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1969-07-23 第61回国会 衆議院 運輸委員会 第39号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年七月二十三日(水曜日)     午前十時十二分開議  出席委員    委員長 砂原  格君    理事 阿部 喜元君 理事 大竹 太郎君    理事 徳安 實藏君 理事 古川 丈吉君    理事 小川 三男君 理事 野間千代三君    理事 山下 榮二君       加藤 六月君    金子 岩三君       川野 芳滿君    菅  太郎君       木部 佳昭君    中川 一郎君       西村 英一君    福井  勇君       箕輪  登君    井上  泉君       板川 正吾君    神門至馬夫君       内藤 良平君    沖本 泰幸君       松本 忠助君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君         運 輸 大 臣 原田  憲君  出席政府委員         経済企画庁総合         開発局長    宮崎  仁君         運輸省鉄道監督         局長      町田  直君         運輸省自動車局         長       黒住 忠行君  委員外出席者         大蔵省銀行局保         険部長     渡部  信君         厚生省保険局国         民健康保険課長 松田  正君         厚生省保険局医         療課長     松浦十四郎君         建設省道路局次         長       多治見高雄君         自治大臣官房参         事官     佐々木喜久治君         日本国有鉄道副         総裁      山田 明吉君         日本国有鉄道常         務理事     井上 邦之君         日本国有鉄道常         務理事     長浜 正雄君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団総裁)  篠原 武司君         専  門  員 小西 眞一君     ――――――――――――― 七月二十三日  委員広沢直樹君辞任につき、その補欠として沖  本泰幸君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  日本国有鉄道経営に関する件(青函トンネル  工事等に関する問題)  陸運に関する件(自動車行政に関する問題)      ――――◇―――――
  2. 砂原格

    砂原委員長 これより会議を開きます。  陸運に関する件及び日本国有鉄道経営に関する件について調査を進めます。      ――――◇―――――
  3. 砂原格

    砂原委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  日本国有鉄道経営に関する件について調査のため、本日、日本鉄道建設公団総裁篠原武司君を参考人として御出席お願いいたし、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 砂原格

    砂原委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決定いたしました。  参考人からの意見の聴取は質疑応答の形式で行ないたいと存じますので、御承知願います。     ―――――――――――――
  5. 砂原格

    砂原委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。箕輪登君。
  6. 箕輪登

    箕輪委員 私は青函トンネルの問題について質問をしたいと考えておりますが、去る五月二十七日に、青函トンネル技術調査委員会が五年間にわたる調査結果をまとめて、その結果、本坑の掘さくはこれまでの調査結果から見て十分に可能であるということを正式に発表されたのでありますが、それに基づきまして鉄建公団事務上の手続を急いで、来年度、四十五年度からでも本坑さくに着手する方針をきめたというようなことが新聞に載っていたのであります。  そこで、鉄建公団は意欲的でありまして、総裁北海道に参りました節にも、記者会見等で四十五年度から本坑の掘さくを始めたいということを述べておりますし、北海道や東北の、この青函トンネルができることによって大きな影響を受けるところの住民たちは非常に期待を持っているわけでありますが、ほんとうに四十五年度から本坑の掘さくができるためには、ただいま青函トンネル調査線でございます。調査坑を掘っているわけでありますが、鉄建公団も言っているように、事務上の手続を急いでということは、すみやかに鉄道建設審議会にはかって、そして調査線から工事線に昇格をさせなければならない、こういうことが含まれているものと考えるわけでありますが、まず、以上申し上げたことについて、鉄建公団の来年度着工についての姿勢は変わりがないかどうかを公団お尋ねを申し上げたいと思います。
  7. 篠原武司

    篠原参考人 ただいまお話のありましたとおり、五月二十七日の青函トンネル技術調査委員会におきまして、本工事着工すべきじゃないかというような結論が出たわけでございますけれども、これを受けまして、公団としましてはなるべく早く着工したいということですが、それにはいろいろな条件がございまして、たとえば青函トンネルをどういうふうに使うかということがまず第一の問題でございます。  いま問題になっております新幹線をどういうふうにつくるか、これはまだ決定しておりませんが、将来のことを考えますならば、やはり新幹線を入れるべきじゃないかというような御意見も各方面にございますし、私どものほうでもそういうような意欲を持っておりますので、そういう点を考え国鉄内々相談はしておりますが、大体通すべきじゃないかという御意見で、そうなった場合に、あの新幹線をどういうふうに考えるか。つまり、現在線を通しまして貨物輸送旅客輸送をやることでスタートを切ったわけでございますが、新幹線を入れるとなりますと、新幹線のためには非常にたくさんの列車が入りますし、それの間にやはり貨物列車を入れなければならぬのじゃないかというような問題、そういうような関係で、どういう輸送方式をとるかということが第一に問題になってまいります。そうした場合に、隧道勾配の問題も変わってまいります。そういう関係もございますので、工費、工期、いろいろな点も検討いたしまして、早急に資料をまとめまして運輸省に報告し、運輸省からそういう方面の御認可をいただいて本坑着工ということにしたいと考えております。
  8. 箕輪登

    箕輪委員 それでは国鉄お尋ねをいたしますが、ただいま篠原さんが御説明をされたようなことで、私ども新幹線が必ずこのトンネルを通るというふうに考えるわけであります。国鉄もその考えに変わりがないかどうか、お尋ねをしたいと思います。
  9. 山田明吉

    山田説明員 国鉄といたしましても、青函トンネルができたときには、将来建設されるであろうと思われます新幹線を通すべきだと考えております。
  10. 箕輪登

    箕輪委員 新幹線を通すという御決意がただいま述べられたわけでありますが、そうであると、これは公団のほうも来年度から着工したい、技術調査委員会も可能であると言っておるのでありますから、早く運輸省のほうに、審議会にかけてくれるようにということを公団からも言っていただいて一そうなってきますと、運輸大臣お尋ねいたしますが、来年度予算要求の時期も迫っておりますので、少なくとも、本来であれば七月一ぱいくらいには審議会に諮問していただかなければならないのではなかろうかと私は考えるわけであります。要請があり次第、すみやかに審議会を開いていただきたい、かように思うわけでありますが、運輸大臣に、もしもそういう要請があった場合にはすみやかにやるかどうかということについてお尋ねをしたいと思います。
  11. 原田憲

    原田国務大臣 冒頭に、鉄道建設公団青函トンネルについてほとんど結論が出たので、これを来年度には実施に移すようにしたいという考えであると聞いておるが、これに対してどうかという御質問をなさいました。それに対しまして、少し含みのある答弁を私はいま聞いたのであります。したがいまして、手続といたしましては、私のほうへこれは来年からぜひやるのだということで出てまいりましたら、検討をいたさなければならぬということは当然でございます。  この新幹線を通すか通さないかという問題は、もう箕輪さんも御存じのとおり、鉄道建設審議会で、今後の非常に熱心な課題になる問題でございまして、この七月にここへかけるべく出てくる問題とは私はちょっと想像しかねるのでございます。  なお、このトンネルの問題につきましては、大体斜坑は終わったけれども水平坑はまだ終わってないというように聞いておりますので、それらの問題につきまして、責任者である鉄道建設公団から私どものほうへ責任あるところの調査結果が提出されて、これを審議会にはかってもらいたいということでありますならば、これは取り上げるにやぶさかではございません。一日も早くこの工事が完工して、北海道本土が結ばれることが実現することを強く望んでおることは、箕輪さんは北海道でございますが、私はそれ以上の熱意を持っておると申し上げておきたい。(箕輪委員「おれは大臣以下か」と呼ぶ)いや、あなたは北海道であり、私は本土側です。  いま大蔵大臣が指をさして、あそこで鉄道建設公団総裁が見ておられますが、あそこが本家で持ってこられましたら、それは私は取り上げるにやぶさかではございません。
  12. 箕輪登

    箕輪委員 私よりも以上に熱意を持っておるということで、私は二番目か三番目になってしまってたいへん申しわけないのでありますが、非常にありがたい運輸大臣の御答弁がございました。  そこで公団お尋ねいたしますが、いつごろいま申し上げた運輸大臣お願いをするのか、これをひとつ明確にお答えをいただきたいと思います。
  13. 篠原武司

    篠原参考人 ただいま作業中でございまして、明確に、いつということをはっきり申し上げられませんが、あと二、三カ月はどうしても、その作業だけでもかかるのじゃないか、それから国鉄との打ち合わせとか、あるいは運輸省に報告を持っていくいろいろな下打ち合わせもございますし、いろいろな関係でこの七月か八月に問に合わすという段取りはちょっとできないのじゃないかというように私は思っております。
  14. 箕輪登

    箕輪委員 二、三カ月以降になりますと、これはちょっと私ども予想がはずれたわけでありますが、公団では少なくとも七月中には運輸大臣諮問方お願いしたいというような意向であるかのごとくに新聞で見たわけでありますが、二カ月、三カ月おくれても来年度着工ということにはおくれをとらないですか。
  15. 篠原武司

    篠原参考人 予算関係から申しますと、予算要求の前にきまればなおよろしいのでございますが、しかし、本工事着工になりましても、実際問題として予算が急にふえるということにはならないと思いますので、これから先におきまして、来年度になるかもしれませんが、予算とは別に本工事着工ということになりましても差しつかえないのじゃないかというような見通しを持っております。
  16. 箕輪登

    箕輪委員 予算とは別に来年度着工できるというようなことのようですが、ことしは調査費が二十億円ついておりますね。本坑工事に着手しても初年度は大体三十億程度であろうというようなことを聞いておるわけですが、しかしながらやはり早く審議会にかけて答申を得て、われわれは早く安心したいという気持ちを持っております。  大蔵大臣の時間も三十分までという制限がありますので大蔵大臣お尋ねいたしますが、ことしわずか二十億、来年度三十億で本工事着工できるわけでありますから、おそく出ましても、どうかひとつその程度のことは――さっき大蔵大臣は、銭のことは何ぼでもたくさんあるから心配するなと私に声をかけてくださったわけでありますが、どうか前向きの姿勢で御検討をいただきたい、こういうことを大蔵大臣お願いを申し上げておきます。どうか大蔵大臣、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  17. 福田赳夫

    福田国務大臣 北海道の御出身の箕輪委員のお気持ちはよくわかります。  私といたしましてはまだ正式に運輸省から話を聞いたわけではございませんが、とにかく過疎過密問題の解決、これは七〇年代が当面している最大の問題であります。その間において新幹線が持つ意義は重大だと思います。そのための青函トンネル、これもきわめて重要なものであるということは十分認識をしておるわけであります。大蔵省といたしましても、相談がありましたならば積極的な姿勢で対処していきたい、かように考えております。
  18. 箕輪登

    箕輪委員 どうもありがとうございました。  そこで、この間テレビを見ておりましたら、ちょうど運輸大臣が何か対談をやっておりました。いま世界じゅうの人々がみんな上のほうばかり見ているとおっしゃっておられた。それはアポロ十一号の話をされておったときでありますが、しかし、われわれは上ばかり見ないで、下を見ようじゃないか、われわれの地下をひとつ大いに開発しよう、海底開発をしようということを言われております。われわれはアポロ十一号のような冒険的なことは日本の国家としてはできないことは十分わかります。しかしながら青函隧道というのは、御承知のとおり世界にないものであります。当初の計画でも三十六キロ、世界で最長のトンネルであります。しかも海底トンネルであります。こういうことを考えますと、わが国の科学技術世界に示す意味からいっても、この際思い切って、いろいろな条件はございましょうけれども条件を早く整えていただいて工事着工していただきたい、こういうふうに考えるわけであります。大蔵大臣は次の大蔵委員会がございますから、質問をこのまま続けますけれども大臣のほうはお引き取りいただいてけっこうでございます。どうもありがとうございました。  そこで質問を続けます。  大体二、三カ月のズレはあっても来年度工事線として着工していただける、かように解釈いたしますが、もしも青函隧道着工されても、私どもが聞くところによると、大体、今日の技術からいって五年ないし六年でもってトンネルは掘り上げることができる、こういうふうに聞いておるわけであります。  しかし、考えてみると、新幹線をそれに乗せるといいながら、新幹線の着手はそれよりもかなりおくれるような感じがするわけであります。そうすると、青森から東京までは既存線改良が行なわれておりますからこのままやれます。しかしながら津軽線松前線、こういったものは改良が行なわれておりませんし、特に松前線から函館本線につながっていくわけでありますが、この改良は全く行なわれていないわけであります。従来のように曲がり曲がって行ったのではスピードアップにもほとんど影響がない。そういうことでありますから、私は青函隧道を着手してもらうことはただいまも御要望申し上げておいたけれども、同時に、やはりいま申し上げた既存線改良もともに急いでおかなければいけないのではないかと思いますが、これも、できれば私は来年あたりからぼつぼつ始めておかなければならないのではないかと考えるわけであります。国鉄当局の御答弁をいただきたいと思います。
  19. 山田明吉

    山田説明員 おっしゃいますように、トンネルができましても、その前後と申しますか、それに連絡する新幹線ができなければどうするかということでございまして、その際には、私どももいま先生のおっしゃいますように、現在線の狭軌で一応トンネルの中を通して前後を連絡することがいいのではないかと考えております。ですから、そうしますと、本土側では津軽線の問題、それから北海道側では松前線それから函館本線の問題がございます。もちろん、おっしゃいますように、その線がいま非常に弱い線でございますので当然増強しなければならないと思いますが、ただ、率直に申しまして、トンネル進行速度と見合ってこれから計画して十分間に合うという考えでおるわけでございます。
  20. 箕輪登

