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1968-12-19 第60回国会 参議院 商工委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年十二月十九日(木曜日)    午前十時三十七分開会     —————————————    委員異動  十二月十八日     辞任         補欠選任      向井 長年君     田渕 哲也君     —————————————    出席者は左のとおり。     委員長         金丸 冨夫君     理 事                 剱木 亨弘君                 土屋 義彦君                 小柳  勇君     委 員                 赤間 文三君                 大谷藤之助君                 大森 久司君                 川上 為治君                 玉置 猛夫君                 大矢  正君                 近藤 信一君                 竹田 現照君                 塩出 啓典君                 矢追 秀彦君                 田渕 哲也君                 須藤 五郎君    国務大臣        通商産業大臣   大平 正芳君        国 務 大 臣  木内 四郎君    政府委員        公正取引委員会        委員長      山田 精一君        科学技術政務次        官        平泉  渉君        科学技術庁長官        官房長      馬場 一也君        科学技術庁計画        局長       鈴木 春夫君        科学技術庁研究        調整局長     石川 晃夫君        科学技術庁原子        力局長      梅澤 邦臣君        通商産業政務次        官        藤尾 正行君        通商産業政務次        官        植木 光教君        通商産業大臣官        房長       両角 良彦君        通商産業省通商        局長       宮沢 鉄蔵君        通商産業省企業        局長       大慈弥嘉久君        通商産業省化学        工業局長     後藤 正記君        通商産業省鉱山        石炭局長     中川理一郎君        中小企業庁長官  乙竹 虔三君    事務局側        常任委員会専門        員        小田橋貞寿君    説明員        科学技術庁研究        調整局宇宙開発        参事官      謝敷 宗登君        外務省国際連合        局長       重光  晶君        通商産業省重工        業局長      吉光  久君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○日本合成ゴム株式会社に関する臨時措置に関す  る法律を廃止する法律案内閣送付予備審  査) ○産業貿易及び経済計画等に関する調査  (通商産業省及び公正取引委員会施策に関す  る件)  (科学技術庁施策に関する件) ○輸出クリスマス電球生産者及び関連材料生産者  の営業保護等に関する請願(第六八号) ○採石法改正に関する請願(第一一三号) ○原子力発電所地帯安全性確保整備開発に関  する請願(第二〇〇号) ○硫黄鉱業政策早期確立等に関する請願(第二  三五号) ○継続調査要求に関する件     —————————————
  2. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず委員異動について報告いたします。  十二月十八日、向井長年君が委員を辞任され、その補欠として田渕哲也君が選任せられました。     —————————————
  3. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) この際、大平通商産業大臣藤尾植木通商産業政務次官から発言を求められております。まず、大平通商産業大臣からお願いします。
  4. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) このたび私は通商産業大臣就任いたしましたが、この機会に所信の一端を申し述べたいと存じます。  御承知のとおり、今年に入りましてわが国経済は当初見込みよりもかなり高い水準で拡大を続けており、一方、国際収支輸出の急伸と輸入の落ちつきとにより総合収支においても相当の黒字となる見込みであります。  このようにわが国経済の最近の推移はきわめて順調でありますが、これを取り巻く内外の経済環境は決して容易なものではございません。  国際的には、残存輸入制限自由化資本取引自由化特恵供与問題等が当面の課題になっております。加えて、つい最近の国際通貨問題に見られるとおり、世界経済は今や激動しつつあります。また、国内的には、労働力需給の逼迫、都市過密化公害物価問題等、早急な解決を迫られております。  このような時期における通商産業政策は、情勢変化に迅速、的確に対応しつつ、問題の核心をついた思い切ったものでなければならないと考えております。私は、次に申し述べる事項を今後の通商産業政策重点として、その実現をはかって参りたいと考えます。  まず第一に、貿易振興経済協力推進が緊要であると思います。激動する世界経済の中にありまして、貿易立国を国是とするわが国が一そうの発展を遂げてまいりますためには、貿易振興に一段の努力が望まれるわけであります。このため、プラント輸出等促進するための日本輸出入銀行の資金の充実、アジア諸国との貿易を伸ばすための一次産品の開発輸入促進等施策に積極的に取り組んでまいりたいと思います。  第二に、資本自由化進展など開放経済は今後いよいよ本格化する情勢にありますが、産業がそれぞれ強い国際競争力を持つことこそ、これを乗り切っていく力であると思います。したがいまして、わが国産業国際競争力強化するため、産業構造改善促進企業体質強化を強力に推進してまいりたいと思います。  第三に、発展途上国からの追い上げ、特恵供与の問題と労働力不足等情勢に対処して、中小企業近代化を急速に進めてまいることが大切であると思います。幸いにいたしまして、現在中小企業近代化高度化の意欲はきわめて旺盛であり、共同化、協業化のための各種の事業計画がもくろまれておりますが、これらの事業低利資金供給する中小企業振興事業団資金量拡充中心に、中小企業施策強化をはかってまいりたいと思います。  第四に、産業国際競争力の基盤をなす技術開発力の培養と技術的最先端産業育成が必要であると思います。このため、超高性能電子計算機開発等、いわゆる大型プロジェクト拡充推進技術的最先端産業育成強化をはかるとともに、現行特許制度につきましても時代の進展に即応した抜本的改正を加えたいと考えております。  第五に、現在検討中の新石炭対策を早急に確立するとともに、増大するエネルギー需要に対処して、海外石油資源開発原子力産業育成努力したいと思います。  第六に、経済高度成長繁栄の反面、重要となってきました公害問題につきましては、国民福祉向上の見地から積極的にその解決に当たりたいと考えます。このため公害規制強化産業立地適正化施策拡充する一方、公害防止技術開発企業に対する事前指導強化してまいりたいと思います。  第七に、最近の消費者物価の上昇が国民生活に影響を及ぼすに至っておりますことは遺憾なことであり、私としては、物価の安定を重要課題一つとして取り組んでまいりたいと思います。このため、中小企業、流通などの低生産性部門生産性向上を急速にはかる必要があると考えます。  私は、以上の諸施策を通じて、わが国経済繁栄と豊かな国民生活実現のため最善を尽くしてまいる覚悟であります。何とぞ委員各位の深い御理解と御支援をお願いする次第であります。  なお、今国会におきましては、後ほどお願いいたしまするように、日本合成ゴム株式会社に関する臨時措置に関する法律を廃止する法律案提案いたしております。  何とぞ慎重御審議お願い申し上げる次第であります。
  5. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 次に、藤尾植木政務次官のごあいさつお願いいたします。
  6. 藤尾正行

    政府委員藤尾正行君) 私は、今回の内閣改造に伴います一連の人事で通商産業政務次官就任をいたしました藤尾正行でございます。  すべて大臣の御指示に従いまして、全力をあげて行政運営に当たる覚悟でございまするから、当委員会委員先生方におかれましても、よろしく御理解と御協力お願いいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  7. 植木光教

    政府委員植木光教君) このたび通商産業政務次官就任をいたしました植木光教でございます。  通商産業行政はまことに重大でございます。微力でございますが、懸命の努力をいたしたいと存じますので、何とぞ皆さま方の御指導、御鞭撻、御協力を心からお願いを申し上げましてごあいさつにいたします。     —————————————
  8. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 次に、日本合成ゴム株式会社に関する臨時措置に関する法律を廃止する法律案議題とし、まず提案理由説明を聴取し、続いて補足説明を聴取いたします。
  9. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) ただいま議題になりました日本合成ゴム株式会社に関する臨時措置に関する法律を廃止する法律案提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  日本合成ゴム株式会社に関する臨時措置に関する法律は、昭和三十二年六月に、当時年々増大する原料ゴム需要に対し、低廉かつ安定的な供給確保するため、合成ゴム国産化を大規模設備により急速に実現する必要がありましたが、民間のみの出資による事業をもっていたしましては、これが困難な事情にありましたので、合成ゴム製造事業に対し政府出資を行なうとともに、設備に要する資金につきましても政府がその確保につとめることを主旨として制定された法律であります。なお、出資につきましては、当初は、とりあえず日本開発銀行からの出資によることとし、翌昭和三十三年の法律改正によりまして政府の直接出資に切りかえたものであります。  同法の対象となる合成ゴム製造事業を行なう会社として、昭和三十二年十二月に日本合成ゴム株式会社が設立されましたが、政府といたしましては、同法の趣旨に従い、同社に対し十億円の出資を行なったほか、必要な設備資金開銀融資をあっせんするなどにより、その育成つとめてまいりました。  これら政府措置同社の適切な事業運営と相まって、昭和三十五年四月に操業を開始して以来、同社は順調な発展を遂げ、わが国合成ゴム製造における中核的会社に成長し、その経理的基礎確立したものと考えられます。このような同社中心としたわが国合成ゴム製造発展によりまして、今日では生産能力において米国に次いで世界第二位となるに至りました。  したがいまして、合成ゴム国産化体制確立という目的は十分達成されるに至ったと考えられるのであります。  同法第十一条には、「政府は、会社経理的基礎確立したと認めるときは、有価証券市場状況を考慮し、なるべくすみやかに、その所有する会社株式処分するものとする。」と規定しておりますが、以上の事情にかんがみ、政府といたしましては、本年七月に政府が所有する同社株式処分を全部終了いたしました。  以上申し上げました事情でございますので、政府といたしましては、すみやかに同社を純粋な民間企業に移行させ、その自主的事業運営により一層の発展を期するのが適当であると考えまして、このたび同法を廃止することといたしたものであります。  以上この法律案提案理由及びその概要を御説明申し上げました。何とぞ慎重御審議の上、御賛同賜わりますようお願い申し上げます。
  10. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 次に補足説明を聴取いたします。
  11. 後藤正記

    政府委員後藤正記君) 化学工業局長後藤でございます。お許しを得まして若干補足説明をさせていただきたいと存じます。  日本合成ゴム株式会社に関する臨時措置に関する法律は、昭和三十年六月に制定されまして、翌年の昭和三十三年六月の改正によりまして現行法となったものでございますが、当初の法律合成ゴム製造事業を営むことを目的とする株式会社でございまして、その事業計画につきまして、大蔵大臣及び通商産業大臣が承認したものについて、日本開発銀行出資するということが主たる内容となっておりまして、同会社はこの法律に基づきまして事業計画の承認を受けまして同年十二月十日に設立されたのでございます。  会社は、合成ゴム消費者でございまする多数のゴム工業者や主原料供給者等それぞれ合成ゴム製造事業発展の上で重要な役割りを持つ関連事業者を広範囲に網羅いたしました不偏中立的な株主構成がとられたのでございますが、これは法制定の際の国会附帯決議趣旨に沿ったものでございます。  翌年の法改正によりまして、日本開発銀行出資から政府出資に切りかえられることになりまして、法文上も会社日本合成ゴム株式会社と明確に規定されまして、その特殊会社としての性格が明らかになりました。同社は、三十三年十一月に資本金は二十五億円となりまして、うち十億円が日本開発銀行から出資されておりましたわけでありますが、翌三十四年十一月にこの十億円は政府出資に切りかえられたのでございます。  会社は、四日市地区汎用合成ゴムでございまするスチレン・ブタジェン・ゴムの製造設備——これは年間の生産能力が四万五千トンでございますが——設置すべく建設を急いでおりましたが、昭和三十五年四月にこの設備が完成いたしました。同時に、生産、販売を開始いたしました。  この設備資金につきまして、政府といたしましては出資金十億円のほか、開銀からの特別金利年六分五厘による融資を六十億円あっせんをいたしました。このほか政府は、会社を含めました合成ゴム製造事業に対しまして重要物産免税、原油の特別外貨割り当て機械輸入関税免除等々の助成措置を講じてその育成をはかってまいりました。  会社生産を開始いたしました三十五年の秋ごろは、世界的なゴム市況の悪化によりまして輸入ゴムの価格が値下がりをいたしまして、会社運営相当困難な状況に立ち至ったのでございまして、会社の同事業年度収支は約十一億円の赤字を計上いたしたわけでございます。その後、情勢は好転いたしまして、タイヤ業界を初めといたしまして、ゴム工業界需要が順調に伸びまして、会社経理は次第に改善され、三十八年度上期には累積赤字を解消し、下期には一割配当をするに至りまして、以後今日まで一割配当を継続いたしております。  会社は、増大するゴム需要に対処いたしまして、三十六年度以降逐次設備の増強をはかってまいりましたが、特に昭和四十年にはポリブタジェン・ゴムの製造設備——年産一万トン、翌年これを倍増——を、四日市工場に完成いたしまして、本年三月には千葉県の五井、姉ケ崎地区にブタジェンの製造設備を完成いたしました。さらに、今後茨城県鹿島地区計画中の三菱油化を中心といたします石油化学コンビナートに加わりまして、SBRの生産等を行なう計画にいたしております。  会社中心といたしまするわが国合成ゴム工業の急速な発展によりまして、現在わが国合成ゴム生産能力年産三十六万トン、そのうち同社のシェアは十七万五千トンでございますが、アメリカの二百五十二万トンに次ぎまして現在世界で第二位を占めるに至っております。  以上のような状況よりいたしますれば、本法律目的はすでに十分達成されたと考えられます。法律第十一条の規定の趣旨にかんがみまして、一割配当実現して会社経理的基礎確立したと認められます昭和三十九年ごろより、会社政府所有株式処分検討を行なってまいったのでございまするが、有価証券市場状況を考慮いたしまして、昨年十一月にその一割を一般競争入札により払い下げました。この結果を参考といたしまして、残余の株を随意契約により処分いたすことといたしまして、本年七月にこれを完了いたしました。随意契約といたしました理由は、会社が今後ともわが国合成ゴム製造中核会社として順調に発展いたしまして、わが国関連産業発展にも寄与していくことが本会社設立趣旨にも沿うものでありまして、このためには、会社の株が特定の者に集中いたしまして、現在の中立的株主構成に著しい変化を来たさないよう配慮する必要がありまして、それには競争入札といたしました場合には、このおそれが現実化する可能性があることを考えたからであります。  随意契約に当たりましては、政府は従来の株主に対しましてその相当部分処分いたしますとともに、新たに会社事業上の関係が生じました原料供給者、銀行及び今日まで会社と一体となってその発展協力してまいりました会社従業員などにも可能な限り処分いたしました。このような処分先となりました会社関係者関連企業は、いずれも製品需要面原料供給面資金面等々種々な面で会社の今後の円滑な事業運営協力し、寄与することが必要とされるものでありまして、これらの協力を得て、はじめて会社の今後の発展が期待されるものと考えられるわけでございます。  会社は、今後鹿島計画等遂行にあたりまして、多額の資金を必要といたします。このため会社は、これらの計画の円滑な遂行のために、できるだけすみやかに増資を行なうことが必要でございまして、このため増資に先立つ株式上場等の諸般の手続が必要でございます。これらの手続を迅速、機動的に行なわしめるためには、純粋な民間会社として本法伊による政府の種々の規制をすみやかにはずすことが必要と考えられるのでございます。  本法目的といたしまする合成ゴム国産化が、日本合成ゴム株式会社により実現したのでございますが、今後のわが国合成ゴム製造発展のためには、同社の一そうの発展が必要と考えられます。会社民間移行にあたりまして、会社が今後の事業計画を、その経営判断により、円滑に推進できますように、本法はすみやかに廃止していただきたいと考える次第でございます。  何とぞよろしくお願いをいたします。
  12. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 本法律案委員会審議は後日に譲ります。     —————————————
  13. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 次に、産業貿易及び経済計画等に関する調査議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  14. 小柳勇

    小柳勇君 私は、通産大臣の述べられました所信に対して重点的に質問いたします。ただ時間がありませんから、また残りました問題は、別途別の日に質問いたしますが、前段後段を省略して、中心だけ質問してまいります。簡潔に御答弁願いたいと思います。  第一の問題は、前国会における通産大臣所信表明と今回の大平大臣所信表明と比べてみまして、ほとんど変わらぬのであります。今回は重点施策として七項目おあげになりましたけれども、前の国会でも前大臣が大体同じようなことを述べておられる。ただ一番変わっておりますのは、「このような時期における通商産業政策は、情勢変化に迅速・的確に対応しつつ、問題の核心をついた思い切ったものでなければならないと考えます。」これだけが前大臣と変わっておるようですが、ひとつ、非常に大切なことであるし、これこそ大平大臣の、大もの大臣の一番所信の中の中心であろうと思うが、大臣のさらに深い見解を聞いておきたいと思うのです。
  15. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 所信表明でも申し上げましたとおり、国際的には輸入制限自由化資本取引自由化、特恵問題、国際通貨問題、国内的には労働問題、公害問題、物価問題、こういった問題は前々からあるわけでございますが、最近とみに、その緊迫度と申しますか、その足どりが非常にけわしくなってきたという点を、私は特に感ずるところでございます。問題の所在は変わらないが、問題の緊迫度は急に増してきたという意味におきまして「情勢変化に迅速・的確に対応する」ということと、そういうところに問題性がある以上は、そういう問題の核心をついた思い切った政策でなければならぬという気持ちをうたったつもりでございます。
  16. 小柳勇

    小柳勇君 大きな問題を順にやっていきたいのですけれども、取り急ぎ問題が一つ発生しておりますから、この問題、これは予算の関係関係ありますし、あと貿易の問題との関係もありますから、この問題を質問いたしますが、昨日、きょうの新聞に出ております松尾鉱山会社更生法適用の問題であります。これはこの前の委員会でも問題といたしました。公害排除のための脱硫装置が各大手企業に取り入れられて、これが活動し始めた。したがって亜硫酸ガスを排除するときに硫黄副産物としてできる、現在のところ十万トンばかりできるといわれておりますが、このため硫黄が値下がりいたしまして、松尾鉱山はやっていけない。政府としては、通産省中心として余った硫黄を外国に、発展途上国などに売って、何とか鉱山を守っていこうという対策をやってこられたようだけれども、いま大臣が言われたように的確さを欠いた、迅速さを欠いたために、ついに昨日会社更生法適用を申請しておる。従業員——けさのテレビでも従業員の意見を聞いてみますと、まことに惨たんたるものですね。従業員生活も、この年の瀬を迎えましてたいへんであるし、その山全体、地域全体が非常な悲壮な決意をしておるのでありまするが、現在までとってこられた措置、それから技術革新により、あるいは公害排除のためにやりました脱硫装置発展によって、このような鉱山会社の倒産、閉山、これは私企業だけの責任ではないと思う。私企業がもちろん先見の明がなくして今日ここに至ったということも会社責任である。ただ、このような公の害を排除するために脱硫装置を取りつけさせた。そのために副産物として硫黄ができた。このためにつぶれた。何なら政府としては、石炭政策石炭に金を出す以上に、当面の問題として援助しなきゃならぬものではないか。特に従業員はどうするか、こういう問題があります。したがって、現在たとえば発展途上国に対する貿易の問題にもからみまして、政府のとってきた措置を、まあ大臣見解を聞いたあとは、担当官からの報告を求めたいと思います。
  17. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 問題の松尾鉱山がたいへん窮境におちいりまして、六十億に余る債務をかかえて、尋常の手段をもってしてはいかんともしがたい状態に立ち至りましたことは、たいへんお気の毒でございますし、私どもも心痛いたしておるところでございます。で、きのう、いま御指摘のように非常手段がとられたのでございまして、この手段によりまして、とりあえず年末から年初にかけまして会社の火急の対策を講じていただくとともに、管財人の御指名等、御相談に乗りまして、その責任方々通産省といたしましては十分協議いたしまして、再建の道を探求していきたいと考えております。その方々といたしましては、一つは、いま御指摘のように輸出市場の開拓でございます。これは望みがないわけではないと私どもは判断しております。しかし、輸出いたすにいたしましても、国内の生産体制が整備されなければならぬのでございまして、その生産体制整備全力をあげなければならぬと心得ておるわけでございますが、脱硫硫黄のはんらんというような事情もございまするので、いま仰せのように、私企業の分別だけではどうにもならぬ問題性は、十分われわれも心得ておるつもりでございます。硫黄政策全般について、早急に施策を進めなければならぬと考えておりますが、具体的なことは局長から答弁させます。
  18. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) 大臣いま御答弁ございましたように、公害対策の問題からいたしまして重油から硫黄を抜くということが出てまいりましたために、従来の硫黄の需給関係は著しく変わってきたわけでございまして、この事態に対処いたしまして、本年七月に鉱業審議会から硫黄問題についての答申をいただいたわけでございます。この答申の基調は、過剰硫黄輸出によりまして需給の均衡をはかり、市場を適正にするということであり、もう一つは、硫黄鉱山企業の合理化を促進するということでございます。私どもといたしましては、この答申をいただきまして、この線に沿った対策推進しておりますが、輸出対策につきましての現状は、本年の八月に硫黄鉱山と石油精製及び商社の関係企業四十六社をもって日本化学工業品輸出組合の硫黄部会を結成いたしまして、十月から輸出カルテルを結んで、秩序ある形で積極的に輸出に取り組む態勢を整えております。輸出成約の面でも成果をあげるきざしを見せております反面、このような対策をとりますので、市場関係調査をいたす必要を痛感しておりまして、去る十一月四日から一カ月間にわたりまして、輸出市場開拓を目的にした硫黄調査団を韓国、台湾、インド、タイ、オーストラリア、ニュージーランド等の硫鉱消費国に派遣いたしまして、海外需要者の意見をも十分に聴取した結果、努力いかんによっては今後の輸出について明るい見通しがあるという報告を受けております。また大口消費国であるオーストラリアにつきましては、ジェトロに委託して市場調査を実施中でございます。今後これらの動きによりまして、さらに硫黄輸出を伸ばすために、関係業界を中心にした硫黄輸出基地の建設につきまして具体的な検討を進めております。また、石油業界、硫黄鉱山業界の協調によりまして、輸出責任体制についても両業界の意見調整をはかるべく、私ども積極的に仲介の労をとっておる状況でございます。  これらの輸出振興策につきまして予算的な裏づけを行なうために、来年度予算におきまして市場調査輸出基地の建設、輸出在庫金融等に必要な財政資金確保をはかってまいりたいと思っております。  また、合理化対策につきましては、精錬費のコストダウンをはかるために来年度から硫黄精錬合理化試験補助金を交付するよう予算要求を行なっておる状況でございまして、全般的な情勢変化に対処いたしましてかような施策を講じつつあったのでございますが、実はこれらの施策の成果をあげ得る前に、すでに松尾鉱山につきましては御指摘のような非常に苦しい状況が出てまいりまして、昨年来いろいろと苦労をいたしておるわけでございます。松尾鉱山は関連会社の分も含めまして、借り入れ金総額が六十一億円をこえておる状況でございまして、この窮境から最近資金繰りが非常に困難になっておりまして、労働者の賃金についても問題が出ております。また弁済期にある国鉄運賃約一億円、電力料金約二千万円等の支払い遅延の事態も生じてきております。松尾に対しましては、一般的な硫黄対策のほかに、松尾そのものの対策をどうすべきかということで今年の七月に学識経験者をもって構成しました調査団を現地に派遣いたしまして、合理化のための総合的な診断を実施いたしました。同調査団はいろいろ不確定な条件を列挙しておりますけれども、実際問題として経営の窮境というものはきわめて深刻である、現状をもってしては収支の均衝はとうてい望み得ない、しかしながら、相当金額を投入して、調査団の指摘するような技術的改善策を中心に、抜本的な合理化対策を適切に実施される場合には、収支の改善は期待し得るという答申をいたしております。これに基づきまして、具体化について関係業界も含めて検討を行なってきたのでございますが、何せ資金調達に非常な問題がございまして、ただいま大臣からお答えのように更生手続をとるという事態に相なったわけでございます。資金のあっせんにつきましては、私どものほうも昨年の十月と今年の六月——今年の六月は私、がかわりました直後でございますが——北東公庫等に要請をいたしまして、昨年十月にはたしか十億円、ことしの六月には二億円だったと記憶しておりますが、融資実現したのでございますが、これらのあっせんを通じて感じました点では、ことしの六月の二億円がもはや限界であるという感じでございまして、金融機関に今後の努力を要請するためには、松尾鉱山そのものについて何らかの第二会社的なものか、あるいは新たな応援会社というものを求める以外手がないという感じでいままで推移してきたわけでございます。大臣からお答えございましたように、更生申請の手続がとられたわけでございますが、私どもとしましては、管財人の選定等について松尾側に御相談をいたし、今後の更生計画を適切に作成し得るような方に管財人になってもらうという形で御協力申し上げ、その選ばれた管財人と今後どういう形での更生計画を組んでいくかという上に役所側としてやり得る限りの応援をいたしてまいりたいと、こう考えておるわけでございます。なお、このような事態は、ある程度想像がされておりましたので、松尾からの原料に依存している関係企業あるいは労働者の問題に対しましては、労働省等に十分に連絡をとりまして、広域職業紹介の実施、訓練手当、職業適応訓練費等の給付金の支給というものが可能になるように措置してまいりたいと考えております。
  19. 小柳勇

    小柳勇君 他の同種の生産会社、七社九鉱山と聞いておりますが、その他社の経営状態についてはいかがですか。なお、いまの答弁の中で、従業員の転職の問題についてはいま答弁ありましたけれども、当面越年資金、正月を迎える対策については答弁ありませんでした。私どもとしては、これは党の方針でもありますけれども私企業責任——すべてそれを政府責任と言いませんけれども、今度の場合は脱硫装置をつけなければならぬということは、これはもう至上命令であろう、鉱害防止のためにやらなけりゃならぬ。そういうものの犠牲になったということも大きく前面に出ておりますから——会社責任でありまするが、従業員生活については特に政府はひとつ注意してもらいたいと思うのですけれども、その二点について、同種産業会社の今後、それから特にこの会社更生を申請した松尾鉱山従業員生活についてはもっと積極的に政府責任を持つべきであると思うがどうか、この二点について説明を求めます。
  20. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) 第一点の硫黄鉱山の松尾以外の各社の状況はどうであるかという御質問でございますが、白根系の会社のうちで一社若干の、かろうじての黒字というのがございますけれどもあとは大部分決算面では赤字になっております。ただしかしながら、この幅は松尾鉱業の場合とは著しく違っておりまして、当面松尾のような心配しなければならないというような状況には相なっておりません。逆に、これは非常に妙なことなんでございますけれども、松尾につまずきがありますと、全体の中では相対的に他社は市況の面では有利になるという状況もございます。  それから松尾鉱山につきまして更生申請をしたあと従業員のことをどう考えるかということでございます。御承知のように若干の賃金の支払い遅延もいたしております。ある程度は会社の保証によりまして労金から融資を受けておりまして、なお支払い遅延があるという状況でございますが、更生手続の申請が認められましたあと処分が行なわれまして、少なくとも債権の行使が押えられますならば、若干の在庫も持っておることでございますし、当面従業員生活に困らないような方法というのは、ある程度は成り立つのではないかと思っております。これは会社側と至急会いまして、私どものほうももう少しく実情を聞いてみたいと考えております。ただ、更生計画を組みます段階では、いまおよそ千二百人ぐらいの従業員がおると私承知しておりますが、相当の整理を行なわないと更生計画そのものが組めないのではなかろうかと考えておりますので、先ほどはその事態に備えての退職後の問題について言及をいたしたわけでございます。
  21. 大矢正

