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1969-03-01 第61回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年三月一日(土曜日)     午前十時五十九分開議  出席委員    委員長 石田幸四郎君   理事 小宮山重四郎君 理事 齋藤 憲三君    理事 福井  勇君 理事 三木 喜夫君       桂木 鉄夫君    二階堂 進君       増岡 博之君    村上信二郎君       井上 普方君    長谷川正三君       山内  広君    近江巳記夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      木内 四郎君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     馬場 一也君         科学技術庁研究         調整局長    石川 晃夫君         科学技術庁原子         力局長     梅澤 邦臣君  委員外出席者         科学技術庁原子         力局次長    田中 好雄君         科学技術庁原子         力局原子炉規制         課長      大町  朴君         参  考  人         (日本原子力研         究所理事長)  宗像 英二君     ――――――――――――― 三月一日  委員木野晴夫辞任につき、その補欠として二  階堂進君が議長指名委員に選任された。 同日  委員二階堂進辞任につき、その補欠として木  野晴夫君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  科学技術振興対策に関する件      ――――◇―――――
  2. 石田幸四郎

    石田委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  まず最初に、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  日本原子力研究所に関する問題調査のため、本日、日本原子力研究所理事長宗像英二君を参考人として、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 石田幸四郎

    石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定をいたしました。  なお、参考人からの御意見の聴取は、質疑応答形式で行ないますので、さよう御了承願います。     ―――――――――――――
  4. 石田幸四郎

    石田委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。三木喜夫君。
  5. 三木喜夫

    三木(喜)委員 最初委員長並びに委員各位によくお願いしておきたいと思うのですが、きょうは予算主査報告等があるということと、なおまた、予算委員会で問題になりました事項がかなり与野党の間で対立しております。そういう事態を踏まえてのきょうは科学技術対策特別委員会でございますので、大臣が出ておりません。しかしこれは今回限りにして例としないということにおいて、きょうは始めてもらいたいと私は思います。  私自身も、大臣がこの席に出てもらうことについて、いま予算委員会等理事と折衝して奔走してみました。しかし、いまの形の中ではちょっと無理だと思いますので、大臣なしにやるわけですけれども、これは例としないということにしていただきたいと思います。
  6. 石田幸四郎

    石田委員長 三木君よりいま発言がございました件について、その御趣旨を十分しんしゃくいたしまして、次回よりこのような形式にならざるよう、委員長において取り計らいたいと思います。
  7. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そこできょうは参考人がわざわざ原研のほうからおいでいただいております。  なお、原子力局長も、私たちがいまから御質問申し上げようといたしておりますことについて、急遽原研のほうにも調査員を派遣され、ゆうべも相当おそうまでかかってこの問題の処理に当たられたのですから、立法府からいろいろ要求し、あるいはまた御質問申し上げることについて、それはまだ調査中ですとか、あるいは、まだきめておりませんとかいうようなことで、答弁を糊塗するような態度で臨んでもらうことは、科学技術を主としておる官庁におきましても、なお当委員会におきましても、そういう態度で御発言になるようだったら、この質問は私たちはもうする意味はありませんので、そういう御態度であるかどうかということだけ、最初にひとつよく聞いておきたいと思います。  現在わかっておるだけにつきまして、十分誠意をもってこの問題についてお答えいただけるかどうか、ひとつ最初に念を押しておきたいと思います。
  8. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 もちろん私は先生方の御質問に対しましては、十分誠意をもってお答えいたしたいと思います。ただ、途中の段階で、いま先生おっしゃいました検査の問題でございますが、これは私も誠意をもってお答えいたしますが、お答えできない点があるかもしれません。その点、御了承いただきたいと思います。
  9. 三木喜夫

    三木(喜)委員 私がこういうことを申し上げるのは、科学技術庁にとっては非常に不名誉なことかもしれませんけれども、たびたびの原潜の寄港に対して、放射能調査等のモニタリングに対しましても、いままで非常に手違いが多かった。国民の疑惑が非常につのってまいっておるわけでありますし、さらに、阿賀野川の水銀中毒事件に対しましても、科学技術庁のとられた態度につきまして、私は非常に不満に思っておるわけであります。なおまた、いわゆる宇宙開発に対する技術協力の面に対しましても、あのジョンソン・メモについても、いままでそういうような態度があったことを非常に遺憾に思うのです。だから、きょうは大臣がおられたら、大臣所信表明の第一番に、私はそのことをただして、科学ということは真実を追求するのですから、その真実を追求するところの科学技術庁において、今後こういう政治に左右されたりするような非常にあいまいな態度をとってもらうことにつきましては、私は大臣にきびしく御忠告申し上げよう、こういうぐあいに思っておったわけであります。したがって、きょうもその一つの事例にまたぶつかるわけでございますから、そういう態度のないようにしていただきたいことを切に念願しながら質問をしたいと思っておるわけです。  それで、参考人としておいでをいただいておる原研理事長宗像さんには非常に失礼な言い分かもしれませんけれども、私たちはいままでそういう危惧の念を非常に持ったわけです。原研についても、あなたが理事長のときではありませんけれども、いままでこういう問題についてわれわれもずいぶん危惧の念を持った点がたくさんあります。したがって、最初に、失礼ですけれども、これは科学技術庁に対してですが、こういう念を押さざるを得なかったわけです。  そこで質問に入ります。原研の問題につきまして、二十六日、二十七日と相次いで衆議院の予算委員会分科会、それから参議院社会労働委員会で、わが党の石野久男委員参議院上田哲委員によって質問がなされております。  石野氏の質問は主として、原研において、燃料棒を中心にして現に故障が起こっておるのではないかということ、それから、上田哲君の質問は、そういう真実国民にも知らす、いわゆる自主、民主、公開原則で、そういうことをわれわれは知らしてもらいたい、知りたい、こういう観点に立って、このことが知れたということについてのトラブルもあったようであります、そのことに対する問題と、それから、こうした問題のある原子炉を使って米人の脳腫瘍治療に役立てようとしておる、このことに対する質問がなされておるわけであります。  この二つの質問を私は踏まえまして、はたして原研にはそういうことがあったのかなかったのか、この真実を知りたいわけです。そこで科学技術庁は、この問題の調査に、立ち入り検査として調査員を派遣されておるのですから、その実際見てこられた状態をひとつ知らしていただきたいと思うのです。すでに新聞においては、ここに私の切り抜いておる記事だけでも、相当そういう事実が明らかになっておるわけです。だから、この範囲内で答弁してもらうことは新聞以外に出ておりませんから、この科学技術対策特別委員会では意味がないことであります。これをもとにして、実際見てこられてどうであったかということを、ひとつ御説明いただきたいと思います。
  10. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 今度の調査につきましては、実は去年の十二月――これは大体年に一度各炉の調査をいたします。その関係で去年の十二月に行きましたのですが、ちょっと見残しがございまして、途中に予算がありましたので、見残しをたしか一月に少ししております。それで、そのときの調査に基づきまして、われわれのほうではやはりもう一度近く検査しておいたほうがいいのではないかという考え方でおりまして、二月の末に検査に参ったわけでございます。  いま先生がおっしゃいましたその検査内容についてでございますが、これにつきましては、実はきのうの五時過ぎに検査員が帰ってまいりまして、ゆうべ徹夜でまとめておるわけでありますが、私はちょっと会っただけで、全体のことはまだ聞いておりません。しかし、先ほどのこともございますし、実はまだ大臣にも御報告してないわけでございますが、一応私自身感じと申しますか、ところで申し上げますと、新聞にも出ておりましたが、破損燃料検出装置、ここに異常があるとかあるいは故障があるということが出ておりました。これについては、その一部に感度が鈍っているところがあるというようなことが感ぜられます。  それから、もちろんいままで運転している間にいろいろな異常と申しますか、現在のところ私のちょっと聞いた範囲におきましては、法的な根拠における故障事故というようなところは感ぜられません。ただ、運転の間におきまして、平常より異常があったというところはあるように見られます。  ただ、その内容のこまかい点はどうかということは、この次、報告ができ次第、また御報告させていただきたい、こう思っております。
  11. 近江巳記夫

    近江委員 関連。  いまの局長の御報告によりますと、われわれが聞いておるそういう範囲を出ておらない。われわれはもっと期待をしておったわけです。いまの御報告ですと、一体それじゃどこがほんとう原因であるかということがわからぬわけです。先ほどの御報告によりますと、一つ装置自体が非常に疑問である。あと燃料棒自体の問題という点があるわけですが、その辺のところをあなたが検査員から御報告を受けられたのを、もう少し突っ込んだ報告をしていただきたいと思うのです。どこにおもな原因があったか、ばく然としておる。
  12. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 まことに申しわけありません。ほんとうのところ、ゆうべ報告をつくっておりまして、いまここで、どこの場所で、どこのところに事故があった、あるいはどこに異常があったというところのことを、はなはだ申しわけございませんが、申し上げられない。事実、私、まだはっきりと検査官から聞いておりませんので、その点、御了承いただきたいと思います。
  13. 近江巳記夫

    近江委員 そうすると、事故はどことどことどこにあったのですか。もう少しその辺を詳しく報告してください。
  14. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 私がいま自分なりにはっきりとここにあったのではないかと思っておりますのは、先ほど申し上げました、燃料が中でちょっとでも破壊すれば、それを検出する装置がございます。その装置感度の鈍いところが一部にあったというところが確かにあるのではないかということは、私も感じております。
  15. 三木喜夫

    三木(喜)委員 原子力局長態度の問題をわれわれが論議しなければならぬというほど情けないことはない。あなたのいまの御答弁は何か一つのワクの中へはまってしまって、それ以上言うたらいかぬぞというようなかっこうの中で事が処理されておる。それならあなたは、責任ある立場でこの国会に御答弁なさる態度ではないと思う。いまもお話を聞いておりますと、ことばじりをつかまえて悪いですけれども、私がちょっと聞きますところによると、ちょっとやそっと聞いた話じゃない。あなた、ゆうべ五時ごろまでやったとかいうことですから、相当聞いておられるはずなんです。それを概括してみると、こういうことだった、あまりたいしたことはないということを言いたいんだろうと思いますけれども、それではこの科学技術対策特別委員会におけるところの審議の材料にならぬわけです。近江君はいまそれを言いまして、そういうことでは何もわからぬじゃないかということなんです。いままで行って見てこられて、何を科学技術庁の中で話し合いをされたか、報告を受けられたか、こういうことにならざるを得ぬと私は思うのです。見てこられたのですから、もう少し突っ込んだ御報告をいただきたいと思います。しにくかったら、私は一つ一つ聞きたいと思います。
  16. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 先生、私、ほんとうのところを申し上げますと、きのうの五時の汽車で戻ってまいっております。それで……。
  17. 三木喜夫

    三木(喜)委員 あなたが帰られたのですか。
  18. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 いや、向こう現地から。現地から帰ってきたのが、こちらの前の安全審査、それから審査会を通したそれと合わせまして、ゆうべ徹夜で作業しているわけでございまして、その作業のものとけさちょっと私は確かに会いました。しかしそのときに作業する間に実は入っておりません。連中ほんとう自分で満足する報告――報告というかわれわれに報告する内容をつくれ、こういうことで、ゆうべ連中内容をつくっております。もちちんその間に、こういうこと、こういうことという一応耳にしましたのを私が大体感じまして、それでいまのところ、確かにやはり一番心配しておりました破損燃料検出装置、この一部にあるのではないかということは私も十分察しました。  しかし、あとの異常の問題がどの程度あったか、それはいろいろいわれておりますが、その異常の問題につきまして、どの個所でいつごろあって、それがどういう原因で出てきているのかということについては、まだ全く私も存じておりません、したがいまして、その点については、きょう実はこの会議が終わりましてから、できますれば三時ごろまでに私たちのほうは、どうしても発表のこともございますし、その関係でまとめたい。何とかきょうの夕方までにはまとめる努力をしたいというのが現在でございます。
  19. 三木喜夫

    三木(喜)委員 局長、おかしいじゃないですか。あなた、どこに発表するのですか。世間に発表するのですか。新聞発表するのですか。その発表するところを言うてください。ここも一つ発表場所ですよ。なぜ、きょうこの時間までに、わかっておるところまでまとめてくれなかったのですか。言うならば、あなたはちょっとだけ聞いた、彼らがまとめおるのだから、委員会には間に合わないんだ、新聞記者発表に間に合うようにしたいんだ、こういう意味で、この委員会をあなた方全然眼中に置かぬ答弁ですよ、その言い方は。
  20. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 いまの発表というのは確かにあれでございます。実は大臣報告を早急にしたいと思っております。それによって発表するわけでございますが、しかし大臣への報告はまだしておりません。私のほうで、少なくともいま事務的には、三時ごろまでには何とか大臣にこういうことだということを申し上げたいという考え方で進んでいるところでございます。それで、できればきょうの夕方までに、どこにでも発表できるような、あるいはだれにでもものが言えるような形にしたいということを、いま発表ということばで申し上げたのですが、申しわけございません。
  21. 近江巳記夫

    近江委員 ちょっと逆戻りするようですが、先ほど三木委員のほうからも、あなた方のそういう態度についての御指摘があったわけですが、私はもっと前にさかのぼって言いたいのです。大体、こういう燃料棒破損にしても、こういう事故についても、昨年からこれはずっと起きていることです。内部の機関誌にもそういうことは載っている。全然あなた方は知らなかったのですか、こういうことが国会で論議されるまでは。その点はどうなんですか。
  22. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 燃料破損が四月から起こりまして、その一部の問題につきましては原子力学会で十一月に報告しております。そういう破損燃料のことがございます報告は逐次聞いておりまして、その関係も一応考えましたが、先ほど申し上げました十二月に炉の一般的調査をいたしております。この破損燃料そのものについての問題につきましては、破損があった、どうのという公表といいますか、正式の場の公表というのはいたしておりませんが、そのつど必要に応じ聞かれたものには、堂々と出していたわけでございます。
  23. 近江巳記夫

    近江委員 それだけあなた方がキャッチをされておって、その問題に対して真剣に取り組んでいたという熱意は私は感じられない。しかも、少なくとも原子力基本法には公開原則が述べられているわけです。いままでだって、当然本委員会においても、あなた方から、現在こういうような事故が起きているということを申し出て、報告すべきですよ。しかも、検査員を立ち入らした、それだって、国会で追及されてから行かしておる。あわてふためいておる。もういままでの原潜の入港のときの異常放射能の問題だって、そうですよ。すべて指摘されてから周章ろうばいして、大急ぎで、ことばだけでつくろっておる。そういう根本的な姿勢じゃないですか。どうなんですか。その基本的な態度について。
  24. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 タイミングとして、確かに、検査に行きましたのが国会の論争中になりましたことは、まことに申しわけないと思っております。先ほど申し上げましたように、去年の十二月に、立ち入りではございませんが調査として燃料関係もございますので、見に行ったわけでございます。そしてその様子から、この二月の末ごろにもう一度立ち入り検査をしたほうがいいのじゃないかというのがわれわれのほうの幹部の考え方でございました。それで、その考え方が少しおそ過ぎて、ちょうどぶつかってしまって、できれば二月の初めにやっておけばそういう誤解を生じないでよかったのでございますが、私たちのほうはそういう予定で実はやっておりました。そこにはまた脳腫瘍の問題が出ましてあわててやっておるという感じも確かに出ておりますが、実際的な考え方は実はそういうことでございます。  それから、いまの燃料破損の問題につきまして、私たちがいわば隠していたといいますか、そういうことは絶対――私になりましてからは、隠していたつもりはございません。よろしくお願いいいたします。
  25. 三木喜夫

    三木(喜)委員 官房長おいでになっていますね。  いま原子力局長からお話を聞きますと、急遽調査に行かれた。それは前からの予定だったかどうかということは、これはいろいろ言い分があるでしょうが、そのことをいまとやかく言ってもしかたがありません。調査に行かれたですね。そして私がこの質問をするということで通告したのは、きのうです。いま原子力局長お話では、大臣に話がしてない。この委員会があることも大臣御存じのはずであります。予算委員会がこういうことになっていなければここに来られる責任が大臣にあるわけですね。その大臣にこういう重要な問題について――あなた方は重要でないかもしれませんが私たちは重要だと思うのです。皮肉な言い方で申しわけありませんけれども、重要だと思っておることを、大体こうでしたということを、調査員が行ってきたことの報告もまだされてないのですか。大臣に言ってないから私は言えませんと局長は言われましたが、官房長、そういうように、大臣にこんな話も何にもなさらないで、この委員会にあなた方臨んでおられるのですか。そこだけ聞きたいのです。官房長、答えてください。
  26. 馬場一也

    馬場(一)政府委員 原子力担当官現地に参りまして、それでいま局長から申し上げましたように、きのうおそく帰ってまいりまして、その整理をいたしまして、上司である局長自身が、ただいま申し上げましたように、まだ全貌について詳しく報告を受けておらない、こういう状況でございます。局長といたしましては、当然、担当官整理いたしましたものを、ただいまの話によりますと午後三時までに整理をして、それで、庁内のことでございますから、当然大臣報告をまとめて申し上げる、あるいは原子力委員会にも御報告を申し上げる、こういう手続になるだろうと思いますが、時間的な関係でまだそういう段階で、たまたまこの委員会が時間的に……
  27. 三木喜夫

    三木(喜)委員 たまたまじゃないですよ。
  28. 馬場一也

    馬場(一)政府委員 たまたまじゃありません。時間的に申しますと、この委員会が午前十時から開かれることになっておる、こういう関係もあると思います。したがいまして、もし、きのうじゅうに局長のところに整理のできた報告があってこの委員会が開かれておれば、これはいま先生の御質問のように、時間的に、大臣報告申し上げる前でございましても、この委員会で御質問があれば、局長としてこういう事項大臣に申し上げるつもりであるということをこの委員会で申し上げることは、私は当然であろうかと思います。ただ時間的に、局長自身がまだ全貌担当官から十分整理をして聞いておられない。したがって、局長としてはまだ大臣報告するに至っておらないということでございます。したがいまして、大臣報告するといなとにかかわらず、同じことでございますので、この委員会にも、いま局長が申し上げました限りのことを、局長誠意をもって答弁しておるのじゃなかろうかと私は思います。
  29. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 実は、先生に答えたと同じことを言って、けさ私は大臣からしかられております。それは、早く報告できないかということを大臣から言われております。  それで三時までと先ほど申し上げたのですが、実は初めの予定でいきますと、約一日で検査できるのではないかということでこの予定を組んでおりました。ところが、その後いろいろな検査が続きまして、実は予定より約半日以上おくれてこっちへ帰ってきております。そういう関係で、土曜日にこの委員会があるのではないかということを私たちも予想しておりまして、実はそれを考えておりましたのですが、何しろきのうの朝あるいはお昼ごろまでに帰ってくるということでやっていたのですが、どうも向こうの調べがおそくなりまして、五時過ぎということになってしまったわけでございます。その関係で、ほんとうに満足な御答弁ができず、またけさ大臣からもどうなったんだ、早くせいということで、大臣にも、ちょっといますぐどうということは言えませんということであやまりました。実は向こう関係が終わり次第、大臣にも何とか報告できるようにいたします、こう言っている状態でございます。
  30. 近江巳記夫

    近江委員 われわれは本委員会において釈明を――あなた方の立場はわかります。状況はわかりますが、しかしその釈明だけを受けて、それでわれわれは引き下がるわけにはいかぬわけですよ。昨年の四月から事故が起きて、先ほどあなたが答弁なさった、昨年末にも調査に行かれているわけです。今回の事故は、初めて突発的に起きた事故ではないわけです。全部一連の同じ原因から発生していると私は考えている。そうすると、昨年末にあなた方厳密に調査しているはずだ。その原因と今回の原因は、おそらくこれは、こまかな点においては差異があるにしても、私はほぼ同じだと思う。そのときの調査結果と、また今回のこともからみ合わせて、それをもっと詳細に報告してもらいたいと思う。
  31. 三木喜夫

