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1969-03-18 第61回国会 衆議院 運輸委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年三月十八日(火曜日)     午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 砂原  格君    理事 阿部 喜元君 理事 大竹 太郎君    理事 徳安 實藏君 理事 古川 丈吉君    理事 細田 吉藏君 理事 小川 三男君    理事 野間千代三君 理事 山下 榮二君       加藤 六月君    金子 岩三君       川野 芳滿君    菅  太郎君       木部 佳昭君    四宮 久吉君       中川 一郎君    西村 英一君       福家 俊一君    福井  勇君       箕輪  登君    井上  泉君       板川 正吾君    神門至馬夫君       内藤 良平君    矢尾喜三郎君       米田 東吾君    渡辺 芳男君       岡沢 完治君    沖本 泰幸君       松本 忠助君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 原田  憲君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      菅野和太郎君  出席政府委員         運輸省鉄道監督         局長      町田  直君  委員外出席者         日本国有鉄道総         裁       石田 禮助君         日本国有鉄道副         総裁      磯崎  叡君         専  門  員 小西 眞一君     ————————————— 三月十七日  委員中川一郎辞任につき、その補欠として石  田博英君が議長指名委員に選任された。 同日  委員石田博英辞任につき、その補欠として中  川一郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月十八日  外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法等の  一部を改正する法律案内閣提出第三九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案内閣  提出第一〇号)  日本国有鉄道財政再建促進特別措置法案内閣  提出第一一号)  日本国有鉄道鉄道施設整備に関する特別措  置法案久保三郎君外九名提出衆法第五号)      ————◇—————
  2. 砂原格

    砂原委員長 これより会議を開きます。  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案日本国有鉄道財政再建促進特別措置法案及び日本国有鉄道鉄道施設整備に関する特別措置法案一括議題とし、質疑を続行いたします。  質疑通告がありますので、順次これを許します。渡辺芳男君。
  3. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 委員長にひとつお約束をまず質疑に入る前にしていただきたいのですが、この政府提出国鉄運賃法の一部改正、それから国鉄財政再建促進特別措置法案、この二つ審議の途中で、あるいはわが党の提出日本国有鉄道鉄道施設整備に関する特別措置法案、この審議の途中において、多数をもって強行採決をしないように、まず第一にお約束を願いたい。これは私は、かってない運賃法の問題と、それからこの特別措置法案は、単に国鉄に関する限りでなくして、陸、海、空にわたる今後の交通体系あり方なり、物価影響する問題なり、あるいは政府施策中心となるべき交通産業に対する援助の問題なり、全般にわたって重要な問題を含んでおりますから、私が野党の第一陣として本日質問に立ちますけれども、まだまだ有能な質問者が続々あとに控えておりますから、十分な審議をしていくように、私も強く要望をいたしておきます。その点で、どうかひとつ——新聞に報じられているような強行採決は絶対にやらないという約束をいたしませんか。
  4. 砂原格

    砂原委員長 渡辺芳男君にお答えをいたします。  委員会運営にあたりましては、委員長がもちろんその任に当たりますけれども国会議員諸君良識の府であります。国民の信頼を受けて御当選になっております諸君であります。諸君良識をもって審議に精励をされ、その審議を尽くされることは、私が当初から野党諸君には強く要請をいたしたものであります。すみやかに審議に当たってほしい。そうして諸君意見国民大衆に徹底するように、速記を通じて国民批判を受けていただきたいということを、私は理事会ほんとう声涙ともに下る懇請を続けてまいりました。しかも、それが提案付託されて以来今日に至りますまで、二十数日間もいまだに審議の運びに至らなかった。幸いにして諸君の理解ある協力で本日から審議に入るわけであります。どうぞ精励恪勤せられて、質疑を持たれる諸君は御承認を願うことによって、委員長は善処をいたしたいと考えております。
  5. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 私は本日、政府施策について批判的な立場から質問に入りたいと思うのですが、この二十五日間にわたる審議がどうのこうのといういまの委員長発言——少なくとも運輸交通責任者である運輸大臣出席が、まず第一番に必要である重要な法案であると私どもはいままで強く主張をしてまいりました。二院制度立場から、いろいろな事情があったけれども、主客転倒するような質問というよりも、系統立った、しかも、ほんとうにいまの交通政策あり方が、こんなような状態でいいか悪いかというふうなことからまず始めていかないと、単に多数の与党である自民党なり政府がきめると、すべてこれを強行されるというふうな政治あり方というのは、いま改めるべきではないか、謙虚に反対をしている私ども意見をよく聞くということがまず必要ではないか、こういうふうな立場から申し上げたのであります。そういう意味で再度委員長要請いたしますが、強行採決——ともかくいま質問通告者がある限り、全部審議に参加させるということをお約束願えませんか。
  6. 砂原格

    砂原委員長 ただいまの渡辺君の要望については、良識ある各位の努力によって運営を進めていきたいと念願いたしております。
  7. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 議会政治の中で汚点を残さないように、ひとつ良識によっていただくことを強く要望しておきます。  質問に入りますが、当面の重要な為政の課題は、米と国鉄と石炭だといわれています。この国鉄経営財政的に危機に直面しておりますが、国鉄昭和三十九年の決算赤字が生じて、以来、赤字決算が累積して、今日二千七百億にのぼっておるといわれています。このようになった主要な原因は一体どこにあるか、責任の所在はどこにあるか、まず運輸大臣にその御説明をいただきたいと思います。
  8. 原田憲

    原田国務大臣 国鉄の現在の財政悪化については、再三お答えを申し上げておるのでございますが、国鉄が戦前戦後、新しいモータリゼーションといわれるような時代になるまで、いわゆる陸上輸送独占的地位にあった時代と異なりまして、いまも申し上げましたように、構造的に新しい競争相手ともいうべきモータリゼーション時代になった。したがって、国鉄が予想しておるような収入というものが、そのとおり入ってこない。一方において、国鉄使命である投資は続けていった。これに対する資本の増高というもの、人件費は毎年ベースアップをいたしている。このようなことから、現在の国鉄財政悪化がもたらされたというのが主要な事情であろう、このようにお答えをいたしておるのでございます。
  9. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 いまあなたは、特にモータリゼーション発達なり人件費の増大が経営悪化原因だというふうに言われましたが、それよりも一番主要な原因だと思われているのは、特にこの十年間、政府が大企業中心に強力に推進してきた高度経済成長政策によってもたらされた一面では、人口の都市集中化、つまり過密化現象と、反面には、地方における農山村の過疎化現象が多くの国鉄なり地方鉄道バス影響を与えていると思うのです。二つ目には、よくベースアップなり人件費上昇ということをあなた方は強調されますけれども通貨増発による、つまり通貨インフレ物価の主要な上昇原因であると一月七日のエコノミストにも強調されて、通貨増発を押えるべきがまず第一番に必要ではないか、それは今日の設備投資をもっと押えていくべき必要があるではないか、こういうふうなことを強調いたしておりますが、私もそのとおりだと思います。土地の価格の膨大な値上がり、これも多くの国鉄投資関係では、財政悪化原因になりましょう。自動車の関係では、確かにかつての国鉄国内輸送の独占的な地位というものを逐次失っていくという状況にありますから、これは確かにある意味では、たいへんな影響を与えたと思うのです。しかし私は、結論的には、いまでも進められている全く膨大な設備投資、つまり高度経済成長政策をこの際、政府の全体的な政策転換、つまり押えていくということにならない限り、単に運賃を値上げしたから、十年間の帳じりを合わせるということだけでは、当面の国策としてはでき得べき筋合いのものではない、こそく手段である、こう思うのですが、この点はいかがですか。
  10. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 国鉄赤字経営について、その原因一つとして、通貨が多いために物価が上がり、賃金が上がってきたというようなお話でありましたが、設備投資をもう少し減らしたらどうかというようなお話でありましたが、私はむしろ逆に考えております。決して通貨は多いことはありません。日本生産に応じて通貨もふえておるのでありまして、通貨がふえたために、生産がふえるのとは違うのです。そこで、日本設備投資をやったおかげで外国への輸出もふえるし、したがって、国際収支関係においても、十二億ドルという黒字を出したのであります。設備投資をしていなかったら、輸出はあれだけ盛んにならなかったと思うのです。でありますからして、通貨がふえたために設備投資がふえたというのではなくして、逆で、設備投資をするために、それだけの通貨を要求してきたというのでありましたから、その点は、私は逆な解釈をいたしておるのであります。でありますから、国鉄経営がそういう点から赤字経営になったということではなくして、運輸大臣が先ほど言われましたとおり、私は一つ交通革命時代だと思います。この交通革命時代に、国鉄がはたしてそれに呼応してやってきたかどうかというところに問題があるんじゃないか、こう考えておる次第でございます。
  11. 原田憲

    原田国務大臣 高度経済成長政策の結果が今日の状態でないか、という結論的な判断による御意見を交えてのお尋ねだと思いますが、私は確かにそういう欠点はあったと思います。しかしながら、一面、この政策によって一億の国民所得の場を得、そして繁栄をたどっておるということは現実の姿でありまして、その間にあって、先ほど申しましたような交通機関の中で国鉄が占めておる地位というものを果たすためにやっておりましけれども、懸命の努力をいたしておりましたけれども、そこに先ほど申し上げましたような原因から、今日の財政悪化というものをもたらして、これからの事業というものも、現実には償却前赤字ということでありますから、事業として成り立たないという状態に来ておる。財政上だけの問題ではないのであります。事業の遂行ができないというところまで来ておる、こういうことになっておると判断しなければならないと私は考えます。
  12. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 経済企画庁長官——経済はもちろん私よりも先輩でありますが、このことは、私自身もあなたの言うことは、どうしても了解できないのです。たとえば昭和三十九年から四十二年までの通貨増発をとってみても、年々の貨幣残高増加率は一八・九%で、実質国民所得伸び一一・一%に比べて非常に高い率を示している。実質所得年率増加が一〇%とすれば、貨幣供給伸びは二二%ぐらいが許容される限度ではないか。もしそれが無理としても、一五%ぐらいがせいぜい歩どまりだ。そうすれば物価上昇というもの、つまり通貨インフレについて、もっとマイルドになったはずだ。海のかなたのニクソン政権が発足をいたしましたが、インフレの鎮静とドルの強化のために物価上昇を二%に押える。実質成長率四・五%を目標として通貨供給率、六六年度以降の上昇率を押えて、引き下げて、ニクソン政権物価の安定のために、通貨供給量と率というものを押えていこうという経済政策をいまとろうとしている。日本政府はこういうことについてあまり意を用いていないようだけれども国会でももっと議論をすべきだというのが、ここに書いてあるのです。私はこれは同感なんですがね。いま運輸大臣お答えになりました問題は、私は一面、確かにあると思いますが、国鉄投資高度経済成長政策に即応できなくて、投資の不足であったことも事実ですね。これは大きな原因だと思うのです。しかし、この十年間、その日暮らしといいますか、交通政策というものが確立されていない、あるいは交通体系というものが、実際の面で運輸省行政指導として行なわれていない、許認可行政中心であったというところに、大きな原因があるのではないですか。この点は、ひとつそれぞれお答えをいただきたいと思うのです。
  13. 原田憲

    原田国務大臣 私は率直に言って、あなたの指摘されておることも原因一つであろうと思います。いわゆる総合交通政策というものが、いまの国の経済発展国民発展のために、国民経済国民生活に対する総合的な対策というものに欠けるところがなかったか、私は率直に言って、欠けるところがあったと思います。しかし、それは全部のいまの問題の中の一つである。これはもう速急に、私ども努力によって、総合交通政策を打ち立てなければならぬと考えておるのであります。すなわち、陸、海、空の交通政策は、もう申し上げるまでもなく、密接な関連を持っておりますので、それが全体として均衡を保ちながら実施されておらなければならないのでございますが、従来どういうことかというと、交通投資のおくれを何とかして取り戻すというところに主力が注がれておりました結果、合理的な輸送分野確立、適正な競争関係の確保などに、必ずしもいま申し上げましたように、十分な成果をあげていなかったうらみはございます。今後も、将来わが国の経済発達とともに、ますます大型化する交通投資の適正な配分や投資効率化を確保するためにも、総合的な交通政策確立する必要は、ますます高まるものと思います。運輸省といたしましては、そのような要請にこたえるために、万全の措置を講じたい。たとえば国鉄財政再建推進するにあたりまして、いま御提案を申し上げております中、国鉄輸送が国の輸送の全体の中で占めるべき地位確立、すなわち、全国幹線輸送であるとか、中・長距離の貨物輸送であるとか、大都市の通勤、通学の輸送というような重点的な問題に取り組んで、国鉄輸送近代化をはかって、その地位確立をはかっていく。また、物資の流通の近代化を進めるためにも、各種交通機関が相互に結びつきを強めて、むだのない輸送をする、いわゆる共同一貫輸送体制整備をはかる。これは国際海上コンテナ輸送国鉄のフレートライナー、フェリーの活用など、施策にあらわれておるところでございますが、都市交通についても、高速鉄道バス輸送の合理的な組み合わせ、あるいは都市周辺の流通団地に各種機能をあわせ持った複合ターミナルを設置するなどの方策を講じていかなければならぬと思います。これらの交通政策推進するため、この参謀本部ともいうべき行政機構につきましても、来年度から措置を講ずることといたしておりまして、運輸省機能をあげて、総合交通政策確立とその強力な推進に力を注いでまいりたいと考えております。
  14. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 国鉄財政再建推進会議意見書中心になって政府の二法案が提案されているわけですが、この答申の第一部にある、結論的に言われている今後の総合的な交通体系の中における国鉄地位について、第一部はずっと述べておけるわけです。しかし、結論的には、やはり国鉄中心にして述べておりますが、総合的な、一元的といいますか、特に一元的な交通政策確立が必要であることは、私が言うまでもないと思うのです。そこで、いままで国鉄なり、あるいは運輸省なり、大蔵省関係で、それぞれいろいろ国鉄問題について委員会なり会議というものをつくって議論をし、その答申を求めていますが、この際、国鉄中心にした交通体制なり、国鉄財政機構をどうするかというふうなことでなくして、一元的な交通政策というものを確立する必要があると思うのです。これは単に運輸大臣だけでは、なかなかたいへんだと思いますが、どうしても運輸大臣中心になって、この交通政策確立というものを、政策を立てていただきたい、この点はいかがですか。
  15. 原田憲

    原田国務大臣 いまの御意見、これはもう、もっともなことだと私は思うのであります。交通問題というものがとかく、何といいますか、軽視されておるとはいいませんけれども、新しい時代に入っておるのに——ここに菅野大臣もおられて、明治生まれの人にたいへん失礼でありますけれども、戦争のなくなった昭和二十年前、軍隊のあった時分に、軍隊の中の悪いことばで、輜重輸卒が兵隊ならば、チョウチョトンボも鳥のうちというような歌がありまして、輸送というものを非常に軽視した傾向が私はあったと思う。そういうことが、いまはもうなくなってきておると思いますけれども、そういうことを忘れて経済発展はないということが、いまあなたが言われておる中に含まれておる、これは私も同感であります。たとえば、予算委員会の中でも話が出ましたが、いまコンピューター時代になっておる。ところが、あなたの先ほど指摘されたように、運輸行政認許可行政だ、こう言われた。これは全然マッチしておらない。PPBSシステムというか、この交通という問題を広く国民経済の中でどうとらえるかということにつきましては、私は運輸大臣中心になってということよりも、もっと大きな立場に立って、建設大臣もそうであるし、経済企画庁長官もそうでありますが、あなたの言われておるような交通政策に、先ほども言いましたが、運輸省運輸省として取り組んでまいりますが、高度の立場に立って政策を立てなければならぬということを考える次第でございます。   〔委員長退席細田委員長代理着席
  16. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 大臣はたいへん遠慮をされておりますが、大気汚染防止法あるいは騒音防止法などができまして、園田さんが厚生大臣のときに閣議で、実はこういう法律責任ある運用というものは厚生省でやりたい、こういうふうに発言して了承を得たというふうなことを、私がかつて質問したときに申しておりました。もっと積極的に——運輸大臣でありますから、遠慮することはない。私が先ほど質問した中で、ちょっと足りなかった面もありますから、大臣の答弁が少し違ったような気がしますが、私が申し上げたいのは、たとえば道路なり航空港湾整備というものは、あなたの所管でありますが、これらの投資規模がありますね、五カ年計画。一昨年でしたか、十一月に松山空港の外で航空機事故があって、航空整備五カ年計画など、政府がすぐ取り組んだようでありますが、いずれにいたしましても、船舶鉄道に至る各種輸送手段、こういうものを組み合わせた交通体系というものが必要でありましょう。でありますから、各省にまたがっていることは、もう申し上げるまでもありません。この点が実は、単に一言、総合的な交通体系をつくり上げていこう、こういうても、なかなかたいへんだと思うのです。ただ議論に終わらないで、私が申し上げているのは、ぜひ原田運輸大臣のときにこれは取り組んでもらいたい。レーバープランなどがいろいろ話題になっておったり、あるいはイギリスの運輸白書話題になったりする時期でありますからね。別に西欧諸国が真剣に取り組んで、こっちが取り組んでいないと、いま非難ばかりしておってもしようがない。ですから、いまこの際、これは冒頭に私がくどく言っておるのですが、交通政策というものを確立していただきたい。これはぜひひとつ——前の中曽根運輸大臣のときに、許認可行政から、政策誘導型とか言っておりましたが、日本語はいろいろありますけれども、積極的に許認可行政と、それから交通体系の総合的な体系確立といいますか、一元化というものを、あわせてやるようなやり方ですね。これはどうですか、閣議あたり発言をして、積極的に、この際、いい機会でありますから、手おくれでありますが、取り組むというような姿勢はお考えになれませんか。
  17. 原田憲

