置された結果を、国会すなわち本院でありますが、報告するよう要望するものであります。  この点決算の重要性と決算審査により決議をされる政府への要望事項の措置状況報告について、総理大臣はどのような考え方を持っておられるかお伺いいたしたいと思います。
  131. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 冒頭に決算の重要性について触れられました。私も同様の感を持つものであります。予算、決算、これは二つとも車の両輪のごときものだ、事後の審査が決算であり、事前の審査予算だ、かようにいわれておるゆえんもそこにあるわけでございます。さように考えますと、政策その他が所期の目的を達するように、国の経理、国の財政がそういうように使われるかどうか、これを事後に審査することはまことに重要であります。  そこで、ただいまお話しになりましたように、当委員会が決議した事項、その扱い方についていろいろ注文があり、御要望をいまされたのであります。国会の決議、これはいずれの場合におきましても尊重するのが政府責任、責務であります。さような意味におきまして、当然決算委員会における諸決議については、政府はこれを尊重していく、これは当然のことであります。尊重した結果改善を加えた事項等については、できるだけ早目にこれを御報告する義務もまたあろうかと思います。そういう意味におきまして、ただいまの御意見を交えてのお尋ねに対し、私も同様に考えます。今後政府といたしましても、御趣旨のあるところを十分理解して、そしてその決議の趣旨に沿うように、この上とも努力してまいるつもりであります。
  132. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 第二点は、国の財政支出と受益者負担のあり方についてお尋ねいたしたいと思います。  国の財政支出は、社会開発あるいは公共事業、保険事業等多様な事業に支出を行なっております。国民の税金が国民の共通の公共的なものになって還元されているものがあるが、これこそ国がなすべき重要な財政支出であると考えるのであります。近年国の予算規模がますます増大し、その内容が複雑多岐にわたることは、一方においてその支出目的をかなり整理した上で支出しないと、有効な予算執行とはなり得ないという心配が生ずるのであります。  そこで予算をいかに合理的かつ科学的に支出するかについては、大蔵省に付置されている財政制度審議会においても、国の予算、決算及び会計の制度に関する重要事項を審議しており、その他地方制度調査会等国の諮問機関でも財政支出のあり方が検討されており、所管大臣あるいは内閣総理大臣に対してその内容が答申されているが、私は、その予算執行する上で基本的に整理しておかなければならない重要事項の一つとして、受益者の負担、すなわち国の財政支出により国民生活に与える影響の度合いにより、受益程度に応じて、これをみずからが負担する考え方が必要ではないかということを考えるのであります。  限られた国の予算の中で、すべての問題に予算を支出することは困難であります。したがって予算支出は当然重点項目をある程度定めることになろうかと存じますが、たとえば補助金、委託費、交付金等についてもその精神が生かされていなければなりません。補助金による団体が親方日の丸というようなあり方では困るのであります。また道路、河川、下水道、住宅、交通等公共事業において用地の買収を行なった結果、著しく受益を受ける者に対して、応分の経費負担をさせることが必要であると私は考えるのであります。  しかし、法令における受益の限度でこれが受益者に負担をさせるべきものである。すなわち、たとえば道路法の第六十一条には、受益者負担金の問題について「道路管理者は、道路に関する工事に因って著しく利益を受ける者がある場合においては、その利益を受ける限度において、当該工事に要する費用の一部を負担させることができる」こういう規定がされておりますが、受益の限度の判定がむずかしく、いまだにこの条文の活用がなされていない実情であります。  国の財政支出の硬直化といわれる原因一つには、このような受益者に対する問題もあり、負担の公平という基本的考え方を定め、限られた国の予算に、効率的にしかも政策的な弾力ある財政支出をすることを考慮する必要があると思いますが、総理大臣のお考え方を承りたいと思うのであります。
  133. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 受益者負担の原則は今日も認めておりますし、また今後も続くであろうと思います。ただ、どこまでが受益者の支出し得る経費か、そこらにいろいろの問題があるだろうと思いますから、この受益者負担の原則はともかくとして、実施にあたりましては十分それらの負担能力その他について精査する必要があるだろう、かように私は思います。
  134. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 ありがとうございました。
  135. 中川俊思

  136. 田中武夫

    田中(武)委員 四十一年度の決算締めくくり総括質問を行なうわけですが、きょうは許された時間が三十分しかございませんので、総理に集中してお伺いいたしたいと思います。ほかの閣僚の方々にはそのあとでまた質問することになっておりますので、そのようにお願いいたしまして、まず総理にお伺いたします。  今回の米韓大空輸演習といいますか、あれにおける沖繩の基地の使用状態、さらに、これは結局は中止になりましたが、これと時を同じゅうして自衛隊が、日本海からの上陸作戦に対する演習を予定せられておったようであります。こういうことをあわせ考えましたときに、どうも米日韓の間に共同作戦というようなことが考えられる。さらに、この基地の使用状態が、これから行なおうとする沖繩返還後の基地のあり方一つの見本ではなかろうか、こういうようにも思われますが、こういうような点について総理はどのように考えておられますか。
  137. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 時間もあまりないですから、あるいは簡単に申しますので、十分御理解を賜わりたいと思います。  申し上げるまでもなく、日本の場合は憲法あるいはまた自衛隊法がございます。したがって、日米安全保障条約を締結しておりましても、この憲法、自衛隊法そのもとに縛られておる自衛隊でございます。他の言い方をすれば、他国に対して出かけるようなものではない。一朝事ある際にわが国の防衛の任に当たる。また、そういう意味で日米安全保障条約を締結しているということであります。ところが、アメリカが、米韓の関係の条約におきましては日米の場合とこれは異なっておりますから、いま施政権を自由に行使しておる沖繩の基地を米韓の関係で使う、そしてそれが今回の演習にもなった、こういうことだと思いますが、その果たしておる役割りは非常に大きいことであります。いまの状態で私どもはとやかく言うわけにいかない。沖繩返還した暁においてこれは一体どうなるか、かように考える。ここにこの国会を通じての沖繩返還問題のむずかしさがあり、基地の取り扱いのむずかしさがあるわけであります。しかし、また重ねて申しますが、沖繩自身が日本に返還されて祖国に復帰したその暁においては、沖繩は、もちろん憲法はそのまま実施されることになる。また安全保障条約自身も、特別の定めなき限り本土と区別すべき何ものもない、実はかように思っております。したがってこの沖繩が今日わが国並びにわが国を含む極東の諸地域に対してその安全確保上果たしておる役割りの非常に大きいこと、これは十分私どもも認識しなければならない。返還にあたってこういう点を全然無視してこの返還と取り組むわけにはいかないと思います。しかしながら、それかといってただいま申すように、憲法を除外して返還はあり得ないのでありますから、そこにむずかしさがある。私が、まだ基地について白紙だ、かように申しておりますが、しかしこの国会を通じての与野党の論戦等を通じて、だんだん私の白紙もある程度方向が固まりつつあるのではないか、かようにマスコミあたりも見ております。したがって、それらの記事も観測も、私は肯定も否定もしておらないというのが現状でございます。しかしただいま御指摘になりましたように、沖繩が返還された後にどういうような役割りをするか、おそらくそういう事柄はいまの日本の憲法上、また特別な取りきめなき限りとは申しますものの、本土と区別することはなかなか困難ではないか、私はかように思い、これがわが国民の世論、また皆さんが考えておられるような自然的な要望でもあるのではないか、かように思ってアメリカと取り組むつもりで、ただいまいろいろ準備を進めておる次第でございます。したがいまして、直接に沖繩が果たしておる役割りというよりも、田中君のその御質問の趣旨は、一体沖繩をどうするのかということじゃないかと思うので、その方向を主にただいまお答えした次第です。
  138. 田中武夫

    田中(武)委員 予算総括で入れかわり立ちかわり質問をいたしましたが、白紙だと言われた。参議院へ参られましてからは若干ニュアンスが変わったのではないか、こういう印象も受けております。それはともかくとして、わが党としてはもちろん反対でありますが、本土並みということがよく言われておる。この沖繩が本土並みということは、逆にいえば本土が沖繩並みになるのではないか、これは思い過ごしかもしれませんが、そういう懸念が一つあります。さらにもう一つは、これは隣国としてある程度の関心を示すことはやむを得ぬと思いますが、台湾、韓国等がこの返還に対して反対だとかいろいろな議論を向こうの国会等でもやっておるようです。しかしこれはあくまで沖繩返還交渉は日米間の問題である、したがって台湾あるいは韓国があまりとやかく言うことは内政干渉ではないか、このように思いますので、総理、交渉にあたってはあまり雑音に耳をかさないように、こう希望いたしますが、いかがでし工う。
  139. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 韓国あるいは中華民国等いろいろ御意見はあるだろうと思いますが、しかし積極的に政府に対して何らの申し入れもございません。ここらはわれわれも十分そういう点も考えて、相手の国も、韓国、中華民国もそれらの点を考えて、内政干渉にならないようにというふうに考えているんだろうと思います。それについて田中君から御注意がありましたように、本来の日本の総理として外交を進めていけという御鞭撻をいただいたその点は、私もそのつもりでございます。  もう一つの問題の沖繩の基地が特別な扱い方をされると本土が沖繩基地化する。いままで言われておる、何といいますか、社会党の諸君やなんかはそういう言い方で、たいへんあぶない、いまの本土の状態でいいのだ、それを守れ、こういう意味から、特別な取りきめをすると本土が沖繩化されるのだ、こういうような危倶を持っておられるようであります。しかし私が冒頭に申しましたように、日本の憲法がそのまま沖繩に適用されるのだというそのこと自身は、沖繩が本土並みに扱われるということでございまして、社会党の言われることはやや間違いが起こるのじゃないか。憲法は沖繩から始まるわけじゃないので、憲法は本土から始まっている。その憲法が沖繩にいくので、沖繩に別な憲法があって、それが日本本土に適用になる、私、こうは思いませんので、基本的に違う。  非武装中立にいたしましても、とにかくこれはそれとして別問題でございますが、いま言われるように、こういう機会に私どもが武装をより強化して軍国主義に返る、かような危険はございません。日本をどこまでも守っていく、日本の存立を確保し、安全のためにどういうようにしたらいいのか、そこに頭を悩ましている、それでまだ白紙だと言っている、こういうことでございますから、その辺の誤解のないようにお願いいたします。
  140. 田中武夫

    田中(武)委員 時間がないのが残念で、議論を避けます。  そこで、総理、ものごとの交渉にはよくギブ・アンド・テークと言われますが、おそらく無条件で沖繩を返すとは思わない。私は、法律的には違法の占領だと言っているのだから、事実問題としてそういうことはないと思うのです。そこで、返すかということに何か荷物がつくのじゃないか。考えられることは、自衛権の強化、あるいは東南アジアその他の開発途上国に対する援助の肩がわり等が考えられると思うのですが、これはやってみないとわからぬといえばそれまでですが、こういう点について総理の決意があればお伺いしたいと思います。
  141. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いま田中君御自身が結論を出しておられるので、やってみなければわからぬ、こういうことでございますが、そういうように言われますが、私は、返還がうまくできればそれに越したことはございません。そうして交渉する場合に、アメリカの肩がわりをするということを予想して出かけるつもりもございません。いま言われますように、沖繩が、軍事的にアメリカに日本がかわり得るもの、それはただ単に沖繩の防衛だけだ、かように私は思っております。沖繩がアメリカから返ってくれば、小笠原の場合も同様ですが、日本の守備範囲になるということ、これはもうはっきりしておる。その防衛の責任は日本が第一に負う、これだけはあります。  また経済的に肩がわりする何か要望があるのじゃないか、こういうことでございますが、いま開発途上国に対する各国の援助、これは先進国の当然の責務だ、かように実は考えて「おりますので、アメリカが負担しておる経済援助を日本がかわって引き受ける、そういうものではございません。いままでも日本自身がアジアにおける唯一の先進国として果たしておる経済協力、経済援助、これはどこまでも独自の立場でみずからが決定した方向でありまして、今後もその独自の方向できめることに変わりはございません。したがって、いろいろ御注意はたいへんありがとうございますけれども、いま沖繩が返ってくる、その肩がわりを要求されるのじゃないか、かように私は考えません。まあ日米間の状態でも何もかも信頼するというわけじゃなくて、時に疑問を持つことがあっても、それは当然いいことだと思います。しかしながら両国間の基本的な態度は、相互の理解と信頼にある、かように考え、その意味においてスタートしておりますから、ただいまのような疑念は起こらない。また何か私どもが経済援助をした場合に、それはどこまでも独自の立場においてやることでございますから、それを了承いただきたい。  それから、いまのような肩がわり論が出るについては、もう一つ申し上げたいのは、私ども相手と交渉するのでありますから、やはり外交上のフリーハンドはある程度持ちたいと思うのです。そこにやはり何もかもきめてかかるという、そういうわけにはいかないというか――もちろん国論、それを背景にして初めて外交の成り立つことは私もよく承知しておりますから、国論を無視して外交するつもりはありませんけれども、ある程度のフリーハンドをもって交渉に当たること、それはお許しを得たい、かように思います。
  142. 田中武夫

    田中(武)委員 そこで海外協力ないし援助についてお伺いするのですが、詳細なことは各関係省庁のところでお伺いします。基本的なことだけをひとつ総理にお伺いいたしますが、現在この海外経済協力につきまして窓口が外務あるいは通産、大蔵、経済企画庁、さらに基金、輸銀等まちまちであります。そのために一括してこれがつかみかねる。また交渉等においても、私はそれぞれの内容によって変わってくるであろうと思うのですが、これはやはり窓口を一本化する必要があるのじゃないか。そういうことが一点。したがって予算におきましても、大蔵省あるいは外務省あるいは経済企画庁、輸銀、基金、どうもつかみにくいのです。輸銀、基金は別といたしましても、一般会計における予算計上等も、これはもちろん説明書ですか、にはあげてありますが、これはもっとはっきりと窓口を一本化し、予算も一本化するという方法はどうかと思うのです。そのことについてが一点であります。  それからこれは幾度も問題になるのですが、一応予算で国会の承認を得ているということで、予備費の使用、あるいはまたこれは行政上の外交権によってやれるという協定等々でやられておって、これが国民の外で行なわれる。行政権のみで行なわれる。国会もわからない。こういうことが多いわけでございます。私はいずれにいたしましても、新たに国が協定その他によって債務を負担する場合は、これは憲法八十五条でいう国庫債務負担行為である、こういうことで従来も議論をしてきたわけですが、そこで、ひとつ一々憲法論にさかのぼって論議をしなくてもいいような方法として、経済援助等がこれから多くなります。したがって窓口、予算の一本化とともに、これに関するひとつ単独立法でもお考えになったらどうか、このように思いますが、いかがでしょうか。
  143. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 窓口の一本化の問題でございますが、いままで経済援助で私ども非常に心配したのは、わが国の戦前における発展の場合です。この場合はいわゆる軍国主義、そこで軍国主義的な侵略行為、それはやはり経済侵略につながるという、そういう見方をしばしばされた。しかしもう今度は敗戦した日本が経済援助をいたしましても、その感じ方はよほどなくなってまいりました、これはまだ一部どこかに残っておるようにもあると思う。そこで私は心配があるのです。経済援助をすることは、これはわが国の平和と繁栄にもつながることだ、そういう意味で、せっかくわれわれが財政的な負担までして経済援助をすると、相手が誤解している、そういうことではこれはたいへんたまったものじゃない、かように思っておりましたが、これはだんだんよくなってきた。そこでそんな観点から見ると、ただいまの窓口が一本でないところに実際のうまみがほんとうにあるのじゃないだろうか。私はこれをもし一本化して、そうして経済援助がどんどん進むと、あるいは国内においても今度は政策を基本的に変えて、何か経済侵略でもやるかのようにとりやすい、そういう誤解を招くんじゃないかと思います。これは反対する理由としてはきわめて弱いものですが、また実際問題から申しますと、外務あるいは大蔵、さらに通産、また経済企画庁等々の各省関係し、お互いに理解し合って協力して、初めて経済協力ができる、かように実は思うので、私はいまの制度がわかりやすくなるためには、一本化することも望ましいことですけれども、お互いにチェック・アンド・バランスとでも申しますか、そうしてわが国の繁栄、平和と矛盾しない方向で海外援助が行なわれること、これがやはり望ましいのじゃないかと思っております。しかし、簡単にさように申しましても、せっかくこういう点を考えろという御注意でございますから、なお検討はしてみるつもりでございますけれども、ただいまの状態がしばらく続くのじゃないか、かように御了承いただいておきたいと思います。  それからもう一つは、特別立法しろという、これも一つの理屈ではございます。しかし、御承知のように、予算で一応承認され、またその他の金の使い方についてはそれぞれの基本立法がある、こういうことでございますから、その言われたような極端な場合ですね、行政だけで処理する、そうして国会もそれを知らない、審議の方法がない、こういうのは、極端な例ではないかと思います。しかし、なお不備があれば、国会の審議を受けるのは当然のことですから、そういう意味においてなお十分注意してみること、これは私も気をつけてみますけれども、ただいまのところでは一応済んでおることじゃないか、かように思っております。
  144. 田中武夫

    田中(武)委員 一本化の問題につきましては、長短あるといたしましても、これはひとつ前向きに検討していただきたい。  それから単独立法という問題ですが、これは総理、あまりこまかいこと御存じないかもわからないと思うのですが、発表になったもの、発表しないもの、そして予算あるいは法律範囲内という逃げことばで国会審議等を逃げておるのがたくさんあるわけなんです。これはひとつ私は検討してもらいたい、こう思うわけなんです。  それから海外経済協力がどのような効果をあげておるか、こういうことについても、これは国民の血税でありますから、無関心ではおれない。そこで、昨年も予算委員会で私はこれが追跡調査のことを提案したわけなんです。それであるかどうか知りませんが、ことしはインドネシア、パキスタン、インド、韓国等々へ調査団というのを派遣せられ、また、せられる予定になっておるようですが、しかし、これはどうやら外務大臣の諮問機関というかっこうである。ちょっといささかわれわれの考えと違うようなんですが、この追跡調査ということ、これは相手国の主権との関係もありましょうが、これはもっと私は真剣に考える必要があると思うのです。そういう点についてはいかがでしょうか。
  145. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いまの最初の二つの問題、重ねての御要望については、私も誠意をもって検討するようにいたしたいと思っております。したがって先ほどのは、ただことばだけでつじつまを合わしたということではないと御理解をいただきます。  それからいまの追跡調査の問題、これは最も大事なことだと思っております。今度は各国が経済協力しておる、それをやはり共同追跡調査とでも申しますか、一つ調査団が、はたしてわれわれが所期したような目的に使われておるかどうか、そうして効果をあげつつあるかどうか、その辺を十分調査する、かような考え方でございます。  ところで、いま外務省が窓口になる、どうも外交の問題になりますと、外務省が窓口にならざるを得ない。ただ調査する場合に、各省もちろん協力してその責任を果たす、こういうことであってほしい、かように思っておりますので、人選その他については十分注意をいたしますが、やはり窓口は外務省になる、かように御了承いただきます。
  146. 田中武夫

    田中(武)委員 その調査が、いわゆる財界のための調査で終わってはならないと思います。税金を払う国民の側、国会でいうならわれわれ決算する側に立っての調査がひとつ必要ではないか、このように思うわけであります。  そこでこれは、きょうは総理だけだと言っておってほかに飛んで恐縮ですが、会計検査院長として、これも先方の会計検査院との関係もあると思いますが、海外調査、追跡調査を考えるべきじゃないか。それから委員長に提案いたしますが、国会といたしましてもこれを検討する必要があるんじゃないか、こう思うわけでございます。それぞれの簡単な御答弁をお願いいたします。
  147. 中川俊思

    中川委員長 では委員長より、ちょっとお尋ねの件について申し上げますが、しごく当然のことでございまして、従来の国会のあり方は、予算審議には一カ月も要しておりながら、決算にはわずかに何時間かしかさかれていないというような例が、今日までのようでございます。これはやはりいま田中委員からのお話のとおり、国民の税金がいかに効率的に使われておるかということについて調査をするのは、国会当然の義務だと存じます。したがって、田中委員の御趣旨の点、委員長としましてはしごく同感だと存じます。
  148. 田中武夫

    田中(武)委員 会計検査院長のほうからは、急なことで答弁ができないのならば、あとでけっこうです。――やりますか。じゃ、簡単に……。
  149. 山崎高

    ○山崎会計検査院長 急な御質問でございますけれども、たびたび決算委員会で御趣旨の仰せがあったことは承知しております。これはやはり外国主権の関係もございますので、会計検査院としては権限の範囲外という点もございますので、いまの関係においては、直ちにできるというわけにはまいらないのでございます。その点、御了承願います。
  150. 田中武夫

    田中(武)委員 援助国の会計検査院と援助を受ける側とが話し合ってやるということは、私は主権はそう侵さないと思います。これは御検討願うことにして、次へまいります。  総理、今日までのいわゆる海外援助というのは、自由諸国といいますか、東南アジアを中心とした、言うならばアメリカの系列国に、こう言っては失礼かと思いますが、限られていたように思います。しかし私はやはり、広く中立国あるいは共産圏といわれる諸国に対しても、同じようにひとつ海外援助ということを考えるべきじゃないか、こう思いますが、いかがでしょうか。
  151. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 そのお答えをいたします前に、まず先ほどの会計検査の問題ですが、いまこれは御承知のように、IMFあたりの援助の場合、IMF自身があとで追跡調査をしておる。そういうことが現にございますから、そういうところでいまのようなあり方がほぼ見当はつく。これから始めるという場合に、これはもちろん皆さんが出かけられるについて、相手の国も十分注意はするだろうと思います。ただいま申し上げたように、窓口を外務省にして、その範囲で事柄が済むように取り運びたい、かように思っておるのが政府の考え方であります。  それからその次は、ただいまお話しになりました問題ですが、中立国の問題、これは御承知のように、私ども別に共産主義国だから相手にしない、こんなことはございません。これはもう東欧諸国に対しても、またアフリカ州、その付近でもおわかりだと思います。ただ問題は、その前にやはり国交がある国という、そこが大事なところであります。国交がなくて、われわれがいま政経分離の形でつきあっておるのに中国の問題がある。しかし、それ以外はやはり国交のあるところ、かように区別している、かように御了承いただきたい。
  152. 田中武夫

    田中(武)委員 これで質問を終わりますが、最近の新聞の世論調査――これは読売ですが、によりますと、まず内閣の支持率が低下しておる。それから政党の支持率が減って、支持しない、支持政党がないというのが倍加しておる。これは、われわれも十分考えねばならない問題だと思います。同時に、行政の長として、あるいは与党の総裁としての総理にも十分考えてもらわなきゃならぬ問題が幾多あるだろうと思います。  その一つに、最近厚生、農林、あるいは通産等々と、続発いたしております汚職の問題があります。これは役所と関係業界との癒着、くされ縁がもととなっておる。こういう問題に対して、国民の疑惑を晴らしていかねばならない、こういうことが一つあります。  さらにもう一つ、先ほど委員長も取り上げられました天下り人事、私は、天下りということば自体が昔の官尊民卑の思想であって、天下りということばはどうかと思うのですが、俗称に従って天下り人事、これがことにひどい。これも一つの業界と関係役所の高級役人等々とのくされ縁、癒着の関係がある。これはあとで十分伺うつもりではおりますが、ことに産軍結合といいますか、自衛官、ことに将官が防衛産業へ対して、あるいはその関係商社に対して再就職をしていることは、これはもう資料を見ても目に余るものがあります。こういうことをも含めて、総理、その責任者として、汚職とか、天下り人事、ことに国民が一番疑惑を持っております産軍結合、こういう状態についてどのようなお考えを持ち、今後どのような決意で臨まれるか、これをお伺いいたしまして終わりたいと思います。  防衛庁長官には、午後にゆっくりとこのことについてお伺いいたします。
  153. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 最近の新聞に出ておる世論調査、この支持の数字、私もたいへん気にしております。これはもう政府に対する支持がどうこうというのではございませんが、政治に対する関心が薄らいでいるのじゃないか、そのことはたいへん心配だと思っております。政府ももちろん支持されることは望ましいことですが、これが下がっておる。また、いま言われるように政党の支持も下がっておる。一体その原因はどこにあるか。いま言われるような政治不信を招いておる一つの汚職、こういう事柄がとにかく大きな理由ではあろうと思います。しかし、最近の学園騒動に見るごとく、どうも明治百年たった今日、国家、社会という考え方が非常に少ないのじゃないか、どうもそこらに起因していないか。あるいは哲学そのものも、個人哲学というか、権利哲学とでもいうか、そういうものがあるようだ。どうも社会連帯感というようなものがどこにもない。こういうような問題が最近の世相として特に私のほうも目につくのであります。  もちろん、基本的には政治家がその職務を十分果たさなければならない。私が申し上げるまでもなく、いまは民主主義国として平和に徹した国柄で立ち上がっておるのだ。この民主主義を守るということにもっと徹して、そして国民の信頼をかち得て、そしてりっぱな国をつくることが政治家のつとめでなければならないと思います。しかし、とかく国家というようなことを言うと、かつて愛国心が非常に忌みきらわれたと同じように、いまなお国家を言えばどうも軍国主義、帝国主義の復活ではないか、こういうようにすぐ問題が飛躍されるのであります。あるいは社会観念、そういうことを言った場合に、これはまたどうも社会連帯で個人の権利を抑圧しようとしているというようなすぐ反発を買う、こういうことを私は見受けるのであります。  こういう基本的な問題はともかくとして、われわれのなすべき事柄、これはいま御指摘になりましたように、汚職の絶滅をはかって、政治行政が国民から信頼を得られるようでなければならないと思います。私はそういう意味で、各省の最近の汚職には強いきびしい態度でただいま臨んでいるわけであります。これは一片の通牒では直らないという御批判もあろうと思います。確かにそのとおりでございます。私どもも、過去におきまして、この汚職については黒い霧だといわれたその当時を思い起こすのでありますけれども、なかなか簡単には根絶やしができない。次々に問題が起こっておりますが、ふだんの努力をすることによって、初めてこういうものの絶滅を期することができるのではないだろうか。そしてそれが民主主義、民主政治を守るゆえんでもあるのではないだろうか、かように思いますので、政府としてはその方向に一そう注意するつもりであります。  いま業界とのくされ縁というお話が出ておりますが、本来なら、いま人事院のスクリーンによりまして一応その点は制限ができておるわけであります。そうして、有能な才能はやはり社会に奉仕する、国家に奉仕するということが望ましいのだと思いますが、しかし、なかなかこれもまだ不十分だといわれる。これは別に田中委員と議論するわけではありませんが、その点も御注意がありましたとおり、一そう人事院の規定を守るようにする。いまは正式の役員になれば人事院にかかるが、嘱託ならば大目に見られるというような事柄があるやに聞きますので、そういう点についても名目のいかんを問わず、業界とのつながりについては十分注意をして、そして誤解を受けないようにしたいと思っております。  天下りの人事については、先ほども委員長みずからが質問されましたが、私の所信の一端を披瀝いたしまして、ただいまもそういうつもりでおりますし、またいまの自衛官の関係商社あるいは製造会社等とのつながりについては、後ほど防衛庁長官からお答えするといたしまして、こういう点に誤解を招くようなことがあってはならない、かように思いますので、その辺はけじめをつける、そういう意味で取り組んでまいりたい、かように思います。  ただいまの御注意は、ただ政府を責めるということだけでなしに、事柄が基本的に政治の姿勢、政治が国民から飽かれておる、こういう点でございますので、そういう点について私の考え方を端的に御披露しまして、そしてこれと取り組んでまいるつもりでございます。ありがとうございました。
  154. 田中武夫

    田中(武)委員 時間が来ましたので、時間が足りないことをうらみながら終わりたいと思います。ありがとうございました。
  155. 中川俊思

  156. 華山親義

    華山委員 ただいまも発言がありましたとおり、最近官僚に対する世間の評判が悪いようでございます。昭和元禄ということばは福田大蔵大臣がお始めになったように私記憶いたしておりますけれども、まことにいいことばだと思っております。ほんとうにあの元禄のころは、忠臣蔵をごらんになっても、わいろから始まっている。こういうふうなことで、憂うべき時世じゃないかと思うのでございますが、決算の委員会の立場から申し上げますというと、人事院の天下りの問題につきましてはいましばらく置きますけれども、政府が財政的に関係の深い公団、公庫、その他百に余る事業団がございます。これらにつきまして、私考えるのでございますが、大蔵大臣も総理大臣も同じ時代に役人をやった方でございますので、よく御存じだと思いますけれども、役人はあの当時、大体恩給年限に達するならばやめるのだ、そしてあとから来た人がだんだん追いかけてくるのだ、そういうふうなことから、役人がやめたあとでいろいろな会社に行ったりなんかすることはいまに始まったことじゃございません。もう明治、大正のころからのことじゃないのか。しかし、そういうふうにやめる人は大体五十未満でございましょう。大学に子供を入れなければいけないとか、そういうふうなことで一番金のかかろうとするときなんです。そういう人たちをやめるときにどこかに世話してやろう、そういうふうなことは、私も地方ではございますけれども役人をやりましたのでわかります。それで、私考えるのでございますけれども、そういうふうな役人のあり方、役人の進み方というものを根本的に直していかなければこの問題は解決しないのじゃないか、こういうふうにも考えますが、その点につきまして、これを根本的にお直しになれる御自信がおありになるのか。私はおありにならないと思います、少なくとも早急にはおありにならないと思いますが、いかがでございますか。
  157. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 華山君もお役所に関係された方ですからおわかりだと思います。われわれの時分は、実は非常に早く役所を卒業したもので、大体四十五にもなればもう役所にはおれない。しかし、人生四十五からと言う人もあるのでございますから、国家社会に奉仕するのはこれからだ、まあそれまでは役所で一通りの修養を積んだ、かように思っている人が多かったと思っております。また、それが、ほんとうに国家有用の才をむだにしないで使う、奉公していただくゆえんだ、かように思っております。それにはやはり、恩給制度というものがあり、恩給だけで生活もできるが、有能な才を持っている人は、ただいま申すようにそれは働いてもらう、働いて社会に奉仕してもらう、こういうことであったと思います。それが、だんだん定年制その他があって、その勤務の期間も長くなっておりますので、したがって、今日は、ほんとうにやめてから楽隠居をする人もありますが、しかしそれにしても、最近の寿命の延びておることから、もっと働いてしかるべきだ、かように思います。したがって、私は、いまの、特別な役所に特別なつながりのあるところへ出かけてそうして働く、そこでいろいろな汚職その他の疑念を持たれるという、それは困ったことだと思いますが、幾ら有能の才といえども、五十になって初めて新しい生涯に入るのだ、それは官吏あるいは公務員、会社と、こういうことではなしに、全然新しい生涯の道へ入るという、これはなかなかできるものではない。やはり役所で覚えた、得た知識、そういうところの関係で出かけるのが普通の事情じゃないかと思う。ただその場合に、他から誤解を受けるような汚職というようなことがあってはならない。また疑念を持たれてもいけない。だから、その出所進退はそういう意味で非常に大事なんだと思っている。公社、公団等がずいぶんできているが、これはみんな必ずしも役人が専有するというものじゃない。その人事なども、広く民間のほうからも人材を登用して働いていただくという、そういうかっこうであると思っております。現にそういう事例は私があげるまでもなく御承知だと思っております。また役所にいたしましても、これはやはり全然関係のないところには、新しい知識を勉強するというわけにはいかないでしょうから、そういうものは人事院が一通り見て、ここにはもう心配がないという人事院の許可というものがやはり重大なる意義を持つ、意味を持つ。そうしてお互いが死ぬるまで国家社会に奉仕する、国家社会のために働くという、そういうことでありたい、かように私は思っております。  したがって、ただいま華山君から御指摘になりました点も、働いてはいかぬというのじゃない、大いに働いてくれろ、しかし働くについては、疑わしい行為があったり疑惑を持たれるようなことはやめてほしい、そのためにはどうしたらいいか、こういうことで御注意があったんだと私は理解しております。そこらに問題があろうかと思いますが、いままでの不備な点についてはこの上とも注意することにいたしまして、そうしてやはり有能な才は社会、国家に尽くしていただく、その道をやはりつくっていく、こういうふうにしたいもんだと思っております。
  158. 華山親義