    三木(喜)委員 近江君がいま要望いたしましたように、局長並びに官房長のほうでわかっておる範囲は、できるだけいま説明しましょう。ことによれば調査員をここに連れてきます、こういうことを約束できますか。こんなこんにゃく問答みたいなことを幾らしておっても、これは意味がないかもしれない。国民はもう何にもわからされていないわけです。国会を通じて国民に知らすんですよ。あなた方誤解しているかもしれませんが、新聞発表することが、これが国民に知らすことだ、こういうように即断されては困りますよ。新聞も非常に必要ですよ。しかしながら国会は、そういう公的立場に立って、原子力安全性とかあるいは平和利用とかいうような問題をやらなければいかぬのですから、それを通してひとつやりたいと思うのです。それをきょう約束していただけますか。これを特別に報告人としてここに呼んで、そしてその報告人にやらす。向こう報告書をつくること、これが主体じゃないですよ。大臣とよくそれを相談してみて、これで済まなければ、与党の諸君も、きょうはそんなばかな報告だけなら承知ならぬという、こういうように私たちが言うことには賛成だろうと思う。どっちが大事なんですか、報告書をつくって形を整えるということと。いま局長なり官房長答弁なさることにわれわれが満足すればそれでいいですよ。こういう新聞に書いてある以下の発言を口を閉ざしてやるようなことなら意味ないですからね。  それから話を聞きますと、脳腫瘍の患者は、すでに頭を開いて、そうして治療を受けるべくいま待っておるような状況のようです。東大では現にそういう準備が整えられておるようであります。そういう緊急事態のときに、書類が整わぬとかなんとか言うておっては、私たちの心配したのと逆比例した措置なんであります。  委員長、これをどうしてくれますかね。こんなことでは困りますので、知り得ておるところは言って、言えないところは、そういう調査に行った者を呼んでくる、そうでもしてもらわなければだめですよ。いま東海村から原研理事長が見えておりますので、原研理事長から聞きたいと思いますけれども、原研理事長は、主として自分のところですから、あまりそういうことは言いたくないのが心理ですから、私はお聞きしたいのですけれども、あなた方の態度がはっきりしませんから、聞けないのですよ。だから、これはちょっと申しわけないけれども、あとに待っていただいて、まず、あなた方の態度からひとつ確立していただきたい。
  32. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 実は先ほどのようなもので申しわけございません。いま調査員を呼べというお話でございますが、一応立ち会って話し合いをしております規制課長が来ておるのです。規制課長の知っている範囲内でおっしゃれということなら、できると思います。ただ、規制課長個人としてのお話として実はお聞きいただきたいと思います。私たちはやはり一つの総まとめという考え方からいきまして、それから法律的な問題との関係、そういう点がまだ残っておりますので、この点をお含みの上でお願いしたいと思います。
  33. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そうすると、規制課長は立ち入り検査には行かれたのですね。
  34. 大町朴

    ○大町説明員 私は行っておりません。行っておりませんけれども、きのう帰りました職員に、短い時間でございますけれども、ごく簡単に話を聞きました。あとまとめてくれと言ったわけでございます。
  35. 三木喜夫

    三木(喜)委員 それなら局長と同じことじゃないですか。ごく短い時間というその短い比較はできませんけれども、局長には何分だったか、あなたには何十分だったか、私はその比較はできませんけれども、抽象的なことばを聞くと、ごく短い時間なら同じことで、なぜその人にやらすのですか。やはり局長が言うのも同じことじゃないですか。
  36. 大町朴

    ○大町説明員 局長よりも私のほうが詳しく……。
  37. 三木喜夫

    三木(喜)委員 どれだけ聞いたのですか。時間を言うてみてください、そんなあいまいなこと言わぬと。
  38. 大町朴

    ○大町説明員 まず三十分から一時間、ちょっと時間をはっきり覚えておりませんけれども、どうだったということで、ぽんぽんぽんぽんと、こう聞いたわけでございます。それで、あとはまとめをやってくれということで、そばにはおりましたけれども、これはあまりごちゃごちゃやりますと、何かひっくり返しておりますのにじゃまになりますものですから、ずっとついてはおりましたけれども、実はそんなに詳しくは申し上げかねるということでございます。ただ、局長よりも私のほうが知っておるということは確かでございます。
  39. 近江巳記夫

    近江委員 課長さんにいまからそれを、報告を聞かしてもらいますけれども、ことばのニュアンス、ことばじりをとらえるわけじゃないですけれども、ぽんぽんぽんと、いかにも簡単に聞いたような感覚をわれわれ持つわけでです。少なくともきょうは科学技術特別委員会があるわけですよ。担当課長として――きょうは局長さんも来られているから、課長さんのあなたに言うのはおかしいと思いますけれども、そういう点自体に、こういう安全性ということ、国民が一番心配していることを、あなた方がもういいかげんな感覚で受け取っておる、そういうことを感じるわけです。ですから、いまから答えることについては、報告なさることについては、ひとつまじめにやってもらいたい、詳細を報告してもらいたい、そのように要望しておきます。
  40. 大町朴

    ○大町説明員 ことばがまず不適当であったというおしかりをいただきまして、それにつきましてはおわびを申し上げます。決していいかげんなつもりではございませんので、御了承をいただきたいと思います。  私がいま申し上げられる範囲でこれは申し上げるということでございまして、あるいは御質問内容に十分お答えできないこともあるかとは思いますけれども、一応簡単に申し上げます。  先ほど局長破損燃料の検出器の性能といいますか、破損燃料の検出器の感度が少し落ちておるようだと申し上げました。これはやはり私が聞いた感じでも、大体そのようでございます。  これは詳しく申し上げますと、そもそも、この破損燃料検出装置といいますものは、重水――ちょっと話がごたごたしまして申しわけございませんが、天然ウランの燃料、これは被覆に入ったものでございますけれども、それが重水の中に入っておるわけでございます。この重水は循環いたしております。この燃料が入っております重水を取り出しまして、それを調べるというのが、この検出装置でございます。  感度が落ちておるといわれておりますものは、どういうふうなものかということをもう少し申し上げますと、これは被覆に穴があきますと、そこから核分裂生成物のうちのガス状のものが出てくるわけでございます。このガス状のものが出てくるのを、重水にまじって出てくるわけでございますけれども、それをさらにヘリウムというガスに乗せまして、これはキャリアといいますか、運ぶ役割りをさせるわけでございます。それをそれに乗せて運んでまいりまして、そしてその運んでまいりましたものの放射能のカウント数を調べる、こういう方法でございます。  それから実はもう一つ方法がございまして、これは重水そのものの中に、これは遅発中性子と申しますか――ちょっと話があれになりまして恐縮でございますけれども、そもそも核分裂いたしますと、核分裂する際に中性子が何個か出るわけでございます。大部分は、核分裂の瞬間に中性子が出てまいるわけでございますけれども、少しおくれて出てくるものがある。それをやはり引っぱり出してつかまえよう、こういう方法でございます。  この二つの方法があるわけでございまして、その感度がよけい落ちておるといわれるものは、特に、先ほど申し上げましたガスをつかまえる方法のものであるということでございます。  と申しますのは、これは運び役をしておりますヘリウムの、これはもともと放射能を多少持っておるものではございますけれども、この放射能が少しレベルが上がっておる。したがってその差を見つける、その差の見つけ方が少し鈍くなる、こういうことでございます。そのガスをつかまえる方法は、一たん別々にそれぞれの燃料から取り出しましたチャンネルは、検出器のところを通り過ぎますと、その重水がまたもとの原子炉に返っていくわけでございますから、長い時間がたちますと、これはどのチャンネルがどうだというのがだんだん見分けがつきにくくなるという性質もございます。  そこで、この遅発中性子というのは、それと違いまして、そんな長く出続けるものではございませんので、幾らぐるぐる回っても、とにかく破れたチャンネルをよく見つけるという、そういう特徴があるわけでございます。こういう状況である。  これはどういうことかと申しますと、やはり皆さま御存じのとおり、燃料破損があったということ、そして破損があったということによってヘリウムとかそういうもののレベルが上がっておるということで、感度が落ちておるということでございます。やはり一時その燃料破損のあった直後など、ほかのときに比べますと、そのときはやはりレベルが上がるわけでございますけれども、それに比べますと現在はだんだん落ちて、だんだんもとの状態に復しつつあるということを申し上げられるのじゃないかと思います。  こまかい数値をちょっと申し上げかねますけれども、大体そういうことでございます。
  41. 三木喜夫

    三木(喜)委員 それで、そのチャンネルが、二十四チャンネルのうち何チャンネルですか。それはもうあれが言うことを聞かなくなってばかになってしまった、こういうようなことをいわれるのですね。検査されたら、そういうものがどれだけあって、どうだったかということ――いま機能の説明をされたのですが、そういうことについて報告があっただろうと思うのです。いまのようなお話なら、ちょうど毎日新聞の二十何日ですかな、これにちゃんと書いてあるのですね。「破損燃料検出装置の一部は無力 検査でわかる」「二十七日に立入り検査を行なったが、二種類ある破損燃料検出装置一つが、じわじわと起こる燃料棒破損には無力であり、信頼できないことが、明らかとなった。同炉には、もう一つの別の検出装置があるため、正常運転はなんとか続けられるという。」正常運転は何とか続けられる。そこはどうですか。何とか続けられるのか。それが何個痛んでおったかということ、それはここで聞かなければならぬ問題点ですよ。
  42. 近江巳記夫

    近江委員 それから、検出器のことばかりあなた報告されておりますけれども、燃料棒自体どういうような破損があったか。この燃料棒自体も、最初はカナダのAMF社製のものを使っておりますが、それから国産のに切りかえてこういう事故が起きている。しかも、あなた方、この報告の中にこれが入っていないというのは、何かどこかに遠慮するところがあるのですか。これはないなら、燃料棒のどういうところがどういうぐあいになったか、燃料棒自体報告ももう少しなさったらどうですか。
  43. 大町朴

    ○大町説明員 申し上げます。チャンネルの話でございますが、これは一つのチャンネル、それはガスをつかまえるほうでございます。一つのチャンネルは、これはもうとめてあります。と申しますのは細いパイプで検出器のところまで運んでくるわけでございますが、ちょうどそのガスを検出するところのパイプがおそらくよごれておりまして、そしてこれが結局そのままの状態になっておるということで、結局それはとめておるということになっておるようでございます。そういうふうなものは、これ一つだけでございます。  それから、何とかなるということについてでございますが、これはもう少し検討してみませんと、私もはっきりしたことを申し上げかねますけれども、遅発中性子をつかまえるという方法をもともと併用しておるわけでございますけれども、ガスをつかまえる方法のところでは、特にここは念入りにやるということであれば、破損燃料の検出というのはまあやっていけるんじゃないかというふうに考えております。ただ、これはもう少し私自身検討させていただいた上でないと、実は何とも申し上げかねるという、単なるこれは感じの問題でございまして、そういう意味ではたいへん申しわけないと思います。  それから破損燃料のことにつきましては、これは取り出しましてもすぐ必ずしも調べられるというふうにならないわけでございます。これは原子炉の中に長い間つかっていたものでございますので、取り出してからしばらく冷やさなければならぬということでございます。そういう意味では、原因を究明するというのが、燃料そのもののよしあし、燃料そのもののどういうところに問題があったかということを究明するというのは、相当時間をおいて検討した結果でないと言えないのではないかというふうに思います。現在やはりまだ冷やしておるものがあるようでございます。
  44. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 近江先生燃料の問題でございますが、確かに去年の四月に一本燃料の悪いのが出ております。それで現在は燃料の使い方としまして大体平均三百メガワットまで使う。六百メガワットまで使おうという考え方で初め進んでおりましたが、いままでの燃料関係から見ますと、その半分くらいの程度まででは異常が起きておりません。したがいまして、いまのところ半分までのところで使っているという現状でございます。それで全体として燃料で一本ずつ悪いところが出ておりますが、これが合わせますと約七本というのが悪い。それから疑いを持つものが三本、大体十本のところがいま燃料としては問題となっております。これはいままでに四月からのデータとしては、そういうふうな状態でございます。
  45. 近江巳記夫

    近江委員 少なくとも昨年の四月にそういう事故が起きておる。燃料棒がそういう破損をするということは、これは重大な問題ですよ。少なくとももう十カ月ですか、一年近くきているわけでしょう。今回これだけ問題になって、それからまた調査するのだ、そんなばかなことはあるわけがないと思うのです、ぼくは。少なくとも破損した事態において、これだけの一年近くの間、燃料棒自体についても調査をされてきているはずですよ。どういうわけでそういうような穴があいたり、また、どういう形かそれはわかりませんが、どういうわけで破損したか、もう少し科学的にお答えになったらどうですかね。
  46. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 もちろん、四月から燃料破損が出ました。したがいまして、さっそくその燃料破損についての検討会をつくるということで、現在検討会をつくっております。ただ、燃料の中には、新聞ではよくアルミ被覆管の割れということをいわれておりますが、そのほかに、中の燃料要素そのものにもリンクリンクといいますか、しわといいますか、そういうものがあるというデータが出ております。ただ、その関係が総合的に、ほんとうにどこに原因が究明されるのかということを、専門家を入れました検討会をいまやっておりまして、おそくもこの八月までには、燃料そのものの問題についての検討を十分済ませたいということでいま進んでいるところでございます。  その間、炉を動かしているのはどうかということが一つございましょうが、その点につきましてはいままでの実験から、大体半分の燃料要素、まあ予定の半分で燃料を入れかえるというところでは異常が出ておりませんので、そういうやり方を現在進めているというのが現状でございます。
  47. 井上普方

    ○井上(普)委員 関連。ちょっとお伺いしたいのですが、お話を承っていますと、どうも私、職員抄録を実は拝見してまして、局長さんなり課長さんなりが技術屋さんかどうかということを調べたのです。あなた方のお話を聞いておりますと、どうも科学的なお話をやっておらない。まことに抽象論でやられておるように聞こえてならないのです。私も実を言いますと、そちらのほうにちょっと頭を突っ込んだこともございますので、もう少し的確にひとつお答えを願いたいのが一つ。  それから、局長さんのお話、先ほどの昨年の四月の事故を現在調査中である、八月でなければ結論が出ないというようなのは、どうも最先端の科学をいっておるこの原子力問題について、少し怠慢ではないかと思うのでございます。といいますのは、どんな事故が起こりましても、一つのことを調べるのに、事故が起こっておるというのに一年と四カ月もかかるというようなことは、科学の世界においては考えられないと思うのですが、この点どうでございますか。二つの点をひとつお答え願いたいのです。
  48. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 四月に起こりましてから、その燃料を引き抜きまして、それのデータをとるというのを原研でやりました。それにはやはり十センチぐらいに全部切りまして、それで全部中身を見るわけでございます。そしてそれを見て、十一月でございましたか、検討会というものを正式に開きました。そうして十一月から検討会をやっておるのでございますが、いろいろ、国産第一号炉として最初の日本の燃料でございます、つくったのは。一番最初の日本の燃料としてつくられまして、もちろんその前に会社にはわれわれのほうから燃料研究に対する委託費あるいは補助金、こういうもので燃料技術の養成をやっておりました。それでつくりまして、ところがこういう結果になりましたのですが、それについての検討をいたしまして、この次につくります燃料というものは絶対だいじょうぶという形にしなければなりませんので、そのごく精密な検討を進めておるわけでございます。おっしゃるとおり、その時間をなるべく早くしたいのでございますが、いろいろ、なかなか研究的要素が、調べるところに入っております。そういう関係でおくれていることは申しわけないことだ、こう思っております。
  49. 井上普方

    ○井上(普)委員 いまのお話を承りましても、四月の事故を十一月から検討会を始めるというのは、どうも反応がおそ過ぎると思うのです。何ですか、燃料棒を冷やすのに、そんなに半年もかからなければ冷えない問題じゃないでしょう。これは事故が起こったならば、おそらく私らの常識からすれば、一週間や十日くらいすれば直ちに調査が始められるはずなんです。そして検討会も、データをそろえるのは、それは時間がかかりましょうけれども、あなた方は少なくとも最先端の研究をやられておるのでございますから、そんなのんびりしておったのでは、おそらく世界の水準にまで日本の原子力研究それ自体が達し得ないのじゃないかという気もせざるを得ないのですが、どうでございますか、局長さん。
  50. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 私が聞いておりますのは、もちろん一本出ましたのは四月でございまして、それから順次現在まで、先ほど申し上げました七本が出ておるわけでございます。その関係から、もちろん一本だけのデータだけでどうするかというところから始まっておりますが、やはり一本だけでなくて、総合的の個所ということも見ていきませんと、その点においては非常にむずかしい点があるのじゃないか。決して原研のほうでその点を引き延ばしてゆっくりとやっておるということではない、そう存じております。
  51. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 関連して、議事進行を加味して質問をしたいと思うのです。  いまの質疑応答を拝聴しておりますと、やはり燃料棒故障というものに対するはっきりした認識がないと、なかなか質疑応答が進んでいかない、こう思うのです。私、新聞を読みましたところによりますと、燃料棒はアルミニウムで被覆されている。普通の概念からいくと、ジルカロイで被覆されているというのが常識でありますが、それをアルミニウムで被覆しているために故障を生じたのか、あるいは、その被覆されているところの燃料そのものの調製が不均一なために、ある個所でもって核分裂が早まった、瞬間的な暴走というものが行なわれたために被覆物が破損されたのか、あるいは被覆されておるところのアルミニウムに亀裂があったために放射能が強く漏れて、これが燃料棒破損ということになったのか、また、その破損というものを見つけたとしても、これを取り出して検査をするのに、はたしてそんなに簡単に検査ができるのかどうか。大体燃料が核分裂をしている過程におけるところの状態に異変を生じたために、それは燃料棒破損という結果が出てくるのでありますから、その炉から取り出したところでどういう検査方法があるのか。ですから、そういうことがはっきりしないと、やはり去年の四月に故障が起きたものをまだまごまごしているのかというような問題も起きてきますし、私はその点がはっきりしないのです。ですからそういうところをもう少し根本的に、燃料棒というものの状態、それから普通の被覆物を通してガンマ線、アルファ線、ベータ線というものは私は漏れないと思うのです。漏れてくるのはニュートロンだけが漏れてくる。だから、どういう状態において破損と認められたのか。これは非常に重大な破損であったかどうか。そういう点をもう少しわかりやすく説明をしていただくほうが、どうも質疑応答の速度が早まるのじゃないか、そう思います。ですから、もう少しそういう根本的な、燃料棒破損と称せられる状態、並びにこれを検討する方法、そういうようなことを簡単に説明していただくと、傍聴している私のほうは非常にわかりやすくなる。また、一般的にもわかりやすくなると思いますから、そういう点、だれかうまく説明のできる人がいるだろうと思う。田中次長でもひとつ……。
  52. 三木喜夫

    三木(喜)委員 ちょっとそれに関連しておりますから……。齋藤さんの議事進行、ごもっともだと思います。それで私、質問整理したいと思います。  いま局長は、破損されたのが七本、そして疑わしきは三本、こういうことなんですが、それではその七本を炉心孔と、その燃料棒の番号と挿入日と検出日、それからそれがトン当たり一日のメガワットの計算がどれだけにいくか、これはいままでのデータでは、われわれが知り得ておるのでは炉心孔十三、二十一、十二、三十、番号は二千二、二千五、二千一、二千十七、この四本ですが、その上にまた三本加わっておるようなのであります。そうすると、われわれが知り得たよりもまだ燃料棒破損の疑いがあったり破損しておったということになるのですね。そういうことから整理してやっていただいて、そして齋藤さんの言われた問題点はここだということをひとつ言っていただきたいと思う。
  53. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 いままで私たちのほうでデータで持っております炉心の破損のあった燃料でございますが、いま先生がおっしゃいましたナンバー十三、二十一、十二、三十、それから四十一、そのほかに二十八、それから四十四。それが破損でございます。それから疑いのあると考えておりますのが六十三、六十四、七十でございます。  それから、いまの齋藤先生のご質問につきましては、田中次長から……。
  54. 田中好雄

    ○田中説明員 燃料棒は天燃ウランを使っておりまして、それにアルミの被覆をしておるわけでありますが、照射をしてまいりますとフィッションガスが出てまいりまして、それがアルミの管の中に充満してくるといいますか、たまりますが、これがアルミの被覆が悪いと、そのところで亀裂を生ずる。それで出てまいる。こういう形になるわけでございます。  それから一つは、そういうアルミの被覆をしました管の間に重水が通る管を一つつけてありますので、取り出しますときは一緒に取り出してしまいます。すぐそれを、どこが悪いかということが見れませんので、一応ポンドに入れて冷却をしましてから、ホットラボへ回しまして、その個所を切って中を取り出して調べる、こういうやり方をするわけでございます。
  55. 三木喜夫