    原田国務大臣 私は積極的に取り組む姿勢で、実は運輸大臣に就任をしておるのであります。いまの日本の国で、国民ナショナルコンセンサスを求めていかなければならない。これからの一つ政策として、われわれはそれを都市政策という名前で呼んだのでありますけれども都市とかいう名前が書いてあるから、これは都市の問題だろう、そうじゃないのであります。わかりやすいことばでいうと、農村地帯都市、これを一方では過密、過疎という問題としていっておりますが、これを一体的にながめて対処していかなければ、これからの新しい発展というものは期し得ない、こう考えておりますから、この問題の中で交通が引き受ける部面はどういうことかということを、私は積極的に運輸大臣としてこれからやらなければならぬという決意を持っております。  まずその中で、陸、海、空の中で、そこへいく前提となるべき一番大きな使命を持っておる国鉄、これがもう斜陽産業でどうにもならないものか。そうじゃない、国鉄というものは、新しい時代に向かって働き得る場所もちゃんとあるし、ちゃんと働いてもらわなければならぬ。そのためには、財政的にも確立して、その目的に向かって邁進しなければならぬ。その一つの大きな目標に対する具体的な手段として、今度の国会にこの国鉄財政再建推進のための措置法、並びに運賃改正法の御審議をお願いいたしておるのでありまして、私はこの目的を達成するためにも、ぜひこのことについて御協力を賜わりたいと思っておるのであります。
  18. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 ちょっと抽象的なお話ですが、私はもう一歩進めて、ひとつお伺いしますけれども、たとえば交通政策をつくり上げる、交通体系の一元的な確立を将来やっていこうということについては、単に議論倒れになってはいけないと私は思うのです。この政策の策定なり、あるいは運輸省が積極的に指導するというふうなことになるには、まず第一番に、よくいわれる審議会などというものを設置して、しかも従来各種委員会審議会政府がつくっているのは、どうも自分たち政策の隠れみの、そういうふうな強い批判があるわけですが、この際、各界各層人たちを網羅して、できるならば第三者的に見るような委員構成をして、政策をつくり上げていくというふうなことはお考えになれませんか。
  19. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 交通の総合的な企画の点について御質問がございましたから、私のほうからお答えしたほうがいいと思ってお答えする次第でありますが、交通問題は運輸省関係交通問題、それから建設省の関係道路の問題がある。それらをあわせて、来たるべき交通事情はどうなるかということについて、やはり調べて案を立てていかなければならぬと考えておるのであります。経済企画庁におきましては、将来の人間の動きはどうなるかということを考え、また、貨物はどのように動くかということを、これはなかなか困難な問題でありますけれども電算機を使っていろいろ計画考えておりまして、その上で鉄道はどうあるべきか、あるいは港湾はどうあるべきか、あるいは空港はどうあるべきかというようなことの案を立てておるのであります。もちろん交通運輸という関係は、運輸省とも相談していろいろ計画を立てておる、そういう全般的な仕事を私どもで総合調整してやっております。その一つのあらわれが、昭和四十二年度から始めました経済社会発展計画でありまして、しかし、これは当時の計画と実勢が違っておりますので、いまこれを補正しようという計画で準備をいたしております。  それから長い先のことでありますが、昭和六十年の日本はどうあるべきかということで、新総合開発の国土開発の案をいま作成中でありまして、そのときの交通環境はどうかということ、たとえば新幹線をどこまで延ばすかというようなこと、あるいは港湾はどうするかというような問題、そういうこともあわせて昭和六十年度の日本ということを考えて、いろいろ私どもで案を策定いたしておりまして、もちろん各省と相談して案を立てておる次第であります。
  20. 原田憲

    原田国務大臣 運輸大臣がもっと積極的にやることについて、何か具体的な考えはないかというお尋ねでございましたが、御承知のように、いまのいわゆる認許可行政ということから離れて、経済官庁的な立場をとっていくために、その一つの諮問機関として運輸経済懇談会というのがございます。先ほど私が説明いたしました中に、運輸省として参謀本部ともいうべき企画部門を確立してやっていくということを申し上げておりますが、具体的に申しますと、今度は運輸政策審議会という形で、いまお話しのありますように、学識経験者、あるいは、あらゆる知恵をかしていただいて、これからの運輸政策と取り組んでいくもとにしたい、このように考えております。
  21. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 企画庁長官、経済社会発展計画が四十三年の三月十三日に閣議決定を見ましたね。その中に運輸交通通信体系というものがあります。たいへん恐縮だけれども、おそらく運輸省で立案したものをまとめたような気がするのです。いまあなたが言われた、六十年のころまでのことをひとつ青写真で考えていきたい。しかし、現実には、先ほど言われました四十年を基準にして、四十六年までの経済社会発展計画というものは、実は旅客、貨物にしても、約二倍の輸送量に伸びると言うているけれども、実際はもっと伸びているわけです。交通事故などで一番問題になっておりますが、自動車の伸び方などは、あれに述べられているものとは全然違うわけです。四十六年には乗用車が九百五十万台、あるいはその他のトラック、小型車含めて六百五十万台、合計一千六百万台となると言うているけれども、実際には四十五年に千六百万台を突破するような傾向にあります。それでこの際経済企画庁長官も大いに認識を新たにしてもらいたいのですが、国鉄財政再建推進会議意見書によると、先日も副座長の森永さんが参考人で来て述べられておりましたけれども国鉄の長期計画、つまり七カ年計画よりも投資規模は縮小しました。結論的に言えば、銭がないからしようがないのです。七カ年計画でいくと、単年度平均四千五百億ぐらいの工事費を使うのですね。この推進会議意見書をそのまま実行していくということになると、いわれているように三千七百五十億です。そうすると、新幹線網などというふうなことをよく元日の新聞などに宣伝はされていますが、とてもそういうふうな建設事情にはならぬと思うのです。やるとしても、ずっとテンポがおくれる。国鉄輸送力増強にしても、あるいは新幹線の建設にしても、近代化にしても、いろいろな体質改善にしても、たいへんおくれていくような気がします。私は、物価の値上がりなども、これからもいまのような経済政策をとっておる限りは、もうこれを否定するわけにはいきませんから、国鉄の再建というものは、なまやさしいものではないと思うのですね。きびしい条件にあると思うのです。でありますから、こういうことを考えていくと、あまり大きなことを述べるというふうなこともできなくなってきた。経済社会発展計画を修正するというふうなことになっていますが、少なくとも国鉄中心にした課題は、だいぶ違ってくるんではないか。飛行機が伸びることは、もう言われているとおりでありますが、国家がたいへんな補助をしている、援助をしている。船だってそうでしょう。陸だけはままっ子扱いされているというのが現状でしょう。そういう事情からすれば——せっかくきょうは経済企画庁長官に来ていただいておるのですが、いまのような現状を見ていきますと、これからの交通機関整備は、特に陸に関する限り、私は期待が持てないと思うのですよ。でありますから、先ほどからくどく言っているように、交通政策をひとつつくり上げてくれぬか、そして一元的な、総合的な交通体系をつくり上げていけば、こうせざるを得ないということになっていくんではないか。結論的に言えば、こういうことを聞いておるんですね。あなたは、この関係についてはどう考えていますか。
  22. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 先ほど運輸大臣からも言われましたとおり、交通という問題を、従来ある意味では軽視しておったということは、否定ができないと私は思うのです。それが今日いろいろの国鉄経営難、あるいは物価の騰貴にも原因しておると思うのです。輸送費というものが、いま物価のうちの大部分を占めておる。大部分といってもいいわけですが、とにかく相当なパーセンテージを占めておりますから、したがって、生産費よりも輸送費を安くすることが、また同時に物価を下げるということになる。その意味において、交通道路の拡張、設備拡張ということを考えなければならないことでありますからして、したがって、今後の経済政策といたしましては、生産と同時に、その生産に見合う、あるいは生産に先行する交通政策というものを考えていかなければならぬ。その点、いままでは交通のほうがおくれておったというところに問題があると思います。生産よりも交通を先にするというやり方です。これはたとえば、外国の例をあげれば、西ドイツあたりは、ヒトラーがアウトバーンをつくったということが、今日非常に西ドイツの発展に役立っておる、そういうことで、向こうは先に道路をつくって家を建てる、日本は家を建てて道路をつくるというやり方ですから、まるきり日本と西ドイツのやり方は違っておるのであります。問題は、やはりいままで交通というものを、とかく日本人は軽く扱っておったというところにいろいろの欠陥が出てきておる。それをいままで以上に交通というものを重要視して、今後の経済政策を立てていくべきだということについては、実は私は、あなたの御意見と同じ意見を持っております。
  23. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 ざっくばらんに言えば、いろいろな質疑応答をしておっても、問題は進展をしなければいけない、積極的に取り組まなければいけない。これがもう大事なんですから、私もいろいろな意見を申し上げたり質問もしましたが、ひとつ積極的に取り上げて取り組んでもらいたい、これは強く要望しておきます。  そこで、経済企画庁長官にもう一つ伺いますが、いま国鉄の旅客運賃の一五%の値上げが提案されている。そのほか、旅客に付随したいろいろなものが提案をされている。政府は、端的に言えば、戦後一貫してこの国鉄運賃についてはいろいろ頭を悩ましてきた。特に、物価の担当大臣ともいわれる経済企画庁長官は、代々いろいろなことを言うておるけれども、途中ですべて腰砕け、しまいには認める。何か世論操作をうまくやっているんじゃないかなというふうなことにもいわれかねないようなことが、ここ数年来行なわれている。初めは反対をしている。ビールの問題だってそうでしょう、宮澤さんが、しまいには飲むななんというふうな話をテレビやラジオで放送したりしている。そういう権限の問題もありましょうけれども物価政策がなっていないからなんです。あなたは、初めは一五%の値上げについては私は反対だ、しばしばそういうことを言明された。予算委員会などでも、国鉄財政事情からくるとやむを得ない、こういうふうに折れてきた。こういうことになると、一つ一つやっていくと問題が派生的に出てきます。  順次これからお伺いしますが、まず冒頭、あなたの物価政策として、とにかく低物価政策を守っていこうという立場からすれば、国鉄運賃の値上げがいかに大きな影響を与えるかということは、百も承知の上で言われていると思うのですよ。政府が、ことしいかに五%以下に押えようとしても、物価は五%を突破すると私は思うのです。佐藤内閣になってから、みんな五%以上ですからね。銀行の利子よりも——政府の統計の中にも、ちゃんとそういうふうに発表されているんだ。統計にもとり方はあるけれども、あなた方が言うている統計でも五%以上の上昇率を示しているので、ことしは、たいへんな物価上昇になるんではないか。低物価政策をあなたは放棄したような形になりはしませんか。
  24. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 物価というものは、政府のとる経済政策並びに全国民経済活動の総結果としてあらわれてくるのであります。そこで、政府が関与し得る価格、これは公共料金と称せられておるものです。従来この公共料金を値上げすることによって、また一般物価というものが値上がりをしてきたということは事実です。そこで政府主導型の物価騰貴だというようなことをいわれておるのです。そこで、公共料金はこの際、全部ストップしたい、しかも、消費者物価目標を五%とするという限りにおいては、どうしても鉄道料金もひとつ値上げをストップしたいという私たちの考え方でありまして、鉄道料金の値上げによって〇・二%の上昇率を持っておりますからして、これを何とかしてとめることが五%を実現するにはしやすいという考えをして、鉄道料金の値上げについては、最後まで私は反対し続けたのであります。これがために、たびたび閣議も開かれたのでありますが、私はあくまで最後までがんばったのであります。  そこで、いまの国鉄の実情を見ると、これは何とかしなければならぬという考え方、国鉄というものは、日本交通の動脈でありますからして、この動脈が乱れることが日本交通関係を混乱させ、同時にこれは、経済活動に非常な影響を及ぼしますからして、したがって、国鉄は何とかして維持のできるようにしてあげなければならぬということで、そこで私としては最初にお願いしたのは、体質改善、経営の改善をやって、根本的にこの際やってくださいということをお願いした。第二は、財政的の援助をしてもらいたいというて大蔵省にお願いいたしまして、幸い大蔵省のほうで、御承知のとおり四百億円の利子の立て払いをしてもらった。それから市町村へ交付する納付金を減免してもらうということをお願いして、大体それも実現をしたようなわけでございます。それでもなお足らない場合は、これはやむを得ない、適正な料金の値上げは、これはやむを得ないということにしたのですが、同時に国鉄の料金値上げに際して、これに便乗して値上げせんとする交通関係の公共料金は、極力押えるという方針を立てたのであります。これは経済閣僚会議で決定したのであります。そういう方針でやってきて、最後に鉄道料金の値上げを認めた次第であります。  そこで問題は、鉄道料金を値上げすれば、消費者物価を五%の上昇で押えることができるかどうかという問題です。そこで私といたしましては、たびたび閣議には、これは政府の各省でひとつこの点において御協力をお願いしたいということをなにして、政府がこの際、五%に押えるということに極力努力するということを各省大臣にもお願いするし、また、私どもでもいろいろ案を立てて、大体五%で押えられるという確信を私は持っております。でありますから、国鉄の値上げによる〇・二%の値上げ率を、ほかの方法で押えるということでやっていきたい、こう考えている次第であります。
  25. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 これからまだ順次お尋ねしますが、結論的には、あなたがそう言うても、なかなかそうはいかないと見ているのです。国鉄財政的に危機にあるから、利用者負担ということばが最近たいへん大きな声で叫ばれておりますが、利用者の皆さんにひとつ運賃値上げについて御協力を願いたいということで、何か国鉄当局でもきのう、おとといあたりはビラを駅頭でたいへん配って、PRを一生懸命やっているようです。新聞などにも、だいぶ出しているようですね。しかし、国鉄運賃が上がることについて、庶民、国民の率直な気持ちというのは、何を言おうとも、これはふところから金がよけい出る、あるいは企業が負担をする、中小企業はまた困った、これは町の声であるし、国民の声なんですね。私が一番問題にするのは、利用者負担ということばかりを声を大にして叫んでいるけれども政府はそれにほおかぶりをしている。特に、きょうは大蔵大臣来ておらないからなにですが、財政当局がほおかぶりをしておいて、何だか国鉄政府から借りた政府資金、その利息を再建債でひとつこれは当分そのままにして上積みしておいて、利息の利息だけを、ことしは十三億何千万円か補助をしよう、結論はまるで、いかにして政府が金を出さないかということだけしか考えていない。そんなもので国鉄財政再建ができるかということになれば、国民大衆に負担をかけるか、あるいはいつか総裁がどこかで言ったようでありますが、国鉄職員を六万人も減らすというふうなことが言われている。伝えられるところによると、十六万人も合理化をしようという。そういうふうに、大衆収奪あるいは大衆の犠牲というふうな筋に持っていくところに、ぼくらは基本的に国鉄財政再建について反対なんです。大体いま見てみなさい。強いものには十二分のサービスをしているということは、中立的な人たちだって大騒ぎをしているじゃないですか。みんな陳情政治の結果ですよ。同じ運輸省の予算の中だって、見てください。あとで申し上げますけれども、とにかくそういうふうな不公平な財政政策経済政策、こういうふうなことをやっておって、利用者負担のようなことを言うても、それはごまかせない。物価上昇をいかに押えると言うても、いま言われているように、大都市のタクシーや、あるいは通運トラックないしは大手の私鉄も、一年間そのままにしてきた、中小私鉄のほうは値上げをしている、こういうふうな状況にありますね。押えるとは言いながらも、押え切れますか、どうでしょう。
  26. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 国鉄料金以外の交通関係の公共料金は極力押えるということを、しばしば総理も言っておりますし、私も言っておりますが、全部とは言うてない。たとえば地方鉄道、軽便鉄道などでも、料金を上げなければもうやっていけない、廃線しなければいけない、それをもしも廃線した場合には、その地方の受ける経済的打撃というものは相当なものです。だから、これは私どもも何とかして維持してあげたいというので、そういうものは上げております。また、地方バスの値段も上げております。現に、私が大臣になってからも上げております。それは一般物価には影響しないという見通しのもとでやっておるのであって、ほかの一般物価影響を及ぼすような交通関係の公共料金は、これは押えるという方針でやっておる。御心配の私鉄の問題も、これは私のほうでは、もうこのことは絶対に押えます。私鉄の大手は、私どもはもう絶対に押えるという方針ですから、その点はひとつ御安心を願いたい。
  27. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 それでは運輸大臣と経企庁長官にお尋ねします。  ことしの二月の初めまでに私鉄の三十二社、バスの三十九社の値上げ申請を運輸大臣は認めているのでしょう。そしてなお百三十社にのぼる値上げ申請があるでしょう。二月以降認めたのがあると思うのですが、私は資料がないからわからない。経企庁長官は、そういうことを知っておりますか。  それから運輸大臣、あなたは全部これを——あと百二十数社申請しておるのがありますが、認めることになりますか、大手十四社も含めてです。
  28. 原田憲