    箕輪委員 進行状況と見合わしてやるというけれども、大体私が目算するだけでも、津軽線松前線だけを見ても約二百キロぐらいあるんじゃないでしょうか、そのように考えるのですよ。そのくらいあるでしょう。そうすると、この津軽線松前線改良だけでも相当な金がかかるのです。それに今度函館本線が入りますから、私はトンネル工事進捗状況と見合わせながら改良をやっていくということではとうてい間に合わないように考えるわけです。長浜さんちょうど来ておられるから、長浜さんから御答弁いただきたいと思います。いかがですか。
  21. 長浜正雄

    長浜説明員 大体最近の土木工事の工程を左右いたしますのは、ほとんどが用地買収とか設計協議が多うございまして、一番問題になりますトンネルとかあるいは河川の橋梁というのはわりあい技術が進歩しておりますので、いま先生御指摘の津軽線あるいは松前線函館本線の付近につきましてはそう長大なトンネルもないように地形上考えられます。工程的には私は心配ない、いまからやって、トンネルに雁行しながらやっていけば十分間に合う、こういうように考えております。
  22. 箕輪登

    箕輪委員 ぼくはちょっと疑問がありますが、大体トンネルの完成と同時に既存線改良を完了する、こういう方向でやってもらえればそれでいいんであります。技術的には私どもわかりませんからそれでけっこうでありますが、とにかく、トンネルができると同時には現在線の改良もともに完了する、こういうことでひとつ御配慮いただければけっこうだと思います。  もう一つお尋ねをしたいのでありますが、それはやはり早く、いつごろ着工していつごろできるんだという目安をつけなければ、いまの青函連絡船がたいへんだと思います。年間の扱いが、貨物で大体八百万トンをこすのではないか、そうすると、現在の青函連絡船だけの能力ではとうてい間に合わない時代が参ります。そうなってくると、新たにやはり船をつくらなければならない。つくった翌年にトンネルができてしまったらこの船は要らなくなってしまう、こういう問題が出てまいります。今日なお青函の間における貨物輸送あるいは人間の輸送、そういったものが輸送力の増強を呼びかけているわけでありますから、こういう点もにらみ合わせながら可及的早くに、いつごろに着工していつごろにできるのだというような目安をつけなけれび、そうでなくても国鉄自体が赤字で困っているときでありますから、そういう青函連絡船等におけるむだが起きないようにしなければならないと私ども考えるわけであります。  その意味においても、やはり早い機会に計画をまとめられて、その計画に基づいておやりになることがけっこうだと思いますが、青函連絡船におけるところの輸送力の今後の見通しはどういうふうになるか、これも国鉄お尋ねをしたいと考えるわけです。
  23. 山田明吉

    山田説明員 現在青函で運んでおります貨物が約三百二十万トンございます。それで毎年少しずつふえてまいっているのが実情でございまして、それに対処するために、現在進水を完了いたしました船が一ぱいあります。なお建造中の船が一ぱいございまして、大体四十六年度ごろにはフルに船を動かしますと大体五百万トンまでは運べる見通しでございます。しかし、さらに昭和五十年あるいは六十年の時点をとって考えますと、もっともっとふえると思います。その意味でも、国鉄といたしましても青函トンネルが早くできることが望ましいと考えております。
  24. 箕輪登

    箕輪委員 三百万トンというのは、いつの実績ですか。
  25. 山田明吉

    山田説明員 下りの片道が三百五十万トンであります。
  26. 箕輪登

    箕輪委員 それは四十二年度ですか。
  27. 長浜正雄

    長浜説明員 四十三年度です。
  28. 箕輪登

    箕輪委員 わかりました。  そこで、これは大蔵大臣がいるときに聞けばよかったのですけれども大蔵大臣は忙しいから何ですが、運輸大臣お尋ねしたいのでありますが、これはいま国鉄も早く青函燧道ができればわれわれもそれが望ましい、こういうふうにおっしゃったわけでありますが、これは非常に金額が張るものでありますから、実際は国鉄のほうも本心は、これはたいへんだぞという気持ちがあるんじゃないかと私は思うのです、推測でしゃべって悪いけれども。というのは、一千億円くらいでできるだろうと思っておっても、北海道新幹線を乗せるとすれば、今度はずっと新幹線に合わせなければいけませんから、勾配も千分の二十から千分の十に近づけなければなりませんよ。そうすると、トンネル部分だけでも七十キロくらいになるはずですよ。これはたいへんな金なんです。おそらく公団に聞かれたらわかるけれども、大体二千億円以上かかるだろう、こういうふうに思うのです。従来の公団方式でやりますと、つくったものを国鉄にやって、そして国鉄から銭を取るわけですから、そういうことでやったんじゃ国鉄財政からいってたいへんだと思うのです。私は、これだけのプロジェクトになりますと、やはり国策として一ちょうど経済効果も何もないけれども、アメリカがアポロ十一号を飛ばしたように、やはり世界に誇れるようなこういう大きなプロジェクト国策全額国費でもってやる、そういうふうにならなければ、おそらく国鉄のほうでも返済に困ってくるであろう、こういうことを心配するのです。これは将来の問題ですけれども運輸大臣、そういう方向でひとつお考えいただきたい。日本じゅう考えると、これからそういう大きなプロジェクトがたくさん出てくると思う。これを国鉄にやれ、公団にやれ――いまのような方式でやることは、私はちょっと時代おくれのような感じがします。もう一歩進んで、国が国策で取り上げるんだ、全額国費でやるんだ、こういうような考えになれるかどうか、また、そういう考え、そういう姿勢大蔵省とも今後進めていただきたい、こう思うわけですけれども、ひとつ運輸大臣のその点に関する御所見をいただきたいと思うのです。
  29. 原田憲

    原田国務大臣 国鉄経営については、先般御審議を願いました国鉄財政再建計画、この基本計画を立てまして、国鉄がこれにのっとった再建計画責任を持ってやってくる、これを国が認めてこれから促進をしていくということが骨子であることは御案内のとおりであります。新幹線構想は、したがってこれの外にあるわけであります。  これをどうしていくかということについては、先ほども申し上げましたが、鉄道建設審議会ではこの新幹線問題について一つの決議をされております。私ども政府といたしましても、あなたのおっしゃるとおり、すでに全総計画というものをこの五月に発表いたしました。その中で、全国の交通網の中で新幹線はどうあるべきかという姿を示しておるということは、国策を示しておるわけであります。これを具体的にやっていく手段として、財政問題はどうするか、こういうことは国が主体になって考えるべきじゃないか、こういうお話でございます。道路あるいは新幹線等の幹線的なものをやるときに、国が中心になって考えていくということは当然のことであろうと思います。財政再建方針を立てました際に、いわゆる三位一体方式ということを申し上げましたが、今後とも、こういう事業に対しましては相当国が負担をしてかかる方式というものを考えなければならないであろうことは言を待たないと思います。
  30. 箕輪登

    箕輪委員 時間がございませんので、もう一つだけ質問して私の質問を終わりたいと思います。  そこで、新幹線が通り、そしてまたトンネルができ上がる、こういうふうに考えますと、函館新幹線が通るように私には思えないわけであります。函館が置き去りになってしまうわけです。そのわきを通る。函館はやはり二十何万かの人口がありますし、あのままでは衰弊してしまいますので、新函館駅というようなものを私も期待したいと思うのです。これは皆さんの御決意を聞いておきたいわけでありますが、新函館駅というものをつくる計画があるかどうか、また、将来考えておくというような考えがあるかどうか、これをお尋ねしたいと思います。
  31. 山田明吉

    山田説明員 いわゆる新幹線網につきましては、ただいま運輸大臣からもお話がございましたように、政府当局検討されている段階でございます。したがいましてどこを具体的に通るかもきまっておらない状態でございます。しかしながら、青函トンネルの位置そのものは大体きまっているようでございますので、それを通る新幹線の駅について将来どこに置くべきかはこれからやはり十分研究すべき問題だと思います。
  32. 箕輪登

    箕輪委員 では、質問を終わります。
  33. 砂原格

    砂原委員長 関連質問の申し出が加藤君からあります。
  34. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 ただいま箕輪委員から質問がございまして、本土の均衡ある発展、特に本土北海道との問題についてトンネルを含んだ問題につき、さらに付加して新幹線網という問題まで出たわけでございますが、先般運輸大臣並びに建設大臣は、本土と四国の均衡ある発展をはかるための瀬戸内海架橋という問題で御視察になったということを承っておるわけでございますが、これに対する所見をごく簡単でよろしいのですが承っておきたい、こう思う次第でございます。
  35. 原田憲

    原田国務大臣 去る十九日土曜日、先般この委員会で官房長官、経済企画庁長官、建設大臣、私と四人出席いたしまして御質問を受けました際にも視察の話が出まして、決定をいたしましたら、官房長官にも話をして実行いたしたいと思うというお答えをいたしておいたのでございますが、これが決定をいたしましたので、二人で視察に参りました。帰りまして、記者会見をいたしまして、この結果について国民の前に御報告をいたしたのでありますが、幸いだだいま御質問を得ましたので御報告をさせていただきたいと思います。  私どもは十時にYS11を改良いたしました海上保安庁の海難救助用の飛行機で羽田を出発いたしまして、約五時間半、候補地になっております明石-鳴門、児島-坂出それから愛媛-広島、これらを各二往復飛行機をやりまして、機上より視察をいたしましたが、たいへん視察をしたことがよかったという印象を受けました。それぞれの特徴は如実に飛行機の上からも見られたわけであります。  あえて申しますと、明石と鳴門のほうには淡路島という巨大な島が一つあるということが非常な特徴であります。児島のほうは一番近いということが特徴であります。また、愛媛-広島間はたいへん島が多くて、これをつなぐということは今後の開発ということについて非常に有益であろうというような、いままで論議されておることを空から実見し得たということでございます。この本土-四国を結ぶ架橋については、全国総合開発計画の中で昭和六十年を見通しまして、国民総生産百四、五十兆というものが達成されておる段階においてこれはうらはらの問題であります。それが達成されるためには瀬戸内海に三つの橋がかけられておるということになるという構想は、これは当然ではなかろうかというような印象を私は深くいたしたのであります。  帰りましてから、今後の問題につきまして建設大臣が代表して申し上げたのでありますが、今度は事務当局で原々案というべきものをまとめて、これを土台としまして、これを与党の関係機関ともちろん相談をいたしますが、政府といたしましては、この本土-四国の架橋のための臨時閣僚会議というものを持ちまして、そこで決定を見ましたならば閣議で御決定を願うというような手はずにして、九月中旬までにはこの決定に持ち込みたいと考えておるということを建設大臣が申し上げておるのであります。  私はそれにつけ加えまして、一つ問題点として申し上げたのは、新幹線構想というものがございまして、この新幹線というものについては、先ほどからも御質問の中にお答えをいたしたのでありますが、鉄道建設審議会ではこれからの全国の新幹線構想について小委員会の中で、財源まで考えて討議をしようじゃないかという委員さんの御発言もあり、相当この問題について今度は立法措置まで考えるようなところまで真剣に取り組んでいこうじゃないかという御決議があるわけでございます。もちろん各政党にも新幹線構想ということについての考え方もあろうと考えますが、この問題が架橋の問題とからんでまいりますので、かりにこれが実現いたしますとしても、いまの話に出ました北海道の場合でも、トンネルはできた、現在の線はできたが、あとから新幹線ができることになっておるではないかという御指摘がありましたが、そのようなことも想像されるわけでございまして、それらのことを事務的に技術的にどうやっていくかという原々案ができましたならば、そこで決断を下すための考え方というものをまとめてみたい、私はそのように考えておりまして、そこに一つ問題点があるということだけは申し上げられますが、これとても、考え方がまとまりましたならば当然こうなるのだという結論になるのでございますから、これがあるためにおくれるという問題ではなかろう、こういうふうに了解をいたしております。  簡単でございますが、以上、御報告を申し上げます。
  36. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 どうもありがとうございました。
  37. 砂原格

    砂原委員長 中川一郎君。
  38. 中川一郎

    ○中川(一)委員 私は、新幹線を含む青函隧道と並んで、日本の自動車輸送についての高速自動車道について質問いたしたいと存じます。  先ほど来、箕輪委員質問で明らかになりましたように、新幹線を含む計画は四十五年から着工になるかもしれない、そして、しかも六、七年で完了する予定もあるということになるわけであります。ところが、自動車高速道のほうは、いまの昭和三十二年にできました法律の中にも予定線にすら入っておらない、それから全国総合開発計画の中にも入っておらないという片手落ちの感じが私はするのであります。国鉄がそこまできておるのでありますから、自動車道についてももうそろそろ、少なくとも何らかの見通しを立てるべきではないか。ましてや、できれば二本の隧道――これはまさか橋をかけるわけにいきませんので、隧道以外に方法はないとすれば、できるならば国鉄の路線と何らか総合的に併用できるくふうというものも研究してみるべきじゃないかというふうに思うわけですが、この自動車道、高速道路等は一体どうなっておるのか、建設省にお伺いいたしたいわけであります。  その前に、大臣非常にお忙がしければ、自動車行政をあずかる大臣として、日本の縦貫高速道路というんですか、日本を縦に結ぼうというのがこの構想でありますとすれば、あそこがくびれてしまうような計画ではほんとうの意味の縦貫高速道路とはいえないのじゃないかと思います。これを一体どういうふうに結びつけるのか、自動車局長でもけっこうですが、原田運輸大臣、できるならばその点について、まず自動車行政をあずかる側としての御見解を承りたいと思います。
  39. 原田憲

