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森勝治君 ですから、私は善意に、こういうふうに受け取ります。あなたも
大臣に就任早々でありますので、あまりふろしきも広げたくないということでありますから、私もそれを
理解いたします。しかし、
答申案の
趣旨を十分
尊重するということは、新
大臣として、多年にわたってこの問題を主張し続けた私
どもの
立場も当然御
理解くださっているわけですから、
労働界を入れるという問題についても十分検討して善処する、こういう
お答えというふうに私は承りましてよろしいですね、
大臣、そういうふうに承って……。それで、私が言ったとおりだそうでありますから、御異論がないそうでありますから、次に移ります。
私の時間がありませんから、私は一点だけ、
NHKの職員の給与の問題について、
質問をしてみたいと思うのであります。
NHKの職員に
国民が要求するもの、それは豊かな知性と高い技術だと思うのであります。
NHKの職員が
国民に向かって誇り得るもの、それは
放送法の精神に照らして、いわゆる
放送の中立性という
立場を今日まで堅持し、今後もこれを堅持し、
国民に高い知性というものを持ってもらうために、
文化の面に今後とも、より一そう寄与する、こういう一つの
NHKの
諸君の誇りがあるだろうと思うのであります。そこで、私は聞きたいのでありますが、何と申しましても、
国民の
NHKに対す期待というものは非常に大きなものがあること、これは
NHKの皆さんが十分自信と誇りを持って
考えておられるはずだと私は思うのでありますが、この高い知性を要求され、しかも技術というものが日を追って、いわゆる技術革新の世の中でありますから、技術の研さんも開発も怠るわけにはまいらぬ。そうであれば、
NHKの従業員の
諸君は現在約一万五千だそうでありますが、一万五千の
諸君が
国民のための
NHKなるべく、日夜奮闘されていることについて、私は敬意を表するわけでありますが、だからといって、
NHKの
諸君がいわゆる低賃金でよろしい、社会一般の水準に達しない賃金でよろしいということであってはならぬと思うのであります。もちろん、人それぞれこれは力量、
抱負、経綸というものが違いますから、多少の差異はあることは、現在の日本の制度下ではやむを得ないかもしれません。しかし、たとえば
NHKのここ数年来の姿を見ましても、事業の規模というものが、ここに四十年から四十二年までの事業と職員の趨勢の資料がきておりますが、これを見ましても、三年間で事業は約三〇%
程度伸びておりますが、さて職員の充足率というものは五%
程度にすぎないのであります。もちろん、今日は機械化オートメーションというものが、われわれの想像以上にわれわれの生活の中に食い込んでまいりましたから、オートメーション化による省力――力を省くという問題が出てまいるでありましょう。だから、企業の規模の増高に正比例して人員がそれだけふえるということには必ずしも、頭の中ではそう
考えますけれ
ども、
現実ではそのとおりふえないかもしらぬ。そういう多少の問題はさておきまして、たとえば四十年の予算のときに私
どもは附帯決議をしております。いわゆる、生産が上がった場合には職員にこれを還元する。たぶん、予算総則の第何条ですか、七条の二項あたりだと思いましたが、出ておるわけであります。四十年の場合でも若干出ておるわけであります。しかし、こういう姿を見ても、他の報道
関係、たとえば新聞社あるいはまた民放等の例に比較いたしましても、なるほ
どものによっては初任給は報道
関係、新聞
関係でも若干上がっておるかもしらぬが、しかしやはり係長クラス、幹部クラスになりかかると、新聞社の平均給与というものは上回っておる。民放ははるかに
NHKをしのいでおる。こういう姿を見ると、先般、
鈴木委員が
会長以下理事者側の皆さん方の俸給の問題でも若干触れられましたが、それらの
諸君の俸給の是非はさておきまして、今日まで、期待される
NHK、将来にさらに伸びんとする、飛躍せんとする
NHKのこの事業に熱心な
諸君に対して遇する道としては、若干私は冷ややかなものがあるのではないか、こう
考えるのであります。さらに私は、たとえば給与総額の中で十分見てあげることができるものにいたしましても一これは時間がないから私はすべてまぜて話をしておるわけでありますが、四十年も四十一年も四十二年も、給与総額の中でいずれも巨額の金を残しておるというこの
現実の姿。なるほどそれは労使双方がそれぞれの
立場で話し合って適切な額をきめるのでありますから、あるいは残る場合もあり得るでありましょう。しかし、何もこんなに巨額な金を残さんでも、十分予算総額の中で、さっき申し上げた、生産の上がった場合と同様に、職員の待遇改善ということがはかられてしかるべきものと私は
考えておるわけであります。赤字でどうにもやっていけないというならばまだしも、企業の成績があがり、特に先般テレビの聴取料等についての
改正のときにも私が若干申し上げたような気がするのでありますが、あの中にはやはり職員の待遇改善というこの項目が、あの値上げの一項目が、その根底に私は流れておったと思うのであります。少なくとも他の民放の
諸君の待遇に数段劣るがごときこの待遇であるとするならば、いかに賢明な
NHKの一万五千の
諸君が日夜ししとして
放送事業の発展のために努力しても、やはりそういう問題について理事者
諸君がなおざりにするならば、極言ではありますけれ
ども、次から次と、いわゆる民放に移りかねない。これは適切な表現ではありませんけれ
ども、そういう現象も生まれるのではないかと私は
考えるわけであります。優秀な頭脳を持つ
NHKの
諸君でありますから、その頭脳を育てること、その頭脳を縦横に理事者
諸君が駆使すること、
放送事業に貢献させること、これまた当然な私は姿だろうと思うのであります。そういう面からいたしましても、職員の待遇改善という問題については、私は夢忘れてはならぬし、怠ってはならぬし、これは始終適切な
措置があってしかるべきだと
考えております。時間がありませんから、私はこの一点のみにしぼって、
NHKの
諸君にひとつ善処方をお願いすると同時に、
NHKの
会長のこの点についての御
意見をひとつ承っておきたい。