    華山委員 一言だけ申し上げておきますけれども、公社、公団その他公益法人的な事業団、そういうものには人事院の許可ですか認可ですか、そういうものは入っておりません。これは各省大臣が大体任命するような形になっております。それで、決算委員会の立場といたしましては、私からひとつ具体的に申し上げたい。  いまのような状態でございまして、人事四十五や五十でやめる、なかなかこれはできるものではない。そして総理大臣は、長い間の官庁等において得た知識、それをそういう方面において発揮させ国のために働く、そういう御趣旨だと思うのでございますけれども、それにつきまして、いまの世の中ですから、ものに対する感じが強い。それで問題は、そういう人々が公社や公団、事業団に行った場合の俸給であります。それから賞与金であります。まあ具体的には非常にいろいろな話も聞きます。それで私は言うのです。ここで根本的な問題はなかなかむずかしいだろうと申し上げたが、その面におきましては、これは総理大臣の考えでできる面がある。  第一歩といたしまして、公団なりまた公庫なりいろんな事業団なり、そういうものには、国から交付金があり補助金がありまた融資がある場合が多いわけです。そのときに、その命令書あるいは条件書、そういうものにつきまして、役員につきましては命令書の中に、俸給、賞与等について条件をつけたらどうか。役人をやめて急に一倍半になるような、そういうふうなことは私はあり得ないと思う。あるいは理事長になって、民間から来た理事の人よりも低いということもありましょう。おれは月給が安いから、そういう理事の人に命令ができないのだというものでもない。その点において総理大臣が、一歩でもいいから、せめてそういうところにつく人の給料とか退職金とか、そういうことについて制限を加えていただきたい。そのことは、総理大臣がお指図になればできることなんです。いかがですか。
  159. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 先ほど委員長からのお尋ねもいまの事柄と関連があるかと思います。俸給、賞与等が特に多くなっておる。これは主として、そのときも御説明いたしましたように、同じような規模の民間会社の賞与あるいは俸給等を考えておられます。均衡をとるということですね。しかし、公社、公団の場合は配当があるわけではございませんから、賞与金などは、どうも民間どおりにはできないと私も思います。それからまた、いま言われますように、いろいろ事業を通じて監督官庁が発言する機会もあると思います。したがって、内規にいたしましても、行き過ぎた行為はこれを認めるわけにいかない、かように私は思います。  しかし問題はもっと根のあるところをもう少し掘り下げまして、そうして具体的に対処していかなければならぬと思いますので、関係のところでもう一度よく研究してもらうように、先ほど委員長にもお答えしたように、そういう意味で検討さしていただく、御了承いただきたいと思います。
  160. 華山親義

    華山委員 私も昔から役人をやりましたけれども、私、どこにもお世話にならず、公団にも参りませんでしたし、会社にも参りませんでしたけれども、大体昔からのものの考え方というのは、恩給と当該の公団なり公社なり、そういうところからもらう給料とが、合わせてやめたときの役人の給料と同額であればよろしい、こういう観念でわれわれの時代はきたものなんです。その観念がいま破れている。私は総理大臣の言われるとおり、役人をやめたならば、やはり公のために奉ずるという精神であるならば、そういう程度でいいのじゃないのか。私は、いろいろこまかな点もありましょうけれども、ひとつ意見として申し上げておきます。  それからもう一つ、私総理大臣大臣にお聞きする場合には、あらかじめ申し上げておくのですけれども、けさちょっと考えたことがあるものですから、ちょっとお聞きしておきたい。と申しますのは、雪のために自動車が小さな小路に入れなくなった。そのために大道は自動車の混乱状態なんです。私はこの状態を見て申し上げるのでございますけれども、私は三年ばかり前に、道路の面積の拡張というものは、とても自動車の台数には及ばない、競争はできないのだ、それだから都心におけるところのいろいろな乗用車の乗り入れ、これは制限すべきじゃないのか。バスは大体自動車の二十倍の輸送能力がある。そういうものにかわるべきじゃないのか、ということを本会議で申し上げましたところ、総理大臣はすげなく、そういうことよりも道路を拡張いたしますと、こうおっしゃった。ところが、三年待とうともますますひどくなるばかりである。私は、総理大臣はあのとき予見を間違えたのだと思うのです。総理大臣はいろいろなことをおっしゃる。私は新聞等で見るだけでございますけれども、たとえば飲食税等につきまして一言御発言になるとそのとおりになる、そういうふうに、絶対の発言権をお持ちなんですから、この際、都心乗り入れについて、総理大臣の発言で、との状態を救っていただきたい。勤労者といえども、通勤をするのはたいへんな苦労ですよ。様子を見ておるのですけれども、ちっともその点進んでまいりません。各省いろいろな考え方があって、ときどき新聞には出るようですけれども、出てまいりません。ひとつ総理大臣の一言で、政府各省部内の姿勢を整えて、都心への乗り入れ――総理大臣もバスで来いとは私言いません。それは一定の限度があると思いますけれども、ハスなりハイヤーなりあるいは一定限度の乗用車なりに限って都心に乗り入れる、こういうことにしなければ、私は都会のこの交通問題はとても片づかないと思うのです。総理大臣からたいへんすげない返事をされまして、まことに意外で心外でしたが、この雪にあって、また言ってみようと思いました。ひとつ御意見を……。
  161. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 華山君にそんなすげない返事をしたという、これはたいへん私間違いでございます。私が申し上げるまでもなく、道路ができるより以上に自動車の台数はどんどんふえております。これはたいへんうれしい悲鳴とでも申しましょうか、たいへんけっこうな世の中になりつつある、かように思います。  ところで、ただいまこの無制限な状態でこの交通を維持できぬじゃないか、こういう御指摘だと思います。最近の雪でそういうことを特に痛感されたということですが、そうでなしに、たいへんな車の通過量でございますから、これはある程度制限せざるを得ない状況になっております。また事故の発生もたいへんなふえ方でありますし、またことしはそのレコードを更新するのではないか。ようやくいまになりまして、交通の制限――本来、交通の制限なんかしたくはないのですが、せざるを得ない。したがって、一方交通の場所もずいぶんできるし、全然自動車の入らない小路も考えるし、またバス、ことにトラックについて、大きなトラックなどの通行時間というようなものが制限されるとか等々、いろいろいま警視庁が中心になりましてそういう点と取り組んでおります。一面から見ますと、自由を拘束することになりますが、全体の秩序を維持するためには、個々の連中としてもやはりしんぼうしていただきたい、協力してもらいたい、かように思ってただいまのような点も踏み切ることにしてせっかく調査中でございます。過去において、三、四年前に暴言に近い話をしたとすれば、それはいまおしかりを受けても当然であります。この点は深くあやまると同時に、これからいく方向が、ただいまのように自由であるべき交通、それに制限が加わる、そういう際に、けしからぬと言わないで、むしろ全体の秩序維持のために、これはやむを得ないことだ、かように御了承いただくように、御協力のほどをお願いしておきます。
  162. 中川俊思

    中川委員長 吉田賢一君。
  163. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 きょうは佐藤総理に、少し私自身もえりを正して、綱紀粛正一本にしぼりましてお尋ね申し上げたい。  最近、通産その他本省、それから地方自治体ないしは教育関係等におきまして、あまりにも頻発する綱紀紊乱、汚職事件、これが世評のひんしゅくを買っております。したがいまして、ごうごうたる非難が官庁に向かって生じ、また国民は、さきにおっしゃったとおりに政治不信へつながる重大な傾向すら見えるのであります。  そこで伺いますが、端的に申せば一体汚職の原因は何であろうか。何が汚職、綱紀紊乱をする最大の原因であるのか。この原因を、ひとつ端的に総理の所見を伺っておきます。
  164. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 なかなかむずかしい事柄ですが、私は先ほどもちょっとお答えいたしましたように、最近の世相といいますか、人の考え方といいますか、そういうところに基本のものがあるんではないか、かように思っております。どうも人を責めることはなかなかやかましいが、みずからを責めることはまずない。権利だけ主張しておる。こういうところに誘惑にもおちいりやすい原因があるのではないかと思います。倫理観が退廃したということ、これは指摘できることでありますが、その根本もやはり自我の哲学とでも申しますか、自我に徹するという、そういうところに問題があるんじゃないだろうか、かように私は思います。
  165. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 世相も原因であろう、人の考え方も原因であろう、倫理観の退廃も原因であろう等々ありますが、日本の官庁組織、行政機構の内部的な構造的原因を重視されるという面はいかがでしょう。
  166. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 これは最近おそまきながらも、たとえば監察制度、みずから監察するとか、あるいは服務規律だとか、その他の監督法規がそれぞれ整備されてきたと思います。したがって、戦後の時分とはだんだんやり方も変わりつつありますから、そういう意味では効果をあげなければならないと思います。ことに決算委員会では毎回これを指摘されるのでありますから、大臣がかわりましても、そこらの点は事務当局にもよく徹底しておるはずであります。しかしその機構のあり方ばかりじゃない、私はもっと本質的な人間そのものに問題があるんじゃないか、かように今日は考えざるを得ない、そういうところへ実は来ております。
  167. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 去る三月十二日に、行政監理委員会が公務員に関する改革という一項も入れて、この一種の退廃の状況指摘して、国民から公務員が非難を受けておる状態をこのまま放置するならば、政治、行政に対する国民の不信が来るということを断言するような意見をあなたに提出しております。これを受けて、内閣におきましては床次総務長官からの各省に向かっての通達があり、四月末までに綱紀粛正に対する具体的対策を明示して出すことを要請いたしております。私は非常に大事な時点に差しかかったと思います。長く綱紀粛正の問題をいわれ、あるいは汚職、黒い霧とか、いろいろな名前をもちまして官紀紊乱が指摘されてまいりましたけれども、いま具体的に取り組んでいこうという段階に来ておりますので、単に機構にも原因あり、人間の考え方にも原因ありという批判だけでは、これはもう済まされません。  そこでひとつ御意見も伺いたいのですが、機構と人間の考え方と合作しておるという一つの点で、いまの官庁全体を通じまして、とにかくこの行政機構運営というものは公の組織であり、運営でございますが、これを私物化しておる。みずから予算をとるならば、予算執行の権限は即自分のふところから出すような感はないか。自分の地位、自分の職権というものが私物のような感を持っておりはしないか。この公職を私物化するという考え方、これは否定できないと思うのですが、総理はいかがに思われますか。
  168. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 そういうこともあろうかと思います。やはり信賞必罰というか、この信賞必罰がけじめがつかないとこういうことになる。あるいは学閥が官庁内にあるとか、その他門閥、経歴等でやはりいろいろに私物化する、そういう形があると思います。これはずいぶん範囲が広いので、どこが悪いのかというと、ちょっと禅問答にならざるを得ないのですが、ただいまのような点で、とった予算、それを自分がかってに使えるように思っておりはしないか、かように言われると、さような点もありますと肯定しますが、やはりもう一つ、綱紀を振粛するという意味からいえば、信賞必罰、これが明らかになる、学閥にとらわれないで、できのいい者はどんどん上げていく、こういうことになると、もっと世間が明るくなって、しかも能率があがり、ただいまのような問題も起こらなくて済むのではないだろうか、かように思います。
  169. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ところが現実におきましては、たとえば制度面から見るならば、高級職の甲乙試験、いわゆる有資格試験、昔でいうならば高文でございましょうが、これを通った人はどんどんと昇給していける、何らの体験、経験がないのに何とか長になる、課長にもなる、局長にもなる。しかしながら、短大卒とか下級職の諸君におきましてはその望みなし。したがいまして、これは課長補佐どまり。けれども、課長補佐にしてなかなかに仕事には通じておる、あるいはベテランであるので、課長も押える。判こは実は課長以上は形式の判こだが、その課長補佐の意見決定というものが事実上許認可を決定していくということになるのではないであろうか。のぼる見込みはない、上がってはいけない、年はとってくる、そして事務には精通しておるというこの階層、この群に汚職の実態がありはしないか。どう考えてみましても、課長以上になりますと、業者に会うのも細心であります。局長になると一そうそれであります。あるいは次官なり、将来ずっと上進できる人々におきましては、清潔をもって進んでいき得るのですが、ここの食い違いが生じておるのではないであろうか。この無資格者、有資格者の区別というもの、無資格者であろうともどんどんと昇給の道を開くという、あなたのいまの片りんはそうであろうと思いますが、この制度を大胆に取り入れて機構を改革するというほうへ一つの方向をきめるということも、具体的な対策でないかと思うのですが、いかがですか。
  170. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 現にある会社、これは有名な会社ですが、そういう資格にとらわれない、実力本位でその人に地位を与える、こういうことをして非常に成績をあげている会社がございます。これは申してもいい、ソニーなどはそういうことでやっております。また、いま御指摘になりましたように、仕事のしぶりにも、日本の仕事のしぶりが間違っている点がある。これはやはり役所のファイルの問題、ファイリング・システムとでも申しますか、このファイルの行き方がもっとオープン、公開であると、ただいま、言われるようないわゆる役所の白ネズミというものは生じない、こういうところにも欠陥がある。その人に聞かなければどうしてもわからないのだ、大事な書類や何かは自分の机の引き出しに入れてかぎをかけておき、だれにも見せない、こんなところにやはり仕事を私物化している、そういうものがあります。やはり後輩をつくるという、同僚全体として能率をあげるという、そういう方向にいくということ、それでなければならない。それにはやはりその者が自分はこれより以上に出世しないのだ、かようになるといろいろな問題が起こると思いますから、やはり信賞必罰、そして全体としての能率があがる、こういう方向で管理する者が気をつけていく、これが必要だろうと思います。
  171. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 許認可の制度につきましても、次官の判をもらうまでには五十も六十も要るという例はざらでございますが、こういう事例を多くあげるまでもなく、何十という判を押すということは責任の分散になるのではないであろうか。だれが一体責任を持ってくれるのであろうか。極端にいうなら判は一つか二つでいいと思うのであります。そのかわり絶対責任は持つ、判は押さなくとも上司は部下のやった行為については全責任を持つ、これは当然であろうと思う。判を幾つも持ってべたべたべたべた判を押して、その判のためにずいぶん時間も食う。責任の所在が明確にならぬ。こういう面につきましても、これは改革を要するのではないであろうか。許認可制度の簡素化ということにも通じるのですが、同時に判こ行政の弊害そのものをずばりと指摘しておるのではないかと思うのでございますが、いかがでございますか。
  172. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 協議事項あるいは共管事項、これがとにかく多いのが役所の弊害でございます。各省にまたがる、同じ省の中でも各局と相談しなければきまらない。ちょっとでも関係があればどうしておれのところへ持ってこないのだ、こういうことをやはり整理することが能率をあげるばかりではない、責任の所在を明確にするゆえんだ、かように私も思います。
  173. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これは総理、あなたとのきょうの問答は、どうかひとつ、そうだ、それはすべきだというような御意見があれば、やはり実現をしてもらいたい。先年も河野一郎さんが生きておったときに、建設大臣で問答いたしましたときに、それは当然だ、それはやりますと言ったら、午後に帰ってずばっと自分の部下に命じておりました。私はやはり国会の総理の発言というものは、それほどの重みがあってしかるべきだと思います。したがって言われた以上は、これはそのとおりにやってもらいたい。ノーならばノーでもよろしい。けれども、言もって重んじていただきたいのはあなたのお立場であることは申すまでもありません。その辺もしかるべくお願い申したい。  さらに、そうなりますと、一方におきまして公務員制度の改革の問題にどうしても触れざるを得ないのであります。安月給でこき使われる、いつまでも上がらない、それが一体どうなるか。何かにはけ場を求めなくちゃいかぬ。業者は強い誘惑をかけてくる、あの手この手でくる、乗ってしまいますよということにもなるのでありまするから、したがって上進の道なし、閉ざされておる、これらの人に対しましては、やはり将来に希望のある、安んじて生涯をそれにささげ得る、ないしは前回もここで予算のときに申し上げましたように、退職後の就職の機会を十分に保障される、老後も安心して食っていける、そこで初めて私は公務員としてしゃんとした物質的な姿勢を正し得る根拠ができるのではないであろうか。今日は、道徳的な訓育ばかりやりましてはとてもいきませんせちがらい世の中でございますから、そこに対する思いやりは、ひいては公務員制度の改革というところに持っていかねばなるまいと思います。公務員制度の改革は即首切りにあらず、公務員は明るい職場をつくるというゆえんにもなるのでありますから、この際思い切って綱紀粛正は公務員制度の改革へ着手するにあり、こう考えるのでございますが、いかがでありましょうか。
  174. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いま協議、共管について私が発言いたしましたが、行政管理庁で取り組んでおるのもこの点であります。とにかく国民のための行政、それには役所が能率をあげることだ。したがって許可、認可も整理もするし、また届け出の事項の整理もする、また許可、認可をする場合においても、その行政機構内の煩瑣を簡素化する、こういうところが行政簡素化のねらいでありまして、ただいまそれと取り組んでおる最中でございます。したがいまして、この席でただいま吉田君と論議をかわしました点、これは行政管理庁のほうでも十分心得ておることであります。  次に公務員制度のあり方、これもただいませっかく公務員制度の改革と取り組んでおる最中であります。そしていままで、制度とは別ですが、よく問題になりますのが待遇の面、公務員の人事院勧告をひとつ守れ、政府が完全実施しろ、これはしばしば皆さん方から言われておるところでありますから、政府といたしましてもこの人事院勧告を十分尊重する、そして給与についてそういう意味では公務員が安心できるようにしたい。ただいままでこれが完全実施されておりません。その点は私も率直に認めて、これを完全実施するようにしたい。  もう一つは、公務員自身の身分そのものについては、給与ばかりではない、身分の保障というようなことも考えなければならない。そういうわけで、先ほどの人の改革の問題とあわして、公務員制度はいかにあるべきかということをただいまやっております。しかしながらこれは管理者だけの問題でなしに、組合側の代表も出ておりますので、これらの問題はなかなかそう簡単には進まない、しかしながらりっぱなものをつくりたい、かように思っております。  もう一つ、これはお願いでありますが、いわゆる出血整理ということができるいまの世の中でございませんから、そこで政府自身としては、総定員法をただいま提案して御審議をいただいておる最中であります。問題は、出血整理しないで簡素化され、そうして能率をあげるというためには、総定員法はどうしても必要でございます。それらの点も御勘案の上、ただいまの点について御協力を願いたい。
  175. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 日本の行政機構とその運営の実態は、民間企業家のエキスパートに言わせるならば、これは民間企業にたとえたら破産をいたします、それほど行政は多くの生産費が要りますということをよくいわれるのであります。この点もやはり大切な血税を使った行政でありますので、常に考慮していかねばなるまいと思うのであります。  もう一つは労務管理、昔は服務紀律というのが相当ございましたけれども、いまはどうもそうでもない。労務管理につきましてもっと厳にやるべきで、信賞必罰は厳に、そして待遇は優、ほんとうに安心して打ち込んで仕事ができる、これが私どもの理想でありますので、内閣が公務員制度に対してしゃんとした積極的な姿勢を示して、具体的内容を示すというところまで踏み切っていかなければ、総定員法あたりでうろちょろするようなことでは前途思いやられます。でありますから、どこにどんな抵抗があろうとも、批判があろうとも、妨害があろうとも、内閣が是と信ずるところを積極的な対案を示してもらいたいと思うのです。  公務員制度の改革なくして汚職、綱紀紊乱の根絶は不可能であると私は考えております。したがいまして、どんな公務員倫理を説きましょうとも、考え方を説教いたしましょうとも、どうにもなりません。ともかくやるべきことはやって、使うべきところは使って、公共奉仕、国民奉仕は国民奉仕としてさして、外国において国家、国民に忠誠を誓うごとくに、名実ともにそれに徹するというのが日本のすぐれた公務員の制度であり、公務員のかまえである。そこに汚職が起こったならば、それはほんとうに全体が排除する。いまのように部下が汚職しても、そんなことがあったのかと知らぬ顔である、とんでもないことであります。しかるべく上司は、ある段階までは厳にこれに対しましてはやはり責任を負うという体制が強化されていかねばなるまい、こう思うのであります。責任連帯であります。それならば判は要らぬです。判を押すようなそんなひまはなくしてよろしい。そんな机の上に置いておくという時間をかけなくてもよろしい。それが能率的。これが真の合理的です。これが最もすぐれた組織と構造と運営であろう、こう考えますので、要するに積極的な姿勢をもって公務員改革への内閣の考え方を具体化するように進んでもらいたいと思います。いかがでございましょうか。
  176. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 大体判こが一つ、二つ、あるいはつかなくてもいい。そこまでは私も考えませんが、とにかくいわゆる信賞必罰、現実の問題としてそれを処理していく、また責任者は当然相当の責任をとるという、これは当然のことでありますから、そういう点においてだいぶん抜かりがあった、かように言わざるを得ない。これから気をつけます。
  177. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 委員長、これで終わりますが、この問題はきわめて重大なことでありますので、一佐藤内閣だけじゃございませんで、日本の官庁機構が永続する限りこの問題は取り組んでいただいて、できるならば、ひとつ積極的な体制を整えて、善処せられんことを強く御要望申し上げておきます。
  178. 中川俊思

    中川委員長 浅井美幸君。
  179. 浅井美幸

    ○浅井委員 四十一年度の総括決算の総理に対する質疑でありますけれども、その前に、先般委員長はじめ当決算委員会から資料要求いたしました、いわゆる特殊法人に対するところの天下りの実態をいただいたわけです。この資料をいただいたのですけれども、先ほどから見ているのですが、非常に不親切です。あまりに多過ぎてわからないのです。これを総括的に私はお伺いしたいと思うのですが、このつくられた内閣官房ですか、その関係の方にまず総理の御答弁の前にお答えいただきたいと思います。  この三年間の間に、年度別に各省別に人員の数、すなわち局長が何名あるいは課長が何名、これについて明らかにしてもらいたいということと、それからこれは膨大な数がありますけれども、この中で退職金と報酬の最高の人は幾らもらっておるのか、あるいは最低の人はどのぐらいか、これを退職金と報酬に分けてまず御答弁願いたいと思います。
  180. 保利茂

    ○保利国務大臣 御質問の全体の資料はお手元へ出しておりますけれども、それは分類的に整理いたしたものがまだできておりませんので、いまお話しでございますから、できるだけすみやかに分類してお手元に差し上げるようにいたしたいと思います。
  181. 浅井美幸

    ○浅井委員 委員長、いま私の質問したことを、いま資料ができていないという不手ぎわでございますので、これはいま責めてもやむを得ませんので、後ほど資料として提出をしていただきたい、このように思います。  そこで総理にお伺いしたいのですけれども、先ほど来、この天下り人事のことについては何回か繰り返されております。先般も公団、公社の整理統合の問題で、これが少しも進まないというので、これは佐藤総理みずから非常に積極的な姿勢を打ち出されて、整理統合の方針をとられた。ところが、これもまだ思うような結果に進んでいない。たしか、あのときには百八つの公団、公社の問題でいろいろ問題が起こりました。これについて、この整理統合が進まないのは、いわゆる役人の就職先だという話も先ほどから繰り返されております。この点について、整理統合が進まないのはその辺の問題がある、このようによく指摘されますけれども、この辺、どうでしょうか。
  182. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 もちろんそういうこともあるかもしれませんが、そういうことよりも、やっぱり事業を統合した後の整理、とにかく事業が全然なくなれば別ですけれども、やっぱり事業はある。簡素化するそういうところの見通しがつきかねている。それぞれのものがそれぞれのようなしかたで業務処理をしてきております。浅井君には浅井君の処理の方法があるし、佐藤には佐藤の考え方があるというようなもので、必ずしも整理――整理のほうは簡単ですが、統合の場合がとかく問題が起こりやすいのです。それのときに、よそのほうから見て、あれは人事の関係が主だ、こういうようなこともありますし、それも私は全然否定はいたしません。ことにそれは役員人事ばかりではなく、課の数が減る、今度は課長になる人も制限される、そういうことで主体になるほうにおればよかったが、おれのほうは吸収合併されるのだというようなところから、どうしてもやはり統合というようなことに積極性が欠けやすいのです。これは実際の実情等からごらん願うとそういうこともあろうかと、私はその点ではやや同情しておるほうで、そういうこともあるだろうか、かように言っておるほうでございます。しかし、方針方針でございますから、やはり方針を貫くという――もし人事の関係でそれが実現しておらない、こういうことがはっきり指摘できれば、そういうものは私自身がメスを入れる、こういうことで進みたい、かように思っております。
  183. 浅井美幸

    ○浅井委員 いま官房長官にこれをお聞きしたのですけれども、これは昭和四十年の閣議で、人材を適材適所に登用すべきなんだが、このことについての各省の任免に際しては官房長官に御了承いただく、こういうようになっております。内閣官房というのは内閣総理大臣の官房であります、このいわゆる人事について、総理は常にいろいろと意見も求められ、あるいは総理自身が意見としていろんなことを言われておると思いますけれども、いままでこういう人事に対してどのように総理はなされてきたか、それをお答え願いたいと思います。
  184. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 これを全部一々私が目を通すわけでもございませんが、その中の総裁あるいは長になる者はどういう人がいいだろうか、こういうような相談は受けております。またそれについては適当な発言もしておる。またものによってはもともと一つの資格審査委員会がある。そういうもっぱら総裁、国鉄総裁などを推薦する機関があるわけですね。そういうような者はこれは事前に私どもに内意を聞きにくることもありますが、また聞きにこないで処理する。それは本来は聞きにこないで処理するほうが筋でありますから、そういうようにやられる場合もある。まあいろいろであります。また、比較的低位の処置にいたしましても、たとえば監事等の問題にいたしましても、ときに相談を受けることがある。いろいろ千差万別でございます。
  185. 浅井美幸

    ○浅井委員 いま聞きにこないのがたてまえだと総理が御答弁なさったように思いますけれども、閣議決定では、これを閣議の了解においてということになっておりませんか。
  186. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 聞きにこないのがというのは、たとえば国鉄総裁ですね。これは推薦する審議会があるわけです。そういう者は事前に聞きにくることもあるし、聞きにこないのが本来の審議会のゆえんだ、かように思いますよ。だからそれは特別な場合を言っているわけで、全部が全部とは言いません。だから、先ほど申しましたように、あの表のうちからこれを全部それでは私が目を通すかというと、そんなことはない。しかし、ものによりましてはその長になる人、そういう者についてはやはり総理の意向を聞きにくる、これが常例でございます。その辺誤解のないように願っておきます。
  187. 浅井美幸

    ○浅井委員 誤解したほうが悪いのかもしれませんけれども、その点が非常にはっきりしませんでした。問題は先ほど官房長官も、トータルも一挙に出せない。これは決算委員会でいろいろ取り上げられて、そのような人事の扱いについて官房長官のほうでやっておるというので、じゃその資料をすぐ出せと言ったら一週間かかっても出てこない。あげくのはて出てきたが、どのぐらいの人員がおるのかどのようになっておるのか、その辺が官房長官わからないでこれを掌握しておるというのは、ちょっと私は問題だと思うのですが、長官どうですか。
  188. 保利茂

    ○保利国務大臣 昨年内閣改造が行なわれましたときに、閣議の御了解もいただいて、公団、公庫等の役員については内閣側とも相談していただいて、それぞれの主管大臣において御決定をいただくようにという、そういった趣意の閣議了解になっているわけです。お手元に差し出しております各省所管別の資料でございますが、それもかなりこうかんにわたっておるわけですが、出身別でどういうふうになっている、どういうふうになっている、一々御理解のいただけるような資料をお出しいたしておりますけれども、数の集計がどうなっておるかということについての整理がついていないものですから、先ほど申し上げましたようなことで至急整理をいたしておりますので……。
  189. 浅井美幸

    ○浅井委員 私の言っておるのは、各省の人事の任免に際して事前に官房長官に御了承をいただくということがきまったというのですよ。そうでしょう。そうしたならば、官房長官自身がいわゆる数もわからない、あるいは各省がどういうふうな動きになっているかわからないでは、済まないぞというわけですよ。あなた自身が全部これを御了承になっておるのかと聞いておるのです。
  190. 保利茂

