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1969-05-14 第61回国会 衆議院 運輸委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年五月十四日(水曜日)     午前十時四十分開議  出席委員    委員長 砂原  格君    理事 阿部 喜元君 理事 大竹 太郎君    理事 徳安 實藏君 理事 古川 丈吉君    理事 細田 吉藏君 理事 野間千代三君    理事 山下 榮二君       加藤 六月君    金子 岩三君       川野 芳滿君    木部 佳昭君       四宮 久吉君    中川 一郎君       西村 英一君    福家 俊一君       箕輪  登君    井上  泉君       久保 三郎君    神門至馬夫君       内藤 良平君    渡辺 芳男君       池田 禎治君    沖本 泰幸君       松本 忠助君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 原田  憲君  出席政府委員         運輸省海運局長 澤  雄次君         運輸省鉄道監督         局長      町田  直君  委員外出席者         日本国有鉄道常         務理事     湯川 龍二君         日本国有鉄道常         務理事     長瀬 恒雄君         日本国有鉄道常         務理事     長浜 正雄君         専  門  員 小西 眞一君     ――――――――――――― 五月九日  委員中川一郎辞任につき、その補欠として亀  山孝一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員亀山孝一辞任につき、その補欠として中  川一郎君が議長指名委員に選任された。 同月十四日  委員井上泉君及び米田東吾辞任につき、その  補欠として原茂君及び八百板正君が議長指名  で委員に選任された。 同日  委員原茂君及び八百板正辞任につき、その補  欠として井上泉君及び米田東吾君が議長指名  で委員に選任された。     ――――――――――――― 五月十二日  ボート産業対策に関する請願野原正勝君紹  介)(第六一四三号)  国鉄信富線予定線編入及び早期着工に関する  請願内藤隆紹介)(第六二〇九号)  同(金子一平紹介)(第六二一〇号)  同(増田甲子七君紹介)(第六三六〇号) 同月十三日  国鉄信富線予定線編入及び早期着工に関する  請願下平正一紹介)(第六四六四号)  国鉄及び私鉄運賃値上げ反対等に関する請願(  有島重武君紹介)(第六五五五号)  同(近江巳記夫紹介)(第六五五六号)  同(正木良明紹介)(第六五五七号)  同(松本忠助紹介)(第六五五八号)  同(渡部一郎紹介)(第六五五九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月十三日  国鉄運賃値上げ反対に関する陳情書外十九件  (第三六  一号)  同外八件  (第四四七号)  国有鉄道運賃法の一部改正反対等に関する陳情  書(第三六二号)  自動車損害賠償保障額の引上げに関する陳情書  (第三六三号)  倉敷市に新幹線駅設置に関する陳情書  (第三六四号)  公共用飛行場周辺における航空機騒音による障  害の防止等に関する法律の一部改正に関する陳  情書  (第三六五号)  国鉄衣浦臨港線の建設に関する陳情書  (第四三二号)  宇都宮、小山両駅の貨物取扱い廃止反対に関す  る陳情書(第四三  三号)  国鉄長井線存続に関する陳情書  (第四三四号)  国鉄札沼線存続に関する陳情書  (第四三五号)  北海道国鉄既設路線存続に関する陳情書  (第四三六  号)  大阪管区気象台の観測体制強化に関する陳情書  外一件(第  四三七号)  自動車損害賠償保障法等の一部改正に関する陳  情書(第四三八  号)  小湊港の再開及び新航路開発に関する陳情書  (第四三九号)  日本海側国鉄縦貫線複線電化に関する陳情書  (第四四〇号)  私鉄バス会社ハイヤー事業免許反対に関する  陳情書  (第四四一号)  列車のし尿処理改善に関する陳情書外一件  (第四四二号)  海上保安庁海難救助飛行艇配備に関する陳情  書外三件(  第四四三号)  国鉄合理化計画に関する陳情書  (第四四四号)  国鉄第三次計画完遂のための財政措置に関する  陳情書(第四四  五号)  国鉄及び私鉄運賃値上げ反対に関する陳情書  外一件  (第四四六号)  国鉄運賃値上げ反対等に関する陳情書外三件  (第四四  八号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  陸運に関する件(私鉄運賃改定等に関する問  題)  海運に関する件(フェリー事業に関する問題)  日本国有鉄道経営に関する件(輸送力の増強  に関する問題)      ――――◇―――――
  2. 砂原格

    砂原委員長 これより会議を開きます。  陸運に関する件、海運に関する件及び日本国有鉄道経営に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。井上泉君。
  3. 井上泉

    井上(泉)委員 フェリー事故淡路であって、それから引き続いて宇高航路でもあったわけですが、そのときに運輸省から出した通達というものが、けさテレビニュースによると、海運局調査したところ全く行き渡っていない、こういうふうな状態にあるわけですが、運輸大臣としては、こういう激増するフェリー、ことに宇高フェリーなんかは国電のラッシュ並みだ、こういうふうなことが言われておるのですが、これに対する安全対策のきめ手といいますか、何か措置考え用意といりものを持っておられるのかどうか、この点についてお伺いいたします。
  4. 原田憲

    原田国務大臣 フェリーボート事故が相次ぎまして、とうとい人命が失われたということは、まことに遺憾なことでございます。物故者に対しましては、衷心から弔意を表する次第でございます。  いま井上委員のお尋ねのフェリーボート事故は、事実問題を御報告いたしますと、御承知ではございましょうが、昭和四十四年五月六日午前零時五十分ごろ、兵庫県三原郡西淡町阿那賀港におきまして、淡路フェリーボート株式会社所有の  フェリーボート「うずしお丸」三百六十六・四九トンが事故を起こしたものでございます。この件につきまして、小松島海上保安部三原警察署と協力して、事故原因の究明に当たっておるのでございます。もう一つ事故は、五月十一日午前一時五分、高松を出港し、宇野に向かいました四国フェリー株式会社所有フェリーボート「第十三玉高丸」二百七十・九一トンが、午前二時二十二分ごろランプゲートを二十一仰角で接岸しようとして、岸壁の手前で船にありましたライトバンの運転手がみずから車どめをはずして、前方にありました小型トラックを追い越しまして、乗り組み員の制止を聞かず、ランプゲートを乗り越えて海中に転落して、乗車中の四名中二名が死亡した、こういう事故でございました。本件につきましても、玉野海上保安部玉野警察署合同調査を実施しておりまして、十二日午前九時三十分、乗用車の運転手業務過失致死、そういうことで岡山地検に送致をし、なお現在継続捜査中である、こういう事犯でございます。  この問題に関しまして、運輸省といたしましては、従来から旅客船の安全運航については注意をいたして、旅客定員をこえた旅客の搭載の禁止等法令順守船舶運航管理適正化等につきまして指導をいたしました。最もお客さんの多い年末年始等には、特に交通安全のための総点検を行なっておるのでございます。本年も、特に春季の行楽シーズンを控えて、去る四月二十一日には、事務次官の名前によりまして交通事故防止について通達をし、さらに海運局長船舶局長船員局長の連名で、より詳細な事故防止対策について通達することによりまして、旅客定員順守船員管理等について遺漏のないよう指導をしておったのでございます。しかるに、いま御指摘のように、十分にその通達が徹底せずに事故を起こしておる。これに対してどうするつもりかというお話でございますが、現在までもカーフェリーの安全については、いま申し上げましたような指導をいたしてきておるのでございますが、なお今後一そう事故のないようにつとめてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  5. 井上泉

    井上(泉)委員 このフェリー事故で、きょうの四国海運局調査報道によると、船長は十六時間勤務、十六時間運航してから一日休み、こういうふうなことで、ほんとうピストン輸送でかせぎまくっておる。こういう状態ですが、こういうことは別に労働法に抵触も何もしないのでしょうか、その点、海運局長のほうから御答弁願いたい。
  6. 澤雄次

    澤政府委員 御承知のように、船員労働基準につきましては、船員法規定によりまして常時監視をいたしております。さらに、この船員は、全日本海員組合に加入しておりますので、組合側との労働協約でやっておりますので、船員法違反の事実はないものと思います。ただ現在、四国海運局特別監査を実施しております。その報告が明日くらいに参りますので、それが来れば、はっきりいたすかと思います。
  7. 井上泉

    井上(泉)委員 私は、こういう事態で四国海運局が特別に監査をされておる報道を聞いて、これは役所としては、まことに珍しく機敏にやっておるんだ、こういう感じを強くしたわけです。ところが、肝心のフェリー業者というものが、この前の淡路のときの事故における運輸省の警告というか、注意というか、そういうものは一切あずかり知らぬ、関知せざるような状態でやっておったということがいわれておったのですが、こういうことについては、何かこう通達というものが単に書類の出しっぱなしで処理されるということになれば、何にもならないわけです。それで船員法労働法違反はしてなくても、かりに十六時間も一つの船に乗って運航するということはたいへんなことだと思うのですが、そういう点について、フェリーがまだ向こう着岸をしないのにあのゲートをおろすということは、もう早く出よということを指示すると同様なことになるわけですが、その辺についての規制というものは全然ないのかどうか、この点、御説明願いたいと思います。
  8. 澤雄次

    澤政府委員 ランプゲートと申しますが、このランプゲート着岸してからあけろ、あるいは完全に船が陸から離れてから締めろというようなことにつきましては、現在、法的根拠はございません。ただ、休みが続きましたいわゆるゴールデンウィークの前に、地方海運局におきましては、業者にこういう点についても注意せよということを注意しております。それから、淡路フエリーの直後にも四国海運局関係業者を呼びまして、ランプゲートは締めるようにということを申してあるわけでございます。そういう行政指導に従わないで事故を起こしましたことは、まことに申しわけないと思います。さらに大臣から非常にきつく、ランプゲート離岸のときは必ず締めてから岸を離れろ、それから着岸のときは、航行の支障のない限りランプゲートは着いてからあけろということを、大臣御自身の名前で厳重に示達してあるわけでございます。
  9. 井上泉

