運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1969-07-10 第61回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年七月十日(木曜日)     午前十時五十五分開議  出席委員    委員長 石田幸四郎君   理事 木野 晴夫君 理事 小宮山重四郎君    理事 佐々木義武君 理事 齋藤 憲三君    理事 石川 次夫君       天野 光晴君    大石 八治君       海部 俊樹君    世耕 政隆君       田川 誠一君    渡辺美智雄君       近江巳記夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      木内 四郎君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     馬場 一也君         科学技術庁研究         調整局長    石川 晃夫君         外務政務次官  田中 六助君         水産庁次長   藤村 弘毅君         工業技術院長  朝永 良夫君  委員外出席者         海洋科学技術審         議会会長    速水頌一郎君         外務省条約局外         務参事官    高島 益郎君         大蔵省主計局主         計官      亘理  彰君         文部省大学学術         局学術課長   笠木 三郎君         水産庁調査研究         部長      松下 友成君         通商産業大臣官         房審議官    成田 寿治君         海上保安庁水路         部長      川上喜代四君     ————————————— 本日の会議に付した案件  科学技術振興対策に関する件(海洋開発に関す  る問題)      ————◇—————
  2. 石田幸四郎

    ○石田委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  最初に、去る四日、海洋科学技術審議会は、昨年十月、内閣総理大臣から諮問された海洋開発のための科学技術に関する開発計画について、七カ月間にわたる審議の結果をまとめ、答申されたのでございます。その審議経過及び答申概要について、速水海洋科学技術審議会会長より説明を聴取することといたします。速水海洋科学技術審議会会長。   〔委員長退席石川委員長代理着席
  3. 速水頌一郎

    速水説明員 ただいまお話のございました「海洋開発のための科学技術に関する開発計画について」という答申を、去る七月四日、海洋科学技術審議会内閣総理大臣に提出いたしました。これにつきまして、その概要と、答申に至る経過を御説明いたします。  昨年十月二十一日付をもちまして、総理大臣から、海洋開発についての科学技術に関する開発計画について諮問を受けたのでございますが、この諮問趣旨は、わが国の内外の情勢にかんがみまして、海洋資源開発をはじめとする海洋開発を国の施策として強力に推進する必要がある、このためには開発基礎となるべき科学技術開発を欠くことができないので、今後この開発にあたっての重点目標を定め、その目標効果的に推進するための開発計画を早急に策定することが必要であるという理由によりまして、諮問があったわけでございます。  これに対しまして、海洋科学技術審議会では八カ月有余にわたりまして慎重審議をいたしました結果、この答申をいたしたのでございます。  この答申は全部で六四ページからなっておりまして、序章、第一部、第二部となっておりますが、第一部では、この答申をいたしますについての背景と、この答申のおもなる開発計画についての概要を述べまして、第二部におきまして、その計画をやや具体的に述べてございます。  海洋開発を行なうために必要な科学技術分野は非常に広いのでございますが、この諮問趣旨に沿いまして、今後十年ぐらいを展望した上に立ちまして、五カ年ぐらいの間に達成すべき重点課題五つ選定したのでございます。その五つは、  第一には、わが国周辺大陸だな海底総合的基礎調査。  その二は、海洋環境調査研究及び海洋情報管理。  その三は、海中栽培実験漁場による栽培漁業技術開発。  その四は、大深度遠隔操縦による海底さく装置等に関する技術開発。  第五は、海洋開発に必要な先行的、共通的技術研究開発。というものでございます。  この五つプロジェクトとして、計画的に、また総合的、組織的に推進する必要があるということを述べております。このプロジェクトを推進いたしますために、また、その上に立って今後海洋開発を進めていくためには、多くの分野科学者技術者を確保する必要があります。そのために諸種の措置を講ずる必要がある。特に、潜水技術者というものは、今日わが国においてそれを養成する設備はほとんどございません。そのために、そういう人材がきわめて不足いたしておりますので、こういう技術者を養成することが急務であるということを述べておりますし、また、この広い海洋調査研究するためには、わが国一国ではできないものが多いのでございまして、それらは世界いずれの国においても同様でございますので、国際協力によって海洋調査研究をするという動きがきわめて活発でございますが、そういう国際協力については、わが国開発研究との関連を考慮いたしまして、積極的にこれに協力する必要があるということを述べております。  この五つプロジェクト内容につきまして簡単に御説明いたしますと、まず、「海中栽培実験漁場による栽培漁業技術開発」でございますが、わが国は、戦後水産業が非常に衰微した時代がございますが、それを乗り越えて今日の状態にまでまいりました。その努力の一つといたしまして、水産生物増殖養殖という方面に非常に力を入れまして、これを発展させてきたということがございますが、その技術は今日世界でも最も進んだものの一つでございます。でありますが、これはまだ規模も非常に小そうございまして、栽培漁業を実施するというところまではまだいっておらないのでございます。いままでわが国独自に発展させてまいりましたこの増殖養殖といった技術を系統的にその研究を進めまして、さらにこの増殖養殖を実施するためには、海況各種変動、すなわち、こういう栽培漁業をいたします場合にいろいろ自然の変動がございまして、あるいは冷水塊の出現であるとか、あるいは急激な潮流の変化であるとか、そういった不測のことのために多くの災害を受けますので、そういった海況の特異な変動についてこれをよく解明するとともに、海中におけるわれわれが育てようとするそういう生物の生活のしかたというものをよく把握し、さらに、それらに最も適した自然条件を人工的につくり上げる。そのためには、各種海中における土木工学あるいはまた海洋工学、そういう最近において急速に進んできております科学技術分野を大いに取り入れまして、ここに生物を育てるための環境をつくり、またそれを保存する。そういうことを進めることによって、この栽培漁業を大規模に展開することができる。そのためには、そのような技術開発とともに一つ実験漁場を設定いたしまして、そこにおいていろいろ必要とするところの技術試験研究を行ないまして、これを実際大規模栽培漁業に展開するまでの中間試験研究的なことを行なうのがよろしい、こういう趣旨のことを述べておるのでございます。  また、海底鉱物資源につきましては、今日わが国として焦眉の急でありますのは、石油天然ガス開発でございます。このためには現在、浅いところ、五十メートルあるいは七十メートルといった程度水深のところにおける海底資源石油天然ガス開発機器類につきましては、すでに国産化もなされておる状態でございますけれども、それにはまだ改良を加えるべき点も多いのでございます。それらについての研究を進めるとともに、次第に大陸だなの深いところの開発に向かって現在石油天然ガス開発が進められておりますし、また、わが国周辺大陸だなにおきまして石油等が賦存しておると予想される場所はおおむね水深百メートル以上の場所でございますので、このような深いところの海底における掘さくをいたしますには、そのために特別の装置開発をする必要があるということから、水深二百メートルないし二百五十メートルを対象にいたしまして、そこの海底に掘さく装置を沈めまして遠隔操縦によって掘さくを行うことができるような、遠隔操縦方式による海底さく装置開発をすることが必要である。このような海底における掘さくをいたしますと同時に、油をとり、これを貯蔵し、これを輸送するということもすべて海中において行なわなければなりませんので、一つ石油開発システム化が必要でございます。このような技術わが国のものになりまするならば、これよりも浅いところはもとよりのこと、深いところの掘さくにも手をつけることが可能になってまいりますし、また、これらの技術はその他海洋開発の多くの分野に応用できるものでもございますので、焦点をこの海底さく装置に当てて、これの開発研究をするということでございます。  これらの水産資源鉱物資源開発する技術研究を進める場合におきましては、ただ、これが空気中と違いまして、われわれがまだ多く知らない海の中における作業でございますので、これを安全に、かつ有効に行なうためには、まず、それらに必要な海洋についての調査研究を行なうことが必要でございます。その一つといたしまして、大陸だな海底総合的基礎調査というプロジェクトを立てたのでございまして、これは主として海底の地形、また海底地下構造、こういうものをわが国周辺大陸だなについて概略早急に行ないまして、その上で鉱物資源が賦存しておると予想される場所につきまして、さらにこれを採取するに必要な程度の詳細な調査をそのような海域について行なう。そのためには、短い期間に広範な海域について調査をするわけでございますので、最近急速に進んでまいりました各種機器類、たとえば海上における重力の測定、地磁気の測定であるとか、あるいは海底地下構造を探査するための音波あるいは地震波による調査であるとか、こういった新しい機器類を縦横に使いまして、そして、これを迅速に処理する情報処理の技術を開く必要がある。  また、海洋環境につきましては、これは、たとえばわが国に来る台風とか暴風雨、そういうものを多く支配する太平洋西部海域の海の状態を組織的に継続的に調べますとともに、ブイ等による海上観測ステーション観測網を展開いたしまして、これから絶えず海の状況を把握するような情報管理システム拡充強化いたしますとともに、新しい情報技術開発する必要がある、そういうふうに考えたのでございます。  最後に、この海洋開発に必要な先行的、共通的技術といたしましては、水中における電子工学技術、たとえば遠隔操縦技術であるとか、こういった技術開発する必要がございますし、また、潜水技術、この中には海中医学も含まれているのでございますが、潜水技術を大いに進める必要がある。その他、水中において作業するための動力装置、エネルギーの供給装置、あるいはまた人間にかわって劣悪なる環境のもとにおいて遠隔操縦によって作動するところの一般のロボット技術開発、こういったものを進める必要がある。さらに、これらを研究開発するためには、実際の海の中で研究するということはいろいろ条件が複雑でございますので、たとえば高圧の水槽をつくって、そこで試験研究をするとか、あるいはシミュレーターをつくりまして、海底に似たような条件を陸上においてのシミュレーターで模擬して、そこで研究をするとか、そういった施設を設けましてこれを共同利用することが望ましい。また、このような研究をする実験海域を設定いたしまして、そこにいろいろな大型設備を備えまして、その実験海域においてこの研究開発を進めることが望ましい。このようなことをこの五つプロジェクトのおもなる内容と考えておるのでございます。  なお、そのほかに、海水淡水化技術でありますとか、あるいは未利用生物たん白資源利用高度化であるとか、あるいはまた、深海に広く分布しておると考えられておりますマンガン団塊のごときものを将来利用するための調査研究であるとか、あるいはまた、今日全く利用していないような水産物を利用することを考えるとか、その一部分はすでに着手されておるものもございますが、それらをさらに推し進める、また、今後着手すべきものについては、それらについても十分配慮することが必要であるということを述べておるのでございます。  私、実は詳しく申し上げたいと存ずるのでございますけれども、時間もございませんので、このあたりで御説明を終わらせていただきたいと思いますが、この審議会科学技術についての審議会でございまして、主として科学技術開発を必要とする科学技術につきまして考えたのでございますが、海洋開発を進めるためには、科学技術だけではできないようなものもございまして、たとえば沿岸海域高度利用のごときものは非常にその範囲が広うございまして、この審議会だけでこれを審議することができないものもございますが、審議会としてはこれに対しても十分関心を寄せまして、それらについての利用については別途これを検討して、適切な処置を早急に講じていただきたいということを希望いたしまして、そのことを述べております。  私、はなはだ話がへたでございますので要領を得なかったことかと思いますので、その点おわびいたしたいと思います。
  4. 石川次夫

    石川委員長代理 海洋開発に関する問題について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木野晴夫君。
  5. 木野晴夫

    木野委員 海洋科学技術審議会におかれましては、「海洋開発のための科学技術に関する開発計画について」という諮問に対しまして、七月四日答申を出されまして、ただいま御説明をお聞きした次第でございます。数回にわたりまして審議会を開かれていろいろ検討された結果でございますけれども、新聞紙上その他でも、第一次、第二次答申は非常に基本的なことであったが、第三次答申につきましては非常に具体的に、かつ計画的に答申をされて、いよいよこれから海洋科学技術発展期に入るのだ、新しい時期を画するのだ、一つ布石になるのだということでございまして、私たちも、まず会長に対しましてその点の功を多とするものでございます。  私は、海洋開発といいますものを見てまいりますと、宇宙開発原子力開発と並びまして、ほんとうにビッグサイエンスといいますか、これからの大きな分野であると思っておるのでございます。しかも、非常に効果のあがる有望な部面である。ことに、日本といたしまして、海に囲まれたわれわれといたしまして、どうしてもこの分野は積極的に開発していきたいと思っておる分野であるわけでございます。それとともに、また宇宙とか原子力と違いまして、この海洋開発につきましては、どこかのところでいままで何か手がけておった分野でもあるわけであります。既発分野であるわけでありまして、そういった調整につきましても今後いろいろ問題があるのじゃなかろうかと私も思っておるのでございます。ただいま速水会長から、科学技術開発計画についてということでいろいろ研究をし、答申をされた。実は海洋開発につきましては、技術以外にいろいろまた分野があって、研究すべきところがあるのだ、そういった点には、審議会の性格上触れなかった、たとえば沿岸海域の問題につきましても、そういった点で触れなかったということもございましたが、私はきょうはそういった点を離れまして、日本が、われわれがこれから大いに努力しなければいかぬ分野としての海洋開発、そういった点から申し上げまして、そうして、会長の御意見も聞きたい、また科学技術庁長官の御意見も聞きたい、こう思っておるのでございます。  全体を通じましてこれが一つ布石になるのだということで、ひとしくみな期待を寄せておるのでございますが、実は新聞にこういった記事がございました。海洋開発審議会において今回の答申がなされて非常にけっこうなことであるが、計画を進めるにあたって、総合官庁の選定が非常にむずかしい、そうして、現にこれまで科学技術庁がそれに当たるのだというふうな記事があったのに、いつの間にか消えておる。これがどこでやるかということは非常にむずかしくて、外国でも非常に問題になっておりますが、いつの間にか消えてしまっておるというふうなこと、そうして、ここでもやはりなわ張りが頭をもたげてきておるというふうな記事が出ておるのを見たのでございます。先ほど会長が、審議会科学技術にとどまって答申をした、いろいろ問題はあるということを言われましたし、また、私もこの問題につきましては、別にどこでやるのだというふうななわ張りを議論するつもりはないのでございますが、実は効果をあげるためには非常に大事なことでありまして、国家的な意欲をもって、そうして大きなプロジェクトで、新しい目でもっていかなければならぬ分野だ、こう思いますので、それでこの問題をまずお聞きしたいと思うのでございます。  審議会段階において、科学技術庁ということばがいつの間にかぼやけてしまったというのでございますが、草案の段階において、科学技術庁がこういったことをやるのだということが出た時期があるのでございますか。
  6. 速水頌一郎

