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1969-04-22 第61回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年四月二十二日(火曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 中村 寅太君    理事 臼井 莊一君 理事 小渕 恵三君    理事 本名  武君 理事 川崎 寛治君    理事 美濃 政市君       大村 襄治君    上林山榮吉君       佐々木秀世君    竹下  登君       福田 篤泰君    三池  信君       山田 久就君    中谷 鉄也君       西風  勲君    依田 圭五君       門司  亮君    伊藤惣助丸君       渡部 一郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      床次 徳二君  出席政府委員         総理府特別地域         連絡局長    山野 幸吉君         総理府特別地域         連絡局参事官  加藤 泰守君  委員外出席者         外務省アメリカ         局外務参事官  大河原良雄君     ————————————— 四月二十二日  委員中野四郎君、古屋亨君、箕輪登君、永末英  一君及び渡部一郎辞任につき、その補欠とし  て三池信君、佐々木秀世君、竹下登君、門司亮  君及び伊藤惣助丸君が議長指名委員に選任  された。 同日  委員佐々木秀世君、竹下登君、三池信君及び門  司亮辞任につき、その補欠として古屋亨君、  箕輪登君、中野四郎君及び永末英一君が議長の  指名委員に選任された。     ————————————— 四月十八日  沖繩即時無条件全面返還に関する請願(林百郎  君紹介)(第四五三八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  北方領土問題対策協会法案内閣提出第七九  号)  沖繩における免許試験及び免許資格特例に関  する暫定措置法案内閣提出第八九号)      ————◇—————
  2. 中村寅太

    中村委員長 これより会議を開きます。  北方領土問題対策協会法案議題とし、審査を進めます。  本案は、去る十七日質疑を終了いたしておりますので、これより討論に入る順序でありますが、討論申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  北方領土問題対策協会法案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  3. 中村寅太

    中村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  4. 中村寅太

    中村委員長 ただいま領土問題対策協会法案に対し、本名武君外三名から、自由民主党日本社会党民主社会党及び公明党の四派共同をもって附帯決議を付すべしとの動議提出されております。  この際、提出者より趣旨説明を聴取いたします。本名武君。
  5. 本名武

    本名委員 ただいま提案になりました北方領土問題対策協会法案に対する附帯決議につきまして、自由民主党日本社会党民主社会党及び公明党代表して、私はその趣旨説明を行ないます。  まず、その案文を朗読いたします。   北方領土問題対策協会法案附帯決議(案)  政府は、本法施行に当り、次の事項に関し、特段の措置を講ずべきである。  一、北方協会が従来行なつてきた北方地域漁業権者等に対する生業安定のための諸事業は、北方領土問題対策協会発足後においても、さらに一層拡充強化されるよう配慮すること。  二、本法律案には、新協会に対する国の補助金交付規定がないが、北方領土問題の啓もう宣伝等に関する経費は、全額国負担のうえ積極的に活動できるようにすること。  三、北方領土問題に関する内政上の諸問題については、積極的な解決をはかること。とくに関係地方公共団体等協力を要するものについては、その経費負担に関し、特別の配慮をすること。  北方領土に関する問題は、沖繩の問題とともに、戦後の国家的懸案事項であることは周知のとおりであります。  沖繩は、いまや国民注視のもとに、日米間最大の問題として、施政権返還に対処する諸種の具体的努力が行なわれつつあります。  しかるに、北方領土問題対策については、今回政府全国的規模において本格的に取り組む姿勢をとり、特殊法人を設立し、本法によって、従来北方協会並びに南方同胞援護会が実施してきた業務の一切を引き継ぐとともに、積極的にその業務拡充強化する意図を示していることは、適当と認められるところであります。  しかし、政府は、本法施行にあたり、次の諸点について特に配慮要望したいのであります。  第一に、北方協会が従来行なってきた北方地域漁業権者等に対する生業安定のための諸事業につきましては、これまで資金の都合上、生活に必要な資金を優先し、対象者の所得について制限を加え、あるいは貸し付けの金額並びに期間等について抑制的措置を加えざるを得なかった等の事情が存したと聞くところであります。本協会業務を行なうにあたっては、これらの諸制限を加えることなく、法対象者受益範囲拡大をはかり、漁業その他の事業の経営と生活安定確保のためにさらに一そう拡充強化をはかり、その使命の達成に万全の努力を傾注されたいのであります。  第二に、従来、南方同胞援護会が行なってきた業務並びに北方協会が行なってきた前項以外の業務に関しては、本協会がその一切の業務を承継することは当然の措置と認められる。しかし、広範かつ多角的な北方問題について、全国的な規模において積極的に国民世論の喚起をはかり、その解決を促進するためには、その啓豪宣伝並びに調査研究活動は飛躍的な充実強化を必要とするところであり、本協会のこれら事業に要する経費については、国が全面的かつ積極的に遺憾のないよう十分な措置を講ずべきである。また、本協会がその目的協力する団体等に対し必要な助成を行なうことに関しても、政府は適切な配慮を行なうよう要望したい。さらに、協会役員等は、協会活動に重要な関係を持つところであるので、その構成については遺憾なきを期せられたい。  第三に、北方領土問題に関する内政上の諸問題については、政府は常に積極的な解決をはかるよう努力されたい。従来、地方公共団体漁業団体等が、漁船の拿捕問題、安全操業問題、墓参問題、抑留漁民遺家族援護その他に関する措置並びに指導等につき相当の負担を行なってきている。これらのうち、第一及び第二の協会業務範囲に移行し得るものについては、当然その措置をとることが適当と考えられる。しかし、地方公共団体に対する交付税について十分な措置を講ずるとともに、北方地域特殊性に関連して関係団体協力を求めることが適当と認められる事項に関しては、十分な経済的援助を留意されたい。  以上をもって附帯決議についての趣旨説明を終わります。
  6. 中村寅太

    中村委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  本動議については、別に発言申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  本名武君外三名提出附帯決議を付すべしとの動議賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  7. 中村寅太

    中村委員長 起立総員。よって、本動議は可決いたしました。  この際、総理府総務長官から発言を求められておりますので、これを許します。床次総務長官
  8. 床次徳二

    床次国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、御趣旨に沿うよう善処したいと存じます。     —————————————
  9. 中村寅太

    中村委員長 おはかりいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 中村寅太

    中村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  11. 中村寅太

    中村委員長 沖繩における免許試験及び免許資格特例に関する暫定措置法案議題とし、審査を進めます。  質疑申し出がありますので、これを許します。依田圭五君。
  12. 依田圭五

    依田委員 この関係当局に御質問をいたします。  いま提案になりました、これから質問いたします法律は、われわれとしても、たくさんの試験制度について、これを沖繩一体化のたてまえから実行しようというのでありまして、まことにけっこうな内容を持っておると思います。その趣旨には賛成をするわけでありますが、その前に、前提となる、非常に素朴な質問を一、二やってみたいと思います。  まず第一に、今回、この法律国内法として、わざわざ第三条以下、これこれの試験は、これは沖繩でやるんだ、また、沖繩のほうの資格は、こういう種目については認めるんだという、その趣旨を麗々しく書き上げてこういう形で国内法立法措置する必要が、必然的な要求というか前提になるその必要性というものが、はたして、一般的にはあると思います、しかし、ほんとうにあるかどうか。この立法措置をしなければできないのかどうか。それについて、素朴な質問点でありますが、まずしてみたいと思います。御答弁願います。
  13. 床次徳二

    床次国務大臣 今回の免許資格等の問題につきましては、将来、本土一体化本土復帰いたしましたときに、全くその復帰がスムーズにできますることを前提といたしまして考慮いたしたものでございます。すなわち、同一法制のもとに沖繩自体生活できることはもちろんでありますが、なお、沖繩におきまして資格をとりました者が、本土に参りましても自由に活動できるという点があります。なお、本土資格をとりました者も沖繩へ行って活動できる。全くその点は、他の府県と同じように取り扱いができるということにその目標がある次第であります。
  14. 依田圭五

    依田委員 諮問委員会で完全な了解に達し、かつ、高等弁務官もおそらくはこれに了解を与えて、そういう連絡のもとに当局のほうでこの立法措置をしたと思うのです。そういうようなときに、たとえば公認会計士一つを例にとりましても、公認会計士は、一定の条件を整えれば、これはどこへ行ってもできるわけなんですね。これはできると思います。そういうようなときに、この法律国内法立法する必要があるのかということについて、私、まずちょっと理解ができないのですが、重ねてそれを御答弁願いたいと思います。
  15. 床次徳二

    床次国務大臣 本土におきましては、本土法によってその資格を与えておりますし、沖繩におきましては、沖繩立法院法律によりまして資格を与えているわけでありまして、それぞれの準拠法が違っておりますので、今回の制度によりまして、これが統一された、同じものに取り扱いを受けることができるようにしたわけであります。
  16. 依田圭五

    依田委員 では、その問題はあとに回しまして、だんだんに聞いていきますが、まず第一に、この法律を出すときに琉球政府は当然対応措置をとると思うのですが、それはまあ予定しておるわけですね。
  17. 床次徳二

    床次国務大臣 琉球政府ももちろんこれは対応措置をとるのでありまして、なお、その点におきましては、すでに、琉球政府といたしましてはその代表諮問委員会に派遣しております。十分連絡はとれておりまして、完全な了解のもとに措置をとりました。したがって、必要な措置につきまして政府あるいは立法院がとりまするならば、予定どおりこれが進行できるものであります。
  18. 依田圭五

    依田委員 将来の問題ですが、アメリカのいわゆる民政府拒否権を行使するようなことは絶対に考えられない、その点が一点と、それから、本法制定過程におきましては、高等弁務官との間に完全な了解ができておると思います。これは当然のことだと思いますが、一応前提になる質問でありますからお聞きしておきます。
  19. 床次徳二

    床次国務大臣 御承知のごとく、諮問委員会は、日米琉がそれぞれ代表を派遣しておりまして、そうしてその代表の協議がまとまりました結果が勧告案として出てまいっております。したがって、この法案提案いたしますにおきましても、すでに諮問委員会答申を得ておるものであります。したがって、その結果つくりましたものは円満に実行できるわけであります。  なお、その趣旨に沿いまして立法院立法いたします際、あるいは琉球政府が処置いたします際におきましては、これに対してアメリカ民政府あるいは高等弁務官が拒否する云々ということは絶対にないわけであります。
  20. 依田圭五

    依田委員 日本政府は、総理府は、この法律立法過程において、琉球政府との間だけでこの内容を討議したのですか、それとも高等弁務官あるいは米国の政府と何らかの交渉があって、その上でこの法律立法に踏み切ったのか、その辺を御答弁願いたいと思います。
  21. 床次徳二

    床次国務大臣 これは日米琉諮問委員会答申がありました結果、それを基礎といたしまして立法いたした次第でありまして、当然これに対して民政府のほうも趣旨は了承しておりますし、また、琉球政府のほうにおきましても了承しておるものでございます。
  22. 依田圭五

    依田委員 大統領の行政命令があるわけなんですが、これがあらゆる点において影響を与えてくる。特に十一節の(a)項ですね。B52やその他のランパート弁務官が新聞記者発表しておるような問題もあとで触れたいと思いますが、これを一体、もうことしの六月には外相が訪問をするとか、十一月には総理が行くとかいうような形の中で、七〇年問題を直前にして、七二年時点には政府としても何とかしたい、目安を立てたい、あるいは返還実現を期したいということを言われておる現在、こういうようなものが残っておる。行政命令、こういうような極端な形の制約がある。これは当然、削除について絶えず日本政府努力をしておると思いますが、特にがんばってもらうというか、これについては非常に理不尽な規定だと私は思うのです。琉球政府司法権警察権その他につきましても、いろいろの制約があるわけです。これについて何らか努力をなさっておられますか。
  23. 床次徳二