    ○保利国務大臣 私が承知いたしております限り、昨年十二月以降ではあまり事例はございませんのでございます。一、二所管大臣からお話があったものがございますけれども、いまはしかと記憶がございません。そういうたてまえでそれぞれの大臣もそういうふうにお扱いになっておられますから、その点を御理解願いたい。
  191. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いまの官房長官説明に補足いたします。官房長官、前の木村君が副長官をしておりますが、これは一々官房を通じて、今度は何の何がし、これが任期が来て取りかえるようになります、そのかわりにはだれだれを持ってきます、そういうことを事前に実は話をして、ものによっては閣議で承認する人事もございます。閣議で大体報告する、これがいまの普通のやり方であります。したがって先ほど私が申しましたのも、特に重大な人事だと見られますと、官房だけではなくて私の意見も聞かれることが多い、これを先ほど申したのでございます。それから監事だとかあるいは平取締だとかこういうことになりますと、これは軽微な人事だということで、いまの木村君あるいは保利長官、その辺のところで、一応担当の省からそこへ相談を持ちかけて、そしてそれはもう省で考えられるとおりおやりなさいというふうなことになりますと、今度は閣議で報告する、こういうようなことでございます。  だから実際は人事に目を通さないわけではありません。なぜそうしているかというと、省によりましてそれぞれの行き方がありますから、あまり均衡を失しないようにしたい。あるいはまたでき上がる公庫、それの関係する役所が二つ、三つある、こういう場合に、今回はどこの省から出す、その次の機会に他のほうの省が担当するとか、こういうことで振り分けをいたしたりいたしますものですから、ただいまのように一応どっかでまとめるというか、まとめの役をする必要がある。そういうことをいま厳重にやっているわけです。
  192. 浅井美幸

    ○浅井委員 厳重にやっておられるでしょうけれども、大蔵省等の天下りが非常に多いわけです。  時間がないので次の問題に入りますけれども、先ほど総理も入ってこられたときに聞いておられた北海道開発庁の問題、これは民間会社です。いままで出たのは特殊法人でありますけれども、この会社は、これは明らかに事前にお手盛りとしてそういう自分の退職する会社をつくっておる。そして退職したら翌日にいわゆる役員としてそこに就任しておる。これは明らかに国家公務員法については問題があるが、このときには人事院が承認しておるのです。そしてまた北海道開発庁という一庁からこの民間会社北海道開発コンサルタント株式会社に五十三名も就職しております。  さらにおかしいことはこの事業内容であります。このコンサルタント会社全体の事業量は四十一年度の決算で六億三千八百万円です。その中の北海道開発庁の発注は二百九十五件あって、四億五千四百七十四万円、約八〇%の事業北海道開発庁が注文しておる。自分が現職でおるときに退職の会社をつくっておって、そしてそのあとすぐその中に入っていって、そして注文はもとの自分の北海道開発庁から受ける。このようなあり方は、世の指弾を受ける天下り人事はいけないという一つの典型的なものだと思うのです。これについて総理の御見解はいかがでしょうか。
  193. 野田武夫

    ○野田国務大臣 先ほども浅井さんにお答えいたしましたが、これは昭和三十五年に設立したので……。
  194. 浅井美幸

    ○浅井委員 それはわかっております。総理の見解を聞いているのです。
  195. 野田武夫

    ○野田国務大臣 そこで、結論といたしましては、その事態は――その当時は北海道開発のために北海道開発庁の役人とかあるいは道庁の役人が、先ほど申し上げたように入っておりまして、やはり開発目的を達成するという目的で動員したんだと思います。しかしこの事態そのものは、私も聞きまして好ましくない、今後十分こういう問題は注意すべき問題だと思います。お答えいたしたとおりで、今後におきましてはこれらについて内容をひとつ十分調べまして、御意思を参考にいたしましてこれらについて善処したい、こう思っております。
  196. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いまの具体的事例については、いま自治大臣からこれはどうもまずかった、こう申しておりますが、いままでとかくこういう事柄が役所の場合にあるんですね。一般会計である、それが特別会計をつくって、一般会計からはずして特別会計にする。そうしてその特別会計になったものが適当のときにまた公社、公団になる。こういうような移り変わりをしておる例があるわけです。そういう意味で皆さん方からも特別会計を増加すること、ふやすことについては非常なきびしい批判を受け、そしてそれが適正でなければならない、まして特別会計から公社、公団になること、それについても厳重にワクをはめる、こういう事柄があるのでございます。大体いまの北海道の場合がそういうような経路をとっておったかあるいはそういうこともとらないで直ちに会社にいき、そうしていままでやっていた仕事会社にほとんど移っているというような形じゃないかと思いますが、そういうような事柄は御指摘のとおりよく気をつけないと、これはとんでもないものだ、こういう御批判を受けることになる、かように私も思います。
  197. 浅井美幸

    ○浅井委員 最後に、先ほど来いろいろな問題がございましたけれども、行監委員の太田さんが総理に対して意見書という形で先般出しました。参議院の予算委員会等で御答弁ございましたけれども、きょう、いままでの質問で、天下り人事の問題、非常に強い関心があった、あるいは議院運営委員会においてもこの問題が取り上げられて、各社の論説委員を呼んでその意見等を聞いております。やはり各社の論説委員等の意見においても、この天下り人事については何らか規制をしていかなければならぬ、そういうあり方指摘をしておりますけれども、総理としてこの行監委員の意見書に対して、先ほどは、いまの公共企業体の役員のあり方は検討する、こういう話もございましたけれども、いままでのいろんな私の――いま現実の一つの問題をとらえただけでありますけれども、まだまだこのような、いわゆるお役人と民間との接触あるいは退職問題、こういう不明朗な行政が行なわれることは数あるわけです。また、数あるとともに、その温床となることは、これはもう明らかであります。あまりにも民間と、あるいはそういう下請の会社との密着が強過ぎるんだ。そこで、このことについての、いわゆる行監の意見書に対する前向きな総理の今後の姿勢を私は明確に答えていただきたいと思います。
  198. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 実はこれが私の手元へ来たのが今朝なんです。ややおくれておりますがね。皆さんのほうに先に入っている。しかし、行管庁から私のところへ来る来ないにかかわらず、行政監理委員会でも天下り人事については特に意見のあるところでありますし、また先ほど来私申し上げたとおりの感じを私は持っております。とにかく、悪いのは天下りが悪いというわけじゃない。これが、とにかく、汚職につながったり、誤解を招いたり、いろいろしておるのだ、とにかく働ける間は国家社会にその有能な才で奉公するのが当然だ、私はかように思いますので、そういう点について十分気をつけていくこと。そうじゃないと、やめたら仕事がないという、そういう世の中も困ったものだし、また有能な才であるにかかわらず社会国家に働かない、これもいかないことだと思います。したがって、ものごとはやはり適正、適度にやらないと、いろいろ誤解を受けるのではないかと思います。行監のこの意見書につきましては、十分検討いたしまして、そして納得のいくような処置をするつもりでございます。しかし、大まかに申しまして、ただいまのような感じを私は持っております。ありがとうございました。
  199. 浅井美幸

    ○浅井委員 私の質問を終わります。
  200. 中川俊思

    中川委員長 この際、午後二時三十分再開することとし、暫時休憩いたします。   午後二時四分休憩      ――――◇―――――   午後二時四十四分開議
  201. 中川俊思

    中川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  各大臣に対する質疑を行ないます。田中武夫君。
  202. 田中武夫

    田中(武)委員 午前に引き続きまして四十一年度決算総括の質問を続けたいと思いますが、まず最初に、先日の決算委員会におきまして警察庁の答弁で質問を留保しておった点があります。それから入りたいと思います。  あのときに要求いたしました資料をいまもらっておるのですが、この資料だけではどうも私十分納得がいかないので、本来ならばまず公安委員長が発言を求めて、それから質問に入る、とこういうことになろうと思いますが、それは省略して、私のほうからずばり聞きたいと思うのです。  荒木公安委員長おられますね。――問題は、機動隊が出動するときにあたって、いわゆる危険手当を三百円出しておるのか出していないのか、そういうことに尽きるわけなんです。ところが予算委員会においては過去においても出しておられたと思われるような答弁があり、先日はいままでは出しておりませんと明確に言われたわけなんです。そこでずばりお伺いいたしますが、いわゆる危険手当なるものは従来は出しておるのですかおらないのですか。
  203. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 お答え申し上げます。出してはおりません。
  204. 田中武夫

    田中(武)委員 名前は危険手当ということではないとしても、この種のものは一切出ておりませんか。と申しますのは、出動にあたって一人頭幾らといったようなものは出ておりませんか、どうです。
  205. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 お答え申し上げます。  いまおっしゃるような意味においては何ら出てはおりません。
  206. 田中武夫

    田中(武)委員 そこで、四十四年度の予算を要求せられるにあたって、その報償費の中に、一回出動に対し一人三百円という計算の基礎を置いて、いわゆる報償費を大蔵省へ要求した、こういうことに説明はなっているようです。それならばこれからは出すつもりなんですか、どうなんです。
  207. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 お答え申し上げます。  そのものずばりで申し上げねばなりませんけれども、いま御指摘のとおり予算要求の積算基礎としての三百円というものは、この前の予算委員会でも出た数字でございますが、それはあくまでも積算基礎でございまして、それに基づいて予算案がきまりました中の金額の支出につきましては、ケース・バイ・ケースでその事態に応じて支出をする、交付をする、そういうたてまえのものでございます。
  208. 田中武夫

    田中(武)委員 大蔵大臣、いま荒木大臣が答弁したように、現実には支給するという気持ちというか支給しないもの、それをただ予算を要求するにあたって、人数かける出動回数かける三百円というようなことで予算要求の積算基礎にするというようなことについてはどうなんです。現実にそれは出さないと言っておる。ただ予算要求にあたっての積算の基礎として一人一回三百円ということにしたのだ、そういう説明なんですが、それはどうなんです。
  209. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 事務当局から説明いたします。
  210. 船後正道

    ○船後政府委員 警察庁報償費につきましては四十四年度に増額の要求があったわけでございますが、報償費の性格上、積算というものにつきましても、警察のほうでは種々めどをつけるためにいろいろの積算をしておられたようでございますが、結果的には最近における機動隊の出動状況が非常に多くなっておりますし、また受傷者の数も四十三年度上半期までの実績でもって推定いたしますと、四十二年度の四倍以上になっておるという状況でございまして、予算そのものはこのような受傷の件数の増加あるいは出動状況の増加というものを勘案いたしまして、増額した次第でございます。
  211. 田中武夫

    田中(武)委員 私が聞いておるのは、たとえばこれからは出動回数も多かろう、危険度も増すだろう、したがって一年にこの程度のけが人、あるいは悪くすれば殉職者が出るかもわからぬ、そういうことで計算せねばならぬことはわかっているのですよ。そういうことではなくて、出動一回一人当たり三百円として、延べで計算した、こういうわけなんです。そういうようなことで、大蔵省は予算の積算を認められるのかどうかということと、なお報償ということはそれぞれ内部規程があります、たとえば警察官の特別報償規範とか、あるいはこれは報償表彰とはどう違うのかということにもなりますが、警察官の表彰規則とか、あるいは警察官に協力した民間人に出す報償の規則とか、そういうものは全部一応整うておるわけなんです。ところがいま積算の基礎とせられたというこの危険手当については、法律的ないし内部的規程にもそういうものはないわけなんですね。ありますか。――内部的規程もないものにただ単に三百円かける人数かける回数で幾ら、こういうようなあいまいな積算の基礎で、大蔵大臣予算を認められるのですか。やはり要求するには法律的な基礎、あるいはそれに基づく政令、命令、このごろは政令だけで勅令はありませんが、政令とかあるいは内部規程とか、あるいは行政上すでに慣行化せられておるとかというものについてやるんじゃないのですか。新たにやるなら、こういうわけでこうだ、こういうことで積算をして要求するんじゃないですか。出すつもりはない、ただ予算をとるだけで、三百円かけるこれこれかけるこれこれで要求するということはどうなんです。そういう方法がとられておるのですか。
  212. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 大蔵大臣お答えします前に申し上げたいと思います。先ほど申し上げましたように、三百円はいま御指摘になったようなことにかけまして、概数このぐらいになります、だからこれだけはもらいたいという、概算要求をしますときの説明資料として大蔵省に折衝した材料でございます。それを現実に出すにつきましては、むろん一つの基準というものがなければならぬことは当然でありまして、訓令などというものを定めまして、ケース・バイ・ケースでその根拠に基づいて支給するという手はずにいたすつもりでございます。  なお、この点については、私どものほうの政府委員から、補足させていただきます。
  213. 浅沼清太郎

    浅沼政府委員 お答えいたします。  ただいま大臣が答弁いたしましたとおりでございまして、この予算をお認めを願いました場合には、警察庁の訓令を定めまして、その基準に従いまして支給をいたすという考えでございます。
  214. 田中武夫

    田中(武)委員 そうしますと、現在ある特別報償規範ですとか、規則にはない。新たにこういうことをやる。そこでこの予算が認められた場合には、それの支給について別に内規なり必要ならば政、法令を出す、そういうことなんですか。
  215. 浅沼清太郎

    浅沼政府委員 先生のおっしゃった、殉職者とか不具廃疾者に対しては、警察表彰規則の賞じゆつ金の項でいたします。ただ報償費の中で、協力者に対する報償でございますとか、そのようなものは特別の規則なりそういうものはございません。ただ、ただいまはけがをした場合に、不具廃疾にならぬ場合でも見舞い金を出しておりますが、これらは現在内規で基準をきめて支出をいたしておるところでございます。
  216. 田中武夫

    田中(武)委員 現在あるところの内規なり規範等々によらないものをこれから出そうというわけでしょう。
  217. 浅沼清太郎

    浅沼政府委員 おっしゃるとおりであります。
  218. 田中武夫

    田中(武)委員 大蔵大臣、いつもこういうことなんですか。こういうものをつくってこう出したいからこれこれの積算によるこれこれが要求額として出てくる。ところが、いま全然基礎のないもの、ただ三百円かける人数かける回数で幾ら、そして予算が認められた場合には、今度その範囲において支給のやつはあとからきめる、こういうことで予算を認めるのですか。
  219. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 ただいまおっしゃるような場合もありますし、また規程がちゃんと案ができまして、それに基づいて認める場合もある。これはケース・バイ・ケースですね、そういう状況です。
  220. 田中武夫

    田中(武)委員 ケース・バイ・ケースということばはいろいろにとれますが、そういうことも過去にあったかも知れないが、私はそれは例外だと思う。少なくともはっきりした基礎があって、その上に立って積算せられるべきである。少なくとも現在出していない。しかし、これから出そうということなら、正式な手続をとる。いわゆる内規なりあるいは政令、法等はないにしても、こういうようなのには出そうということで原案ぐらいはあるでしょう。原案もなしに、ただ三百かける人数かげる回数ということだけで出てまいりますか。それなら、私は納得できないのですがね。だから、現在はそういうこまかな内部規程等々ありません、しかしこのようなものをきめてその上に立って出すために積算基礎はこういたしました、そういう説明がなければ納得できないんじゃないですか。
  221. 浅沼清太郎

    浅沼政府委員 お答え申し上げます。  ただいま私どもの考えております取り扱いに関する訓令の案の考え方を申し上げますと、警察庁長官は、警察職員が治安警備、大規模な災害警備、その他国の公安にかかる警察活動に際し、危険を顧みずその職務を遂行し寄与をした場合において、その労苦を賞揚するために賞揚金を授与する。前項の場合の賞揚金の金額は、別に定める基準の範囲内で授与する。ただし、必要がある場合には基準の額の二倍をこえない範囲で授与することができるというような考えであります。  いま申し上げました基準の範囲でございますが、一応考えております基準は、受傷をいたしました場合、全治一週間未満は千円、一週間以上二週間未満は二千円、二週間以上三週間未満は三千円、一カ月未満は五千円、一カ月以上は一万円、そのうち、特に重傷者は三万円、それからこの負傷をしたもののほか、多大の労苦に対してこれをねぎらうというものに対しましては千円というふうに、現在考えておるところであります。
  222. 田中武夫

    田中(武)委員 公務のために負傷しあるいは病気になった場合は、いままでだって当然ですね。そうすると、これで新たに出てくるのは労をねぎろうて千円ということになると思うわけです。そこで一応整理していきたいと思うのですが、この報償費につきましては四十三年度は四千九十九万九千円、四十四年度は一億三千二百万円、差し引きして九千百万円ほど多くなっているのですね。これが新たに考えられておる、俗称危険手当、全額を見ているかどうかわかりませんが、そういうように受け取るわけなんですが、それでいいのかどうか。  それから先ほど来言っておるように、出動一回に対して一人幾らというような出し方は今後もいたしません、労をねぎらう意味において千円程度のものを出そうという考えだということが大体わかってきたのですが、その労をねぎらうということもいろいろありますが、それは一体どの程度に考えておるのか、そういう点をひとつもう少し明らかにしていただきたいと思います。   〔委員長退席、白浜委員長代理着席〕
  223. 浅沼清太郎

    浅沼政府委員 ただいま御指摘のように、この増額分の大部分は、警備事案に出動してけがをする、あるいは労苦多大な者に対する報償というものでございます。  それから、どのような場合に出すのかという点でございますが、警備に出動したから出すというものではございませんで、御承知のような投石なり角材で攻撃を受ける、あるいは火災びんを投げつけられるというような中で警察業務を遂行している、非常に労苦多大であり、かつ功労も大きいという具体的な程度を見まして、それに対して限られた考え方で支出をいたすという考えでございます。
  224. 田中武夫

    田中(武)委員 まだ少しはっきりいたしませんが、大体一人一回出動に対して幾らといったようなものは出さないという点だけははっきりしたと思います。  そこで、そうだとするならば、予算委員会での政府委員の答弁と食い違ったわけなんです。ここで訂正をせられましても、予算委員会の議事録は直らないと思います。委員長に申し入れますが、これは何も私が心配する必要はないと思うのですが、その予算委員会の議事録に、出しておったという意味の答弁があります。それをどうするかということは委員長において予算委員長と協議をして取り扱いを考えていただきたい。そのことを申し入れておきます。
  225. 白浜仁吉

    ○白浜委員長代理 ただいまの田中君の御発言に対しましては、委員長において善処いたします。
  226. 田中武夫

    田中(武)委員 そして、いまの報償金の増額というものは、大体いま言われておった危険手当といったような一人一回一律という考え方ではなくて、それもいわゆる機動隊というような職務を行なう人だけでなく、刑事事案捜査に当たる人、いろいろな人が入っておるわけですね。
  227. 浅沼清太郎

    浅沼政府委員 おっしゃるとおりでございます。ただ先ほど来申し上げておりますように、最近警備事案に出動するという場合が多いものでございますから、それにウエートを置いて説明いたしましたが、あらゆる職種、職場で苦労しておる者に対して支出をいたしたい、このように考えております。
  228. 田中武夫

    田中(武)委員 こればかりにこだわっておると先へ進みませんので、次にもらった資料についてお伺いいたしますが、一つはいわゆる公営ギャンブルが行なわれた場合に、その主催者、施行者から、警察とか消防に対して金一封が十年ほど前までは確かに出ておりました。私、指摘したことがあるんですが、それが現在どうなっておるかということについては、出ていない、もらっていないということです。そこで、いつごろまで出ておって、いつごろからそういうことがやまったのか、それは施行者のほうからやめてきたのか、警察のほうから御遠慮申し上げたのか、そのようなものが出なかった結果、警備状態その他に対して別に支障その他がなかったかどうか。これが一点です。  もう一点は、いわゆる警察の行事に対する寄付行為は、往々にして、警察庁というよりか、府県警察ないし第一線の警察署長あたりの機密費交際費というものがないから、そういうことが行なわれておったのではないかと思います。たとえば演武始めにお祝いを持っていくということはもう十年ぐらい前からなくなっているように聞いておりますが、こういう寄付行為について、警察庁では府県警察及びそれ以下の第一線警察に対してどのような指導をしておられるかということと、さらに私は反面、第一線警察官、特に警察署長等であろうと思いますが、ある程度の機密費――機密費ということばは使いたくないのですが、交際費等は認めるべきではないかということもちょっと考えるのですが、そういうような点はどうなっておるのか、この二点をもらいました資料に基づいて質問いたしましたが、お答えを願います。
  229. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 御指摘のように以前にはあったようなこともむろん聞いておりますけれども、現在はございません。詳しくは政府委員から補足させていただきます。
  230. 浅沼清太郎

    浅沼政府委員 お答え申し上げます。  ただいま仰せのように十年ぐらい前には主催者等からこれを受けるということがあったようでありますが、その後これらの警備の費用につきましては、昭和三十一年に次長通達をもちまして、都道府県費に計上して取り扱うもの以外は名目のいかんを問わず一切受領しないというような指示をいたしまして、その時点におきまして、一つは、そのままもうすっぱりやめたところと、一つは、一応それを経理上県費に計上をいたしまして警備に支出したというところがあったようであります。しかし、その後しばしばの行政指導によりまして、私どもの承知しておりますところでは、三十四、五年ごろからは全部県費に計上されまして主催者からもらうということはなくなったというように承知いたしております。  それから先ほどの問題で、警察庁が先ほどのような措置をとりましたのは警察庁の自発的な考え方に基づいた措置でございます。  それからただいまの警察の行事につきましての寄付でございますが、これも従来第一線ではもらっておったようでありますが、現在寄付金はもらっておりません。これはやはり昭和三十一年に官房長名で厳重な通達を出しまして、さらに全国的にしばしば、指導をいたしまして、昭和三十四、五年以降におきましては改善をされているというふうに承知しております。ただ、御指摘のような第一線の署長の交際等に要する経費は、それぞれの県におきまして現在は県費で計上いたしまして、その措置をとっているという実情でございます。
  231. 田中武夫

    田中(武)委員 次に聞きたいと思いますが、これも先日時間の関係であまり詳しく伺わずに終わりましたのであらためてお伺いいたしますが、例の三億円拐帯事件についてであります。先日の説明で捜査費五百万円というような説明があったと思います。三億円に対して五百万円というようなことでございますが、いまだにその犯人像もつかめないということについては、まず第一点としては初動捜査に抜かりはなかったかどうか、さらに第二点としては犯人像を追及するにあたって見込み違いでやっておったんじゃないかというように考えられますが、これは警察庁は直接捜査はしてないと思いますが、指導し指揮する上において、そういう点についてはどうでしょうか。
  232. 内海倫

    ○内海政府委員 初動捜査の問題あるいは犯人の推定の問題ですけれども、私ども事件が起きましたときに、直ちに警視庁から詳細報告を聞きましたけれども、あの時点でなし得る措置はとっておったように私どもは見ております。特に初動捜査におきまして、一番大事なのは、緊急配備、特に車両の検問等でございますが、実質的にそうした検問が非常に困難な交通事情になっておるというふうな点で、私どもの真に期待したい検問がなし得ないというふうな条件があることは、私どもも認めざるを得ません。  また犯人像につきましては、もともと推定するということが非常に困難でございますが、被害にかかりました人などからいろいろ人相風体を聞きまして、モンタージュ写真もつくって手配をいたしております。しかしこれも決して一〇〇%確実なものというふうなものではございません。そういうふうな意味で、今後もわれわれはいろいろ考えなきゃならないとは思いますが、現状におきましては、以上申し上げたようなとおりでございます。
  233. 田中武夫

    田中(武)委員 この事件がこんなにもたもたしておる一つ原因に、私は警察機構の問題があるのじゃなかろうか、こう思うわけなんです。御承知のように都心の外側と申しますか、それは急速に人口が過密化してまいりました。それに対して警察機構がこれに追っつかない。いままではその辺は平和な農村とでもいうような土地柄であったのが、いわゆる土地ブームで一ぺんに金持ちができる。あるいはいままでなら顔なじみであったところが、いろんな顔を持ち、いろんな職業、生活環境の違う人がどんどん入り込んでくる。それに対する警察の治安上の措置はといえば、従来あった派出所が一つだけだ、こういったような、いわゆる私は犯罪真空地帯というのができておるのじゃないか。聞くところによると、三多摩地区では一つの派出所のおまわりさん一人で警備する範囲が、都心では一警察署、たとえば丸の内署の範囲よりか面積が広いとか、あるいは田無署のある派出所では、一人の巡査が八千人の人の治安を守らねばならないというような状態がある。ことに先ほど申し上げましたように、激動する波の中にあって、東京だけではなく、大阪でもその他の大都市でもそうだと思いますが、いままで郊外といわれておったところが急速に膨張してくる。それに対するいろんな機構がこれに間に合わない。警察の機構としてもそういうところがある。そういうところに私は犯罪が起こるべくして起こる、まさに府中はそういうところではなかったかと思うわけです。  そういうような問題については、私はそういった急速にふくれ上がってくる、ことに治安その他についてもいままでと違って、不安な精神状態に置かれるとか、いろんな環境の変化に伴うところの手を打つべきではなかろうか、このように思うのですが、これは長官いかがでしょうか。たとえば一人の警官が派出所にいる。それが夜になると合同して一人もいないということになるのですね。この凶悪犯罪というのがこういう地帯に多く起こっているのではないか、どうです。
  234. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 お答え申し上げます。  御指摘の点は、私もしろうとながら御心配も御無理じゃないような気がいたします。もちろん警察当局にぬかりがあろうとは思っておりませんけれども、急激ないわゆる過密、過疎問題にびしびし対応しておるかいなかということについては、まだ十分私もわかりませんけれども、注意すべき課題であることは当然だろうと、御質問を拝聴しながら思ったわけであります。  そこで最近のわが国における過密化現象と同時に、犯罪の発生も大都市の周辺において多発する傾向にありますことは御指摘のとおりで、いわゆるドーナツ化したような現象を示しておるのであります。したがいまして犯罪の予防と検挙のための警察活動にあたりましては、このような傾向に対応した適切な活動がなされなければならない。これも御指摘のとおりと私も思います。警視庁をはじめ大都市を擁する府県警察にいたしましては、こういう点に十分なる配意をしておることは当然と心得ておりますが、今後とも犯罪の多発しております大都市周辺部において、警察活動の強化をはかっていくように、意識的に努力をしていきたいと存じます。また、しろうとの想像を出ませんけれども、いつかも申し上げましたように、北海道から鹿児島までの縦貫道路ができる、あるいは横断道路も続々できるというような、交通機関の急激な発達、一般的にいえば便利になるのですけれども、犯罪人につきましても便利性を提供するおそれがたぶんにありますことも考慮すれば、御質問のような基本的な考え方について十二分に考え尽くし、遺漏なきを期せねばならぬと考えるのであります。
  235. 田中武夫

    田中(武)委員 警察庁に対してまだ質問したい点もありますが、時間の関係で次にまいりたいと思います。時間の関係でもう固めて質問していきますから、答弁もひとつ要領よく固めてやっていただきたいと思います。  次に農林大臣にお伺いいたしますが、最近韓国へ三十三万三千トンの米を貸与するということが正式にきまったようであります。それが食管法上どうかということについては、七条一項の政令で、その根拠を見つけようとされておるようですが、これに対しては、私予算委員会で申し上げたように疑問を持っております。しかしこのことについて、私はいま法律論議をしようと思っておりません。法制局長官がいないし……。これはどこかでひとつ法制局長官と四つに組みたい、このように考えておることだけを申し上げておきます。  そこでこの三十三万三千トンですが、これは四十二年度産米を幾ら、四十三年度の産米幾ら、こういうことによって価格は変わってくると思いますが、大体四百四十億から四百五十億くらいの金額になるのではなかろうかと思う。それにプラス利息があると思うのです。たとえばこれは特別会計で、いわゆる食糧証券で買っておるでしょう。いわゆる借金でこの米は買っておる。その利息は五分六厘五毛です。この利息、さらに輸出するにあたっての必要経費運賃、荷づくり等があります。これを韓国側がどのように分担するかということがきまっておればそれをひとつ言うてもらいたい。こう考えてまいりますと、大体特別会計で四百四十億から五十億の金を韓国へ十年間据え置きで貸す。十年間の利息、これは複利にすればもっと高くなりますが、食糧証券はこれは一年で払うというのだから、これは単利で見たとしても、十年間で少なくとも二百五十億ぐらいの利息がつくわけですね。それを十年間据え置くわけですね。それから今度は十一年目から、これは均等に返還を求めるのかどうか知りませんが、とにかく二十分の一ずつ二十年間返してもらう。そうすると、たとえば十一年目は二十分の一は減るが、あと二十分の十九というこの金額は残る。それに利子がつく。これを計算していくと相当な金額になるのです。これはどのくらいになるのか、一ぺん数字が出ておればひとつ聞かしてもらいたい。それが一点。  それからもう一点は、そうしてやったといたしましても、結局三十年間かからなければこれは済まないわけなんです。言うならば現在の食糧管理特別会計を三十年間同じかっこうで置いておくということになるのかどうか。さらに特別会計を見ました場合には、借り入れ金については詳細な規定があります。ところが貸し付け金についてはあまり詳細な規定がない。これはそういうことを予想していなかったと思いますが、そういうような特別会計の中に、三十年にわたっていわゆる貸し付け金債権を残すというようなことが、特別会計処理からいってどういうことになるのか等々考えてまいりますと、いろいろ疑問があるわけなんですが、ひとつ御説明をわかりやすくしていただきたいと思います。
  236. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 国内産米を大韓民国に貸し与える件については、三月の十一日の閣議で決定をしてございます。したがって詳細にわたりましては、この点については食糧庁長官から御説明を申し上げます。  さらに一点は、韓国への貸し付け米でございますが、食管制度を堅持することはしばしば私が申し上げているとおりでございまして、食管制度を堅持するのだ、こういうことを申し上げております。したがって食管特別会計を廃止することは、現在のところは考えていないわけでありますから、かりに廃止した場合には、その廃止の際に食管会計の債権債務を引き継ぐべき会計といいましょうか、通常の場合は一般会計できめることになるので、その一般会計に引き継ぐ等の所要の措置をいかに講ずるかということでございますが、現在はそこまで考えておらぬ。いずれにしても食糧管理法というものは置くのだという、この上に立っての現在の韓国への貸借が行なわれておる、こういうわけでございます。詳細にわたりましては長官から御説明申し上げます。
  237. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 補足して御説明を申し上げます。  三十三万三千トンの米の買い入れ価格は、四十二年産米の貸し付けの量が十六万トン、四十三年の貸し付けの総量が十七万三千トン、合計三十三万三千トンでございますので、これを年産の買い入れ価格の加重平均したもので計算をいたしますとトン当たり十三万四千百二十六円ということに相なります。これに三十三万三千トンの数量を乗じますと四百四十六億六千四百万円ということに相なるわけでございます。三十三万三千トンの十年間の金利ということでこの十三万四千百二十六円という単価を基礎にして単利で計算をいたしますと、二百五十二億円というのが金利総額に相なります。なお、三十年間の金利につきましては、実は私のほうの試算としては、期末評価額が財産価格でございますので、その計算の分を手元に持っておりますが、その期末価格に延べ石数をかけまして金利を求めますと、三十年間の金利合計は四百八十六億になるということでございます。
  238. 田中武夫