    原田国務大臣 いま経済企画庁長官は、現在までも認めてきたものはあるということを、すでにもう言っておられるのであります。いまあなたの尋ねておられる物価問題との関連で、主要なものは、いわゆる私鉄でいうと大手私鉄十四社と、あるいは指定都市のハイヤー、タクシー料金、こういうものは、政府主導型の公共料金を上げたために物価値上がりになる、こういう問題を一番含んでおるので、問題にされるわけであります。私は、いま菅野長官が言われましたように、昭和四十四年度の予算案を編成する際に、経済企画庁としては極力五%程度で物価というものを押えたいと思う、そのためには、国鉄運賃も上げることは自分は反対である、こういうことから始まっておるわけであります。私どもも現在の国家財政の中で、ちょうど社会党さんが出しておられるような方法論なんですね、結局は、国鉄をどうよくしていくかということ。一般会計も、やっぱりこれは国民の税金なんです。国から出したらいいというけれども、国からというのは一般会計のふところで、回り回ってくるか、直接払うかという問題になってくるのですが、この一般会計の金で国鉄のめんどうを見てくれるというなら、これはけっこうなことである。経企庁の長官と大蔵大臣と極力話をしましたが、国家財政の中で、こちらが言っていることを全部見ることはとても困難である、こういうことから、いわゆる三位一体方式を出したのです。その際に、もしここでこれをやらなくて、国鉄というものの経営が困難におちいると、それは具体的にいろんな方面で悪影響になって出てきて、それは逆にもっと物価の値上がりということに影響するだろう、私はこう判断する。だから、今度のことは、これをやることのほうが、国民経済的に見て私はよいことだと考えて、皆さん方に御審議をお願いしておるのであります。  それと同時に、いまおっしゃっておるように、それじゃ同じような運賃問題をかかえておるものはどうするのか、こういう問題に当然突き当たるわけであります。ところが、経済企画庁長官は、いま日本の国で国際収支も、あなたも御存じのとおり非常によくなっておる。経済の成長というものは、七期連続黒字というような状態にある。その中で、これを安定した姿に持っていくのに一番大事なのは物価の問題であるから、ひとつ協力をしてもらいたい、こういうことです。私は当然のことであろう。そこで、これは極力抑制するということでいかなければならぬ。この方針については、私も閣僚の一人として賛成をしておるわけでありますから、国鉄運賃が上がったからといって、さあ国鉄運賃も上げたから、おれのも上げてくれと——申請はなるほど出ております。出ておりますけれども、これはそう簡単に便乗的に値上げを認めるわけにいくものではございませんし、また、その経営内容、あるいはその地方に対するところのウエート、あらゆることを見て、それと物価というものと勘案をしながら、慎重な態度で臨んでいくということを何度も申し上げておるのであります。
  29. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 私は、抽象的なことをお尋ねしているわけじゃないのですよ。だから、先ほど言いましたように、私鉄が三十二社、バスが三十九社、値上げ申請を認めたのでしょう。認めているのですよ、もう二月の段階では。新聞にも報道されているのです。国鉄運賃がこれから上がれば、また上がる。いま百二十数社ある。そのときの新聞は報道している。だから、いろいろ、これはどうだ、これはどうだという会社の経理を考えたりして、これはやむを得ないというふうなやり方をしているように、いまのお話では私は受けとめられますが、要するに百二十数社の運賃の値上げは今後認めるのですか、認めないのですか。しかも、みんな三〇%程度の運賃値上げの申請をしているじゃありませんか。認めたのは何%のものを認めたのですか。三〇%と新聞に報道されておる。この点はどうですか。
  30. 原田憲

    原田国務大臣 これは経済企画庁長官から先ほど答弁がありましたが、物価問題と関係は少なかろうという判断のもとに、自分のところでは——これは私どもから経済企画庁へ相談をするものと、それから先ほど申しましたように、物価閣僚協議会できめるというものと分かれておることは、もう渡辺さん先刻承知のところであります。その分を経済企画庁長官は認めたと、こういうことを言っておられるのであります。したがいまして、今後、いま出ておるものにつきましてどうするかということについては、私は先ほどから何度も申し上げますように、極力抑制という態度で進んでいく、こういうことを繰り返して申し上げます。
  31. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 お話が違うようですから、もう一つお尋ねします。  昭和三十八年五月十日の国鉄諮問委員会委員長は原安三郎さんです。この諮問委員会答申を出しています。幾つか出していますが、どうも経済企画庁長官運輸大臣の答弁が、私は納得できないので申し上げます。簡単に言いますと、一つには、通勤、通学定期の割引率を法定の限度内にとどめるか、それとも、その法定の限度内まで引き上げることを物価政策として避けたいというならば、政府がその分は、当然国鉄に補償すべきではないか、こういうことを言うている。上げるか、政府が補償するかどっちかだ、こう言うているのです、公共負担については。二つ目は、国鉄も弱腰だけれども国鉄の資本金は昭和二十四年六月以来、八十九億以上には一円も増資されていない。そこで当委員会は、国鉄に資本金を与える第一歩として、とりあえず、目下国鉄の借金のうち、政府がその債権者たる三千億円余について、これを政府の出資とすることが望ましい。そのほかにもありますけれども、いま公共負担の問題、運賃の問題を言うておりますから割愛しますが、つまり文教政策、産業政策というものを重視をしてきた。しかし、あなた方の言い分は、どうも歯切れが悪い。私どもは、こういうことについて二者択一を迫られたときには、第一の問題は政府が負担すべきだ。日本政府だけがしぶしぶしているけれども、そういうことは資本主義の諸国でもやっておるでしょう。増資の問題だって、電電公社と比べてみなさいよ。そういうことを考えなければいけないと思う。電電公社は私の記憶によるところ、たしか七百億か八百億だと思います。この点はどう考えるのですか、それぞれお伺いします。
  32. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 従来、国鉄は独立採算制をとってきたのです。それで、そこに問題が起こってきたと思いますが、国鉄地方の開発や何かで、赤字経営をしなければならない実情もある。したがって、独立採算制は、もうこの際は打ち切らなければならぬということで、大蔵省はこの際、財政的に支出すべきだということを主張してきたのであります。結局最後に、いまの利子の立てかえ払いということになりましたが、つまりそういうことで話が妥結したのです。大蔵省としては、独立採算制であるというたてまえでずっと今日まで押し通してきたのであります。それから、市町村への納付金も、私は全廃論で主張したのでありますが、地方財政影響を及ぼすというので、二十五億円だけ減ずるということになったのでありまして、ようやくこれで財政的に国鉄に対しては援助しなければならぬという、その方針が第一歩を踏み出したと思います。今後は、おそらく国鉄経営についての財政的支出ということは、大蔵省も漸次考えてくれるのじゃないか、私はこう考えておる次第であります。
  33. 原田憲

    原田国務大臣 いま経済企画庁長官が答弁をされておることに尽きると思うのでありますが、私は、あなたのおっしゃっておることを具体的に今度の予算折衝で実行して、いま菅野大臣から言われたように、まず緒につけたという気持ちを持っておるのであります。それは、そんなことでは足らぬと言われれば、これもやむを得ませんけれども、私はこの方法をもってやっていく。まだ今後もいまお話の出ておりますような公共負担をどうするか、他と比較して、まあより有利な金融の道を講じていくというような道もありますが、これはもうこれからの中で、もし実現ができたら、よりよい方向へ進んでいくのでありますから、まずこの問題について緒につけた、このように私は判断をいたしております。諸外国の話がよく出ます。私も別に運輸委員ではございませんけれども国鉄問題というものが日本の国家財政の中で非常なウエートを占めてくると考えて、文教問題からこれをとらえて、文部省が通学のために負担をして国鉄へ払うべきではないか、外国ではどういう制度をとっておるかというようなことを研究したこともございます。外国は外国で、一方でいわゆるあまりそういう方面をやったために、今度はそれが財政硬直というものの原因になり、逆にまた、それが交通機関モータリゼーションヘの転換ということに歩を進め過ぎたという面も、長所であり短所であり、あらわれているわけであります。日本はまだ何にもしていない、こういう御指摘がございますが、私はそういう点について、おっしゃるところは十分考えなければならぬ問題を含んでおると考え、今後とも努力をしたいと思っております。
  34. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 運賃の値上げの問題について、運輸大臣経済企画庁長官との答弁の食い違いがありますから、統一見解を示してください。
  35. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 運輸大臣と食い違いはありません。先ほど私に対する御質問は、大手の私鉄の運賃はどうかということで、それは絶対上げません、しかし、ほかの運賃その他の問題については、これは先ほど申し上げましたとおり、すでにもう運賃の値上げを認めておるのがあるのでありますからして、だから原田運輸大臣は、そういう全般的な答弁でありますからして、決して食い違いはありません。
  36. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 私が答弁が違うと言うのは、あなたは大手十四社で逃げましたが、その他のやつは全部認めるのか、認めないのかということもあって、そしてまた、将来出てきましょう、いまあなたは知っておるかどうか知りませんが、通運トラックだって全部——通運トラック大手は五社あるでしょう、それだってみんなやっておるでしょう、派生的にどんどん出てきますよ。だから、小さいのはみんな運輸大臣にまかして、私のほうは閣議で話はしませんよ、これはまあ心理的に国民影響があるから、はね返りがあるから、こういうふうに逃げているのですよ。私は公共料金というものは、物価上昇のおりから、原則として上げるべき筋合いのものじゃないと思う。そういう原則であなた方に質問しているのだが、これはいい、これは悪いという言い方で逃げている。ですから、端的に言えば、これから出てくる問題も、何も全部ここではっきりしてもらいたいのは、運輸大臣は一体どういう方針でいくか、経済企画庁長官はどういう方針でいくか、佐藤内閣としてどうするのか、そういう統一見解を全部出してもらいたいと思う。
  37. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 お説のとおり、物価騰貴の中で公共料金を押えるというのが今度の佐藤内閣の方針でありまして、ただし、国鉄料金だけは、これは国鉄の維持のためにやむを得ず料金の値上げを認めますが、その他の公共料金は極力押える。が、しかし、交通関係は先ほど申し上げましたとおり、値上げしなければやっていけない軽便鉄道地方鉄道がありますから、だから、これは物価影響がないから認めておるのですから、一般物価影響するものであれば——もしも鉄道が廃止されたらどうなりますか、その地方の人は非常に困る。そういうことをわれわれは考えています。国鉄だって、料金を上げなかったら、国鉄がつぶれたらどうなりますか、それは日本経済に非常な打撃を与えます。われわれは大所高所から考えてやっておるのでありまして……   〔発言する者多し〕
  38. 細田吉藏

    細田委員長代理 御静粛に願います。
  39. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 いま物価を上げないという方針のもとにおいて、私たちは公共料金を上げないという方針でやっておることは、もう総理も、私も、しばしば申しておるのであります。そこで、決して運輸大臣とも話の食い違いもありませず、気持ちは全くぴったり合うて、お互いにやっておるわけですからして、その点はひとつ御心配ないようにお願いしたい、こう思うのであります。
  40. 原田憲

    原田国務大臣 先ほどから何度もお答えを申し上げておりますように、国鉄以外の公共料金については極力抑制につとめる、こういうことを申し上げておるのであります。
  41. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 ですからね、経済企画庁長官は、大手十四社のほうは絶対認めないと言っているのでしょう。あなたは、先ほどそういう答えをされましたね、よろしゅうございますね。運輸大臣は、これはどういうふうな取り扱いをするのですか、あなたは認めませんか。
  42. 原田憲

    原田国務大臣 極力抑制につとめる、こういう態度でございます。
  43. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 抑制というのは、簡単に言えば、いつまで押えるのですか。いつまで押えていますか。
  44. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 いつまでというお話でありますが、問題は、物価騰貴の情勢ですから……。
  45. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 あなたに聞いているのじゃない。
  46. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 いまのことですか。
  47. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 とにかくあなたは絶対上げないと言ったのだ。
  48. 原田憲

    原田国務大臣 私のほうへ申請をされておることは、もう御指摘のとおりであります。これにつきまして審査をいたしておるのであります。  私は、先ほど申し上げましたように、国鉄以外の公共料金、特にこの私鉄の十四社の問題につきましては、その経営内容あるいはその立てておる五カ年計画の内容にどのように対処してきたか、つぶさに審査をし、なお物価の問題等勘案をして、慎重な態度で臨んでいく、こういうことでございます。    〔「違う、違うじゃないか」と呼ぶ者あり〕
  49. 細田吉藏

    細田委員長代理 不規則発言はおやめください。
  50. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 ぼくがお尋ねしているのは、言い回しをうまく言うていることをお尋ねしているわけじゃないのです。だから、経済企画庁長官は、大手十四社については私は認めないと、こう言ったのですね。で、運輸大臣は極力抑制するということを言うている。で、言うているから、単刀直入に質問しているのは、抑制とはいつまで抑制するのか、簡単に言えば。あなたは上げるというふうなことを、そういうことばは、いずれかは上げると、遠回しに聞こえるのです。ですから、いつまで抑制するのか、そのことばじりじゃないけれども、それをお答え願いたいと、こう言うているのです。
  51. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 運輸大臣としては、私鉄の内容も調査しなければならないし、実際の経営の実情も調べなければならないから、したがって、いまはっきりしたことが——いつまでとか、いつまで抑制するという答弁はできぬと思います。私は原則として、もう絶対上げぬということを申し上げているのです。しかし、これで運輸大臣がどういう意見を持って私のほうに相談に見えるか知りませんが、私としては、経済企画庁としては、大手の私鉄は上げるわけにいかぬということをがんばるつもりでおります。
  52. 原田憲

    原田国務大臣 先ほど何度も申し上げておりますように、私はいまの私鉄大手の問題につきましても、その会社の経営内容、あるいは、いまやっておる五カ年計画にどのように貢献してきたかというようなことをつぶさに審査をし、なお今後の物価という問題も、これが重大な問題でございますから、抑制のほうにウエートを置いて慎重な態度でいく、こういうことを申し上げておるのであります。(「それは答えが違う。統一見解を求める。」と呼び、その他発言する者あり)
  53. 細田吉藏

    細田委員長代理 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  54. 細田吉藏

    細田委員長代理 それでは、速記を起こして。  菅野経済企画庁長官
  55. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 先ほど私の気持ちを率直に申し上げたのでありますが、ことばに多少誤解を生ずる点があると思いますので、私が訂正いたします。経済企画庁長官としては、物価影響が大きいと思われる大手私鉄の料金値上げは認めない決意であるということに変えたいと思います。訂正したいと思います。
  56. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 運輸大臣の答弁はだいぶやらわかいですが、あなたは大臣に就任されてから、昨年来、私鉄十四社の運賃値上げの申請が出されていますが、十四社の社長とお会いになっておるんじゃないですか、どうですか。
  57. 原田憲

    原田国務大臣 私は、陳情に来られてお会いはいたしておりますが、その以外には会っておりません。  ただ、私鉄の大手の経営者の中には、私の個人的に知っておる方があります。これは死にました。死ぬ前に会ったことはあります。公私の別は、私は十分わきまえておるつもりであります。
  58. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 十四社の値上げ申請について、当然大臣運輸審議会にかけると思うのです。かけることは、相当諸般の情勢を考慮してあなたはかけると思うのです。経済企画庁長官の強い決意のように、絶対上げませんよ、こういうことですと、値上げ申請を運審にかけるということにはならぬでしょう。かけるということは、値上げの前提になりはしませんか。これはどうでしょう。
  59. 原田憲

    原田国務大臣 いまのは手続の問題でございますが、私は、まだ運輸審議会にかけるとか、経済企画庁長官とこの問題について話をしようとか、そういうところまで考えておらないのでありまして、先ほどから言っておりますように、確かに私のほうに提出はされております。事務当局で審査をいたしておるのでありまして、これにつきましては、極力抑制ということにウエートを置いて対処する考えでございますので、手続上の問題までまだ考えておらないということが実情でございます。これが正直なところでございます。
  60. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 何と申しても国鉄運賃の一五%の値上げ、そして地方鉄道、私鉄、バス、これらの大半が値上げ申請をしているわけです。そのうちの大体四分の一程度は、もうすでに大臣が認可されているんですね。そこで旅客運賃に限らず、大手の路線トラックあるいは大都市のタクシー、こういうものも値上げ申請をしておるとか、あるいはこれからしよう、そういう全般的な動きがありますね。正直にお答えをいただきたいのですが、これらの値上げ申請について、個々にこうだ、こうだというお話は、先ほど聞きました。会社の経理もどうとかいう話も聞きましたが、全体的に見て、大手のものはどうするんだ、そうしてまた、何と申しても物価影響することは間違いないのでありますから、ことし一年間、あなたが大臣在任中、この問題と一体どういうふうに取り組むかというふうな具体的なことを、一、二お知らせを願いたいのです。
  61. 原田憲