    三木(喜)委員 だいぶ実態が明らかになってまいりました。それくらいいままで調べられておるような点もあり、それから今次調査になっことを逐次報告していただければ、私たちはもうこのあと報告書ができてから聞けばそれでいいわけなんです。  そこで、私は二つの観点をここに立てたいと思うのです。一つは、これは国産燃料だった。いわゆる人形峠のウランを挿入したんだ、こういうことですね。そういうふうに伝えられているのですが、そういう観点からこれはひとつ大事にしなければならぬ。そこで、その原因がどこにあるか。損傷個所はどんなのかということを知りたいわけです。  もう一つは、結局、東海村における原研それ自体の栄光というものを、いままでわれわれはやはりたたえてきたわけです。しかしながら、四月からこちらへこれだけの破損があって、そしてそれが十一月には学会誌には発表したといまおっしゃっていた。栄光ある存在であるという原研を維持したいというのは、われ人とも同じ考え方だと思うのです。ここにおられるところの理事長も私は一緒だろうと思う。それから、ここに働いておるところの労働者も一緒だろうと思う。たまたま、こういうわれわれが知りたいことを組合の新聞に載せたということによって観点が二つに分かれる。私たちはこういうことをよく知りたい、こう思いますし、それから、知ることによって前進するんだと思う。悪いところを改良することによって進歩があると思うのです。そうすると、その進歩に貢献したのは労組の人であろうと思うのですね。職場内の新聞にそれを出したというところで職場の人を処罰したということを聞くのです。その言い分は、著しく原研の名誉を棄損した、こういうような言い分理事長はあられるようでありますけれども、一方は、労組のほうは、こういうことが出るのがもう実質的に原研の不名誉になるんだから、これはなくさなければならぬという立場発表しておる。それも外へではないのです。秘密を外へ持ち出した、こういうなことにとっておられるようでありますけれども、内部紙に、こういうことでお互い安全でないじゃないか、危険じゃないか、よく注意しようじゃないかという意味合いで私はやったと思うのです。そのことの是非は、もう上田君が参議院でやっておりますから、そのことには触れませんけれども、原研の名誉のためにということをどちらも言われておるんですけれども、片方はそういう不名誉なことを出したくない、出したくない、出したらそれが不名誉だという形式的な名誉を重んじておられる。労組のほうは、実質的な、内容的な名誉を考えておる。こういうことなら栄光ある座から日本原子力研究所というものがすべり落ちなければならない。それを何とか食いとめなければならぬという考え方が私はあると思うのです。そのことの是非にいまは触れませんけれども、そういう観点から、私たちもこの問題を聞いておるわけであります。幸い、燃料棒については、そういうことでわかりました。すでに十一月にそれを学会誌に発表したことを職場内の新聞発表して何が不名誉なことになるのですか。何が秘密を一体漏洩したことになるのですか。監督の立場にあられる原子力委員会並びに原子力局長科学技術庁と、それをどういうふうに把握されておりますか。私は理事長にお聞きする前に、そういう観点こそこれは正しい観点ではないかと思うのですが、その立場を聞いておきたいと思います。処罰されたことの問題は、これはまた後やりましょう。日を変えてやり、あとでまたやってもいいですから、きょうはその監督庁の立場としての考えを聞かしていただきたいと思います。
  56. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 ただいまの点でございますが、やはりこれは公開とか、そういうことにも関係があると思います。それで、あの文書の内容その他において中身の問題が――あそこに職場規程というのがございますが、それとのかね合いで考えたわけでございます。それでいきますと、あそこにいろいろな数字も載っております。そういう関係で、公表する場合にはどういう公表をするかという考え方でございますが、これには当然、外に出した場合の数字が、誤解をされないような数字であるべきだ、当然公開すべきことはすべきである、そういう関係から、あの数字が一応歪曲しているし、また、数字のとり方というものは、一応原研考え方で進めている数字でないものが出ているというような点がございました。それから新聞内容そのものにつきまして、原研の使命を果たすためにあまり好ましくない点というところを原研としては考えて、それであの就業規程のところに基づきましてやりましたので、これにつきましては、私たちのほうとしては、ああいうことが起こるのは申しわけないことでございますが、万やむを得ないことではないか、こう考えております。
  57. 三木喜夫

    三木(喜)委員 あなた、参議院の上田君の質問のときには出ておられましたか。
  58. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 はい、出ておりました。
  59. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そうすると、その就業規程によって、五条二項でやられたんですが、この主要な部分は十一月二十一日原子力学会公表されておる。そして、いま私がお聞きしますと、発表した四本とも、これはあなた方がつかまえられておるのと同じことです。まだ隠れておった三本が出てきたわけであります。これはたいへんなことであります、こういうことが隠されておるということは。むしろそういうことを知らしてくれて、お互いの職場内でよく討議したり知り合うということは、これは大事なことじゃないんですか。就業規程五条二項のこの取り扱いというものは秘密にならないじゃないですか。数字が悪い。数字についてはこれは未熟な場合もありますから間違いがあろうと思うのです。そういうときには直ちに労組のほうでは訂正しておるようであります。だから、数字が悪いということよりも、そういう四本の燃料棒破損しておったという事実は事実ですから、その事実を出して、しかも、その事実は秘密でなくして、十一月の二十八日学会誌に発表してあるのですから、それは公表されたものですから、秘密でも何でもない。そうすると、五条二項はおかしい。そうすると、体面を汚したということでありますけれども、これは六十一条三項でやられておるわけですが、新いばらき新聞に掲載されたということは、これは新聞がスクープしたのであって、何も労組からそれを発表したものでもありません。体面を汚そうと持っていったものでもないわけであります。上田君の質問でも、これもおかしい。具体的な事例は何かということに対しましては、日立から異議が出たと言うておるのですが、日立は別に異議を申し立てておるのではない、質問書を出しただけだ、こういうぐあいになっておりますから、体面を汚したということは、むしろそういうことを隠して内容的に前進ささぬところに、体面を汚したということになるのじゃないかと私は思う。もっと早く発表していてくれれば、体面を汚さぬで済むのですよ。私はそういう観点に立つのですが、これもちょっとあやしい。バランスを考えたとかなんとかいうようなことも言われておりますし、国の認めたところの就業規程に違反したと言っておりますけれども、やはり公開原則を示した国法が上回るものではないかということを上田君も指摘しております。これは参議院の論議でなされたことでありまして、きょう私はこのことに触れるよりも、もっと体面を汚して問題なのは、そういうことをひた隠しに隠して、そして世間が騒ぐということが問題だと私は思うのです。私は最初から申し上げておりますように、いま栄光のある座に日本原子力研究所というものを、日本の研究所を置きたい、それを逆のやり方をしておられるのじゃないかと思うのです。それで、局長の言われることは、あまりにも皮相な観点に立っておられるのじゃないかと思うのです、この処罰については。バランスをとって処罰をしたというなら、課長や係長はただ厳重に注意をするということで済まして、一方、それを書いた者については三カ月の停職という非常に重いところの罪を着せておる。だから、これはバランスが全然とれてない。その監督の責任とかなんとかいうなら、むしろ課長や係長が重い罪になってしかるべきだと思いますし、今日までこんな事態に追いやってしまって、そして国会で三回も論議して、しかも科学技術庁から急遽立ち入り検査をやらなければならぬ。近江君が言いましたように、科学技術庁にもその立ち入り検査は問題がありますよ。いままで問題があったにもかかわらず、ひた隠しに隠しておった中で調査をしなかったという疑いを私たちは持つわけです。十一月の二十八日発表した件もありますけれども、いままた三本出てきましたし、それからチャンネルがばかになっておる、こういうようなことの報告もいまありました。そこで課長、そうしたら、まだほかに問題点を調べられて、問題点があればひとつ言っていただきたいと思います。こういうことをあからさまにすることが不名誉ではなくて、むしろ前進になることでないかと私は思うのですね。まだそのほかにあるようだったらひとつ言ってみてください。
  60. 大町朴

    ○大町説明員 特に取り立てて申し上げることは、私はいまのところ知っておりません。先ほど燃料お話をちょっと申し上げましたが、三百メガワットデー以内くらいのところで使うことになっておるという局長の話に関連しまして、いま入っておる燃料がどういうことかと申しますと、大体において百メガワットデー前後のものが入っておったように私一応記憶しております。そのことを申し上げておきます。
  61. 近江巳記夫

    近江委員 燃料棒七本の事故原子炉自体の問題、いろいろなことが考えられるわけですが、あなた方が出されたこのデータで原子損害賠償制度施行状況を見ますと、「原子炉の運転」で合計十四件、「核燃料物質の使用」で二十九件、これは間違いありませんか。
  62. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 いま先生おっしゃいましたのは、補償契約の契約件数でございますか。――それには間違いないと思います。
  63. 近江巳記夫

    近江委員 要するに、これだけの保険の契約をやっておるその裏に何か隠されていないか。全部のデータでいままでどのくらいの事故が起きているのですか。データを言ってください。
  64. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 何もございません。その裏に何も――ゼロでございます。
  65. 三木喜夫

    三木(喜)委員 いま課長の御答弁がありましたから、私のほうで一つ一つ聞いてみましょう。  二十七日の参議院上田哲君が質問した中で、新聞によりますと、最近三年間に事故が激増しておって、おもなものだけでも十九件あったと指摘しておるのですが、これはやはりあったのですか。
  66. 大町朴

    ○大町説明員 私の職務上知り得ます事故は、原子炉に関したものでございます。よく整理しておりませんけれども、私の感じでは、おそらくそのお話は、それ以外のものを相当に含んでおるお話じゃないかとも思いますので、これは私がお答えするのは適当でないのではなかろうかと思います。
  67. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 その十九件というのは、この前の参議院の上田先生のときに言われた件数だと思います。それについては、あのときの御説明でお読まれになりまして、あの中に炉のまわりで足を折った分とかいうのも、これは変だとおっしゃっておられましたが、そういうことで御発言になりました件でございます。そのとき、私のほうはまだ事故の表というものをその場に持っておりませんのです、大きな火事とか、そういうことを申し上げておしかりをこうむったわけでございますが、そのとき聞いてある程度メモしておりますが、その事故についての明快な、どれがどれということは、その資料も私のほうにございませんので、はっきりしておりません。
  68. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そうしたら、十九件ははっきりしないということですか。
  69. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 事故といいますか、これのとり方でございますが、法的根拠からとるものと、それから異常という考え方がございます。それで安全圏内の異常というものを事故とするかどうかというところのつながりで違っております。その点が明快でないということを申し上げておりました。私たちのほうが、実は法的に原子力局ではっきりする事故といいますと、法的にきまっております。そのほかには、もちろん管理規定その他で原研のほうで守ってやっておりますが、その間にある程度の異常があった、その異常を、普通のことばでいえば、事故とおっしゃる場合が多いと思いますが、その点の比較でございますが、その関係で件数がちょっと明らかになりません。こういうことでございます。
  70. 三木喜夫

    三木(喜)委員 局長の言われることはわかります。原子炉から放射能がたくさん出て人命に危険だというようなこと、これは事故です。しかしながら、原研で管理する範囲内においてこれは異常だということなら、やはり事故なんですからね。人命に非常に影響がある、こういう問題を事故というなら、原研で爆発が起こったとかあるいは炉がどうなったとか、こういうようなことは私たちは聞きませんから、そういう事故事故ともちろん言うのでしょうけれども、そうでなくて、あなた方が見られての十九件、あるいはこちらが質問しておる、上田君の言う十九件に合っているかどうかという答えを聞きたいわけです。まあそういう答えも出るでしょう。  それから、ここで「原研が出している「JRR3の概要と安全対策」によると、一本以上の破損燃料が同時に炉内には存在しないはずだが、実態は四倍以上の破損が出ている」という質問をしております。木内長官は、「破損が一本でも出れば、破損燃料検出装置で、すぐ取りかえている」と答えておるのですが、上田さんはこれに対して、「破損が一度に出ている。これはたいへんなことだ。しかも、検出装置が正確に働いておらず、故障していたこともあるではないか」と言っておられる。いま聞いてみますと、検出装置はやはり正確に動いていないというお話だったわけです。これに対しまして原子力局長は、「現在、検出装置は順調に働いている」。これはどうなんです。現在検出装置は順調に働いておるのですか。聞くところによると、二十六日原研は徹夜でいろいろとその場をつくろわれたように私たちは聞いておるわけなんです。夜通しかかって、いろいろと文句が出ないように直されたのかどうか知りませんけれども、その辺は一ぺん、現地に行かれた人から聞いておられる課長、答弁してください。順調に動いておるのですか。それから大急ぎでいろいろ直したという話も聞くのですが、こういう糊塗するようなやり方なら私たちは承知できませんね。局長参議院では順調に動いておるとおっしゃったでしょう。
  71. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 あの当時は、私のほうにきております通知で、順調に動いておると判断いたしました。それで、はからずも立ち入り検査とぶつかったわけでございます。先ほど私が確かに一部に感度が落ちているところがあると申しましたが、その感度が落ちているところが確かに異常であるといえば異常であると思います。その点については、扱い方その他について十分検討させていただきたいと思います。  それからもう一つ、先ほど、上田先生から四倍以上のというお話があったということでございました。これは大体さっき申し上げました三百メガワットのところで取りかえるということがございまして、一時、異常ではございませんが、ある程度多数の燃料を取りかえたことがございます。その数が入っておっしゃっておるのではないか、私はそう考えております。
  72. 三木喜夫

    三木(喜)委員 局長、これは重大な問題ですよ。四月からやはり燃料棒に異常があった。そうして立ち入り検査をしなければならないと十一月の段階でも考えた。したがって、上田さんが質問通告を出した二十六日の三時、それ以後四時に急遽立ち入り検査に飛んだ。これは既定の方針でございますとあなたはおっしゃったけれども、上田さんの質問のあったときには、この検出するところの装置というものは順調に動いておるという原子力局長の認識だった。調べてみると、これはそうでなかった。こういうことなら、あなたの言われるロジックを非常に私たちは疑問に思わざるを得ない。四月からこちら、原研が、おかしいぞ、これは調査しなければならない、こう思っておられたのに、あなたの認識ではまだ二十六日の段階では順調に動いておるんだ、こういう認識を持っておられるということになると、この原因はどこから来ているのか。原研がひたすらに、私たちのほうは順調でございます、労組の中であんなことを発表するやつはけしからぬのだ、そういうことを検討するやつはけしからぬのだ、これは不名誉な人間であって、こういうことは隠しておかなければいかぬのだ、こういう考え方でやはり原子力局も、それから科学技術庁も動いておられるのじゃないかという節があるわけです。こういう思想なり、こんな態度でやっていただいたら、ますます日本の科学行政は不明朗になります。あなたのいまの御答弁では、二十六日の段階では順調だった、こういう認識しか原研から持たしてもらっておらぬのですよ。これはだれが悪いんでしょう。
  73. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 先ほど申し上げました二つの検出装置がございます。私は確かにそのときに、あの炉の長期運転ということがございまして、その運転ができるという原研の常に連絡でございます。その関係から、あの現在としては、炉を動かして研究をするという関係としての範囲では順調に動いているということを申し上げたわけでございます。もちろん機械が全部完全整備して、それで完全に動いているという順調とおとりになられますと、確かに申しわけないと思います。ただ、研究用として炉を動かしている場合に、報告では、これは原研の罪になるかもしれませんが、報告としては順調に動いている、こういわれておりました。しかし前々からの計画で、立ち入りしたほうがいい。これにつきましては――もちろん立ち入りに行く場合の考え方でございます。これにつきましては、今後、ああいう燃料が出たのだから、そこをどう処理するかということが一つと、それからいまの動き方で、われわれ十分順調と思っているけれどもほんとうに順調に動いているのかどうかということが判断できるかどうかということが一つと、それから、燃料については実際どうあるのか、現状を全部見てくるというのが大体主体で行ったわけでございます。その関係で、あの現在としては私は、炉は研究用として順調に動いているということにつきましては、原研報告を信用して見守っていたわけでございます。
  74. 三木喜夫

    三木(喜)委員 先がた十九件も事故があるとか故障があるとかいう、こういう言い方と同じように、順調ということがまた問題になってくるわけですね。いろんなことを研究するのには事欠かぬだけを順調というのか、その中に事故故障も何もなしにいくのが順調というのか。われわれは少なくとも原子力を非常に危険なものであり、大事なものであり、そして、研究としては最先端の科学ですから、こういう問題については厳密に厳密にやっていただいて、十分の十分の注意を払ってやっていただくのがたてまえだと思うのです。そういうたてまえから順調ということを言っていただかなければならぬのですが、これをただ――いまの話なら何とか動いて支障がないだろうという観点に立っての御発言でしょう。順調というのは、こんな解釈をしてもらったら、不順調もあなた方の解釈の中ではみな順調ということになるわけなんです。何とかかんとか動いておる。しかしそこから危険が出てくるようなことでは困るのです。順調じゃないのです。燃料棒破損が検出できないような計器がついておるということでは、これは順調じゃありませんよ。
  75. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 その点はほんとう考え方として、実は原研のものでなくちゃむずかしいと思います。と申しますのは、原研の、ことに国産一号炉は研究用炉として使っております。したがいまして、普通の実用炉でございましたら私は、順調ということばでいけば、厳格に守った順調でものを申し上げたと思います。ただ、原研を信用したと申しましたのは、いささかそこに研究用炉として、研究者は研究を含めてやっておりますので、その研究に役立つものとして使っておるというところで、その点は先生のおっしゃるとおりでございますが、研究用炉というのは、やはりそこのところに研究要素というのがございますので、その関係意味で私は先ほど申し上げたわけでございます。炉そのものが順調に動いておるというのは、研究の範囲内以外に、危険でありながら炉を動かしておるというようなことは全くないという考え方の順調で、実は申し上げました。ただ、研究所であるがための炉の任務といいますか、その辺の順調性というのは、そこに一部加味さしていただきたい、こう思っております。
  76. 三木喜夫

    三木(喜)委員 梅澤さん、そういうくるくると持って回って言われんと、どうもいけなかったならいけなかったと言ってください。そうなら私たちは何ぼでも言いたいのですよ。毎日新聞の二月の二十二日、原研で「死の灰吸い込む」という見出しで出ておるのです。安全管理に手抜かり、作業中の五人、「許容量以下だったが」ということが書いてある。これが安全なんですか、こんな死の灰を吸うて。こういう状況の中にあるのが、二月二十二日にちゃんと商業新聞でさえこう書いておるわけなんです。そういう形の中で炉が動いておる。「燃料棒破損に起因すると推定される高放射能フィルターの取りかえ作業中、所員五人が放射能をおびたチリ状の死の灰を吸い込む事故が起きていたことが二十一日、原研から発表された。」「安全管理が十分でなかったことを暗に認めた。」この新聞にはこう書いてあるのです。
  77. 木内四郎