    速水説明員 お答えいたします。  科学技術庁はこのような総合調整をするために設置されたものでございまするから、特に科学技術庁という——この答申はすべてどこそこが、どこそこがという断定的なことばをなるだけ使わないようにいたしておるのでありまして、このプロジェクトはどこの官庁が担当すべきであるというようなことは一切書いてございませんが、その線に沿いまして統一をとるために、このプロジェクトを推進するためには政府の内部におかれて総合調整の機能を大いに強化する必要があるということを申し、また、これに関連しておる多くの省庁における研究調査部門拡充強化をはかるべきであるということを書いておりますので、政府のほうではこの審議会の考え方を尊重してくださるならば、おのずとそういう各省庁間の問題はうまく処理していただけるであろうということを期待いたしておりますので、特にこの審議会答申においては、そのような担当官庁の名前は一切書かないということで統一をいたしたのでございます。
  7. 木野晴夫

    木野委員 答申の「国として推進すべき重要施策」という項目のうちに、総合的、組織的な推進体制を強化しろという項目がございまして、その中には、役所のみならず、学者並びに民間、そういったものをあげて協調するようにということもありますし、ただいままた、ことさら役所をあげなかったが、そのことは科学技術庁総合調整に当たるのが当然であるということから特に書かなかったのだということで、新聞記事では逆に、当初は科学技術庁がやるのだ、それを各省が寄ってたかってなわ張り根性を出して消してしまったのだというふうな印象でとられるのでございますが、ただいま会長お話でございましたら、科学技術庁は当然役所の性質上権限としてあるのだ、ことさらそういったものを明示しなかったのだということでございますが、その点、審議会には各省から幹事が出ておりますが、意見は全部統一したのでございますか。
  8. 速水頌一郎

    速水説明員 お答えいたします。  関係各省から委員がお出になっておられるのでございますが、この答申は全委員が一致して承認をされましたものでございますので、そういう意味におきまして、私は、各プロジェクト等につきまして、どの官庁が主としてこれを処理していくか、あるいは総合調整はどこがやるか、それらについては十分な了解ができておるものである、そのように理解いたしておるのでございます。
  9. 木野晴夫

    木野委員 新聞で見ますと、海洋開発について、あるいは通産省海底油田中心海洋開発室をつくる、ないしは海水淡水化という問題でございますが、表題といたしましては、海洋開発通産省工業技術院が取り組むのだというようなことで表題が出るということで、一見してみますと、それぞれやっておった官庁が、この海洋開発に取り組むのだというふうな印象を受けるのでございます。そしてまた逆にこの答申を見てまいりますと、沿岸は除くのだというふうなことになってまいりますと、科学技術庁におきまして取り組んでおられる問題は、海洋開発のうちの深海部分をやるのだというふうな印象を受けるのでございますが、私は、日本の国のような状態におきまして、先ほど申しましたビッグサイエンスとしての海洋開発、これを取り上げる官庁が必要である、取り上げる人が必要である、このように思うのでございますが、その点、いかがでございますか。
  10. 速水頌一郎

    速水説明員 お答えいたします。  私は、いまの御質問に全く同意見でございます。ただ、沿岸海域利用ということにつきましては、これはもちろん、この審議会における答申深海だけを目的としたものではないということは、先ほど御説明いたしましたように、主として大陸だなの開発ということを中心にいたしておりますので、沿岸から大陸だなの端に至るまですべて対象にいたしておるのであります。そのために、観測網を強化するということによりまして、沿岸における各種海洋状況が、すべて沖のほうから沿岸に伝わってくるものでございますから、沖のほうの情勢がはっきりいたしまするならば、沿岸における今後のいろいろな問題を処理する場合におきまして、そのような基本的な観測資料が得られることによって、沿岸開発は大いに進み得るものであると思います、なお、この沿岸利用開発するためには、各種の問題がそこに横たわっておるのでありますが、それらについての技術的問題を論ずるためには、沿岸高度利用という立場、この審議会立場では論ぜられないで、このようなものの立場で議論されまして、そうしてあの答申がきまることによって、さらにまた、その答申に基づいて、科学技術開発を進めるための方策を論ずるということのほうが——科学技術といたしましては、はっきりした開発目標が設定されない限りは、なかなかこれを処理することが困難なものでございますから、ここでは基本的な観測研究を述べまして、沿岸海域については、より広範な利用開発のための措置を検討していただきたいという希望を申し述べたのでございます。そのようなことができますることを審議会は希望いたしましたので、特にそのことを序章において書いたのでございます。
  11. 石川次夫

    石川委員長代理 答弁者側に申し上げますけれども、時間の関係がございますので、たいへんごていねいな御答弁でありがたいのでございますが、なるべく簡単に御答弁を願いたいと思います。
  12. 木野晴夫

    木野委員 私は、科学技術庁付属機関である各審議会を見てみたのでございますが、原子力委員会宇宙開発委員会海洋科学技術審議会と三つございますが、原子力委員会につきましては、利用までやるのだ、こうなっているわけでございます。それから宇宙開発委員会につきましては、開発ということばは、単に技術研究する、つくるだけではなしに、開発というのは、ニュアンスとしては少しあるのだというふうな説明がございました。海洋科学技術審議会につきましては、海洋科学技術に関する重要事項について審議するのだ、これは技術だけをやるのだということになってしまっては、非常に分野が狭くなる。法律上はどうか知りませんが、われわれとしては、審議会というのは、もっと広範囲にわたってやっていただきたい。ほかの原子力とか宇宙でございましたら、特にこういったことを言わなくても、ほかに役所がございませんから、そういったことを強調する必要もないのでございますが、この海洋につきましては、農林省、運輸省、通産省が、もうそれぞれすでにやっておりますから、私は、この点はよほどしっかりしないと、非常に小さくさせられてしまうのではないかと思うのでございます。そういった意味で、私はさきに、科学技術庁総合調整をやるのだ、これは各省はっきりしているのだということを聞きまして、一応その点は了承したのでございますが、この審議会のあり方その他につきまして、科学技術庁長官にお伺いいたしますが、原子力利用についてはっきり書いてある、だからこうだ、宇宙については開発ということばで多少広みがあるのだ、海洋につきましては、技術についての重要事項、狭いじゃないかというような意見もあるようでございますが、科学技術庁長官といたしまして、この海洋といいますものにこれから取り組むにあたりまして、科学技術庁総合調整、そういったような機能、これをさらに強化する、さらにまた、こういった付属機関の整備なり強化なり、こういったものを考えておられるかどうか、お聞きしたいと思います。
  13. 木内四郎

    ○木内国務大臣 お答えいたしますが、御案内のとおり、海洋開発の問題は、非常に広範多岐にわたっております。しかも所管の行政庁にしますと、非常に各省に分かれている。しかも各省は、従来からの政策によりまして、おのおのその開発を進めているというのが現状であります。ところで、わが国におきましては、伝統的な技術によって、漁業の面においても相当進んでいるものもありますし、また造船とか海上運送その他についても、大いに進んでいる面があるのですが、最近の海洋開発というものは、特に先端的な技術の粋を集めたところの海洋工学を駆使いたしまして大規模にやるというのが現状でございます。これは科学技術の進歩に伴って当然にそういうことが出てきたのだと思いますが、その面においては、わが国は遺憾ながら、どうも他の欧米の国でやっているところと比べておくれているのが実情であります。そこで、わが国においても、そういう面にかんがみまして、海洋開発に関する科学技術に関する開発計画というものをこの際進めなければならぬじゃないか、こういうことでこの委員会が発足しまして、技術面のことを特に御研究願う、こういうことになった次第でございますが、しかしいま御心配いただいております総合調整の問題、これは今度の御報告にもありますように、今度の問題は非常に広範多岐にわたっておるのだが、海洋という一つ対象、それに基づくところのいろいろなことに対する開発計画であるとか、非常に密接な関係がある。そこで、いま五つプロジェクトをおあげになったが、それを進めるにあたっては計画的にやらなければならぬし、また総合的組織的な推進体制をやらなければならぬ。ことになかんずく政府部内におけるところの総合調整の機能というものを強化していかなければならぬじゃないか、いま御心配になっているように、ばらばらじゃいかぬじゃないか、こういうことです。また同時にわが国は、さっきから申しましたように、宇宙開発とか原子力と違って、広範多岐にわたって各省庁の行政の部門に関係しておるので、おのおの各省庁が施策を講じておるのですが、その各実施部門はこれを強化していかなければならぬ、強化充実をはかっていかなければならぬということを、この御報告にも御注意があるわけですが、また特にこの御注意がありませんでも、行政を担当しているわれわれとしては、いまの総合調整というのは従来からやってきておるのですが、ただ遺憾ながら十分でないという御意見があると思うのですが、私どもも今度こういう御答申を得た以上は、これの総合調整ということに特に力を入れてまいりたい。そこで、海洋開発室というものを設けてこの充実をはかり、そして総合調整の機能を充実していきたい、かように考えております。
  14. 木野晴夫

    木野委員 今回の答申が出たについては、大臣から、さらに総合調整の機能を十分に発揮してやっていくのだということを承りました。御承知のとおり、ほんとうにこの海洋開発というのは大事な仕事でありまして、しかもスピードを要する仕事であると思うのでございます。予算、人員その他の面につきましても、また機構の点につきましても、十分に準備していただいて、万遺漏なきを期していただきたい、このように思うのでございます。  この問題はいろいろございまして、たとえば領海を幾らにするか、三海里か、それとも六海里か、十二海里か、ないしはまたその下の大陸だなをどうするかというような問題もございます。また鉱業権の問題にいたしましてもどうするか。また鉱業権を認めた場合の汚染の問題をどうするか、公害問題をどうするかというふうに非常に大きな問題があります。また急を要する問題もあるわけでございます。こういった問題につきまして、ほんとうに官、民、学界をあげて、この問題に取り組んでいただきたい。きょうの質問は、たとえば会長にお伺いいたしましたが、これは会長の所管でない、だからはずしたというものがあったと思いますが、私が審議会会長にお願いいたしたいことは、権限外のことであるからというのじゃなくして、この際ひとつ海洋開発いかにあるべきかということで、積極的に答申していただきたい。審議会は常置の機関でございます。諮問のあった以外につきましても意見を出されるのでございますから、こうあるべきだと思われましたならば、これとは別にまた意見を出して、そしてこの大きな問題に取り組んでいただきたい、こう思うのでございますが、会長に……。
  15. 速水頌一郎

    速水説明員 御意見まことに私の望んでおりますところでございますので、今後御趣旨に沿いまして、適当な機会を得ましたならば、海洋開発につきましてさらに各種意見を、総理大臣に申し上げたい、提出いたしたい、そのように存じます。どうもありがとうございました。
  16. 木内四郎

    ○木内国務大臣 いま御質問の、この委員会からその所管の問題について建議をしたらいいだろうというお話、これはごもっともなお話で、委員会のほうから所管の問題について建議がありますれば、私どもも十分にこれを尊重していきたい、かように思っております。
  17. 石川次夫

    石川委員長代理 関連で、海部君。
  18. 海部俊樹

    ○海部委員 今回の答申をいろいろ拝見いたしましたし、さらに前回、科学技術審議会意見として昨年十一月五日に提出されております意見書もいろいろ読んで見ましたが、その中で一つだけ、私自身がどうしても気になります問題がありますので、諸外国との協調の中に述べてありますように、大陸だなにおける国家管轄権の問題について、主としてこれは外務省にお尋ねしたいと思います。  せっかくこういう答申が出て、いろいろな体制ができるわけでありますけれども、こういう体制ができたときに、大陸だな条約に対して日本が非加盟である、加わる意思がない、こういうように私ども聞いておりますけれども、事態がここまできたのでありますから、答申が出たという新しい事態を踏まえて、外務省は大陸だな条約に加盟の意思があるかないか、まずこの点からお尋ねしたいと思います。
  19. 高島益郎

