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1969-07-08 第61回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年七月八日(火曜日)    午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 中村 寅太君    理事 臼井 莊一君 理事 小渕 恵三君    理事 本名  武君 理事 八木 徹雄君    理事 美濃 政市君 理事 永末 英一君       大村 襄治君    古屋  亨君       箕輪  登君    井上  泉君       中谷 鉄也君    西風  勲君       渡部 一郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      床次 徳二君  出席政府委員         内閣法制局第二         部長      田中 康民君         総理府特別地域         連絡局長    山野 幸吉君         総理府特別地域         連絡局参事官  加藤 泰守君         農林省蚕糸園芸         局長      小暮 光美君         食糧庁長官   桧垣徳太郎君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      松下 康雄君     ————————————— 七月八日  委員伊藤惣助丸君辞任につき、その補欠として  渡部一郎君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  沖繩における産業振興開発等に資するための  琉球政府に対する米穀売渡しについての特別  措置に関する法律案内閣提出第一一二号)      ————◇—————
  2. 中村寅太

    中村委員長 これより会議を開きます。  沖繩における産業振興開発等に資するための琉球政府に対する米穀売渡しについての特別措置に関する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑申し出がありますので、これを許します。永末英一君。
  3. 永末英一

    永末委員 第一に、沖繩における米の現在の流通あり方というのをひとつ説明してください。その焦点は、わが本土との違いがどこにあるかということに焦点を置きつつ、ひとつ簡単に説明してください。
  4. 床次徳二

    床次国務大臣 沖繩消費量は九万トンでございまするが、うち一万トンは島産、自産米である。あとアメリカ、豪州から買い入れておりますが、価格間接統制という形になっておりまして、輸入米に対しましては毎年輸入数量を予定いたしまして、卸売り商に対しまして輸入許可を与えるというわけでありますが、この外米に対しましては課徴金を徴しまして、島産米課徴金を補給する。そして両者をプールいたしました消費者価格でもって売り渡しておる。簡単に申しますとさような形になっております。
  5. 永末英一

    永末委員 第一に、その米の流れの面で、わが本土では食管会計をつくって、そして生産者から消費者に渡る一連のことをやっておりますが、それと見合って沖繩には違った形がとられていると思います。その違った点を指摘して説明してください。
  6. 床次徳二

    床次国務大臣 流れの違っておりますのは、島産米につきましては農協買い入れまして、農協から消費者のほうへ売り渡していくという形になります。それから外米のほうは、輸入業者輸入いたしまして、卸売り業者のほうへ売りまして消費者へ渡る、かようなルートになっております。
  7. 永末英一

    永末委員 本土におきましては、最終の米を売るところは配給所という感覚がまだ残っているわけですね。ところが、沖繩では配給所という感賞はないと思うのです。その点をひとつ御説明願いたい。
  8. 床次徳二

    床次国務大臣 さようでございます。
  9. 永末英一

    永末委員 そこで、今度は食糧庁長官に伺い弄いのでありますが、わがほうの米の配給機構というのは、いまだに配給所という感覚がまだ続いておる。しかし、昭和四十一年の物価安定推進会議では、もっとこの米の配給機構競争原理導入したらどうかという勧告がなされておる。今回自主流通米という制度がとられましたが、これは自主流通米に関する限りであって、全体的な米の配給機構ということについては、いまだにそういうことが十分に取り入れられているとは見えないのでありまして、したがって食糧庁としては、一たん自主流通米がとられますと、これはそれだけにとどまらずしていろいろな配給機構に対する影響を及ぼすと思うのでありますが、配給機構全体としてどういう経過をたどるであろうか、このお見通しをひとつ御説明願いたい。
  10. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 内地におきます米の管理制度は、御案内のように、生産者が牛差した米は原則的に食糧管理特別会計買い入れをする、それを法律に基づきまして政府登録されました卸売り業者小売り業者というものを通じて消費者配給するという方法をとっておるのでございます。この経緯から考えますれば、米の絶対不足という時期における全面的な政府管理ということのたてまえを貫く配給統制方式をとりまして、それが現在に至っておるということでございます。  実は、物価安定推進会議でも競争原理導入というようなことの勧告がございましたので、現在の制度のもとでできるだけそういう配慮をいたしたいということから、本年の四月一日から同一市町村内の小売り業者からは消費者はどこからでも買えるということにいたしまして、消費者小売り店との登録を取りやめた、廃止いたしたのでございます。そういう限りにおきましては、末端における小売り店競争ということはある程度起こり得るであろうというふうに思っておるのであります。また、同様のことは、自主流通米についても末端においては同じことでございますが、自主流通米はむしろ食管特別会計を通じない米の流れルートを開いておるということでございまして、配給そのものとは違うと私は思いますけれども、しかし、自主流通米消費者選択によって流通する米であるという点において、今後末端における米販売業者サービス競争といいますか、そういうものは従来よりも程度が大きくなるといいますか、激しくなるだろうというふうに私は思うのでございます。  配給のいまの制度をやめるかどうかという問題は、これは実は法律の改正それ自体に及ぶ問題でございますので、私のほうとしては慎重に事を運ぶ必要があると思われるのでございますが、食糧管理全体のあり方、特に政府買い入れ価格末端消費者価格との関連の正常化というようなことを行ないつつ、私は、将来の配給あり方というものを検討すべきであろうというふうに思っております。
  11. 永末英一

    永末委員 この自主流通米が出だしますと、消費者のほうは、おのずから銘柄というものに焦点を置きつつ米の選択をするようになると思うのです。だんだんそうなると思います。そう思いますか。
  12. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 私は、仰ぜのとおりになると思います。また、自主流通米を創設いたしましたゆえんも、そういうような流通が行なわれてしかるべしというねらいもあるわけです。
  13. 永末英一

    永末委員 自主流通米でそういう銘柄別選択ができる、このような消費者のくせがつきますと、消費者のそういう一つの意向からしますと、いわゆる配給米においてもだんだん銘柄を求める。つまり配給ということばは、消費者選択を許さぬという制度ですからね。くれてやるのだ、買ってもらうのではない、基本的な感覚はそうである。しかし、自主流通米消費者のほうが王様の地位を幾ぶん回復してくれば、配給米においてもだんだん銘柄というものに対する注文がついてくる、それをくみ入れなければ、配給米というものはもう消費者から見捨てられる、こういう形になると思うのですが、お見込みはいかがですか。
  14. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 本年度食糧の中で自主流通米流通量を約百万トン程度というふうに見込んでおるのでございますが、全配給量でいいますと自主流通米のウエートは約一五%程度ということでございまして、八五%、大部分の食糧の米は従来どおり政府の直接管理いたしております配給米に依存するという姿でございますから、私は、消費者価格の点の関心を捨てて直ちに銘柄選択ということに移るというふうには考えられないのでございますけれどもお話しのように、将来はだんだん消費者は自己の選好に従った米を買いたいという傾向が強くなるであろう。そのことは、また今後自主流通米流通を通じて、いわゆる産地銘柄についての評価というものが定まってくれば、政府食糧管理の面においてもそういう格差というものを念頭に置いた買い入れなり、あるいは売り渡しというものを現実問題として取り上げざるを得ない時期が来るのではないかというふうに思っております。
  15. 永末英一

    永末委員 沖繩では米の銘柄販売が行なわれていると思いますが、いかがですか。
  16. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 沖繩では、私も詳しいことは知らないのでございますが、先ほど総務長官からお話がございましたように九割が輸入にたよってお元の国によって末端価格統制価格が違っておったということがあるようでございますから、やはり銘柄といいますか、そういう品質に対する観念はあるようでございますが、本年度は、島産米あるいはいかなる国から輸入したかを問わず一本の統制価格になっておるようでございます。しかしながら、どこからどういう米を輸入するかは消費者選好念頭に置いておそらくやっておることであるというふうに思われますから、これは、自主流通の中では消費者自分のほしい、自分の好む米を買うという傾向はおそらくあるだろうと思います。
  17. 永末英一

    永末委員 昨年沖繩に参りましたときには、ローズ米ローズ米というふうに別に袋に入れて売っておった。すなわちそれは、ばらしておけの中に入れて盛っておるのではなくして、それぞれすでに選別をされた袋入りの米を売っておる、こういうふうに私は見てきたのですが、特連局長はどういうふうに見ておられますか。
  18. 山野幸吉

    山野政府委員 私はそういう事実があることを聞いておりますが、現在は徳用米普通米の二本立てで価格を決定しておるようでございます。詳しい実情はわかりませんが、いま御指摘のようなことがあるようにも聞いております。
  19. 永末英一

    永末委員 どっちか、そこがちょっとポイントなんで、ひとつはっきりしていただいたのです。つまり、わがほうの米がこれから入りますね、この法案が通って所定の手続きを経ますと。そうすると、本土産米というものは、沖繩へ行った場合には一体どういうぐあいに取り扱われていくのか。すなわち、外国の米と銘柄を別にした形で本土米というものがセットされて、そして売り渡され、消費者の手に入るのか、そこで米の混合が行なわれて妙な名前になってやられるのか、どういうふうになるのですか。
  20. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 先ほどお答えいたしましたように、沖繩では配給統制ということをいたしておりませんから、したがって混合を禁止するというわも、しかしながら、島産米本土米とでは、これは私は混米の可能性はあると思いますけれども、他の国から輸入いたしました米と本土米との混合というのは、これは米のタイプそのものが違いますし、私は、本土米本土米として、やはりお話しになりましたような特定商品として流通するはずだというふうに思います。
  21. 永末英一

    永末委員 私もそう思うのです。特定商品として売り渡されると思うのですね。そこで、沖繩のような湿気の非常に強いところでありますけれども、しかも島がたくさんございまして、交通きわめて不便ですね。どういう形で、消費者に米が行くと思いますか。消費者の手に渡るときに一々はかって配られていくのか、それとも違った方法でパックされて、そうして消費者の手に渡ると思いますか。
  22. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 現地の事情にうといものでございますから明確にお答えいたしかねるのでございますけれども、従来から約九万トンという米が島産米及び輸入米をもって流通いたしておるのでございますから、内地産米が供与されるようになりましても従来の流通経路を経て流通をし、その点に別段の支障が起こるというふうには思われないのでございます。
  23. 永末英一

    永末委員 いまその流通機構のほうへ入ったのでありますけれども外国から外国米沖繩輸入する場合には、その輸入の総量ないしは価格等について琉球政府が関与する部面があると思います。しかし、それはわが国の場合と全然違うわけですね。しかもそれは商社輸入業者輸入するわけでありますから、先ほど総務長官間接統制と言われたが、その統制の度合いというのはきわめて大ワクだけであるのであって、こまかい統制はない。そうしますと、普通の感覚からいきますと、今度は外国のほうも商売人が売り渡すわけでありますから、日本本土で米というものが統制商品——商品でありますけれども統制物資としてきわめて限られた特定の性格を与えられている国から沖繩へ入る、端的にぼくはこういう感覚が非常に強いと思うのでありますが、そのようにごらんになりますか。
  24. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 御指摘のとおりだと思います。
  25. 永末英一

    永末委員 そこで、わがほうの米は、本土内ではまだ統制物資なんですね。この前のお話を聞いておりますと配給米のほうが行く。自主流通米は行かぬのですか。
  26. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 自主流通米について沖繩にそういう需要があるということがありますれば、制度としては、集荷機構集荷機関とそれから沖繩輸入商社との間における私的契約に基づくということになります。それについて具体的に輸出をいたします場合には農林大臣許可を要するということだと思いますが、この沖繩への輸出につきましては相当の財政負担を伴って初めて可能なのでございまして、自主流通米のように財政負担を全く伴うという余地のないものにつきましては、私は、現実問題としてはなかなか沖繩への輸出ということは困難であろうというふうに思います。
  27. 永末英一

    永末委員 たてまえとして、つまりわがほうに新しくことしから自主流通米という制度が開かれた。それは、言うならば沖繩現状において行なわれておる米の消費と似たような、商品としての米が本土にもできるわけですね。そこで、沖繩のほうとしては、この法律によって米が行くわけでありますが、もし沖繩県民本土における自主流通米を食べたいと思っても、たてまえとして許されておるのかどうか、道が開かれておるのかどうか、そこがポイントだと思うのですね。米を何か援助援助といいますけれども沖繩県民からすれば何か質の悪い米だけが来て援助めいた形をいわれるけれども、同じ日本人で食べることができるのなら本土の人間が食べている米も食べようではないか、それはちょうどカリフォルニアやオーストラリアから米を輸入しておるのと一つも変わらない形なんですね。そういうことが現在のたてまえ上できる——実際上やるかやらぬかは別問題として、できるということにしておかなければならぬ。沖繩には自主流通米は行きませんぞではいかぬ。あなたのお話では、たてまえ上できるのか、あるいは何かむずかしいのかちょっとはっきりしなかった。そこのところをもう一ぺん明確に答えてください。
  28. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 日本政府の側で申し上げれば、米の輸出ということは、国の統制下にはございますが輸出というものは認められておるのでございますから、たてまえとしては、日本政府の側からは可能でございます。ただ、琉球政府のほうで現在の末端価格統制というものをそのまま維持しておるということでございますれば、私は、現実問題として沖繩側から見て受け入れば困難であろうというふうに思います。
  29. 永末英一