    床次国務大臣 ただいま御指摘の第十一節(a)項というのは、これは高等弁務官権限に関連するものでありまして、今日まで施政権アメリカが行使し、その施政権に基づいて高等弁務官沖繩施政に当たっておりましたので、こういう規定が存在しておるわけでありまして、将来復帰になりました際におきましては、当然これは変わるべきものであります。したがって、今日まで、この内容となすものにつきまして、直接施政権関係いたすものにつきましては、日米のいわゆる施政権返還交渉日本政府要望としてすでに述べられております。個々の具体的な項のあらわれにつきましては、絶えず日米の間において話が進んでおるわけでありまして、常に基本的な日米の話し合大のもとに、高等弁務官も仕事をしておるのであります。しかし、根本的には、何と申しましても、施政権返還の時期を待たざるを得ないと考えております。
  24. 依田圭五

    依田委員 この行政命令の十一節のように、こういう琉球政府の「すべての立法案、その一部又はその中の一部分を拒否し、」「すべての立法、その一部又はその中の一部分制定後、四十五日以内に無効にし、」「いかなる公務員をもその職から罷免することができる。」その他にもありますけれども、こういうような形の中で、この免許試験及び免許資格特例に関する今回の提案になりました法律案、こういうようなものを特に取り上げて、一体化の具体的な促進にするのだというようなせっかくの努力でありますからけっこうであります、それはそれなりの前進でありますから。   〔委員長退席臼井委員長代理着席〕  しかし、こういうような大きな制約を残したまま——これは一総理府の問題ではない。国と国との外交チャンネルを通した、はっきりした交渉を持たなければどうにもならぬ問題であるという総理府長官の御答弁はわからぬではないのですが、単に目先といっては先礼ですが、試験あるいは免許の問題について一体化をはかるのだという努力、まあけっこうであります。しかし、もう少し大きな観点というか大きな立場から、こういう問題に同じようなエネルギーを投入して取り組んでもらわないと、たくさんの問題点がむしろ発生してくる。極端に言えば、諮問委員会を廃止してはどうかというようなことが沖繩のほうから声としてあがってくる、こういうようなことも私はあると思うのです。非常に怠慢なんということばは使いたくないのですが、努力をもっと積極的にすべきではないか。今回の免許資格一体化、けっこうであります。しかし、そういうことに目を奪われるというか方向ばかり与えられますと、もっと大事な問題が置き去りになって、そして沖繩問題というものは、何かそういう形で解決方向へ進んでおるのではないかというような幻想的なものというか、諮問委員会の廃止を沖繩のほうから——今度の法律は、諮問委員会諮問答申に対する高等弁務官了解という手続を経て国内法立法ということになっておるわけですが、よけいなことなんだ、必要ないんだ、もっと大きな問題に取り組んでもらいたい、と言っては悪いが、枝葉末節的な問題について政府が骨折るのはけっこうである、けっこうであるけれども、むしろそれは逆説的な言い方をすれば、まずい方向へあるいは力作用として影響するかもしれない、だから諮問委員会はやめてもらいたいというようなことが沖繩から起こっておるという現実を、私は無視することができないと思うのです。そういう意味においては非常に怠慢というのですか、努力が不足というか、私は、もっと決意を新たにして取り組んでもらうべきことが少し軽く扱われておるのではないかと思うものですから、その点について重ねて御質問申し上げます。
  25. 床次徳二

    床次国務大臣 ただいま御意見がありましたが、一体化に対しましては、これは本土復帰の際におけるところの摩擦をなくし、円滑にこれが実現できるようにあらゆる面において努力しておるのでありまして、非常に広範なものになっておるわけであります。政府でもって具体的な一体化計画というものを立てました際におきましても、これは自治権拡大をはじめ、一般の経済社会教育全般の問題になっておるのであります。しかし、今日御論議を願っておりますところの資格の問題につきましては、きわめて部分的なもののようでありますが、しかし事は法律事項でありまして、法律でもって解決しなければ実現できないことであります。その他の問題は、予算その他の措置において大体できるし、むしろ沖繩側におきましてこれに対応する立法をいたしますならば実現できるものが多い。本土において直接講じなければならぬ問題はわりあいに少ないのでありますが、この資格の問題だけは、何といたしましても本土法律として取り扱わなければ解決つかない形になります。私どもから申しますと、あるいは御意見によればささいな問題のようにもおとりになるかと思いますが、必要な事項でありますので、これを御提案して実現いたしたいと思うのであります。また、本質的な問題につきましては、いわゆる一体化政策といたしまして非常な広い範囲にわたって本土においても実現し、また、地元に対しましてもこの受け入れ体制をしてもらっておる次第であります。  なお、一体化に対して反対する意見地元にないではないと思いますが、しかし、これはその当初におきまして、一体化ということが現状の固定化である、アメリカ施政権固定化であるということではないかという疑念を持っておったために、これが反対としてあらわれたのだと私ども理解しておるのでありまして、しかし、現実において復帰の問題がどんどんと実現し、なおその復帰準備として一体化が行なわれておって、その一体化の結果著しい復帰体制というものの前進があるということがわかってまいりますと、この点は諮問委員会の効用というものですか、その効果が非常に大きなものだということに対して、漸次地元において理解されておると思って私ども観測しておるのであります。したがって、屋良主席自体におきましても、諮問委員会に対しまして従来しばらくの間様子を見ておったようでありますが、最近積極的に諮問委員会に対しまして——積極的にというよりも、いままで中止されておりました諮問委員会活動に対しまして、琉球政府といたしましてもその代表を通じまして動き始めたことは、御承知のとおりであります。
  26. 依田圭五

    依田委員 私は、ささいな問題なんということは一言も考えていないし、何十件かについて今回免許資格を与えるということはたいへんなことだ。おそらく国民生活といいますか経済一体化、それから行政水準一体化、その他資格も、その中核をなすたいへんな問題であると私は思っております。しかし、もっと一体化の基本になる問題が行政命令の十一節ですね。こういうような理不尽なものを温存しておいて今回のような法律——これはいろいろ諮問委員会諮問が出ておりまして、私の調査でもずいぶん出ております。もちろん完全一致ですから、高等弁務官が拒否したものはこのうちほんの数件にしかすぎないという資料も出ておりますが、昨今の報道によると、沖繩自体のほうからむしろ諮問委員会設置について疑問を投げかけておる。たとえばB52の撤去問題あるいは原潜の寄港問題、これらにつきましても、昨年の十一月でありましたか、あれが爆発をした。それまでは昔の軍隊でいうと統帥権の問題といいますか、軍の命令関係ですが、爆発をして、そこで死傷者が出たり、死傷者が出ないまでもいろいろ民生上の諸問題を発生させる。それは私たちの理解では、これは諮問委員会設置条項の第二項ですね。「諮問委員会目的は、琉球諸島施政権日本国返還される時に同諸島経済社会構造日本本土におけるものと円滑に統合されるように準備を行なうため、ならびに琉球諸島住民経済的な安定、保健、教育および福祉を増進するため、高等弁務官権限内にある経済的および社会的事項ならびに関連事項について、高等弁務官に対し、助言しおよび委員間で合意された勧告を行なうこととする。」こういう規定がありますね。当然このカテゴリーの中に入る、屋良主席もそう思っておったわけですね。しかし、推移を見てくるとどうもそうではない。ですから、沖繩立法院においてもこれに対して、むしろ沖繩の場合には自由民主党で構成しておる野党でさえも、今回のランパート弁務官記者会見は少し越権行為ではないかというような声さえも起こっておるということを私は聞いておるわけです。これについて総理府長官の御答弁を願います。
  27. 床次徳二

    床次国務大臣 いまの沖繩住民の、たとえばB52あるいは原潜そのほかの問題でありますが、諮問委員会において積極的にその議題としたいという要望があることは、私ども承知しております。しかし、元来、日米琉諮問委員会というもの自体は、高等弁務官に与えられました権限範囲内におきまして、日米琉において話し合うということになっております。したがって、高等弁務官権限に属しないものに対しましては、諮問委員会といたしましてはその活動を行なうことができないのであります。根本的に考えますと、先ほど以来御指摘問題等、特に行政命令問題等に関しましては高等弁務官権限に属しないことで、行政命令によって高等弁務官権限を与えられておるわけでありますから、その範囲内にとどまる。それ以上の問題に対しましては日米間の根本的な問題によって解決できる。  具体的に申し上げますと、今日施政権返還のめどをつけるということが私ども一番必要なんで、施政権返還によりまして行政命令そのもの自体が根本的に異なったものになるのだ、かように考えておる次第でありまして、今秋の佐藤・ニクソン会談というものに私どもは期待いたしておりまして、一日もすみやかに復帰の問題が軌道に乗っていくことを要望して、その実現につとめておる次第であります。したがって、諮問委員会にかからない問題につきましては、これは当然日米外交問題等において取り扱ってまいっておる次第であります。  沖繩のほうにおきましては、そういう外交的なチャンネルというものを全部諮問委員会でもってやらせるというような希望も持っておられるかと思うのでありますが、この点は、諮問委員会設置いたしましたときの趣旨から申しまして、実は適当でないというふうに私ども考えておるのであります。したがって、琉球政府におきましても、この諮問委員会権限拡大したいという御要望のあることは私どももわかっておりまするが、しかし、元来権限外のことでありますので、その点、権限外の問題につきましては、本土政府自体が外交問題によって処理するという方針をとっておる次第であります。
  28. 依田圭五

    依田委員 諮問委員会そのものの構成は、アメリカ代表と日本の代表沖繩代表ですね。高等弁務官アメリカの国防関係、つまり同一の人間が、軍の指揮系統と行政面とに分けて、司令官と高等弁務官に分けておるわけですね。もちろん自然人としては同一人格です。ですから、諮問委員会で日本、アメリカ琉球の各政府代表といいますか、一国の代表が集まって合意した、あるいはそこに議題に上げることについて合意をする、あるいは議題に上げて討議した結果合意した、そういうような問題を、法の機構上では拒否権といいますか否定する権利が高等弁務官にあるわけですね。与えられておる。今回、屋良さんのほうでいろいろの問題を諮問委員会に出す。諮問委員会規定というのは、御承知のように、第二項でもって「経済的な安定、保健、教育および福祉を増進するため、」またはそれに関連をする事項一般について助言、勧告を行なうときまっておりますから、これ自体の解釈権は諮問委員会にあるわけでしょう。諮問委員会の決定事項高等弁務官が拒否するかどうかということは、それは拒否権は弁務官にありますよ。しかし、今回ランパート弁務官が、B52撤去問題や原潜寄港の中止問題について諮問委員会事項でないということを新聞記者に発表をして、諮問委員会に対して一つの予見を与える、諮問委員会の守備範囲についてカテゴリーを与えるということは、私はおかしいと思うのですよ。先ほどの総理府長官の御答弁は、それについてはもっともであるというような御答弁であります。それはもちろん日本政府代表としての御答弁だと思うのですが、そういうふうに理解してよろしいですか。
  29. 床次徳二

    床次国務大臣 高等弁務官の立場と申しますのは、行政命令によりまして与えられた権限がきまっておるわけでありまして、高等弁務官権限外の問題を諮問委員会が議するということはないわけであります。今日まで諮問委員会でもって決定いたしました問題に対しまして、高等弁務官が拒否するなんという態度はもちろんとるべきではないし、そういう権限はない。そういう役割りを諮問委員会としては果たしておるわけで、御指摘の問題につきましては、これは高等弁務官権限の解釈の問題であろうかと思いまするが、事軍事に関する問題につきましては、先ほど御指摘のように同一人が軍事方面も兼ねてはおりまするが、しかし、高等弁務官としましては軍事に対しては権限を持たない。私は、そういう立場からの発言であろうかと思っておるのであります。
  30. 依田圭五

    依田委員 長官、私はこういうことを聞いておるのですよ。諮問委員会というのは、機構上は高等弁務官拒否権の中に入っております。しかし、それぞれ独立の三国の代表でありますから、その立場は広いわけであります。そこへ琉球政府代表議題として提案をした。そこで合意された。それを過去において高等弁務官がキャンセルしている例が数件あるわけです。私はそういうことも理解に苦しむのですが、しかし、今回のように新聞記者発表でもって、これこれの議題諮問委員会に上程すべきではないとかあるとか、たとえばB胆の撤去問題、これについては触れるべきであるとかないとか、ランパート弁務官が言っておりますね。こういうことは、私は行き過ぎじゃないかと思うのですよ。私はそういう批判をしているのです。これについて日本政府の見解を私はお聞きしておるわけです。
  31. 床次徳二