    ○大矢正君 関連。いま小柳委員から松尾鉱山に関連する硫黄対策についてお尋ねがございましたが、私も松尾鉱業というものが今日企業の継続をしていくことができなくなったその責任は、あげて政府にあるとまでは極論はいたしませんが、しかしながら松尾鉱業のようなわが国硫黄の業界の中にありましては大きな地位を占めておる企業というものがつぶれるということは、わが国のこれからの国内鉱山硫黄にとっては重大な問題なんです。ですから、会社更生法適用されて新たに企業が再開されるかどうかということは、当面まだ判断できないところではありますが、この松尾鉱業を完全につぶしてしまうということになりますれば、その及ぼす影響というもの、他の鉱山に対して非常に大きいものがあります。御存じのとおりに先年来合理化につとめてコストを一万五、六千円のところまで下げることができた。鉱山硫黄で一万五、六千円までコストを下げたということは、もうたいへんな努力の結果です。これ以上に鉱山硫黄のコストを下げるなんということは当面考えられないと思うのです。それまでやってもなおかっこの市況が悪化したために採算が合わぬという状況だと思うのであります。ですから、根はまことに深刻だと思います。そこで、まあ私としては、何としても関係諸官庁が相協力をして、この松尾鉱業という会社を残すのではなくて、あの鉱山鉱山の労働者を残す、そうして地域の経済にそれ相応の役割りを果たさせるという立場において、ぜひひとつ、緊急の課題として金融の問題その他あると思いますが、ぜひひとつ配慮してもらいたいと思います。  それからもう一点は、政府と私どものこれはおそらく論争になって、結論は出ぬかとは思いますが、やはり今日のこの硫黄問題を考えるにあたりましては、国内の鉱山硫黄と回収硫黄というものをはっきりと区分をして、内需はこれは鉱山硫黄で充当する、したがって回収硫黄は全量海外に向けて輸出をするという、この基本的な考え方がないと絶対に国内の鉱山硫黄は成り立っていかないわけであります。でありますから、若干の需給のバランス上の問題はあったといたしましても、基本的には内需は鉱山硫黄である、それから回収硫黄はこれはまあ全量ひとつ海外に輸出をするという原則を立て、そのために回収硫黄をかりに一手に買い取って海外に輸出をするというような体制を早急に樹立しない限り、国内の硫黄鉱山というのは私は立ち行かないと思うので、その点について若干四十四年度の予算の中で金融措置を講ずることによって、このストック分の硫黄の金繰り問題だけを処理しようというお考えのようだが、こういうことでは私はとても問題にならぬと思うのであります。まあできることならば海外に硫黄輸出するための公社ぐらいつくることが一番好ましいが、かりに直ちにそれができないといたしましても、その一歩手前としての石油業界その他の業界を含んでの一つのはっきりした輸出のための目的を持った機関に政府が積極的に経済的にも支援の体制をつくって、とにもかくにも回収硫黄は海外に輸出をするんだという原則を打ち立ててもらいたいという強い希望を私は申し上げたいのでありますが、そこまで硫黄対策として踏み切っていただけるかどうか、ひとつお答えをいただきたいと思うのであります。これは技術的な問題というよりは、むしろ政策を行なうにあたっての基本的な考え方でありまするからして、ぜひひとつ大臣にお答えをいただきたいと思うのです。
  22. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 第一点の松尾鉱山に対する緊急対策でございますが、私どもも先ほど局長から申し上げましたとおり、火急の問題として緊急に処理していくように協力していきたいと思います。  それから第二の鉱山硫黄と回収硫黄と区分いたしまして、硫黄政策を立てる場合の立て方として、そういう考え方でどうだという一つの御提案でございます。これからの硫黄政策をどういうメカニズムのものにしてまいりますか、いろいろな方法を考えなければならぬのじゃないかと思いますが、いま大矢委員が御指摘になったような仕組みというものも確かに一つの考え方であろうと思いますので、十分私ども検討さしていただきます。
  23. 小柳勇

    小柳勇君 次は貿易の問題と、それから経済協力をひっくるめて質問いたします。  時間が足らぬものですから少し急いで申しますが、貿易の問題については、大臣所信によれば、貿易振興経済協力推進が緊要である、こう言っておられます。輸出振興ということは結局貿易を伸ばすということでありましょうが、その柱をどこに置いて貿易振興をはかろうとされるか、これが第一の問題であります。それから経済協力の問題は、いろいろたくさん問題がございますけれども、具体的な問題で日本輸出入銀行の資金をふやさなきゃならぬが、これのために電発の株を民間に放出して資金をつくるということが新聞に報道された。こういうことでは、九つの電力会社資金発展途上国経済援助をやるということになりはせぬか、もっと政府が、いまの所信によりますならば、身分相応の経済協力をするということが方針のようでありますから、電源開発株式民間に放出して資金をつくるというような、そういうことは、それは邪道ではないか、こういうことを言いたいわけです。したがって、この経済協力の問題で、もう少し政府は本腰で、産投特別会計などの資金確保をすべきであると、電発の株放出などで当面を糊塗してはならぬと考えるが、大臣見解を聞きたい。この二つです。
  24. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 第一点の輸出振興でございますが、輸出振興はもうネコの手も借りたいくらいで、あらゆる手段を考えにやならぬわけでございますが、御指摘のように重点を言えということでございますならならば、何よりも国内の産業態勢を国際的に戦える態勢、そういう力を持った態勢にせにやならぬと、通産省全体が努力せにやならぬ課題であろうと思います。それから輸出金融の充実、とりわけいま御指摘の輸銀資金に限界がございまして、せっかく輸出余力を持ちながら金融的な隘路によりまして貿易ができない。とりわけプラントの、いま貿易の主導的な形態となっておるプラントが伸びないということになりますとゆゆしい問題でございますので、輸出入銀行の金融力の資金の充実という点に最重点を置いてこの予算折衝をがんばってみたいと思っております。  それから第二の点の電発の株を売って資金を得ると、それは全然話が違うのでございまして、これは電力政策の上から電発という会社を電力の広域運営の上からいってどう活用しようかという電力行政上の配慮でいま検討している問題でございまして、輸出入銀行の資金をそういう手段によって調達しようなんというさもしい根性は全然持っていないのでございます。
  25. 小柳勇

    小柳勇君 これはまあ新聞報道ですからね。十二月十四日の日経ですが、「財源に電発株放出」、「経理操作で益金ふやす」と、こういうことで報道されたものですから質問したわけです。細部の問題はまた別の機会にこの委員会でやりましょう。これは私どもとしてはいま重要な段階で、いま貿易振興させなきゃならぬし、あるいは経済協力も必要な段階に、その小さい資金繰りでやっておっては、大臣所信に反するのではないかということを言いたいわけですから、そういう意味ですよ。そういうことです。  次は大型合併の問題です。資本自由化が進みますというと、企業合併をして国際競争に勝たなきゃならぬ、こういうことを政府は常々言われ、先般経済企画庁長官もそういうことを言われました。いま当面問題になっているのは八幡と富士の合併の問題です。八幡と富士が合併いたしますと、世界第二の鉄鋼会社ができるわけでございますけれども、現在公取としては慎重に審議中である、調査中でございます。通産大臣は、現在の資本自由化が進むから、鉄鋼も自動車も大型企業どんどん合併をして、とにかく国際競争に勝つのだと、こういうように企業の利潤追求——企業がとにかく外国の産業競争に勝たなければならぬという立場だけを堅持しておられるのかどうか、まず大臣見解を聞きたいと思います。
  26. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 産業政策の立場から申しまして、本質を改善して競争力を高めたいということは私どもの大方針でございますけれども、規模を大きくすれば必ず効率があがると一般的には言えないと思うのでございます。そういうものもあれば、必ずしもそうでないものも私はあるだろうと思うのでございます。産業政策の立場から申しますと、体質を強化してまいる上におきまして役立つ手段はできるだけ吸収したいという願望を持っておりますことは間違いないことでございます。
  27. 小柳勇

    小柳勇君 具体的にこういうことがある。先日私帰郷しましたところが、八幡区黒崎の商店街の皆さんが三十人ばかり代表が来られまして、その八幡製鉄の社宅が六百戸ばかり取りこわし中であるからその実態を見てくれ、できたらあなたの力でこれとめてくれと言うのです。現地に飛んで行きましたところがそうなんです。八幡製鉄の社宅がもう取りこわし中なんで、かわらを全部はいである。六百戸ばかりこれを取り払って、あと他の会社の工場ができる。あと八百戸ぐらいの商店街は残っておるのですが、その商店街の皆さんが言われるには、まだこの社宅はすぐ住める社宅である。そこに市営住宅もございますがね。ところがその社宅の皆さんは、穴生というところに別に大きなデラックスなアパートができたものでございますから、そこに直るのでございまして、したがって自分たちは商売が成り立たぬというのですね。ここにクリーニング屋さんや肉屋さんなどの商店街がある。できるならこの社宅を残してくれとおっしゃる。ところが八幡製鉄は、ここは公害がひどいから、ここは工場地でございますからこれはほかの工場に売ったんだ。したがって、ここに工場ができますから、市のほうもここはもう公害がひどいからこれは工場街でいいんです。商店の皆さんは別途生活の道を選ばなければならないというような話だったというわけです。私は、先般、この商工委員会から八幡、富士の合併の調査に参りました。そのときに、下請産業中小企業、商店街の影響などを調べましたけれども、二、三聞いただけでありましたから、実際にあたってはわかりませんでした。ところが、今度行ってみまして、その社宅の皆さんは、もちろんいい社宅ができたから直るのもありますけれども、千葉県のほうに移動するわけでしょう。従業員が減りますから、八幡としては古い社宅からつぶしてほかの会社へ売っていくわけです。ほかの会社が工場をつくるわけであります。この点はもう端的にあらわれているわけですよ。まだりっぱな市営住宅すら取っ払って、そこに工場ができたというような情勢になってきた。そこに八幡の従業員が住んでいるわけです。だから、いまちょうど公取としては、競争条件について、競争ができるかどうかということで審査があっているようですけれども、実はそういう現地の商店街や下請産業などの衰微などについてどういうような調査をしてやるであろうかと私はそのときしみじみ心配したのです。言いました、もうかわらを取っ払っているやつを、私が行ってみて、八幡製鉄待ってくれと言っても、これは私企業私企業と契約して、売買契約済んだのでございますから無理でございましょう。これはまた大型企業合併の一つの犠牲のあらわれだと思う。あなた方ひとつ市役所なりあるいは八幡製鉄にかけ合って、別の土地を持って商売をしてごらんなさい。前向きでひとつ検討しましょうと言って別れておりますけれども、そういうように端的に、それも全部じゃないと思います。理由は社宅が古いという点もありましょうし、公害の発生の大きいという点もありましょうけれども、そういうふうにあらわれておると思うが、公取委員長も見えておるようでありますが、大型合併についての現在の八幡、富士の審査の状況、そういう問題について御検討あっておるかどうか。これは一つの具体的な例です。もう少し親切にひとつお話を願いたいと思います。
  28. 山田精一

    政府委員(山田精一君) ただいまこまごまと現地の状況をお話しいただきましてありがたく拝聴いたしたわけでございます。私どもといたしましては、どこまでも独占禁止法を運用いたす機関でございます。端的に申し上げますれば、独占禁止法の第十五条、一定の取引分野において競争を実質的に制限することとなるかどうか、この点からもっぱら検討をいたしておるわけでございます。したがいまして、ただいまお話のございましたような事情を全然無視するわけではございませんけれども、どこまでも重点は独占禁止法第十五条に触れるものか触れないものか、こういう見地でもって慎重にまた厳正に調査をいたしておる段階でございます。
  29. 小柳勇

    小柳勇君 公取委員長あとでもう一問いたしますが、通産大臣、私、申し上げますが、公取として限界があるわけです。独禁法によって合併の法的な競争条件などをお調べになるのもこれは非常にやはり事務的に技術的にお調べになるわけです。政治的な判断はやはり通産大臣がやらなければならぬと思う。そこに通産省の任務があると思う。だから、八幡、富士が合併して世界第二位の鉄鋼会社をつくって、競争条件がない。うんともうける。これは企業としては当然考えるでしょう。ただし、そのあとに残された商店街なり地域は一体どうなるか。私ども言いたいのは、現在、生産工場が集中いたしまして公害問題など発生した。あるいは過密、過疎の問題が発生している。都市計画もなかなかスマートにいかない。だからそういうときに八幡に参りますというと、八幡は伝統がありますから、ここが基盤ですから、簡単には八幡の影響ございませんとおっしゃいますけれども、いま申し上げますように、具体的にはもう社宅がたばねて六百戸も取り払われて、そこに別の会社の工場ができようとしておる。そういう現状ですね。工場ができるから商店は成り立つではないか、もう商店は成り立たないのです。そういうものについては政府は全然もうこれは手が届かぬわけでありますよ。クリーニング屋さん、じゃよそへ行って商売始めてください、こう言う以外に私どもとしてしょうがない。肉屋さんもここじゃもう家がなくなったのですから、私はこう言いました。新しくできる工場の中に売店をもらって売店の中に入り込んだらどうですか。笑って、ちゃんと工場ができれば、工場のところにたくさん先約があります。ここにおります町のやつが行ったって、全然聞いてくれぬというのであります。話にならぬというのです。われわれはどこかに土地を求めて移っていく以外にないけれども、こういうのは一体だれの責任ですかと、私に窮状を訴えられた。そうして仮の闘争本部をつくりましてやっておられますけれども、蟷螂の斧です。三十人や四十人や五十人の商店のおじさんが集まって八幡製鉄に行ったり市役所に行っても、だれも親切にやってくれない。そうすると結局泣き寝入りで、またどこかに生活の道を求めながら新しい土地を求めて営業しなければならぬ。そのときに一体みなさん金を貸しますか。その犠牲者に対しては、政府は特別に低利、長期の金を融資しましょうという法律はない。そういうものを考えますと、政治的に大型企業合併を、企業の利潤だけあるいに国際競争力に勝つとか、そのようなことだけで公取にだけまかして、政府は、とにかく合併せい合併せいとあおっておられる。経済企画庁長官などはもう正直でしょう、通産大臣みたいに政治家でないから。率直におっしゃるものですから、そのようなことでは地域経済発展など、われわれが地方の苦情、声を聞きましても、これも間に合わないのですね。公取のほうでおきめになったら、そういうものの判定ができたら、それでさっときまってしまうでしょう。そうしますと、千葉県のほうに大々的に移動していくでしょうね。そういうものもそれがまのあたりに見えるわけであります。したがって、通産大臣としてそういう大型合併のために犠牲者が出る、そういうものについては一体どういう配慮をしてまいるか、大臣見解を聞きたい。
  30. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 小柳先生の言われるほど、おことばですけれども、合併の問題と私は話が別じゃないかと思うのです。合併はまだ行なわれておりませんし、いま公取でせっかく御審議中の課題だと思っております。いまあなたが御指摘の問題は、結局私どもの立場から申しますならば、都市政策と申しますか、それを産業的に申しますと、工業立地政策と申しますか、そういう課題として別個の政策分野の問題ではないかと考えます。それに、御案内のように都市が非常に過密化してきたし、農村が過疎化してきた。都市政策というても都市だけの問題をとらえておったらいけないというので、自由民主党におきましても都市政策調査会をつくりまして大々的な中間報告を出しまして、ごらんいただいたと思いますが、また野党各派におきましても、この問題につきましては、いろいろ御検討が続けられておるように思いまして、与野党の間におきまして、そんな大きな差がないと承知いたしておるのであります。都市は再開発しておる。そういう合併問題と全然関係なくても、たとえば都市の中で交通が混雑して卸商が全然機能を果たせないような状態をどうするかというような問題がわれわれの当面の課題になってきているわけでございますから、いま御指摘のような問題は、そういう政策分野の問題といたしまして、いま火急に迫られておる都市再開発、工業的に申しますと、立地政策の問題として考えさしていただくということでなければならぬのじゃないかと思います。それから経済企画庁におきましては、そういう視野から新しい全国総合開発計画がいま起草されつつあって、一応の案が新聞に発表になっておるようでございますが、この報告の中に、いま御指摘のような問題をどのようにくらいづけて、どのように処理していくかという指針は読み取っていただけるものと思うのでございますが、いまから私どもが本格的に取り組まなければならない課題である直接合併問題とは関係はない問題ではないかと、私はそう思います。
  31. 小柳勇

    小柳勇君 私はそうは思わぬのですよ。合併問題の話が出ますと、政府としてはもう双手、総力をあげて賛成の意見をぶたれる。そういうことで会社可能性を期待するわけです。ああ政府があれだけ言うから合併できるだろう。そうしますと、資力は合併したときに主導権を握る方向、合併したときに八幡の伝統なり技術がちゃんと合併会社の主導権を握る方向に投資してまいるのが当然じゃないですか。合併できないなら、もっとひとついままでの方法に何とか手を加えることができないかと考えるでしょう。合併した将来のことを考えながらちゃんと投資してまいるでしょう。ところが、他の競争会社もなるほど合併できるかもしれぬということで投資をしてまいるでしょう。下請会社などはそれを敏感に見ていますからね。これはこの問の調査でも明らかですよ。合併したとき私どもはちゃんと千葉に行って、あるいはどこどこへ行って仕事をできるような体制をつくっておりますとはっきり言いますか。そんなに国民は敏感に大型企業合併というものを真険に考えておるにもかかわりませず、あなたはいま数学者のような答弁をしておられるわけです。理屈はそうでしょう。産業立地政策というものと大型企業合併の問題は別です。わかります。ところが、まあ公取のほうは非常に厳正にやるという信頼を受けておりますが、公取の結論では——公取の結論といいますけれども、とにかく通産省などというのはもう大型企業から引っぱり回されて、極端に言いましたらそのお先棒をかついでおるんだからというようなことで、それを見ながら、通産大臣発言を見ながら、下請企業ども商店会なども、今度はこれはたいへんだと、そういうことになるわけですよ。したがって、あなたの見解なり経済企画庁長官の見解というものを私どもは再三にわたって確かめるわけです。したがって、八幡、富士の、もちろんもう少し具体的に言いますと、公取のほうで合併がたとえばそれでオーケーになった場合、通産省として、その他のいまの産業立地政策もありましょう、下請産業に対する育成もありましょう、あるいは小規模企業に対する育成もございましょうが、地域住民に対するいろんな犠牲に対して何らかの措置をとらなければならぬと思うが、通産省としては、もうただ大型企業合併をして国際貿易に勝って、そして諸外国の産業との競争に勝てばよい、これだけでございますか。あるいはもっときめこまかに、国民全体の生活の安定と、国民生活のしあわせのために大型企業合併を考えておられるのか、大臣見解を聞いておきたい。
  32. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) お断わり申し上げておきますが、通産省は八幡、富士の合併問題につきまして、合併賛成で大いに世論をあおり指導する、そんなことはやっていないのです。非常に慎んでおるのでございます。私どもは独占禁止法の責任者でございまするから、公正取引委員会のほうでやられておることに対しまして、はたからとやかく言うようなことは慎むということを私も厳重に部下に命じまして、非常に遠慮しているつもりでございますから、これを通産省大いにあおり立てておるというふうにあなたがおとりになっているとすれば、そういう先入観はひとつ御払拭いただきたいと思います。  それから第二点でございますが、しかしながら産業政策をやっておるものとしての希望を言えと言われたら言うことは私も権利があるだろうと思って言っているだけでございます。それを公取さんがどうおとりになるか、どう判断されるか、これは産業政策ばかりでなく、公取さんといたしましては独占禁止法のお立場からいろいろな点を御考慮に相なっておるわけでございますから、その判断には私は信頼をするわけでございまして、非常に低姿勢で、非常に遠慮しておるのでございますから、その点は決して誤解のないようにお願いしたいと思います。  それから国民生活全体を考えてやらなければならぬ。政府の機関といたしまして当然だと思うのでございます。それだからこそ、私どもはそういう仕事ばかりでなく、重工業局から中小企業庁までかかえまして、山のてっぺんから谷間の奥深くまで、ひとつ真にきめこまかくやらなければならぬと鋭意努力いたしておるわけでございまして、そういう点については十分配慮してまいることは当然だと思います。
  33. 近藤信一

    ○近藤信一君 ちょっと関連。  いま八幡と富士の大型合併の問題について小柳君が質問されておるのですが、通産大臣はえらい遠慮し、低姿勢だとこういうことですが、通産省のほうの任務というものは行政指導する、監督でしょう。あなたのほうが行政的に監督して、こうやったほうがいいと、こういう一定の方針を出される。いまの集中排除法のあれで公取でやっておる。しかし、私は政府がいい面だけをこうPRして、大型合併についても、八幡と富士の合併はいいだろうというふうなこともしばしば新聞に出ておるわけなんだ。ぼくはそこに問題があると思うのです。国際競争力に打ち勝っため、また国際競争力の中で日本の産業が伸びていく中ではこうあるべきだということで、日本の代表的なそういう独占資本といわれる八幡と富士の合併の問題が事実出てきておるわけですね。政府は、そうなりますといわゆる国際競争力というものをにしきの御旗として、これをしなければ競争力に負けるだろう。完全自由化は目前に控えておるからと、こういうことで盛んに新聞などもそういうふうなことを書いておるわけです。しかし、その陰に一体どういう弊害が起こってくるか、この問題をまず私は考えてもらいたいと思うのですね。と申しますのは、やはりそうした日本の代表的な会社が合併した場合に、そこに連なるところのいわゆる下請企業といいますか、中小企業も多くおるわけですね。これらが、いままでの例から見ますると、往々にして犠牲に供されて合併が進んできておるのですよ。そうすると今度は中小企業対策ということでいろいろとまた問題が起こってくる。共同か協業かやれというふうなことで、団地をつくってどうのこうのといういろいろな面が出てきます。私は、やはりそうした日本の代表ともいわれるような会社が合併する際には、やはりその裏の弊害がどう大きく展開されておるか、その見通しの上に立ってこの合併という問題を進めていく、こういうことでなければ、私はあとになって、また今度は中小企業対策だというふうなことになってくる危険性というものがあると思うのです。だから私は行政指導するいわゆる通産省としても、いい面は私は大胆にやればいいと思うのですよ。何もそう遠慮しいしいやることはないと思うのですよ。やはりいい面があればこれを大胆に指導していく。しかしその反面、悪い面がそこに出てくるということになれば、これに対してあなたのほうは十分検討を加えてこの合併というものに対しては通産省はこう考えるのだと言われることをはっきりしなければ、国民に疑惑を持たせる危険というものはあると思うのですよ。そういう点はどうですか。
  34. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 仰せのとおりでございまして、合併というのはメリットもあればデメリットもあると思います。いままで議論をしておりますのは、通産省として大型合併、富士、八幡という固有名詞は必ずしもついていないのでございますが、大型合併というような問題についてどう思うかというような設問が多いわけでございます。それはメリットもデメリットもあるでしょうと、その中でわれわれはわれわれの追求する産業政策目的から申しましていい面があればこれを吸収するにやぶさかでない、それからまたその弊害は除去していかなければならぬのは、近藤委員が御指摘のとおりでございまして、われわれは富士、八幡の傭兵じゃないのですから、国の機関でございますから、そういう点は非常に公平に判断しておるつもりでございます。何も片寄った偏見をもって臨んでおるつもりは毛頭ございません。
  35. 近藤信一

    ○近藤信一君 それに対して、私が言った、もし合併がされた場合に、裏返せば、中小企業に対するところの弊害が生じてくることは必然的な現象だと思うので、もしそうなった場合にはこれらに対してどういうふうに対処するかというあなたの考え方ですね、いままでの例からいくと、何かあれしてから中小企業が困ってきた、それ、あそこの救済だ、ここの救済だ、そのためにはこうしなければならぬ、ああしなければならぬということで、国会でもそういうことをいろいろ議論してきたわけですよ。現在の中小企業のわずかの予算の中でそういうふうなことを将来考えていかなければならぬということになると、なかなか私は重要な問題だと思うので、もしそういうふうなことになった場合にはこのような解決点があるのだという、そういう見通しがなければ、私は簡単に、合併、そうでございますかと言うわけにはいかぬと思うのですよ。この点ですよ。
  36. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) それも仰せのとおりでございまして、ただ合併問題はいま公取で御審理中でございまして、合併になればこうするぞああするぞというようなことをいまの段階でとやかく言うのは、私は少し出過ぎているの、じゃないかと思います。ただ私ども産業官庁といたしましては、あらゆる場合、絶えずいま御指摘のような問題を究明してこれに対処する用意がなければならぬのは当然でございます。もし公取当局におきまして通産省の意見も一ぺん聞いてやろうということでありますれば、いつでも出てまいって御説明する用意はいたしておるわけでございます。くれぐれも申しますけれども、決して初めから偏見を持っておるとかというような考え方は毛頭ないということでございます。
  37. 小柳勇

    小柳勇君 公取委員長に最後に一問。これは先日記者会見されまして、まず条件付き認可は全くあり得ないわけではないが、むずかしい。結論を出す前に合併当事者に問題点を指摘することもあり得る。それから、一企業一業種の利害にとらわれず競争維持の政策が守られるかどうかを全体的に国民経済的な広い視野から判断する。こういう三項目を記者会見で述べておられます。けさの新聞によりますと、二十三日八幡、富士を呼んで説明を求め、合併上の問題点を公取が聞く、こういうことを言っております。試験官が生徒を呼んで問題点を教えて、これを直せば何とか認可しようというような、そういうものもここにちょっとちらちらにおうものですから、それではまた、公取委員長がせっかく厳正公平に、われわれは人格を信じておりますが、疑われる点もございますので、二十三日に説明を求められる真意と、それから条件付きの認可などというものがあり得るのかどうか、もう一回公取委員長の決意のほどを聞いておきたいのです。
  38. 山田精一