    田中(武)委員 経費なんかはどういうふうになるか……。
  239. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 経費につきましては、この受け渡しの条件は、送り出しの際には日本の港における船積みで引き渡す、したがって船賃は先方持ちということでございますし、返還時は日本の港まで韓国政府が持ってきて日本側に引き渡すということで、これも船賃は韓国側でございます。したがいまして、国内における貸し付けのための経費、それから受け入れの国内の経費というのは、送り出しの場合には、在庫の倉庫から船積みまでの諸経費ということに相なりまして、積算をいたしますと約十億余りになるのでございますが、これを双方で検討いたしました結果、米ドル三百万ドルを、第一船の出港と同時に韓国側から日本側に支払うという契約に相なっております。なお返還時につきましては、金額で契約をするということは、時日が先になりますので、後日返還時における物価その他の事情に応じまして、所要経費を計算したものを日本側に支払う、貸し付け並びに返還の手数料は韓国負担という契約でございます。
  240. 田中武夫

    田中(武)委員 特別会計は大体単年度というか、一年度ごとに国会の承認ということになっておるのです。三十年間の長期にわたる貸し付けについて、これは一体どうなるんでしょう。借り入れ金については一年ごとにということをはっきり特別会計にうたってありますね。そういうような特別会計法と実際の帳簿との操作及び国会承認との関係はどうなりますか。
  241. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 これは申すまでもなく現物を貸し付け現物を返還してもらうという契約でございますので、特別会計資産の計上といたしましては、貸し付け米債権ということで、国内米勘定の資産に計上をいたすわけでございます。返還時にはこれは輸入食糧ということに相なりますから、輸入食糧勘定で受け入れをする。そうすれば、受け入れましただけは国内米勘定の債権の減少ということに相なりまして、欠損ということになり、輸入食糧勘定のほうは益ということになりますから、損益を調整勘定に繰り入れまして相殺をいたしまして、整理をするというやり方をするつもりでございます。
  242. 田中武夫

    田中(武)委員 時間の関係がありますから次へまいります。  次は、これは行管長官にお伺いするというかっこうになろうと思うのですが、これは朝からきょうの質問でもみんなが触れた点ですが、いわゆる役人の天下り人事の問題なんです。  これは私二つに分けて考えてみたいと思うのですが、まず一点のほうは、いわゆる公社、公団、事業団等特殊法人、国家機関へ再就職する場合です。こまかい資料を持っておりますが、それはやめるといたしましても、先ほどもそういう点が出ておりましたが、給与が高過ぎる。これはいままでの人が受け取った給与から見て高過ぎる、あるいは他の一般国家公務員等と比べても高過ぎる。それから退職金が一律に一カ月の百分の六十五というのはどうも解せないわけなんです。そういうのは一体どこできめたのか。これは官房長官のほうで押えられるのですか。全部公社、公団の退職金が役員は一カ月の百分の六十五になっておるのです。一カ月の月給の百分の六十五です。一期やると大体一千万近くなるのです。  さらにこの天下った人たちを見ますと、やはり経済関係省が多い。大蔵を筆頭に通産、農林、運輸、こういうようなことになっておる。これは人事院においていわゆる承認事項になっておるが、すべて承認を得たものです。一体人事院はこの承認にあたってどのような基準でどうやっておるのかということ、いままでに拒否した実例があるならばそれをあげて、ひとつ簡単に、どのくらい拒否したことがあるのか、そういうこともお伺いいたしたいと思います。  要は、これは全閣僚に申し上げたいのですが、ともかく次官なり局長になる、言うならば、その人たちは功成り名遂げた人です。そこで五十そこそこでやめていくということは、ここに一つの問題がある。これは確かにそうだと思います。その点はもう一ぺん考える必要があると思います。そして功なり名遂げた人が、いままで自分が取り組んできた、たとえば建設省の住宅局長なら住宅問題あるいは通産省の中小企業庁長官なら中小企業問題、あるいは大蔵省が金融関係と、こういうことであるならまだわかるのです。ところが全然いままでと性質が違うところへ行く。たとえば法制局長官が何とか公団へ行くとか、しかもそれが従来の役人の、国家公務員の人事と同じように、たとえば何々長官がやめてどこそこの総裁になる、それに引き続いて、どこそこのいままでの総裁がどこそこの総裁あるいは理事長になる。こういったような人事が行なわれておる。  さらにもう一つは、たとえば、これが一番最後の四十一年度の審議になりましたので、北海道東北開発公庫の事例を持っておりますが、監事を入れて役員八名、そのうちいわゆる国家公務員ないしそれにひとしい人たち、いわゆる役人が入っておるのは八名中五名、しかもそれには総裁は大蔵省出身者がなる、あるいはどこそこの副総裁は通産省出身がなる、こういうようなワクがおのずからきまっておるということ、こういうことはどうしても私は許せないと思う。このことについて総理に聞くべきでありましょうが、総理がおられませんので、行管の長官と、それから総理のかわりと申しますか、官房長官からひとつお答えを願いたいと思います。さらに人事院関係については、人事院総裁はきょうは留守だそうですからかわりの方から、いずれも簡単でけっこうですから答弁を願いたいと思います。
  243. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 お答え申し上げます。  行政管理庁としましては、公社、公団、事業団、その他特殊法人等、その制度が必要であるかどうかということに関して担当しておる立場でございます。給与その他につきましては別個の課題と心得ますので、要らないものはつくらないというたてまえで、いままできておりますことを申し上げて、お答えにいたします。
  244. 海堀洋平

    海堀政府委員 先ほど給与の問題がございましたので、政府関係機関の役員及び職員の給与の基準は主務大臣の承認を得るということになっておりまして、その承認をする場合に、大体大蔵大臣に協議するという規定になっております。したがいまして大部分の政府関係機関の役員の給与、退職金等の基準につきましては、協議を受けまして、特別職の給与とか、あるいは民間会社の役員の給与等を参考にして、統一をとっているということでございます。
  245. 保利茂

    ○保利国務大臣 田中さんの、ある公団の総裁はどの役所、副総裁はどの役所というようなふうにあらかじめワクをきめてやっているのじゃないかというお尋ねですが、私はそういうことは実際問題としてあると思っております。そしてその公団なり公庫なりの扱っております職務は、それぞれの官庁のきびしい監督の下にあって、そして大事な職務を執行していくというような、目的を遂行していく上からも必要な場合、大体そういうふうになっておるのじゃないか。これはしかし、お話の趣旨等もよく伺って検討しなければならぬかと思いますけれども、大体はそうなっておるのじゃないかと思います。
  246. 田中武夫

    田中(武)委員 退職金が一カ月百分の六十五というのは、一体どこできめたのですか。
  247. 保利茂

    ○保利国務大臣 いま大蔵省政府委員から御答弁いたしておりますように、それぞれの主管省があって、主管大臣が大蔵大臣と協議をしてそういうものをきめていく、そのように扱っているようでございます。
  248. 田中武夫

    田中(武)委員 公社、公団いわゆる特殊法人の法律には一つのタイプがあって、それがだあっと入っているのですよ。だから総裁はこうしてきめる、以下の役員は総裁がこうする、給与はその主務大臣がどうとか、そんなものは法律一つの型になって入っているのですよ。そんなことを言っているのではないのです。私の言っているのは、一体どういう基準で五十万円、六十万円というような月給がきまるのかということです。しかもどこへ行ったって一カ月に給与の百分の六十五、五十万円の人なら三十二万五千円、毎月一カ月三十二万五千円というのが退職金として積み立てていかれるのですよ。そんなことを一体どこでだれがきめたのかということです。きめ方が、法律にこう規定されているということぐらいはわかっているのですよ、タイプがあってそれに型をはめていくのだから。一体どこのだれがきめたのかということです。
  249. 海堀洋平

    海堀政府委員 お答え申し上げます。(田中(武)委員「それは、あなたがきめたのか」と呼ぶ)いえ、私がきめたわけではございません。(田中(武)委員事務的な答弁ならいいよ。法律がこうなっているとか、どう言ったって同じことが書いてあるのだから……」と呼ぶ)きめますにつきましては、民間の会社の退職金、これは個々具体的にそれぞれの役員が退職するときにきめているわけですが、それの平均値等を参考にいたしましてきめたと承知いたしております。
  250. 田中武夫

    田中(武)委員 民間の退職金にそんなものはありません。しかもあなたが法律をもって答えるなら、法律はわかっているのですよ。大体たてまえは、給与に関する規定あるいは退職金に関する規定を定めて主務大臣の認可を得る、こういうことが法律の規定なのです。どこでもあけてごらん。そんなことは頭に入っているのですよ。そんなことを聞いているのではないのだ。一体そのべらぼうなばかなことをどこのだれがきめるのか、これは一応洗いかえる必要があると思うのです。さらに、あらかじめ何々公団の理事長は大蔵、副理事長は通産あるいは何々畑、こういうように大体ワクがきめられておる。それは公団をつくるときに、予算を請求するときに、大蔵省が予算を認めるときに、おれのところは何名入れろ、こういうことでやられていることはわかっておるのですよ。  そこで、私は役員を相手にはやりません。このことがいままで何回いわれても一回も改正ができていないわけです。今回またその機運ができております。鉄は熱いうちに打たねばなりません。議運においてもこれを検討しておられるようでもあり、当決算委員会においても委員会として資料を請求して、いまもらっております。したがってきょうこのような質問はみなやると思います。これで終わるのではなしに、決算委員会として取り組んでいく、そういうことをひとつ委員長において考えていただきたい。理事会においてこれからこれが解決するまで取り上げていく、こういう気持ちでおります。  さらに天下る、このことによって民間人の有識者の登用ということがなされない、最近一、二なされた例があります。もう一つは、本来そこの職員が希望を持って仕事ができるかということです。そういうような点から考えてみても、こういう人事がこれは国民の指弾の的になっていることはもう明らかであります。どうです、総理がおられたら総理の何ですが、官房長官どうです。
  251. 保利茂

    ○保利国務大臣 役員の欠員等が出ました場合、あるいは改選せられる場合、近来の傾向と言っちゃ悪いかもしれませんけれども、公団あるいは公庫内部からの役員の登用が非常に多くなってまいっております。それはもう先ほど申し上げましたように、とにかくこの種人事についての国会の御意見等も政府はよく承知をいたしております。そういう処置は可能な限り私も心得ておりますわけでございますし、また今後も十分検討してまいりたい。しかし大体そう欠員ができたからすぐ役所から天下るというより、公団なり公庫なりの中から登用されていくというのは、私の承知しておりますだけでも二、三そういうことを経験しましたわけでございます。
  252. 田中武夫

    田中(武)委員 次に、今度の関連の民間会社へ再就職するケースなんです。これについては人事院はこの基準に基づいて承認を与える。そしてその結果はいわゆる天下り白書といいますか、営利企業への就職の承認に関する年次報告というのを国会に出している。たとえばそれによると本年度は、というと昨年度になるわけですが、大蔵三十四件、通産十九件、農林十七件、建設十四件、運輸十三件等々になっておるわけです。経済関係が一番多いわけなんです。それは結局行く者も、受け入れる民間企業も、いままでの過去を利用するということ、あるいは行く側の人は自分の在職中に自分が次に行くような会社を自分で選んで、そこに特別なめんどうを見る。めんどうを見てもらったから受け入れなければならない。またその人たちはあとに残る役所の人たちの先輩である。その人たちの後輩として局長なりそぞそれの担当官は先輩の顔を立てねばならない。そういうことのくされ縁がずっと流れてきておる結果だと思うのです。しかもこの人事院の承認に入らないものとして相談役、顧問等々非常勤の嘱託等で行っておるケースがたくさんある。言うなら、これは脱法というか、一つの隠れみのになって人事院の承認からのがれるケースです。  ことにまた一番問題なのは、これは身分関係法律のたてまえが別であろうと思うわけですが、だからそうなっておると思うのですが、自衛官が別個に扱われておるということ、自衛官だけは別の基準において取り扱われておるということ、たとえば最近の例を見ましても、最近の五年間で元将官が関係産業、商社へ行っておるのが百六十六人、四十三年度だけで二十二名であります。こういうのが昨年予算委員会でも問題になりましたが、防衛庁の機密の漏洩というような問題にもつながる。ここに私午前中に申し上げました産軍膠着、産軍密着の状態が起きておる。  そこで、人事院から簡単でよろしいですが、承認に当たっての態度、及び不承認にした事例があれば、それを説明してもらいたい。  それから防衛庁長官からは防衛庁だけは別ワクになっておる、そのことは先ほど申しましたように、身分関係法の違いからであろうと思います。しかし、その基準は一体一般に比べてどうなのか、そういうような点について、おそらく満足な答弁は得られないと思いますが、一応お考えを伺います。
  253. 島四男雄

    ○島政府委員 お答えいたします。  公務員法百三条は、職員が離職後二年間は、その離職前五年間に在職していた国の機関と密接な関係のある営利企業の地位についてはならない、こうなっておりますが、この法律の規定の趣旨とするところは、在職中から密接な関係のある会社と情実関係を結ぶことによって、公務の公正を害するおそれがある、ひいては厳正な服務をそこなうおそれがあるということで、このような規制がなされているものと考えられます。  ところで、もしこの法律を厳格に適用いたしますと、国の機関と密接な関係のある会社ということになりますと、たとえば国税庁においては国税の更正決定を通じてあらゆる会社と密接な関係にございます。また、労働省は労働基準監督関係においてあらゆる会社と密接な関係にありますので、国税庁の職員あるいは労働省の職員はやめてからどこの会社へも行けない。これはいかにも憲法の保障する職業選択の自由から見ていかがであろうかということで、私どもではその方が過去在職中五年間についておりました官職を具体的に洗いまして、その官職の持っている権限とつこうとする会社との関係で、その密接の度合いを検討しているわけでございます。しかしながら、特にこの事業監督関係の強い官職、たとえて申しますると、大蔵省でいえば銀行局長と銀行の関係、あるいは通産省の公益事業局長と電力、ガス会社、あるいは厚生省の薬務局長と製薬会社等の関係は、(田中(武)委員「簡単でいいよ。」と呼ぶ)その理由のいかんを問わず、私どもでは承認しておらない、このような態度で現在までまいっておる次第でございます。
  254. 田中武夫

    田中(武)委員 不承認にした事例はありますか。
  255. 島四男雄

    ○島政府委員 これは私どもの基準というものは各省十分御存じでございまして、各省大臣の手元でもうすでにはねられているケースもございます。それから私どものほうに内々御相談がございまして、そのような会社には承認できないということではねられたケースが、たとえば昨年の例をもって申しますと、約三十件ほどございます。
  256. 田中武夫

    田中(武)委員 ちょっと委員長に御了解を得たいと思うのですが、予定の時間が来たのですけれども、結論に入りますから、しばらくお許し願いたい。自後の質問者にもよろしく御了解願います。
  257. 有田喜一

    ○有田国務大臣 防衛庁が人事院と違う系統でやっていることは田中さん御指摘のとおり。自衛官は特別職になっておりますので、そういう特別の体系になっておるわけです。しかし、民間へ入るときの基準と申しますか、そういうことにつきましては、大体人事院でやっていると同じような基準によってやっているわけでございますが、特にわれわれは注意しなくちゃならぬことは、防衛庁は監督機関じゃございませんけれども、いろいろと注文をやっておりますから、会社に入るときの注意としましては、いわゆる役員またはこれに相当する地位、同じく顧問とか、嘱託といいましても、重役会議に入るようなそういう役員や顧問は避けておりまして、そうして内部においてどういうことをやらしておるかといいますと、おもに技術関係とか、あるいは内部の管理関係、あるいは教育関係とか、あるいは寮長というような仕事に充てるようにわれわれは指導しておるわけですが、そこで自衛官の立場は御承知のとおり停年制がございまして、まだ働ける人もありますので、(田中(武)委員「そんなことじゃない。将官の問題だ。」と呼ぶ)いまの二十二名の問題につきましては、先ほど申しましたような指導のもとにできるだけ誤解を避けるようにいきたい、こういうことでございまして、まだ働ける人が社会のために役立つということはこれまた大事なことであるし、ことに子弟の教育とか、五十五歳前後の人は非常にそういうことを考えるものですから、そういうことを勘案しながら弊害がないような措置でいこう、こういう態度でいっているわけです。
  258. 田中武夫

    田中(武)委員 ことに防衛庁については産軍結合というようなことで国民の疑惑が集まっております。したがってその基準は一般よりも強くすべきである。それからここで言う五年間百六十六名、昨年の二十二名という中には、非常勤の相談役とか顧問とか嘱託は入ってないと思うのですが、そんなのは一体幾らくらいおりますか。
  259. 麻生茂

    ○麻生政府委員 お答えいたします。  いま先生から御質問ありました百六十六名という中には、顧問あるいは嘱託はもちろん入っております。それから先ほど大臣からありましたような一般職員、たとえば寮長――最近銀行あるいは会社で行員のために寮をつくっているわけですが、そういう寮長のような職についている人も入っておるわけでございます。
  260. 田中武夫

    田中(武)委員 私は非常勤のものまで入ってないと思うのですが、そこまで調べがついておりますか。
  261. 麻生茂

    ○麻生政府委員 私のほうでは退職をいたされます場合、就職先がわかっておりまする場合は一々申告をしております。したがいましてその行き先は十分了知しておるわけでございまして、いまの顧問、嘱託あるいは一般職員というようなものは把握いたしておるわけでございまして、この百六十六名の中にはそれが全部入っておるわけでございます。  なおこの登録会社と申しますのは、実際にその会社と契約しているということでは必ずしもないのでございまして、自衛隊との間の自由競争なり指名競争の入札に参加し得るという会社を、登録会社、こう言っておるわけでございまして、その点もひとつ御理解願いたいと思います。
  262. 田中武夫

    田中(武)委員 とれは去年予算委員会で問題になりましたが、とにかくこれら将官クラスの再就職の人数の多いところほど契約高が多く発注をとっているんですね。統計があります。時間がありませんからその点は触れませんが、これは自衛官については特に自重すべきであることを要望しておきます。  そこで、最近このような問題につきまして行政監理委員会が異例の勧告をした、意見書を総理に出した、このことについてそれが越権行為であるとかどうとかといったようなこともいわれておるそうであります。  そこでひとつ行監委員長にお伺いするんですが、行政管理庁設置法二条で所掌事務と権限が規定してあり、四条で長官の権限が規定されておるわけです。当該行政機関の長に勧告をする。それに基づいてとった措置について当該行政長に報告を求める、あるいは内閣総理大臣に意見を述べるとか、そういったような、言うならば勧告にもっと権威を持たすような方法はないか。一応設置法四条の三項、七項、八項等にそういう規定があるわけです。しかしこれをもっと締める、といっても、それでは行政管理庁長官各省大臣のもう一つ上に置くということも、これは問題であろうと思います。そこで、勧告をしたときにひとつこの勧告内容を全部国会にも報告してもらう。そうしてその勧告に基づいて各省庁の長がとった措置、これもひとつ国会に報告をしてもらう。国会ではおそらく当委員会になろうと思いますが、その勧告が権威を持ち、それがどの程度なされて実現せられておるかということをチェックするような方法を考えたい。たとえばこういう人事の問題だけでなくて、民間に対する補助金についても打ち切りを勧告した、ところがたとえば農林省等はそれを無視してそれ以上の予算を本年度は要求したというようなこと、これでは何のための勧告かわからないわけなんです。必要ならば法の改正をして、いま言ったような、勧告はすべて国会に報告願う、各省庁の長官はそれに基づいてとった措置をこれまた報告する、そういうような方法はいかがでしょうか。
  263. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 お答え申し上げます。  行政監理委員会が意見を述べ、ないしは行政管理庁みずからが監察をして、監察の結果に基づいて勧告をするということは御指摘のとおりであります。その勧告ないしは意見、そのことにもっと権威を持たせる意味において国会にも報告したらどうかという御意見でございますが、これはまあ立法論としてその要否を慎重に検討した上でなければ御返答いたしかねるのでありますけれども、現行法に基づきましても、たとえば監察をやりまして、当該省庁に対しまして勧告の結果の措置状況報告を求めるということもやっております。それから、さらに勧告をしましても効果があがりませんときには、総理大臣の名において別途の措置を講じつつこれを促進するという制度もある、と承知いたしております。そういう現行法を適確に活用していきます限り、行政管理庁の職責を果たすにつきましては一応整っておると思います。問題は、それをびしびしやるかどうかにかかろうと思いますから、今後努力します。
  264. 田中武夫

    田中(武)委員 現在の法律、そういう設置法を見た場合には、いわゆる勧告をする、受けてとった措置を報告する、行管長は総理大臣に意見を述べる、こういうような規定はあるわけです。しかしそれが無視されておることはもう御承知のとおりです。これだけでなく、人事院勧告だってそうです。無視せられておるわけです。だから勧告にもっと権威を持たせるような法改正、たとえば国会にそのつど報告をする。それによってとった措置あるいはとれなかった理由をこれまたその省庁の長は国会に報告をする。国会は最高の国家機関としての国政調査権によってそれを調査する。そのような方法が私はひとつは望ましいと考える。そこで官房長官、そのような法改正をもあわせ、行管の勧告その他がもっと権威を持たれるような方法を考えてもらいたい。それが一つ。  もう一つは、最近行政権の行き過ぎが目立っておる。たとえば対外援助の問題につきましても、予備費の流用あるいは外交行政権の名のもとに新たな債務を負担する場合においても、国会の承認を求めないような方向でいくといったようなものが多過ぎる。あるいは行政指導の名のもとに法の精神を曲げて行政を行なう。たとえば韓国の三十三万三千トンの米の輸出というか貸し付け等もそういう傾向があることを、私はもし時間が許されるならば法律的に議論をいたします。そういうことが多過ぎる。いわゆる行政が立法に対して、国会を軽視しているケースが多過ぎる。さらに司法に対しても行政が少し行政権を乱用し過ぎる。たとえば裁判所の決定に対し行政事件訴訟法第二十七条による内閣総理大臣異議申し立てが最近多過ぎる。これはどう見ても乱用だと思う。そういうような点について官房長官の御所見を伺いたい。
  265. 保利茂

    ○保利国務大臣 第一の行政管理庁の勧告の扱い方でございますけれども、勧告が行なわれます場合には、閣議において管理庁長官から勧告の御説明をされる。それが各関係省において十分重視をせられるようにという趣意で、私は、閣議で報告をされている、 こう思っております。したがって、その勧告せられた事項につきましては、各省庁においてももちろん聞きっぱなしなんということでなしに、相当制約を受けて、事後の予算編成におきましても効果をあらわしている。しかし総理大臣責任であります行政事務をさらに能率化し、合理化していくために、この勧告制度の立法化のことにつきましては、これこそほんとうに、あなたは専門家のほうだから、研究を要するのじゃないかと思うわけでございます。しかし、実際の勧告はそういう扱いで、決してなおざりにされてないということだけは御了承をいただきたい。たまたまそういう勧告されたものが、予備費がさらに計上されたり、あるいは要求されたりという事例はもちろんございますけれども、しかし、この勧告は非常に大きな行政事務の能率化、効率化に役立っているということは申し上げていいのじゃないか。しかし、さらにこれを立法上どう扱うべきかということはお話のように十分の検討を要することだと思うわけでございます。
  266. 田中武夫

    田中(武)委員 三権分立についての、行政の行き過ぎについて。
  267. 保利茂

    ○保利国務大臣 行政権が少し行き過ぎておりはせぬかということでございます。お話は十分伺いました、十分注意してまいることにいたします。
  268. 田中武夫

    田中(武)委員 いつも委員会では十分論議せぬうちに時間がきてしまうのが残念なんです。しかもきょうは相当譲っていただいて、まだ十分な論議が展開せられないことが私は残念です。  そこで結論を申し上げます。そこにおられるところの各閣僚よく聞いておいてください。  本日きょうこれから予定質疑が終わりましたあとで、昭和四十一年度の決算の承認を決議いたします。それにあたって数点の改善事項を指摘した決議を行ないます。従来ややもすると、この決議がなおざりにされがちであった。この決議は、いわゆる会計検査院が憲法九十条によって国会に提出をいたしました会計検査報告に対して承認を与える場合の附帯決議ではありません。当委員会が議長の承認を得て、憲法六十二条による国政調査権によって調査をし、憲法四十一条の、国政の最高機関としての国会が決議をするものであります。したがって、今日までのように、この指摘事項の改善等に対してなおざりに考えることなく、国会が国政の最高機関として、憲法で定められた調査権に基づいて審議の結果、調査の結果行なうものである、このことを各閣僚は銘記せられ、決議文に盛られたところの期間までに、そのことを改善、指摘された点を改めること、このことを強く要望いたしまして、四十一年度決算総締めくくりの私の最後の意見といたしたいと思います。  各大臣に一人一人決意を伺いたいのですが、それはやめまして、代表して官房長官、ひとつ総理にかわって決意のほどを伺って終わります。
  269. 保利茂

    ○保利国務大臣 ただいまの御趣意は各大臣においてももちろん尊重されることは当然のことでございましょう。十分承らしていただいて、尊重さしていただきます。
  270. 白浜仁吉

    ○白浜委員長代理 華山君。
  271. 華山親義

    華山委員 決算は、ただ数字を並べられておって、それに対する会計検査院審査報告がございますけれども、私どもは、それだけを材料にいたしましてかれこれ言っているわけじゃございません。それにひそむところの、またその前提になるところのいろいろな問題について研究をいたすわけでございますけれども、大蔵大臣に伺いたいのでございますが、最近……
  272. 白浜仁吉

    ○白浜委員長代理 ちょっと待ってください。――政務次官がおりますから、いいですか。
  273. 華山親義

    華山委員 それでは大蔵大臣に対する質疑は一応留保いたしまして、くどいようでございますけれども、警察官に対する三百円の金が出たというふうなことは、私読んでおりませんが新聞に報道されたところであります。またここには持ってまいりませんでしたけれども、これは私読みましたが、朝日ジャーナルの東大の現地の写真のレポート、その中に警察官の休んでいる場所が写されておりまして、その中に、きわめてことば少なく、警察官の言ったことばとして、毎日小づかいをもらっているので、役所からくれる食費では腹が減るけれども、これでパンが買えるからまあまあだということを言っているのでございますね。まことにお気の毒なみみっちい話ですが、そういうふうなことを言っている。したがって私は、出ていることは間違いないと思う。もしもそうでないとするならば、すべてのそういうふうな報道というものはうそになるわけです。この金は報償費として警察庁から出てないとしても、どこからか出ているのじゃないのか、それとも全然出てないのか。何らかの形でどこからか出たものがそういうふうに考えられたのか、そういう点国民がみなそう思っておりますから、明白にしておいていただきたい。
  274. 浅沼清太郎

    浅沼政府委員 お答え申し上げます。  この朝日ジャーナルの機動隊員の発言につきましては、私も見て承知しておりますが、これは報償費から支出はされておりません。これはおそらく、機動隊員につきましては、出動の際には旅費、日当が支出をされます、また超過勤務をいたしました場合には超過勤務手当が当然支給をされます、このことを申しておるものと理解しております。
  275. 華山親義

    華山委員 そういたしますと、これは地方費で支弁されたものである、こういうことになり、当然条例か何かできめられたものが出たのだ、こういうふうに考えられるわけでございますね。
  276. 浅沼清太郎

    浅沼政府委員 お答えいたします。  超過勤務手当につきましては、給与条例に従って支出をされておるわけであります。旅費につきましては、これは先生も御承知のように、警察の費用の負担区分上、直接国庫支弁の経費でございます。したがいまして、国家公務員等の旅費に関する法律に基づく警察庁の規則によりまして支出をいたしております。
  277. 華山親義

    華山委員 それによって、予算委員会で答えられたあそこの議事録には、国費をもって、報償費から出している、こういうふうに政府委員は答弁されておりますけれども、それは全くの間違いだった、こういうふうに了承されるわけであります。このことにつきましては委員長に、先ほど田中委員からお話がございましたけれども、予算委員会との関係はひとつ御善処を願いたいと思います。
  278. 白浜仁吉

    ○白浜委員長代理 承知しました。
  279. 華山親義

    華山委員 大蔵大臣はいらっしゃらないのですか。
  280. 白浜仁吉

    ○白浜委員長代理 大蔵大臣は外務委員会に行っておるのですが、政務次官見えていますので……。
  281. 華山親義

    華山委員 では通産大臣にちょっと伺いますけれども、最近、八幡と富士の製鉄会社の合併がありまして、公正取引委員会で――いまここで経過等は申し述べる必要もございませんが、今日の実態に至っております。われわれ新聞等から受ける印象では、国際競争の立場もあって、通産省は両社の合併を希望している、期待をしている、ことばはどうあろうとも、そういうふうな印象を受けるわけでございますけれども、公正取引委員会に対する対応策、そういうことについて通産省は、あるいは両社に対し助言し、あるいは実際上のやり方について便宜を与え――便宜というのは悪い意味じゃありません。そういうふうなことをお考えになっているのか、あるいは全く通産省は第三者であって、両社の合併については無関係である、今後は両社の合併に関しては何らのこともやらない、そういうふうに理解していいのかどうか、そのことだけちょっと御答弁願いたいと思います。
  282. 大平正芳

    ○大平国務大臣 八幡、富士両製鉄会社の間で合併しようという合意ができた、これは私どもと関係のないことでございます。会社の話し合いでございます。で、これが公正取引委員会によりまして、独占禁止法に照らしまして適法かどうかということが審査されておるということでございます。それも通産省といたしましては一応関係のないことでございます。問題はあなたが御指摘のように、私どもはそういうこととかかわりなく、日本の産業政策を預かっておる者といたしまして、日本の産業の体制が強化されて、険しい国際競争にたえるだけの、戦えるだけの体制であってほしい、それに必要な金融、税制その他政策上の手段をもって、これを助成をいたしておりますことも御案内のとおりでございます。しかしそれはあくまでも独占禁止法のワク内における適法な企業体制の整備についてでございまして、そうでないものに対してゴリ押しをやろうというような考えは毛頭ございません。問題は今度のケースについて、しからばいま対応策が云々されておるが、通産省で措置すべきものがあるかどうかという御質問でございますが、第一義的には当事者である両会社が対応策を鋭意立てて、公正取引委員会から御指摘にかかる問題点の解消に当たられることと期待をいたしておりまして、私どもはそれを援護するとかいうようなことは毛頭考えておりません。ただ通産行政を預かる者として、この場合需要者の立場を常に考慮しておかなければいかぬわけでございますので、もし今度の合併によりまして、公正取引委員会の指摘する問題点は解消された、しかしながら基礎的な資材の需給関係に異変が起こるというようなことは好ましくないことでございまして、私どもはそういう観点で、通産行政の立場、産業行政の立場で、何か配慮しなければならぬことがあるのかないのか、もしあるとすればどういうことなのかということを、いま鋭意検討をいたしておる段階でございます。
  283. 白浜仁吉

