運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1968-12-20 第60回国会 衆議院 商工委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年十二月二十日(金曜日)    午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 小峯 柳多君    理事 天野 公義君 理事 宇野 宗佑君    理事 海部 俊樹君 理事 鴨田 宗一君    理事 中村 重光君 理事 堀  昌雄君    理事 玉置 一徳君       内田 常雄君    小笠 公韶君       神田  博君    木野 晴夫君      小宮山重四郎君    始関 伊平君       塩谷 一夫君    島村 一郎君       橋口  隆君    武藤 嘉文君       岡田 利春君    佐野  進君       千葉 佳男君    中谷 鉄也君       塚本 三郎君    吉田 泰造君       岡本 富夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長 菅野和太郎君         官)  出席政府委員         経済企画政務次         官       登坂重四郎君         経済企画庁調整         局長      赤澤 璋一君         経済企画庁国民         生活局長    八塚 陽介君         経済企画庁総合         計画局長    鹿野 義夫君         経済企画庁総合         開発局長    宮崎  仁君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      丸山 英人君         厚生省医務局総         務課長     上村  一君         厚生省薬務局細         菌製剤課長   山中  和君         水産庁次長   森沢 基吉君         農林省農林経済         局企業流通部市         場課長     森実 孝郎君         通商産業省公益         事業局長    本田 早苗君         運輸省航空局飛         行場部計画課長 鮫島 泰佑君         日本電信電話公         社副総裁    秋草 篤二君         日本電信電話公         社計画局長   井上 俊雄君         専  門  員 椎野 幸雄君     ————————————— 十二月十九日  委員中谷鉄也辞任につき、その補欠として岡  田春夫君が議長指名委員に選任された。 同日  委員岡田春夫辞任につき、その補欠として中  谷鉄也君が議長指名委員に選任された。 同月二十日  委員中谷鉄也辞任につき、その補欠として岡  田春夫君が議長指名委員に選任された。 同日  委員岡田春夫辞任につき、その補欠として中  谷鉄也君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  閉会審査に関する件  通商産業基本施策に関する件  経済総合計画に関する件  請 願  一 原子力発電所地帯安全性確保及び整備開   発に関する請願村山喜一紹介)(第三八三   号)  二 同(稻村左近四郎紹介)(第四一九号)  三 同(坂本三十次君紹介)(第八四八号)  四 化粧品再販契約制度に関する請願赤澤   正道君紹介)(第五八五号)  五 同(増田甲子七君紹介)(第五八六号)  六 昭和四十四年度中小企業予算増額に関する   請願天野公義紹介)(第八四九号)  七 東京ガスの布設管老朽による事故防止に関   する請願谷口善太郎紹介)(第八九八号)      ————◇—————
  2. 小峯柳多

    小峯委員長 これより会議を開きます。  まず、請願審査に入ります。  今国会において、本委員会に付託されました請願は七件であります。  請願日程第一より第七までを一括して議題といたします。  まず、審査の方法についておはかりいたします。  各請願内容につきましては、文書表で御承知のことと存じます。また、先ほどの理事会で御検討願ったところでありますので、この際、各請願について紹介議員よりの説明聴取等は省略し、直ちに採決に入りたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小峯柳多

    小峯委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  これより採決いたします。  請願日程中、第六及び第七の両請願は、いずれも採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小峯柳多

    小峯委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、ただいま議決いたしました請願に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 小峯柳多

    小峯委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  6. 小峯柳多

    小峯委員長 なお、本委員会に参考送付されております陳情書は、電気料金引下げに関する陳情書外十七件で、お手元に配付しておりますとおりであります。この際、御報告申し上げます。      ————◇—————
  7. 小峯柳多

    小峯委員長 次に、閉会審査に関する件についておはかりいたします。  すなわち、内閣提出日本合成ゴム株式会社に関する臨時措置に関する法律を廃止する法律案、及び通商産業基本施策に関する件、経済総合計画に関する件、公益事業に関する件、鉱工業に関する件、商業に関する件、通商に関する件、中小企業に関する件、特許に関する件、私的独占禁止及び公正取引に関する件、鉱業と一般公益との調整等に関する件、以上の各案件について、議長に対し閉会審査申し出をいたしたいと存じます。これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 小峯柳多

    小峯委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  9. 小峯柳多

    小峯委員長 これより通商産業基本施策に関する件及び経済総合計画に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
  10. 堀昌雄

    堀委員 本日は、十七日の日に経済企画庁長官からごあいさつのありました各般の問題についてお伺いをいたしたいと思います。  最初に、この御所見の中で、「このような経済推移から見て、本年度わが国経済は、実質一二%程度成長を遂げ、国際収支も、総合収支で十億ドルを上回る黒字が見込まれます。」こういうふうに数字をあげてお話しになっておるわけでございます。私は実は先般の当委員会におきまして、宮澤さんのときに、本年の経済というのは、これは政府も、また一般民間も、まあ私どもを含めて、当初見通しが著しく好転をしました。これほど変化の多い年というのは少ないくらいに変化が多かったわけでありますから、当然私は、十月ないし十一月ごろに見通し改定が行なわれるべきである、こういう判断に立って、宮澤さんにその改定についての御意見を伺いました。それについて宮澤さんは、少し時期はおくれるけれども、年末ころには改定見通し出したい、こういう趣旨の御発言があったわけであります。実はこの年度の途中における改定見通しというのは、藤山さんが企画庁長官をしておられますときに、私やはり問題提起をいたしまして、藤山さんもそのとき、やはりこういう変化のあるときには当然改定見通しを秋に出すことが望ましい、こういうお話改定見通しは出されてきたわけであります。今日すでに実質一二%程度というようなきわめてはっきりした発言長官がされておる以上、経済企画庁はこの実質一二%を裏づける各要素別計数があると私は判断をいたすわけであります。そこで、まず最初実質一二%を裏づけるところの項目別内容をひとつここでお答えをいただきたいと思います。
  11. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 実は四十四年度経済見通しとも関連いたしまして、現在まだ政府部内でも検討中でございますので、確定的なことはちょっとごかんべんを願いたいと思っておりますが、実質一二%余りということは、物価の情勢その他を見てこういうことを申し上げておるのでございますが、名目でございますとやはり一七%をこえる成長になろうかと思います。全体の項目から申しますと、やはり一番大きな伸びを示すと思われますものは民間設備投資でございまして、今週初めの閣議で御了解を得まして、四十二年度の国民総生産の実績発表になっております。これをベースに考えてみますると、四十二年度民間設備投資は総額七兆五千三百二十三億、対前年度三二・九%、約三三%の伸びでございます。その後この実勢は引き続いて根強く上昇を遂げておりますので、おそらく四十三年度におきましても二〇%をこえる設備投資伸びがあるのではないかと考えております。それから、同じく民間資本形成の一部でございます在庫投資につきましては、大体四十三年度、四十二年度の終わりと申したほうがよろしいかと思いますが、四十二年度の終わりが約二兆一千億くらいの高さであります。その後なだらかにこれが下がってきておるのでございますが、こういったような感じからいたしまして、これは相当程度下がってはおりますが、当初見込みの九千億というようなことではなくて、これはやはり一兆五千億以上の感じではないか、かように思っております。従来から引き続き伸びております個人消費でありますが、これも四十三年におきましては引き続き一四%をこえる伸びであろう。こういったことを総合いたしますと、なおその上に海外経常余剰は、いまもお話がありましたように、輸出輸入とも、輸出がよく、輸入が落ちついておるということから、これまた四十三年度当初見通しの二千九百億を相当程度上回る、こういうことであろうと思われますので、全体といたしまして、名目で約一七%台、実質といたしますと一二%程度、こういうことになろうかと思うわけでございます。
  12. 堀昌雄