    ○高島説明員 お答え申します。  きわめて基本的な問題でございますけれども、国際法の中には大きく分けまして二つございまして、一つは条約でございます。もう一つは慣習法であります。条約のほうにつきまして言いますと、条約に入らない限りは、国家としての権利義務の関係は発生しないということは明らかであります。しかし他方慣習法につきましては、これは国家である以上、当然に拘束される権利義務関係がここに発生するという性質のものでございます。たとえて申しますと、領海域につきましては何ら条約がございません。ございませんにもかかわらず、われわれは三海里という幅に拘束されておるわけであります。これは慣習法として、そういうふうにすべての国家が、国家である以上当然の権利義務関係がそこに発生する性質のものであります。大きく分けまして、そういう二つの分類になります。  ところで大陸だなに関しまして申し上げますと、この慣習法の部分と、それから慣習法でない新しい条約である部分と、二つを統合したのがこの大陸だな条約でございます。現実に水深二百メートルまでの天然資源に関する国家の主権という点につきましては、特に鉱物資源につきましては、いまや慣習法として確立しております。その点がヘーグの国際司法裁判所によってもはっきり立証されております。ことしの二月に、ドイツ、オランダ、ベルギーとの間に、過去二年にわたりまして天然ガス資源に関します紛争がございまして、その判決が下されました。ドイツは現実に大陸だな条約に入っておりません。しかしベルギー、オランダは加盟国でございます。この加盟国と非加盟国との間に紛争がございまして、国際司法裁判所は、もっぱら慣習法に基づいて判決を下しました。その結果、ドイツの勝訴を認めて、ドイツの立場を支持したという例がございます。これが一つのわれわれの立場基礎づけるものでございますけれども、そのように、いまや国である以上、大陸だなにおきます鉱物資源についての沿岸国の主権は確立しているというふうに、われわれは確信していいのではないかというふうに考えております。したがって日本といたしましては、たとえば日本沿岸にあります大陸だなにおきまして、その鉱物資源開発するという権利は、日本の国家としての主権、権利である。このことは鉱業法によっても十分行使し得るというものでございまして、いかなる国もこれに対してチャレンジし得ないというふうにわれわれは考えております。  そういう観点から申しまして、大陸だな条約に必ずしも入らなくても、日本として大陸だなに関する主権的権利の行使を何ら制限されないという点が第一点でございます。  第二点は、現在われわれはソ連との間にカニの漁業につきまして紛争がございます。これはソ連の大陸だなにおきまする大陸だな資源として、ソ連は大陸だな条約を根拠といたしまして、その立場を主張しております。われわれもそのような天然資源、鉱物資源以外の自然資源につきましては、沿岸国にそういうものを専属的に開発する権利はないという立場から、ソ連との間に漁業交渉を行ないまして、現実にわれわれのカニ漁業に関する権利を確保しているわけでございます。したがいまして、もしかりにこの条約に入りましてそういう条約の規定による拘束を受けますると、ソ連の立場を支持する結果になりまして、われわれといたしましては、カニ漁業について、もはやソ連の沿岸に出て行けないという立場に追い込まれることは明白でございます。そういう観点から、二つの立場から、われわれとしましては、条約に入る不利が一方にあり、かつまた他方で、入らなくても主権的権利は行使し得るという二点から、いますぐに入らなくてもいいのではないかという立場でございます。
  20. 海部俊樹

    ○海部委員 いろいろ反論したいことはあるのですが、国際条約と慣習法と二つある、それはわかるのです。領海は、条約がないけれども三海里に拘束されておる、それもわかるのです。ところが、それじゃ一体、ソ連の領海十二海里以内に入ったときに、三海里外で漁船が拿捕されておるとき、外務省はどういう態度をとるのですか。十二海里の宣言をすれば十二海里の権利を主張するでしょう。この間の第一神栄丸の事件のときでも、三海里以内で行なったのか三海里以外で行なったのか、微妙な論争がありましたけれども、それならば、日本の漁船がソ連の三海里以外のところで拿捕されるということは一体どういうことになりますか。この問題は議論をよそにいたします。あるいは北海ガスの問題をいま言われましたけれども、ドイツは非加盟国だから、それが不利益な扱いを受けなかった、こう言われますが、あれは北海を結んでイギリスと対立する七つの国が、ガス採掘の範囲を線でしぼったときにきわめて不当な扱いを受けたので、少し広くするための権利を認めたというだけのことだと思うのです。だから私は、そういうふうに、これらの、国際慣習法になっておるのだから入らなくてもいいというような消極的な態度を捨てて、積極的に入ってなぜ国家主権の主張をされぬかということに、非常に大きな疑問を持っておるわけであります。第二点として言われたカニの問題でも、向こうは定着資源であるという説を主張して、ソ連だってあるいはカナダだって、年々タラバガニ交渉のときにはこれを主張して、現に日本の漁というものは制限されておるじゃありませんか。だから私が言うのは、これに入っていって加盟国になって、堂々と権利の主張をしたらどうかということであります。  その第一点は、この条約の第二条第四項にいう定着性の種族というものにタラバガニが入るか入らないかということは、この条約の起草委員会のときにおいても論議になっておることが明らかでありますし、この間起草委員として日本から参加しておった小田教授を呼んで意見を聞いてみましたが、やはりそのとおりだと言われる。今年六月十日からこの条約の改正のためのいろいろな発言のできる権利が発生するのでありますから、中へ入っていって、タラバガニは二条四項にいう定着物ではないということを主張するのも一つの方法だろうと思いますが、その辺のことはいかがでしょうか。
  21. 高島益郎

    ○高島説明員 条約の制定当初、一九五八年でございますけれども、当初の会議の議事録をいろいろ研究しましたところでは、確かに先生のおっしゃるとおり、カニ漁業などは当然入らない、責とか海草とか、そういった定着した生物に限るという解釈でございました。しかしその後米ソのこの条約に関する解釈がだいぶ変わりまして、カニは当然これに入るという主張を非常に執拗に行ないまして、われわれ実はその主張に非常に困っておるわけです。そういう観点から、いま先生おっしゃいましたように、この条約に入って、その中で、米ソの主張はけしからぬということを言ったらどうかという説も、ある意味ではごもっともと思います。しかし、もしかりに入りますると、やはりソ連あるいはアメリカという非常に大きな漁業国が、この条約を根拠にしてその立場をますます強く押し出してくる。しかも、日本がこの条約に入ったではないかというようなことになりますと、非常に立場が弱くなりますので、われわれ反対する一つ立場としては、むしろ入らないほうが、米ソと対抗する意味で非常に好都合ではないかというふうに考えておるわけであります。
  22. 海部俊樹

    ○海部委員 きょうは別にカニの論争をしようと思いませんので、その問題は横におきますが、結局人類の手の届く占有範囲を、比較的傾斜度の浅い二百メートルまでの水深のところを一応の基準にしよう、こういうようなのが大陸だな条約であります。三十九カ国が加盟しておって、しかもそこの中の鉱物資源には、その国が開発したり、これを調査、探索する主権を有するということが明白に書いてあるわけです。そうなりますと、日本の近海は特に大陸だなの範囲が多くて、私の記憶に誤りがなければ、陸地面積の七〇%近くが日本の近海の大陸だなだ、そういうことになってまいります。それからこの答申を読んでおりましても、その辺のところにきわめて有望なものが埋蔵されておることがわかっておるし、現に私は、フランスやアメリカのいろんな海洋研究所へ行くと、日本の近海の海底の地図だとか資源の分布状態、みんな外国では持っておるわけですよ。たとえばスクリップス研究所には、日本の相模湾の数百メートル沖でとってきたというマンガン鉱がある。それからイギリスの何とかという国立海洋研究所、そこへ行くと、日本の近海の潮の流れ、海の深さ、どの辺から大陸だな斜面になるというふうなことまでみんな向こうは持っておられるのです。そういう世界の国々が日本の近海のことを調べ上げて知っておる。にもかかわらず、日本の現状は、この答申を見てもわかるように、これから大陸だなを探索、調査するというのが第一だと書いてありますので、相当におくれておるということは率直に認めなければなりません。そこで、それなればなおさらこの条約に加盟して、それに対する主権というものを明確にしておくことが、この答申に従って海洋開発を進めていく大前提になるのではないかという気持ちがどうしてもいたします。これはむしろ答申を出された会長さんの意見をお伺いしたいのでありますけれども、答申の二二ページに、「諸外国との協調」の中で、「大陸棚における国家管轄権問題、海底平和利用の問題等各種の国際問題が生じており、これに対してわが国としては、海洋開発のための円滑な活動とその成果が確保されるような国際環境の確立に努める必要がある。」こう書いてあるわけでありますが、具体的にその大陸だな条約というものを、これは慣習法だから加盟しなくても当然権利だけは主張できるのだという消極的な態度でおることは、私はマイナスになると思っておるのでありますが、御議論の最中に、大陸だな条約に関してはどのような意見が出たか、簡単でけっこうでありますから、お知らせいただきたいと思います。
  23. 速水頌一郎

    速水説明員 お答えいたします。  たいへんむずかしい御質問でございますので、いろいろ立場によりまして、また審議会の多くの委員は、その国際的な問題についてもいろいろヒヤリング等いたしました結果、そのような大陸だなに加盟するほうがいいか悪いかといった論議は、もう少し開発を進める段階において考慮するほうが望ましい、したがってここに答申にありますような表現のもとに、これから国際協力を進めていきたいということに意見が一致したのでございます。
  24. 海部俊樹

    ○海部委員 これは最後に要望しておきますけれども、ソ連のように、大陸だな条約も領海の規定も全部抜きにして、その国が海で見つけた資源は、大陸だなであろうと、領海であろうといかんを問わず、すべて見つけた国のものになるのだというようなたいへんな宣言までしておりまするし、それから、これが慣習法で、当然日本にも、加盟しなくても権利がくるのだとこちらが思って主張しても、やはりこれは条約だから非加盟国は黙っておれというふうなことになった場合に、日本の国益を擁護する上からいって、私は非常に残念な気がするのであります。いまこの場で答弁はむずかしいでしょう。先ほど政務次官にもここへ来てもらっておったのですが、公務の関係で退席しましたけれども、外務省とされても、この答申が出たということは、一つの新しい局面でありますから、これを進めていくためには、やはり国家の主権というものを国際的な条約に加盟して確保しておくということは大前提だという気持ちがいたしますので、前向きに御検討いただきたいと思います。いずれその次の機会にでも、もっと詳しい質疑をしたいと思います。
  25. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 関連で、簡単に御質問を申し上げたいと思います。  海洋開発の重要性は申すまでもありませんが、いま海洋開発は国策の上においても非常に大切になってきたのでありますけれども、いずれこの審議会答申書等を拝読いたしまして、あらためて全般にわたって御質問申し上げたいと思います。  きょうは時間の関係上、ただ二点についてお尋ねをしたいと思うのであります。  まず第一に御答弁を願いたいのは通産省。これは石油開発公団が新たに設けられました昭和四十二年、このときの予算は四十億、それから次年度の四十三年度においては六十億、四十四年度は九十五億、こういうふうに累増いたしております。   〔石川委員長代理退席、木野委員長代理着席〕 この中には、日本の近海における石油天然ガス開発というものも入っておって、そして掘さく船をもう一つつくるという構想で、この予算の折衝を、われわれは一生懸命政府当局にやったのでありますが、その後の進展状況、それを簡単にひとつ御説明願いたいと思います。
  26. 成田寿治

    ○成田説明員 御承知のように、非常に日本海の大陸だなの鉱業権の申請が多くなっておりますし、それから日本の企業による海外の石油海洋開発が非常に多くなっておりますので、現在石油開発公団がたった一そうしか持っておらない掘さく装置、これを白竜号といっておりますが、これでは非常に足りない。それから深さもわずか三十メーターしか掘れないというような制約もありますので、どうしても石油開発公団の探鉱機械貸し付け業務を円滑にやるためには、通産省としてはもう一そう建造したい、そういう方向で、現在大蔵省と協議を進めているところでございます。これは予算の九十五億がどうということよりも、石油開発公団の四十四年度の資金計画、事業計画は、これは大蔵と協議してきめることになっておりまして、現在その原案を協議中でありますので、その審議の過程で、通産省としてはこれを入れたいという方向で、大蔵省にお話を進めている状態でございます。
  27. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 第一白竜号は、あれは水深三十メーター以上の機能がない。エアガンその他の方法をもって近代的な物理探鉱をやった結果、秋田沖、新潟沖六十メーター、八十メーターないし百メーターの沖合いに、これは相当個所の有望な背斜構造というものがもう発見されている。これに向かって掘さくの手を伸ばそうと思って、水深八十メーター、百メーターの掘さく能力を持つ第二白竜号の建造というものが、これは大体三十億の見込み予算でもって計画をされておるわけですね。そう私は承知をしておるのです。  それで四十二年度予算ですが、六十億円の中から、この第二白竜号の建設のための調査費というものは一億計上されたはずなのです。その一億でもって一体どういう調査設計をやったのか。これはもう実現したのかどうかですね。調査設計ができたのかどうか。これをひとつ簡単に御答弁を願いたいと思います。
  28. 成田寿治

    ○成田説明員 石油開発公団では、去年、四十三年の八月から新海洋さく装置建造検討委員会という委員会を設けまして、どういう型式の掘さく装置をつくったらいいかとか、技術的あるいはその他いろいろな面からの検討を行なってまいっております。その結果、百メーター以上の水深で使えるような、最大水深二百メーターぐらいの第二の白竜号が必要である、公団の委員会としては、そういう結論になっております。
  29. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 その一億は使ったの、使わないの。
  30. 成田寿治

    ○成田説明員 その委員会の費用は一般管理費のほうから出しておりまして、一億というよりは、一般管理費の費用で調査を行なってきております。
  31. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 使わなかったのだね。
  32. 成田寿治

