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1968-12-20 第60回国会 参議院 法務委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年十二月二十日(金曜日)    午前十時四十六分開会     —————————————    委員異動  十二月十一日     辞任         補欠選任      熊谷太三郎君     安井  謙君      青田源太郎君     近藤英一郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         小平 芳平君     理 事                 後藤 義隆君                 宮崎 正雄君                 亀田 得治君                 山田 徹一君     委 員                 上田  稔君                 鬼丸 勝之君                 木島 義夫君                 近藤英一郎君                 林田悠紀夫君                 山本敬三郎君                 占部 秀男君                 山高しげり君                 安田 隆明君    衆議院議員        修正案提出者   大竹 太郎君    国務大臣        法 務 大 臣  西郷吉之助君    政府委員        法務政務次官   小澤 太郎君        法務大臣官房長  辻 辰三郎君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局人事局長   矢崎 憲正君        最高裁判所事務        総局経理局長   岩野  徹君    事務局側        常任委員会専門        員        増本 甲吉君    法制局側        法 制 局 長  今枝 常男君    説明員        法務省人権擁護        局長       上田 明信君     —————————————   本日の会議に付した案件検察及び裁判運営等に関する調査  (人権問題に関する件) ○裁判官報酬等に関する法律等の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○検察官の俸給等に関する法律等の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○継続調査要求に関する件     —————————————
  2. 小平芳平

    委員長小平芳平君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  去る十一日、熊谷太三郎君が委員を辞任され、その補欠として安井謙君が選任されました。     —————————————
  3. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 検察及び裁判運営等に関する調査を議題といたします。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  4. 亀田得治

    亀田得治君 私は、人権問題に関して二つのことをお尋ねいたしたいと思います。  その第一は、茨城県の東海村の原子力研究所関係のことですが、原子力研究所のすぐ横に動力炉・核燃料開発事業団というものが御承知のとおりありますが、その事業団核燃料処理工場というものを新しく設置したいという計画を進めておりますが、これに対して東海村はじめ地元では非常な反対運動が起きておるわけですね。その反対運動というものは、水戸射爆場の近くにこういう施設が現在あること自体が非常に問題になっておるのに、その射爆場の返還問題が片づかない状態でさらにこの再処理工場を設置するということは困るという立場から起きておることです。これに対して県会なりあるいは関係市町村等でいろいろ反対決議等も出ておるわけですが、この東海村の村議会に対して同じように工場設置反対請願が出されておるわけですね。その請願の中に、原子力研究所職員とか家族の者が署名していたと旧いうことが出てまいりまして、そのことが所との間で一つ紛糾を起こしておるようです。  まあ事案はそういうことなんですが、私が調べたところによりますと、この署名は今年の八月末の日曜日の日に行なわれたものです。署名運動をやっておる職員が日曜日を利用して原研の社宅のほうを回ったわけですね。そうして社宅におられる職員家族住民という立場から署名をした、こうなっておるわけです。ところが、このことが研究所のほうにわかりまして、十一月一日に所長は臨時部長会議を開き、そうして理事長訓辞を出す、さらに具体的に、各部長に対して入手した署名簿を渡して、署名した人間を一人一人調べてくれ、そうして各課あるいは室の長の意見をつけて明日中に報告せよ、そうしてまた今後このようなことはしてはならぬ、こういう指示理事長が各部長にしたようであります。その指示に基づいて、結局各課長あるいは室長に当たる人が名簿によって個人個人を尋問した。また、本人が署名していない、家庭の婦人が署名をしているものについては、一日の晩家庭まで出かけていって同じようなことをした、こういうわけなんですね。こういう所のやり方というものは、これは憲法十六条の請願に関する規定、あるいは請願法の第六条の請願をしたことによって不利益なことをされるようなことはないということを保障しておる、それらの規定なり精神に反するじゃないか、こういうことで問題が起きておるわけでありますが、これは単にいま私が説明した原子力研究所の問題としてだけではなく、よくこういう問題というものがいろいろな個所においてあり得るのではないかというふうにも思うわけでして、たまたまこの問題が表に出てきておるわけですが、こういう際にひとつ、請願に関する権利ですね、それを規定した憲法十六条なりあるいは請願法規定というものをもっと明確にしておく必要がある、こういうふうに思うわけです。そういう立場から、まず法制局長の見解、請願法に関する基本的な考え方並びにただいま問題になっておる件についての解釈ですね、まあ問題自身は私がいま申し上げたばかりで、局長自身は実際に本件について事実関係をそれほど深くタッチしておられないかもわかりませんので、あるいはその点については多少ぼけるかと思いますが、基本的な考え方は少なくともはっきりとひとつしてもらいたいと思います。そういう意味で、まず法制局長からひとつお答えを願います。
  5. 今枝常男

    法制局長今枝常男君) お答えいたします。  ただいまお尋ねの問題の中で具体的な案件に対する意見のほうにつきましては、これは先生もおっしゃいましたとおり、十分具体的な問題をつかんでおりませんということもありますし、それからわれわれ法制局立場といたしまして具体的な案件についての法律判断を申し上げることは機関そのもの立場上適当じゃないのじゃなかろうかというふうに考えておりますので、このほうの点については申し上げることを差し控えるべきものであろうと、こう考える次第でございます。  それから、憲法請願に関する規定、あるいは請願法第六条の規定につきましては、これは申し上げるまでもなく、その規定そのものにございますように、請願をいたしますことは国民基本的権利でございますので、これを妨げるということは許されないことであろう、このように考える次第でございます。  ひとまずそれだけを申し上げまして、なおお尋ねに従いましてお答えしたほうがよかろうと存じます。
  6. 亀田得治

    亀田得治君 たとえば、こういうふうな場合はどうなるでしょうか。現在の政府は、安保条約を結んで、そうしてその立場に立って各種の政策を展開しておることは、御存じのとおり。しかし、これに対してはいろいろな考え方があることもごらんのとおりですね。これは国家公務員の皆さんの中にもいろいろあるわけですね。個人考えとしていろいろあるわけです。安保条約がないほうがいいという考えを持っておる人が請願という形で安保条約をやめてくれという請願書署名をして出す。言うてみれば、現在の政府がやっておる政策とその点においては矛盾するわけですわね。しかし、私はそういうことは憲法で認められた請願権の範囲内の問題であると明確に断定できると思うのですが、この点はどうでしょうか。
  7. 今枝常男

    法制局長今枝常男君) ただいまのお尋ねは、公務員についての場合のお尋ねと理解いたします。それで、公務員につきましては公務員法政治活動禁止がございまして、この禁止に該当いたしますれば、これはそういう角度から、何といいますか、それに制約が加わるということはあろうかと存じます。しかし、その政治活動に該当いたしません限りと申しますか、請願そのものは直接には政治活動角度とは違っておりますし、それから現在の政治活動禁止規定を見てまいりましても、積極的な何らかの意味活動、一口に申しますとそういう面からの規制を加えておるだけでございます。したがいまして、一国民立場でみずからの意思国家機関に通ずるという意味において請願をいたしますことは、これは少なくとも現在の政治活動禁止その他公務員に加えられておりまする制約の面から申しますと、直接に該当するというふうに考えることがむずかしいんじゃなかろうかというようなふうに考えております。
  8. 亀田得治

    亀田得治君 私もそういうふうに理解するわけです。そこで、公務員の場合ですらそうだとすれば、いわんやそれ以外の組織というものがたくさんあるわけですが、原子力研究所にしてもその一つですね。そこの所の事業面から見た方針と違ったことを別個立場から、たとえば住民の生活の安全とか、環境という立場とか、いろんな立場から請願、しかもこれが、何もワイワイ騒いで歩くわけじゃない、ちゃんと文書にきちんとした署名をする、こんなことはもう当然憲法で保障されておることだと、これは一般的に断定できると思いますが、念のためにお伺いしておきたいと思います。
  9. 今枝常男

    法制局長今枝常男君) 先生がいまおっしゃいましたように、一般的な考え方として考えてまいりますと、原子力研究所業務の本来の目的から考えて、その目的に、何といいますか、反するような事柄という面で、いまおっしゃいますような請願がそれに該当するだろうかということ、これを直接に判断いたしますことが困難のようには思いますけれども、一般問題としてとらえますならば、そういうことを矛盾しない限り、その請願をすることは、やはり先ほど申しましたと同じように保護されていかなければならない、請願し得る立場というものは保護されていかなければならないものだと、このように考える次第でございます。
  10. 亀田得治

    亀田得治君 ちょっと、いまその中で、そういうことと矛盾しない限りと言われましたね。何か条件がつくような感じがするんですが、それはどういう意味ですか。
  11. 今枝常男

    法制局長今枝常男君) 少し申し上げ方があいまいであったかと存じますが、矛盾しない限りと申しましたことは、ただいま私が考えます限りにおきましては、原子力研究所運営目的という面から見て、設例のような請願がされることがそれ自体として妨げになるようには考えられないと存じましたのでそう申しましたのでございますが、私のこの場合における判断がその点について十分誤りがあるかどうかということについて見きわめがつきませんでしたので、矛盾しない限りというように申し上げたわけでございます。この場で考えます限りは、矛盾しないように考えておるわけでございます。したがいまして、その意味におきまして、この場においての判断を申し上げるということでございますならば、その請願をするということは保護されるべきものだと、このように考える次第でございます。
  12. 亀田得治

    亀田得治君 まあ大体明確だと思いますが、私は、いろんな職場がたくさんある、請願というものは、これはもう国民権利として自由に当局者に対して意思表示をするわけですが、抽象的には矛盾するように思われるものがずいぶんたくさんあると思うんですよ、矛盾するように思われるものが。しかし、その場合であっても、平穏に、静粛に意思表示をしていくわけですから、それは許されるんだと、憲法はそれを保障しているんだと、そうでなきゃ請願権というものはたいした意味をなさぬものになってしまいますよ。それは矛盾することについて意思表示をする。それは行動を許すというならば、これはなかなかちょっと問題があると思います。平穏な請願なんですよ。それも最低限度意思表示なんです。むしろ矛盾することについてでも言えるというところこの請願権のとうとさがあるわけですがね。矛盾しないことばかりだったら、だれも請願する必要ないと、逆にまたなるわけです。だから、これは請願という合法的な形式をとる以上は、全く自由なんだ。あるいは、服務規律なりそんなもので何か矛盾するようなことが書いてあるとしたら、こういう請願との関係じゃない、それ以外のことについてのこれは矛盾衝突、それをどう理解するか、服務規律をもう少し重く見るとか見ぬとか、そういう問題はあり得ても、請願そのものについては、私はもっと割り切った、はっきりとしたやっぱりお答えでなきゃいかぬように思うんですよ。それはあなた行動をとるという問題じゃないのですから、だからはっきりそこをお答えしてください。
  13. 今枝常男