    ○木内国務大臣 いま実は私、衆議院の予算委員会のほうでどうしてもというので足どめされましたものですから、たいへん失礼いたしました。そこで、私が留守中いろいろな質疑応答があったことと思いますが、三木さんは非常な熱心な研究家で、精通しておられるのですから、ことによると、私どもの担当者以上に精通しておられる点が多々あると思うのですが、そういう意味で非常に御熱心な御質問があったと思うのです。  御案内のようにこのJRR1-3という炉は、一号、二号は外国からそのまま輸入しておったんですね。しかしこれじゃいかぬ、やはり国産の炉を開発して、燃料も材料も国産化することを研究しなければならぬ。これは皆さんのいつも御引用になる原子力基本法の第二条にある、自主的にできるだけやれという御趣旨に沿っているものだと思うんです。そこでこの原子炉は、原子炉としての国産原子炉の開発研究、それから国産の燃料になるべくするようにというそういう研究、また、材料についても同様なんですが、そういうことでこれは、いまも局長の申しましたように、これによって試験研究をしているわけなんです。そこで当初は輸入の燃料棒を使っておった。そのまま使っておれば、それは間違いもなかったでしょう。きのうも、いま御引用になった委員会でそういう質問があったのです。外国から輸入しているときは少しも支障がなかったじゃないか、国産になったら異常が出てきたじゃないか、そういうお話があったのですが、これは外国から輸入していれば確かに異常はないのです。そのまま輸入を継続していればいいのですけれども、それじゃやはり国の自主開発というものは進まない。そこで何とかしてこの燃料棒を国産にしようというので、国産燃料棒にかえたわけなんです。そこで国産燃料棒にかえたときに、そのおおいに傷がついた。それが四十二年の四月から入れておったが、四十三年の四月になって一本破損が出てきた。それから最近までに合わせて七本あった。あと破損しているわけじゃないが疑わしいものがあった。そこで、さっきもお話にあったように、一本、一本は異常があったときに、わからないじゃないかというお話ですが、これは私が報告を受けているところによると、また理事長から聞いても、一本、一本の故障はあればわかる、わかればすぐに取りかえる、その機器というものは、まあ私は世界的水準まで行っておると思うのです。自慢していいものだそうです。そこで一本、一本故障があれば取りかえる。同時に何本も、四本もあったということは、妙な表現をされておりましたけれども、そうじゃなかったんですね。その長い間四十三年の四月から最近までの間に七本あった、あとの三本は疑わしいからということで数に入れましたけれども、そこで四本も、四倍以上もあったじゃないかという、それは私は当たっておらないと思うのです、原子力研究所から聞いたところによりましても。  それからいま一つ、十九回も故障があったじゃないか、これも私は当たっておらないと思うのです。何でもかんでもあげれば――いま申しましたように、あの原子炉というものは、これは国産でつくって、国産でやっていこう、そこで、燃料棒についても、もし悪いところがあったら、それを研究して直していこうというのがこの炉の目的なんですね。そこで原子炉自体についても、どこか直すべきところがあったらこれを改めて、そして国産炉としていいものにしようというので、研究のほうじゃ非常な努力をしておられると思うのです。そこで、その関係で十九件というのをあげられたけれども、私はさっそく聞いたんですが、もしわれわれのほうに報告しなければならぬような、いわゆる法定報告事項ですね、こういうのがあれば直ちに報告がくるわけなんです。法定報告事項があったかというと、一回あったという。それは原子炉じゃない、外側のところでヒューズで火事があった、それは法定報告事項としてあったが、そのほかのものは、こういうところでちょっとネジがあれだったから直すとか、ちょっとした、それまでみなあげられておるものじゃないかと私は思うのです。そこで法定報告事項としては一つだったというふうに私は聞いておるのです。ですから、役所としましては、これは原研を信用して、原研に対して厳重な管理規定をきめてあって、それに従ってやっている。もし法定の報告しなければならぬようなことがあれば直ちに報告して、それが一件だった。一件も、それも原子炉でなくて、外の事務室の電気のヒューズによるところの火事であったということを、私は報告を受けております。火事だって、これは火事だから、原子炉自体じゃなくても報告しなくちゃならぬので報告したのだそうです。それから、十九件という、これは作業日誌からとられたか何か知りませんが、どこかのくぎが一本あれだ、どこか直さなければというので、いろいろ直したことはあるでしょう、この長い間に。それを、十九件を全部故障と言うことは、原子力局長の言ったように、故障と言うことはちょっと言い過ぎじゃないだろうか。  そこでもう一つ申し上げなければならぬと思ったことが何かあったのですが、被曝の問題ですね。私はこの間の委員会でも申しましたが、これはこれに直接関係ないこととして聞いていただきたいのですが、私はあなた方と違って年寄りですから、人生振り返ってみますと、人間は毎日毎日仕事をしている。これは間違いないとなると、油断をするものなんですね。それで油断をしたときに間違いが起こる。たとえば、いまの内部被曝の問題なども、当然作業規定にはマスクをかぶっていけと書いあるのです。マスクをかぶって帽子をかぶっていれは――作業服だけは着ておったけれども、帽子もかぶらない、マスクもつけないでということは、私は想像ですけれども、これは想像だから当たらぬかもしれませんよ。毎回やってフィルターを取りかえているけれども、内部汚染を受けたことはない、もうだいじょうぶだろう。ところが、フィルターというのは、御案内のように、それによって重水のよごれを浄化するのがあれだから、フィルターに放射性物質がつくのは、これは当然なんですが、それを扱うときはマスクをしなくちゃならぬ、帽子もかぶらなくちゃならぬのに、いつも間違いがないからということで、ついマスクをかぶらなかった、マスクをかぶっていればあのとき内部被曝はないのですよ。だから、そこを私はきのうもお話ししたのですが、管理規定もある。私どもは安全性という問題を第一に考えている。これから原子力発電というものは日本では非常にふえてくる。原子力船も出てくる、そのほか、医療その他におけるところの放射線の使用も出てくる。そうなってくると、安全第一ということは、その扱う本人だけじゃなく、環境に対する安全も私はもう第一に考えるべきものだと、かたく信じておる、そのつもりでやっているのですが、そこで、それには管理者だけじゃない、それに当たる職員も細心の注意を払ってやっていってもらわなければ、作業規定にあるがマスクはかぶらなかった、そうして、初めからわかっている、それから放射性物質を吸い込んだというのでは、これは私は情けないと思うのです。そこで、安全性の確保のためには、管理者、それから職員もこれはやってくれなくちゃいかぬ。マスクをかぶるべきものを、フィルターというものはあぶないにきまっているのですよ。それを、マスクをつけないで、帽子もかぶらないでやったということに大きな手落ちがあったのじゃないか。これは想像を交えての、私の人生経験からそういうことを申し上げているのですが、そういう点も一つ頭に置いていただいてこの事件を御批判願いたいと思うのです。
  78. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そういう点を頭に置いて私たちも考えておるわけです。それで、大臣あとから来られたから、あなたのおっしゃることももっともです。しかし、ちょっと次元が違うのですね。私たちこの問題を取り上げたのは、要するに、何もかも事故を起こしておるじゃないか、起こしておるじゃないかということで責め立てておるわけじゃない。そういう事故をひた隠しに隠す態度はいかぬのじゃないか。たまたまこれは労組内部の新聞に出た問題だ。それが四本の燃料棒破損があったということから事態は起こってまいったわけでありますが、いま聞くと七本あった。だから、そういうことは、どこに事故があったかということをお互に知り合うことが前進になるのじゃないか私は言っておる。それを、ばかたれ、そんなことをするやつはけしからぬ、処罰だというような態度で臨むことが、原子力ほんとうの研究推進に役立つのかどうかということを言いたい。管理者が、そういうことにばかたれ言う以前に、こういう被曝するような安全管理に手抜かりがあったところに問題がある。むしろ、それらの手抜かりした人の処罰が問題になってくるはずです。それは着ておったらよかったのかもしれませんけれども、その取り方によるのですね。私たち今度の原研事故というものを針小棒大に言うのではないので、四月からずっと起こってきた問題が、今日ここに至って、この問題を提起したのは、むしろ、内部でばかたれ言うて、今度押えに押えていくということになれば、今後一切こういうものが外へ出ないとか、あるいはみんなの検討の材料にもならぬということなら、これは死の灰を国民が吸わされても、もう働いておる人はみな黙っておらねばいかぬ、そういう事態にきても。原研はそういうことはないでしょうけれども、話をずっと延長していくと、そういうことになりかねない。そういう中には研究体制はない。したがって、自主、民主、公開原則というものは、そんなけちな管理のしかたの中には出てこないということを私たちは言っておる。そういう管理運営がなされたということで何か処罰問題が起こっておる、その問題を私は先がた言ったわけであります。大臣、けっこうです。もう局長からいろいろ聞きましたし、あとまた近江君が質問されますから、近江君の質問の中で答えてください。私はあなたの言われようとすることはみなわかっていますから、前にも説明しておられますから。  そこで脳腫瘍の患者の問題です。これはだいじょうぶなんですか。こういう状況の中でやっていいのですか。これが一つと、それからこの脳腫瘍患者につきましては、いままでアメリカにおきましても六十二名の人が失敗しておる。これは中性子を捕捉するのには効果があるかもしれませんけれども、ガンマ線について、このガンマ線が問題になるわけだ。これのほうの管理はだいじょうぶなのかということが私は非常に気になるわけなんです。米国ではこのガンマ線で失敗したといわれておるわけです。だから、脳腫瘍患者の治療に国産一号炉を使用することは、これは人助けであり、人道上いいことだと思いますが、長官は、東大から依頼も受けたことはうれしいと言っておられるが、原子炉が正常に動いて安全性が保障されてこそ喜ばしいのであって、それに疑問がこう次々と出てき、心配があるということになったら、そういう心配を先にするのが当然だと私は思うのですね。だから、原子炉の構造変化がかなり必要であろうと思いますが、長官のような、おめでたいおめでたいと、こう言うておるだけでは済まされないのじゃないか。むしろあなた方は、私は勘ぐって悪いかもしれませんけれども、原研のこの原子炉は一応こういうようなことに使ってみて、新聞記事にし――新聞記者用の電話工事はえらい急いだそうですし、見学ができるような設備もえらい完了しておるそうです。多少見せかけがあるのじゃないかと私は思うのです。そんな見せかけよりももっと実質的なものをやってもらわなければ、研究用原子炉意味がなくなってしまう、こう私は思うのです。  いま、いろいろ次に非常に言いたくてむずむずしておられる原研理事長に、ひとつ最後にあなた思うとおり言ってください。私はこの問題はまた後にわが党でもよく検討しますし、公明党でも検討したいそうですから、その材料にしたいと思いますから、いろいろなことを、あなた非常に言いたいだろうし、いままで労組弾圧の名手だそうですから、そういう立場から大いに議論をやってもらったらいいです。旭化成におられたときには、これは一言多いかもしれませんけれども、そういう方面の名人だそうでありますから、ひとつ名人の立場から定石を御解説願いたいと思います。
  79. 木内四郎

    ○木内国務大臣 いまちょっと一言私から……。  三木先生から、御説明する必要ないとおっしゃって、私の考えておるところを御理解願ったものと思うのですが、皆さん方から熱心に、原子力産業、原子力のほうの発展をこいねがう意味におきましていろいろ御発言願っておることは、私ども非常に感謝しておるのですよ。いろいろ皆さんから御意見を伺って、それを参考にしまして、そして私のほうで改むべきものは当然改むべきだと私は常々思っているのです。そうかたくなな、自分だけが正しいというようなことは毛頭考えておらぬのであります。しかし一言、非常に大事な公開原則ですね。これにお触れになって、隠しているじゃないか。私は原研に対してそういうことはさせませんです。あの法律に、自主的に開発しその成果はこれを公開しと書いてあるのですから、これはあくまで原研においても守ってもらわなければならぬ。  ところで、いまお話しになった燃料棒破損の問題ですね。私も詳細聞いたのです。現に、破損したから、その本来の炉の目的に従って、何とかして国産の燃料棒をいいものにしなければならぬ。そのために、すでに小委員会を設けて詳細にその原因を究明して、そして、どうして直したら、これは国産の燃料棒として輸入した燃料棒のように間違いなく使えるかということで、研究をしている段階なんですね。そこで、これは公開原則にもすぐに及んでくるのですが、私はやはりあくまで公開をさせなければならぬと思っておるのですよ。  ところで、それは、公開にはおのずから手段、方法、時期というものがあると思うのです。たとえば、これはこれと少し違いますが、ある人が研究している、その研究の過程において何もかにもデータを出してしまうのが公開だということであれば、研究者というものは研究の意欲を非常に阻害されたりする場合もあるので、やはり一応あの法律にあるように、研究開発の成果というのは、あるところまでまとまったところで出すのが公開のあれだ。それには手段、方法、時期というものもあると思うのですが、何もかも、小委員を設けて研究しておるときに、その一部だけをもってかってに発表するということじゃ、やはり秩序というものができないのじゃないか、こう私は思っております。しかし成果はやはりどうしても公開して、これは平和の目的のためにも、あるいはまた、それは産業のほうに利用する、国民の福祉の向上の意味においても、この成果というものはあくまで公開して大いに役立て、さらに広くいえば、国際協力に対しても貢献していくように、いろいろな意味公開というものは大事なことだと思うのですよ。その点は私はあなた方の言われるとおりだと思うのです。ですけれども、今度の場合は、小委員会を設けて、いかにしてこの燃料棒を改良したらいいかという研究をしておる段階であったと私は承知しておるのです、私の調べたところによりますと。そのことは余分だから言いませんけれども、あとはひとつ原研のほうから。
  80. 三木喜夫

    三木(喜)委員 ちょっと待ってください。大臣がああいう答弁をされたら、私も黙っておれぬのですがね。なるほど公開であるべきなんです。秘密なんかあってはいけない。それはそれでいいわけです。  それから、燃料棒について検討会を設けられておる。これもいいのです。これはやられたらいいわけです。先がたの論議をあなたに聞いておられぬから、そんな「巧言令色すくなし仁」、ピントはずれの答弁になってくるです。たくさん言っておられたけれども、中身は何もないわけです。なぜかといいますと、四月に燃料棒事故を起こしておるのでしょう。それを十一月になってやっておるのですからね。これは何をしておったかということになる、検討するなら。これは事故が起こっておるのは――日別に申し上げましょうか、四本を。十三号炉心孔の二千二というのは四十二年の四月十二日、それから二十一炉心孔の二千五は四十二年の九月の二十日、四十二年ですよ。いま局長発表された。それから十二炉心孔の二千一号は四十二年の四月十二日。よろしいですか。三十炉心孔の二千十七号は四十二年の十一月一日。これで十分やっております、研究中ですといえますか。これはおととしですよ。去年は四十三年ですね。そういう、あなた、答弁としては能吏かもしれませんけれども、誠意のない答弁になっておるわけです。これでやっておりますとは、よう言えたものだと私は思うのです。だから労組のほうで心配して出した。時期、方法、ところ、こうおっしゃいますけれども、こんなずっと以前に起こっておるやつじゃないですか。これは差し込んだやつだと思いますけれども、挿入日がそれになっておりますから。検出日が四十三年四月十二日、四十三年十月十五日、四十三年十月二十三日、四十三年十一月二日、こうなっておるじゃないですか。炉心に差し込んだのはこれで、この間重水が濁っておるということについても、何ら検討されたということをあなたからも聞きません。そういうことを聞くことがきょうの目的だったわけなんです。どういう状況が、どういう事故がいままで起こってきて累積されたか。突発的に起こったり、あるいは累積的に起こったかということを聞きたかったわけです。  それから、秘密は持たせません。公開原則原研を私はよく監督しております。こうおっしゃいますが、それなら、なぜ十一月に立ち入り検査をするという方法をとり、それから急拠いまごろに立ち入り検査に飛んでいかなければならぬのですか、わかっておれば。絶えずやっておられるのでしょうが。四十三年の四月からこちらへそういう心配があり、外からわかってきて、検出器械にちょっとやばいところがあるのじゃないかというようなことが外からわかってくるようなことでは、これは公開原則に従いましてやっておりますということには私はならぬと思うのです。――いや、言いっぱなしでは困りますから、大臣、それはいろいろ御意見があるでしょうから、論争は私は他日やりたいと思いますし、原研からもお見えになっておりますからね。
  81. 木内四郎

    ○木内国務大臣 委員会だから、いろいろ御意見を伺って私も行政の参考になれば非常にありがたいと常々思っております。いま私が申しましたのは、時間的の経過はそういうことがあったでしょう。しかし、いま私どものほうで聞いておるところによると、小委員会を設けて、どうしたらいいかということを慎重に研究しておるのだ、こういうことである。しかし燃料棒破損とかいうようなことを、私どもは燃料棒破損したから一々立ち入り検査をするということにはならないと思います。そのほかに、定期的な検査もしていますし、その間に全体としての安全性を見ることはありましても、燃料棒故障という程度では、私どもはすぐ立ち入り検査をするということにはならぬと思います。  いずれにしても、私はあまり長くしゃべるとあれですから、原子力局長のほうから……。(三木(喜)委員「いや、いや、監督の立場にあるのだから」と呼ぶ)いや、私は先ほど申しましたように、それでその間に研究しているのだから、その過程で原子力研究のほうでやれるようにその――一部の資料を取って、そしてそれを、虚偽を交えたり歪曲したりして発表するというようなことは適当なことじゃない、かように私は考えております。その処分の内容、方法等については、これはもちろん原研理事長の責任と判断においてやられることだと思います。
  82. 三木喜夫

    三木(喜)委員 たいへんなことをおっしゃいますね。燃料棒の損傷ぐらい調査しないとおっしゃいますけれども、燃料棒が損傷しておったからこそ、(木内国務大臣立ち入り検査をやらない」と呼ぶ)ええ、立ち入り検査をやらない――ここから問題が起こってきたんじゃないんですか。一番大事な人間の雇用関係、職場の雇用関係を三カ月立ち切るのですから、停職ですから、こういう重大な問題もそこから起こってきた。これを発表したとか歪曲したとか、捏造したとかといまお話しですが、そこから問題が起こってきておるわけでしょう。そうすると、その問題について検討されたり、あるいは炉の検査計器に問題があるということなら、それは立ち入り検査は当然さるべきだと私は思うのですけれどもね。重要な問題が提起されておるんじゃないですか。
  83. 木内四郎

    ○木内国務大臣 ことばが足らなかったけれども、破損燃料棒が一本出たからどうという、立ち入り検査をすぐするということじゃないということを申し上げたのですが、今日までいろいろ調べたら七本も出ている。そういうようなことで、これは立ち入り検査したほうがいいということで今度行っているわけなんですから、別にそれを無視するということじゃないのです。ただ、一本出たからすぐに立ち入り検査ということじゃないということで、ことばが足らなかったものですから、失礼しました。
  84. 石田幸四郎

    石田委員長 関連で井上君。
  85. 井上普方

    ○井上(普)委員 実は大臣の御答弁の中で非常に重要な問題が二、三含まれておりますのでお伺いするのですが、一つは、先ほども申し上げたのですが、私は実は医者なんです。そうしますと、病人が出、あるいは事故があると――死んだといたしますか。そういたしますと、直ちに病理解剖をやって究明をやります。どういう過程を通ってこれは死んだのだということを徹底的にやるのです。大体一週間くらいしましたら、顕微鏡検査、あらゆる検査が済みまして発表できるような現在の仕組みになっております。  原料棒の故障が昨年の四月から起こっているのです。発見できているのです。ところが、検討会は十一月からやっている。一つ事故が起こったならば、なぜやらないか。これこそ科学者の良心の問題じゃないか、研究の態度じゃないか、私はそう思います。  それからもう一つ大臣はいま、ある一つの成果があらわれなければ発表段階にならぬ、こういうことをおっしゃいましたけれども、研究の途中において研究者が発表する自由というものがあるはずなんです。あなた、成果があがらなければ発表させたらいかぬというようなことでは、研究の自由というものが私は成り立たないと思う。研究者が、これは世の中に問うてよろしいと思ったその時点において発表するのが研究の発表の自由です。現在の大学の中において、東大を一例にとったら、東大の問題になっておりますのは、主任教授がともかく部下が研究したものも押えたり、あるいは発表させなかったり、自分の名前で発表したりすることに対する反発があるのです。これは研究者の発表の自由、あるいは研究の自由を阻害するあなたの御発言でございますので、ここのところを一つお伺いいたしたい。  それと、あなたたは先ほど人生経験から、長い間には油断する、確かにそうでしょう、私もそう思います。そうなると、一本こわれておるから――とうとう七本までなったから初めてやられたのであって、一本、二本はほっておけというような油断があったんじゃないか。研究というものはあくまでも、一本でも事故が起こったならば、破損が起こったならば徹底的に研究していく、そういう態度こそ必要なんであって、十一月まで六カ月もの間遊ばせておった、検討会を開いておらなんだ。隠したかったんじゃないですか。ここのところを私は聞きたいのです。
  86. 石田幸四郎

    石田委員長 関連で近江君。
  87. 近江巳記夫

    近江委員 要するに、原子力の問題については、安全性ということが私は最大事だと思います。そういう点において、一本ぐらいだったら立ち入り検査しない、これは、あなた、大臣として重大な発言ですよ。これは、私は公明党としてこの点もう一度はっきりと大臣の気持ちを聞きたい。これはたいへんな問題ですよ。こんなことでは、原子力のこれだけ危険なことを、逆にいけばどうなるかわからない。その一つのことがほんとうにアリの一穴ですよ。これはどういう事故になるかわからない。これは根本的にどう考えているのですか。
  88. 木内四郎

    ○木内国務大臣 私のことばが足らなかったせいか、十分に意思が通じなかったようですが、私は一本だって大事なことだと思います。私は、原子力の需要が非常に多くなってくるから、扱う人でも、環境の人に対しても、安全性ということが第一だということをさっきから申し上げているのです。  そこで、しかし、一本起こったから立ち入り検査ということを私どもがすぐするところまではいっていない。それは原研のほうで――あとから原研のほうから御答弁なり御説明があると思うですが、もちろん研究しておられるでしょう。それは私が申しましたように、この炉というものの目的が、何とかして国産の燃料も、材料も、原子炉の運営も研究しようというのが目的なんで、そこで、そう言ってはあるいはしかられるかもしれないが、失敗も、でき上がったものを持ってくるより失敗があるでしょう。それを研究して改めるというのが任務なんですから、燃料棒に一本あったときに、すぐに原研は調べているわけですから、私どもだって関心は持っていますよ。それを無視するというようなことに、もし私の説明がとられたら、これは私は申しわけないと思います。それは直しますが、そういう意味じゃないのです。ただ私ども一本あったからすぐ立ち入り検査をやるというところまで、定期検査をやっているのですから、そこまでは私どもはやらなかった。しかし累積してきたから、そこでやった、こういうことなんであります。  それから、いま先生お話しになった医学的の立場からのお話、ごもっともだと思います。先生のおっしゃるとおりだと思うのですが、やはり研究開発はある程度までいったら、それを公開すべき義務者というのはだれかといったならば、表向きはやはり原研で研究したら原研理事長だと思うのです。あるいは研究者ですね。研究者にも、あるいはものによって特許なら特許を得るまでは発表しないとかなんとかという時期の問題もあるでしょうし、そういうところは理事者のほうでいろいろ判断してやるべきだ。だから研究していたら、研究できなかったらどうとか、研究のそれは過程でもいつでもということじゃ私はないと思うのです。それから、根本はいま先生のおっしゃるとおりだと思うのですが、やはり時期と方法というものがあると思うのですね。だから、そのことを私は申し上げておきたいと思います。
  89. 井上普方