    床次国務大臣 ただいまのおことばの中に、諮問委員会で結論が出ましたものを高等弁務官が拒否していることが数回あるというお話でありますが、今日までの事態におきましては、諮問委員会で結論が出ましたものにつきましては、拒否したことは全然ないのであります。諮問委員会の結論に対しましては、日本政府も、また琉球政府も、米民政府も、みんなこれを実現するように十分協力をいたしておる次第であります。  なお、高等弁務官権限に関することにつきましては、他の政府委員からさらに御説明を申し上げます。
  32. 大河原良雄

    ○大河原説明員 諮問委員会の組織及び任務に関します日米間の交換公文の中におきまして、その第二項に諮問委員会は、「高等弁務官権限内にある経済的および社会的事項ならびに関連事項について、高等弁務官に対し、助言しおよび委員間で合意された勧告を行なうこととする。」、こういうふうに書いてございまして、高等弁務官権限内に何があるかということにつきましては、行政命令によりまして与えられた権限内に何があるかということを高等弁務官が自分で最もよく承知し得る立場にある、こういうふうに考えております。したがいまして、諮問委員会高等弁務官に対して助言ないし勧告を行ないます場合には、当然その対象となりますのは高等弁務官権限内にある事項に限られる、こういうことに解せられるわけであります。
  33. 依田圭五

    依田委員 二点聞きますが、一つは、先ほどの諮問委員会答申事項高等弁務官がキャンセルした例は一件もないのかどうか、重ねてこれは事務的な質問ですが、いたします。私は数件あると理解しているのです。
  34. 床次徳二

    床次国務大臣 キャンセルした事例はございません。
  35. 依田圭五

    依田委員 それから第二は、高等弁務官拒否権は確かにあります。決定を否定する権利はありますけれども諮問委員会に要する交換公文の第二項で与えられておる任務、助言、勧告、民生あるいは経済またはそれに関連する事項、みずから判断をしてアメリカ代表アメリカ代表——アメリカ高等弁務官の守備範囲を越える立場でアメリカ一国を代表し、日本の代表は日本全体を代表し、琉球琉球代表して、そういう広い立場の、その諮問委員会でみずから第二項に属する自分たちの討議事項として考えられると思うことを討議して決定をして、それを答申する。答申されたものに対して高等弁務官がキャンセルすることはけっこうであります。これは権限事項でありますから、けっこうであります。しかし、その討議内容まで高等弁務官がいろいろあれこれ言うべき立場に、私はないと思っております。今回、四月十七日の新聞発表で新聞記者に対してランパート弁務官が、B52の撤去問題、原潜寄港の中止問題について、私の権限外の事項であるということをはっきり言われて、沖繩立法院やその他をたいへん刺激しております。そういうことに高等弁務官諮問委員会の結論以前において触れるということが一つの越権行為ではないか、行き過ぎではないかという点と、当然、この弁務官の発言諮問委員会の自主性を否定する干渉、介入ではないかという角度からの批判を沖繩でいたしております。その点について重ねて御質問いたします。
  36. 床次徳二

    床次国務大臣 ただいまの諮問委員会に対するお尋ねでありますが、これは日米の話し合いによりまして決定いたしたものでありますので、外務省から御説明いたします。
  37. 大河原良雄

    ○大河原説明員 先ほど私御答弁申し上げましたように、諮問委員会は、高等弁務官権限内にある事項につきまして高等弁務官に対して助言ないし勧告を行なうということを目的といたしておりますので、高等弁務官権限内にない問題につきましては、そもそも諮問委員会としては助言ないし勧告を行ない得る立場にないわけでございます。したがいまして、今回の問題につきましては、高等弁務官は、先ほど来御指摘の件につきまして、自分の権限内にないという趣旨におきまして諮問委員会権限外の問題である、こういう発言をしたものであろうというふうに考えております。
  38. 依田圭五

    依田委員 その諮問委員会議題はどこできめるのですか、どういう形で提案されるのですか、それをまず聞きます。
  39. 山野幸吉

    ○山野政府委員 議題は、原則として各政府代表が、それぞれ本国政府の意向を受けて提案をするということでございます。   〔臼井委員長代理退席、委員長着席〕
  40. 依田圭五

    依田委員 そうしますと、高等弁務官には拒否権はある、しかし、議題提案権はないわけでしょう。その点をお聞きします。
  41. 山野幸吉

    ○山野政府委員 諮問委員会勧告します場合は、この提案された議題を各政府代表がそれぞれ本国の意向を受けて検討しまして勧告いたしますから、その結果に対して高等弁務官が拒否するという事態は起こらないわけでございます。
  42. 依田圭五

    依田委員 こういうことを聞いているのです。諮問委員会議題提出権、議題提出する上程権、これはどこにあるのですか。高等弁務官がその議題をきめるのですか、それとも諮問委員会が独自に、三国のそれぞれの代表がそれぞれ判断をして議題を持ち寄るのですかと聞いている。
  43. 山野幸吉

    ○山野政府委員 三政府代表がそれぞれ議題を出すのですが、その場合、諮問委員会の議事の日程その他いろいろ問題がありますから、それは議長等とはかって、それぞれの政府から出た議題を整理して諮問委員会議題とするわけでございます。もちろん高等弁務官議題提案するということはございません。
  44. 依田圭五

    依田委員 そうしますと、高等弁務官議題提案するのではない。提案権はない。拒否権はあるけれども提案権はない。諮問委員会の構成委員は、それぞれ高等弁務官よりも——高等弁務官は軍政と行政と、昔の日本のことばで言えば統帥権統帥権以外の行政権について権限があるわけです。自然人としては同じ人間が司令官と行政官を兼ねておりますけれども諮問委員会の構成員は、それぞれ本国の代表アメリカアメリカ代表、日本は日本の代表ですね。それが議題を決定するその議題について、高等弁務官が、議題の結論が出る以前に、この議題は自分の職権事項であるとかなんとかいって予見を与えることは、行き過ぎではないかどうかということについてあなたに御質問申し上げます。
  45. 山野幸吉

    ○山野政府委員 先ほど御指摘高等弁務官発言につきましては、外務省のほうから御答弁のあったとおりの解釈で高等弁務官は見解を表明されたものと思うのであります。しかし諮問委員会は、高等弁務官の従属機関ではございませんから、独自に諮問委員会として判断されるものと私は考えています。
  46. 依田圭五

    依田委員 おかしいじゃありませんか。権限のない者が自分の権限外の事項について新聞記者に発表して、それに対して一つの予見を与えるということは行き過ぎじゃありませんか。私はそう思いますが、日本の政府の外務省の代表としては、どういうお考えを持っておるのですか。たとえばさっきの御答弁では、高等弁務官はその権限内のことについて考えるというような御答弁をしております。権限外のことはキャンセルする、しかし権限とは一体何か、諮問委員会権限というものは、交換公文の第二項にはっきり書いてあるのです。まず、琉球諸島住民経済的な安定、保健、教育、福祉を増進するために、それらの関連事項、これについて勧告、助言をすることができると明記してあるわけです。その勧告権は、諮問委員会の構成メンバーにあるわけですね。それを提案権のないランパート高等弁務官が公式の新聞記者会見、要するに日米琉の国民に対して予見を与えるということは、私どうも理解できないのですが、これは総理府総務長官の御答弁をひとつお聞きしたいと思います。
  47. 床次徳二

    床次国務大臣 これは、高等弁務官との間にどういうやりとりがあったのかということにつきましてつぶさに存じませんが、しかし、先ほど来御説明申し上げましたように、諮問委員会の性格というもの、また権限というものがありまするから、高等弁務官はみずからの権限に顧みまして、この点に触れたのだと私は考えます。
  48. 依田圭五

    依田委員 どうも話がくるくる回るわけなのですが、高等弁務官は、拒否権はあるけれども議題提案権はないのですよ。それから議題に上げるのは、包括的な規定しかないのですよ、交換公文の第二項で。先ほどから何度も言いますが、経済、保健、教育、福祉、またその関連事項ですよ。B52が空を飛んでいる限りにおいては軍司令官の所管事項であっても、去年の十一月のように、ああいう不測の事態が起こって爆発事故を起こせば、直ちにそれが経済にも、教育にも、民生にも、沖繩の島民の生命にも関する関連事項ですよ。これは三国の諮問委員会のそれぞれの政府代表議題を持ち寄って、議題としてこれを討議して高等弁務官答申する、意見具申をするわけです。意見具申されたものを高等弁務官がキャンセルする権限、これはあります毛拒否権はありますよ。だから、その時点において、諮問委員会の結論が出てから断わればいいのです。自分の職権事項だから、断わればいいのです。それを、まだ討議の結論の出ない段階において、高等弁務官がその内容についてあれこれ、最も公式の場所である新聞記者会見等においてこれを発表するということについて、日本政府の見解はどういう批判を持っておりますか。それを是認しますか。それに対して日本政府としては、みずから諮問委員会に高瀬代表を送っているわけですから、総理府総務長官として何かあると思いますから、それを聞きたい。日本人の立場に立って、沖繩の島民の立場に立ってそれをお聞きしたいのです。
  49. 床次徳二

    床次国務大臣 高等弁務官といたしましての権限の問題だと思っておりまするが、この点は非常に軍事的な要素も強いので、根本的には私は高度の外交的な折衝によって解決するものであろうかと思います。したがって高等弁務官自体といたしましては、自分の権限にないのだという発言をいたしたものと私ども考えておるのであります。
  50. 依田圭五

    依田委員 それでは、新聞記者発表というのは、公式な発表でありますか私的な発表でありますか、まず、それから総理府総務長官の見解をお聞きします。
  51. 床次徳二

    床次国務大臣 高等弁務官の新聞記者発表がどういう形式で行なわれたのか私存じませんので、私どもがかれこれ申し上げる余地はありません。
  52. 依田圭五

    依田委員 総理府総務長官は、沖繩立法院でも沖繩政府関係でも非常に問題になっている四月十七日のランバー上局等弁務官の新聞記者発表について、そういうことについての記事に全然目を通さずに、また、あなたの部下からも意見を聞かずにこの委員会においでになったわけですか。
  53. 床次徳二

    床次国務大臣 新聞記者会見の効果というものにつきまして、これはどういう効果があるのかということになりまするが、高等弁務官が公式の新聞記者会見をやって、その発言であると私は考えております。
  54. 依田圭五

    依田委員 新聞記者会見が公式の発言であると規定をすれば、私もそう思いますし、あなたもそう思うということになると、諮問委員会が取り上げる以前に、諮問委員会議題について、拒否権しか持っておらない、提案権のない高等弁務官がそれをはっきり言明するということは、これは適当なことでありますか、それとも行き過ぎでありますか。それについて長官に御答弁を願います。
  55. 床次徳二

    床次国務大臣 先ほど重ねてお答えを申し上げているわけでありますが、高等弁務官権限に属することに対しては、諮問委員会勧告なり意見を言う立場になっておるのであります。したがって、高等弁務官としての気持ちを推測いたしますのに、諮問委員会答申いたしましても自分の権限にないことは自分ではできない、こういう立場で申したのだろうと私は考えているわけであります。
  56. 依田圭五

    依田委員 自分の権限といっても、こういう包括的な、一九六八年の交換公文の第二項、これが諮問委員会の任務、権限ですね。いいですか、私は何度も言いますが、経済、保健、教育、福祉、またそれの関連事項、こういうように包括的な権限できめられているのです。高等弁務官は、それに対してはっきり——諮問委員会は文字どおり諮問でありますから、その諮問された事項は、自分の職権を発動してどんどん拒否すればいいのです。キャンセルすればいいのです。議題に上がる前に公式の新聞記者発表という形でもって予見を与えることについての日本政府の見解を聞いているんですよ。総理府総務長官の見解を重ねて聞きたい。
  57. 床次徳二

    床次国務大臣 ただいまの問題は、私は、諮問委員会自体がどういうふうに考えるかということでもってきまると思うのであります。しかし、諮問委員会の設立されました趣旨からいいまして、軍事的なものには関係がないというふうに私ども理解している次第であります。
  58. 依田圭五

