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1969-06-17 第61回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年六月十七日(火曜日)    午後三時三十分開議  出席委員    委員長代理理事 八木 徹雄君    理事 宇野 宗佑君 理事 臼井 莊一君    理事 小渕 恵三君 理事 川崎 寛治君    理事 美濃 政市君       大村 襄治君    中川 一郎君       箕輪  登君    山田 久就君       井上  泉君    中谷 鉄也君       西風  勲君    永末 英一君  出席国務大臣       外 務 大 臣   愛知 揆一君  出席政府委員       総理府特別地域       連絡局長      山野 幸吉君       総理府特別地域       連絡局参事官    加藤 泰守君       外務省アメリカ       局長        東郷 文彦君       外務省条約局長   佐藤 正二君     ――――――――――――― 五月二十二日  沖繩施政権返還に関する陳情書外二件  (第五五六号)  沖繩即時返還に関する陳情書外一件  (第五五七  号)  沖繩日本復帰促進に関する陳情書外六件  (第五五八  号)  沖繩のB52爆撃機即時撤去に関する陳情書  (第五  五九号)  沖繩教育振興に関する陳情書  (第五六〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  沖繩及び北方問題に関する件      ――――◇―――――
  2. 八木徹雄

    八木(徹)委員長代理 これより会議を開きます。  本日は、委員長が所用のため出席できませんので、委員長の指名により私が委員長の職務を行ないます。  沖繩及び北方問題に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。臼井莊一君
  3. 臼井莊一

    臼井委員 すでに愛知外務大臣が、今回のアメリカ訪問の件につきましては本会議において御報告もせられ、また、あるいは外務委員会等々においてもそれぞれお答えがあったわけでございますが、当沖繩委員会においては初めての外務大臣訪米後の委員会でございますから、私も簡単にこの問題について一言御質問を申し上げたいと思います。  すでに各方面でも知られておるように、領土問題ということになると、過去の世界歴史を見ても、戦争によって失われた領土返還を受けるということは、なかなか容易でないことは過去の歴史が示すわけでございます。しかし、先般の太平洋戦争においては、第二次大戦の処理方法の一環として、大西洋憲章からカイロ宣言、またポツダム宣言、一貫して固有領土戦勝国といえどもこれを取らないという、こういうむしろいままでの過去の戦争から見ると画期的な一つ宣言に基づいておりますので、したがってこれを連合国も忠実に守って、日本からも固有領土は割譲を求めないという。しかし、終戦当時のことを考えてみると、日本に対してもやはりアメリカは、将来一体どういう方向に行くかという占領政策遂行意味においての考えが、多少の疑いというか、疑惑を持っている点もあったでありましょうし、その後極東の非常な米ソ対立から、中共とソ連との日本を目標としての相互援助条約朝鮮戦争、一貫して非常な激変に際して、日本ばかりでなく極東のいわゆるかなめ位置としての沖繩重要性基地重要性ということになってまいりまして、したがって信託委任統治にもしないで返すには返すけれども基地の問題というのが一番大きな一つガンになったわけです。ここ五年ばかりのうちに、私ども振り返ってみますと非常にアメリカ側でも理解が進んでき、また日本側でも非常に明るい希望というものが持ててきたように思うのです。  私ども沖繩へ五年ほど前総務長官として参りました際にも、この基地は容易に、地理的からいってもこれだけの基地というものを、アメリカはそう率直には返し得ないであろうから、しかし憲法だけでも早く沖繩の人に適用できるようにというので、基地施政権の分離というような問題も出したのです。当時、沖繩の社大党でも、それをむしろ言っていたというぐらいであったのでありますけれども、しかし、今日においてはそれが非帯に急激に進展し、日本援助においても画期的に進んで、あらゆる面で幸いにして進んできて、いよいよ返還ということになりましたが、それにしても一番ガン沖繩基地ということで、今度愛知外務大臣がいらっしゃって、日本国民希望というもの、それから世論といいますか、こういうことを率直にお述べになられて、そしてアメリカ側理解を強く求められた。この点においては、私は率直に言って非常な成果があった、こう私どもこちらにおいて見ておるわけです。アメリカにおいては、一部ではやはり戦勝国という、また激しく日米戦ったというあれが抜け切っておるということも私は言えない面があったようにも感ぜられるのでありますが、この点は、ソ連へ十三年前に参りました際にも、与野党各党三十八名が行ったときに、クレムリン宮殿におきましてフルシチョフが、北方領土問題というと、君らの国はわが国と戦って負けたことを忘れてもらっては困るということを言ったので、騒然とした問題があるくらいでありますが、それほどになかなか戦争というものの禍根が——しかし、われわれはソ連戦争したんじゃない、君たちのほうがかってに来たんじゃないかということで、ごたごたしたのですが、この点日米間では非常に違い、沖繩の問題も違うわけでございますけれども、やはりさすがにアメリカはその点は十分理解して、私ども承知した範囲内では、とにかく核抜きということについては大体了解をしつつあるように見えるわけです。もちろん、それでよろしいと言ったわけではないようですけれどもニューヨーク・タイムズ等でもそういうようなあれがあるようでございますが、その点どの程度に国務省、また特に国防省関係で感触を得られたか、その点をまずひとつお伺いしたいと思うのでございます。
  4. 愛知揆一

    愛知国務大臣 今回のアメリカ側との話し合いにおきましては、本会議等でも御報告をいたしましたように、一九七二年中にはおそくも返還を実行してほしいということが一つ、それから施政権返還後の基地態様については、安保条約及びこれに伴う一連の法制、取りきめというようなものがそのまま本土並み適用される、それから核についても、日本国民の非常に強い願望というものが核抜きである、そして施政権返還後においては沖繩本土差別待遇をしてはならない、こういった点が要点であるということを、いろいろの点から強調して要請をいたしたわけでございます。これがいわば交渉基本線ということが言えるかと思います。  今回は、いわゆる第一ラウンドの交渉でもございますし、それから主としてこちらが説明役、向こうが聞き役というような状況でありました関係もありまして、その一つ一つについてこれは合意した、あるいはこれについては具体的にこういう意見であるということを取りつけることはできませんでした。しかしながら、わがほうの主張するところについてよく傾聴し、そういう線についてとくと検討をするという態度でありましたことは明らかでございます。したがいまして、ただいまお尋ねのございました核についても、アメリカとしてはこういう態度である、あるいはこれは了承したということは、まだ取りつけるに至ったわけではございません。
  5. 臼井莊一

    臼井委員 もともと大臣のおっしゃるように、正式に提案をしてこれでどうだということまでのあれではなくて、十一月に総理が行かれるまでの一つの地ならしにおいでになって、とにかく率直に、いま申し上げたように国民気持ちを述べる。私どもも、日米間の問題につきましては、過去の例を見ても——日米ばかりではございませんけれども対立したような、相反抗する、こういうことは過去においても非常に不幸なあれでございまして、そこで今度の沖繩問題に関しても、十分先方理解をして、われわれも先方理解を求めるばかりでなく、やはりアメリカ立場理解し、外務大臣が私どもの考え、国民世論というものを背景にするとともに、アメリカ側にも先ほど申し上げたように国民世論というものはあるわけで、それだけに外交折衝、ことに領土問題を含んでは非常にむずかしいのでございまして、したがってこの点は一そうの理解を深めなくてはならぬ。  基地の問題については、もう一つ事前協議の問題が一番問題でありまして、事前協議の問題があるから、これのやり方とかあるいはこれの解釈によって、いわゆる核抜き本土並みということもできないことではない、こういうふうに私ども考えるわけでございます。野党諸君もその点についてはいろいろお話があると存じますから、私も時間が限られておりますのでこの点については後に譲りまして、ひとつ経済問題で相互理解という上において、日本のいわゆる経済問題についてアメリカ側で非常に誤解というか、何か日本に対して不満を持っているような面があるようにも私なりに感ずるわけです。日本経済自由主義国では世界で二番目、こうなったのに自由化が足りないじゃないかというようなことから、そこで繊維類についても先般の話し合いがありましたけれども、この点について先方意見なり何かが相当ございましたかどうか、その点をちょっとお伺いしたいと思います。
  6. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ただいまお尋ねの問題は、直接沖繩返還問題と関連はないわけでありますけれども、今回の私の訪米は、ニクソン新政権ができてから内閣としての正式の接触としては初めてのことでもございますから、経済政策その他につきましても一わたりはいろいろの意見の交換をいたしました。そのうちで、ただいまお触れになりましたように、現在アメリカ経済政策ではなかなか困難している場面にもありますだけに、日本に対する注文もだいぶ多いように見受けました。それらのもののある部分は、来月下旬に東京で開かれます日米貿易経済合同委員会で大いに論議されるところもあろうと思いますけれども、概して申しますれば、もう少し日本側においてもアメリカ側事情をくみ取って、いま少し前向きに、ひとりよがりでなく協力してくれということが、一口にいえば先方態度と見受けられるわけであります。  しかし、これはそれぞれ国情も違いますし、たとえば資本貿易自由化の問題にしても、その大綱に沿っていくことが日本としてもけっこうなことでもありますので、これは基本政策としておりますけれどもアメリカから見れば日本やり方がもどかしい、残存輸入制限の品目が百二十もあるではないか、あるいは資本自由化もなかなか進まないもどかしさを感じているようでありますが、こちらからいえば、なるほど国民総生産は自由世界の第二位といわれるようになりましたし、外貨準備も相当伸びてきておることも事実でありますけれども、しかし、国民所得一人当たりになればまだ世界じゅうの二十番目ぐらいでもあるし、また国内の経済構造の上からいっても、農村あり、中小企業あり、零細企業あり、いろいろまた日本としての家庭の事情も十分には改善されていない。したがって、大綱について自由化は賛成であり、その道に向かってはいるけれども、やはりおのずからスピードなり範囲なりというものは、着実に限定して積み上げていかなければならない。これが日本としての立場であるということは、十分に彼らの理解、納得を求める必要があるわけであります。  また、繊維自主規制のごときは、その大筋からいっても世界大勢に逆行する。世界経済のいわばジャイアンツであるところのアメリカ自身世界大勢に逆行するような措置を求めてくるということは、全くこれはおかしな話でありまして、こういう点については、従来からそうでありますが、日本態度というものはきわめて明確にいたしてまいったつもりでございます。  やはりアメリカのような民主主義自由主義の国柄のところには、合理的なものの見方、判断で強く主張すべきところは主張するほうが、かえって窮極において双方理解を進めるゆえんである、こういうふうに考えますので、あくまで日本を基礎にした合理的な態度というものを貫いていくようにこの上とも努力すべきではなかろうかと考えますが、一時非常に日米間の経済関係は悪くなって対立的になっているというふうにもおそれられる向きもありましたが、私の受けた印象におきましては、底流においてはきわめてよろしいのではないか。ただ、それぞれの立場というものがありますので、ときにその意見の食い違いあるいは利害関係の衝突ということがあるにすぎないのであって、それは相互の信頼、利害関係をますます深めることによって十分円滑に協力してやっていける、こういうような印象を受けたわけであります。
  7. 臼井莊一