    ○成田説明員 さようでございます。
  33. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 大蔵省にお伺いしますが、われわれは、昭和四十三年度の予算の中からわずか一億の調査設計費というものを出してもらって、早急に第二白竜号、百メーター以上の水深において機能発揮のできる掘さく船をつくりたいという要望だったのです。これは何かこう、デスクワークでもってやったけれども、実際の設計というようなものはできていないとすると、大蔵省はその一億の支出を認められなかったということですか、どうなんですか。
  34. 亘理彰

    ○亘理説明員 昨年の予算のきまりましたときのいきさつを私よく承知しておりませんけれども、石油公団に対する出資は、御承知のように九十五億というふうにきまってまいりましたので、その中身の使用方法をどういうふうにするかということは、毎年の資金計画なり収支予算の認可の際に、通産省と御相談することになっております。昨年の事業計画で、その一億を第二白竜号の建造設計に使うというふうには、明記的には入っていないように承知しております。そういうことになりましたいきさつがどういうことでありましたか詳しくは存じませんけれども、私どもが反対してそうなったということよりは、いろいろ技術的その他の準備、調査がそこまで至らなかったということではないかと思っております。
  35. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 関連質問ですから、なるべく簡単にいたしますが、われわれ予算折衝をいたしますときには、これは第二白竜号の建造ということを念頭に置いて、そういう意図をもって予算の審議をやり、予算を決定しているのですよ。それは私は国策だと思うのです。その国策がどこかでもって歪曲されて、チェックされてしまうということになったら、これは私重大問題だと思うのです。われわれは当然四十三年度の予算の中には、もっと多額の第二白竜号建造の予算が含まれているのだということを考えておったのに、一億も使われていない。そして話を聞くと、第二白竜号というものはできるのかできないのかいまだにわからない。それでは国策の海洋開発の実態というのはどこかでゆがめられているということになると私は思うのですがね。  これはちょっと通産省にお伺いしますが、それでは、昭和四十四年度の予算の九十五億の中では、この第二白竜号に関する予算というのはどうなっているのですか。
  36. 成田寿治

    ○成田説明員 この九十五億の内訳は、さっき言いましたように、四十四年度の事業計画なり資金計画で確定するのでありまして、これはいま原案について大蔵と協議中でありますので、確定しておりませんが、われわれのほうの考えでは、第二白竜号をつくるとしますと、大体建造支払いベースで三年ぐらいかかりますので、初年度の四十四年度では、設計費と一回目の契約時の支払い、そういう金が必要になります。したがって、その金額は、われわれの計算では大体六億ぐらい必要なのじゃないかと思っておりますが、そういう形でいま資金計画を検討しているのでございます。
  37. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 そうすると、六億要るということになると、一億使わないで、これは繰り越しになっているでしょうから、九十五億の中から五億出してもらうという計算ですね。
  38. 成田寿治

    ○成田説明員 そういうことになると思います。
  39. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 そうすると、三十億要るとすれば、いまのお話のように、昭和四十四年度からは六億出してもらう。そうすると、あとの二十四億というものを二カ年に割ると、四十五年度に十二億、四十六年度に十二億、それで三十億、三年かかる。いまから三年かかったら、それはまた、いわゆる日本の手で行なうこういう石油天然ガス開発というものは非常におくれる。それはみんなアメリカからチャーターしてきた掘さく船でもってやらなければならないということになるのだろうと思うのですけれども、そうすると、四十四年度の予算というのは、六億という金に対して、ではいま大蔵省と折衝中なのですか。
  40. 成田寿治

    ○成田説明員 四十四年度の開発公団の資金計画の原案について、大蔵省と折衝中でございます。
  41. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 大蔵省に伺いますが、九十五億の予算というものは、石油開発公団の予算としてついているわけですね。この石油開発公団は、専門的な見地から、日本の近海並びに外地の石油天然ガス開発というのはいかにあるべきかというのを考えるわけなのですね。長年にわたって、第二白竜号の建造というものを必要不可欠な問題だとして、業界からも要望している。それに対して、大蔵省は一体どういう態度をとっているのですか。大蔵省の見解でもって、これをやめたりゆがめたりしようということを考えているのですか、それはどうなのですか。
  42. 亘理彰

    ○亘理説明員 ただいま通産省のほうからお答えがありましたように、石油公団の四十四年度の事業計画、資金計画、これは法律上主管大臣の認可事項になっているわけであります。そして、この際、大蔵大臣に御協議があるということでございます。その石油公団の事業計画、資金計画は、第二白竜だけの問題ではございませんで、非常に多岐な問題を含んでいるわけでございまして、私ども先般通産省から原案の御提示を受けているわけでございますが、第二白竜の建造の問題を含めまして、いろいろ資料などをいただきまして、検討している最中でございます。御承知のように、海洋開発の重要性は申すまでもございませんが、第二白竜号の建造にはいまのお話のように約三十億円かかる。これはことしの六億だけで済むことではありませんで、後年度の財政負担に響いてまいるわけであります非常に大きな事業でございますから、その辺、後年度の問題を含めまして、あわせて検討を私どもとしてはせざるを得ないわけでございます。  それからまた、船ができ上がりましたときに、それがどういうふうに稼働するであろうか、それは具体的には公団の収支採算なりあるいはそれをお使いになる方の計算にも響いてくるわけであります。その辺のところを十分検討させていただいて、できるだけ早急に通産省のほうに御返事申し上げたいと思っております。私どもいまの段階で、これに賛成であるとか反対であるとかという結論を出しておりません。いろいろ資料をいただいて検討している段階でございます。
  43. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 海洋開発というものがもう重大な国策として日本の課題である限りにおいて、これはやはり実現するということにならなければならぬわけですね。その第二白竜号が必要であるとか必要でないとかということは、これは論議の対象にならぬと思うのです。もうこれは必要なことはさまっているのですからね。ところがいまのお話だと、これができたときにどうして使うか、その貸し賃は一体どうだろうとか、そういう枝葉末節までいって、そのために海洋開発の重要性というものがそこでチェックされるということになったら、これは私は国会として許すべからざることだと思うのです。国策がそこにおいてテンポをゆるめさせられているということなのですね。もし第二白竜号というものの賃貸しのレートが高くて使えないということになったら、それは利子補給をしてやるとか、いろいろな政策的なことをやらなければいかぬのじゃないか。しかし、絶対命題として、海洋開発というものが日本の国策の上にあがってきておって、しかも沿岸の一番大きな地下資源としての石油開発あるいは天然ガス開発というものをやらなければならぬという。それにはどうしてもいまの持てる力ではできないのだ、新しい力をここで生み出さなければいけないのだという結論が、八十メートル、百メートル以上の水深の掘さく能力を持つ第二白竜号であるとすれば、これは当然つくるということが、私はこれはいなめられない問題だ、こう思うのです。それを昭和四十五年度の予算構想を固めなければならないという七月の本日十日において、まだ六億の金を出すのか出さないのか論議がきまらないという、そんなばかなことはないと思うのだ。大蔵省に一体そんな権限があるのですか。
  44. 亘理彰

    ○亘理説明員 ただいま申し上げましたように、この問題は石油公団の事業計画、資金計画の一環でございます。これは、出資を受けまして、その公団の全体の資金計画をどういうふうに持っていくかということは、法律に基づいて、主管大臣の認可事項になっておるわけです。同時に、この際に、大蔵省のほうにも御協議を願うということでございます。私どもの立場といたしますと、これは大きな事業でございまして、単年度で終わる問題ではございません。後年度の財政負担にも響いてまいるわけでございます。そういう点からしまして、財政的な観点からいろいろ事務的な検討を加えるということは、私どもの職責として当然のことであると思います。事業の必要性そのものにつきましては、かねてからいろいろ御要望がございまして伺っておりますので、十分そういう御意見も念頭に置きまして、検討させていただきたいと思っております。できるだけ早急に通産省のほうに御返事ができるようにいたしたいと思います。
  45. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 それではひとつ大蔵省内において早急に、この海洋開発の第一線に立ってもう長年海洋開発をやっている問題としてお取り上げくださって、それを解決していただきたいと思うのです。これはここにおられる佐々木委員と私は、おととし宇宙開発の問題でアメリカ、それからフランス、ソ連を回りまして、宇宙開発よりもむしろ海洋開発の進展状況に一驚を喫したのであります。もう日本は手おくれなのですね。手おくれであるから、先ほど海部委員からもお話がございましたとおり、大陸だな条約に入るか入らぬかもまだ態度が決定しておらぬ。そんなことで日本のナショナルプロフィットというものをどうして守っていくかということになりますと、まことにりつ然たる感がするのであります。これは一に行政的な責任も重大だと私は思うのです。こちらから大いに国家的な見地に立って予算を要求するが、それはどういう金勘定か知らぬが、どんどんどんどん切って、ちっぽけな予算しかつけない。そのためにナショナルプロフィットというものがチェックされてブレーキがかけられている。まことにじだんだ踏んでも踏み切れないような状態日本にはあるわけですけれども、この長年にわたって問題になっておる第二白竜号は、大きな問題だ大きな問題だといったって三十億でしょう。年間に割れば十億ずつですよ。そういうものを、これは大きな問題だとして長い間右だ左だという論議を重ねて、ついにこれは一年も二年もこういうふうに現実におくれを来たしておるということは、やはり国家的な利益ということから考えれば、とうてい忍び得ざることだと私は思っているのです。どうかこの点、ここは大蔵省を代表して、もう一ぺんここで早急に解決をいたしますからということを言明してもらいたい。
  46. 亘理彰

    ○亘理説明員 お話のように多年の問題で、そういうことでいろいろ御要望も承っておるわけでございますが、正式に通産省のほうから、私ども事業計画の一環としてお話を承ったのは先月でございます。これは石油開発公団の事業は、いろいろ海外探鉱の投融資等がございまして、非常に複雑多岐な事業内容にわたっておりまして、これだけの問題ではございませんので、多少時間がかかっておりまして恐縮でございますが、私ども正式に話を承って検討を始めましたのは先月からでございますので、できるだけ早急に検討を終えるようにいたしたいと思います。
  47. 木野晴夫

    木野委員長代理 次に石川次夫君。
  48. 石川次夫

    石川委員 今回、長年にわたっての海洋開発のための科学技術に関する開発計画、これを拝見いたしました。たいへんな御苦労をなされたので、その労に心から感謝をいたしますけれども、非常に、先ほど来御意見が出ておりますように、政治の立場で見ると、もの足りない点が多々あるわけなんです。これは、先ほど来触れました、たとえば大陸だな条約の問題、この前提が解決しなければにっちもさっちもいかないのじゃないかという問題が一つあります。それから、この中には出ておりませんけれども、石油なんかは海底から開発いたしますと、三分の一しかとれないというようなことから当然わかりますように、公海の問題は、この大陸だなの関係でありますと、たいへんな問題になるのじゃないか、こういう問題にどう対処するのだということは、これは政治の問題として、科学技術関係じゃないということで除外しておるという問題もあるわけです。それから、海底利用ということになれば、あるいは海洋開発ということになれば、当然軍事利用という面が非常に大きな要素をなしてくるのではなかろうか。しかしながら、日本の場合においては、あくまでも平和の目的に限るという理念を一貫させなければならぬ、こういうようなことも全然この答申には触れられておらないというような点で、われわれの側からすると、いろいろと申し上げたいことが多々あるわけでございますけれども、その点は、今度の答申の所管外ということで触れられなかったと思うので、あえて私は触れようと思いませんけれども、しかし、こういう問題がぴしっと基本的にきまらないと、この海洋開発を進めるわけにはいかないのではないかという点で、あと一歩掘り下げた答申を、ひとつ今後御準備願いたいということを強くお願いしておきたいと思うのです。  そこで、大陸だなの問題は、先ほど海部さんのほうから質問がありましたから、私はそれにあえて触れませんけれども、一つだけ具体的にお話を伺いたいのでありますが、シェル石油と三菱グループが合併会社をつくって、西日本石油開発株式会社というものを設立し、鳥取の沖から五島列島にわたる相当長い距離にわたっての試掘の申請が出ておるわけです。私、寡聞にしてよく存じないのでありますけれども、これは一体許可したのですか。これは通産省関係になるのだろうと思うのであります。試掘の申請を許可したのかどうかという問題ですね。
  49. 成田寿治

    ○成田説明員 三菱系統とシェルと折半でできました西日本石油開発株式会社、これが島根沖の大陸だなの石油開発をやるという形で、鉱業法による鉱業権の申請が去年出されております。これに対して鉱業法による許可、鉱業権の付与はまだなされておらないのであります。ただ、基礎調査——採掘等は鉱業権の許可がないとやれませんのですが、基礎調査、いろんな調査は、鉱業法による権利を取得しなくてもやれることになっておりますので、島根県沖では、西日本石油開発がことしの三月ごろから基礎調査を行なっておる状態でございます。
  50. 石川次夫