    原田国務大臣 自動車高速道路については、私も建設大臣と一緒に共管の形であずかっております。その高速道路をもって本土北海道を結ぶ際に問題になるのは、トンネルで結ばなければ直接結んだことにならない。トンネルで結んだ際の――これは私の常識でございますけれども、排気ガスの関係が非常にむずかしい問題じゃなかろうか、ただ、これからも、先ほども箕輪君が海の話をいたしましたが、フェリーボートというものはますます開発されてくると思います。あるいはホーバークラフトというものも開発されてくると思います。いまアポロが月まで到達しておるところの技術革新というものが今度われわれの地上へ応用されていくならば、思いもよらなかったことまでできてくるのではないか、このように想像できるわけであります。従いまして、トンネルでなければ結んだことにならないということではなかろう、自動車で青森へ行きますか、あるいは突端のどこへ行きますか、それは別といたしまして、そこから海があるのでありますから、できるだけ早く北海道側に船によって運んで北海道道路と連結するということは、事実もう可能でありますから、いまよりも一そうそれを近代化していく、こういうことによって目的は達成することができる。トンネルができますと事実上つながるわけでございますが、この問題につきましては、少し技術的な問題もあろうと思いますので、局長のほうから答弁をさせます。
  40. 多治見高雄

    ○多治見説明員 本土北海道トンネルで直接結ぶという問題でございますが、ただいま運輸大臣からお答えがありましたように、自動車をトンネルに直接結ぶという問題につきましては、排気ガスの問題で技術的にほとんど不可能に近い困難性があるということで、現在具体的にその計画検討しているというところまではいっておりませんが、いま大臣からお話がございましたように、将来の問題としてはいろいろ何とか考えなければならぬ、考える余地があるのではないかというように考えております。
  41. 中川一郎

    ○中川(一)委員 大臣お話は、結論的に言うならば、トンネルではむずかしいのではなかろうか、カーフェリーなりあるいはフェリーボートによって間接的に結ぶことのほうが、技術的な発展を考えると考えられるのではなかろうか、こういう結論であろうと思います。また、建設省としては、排気ガスの問題もあるけれども、そろそろ何らか考えるべき時期ではないか、いってみるならば、想像的というか、常識的な考え方しかないわけです。しかしながら、この問題は非常に重大でありますので、排気ガスの問題はもうだめなのかどうかという結論はやはり科学的にやるべきではないか。ただ、だめだだめだというのでは消極的に過ぎるのではないか。  聞くところによると、鉄道の大きな貨車というんですか、ああいうものに載せて自動車を運ぶという方法もある。そうすれば排気ガスの問題は解決するのではないかということからいうならば、今度の新幹線構想の中に自動車も輸送できるような鉄道というものを考えるべきではないかと私は思うのです。ところが、もう来年から着工してしまうということになれば、そのことの検討もなされないままに一方は走ってしまって、この問題はあきらめてしまわなければならぬというような気がするわけです。いまの新幹線構想の中にそういう自動車輸送網というものを頭に置いておるのか、何かちょっと聞いたような気もするのですが、その辺についての配慮はどうなっているか、鉄道建設公団に伺います。
  42. 原田憲

    原田国務大臣 いまちょっと申し上げたいのですが、私が申しましたのは、だめだと言っておるのではない。月まで到達しているこの新しい技術というものをわれわれの地上に応用していくならば、あるいはできることがある。現在一番早いのは船でやっております。船はいまでもやっておりますから、このほうが一番早い。排気ガスの問題については、トンネルではいま一番問題があるのですが、これだって技術革新によって退治できるかもしれないということを私は申し上げたのであって、中川君は、私がだめだと言っている、道路のほうはいいと言っているというふうにおとりになると問題でございますから、私はもう産業公害と安全ということに一生懸命に取り組んで、これが行政の一番重要な点だと思っておりますので、誤解のないようにお願いします。
  43. 中川一郎

    ○中川(一)委員 承知いたしました。
  44. 篠原武司

    篠原参考人 まだこういうところでお話しするのはどうかと思うのでございますが、実はフランスとイギリスの間のドーバー海峡では、フェリートレーンといいまして貨車に自動車を載せて運ぶという方法を考えております。それで、青函にもそういうことも考えられるのではないかという案もございまして、検討事項ということで勉強しているという段階でございます。ただ、そうした場合に、輸送がどれだけあるか、新幹線は通すわ、狭軌の貨物列車を通す、それから、そういう問題をどういうふうに運ぶかというような問題もありますので、そういうような量的な問題もいろいろ検討しなければなりませんので、いま勉強中ということでございます。
  45. 中川一郎

    ○中川(一)委員 これは非常に大事なことであろうと思います。勉強しておるうちに着工になってしまったんではそれは間に合わないことになるわけです。自動車の輸送量というものは常識的に見てもたいへんな伸びを示しております。今後の伸びというものは、北海道あたりでは特に内地に直送しよう、原料物資などの直送ということによってたいへんな期待がかけられるわけです。食料あるいは森林その他資源、そういう意味からいくと、これについては非常な期待をかけられるし、関心も持たなければならぬというわけでありまして、この点については運輸省、建設省、できるならば経済企画庁も入っていただいて、これはまじめに検討して、いまのドーバー海峡でやっているフェリートレーンですか、これはぜひひとつ入れていただきたいという感じがするわけです。特に経済企画庁はあのりっぱな全国総合開発計画というものも立てまして、日本の経済の伸びなり自動車の伸びなりを考える大事な官庁であります。この点について各省庁との調整をはかって、せっかく使う金ですから、二千億から投入する、そこでフェリートレーンを入れるならば何百億ぐらいかかって、その効果はどのくらいになるかということについて真剣にやっていただきたいと思いますが、経済企画庁、いままでこの点についてどういうような研究というか、考え方を持ち合わしておるか、お聞かせいただければと思います。
  46. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 御承知のとおり、五月末に新しい全国総合開発計画を決定していただいたわけでありますが、この計画昭和六十年度を目標としておりますけれども、具体的な内容として書きました「第一部」を見ると、特に交通、通信についてのネットワークがかなり書いてございますけれども、これはいずれも現在の技術水準が今後かなり進むであろうということについて、ある程度の想定を入れて書いてあるというようなものでございまして、あの前文にもありますように、技術革新というのはこれから非常に進むだろう、そういうことによって大きく条件が変化すればこの計画は改定しなければならない、そういう前提で書いてあります。  したがいまして、いまのこの青函の連絡につきまして、国土開発縦貫道の姿としてはあれを結ぶことにしてありますし、また、札幌から福岡までの主軸ということを非常に大きくネットワークの中で重視をすることにしたわけでありますけれども、この間の青函隧道がどういう形でできるか、またそれが自動車の輸送というような面にまで役立たせることができるかということについては、われわれの中での検討におきましても、まあいまの段階では非常にむずかしい問題らしい。いま篠原総裁のドーバー海峡のお話もございましたが、この構想もそういった形での構想があるということであって、決定したというふうには聞いておりません。これからの問題がいろいろあるようだということでございまして、私どもせいぜいこういったものを勉強いたしまして、特に新幹線につきましては、一応その「第一部」では現在仙台までしか書いてございませんが、これを逐次延長して全国網をつくるということになっておりますので、国鉄側の研究の進みぐあい、鉄建公団の研究の進みぐあいというようなこととあわせまして、私のほうも考え方を逐次固めてまいりたいと思います。
  47. 中川一郎

    ○中川(一)委員 これは希望条件になるわけですけれども、別途にまた隧道を掘るということになれば、排気ガスの問題もありましょうし、資金の問題もあるでしょうし、若干おくれるのじゃないか。これから技術革新があってということでありますから、どう推測できるかわかりませんが、かなりの年数がかかるということが想定されるわけであります。  そこで、いま鉄道建設公団から話のあったこのフェリートレーンというものは非常に期待がかけられるのじゃなかろうかと思うわけでありますので、ぜひともこの構想について運輸省も積極的に参画をしていただきたいというわけであります。  その点について、自動車局長技術的な、事務的な感覚も含めての御見解を承っておきたいと思います。
  48. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 近来、自動車交通は非常に発達してまいりまして、特にこの北海道関係では現在フェリーボートが動いておりますけれども輸送需要はますます旺盛でございます。われわれといたしましては、全国の縦貫自動車道の建設ということを建設省とともに取り組んでおるわけでございまして、その一環として、青函をいかにして結ぶかという問題は非常な重要な問題でございます。で、いまのフェリートレーンの特殊な貨車に乗せて運ぶということにつきましては、建設公団でもその研究をなされるということになっておりますので、われわれといたしましても、自動車交通の画期的な前進のためには、ぜひこの技術的な面にもともに相携えて検討をしていきたいと思います。
  49. 中川一郎

    ○中川(一)委員 建設省のほうも、まあフェリートレーンでありますと直接建設省は関係ないことになりますが、道路行政としての縦貫道路についてはもうちょっと私は積極的にやってもらいたい。国土縦貫の法律は昭和三十二年にできたわけであります。ところが予定路線にも入っておらない、そういう技術的な調査ですら金を使ったという話も聞いておらないわけであります。やはりこういう調査研究というものは長期を要するものでありますので、積極的にこの問題と取り組んでいただきたいと思いますが、建設省の御見解を承りたいと思います。
  50. 多治見高雄

    ○多治見説明員 ただいま運輸省のほうからお答えがございましたように、本土北海道を直接自動車で結べるということは、われわれとしても、非常に将来の大きな夢として当然考えるべき問題だと思います。ただ、いままでお話がございましたように、技術的に非常に困難な問題ということで、ただいま中川委員からお話がございましたように、われわれとしても、これを契機として、そういった大きなビジョンといいますか、夢を目ざして研究を進めたい、こういうふうに考えております。
  51. 中川一郎

    ○中川(一)委員 それでは、時間も十一時までということでありましたのでこれで終わりますが、どうぞひとつ――自動車の問題は、私が申し上げるまでもなくたいへんな伸びである、これを忘れては国土縦貫の高速自動車道というものは片手落ちではなかろうか。フェリーの問題もありましょう。とりあえずはいまのフェリートレーンというようなことを総合的に御検討いただきたいことを要望いたしまして、私は質問を終わります。
  52. 砂原格

  53. 神門至馬夫

    ○神門委員 過疎パスの問題についてひとつお尋ねいたします。  この点については、先般もたまたま島根県の半分を専有しております石見交通という会社の争議をめぐりまして運輸省と自治省に対して調査方をお願いしておきました。しかし、私らも現地に社会党調査団として参りまして、この解決には少なからず努力いたしました。そして円満に双方譲歩して解決を見ましたことは非常に喜ばしいことだと思います。しかし問題は、この過疎バスを中心とする地方交通政策全般の問題として残されたままであります。でありますから、これからそう基本的なものについてお尋ねする時間もございませんが、今年度予算の中に路線維持費、こういうものを新たに組まれて、地方交通過疎バス対策がなされております。そういうような問題についてこれからちょっとお尋ねしてみたいと思うのです。そして、最終的に大臣にこの大まかなお考え方をお聞きしたいと思います。  まず、ことしの予算の中に自動車関係予算として七千七十万円組まれております。そして先ほど申しましたように、路線維持費補助として四千七百八十万円の金額が組まれております。私たちは非常にささいな金額だと思うのですが、四十三年度の実績を調査して補助対象事業者をきめる、こういうふうになっております。なっておりますが、この四千七百八十万円という金額をおきめになった積算基礎、これはどのようなことで――数字はわかっております。基準はわかっておりますが、あの基準そのものを適用してみますと、まだまだ予算全体が足らないのじゃないか、こういうように考えるのです。どういうようなものを対象に大体お考えになったのか、たとえば何社くらいあるのか、こういう点をちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  54. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 いまお話しの基準に合わしまして全国の各路線につきまして調査をいたしました。四十三年度につきましては、予算要求のときにはまだそれがつまびらかでないわけでございまして、四十二年度あたりの数字から推定いたしまして各路線ごとに検討いたしました結果、この金額に相なったわけでございまして、過疎の路線維持費補助につきましては、その当時の推計といたしましては約二十社程度のものを推計いたしております。しかし、具体的に基準を適用いたします場合におきましては個々に申請を待って審議するわけでございますが、現在のところ、補助要綱を決定いたしまして、来月の中旬ごろまでに補助の申請を出していただくというふうになっておりますので、それによりまして最終的には決定をいたすわけでございますが、もしかりに予想よりも申請が多かった場合におきましては、補助金額を割り振りをしなければならぬというふうになっております。しかし、計算の当初におきましては一応この金額で約二十社に対して実施できるというふうに思っております。その二十社でおおむね八十系統前後でございます。
  55. 神門至馬夫