    依田委員 軍事的なものとか軍事的なものでないとか、そういうふうにさい然とセパレートして考えられるものじゃないんですよ。さっき言ったように、B52が一つでも空を飛んでいる以上は軍事的なものでありましょう。しかし、地上において爆発したその瞬間に、もちろん軍事的な面もあるけれども経済、保健、教育、福祉というか、むしろ生命にとってたいへんな問題が発生するのですから、関連事項と明記してあるんですよ。それを何で諮問委員会議題に構成国の一国がこれを取り上げることについて、これが行き過ぎだということになりますか。琉球政府なら琉球政府あるいはあなた自身が日本の代表命令して当然取り上げさせるべきだと私は思いますが、それに対して新聞記者発表という最大級の公式の場所において、はっきり自分にキャンセル権があるにもかかわらず、その提案権にまで干渉することについて、あなたは同じ日本人としてどういうような考えを持ちますかということを聞いているのです。
  59. 床次徳二

    床次国務大臣 私自身といたしましては、B52の問題につきましては、これは日米間の問題である、むしろ外交交渉において解決すべきものであるというふうに考えております。従来からも日米間の外交チャンネルを通じまして、日本政府の意向というものがしばしば表明されておるのでありまして、住民の福祉にも関係することが非常に大きいのでありますので、重ねて数次にわたりましてこの点は、日本政府といたしまして米国側に申し入れをいたしておることは御承知のとおりだと思います。
  60. 依田圭五

    依田委員 B52は軍関係のことであると一言でもって形式論理的に片づけられると、これは何にもないわけですよ。それでは極端に言えば、沖繩には諮問委員会にかける議題はないということなんですよ。ですから、沖繩の内部から、諮問委員会はもう不必要ではないかということを、屋良主席その他立法院の与野党を通じて意見が出ておることは、新聞報道がはっきり言っておるわけですよ。これについて、総理府長官代表かどうか——総理府の長官でありますから私は代表だと思うのでありますが、総理府長官がもう少し明快な御答弁を、日本人の立場で、日本政府の立場で、あるいは高瀬代表に対してあなたは指令を出せる立場にあるわけですから、もう少し積極的な御答弁をいただかないと、全然諮問委員会なんていうものは、私が考えてもナンセンスになってくるわけですよ。
  61. 床次徳二

    床次国務大臣 私は、諮問委員会が自分の権限と考えて処置いたしますことにつきましては、やはり非常に効果があると思うし、過去においても私は効果があがっておると思います。しかし、諮問委員会でできないことにつきましては、われわれは、日米の外交ルートによって解決する、こういうたてまえで今日まで努力しておるわけであります。
  62. 依田圭五

    依田委員 質問答弁がくるくる回るんで——私は、弁務官は諮問委員会答申を受けて拒否すればいいと思う。拒否権を発動すればいいと思うんですよ。諮問委員会にかかる議題を事前において高等弁務官が、議案の提案権のない者が、言いかえれば解釈権のない者が、交換公文の第二項の解釈権のない者が——これは包括的な規定でありますから、だれにも解釈権はありませんよ。関連事項といったら、全部関連事項じゃありませんか。まして、B52が爆発して、そこで殺傷事件が起こったり、家が飛んだり、道路が飛んだり、いろいろ被害があったりした場合に、これは民生の関係事項でない、あるいは教育関係事項でない、経済関係事項でないということがどうして言えますか。あるいはその他包括的な関連事項について、諮問委員会権限内にあるということが明記されておるじゃありませんか。そういうような諮問委員会の運営に、弁務官が新聞記者発表において予見を与えるような処置に対して、あなたは日本政府代表としてどういう見解をお持ちですか、これを聞いているんでありまして、軍のことは軍司令官、行政のことは弁務官、弁務官の判断は弁務官の職権内の問題である、これは弁務官の判断であるというあなたの御答弁は、総理府長官に聞かなくても、これを読めばこの規定の中に書いてあるわけです。この規定からはみ出るたくさんの問題がある。関連事項ということばの概念は広過ぎて、その解釈権はどこにあるか。少なくとも高等弁務官にはないんです。これは諮問委員会にある。諮問委員会議題に供して、答申内容をつくって、答申を受ける受けないは、これは弁務官にあるんですよ。それを事前に弁務官で制約したならば、諮問委員会の討議なんていうのはナンセンスになるじゃありませんか。それは、弁務官自身が諮問委員会の権威を失墜させることになる。諮問委員会権限その他を奪う。極端にいえば、存在そのものを否定することになるわけです。答申を受ける客体、その本人である弁務官が、みずからその下部にある重要な、しかも一国代表のこの三人の、視野の広い諮問委員会議題内容について制限を事前から与えるということになりますと、これは機構そのものがナンセンスになると思いますよ。それについての総理府長官としての御意見を聞きたいわけなんです。
  63. 床次徳二

    床次国務大臣 先ほども申し上げましたように、今回の問題につきましては、諮問委員会自体議題として取り上げたところまではまだ至っていないんじゃないかと私は推測いたしますが、諮問委員会の出しました結論に対して、高等弁務官が拒否その他実行しなかったということも過去においてなかった、かような立場から、私は、諮問委員会が十分に今後とも目的を達することを要望しておるのであります。しかし、諮問委員会でもって取り上げることが不適当だと考えますことにつきましては、私どもは、諮問委員会権限のないものに対しましては当然日米交渉において、十分地元意見代表し、なお日本政府意見代表して、外交ルートによってこれを解決する。これが従来からのあり方であり、また諮問委員会におきましても、そういう立場において活動をいたしておるものと考えております。
  64. 依田圭五

    依田委員 これは本法律質問とは関係がないので、できるだけ早く終わりたいのですが、どうもその点をはっきりしてもらわないと、むしろ試験免許その他も重要ではありますけれども、こういうようなものを、私は、最初第一の質問の中で、この法律趣旨はけっこうであり、われわれも賛成します、しかし、こういう形で、極端にいえば、麗々しく法律案として提案する必要があるのか。たとえば公認会計士一つをとってみても、これはもうどこでも試験を受けられるのです。これは諮問委員会答申をし、高等弁務官了解をしてやれば、沖繩にも関係法律があるのですから、これは日本の法律公認会計士資格が与えられておるのですが、試験の受験地について制限はないのですから、沖繩であろうが、アメリカであろうが、どこであろうが、向こうで受けさせるというなら、これは日本の国内法に従って、試験資格を与え、免許を与えるわけですから、私は、こういうように、この国内法法律制定しなくてもできるという見解を持っておるわけなんです。まあそれは、私も研究不足のところもあるでしょうから、遠慮しておきます。これから質問で聞いていきたいと思うのですが、一番前提になるもっと大きな問題について何ら努力をしない、怠慢であると思います。  そういう問題について、たとえば高等弁務官諮問委員会議題について事前に制約をする、何でもいいから第二項に関連をする事項についてどんどん答申させたらどうですか。そうして自分の気に食わないことは否定したらどうですか。それが機構上きめられておる高等弁務官権限じゃありませんか。事前に新聞記者に発表して、これこれの議題は受け付けるが、これこれの議題は受け付けないなんといったら、これはナンセンスになりますよ。それじゃ、答申内容を一つもキャンセルしたことがないということは、私は自慢にならぬと思うのですよ。諮問委員会がみずから議題とするに足りると思ったことはどんどんやって、そのうち合意に達したものは答申して、それについて断わればいいじゃありませんか。権限を発動すればいいじゃありませんか。  今回の四月十七日の新聞記者発表のような、あのランパート弁務官議題内容についての発言は、私は行き過ぎだと思うのですが、総理府長官はこれについて同じように行き過ぎとお考えになるかどうかを、さっきから何度もくどく聞いておるのですが、その質問には何らお答えにならぬで、法規に書いてあることを形式論理的な御答弁しかいただけないということについては、私は——B52は軍の問題である、これは当然であります、そう書いてあるから。しかし、これによって起こされた爆発事故、また保健衛生、民生、その他それに関連する事項は、諮問委員会議題であると明記してあるのですから、それについての新聞記者発表は、行き過ぎであるかないかを聞いているのです。それを重ねてお伺いしたい。
  65. 床次徳二

    床次国務大臣 先ほどもお答え申しましたが、諮問委員会は、与えられた権限によりまして活動いたしておるわけであります。私は、十分これは活用されて、効果があると思っておりますが、今回の問題につきましては、高等弁務官が、自分に属せられたところの権限というものに対して、自分はそういうふうに考えるのだと自分の権限について説明をいたしたものと考えておるのであります。したがって、この点は高等弁務官自身の考え方でありまして、私どもからかれこれ批判する余地はないものであります。  なお、諮問委員会自体といたしまして、この問題は、まだ諮問委員会自体としての議題にはなっていないと思うのであります。諮問委員会でもって委員がそれぞれ意見を求めておる次第だと私は考えております。
  66. 依田圭五

    依田委員 長官、議題になるならぬは問題じゃないのですよ。むしろならないほうが重要だと思うのです。議題になったということになったら、たいへんな問題ですよ。これを構成国の三国が、どなたか発言をして議題に供するわけですから、議題としてこれは一応採決するわけで、全会一致なんですから、議題になったら事実上高等弁務官はキャンセルできないです。ですから、議題になるならぬは問題じゃないのです。むしろ議題にならぬほうがより重要です。これから議題にしようと考えているやさきに、弁務官のほうからそれは困るとか、あれはいいとか、そういうことを言われたんでは——それも内々に当事者に言うならいざ知らず、新聞記者に間接話法でもって言われたんでは、これは機構に対する非常な侮辱でもあり、軽視でもあり、機構みずからの内容を否定することになるわけです。ですから、立法院屋良主席も、諮問委員会はちょっと疑問だ、一体そんなものはどういうことなんだ、必要がないんじゃないかという、弁務官の発言内政干渉ではないかということを沖繩立法院の中からはっきり言われておるわけです。こういう政治情勢というものは、総理府の長官としても見のがすことのできない非常に重要な情勢ではないか。これに対してあなたから、はっきり指導的な見解、意見というものをこの機会にこの席でお聞かせ願いたいというのが、先ほどからの私の努力なんです。もう一ぺん重ねて御質問いたします。そういう問題の御答弁をいただいたあとで、弁護士の資格であるとか、会計士の資格であるとか、電気工の資格であるとか、看護婦さんの資格であるとかたくさんあります。これも重要な問題でありますから一つ一つ質問いたしたいと思いますが、前提になる政府の姿勢について、まず明確にしていただきたいと思います。
  67. 床次徳二

    床次国務大臣 諮問委員会自体は、日米の合意によりまして設立いたしたものであります。今日まで相当大きな効果をあげておる。今後とも諮問委員会活動に期待いたしておる。日米琉それぞれの立場におきまして、ひとつ十分活用していきたいものと考えておるのでありまして、琉球政府におきましても、私は同じ気持ちを持っておるものと思うのであります。  ただ、高等弁務官発言は、先ほど来申し上げましたように、高等弁務官自体が自分の権限に対しての意見を述べたのだと考えておりますので、日本政府といたしましては、これを批判する限りではございません。
  68. 依田圭五

    依田委員 日本政府として批判する限りでない、そう長官に言われますと理解がなおできなくなるわけですがね。諮問委員会代表、これは日本政府代表ですね。言いかえれば、外務省なり総理府なりのこん然一体となった指導の中で指令が発せられたと私は思うのですよ。国家行政組織法上のこの諮問委員の所属がどこで、どこから手当が出て、どういう直属上司がいるということは別にして、一たび会議に臨めば日本政府代表ですから、当然それは総理府の長官というものが外務大臣とともに重要な関係を持っておると私は思うのです。まして諮問委員会の所管は総理府の所管、総理府法律の窓を通してできたものと私は理解しておるので、むしろこの問題についてあなたは、総理府所管事項について高瀬日本政府代表に対して、これこれの姿勢、これこれの提案を指令したい、要請をしたい、あるいは命令をしたい、私はそういうようなところまで含めて——そのやさきに、全く諮問委員会に所属しない、権限外の者から諮問委員会のあり方についてあれこれ発言があったわけですから、当然それについては、諮問委員会の構成メンバーに命令を与えるあなたが、日本代表に与える立場の者としてそれに対しては一言半句意見があってしかるべきものだと私は思っております。しかし、それは日本政府の所管事項外であるから私の言及すべき問題ではない、軽く一蹴されましたけれども、どうもそういうことでは、せっかく保母さんの資格だとか、看護婦さんの資格だとか、けっこうありますがね。それをこれから質問するわけでありますが、それらをせっかく答申したりあるいは審議した諮問委員会そのものが、琉球の立場から、琉球立法院なり何なりからむしろネガティブな、否定的な結論が出ておる。もう取りやめてつぶしたらどうだという意見さえ出始めておるという重大な情勢に対して、私は、この法案の審議もどうもちぐはぐな感じを持たざるを得ない、こう思うのです。重ねて御意見を聞きます。
  69. 床次徳二