    堀委員 いま伺いまして、今度の一番違ってまいりました点はどこにあるかと申しますと、当初見積もりで九・七%しか予想していなかった民間設備投資が、いまお話のように二〇%をこえる、これがやはり今度のファクターの中の最も大きく動いておる点ではないか、こういうふうに判断をいたします。そうすると、ことしの経済見通しはおそらくいまお話しのようなことで一二%程度とおっしゃるけれども、一二%台でもやや上のほうにくる可能性のほうが、いまの推移からすると少し多いのではないか。一、二、三月がありますから、これは何とも言えませんけれども、最近の各種指標動向から見ると、程度というのはやや上のほうにくる感触が強いのではないか、こう考えますけれども長官、そこはいかがでしょう。
  13. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 見通しですから、それぞれみな大体の数字によって見通しを立てておるのでありますけれども、いま事務当局のほうの見通しは、大体一二%という見通しをしたのでありますが、まだあと三月までありますが、私はこれから三月までそう格別変化はないと思います。そうすると、一二%でいくのではないか、こう考えております。
  14. 堀昌雄

    堀委員 いまのままで変化がないと申しますことは、いま御承知のように上向きのカーブをとっておるわけですから、変化がないというと、このトレンドは上がるという方向にいきますね。上がるという方向にいきますと、一二%程度という表現は、一二%ですから、十二・九%くらいまでは実は一二%程度の中に入ってくるのではないか、しかしこれは一%違うのは実はたいへん違うわけです。実は昨年宮澤さんといまごろに論議をいたしまして、あるいは新年度に入ってからだったと思いますけれども、四十二年の実績見込みが、当時実質伸び率一一・六%というのが政府発表になっておったわけでありますけれども、私はどうも実績は四十二年度は一三%程度になるんではないか。それは鉱工業生産伸びを試算してみますと、あるいは経企庁がお出しになっておるところのQE方式によるデータ等を勘案してみますと、大体一三%くらいになるだろう、こういう判断をしましたが、宮澤さんは、いやそんなことにはなりませんとおっしゃったわけです。実はここに、非常に私は一つの問題点があると思うのです。来年度経済見通しをするときに、この年度実績見込みが正確に把握されるかされないかで、来年度経済見通しが非常に狂ってくるわけですね。ですから、ここで私がややこまかいことを言っておるようですが、いまの一二%程度という問題は実はなかなか意味があるわけです。これが一二・八%ぐらいにくるということになれば、上積みはさらにその前にいくわけですから、そのトレンドと両方で、やはりこれは非常に高くなる可能性のほうが強いということになるわけですね。四十二年度については、さっきお話のありましたように、実質は一三・三%と発表になっているわけでありますから、そうすると、さっき私が申し上げました一一・六から見ますと約一・七ですか、もうそれだけ実績見通しが狂っておるというところが、非常にことしの経済のところに関係があるだろう、私はこう思うわけであります。  そこで、来年度経済見通しを立てる場合に、まず第一点としては、やはり改定見通しを一回出して、そしてそれに基づいてもう一ぺん作業するということが——それをやってなおかつ実はこのくらい誤差があるわけですから、これを一ぺんだけやったら、私はさらに誤差がふえる可能性が多いんじゃないか、こういう感じがいたしますので、本年は、いまから改定見通しといったところで、もう実績見込みを皆さん出さなければいかぬわけですから、出しようがないと思うのですが、菅野さん、あなたは経済学の学者でもあるから、そういう立場からしても、私は、当初の見通しが七・六%であったものが一二%台などという、五%も動こうかというときに改定見通しを出さないなどということは、経済企画庁は一体何をしておるのかという感じを持たざるを得ないような気がいたしますので、ことしはしかたがありませんが、来年についてはひとつ、改定見通しはルールとして出すことにしてもらいたいと思うのですが、どうでしょうか。
  15. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 宮澤長官がどのように返事したか知りませんが、私のときには途中で改定見通しをつくった。昭和三十四年も非常に変わったときです。したがいまして、私のときには、私が大臣に就任したときにも、見通しを九月にも出して、また十二月にも出したか、こう思っておるのです。非常に変化するときには、やはり途中で改定すべきだ、こういう考えを持っております。
  16. 堀昌雄

    堀委員 それではひとつ来年度は、動きがどうあるかは別として、少なくともやはり一ぺん改定見通しを検討するということに御了解をいただきたいと思います。  ちょっと長官が参議院に行っておられますので、その間に、先回も取り上げました電電公社の問題を処置しておきたいと思います。  実は先般当委員会で、電電公社の四十四年度概算要求の場合における収入見積もりについて、データをあげて私は論議をいたしましたが、本日は、第四次計画というのが出されておるわけであります。この第四次計画というのは、昨年出されておりまして、また同じようにことし、これの改定が出されておるわけであります。私は、政府の機関である電電公社が第四次の計画最初に一回お出しになって、それを改定されることはたいへんけっこうだとは思うのであります。     〔委員長退席鴨田委員長代理着席〕 一年の間にいろいろ客観的な情勢変化、これが織り込まれた結果として変更がされる分については、私は当然一年間における変化だと了解をするのでありますが、出された計画実施のあり方が、去年出したのとことし出したのとちょっと違う部分があるということになりますと、電電公社というところはそのつどそのつど考えを変えて長期計画をつくられるのか、これは私は非常に問題がある点ではないのかと思います。あとで私、経済社会発展計画の問題にも触れて論議をいたしたいわけでありますけれども経済社会発展計画での問題というのは、大体の見通しを立てたわけでありますから、見通しと現実の乖離、これはある程度やむを得ません。しかし、計画案がまだあまり実施をされないうちにまた計画案がそのまま入れかわるというのは、私はどうも何だか電電公社長期計画なるものに対する信頼性の問題から問題が生ずるおそれがあるのではないのかという感じがいたすのでありますが、この点については、公社側は大体どういうふうに考えてこの中身変更をされたのかをお伺いしたいと思います。
  17. 秋草篤二