    臼井委員 この経済問題に関しましては大きな問題ですが、沖繩の内部だけの経済問題につきましても、返還してその後の経済をどうするのだというような、たとえばドルの問題をどういうふうにするとか、あるいは今度は基地経済からどういうふうに脱却するのだとか、そういうような応答があったかどうかという問題。  時間がありませんから最後にお伺いしたいのは、今後のスケジュールでもう一度外務大臣があちらへおいでになる必要はないのであるか、あちらから来る日米経済合同会議等の際に、あるいは大使館で連絡で済むのであるか、それをお伺いいたしたいと思います。
  8. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ドル経済円経済に切りかえなければならない問題をはじめ、率直に申しますと、いまや施政権返還がきまったことにしたような前提でこの切りかえについてどういうふうに考えていったらいいか、あるいはアメリカ側が投資してきておるものに対して、日本側としては、今後の自分のものとしての沖繩経済再建等関連においてどういうふうに考えておられるであろうかというような点については、先方が非常な興味と関心というよりは、わがことのような心配を頭に置いたいろいろの意見や懸念を持っておるわけでございまして、その面から見ますると、施政権返還ということについては、私は非常にもう前向きになってきていると思います。同時に、わが方としても、いままでも本土との一体化について閣議決定もあり、その他国策としてきめてあることでございますが、なお一そうここで意欲的に、積極的に日本側としてもいろいろの計画を立て、それの実施に当たるように、もはやしなければならないときが来たということを痛切に感ずるような次第でございます。  それから今後の予定でございますが、これは新任の駐日大使も近く着任いたしますから、通常の、いわゆる外交チャンネルでの打ち合わせは、きわめて効果的に行ない得るようになると思います。東京で相談すべきことは外務省と駐日大使の間で、ワシントンにおきましては、同様に、駐米日本大使国務省を中心としての接触を引き続き効果的に持ってまいりたいと思いますが、同時に、七月末にはロジャーズ国務長官東京に迎えまして、いわば第二ラウンドの会談を私が持つことになっております。それから第三ラウンドは九月十五日ごろを予定いたしておりますが、ワシントンでやはり国務長官との接触をいたします。だんだんそうやって話し合いを進めてまいりまして、十一月に予定いたしております総理訪米のときに大統領との間で最終的な合意を取りつけるようにしたい、こういうふうに今後の日程は考えておる次第でございます。
  9. 臼井莊一

    臼井委員 時間がございませんからこれでとめておきますが、従来のいろいろ国会におけるあれを見ましても、野党立場の観点の相違もございますが、当初に申しましたように、日本人の気持ちをよく率直に述べられたということ、ことに本土沖繩の人の間に区別をつけるということを一番沖繩の人がきらうわけであります。これはもう当然だと思うわけですが、そういう点もアメリカへ行ってよくお話しになったようであります。この点は、アメリカに言うばかりでなく、われわれも今後の施策の上において大いに努力をしなければならない点だと思いますが、これから十一月に総理が渡米されるまで、いまスケジュールにございましたように、外務大臣おいでになりませんでもいろいろ折衝があると存じますが、どうぞひとつ国民が非常に待望しておる、また画期的な平和的に領土——すでに小笠原とか奄美とか実績を持っておりますけれども、しかし、あの基地のある沖繩をどういうようにして戻すかということは、日本ばかりでなく世界的にも刮目している点だと思いますので、ひとつ外務大臣、大いに今後も御活躍と御健闘をお願いいたしまして、私の質問は終わりたいと思います。
  10. 八木徹雄

  11. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 時間がたいへん制約されておりますから、なるべく端的にお尋ねをしていきたいと思います。  外務大臣の衆参本会議におきます訪米報告の中に、「沖繩にある米軍基地は、戦争抑止力としてわが国及びわが国を含む極東の安全にとり、きわめて重要な役割りを果たしております。わが国の安全のためには、そのような基地機能をそこなわないための十分な配慮が必要であります。」こういうふうに報告をされたわけであります。それからなお、ワシントンにおきます特派員記者諸君との会見においては、もう少し明確に新聞では報道されているわけであります。つまり、沖繩日本を含む極東の安全に果たしている役割りを重視し、基地機能と安全をそこなわない方式を見出すことができると確信している、こういうふうに外務大臣は確信をもって答弁をされております。そこで外務大臣国会における報告並びに記者会見におけるそうした表明、そういうものを根拠にいたしまして、以下少し焦点をしぼってお尋ねをしたい、こういうふうに思います。  外務大臣は、行かれます前に、総理私的諮問機関であります沖繩問題等懇談会の座長である大浜さんと、「今週の日本」という政府がタッチをしておる週刊紙がございますが、この中でこういうふうに具体的に言っているわけです。五つフォーミュラがある、こういうふうに外務大臣はその中で述べておるわけでありますが、先ほどの、外務大臣国会における報告並びに記者会見における表明等関連いたしまして、大浜さんに言われた五つフォーミュラは何であるか、具体的にそれをひとつ示していただきたいのであります。
  12. 愛知揆一

    愛知国務大臣 そのときに五つということに限定して申しましたかどうか、ちょっと記憶が薄れておりますけれども、私の考えておりますことは、国会の本会議での報告にも申しましたし、また先ほども申しましたが、要するに一つ即時返還ということであり、それから安保条約のワク内ということであり、安保条約適用について本土並みということであり、そして核抜きであり、そして沖繩本土とを区別しない、こういう点が私のいつも頭の底にあります基本的な考え方でございます。その五つなり四つなりは、確かそのときにも話した記憶がございますが、あるいは人によっては矛盾する、あるいは二つだけを取り上げてみれば二律背反みたいに見えるものもあるけれども、これは相互関連をうまく積み上げることによって調整が可能で、一つの目的を達し得るようなことが十分でき上がるはずである。ひとつ英知をもって、また日米双方の協力によってそういう考え方あるいは仕組みを盛り上げていきたい、こういう趣旨のことを常に申しております。現にそう考えておりますが、そういう趣旨のことをその対談のときにも申しましたはずでございます。
  13. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 私、そういうふうにすりかえるとは思わなかったので、いまここに実は現物を持ってきておりませんけれども、その中で言っておる五つフォーミュラというのは、事前協議扱い等について五つフォーミュラがあるというふうな中身であったわけです。これは五月二十六日の「今週の日本」をもう一ぺん、どこかにあったら持ってきてほしいのですが、そういうふうになっておると思うのです。それをいま、そのような形にすりかえて答弁をされました。それは参議院の本会議でも質問をされたときに答弁をそらしておるわけでありますけれども、具体的に事前協議扱いだ、こういうふうにそれぞれで答弁をされております。では、その事前協議扱いというものについて具体的に考えてみますならば、やはり五つぐらいに整理できるんじゃないか、こういうふうに思うわけです。つまり事前協議を全面的に適用する、一部を除外する、全面除外という三つの対立があり、その中で全面適用の中では、一つは、適正運用といつも大臣が言っておる事前協議運用面での弾力的な考え方、それから有事に限って事前協議を除外するというのが、全面適用の中の二つタイプになるのではないかと思うのです。それから核だけの事前協議であって、あとは除外するとか、核とか戦闘作戦行動事前協議から除外するとか、核配備戦闘作戦行動は一切自由、こういうふうな事前協議のかけ方というものを幾つタイプをとってまいりますと、いろいろと議論の詰め方が具体的になってまいるんじゃないかと思います。しかし、いま大臣がそのような形で答弁をそらしておりますから、これはいずれあらためての機会にさらに詰めていきたい、こういうふうに思います。  それでは、いま言われたその中からいきますと、事前協議全面除外核配備戦闘作戦行動は一切自由ということ、これは絶対にあり得ない、こういうことで断言できますね。
  14. 愛知揆一