    石川委員 そこで、外務省に答弁を要求するわけではありませんけれども、いまのお話にありますように、領海三海里でもって、大陸だな条約に入ってないんです。これは、シェル会社だけではなくて、三菱グループが合弁というかっこうになっておりますから、多少事情が複雑になってまいりますけれども、海外からこういう問題が申請された場合に、許可をするともしないとも、権限が正式には国際法的にはないのではなかろうか。こういう点で、日本の近海というのは、先ほども海部君のほうから話がありましたけれども、実はソビエトあるいはアメリカは実に精細に調べてあるんです。日本大陸だな、特に日本海とかそれから相模湾沖にしてもそうですし、それから瀬戸内海にしてもそうでしょう。日本は完全に立ちおくれている。そういう点で、どういうところにどういう資源があるのかということは、外国はつぶさに知っておって、どんどん要求をしてくる。海底調査のみならず、試掘の申請もするというときに、大陸だな条約に入ってない日本状態では、これは監視を置いて確認しておるんだとおっしゃるけれども、非常な立ちおくれを来たすのではないか。日本海洋開発それ自体がたいへん立ちおくれておりますだけに、非常に心配な点が多々ある、こういう点をよく考えていただいて、今後大陸だな条約に対して加盟をするということについては、相当前向きの姿勢で積極的に取り組まなければならぬところに追い詰められているのではないか、こういう点をひとつよくお考えをいただきたいと思います。何か御意見があれば伺いたいと思います。
  51. 高島益郎

    ○高島説明員 先ほどちょっと申し落としましたけれども、ヘーグの国際司法裁判所における判決の中で、単に境界線の問題ではなくて、各国が、特にドイツでございますけれども、大陸だなにおきまする鉱物資源の権利は固有のものである。条約に入る必要のない固有の権利であるということをはっきり申しております。これは、いまの先生の御質問に関連して申し上げますと、沿岸国は、当然に外国からそのような申請があった場合に、自分の国の大陸だなにおきまする鉱物資源については許可をする権利がある、主権的権利があるということの裏返しであろうというふうに考えます。
  52. 石川次夫

    石川委員 この問題はそのくらいにしておきますが、あと一つ問題になりますのは、日本大陸だなの中で、中国からずうっと連絡をしてくる大陸だなというものは相当あるわけです。これを試掘するあるいは海底調査をするということになりますと、あるいはまた採掘をするということになると、中国との現在の国際関係では、たいへんな問題になる危険性をはらんでいる。これは非常にむずかしい問題ですから、ここで議論をしようとは思いませんけれども、そういう場合に、前提として考えられるのは、海洋開発をする場合には、日本の場合には、あくまでも平和の目的に限るのだということのはっきりした基本法なりその他の宣言なりが明確にならないと、この点で国際紛争を起こす危険があるのではないか。これは長官がいないので、きょうは質問して答弁をしてもらう大将がいないので、ちょっと私もだれにどういう質問をして、だれに答弁してもらっていいかわからないのですが、こういうきわめて重大な問題があるということが、そういう前提条件が解決されないで、この海洋開発科学技術に関する答申が出ても、にっちもさっちもいかなくなって、かえって非常な紛争の種を巻き起こす危険すらあるのではなかろうか、こういう点を——これは、外務省の関係も当然関係が出てまいりましょう。十分ひとつ省内で議論をしてもらわなければならぬ大問題だと思うのです。  それから、たいへんにわかにこまかい話に入るようで恐縮なんでありますけれども、この答申の中には五つプロジェクトが出ておって、大体十年をめどにして、そのうちの五年間の重点目標、こういうことであります。その中で特に第四番目の「大深度遠隔操作掘さく装置等に関する技術開発」、この問題は、日本が相当意欲を示したプロジェクトになっているのではないかという点で敬意を払うわけなんでありますけれども、問題は、どの程度やるのかという問題がまずあると思うのです。これもこの答申には出ております。どの程度というのは、ことしは三十一億です。去年よりはだいぶふえましたけれども三十一億。もうアメリカの千八百億なんというのとは比較になりませんけれども、しかしアメリカはアポロ計画が終われば、この二百四十億ドルの費用というものは、今度は海洋開発に振りかえてくることは必至です。さしあたっては二百億ということがいわれております。たいへんな立ちおくれ、どうにもならぬ。まるで向こうがおとなになっておるのに、こっちは二つか三つの赤ん坊がはいずり回っているような、こういう現在の宇宙よりも、さらに海国日本といわれる名に恥じるようなみすぼらしい状態だというのが現状だろうと思うのです。したがって、これから飛躍的にやっていかなければならぬ。したがって、これは主計局や大蔵大臣にいつか来てもらってよく話をしなければならぬ問題で、亘理さんにこのことを要求することは非常に酷だと思いますから、答弁は要求いたしませんが、しかし、科学技術関係の問題は、この海洋開発だけではないのです。宇宙開発にしてもそのとおり、原子力にしてもそのとおり、まるでお話にならない劣勢です。しかし、科学技術庁という関係の予算で見ると、三割ふえた、四割ふえた、五割ふえたと、たいへんふえたようなかっこうで、これはおまえのほうは優遇しているんだというふうにお考えになりやすいのでありますけれども、海外との比較において考えると、もう現在の科学技術関係の予算など、これは問題にならない、たいへんな立ちおくれ、どんどん格差が開いてくる、こういう実態にあるということをよく御記憶をいただいて、日本が資本の自由化に備えて、外国に肩を並べ、追い抜いていこうなんということを言う場合には、もちろんほかの要素もいろいろありますけれども、何といっても、科学技術が追いつかない限りは、絶対にこの目的を達成することは不可能であります。したがって、大蔵省の従来の感覚で、この海洋開発は去年より八割ふやしたんですよと言ったところで、三十一億ですよ。ほかの国はどこも百億台です。しかも、それが海国日本です。こういうふうなていたらくでありますので、よほどこの科学技術関係の予算については、海洋開発に限らず、抜本的な視野の切りかえをひとつやってもらわなければどうにもならぬ問題だと思う。これは、超党的におそらく同じ意見であります。この点をよく記憶をしていただいて、来年はわれわれも超党的に、科学技術関係についてはいろいろ予算についてお願いに行かなければならぬと思うのであります。ひとつ、よく御配慮を願いたいということだけを申し上げておきます。  それで、この中で、この五つプロジェクトに入っておらないで、あとから追加して書いてある問題としては、淡水化の問題があるわけです。この淡水化の問題も、申し上げると、これだけでもって委員会を一回やらなければならぬくらい、きわめて重要な問題をはらんでいる。どうしても淡水化をやらなければ、いまの水では、将来は必ず工業が行き詰まることは必至です。したがって、海水をいかに淡水化するかということが、日本の将来の発展を卜するきわめて重要なかぎになる。ところが、これは五つプロジェクトの中に入っていないんですね。これからはずれて、付録みたいなかっこうで淡水という問題が出ている。まあ、善意に解釈すると、十年目標で大体五年間の重点目標というと、なかなか五年間では淡水化は無理であろうというようなお考えかとは思うのでありますけれども、しかし、何としても、淡水化というものをもっと重点として取り上げなかったということに対して不審の念を禁ずることができない。この点、速水さんどうお考えになりますか。
  53. 速水頌一郎

    速水説明員 お答えいたします。  淡水化自身はきわめて重要な問題であると思いますけれども、これはいわゆる海洋開発として、海洋の空間を利用し、また、海洋に賦存する水産あるいは海底鉱物資源、そういうものを開発するということに比べて、すでにわが国において、専売局等において研究が進められておることでもございますし、また、それ自身は、特に海洋についての研究を深く進めるということよりも、むしろ、海水というものからいかにして淡水と溶解物質とを分離するかという技術の問題でございますが、この二つの点を考えまして、すでに研究が進んでおるものを、大いにこれを発展させることが必要であるということを指摘するにとどめまして、それの開発計画を特にあげなかったのでございます。
  54. 石川次夫

    石川委員 その御説明よくわかるのですけれども、われわれは淡水化というと、やはり海洋開発の中に入っているという常識を持っているわけなんです。その海洋開発の中に淡水化も入っているという常識を持っている、そういう前提でこういう答申が出て、大事の五つプロジェクトの中に淡水が入っていない、付録だということになると、この重点を間違える危険性が多いのではないかという点で、これは海洋開発のこの審議会対象ではないのだということを明確にしてもらえば、それでもよろしかったのでありますけれども、そういうことは明確にはなっておらぬようであります。そういうことで、何か淡水化ということは、これはまあ付録だというふうな印象を与えるのではなかろうかという不安をこの答申案から受けるわけなんで、この点は、何かの機会に明確にしておいていただいたほうがよろしいのではなかろうか。これは何といっても水の問題が今後の死命を制する。それで、海水淡水化以外にはこれを切り抜ける方法はないということで、各国ともこれはやっきになっておりますから、この点は、ほかの海洋開発以上に重視しなければならぬ問題じゃなかろうかと、私個人の考えかもわかりませんけれども、常々痛感しておるわけです。  それから、あとの御質問の方もありますから、あまり申し上げたくはないのでありますけれども、この答申案でどの程度重点を入れるかという重点の置き方の問題、それから、どういう順位でやるのか、優劣はどういうふうにして、どういう順位でやるのか、こういう点が全然触れられておらないという点で、新聞でも一部指摘されておりますけれども、若干私は不満があるわけです。  それから、これはあくまでも宇宙開発と同じように組織工学でございますから、システムエンジニアリングでずっとやらなければならぬでありましょうけれども、そういうことに関連して、体制をどうするという問題。先ほど来、木野委員のほうからもるる御質問があったわけでありますから、繰り返しませんけれども、たとえば具体的に言いますと、この答申の一八ページ「海洋開発に必要な先行的、共通的技術研究開発」というのが一つあるわけですね。それから、二〇ページに「関連科学技術分野の有機的な連携が必要である。」これは当然だろうと思うのです。こういうことを一体どこでやるんだという問題です。いまのところは、たいへん通産省のほうでも大きなアドバルーンをあげている。おそらく水産庁のほうでも、栽培漁業というふうなことで相当重視していかなければならぬ問題が今後出てくる。何といっても動物たん白を陸上に仰ぐことは不可能でございますから、どうしても海洋開発栽培漁業にたよらざるを得ない。特に大陸だなの中における漁業振興ということが相当大きな課題になってくるということで、まあそのほかにも各官庁にまたがる問題であります。そうすると、この関連科学技術分野の有機的な連携と、海洋開発に必要な先行的、共通的技術研究開発、これをどうしても体制として一元化するところがなければならぬと思うのです。これはもう御承知のように、海洋開発宇宙開発と同じように、整然としたシステムエンジニアリングによって、パートタイム、パートコスト、こういう表をつくって整然とやっていかなければならぬわけですね。各省ばらばらじゃいかぬわけです。この中心をどうするかということについては、この答申案では全然触れておらない。非常にむずかしい、政治的な問題があるからということで、触れておらないわけなんでありましょうけれども、これはある新聞によれば——これは毎日新聞でありますけれども、「科学技術庁に、研究や予算の総合的な調整を期待することは、ムリといわざるをえない。」という批判も出ておるわけです。それならそれで、別に確固たる——科学技術庁が扱えないとすれば、どこかで新しい機関を設けてこれをやるというか、こういう点について、何か審議会の中では御議論が出なかったでしょうか。
  55. 速水頌一郎

    速水説明員 私どもとしては、その点が最も重要なことでございまして、このような科学技術開発すべきであるということを答申いたします以上は、それが何とか実現されることを期待して審議を進めたのは当然のことでございますけれども、先ほどから話がありましたように、政府の内部におきまして、この総合調整の機能を強化してほしいということ、強化しなければならないということ、それから、このプロジェクトを遂行するためには、いまのお話と全く同じでありまして、これを計画的にやらなければならない、また、そのために総合的な組織的な体制を整えなければならないということを申し上げましたけれども、それについての具体的な、政府が先導的立場をとって、どのような措置を講ずべきであるかということについては、特に議論はいたしませんでした。
  56. 石川次夫