    ○神門委員 そうしますと、これは予算のワクにもちろん縛られて――四十二年当時よりか相当過疎が大幅に進んでおります。そうすると、結果的には二十社で終わらず四十社くらいになる。そうすると、予算のワクを申請事業者に対して配分するということになるのですか。この基準に合ったものに対してそのワク内で配分する、こういうことになるわけですか。
  56. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 申請のほうがわれわれの予想よりも超過すれば御指摘のような結果になるかと思いますが、まだいまのところは申請が出ておりませんので何とも申し上げかねますけれども、一応この数字前後で合うのではないかというふうに推定をいたしております。
  57. 神門至馬夫

    ○神門委員 そういうような申請書が出ましたときには、これは資料として一覧表をいただけますか。
  58. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 申請書は八月の十五日ごろまでに出すということでお願いいたしておりますが、前後する可能性もありますので、全部がそろうのは若干あとになるかと思いますが、そろいました場合には御報告申し上げます。
  59. 神門至馬夫

    ○神門委員 この場合、赤字会社に対して半額補助をして、あとの半分を県単として補助をする、いまの傾向としてはこういうようなことになる可能性が非常に強いだろうと思うのです。  そういうときに、自治省の佐々木参事官お尋ねいたしますが、何かの方法をもって県が補助した分に対して財政的にこれを見ていくというような考えについてはどうですか。
  60. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 ただいまの離島、辺地等のバス路線維持費の補助制度につきましては、その制度の趣旨からいたしまして、これに対しまして地方団体が負担をするという場合におきましては、それぞれの地方団体の財政事情に応じまして特別交付税の配分を通じまして財源措置を考えていくつもりでおります。
  61. 神門至馬夫

    ○神門委員 過疎パス等で私たちが検討しますと根本的な対策になってくるのですが、会社全体の赤字ということになってきますと、たとえばバス事業が専業である、他に事業をやっておらないというような場合には、大体会社の状態が第三期か第四期の末期症状になっておる。そのときにこの程度の金を注ぎ込んでも実際問題としてもう手おくれなんですね。その方法としては、過疎地域におけるところのそういうバス会社、他に事業を行なっておらないというようなものについて、路線別に補助対策を講ずるということでないとほんとうの過疎バス対策にならぬじゃないかというような考えがあるのです。こういう点について運輸省としては何らか検討されているか、あるいは、そういうようなものについて、自治省のほうでいろいろとこの過疎バス問題について検討されておるようですが、何らか御検討になった経過があるか、この点をちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  62. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 バスの運営は従来一定の地域をある業者が受け持っているわけでございまして、その場合に、比較的経営収支のいい路線と、そうではない、その路線を維持いたしますと赤字が予想されるという路線と両方持っておるわけでございます。全体といたしまして、その両方を経営する、それの可能なような運賃を認可してまいっておるわけでございまして、従来はそれでもっていけておったわけでございます。ところが、近来もうかる路線が少なくなって、もうからない路線がふえてきているというような現象がございまして、その赤字路線を何とか維持しなければならぬというふうな政策を実施するために今度この路線の維持の補助金が決定をいたしたわけでございます。したがいまして、われわれといたしましては、従来の考えのように、会社全体としては収支が償うという場合には補助金の必要はないというたてまえで考える次第でございます。  しかしながら、現在の乗り合いバス部門で営業損、全事業で経営損というふうな要件でございますと、これが少しシビアー過ぎるのじゃないかというふうな御意見もありますし、さらに、最近におきます過疎地域の非常な困難な運営の状況等を見まして、今後におきましては自治省とも十分御相談申し上げまして対処したいと思っております。  なお、この補助の対象にならないところにつきましても、過疎地域の路線を維持いたしますために、関係の市町村あるいは県と御相談いたしまして、県のほうでも費用を負担していただくというふうな措置をとっていただいているところもあります。  今後は、われわれといたしましては、県当局とさらに連絡を密にすると同時に、運輸省といたしましては、地方交通に関する総合的な政策を御検討願うための審議会の制度も今回の設置法改正に提案をいたしておりますので、そういう場等におきましても過疎地域の交通問題を最優先的に取り上げて対処したい、かように考えております。
  63. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 路線バスの問題につきましては、所管が運輸省でございますので、この過疎対策の一環として、そうした路線バスの維持というものについてどういう考え方をとっていくかということにつきまして十分運輸省のほうで御検討お願いいたしまして、その内容に従いまして地方団体として措置すべき部分につきましては十分検討してまいりたいと存じております。  また、自治省が独自にやります過疎対策といたしましては、こうした路線バス等のないような地域におきまして、通学バス等の整備等につきましてそれぞれ財源措置を講じておりますけれども、企業としてやっております路線バス事業につきましては、やはり運輸省考え方を前提にいたしまして検討したい、かように考えております。
  64. 神門至馬夫

    ○神門委員 自治省のほうにもう一度お聞きしますが、県単で、全国で二、三県、自衛処置としてしかたがなしに補助金を出しておるのですね。そういう条例を制定しております。もちろん、この条例制定にあたっては関係市町村と折半で赤字分を持つ、こういうようなやり方でやらざるを得ない。ところが、そういうような県あるいは公共団体全体が非常に財政力が弱い、こういうような矛盾があるわけなんです。  で、そのような県独自、あるいは市町村の半額補助をまた県が見るという、こういうような関係になっているものに対しての財政的措置ですね。この点について、先ほどの関連でお考えになっておる点があれば……。そういうものについて何とか見てやろうという考え方があるかどうか。
  65. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 県の独自の措置としてやっておりますバス路線維持のための補助金等につきまして、現在のところ特に財源措置をするというようなことは考えておりませんが、最終的には、それぞれの地方団体の財政事情に応じまして、その財政運営が可能なように考えていかなければならないわけでございます。それはいまの地方財政の制度の中で独自にやり得る財源というものも一応留保されているわけでございますが、その範囲内でやれるものでありますならば、それはそれぞれの地方団体独自でやっていただければよろしいわけでございます。交付税等で財源措置をいたしますと、やはりある程度各地方団体に均衡のある財源配分というものを行なわなければならないわけでございますから、やはりある程度制度的なものとして考えていかなければならないだろうと思いますが、ただ、財政運営自体が、特に小さい団体等の場合に非常に困難となるような事態があります場合には、私どもといたしましては、また別な見地に立ちまして、その財政が困難にならないような措置は同時にとらなければならない、こういうことになると考えております。
  66. 神門至馬夫

    ○神門委員 その点につきましては、いま過疎振興法、過疎地域特別措置法等、いろいろ審議しておるさなかでそのような問題も実は中にあるのです。制度的にしないと、自治省としても運用の幅を持って財政の問題をいじるということはなかなかむずかしい点もあろうかと思うのですが、ひとつ御検討願っておくように要望したいと思います。  それから、先ほど話が出ましたそういう赤字路線、それから路線バスを撤去していく、あるいは減便をする、こういうようなことで、どうしても足を確保するためにマイカーを公共団体で共同経営する、あるいは有料バスを運行する、こういうような自衛措置がどうしてもとられなければならなくなっております。  一つは、先ほど無料でマイクロバス等のマイカーで通勤通学の足を確保する、こういうようなものについては何らかの財源を見ている、こういうようなお話ですが、これを有料でバス経営を行なう場合、この場合に道路運送法等の免許条件を取得するということはたいへんなことなんで、何とかそれに対して便法をもって免許を与えるというような方法を運輸省として検討されているかどうか。
  67. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 いま御指摘のような過疎地域におきまして、公共交通機関がない場合に何とかその地元等でやりたいというような場合、これは地方公共団体でもってバスを運行する場合、それから自家用自動車を共同使用するというような方法がございます。これらにつきましては道路運送法の規定がございますが、これの適用を従来のようなきついような審議でなくして、実態に即してきわめて簡易にする、弾力的に扱うということで自治省にも御相談申し上げております。そういうふうな具体的な場合に即応して十分仕事のほうも能率的にやっていきたい、かように考えております。
  68. 神門至馬夫

    ○神門委員 自治省では、いまそういうふうな場合には、それに使った費用というものは何か助成をしている、補助をしているというお話でしたね。さっきの共同経営をやっているような場合、その点はどうですか。
  69. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 ただいまやっておりますのは、義務教育小中学校の統合に伴いまして、生徒、児童の足を確保いたしますために通学バスを設置している例がございます。そういうものにつきましては、その通学パスの設置運行に伴います財源措置はとっておるわけでございます。  ただいま過疎地域におきまして、路線バスの廃止等に伴って新しくその地域住民の足を何らかの形で確保しなければならないというような問題が出てまいることが予想されるわけでありますが、この措置につきましては、現在私ども運輸省のほうとよくいろいろな場合を想定して御相談申し上げているわけでございますけれども、こういうものにつきましても、おそらく将来、国の制度と相まちまして地方団体に対する財源措置を考えていかなければならないだろうというふうに思っております。
  70. 神門至馬夫

    ○神門委員 その辺も実現するように要望しておきたいと思います。  そこで、いまのような公共団体自体が自衛のために車を持つ、これは有料でも無料でもいいが、そういうようになってきますと地方自治体としてはたいへん苦しいわけで、できれば既存のバス会社にやってもらおうとするわけです。いまのように助成をもって国が補助をして、何らかそこに自治体が車を持つようにすると、赤字に悩む会社としては黒字の線まで撤去しようとするわけです。この問題が出てくるわけです。その点について、私は現地に入って町村長さんともいろいろ話をしたのですが、町村長も実は困ると言うんです。実はそれは大事なことなので、金をもらっても困ると言うんです。それで会社のほうも、会社自体としては、そういう線をどんどん捨てるという口実がつきますから非常に喜ぶ。たとえば石見交通なんかは五十三線の中で三十四線が赤字なので、そこを全部とってもらうことを非常に喜ぶが、そこに働いている労働者はたいへんなことになるわけです。そうしますと、それをチェックするには運輸省の休止、廃止に対する許可を与えるかどうか、認可するかどうかという許認可権そのものをもってチェックする以外にはないわけですね。いまのような制度を将来考えてもらうとすると、より運輸省の積極的なそういう介入と申しますか、きっちりした廃止に対する態度というものが必要になってくるわけなんですが、このようなことについて――このようなことというと非常に抽象的なものの言い方ですが、すでにそういう問題が起きているようなところがあるわけですね。あるいは限界というようなものをお考えになったことがあるのか。
  71. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 全国から休廃止の申請が相当ございまして、全国的なものとして調査をいたしました場合がございます。昨年からことしにかけまして調査いたしました。  それで、われわれといたしましては、休廃止というものは道路運送法によりまして許可するわけでございまして、簡単にこれを許可するものではないわけで、会社全体としてやれる場合におきましては、非常に過疎で交通需要が少ないところでもその路線を維持させるということで許可をしない、しかしながら、会社全体として非常に苦しくなってまいっております場合におきましては、一方補助金制度で補助すると同時に、たとえば輸送の密度が五人以下のようなところにつきましてはケース・バイ・ケースに応じて、やめることができるかどうか、やめないとして、地方としてどうしても維持していただきたいという強い要望ならば、地方からも若干のものを出していただくというふうなことができるかどうか、さらに、いまおっしゃるような、他の手段によって市町村なりが経営する、あるいは共同で自家用車の共同使用をするというふうな方法があるかどうかというふうなことを御相談をして決定をいたしたいということでございます。近来、去年あたりからこの問題が非常に大きくなってまいっておりまして、関係の各県でも知事さんのような最高首脳部の人が御関心が深くて、十分今後相談して、私がいま申し上げましたような順序でものを相談していこうじゃないかというふうなことに相なっておりまして、そのような県は相当全国にあります。  われわれといたしましては、先ほど申し上げましたような一つ審議会の場を通じまして、その地方、そしてまた具体的には各県、そのブロックあるいは県に応じました過疎地域の交通確保問題に取り組んでいただいて、本省といたしましては、従来の補助制度をさらに拡充いたしていくというふうなこと、それから法律の運用につきましては、弾力的にこれを行なっていくというふうな方向に向かって進んでまいりたいと思います。
  72. 神門至馬夫

    ○神門委員 特にその点で審議会等の運用――新たに設置されていいわけですが、そういう点で、特に市町村長なりあるいは県知事等の意向というものを休廃止の場合にもまず前提にしてもらうことが一番いいことじゃないか、これが全体の公共性を保つことじゃないか。ただ、会社が苦しいというのに、乗り手がないというのに廃止させないということも、これはやはり一つは助成もせずに、という問題が出てきますから、やはり公共性、公益性からいって、市町村長なり知事の意向というものを十分そこで聞いてもらうようにお願いしておきたいと思います。  そこで、この前調査方をお願いしておった先ほどの争議は終わったわけですが、一つの営業所で十二路線ありまして、その二つの路線を残して十路線を廃止するというようなことを突然この社長自身が新聞記者会見で発表して、たいへんな問題になったのです。こういうようなことは、実際問題として最終的には運輸省のほうから認可されないとそういうことはできないのですが、運輸省として具体的に出てこないとわからぬで、ようけれども、そのバス会社はその地域のバス路線としては専有しておるわけですね。一部国鉄が入っておるけれども、ほとんど専有しておる。そういうようなところで、十二路線の中で十路線を廃止するというようなことが認可できるかどうか、お考えを聞かしていただきたい。
  73. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 当該地域におきまして唯一の、最終的と申し上げてもいい公共交通機関でございますので、その地域にバスがなくなるということになると、これは大問題でございます。われわれといたしましては、たとえば石見交通の場合におきましても争議の早期解決ということを期待いたしますと同時に、その地域の路線を維持するということで会社を指導してまいったわけでございます。したがいまして、その地域のパスがなくなるというふうな事態は困るわけでございまして、これを許可するというふうなことは考えていないわけでございます。  しかしながら、将来におきましては、特に過疎地域ではその会社がもう維持できないというふうな問題に遭遇する可能性もございますので、ただいまの補助制度よりもさらに前進した政策を将来は立てていかなければ過疎地域のバス事業を維持できないような地域が出てくるのではないかということを憂慮しておる次第でございまして、今後におきましては、この問題はわれわれの自動車行政といたしましても最も深刻、かつ重要な問題として対処してまいりたいと思っております。
  74. 神門至馬夫