    愛知国務大臣 そのとおりに考えております。私はそこで別に何もすりかえでも何でもない。私は二つの場合で、五つの何とかいうことを言ったかと思いますが、一つは、基本的なさっき申しました考え方です。それからもう一つは、事前協議ということに限定して考えてみれば、いまでも、おあげになりました幾つかの方法が観念的に考えられましょう。しかし、事前協議制度というものが九年前にできたのは、要するに主権国家としての日本の主体的の判断でもって、事前協議がかかった場合の態度というものを、日本立場からいえば法律的に保留したのだ、こういうことが言えると私は思います。つまり、そのときどきに国益に基づく自主的の判断を、主権国であるところの日本としてすべきである。そういうことを法律的、条約的に留保してある。したがって、そのときにイエスということとノーということがある。これが事前協議一般的性格であると私は思います。  その性格に立脚して考えれば、日本主権というか、主体的判断ということが抜きになって、ある事項についてはいつでもイエスなどということになれば、これは事前協議制度というものは意味がなくなるわけでございますね。そういう意味自由使用というようなことは私は困る。すなわち、いままで本土について考えられたようなやり方というものが、そのまま本土並み適用されることが最も望ましい方向である、こういうことを言っておりますから、私の意見というものは、その五つ態様が考えられるかもしれませんけれども、いま申しましたようなやり方でやるのが最も望ましい方向である、こういうふうに考えておりますということをただいまも明らかにいたしたいと思います。
  15. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 そこで特別の定めがない限りと、こういうふうに終始答弁をされてまいっておるわけであります。     〔八木(徹)委員長代理退席臼井委員長代理   着席〕 その場合に、特別の定めというのが沖繩全部に及ぶ特別の定めという場合と、それから特定の基地だけに及ぶ特別の定め、たとえば米比基地協定——米比基地協定付属書のAで、具体的にクラーク空軍基地以下の十四カ所を指摘いたしておりますね。あるいは将来基地に提供を頼むかもしれぬという七カ所の基地があるわけです。つまり独立したフィリピンに対して持っておったアメリカの強いそういう権限というものを継続させるために、これは後ほど六五年に改定になっておりますけれども、四七年のそういう原協定のような形のものということは絶対に考えていない。たいへんしつこい質問のようでありますけれども、そういうことは沖繩の全土あるいは部分的にもあり得ないというふうに確認をとっておいてよろしいですか。
  16. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは、実は私といたしましても非常に検討をいたした点でございます。したがって、川崎君も御承知のように、ある時期までは特別の定めなき限りということで御説明いたしておりました場合は、特別の定めというものがあるいは考えられる場合もあろうかということを考えた時期もございますが、そのときの考え方としては、特別の定めというものの中にはいろいろの態様が考えられるわけです。しかし、これは私も考え抜いたあげく、しかも先ほど申しましたような基本的な交渉基本線という点から見ますれば、この特別の定めというものは、いかなる意味においても、いかなる形の面においてもないことが最も望ましい、私の現在の心境はそうでございます。したがって、今後の交渉にあたりましても、これだけではなくして、ほかにもいろいろむずかしいことが予想されますけれども、私の交渉の基本的態度としてはこれを貫いていきたい。特別の定めは、いかなる形においても、いかなる意味においてもやらないことが望ましい、これが米国側に対しまして、日米安保条約の取りきめ等一切を含んでそのまま本土並み適用することが日本政府としての要請であるということに集結して申し入れをいたしましたゆえんでございますから、さように御理解をいただきたいと思います。
  17. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 言われておる態度はわかります。しかし、ワシントン交渉の中において、ロジャーズ国務長官あるいは特にレアード国防長官が沖繩基地機能について強い発言をしておる。あるいはこれまでのアメリカ議会の中における基地施政権の分離、そうしたいろいろな議論からしますと、私はまだ、この特に一つのモデルになるであろうと思う米比基地協定の点については、なかなかことばどおりに押し切れるかどうかという点についてたいへん疑問を持っておるわけです。  そこで、いまは日本政府側の態度だ、貫いていきたい態度だ、こういうことでしか理解できぬわけですね。だから、その一つの具体的に出てくるかもわからないタイプ、その場合に、これは条約局長アメリカ局長でけっこうだと思いますが、日米安保条約が、施政権返還になれば、つまり特別な定めがないというときには一応沖繩にいく、適用区域になる。施政下に入りますね。そのときに、なおかつ、たとえば嘉手納であるとかホワイトビーチであるとか、あるいはいま原潜の寄港地として新設しつつある久志村の大浦湾であるとか、そういうふうなものを米比基地協定における付属文書のAのような形でひとつ取りはずすということ——条約論としては、それはつまり全体的には安保条約が及んでおる。しかし、嘉手納なり何なりというのを引き抜いてそういうものをやるということは、これは条約論としてはどうなんですか、可能なんですか、あり得ることなんですか。
  18. 佐藤正二

    ○佐藤(正二)政府委員 米比協定関係は、先生御承知のとおり、前に基地がございまして、それで米比の安保といいますか相互援助条約ができましたことですから、その形で米基地というものが残っておりましたので、ああいう形をとりましたわけでございます。日米安保の場合は、全くこれは、御承知のとおりだと思いますが、すでに地位協定でいわゆる基地の提供というのがきまりまして、それで形式的にはいわゆる安保の共同委員会できまるという形になっております。少しこの基地の提供のしかたのフォーミュラが違うわけでございます。したがって、いまの安保にのせてあの形が出るかというふうにお尋ねでございますと、安保及び地位協定という形式でやります限りにおきましては、やはりいまの、いわゆる本土でとっております形式よりほかないだろうと思うのです。ただ、全く観念的に、ああいうほかのいわゆる安保とは違う形式の相互援助条約をつくるというお話でございましたら、それはできると思います。
  19. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 それでは、これを議論していますと長くなりますから、これはまたいずれ残しておきます。  まず、事前協議の配置ですね。配置における重要な変更、これはこれまで答弁をしてきましたのは、陸、空が一個師団、それから海軍が一機動部隊、こうなりますが、空軍、陸軍の一個師団というのは具体的にどれだけの数になるわけですか。
  20. 東郷文彦

    ○東郷政府委員 部隊の編成によっていろいろ差があると存じますが、陸軍の場合には平均して、数にして二万とか二万五千とか、兵隊の数にすればそういうことになるわけでございます。  それから空軍の一個師団と申しますのは、通常航空団、すなわちウイング以上のもの二ないしそれ以上のものからなっているということでございまして、そのウイング——ウイングというのは、たとえば戦闘とか訓練あるいは輸送それぞれの任務を持った一つのグループ及びその支援組織ということからなっておりまして、特に普通の場合このウイングは飛行隊三個及びその支援部隊、それで飛行隊の機数は十五ないし二十五ということになっておりますので、これも師団の編成によりまして、機数が正確に何機でなければならぬとか兵隊が何人というきまりはございませんが、しかし、全体としてそういう編成を持ったものが空軍の一師団、こういうことに御理解願いたいと思います。
  21. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 これもまたずっと詰めておったら時間がなくなりますけれども、ぼくが言いたいのは、結局ここで陸軍が二万ないし二万五千でしょう。それから空軍がいまの説明でいくと——ではB52三十機だとどのくらいになるのですか。
  22. 東郷文彦

    ○東郷政府委員 私もそのほうは専門でございませんので、B52一スコードロン、これは十五機とかいうふうに承知しておりますが、それに一スコードロンにも場合によっては給油機とかその他支援のものがついておりますので、いまおっしゃいましたようにB52三十機ということであれば、これは二スコードロン。しかし、これはまた師団ということではないと思います。
  23. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 そうすると、海軍はこの間のEC121型のときにずいぶん議論しましたね。そうすると、一機動部隊ということになると五機動群。五機動群というと、日本海に入った第七十一機動部隊も正確には一機動部隊にならぬ、こういうことになりますね。そうしますと、配置における重要な変更というものの事前協議ということはおよそ意味がない。このことを私は申し上げておきたいと思うのです。具体的なベトナム戦争におけるいろいろな沖繩基地との関係を見てみても、これはおよそ意味がない、こう言っておきたいと思います。  それから次に核の問題は、これは非核三原則は沖繩にも適用する。それから事前協議にかけてきてもノーと言う。こういうふうに、一応最近のこの国会における答弁はなっておるわけですね。それは政策だということになりますと、その方針というのは佐藤内閣の方針である、こういうふうに理解をしてよろしいですか。
  24. 愛知揆一

    愛知国務大臣 佐藤内閣といたしましては、沖繩返還交渉に当たる基本姿勢として本土並みということを打ち出したわけでございますから、佐藤内閣としてはあくまでこれの貫徹をいたしたい、かように考えております。
  25. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 七二年に具体的に返還協定を結ぶ際に内閣が変わっているということになれば、内閣の政策として変更があれば事前協議にかけるということもあるし、持ち込みもあり得る、それが政策ですね。その点いかがですか。
  26. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まあそれは、私としては、佐藤内閣として今年の十一月に施政権返還大綱が合意を見ますれば、直ちに一もうこれは川崎委員も御想像いただけると思いますけれども、一九七二年に一切の返還を要求しております。直ちに一九六九年の十二月からスタートしたとしても、その間には、一切が返還になりますときには、小笠原等でも御承知のとおりに、返還協定というものがどうしても必要でございます。それは国会の御承認を願わなければなりません。まずその立案をし、両国が合意をし、そして国会の審議を経て、そして一九七二年のある時期にその協定が批准をされて、そしてそれが実施に移る。移るときにきわめてスムーズに沖繩県の方々にその時点から本土並みの生活を享受していただくことになるには、実にたくさんのなさねばならぬことがある。同時にこれは、十一月から直ちにスタートして、一九七二年に間に合うか間に合わないかというくらいの大事業だと思います。したがいまして、そういう今年の十一月に合意ができましたら、この線がそのとおりにきちっとできるようにひたむきに努力していかねばならない、かように考えております。
  27. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 たいへん時間が制約をされましたが、戦闘作戦行動を少し詰めておきたいと思うのです。  事前協議にかけて、ノーあるいはイエスと言うその基準、まあこれがたいへんむずかしいんだということを繰り返し言っておるわけでありますが、このイエスあるいはノーという条約上の基準は何か。つまり安保条約の上におけるイエス、ノーというものの基準は何かといえば、少なくとも現行の安保条約の中においては、私は二つだと思いますね。一つは、国連憲章上の個別的、集団的自衛権発動の要件をはたして満たしているかどうか、このことが一つ。それから二番目には、四条ないし六条で明記しております極東の平和と安全の維持に寄与するためであるかどうか。この二つだと思います。ほかに基準がございますか。まずこの二つだと思いますが、その点いかがでございますか。
  28. 愛知揆一

    愛知国務大臣 基本的な目的としてはそういうふうに言えると思います。ただ、事前協議というものは、先ほども申しましたように、法律的、条約的に申しますれば、日本に実際にこの事前協議がかかってきた場合を想定すれば、その個々の事前協議に対してどういう態度をとるかということは、かかって日本政府の自主的判断にある、かように私は解すべきものだと思います。
  29. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 いや、事前協議の第三項目の直接作戦行動、つまり補給なり偵察なりというものは、これは事前協議にかかりませんね。それから出動区域も無制限になりますね、いまの安保条約からいけば。そうすると、結局事前協議イエスなりノーなりを言う協議にかけるものは、直接戦闘作戦行動だけがかかる、こういうことになる。だから、いま私は配置とか核の問題を言っているんじゃないんです。戦闘作戦行動を言っているわけです。そうすると、これは戦闘作戦行動イエス、ノーと言う事前協議にかける場合には、いま私が申し上げました個別的、集団的自衛権の発動の要件を満たしているかどうかということが一つ。これはプエブロなりEC121なりの問題とも関連をしてくるわけですけれども、それが一つ。それから、うたい文句であります、まくらことばであります極東の平和と安全の維持、こういう二つだ。条約上の法的な根拠としては私はこうだと思うのですが、その点、もう一ぺんどうですか。
  30. 愛知揆一