    原田国務大臣 公共料金につきましては、先ほど来何度も申し上げるようでございますが、総理が施政方針演説におきまして、公共料金については、国鉄運賃を除いて極力これを抑制し、という政府の態度を総理みずから申し述べておるのであります。したがいまして、私は公共料金の中で占めておる運賃の問題に対しましては、いま御審議を願っております国鉄以外は極力抑制をする、こういう態度で臨んでおるのでありまして、国鉄運賃が上がったら、すぐ何でも上がるであろう、こういうことを言われると、実は政府としては、極力抑制をするという態度でおるのに、逆に、いや上がるんだ、上がるんだと言われることは、それがいわゆる物価値上げムードということになりますから、でき得べくんば、そういう私の率直に申しておることを御了解賜わりたいと思うのであります。
  62. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 先ほどからお尋ねしておるのですが、そういうことを実は大臣から答弁をいただこうと願っておるわけじゃないのですよ。だから、大手の十四社は認めたくないならないというふうなところまではいかない。路線トラックも大都市のタクシーも値上げ申請をするけれども、一体これはどういうふうにするか、そしてまた、値上げ幅は三〇%をいままでのものは認可しているけれども、こういうものもどうですかということを、先ほどから二回ばかりお尋ねしているんです。そういう具体的なことを聞きたい。大手あるいは中小私鉄の経営事情も違う、これは内容はわかりますが、心理的な影響物価の値上げムードをあおるというふうなことでなくして、こう値上げすれば、こっちのほうも値上げするというふうに、実質的には全部値上げをするのじゃないかということは、これはたいへん困る、物価対策上よくない、こういうふうに考え質問しているわけですよ。でありますから、値上げ幅もいままで一回のお話もない。そして具体的に言えば、その内容にわたって大体どういうふうにやっていくのか、あなたにほんとうに決意があるならば、ことし一ぱい上げません、こういうことが言えると思うのですが、そういうことも言えないから、これは疑っているわけです。そういうことをお尋ねしているのです。
  63. 町田直

    ○町田政府委員 こまかいお話でございますから、こまかい点だけ私から申し上げます。  まず第一に、昨年一ぱいで上げました数は、先生がおあげになりました三十七でございますが、ことしに入りましてからは一月だけでございまして、全部で十六でございます。  それから中小私鉄につきましての値上げの方針でございますが、これは全般的に申しますと、従来の方針どおりでございますけれども、さらにそれを個々の業者につきまして、合理化の実情、あるいはどうしても上げなければならない状況等を厳重に審査した上で、それぞれ経済企画庁と御相談をして上げているわけでございまして、その内容は、御指摘にありましたように、一応の基準でございますが、少なくとも二年間は上げないということと、最高上げても三〇%である、こういうことでございます。具体的には、三〇%に近いものもございますけれども、もっと低いものもございます。個々の会社によって違うわけでございます。  大手私鉄につきましては、先ほど大臣からお話しになったとおりの状況でございます。
  64. 原田憲

    原田国務大臣 いま鉄監局長から申しましたように、また、先ほどから何度も菅野大臣と私とお答えいたしておりますが、ケース・バイ・ケースで処理できるもの、また、地方にあっては、先ほど話にも出ましたが、それをやらなければ、逆に足が奪われるというような点については、ケース・バイ・ケースで臨んでいく、いわゆる大手部門については極力抑制につとめる、こういうことで、繰り返してまことになんでございますが、御答弁申し上げます。   〔細田委員長代理退席、委員長着席〕
  65. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 政府の金庫を握っている大蔵大臣予算委員会で、国鉄財政援助について久保代議士の質問に対して、企業会計に一般会計から金はたくさん出せませんよ、簡単にいえばそういう答弁をしております。要するに、最近いわれている利用者負担をさせるか、あるいは一般会計から公共負担分については援助をするか、あるいは国鉄の膨大な投資要請について、長期低金利の融資をするか、やはりいろいろな手をやらなければ、いまの財政赤字ではできないでしょう。つまるところ、政府の、大蔵大臣姿勢というのは、私のほうは銭を出さないから、旅客運賃の値上げもやむを得ない、あるいは、もっと職員を減らしたらどうかということになる。合理化、近代化という名でいろいろなやり方をやってくる。こういうふうに、再建推進会議意見書は、どうもつまみ食いをしているようにぼくらは見るのです。通読しますと、第一部、第二部、第三部が必ずしも首尾一貫をしていない。私は第一部のほうにはおおむね賛意を表していますが、いまの政府提案の二法案というのは、二部、三部というふうなことしか取り上げていないわけですね。でありますから、冒頭に申し上げたような質問をしたのですが、四十四年度の予算案を見ても、たとえば民鉄関係赤字欠損会社に対して、北炭やその他の数社に七百十九万円余の助成しかない。あるいは民営バスのほうも、辺地あるいは離島バス全部含めて七千二百万円。しかも、助成をするには、厳重ないろいろな条件がついています。まあ焼け石に水といいますが、こんなような状態なんですね。これでは交通政策があるというわけにはいかない、政府の公共負担というものについて熱意がない、こう言っても、これはしかたがないではありませんか。  同じ運輸省の四十四年度の予算案の中で、外航船舶の造船利子補給は百三十五億九千万円余が計上されているでしょう。昭和二十四年以来、途中で中断したけれども、千数百億の利子補給をやっているでしょう。しかも船会社は、ばく大な利子補給を受けておるのに、現状は配当をいたしておる。会社の条件というのはそんなに悪くない。借金が多い多いと言うけれども、いままでは全部金を借りて、それで船をつくった。船をつくればつくるほど借金がふえることは間違いない。自己資金がない。ことしあたりは、多少良心的なところがあって、出しているけれども、こういうちぐはぐな予算が、この同じ運輸省予算の中で組まれていることには、私は了解ができないです。こういうことは、運輸大臣、どうですか。
  66. 原田憲

    原田国務大臣 海運会社に対するところの助成策でございますが、これは御指摘のように、これでも足りないという議論もありますけれども、相当手厚い助成策をとり、ようやくこれによりまして海運業界が立ち直ってきて、これはこれなりに、日本の国益といいますか、国民経済の中に国際的な分野において貢献をいたしておるのでございます。しかし、この分野から見て、体力的に見ると、まだ欧米の海運企業やその他に比べて自己資本率も少ないし、十分国際競争に耐えていくというところにまではいっていない。わが国の経済の構造上、将来さらに貿易物資の安定輸送をはかるということが大事でございますし、邦船の積み取り比率を向上さしていくということが大事でございます。国際収支を改善をするということから、これらの助成策は、利子補給も率はやや低めましたが、やはり助成策はとっていかなければならない政策であろうと思います。ただ、このことと国鉄と比較してのお話でございますが、国鉄に対しても、これくらいのことをやるのが当然じゃないかという御議論は、私はごもっともなことである、それを取り入れたのが今度の政策であると申し上げたいのであります。
  67. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 海運の助成政策というのは、もう十五年もやっているのですね。途中三、四年切れましたが、いわゆるスエズ動乱のころは景気がよ過ぎたので、もうかり過ぎているから、これは出さない、こういうことでしょう。しかし、私は国鉄と海運とのことも言いましたが、地方鉄道なりあるいはバス、この経営の悪化の状況にあって、先ほど申し上げたように、スズメの涙というか、焼け石に水のような予算を計上しているということに、私はどうしても納得できないのです。配当しているんだ、片方は。
  68. 原田憲

    原田国務大臣 いまの地方中小私鉄の問題に関しましては、私は、今後ともこれらに対するところの助成ということについては、十分考慮を払っていかなければならないと考えます。これは、地方バス事業についても同様なことがいえると思いまして、十分ではございませんが、今度の四十四年度予算で新規に取り入れた制度もあるわけでございまして、これら御指摘の点は十分考慮して、今後努力をしていきたいと私は思います。
  69. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 出発点が、助成策がわずかの金額でありますから、率直に申し上げて、いま原田運輸大臣が答弁されたことに、将来期待するような助成策といいますか、そう大幅な増額ということが期待をされないと判断をしているのです、あなたの努力いかんによるけれども。七百万円や七千九百万円程度の助成策では、そう一度に膨大な金額を予算に計上するということは、将来すぐ期待ができないでしょう。やり方はいろいろあると思うのです。たとえばバス関係ですね。いま赤字で悩んでいるバス事業会社が執拗に要求しているのは、自動車税あるいは軽油引取税、これは大蔵省が上げたい、こう言ったけれども、陳情があって下げた、それから自動車の取得税などの減免措置をしてくれ、こう言っているんですね。これは担当が違うんですけれども、少なくともいろいろな銭を出すということだけが助成策じゃないと思うのですね。やはりそれなりのいろいろな配慮をして——租税特別措置が国会でそのたびに問題になっています。こういうものは、当然の措置として入れるべきではないかと思うのですが、そういうことについての見解と今後の取り上げといいますか、お考えを伺いたいのです。
  70. 原田憲

    原田国務大臣 お答え申し上げます。  地方の中小私鉄あるいは地方の路線バス事業に対する税制、あるいはその他助成策については、御説も取り入れて、今後十分検討していきたいと存じます。  実は、これは飛び越えた議論になるかと思いますけれども、一方では、地方では国鉄の場合の納付金はもらわなきゃいかぬ、こう言いながら、この線は廃止してもらったら困るというような話が出てくるわけであります。ここらのところが問題点であって、これから地方財政もまた非常に苦しいようでございますけれども、冒頭にあなたが話をされました過密過疎という問題とこれから取り組むときに、地方団体として、これは私の申し上げるなにではございませんけれども、自治省ともよく相談をして、これらの問題について十分配慮をしていく政策を進めるために、検討を進めたいと存じます。
  71. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 戦前の国鉄運賃は、私鉄やバス運賃より安かったのですね。特に地方鉄道、民営のバスは、国鉄運賃よりも相当割り高だったんですね。国鉄の場合は実キロが営業キロで、賃率をプラスしていくという方式をとっていた。いまでもとっていますが、民営の鉄道バスは、もう営業キロが実際キロより非常に大きく延ばしてやっておったわけですね。だから、高くなるのは、これはあたりまえの話ですが、最近、四十一年の四月に国鉄の旅客運賃が三二%値上げした。貨物運賃は一三%の値上げを行なった。今度一五%旅客運賃を値上げをすると、すでに指摘されたように、品川−横浜間の例をとっても、私鉄の一カ月の定期が千六百三十円で、国鉄の場合は二千六百四十円になる。普通運賃、切符などでも、だいぶ差がついてきます。まさに主客転倒といいますか、国有鉄道運賃が高くて営利会社の運賃が安いなどというふうなこと、これを運賃値上げとして出してくる、こういうふうなこと自身が了解できませんよ。それは並行線がないところは、高くなったというふうな国民の不満はありましょう。しかし、現実に出てきておるのですからね。当然のこととして普通の事業場や工場あたりは、何割か知らぬけれども、安いほうの私鉄のほうへと、通勤定期の負担を一部するか、あるいは全額するか知らぬけれども、そちらのほうを買わせるようにするでしょう。施設やその他が国鉄よりも多少貧弱なほうに定期の通勤、通学の旅客が転化していくということになったら、これはたいへんでしょう。こういうことは、起きる現象と運賃値上げの現状、やり方ということが、どうしても納得できないのです。この点はどういうことですか。
  72. 原田憲

    原田国務大臣 これは就任をいたしまして間もなく、運輸委員会でも御質問があった点でございます。私は、当時バランスをとることは必要であると考えておるということを申し上げたのはこの点でございますが、この不合理については、前大臣からも話があったということを前提とした御質問があったわけであります。  運賃のほうはまだ私鉄のほうが安いという御指摘がありましたけれども、全部安いということにはなっておらないと思います。これは前の、昨年の定期運賃改正ということから生じてきた現象でございます。だから、現在も、もうすでにそのような現状にあるわけでございます。しかしながら、普通ならば、これが相当大きな影響となってあらわれてくるはずでございますが、現在のところは、まだそう大きな変化というものはない。ということは、定期運賃というものが別な方法でカバーされておるという点があるからであろうと私は推測するのでございます。これらの問題もまことにバランスを失した話でございますが、物価という問題と比べ、その経営をしておる事業等々から勘案して、しんぼうしてもらう間はしんぼうしてもらいたい、こういうことが現在の私の考え方でございます。
  73. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 そうすると、端的に言えば、近き将来、高いほうへならえという結果になりますね。そうすると、大手十四社の値上げというものは、あなたのようなお話によると、これは値上げをするんじゃないかというふうになってくるのですが、経企庁長官は、もう値上げをしないという決意をしている、こういう矛盾が今度の国鉄の値上げによって出てきているのですね。高いほうへならえというのじゃなくて、私はそういうことをしてもらっては困るという立場質問しているのです。この点はどうです。
  74. 原田憲

    原田国務大臣 あなたの指摘されておるようなことを率直にいうと、上げなきゃうそだということになるわけです。けれども、私はそれを、なかなかそうはいきませんということを申し上げておるのであります。
  75. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 ことばじりをとって、そういう答弁をするのは不謹慎ですよ。そうじゃなくて、これから運賃値上げをしよう、しようがない、やっていこう——大手の場合は企画庁長官は、これはもう上げないという決意をしているのに、あなたは極力抑制をしている、こう言っている。だから、私はことばの言い回しでここでやっているということはいやなんです。だまし合いというのはいやなんです。だから、こういう矛盾があるのに、運賃を値上げするのは私はよくない。少なくとも大手の十四社も、これを機会に運輸大臣に迫ると私は見ているのですよ。そうすれば、早かれおそかれ上げざるを得ないと、こういうことになると、国会で話していることが全然逆になってくる。上げないという決意をする、強い抑制をする、これもしかたがない、こういうことができますか、現実に。やってくださいよ。
  76. 原田憲

    原田国務大臣 先ほどお答えをいたしましたように、これらの問題について、すでに私のほうへ申請がなされております。これに対して私どもは、先ほど申し上げましたような態度で、極力抑制をするという態度で臨んでおる、これ以外に現在のところお答えのいたしようがないのでございます。
  77. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 最近の内航海運の発達は特に目ざましいものがありますが、近代化も、だいぶというよりも、ほとんどされてきている。海と自動車に、鉄道に乗っておった貨物が逃げていった、あるいはエネルギー革命で石炭が石油にかわった。いろいろな現象で、国鉄貨物収入の収入減はありますが、最近、長距離フェリーの就航などの申請がよく出ているようです。港湾整備計画も昨年大幅に改定をして、五カ年計画では一兆三百億と、こういうふうに倍近く計画を予算的にもふやしてきましたが、この交通政策の中で、内航海運のこれからの伸び陸上輸送との関係港湾整備、それからフェリーのこれからの認可といいますか、こういうことについては、どういうふうな対策とお考えをお持ちですか。
  78. 原田憲