    永末委員 いまあなたのおっしゃったのは、沖繩における末端消費価格現状においてということですね。しかし、先ほど申しておりますように、もし米が商品として取り扱われ、そして銘柄によって選択できるということになりますと、あるいはそういう米を買いたいといわれる輸入業者があるかもしれませんね。だから、いまあなたがたてまえの問題と実際問題と混同して言われたけれども、買いたいといわれた場合には売り渡せるようになるのかならぬのか。
  30. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 いまの需給事情から申し上げれば、私は、いわゆる内地における自主流通米について沖繩から引き合いがあるということであれば、政府としては、たてまえとして輸出ができることになっておるのでございますから、許可して何ら差しつかえないというふうに思います。
  31. 永末英一

    永末委員 沖繩における消費者に最後に手渡しする米の小売り店というのには、特定制限はないと思いますが、いかがですか。
  32. 山野幸吉

    山野政府委員 特定制限はありません。
  33. 永末英一

    永末委員 いまこの委員会でも本土沖繩一体化としてやっておるのですが、食糧庁長官本土においては米の小売り店には一定制限がございますね。
  34. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 一定の要件を備え、かつ小売り店で申せば、都道府県知事登録をした者でなければ買い入れ販売できないということになっておりますから、規制があるということでございます。
  35. 永末英一

    永末委員 わが国として非常に都市化現象が行なわれて、人口の移動が非常に大きく行なわれている。そしていろいろなところに新しい集落ができ、その集落ができますと米の必要を感ずるわけです。ところが、いままであなたのほうで省令や施行規則でやっておるあの締め方、元の食糧公団に縁のある者でなくては新しい小売り店ができないというような、十年前ならいざ知らず、いまのような大きく社会構造が変化しつつあるときに、私には非常に古くさい制度ではないかと思われてならない。しかも、先ほどから論じておりますように、米がだんだん商品化してくるということになりますと、いままでそういう制限を加えてきたのは、米は商品ではなかった、配給物資であった、したがって、そういう配給統制に熟練したる者ないしは関係のある者にしぼってきたと思うのですが、商品を扱う仕事であるならば、これはだれでもやれることになってこざるを得ないのが趨勢ではないか。いまのような小売り店一種統制めいたやり方を続けられるつもりですか。
  36. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 小売り店新規進出ということについては、人口急増地帯については当該地域の住民の意思を反映して、新しい小売り商進出を認めることに私どもはことしの四月からいたしたのでございます。  いまの登録販売業者制度を続けるかどうかということでございますが、現在の政府管理米の国民への供与はいわゆる配給の形をとっておりますし、自主流通米も、流通経路について政府を通さないという違いがございますが、これも配給米という観念規制をいたしておるのでございます。そういうようなことが現実の事態に合うのか合わないのかということは、私は非常に問題があろうとば苦いますけれども、現在の食糧管理制度というものが、生産から流通消費に至るまで国の行政関与という形で成り立っておるのでございますから、配給の問題だけを引き抜きまして食糧管理制度の改変ということになかなかいきにくい点があると思います。したがいまして、このことは軽々に私は結論の出しにくい問題であるというふうに思うのでございますが、今後の米の需給の推移または消費者消費動向、そういうものを見つつ、できるだけ競争原理導入あるいは自由というものの論理を取り入れていくという方向で、私どもとしては検討を進めてまいりたいというふうに思っております。
  37. 永末英一

    永末委員 先ほど、ことしの四月から、いわゆる消費者小売り店とをつなぐいままでの鎖であった登録ということはやめた。     〔委員長退席小渕委員長代理着席〕  そうすると、それによって一見消費者としては小売り店選択する幅が広がった、こういうように思えるのです。ところが問題は、小売り店選択するというのではなくて、小売り店にある米を選択するというのが、いままでの登録制の鎖を断ち切った一つの趣旨であったと思う。自主流通米を言うならば、何と申しますか、その迎え水みたいなものだというふうに私は思うのです。ところが、その自主流通米も、いまのことばによると、配給米というその感覚の中でそれは処置をしていこう、こういうことになる。先ほどもあなたが言われたように、新しく人口が大きくなったところは、そんなにいままでのようなしゃくし定木に、昔の公団関係のあった縁類縁辺者みたいな者だけに新しい免許を与えるというようなことはしないんだというようなお話でございましたけれども一つ集落ができれば、そこにいろいろな日常生活物資を扱う商店が集まるわけですね。それは憲法に許されておる営業の自由によって、いろんなものがそこに入ってくるわけだ。そして競争が行なわれて、不適格なものはダウンしていく。米については、いまだにその特権的な一つ感覚小売り店の設定の行なわれている。あるところでは、市場ができるでしょう、いろんな物資はそこで買われる、米屋さんだけないということがあちこちあるわけですね。おかしいですね。ところが麦屋さんはある。麦を買いたい者は——いまや押し麦などは袋に入れて売っております。ところが、なぜ体そこに米屋さんだけはないのかというならば、食管会計だとか食糧管理とかは別として、消費者の立場になってくると、そこにいろんな商品を扱う市場がある、あるいはそこにそういう市場めいたものがある、米屋さんだけがないというのは困るわけですね。古米や古々米の処置にいろいろお困りになっておるけれども、いまや米は商品化しつつあるのではないか。つまり消費者選択を予想するという状態になっておる。それならば、もうこの辺で、いままでの食糧統制配給統制という形で考えられてきた末端小売り店というものは、それを開いて競争を認める。それがすぐうまくいくということではございません、倒れるものもあるでしょうけれども、そうやって、もっと消費者の便利なように形を変える。すなわち、消費者が食べたい米が一番自分の近くで買える、こういうことに踏み切るべきときに近づいているというよりは、われわれの感覚からいえば、もうしたらいいのではないか。麦でやられたことが、麦と同じ条件が米でできている、こう考えていいのではないかと思うのですが、お答え願いたい。
  38. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 麦は、昭和二十七年に御承知のように統制を解除いたして、いわゆる自由商品にしたのでございます。ただ、食糧管理制度においては、生産者申し出に応じて無制限買い入れなければならないという規定がございますから、一見米と同じような統制物資のような、観をいたしておりますが、制度的には完全な自由物資でございます。でございますから、どこで売っても、だれが買ってもいいわけでございますが、米はまだ自由物資というわけにはまいらないということでございますので、そういうような制度との調和の問題をどうするかという問題が残されておりますが、いまの永末委員お話は、私ども十分念頭に置いて今後検討を進めていきたいというふうに思います。この点は、あまり立ち入った発言をいたしますことは、いろいろ影響するところが大きいわけでございますので、御意見は御意見として十分承って、私ども検討の資にさせていただきたいというふうに思います。
  39. 永末英一

    永末委員 総務長官、いまお話しのように、わがほう本土における米の生産者から消費者に至るこの流通機構と、それにかかわる一連の形が明らかになったわけです。沖繩はそれと違うわけですね。そこで、いよいよ本土の米が、この法律が成立しますと沖繩に行くわけですね。あなたは、これまで一体化と言っておりますけれども、この本土がやっている米のやり方を、まさか沖繩輸出されるお気持ちはございませんでしょうね。
  40. 床次徳二

    床次国務大臣 本件に関する米の販売につきましては、これは従来の沖繩ルートでもって考えていきます。
  41. 永末英一

    永末委員 私は、むしろ現在の沖繩でやっているほうが、経済社会現実から見れば合理的だと思うのですけれども沖繩のほうは全体的に見ますとまだ全く戦争直後、ああいうふうに米が足らぬのですが、しかし、あれだけ足らないと、統制ではなくて輸入をして、そしてまかなわなければならぬ。こういうことが、やはり商品としての米の取り扱いを沖繩で実現し、やってきたと思うのです。  さて、そこで、そこまでまいりますと、今度の法律で一体政府はどの程度の、どれだけの米を沖繩に譲り渡そうとしておるのか。この前の質疑を聞いておりましてもはっきりその点はしておりませんが、これは一種援助法案でございますから、援助法であるならば、この議会で、何をやるかわからぬが筋道だけ承認するというわけにいかぬので、ひとつこの際、分量は大体この程度売り渡す方針である、これをひとつこの機会に明らかにしていただきたいと思います。
  42. 床次徳二

    床次国務大臣 数量についてのお尋ねでありますが、これは交渉中でありますので、明確には確定いたしておりませんが、日本政府の立場から申すると三万トンは確保したいと考えております。  ただいまのは暦年で、来年という表現になりますか、本年度と申しましたのは訂正いたします。
  43. 永末英一

    永末委員 暦年と申しますと、来年の一月一日から十二月三十一日、こういうことですね。  そうしますと、この法案が成立いたしますと、沖繩側もこれを受けて計画を立てる。沖繩側の場合には、米の数量が問題ではなくて、その数量によって出てくる金額、つまりこれの沖繩の農業等を中心とした開発にどの程度の金が使えるかということが、沖繩のほうの問題だと思う。ことしは一体どれくらい売り渡せるおつもりですか。
  44. 床次徳二

    床次国務大臣 沖繩のほうにおきましては、来年の二月まですでに買い付け契約をいたしておりますので、二月以降と予想いたしますので、一応三万トンを守りたいということを申し上げる次第であります。
  45. 永末英一

    永末委員 これはもうすでに二月までの契約を外国とやっているから満ぱいであるのか、まだ入り得る余地はあるのですか。
  46. 床次徳二

    床次国務大臣 すでに契約を了しておりますので、入る余地はないと考えております。
  47. 永末英一

    永末委員 そうしますと、それほどの数量をやりたいというのは、外国との交渉もありましょうが、その交渉は日本政府がやっているのですか、沖繩政府がやっているのですか。
  48. 床次徳二

    床次国務大臣 この点は、地元の従来の慣習もありますが、なお本土政府といたしまして、本土側の要望というものをアメリカ側にも伝えて折衝しておる次第であります。
  49. 永末英一

    永末委員 それでは、来年度に関しましてはわが本土の米が一応三万トン程度行く、その場合の価格、このお見込みをお知らせ願います。
  50. 床次徳二

    床次国務大臣 手数料その他ありますので、大体資金として残りますのは二十億円くらいと予想しております。
  51. 永末英一

    永末委員 そうしますと、琉球政府側としても大体それを見込んで関発を計画し得る、こういう
  52. 床次徳二

    床次国務大臣 さように考えておりまして、開発の種類その他につきましては、ここに基礎的な農業の基盤の開発あるいは合理化あるいは水資源の開発等ありますが、この点十分に打ち合わせてそれに対処し得るように準備を進めていきたいと思います。
  53. 永末英一

    永末委員 いま量並びに価格、それから最終的に使用し得るであろう総額のお見込みをお話しいただきましたが、いつごろ確定するおつもりですか。
  54. 床次徳二

    床次国務大臣 大体ただいま申し上げました見込みでもって進め得るのじゃないかと思っております。
  55. 永末英一

    永末委員 現実にぴしゃっときまるのはいつごろだとお考えですか。
  56. 床次徳二

    床次国務大臣 日本政府といたしましては、ただいま申し上げました数字でもって進めたいと思っております。
  57. 永末英一

    永末委員 相手方が二つも三つもあるかもしれませんが、がんばらなければいけませんな、総務長官。ただ、われわれこの法案を審議する側からいたしますと、やはりその決着はいつごろはっきりするかということを知りたいわけです。だから、御方針はわかりました。したがって、いつごろそれが決着するかということも一応お見込みを立てておられると思うので、その辺を伺いたい。
  58. 床次徳二

    床次国務大臣 ただいま御審議中でございますが、お答え申し上げました数字でもって進行し得るものと考えております。
  59. 永末英一

    永末委員 なかなか決着の期日がはっきりいたしませんが、ともかく方針を立てられたら——この審議の過程で示された数字では私は不十分だと思います。もっとやるべきだと思います。しかし、ともかく初めてのことですから、ひとつ努力をしてやっていただくようにお願いいたしまして、質問を終わります。
  60. 小渕恵三