    愛知国務大臣 それはそういうことであると私も考えております。ただ、先ほど念のために申しましたのは、そこで具体的に事前協議というものが日本側に来た場合に、それに対してどう対処するかは、かかって日本の、英語を使って恐縮ですがディスクレッションです、かかって日本のディスクレッションにある、こう考えます。
  31. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 そこで沖繩基地機能、つまり機能をそこなわないで、こう言っておるわけですね。それを事前協議ということでひとつふるいがくるわけですが、それでは今日の沖繩基地機能というものは、言うまでもなく米韓、米華、米比、ANZUSあるいはSEATO、そういうふうにアメリカがアジア、太平洋に展開をしておる戦略体制の中で、中枢的な役割りを果たしておるというわけですね。そうすると、日本の施政下に返るわけでありますから、それらのいまあげました共同防衛区域からははずれますね。はずれると同時に、そのいままで持っておった戦略体制の中における機能もはずれるのですか、はずれないのですか。はずれるということばがちょっと悪いかもわからぬけれども……。
  32. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは前にもしばしば御答弁申し上げておりますが、条文について詳しく条約局長から答弁してもらうほうがいいと思いますけれども、米韓、米比、ANZUSその他については、制定されたときの時間的な経過もありまして、必ずしも同じような文言が便ってありませんから多少違いますけれども沖繩の地域がメンションされてある、あるいは沖繩の地域に駐留しているアメリカ軍隊というような文言があるものについては、アメリカ施政権がなくなって日本領土に入れば、自動的にもはやそれらの条約上の文言というものは基本からなくなるわけですね。そういうふうに理解されて私はけっこうだと思います、条約的にいえば。そしてそれらについてどうするのか、そことの関連はどうなるのか、こういうお尋ねも含んでおるとするならば、沖繩返還問題についてはあくまでこれは日米間の問題であって、米国が当事者の一方になっている他国との条約上の問題については、アメリカがそれに対してどう対処するかは別といたしまして、日本といたしましてはアメリカを相手に交渉すべきものである、かように考えます。
  33. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 それは形式論理なんですよ。あなたは、この訪米報告の中でも、基地機能をそこなわないための十分な配慮が必要だ、こう言っているわけでしょう。それからもっとはっきり言えば、基地機能と安全をそこなわない方式を見出すことができる、こう言っているわけですね。そうすると、その機能というのは条約の中からはずれても、機能そのものは、これは持ち得るわけですね。だから、その機能も完全に条約の条文どおり米韓なり米台、それはもうアメリカのことなんだと、こういうのであればなおさら危険じゃないですか。アメリカ基地機能を持っているんだということで、アジア安保により一そうなっておることになるわけじゃないですか。条約からははずれておる、しかし、機能は持っておる。これは予算委員会で、条約局長ですかに一ぺん質問した点にも関連してくるわけですけれども、条約の文句からははずれていても機能が残っておる。それはそこなわないようにやるんだと、こういうふうに言っておられるわけでしょう。完全に米韓なり米華なりで持っておる沖繩基地機能、つまりアメリカが韓国なり台湾なりに約束をしておるそういう機能というものは、なくなるんだというふうに、では理解してよろしいのですか。
  34. 愛知揆一

    愛知国務大臣 前段でおっしゃったことは、私から言えばとんでもないことなんです。私の言う沖繩基地というものの機能というものは、日米安保条約によるところの機能意味しているわけです。そして、その機能というものは、第一義的には日本の安全ですね、そしてそれに関連する極東の安全に寄与するというのが安保条約の目的なんです。そういう目的を達するための基地機能なんであって、沖繩施政権返還が私の交渉基本線どおりに成就できたとすれば、沖繩基地は現在の本土基地並みの機能になるわけです。それが本土並みなんです。これは米韓、米比などとは全然関係ありません。
  35. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 これはもう少し七月あるいは九月というふうに協議が進むにつれて——この点は、いま政府態度だということでおそらく一方的に言われるわけだから、その点は納得ができませんよ。
  36. 愛知揆一

    愛知国務大臣 いや納得してもらわなくちゃ困るんだ。日本態度としてはそうでなくちゃならぬ。
  37. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 態度はそうでありましょうけれどもアメリカが主張しておる沖繩基地機能、その点については、これは残るわけですよね。  それでは、もう少し具体的に詰めましょう。プエブロのあのときに、昨年のプエブロの捕獲をされましたときに、下田大使は、これは報復の法的な根拠はあるのだと、こういうふうにアメリカの根拠については言ったわけですね。EC121の場合にも、ニクソンはある時期には報復をしようと考えた時期もあったのだ、こういうことにニューヨーク・タイムズ等でも報道をされておるわけです。そこで、これは戦闘作戦行動の自由という問題と最も関連をしてくるわけでありますけれども極東範囲ということと関係なしに偵察行動、補給活動はできる。厚木の基地からEC121が飛び立った偵察行動、つまりこの偵察行動というものが爆撃をされて撃墜をされたときに、アメリカがこれに対して報復爆撃をやったといたしますならば、日本——つまり朝鮮半島というのは、在日米軍基地を使ったその結果出てくるわけですね。だから当然交戦区域に入りますね。その点いかがですか。
  38. 愛知揆一

    愛知国務大臣 先ほど来のお尋ねですが、プエブロ号のときの下田大使の発言というようなこともまた問題にせられましたけれども、あのときは、たとえばプエブロ号の乗り組み員の査問委員会がたまたま開かれていたときで、そのことから出たところの質問に対しての答えであったと私は了解しますが、もし……(川崎(寛)委員「論理的に言ってください」と呼ぶ)ですから、あの当時、プエブロ号の乗り組み員の証言が新聞に出ていた。それを前提に考えれば、それを前提に正しいとして考えるならば、国際法上報復手段も考えられ、あり得たであろうけれども、それは観念的な問題であって、実際上そういうような報復的な行動が行なわれなかったことは賢明であったし、世界のためにもよかったことである、こういう趣旨の下田君の発言だったと私は思います。これは、私は間然するところのない発言であると考えます。私もこれを支持いたします。  それから、いまのようなお尋ねは非常に観念的なことで、しかも問題にしようによっては非常に微妙な影響もある問題だと思いますしいたしますから、観念的な想定をする問題としては一つの問題になろうかもしれませんが、そういうことを具体的な事例としてお答えするのは私はいかがかと思いますので、これはその程度にしていただきたいと思います。
  39. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 それじゃ沖繩基地機能をそこなわないようにやる、つまり今日の沖繩基地と在日米軍の基地の違い、これはどう違うのですか、条約局長
  40. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは常識的に申せば、現在の沖繩アメリカ施政権下にあるわけですから、アメリカのサンフランシスコ州に駐とんしておる軍隊の地位と同じだ、常識的に言えば。そういう意味におきましては、日本基地にあるところの米国の軍隊の力、機能とは、全然これは性格が違うと思います。これが沖繩施政権返還の問題になるというか、返還後になれば本土並みになるのですから、その基地機能というものも本土並み基地機能ということになるのが私は理の当然だろうと思いますが、その限度においての日本の安全を確保し、これに関連する極東の安全に寄与し得るための沖繩返還後の基地機能というものも大事にしなければならないということを、私は考えておるわけであります。
  41. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 そこでさっきの、つまり事前協議にかけてノーと言うかイエスと言うかという問題にもう一ぺん返りたいのでありますけれども、基準をケース・バイ・ケースでいくのだと総理答弁しておる。しかし、その基準を詰めるのだ、こういう発言も外務大臣はしておられますね。そうしますと、個別的、集団的自衛権の発動の要件を満たしておるかどうか。このことについては、先ほどのプエブロの例等からいたしますならば、あるいはトンキン湾事件における当時の椎名外務大臣答弁、これからいたしますならば、アメリカが行なう個別的な、集団的な自衛権発動の要件というものについてノーと言える基準は何です。
  42. 愛知揆一

    愛知国務大臣 その基準というのが、何か機械やコンピューターでも使って出てくるような基準というものは、私はあり得ないと思うのです。やはりこれは、日米双方のこういう問題に対する考え方は、できるだけ詰めて一本にしなければならない。そういう点についてはこれからも大いに努力しなければならないと思いますけれども、この事前協議に対するイエス、ノーと言うようなことについては、私は、基準というようなものをあらかじめつくるとかつくらないとかいうべき性格のものでないのではないかと思います。へたにつくりますれば、それに漏れたときの場合は一体どうするかというようなことも起こり得るのじゃないかと思います。  それから日米双方立場から言いまして、これは事前にそういう基準など、事こまかに表にでもつくれば、この事前協議というものの性格、先ほど申しますように、法律的に言えば、日本としての発言権というものを留保している、その本質にも触れてくる問題になりますから、やはりこれはケース・バイ・ケース、主体的な日本判断で、そして国益に合致するものということで適正に運用することが一番妥当なのではなかろうかと私は考えますけれども、そういうような点につきましては、もっともっと真剣に掘り下げて検討していかなければならない点等もたくさんあろうと思います。
  43. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 現在の沖繩基地機能について最も的確にあらわしておる統一見解というか、そういうものに近いのは、一九六五年に米民政府が、沖繩を米国が管理する理由というものを、ちょうどベトナムの北爆が始まりましたあの当時に発表しておるわけです。私は、これが最も的確に現在の沖繩基地機能というものを国防省筋の線で整理してあるものだと思うのです。その中身はこういうふうになっております。条約に従ってとられる行動は、つまり条約に従ってとられる行動というのは、先ほど言った米華なり米韓なりANZUSなりを言いますね。そのとられる行動は、協議する時間も許されないほど迅速を要する場合があるのだ。なぜ日米安保条約のもとにおいて沖繩を管理しないのかという設問に対する最後のところの結びが、こういうふうに条約に従ってとられる行動は協議する時間も許されないほど迅速を要する場合があるのだ、その場合のほうが多いのだということで締めくくってあるわけです。これは防衛庁も指摘しておるようでありますけれども、プエブロの場合にも、あるいはEC121の場合にも軍事行動の機密、そして迅速、そういうことからいいますならば、この戦闘作戦行動についての事前協議というのがはたして可能なのかどうか、可能であるという保障、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  44. 愛知揆一