    政府委員(山田精一君) ただいまのお尋ねの第一点でございます条件付き認可云々の新聞記事でございます。これは実は記者会見をいたしましたときにそういうような話が出ましたのですが、私のことばも足らなかったかとも思いますけれども、あらためて申し上げまするというと、法律的に申せば、条件付き認可というものはあり得な  いと思います。これは私どもの役所といたしましては、もしも独禁法第十五条に触れる——これは元来認可制ではございません、届け出制でございます。届け出をしてきました事件につきまして十五条に抵触すると私どもが認めました場合には、合併をしてはいけないという勧告をいたしますか、あるいは審判開始決定をいたす、これがこの法律上の構成でございますので、勧告とか、審判開始決定に条件つきということは、これはあり得ないわけでございます。ただそのときに活が出ましたのは、現在の段階は正式の届け出があったわけでございませんで、一種の行政相談でございます。窓口に当事者が見えまして、もしも、こういうふうな、たとえば例をとりますならば免許営業がございまして、肉屋さんの営業を聞くについて所管の官庁の免許を得なければいけないといたしました場合に、正式に免許の申請を出してくるのは、いずれあとのことだろうと思います。店舗を買ったり何かいたします前に、事前に一応相談に見えるのだと思いますが、その段階であると私は考えておるわけでございます。したがいまして窓口の相談でございますから、いろいろ話し合いをいたしまして、こういう点が問題であるからむずかしいと言うこともございましょうし、当然そういうことは考えられるであろうと、こういう趣旨で申したわけでございます。  それから第二点でございますが、二十三日に云々というお話がございましたが、私きょうは朝からこちらへまいっておりますので、まだ役所に出ておりませんが、二十三日という予定は現在の私の関知いたします限りにおいては予定はございません。これはどういうことになっておりますか、現在の段階では私は存じません。  それから当時者の説明を聞くということ、何か公正を害されるようなふうなお尋ねでございましたけれども、私ども五人の委員会、これが当事者から話を聞く、これは当初合併を行なうという意思表示がございました場合の合併趣意書なるものが出てまいって、われわれがその趣意書を見ておるのでございますから、当事者の言い分に左右されるということであれば、もう趣意書を見ただけでも左右され得るわけでございます。私どもは口はばったいことを申し上げるようでございますけれども、決してそれによって予断を抱いたり、あるいは公正な判断を左右されたりするようなことは決してないという覚悟でございます。ただ、これは民主主義の要請でございますから、先方の言い分を十分聞く、これは必要なことではないかと、決してそれに左右されるという気持ちは全然ございませんということを申し上げておきたいと存じます。  それだけでございましたですね、それでよろしゅうございますか。
  39. 小柳勇

    小柳勇君 わかりました。それでは公正な審査に期待いたしまして、私どもとしてはたいへん問題がありますから、八幡、富士だけでなく、大型企業合併そのものにも問題がありますが、八幡、富士の合併についても地元としてはたくさん問題をかかえておりますから、慎重に御審議あるように、通産大臣がいまおっしゃいましたことを固く信じますから、そういうことで指導してもらいたいと思います。  時間がありませんから、問題たくさんございますが、要望を三点だけして終わりたいと思います。  中小企業庁長官には、しょっちゅう尋ねて決意をうながしているわけですが、予算編成期なものですから、通産大臣に期待をし、お願いをするわけです。  第一点は、中小企業振興事業団ができましてからはりばり仕事をやっておられるのですけれども、何と申しましても予算の裏づけが必要だ、したがって十分活動できるようにひとつ予算の拡充について、あるいは事業がうんとできるように御努力願いたい。  それから第二点は、先般決算で取り上げたと思うのですけれども、環境基準の設定がまだ十分でないために、せっかく大気汚染法が発足いたしましたけれども、十分にこうという効果が発揮されておらない。それはたとえば硫黄の含有量にいたしましても、どうも経済団体が足を引っぱるような印象を受けるわけです。通産省と、通産大臣としてはよほどの決意あって公害をなくさせるのだという御決意がありませんと、厚生省は本気だけれども通産省は業者の味方だという印象が国民にありますものですから、こういうことではいま公害を排除するために立ち上がっている国民感情から遠ざかりますから、この点十分配慮してもらって、早急に公害対策の完備ができますようにひとつ御努力願いたい。  それから第三は、小規模企業なり中規模企業の労働災害が非常に多いのです。大企業はどんどん合併してもうかります。中小企業はこれに追いついていかなければならない。そのために、労働災害発生後も金をかけられないまま仕事をしていかなければなりません。だから、現地を視察いたしましても、まことに災害防止については設備も不十分でありますし、注意も足りておらぬです。だから、中小規模企業などの労働災害防止につきましては、特に指導体制なり特別措置などで、予算にしても考えてもらいたい。これは中小企業庁長官には再三お願いしておることでありますけれども通産大臣、ひとつ十分配慮してもらいたい。  最後は、これは小さい問題ですけれども中小企業庁が今度小規模企業振興指導員という制度をおつくりになった。商工会議所からだれかを、町の優秀な商店の親方さんを指定して、月額五千円ぐらい、これは報酬になりますか、あるいは電車賃になりますかわかりませんが、出す。そういう振興指導員制度をつくった。町の人たちの悩みを聞いて指導していこうという制度をおつくりになられた。内容を見ますと、東京、大阪、名古屋三カ所だけとにかくひとつ試みに発足しようということのようです。これもなかなか大蔵省はいまうんと言っておらぬ。私はこの間主計官のところに行きまして、いろいろ話をしまして、でき上がるまでねばると言ったのですよ。少なくとも七大都市くらいはこれはやってもらいたい。私はもっと予算をつけてもらいたい。五千円の七百九十人でございますか、このくらいでなくてもっと。いま大企業がどんどん合併して国際競争に勝とうとするときに、小規模企業については何にも手がない、これでは追いつかないのです。私どもはずっといま地元のほうでいろいろ中小企業、零細企業のめんどうを見ておりますけれども、全然初歩のところから出発せぬと……。たとえば賃金台帳はこうですよ、そこから話をやっていかぬと話にならぬわけです。それにはよほど指導体制を強化しませんと、小規模企業などはやっていかれない。中小企業もやっていかれない。だから、政府でいろいろ制度や法律をつくるのもいいのですけれども、もっと自発的にそういう人たちが勉強して、経営についてもっと知恵を持って経営できるような体制をつくらなければならぬ。それには中小企業庁が今度創設される小規模企業振興指導員というのは、これは時宜を得たものではないかと思ったのです。聞いてみるとなかなかたいへんなようです。東京、大阪、名古屋だけでたいへんなんです。東京だけでやれというのが大蔵省の考えのようですけれども、こんなことではつまらぬですよ。特に通産大臣所信で述べられたとおりに、中小企業はたいへんな時期ですから、このたいへんな時期に的確迅速に適応するには大臣の決意を、一番当初に質問しましたその大臣の決意を求めるわけです。私は長官にはこの間お願いしておきましたけれども、東京、大阪、名古屋といわぬで、北九州も。少なくとも七大都市くらいに、そういった七百九十人といわないで、二倍も三倍も、ひとつこれを試みてやってもらいたい。その上でまた中小企業、零細企業がやっていけなければもっと知恵を出しましょう。ひとつこの問題だけはどうしても大蔵省に乗り込んでいってやってもらいたい。私も、力がありませんけれども、主計官にねばって十分やっていきたいと思います。  これだけをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  40. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  41. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 速記をつけて。
  42. 大矢正

    ○大矢正君 自由化政策についての政府の考え方を承りたいと思うのでありますが、いまさら申し上げるまでもなく、金も物も国際的には自由にするということがわが国経済発展にとっても必要なことは十分私もわかっておるつもりでありますが、ただそうは申しましても、金も物も完全に自由化した段階における国内の産業なり企業というものが自立し得る体制にあるかどうかということも、その裏としてこれまた重要なことだと思うわけであります。そこで、最近新聞等の報ずるところによりますと、通産省中心として、画二年内に物の面におけるほぼ完全に近い自由化をいたしたい、制限を解除いたしたいというような御趣旨のことが載っておるわけであります。そこで、基本的にはそういうことが好ましいことではあるが、ただ一定のプログラムにのっとって三年後には物の面における制限を一切しないということは、わが国のそれぞれの企業産業にとりましては重大な影響を与えることに私はなると思うのであります。そこで、両三年内に物の面における制限を取り除くという場合において、どういう形で、どういうプログラムのもとで、どういう国の施策を講ずる中でその解消をはかっていこうとお考えになっておられるのか、お答えをいただきたいと思うのであります。これは事務当局から御答弁をいただくということではなしに、通産大臣自身がわが国貿易政策についての基本的な考え方をお持ちになると思いまするから、大臣から……。両三年という意味はどういう意味なのか。佐藤さんの言うように、前三年あと三年合わせて九年という珍説なのか。三年というのはほんとうにただ三年前後のことなのか、その辺のこともよくわからないし、それからどういうようなプログラムを編成してやっていかれようとするのか。そうしてまた、少なくともこういう問題は、三年後に自由化するとすれば、それぞれの品種、それぞれの産業に対してこの程度の高度化なり近代化のための助成を政府が行なうことによって国際競争にたえ得る体制ができるから、したがって開放体制にするのだということになると思うのであります、が、そういうものが当然おありになっての両三年ということばになるのだと思いますので、それを含めてひとつお答えをいただきたい。
  43. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 一昨日の閣議におきまして、いま大矢委員指摘されましたように、輸入制限残存品目につきまして両三年間にかなりの程度自由化をするという基本の方針を御決定いただいたわけでございます。で、いま御案内のように、わが国は百二十一品目の残存品目を残しておるわけで、世界で一番多いわけでございます。これは決してわが国の名誉でもないし、またわが国の利益でもないと思うのでして、できることならばこれを自由化いたしたい。しかもそれはわが国の利益のために、名誉のために自主的にそうすべきであると私どもは心得ておりますが、まあしかし御指摘のように、ただやみくもにスケジュールを組みまして自由化しようとするものではございません。十分わが国の当該産業状況、競争力をよく調べて、どこまでたえられるかということをよく調べなければならぬことはまず第一に必要でございます。それからまた、このまま置いておいてそれだけの力がつかぬ場合に、構造改善政策はもとより、関税政策その他各般の施策を組み合わせて自由化に対応できるだけの姿勢をつくりつつやらなければならぬことは当然でございます。外向きにおきましては、しかしわが国だけが一方的に自由化するというのではなくして、わが国に対して輸入を制限しておる国々も多いわけでございまするから、そういう国々に対しまして対日輸入制限の撤廃という点につきまして執拗に迫らなければならぬわけでして、そういった手順を踏みつつ、かなりの程度この両三年間にはやりたいという基本の方針を決定いたしたわけでございます。それで、かなりの程度というのはどういう程度かということでございますが、これはやってみなければわからないのでございまして、いま九三%の自由化ができておりますが、この残存、そのあとの残されたものを何%ということは申し上げる自信はありません。個々の企業、大事な企業の生存権でございまするから、十分自由化の条件を練りながら見定めていかなければいかぬわけでございますから、あらかじめスケジュールにのって機械的にやるということはとてもできる相談ではないと思っております。いま申しましたようないろんな施策を組み合わせつつ、段階を踏んでやっていかなければならぬものと心得ております。
  44. 大矢正

    ○大矢正君 通産大臣、私はそのあなたのいま言われたような一般論を聞いているのじゃないですよ。特にあなたの先ほどの所信表明の中の第一と第二は、物と金の面は積極的に自由化をすることによって開放体制に近づけていかなければいかぬと、こう言っておられるのだから、その具体的な方策は何なのか、たまたま両三年以内に大部分の品目について制限を取り除くと、こう言われておるのだから、それじゃいつごろまでにどの程度の制限を解除するのかということを具体的に聞いているのですよ。あなたのいまの御答弁は聞かなくたってそんなことはわかっているわけなんだ。そういうことではなしに、いつごろをめどに、それじゃそういうプログラムを立てるのか。もちろん他国との関係がありますから、相手の国が制限をしておるのにわが国だけが一方的に制限を解除せいと私が申しておるのじゃありません。ただしかし、相手に解かせるにあたっても、みずからの制限の解除をするという前提がなければ相手に説得できないわけでしょう。おれのほうは現状のままだ、おまえのほうだけ先に解除せい、ならおれのほうも解除してやるということにはならぬと思う。もし相手が解除するならば自分の国はどの程度のものをいつの時点でというものを明らかにしなければ、これは制限の解除の話し合いが進んでいかないじゃないですか。ですから私が申し上げているのは、閣議におきましてもあるいは通産省においても十分開放経済体制に沿うための方途について御検討されたというのだから、やはりある程度産業なり企業に対してもいつごろを目途に具体的には制限を解除すると、したがって自由な立場で競争させるのだから、その企業なり産業というものをどの程度の近代化、合理化をすることによって太刀打ちできる体制をせにゃいかぬという、そういうはっきりした通産省の方向を、それが一〇〇%そのまま実施できるかどうかということは別といたしましても、一応の方向は明らかにしなければ、貿易もそうでありまするが、資本の上におきましても、自由化というものは国際的に進んでいかないことになるのじゃないですか。ですから私が申し上げているのは、あなたのそういう一般論ではなしに、せっかく決意をされたのであるから、いつごろまでにそれではそういうプログラムをつくるならつくるという御答弁をいただきたいし、どの程度のものを段階的にどういう形でやっていくという、大まかなものでもけっこうだから示してもらいたい、こう申し上げている。
  45. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) いま仰せのように、私どもの腹はきめなければいかぬわけでございますが、それはいま輸入自由化につきましては、影響する関係業界と、条件を吟味しておる、事情をよく聴取している段階でございます。でございますから、いま私は通産省といたしまして、幾つかの品目をいつまでにということを申し上げたいのでございますが、そういう用意はまだないわけでございます。いませっかくそういう基礎の調査をやっているわけでございます。ところがわが国にとりまして一番大きな貿易関係国であるアメリカさんが、この間のガットの総会におきまして、またそのあとの日米間の二国間協議の場におきまして、三十七品目について輸入自由化を要請してきたわけでございます。つまり百二十一品目のうちの、そのうちの三十七品目、アメリカが特に関心を持つ品目でございましょう。それを言ってきたわけでございまして、これはいまのジョンソン政権から言ってきたわけでございまして、ジョンソン政権といたしましては、ニクソン政権ができるまでの間にこういう懸案をできるだけ片づけておく必要があると心得たのでございましょう。そういう要請がございまして、政府各省協議いたしまして、年内にでも二国間でこの三十七品目を議題にいたしまして二国間の協議をやろうじゃないかということに相なりまして、先方にもこちらの都合を申し入れてあるわけでございますが、年末にもということで申し入れてあるのですが、まだ最終回答がきていないようでございます。とりあえずその一番大事な貿易相手国について、そういう火急の話題がございますので、それを年末から始めようということで、いまその用意に忙殺されておるという状況でございまして、まだ両三年間の全体のプログラムを御提示申し上げるというような段階にまで至っていないのでございます。
  46. 大矢正

    ○大矢正君 まあそれ以上の答弁ができないだろうと私も今日思いますが、やはり産業政策上重大な問題でありますから、通産省は一体どう考えているのか、政府はどういうプログラムのもとに自由化をしようとしておるのかという考え方は、これは示さなければいかぬと思うし、私は、保護貿易の立場から、あるいはまた極端に開放経済という原則だけを踏まえても国内の産業を考えないという立場からの、そのいずれの場合でもなくて、やはり保護すべきものはもちろんあるだろうし、必要であろうけれども、同時にまた、開放経済のもとにおけるわが国の対外取引を考えてみまする場合に、十分それに対応していかなければならぬという問題もありますから、お尋ねをしているわけであります。そこで、物の面における取引上の制限かかりになくなったといたしましても、今日のように国際通貨不安が発生をするということになりまして、金の価値というものが一定していないということでは、結局のところ貿易が停滞をするということになりますね。そこで、まあわが国はアメリカとの貿易か三分の一以上も占めているという実情がありますから、わが国か他国との間における取引の決済というものは、ドル建てが中心であろうと思いまするが、しかしフランにいたしましてもポンドにいたしましても、主たる決済手段のすべてが大きな不安に見舞われておりまするし、将来、平価の切り下げが行なわれるのでないだろうかというような心配が、貿易を行なう上において常につきまとうわけであります。たとえば中国貿易を見ましても、ポンドで決済をするのかフランで決済するのか。ドルではできない。さすればどうするかというようなことも、ある意味では貿易を伸ばしていく上において重大な障害になることは当然であります。ですから、国際通貨不安というものは、それが国内であるか国際であるかは別にして、金融問題であるから大蔵省がやるべきことであって通産省関係ないと言っては問題だと思うのであります。やはり、この通貨不安が与えるリスクというものは、わが国貿易にとっては大きな障害になることは言うまでもないところでありますから、そういうことを考えますると、この通貨不安に対してどう対処していくかということも、また産業政策として海外取引をする上においては重要なことだと思うのです。まあ通産大臣は、自由民主党の中にありましてはずいぶん政策に明るい方だとかねがね承っておりますから、十分の見識を持たれて御答弁いただけると私は確信をいたしておりますが、ともあれ、いまのような固定為替相場というものが、どうも今日の状態では維持することができない。したがって、重ねて、国際的なそれぞれの国の金の価値というものを再びここで洗い直してはどうかというような、ある場合には切り上げ、ある場合には切り下げというような事態が想定される。そういうことも昨今は議論になっているわけですね。それからもう一つは、固定為替相場というものをこの際やめて、屈伸、すなわち幅のある、変動し得る、変動に対処し得るような相場制度をつくってはどうかというような意見も、国際的にもかなり有力な意見となってきておりますね。そういたしますと、アメリカの立場からいけば、特に日本のようなドル建て決済が多い立場からまいりますると、かりに屈伸為替相場になって、上下の幅が大きくなる現状では、円が強い強いといわれるけれども、円が強いということ自身は、将来にとって日本必ずしもよくはないわけですね、貿易をやる上におきましては。したがって、かりに屈伸為替通貨というような非常に幅の多いものができあがって、天井でもって日本の円というものが位置づけられてしまって、アメリカは実際にはドルの価値は下がっているのだが、ドルの価値をそのままにして日本の円だけを天井に上げておいて、そして貿易の決済をやろうということにいたしますと、その分だけ日本が対外貿易をやる上におきましてきびしい通貨上の制約になってあらわれてくるわけでしょう。そうすると、それだけ問題がありますし、ポンドにしてもフランにしても、貿易の決済を行なうことによってリスクが非常に大きくなってきておる。したがって、そういう面については、国際通貨制度の根本が解決をしないといたしましても、そういうリスクを国がどうやって施策の上でカバーしていくかということも考えなければならぬ問題だと思います。そこで、私はいま言った一つの国際通貨の不安に対する考え方の問題と、現にあるリスクに対する解消のための政府施策上の何らかの方途があるかどうか、この二点についてお尋ねをしたいと思います。
  47. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 仰せのように、この主要通貨、世界貿易通貨の平価の不均衡といいますか、そういう点があらわれてまいりまして、これが貿易の萎縮を招来しやしないかという心配が一昨年の終わり以来いろいろ危惧されたのでございます。去年は幸いにいたしまして十カ国蔵相会議がたびたび開かれ、緊急の協力体制がとられましてどうにか大事に至らずして貿易が幸いに伸びたのでございます。しかしマルクの割高が調整されたわけでもございませんし、ポンド不安をめぐってイギリスの通貨事情が安定したわけでも決してございませんので、むしろイギリスの政情さえ不安を伝えられておるような状況でありますので、御指摘のように、非常に先行き大いに不安がありますことは大矢委員と憂いを同じゅうするものであります。そこで、これはもとより関係各国が世界貿易の拡大基調を守るという意味から申しまして、また各国の経済成長を順便に進めていくという考え方から申しまして、無私の協力をして、何としてもカタストロフィックの事態にならぬように通貨当局がそれぞれ協力されることを私どもも希求いたしております。で、われわれといたしましては、しかしそれにしてもなお不安が続くということは、これは払拭できない事態でございますので、貿易をやってまいる商社にいたしましてもメーカーにいたしましても、そのまま素手でこの危険にさらされるという状態では困ると思いまして、ことしは新しく為替損失準備金、これは租税特別措置の中で新しい制度としてひとつ定立さしてもらえまいかということをかねがね財政当局と相談をいたしておるところでございます。
  48. 大矢正

    ○大矢正君 最後に申し上げておきたいと思うのでありますが、いまのように一%上下程度、実際的には〇・五%ですが、その程度の危険負担でありますれば、それはさほど重大な問題にならぬと思うが、かりにこの幅が上下あまりにもあり過ぎてしまうということになりますると、やはりそこに貿易の停滞というものが起こり得る危険性をはらんでまいると思いますから、そのいう意味で十分御配慮願いたいと思うのであります。  それから最後に、先ほど小柳委員から中小企業振興事業団の話がありましたけれども、明年度の予算の要求内容を先日克明に承りましたが、中小企業対策としての予算がどうも芳しくない。で、通産大臣所信表明の第三番目には、中小企業の積極的な近代化、高度化に取り組んでいって国際競争力をつけたいと述べておられるが、どうも予算要求はそうではない。一つの例を申し上げますと、先ほど小柳委員中小企業振興事業団の話を出しましたが、長い間私はこの委員会で、わが国輸出の大きな部面を占めておる繊維に関連をして検討してまいりまして、昨年から紡績それから織布業につきましても中小企業振興事業団を通して近代化、高度化のための資金を大量に提供することにより国際競争力をつけるという方向でいま進みつつあります。ところがみずからは高度化したいし、近代化をいたしたいのであるし、借りるべき金も中小企業振興事業団に実はあるのだが、その機械が間に合わないというようなことで、せっかくの資金が今年は余るような傾向にある。ところがさっそく大蔵省はそれをとらえて、これだけしか使わないのだから来年もそれ、ないしそれ以下でいいだろうというようなことを言って近代化、高度化をおくらすような状況も見えているわけであります。  このようにして実績主義で予算編成をするということではなしに、政策目的がありとすれば、その政策目的に合致するように、この際むしろ使い残しをしたことのほうが、むだな投資をしないのでありますから、現にできなかったのだからしかたのないことでありまするし、喜ぶべきことであると私は思うのです、効率的な予算の使用という面から考えますと。ですから、そういうような一例を申しましたが、中小企業の予算の確保につきましては、ぜひひとつ通産大臣として積極的に取り組んでいただきたいということを希望して私の質問を終わりたいと思います。
  49. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いまも貿易自由化の問題が出ておりましたけれども、もう少しこまかくお聞きしたいと思います。  まずアメリカとの交渉でありますけれども、年内あるいは来年の初頭といわれておりますが、そのときに日本として臨む態度ですね。三十七品目ということが出ましたけれども、そういった問題必ず出てくると思うのですけれども、それに対する態勢が、いまさっきの答弁だけでは交渉はできないのじゃないかと思うのですがその点いかがですか。
  50. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 基本的な態度は先ほどの大矢委員にお答え申しましたとおり、アメリカの要請もございますから相談はいたしますと。しかしながらアメリカのほうにおきましても、わが国の対米輸出について、自主規制の名においてもろもろの措置がとられている。それをいろいろ解明いたしまして、強制されたもの、わが国の利益にならぬもの、そういったものについては、拾い上げて先方の配慮を求めるつもりでおります。早手回しに先方はそういう聞く耳は持たないというようなことを言っておるようでございますけれども、これは相当精力的に太刀合わせしていかなきゃいかぬのじゃないかというように考えております。  それから国内的には、先ほど申しましたように、いま原局が関係業者の実態をよく調べておりまして、それでこの臨時国会が終わったころの段階で、私どもがそのデータを基礎に判断をつくらにゃいかぬわけでございまして、そこで対処方針を固めていこうと思っております。
  51. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 自由化に対する対策でありますけれども、先ほども少し出ておりましたが、やはり対外的な問題としては、一つの問題としては緊急に数量制限という問題が出てくると思います。要するにこの場合、いまいわゆる国内の政令とかいうものが整備されてないと思うのですけれども、まずその必要があるかどうか、それが一つと。  それからもう一つは、タリフクォータの問題、この問題についてもやはり政令をつくらなければならない、こういう問題と。  それからもう一つは、ケネディラウンドの要するに譲許品以外の関税の引き上げですね、この問題が大きく問題になると思うのですが、このことに対してのある程度の方針といいますか、それをやはりつくられた上で、自由化という問題やっていかなければならぬと思います。その点について、詳しくお伺いしたいと思います。
  52. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 局長からひとつ。
  53. 宮沢鉄蔵

    政府委員(宮沢鉄蔵君) 具体的な品目につきまして、ただいま大臣から御説明申しましたように、いろいろ検討いたしておりますけれども、その際に、当然いま先生御指摘のような問題とあわせて考えなければならないわけでございます。たとえばその譲許以外のものの関税を引き上げることによって自由化が可能になるというものがあれば、当然自由化を進めると同時に、関税の引き上げ措置についても考えるということになると思います。  それから関税割り当て制度につきましても、ある品目につきまして割り当て制度を採用することによって自由化が可能であるというような判断が出てまいりますれば、そういうこともその段階において当然やるつもりでおります。  それから緊急関税の制度は、すでに制度としてはございますので、これは一応自由化に踏み切りました後に、物がフラッドしてくるというようなことがあれば、それを遅滞なく発動するというようなことを考えております。
  54. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 数量制限の問題がお答えなかったのですが。
  55. 宮沢鉄蔵

    政府委員(宮沢鉄蔵君) 緊急輸入制限をすることが必要のような状態になりました場合には、現在でもその制度はございますので、これももう必要に応じて適宜発動するということを考えております。
  56. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 それからもう一つは、さっきの両三年とともに言われた欧米諸国との相互自由化交渉を進めるについて、要するにその非関税障害ですね、これは相当やはり交渉の場合に問題出てくる。特に西欧諸国——イタリーなんかなどに多いわけですが、これに対するこちらの姿勢と見通しですね、今後の要するに各国がどう出てくるか、その点、やはり日本がかなり輸入制限をやっているということで、強く言うと思うのですけれども、この点の交渉のやり方ですね、それから見通し、これをお願いしたい。
  57. 宮沢鉄蔵