    井上(泉)委員 それで大臣の命令あるいはあなたのほうからの注意、そういうことをさせ、それから普通常識から考えて、それを接岸をして、おろして初めて車の出入りというものがあってしかるべきだ、これは常識なんです。それは宇高事故についても、運転者はもう着いたんだ、こう思ったから、うしろからさっと前を追い越して出た、こういうことで、出たとたんに、まだ着いてなかったものだから海の中にこけた。こういうことになるので、これは単に運転者の不注意でこの事故が起こったというのではなしに、やはりフェリー操作の面にも大きな欠陥があって、この事故が生じたものだ、こう私ども理解をせざるを得ないのでありますし、また、そうであるからこそ、あなたたちも非常に遺憾だと思うという発言がなされ、さらにまた、厳重な注意をなされているのですが、こういう例がまた次になきにしもあらずです。これはもっときびしく法的に規制をするようなものはないのかどうか、承りたいと思います。
  10. 原田憲

    原田国務大臣 いまお聞き及びのように、私もフェリー事故というのが、いままでこういうことはなかったものですから、それが起きましたときに、これではいかぬというので、すぐに先ほど申しましたように、大体これは前からやっておった——新しい事業でありますから、法的な十分な措置がなかったという欠点があると思っております。そこですぐに私は、これらの事故の発生をしないようにということを考えておりましたが、また引き続いて事故が起きたということで、ちょっと強く私の名前におきまして、具体的に   ランプゲートを閉じてから発港し、航行危険のない限り、着岸してからランプゲートを開くこと。   陸上船内責任者の明確な合図交換に基づき、離着岸を行なうこと。   特に、夜間の合図交換方法につき、特段の方法を講ずること。   陸上及び船内自動車を静止するための施設を設置すること。   船内においては、他の法令規定のあるときを除き、乗客自動車内にとどめないこと。                  運輸大臣 として、各関係者通達をせしめたのでございますが、できればこういうことを現在も——私は法律専門家でありませんが、海の上では船舶安全法という法律もございます。あるいは事業の面よりは海上運送法船員面船員法というように、たくさん分かれておるのでございますが、このようなことを考えますときに、船舶運航者利用者の便に資するために、これらの諸規制通達等をまとめて必ず持っておるようなものというものを作成して、カーフェリーに関する安全確保ということに資したい、このように私は考えております。  なお、本年四月中に海上保安庁におきましては、カーフェリーを中心とする公開一斉取り締まりを行ないまして、現在その結果を取りまとめ中でございますので、これも今後の業務の参考に資したいと考えております。できれば私は、本国会に間に合うかどうかわかりませんが、よく検討して、必要とあらば、いま申し上げましたような点を法律として、航行安全、フェリーボートの安全ということに資していきたい、対策としてこのように考えております。
  11. 井上泉

    井上(泉)委員 フェリー新規申請宇高関係ではずいぶん多く出ておるらしいですが、このフェリー業者というものが、たいへんな利潤をあげておる関係だと思うのですが、これについていまの本四の問題、本四の間におけるフェリーというものの輸送量が限度に来ておるんじゃないか。つまり、新しくもっと免許を与えなければいかぬではないかというようなことも、こういう場合によくいわれるわけですが、そういう点の本四におけるフェリー輸送状況というものは、満員であるのか、あるいはもっと余裕があるのかどうか、その点ひとつ海運局から御説明願いたいと思います。
  12. 澤雄次

    澤政府委員 四国と本土との間に、全国のカーフェリーのうちの約六〇%程度のものが集中いたしておりまして、非常に輸送需要が多いということは、先生のおっしゃるとおりでございます。ただ宇高につきましては、高松港の設備関係から、現在もうこれ以上入れないという程度一ぱいカーフェリーが入っております。それで土曜、日曜等にはなかなか運び切れないというのが実情でございます。
  13. 井上泉

    井上(泉)委員 それで、そういう状態で土曜、日曜日は運び切れないが、しかし、いまの高松岸壁状況から、これ以上フェリーをふやすことは困難だということであると、新しく免許申請とかしておるものは、別段それを新しく認めるというようなことは考えられないと理解をしてよいのかどうかということが一点と、さらにまた、いま大臣の言われるような法的な措置がとられて、法的な措置あるいは規則なりの制定等によって、フェリー運航の安全を期するような措置が一日も早くとられることを希望するわけですけれどもフェリーにはずいぶん問題点が多いと思うのです。今度の宇高連絡船による事故、これについてもやはり、業者責任というものをもっときびしく運輸省当局としては追及していただかなければならないと私は思うので、その点についての海運局の御見解を聞いて、質問を終わりたいと思います。
  14. 澤雄次

    澤政府委員 第一点の高松港の能力でございますが、現在の岸壁では、これで一ぱいだということを保安庁のほうでも申しております。ただ別のところに新しく岸壁をつくれば、また能力がふえるかと思います。  それから、今後フェリー業者の安全のための取り締まりは、海運局といたしましても、保安庁と連絡して厳重に取り締まってまいります。もし何らかの違反を行なうものがあれば厳重に戒告をしてまいりたい、このように考えております。
  15. 井上泉

    井上(泉)委員 終わります。
  16. 砂原格

  17. 久保三郎

    久保委員 いまのフェリー事故に若干関連して先にお尋ねしたいと思います。  これは先般も交通安全の特別委員会でわが党の板川君からお話ししたと思うのでありますが、きょうは船舶関係はおいでになりますか。——これはやはり船舶構造の問題が一つあると思う。いわゆる構造の問題についてある程度考えなければいかぬ。それからもう一つは、陸上接岸設備ですね、そういう問題を先に考えることが先決だと思うのです。ランプゲートというのか知りませんが、そういうものを半開きにして着岸せねばならぬというようなことは、やはりどう見ても正常な扱いではないと思う。それは接岸地点が見えないからそういうふうにした——もっとも、原因は、船が着きもしないのに車を走らせたところに問題がある。これは法律設備以前の問題でありまして、どうしようもないことかもしれませんね。しかし、最小限やはりそういう者が世の中にはいるんだという前提のもとに設備はしなければいかぬと思う。私は、そういう意味で検討を加えることが先であって、法律規制する、何か法律をつくればうまくいくんだということはないと思うのです。法を守る番人であるべき警察官が、交通違反を取り締まる場合の違反切符を偽造して、そして無免許運転で乗っているような世の中であります。これは閣議荒木国家公安委員長は謝罪したそうでありますが、国民に謝罪すべきだと思うのでありますが、この問題は別として、いずれにしても問題はもう少し原則に立ち返った問題から始めたらどうかと私は思う。ついては、いま申し上げた構造上について検討する用意をしておられるかどうか、お尋ねしたい。
  18. 澤雄次

    澤政府委員 ただいま先生おっしゃいましたように、接岸の際にランプゲート半開きにしなければ、船長が船橋から船の操作がしにくいということは事実のようでございます。現在、四国海運局海上保安庁と連絡いたしまして、その船を使いまして、ほんとう半開きにしなければ着岸できないかどうかという試験を、昨日から本日にかけて行なっております。しかし、これも浮きドック浮き棧橋というのを向こうにつけますと、ランプゲートをあけなくても着岸できるということも事実でございますので、今後、直接棧橋カーフェリーが着くということでなしに、でき得る限り浮き棧橋向こう側にもつけさせるという行政指導をやってまいりたい、このように考えております。
  19. 久保三郎

    久保委員 大臣、もちろんこの問題で省議を開いたり何かしておやりになっていると思うのですが、そういう構造上の問題についても検討されるようにすべきだと思うのですが、どうですか。
  20. 原田憲

    原田国務大臣 ただいま久保さんの御指摘があったとおりで、私は冒頭に井上委員の御質問の際に、今次の事件に対しまして遺憾の意を表明したのでございますが、久保さんが言われるように、車に乗っておった人がかってに車どめをはずして飛び出していったり、切符も買わないで行くやつまでとめられないだろうというおことばは、私といたしましては、まことにありがたいように聞こえますけれども、そのあとで言われましたそういう人も世の中にいるんだから、それが起こらぬように考えることが政治であり、行政である。おことばのとおりであると私は考えております。したがって、事件が起こりましてから、たびたび海運局長にも再びこういうことが起こらないようにという指示をいたしてまいりましたが、けさも実は、いま海運局長が申しましたように、世界各国フェリーというものが運航されておる、これからフェリーというものはなお需要が強いのでございまして、これに最も大事なことは安全ということでございますから、これが先ほども申し上げましたように、船員面より規制する船員法、それから事業面より規制する海上運送法船舶設備方面から規制する船舶安全法、こういうものが多岐に分かれておりますが、これを十分まとめて、再び起こらないように処置するということが大事であると考え、いま御指摘の船の構造等につきましても、私は、しろうとでよくわかりませんけれども、世界じゅうでやっておることで日本でやっていないことがあるならば、それはやらなければいかぬのじゃないかという指示をいたしたのでございますが、今後とも十分このようなことについて検討いたしたいと思います。  なお、この際申し上げたいことは、先ほど久保さんもおっしゃいましたが、私は政府責任者として一生懸命やりますが、国民皆さんの中で、そういう人は少ないのでございますけれどもけさも私はテレビを見ておりましたら、酒を飲んで運行する飲酒ドライバー——これをなくするように予算委員会で堀さんが提言されて、私はさっそくそれを閣議発言して、それをもって陸上交通安全のための運動に総務長官がわざわざ発言をして、運輸大臣からこういう話もあったから、これを具体的にするために、この旬間は事故絶滅を期したい、こういうことでいまやっておる最中にこんな事件が起きて、まことに遺憾なんでございますが、きょうのテレビの中で見ておったら、酒を飲んで事故を起こして警察官に言われている人が全然反省の色を見せずに、何が悪いんだと言わぬばかりの抗弁、それに対してテレビに出ておるアナウンサーはじめ、あれは居直っていますねという発言をしました。こういうことが国民の中でもないように、ぜひひとつ国民皆さん方に御協力を願い、私は私どもといたしまして、全力を尽くして交通事故絶滅のためにやっていきたい、こういう考えを持っておるということを申し上げておきたいと思います。
  21. 久保三郎