    ○白浜委員長代理 暫時休憩します。   午後四時十八分休憩      ――――◇―――――   午後四時二十六分開議
  284. 白浜仁吉

    ○白浜委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。華山君。
  285. 華山親義

    華山委員 大蔵大臣に伺いますけれども、昭和四十一年というのは財政史上、転機として非常に重要な年であったと私は思います。と申しますことは、昭和四十年に全くの赤字公債が発行されまして、四十一年からフィスカルポリシーということで公債が発行された。その両年度については一つの使命を持ったものとして、よかれあしかれわかるわけでございますけれども、四十二年度以降の公債発行というものは、どういうゆえんのもとに発行されるものですか、伺っておきたいと思います。
  286. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 私は、近代国家におきまして国が担当する分野、つまり財政需要というものがだんだんとかさんでくる、こういうふうに見るわけであります。このかさむ国の需要を、在来の財政方式でいいますと増税でまかなう、こういうことになるわけでございます。それも一つの行き方でありましょう。しかしながらわが国は、有史以来あれだけの大戦争をして、全国多くの地域が焼き払われ、国全体として資源を失い、家庭も蓄積も失う、こういういわばゼロというか、廃墟の中から立ち上がって今日になってきておる。そういうことを考えまするときに、税の負担を増高いたしましてこの財政需要に対処する、私はこれはとるべき政策ではない。しばらくの間公債を発行し、これで伸び行く財政需要というものをまかなう、こうすべきだ、こう考えたのが一つ。  それからもう一つは、戦後の経済の動きを見ておりますと、一、二年の不況がありますと、そのあとで今度は二、三年の好景気、二、三年の好景気が続きますと、今度はまた一、二年の不況、そういう好況と不況との波のぶり返しで今日に至っておるわけです。私は、そういうデフレとインフレとの交錯、これは国民経済に非常に大きな損失である。また国民の中に大きな不均衡を生ずる最大の原因をなすものである。これを何とかしてやめていかなければならぬ。やめるためにはどうするかというと、財政に景気調整上の働きをさすべきだ。つまりフィスカルポリシーというか、この考え方を取り入れなければならぬ。それには公債を発行する、これでかじをとるのだ。  その二つが、公債政策を取り入れた根源でございますが、この考え方によって、とにかく四十一年度の景気は立ち直ることができた。四十二年、四十三年と好景気が続き、四十四年を迎えておるわけです。四年目の好景気というのは、日本の経済史上初めてなんでございますが、私は、これから財政、金融この二つのかじをうまくとっていきますれば、これは四年も五年も六年も続き得る。まあ世界経済の状況、非常な激変があればともかくでございますけれども、そう大きな変化がなく推移する、政治も安定であるという前提をとりますときに、この二つの手綱をうまくさばいていくということによって、そう大きな高さでないほうがいいと思いまするけれども、かなりの高さの経済発展というものを息長く続けさすことができる、かように考えております。
  287. 華山親義

    華山委員 大臣は、かつて、いまは国民にかわって国が借金をすべきときであるということを言われた。私は、党は違いますけれども、おもしろいことを言われるなあと思ったのです。とにかくそれは住宅の問題一つでも、個人が借金をして自己持ち住宅を持つということは、たいへんなのであります。そこで政府がこれらにつきまして長期の借金をして、そして住宅を建てた者から返させる、一定の目的を持ったところのそういうふうなものの考え方は、私はおもしろい考え方だと実は思ったわけですけれども、実際はそうなっておらない。国民にかわって政府が借金をするというものの考え方は、いまはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
  288. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 つまり昭和四十四年度でいいますと、四千九百億円の公債を発行するわけですね。ですから、もしこの公債の発行がなければ、歳出をそれだけ減らすか、減らすことができなければ、増税するほかないのです。つまり国民の所得の中から四千九百億円をよけいに政府が吸収する、そういうことをしないで、四千九百億円の公債を出している、こういうのですから、つまり国民にかわって政府が借金をしている。国は借金をするけれども、税はそれだけ低くくなっている、それによって国民の蓄積はふえるはずだ、こういうことです。
  289. 華山親義

    華山委員 ちょっと、大臣が初め意図されたことと、いまおっしゃることは違っているような気持ちが私はいたしますが、それは、だれでも言うことであり、評論家も言い、社会党の人も言う、しかし決して自分たちだけのものの考え方ではないと思うのでございますけれども、私は、公債というものは、フィスカルポリシーの対象としてはいいと思うのでございますけれども、公債はでき得る限り民間の蓄積に埋没させるべきものじゃないのか。民間の蓄積に埋没するといいましても、日本人は公債を買えませんから、民間の蓄積の集約するところの金融機関、そういうものの中に埋没することによってやるべきものではないのか、そういうことによって、ここから生ずるところのインフレも防止することができるのではないか、こういうふうに私は考えるのでございますけれども、現実におきまして、私の持っておる資料に間違いなければ、昨年の十二月におきまして、一カ年経過の適格公債は六割以上が日銀に還流しておる。こういうふうなことは、私はやはりインフレの要因になっているのじゃないのか。その点はいかがなものか。  その点と、私もう一つお聞きしたいことは、私は日銀の理事者に委員会でお聞きした。なぜ買いオペ対象を国債にするのか、あるいは政府保証債にするのか、それ以外にいろいろなものがあるわけだ、それをまず公債にやる、なぜなのかということをお聞きしたところが、日銀の理事者は、公債が一番安全だからだというまことに簡単な割り切り方であります。そうならば、日銀は自分は安全であろうけれども、不健全な債券とかそういうものを普通銀行に持たせて、そして普通銀行が不健全な担保を持つということにもなるわけであります。大臣はよく、それは日銀のやることだからと言われますけれども、私は、決して金融とそういう財政の面とは切り離せないと思う、そういうことを申し述べましたが、大臣の、その点についての御所見をひとつ承っておきたい。
  290. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 発行しました公債は全部市中で消化するわけです。ところが、一年たちますと、これを日本銀行のオペレーションの対象にすることができる、こういうふうにしておるわけです。今日、日本銀行のオペレーションの対象になし得る手形が一億四千万円くらいあるのです。そのうち、八千万円を日本銀行がいま手持ちをしております。したがって、いまあなたがちょうどおっしゃるとおり、六割方日本銀行が持っておる、こういう計算になるわけなのであります。ありますが、国債というものがある程度市中を流通しておるということは、これは金融政策を運用する上において非常に便利なんです。オペレーションが非常にやり安くなる、こういうことでございまするが、いままで国債が発行されておらなかったときは、日本銀行は市中銀行に対し通貨を供給する方法としては、貸し出しという形をとったわけです。これは非常にぎごちない。担保はどうする、こうする、なかなかやっかいなものでございまするが、今度は国債をそのオペレーションの対象にする。これの売り買いで金融の調節、つまり今日におきましては経済が成長するものですから、通貨の供給ということに相なりますが、通貨の供給を国債を買い上げるという形においていたすということにいたしますので、手持ちがそういうふうになりますけれども、このくらいの手持ちがある状態、これは金融政策を運用する上において非常に便利な状態である、かように考えております。
  291. 華山親義

    華山委員 各国の統計等いまここに言いませんけれども、生産性の伸び方と通貨の伸び方、この点は日本は著しく通貨の伸び方が高いですね。そこに私は一つのインフレの問題があるのではないか。その原因として、いま国債が一番安全だからそうしておるのですなどという日銀の――頭のいい人たちの集まりなんですが、まことに私は意外とする御答弁を得たわけです。そういうふうなことではないのじゃないのかというふうな気もいたしますが、それはおきます。  もう一つは、もしも今日通貨インフレがあるとするならば、土地の値上がりの問題だと私は思っております。建設省所管事業費の中で、合計でございますけれども、三十五年には用地費の総事業費に対して占める割合が一二二%だった。四十一年にはそのやや倍に近い二一・六%になった。おそらく四十一年から二年三年たっておる今日では、二五%程度が公共事業の中の用地費に使われておるのではないのか。その中でも公団事業費になりますというともっとひどい。昭和三十五年一七・五%が総事業費に対する用地費の割合だったのが、四十一年には三三・一%になった。公団の道路等を見まするというと、三十五年の二四・五%が四十一年には四一・一%になるわけです。それですから、政府の行なうところの公共事業あるいは公団等をしてやらしめるところの事業というものは、非常に多く用地費に食われておるわけです。食われておるだけならいいのだけれども、この用地費というものは、いままで鈍っていたところの不労所得を現金化するわけです。そういうことによってインフレということにならないのかということについて、私は経済企画庁長官にお聞きしたところが、それが消費になるので、インフレの要因と考えられているとおっしゃった。しかもこの土地の値上がりのために大企業等、会社の銀行におけるところの貸し出し担保力が増すから、そこから金が出てくる。それから一面、先ほどの問題でございますけれども、用地費によって得たところの金、それが消費に回るばかりでなく、銀行に預金される。その銀行に預金されたものがまたいろいろの会社等に出てくる、そういうふうなことで、私は土地の値上がりというものにつきまして、これがインフレの大きな一つの要因になっているんじゃないのか、こういうふうに考えます。したがって、公共事業費を増すことによって、これが現在の日本においてはフィスカルポリシーをとりましても、一面においていろいろな鉄の生産とかセメントの生産とかそういうことを増す、それによって刺激されるということもございましょうけれども、多くのものは眠っているところの不労所得をさまして現金化することによってフィスカルポリシーが行なわれる、こういうふうなことは私は健全なあり方じゃないと思うのです。その点につきまして、いまここで土地の値上がりというものがいかに庶民を苦しめているかということのほかに、物価の高くなる、インフレの起こる一つの要因であるとも思いますので、その点とういうふうにお考えになりますか。――評論家的でよろしゅうございますけれども、いま政策のことをお聞きしておるわけじゃございませんから、どういうふうに私の考え方が受けとめられますか、大臣お伺いしたい。菅野さんのほうがいいですか、――それじゃ菅野さんひとつ……。   〔白浜委員長代理退席、委員長着席〕
  292. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 この問題は先般私にもうすでにお問いになったことでありますから、そのとき私の意見を申し上げたのでありまして、同じことを申し上げることになると思うのでございます。  御心配になっておられる点は、これは私はあり得ると思うのです。しかし、土地を売ればそれだけまた税金の収入になりますから、土地の売り上げ代金というものが全部総需要に回るとは限らない。それは税金になるし、またその一部が貯金にもなりますし、一部は消費に回りますから需要に回ります。したがって、それは全国の、国全体の総需要を増すことになりますから、お説のとおりそれだけ需要を増すことになりますが、しかしながら、いまの日本の経済状態がインフレだとは私は考えていない。インフレという問題について、これはいろいろ御意見があるかと思いますが、私はインフレとは考えていない。物価は上がっておりますけれども、決してインフレとは私自身まだ考えておりません。
  293. 華山親義

    華山委員 長官、私の言うことをそこでよく聞いておられなかったようでございますけれども、インフレ、人によってものの考え方があるのでしょうけれども、通貨膨張と申し上げてもよろしい。通貨膨張は、普通の観念からいえば、物価を上げることには関係が密接なわけであります。通貨の膨張と申し上げてもよろしいけれども、土地を売ったお金が消費に回る。税金で取ればいいじゃないかといったって、税金なんかでそんなに取れるものじゃない。そのほかに私が申し上げたことは、この土地の値上がりというものが会社の担保力を増すから、銀行貸し出しが多くなるんじゃないか。また土地の値上がりによって、土地を売ることによって得た金、そういうものは一がいに消費に回るとも限らない。それが銀行にいく。銀行にいったものがまたいろいろの企業の資金に回る、そういうふうなことで、私はこの土地の値上かりというものは非常に――インフレということばがきらいならば通貨膨張と申し上げますが、通貨膨張に影響があるのじゃないのか、こういうことをお聞きしているわけです。もう一度……。消費のことばかりじゃないと思う。
  294. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 土地の売り上げ代金が消費に回ればインフレの傾向になるのです。銀行や税金に回ればインフレの傾向にならない。というのは、銀行へ預金しますれば、銀行はそのお金をもって産業にまた貸し出しますからして、したがってそれが民間設備投資になって、それがまたそれで生産に回るのであります。でありますから、銀行預金は私は歓迎すべきだと思う。それを、もうけた金を全部使ってしまうということになると、それで総需要を増すからインフレになるという私の意見です。
  295. 華山親義

    華山委員 私は意見が違いますが、ここは討論会じゃありませんからやめます。だけれども、そういうものじゃないと私は思うんですよ。金を投資してその翌日から生産が出るものならいい。投資したって少なくとも二年くらいは出てこないでしょう。それが、日本の経済が休み休みやっておるならばその中に調整はききますけれども、休みなしにずっとやっておるのですから、二年ないし三年分というものはこれは生産なしに通貨を増してくる、私はそう思います。長官とは意見が違いますが、ここは学術討論会でないからやめますが、私は、土地の値上がりというものにつきまして、いまここで具体策はどうかというふうなことをお聞きいたすことも控えます、他に適当な委員会がございましょうけれども、私の土地の値上がり、これは不労所得を金銭にかえていき、そしてそれが世の中に流れる、そういう面で物価の値上がりの面、通貨の膨張の面からも非常に警戒をすべき現象ではないのか、こういうふうに思います。ひとつ土地の値上がりについては特に敏感にお考えを願いたい。
  296. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 私は土地の値上がりについては決して楽観しておるわけじゃないので、これが物価騰貴に影響するということについてはあなたの御意見と同じだということはちょっと申し上げたことがあるのです。したがいまして、日本の経済政策としては、土地の値上がりをできるだけ抑制したいという考えでおるのでありまして、そういう点においてはあなたの御心配になっておられることと同じようにわれわれも心配しておるのであって、土地の値上がりによって物価の騰貴を来たさないように考えたい、こういう考え方でおります。
  297. 華山親義

    華山委員 もう議論しませんけれども、前の長官は日本の経済というものは休み休みいくならばいいのだ、しかしぶっ続けにいく場合には、生産に直接裏づけられないところの投資が毎年毎年行なわれていく、そしてそれが二、三年後に効果をあらわす、そういうふうな状態が――インフレということばがおきらいなようですから私はやめますけれども、通貨膨張になり、物価の値上がりになるのじゃないかということについては、前の長官は是認されました。そういう意味からも、その源泉になるところの土地の値上がり、こういうことについては、特に物価の問題と関連いたしまして真剣に関係各省において取り組んでいただきたい、このことを申し上げまして、私ほかにもございますけれども、きょうの質問はこれで終わります。
  298. 中川俊思

    中川委員長 吉田賢一君。
  299. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 まず農林大臣に伺いますが、見えておりますね。――農林大臣に伺います。  農林省予算全体の関係は、これは決算の審査を通してみましても、また国策推進上の財政、物価、食糧などの施策から考えましても、非常に重要な関係にあることは申すまでもございません。そこで私は、現在の農政のあり方がどうなんだろうということを、先般来、倉石、西村農林大臣に対する質疑の関連もございますので、二、三伺ってみたいと思います。  第一点は、いわゆる総合農政の推進のことでございます。米作偏重のあらゆる弊害を脱却すべく、すでに先年農基法ができて以来の基本態度でなければならぬこの総合農政が、いま推進の過程にあると存じております。そこで伺いたいのでございますが、一つは選択拡大の重大な対象になっております酪農につきまして、一体酪農は自営するとならばどの程度の規模が適当であるのであろうか。いまとかく需要が次第に旺盛になり、そしてふるわない。けれども大きな将来の魅力はなければならぬ。いろいろな議論も行なわれている最中ですが、自営はどの程度の規模をもって適当とするのか、この点を簡単でよろしゅうございますから、ずばりとお答えを願っておきたい。
  300. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 農業の今後における方針、また農業がいかに国民生活に重要な地位を占めているかということは申し上げるまでもございません。御指摘のとおりでございまして、したがって、今回の総合農政というものもその意思に沿いまして、いままでの基本法にもいろいろあるように、全般にわたっての総合対策というものはとられておりますけれども、何としても、結論から申し上げますと、米作中心であった。こういうようなあり方が結論として今日のような米が余るというような事態にもなってきたわけでございますから、こういう面を深く考慮いたしまして、これと背くらべは同じにしなければならぬ。そういうことで酪農、果樹、野菜、国民の最も必需品とするところの面に対しましても、同じような方向によってこの拡大をしていかなければならない、振興していきたい。こういう上に立って総合農政というものを推進をしているわけでありまして、したがって、さらに今後の問題におきましても、いま海外からの貿易の自由化という大きな波にさらされておりますし、この中身といかに対決をしていかなければならないか、こういう面も大きくこの中にその地位を占めておりますし、さらにアジア全体を見ましても、日本からの技術というものの指導によって、アジア全体の農業の振興というものは実に驚くべきものがある。こういうような点についても同じく考えなければならない。日本国内の問題ばかりでなく、アジア全体の上に立っても総合農政というものは当然推進をしなければならない。こういう上に立ちまして総合農政を行なうことになったのでございます。  酪農の点につきましては、きょうは局長が来ておりますから、いま御指摘の点についてはこまかく御説明を申し上げます。
  301. 太田康二

    ○太田政府委員 政府昭和四十一年に酪農振興法を改正いたしまして酪農近代化の基本方針というものを定めたのでございます。それによりますと、酪農専門経営、これは所得の八割が酪農に依存するものということでございますが、土地条件に制約のある地域では十頭以上、土地条件に制約のない、恵まれている地域におきましては十五頭以上というのを、これは一応四十六年度でございますが、目標として指導に当たっているのでございます。
  302. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 しからば、えさ対策は具体的にどうなっていますか。事務的なことですから、ついでにお伺いします。
  303. 太田康二

    ○太田政府委員 酪農振興のためには何としても経営安定のための飼料基盤の整備が必要でございます。そこで既耕地における飼料作物の導入事業並びに草地の造成事業に力を入れて、理想的な給与としては七五%を粗飼料、しかも良質粗飼料によって給与する。これを目標に現在事業を進めておるのでございます。
  304. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 将来の需要の見通しですが、これはどのぐらい、どういう割合で上がっていくお見込みですか。
  305. 太田康二

    ○太田政府委員 昭和五十二年度を目標年度といたしまして、昨年、需要と生産の長期見通しを発表いたしたのでございますが、これによりますと、草食性家畜につきましては理想的な給与をするということで、現在の飼料作物につきましてはこれを八十九万六千ヘクタールまで上げる。それから草地につきましては六十一万一千ヘクタールまで上げる。これによって理想的な粗飼料の給与をするという計画を立てておるのでございます。
  306. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 需要というのは、えさの需要じゃないですよ。えさの需要じゃなしに、たとえば牛乳とか、生乳とかあるいは加工品とか、その需要でございます。
  307. 太田康二

    ○太田政府委員 牛乳、乳製品の需要につきましては、四十一年度を基準年度といたしまして、昭和五十二年が需要量といたしまして八百四十四万二千トンから九百二十八万一千トンの間に……(吉田(賢)委員「現在の何倍」と呼ぶ)現在の一・九ないし二・一倍でございます。
  308. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこで、製品あるいはえさ等につきましての国際価格と自由化に対する対策ですね、これは非常に重要なことでありますので、一般的に農政方針になるかと思いますが、その点についてはあなたでなくても、大臣でよろしゅうございます。国際価格と自由化対策の問題でございます。基本的な姿勢が要る問題ではないかと思いますが、どちらでもけっこうです。
  309. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 酪農の点につきましては、いまこれを全部自由化しようという段階にまで入っておりませんけれども、いろいろな価格差があります。したがって、いまお聞きのように飼料問題、つまり草地改良をやるとかいうような点に重点を置いているのは、すなわち輸入価格に早く追いつけるような体制を整えておかなければいかぬ、そういう上に立って自由化にも処さなければならない、こういう考え方でございます。
  310. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 申し上げるまでもなく、いつまでたちましても日本人は米を食わないという国民ではありません。同時に、食生活の内容がよほど変わってまいります。したがいまして食品の需給関係も大きな変動を生じてまいります。こういう中におきまして、すべてこれは国際的な商品になっておりますから、いつまでも国内産業だから保護するというような狭い観点じゃなしに、国際競争力を農民に持たせるという観点に立ちまして、生産性を上げる、こういうような規模とかまえをもってするんでなければ、これはついに財政並びに各般の政策上の諸問題が、矛盾が矛盾を生んでくるんじゃないかと思うのです。その点に対する根本的なかまえはどういうふうになりましょうか。
  311. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 その点につきましては、ただいまも申し上げましたように多頭羽飼育という点にも重点を置いておりますし、御承知のようないろいろな公害問題等も併発をしておりますので、これらの問題のないところに、団地的な、協業、共同経営といいましょうか、そういうような点、協業化ができなければ個々別々で、団地的なところで集団的な飼育を行なうというような点に重点を置いて、本年も予算面では十分その点に配慮を加えたわけであります。吉田さんの御指摘のとおりに、われわれは今後推進していかなければならないという考え方が基本にあるからでございます。
  312. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私がいまいろいろと気がつきますことは、従来とっておいでになりました農政というものはかなり消極的でございまするので、国際競争力を確保するといったような観点に立ちますと、たとえば省力農業をどうするか、あるいは生産性に対しまして労働力をどうするか、あるいは土地面積をどうするか、あるいは流通関係をどうするか、その他交通問題をどうするかというようなことは、農林省だけの手じゃ、とうてい解決できない諸般の問題に取り巻かれております。過疎過密対策におきましても農林省だけじゃどうにもなりません。あるいは労働省の持っております、ああいう農村から出ていく少年の歌なんか見ますと涙なくして見られません。こういうふうなことを思いますと、やはりよほど腰を入れて農業対策をやらなければいかぬ。たとえば西独におきましても農業対策はうまくいきません。これは土地関係もあるのでしょうけれども、あるいはイタリアにおきましても農業政策はうまくいっておりません、私の知った範囲におきましては。したがいまして日本におきましても、日本は精農の、米をつくる百姓の国でありましたけれども、いまのかまえをもっていたしましては、これは逐次弱っていくのじゃないだろうか、こういうふうな感なきにしもあらずであります。したがいまして、これはちょっと意見になって、しいて御答弁は要りませんけれども、よほどのかまえをもって積極的なかまえで農業政策をやりませんと――米麦偏重だから総合政策をやれというような、そんなことでなしに、もうすでに基本法の出たときに大体その方向はきまっているのですから――その後の科学の進歩、技術発展はすばらしいものだ。農業生産はぶち壊して過疎過密の深刻な矛盾を生じてくるということになってきまして、あわてていま政府は総合政策を大きく持ち上げていく、こういうことになっておりますが、こういう点につきましても、この矛盾を克服いたしまして、基本的に農政はどうあるべきかというようなことを、百年の大計のつもりで、もっと生産性を上げるということと根本的に取り組んでもらいたいと思います。これはぜひひとつ御要望しておきます。しかるべき御意見があればけっこうですが。  そこで次は、野菜、果樹の問題がちょっと出ましたが、野菜、果樹の問題につきまして、私ども農村を歩きましても、やはり問題になりますのは価格が安定しないことであります。こんな大きなものに一ぱい、何キロ入っておるのかわかりませんが、ジャガイモが二百五十円とか三百円というようなことで百姓が出しておるのを見ましたが、こういうことを思いますと、価格安定対策というものはやはり相当力を入れなければならぬ具体的な問題じゃないか、こう思っております。同時にこれは消費者の関係も重要です。あるいはスーパーの進出なんかも重要でございます。いずれにしましてもこの点についてはどういうふうな安定対策があるんだろうか。そこで酪農並びに野菜、果樹を生産する農家につきましては、大体の所得水準、所得目標をどういうふうに具体的にねらっておられるのか、こういうふうに思うのです。大体ねらっておかぬと、農村の人口も定着するわけにまいりません。農業が発達するわけにいきませんから、大体においてねらいは、所得目標はどうなっておるのか、この点をひとつ明らかにしておいてもらいたい。  もう一点ついでに尋ねておきますが、これは近畿地方に多いのでありますけれども、兼業農家の理想型をどういうふうにお考えになっておるであろうか。やはり北海道なら北海道、黒沢君がやっておるようなああいう新しい大きな理想もありますけれども、同時にまた、半農、三ちゃんの農家もあるのです。したがいまして、近畿型といいますか、兼業農家の理想型はどういうふうに考えておるだろうか、この点も非常に大事なことであります。これは遠隔の地から農産物を運んでくるということでなしに、近い土地から農産物を運んできて消費者に提供するということになりますので、これも扱い方によりましては非常に大事なことでありますので、この点については理想型いかん。要約すればこの三点につきましてひとつ一括して御答弁をいただきたい。事務的に補充していただいてけっこうでありますから。
  313. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 第三点の兼業型、これらに対しましても、今日まで日本にこれだけ深く定着しておる兼業農家を、この際すぐ大型農家にする、これは理想には違いないけれども、これを即そのまま、理想だからといって大型に持っていくことは困難であろう。したがって、その兼業農家自体に協業化してもらうとか、あるいは機械の導入をしてもらうとか、こういうような点を指摘いたしまして、そして省力化をはかってもらいたい。そしてそれによって生産の拡大をしてもらおう、こういうような目的の上に立ちまして、本年度からはこれらに対する機械の導入等々に対しましては、かなり国が積極的に援助をしていきたい、このような考え方をもって進めております。  道路の問題もしかりでありまして、農林省だけの考え方でこれらの解決はつけられない。どうしてもこうなってまいりますと、生産されたものが消費地にいかに早く、そして消費者が好む姿のものが到着するかということは、まず第一に交通の面が考えられると思うのであります。  以下、こまかい点につきましてはいま事務局より御説明申し上げます。
  314. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 第二点の兼業農家の問題につきましては農林大臣からお答えがございましたから、第一点の農家の所得目標の点について御説明申し上げます。  私ども酪農、野菜等々を問わず、およそ農家として、町村在住の勤労者とひとしい世帯員一人当たりの所得が農業によって得られるような農家を、できるだけ多くつくることが一つの政策目標でございます。これは、勤労者の所得が年々相当なスピードで増加いたしておりますから、私どもが自立農家と称しておるこの農家の下限もだんだんに上がってきておりまして、四十二年度においては一戸当たり百三万円の農業所得ということになっておるわけでございます。別の形で申し上げますれば、農業所得二戸当たり百三万円得ておれば、町村在住の勤労者に比して世帯員一人当たりの所得がひとしくなるという想定でございます。  今後五年、十年先の目標として、どれだけの農業所得の農家をつくることを目標としておるかということは、まだ全般的な作業というのは必ずしもいたしておりませんけれども、昨年総合資金制度という新しい金融制度をつくりまして、自立経営あるいは自立経営になろうとする農家に公庫から相当思い切った多量の金を長期低利で貸すという制度をつくりましたときに、私どもの作業といたしましては、五年ないし十年後を目標として農業所得をおおむね百五十万円ないし百八十万円程度の農家ということを目標といたしたことがございます。
  315. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 いま農業所得とおっしゃったのは農外所得を含んだものですか。
  316. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 農業所得だけでございます。  なお、御参考のために申し上げますと、四十二年度におきまして農家所得の平均が大体百二万ないし百三万円でございまして、このうちの五〇%をちょっとこえた分が農外得所、五〇%をちょっと落ちた分が農業所得でございます。これは全国平均でございます。
  317. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 野菜果樹の価格安定対策についてちょっと。ごく簡単でよろしゅうございます。
  318. 小暮光美