    ○神門委員 それと関連することなんですが、これはちょっと視点が違うのですが、その場合に、会社のほうからロックアウトの通告がなされたのですね。これは法的手続を労調法によってとられてバス会社がロックアウトをするということなんですが、これは労働法と運送法との関連になってきますが、部分ストを行なったときに全面的なロックアウトを行なうというようなことは、運送法との関係でどういうふうになるのですか。前例があったら、あるいはなかったらお考えを聞かしていただきたい。
  75. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 会社側がロックアウトをやるという場合につきましては、従来はトラックであるとかハイタクであるとか、区域事業の場合には間々聞いております。しかし、バスのような場合におきましてはその例が非常に少ないというふうに記憶いたしております。  労働ストと道路運送法との関係につきましては従来から非常に問題がございまして、許可する、認可するということによりまして、どちらかに有利、不利というふうな結果にも相なりますので、われわれといたしましては、労働争議につきましては、争議の早期解決ということを期待いたしつつ、道路運送法の適用自体は見合わすというふうな態度でまいっておるわけでございます。スト中にその問題で、たとえば保安のような問題でありますと観点が違いますけれども道路運送車両法ですとか道路運送法の面になりますと若干取り扱いがむずかしいわけでありまして、いま申し上げたような態度でまいっておるわけでございます。
  76. 神門至馬夫

    ○神門委員 その点、若干意見もあるのですが、時間がありませんから一応意見をお伺いしておきます。  そこで、大臣にお伺いしたいのですが、いまのように深刻な地方交通の問題が起きております。特にバス路線の問題が一番大きな問題になっているのですが、こういうふうな私企業に対して、監督官庁が、経営困難であるにもかかわらず公益性をたてにとって規制をする、死にたいというのを死なせない、廃止するというのを廃止させないということになるとなかなかむずかしい問題になってきます。そこで、どうしても国鉄というような国家企業がそれの代替として責務を果たしていくということが当然の任務になってくるんじゃないかというふうに考えるのです。この前、いろいろ困難の末に国鉄財政再建促進特別措置法がきまりまして、その中の第三条に、この四十四年度から十年間にわたっての国鉄の再建の基本方針をつくって、閣議できめる、こういうような任務が規定してあるわけなんです。  それで、赤字ローカル線の廃止等の問題が特に住民の関心事なんですが、そういうようなバス路線の経営困難な地域に当然のことながらそういう八十三線の廃止対象線があるのですが、そういう赤字線を廃止しないで、むしろ、先ほど言ったように私企業にかわって国鉄が見ていく、そして国が大幅にこの赤字を補助していってその経営を助成をするというようなやり方が正しいのじゃないかというふうに考えるのですが、このきまりました財政再建促進特別措置法と基本方針の制定との関係、あるいはそういう地方交通との問題についての考え方と基本方針の作成が現在どのようなところまできているのか、この点をお聞かせ願いたいと思います。
  77. 原田憲

    原田国務大臣 国鉄再建に対するところの基本方針は、目下作業中でございます。  いまの神門さんのお話は、その中に過疎地帯におけるところのバス運行ということを取り入れてみたらどうか、こういう御意見であるようでございますが、この問題は、いま局長から答えておりますように、新規の政策として、今年度からいままでやっておりました以上に過疎地域におけるところのバス対策というところを取り上げて進行さしていっておりますので、この面についてはわがほうの設置法の中でも、地方の陸運局を中心にいたしまして、各地方団体の御協力を得て地方に対するところの政策を伸ばしていくという方向でいくべきではないか、このように考えております。  私は一番問題は労働問題になってくると思っております。ということは、かりに私企業がやめてこれを公共事業に切りかえてみましても、同じ赤字の要因というものをなくさなかったならばこれは解決する道がない。そうしますと、そこで働く場を失わなければならぬ。一方においては、これから所得が上がっていきますから、過疎地帯乙いえども二月二月に自動車が入ってくる、あるいは、農村におきましては自動車にかわるところの運送手段というものを各戸が持ってくる。その場合に、はたしていままでと同じようなバス運行というもので交通の対策をしなければならぬかというところまでやがてはいくと私は思っております。そのときにはバスで働いている人たちがどこで所得を得るかという問題になってきますので、この点につきまして、今後とも十分用意をしてかかっていかなければならない。過密都市と過疎地帯は表裏一体であるというように私が申し上げておるのは、過密地帯でもいま運輸省と自治省と寄りまして大量輸送について考えをいたしておりますが、今度は過疎地帯におきましても、やはり運輸省と自治省が一緒になりまして、過疎地帯におけるところの交通をどうするかということに取り組んでいく、この姿勢でできるだけ万全を期したい、このように考えております。
  78. 神門至馬夫

    ○神門委員 ちょっといまの質問の中の国鉄財政再建促進特別措置法の中の基本方針の作成作業の進捗状態、それから国鉄の赤字線の廃止という方針は、基本方針を作成するにあたってどのようにお考えになっておりますか。
  79. 原田憲

    原田国務大臣 八月一ぱいはかかると思っております。  それからいまの赤字路線の問題でございます。これはもうたびたび申し上げておりますように、諮問委員会では八十三線廃止というように意見は出しておりますけれども、この問題につきましては私どもは慎重な態度で対処していくという態度は変えておりません。最近国鉄のほうでは、無人駅というようなことで計画を立てて運輸省のほうへ申し入れてくる、こういうことが新聞に出ておりますが、まだ具体的に私のところまで来てはおりません。これらに対しましても、やはり従来と同じように十分慎重な態度で臨んでいきたいと思っております。
  80. 神門至馬夫

    ○神門委員 質問を終わります。
  81. 砂原格

    砂原委員長 内藤良平君。
  82. 内藤良平

    ○内藤(良)委員 できるだけ早くして委員長に協力します。  国鉄当局お尋ねしますけれども、きのうのNHKのラジオニュースをちょっと聞きました。それから毎日新聞にもちょっと出ていました。いま大臣からもちょっと御発言がございましたが、二十一日の国鉄理事会で奥羽線と羽越線、この両本線の日本海縦貫線としての一貫輸送体制を強化する、こういうことで、四十七年七月をめどに新津-秋田間、秋田-青森間を電化する、部分的には複線もするというようなことで報道されておりました。  それはわれわれ関係の住民としても非常に歓迎すべきことなんですけれども、そのあとに、いま大臣もちょっと触れましたが、中小の駅を廃止する、こういう方針をきめたというラジオ放送でした。毎日新聞も見ましたが、そういう内容は書いてございません。この中小の駅をやめてしまうというのはこれはたいへんな問題でして、地域の住民から見ますと大問題ですが、詳細をもう少し知りたいと思いますので、二十一日の理事会の模様をお話し願いたい、こう思うわけです。
  83. 山田明吉

    山田説明員 御指摘のように二十一日に理事会をいたしました。そのほかの案件もございましたが、いわゆる日本海縦貫の羽越本線、奥羽本線、新津-青森間の電化をするという方針をきめまして、この工事を始めますには運輸大臣の認可をいただかなければできませんので、その点で認可申請の手続として理事会をやったわけでございます。  これはこれから国鉄が全般的に行なおうとしております近代化の一環でございます。したがいまして、その点では、従来蒸気で走っておりました日本海縦貫線が近代的な電化になるという非常に大きな飛躍があるわけでございます。それと同時に、また他方、この前御審議いただきました再建措置法の答申にもございますように、運賃の値上げをしてやる、それから政府の補助もしてやる、それと同時に国鉄経営の合理化もやりなさい、この三本の柱でいわゆる国鉄の再建を御審議願ったわけでございます。その合理化の一つのやり方として過般やはり運輸省で設置されました国鉄財政再建推進会議の御議論の過程におきましてこれがいろいろございますが、いま御指摘のありましたいわゆる小駅の整理についての考え方のめどが御審議になっております。  その小駅だけについて申しますと、廃止または無人化の目標としては、おおむね旅客駅にあっては乗車人員八百人以下、貨物駅にあっては発着トン数八十トン以下の駅を対象として考えなさいというのがこの推進会議の御審議の経過でございます。それで、われわれといたしましても、一応こういう御議論がありましたので、これを一応のものさしといたしまして、小駅の廃止については、これをめどとして考えていこうというところでスタートしたわけでございます。したがいまして、いま御指摘がございました羽越本線、奥羽本線につきましても――これはここだけでなくて全国的な問題でございますが、この線につきましてもこのものさしを一応当てはめてみまして、整理できるかどうか、これをこれから検討してみたいということを理事会で議論したわけでございます。  ただ、大臣もいまお話がございましたように、これはめどでございまして、現在この程度の旅客しかない、この程度貨物しかないと申しましても、将来その駅勢圏内で非常に大きな工場の立地計画があり、あるいは五年先十年先にその付近の経済の発達がどうなるかというようなことも十分調査の資料にいたしまして、現在時点で直ちに即断するというようなことはいたしません。そういうあらゆる点を考えて、いわゆる合理化も進めてまいる、こういうことでございます。
  84. 内藤良平

    ○内藤(良)委員 もう一つ聞きますけれども、いまの羽越本線、奥羽北線、新潟の新津から青森までの間に、いまの基準ですね、一日八百人あるいは八十トン、それに当てはまる駅の名前はどういうところですか。
  85. 山田明吉

    山田説明員 いま申しましたように、その基準に当てはまる駅がどういうところかをこれから調査を始めるところでございます。
  86. 内藤良平

    ○内藤(良)委員 それじゃ、具体的には新津-青森間にこういう駅が該当するというぐあいには審議していないのですか。
  87. 山田明吉

    山田説明員 現在そういう駅のデータはございますから、この駅が八百人以下、以上ということはただいま資料を持っておりませんけれども統計資料の上から出てまいるわけでございますが、機械的にそれだけできめるわけではございませんということを申し上げておるわけでございます。
  88. 内藤良平

    ○内藤(良)委員 委員長お願いしますが、この駅名のデータをひとつ資料としていただきたいのです。委員長、ひとつお取り計らいを願います。
  89. 砂原格

    砂原委員長 これはまだ国鉄のおそらく理事会等で、まあ自分のところの会議の範囲内で審議中であろうと思いますから、そういうものははたしてすぐ国会へ資料が提出できるかどうかということはちょっと疑問だと思うのですがね。これは国鉄側のほうで支障のない程度であれば提出をしてもらいたいということを申し添えておきます。
  90. 内藤良平

    ○内藤(良)委員 それからもう一つ、いまのお話聞いていますと、線増あるいは電化、このことは第三次長期計画の中にもございました。  ところで、第三次長期計画はいわゆる再建計画に関連があるわけでしょうが、あれを変更されたわけですか。
  91. 山田明吉

    山田説明員 第三次計画は、ちょっと従来のいきさつを私知りませんので、井上理事からひとつ……。
  92. 井上邦之

    井上説明員 ただいまのお尋ねでございますが、第三次長期計画は決して変更したわけではございません。ただ、先生も御承知のとおり、国鉄財政は非常にシビアーな状態にございますので、今後の情勢をやはり十分検討してまいらなければならぬという問題がございます。したがいまして、多少地区によっては従来の計画がスローダウンするところは出てくるかと思いますけれども計画そのものを変更したというわけではございませんので、一年おくれになりますか二年おくれになりますか、場所によってはそういうところも出てくるということでございます。
  93. 内藤良平

    ○内藤(良)委員 奥羽線と羽越線の電化、線増は、これはやはり既定の第三次長期計画の中のいわゆる年次計画として進められるものだと思いますけれども、これの着工はいつごろになるわけでございますか。
  94. 山田明吉

    山田説明員 これはただいま申しましたように、運輸大臣の御認可を得次第、工事着工するつもりでございます。
  95. 内藤良平

    ○内藤(良)委員 それじゃ四十四年度でありませんね。四十五年度以降ですか。
  96. 山田明吉

    山田説明員 四十四年度予算の中に一部予定をして経費は計上してございます。
  97. 内藤良平

    ○内藤(良)委員 それから線増、電化を進めると同時に、この小駅の廃止、これはこれからの線増、電化設備の改良に伴って、いわゆる小駅の廃止はもう密着したものかどうかですね。小駅を廃止しなければ線増、電化をしないのか、線増、電化はいままでの第三次計画に基づいて財政の許される範囲内で進める、しかし小駅の問題は今日までいろいろ答申があるので、そういう機会にこれを検討して進めていく、こういうぐあいにつながっておるようだけれども、さっきの大臣答弁もございましたが、そのお答えを取り上げるのは私、恐縮でございますけれども、必ずしも密着しておらない、あるいは当然やるのだ、ここら辺の区別ですね。これをもしなんでしたら……。
  98. 山田明吉