    法制局長今枝常男君) まことにお説のとおりでございまして、私も、請願は国政についての意見国家機関に申し述べるという、そういうことだけにすぎませんので、そういうことが、たとえば何らかの意味においてのいまおっしゃいましたような服務規則というようなものがございましても、そういう意味での請願をすることがそれに抵触するということはまず考えられないように思っております。そういう意味におきましては、これ一般的に断定いたしますと、またいろんな問題を考えてまいりますと、わかりませんけれどもということをどうしても申し上げなければなりません。それは私があらゆる具体的な事例をいま全部頭の中で考えることが必ずしもできるかどうかということについて十分に自信を持ちませんのでそういう留保をつけるのでございますが、いま先生がおっしゃいました限度におきましてはそのとおりであると思います。つまり、請願というのはみずからの意思を表明するだけのことでございますからして、そういうことそれ自身が直ちに矛盾をしておる、抵触して許されることのできないものになってくるということは考えられないように思うわけでございます。そういう意味におきましては、まことにお説のとおりだと存じます。
  14. 亀田得治

    亀田得治君 はっきりいたしてきましたが、そうしますと、この請願をしたからといって、呼びつけて、おまえはなぜそういうことをしたのだ、今後そういうことをしちゃいかぬ、業務命令をもってそのような行動をとるということは、これは私憲法精神を無視してると思うんですね。それはどうでしょう。
  15. 今枝常男

    法制局長今枝常男君) そこにまいりますと、だんだんと具体的事案に対する判断になりますので、私がここでそれをいずれかというような判定的な意味での意味での意見を申し上げることはどうも適当じゃないんじゃなかろうかと存ずる次第でございます。
  16. 亀田得治

    亀田得治君 じゃあ、その請願権についての解釈、理解を相当明確に先ほどからされたわけですが、だから、そういう権利があるわけですから、その権利の行使にじゃまになるような、そういうことをすべきもんじゃないですわね。まあこの問題からちょっとはずしてもらってもいいんです。とにかく請願権は、先ほど説明があったように、平穏に文書意思表示をする、これはもう非常に広く強く是認されておるわけですね。ただよく、そういう請願というものは、時の権力者に反したようなことが書かれる。それでもいい、書くだけのことはもう自由にしておくべきだ。もしそういうことで権力者圧力を加えるようなことがあっちゃいかぬというので、不利益禁止、そのために差別をする、そういうことはいけないというこれは憲法上の規定になっておるわけですわね、御承知のように。その精神からいくならば、まあ、あんな請願をしたらしい、どうも気に食わぬなと腹の中で思っていることは、それはかってだ。それはかってだ。そうしてまた、何かお茶飲み話で、全く個人的なつき合いをしているときに、君あんなものを出したけれども、これはどうも感心しないなと、それはいいと思うのですよ。それもまた自由でしょう、その批判はね。だけれども、業務命令で、署名者を呼びつけて、なぜそういうことをしたとか、そういう追及をするということは、これは私は、先ほど説明からするならば、これは絶対私はいかぬことだと思うのですよ。どうなんです。
  17. 今枝常男

    法制局長今枝常男君) 最初にお答えいたしましたように、請願権を行使することを妨げる、じゃまをするということは、これは憲法精神から申しましても行なうべきことではないということは、そのとおりであると存じます。ただ、どういう行動をしたらそれがじゃましたこと、妨げたことになるかということにつきましては、非常にその判断は微妙なことになると思います。ある請願そのものがいい悪いという意味での行動ではなくて、別個見地から、何らかの、何と申しますか、請願行為に対して、別個見地から何らかの調査あるいはその他のことをした場合に、それが直ちに妨げたことになるということであるかどうかということになりますと、これは簡単に断定することができないのじゃないか。したがって、一般的に申しまして、これを妨げることはいけないけれども、どういう行動をしたときに、それが妨げたとか、じゃまをしたということになるかということは、個別的に判断されるべき問題じゃないかと思うわけでございます。そういう意味におきまして、そうした個別な判断をここでは申し上げることは避くべきものと、このように思う次第でございます。
  18. 亀田得治

    亀田得治君 妨げてはならないと、しかし、どういう行動があった場合に妨げたと解釈するかということは、これはなるほど別個な問題ですね。しかし、これは一般的に聞いているのですが、今後こんな署名をしちゃいけないと、これは妨げたことになるかならないかお聞きしておきましょう。
  19. 今枝常男

    法制局長今枝常男君) その、今後そういうことをしてはならないということがどういう意味から出ているかによりまして、ときに判断の分かれることがあり得るのじゃないかと思うわけでございます。
  20. 亀田得治

    亀田得治君 一般的にはどうですか。
  21. 今枝常男

    法制局長今枝常男君) 一般的な、ただそのこと自身だけをとらえて、今後署名してはいけないということをそれ自身としてだけとらえますれば、ほかの条件を全然はずしましてとらえますれば、これは、じゃまをするといいますか、妨げる行動のほうに入るのだろうかと思います。
  22. 亀田得治

    亀田得治君 それは入りますよ——かと思いますとかいうのじゃないでしょうが、してならないというのは、あなた、妨害にきまっているじゃないですか。これは、もっとあなた、法律家らしくすっきりやってください。  もう一度聞きますがね、理事長訓辞、十一月一日に出ましてね、ごじゃごじゃ書いて、最後に、厳に軽率な行動を慎むよう注意せられたい、これはもう正規の文書で書いているわけです。口頭では、今後しちゃいかぬ、そう言うておるが、文書ではね、いま申し上げたように、厳に軽率な行動を慎むよう注意せられたい、これは公文雷です。これはあなた、職制の長が出される訓辞であるしね、これは請願権に対する大きな圧力と理解するのが普通じゃございませんか。
  23. 今枝常男

    法制局長今枝常男君) これもまた、やや具体的なことを申し上げることにはなりますけれども、これは、原子力研究所の長といたしまして、したがいまして、その職員統括する者といたしまして、統括者としての意見を、あるいは統括者原子力研究所を預かる者としての立場から、統括という意味において職員に対して統括者としての意見を表明したということであることだけは間違いないと存じます。したがいまして、そのような意見を表明したことが、直ちに、請願を妨げた、あるいはこれに圧力を加えたということに断定すべきかどうかということにつきましては、決定的に申し上げることがむずかしいように存じておるわけでございます。
  24. 亀田得治

    亀田得治君 人権局長にお聞きいたしますが、基本的人権、いろいろあるわけですが、請願権というものは、これは非常に現在広くみんなが使っておるものです。これがあることによってずいぶん、私は、国民気持ちはけ場といいますかね、そういうことにもなっておると思うのですね。大事なものですよ、これは。で、そういう立場から考えて、いま私が法制局長との間で質疑をしたわけですが、局長は元裁判官でもありまするしね、これについて、これは請願権侵害だというふうに理解されますかどうか、お尋ねします。
  25. 上田明信

    説明員上田明信君) お答えいたします。  いまお聞きした限度では、長がその部下に対して、そういう請願をしちゃまかりならぬという命令を出すということは、請願権に対する侵害であると私は考えます。もちろん、なんでございます、それが、先ほどからも出ましたように、食堂で、そんなものを出すなよとか、そういう程度のものなら、これは別でございます。が、正式に文書で、各職員に対して、今後一切こういうことに対して請願を出すことまかりならぬという、いわゆる正式命令でございますね、そういうふうに認められるようなものだとすると、請願権をいわゆる妨げているというふうに理解していいのではないかと私は考えております。
  26. 亀田得治

    亀田得治君 人権局長、やっぱり、時の権力におもねらず、裁判官らしい性格を持っておられるから、すっぱりああいうふうにおお答えになっているのだと思います。これは、だれが考えてもそうなんです。えらい圧力がかかったと思うから、問題、紛糾が起きておるのです、紛糾がね。請願権を大事にする立場のほうから見れば、こういうことが前例になったら、結局はこれはもう憲法十六条の規定というものは台なしになる。こういうことで、事は原子力研究所のわずかの人数の問題のようでありますが、非常に重大視しているわけなんです。それで私は、これは基本的人権侵害に関する問題ですから、人権擁護局のほうで実態調査をしてほしいと思います、事実調査を。局長の烱眼で、いやもう説明で大体わかったと言われるような気持ちかもしれませんが、やはり実際を調べていただいて、より事態を明確にしてもらいたい。その上で、法制局長考え方をもう一度私は承りたいと思うんです。あなたのほうは、実態を自分としてはっかんでおらぬから、その点については慎重でありたいという意味のことを言われている。それも一理のあることですから、私は、この際、そういう意味で、実態調査といえば、これは人権擁護局の仕事ですから、その点の実際の事実をつかんで再度御報告を願いたい、こういうふうに要望いたします。どうでしょう。
  27. 上田明信

    説明員上田明信君) 御承知のとおり、私がいま申しましたように、業務命令的に出すのは侵害であると私自身考えますけれども、そういう事実があるかないか、具体的にどういう事実があったかどうかというようなことの調査をもちろん私のほうで、ここでそういう人権侵害があれば、十分に疑うに足る資料というか、御説明がございましたので、さっそく取り調べたいと思います。その上でまたあらためて御報告申し上げます。
  28. 亀田得治

    亀田得治君 そのお調べの際に、つけ加えてお願いしたいんですが、十一月の十五日に、原子力研究所の国産一号炉というところの職場新聞ですね、その新聞の中に核燃料破損問題を何か書いておるんですね。なぜそういうものを書いたかというと、まあ破損が大きいということになると、やっぱり労働条件なり安全性等にも関連してくるわけですね。なるべく破損の少ないほうがいいわけです。その中で、まあ何か日立古河製品が入っている。日立のほうはどうも古河のものより故障が多いというふうなことが、そういう意味のことがあるんだそうです。何かそのことが秘密漏洩だというようなことでえらく追求されているらしいんですね。私は、その製品のこまかい性能とか何とかいろんなことを書いておるというなら別ですが、そんな程度のことを追求するのは酷じゃないか。しかも、そんな程度のことは所員もみんな知っているし、しかもこれは内部の職場新聞ですがね。労働条件にも関連するから、そのついでに書いているんでしょう。おそらく、署名問題でずいぶん組合と当局とが対立して、まだ未解決なんですね。所のほうはいやおれそんな権利侵害をしておらぬと言うし、組合のほうはいや請願権侵害になる。そんなあやまる必要ないということで、対立したままになっている。それに対するまあ追い打ちのような感じがするわけですがね。原研にはそのほかに、学術会議で問題になったりして、いろいろ問題があるようです。必要以上の赤呼ばわりしたり、そんなことでいろいろありますが、まああれもこれもということにもまいりませんから、追加して出てきておる。いま申し上げた職場新聞の問題ですね。それにつきましても、ひとつ調査を願いたいと思うんです。なるほどそれはほんとうの意味の秘密であれば漏らしちゃいかぬ、それは私も同意します。ところがあなた、署名問題なんか、追い打ちのようなかっこうでの何か言いがかりをつけておるようなそういうやり方、これはまた言論の自由に反する問題にもなるわけでしてね、同時にひとつあわせて調べてもらいたいと思います。要請しておきます。よろしいですな。
  29. 上田明信