    原田国務大臣 内航海運輸送につきましては、わが国経済発展、とりわけ近年の臨海工業地帯の造成に伴いまして、著しい増加を示しております。昭和四十二年度にはトンキロでは国内貨物輸送量の四三%を占めるに至っております。将来につきましては、経済社会発展計画の中で、四十六年度においては四六%のシェアを有すると予想されております。内航海運はますますその重要性が増大してくる、こう見なければならぬと思うのでございます。  しかしながら、内航海運企業は、従来、零細かつ多数の業者の乱立等、老朽不経済船の過剰による過当競争の状態にありました。これに対処すべく、昭和三十九年以来、適正船腹量及び最高限度量の制度の運用によりまして船腹過剰の防止につとめますとともに、昭和四十一年五月に閣議決定されました内航海運対策要綱に基づきまして、船舶整備公団を中心としまして、スクラップ・アンド・ビルドの推進及び共同係船の実施、並びに内航海運業の許可制の実施による企業の集約等を推進してまいりました。その結果、船腹需給の改善、船舶近代化についてかなりの成果を得ますとともに、事業の許可制についても、本年十月をもって完全実施の運びになっております。  したがいまして、今後の内航海運対策といたしましては、当面迫っております許可制への円滑な移行を促進しまして、企業体質の改善をはかりますとともに、内航海運輸送事業の増大、産業界からの流通合理化の要請、海上労働需給の逼迫等、輸送構造の変化に対処して船腹需給の均衡をも考慮しつつ、船舶の大型化、専用船化、自動化等、船舶近代化措置、コンテナ船等、新しい輸送方式の実用化等を進めていく所存でございます。  あとでお問いになりました大型長距離フェリーの問題でございますが、この大型長距離フェリーは、従来の架橋の代行的役割りを果たすフェリーと異なりまして、陸路に並行して自動車を海上輸送しようとするものでありまして、海陸一貫輸送による荷役経費、人件費等の節約によって輸送コストの節減に資するものであり、また、大型トラックの海上転移による陸上交通の混雑緩和に寄与するところも大きく、新しい輸送形態として大いに注目されておる事業でございます。  現在営業中のものは、昨年八月より就航の小倉−神戸間の阪九フェリー一社のみでございますが、このほか神戸−東京間、細島−東京間を昨年末免許いたしまして、来年十月の就航を目ざして現在準備中でございます。このほか五航路、長距離フェリー事業が申請されておりまして、目下事務的に検討中でございます。  いまお尋ねの現況と現在の展望についてお答えを申し上げましたが、今後この海運事業と、現在御審議を願っております国鉄事業をどうかみ合わせていくか、これが一番最初に渡辺さんお問いになりました交通の総合政策というものと大いに関連があると思いまして、私はこれらについて十分考慮検討を加え、国民経済の中で果たし得るようにつとめてまいりたいと考えております。
  79. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 海陸の一貫輸送ということが最近いわれてきました。私は交通体系全般から考えて、いま大臣が言われたようなことをやっていくことは、実は究極の目的だと思うのです。そうしないと、内航海運自身も過当競争である、あるいは陸上輸送も過当競争である。空のほうは数社にしていますが、陸、海、空が相互にまた過当競争である。許認可行政というて私も申し上げましたが、しかし、その出てきたものがすべてしかたがない、おそかれ早かれ事業をするということで許認可をしている。こういうやり方で、結局どん詰まりになってきているような気がするのです。ですから問題は、交通体系というものを一元的にきめて、ここは鉄道、ここはバス、ここはトラックとする。これは推進会議意見書国鉄の占める分野、地位というものがいわれています。大体そうなっていくような気がいたします。しかし、日本国有鉄道ですから、国民へのサービスを忘れた、営利会社と同じようなことをやっていたのでは看板をおろさなきゃなりませんから、こういうことは、私どもは、断固として承知できない。いろいろな公共負担なり赤字路線の負担も、どうしても残るだろう。特に、いまお話があった海陸一貫輸送関係を今後考えていく、フェリーボートを考えていく。一昨年ですか、外貿埠頭公団が設立をされて、東京湾、大阪湾にそれぞれ外貿埠頭を建設中である。しかし、これが最近、特定重要港湾、たとえば清水港なども予算二億くらいでコンテナの関係の埠頭をつくろうということになったようです。これは外から来るコンテナの関係、内航海運のコンテナ輸送関係と、二つ出てくると思います。しかし、このことをやれば、資本主義ですから、もうかるというふうなわけには、すべていかない状況にまだありますが、たとえば五千トンの船ですと、二百個以上のコンテナを積まなければ採算に合わない。しかし、それは認可していこうというふうなことになっていくと困るわけです。でありますから、海陸一貫輸送と単にいうけれども、これからのフェリーの関係なり新しく発展をしていくコンテナの問題は、いままでと違った内航海運形態になるわけですね。この点のかね合わせなども、私は非常に重要だと思うのです。ですから、港湾整備ども、どうしても中に入っていくコンテナの関係についてどういうふうな展望を持っておりますか、ひとつお伺いいたします。
  80. 原田憲

    原田国務大臣 コンテナ船はますます拡大をしてくる、このように私は見ております。というのは、コンテナ輸送というものが取り上げられてきて、いままで一万五千トンぐらいの船で外航……(渡辺(芳)委員「私の言うのは内航です」と呼ぶ)内部におきましても、コンテナ輸送というものは、やはり伸びてくると思います。この間も国鉄総裁から答弁をされておりましたが、国鉄貨物輸送ということについて、近代的な輸送方法ということは、経済が伸展してくるに従って、そういう方向に伸びてくることは間違いない。これは推進会議のほうでも、そういう方面に国鉄伸びていくべきであるということを申しておるのでございまして、私はコンテナ輸送というものについては、今後相当伸びていくと見ております。
  81. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 大臣、内航海運の関係で、特にフェリーとコンテン船の関係はこれから取り組むことですが、外貿埠頭公団が取り扱っている外国航路のコンテナ船——北米航路がおもですが、これは伸びていく傾向にあるということがいわれております。私もそう思います。しかし、内航海運の関係については、フェリー関係、特に長距離フェリーですね、それから内航コンテナの関係、海陸一貫輸送関係は、研究とその対策を相当慎重にやっていくほうがいいような気がするのです。これは交通体系関係になるし、簡単にいえば、輸送分野の調整になると思うのです。新しく出てくるのですから、いままで商売をやっているのにやめろというわけにはいかぬ。ですから、この点は交通体系確立であるといっているけれどもことばをかえて具体的にいえば、しょせんは、交通分野の調整になってくると思うのです。そういうことでひとつ取り組んでもらいたいと思うのです。  今度は空のほうですが、運輸省で最近、航空局を航空庁にしたらどうかというのが出ております。特に最近は、日ソ間の航空協定、あるいはジャンボが飛ぶようになるとか、SSTが飛ぶようになるとか、あるいは数年後にはエアバスが就航するだろうというふうに、空のほうもまた急速に革命的に大量輸送時代になるようですね。それですから、この航空政策というものを明らかにしてもらいたい。かつて一県一空港などといわれましたが、使っていない空港も二、三あるようです。あるいは一週間に一ぺんぐらいしか国内航空が飛ばないというような空港もあれば、幹線空路でたいへんなラッシュであるというふうなところもあります。航空政策について五カ年計画というのを昨年立てて、地方空港整備を千百五十億でやる。これは松山空港における事故で、急速に政府の目が空港整備に注がれて、そういうふうになった。しかし、ことしは、どうも予算的にも少ないですね。たとえば、松山空港の事故の場合でもそうですが、最近ようやく漁協との間の話し合いがついた。これは地元の反対があって、なかなかたいへんだったと思いますが、空港整備関係は、これはもう率直に申し上げて、ジャンボが飛ぶというふうなことになってくれば、それから飛行機に乗る乗客がもうばく大にふえていくというような状況、こういうふうなことを考えていくと、どうしてもこの重点政策というものがすみやかに行なわれないと、これは時代に即応できないだろう。これは特に東京−札幌間の旅客運賃などはたいへんな差があるけれども現実には一時間二十分くらいで飛行機では行ってしまう。二対三くらいで航空人口がふえている。こういう状況でありますから、この点の空港整備状況、特に主要空港は十七あるようでありますが、こういうふうなことについての対策はどういうふうになっていますか。
  82. 原田憲

    原田国務大臣 地方空港整備につきましては、今後の地方航空路線における航空輸送需要の急激な増大、及び航空機の大型に対処するために、空港における航空の安全を確保する上において緊急を要しますので、いまお話しのありました空港整備五カ年計画に基づいて強力に推進していきたいと思っております。すなわち、主要地方航空路線を形成する函館、それから仙台、広島、松山、熊本等の第二種空港については、航空機のジェット化に備えて滑走路を二千メートルに整備する、エプロン等の空港施設及び計器着陸装置、航空灯火等の航空保安施設の整備を行なうことといたしております。また、地方航空路線を形成する第三種空港については、岡山、宇部、花巻等の大部分の空港に、進入角指示灯等の航空灯火を整備するほか、青森、秋田、八丈島等の空港の滑走路を千五百メートル級に整備することにいたしております。
  83. 砂原格

    砂原委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後一時十三分休憩      ————◇—————    午後五時三十二分開議
  84. 砂原格

    砂原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。渡辺芳男君。
  85. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 休憩前に航空関係整備についてお尋ねいたしましたが、大臣の答弁によると、四十四年度の政府予算案では、計画どおりにいくかいかないかということがまだはっきりしておりません。私は、運輸省が当初要求した百十九億円の地方空港整備……(「委員長国鉄運賃審議をやろうじゃないか」と呼ぶ者あり)これは必ずしも要求どおりはいっていないと予算案では見るわけです。特にILS、つまり計器着陸装置の整備は、空の事故を防止するのに特に緊急の課題でありましょうから、この整備計画空港の拡張と伴って、私はむしろこれを早くやる必要があるんじゃないか。これが計画について一つお尋ねいたします。  第二は、エアバスの就航というものが当面話題になっていますが、就航計画がどのようになっているか、その構想をひとつ伺いたい。  この二つをひとつとりあえず伺います。
  86. 原田憲

    原田国務大臣 空港整備につきましては、先ほど申し上げましたが、空港整備五カ年計画の内容につきまして、これからどのように考えておるかというようなことについて、具体的には政府委員から答弁させます。  将来のエアバス就航計画につきましては、国内の航空旅客需要は、最近毎年三〇%ぐらい伸びておりますので、この需要を満たし得るよう、供給座席数を増加する必要がございます。しかしながら、空港容量や保安施設の能力の面から便数増加には限界がございますので、エアバスを就航させることにより、その需要の増大に対処し、あわせて経済性の向上をはかることが望ましいと考えられます。  なお、エアバスの機材は開発中でございまして、具体的な機種の選定、導入の時期等については、日本航空、全日空の両社間において目下調整中でありまして、その結論を待って、当局として方針を決定する予定でございます。
  87. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 航空局長、いま運輸大臣がそう言うたから答弁してください。——(「委員長質問内容を少し制限しなければいかぬよ」「国鉄会計ならいいけれども、一体何だ」「国鉄審議をやれよ、委員長の速記録を見てみい」「発言制限するのか」と呼び、その他発言する者あり)  それではいずれ航空局長から答弁をいただくことにして、いまいろいろとやじが飛んでいるけれども、つまり私は、交通分野の調整ということを最終目標として考えているわけです。この交通政策がない限り、国鉄の借金の帳じりを十年間で何とかうまくとんとんにしよう、黒字に転化しようということだけでは、政治家としてはお粗末なんです。(「じゃどうすればいいのだ」「まあまあ聞いていろ」と呼ぶ者あり)  そこで、次にハイタク関係についてお伺いいたしますが、昨年、特に東京都内二十三区で、ハイタクの法人業者に陸運局が増車を認可いたしましたが、この増車数の約三〇%ぐらいしかいま現実には動いていない、つまり稼働していない、こういわれています。これはその原因一つには、運転手不足にあることも事実です。ハイタク業者の中では、運転手を確保するために支度金などを支給して、いわば運転手の取り合いをしているのが現状のようです。増車をしても、現実には七〇%程度が車庫にほこりをかぶって、そのまま動かないという状況にありますが、一面では、個人タクシーのほうを、七・二通達にもありますように、三十五歳まで年齢制限を下げ、そうしてまた、この増車をやっています。いま一番法人業者が心配をしているのは、一体、個人タクシーに将来ウエートを置くのか、どうなのか、そしてまた、法人タクシーのあり方がどうあるべきかということについて、自動車行政がいま混迷をしているといわれているのです。で、七・二の通達にありまするように、個人タクシーの増車を今後どしどしやるのか、あるいは社内リースを採用するとあの通達にはありますが、これは個人タクシーの焼き直しのようなやり方になりますね。こういう関係が、実は法人タクシーと個人タクシーとの間における自動車行政がしっかりしていないというか、目標がいま少しよくわからないというところに問題があるように思います。この点は、どういうふうに基本方針として考えていきますか。
  88. 原田憲

    原田国務大臣 ハイヤー、タクシーに対する基本方針、結論を先に申し上げますと、個人タクシーと法人タクシー双方の健全な育成をはかる、こういう方針を立てております。お尋ねの中に、いろいろ指摘をされましたように、ハイヤー、タクシーには個人と法人と、それぞれ一長一短と申しますか、個人タクシーはサービス、安全運転等についてわりあい評判を博しておりまして、ここで聞いておりましても、個人タクシーをもっとふやすべきじゃないかというような御意見も受け取っております反面、営業時間が短いというような問題がございます。法人タクシーは昼夜の別なく営業し、深夜、早朝の都市輸送には不可欠の交通機関となっておりまして、このように両者に一長一短がございますが、この長所を十分発揮するように考慮して、先ほど申し上げましたように、双方の健全な育成をはかる方針でございます。
  89. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 大臣、これは端的に言えば、今後どしどし個人タクシーの免許を拡大をしていくのか、あるいは法人タクシーが——いまいろいろ自動車行政について不安があるけれども現実に増車しても運転手が集まらない、自動車が稼働していない、こういう事情であるから、一番根本的なことは、私は法人タクシーの場合は、やはり歩合制に問題があると思うのです。ただ個人タクシーの欠点というのは、勤務が自由でありますから、必ずしも、たとえば東京都内であれば、都民の要請にこたえるようなわけにいくかどうかということは、場合場合によって少しアンバランスが出てくるんだろう、こういうことがありまして、非常にむずかしいと思いますが、根本的にはやはり歩合制を、法人タクシー業者に対してもっと縮めていく、労働条件の改善をやっていく、こういうことの指導がない限り、どうしてもこれは根本的には解決しないと思うのです。これはもう長い間言われているのですが、大臣が就任以来初めてお尋ねするのですが、この点はひとつ強力に指導してもらいたいと思うのですが、いかがですか。
  90. 原田憲

    原田国務大臣 先般もこれに類する御質問がありましたが、そのような趣旨に沿った行政指導をするつもりでございます。
  91. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 トラック関係について伺いますが、路線のトラック業者は増加していませんが、車両がだいぶふえています。地場トラック、特に区域免許の中でも、限定免許の申請業者が非常に多くて、これもふえています。あるいは白トラックの横行が相変わらずいろいろ言われているところですが、実は、トラック業界における運賃のダンピングが、昭和二十七年以来いろいろ問題になっている。これは限定免許などの業者がどんどんふえてくるところに、一つは零細業者がどんどん仕事をやっていくというところに、そういう混乱あると思うのですが、このトラックの運送営業の免許について、もっと基準を引き上げて、そうしてまた、零細業者をどんどんつくる、こういうふうなことがないように、もうそろそろトラック行政もきっちりやっていくほうがいいのじゃないか、こういうふうなことが考えられるのですが、いかがですか、これは。
  92. 原田憲

    原田国務大臣 トラック業界における過当競争問題について、路線トラック業界においては、企業の集約統合によりまして、最近、事業者数は漸減傾向にございます。区域トラック事業は毎年若干ずつ増加しておりますが、地区ごとに適正企業規模を設定、公示して、その免許申請事案の処理をするとともに、中小企業近代化促進法に基づく協業等を促進して、トラック事業の公正な競争を確保することに努力をしております。いまあなたのおっしゃっておるように指導しておるということでございます。
  93. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 少し質問のテンポを早めてまいります。  国鉄財政危機の打開の一方策として、事業範囲の拡大ということが意見書で勧告されております。この点は、大臣、具体的にはパイプラインなどを、国鉄は線路の土地を利用してやったらば、収入増にきわめて有益じゃないかというふうなことが指摘されていますが、これもある意味では、私は大都市中心にした限定されたものになるのではないだろうか。このパイプラインの問題は、もう特にイギリスあたりは早くから手をつけておるようでありますから、そういうことが参考になったかどうか知りませんが、やるとしても、これは大臣の認可が必要だろうと思うのですね。もう一つは、最近、国鉄の合理化が非常に急速なテンポで進んでいる。たとえば、ある一定の駅の近所の貨物の取り扱いの場所がほかに移転をして、貨物取り扱いを集約したために、何カ所かの駅の構内があいている。こういう遊休空地といいますか、土地が方々に発生しておるわけですね。これらについても勧告書の中では、その他の事業ども考慮していいのではないかといわれておりますが、これは土地が土地だけに、場所が場所だけに、経済界でも相当要望が強いと思うのですね。しかし、これはきっちりした方針を立てないと、いろいろ問題になると思うのです。でありますから、この土地利用について、国鉄がもし何かの事業をする場合でも、日本国有鉄道でありますから、国鉄の場合は、私鉄がデパートを経営するというふうなわけにはまいらぬと思うのです。こういう関係については、どういうふうな構想といいますか、お考えをお持ちですか。
  94. 原田憲

    原田国務大臣 私は、いま渡辺さんが最後に言われた、国鉄が民間の百貨店経営というようなものは、これはできないでしょうが、国鉄の営業というものは、法律できめられております。先ほどお話の出ましたパイプラインというような、国鉄関係がある、種々あなたが申されましたが、これらについては考えてよかろう、こういうように考えております。
  95. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 ではこれは十分慎重に検討していただくことを要望だけしておきます。  国鉄財政再建推進会議意見書では、この発足当初、つまり四十四年に、具体的には一五%の運賃の値上げ、こういうことで提案をされていますが、この意見書を作成する過程において、それぞれ物価の値上がり、それから将来の収入の見通しなりいろいろ検討されて、その積算基礎からいうと、この十年間にまだ二回くらい運賃を値上げをしなければならぬだろうという予想が立てられておりますが、こういうことについて、大臣、そういう二回の運賃値上げを前提にして、この十カ年計画を立てられていくような仕組みになるものかどうか、この点はどうでしょうか。
  96. 原田憲