    久保委員 最後に、大臣おっしゃったけさテレビ、私も見ておりまして同じような考えをすると同時に、その先のことも考えました。それは言うまでもありませんで、日本だけの問題かもしれませんが、日本があまりにも経済の成長が激しいために、忘れたものはありませんかということをいま問われております。まさにそのこと自体だと思うのでありまして、単に運転手だけの問題ではなくて、おっしゃるように全体の問題でありますから、これはもっと次元の高いところでお互いに考えることだと思うのです。  それは別として、次に私は、いやなことでありますが、フェリー事故はこの次には航行中に起きるであろうというふうに思う。これはたいへんだと思うのです。みな油を積んだものだったり移動するようなものが載っかっているのでありますから、こういうものについて、この間じゅう海上保安庁等から何か通達を出して、この安全について何かおやりになったようでありますが、少なくともより具体的にこれをやらなければ、次にはフェリーは海の中で事故を起こすのではないか、そのときにはもう収拾すべからざるものが予想されると私は思うのです。だから、そういうことを予想して——予想してというのはたいへんいやなことでありますが、やはりそこまで万全を期すことが、最近における連続のフェリー事故に対する一つの前向きの態勢ではないかと思うのです。ただ単に事故あとを追っかけ回しているだけではだめなんでありまして、この際、抜本的にフェリー全体の運航航行、制度あるいは乗員、乗客のあり方、もうすべてを含めて考えてみたらどうかと私は思うので提言をいたすわけでありますが、どうでしょうか。
  22. 原田憲

    原田国務大臣 御提言に対しましては、十分その御意見を尊重して、今後、私が先ほど申し上げましたように処置をしていきたい、このように考えます。
  23. 細田吉藏

    ○細田委員 ちょっと関連して。フェリーのことで実は私も御質問申し上げようと思ったりいろいろしておりましたが、いま久保さんから質問がございましたが、私はいまのお話、全く根本的対策を立てるということについて、何か特別な計らいをしていただく必要があるのではないか。かつて私が役人をしておりますときですが、国鉄フェリー、航送船ですが、御承知のとおり紫雲丸というものの事故がありましたあと、約半年、八カ月ぐらい専門家にいろいろな角度から検討していただきましたりして、ずいぶん問題があるものだなと実は私どもびっくりするほどだったわけですが、民間のフェリーの問題は、もっとよけいあるように思います。  そこで、いま久保さんからいろいろなお話が出ておりましたが、さらにつけ加えて私はもう一言申し上げたいのは、港湾の問題フェリーの発着する港の問題であります。これは実は私、自治省におります際に、特に愛媛県知事、香川県知事が非常に頭を痛めておりました。特に、愛媛県が非常に多いのだそうでございまして、久松知事がいつも言っておられるのですが、普通の港でないものですから、それでフェリーがかってに大きくなったり小さくなったり——小さくはなりませんが、大きくなっていく。それでどんどんふやしていく。それで結局、港の費用の負担その他で県が泣かされる。これは何といいましょうか、ルールができておらないためにきわめて苦労をする。しかも、何か間違いが起これば、港湾の管理者の責任になるというようなことがございますので、いま久保さんの言われておることのほかに、発着する港湾の問題もあるわけです。それで、あわせてぜひひとつ抜本的な対策をお立ていただくように、これは御要望で別に御答弁はいただかなくてもけっこうですが、申し上げておきたいと思います。よろしくお願いします。
  24. 久保三郎

    久保委員 いまフェリーのことでいろいろ御意見もあったのでありますが、いま二、三申し上げておきたいのは、さっきもちょっと申し上げましたが、フェリーの制度に対する扱いというか、取り組み方というか、必ずしも本格的でなかったと思うのです。これは発生過程というのはおかしいが、フェリーが出てきて今日に至った沿革というようなものが多少あったので、自然の成り行きになっている面があると思うのです。最近はまだ小さいフェリーもあるし、そうかと思うと大きなフェリーが出てきている。そうなると、大きいものと小さいものと同じように扱っていいのかどうか。  もう一つは、あれは船とはいいながら道路じゃなかろうかということ、建設省あたりは、四国の国道何号か知りませんが——あれは十一号だそうでありますが、あそこに走っている船は、国道ということで当初扱っていたはずであります。そういう制度上の問題もある。監督と言っちゃ語弊があるが、行政的にも多少混乱があるんですね。だから、そういうものも含めて、この際は抜本的に洗い直すことが必要だし、将来の展望として、四国には政治家がたくさんおられて、橋が三つもできるそうでありますから、橋が三つもできればフェリーはなくなると思うのです。しかし、そういうふうにで奉るかどうかは別にして、一番多いのは瀬戸内でありますから、この問題一つ解決にしても、それはたいへんな問題だと思うのです。そういうものを含めて長期展望に立った対策を立てる必要があるし、多少将来はもっと長距離なものができるはずでありますね。これは京阪神からいうなら九州の南、鹿児島というものもあるし、高知の先生がおられるけれども、高知から東京までというのもできるだろうと思うのです。そういうものを含めてどう扱うか、いまのは、瀬戸内くらいならば、これは内水面と大差はありません。ところが、今度は外洋を走るということでありますから、そういうものも輸送機関の制度として一ぺん考えておく必要がある、こういうふうに思うのですが、それはどういうふうに御検討なさっておるのか。参考のためにお聞かせいただければ幸いだと思います。
  25. 澤雄次

    澤政府委員 先生御指摘のように、現在、四国と本土との間のカーフェリーが一番多くて、全国の約六〇%以上を占めておるわけでございますけれども、安全面の取り締まりにつきましても、四国−本土のフェリーについて、今後とも重点的に指導取り締まりをやってまいりたいと考えております。  長距離フェリーにつきましては、先生御指摘のように、阪神あるいは京浜を中心といたしまして、全国に延びる申請が非常にたくさん出ております。また、そのうち許可をして現実に走っているものもございますが、これらは総トン数が五千総トン以上の大型船でございますし、旅客定員も千名以上をみな持っておる非常な高速でございますので、これらの船舶の安全につきましては、船舶局、海運局海上保安庁相協力いたしまして、事故の起こらないように厳重に注意をいたしてまいりたい、このように考えております。
  26. 久保三郎

    久保委員 もう一言申し上げておきたいのですが、最近のレジャーは大型化してまいりました。そこで災害も大型化しておるというのが最近の傾向だし、また、そういう傾向がずっと続くだろうということですね。カーフェリーと車の関係考えますと、ハスはいいとして、結局、乗用車というか、自家用車の激増が、一つには最近起きたカーフェリー事故原因でもあるといわれます。最初に起きた事故はその類かもしれない。二番目に起きたのも、一つにはそういうことがあるかもしれない。カーフェリーも車に乗ってもらわなければ困るのでありますが、全体的な立場からいえば、バスはやむを得ぬとしても、少なくともそういうレジャー地帯を中心にするカーフェリーの問題を考えた場合には、レンタカーとの組み合わせで考えていかせるように何とか指導できないものか。カーフェリーができたから、どんどんそこにいけばふん詰まりになるから、あわてて事故が起きる。こういうことでありますから、レンタカーの制度その他も考えながら、これは海運局だけではいかぬと思うのでありまして、全体的な行政になると思うのですが、そういうことも考えてみる必要があるのではなかろうかと思うのです。ただ、車がふえたからカーフェリーもふえる、だから事故も起きるのだ、やむを得ぬということだけでは芸がなさそうに思うのです。そういうことも、時間がありますればひとつお考えをいただきたいというふうに要望しておきますが、カーフェリーの関連のほうは一応これで終わります。  次に、国鉄の問題でお伺いをしたいと思うのです。国鉄輸送力増強等について、特に線名を限定してお尋ねをしたいのですが、それは常磐線を中心にお尋ねをしたいのです。私は、関係する線でありますから、いままであまりこういう席でお尋ねをしませんでしたが、なぜ尋ねなければならなくなったかということを一応国鉄の重役の皆さんに申し上げておきたい。常磐線は、いままで幹線か亜幹線か知らぬが、そういうところにランクされていたつもりでいたのです。ところが最近では、これは斜陽化の傾向でやむを得ぬというような姿勢がかなり本社の中に濃厚である。支社のある高級幹部は、公式な発言ではないと思うのだが、常磐線の線増などを考えるばか者は国鉄経営を知らぬ者だということを、あるときに言ったそうだ。そういう経営方針であるとするならば問題だから、あらためてここで質問することになった。ついては、きょうは総裁ももう任期切れでおやめになるそうで出てこぬし、副総裁も辞表を出したそうだから、結局きょうは理事皆さんがおられるから、どなたでもけっこうだが、そういう姿勢で取り組んでおるかどうか、聞きたい。
  27. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 常磐線の問題につきまして、いまお話に出たようなことは、毛頭考えておりません。私どもといたしましては、常磐線につきましては重要な線区であるということで、今後とも輸送力を増強していくという方向で考えております。
  28. 久保三郎

    久保委員 東北線の複線、電化、いわゆる線増、電化をきめる際に、常磐線か東北線かということで国鉄の内部で論争があった。そのときの論争の結論は何であったか、常磐線をどういう地位に置くということが論争の結論であったか、お聞かせ願いたい。
  29. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 常磐線の問題としまして、東北線との関連でございますが、御承知のとおり、常磐線はいままでは貨物を中心として、そして長町以遠の貨物輸送列車を通している。同時に、実際の地帯におきます都市の関係考えますと、まず東北線のほうを優先して、複線あるいは電化をするということが先に考えられたわけであります。そういうような点から、常磐線につきましては、東北線の補助線と申しますか、そういうような性格があったわけでありますが、しかし、今後の輸送の形態を考えますと、現在、常磐線におきましては、取手あるいは我孫子までという複々線工事を行なっておりますし、それから上野駅の改良につきましても、これも常磐線の輸送力を増強するための工事としてこれを行なっております。さらに今後の常磐線の四ッ倉以遠の線増という問題につきましても、東北線との関連において考えなければならぬ問題があるわけであります。将来の新幹線の問題、いろいろと問題が山積いたしておりますので、問題がいろいろと複雑になっております。しかし、常磐線につきましては、今後の東北線との関連において、さらに輸送力を強化していくという方向には間違いないと思います。
  30. 久保三郎

    久保委員 どうも何か長瀬さん、あなたのお話を聞いていると、よくわからぬですがね。いま一番最後に言ったのだけが何かこれからの気持ちのようであります。東北線の関連において輸送力を増強する。そうすると、東北線で間に合えば常磐線はそのままでいいということに受け取れますが、そのとおりですか。
  31. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 輸送の流れというものにつきましては、特に貨物輸送につきましてはヤードとの関連がございます。したがいまして、郡山操というものを考えたわけでありますので、その点から長町と郡山操との関連において考えたわけであります。しかし現在、東北線自体も逐次輸送力が小山−大宮間におきまして行き詰まっております。その点から、今後常磐線の輸送力強化ということは考えなければならぬ、こう申し上げたわけであります。
  32. 長浜正雄