    秋草説明員 お答えします。そういうことはございません。堀先生のおっしゃるようなことを心配いたしましたがゆえに、昨年度、八月ごろつくりましたものは、第四次五カ年計画とうたうのはちょっと無理ではないかということで、第四次計画構想ということで私どもは準備をしてまいりました。その必要性は、やはり料金の問題ももやもやしておりましたし、設備料の問題もいまごろ審議することが確定しておった関係から、まだ具体的な内容について、資金上の問題等につきましてはかなり不確定なものもあるし、形式的にもこれを第四次五カ年計画とうたうのは少し時期尚早であろうという、ちょうど堀先生のおっしゃるように、いやしくも長期計画を打ち出す以上は、それが年度年度——実績において変更することは、これはやむを得ないけれども計画面においてぐるぐる変わるということはよろしくないという構想のもとに、ことしの八月の末に第四次五カ年計画というものは経営委員会を通して正式に決定いたした次第であります。
  18. 堀昌雄

    堀委員 四十二年十月の第四次五カ年計画大綱、こうなっていまして、次は第四次五カ年計画となっていますから、中身形態は実は全く同様なんですね。計数も全部入っておりまして、中身形態は、これは公社が公式に御発表になったものだから間違いないと思いますが、中身が実は非常に具体的になっているわけです。  そこで、時間もあまりありませんから、私は少しはしょって申し上げたいと思うのですけれども、実はこの前収入の問題に触れておきましたから、ちょっと収入の点について伺っておきたいと思うのであります。  私は、過去の電電公社収入状態は、三十三年から四十二年までをとると、リセッションの年を除けば、全部一五%以上の収入伸びがあった、こういうふうに実は申し上げたわけであります。それから推計すると、四十四年度収入も一五%程度はあるだろう、こういうような話をしたのでありますが、これを少し具体的に計算をいたしますと、昭和三十八年から四十二年までというのは、これはおそらく第三次五カ年計画期間に該当する分でございますが、この間における収入伸び率は一八九・五%になるわけでございまして、これを年率換算平均年率に割り戻してみますと、年率一七・三%というたいへん高い収入増加率を実は示しておる、こういうふうになっておるわけであります。私はこの問題に触れて申し上げましたが、総裁は、今後は住宅用が非常にふえる、これは大体四対一ぐらいの比率だ、正確には三・九幾らになるわけですが、四対一ぐらいの比率だから、今後はそう収入はふえる見通しがない、こういう御答弁があったわけであります。  そこで私は、それでは一体これまでと今後はどういうことになるのかということを少しこまかく調べてみたわけであります。と申しますのは、まず住宅用の問題について、大綱のほうではこの期間中に事務用を三百八十万、住宅用を五百五十万つける、こういう御計画出していらしたと思うのです。ところがこれが計画になりましたら、事務用のほうを二十万減らして住宅用のほうを二十万ふやして計画は出てまいったわけであります。これを住宅用比率で見ますと、実は大綱のほうでは四五・五%であったものが計画では四六・六%に、住宅用比率が実は一%上がってくることになっているわけであります。これが第一点です。  それから第二点は、加入数増加状態大綱計画で比べてみますと、大綱は四十三年百六十万、四十四年百七十万、四十五年百八十万、四十六年二百万、四十七年二百十五万、こういうペースです。今度の計画は、四十三年百四十七万、四十四年百六十五万、四十五年百八十五万、四十六年二百五万、四十七年二百二十八万、こういうことになります。これを累積で比較をいたしてみますと、四十四年のところで見ると、四十三年から三年間につけましたものが、大綱では五百十五万このときにつくのですけれども計画では四百九十七万しかつかない。要するにここでは十八万だけ新しい計画のほうは着工率うしろのほうに寄っておるわけです。だから大綱のほうが前にたくさんつける、こうなっておるわけです。実はこういうような状態がある。にもかかわらず、収入状態は二千三百十億円ふえることになったわけですね。住宅用比率がふえて、そうして加入が実はうしろのほうへずれてなおかつ収入はこの五年間で二千三百十億円、四・八八%ふえる、こういうことになっているわけです。  この間公社総裁は、住宅用比率がふえれば収入は減る方向に働くはずであるし、着工関係がございますとおっしゃったが、着工も前のほうへずれたら収入がふえると私は思うのですけれどもうしろにずれるということは収入が減る、二つとも減る方向に作用する要素がここに明らかになっておるにもかかわらず、四・八八%五年間に収入増加する、こうなっておるわけですね。それで同じように九百三十万個の電話がつくということになりますと、どうもここらに私は何か割り切れないものを感じるのですが、公社はこれをどういうふうにお考えになっているかをお伺いいたしたいと思います。
  19. 井上俊雄

    井上説明員 お答えいたします。去年の時点で四十三年度以降五カ年間のマクロ予測を立てました。それに対しまして、ことし新たに見直したら約二千三百十億の収入増、その原因は何かというお尋ねでありますけれども、まず基本的には、去年の予測時点と申しますのは、四十一年度までの過去の決算、総収入と、それから事務用住宅用電話稼働加入数あるいは即時化率、そういうものの決算、それから四十二年度予算を提出しておりまして、それまでのデータ予測したわけであります。実際問題といたしまして、過去電電公社予定収入実績収入の差は大体プラスマイナス四%程度の増減があるわけであります。単年度一年間でも大体そういうもの、があるわけであります。特に去年予測した時点と申しますのは四十年度公社収入予測に対しましてほぼ横ばいであった。四十一年度は約四・二%増収になりましたが、その前年あるいは前々年度といったような最近数年間の状況というものは、予定収入に対する実績というものから見ますと、とてもそこまで見込めなかった。ところが四十二年度決算を見てまいりますと、これが予定収入に対しまして同じく四・二%の増収になりました。そこで三十二年度から四十二年度までの過去の収入の額というものと、それから事務用住宅用——それ自身が実際問題といたしまして利用の実態が大幅に違いますが、それを即時化率、そういうものからマクロ予測いたしますと、その結果として約二千百億ばかり出てまいります。さらに従来公社電話架設というものは、工事の都合もございまして一年間の新規の架設平均稼働月数というものが大体五・六五カ月となっております。これをこの際さらに六カ月に高めていくということにいたしまして約二百億程度増収努力をするということで、トータルとして二千三百十億の増収を計上できた、こういうことでございます。
  20. 堀昌雄