    石川委員 審議会にそれを要求することは無理だろうと思うのですが、これが一番前提として大事なことだと思うのです。  それから、そのほかにこの海洋開発は、国際協力の必要もこれあり、多種多様な情報を処理するという必要が出てくるわけです。この処理するところが、またばらばらに処理したって、これは非常に重複したいろんな作業ということにもなるし、またそれを一元化していかなければ効果を発揮できない、力を発揮できないという問題もあるのです。情報の一元的な処理、それから関連科学技術分野の連携を有機的にとるというような意味では、どうしてもこれは中心的な総合官庁みたいなものが必要だということは、これは当然お認めになると思うのです。そういう点では、今後われわれとしてもいろいろ議論をしていかなければならぬと思うのでありますが、たてまえからいえば、これは科学技術庁であるべきだとは思うのです。残念ながら、この新聞で指摘されたように、力がないんだということになると、またこれはどういうふうにしたらいいかという悩みも出てくるわけでありますけれども、総合官庁としての科学技術庁はそのために存在しておるのだと思うのですが、非常に現在新聞からまでこういうふうに指摘をされる、弱体だということは、私はまことに残念でならないのでありますけれども、しかし、本来あるべき形としての科学技術庁の機能というものを十分発揮するような体制に持っていく——これは行政管理庁や総理大臣に出てもらって、科学技術庁というのはどうあるべきかということを、いつかまた議論をする機会を、委員会にはかって持ちたいと思っておるのでありますけれども、寄せ集まりのような現在の科学技術庁では、将来の日本の重大な科学技術の進歩の中心的な役割りを果たす機能は発揮し得ないという点で、私はまことに残念だと思っておるのです。それは議論になりますからよしますけれども、そういう点で、何とか、できれば、すなおに基本的な考え方をいえば、科学技術庁というのは、もっと力のある官庁になって、総合調整の実をあげるような実態を備えてもらいたい。したがって、海洋開発それ自体も、できれば科学技術庁中心になれるような体制がつくられれば、それが一番あるべき正しい姿ではなかろうかということを痛感いたしておるわけです。そういうことだけきょうは申し上げておきます。  それから、たいへん部分的な話になって恐縮なんでありますが、この答申にも出ておりますけれども、何といっても、海洋開発するためには、水にもぐらなくちゃいかぬわけです。きょうは文部省来ておりませんか。——それで、潜水学というのは、日本海洋国でありながら、たいへん立ちおくれておるという実態で、私の聞いておるのは間違いかどうか知りませんが、防衛庁を除いて、まあ潜水学らしい学問をやっておるのは、東京医科歯科大学の梨本先生一人じゃなかろうか、こういう話が出ておるのですが、こういう状態で、幾ら機械を持ってきても、何をやっても、潜水学一つが確立されておらない、たった一人しか先生もいないというふうな状態で、実際やったって、何もできはしないですよ。こんなことで海洋開発をやろうということ自体がナンセンスだろうと私は思うのです。それから、たとえば潜水の技術者、このライセンスをとるのに基準は一体どうなんだというふうなことも、何もきまっていないです、日本では。ですから、潜水をする人をこれから養成するという段階になるのでありましょうけれども、民間では、現在潜水のほうの関係をやらなければならぬということで、防衛庁から人を集めて、いまアメリカへ養成にやっているというような実態ですね。まことにお寒い限りなんですけれども、そういうことで、潜水学という学問をこれからどう確立するかという問題から出発しなければならぬというのは、全く情けないのですが、実態はそうなんです。この学問は現在どういうふうになっておるか、今後どういうふうに大学の分野で、潜水医学も含めて、これを発展させるような計画があるかという点をひとつ文部省に伺いたいのです。
  57. 笠木三郎

    ○笠木説明員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘のとおり、潜水医学プロパーとしての研究者につきましては、私ども承知しておる限りでも、きわめてりょうりょうたるものであろうかと思われます。ただ、実態といたしまして、昭和四十一年度から、国際生物学事業という国際的な共同研究事業がございますが、この一環といたしまして、新潟大学の医学部の教授をチーフにいたしまして、十名程度研究班が組織されまして、この方々が、水中作業者の適応能力の研究というテーマをとらえまして、現在研究を進めておられる段階でございます。これらの研究を通じまして、若い研究者が育ちつつある状態でございますので、今後そういうものを核にいたしまして、必要な研究者が養成されるということを、私どもとしては期待しておるわけであります。  なお、潜水医学等の講座等につきましては、これは御案内のとおり、大学の場合、大学からの要求を主にいたしまして、予算を措置するというふうな状況でございますので、それらの点につきましては、今後大学の要求などを十分調整いたしまして、必要なことにつきましては、予算措置を検討いたしたいと考えております。
  58. 石川次夫

    石川委員 いまの御説明を聞いても、皆さんおわかりだと思うのでありますけれども、海洋開発海洋開発というけれども、水の底にもぐらなければ何もできぬわけですね。ところがその学問がまことにりょうりょうたるものだ。それでたいへんりっぱな答申案ができたにいたしましても、実現しようと思ったって、何も実行できやしませんよ。こういう状態が現在の状態で、まことに木によりて魚を求むという、もっとそれよりはなはだしいような現在の実態でございます。したがって、いま新潟大学でそういうものをお始めになったということは、たいへんけっこうなんでありますが、その程度のことでは、これからどんどんやっていかなければならないこの海洋開発というものに対応する学問の分野としては、まことにこれは力が弱いのではないかという印象を受けざるを得ないわけです。こういう点は文部省としても——これは科学技術庁としても当然お考えいただかなければなりませんけれども、もぐらないで仕事はできないのですから、海底牧場とか海底農場とかいったって。ところが、もぐるのは宇宙を飛ぶよりはるかに困難です。今度シーラブ計画で、ことしアメリカで犠牲者を出していますね。宇宙よりはるかにこれに適応するということはむずかしいということが立証されておる。あれだけ緻密な計画をやったシーラブ計画で、ことしアメリカは犠牲者を出しておるわけです。そういうことで、三十メートルおりてしまえばまっ暗やみ、それから百メートル、二百メートル下におろそうというのですから、これはたいへんな難事業だと思うのです。それに対応する学問が全然ない。こういうようなことで、かけ声だけの海洋開発を叫んだところで何にもならないということは、何回も繰り返し言っておるとおりであります。そういう点で、この対策を早急に立ててもらわなければ、海洋開発はにっちもさっちもいかないということをまず強く要望しておきたいと思うのです。  それから、第一の前提として、海底調査をやらなければならぬということが言われております。これはまことに当然でありますが、ソビエトあたりでありますと、日本なんかよりはるかに詳しく調べてあるというようなことも定評になっております。それで、この海底調査の分については、二六ページに、「海上保安庁水路部、工業技術院地質調査所、国土地理院、大学等によって一部行なわれてきたが、」、こうなっておるわけなんですが、この実態は、工業技術院の方もおいでになっておりますが、どういうふうになっておるか。それから、その他総合的に科学技術庁としても調査を依頼しておるところがあるわけですね。どの程度調査の結果が出ておるか。まあわれわれは詳細な報告を見てもよく理解はできませんけれども、その実態をひとつわれわれも知りたいと思うのです。現在までの調査の実態というものの概要を、一応ひとつわかる範囲で、工業技術院の方がせっかくお見えになっておりますから、教えていただいて、それから科学技術庁のほうからひとつ御報告を願いたいと思うのです。
  59. 朝永良夫

    ○朝永政府委員 工業技術院といたしましては、地質調査所が主体になりまして、従来空中磁気探査並びにその他の音波探査等を行なっておりますが、四十四年度、四十五年度、四十六年度におきましては、裏日本側につきまして行なう予定でございまして、それから四十七年から五十年までの間に太平洋側につきまして、全部で五十一万平方キロメートルにつきまして計画をいたしております。従来はこのような探査は部分的にやっておりましたのですが、今回からこれを計画的に、いま申し上げましたような年次計画に基づきまして行なう予定でございます。  調査の実績といたしましては、音波探査をいたしましたのは、有明、東京、大阪、伊勢湾、三河湾、それから北九州、それから北西九州、これが一万五百平方キロメートルでございます。それから重力探査をいたしましたのが、有明、長崎沖で千二百平方キロメートル、その他の試験も探査もいたしております。空中磁気探査につきましては、新潟、秋田沖につきまして一万二千二百平方キロメートルをすでに行なっております。これらの調査全部いたしました面積は、二万六千五百平方キロメートルになっております。
  60. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 科学技術庁といたしましては、現在ここにございます日本大陸だなの海底資源開発に関する地質学的研究ということで、四十三年度からこの調査を始めているわけでございますが、計画といたしましては、四十三年度から四十五年度までということでやっておるわけでございます。  内容につきましては、ただいま先生から御指摘ございましたように、私たちも十分といえるような内容のものではございませんが、一応手をつけておるわけでございまして、現在やっておりますのは、特調費をもちまして、通産省の地質調査所とそれから運輸省の水路部と、この二つにお願いいたしまして、この調査研究をやっておるわけでございます。  金額といたしましては、四十三年度三千八百万、四十四年度五千六百万ということで、合わせまして一億足らずでございますので、はなはだ十分な金額とは申せませんが、一応このようなかっこうで手をつけておりまして、内容といたしましては、富山、石川、新潟という北陸の三県の大陸だなにつきましての開発に関する地質学的な研究でございまして、これに必要な探査機器の開発というものと、それからその探査の手法の研究と、こういうところに重点を置いて、現在実施しておるわけでございます。
  61. 川上喜代四

    ○川上説明員 水路部からお答え申し上げます。  水路部は、もう明治のころからずっと海図をつくるための日本周辺の測量を行なっておりまして、その結果に基づきまして、約五百版の海図をつくっております。しかし最近の海洋開発という面から考えますと、そういう測量、いままで海図のためにつくってまいりましたものではなかなかこまかいことがわかりませんので、四十二年度から予算のお認めをいただきまして、海の基本図という形で、二十万分の一の海底地形、それから地質構造、それから地磁気の分布図及び重力の異常図、この四枚で一組の海の基本図を四十二年度からつくり始めまして、秋田のほうから測量を始めておりまして、現在、測量は大体能登半島付近までできております。今日ただいまでもやっております。地図のほうは、この三月から四月にかけまして、秋田及び最上堆付近のものができ上がって、すでに市販いたしております。私たちは、これをできるだけ早く日本一周をして、日本大陸だなのそういう図をつくり上げたい、こういうふうに考えております。  なお、先ほど科学技術庁のほうから御説明のありました日本海の総合研究にも、私たちはお手伝いをいたしております。
  62. 石川次夫

    石川委員 いまいろいろと御答弁がありましたけれども、こういうふうに海上保安庁水路部、工業技術院、国土地理院あるいは大学でもやる、科学技術庁でもやるというふうなことで、ばらばらに行なわれておるわけなんですね。水路部は水路部としての使命に基づく研究のしかたをするでしょうし、工業技術院工業技術院らしい観点で調査をするということになると、調べたものが重複しなくても、いろんな形の変わったものが出てくるのではないかという不安があるわけなんです。こういう点からいっても、どこか、総合調整をして、海洋開発の目的に沿ったような地質調査をやってもらいたいというような中心的な指令を出す機関といいますか、そういったセンターがなければ、これはうまくいかないのではないかという感じが——この海底地図をつくることだけについて見ても、そのことを痛感するわけなんですが、その点で速水さん、御意見があったらひとつお聞かせを願いたいと思うのです。
  63. 速水頌一郎

    速水説明員 お答えいたします。  それぞればらばらにやっておるように一見見えますけれども、たとえば主として海底の地形についてあるいは表層の地質については、これは水路一部がいままでも多年おやりになっておりまして、その経験によって、そういった新しいいわゆる海の基本図、海図を展開したようなものができれば、ちょうど今日の陸地の地形図がわが国開発に役に立っておるように、そういう意味において、海洋開発に十分用を果たすのじゃないかと考えますし、また地質調査所におきましては、主として鉱物資源の保存というものを目標にして地質構造図をおつくりになっておるということで、一方は資源というものの立場でなしに海の基本図をつくり、一方はその中において、特に資源の保存を目標にしてつくるということで、私どもとすれば、そういう作業を——ともかく先ほどお話がありましたようにまだ日本の一部分しか行なわれておりませんので、早急に周辺大陸だな全域にわたって作業を進めていただきたい、このように考えておるのでございます。  これを、どこか総合調整機関あるいはそういう連絡組織等ができまして、そこにおいて御相談になって、そしてこの能率化をはかっていただくということは、この答申にもありますように、審議会としては、それを希望しておることは当然でございます。
  64. 石川次夫

    石川委員 いろいろ申し上げたいことはありますけれども、次回に譲りまして、きょうは、私の持ち時間がきましたものですから、これで終わります。
  65. 木野晴夫

    木野委員長代理 次に近江巳記夫君。
  66. 近江巳記夫

    ○近江委員 今回、第三号に対する答申案が出まして、一歩前進したかの感があるわけでありますが、いままで確かにムードばかりで中身がない、このようにいわれておるわけであります。それはどこに一番原因があるか。中身がないということは、結局政府の予算が非常に少ない。やはり金というところに一番問題点があるように思うのです。これだけの答申案を出されたわけでありますが、予算化をやっていかなければ、これは何にもならぬわけです。その点、いままでこの海洋開発については、各省庁がそれぞれの計画を立ててそれぞれやってこられたわけでありますが、各省庁合わせても、今年度においてわずか三十一億円というような、諸外国に比べますとまことに微々たる予算規模であります。  まず、この予算という点につきましてどのように考え、またいままでなぜこのような少ない額になっておったのか。各省庁がそれだけの要求はするけれども、大蔵省で削られてきたのか、あるいはその要求自体が非常に少ない額であったのか、その辺のところを、各省庁来ておられるわけですから、簡潔にひとつ各省庁全部述べてもらいたいと思うのです。
  67. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 お答えいたします。  科学技術庁といたしましては、従来、総合調整的な立場から、この海洋開発というものと取り組んでいたわけでございます。なお予算につきましては、予算の見積もり方針という点におきまして、各省庁の予算計画におきます見積もり方針を作成いたしまして、それぞれ関係のところと相談しながら、予算折衝をしていたわけでございます。しかしながら、この計画そのものにつきましては、従来から各省庁において、それぞれの立場におきまして海洋開発というものを進めていたわけでございますが、これは今般の答申に見られますように、はっきりした海洋開発計画というようなもので従来から出てきたものはございませんでした。したがいまして、各省庁はそれぞれの所管において計画を立ててやっていたために、予算におきましても、この海洋開発全般として見ましても、いろいろアンバランスの点があったわけでございます。しかし今回このように答申が出てまいりまして、今後のわが国海洋開発計画はこのような方向で行くんだということが示されたわけでございますので、今後この海洋開発計画を進める段階におきましては、この開発計画をもとにいたしまして、いろいろな総合調整なり、あるいは予算の調整というものをやっていきたいと存じている次第でございます。したがいまして、従来科学技術庁でやっておりましたのは、科学技術庁本来の立場としての科学技術の促進という面においてのみ予算をとっていたわけでございまして、したがって、内容といたしましては多分に共用施設的なものが多かったわけでございます。たとえば潜水調査船なり、あるいは本年から始まります海中作業基地、このようなものに、科学技術庁といたしましてはしぼって仕事をやっていたわけでございますが、今後はこの開発計画に基づきまして、各省庁と連絡をとりながら、この計画が円滑に遂行されるように十分努力したいと存じている次第でございます。
  68. 朝永良夫