    説明員上田明信君) 承知いたしました。
  30. 後藤義隆

    ○後藤義隆君 ちょっといまのに関連して。人権擁護局長にちょっとお聞きしますがね。憲法の十六条のこの請願は、もちろん保障されておることだから、一般公務員が自分自身でもできることが原則だと思いますがね。これが自分がやらずに——自分自身もやろうが、あるいはその請願はほかの人の署名などをとったりして、ほかの人をずっとやらせる行為は、差しつかえないんですか、どうですか。自分自身はここで保護されておるが、それが自分自身でなしに、ほかの人に、これに署名しろというようなことをずっとやって署名をとったりなんかして、ほかの人を請願させることは、差しつかえないのですか、どうですか。
  31. 上田明信

    説明員上田明信君) お答えいたします。これが、先ほどからも出ましたように、自分自身請願権はもちろん保護されております。その請願権の形をとって、いわゆる政治活動になるかならぬかは、これから検討しなければならぬのですけれども、かりに政治活動をする——形は請願権の保護を理由に、別なほかの人を勧誘することによって一つの大きな何かの政治活動をするというようにかりに判定される場合には、これは国家公務員法の問題に触れてきますんじゃないかという気がいたします。
  32. 亀田得治

    亀田得治君 ただ、いま東海で問題になっているのは、ほかからずっと署名簿が回ってきて、そうしてみんなが家庭で書いた、そういう事案ですから、いま後藤君が質問になったのとは事案が違うのですが、それはお調べ願ったらわかりますが、ただ後藤議員から御指摘になったような場合でも、基本的にはこれは請願権というのは個々人にあるわけですからね。それが、勧誘して歩く行為が量がふえる、そういうことによってこれが政治的行為ということになると、そういう理解のしかたをしますと、実際に合わないことになるんですね。請願権を非常に制約することになる。これはだれかが、熱心な人いろいろおってね、そういうものが伴うのです。そっちのほうを何か、一人一人の自発的な行為が、これはいかぬ、ちょっとこれはよほど慎重に検討しなければならぬと思うのですね。
  33. 上田明信

    説明員上田明信君) 私ただいま申し上げましたのは、それが政治活動になるとは申し上げないのでありますが、それが政治活動になるかどうかはもう少し時間をかしていただいて、これは一つは内容にもよると思います。どういうふうなことで政治活動になるかならぬかというのは、これは一つの価値判断だと思うのです。だから、事実調査を、調べてみて、そういう請願権を仲間を呼び集めるということが、皆さんの請願権を行使してくださいということ自体が、一体政治活動に該当するのかしないのか、これは個々の場合によって違うんじゃないかというふうに考えまして、先ほど申しましたように、もしそれが政治活動になるならばと、こう申し上げたわけであります。
  34. 亀田得治

    亀田得治君 それじゃあ次に、前に八月八日に一度人権擁護局長にお尋ねした件ですが、それについて再度もう少し詳しくお尋ねをしたいと思うんです。まあ八月八日は突然であって、局長のほうでも、十分調べておく、こういうふうに最終的にはお答え願っているわけですが、その後の推移などともにらみ合わせて、若干この際ひとつお尋ねをしておきたいと思います。  これは、例の上野初枝という女性と中吉という男性との間の男女間のもつれということが基本にあるわけですが、その中吉のきょうだいに当たる泉好枝と、それから上野から頼まれて上野のためにいろいろ奔走しておる川上という人との間の紛糾の問題です。それで、本件が大阪法務局に持ち込まれたのは、六月十二日に上野と川上が法務局の大橋係官に会ったそのときではなく、もっと早い時期に上野初枝が大阪法務局のほうに問題を持ち込んでいたということが真相のようでありますが、その点はどういうふうになっておるでしょうか。
  35. 上田明信

    説明員上田明信君) 本件では、まず泉好枝から大阪法務局へ申告がございまして、そのあとで川上という人の申告があったと、順序はそうなっております。
  36. 亀田得治

    亀田得治君 で、泉好枝が大阪法務局に最初に持ち込んだのはいつごろでしょう。それから、口頭で申し込んだのか、その段階で書類を出して申し込んだのか、どうなっていますか。
  37. 上田明信

    説明員上田明信君) そこまでは、口頭であったか書面であったかはつまびらかにいたしませんが、大体人権擁護局では口頭が非常に多うございますから、たぶん口頭じゃなかろうかと想像はいたします。そこは正確には調査いたしておりません。私自身は、たぶん口頭であったのであろうと考えております。
  38. 亀田得治

    亀田得治君 時期は。
  39. 上田明信

    説明員上田明信君) その時期も正確には報告を受けておりませんが、数日前ではなかったかと思うのであります。職員が皆よく覚えていて、泉好枝から聞いた職員が、同じ人間が川上という人から聞くのはよろしくないと、かえって公平を害すると言って人をかえているぐらいでおりますから、期間が非常に短かったのであろうというふうに考えております。そこの調査はまだいささか不行き届きの点がありますが、非常に短かったのだろうと私は考えております。
  40. 亀田得治

    亀田得治君 私のほうへの報告では、四月中ごろ、大阪法務局の向という係官がいらっしゃるそうですね、その方に会っておるようですが、そういうことははっきりしておりませんか。
  41. 上田明信

    説明員上田明信君) さようでございます。四月九日に泉好枝が参りまして、応接者は向英洋という事務官であります。そして、この同じ人であっては困るというので、川上さんが見えたときには大橋が応待した、こういうようなかっこうになっております。
  42. 亀田得治

    亀田得治君 いや、まあ同じ人では困るからというようなことを盛んに言いわけされるのだが、それはまあちょっとあとにまた触れることにしまして、ところで、六月十二日に大橋係官のところへ川上並びに泉が行って、そうして調査というか、話し合ったことになるわけですが、この泉からはすでに話を聞いておるのであれば、今度は川上からよく話を聞くと、普通ならば泉と別な場所に待たしておいて、そして一応川上の言い分をよく聞く、これが普通なんですが、なぜそういうことをしないで、この川上が何かしゃべると、それに対して十分聞きもしないでぽんぽんぼんぼん荒っぽいことばではね返すというふうなことを一体したのか、ここがまあ問題なんです。それで川上としては、法務局並びに上野が事前に会っていることは知らない。全然知らないから、あっけにとられたわけなんですね。初めて話を聞くのに何でおれのほうに対してぽんぽんぽんぽんそんなに当たるのだろうか。で、六月の十二日の件について非常におこって、川上から六月十八日に大橋係官の弾劾上申書を大阪法務局長あてに出しているのですね。その上申書ごらんになりましたか。
  43. 上田明信

    説明員上田明信君) 上申書出ております。
  44. 亀田得治

    亀田得治君 上申書の一番初めを見てください。「昭和四十三年六月十二日午后一時半、被害者上野初枝の人権問題を相談するために加害者の妹泉好枝を伴って「人権相談室」に出頭した際」云々、こう書いてあるわけですね。川上としては、自分が連れて一緒に行ったつもりでおるのですね。といいますのは、十日の日にこういういきさつがあったんです。十日の日に上野初枝の妹が泉好枝に電話をしたんですね、自分の姉が非常に苦しんでおるがどういうふうにしてくれるか。そしたらまあけんもほろろのあいさつが泉から返ってきた。それでそのことを川上に伝えたわけですね、妹がすぐまた電話で川上に。川上も非常に憤慨して、すぐ泉のほうにまた電話をしたわけですね。その電話の中で泉のほうから、それじゃ裁判所のほうへ行きましょうかとか、そういうふうなことが出てきたらしいんです。それで川上のほうでは、それじゃそれは神戸かというようなことを言うたところが、いやそれは大阪の府庁の裏にもあるんだというふうなことを言われたらしい。知っとるわけですよね、上野初枝のほうは。しかし、まあその辺がなかなかりこうな人なんでしょうな。とことんまで言わないわけだ、気づかれぬように。で、川上はまあああいうさっぱりした男だから、それはどこでも行こう。それで自分が今度電話を切って、大阪府庁に電話をしているんです。何か府庁の裏に人権を相談するところがあるらしいな、まあ何でも府庁に聞きやわかると思って。そしたら府庁のほうで、裏の法務局のほうに相談室がありますと教えてくれた。それで川上はさらに泉に電話をして、いま府庁で聞いたら府庁の裏のこうこうこういうところにある、だからそこへ行きましょう。だから、泉の思うように、話しぐあいでこう乗せられておるかっこうですね、あとからずっと経過を調べると。詳しい記録も私のところへこまかい字でこれだけ来ておるんです、これだけ。だから、大橋係官あるいは向は、これは相談しているわけですよ、ちゃんと。人をかえたほうがいいなんてていさいのいいこと言うけれども、それは相談している。そうして、連れてこい、おれのほうでひとつしかりつけてやるというようなことをやったに違いないんです、この事件は。私はもうこまかくこいつは調べた。もうそういうふうに断定していいぐらいに思うんです。それで、そのことをまあ川上としては知らぬわけですね。知らぬものですから、何で初めて会うた人に、こちらの話もそんなに聞かぬうちにぼんぼん乱暴なことを言うんだろう。それで非常に憤慨して、この弾効上申書というものを六月十八日に出したわけなんです。で、私もその段階で川上から話を聞いたんです。  そういうわけでして、そこの点をひとつ解明してもらいませんと、何か法務局が、人権を守る立場の法務局が、そんな自分の権力をかさに着て、個人的な疑いを持たれるようなことをするということは、これはもうはなはだ遺憾だと思うんです。で、そのことを八月二十二日まで知らなかったんですよ、川上は。八月二十二日に、私もだいぶなだめまして、そして局長のほうも、いやどうも担当官がもう少していねいに聞いてやりゃよかったと思うというので遺憾の意も表しておるし、まあひとつ人間にはだれでもあやまちはあるんだから反省すりゃいいんじゃないかというので、川上をだいぶいさめまして、そのつもりで八月二十二日大阪法務局の局長室に行って、まあ局長もなだめのことばを言うし、川上も局長のほうがそういうふうにおっしゃるならということでおさまりかけたのですよ。ところで、そのときに、まあ関連していろいろな話が出たのです。その中で初めて、泉のほうが六月十二日以前に法務局に来ていたということがわかってきたのです。それで川上が初めて、なるほどそれでわかったと、初対面の人にあんなに乱暴なことを言うたいきさつが初めてわかったというので、おさめるつもりで行ったのが、非常に激高しているわけですね、けしからぬというので。だから、ぜひ、その四月から六月十二日までどんなことを一体やっていたのか、これは厳重に私は調べてほしいと思う。
  45. 上田明信