    堀委員 企画庁長官、私いま電電公社料金問題の長期計画部分をやっていますから、ちょっとお聞きください。  そこで、おっしゃるとおりに新たな各観点から計算をなすったのでしょうから、それだけ増収を見込まれたことは私はたいへんけっこうだと思うのです。より科学的に正確な方向に近づかれたと思うのですが、実は私は、それじゃこれまでの過去の五年間と今度の五年間で非常に違う要素があるかどうかという点について、住宅用比率というものを少しこまかく点検をしてみたわけであります。そうしますと、三十八年末の住宅用比率というのは一八・七%でございましたが、四十二年末の住宅用比率は三二・八%で、この四年間に住宅用比率は一四・一%ふえている。それから今度は、四十二年末の住宅用比率はいま申し上げた三二・八、四十七年末に四六・六%ということに現在の資料から拝見をするとなるわけであります。この間の伸びが一三・八%。要するに、第三次五カ年計画における住宅用比率増加割合と第四次計画における増加割合はいずれも大体一四%、同じように住宅用比率は上がっていくわけです。もちろん三二が四六になるのと一八が三二になるのとは内容においては差はありますけれども、その伸び方というのは大体こういうふうな形になっておる。     〔鴨田委員長代理退席、委員長着席〕 そうしますと、今後の成長の問題——ここから経済社会発展計画に関連が出てくるわけでありますが、過去における経済成長状態というのは、四十二年度が一三・三、それから四十一年度が一二・四、こういうことでありますから一二・四それから一三・三、それから四十三年がいま議論になるように一二・幾らということになりますと、大体過去三年続きで一二%台の実質成長というのがいま起きておるわけでありますね。そうすると、この経済社会発展計画の八・二%の想定が低過ぎたことはいいのですが、今後の四、五、六というこの三年間における成長の姿は一体どうなるだろうかということを考えてみますと、私は適切な経済運営がなされるならば、大体一〇%から一一%ぐらいの成長はまず間違いがないと思う。非常にミステークがあればしかたがありませんが、どっちかというと一一%程度成長あと三年続く可能性のほうが多いのじゃないか、うまくやればですよ。そういう感触を実は持っておるわけであります。そういうことになると、私が前回この委員会で指摘をしたように、大体電電公社の過去における状態というのが、実質成長率が一〇%以上であるような状態が続くならば、過去において、さっき申し上げたように第三次五カ年計画収入増加率一七・三%もあったわけですから、そうして住宅用比率がうんと違ってくるというのならともかく、これも大体一四%、一四%という住宅用比率変化だ。こういう条件から見ると、一体これが一ぺんに小さくなってしまうというようなことになるのだろうかどうだろうかという点は、私は実は非常な疑問があるわけです。そこでちょっと伺いますが、第四次計画のほうの最終年度四十七年度収入見込みというのは幾らとして見ておられますか。
  21. 井上俊雄

    井上説明員 総事業収入で一兆二千二百八十億円見込んでおります。
  22. 堀昌雄

    堀委員 四十七年度の事業収入一兆二千二百八十億円、四十三年度は七千七百二十億円というのが予算できまっておりますから、これは事業収入伸び率とすると、計算すると大体一五九%ということになります。そうするとこれを平均年率で割り戻してみますと、一二・三%というのがいまの電電公社の第四次計画の事業収入平均年率です。第三次計画で一七・三%ずつ年率でふえてきたものが、第四次計画に入ったら突如として五%ダウンをして一二・三%にずっとなっていくというこの計画の絵姿というものは、経済成長はどちらかというと第三次計画のときよりも安定的に実は高度成長をする客観情勢がある。そういう時期に、いまのような住宅用比率を含め、経済成長という客観的な情勢を踏まえて、五%も事業収入が一挙に下がるような年率になるかどうかということについては、経済の側面から判断をして非常に奇異な感じがしてなりません。ひとつ企画庁はいまの私の問題提起を、長期計画的観点に立ってどう判断されるかをちょっと伺いたいと思います。事務当局でけっこうです。
  23. 鹿野義夫

    ○鹿野政府委員 先生のおっしゃるとおり、経済社会発展計画では、実質成長率八・二ということで計画を立てました。その後かなり大きな食い違いが出ておることは事実でございますが、現在のこの二、三年来の高成長というものは、一つは四十年の非常に不況からの回復期に当たっているという点がございます。それともう一つは、三十五、六年以降の例の岩戸景気以降の大きな一つの景気循環的な山がきているのかもしれぬということをいわれる方々もおられる。ですから先ほど先生のおっしゃられるように、これからの四十四、五、六の動きをどう見るかということは、長期的に見た場合にはたいへんむずかしい問題だというふうに思います。経済社会発展計画のときはいろいろな条件を考えまして、つまり労働力も増加率がだんだん下回ってくるとか、技術的な開発力も外国からの導入が困難になってくるというような条件から、やはり全体の成長率としては、過去十年間約一〇%でごさいましたが、それが幾らかダウンするという観念を持っておりまして、これからも、長期的に見た場合にはやはりそういう傾向にはあるだろう。いまおっしゃられた電電の数字とそれ自体が直にどういうふうに結びつくかは私簡単に申し上げられない。ただ先ほど来おっしゃられたように、住宅用電話、つまり一月が二つ備えるとかなんとかいう形でふえる電話機の収入はかなりダウンするというようなことを聞いておりますので、そういう面をこれからどう織り込んでいくかによって、成長率の見通し電話収入の食い違いというものが出てくるであろう。ただこれからの五年間ぐらいで年率で五%ぐらいのダウンがあるかどうかについては、はっきりここでどうということは申し上げられませんけれども、いまの経済成長率の面から見れば、それほど大きなダウンはないだろうとは思います。しかし内容的な問題はたくさんあると私は思います。
  24. 堀昌雄