    小渕委員長代理 美濃政市君。
  61. 美濃政市

    ○美濃委員 まず最初にお尋ねしたいことは、供の計画を持っておりますか。前者の質問を聞いておりましたが、これはもう一回、日本沖繩の会計年度とずれておりますから、日本年度において本年度何ぼ、それから明年度何ぼ、大体の計画の見通しをお尋ねしたい。
  62. 山野幸吉

    山野政府委員 これは実はいま総務長官からお話がありましたように、沖繩側としましては明年の二月一ぱいまでの米はすでに豪州及びアメリカと契約をしてしまっております。したがいまして、明年の二月から明年十二月までの分について、日本政府としてはいまお話がありましたように三万トンを強く期待をし、また、そうなるものと考えておるわけでございます。したがいまして、これは日本年度ということではなくて、一応暦年で考えております。  それから明後年以降の分につきましては、これまたいろいろ交渉する相手もありますので、その年においてきめていく。しかし、その間におきまして、農業の基盤整備その他の開発計画については琉球政府と十分協議いたしまして、それに即応した開発計画を進めていきたい、かように考えております。
  63. 美濃政市

    ○美濃委員 そうすると、これは何か前の西村農林大臣が年八万トンというようなことを現地で言われたというふうにいっておるわけです。それはまあ言うた、言わぬは別として、今日米は過剰なわけですから、それと毎回申しておるように、アメリカ施政権下でなくて沖繩が終戦以来ずっと今日までああいう状態でなかったとしたら、今日のようなああいう国民の経済、所得状態ではないと思うのです。そう考えるときに、これはやはりこの米を出して沖繩の開発資金に供与するということは、もう原則的には私ども異議がないわけですね。ただ問題は、米が過剰なわけですから、特に沖繩対策としては八万トン必要なのだから、八方トンそっくり出して早く沖繩のそういう産業開発なり農業開発をその力で促進する。どうせ日本に置いといたって積んでおくだけですから、積んでおくよりも、沖繩では必要なんですから、本土に眠らせてかぎをかけておくよりも、沖繩にやってそれを使わせたほうがいいと思うのです。どうしてこの八万トンを出せないのか、その理由を明確にしてもらいたい。
  64. 山野幸吉

    山野政府委員 この内地米を沖繩に供与する問題につきましては、御指摘のように、事業量並びにその財源として把握しますと多ければ多いほどいいと思います。しかし、何ぶんにも戦後二十四年間にわたりまして地元の生産高は一割くらいしかない、あと九割を米国、豪州そのほかの諸国から輸入して現在までやってきたわけでありまして、各国における取引の実態ということも、これは頭から無視するわけにはいかないわけでございます。  で、この数量は、先刻も御答弁申し上げましたが、琉球政府が審議会等の意見を聞いて輸入数量をきめるたてまえのものでございまして、直接日本政府関係諸国と外交交渉をすべき問題ではございませんが、長い間のそういう貿易実績その他の面から本土米を供与することについてはなかなか問題が多いということで、日本政府も側面的に関係諸国と話し合いを続けて今日に至ったわけでございますので、一挙に沖縄の繩入数量全額を日本本土米で肩がわりをするということには、なかなか困難があるわけでございます。  それで、一方またこの資金を使う面から申しましても、実はこの農業の開発につきましてはいろんな問題、あるいは事業計画等についても相当慎重に検討して、ほんとうに本土復帰に備えての、沖繩の抜本的な農業改革ができる方向へ使っていかなければいけません。したがいまして、そういう体制をとるためにも、相当慎重な準備が要るわけでございまして、これからひとつ琉球政府とそういう点について十分話し合いもしていかなければいかぬ。そういうことを考えますと、初年度におけるこの沖繩の事業量としては、そう一挙に多額な金を効率的に使うというところまではいかなとしては三万トンということを目標に強く期待しておるわけでございます。
  65. 美濃政市

    ○美濃委員 琉球政府との話し合いはどうだったのですか。私の聞いておる範囲では、琉球政府から六万トンの要請があった。他の国との従来の輸入実績の交渉なんかは別といたしまして、琉球政府日本政府とのやりとりはどうであったのか。
  66. 山野幸吉

    山野政府委員 琉球政府のほうでは、たとえば巷間伝わっておりますように、当初六万トンほしいとか四万トンほしいとか、いろいろお話はございました。ございましたが、琉球政府自体としましても、現時点におきましてはこの本土米供与の問題が相当複雑な、むずかしい問題であるということも、また十分理解しておられるわけでございまして、したがいまして、この三万トン程度本土米供与については、琉球政府としても、現時点においては了解していただけるものと私どもは考えております。
  67. 美濃政市

    ○美濃委員 次に、売り渡し予定価格は幾らですか。
  68. 山野幸吉

    山野政府委員 これは今後契約によってきまるわけでございますが、CIFでいけばトン当たり二百三ドル、七万八千円になりますし、FOBでいけば百七十五、六ドルというところではないかと思われます。百七十五、六ドルと申しましたFOBは、玄米のほうでございます。それからCIFのほうの二百三ドルは、精米の価格でございます。
  69. 美濃政市

    ○美濃委員 食糧庁長官にお尋ねしますが、そうすると、たとえば三万トンとして、価格上の差損は何ぼ起きる予定になるのか。たとえば、いまお話しになった価格で売り渡し価格をきめるとしたら、予定損害額、食管会計でどれだけの損害が発生するか。
  70. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 厳密な計算は、実は沖繩側との契約の内容いかんで変わってまいりますので申し上げにくいのでございますが、いま日本政府生産者から買い入れております玄米のトン当たにいたしますと、百四十六ドルというものが損失になる、約百五十ドルばかりが損失になるということでございまして、そのほかに金利、保管料その他の諸経費もございますから、三万トンを供与いたすということになれば、大まかに申し上げまして約二十億円程度の欠損が出るのではないかというふうに推測いたします。
  71. 美濃政市

    ○美濃委員 次に、この資金の運用にあたって、琉球政府との話し合いはどうなっておりますか。運用する金融機関、あるいはそういう問題はあらかじめ話はしておるのですか。どういうことになっておりますか。
  72. 山野幸吉

    山野政府委員 この問題につきましては、実は正式には、本法案が国会で成立いたしました直後から琉球政府としては検討をいたしまして、所要の立法勧告を向こうの立法院にすることになるわけでございます。     〔小渕委員長代理退席、委員長着席〕  私どもとしまして従来話し合っておりますのは、琉球政府の立法で特別会計を設けられて、そこへ資金が流れていく。その特別会計から現実にそれぞれの事業費に流す場合、その場合には、たとえば現在ございます農林漁業中央金庫で扱えるものは中央金庫を通していく。あるいはまた、このかんがい用排水の必要な事業等に使うためには、何か特別なそういう用排水のための、たとえば公社というようなものをつくって、そしてそこに事業資金を流していくというようなことも考えられております。いずれにしても、既存の機関はできるだけ使って、その機関を通じて流していく。どうしてもやむを得ず新規に何かつくらなければいかぬ場合は、新しい機関によって資金を使っていくということになろうかと思うわけでございます。
  73. 美濃政市

    ○美濃委員 次に、これは食糧庁長官にお尋ねしたいのですが、この場合沖繩は、御存じのような状態でありますから、沖繩の場合は別でありますけれども、たとえば韓国に出しておる、この間のるのですか。それから今年度中に出すのか。
  74. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 韓国に対します三十三万三千トンの現物貸与は、本年の三月から八月の間におろすという契約に相なっております。現在約二十万トン余のものを積み出し済みでございます。八月までには予定どおり積み出しを完了するという見込みでございます。
  75. 美濃政市

    ○美濃委員 食管会計というのは元来どういう目的で−私は、こういうことを予想されてつくられたと思っていないのですが、国内の米の自給なりあるいは需給を調整する、あるいは再生産の確保をはかるとか、あの法律に書いてあるような目的でつくられたと思うのですが、特に沖繩の場合は、先ほど申し上げたように別といたします。私どもは、すでにもう本土と考えておるわけですから、早く施政権の復帰を望んでおるのでありまして、これはとりわけこの関係からはどうこう申しませんが、韓国となりますと、私は別だと思うのです、純然たる外国でありますから。外国へそういうふうに米を売るということ、これは、非常に米が余ってきておりますから、手段としては私は云々するわけではないわけです。制度としてどういうふうにお考えになりますか。
  76. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 昭和十七年に食糧管理法が制定されました時点において、はたして今日のような需給事情が来ることを予想し、あるいはその場合に海外に対する米の輸出というようなことを法の一つの目的として考えておったかどうかは、はなはだ私も疑問だと思います。この食糧管理法が制定されましたときの経緯から申せば、国内における米の絶対不足という問題を念頭に置いた立法であったというふうに思うのでございますが、ただ食糧管理法は非常によくできておりまして、食糧管理法第六条に「輸移出入のためにする買入又は売渡」という規定がございまして、食管法第一条の需給の調整を行なうということの中には、やはり場合によっては、食糧管理法に基づく米の輸出糧管理法は非常に幅広く規定をしておるというふうに理解いたしておるのでございます。
  77. 美濃政市

    ○美濃委員 食糧不足の国に米を輸出することは、余っておるのですから、その手段は、法律にもそういうふうに定められておるわけですから、手段としては別に異議はないわけですが、ただ食管会計で、日本人に売り渡すよりも特別の条件で売り渡す、これについてどう考えておられますか。国内の日本国民に売る場合よりも、いわゆる事情があるから、それとは全然、とにかく話にならない条件で売り渡していく、これについてどう考えておられますか。
  78. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 食糧管理法に基づきまして、米の外国あるいは海外への輸出をするということになりますれば、わが国を出ますれば直ちにそれは国際市場という市場へ乗り出すわけでございますから、したがって、わが国の米の価格の水準といえども国際市場の水準に従わざるを得ない、これはもう当然のことであろうと思うのでございます。ただ、国内の消費者に対する価格はそういうものに比べて高いのではないかということは、これは、現在の食糧管理法では、国民の基幹的な食糧でございます米について、国内における自給を達成する、国民食糧の安定という見地から、国の権力及び統制を加えていくのだということから生じました一つのやむを得ない措置に基づいた価格でございます。逆に申せば、国際価格水準に国内も従うかという問題であろうかと思いますが、それはやはりわが国の農業の諸事情等から見まして、制度として遮断いたしておるのでありますから、その間のある程度価格差というものはやむを得ないのではないかというふうに私は考えております。
  79. 美濃政市

    ○美濃委員 そこで問題は、この財政上の問題になりますが、そういう行為をする場合、農政の見地からものを考えると、そういう海外に国内条件と変わった価格条件で売り渡す場合、それに伴う財政措置は、すみやかに方針を確立して、米が動くと同時に食管に対する財政措置は完了していかしてそれが持続しておるということは、私はおかしいと思うのです。
  80. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 海外へ米の輸出をいたしました場合に、どうしても国際市場の水準に従わざるを得ないということになりますと、食管特別会計に当然赤字が生ずるわけでございます。その場合に生じた赤字については、これは食糧管理特別会計の健全性を保持する上からも、どうしても一般会計からの補てんを必要とするということになるのでございまして、今回のこの法律につきましても、附則でその間の措置法律化いたしておるのでございます。「予算ニ定ムル金額ノ範囲内ニ於テ一般会計ヨリ本会計ノ国内米管理勘定二繰入金ヲ為スコトヲ得」という条項を設けましたのも、その趣旨でございます。一般的に国外へ輸出をいたします場合の赤字の補てんにつきましても、現実にそういうことを実行するというようなことに相なりますれば、同様に一般会計からの繰り入れを必要とするというふうに思うのでございますが、御案内のように、食糧管理特別会計は毎年度収支均衡方式というのをとっておるのでございまして、したがって、すみやかに赤字の補てんをすべきであるということは、少なくとも当該年度の末においては赤字の補てんをいたしまして、特別会計の収支を均衡させるという措置をとらなければならないし、私どもも、そういう考え方で食管特別会計の運用をしてまいりたいというふうに思っております。
  81. 美濃政市