    山田説明員 片一方で近代化をやり、片一方で合理化をやる、それがつながっているかどうかということでございますが、理論的にはこれはつながってはおりませんけれども、現実の問題といたしまして、この電化をやります際に、運転方式もいわゆるCTCと申しまして、リモートコントロールの組織を取り入れます。これは近代化のいまの技術水準では非常に進んだやり方でございます。そうしますと、勢いその小駅の運転の担当者が要らなくなるわけでございます、リモートコントロールいたしますので。それがその駅の無人化につながっていくわけでございまして、電化即合理化というわけではございませんが、電化に伴ったそういう近代的な設備をいたしますに伴っておのずから人が要らなくなってくるということで、駅では新聞等で駅の廃止廃止という大きな見出しになっているわけでございますが、事実はそのような関連があるわけでございます。
  99. 内藤良平

    ○内藤(良)委員 先ほど神門委員お話もございましたように、過疎、過密というぐあいに分けますと、ぼくたちの選出の秋田県は過疎地帯になるわけです。そういう地域住民というものは、先般来論議のありました赤字路線の廃止問題以来、国鉄の問題につきましては非常に神経が過敏になっているわけですけれども、赤字路線の廃止問題は、大臣お話もございましたように、軽々しくは取り上げない、地域住民の意向を尊重する、これは歴代の大臣の御答弁にもございました。今度のこの奥羽線と羽越線の線増、電化の問題にからんで小駅の廃止ということも出たわけですけれども、そこら辺はいわゆる機械的に近代化してまいりますると、いろいろ人間も必要でなくなる、そこで駅も廃止、こういうぐあいにきわめて単純にお考えになっているのかどうか、あるいは、いままでの大臣の御答弁にもありますように、その点につきまして、人間はいなくなっても駅は一ぺんになくしてしまう、こういうことでなくして、住民の皆さんの御意見を尊重しながら考えていこうというような趣旨で御論議をなさっておるのかどうか、その辺を少しお伺いしたい。
  100. 山田明吉

    山田説明員 申し上げるまでもなく、国民あっての国鉄でございますから、先ほど申しました再建推進会議審議の過程における一応の目安は、これはものさしでございますが、それを当てはめてみますと、機械的にあすからすぐやめるというようなことはいたしません。大臣お話もございましたように、運輸省の御指導も受け、それから地元のどういう組織を通じて御相談するかまだきめておりませんけれども、十分地元の御意向も尊重して協議を進めてやってまいるつもりでございます。
  101. 内藤良平

    ○内藤(良)委員 まだこの問題につきましては後日時間をいただきまして……。  ただ、さっき委員長お願いした資料といいますか、駅名、これはひとつお知らせ願いたい、こういうぐあいにお願いして私の質問を終わりますけれども、私の持ち時間がまだございますから、井上さんの関連質問をその中で御配慮願いたい。
  102. 砂原格

    砂原委員長 関連は一分間でお済まし願いた  い。
  103. 井上泉

    井上(泉)委員 ちょうど大臣もおられるから……。大臣もヘリコプターに乗って各ルートの視察をされたのですが、その日の新聞に磯崎国鉄総裁が、二つとも新幹線でということを本四架橋の併用問題に関し国鉄本社で記者会見をして述べられ、事実、関係の県民をびっくりさしたわけです。一つでも新幹線を通すということにやいやい言っておるのに、二つとも新幹線国鉄検討しておる、そうして明石-鳴門の関係でなしに、宇高の関係においては在来線の貨物とローカル客は当分の間宇高連絡船で運ぶことを考える。これは併用橋ができても十年くらい先のことになりますので、これはもちろん当分の間貨物とローカル客は宇高の連絡で運ぶのはわかり切った話ですが、一体こんなことを国鉄は本気になって考えておるのかどうか。これは総裁の記者会見ですけれども国鉄として検討しておるというのですから副総裁も十分承知をしておると思うのですが、その点、ひとつ副総裁から御答弁願いたい。
  104. 山田明吉

    山田説明員 先ほどからいろいろ御質疑を拝聴しておりまして、新幹線政府として御検討の段階であると国鉄としては承知いたしておりますが、国鉄自体としてもやはり自分で研究すべき問題だということで、内々どういうものになるものだろうかというようなことで研究をいたしております。  それで、先般総裁が申しましたのも、具体的に言いますと、山陽新幹線を延長して博多まで――これはもうすでに運輸省の御認可をいただいて着工する段階になっておりますが、それと別のルートで南九州を結んだらどうかというような考えがあるわけでございます。それを延ばして考えますと、四国に橋ができたらそれに鉄道が乗っかるように考えられないものだろうか、それを延ばして考えれば南九州のほうへ行けるのではないかというような考え総裁が話したと私は憶測するわけでございます。まだ確かめてはおりません。
  105. 井上泉

    井上(泉)委員 それでは、明石-鳴門も児島-坂出も二つとも新幹線でというようなことを検討しておるという三ですか。――それで大臣、そういうことを国鉄が研究するについては、二つとも新幹線国鉄検討しておる、こういうことについては国鉄がやっておるからかまわぬようなものですけれども、政治家が発言するならともかく、国鉄総裁というのは政治家でないのですから、そんな発言をされたらたいへん迷惑千万だと思うわけです。  これは二つとも新幹線国鉄としては研究しておることに間違いないですか。大臣からも磯崎総裁の談話についての見解を承り、私の関連質問を終わります。
  106. 山田明吉

    山田説明員 正確にお答えするためには本人に確かめないといけないのでございますけれども、私の承知している限りでは、そういう考えもあるという……。
  107. 井上泉

    井上(泉)委員 考えじゃないですよ。検討中ですよ。
  108. 山田明吉

    山田説明員 ですから、それをやるという結論を出したわけではございません。
  109. 原田憲

    原田国務大臣 私が承知しております限りにおきましては、国鉄総裁石田さんは、ここで国鉄総裁としてここにおられる阿部さんの質問に――私が、全総計画というものを根底にして四国にも新幹線を敷くということは考えられるということを申しましたが、国鉄総裁はその際に、そういうことは経済的にペイしないのじゃないかと私は思うということを言っておられたことを具体的には聞いた一人であります。  いまの総裁が話をされたということは、私も直に聞いておりません。新聞記事でございますから、これを中心にして想像でものを言うことは間違いますから軽率なお答えはできないのでございますが、新幹線ということに関しまして話をするならば、全総計画というものがございますから、それをもとにした場合に、あの全総計画というのはネットワークを組んで中国と四国を結ぶ一つの構想というものがある、その場合の交通対策として考えた場合にこうだというようなことが決定いたしたわけではありませんけれども、いろいろ国鉄側あるいは運輸省側あるいは鉄道建設審議会鉄建公団側で議論をしたことがございます。その中の一つにそういうことがあるのではないか、これは想像でございますが、私はそういうことがあるのではないかというような気がいたします。  したがいまして、磯崎総裁が記者会見をいたしましたことについて、私が正確なものを把握せずにとやかく言う筋合いのものでございませんが、私の考えといたしましては、あくまで鉄道の新しい新幹線という問題は、これはただいま国鉄再建を推進しております十年計画の中で考えられないもう一つの新しい事業であろう、こういうふうに考えて、これからどうするということでございますから、国鉄総裁がどう考えておろうと、これはその時点において国鉄総裁考えが具体的にあらわれてくるならば、その意見を聴取する機会はいろいろあるわけでございますが、運輸省といたしましては、関係の機関に諮問をいたすとか、あるいはまた独自の考え、あるいは関係方面のいろいろな意見を聴取するとかいたしまして、日本の将来の鉄道におけるところの新幹線のあり方というものをきめていきたい、このように考えております。
  110. 砂原格

    砂原委員長 松本忠助君。
  111. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 自賠責の問題につきまして、きょうは結論運輸大臣から伺いたいと思います。質問の内容も多いと思いますので、御答弁のほうも簡略に、要点を十分に含んだ答弁をしていただけばよろしいと思います。  まず最初に伺いたい点でございますけれども、自動車の損害賠償責任保険の審議会に対しまして、去る七月八日に大蔵大臣から自動車損害賠償責任保険の保険金額の引き上げ及び保険料率を改定すること、その他の問題についての意見を求められております。この点に関しまして、まず自賠責の保険金の最高限度額の引き上げ、要するに、三百万円から五百万円にするという点については、原田運輸大臣もしばしば言明もされておりますし、この実施についてはもう腹がきまっておられることと私は思っております。その三百万円から五百万円にする点については、人命尊重、被害者救済の意味から私も賛意を表するものでございますが、その実現について、早急にこれをやる必要がある、こう思っております。しかしながら、損保業界が要求するところの赤字の補てんのための料率改定につきましては、現行の自賠責の制度上の問題と運営上の数々の欠陥がございますので、この解決をはかった上においてやっていただきたい。単に料率の引き上げのみを行なうことは、私どもは反対でございます。この機会に自賠責の抜本的な改善をはからなければ、将来、交通事故被害者の救済、保険加入者の負担に大きな障害が起きると思うわけでございます。  この点について運輸大臣としてどのようにお考えになっておられるか、まずお答えをいただきたいと思います。
  112. 原田憲

    原田国務大臣 自賠責問題につきましては、再三お答えを申し上げてまいりました。できるだけ早い機会に、いま話の出ました保険金の限度額の引き上げを実現したいということを申し上げてきたのでございますが、ただいまお話しのごとく、審議会に答申を求めておる最中でございまして、三百万円を五百万円に引き上げたいという考えにつきましては、松本さんのお考えどおり、私もそのとおり考えております。  それから、保険料の引き上げということについては自分は反対である、もっと根本的に改正をすることによってこれらの問題は対処できるのではないか、これに対する私の考え方はどうだということでございますが、おっしゃるように、この問題はあとで質問がありますれば、技術的にもお答えを事務当局からいたさせますが、まず私の考え方といたしましては、だいぶ長くなっておりますので、この問題を早く一応解決をする、それから、いまお話の出ました根本的な問題につきましては、それに引き続いて速急に、可及的すみやかにまた結論を出す、こういう二段階で進みたい、こういう考えを持っておりますことを申し上げます。
  113. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大臣お話を聞きまして、私の考え方と少しばかり違っておりますけれども論議を進めたいと思います。  そこで、黒住自動車局長に伺うわけでありますけれども、自賠責の赤字の問題であります。  損保業界は本年二月に、事故件数が増加する、当然のこととして支払いの件数が増加いたします、治療の長期化によるところの治療費の増大、また、前回保険金を改定した際における料率の算定に不足があったのではなかろうか、こんな理由をあげまして、四十三年度の契約分が支払い終了の四十八年度には約千七百十三億の赤字が出るというようなことを言っております。先般の新聞によりますと、同一資料によって算定したと思われる運輸省の試算におきましては、推定赤字が千四百億、このように見込まれるということを言っておりますけれども、この食い違いについてお話を願いたいと思います。
  114. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 契約ベースで一応千七百億の赤字が出るということで、保険審議会大蔵省側からも資料が提出されております。千四百億の数字は、われわれの推定数字ではございません。千七百億はあくまで推定の数字でございますが、これが正しいかどうかということをこれから審議会検討していただくということでございます。
  115. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 運輸省の試算で千四百億の赤字が出るという記事がありましたけれども、それは間違いですか。私の承知している点が違いますか。運輸省でそういう試算をしたことはありませんか。
  116. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 千四百億の試算をしたことはございません。
  117. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そうすると、大蔵省で試算をしたわけですか、千七百億のほうは。
  118. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 保険会社のほうでかつて千七百億の推定がございます。今回は大体契約ベースによりますと千七百億であるということを大蔵省からも提出されております。
  119. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そうすると、運輸省のほうでは推定の数字は出していない。大蔵省のほうでは、その損保業界で出した千七百十三億の数字については信憑性があるということをお認めになっておるわけですか。
  120. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 大蔵省から一応その数字が提出されまして、その推定の根拠につきましては説明がございました。しかし、あくまで推定でございますから、それのしかたが正しいかどうかにつきましては、これから審議会におきまして審議されると同時に、運輸省といたしましても今後検討をしてまいりたいと思っております。
  121. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大蔵省の渡部保険部長さん、その数字について、大蔵省ではいま黒住自動車局長が述べられましたことについて同意されるわけでございましょうか。その点伺っておきます。
  122. 渡部信

    ○渡部説明員 お答え申し上げます。  千七百十三億円というのは、私のほうの事務当局がいわゆる試算したものでございまして、ただいま自動車局長から御説明がありましたように、この信憑性その他につきましては今後審議会の場において先生方に御検討願う、こういうことでございます。
  123. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そうすると、見込みの推定数字を出した根拠というようなものについては、審議会の場において発表するのであって、その前には発表しない、こういうことですか。
  124. 渡部信