    政府委員(宮沢鉄蔵君) いま御指摘ありましたように、主として西欧諸国は、日本ほどではございませんけれども、やはり残存輸入制限、かなりありますし、そのほかに特に日本に対しまして差別をしているものがかなりあるわけでございます。たてまえといたしましては、かりに日本がアメリカに対して自由化を約束するといたしますと、それはほかの国にも均てんさせるというのが筋になるわけでございますけれども、非常にやり方がまずいと、日本だけが自由化してしまって、そうして西欧諸国の日本に対する差別制が残ってしまうということになりますと、非常にこれはぐあいが悪いと思いますので、そういうことがないように、アメリカとの間の交渉に引き続きまして、ほかの国とも精力的に話し合って、日本も残存輸入制限品目についての削減をすると同時に、ほかの国もそういうものを少なくする、特に日本に対する差別制限はやめてもらうように強力に交渉したいと思っております。これはなかなか一朝一夕でもってできるということになるかどうかわかりませんけれども、とにかくこの方向でわれわれとしてはできるだけの努力をしていくことが結局日本のためになる、こういう考え方で進みたいと思っております。
  58. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 けさの新聞に、財界でやっておられる産業問題研究会が、自由化に対して積極的な姿勢を打ち出したという記事が載っておりますが、その解説のところなんですね。「通産省自由化業種の選定を進めているため、事態を静観していると政府のぺ−スで自由化の青写真が作られ、財界は“事後承諾”の形に追い込まれる可能性があることなどによっている。しかし問題は財界の“より高い次元”の判断と業界の切実な事情とがくい違っていることで、この日の会合でも「自由化への時間表を作れ」という積極論に対し、自動車業界代表からはかなりの抵抗もあったといわれる。したがって「非自由化業種には入れず、早い機会に自由化を」という一応の結論が出ただけで、自由化実施時期についてははっきりした線が出ていないようだ。」、財界としては、むしろ財界の自主性によって自由化の軌道を敷きたい、通産省のぺースでやられるのは好ましくないような、そういうニュアンスの解説のように思うのですけれども、この問題についての答弁と、それから産業界としてもこの時期についてはまだはっきりした線が出ていない、この産業界との話し合いですね、今後の。その場合の通産省としての態度ですね、それをお伺いしたい。
  59. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 自由化問題というのは、これは演説なんかやりますとみんな賛成なんです。総論賛成、各論反対というやつでね。それでなかなか実際のこの踏み切りは、よほどの決断が要るのじゃないかと思っております。それは財界においてもそうですけれども政府部内においてもそうなんでございます。したがってこれをどのように——経団連を中心にいたしまして、いま資本の自由化のほうも、いろいろヒヤリングやってもらっているのでございますけれども、反対の空気が強いように私ども承っております。  そこでわれわれの仕事は、したがってこれは結局日本の利益のためにやるんだと、国際社会で長い躍進を続けていく日本の名誉のためにこれはやるんであるわけだということで、ある点でやはり舞台から飛びおりてもらわなければいかぬケースが次々に出てくると思うのでございます。そこで、ほんとうにえらいことだと、まあ心配しておるところでございますが、何ぶん御協力を願いたいと思います。
  60. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 この自由化の場合の対外的ないろんな交渉のあり方等は、まあさっきも言われましたが、国内の問題でありますけれども、先ほども少しお話が出ておりました業界の再編成の問題は、だいぶ出てきています。たとえば建築備品についても、エールが来るというので急激に編成をやって成功をしたと、それは通産省としては、それは優等生ですけれども、しかしエールの申請については、まだたなざらしになっていると、こういう場合、悪く言えばそういうことでおどかして、中小企業をあわてさせて態勢を組ませて、悪いものをつぶしていこうと、こういうようなことになればたいへんだと思いますが、したがって貿易自由化に対する業界再編成に対するあり方ですね、方向と、それからそれに対して特に中小企業の場合が多いわけですから、その場合の中小企業に対する保護政策とのかみ合わせの上からの方針を伺いたいと思います。
  61. 大慈弥嘉久

    政府委員大慈弥嘉久君) お答えいたします。自由化産業構造の改善といいますか、競争力の強化の問題でございますが、中小企業関係につきましては、自由化について前向きな姿勢が必要であるとともに、やはり中小企業なりの慎重な態度が必要であろうかと思います。それで、この自由化についても同様でございますが、資本自由化についても、いままでのところは中小企業自由化は、対象から除外をされておる。しかしいまの事態は、中小企業についても可能なものは自由化をするということで現在検討しております。その場合、中小企業構造改善をはかっていくということは当然でございまして、中小企業庁で実施しております中小企業対策全般、協業化であるとか共同化であるとか生産の専門化であるとか、万般の施策が必要であろうかと考えます。
  62. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いま言われた問題で、中小企業近代化あるいは体質改善の問題で、近促法がありますけれども、それだけではまだまだいまの百四十一業種ですか、やっておりますけれども、対抗できないんじゃないかと、それにかわるべき新しいものが必要じゃないか。来年度の、何か予定されているというようなことも聞いているんですが、この点いかがですか。
  63. 乙竹虔三

    政府委員乙竹虔三君) 中小企業業種の中で、特に火急に近代化が必要であり、また、国民経済上も非常に重要な影響を及ぼすというものにつきましては、繊維の構造改善法がすでに発足をしておるわけであります。繊維に準ずるようなものはやはりこのような措置が必要であると思うわけでありますけれども、それ以外の一般業種につきましては先生御指摘のように、近促法で百十二業種現在指定をしておりますけれども、この中で特に速急に近代化が必要であるというものにつきましては、繊維ほど激しい手はなかなか取り得ないと思いますけれども、現在の近促法の運用ないし法律改正を、ときによれば考えまして、この指定業種の中で特に構造改善の必要性のあるものについては政府の支援措置なり業界態勢の固めなり、こういうものを強化してまいりたいということで現在準備をしておるという段階でございます。
  64. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 通常国会あたりには出される予定ですか。
  65. 乙竹虔三

    政府委員乙竹虔三君) もし近代化促進法の改正を要するということになりますれば、通常国会において御審議を賜わるというふうにいたしたいと思っております。
  66. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 あとまあいろいろあるのですけれども、時間もありませんので、次にアメリカの保護貿易の問題についてちょっとお聞きしておきたいと思いますが、御承知のようにニクソン政権になって保護貿易ということがたいへんいわれております。また、大平大臣とは、この前、日米議員懇談会で同席いたしまして、あのときもかなりアメリカの下院議員は相当保護貿易主義者の固まりの方が多くて、痛烈な話をしてきまして、議論のあったことは御承知だと思いますけれども、この現在の米国の動向ですが、いろいろ法案が出されようとしておったり、またかかっておる問題等もありますけれども、米国の現在景気の過熱の問題それからこの保護貿易の問題、これに対しても相当やはり神経をとがらさぬといけないと思うのですけれども、現在政府としてはどういうふうな見通しを持っておられるか。あるいはニューニクソンといわれておるので、その点は現在の政府とあまり変更はないのじゃないか、この点をまずお伺いしたい。
  67. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) ニクソン政権は、共和党の方でございますし、共和党は伝統的にも財政的にはオーソドックスでございまするし、産業的にはいま言われた保護主義的な考えが強いといわれております。その点は私どもも承知いたしておりますけれども、しかし、今度の政権は小数与党を率いての政権でありますから、そういう考え方だけで必ずしも押し通せるものではなかろうというような感じがひとついたします。それから同時に、政策に継続性がなければなりませんし、世界情勢もだんだん変わってきておりますから、従来のオーソドックスな考え方自体で世界政策が行なわれるものでもあるまいから、大筋において大きな変化はないのではないかというような感じも  一応はいたします。しかし、新政権が発足間近でございまして、どのような態度で臨んでまいりますかよくわかりません。ただ私どもといたしましては、今度新政権が日本についていろいろな言いがかりをもって、それを突破口にして次々と攻勢に出てくることがないような措置をこの段階で考えておかなければならぬじゃないかと、そういう意味におきまして、最近行われまする日米交渉というものはじっくり踏まえて処置しておかなければならない問題であると考えております。
  68. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 時間がありませんので、最後にこの所信表明の第六番目の公害問題でありますけれども公害問題についてはしばしば委員会でも質疑が行なわれましたけれども、これは厚生省の方関係がありますのであれでありますけれども、どうも通産省というのは、いままでの傾向で、どうしても産業育成という美名に隠れて公害に対する考え方が甘いという印象を受けざるを得ない。たとえばこの前のイタイイタイ病の公害指定のときでも、すぐあと通産省のほうから見解が出て、まあそのカドミウムに原因ははっきりしたけれども、要するにはっきりした責任は、企業責任というものは裁判を待つ以外にないとか、そういうことが出ますと、それはどの程度の責任があるかどうかということは、それは裁判しなければならぬ点があると思うのですけれども、それを発表するとなると、何か通産省というのは会社側みたいな気がするわけで、そういう点で、やはり人命尊重という点を出した上で、これから公害防止技術開発企業に対する指導強化してまいりたいとおっしゃっておりますので、特に新大臣に要望したいことは、公害本法ができましたけれども、実施法がまだ整備がほとんどできていない。そういった点で、ひとつ産業界に対する指導力を強化された上で、人命尊重の立場の上からこの公害問題に対する強力なリーダーシップをとってもらいたい、こう思うのですけれども、それに対するお考えをお伺いして私の質問を終わります。
  69. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) いま公害本法ができて、その他若干の法律ができましたけれども、大事な問題は、環境基準というものが厚生省で腹案ができまして、それのいま仕上げの段階にきておるわけでございます。私どもといたしましては、企業側が公害本法での第一の公害に対する責任者でございますから、企業側が十分理解協力精神を持ってやっていただかなければなりませんので、厚生省でお示しになられた基準というものを企業側に示してその協力を得るように、いま鋭意説得をいたしておるわけでございます。企業側に立っておるとかなんとか、そういうことではなくて、せっかく実効があがる前進した環境基準ができ上がることを希求するがゆえに企業側を説得しておるわけでございまして、それができ上がりますと、その基準を公正に適用して業界を指導してまいるのは当然だと思っております。
  70. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 時間がございませんので要点だけ質問さしていただきたいと思います。  先ほどの八幡、富士の合併問題につきまして公取委員長より独禁法第十五条を根幹に審査をしておる、そういう話でございますが、先ほども話が出ましたように、非常にこの問題は、それ以外にも大きな問題があるのじゃないか、検討すべき点はたくさんあると思うわけであります。そういう点で、その第十五条のほかに、現在、公取としてどういう点を重点検討しておるか、その点、ひとつ簡単にお答え願いたいと思います。
  71. 山田精一

    政府委員(山田精一君) 私どもは、先ほども申し上げたのでございますが、独占禁止法を運用する立場にございます。私ども調査の基準はどこまでも独占禁止法第十五条に触れるか、触れないか、この点にしぼっておるわけでございます。もしもかりに、調査の過程において何かほかの問題が出てまいりました場合に、その主管の役所に対しまして希望を申し述べたり、あるいはその主管のお役所の御意見を承ることはあるかと存じますけれども、これはどこまでも私どもの権限の外でございまして、私どものいたしますことは、どこまでも独占禁止法第十五条の運用、これに尽きるものであるということを申し上げておきたいと思います。
  72. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 非常にこの合併問題には学者等は反対をしておるわけでございます。そういう中の一つの意見として、はたして大型化した場合のメリットがあるかどうか。いまも通産大臣はメリットもあればデメリットもあると、そういう御答弁でありますし、確かにそのように思います。が、しかし私どもは、合併というのは一度合併したものを悪かったからといって離すわけにいかない。そういう点で非常に慎重に検討していかなければならない問題であると思うわけであります。そういう観点から、まあたとえばUSスチール等は合併したために非常に能率が悪くなったといわれている。そういう点で、八幡と富士が合併した場合に、その旗じるしに掲げているような、そういう国際競争力強化ということが、はたして得られるかどうか。そういう点も非常にむずかしい問題であり、検討しなければならぬ問題じゃないかと思うわけであります。そういう点については公取はどういう考えで検討しているのかどうかです。また、いまのお話では、そういうことは関係ない、ただ十五条だけが関係なんだ、そういうお考えなのか、その点をお聞きしたいと思います。
  73. 山田精一

    政府委員(山田精一君) 学者方の御意見、私ども十分に勉強いたしておるつもりでございますが、ただ、その御意見には産業政策上の立場からの合併の可否ということと、それから独禁政策上からの合併の可否ということが、ややまあそう申しては失礼でございますけれども、混同されておる節も多分にあるように考えております。産業政策の上からの合併のいわゆるメリット、デメリットでございますか、可否というものは、これは主官の官庁が十分に御判断なさることと存じます。私どもは何かの希望を申し上げるということはあり得るかもしれませんけれども、それはどこまでも私どもの権限とは別のことでございます。私どもは独占禁止政策の上から、当該合併が法に触れるか触れないか、この判断にしぼってまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  74. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 先ほど通産大臣のお話では、非常に低姿勢で、この合併問題にはあまり意見は言わない方針である、そういうようなお話でございましたが、私は非常に無責任だと思うわけであります。じゃ前通産大臣のように、合併の発表があったそのあくる日に大賛成だ、そのように言うことも非常に軽率であり無責任だと思いますが、また反対にこういう合併、日本の将来をきめる問題に対して、ただ企業の代弁者であってはなりませんけれども国民という立場に立って、やはりただ公取だけにまかせるのではなくして、やはり通産省もそういう国民的立場に立った、過去の実績とかそういった点においてもっと責任ある検討をすべきではないか、そういうように私は考えるわけでございますが、その点、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  75. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 先ほども申しましたように、私は産業政策の担当者でございますから、産業政策上の立場からこういう問題についていろいろな利害得失、そういう点にからまる問題を検討してまいることは当然の責任だと考えております。ただ、いま合併について正当な認否をおきめになる立場にありまする公取のほうで公式な御審議が行なわれておる段階でございますから、私はそれについてはなるべく言及しないほうが礼儀でもあるし、また正しい態度じゃないか、いまなおそう思っております。
  76. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 その点、公取のほうは第十五条であると、そういう独禁法上の問題であり、一方は、国際競争力をつけるために合併するという、そういう旗じるしを掲げておるわけでありますが、ところが実際にそういう旗じるしはだめだという、そういう反対する学者も多いわけであります。ところがそういう点については反対の学者はいろいろ意見を述べますけれども、それに対してそのままになって、ほんとうにやはり国民的な立場からの論議がなされていない、そういう点で、通産省としてはもうそういう学者の意見に賛成なのか、あるいはまたこれからの工業を発展さしていく責任ある官庁として、もっとやはりこういう点もあるのだと、やはり問題を提起して、それはいろいろ国民の皆さんのまた前でいろいろ判断をして、そうして一つの正しい世論というものが形成されていくのじゃないか。そういう点で非常に私の納得のいかない点があるわけでございますが、そういう点、私の気持ちだけを述べて終わりたいと思います。  最後に、われわれ一番心配している点は、いわゆる管理価格といいますか、この管理価格という定義自体がはっきりしないそうでございますが、原価が下がっておる商品の値段をそういう大型になると下げなくなるではないか、そういう点がやはり非常にわれわれも心配している点であります。その問題につきまして、現在、どういう観点から——いろいろ新聞報道には、品種ごとのことをやったとか、また八幡のそういう幹部を呼ぶとか、そういうことが載っておりますけれども、われわれとしてはまあなかなかむずかしい問題だと思うわけでありますが——どういう方針でその問題について審査をしているのか、その点だけをお聞きいたしたいと思います。
  77. 山田精一

    政府委員(山田精一君) 管理価格に関するお尋ねでございますが、管理価格一般についてお答えをさせていただきたいと存じます。  ただいまお話しございましたように、管理価格というのは学者の定義も必ずしも一定しておらないわけでして、またよく御存じのとおり、数年前アメリカの上下両院の合同委員会で管理価格に関する調査委員会が設けられまして、こんな膨大な報告書が出たわけでございますが、それでも必ずしもその管理価格の実態というものははっきりと描き出されてはおらないように思うわけであります。  したがいまして、私どもの管理価格問題に対する態度を申し上げますと、三つあると思うわけでございますが、第一に、俗に管理価格といわれておりますものの中で、独占禁止法上一定の取引分野における競争が実質的に制限されて管理価格が出てまいる。これにつきましては法律を厳正に運用いたしまして対処いたしてまいる決意でございます。  それから第二番目の、独占禁止法には直接触れないけれども、しかし、問題を持っておるところの管理価格、やや範囲の広いものでございますが、これにつきましては、ただいまも御指摘のございましたように、基本的な調査をいろいろといたしておるわけでございます。直接管理価格に関する調査、それから企業の集中度に関する調査、あるいは資本力の集中度の調査、各種の調査に力を入れております。具体的な事件が起こりましてからどろなわでいろいろ勉強いたしましてもこれは適当でないものでございますから、基本的な調査に十分力を入れてまいりたいと思いまして、明年度の予算にもしかるべき額を計上いたしておるわけでございまして、よろしく御後援をいただきたいと思うわけでございます。  それから第三点といたしましては、管理価格問題は、これは根本的な大きな問題でございますから、御承知のように、先般、独占禁止懇話会なるものをつくりまして、そこでも十分御検討願って、諸先生方の御意見を拝聴したい、こりいうふうに考えている次第でございます。
  78. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 私はそういう具体的な方針を聞きたかったわけでございますが、先般も出ましたように、委員長は、将来のそういう条件云々という話をされたと聞いておりますが、大事なことは、一つは過去の実績ではないかと思うわけであります。八幡の製品にはもうすでに単独でも五〇%、六〇%以上のそういう製品があるわけでございますが、そういう製品がほんとうにその価格の変動というものがどうであるか、どんどんやはり能率があがって、それに従って安くなっていくかどうか、そういうやはり過去の実績を調べてみれば、やはりそういうある程度の管理価格のやはり弊害といいますか、能率と価格の関係というものがわかってくるのじゃないか、そのように思うわけでありますが、そういう点のやはり検討もやっておるかどうか。その点だけお聞きしまして質問を終わりたいと思います。
  79. 山田精一

    政府委員(山田精一君) 過去における当該商品の価格の推移それから当該商品の価格形成の特性、こういうようなものにつきましては十分調査をいたしてまいりたいつもりでおります。
  80. 田渕哲也

    田渕哲也君 時間もだいぶん経過しておりますので、簡潔に質問を行ないたいと思います。  質問に入る前に、大臣に一点だけお願いをしておきたいと思います。  これは先ほど小柳委員、大矢委員から触れられました鉱山硫黄の問題でございますけれども硫黄鉱山で働いておる労働者が現在三千人余りございます。石炭等に比べて非常に人数が少ない関係で、ややもすれば政府としてもなおざりになりがちな傾向があるのではないか。私は単に働く者の救済という面からだけではなしに、国の利益という観点から、政府施策を特にお願いしたいと思います。先日も白根鉱山に行ってまいったのでございますけれども、これは現在、硫黄鉱山の中で唯一の黒字会社である。非常に優良鉱山であります。これは労使の合理化の努力もさることながら、やはり鉱質が非常にすぐれておる、こういう優良鉱山が回収硫黄の価格の問題によりまして閉鎖しなければならないという事態も考えられる。これは日本の国益あるいは地域における産業という点から考えて、非常に大きな問題ではないか。また回収硫黄副産物だから価格は幾ら安くってもいいのだということは、これは非常に大きな問題があると思います。硫黄の回収にしましても、非常にばく大な回収装置の設備投資が要りますし、決してコストがただでいいというものではないと思います。国全体の利益から考えるならば、産業秩序といいますか、あるいは価格維持の政策、こういうものを適切に行なうことが日本の国益にもつながるのではないか。  特に世界的に見て、硫黄需要というものはまだあることでございますから、この辺に対するぜひ強力なる対策というものをお願いしたいと思います。  それから次には質問に入りたいと思いますけれども、まず初めに、残存輸入制限自由化と同時に、資本の自由化に対する要請も強まってくると思いますけれども、第二次の資本の自由化が来年の三月ないし四月に実施されるというような話も聞いております。この時期について通産大臣はどう考えておられるか。  それからもう一つは、自由化業種を今回思い切ってふやす意向であるということもお聞きしております。どのような業種を現在考えておられるか。聞くところによれば、流通部門あるいは雑貨、中小企業などを思い切ってこの業種に入れたいというようなことも報道せられておりますけれども、こういう部門を自由化して、わが国中小企業部門、流通部門にどのような影響があると考えておられるでしょうか。  それからさらに、自動車は本年八月の日米自動車会談で、一つの結論が出ておりますけれども情勢を見てみますと、この結果というものが変更を迫られる要素というものも非常に加わってきておると思います。たとえばもっと早く自動車の資本の自由化を実施しなければならなくなる、こういうことも考えられると思いますけれども通産大臣としてはこの問題についてどう考えておられるか、  以上の点を冒頭お伺いしたいと思います。
  81. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 第二次資本の自由化のスケジュールでございますが、御案内のように、外貨審議会に答申を求めておるわけでございまして、承りますと、来年の二月ごろにはいただけるのではないかと伺っております。したがって、その御答申をちょうだいいたしましてから、役所側の作業に入らなければならぬと考えております。  それから、相当大幅にやるつもりであるが、どういう業種を頭に置いておるかというお尋ねでございますが、私のところではまだ業種につきましてまいっておりませんので、いままだ原局の段階で調査中でございますので、私からまたそれにつきまして申し上げることができないのをたいへん残念に思います。  それから自動車の問題も同様に、この間の日米交渉のあとどういう新しい事態が起きておるのか、たいへん恐縮でございますけれども、私はつまびらかにいたしておりませんので、その辺のところは事務当局のほうから答弁させます。
  82. 大慈弥嘉久

    政府委員大慈弥嘉久君) 大臣からお話のございました自動車の問題でございますが、現在は自動車の資本の自由化についての要求が向こうからきたというような事態の変化は、いまのところはございません。輸入の問題につきまして、夏に妥結いたしまして、そのままの状況でございます。  それから流通部門と中小企業関係についてのお尋ねでございますが、第一次の自由化の際は、御案内のとおり最も影響の大きな業種であるということで、この二つの部門は除いたわけでございます。ただし今回は、この流通と中小企業についても自由化検討の対象にしようと、こういうことで検討しております。昭和四十六年度末までには、かなりの業種について自由化をするという根本方針がきまっておりますので、最後に一挙にするというようなことになりますと、よけいショックが大きいということで、できれば大きなショックのないところから少しずつでも自由化をしていきたい、こういうことで、前向きでありながら慎重にと申しますか、ほかの業種に比べましてやはり慎重な配慮が必要であることも間違いのないところでございます。そういう配慮を加えながら自由化をしていきたいと考えております。
  83. 田渕哲也

    田渕哲也君 いろいろな海外の情勢等からしまして、自由化というものがいつまでも引き延ばせない、できるだけ促進すべき情勢であるということはよく了解できるわけでございます。したがって、そのための国内体制整備の促進というものが非常に重要な課題となってまいりますけれども、最も大きな打撃、影響を受けるのは、やはり中小企業部門であろう。特に通産省としましても、中小企業構造改善政策を進めておられますけれども、来年度の財政措置についてお伺いをしたいと思います。  まず中小企業振興事業団の予算でありますけれども通産省の要求額は大体二百二十億ということがいわれております。ところが都道府県の要求額は四百七十六億、通産省の要求も昨年の、実績からみればかなり上回ってはおりますけれども、しかしまだまだ都道府県側の要求額から見れば半分以下にすぎない。このような現状で、自由化が非常に目前に迫った段階において、中小企業構造改善政策を進めるのに十分な財政措置と考えておられるかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
  84. 乙竹虔三

    政府委員乙竹虔三君) 御指摘のように、事業団に対する府県の融資要請が四百七、八十億あるようであります。それに対しまして中小企業庁の財政当局に対する要求は二百二十億でありまするので、全額予算化いたしましても、府県の要求を全部満足することはむずかしいということでございまするけれども、府県の要求にも緩急の度はございましょうし、また国の財政におきましても限度のあることでございます。この二百二十億は非常に少ないということでございますが、本年に比べますと七五%という大幅増額でございますので、さしあたり私たち事務当局といたしましては、この全額の予算化に努力をいたしたいというふうに考えます。
  85. 田渕哲也

    田渕哲也君 確かにいまの御答弁のように、昨年の実績から見ればかなり上回っておるわけでございますけれども、しかし、こういう外部の状況自由化というものが、たとえば残存輸入制限自由化にしても、あるいは資本の自由化にしても、非常に促進が迫られておる情勢からするならば、もっと大幅にこの増額を考えていただきたい。以上要望したいと思います。  それから次に機械工業の問題でありますけれども、特に輸出産業である自動車、電機、造船等の部品等の下請、こういうところの近代化というものの促進が、やはりこういう基幹産業輸出産業の国内競争力の強化のために必要であろうと思います。通産省としても、来年度は約二千万の予算で機械工業の基本調査というものを行なわれるということをお伺いしておりますけれども、この調査の結果、現在の機械工業振興臨時措置法の強化充実、改正ということを考えておられるかどうか、お聞きしたいと思います。
  86. 吉光久

    説明員(吉光久君) 機械工業につきましては、すでに先生御存じのとおり、いまお話が出ました機械工業振興臨時措置法に基づきましていろいろと近代化計画を組んでまいっておるわけでございます。この法律昭和四十五年度末、したがいまして四十六年の三月末までの限時法でございます。ことしの六月に実はこの対象業種につきまして全面的な見直しを行ないました。これは主として、従来の振興事業というものが、どちらかといいますと、事業近代化といいますか、個別企業設備近代化という方向に重点が置かれていたわけでございますけれども、最後の仕上げの段階といたしまして、依然として多品種少量生産の弊というものが改められていないというふうな状況でもございますので、品種によりましては合理化カルテルの結成を指導いたすとか、あるいはまた、工程等によりましては共同事業というふうな形で事業全体を近代化してまいるというふうな新しい試みを中に織り込みまして、機械工業特定業種といたしまして現在指定されておりますのは三十三業種でございますけれども、いずれかといえば一番重要でしかも脆弱点を持っておる業種を指定いたしまして、そういう根本的な見直しのもとに近代化対策と取っ組んでおる状況でございます。そこらの成果がどのようにあがってまいるかということとのかね合いで、この法律の問題をどうするかということは並行的に考えてまいりたいと考えております。
  87. 田渕哲也

    田渕哲也君 次に、流通部門についてお尋ねしたいと思いますけれども、自動車の自由化に伴いまして、特に販売関係、自動車の流通部門が弱体であるということがよくいわれておりますが、現に、月賦金融、割賦金融の残高を見ましても、すでに一兆二千億の金額にのぼっておる。また、現在この多額の金がどうして調達されておるかというならば、その大部分はディーラーの信用あるいはメーカーの信用によって調達しておるのが実情であります。これを早く先進国並みにユーザー信用によって調達する方式に切りかえないと、今後の日本の販売流通機構の問題に非常に大きな支障というものを来たすのではないか。そこで、政府としても自動車の割賦金融会社の設立の構想というものがあるというように新聞等で報ぜられておりましたけれども、その具体的な実施の時期とか構想についてお聞かせいただきたいと思います。
  88. 吉光久

    説明員(吉光久君) お話のとおり、流通面におきます資金手当ては非常に重要な問題でございますので、現在割賦販売審議会の中に自動車分科会というものを設けまして、自動車の流通金融をどのようにしたらいいかという点につきまして検討を加えておるところでございまして、いまお話しございました割賦販売金融会社の設立の問題も論議の対象になっておるわけでございますけれども、どういう形でそういう金融会社をつくり上げたらいいかというやり方もまたいろいろあると思いますが、そういう問題を含めまして現在まだ論議をいたしておる段階でございまして、こういうことでというふうな最終的な結論はまだ持っていない状況でございます。大体めどといたしましては来年の三月末までぐらいには一応のめどをつけたいということで、各委員の諸先生方お願いを申し上げているところでございます。
  89. 田渕哲也