    愛知国務大臣 事前協議は、幸いにして過去九年間には起こらなかったわけでありますけれども、しかし、この事前協議ということについて、十分双方が協議をいたしまして、こういう体制をつくっている以上は、これが有効に働くことを前提にしているわけです。今日までこういう体制で来ておりますから、ここにおいて沖繩返還後において、沖繩においても同様そういう形で、先ほどの御質問にもありましたが、特別の定めというものを私どもは考えないでいきたいと思います。この現体制で、本土について考えてきたような考え方で、これからも沖繩については考えていきたいということでよろしい、またそれが最も適当だ、私はかように考えております。
  45. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 最後に、時間がありませんが、戦争というのは、やあやあと四股を踏んで戦争にならぬわけですね。つまり第一次世界大戦における戦争の発端にしましても、オーストリア・ハンガリー帝国の王子が狙撃をされた。あるいは満州事変にいたしましても、夜間演習をやっておる最中に中国軍の兵舎から銃声が一発あって、それが大戦争に発展をしていっているわけです。といたしますならば、プエブロなりECなりという衝突事件、しかもそれは、安保条約に基づく当然の権限としてアメリカが行動している中から生まれてきた一つの衝突事件でもあるわけです。だからそうした衝突事件がさらにエスカレートし、そうして戦争へと発展していくことを考えますならば、今日の特に戦闘作戦行動について、先ほど来私が申し上げている二つの基準というものは、アメリカ側と随時協議するにしろ意思を統一していくにしろ、そういうものから出てくる結果というのは、今度は日本がそういう紛争なりに巻き込まれていくという可能性はより一そう大だ、こういうふうに私は思います。本日は時間がありませんから、あらためてまた進めてまいりますけれども戦闘作戦行動についての適正な運用ということについては、私は配置とか核以上に重要な問題があろう、こういうふうに思います。その点、これまで九年間なかったのだと言うのでありますけれども、これからはよりアメリカ極東戦略にコミットしていく危険性を、この戦闘作戦行動適正運用という中で、特に一たん事ある場合に自由使用ということになるならば、その点を一そう明らかにするであろう、こういうふうに思います。
  46. 愛知揆一

    愛知国務大臣 私が先ほどから申し上げておりますように、その自由使用というようなことはできるだけ避けたいし、またそうしなければならないと思うのですね、事前協議という制度がある限りは。これを観念的に論すれば、なるほど一瞬どころではない、瞬間的に争う軍事行動なんかのときに、なぜそんななまぬるいことを言っているかというお尋ねもごもっともと思いますけれども、やはり事前協議という制度は、私がるる御説明いたしましたようなかまえで運用すべきであると考えます。なかなか微妙な問題ですから、ある発言の一カ所だけをおとりになると、私の言いましたこともいろいろに解釈できるかもしれませんが、要するにその基準というようなものを、事前協議についてコンピューター式にこういう場合はどうだ、こういう場合はどうだというのには、なじまない問題だと私は思うのです。したがって、私たちがもっと詰めなければならない、この二、三カ月うんと折衝しなければならないと言いますのは、ものの考え方日米双方の基本的なものの考え方についてもっともっと真剣な話し合いを詰めてみたいと思っておりますが、事前協議適用というようなことになれば、これはやはりケース・バイ・ケースで、そのときの国益について自主的な判断できめるべきものであるということに結局するのが一番妥当ではないか、現在のところはそういうふうに考えておりますが、これらの点についてはさらに真剣に検討いたしてみたいと思っているわけでございます。
  47. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 もう一つ。結局沖繩の現在の基地機能をそこなわないようにするということは、それは平和条約三条が現在の基地機能を保障しておりますね。現在の沖繩基地機能というのは、平和条約第三条が保障している施政権下にあるわけです。それは先ほど外務大臣答弁されたとおり。それを今度は、日米安保条約の中にどのように吸収していくかということでしょう。そうしますと、それは本来の、従来の日米安保条約そのものではなくなるわけです。沖繩基地が持っておった機能というものを日米安保条約が吸収する。そのために窓口を大きくしていこう。それが事前協議の運用の緩和じゃないですか。だから、本土沖繩化といわれるゆえんも、平和条約三条が持っておった機能というものをいかに日米安保条約が吸収するかというところにかかってくるわけでありますから、私たちは、本土沖繩化、こういうことで指摘をせざるを得ないわけです。その点、外務大臣どうですか。
  48. 愛知揆一

    愛知国務大臣 そういうふうな考え方を積み上げられるのも一つ考え方でありましょうが、私は、そうじゃなくて、施政権返還されてから以降の沖繩基地機能というものは、従来本土における米軍の基地、そういう機能に変わらざるを得ないのだ。これは米国の領土ではないのですから。そういうふうに解すべきであるし、それが私はオーソドックスの返還問題に対する考え方だと思います。私はそういう考え方を貫いてまいりたいと思っております。
  49. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 時間がありませんから、あらためて……。
  50. 臼井莊一

    臼井委員長代理 中谷鉄也君。
  51. 中谷鉄也

    ○中谷委員 基地態様の問題について、川崎委員大臣の間に非常に興味深い質疑がかわされましたが、したがいまして、私は、ひとつ施政権論というふうなことにはならないと思いますけれども、というような点について一、二点だけお尋ねをしておきたいと思います。  最初に、大臣お尋ねする前に、特連局長お尋ねをしたいのです。  岸事務所長さんが一体化に人権問題を取り上げなければならない、裁判管轄権は広げなければならない、こういう趣旨意見具申をされたということが報道されておりますね。そういうふうな事実があるかどうかということと、特連局といいますか、政府のこの点についての考え方、これをひとつお答えをいただきたいと思う。  それからいま一つ。これは外務省政府委員のほうからお答えをいただくのか、あるいは特連局のほうから御答弁いただくのか、どちらからでもけっこうですけれども、私は非常に重大な事実だと思うのです。社会大衆党の委員長が米軍の銃剣によってけがをさせられた。傷害を受けた。重大なことだと思うのですけれども、この傷害を与えたところの加害者である米軍兵士の氏名は、今日この段階において判明いたしておりますか。この二点をまず政府委員のほうから御答弁をいただきたい。
  52. 山野幸吉

    ○山野政府委員 岸所長が東京に出てまいりまして、特連局と一体化の計画等について打ち合わせをしました際に、いわゆる沖繩の人権問題等の取り扱いについて意見交換があったことは、私、帰ってまいりまして聞いております。なお、その詳細についてはまだ承知していませんが、そういう話し合いが行なわれたということは聞いています。これに対しまして、要は、私、聞くところによりますと 人権問題についても、いわゆる一体化の三カ年計画の中へ含めて計画化すべきじゃないかという意見も出たように聞いております。しかし、私どもは、沖繩住民の人権の問題については、施政権返還されるまでの間におきましても非常に重大な関心を持っておりまして、これが改善には、鋭意外交ルートその他機会を得るごとに米側にも要請してまいっておるところでありまして、私どもは決してこれをなおざりにする意思は毛頭ありません。しかしながら、沖繩本土に帰る場合の行政、財政、社会、経済の一体化の計画の中に入れてしかるべきものかどうか、むしろこれはもっと高度な次元の問題として、外交ルートその他で折衝していくべき問題であるかどうかということについては、なお検討すべき問題である。むしろいまの私ども気持ちでは、後者の問題として、決してなおざりにするという意味ではございませんで、そういうもっと高度の次元で折衝して改善をはかっていくべき問題であろうというように考えておるわけでありますが、なおこの点につきましては、一体化計画の具体化の中でさらに検討を続けてまいりたいと考えております。  それから第二点の安里委員長のけがをされた問題でございますが、これは私もまだ詳細については、詳しくは事実関係は知っておりませんが、当日はたしか六十カ所かでいろいろ……。
  53. 中谷鉄也