    ○美濃委員 それは、いま長官の言う考え方は食管収支の均衡、農政的に言うと、食管の赤字というものは国民に帰せられるわけですね、食管の赤字が何ぼだ。しかし、この場合、十年間据え置き、その後二十年間の現物支払いなんというような条件の韓国に対する供与は、これは明らかにその金利計算をすると——これはもう金利はもちろん食糧証券で借り入れしておりますから、金利部分は一般会計から補てんされるとはいいながら、この食管会計の赤字というものはいま非常に問題年繰り入れられて赤字赤字といって騒ぐというようなことは、私に言わしめれば、たとえばトン二万円から二万五千円で思い切ってえさにでも処分したほうがそれだけ金が入るから——十年間の金利というものはばく大なものですよ。あと十年間で一ぺんに返ってくるのと、あと二十年間で分割して現物が返ってくる、それを売って元金がなくなったときに金利が解消されるというような出し方は、食管会計の上における金利負担というものは長期にわたって行なわれるわけですから、その赤字は結局食管赤字となる、米が余っておる、農政上の食管赤字となって問題になるわけです。問題になる性格のものだったら、これはもう十年間の据え置き、二十年間の現物償還なんという出し方よりも、思い切ってえさに処分したほうが、二万でも三万でも金が入って処分されてしまいますから、その期間の金利計算をしてみると、長期にわたる食管の赤字よりは財政負担はずっと少なくて済むわけですね。そういう相関関係にありますから、これは食管赤字でなくて何か特別の財政措置を講じて、そういう食管の累積赤字となって米を生産しておる農民が何か悪いことをしておるような風潮が起こらないように——これはやはり海外条件がありますから、出すことが悪いとは言っておるのではないのであります。出すものは出すとして、その時点において——将来国の政策からいえば、どうせ一般会計から見るんだからどっちで見ても同じでないか、こう言うかもしれませんが、私どもは、国内の農政の観点に立てば好ましくない。  それから、財政法上から見ると、これは食管でそういうふうにする、やればできるようになっておりますけれども、会計法から見ればおかしいじゃないかと私は言いたい。やはりそういう食管に及ぼさないように、こういう外国へ出す米は、食管との間の問題は一次元で切って、そういう行為は一般会計から繰り入れられる。これはどういう方法で補てんをしたとしても、国の財政から見れば同じだと思うのです。同じであっても、そのために特別会計というものを立てておるわけですから、特別会計との間は混同しないように、明確に海外援助したものだったら海外援助でやる。韓国に出す米も援助だと私は思うのです。十年間据え置いて、二十年で現物で返すなんということは、金利計算をすれば無償で供与したというのと同じです。たとえば日本の米業者が十年間無利子の据え置きで払い下げを受けて売ったとしたら、それを信託に積んでおけば、十年後は元金だけ残して利子だけで払えるのですから、こういう出し方は無償と言っていいですよ。金利計算をすれば無償にひとしい供与である。そういう出し方をする場合、会計原則から見ると、きちっとそういうものが毎年度その金利が特別会計の赤字に計上され、一般会計から見るんだからいいんじゃないか、こういう出し方は、私は、会計法上から見ても特別会計という食管会計から見ても、そういう行為をやって、言うなれば、食管会計にその借り入れ金が滞留して金利が一般会計から持たれる過程においては、えさで売り渡したよりもずっと不利な財政上及ぼす影響をもって米を出すわけですから、そういう措置は会計法上はきちっと明確にして、一般会計と分離して財政上の補てん措置が講ぜられてこれは実行すべきだ、こう考えるのですが、いかがでございますか。
  82. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 韓国へ現物貸与をいたしまして、等質等量の現物で将来返してもらうということにいたしましても、その間の金利の徴収はしないという契約に相なっておりますから、したがって食糧庁が、買い入れ等のために支出をいたしました金の財源としての借入金の金利を負担するということは、御指摘のとおりでございます。  ただ、多少誤解が起こりましてもどうかと思いますので、私からはっきり申し上げておきたいと思うのでございますが、食管特別会計が金利の借入金あるいは糧券の発行によって金利を支払わざるを得ないということは、これは貸し付けとかあるいは貸与とかいうようなことによって起こるのではなくて、そもそも食糧管理特別会計は、自己資金を持たないで運転資金として必要な金はすべて借入金によるという原則のしからしめるところでございます。でございますから、かりに貸し付けをいたしませんでも、国内の胃袋は一定でございますから、したがって、この過剰状態が解消するまでは金利の負担、倉庫料の負担は必要なのでございます。  それで、いまえさにいったほうが経済的、財政的に得ではないかというお話でございますが、私はそうは思わないのでございます。これは経済問題以外にも、日本の農民が食糧として米を生産したものを、単なる損得の関係だけでえさに回すということは、必ずしも農民の本意ではなかろうと私は思うのであります。国の内外を問わず、米は食糧として活用していくということに私どもは努力をすべきであるというふうに考えておるのでございます。  それから、かりにえさにいたしました場合に、純然たる損失の累計はトン当たり約十四万円、買い上げ価格にほとんどひとしいわけでございます。そのときに、現物をえさとして処理してしまえば金利の負担がかからないかというと、そうではなくて、やはり金利はかかるわけでございます。ただ、そこでははっきり損失というかっこうに相なりますから、先ほど申し上げました年度収支の均衡ということで、どうせそれは一般会計から埋められるだろうということから、あとの金利がかからないというだけの話でございまして、かりに貸し付けあるいは貸与等の関係で借入金をいたしております分を、えさ処分等をいたしました場合に、一般会計から補てんすると同じようなことをしたら何も金利がかからないわけでございまして、現物の処分をしてしまえばそれで金利がかからないものでないということだけは御理解をいただきたいと思うのでございます。  こういうような食糧管理特別会計としては、やや異例に属するような財政負担について、別途の経理をすることを考えてはどうかということでございますが、私どももそういうことについて多少検討はいたしたのでございますが、食糧管理特別会計が単なる金銭収支の経理勘定ではございませんので、現物を管理し、また現物の売買その他による移動に伴う金銭経理をする特別会計でありますために、別途の方法をとれば、初めから一俵一俵米の所属はどの会計に属するかということははっきりしなければいかぬわけでございまして、その点がいまの食糧管理の運営となかなかうまく折れ合いがつかないという点もありますので、なお結論を得ないのでございますが、将来、いわゆる過剰米についての本格的な処理と申しますかを考える場合には、経理上の措置についてもあわせて何らか検討する必要があるだろうというふうに思っておりまして、今後の課題として、なるべくすみやかに結論が出るように努力をいたしたいというふうに思っております。
  83. 美濃政市

    ○美濃委員 ちょっと私の質問の趣旨と答弁とがその一点は違うのです。私は、あえてえさ用に処分せいと言っているのではないのですよ。いわゆる十年間据え置き、金利をつけない、その自後二十年の現物償還というのは、財政負担から見ると、金利を計算すると、えさで売って一時損失したよりも不利な財政負担が伴いますよということを言っておるのであって、あくまでえさ用で処分せいと言っておるのではないのです。  それからもう一つは、人類の食糧不足をこれで解消しておるのですから、その行為が極端に悪いときめつけておるわけではないのです。ただ、食管会計の借り入れば毎年買い上げて売り渡しをしていくわけですから、当然借り入れ金は伴うけれども、これは通例、正常な食管会計の運用からいけば、買った米はその次の食糧年度に売り渡しをしていくというのが通常な姿でしょう。しかし、余って滞貨しておるという現象が起きてきた。その滞貨米をそういう日本国民外の食糧不足の援助に供与するわけです。その場合、それが長期的にわたってその金利が毎年食管会計の赤字に計上されて、三百三十三万トンで四百億ちょっとになるのじゃないですか。金利だけでも大きいのです。それを毎年食管会計の金利赤字に計上され、一般会計から補てんされればそれでいいのではないか、そういう考え方には私は同調できない。そして口を開けば米のために食管が赤字だ、こう言うんだけれども、そういうことを言われないように、そういうふうに出した部分は年度食管会計の赤字に計上されないで、たとえばいま言われるようにえさ用に処分したということを考えれば、一挙に、十年間も年限がありますから、十年間の間には日本の経済はどう変動するかもわからぬわけであります。十年間というと、これは民法であれば時効で消滅する年限であります。一時にその売り払い代金は金利がかからぬように一般会計から補てんしてしまってというようなことを考えるが、とにかく不正常の売り方をしている、国民から見れば。いいですか。繰り返しますが、それが悪いときめつけておるのじゃない。そういうことをやるんだから会計はきちんとして、四百何十億の額に毎年金利が計上されて、それが食管の赤字だ赤字だといって——もちろん今後も食管の赤字は出るでしょう。しかし、そういうふうにして処分したものの赤字が毎年食管赤字に計上されて一般会計から補てんしていくというようなやり方は、私は会計上から見ても好ましくない、こういうことなんです。もう一回きちっと御答弁してください。
  84. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 いまのようなお話に相なりますと、ちょっと私から御答弁を申し上げるよりは、むしろ大蔵省の財政本来の立場からお答えするのが適当かと思いますが、私はいまのお話の中で、食管の赤字が米過剰という状態のもとでの運営に伴って生ずるものだ、何ら生産者の罪でもなければ何でもないではないか、これを別途の感覚でものを見ろというふうに承ったのでございますが、それはそのとおりだと私は思うのです。思いますが、過剰米処理のための財政負担というものは、むしろ心配するのは、私は消費者サイドではないかというふうこ言うのでございます。過剰米処理の財政負担生産者にかぶせるわけにはもはやいかないわけでございますから、問題は、消費者との関係においてそういうものを消費者の負担に帰すべきじゃないという御議論は私はあり得ると思うし、またそれは一つの筋だというふうに思っております。毎年毎年金利負担を一般会計から繰り入れるのが適切であるのか、あるいはその金利を生む元本相当額を一般会計から毎年度繰り入れて利子支払いの必要がないような状態にするのがよろしいかは、これはむしろ財政効率全体の問題であると思いますが、現在の食糧管理特別会計のたてまえから申し上げれば、たとえば韓国に対する貸し付け米につきましては、国内米管理勘定に貸し付け米として資産として計上いたしておるわけでございますから、それに相当する金額の繰り入れを受ければ、食管特別会計は超黒字予算を組むことに相なるわけでございます。沖繩に対する米の供与の場合も同様でございまして、そういうような超黒字予算を特別会計で組む必要があるのかどうか、あるいはそれが適当であるかどうかは、私はにわかに断言をするだけの用意がございませんので、大蔵省から見えておりますから、その点についての見解は大蔵省からお聞き取りをいただきたいと思います。
  85. 松下康雄

    ○松下説明員 韓国に対しますところの米の供与は、食糧管理特別会計の経理の上から申しますると、現物による貸し付けでございますから、特別会計の決算におきましては資産に貸し付け米として計上せられる性質のものでございます。これを、たとえば仮定の話でございますが、貸し倒れとして処理するというような場合、もはや資産として計上することができないと判断されるような事態がかりにありましたとしますれば、その部分は当年度の損失でございますので、一般会計からの繰り入れによりましてその赤字を補てんする必要があるわけでございますけれども、この債権が健全な米による物的の請求権として食管特別会計の資産勘定に計上することができます限りは、これを特に一般会計におきまして特別の繰り入れをいたしまして償却をするということは、通常必要がないと考えております。その場合には、御指摘のように貸し付け米にかかりますところの金利の負担が年々の損失と相なりますので、これを一般会計から通常の方法によりまして、調整勘定繰り入れをもちまして償却をしていく必要を生ずるわけでございますけれども、いま特別事情のない限りは、元本相当部分につきまして一時にこれを一般会計繰り入れによって償却するということは必要がないものと考えております。
  86. 美濃政市