    ○井上(普)委員 これは学問、研究の自由の問題についてでございますので、非常に重大な問題があると思います。理事者の承認を得なければ発表できないというような態度では、これは研究の自由、発表の自由というものを束縛するものである、こう思うのです。あくまでも研究者の良心においてこれは世の中に発表したいというときには、研究者にやらせればいいのです。それは特許の問題とか、そんな問題はありましょう。そういう問題については、それは学者としての、研究者としての良心においてやられるべき問題であって、それを理事者が管理しながら、これは発表してよろしい、これは発表すべからずというような態度をとることは、学問の自由、研究の自由というものを阻害するおそれがある、阻害しておると私は思うのです。そこのところは研究者の良心の問題としてまかせておいて、堂々と公開する、特に公開原則ということを掲げられておるのですから、やらされるのが至当であると思うのですが、大臣の見解をもう一度お伺いしたい。
  90. 木内四郎

    ○木内国務大臣 いまの点については、どうも遺憾ながら私は少し見解を異にするのです。やはりあれだけの、二千数百人という人を使っておる一つの大きな研究所ですから、その研究所としてやっていることを、個々のものはかってにやるというようなことは、やはり私は許すべきことじゃない。  そこで就業規程も、これは設立当初から皆さん方から御了解を願っておるところの就業規程で、公表しては悪いと書いてないのです。雑誌その他に出してもいい。ただし、そのときは理事長に一応話をして出せと書いてある。私はあれだけの人を使っている理事長としては、国の経費も百億近くの金を使っている、人をたくさん使っておるわけですから、やはり規律は守ってもらわなければならないと私は思いますが、かってほうだいにやってもいい、研究の中でやっていることをかってにやっていいということには私はいかないと思う。ただ、しかし個人の研究などになってくれば、これは別ですよ。これは別ですけれども、研究所としてやっているものをかってにやるというようなことをやったら、この原子力研究所というのは規律が保てませんよ。それは私ども承知できないのです。やはり国費で二千数百人の人も使っている一つの研究機関が、そういう秩序もない、規律もないということは、これはいかぬ。そういう趣旨で御了解願って、この原研ができる初めから就業規則というものはあるのですから、それにちゃんと書いてあるのですから、それは私は正しいことだと思っております。しかし、根本において学問的立場においての研究公表ということについては、私は先生と考えは違いません。
  91. 井上普方

    ○井上(普)委員 この問題につきましては、私はまた後刻やることにいたしまして、きょうは大臣の関連ですから、時間がございませんので、この程度においておきます。
  92. 三木喜夫

    三木(喜)委員 大体皆さんのお考えはわかりました。それで、かってほうだいに外へ発表するという言い方が出ておりますけれども、労組がやられたからというのは、これはあとで別の日にやりたいと思っておるのですが、きょうは触れたくないのですけれども、かってほうだいでなくて、中でやられることは、これは労組の新聞ですからかってほうだいともいえないと思うのです。数字が多少間違っておるとかなんとかということは別として、これをさして言うておられるのだろうと思います。これは井上君のいまの話に従って言っておられるのだろうと思いますけれども、これはまた別の日にいたしまして、いま原研理事長、それから原子力局長脳腫瘍とガンマ線の問題、これをひとつ答弁していただいて私はおきたいと思います。
  93. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 脳腫瘍の問題でございますが、これにつきましては二十六日に申請が参りました。それで、とかくお医者さんのほうで、大体いつごろにやってしまうというきめ方をやっておるようでございますが、それを私たちは存ぜず、一応それから先早急にこの脳腫瘍の医療照射をしていいかどうか、この点についての検討会を来週早々に開かせていただきたいと思います。それにはお医者さんの関係と、ことに前に安全審査をした方々を入れて、それでその御意見をいただいて、この手術をやるかどうかきめていきたい、こう思っております。
  94. 三木喜夫

    三木(喜)委員 理事長、あなたにも質問しておるのですが、お考えがあったら……。
  95. 石田幸四郎

    石田委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  96. 石田幸四郎

    石田委員長 速記を始めて。  参考人宗像英二君。
  97. 宗像英二

    宗像参考人 私、宗像でございます。  私、いろいろといままで研究開発のことに関係しておりまして、実際に研究開発をするときのほんとうに現実をつかんで実験をしながら、あるいは現実に当たってそれを見るのは、もちろん私ども自分でもいたしますけれども、大部分は若い人たちにしてもらう。その若い人たちをそうしながら育てていって、次の人をつくっていくということが、研究開発に一番大事なことでありますので、かつて原子力研究所におりませんときでも、その若い人たちをどうして育てて、現象をよく見ながら研究開発に向かっていくかということを、いつも考えていたつもりでございます。   〔委員長退席、三木(喜)委員長代理着席〕  このたびこの問題が起こりまして、どうも若い人たちと管理者の間に疎隔の感があるように言いはやされますけれども、しかしこの半年ほどの様子を見ますと、ずいぶん私も若い人たちに呼びかけておりますが、若い人たち考え方も変わってまいりまして、われわれと協力してくれる、われわれと一緒になってやってくれるという空気がだいぶ出てきております。そういうふうにして、どうかして若い人たちと対立しないで、もちろん経済的なものとかいうようなものについては、それは要求が違ってくるかもしれませんけれども、それでお互いに争わなければならぬことがあるかもしれませんけれども、しかし研究をする、仕事をするということについては、やはり管理をする先輩と一緒になって働く若い人たちが一体になってやれるというふうにしなければ、これはものをよく観察して科学的な処置をするということもできないのでありますから、そういうことをいつも深く考えておるわけです。そういう意味で、私は研究のあり方について話しておりますが、原子力研究所の場合には、先ほどからもよく申されるように、安全ということが非常に大事な問題でありますので、安全ということについてはずいぶん注意してやっております。   〔三木(喜)委員長代理退席、委員長着席〕  たとえば一つの例として申し上げるのに、ことしの一月の「原研」の年頭のあいさつにも書いておきましたが、ことしはこれだけは取り上げてやろうじゃないかということを言った中に、第一が、国のプロジェクトに積極的に協力して、これを推進しようじやないか。これは国の研究所でありますから、やはりこれは第一に掲げなければならない。それから第二は、研究開発において新しい分野を開拓して推進しようじゃないか。これは基礎研究を重視して新しい道を開いていく。よくいわれている基礎研究というのは、ことに日本の学界、日本の社会では、基礎の勉強を基礎研究といっておりますが、基礎研究というのは、初めてのものに手を突っ込んでいくことだと私は理解しております。初めてのものが基礎です。そういうふうな考え方が若干欠けているところを私は残念に思うのです。それから第三は、原研が安全問題の研究のセンターになるように努力しようじゃないか。安全をとにかく大事に取り上げなければいけない。それから第四は、人材の養成をしようじゃないか。これは若い人たちに研究を通して育っていってもらいたいということをいっているわけです。  それから、原子力研究所では、安全については特に注意しておりますので、ここにお目にかけるようなこういうパンフレットをつくって、そうしてみんなに呼びかけております。ここに、その月その月の成果を書いたようなものを出しておりますが、これを見ますと、たとえばこの数字だけで見ましても、一般の世の中にあります事業場でけがの出る割合の十分の一ということがここにはっきり書いてあります。でありますから、この間十九とかなんとかということを言われた。それはもちろんその中には捻挫をしたとかあるいは自動車事故なんかも入っているだろうと思いますが、そういうものを含めたものに比べても、原子力研究所では皆さん非常によく注意してくださるものですから、十分の一の程度です。これはここに数字が書いてあります。これはロガリズミックに書いてありますから、ほんとうは比較の数字はこんなに違うわけですが、そういう実情であるということは、安全についてずいぶん注意しているということをまず申し上げたい。  それから次に、基礎研究をどうしてふるい立たしていくか、研究そのものをどうしてふるい立たしていくか。原子力研究所は研究がふるい立たなければ盛んにならないのでありますから、そのためには、私は、いま先生に差し上げたものにもあるように、頭脳財産の尊重ということを強く言うわけであります。これは新聞にはもう書きましたけれども、しかしそれよりももっとこっちに強く書いてあるつもりでございます。これは昨年の十月号の原子力学会誌の巻頭言に書きました。そこをちょっとお耳に入れたいと思います。  「研究が大型になって行くので、それに対する心構えが必要となり、独り善がりばかりは許されなくなって来る。研究協力が大きな成果を期待して行われる際に、研究成果の実績で飾られた研究者の力を出し合って貰わねばならない。それらの研究者の持っている研究実績を研究協力に活用する際に、極めて慎重に配慮せねばならぬことは、その出し合った研究力の評価に関する点である。世の中では物的資本(例えば金)に対しては誰もが粗末にしないで、それが他に協力する際には当然の事として、利率・償還などの条件を明らかにするなどして、大切に取り扱っている。」たとえばお金を預ける。その預けたお金はどこかへ回っていって、それが資本力になって事業を興すなりなんなりに協力しているわけです。自分はあの人の仕事はきらいだといっても、銀行を通してそこへ行っているかもしれない。ですから、物的資本は協力が非常にやさしくできる。しかし、それはお金を大事に取り扱うから、盗まれない。銀行に預けて盗まれるようだったら、だれも銀行に預けない。しかし、お金は大事に取り扱うからそういうことができるわけです。ところが、頭脳財産はそういっていない。特に日本ではいってない。そこが私は問題だと思う。  「しかし、特に日本では、頭脳資本に対する尊敬の念が薄く、それは模倣して盗んでも問い糾すことも軽んぜられたように、頭脳産物資本の軽視が横行しているので、研究実績あるいは研究力の評価がはなはだしく軽んじられている。そのように頭脳資本が大切に取り扱われないので、心配のあまり他人に役立てるように仕向けるのを臆する傾向が強く、資金を他人の役に立てやすいように仕組まれてある近代経済社会の通念がとても頭脳資本の取扱いには及び得ない。研究協力に当って最も重要な事は、頭脳資本力を評価し尊重して、金などの物的資本に勝るとも劣らぬ位置づけをし、これを保護するような準備を立派にすることである。すなわち、研究成果の評価を正当にして、頭脳産物に対する所有権を明らかにしてこれを守るようにし、頭脳資本の生み出す力を高く評価して、それが犯されないようにすることである。根本的には、頭脳資本が高く尊重されれば、その取得が競って行われ、研究はどんどん進むであろうし、その効率をよくするために、適材適所の人材配置もやむを得ず強制されるようになって、研究の成果である科学技術の開発、すなわち発見や発明が盛んになるであろう。」研究所に関係する人の適材適所の配置ということが非常に大事なことですね。これがないと、クリエーションをする、独創をするというような人は、やはりその人によって適材でないとできない。たとえばアメリカのアルゴンヌの原子力研究所では、この間聞きますと、そこに入る人は試用期間が五年です。五年間試用期間をおいておけば、日本でいう大学を卒業して修士コース、博士コースを通ってきたところまでが試用期間ですから、この人はほんとう原子力の研究に適するかどうかということがあそこで判断されて、適材がそこで働けるようになって、まことによく仕組まれているわけです。そこで、もしも研究開発、クリエーション、創造に適当でない人はそうでない道を歩いていったほうがいいわけですね。そうして一生豊かに暮らせる。ずいぶんたくさん例があります。日本の国でも、大学の先生でずっと残っていくよりも、大学をやめて途中で社会に出て、結果としては五十、六十になったときに、そのほうがりっぱな社会的な立場、あるいは満足できるそういうような立場に立ち得るというようなことにもなるのでありますから、適材適所の配置というのは、途中で研究所からよそへ行ったからといって、決して恥ずべきことでもないし、持っている才能を伸ばすということが非常に大事である。そういうことで私は頭脳財産の尊重ということを非常に大事に考えております。その点から考えて、原子力研究所の中にあります研究の成果というものは非常に大事なものなんですね。その非常に大事なものがおろそかに取り扱われるようなことがあっては、研究所がこれから盛んになっていこうとするときに、盛んになれない。そこが私の根本的な――研究成果が自然に持ち出されるとか、ことに故意に持ち出されるなんというのは、ちょうど銀行か何かでお金でも取り扱っている人が、帳簿に整理する前にひょっとポケットへ入れて持ち出した。帳面に整理されてないのですから、どこへ持っていったかわからないというようなことをたくらみながら持っていくのと同じように、研究所の現場にあります資料が持ち出されるような環境は絶対につくりたくない。そのほかに、新聞に書きましたように、いろいろなことがあります。しかし私は特にそれを強調するわけです。研究所が頭脳財産を大事にするということをしていけば、おのずから研究は盛んになっていくんじゃないか。これが私の見ます研究を推進する一つの原動力だと思うので、あえて強く申し上げるわけです。  それから次に、今度はもっと具体的な身近かな話でありますが、破損燃料棒が出たときに、ずいぶん長い間放置してあったなということを言われますけれども、これは原子力研究所の担当者としては非常に心外なんです。一本春に出た、それで二本目が秋になって出た。一本出たときに、これは一体どうしたらいいかということは、とても放置してなんかないわけですね。しかし、これ一本出たからといって、それに比較するものがないわけです。どうして検討していいか。もちろん中を調べることはいだそうとはしていました。カナダやほかの国で、自分でつくったところの人は、おそらく何度も失敗して、そしてりっぱなものができるようになったのでありまして、失敗の経験はたくさんあるのですが、日本では向こうから入れたものを、それと同じようなものをつくる技術を、メーカーの人たちがカナダに行って習って、そしてやってきたのですから、いわばよそ行きのものを教わってきて、教わることについては向こうも十分教えたつもりでしょうけれども、しかし十分教えても、よそ行きのものをただ習ってきたのですから、やはり欠けているところがきっとおる。そういうところが若干出てきたと見まして、普通のものだとか、あるいはほかの比較するものと比較検討してやっていたわけです。そして秋になってからぽつぽつ少し頻度が高くなって出だした。ことしになってからも出て、そしてまた怪しいのがあったから取り出した。そういうことでありまして、それについては原子力研究所の中ではもう早くからこれを注意して、これの対策を考えておりました。そして、外部の協力も得るようにしておりました。その一つのあらわれとしては、原子力学会でもって報告して、それに対する対策を昨年の十一月に考えたわけです。ですから、先生方がおっしゃるように、決してないがしろにしているようなことはなかったわけであります。  それでもこの国産一号炉――東海村のは三号炉ですが、俗にいう国産一号炉は、どういうふうにして運転していったらいいかということが、こういう手引き書といいますか本の中に書いてありまして、大体これに準拠してやっていくことにしていたわけです。それで、たとえば破損燃料が出たり何かするかもしれないから、それに対する対策というのが書いてありまして、それには二種類の検出器を置いて、一種類がだめになっても片方で補えるというやり方をしていたわけです。それは一種類のほうは特別なくふうをしたもので、装置を二十四個、こうくっつけまして、そしてそこを重水が流れるようにして、その検出器のこれとこれが感じたらどこだ、これとこれが感じたらあっちだということがすっかりわかるようにして、それを見ていたわけです。たまたまことしになりまして少しよごれが多くなったために、ある一つが敏感さを欠いた。それが故障故障といわれたもとでありますが、敏感さを欠いたのですね。だけど、もう一つちゃんと準備してありますから、決して手抜かりのないようにしてあるわけです。そして、そういうことをしながらも、もしも何か起こったらどうしたらいいかということを処置するために、どういうことが最大といいますか重大な事故であろうかということを予想してもあったわけです。その予想は、燃料棒がかなり大きく皮がむけまして、先ほどから話が出ていますウラニウムの表にかぶっているアルミニウムの皮がかなり大きくむけて、しかもそれに触れている重水が何かの事故で、それこそ予期しないことも起こるでしょう、地震であるとかあるいは何かですね。それでこぼれ出して床に流れて出る、そのときが一番たいへんだから、そのときに対する対策ということを考えながら処置をしていたわけです。ところがそのときに比べて――そのときは九キュリーでありますが、そのときに比べてこの間の状況はその四十分の一ぐらいの程度の被曝があったわけです。ですから、それは先ほどからいわれる故障というものでなく、ちょっと変調があったというふうに見ていい、そういう範囲のものなんですね。そのときに、先ほど言いましたように、ちょっと不注意で被曝して、そして人体の障害も起こったといってもそれも法律的に許されている限度の四十分の一ぐらいのところ――先ほどの四十分の一程度の被曝というのは、重水の汚染が予定していたものの四十分の一ということです。それから、被曝も法律で許されている許容量の三十分の一か四十分の一なんです。ですから、ちょっとお考えいただくと、この高さが法律で許されている限度としますと、この辺のそれよりちょっと高いところで何か少し変調があった。しかしこの辺まできても、人体にどうこうということはない。人体にどうこうというのは、天井の上くらいの高さです。こういう限度のところで起こっていることでありまして、それだから、これはないがしろにするということは一向考えていません。そこに関係している人たちは、やはりおのずとどういう限度のものだということを考えてやりますので、しかしそれで、先ほど長官が言われたように、なれてちょっと手を抜かるというようなことの起こることも、まあないといえないような、そういうような程度のものであることも十分よく知っていただいておきたいということを私は考えるわけです。それだから、われわれがないがしろにして原子力の研究を乱暴なことをするということは絶対にしません。そういうことは絶対にしないのですが、そういう程度のものであるということを知っていただかないと、ただ、めちゃくちゃに――問題になるような事故が起こるようなのはずいぶん高いところの限度、それでこの辺が法律で許されている限度、その四十分の一のところで何かが起こっている。それを取り上げて――注意しなさいということはわれわれ幾らも聞きます。しかし、それのためにどうこうと言われることは、私はやはり問題じゃないかしら。これは皆さんがよくお含みになって、どういうものであるかということをよく知っていただきたいと思うのです。私どもは、原子力の研究については、ある意味で職業人であります。でありますから、乱暴するということは絶対しません。しませんけれども、しかしわれわれがやはり試験をしているときには、ある場合には耐久力試験をしなければならぬとか、ある場合には破壊試験をしなければならぬとかということがあるわけです。破壊試験をしないでただ試験していたら、いつまでたっても、どこまでやっていいかわからなくて研究も進みませんし、技術開発も進んでいかないと思うのです。そういう点もぜひ含んでおいていただきたいということを申し上げる、こういうことがまず序論であります。  なお、いまちょっとお話ししました重水が流れかなんという事故は全然ありませんで、ただパイプの中に少しよごれがふえた。(木内国務大臣「万一流れ出た場合に対しても、その対策を考えておったけれども、そういうことはなかったんですね」と呼ぶ)絶対にありません。ですから絶対に――この本で書いてある、こういうことが起こるときの対策ということを考えているものの四十分の一の程度のものが起こった。それが先ほどから局長やそのほかの方々が変調が出たというような、あるいはそのために計測器が少し敏感さを欠くようになった。敏感さを欠くといったって、二十四あるうちの一つのところがそういうふうになりました。なってもほんのわずかでありますが、それも検知するような設備を持っているわけです。それがちゃんと動いているわけです。ですから、決してそれを取り出してことさらにどうこうというような種類のものではないし、また、それ以上のことが起こることは、研究所の人たちに対して絶対に起こらないようにしなさいということは強く申しております。そして、そういう環境で研究が進められていくということにぜひしたい。  それでその研究を進めるためには、繰り返して申してくどいようでありますけれども、頭脳財産を大事にする。頭脳財産が何となしに流れ出たり、あるいは故意に流れ出るというようなことに対しては厳に戒めて、研究所というのは頭脳財産を生産する場所なんでありますから、一番大事なものです。それが故意に盗み出されて、そして悪用されるというようなことがかりにあったら、これはやはり研究所を守る者、そして研究意欲を盛んにするところを盛り立てていきたい者としては、ことに多くの若い人たち、これからはりっぱな研究者になろうとしている人たちに頭脳財産が大事なんだ、だから、これを大事に守ってあげようという、そういう空気をつくろうとするところに、それに水をさすような、あるいは逆行するようなことがあったら、研究所としては、やはり非常にやかましく秩序を守るようにしなければならぬということを私は強調して、皆さんにもよくその理解をしていただきたい。ことに、ここにおいでになる科学技術に関心をお持ちの先生方には特にこれはお願いしたいということを申し上げたいと思います。
  98. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 関連して。  いまのお話で、さっき私は田中次長に説明をしてもらいたいというのが、あまり簡単に説明するものだからわからなくなっちゃったんですよ。私もそれは故障といい、燃料棒破損、これはもう研究所ですから、いわゆる先進国の燃料棒に対するスタンダードのデータがあると思うのです。そのデータからちょっとはずれるというと、これは不完全だという認定のもとにこれを処理するというのが、破損だとか故障だとかいうことばであらわされているのか、それとも、普通ならば常識的にジルカロイでもって被覆すべきものをアルミニウムにかえてあるから、そこでもって被覆材料というものが粗雑なために重水でよごれたというのか、そういう点がわからなかったのですが、いまのお話で大体わかりました。いわゆる許容量の四十分の一、三十分の一のよごれであったけれども、それが先進国のすばらしい完成した燃料棒から比較するというと、まだ不満足である。これは原子力研究所のたてまえにおいて厳重なる追及、究明をやって、そして理想的なところまで持っていくという立場にある。大体そういうふうに私は受け取ったのでありますが、ただちょっとわからないのは、「燃料棒は平均して製造規格の寿命(トン当たり六百メガワット日)の約半分に達すると破損している。原研は寿命の半分(トン当たり三百メガワット日)に達した燃料棒破損していなくても取替えておる」、こういう新聞記事なんですが、これは一体どういうことを意味するのですか、これをちょっとひとつ説明してください。
  99. 宗像英二