    ○小暮政府委員 野菜の価格対策につきましては、気象上の条件によりまして、暖冬異変等で暴落いたしますと、翌年の作付意欲が減退するということから、逆に次の作期において暴騰するということが野菜の一つの特徴でございます。この点に着目いたしまして、暴落の際に一定の基準に基づきまして関係の生産者に交付金を交付するという仕事を指定産地の一部の野菜について現在実施いたしております。これらのものにつきまして逐次産地の整備と見合いつつ制度を充実させたいというふうに考えております。くだものにつきましては全体として一昨年あたりまで御承知のようにむしろ需要に供給が追いつかないというような形でございましたので、直接的な価格の安定についての仕組みは現在まだございません。基本的にはむしろ、たとえば外国バナナにかなり高い六〇%というふうな関税率を残しておりますようなこと、あるいはかんきつ類を中心に主要なくだものについて輸入の制限をいたすというようなことから、環境を整備しながら国内での生産の体制を強化してまいったのがこれまでの実態でございます。しかし、近年の状況にかんがみまして、これらにつきましても永年作物であるという特徴に着目いたしまして、やはり計画的な植栽と生産出荷ということを中心に考えてまいりたいというふうに思っております。
  319. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 もう一点、沿岸漁業の構造改善を中心にちょっと簡単に聞いておきますが、栽培漁業はどの程度どういう方向で進んでおるか。ことに瀬戸内栽培漁業は非常に期待をされておるのでありますが、これともう一つは、公害が次第に多方面化しつつあることは御承知のとおりでありますので、公害対策につきましては、たとえば水産試験場その他において抜本的な対策を研究する必要があるのではないであろうか、こういうふうに考えておりますので、この点はいかがですか。
  320. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 御指摘のように沿岸漁業が非常に漁獲高が少なくなってきているのでございまして、今後どうしてもつくる魚、こういうふうな考え方から養殖をやらなければいかぬ、そうしてその養殖によってある程度補える程度まで持っていきたい、こういったような考え方から、これら沿岸漁業に対しましてはいろいろな施策を進めております。その数字等についてはただいまあとから申し上げます。  それから公害の問題でございますけれども、最近の沿岸漁業周辺における都市化に伴いまして、公害というものが非常に多くなってきて、したがって沿岸漁業はその公害のために非常な被害をこうむっておる、こういうような現状にかんがみまして、今後浅海漁業の開発、保護水面の決定等にいたしましても、これらをいかにして守るかという積極的な施策を今後さらに考えていかなければならぬ、こういうように思っております。  そうしてまた水質汚濁によるところの沿岸漁業の荒廃をいかに防止するか、そうして水質保全防止法に基づくところの水質規制に万全を期すとともに、今後の重要漁業における環境保全のための基礎調査をさらに行なわなければならぬ。そうして水質の汚濁監視施設、これらの導入をはかるほかに、船舶からの廃油の問題が残されております。これらには近く何か規制を求めたいというような点について、いまいろいろ施策を進めておるところでございます。
  321. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 海上交通法案は今国会にまだ出ておりませんが、これはやはり出る運命にあるものと考えられます。これもやはり沿岸漁業保護の問題、海上交通保全の問題、海陸交通の一貫した諸問題を持っておりますので、こういうことにつきましてはあらかじめ事前に漁業保護の見地から、またその他国策全般の見地から、農林省はあらかじめ研究して対処する案を持ってしかるべきだ、こう思うのですが、この点お考え方はいかがです。
  322. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 この問題は、御指摘のとおりなかなかたいへんな問題でございますので、ただいまこれらの関係各省と十分検討を加えるべきものである、こういうような見地に立ちまして、検討を加えておるところでございます。
  323. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 時間の関係もありますので、米の問題につき、いわゆる米穀の自主流通の具体策、それから同じく米の配給改善の対策、これはすでに日程にのぼっておりますので、批判はあとのことにいたしまして、きょうは問答の時間も持っておりませんから、よろしゅうございますから、あとでこれにつきまして資料を委員会に出しておいてくださいませんか、お願い申し上げておきます。  農林省はそれで終わります。それじゃ厚生省にお願いします。  厚生省関係でございますが、毎年日本の財政上社会保障費が逐次増大しつつありますことは、反面におきまして福祉国家建設を目標にしておる者といたしましては喜ぶべき傾向であります。それとともにやはり社会の底辺の、ほんとうに力強い救いの手がないといったようなところに働く人々には、できるだけきめのこまかい施策を用いていかねばならぬ、そういう点につきまして、私はきょうは寡婦対策について、厚生省のお考え方をちょっと伺っておきたい、こう思うのであります。  寡婦対策は、これはもちろん子供のある末亡人あるいは子供のない末亡人、こういったものを含んでおりますが、私どもから言わせれば、未婚者のオールドミス、これも当然含むべきものだ、こう考えるのでありますが、総計いたしまするとこれは二百二十七万人もある様子であります、昭和四十三年の八月一日、三十歳ないし六十歳につきまして。これは厚生省の発表せられた数字であります。これにつきまして少し伺ってみたいのでございまするが、この未亡人が、子供が二十になりましてから後、すぐにこれが独立して食っていける人々であればいいんですけれども、なかなかそうはいかない。いかぬけれども、二十過ぎますと、すでに一切の保護から解放されてしまう、こういうことになりまするので、この人々の立場にほんとうにあたたかい手を差し伸べるということは非常に重要なことだ、こう考えますのです。大体におきましてどんな規模で財政的、経済的に、もしくは精神的に保護をされておるのか。もっとも従来はされておらなんだのが今度されることに若干なりましたけれども、私どもは、二階から目薬のような、これじゃどうにもいかぬなと感じまするので伺う次第でございます。この点につきまして、まず経済的に非常な不安におちいっていると思いまするが、どういうふうな施策をなさっていくのか、御説明をいただきたい。
  324. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 吉田さんの御意見のように、社会の底辺で苦しんでおられる方がたくさんございますので、できるだけきめのこまかい手を打ってまいらなければならぬと考えております。ただいまおあげになられました寡婦対策、二十歳未満の子弟を持っておられる寡婦につきましては、母子福祉法の対象になっておりますが、子供が二十歳になりますとその適用がなくなりますので、本年度から初めて寡婦の福祉資金を貸し付けるという制度をとっていただくべく、いま予算で御審議を願っているわけでございます。これによりますと、事業を開始するための資金、あるいはまた住宅を借りるとか買うとかいったような住宅資金、それから生活資金というような各種の資金を貸し付けをいたしたい。一定の償還、据え置き期限を経まして、大体三分の利率で低利の貸し付けをいたしたい。平年度におきまして、国費が年額四億円、これは総経費の三分の二に当たると思っておりますが、さらに三分の一は県費から出しまして、総額六億で本年から始めてまいりたい。本年度は年度半ばでございますからその半額でございます。これを本年度から始めまして、その成績のいかんによってだんだんと拡充をいたしてまいりたい、かように考えております。
  325. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ちょっと事務的でいいんですが、その場合に、当初から結婚しなかった老婦人ですな、これは対象に入っておるんですか、入ってないのですか。
  326. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 未婚の婦人は入っておりません。
  327. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 御承知のとおりに新しい憲法、民法によりまして、子供の親に対する考え方が戦前とはよほど変わってしまいました。したがいまして、いま家庭における年老いた母の座というものは非常にさびしいのであります。言うならば子供が背たけが伸びていくときには親はほんとうに一生懸命にその成長を祈って、そしてけがのないように、りっぱな人になってくれるようにと思って待っておった。二十になった。過ぎた。お嫁をもらおう、もしくは行くというようなその時点にきますると、どうもおかあさんがじゃまになる。母の座というものは家庭におきまして実にさびしくなっているというのが現状でございます。二十以下の子を持つ親には特別の母子福祉法などで保護もございまするが、この過ぎた年齢の子を持つ親のさびしさというものはちょっと想像しにくいのでございます。  去年の八月十二日の毎日の記事に「ある戦争未亡人の二十三年間」というので、夫が昭和十九年にマリアナで戦死した。妻はそのときのことを思って歌を読んでおります。「いとほしむ者ぞなき吾ぞ夫は逝(い)き吾を知る子は未だいとけなく」あるいはまた「口惜しさ悲しさ堪へ織る機の上にうつ伏し声咽(むせ)び出ず」こういう歌を読んでいるのを見ますると、私どもほんとうに涙なくしては見ておられません。しかしこういう家庭に対する社会の同情というものは、必ずしもその本人が体験し、泣いてきたそれに相応するようなあたたかさはありません。家庭においても、いま言ったように母の座は苦しい。いうなら母の座はないのです。家庭外におきましても世間はやはり冷たい。あのばあさん何もできやしないじゃないか、別にそんな人雇う義務もない、てなもんですね。そういうことでありますので、せめてこういった方面には相当あたたかい手を差し伸べるということ、これが政治の信頼を維持する重要なかぎだと私は思います。凱旋をして、あるいはまた現に勲功を立てて、りっぱに社会から表彰も受け、国から表彰も受け、あるいは年金をいただく人もさることながら、こういう夫を失い、あるいはまたその他離婚をし、あるいは子が二十以後になった家庭、これはやはり特別にお考えいただくべき対象であろうと私は考えるのであります。  そこで、年四億円――いま予算に二億円かかっておりますが、十月から実施するそうでありますが、二億円や四億円というはしたな数字では、とてもとてもこれは満足のできる対策は立てられぬと私は思うのであります。借り手がなければということもありましょうけれども、そうじゃありませんです。やはりあたたかい手を差し伸べていくならば、喜んでこの金は活用されます。  こういうことを思いますので、この点はひとつ額において福田さんにお尋ねしたいのでありますが、やはりこれはこれだけの対象を数字として持っておりますので、二百二十万からの子ある未亡人、子なき未亡人があるのでございまして、そしていわゆる母子家庭を除きました者、二十以上の子供を持つ者が全部いわゆる寡婦に入るそうでありますので、やはり予算額の絶対量において相当幅を持ってこれは考える必要はないであろうかということが一つ。  もう一つは、この資金が貸し付けになっておるようであります。これは国が二対地方一でありますか、そこで貸し付けの制度でありますが、この貸し付けに金利をとっております。三分とりますが、年限の長いものもあるようごでざいますけれども、これは金利をとるのはいかがであろうか。たとえば中小企業対策といたしまして近代化資金なんかには数百万円、金利なしで貸し付けておるのであります。未亡人に三万や五万貸すのに金利を取らなければ貸さぬというのはどうだろうか。この点が一つ。  それからもう一つは、子供が二十過ぎまして所得があれば、もう扶養控除が控除されなくなるようでございますね。でありまするから、これはやはりすぐに控除をなくしてしまうというのじゃなしに、若干の所得があるといたしましても、控除することが必要ではないであろうか。従前のとおり二十以下の子のときと同じようにする必要があるのではないか。この二点。つまり金利を無利息にするということと扶養控除をそのまま置いておくという点。そして絶対的な資金量におきましてあまりに少なくは過ぎないか、この点でございますが、これは最終的には大蔵省の所管でありますので、大臣の特別な御理解があってしかるべきではないか、こう思うのでございますが、いかがなものでございましょう。
  328. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 まず政府委員からお答え申し上げまして、そのあとで私が答弁いたします。
  329. 船後正道

    ○船後政府委員 金利の点を私からお答え申し上げます。  金利につきましては三分の予定をいたしております。ただし育英資金の系統に属する就学資金あるいは就学支度金等につきましては無利子にする予定でございます。これは従来から行なってきております母子福祉貸し付け金、さらに一般的な低所得階層に対する貸し付け金でございます世帯更生資金貸し付け金、これと全く同様な扱いにする予定でございます。これらの資金につきまして低利の金利を取りますのは、この資金の目的が経済的な自立を助長するといったところにある関係上、若干の低利の金利負担は当然であろうと考えます。
  330. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 いまの資金につきまして、母子家庭に対する保護の貸し付け資金が金利を取っておるので、金利を取ることが当然だというようなお考え方なんです。私が申しておるのは、中小企業に対しましても数百万円無利子の金もあるわけなんです。でありますので、このような経済力の乏しい数万円の資金の融通を受けようという者にまで金利を取らなくてもいいんじゃないか。総額四億円の国の支出なんです。これにまで利息を取らなくてもいいじゃないか。利息を取るのは当然であり、従来もそうだからそうしておるというのでは、これは問答にならぬのであります。筋として取らないことが当然ではないであろうか。そうして控除の点は主税局ですね。そう申し上げるのです。それは大蔵大臣でもいいですよ。
  331. 船後正道

    ○船後政府委員 お答え申し上げます。  企業の金利関係とこういった世帯更生関係貸し付け金とはかなり考え方が変わるとは存じますけれども、やはり従来からこういった家庭のあるいは所得階層の経済的自立を助長するといった意味合いから、三分の利子でもって運用してまいって、それ相当の実績もあげておりますので、今回の制度も従来の制度と同様に運用したいと考えております。
  332. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それは私が調べたところによりますと、従来の母子家庭につきましても償還率は九十何%になっておると思います。むしろ中小企業の償還率よりも多いかもわかりませんです。こういうように非常にまじめに便ってまじめに償還しておるというものに、経済的自立を促すのに一々金利を取らなくちゃならぬということは一体どうだろうか。これはやっぱり大臣お考えになってしかるべきだ、こう思うのでございますが、どうでございましょうね。
  333. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 よく相談をいたします。
  334. 安井誠

    ○安井説明員 寡婦控除につきましては、今回の税制改正の案におきまして八万円から九万円に引き上げることにいたしております。  いま子供が扶養親族でなくなった場合というお話がございましたが、子供の場合に限りましては、寡婦の適用をいたします場合に、基礎控除の金額以下の所得の場合には寡婦控除の適用をいたす、かようにいたしております。
  335. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 わずかなことのようでございますけれども、寡婦対策でございますが、住宅の建築について、たとえば小さな一人住まいの家でも、つくるというときには貸し付けの対象にしないらしいのでございますが、これもやはり考究しておいていただくべきだと思います。増築、改築、これはその対象になっておるようでありますけれども、小さなものでも、納屋のようなものでもつくるときには、新築としてこれは除外する、こういうことにまでいっておるようでありますので、この点もしかるべくひとつ今後の課題として御研究をいただきたいと思います。研究してもらえますかどうか、ちょっとそれだけ厚生省に伺っておきましょう。
  336. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 ただいまの小さなバラックみたいな簡単な新築というようなものにつきましては、いま検討させておりますから、御意思に沿うて研究をいたします。
  337. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 大蔵大臣に伺いたいのでありますが、私どもこの決算委員会を通じまして、また予算執行状況も見まして、現在及び将来の日本の財政のあり方につきまして、いかに所期の目的に沿うように予算を効率的に使うかということは、きわめて重大なことだろうと思います。使えばよいのだ、不法あるいは不当でなければいいんだということでは、これはいわゆる親方日の丸意識でございますから、自分のふところから出している金というような気持ちになって、ほんとうに役に立ったであろうか、どんな結果を得たであろうかということを絶えず気にするということが必要でないか、こう思うのです。そこで、予算の効率的執行ということについて最も効果的な対策というものはないものであろうか、予算を効率的に執行するということについての、ずばりと何人も納得し実行し得る対策というものは立てられないものだろうか、こういうふうに思うのです。この点はまことに抽象的な質問になるかと思いますけれども、科学の進歩した今日でありまするので、予算執行の面にそういうような何か手法がないか、こう私は思うのですが、どんなものでございましょう。あなたはベテランであるのですから……。
  338. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 予算の効率的使用、この観点からいいますと、事を予算の編成とその実行と、この二つに考える必要があると思うのです。まず第一に、何といいましてもいい予算ができることが必要だ、こういうふうに存じますが、たとえば昨年の十二月一日に内閣が全面的改造があって、そして新しい閣僚が大急ぎで予算の編成に取り組む、こういうようなことは私は深く反省をしなければならぬ問題である、これは直せば直せる問題だ、こういうふうに考えます。そういうふうに一つ一つ予算の編成上の問題点を反省して直していく。  それからもう一つは、やはり何といっても科学技術の時代でございますから、この科学技術時代にふさわしい予算の編成の手法というものを取り入れる、こういうことが必要になってくると思います。現にアメリカなんかはPPBSという、電子計算機を活用した予算の編成というものに取りかかっておりますが、わが国なんかにおきましてもそういう科学的、合理的な方法、こういう考え方を取り入れるべきである、こういうふうに考え、四十四年度におきましてもそういうための事前のいろいろな準備に着手をいたしたい、こういうふうに考えておるわけであります。  それからの予算の実行の面につきましても同様であると思います。予算を実行したその成果につきまして、これを科学的、合理的に、近代技術を活用してその成果を追跡をするということも必要なことだと思います。同時にまた国会で御審議くださる決算のいろいろな審査結果あるいは委員会で出てくる御意見、こういうものもとくと吟味し、反省の材料にする、こういうことも大事なことかと思っております。とにかくあらゆる努力をいたしまして、そしてこの国民の大事な血税でございまするから、一銭一厘もこれをむなしゅうしてはならない。最高の効率を発揮していかなければならぬという心がまえでやっていきたい、かように存じます。
  339. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 編成の際に――前回も、去年かおととしでしたか、あなたが前の大蔵大臣のときに私も伺ったのですが、日本の予算編成の際に、全国から陳情団が猛烈に殺到するということですな。何とかこれはもっと筋を通す手はないものだろうか。こんなことをやっておりましたら、たとえばぜひあの予算をぶんどれというような場合に、数万人を動員いたしまして、向こうはち巻きで東京の最大の会場を占領する。そうしますと、全国から集まって、もしそれが数百万の票の力があるとするならば、これはもうおそらくは八割まで代議士を動員かけられます。可能であります。ということになるとしますると、それが党への影響がある。議院内閣制度でありますから、与党よりの働きかけが強い。与党はその予算編成に影響をするということにもなる。ということになれば、陳情の猛烈な合戦に勝ったのが予算を取る。そんなら、さっき申しましたような寡婦、未亡人、腰も痛い、力もない、お金もない、向こうはち巻きで東京でどんどんやる力もないというところはほんとうにすみに置かれておる。何とかもっと筋を通す必要がないのだろうか。だから私はやはりほんとうに予算を効率的に執行するために、予算の編成の段階において筋も通し、そして適切な政策に適切な予算をつけるということの必要を痛感して、政治をやっていく以上は、編成の段階で、行政権はやはり断固として行政の権威を維持して、イギリスもそうでありまするが、一々外からの干渉をしない。たとえば党におきましても、自民党は与党でありまするけれども、個人的なそれによって左右されるべきではない。こういうふうに私は思うのですが、何か方法ないであろうか。それができないということであるならば、これは編成のときに妙なものが腹の中に入っちゃっておるから、執行において非科学的な、どんなに効率的にやろうといたしましても最初からだめです。そうするとそこに汚職もできるし、その原因にもなるし等々、結局は税金はむだづかいされるということに結果するのではないであろうか、こうまでも考えまするので、何かこれは手がないのであろうか。といったところが、これは三権分立の筋を通していくということよりないのだろうか、私はそう考えておりますのですが、あなたは大蔵大臣といたしまして、内閣にかわってではございませんけれども、しかし事実上編成しておられるのでありまするから、編成の権限を持ったあなたの立場においては、陳情団の力によって左右されるということを避ける手はもっとくふうしてよいのではないだろうか。そのためには地方から一々来ぬでもよろしい、わかっておりまするから電話でできることは電話でしなさい、三人来ぬでも一人でよろしい。何とかそこらまで要らぬ経費を使わないように、-十年前でありましたか、私は主計局でちょっと調べてもらったことがある。あのときは七、八百億陳情費を使った計算になっております。今日はおそらく千億円をこえるでしょう。むだなことをしておりますよ。こんなむだなことをしておりましたならば、これはどんなにいいましても、代議士はよけい補助金を取ってやったぞということが次の当選の約束なんです。これは申し上げるまでもありません。補助金はけしからぬというたり、あるいはあれを改革せい、これもいかぬといったら、それは喜ばずです。国のことを思えば、国のことを思い地方のことをあまり思わないという場合には代議士は落選であります。だから国のことも思うが、地方のことを思うから、国のことはどっちでもよろしい、地方のことだけ、橋をかけた、道をよくしてやった、補助金も取ってやった、ああしたこうしただけで代議士は結局当選してまいります。これが今日の現状でありますから、何とか編成の段階で、あなたは非常に政治力もある人ですから、これはもっと強く何か方法はできませんか。
  340. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 私はいわゆる陳情団には喜んで会うのです。そして私どもが気がつかないことを知る場合もかなり多いわけです。そこでことに弱い人、小さい人、そういうような立場の人には好んで会うようにしておるのですが、その陳情で事の判断を曲げるというような考え方は一切しておりませんですから、これは吉田先生にも御安心願いたいのです。ただ外見がとにかく陳情でがやがやしておる。これはみっともないといえばほんとうにみっともない話なんです。何とかしてこれをきれいにしたい。静かな予算編成をしたい、こういうふうに考えますが、そういう際にはやはり先ほど申し上げましたコンピューターの活用問題というようなことが、大きな役割りをするんじゃないか、そんなよう感じがいたします。国民から信頼されるような予算編成というものは今後とも気をつけてやっていきたいと存じます。
  341. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 民主主義の時代ですから、陳情団も聞かなければいけません。それはよそ行きの、表向きの、前向きのお話しですわ。私の申し上げておるのは、さにあらずして、裏の猛烈な陳情合戦は弊にたえぬというようなお考え方をしてもらいたいと思うのですけれども、あなたもそうはいえないところにつらさがあります。それはもうそえでよろっしや。  そこで、科学技術の時代に入りまして、PPBSの導入の問題ですが、これはきわめて重大なことであり、大蔵省が率先して研究調査もしておられる。経済企画庁におきましてもいまシステム分析調査室においてかなり熱心にある大きなチームを設けまして取り組んでおられます。これもよく存じております。そこでこれは改革、改革といわずして、実質的にほんとうに筋の通った予算制度ができるわけでありまするが、ひとつ本年あたりどこでもいいですが、建設省でもいいが、あるいは運輸省でも、あるいは農林なと防衛なとどこでなと、比較的システム分析がはっきりできるような行政業務を持っておるようなところで、公共事業でもいいですが、そういうところでやはり何とか、代表的に今年あたりは――研究調査、研究調査といっても、何年も前からやっておられるでしょう。アメリカにおきましてもマクナマラはすでにもう前からずっとやってきたことでありますから、すでに専門家小では相当に研究もしておられるのだろうから、スタッフをつくり、研究も用意し、等々もある程度できておるものもあると思いますので、もう少し前進して、この四十四年に間に合わなければ五年度予算で、また八月から予算を編成せんなりませんから、そのときにはどっかへ実際に導入して、こういうところまでは踏み切るところまでは進めていくべきでないかと思うのです。そんなにゆうちょうに研究、研究といっておりましたら、たとえば事業予算制度、今度PPBSに進んでまいりましたが、臨調答申の内容によりましたならば、予算会計の改革意見は事業予算制度であります。だけれども、あのときはPPBSといっておりません。いまPPBSということになっておりますから、もっと積極的に速度を速めまして、次の予算編成、八月までには、どっかの省でこれを実行、導入する、こういうところまで踏み切ってはいかがでしょう。これはあなたのほうだけではいきませんが、ここには建設省もたくさんおられますから、その御用意があってしかるべきだと思うのですが、これはどうでしょうね、福田さん。
  342. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 まあ企画立案までいけるかどうか、いまとにかく計算の簡素化という上にはかなり使われておるわけですが、これからこれを政策立案というところまで持っていかなきゃならぬというわけなんです。  それでいま、どっかの省というお話ですが、まあいろんな各省でこのコンピュータをしつらえようということになってきておるわけですが、ばらばらにしてはいかぬ。これをひとつ統一していくべきだということを実は考えておるのです。また閣僚の皆さんにもそういうことで相談しようと思っておりますが、とにかくコンピュータの時代に行政が乗りおくれた、立ちおくれたということがあってはならぬ、こういうふうに考えております。
  343. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これは企画庁の長官でもよろしい、それから建設省大臣でもよろしい、あるいは防衛長官でもよろしゅうございますが、それぞれいま申し上げました省庁は相当研究調査が進んでおるようでありますが、来年度におきまして相当実践の段階まで入るようなふうに速度を進めるわけにまいりませんかな、どうでしょう。いきませんか。
  344. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 お答えいたします。  ただいま大蔵大臣も述べられましたように、非常に前向な姿勢でこの問題で取り組んでおられます。建設省といたしましても、この問題についてはいろいろとあらゆる面から検討いたしておりますので、ぜひひとつ建設省を中心としましてこれらの問題に取り組んでまいりたい、こう考えておる次第であります。
  345. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 時間が来ましたので、結論に入ります、やむを得ませんので。  私は、特に公共事業におきまして、その事業の成果、業績が測定し得る各般の予算執行がございまするので、公共事業なんかにつきましては相当突っ込んで、これはアメリカならアメリカでもよろしいけれども、アメリカに人をおやりになと、そこでスタッフを養成しいなと、なんなとおやりになりまして、すでに科学時代にふさわしい予算制度なりとして福田大蔵大臣も申しておられますし、それならそれでこのコンピュータの使用状況も世界第二位になっておるらしい、国民総生産も世界第二位にいったらしい、等々いろいろな点から見ましても、積極的に取り組む姿勢におきましては、世界において最もいますぐれたのが日本でないか、こう思うのでありますから、この際いろいろな批判はありますけれども、ひとつPPBS取り入れにつきまして、来年度からどこかで積極的に導入するというところまでいってもらわんことを特に強く御要望申し上げておきます。  いずれ、これらの問題をめぐりまして、伺いたい点もありますけれども、きょうは時間もありませんので、これでよします。  なお、実は建設大臣には住宅の問題と、これは行政管理庁で指摘いたしました、監察で指摘いたしました点がだいぶございますし、それから道路計画等につきましても、私はいろいろと道路の敷地補償価格の問題につきまして、だいぶ聞きたい点があったのでございますけれども、時間がございませんのできょうは割愛します。そして御出席いただきましたことをおわびしておきます。
  346. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 いま御指摘になりました諸般の問題につきましては、それぞれの立場からそれぞれの問題につきまして、万遺憾のない措置を講じております次第であります。逐一御説明申し上げたいと思って期待いたしておりましたのですが、時間が参りましたので……。
  347. 中川俊思

    中川委員長 浅井美幸君。
  348. 浅井美幸

    ○浅井委員 電源開発参考人もお見えになりましたのですけれども、ひとつお聞かせ願いたいと思います。時間の関係で、答弁の方は、あらかじめ申し上げておきますが、簡潔にお願いしたいと思います。  まず、電源開発の手によって、福井県の九頭竜川の九頭竜ダムの建設が行なわれたわけでありますが、この支出を年度別にまずお聞かせ願いたいと思います。
  349. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 お答えいたします。  たいへん大事な問題でもあり、また正確を期したいと思いますから、政府委員をして答弁させます。
  350. 坂野重信

    ○坂野政府委員 お答えいたします。  建設省関係といたしましては、治水の関係の分担が全体で十七億四千万円でございまして、三十九年度が九百万円、四十年度が三億、四十一年度が六億、四十二年度が九億、四十三年度が八千一百万。なお四十二年度が九億と申し上げましたが、これは変更がございまして七億五千万が正確でございます。合計いたしまして十七億四千万でございます。
  351. 浅井美幸

    ○浅井委員 電源開発のほうはどうでしょうか。
  352. 大堀弘

    大堀参考人 お答え申し上げます。  四十三年度までに投じました金が長野発電所二百六十一億円、湯上発電所六十七億九千万円、年度別に申しますと、三十八年度十五億九千九百万円、三十九年度二十八億三千四百万円、四十年度五十八億一千九百万円、四十一年度五十八億三千七百万円、四十二年度七十六億六千五百万円、四十三年度二十三億六千万円。湯上につきましては三十八年度九千四百万円、三十九年度四億六千四百万円、四十年度九億二千九百万円、四十一年度十九億二千三百万円、四十二年度二十五億四千九百万円、四十三年度八億三千八百万円。以上が四十三年度までに投下しましたものでございます。  なお、残工事等で長野に四億円余り、湯上に三億円余りの仕事が残っています。
  353. 浅井美幸

    ○浅井委員 長野ダムの現在竣工された型式、高さ、体積、最大出力、これについてはどうでしょうか。
  354. 藤井孝

    ○藤井説明員 お答えいたします。  長野発電所は方式はダム式でございます。また揚水併用でございます。湯上のほうはダム水路式でございます。それから最大出力は長野が二十二万キロワット、湯上が五万四千キロワットでございます。ダムの高きでございますが、長野が百二十八メートル、湯上が四十四・五メートルでございます。
  355. 浅井美幸

    ○浅井委員 三十九年の十月の一日にこれは入札が行なわれましたけれども、このときの計画と、最終案の原型といおゆる型式、様式は同じでありますか、どうですか。
  356. 大堀弘

    大堀参考人 当初の入札のときの計画と同じでございます。
  357. 浅井美幸

    ○浅井委員 長野ダムの建設については福井県議会で説明した当初計画と官報公示の計画とはだいぶ違いがありますけれども、これは副総裁どうですか。――違うか違わないかだけでいいですよ。
  358. 大堀弘

    大堀参考人 お尋ねの点、ちょっと私理解が間違っておるかもしれませんけれども、これは最初の話のときから建設に相当時間がかかっておりまして、一番初めに出ました県会に御説明したものというお話でございますが、相当古い、最初にありました案だと思いますが、その当時と現在実施いたしました計画とは途中で変わっております。
  359. 浅井美幸

    ○浅井委員 当初の計画が長野、湯上、そして西勝原第三というこの三カ所でもって計画された。ところがこの三カ所のうちに西勝原第三は北電にいったのです。このことによって従価建設投資計画が非常にくずれた。そして電発側にとっては非常に不利になった、そのコストが非常に高くなった、こういうふうにいわれておりますが、なぜこの場合に北電に西勝原第三を譲ったのか、その間のいきさつを明確にしてください。
  360. 大堀弘

    大堀参考人 一番最初の段階におきましては、御承知のように電発の案と北陸電力の案と両方が競願になっておりまして、それが三十六年度の段階におきまして調停が行なわれて、このときは大体北陸の案をベースに電源開発会社が大きなダムの建設をするという線で両者の調停が行なわれたわけでございますが、その後現地の状況等が補償等の問題でこじれまして、一応両者とも現場の調査から引き下がりましたのですが、三十七年に両者が話し合いの上で現在に近い線が案として固まってきた、かように考えております。  それで、三カ地点になっておりまして、一番下流の現在の西勝原第三発電所のところは北陸電力が担当いたし、現在の長野ダム及び湯上発電所の二カ地点は電源開発株式会社が担当することになったわけでございます。そのいきさつといいますか、そういうふうな分担をきめました点は、西勝原のほうは、工事の面からいいますと大体大野のほうから、下流のほうから入ってまいる地点でございますし、その下のほうにたくさん北陸電力の発電所がございます。湯上の地点は奥地にございまして、これは岐阜県の白鳥を通ってこのほうへ工事としては入ってくるという関係になりますので、工事が一応二つに分けられたということも当時の事情としてはやむを得なかったと思っております。
  361. 浅井美幸

    ○浅井委員 いまそんなことを聞いたのではなくて、なぜ北電に譲らねばならなかったか。最初、当初計画では三カ所あったわけでしょう。その三カ所あった中で一番有利なところを民間企業である北電に譲って、電発はそのことについて一番状況が悪いところを二つ受け持ったわけでしょう。だからなぜそのように一つ一番有利ないいところを民間会社である北電に譲ったんだと言っているのですよ。
  362. 大堀弘

    大堀参考人 長野、湯上の地点は、非常に大きなダムをつくりまして、電気としましては非常に大きな調整力を持つ発電所でございます。したがいまして工事としてもこの九頭竜開発の中心地点でございます。下のほうの西勝原はこの逆調整をいたしております小さな池でございまして、私ども有利、不利というふうには考えおりませんが、これは水系一貫として、国民経済的に見ますれば、全体としてどれだけの電気ができるかという判断をいたしまして、電発としてはこの大きなダムのむずかしい地点を担当した、かように理解いたしておるのでございますが、いかがでございましょうか。
  363. 浅井美幸

    ○浅井委員 国益の問題をあなたは出されました。きょうは決算なんです。電源開発が企業としてなさる以上、その投資効果について私は問うておる。いま国益のことを言うているのじゃないのです。九頭竜川水系全体ではなくて、この投資をするにあたって、最初の設計は長野と湯上と西勝原第三がなければ投資効果があらわれない、これによって最大効果があらわれるという計画だったんじゃないですか、違うのですか、その点どうですか。
  364. 大堀弘

    大堀参考人 おことばを返すようでございますが、経済効果というのは、私どもは一貫して三地点総合で考えております。これはわれわれが電源開発をやります場合、常にそういった考え方をとっておるわけでございますが、電源開発が二カ地点に投じた三百三十七億円の資金につきましては、私どもは現在できました電気を北陸電力及び中部電力に売っておりますが、投資に対して料金の上で十分の回収をいたしております。
  365. 浅井美幸