    床次国務大臣 だいぶ諮問委員会活動に対しまして御疑念をお持ちのようでありますが、今日まで諮問委員会の功績を大きなものと私は評価しておるし、また今後とも諮問委員会に積極的に活動してもらいたいということを期待しておるのであります。私どもといたしまして、高瀬代表を通じまして、諮問委員会解決すべきものにつきましては解決してもらうべく今後も十分努力を続けるつもりであります。しかし、諮問委員会でもって議するに適当でないものにつきましては、これは日本政府自体アメリカ交渉して解決をはかっておるのでありまして、御指摘B52のごとき問題につきましては、すでに外務大臣からも私からもお答え申し上げておりまするが、数回にわたりましてアメリカに対しましては日本政府の意思というものを通じておるので、この意思におきましては、地元の県民の立場というものも十分配慮するようにという意見を加えまして申し述べてある次第であります。
  70. 中谷鉄也

    ○中谷委員 一点だけ私、関連をして質問をいたしたいと思うのです。  諮問委員会に関する法案提案されましたときに、私、本会議の中で総理に質問をいたしました。その中で私が質問をいたしましたのは、諮問委員会というのは結局屋上屋を架すものではないか、要するに、諮問委員会というものは枯れ尾花ではないかという趣旨質問をいたしました。総理はそれに対して否定をされた。ところが、先ほどから同僚依田委員が何べんも指摘いたしておりますように、沖繩においては、すでに諮問委員会というものは形骸化しているのだ、これは信頼できないのだ、だからこれは諮問委員会というものについての存在価値や利用価値はないんだというふうな動きが起こってきていることは、これは何といっても沖繩問題については非常にお詳しい長官、御存じのことであることはほぼ言うまでもないと思うのです。そういうふうな状況の中で、私は依田委員質問と同じ質問をするわけですけれども、一点だけお尋ねをいたしたい。  要するに、沖繩本土との一体化ということは、もう政府のうたい文句でございますけれども、その琉球政府が、原潜汚染の問題について、B52の問題について諮問委員会議題にしようとしているということについて、沖繩の中では練りに練って、これは諮問委員会の中でそのことを問題にすべきだといって議題に供そうとしているということになると、これは政府の立場としては、そういう沖繩の立場というものを支持する、そういうことでこそ本土沖繩一体化があると私は思う。しかし、先ほど長官の御答弁の中で、依田委員が何べんも同じことを掘り下げた質問をされたと思うのですが、その中で、B52の墜落によって起こったところの住民福祉の問題にも関係があるのだということは、長官自身の御答弁の中にあった。だとするならば、B52の墜落によって生じたところの衛生、住民に対する不安その他の問題というのは、それは諮問委員会議題なんだと現地において、はだをもって感じたところの沖繩県民の気持ち、それが諮問委員会の中で議題に供そうということになった。先ほどからの長官の御答弁によりますと、琉球政府がそういうように議題に供そうとして議題に供した。そのことについては、日本政府は、議題として適当でないなんということを、かりにそういうふうな意思表示を諮問委員会の中でされるということになると、これは本土沖繩一体化どころか、沖繩県民の本土政府に対する非常な疎外感を生むと私は思うのです。国政参加の問題についても同様だと私は思う。だからこの問題が議題に供されたときにおいて、弁務官の権限の有無について先ほど依田委員は掘り下げた質問をされたけれども、これが議題に供されたときに、この問題について高瀬代表がどのような意思表示をするか。そのことについて政府はどのように考えておるのか。これはやはり深刻な問題として検討してもらわなければいかぬ。この点についてはいかがでしょう。
  71. 床次徳二

    床次国務大臣 沖繩との一体化につきましては、ただいまもお答え申しましたように、諮問委員会が大きな役割りを果たしておるわけであります。ただ、対米関係におきましては、諮問委員会を通じて解決することが適当とするものもあるし、また諮問委員会権限というものの限度があることも私ども承知しております。そういう立場を考えまして沖繩全体の将来の一体化ということを考えておるわけでありまして、本土政府みずからがアメリカと折衝することを適当とするものにつきましてはそういうルートを使いますし、また諮問委員会でもって解決できますものにつきましては諮問委員会解決をするというのが、今日の私どもの態度でございます。
  72. 中谷鉄也

    ○中谷委員 一点だけ、私は関連質問ですから追加をしてお尋ねをいたしたいと思います。  私は、この一年間あるいは二年間、真の一体化とは何かということで論議されてきたと思うのです。そうすると、B52の問題を議題に供しようとする沖繩県民の気持ち、それを本土政府が支持をする、その問題についてそれが正しいんだということについて、ともに支持をして諮問委員会の中で議題に供する、そこでこそ諮問委員会というものが形骸化しないと私は思うのです。そうすると、長官のほうのおことばによりますと、いわゆる琉球政府が、B52の問題をはだで感じておるところの沖繩県民が、B52の問題を諮問委員会議題に供したというのは不適当なんだ、それは外交を知らぬからそういうことをしたんだとかいうふうなことの批判をされるわけですか。外交ルートが適当だなんて、外交ルートでらちがあかなければこそ、ほんとうに切実な気持ちで諮問委員会の中にこの問題を提起しているんじゃないですか。それについて長官の御答弁は、琉球政府のやっていることは不適当なんだ、正しくないんだというふうな批判をお加えになるということですか。これは、私は関連質問ですからこれ以上お聞きしませんけれども、私はあらためてこの問題についてお尋ねしたいけれども、長官の御答弁はそういうことなんですか。
  73. 床次徳二

    床次国務大臣 地元沖繩県民の意向というもの、これは諮問委員会でもって討議して述べるということにまかせるべきものではない。諮問委員会というのはきわめて限られた限度の活動しかできないものである、こういう規定がありますので不自由でございますが、しかし、われわれ本土政府のほうは、決して地元の意向に劣らず、やはり地元の意向を十分くんで対米折衝をいたしておることは、今日復帰問題等を取り上げていることを見てもおわかりでございまして、本土政府アメリカと折衝するということは、決して不適当なルートと私は考えていないのです。むしろそのほうがいい場合もあるし、地元にまかせないものにつきましては当然本土政府がやるし、また地元権限のないものにつきましては本土政府がやるということに、従来からもわれわれ最大の効果があがるように努力をいたしておる次第であります。
  74. 中谷鉄也

    ○中谷委員 もう一点だけお尋ねさしてください。  要するに、沖繩の県民はたまりかねてB52の問題を諮問委員会議題に供そうとしているわけでしょう。このことについて、だから本土としての選択は、議題としてそれが適当なのかというその立場をとるのか、適当でないという立場をとるのかということなんですね。逆にいいますと、そのことは、沖繩のそれが議題になるんだという立場と相反するわけでしょう。そうすると、法律の解釈においても、どちらが正しいのか正しくないのかという問題が出てくる。私は長官の御見解を承りたいけれども、いわゆる琉球政府B52の問題を諮問委員会議題に供することは、この諮問委員会法律的な性格から見て間違っておるとでもおっしゃるのか、それとも諮問委員会というのは本来たよりにならぬものだから、そういうところにそのB52のようなむずかしい問題は出すな、外交ルートで本土政府は間違いなしにB52の問題は解決をするという政治的判断から、そういう琉球政府議題に供そうとしておる態度について反対の、議題にはなり得ないのだというお立場をおとりになるのか。そうしますと、まさに本土一体化などということをおっしゃいますけれども沖繩本土との法律解釈において違うとでもおっしゃるのですか。私はそのあたりからひとつお聞きしたい。
  75. 床次徳二

    床次国務大臣 諮問委員会地元住民の福祉に関すること、社会保障その他の問題につきまして十分活動しておりまして、私は、今日まだ職務としてなすべきことがたくさん残されておると思うのです。やはりそういうことを引き続いてやってもらうことが望ましいと思っております。しかし、今日までの経過から申しまして、すでにB52の問題は本土政府として取り上げまして、対米折衝をずっとやっておるわけです。したがって、いま新たに地元でもってこれを取り上げることにつきまして、これは諮問委員会自体が決定することであろうと思います。しかし、それに対して弁務官が意見を述べたという事態の御指摘でありまするが、私は、それに対しては先ほど、アメリカの弁務官の行為であるから批判は避けるということを申し上げた次第でありまして、今日のB52の問題につきましては、本土政府といたしまして十分取り上げておるわけであります。  なお、福祉の問題等につきましては、これまたそれぞれの立場において解決をいたしておるのでありまして、今日の立場におきましては、私は本土政府のこの努力を十分地元として了解してくれると思っております。
  76. 中谷鉄也

    ○中谷委員 もう一度お尋ねします。屋良主席などがあるいは立法院などが練りに練って、その琉代表B52の問題を諮問委員会権限内の事項なんだ、そうしてとにかく提起しようとしておること、提起したこと、そういうふうな決定は本土政府の立場から見て、法律的にそれは間違いないんだとでもあなたのほうはおっしゃるのですか。言うてみれば、諮問委員会権限を広く解釈しよう、広く解釈しようということは少しでも、一歩でも一尺でも一寸でも、とにかく自分たちの福祉を守っていこうという立場だと私は考える。狭く狭く解釈していこうというのは、要するにアメリカの統治支配の構造を固定化しようという立場だと私は考えておる。だからまず私が聞きたいのは、法律的に一体そういうことができないとでもおっしゃるのか、政治的にそういうことは適当でないとおっしゃるのか。法律的な判断ということになればできるんだけれども、それはすべきでないとおっしゃるのか。そうでないならば、とにかく琉球政府諮問委員会に提起するというようなことは法律的に間違っておるということになるでしょう。そんなことがとにかく本土一体化なんですか。片一方の琉球政府は提起できるんだとしている。本土のほうはだめなんだ。法律的解釈が沖繩本土で違うようなこと、これはおかしいじゃないですか。私はもうとにかく当然できるという考え方に立っておる。本土政府がこれに対して不賛成だとは夢にも思わなかった。この点について、まず法律的に一体どうなんだというふうに政府は考えているのですか。
  77. 床次徳二

    床次国務大臣 本土との一体化につきまして、本土政府努力していることは当然でありまして、われわれは基本的には施政権返還ということに取っ組んでおる。単なる一体化の固定なんということを私どもは全然考えておらないので、今日までの実績をごらんになりますれば、着々これが進捗しているということはおわかりいただけるのじゃないか。ことしの秋の日米会談によってそのめどがつくというわけであります。そういうやさきでありますので、この点は御了解が願えることと思います。  なお、法律的解釈につきましては、外務当局日米交渉をいたしましたので御説明をされると思います。
  78. 中谷鉄也

    ○中谷委員 ちょっと御答弁の前に、おそれ入りますが、やはりこれは大事な問題ですから、長官のほうから御答弁いただけませんか。問題は、とにかくせっぱ詰まった気持ちで議題に供しているわけでしょう。それがとにかく法律的にできないんだというふうなことなのか。それは法律的に間違っているのだと頭からどやしつけるのと、とにかくB52の問題については政治的解決が適当なんだから、これについては、諮問委員会議題に供することは政治的に見て適当でないという判断をおとりになるのとはずいぶん違うと思うのですよ。ですから、やっぱり私は、長官御自身どうお考えになっておるのか。この法律ができて諮問委員会が発足いたしましてから、ずいぶん長いわけですからね。そのことについて私が法律的ということばを持ち出したとたんに外務当局なんて、私は外務当局の人に聞いているつもりはないので、一体琉球政府のやっていることは法律的に間違っているのか間違っていないのか、この点をひとつ長官がずばりと答えてください。
  79. 床次徳二