    ○渡部説明員 審議会の場において一応説明してございます。  それでまた、先生御存じがないかと思いますが、この間、八日に開きました審議会、時間が二時間でございましたけれども、私のほうからいわゆる自賠責保険の現状と問題点というようなものを簡単に御説明申し上げただけでありまして、今後、次回、二十九日と三十一日の二日間を予定しておりますが、その場におきまして私のほうからさらに御説明申し上げると同時に、委員先生方に十分御討議をいただく、こういうことになっております。
  125. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そこで、そういう保険の審議会で配られると思われる千七百十三億を見込み額として推定する根拠になります数字、そういったものについて私どもも承知したいわけでありますが、その資料を私は要求したいと思いますが、委員長のお計らいを願いたい。要するに、保険の審議会で千七百十三億の推定赤字の根拠を委員には発表する、われわれのほうでもその数字の根拠になるものを承知したいわけです。ですからその数字を、審議会のほうで発表した時点においてでいいからわれわれのほうにもその資料をもらいたい、こういうことです。
  126. 渡部信

    ○渡部説明員 よろしゅうございます。
  127. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 お願いします。  それでは次に移ります。  黒住局長に伺いますが、四十二年度の八月に料率の引き上げを行なった時点では三百四十四億という黒字と発表しながら、これをその後二百二十九億というふうに訂正をされておりますけれども、この点についてはどうでしょうか。
  128. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 当時の推定に対しまして、その後の事故の請求件数がふえたということと単価の増等がございまして、三百四十五億でありましたものを二百八億というふうに見込んでいるわけでございます。その原因はいま申し上げたとおりでございます。
  129. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大臣に伺いますが、いまの私のほうの数字がちょっと間違っていたかもしれませんが、いま局長答弁によると、三百四十五億の黒字の発表をその後二百八億に修正しているわけです。こういう点についても私は、改定の事務を担当する当局としては非常にずさんに過ぎるのではないか、こう思うわけでございますけれども大臣、いかがですか、この点は。
  130. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 たとえば傷害につきまして、前回の見込みの場合におきましては一件平均の保険金が十一万五千円で推定いたしましたものが十三万一千円、それから支払い件数につきまして、たとえば四十年度分について二十万九千九百十四件を見込んだものが二十五万二百十六件というふうに、要するに単価と支払いの件数が当時の見込みより変わってまいりましたので、最近におきますところの実績に応じてその見込み金額を訂正したということでございます。
  131. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そこで伺いたいわけですが、損保業界がこのような膨大な赤字が出るというようなことを言っているわけですが、いままで損保業界としてどのような企業努力をなされたか。言うならば、強制保険ですから、おっぽっておいても加入してくるわけです。いわゆる任意保険と違いますから、おっぽっておいても、自動車がふえるたびに、または自動車が切りかえになるたびにどうしても入らなければならない保険だから当然入るのだから、あまり企業努力というものをしなくてもできるわけです。この点をもう少し損保業界が努力をすれば膨大な赤字を食いとめることができるのではなかろうかというふうにも私は考えるわけです。この点、局長どう思いますか。
  132. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 保険の場合の企業努力は、まず加入率を向上するという点が第一点でございますが、原付と軽自動車を除きましたもの、いわゆる自動車につきましては車検の制度がございますから、これはもう一〇〇%の加入は確保できるわけでございます。あとの軽自動車等につきましての加入の促進につきましては、保険会社もわれわれも相当努力をしてきたつもりでございます。  次の点は支払いの場合の保険金の査定の問題であると思います。しかし、これは非常にむずかしい点で、被害者保護というふうな点からいいますと、一般の商業保険のように保険金の支払いを値切ることをもって企業努力というわけでもございませんで、被害者保護に徹するということになれば、物価等が高騰いたしておりますところの現状でございますから、おのずから傷害等の一件当たりの支払いがある程度ふえてくるということはやむを得ないかと思います。  それから件数でございますが、これは企業努力でなくて請求件数がふえるということは、むしろ被害者側といいますか、一般にこの制度が普及されてきているということに相なる、こう思います。ただ、一件当たりの傷害におきます支払いにつきましては、今後改善すべき余地は相当あるのではないかというふうに考えます。  それからもう一つは、それらの点と、いわゆる社費――純保険料に対して付加保険料でございますけれども、会社が仕事をやりますための社費でございますが、強制保険の場合には、一般の保険と違いまして、社費の点は大蔵省運輸省で相当シビアーに査定いたしておりますので、この点等につきましてはほかの保険とは若干事柄を異にしておると思います。  それから、保険会社といたしましても、保険制度にかんがみまして、ほかの保険とは別個の考えで運用すべき性格でございますけれども、支払いの査定の点等につきましては、さらに将来に向かって改善するように指導していってしかるべきだと思います。
  133. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いま局長の御答弁の中の損保業界のチェックの問題についてはあとでまたお話しするといたしまして、いわゆる損保業界は、先ほども申し上げましたように、事故の増加によるところの支払い件数の増加ということはやむを得ないと思います。治療が長期にわたったために医療費が増大する、こういったことを料率の引き上げの大きな柱としているわけでありますけれども、一方、新聞紙上によりますと、医師のいわゆる過剰診療というものがあるわけです。その過剰診療が累積赤字の大きな原因になっているのではなかろうかと私は思う。  この点について、厚生省当局運輸省または大蔵省の三省ではどのように思うか、また、これに対して適切な手が打たれているのかどうか、この点についてお伺いしたい。
  134. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 医療の過剰診断の問題につきましては、いろいろ世間から指摘されておりますことは承知いたしております。非常にめちゃな支払いをやりました結果、刑事問題になっているということも承知いたしておりますが、全体といたしまして、医療のオーバーな診断が保険金の支払いにどれくらい影響しているかということは、非常にデリケートなむずかしい問題でございまして、数字的に断定することは困難かと思います。  現在は、御承知のように社会保険制度として健康保険であるとか国民保険というふうなものがあるわけでございまして、その保険とこの自賠の保険の支払いの順序その他の関係につきましては、現在法律的に確立いたしておりません。将来その関係を明白にしたらどうかというふうなことで、運輸省大蔵省とともに厚生省のほうにお願いいたしまして、今後の検討課題として研究しようじゃないかというふうに相なっております。過渡的措置といたしまして、審議会におきましてもおそらく議論になるかと思いますけれども、診療の査定機関的なものをこの際つくるかどうかというふうな問題につきまして、ただいま検討中でございます。
  135. 渡部信

    ○渡部説明員 お答えいたします。  大蔵省といたしましても、ただいま黒住自動車局長から御答弁のあったような趣旨で考えておる次第でございます。
  136. 松浦十四郎

    ○松浦説明員 現在、健康保険に関します診療につきましては、社会保険診療報酬支払基金というのがございまして、そこに審査委員会というのがございます。この審査委員会におきましてその診療報酬の請求内容を見まして、その内容が、保険医の療養担当規則といいますか、いわゆる診療の規則がございますが、健康保険法に基づきます診療のやり方のルールに乗っているかどうかというのをチェックいたしまして、ここで審査、査定をいたしました後に支払うということをいたしております。  この交通事故関係が健康保険で診療を受けるということになりますと、ただいま申し上げましたように、その審査委員会におきまして医学的観点から適正な診療ということでチェックを受けまして、その査定に従って支払われるという形になっております。
  137. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それで、実際問題とすると、交通事故の治療はもう大半が自由診療だと思うのですよ。当然のこと、これは一般の健康保険よりも治療費がかさむことは承知いたしておりまます。た、一部の医師の間には、交通事故による負傷者に対する傷害の保険金、これは最高五十万だ、五十万というものが設定されているのだから、これはそのままそっくり取り得なんだ、だから傷害の最高限度までお医者さんが取ってしまおう、こういうことで、かなり高額な請求があるように聞き及んでおります。したがいまして、休業補償分も慰謝料分も含まれているにかかわらず、現状ではお医者さんの支払いだけで保険金がなくなってしまう、こういう面がある。しかも、お医者さんの中には、健康保険で治療することを拒否したり、また暗に、健康保険では十分な治療が望めない、こういうことを言って自由診療を強要する。この点は非常にまずいと思うのですが、この点について厚生省はどのように対策をとり、指導しておるか、厚生省からお伺いしたい。
  138. 松田正

    ○松田説明員 御承知のように、医療保険につきましては、原因を問わず、あらゆる症状について給付が行なわれる、したがいまして、交通事故とか、いろいろな原因別に給付が行なわれるということではございません。したがいまして、患者が被保険者証を持って当該医療機関にかかりました場合には、その原因のいかんにかかわらず給付が行なわれる、これがたてまえでございます。したがいまして、一般的には、ややもすれば交通事故については保険の適用がない、こういうような誤解も一部にあるように聞いておりますが、私どもといたしましては、かねて各都道府県を通じまして、こういったことのないように、被保険者あるいは医療機関等に十分な趣旨の徹底をはかるように指導いたしております。今後ともその指導の強化には努力いたしたい、かように考えております。
  139. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そういうふうに課長は言われますけれども、現実問題として健康保険の診療を拒否するところがあるのですよ。そういう点を私どもは言いたいのです。当然健康保険でできるわけだ。ところが、健康保険でやってくれと言うと、健康保険じゃできないのだ、こう言われるわけです。ところが、いずれにしてもその事故の起きたとっさの場合ですから、そう言われますと、そうですかということで、それじゃお願いしますということになってしまう。また実際問題で、ある病院のごときは、私、名前を申し上げられませんけれども、健康保険の取り扱いはいたしませんということまで書いてあるところがあるわけですよ。そういう実情を御存じがないんじゃなかろうかと思う。規則の上ではできるといっていながら、現実にはできないという状態なんです。その点私は、実際の状態を見てもらってこれに対して手を打つべきではないか、こういうふうに思うわけです。その点、どうでしょうか。
  140. 松浦十四郎

    ○松浦説明員 ただいま国民健康保険課長からお答え申し上げましたように、患者さんが保険証を提示して、被保険者である、あるいは被扶養者であるということを明らかにして医療機関に健康保険による診療を求めた場合には、医療機関はこれを断われないという規則になっております。でございますので、そんな事例がございました場合には、私どもといたしましては、保険医の医療担当規則に違反するということで十分指導もいたしますし、そのようなケースが非常に多いような場合にはさらに公的な指導、公的な監査ということも当然考えられるケースでございますので、そういう事態がございました場合には私どもは適正に措置したい、こういうふうに考えております。
  141. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 現実にお役所は御存じないのですよ。だれも保険証を持って毎日毎日歩いている人はない。かりに御主人が交通事故にあったとして、事故が起きて家族がかけつけるときにおとうさんの保険証を持ってかけつけるほどの用意のいい奥さんはいません。そして実際問題で、保険証の提示がないとそのまま自由診療でやってしまうのですよ。それを言いたい。そういうとっさの場合には、やむを得ませんから、あとで保険証を持ってきます、ああけっこうですよ、というぐらいお医者さんのほうで言うように、また、厚生省としても、交通事故に対しては健康保険の適用ができるのですということを大いにPRすべきだと私は思う。この点、どうですか。
  142. 松浦十四郎

    ○松浦説明員 いま先生のおっしゃいましたPRが足りない、もっと被保険者あるいは医療機関に健康保険がきくのだということを十分PRしろということは、先生のおっしゃるとおりでございまして、私どものほうもPRについてはもっと努力いたしたい、こういうふうに考えます。
  143. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 PRに努力するといいますけれども、これはほんとうにはっきりした態度でひとつ厚生省でやってもらいたいと思う。交通事故の場合には十分それに対して健康保険がきくのだということを周知徹底をするようにひとつ願いたいと思う。  次に移ります。  黒住局長に伺うわけでありますけれども、現在支払われている保険金のうちに医療費はどれぐらいか、休業補償費がどれぐらいか、あるいは慰謝料分がどれぐらいかということが明確にされていない、こう思うのです。先日も、一件当たりの支払い単価を、全体でなく抽出したところの資料は私、課長さんからいただきました。ですけれども、全体の額としてどうなのか。この点について、過去の契約年度別にお答えができればしていただきたいと思う。
  144. 渡部信

    ○渡部説明員 お答え申し上げます。  この保険金の支払いというものは、先生御存じのことと思いますが、当該年度に事故が発生してもその支払いは当該年度に完結するものではなく、およそ五年程度を要しております。したがって、その支払いがおおむね確定いたしたところの四十年度現在のところでは九七・二%を支払いが完了しておりますが、それについて申し上げたいと思います。  保険金額の総額が約五百五十億でございます。ラウンドナンバーで申し上げますと約五百五十億が全体の保険金額でございます。そのうち死亡保険金額が百六十三億でございます。全体に占める割合が二九・二%でございます。傷害の金額が全体で三百二十八億、全体に占める割合が五八・五六%、この傷害をさらに大別をいたしますと、傷害の中でも治療費が約百六十億になっております。占める割合が二八・五九%、休業補償費が四十八億、占める割合が八・六四%、慰謝料が百十九億、占める割合が二一・三三%、これが傷害の内訳でございます。さらに後遺障害というものがございます。後遺障害は全体で六十八億、占める割合が一二・二四%となっております。  以上でございます。
  145. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 全体の金額が四十年度までは現在出ているわけですね。四十一年度以降のことについては、またそれが出るような事態になったときでけっこうですが、私たちも承知いたしたいと思います。なお、さかのぼって三十八年、三十九年は出ていることと思いますけれども、あとで資料をいただきたいと思います。過去のものだから出ますね。
  146. 渡部信