    説明員上田明信君) お話承りましてよくわかりました。私のほうへの報告は、ただ前に泉から聞いておった、泉のほうは自分が来たことは言うてくれるなということを係官に言ったそうです、そしてそういうふうないきさつがあったので、人をかえる、同じ人であるとまた問題が起っちゃいかぬから、人をかえると言って、最初の向をかえて、係長の大橋が川上さんに当たる、こういうふうなことをやった、それだけの報告しかございません。なお、いまお話を聞きますと、そういう問題があるとすれば、もう一度この点を特に重点といたしまして調査いたしたいと思います。
  46. 亀田得治

    亀田得治君 それからもう一点は、金沢の法務局へ大阪の法務局から嘱託調査をやっているわけですね。その日時なり結果等、どういうふうに処理されているのか、わかりましたらひとつお知らせ願いたいと思います。
  47. 上田明信

    説明員上田明信君) これは嘱託書は参っております。これは昭和四十三年七月二十七日付大阪法務局人権擁護部長から金沢地方法務局長あてに調査嘱託書を出しております。一応これは被害者の泉好枝——泉好枝を一応被害者と、そのほうの事件になると思うのですが、つまり泉好技が自分の権利侵害されたという申告に対するもので、その相手方になるのは川上と上野初技と、こういうふうになっておりまして、その調査結果はまだ私どものほうに参っておりません。出したというその嘱託書の写しだけが参っておりまして、その結果一体どうなのかというようなことはまだ私のほうではわかりませんが、なお督促いたしまして結果があれば直ちに報告するように大阪法務局に連絡いたします。
  48. 亀田得治

    亀田得治君 泉好技の人権侵犯事件というのは、何かその段階であらためて文書が出たのじゃありませんか。
  49. 上田明信

    説明員上田明信君) その点はちょっと私のほうではわかりませんですが、もし必要なら取り調べます。
  50. 亀田得治

    亀田得治君 どうもふに落ちないのですね。四月中旬ごろにすでに実質的には同じことを申請しておるわけですね。七月になってそういうことがやられたといういきさつですね、これが明確じゃないのです。だから、泉が審判事件を審理するのに、上野初枝、川上と、こういうのを相手にして調べているわけですが、何かその書類がないと困るというので、その段階で新たに書類を出したようにも想像される節があるんですがね。
  51. 上田明信

    説明員上田明信君) どうも私の報告書を見れば、六月の十二日に泉好枝、川上卓男御両人が見えて、そうして七月に出しておる。なぜ出出したのか、こう言われますと、ちょっとよくわからないのでありますが、この日に話し合いがつけば、おそらく両方の事件もそれで終わったと思うんでありますが、この日に、まあ先生の御尽力にかかわらず、必ずしもうまくいかなかった。そういう結果で、法務局といたしましては、事件はほっておくわけにいかぬから、しょうがないから——しょうがないというと申しわけないのですが、うまくいく予定のやつがうまくいかなかったものだから、この事件としては調査しなければならぬ。調べたら、泉好枝は金沢にいるというふうに言って嘱託したんじゃないかというんで——これは私の想像でありますが、なおまた、そういういきさつが必要でありましたら調査いたしますが、私自身はこの日時の順序を見ますと、ただ事件をこのままほっておくわけにいかぬというので、なお詳しく泉好枝に聞くと、そうすると泉好枝に聞くということは、同時に今度は川上側のほうに対する資料というものが両方共通することにもなるわけでありますので、一応泉好枝の調査書を嘱託したんだろうというふうに想像はしております。
  52. 亀田得治

    亀田得治君 川上のほうから申し立てておるのは、やはりちゃんと別件ということで、事件として立ててあるのでしょか、法務局の扱いは。
  53. 上田明信

    説明員上田明信君) われわれといたしましては、両方とも立件してあるものと考えております。しかし、そうあるべきはずなんでありますが、あるべきはずがないかどうか、これはなお調査したいと思います。それで、利害が相反する泉好枝の事件が立ててある以上、川上のほうからもいろんなことを言ってきている以上、立件してないはずはないというふうに考え、立件したとかせぬというようなことは報告書にはありませんけれども、私は当然立件しているものと考えております。
  54. 亀田得治

    亀田得治君 当然私も立件されておると思うんですが、六月十二日に川上が行ってその趣旨をしゃべっているわけですから。ところが、この嘱託された書類を上野初枝が金沢の法務局で見たようです。
  55. 上田明信

    説明員上田明信君) 何でございますか。
  56. 亀田得治

    亀田得治君 嘱託された書類を。嘱託書類を大阪から金沢に送った。そうすると、自分のほうの言っておるのは事件に立てないような感じを持って帰ってきているんですね。そういう法律的なことは本人はわかりませんが、私がずっと記録を見ると、どうもそう感ずる。それで金沢法務局において、泉から訴えられたのであなたに来てもらったんだと、こういう説明らしんんです。だから、そういうことについても非常に憤慨しているんです。だから、その点もひとつ具体的に詳細に調べてください。
  57. 上田明信

    説明員上田明信君) 承知いたしました。
  58. 亀田得治

    亀田得治君 それらの点が明らかになれば、いかに偏見を持って、とらわれた立場で問題を処理しようとしたかということは、これは私は公平な第三者が見れば大体納得いくと思っているんです。で、なるほど泉からは、自分が来たことを言うてはくれるなというふうなことを法務局に言うとったかもしれんが、それは私はあとからつけたやはり理屈だと思うのですよ。事件を処理するのに、そんな両方聞くのはあたりまえなんです。そんなことを一々隠す必要は何もない。しかし、この点は別として、なぜ一体、川上のほうのは事件にすらかけない、事件にすら。それじゃ初めからそんなものは問題にならぬ。もう偏見で考えているのですね。だから、これは二つの点が特に重要なんですから、事実を詳細に把握された上で、ひとつ局長考えを私は聞きたい。  それからもう一つは、こういうやりとりがあるのです。これは金沢の記録を局長がお調べになるとわかるのですが、金沢では父親と上野初枝と両方が調べを受けております。その中で係官は、父親に対しても、上野初枝に対しても、あなたは川上にこの始末を頼んでおるのかということを何べんも聞くのです。頼まれぬでこんなめんどうなことをだれが奔走するものですか。非常に忙しい人で、川上は自分で会社をやって、ほんとうにこれは気の毒だと思って走り回っているので、そう  いうことを根掘り葉掘り聞いているのですよ。その言い方が少しまずかった。川上は人にも頼まれもしないのに出過ぎている——脅迫、恐喝、そういうところに結びつけたい魂胆がありありと出ているのじゃないか。決して二つの事件について公平に聞くという態度じゃありませんよ、これは。  それからもう一つは、まだ大阪法務局へ泉と川上が行くそれ以前に、泉と川上が電話でやりとりをしたことがあるのですね、六月十二日以前に。そのときに泉が川上に対して何べんも、あなた幾らほしいのかということを聞いたのだそうです。それはあなた、自分の金を持ち出してでも、こんな問題はほっておけないといったような男ですから、金のことは問題にしておらぬ。だから、問題にしておらぬから、金のことなんかこちらは取れないと——しつこくそれを聞いたそうです。それで川上は非常におこっておる。そういうことを思い出して、なるほど、ああいうことを聞いたのは、法務局が入れ知恵したに違いない。相手に金額を言わしたら、そうしたらこれは恐喝と結びついてくるというような入れ知恵を私はしておったと見ていいと思うのです。だから、こういうことが局長部長の知らぬうちにいろいろとやられているとすると、人権擁護局というのはたいへんな局になりますよ。だから、そういう点もひとつ、金沢のことは録音をとっているようですから、金沢のその調べでは録音を速記にしたようですからね、それはもう持っておると思うんです。  それから、第一、金の点は、これは泉と川上とのやりとりですから、これは局長のほうで調べるとしても、ちょっとむずかしいかもしれぬですけれども、そういうことですね。
  59. 上田明信

    説明員上田明信君) いろいろお聞きいたしました結果、やはりこの報告だけでは不十分と思われますので、一応記録を全部取り寄せまして、その上で適当な措置をとりたいというふうに考えております。私のほうに全部の記録が参っておりませんので、一応全記録を読まないとどうも何とも判定しかねる。仰せのとおりであれば、私のほうの職員に至らぬところがあったというふうに私も考えます。しかし、職員としても、また言い分もありましょうから、十分言うべきことは言わして、その上で私のほうで判定いたしたいと。もし私のほうの職員の至らぬところがあれば、今後こういうことのないように十分注意するつもりであります。
  60. 亀田得治

    亀田得治君 最後にしますが、ともかく、下から間接的な報告書だけじゃなしに、一件書類全部局長がいまごらんになるとおしゃるから、その上でひとつ最終的な御判断をお聞きしますが、ともかく、川上も非常におこりましてね、そういうまた願い書を私のところへ送ってきているのです。参考までにちょっと一部読んでおきますかね。「八月二十二日、大阪法務局長室にて田村課長の白状を耳にするに及び」、という、まあ「白状」というのは、実は事前に局の者が泉と会うていたと、そのことですね、けしからぬと思っているからまあ「白状」ということばを使ったわけでしょう、「白状」を耳にするに及び、新たにその不埒さに対する怒りと、再び、法務局のあり方に国民として忿懣と疑惑を抱くのであります。」、「人の相談はどっちも聞いて判断するものです。片手落です。」、法務官として失格です。「事前に泉と相談したなら当然云うべきだ。差別したらあかん。平等であるべきや。」、「そんな法務官やったら、皆怒るのは無理はない。私も朝から晩まで思い出すたびに、腹が立ってしょうない。」、まあいろんなことを長々書いておりましてね、最後に、「上田局長の云う「国民に親切をモットー」から、およそほど遠いことが、平然とまかり通っている」、まあえらいふんまんをぶちまけて手紙よこしておりますが、ぜひひとつ慎重に御検討願っておきます。
  61. 上田明信

    説明員上田明信君) 承知いたしました。
  62. 小平芳平

    委員長小平芳平君) ほかに御発言もなければ、本件につきましては、本日はこの程度にとどめます。午後三時まで休憩いたします。    午後零時三分休憩      —————・—————    午後三時十一分開会
  63. 小平芳平

    委員長小平芳平君) ただいまから委員会を再開いたします。  この際、西郷法務大臣及び小澤政務次官から発言を求められております。これを許します。西郷法務大臣。
  64. 西郷吉之助