    宗像参考人 それは外国から入れたのはもう少し長くもつらしいものですから、八百ぐらいもつつもりでいるわけですが、日本のものはやはり何か少し心配だから、初め六百と控えて考えていたわけです。しかし事故が起こったのは三百少しぐらいで出ますものですから、それでもこれからは三百ぐらい使うのを短くしよう、三百程度のものにしようというのを、昨年の秋にそういう様子を見てさっそく手を打ったわけです。これもわれわれとしては思い切った安全のための対策を立てているわけです。ですから、何もしないでいて、ただひょろひょろ出てきたというのじゃないわけですね。そのとき、もうすでに半分にすることの手を打っている。
  100. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 もう一つ、私、念のために新聞を切り抜いておいたのですが、これは四十三年五月十八日の日刊工業新聞ですが、「国産原子燃料本場の米国で折紙」「三菱原子力製サクストン炉で三年間ノークレーム」、これはWH社がジルカロイを原料とした日本の三菱製の燃料棒を再注文してきております。これは世界で折り紙がついているというような技術を持っておって、どうしてこういうものを見のがしてそして不安全なものを使うのですか。どういうふうなこれは結論を――さっきお話がありました研究所はクリエーションを非常に大切にするんだ。ブレーンパワーというものは金にかえがたい財産だ。だから、原子力研究所というものは、日本の科学技術の推進の上において安全性その他を全部勘案して研究をやっているんだ。それがちゃんとこういうりっぱな国産があるにかかわらず、こういうものはぽいしておいて、そして特に危険なとはいえないかもしらぬけれども――ジルカロイでやれは安全なのかもしれません。それをどうしてアルミニウムの被覆のようなもので試験をする。何か根拠があってやられたわけですか。
  101. 宗像英二

    宗像参考人 それは国産一号炉をつくった段階では、まだいまの三菱がつくったような種類でなく、種類がちょっと違うのです。片一方は金層燃料、片一方は酸化物燃料、そっちがまだそこまで研究が進んでいなかったのです。それで、国産一号炉のときには、カナダでやっているのが金層ウランにアルミニウムカバーというので通っていたものですから、そのころはそれを注文するよりしかたがなかったわけです。その後そういうふうに変わっていった。われわれのほうも、もうスケジュールはできておりまして、いずれは切りかえていこうと思っております。
  102. 三木喜夫

    三木(喜)委員 いま原子力究所理事長からお話を承りました。あなたのお考えはわかった。それで、その中で二つ問題があるのです。私たちはその失敗を一つ一つことあげして問題にしたという、こういう取り方をしてもらっては困る。これが一つです。失敗というものは研究段階にはあるわけなんです。あるのをお互いにそれを公表しても、話し合いにしても、そういう材料にすることは、私は何ら悪いことはないと思うのです。それをひた隠しに隠さなければならぬ――隠さなかったとおっしゃいますよ。学会誌に出したというのですが、労組はそれを書いたのですよ。お互いにマンパワーを大事にするとか、あるいはそこでお互いにスクラムを組んで頭脳財産を大事にするということなら、その所内において、こんなところに欠陥があったのじゃないだろうかという心配を書くことは、私は許されるべきだと思うのです。私たちの疑っておるのは、いま齋藤さんが言われましたように、どこかの会社のが材料がいいというようなものがあれば、それをとっていくのも一つの方法――サイズはいろいろ違うだろうと思うのです。そうすぐには取り上げられないだろうと思うのですけれども、疑いを持つのは、一つの会社の製品を誹謗した、そこから圧力を加えられることがたまらぬ、こういう考え方で研究というものを律していくと、これはたいへんなことになると私は思うのです。どうやら、この問題の起こってきた発端はそこにありそうだ。私たち一つ一つあげつらう態度でないのに、あなた方が一つ一つをあげつろうていた。こんなのはけしからぬじゃないか。あなたがおっしゃるように、頭脳財産を大事にするなら、おまえたちよく言うてくれた、おまえらこそ表彰ものだということを言ったらいいのですけれども、あなたと三菱との関係、日立の関係か何か知りません、そんなところまで私はとやかく言いたくないですけれども、そんなことがあって、これを言うたやつは、その会社の名誉をものすごく傷つけたやつで、けしからぬやつだ、相手の会社にも申しわけないじゃないか、陳謝これしてもなお余りあるというようなことでこれを律しられたら、研究はちゃんといかないじゃないか。あなた、いまずっと言われたように、頭脳財産、頭脳財産と言われるなら、中においてお互いに言い合うことくらいはいいじゃないですか。危険だ、危険だというて、取り立てて言うておるんではない。それさえ隠していくということになっていったら、今後そんな危険なものは全部隠蔽してしまいますよ。隠蔽さしてしまって、その中におる者の安全と研究の自由と研究心というものをかり立てるということには水をさすやり方でないかということを基礎に置いて、きょうは私は言ったわけなんです。一つ一つ取り立ててそんなことを言うなというお話だったけれども、研究には失敗はつきものですよ。はや、私たちは、四本損傷しておったというのでしょう。それがきょうは話を聞いてみたら七本になっていたでしょう。私は知らない、それは。そういうところがおかしいという発想から、この問題は出てきておるわけです。表彰されますか、こういうことを書いた労組のものを。えらい申しわけなかったと、あなたはおっしゃいますか。これは厳罰に処すべきだという考え方ですか。持ち出したという考え方ですか。研究の成果、何も持ち出していないじゃないですか。ちょっとここに故障の個所があるじゃないかということを注意しただけの話じゃないですか、内部的に。それだけ聞いておきたい。
  103. 宗像英二

    宗像参考人 先生、まず先生に伺いますが、先生四本しか知られなかったという、先ほど読まれたのに七つと言われましたがね。何か数をあげられたのに。四つじゃなかったですよ。(三木(喜)委員「労組のを見たら四本と書いてありますね」と呼ぶ)いやいや先生、先ほど読まれた……。
  104. 石田幸四郎

    石田委員長 参考人に申し上げますが、委員質問するということはお控えください。
  105. 宗像英二

    宗像参考人 それではしません。  それから、先ほどの件ですが……
  106. 三木喜夫

    三木(喜)委員 いや、四本というのは、私の読んだのは四本、そっちから聞いたのは七本で、私が読み上げたのは四本です。
  107. 宗像英二

    宗像参考人 それではもう質問はいたしません。  これは、先生がいまおっしゃいましたのと、研究所を管理する者とは、たいへんな違いがありまして、研究所は初めから、先ほども長官が言われたように、研究所の中で研究をした成果はちゃんと研究所が公表するのでありまして、個人が公表するのではない。それは、そういうことできめられて、就業規程もできております。そしてまた、事故があったことは、もうよく知っているわけです。そこの現場の責任者が、ああいうものをちゃんと話しながらこういうことだと言っている。それはもうみんなよく知っているわけです。それを持って出て、そして何か尾ひれをつけて、そして誹謗される。これは研究所の秩序を乱すということで非常な大きな問題です。しかも、それがミスで出たのではなくて、故意に持って出ていることが非常な問題です。  それはそれとして、私が申し上げるのは、頭脳財産というものは大事に持っていなければいけないということを強く言って、ことに研究者が、たとえば研究をしている人が、先ほども井上先生ですかがおっしゃったように、自分発表するのだからいいのだと言われても、もしも井上先生の場合にも……。(三木(喜)委員「井上さんは言ってない」と呼ぶ)先ほどちょっと私聞きましたが、それでは聞きそこないでしょうから……。(三木(喜)委員「それは井上先生に答えてください。私の問いに答えてください」と呼ぶ)私のなにとして申し上げますが、ある先生が研究をなさっているのを、その助手の人がひょこひょこっと持って出てよそへなにしたら、きっとそのある先生はその助手をじきに首を切ってしまうだろうと思いますね。それほど頭脳財産というものは大事なものなんですね。それが、いま、秩序を乱すようにしてやられること、そのことが問題であります。
  108. 三木喜夫

    三木(喜)委員 これ、頭脳財産とおっしゃいますけれど、あなた方学会誌に出されたのではないですか。いつ、どこへ持ち出したのですか。所内のあれに書いたものじゃないですか。そしてこれは、財産というような、そういう研究の成果のこり固まりと違うのですよ。こういう安全性からお互いが労組の中で取り上げた問題であって、もうそれは出ておるので、あなた、どこが頭脳財産ですか。変なことを言いなさんな。頭脳財産と違いますよ。妙なこじつけをして、また持ち出したとか、名誉を傷つけた。名誉を傷つけられたのは、あなた方のとり方は日立だと言いたいのでしょうが。そんなとり方で、あなた、研究所の理事長であるということはおかしいじゃないですか。頭脳財産、頭脳財産と言うて、まことしやかなことをあなたはさっき言われた。それは確かに大事ですよ。大事だけれども、このことはもう頭脳財産でなくなっておるじゃないですか。一つのデータじゃないですか。安全性をわれわれがはかるところのデータじゃないですか。そのデータがお互いの――労組の中に出回って、それが頭脳財産でござい、それが外へ持ち出された、捏造された、こういう言い方はオーバーであって、安全性のための一番基礎になるところの、たとえそれがちょびっとでも、こんな被覆が破れておるということになると、重水がよごれるということになると、たいへんだから、お互いの中で注意し合うたということが何が悪いのですか、こんなんですよとお互いに注意し合うたら。これからこんな注意はお互いにしなくなりますよ。あなた、これは頭脳財産ですか。
  109. 宗像英二

    宗像参考人 頭脳財産についての認識において、先生と私とは違いますね。頭脳財産というものは、物の財産と違いまして、たとえば優先性、早くある、時期がくるとゼロになる、そういうような性質のものです。数字のようなものは、これが大事なものになる、しかし、あるところまでいけばなくなるというようなものですね。そこいらのところで先生とだいぶ違いますね。まあ、これは違うから、私はやはり私の見解を守っていくよりほかしかたがないのですが。  もう一つ強く申し上げておきたいのは、私どもにとっては非常に大事な頭脳財産です。こういうことが乱れるようですと、研究所の中にあるものが知らずに、あああれも流れた、これも流れたというようなことが起こることはたいへんな問題です。そのために秩序をきちんとしなければいけません。
  110. 三木喜夫

    三木(喜)委員 頭脳財産は、時期とかそういうものがたてば問題なくなってしまう、頭脳財産でなくなってしまうとおっしゃったのですが、その学会誌に出されたのは、いつなんですか。それで出してしまったら、その値打ち――あなたの論理からいえば、ある程度もう時期がたってしまったんじゃないですか。その後これは出てきたんじゃないですか。その前ですか、労組から出したのは。どっちなんですか。
  111. 宗像英二

    宗像参考人 それは数字によって、いろいろありますよ。ですから……。
  112. 三木喜夫

    三木(喜)委員 いやいや、私が言いましたでしょうが、四本の燃料棒が……。
  113. 宗像英二

    宗像参考人 それはその時点では大事なものです。
  114. 三木喜夫

    三木(喜)委員 だから、どっちが先ですか。(宗像参考人「それは、その時点では大事なものです。」と呼ぶ)
  115. 石田幸四郎

    石田委員長 立って発言を求めてください。
  116. 宗像英二

    宗像参考人 それは、研究所の管理上、非常に大事なものです。
  117. 三木喜夫

    三木(喜)委員 大事はわかっておるのですよ。大事はわかっておるのだけれども、あなたがいま言われた理屈からいえば、時期がたてば値打ちはなくなるのだ、こうおっしゃった。そうしたら、それは、あなた、研究を発表された、外へ出されたんじゃないですか。出してしまえば、それはどこでも使えますよ。そういう点はどうですかと言っているのです。
  118. 宗像英二

    宗像参考人 十一月に発表したものは、破損燃料検出装置、これについて特別なくふうを原子力研究所でしているものですから、それが燃料破損をよく検出した、で、それと一緒に、検出したということは、燃料破損していたということを発表した、そういうものです。ですから、取り扱っている対象が違いますね、つかまえているものが。
  119. 三木喜夫

    三木(喜)委員 いや、その発表したときと、労組の発表したとき、時期です。あなたは、いまある程度時期がたてば値打ちのなくなるものだとおっしゃったでしょう。私もそう思います。だから、あなた方はこの四本の燃料棒がこうであってどうだという研究を学会誌に出されたのでしょう。それとこれとの、労組のほうの発表は十一月の十五日のようですね。どっちが早かったのですかと言うのです。
  120. 宗像英二

    宗像参考人 それはそういう現象がありまして、こっちのほうを書いたものとこっちのほうを書いたものじゃ違いますね。だから、時期の問題ももちろんありますけれども、こっちのほうを書いたものと、こっちのほうを書いたものは違いますね。
  121. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そんなことを聞いているんじゃないんです。日だけ聞かしてください。
  122. 宗像英二

    宗像参考人 それは問題じゃないんじゃありませんか。
  123. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そんなこと問題じゃありません、私は。日だけ聞かしてください。
  124. 宗像英二

    宗像参考人 学会のほうが先です。
  125. 三木喜夫

    三木(喜)委員 あなた、記録に残っているのですよ。ある程度時期がたてば、もうそれは頭脳だとか価値は喪失するのだ、こう言っておられる。学会に出たものがなぜ秘密か、なぜ頭脳財産として大事にせねばいかぬのか。もう出てしまっておるのですね。秘密というのは、それを大事にして、どこかで研究されたら自分のところが不利になるとか、あるいはまだ研究が未成熟であって、そういうものが外へ出るときには、こんな研究をしてということで、あなた方の声価を問われるというような場合に、出たら困ると、こういうことです。これは外へ持ち出したものでも何でもないわけでしょう。あなた方の中にあって、しかも、あなた方も外へ一ぺん持ち出したのですから、持ち出して悪いのなら、あなた方は処罰されなければいかぬですよ。そういう理屈を言うと困る。
  126. 宗像英二

    宗像参考人 これは頭脳財産管理ということが大事だということで私は先ほどから申しているので、これは非常に大事なものなんだということは、よく先生も御承知ですね。  それから、そういうようなものの管理に対して就業規程があるわけです。就業規程を守らない者は、やはりそれに準じて処置をしなければならない、それでないと、研究所の秩序が保てない。
  127. 三木喜夫

    三木(喜)委員 それなら、もう一つ先へ進みましょう。  就業規程の五条二項というのは秘密にしなければならぬということなんですよ。その秘密は、もうすでに秘密でなくなっておるじゃないですかということが、今度発展として出てくるのですよ。就業規程、就業規程と、こうおっしゃいますけれども、もう秘密でなくなっておるじゃないですか。秘密を守らなくてはならないことが就業規程でしょう。何ですか。就業規程も何もないじゃないですか、それは。秘密でなくなっておるじゃないですか。秘密を守るということが就業規程じゃないですか。ちょっとおかしいですよ。
  128. 宗像英二

    宗像参考人 就業規程には、発表すること、そのことをちゃんと規定してあります。それですから、大事なものであるのを、しかも発表するその手段、たとえば公刊するとかいうふうなことについてのことが規定してあります。
  129. 三木喜夫

    三木(喜)委員 いいです。
  130. 石田幸四郎

    石田委員長 次の質疑に移ります。近江巳記君。
  131. 近江巳記夫

    近江委員 いま理事長さんのお話をいろいろ聞きました。この原子力の問題については、これは日本の将来にとってどんどんと研究を開発していかなければならない。われわれは同感です。これは次の大きなエネルギーです。あらゆる面において原子力の重要性は認めております。また、あなた方がおっしゃった安全性も、あるいは頭脳財産の尊重もわかります。われわれもそのことを主張している。要するに、いま三木委員といろいろなやりとりがありましたけれども、しかし何か私の率直な感じでは、原子力研究所がこんな輝しい成果をりっぱにあげましたと、それは一つのそれだけのテーマをもってやられるのですから、われわれ国民の一人として、これは確かに期待をします。ほんとうに日本の優秀性というものを発揮してもらいたい。しかし輝かしい成果のその陰に犠牲者というのか、そういうものが堆積された上に、ただもう成果だけはこうなんだ、こうなんだ、それであっては私はならぬと思うのです。そういううっせきされたものを持っておる科学者がそのままの状態でいくことが、はたして頭脳財産を守っていくことになるのか、人間としての機微というか、そういうものを非常にお考えになっておられない、こう私は思うのです。  また、原子力基本法からいっても、公開性ということがうたわれているわけですよ。事実こうだと、このままほっておけば、もしも大事故になったらたいへんだ、また、われわれ働いておる者も非常に身の危険を感ずると、その一人の叫びが何が悪いかというのです。ましてや学会誌で先に発表されている。秘密でも何でもないことですよ。  そういうような点で、ただ何か内部のことを言われたら、暴露された、けしからぬという、そうしたあなたの考え方というのは非常に民主的でないと思うのです。やはりみんなが伸び伸びとして言いたいことも言う、また、国民にこういうことがあったけれども、その点を解明してやっていきますと、率直に――それは研究において失敗も成功もあると思うんですよ。それを世の中に発表して、このようにやっていきます、そういうフランクな立場が私は大事だと思うのです。どう考えますか。
  132. 宗像英二

    宗像参考人 いま先生おっしゃった初めのほうですね。はなやかなことが片方で進んでいる、そこへ隠れた人が出てくるのじゃないか、何といいますか埋もれてしまう人、それを私は非常に心配しまして、そしてそういうふうな研究の方法にならないように――日本では何となしにその研究題目をつかまえてやる研究がどこでも多いのです。ちょうど卒業論文実験の程度の、一年くらいでできるような論文をつくっては報告するようなことが多い。そうすると、そういうのを一生のうちに三つか四つやるとクリエーションの能力を発揮する時代は過ぎてしまいまして、その人は小さく固まってしまうわけです。それは非常に気の毒ですね。ですから、大きな目的を持った研究につけてあげれば、その目的がずっと伸びていくと一緒にみんなが育つわけです。そういうふうにして育つようにしてあげたいということを、私はかねて努力しておりますので、先生いま御指摘の点は、これはもう十分に私も考えているつもりです。これはそういうことで、みんなが成果と一緒に育っていく、技能者の人も技術者の人も育っていくというふうにして差し上げたいというふうに思っております。  それからもう一つのほう、秘密に隠しているということは一つもないわけでございまして、われわれ原子力研究所で隠しているということは――ちゃんと秩序を保っていて、そしてちゃんと発表してあげたいわけです。それは先ほど長官が言われたと同じ理念であります。
  133. 近江巳記夫

    近江委員 あと、この話をやっていけば幾らでもありますので具体論に入りますが、要するに、こういうような破損を続けている国産燃料をこのまま使用していって、また第二、第三の事故が起きてくる非常に大きな危険性を持つわけです。この点、これからどうなさっていくおつもりか。将来というお話をさっきされましたけれども、将来といったって何年先か、十年先も将来は将来。その辺、どういう具体策を持っていらっしゃるか。やはり外国の燃料棒でやれば事故はなかった。そうすると、原子炉自体の構造であるなら、前にもそれはあったはずです。一応普通の判断からいけば、やはり燃料棒が問題であるということになってくるわけですね。その燃料棒に対してどうなさいますか。
  134. 宗像英二