    ○浅井委員 あなたは、長野、湯上、西勝原第三の三つの総合計画、それは最も理想的な計画でないと言うのですか。あなた自身がいま言っておるのは――電発の経営と北電の経営とは分けて私は聞いておる。電発自身として二つであるのがいいのか、三つであったほうがよりよいのか、どっちなんですか。
  366. 大堀弘

    大堀参考人 私どものやり方は原価主義をとっておりますので、投下しました資本に対する原価及び適正な報酬、六%の報酬を料金として、買った電力会社から徴収いたしております。上の二カ地点とりましても、三カ地点とりましても、その点は私どもとしては同じでございます。
  367. 浅井美幸

    ○浅井委員 あなたはどうしてもそれをお認めにならないのですか。西勝原第三は工事費が四十八億五千九百万円でできておるのです。それで最大出力は四万八千キロワットできるのです。湯上の工事費と北電の西勝原第三の工事費と全然差額があるじゃないですか。またあなたが言った、それを肯定しようとしない姿勢、あなたが二つでなければ一、三つということについて肯定しないのなら、なぜ三つつくったのですか。当初計画の総合案というものは三つつくってあるじゃないですか、それが二つになったんじゃないですか、一番有利なところをとられておるじゃないですか。
  368. 藤井孝

    ○藤井説明員 ただいまのお話に補足させていただきます。  三カ地点の構想がございましたけれども、経済的なことをちょっと申し上げますと、一番下の西勝原第三、これは先ほどお話もございましたが、逆調整池の効果を持っておりまして、いわばあまり調整力のない火力、ベース火力のような性格を持っております。したがいましてその価値もベース火力に近いようなものになっておりますが、上流のほうの二カ地点は非常に短時間の、日々のピークの需要に対応し、しかも負荷の急速な変動に即応することができるという大きな経済的効果を持っております。短時間ではございます。したがってキロワットアワーで割りますと非常に高うございますけれども、その価値といたしましては、決して下の西勝原第三に負けない価値を持っておるわけでございます。もちろん三地点が一つ開発されることが好ましゅございますが、この点につきましては北陸電力と電源開発会社が地点の競合があり、これが調整された結果、上流二カ地点は電発、それから北陸電力はその下の西勝原第三ということになったわけでございまして、実際の運転におきましては、これは広域的にやっておりまして、一体化された運営をやっております。  経済性におきましても、三地点一体となった形で行なわれておりますので、その経済性は、特に二つの会社に分かれたからばらばらになっておるような、価値といいますか、それぞれの利益がばらばらになったというようにはなっていないのでございます。以上でございます。
  369. 浅井美幸

    ○浅井委員 だれが答弁しているのか知りませんけれども、私は投資効果で聞いているのですよ。経済効果の話を聞いているのじゃないのです。三カ所でやった場合の投資効果と二カ所になった場合の投資効果は違うであろう。現にこの発電のキロワットアワー円が、三カ所に寄れば五円十二銭です。二カ所に寄れば五円九十一銭じゃないですか。差額が出ておるじゃないですか。これでも同じですか。
  370. 藤井孝

    ○藤井説明員 お答えいたします。  三カ地点では五円十二銭でございますが、上の二カ地点だけでは五円九十一銭、そして下のほうの西勝原第三は三円十二銭というように、個々に分けますると相当差額があるようでございますけれども、これら三地点は一体とした計算によっておりまするので、その意味におきましては効果がうまく配分されておると思います。それにあくまでベースの下のほうはキロワットアワーが多うございますので、アワー当たりの建設費が非常に安く出ます。
  371. 浅井美幸

    ○浅井委員 私がさっきから言っているのは、三地点、三地点というけれども、北陸電力というのは民間会社でしょうが。営利企業でしょうが。電源開発は国の事業でしょう。この場合なぜ三地点一緒にするのです。投資効果ですよ。
  372. 藤井孝

    ○藤井説明員 お答えいたします。  三カ地点の電力についてでございますが、実際これは北陸電力がこの三地点の半量を使うようになっております。そしてあとの半量は中部電力がこれを受けるということになっております。いずれもこの三カ地点の半量ずつ受けるということになっておりまして、込みの価値によりまして料金をきめておるわけでございます。
  373. 浅井美幸

    ○浅井委員 北陸電力が全部受けるのならば経済効果は一緒だと言えるけれども、中部電力に半分行っているじゃないですか。どうなっているのです。それでも同じですか。
  374. 藤井孝

    ○藤井説明員 中部電力がこの三カ地点の半量を……(浅井委員「半量行っているところは同じですか。経済効果は同じになりますか。北陸電力が全部もらうのならいいのですよ」と呼ぶ)電発のものをまず電力会社のほうに売電するわけでございますが、この場合は、この三カ地点を合わせたもので売電……(浅井委員「なぜ合わせなければならぬのですか」と呼ぶ)三カ地点による総合開発といいますか、一環した開発の価値で売るという考え方に基づいております。
  375. 浅井美幸

    ○浅井委員 これじゃ答弁になっておらぬですよ。副総裁答えてくださいよ。
  376. 大平正芳

    ○大平国務大臣 いまの電力体制は、御案内のように九電力プラス電源開発会社、十社体制でやっております。それで、この電源開発会社開発した電力は九電力に広域調整の立場から売電をいたしております。全体として、いまあなたの申しました長野発電所、湯上発電所、そこで発電いたしました電力は、いま御説明がありましたように、北陸電力にも売っておれば、中部電力にも売っておる。いわゆる広域運営をやっておるわけでございまして、そのコストは、その建設に要した建設費をカバーするだけのコストで売っておるわけでございまするので、別に何もふしぎはないと私ども考えるのでございます。
  377. 浅井美幸

    ○浅井委員 通産大臣、では、この九頭竜系から出される、中部へ送られておるコストは高くついてませんか、ほかからくるよりも。あなたがそんなにおかしくないとおっしゃるならば。
  378. 大平正芳

    ○大平国務大臣 その高い安いの問題は、ベース用の電力とピーク用の電力と違うことはあなたもよく御承知のとおりでございます。つまり、いまの長野と湯上の電力は、非常にピーク用に使われる電力でございますから、キロワットアワーに換算いたしますと、あなたがおっしゃるように非常に高くなるわけでございますけれども、これはベース用の電力と合わせて効果を発揮しておるわけでございますから、それだけを単純に抽出して、これは非常に高くついておるとか、安くついておるとかいう評価は、多少無理なことじゃないかと私は思います。
  379. 浅井美幸

    ○浅井委員 では通産大臣、お伺いしますが、東和の発電は円当たり二円四十二銭、それから胆決第一は二円五十五銭、したがって東北電力は二円四十二銭から五十五銭で電力の供給を受けておる。では、佐久間系から揚水はない中部電力が受けておるのは四円十二銭、この差額はどうなんですか。
  380. 大平正芳

    ○大平国務大臣 個々の開発地点のコストにつきましては、私もよく承知いたしておりませんが、それは政府委員から説明させますが、建設費、人件費その他の値上がりの分も、その建設時点において比較するとあると思いますけれども、建設の構造、すなわちピーク用に使うとか、あるいはベース用に使うとかいう場合に、パイプの口径が違うとか、あるいは揚水式にするとか、いろいろ専門的に構造が違いますから、それを一々究明しませんと、あなたの言われる原価の差が説明ができないと思うのでございますけれども、私は間違いはないと思っております。
  381. 浅井美幸

    ○浅井委員 あなたは、よくわからないが、この原理ぐらいはおわかりになると思いますが、電発が供給する電力が高くつくということは、発行株式の二分の一以上を政府がこれを保有しております。電発がこのような、先ほどから申し上げるように、三カ所の計画が二カ所になった。電発自身にとってこの一カ所を北電に譲ったことについては、これは国益には反しませんか。
  382. 大平正芳

    ○大平国務大臣 電発が発電いたしまして、またこれを送配電しておるわけではないのでございまして、御案内のように、電発ができたということは、電源開発をやる場合に、九電力だけでは足りないだろうから、国策会社をつくって、これに対応した姿勢をとったわけでございます。いまなお電発の役割りというものは終わったわけではないと私は思っております。必要に応じて電発の技術力、資金調達力というものを電源開発の場合に使わなければならぬと思っておるわけでございます。しかし、電発によって調達された金を電源開発に投入いたしまして、いたしましたその投資に対しましては、先ほど副総裁から御説明がありましたように、電発はそれに相当したリターンをちゃんと九電力から受けておる仕組みになっておるわけでございまして、九電力がやりましょうと電発がやりましょうと、それに変わりはないわけでございます。ただ電源開発のキャパシティーが九電力だけで足らないということでございましたので、電発をつくってこれを補完しておるというのがこれまでの経過でございますし、いまなおその機能は消えていないという状況でございます。
  383. 浅井美幸

    ○浅井委員 私の聞いておるのは、九頭竜川開発について、三カ所であれば開発効果があった、二カ所であれば非常に高くコストがついてたいへんである。だから、その間にいろいろな折衝があったはずなんですね。当初計画は三カ所だったわけですよ。ですから、それは最も望ましい理想的な電源開発としてのいわゆる開発効果、あるいは投資効果、それができることだったのですが、それが二カ所になったので、すったもんだのあげくすんなりこれを譲った。いまお話があったように経済効果があるからということではなくて、その問いろいろの北電との競合の問題から、その妥協案としてそのように一つを譲ったのです。その譲った北陸電力に対しては、民間会社であるそれに対して、一番有利で、一番安価で、そうして出力の大きいところを渡した。いま残ったところは、いわゆるいろいろな建設費は高くついたけれども、電気としては、非常に質の高い、質のいい電気である。あるいはそういうピーク時に出せる電気である。だから、電源開発としては、これは投資的については誤りはない、このような御答弁なんです。私が先ほどから言っているのは、食い違っておるかもしれませんけれども、三カ所計画されたものが、なぜ二カ所になったのかということ、その理由が少しもわからない。それで、結局は経済効果が一貫したものであるから、一貫したものであるからという御答弁しかないのです。その辺に矛盾はありませんかというわけです。
  384. 大平正芳

    ○大平国務大臣 これは、冒頭に私がお答え申し上げましたように、いま電発という会社がございまして、電力体制が十社体制になっているところから問題がきておると思うのでございます。いまの三地点を北陸電力が全部やりましょうと、電発が全部やりましょうと、そんなに違った結果は出ないと私は思うのでございますが、たまたま電発という補完的な電力開発機構を私どもは持っておりますから、これにどの地点をやらすかということでございまして、それを、特に電発が高くかかったものを安く売ってやるとか、あるいは安くかかったものを高く売るとかというようなことをすれば浅井さんからおしかりを受けると思いますけれども、そういうことはやっていないわけでございまして、いま電発にやらすか、九電力にやらすかというテクニカルな問題にすぎないわけでございまして、開発された電力の効用それ自体、あるいは投資の効用それ自体には変化はないわけでございます。
  385. 浅井美幸

    ○浅井委員 では、大平さん、通産大臣、先ほど私が言った単価が五円九十一銭と五円十二銭という差が出てきております。三つであれば五円十二銭、西勝原が三円十四銭で発電されておりますね。その三つの場合、合わせると五円十二銭でできるわけです。安い電力を九電力に送ることが電源開発開発の目的ではないのですか。また、そのことについて電源開発促進法にうたっていませんか。
  386. 大平正芳

    ○大平国務大臣 それは、先ほど申しましたように、長野と湯上の発電所の機能がピーク用の需要に対応してつくったと私が申し上げたのでございますが、下流のほうの北陸がやりましたものと同一のベースで、三円幾らと五円幾らを比較されるということ、そのことが私には逆に理解ができないのでございます。
  387. 浅井美幸

    ○浅井委員 これは食い違いみたいですから、時間がありませんから次へ進みますが、電源開発調整審議会というのが電発の促進法の中にうたわれて、したがって、電源開発調整審議会がございますが、この電源開発調整審議会の構成メンバーはどうなっておりますか。これは総理府長官ですか、だれに聞いたらいいか――いない。いなければこちらから言いましょう。この審議会については、会長は内閣総理大臣委員は大蔵大臣、農林大臣、通産大臣、建設大臣、自治大臣、経企庁長官、それと学識経験がある者、こうなっておりますね。この調整審議会で、いままでいわゆる九頭竜の長野ダムの建設あるいはいろいろなことについて審議をなさったと思いますけれども、それについて調整審議会でどのような発言あるいは審議がなされたのか、このときの九頭竜の件についてどなたか教えてもらえませんか。
  388. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 いまお尋ねの電源開発調整審議会の事務は経済企画庁でやっておりますが、いまの九頭竜川の問題については関係の者がおりませんから、いま至急呼びます。
  389. 浅井美幸

    ○浅井委員 では、この問題はあとにしまして、自治大臣にお伺いしたいのですが、この当時福井県の県会においてもいろいろな問題がありまして、この九頭竜ダムの開発について三原則というものを行なっておりますけれども、この三原則について自治大臣は御存じでしょうか。
  390. 野田武夫

    ○野田国務大臣 内容はあまり私存じませんから、政府委員にただして――政府委員からお答えいたします。
  391. 大堀弘

    大堀参考人 三原則という御質問のお答えになるか、三原則かどうかわかりませんが、当時私ども地元の知事の基本方針といって伺っておりますことは、第一は、補償は公正妥当であること。二は、泉村村内の補償は電源開発株式会社が当たること。三、奥地域の残存部落の対策については、県の責任において国及び企業会社の協力を得て遂行すること。これでございましょうか、ちょっとはっきりいたしませんが……。
  392. 浅井美幸

    ○浅井委員 そうです。じゃ副総裁、このときに、この三原則でいろいろときめられたのですけれども、四メートルの防災用のかさ上げ分ということで当時の新聞等にも報じられておりますが、長野ダムの上へ洪水調節用のため四メートルかさ上げする分四億三千五百万円、これを県会において県負担分として持たなければならないという話が出ておりますが、これはどうでしょうか。
  393. 大堀弘

    大堀参考人 ダムのかさ上げについて先ほど建設省のほうから御答弁ございましたが、治水のために約十七億円建設省からちょうだいして、ダムを高くして建設をいたしました。県の負担のことは私よく伺っておりませんです。
  394. 浅井美幸

    ○浅井委員 これは建設大臣に伺いたいのですが、この長野ダムを洪水調節するためにいろいろとあったのですが、最終的には建設省が持ったという話であります。この当時、四十年の四月二十七日の新聞等では、このことについて県会において、国体の前にこのような膨大な金を県会として持つのは非常にたいへんである、こういう話が出ておりますけれども、これはどういうことでしょうか。
  395. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 ただいま大堀総裁お答え申しましたとおり、長野ダムの治水目的にかかる建設省の負担金額については、共同施設、ダム高百二十八メートルの建設に要する費用から、発電目的のみの施設、ダム高百二十四メートルの建設に要する費用を差っ引いた額としているような次第でございます。あとにお問いになりました点につきましては、私、詳細まだ聞いておらないのでございます。
  396. 浅井美幸

    ○浅井委員 大堀さんにもう一ぺんお伺いしますが、福井県において、電源開発特別委員会は県の負担分を大蔵省から特に取ってくるため電発に協力を申し入れよと決議し、そして知事は直ちに田中大蔵大臣に申し入れたほか、電発に協力を求めた。この地元の長野ダムのかさ上げ費用のことについて、あなたのほうにちゃんと協力を申し入れてませんか。
  397. 石井由太郎

    ○石井参考人 ただいまお話しの十七億余りの治水の地元負担金、福井県の負担金が容易に払えないから、これについて電発側も協力して大蔵省方面の善処に努力してほしいという要求がございまして、大蔵省方面に関係者を案内などいたしたことがございます。
  398. 浅井美幸

    ○浅井委員 だから、その結果はどうなったんだというのですよ。県でこのかさ上げをやったのか、建設省でやったのか。
  399. 石井由太郎

    ○石井参考人 ただいまの十七億余の負担は、私どもの構築いたしましたダムの高さを四メートル上げたわけであります。そのかわり建設省から十七億余の負担金をちょうだいいたしたわけでございますが、その四分の一、四億四千万円ほどのものが福井県の負担になる。これは治山治水緊急措置法その他によりきめられたことでございますが、この負担を直ちにすることが困難だから何とか考えてもらえないかという要求がございまして、当時福井県の皆さまが大蔵省方面に陳情その他をいたしましたけれども、なかなかこれが実行しがたくなったやに伺っておるのであります。建設省としては、この一部を電源開発会社から融資をしてもらえぬであろうかというような要求がございまして、その一部に対しましててまえどもから期間五年といたしましての融資をいたしております。
  400. 浅井美幸

    ○浅井委員 官報の公示が三十七年の十二月二十二日です。そして入札が三十九年の十月一日ですね。これまで約二年近くかかっていますけれども、これはどういうわけでしょうか。
  401. 石井由太郎

    ○石井参考人 九頭竜ダム地点の水没戸数は五百三十四を数え、膨大な水没案件をかかえておったわけでございます。私どもといたしましては、着工地点決定後鋭意その水没者対策の解決に努力いたしたのでございますけれども、この進捗がはかばかしくございませんで、次々におくれ、ただいま御指摘のような着工日時と相なった次第でございます。
  402. 浅井美幸

    ○浅井委員 官報公示から二年もかかったという工事はいままでありますか。
  403. 石井由太郎

    ○石井参考人 この地点についてのてまえどもの工事施行方針といたしまして、補償関係がしっかり解決しなければ本工事に着手しないということを方針といたしてやってまいったわけでございます。すなわち補償が全部片づかないうちに工事をぽつぽつ始めるというようなことをいたしますれば、着工はもっと早くできたかと思うのでございますけれども、補償関係を全部片づけてから着工するというこの方針を貫いたのでございます。そのような関係からいたしまして二年ほどの日時を要したのでございまするけれども、期間といたしましては、必ずしも私ども長い期間ではなかったものと考えておる次第でございます。
  404. 浅井美幸

    ○浅井委員 そういう例があったかどうか。
  405. 石井由太郎

    ○石井参考人 官報告示以来二年に近い日時を要した例は他にないことはございません。御母衣等におきましても相当紛議を続けまして、工事着工までには相当の日時をとっております。
  406. 浅井美幸

    ○浅井委員 相当の日時というのはどのくらいですか。
  407. 石井由太郎

    ○石井参考人 ただいまどのくらいの日時であったかということの正確なデータを持っておりませんけれども、実は非常に長い期間を要しておるわけでございます。
  408. 浅井美幸

    ○浅井委員 官報公示の際には、知事の工事認可権が必要と思いますけれども、知事の工事認可権はとれていましたか。
  409. 藤井孝

    ○藤井説明員 お答えいたします。  電源開発調整審議会にまず基本計画としてかかるわけでございますが、このときには知事の水利権に対する認可ということは必要ございません。したがって、この基本計画で決定された後に水利権の許可が受けられております。
  410. 浅井美幸

    ○浅井委員 知事の工事認可が必要でない。工事をやって、そうして入札をやって、その入札のあと工事の認可をとればいいわけですか。
  411. 藤井孝

    ○藤井説明員 ただいまのお話でございますが、基本計画がきまりまして、それから工事をやるという場合にはやはり水利権なり、また公益事業としての、電気事業としての設備変更許可とかいうような手続が必要でございます。それから本格的な着工に入ることになります。
  412. 浅井美幸

    ○浅井委員 その手続をやらなかったのでしょう。
  413. 藤井孝

    ○藤井説明員 官報告示になった段階は、いわゆる電源開発調整審議会の基本計画をきめるものでございます。
  414. 浅井美幸

    ○浅井委員 だから官報公示になって入札があった。入札の前には工事権は要らないのですか、工事許可は。
  415. 藤井孝

    ○藤井説明員 入札を行なう前に水利権の許可は当然必要でございます。
  416. 浅井美幸

    ○浅井委員 必要ですね。  建設大臣、お伺いしたいのですが、この工事について入札が三十九年の十月一日です。そうしていまの水利権許可は四十二年の二月二十八日です。これらについてはどうでしょう。
  417. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 長野ダムについては当初九頭竜川が旧河川法の適用を受ける河川であったために、いま御指摘になりましたような昭和四十二年の二月二十八日に福井県知事より水利権の許可及び工事実施の認可が行なわれたような次第であります。
  418. 浅井美幸

    ○浅井委員 それは不当なんですか、おかしいのかどうかということを聞いておるのです。
  419. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 そのときにおける許可は、私は不当でないと思います。
  420. 浅井美幸

    ○浅井委員 先ほどの通産省の方ですか、入札が先に行なわれた、いま言ったのは四十二年の二月二十八日、これについての入札というものはおかしくないですか。
  421. 藤井孝

    ○藤井説明員 お答えいたします。  工事の段階は二通りに大別されますが、準備工事とそれから本格着工工事でございます。私は本格着工工事のことを申し上げましたのですけれども、水利権の件につきましては、いわゆる河川の工作物を取り扱う場合に、その前に許可ないしは工事実施認可を必要とするわけでございますので、それ以外のところにおける準備工事としての、道路工事の契約とかそのようなものは事前に行なわれても差しつかえないと考えております。
  422. 浅井美幸

    ○浅井委員 いま何とおっしゃったのですか。この三十九年の十月一日というのは、かの悪名高いロアー・リミット方式で、全体的な入札ではなかったのですか。この入札を行なうにあたって通産あるいは建設において、通産省においては電気工作物の許可は要り、建設省においては河川に対する工作物に対する許可は要らないのですか。
  423. 藤井孝

    ○藤井説明員 ただいまちょっとおっしゃったことが理解できなかったわけでございますが……。
  424. 浅井美幸

    ○浅井委員 さっきあなたは入札後に水利権やあるいは工事認可権を認可をするのはおかしいとおっしゃったでしょう。さっきそうおっしゃったでしょう。――おかしいてすね。そのおかしいことが今回行なわれたわけですね、九頭竜の長野ダムにおいては。それはそのとおりですね。入札はほんとうはできないわけでしょう。
  425. 藤井孝

    ○藤井説明員 先ほど申しましたように、河川の工作物の変更とかそういうような場合の必要なる水利権の許可あるいは実施認可、これは河川を扱う場合には事前にとっておかなければならぬことでございます。それ以外のところの工事につきましては、工事を付託しても問題はないのではないかと思いますが……。(浅井委員「だから入札前に」と呼ぶ)
  426. 中川俊思

    中川委員長 浅井君に申し上げますが、発言の許可を求めてから御発言を願います。
  427. 浅井美幸

    ○浅井委員 入札の前に水利権の許可あるいは工事認可が必要ではないかというわけです。
  428. 藤井孝

    ○藤井説明員 入札の前にという、その入札がいろいろありますけれども、準備工事としてのある部分的な道路とかそのほか仮設備とかそういう関係のものの入札につきましては、事前にこれを行なって差しつかえないと思います。
  429. 浅井美幸

    ○浅井委員 これは一括入札ではなかったのですか、三十九年の十月一日は。第一工区は鹿島建設におろして、第二工区は佐藤工業におろしたんでしょうが。この入札というものは一括入札ではないのですか。
  430. 大堀弘

    大堀参考人 入札は一括――ダム、発電所に分けて入札いたしました。私どもは入札自身――水利権の出願は三十八年の三月にいたしておりまして、水利権の認可が早急に得られるものという考えで進んでおりましたわけです。入札につきましては……(浅井委員「入札に必要ないのかと聞いておる」と呼ぶ)入札について全体水利権の認可が必要だということはございません。ただ、私どもは入札の際にこの工事の施工は必要な手続が済んでから着工するという条件をつけてございました。
  431. 浅井美幸

    ○浅井委員 それでは大堀さん。あなた、入札が行なわれてから、この水利権のいわゆる許可を非常に早くとらなければならない。当決算委員会でこのことが取り上げられて、あわてて世界銀行の借款問題もあるので福井へ行かれましたね。そのときの会談についてはどういう内容をなさったのですか。
  432. 大堀弘

    大堀参考人 世界銀行はかねてから、当九頭竜地点の開発について電源開発株式会社が借款をするということで交渉してまいっておりまして、入札が九月に行なわれましたが、十一月に私ワシントンへ参りまして、さらに具体的な折衝をいたしました。世銀としては、最終的に二千五百万ドル貸してやるという話を、了解を得まして帰ってまいりました。
  433. 浅井美幸

    ○浅井委員 そうではなくて、芦原会談をやったでしょう。その会談はどういうことをやったのかということを聞いているのです。
  434. 石井由太郎

    ○石井参考人 四十年二月末に福井県に水利権の許可書をちょうだいに伺ったのでございますが、そのときに福井県知事から三件の条件が示されました。これは奥地の補償その他を適正にやること、それから工事はおだやかに、治安、水質を害しないようにやりなさい、それからこの工事の施行に伴いまして、下流において護岸その他を要する工事は、県の指示を受けてやるようにというような三件の条件がつけられまして、これが県の源電開発特別委員会等にはかられまして、水利権の許可をちょうだいいたしてまいっております。  それから、お話しの芦原会談、そのようなことはございませんで、県庁舎においての話し合いでありました。
  435. 浅井美幸

    ○浅井委員 そのときの県庁舎での話し合いの内容は……。
  436. 石井由太郎

    ○石井参考人 ちょっとわかりませんが……。
  437. 浅井美幸

    ○浅井委員 四億一千四百万円の奥地残存地域の対策の補償分だとか、水利権の問題について話し合ったのでしょう。
  438. 石井由太郎

    ○石井参考人 さようでございます。
  439. 浅井美幸

    ○浅井委員 それまでは電発は三億五千万の補償費しか出さなかったのでしょう。そういう計画だったですね。
  440. 石井由太郎

    ○石井参考人 そのような経過はございました。
  441. 浅井美幸

    ○浅井委員 なぜふえたのですか。
  442. 石井由太郎

    ○石井参考人 これは補償物件についての考え方、話の詰め方というものの差異でございます。
  443. 浅井美幸

    ○浅井委員 もっと答弁というのははっきりしてもらいたいのだけれども、きょうはどうもわからぬのです。経企庁長官、その電発の調整審議会の内容のわかる人、来ましたですか。
  444. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 いまその関係の者の行き先をさがしております。
  445. 浅井美幸

    ○浅井委員 とにかく、いわゆる先ほど来から私の主張しておることは、いままでの経過、最初の当初計画が変更した、あるいは工事認可の問題をめぐる入札の問題等疑惑が非常に多かった。これほど不明朗な建設はないといわれるほど、わざわざ高くつくように高くつくように持ってきておる。安くできるような計画がわざわざ二つになって高くつく。さらにロアーリミット方式という工事費が高くつくような入札方法をとった。そしてその後の工事認可権をめぐって、福井県側にいろいろと交渉の結果、ようやくすったもんだで、大臣から電話も入ったということで、知事に圧力がかかったというような話も出ております。ですから、これは知事が、県会においても、議会の許可もないのに突如として認可を与えてしまった、そのように言われて、議会軽視を突つかれておる。議事録の中にそういうことがうたってありますけれども、これらの疑惑をめぐって、いまこのことについて県庁で話をなさったという話でありますが、芦原会談、芦原会談と俗称されておる。そして最後の折衝をなさったそうでありますけれども、金銭の授受があったというそういう話もうわさとして飛んだ。そこで私は、この電源開発調整審議会なるものは、この内容の中で「電源開発を行う者の決定に関し調査審議すること。」「電源開発の規模、方式等に関し調査審議すること。」とあるが、三カ所が二カ所に減ったときにどれだけ調査審議してもらったのか。あるいは第五番目に「電源開発のための水及び土地に関する権利の調整並びに電源開発等により生ずる損失の補償に関し調査審議すること。」とあり、これだけの補償に関しても調査審議しなければならないことになっておる。ところがこの電源開発調整審議会が許可して、そして工事になったが、地元のほうはなかなか納得しなかった。何のための電源開発調整審議会かわからない。せっかくいろいろな内容について審議条項がありながら、あるいは調査事項がありながら、その調査を的確にしていなかった、そういうふうな結論に私は達したい。だから、そのことについてこの調整審議会の人がおらぬし、聞きようがないわけですけれども、私はこのことについて聞くことについては言ってあったはずなんです。それを委員を呼んでないとはけしからぬと思います。  それで、ここで法務大臣にお伺いしたいのですけれども、四十二年の四月の福井県の知事選の候補者で佐々木五平という人がおりますが、この選挙公報において、この水利権の許可をめぐって、金銭授受の容疑にて東京地検に四十一年の十一月二十一日に海野晋吉弁護士を代理人として告発していることが記載されておりますけれども、こういうことはございましたか。
  446. 西郷吉之助

    ○西郷国務大臣 九頭竜川の汚職事件につきましては、現在検察庁に二件の告発が行なわれております。その一つは、昭和四十一年十一月二十一日、九頭竜川の電源開発にあたって元福井県知事に収賄の容疑があったものとして告発がなされました事件でございますが、福井地検において捜査した結果、昭和四十二年十一月三十日、その事実は認められないとして不起訴処分に付してございます。  その第二点は、昭和四十三年六月十日、同様九頭竜川の電源開発に際しまして、元知事ら三名に文書偽造、証憑湮滅の容疑ありとして告発がなされましたが、本件につきましては、現在福井地検におきまして鋭意捜査中であります。
  447. 浅井美幸

    ○浅井委員 大臣にお伺いしたいのですが、四十三年の六月十日に告訴されて、現在まだ未済であるということについては、これは調査が非常に長引いていませんか。
  448. 西郷吉之助

    ○西郷国務大臣 いまの件につきましては、刑事局長に補足説明させます。
  449. 川井英良

    ○川井政府委員 六月に東京地検に告発がなされまして、東京地検で三、四カ月捜査をいたしました結果、この事件は関係者が地元の福井に多いということで、その後福井地検のほうに送致をされまして、福井地検におきましては、去年の十月から今日までこの事件を鋭意引き続き捜査中でございます。
  450. 浅井美幸

    ○浅井委員 この中で、この佐々木五平氏の供述によれば、いろいろ言っておることによれば、四十三年の四月に名古屋の高検で、福井地検の捜査で、被告発人の供述では、小谷堂、三面の補償として県収分から支払った、だから請託の容疑に該当しなかったと、名古屋高検の検事から話があったというのですが、電源開発は小谷堂、三面の補償として支払った事実は、これはありますか。
  451. 石井由太郎