    田渕哲也君 それでは最後に税金、税制との関係において自動車産業の問題、通産大臣にお尋ねしたいと思います。  現在、来年度の予算編成を迎えて各省から自動車に対していろいろな税金をかけようという動きが表面化しております。たとえば、ライトバンに対する物品税課税の方向、これは大蔵省から案が出されておるようでありますし、それから自民党あたりからはトラック税の創設という案が出ております。それから建設省からは道路財源としてガソリン税、軽油引取税の引き上げ、それからさらに自治省あたりは自動車税あるいは自動車の検査その他登録の諸手数料の引き上げ、こういうものが出ております。それから運輸省からは都心乗り入れ賦課金の問題が出ております。このように考えてきますと、各省からいろいろな形でこういうまちまちな税制というものが出てきておる。これを総合的に見た場合には、自動車という一つの商品に対して非常に過重な負担ということになるのではないか。現に本年の七月の一日から自動車取得税が実施されて、その結果、国内の販売にも非常な大きな影響を与えておるという結果がきておりますけれども、このようなあり方というものは、私どもは次の三点から非常に大きな問題ではないかというふうに考えております。まず第一点は、各省がまちまちにさまざまな方法で税金を取る、特に目的税として特定財源としてこういう取り方をする、こういうものは総合的な日本の税体系に非常に大きなひずみを生ずるのではないか。それから第二点としては、資本の自由化を目前に控えた産業政策上の問題から見てこれは問題があるのではないか。それから第三点としましては、こういうものの中で物価上昇にはね返るものもかなり多いと思います。それから中小企業とか大衆の負担増になるものがかなり含まれている。この三点から非常に大きな問題であると思いますけれども、この点について通産大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  90. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 私どもの立場といたしましても反対なんです。ガソリン税の増徴も、それから自動車に対する課税というような問題はごかんべん願わなければならぬ。いま先生が御指摘なされたような理由からも、何としてもこれは御声援を得て思いとまってもらわなければならぬと思っております。
  91. 田渕哲也

    田渕哲也君 ひとつ大平通産大臣の政治力でよろしくお願いいたします。
  92. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) それでは以上で通産省関係を本日は終了いたしましたので、ここで休憩といたし、二時から再開をいたしまして科学技術庁関係の質疑に移ります。    午後一時二十二分休憩      —————・—————    午後二時十四分開会
  93. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  まず、木内科学技術庁長官から所信表明を聴取いたします。
  94. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) ごあいさつ申し上げます。  技術革新時代といわれる今日、私は、はからずも鍋島前長官のあとを受けまして科学技術庁長官の職をになうことになりましたが、その責任の重大さを心から痛感いたしている次第でございます。しかるに、浅学非才かつ老骨でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。  申すまでもなく、一国の産業経済発展国民福祉の向上は、科学技術の進歩発展にささえられておるのでございます。開放経済体制下、わが国が他の先進諸国に伍しまして、さらに一そうの経済発展国民生活向上をはかっていくためには、いまこそ、外国技術依存を脱却し、独創的な国産技術の開発につとめなければならないと思います。このような観点に立ちまして、私は、懸案の科学技術に関する基本法の制定など科学技術の振興のための基本的体制の整備、日本経済の前途を開くに重要な役割りを果たすべき原子力の平和利用の推進、宇宙開発推進、海洋科学技術の開発推進国民福祉の向上をはかるための災害及び公害の防止等に関する研究開発推進、その他わが国における科学技術振興の諸方策の実現に大いに努力をいたしたいと考えております。  私は実は長官になる前から、日本の科学技術設備のはなはだ足らないこと、不十分であること、また国費のこれに対する投入も非常に少ないということを常々常識として承知いたしておったのでありますが、こういう方面に対すること、またこれの要員、科学者の層を厚くすること、こういう方面に対しても大いに力をいたしてまいりたい、かように存じております。  委員各位の御支援並びに国民全体の理解協力を得まして、以上の諸対策を着実に実施していくことが科学技術庁長官としての重大な使命であると考えておるのであります。  しかしながら、これらの施策推進にあたりましては、なお解決を要する困難な問題が多々残されておると思うのでございます。  私といたしましては、微力ながら精一ぱいつとめる所存でございますので、委員各位の御指導、御鞭撻を心からお願いする次第でございます。
  95. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 次に、平泉科学技術政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。
  96. 平泉渉

    政府委員(平泉渉君) このたび、はからずも科学技術政務次官に任命されましたにつきましては、大臣を補佐申し上げまして、科学技術振興のために全力をあげて尽くしたいと思っております。どうか委員先生方の御指導、御鞭撻をよろしくお願いいたします。     —————————————
  97. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) それではこれから再び質疑に入ります。  質疑のおありの方は順次御発言願います。
  98. 竹田現照

    ○竹田現照君 最近、新聞に出ております宇宙開発に関するいわゆるジョンソン・メモ、このことについて新聞をにぎわしておりますが、四月の十七日に衆議院の科学技術特別委員会でわが党の三木委員からこの問題について質問がございましたときに、当時の鍋島長官は具体的にお答えになっておらなかったのでありますが、それが今回のようなかっこうにおいて相手側が一方的に発表というような形で明らかになったという経緯について、私は理解ができないのでありますが、その点について詳しくひとつ説明をいただきたいと思います。
  99. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) ジョンソン・メモは一月の十七日にジョンソン大使から総理に手渡されたものでございますが、そのときにおきまして、このメモは秘密にしておいてもらいたい、こういう先方の希望があったようでございます。そういう関係で最近まで発表されないでおったのでございまするけれども、先日ジョンソン大使が経団連の宇宙開発推進会議におきましていろいろな話の際にその内容を話をしたものでございまするので、その内容を話された以上、わがほうとしても、これは発表したほうがいいだろうと思いまして、外務省を通じて交渉した結果、その内容を発表した、かような次第でございます。
  100. 竹田現照

    ○竹田現照君 この両国政府間の話し合いというのは、そういうかっこうで、一つ民間団体で片方が一方的に発表するというようなかっこうは、やはりこれからもあまり好ましいことじゃないと思うのです。そういうことについて日本の政府がアメリカ側に何らかの意思表明というものを当然にしてしかるべきだ、そうでなければ、政府間の話し合いなんというのは、片一方の都合で、公表してもらっては困る、それを忠実に日本の政府は守ってきた、それが経済団体のところで発表される、しようがないから日本政府も発表せざるを得ない、こういうような片手落ちの政府間の話し合いというものは、私どうもおかしい。やはりこういうことについては日本政府としてもアメリカ側に、はっきりした態度というものを示さなければ、日米対等外交なんて言ったって話にならぬと思いますが、その点はどうなんですか。
  101. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) 外務省の政府委員から……。
  102. 重光晶

    説明員(重光晶君) 私からお答えいたしますが、ただいま長官から申し上げましたように、アメリカ側も日本側もこの文書を発表したことはないのでございます。ただこの経団連の会合におきまして、その方面の直接関係のある日本の関係者がお集まりになったときに、その問題が出て、結局内容的にその問題を話された、しかしその内容にわたって話したということについては、前もって私どもに連絡はなかったのでございます。もちろんこの文書の発表ということではないけれども、内容に関連した話をしたわけでございますから、私どもとしては、すぐアメリカ側に説明を求めたわけでございますが、この点は説明を求めたら、いま申しましたようなことであり、また現にそこに列席された関係者から事情をお聞きしましても、やはりそのとおりである。したがって、いま長官から申し上げましたように、日本側としては内容に関連した説明はせざるを得ないということで、科学技術庁からその説明をされたわけでございます。しかしまあ一般の慣例として、こうした種類の文書を発表しないという慣例及びこれを発表しないことにしようと初めから向こうが言い、これは当然のことでございますけれども、その点は今後も守っていきたい、しかし今後と申しましたが、実はこれは御質問の点をちょっと越えるかとも思いますけれども、実はジョンソン・メモに対しまして、日本政府として早急に返答をいたしたいということで、ただいま科学技術庁と外務省とで協議中でございますが、返答に関連して、もしその返答がきまれば、これを早急に向こう側に出して、この問題の一応のケリをつけたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  103. 竹田現照

    ○竹田現照君 そのメモが渡されてから十一カ月にもなって……。これを四月十七日の質問に検討中であるとお答えがあったんですね、前長官から。一向に日本側が返事をしないから、しようがないから、まあひとつこういう機会で何らかのアドバルーンでも上げれば、日本政府もやおら腰を上げて返事をせざるを得ないだろう。そういうようなかっこうで、これを出されたように結果としてなってしまったんじゃないですか。きょうの新聞によると外務大臣は早急に返事をするように指示をされたといいますが、この四月の十七日の段階でも協力体制に対する返事を事務的段階で検討中と、それから宇宙開発委員会が発足したら、これにも当然はかって、その御意向によって返事を出す、そういうあれになっていますね。こういうようなことはとられておったんですか、いままで。
  104. 謝敷宗登

    説明員(謝敷宗登君) お答え申し上げます。ジョンソン大使からの申し入れがありましてから、一月十七日でございますが、その後、政府部内では検討しておりますが、宇宙開発委員会が前国会で成立をしましたので、その宇宙開発委員会審議すべき重要事項であるというふうに考えまして、委員会の発足を待っていたわけでございます。委員会は実質的に八月中旬から発足いたしまして、この問題も含めて、日本の宇宙開発についての、主として四十四年度予算を中心にしまして論議をいたしまして、最近、十一月二十日でございますか、日本の宇宙開発につきましては自主技術を基調といたしますが、必要な外国技術の導入を有効適切に行なうという意味を含めました決定を行ないまして、あと政府部内はそれを受けて検討をしているということでございます。
  105. 竹田現照

    ○竹田現照君 どうも科学技術庁は、原潜の問題にしても何にしても、事アメリカの問題になるとえらく慎重ですね。そうして相手が何か言ったら、そのあとから追っかけて何か言おうという、こういうかっこうが、ことしはもう原潜の問題を皮切りに、今回の問題も同じことなんですね。先ほど御答弁がありましたけれども、やはり相手側から、公表をしないでくれと言われた。だから公表しませんと国会でも答えているわけです。そうして鍋島さんのお答えによると、それからわが党の三木さんの質問は、特に秘密保護の保障を日本政府に求めていると言っているけれども、これは宇宙開発に機密保護協定を持ち込むことになるのだが、その真相は一体どうなのかという質問をしているのですよ。いま新聞に出ているようなことは、もうすでに十ヵ月も前から質問をされている。それには答えておらないで、このことについては触れておりませんが、全く平和利用だ、原子力基本法というような原則、こういうような問題をこの宇宙開発にもとっていくという考え方があるというようなことを前長官は答えているわけですね。ところが十二日に経団連でジョンソン大使が言ったということは、やはり秘密保護の問題について依然としてアメリカは強い執心を持っている。この点があるから公表をしないでくれと、こういうことがアメリカ側の意向として一月十七日に出されたのじゃないか。これは平和利用の原則にも関係をすることだから、日本政府としても慎重な態度をとらざるを得ないと。そういう点があったから公表しなかったのじゃないかというふうに私は理解をしているのですが、そういうような関連からいくと、どういうことになりますか、アメリカ側の希望というのは依然として捨ててない。日本の宇宙開発に対する原則的な考え方との接点というのは一体どういうふうに出そうとしているのか。返事だってあまりむずかしくないと思います、基本的な考え方がはっきりしていれば。その点について科学技術庁はどう考えておりますか。
  106. 謝敷宗登

    説明員(謝敷宗登君) わが国の宇宙開発におきまして、どういう技術をアメリカから、外国から導入をすべきかという点につきましては、ロケットに限りますと、技術的なシステムの設計をやっている段階でございまして、その中で日本の企業あるいは日本の研究開発機関が、きめられた目標年度までにやるとした場合に、どういう技術が必要であろうかという点の検討をいたしまして、そういった技術に関します調査をもとにしまして、具体的な話し合いをしたいと、こういうふうに考えております。
  107. 竹田現照

    ○竹田現照君 特にこの問題について協力を求めるために、前長官は訪米されましたね。向こうについて原則的な了解、去年の日米会談以来、共同声明以来の一連のものがあるわけですけれども、前鍋島長官が七月に向こうに行かれてこの問題について原則的な了解を得たというときに、ジョンソン・メモとの関係はどうなんですか、半年後のジョンソン・メモとの。
  108. 謝敷宗登

    説明員(謝敷宗登君) 鍋島長官がことしアメリカに参りましたときに、ジョンソン・メモの内容についてもお話が出たわけでございますが、問題は、その技術導入を日本としても考えたいということと、それからどういう方法で、どういう技術が日本として要るか検討させて、近いうちに担当官を派遣してアメリカと話し合いをさせたいということでございます。ただ問題は、いまロケットの技術の場合に、ただいま科学技術庁としましてはロケットの設計のきわめて初期の段階、初期といいますか、基本的な設計をやっておる段階でございまして、そのときに、技術によりましてフェーズゼロといいますか、概念設計から図面の設計まで、あるいは製作という段階がございます。それで、鍋島長官が向こうに行ってお話しになりまして、いまフェーズゼロいわゆる概念設計の初期の段階のような技術は、二件ほど入ってきております。それはいわゆる商業機密を守るというような形で入ってきております。
  109. 竹田現照

    ○竹田現照君 与党側の意見も科学技術庁の意見も、軍事機密に類するようなものは受けるべきではない、受けないとか、そういうようなことがときどき発表されておりますけれども、宇宙開発というものは軍事機密が伴う技術です。ですからその点の、何といいますか、区分といいますか、ここまでは日本に軍事機密に関係するから提供できない、それに関係することはわがほうは要らないのだというけじめが、私はつきにくいと思うのです。それがこういうものの本質ではないかと思うのですが、昭和四十八年までに日本の計画一つあるわけです。それまでに、いままで公式に政府一側が発表された面と一今度アメリカ側が機密にわたるような問題云々というものとの関連をどういう、ふうに色分けしてこれからアメリカの協力を求めようとされているのか、その点がちょっと私にはわからないのですがね。
  110. 謝敷宗登

    説明員(謝敷宗登君) この問題に関しまして科学技術庁並びに関係各省それから産業界、これは科学技術庁の職員という形で調査員に任命しまして調査団を三月から四月にかけてアメリカを初め欧州諸国に出しましたが、そのときに、日本がいま考えております静止型の通信実験衛生の打ち上げに関しまするロケット技術は、軍事機密ではない、したがって日本に出せると思うというようなことを向こう側が、アメリカ側が日本の調査団に申しておりましたし、その点は調査団の報告にも公表されております。したがいまして、軍事機密ではないという点は、私ども調査団の報告によって、伺っておるわけでございますが、確かに先生のおっしゃるように、直ちに軍事につながる、あるいは人工衛生を打ち上げるロケットが軍事利用に転用される、それを持ってまいりまして、それにさらに開発を加えて転用されるという点はあろうかと思います。その点については平和利用に徹してやっていくという考え方で前長官も答弁のときにそういう趣旨をし上げております。
  111. 竹田現照

    ○竹田現照君 それじゃジョンソン・メモは中共、ソ連という特定の名前があがっておるわけですが、そういうような問題に対して、いまの段階で科学技術庁はどういう返事をしようとしているんですか。
  112. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) お答えいたしますが、科学技術庁といたしましては、これは前長官からもたびたび御答弁があったと思いますが、アメリカからできるだけ進んでいる技術を取り入れるというのは、これはわれわれの希望ですけれども、軍事機密にわたるようなことあるいは機密保護法をつくってまでこの機密を守る手段を講じなければ入ってこないというような、こういうものは、軍事機密保護法までつくってそれを入れるというつもりはないのであります。しかしそれと矛盾しない範囲において、そうしてまた自主開発ということを大原則にしておるのでありますから、その自主開発ということもにらみ合わせて、そうしてしかも四十八年に静止通信衛生を打ち上げる、この時間的の関係も考えて、そうしていろいろな面からどういうものを輸入したらいいか、いま言ったようなそういう特別な方法を講じないで商業ベースにおいて一体どういうものを輸入したらいいだろうか、そういうことを検討しておりますためにいろいろ時間がかかる、こういうことも考えていただきたいと思うわけでございます。
  113. 竹田現照

    ○竹田現照君 ですから、どういうような御返事をなさろうとしているのかということをお尋ねしているわけです。ですから、自主開発をする——しかし日米共同声明以来ずっと一連の動きというものは、この宇宙開発に関する限り対米依存一辺倒ですからね。ですからその点と、いまのお答えがあった自主開発との関連というもの、いまアメリカ側がこういうことを強く要求をしている、これが受け入れられなければ提供ができないという場合に、日本は自主開発をする、独自において開発できるという、しかも四十八年打ち上げ、こういう最終目標に合致させるという、その点の関連を考えたときに、どういうふうに処理をされるのか、私は自主開発ではこれはちょっと問題にならないから、どうしてもアメリカなりどこかから協力を求めなければならぬ、特にいまの場合はアメリカということに焦点がしぼられているわけですから、その焦点がしぼられておるアメリカは、対中共、対ソ連、こういうものを常に念頭に置いてこういうメモが渡されている。この関連は、私はあまり宇宙開発は専門でも何でもないからわからないけれども、実感として、いま一連の動きについてやはり一つの心配があるからお尋ねをしておるわけです。
  114. 謝敷宗登

    説明員(謝敷宗登君) この点、これは話し合いでございますから、私どもとしては先ほど来申し上げておりますように、わが国で取り得る範囲のもとに必要な技術を入れていきたい、有効適切にれていきたいという考え方でございます。したがいまして、かりに先ほど例示を出しましたように二件ほどのものが商業ベースで入ってきておりまして、それでそういった範囲でなるべく済ませるということを考えております。ただ問題は、入ってこない場合ということでございますが、これは話し合ってみないとわからないと思いますが、四十八年という目標もございますので、技術開発しようと考えていた部分につきましては、研究者あるいは資金等をそこに重点的に投ずるということで、なるべくそれが期間内にできるようにくふうしなければならないのではないかというふうには考えております。
  115. 竹田現照

    ○竹田現照君 大体いま宇宙開発が、技術の母体が軍事技術あるいは軍事利用、こういうものを軸にしていないでやっている国があるんですか、宇宙開発の先進国で。しかも日本が協力を求めようとするアメリカでもどこでもいいんですけれども、求めようと想定される国でそういうところがあるんですか、実際。
  116. 謝敷宗登

    説明員(謝敷宗登君) 確かにロケットの技術は最初は軍用から始まったと思いますが、アメリカにおきましても航空宇宙局をつくりましたゆえんのものは、平和利用に専念させるというような考え方だと思いますし、欧州におきましても、たとえば欧州のロケット共同開発機構等は平和目的のためにロケットを開発していくというような考え方で進めております。
  117. 竹田現照

    ○竹田現照君 しかし、その当のアメリカもあれでないですか、宇宙開発の技術というものは宇宙開発何とかという局じゃなくて、国務省の兵器管理部かやっている。とすると、やはり軍事とは密接不可分な関係にあるんじゃないか。とすれば、密接不可分な関係にあるからこそ、ジョンソン・メモでこういうようなことが要求されることになるんじゃないですか。
  118. 謝敷宗登

    説明員(謝敷宗登君) アメリカにおきましてはロケットというのを厳密に申しますとロンチングビークル、人工衛星打ち上げ用のロケットというようなことだと思いますが、これは軍用ということではございませんが、先ほど平和利用以外に使われるおそれ、転用されるおそれがあるということで、一括して、いま先生のお話のありました、国務省の兵器管理局で管理しております。
  119. 竹田現照

    ○竹田現照君 ですから、日本側が求めている平和利用に限ると日本側は言うけれども協力なり技術を提供する側にすると、この軍事面というものを切り離してそういうことが、実際問題としてできないと、できるようなのは現実でないと。だからこそこういう心配があるから、日本政府としてもそれについて保障がされなければ安心して協力ができない、あるいは技術の提供ができないと、そういうことに話は発展をするんじゃないですか。ですから、その点のかね合いをはっきりしないと、いつまでもこの問題というのは日米間の話し合いがつかないことになると思うのですが、どうですか。
  120. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) お答えいたしますが、近代国家の科学技術の進歩、これは著しいんですが、それをいろいろ見ますというと、軍事に関係して研究開発された分野が非常に多いわけなんです。しかし、それは必ずしも軍事に使うわけじゃない、平和利用というものもたくさん行なわれて、そうして今日の各国の近代化、科学技術の進歩になってきている。それですから、いまアメリカは初め軍事のつもりで開発しても、それは必ずしも軍事機密と言えないものが多々出てくるだろう、いまもあるだろうと思いますし、これから先も出てくるだろう。そこで、私どもとしては、どんなものが来てもあくまでもこれは平和利用のために使うんだと、これは原子力の基本法の第二条にはっきり書いてあるんです。もうどんなものが来たって、もちろん軍事にも、向こうとしては考えているかもしらぬが、こちらとしては平和利用以外に使わないんだということを、もう法律の中にはっきりうたっておるわけでありまして、当委員会におかれましても、この前のいろいろな審議の過程におきましてもそういうことをいろいろ述べられたと思うのです。私どもはあくまで平和利用、それ以外のことはもう考えない、いま日本としてはですね。そういうことでありまするので、向こうで軍事機密だからと言っても、こちらは必ずしも軍事に使うという意味じゃありません。そういう技術を入れて、そうしてやっていく、それはまあ各国ともにだんだん変わってきているんじゃないかと、そういうことでもありまするし、それから、いまこちらの政府委員からも説明ありましたように、まあ四十八年までにやりたいんだと、できるだけ自主開発はしたいが、また二面において向こうの技術もできるだけ輸入していきたい、ただし機密保護法などをつくってやるような、そんなことまでしては入れたくないんだ、こういうようなことはわれわれの基本的態度としてきわめて明らかになっておるのでありますから、そういう範囲において、できるだけ向こうの進んだ技術を入れたいというのが私どもの念願でございます。
  121. 竹田現照

    ○竹田現照君 それは長官の念願はわかりましたけれども、これは原子力開発と同じように、宇宙開発も軍事、平和いずれの用にも利用し得る、もろ刃の剣みたいのものですから、日本側はそういう希望だけれども、そんなことだけではアメリカとしては協力ができないのだとすれば、昭和四十八年を目安にしている日本の計画というものは挫折を、挫折というか予定どおりに進まないことになるのではないか、支障がないのか、この点はどうです。
  122. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) いまお話になったその点が宇宙開発委員会などにおいても苦心しているところなんです。宇宙開発委員会も、基本法はできておりませんけれども、平和利用、この原則は法律のあるなしにかかわらず、私どもも持っておりますし、宇宙開発委員会も当然持ってもらう。ですからそういう範囲内において、しかも自主開発ということが一方にありながら、その間においてどうしてやっていくかという、そこが宇宙開発委員会ども今日まで大いに日をかけて、おしかりを受けながら日をかけて研究して苦心しているところだと思うのであります。
  123. 竹田現照

    ○竹田現照君 この問題に関連して他の委員からも同じような質問があるようでありますが、いま検討しているというのですから、いつまでも論議をしていてもコンニャク問答みたいになると思いますが、前長官も木内長官もおっしゃっておりましたけれども、この原子力基本法の三原則というものを宇宙開発にも適用すると、その基本的な考え方というものは変わりませんか。
  124. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) 先ほども申しましたように、まあ法律のあるなしにかかわらず、私どもとして当然そういう態度をとるべきだと思っております。したがって宇宙開発のこの基本法というものをおつくり願う段階、これはなるべく早くつくれとおっしゃっているのですが、こういうものをつくる場合には、当然原子力の基本法の第二条と同じような条項が入るかと思います。入る入らないにかかわらず、われわれの態度としてはさように心得ております。
  125. 竹田現照

    ○竹田現照君 そこで、宇宙開発の基本法なるもの、開発委員会ができるときの附帯決議もありますが、これはやはりいろいろな杞憂というものを取り除くという意味、いろいろな面も含めて、やはりこれは早急に制定をされるべきである。いまも長官もおっしゃっておりましたけれども、それは来年も再来年もだなどと言っておりましたら、これは昭和四十八年になってしまいますからね。いつごろ国会に出される準備をしておられるのですか、その見通しについてひとつ。
  126. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) この問題につきましては、私はまだ着任早々でありまして、いまどの程度ということはよくまだあれですけれども、いま宇宙開発委員会におきまして鋭意検討してもらっておりますし、私どものほうにおきましてもこの点は検討しておるわけであります。そこで、ことしはそれに関連したことですけれども、まあこれは宇宙開発の局を設けたりいろいろしたいというようなことも考えておったりしているようなわけでございまして、極力いまその問題を進めてまいりたいと思って検討中でございます。
  127. 竹田現照

    ○竹田現照君 極力とおっしゃっておりますが、やはり目安というものをある程度示していただかなければ、ことしの、まあ今月の末からの通常国会におそらく間に合わないと思うのですけれども、おそくても来年の通常国会には出すとか出さないとか、おおよその目安というものは出していただかないと、この問題に関する質疑というものはいつまでたったって終局しないで、おりに触れて必ず出てくる。そしてコンニャク問題のようなことが繰り返される結果になると思うのです。この点はいかがですか。それと、一つ、アメリカ側としては、やっぱり宇宙開発に対する日本の一元的な行政の機関というものがないと……。科学技術庁もあまり弱いと、力としては。そういうようなやっぱり心配がひとつあるのじゃないか。そんなような気もするのですけれどもね、その点もひとつあわせてお答えいただきたい。
  128. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) いま、最後にお話しになったアメリカのそういう点、心配しているのじゃないかというお話でありますが、私といたしましては、さようなことはまだ聞いておりません。まあとにかく基本法はこの国会、次の通常国会には間に合わぬかもしれませんけれども、できるだけ早くこれを提案したいと、かように考えて検討中でございます。
  129. 小柳勇

    小柳勇君 関連して。  このジョンソン・メモの全文を公表してもらいたいとわが党からは正式に政府に申し入れておるわけです。全文公表してもらえますか。
  130. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) これはあるいは外務省かと思いますけれども、こういうものは、外交慣例としてこういう問題を相談している際には、全文そのままのものは発表しないことになっているそうです。したがいまして、いま全文をそのまま発表するというわけにはまいりませんけれども、この内容においてはほとんどこれを尽くしているものを前日ジョンソン・メモの内容として私どものほうから発表いたしました。あるいはすでにお手元に配付されておるかと思うのであります。
  131. 小柳勇