    ○朝永政府委員 工業技術院におきましても、海洋開発という問題を特掲いたしまして予算要求いたしましたのはことしでございまして、その前の段階では、海洋開発関係いたします地質調査、それからその他基礎的な技術、あるいはその地質調査の方法につきましての研究等は、従来ずっと引き続き特別研究あるいは経常研究で行なってまいっております。本年、その中で海洋開発に特に関係するものだけ引き抜きまして、予算をいただいたわけでございます。  なお、海水淡水化につきましては、四十四年度からスタートいたしまして、一応二億の予算をもってスタートいたしたわけでございますが、これは初年度でございますので、これでスタートいたしまして、今後のこの研究がさらに一そう発展することを期待しておるわけでございます。
  69. 川上喜代四

    ○川上説明員 水路部では、いままでは航海の安全のための海図及び海洋観測ということが中心でございましたので、なかなか直接海洋開発ということで予算を要求するに至らなかったわけでありますが、昭和四十二年から初めて、先ほど申し上げました海の基本図の予算をお願いいたしまして、さっそくお認めいただきまして、それから逐次それを発展さしていきたい。また今度の答申にも、基礎的な仕事としてそういう地図をつくるということが大切だという答申が出ておりますので、その答申に沿ってそれを発展さしていきたい、そういうふうに念願しております。
  70. 松下友成

    ○松下説明員 水産庁におきましては、従来から海洋生物資源の開発ということに重点を置いて事業を進めてまいったわけでございますが、今回答申が出ました線に沿いまして、今後新しい栽培漁業技術開発、そういった点に重点を置きまして、予算要求を進めてまいりたいというふうに考えております。
  71. 笠木三郎

    ○笠木説明員 文部省関係の予算といたしましては、開発のすそ野と申しますか、広い基盤になりますのが、基礎研究が主体でございますことは、御案内のとおりでございます。したがって、海洋開発ということで一括した予算ということではございませんで、各種研究所、学部等の予算で、関連の予算があるわけでございます。たとえば、昭和三十七年に東京大学に設立されました、御案内の共同利用研究所としての海洋研究所などがございまして、これら研究所ないし大学学部の講座あるいは研究施設につきまして、今後ともできるだけの充実をはかってまいりたい、かように考えております。
  72. 成田寿治

    ○成田説明員 石油天然ガス関係海洋開発の予算でございますが、四十四年度におきましては、大陸だななり海洋開発の見地からの予算というものは、はっきり言いまして、そういう立場では取り上げてなくて、国内の天然ガスなり石油基礎調査なり探鉱のための補助金として、十三億ぐらいの予算が計上になっておりまして、このうちの一部を海洋——非常に陸地に近い沿岸天然ガスなり石油調査なりの補助金でございますが、大体一億数千万円がその中から流用されて使われておる状態にすぎないのでございます。  それで、四十五年度以降の考え方としましては、現在PEAC、石油及び可燃性天然ガス資源開発審議会というのがありますが、ここで新しい石油天然ガス開発計画、第四次になりますが、これを目下検討作成中でありまして、いまその原案におきましては、五年計画として、非常に重点的に大陸だなの開発を取り上げ、国が基礎調査をやり、あるいは採掘につきましては公団等の助成も考えられないか、考える必要があるのじゃないかというような作業をいまやっておりまして、これが近くまとまる状態にありますので、これによりますと、計画的に五年計画によって、大陸だなにおける石油天然ガス調査、それから開発計画的にやっていく計画をいま作成中でございます。
  73. 近江巳記夫

    ○近江委員 確かに、いまお聞きしたところ、各関係当局においても、何をやっていいかというようなとまどいが非常に多かったと思うのです。しかしこれで答申案も出たわけでありますし、大体の骨子ができた。これで皆さんも今後の進めていく姿勢というものに自信ができたのじゃないかと思うのです。根本的には、政府として基本計画、そうした明確なる方針を出さなかった、これが一番の大きな原因であった、このように私は思うわけです。しかし各省庁においても、そういうようなとまどい、同時に、それからすべてがくることでありますが、積極的にやっていこうという意欲がなかった。これは大いに反省をしてもらわなければならない、このように思います。  もうすでにアメリカ等においては、御承知のように、六月の十六日に海洋工学会の年次総会が終わっておるわけでありますが、そのときに副大統領が基調演説の中で、今後は深海開発を進めていく、このように言っておるわけです。ところがわが国は、大陸だなもまだ調査もできておらない。どれほどおくれておるかということが、これでもう歴然としておるわけであります。そういう点におきまして、私はこの日本のおくれということをほんとうに心配するわけでありますが、そろそろこの予算も、各局におきましてもいろいろ立案されておると思います。これから一番大事な時期に差しかかるわけでありますが、積極的に日本海洋開発を進めていく。したがって各局においてもよく連携をとって、そして大幅な予算をまず獲得する。そうでなければ、これをやります、あれをやりますといったって、これは金もないのにできるわけがありませんよ。その辺のところをひとつ腰を据えて、この予算獲得に当たり、またしっかりとしたそういう連携の上に立った計画を立てて、今後推進をしていただきたい。この予算の点を特に要望しておきます。ひとつ科学技術庁の局長さんに、各関係当局を代表して、予算の問題について決意を表明していただきたいと思います。
  74. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 ただいま先生から御激励いただきまして、ありがとうございました。私たちも、このような開発計画ができてまいりましたので、この線に沿って、大いにわが国海洋開発を進めていこうという決心でございます。
  75. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから、これはもう何回も私も指摘をしてきたわけでありますが、要するにばらばらなんですね、各省庁が。何かごそごそ動いているんだけれども、それがどういう一貫した関係性があるのか。とにかくムードが非常に上がってきたから、これは何かまたやらなければいけない——何か追っ立てられて仕事をやっているような感じなんです。ぐいぐいと一貫した、そういう力を合わしていかに効果をあらしめていくか、そういうものがないわけですよ。ちょっと連絡をしなければならないからしようがないなというような、非常に重い感じですね。もっと軽やかな、さあやろうじゃないかという、そういうような姿勢が私はほしいと思うのです。それについても、結局どこが柱でその連絡調整をしていくか。科学技術庁さんがやはり全体を見ていくのか。お聞きして聞いてみたら、海洋開発関係しているのは二人だ、部局の中でもうだんだん仕事が忙しくなったので、二人を応援に来てもらいました。それであとよく聞いてみると、各省から二人応援に来てもらって、とにかく六人で何とかやっております。今回この海洋開発室を設置されて、非常にけっこうなことだと思いますが、私はそんな海洋開発室ぐらいの規模じゃどうしようもないと思うのです。早く局ぐらいには持っていって——原子力なんか現実に原子力局があるわけですよ。宇宙にしたって、この海洋開発にしても、現実にこの海洋開発なんか非常にわれわれにメリットが大きいわけですし、決してマイナスにはならない。そういう点で、この一元化というようなそうした問題も、非常に大きな問題だと私は思うのです。その辺のところを、この間から科学技術庁の局長さんにもいろいろお聞きしておりますが、ぜひそうしたいとおっしゃっておるわけです。その点、一元化という問題についてこの答申案でも出ておりますが、今後はそうした方向に向かわなければならぬ。もう一歩突っ込んで、具体的な考え方、構想——会長さんとしてどのようにすれば一番一元化できるか、一元化というか、その辺のところの調整ですね。私見でもけっこうですから、お伺いしたいと思うのです。もう一歩突っ込んだところを……。
  76. 速水頌一郎

    速水説明員 審議会会長が、あまりそういった、特に私見とおっしゃいましたが、私は研究者でございまして、平素そういったことにうといので、どうすればいいか、ともかく先ほどからの多くの御質問に、全く私も共鳴して聞いておりましたので、ぜひそうあっていただきたいと、私も念願いたしておりまして、さらに審議会としての任務として、いろいろな意見を建議し、あるいは諮問にお答えする。このいろいろな諮問をどしどしこれから出していただきまして、せっかくあります審議会でございますので、この審議会の機能をもフルに動かしていただくようにしていただきたいというのが、審議会会長としての希望でございます。
  77. 近江巳記夫

    ○近江委員 ですから、ある程度のそうした答申される範囲というものも考えないこともないわけでありますが、しかしもう一歩、私たちは、審議会としても具体的にこのようにもう一ぺんいきたいと考えておる——その辺のところを、意見のまとめといいますか、そういうものがほしいと思うのです。その辺のもう一歩突っ込んだ、勇気を持った具体策まで明示をしていただく、こうなっていただければ非常にいいと思うのですけれども、これをひとつ、今後また審議会ではかっていただきたいと思うのです。  各当局の方がお見えになっておりますが、私はいろいろ、これも私の考えでありますけれども、やはり中心科学技術庁がまとめ役というか、やってもらわなければうまくいかないのじゃないか、このように思うわけですが、皆さん方それぞれお考えがあって、いやそれはもう通産省中心にならなければ困るのだとか、いろいろなお考えがあると思うのですが、その辺、皆さん方は、正直言って、どこが一番中心になっていけばいいとお考えになっておられますか。何もここで発言したから、それが代表とは私は思いません。皆さん方は携わっておる責任者でありますし、私見ということでけっこうですから、皆さんの感想をひとつ聞かしてもらいたいと思うのです。その辺のところを簡単に。
  78. 朝永良夫

    ○朝永政府委員 従来、この海洋技術開発の問題につきましては、科学技術庁調整をしていただいておるわけでございまして、われわれも、いわゆるナショナルプロジェクトということで取り上げられておりますので、これをいかにうまく進めていくかということにつきましては、やはり科学技術庁中心にしまして、その中での一環の研究ということでやることが、われわれは研究の問題としては必要だというふうに考えております。
  79. 近江巳記夫

    ○近江委員 あと、皆さん大体同じ意見ですか。もし違うという意見があったら、皆さんのほうからひとつ発言してもらいたいと思います。
  80. 成田寿治

    ○成田説明員 趣旨としては全く同じでございますが、ただ石油天然ガスにつきましては、従来から通産省でそういう審議会を持ち、そういう計画も作成中で、それをやっておりますので、天然ガスのエネルギー産業の見地からの取り上げ方を、従来われわれはやってまいっておりまして、これと科学技術庁中心とした海洋開発の見地からの問題とは十分調整をとって、科学技術庁の御意見もまた聞きながら、従来どおりエネルギー産業としての立場も進めたいと思っております。
  81. 笠木三郎

    ○笠木説明員 文部省で所管しております問題は、先ほど申しましたように、開発プロジェクトそのものと申しますよりは、そのすそ野と申しますか、底辺と申しますか、基礎になります基礎研究分野でございます。したがって、開発プロジェクトと直接の関係ということにはならないわけでございますが、海洋科学技術審議会の事務局を、科学技術庁と合わせまして私どもも担当している関係もございまして、基礎研究との連携体制ということは十分考慮しながら、基礎研究の推進をしていきたい、かように考えているわけでございます。
  82. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 ただいま各省庁からも御意見がございましたように、私たちも、このような開発計画ができましたので、この各省庁間のいろいろな実施部門と私たちのほうの調整機能との食い違いがないように、ひとつその点は十分注意いたしまして、私たちがその調整役といたしまして、十分各省の役に立つように、さらに、私たちがまとめ役になりながら、その中でひとつこの全体の海洋開発計画が進むように、鋭意努力したいと思っております。
  83. 近江巳記夫

    ○近江委員 いままでずいぶん科学技術庁でいろんな話が出てきまして、そのたびに局長さんも、関係当局のほうへいろいろ心配されまして、非常に気を使われておる態度が非常によく見えたわけです。しかしこれだけ各部局を代表してお見えになって、大体科学技術庁中心にやっていこうという意見は一致したわけです。ですからあとはひとつ団結をしていただいて——しかしながらまだ微妙なそれぞれのセクトを、ちょっと話の中で感じるわけでありますが、ひとつ大きく、これは国民の利益のためにおきまして、力を合わしていただいて、もう有効に効果が発揮できるようなそういう体制で、今後は進んでいただきたいと思うのです。特にひとつ科学技術庁もしっかりと腰を据えて、この海洋開発に取り組んでいただきたいと思います。  それから、科学技術庁海洋開発室ができて、私は非常にけっこうだと思うのです。けっこうという意味は、いままであまりにも、二人というようなことで貧弱であったし、一歩前進という意味において、けっこうであった。しかし私がいま言うように、海洋開発は局へ持っていかなければいけない。将来は庁にまで考えてもいいくらいです。このくらい大きな取り組み方をしてもらいたい、こういう考えであります。通産省にも海洋開発室というのができておるわけでありますが、両省からお聞きしたいのですが、その構成、目的、課題等についてお聞きしたいと思うのです。その科学技術庁通産省との関係性、その二点についてお聞きしたいと思います。
  84. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 科学技術庁におきましては、この七月一日付をもちまして、研究調整局の中に海洋開発室をつくったわけでございます。でこれは、今般もこの答申が出ましたように、今後実質的に海洋開発というものに進んでいかないといけませんので、その開発計画をいかに運用していくか、ことに実際の実施部門におきましては、各省庁において実施されるということでございますので、その間の調整をいかにうまくやっていくかという面も含めまして、今後の大きな意味での海洋開発というものを、この海洋開発室において今後作業させていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  85. 成田寿治