    ○長浜説明員 いま長瀬理事が御説明いたしましたが、私からもうちょっと工事の点について補足したいと思います。  常磐線につきましては、いま長瀬常務が説明いたしましたように、東北線の複線、電化が完成しましたので、貨物列車につきましても、東北線のほうに主として荷がかかっておりますけれども、いずれにしましても、常磐線のほうにも貨物列車を通さなければならぬということは、もう目に見えております。また、御承知のように、貨物列車につきましても、武蔵野線のところに武蔵野ヤードという大きいヤードをいま工事を進めております。これができますと、常磐線の根元の貨物の基地として相当大きなものができますので、これで常磐線の貨物輸送というもののウエートが高くなってくる、こういうふうに考えております。  また、旅客につきましては、いま御説明ありましたように、上野駅の改良をいたしております。それから取手までの複々線の工事を進めておりますので、これによりまして、旅客列車の増発ということが可能になるわけでございますが、取手以遠につきましては、特に水戸以遠につきまして、いままでのところ、大体線増しなくても入り得る列車回数でございましたけれども、それではいずれ入らなくなる時期が目に見えておりますので、今年度から新しく四ッ倉以遠で数カ所の線増区間を選定いたしまして、今年度としては、このうちから選びまして、区間をきめまして線増の工事に着工する段取りをしていきたい、こう考えております。  それからまた、手前のほうの列車回数の特に多い水戸付近までにつきましては、軌道関係の強化をしたいと思っております。水戸以遠につきましてはその後になると思いますが、とりあえず取手から水戸までの軌道強化を今年度も引き続いて、昨年度以上に強力に進めていきたい、そして輸送力増強に対応できるような投資をしていく、こういうふうに考えております。
  33. 久保三郎

    久保委員 いろいろお話がありまして、あとからまたお尋ねしますが、冒頭お尋ねしたのは、常磐線の位置づけをどういうふうにしていくのだろうかということを聞いているのでありまして、そうすると、お二人のお話を聞くと、やはり東北本線との関連において考えていくということになるわけですね。それは、そういうことも必要でしょう。それでいまのお話の中には、小山から南でふん詰まりになったから考えざるを得なくなってきた、こういうのは、ぼくから言わせれば、はっきり言うと見込み違いですよ。私は、常磐線のことを特に知っているから申し上げているのでありますが、それ以外に、よその線区でもこういう線区はたくさんあるのです。運賃値上げに関連した国鉄再建論争のときにも若干申し上げましたが、言うならば、そういう線区をこれから放棄するのか。いわゆる単独ですよ、東北本線とのかね合いでどうこうするのではなくて、そういう線区は国鉄は全国各地に持っておる。亜幹線と言ったらいいのかもしれませんけれども、特に常磐線というか、常磐地帯における問題とあわせて考えて、言うならば、運べるうちはそのままやろうなんというような態度でいいのだろうか。すでに御承知のように、あの地帯にはいわゆる高速自動車道路の建設の問題も現実に出てきているわけですね。だから、道路とのかね合いにおいて、あれからは撤退作戦でいくのかどうか、そういう考えでおられるのかどうか、それをひとつはっきり聞きたい。いろいろ聞いてもしようがないから、常磐線なら常磐線というものの位置づけをどう考えているのか。東北線とのかね合いではわかりました。ふん詰まりになればあたりまえですよ、いやでもおうでも、そうしたらやるよりほかないでしょう、ほかに線がない。幸い岩沼からくっつかっているから、それを利用できれば、北のほうに行ったり来たりできるというのでしょう。そういうこと以外に、常磐線独自の立場で考える面はないのかどうか。たとえば、いまお話のあった取手までの通勤線増をやる、取手まででなく我孫子でしょう、利根川を渡らぬ。利根川を渡らぬで、その先はどうかといったら、非公式な話ですが、通勤高速鉄道も考えている、なるほどけっこうです。資金はどこから、いつ何どきそれはできるのか、そんなものは全然わからぬ。また、毎日毎日この地帯は人間がふえているのです。そういう位置づけというか、ものの考え方をひとつきちんときめて——きまってなければきまってなくていいのですよ。
  34. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 いろいろむずかしい御質問でございますので、私ども明確なお答えはできないかもしれませんが、結局、線路というものにつきましては、そこの地帯におきます旅客輸送なりあるいは貨物輸送に最も便利な輸送体系にしていくということが基本でございますし、同時に東北線並びに常磐線は通過線という使命を持っているものでございますので、現実におきましては、常磐線の旅客輸送や貨物輸送に現在重大な支障があるかどうかという判断だと思うのであります。この点につきましては、先ほど申しましたとおり、現在、通勤輸送につきましては大いに強化する、さらに貨物輸送の隘路につきましては、これを打解していくという方向でございまして、決して常磐線を放棄するというような考え方は毛頭ございませんし、むしろ常磐線をもっと強化していくという方向であることは、これは間違いないわけであります。
  35. 久保三郎

    久保委員 ことばでは強化していくということでしょうが、時代の推移にならっていくぐらいのことはあるでしょうが、積極的な姿勢では、おそらく出ないんじゃないかと私は心配しているから申し上げておるのです。もっとも、これを機会に本社内部で常磐線の位置づけについていわゆる御論議をいただくというならば、この問題は原則論としてこの辺でやめておきますが、御論議いただけますか。大体はっきりしているような話じゃないですか。
  36. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 各線の今後の方針の進め方につきましては、財政再建措置法によりまして、今後の輸送計画によって私どもとして考えなければならぬ点もございますので、今後十分討議を進めていくということは御約束できるわけでございます。   〔委員長退席、大竹委員長代理着席〕
  37. 久保三郎

    久保委員 財政再建推進会議の結論というか、そういうものを受けて再検討するということでありますから、そこでお尋ねしたい。  それじゃ、第三次長期計画で常磐線の輸送力増強ということはどうなっていたのか。たとえば、げた電は我孫子どまり、しかし計画には取手と書いてある。線増はいまだに計画、実態は我孫子でとまりということでしょう。そうでしょう、取手まで入らぬでしょう。計画自体には書いてあるが、実態はそうなんです。  軌道強化も、先ほどお話があったが、毎年一億ぐらいをやっていて何年かかると思いますか。十年かかりますよ。十年後に常磐線どうなるかわかりませんよ。こんないまの時代おくれのままだったら、必要なくなるかわかりませんよ。投資はより効率的にというのが政府の方針でもあり、国鉄の方針でもあるでしょう。効率的にやるのかやらぬのか、問題です。  だから、もう一ぺん聞きますが、第三次長期計画の常磐線の輸送力増強と再建計画とはズレがありますか。あらためて再検討するというのだから、再検討の時期にはどういうふうになるのかわかりませんが、受け継いでいくのか、いかないのかということです。いかがですか。
  38. 長浜正雄

    ○長浜説明員 第三次計画では常磐線は大体線増することにしておりましたが、いまのところ、おっしゃるように、まだそのほんの一部しかできておりません。これは、財政再建のこの期間中に第三次計画をこの中に含めて考えていくということでございますので、今後、時期は第三次計画の完成時期よりズレますけれども、常磐線の線増ということを進めていきたい。  それから軌道強化につきましては、先生御指摘のように、確かに毎年一億や一億五千万ぐらいでは、まだなかなかひまがかかるわけでございますので、今年度は特に金をふやして、これはあとの収入の関係等も出てまいると思いますが、いまの計画では、例年の倍以上の金をつけたい、こういうふうに考えております。  それで、常磐線の地位につきましても、いま長瀬常務が申し上げましたように、これから再検討するわけでございますが、われわれとしては、やはり重要幹線というふうに考えておるわけでございます。  ただ東北線との関連と申し上げましたのは、長町以遠、要するに岩沼から先の輸送列車については、これは東北線との関連でなるべく常磐線に、実はまだ工事が進んでおりませんので、荷をかけないように、東北線のほうになるべく持っていっておるという現状でございますけれども、線増が進むにつれまして、また常磐線のほうにやっかいをかけるということになっていこうかと思います。で、常磐線のほうも、いま考えておりますのは、三次計画で考えました線増をできるだけ早い機会にと思っておりますが、これをどの年次の間に進めていくかということをこれから検討していきたいと思います。
  39. 久保三郎

    久保委員 それじゃ長浜さん、この線増の問題を聞きますが、いわゆるげた電ですね、これは取手まで線増、その計画は今後引き続きおやりになるのですか。基地はどこへおつくりになりますか。基地は我孫子におつくりになるそうでありますが、その場合でも線増は利根川を渡りますか、いかがです。
  40. 長浜正雄

    ○長浜説明員 仰せのとおり、基地は我孫子を出ましたところ、利根川の手前にいまつくっております。それで工事も、したがいましてその基地までいま第一期として進めておりまして、あと引き続いて取手まで行く計画でおります。ただ、我孫子までとりあえずいたしますと、取手からの通勤客の利便は、いま以上に列車をふやすことができますので、とりあえずは取手までの線増をしたと同様の効果といいますか、完全に同様の効果とまでいきませんが、我孫子までの線増をしなかったときよりも、列車回数をふやし得るというふうに線路容量があいてまいりますので、この可能性は出てくるわけでございます。それでいま工事は、我孫子と取手の間にあります車両基地まで工事をやっておりますが、それ以遠につきましては、取手までが直流区間でございますので、取手までの線増工事を第三次計画で計画しておりますので、われわれとしては、その計画をいつの時点から開始をして、いつの時点に完成をさせるかということを、これは同じく再建の計画の中で検討するつもりでございます。計画は、いまのところ取手までというふうに考えております。
  41. 久保三郎

    久保委員 それじゃ、湯川さんおいでですが、このげた電は直流でありますが、地元の輸送状態というか、流れからいけば、常磐線電車よりはげた電を土浦辺まで延長せねばならぬというのが、いわゆるものの考え方の本筋ではなかろうかと思うのであります。ついては、技術的なこともございますが、このげた電はどこまで延ばそうとすれば延びますか。施政方針は別として、純技術的に考えてどういうことになりますか。
  42. 湯川龍二

    ○湯川説明員 いま仰せの点につきましては、御案内のように取手の先、藤代に交流と直流の接続点がございまして、中・長距離の電車あるいは機関車といったようなものにつきましては、車上で交直両方が使える形のもので走らしておりますので、そういった形の常磐線におけるいわゆる「ときわ」クラスの電車は、他の地域に比べて非常に回数の多い形で走っておるのでございます。それで、直流区間では東京近郊全域に、取手以南は電車がたくさん走っております。先のほうにつきましては、いまの「ときわ」クラスの電車によって十分こなしていける。それで、速度も早くなりますし、そういう形で東京から離れた地域が時間的には東京に接近してくるということに相なりますので、そういう形で今後進めたいというふうに考えております。
  43. 久保三郎