    小柳勇君 私どもの手にしていますのは、軍事転用の含みをもったある部分を削って、内閣が日本国民に発表されたというのが一つ。で、米国としても軍事転用の含みをもって日本に要求しているわけでしょう。そういう重大なことを、一番前提の大事なことを削って、国民にはある部分をほとんど知らせてしまったのに、なお全文公表しませんと、ますます国民の疑惑は深まるばかりです。したがって、この際はもう外交上秘密じゃないですよ、これだけ騒いだのですから。したがって、全文を発表して、軍事転用ははからない——軍事転用ははかるべきじゃないですね、わが国では。したがって、軍事転用をはからないと、はっきりと国民に声明すべきであるかどうか、もう一回長官の答弁を願います。
  132. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) いまお話でありまするけれども、私どもは別に故意にあそこを削ったというようなことではない。あの文書をごらんになってみるとよくおわかりになるだろうと思いますが、きのう社会党のほうから代表者の方々がこられて私に二点お申し出がありました。この間のものについては原文の趣旨とは趣旨が違うのじゃないかというお話であります。  第一点としては、いまお話がありませんけれども、ついでに申し上げておきますが、協定締結と新聞に書いてあるのだが、そういうことは合意としているじゃないかというお話が第一点としてありました。ところがこれは、この点は原文でちょっと申し上げますと、こう書いてある。「ウイ・ウッド・ウォント・アン・アグリーメント・ウイズ・ザ・ジャパニーズ・ガバメント・カバリング・ツー・ポインツ」、この二つの点について日本政府と合意を希望する、こういうふうに書いてある。どこで間違いを起こしたのか知りませんけれども、どこかで、新聞社じゃないと思いますが、どこかでアグリーメントというのを協定締結と訳したのです。ここに間違いのもとがある。第一点に対する社会党の方からお申し出になった点に対して間違いの根本があった。協定というと、いかにも条約を結ぶということにすぐに私どもは常識として考えるのですが、原文では、いま申しましたように、「ウイ・ウッド・ウォント・アン・アグリーメント・ウイズ・ザ・ジャパニーズ・ガバメント・カバリング・ツー・ポインツ」、このアグリーメントというのは日本政府と合意を希望する、こういう趣旨で、科学技術庁のほうで発表したおりにはこれを合意と訳した。  第二点の平和利用に限るべきである。ただしというのがついている。これはさっきも申しましたように、向こうからくるものであろうと何であろうと、平和目的以外には私ども使うという考えはない。近代の科学技術の進歩、開発、これをアメリカからこようが日本でやろうが、これを平和目的以外に使おうと考えておらないのですから、そこで平和目的に、もし日本政府と合意すれば、これはほかの目的にも使えるのかというと、そういうものは私どもとしては非常にまあいわゆる英語で言えばネグリジブルのものなんで、ほとんど問題にならないのですね。科学技術庁の従来の態度、基本、方針から見て。そこで、これを落として、別に故意に隠したわけでも何でもない。平和目的に限るとあって、そのほかのものも使うかもしれないというようなことを書いておいたら、むしろ国民に不安を与えはしないかとさえも私も思うのです。その点も了解願いたい。
  133. 小柳勇

    小柳勇君 それでは長官、これは公式の商工委員会ですから、軍事転用をはからない、長官はもう当然のことであるから軍事転用をはからないということはもうこれは国民にきょう声明したのと同じである、そうとっていいですね。
  134. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) そうです。
  135. 小柳勇

    小柳勇君 それから第二は、この全文をもう何も隠す必要はないのだとおっしゃいますから、全文を国民に公表することについても差しつかえございませんか。
  136. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) 全文を公表することは、さっき私が申しましたように、外交慣例からいってそれはやらないのだと、こういう外務省の御意見ですから、これは私はできません。ただしかし、いま私が申しました平和目的利用以外には使わないというのが私どもの終始一貫した態度なんですから、その点は御了解願って、国民に対し  ても私どもはそれははっきりあらゆる機会に言っているので、軍事目的——平和目的以外——には使わないのだという基本方針とその態度というものは少しも変わらないのですから、それは国民に機会あるごとにこれまでも言っておりますし、これから先も言って少しも差しつかえない、当然言うべきことだと思います。
  137. 竹田現照

    ○竹田現照君 それは外交慣例といいますけれども、文書は発表しないというけれども、向こうはさっき言ったように、日本政府がその約束を守って発表しておらないのに、ジョンソン大使は、それは文書でなくても、その内容の主要なる点を公開の席で明らかにしているというのだったら、外交慣例も何もないじゃないですか。ですから、これは全文公表にすべきだとわが党は要求をするわけなんです。何も相手がそうなんだからこっちのほうはそこまで遠慮する必要はないじゃないですか。そこが理解できないのですよ。
  138. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) 外務省から……。
  139. 重光晶

    説明員(重光晶君) いま先生のおっしゃいました点、ある意味で無理からぬことと思いますが、しかし、最初から申し上げておりますように、全文はアメリカ側も日本側も発表してないのでございます。そうしておもな内容はアメリカ側も日本側も発表しておる。そこで、したがって全文を発表していないのだから発表しろとおっしゃられるのも困るのですが、しかし現実問題として、私は、いま科学技術庁長官から申し上げましたように、何ら誤解の根拠はないと思うのですけれども、しかし誤解があり得るという事態は、これはある意味において先生方のおっしゃっているとおりだと思うのです。したがいまして、私どもとしてはこれは全文を発表するならばやはりまず日本側を固め、それからアメリカ側とも話をしてそれで発表していくという考えなんでございます。それについては先ほど申しましたように、わがほうの回答をしていかなければこれはどうも話がすっきりしないということで、まずわがほうの回答をまとめて、そうしてもし事情が許せば、事情が許せばというのは、一方的に発表ということはこれは慣例にもないことですし、また日本としてやるべきことではない。ですから向こう側と話がつけば発表していきたい。しかし一方的にこうした文書を発表するということはやりたくない、こういう考え方をいまのところとっております。
  140. 竹田現照

    ○竹田現照君 それは先ほどお話ししたように、どうも原子力、宇宙開発等の問題について日本政府の腰が弱いのですね。そういうようなことを言われているけれども、佐世保の問題にしても何にしても、常に向こうのほうがものを育っているじゃないですか。それからそのことが話題になる。日本政府が追い打ちをかけるように——追い打ちでなくて追従するようなかっこうで事の全貌が明らかになっているというのが現実じゃないですか。今度の問題だってそうでしょう。冒頭私が質問したように、四月の十七日にわが党は質問しているのです、この問題について。それについて触れておらない。それで今月になってジョンソン大使が言っている。また国会でこの問題について質疑が蒸し返される。これは全然話がおかしいわけですよ。ですからいまいろいろなことを言われているけれども、ジョンソン・メモの内容を私も科学技術庁からけさいただきましたけれども、これにもおよそ盛られているというのであれば、あと全文は前略、後略ぐらいの部分でなっているのでしょうから、それぐらいは発表してもいいじゃないですか。ここまでジョンソンも言ったのですから、大使館との話がつかないわけはないでしょう。前略と後略というぐらいのところ、あとつければ発表できるというくらいのものでしょう、たいしたことないというのですから。それを言わないから疑問が生ずるのです。まだ何かあるだろう、何かあるというより、日本の政府というものはアメリカにまだ気がねしてどうもおかしいんじゃないかということを、日本の国民が心配をする理由がそこにある。早急に日米間で、大使館とも話をしてこの問題を明らかにする。そのぐらいのことはやれると思うのですけれども、どうですか。愛知外務大臣は早急に回答するように指示されたのでしょう。ですから、そんなに長く引っ張っているわけないと思う。こうこうこういうことが要求されているということ。では、日本の政府は一体これについて今日どう考えるか。これはこれからの問題としてわれわれは見守っているのですけれども、何を求められているのかということだけ発表したっていいでしょう。
  141. 重光晶

    説明員(重光晶君) 内容の問題ではなくて文書として発表するについては、いままで科学技術庁長官及び外務省から私が申し上げたとおりでございます。ただ、いま先生のおっしゃいましたこうした科学技術の問題について、日本はアメリカ追従ではないかとおっしゃられるのは、これは基本的に私どもの考えでは何らかの誤解があるんではないかと申し上げざるを得ないのでございますが、かりにこの問題の返事にいたしましても、日本がいかなる返事をするかということは、日本がきめることであって、日本がいままでどういうふうにこの問題を処理してきたかということは、ただいま科学技術庁のほうから御説明したとおりでございます。ただ、だんだん問題が煮詰まってまいりましたものですから、早急にこれを返事をしたい、そうして、その先の交渉を進めていきたいということでございます。ただ、全文を発表するということにつきましては、ただいままで申し上げたこと以上のことを申し上げることは残念ながらできかねるわけでございますから、これで御了承を願いたいと思います。
  142. 小柳勇

    小柳勇君 宇宙開発委員会にかけて米国に回答しなければならぬとおっしゃられるのでしょう。宇宙開発委員会に出せる文書が、どうしてこの商工委員会に出せないのですか。参考書類として出せないか。いままでこれだけ国民的な疑惑を持った文書であるからというならば、全文持ってきて、これはこうですと、さっき長官はそれを原語で言ったんだから、ここで全文を読んで説明すべきですよ。あるいはまた、たとえば外務当局が出さないなら出さない、宇宙開発委員会にかけて、その結果をまってその回答はやります。それならそれでいいでしょう、宇宙開発委員会があるのだから。ただ、これだけ問題になったのだし、商工委員会でこれだけきょう取り上げて問題にしているのに、なぜ全部出せませんか。要求しますよ、資料として提出することを要求します。長官いかがですか。
  143. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) まあいろいろ御意見はありますけれども、外務省の外交慣例のこともありますものですから、そう無理なことを——まあ無理と言っちゃ失礼かもしれないけれども、そうおっしゃらないで、なるべく早い機会に、ここまできているのですから、外務省のほうも努力をするだろうと思います。したがいまして、なるべく早い機会に、これはいずれそういう事態になってくるだろうと思います。回答のほうも——回答のほうというのは、宇宙開発のほうはその内容ですね、一体どんなものをどうして要求するかということ、その内容のものがきまればなるべく早く回答する。そうなれば、いま外務省のほうから言っているのですが、なるべく早く外交上の経路を通じて向こうの了解を得て同時に発表することになるだろうという順序を言っていましたが、それはなるべく早くやることに努力をするということは当然のことでありまするので、そういう点でひとつこの問題は御了承を願いたいと思います。
  144. 小柳勇

    小柳勇君 それじゃ長官、さっき国連局長が平和利用、ただし云々とおっしゃった、それを原語でおっしゃってください、そのただし書きを。
  145. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) それは文句よりも内容を申し上げますと、ただし日本政府との了解、アグリーメント、合意があった場合には別だということが書いてあるのです。
  146. 小柳勇

    小柳勇君 別だということの内容を言ってください。
  147. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) 「イクセプト・アズ・メイ・ビー・アザーワイズ・ミューチュアリー・アグリード」。お互いに了解を得た場合には別だと、得た場合を除くと、こういうのです。
  148. 小柳勇

    小柳勇君 日本では当然平和利用ですね、宇宙開発は。ただし、両国政府が了解をした場合は平和利用でなくてもいいということで、わが党が問題にして、軍事転用のところをわざわざ削除して発表したのはなぜかと抗議しているわけでしょう、政府に。その翌日のきようですからね、商工委員会で問題にしているというのは。ですから、長官は、その決意、どうするかということを当然外務省と相談して、そうして当然全文を要求されるであろうから、外務省としてはどうかというぐらいの態度を持っておらなければ商工委員会は論議になりませんですよ。
  149. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) それですから、その点を私はきわめて明確にさっきから申し上げている。「イクセプト・アズ・メイ・ビー・アザーワイズ・ミューチェアリー・アグリード」。平和目的以外に使うということは向こうの言い方です。私どもの基本的な態度は、平和利用のため以外は使わないと言っているのですから、それほど明確に、それ以上明確な態度というものはない。ここにこういう文章が書いてある。しかし、私どもはもう平和利用に徹している、こういうことですから、その点はひとつ御了解を願いたいと思います。
  150. 小柳勇

    小柳勇君 あと宇宙開発委員会などの問題の論議がありますからね。ただ、長官がここで「私どもはとおっしゃいますけれども、当然公式文書として返さなければならないのでしょう、返事を出さなければならぬのでしょう。そうでしょう。その返事を出す前に私どもの心配しているのは、国民にかわって疑義をただそうとしているのに、明確に全文を出して、内容はこうです、これから宇宙開発委員会にかけます、しかし政府の方針はこうです、そういうことをなぜ明確にやらないか。こういう一番大事な時期ですからそれをやるべきだということで、さっきから竹田委員も一生懸命に質問しているのですから、もう二度長官の見解を聞きます。
  151. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) 向こうの文書にはこう書いてありますけれども、向こうの手紙の初めはともかく、いま申しましたように、日本政府が希望すればと書いてある。日本政府が希望しないことは、何もこれに対して何ら適用されないわけです。そこで、日本政府が平和利用の目的以外のものに転用するかということは、希望しっこないのですから、私が先ほどからも言っているように、平和利用以外に使わないのだ、終始こうはつきり言っているのですから、それ以上明らかなことはあり得ないと思うのですが、いかがでしょうか。
  152. 竹田現照

    ○竹田現照君 それじゃ外務省国連局長にお尋ねしますが、最初に、前の長官も言っていますが、宇宙開発委員会に、これは何というのですか、諮問をするというのですか、しなければならぬと言っているわけでしょう、返事をする前に。そうすると、ジョンソン・メモの全文というものは宇宙開発委員会に出すのでしょう。出さないのですか、どうなんですか。
  153. 謝敷宗登

    説明員(謝敷宗登君) 宇宙開発委員会におきましては、審議できる内容で、新聞に発表したものでやっております。したがいまして原文は出しておりません。
  154. 竹田現照

    ○竹田現照君 出していない——
  155. 謝敷宗登

    説明員(謝敷宗登君) はい。
  156. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) ちょっと。それはなぜかと申しますと、平和利用以外のことを私どもやろうとしていないのだから、それに対する意見、そのほかのものまで出せというようなことを宇宙開発委員会に私どもは言っていないのですから、その点は御了解願いたい。終始一貫平和利用以外のことは考えていないというのが私どもの基本的態度ですから。
  157. 竹田現照

    ○竹田現照君 これは宇宙開発委員会というのは、国会の同意を得て任命された人で構成されている委員会ですからね。そこで、もし宇宙開発委員会が全文を要求した場合にも出さないわけですね、そうすると。どうしてですか、外務省。そうすると、政府側の都合のいいところだけ出して意見を求められる、それ以外のことは出さないというようなことになれば、これはジョンソン・メモとの関係はどういうことになりますか。だから、科学技術庁長官のこの問題に対する基本的な考え方はわかりましたけれども、外務省との間のあれ、がどうもすっきりしないわけですね。宇宙開発委員会が要求をされたら当然出せる、出さなければいけない。そのことがはっきりしなければ返事ができない。もしこういうような宇宙開発委員会に出せる、国会が同意を与えた人たちで構成をするその委員会に求めるのに、同意を与えるべき国会にその問題が出されないというのは、大体おかしいじゃないですか。
  158. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) いろいろお話ございますけれども、私ども宇宙開発委員会に意見を求める場合に、平和目的以外のものに、おまえたち何か意見があるかということは、これは言う筋のものではありませんし、私ども基本的態度として、それは全然言わないわけですから、だから平和目的の利用の範囲内に限って宇宙開発委員会が考えてもらえればいいのでありまして、そういう平和利用以外の問題は、先さまの文章がどうあったからといって、こっちの基本的態度を変えるという、そんな不見識なことはいたさないつもりであります。したがって、宇宙開発委員会ではミューチュアリー・アグリードということだけで、それがあるかないかということは、私どもとして決して言えませんから、御心配は要らないと思います。
  159. 小柳勇

    小柳勇君 長官の答弁は求めません。長官の見解はわかったから、国連局長にひとついままで書類を受け取ってから扱った経緯をちょっと説明してください、手続を。
  160. 重光晶

    説明員(重光晶君) 御承知のように、ことしの一月十七日にこのメモはジョンソン大使から佐藤総理に提出されたものでございます。そのメモは外務省に下がってまいりました。そこで、そのメモを科学技術庁のほうに移牒した……
  161. 小柳勇

    小柳勇君 いつですか。
  162. 重光晶

    説明員(重光晶君) それははっきりした日時は覚えておりませんが、直後でございます。それでいまこの返事の相談をしておる、そういうことです。
  163. 小柳勇

    小柳勇君 一月十七日から、もう十二月ですから一年ですね。直後に科学技術庁に行っているわけだ。科学技術庁参事官、その扱いをひとつ説明してください。
  164. 謝敷宗登

    説明員(謝敷宗登君) その文章をいただきまして、委員会の発足が五月ごろできるだろうということを前提にいたしまして、それができましたら委員会にかけて、委員会の決定を待つ、その方針に従って政府としてはお答えしますという趣旨の内容のものを三月であったかと思いますが、お答えをして、それで内容につきましては、委員会が、先ほど来御説明申し上げておりますように、八月の中旬に発足をいたしまして、そこでかけて現在に至っているという状況でございます。
  165. 小柳勇

    小柳勇君 そうすると、委員会にはこの翻訳した、その軍事転用を削除した文章を委員会にかけているんですか。いつ委員会におかけになりましたか。
  166. 謝敷宗登

    説明員(謝敷宗登君) 八月の十六日に発足いたしまして、当面は、八月中は、予算の点を検討いたしまして、九月に入りましてからこの問題について委員会検討していただいたということでございます。
  167. 小柳勇

    小柳勇君 九月いつですか。
  168. 謝敷宗登

    説明員(謝敷宗登君) 九月十八日でございます。
  169. 小柳勇

    小柳勇君 九月十八日一回ですか、この委員会審議したのは。
  170. 謝敷宗登

    説明員(謝敷宗登君) 委員会におきましては、九月十八日に審議しまして、あと委員が懇談の形式で、たしか数回懇談で検討を重ねられた、こういうふうに記憶しております。
  171. 小柳勇

    小柳勇君 その委員会に出しておられるのは、原文を正確に訳した文章ではなくて、単事転用などを削除した日本語で審議しているわけですか。
  172. 謝敷宗登

    説明員(謝敷宗登君) これは、私どもとしましては、御指摘のありました二点でございますか、につきましては、平和利用に徹するということで、問題の焦点を明確にするためには、新聞に発表いたしましたメモの内容のほうが的確であるということで、新聞に発表しましたメモがこれを網羅しておりますので、これでやっております。
  173. 小柳勇

    小柳勇君 宇宙開発委員会というのは、こんな……。まあ、あなたの言うことが真実でしょう、委員会発言されますから。とするならば、ジョンソン・メモの大事なところを削除して委員会にかけて、その分を向こうから聞かれたら二体何と返事しますか。アメリカとしては、大統領の考えもありましょう。日本の今後の宇宙開発については、ただ単に平和利用などというものよりももっと新しい、日米の合意すべき分、さっき長官の言われたそういうことを主体にやったものとするならば、どんなに長時間かけて宇宙開発委員会で論議しましても、その返答というものは、相手の意に沿う返答にならないんじゃないですか。そういうことを正式にやったとするならば、開発委員会に対して全く正確な資料を出しておらぬといっても過言じゃないんじゃないですか。参事官。
  174. 謝敷宗登

    説明員(謝敷宗登君) お答え申し上げます。私どもといたしましては、ジョンソン大使からのメモは、四十二年の十一月に佐藤総理とジョンソン大統領の共同コミニュケが出ておりますが、この中におきましても、この共同コミニュケの具体的な推進がジョンソン大使のメモにあらわれたというふうに聞いておりまして、この共同コミニュケによりますと、日本とアメリカは、宇宙空間の科学的研究及び平和利用のための衛星を開発し、打ち上げることを中心に、かかる協力可能性をさらに検討するということで、もう初めから平和利用に徴するという趣旨がアメリカと日本との間では共同コミニュケの形になっておりますので、そういう趣旨で、先ほどイクセプトのところは、内容を書かなくてもよろしいというふうに考えたわけでございます。
  175. 小柳勇

    小柳勇君 その日米平和利用ということはわかっているから、もう必要ないから、あとのただし書きは書きませんでしたというのは、あなたごまかしていますよ。もしそれがあるとするならば——あれはこそ、ただし書きを重視してジョンソン・メモというものを佐藤総理に出しているはずですよ。ただし、合意があるならば軍事転用もあり得るぞ、そのことを検討するというように返答してもらいたいというのが大使のメモでしょう。平和利用だけなら何もジョンソン大使がメモをやるはずはないでしょう。そのことがわかりながらこの委員会を言いのがれようとしたってだめです。あなた、言いのがれようとするなら参考文書としてとりますよ。そんないいかげんな答弁じゃ承知しません。
  176. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) どうも私のさっき申し上げたことを十分御理解願っておらぬのですが、アメリカではこういうような条件を出すというようなことを手紙に書いて、いまのイクセプト云々というほかにもいろいろな問題があるから、それじゃ私どもが宇宙開発委員会に、平和目的以外に転用するものまで何とかというようなことは、私ども言うはずがない、また言うべきじゃない。アメリカの手紙にどうあろうとも、それに対して私どもは、初めに書いてありますように、日本が希望するものは平和に徹したものだ、平和利用以外のものを私どもは諮問するということはあり得ないことでありまするし、また、私どもとしては絶対そういうことはやらない。
  177. 小柳勇

    小柳勇君 長官ね、あなた言われることは何もわからぬ、長官の答弁になっていないんですよ。参事官が言うように、日本と米国との間のいままでの合意は平和利用でありますから、そこで、いまさら軍事転用など考えなかったから——軍事転用の文章は翻訳しないで——日本語に訳していま委員会にかけておりますと言うけれども、これは全然うそかあるいはそれをもしやったとするならば、無意味ですよ、そういうことは。ジョンソン・メモのほんとうの根本は、ただし書き以下のほうが必要なことです、わざわざ総理にジョンソン大使がメモをやるということは。ただし書き以前のことはあたりまえのことでしょう。長官の言われるとおりですよ。宇宙開発の平和利用やることは当然のことだから、それならわざわざジョンソン大使から総理にメモがいくはずないから、ただし書き以下のところを開発委員会として検討して返事しなければ、ほんとうのジョンソン・メモの返事にならないでしょう。ただし書きを入れないで開発委員会にかけるということはあまりにも開発委員会をばかにしているか、あるいは答弁が間違っているかということです。だから参事官に聞いているんです。長官の見解を聞いたってしようがありませんよ。その事実を聞いているのですから。
  178. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) アメリカのジョンソン大使のメモに対する返答は、何も向こうの手紙そのとおりのことをやるというのじゃない。私どもは自主的に返事をする。特にエクスセプト以下のアズ・メイ・ビー・ミューチュアル、お互いに合意した。こっちはそういう意思ないんだから合意なんかしっこない。そうでしょう、お互いにミューチュアル・アグリーメントした場合には……。私どものほうは平和利用以外に使おうという意思はないんです。ミューチュアルに合意するはずがないでしょう。ですから、私どもはあの手紙に対して、そういう軍事転用になるようなものについてはミューチュアルに合意しなければ、軍事転用になるものがあったからといって、私どもはそういう援助を希望する条項に加えていかなくたって返事としてはりっぱなものであり、また、そうあるべきです。
  179. 小柳勇

    小柳勇君 委員会というものは政府ひとりじゃないんですね。長官一人ならそれでいいわけですよ。委員会が長官一人ならば長官の気持ちはそれだから、その返事出せばいいわけです。それならわざわざ委員会にかける必要はない。一応宇宙開発委員会にかけているというのは、委員会の中にいろいろの考え方の人がいるでしょう。したがって平和利用といっているけれども、将来アメリカにかわって軍事転用しなければならない、そういう意見の委員もいるかもしれません。いま宇宙開発委員会にかけておるのに、そういうことは全然ないから、頭から削ってやりましたということは、これは外交上どうですか、国連局長。そんなことで、ジョンソン大使が聞いたら開発委員会というのは無意味ではないか、長官の返事をそのまま大使に返事したら、開発委員会にかけても無意味だとジョンソン大使言いませんかね。国連局長どうです。長官はいいですよ。長官に聞いたってしょうがない。外交上、そんなことおかしいよ。変な返事は聞きません、ぞ。
  180. 重光晶

    説明員(重光晶君) 御質問でございますけれども、日本の政府部内のことを、どういうふうにするかということを、外国の大使がどう考えるかというのでございますけれども、これは外国の大使の問題ではなくして日本の問題でございますから、私の口から外国の大使がどう考えるだろうかということをお答えしかねるのでございますが、御了承を願いたいと思います。
  181. 小柳勇

    小柳勇君 じゃいいです。国連局長、あんた外務省の代表でここに答弁に来ておりますが、あなた答弁できなければ大臣呼びますがね、どうですか。外務省の代表として答弁できますか。
  182. 重光晶

    説明員(重光晶君) 御質問の内容によりましては、私どもの答えるというよりも大臣の問題になりましょうし、御質問の内容でございますが、ただいまの御質問でございましょうか。
  183. 小柳勇

    小柳勇君 いまから私質問しますからね、あなた答弁できなければ、大臣呼びますから、ちょっとすわってください。  いまお聞きのとおり科学技術庁の扱いは、ジョンソン・メモが総理に手渡されたあとの取り扱いは、いまお聞きのとおりですね。科学技術庁としては八月の十六日に宇宙開発委員会を発足させ、これにかけて九月十八日以降数回懇談会を持たれておる。ただし、それにかけたジョンソン・メモなるものは、ただし書き以下は削除してありますと、それをいま論議しているわけです。それは長官の見解によれば、日本はもう宇宙開発というものは平和利用以外ないのだから、アメリカのジョンソン大使のただし書き以下のものは全然必要ないからかけませんでした。このほうがかえって外交上は失礼になりはせぬでしょうか。開発委員会数名おるのですから、長官のようなもの一人なら、それでいいわけだ。わざわざ開発委員会にかけるというのは、政府のいろいろな方針もあろう、外交儀礼もあろう、アメリカのジョンソン大統領は、日本の今後の軍事力強化も要請するとわれわれは推察しているから、その一環でもあろうかと思うが、ただし、これはニクソンが勝つかどうかわからぬ時期でしたから、その辺はこれは推測だけれども、ただしこれは重大な問題です、いまの段階では。日本の宇宙開発を日米で一緒にやっていって、アメリカとしては宇宙開発というものは大きな軍事目的がありましょう。ただし日本はもう平和利用だけしかございませんというから、わざわざジョンソン・メモとして総理にこのメモがきているんでしょう。それを初めから、われわれは平和利用、だけだからといって原文を修正をして開発委員会にかけた。このようなことで正しい日本の国民の総意を持った開発委員会審議ができるか。これから政府がアメリカ大使に返事をしようとするけれども、それが正しい返事と受け取るであろうか、アメリカの大使が。アメリカの政府は、それを正しい日本の政府見解として受け取るであろうか、あなたの見解を聞きたいと思います。
  184. 重光晶

    説明員(重光晶君) 私自身は委員会のほうに出された文章そのものを見ておりませんけれども、しかし実体的にアメリカからきたものはすべて向こうに移牒されておるものと、いままでの御説明でも、私は前からもそう了解しております。御質問のアメリカのメモが平和利用以外のものを含んでおるのではないかというお考えでございますか、私どもがメモを読みました限りにおきましては、これは宇宙の平和利用に関するメモであって、それ以外のものは含んでいない。それはただし書きということはございますけれども、これが何を意味するかは文章として非常にこんがらかっております。  まず第一に、このアメリカから言ってきたものは、第一番に宇宙の平和利用に関しての協力をしたいということを言っておるのでございます。しかし、それのあとで出てきたただし書きというものは、この文革を読んでみますというと、決してそれ以外のものを含めようという意図があるとはとうてい私どもは読めないのでございます。したがいまして、そういう見地からいいますと、科学技術庁長官及び科学技術庁のほうからいままで御説明になった日本側の本件の取り扱いぶりについて、外国が変に思うとか文句を言うだろうということは、私どもとしてはとうてい考えられないのでございます。
  185. 竹田現照