    ○美濃委員 ここは米価審議じゃないのでこの法案審議ですから、時間の関係もあるからできるだけ多岐にわたる表現は避けたいと思いますけれども、一言申し上げておきますが、おかしいのですよ、食糧庁長官の言っておることは。それなら、なぜ生産者米価を据え置いたのですか。食管の赤字は米が原因だというなら、パリティだけ上げたらどうです。それは、基本的な米価は上げる必要はないけれども、物価はこのとおり上がっているのにパリティ部分を上げないで据え置いた。消費者米価はことしは据え置くと言っておるけれども、前年度はかなり上げておる。それは食管の赤字に基因する。その赤字の中にこういうものが含まって赤字だということは、好ましくないと言っておるのですよ。生産者関係ないのだ、何を言っておりますか。生産者に食管の赤字が関係ないのだったら、なぜ米価を据え置いたのです。パリティだけ上げなかったのです。これは答弁は要りませんが、そういうおかしなものの考え方で農政を担当されては困るということです。これは法案審議ですから、そんな問題をここでやっているようでは切りがないですが、そういう変なものの考え方はやめてもらいたいと思うわけです。生産者関係ないのだ——生産者に米価が関係ないなら、なぜ据え置いた。そういう答弁をすると、これはあくまで言わざるを得ないのですね。ですから、先ほどいろいろ問題はあるけれども検討するというのですから、検討課題としてこれは検討しけなければならぬといえば、皆さん方も検討はしておらないし、また皆さん方の立場でこうするということも言えないということもわかりますけれども、不正常だということを指摘しておきますから、こういうふうにして出した米は食管の赤字に計上されない方法を、累積赤字としてその利子が毎年一般会計から赤字に計上して補てんするのじゃなくて、そうならない方法検討すべきである。それが私は会計のたてまえだと思いますから、意見として申し上げておきます。  次に、この代金で、法律を見ますといろいろ土地改良、基盤整備を進める、いろいろの使途も書いてありますが、まず第一に、たとえば沖繩でこういう金を出して、いままで沖繩のサトウキビ畑を見ても一筆一筆が非常におもしろい形になっておりまして、きちっとした区画整理もできていないというような、ほんとうの昔の原始的な時代の形そのままで区画なんかが行なわれているわけです。ああいうものを整理する場合には、やはり本土でいう交換分合なり、これはこの前も沖繩の視察直後に長官に申し上げた。この権利調整関係を進めないと、やはり本格的な区画整理なり何なりは、交換分合とか、あるいは本土にも地主がおるわけですから土地改良を大幅に進め、生産性を上げるということになると、いわゆる本土でいう土地改良法のような、小作人が土地改良した場合の措置はどうなる、そういう関係の権利調整を高めぬと、具体的には、これは財源があってもそういう前提作業が進まぬと、あの状態を処理していくにはやはり権利関係の調整が必要となってまいりますが、それには前にも申し上げたように、本土では昭和時代の自作農創設特別措置法しかないわけですね、沖繩には。ああいう不十分な法律では、土地改良を進めるといっても権利調整がうまくいかないと思うわけです。いろいろな障害にぶつかると思う。そういう関係琉球政府の立法で考えておるのかどうか。そういう関係の打ち合わせはその後どうなっておるか。これはこの前にも
  87. 床次徳二

    床次国務大臣 御承知のとおり、沖繩におきましては土地改良は非常に大事であります。この点に対しましては、本土において実行しておりますと同じように組合をつくりまして、土地改良が行なえるように措置を講ずる予定であります。
  88. 美濃政市

    ○美濃委員 その権利調整関係措置をどういうふうに考えるか。それから、いま答弁のありました組合関係はつくるというが、技術関係やそういう組合はこれからつくるのか。この前視察に行ったときは、土地関係団体の受け入れ体制は本土並みの技術内容なり水準になっていないように思うのですが、そういう関係の整備はどういうふうに考えておるのか。
  89. 床次徳二

    床次国務大臣 ただいまの問題につきましては、本土に大体準じまして指導いたしておるわけであります。具体的なことにつきましては政府委員から御答弁申し上げます。
  90. 加藤泰守

    ○加藤(泰)政府委員 土地改良につきましては、本土から指導員を出しまして前々から指導いたしておるわけであります。したがいまして、法律そのものは、向こうの法律が大体本土と似通った法律になっているわけであります。ただ、先生御指摘のとおりまだ十分ではございませんので、いままでも技術指導等でやっておりますが、さらにその点、今後も強力にやっていきたいということでございます。去年十一月五日、三カ年計画の基本的な考え方を閣議できめていただきましたが、それに基づいて現在いろいろ三カ年計画を考えているわけでございますが、その中においてもそのことについて十分指導していくという予定でございます。
  91. 美濃政市

    ○美濃委員 次に、糖業関係をお聞きしたいと思います。  糖業関係に資金を回すというのでありますが、これは資料として御提出願っておりますが、この関係は資金を出してどういうふうにしようというのですか、まずその考え方から……。
  92. 床次徳二

    床次国務大臣 ここにありますごとく、具体的糖業の工場が多いということが言えると思います。やはり能率をあげますためにはこれを合理化する、特に工場の合併をしなければならないと思います。そして能率を増進するということが必要ではないか。そういう意味の合理化資金というふうに考えてよろしいと思います。
  93. 美濃政市

    ○美濃委員 合併はどの程度にしようということですか。
  94. 床次徳二

    床次国務大臣 この点はまだ具体的に業者間で話し合って計画を立てさせなければならない、さように指導いたしたいと思っておりまするが、十分これは合理化する——まあ地域的に見まして合理化できるところと合理化できないところとございまするが、これは最大限にいたしたい。また、小さなところでもって砂糖を経営することが無理だという点につきましては、むしろ糖業以外のものに転換するという方途も考えてまいりたいと思います。
  95. 美濃政市

    ○美濃委員 これは近く施政権返還を要請しておるわけですが、行ってみまして、先ほど申し上げたように非常に圃場の形成は悪い、それから生産力も低い、こういう関係なんでありますが、ここへ米の供与をしてその代金でひとつ生産性を高めていくという趣旨だと思うのですが、その目標は反収基準はどのくらい上がると考えておるのか、そのくらいの検討は終わっておると思うのです。そして将来沖繩からの産糖高をどこまで持っていくか、この計画はどうなっておりますか。
  96. 床次徳二

    床次国務大臣 具体的の数字につきましては、あるいは関係者が知っておるかと思いまするが、考え方から申しまして、緯度等の点から見まして温度なんかはむしろいい条件になっておるわけでございます。しかし、現実におきましては、奄美と比べますと生産性が落ちるというところもあるわけであります。かようなところに対しましては、やはり本来の能力を十分発揮できる限度において、今日本土のいわゆる甘味資源安定法のワク内でありますが、しかし、たとえ安定法があるかに、やはり積極的に企業の改善を行なうというたてまえから指導してまいりたいと思いますが、資金が来年度から蓄積できるわけであります。今日から十分に関係者において検討させたいと思っております。
  97. 美濃政市

    ○美濃委員 もっと具体的な考えがあれば、この際聞いておきたいと思うんです。
  98. 小暮光美

    ○小暮政府委員 沖繩の糖業が現在当面しております悩みは、一つには労働力の問題あるいは主力品種でありますキビの特性が次第に劣悪化してきておるということもございまして、反収が期待されたようには順調に伸びておりません。現状で七トンをちょっと割っておると思います。ただ鹿児島県の南西諸島でも、私ども現状約七トンのものを将来九トンまで持っていきたいということで、いろいろ生産の改善につとめておるところでございます。琉球政府におきましても、ほほこの方針に準じた生産改善の努力をいたしておるところでございます。現在、また今回のような糖業の合理化の問題と関連して、目下鋭意検討中であるというふうに承知いたしております。
  99. 美濃政市

    ○美濃委員 たとえば現在の反別で七トンから将来九トンになりますと、二十数%産糖高が上昇するわけです。将来、ここに精製糖も——小さい島がありますから、あの条件では離島の部分はやむを得ないと思いますけれども、特に本島ですね、これは精製糖をやるべきだと思うんです。全部をあれだけの条件のところで粗糖で本土まで持ってくるというのは、私はどうかと思うのです。その計画はどうなっておりますか。
  100. 小暮光美

    ○小暮政府委員 現在、御承知のように内地に、いわば精製工場はやや日本全体としては十分過ぎるほどございます。したがいまして、日本経済全体の効率という点から考えますと、沖繩に新たに精製糖工場を新設する必要はないんじゃないかというふうに私どもとしては考えております。
  101. 美濃政市

    ○美濃委員 私は、そういう考えには異論があるわけです。私は行ってみて、いわゆる糖液からあくって精製糖をやらす、そして全部を精製糖にしなくてもいいですから、それで周辺のものを集めてあそこでやる、大型工場にして精製糖をやるということは、コストが違うと私は思うのです。粗糖といえどもあそこまで砂糖にするわけですから、煮がまに入れて煮詰めて、あの過程で全体として精製糖にしてしまえば、もっとコストが下がると思うのです。それをいまの状態では、日本の砂糖の消費量を満たすだけの精製糖工場が本土にあるから、沖繩にそれをやらすということは競合する、本土の糖業を守らなければならぬということを言うが、それは過剰設備になったら困るというなら、本土の糖業のどれかを移設したらどうですか。行ってみたら、粗糖といえどもあれだけの煮がまに入れて結晶にして一応の砂糖にするわけですから、あの過程の中で、あそこですぐ、たとえばイオン交換樹脂等をつけて一貫して精製糖にしてしまえばコストは下がると思うのです。あれだけの砂糖にしたものをまた本土に持ってきて、水に溶解してクリーニングをやるなんというのはおかしいです。どうですか。
  102. 小暮光美

    ○小暮政府委員 御指摘のような点は十分考えられますが、ただ、沖繩が地場であれだけの砂糖を消費するわけでございませんで、現在、約二十万トンの生産ほとんど全量に近いものを内地に運びまして、糖価安定事業団が買い上げる。いずれにいたしましても、琉球から内地へ運び込むというプロセスがございます。糖業全体の効率という角度から先ほど申し上げたわけです。  ただ、沖繩における糖業の将来につきましては、もちろん現在私どもは、直接的には沖繩産糖の事業団買い上げを通じて約十八億の価格、補給をするという形で接触をしております。将来の糖業そのものにつきましても、沖繩の考えも十分聞きまして、なお私どもとしてもいろいろ研究したい、かように考えております。
  103. 美濃政市

    ○美濃委員 最後に、これは長官にお聞きしたいと思いますが、結論が出ていなければ施政権復帰ら、施政権が復帰した場合にどう処理するのか、棒引きにしてしまうのか、あるいはまた、何か沖繩県の起債にでも切りかえるのか、復帰後の措置はどういうふうにお考えになりますか。結論がなければ復帰後検討しなければならぬのもやむを得ないと思いますけれども、あらかじめ検討ができておれば、その構想だけでも伺いたいと思います。
  104. 床次徳二

    床次国務大臣 御承知のごとく、売り上げ代金は特別会計に蓄積されておるわけでございます。したがって、復帰の際におきまして、その処置につきましては検討いたしたいと思います。
  105. 美濃政市

    ○美濃委員 大体どういう方向だろうということは、まだ検討されておりませんか。
  106. 床次徳二

    床次国務大臣 まだ具体的な処置は決定いたしておりません。
  107. 美濃政市

    ○美濃委員 以上で終わります。
  108. 中村寅太

    中村委員長 井上泉君。
  109. 井上泉

    ○井上(泉)委員 質問することが次から次へ出てまいりまして、どこから質問していいやらなかなかわからぬような状態になってきたわけですが、まず第一に、食糧庁長官にお伺いをします。  あなたは、この間ここで、韓国に対する米の援助についての金利というものがどれくらいになるかといって私が問うたときには、四百三十億というようなことをおっしゃったが、その前の四月十六日か十七日の農林水産委員会では四百五十億以上の数字をなにされましたが、正確な数字はどれくらいなわけですか、正確な金額は。
  110. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 金利の推算をします場合に、貸し付けの価格評価をどうするかということが一番問題になるわけでございまして、その中には国内米の国内で売り渡す価格を基準にする場合もございますし、また、国際価格を基準にして計算するという場合もあるわけでございますが、国内米の売り渡し価格を基準にした数字を予算委員会等で申し上げたのでございますけれども、私どもは、貸し付け価格についてトン当たり十一万一千五百八十円という評価で計算することが、この場合はすと四百三十億ということになるので、この数字を先日申し上げたのであります。
  111. 井上泉

    ○井上(泉)委員 私は、時間が長くなりますので簡単に答弁していただきたいわけですけれども、予算委員会で何を基準にしてどれくらいになると申したのか、それから衆議院の農林水産委員会では何を基準にしてこういうようなことを言ったのか、それぞれ当てはめるべき基準によっての金額を示していただきたいと思います。予算委員会で幾らと言いましたか。
  112. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 実は私どももそういう計算をいたしておりませんで、予算委員会では委員の先生から四百六十億程度になるのではないかということで、私もとっさの場合でございましたので、現在の国内米の売り渡し価格十二万五千八百四十七円というものを基準にして、三十三万トンの単純計算をいたしますと大体そういう金額になるというふうに暗算をいたしまして、大体四百六十億程度ということを申し上げたと記憶いたしておるのでございます。  先日、井上委員に申し上げましたのは、貸し付け米の評価を現在の食管特別会計の期末評価額十一万一千五百八十円ということで計算をいたしますと四百三十億九千三百万円ということで、現段階ではこの四百三十億という数字が最も正当であろうと思っております。
  113. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それでは農林水産委員会で答弁された四百五十五億円とかいうようなものは、そのときに言ったことであって、その答弁は今日参考にする必要はないわけですね。あなた、予算委員会が何月にあったと思いますか。それから農林水産委員会は四月にあったのですよ。少なくとも三十三万三千トンという膨大な米を左右するにあたって、これはこうなった場合にはこうなるという、はっきりした数字くらいは示すのが当然の任務ではないですか。どうですか。
  114. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 仰せのとおりだと存じます。
  115. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それで、これは非常にざっくばらんな質問ですが、あなたは沖繩外国と思っておるのか日本の国土と思っているのか、韓国を外国と思っておるのかどうか、これはわかり切ったことですけれども、あなたが行政を推進していく上においての常識だと私考えるのですが、一体どう考えておるのですか。
  116. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 韓国はまぎれもなく外国と考えております。沖繩につきましては、わが国は領土権を保有し、また、沖繩の住民は日本人であるというふうに考えております。わが国沖繩に対する潜在主権を持っておるというふうに理解をいたしております。
  117. 井上泉