    ○中谷委員 要するに氏名がわかっておるかどうかでいいです。
  54. 山野幸吉

    ○山野政府委員 その氏名については、私どもはまだ承知しておりません。
  55. 中谷鉄也

    ○中谷委員 そこで、政府委員のそういう御答弁をいただいた中で大臣お尋ねいたしたいのです。  要するに、本会議における大臣の御報告の中では、おそくとも七二年じゅうには沖繩施政権わが国返還さるべきこと、このことを強調されたというわけですね。そしてこれは、大臣の御答弁をいただくまでもない、当然のことですけれども施政権返還されるということは、法律的に、論理的に必然的に日本国憲法が全面的に適用される、こういうことでございますね。  そこで、施政権というのは一体何だろうか。いろいろな見方はあると思いますけれども、やはりその内容の中には、司法、立法、行政というふうな機能を含んでおるだろうと私は思うわけなんです。そこで、おそくとも七二年じゅうには沖繩施政権わが国返還さるべきであること、これは当然そういうふうなことを強調されたと言われるわけでありますけれども、では一体六九年のこの現段階において、たとえば先ほど私が政府委員から御答弁をいただいたような裁判管轄の問題というのが当面の問題としてある。さらにまた、社会大衆党の委員長が傷害を受けたけれども、その米軍人の氏名がおそらくなお判明していないというふうな遺憾なできごとがあった。だから、少なくとも政府の御方針としては、即時全面無条件返還ということはおっしゃらないにいたしましてもおそくとも七二年までには施政権返還があるべきだというその前提には、今日の時点から施政権返還を求めていく、要するに施政権を制約していく、私のことばで言えば施政権を空洞化していく、そういう努力があってしかるべきだと私は思うのです。たとえば、そうすると何といっても一番大きいのは裁判権の問題、国政参加の問題——国政参加の問題については、これはあくまで日本の国内法の問題だ、こういうお考えを大臣がおとりになっておるならば、これは私はそれで非常にりっぱなお考えだと思います。国政全面参加の問題、あるいはまた人権問題の中において特に裁判管轄をふやしていくという問題そういう問題については、大臣施政権返還の取りつけの交渉一つの心組みの中においてどういうふうにお考えになっておるか。さらに、具体的なその交渉の中においては、それらの問題をどのように展開されていくか、この点についてひとつ私はお聞きをいたしたい。  時間がないようですから、質問をまとめます。  いま一つは、国政の全面参加という問題、いま一つは、沖繩県民が非常に要望いたしております、もうほんとうに言い疲れたくらい言っておるところのB52の撤去という問題、こんな問題が大臣訪米にあたって、公式にも非公式にもアメリカ政府要人との間の中に問題として提起された事実があるのかないのか。これはやはり憲法の全面適用に至るまでの施政権を空洞化していく、施政権を制約していく、そういう営みではなかろうかと私は思います。この点についての御答弁をいただきたい。
  56. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まことに御趣旨は私もごもっともだと思うのであります。いわゆる一体化ということが従来にも増して促進されることが望ましいと存じておりますが、ただ、先ほどもちょっと申しましたように、もう一九七二年というのも、一見するとおそいようにもあるいは見受けられるかもしれませんが、今年十一月にかりに大綱がきまりまして、それから直ちに諸種の具体的な仕事に取りかかり、返還協定の案文その他に入っても、それから国会の審議その他を考えますと、どうしてもぎりぎり一九七二年というのは最短距離になるわけです。それほど、逆にいえばもう接近した時期で、その施政権返還が全部できてしまえば、これはそこで一切のけりがつくわけでございます。ですから、もう何と何と何を急ごうというのじゃなくて、一九七二年某月某日には、これらの問題がすべて頭をそろえてゴールに入っていくということに、もう全体が向いてきているわけですから、一つ一つの問題について、これだけはその前にこうやっておこうというよりも、私の率直な考え方は、全部頭をそろえて七二年にゴールインをする、そのときにかけるときの内容ということに、いよいよ心を新たにしてやるべき時期に来た、こういうふうに考えております。  しかし、先ほどの仰せはごもっともで、たとえば裁判権の問題なんかも何とかもっと進ませたい、これは私のそれこそ守備範囲ではございませんけれども、そういうことを私は念願いたしたいと思います。これについても、たとえば裁判官の人員であるとか素質であるとか、いろいろむずかしい問題もあるようでございまして、その衝に当たっておる方々は、一生懸命努力をしておられるようでございますが、それをさらに推進したい。  それから国政参加の問題は、何といいますか、率直に申しますと外務省の手は離れておるわけでございますから、国会でやっていただきたい。これも同時に、一九七二年というのは目前に迫っておるわけでございますから、その施政権返還さえできれば、もう何もかも一ぺんでさらりと解決するものであるということをどうか御念頭に置いていただきたいと思います。  それからB52問題は、公式にも非公式にもというお話がございましたが、公式にも非公式にも、私は常にこれを念頭に置いて、先般滞米中におきましても、もちろん米側に対して話し合いをいたしております。ただ、遺憾ながらこの点について、何月撤去というところまではつかまえられませんでしたけれども、これについては重大な関心を持って、常に米側の注意を喚起しているということは事実でございます。事実のまま御報告を申し上げる次第でございます。
  57. 臼井莊一

    臼井委員長代理 永末英一君。
  58. 永末英一

    ○永末委員 私は、愛知外務大臣と時期を前後しながら、アメリカワシントンを中心にしながら各界の意見を聞いてまいりました。われわれ民社党は、特に議会筋の沖繩返還問題に対する感触を尋ねたわけでございますが、そういう角度から、ひとつこの際愛知外務大臣に明らかにしておいていただきたい諸点について、質問いたしたいと存じます。  一つは、六月三日、すなわち愛知外務大臣がニクソン大統領と会談された次の日、ニューヨーク・タイムズを読みますと、沖繩における核基地の撤去をすでにアメリカ政府がきめたというような報道がなされておりました。愛知さん、よくやったなという感じでよく見ますと、これは別に愛知さんとの会談でどうだということではないのであって、四月の下旬にそういうことを国家安全保障会議できめたという報道につけ加えて、愛知さんとニクソン大統領との会談の状況が報道されておりました。  そこで伺いたいのは、外務大臣アメリカ側に対して、沖繩における核基地に対して特殊な関心をわれわれ日本国民は持っておるということが伝えられたということを、あなたは御報告になりました。しかし、アメリカ側沖繩における核基地について、何らかの表現をあなたにされたかどうか伺いたい。
  59. 愛知揆一

    愛知国務大臣 率直に、ざっくばらんに申し上げますが、ただいま御指摘のとおりで、六月の三日ですかのニューヨーク・タイムズの記事は、私どもといたしましてはタイミングな、率直に言ってありがた迷惑なような感じがいたしました。と申しますのは、三日から本格的にロジャーズ会談を始めることになっておりまして、その朝の記事でございました。したがって、アメリカ政府としては、これは当然でございましょうが、本日のニューヨーク・タイムズの記事というものは、これからあなたとこういう問題についてお話し合いをしようというときに、その前に、四月ごろに安全保障会議アメリカ政府がこういうことを決定したなどということは、考えられないことでありましょう、これは政府の意図ではございません、こうロジャーズ長官から発言がされたわけですが、そういう発言を誘発するようなことになった時期においてこういう記事が出たということは、私にとっては、いわばありがた迷惑のような状況でありました。したがって私は、わが国わが国民あるいは沖繩県民の気持ち気持ちとして、説明につとめたつもりでございますけれども、これはほかの委員会あるいは本会議でも触れたかと思いますが、核について何ぶんにもアメリカ態度、私の説明に対する諾否、ともども私はそういうことは触れることはできませんでした。そういう状況をひとつ御想像いただきながら、御理解いただきたいと思います。
  60. 永末英一

    ○永末委員 その次の日、すなわち六月四日、同じくニューヨーク・タイムズは、国務省筋が前述のこの報道に関して否定をしたということを伝えるとともに、なおかつ、今度は期日を明示して、四月三十日の国家安全保障会議においてこのことが決定されたのである、こういう報道を繰り返しいたしております。もちろん六月三日付の同紙によりますと、これからぼちぼち日本政府にこれを知らせるんだというような話でございますが、核の問題について一番重要な点は、いま外務大臣が言われたように、われわれ日本側は主張する、われわれも主張いたしました。しかし、そのことについて、沖繩の核についてアメリカ側からどうする、こうするということ、たとえばわれわれが、沖繩基地にございますメースBや、あるいはB52、あるいはF105等の使用方法につき、あるいは防御兵器でありますナイキハーキュリーズを取り上げて論じましても、このことに対する明確なアメリカ側の反応というものは、われわれ自身も残念ながら、あなたと同じようにキャッチしたということを申し上げることができません。  そこで、わが国内で核つきとか核抜きということがいろいろ問題になっておりますが、安保条約並びに第六条にかかわる事前協議の交換公文に関連をして考えます場合に、一体核つきとか核抜きとかいうものがこれから問題になるのかどうか、両国間の折衝であなたの御感触はどうでしょうか。
  61. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これはまともな御返答にならないかとも思いますけれども、私の見込みでは、たとえば核の問題について、特に核はかくかくにしてもらいたい、そしてまずこれを問題にして日米間の合意をとろう、その次に、ほかの問題に入って云々しようというようなふうには、私はなりにくいのではないかと見通しております。すべてこちらが提案いたしましたようなことは、一括して最後にいわば頂上会談で合意を見るというかっこうになるのではないかと思うのでありますけれども、しかし、核については特に重要な問題でもありますし、われわれの願望もいまさら申し上げるまでもないところでございますから、私自身といたしましてはもちろんでありますが、先ほど来申しておりますような日程も確定しておりますわけですから、あらゆる機会において私も全力をあげてがんばりたいと思っております。
  62. 永末英一

    ○永末委員 私は、昨年もあなたと御一緒にアメリカを訪問いたしましたとき、沖繩の核基地の問題についてそれぞれの要路の人々と討論をいたしました。そのときの感触は、沖繩の核基地があるとかないとかいうことはもちろん触れません、しかしながら、核基地の有用性、アメリカの持っておる核に対する第二撃能力の必要性、このことの議論はございました。しかし、ことしは核についての議論というものは一切避けられました。そういう観点から、現在のアメリカ政府が、沖繩返還問題について沖繩の核基地に対しては積極的な存続の意図がないものと、われわれとしては判断をいたしてまいりました。  そこで愛知さん、あなたがいまおっしゃったように、われわれは沖繩において核基地を認めるつもりはございません。しかしながら、安保条約第六条にかかわる交換公文は、いままで日本本土に核基地はなかったのです。なかったところへ、新しく重大な装備の変更ということで核兵器を持ち込むならば、事前協議事項ですよというのが、事前協議のあの交換公文の趣旨だと政府は説明をしてまいりました。いま沖繩において核基地があるかないかは、公式には明らかにされておりません。しかし、一般の常識としては、すでにあそこに核基地があるということが常識になっておる。このまま続くということは、これは変更ではないのである。言うならば、もしここに核基地があるとするならば、これを撤去せしめることが現状の変更になるのであって、もしいまのような状態で沖繩の核基地に対する議論が正規の議論としてかみ合わされずに済むとするならば、わが日本国としては、沖繩の核基地を撤去せしめるについて何らかの方法、手続というものをとり得ないではないかということを私は心配いたします。  そこで、あなたに伺いたいのは、なるほど沖繩の核基地を撤去しなさい、ありとするならば望ましくないという主張はできる、しかしそれが、施政権返還があった場合に沖繩に核基地がないかどうか、ないということを確証する方法を何らかわれわれ日本政府は考えていなければ、わからないということに結果的にはなると思います。したがって、いまあなたがアメリカ交渉せられた御感触で、そうして十一月には何らかの成果があるだろうといわれている限りにおいては、施政権返還アメリカ沖繩に核基地を持たないであろう、これを確かめる何らかの方法について成算があるならばお答え願いたい。
  63. 愛知揆一