    ○国務大臣(西郷吉之助君) 一言ごあいさつ申し上げます。  先般の内閣改造によりまして、不肖私、法務大臣に就任いたしたのでございますが、もとより、まことに省みまして微力非才でございます。しかし、お引き受けいたしました以上、法務行政の運営に全力をあげてまいりたいと思いますが、どうか委員長はじめ各委員の御指導、御鞭撻のほどを心からお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。(拍手)
  65. 小澤太郎

    政府委員(小澤太郎君) このたび、私、法務政務次官を命ぜられまして、西郷法務大臣の補佐に当たることになったわけでございます。  ただいま大臣からお話し申し上げました御所信に従いまして、大臣の指導のもとに、全力をささげて働きたいと思います。御指導、御協力をお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。(拍手)     —————————————
  66. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 裁判官報酬等に関する法律等の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律等の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。  まず、政府から提案理由の説明を聴取いたします。西郷法務大臣。
  67. 西郷吉之助

    ○国務大臣(西郷吉之助君) 裁判官報酬等に関する法律等の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を便宜一括して御説明申し上げます。  政府は、人事院勧告の趣旨にかんがみ、一般の政府職員の給与を改善する必要を認め、今国会に一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案を提出いたしましたことは、御承知のとおりでございます。そこで、裁判官及び検察官につきましても、一般の政府職員の例に準じて、その給与を改善する措置を講ずるため、この両法律案を提出した次第でございまして、以下簡単に改正の内容を御説明いたします。  東京高等裁判所長官以外の高等裁判所長官の報酬並びに次長検事及び検事長の俸給につきまして、これに対応する特別職の職員の給与に関する法律の適用を受ける職員の俸給の増額に準じ、また、判事、判事補及び簡易裁判所判事の報酬並びに検事及び副検事の俸給につきまして、これに対応する一般職の職員の給与に関する法律の適用を受ける職員の俸給の増額に準じまして、いずれも、これを増額することといたしております。  なお、今回の改定に伴い、前回の改正法においてとられました暫定手当の報酬または俸給の月額への繰り入れの措置を引き続き行なうため、その附則の規定につきまして、所要の改正を加えることとしております。  以上の改正は、一般の政府職員の場合と同様、昭和四十三年八月一日にさかのぼって適用することとしております。  以上が裁判官報酬等に関する法律等の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律等の一部を改正する法律案の改正の趣旨でございます。  何とぞ、慎重に御審議をいただきまして、御可決あらんことをお願いする次第であります。  なお、衆議院におきまして、この両法律案の改正規定の適用期日が、昭和四十三年八月一日から昭和四十三年七月一日に修正されております。
  68. 小平芳平

    委員長小平芳平君) この際、両案に対する衆議院における修正点について、修正案提出者衆議院議員大竹太郎君より説明を聴取いたします。大竹君。
  69. 大竹太郎

    衆議院議員(大竹太郎君) 裁判官報酬等に関する法律等の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律等の一部を改正する法律案に対する衆議院の修正部分について御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたしたいと思います。
  70. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 以上で説明は終了いたしました。  これより質疑に入ります。  両案に対し御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  71. 亀田得治

    亀田得治君 最初に最高裁のほうに若干お聞きしますが、民間の給与などに比べて、裁判所につとめておられる方々の給与は、私は相当低いと、こういうふうに感じておるわけですが、どういうふうに裁判所当局は理解をしておられますか。
  72. 矢崎憲正

    最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) 裁判所といたしましては、全体の職員の給与の改善のために、一そう御指摘のとおり努力しなければならぬということは、重々痛感しているわけでございます。
  73. 亀田得治

    亀田得治君 その、改善のために努力しなければならぬというその前にですね、まあこまかい数字は別にして、大まかに見て、生活状態なりいろいろな点を見て、これは低い、気の毒だ、ことに下級の職員ですね、そういう感じを持っておるかどうか。努力すると言っても、やはり根拠がなければ熱意も出てこないだろうと思うので、どうですか。
  74. 矢崎憲正

    最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) これは職員組合の団体交渉の席上でもたびたび出てまいる事柄でございまして、組合の皆さんにも十分そういう点については私どものほうに資料も出していただきたいということもお話ししているわけでございますが、ただ一般の会社とそれから裁判職員の給与との比較ということになりますと、なかなかそのデータがむずかしゅうございます。ただ、行政職に属しますところの政府の一般職員裁判所の職員を対比いたしまして、これは裁判職員政府の一般職員より給与は決して低くないということだけは申し上げることができると思います。
  75. 亀田得治

    亀田得治君 政府の一般職員の問題はこっちの内閣委員会でやっているわけで、いまそういうものを言っているわけじゃない。基本的に、客観的に見てどうも気の毒だ、そういう感じを持っておるかどうかだ。といいますのは、毎年予算編成時期等になると、私たちいろいろな手紙を受け取るわけですよ、職員の方から。決して、物価との比較とか、あるいはどこそこの給料との比較とか、そんな理論的なことを書いているわけじゃない。自分の生活の実態というものをるる訴えてくるわけですね。たとえば、一例を申し上げますと、「私たち書記官が最近高度の法律知識を要求され、部署によっては裁判所にかわって決定などの裁判を実質的に強要され、大部分の職員は大学法科を出て二十年近く薄給に耐えながら経験を積んできました。にもかかわらず、給料は五万円そこそこで」——大学出て二十年たって五万円——「住宅をつくる資金を借りた関係もあって、毎月四万円そこそこで、親子四人が、衣料費にもこと欠きながら、生活苦のため、けんかの絶え間がありません。どうか実情を国会で論議していただいて、最低限度の文化生活費まで賃上げするか、」云々というふうなことが書かれておるわけです。数字を比較したり、そんなことじゃなしに、まあ二十年近くもつとめて——これは家族の方も一緒に四名連名で署名もしてきておりますが、これは何といっても、たいへん苦しいだろうと思うんですよ。何か、住宅のための資金を借りた関係があるのでしょう。五万円もらうけれども、一万円はそれにどうも引かれておるようですね。毎月四万円。まあこういうふうな事例がたくさん書かれてくるわけですね。こういうのがありますね、私は八年間つとめて手取り二万七千円ほどにしかならない。とにかく民間ではそんなことじゃとても人がとどまりませんね。裁判職員にもなかなか採用難だというようなことも若干聞くのでありますが、相当やはりそういうことが影響しておるのじゃないかと思いますが、ほかとの比較じゃなしに、ともかくこの手取りを見て、現在の状態では非常にこれは苦労しておるなということの感じを最高裁当局が持っていてくれなければ私はいかぬと思うのです。端的にその点どういうふうに見ておるか。
  76. 矢崎憲正

    最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) これは全くおっしゃるとおりで、一般の職員の方々非常に生活そのものが苦しい。特に、子供のないうちはまだいいのですけれども、子供がだんだん大きくなってくる、そうして学校に入る、そうして子供の数がふえて、上級の大学に入る、上級の大学も国立の大学でなくて私学であるというようなことになってまいりますと、これはもう生活が非常に苦しい。これは重々わかっておるわけでございまして、これは一般の職員の方々で二十年で住宅の資金を借りて住宅を建てられるというのは、非常にこれはごりっぱな方で、裁判官で二十年で住宅を建てることのできるというような人は、まず裁判所にはないのじゃないかと思うのです。非常にりっぱな方でございますが、として、であるからといって、私は決してこれは十分な給与をもらっておるということを申し上げておるのではなくて、非常に苦しい。一般の職員の方も非常に苦しいけれども、やはり特に私学の大学に入れなければならないようなお子さんを持った親は、これは、一般の職員裁判官を通じまして生活は非常に苦しいということは、御指摘のとおり、申し上げることができるのじゃないかと思うわけでございます。
  77. 亀田得治

    亀田得治君 まあ最近は、最高裁とか一番上級のほうは相当上がっておるわけですね。しかし、物価高に脅かされる下級の職員の上がり方というのは、これはわずかでして、なかなかたいへんな実態。だから、それを踏まえて、ひとつ今後とも努力してもらわないといかぬと思うのですね。まあ公務員は全部そうですが、なかんずく裁判所の諸君は、給料以外の収入というようなことが、これは考えられぬわけですよ。ほかの公務員があるという意味じゃないが、多少何か違う点があるか——まあ変なことをすれば、それはもちろんいけませんが、まあ普通の常識からいっても、多少違うところがある。かだら、そういう点も給料の少ない階層にとってはやはり相当大きな意味を持っておるわけで、責任だけは非常に重いわけですね、しかも中身は非常に少ない。裁判所でせんだっても汚職事件が起きましたね。そういう汚職事件を弁護するわけじゃないのですけれども、やはり待遇上の欠陥はあるのじゃないか。時間もないからその汚職事件のことをいまそう追及もできませんけれども、そういう生活との関連ということをあの事件を通じて検討されたでしょうか。もしされておるようでしたら、どういう点を自分らとしてはこれは問題だと思うというふうにお感じになったか、参考までに聞かしてほしいわけです。
  78. 矢崎憲正

    最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) 汚職との関連において当該の職員の生活との関係での結びつきというものは、残念ながら十分検討はいたしておりませんが、しかしながら、ただいま委員から御指摘のとおり、十分われわれとしては努力して、そして困難な生活状況の改善に一生懸命にならなければならないということは、重ね重ね自覚いたしておるつもりでございます。
  79. 亀田得治

    亀田得治君 この提案理由ですがね、結局「一般の政府職員の例に準じて」と書いてあるわけですね。そっちが上がったからこっちも上げるんだと、こんな言い方なんですね。それはちょっとこう納得がいかぬですわね。だから、裁判職員なり検察関係職員は一般行政官とは、特に規律等の面においてもこれは厳正を要求されておるわけでね。そういう点のどうも自覚が責任者自身に少し抜けている点があるんじゃないか。そうでなければ、提案理由にしてもだ、もう少しこう書き方があると思うんですね。何か初めのほうを読んでおると、国家公務員の一般の提案理由かなと思うようなことで、肝心のこちらのほうの部分は「に準じて」と簡単に書いてあるだけなんですね。だから、そういう考え方が私はよくないと思うんですよ。まあこれでも意味はわかりますけれどもね、言わんとしているところは。だけど、例年こういうふうな書き方になっているようですけれども、こんな「準じて」というようなことを——向こうが上がったってこっちが上げる理由がなかったら上げなくたっていいんだし、向こうが二上がったって、いやこっちは三でなければいかぬという理由があれば、堂々とそのことが反映するような書き方にすべきなんだしね。裁判官なり司法関係職員についての特殊な給与体系ということを主張しながら、こういう惰性的なことをいつまでもやるということは、これはちょっと気に合わぬですね、こういう書き方は。来年からこれは改めてくれますか。まあ読まれたのは法務大臣ですが、これはやっぱり独自の立場に立った提案というものでなければ私はいかぬと思うんです。だから、もしこのとおりでいけば、一般国家公務員のベースアップがこれでいいかどうか、それをここで審議しなければならぬことになるんですよ。いやそれにただ準じておるだけなんだと、こっちはね、そういう意味なんだから。ことばじりつかまえるようでちょっとおかしいですけれども、どうなんです。
  80. 辻辰三郎