    久保委員 湯川さん、技術的なことをお尋ねしているのであって、政策的なことは別です。どこまでならば直流で入りますかということです。いかがでしょう。
  44. 湯川龍二

    ○湯川説明員 これは藤代で接続点を設けましたのは、柿岡に地磁気の観測所がございまして、久保先生御案内だと思いますが、常磐線の電化が我孫子から先に延びていくときに、それらの技術的な観点からかなり検討された結果、その間に交流電化の技術ができまして、ここで交直接続で延びていけるということになりましたので、この電化が促進されたという経緯がございます。したがいまして、直流で先に延びるということが、技術的には柿岡の問題が解決しない限りできない。で、柿岡の問題につきましては、ただいままでの検討の結果、今日の形になっておりますので、ジャンクションとしては藤代で接続しておくということになっております。
  45. 久保三郎

    久保委員 私はしろうとで、磁気観測所と直流の電化の関係はわかりません。これは全然わかりませんけれども、われわれの感覚から見れば、土浦まではあるいは多少無理かわからぬ。しかし御案内のとおり、常磐線には竜ケ崎市という市も控えている。これは藤代から目と鼻の先であります。そこに言うならば開発の計画が最近進められて、一部もうすべり出しているということであります。しかも、佐貫という駅は稲敷の窓口でありまして、稲敷全体の出入りは、取手、佐貫、藤代、大体こういう三つの駅から来るわけですね。そうなりますと、常磐電車でなくて、げた電で、しかも、げた電は今度都心部へまっすぐ入るのでしょう、いまやっている線路計画からいえば。そういうものをさばいていくことが筋ではなかろうかと私は思うのです。技術的なことで藤代が限界だとは私は思っていないのですが、これはどうなんですか。
  46. 湯川龍二

    ○湯川説明員 いまの柿岡は石岡の近所にございますが、これから二十キロの円周で描いたところが地磁気の動乱が起こる、直流でまいりますと、これは絶縁いたしますとよろしいのですけれども、ばく大な費用がかかるということもありまして、藤代がジャンクションの限界になっております。私どもも東京近郊線といたしまして、直流でできるだけ東京へ持っていきたいということでいろいろ検討した結果、藤代を限界として設定をしたわけです。
  47. 久保三郎

    久保委員 さらにこれは技術的に御研究をいただきたいと思うのです。湯川さんが最初手がけたころとは、だいぶ技術も進歩しているのじゃなかろうかと私は思うのです。そういうことでひとつ御検討いただくことにしまして、次へいきます。  そこで話はやはり線増でございますが、さっき私が例に引いたうわさによれば、関東支社のある幹部が、平以北の線増などを言い出す者はばか者であって、というようなことを言ったとか言わぬとかいううわさを聞いておるわけです。あれはそういう方針のためにこま切れで少しずつやむを得ずやっているような形なんですか。それとも、きちんとした計画の上に立っておやりになっているのですか。それからもう一つは、そういうことを言ったとすれば、それは間違いですか。そういうことも経営の上ではあり得るのですか、どうですか。
  48. 長浜正雄

    ○長浜説明員 線増をいたします場合には、目的が列車をふやすわけでございますので、ふやすのに支障をいたします駅間から複線化をしていかないと効果があがらない。通勤区間になりますと、これは片方からへたに線増していくと効果がないわけでございますから、常磐線のレールのように、単線といいますか、こういう線区になりますと、主として長距離列車が問題になるわけでございます。そういうところでは、線路容量ということばを使っておりますが、駅間に入り得ます列車本数が要求される輸送量に足りないという場合に、その区間から複線化をしていきたいということで、その駅間の詰まっておりますところから順次複線化に着工していきたい。もちろん、その間に工事の難易がございまして、簡単にできるところはようございますが、長いことかかるところは早く着工しなければいかぬということを加味しながら、着工区間をきめていきたいというふうに考えております。そういうことでございますので、常磐線全体につきまして、これを複線化する、しないということは、われわれとしては本社全体の計画として常磐線の強化を考えておりますので、いまのところわれわれとしては、常磐線の線区全体の輸送力増強ということが将来とも常磐線としては必要であろう、こういうふうに本社でも考えまして、第三次計画をつくっておりますので、それに合うように資金とにらみ合わせながら、逐次必要緊急度の高い区間から着工しておるわけでございます。われわれといたしましては、第三次計画でも線増するということをきめておりますので、いまもその気持ちは変わらないわけであります。
  49. 久保三郎

    久保委員 そういう気持ちは変わらないが、実行はなかなかむずかしいということでしょうね。結局、結論は同じなんですよ。我田引鉄じゃありませんが。私が冒頭にも申し上げたように、輸送力の一番困るところから優先してやる。これは当然でしょう。しかし、国鉄が将来にわたってどういうものをやっていくかという場合に、常磐線のような距離あるいは地帯を持っているものの長期展望に立っての増強を急がなければ、あとになってからでは間に合わないものも出てくるだろうと思うのです。そういうものは銭の面でできないという面があるかもしれません。しかし、その日暮らしと言っては語弊があるが、輸送力にふん詰まりを来たすから、常磐線も少し線増して、こっちにも流さなければだめだというようなことでは、私は芸のない話だと思うのです。そういう意味で私は申し上げているわけです。  それから簡単にお尋ねしますが、軌道強化は何年たったら完成する予定ですか。
  50. 長浜正雄

    ○長浜説明員 あと取手……。
  51. 久保三郎

    久保委員 取手まででなしに、常磐線全部を聞いている。
  52. 長浜正雄

    ○長浜説明員 常磐線の岩沼までということになりますと、いま着工しておりますのが上野−水戸間でございます。まだ上野−水戸間が若干残っております。あと水戸−岩沼間がまだ二百四十キロばかりございますので、これはいまの時点でいつまでに完成するというお返事は、ちょっとできかねるわけでございます。ただ水戸までにつきましてはなるべく早く、あと一両年くらいの間に完成してしまいたい。御承知のように、軌道強化は軌道掛、昔の線路工手をたくさん使いますので、一ぺんにたくさんの部分を着工できませんから、逐年全国にわたって着工しております。この点につきましては、特に金という面よりも人力という点で若干問題が出てくるわけでございますが、できるだけ早くこういう区間の軌道強化をやって、省力化、近代化、合理化を進めていきたい、こういうふうに考えております。
  53. 久保三郎

    久保委員 何年かかるかわからぬということでありますが、しかし、こま切れではこんなものは効果が出ないのです。軌道強化というのは、線路を太くしてスピードを上げるということでしょう。ほかにもあるでしょう、保守の問題もあるかもしれませんが、そうだとするなら、経済効果なり鉄道の機能の効果を発揮させるには、こま切れでやったって何にもなりません。やらぬほうがいいくらいです。少しばかりやったって、はっきり言って何のメリットもない、保守の近代化もできないです。だから、これは集中的におやりになることがいいと思うのです。常磐線ばかりじゃありませんけれども、おやりになるならば、集中的におやりになったらどうですか。しかし、人間の問題があるというのだから——人間の問題も考えようだと私は思うのです。いろいろこまかいことまで申し上げる必要はないと思う。  時間がありませんから先へいきます。  そこで車の問題ですが、常磐線のげた電は、松戸の電車区にまだ古いものが幾らか入っていますか。
  54. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 まだ旧型の車が入っております。
  55. 久保三郎

    久保委員 これはいつまでにかえて、汽車賃値上げに見合ったようなかっこうになりますか。
  56. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 通勤線の輸送力増強につきましては、性能のいい車両を使って今後増強していくということでございますので、常磐線につきましても、この点については同様に考えておるわけで、早急にやりたいと考えております。
  57. 久保三郎

    久保委員 早急にということでなくて、私はいつまでにと聞いているのであります。おわかりになりませんか。——れからはあたたかくなって非常に都合がいいそうであります、風の流通がいい。冬はまことに困る。こごえて死んでしまうのじゃないかという声も出ている。それはちょっとひどいじゃないか。大体車にしても列車の本数にしても、東海道筋というか、東京口と上野口と比べれば格段の相違があるのです。汽車賃を払うのは同じなのに、ひどいじゃないかというのが明治以来今日まで続いている批判なんです。そういうことについても、これはあとからも申し上げますが、いつまでにこれは改良になるのかわかりませんか。
  58. 湯川龍二

    ○湯川説明員 常磐線には旧型のものが若干いま残っておりますが、これは東京近郊の101型、103型を近代化した黄色の型、あるいはいろいろ変えておりますが、これの計画をどんどん進めておりまして、常磐線については今年内に旧型が改廃止され、全部新型のものになるということであります。
  59. 久保三郎

    久保委員 もう一つ、茨城県内で御案内のとおり、たとえば日立を中心にする、あるいは水戸を中心にする通勤輸送というのは、これはローカルの問題としてかなりあるわけです。ところが車両不足のために、かなり恵まれないダイヤになっているわけです。非常に困っている。こういうものについて、かなり新しい車両の投入が必要なのであります。これは増備計画がどうなっているか。これから立てるということであるかもしれませんが、いままでの例から見ると、常磐線から持っていってしまう。ついこの間、東北本線の電車開通で常磐線から車両を持っていった。そういうことをやっているんだが、どうも話が少し合わぬと思うのです。車両の投入はどうなんですか。
  60. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 水戸付近あるいは日立付近の通勤につきましては、やはり今後、通勤輸送力増強につきましては、同様に考えておるわけでございます。この点については、時刻改正のたびに通勤輸送につきましては増強いたしておるわけでございます。なお平付近あるいは水戸その他につきましては、増強が必要であるかどうかを十分調査いたしまして、今後の車両の投入について十分考えたいと思います。
  61. 久保三郎