    ○成田説明員 通産省でも、七月から鉱山石炭局に海洋開発室が創設されまして、海洋開発関係の仕事の窓口として当たることになったわけでございますが、通産省関係海洋開発の仕事というのは、さっき言いましたように、石油天然ガスあるいはマンガン鉱等は鉱山局で所管しておりますし、それから工業技術院ではいろんな関係技術開発の仕事をやっておる、それから掘さく機械等は重工業局でメーカー、製造関係の仕事をやっている、そういうように非常に分かれておりますが、これを一カ所にまとめたほうが、答申にもありますように、今後積極的にやる上で非常にプラスになるのじゃないかということが一つと、それからもう一つは、総合調整に当たる科学技術庁との連絡等におきましても、窓口を一カ所にしておいたほうが、お互いに連絡の円滑の上でいいのじゃないかということで、七月からつくったのでございます。  それで、仕事は、いま言いましたような石油天然ガス計画あるいはそれを進める施策をやっていく、あるいは工業技術院中心とした海洋開発関係技術の推進をやっていく。それから掘さく機械等の研究開発等をやる。それから通産省所管の海洋開発関係の法律問題がございまして、特に石油天然ガス等につきましては、本年度あたり石油天然ガス大陸だなの鉱物資源開発促進というような見地からの法律も必要なんじゃないかということで、これも当面いろいろ検討をやっております。それで、数は兼務を入れまして七人くらいのまだ少ない世帯でありますが、鉱山局へ置きまして、鉱山局関係課あげて協力するということになっておりますので、そういう面で、石油天然ガス計画等を中心として、積極的に取り組んでいきたいと考えております。
  86. 近江巳記夫

    ○近江委員 石油天然ガス審議会の中間報告が提出されておるわけですが、その提起されておるそうした問題点及び結論に対して、通産省としてはどういうように受けとめて、どういう施策を今後とろうとしておられるわけですか。これはわが国大陸だなにも、石油等の埋蔵というのは相当問題になっておりますし、やはり一番早くそういう開発が進むと思うわけです。それだけに、一応代表として、その問題を聞いておきたいと思います。
  87. 成田寿治

    ○成田説明員 先生のおっしゃったPEACの中間報告案というのは、おそらく海洋石油開発における技術開発についてという、去年の十二月の中間報告の資料ではないかと思いますが、これは中間報告でございますが、技術開発の面からの審議をやりまして、意見が出されておりますが、それによりますと、一つは、海洋石油開発技術は非常に各分野にわたっておって、これをシステムとして把握し、計画的に開発する必要があるということになっております。われわれもこれを取り入れまして、さっき言いましたような第四次の石油天然ガスの五カ年計画開発計画というものをいま検討しておりまして、これが近くPEACの答申として出されることになっております。  それから二番目は、日本技術の現状と今後の必要にかんがみて、海洋開発エンジニアリング、あるいは探鉱、輸送、情報分析、試験分析の開発が緊急に必要と考えられ、こういうために中核的な機関を設置して、集中的に開発する必要があるということをうたっておりますが、この点につきましては、石油天然ガス関係技術開発をやるための中核体として、何か石油海洋開発技術センターというものが、あるいは公益法人でもいいのじゃないかと思っておりますが、そういうものをつくる必要があるのじゃないか。これはいま業界と関係当局とも相談して、特殊法人ではなくて、公益法人としての技術センターというものを結集しまして、そこで各業界の技術的な力を結集し、また海外との技術交流の窓口にもしたほうがいいのじゃないかというふうに考えておりますが、この点は、どういうかっこうがいいか、またどういう構成がいいか、具体的な点はまだきまっておらないので、現在検討中ということでございます。
  88. 近江巳記夫

    ○近江委員 現在の石油開発公団法、これでは要するに大陸だなの開発はできない。これを改正したいという意見がだいぶ強まってきておる、このように聞いておりますが、その辺の準備はどうなっておりますか。
  89. 成田寿治

    ○成田説明員 御承知のように、石油開発公団法は「海外における」ということになっておりまして、大陸だなも陸地の外だから、海外と読んでもいいのじゃないかというような意見も、検討いたしましたのですが、さっき言いましたように、大陸だなの鉱物資源は、日本の鉱業法の適用で処理できますので、これはどうしても、そういう面からしましても、やはり海外とは読めないという解釈をとっておるのでございます。したがって、大陸だなの石油なり天然ガス開発を積極的に促進するためには、何か公団の機能を使うということが必要ではないかというふうに考えられますが、公団法で読めないということになりますと、大陸だなもやれるように法律改正をやらないといけないというように、われわれは考えておりまして、さっき言いましたような大陸だなの石油資源開発に関する法律を準備しておるというのは、その大きな要素としては、開発公団の助成の対象に、大陸だなにおける石油天然ガス開発対象にし得るような道を開くということが、一つの大きな内容になっておりまして、この点は省内でまだいろいろ可否、あるいはそのやり方について検討中でございまして、まだ外に対してはさまったかっこうにはなっておりませんが、なるたけそういうかっこうで、積極的に取り組みたいと思っております。
  90. 近江巳記夫

    ○近江委員 それからまた、鉱業権の出願についても非常に明確でないように思うわけです。これは相当考えなければならぬ問題がたくさんあると思うのです。  そこで、その現状と問題点というものを、ここで簡潔に述べてもらいたいと思うのです。
  91. 成田寿治

    ○成田説明員 鉱業法との関係は、日本の鉱業法というのは、日本の国土、国内における鉱物の開発を主体として考えておりまして、最近のように大陸だなが対象になると、多少いろいろな支障の点が出てまいっております。  一つは鉱区の面積が、国内中心でございますので、一件ごとに小さな範囲で申請するということになっておりますが、大陸だなの石油天然ガスのように非常に広大な範囲を対象とした申請においては、何件も申請して非常に手数がかかる、あるいは金もかかる、そういう不便がありますので、鉱区面積の拡大というようなことも考えておるのでございます。  それから、鉱区税とか鉱山税等の税金の問題もありまして、これはいまは国内でありますので、府県等の地方団体に帰属することになっておりますが、非常に離れた大陸だなまで考えると、それは地方団体でいいのか、あるいは国がいいのか、というような問題もございます。  それから、いまの鉱業法では、試掘までは鉱業法の対象になってない、認可する必要がなく、基礎調査、試掘をやれることになっておりますが、実際に物理探鉱に、大陸だなの場合、二年近くも時間がかかります。まあいろいろそういう点がありますし、それから、現在の鉱業法では、日本法人であれば、ほかの要件が整えば、先願主義によって許可せざるを得ない立場になっておりますが、そういう鉱業権者の資格が、大陸だな石油開発についてこのままでいいかどうかという問題も検討事項の一つになっておりまして、この点も外資との関係等いろいろ問題があるのでありますが、この点は、われわれも、ちょっとどう考えたらいいのか、まだ結論が出ないで検討中でございます。  その他いろいろ技術的な問題はあるのでありますが、いま問題になっておるおもなる点は、鉱業法との関係では以上でございます。
  92. 近江巳記夫

    ○近江委員 おもな点をあかしていただいたわけでありますが、これはしかし、一つ一つ考えてみましても重大な問題だと思うのです。したがって、このまま放置しておるということは、国益においても非常にマイナスの点が出てくる。そういう点で、やはり早急に、考えておりますという段階ではなくして、当然これだけの要素があるわけですから、改正も考えなければならぬ、私はこういうふうに思うのです。その点、通産省として、関係当局ともよく連携をとって、早急にそれを進め、さらにその改正に押していく、こういう意思があるのかどうか、再度ひとつ確認をとりたいと思います。
  93. 成田寿治

    ○成田説明員 大陸だなの石油資源の開発の法律は、通産省としては、ぜひ来年の国会に提出したい、その必要ありというふうに考えておりますが、まだ内容については、いろいろ詰める点がありまして、科学技術庁なり大蔵省なりその他関係当局とは、まだ正式な協議をやっておりませんので、関係省と早急に、まとまり次第協議して、ぜひ今度の国会に出したいというふうに考えております。
  94. 近江巳記夫

    ○近江委員 時間がありませんからもう終わりますが、大陸だな条約が非常に大きな問題になってくるわけですが、要するに慣習法として考えていく、そこで鉱業法の問題についてはそのように改正をしていく、そうした場合、慣習法という考え方でいった場合に大きな影響はないか、あるいはこの際通産省としては、今後の大陸だなのそうした開発を考えていったときに、大陸だな条約に一日も早く加入してもらいたい——慣習法でいいというのか、早く大陸だな条約に入ってもらいたいというのか、その辺のところを、ひとつ通産省の考え方をあかしてもらいたいと思うのです。
  95. 成田寿治

    ○成田説明員 石油天然ガス開発の面からの、大陸だな条約加入の問題でございますが、さっき外務省の担当官が言いましたように、国際慣習法上、水深二百メートルまではその国が掘れるということが国際慣習上認められておりますし、それから各国とも、その国の鉱業法によって、大陸だなの石油、非鉄金属等についてはやっておりますので、条約に入って明確に条約化しなくても、支障ないというふうに考えております。  ただ、さっきお話もありましたように、たとえば韓国の大陸だなと日本大陸だなと、石油の申請が両方からいま出されておりますが、これがある地点ではダブっておる点も確かにあるのでございます。これをどうやって調整するかという問題、これは条約の問題——条約で、中間で線を引くとかあるいは何とかきまれば、それでおのずからなるのでありますが、おそらくそういう場合は、中国とか韓国との関係等は、その当事国ごとに外交交渉によって解決していかなければいけないのではないか、そういう面からしましても、画一的な大陸だな条約に入る必要は——入らなくても支障はない。競合する点は、個別的な外交折衝によって今後解決していただいていいのではないかというふうに考えております。
  96. 近江巳記夫

    ○近江委員 現時点として理解はできるわけです。しかし、これでいいというものではないと思うのです。したがって、その辺のところ、やはりもっと前向きによく、大陸だな条約の問題、あるいは領海問題、そうした隣国との問題等の問題を、もっとひとつ積極的に、関係当局が集まっていただいて、煮詰めていただく、これは大きな問題点だと私は思うのです。現時点としては一応理解はできるわけでありますが、そのように今後この問題を積極的に検討していく、こういう意思があるかどうか、その点をお伺いしたいと思うのです。代表で、やはり科学技術庁がまとめ役でありますから、局長さんに答弁していただきたいと思います。  これで質問を終わりたいと思います。
  97. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 ただいまお話しの大陸だな問題並びにその他の国際的な問題につきましては、従来からいろいろ問題があったわけでございますが、その点は、今回この答申におきましても、やはりそういう点に問題があるということが述べられているわけでございます。したがいまして、私たちはこの技術開発というものとは別の観点におきまして、やはりこの問題と真剣に取り組んでいきまして、国益を得るような方向で検討していきたいと思うのでございます。
  98. 近江巳記夫

    ○近江委員 これで終わります。
  99. 木野晴夫

    木野委員長代理 関連して齋藤憲三君。
  100. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 関連して、いまの近江委員の問題ですね、成田審議官。これは、きのうの日刊工業に、「大陸ダナの石油資源開発鉱区の重複表面化」という記事が出ておるのです。これは、韓国政府は、黄海から対馬海峡にかけて、領海を除く大陸だなを六区に分けて石油鉱区を許可しているんですね。それと日本の西日本石油というものの鉱区が重複している。それでこの問題が一体どうなるかということですね。近江委員お話しになったように、こういう問題が出てくると、ナショナルプロジェクトとしての大陸だな鉱区権というものは一体どっちにいくかという、非常に大きな問題が出てくると思うのです。これは慣習法で解決できるものが水深二百メートルということになりますと、日本は大体二百メートルということはきまるけれども、黄海から対馬海峡にかけてはずっと水深二百メートル以内になるのです。広範な地区だね。だから慎重に考えていただかないと、民間石油会社では解決できないのです。韓国政府日本政府で解決しなければならない問題になってきておるというようなことが書いてあるものですから、これは重大な問題だと思いますので、ひとつ慎重にかつ早急に結論を出すようにしてもらいたい。要望いたします。
  101. 成田寿治

    ○成田説明員 新聞に出ておりますように、確かに西日本石油が山陰沖でやっておる延長の地点で、シェルが申請しておるところと韓国が競合しておるようでございます。それから日本石油が東シナ海に申請を出しておりますが、長崎沖でございますけれども、これも若干競合する点があるのではないかという問題もありまして、その点は、業者の問題でなくて、国家間で解決しないとうまくいかないという点も、十分われわれも承知しておりますので、外務省にお願いして、両国間の話し合いで解決する機会を早く持ちたいということをお願いしております。ただ基礎調査なり物理探鉱をやっておる間は、具体的に鉱業権の調整というのもなくてもやれるのでありますが、試掘まで入りますと、どうしてもその調整が必要になってまいりますので、外務省を通して、なるべく早く両国間の外交交渉によって話し合いをするようにお願いしております。
  102. 木野晴夫

    木野委員長代理 次回は来たる七月十六日水曜日午後一時より理事会、午後一時三十分より委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時四十四分散会