    床次国務大臣 これはもう先生百も御承知だと思いまするが、諮問委員会設置せられましたときに、諮問委員会の目標と申しますか、同時に権限というものがきまっておるわけであります。したがって私どもは、諮問委員会が、十二分にこれを活用して効果をあげるようにしてもらいたいと思っておるのであります。これはやはりああいう三者一体の会合でありますると、いろいろな意味において意思の疎通ができるのでありまして、その効果は、単なる法律権限とかなんとかいうことにとらわれずに、私は相当大きなものがあると思う。さような意味におきまして、今日まで答申いたしました諮問委員会の結論というもの以外に、大きく効果があったものと私は考えておるのであります。しかし、諮問委員会自体でもって扱うことが適当でないもの、あるいは扱えないものももちろんあるだろうと思います。私どもは、地元住民、県民の意向というものを十分踏まえて、今日日米折衝をいたしておるのであります。今日、諮問委員会がはたしてあの意向をどう取り扱いますかにつきましては、諮問委員会自体も考えることと思うのでありますが、いままでの状態から申しますると、本土政府努力というものを十分諮問委員会も知っていただきたい、私はこう思っております。
  80. 中谷鉄也

    ○中谷委員 あまりしつこく聞いたら委員長の御注意を受けますから、一点だけにしておきますが、ですからこの問題は——というのはもう問題は限っているわけです。B52の問題、この問題は、いま長官の御答弁になった、扱うことのできない問題なのか、扱うことを適当としない問題なのかということを私は聞いているのです。扱うことが適当でない問題だというなら、これは政治的な問題、判断の問題ですよ。扱うことができない問題だということになれば、これは法律的な判断の問題ですよ。扱うことを適当としないのは、政治的な判断でございましょう。扱うことができないというのは法律的な判断の問題でございます。権限の問題。いま長官が御自身おっしゃったのだから、それをどんずばり言ってください。そうなってくると、私はもう一度あらためて沖繩の県民諸君とも話をして、政府はこういうふうな見解を持っておる、——私はきょう法律的な見解は述べませんけれども、当然扱うことができる問題であり、扱うことが適当な問題だというように私は考えておる。だから、長官の御答弁の中にあった、扱うことができない問題なのだとでもおっしゃるのですか、それから扱うことが適当でない問題だとおっしゃるのか、まずそこから出発してください。あと依田君に譲りますけれども、どうも先ほどからの長官の御答弁——その点についてひとつ核心に触れて御答弁いただきたい。
  81. 床次徳二

    床次国務大臣 この問題は、先ほど以来申しましたように、本土政府におきましてアメリカと折衝している問題であります。これがずっと続いている問題であります。したがって、いまあらためて諮問委員会でもって討議するということに対しまして、これはどういうことになりまするか、私どもは、本土政府というもののあり方に対しまして、地元としても十分理解してもらいたいと思っておる次第でございます。
  82. 中谷鉄也

    ○中谷委員 わかりました。そうすると、結局、従来からの経過が続いておるから、扱うことが適当でないという問題だから、扱うことはできる問題なんですね。扱うことはできるのだけれども、従来からの経過があるからという問題なんですね。そういう趣旨で御答弁になったのですね。
  83. 床次徳二

    床次国務大臣 この問題は、先ほどの、諮問委員会設置されました趣旨、また権限というものがございますので、それを考慮して考えなければならないと思うのであります。
  84. 中谷鉄也

    ○中谷委員 やめます。
  85. 依田圭五

    依田委員 私もやめようと思ったのだけれども、一、二点聞いておきたい。  長官、それじゃ諮問委員会議題選択権、これははっきりしておりますね。これは高等弁務官のあずかり知らないところに議題選択権がある、こういうふうに形式的に私は理解しているのですが、間違いありませんか。
  86. 床次徳二

    床次国務大臣 ただいまの問題は、政府委員から御説明いたします。
  87. 山野幸吉

    ○山野政府委員 議題の選択については、高等弁務官関係ありません。
  88. 依田圭五

    依田委員 そこで新たに聞くのですが、高等弁務官議題には関係ない、議題の選択権はないというのですね。そうすると、諮問委員会の任務の判断、解釈権、これはその諮問委員会の構成メンバーが、交換公文第二条の中でみずからその権限、義務ありと考えたことについては発議権がある、諮問委員会に解釈権と発議権がある、ぼくはこう思っておりますが、間違いないかどうか、御答弁願います。
  89. 山野幸吉

    ○山野政府委員 これは佐藤・ジョンソン共同声明によって設置された諮問委員会でございますから、したがいまして、単に諮問委員会だけではございません。もちろん諮問委員会も当然そういう解釈をなさるでございましょうが、日米両国政府で解釈がきまるわけであります。
  90. 依田圭五

    依田委員 日米両国政府、これは当然ですよ、日米両国政府代表なんだから。しかし、個々の問題について、日米両国政府といったってだれが判断するのですか。具体的には、総理大臣や大統領が判断することになるのでしょうけれども、結局そういう分身といいますか、全権代表という形でそれぞれ諮問委員会に構成メンバーを送っているわけでしょう。だから諮問委員会代表に解釈権があるわけでしょう。間違いないですね。
  91. 山野幸吉

    ○山野政府委員 むしろ日米両国政府で解釈がきまっておる、こういうぐあいにお答えしたほうがいいと思います。
  92. 依田圭五

    依田委員 機構的にはそうですよ。しかし、日米両国政府といったって、一体具体的にはどういうことなんですか。あるいは行政官庁もあれば、国会もあれば、各省所管大臣もおれば、総理なり大統領なりが、個々の問題について全部即時に、的確な判断を具体的に下しますか。できないでしょう。そういう事務手続、そういう意思決定の一切を含めて、各国派遣の代表の、自然人である代表に全権を委任してあるわけでしょう。しかし、代表は適時、適宜に本国と連絡して、その指図を受ければいいわけでしょう。そういう意味で、諮問委員会議題についての解釈権、選択権は諮問委員会の構成メンバーにあるのですかと私は聞いておるのですよ。
  93. 山野幸吉

    ○山野政府委員 これは条約でも何でもそうですが、両国政府で共同声明を出された以上、両国政府の解釈が正規の解釈であります。その解釈について、日本政府代表アメリカ代表にそれぞれ訓令を発し、そうして活動していただくということになるわけでございます。
  94. 依田圭五

    依田委員 もっと具体的にいきます。要するに、日本側の高瀬代表の御意見というものは、これは床次長官の御意見と違っていない、同じものである、こう理解してよろしいわけですよ。それとも高瀬さんは高瀬さんの見解だ、床次さんと全然違った見解をお持ちだ。この諮問委員会議題なり会議内容について、意見について、私は同じだと思っているのですよ。そんな素朴な質問からまずやらなければならぬと思うのです、残念なんですが。
  95. 山野幸吉

    ○山野政府委員 これは外務大臣と総務長官と協議された、その意思を受けて高瀬代表活動されるわけでありますから、その間に意思のそごはございません。
  96. 依田圭五

    依田委員 あったらたいへんですし、当然ないし、当然そうだと思います。そういう意味で高瀬代表なり、あるいはアメリカ代表なり、琉球代表なり、そういう三人ですが、その人たちに、自分たちはどのような任務があって、どのような責任があって、どういうことを議題に供して、どういう取りきめをして、そうして完全一致した場合に弁務官に対して答申をするというか、意見具申をする。取り上げる取り上げないは高等弁務官の職権事項でありますから、それは委員会としてはあずかり知らないわけです。そういう運営になっておるわけですね。間違いありませんね。
  97. 山野幸吉

    ○山野政府委員 そのとおりです。
  98. 依田圭五

    依田委員 その場合、先ほど総務長官の御答弁で、新聞記者会見は公式な意思の発表機関である、発表形式であるという御答弁がありましたが、私もそう思います。高等弁務官諮問委員会議題について、あるいはその討議内容について、何らか制約がましい発言を事前にするということは、これは行き過ぎですか行き過ぎではないですかとお聞きしているのです。どう思いますか。
  99. 山野幸吉

    ○山野政府委員 諮問委員会は、先ほど来総務長官の御答弁にもありましたように、その任務とするところは、沖繩本土復帰に備えて、経済社会その他関連事項について一体化を促進するための勧告、助言を行なう機関であります。したがいまして、その勧告内容は当然高等弁務官権限内の事項に限られるわけでありまして、したがって、その権限内に属するか属しないかは、これは米国政府がどの程度の授権を高等弁務官にしているかということできまるわけでございます。したがいまして、高等弁務官が授権された範囲内において、その現在の自分の権限に基づいて、この事項は私の権限外の事項であるということを公式の記者会見で申されたのでありまして、これはそういう高等弁務官の見解であるというふうに受け取るべきだと考えます。
  100. 依田圭五

    依田委員 おかしいじゃありませんか。議題の選択権のない者が議題の討議内容も知らずに——議題としてはB52に関する件は出るかもしれぬ。それは事務整理上の表題の整理であって、それを何日かかるか、何時間かかるか、諮問委員会において討議するわけです。あるいは討議しようとする姿勢にあるわけですね。まだ、その討議内容も、これから将来のことですからわからない。それについて、職権外のことについて高等弁務官が、それについての是非の判断を公式の場において与えるということはおかしいじゃありませんか。日本政府としては一言あってしかるべきものだと私は思うのですが、これはほおっておくのですか。
  101. 山野幸吉

    ○山野政府委員 先ほど来の御答弁にもありましたが、高等弁務官は、勧告、助言を受けたらそれを実施していく責任を負っておるわけでございます。そういう責任の立場から見て、自分の権限外に属する事項についての見解を言われたのでございますから、それはむしろ責任ある高等弁務官の立場としての発言として受け取っていいと思うわけであります。ただ、これを議題としてどうするという問題は、別に諮問委員会のほうで判断されるべき問題だと考えております。
  102. 依田圭五

    依田委員 それでは諮問委員会は、高等弁務官発言内容にかかわらず討議していいのですね。何らの影響を受けずに、議題に供し、討議してもかまわぬのですね。あなたの御答弁からはそういう結論しか出ませんが、間違いありませんか。
  103. 山野幸吉

    ○山野政府委員 先ほど来覚え書き、文換公文等で申し上げましたように、本来諮問委員会権限については一定の制約があるわけでございます。したがいまして、そういうことを踏まえて、三代表が協議になって議題を選ばれるということになろうかと思います。
  104. 依田圭五

    依田委員 では、あなたの御答弁は、高等弁務官がどのような意見を事前に発表して諮問委員会を指導しようが、それは高等弁務官の見解であるからかまわぬ、日本政府としては了解をする、それからそれに影響を受けずに、諮問委員会諮問委員会独自の、交換公文の第二項の範囲内において判断をして行動してよろしいのだ、こういう見解ですね。
  105. 山野幸吉

    ○山野政府委員 諮問委員会権限としましては、やはり勧告、助言は高等弁務官権限内の事項であるということを踏まえて、三代表がそれぞれお話し合いをされてきめられるべき問題でございます。
  106. 依田圭五

    依田委員 そこにごまかしというか矛盾があるのです。議題の選択権のない者、提案権のない者の発言で、これから起ころうとする議題について制約を具体的に与えられるということが、代表を一人送っている日本の当局としてはよろしいのかということを聞いておるのですよ。その点を明確にしてもらわなければ、せっかく提案になっておりますけっこうな法律でありますが、看護婦その他、たくさん無数に質問点があります。これはその関係省だけで九省にもなるそうでありますから、とうてい私一人ではどうにもなるものじゃありません。これはみんな先輩、同僚議員をわずらわさなければならぬわけですが、それに入る前に、そういうような大きな姿勢の問題についてはっきりしてもらわないと、入ってもしかたがないのですよ。むしろこの法案立法措置する以前に、土台になる諮問委員会の存在そのものを、この法益を受けるであろう琉球政府代表みずからが、あれはナンセンスだから諮問委員会なんかやめてしまったらどうかというような見解を持ち始めておるのですよ。これはゆゆしき大事だと私は思うのですよ。その具体的な問題が、ランパート高等弁務官の最近の発言の中にもあるわけです。  これは高等弁務官としては立場上の発言でありましょうから、私は立場は了解できぬわけでもないのですが、ただ、諮問委員会の解釈権、議題上程権、その権限内容の解釈権というものが諮問委員会のメンバーにあるにかかわらず、ほかの者から事前に制約を受けるということになったら、おかしい話じゃありませんか。あなたおかしいとは思いませんか。御答弁願います。
  107. 山野幸吉