    堀委員 いま社会発展計画のほうをちょっと先に触れておいて、あとで電電のほうに入りたいと思うのですが、あとの三年ですからね。もう二年済んでしまったわけですから、要するに四、五、六のあと三年ですね。実は私も経済のこれまでの見通しとしては、四十年代の後半は成長がかなり鈍るだろうという判断をしておったわけです。ところが今度欧州を少し回って調べてみて感じを持ちましたのは、やはり労働力がタイトになったという問題はやや誇張があるという感じを非常にしてきました。見てきた感じでは、なるほど就業者はタイトになっていますが、就業の中身では全然格差がありまして、就業の内部におけるシフトを考えるならば、まだ日本では向こう三年、五年間は、西欧並みの労働力がタイトになるような状態はないというのを、私は今度の調査の結果実は確信を持って帰ったわけであります。これは私もダウンをするというトレンドをやや考え直した。まだ向こう五年間ぐらいは間違いなく労働力が支障になるようなことはないだろうという判断を一ついたしました。  それからやはり欧州は、アメリカは今度参りませんでしたからあれですが、ずっと欧州を見ておりますと、成長に対する社会的な構成は日本は非常に恵まれておる。これはすでに社会構造なんですから、ある意味での社会構造の差がある。日本とアメリカは非常に似た社会構造がありますけれども、西欧は日本やアメリカとは著しく違う横断的社会構造の積み重ねということに実はなっていて、必ずしもこういうふうに下から盛り上がっていくことに対しては、この横断的な社会構造なり組織というものが実はかなり影響を与えておるし、それからストックが十分にあるために、そうフローが大きくなくても、生活感覚としてそんなに働かなくてもいいという自己満足が西欧にはかなりびまんをしておりますが、日本の場合は残念ながらストックがありませんから、どうしてもフローを大きくすることによってストックをふやしたいという問題があると思うので、たいへん抽象的ではありますが、そういうような感覚的な判断から私はちょっと考え方が変わったというのがいまの私の立場であります。ですからその限りでは、私は社会発展計画は、今度は逆に、あまり先へ行って、また三年先にあのときに私がああ言っておいたにもかかわらずまた違ったではないかなどということにはならないように、実はしてもらいたいと思うのですよ。大体情勢は非常にはっきりしている面もありますから、はっきりしない面ももちろんありますけれども、今度はやや近いことにしてもらいたい。ですからその点で経済社会発展計画のベースというのはおそらく皆さんのお考え方は一〇%台だろうと思いますが、さっきのお話ではないが、一〇%もやや上のほうに——一番上という意味ではなくて、やや上のほうに置かないとまた逆の結果が出てくるのじゃないだろうかという感じがいたします。  後半の問題ですが、そのために必要な問題が私はあると思うのです。そのために必要な問題は、実は計量モデルの委員会の皆さんがいみじくも指摘をしておられる問題を、菅野さんやはり考えてもらわなければいかぬと私は思いますね。いま民間設備投資がことしの場合当初九・七しか予想しなかったものが二〇%、倍ですね。四十二年も実は倍以上いっちゃっているわけですね。毎年毎年民間設備投資見通しの倍以上になる。しかしそれではその民間設備投資を何か恣意的に権力をもって押え得るかというと、そういうことにはいまのところなりませんね。じゃこれを合理的にもう少し計画の線に近づけるためには菅野さんどうしたらいいのでしょう。
  25. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 前半の、経済のヨーロッパの御感想、私も同じ感じをしております。それはほかの一例を申し上げますと、たとえば国民総生産が西独と日本とほとんど同じことになった。ところが人口数は向こうは約半分です。ですから一つの品物をつくるのに向こうは一人でできるのが日本は二人かかっておる。それだけ労働力の運営というか活用が劣っておる。ことばをかえていえば、生産性がまだ低いということです。その点を考えると、今後労働力の活用ということを考えれば、まだまだ日本の国民生産は増加するという見通しを私もいたしておるのであって、その点は堀委員と同じ感じを持っております。  それからいまのお話のとおり、外国ではもう個人の富が日本人に比べて多いですから、したがって、日本人はまだ貧乏な人もたくさんおるし、働けば上へ伸びるという見通しもありますから、それだけ活動力があるということ。向こうの人はのんびり暮らしてもいいという点が、ヨーロッパと日本と違うということも同じ考えを私は持っておるわけであります。  そこで、来年度見通しについて、これからやはり国際貿易というものが今後の日本の経済の発展に非常に重要な役割りを演ずると思うのです。いままでは日本は極東の一島国であったのでありますが、しかしだんだんこれから国際的な関係が深くなってくる。したがって、国際的な関係によって日本の経済が動いてくるということ。その点においては日本が極東におるという関係で国民一般がまだ国際的な知識を持っていないということ。それがまたよしあしではありますが、しかし今後の日本の経済を動かす上においては、日本人はもう少し国際的な知識を持つこと、その持つことによって日本の経済がまた発展するということも考えられる、そういう考えをしております。  そこで、最後のお尋ねは、民間設備投資をどうして押えるかという問題。いままでいつでも景気のいいときには民間設備投資が盛んであって、その反動がきて不景気になっておる。たとえば三十七年、池田内閣の高度成長のときに反動がきた。それがやはり設備過剰の問題で反動がきておるということですが、そこでその点になると、私は日本人の国民性ということを理由の一つにあげておる。日本人は調子がいいと調子に乗り過ぎる国民です。調子が悪いとどん底まで落ちやせぬかと考える。ですから調子がいいときには政府は国民が調子に乗らぬような指導をすることが必要だし、調子の悪いときには国民を刺激するということ。たとえば公債募集をして、需要を増さすというのも一つの方法です。そういうことで、私は日本人がそれだけ競争心が盛んだということが日本の経済を発展せしめておる原因であるが、同時にまた、それが過当競争になるために日本の経済をまたストップさせておるというのが、日本の経済の今日までの発展の経過だ、こう思うのです。  そこで、民間設備投資の問題もどの程度がいいか、どの程度民間設備投資をすべきかということを判定するについては、これはまた経済企画庁でも材料を集めてやっておるわけですし、また民間の意見も徴していろいろやっておるわけでありますが、たとえ政府のほうでこれくらいでいいじゃないかと考えても、実際はそれ以上になる危険が多いのです。その危険が多いというところに、一つは日本の金融制度が基因しておると思うのです。銀行は得意の業者を育てることばかりを考えて、他の同種の業者のことは考えないということ。であるからして、お互いに知らず知らずの間に設備が超過してくる、過剰になるという危険があると思うのです。そういう点において金融制度についてももう少し再検討する必要がありはせぬかということを考えておるのですが、結局は民間設備投資が少しふえ過ぎるのを押えるということは財政金融——利子を上げるとかあるいは政府支出を減らすとかいうようなことで民間設備投資を押えることが政府としてはとられる措置じゃないか、こう考えております。
  26. 堀昌雄

    堀委員 実はいまおっしゃった中に菅野さんにしてはちょっと私了解できないところが少しあるのです。というのは、民間の設備が行き過ぎる、財政金融で需要を減らして押えよう、これは一つの方法でしょうね。しかし需要を減らすということは、せっかくバイタリティーがあるのにかかわらず押えるわけでしょう。なぜわれわれが民間設備を押えなければならぬかというと、いま国際収支も悪くないし、ギャップがあるわけでもない、ただギャップがくるから少し押えないとせっかくの成長が下がるということになるから押えたい。それをもっと効率よく押えるのにはどうすべきかについては、これはたとえば租税特別措置の中の法人部分を上げる、自民党の立場だから全部長くはずすというのじゃないにしても、かりに急激に上がるところだけちょっとはずす、法人税もここでずっと上げるということができれば、これは非常にオーソドックスで、法人留保は減るわけだから、法人留保が減ってまでどんどんやるということにはならぬから、ちょっと考えようということになると思うのです。しかし、自民党政府は財界から金をもらっているから、なかなかできないでしょうね。だからそこのところは、できないことをやれといってもだめだから、できるほうへいけということになると、国債は減額減額なんて言わないで、これはもちろん財政の長期的な問題でありますけれども、何もそれは毎年毎年機械的に減らすだけが私は国債問題じゃないと思っているのですよ。国債の発行ということは、経済運営に役に立つように国債を使わなければ、一体何のために公債政策を導入したのですか。ただともかく赤字があって、その財源をふくらますためにだけ公債政策を導入したのだったら、経済政策としてはゼロですよ。だから私は、こういうときにこそともかく国債をどかっと出して市中の金を吸い上げればいいと思うのです。市中の金を吸い上げて、それを公共投資へ持っていく。経済社会発展計画の中の一番大きな問題は、公共投資部分が非常に低くて、予定されたものに対して民間部分が非常に高過ぎたということが一番狂いを生じたもとじゃないですか。どうですか、そこは。
  27. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 いまの経済のひずみは、民間設備投資に比べて公共投資が少なかったというところがその原因だということはお説のとおりです。そこで、公債発行は、お説のとおり赤字のための公債発行は極力避けなければならぬ。しかし、公益事業、ことに経済性のある公益事業について公債政策をとることは私はそれはいいと思うのです。たとえば道路をつくる、その場合には現在の人が重税をとられて道路をつくらぬでも、道路は五十年、六十年と寿命がある。後代の人にもそれを負担さすというような意味の公債政策はこれはとっていいと思うのです。赤字のための公債政策というものは極力避けなければならぬと私は考えております。
  28. 堀昌雄