    ○石井参考人 ただいまのお話は、三面、小谷堂と申します石徹白川筋の残存部落がございます。この部落がかねてから県外移転その他を希望しておったそうでございますが、県から、電源開発計画がきまるまでは移転、退村を差し控えるようにという行政指導を長きにわたって受けておったと承知いたしておるのでございます。電源開発が進められるに従いまして、これらの部落、二十戸ほどの部落でございますが、それぞれ移転等をさせるのが適当であるので、県で相当の措置をいたしたいが、電源開発会社でも若干負担をしてもらえぬだろうかという御要望がございまして、諸般の事情を考慮いたしたのでありますが、これらの部落を移転させるのに協力するのがよろしかろうというので、三千万円余の資金を県に上納いたしました事実がございます。
  452. 浅井美幸

    ○浅井委員 いまあなたのおっしゃった上納した三千万円ですか、これについては県収に入っておりますか。
  453. 石井由太郎

    ○石井参考人 県から領収書をちょうだいいたしておりますから、県金庫に入ったものと了承しております。
  454. 浅井美幸

    ○浅井委員 自治大臣、調べてもらいたいのですが、実際はこの金額は県収に入っていない。電源開発会社は千五百万ということで、一般財源から二千三百五十万、それと和泉村の対策費として三百万、合計四千百五十万ですけれども、これについて、県の収入には入っていないということになっておりますが、自治大臣、どうでしょうか。
  455. 野田武夫

    ○野田国務大臣 自治省にはそのような内容について、いままだ情報を得ておりませんから、調べてみます。調べた上でまたお答えする機会があると思います。
  456. 浅井美幸

    ○浅井委員 その点については調査してください。  それから、法務省関係ですが、このことについてもう一度よく、鋭意調査を進めていただきたいと思います。  総括的に私の申し上げたいことは、九頭竜のこの電源開発についてはいろいろな疑惑があります。したがって、この際、法務省においても、あるいは検察庁においても、この事件についての疑惑を国民の前に明らかにしてもらいたいのです。私が先ほど来申し上げたように、いろんな経過をたどってきております。そして黒い霧もあるというようにいわれております。したがって、それらの点について、明快な検察庁の方針でもって、明快な処分をしてもらいたい。これを最後に望んでおきます。  そこで、委員長にお願いして最後の質問ですが、文部大臣に伺いたいのですけれども、去る三日の東京都立大学の入学試験での自衛官の受験拒否の問題、そしてまた、千葉工大の短大の問題、それから熊本においてもそのような事件があるやに聞いておりますけれども、   〔委員長退席、丹羽(久)委員長代理着席〕 これに対して憲法第十四条、法のもとの平等、機会均等、そして憲法第二十三条の学問の自由の保障という立場から、文部大臣の見解をもう一度はっきりと聞きたいのです。また今後の問題もあるので、政府の態度について明快なお答えを願いたいと思います。
  457. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 ただいまお尋ねの問題は、たびたびお答えをいたしておりますとおり、能力のある者で、自衛官といえども、職業のいかんにかかわらず教育をする、受ける、あるいは研究をする自由というものが保障されておることは申すまでもないことでございまして、大学当局が一方的に、たとえ入学試験が紛争の種になるとかなんとかということがありましても、これを拒否するということは断じて許すべからざることだと私は考えておる次第でございます。ことに、昨日も千葉大の工業短期大学部におきまして、自衛官が受験をいたしましたが、そのことをきっかけにいたしまして、予定どおりの、最初きめましたとおりの入学試験が行なわれなかったことは、まことに遺憾だと考えております。しかしながら、大学当局といたしましては、学長は、きのうやりました入学試験を正当なものであると考えておるようでございますし、昨日、私は事件発生と同時に直ちに文部省の係を派遣いたしまして実情を調査いたし、また指導、助言もなしたわけでございますが、   〔丹羽(久)委員長代理退席、委員長着席〕 本日の学部長協議会でございますか、そこでは、きのう伝えられたような確認書等は認めがたいというようにきまったように思います。今後も指導、助言を通じまして、受けられた方が入学できるようにいたしたいと考えておる次第でございますし、また、そういう風潮が全国の大学に広がらないような、適切な指導、助言をいたしてまいりたいという強い決意を持っておることを申し上げておきたいと思います。
  458. 浅井美幸

    ○浅井委員 自衛隊員の問題でありますので、防衛庁長官に、入学拒否における自衛隊の見解、すなわち、自衛官が個人の意思において大学受験をすることについて拒否された、あるいはまた入学後の自衛隊員としての身分保障は今後はどういうふうにやっていかれるのか、その点だけ簡単にお答えいただきたい。
  459. 有田喜一

    ○有田国務大臣 今回の自衛隊員の入学拒否の問題は、御説のとおり憲法の趣旨からいいましても、教育基本法の趣旨からいいましても、まことに遺憾のきわみのことでありまして、われわれはすでに文部省とも連絡をとってやっておりますが、今後もわれわれはあくまで入学拒否にならないように、しっかりといくように考えておりまして、すでに都立大学の問題につきましては人権擁護局に調査を依頼しておる、こういう状態でございます。
  460. 浅井美幸

    ○浅井委員 たいへんありがとうございました。以上で終わります。
  461. 中川俊思

    中川委員長 これにて昭和四十一年度決算外二件についての質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  462. 中川俊思

    中川委員長 昭和四十一年度決算についての議決案は、理事会の協議に基づき、委員長において作成し、各位のお手元に配付いたしております。  これより議決案を朗読いたします。     議   決(案)   昭和四十一年度一般会計歳入歳出決算、同年度特別会計歳入歳出決算、同年度国税収納金整理資金受払計算書及び同年度政府関係機関決算書につき左のごとく議決すべきものと議決する。   本院は、毎年度決算の審議に際し、予算の効率的執行並びに不当事項の根絶について、繰り返し政府に注意を喚起してきたにもかかわらず、依然として改善の実があがっていないのは、まことに遺憾である。  (一) 昭和四十一年度決算審査の結果、予算執行が適切を欠いたため、その効率的使用等所期の成果が十分達成されていないと思われる事項が見受けられる。  左記事項はそのおもな事例であるが、政府はこれらについて特に留意して適切な措置をとり、次の常会の始めに、本院にその結果を報告すべきである。   (1) 地方自治体等に対する零細補助金等の整理統合は、従来しばしば指摘して来たが、なお、その実があがっていない。     即ち、一件五十万円以下の零細補助金の廃止、同一ないし類似の補助目的のための補助金の整理統合等合理化を必要とするものは、昭和四十一年度において、地方自治体の要望によれば、四百八件に達するが、同年度において、これが実施されたのは、百九十五件にとどまっている。     政府は補助金の多様化と零細化が、地方行政を複雑、非効率なものとし、地方財政の自主的運営を阻害している実情にかんがみて、補助金の合理化をさらに推進し、国、地方を通ずる事務の簡素化と財政資金の効率的使用をはかるべきである。     次に、補助金の交付が適切に行なわれていないため、補助の趣旨が十分に生かされていないと認められるものがある。     即ち、文部省所管において、市町村が行なう要保護及び準要保護児童生徒就学援助事業に対する補助金は、経済的理由により、就学困難な児童生徒の就学奨励をするものであるが、教科書費、学用品費、修学旅行費等の給与が、学年末に一括して行なわれているため、補助の効果が十分にあがっていない実情にある。     これは、市町村の交付申請並びに、文部省の交付決定の遅延によるもので、これら交付事務の促進をはかって、市町村が、給与を適期に行なうよう指導する必要がある。     厚生省所管において、都道府県、市町村等が行なう補助事業等に対して交付する補助金等については、交付後、交付すべき額の確定に相当年月を経過しているものが認められ、補助事業等の成果の確認並びに補助金等の精算の遅延をまねいている。     補助事業者の実績報告書の提出並びに、受理後の部内の処理の促進をはかる必要がある。     また、地方自治体等が国の補助金、負担金の交付をうけて施行する各種公共事業について、工事費の査定並びに補助金等の交付が遅れたため、工事が、冬期の工事不適時に行なわれ、あるいは、年度末にかかる等している事態も改善されていない。     これは、公共事業関係行政機構が旧態依然として複雑化し、事務処理に日数を要するためと思われる。  政府は、関係行政機構と事務手続の簡素化をはかり、補助工事が、適時、円滑に行なわれるようつとめるべきである。    (2) 契約の締結にあたっては、契約の目的となる物件または役務について十分な調査検討を行ない、適正な予定価格を作成して、契約の適正を確保する必要がある。     とくに、随意契約による場合においては、競争契約による場合のごとく、参加者の競争によって予定価格の不備が補なわれる機会がないものであるから、予定価格の決定には一段と慎重かつ細心を期する必要がある。     しかるに、各省、各公社等における実情をみると、随意契約は比較的少額なものの場合が多いこともあって、競争契約の場合より、安易に予定価格を作成していると認められるものがある。     たとえば、日本国有鉄道が通運事業者に請負わせているコンクリートまくら木の取卸し、移送等の作業の運賃及び料金支払の状況についてみると、これらの通運事業を行なう者は、通運事業法第二十条の規定によって、運輸大臣の認可を受けた運賃及び料金以外のものを収受してはならないこととなっており、予定価格は、認可運賃及び料金を基礎として積算すべきであるのに、これによることなく原価計算方式により予定価格を算定したりした結果、支払が過大となった事例が多数見受けられる。     このような事例にかんがみ、政府及び政府関係機関は、契約締結にあたっては、十分な調査と入念な検討を行ない、もつて契約の適正、効率化を確保すべきである。    (3) 東南アジア地域を中心とする発展途上国に対するわが国の経済協力は、延払輸出による信用供与及び直接借款を主として、近年、急速な伸長を示し、昭和四十一年度において、その総額は、政府ベースによる一、〇二七億円のほか民間べースを合わせると二、四〇八億円に達している。     援助は贈与、直接借款、輸出信用、直接投資等多岐にわたり、ここ数年延払輸出より援助条件のゆるやかな直接借款が増加し、また、開発援助から商品援助に重点が移っているが、これ等の援助効果の発揮には、さらに十分な配慮が必要である。     即ち、経済援助の目的と、わが国及び相手国の実情に即して、最も効果的な援助を選定し、統一ある方針のもとに、適切なる援助を実施すべきである。     資本協力にあたっては、事業の相手国等に及ぼす経済効果等を事前に十分に調査する必要があり、これがため、技術協力との一元的推進により、経済協力の実効性の確保に努めるべきである。    (4) 公社、公庫、公団、事業団等の事業運営等について、従来、しばしば指摘して来たが、未だ改善を必要とする点が多い。     既に、昭和三十九年九月、臨時行政調査会が「公社、公団等の改革に関する意見」として、また、昭和四十二年八月、行政監理委員会が「特殊法人の改革に関する第一次意見」として、その運営の非能率性と、なかには、既に設立目的を達成し、あるいは重複して設立されたものまで、そのまま存続するなどの乱立現象を指摘し、その運営の効率化と整理統廃合等を勧告している。     しかるに、その後、勧告の趣旨は十分に生かされたとはいえず、これら政府関係機関等の新設も跡をたたない。     政府は、既に事業の目的を達成したもの、あるいは、事業成果のあがらないもの等の整理統廃合を促進し、新設にあたつては、その乱立を防止すべきである。     また、役員の任命にあたっては、高級公務員の選任に慎重を期し、ひろく民間人材と部内職員の起用をはかるとともに、その定数、給与等については、統一ある基準を法令に明示する等、この際、再検討を行なう必要がある。     さらに、事業の運営にあたっては、責任体制の確立と相まって、自主的運営を拡大し、業績評価を励行する等により、効率性の発揮に努めるとともに、業務報告等を国会に提出し、もって、これら機関が、国の行政機構と独立して設けられた趣旨が、十分に生かされるように努めるべきである。    (5) 交通、水道、病院等地方公営企業は、昭和四十年度末の不良債務の解消をはかる財政再建計画実施等により、経営収支の改善に努めているが、なお、全般的には悪化の傾向にある。     即ち、昭和四十一年度における決算状況は、九七四事業が二二六億円の利益を計上しているのに対し、三七九事業が三三億円の損失を計上しており、累積欠損金は、交通事業の七八八億円、上水道事業の二七億円、病院事業の七八億円以下五一五事業で一、二〇三億円に達し、前年度に比して二五五億円の増加となっている。     これらの地方公営企業は、地方自治体の決算規模において、普通会計の二三・五%を占め、事業内容において住民の福祉に直結するものであるから、その経営の健全化は、地方自治体にとって急務である。     政府は、地方公営企業の合理化を促進して経営収支の改善をはかるため、公営企業金融公庫融資条件の緩和など財政援助と、経営指導体制を強化し、また、累積欠損金解消のための財政再建計画の実行に、さらに適切な援助を強化すべきである。  (二) 昭和四十一年度決算検査報告において会計検査院指摘した不当事項については、本院においてもこれを不当と認める。本院は連年政府に対して不当事項の根絶について注意を喚起してきたにもかかわらず未だ同様事例が跡をたたないのはまことに遺憾である。     政府は、これら指摘事項について、それぞれ是正の措置を講ずるとともに、また、行政管理庁の勧告等を尊重して制度、機構の改正整備をはかり、官紀を粛正して今後再びこのような不当事項が発生することのないよう万全を期すべきである。  (三) 決算のうち、前記以外の事項については異議がない。     政府は、今後予算の作成並びに執行にあたっては、本院の決算審議の結果を十分に考慮して、財政運営の健全化をはかり、もつて国民の信託にこたえるべきである。  以上であります。     ―――――――――――――
  463. 中川俊思

    中川委員長 これより討論を行ないます。  討論の通告がありますので一順次これを許します。丹羽久章君。
  464. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 私は、自由民主党を代表して、ただいま委員長提案の昭和四十一年度決算議決案に賛成の意見を表示いたすものであります。  われわれは、昭和四十一年度決算を昨年三月以来、各省、各政府関係機関につき、順次審議を続けてまいりました。各省審議の過程において、是正改善を必要とする事項については、そのつど政府当局に善処を求めてまいりましたので、すみやかに適切なる措置をとられることを要望いたしたいと存じます。  さらに、今後の予算編成と財政並びに行政運営に、われわれの決算審議を十分に考慮されて、その健全化につとめられるようお願いいたしたいと存じます。  ただいまの議決案において、改善を要望した事項は、いずれも本年度の決算審議におきまして、特に重要と認められるものでありまして、その内容については、あらためて申し上げるまでもございません。  これらにつきまして、政府はすみやかに適切な措置をとられて、その結果を当委員会に報告されることを要望いたしまして、ただいまの議決案に賛成の意を表する次第であります。(拍手)
  465. 中川俊思

  466. 華山親義

    華山委員 日本社会党を代表いたしまして、ただいまの提案につき反対の討論をいたします。  ただいま提案のありました議決案の中で、「決算のうち、前記以外の事項については異議がない。」とする一節については、同意いたすわけにはまいりません。その理由を申し上げます。  この一節は、衆議院の決算の議決において、長年にわたり慣用されてまいったのでありますが、しかしよく吟味してみますと、これが衆議院の決議になりますと、将来当該年度、この決議におきましては、昭和四十一年度の決算に関しては、将来いかなる問題が起ころうとも、衆議院として、また各議員としてもこれを論議することのできない拘束を持たぜるものでありまして、みずから衆議院及び各議員の審議権あるいは国政調査権を限定するものと思われるこの一節には、反対せざるを得ないのであります。  現に、昭和四十一年度決算において、防衛庁がアメリカ政府に対する前払い、または概算払いを行なったもので、納品未着のため、検査院においていまだに確認し得ないものが、昭和三十八年度発注のもの以降十六件、総額二百五十七億五千余万円にのぼるのでありまして、この未確認を含む総決算を異議なしとすることは、少なくともこの部分につき審査権を放棄する結果と相なるのであります。  また、四十一年度決算の内容及びこれよりうかがい知ることのできる予算の効果の面よりいたしますと、たとえば累年多額の高率の不用額を生じておりまする中小企業対策費においては、四十一年度もまた全体として八%、そのうち中小企業設備近代化補助金は一九%にのぼり、中小企業高度化資金特別会計の不用額は、まさに四四%の驚くべき高率であります。労働省所管の職業転換対策事業費は、この年度において、また五七%、半額以上の不用を見たのであります。中小企業対策、中高年齢者就職対策、いずれも重要緊急の要務にかかわらず、このような不用額を出した本決算には、この点からも異議なしとすることにはまいりません。  また会計検査の実地の調査において、予算の所期の効果をあげられていないものが、重要と思われる事業に見受けられます。特にこれらは農政の面に多く、繭を基幹とする農業構造改善事業において、その実をあげていないものが相当多数見受けられ、また草地改良事業において、荒廃またはこれに近く相なっておるものが、相当広面積にわたり、約二〇%に達するものと思われます。これらは国費を全く水泡に帰したものといわなければなりません。  また厚生省所管において、補助事業として設置されましたし尿処理場が、完全な効果をあげていないものが相当に多く、その原因一つとして、し尿処理収集業者の責めに帰すべきものがあるのでありますけれども、これについて従来自治省は、単に財政的の立場から民間委託を推進するに対し、厚生省はその実績の面から、直営を重視するという、異なった両者間の不一致を生じたのでありまして、これから出たものと思わなければなりません。私は自治省の方針は責めらるべきものだと思うのであります。  これらの理由により、提案中、「決算のうち、前記以外の事項については異議がない。」とする部分には同意せず、したがってこれを含む提案の全体につき反対するものであります。  なお、これ以外の事項につきましては、政府において誠意をもって実施されることを希望いたします。(拍手)
  467. 中川俊思

    中川委員長 吉田賢一君。
  468. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私は民主社会党を代表いたしまして、ただいま御提案の議決案件に、理由を付して賛成の意を表するものであります。  決算の憲法上の性質につきましては、憲法学者も多くは報告説をとっておるのでございます。また予備費とは違って、すでに完成いたしました行為に対する審議でございまするので、これに対しまして、たとえば政治責任がこの決算の審査の結果解除されるとかいう制度とか、あるいはまた、検査院の審査がなければ決算にならぬとかいった、外国の諸制度とは異なっておることはもちろんでございまするので、私は決算委員会におきまして報告説をもとにいたしまして結論を進めてみたいと思うのであります。  ところで決算の審査にあたりましては、やはり根本的には国民の大切な血税を政府が預かりましてこれを執行、使用する、その使用のあとを追及いたしまして審査するのが決算の実態でございまするので、この点からいたしまして、相当決算の審査制度を重視しなければなりませんけれども、近時この風潮は一向に改まることなく、毎度繰り返しまして決算重視、決算尊重を声を高くして叫ぶのでありますけれども、なかなかその実があがってこないことは実に遺憾でございます。  そこで、根本的にはあらゆる角度からこの重要性を具現化する方策を立てていかねばならぬのでございまするが、われわれ国会の立場といたしましては、みずから進んで決算の重要性を認めて、これを重視して扱っていくという態度に改めることが根本であります。しかし、とかく、予算はきわめて重視しますけれども、決算はごらんのとおりにりょうりょうたる出席のありさまから見まして、いかに国会がみずから軽視しておるかということを強く反省をさせられるものであります。  第二点は、行政府におきましても、議院内閣制度でございまするので、与党と政府とは一体責任関係にあります。したがいまして予算執行する行政府、また予算を編成する政府におきましても、編成の段階からいたしましてこの決算の重要性に沿うように持っていかねばなりません。  かかる観点からしますると、第一段は予算の編成の段階でございますが、予算の編成におきましても公正厳格に、かつまたいかなる政策が重要であるか、その重要の度合いも最も適切にこれを選択いたしまして、国民の負託に沿うように予算の編成をしなければなりません。いたずらに圧力団体に迎合いたしまして、また党の利害、個人の利害等によりましてこれを左右することがないことを、心から念願いたします。  また、その予算の制度自体におきましても、こんな科学進歩の時代でございまするので、それにふさわしいように、 いまアメリカにおきましても、国防省をはじめとしてすでに大統領指令にもなってあらわれておりまするように、PPBSの制度、これをすみやかに検討、完成いたしまして、可能な限り日本の予算制度にこれを導入するということを、積極的な態勢で進めていかねばならぬ、こう思います。  こういった予算の編成の段階における諸般の問題の解決の根本に横たわっておりまするものは、綱紀の厳正でございます。官庁がとかく官僚主義にとらわれまして、そして国民の負託に沿い、国民に奉仕するという憲法の大精神を無視いたしまして、みずからの公職を私物化するという風潮がとかく一般に流れておりまするので、公私混淆、ここに行政の腐敗、乱脈、汚職、かくして綱紀紊乱はただいま社会が批判しておりまするように、各省庁にわたっておることは、まことに遺憾であります。二、三の省庁ではあろうけれども、地方行政庁にもわたり、あるいは公共特殊法人にまでわたっておることはごらんのとおりであります。根本的に綱紀を粛正しなければならぬ、しからざればその編成においても執行においても国民の負託にほんとうにこたえることはできないものである、こう考えるのでございます。  しかし、これにつきましてはやはりいまの日本の公務員制度を改めるほかはありません。公務員の有能なあるいはまたそのすぐれた技能、そういったものはできるだけこれを有効に国家のために使ってもらわねばならぬ。ただしこれらの人の生活を思い、これらの人の技術を国のために活用するためには、これまた最善の方法を用いまして、その人が安んじてその技能を十分に発揮し得る場所を与えねばなりません。年老いてさらに就職をする場合でも、年老いて安楽に生活をせねばならぬ場合におきましても、これに適切にこたえていかねばなりません。かくいたしまして、国はこれらの人に対して個人的にもあるいはまた団体におきましても十分に報い、そのかわりに、国に対しまして公共に対しましては、厳粛に奉仕の精神を徹底さしてもらわねばなりません。かくいたしまして、私は、首尾一貫いたしまして、予算の厳正なる効率的なる執行が可能であろうと思います。しからざれば、部分的に事項を指摘するだけではとても問題は解決いたしません。  われわれが経験するところによりましても、何年来繰り返しまして本院におきまして同じような趣旨の議決がされてきたのであります。しかしながら一向改まることないということは、まことに遺憾のきわみであります。これは自他ともに大きな反省、自粛をせなければならぬ重大な事柄であろうと考えます。われわれ議員にいたしましても、いたずらに声を大にして行政府を責めるというのでなくして、みずから足元にほんとうに反省をいたしまして、ともにともに国民の負託にこたえるという態度をもって進んでいかねばならぬと思います。  かくいたしまして、若干の例を議決案件の中で指摘されております。またこれを数うれば切りがありません。しかし重要な骨が出ておるのでございまするので、私どもはみずからこの議決案件が議決されましたならば、どうか政府におきましてもほんとうに真剣に反省をしてもらいたい。かくしてほんとうにこれを次の予算の参考にして進めてもらいたい。しからざれば、これは政治に対する、行政に対する国民の不信を買う以外の何ものでもありません。国民の不信ということは、それは社会の混乱であります。それは国の前途を危うくします。それはいまの大学の紛争によりまして象徴されておりまするがごとくに、ともかく国民の政治の不信ということにつながっていく行動的なことがありましたならば、これは一体百の議論、千の説法、千の決議をいたしましても国民のためには何の益するところもございません、ということを考えますると、私は如上述べましたようなことは、ことごとくきわめて重要な根本的な課題に触れておるものと信ずるのでございます。  かくいたしまして、このような理由を付しまして、いま議決の案件が提案されましたが、これに賛成をし、重ね重ね政府当局におかれましては、その趣旨のあるところをほんとうに真剣に、来年度の予算編成に御参考にせられたことを、高らかにこの委員会に報告するようになっていただきたい。これがみずから国会の院議を尊重するゆえんでもあるし、お互いに尊重されまするならば、こちらもまたそれに対しましてほんとうにみずからの義務、責任を全うするという姿勢になってくる。これが国会のあるべき姿であろうと思いますので、このような理由を付しまして賛成の意見を表した次第であります。(拍手)
  469. 中川俊思

    中川委員長 浅井美幸君。
  470. 浅井美幸

    ○浅井委員 私は公明党を代表いたしまして、昭和四十一年度一般会計歳入歳出決算外三件に対し不承認の意を表明するものでございます。  この際、特に申し述べたいことは、ただいま朗読されました議決案についてであります。すなわちこの議決案の「決算のうち、前記以外の事項については異議がない。」という点についてでございますが、これだけでは予算執行責任者である内閣の責任を究明することもできないし、出納責任者の責任をも明確にすることはできないということであります。  たとえば四十一年度決算そのものを見ますと、会計検査院指摘したもの及び幾つかの警告事例以外にも、日通事件、LPガス問題など、当然四十一年度決算で指摘を受けるべき性格のものがございます。その他電電公社の未収金問題、すなわち昭和二十七年以来争われている地位協定の二条と七条の解釈の相違にからむ米軍基地の電話料金の未収金問題など、当然指摘されるべき事項であります。また、本来不当事項として批難されるべきことが、留意事項という穏やかなベールに包まれていることも納得できないのであります。  次に、本決算委員会における決算の取り扱いについては、決算重視の立場で一歩前進の姿勢は見られるのでありますが、決算の提出者である政府の側においては何らの前進も見られないのであります。  この四十一年度決算においても、政府は何のために決算を提出するのかについて必ずしも明確な意思表示及び案件の取り扱いをいたしていないのであります。したがって、ここに従来の慣例どおりおざなりの単なる報告扱いの提出方式をとっている昭和四十一年度決算について承認しがたいのであります。  わが党は、かねてより、憲法第九十条の規定に立脚して、決算を単なる報告として取り扱うがごとき態度に対して反対し、どこまでも決算は、国民の血税であるところの予算執行の厳正なるチェック機関として重要な議案であるとの立場から、議決制度をとるべきことを強く主張しております。  各所管大臣及び会計検査院政府関係機関等の格段の配慮を強く要望いたしまして、、不承認の討論といたします。(拍手)
  471. 中川俊思

    中川委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  昭和四十一年度一般会計歳入歳出決算昭和四十一年度特別会計歳入歳出決算昭和四十一年度国税収納金整理資金受払計算書昭和四十一年度政府関係機関決算書を議決案のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  472. 中川俊思

    中川委員長 起立多数。よって、議決案のとおり決しました。  次に、昭和四十一年度国有財産増減及び現在額総計算書及び昭和四十一年度国有財産無償貸付状況計算書両件を一括して討論に入るのが順序でありますが、討論の通告もございませんので、直ちに採決に入ります。  両件はいずれも是認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成立起立〕
  473. 中川俊思

    中川委員長 起立多数。よって、両件は是認すべきものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました各件の委員報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  474. 中川俊思

    中川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたします。     ―――――――――――――   〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  475. 中川俊思

    中川委員長 この際順次国務大臣の発言を求めます。福田大蔵大臣
  476. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 ただいま御決議の点は十分尊重いたしまして、その趣旨に沿うよう、各省各庁と連絡いたし、遺憾なきを期してまいりたいと存じます。(拍手)
  477. 中川俊思

    中川委員長 愛知外務大臣
  478. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 ただいま御決議の東南アジア地域を中心とする発展途上国に対するわが国の経済協力につきましては、十分御趣旨を尊重いたしまして、より効果的な援助をすべく努力いたす所存でございます。(拍手)
  479. 中川俊思

    中川委員長 坂田文部大臣
  480. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 ただいま御指摘いただきました文部省所管の事項につきましては、御決議の趣旨に沿うよう一そうの努力をいたす所存でございます。(拍手)
  481. 中川俊思

    中川委員長 斎藤厚生大臣
  482. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 ただいま御議決にありました厚生省関係補助金等の額の確定の遅延に関しましては、十分警告の趣旨を尊重いたしまして、今後一そう事務の促進をはかってまいりたいと存じます。(拍手)
  483. 中川俊思

    中川委員長 長谷川農林大臣
  484. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 ただいま決議により御指摘にありました事項、当委員会の御趣旨を体しまして、十分善処いたす所存でございます。(拍手)
  485. 中川俊思

  486. 大平正芳

    ○大平国務大臣 ただいま御決議をいただきましたことにつきましては、十分注意いたしまして、綱紀を厳正に保持しながら行政に当たりたいと思います。(拍手)
  487. 中川俊思

    中川委員長 原田運輸大臣
  488. 原田憲

    ○原田国務大臣 昭和四十一年度の決算についてのただいまの議決におきまして、御指摘を受けた点がありましたことは、まことに遺憾でございます。今後一そう指導監督の徹底をはかり、かかる事例の絶滅に努力いたす所存であります。  特に指摘のあった国鉄の事例につきましてはさっそく是正させましたが、今後とも契約締結の適正化と効率化をはかるよう、適切な指導を行なう所存でございます。(拍手)
  489. 中川俊思

    中川委員長 河本郵政大臣
  490. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 ただいま御指摘の点につきましては、今後十分留意したいと思います。(拍手)
  491. 中川俊思

    中川委員長 坪川建設大臣
  492. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 ただいま御指摘になりました御決議の諸点につきましては、建設省といたしましてもさらに厳正に指導強化監督いたしまして、御期待に沿うよう、万全の措置を講ずる考えでございます。(拍手)
  493. 中川俊思

    中川委員長 野田自治大臣
  494. 野田武夫

    ○野田国務大臣 ただいま御指摘になりました自治省関係で、特に地方公営企業の経理につきましては、最善を尽くましてその経営内容を充実して、できるだけその運営を円滑にいたしまして、地域住民の福祉のために努力する考えでございます。(拍手)
  495. 中川俊思

    中川委員長 荒木行政管理庁長官
  496. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 ただいま御決議いただきました御指摘のあった点のうち、行政管理庁所管にかかる事項につきまして、簡単に所見を申し上げさせていただきます。  まず公社公団等特殊法人についてでありますが、政府としましては従来とも特殊法人の新設は厳に抑制することといたしますとともに、既存のものにつきましても昭和四十三年度において愛知用水公団を廃止するなど、極力整理簡素化をはかってきたのでありまして、今後とも御指摘の趣旨に沿って努力いたしたいと考えます。  また役員の定数等についても御指摘の趣旨を尊重しつつ、慎重に検討いたしたい所存でございます。  次に不当事項の防止及び是正に関してでありますが、行政管理庁としましては、行政監察の実施にあたっては、監察本来の任務に照らし、不当事項発生の原因となる運営上または制度上の欠陥を除去して、予防的段階においてこれを防止することに特に留意しておりますが、なお当庁の勧告につきましては、その実現を期するために、勧告いたしました後も引き続きその推進をはかり、監察の効果の確保につとめたいと存じます。(拍手)
  497. 中川俊思

  498. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 ただいま御決議になりました議決の内容を尊重いたしまして、今後とも善処したいと度っております。(拍手)
  499. 中川俊思

    中川委員長 以上で、国務大臣の発言は終わりました。  次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後七時四十九分散会