    ○山野政府委員 先ほど来申し上げますように、高等弁務官が、自分にまかされた権限にかんがみて、その提起された問題が自分の権限外であるということを見解を述べられるのは、高等弁務官としてそういうことは適当だと思って見解を表明されることはあり得ると思うわけでございます。
  108. 依田圭五

    依田委員 物理的にもおかしいじゃありませんか。諮問委員会にまだ議題になっておらぬとさっき総理府長官は言ったのです。三人の代表が何を言うかわからぬのですか。いいですか。その結論を予測して、あれはおれの権限外のことだとか、権限内のことであるとか、しかもさっきから私何度も繰り返して申し上げておるけれども、民生、教育経済社会及びそれに関連する関連事項、明記してあるわけですよ。こんな広い包括的な規定はありませんよ。その解釈権は高等弁務官にはないということをあなたは何度も言っておる。それは総理府長官も認めておるのですよ。討議もされないその前に、討議内容もわかっておらないのに、事前に権限のない者がこれを否定するということはおかしいと思いますよ。かまわぬのですか。しかも、代表一人は、われわれのほうから、長官の延長として一人出しておるのですよ。その御意見をそのまま受けて出しておるのですよ。どうなんですか。
  109. 山野幸吉

    ○山野政府委員 私も新聞記者会見内容の詳細については承知しておりませんが、高等弁務官が、積極的にその問題を取り上げて発言されたというよりも、むしろそういうB52について諮問委員会議題とすることについて質問があって、それに対して高等弁務官が、いやそれは自分の権限外であるということをおっしゃったように私は聞いております。したがいまして、そういう趣旨の御発言があることもあり得るというぐあいに申し上げるわけでございます。
  110. 依田圭五

    依田委員 その問題は、時間もありませんから留保しておきます。私は、その御答弁では納得できない。あらためてまた同僚議員もわずらわしましてさらにその詰めをいたしたいと思います。  今度は法案内容について、大急ぎで大きな点だけ二、三点触れてみたいと思いますが、この政令に委任してある事項、要するに政令、省令、命令に委任してある事項は一体どのくらいあって、それからこれらを法定する事項、あるいは法定する事項が間に合わないときには全部命令に委任する条項がこの法律の原案にありますが、一体この第三条十七号「前各号に掲げるもののほか、政令で定める試験及び検定」、これは一体幾つあるのか、どのようなものを予定し、いつごろそれを実現に移されるのか、それから、なぜ法案としてそれを御提案にならないのか、いまここで一括包括的に委任を受けようとする必要があるのか、それから、それ以外に、法定事項でなくして命令でこれからきめていくものはどんなものがあるのか、これを明らかにしていただきたいと思います。
  111. 床次徳二

    床次国務大臣 今日すぐに法律でもって必要と認められますものにつきましては、大体これに掲げてありまして、あとは手続的なものでありますので、政令等に委任してあるわけでございます。  詳細につきましては政府委員から御説明いたさせます。
  112. 加藤泰守

    ○加藤(泰)政府委員 最初に第三条十七号の政令の問題についてお答えいたしますが、十六号までに掲げましたものは、いま直ちに実現できるものを掲げたわけであります。十七号におきまして、いま考えてはおりませんけれども、しかし、勧告の中に盛られた試験の中で、やはり本土試験沖繩で実施したほうが適当だというのもないわけではございません。そういうものにつきまして、その準備ができ次第すみやかにやりたい、こういうことでございます。  ただ、そういう場合におきましては、この第三条は試験の実施の規定だけでございますので、実施だけで十分なものがここで掲げられてくるわけでございます。それ以外に、特例を設けなければならぬようなものがありますれば、その点は、これだけではちょっと間に合わないかということでございます。
  113. 依田圭五

    依田委員 時間がだいぶ経過しておりますから、簡単に質問しますから、要点だけ御答弁願います。  各省庁の行なっておる免許資格、これは一体何種類あるのですか。たとえば、試験をしなければならないものあるいは経験だけで認定するもの、法律に基づくもの、基づかないもの、資料がありましたら読み上げていただきたいと思います。
  114. 加藤泰守

    ○加藤(泰)政府委員 人事院の任用局で出された資料、免許試験一覧という資料がございますが、実はこの中で幾つあるのか数えたことがございませんので、ちょっと幾つということは正確に申し上げられませんけれども、しかし、重要なものはほぼこの法案で拾う努力をしているわけでございます。たとえば、国家公務員試験のようなものは拾い上げておりませんけれども、これはまあ一種の採用試験というようなことでございますので、この法案の対象からは除かれているわけでございます。その他具体的にいろいろ検討してみますと、ここまでの措置をとらなくても、現時点においてそう問題はない、また、復帰に伴いまして特に混乱が起きないようなものは、特にこういう措置をとる必要はないだろうというふうに考えております。
  115. 依田圭五

    依田委員 私の調査では、省庁の行なっているものが九十一種類くらいあるのですね。試験をしないで経験によって認定するものが三十三種類あるのです。法律に基づいて民間団体の行なうものが八種類くらいあるのです。行政機関と民間団体が行なうものが二種類あるのです。テレビ、ラジオの修理技術者等ですね。これらの中で、一体、今回この暫定措置法案によって与えられる法律は、おおよそ何%ぐらい充足しておるのか、まだこれから目ぼしいものはどんなものが残されておるのか、この暫定法案の、免許資格一体化のこのグラウンドの中で、土俵の中で、どの程度これによって充足され、最後まで完了するのにはどのくらいの時間が必要なのか、それをひとつ俯瞰的に明確にしてもらいたいと思います。
  116. 加藤泰守

    ○加藤(泰)政府委員 いま先生が御指摘になられた数、これはそのくらいはあろうかと思うのですが、ただ、勧告で取り上げられましたものは、またこの資格の数え方、いろいろあろうかと思います。たとえば、知事のやっているものと大臣のやっているもの、これは同じような資格であっても、付与する官庁の違うものもございますし、それから、非常に似通ったものであっても、二つ、三つ分けているものもあるわけです。たとえば、海技従事者のようなものは、これは一つ一つ拾えば相当の数になるわけでありますが、こういうものを一本にしてここで数えている関係で、非常に数は少なくなっております。そういうことで、この中で取り上げたものが何%くらいになるかということは、にわかに申し上げられませんけれども、しかし、重要なものはこのもので拾い上げているつもりでございます。そういう趣旨で、もともと諮問委員会で検討する段階で、われわれも沖繩における免許資格がどうなっているかということを頭に置きながら、本土との資格とどう結びつけるかということを考えて、復帰に際しての混乱を、一日も早く目鼻をつけておくことによって不安を解消しようというような含みで措置をしたものでございますので、ほぼ目的は達しているんではないかと思うわけです。  ただ、先ほど申し上げましたように、勧告の中に盛られているにもかかわらず、ここで取り上げないものがございます。その点は、たとえば政令とか省令で取り上げたものもあるわけでございます。その点については、できるだけすみやかに政令、省令あるいは告示等で取り上げていくつもりでございます。ただ、やはりにわかに一体化措置がとりにくいもの、特に向こうとこちらの資格のレベルの違うものが相当ございますので、そういうものをこの法律では取り上げ得なかったわけでございますが、しかし、その点につきましては何らかの形で早く措置を取り得るように、それまでの間にできるだけすみやかにその措置がとられるように努力したい、こういうふうに思っています。
  117. 依田圭五

    依田委員 御答弁はよくわかるのですが、オール抽象的なお話でなくて、今回これだけの措置をして、あとは全部命令に委任するわけです。法律として出てくることはちょっと将来ないわけですね。ですから、この際聞くわけです。あなたのほうで法律提案したいと思えば、それはできぬことはない。しかし、第十七号で、全部そのあとのことについては政令にひとつまかしてもらいたいと出ておるわけです。ですから、私はこの際、一体化前提として試験とか免許とかいうものについて本土並みになる、本土と同じになるということになれば、その関係免許件数というか、数え方はいろいろあるにしても、それは単位を統一して何十件、何百件ある、そのうち今回は法律でもってこれだけ御提案した、残りはわれわれのほうでひとつ命令を出すからまかしてもらいたい、信用してもらいたいという、これは一種の授権法案なんですから、そういう立場でお聞きしておるわけです。  また、もう一つ聞きますが、この免許資格ですね。これは法律に基づいておるのですが、そういった免許とか認可を与える法律と省令と告示、これを、国内法の場合にはどのくらいあるかをつかんでおられますか。
  118. 加藤泰守

    ○加藤(泰)政府委員 どのくらいあるかというその数ではつかんでおりませんけれども内容的には、先ほど申しましたように、人事院の任用局で出されたこの一覧表の中に全部入っております。   〔委員長退席、小渕委員長代理着席〕
  119. 依田圭五

    依田委員 私の調査では、法律で八十三件、それから省令で二件、告示で四件ということになっておりますが、これはあなたのほうでひとつまた研究してください。  それで、ここでお聞きしたいのは、諮問委員会資格免許一体化促進措置について勧告を行なったわけですね。その速記録、勧告本文、こういうものは公表しないのですか。委員会提出を要求しても出してもらえないのですか。出してもらいたいのですよ、そういう意味で。
  120. 加藤泰守

    ○加藤(泰)政府委員 勧告勧告文はお出しできると思います。特に別に困る資格でも何でもございませんから、お出ししたいと思います。
  121. 依田圭五

    依田委員 その勧告文をわれわれがほしいと思うのは、形式的な文章よりは、むしろ琉球側がどのような要求をし、あるいは日本本土側がどのような要求をし、アメリカ側がどのような要求なり意見を持ったというプロセスを実は知りたいわけです。要綱でもいいのですが、そういう意味において、あなたからいただける勧告の本文というものを見せてもらえばそういう内容がわかりますか。
  122. 加藤泰守

    ○加藤(泰)政府委員 アメリカ側として特にこれについての意見は出していないと思います。むしろ異議がないということであろうと思います。琉球政府の側からは多少、たとえば資格試験名につきまして追加してきたものもあるわけでございますが、ただ、向こうにそういう制度が現在ないにもかかわらずそれを追加してきたというものもありまして、その点はいま直ちに取り上げる必要はなかろうかというふうに考えているわけです。しかし、必要ならば先ほど先生御指摘の十七号で指定するなり何なりの措置をとっていきたい。その点は、やはり今後琉球政府の意向を十分聞いて措置をするつもりでございます。
  123. 依田圭五

    依田委員 それは全部英文ですか。日本文はあるのですか。
  124. 加藤泰守

    ○加藤(泰)政府委員 公式には英文と和文と両方あるわけです。
  125. 依田圭五

    依田委員 今回この法律提案するについて、沖繩のほうからの要求事項がたくさんあったと思うのですが、一番強い要求は一体何だったのですか。その試験免許の項目なり、そういうものを明らかにしてもらいたいと思います。
  126. 加藤泰守

    ○加藤(泰)政府委員 琉球政府の側といいますか、琉球政府ばかりでなくて、各種団体等要望といたしましてはいろいろあったと思います。たとえば弁護士の資格の問題もございますし、それから私の直接伺ったのでは、理容師、美容師の資格問題等については、私ども直接伺ってぜひ必要だというふうに考えたわけです。その中で、理容師とか美容師につきましては今回措置をとっておりますが、弁護士資格につきましては、向こうの資格試験とこちらの司法試験に非常にレベルの差がございまして直ちに一体化措置がとれないので、その点についてどういうふうに措置をとっていくか、できるだけ早く結論を出したいというふうに私考えておるわけですが、この点につきましては法務省を通じて裁判所、それから日弁連等のお考えを十分お聞きして措置をとるようにしたい、そういうふうに思っております。
  127. 依田圭五