    久保委員 いままで申し上げた幾つかの問題で、極力というお話ですが、これは具体的ではありませんから、少し詰めた話をあとでお話しいただきたいと思います。  次に、上野駅の問題。毎朝、赤い帽子をかぶった人が、通勤時にはあの地下の連絡通路というか、あそこにずっと立っている。毎朝やっているわけなんだが、毎朝こんなことを何年続けるつもりでいるのか。しかも、常磐線の電車は下へおろした。かえって混雑することをやっているわけです。連絡の跨線橋は、何かことしにはできないような話、ホームもがたぴししている、こういうのは、はたして国鉄の信用を高める意味があるかどうか。しかも、はっきりあそこに掲示したためしはありませんよ。この跨線橋はいつ幾日までにできるということはない。それから常磐線の電車の着くホームは、これは幾日までに完成しますという広告一つ出ていない。だから、常磐線に乗る人は、国鉄は何をやっているんだ、こういうことについてどう思いますか。
  62. 長浜正雄

    ○長浜説明員 いま先生御指摘の、いついつまでにできるというようなものをはっきり出して、通勤者の皆さんにわかるようにしろと。——申しわけございません。それは当然のことでございますので、さっそくそういう手配をしたいと思います。非常にいいアドバイス、御指示をいただきまして、そういうふうにしたいと思います。  ただ、上野駅のいまの混雑は、先生御承知のように、特にいま工事中でございまして、六十数億の金をかけまして、上野は非常にわかりにくい駅でございますので、これをわかりいい駅、しかもプラットホームの数をふやそう、こういう工事をしております。これが完成いたしますと、特に朝晩のラッシュのときに、先生御指摘の赤い帽子をかぶった助役くらいが整理をしておる状態が相当なくなる、私はこう考えております。と申しますのは、御承知のように、地平ホームから改札口に出入りいたします遠距離の客と、高架線から外へ出ていきます客とがラッチの付近で平面交差をして、非常に混雑しておるわけであります。これを高架にして整理をしたい、こういうふうに考えております。
  63. 久保三郎

    久保委員 時間がないし、あとが詰まっていますから、あとでまたあらためて聞きますが、私は別にぼく自身の考えだけで申し上げているのではなくて——ぼく自身の考えもたくさんありますよ。そういう点について不満があるが、一般乗客考えもやはり考えてほしいということです。何ですか、今度の第三次長期計画ではこうなるといってビラは出す、写真は張る。ところが常磐線の駅には、写真も墨でかいた掲示も一つもしていない。あなた方は汽車を走らすことが商売じゃない。お客と荷物を運ぶことが商売です。それに徹していない。私はこういうところでこんなことを言いたくない。もう少し反省してほしい。いずれにしても時間がありませんから以上にします。あとであらためてまたいたします。
  64. 大竹太郎

    ○大竹委員長代理 沖本泰幸君。
  65. 沖本泰幸

    ○沖本委員 時間がないので、大臣にお伺いいたします。  きのう大臣は、私鉄の運賃の値上げについていろいろと御発言があったわけですが、そのことについて、私たちは新聞記事でしか知る由もないわけですけれども、その点で確認しておきたいのですが、米価が値上げになれば運賃の値上げも考える、こういう点と、それから閣僚である限り、きまったことは押えなければならない。しかし、運輸大臣である以上は、やはり事務当局に検討させている、こういうお話が記事でうかがえるのですが、この二つを並べてみると、話が全然すれ違うのです。私たちとしては、どういうふうに大臣の御発言をとっていいか、国民自体も困っていると思います。これは国鉄運賃値上げのときに相当論争されてきた問題でもあり、大臣は経企庁長官と社会党の板川委員の御質問では意見が対立した、こういう事態もあったわけですから、極力押えるということが、総理の物価問題安定推進会議発言があって、これが確定的に公共料金にはね返ってくるものは上げない、こういう問題に関与するような人たちは協力してほしいというような内容の発言があった、こういうふうにうかがい知りますけれども、もう一度大臣からこの点について御発言をいただきたいと思います。
  66. 原田憲

    原田国務大臣 明確にいたしておきたいと思います。私が国会で答弁をいたしておりますように、国鉄の運賃については、値上げもやむを得ないという立場で御審議を願って、これは成立をいたしたのであります。その際に、運賃というものは関連をするものであるが、私鉄の運賃ほどうかという御質問に対しまして、いわゆる中小私鉄と申しますか、地方の問題についてはケース・バイ・ケースで解決をしていきます、大手十四社の私鉄の問題に関しましては、極力抑制をするという姿勢を守っていきたい、こういうことを申し上げたのであります。おととい、物価安定推進会議がありまして、その席で総理が私の申しましたことを——これだけではございませんが、すべての問題について発言をされましたが、特にその問題も取り上げて発言をされておりますから、その新聞にはそういうことが大々的に見出しになって出ております。あなたのおっしゃっておるのは、ある新聞記事が出まして、その記事をもとにしたお話であると思っておりますが、私は、米が上がったならば私鉄を上げるというようなことは申し上げておらないのであります。米の値段のことに関しましては、これは農林大臣の所管でありまして、運輸大臣が農林大臣の所管にまで影響するような非常識なことを申し上げるわけがないのでありまして、そのことを新聞記事で書かれるということは、迷惑千万であるという発言を翌日記者会見をいたしたときにいたしておきました。その物価安定推進会議のときに、米の値段を上げてはならぬというある委員さんの発言がございました。ところがそれに対して、いや、米価はやっぱり上げるべきだという発言も二、三ございました。それほど米価という問題は重大なことであるが、総理はその中でも、やはりこの政府がきめた米価は上げないという姿勢、方針を守っていくつもりだ、こうおっしゃっておりますから、この内閣、特に本年度、四十四年度は、物価というものに対して非常に政府は腹を固めて、物価抑制という方針を重大な政策として取り上げておる。こういうことでありまして、米が上がったら運賃も上げるというようなことは申し上げておらないのであります。そこのところは、はっきり御了解を賜わりたいと思うのであります。  なお、その記事には事務当局と私の間にけんかが起きると言わぬばかりの解説記事がございましたが、これも迷惑千万な話でございまして、事務当局は事務当局として申請を受け付けた限りは、これを処理するための作業を国の役人としてやっていかなければならないのでございます。私は、この国会中にその問題で御質問があったときにも常に答えておりますように、現に国会では、国鉄問題を中心としまして、毎日のごとく衆参両院へ私は出てきておりますので、その内容がどうなっておるかは、まだ聞いてもおらないということを言っておったわけでございまして、事務当局が申請を受けて作業が終わって持ってきたならば、どういうものであるということは、私は当然大臣として見てやらなければならない立場におるわけであります。しかし、常に申し上げておりますように、この大手私鉄の問題は、権限は私にございますけれども、この運賃をきめるときには、審議会の議を経なければならないという点が一点。もう一つは、内閣におきまして物価に関する閣僚協というものの承認を得なければなりませんから、私の一存で大手十四社をきめるということは、不可能であるといういま内閣の制度になっておるわけであります。したがって、私は菅野大臣とともに国会に出席をいたしましたときにも、受け取られる方にはニュアンスの違いがあると言われましたけれども、当運輸委員会でも、菅野大臣と私の発言が食い違いがあるじゃないかということで、発言を菅野大臣がいたされまして、私との間に不統一はないということを確認を願ったくらいでございます。その経済担当の菅野大臣ほか閣僚と相談をしていかなければならない問題でございますし、特にこの四十四年度は、物価というものをよく考えようということを考えておるのでございますから、私は極力抑制に力を置いて対処していくという態度に間違いはございません。
  67. 沖本泰幸

    ○沖本委員 時間がありませんので、ゆっくりお伺いできないのが残念ですが、これが国鉄運賃の値上げ問題で強行採決という問題まで起こして国民に非常に迷惑をかけた、こういう点があるわけですから、この点については十分お考えになっていただいて、これ以上物価に影響して国民に迷惑をかけないように、この点には、いま大臣がおっしゃったとおり重々御配慮をしてやっていただきたい、こういうふうにお願いしたいわけです。しかし、たび重なる賃上げ要求、いろんな点から私鉄が窮状に追い込まれてくる、こういうことから盛んな陳情が今後もあるわけです。こういう点についても大臣のほうとしては負けない、国民のほうに立った国民大臣ですから、そういう点を十分お考えになっていただいて、今後の御方針をきめていただきたい、こういうふうにお願いしたいわけです。  それから、同じように公共料金にも匹敵する大都市のタクシー料金の問題で、これは板川委員も先日御質問になっておったわけですけれども、六月一日を期して名古屋の料金を値上げする、あるいはこういうところから三〇%の値上げに運輸省は踏み切るのじゃないか、こういうことも新聞の記事にうかがい知るわけなんです。この点も、もうタクシーはいまはぜいたくな乗りものではなくて、どうしても国民の必要な足という段階であり、この料金が上がるということはやはり物価に大きな影響もある。こういう点もあるわけですから、こういう点についても十分に配慮していただきたいわけですが、この内容については、大臣どういうふうなお考えなんです。
  68. 原田憲

    原田国務大臣 タクシー運賃につきましても、私はその方針といたしまして、地方におきましては、これはケース・バイ・ケースでやっていくが、いわゆる七大都市については、これは経済企画庁そのほか物価閣僚協議会の承認を得てきまるということに内閣でしておりますから、私の一存ではなかなかまいらないわけでございます。ただ、私が申し上げておりますように、タクシー料金でも一番安いわけで、それのためにかえって市民の足が奪われるということは、これは考えておかなければならぬが、いまのタクシーの姿を見ておったら、サービスを売るものがサービスをしてないじゃないか、いわゆる乗車拒否、これぐらい人気の悪いものはない。そういう状態でおりながら値上げをせい、値上げをせいと言われても、担当者である私のほかに、値上げしたらいいという閣僚は一人もございますまい。国鉄でもそうです。先ほども言いましたように、米の場合は、値上げせぬでもいいじゃないかという人がたくさんおられますけれども、逆に、値上げをしてやったらいいじゃないかという人もたくさんおられます。ところが運賃の場合は、値上げしてやったらいいじゃないかという人は、私は運輸大臣でございますから、人気がいい悪いにかかわらず、国鉄の場合お願いをいたしたわけでございますが、一人もおりませんね。しかし、そういう立場に立ってもやらなければならぬ場合にはやらなければならぬ。国鉄の問題では、沖本さんにはまことに申しわけないけれども、私はただ頭を下げているのじゃない。法案が通ったときに、どうかごしんぼう願いたいという気持ちで頭を下げておるのでありますが、サービスをして国民に喜んでもらおう、そうして自分ももうけさしてもらおうという商売をしているものが、そのお客さんを乗せないというようなことをやって、そしてその口実をわしらは安いからだというようなことでやっている限りは、これは私としても責任を持ちかねる。だから、この前、皆さん笑われましたけれども、これだけやっておるのだから、せめて値上げを申請してきたら、まあしんぼうしてやろうじゃないか、こういう姿にならなければいけませんし、また、そのためにわれわれ政府としては行政指導しなければなりませんので、乗車拒否がどうしたらなくなるかということについて、労働組合の方々あるいは業界の方々その他の方々にもよく相談をして、たとえば登録制度を実現をしていくとか、あるいはまた、その他メーター制を時間制に直したらどうだとか、いろんな手だてを考えながら合理的な経営にしていく、そして国民の御納得をいただくというふうな指導をしていきたいと私は思っております。したがって、業者の人たち、あるいは働いておる人たちが、私たちもこういうことで一生懸命努力しておりますということが皆さん方に認められるようになったら、これは沖本さん御協力が願えるのではないでしょうか。そういうことで私は自分の責任を果たしていきたい、このように考えております。
  69. 沖本泰幸