    政府委員(辻辰三郎君) 裁判官検察官の報酬または俸給につきましては、その職務の特殊性、責任の特殊性ということから、独自の給与体系を樹立すべきであるということにつきましては、御案内のとおり、臨時司法制度調査会の答申にも出ておるわけでございます。また、その線につきまして検討をいたしておるわけでございますが、同時に、臨時司法制度調査会の答申におきまして、さような根本的な独自の給与体系が樹立されるまでの間は、現在の判検事の俸給のシステムの範囲内において、この裁判官報酬表に掲げております対応金額スライド制、一般職のほうが上がればそれに対応してアップしていくというこの方式のもとでいろんな改革をしていけというような御答申も出ておるわけでございまして、今回の改正におきましては、そのあとのほうの立場をとりまして、今回一般職のほうがベースアップされるということでございますので、この十条に基づきまして、今回はこの対応金額スライド制のもとにおいての増額をお願いする、これは今回の改正においては、これ自体として裁判官または検察官の報酬または俸給として適当である、こういう考え方から出ておるわけでございまして、この提案理由書も、ただいま御指摘のように、単に準じておって、そこに特殊性がないじゃないかという御指摘がございますけれども、この提案理由書の趣旨とするところは、内容は準じておりますけれども、現時点においてはこれが判検事の報酬または俸給として適当なものであるという考え方のもとに提案をされたものと考えておる次第でございます。
  81. 亀田得治

    亀田得治君 それは、現在の制度はそういうふうになっておるから、済んでしまったあとはそういう説明でいけるわけですよ。だけれども、出発点が、裁判官なり、検察官なり、司法関係の一般の職員なり、そういう諸君の独自の主張というものを一体大蔵大臣に出したかどうか。出しておらぬでしょう。一般公務員のあれを横から見ておるだけでしょう。大臣、どうなんです。
  82. 西郷吉之助

    ○国務大臣(西郷吉之助君) 亀田委員お尋ねでございますが、おっしゃる点はよくわかりますけれども、いま官房長が説明いたしましたとおり、いま大いに検討を加えておりまして、それができ上がれば、亀田委員のおっしゃるように、独立したりっぱな体系ができると思いますけれども、いままだその草案の作成中でございますので、おっしゃるとおり形態としてはやはり不十分だと思います。表現も「準じて」ということでございますから、あまりはっきとしない。やはり行く行くは裁判官検察官の給与体系というものを独自のものをつくる、いま目下努力中でございます。御了承願いたいと思います。
  83. 亀田得治

    亀田得治君 検察庁よりも最高裁のほうが私はもっとその点で特色を発揮しなければならぬと思うのですが、最高裁として、このベースアップについて独自の要求というものを今度の機会に大蔵省なり内閣に対してしたかどうかね。したかどうか、理屈はいいです。それだけちょっとおっしゃってください。
  84. 矢崎憲正

    最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) いたしておりません。
  85. 亀田得治

    亀田得治君 だから、私はその姿勢を言っているのですよ、姿勢を。結果においては、制度上まあ準じてやられるということになるかもしれぬがね。それじゃ私はやはりいかぬと思うのですよね。まあどういうふうに主張するかはなかなかむずかしい点があろうかと思いますが、やはりそれくらいの苦労をしてくれなければね。非常に薄給で甘んじておる職員の諸君も、なかなか納得しませんわ。それは実際薄給ですよ。私たち、よくそういう諸君に、自分の職業柄、接触するのですが、まあ来年度からひとつ、ともかくそういう点を何とかくふうしてください。  で、具体的にこの一番困っているのは住宅ですね。で、住宅手当を何とかつくってほしいという手紙がずいぶん来るのですよ。交通費のほうは若干制度化されておりますが。それで、官舎に入っている人と入っていない人、もう非常な差があるわけですね。入っていない人は、給料もらっても、大きなものがばさっと抜けていくわけですよ。結果においては非常な不公平なことになるわけですね。しかも、官舎に入っているのは大体上のほうでしょう。そこら辺の状態、どうなっていますか。裁判官から全職員含めて、何割までが官舎に入って、入れないのはどれだけで、どうなっていますか。
  86. 矢崎憲正

    最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) お答えいたします。裁判官の場合は充足率九四・八%、それから一般職の場合五〇%ということになっております。
  87. 後藤義隆

    ○後藤義隆君 関連。ちょっとお聞きしますがね、裁判官の報酬でなしに、裁判所の職員の俸給は、一般の国家公務員に準じなくて、それより以外の別途の給与体系というものの要求ができますかどうですか、現在の法律で。
  88. 矢崎憲正

    最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) この問題はいつも組合の方たちとの俸給問題についての話し合いの中で出てくる問題なのでございますけれども、まあ私どもも、それから組合の代表の方々も、現在の事態においては、一般の公務員の方々の俸給をスライドした俸給体系、そういうものによるはかなかろう、裁判所の一般の職員についての独自の俸給体系というものは、現在の段階では、まあ考慮はしなければならないけれども、しかしそれを打ち出すまでのことはないのじゃないかということでは、お互いの考えが一致しているわけでございます。
  89. 後藤義隆

    ○後藤義隆君 現在の制度として、そういうようなふうなことが要求ができるのかどうか。裁判職員臨時措置法の規定で一般の公務員に準ずるということが明らかに書いてあるからね。それとは別個にそれより高いものの要求ができるかどうかということ、制度上、現在。これは改正すればともかくも、いまの制度でそれが可能かどうかということをお聞きしているわけですがね。
  90. 矢崎憲正

    最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) ただいま御指摘のとおり、法律の改正の問題もあるわけでございます。ですから、そこまでの必要はないのではなかろうかというのがわれわれの考えでございます。
  91. 亀田得治

    亀田得治君 そういう法律改正も含めて私申し上げておるわけですよ。必要があればやったらいいことですからね。それは準ずるということになっているから、現在の制度は。それだからという、そんなあきらめ的なことであったら、これはいつまでもあれでしょう。それじゃいかぬと言うんです。たとえば住宅問題なんかそうでしょう。五〇%というと、その階層別の数字がありますか、官舎のない五〇%の職員の方の給料もらっておる状態。
  92. 岩野徹

    最高裁判所長官代理者(岩野徹君) ただいまその表を用意いたしてきておりませんので、何等級はどうというこまかな表はちょっとすぐはお答えできませんのですが……。
  93. 亀田得治

    亀田得治君 ここにそのことでたとえばこういうことを書いてきているのがおるんですよ。自分の給料は二万円だと、この中から下宿代九千円引かれる、払わなければならぬ。だからそれはあなたちょっと頭が変になりますよ。全部がそうやっているわけではないんですからね。だから、一方で官舎で安くやっているのであれば、官舎のない人には住宅手当ということを考えてやらなければ、とても私は不自然だと思うのです。ところが、住宅手当という制度はないでしょう。ないものは手がつけられぬというような考え方では、これはもうお話にならぬですわね。そして制度の上に乗っておる分だけを少しずつ手直しをする、そんなことで実際に苦労している人は納得しないですよ。官舎のない人の住宅手当の要求というのはずいぶん強いでしょう、皆さんに対して。われわれにすら手紙をよこすくらいですから。それは何とか考えられぬのですか。あるいはもう早急に全部官舎をつくるというふうな計画でも立てているのですか、どうなんですか。
  94. 矢崎憲正

    最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) 亀田委員からの励ましのおことば、まことに肝に銘ずるのでございますけれども、いわゆる人事担当の者といたしましては、住宅手当をつけていただければこれに越したことはないのでありますが、それかといって、裁判所の職員だけに住宅手当をよこせということも、これまたむずかしいことであります。要するに、現在のところは、私どものほうといたしましては、できるだけ官舎をたくさんつくってほしいということを、これは内部でけんかするわけじゃ決してございませんが、経理局にも頼んでいる状況でございまして、われわれ経理局のほうを通じまして、官舎をともかく、そんなにりっぱなものでなくてもいいから、できるだけたくさん建ててほしい、入りたい、こういうような方針で努力いたしているのであります。
  95. 亀田得治

    亀田得治君 給与問題はやはり時代時代によって変わってくるわけでありまして、物価のどんどんインフレ的なときには、物価にスライドしたことを考えろというような主張が非常に強くなる。ところが、現在一番困っているのは住まいの問題ですね、ことに若い諸君にとっては。だから、それに応じたことをやはり考えなければ、一般行政官もおそらく同じように困ってまいると思いますよ。だけれども、司法職員の方というのはなかなか融通性がないわけですから、比較的、どちらかというと。だから、そういう裁判関係等においてまずそういう要求が強く出てくるという事情は、よくわかるのです。それを、一般的にそういう住宅手当が制度化されておらぬから、それぞれ−に準ずることになっているから、そんなことまで言ってもしようがないということは、いかぬと思います。それは、公務員にきちっとした規律とか責任ということを求める以上は、衣食住というものはこれは雇うほうが責任を持たなければなりませんよ。夜寝るところも十分なくて、どうしてりっぱな仕事ができますか。これは私はもっとこういうことを考えてほしいと思うのですよ。だから、個別的に考えてもらってもいいのですよ、一人一人の公務員の住宅事情を調べて。何も一律にやる必要はないのですよ。おやじのところから通って幸い自分の住宅は確保しているという人はいいですよ。そっちがもらうならおれももらうなんという、そんなことまでせぬでもいいと思います、余裕があれば別ですが。ほんとうに適切なことをやってもらわなければ、どえらい違いなんだから、そのために金を出しいる人と出さぬ人とこれは不平が起こるのはあたりまえだと思います。これはひとつ検討してください。準ずるとか、いまの制度にあるとかないとか、そんなことじゃありません。  それから交通費ですが、これも給料のわずかな人にとっては問題になるようでして、金額支給するようにしてくれ、そういう要求が強いわけですよ。民間等ではだんだんそういうことがふえておりますね。ともかくそこへ働くためにこれは行くんで、何も自分の個人的な用事で行くわけじゃないんですから。給料を非常にたくさんもらっているというなら、それは一部正規の給与の中からそれを負担するということもあり得るかもしれぬが。ぎりぎりなんですな、この計算のしかたも。ぎりぎりなやつを完全実施しないで、五月、六月とこれは値切っているわけですね。それだけでも一般とは差がついているんだ。四月の時点において民間との比較でバランスをとっているんですから、それだけでも差がついている。そういう状態ですから、交通費ぐらいこれは全額支給できないですかね。ともかく遠いところにおるほど不利なんだね。交通費の負担がかかる。そして毎日の通勤上の肉体的、精神的な苦労もたいへんでしょう。そんなことを思ったら、それは全額持ってやるべきですよ。これは一般公務員としてもそういう要求が出ておりますけれども、皆さんのほうじゃどうなんですか。
  96. 矢崎憲正