    宗像参考人 それは、先ほども申し上げましたように、三百メガワットデー・パー・トンですか、その範囲ならだいじょうぶだという見通しを一応つけていると、それからいま、少し敏感さを欠いているメーターも、中に浄化装置、イオン交換樹脂だとかいうものが入っていますから、だんだん中の状態がよくなりつつあるので、いま、少し鈍いのもだんだん復活してくるだろうと私は見ております。それから、そのほかに、ちゃんと用心のものを持っていますから心配はないわけです。もともと、その許容量の四十分の一くらいのところでこうやっているものですね。ですから、私は予定どおり三月末まで、この年度まだあと二サイクル動かそうと思っております。それで一向差しつかえなしにいけるものと私は思っております。
  135. 近江巳記夫

    近江委員 聞くところによると、この被膜するのにも一本五十万円かかる。そうすると、いままで七本廃棄されて、結局燃料も半分くらいしか使わずに大体七十本と聞いておりますが、被膜代だけでも三千五百万円。半分の能力しか出ないとすれば千七百五十万円、結局国民の税金を捨てるわけです。国産をどんどんと性能もよくし改善もしていく、そういう点については、われわれも非常にそういう意欲は持っております。それは当然であります。だけれども、そういうこと自体、いい製品、またその製品をチェックしてやっていく段階はメーカーなのではありませんか。何でそういう材料自体の実験を原研でやっていくような、そういう形になるのですか。
  136. 宗像英二

    宗像参考人 原子力研究所に原子炉がありまして、そこで日本の国内と協力して、そこに持ってきてテストしているわけです。それでわれわれがメーカーの人や学者もみな集まって、破損した原因を――これは先ほどから先生方なかなかできないじゃないかと言われても、ごらんになるとおわかりと思いますが、冷やして、それを切って、そしてホットラボの中で測定をしていくわけですね、傷のついたものはどこが悪かったかというのは、いいものも切って比較試験して、ここはこうだから、こっちはこうだった、そういうことをずっと調べていかなければならない。そして結論を出して、今度は国内のつくる人たちに、こうしなさいということもお伝えし、なければなりません。それで、ひまがかかるのですけれども、先生おっしゃるように、明らかにつくるのはメーカーです。ですから、メーカーと一緒になって、あるいはメーカーにアドバイスする力のある学者も一緒になってやっておるわけであります。
  137. 近江巳記夫

    近江委員 それから、今回の事件を通じて、原子炉、また特に燃料棒等について、そういうような事故が続発している。一体原子力というものは安全なんだろうか、国民だれしも一番素朴に考えるのはこの感じなんです。それがまた非常に大き、な疑惑が国民全体に起こってしまった。こういう点で私は安全性ということをほんとうに徹底してひとつ考えてもらいたいと思う。  ここで私は長官にひとつお聞きしたいと思うのです。これは研究所ではありませんけれども、日本原子力発電株式会社東海発電所の使用済みの燃料、これが、英国原子力公社UKAEAのウインズケールの再処理場で再処理するために、本年の七月から約三年間にわたって英国に向けて輸送される予定である。輸送の時期は、第一回は四十四年の七月上旬、以後約四カ月ごと、一回の輸送量約二十五トン、二千四百本ですよ。いま数本が非常にこういう事故が続出している。二千四百本、二十五トンです。これを十二個の輸送容器に分割収納する。輸送経路については東海発電所から日立港まで国道二百四十五号、二級国道を経由して陸上輸送される。船の甲板上でUKAEA側に引き渡される。こうした輸送のことについて大臣御存じですか。
  138. 木内四郎

    ○木内国務大臣 いまお話しの問題、確かにあるわけです。そこで私はその前提として申し上げておきたいのは、さっき私も申しましたように、これからはもう原子力発電が非常にふえてくる。原子力船も出てくる。あるいは医療の関係でも放射能を使う、いろいろなことで非常にこれが拡大してくると思うのです。それに伴いまして、何といっても考えなければならぬのは安全性だ、いまお話しのとおりだと思います。この安全性も、大きく分ければ二つあって、安全性自体、科学的に安全性を保たなければならぬ。これはそこで働いている技術者、職員に対する安全性、それから環境に対する安全性、これはどうしても考えなければならぬ。同時に、これが科学的によくても、いまお話しのように、国民に不安を持たせてはいけないという大きな問題が政治的にあると思うのです。そういう点も考えて、私どもは安全性の問題について、これから最善の努力をしていかなければならぬと私は考えておる。これはきのうも申し上げましたし、きょうも壁頭に申し上げたとおりです。  そこで、いまの東海村の、今度、あすこの日本原子力発電所のほうで使ったあと燃料をイギリスに持っていって再処理してもらう、こういう問題が起こっておるわけです。それを工場から日立港まで運ぶという問題そのときの安全性についても、われわれは最善の注意を払わなければならぬ。これにつきましては安全管理法がありまして、これに基づいて、私のほうではありません、運輸大臣安全性を保つことができるかどうかということをよく見て認可をする。私どものほうとしても、これにつきましては、入れる容器ですね。容器の安全性というのは、科学技術庁のほうで十分に調べます。調べるについてはもちろん規則もあります。その規則に従って原子力委員会意見をよく聞きまして、そして容器の安全性、そして運ぶ場合には運輸大臣が安全規則によりまして、法律によって厳重な審査をして、そして安全性を保てるようにして、その安全な容器を道筋を安全に運ばせる、こういうことにいたしておるわけです。何としても安全を保持するということは大事なことだと思います。私はいま申し上げたようなことで容器の安全性、容器が非常に重いものだそうです。内容は二トン半とかなんとかなのに、容器は四十何トンもあるというようなことを聞いておるのですが、そういうわけで非常に堅固な容器に入れて、途中の輸送も運輸大臣のほうによく監督してもらって安全性を保つ、こういうことでやっていきたいと思います。
  139. 近江巳記夫

    近江委員 二十五トンの使用済み燃料、これからお聞きしますが、プルトニウムはどのくらい含まれているのですか。
  140. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 二十五トン全部で大体計算しますと、大体二十八キログラムぐらいになると思います。
  141. 木内四郎

    ○木内国務大臣 いま私が申し上げましたのは、一回の分が二・五ということです。
  142. 近江巳記夫

    近江委員 そうすると、長崎の原爆はプルトニウムは型ですね。これは約八キログラムのプルトニウムでつくられている。そうすると、ざっと概算で計算すると、三・五発分ですよ。この使用済み燃料棒というのはおそろしい放射能を浴びてますよ。先ほどからずっと話があったのは、燃料棒破損じゃないですか。絶対に安全が確保できるということを、あなた、科学的に立証できますか。たとえば、佐世保にしたって、横須賀にしたって、その安全性ということについては国民はいまだに全然納得していない。異常放射能がどんどん出てくる。監視体制が不備だ。どこに国民が納得するよう安全であると立証できるのですか。しかも、輸送路の国道二百四十五号線というのは最近は非常に混雑しておりますよ。人口の集中地帯ですよ。どういう突発事故があるかわかりませんよ。しかも、海上に出ても、もしも何かの事故で船が爆発でもして沈んだりしたらどうなりますか。もし流れでもしたら日本海域はたいへんな放射能に汚染されますよ。少なくともたん白質はほとんど海洋資源のそうした魚類からとっている。死活問題になりますよ。納得できるように安全性を立証してもらいたい。
  143. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 この問題につきましては、原子力委員会のほうで、こういう輸送の安全基準は大体英国の形をとった基準を検討してつくります。内容としては同じでございます。また一方、IAEAのほうで国際的に輸送関係――当然これは国から国へ参りますから、輸送の関係としての安全輸送勧告というのが出ております。それをあわせまして、われわれのほうが検討していくわけでございます。その規格にのっとりました形で、いま向こうで容器をつくりまして、その容器を持ってきて、その容器に入れて運ぶわけでございます。  しかし、国内の日立港まで行く道路の問題でございますが、これにつきましては、その道路の、要するに、今度は特別の運びになりますから、運輸省が許可をする場合に、いつ、どういう道路を通って、どういう形で運ぶということは、その際に全部きめなければならない。それはこれから検討します。  それから、先ほどの原爆と申しますか、プルトニウムでやる場合、この際は港に持ってくるのに一個ずつ持っていくと思います。その一個の中に入りますプルトニウムは、十二個に分けますから二十八キロの十二分の一になるわけでございます。その量でございますが、もちろんあぶないということをおっしゃられると思いますが、しかし現在プルトニウムの爆弾と申しますか、私はよく存じませんが、あれはプルトニウム九十何%に純度を上げまして、それに空気中の中性子が当たって爆発する方法になっていると思いますが、今度の燃料の場合は、使用済み燃料でございます。したがいまして、その中にばらばらと全体の中にそのグラムが含まれておりまして、たとえ中性子がそこへ当たってもどうということはございません。しかし、やはり放射能を出すということがございますので、先ほど長官が申しましたが、英国の規格とIAEAの規格と、これに伴いました輸送機器の中に入れて持っていくわけでございます。
  144. 近江巳記夫

    近江委員 そんなことはわかっていますよ。プルトニウムを取り出すために英国へ送るわけでしょう。そんなことはわかっていますよ。それは、要するに、そのようなプルトニウムを含んでおる、それだけの大量の二十五トンという形容をするために話をした。おそろしいのは放射能じゃないですか。あなたの話の中に、ただ容器、容器、運輸省がその規定に従ってやっているからこうだ。ここでこれほど、二十五トン、二千四百本ですよ。これだけの大輸送をしていく。しかも、国道は込んでいる。家屋は密集しておる。そんなところをそれだけの大輸送をこれから四カ月に一回ずつやっていく、それについて、あなたは地元のそういうような同意を得たんですか。どういう配慮でやりましたか、科学技術庁としては。秘密にやってきたのと違うんですか。その間のいきさつを話してください。
  145. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 現在のところ、こういう考え方で、発電会社が一応この考え方を持っておるわけでございます。私たちは監督上といまの法律上、これを押えていかなければいけないわけでございます。その点においてはもう十分そういうふうに知れていくことは当然でございます。それで現在運ぶ方法、運ぶやり方、それから規制のしかた、それについていま検討中でございます。それで七月のときには十分間に合わせるという形で、全然秘密とかなんとかにはしておりません。現在のところは、実際にあの交通量からだいじょうぶかどうか、そういうことを検討している段階でございます。
  146. 近江巳記夫

    近江委員 それははかるべきところに、あなたははかっているか知らぬが、住民は知らないですよ、こういうことを。寝耳に水でびっくりしているわけですよ。それは聞くところによれば、結局市と県と発電所だ。全然市民はつんぼさじきに置かれている。これだけの危険な大量輸送が行なわれようとしている。少なくともそういうことについて市民の同意を得るのがあたりまえじゃないですか。そういう配慮をやりましたか。
  147. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 御満足な答弁ができないかもしれませんが、大体こういうものを運ぶやり方といいますか、それを考え出す場合には、やはりこれは設置者、原子炉の使用者、これがやるわけでございます。それで、われわれのほうは使用者、設置者、その連中、その民間のほうからそこの納得をさせて、それで、こっちに出てくるという順序にしております。その関係から当然現地のあれをやっておりますし、いまおっしゃいましたように、市と町と、こういうことの関係は一応やっておりますが、具体的に私のほうで向こうの皆さん方の了解を十分直接やっているということはございません。
  148. 近江巳記夫

    近江委員 要するに、下部機関で納得をさせて、こういうように計画を持ってきました――科学技術庁は監督機関じゃないですか。私は納得しておらぬですよ。それに反対して、いま安保をどうするかという重大な時期に差しかかっている。もしもそれで思わぬような不測の事態、そういう何らかの――住民感情を刺激して、どういうような騒動が起こるかわかりませんよ。そういう背景を考えたとき、すでにそういうような声があがっておる。どうするんですか。その事実を聞いた現時点で、ただもう県や市がオーケーと言ったからそれでいいんだ、そのような態度でいかれるのですか。
  149. 木内四郎

    ○木内国務大臣 近江先生いろいろ御心配の点、ごもっともな点があると思うのです。これは私も先ほど申しましたように、安全性科学的に安全であっても、それに対して住民その他に不安を起こしてはいけない、こういう点も私は考慮しなくてはならぬことはもちろんだと思っております。そこで、私どもの立場としては、いま原子力局長が御説明申し上げましたように、非常に強固な、安全な容器に入れる、この安全性を確認するということは、私どもの第一の仕事だ。今度は輸送の問題になると、運輸省がこの問題を非常に慎重に扱いまして、私の聞くところによれば、まだ確定していないだろうと思うのですが、一番輸送量の少ないところ、まあ朝早いときには輸送量は少ないそうですが、これはところによって違うかもしれませんけれども、運輸省は、それを見て、朝早く、しかも両側に非常な護衛をつけてこれを運ぶ、間違いなきを期して運ぶ、こういうことになっておるように私は聞いております。まだ、そこまで確定したことは聞きませんけれども。その輸送については、運輸省は万全を期するもの、住民に対しても危険物を運搬するから気をつけるようにということは、必ず運輸省としても知らせるものだと私は思っております。
  150. 近江巳記夫

    近江委員 使用済み燃料のそうした取り扱い等については、科学技術庁の管轄で、しかも、法のもとでいろいろな厳重な制限があるわけです。これだけの大量輸送をするのについて、科学技術庁が事前にその計画を相談を受けて、厳重にそのチェックをなさったのですか。ただ、書類だけをもらって、これは運輸省があとは輸送の点はちゃんとやるのだ。容器についてもこういう基準があるからこれでだいじょうぶだ。そういうただ机上だけでチェックをして、ああ知っておりますという、そういう段階じゃないですか。ほんとうに真剣にそうした影響ということを考えて、どこまであなた方はそれにタッチしたのですか。それじゃ本件についてあなた方のタッチした経過を一ぺん話してください、知っているなら。
  151. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 いま先生おっしゃいましたが、実はこの問題は重要な問題でございます。したがいまして、運輸省との打ち合わせを目下盛んにやっておるところでございます。それで、七月になりますし、それから向こうの容器がいつごろこっちに入ってくるか等の関係がございます。それで、その関係から現在局のほうで、先ほど申し上げましたIAEAの規格、それから原子力委員会の基準、それから、英国でこれを処理します英国燃料公社がございますが、そこにおける基準、これから出ておりますものに合わせまして厳格な調べをして、それに基づいてどういうふうな体制でいくか、まだ具体的にどの道を通ってどうという形――あの道を通っていくということはいま一応考えております。そういう形で、どういう時間に、どう通っていって、それからどういう事前調査をしていくか、どういう立ち会いをするか、そういう点はいま検討中のところでございます。
  152. 近江巳記夫

    近江委員 運輸省と打ち合わせをなさっておる。それで、この輸送計画は、だれが最終に許可するのですか。輸送計画というか、一切の再処理のこの一連のことに関して。
  153. 木内四郎

    ○木内国務大臣 これは、さっきも原子力局長が申しましたように、輸送の責任者は日本原子力発電株式会社だと思います。ただ、しかし、その輸送の方法についての安全性を確保する、この問題につきますと、まず容器が安全な容器でなくちゃならぬ。これは私どものほうで十分に対処します。それから、道路の上を船まで運ぶというのは、これは運輸省の所管でありますから、運輸省も、法律の規定に従いまして、危険のないような方法で輸送すること、そういうことに運輸省は取り計らろうと私は思っております。
  154. 近江巳記夫

    近江委員 先ほどの燃料破損の問題にこれはなってきたわけですけれども、容器にしたって、あなた方は、ただ国際原子力機関の輸送規則に基づいて、いま考えておる。燃料棒自体もそういうような破損を現実にやっておる。容器自体だって、われわれこの一つの事実を見たときに安心できませんよ、これは。ですから、その辺のところを討議なさったのですか。容器のことについても……。
  155. 木内四郎

    ○木内国務大臣 法規の関係は、いま原子力局長から御説明申し上げたとおりですけれども、私の聞くところによると、非常に厳重な容器だそうです、この容器というものは。むしろ驚くべきほど厳重な容器であるということを聞いておりまして、したがいまして、もちろん法規の示すところ、あるいは国際的基準等について間違いありませんし、厳重な間違いのない容器であると私はさように信じております。
  156. 近江巳記夫

    近江委員 現地においては、これが非常に大きな問題になってきている。要するに、あなたは、納得の上でこのように現在ほぼ許可の段階まできておるということですが、いま言うように、地元は納得しておらぬ。ですから、この大きな問題の食い違い、これを科学技術庁としてどうなさるのですか。
  157. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 これを要求しております発電所と私のほうで、いまのお話を十分検討さしていただきたいと思います。これはもちろん、地元の了解というのが大切でございます。ただ一人一人の了解といいますと、先生いまおっしゃいました市町村だけではだめだ、一人一人と言いますが、実際の考え方でいきますと、市町村で一応まとめていただいて、それと私たちのほうの了解という形で、できれば市町村で十分まとめていただきたいというのが私たちの念願でございます。
  158. 近江巳記夫

    近江委員 これは一回だけじゃないわけですよ。四カ月ごとにこれを運ぶのですよ。これは、言うなら半永久的ですよ。そういう点で、これは小手先だけで何とか押し切ってしまえばいい、もしもそういうような考えがあるとなると、私はたいへんな問題だと思う。ですから、いま局長が前向きに検討する――まだ何かおっしゃることがあるのですか、それじゃ……。
  159. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 おっしゃるとおりでございまして、あそこに発電所がございます以上、定期的に、ある時期には出てくるわけでございます。これはもうほんとうに、これから長く続くことでございます。それが一つと、もう一つは、ほかの発電所もだんだんできてまいります。そうしますと、どこに再処理工場ができるようになりましても、そこの運搬という問題が出てまいります。したがって、これが一番大きな問題で最初でございますので、その点においては十分慎重にやらしていただきたいと思っております。
  160. 宗像英二

    宗像参考人 ちょっと先ほど間違えましたので一つ訂正さしていただきます。  職場新聞が十一月十五日に発行になり、学会のほうがあとで十一月二十一日から二十三日だったそうです。ですから、職場新聞のほうが先だったそうです。
  161. 近江巳記夫

    近江委員 それで、科学技術庁としても発電所あるいは研究所、いろいろな研究機関もあるわけですけれども、要するに一番近い時点で全部合わせて――来年は一九七〇年ですが、来年の時点で全国内で燃料は一体どのくらい使われるのですか。
  162. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 ただいま資料を持っておりませんが、来年度で申し上げますと、今度新しくできます五基のうちの二基が動く関係になるだろうと思います。それは精密な資料をちょっと持っておりませんので、早急にお届けさしていただきたいと思います。
  163. 近江巳記夫

    近江委員 それはまたあとで資料としてください。要するに、これからそういう輸送の問題については、いま局長がおっしゃったように、全国的な問題があるわけですよ。こういう危険な状態をいつまでもこのまま同じこういう紛争のような状態の中でそういう輸送が行なわれていくのかどうか、使用済みの燃料について。再処理の問題ですが、どういうふうにいま考えておられますか、科学技術庁として、これからの対策として。
  164. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 現在、御承知のように、再処理設備の問題がございます。それであの再処理設備は大体月に〇・七トンの処理という形でやっていきますと、現在でいきますと、五十年半ばにはそれで間に合わなくなるのではないかという、いまちょっと私の大体の頭ではそういう考え方でございます。したがいまして、それまでの間の燃料、しかも再処理工場をできるだけ早く動かしたく――まああの処理をやるのには、現在のところでいきますと、四十八年の四月ごろでなければ、いま急いでもできない状態になっておると思います。その工場の関係一つと、それからもう一つは、もしも再処理工場をこちらでつくりませんと、どうしても燃料は海外において再処理しなければなりません。その関係からいきますと、どうしても、いまの輸送関係等がございまして、再処理工場を早くやりたいという考え方でございます。
  165. 近江巳記夫

    近江委員 再処理工場の設置については、私の聞いておる範囲では、地元は納得しておらぬわけですよ。これはまた非常に問題がある。また、そこに設置されるところの地方自治体のそういういろいろな意見を聞いていますか。ですから、たとえば、設置の場合は知事の意見を聞くとか、あるいはまた、工事中、運転後の記録を県に通知する、そういうような義務づけをしてほしい、こういうような希望を持っておるわけです。そういうような点から、いまの原子炉等規制法を改める必要があるのではないか、こういう議論も非常に出てきている。それに対してどのようにお思いですか。
  166. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 再処理工場につきましては、現在知事あるいはいろいろな市町村からの御意見も伺っております。現在のところは、先生のおっしゃるとおり、非常にむずかしゅうございます。その点は、一つは三十九年ですか、三十八年、そのころに県会としての反対の決議もございまして、それをもとに戻していただかなければ仕事が始まらないという点もございます。その関係がございまして、再処理については、われわれのほうももっともっと努力したい。できれば、やらせていただきたいというところへ進んでおります。しかし、いま先生がおっしゃいますそういうことがあるから、いまの規制法を変えろという点につきましては、規制法そのものの検討はやっておりますが、現在それと直接で規制法を変えるという段階のところは考えておりません。
  167. 近江巳記夫