    原田国務大臣 意見書の中でいわれておることは、あくまで十年間の中での試算でありまして、このとおりになる、こういうことではないわけであります。運賃の試算の中では、あなたのおっしゃるようなことを書いておりますけれども、私は今後、それはもちろん物価の値上がり、あるいは人件費その他もろもろの要素がありまして、値上げをしないということは断言できないと思います。しかし、いまのあなたが指摘されておるように、意見書の中に二回と書いてあるから、二回のようになるのか、こういうことではないんで、これからこの法案を通していただきましたら、この法案に基づいて基本計画を立て、国鉄はそれに基づいた具体的な再建案を持ってまいりまして、それによって、国鉄再建策ということがこれから実行されていくのでございますから、その間には、具体的にどのようになるということは断言できないと思います。
  97. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 しかし、いま値上げをしなければならぬと言うと、また騒がしくもめるから、あなたは答弁を非常にうまく言われておりますが、たとえば、そういうことになると想定をしますと、この政府財政措置というものは、この十年間で約九百七十億と言うているのですね。しかし、片方の関係運賃値上げをしなければやっていけない、こういうことになったときに、その運賃値上げは物価政策や一般的な影響ども考えて、やれないということになったならば、政府財政措置を増額をするといいますか、そういうことも当然生まれてくると思いますね。足らないのは、きまっておるのですから。こういう点は、両者のかね合いということで、当然考えられると思うのですね。この点はどういうふうにお考えですか。
  98. 原田憲

    原田国務大臣 うまくいかなかったときの話ばかりされるようですが、うまくいったときのことを考えてもらうと、いまの国鉄が果たすべき役割りということをどんどんやっていきますと、いまあなたの言われておるマイナスは、逆にプラスになってくる。いま私は正直に言いまして、今度の推進会議でこういうことをやったらいいということは、全部できていないわけです。これは、たとえば国の財政支出の面でも、いまの六分五厘の金をもっと安くせいという要求は、通ったらこれでやめてしまうわけではないのです。したがいまして、いまあなたがおっしゃっておるように、今後国の財政支出面についても、私どもは、これは幕をあけましたら、国鉄再建のために必要であるということに対しては、もっとがんばっていきたいというように考えておりますから、私は計画が円滑に進んでいって、必ずよいほうへ行くであろう、こういうたてまえを考えておるわけであります。
  99. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 いつも、この国鉄運賃の値上げをするときに、公共性かあるいは企業性のどちらを重視するか、こういうことが議論の対象になっていますが、これが実は一番中心的な課題でありましょう。私はこの際、政府国鉄もそうなんですが、企業性を重視をしない——これはもう政治政策というものがないではないかと言われてもしかたがないんじゃないか。四十一年に旅客運賃は三二%上げた、貨物運賃は二二%上げた、昨年は定期のほうを上げた、通学、通勤定期、これを上げた、今度は運賃を上げる、そうすると、四十二年度は上がらなかったけれども、都合三回、ほとんど連続して定期運賃の利用者というのは上がっていますね。産業政策なり文教政策を重視しませんか。それが実は、日本国有鉄道の公共負担という名における国民への奉仕ではないか、こういうふうに私ども考えるのです。でありますから、通勤、通学の定期というものは、よく法定限度まで上げたらいいだろうというふうな言い方もあるし、片方では、それは公共負担をしなさいという言い方もある。どうかひとつ公共負担を重視をするということに——企業性はかり重視をしないで、そういうふうな政策といいますか、運賃政策というものを政府はとれぬものであろうかどうか、運輸大臣の決意を伺いたいのです。
  100. 原田憲

    原田国務大臣 いまの渡辺さんの話は、再三ここでお尋ねになっておる問題でありまして、公共性か企業性かということは何のために言っておるかというと、結局、国民に、公共の福祉に貢献をする方法の問題であると私は思うのです。だから、これを企業性というのは、いわゆる能率をあげて、そのことによって公共の福祉に貢献できる、こういうことであって、国鉄というものを一つの企業であると考える限り、それに重点を置いた運営をしていくほうが能率をあげてサービスがよくいく。民営でも公営でも、結局はその対象となるものは国民であって、その国民の受けるサービスというものは、公共であるからよいというものではなくて、サービスが悪かったら何にもならないのであって、その方法いかんにかかってくると私は思うのであります。ただ国鉄の場合は、ほかの私企業で、たとえばこれと似た私鉄を考えるときに、全国的な総合的な大きな分野を占めておるところに、同じ輸送機関でありましても、たいへん違った面があると私は考える。その面において、あなたのおっしゃるようないわゆる公共性ということを考えて、具体的に何をするのかということになると、一般会計の金を持っていってそれを償え、具体的にいうと、こういうことになってくるわけであります。その点について、いままで何もしていないじゃないか、企業であるから、金を借りて、乗る人の運賃でまかなって、利益があがったら、それで事業を進めていきなさい、こういう行き方のほうばかりで、あなたが言われたような、学校の生徒に割引をしたら、それだけ国鉄が背負っているんだから、それに対するところの公共負担というものを何もしないじゃないか、こういう問題が私は全然ないとは思いません。したがって、そういうことがけさからのあなたの質問の中にあったように、たびたび指摘をされておる。それについて、この国鉄再建のための十年再建策の中に、私といたしましてはできるだけ取り入れるということを実行し、いわゆる三位一体という形で実行しようとしておるということを、重ねて、しつこいようですが、御答弁申し上げる次第であります。
  101. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 三十六年の運賃の値上げのときには、増収見込みよりもプラスになった。これは自動車がまだそれほど普及をしていなかった。四十一年には予算上からいくと、もうたいへんな収入減であった。増収見込みがそれほどいかなかった。今回貨物運賃を値上げをしないというふうなことに提案をされていますが、これは他の輸送機関との競争上の問題であるか、うわさによると、産業界からの強力な陳情で、通産省の意向もあって、貨物運賃は値上げをしないというふうに腹をきめたのか、これはどっちなんですか。
  102. 原田憲

    原田国務大臣 貨物運賃の零細なものを公共負担をしておりますが、これを上げますと、たとえば野菜とか、そういうもの、これはすぐに物価にはね返るという面があるわけでございます。したがいまして、このたびは平均一〇%の値上げと意見書にいわれておるのでございますが、このたびは貨物運賃は据え置いて、旅客の皆さんにはたいへん申しわけないけれども、一五%ということにいたしたのでございまして、これが実際の姿でございます。
  103. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 私の聞いていることに必ずしもお答えになっておりませんが、では、国鉄貨物運賃は相当政策的な割引をしている。四十二年度には、公共負担大体百四億と国鉄のパンフレットにも出ています。この政策割引が約七十品目くらいあるといわれています。これは、もちろんコストを割っているのですね。すぐ野菜や何やらという話が出ますが、私はそういうものばかりじゃないと思っておるのです。原材料も含まれている。このコスト割れの政策割引率について再検討する必要があるのではないか、こんなふうに考えるのですが、この点はどうですか。
  104. 原田憲

    原田国務大臣 いま言われましたように、貨物は九十品目、この貨物関係の公共負担額は四十四年度見込みで約九十四億円にのぼると推定されます。このうち暫定割引、それから特別措置割引によるものが約五十三億円ございます。今回の運賃改定にあたっては、これを是正することを実は私も非常に検討いたしたわけでございます。ところが、いまも申し上げましたように、そのほとんどが生活必需物資であり、農林水産物等であり、消費者物価への影響等を考慮して見送りをしたのでございますが、これらの問題については、私は検討を加えていきたいと思っております。
  105. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 日米安保条約に基づいて、米軍と国鉄との間に輸送協定が結ばれています。米軍人の輸送なり米軍需物資の輸送について、あの協定によると、総額幾らというふうに表示をされていますが、この内容ですね。割引率はどういうふうにやっているのか、コストを割っているのか、いないのか、そういう点についてひとつお伺いします。
  106. 原田憲

    原田国務大臣 技術問題でございますので、政府委員から答弁させます。
  107. 町田直

    ○町田政府委員 米軍物資の運送契約につきましては、一般の荷主と同様の運賃その他の運送条件を適用しておりまして、特別な優遇措置、あるいは御指摘のようなコストを割っているということはないと思います。
  108. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 総裁に伺います。国鉄運賃の値上げをやる、そして特にいろいろな方面の料金の値上げなどについて検討しているようですが、構内営業料金の値上げを増収対策の一環としてやるというふうなことがいわれています。この構内営業料金は、それぞれの場所によって違いますけれども、この値上げによって四億七千万円の増収だというふうなことを新聞にも報道されておりますが、構内で販売をする弁当なり、あるいはその他の食料品等についてはね返りがあるかどうか、それを高くすることについて国鉄は認めるのかどうなのか、こういう関係はどうなっておりますか。
  109. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 かわりまして私から答弁いたします。  運賃を上げる以上、その他の料金につきましても、当然再検討の必要があるのはもちろんでございまして、構内営業料につきましても、四月から大体一五%程度上げたいと思います。しかし、これが直ちに旅客の弁当代等に響くかどうか、これは十分検討しなければなりませんし、各構内営業業者におきましても、吸収できるものと吸収できないものとあると思います。しかし、旅客に供給するものの値段には極力影響させないでやりたいというふうに考えております。
  110. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 これは率直に申し上げて、値上げをさせるような構内営業料金にこちらが上げるということは、少し行き過ぎではないかと思うのです。その程度のことに押えられないのかどうか。いま副総裁は一五%と言っているのですが、新聞には一七%と出ていますね。実際はどういうことなんですか。
  111. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 いろいろ種類がございますので、概略一五%と申し上げましたが、これが全然旅客に供給するものの値段に影響ない限度にとどめるというふうになりますれば、これはもっとずっと下がってくる。しかし、旅客の運賃におきましても、相当国民から直接御負担を願うわけでございますので、ひとつ構内営業業者もできるだけ企業意欲を発揮して、また、極力企業の合理化をはかって、ものの値段に影響させないように、その限度の営業料の値上げということで、大体一五%ぐらいと思っております。
  112. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 国鉄の工事費は一般に比べて、とかく割り高だという声があります。大工事というのは、なかなかしろうとにもわからないのですが、たとえば地方における随修などについてはよくいわれるものです。これは走る列車や乗客などの、いわば合い間を縫って工事をやるという特殊事情があることはわかりますが、しかし、それにしても工事費が高過ぎるのじゃないだろうか、こういうふうにいわれているのです。国鉄の工事費を見ても、年間三千五百億以上のばく大な工事を行なっておるわけですが、現在やられておる競争入札制や、あるいは価格の見積もりについて、国鉄財政危機などを十分知っておるのですから、これを再検討して、なるべく引き下げるというやり方ができないものかどうか。あるいは具体的には、たとえば工事を請負人が落札をした、そうすると、二段、三段下の下請のほうに回って、それが工事をしておる。しかも、その場合には、非常に安い工事費でやっているというふうなこともうわさにあります。こういうことは、あまりいいことではないと思うのですが、この工事経費の節約ということ、あるいは適正化をはかるといいますか、今度の場合、社会党提案の法案の中にもありますが、具体的には、この経費の五%くらいを節約してもたいへんな額になるんじゃないだろうか。ひとつ工事費の内容についても、従来の惰性におちいっているようなことがあるのではないか、これはどうですか。ひとつ厳密な意味で、相当な決意を持って再検討するということができませんか。
  113. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 その点につきましては、実は数年前は、国鉄の工事費が一般の工事費に比べて、だいぶ高いといううわさがあったのは事実でございます。その後、私のほうでもいろいろそういうことに着目いたしまして、現在、臨時工事積算室というものを設けまして、工事の積算だけを専門にやる部局をつくりまして、そこでいま先生のおっしゃったごとく、どうしたら——たとえば設計から考えていく、あるいは使用材料から考えていくという、工事の施行の根本から考え直すという体制を実はとっておりまして、おおむねその工事費の積算が、一つのノルマができたというふうに考えております。しかしなお、これから年間四千億近い工事をしてまいりますには、やはり先生のおっしゃったような、むだがあっては絶対に許されないことだと私もはっきり思っておりますので、今後工事費の内容につきましては、十分いまの工事費の積算室を活用いたしまして、できるだけの節約をしてまいりたいと思っておりますと同時に、ことに問題は、労賃の値上がりの問題がございます。これにつきましても、ずいぶん建設省等の関係もございますが、私どもは実は労賃の値上がりに対するうちのほうの工事費の改定も押えております。こういったことも無理をしてはいけませんが、できるだけ業者に勉強させまして、私ども自身の設計等も考えて、工事費の節約については十分努力してまいりたい、こういうふうに思っております。
  114. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 もう一つ、これは節約のほうですが、国鉄の購入物件が年間約二千五百億円くらいあるといわれていますが、企業の性格で、随意契約をやるというものが多いことも現状やむを得ないにしても、この物件費ももっと検討をして、再検討できないだろうか。納入物資の引き下げに成功すれば、相当な経費節約になるんじゃないか。この点も、工事費の節約をしなさい、あるいは物件の購入費についても節約しなさい、両方で合わせて六千億以上のばく大なお金を使っておるんですから、この購入物件のことについても、身を入れて再検討願えぬだろうか、いずれも抽象的な私の質問です。しかし、具体的なことを言えといえば、また時間をとるからやめますが、この点はいかがですか。
  115. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 その点も全くお説のとおりでございまして、私のほうといたしましても、できるだけ購入物品を安く買う。しかも、いいものを買うということにつきましては、全力をあげてやらなければならないことというふうに考えております。現に買っておりますものにつきましても、いま問題になっているレール等につきましても、実は相当研究いたしまして、一般よりも安く買っているつもりでありますが、その他全般につきまして、石炭、車両等につきましても、できるだけの努力をしてまいりたい、こういうふうに思っております。
  116. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 在来線の国鉄のガード下の貸借料なんですが、これもかつてこの委員会でも取り上げられたことがあります。不明朗な場合も多々あります。端的に言えば、ガード下を利用している者が直接国鉄との貸借関係にあればいいわけでありますが、しかし、又貸しなどが多いという傾向にあるわけですね。これが実は、紛争や不満の種になっているわけです。中には、これは大阪のほうにもありますが、戦後のどさくさまぎれに中に住み込んで、そして居すわっているというふうなこともある。賃貸料を払わないというふうなこともいわれておりますが、この明朗化をはかるために、この点は積極的にひとつ取り組む必要があるんではないか。貸借関係の現状は一体どうなっておるんですか、そうしてまた、国鉄の対策というものが、いまどういうことでやられておるんですか、ひとつお伺いします。
  117. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 高架下その他国鉄の持っております土地、建物の貸し付けの問題でございますが、この点につきましては、当委員会におきましても、しばしばお話の出た点でございます。昭和三十二年にいろいろ問題が起こりまして、その後、高架下の管理刷新委員会を、部外の方にお願いいたしましてつくりまして、一々一件一件、実は刷新、改善をはかってまいりました。いまおっしゃった中のいわゆる転貸と申しまして、もう第三者にまるまる貸してしまう問題、これはほとんど片づきました。ただ賃貸と申しましても、ある程度自分で造作をして、それを人に貸すというものにつきましては、まだ百件ほど整理ができておりません。ほとんど東京付近でございますが、これは結局、最後は訴訟に持っていく以外にどうしても方法がございませんので、事実関係を明らかにでき次第、示談で話がつかなければ、もう訴訟に持ち込むという方向で現在やっております。  なお、これら全般につきましては、部外団体等公正委員会という委員会がありまして、ここでもって逐次報告申し上げまして、実際の運営の適正化をはかっているつもりであります。
  118. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 これはまたあとで取り上げます。  大臣、この措置法案の中に——これは少し重要だと思うのですが、第三条で基本方針を運輸大臣が作成する、そして第四条では、この基本方針に基づいて再建計画国鉄がつくって運輸大臣の承認を求める、こういうことになっておりますね。この特別措置法案は、意見書に基づいて当然つくられたものですけれども、たとえば赤字路線の廃止、ローカル線の小さな駅の廃止や無人化、職員の強制配転、そしてまた、最近、国鉄はどしどし合理化の一環としてやっておりますが、請負制度の大幅な導入、これは私は安全確保の上において多少問題になるといいますか、懸念をしておりますが、こういうことをやっている。そしてまた、電車基地などの統廃合、施設、電気の近代化ということで、これもたいへんな請負制度が導入をされている。こういうふうなことが、どうもいままでの推移を見ておると、この措置法案で出てくるような気がいたします。しかし、結論的には、労働条件に関係することは労使の団体交渉にゆだねられるのですが、法律で強制をすると、これは問題になりますね。でありますから、法に基づく強制力というのは、労使間の団体交渉や従来の慣行というものを無視をしないといいますか、何ら変更しないということになりますか、この点はどうでしょう。
  119. 原田憲

    原田国務大臣 あなたのおっしゃるとおりだと私は思っております。
  120. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 それでは、そのとおりにひとつ確認してよろしゅうございますね。——  国鉄昭和三十二年から第一次五カ年計画を始めました。三十六年からこれも大幅に修正をして、また五カ年計画を始めた。三十九年には政府自民党が国鉄赤字について基本問題懇談会をつくって、将来国鉄のことについては、責任を持っていこうという約束の上に第三次七カ年長期計画が策定された。また、これも四十二年度で打ち切りになって、今回のような再建計画をやろうとしておるのですね。この十年間に十万人にわたる合理化が行なわれました。聞くところによると、十六万人といいますと、三分の一以上の職員の合理化を考えているようでありますが、先日も総裁が、六万人くらいは自然減耗で減らしていきたい、そのために五千億くらい人件費が浮く、プラスになる、こういうふうなことも言われましたが、この十数万にわたる合理化計画と職員の配置、簡単に言えば、四十万人で将来の国鉄運営するのかどうなのか、なま首を飛ばすようなことがあるのか、どうなのか。   〔委員長退席、大竹委員長代理着席〕 これは労使間の紛争なり、あるいは社会的な影響が非常に強いので、率直にお尋ねしますが、要するに合理化計画、つまり職員の配転なりあるいは補充をしないという要員の構成、こういうものを強行するのか、あるいは無理のないようにやっていくのか。やりたいとおたくのほうでは言っているのですが、この点はいかがですか。
  121. 原田憲