    最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) 私この夏の休みに東北地方の小さな裁判所をそれぞれ回ってまいったのでございますけれども、そこらにおきましても、先ほど仰せられた住宅の問題、それから通勤手当の問題、これはもう非常に深刻な問題でございます。おっしゃるとおりでございます。
  97. 亀田得治

    亀田得治君 その点は大いに同意してもらったわけですが、まあひとつうんと力を入れてもらわなければいかぬですね。  自家用車というのはいま裁判所でどれくらいあるんですか、自家用車、官庁用車、偉い人が使うもの。この人たちはただですか、あれは幾らか払うんですか。われわれ国会議員だと、たとえば夜ごくおそくなってあちこち会議等でもあったというときには若干払うんですが、皆さんのほうはどうなっているか。通勤費でしょう、一種の。
  98. 岩野徹

    最高裁判所長官代理者(岩野徹君) 保有台数、正確なところいま手持ちいたしておりませんが、もう一方の御指摘の官用自動車は、官用に使います限り、これは無料でございます。
  99. 亀田得治

    亀田得治君 そうでしょう。そうすると、朝迎えに行って、夜送り届ける、これは無料でしょう。
  100. 岩野徹

    最高裁判所長官代理者(岩野徹君) さようでございます。
  101. 亀田得治

    亀田得治君 そうしたら、薄給者と比較したら実際のところえらい違いじゃないか。だからそれは、よき指導者というものはそういうところへもっと気を配ってもらわなければいかぬですよ。それをいますぐどういうふうに解決するか、なかなか簡単にはいかぬかもしれぬが、ともかくこの二つの要求はずいぶんわれわれ聞くわけでして、来年は何らか解決するということをここで約束できますか。交通費の全額支給と、それから住宅手当についての何らかの住宅手当はすぐ完全とはいかぬかもしれぬ、何らかの手をつけたい、それはここで約束できませんか。
  102. 矢崎憲正

    最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) 人事局長なかなか非力でございまして、そういうほんとうに切実で必要だということは十分よくわかるのでございますけれども、これを実行できるという点については、まことに非力でございまして、お約束ということはとてもこれはできかねます。しかし、努力はもちろん一生懸命いたしたいと思います。
  103. 亀田得治

    亀田得治君 法務大臣どうですか、この二つ。検察関係職員も同じような悩みを持っているわけです。
  104. 西郷吉之助

    ○国務大臣(西郷吉之助君) 亀田委員お尋ねの点でございますけれども、検察官のほうは、中以下は一般職員と同じような状態に置かれているそうですけれども、上のほうは違うわけです。しかし、いま御指摘のように、住宅にしましても、交通費の問題にしても、御指摘のとおり、やはりずいぶん不十分な点が多々あるわけでございます。したがいまして、さっきも申し上げたとおり、やはり裁判官検察官の給与体系というものは、一般公務員と違って、独立した行き届いた体系をつくらなければいかぬというので、いま時間をかけて検討しているのでございますから、その際にそういうものをあわせてやはり考えていかなくちゃいかぬのじゃないかと思います。
  105. 亀田得治

    亀田得治君 最後に一言お尋ねしますが、人事院勧告では、五月から実施、こうなっていたのですが、それが閣議では八月になり、国会で七月に修正をされた。しかし、まだ二カ月の差があるわけです。これはどうなんですか。この七月からでけっこうですということなのか、非常に不満だということなのか、端的にひとつお答え願います。まず裁判所のほうから。
  106. 矢崎憲正

    最高裁判所長官代理者(矢崎憲正君) これは申し上げるまでもなく、人事院勧告がそのとおり実施されてほしいということは、もう裁判職員全体の願いでもありますし、私どもの願いでもあるわけでございます。ただしかし、裁判職員だけがそういうように五月一日から実施さるべきだということまでについては、これは主張いたしかねる点もございまして、しかしながら、やはり人事院勧告どおりに実施されてほしいということはわれわれの願いであることは、これは間違いございません。
  107. 亀田得治

    亀田得治君 法務大臣、どうですか。閣議決定とかそういうことではなしに、職員立場に立って考えたら。
  108. 西郷吉之助

    ○国務大臣(西郷吉之助君) 亀田委員も御承知のとおり、いままでは、この原案も八月からというふうになって、三カ月ぐらい下がっておりますけれども、今回は両院の各党の共同修正によりまして一カ月だけ繰り上がって、完全実施には二カ月足りないわけでございますけれども、それでも実際は、人事院勧告の線からいえば二カ月足りませんけれども、過去の例に比べますると、今度は一カ月短縮したというような状態になっておりますし、予算委員会でも大蔵大臣も言いましたとおり、来年度はぜひ何とか人事院の勧告どおりやりたいという決意を示しておりますし、またそうなくてはならぬわけでございますから、今後ともわれわれも完全実施の線に沿いまして努力をしていきたいと思っております。
  109. 亀田得治

    亀田得治君 私の聞いたのは、大臣はやはり政治的に何かぼやかしてしまってお答えになっているが、法務省関係職員立場に立って考えれば、やはり完全実施でないことは遺憾だと思っていると思うのですが、大臣の気持ちを聞いているわけです。
  110. 西郷吉之助

    ○国務大臣(西郷吉之助君) それはもう全く私も同感でございます。
  111. 山田徹一

    ○山田徹一君 裁判官並びに検察官の俸酬あるいは俸給については、従来から待遇をよくすべきではないかという声は非常に強いわけでです。  そこで、お尋ねしたいことは、一般の行政官と比べて給与の均衡がどうなっておるのかということについて説明をお願いします。
  112. 辻辰三郎

    政府委員(辻辰三郎君) お手元にお配りいたしております法律案参考資料の二五ぺージに表がございますが、これが一般職と判検事のずっと経過的な概要でございます。この裁判官の報酬法、検察官給与法が最初適用されましたのは、この表の一番左にございますように昭和二十三年一月からでございまして、当時は最高号俸におきまして相当格差があったわけでございます。ここにございますように、判事、検事の一号俸というのが月額一万四千円、この一番左の欄の一番下に、行政職のほうの十四級六号というのが当時の事実上の最高号俸でございまして、これが月額一万円ということでございました。かようになりますと、出発の当初におきましては、一番上のランクにおきまして四〇%の優位が判検事のほうにあったということになるわけでございますが、この表の第六回という二十三年十二月の改正におきまして、一般職のほうに十五級の四号というのができたわけでございます。行政職の当時の一番上のランクでございまして、二万三千六百二十円とございます。当時判検事の一番上は二万四千円でございますから、この二十三年の暮れにおきましてほぼ行政職の一番上と判検事の一番上とが並んだということで、四〇%の優位というものは当初の一年間だけでございました。その後は、判検事の一番上のほうは大体行政官の一番上と頭を並べつつずっと推移してまいっておるわけでございますけれども、一般の判検事におきましては、大体行政職に比べまして、俸給の本俸におきまして、昇級のスピードであるとか、あるいは行政官のほうの昇級のスピードであるとかいうことで、具体的にはそれぞれ違ってまいりますけれども、俸給の本俸におきましては約四〇%の優位をなお保っているということになろうかと思います。俸給の本俸額において四〇%の優位を保っておりますけれども、行政目のほうには管理職手当であるとかそういう関係もございます。超過勤務の関係もございます。こういうものを行政官のほうに引き入れて考えてまいりますと、大体、大ざっぱでございますが、二〇%ないし三〇%の優位というのが一般の判検事と行政職の俸給の関係になっておるのじゃないかと、かように考えております。
  113. 山田徹一

    ○山田徹一君 今回の改正に伴って、この資料によりますと二二ページでありますが、この項目でいきますと、二三ページのところの下のほうですね、司法修習生の改正される俸給、それから一般職の改正される俸給、これらを見たときに、これは大体初任給だと思うのですが、どうなんですか。
  114. 辻辰三郎

    政府委員(辻辰三郎君) 御案内のとおり、司法修習生の給与につきましては、この表にございますように、月額三万七百円を三万三千四百円にアップしていただくという案になっておりまして、このアップ率が八・八%ということになります。これに見合います行政職のほうのやはりアップ率と合っているということでございまして、最初はこの行政官の出発と司法修習生と大体同じということになっておると思います。
  115. 山田徹一

    ○山田徹一君 それでお尋ねしますが、毎年司法試験が行なわれておるわけですけれども、その司法試験に合格する人の年齢層、それからその人数、また合格者が裁判官あるいは検察官を志望している人数、またその年齢について、どういう割合になっておるか、お尋ねします。
  116. 辻辰三郎

    政府委員(辻辰三郎君) 司法修習生から判検事、弁護士になる者の区別と申しますか、区分と申しますか、状況と申しますか、かような点の概況を申し上げます。
  117. 山田徹一

    ○山田徹一君 そうでなくて、司法試験に合格しますね。合格して初めて修習生になるわけですね。その合格した人の年齢層、それから人数、それからまたそれが今度任官していくその年齢並びに志望する人数ですね。
  118. 辻辰三郎

    政府委員(辻辰三郎君) 司法試験の合格者の平均年齢でございますが、ちょっと手元に一番最近の四十三年度がございませんが、四十二年から申し上げてまいりますと、昭和四十二年の司法試験の合格者の平均年齢は二十六・九二でございます。それから四十一年が二十七・二五、四十年が二十七・六九、三十九年が二十八・二四、かようなことになっております。
  119. 山田徹一

    ○山田徹一君 人数は。
  120. 辻辰三郎

    政府委員(辻辰三郎君) 人数は、この合格者数は、四十二年が五百三十七名、四十一年が五百五十四名、四十年が五百二十六名、三十九年が五百八名となっております。
  121. 山田徹一

    ○山田徹一君 先ほどお尋ねしたように、その次に、今度その合格者が司法修習をやって、そして裁判官並びに検察官を志望する数と、またそれを志望した人の年齢層、これはどうなっておりますか。
  122. 辻辰三郎

    政府委員(辻辰三郎君) 司法試験を合格いたしました者がすべてこの司法修習生になるとは限らないわけでございます。大半の者は司法修習生になるわけでございますので、ただいま申し上げました司法試験の合格者数と司法修習を修了した者との数は必ずしも一致しないわけでございますが、そのことを前提として申し上げてまいりますと、四十三年四月には司法修習を終わりました者が五百十一名でございます。で、志望の状況は必ずしも明らかでございませんで、決定的に判事補、検事、弁護士になりました数字を申し上げますと、四十三年は……。
  123. 山田徹一