    堀委員 私が言うのは、いまの国債政策というのはそういうものですけれども、それの機動的な運用態度といいますか、要するに、ことしはどうしても民間設備投資を減らしたいというときに国債をどかっと出すわけですよ。そして民間資金を吸い上げればこれはタイトになりますよ。それでこそコントロールできると思うのですね。それでコントロールができたら今度はまた減らせばいいのですよ。だからそこのところを大蔵省が年次計画のようにして、ただ機械的に減らせばいいのだということではあまり能がなき過ぎるのじゃないかということをちょっと私は申し上げたのです。それはいいです。そこで、適切な運営をしたらどうでしょうか。  ちょっとここで、あなたのほうでは部分改定というのだけれども、いまの段階では大体どのくらいと思いますか。あとの三カ年の成長平均年率実質どのくらいですか。まあ大臣では無理だろうから、事務当局答えてください。
  29. 鹿野義夫

    ○鹿野政府委員 その問題につきましては先ほど来申し上げたように、それから御議論がありましたように、日本経済成長のポテンシャルといいますかバイタリティーをどう見るかということにつきまして、確かに四十年度の不況のときにつくった計画では少し控え目に見ておったという反省が一つあります。もう一つ先ほど来申し上げましたように、ここ数年の動きの中には、経済の回復という一つの傾向がある。その上にさらに中期的な循環が乗っているかもしれぬという傾向があるということを考えますと、これからの数年をどういうふうに見るかということはたいへんむずかしくて、そういう意味で、大臣も、むずかしい基本的な問題をじっくり勉強してかかるべきだということを言っておられますので、いま事務当局としても、ここいらじゃなかろうかということを申し上げると、必ずそれは失言になるだろうという気がいたしますので、もう少し慎重にかまえさしていただきたいと思います。
  30. 堀昌雄

    堀委員 それでも改定するといっても、これだけ実績があがっていて、白紙でございますなんというのなら経済企画庁は要らないですよ、私に言わしたら。だから私は私なりに——だけれども幅がありますよね。だから私は一〇%程度長官方式で一〇%程度、こう見るのですね。それをもう少し幅を広げて、一〇%内外でもいいですが、大体そこらじゃないですか長官、どうですか。感触でいいですよ。
  31. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 来年度は一〇%内外と、こう考えておりますが、その先までは見通す能力を私は持っておりません。
  32. 堀昌雄

    堀委員 たいへん正直な御答弁ですから、それ以上聞きませんけれども、しかし、その来年度経済運営が適切でなくて、また民間設備投資が二〇%をこえていけばだめでしょうね。これはどうしても国際収支問題よりも、やはり内部のギャップが逆転してきて、私はこれはうまくないと思いますよ。そこらが実はあとの発展計画のきめ手なんでしょう。あと三カ年をどうするかはまさに来年度経済にかかっておるといっていいと思うのですよ。そうなると、私がさっき言ったように、ここで確実に民間設備投資をコントロールできる方法を、経済企画庁は勇気をもって、法人税を上げなさい、租税特別措置をやめましょう、国債をたくさん発行しましょう、そのくらいひとつ言わなければ、ステートマンとしての菅野さん、あまりもたぬと思うのですけれども、どうですか。一つくらいやりますか。
  33. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 それはやはり大蔵大臣とも相談して発言しなければならぬと思いますが、私自身まだそこまで勉強しておりませんから、もう少し勉面して、そうしていろいろ数字を集めて、その上でどれが最善であるかということの見通しができたら、最善の道を講じたいと考えております。
  34. 堀昌雄

    堀委員 時間がありませんから、そこでまたちょっと電電へ返ります。  いま企画庁の計画局長はそういうことであと見通しははっきり立たないということでありますけれども、そういうことではありますけれども、私はまた非常な不況が来るというようなことになる前提でものを考えるのは適切でないだろう。やはり政策を適切に運営することによって、できるだけ高い成長を続けるということが政策の基本だと考えれば、まあ確かに一〇%か、多少高くても九%から一〇%の間ぐらいの成長になるであろうことは間違いない。八・二%なんということに残りがなろうとは実は思っていないわけであります。これは一般的な経済の常識だろうと思うのですね。ですから、そうなりますと、私はさっき申し上げたように五%の年率収入ダウンというのがどうにも理解ができないのですが、電電公社のほうではどうなんでしょうか。
  35. 井上俊雄

    井上説明員 お答え申し上げます。ただいまの御質問でございますが、昭和三十八年度から四十二年度までの各年度の平均収入増年率に対しまして、これからの五カ年間の平均収入増年率は下がる。これはどういうことかと申しますと、大体公社収入は、まず、いわゆる収益源としての加入数が多ければそれだけ収入は上がるわけでございます。それからサービスの改善の度合いが伸びれば、その度合いにある一定な関係で対応いたしまして、収入もふえるわけでございます。この四十二年度までの五カ年間の建設投資に対しまして、これからの五カ年間の建設投資の伸び率はだいぶ小さいのでございまして、たとえば第三次五カ年計画の平均投資の増加率は一七・六%でございますが、これから公社の意図しておりまする四次計画は一一・四%程度に、年率といたしまして六%あまり建設投資としては減らしておるわけでございます。それから新規の架設数につきましても、第三次五カ年計画は普通の一般加入電話は五百十万架設をしております。第二次五カ年計画の新規開通数に比べまして、倍以上の開通をしておるわけでございます。しかしながら、第四次五カ年計画におきましては、それに対しまして九百三十万ということでございますので、伸び率といたしましては、過去五カ年間に比べましてこれからの五カ年間というものはずっと小さくなるわけでございます。したがいまして、先生のおっしゃいますこのあと四、五カ年間の中期といいますかの予測という面から見ると、収入年率が平均的に落ちるのはおかしいという御指摘でございますけれども、これは前と全く同じ事務用住宅用の開通比率が維持され、あるいは開通の加入数増加率も大体同じだ、サービス改善の度合いも大体同じだということになりますと、これからの新しい加入者は、比較的電話の利用度が少ないということもございましょうけれども、それを無視して、経済がそんなにむちゃくちゃに変動するわけでもないということであれば、そういうことは言えると思うのでございますけれども、その計画内容がやはりそういうことになっておりますので、過去のモデル式から将来を予測しているわけでございます。一方、しからば経済成長の影響を受けるだろう、そういうようなお考えでございますけれども、これは確かに収入の中には経済成長の影響というものも組み合わさって実績としてあがってまいります。それで公社の将来予測に対するマクロモデルは、過去のあらゆる要素のからみ合った収入の全体というものを、事務用並びに住宅用稼働加入数と、あるいはサービス改善の度合いとしての即時化率増加率というものと相関させておりますけれども収入実績を全部そこに取り入れている関係上、過去の、平均一一%近い経済成長というものも込みにして、しかも最近の相当急な経済成長といいますか、立ち上がりといいますか、そういうトレンドも包含してモデル式ができておるということから見まして、今後の五カ年間の収入予測というものは決して過小ではない。むしろ大き過ぎるんではないかとさえ思っている次第でございます。
  36. 堀昌雄