    ○竹田現照君 それはジョンソン・メモというのは、昨年の日米共同声明がそもそもたたき台でしょう。「宇宙空間の科学的研究および平和利用のための衛星を開発し、打ち上げることを中心に、」両国で「協力可能性検討する」という共同声明に基づいて一月十七日にジョンソン・メモが佐藤総理に渡されたわけです。そうして、そのジョンソン・メモのただし書き、まあきょう開かれたこのジョンソン・メモの内容によると、(a)(b)の(a)のほうは確かに平和目的云々ですが、(b)のほうに中共またはソ連に云々という文句がありますね。これがいま問題になっているわけでしょう。ですから、それをこの宇宙開発委員会に相談をするときに、この点を除いていってしまえば、この共同声明からよってきたところのジョンソン・メモに対して答えをするという点がちょっと欠けることになるんじゃないですか、これをはずして聞くというのは。そうすると、この部分はどこで検討して返事をしようとしているのですか、日本政府としては。それがだからわからないわけです、ことさらにこんなものをはずすから。そのまま宇宙委員会へかけられるというのなら、これはわかるけれども、これをはずすからなおわれわれは疑問に思って追及せざるを得ないわけです。なぜ科学技術庁としては(b)のほうをはずしたのですか。それから、先ほどから言っている共同声明に基づくジョンソン・メモであるとして、そのことがジョンソン・メモの内容の問題についてアメリカに了解をするような返事がいかなければ、共同声明にあるこの宇宙開発に関する問題というのは不可能になるのではないか、こういうところに問題は進んでいくんじゃないですか。ものの順序として。どうなんですか。
  186. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) どうも十分御了解願えないで非常に残念でありますけれども、このジョンソン・メモというものに対して、わが国はこれをそのままアクセプトするかどうかという返事をする必要はないのですよ。その点は御了解願いたいと思います。あのメモにも書いてありまするように、日本がもし希望するならばこんなような援助はしてやる用意があると、こういうことであります。そこで私どもとしては希望する問題だけ言ってやればいいんです。簡単に言えば、手紙の儀礼的なものとして、このたび手紙を受け取ったとか、こういう文章は書くでしょう。しかし、私どものほうとしてはそれによって希望する事柄だけを言って、こういう技術は私どもは導入したいからひとつ頼む、こういう技術は頼む、そういうことを言えばいいので、この全体の手紙にアクセプト云々ということは言う必要はないと思うのですよ。その点は御了解願っていると思うのです。その点で私どもはあくまでも平和目的利用以外のものは要求するつもりはないと、こう言うのです、政府として。したがって私は、原子力の委員長兼ねておるのですけれども、原子力なんかで、委員長いろんなものをやっておりますけれども、この宇宙開発委員会も私どものほうの諮問の機関ですね、そこに対して、さっき申しましたように、四十八年の打ち上げをめどにして、そして自主開発のほうとにらみ合わせて、一体どういうものを、どの程度、どの時期にわれわれのほうが要求したらいいかということを宇宙開発委員会検討してくれているわけなんです。そこで、さっき申しましたように両方の間にいろいろむずかしいことがあるから、そこで手間どっているというのが今日の状態なんであります。ですから、全体としてアクセプトする、あの手紙をアクセプトするとかなんとかということは毛頭必要ないのですから、その点は御了解願いたいと思うのです。
  187. 竹田現照

    ○竹田現照君 このジョンソン・メモは極秘扱いでずっときたわけでしょう。ところがその平和目的のところまでいけば、あまり極秘扱いにしなければならぬ問題でないわけですよ。第一、いまこの宇宙開発の成果だとか技術なんていうものは、あれでしょう、無償で公開をしようというのがことし国連主催であった宇宙空間、何ですか、平和利用国際会議ですか、ああいうようなものもそういうような目的で開かれたわけですよ。そういうような時期に名指しで中共やソ連だなんていうものを書いているから、公表しないでくれといったのだろうし、日本政府もこれを極秘扱いの文書としてきたと思うんですけれども、そんな極秘扱いにしなけりゃならぬような内容というものは、これを私どもがいま政府からもらったこのメモの内容の中で、一体どこにあるのですか、これは外交慣例としてこういうものは極秘の扱いにするのか、ここを除けば極秘扱いにしなきゃならぬという内容のものは一つもないわけですよ。ですから、なぜ日本政府がこれを極秘扱いに今日までとってきたかということも、これは疑問を抱かせることでもあるんですが、この点は外務省はどうなんですか。どうもすっきりした状態にならないな、外務省の方は。すっきり、すとんと胸に落ちるような答えをすぱっとしてもらいたい。
  188. 重光晶

    説明員(重光晶君) どうもまたおしかりを受けるようでございますけれども、これはいろいろな観点からこの中共、ソ連の名前があがっているところが、政治的に問題だとおっしゃるのはよくわかるのでございます。しかしこの内容からいって、このところが機密だから文章全体が機密なんだという考え方ではございませんで、やはりまあ両国が交渉を始めまして一応妥結に達しました場合は別でございますけれども、この途中では、そのものずばりは発表しないという慣例できておりますものですから、そういうことから発表できないと、これはまあ、まことに前と同じ答弁で申しわけありませんが、それ以上申し上げることはできないと思います。
  189. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 じゃお尋ねいたしますが、その原文は外交の慣例で発表しない、そういう話でございますが、先日の新聞を読みますというと、エクセプトというところが、新聞にはちゃんと載っておるところであります。「技術または設備は、相互に別段の合意ある場合を除き、平和目的に用いられるべきである。」とそういうように新聞には載っておるわけでございますが、それは一体だれかが発表しなければ載るわけがないと思うのでございます。この原文はいつどこでだれが発表したのですか。
  190. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) 発表したものでありませんけれども、どこからか漏れたわけですね。
  191. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 おかしいじゃないか、だから、そのような外交の慣例であるならば、そういうものが漏れるということはおかしいじゃないですか。そうして、漏れたためにその新聞は、まあ私もきのう新聞を見ましたけれども、あの新聞を見た範囲では、国民の皆さんが非常に不安を感じますよ、そういうやはり漏らしたたために国民の皆さんに不安を感じさせたならば、やはり安心させるようにしていくのが政府責任じゃないですか。そういうあくまでも外国との慣例というものにこだわって国民の疑惑をいつまでも晴らさないのか、そういうたいした内容でないならば、いさぎよく外務大臣から向こうに、ジョンソン大使なりに交渉して、こういう事情だからこの原文を発表して国民の疑惑を晴らしたいと、そういう態度をとれば簡単に終わるじゃありませんか。あまり慣例慣例と言って——慣例にも使っていい慣例と、使って変な慣例はやめたほうがいいと思うのだよ、私はそう思う。
  192. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) そこで、私は先ほど委員各位お願いしたのですが、外務省のほうもいますぐにここで出すというわけにいかぬけれども、外交上の経路を通して交渉して、なるべくすみやかな機会に発表するようにつとめると言っているのですから、その点でひとつ御了承願いたいと思います。
  193. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は、あとで幾らか質問しますが、いま問題になっている点だけひとつ申し上げたいのですが、私は、十六日の朝日新聞の社説を見まして、そこに秘密の問題が社説に出ていた。そこで、これはたいへんだと思いまして、実は十七日に私は資料を要求したのです。私のところへ持ってきた人の名前も言わないでおきましょう、官庁の方ですから。というのは、この資料です。それで、私がこの資料をずっと読んで朝日新聞の社説に出ておるような問題が、官庁側から届けられた資料には何ら載ってないのですよ。そこで、これならば問題点がないじゃないかと、しかしあれほど世間で問題にするのは何か隠されている問題があるのじゃないか、これ以外にあるのじゃないか、どうだと言ったら、いや絶対ありませんと、このとおりでございますと言ってその人は帰ったわけです。そして、うちへ帰ったら十七日の晩の日経の夕刊にでかでかと、ずらっとすっぱ抜きが出ておるわけです。そこで私は実は腹が立ったのですね、そして私は十八日に国会へ来て電話をかけて、けしからぬじゃないかぼくがあれほど念を押して確かめてあるにもかかわらず、君は絶対ありませんと言って帰っている、ところが新聞にはちゃんとあるじゃないか、だから原本を持ってこいと私は言ったのです、原本を持ってこいと。そうしたら、原文は持っていくわけにはまいりませんが口頭で御説明申し上げますと言って私のところへ来て説明した条項は、この協定と合意の問題、それから「相互に別段の合意ある場合を除き、」というのがこの「平和目的」の前に入っているのが削除されておりますと、こういうことを言いました。それから、次の段階に、「米国の協力により得た技術または設備は、」その次に、「いかなる方法によっても、いかなる条件のもとでも、」という字句が実は削除されておりますということを私は口頭で報告を受けました。前日に私がそれ以外に絶対ないかということを念を押したにもかかわらず、ないと言った、そしてその夕方の夕刊には暴露されておる、そうして私がおこって要求すれば文書では出せませんが、口頭で先生に御説明申し上げますと言って説明したのがこの条項です。こういういきさつから見たら、ますます疑惑が深まるのですよ。何のために隠したかという点は、これは重大な問題だと思う。皆さんもこの点を私は追及しているのだと思うんですよ。しかし、こういういきさつもあるところからいきましたら、決して大臣のことばなど私はすなおに聞いて、はいそうですかと言うことはできないんですよ。それは木内さんは平和愛好者だと、おれは戦争に使わぬと言っている。しかし、あんたばかりいつまでも生きているわけじゃない。佐藤内閣がいつまでも続くわけでもないでしょう。どんな右翼的な内閣が今後あらわれてこないとも限らないです。自民党の方針がどう変化するかもわからないんです。だから、こういうふうに危険な解釈があるような字句、われわれの前に隠さなきゃならぬ字句、国民の前にマル秘にしなければならぬ字句などは、こんなものは入れちゃいけないんです。そこで私は木内さんに尋ねますが、こういう字句を含んだジョンソン・メモを、あなたは承認するんですか、どうなんです。承認する場合にはこういう字句を削除して承認しようというのですか。あなたの、平和に徹しているからと、これは佐藤さんの口ぐせですよ。常に佐藤さんは平和に徹してと、そうしてどんどんとそうでない面があらわれてきているから、いま国内で問題になってきているじゃないですか。ほんとうに平和に徹するというならば、今日のような政治をやるべきじゃないです、佐藤さんは。あの沖縄の問題だって、もっと平和に徹する考え方で解決すべきですよ。原子力潜水艦の佐世保入港だって、平和に徹するならば、そういうことは拒否すべきですよ。そういう平和に徹する平和に徹すると言いながら、やっておることは逆のことですよ。だから、いかに木内さんが個人として平和に徹する気持ちを持っていらっしゃるかわからぬのだから、私もそう信用したいけれども、しかし佐藤内閣のやっておることを見れば、この字句をそのまま信用することはできないです。ほんとうに平和に徹するならば、こういうメモの中からこういう国民に隠さなきゃならぬような字句は全部撤去して、そうして受けるべき性質のものじゃなかろうか、受ける場合には。そう私は考えるのですが、どうですか。
  194. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) いま、いろいろお話がありましたが、もちろん私はいつまでも生きているわけじゃないし、長くやっているわけでもないと思います。もうこの原子力の基本法第二条に平和目的ということがはっきり書いてありますね。それから今度は宇宙開発の問題についても、基本法をつくれば、当然これは入る。また、さっき私が申しましたように、基本法をつくらなくても、われわれの態度というものは、原子力の場合と同様であるべきだと、それは私がかわろうが、だれがかわろうが、同じことだと思うのです。あなたのほうでかわられれば、これはどう変えられるか、これはまたちょっとわかりませんけれども、とにかくわれわれ平和に、原子力の基本法と同じ趣旨法律はできなくても、私はこういう能生度は私だけの態度ではないんですよ。皆さん方からもそういう要望があり、この委員会としてもそういう御意見、衆議院でも同様ですね。だから、これは私は信頼していただいて差しつかえない。その筋を私はしゃべっておるのですから、私個人の意見を申し上げているだけじゃないんですから、御了解願いたいと思います。  それからいまお話の三点ですね、三点というのは、私どものあげた第一点の合意というのは、どこかで誤訳があったんですよ。第二点は、私どもから言えば、英語で言えばネグリジブルなものだと、部分的には。こっちの態度は同じなんです。アメリカの手紙がどうあろうとも、われわれの態度としては、これは平和目的以外のものは考えないんだと、こういうことなんです。それからあとの条件ですね、これはきつく書いてあるけれども、これは形容詞の問題で、こちらに発表しているものにもそれに相当するようなことが書いてある。語気を強めて言うか言わないかというだけの話で、趣旨というものは終始一貫しているわけですね。だから、それはことさら隠してとかなんとかということは毛頭ないということだけは、私は申し上げて須藤委員の御了解を得たいと思います。
  195. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 隠しておるということは、私がいま隠したということを事実をあげて言ったじゃないですか。私が隠している問題はありませんかと言ったら、絶対ありませんと言って帰った。その日の夕刊にそれが全部暴露されたんですよ。そうして私があくる日それを追及したら、文書では出せませんけれども、口頭なら申し上げましょうと言って、私のところに来て口頭で述べているじゃないですか。これは隠しておる証拠でしょう。それからあなたがいま合意云々の問題、これは十八日の朝日新聞に出ているのです。この問題については馬場同庁官房長は、大使から首相にあてた親書をまるごと発表するのは国際的な礼儀に反すると考えたので、内容を要約して発表した、協定締結と合意とは同義語なので書きかえたと、こういうふうに言っていらっしゃるのですね。これは同義語というのは同じ意味に解釈できるということなんですよ。あなたたちは自分らに都合のいいように合意というようなことばに書きかえているのです。これはやはり協定締結というふうにも解釈のできることばなんですよ。だからそれはおかしいですよ。自分に都合のいいように合意というふうに解釈してしまって、それで合意、合意と言っている。しかし協定締結というふうにも解釈できるのですから、そこは明らかにしておく必要があるのですよ。  それからもう一つ、はっきり答えていただきたい。このジョンソン・メモはそのまま内容を少しも変えないで、内容そのままをあなた方は承認しようと、受け入れようという考えなのか、そうでないならば、どこを変えて受け入れようという考えなのか、そういうことをはっきりしてください。
  196. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) さっきからたびたび申し上げておるが、御了解願えないので、私の説明が悪いのか、非常に残念に思っておりますが、さっき申し上げましたように、合意というところは英文にこう書いてあるのです。「ウイー・ウッド・ウオント・アン・アグリーメント・ウイズ・ザ・ジャパニーズ・ガバメント・カバリング・ツーポインツ」と書いてある。それをどこかでだれか間違って、アグリーメントということを協定ということでなくて締結まで加えたのです。これがこの点に対する誤解の第一なんです。英語を見ればわかります。「ウィー・ウッド・ウオント・アン・アグリーメント・ウイズ・ジャパニーズ・ザガバメント・カバリング・ツーポインツ」と書いてあれは、これに締結ということばを加えれば間違いであることは明らかです。だから、協定だから合意にも通じている。締結という字を加えたら、締結というと条約締結じゃないかというふうに解釈できる、そこに間違いがあったのだ、だれが訳したか知りませんけれども、原文を今度この次に発表になればおわかりになると思います。
  197. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 協定と合意とは違いますよ。同じアグリーメントでも解釈が二つある。これをこのまま承認するかどうか。
  198. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) そこで、私どもは内容はメモで発表しておりますから一字一句どうということはごらん願えればいいと思うのですが、私どもその内容を承認するとかなんとかいうものではないということです。さっきから申し上げておるのです。これはジョンソンは、もしも日本が希望するならばこれは協力しよう、それにはこんなような問題があるぞということを書いている。私どもこれをアクセプトするとかなんとか言う必要はないと思うのです。向こうは、日本が希望すればこういうことでいろいろなことで協力する、こっちで希望して協力してもらいたいものだけを指定してこれを頼むと、こう言えばいいのです。だからこのままアクセプトするとかしないとか言うことはあり得ないことです。条約文でも何でもないのだ。
  199. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それは論争になる……。
  200. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) 論争と言っても、向こうの手紙に書いてあるのですから、簡単に言えば、日本が希望するならば、希望するような協力はしましようと書いてあるのです。そうでしょう。だからそれに対してこっちが希望するもので平和利用のこうこういうものがほしいと、こう言えばいいのです。あの手紙は全部——アズ・ア・ホールとしてわれわれが全部アクセプトするかしないかという問題じゃないのです。
  201. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 横っちょのほうに広げないでください。このメモをあなたは同意をするのかどうかということを聞いているのですから、簡単に答えてください。
  202. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) メモ自体からの趣旨は尊重しますよ。しかし同意するしないと言ったって、向こうの提案ですから、それこそあなた方が常に言っておられるように、自主判断によって自主的にそのうちから選びまして……。手紙の趣旨に従って全体として同意するしないの問題じゃないのです。誤解のないようにお願いしたい。
  203. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 関連ですから、これでやめます。
  204. 竹田現照

    ○竹田現照君 それじゃ、もとになるものがなくて論議していても始まらないから、先ほど小柳委員からの質問のときにもお答えありましたが、宇宙開発委員会に出した科学技術庁の文書ですね。それからこの原文の問題。この問題の扱いを、これをはっきり出してもらわないと論議が蒸し返しになりますから、ひとつこの点、理事会で検討していただいて、早急に話が進むようにひとつ検討していただくまでしばらく休憩をしてもらいたい。
  205. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) それは私からもはっきり間違いなく申し上げますが、外務省から参りました英文と、それに対する訳文といいますか、そういうものは、私のほうの金庫に入っておって、コピーはとっておらないのです、全然そのコピーを。ただ、この内容は、新聞社に発表したようなものは書いておりますけれども、そのコピーをとったという事例は全然ないのですから、その点は誤解のないようにしていただきたい。したがって、私のほうから漏れたものでもないし、発表したものでもない。さっき漏れたというお話がありましたけれども、その点ははっきりしているんですから間違いありません。
  206. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 暫時休憩いたします。  理事会を開きます。    午後三時五十一分休憩      —————・—————    午後四時五分開会
  207. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) それでは開会いたします。  それでは再び質問に入ります。
  208. 小柳勇

    小柳勇君 私は二つ長官に質問いたしますが、来年度の科学技術庁の予算関係では、動力炉と宇宙関係が大きな問題だと思いますが、宇宙開発予算について、大型ロケットの開発などぜいたくだという大蔵省の意見がいま大きく報道されております。そうして大なたをふるわれるのではないかという心配をいたしておりますが、この予算獲得に対する大臣見解についてお聞きをいたします。
  209. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) ただいま御質問の点、まことにごもっともでございまして、これから宇宙開発問題が非常に重要な問題であると思いまして、その関係の予算を大蔵省のほうに提出しているようなわけでございます。その内容につきましては、もし御必要があれば政府委員のほうから御説明申し上げたいと思います。
  210. 小柳勇

    小柳勇君 いや、もう予算の内容については、前もって説明を受けておりますから必要ありません。ただ今度は、この宇宙開発予算が大きく削られるのではないかという心配がありますから、そういうことのないように長官の努力を要望するわけです。  第二の問題は、海洋開発の問題でありますけれども、これも前の長官から積極的に取り組んでおられますけれども、海洋開発で非常にいま日本はおくれている。空と陸のほうの開発は進んでまいりましたけれども、大陸だななど海洋の開発が非常におくれておりますが、海洋の開発についてどのような取り組みをされるか。特に急速な開発を進めるために、今後積極的な取り組み——予算の関係も含めました積極的な取り組みについて、大臣見解を聞きたいと思います。
  211. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) 先ほどの問題でございまするけれども、この宇宙開発の予算が大なたをふるわれるのではないかということを御心配になっているようでありますが、皆さんの格別の御後援、まことに感謝申し上げる次第でございまして、できるだけ要求予算の貫徹をはかるように努力したいと思います。  また、海洋の問題は非常に広範でありまして、いままでは実は特別研究促進調整費のうちからごく一部をさいて、そして海洋の開発に充てておったようなわけでございまするけれども、来年度の予算におきましては別な項目を立てて、それでこれを要求することにいたしております。今後ますますこの開発促進を必要とする海洋の問題については、これから先におきましても、できるだけの予算をとって、そうしてこの目的を達成するように努力いたしたいと思います。
  212. 小柳勇

    小柳勇君 質問を終わります。
  213. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 ジョンソン・メモの内容の件につきまして一点。インテルサット条約云々のことが向こうの条件に入っておりますが、それに対する当局の考え方はもうきまっておるかどうか。もしきまっておるならば答えていただきたいと思います。
  214. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) インテルサットの問題は、いま参加しておりますけれども、七〇年にはこれは改定されることになっておりますが、改定されますればもちろんこれに参加する。参加すればこの条約に拘束されるということになるのであります。
  215. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そうすると、そういう条約に入りますと、ここにも書いてありますように、日本は実用ドメスティックシステム、あるいはまた純試験的な通信衛星しか上げることができない。そういう点は、いままではこのインテルサットの東洋の部門を担当して、東洋の通信に役立つような衛星を上げていきたい、そういう政府の方針と反するわけでありますが、そういう考えでございますか。
  216. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) 政府委員に……。
  217. 石川晃夫