    ○井上(泉)委員 その沖繩が、領土権とかなんとかいうようなことを外務大臣か総務長官が回りくどく答弁するように考えなくても、あなたも沖繩日本の国土の一部である、沖繩の住民は日本の国民であるということだけでいいわけですが、それに対する認識というものが悪いがために、沖繩に対する米の援助、米の売り渡しのやり方についても、あるいは韓国に対する米の貸与のやり方についても、全く姿勢が悪いわけです、端的に言うならば。  そこで、内閣法制局のほうにお尋ねしたいと思いますが、韓国に対する米の貸与は政令でやって、沖繩に対する米の売り渡しについては法律でやるわけですが、これはどういう点が違うのか。韓国にはなぜ政令でやってよろしいのか、そして沖繩はなぜ法律でやらなくてはならないのか、その点についての法的な見解を承りたいと思います。
  118. 田中康民

    ○田中(康)政府委員 お答え申し上げます。  政府が所有いたします物品その他の財産を、たとえば売り払うあるいは貸し付けるという場合、そういう管理または処分をする場合には、いろいろな、たとえば米でありますならば食糧管理法とかあるいは財政法であるとかいう規制がかぶっております。その規制の範囲内において貸し付けあるいは売り払いをする場合でありますならば、当然、法律がすでにあるその範囲内でやることでございますので、何ら特別法を制定することはございません。ところで、韓国への貸し付けはなぜ政令でよくて、今回の場合につきましては法律でやらなければならぬのかという御質問でございますが、韓国の場合におきましては、食糧管理法というものによりまして米が全部管理されておりますが、その食糧管理法の七条におきまして、政令で定めるところによって貸し付けをすることができるという規定がございます。この貸し付けに関する権限を受けまして政令を定めまして、その政令の定めるところによりまして韓国に貸し付けましたために政令で足りた、こういうことでございます。沖繩におきます今回の売り払いは、しかもなぜ法律が要るのかということでございますが、この沖繩に対する売り払いは、今回特別にその売り払いについての条件がございまして、通常でありますならば、国の所有に属する物品の売払代金の納付に関する法律によりまして、代金の延納をする期間は六カ月であり、かつ利子を付し、あるいは担保を徴することになっておるのでございます。今回、沖繩は、先ほど先生も仰せられましたように特殊な地位にございますので、この売り払い代金を特に六カ月というような短いものにいたしませんで、長期、二十年というようなものにいたしました。そのために特別に国の所有に属する物品の売払代金の納付に関する法律の例外でございますので、そういう例外のために法律を設けまして、その法律をここで御審議いただく、こういうことにいたしたわけでございます。
  119. 井上泉

    ○井上(泉)委員 その韓国にいたしましても、これはもう三十年、十年据え置き、二十年という膨大な長期にわたるわけですが、それを一ぺんに政令でやる。しかも四百五十億に近い金利負担というものが国庫の中で処理されなくてはならないわけですが、そういうふうな場合に、法律——私、勉強が足らぬわけですけれども、財政法上から、あるいはこの国会のたてまえから、そういう四百五十億に近い金が、韓国へ貸与することによって国庫の負担になるわけですが、それに対して法的な措置をとる必要はないんですか。
  120. 田中康民

    ○田中(康)政府委員 先生仰せられますのは、一番基本的に申しますれば憲法八十五条によりまして、「国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基くことを必要とする。」この規定上どうであるかというお尋ねであろうと思います。私たちがこの前韓国に貸し付けをいたしましたのは、何も韓国に貸し付けることによりましてその負担がふえるわけではございませんで、もともと、政府が持っておりましてもそういう負担はあるわけでございます。韓国に貸し付けること自体によって国が債務を負担しているわけでも何でもありませんので、憲法八十五条には何ら違反をしない、こういうように考えておるわけでございます。その負担が何で生ずるかといえば、食糧証券を発行して、その金利相当分だと思いますが、そういうものは、食糧証券の発行につきましては食管特別会計によりまして国会の議決に基づいて明らかにやっておりますので、こちらのほうも憲法八十五条に違反することはない。いずれにいたしましても、韓国に対する貸し付けにつきましては法律上の問題はない、こういうように解釈したわけでございます。
  121. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それでは沖繩に対する米の売り渡しに対する法律案とそれから食管法の十一条の関係、これは別に検討されたかされなかったか。
  122. 田中康民

    ○田中(康)政府委員 沖繩への売り渡しにつきましては、これは法律でございますので、食糧管理法十一条にもし抵触いたします部分がございますれば特別法になると思いますけれども、十一条に基づきます政令がございまして、その政令で、食糧管理法施行令の十四条の二というのがございますが、その一号に「政府の委託を受けてその買入に係る米穀若しくは麦を輸入し、又はその売渡に係る米穀若しくは麦を輸出するとき。」は許可を必要としないという規定がございますので、これによって何ら十一条との抵触は生じない、こういうように考えております。
  123. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それで、沖繩に対しては、食管法の十一条の規定でやってもやれぬことはないということになりはせぬか。
  124. 田中康民

    ○田中(康)政府委員 沖繩につきましては、その点は法律を必要といたしません。しかしながら、先ほども申しましたように、売り払い代金の延納というところがはっきりいたしますわけでございます。売り払い代金の延納を二十年の長期認めるということ、それから利子を徴しない、担保も徴しないということは、これは国の所有に属する物品の売払代金の納付に関する法律に抵触いたしますので、その例外規定としてこれを定めていただく、こういうことでございます。
  125. 井上泉

    ○井上(泉)委員 そういうように法律を解釈されたことが正しいかどうかということは、これは私は争うべきことだと思うのですが、韓国に対する米の貸し付けにいたしましても四百何十億という、どういう会計の姿であろうとも、実質的には四百何十億という金利というものが国庫から支出をされるわけです。  そこで、食糧庁長官にお伺いしたいのですが、日本の米の需給の将来の見通しについて、絶えずいま、よくあなたが言われる百万トンぐらいの古米をかかえ込んでおかなくてはならないような食糧事情にあるのかどうか、将来の見通しとして。
  126. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 御質問の趣旨をちょっと取り違えておるかと思いますが、昨年農林省が「農産物の需要と生産の長期見通し」というのを公表いたしておりますが、昭和五十二年におきまして、現在の米の作付反別に移動がないということであれば、約百八十万トンの供給過剰になるという見通しを出しておるのでございます。今後開田の抑制なりあるいは稲作の転換の成果で、どれだけ需給の均衡が得られるかということは今後の問題でございますけれども、少なくとも今後十年間程度は、供給過剰の状態が続くというふうに見るのが適当だろうと思うのであります。  なお、百万トン程度持っておる必要があるかというお話は、これはいわば需給調整上の備蓄米といいますか、操作用のランニングストックをどの程度持つ必要があるかという御質問かと思いますが、私どもは、大体正常でかつ十分なランニングストックというのは、現在の食管制度を続けます限りおおむね配給の三カ月分、約百五十万トン程度のランニングストックを持っておれば十分だろうというふうに思っております。
  127. 井上泉

    ○井上(泉)委員 そこで、さっき美濃さんからもいろいろとこの韓国の米の問題について質問されておったわけですが、食糧庁長官に簡単にお答え願いたいと思うのです。米を現物で貸与して、現物で同じ品質のものを戻してもらうから、別に食管法、法律でどうこうすることはない、政令でけっこうだということですけれども、ここに厳然と四百三十何億という金が——これはたんす預金だったら金利がつかぬから、それと同じようなものだという解釈であなたは韓国に米を出したのですか。
  128. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 私どもとしては、食糧管理法第一条の需給の調整をはかるということが食糧管理制度の重要な使命であるということになりますと、現在のような需給事情、大量の繰り越し米を持っておるというときには、過剰米の処理を通ずる需給の調整というものは、食糧管理を運営するものとしてきわめて重要な使命であるというふうに考えておるのであります。したがって、将来政府が操作し得る米が返ってくるということを前提に貸し付けをするということは、私どもとしては、食糧管理運営上適当な方法であるというふうに考えて、韓国に貸し付けをすることにきめたのでございます。
  129. 井上泉

    ○井上(泉)委員 私は、それはこの前も問うたのですから、そのことは言ってないですよ。要するにあなたは、たんす預金には金利はつかない、それと同じような考え方に立っておるかということです。つまり百万トンなら百万トンの米がいつでも日本には余っておるのだから、日本の倉庫に入れておくより韓国の倉庫に置いておこう、韓国の人に食ってもらおう、こういう考え、そうすれば金利負担ということはないという考え方に立っておるのびどうかということです。
  130. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 韓国へ貸し付けをいたした場合でも、あるいは貸し付けをいたしません場合でも、政府買い入れその他の経費は借入金でまかなっておりますから金利の負担は免れない。いずれにしても免れないということは前提でございますが、そのほかに、国内の倉庫で持っておりますれば当然品質の低下も来たしますし、また同時に、保管経費を負担するわけでございますので、韓国へ貸し付けをするということは、食糧管理全体の負担の軽減ということにも有益であるというふうに私どもは考えたのでございます。
  131. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それでは、食糧管理法のたてまえから韓国へ米を貸しておくのが得だから、韓国へこういう条件で貸したのだ、こう理解していいのですか。はっきりしてください、それだけでいいから。
  132. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 食糧管理特別会計のたてまえからいえば、韓国へ貸し付けをして、現物で返してもらうことに利点があるという判断をいたしております。
  133. 井上泉

    ○井上(泉)委員 その利点というのは、金利の負担というようなものにも増して利点がある、こういう考え方で貸したのだ、こういうのですか。そこをはっきりしておいてくださいよ。
  134. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 そのとおりでございます。
  135. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それでは、四百五十億も金利にかかるというものについては、これはそれよりかずっと利点がある、あなた方がこういう考え方に立っておることについて非常に私は疑問を持つものですが、そこら辺について、これは大蔵省の主計官にお尋ねするわけですが、いま食糧庁長官の言うとおりですか。
  136. 松下康雄

    ○松下説明員 韓国への貸与をいたすかいたさないかということを議論いたしました段階におきまして、ただいま御指摘のような種々の点につきまして食糧庁、大蔵省いろいろと協議をいたしたわけでございますけれども、いま貸与の問題を、食糧庁長官の申しました国内米あるいは国民食糧の管理という見地にだけ限ってお答えいたしますと食糧庁長官のもうしましたように、韓国に現物の米を貸与いたしまして、十年以後の将来に返還を受けるということに利点があるという点につきましては、私どもも同意をいたしたわけでございます。
  137. 井上泉

    ○井上(泉)委員 そうですが、まあそういうふうに考えるということについて、これはまたあとでなにしましょうが、それで、韓国は米を韓国の住民に対しては無償で供与するでしょうか、それとも売るでしょうか、どうでしょうか。
  138. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 韓国が日本から貸与を受けた米をどういうふうに処理するかは何らの約束はいたしておりませんので、私どもがこういうふうにするはずだということを申し上げがたいのでございますが、原則的には、韓国というのは米について間接需給調整方式をとっておるのでございまして、米は自由流通をしており、政府一定量の需給操作米を持ちまして、価格の高騰等の現象が起きました場合に放出をして価格及び需給調整をはかるというやり方をやっておるようでございます。したがいまして、日本政府が貸し付けましたものを一部あるいは無償で提供するという場合もあろうかと思いますけれども、大部分は需給調整用として市中に有償で放出されるということになるだろうと思います。
  139. 井上泉

    ○井上(泉)委員 法制局の方は、私、もう一問お尋ねして、帰っていいですから……。  食管法の一時貸与というのは、政令事項でやるというその解釈はそれはあるでしょうけれども、十年据え置いて二十年で返すというのは、これは長期になるわけですが、こういうことを政令でやっていいと思いますか。私は、やはりこれは法律でやらなければいかぬと思う。三十年先に食糧庁長官幾つになるか、いま五十なら八十ですよ、どうですか。
  140. 田中康民