    ○沖本委員 もう一言だけつけ加えさせていただきます。  この国鉄運賃値上げに関して、総理あるいは大蔵大臣、あるいは経済庁長官、こういう方々があらゆる報道機関を通じて、物価を押える、国鉄運賃だけ上げてくれ、こういう御発言をなさっていらっしゃるわけです。そういう点もあるわけでありますから、大臣においても厳重にこの点は、国民があいまいな点としてどっちをとっていいかわからない、こういう疑問を抱かないような御発言をやっていただきたい。極力押えるという点よりも、もう絶対に物価に影響させない、こういう点から運賃値上げは反対、こういり方向でわれわれはやってもらいたい、こういうふうにお願いいたします。
  70. 原田憲

    原田国務大臣 重ねて申し上げますが、この運賃問題に関しましては、先ほどから申し上げておりますように、極力抑制するという姿勢で私は臨んでまいりたい、このように考えております。
  71. 沖本泰幸

    ○沖本委員 次に鉄監局長にお伺いいたします。  二点あるのですが、これも新聞によりますと、私鉄のほうの手荷物、小荷物の運賃などの値上げをきめて通達を出した。   〔大竹委員長代理退席、阿部(喜)委員長代理着席〕 ところが、私鉄のほうは全然その点についてPRもやっていなかったので、あわを食った、こういう点が新聞に載っておるのですが、運輸省国鉄の値上げをきめたので、関連があるので自動的に値上げをして通達した。それで各地方の陸運局から値上げをきめるように連絡した、こういうことなんですが、そういうことですか。
  72. 町田直

    ○町田政府委員 まず、今度の国鉄運賃改正に伴います私鉄の料金の一部改正の内容を簡単に申し上げますと、一つ国鉄私鉄が相互乗り入れをしております三つの会社、伊豆急と伊豆箱根と名鉄の名古屋−高山間の路線でございます。これは御承知のように相互乗り入れをしておりまして、一等車というものも国鉄の一等車が入っております、また、私鉄のほうからも一等車が入っております。したがいまして、国鉄の一等車を廃止いたしますと、当然国鉄のほうから入っていきます一等車がなくなるわけでございますので、同じように私鉄のほうも一等車をなくさなければならない、こういうことがございます。したがいまして、この三社は一等車を廃止いたしました。もちろん、二等の料金は国鉄改正で値上げになりましたけれども私鉄については、二等料金は現段階では全然いじっておりません。そして一等車を廃止いたしまして、一等車の廃止に伴う特別車両料金というものを国鉄がきめておりますので、それと同じものをきめた、こういうことが一つであります。  それからあとは新聞にちょっと出ております主として料金——全部料金関係でございますが、旅客関係では乗車の変更、取り扱い変更等の手数料、それから荷物関係で手荷物、小荷物の改定、こういうものでございます。これは現在、私鉄の中の大体八割方でありますけれども国鉄と連帯運輸をいたしております。連帯運輸をいたしておりますものは、いわゆる通算制ということになっておりまして、国鉄の料金と私鉄の料金を別々に足すのではございませんで、両方一括した料金ということでやっているわけでございます。これは国鉄私鉄との間の通算制度の問題でございます。したがいまして、国鉄のこういう料金が変わります場合には、同じように通算しております私鉄の料金を変えませんと、これまた国鉄のほうで、たとえば手小荷物運賃をきめますと国鉄の料金になります。私鉄のほうは変えませんと、私鉄のほうで物を送ろうと思うと私鉄の料金になってしまう、こういうことがございますので、したがいまして、いつでもこういうことが起こるわけでございますけれども、同じように私鉄の手荷物、小荷物の料金を国鉄と同じようにきめる、こういうことにいたしたわけであります。  ただいま先生の御指摘のございました、私鉄は知らなかったけれども運輸省のほうからそれを通達したというお話でございましたけれども、実際はそうではございませんで、四月上旬に私鉄のほうから、同じようなと申しますか、ただいま御説明のありました運賃、料金の改正の申請が出てきております。ただ御承知のように、国鉄の運賃がいつから改正されるかということが、これは国会の関係でございますので、はっきりいたしませんので、その点で国鉄の運賃の改正というものを見ておりまして、国鉄の運賃の改正が五月十日からということになりますので、五月九日にそれを認可した、こういうことが実情でございます。内容は国鉄と全く同じ内容でございます。各陸運局で申請を認可する制度になっておりますので、本省といたしましては、国鉄の運賃が認可になるというととと見合いまして、この日付ということを各陸運局に口頭連絡をした、こういうことでございます。事実上そういうことでございまして、通達を出したというようなことはございません。
  73. 沖本泰幸

    ○沖本委員 そうすると、この記事は全然その内容が違っているということになるわけですね。
  74. 町田直

    ○町田政府委員 朝日新聞の記事かと思いますけれども、内容的に違っておる面もございます。たとえば、私どもに言わしていただければ、いわゆる便乗値上げではございませんで、制度的にそういうことにいたしませんと、どうしてもうまくいかないという性質のものでございますのでやった。それから、本省が通達を出して云々したということではございませんで、もちろん事実上の指導は各陸運局でいたしたと思いますけれども私鉄から料金改定の申請が出まして、そうして五月九日付で認可をいたした、こういうのが実情でございます。
  75. 沖本泰幸

    ○沖本委員 これは、いずれにしても払うほうは国民なんですね。利用者のほうであるということなんです。いまのお話を伺っていますと、運輸省がかってに私鉄と話し合って値上げをばんばんときめて、つっつっとやっている。利用者のほうが知らない間にそういうふうになってくる、こういうことを利用者の低うは受け取ってしまうと思うのですね。これはよくないと思います。国鉄にしたってサービス機関ですから、私鉄においてをやということになるわけですから、やはり天下り的にそういう問題が利用者のほうにすぱんといって、うろたえなければならない、こういうことであってはならないわけです。同じように、国鉄運賃の値上げ自体が十日に日本じゅうにかもし出した窓口の混雑ですね、どれほど皆さんが困ったかという点も考えてみれば、一方的に値上げをきめて、強硬に押し切って、それを利用者に押しつけている。こういう点で、当日わずかの区間を乗った人も非常に驚いておったわけです。ちょうど連休明けということになるわけですから、せめて連休の間だけは上がらなかっただけがあれだということになるわけですよ。そういう点がどうも私たちは納得がいかない。サービス事業ですから、もう少しサービス事業らしい方向をとったやり方がありそうなものだ。たとえ小さな手荷物、小荷物の取り扱いにしろ、十分乗客を、あるいは利用者を納得さすだけのサービスがあってしかるべきである。私企業であったら絶対にこういう問題は、お客が全部離れてしまうということになると思うのです。こういう点、今後十分やってもいただきたいし、できればおわびの一文でも国鉄私鉄のほうに張り出すべきですね。こういうことをきめましたけれども、実はこういう事情でこうなったので、皆さんに料金について非常に御迷惑をかけるので、自動的になりました、御了承をいただきたいというようなことを、大きくでかでか書いて張るべきだと思います。これがせめてものサービスだ、こう思うわけです。こういう点は十分にそういう措置をとって、お客さんを大事にする、国民を大事にする行政を行なっていただきたい、こういうふうにお願いしたいわけです。  最後に、もう一つお伺いしたいことは、十二日に南海電車の天下茶屋の踏切で、遮断機が上がって娘さんがはねられて死んだ。こういう記事が出ているわけですが、この点について鉄監局長はどういうふうに御報告を受けておるわけですか。
  76. 町田直

    ○町田政府委員 ただいま御指摘の南海電車の天下茶屋の踏切の事故でございますが、内容は先生御承知のとおり、上り普通電車が当該踏切の手前八十メートルくらいのところに差しかかったときに、婦人が二名、踏切に立ち入るのを発見いたしまして非常ブレーキをかけましたが、間に合わず、うち一名を衝撃し、この婦人がなくなられましたという、まことに遺憾な残念な事故でございます。ただいま原因につきましては、警察でも調べておるそうでございますが、いずれにいたしましても、現象的には踏切警手の遮断機の早期開扉、こういうことでございます。警察で当人が語っておりますところによりますと、遮断機を操作中にレバーに衣服がひっかかったために踏切が早期に開いたという供述をいたしておるそうでございます。内容はそういうことでございまして、この踏切警手は経験も四年ございますし、年齢も三十三歳でございますから、十分思慮分別のある方でございますから、そのときのちょっとした不注意から、こういうことになったのではないかというふうに考えております。
  77. 沖本泰幸