    原田国務大臣 先ほどのあなたの御質問と、これは関連してくる問題がございます。昭和四十四年以降国鉄が行なう国鉄近代化、能率化のための施策の内容は、いま提案をいたしております日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の成立後、政府の決定する基本方針に基づいて国鉄が策定する再建計画において、具体的に明らかになってくるものでございます。六万人の定員減は、国鉄が再建計画の腹案として検討しておると考えますけれども、これに対する考え方は、実際には再建計画が提案された段階で十分検討の上、決定すべきものと考えております。
  122. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 現実に六万人減らすということを検討しているというわけですね。——これから十年後には、業務量というのは一応一・六倍に増加すると想定しているのですね。——逆に相当数の要員の節減が不可能であるということになれば、国鉄経営の姿というものは、相当無理が生じてくる。よくいわれる赤字線廃止の問題、あるいはその他請負制度の大幅な導入で、国鉄の職場には国鉄の職員以外の部外の、人たちがいま相当入っているけれども、なおどんどん入ってくる。つまり下請が仕事をやっている、こういう現象がさらに強くなってくるのではないでしょうか。特に、ほかの企業と違って、国民の生命と財産を輸送する、こういう立場国鉄の重要性、交通産業としての重要性、これはもう最小限度安全確保といいますか、それに意を用いなければいけない。それは逆にいえば、熟練労働者が必要だ、こういうふうになると思うのです。業務量はふえる、人間は減らす、財政的にピンチであるから、こういうことだけでは、私は国鉄の再建計画というものは無理が生じてくるのではないかと思うのです。とりあえず要員規模について相当検討しておるならば、一体どういう方面の要員が減らされていくのか。国鉄には運輸、営業系統があり、あるいは運転系統がある。施設系統がある、あるいは電気がある、工場や管理部門、こういうふうに大まかに分かれております。この系統別に、どういうふうに、一体どこの部門の人間が減っていくのか、私はこの点は心配しておるのですが、いかがですか。
  123. 原田憲

    原田国務大臣 この定員減の問題につきましては、しばしば御質問がありました際に国鉄総裁から答弁をされておるのでありますが、これからの日本の国の企業で人手不足というものを考えるときに、人間というものをそう簡単に雇い入れることは、実際はむずかしくなってくるのであろう。そうすると、いまの国鉄において、やめていく人が何人ある。だから、これに対する減耗不補充ということで考えるということをこの間言われたわけでありまして、私はそのことを、いまあなたに答弁をしたわけでございます。これは労使の関係でよく相談をしてやっていかれる問題であろう、具体的なことにつきましては、国鉄の再建計画の中で出てくる問題であろう、提案されてくる問題であろう、こういうことで、そのときに十分検討の上、決定すべきものと考えておるのでございます。
  124. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 国鉄の方針はどういうふうに考えていますか。
  125. 石田禮助

    石田説明員 渡辺さんに申し上げますが、要員整理の問題は、何もいま初めてやるというわけじゃない。国鉄というものは、これまでさんざんにやってきたことなんです。さっき減らすことによって輸送の安全がというようなことでありましたが、これは絶対にそんなことはありません。国鉄はしろうとじゃない。輸送の安全というものに対しては至大の注意を払っておりますし、もしもわれわれが、いまここで六万人減らすということをやってみた結果、どうもこれは無理だ、いろいろな方面に、輸送の安全その他について無理があるというなら、やはりそのところで考えなければいかぬ。要するに六万人というのは、現在われわれはたぶんできるだろう、こういう見込みでありまして、実際の問題につきましては、今後やった結果、善処する、こういうことです。あるいはそれ以上にいくかもしれない。いずれにしても、それがために国鉄の職員の労働量をふやすということは絶対しない。これは、これまで国鉄がやったことによって、すでに御実験くだすったことだというようなことで、これは私は、あまり御心配になる必要はないと思います。
  126. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 国鉄の職員構成は、以前にはちょうちん型だとよくいわれました。これが年齢構成を見る目として、いろいろ議論の対象にはなってきましたが、このちょうちん型が、最近は上のほうにぐっと上がってまいりまして、キノコ型とかいわれるようになりました。いまの給与体系が、相当職務給に直されていることは事実ですね。しかし、同一労働同一賃金の原則が、そのまま日本のすべてのサラリーマンに適用されているわけじゃありません。やはり年功序列型の賃金というものは払拭はできない、そういう状態から、人件費の高騰、人件費の占める割合ということが、政府経営者の一番に口から出る問題なんですね。これは私は、人件費責任をかぶせるような言い方だけは、どうも受け取れないわけなんですが、最近の年齢別構成、そしてまた、十年後のあり方、こういうものについてどういうふうに考えていますか。
  127. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 御承知のとおり、現在の国鉄の年齢別の人員構成は、非常に不規則な形をしておりまして、現在、平均年齢が約三十八歳でございます。今後、減耗していく層が非常に厚いものでございますから、現在の考え方では、五年後にこれが二歳ぐらい上がる、それから十年後に約四歳上がる、大体こういう構成になるだろう。これはいろいろ数字的な検討をしたわけであります。したがって、十年たって三十七歳が四十七歳になるということでなくて、十年たちまして三十七・七歳が四十一・一歳くらいになるだろう、こういう形でございます。ということは、減耗の層が非常に厚くなります。そうすると、新規採用でもって半分なら半分入れますと、年齢差が下がってきます。そういう意味で、十年たったら、いまのままずっと持ち上がるというかっこうではなくて、平均年齢で申しますと、十年たって四歳ぐらい上がる、こういう形でございます。
  128. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 資料によりますと、平均年齢が三十七・七歳、四十五歳前後が一番多いわけですね、いまの年齢構成でいきますと。
  129. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 大体五年間隔でとりますと、三十五歳から四十歳、四十歳から四十五歳、四十歳から四十五歳のほうが三十五歳から四十歳より少し多い形になっております。
  130. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 簡単に言えば、賃金が、普通の戦後生まれたような成長産業と違いますから、平均年齢が二十五歳や二十八歳などというところは、人件費の占める割合はずいぶん低いわけですね。単に人件費だけで五七%も占めているということを強調される。しかし、何だかんだ言うても、国鉄職員も仕事がきついので、五十五歳前後でやめていくのですね。ほかの公務員とは違うのだから、たいへんからだも使っておるし、精神も使う仕事でありますから、どうしてもそれ以上あまりもたなくなってしまう。そういう仕事の量と質と、それから年齢構成からいくと、単に国鉄人件費だけで食われて、財政危機だというふうなことは、どうも非常に聞こえが悪いのですね。私は将来、人件費がやがてダウンをするときが来ると思うのです。この意見書によると、初めの五年間はとにかく赤字が累増するようなことを極力押えたい、そしてあとの五年間は、黒字に転換するようにやっていくようにしたいという路線が敷かれているわけですね、再建計画の十年間というのは。少なくとも昭和五十三年には黒字に転換をしたい、こう言っている。いまの年齢構成からいきまして、国鉄職員は四十六万一千四百六十五人いると言っているが、私はこの十年間に無理算段をするというふうなことは、摩擦を非常に起こすのではないか、こういうふうに心配をいたしておるわけです。やがて国鉄職員の平均年齢は、年々相当ダウンしていくのではないか。したがって、賃金のほうも、この割合が平均的に社会的に下がっていくのではないか、そういうことを想定しているのです。でありますから、この人件費問題について相当無理をするようなことがないようにできないか、再建計画で。この点はいかがですか。
  131. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 ただいま先生のおっしゃったことを実際の数字でもって申し上げますと、先ほど昭和三十二年からの第一次五カ年計画お話が出ましたので、昭和三十二年から昭和四十三年度までの過去十二年間の実績を申し上げます。若干の人数の増減はございますが、さして全体に影響するほどではございませんので、絶対額で申し上げますと、三十二年度から四十三年度までに定期昇給を含みませんで、ベースアップだけでふえた金額が一兆一千七百四十七億でございます。しからば、これの財源は何かと申しますと、定期昇給はおおむね収入の自然増でカバーする、あるいは新陳代謝でカバーする、これがたてまえでございます。しかしながら、ベースアップ分は過去三十二年、三十六年、四十一年の運賃改定による原資分でもってまかなっております。過去三回の運賃改定による運賃値上げだけの増収分が一兆六千六再十一億でございます。したがいまして、もちろん金に糸目はついておりませんが、金のワクで申し上げますと、国鉄はいわゆる自然増を含みませんで、三回の運賃改定だけの増収分が一兆六千六百十一億、それと対応して、人件費に、定期昇給を除いたベースアップだけで一兆一千七百四十七億というものが出されておる、こういう形になっています。したがいまして、もちろん指数的に申しますれば、利子の増加等も相当大きな問題になっております。しかしながら、実数から申しますと、やはり人件費のアップが一番大きな経費の負担になっていることは、これは事実でございます。実際の数字があらわしております。したがいまして、今後の人件費の問題といたしましては、多少ずつ平均年齢がいま申し上げましたとおり上がってまいりますので、たとえば同じ六%、七%と申しましても、その絶対額はふえてくるわけでございます。したがいまして、過去の、いま申し上げました一兆七千億のうち一兆二千億をベースアップで使ってしまったこの率よりも、今後十年間の運賃改定によって増収するであろう分と今後予見されるベースアップ、これは毎年でございますので、そのベースアップによる所要額のほうが大きくなる、こういう計算になるわけでございます。これは相当いろいろな角度から詰めて、コンピューターも使って計算したのでございますが、一応形としてはそういう形になっておるわけでございます。
  132. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 これは国鉄運賃が公共料金ということもあるし、押えられている物価政策の一環として、いつも問題になるのでありますから、一般の生産会社とは同一には論じられない。いずれにしても、当分この年齢構成でいきますと、人件費というものは上昇する、その占める割合、パーセンテージは、多少なりとも上がっていく。それで先ほど言ったように、一定の時期までくると今度は下がってくる、こういうふうなことは当然想定されるわけです。その中にはインフレもありましょうけれども、これは一般的にいわれることですね。  そこでひとつ大臣、この点はお伺いをいたしたいと思うのですが、今後のベースアップあるいは昇給等は、国鉄の場合は他の同種産業あるいは公労法の適用職員——いろいろと賃金の引き上げ要求なども現在も出ておりますが、これは国鉄赤字財政を理由に、ベースアップもストップしたり、昇給もストップしたりというふうなことは、絶対取り扱うということはないと思いますが、この際、政府の明確な方針を伺いたいのです。
  133. 原田憲

    原田国務大臣 給与の問題は、赤字財政であるから絶対に上げない、そのような時代でいまはないと思っております。先般も参議院で、いま国鉄副総裁の申し述べた具体的数字をもって、結局、国鉄は何だかんだと言うけれども人件費に食われてしまったのじゃないか、これからも結局そうじゃないかというようなお尋ねすらあったのであります。実際数字で見ると、金に糸目はついてないから、そういうことになります。しかし私は、この国鉄再建を推進し、私どもが提案をしておることをやっていくならば、必ず国鉄の従業員も、国鉄というものはどうも何か——きょうは石炭をやっていましたけれども斜陽産業みたいに思われているのじゃなかろうか。そうじゃないのだ、これは必要なものなんだ、こういうことでやっていくならば、それは当然給与も、いまおっしゃいましたが、これは公共企業体で他のものと同時に論ぜられて、仲裁裁定ということが行なわれておりますから、赤字が出たから給与が上がらぬというようなことは、絶対にないと思っております。生産性の向上……(「意見書にそう書いてある」と呼ぶ者あり)意見書に書いてあることは、絶対ないと書いてありませんよ。私も読んでみましたけれども、これはいわゆる消費者物価の上がった調整、それから生産性の向上、こう生産性の向上というところで赤字が出たらということを言っておられるのだと思いますけれども、それらのことについては、その時点でこの再建策というものが実行されるならば、そんなことはないと私は信じております。
  134. 石田禮助

    石田説明員 国鉄職員のベースアップの問題でありますが、御承知のとおり、国鉄の仕事というものは公共事業でありまして、他のいわゆる専売局あたりの仕事とだいぶ違う。やっている仕事には赤字線のようなものもあるし、そうして非常に大きな公共負担というものもありますから、普通の企業の頭で、もうかるからベースアップをする、もうからぬからしないというふうなものじゃない。たとえば現に、昨年の春かベースアップの問題が起こりました時分に、労働大臣に三公社の総裁、副総裁が呼ばれまして、今度はベースアップの問題があるのだが、これについては一体資金はどうだ、こういう話があったものですから、それは労働大臣どういう意味であなたお聞きになるか知らぬが、もしも資金があるからベースアップする、ないからしないというなら私は不賛成だ、国鉄の仕事は違うのだということで、大臣にもそのおことばを撤回していただきまして、そしてベースアップは根本方針としては同じようにやる、こういうことに決定をした次第でありまして、この点は、国鉄は今後損がかりに出ましても、やっぱり同じようにやる、そういうことに持っていくということが国鉄総裁の責任じゃないか、こういうように私は考えております。
  135. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 市町村納付金の関係について大臣にひとつお尋ねしますが、実は昨年、私は中曽根前運輸大臣に、市町村納付金のことについて質問をしました。そのときに、中曽根さんは、これは不合理だから、国鉄財政赤字だから、ひとつ廃止すべきだというふうな答弁がありました。これは三十一年度から市町村納付金制度が創設をされて、市町村の財政のてこ入れになったかどうか知らぬけれども、どうもそういう趣旨で創設されたようですが、この市町村納付金のことについて、四十四年の一月六日に大蔵大臣と自治大臣が覚え書きを交換をしているのですね。幾つかありますが、その一項にあるわけです。国鉄の市町村納付金については、自治、運輸大臣の定めるところによるといって、六日に覚え書きを交換している。運輸大臣が中に入って三者で話をしたなら別なんですが、どうも大蔵大臣と自治大臣が、地方交付税の問題もありまして、それを主にしてこうあるのですが、一番最後にこれが出ておるのですね。この関係については、市町村納付金の基本的な考え方として、大臣は就任されてから予算編成の過程でどういうふうな主張をされたか。そしてまた、この覚え響きというもの、大蔵大臣や自治大臣の文書交換ということは、どうも納得ができない。運輸大臣が中に入っているならいいのですが。この二つの点について、ひとつお伺いをします。
  136. 原田憲

    原田国務大臣 国鉄納付金問題についての大蔵大臣と自治大臣の覚え書きということがあるそうですが、これは私は実は知りません。これはおそらくこういうことじゃなかろうかと私は想像しているのです。それは、去年国鉄納付金を廃止して、それを収入に見込んだ国鉄予算というものを組んで、それで政府、大蔵省との予算の折衝に入った。このことは、裏で大蔵省がてこ入れをして、自治省との間に立って話をつけようということがあったのじゃないかと私は想像するのです。ところが、このときは私も大臣ではございません、議員として、いままでもらっていた納付金を一ぺんに一たとえば具体的に言うと、私の足元に吹田とか高槻とかありますが、これは相当な納付金をもらっておった。これが一ぺんになくなることは、たいへんでございますから、それは困る。これはもう私だけじゃなく、与野党超党派で一生懸命になって反対したわけです。これは実際は実現しなかったわけです。そこで、これは国鉄側としたら、入ってくると思っていた金が入ってこなかった、こういうことがあって、ことしもこの予算を組むにあたって——去年よく意思の疎通をはからずにやったがために、こういうことになった。そこで今度はよく意思の疎通をはかってやろうということになって、初めから話し合いがされておったと思います。私は御案内のように、十一月の三十日に就任をしたのでありますが、それで、そのときに皆さんに笑われたのですけれども国鉄納付金には私はきのうまで反対していて、実は運輸大臣になるとは思っていなかったので、そこで正直に言いますけれども、この国鉄納付金の問題については、自治大臣とよく話してみようと思っておりますということを申し上げました。これがあなたの御質問になっておることに対するいまの私の考え方です。そのことによって、このときはもう大蔵省はわきからごたごた言ってもらったら困るということを、自治大臣が大蔵大臣に言ったのではなかろうかと思うのです。去年えらい目にあっているから、そういうことの話があったのじゃなかろうかと私は想像しておるのです。したがいまして、この大蔵大臣と自治大臣の話し合いというものに私が何も入らなくとも、一向に差しつかえない、これは私と国鉄納付金の問題でありますから。去年は一銭もどうにもならなかったものでございますけれども、これにつきましては、自治大臣と話し合いをして、この問題と取り組んで、今度は御案内のように、額は二十五億ですが、いわゆる私鉄と同じような扱いにして、固定資産税に対して適用しておる軽減措置と同様の措置国鉄の納付金についても新たに認め、四十四年度は二十五億だが、これは来年、再来年になると、もっとふえていくはずでございます。こういうことになったのが国鉄納付金でございまして、長い答弁をいたしましたが、私は国鉄納付金については、そのような考えでおりましたので、自治大臣、大蔵大臣の覚え書きというものを知りません。知らなくてもかまわぬというように思っております。
  137. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 実は大臣、私は三者でそれは申し合わせるべきが筋合いだと思うのです。大体金を納めるほうの最高責任者が知らないで、取るほうが申し合わせをして、内容だけは確かに自治、運輸大臣の協議によるということにはなっていますが、大臣が知らないというのは、全くもって不見識だと思うんですよ。非常識だと思うんです。二人で覚え書きを交換しておりまして、五項目ありますけれども、最後に、国鉄の納付金については、これこれしかじかと一行書いてある。ですから、私はこれはけしからぬと思ったんです。一月二十日でしたか、運輸大臣と自治大臣との間で話し合いがついたというのです。それは私も新聞で伺いましたが、たしか二十五億です。この意見書の中でも、納付金の問題はきわめて歯切れが悪い言い方をしております。原則としてこの納付金制度というのは、確かに多額の金をもらっている地方自治体にすれば、いきなりぽんとやめられると、これはたいへんかもしれません。しかし、この意見書のようなやり方、あるいはことし運輸大臣と自治大臣との間で話し合われたようなやり方ですと、納付金制度というものはまた存続をしていくし、また、いずれかの時期には増額に転ずるだろうというふうな気がいたします。漸減方式でずっとやっていくのかどうなのか、これはやはり運輸省の基本方針として確立していただきたいと思うのですが、どんなものでしょうか。
  138. 原田憲