    ○田中(康)政府委員 食糧管理法第七条によります貸し付けは政令の定めるところによってできるわけでございまして、確かにその期間が、たとえば非常に常識を超えて百年も二百年もというようなものでありますならば、そういうものが法律上やや違法に近いというものであることは、私もそうであると思いますが、ただ十年の据え置き、二十年の償還というくらいのところでは、それが当不当の問題には——あるいはなると思います、そのために別の法律をつくることもまた一つの手段だとは思いますけれども、しかし、食糧管理法第七条によりましてできない範囲内であるかとお問いでございますならば、私たちといたしましては、やはり第七条の範囲内でできることであるというふうに考えるわけでございます。
  141. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それでは一時というのは法律的にはどれぐらいの期間をさすのですか。一時貸し付けができるというその一時というのは、法律的には大体いままでの判例その他でどういうふうになにしますか。まさか十年も二十年も一時だとは言わぬでしょう。ごまかさぬで、ちゃんとした根拠をあげて説明してくださいよ。
  142. 田中康民

    ○田中(康)政府委員 先生おっしゃいます一時ということばは、法律上にも政令上にもございませんで、要するに貸し付け契約ができるかどうかということであると思います。貸し付け契約につきましては、これは判例にしても何にしても、相当と認められる期間でございましょうけれども、少なくとも二十年、三十年という貸し付け契約は物品につきましてもあって差しつかえない。たとえば民法上の契約につきましては、民法九十条というのがございまして、公序良俗に反するような契約は無効であるというものがございます。そういうようなものがございますけれども、十年、二十年、三十年の契約を結んだからといって、公序良俗に反するような場合は普通はないものと考えております。ただ、食糧管理法というものを踏まえました場合に、その期間をどう考えるかというところが私は問題なんだろうと思います。そういう食糧管理法を踏まえました場合の判例というものがございません。それは政府がすでにそうしておりませんものですから、ないのがあたりまえでございますけれども、そういうものを、食糧管理法を踏まえまして貸し付け期間をどうするかという問題になりますと、私たちは、それが五十年でいいのか三十年でなければいけないのかという線はなかなか引きにくいと思いますけれども、少なくとも今度の契約にありますような条件でありますならば、食糧管理法に違反するものではない、こういうように私は考えております。
  143. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それでは、違反をするものではないけれども疑義は若干残る、こういうことですか。
  144. 田中康民

    ○田中(康)政府委員 やはり違反しないということは、違反するかどうかの疑義もない、こういうことでございます。
  145. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それでは、普通の刑事事件で時効年限は何年になるのですか、窃盗とかあるいは傷害とか、時効年限は。
  146. 田中康民

    ○田中(康)政府委員 刑事事件につきましては、いろいろ罪の種類によって違います。ですから、たとえば三年なり、長期になりますと十五年とか、詐欺みたいなものになりますと、あるいは汚職みたいになりますと短い三年とか、いろいろ幅がございます。
  147. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それは少なくとも十年据え置いて二十年ですから、この貸与条件は三十年と解釈していいわけですが、どんな法律にも、三十年のものを一時として解釈できるようなものはないと私は思うのです。やはり二十年、三十年という長期にわたる場合には、これはきちんと法律で貸与条件——いわゆる現物にしろ何にしろ、条件は法律できちんときめるべきだと思うのですが、ましてや国庫に損失があろうがなかろうが——損失がないと食糧庁長官も大蔵省も言うけれども、四百何十億という負担をするわけで、そういう理屈を大蔵省の方なんかが言うならば、いまある米を全部国民、消費者に配っておいて、おまえがふところ勘定がようなったらこの米は戻してもらったらいいんだから、代金は戻してもらったらいいんだから、当分おまえのところに預けておく、こう言うのと同じ理屈になるわけですね、これは余談ですけれども。  法制局の方にお伺いするのは、こういう長期のものを、これを短期とは解釈しないでしょう。短期と解釈しますか、この三十年という契約を。
  148. 田中康民

    ○田中(康)政府委員 当然長期でございます。
  149. 井上泉

    ○井上(泉)委員 長期のものを一片の政令で変えるということは、これはちっとも違法でもなかろう、しかし、違法でもなかろうけれども不当なやり方であるということには間違いない、こういうふうに思うのですが、それを不当だと思うと食糧庁長官も責任を感ぜざるを得ぬわけですから、なかなか不当とはよう言わぬけれども、どうも配慮が足らなかったということだけは私は言えると思うのですが、どうですか、食糧庁長官
  150. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 食糧管理法第七条の規定によってやることでございますから、違法性については私は毛頭ないというふうに考えたのでございますが、お話のように長期の、しかも三十三万三千トンというような相当大量の米の貸し付けでございますから、私どもが単純に事務的に処理するということはいかがかという考えでございまして、したがって、これの貸し付けに関する基本的な方針は閣議において御審議を願った上、閣議の御決定に従って私ども貸し付けの実施に当たったのでございます。
  151. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それはもちろん政令を出すときにはこれは法律でなくても——法律のときには国会の議決が要るわけですけれども、政令を出すときにはそんな所管の大臣の署名が要るでしょう。だから当然閣議へはかるのは、総理大臣の署名が要るから閣議にはかるのは当然ですけれども、閣議へはかったからそれでいいというものではないでしょう、四百五十億という国費を。あなたたちは、この国費は国庫に損失を与えるものではない、こう言うわけですが、われわれは、これはばく大な国庫に損失を与えるものだと考えておるわけです。そういうことを閣議ではかったからいいというわけではないし、韓国に対するこういう米の貸与については、もっとそういう取り扱いというものがあってしかるべきだと私は思う。  一方において、沖繩に対しては数量もこの間四万トンと言ったけれども——特連局長来てないですか、山野さん帰ったですか。
  152. 中村寅太

    中村委員長 ちょっと中座しております。
  153. 井上泉

    ○井上(泉)委員 そうすると、ことばというものは非常に違ってくるのですが、この間の委員会では四万トンということを言っておったのですけれども、きょうは三万トンということになったのです。それはどういう関係で四万トンが三万トンにきょうなったんですか。この間は四万トンを目途としてやるんだと言ったが、きょうは三万トンになった。
  154. 床次徳二

    床次国務大臣 この点は、従来の沖繩需給状況から見まして、交渉と経過においてそういうふうになったわけでありまして、簡単に申しますと九万トンを沖繩では使っておるのですが、そのうちの一万トンは地元でできて、八万トン買っておったわけです。そういうところへ日本から、本土から供与しようというわけでありますが、従来から買っておった取引の関係もありますので、まあ普通の年であれば半分は本土から売れるのではないかというふうな予測でもって、四万トンということをかつて申しておったと思うのであります。しかし、その後の状態を見ますると、来年の二月までもうすでに買っちゃっておりまして、二月からあと十カ月分でありますので、半分の四万トンはむずかしいということになりまして、一万トン減りまして少なくとも三万トンは確保したいというので、今日政府としては三万トンを予定しておる次第であります。
  155. 井上泉

    ○井上(泉)委員 えらく一週間のうちに一万トンも減って三万トンになったものですね。  そこで、韓国への米の貸与については、いま食糧庁長官の話によると、全く日本の余った米の処分の一環としてこうやってやるのが有利だからやった、こういうふうに解釈されるのですが、これは全く農林省の食糧庁ベースで韓国と交渉したんですか。
  156. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 具体的な契約は、これは食糧庁の契約担当官と韓国の契約担当官との間で成立するものでございますから、したがって、このことは食糧庁が韓国側と接触をしていたしたのでございますが、ただ、契約に至る過程につきましては、国と国との関係でもございますので、外務省等とも十分連携をとりまして接触し、交渉をいたしたのでございます。
  157. 井上泉

    ○井上(泉)委員 もちろん韓国は外国ですから、それは外務省も窓口になるわけですけれども、結局は食糧需給調整上韓国へ米を預けた、国民に対して言うのには韓国へ米を預けてあるのだ、政府がそういう方針をとった、こう確認をしておっていいですか。くどいようですけれども……。
  158. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 多少理屈っぽくなるかと思うのでありますが、この契約はいわゆる消費貸借に相当するわけでございます。消費貸借は、通常の観念では預けたというような言い方があり得ますので、先生のおっしゃるように御理解願っても、実態に遠いものではないというふうに思います。
  159. 井上泉

    ○井上(泉)委員 これは私はもっと研究をして、場合によっては日本国民の名においてあなたを告発せねばならぬような状態が生ずるかもしれぬです。四百何十億の国費を、そして一方では日本の農民の願いをじゅうりんしてやる、沖繩に対しては法律で米の取り扱いをやろうとしているわけですが、そういう沖繩に対することがどうこうではなしに、私は、韓国に対して政令でこういう処置をしたということは非常に問題だと思うのです。しかも一それが日本の米の需給調整のためにこうしてやるのが得なのだ、こういうふうな考え方で韓国に米を貸与したということは、これはまだまだ当委員会でも論議をせねばならぬ問題だと思うわけですが、そのことについてはまた後日質問を続けたいと思います。  そこで、沖繩に対する米の問題ですけれども一、ここへいただいている総理府の資料によっても、いま長官が九万トンと言われたのです。いま九万トンになっておるかもしれぬけれども、全消費量が八万二千トン、こういうことで一トンも一キロもいままで本土の米は入っていなかったわけですが、これはどういうところに原因があったのですか。
  160. 床次徳二

    床次国務大臣 本土の米は、御承知のごとく、食管法によりまして、相当生産費が外国と比べると高いのであります。沖繩におきましては、外国から普通の相場でもって買っておりましたがために安く買えるわけでございます。その安く買った米を沖繩でとれます一万トンの米とプール計算で売っておりますために、沖繩消費価格本土と比べますと大体六割五分くらいの程度になると思いますが、相当安い価格でもって沖繩では米を食べておる。したがって、わざわざ本土の高い米は買って食べないというのがいままでの状態でありました。
  161. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それで長官は、いま韓国に対する米の問題は、結局日本に米が余っておる、それで日本の倉庫へ置いておくよりは、韓国の人間の腹の中に入れてもらっておくほうがよかろう、こういうことで韓国へ米を三十三万三千トンも出すわけですが、それで韓国政府はこの米をおそらく韓国人から相当な代価を受け取るはずだと思うのです。無料ではないと思うのです。そういうふうな便法というものを食管法の中でやっておるのに、それなら何で日本の国土である沖繩に対しては、それと同じような措置がとれるということを考えなかったのかどうか。韓国政府は、日本政府からまことに都合よく米をもらっておる。てれで日本は、こうやって法律までつくって論議をして、沖繩へ米を出すようなことをせねばならぬ。これは韓国に対するやり方をうらやましいと総理府長官として思うのは当然だと私は思うのですが、そういううらやましいという感じもなしに、沖繩は施政権がないから、日本の国民であるけれども日本の国土であるけれども、こういうふうにやらざるを得ぬ、こういう心境のもとにこの法案を出されたのかどうか。その点をひとつ……。
  162. 床次徳二

    床次国務大臣 韓国に対しましては政令で出せた、比較的簡単な手続きで出せたのでありますが、これは、先ほど政府委員から御答弁申し上げましたように、食管法の第七条ですか、規定があるために出せたわけです。しかし、沖繩に対しましては、韓国に出すのと同じでは私はよろしくない。ただいま御意見がありましたように、沖繩はもうわれわれの身内でありますので、さような取り扱いをすべきだ、特別な扱いをいたすわけでありますが、この特別の扱いに該当すべき規定が食管法にはございません。したがって、新しく法律をつくりまして、そういう特別扱いをいたしたようなわけであります。
  163. 井上泉

    ○井上(泉)委員 いや、それはそうせぬでも、沖繩の民政府あるいは屋良主席のほうへ米をこれと同じように貸与しますと、こういうことはできぬことはないと私は思うのですが、法制局、沖繩にも韓国と同じような条件が当てはめられないのかどうか。
  164. 田中康民

