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岡沢委員 局長さんはおそらく御自分の御判断、御意思とは違った処置をとっておられると思われますので、これ以上
局長さんを責めても
——おそらく佐藤内閣の姿勢、特に大韓民国との外交上の
問題等を配慮された政治的な御判断からの結果だと思います。しかし、それはやはり間違っておるのであって、一審のみならず、高等
裁判所においてまで重ねて法務
大臣が敗訴されたという事実は、やはり謙虚にいままでの処置の誤りについて再
検討なさるべき時期が来ておるのではないか。私個人の判断では、憲法の精神を持ち出すまでもなしに、これからの
日本の将来を
考えました場合、私も、イデオロギーからいたしますと朝鮮
民主主義人民共和国のイデオロギーとは違いますけれ
ども、そういうイデオロギーの相違を越えて、特に最も近い国の
一つであるだけに、相互理解と申しますか、あるいは公正な信頼
関係というのが、
日本の今後の平和外交の上にもきわめて大切であるというふうに
感じましたので、あやまちを改めるにはばかることなかれで、私は、
局長として、ぜひ
大臣にもあるいは政府に対しましても、かたくなな、あるいは大韓民国に遠慮し過ぎた外交姿勢を改められるほうが賢明ではないかということを
意見を述べまして、
大臣おられませんけれ
ども、
局長からもお伝えいただきたいということで、この問題に対する
質問を終わります。
続きまして白鳥
事件についてお尋ねいたします。
白鳥
事件の村上国治さんのことにつきましては、この
委員会でも
松本委員からたびたび
質問がございました。私は、その事実の問題とか
裁判の適否をここで論ずるつもりはございませんけれ
ども、
局長も御存じのように、村上さんに対する判決がございましたのは
昭和三十八年十一月でございます。その前に十一年間の未決勾留がございます。御
承知のとおり刑は二十年でございますが、本年の五月二十六日をもちまして
刑法二十八条にいうところの刑期の三分の一を経過し、仮釈放の要件ができております。ことに未決期間を含めますとことしの十月で満十六年の拘禁でございました。実質的には刑期の四分の三をすでに経過しておるわけであります。私の聞きます
範囲におきましても、網走の務刑所内における作業
態度は、所長さんはじめ全職員も称賛されるほど模範囚であるということであります。村上さんの仮釈放につきましては、村上国治さんの故郷である北海道上川郡比布町長が身元引き受け人をみずから買って出られ、地元の町議会は満場一致で早期釈放の決議をされて、その要請書を当局にお出しになっておられます。その地元の比布町だけではなしに、上川郡の六カ町村の村長さん、村議会においても同様の決議がなされ、また旭川市長さん、刑務所のある網走市長さん、市会
議長さん、また市
会議員の中では、三十名の議員さんの中の二十六名までが、早期釈放のための署名や要請行動に参加しておられます。また
全国では、この村上さんの早期釈放を願う嘆願署名が六十万も集まっておるというふうに聞いております。村上さんは逮捕以来一度の保釈も許されない。未決十一年に引き続きまして先ほど申しましたように満十六年間、新しい憲法では例を見ないほど長期の勾留に耐えておられるわけであります。
個人的なことを申し上げて恐縮でございますが、村上さんと私とは同じ年齢の四十五歳でございます。私も白髪でありますが、村上さんは非常な白髪になられて、からだも小さくて、一見六十歳くらいのような肉体の現象を示しておられるというふうに聞いております。一刻も早い仮釈放の特別の処置を必要としておられる
状態にあるのではないかというふうに私は感ずるわけであります。村上さんの釈放につきましては、これも私はイデオロギーその他を全く越えまして、人道的な立場からもあるいはまた法律上も、仮釈放の可能な時期に参っております。また行刑成績の上からも
社会復帰に何の支障もないのではないか。これがやはり、地元の比布町長さんはじめ、先ほど申しましたような署名嘆願に形の上であらわれたのではないかというふうに
考えております。また聞くところによりますと、網走の刑務所所長さんも
法務省の
関係の方々も、好意的にその時期を配慮しておるというふうなおことばもいただいておるようではございますが、現実にはまだ仮釈放の決定はないわけであります。もちろんこれは法律的に見ました場合に、所管は地方更生保護
委員会の専属ではございますけれ
ども、やはり
法務省の御姿勢と申しますか、そのお
考え方が、更生保護
委員会のほうにも間接に大きく響くということを
考えることが通常ではないかと思います。私は、ぜひともこの人道的な見地からも、あるいは行政の精神からいいましても、先ほど申しましたような諸般の事情がございますだけに、網走といえば
日本の中でも北海道のさい果てでもあります。酷寒の網走でことしもまたお正月を迎えられるというようなことのないように、格別の配慮をお願いしたいわけであります。先ほど冒頭に事実問題あるいは
裁判問題に触れないということを申し上げましたけれ
ども、公知の事実といたしまして、いま再審を
検討中の札幌高裁におきましても、例のきめ手となりました弾丸鑑定書が偽造であったということも明らかにされておることもぜひ御配慮いただきまして、私がいま申し上げましたような
趣旨での格別の御姿勢を
法務省としてもお示しいただきたい。これについての
局長の御見解を求めます。