    近江委員 そういう実際に設置されるところは、そういう強い不安と、また、そういうような希望を持っておるわけです。それを規制法に盛り込まないといま答弁なさった。それであるならば、その辺のところのすれ違いをこれからどのように解決なさっていくのですか。これは大きな紛争になりますよ。
  168. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 確かにあの法律は、地元の不安をどうのこうのというのは、法律の中には正確には入っておりませんが、現在の規制法の立て方からいきますと、確かに、地元を納得さして申請を出してくるという形で、その設置者のほうの責任になっております。しかし、設置者がそうやりまして出てきましても、私たちのほうは、出てきてからそこの地元の皆さん方との協力を願うという形で進んでおるわけでございます。
  169. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 いまの問題について長官に一つ伺っておきたいのですが、再処理工場の計画はもうすでに手おくれになっておりますね、私の計算からいくと。早いところ着工しないと、これは終末に至って非常に大きな問題になる。ところが、ただいま近江委員から御質問がございましたとおり、地元では射爆場の返還問題を考えて相当根強い反対がある。これはある機会にもっとゆっくりお伺いいたしたほうがいいと思いますから、あるいは御即答できない場合には保留していただいてもいいのでありますけれども、原子力平和利用という大局論からいきますと、今後そういうような再処理工場というものは、プルトニウムを中心とした日本の原子力平和利用のキーポイントなんです。そういうものをつくるときに、反対のある土地に無理やりにこれをやるということは、原子力平和利用推進の原則からいくというと、悲しむべきことだと私は思う。むしろ双手をあげて賛成をして、そこに堂々たる原子力平和利用の殿堂が立ち並ぶということが、私は一国の原子力平和利用推進の原則だと思う。何か、いまのやり方を見るというと、原則を無視して、そうして無理やりに御都合主義でやっていくというような色彩が非常に濃厚なんです。こういうものに対しては、ひとつ長官において原則論を打ち立てて、賛成するところにつくる。これは将来の原子力時代においては、原子力というものが中心となって人類社会が構成されるという見地に立てば、これはPRが徹底的に行なわれ、土地条件がそれに即応すれば、反対があるべきはずはないのです。だから、そういう点に対しては、私は、東海村の再処理工場に対する現況というものは、幾多の疑惑を生む状態にあるのではないか、こう思うのですが、長官におかれましては、そういう原則論を打ち立てて、賛成のところにつくる、反対のあるところには、これは説得し得ざる場合においてはやめるというようなき然たる原則論をお打ち立てになるお考えがあるかどうか、これを承っておきたいのです。
  170. 木内四郎

    ○木内国務大臣 齋藤先生の御質問まことにごもっともなことでございまして、これから先、原子力関係の施設というものは非常にふえてくると思うのです。それを一々反対しておるところは納得させるとか、押し切っていくとかなんとかいうことになれば、非常にむずかしい問題になると思うのですけれども、東海村につくりたいというのは、動燃事業団の自分の土地の中へつくるというと非常に便利だ、それはそばであるから便利だというばかりでなく、そこへつくることによって、東海村に原子力関係の技術者、技能者というものがたくさん集まっていますですね、そういう人も非常に活用できる、しかも自分の土地の中で、すぐそばだから非常に便利だ、さっきお話しになったように、輸送の問題などもなくて済む、こういうようないろいろなこともあって、動燃事業団がこれを非常に切望しておるわけなんです。  ところが、御案内のように、地元においていろいろな意味の反対がある。そこで、政府としても、これは苦慮しておるのですが、射爆場の新島移転の問題、その他苦慮しているのです。できれば動燃事業団の希望をいれて、そばにつくれば非常にいい、こう思っておるのですけれども、この点については、もしどうしてもいかぬということになれば、これはやはり私は考えなければならぬと思います。これはすでに、前の長官のときにも、そのことは言っておられるらしいのです。そういうことを考えなければならぬと思うのですが、今日の段階では、まだ地元の了解を得て――あそこのそばへつくる。そうして原子力研究所あるいはその他につとめるところの技能者がたくさんあの辺に集まっておりますし、原子力発電所もあるし、いろいろなことでそれを使えば、国家としても頭脳を有効に働かして使うということで、非常に有意義じゃないか、こういうことから動燃事業団の希望が出ておるわけであります。そこで、私ども苦慮しておるのですが、いまお話のあったように、希望するところへ持っていったらいいじゃないか、これも確かにそのとおりだと思うのです。しかし、これからたくさんつくるときに、どこもここも希望しておるところというと、これはなかなかむずかしい問題になりはしないかということを私はおそれておるのです。それが、今後日本の原子力発電その他の原子力利用を、ある意味においては阻害するようなおそれがあるのではないかということもありまするので、できれば、いま先生お話しのようなことにしたらいい、こういうふうに思っております。いまはもちろん法制上は、原子力局長が御答弁申し上げましたように、国が認可、許可をするのですけれども、事実上は地元の了解を得てそれを行なうという態度をとっておるようなわけであります。  そこで、もうつくらなければならぬのではないか、御説のとおりです。できればことし、この年度内に実はやりたいというのが当初の希望だったようです。ところが、延び延びになっておったのでありますが、来年の前半にでもできれば、予定どおり四十八年にはそれを動かすことができるようになるだろう、こういうふうに考えておるのです。そこで、いま非常に苦慮しておるところです。
  171. 近江巳記夫

    近江委員 結局、希望するところが圧倒的に少ない、反対がもうほとんどだ、大勢である。なぜかというと、安全性ということについて非常にみんな疑問に思っておるわけです。納得できない。先ほど申し上げたいろいろな事例があるわけです。ですから、安全性ということが、これは要するに、絶対に先決条件として安全性ということを確保しなければならぬ、こう私は思うわけです。原子力基本法も、公開原則ということを求めておるということは、これは結局安全性ということにほかならないわけです。安全性確保ということです。そういう点から、私は、放射線審議会のこの答申、これをずっと見ておりまして、これは科学技術庁として全面的に受け入れる、そういう用意はありますか。
  172. 木内四郎

    ○木内国務大臣 いまお話しになりました放射線審議会の意見ですね、これは私ども非常に尊重しておるわけです。そこで私は、先ほどから申し上げておりますように、安全性の問題については二つあるということを申し上げた。それは、科学的に国際的水準によって安全は確かに確保できる、こう思っただけでは足りないのですね。今日の一般の人の不安を解消しなければならぬという問題がある。科学的にいかにあれであっても、その地方の地元住民その他が不安を持つというようなことがあっちゃいかぬ。ですから、科学的な安全性だけでは足らないのですよ。政治的に、あるいは社会的に一般の人の不安を除去するということに私どもはつとめなければならない、かように考えております。しかし、安全性の確保については、やはりいまお話しになった放射線審議会の見るところ、また国際的水準は固く守って、あくまでも安全性を、それに従事する者だけでなく、その環境に対する安全性ということも考えてまいりたい、かように考えております。
  173. 近江巳記夫

    近江委員 ちょっとまたあとに逆戻りしますが、英国に送る計画になっておりますが、再処理後のプルトニウムというものはどうするのですか。向こうに売却するのか、持って帰るのか、どうなさるのですか。
  174. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 再処理後のプルトニウムは、日本のほうにまた戻って参ります。これは、現在のところの使用計画から考えますと、動力炉の開発その他研究に使用するという考え方を一応持っております。
  175. 近江巳記夫

    近江委員 先ほどの日立の問題でありますが、これはこのままでうやむやにしていけば、私はたいへんな問題になると思う。ですから、この問題を今後どういう態度で――これだけの、いま非常に紛争になりかかってきておるこの問題にどう対処するか。これを最後に長官からお聞きしたいと思います。
  176. 木内四郎

    ○木内国務大臣 いまいろいろ御心配願いまして、私ども非常に感謝しております。さっき私が申しましたように、安全性は、科学的な安全性と、社会的、政治的にみんなが納得するようなふうにしていかなければならぬ、こういうラインで運輸当局ともよく相談しまして、地元に不安を与えないようにして、そうして安全を確保して、しかも、地元に不安を与えないような方向に向かいまして、私どもは運輸当局とも十分に連絡して、御期待に沿うようにいたしたいと思います。
  177. 近江巳記夫

    近江委員 運輸当局、運輸当局とあなたはさっきから何回もおっしゃって、いかにも運輸当局にげたを預けたような発言をなさっていますけれども、私は、運輸省のこういう基準自体も非常に疑惑に思っておるわけです。ですから、これだけの大事な、危険なものを輸送していく。それが、ただ運輸省だけがそれをチェックして、運輸省がオーケーといえばそれでいいのだという、そういう態度でいいかということなんです。ですから、これについて、運輸省だけに今後まかせていくのか、あるいは科学技術庁と運輸省がどういう協力体制をとってやっていくのか。その辺の責任を、何か、運輸省だけに押しつけておるような、そんなことでは納得できないですよ、安全ということで。
  178. 木内四郎

    ○木内国務大臣 まことにお説のとおりでありまして、私ども安全性の保持については、重大な責任があると思うのです。  ところで、運輸行政につきましては、やはり運輸省が所管しておるものですから、表に立つのは――別に運輸省に押しつけるわくじゃありませんよ。運輸省に押しつけるわけじゃありませんけれども、表に立って安全性を保つべき法律に従って運営するのは、表向きは運輸省でありますから、私どもは責任を回避するわけじゃありませんけれども、表は運輸省を立てますけれども、やはり安全につきましては、十分に発言しまして、御期待に沿うようにいたしたいと思っております。
  179. 近江巳記夫

    近江委員 発言をしまして、発言だけでも責任を持なないのですか。責任を持つのか持たぬのか。で責任ということをぼくは聞いているのです。発言だけだったら、調整大臣と同じじゃないですか。
  180. 木内四郎

    ○木内国務大臣 お答えしますが、この問題は非常にむずかしい問題でありまして、運輸省が運輸に対する監督権を持っておりますのに、私が出ていって監督をするというようなことになると、これは人の権限の範囲を侵すことになります。しかし、責任を回避するわけじゃありませんよ。しかし、プルトニウムその他使用済みの燃料を輸送するというようなことは、私どものほうでも、あくまで重大な関心を持ち、責任を持たなければならぬ問題でありますからして、そういう意味において、十分に私どもから意見を述べて、運輸省も万遺漏なきを期するように私どもも発言したい、かように申し上げているわけであります。
  181. 近江巳記夫

    近江委員 それは、それぞれの権限、それぞれの領域ということはわかっております。ただ、しかし、発言をして、十分意見を反映させ、どうだと言う。しかし、それではただ発言だけして、助言を与えるということですから、運輸省としては全面的に一切を背負ってしまうことになるのですが、そうでなく、もっと第一線で、科学技術庁として、運輸省と私のほうではこれこれをこういうぐあいに分担さしてもらうというように、もう一歩踏み込んで話をする、その辺のお考えはないのか、私はこう言っているのです。
  182. 木内四郎

    ○木内国務大臣 その点は、実際、社会問題としてはわからぬことはないのですけれども、法制上とか、そういう面からいうと、運輸省がいま新しい放射性物質車両運搬規則というものを行政上きめまして、それに基いて厳重な管理をして間違いなきを期してやっているというのに、私どもが、おまえのほうは間違っているからどうだということを指図するわけにいかない。指図するわけにいかないから、私は、こちらから意見を述べて相談するということを申し上げたのですが、私は、いまの行政上のやり方としては、それよりほかに言いようはない、かように思っております。現に放射性物質車両運搬規則というものを向こうがきめて、そうして、おれのほうで安全を確保してやっているのだと向こうが言っているのに、それは意見は言いますけれども、おまえのほうはだめだ、おれのほうがやると言うことは、いまの行政組織の上ではぐあい悪いのではないか。これは責任を回避するわけじゃありませんよ。そのことをつけ加えて申し上げておきます。
  183. 近江巳記夫

    近江委員 それじゃ行政と国民安全性という問題と、どっちが大事なんですか。ただ、自分はこうだからそっちの責任だ――これだけ安全性ということが問題になって、これだけ紛争しかかっているのですよ。安全性ということを私は言っているのですよ。そうでしょう。そうであるならば、安全性という立場で一切を乗り越えて、これじゃ危険だと、運輸省のこの規則自体を科学技術庁は一番科学的に判断できるじゃないですか。運輸省が出しているその規定は絶対だいじょうぶだとあなた方は判断しているのかどうか。また、不安であるならば、それに対してどうするか。これだけの大量輸送は初めてですよ。それを、ただ、規則がこうだからまかしておけばよいのだ、そんなことでは納得できませんよ。その点どうなんですか。
  184. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 いま大臣がおっしゃいましたように、車両運搬規則というものがございますが、今度のものは非常に多量でございます。したがいまして、特別許可という形になります。そうしますと、それに基づいてのやり方がございます。したがって、いま私たちのほうから、安全という形で向こうとの共同体で進めてまいります。したがいまして、両者が立ち会いで、運輸省とうちと両方で責任を持つ。私たちも安全の責任を十分持ちまして、たとえばそこでどういう運び方をするか、どういう形をするかとか、それから、もちろん積んでから、それが漏れているか漏れていないかということの測定も一々して進まなければいけませんそういう関係のことは緻密に打ち合わせをして、おのおのの責任で十分な形でいくという考え方を持っております。
  185. 近江巳記夫

    近江委員 それで、私は何も現時点で輸送を認めているわけではないのです。非常に問題が多々ある。だから、根本的にこの問題を解決するためになおかつ、あなた方の考えの一端をお聞きしたわけです。ですから、この問題については、今後も地元のそうした意見もよく慎重に反映して、絶対のひとつ全安性をもってそれぞれの運営をやってもらいたい。運営の方法はどういうぐあいになさるのか知りませんが、これはあくまでも単なる計画と思いますから、その点を特に要望して私の質問を終わりたいと思います。
  186. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 先ほど三木委員から御質問のありました脳腫瘍の問題です。今度は原研の炉を使ってアメリカ人の脳腫瘍の治療をやる。第一回目は、日本人が東京原子力産業研究所の施設を使って、東大の脳神経外科の佐野教授がやったのです。これはこの問題が質問に出ましたから参考のために伺うのですが、第一回目をやったのは、ボロンを原子炉に入れてボロンの放射能をつくって、そのボロンの放射能脳腫瘍に当てて治療した、こういうことですか。どういう治療方法なんですか。
  187. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 私も完全に全部は知りませんが、これをおやりになる先生は前の先生と全く同じでございます。したがいまして、前のようにボロンを入れまして、そのボロンが腫瘍のところにいったところで、そこに中性子を当てて、それで治療をするという方法だと思います。
  188. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 結局ボロンを原子炉に入れて放射能……。
  189. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 いや、ボロンはこう入れるわけでございます。ボロンをここに入れておきますと、ボロンは中性子を非常に吸収しやすいものでございます。したがいまして、そこに中性子を当てますと、ここに入っておりますボロンの中に中性子が吸収されるわけであります。それで治療をするということになります。
  190. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 そうすると、結局ニュートロンの治療方法ということなんですか。
  191. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 中性子治療といえば、確かに炉を使ってやっておるやり方、もう一つはサイクロトロンを使って、サイクロトロンからの中性子を使ってやる治療方法、いろいろな方法がございますが、今度は炉を使ってやるので、広くいえば、中性子利用の治療法ということになるのじゃないかと思います。
  192. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 もうちょっと専門的にひとつ……。ボロンを入れて、それでニュートロンを当てると特別の放射線が出るのですか。
  193. 田中好雄

    ○田中説明員 ボロンを注射いたしますと、脳腫瘍のところにボロンが集まりやすいという性質がございますので、それをやるわけでございます。そうして原子炉に入れましてニュートロン、中性子を当てますとボロンが放射化しまして、アルファ線が出まして、そのアルファ線がガンをこわしていく、こういう形になるわけでございます。前回やりましたときは、それがどろどろになりまして、あとそれをくみ出すというかっこうで取り出して治療を終わった、こう聞いております。
  194. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 最近日本で脳腫瘍を放射線治療によって成功したということで、だいぶ反響があったように思うのでありますが、放射線医学総合研究所を建設いたしますときは、この委員会において、こういう問題を中心としてずいぶん論議をかわされたわけであります。その当時社会党の岡博士の所論などいま読んでみますと、放射能の治療によって病種が区別される。たとえば、コバルト六〇を照射している病気は何、あるいは燐の三二を照射しているのは甲状腺だとか、そういうようないわゆる射放線の治療によって原子力平和利用の世界というものは大きなウエートを持つであろうということで、放射線医学総合研究所をつくったのですね。何か新聞から受ける感じを土台として考えますと、そういうえらい目的を持った放射線医学総合研究所が、何か医学を中心とした放射線の研究ということから離れて、放射線研究所になっている。こういうふうに脳腫瘍に対して放射線をもって治療する問題は、原子力を担当している科学技術庁の範疇にある放射線医学総合研究所から生まれてくるべきものであって、これを東大に先んじられておるなんということは敗軍です。まさに原子力局の敗軍ラッパが吹かれていることだと私は思うのですよ。ところが、そういう点から放射線医学総各研究所の実態を調べてみると、やはりそういう研究をしているのですね。というのは、あそこにあるバンデグラーフで中性子を集めて乳ガンを照射した事例が二つある。これは相当の効果があらわれておるのですね。そういうものがあるにかかわらず、一体どうして出てこないかということになると、これは行政上の手落ちだということになる。上は大臣から原子力局長、以下担当課長の失態になりはせぬか、こう私は思っているのです。そういう事態があるのに、ニュートロンの照射に対して大いなる力こぶを入れてないという現実に対して、長官は一体どういうふうにお考えになりますか。
  195. 木内四郎

    ○木内国務大臣 ただいまのお説、まことにごもっともな点もあろうと思うのですが、私は詳細なことはまだよくわかっておりませんけれども、私は常々基礎研究、基礎研究から開発まで、しかも、これを実用化していくということでなければならぬ、かように考えているわけでございます。そこで、放射線医学総合研究所におきましても、単に基礎研究だけやっておったのじゃいかぬ、やはりこれを実用の段階まで持ってこなければ国民の福祉の向上につながらないと私は思う。それですから、過去におきましては、あるいは不十分の点もあったかもしれませんけれども、そういう方向において最善の努力をいたしてまいりたい。こういう御意見があれば非常に貴重な御意見で、これから委員会の諸先生からもいろいろ伺って、足らないところを補ってまいりたい、かように思います。
  196. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 これは最初は出力の非常に小さい原子炉でもってやったわけですが、今度東海村の国産一号炉というのは熱出力一万キロワットです。百倍にも匹敵する原子炉を使って脳腫瘍をやるというのですね。ですから、ほんとう脳腫瘍の治療で、ガン腫というものに対して放射線の効果いかんというものを研究することは、原子力局においても、あるいは関係研究機関においても非常に大きな問題だ、こう私は思っておるのです。幸いにして、放射線医学総合研究所のバンデグラーフでもって乳ガンのニュートロン治療に二例ある。それは普通細胞を破壊せずして、乳ガンの細胞を破壊していくという実施例が出ておるわけですね。こういうことはまつ先に取り上げられて、そうして、バンデグラーフが一体どのくらいニュートロンを出しているのか、これよりももっと大きなニュートロンを照射する設備というものは一体何かこれはサイクロトロンがいいことはきまっているのです。ことに、原子炉を使ってそういう脳腫瘍を治療する前に、サイクロトロンの設備を早くやって、そうして、そういう治療体制を整えていくというところに放射線医学総合研究所をつくった意義があるのじゃないか、そういう点からいうと、いまの放射線医学総合研究所のあり方は、どうも放射線研究所になって、医学というものが退けられているのじゃないかというふうに感じられるのですが、これはしろうとの感覚ですから、当たっているか当たっていないかわかりません。幸いして、こういう問題が台頭したことをきっかけとして、原子力平和利用の一環としての、治療対象に対して世界的な傾向を帯びてきた中性子の照射というものがいかにあるべきかということに対して、ひとつ原子力関係者は総力をあげて御検討になって、なるべく早く放医研の設立の趣旨に沿うた治療体制をつくっていただきたい、こう思うのでありますが、ひとつもう一ぺん大臣の御意見を……。
  197. 木内四郎

    ○木内国務大臣 仰せ、まことにごもっともです。私はさっき原則論を申し上げたのですが、そういう方面にわれわれは最善の努力をすべきであります。ことに、平和利用という意味において特に力を注がねばならぬ、あるいは万一従来不備の点がありますれば、私の手元で十分これを直して放射線医学総合研究所のその任務を果たしますようにさせたいと思っております。
  198. 石田幸四郎

    石田委員長 次回は来たる三月六日木曜日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時一分散会