    ○田中(康)政府委員 沖繩に対しましても韓国と同じ貸し付けの方式がとれないかと申しますと、韓国と同じように貸し付けを沖繩が希望いたします場合におきましては、そのとおりの措置がとれると思います。しかしながら、今回、米を沖繩が必要といたしますゆえは、米そのものも必要でありますけれども、それ以外に、その米を売った残りの代金を運用するというところにあります。そういたしますと、貸し付けをいたしましてもその代金そのものにつきましては、その運用資金が出てこないということがあるのではないかと思います。そこで、あとの措置が違いますので、沖繩に対しましては特に売り払いという形をとることといたしたわけであります。その売り払いという形をとるといたしますと、その代金につきましては貸し付けと同じように延納をしないとできませんので、そこで特別法をつくった、こういうことでございます。
  165. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それは、この韓国は永久に日本のものにはならぬですよ、永久に。沖繩は、もう両三年をめどにして本土に施政権も返ってくる。いわゆる本土一体化となる。そういう場合に、沖繩へ米を売るというようなことをせぬで、いっそのこと沖繩へ、日本国民であり、国土であるのだから、沖繩へその米を一この場合の沖繩というのは、これはどこをさすのですか、沖繩の相手方は。その点からひとつ……。
  166. 田中康民

    ○田中(康)政府委員 沖繩琉球政府でございます。
  167. 井上泉

    ○井上(泉)委員 琉球政府ならなおさらのこと、日本と一体になる相手方でしょう。長官、そうでないですか。
  168. 床次徳二

    床次国務大臣 当然両三年後には復帰することが予定されているわけでございますが、単に沖繩に対して貸すというのでなしに、貸すことに対しまして特別な条件をつけておるわけであります。これは便宜なように条件をつけておるわけで、言いかえますならば、本土食管会計におきまして大きな負担をして出しておる。先ほど申し上げましたように、沖繩の相場というもの、消費者価格というものを本土と比べますと、六割くらいの程度でありますから、その値段でもって沖繩に供与する。したがって、本土政府におきましては四割強というものを、本土食管会計からいうと損をして出すという形、それは少なくとも沖繩に対してわれわれが援助という積極的な気持ちであるわけです。  それから同時に、沖繩では売り上げ代金自体を産業開発資金のために使える。そのために蓄積して使うという使法も講じておるというわけでありまして、そういう特殊な方法を講ずるためのものでございますので、従来の食管法ではありませんので、こういう特別法律をわざわざこしらえましてやっておるわけであります。これはやはり沖繩の援助に対する特別な便宜供与であり、また、地元もそれによりまして希望しておるところでございます。
  169. 井上泉

    ○井上(泉)委員 そうすると、韓国に米を貸与すというようなことでなしに、この沖繩だけの問題で取り上げて考えたら長官の言われるようなことが理解されるのですけれども、片方、韓国へはその三十年間の貸し付けをいまの価格でして、それで食糧庁の長官は損がないと言うけれども一、もう経済的にそろばんをはじいたら明らかに四百何十億も損をするわけであって、これはいま美濃委員も言われたように、えさ代としてな属するよりかずっと損する高が高いわけでしょう。だから沖繩は、日本の米は高いから、それを特別に安くしてやらなければいかぬからこういう法律をつくったとかいうことではなしに、むしろ沖繩に対しては日本政府から無償供与をする。食糧庁長官の見解と同じ立場を長官も理解するならば、日本は米が余っておるから、沖繩の住民に日本の米を無償で貸与する、沖繩琉球政府に対して無償で貸与する。それで琉球政府はそれを幾らかで売ってその利益をあげる。それから将来本土一体化になったときには、それはそれで処理をされるべきことであるので、いまとにかく米が余っているのだから琉球政府に米を十万トンでも五万トンでも預けたらどうですか。そのほうが、私は沖繩としてはずっと喜ぶと思うし、経済的にももっと利益だと思うし、外国の米が安いから、日本の米が高いから沖繩一つも入っていない、こういうことを言っているのですけれども、そんなら沖繩へ渡す米はぐっと下げて——下げてではなしに、貸与したらどうですか。沖繩琉球政府に貸与できぬのですか。
  170. 床次徳二

    床次国務大臣 沖繩に貸与することも方法論としては考えられるわけでありますが、ただ、沖繩におきまする値段というものが、本土におきます値段よりも著しく安いということは先ほど指摘申し上げましたとおりでありますが、なお貸与いたしました際におきましては返す問題が起こるわけです。しかし、沖繩といたしましても復帰することは明らかではありますが、一応の返す方法等は規定しておかなければならないと思うのであります。ただし、韓国と沖繩と違いますことは、韓国では、やはりあそこは普通であれば米産国でもって米は輸出しておるところでありますので、現物をもって返すということが韓国に対する条件になっております。先ほど申し上げましたように、沖繩では米をつくっておりませんので、返すときは金で返さなければならぬという形式は考えられるわけであります。したがって、そういうことに対しましても沖繩としては困るであろうということを考えましたので、この点沖繩には特に安く供与するということになりました。だから、先ほど申しました例から申しますると、三万トン出しますると地元では資金が大体二十億円でありまするが、その三万トンを出すことによりまして本土食管会計としてもやはり二十億円ばかりの負担をしょっていく、これはやはり本土の国民の税金の負担になっておるという関係がございます。それが援助の趣旨だと私は思っております。
  171. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それは二十億の食管会計の負担となる、こう言うのですけれども、韓国へ貸与する金額はこれより多い負担になるわけですが、韓国へのやり方をすると負担にならないという理屈をこじつけておるわけでしょう。それだから私は、それと同じように沖繩に対しては米を供与するあるいは貸し付ける、ところが沖繩は、米をつくっていないから米は戻せないと総理府長官言われるけれども、そんならそれは米でなくてもいいじゃないですか。ここで何かの条件をつけて、とにかく日本政府は、食糧庁長官米が余っておるのでしょう、困っておるのでしょう、そんなら沖繩へ米を貸したらどうですか、沖繩琉球政府に。
  172. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 私どもも、沖繩に対して内地米を供与する、また供与するだけの余裕は食糧庁としては十分に持っておるわけでございますから、何らかの形で供与を受けたいという沖繩の希望には食糧庁としても沿っていきたい。いかなる形で供与するかということについて政府内部におきましてもいろいろ協議をいたしましたし、また琉球政府の意向もただしてもらったのでありますが、韓国同様の貸し付けということになりますと、これは貸し付けというのは等質等量のものを返してもらうということが原則でございますから、したがって、九割を輸入に依存しておるから沖繩から等質のものを返してもらうということはちょっと期待できない。また、琉球政府としてもそういう現物貸し付けで現物で返すというようなことを希望しておらないというようなことでございましたから、法案でごらんのように売り渡し方式で、そうしてそれについては沖繩消費者価格というものを引き上げることにならないような価格で、政府特別価格で契約をする、その損失は一般会計から補てんをする、同時に、代金については延納方式をとり、無利息で無担保で代金の延納を認めるという特別措置を講ずることが最も適当な方法であろうという結論に達したわけであります。
  173. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それが間違うておるから私は言っておるのですよ。そういうことをやることが間違いだから言っておるわけであって、あなたはそういうことをしてもっともだ、こう言うけれども沖繩琉球政府というのは、いつまでも琉球政府であるという考え方に立っておるから私は間違いだと思う。  それから総務長官も、沖繩の返還を要望しておるし、両三年のうちには返る、こういうことを口では言いながらも心の中ではなかなか返ってこないのじゃないか、そういうことが潜在的に頭の中にありはせぬかと私は思う。両三年のうちに返ってくるのだし、沖繩は困っておるのだから、沖繩の住民は日本の米を買いたくとも買えないで困っておる。日本の米を入れようとすれば、外国の米が安く入ってきておるから、日本の米は高くて売れないからということを言っておるのですけれども、いま日本では米が余っておるのだから、食糧庁長官の理屈で言いますなら、これをトン当たり一万円で売っても私は何にも損はない、むしろ得なことだと思う。そういう沖繩の住民が願っておることに対して、この韓国等に対する貸与と比較してあまりにも差別があり過ぎる。口では本土一体化と言いながらも、沖繩に対する差別があり過ぎます。  次に、もう一点質問をいたしますが、この間四万トンと言ったが、きょうは三万トンになったけれども沖繩では九万トンの米を食っておる。それで八方トンの米が外国から、日本以外から入ってきておるわけです。そうすれば、日本政府が四万トンとか三万トンとかいうけちなことを言わずに、沖繩の必要とする米は一方この法律どおりにしてやり、沖繩で必要とする米は日本の米で、そうして外国の米と太刀打ちできるような——日本政府が損をしても沖繩へ米を出すのだということができないかどうかということ。そうして、これは何ぼ安く日本政府沖繩へ米を出そうとしても、沖繩琉球政府としてはこれを受け入れることができないような条件があるのかどうか。全量日本政府から米を買おうとすることができない外交的な条件があるのかどうか。その点について御答弁を承っておいて、次の質問に移りたい。
  174. 床次徳二

    床次国務大臣 私は、沖繩の返還に対しましては、この秋の総理の日米折衝によりまして、できるだけすみやかに復帰が実現するものと考えております。そういうことを念頭に置きまして、この法律におきましても将来の、何と申しますか返済の問題を考慮して書いてあるわけであります。  なお、第二の御質問といたしまして、本土政府がもっと全量売り込むことができないのかという御質問だと思うのでございますが、この点は、沖繩といたしましても従来からの取引の関係がございます。先ほど申しましたように大部分、九分どおり外国から買っておったので、日本の米は今度初めて大量に売り込むという実情でございます。したがって、いままでの取引慣行を一挙にくつがえすということはできないというのが、いままでの実情でございました。なお、この点に対しましては、沖繩といたしましても、本土のように国が管理して売っておるという取引状態ではない。いわゆる間接統制みたいな取り扱いをしております関係も、やはり考慮しなければならないと思うのであります。そういういろいろな事情を見まして、地元の政府といたしましても大体こういう形になったのであります。
  175. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それでは、この次にすることにしてきょうは終わりたいと思うのですけれども沖繩琉球政府としては、少ない三万トンより八万トンのほうがいいということはわかり切っておるし、それは単に数量だけではなしに、米の質からいっても日本の米を食いたいという日本人として本能的な願いであることも一、私はあたりまえだと思うのです。  それから、急に言ってもと長官は言いますけれども、来年の二月までは日本から米は一俵も入れられない、こういう状態でしょう。それで暦年でいう四十四年、ことしはだめだ。四十五年には米は三万トン程度だ、こういうことになれば、四十五年ということを一つの限度にして、四十六年は、日本本土の中の国民は全部食糧が不足であればいざ知らず、これほど余っておる、余っておるのに日本の国民が日本食糧を食えないというような、そういう状態というものは私はあってならないことだと思うのです。  それで、いま長官の話を聞きますと、別段外交上あるいは貿易上こちらが振り切ることのできないような要因というものは、いまの説明を聞いてもないように理解できるわけですので、私はそういうふうに理解をして、次の機会にまた質問をすることにして、きょうはこれで終わります。
  176. 床次徳二

    床次国務大臣 いまの数字につきまして、相手方に対しましていろいろ関係がありますので私は三万トンになったということを申し上げましたが、これは外国もそれぞれ沖繩に売り込みをいたしておるわけであります。したがって、琉球政府といたしましてもさような立場を考えざるを得ないというわけでありまして、私どもといたしまして初年度三万トンを少なくとも最低は確保したいという形で折衝した結果、大体そういう実現を見ることになると私どもは考えておるわけでございます。
  177. 井上泉

    ○井上(泉)委員 初年度はそれでいいですよ。初年度というなら結局四十五年度になるでしょう。だから、四十五年度は諸外国との関係もあるからかりに三万トンでもいい。四十六年度になれば、もう沖繩の米は全部日本の米でまかない切れますよという方向で努力すべきであると思うし、そのことについては、商売上の関係だけで諸外国から沖繩に売り込んでおるから一挙にできないと言うが、一挙にする必要はない。しかし、一挙にできないけれども、四十六年度以降は、日本がこれだけの食糧事情にある限りは、やはり日本の米で沖繩住民の食糧はまかなってしかるべきだと思う。そういう姿勢を貫いてこそ初めて本土沖繩一体化ということが、ことばと行動とが一緒になるわけですが、何か三万トンに固執をし、また外国から売り込みが来る——外国から日本に米を売り込みに来て、日本のほうで米が余っておるのに買うような政府がどこにありますか。私は、外国から幾ら売り込みに来ても日本政府が米を買うことは考えられないのですが、総務長官外国から売り込みがあったら買いますか。
  178. 床次徳二

    床次国務大臣 明年のことは大体三万トンを下らぬことを申し上げたのでありますが、その次の年につきましてはやはり新しい年度において交渉をいたしたい、私どもはできるだけ本土の分量を増すようにいたしたいと思います。
  179. 中村寅太

    中村委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は来たる十日、木曜日、委員会を開会し法案の審査を行なうこととし、これにて散会いたします。     午後一時十三分散会