    堀委員 まあ長期計画のことですから、いまおっしゃるように建設投資の比率等の関係はおっしゃるとおりだと私も認めます。ただ、もちろんそのもとになるものはそうでありますけれども、実際はふえた分と同時に、根っこの部分が実はあるわけですね。だから、根っこの部分関係から見ると、私はどうも五%も下がるかどうかについて疑問があるのと、皆さんのほうではデータ通信について二万四千端末を考えて、約千七百億ですか投資をされるわけですが、これなんかの収入というのは、いまの中に入っているんでしょうか。長期計画ではどのくらい予測しておられるでしょうか。
  37. 井上俊雄

    井上説明員 約四百億円と見込んでおります。
  38. 堀昌雄

    堀委員 一応その次へ参りまして、建設投資額の問題があるんですが、これも実は計画とそれから大綱で千四百四十億円圧縮をされておるわけですね。さっき申し上げたように、工事が前のほうにあったほうが建設投資は安くなるわけです、これは名目の価格ですから。ですから、後へずれれば、物価はいまのように当然上がるわけですから、成長一〇%というのは大体五%くらい物価が上がると見ていいわけですから、相当に上がる。それともう一つは、いまのサービスの中身が非常に変わったというなら別ですが、ちょっとずらっとみたところでは、まあまあ同じようなサービスをなさろうということじゃないかと思うのですが、千四百四十億円少なくなったのはどういうところですか。
  39. 井上俊雄

    井上説明員 ただいまの千四百四十億円というのは、去年三兆五千二百十億円第四次五カ年計画の投資規模を見積もったわけですが、それに比較して千四百四十億円今度のあれは減っているわけでございます。これはまあ非常に料金の修正問題がきびしいということもございますし、さらにそういう関係もございまして、去年いわゆる一加入当たりの増加建設費というものを五%節約をはかろうということで、この五%に対応するものが千七百六十億円でございます。それに対しましてさらに東京、大阪、名古屋の巨大都市防衛通信網を整備するという特別措置を三百二十億加えまして、差し引き千四百四十億円の投資額、こういうことに相なっております。
  40. 堀昌雄

    堀委員 丸山主計官、ちょっと時間がないようでありますから先に伺っておきますが、実は私この前当委員会で四十四年度収入見込み論議をいたしました。ずっとこの資料を見ておりますと、大綱でも計画でもそうですが、概算要求を大体もとにして初年度が組まれておって、あと計画と、こうなっておるわけですね。初年度いつも狂うわけですね。相当大幅な伸びが予想してあるものだから、ここで狂うので、これが狂うと実は計画が狂っちゃうわけなんですね。これはしようがないですね。どうせおそらく向こうでこうしておられる。だから私はそういう意味で実はこの間少し議論をしたのですが、四十四年度収入について、現在概算要求を出されておるものよりもおそらく四十四年度収入というのは、経済成長もいまいろいろ議論がありましたように、長官も来年度は一〇%くらいは大体だいじょうぶだというお話もあるような経緯等から見まして、またいまの住宅用比率伸び率もお聞きになったと思いますけれども、急激に増加するということでもないようだし、まあ建設投資の伸びも少しは下がってくるのだと思いますけれども、まあ大体私はそういう意味では、この間当委員会で四十四年度の事業収入は九千十億円、まあまるめてもいいのですが、九千億円くらいはあるんじゃないか。概算要求は八千七百六十八億円ということになっていたのですけれども、そういう議論をいたしたわけです。私は何もここだけにこだわるのではありませんが、どうも私の感触では、要するに予算ベースの議論としては、大体まあ投資も、実は来年度の投資計画の初年度になって、概算要求との関係もあるのでしょうが、少し大きくやはりこれは出ているというようないろいろなところから勘案をすると、大体赤字が出なくていけそうなのではないかというのが私の見解なんですが、大蔵省の現在の判断ですね、これからまだお詰めになるわけですが、現在の判断はどうでしょう。
  41. 丸山英人

    ○丸山説明員 電電公社予算につきましては、ただいま検討中でございまして、まだ結論が出ておりません。そういうわけでございまして、確定的なことは申し上げかねますが、先生御承知のとおり、先ほど来また御論議がございましたように、いろいろの比率から見まして、確かに電電公社の収支が徐々に悪化いたしてまいっていることは、これは否定できないと思います。おそらく住宅用電話増加等に伴いまして今後も徐々にそういうような傾向をたどっていくのではなかろうかというふうに考えられます。しかしながら、では来年度の問題でございますが、この点は先ほど申し上げましたように、まだ検討中でございまして、結論が出ておりませんけれども、いまの状況で見ますと、絶対赤字になるのだというふうにはちょっと考えられないのではなかろうか、まだあるいは若干のゆとりがあるのじゃなかろうか、こんな感じでございます。
  42. 堀昌雄

    堀委員 まあこれは今後のことでございますからあれですが、長官いまお聞きのように、大蔵省当局としても絶対赤字になるということではないようだ、まだゆとりがありそうだという御答弁があるのですが、経済企画庁長官、ここではっきりと、そういう情勢ならば——これは前提がありますね。だからこれはもうちょっと皆さんも数をお詰めにならなければならぬということがあるでしょうね。そういうような前提に立つならば、私は電話料金の値上げはすべきではないと思う。あなたもいま物価問題についてずいぶん頭を悩ましておられるのでしょうね。来年度何とか消費者物価の上昇を五%程度にしたいということでしょう。だから、程度にも、さっきのようにいろいろあると思う。まあ下のほうにするのがこの場合は程度がいいのですよね。そのためには、赤字にはならない国の関係する企業、公共料金の問題については、経済企画庁長官としては、これは値上げは認められないということは、ここでひとつはっきりお答えをいただく必要があると思うのですが、重要な問題ですからお聞きをいたします。
  43. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 来年度の消費者物価をできれば五%以内に押えたいという私の希望です。そこで五%以上にしてはいかぬという考え方で、したがいまして、その意味において公共料金をいま検討中なんであります。五%以内でおさまるようであれば少々の公共料金を上げても差しつかえないのではないか。しかし五%以上になるようであれば、これは公共料金は上げてはいかぬという考えを持っております。
  44. 堀昌雄