    ○沖本委員 鉄監局長は現場のことはあまり御存じないと思いますが、私は大阪に帰ったらあそこをしょっちゅう通っておるわけですから、一番よく知っておるわけです。あそこは最も早く立体交差すべき踏切でもあるわけなんです。そういう点から、いままでは手動式のあれだったわけですが、それが今度電動式に変わって上がり下がりしている。そういうわけですが、南海本線の複々線になっている地点で、高架が今度天下茶屋の駅から下におりてきて、この前脱線したところから百メートルくらいの地点に当たるわけです。そういう地点から道路幅が拡張されて非常に広い。そういうところに高野山に行く線、それから和歌山に行く線と普通車と、これがふくそうしているわけですね。しょっちゅう遮断機がおりたり上がったりしている。車のじゅずつなぎが一日じゅうという事情のところなんですから、踏切の警手さんがあくびをしたり、そういう余裕がおそらくないようなところなんですね。ところが、どこのところにしても、警手の小屋は線路脇に非常に小さく仕組んである。写真で見ますと、小さいレバーがすぐ手の届くところにある。こういう事情ですから、伸びでもすれば当然そで口がひっかかるということは、これは想像にかたくないということなんですけれども、そこで、あんなことになるならば、むしろ自動遮断機のほうがよほど安全性があるということになるわけです。ところが、あすこで自動遮断機を使うと締まりっぱなしということになるわけですね。そういう点が問題点になるわけで、この問題はむしろ大臣がいらっしゃるときに大臣に御質問したかったのですが、時間がないので、しかたがないわけなんですが、この点について、ほかの私鉄の踏切もほとんどいすにすわって、それで旗はひもで上からぶら下げている。それでたいてい通過するときだけ、旗だけは窓からこうなっているんですね。それから夜のランプは上から針金でぶら下げて、振り子のように振っておいたら、自然に振るようになっているのが実情なんです、私鉄の踏切のあれは。踏切警手さんが自分で夜のランプを振るのではないですよ。ぽんとはねると振り子のようになって振っているだけで、警手さんは中におるわけです。ですから、どういう状態で見ていらっしゃるのか、さっぱり見当がつかない。こういうのが私鉄の踏切警手さんの日常である。これは南海だけではないですね。近鉄にしろほかの私鉄にしてもそういうところが多分に見受けられる、こういう点はいつも危険な状態をはらんでおる。たまたまその南海の踏切でそういう事故が起きたということになります。ですから、南海の天下茶屋の踏切にしても、やはり同じように旗は小屋の中からこうやっているわけです。そういうことですから、一人が食事中であった、そのかわりにおる一人があくびをしておる、こういう事態は全く大ぜいの人と車の安全を守らなければならない責任感が欠除しておるということが言えるわけです。そういう点、人命尊重という点について、最近は非常に国民全体が薄らいできている、こういうことも言えるわけなんですけれども、やはりそういう立場に専門的な職業として携わっていらっしゃるわけですから、相当厳重に私鉄のほうではチェックをして、絶えず目を光らして事故がないようにしてもらわなければならない。こう考えるわけですけれども、いま御指摘した点につきまして、鉄監局長はどういうふうなお考えですか。
  78. 町田直

    ○町田政府委員 踏切警手の仕事というものは、先生のおっしゃるように、直接人間の生命財産に関係する問題でございまして、非常に大事な問題だということは、当然私も考えております。私鉄の管理者といたしましても、これはもう当然のことと考えておると思います。先生から御指摘のありましたような、ある意味では人命尊重をあまり考えないようなやり方であるということ、実は私もその実態について詳しくは存じていないわけでございますけれども、そういうことであるとすれば、さっそくにも御指摘のようなことを十分検討いたしまして、変更させるということを考えなければならないと思っております。踏切の事故につきましても、御承知のように国鉄私鉄を通じまして、いま事故の数というものはだんだん減ってきておりますけれども、踏切の事故というのは横ばい状態で、必ずしも減ってないというのが実情でございます。これの大部分の原因は、実は踏切の施設の問題と、それから自動車運転手の、と申しますか、自動車側の原因というのが非常に多うございまして、会社側と卑しますか、踏切番側の原因というのは大体七%か八%ぐらいということでございます。しかしながら、これはもういずれにいたしましても、私鉄国鉄を通じまして、事故の非常に大きな部分であります踏切事故というものを絶滅しなければならないということでございますので、そういうことで踏切の施設の整備ということを、法律をつくりまして一生懸命やっておるわけでございますけれども、踏切番の勤務の状態あるいは気持ちの持ち方ということにつきましても十分ひとつ検討いたしまして、できるだけ早く是正することを考えさせていただきたいと思います。
  79. 沖本泰幸

    ○沖本委員 その点についてですけれども、会社自体が踏切警手は職業としては非常に軽い職業であって、いわゆる私鉄の乗務員なんかとは別の、何か老人で退職したような人がやるとか、昔、いなかのたんぼ道の踏切の、そういうふうな概念がずっと残っているのじゃないか。そういう面で、現在は非常に重要な立場に置かれているわけです。そういうことですから、無理な勤務とかいうような点があってはならないわけで、休養も十分とらして、注意力が十分に集中できるようにもしてあげなければならないしということなんですけれども、狭いところに仮眠の場所もないような状態に置いてはならない、こういうことになると思います。そういう点、非常に待遇が悪いのじゃないか。こういうこともよく調査していただいて、検討を加えて——人命を預かるわけですから、少なくとも踏切警手の不注意により、あるいはその踏切警手の原因によって事故が起きるということは絶対ない、こういうふうにやっていただかなければならないと考えるわけです。そういう点、十分御検討いただきたい。これは早急にやっていただきたいわけです。  それともう一つつけ加えておけば、ああいうふうな踏切は、最近の私鉄にはたくさんあるわけです。ですから、遮断機が上がる、いきなり車が飛び出す、あるいはすぐ締まってくるわけですから、その間に車が半締まりのところへ飛び出していって、向こうへ渡る、途中でエンジンストップでもやったら大事故になる。こういうふうな踏切が非常に多いわけですから、そういう点も私鉄のほうとしては踏切に十分に注意をする、こうあってしかるべきだと思います。  それにあわせて、もう一点は、立体交差を早急にやっていくべきだ。これは先ほど大臣に御質問した私鉄の運賃値上げという問題とからんでくる。第三次の運賃値上げをやってもらって、施設とかいろいろなものを改善しなければならないというのが私鉄の側の言い分ですから、こういう点にからんでくるわけで、運輸省のほうが傍観的立場でおると、これはあくまで私鉄のほうは、運賃を上げてくれさえすれば、そういう施設はおいおい立体交差もやっていきますし、高架化も考えておりますということは明らかに言っているわけです。しかし、事態そのものはそんなにゆうちょうなことを言っていられる事態ではないということになるわけです。国鉄のほうとしても、この間の運賃値上げが五月十日と相当おくれたために、政府としても資金アップしてもらえない、そういうことで今年度やるべき工事を繰り越さなければならないというふうなことも聞いたわけです。これと同じようなことが私鉄では言えるということになるわけですけれども事故防止あるいは大都市の交通ラッシュを防ぐ、こういう点からも、これは十分考えてもらわなければならない。ただ単に私鉄という考えだけで考えるべき問題ではない、こう思うわけです。これは建設省とも大いに問題があると思いますし、十分大臣に鉄監局長からおっしゃっていただいて、この問題は運輸省としても重大問題として取り上げてもらわなければならない。そして早急な立体交差をはかってもらえば、この問題はだんだんと解決していく、こういうことになるわけですから、この点について十分検討をしていただきたいわけですが、局長のお考えはどうですか。
  80. 町田直

    ○町田政府委員 御指摘のとおりでございます。実は、先ほど申しました踏切道改良促進法等によりまして、立体交差、構造改良、保安設備整備というような区別をいたしまして指定いたしております。立体交差につきましては、ほかのほうに比べますと、やはり促進状況は必ずしも十分でございません。これは御指摘のように、資金の問題あるいは道路等の問題もあると思いますけれども、何と申しましても、運賃値上げのあるなしにかかわらず、国鉄私鉄を通じまして、保安対策ということは鉄道事業で一番大事なことでございます。そういう点では政府もできるだけのことはいたすし、事業者としても、できるだけ促進するということに進むべきが当然だと思いますので、今後十分努力いたしたい。大臣にも先生の御指摘のことはよく申し上げたいと思います。
  81. 沖本泰幸

    ○沖本委員 もう一点で終わります。  いまのに関連したことなんですが、軌道敷内の交通事故について、ともすれば私鉄が主張するのは、軌道敷はわれわれの敷地内なんだということで、煮て食おうと焼いて食おうと私鉄のかってなんだというのが私鉄の言い分なんです。そういう点で、踏切の問題があって、地方議員あるいは地方の有力者の方が私鉄のほうに踏切改善の交渉に行くと——道路幅が広がった、ところが踏切は依然として狭いわけです。道路幅だけ広くしてくれと要求に行くと、軌道式は私のところの敷地なんですから、広げようと広げまいと私のほうのかってだ、余分に金なんか出す気はないから、どうしても広げたいと思うなら、あなた方のほうで金を出してください、こういうふうな、全くけしからぬはねつけがあるわけです。軌道敷は私鉄のほうの占有の敷地である、こういう考え方はもう少し変えてもらわなければならない。こういうことのために、軌道敷内で事故があった場合にも、けんもほろろではねつけられてしまうというのが現在までの大きな問題なんです。こういう点も改善してもらわなければならない点ですけれども、これに対して鉄監局長はどうお考えですか。
  82. 町田直

    ○町田政府委員 ただいまの御指摘の前のほうでありますけれども、道路幅が広くなったから、それに合わして踏切を広げるということも、私鉄としては、あるいは道路幅の広がった原因は道路のほうにあるのだから、道路のほうで応分の何か埋め合わせをしてくれないと困るという考え方があるかと思います。その点につきましては、実は今度の踏切の改良等によりまして、資金の分担その他も十分検討いたしておりますけれども、しかし本質的には、道路が広がった場合に、私鉄のほうとしては道路が広くなった原因向こうにあるのだからといって知らぬ顔をしているという態度は、決して適切ではない。道路が広がる場合には、それだけの交通量があって広がるのでしょうから、踏切のところに来て、そこがネックになって詰まってしまうということは交通上非常に困ることである。したがって、道路の広がる場合には、できるだけそれに合わして踏切を広げていくというのが根本的な態度だろうというふうに考えます。ただ、資金の分担等につきましては、そのときどきに応じまして道路管理者等とも十分御相談しながらやっていくことは必要かと思いますけれども、本質的には道路と同じように広げるということを考えるべきだろうと考えます。
  83. 沖本泰幸

    ○沖本委員 もう少しつけ足して言わしていただけば、広がっていないところを車が一ぱい走って、通行人のほうは線路をまたいで渡っているというのが現状なんです。こういう点を見ておっても、道路のほうに広げた原因があるんだということで私鉄がうそぶくということは、もってのほかだということになりますから、運輸省としても十分実態調査をやって、私鉄のほうがこういうけしからぬ発言をしたり態度をとらぬように、十分な指導監督をしていただくように要望をして、私の質問を終わります。
  84. 阿部喜元

    ○阿部(喜)委員長代理 次回は、委員長の指定により、明後十六日金曜日午前十時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十分散会