    依田委員 質問は、弁護士の件だけですかというのが一点。その次に、弁護士に関係して、日本のほうは司法試験を受けて司法修習生や何かいろいろやるわけですね。しかし、沖繩のほうでは、何か聞くところによると、大学を出て実務に携わって二年間たてばオーケーであるということを聞いておるのですが、間もなく一体化するのにどういうような経過措置をこれから想定しておるのか。また、これに関連するものは法律で出すのか、あるいはここで十七号の政令に委任されておるので政令で出すのか。これについては、私も日弁連から二、三の意見を聞いております。もうちょっと具体的に説明をしていただきたいと思います。
  128. 加藤泰守

    ○加藤(泰)政府委員 弁護士資格以外に私直接伺ったのは、理容師、美容師の関係の団体からお伺いいたしました。そのことを先ほど申し上げたわけですが、それ以外に、琉球政府としては、やはりできるだけ広く資格の統一をやってほしいという希望は、もちろん私自身も伺っておるわけです。  弁護士資格につきましても、先生御指導のように、本土試験のように国家試験だけでなくて、法律の学校を卒業してから二年以上法律的訓練を要する職務に従事した者というのもございますし、また、五年以上琉球列島において判検事の職務にあった者というものも弁護士資格を与えられることになっておりますが、そういう意味におきまして、本土の弁護士資格とは相当レベルの差があると言わざるを得ないのでございます。この点につきましては、もちろん単に十七号の政令の問題ではございませんで、すなわち司法試験につきましては三条の第一号にすでに書いてございますので、十七号の問題ではないわけです。したがって、むしろ各則の問題として考えなければならぬわけでございますので、弁護士法の一部改正にするのか、あるいはこの法律と同じような特則の規定をこの法律の改正によって措置するのか、そこらあたりは問題があろうかと思いますが、私としては、やはり本土復帰したときの措置をこの法律に一本化したほうがいろいろベターであろうというふうに思いますので、将来この法律の一部改正の措置によって、この弁護士の資格の問題を措置したほうがいいのではないかというふうに考えております。
  129. 依田圭五

    依田委員 医者ですが、これは全然はずれておるのですね。これはどういうことになるか。医学部がないからやらないということだろうと思うのですが、どういうように沖繩の医者の補充について考えるのですか。
  130. 加藤泰守

    ○加藤(泰)政府委員 この勧告に医者、歯医者が載っておるわけですが、これは実はこの勧告の案になったものを私のほうで準備を始めましたのがおととしの秋のことでございまして、その時点におきましては、医師法に基づきまして国家試験はインターンを一年してからということになっておりまして、現に沖繩におきまして中部病院でインターンを実施しておったわけでございます。そういうことからぜひ本土試験沖繩で実施するようにしてあげたいというふうに考えておったわけでございますが、去年の医師法の改正によりましてインターン制度がなくなりまして、というか、国家試験を受ける前提としてのインターン制度がなくなったわけでございますので、そういうことになりますと、学校を卒業すれば直ちに国家試験が受けられるということで、本土において医学部を卒業させた方は直ちに国家試験を受けられることになりますので、向こうでやる必要が現在はない。もちろん現在向こうに医学部がないということも前提でございますが、ただ将来そういう必要性がありますれば、もちろん国家試験を実施することはできるわけでございます。そういう必要性があるとすれば、十七号でやっていけることになると思います。
  131. 依田圭五

    依田委員 これらの法律本土で通用しなかったために具体的にはどんな不便があったのか、それの特徴的な点の説明を聞きたいと思います。
  132. 加藤泰守

    ○加藤(泰)政府委員 この法律は、本土において沖繩資格をどういうふうにして通用させるかという問題と、それから本土試験を向こうで実施するということ、この二つになるわけですが、最初に申し上げました沖繩資格本土に通用させるということにつきましては、現時点においては本土法律においてもし読み込むとすれば、外国の政府の認めた免許を有する者というふうな規定があるものについてはそれで読む以外は手がなかった、すなわちあらためて試験を受けなければ資格をとれなかったということでございますので、沖繩の方が本土に移住して従来からやっていた仕事をやっていこうということになりますれば、一つの障害になっていたと思います。そういう意味から、この点につきましては非常に大きな、特に本土沖繩一体化という意味合いにおきましても、また沖繩の方々の将来の職業についての見通しとしても、明るい措置になるというふうに考えるのでございます。本土試験沖繩で実施するということにつきましては、これ自体は、もちろん沖繩の方が本土に来て試験を受けることはできるわけです。そういう意味では、ややいま申し上げたことよりもウエートが軽いかと思いますけれども、しかし本土沖繩一体化ということから考えますれば、本土の人は、たとえば東京で試験があれば、鹿児島の方でも東京に出てきて自由に試験を受けることができますし、また本土試験は、多くは地方でもやることがあるわけでございます。   〔小渕委員長代理退席、委員長着席〕 そういうことが、沖繩の場合には法域が違うということからいろいろな障害がございますので、沖繩において本土試験を実施してあげるということが、沖繩の方々の立場からいえば、将来の資格をたやすくとり得る機会が与えられるということで、非常に意味があると思っております。
  133. 依田圭五

    依田委員 沖繩免許資格者で、本土免許資格を与えるものが二十七種類あるのですね。これらの人で、沖繩ですでに資格を持っておる者は何人くらいおるか。公認会計士であるとか税理士であるとか看護婦であるとかその他、わかっておる限り、重要な職種ですから、明らかにしてもらいたいと思います。そして、それらの人員をもって沖繩で一体需要をまかなうことができたかどうか、そして沖繩ではこれらの有資格者が資格をとり、本土にやってきますね、本土でどういうような影響を受けるか、不都合な事態が発生するようなことはさらさらないと思いますが、重ねてその辺のことも意見を含めてお聞きしたいと思いますす。
  134. 加藤泰守

    ○加藤(泰)政府委員 沖繩の方が本土資格をとるということによって、あるいは一つ問題が出るかと思いますのは、沖繩の本来のそういう資格を持っておる方々が本土へ移住して、その結果として沖繩資格者が少なくなるという事態があるいは考えられるかもしれません。そういう点につきましては、一つの問題点とは考えますけれども、ただ復帰に伴いましてやはりこういう措置は早く立てて、不安を解消さしておくということが絶対必要だというふうに考えるわけです。そういう意味で、今回の措置はやはりできるだけ早くとるべきものであると考えるのでありますが、いま指摘しましたような心配につきましては、琉球政府と十分打ち合わせをしながら、適切な措置がとれるようにしたいというふうに考えております。  それから、公認会計士につきましては、公認会計士は四名、会計士補が三名、それから本土資格を持っておられる方が、公認会計士が十名、会計士補はいません。外国の公認会計士二名。それから税理士は、旧法時代の税務代理士というのが二十六名、それから資格の認定を受けて税理士になった方が四名、試験の合格者二名、それから本邦の試験の合格者一名でございますが、それ以外に税理士関係は、税理士ではございませんが弁護士が六名の方がそういうことをやっておりますし、公認会計士八名の方も税理事務を担当しておられるようでございます。したがって、税理関係は四十七名の方がやっておられますが、その中で問題になりますのは、最初に申し上げました税務代理士の方、それから資格認定の四名の方、それから向こうの試験に合格した二名の方、そういうところが問題です。大体そういうことでございます。それから無線従事者、これは相当数が多いのですが、二千三百八十名の向こうの資格を持っておられる方がございます。海技従事者は二千九百七十四名でございます。
  135. 依田圭五

    依田委員 公認会計士ですが、これはいままででも二次、三次と試験はやっておったのですね。——やっておったと思いますよ。それでその点をお聞きします。
  136. 加藤泰守

    ○加藤(泰)政府委員 公認会計士は、本土から試験官が行かれまして本土試験と同じ試験を向こうで実施しておられましたが、しかし、それはどこまでも沖繩公認会計士試験であって、本土公認会計士試験ではなかったわけでございます。ただ、レベルは大体同じようなものでございますので、今回の措置におきましても、大体向こうの合格者はこちらの合格者というふうにみなすような措置がとられております。
  137. 依田圭五

    依田委員 ちょっと長官に聞くのですが、今回のような措置、これはもっと早くやれば幾らでも早くやれたと思うのですよ。そういう角度からの現地側の批判があるのですが、だいぶおくれて現在に至ったというのには、何か理由でもあったのですか。それとも関係各省の間で意見が合わなかったとか、現地の要望がまとまらなかったとか、諮問委員会の討議が全会一致を見なかったとか、何かあればともかく、なければ、これくらいのことはもっと早くできたはずだという現地側の意見があるのですが、御見解をちょっと聞きたいと思います。
  138. 床次徳二

    床次国務大臣 この問題につきましては、かねてから実現したく努力して、おととしから手をつけておったわけでありますが、諮問委員会ができましたのですから、諮問委員会の当然の職務という扱いになりましたので、諮問委員会の結論を持っておった。諮問委員会答申を待ちまして、今回立法に着手した次第であります。それが今回御提案になった次第であります。
  139. 依田圭五

    依田委員 歯医者さん、薬剤師、弁理士、これは一体どういうことになるのですか。
  140. 加藤泰守

    ○加藤(泰)政府委員 歯医者さんは普通の医者の場合と同じでございます。すなわち国家試験関係と、それから向こうに歯科の学校がないということから、国家試験本土で卒業と同時に受けていただく、こういうことになるわけでございます。  それから弁理士制度は向こうにございませんので、特別に措置はしておりません。
  141. 依田圭五

    依田委員 さっきアメリカ公認会計士が二名おるということを聞きましたが、アメリカのいろいろの関係の企業がありますから、アメリカ人の各種の資格者がおると思うのです。これは奄美や何かとも同じなんでしょうけれども、将来どういうように扱っていくのですか。一定の条件を付して日本の営業なり何なりを認めていこうとするのかどうするのか、これをちょっと聞いておきます。
  142. 加藤泰守

    ○加藤(泰)政府委員 外国公認会計士につきましては、本土におきましても外国公認会計士という制度がございます。したがって、沖繩における外国公認会計士の方がもしそのまま仕事をやっていこうという気持ちがありますれば、本土法律の外国公認会計士制度に乗っかっていければ仕事ができるわけでございますので、今回は特に措置をいたしておりません。
  143. 依田圭五

    依田委員 最後に、条文の一番最後の三十二条についてちょっと聞きますが、これは沖繩のほうで資格が付与されて本土へ来て営業をしておる会計士とか税理士とか、いろいろたくさんの業種があると思いますが、それらが沖繩においての不正事項免許を受ける当時のいろいろの欠格事項によって資格を剥奪された場合、本土法によらずして沖繩法律で取り消しになる、三十二条はこういう規定ですね。これは本土に来れば本土法律が作用するわけですから、沖繩に行けば沖繩法律が働くわけですから、本土法律でやってしかるべきものだと私は思うのですが、どうですか。
  144. 加藤泰守

    ○加藤(泰)政府委員 その点につきましては、もともと今回こういう措置をとろうとしたのは、沖繩資格を持っている方について、復帰の際に非常に混乱が起きないようにいまから手当てをしていこう、こういうことでございます。したがって、沖繩資格が、有効な資格を持っておることが前提でございます。したがって、本土におきましてかりに営業をやっておられましても、沖繩資格が無効というかあるいは取り消しということになりますれば、その根拠が失われることになりますので、本土においてその取り消しの効果として本土の付与した資格も取り消す、こういうことになるのは当然だろうというふうに思うわけです。ただ、そういうふうにいたしておりますのは、絶対的な欠格条項といいますか、裁量によらないものですね、そういうものについてそういう措置をとろう、こういうふうにしているわけでございます。これは、裁量による場合はやや琉球政府の判断が加わってまいりますので、本土の法に影響を及ぼすのは必ずしも適当でないように考えて、裁量によらない、むしろ法律がぴしっときまっておるようなものについては、本来沖繩でも当然のこととして無資格者となるはずでございますので、本土における資格も同じように無資格者となるような措置がとられているわけでございます。
  145. 依田圭五

    依田委員 時間ですから、以上をもって私の質問を終わります。
  146. 中村寅太

    中村委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は来たる二十四日委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後零時五十三分散会