    ○山田徹一君 弁護士は要りませんから、検事と判事。
  124. 辻辰三郎

    政府委員(辻辰三郎君) 四十三年は、五百十一名のうち、判事補が七十七名、簡裁判事が八名、検事が四十九名でございます。四十二年は、司法修習を終わりました者四百八十四名中、判事補が六十一名、簡裁判事が十二名、検事が四十九名。昭和四十一年は、司法修習を終わりました者四百七十八名、判事補六十三名、簡易裁判所判事三名、検事四十七名。昭和四十年は、司法修習を終わりました者四百四十一名、判事補六十八名、簡裁判事四名、検事五十二名、かような状況でござ  います。
  125. 山田徹一

    ○山田徹一君 それでは、司法修習生が任官していただく初任給は、この表の二三ぺージのどれに当たりますか。
  126. 辻辰三郎

    政府委員(辻辰三郎君) ちょっとお尋ねの点……。
  127. 山田徹一

    ○山田徹一君 検察官あるいは裁判に任官された最初の初任給は、この表のどこに当たるのですか。
  128. 辻辰三郎

    政府委員(辻辰三郎君) このお手元の資料の二三ページの検事二十号という欄がございます。左から三つ目の欄の検事二十号、これが検事の初任給でございます。
  129. 山田徹一

    ○山田徹一君 わかりました。  一般職の行政官が同じように二年勤務した場合、そうしますとこの表のどこに当たりますか。
  130. 辻辰三郎

    政府委員(辻辰三郎君) 大体この二二ページの一番下の欄の六等級の二号か三号、この辺であろうかと思います。
  131. 山田徹一

    ○山田徹一君 六等級の二号、三号——一番下じゃないですか。二年たっても変わらないのですか。
  132. 辻辰三郎

    政府委員(辻辰三郎君) 行政職の場合には、最初は七等級の二ぐらいから始まるのだろうと思います。二年たちまして六の二または三ぐらいにいくんじゃないかと思いますが、先ほど、修習生とこれは一緒である、あるいはちょっと修習生のほうが上であると申し上げましたのは、やや不正確があったかもしれません。
  133. 山田徹一

    ○山田徹一君 私の聞いている範囲では、五の二か並びに五の三ぐらいじゃないかと、このように聞いておりますが。
  134. 辻辰三郎

    政府委員(辻辰三郎君) 私どもはさように考えておりません。五等級になりますのには、やはり五年ないし六年かかるのではないかと思っております。
  135. 山田徹一

    ○山田徹一君 いずれにしても、こうして裁判官あるいは検察官を志望する人が少ないということは、どこに原因があるか。やはり初任給の点において、一般行政官との比較があまり大差がない、こういうところから、弁護圧を志望するほうが有利である、こういうふうな問題で、私は志望者が少なかったり、あるいは一、二年検事あるいは判事補をやってまたすぐ出ていくと、こういうふうなことも起きているのではないかと思うわけですが、そういう点から考えて、意義ある仕事であるとはいいながら、やはり生活のことを考えると魅力がない、こういう点からして、先ほどもお話がありましたように、もっともっと独自の体系にほんとうに力を入れてよくしてあげたらどうかと、こう思うわけですが、その点どうですか。
  136. 辻辰三郎

    政府委員(辻辰三郎君) 裁判官のほうはさておきまして、検事につきまして、ただいま御指摘の点につきまして私どもが考えておることを申し上げます。  検事の志望者が少ないということは事実でございまして、私どもたいへんその点は心配いたしておるわけでございます。で、この初任給の問題、ただいま御指摘のとおりでございますが、これは昭和三十九年の臨時司法制度調査会の答申の一つに、判事補の初任給、検事の初任給を格段に増額すべきであるという御答申もありまして、昭和三十九年の給与法の改正におきまして、初任給につきましては、前年の約二一%アップというたいへんけっこうな改正をしていただいたわけでございます。にもかかわらず、その後やはり、司法修習生から検事にまいる者は格段にふえたかというと、ただいま申し上げましたように、ふえた形跡がないわけでございます。で、私ども常々考えておりますのは、もとより、司法修習生が弁護士になるか検事になるかというときに、志望を決定いたします場合に、弁護圧のほうに行けばこの初任給よりも多い給与が得られるということは事実でございましょう。その場合に、こちらの初任給を上げていただきましても、今度は弁護士さんのほうでまたその報酬をお上げになるというようなこともあるやに聞いておるわけでございまして、この初任給は必ずしも決定的なものでないと思うのでございます。給与の面ももちろんでございますけれども、そのほかに、検事になれば転勤があるとか、たいへん仕事が忙しいとか、そういうことの面の要素も相当あるというふうに私どもは考えておる次第でございます。
  137. 山田徹一

    ○山田徹一君 弁護士さんのほうが上げるだろう、競争して——いまの物価みたいな話になるけれども、この三十九年に二一%上がったというけれども、現在ではそんなことでは追いつかぬわけですし、先ほどお尋ねしたように、年齢層からいいましても、これじゃもう子供が一人あるいは二人、家族持ちです。完全に、こういうところから考えて、そんな低い俸給あるいは報酬ではやりたくてもやれぬのじゃないか。窓口を小さくしておいて来い来いと言ったって、もっと窓口を思い切って大幅に、全体的にも言えることですけれども、そのようにしていただきたいと思います。また、弁護士から裁判官あるいは検察官にという促進をはかろうという声もあるわけですけれども、それにしてもやはり、退職金等の問題の優遇措置をどうしてやるか、優遇措置をとらなければならぬというだけで、それがどうなったのか、そういう点はどうお考えなんですか。
  138. 辻辰三郎

    政府委員(辻辰三郎君) ただいま御指摘の初任給の問題、あるいはは弁護士から私どものほうでいえば検事のほうに来ていただくというような問題これはいずれも司法制度の根本に触れる問題でございまして、過去におきまして臨時司法制度調査会におきましても十分御検討を願い御答申をいただいたわけでございます。その御答申を見ましても、いろいろな分野にこれがわたっておりまして、給与ももちろんその一環でございますが、根本はやはり、在朝法曹と申しますか、在朝法曹と在野法曹との現在のような仕組み、これがどういうふうに根本的に考え、再検討されるかという、やはり任用の問題その他根本問題に触れてくる問題でございまして、私ども法務省におきましては、裁判所御当局あるいは日本弁護士連合会の御当局とそれぞれこの根本問題につきましていろいろと御協議をいたしておるわけでございますが、何ぶん問題が非常に基本的な深刻な問題でございまして、なかなかこの具体的な成果をあげ得ない実情にあるわけでございます。私どもといたしましては、今後ともなお十分関係当局と協力いたしまして検討してまいりたいと考えております。
  139. 山田徹一

    ○山田徹一君 それに関連して、次に刑事補償の問題でお尋ねしたいと思うのですが、先日の新聞報道にありましたように、タクシー運転手が心神の喪失の理由で殺人傷害の罪が無罪となって、無罪ならばやむを得ぬということで刑事補償が認められ、そして支払われた、被害者が殺され損と、こういうことで、国民は何かしらこの判決に割り切れないものを持っておる。こういう点についてどうお考えですか。
  140. 辻辰三郎

    政府委員(辻辰三郎君) 突然の御質問で、責任ある私どもの局が刑事局でございますから、刑事局長お答えすべきと思います。私もしまた間違ってお答えしては悪いのでございますが、たってであれば、すぐに刑事局長をこちらに来ていただくようにいたしたいと思います。
  141. 山田徹一

    ○山田徹一君 法務大臣どうお考えですか。
  142. 西郷吉之助

    ○国務大臣(西郷吉之助君) 具体的な事実に入りますので、ちょっとお待ちいただきまして、刑事局長を呼びますから。私が不明確なことをお答えするといけませんから、ちょっとお待ちください。
  143. 山田徹一

    ○山田徹一君 法律的にはどうあろうとも、国民感情にはこれは割り切れないものがあるということは間違いないわけです。なぜそういう割り切れないものがあるのか、これを考えたときに、被害者の生命の尊重など無視されて、またすべて国民は法のもとに平等である、こういう公平でなくてはならないところに問題がある、こういうことから、刑事補償という法律にまず欠陥があったんじゃないか。割り切れないものがあるというからには、そこに欠陥があるから国民感情に反映する、このように思うわけです。この点どうでしょうか。
  144. 西郷吉之助

    ○国務大臣(西郷吉之助君) いま刑事局長呼んでおりますから、その間ほかのことがありましたら……。
  145. 山田徹一

    ○山田徹一君 それでは、この問題については次の機会に譲らしてもらいます。
  146. 後藤義隆

    ○後藤義隆君 裁判官の報酬と検察官の俸給を定める上において関連があると思いますが、国家公務員の上級試験に及第した平均年齢層、どのくらいか調べてありますか。
  147. 辻辰三郎

    政府委員(辻辰三郎君) いま手元にございませんが、役所へ帰ればございます。これは大ざっぱに申しますと、やはり上級試験の合格者は、現行の大学を途中で浪人一年ぐらいして卒業したという辺の人を採っておる。平均年齢で見ますと、ストレートで大学を出た人かまたは一年ぐらい途中で浪人しておるかというぐらいの人が採用されておるというふうに記憶いたしております。
  148. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 他に御発言もなければ、両案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  149. 小平芳平

    委員長小平芳平君) それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  150. 亀田得治

    亀田得治君 本案に賛成をいたします。ただし、本案は、今年度の人事院勧告を完全に実施しておらないという点で、まことに遺憾であるというふうに考えております。しかしながら、衆議院に本案の原案が提出された過程において、各関係者が非常に努力を払い、そうして現在出されておる案のようによくされたという点の成果をやはり高く評価しなければならないと思います。そういう立場から、本案に対して賛成の意を表するものであります。  なお、各派共同による附帯決議をつけたいと思いますので、提案をいたします。    附帯決議(案)   政府は、人事院勧告制度の趣旨にかんがみ、今後、同勧告の完全実施に努めるべきである。   右決議する。  こういう附帯決議をつけて通したいと思います。
  151. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 他に御意見もないようでございますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  152. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 御異議ないと認めます。速記をとめて。   〔速記中止〕
  153. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 速記を起こして。  それでは、これより採決に入ります。  まず、裁判官報酬等に関する法律等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  154. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、検察官の俸給等に関する法律等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  155. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、討論中に述べられまました亀田君提出の附帯決議案を議題といたします。  亀田君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  156. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 全会一致と認めます。  よって、亀田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し西郷法務大臣から発言を求められておりますので、この際これを許可いたします。西郷法務大臣。
  157. 西郷吉之助

    ○国務大臣(西郷吉之助君) 政府は、ただいまの附帯決議の御趣旨を今後十分尊重してまいりたいと存じます。
  158. 小平芳平

    委員長小平芳平君) なお、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  159. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  160. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 速記を起こして。  次に、継続調査要求についておはかりいたします。  検察及び裁判運営等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  161. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  162. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十五分散会      —————・—————