    ○渡部説明員 実は、業界の中でも三十八年までまだ整理していないということが、事実かどうか知りませんが、私のほうに報告ございません。三十九年度はただいま申し上げたような次第でございます。三十九年度はございますが、三十八年以前は私どものほうに届いておりません。と申しますのは、私どものほうは三十九年、四十年を教えてもらいたい、このように申しましたので、現在の段階で三十八年以前は来ておりません、こう申し上げたわけでございます。
  147. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 三十八年以前は資料がないのですか。
  148. 渡部信

    ○渡部説明員 私のほうでございません、これからつくればございます、そういう意味でございます。
  149. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは三十八年、三十九年は資料ができてからでけっこうです。あとでいいですからいただきたい。  それから、これは先ほど黒住局長からもお話がございました。結局、過剰診療あるいは健保の水増し請求、こういうものを許しておくからこそ赤字が増大するんだ、だから現行の自賠法の制度を早急に改善する必要がある。そういう点について今後一つの方法として、健康保険や労災保険の場合と同様に、医療の点検の専門機関、チェック機関をつくるというお話がありましたので、私はこの点、実施が早急にされるならばいいと思いますが、これが延び延びになっていると先ほどのような問題でいろいろ弊害が起きてくると思う。ぜひともチェック機関を至急つくるように考えていただきたいのですが、この点、どうでしょうか。
  150. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 根本的には両保険を法律的に関係をはっきり明確にするということでございますが、チェック機関の設定につきましては、とりあえずの措置といたしまして、その方法につきまして、現在保険会社のほうあるいは保険審議会のほうにおきましてもこれから論議されると思います。それが可能ならば、早急につくるように指導していきたいと思います。
  151. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 次に、現行法の中で問題になるところの自動復元制の問題です。  御承知のように、保険契約期間中に何回事故を起こしても保険金が無制限に支払われるというこの制度に大きな疑問を持つわけです。同一の自動車が二度、三度と保険契約期間中に事故を起こすことがないとは言えないと思う。その他、バスなど大量の輸送機関の場合でも一回の事故で数名から数十名の被害者を出すということもあり得ます。その保険金がばく大な金額になることは、これは自明の理であります。もちろん、このためにこの種の保険料が高くなっていることは事実でありますけれども、保険契約期間中なら何回事故を起こしても保険金が支払われるというこの制度は、保険を赤字に追いやる大きな原因ではなかろうか、こう思うわけです。そこで、これらの車がつくった赤字を同一比率の値上げで負担するところの事故を起こさない車の保有者はもうたまったものじゃないと思う。結局、公平の原則にも欠けることになる。私は早急に改善の必要があると思います。  そこで、この点についても運輸省では、事故を起こした加入者は次の保険をかける場合には保険料を高くするというようなお考え新聞にも発表されたことをお見受けいたしました。しかし、そういう制度ももう少し検討しなければいけないんじゃなかろうか。内容について私が完全に承知しているわけじゃございませんけれども、たとえば、一台の車だけならともかく、十台あるいは百台の車を保有する運送業者等にとって、一回事故を起こしたならば全車両の保険が高くなる、そういうふうな制度だったら、これは経済的な負担がたいへん多くなり、また、事故を起こした車だけ保険を高くするとしてもこれは限度があると思います。一方、この制度は一回に高額な保険金を支払うことになり、それをいやがって、結局、事故を起こした車を廃車にしたり売り払ったりすることが考えられる。ですから、そういう廃車にもできない、さりとて新車に買いかえることもできない、そういう資金を持たない者には過酷な制度になるんじゃなかろうか、これを私は憂えるわけです。  そこで、自動復元制度の問題について運輸省としてはどのようにお考えになるか、また、事故を起こした車は次回は高くするというような案については、これを実現するお考えをいまでも持っていらっしゃるのかどうか、この二点について伺いたい。
  152. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 自動復元制と、それから一事故一保険金額という二つの問題がございましたが、両方とも、被害者保護の観点からやはり自動復元制は採用すべきである、一事故当たりの絶対金額をきめるべきではないということで出発いたしたわけでございます。保険料も自動復元制を前提の保険料でございます。  現在、被害者のほうから考えますと、事故を起こして、請求が来る間にまた事故を起こすというふうなことになりまして、自動復元制をやめると被害者の保護に欠くるところがございますので、自動復元制というのが、被害者保護の保険の一つの本質をなすものであると考えます。  しかしながら、事故を起こした者とそうでない者との間のいわゆるメリット制、デメリット制の実施につきましては、これは方法論としていろいろむずかしい法律問題あるいは技術的な問題がございますが、われわれといたしましては、やはり事故防止という観点、そしてまた公平の原則からこのメリット制、デメリット制を実施すべきでない、そのためには、根本的には法律改正を要するかと思いますけれども、法律改正を待つまでもなく、実施できる面につきましてはこれを実施したいということで、現在審議会でも積極的にこの問題を提案いたしまして審議をしていただいているわけでございます。
  153. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 わかりました。  それでは次に移ります。  現行制度の持ち味、すなわち、車に保険を付することを変えないで無制限の支出を押え、かつ、事故の抑止力を持たせる保険とするためには、火災保険と同じように、事故を起こした場合にはその時点で保険の効力が切れる、こういう制度が私は好ましいと思う。まあ審議会にかけて検討すると言われている意味もわかりますが、この点について、そういうようになった場合に、この事故発生時に失効とするのか、あるいは事故の確定時に失効とするのか、あるいは車対車の事故の場合にはどちらが被害者でどちらが加害者か、その判定はむずかしい点もあろうと思いますので、これは被害者側も失効ということになったのでは困ります。まあしかし、何らかの形で検討を加えねばならないと思っております。それに対して積極的に運輸省でも取り組むというお考えであるならば私はけっこうだと思います。ぜひこの制度については十分審議会において検討されるように希望しておきます。  それから次に、自賠責の保険適用除外車両の問題でありますが、現行法では、自賠法の第五条で責任保険契約の締結を強制しております。これに違反して自動車を運転した者に対しては六カ月以下の懲役または五万円以下の罰金刑、こういうふうになっております。ところが、御承知のように同法第十条では、国、公社、都道府県並びに六大都市あるいは政令で定める者、構内自動車等はこの適用を除外されております。これは、これらの車に十分な補償能力があるためといわれております。ところが、このうち構内用自動車については政府保障事業によって補てんされておるわけでありますが、被害者は強制保険金の交付を受ける場合と同様に、その限度額まで損保会社を通じて請求ができるために、ほとんど自賠責の保険加入車と同じ時期に保険金を受け取ることができる。ところが一方、国か都道府県の車が事故を起こした場合、車と関係があって事故になった場合、その国または都道府県の支払いが非常におくれているという事実があります。そのおくれているという事実を運輸省としてはお認めになるかどうか。
  154. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 これはケース・バイ・ケースかと思いますけれども、役所の支払います場合には、相当高額な場合には予備費の支出等の措置を要しますので、あるいは一般よりも場合によりましては支払いがおくれているということもなきにしもあらずではないかと思います。
  155. 砂原格

    砂原委員長 松本君に申し上げますが、他の委員の人たちにも御迷惑をかけるようですから、ひとつ時間だけは守ってください。
  156. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは、おいでいただいている法務省関係のほうの質問を除きまして、最後の問題だけ申し上げましょう。たいへんどうも委員長から御注意を受けまして恐縮であります。  政府保障事業の運用面の問題についてお尋ねいたしたいと思う。  政府は、政府保障事業において引き逃げ及び無保険者、こういう車の事故につきましては、保障事業の一環として被害者の救済を行なうことになっておりますね。その運用に問題があるのです。その保障事業において仮渡し制度を現在行なっていないということです。被害者の救済を第一とする政府保障事業において仮渡しを行なっていないということは、保障事業そのものの精神にはずれていると私は思うのです。  聞くところによりますと、これを行なうと事務処理の面で繁雑化するので実施できない、こういうふうに言っております。それからまた、政府保障事業においては、責任の認定が明らかでなければ支払わない、また支払いの期間が長い、当然である、このように言っているわけです。事実、長いものになると一年も二年もかかっております。こういうことであっては、現実の問題としてその政府の保障事業というものの根本精神の考え方に誤りがあるのではなかろうか、こう思うわけです。ぜひこの仮渡し制度をつくるべきではないか、こう思いますが、どうでしょうか。
  157. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 自動車による被害者は、加害者側にいかなる動機がありましても、被害者としての被害は同様でございますから、保障事業の場合におきましても事務処理を促進することは当然だと考えます。御指摘の点については、今後十分事務を督促いたしたいと思います。  もう一つ、仮渡しの点につきましては、現在の保障事業にはその制度がございませんが、これにつきましては法律改正を要する点でもございますので、至急検討さしていただきたいと思います。
  158. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 じゃ最後に――いろいろと厚生省関係、法務省関係のことについてお伺いする予定でしたが、それを除きましたので、御答弁においでになった方にたいへん申しわけないと思います。  以上のように、現行の自賠責にはいろいろな制度上の改善を要する面があると思います。そこで現行法にプラスしたところの新しい保険制度を考えるべきではなかろうか。そこで、われわれが昭和四十二年から具体的の案をもって提唱しているところの自動車運転者の賠償責任保険の制度、この実施を考えられないか、こういうことであります。  この制度につきましては、昭和四十三年四月四日にも交通安全対策特別委員会において、また本年二月二十五日にも当委員会におきまして発言もいたし、さらに五月十五日ごろには具体的に保険金、料金、あるいはその他内容を詳細に発表いたしました。自動車局にも大蔵省の保険部長にもわが党の案を参考に検討を進めていただくように提案してございます。この前の委員会のとき大臣には本委員会で初めて申し上げたわけでございますので、即答することはできないが検討する、特に自賠責のやり方については英知を集めたほうがいい、こういうふうにも御答弁がございました。黒住局長からも、現行法に上積み的な観念を導入すれば可能かと思うという旨の答弁もありました。その後いままでただいま申し上げたとおりの一そうきめこまかい具体案も試案として差し上げてございますが、当局としては運転者に保険をかける制度についてどのようにお考えであるか、御意見を承りたいと思う。私は、メーカーの代表ともいえる方――欠陥車の問題でしばしば大手業者にも会いましたので、この方々の意見も聞きました。また保険料金を支払う側の運転者、特にタクシーの運転者の御意見も聞きました。また日本自動車工業会等の意見も聞いてみましたが、いずれも賛成であります。  そこで、いま三百万円を五百万円にすることは賛成でございますが、先ほど申し上げましたような各種の欠陥を是正もしないで、推定赤字の千七百十三億の赤字を解消するために三倍以上の料率の引き上げをするという愚をやめて、ひとまずこの自動車運転者責任賠償保険を採用して、とりあえず現行の三百万円の自賠責プラスわが党提案の運転者に保険をかける三百万円、合計六百万円となります。そういたしますと、政府考えている五百万円より百万円補償が上回ることになると思います。そこで千七百十三億の赤字が出るといっても、これはあくまでお話しのように推定の赤字であります。それは昭和四十八年ごろのことであって、それまでに別に保険の支払いができないというわけではございません。金繰りはつくわけでございます。でございますから、ひとまず三倍の値上げというような線はやめにしていただきたい。現在、交通事故の裁判などでは一千万円あるいはそれ以上の判決も出ております。政府だって五百万円でいいというふうには思っていないと思います。また二、三年たって必ず上げなければならなくなるだろうと思います。そうでありましたならば、ひとまず、先ほど申し上げましたわが党案を採用して六百万円の線を制定し、しかる後に現行自賠責三百万円を五百万円にすれば、結果的には八百万円になりまして、現在の裁判の判決にあるような一千万円に一歩でも近づくことになります。そこで、わが党提案のこまかい点の説明は省略いたしますが、すでに試案は差し上げてございますので、十分検討し、採用するようにしてもらいたい。それが現在の自賠責を解決する最もいい方法ではなかろうかと私は思っております。  そこで最後に、運輸大臣のお考え並びに大蔵省の担当者の保険部長のお考えを聞いて終わりにいたしたいと思います。
  159. 渡部信

    ○渡部説明員 お答え申し上げます。  先日先生の試案なるものを私のほうへちょうだいいたしました。したがって私もそれを勉強させていただきまして、先生のお考え一つの方法か、このように考えます。  わが事務当局といたしましては、先般開きました審議会に、本件も制度上の一つの重要な問題として先生方に御審議願いたいということで提案いたしておる次第でございます。
  160. 原田憲

    原田国務大臣 結論はいま大蔵省の渡部君からお答えいたしました。  私は、委員会におきましてお尋ねも受けまして、そのときにも先ほど松本さんの言われたとおりの答弁をいたしております。自動車事故がこれだけ起きて、起こした者も悲劇、起こされた者も悲劇、命まで投げ出しておるというようなことに対処するための対策として、自動車を動かそうという意思を持った、いわゆる免許証を持った際に、もうすでに制度上取り入れていったらどうかというお考えであります。これは法律的な問題として、私、専門家でありませんが、非常にむずかしい問題があろうと思います。しかし、これは十分検討する必要があろう、こういうことから審議会で御審議を願っておりますので、その結論を待って私どもの処置をいたしたいと思います。
  161. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 了解いたしました。
  162. 砂原格

    砂原委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十六分散会