    政府委員(石川晃夫君) お答えいたします。  このインテルサットの問題につきましては、これは七〇年に航空協定ができるわけでございますが、そのときに、現在は暫定協定でございまして、その七〇年の節に正式に加盟するものは加盟する。わが国としては加盟するということになるわけでございます。ただ、このインテルサットの問題につきましては、これは通信政策の問題でございますので、この件につきましては、郵政省のほうの所管になっております。
  218. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 わかりました。  次に、原子力関係のことについて二、三質問いたしたいと思います。  現在、東海村に再処理場の建設の計画があるわけでございますが、地元勝田市等の非常に反対があって、難航しておる。いまの状態では予定の期日に間に合わぬじゃないか、そのように心配されておるわけでありますが、この状況を報告していただきたいと思います。
  219. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) 再処理工場につきましては、四十七年の七月ごろに運転できるような計画で私たちはやっております。したがいまして、先生のいまおっしゃいましたように、場所の問題がおくれますと、これがおくれてまいりますが、実際にいま東海村のあの地区は、協力していただく方々の間でいろいろ問題がございますけれども、もうしばらく、できるだけ御協力していただけるようにお願いして進めていきたいという考え方で進めておるわけであります。
  220. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 科学技術庁として、この問題に対して、今日までどのように対策を立ててやってきたか、また今後もどういう方針で進むのか、その点聞かしていただきたいと思います。
  221. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) 実は先般県議会で、再処理の場所を東海村に置くことは反対であるという決議がございました。したがいまして、それにつきましては、できるだけそれをもとに戻していただきたいということで、知事、東海村、その他の村のほうに動力炉事業団等からお願いをして現在まで進んでおります。それで、いろいろ漁民の方々、その他村によっては反対のあれがございますが、そういう関係のことと、もう一つは、そばにあります射爆場との関係の問題、その点の議論がここのところ起こっております。その関係につきまして、私どものほうはできるだけ安全−審査に基づきまして、この審査会でいまやっております。安全審査会で絶対安全なものということになって初めて安全審査会から答えが出ますので、それを並行して現在やっておりまして、何とか地元に協力していただきたいという経過をとっております。
  222. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 安全審査会の結果を待つというお話でございますが、地元の反対している理由は、どういう点で反対しているのか、その点を御説明いただきたいと思います。
  223. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) 一つの大きな問題は、やはりそばに射爆場がある。この射爆場があるとともに、また再処理工場がそばにあるということに、一つの問題点がございます。もう一つは、いま安全審査会を通らなければ、私どもはあそこにできないわけで、安全審査会で通るまでやっておるわけでございますが、安全でないのじゃないか、あるいは幾ら安全審査会を通っても安全であるだろうかというような不安感と申しますか、そういう関係が主体となっております。それからもう一つは、地帯整備と申しますか、原子力施設を置きましたときの地帯整備の関係にもう少し協力してくれという、大体三つがその問題点だと、そう思っております。
  224. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それで今後の原子力の発展のためにも、そういうような地元民の反対ということが非常にあちこちで多いわけであります。そういう点で、いままでのそういう政府のあり方というものに対して、いろいろ反省すべき点もあるんじゃないか、そのように私どもも考えているわけであります。まあ安全だけの問題でもない。じゃ、安全審査会の結果が、ほんとうに安全だという結論が出たならば、はたして地元民が納得できる見通しがあるかどうか。私はそれだけでは決して地元は納得しないと思うわけでありますが、そういう点、局長はどのように考えておりますか。
  225. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) いま先生おっしゃいました、いわゆる国民の不安感と申しますか、そういう関係のことだと思いますが、これについては、確かに現在までエネルギー政策として、どうしても原子力をやるんだということの考えが主体であって、一部国民方々にPRするという関係のほうに抜けた点がある、これはあると思います。しかし、これは去年からその関係につきまして、特に大蔵省から一千万円余のPRの金をいただきまして、それでまあ原子力は、安全審査で安全であって、やれるんだということを皆さんに普及して、知っていただきたいという関係で、現在できるだけのPRをやろうという考え方をとっております。
  226. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それで向こうの現地の人の言い分は、非常に政府は安全だ、安全だと、そのように言うけれども、あの勝田市の考え方は、安全だからいいというものでもない。そういうような再処理場があって、東海村にはこれはある程度税金も入ってくるかもしれませんけれども、隣の勝田市はそういう危険度があって、土地の値段はそれ以上上がらない。安全だといっても、そういうものはないほうがいい。そういうやはり一つの考えを持っているわけであります。そういう点で、こちらがただ安全だからという、そういう考え方で推し進めていっても、いつまでたっても解決しないのじゃないか、そのように思うわけです。そういう点で東海村に再処理場を設置するということにいつまでもこだわっておっては、そういり押しつけにもなると思うし、ここで東海村の建設ということを一回御破算にして、日本全土にわたってもう一回白紙から再検討をして、そうしてあらゆる状況を考えて、もう一度再検討すべきじゃないか。そうしないと、いつまでもただ情勢を待っているだけでは、ますますおくれるのじゃないか、このように私は考えるのですが、局長の考えを聞きたいと思います。
  227. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) いま塩出委員からのお話は、まことにごもっともな点でありまして、私どもは、あくまで地元の方の十分な理解と御協力を得て、この再処理工場を早く実現したい、かように思っておるのでありますが、東海地区は、諸般の条件から見ますと、要するに核燃料サイクルにきわめて適している場所だと思います。そういう意味からもぜひひとつ地元の方々の十分な理解と御協力を得たいと思っております。単に安全のこの審査委員会のほうの意見だけによってものごとを簡単に処理するという考えは持っておりません。どうか地元の方の協力を得ることができますように、皆さま方の格別の御協力お願いしたいと思っております。
  228. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それでは結局もう東海村以外には場所は考えていないとそういうお考えですね。
  229. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) 東海村に実現するにつきましては、先ほど来お話しのように、射爆場の移転の問題等もからみまして、いろいろな困難があると思うのですが、困難があるからといってすぐにそれを捨ててよそに移るというわけにいきません。また、よそに移るにしましても、いろいろな困難があると思うのですが、その困難を克服しそれを乗り越えていくように、私ども最善の努力を今後ともいたしてまいりたい、かように考えております。
  230. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それでは次に安全の問題でございますが、これは以前の委員会でも私はいろいろ質問申し上げたわけでありますが、現在日本国民の感情としては、原子力というものに非常な不安感を持っておる。専門家が見るならば、発電所にしてもあるいは再処理場にしても、何も心配することはないじゃないか、あるいはコバルト60の心配はないじゃないか、そのように言うわけですけれども国民感情としては、そういうような気持ちは持ってないわけであります。その一つの原因は、そういう原子力関係設備の安全状態というものに対するものが全然地方自治体にはわからない。建てるまでは、交渉するときにはいろいろ地方自治体に話もありますが、一たびできてしまえば、何も相談もない、報告もない、そういう状態であります。まあ現在いろいろ原子力の安全につきまして、放射性物質の取り扱いの規則とか、あるいはまた運搬の管理等もございますが、そういうものでは、ただ科学技術庁に報告はあっても、地方自治体に報告はない。また、コバルト60あたりをどんどん運搬する、そういう運搬の規則もあるけれども、その中にはいろんな規定はあっても、どういうトラックがどこを通るか、そういうことも全然地方自治体にも知らされてない。そういう点から地元の地方自治体としても人一倍、知らされてないものですからそれだけ知識もないし危険を感ずるのじゃないか、そのように思うわけであります。そういう点でこれはずっと前の朝日新聞に載っておったわけでございますが、六月の十七日に、自治省が科学技術庁に、「地方公共団体の長には住民の安全などを保つ必要がある、したがって原子力施設に関する首相または主務大臣の許可、認可については必要な限度において、知事らの意見を聞き、施設に関する資料、記録状況等を知事や市町村長に通知連絡するよう運営上配慮されるとともに、最近の機会に関係法令の改正検討されたい」、そういう申し入れがある。当時の藤波原子力局長に公文書で出しておる。けれども、それについて何ら返答がない。そういうことが載っておるわけでございますが、この問題はどうなっておるのか。また、そういう地方自治体に対して安全の件について、いろいろ報告をする、そういうことを考えているのかどうか。私はこれは早急にやらなければならない問題ではないかと思うわけであります。その点の考えをお聞きしたいと思います。
  231. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) ただいまの問題でございますが、確かに地方自治体の関係者の方々に対する安全とか、あるいは取り扱い方等につきましては、やはり十分知っていていただきませんと、まわりの市民の方々にも問題がある。そういうことを考えまして、私のほうは年に一度、地方自治体の方々の研修会といいますか、講習会といいますか、そういうことを行なって、できるだけ皆さん方に原子力の取り扱い、安全性、そういうのを知っていただくということを現在進めて、毎年やっております。また、いまの陳情書は私も存じておりますが、この法律改正等ということもございますが、これにつきましては、現在検討を進めさしていただいているというところでございます。
  232. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 検討中ということでございますが、局長個人として、そういう法令をつくる必要があると考えているのか、必要がないと思うのか、その点御答弁を願いたい。また、現在検討中であるならば、大体いつごろまでにそういう結論を出す方針なのか、その点をお答えいただきたいと思います。
  233. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) 実はこの問題は、地方公共団体への権限の委譲とか、そういうものに関係してくると思います。しかし、こういう原子力の関係の仕事というのは、まだ全部の県で全部やっているわけでもございません。したがいまして、ある特定の県等がいまやっているというのが現状だと思いますので、その点から考えまして、いま先生おっしゃいます私個人としてやるべきか、やるべきでないかという点につきましても、もう少しこれは考えさしていただきたいと思います。それからそういういろいろな関係がございますので、できるだけこの点については、早く考えたいとは存じますけれども、いましばらく、いままでの法規の関係、それからいろいろな地元の意向その他の関係をもうしばらく検討をさしていただきたい。
  234. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そういう法改正となりますと、直ちにということはできませんかもしれませんが、この前も東海村の人にいろいろ聞いたわけですが、中ではいろいろ訓練をやっておると、ところが、外部の人に対しては、安心だから心配するな——そういうのを外から見ておると心配だというわけですね。だからやはりそういう点を自主的に工場側も、わが工場の安全管理の状態はこうなんだ、そういうことを地方自治体の長やあるいは消防関係と絶えず連絡をとっていく、そういうことが地元民とのつながりを深め、そういう人と人とのつながりによって、原子力に対する国民の安心度も高まっていくのじゃないか、そう思うわけであります。そういう点で、早急に原子力の設備に対しては、そういう点を徹底をするように、先般私も川崎のあそこの石油コンビナートの中にある——ちょっと名前を忘れましたが、川崎市とは非常に連携がとれてうまくいっているわけなんです。だからそういう点をひとつ早急に指示を流して、地域住民あるいは地域の公共団体、地方自治体のそういった方々と、安全という面において連携を密にしていくように、そのことを早急に指示を流すことが、私はそういう諸問題を解決する  一つの基盤として大事ではないか、かように思うわけですが、その点どうですか。
  235. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) ただいまの御意見まことにごもっともでございます。いままでやっておりましたことに足らぬ点がありまするならば、いまの御趣旨のような点について、今後においてはできるだけの努力をいたしたい、かように存じております。
  236. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は、この前の委員会で、実は原子力局長に来ていただいて、東海村の原研の労組に対する弾圧の問題について、実は質問したのです。ところが局長が新任早々で、全部を把握してないというので、肝心なところでお答えがないので、これではいかぬからというので、次の機会に原研の理事長に来ていただいてお答えをいただこうと思いました。ところが理事会で、理事長を参考人に呼ぶということは承認に相ならず、せっかく今度はりっぱな科学技術庁長官もおできになったことであるから、科学技術庁長官にひとつ質問したらどうだろうというので、私はきょうはあなたに質問したいと思うのです。質問するにも、私は現地を調査する必要があると思いまして、十六日に、朝から夜にかけて、勝田市から東海村に至るあの沿線をずっと車で歩き、動燃東海事業所の副所長さんにも会いましたし、それから村民、市長さん、労働組合の方、あらゆる方たちに会っていろいろな意見を聞いてまいったわけです。視察旅行の道順に従って少し質問をさせていただきたいと思うのです。  まず、私は勝田市へ参りました。そして勝田市の市長さんに会いました。そうすると、勝田市の市長さんは、動燃再処理場の設置に強力な反対の意思を示しております。そしてあそこは有権者が三万五千です。ところが反対署名をしたのは、市長さんはじめ三万三千ほどの方が反対署名をしていらっしゃる。そうすれば、大体勝田市の全市民が反対しておるということは、私ははっきりしたわけなんです。反対理由は、やはり先ほども公明党の方もおっしゃいましたように、あそこに動燃再処理場ができると、その周辺の都市が非常に危険にさらされる。だから日立市でも反対、勝田市でも反対、いずれもそういう意見でした。特に勝田市は、最近方々の工場がどんどんとあそこにくるわけなんです。そうすると、動燃ができると危険だからというので工場がこないことになっちゃったら、勝田市の将来の発展に大きなマイナスになるというので、勝田市長は、全市をあげてこれに危険の面と都市の発展という面から反対をしていらっしゃるのです。それから農民の代表に会いました。そうすると農民の代表は——その代表は風下ですね。常にこう吹いている風下にいらっしゃる人ですが、動燃から出る排気ガスといいますか、それが農産物に灰が落ちてくる、そうすれば私たちのつくった野菜が水戸へ持っていっても売れなくなってしまうだろう。そういう面で強い反対の意思を表明していらっしゃいました。  そこでそういう反対を伺って、それから私は東海村に向かったわけですが、向かう途中、実はあの、今度動燃再処理場ができるだろうという予測をしておる土地も拝見しました。それから現在ある動燃、そこへ参りまして実は副所長さんから、これは名刺をいただいておりますから申しますが、藤本さんという副所長に会いました。そして勝田市の反対意見、東海村の反対意見、それから私たちが持っておる危惧の念、それから、そういうものができて、危険が絶対ないという、そういうことに対してまだ私たちは疑念がたくさんあるし、それは私たちだけじゃなしに、日本の原子力科学者の中でも、絶対危険はないということにはなってない、やはり危険はあるということを、科学者は言っておりますので、そういう点をこの藤本さんという副所長さん、これは原子力の科学者ですが、その方に私は尋ねたわけです。そうすると藤本さんのおっしゃるのには、あなたたちは絶対絶対とおっしゃるが、科学者は絶対ということは考えない、絶対ということはあり得ないことなんだ、こうおっしゃる。絶対ということがあり得ないというならば、危険もあるという反論が出てくるわけなんです。でありますから、この藤本さんという副所長は非常にこれに熱意のある方で、どうしてもこれをつくらなければならぬ、あなたたちが考えているようなものじゃないのだということばで片づけておられますが、それでは絶対危険はありませんかと言うと、科学者には絶対ということはあり得ないのだと、やはり危険というものが付随してくるということが、これから出されるのですね。そうしてたいへん重大なことをおっしゃったんですが、今日危険だ危険だと言っておる科学者もある、原子力科学者もある。しかし、それは非良心的な学者の言うことだ。原子力は危険だと言っている人を非良心的な科学者だときめつけたんですね。これは私は反対しておる科学者が聞いたらとてもおこるだろうと思う。非良心的というようなことばを使ったんです。そうして私はこの藤本さんの案内でずっと見に行きました。まことに風景のいいところで、太平洋を松原を越してずっと向こうに見渡せる、ほんとうにそんな動燃の設備なんかやるのでなしに、あそこにりっぱなレクリエーションの場所をつくって、ほんとうに国民の健康のために使ったら、どんなによかろうかと思うほどすばらしいところですよ。私はああいうところにああいう動燃を建てて、原子の灰でけがすというようなことは、これは日本人として忍ぶべきことじゃないと、こういうふうに実は思いました。  まあもっと話せばたくさんありますけれども、ずっと羅列してもしかたがありませんから、その次に移っていきますが、水戸の射爆場も実は見ました。そうすると、今度できる動燃とは非常に近接した距離にあるのですよ。ここで一つ言っておかなければならぬことは、勝田市にしましても、東海村の人にしましても、射爆場がなくなったら動燃ができてもかまわないのだという意見ではないのです。動燃の問題が表面化する前から、水戸の射爆場は危険だという——この危険だという運動は最初からあるのですよ。そこにまた動燃という問題が起こってきたわけでしょう。だから射爆場にも絶対反対、動燃設置にも絶対反対というのが、これがその周辺の人たちの意見です。この点どうかしっかりと考えておいていただきたい。従来科学技術庁はこういう意見です。水戸の射爆場がなくなったら動燃つくってもいいだろう、こういうように水戸の射爆場と動燃をすりかえてくる意見が再三述べられておるのですよ。ところが、住民の反対はそうではないということが、今度私が行きましてはっきりしてまいりました。それから今度は、東海村に行きまして、東海村の研究所へ参りまして、そうして面会を申し出たところ、副所長さんといいますか、その方が二人お見えになりました。名前は、いま名刺を持っておりませんので……(「時間がないぞ」と呼ぶ者あり)まあ聞いておいてくださいよ。
  237. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 五時までに終了したいと思いますから……。
  238. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私はいつも一番最後に回されるので、私をかんてんを押し出すみたいに押し出そうったって、そう簡単にはいきませんよ。やはり言うだけのことは言わぬとおさまらぬですよ。  そういう状態で、副所長に会った。そこで私は、副所長に弾圧の問題を出したのですよ。ところが、私たちは何も聞いておりません、わかりませんという答えなんです。副所長がわからぬ。そうすると、どうしても理事長を呼ばなければならぬということになるわけですが、理事長を呼ぶことには皆さんが、理事の方たちがあまり賛成をしないので、きょうも理事長に来てもらえない。そうすると、どうしても科学技術庁長官に聞かなきゃならぬ。あの問題はここから始まっているのですよ。ことしの八月二十七日、東海村動燃反対請願のために、東海村周辺の民主団体代表の人が五十人ほど見えたのです。私は科学技術庁をたずねまして、原子力委員会の施設課長さんだと思います、その方に会った。そのときにその課長さんがおっしゃるのには、住民の反対を押し切ってまで動燃の建設をやらない、こういうことをはっきり言っていらっしゃるわけです。そこでこれらの人たちが帰って署名運動をやったわけです。ですから、この平和団体が中心になって住民並びに労働組合の人たちをずっと戸別訪問して、何千という署名が集まったわけです。その中に原子力研究所の職員三百数十名が署名をしておったわけなんですね。ところが、それがけしからぬというので、あそこの理事長さんが、原研といえば動燃に協力をしなければならぬ立場にありながら、それに反対するということはけしからぬ、所の方針に反する行動をとったものがあることはまことに遺憾である、こういう訓示を出されたわけです。訓示を出しただけならまだいいのでありますが、その後課長さんや室長さんが、署名をした人たちを一人一人部屋に呼び込んで、そうしていろいろな調査をなすっていらっしゃるわけなんですね。そこが非常な問題になってきたわけです。署名した人たちにこういう質問をしておる。おまえは積極的に署名したのか、強制されて署名したのか、どんな考えで署名したのか、何となくやったのか、こういう思想調査ともいうべき調査をしたんです。大体この調査目的は何かということをまず長官にお尋ねしておきたいのです。
  239. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) 須藤委員にお答えいたしますが、須藤委員が現地におもむかれまして、いろいろな事情を御調査したようであります。ところで、私は私なりにいろいろ聞いたり、調査いたしましたところ、この理事長は、とにかくあそこの原研は原子力に関する最高の権威機関なんですね、研究機関なんです。したがって、そこの職員は原子力に関する言動というものはきわめて慎重にしなきゃならぬということを考えておったらしいんです。私もそれはもっともだと思う。原子力の最高の権威のある研究機関ですから、そこの職員はほかのことはとにかくとして、原子力に関する問題に対してはその言動を慎重にしなければならぬというふうに考えまして、そういう考えからこの署名をした人たちについてその事情を聞いた。よく理解してやったのかどうか。それはよく理解してやったんならそれはいいでしょう。しかし、とかくこの署名などにはあまり深い理解もなしに、頼まれたから署名したということがよくありがちのものなんですよ。そういう場合が間々あるのですよ。だから、そういう事情を調べた。しかし決して、その意見に対して弾圧を加えるというようなことを毛頭考えたことはない。それからまたさらに、それに対して処分をするというようなことを少しも考えたことはないのです。こういうことでありまするので、原子力理事長としては、原子力に関する最高の権威ある機関の理事長としては、その程度のことをやられることは、私は別に請願権を弾圧したとか、押えたとか、そういうものじゃないと思うのです。あなたの御心配になるほどのことではないと私は理解しておる。
  240. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そんなことなら特に労働組合の反対まで押し切ってやる必要がないんですよ。  それじゃ、次に尋ねますが、この前私がここでお尋ねしましたら、こう言っているのですよね。調査目的は何かというと、事情把握のためだとこういうお答えなんですね。それじゃ事情というのは何の事情かということなんですよ。どういう事情をお調べになるか。原研は確かにあなたのおっしゃるとおり学者の集まりですね、研究者の集まり。だから研究を怠るというような事態が起こったら所長さんでも理事長さんでも、その人を呼んでおまえ、研究を怠ってはいかぬじゃないかという話をなさってもそれは差しつかえないだろうと思う。ところが、憲法でも承認されているこの請願権を行使したということで、一人一人部屋に呼んで、そうしてどういうつもりでやったとか、すすめられてやったか、積極的にやったかということは、これは思想調査ですよ。思想調査と解釈されてもやむを得ないですよ。何でこういうことを室長や課長さんがなすったのか。それはあなたがいま言ったようなことじゃないですよ、やっぱり。
  241. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) いま申しましたように、原子力の研究の最高の機関ですから、その人が、研究に対してはもちろんですけれども、原子力の勉強をするかしないかということはこれはもちろんでありますけれども、その他の問題につきましても、少なくとも原子力に関する言動というものは、その人たちはやはり慎重にしてもらいたい、こういうふうに理事長が思うのは私は当然だと思う。そこで、それから先のいろいろ事情を聞いたなんというものも、これは聞くこと自体悪い、こう言われればそれはまた別ですけれども、やはりこの人たちが、さっき申しましたように署名をするとしても、わからないままつい署名してしまうということはあり得ることなんです、人間は。だからそういうことをよく理解してやったのかどうかということをやっぱり聞くということは、決して私は請願権の弾圧にはならない。言動を慎重にして誤りなきを期する、これが私はまあ理事長としたら当然なことである。そうして、ことに処分をするというんじゃない。そういうことをやつちゃいかぬということを言っていないんだから、そこで請願権の弾圧、剥奪というようなことには私はならないと思う。
  242. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それは処分したらたいへんですよ。処分したりしないのはあたりまえじゃないですか。そんなこと処分しませんなんていばるべき性質のものじゃないんです。尋ねること自体が思想弾圧ですよ。課長さんなり室長さんが、おまえ、何のためにやったんだと、どんなつもりでやったんだといえば、それはやっぱり職員は威圧を感じますよ。原研の人たち、職員は、みんな原子力についてわれわれより深い知識を持っているのです。その深い知識を持っている人がこれは危険だと思ったら、危険だということを世間に発表することこそ良心的じゃないですか。そういうことをするのが原研の従業員の私は義務だと思うのです。危険だと思いながら、それをひた隠しにして署名もしないというのは、それこそ非良心的な私は学者だといわなければならない。危険だと感じたら危険だとはっきり言うべきじゃないですか。それを言うておるのです。危険だと思うから署名したのです。ところがその署名がけしからぬ、いかぬ、これはおかしいですよ。しかも、その署名した人間の名簿をどこから手に入れたんですか。名簿を手に入れた経路をおっしゃってください。
  243. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) この前も御答弁申し上げましたが、名簿を手に入れました経緯と申しましても、この請願を署名されたものというのは記録に出ているものだと思います、請願するものでございますから。ただ、それをいつ、どこで、どういう形でとったかということについては、私も全部の経緯は存じません。
  244. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 ぼくがちゃんと調べているんだから、そんなのんきな答弁していたらだめだよ。もっと真相を調べてみなさいよ。私はちゃんと調べてまいりました。それは東海村の村会議員の亀田君というんです。これは原研の次長か課長代理です。この人が、村議会でこの署名簿を見せろ、こう言った。貸せと言ったのです。ところが、事務員がそれは困るといって一ぺん断わったそうです。ところがどうしてもそれを貸せと言うんで、事務員がこの亀田村会議員に貸したというのですよ。ところが亀田議員がそれを持っていって、そうしてこれは亀田議員のことばなんですが、亀田議員が村会で述べていることですが、自分はそれを持っていって見ておったと、そこへある一人の奥さんと二人の職員がやってきた。そうしてそれを見せろと言ったと、それで自分はそれを見て、そうして机の上に置いておいて外へ出てしまったと、それで帰ってきたらちゃんと元のとおりにあった、こういうのですよ。そうすると持ち出した人は、これはもう村会では明らかになっている。私は村長にも会いましたし、村長だれが持ち出したのだと言ったら、それは君らがみんな知っているとおりだ、村会の者はみんな知っている。これは村会議員の亀田君が持ち出したのだと、こう言っているのです。そうしてあれは、原本というものは持ち出してはいけないのですよ。原本を持ち出していったらそこへどういうことを書き込まれるかわからないのですね。ところがその原本を持ち出して、そしてそういうことをしたと、そうしてそれはけしからぬじゃないかというので村議会で問題になったときに、議長さんは、はなはだ遺憾であったと言ってそれを釈明したと、ここまではっきりしているのですよ。そうすると……(「秘密じゃないんだから、請願書をだれに見せたっていいじゃないか、国会請願書だって」と呼ぶ者あり)いや、それは議長なり、受けた人が承認してやるべき性質のものですよ。何のために持ち出したかということが問題なんですよ。亀田君の自発的な意思でやったか、亀田君が所長なりだれからの言いつけを受けて、そしてそれを取りに行ってだれが署名したかということをちゃんと原研に報告するために持ち出したとしか私としては受け取れないですよ。その結果、そういうことが起こっておるのですよ、みんな。そんなことをあなた調べなかったんですか。ぼくは現地へ行って村長にも会って、そうしてちゃんと調べてきましたよ、これは事実だ。
  245. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) 権威ある理事長がそういうことで取ってこいとかなんとか命令しているということは私は信じません。そういうことはないと思います。
  246. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、それがいつの間にか原研の幹部の手に渡ったんだろうと、こういって私は副所長に、亀田君からあなたたち見せてもらったのと違うのかと言ったら、いやそうじゃないんだと、ある日偶然われわれのテーブルの上に置いてあったというんですよ、名簿がね。それはコピーした名簿ですよね、コピーした名簿が置いてあった。全くそう考えるとこれは明らかにスパイ行為ですよ。しかも組合に対するスパイ行為ですよ。そうして民主主義の弾圧の問題だと思うのですよね。そして私は原研に行って、いろいろとやはり平和三原則を守っております、こう言って、常にりっぱなことを皆さんおっしゃるのですよ。原子力の平和三原則を守っている人ならば、まず民主主義に徹しなければいかぬですよ。民主主義に徹するということがもとじゃないですか。この原子力の公開の原則、平和利用の原則というものをささえていくのは何かといったら、これは民主主義です。そこにおいてこういう非民主的なことが行なわれるということは、日本の原子力の将来に対して大きな危惧の念を抱かせる点ですよ。長官、そう考えませんか。やはり民主主義に徹しなければだめじゃないですか。原子力というようなああいう問題に携っている人たちは民主主義に徹しなければいかぬ、平和主義に徹しなければいかぬと私は思うのですが、どうですか。
  247. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) それはそのとおりですよ。
  248. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 簡単に願います。
  249. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) 全くそのとおりだと思います。しかし私は、理事長の行為に非民主的なところがあったとは思っておりません。
  250. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それはおかしい。だって原研の職員が民主主義の立場に立ってやったことを、こういう調べ方をして、しかも、その署名簿を人を使って村会からひっぱり出して、その名簿によってその署名した人を一々マークして、そして課長室や室長室に呼んで、そしてこういう思想調査ともいうべき調査をやるということが、どうして非民主的でないと言えるのですか。私はこれは全く民主主義に反する行為だと、こう思うのですよ。こういう非民主的な考え方を持った人が原研なり動燃の幹部としていくならば、非常に危険なことじゃなかろうかと、こういうふうに私は考えざるを得ないのですよ。やはり民主主義に徹した行動で、こういうことに対して、一々労働組合に対してこういう行為をとらない、今後はやらないということがはっきり長官おっしゃれますか。
  251. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) 先ほどからも申し上げておりますように、この理事長は別にこれを弾圧したわけでもないし、思想調査さしたわけでもないし、社会的に大いなる影響があるから、最高の権威であるから、原研の職員の原子力に対する言動というものは慎重にしなければならぬ、こういう趣旨の訓辞をしたらしいのですが、それは私は、非民主的でも何でもない、理事長としては当然のことだと思うのですがね。
  252. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 しかし調べたことはどうですか。組合員を一人一人呼んで調べたことはどうですか。それが非民主的ですよ。
  253. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) 組合員に聞いたと言っても、それは事情を聞いたわけで、それで別に弾圧したというわけでも何でもないし、請願権を侵したわけでもないし、非民主的でもないと思うのですよ。
  254. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 もうこれは問題になって、国会でも取り上げられるし、組合の問題になったときに、それ以後はこの調査を打ち切ってしまった。非民主的でない、やるべきものだというなら、そういう反対が起こっても当然やることはやったらいいじゃないですか。それを途中でやめたということは、やはりこれはまずかったということを考えられたからやめたのじゃないですかね、どうですか。
  255. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) そういうまずかったからやめたということでなくて、大体の事情がわかったから、それに基づいて理事長は、所員に慎重にしろという訓辞を与えただけで、別に悪かったからやめたということではない。
  256. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 まあ改めたことは私は非難しませんよ。改めるのは当然で、やめたらいいのですよ、こういうこと。だから途中でやめなければならぬということは、最初からやらないほうがいいですよ。そんなことをやるから途中でやめなければならないし、国会でも問題にされなければならぬ。それから労働組合からも反撥を受けなければならぬということなんですよ。そういうことは、この原子力を研究する団体としては今後絶対あってはいけないことだと思うのです。  最後に、私一点申し入れておくことがあるのです。それはきょうも東海村の人たちが大ぜい見えました。そして勝田にも反対運動が強いのです。こういう中で私は建設を強行すべきものじゃないと思うのです。このことでもいろいろありますけれども、もう委員長の顔見ていると、これ以上続けることはお気の毒な感じがしますから、私は早いうちにやめることにしますが、そういう強行ということはやらないほうがいいと思うのですよ。そこで私は一つの意見を述べますが、原子力局長並びに科学技術庁長官も現地に行って、ほんとうの住民、市民、村民、皆さんと会って、ひとつ話を聞いて、いかに市民が反対をしているかという、そういうことをやはり知ってこられるのがいいのじゃないかと思うのですね。私は、机の上にばかりおらぬと現地に行って、私すらも現地のほんとうの声を聞こうというために現地に行ってきたのですから、あなたたちもやはり行ったほうが私はよかろうと思うのです。身のためになるだろうと私は思うのですが、どうですか。行きますか、現地へ。
  257. 木内四郎

    国務大臣(木内四郎君) 私はもちろんこれは向こうの事情も見なくちゃならぬ場合もあると思いますが、とにかく、いまのお話のように、われわれはあすこに地元の方々の御了解を得てつくりたいと思っております。そのためには、今日まで足らなかったPRなどを大いに進めまして、そして皆さんの御了解と御協力を得て話がつくようにいたしたいと、かように思っております。
  258. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 行かれるときに、ひとつ注意していただきたいのは、あなたたちに御都合のいい人たちばっかりに会わなくて、ほんとうはあなたたちと反対意見を持っている人たちに会うということが、私は重要だと思うので、そこをよく考えて、そして反対期成同盟もできておりますから、そういう人たちとひとつ話し合っていっていただきたい。話し合うことが必要だと私は思います。  これで私の質問は終わります。
  259. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 本調査はこの程度にとどめます。     —————————————
  260. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 次に、請願の審査を行ないます。  請願第六八号外三件を一括して議題といたします。  本件につきましては、慣例により、理事会において慎重に検討をいたしました。その結果を御報告いたします。  お手元に配付いたしました資料について、請願第一一二号及び二三五号、以上二件の請願は、本院の会議に付するを要するものにして、内閣に送付するを要するものといたしました。  以上、御報告いたします。  ただいま報告のとおり決定することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  261. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。  なお、報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  262. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  263. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 次に、継続調査要求についておはかりいたします。  産業貿易及び経済計画等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本院規則第五十三条により、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  264. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  265. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午後五時二分散会      —————・—————