    原田国務大臣 国鉄納付金がこのままで、また、国鉄側からいうと、都合の悪いほうにもとへ戻っていくということはないと思う。これは板川さん不規則発言で、いま盛んに言っておられますが、電気ガス税の場合もそうなんですね。やはり一ぺんにやりますと——そのことをやるときに激変緩和、経過措置ということは、どうしてもやらなければならぬ。したがって、この納付金の問題については、去年もう少し話し合いをしてやったら、去年からいまのような道が開けたのではなかろうか。抜き打ちでぱっと持っていって、そうして、これは取れるんだということで、一方がかたくなってしまって、大臣同士も聞いたこともないというようなことがあったらしいのです。だから私は、この問題については就任をしましてからよく話をし、昔は話があったように、初めから手がけたときの問題については、いろいろのいきさつがあるようですが、根本議論というものは、あなたの言われているように、この問題については、どうも推進会議意見書も確かに歯切れが悪い。だから私は、この問題については、今後もやはり研究検討して、国鉄側が再建をしていくための一つ財政的な措置になるようにつとめていきたいと思っております。
  139. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 この借金がばく大になってきている。入るをはかって出ずるを制せなければ、いずれにしても財政事情というのは好転はしてこないでしょう。  私は先般、島根県の過疎地帯のほうにちょっと調査に行ってまいりました。島根県の匹見町という広島県との県境にある町でありまして、中国山脈の中の町です。町というよりは、もう人口はどしどし減っていて、過疎地帯の標本的なところです。この匹見町の町長が私どもに陳情したのですけれども、私の町に石見交通バスが通っておりまして、五つばかりの路線がありますが、この路線の中で、走ってはとても営業にならぬところが三つありますので、どうしてもこれは運行停止をしたい、こういうことで、陸運局に申請をした。そうしたら町ではびっくりして、それは困るということで、また陳情合戦となり、結局、会社と町との話し合いになって、六カ月に七十万円の金を町から会社に出して運行を確保してもらうことになった。しかも、一日二往復で、それ以上はどうしてもバスの運行はできない。過疎地帯ですから、小学校の生徒が三人とか五人とかというふうに減ってしまう。どうしても小中学校の統廃合をやる。そういうことで、町は小中学校の子供にもバスの代金を一部補助したり、バス会社に納めたりするような状態です。私の町は鉄道線路が通っていないので、うらやましいです、ぜひ聞いてください、なんというふうな陳情がありました。私は、このときつくづく感じたのですが、鉄道線路のあるところは納付金をもらえる、そして線路のないところは、逆にバス会社に町村財政から支出をしていくということは、何としてもがまんができない、国に実は交付金の増額を要求をいたしております、こう言っているのですね。いま全国的に見て、国鉄あるいは私鉄に関係のない市町村というのが、大体三分の一弱あります。でありますから、本来的に公平なやり方をするならば、私は別途やり方があるのではないかということを、そのときに痛感をしました。でありますが、そういう事情から見て、市町村納付金というものは、私が先ほどお尋ねしたとき、実は大臣はいろいろとこれからも漸減措置をやっていく、こういうふうに言われました。この間の二十五億のいわば削減というものは、私はそういう意味ではないと思っているわけです。しかも昨年の質問のときに、単刀直入に中曽根さんは、これはもう全廃すべきだ、しかし、なかなか逆に陳情が多くて困っております、結論は、これに何らの措置ができなかった、据え置きになっている、こういう状況です。私はあまり歯切れがいい答弁でしたから、心配したのです。たとえば黒字の市町村がある。これは大体金額にして七割くらいになる。赤字の町村、つまり過疎地帯の関係では、たいした金額にならぬ。あなたは歯切れはいいけれども、そういう程度のことまではできませんかと言ったら、いや、私はこれはもう廃止すべきだ、こう言うから、ああそうですと、私も引き下がった。しかし、やり方はあると思うのですね。大臣はきわめて慎重に、また、まじめに答弁をされていますから、私も信頼をするのですが、ともかくそういう現状を、私も先ほど申し上げましたような状態を聞きまして、この問題は、どうも一面的には不公平なことが生じているなというふうな気がいたしました。でありますから、この取り扱いについては、予算編成期にだけ大騒ぎをするというふうな傾向が多いのですが、基本的に私は、大蔵大臣と自治大臣が覚え書きをかわしたのでなくして、自治大臣運輸大臣との協議によるということになっていますから、この問題は相当以前から、やはり話し合いを進めていくべきはないかと思うのですがね。今後の方針というものが、先ほどお話しにございませんでしたが、ひとつお聞かせ願いたいのです。
  140. 原田憲

    原田国務大臣 この問題については、一応国鉄納付金を減免措置をとって、四十六年までで打ち切りの分と、また続いていく分とに分かれておるというのが今度の措置でございます。私は、いまあなたがおっしゃっているように、確かに問題はあると思うのです。このことにつきましては、今回はいわゆる道を開いた、こういうことでございますので、私としてよく検討をさしてもらいたいと思います。
  141. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 議事進行に協力をします。  国鉄赤字路線の廃止ということは、全くいま大きな問題、というよりは、政治問題にまで発展してきておりますが、特に八十三線区、二千六百キロにのぼる国鉄赤字線の廃止、これは慎重にやりたい、こういうことがいわれておりますが、結論的に端的にお尋ねをいたしますが、地元が絶対反対ということがほとんどのところです。よろしゅうございますというところは、いまのところ出ておりません。これは、地域開発を一つ目標にして建設された。過疎地帯の線路になってきましたが、事情が確かに変わったことは事実です。しかし、国鉄赤字路線の廃止は慎重にやらないと、これはほんとうに、たいへんな問題を派生してきます。慎重にやるというよりは、地域住民の理解を得なければ、だめじゃないかと私は思うのですが、それを中心にひとつやられていきますか。地域住民の意向によってやるかどうか、こういうことですが、その点、いかがですか。
  142. 原田憲

    原田国務大臣 再三申し上げておるところでございますが、ローカル線の廃止については、お説のように、影響するところが重大でございますので、運輸省としては、今後線区ごとに鉄道網に占める地位、地域交通に占める役割り、総合的な国土開発計画との関連、地域開発等から見た将来性、道路整備状況を具体的かつ綿密に調査の上、総合的観点から慎重に判断をする、こういうことでございます。
  143. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 いまのこの八十三線が問題になっていますが、国鉄のこれが実は火に油を注いでいる結果になっている。中小私鉄のほうにまで少し問題になっています。いま廃線の動きがある中小私鉄というのは、美唄鉄道あるいは大きなのは石川県の北陸鉄道など、合計して二十一線の鉄道を廃線にして自動車輸送に切りかえたい。約五百キロといわれておりますが、特に北陸鉄道などの廃線の動きというのは、たいへんな問題になると思うのです。石川県下における交通網を一手に引き受けているような私鉄の規模でありますから、そういう意味では、地域経済社会に非常な影響を持っておるわけですね。一々会社の名前はあげませんけれども、この二十一の鉄道線に廃止の動きがあったり、あるいは申請をしてきたりしておりますが、この点の取り扱いは、大臣どういうふうになさっていかれますか。
  144. 原田憲

    原田国務大臣 地方における赤字の中小私鉄対策としては、バス輸送への転換をはかることにいたしております。このために、四十四年度予算において、開銀融資資金のうち、中小私鉄の合理化の設備資金、バスへの転換資金の確保、赤字路線の合理化等に対する補助金、バスへの転換不可能な路線については欠損補助、その鉄道のうち、地方輸送需要の動向及び路線の採算性の観点から、今後とも存続すべきものについてはその合理化を推進させ、経営の好転をはかることとして、その他の路線でバス転換により経営改善が可能であり、また、地元の便益が低下しないものについては租税の軽減等の措置を行なったりして、対策を講じておるわけでございますが、原則としては、代替のない限りは廃止は認めないというたてまえに立っておるわけでございます。
  145. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 終わります。
  146. 大竹太郎

    ○大竹委員長代理 板川正吾君。
  147. 板川正吾

    ○板川委員 私は、国鉄運賃値上げ、再建関係二法について質問をいたしたいと思うのでありますが、まず第一に、私ども立場というものをこの際明らかにして、質問に入りたいと思うのであります。  この国鉄財政再建に関する二法に盛られておりまする内容は、政府国鉄当局が戦後取りきたった交通運輸政策上の重大な失敗と怠慢をいささかも反省することなく、みずから招いた国鉄財政の危機と輸送の行き詰まりを誇大に宣伝し、この際、若干の国家財政上の措置を講ずることを機会に、今後十年間に、利用者には受益者負担と称して運賃値上げを数回繰り返し、国民には六千キロに及ぶローカル線を廃止してその足を奪い、国鉄労働者には六万人以上の人員整理を強行しようとする内容のものでありますから、まさに反社会的な法律案と言うべきだろうと思うのであります。この法律は、国が国有鉄道法をもって国民約束した公共の福祉の実現という国鉄の大使命を、明らかにみずから放棄するものでありまして、また、運輸政策上の基本をゆがめようとするものであると思うのでありますが、この点に対して大臣の見解を伺いたいというのが第一点であります。大臣、いかがですか。
  148. 原田憲

    原田国務大臣 国鉄の本来の使命を忘れて、失敗を国鉄運賃というもの、それからそれらに付随する償いのようなものによってやっていこうとする、本来の国民へのサービスというものを忘れておるじゃないか、失敗したじゃないか、こういう御意見でございますが、私は何度も申し上げておるように、目的は何か、国家経済国民生活にいかにサービスをするか、これが目的であって、その方法が問題である。その方法を、いまの国有鉄道というものは、戦前のいわゆる国有鉄道とかわり、企業性というものを取り入れた公社というものになり、能率的な運営をすることによってその目的を達成しようとした。こういうことであって、その点が十分発揮されなかったという御指摘に対しては、私は率直に、その面があるといわなければならぬと思うのであります。それは、数次にわたるところの問題についての掘り下げということについても、すでにいわれてきたところであります。やはり根本的に言いますと、この国鉄というものの運営は、まず収入は何によるか、これはやはりお客さんですね。これを利用する人たちの払うところの運賃運営をしていく、これは企業として当然の措置であろう。ところが、これが独占をしておるときは、ここで国鉄総裁もよく言われることでありますが、昔は独占しておって、ほかに競争相手もないというような状態であったから、そのもうけた金で、しかも国有鉄道でありましたから、その当時はどんどん地方の開発にまで手を伸ばすことができた。ところが、戦後は荒れ果てた状態を立て直して、新しい投資はしていかなければならぬ、それに一生懸命に投資をしておるところで、今度は新しい構造の変化というものになってきた。そうして、戦争中に特に働く戦士のために、料金はうんと割引してサービスしなければならぬというような、公共負担ということでとられた手段というものがそのまま引き継がれて、そして独占をしておった当時と同じように国鉄はサービスをしいられてきた。この点については、いま議論のあるところで、何もやってないじゃないか、いままで私は、今度はと言いましたけれども、あなた方から言わせると、何を言っているのか、そんなものは、と言われるかもしれませんが、今度は再建策の中で私はその分を取り入れた、こう考えておるのでございます。こういうこと、また、いわゆる日本の人口が一億になる、そのうちの約四割、まあ下世話で言うと半分ですね、半分は農村にあって労働人口になってきたが、働くところはないじゃないか、一体どうしたらいいんだという大問題をかかえておったときから、現在約十年で一億が働く場を得た、人手不足になった半面すら出ておる。こういう、革命ということばが当たるなら、私は革命だと思っておりますが、日本の国内で人口が何千万と移動したということは、世界の歴史に私はないと思う。そういう状態、これがうまいこといかなかったじゃないかとおしかりを受けると、確かにそういう欠点もありますけれども、確かに一億の人間が所得の場を得ておることは間違いがないので、そういう構造の変化というものに対応できなかったということは、これは私は指摘されてもいたしかたがない。それでひとつ今度こそはこの問題を解決しようというのが、私が取り上げて御提案をしてお願いをいたしておる方法です。ただいま久保さんが御提案になっておる社会党の案というものも、私はやはり一つの見識だと思います。それをどういう方法でやろうかという問題で、どちらをとったらよかろうかということについて、私は現在の日本の国の財政状況その他を勘案して、これをもって国鉄をりっぱな働き場所として、国民経済の中で国鉄の果たすべき任務を果たすための施策をやっていくのに、この方法がよりよい方法である、こういうことを考えておるのでございまして、今後ひとつぜひ御協力を賜わりたいと思っております。
  149. 板川正吾

    ○板川委員 まあ大臣長々と答弁をされましたが、結論としては、今後の国鉄運営は利用者の負担、すなわち、乗客の負担で再建せざるを得ない、こういうことに私は通ずると思うのであります。しかし、その利用者の負担で国鉄を再建していくということは、今後の日本輸送、特に大都市における通勤輸送を確保するというたてまえに立ちますと、そういう方式じゃとてもやっていけないということが明らかになります。  これは、私は私に与えられた時間は、何日か質問しろというようなことでありますから、二百問ばかり用意しております。徐々に私は私の意見を述べながら質問をしていきたいと思います。とりあえずは、大臣の御答弁に食いついていきますと、結論のほうに先に行きますから、その前にいろいろの問題をひとつこの際、論議をしてみたいと思うのであります。  次に、私が問題にいたしておりますことは、今度の財政再建の方策を考えるにあたって、運輸省内に財政再建推進会議あるいは国鉄諮問委員会、さらに大蔵省にも財政制度審議会、こういうような審議会なりを設けて、答申なりあるいは意見書なりを求めたのでありますが、そういう学識経験者の意見を聞いた上で、慎重に結論を出したと政府はおっしゃっております。しかし、この各審議会なり会のメンバーを見ますと、ほとんどが財界の首脳、それから一部御用学者、こういう連中であって、この中に国民の代表、利用者の代表、労働者の代表、この政策によって大きく影響を受ける者の代表が一人もいない。おそらくこの財界の人々は、ローカル線なんかには一生乗ることはあるまい、こういうような人々の意見だけを聞いて、この再建案を考えたということは、私は政府がよりどころにしておるこの審議会のメンバーの意見、学識経験者の意見であって、妥当であるという考え方は、どうも片寄っておると思うのでありますが、大臣はこの意見書の結論が公正妥当と考えられておるかどうか、このメンバーのことから考えまして、これは、われわれ承服できない見解でありますが、いかがでありますか、その点ひとつ伺っておきましょう。
  150. 原田憲

    原田国務大臣 この国鉄再建推進会議審議会ではないのでございまして、名前のごとく推進会議であります。会議形式をとっておるのであります。したがいまして、いわゆる三者構成とか、利益代表とかいう形をとらずに持っておる組織でありまして、この中には、それはとりようでいかにも言えますけれども、たとえば労働者の代表と言われると、労働問題について非常に詳しい、特に公共企業体の問題に常に対処されておる学者先生もお入りになっております。私はこれらの面について、やはり見識を持った方々によるところの意見である、こういうように受け取っております。
  151. 板川正吾

    ○板川委員 私の質問は、理事会の決定によって時間の都合がありまして、以下は留保して、本日の質問を終わります。  次回は、私から始めることを委員長に確認をしていただいて、本日はこれにて打ち切りますが、委員長、この点を御了承願いたいと思います。
  152. 大竹太郎

    ○大竹委員長代理 了承いたしました。  次回は、委員長の指定により、明十九日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後七時二十六分散会      ————◇—————