    愛知国務大臣 その成算の点ですが、先ほどあなたの御説では、核の問題については何も言わないから、したがって核については関心がないのだろうという、そういう善意な前提をなされておりますが、私はそれを含めて、まだまだこれは簡単な話し合いでは済まぬ場合も予想いたしております。しかし、私がさっき申しましたように、私としてはもう全力をあげてがんばりたいと思っております。さようなわけでございますけれども、核が現在沖繩にあるかどうかということ、これはあるということはもう常識だと思います。公表された資料にも出ておりますし、これはもう事実でございますから、そこでこの私どもの提案に対して、アメリカが幸いにして最終的に同意をしてくれました場合は、その同意だけではなくて、現にあるとするところのこの核を取り去ってもらわなければならない、私はこういうふうに考えております。これが一番望ましい姿である。私、いつも基本線として四、五点あげております中に、安保条約一連の体系の本土並み適用、そのほかに特に核については云々ということを忘れずに申しておりまするのも、その配慮から出ております。どうかこの辺のところで私の基本的の態度は御理解をいただきたいと存じます。
  64. 永末英一

    ○永末委員 私が先ほど言った、核に対する論議が少なかったということが、関心がないとわれわれが判断したのではございません。ただ、一番重要な関心は、むしろこれから申し上げる、直接戦闘区域に出動することに関して日本政府がチェックするかどうかというところにいまあるとわれわれは判断したからでございます。したがって、いまあなたのお気持ちはよくわかりましたが、もう一度伺いたいのですが、われわれが希望する、形はわかりませんが要するに返還協定ができて、施政権返還されるわけです。その場合に、あそこに核基地がないという確証を何らかの方法日本政府としてはとらなければならない、そのとらなければならないという手続あるいはやり方、これについて何かの案がございますか、もう一ぺん伺いたい。
  65. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まず、その本体についての合意を得られるということが前提でございますが、その点について、いま申しましたように十分配慮しなければならない、かように考えております。
  66. 永末英一

    ○永末委員 この問題と引きかえに、核防条約に対する批准をいわば日本側の負い目として押しつけられるということはございませんか。
  67. 愛知揆一

    愛知国務大臣 核防条約の問題につきましては、世上いろいろの論議が出てまいりました。それはむしろ、ただいまのところではENDCへの加盟を正式に米ソ政府から招請を受けまして、たいへんこれはけっこうなことだと思います。政府といたしましても大いに張り切ってひとつこれに臨みたいと思っておりますが、それに関連して、核防条約をどうしてくれるか、早く調印してくれという要請が米ソ両国等から出てくることは予想されますが、沖繩の核基地の問題にからめて核防条約云々ということは話にまだ出ておりません。ただ、アメリカは、いま申しましたような角度から、やはり日本の拡散防止条約に対する前向きの態度を期待しているであろうことは容易に想像されるところでございます。
  68. 永末英一

    ○永末委員 いまお答えになったと思いますが、重ねて確認をしておきたいのです。つまりアメリカ側の一部の意見では、日本側沖繩における核基地の撤去を求めておる、そして彼らの言い方からしますと、日本自体は自力の核兵器の開発も行なわない、安保条約で核の保護を求めておる、しかし、アメリカ側も、安保条約関連しつつ、彼らの核戦略の中にはいま一番重要な問題は核拡散防止条約である、したがって、もし日本アメリカ側沖繩における核基地の撤去を求めるならば、引きかえに、せめていまの段階で核防条約に対する批准ということぐらいは同意してもらわなくてはならぬではないか、こういう意見が現にございました。そこで、今度のあなたの一連の会談でそういうことが言及されたかどうか、お答えを願いたい。
  69. 愛知揆一

    愛知国務大臣 私のほうからは言及をいたしておりません。
  70. 永末英一

    ○永末委員 相手方から言及があったかどうか。
  71. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これはその当時報道されたと思いますけれどもアメリカの軍縮会議政府代表スミス軍縮長官から私に対しまして、ENDCに対する参加の喜びのあいさつと、それからNPTに対して彼の立場からすればできるだけ早く、日本の御事情もいろいろあろうけれども、調印、批准というようなふうに運んでいただければたいへんしあわせである、こういう話はございましたが、こちらは承りおいただけでございます。一連の沖繩問題を中心にする国務長官等との正式会談においては、彼我双方ともこのNRT条約は発言いたしておりません。
  72. 永末英一

    ○永末委員 この核防条約については、決して沖繩との関連をつけることなく、別途の角度から、外務大臣としては十分にひとつ御検討願いたい。われわれ民社党の意見として申し上げておきます。  次の問題は、先ほどから問題になっております事前協議の問題であります。アメリカ側意見によりますと、たとえば朝鮮半島に事件が起こる。そこにアメリカ人が戦闘員としておるのであって、この戦闘員に対して日本本土から援助をしようとするならば、事前協議事項にかかる。現在は沖繩からこれを援助しようとするならば自由にできる。もし日本政府の言うように、本土並み沖繩施政権返還が行なわれ、したがって、沖繩の軍事基地安保条約事前協議事項によって制約を受けるとする場合に、一体自国の国民が生命の危険にさらされているときに、他国の政府のチェックを受けねばならぬかということは得心がいかないということは、われわれ民社党の使節団が接触をいたしましたいろいろの人々から出てきた一つ意見でございます。ここにすなわち、事前協議事項に対する弾力的運用とか高度の政治的配慮とか言われる外務大臣のことばが、私は出てきておると思うのですね。そこで、これは日本国側からは、言うならば第一次的にはあまり関係のない話でございますが、アメリカ側からすれば、これはきわめて重要な問題である。これは察してやらなければならぬ問題だと思います。  そこで、あなたは、いままで安保条約やその他の一連の法令には手を加えることなく、アメリカ極東の安全のためにいままで沖繩基地を使ってきた、そのやはり使い方について施政権返還後も配慮しなければならない、こういうことを言われたと思います。一連の法令に関係がなければ、アメリカのいまのような意図をやはり実現させてやりたいとお考えですかどうか、お考えを伺いたい。
  73. 愛知揆一

    愛知国務大臣 私は、日本側態度といたしましては、いま言われましたような考え方も、これはアメリカとしては無理からぬところだと思いますけれども、わがほうの第一次的な交渉基本線としては、何と申しましても安保条約の目的であるところの——私は条約文そのままを言うのじゃございませんが、第一次的に沖繩を含む日本の安危にかかるような場合、それからこれと直接関連する周辺の危機というときには、私は、この安保条約というもうがほんとうのささえになるものでありますから、そういう場合に国益からいって、たとえば事前協議の問題であって、事前協議がそのために必要とするような条項についてかかってきた場合には十分考えなければならないことでございますが、日本と直接かかわりのない、日本の安全と直接かかわりがない、したがって、またこれとの関係がきわめて希薄であるというような場合にはどうするかというようなことにつきましては、そのときの状況、ケース・バイ・ケースで自主的な判断に仰がなければならない、かように考えております。
  74. 永末英一

    ○永末委員 アメリカ国民というのは、大体国の形成以来、お互いのやはりつくられた契約、そういうものに基づいてつくられてきた国民だと思います。したがって、条約に対する権利義務の関係は、われわれ日本人よりはもっときびしくかまえているのではないかと思われる節がございます。そこで、いま大臣が言われたようにきわめて政治的なお答えではございますけれども、私は、そのままストレートにいかぬのではないか。あなたは、今度訪米をされて沖繩返還に対する門を開かれた。その役割りは私はりっぱに果たされたと評価をいたします。いよいよこれから奥座敷にすわるかということが、これから半年の問題でございます。その奥座敷にどうやってすわるかという過程で、一つの大きな問題は、たとえば、先ほど問題になりましたが、プエブロの事件のときに、アメリカ側としては日本政府本土アメリカ側の航空基地からプエブロ援助のために航空機を発進させたいと願った。しかしながら、それはいまだ戦闘ではないけれども、発進させるならば戦闘になる公算はきわめて大である。大であるとするならば、日本政府に対して事前協議を求めたければならない、そういう考慮がいろいろ彼らに対して直接に——私は、あなたにいま質問として求めたかどうか聞こうとは思いませんけれども、そういう配慮がある。彼らが事前協議というものに対して配慮しておる度合いというものは、これで私はわかると思うのですね。  そこで、いよいよ沖繩施政権返還があった場合に、そのときにあなたが外務大臣であるかどうかわかりません、日本政府はぐるぐる変わるわけでございますから。われわれが政権をとるかもしれません。そういう一つの政治的な不確かさ、これに対しては彼らはがまんがならないと思うのです。そして何らかの意味においての日本の安全とかなんとかいうのじゃなく、アメリカ国民の命を救うためにストレートに援助にいきたい。こういうことを朝鮮半島の問題が起こった場合に彼らが考えておるのは、当然だと私は思う。そこで、あなたは一連の法令に関連することなく高度の政治的判断だと言われましたけれども、法令に関係のない、すなわち国会の承認事項でない合意議事録だという場合には、あなたは承認するつもりがあるのかどうか伺いたい。
  75. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは先ほどの御質問にもお答えしたのですが、私は、いかなる形においても、いわゆる特別の取りきめというものはやりたくないという立場でがんばっていきたいと思っておるわけでございます。
  76. 永末英一

    ○永末委員 お心はわかりました。  時間がございませんから、まだあと少し伺いたいので……。伺いますが、あなたは一九七二年までにひとつぜひ施政権返還を行ないたいという申し入れをされたと伝えられております。一九七二年というのは、あなたの政府が考えておる一体他政策三年計画の終局点である、だからと、こういうことでありますが、いままで伝えられておる一体化政策というものは、きわめて次元の低い問題が取り扱われているのであって、施政権返還に伴う重要な問題は、いままでの一体化政策にはございません。たとえば通貨の問題、アメリカ沖繩に保有しておるドルの処置の問題、さらにまた、アメリカの軍事基地が現在沖繩で持たれておる態様本土並みにするならば、きわめて多くの措置がそれまでになされなければならぬ。  そこで伺いたいのは、一九七二年というのは、先ほど伺っておりますとゴールだと言われておる、それまでにいまのような問題の処置をされて臨まれますかどうか、伺いたいと思います。
  77. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これも先ほど申しましたように、非常に窮屈な日程であると思いますけれども国民的な即時返還という大願望にこたえまして、非常に無理な日程だとは思いますが、あらゆる準備活動をスピードアップして、政府としての全機能もあげて七二年返還実現、そうしてその実現のときには、もういわば復帰ショックというようなものを残さないで、あらゆる制度、法制はもちろんのこと、本土と無差別な県民生活を沖繩の人たちが享受し得るような、そういう状態に持っていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  78. 永末英一

    ○永末委員 これは予算委員会でもあなたに伺ったのですが、一つの問題は、軍事基地沖繩態様とわが本土態様とが違う。これを、本土並みを主張される限りにおいては、施政権返還がないときでも本土並みに切りかえるように交渉すべきだと私は申し上げました。この御用意があるかどうか、お答えを頂いたい。
  79. 愛知揆一

    愛知国務大臣 地位協定等を含めまして本土並みにするということについては、非常に事務的な困難も予想されますけれども、やはりこれはこの時期においてきれいさっぱりとやってしまうべきものである、かように考えます。ただ、これは、私もいささか越権になりますので、私の守備範囲外の問題がたくさんございますから、それぞれのつかさ、つかさの方々にお答え願うほうが適当だと思いますが、まあ今日ここまで進んだとまだ言えないかもしれませんが、ここまで問題の取り上げが日米両国で進んでまいりました今日においては、もはやこちらの不勉強のために時期がおくれるということは許されないと私は思いますので、そういう覚悟で内閣の全機能をあげて努力邁進をいたしたいと思います。
  80. 永末英一

    ○永末委員 これに関連してもう一つ外務大臣に申し上げておきたいのでありますが、予算委員会で地位協定の問題をあなたに申し上げました。一番の問題点は、現在の地位協定は、わがほうがある具体的なアメリカが貸与されている基地について返還してほしいという意図を抱きましても、これを実現する手続が法律的には完成していない、申し入れるだけである、最終的にはアメリカの同意がなければ実現しない、これはきわめてへんぱである、こういうことを申し上げました。私は、アメリカでそれぞれの要路者にこのことを取り上げました。もしアメリカ日本とほんとうのイコール・パートナーシップ、対等の立場でものを考えていこうとするのであるならば、いまのような地位協定はきわめてへんぱである。沖繩と同じ性格のもの、すなわち日本アメリカとの関係が、勝者と敗者との原理によってこれが支配されている証拠である、このことを率直に私は主張いたしました。アメリカの、私の意見を聞いた要路者あるいは国会議員の中には、その私の言う意味合いを知って、検討に値するということを申しておりました。  そこで、あらためてあなたに伺いたいのでありますが、われわれが沖繩返還を実現しようと全力をあげておりますのは、やはり将来の日米関係が対等の上に築かるべきことを考えているからである。そのために沖繩施政権返還が一日も早からんことを希望しているわけです。しかし同時に、それは本土の問題、また施政権返還後の沖繩における軍事基地の問題も含めまして、やはり地位協定が現在のようなへんぱな状態では相ならぬと私は思う。真の対等の関係日米関係が立っていないことになると思う。そこであらためて伺いたいが、あなたは、この地位協定をもっと平等の立場に立つ形に切りかえていこうという御意思はございませんか、伺いたい。
  81. 愛知揆一

    愛知国務大臣 とくと検討いたしたいと思いますが、いまは沖繩問題をとにかく軌道に乗せて、そして本土並みにするということを最も緊切した問題として、これの処理に全力をあげたいと思っております。地位協定の問題は、前にも御注意がございましたし、関係の向きでもいろいろ検討いたしておりますが、さらに私といたしましても十分検討させていただきたいと思っております。
  82. 永末英一

    ○永末委員 地位協定の問題と沖繩返還の問題とは、二つの問題ではないのです。われわれの角度からすれば、それは一つの問題であります。すなわち沖繩返還沖繩における軍事基地、これが将来どういくのか、こういうことを見通しつつ、この二つの問題はあわせて行なわねばならぬ重要な日米間の問題である。われわれ民社党が考えていることを申し上げて、あなたの御検討をひとつわずらわしておきたいと思います。  ほとんど時間がなくなりましたので、最後にもう一、二点伺いたいのでありますが、あなたが交渉された結果、一体いま何を考えておられるか、お伺いしておきたい。私どもの感覚では、あなたは申し入れをされた、返せと言われた。しかし、これからこれを実現するためには日本政府側が、沖繩返還後における日本が、日本国の安全と極東の安全に対して何をなすのかという、われわれ日本側一つの寄与のあり方、これをつくらねばならぬところに、すなわちわれわれが提案をしなくてはならぬ、そういう立場に立たされていると私は思います。その場合に一番重要な問題は、やはり返還後の沖繩を含めて日本列島線の防衛の問題であり、またわれわれの経済力がアジア諸国に比べてもし高いとするならば、その経済力をアジアの安定のためにどう使うかという問題である。これらの問題について、あなたとしては、早急に内閣としての案をきめられなければならぬ段階に達していると思いますが、この点についてのあなたのお考えを伺いたい。
  83. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ただいまの二つの問題については、私も大体永末さんと同じような意見をかねがね持っておったつもりでございますが、ただ、たとえば自主防衛の問題とそれから海外経済協力、一口に言えばこの二つの問題だと思いますけれども、取り上げ方が実にむずかしいのでありまして、現在までの日本の風土においては、この二つのことを政府が申しますと、ほれ、またアメリカに押しつけられた、まだこういう発想で扱われることが、私はもう情けなくてたまらないのであります。したがいまして、私は就任直後から、沖繩問題とは切り離して、一九七〇年代十年間は、われわれ日本民族はいかにあるべきかという発想で問題を考えようではありませんかという提案をいたしまして、これはあるいはそんなこと言ったって書生論だと言われるかもしれませんが、一九八 ○年を一つの目標にして、日本経済力の伸びに照応して対外的にはどういうふうにやっていくか、あるいは日本自体の防衛については、すでに三次防、四次防というようないろいろ継続的な現にある計画、あるいは将来さらにこれを伸ばしていこうという計画もあるようでありますが、ひとつその担当の向きでも大いに勉強していただきたいということで、ようやくある程度の成果が出てきたと私は思っております。内閣全体としてこれを大きくまとめて前進をしたい、かように考えておりますが、いま率直に申しましたような私の感情からいっても、これは第一ウランドの私の訪米のときなどに、得々として日本の自主防衛計画はかくかくでござる、あるいは対外援助についてはかくかくでござるなどということは、私は口が裂けても言いたくございませんでしたから申しておりません。ただ、内閣としての全体の基本的なものの考え方等については、必要に応じあるいは問いに答えて──これは両国とも、アメリカは、たとえば経済の非常に困難な状況にあってこうこういう政策をやりつつある、あるいは今後こういうことを考えなければならぬというようなことで、向こうも向こうの内情についての相当こまかい説明や訴えがあったわけであります。同様に、日本もわれわれの考え方というものは出しましたが、ただ、今後何年間にどれだけの軍備を拡充して陸海空がこれこれの数字になるのだとか、あるいは何国あるいは多数国に対して、これこれの何年計画でこれだけの銭を出してやって何をつくらせる、さようなとこは一切申しておりません。私は、沖繩返還問題というような民族的な願望の達成について、かりにもこれに取引に供したような考え方を出すなどということは、日本立場としてすべきでもございませんし、また、ともするとアメリカのごきげんをとるために押しつけられた、あるいは迎合した計画を日本がつくるなどということは、絶対に政府としてはすべきでございませんから、この一線は、私ははっきり守っていきたいと思っております。
  84. 永末英一

    ○永末委員 これで終わりますが、外務大臣、私はこういうことを主張してまいりました。すなわち、戦後二十四年、あなたのほうのアメリカ国もわれわれ日本国も沖繩にも、戦後生まれた若い世代がそれぞれの人口の過半数を占めておる。この新しい若い世代が、なぜある者は敗戦の結果、すなわち前の世代が行なったみじめな状態を甘んじて受けねばならないか、そんなことはないではないか、またある者は、前の世代のやった戦勝の結果をなお楽しんでいる、そういうこともあり得ないではないか。この辺で勝者と敗者との原理が貫かれているアメリカ日本沖繩関係を、これは切りかえるべきときだ。しかし、そのためには、われわれ日本国は日本国としての自己の安全と生命の維持のためには、これは責任を果たすのはあたりまえである。こういう観点から、私は、アメリカのそれぞれの人々にわれわれの考え方をお話ししました。そこで、いまあなたが、わが国の安全のためにあなたの政府としてなすべきことを申されましたが、アメリカのためにやるのではありません。当然われわれがなさねばならぬことが、一番劇的な沖繩返還という問題のときに、あなたの政府が忘れておった。われわれ忘れておりませんが、やらねばならぬことを私は、はっきり問題点として取り上げてきた。そこで、一九八〇年代という問題ではない、少なくとも十一月の佐藤首相の訪米までに、沖繩返還後の沖繩列島線を含めた日本列島に対する安全の責任をちゃんとやるということを固める。それは四次防になるかどうかは知りませんけれども、そういう計画を──あなたは国防会議の一員でございますから、日本の国防のためには重要な責任ある地位にあられるお一人です。そういうことをやはりやらねば、この沖繩返還というものは具体化しないと思います。最後に、この件に対するあなたの御見解を承りたいと思います。
  85. 愛知揆一

    愛知国務大臣 私は、問題の取り上げ方についての気持ちを申し上げたわけでありまして、自主防衛計画については防衛庁がもちろん担当者でありますが、非常に熱心に具体的な計画をすでに十分持っておりまして、私は、これは遠からずして日本の国策としてあらためて決定できる運びになるだろうと思っております。  それから経済援助計画についても、大体関係各省庁の考え方がまとまりまして、これにつきましても関係閣僚会議その他を結成いたしまして国の政策の基本として遠からずきめることになると思いますが、これをただ書いた紙の計画だけではなくて、着実に実行していくように大いにやってまいりたいと思います。大いに御協力、御批判をお願いいたしたいと思います。
  86. 永末英一

    ○永末委員 いよいよ沖繩返還も、日本政府は本腰を上げて玄関を開いておるようです。せっかくひとつ愛知さんの御健闘を、野党の席からではありますけれども期待しております。間違ってはいけません。終わります。
  87. 臼井莊一

    臼井委員長代理 本日はこの程度にとどめ、次回は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。     午後五時四十二分散会