    堀委員 いまのあなたの議論ちょっとおかしいところがありますよ。五%以内にとどまるのなら公共料金を上げていいという議論にならないのじゃないですか。いまのあなたのは、逆必ずしも真ならずでね。五%以上になるときは上げてはならぬという言い方はいいですよ。しかし五%以内に落ちつくなら上げてよろしいなんということは、経済企画庁長官、これ会議録に残ったりするから訂正せられたほうがいいと思うが、どうですか。
  45. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 それはもう少し御説明申し上げなければなりませんが、五%以内にしたい、かりに三%なら三%……。
  46. 堀昌雄

    堀委員 そういうようになりはせぬ。
  47. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 一般の理論的な話をしておるだけであります。来年のことを言っておるわけではない。私はそういう意味で、五%以内になって、公共料金を上げても五%以内におさまるということであれば、少々の公共料金を上げることも差しつかえないと思う。しかし五%以上になるという見通しがつくとなれば、これは上げてはいかぬという考え方であります。
  48. 堀昌雄

    堀委員 それははっきりしました。あなたの話は一般論と来年の話とちょっと込み入ったから。私は来年の話をしておるのです。一般論としては物価上昇が三%以内くらいのところに落ちついておるというならたいへんけっこうだから、それは上げてもいいと思います。しかしそうじゃない。来年はあなたの御努力にもかかわらず五%はこえるだろうというのがわれわれの判断です。あなた自身も頭が痛いんじゃないですか。ほっておいても五%以内におさまると考えておられますか。あなたの所信表明には政策の第一義にすると書いてあるじゃないですか。そこのところは来年はほっておいても五%以内になるのですか。
  49. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 ほっておけば五%以上になると考えたから五%以内にしようという考えでございます。その点誤解のないように。
  50. 堀昌雄

    堀委員 わかりました。だから五%以内にするためには赤字にならない電電公社電話料金の値上げは認めるべきでない、こういうなら論理的な話としては……。
  51. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 具体的にそれじゃ電電公社電話料を上げてはいかぬということをいま言明することは私の責任上どうかと思います。いまいろいろ調査しておりますから、その上で上げなくてもよいという見通しがつけば、それはそのときのことであって、いま私が上げていかぬということを発言することはどうかと思います。
  52. 堀昌雄

    堀委員 そうすると菅野さん、赤字にならなくても上げてもいいと思っていらっしゃるのですか、この物価上昇の際に。私は前提を置いてものを言っているのですよ。わざわざ寝不足の丸山主計官を呼び出しているのは、大蔵省としてはいろいろな発表もしてあるから、それについて新聞に出たわけでしょう。あなたもテレビや新聞をごらんになっていますね。大蔵省の考えでは、電話料金の値上げはこの際見送りたい、国鉄はやむを得ぬということは新聞、テレビに出たわけですね。そうしたら電電公社総裁は驚いて河本新任郵政大臣のところに飛んでいって、河本さんとの間で電話料金は値上げをするのだ、こう言っているわけです。どうなるのか、国民はいまこれを注視して見ているわけです。当委員会で大蔵省は大体赤字が出ないだろうと思っておる、これは詰めなければいかぬけれども、大体いまそういう感触に立っておるときに、赤字が出ないものを上げるのはおかしいというのが論理の話じゃないですか。いいですか、上げる上げないということを言っているのじゃないのです。赤字が出ないならば上げないということになるんじゃないですか。この話にあなたは答弁できなかったら政治家としておかしいですよ。経済企画庁長官の責務がつとまらぬ。
  53. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 一般の理論でいえばお説のとおりであります。
  54. 堀昌雄

    堀委員 ですから一般のいまの話の経過から見れば、赤字が出ない限りは上げないことが適切である、そういうことですね。
  55. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 一般の理論ですよ。
  56. 堀昌雄

    堀委員 一般の理論だけれども、来年度の具体的な問題に関して言っているわけです。
  57. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 具体的な問題はまだ発表できない。一般の理論です。
  58. 堀昌雄

    堀委員 そのくらいで大体いいですよ。要するに、私は何も電電公社にいやがらせを言っているわけでも何でもないのです。私はこの前の委員会でも言いましたように、値上げの必要があるときには、これは経済行為ですから値上げをしなければならないのです。そうしないと、また国鉄みたいなことになるので、必要な範囲において適切な料金改定を行なうことについて決して私は反対するものではありませんが、この物価上昇の時期に、まだ経常勘定の損益勘定が赤字にならないときに、あらかじめ投資に備えて値上げをしようなどということは国民が納得しません。当然これは考える必要があるというのが実は私の理論構成でありまして、これは国民生活にとって来年度の公共料金の中の一つの大きな国民負担の問題点でありますから、たいへんしつこいようですけれども、二回にわたってちょっと詰めたわけであります。電電公社たいへんありがとうございました。丸山さん、どうもありがとうございました。  そこで、関係者の方時間を急いでおりましたから、経済社会発展計画の中でちょっと横道にそれたのですけれども部分改定というようなことを長官おっしゃっているように新聞で拝見したのですが、あなたの経済社会発展計画改定に関するお考えというのは、まさか私、部分的な改定などできる性格のものじゃないと思うんで、どういうお考えなのか承りたいと思います。
  59. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 私は部分改定ということは言うた覚えはありません。今日実績と予定とが違ったのは、初めの基礎になった数字昭和四十年度の不景気のときの数字を基本にしたものだから、したがってすべて控え目に計算をしていったと思います。実績はそうじゃなかった。であるから、今日までの実績を基礎にして、そして根本的に易の基礎の問題を研究してその上で補正しなければならぬ、こう私は言っておるのです。
  60. 堀昌雄

    堀委員 新聞で拝見しただけですから、その点はいまのでけっこうでありますが、一体いつごろその改定の結果が出てくるのでしょうか。
  61. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 まだ基本的なそういう数字計算や何かこれから始めるのですから、私の考えではあるいは一年近くかかるのではないかというように考えております。簡単に作文をつくるわけにはいきませんから、そういうように基本的な考え方からひとつ補正していくべきじゃないか、こう考えております。
  62. 堀昌雄

    堀委員 いまから一年かかるとおっしゃいますと四十四年のいまごろになるわけですね。そうすると、あと残りは二カ年ですね。五年の中で三年済んじゃって、あと二カ年で改定といってもおかしなものですね。そうなったら、それこそ四十四年の末に四十五年から五、六、七、八、九という新五カ年計画を出すほうが筋じゃないですか。もう済んだことはしかたがない。そうなったら改定じゃない、新構想になるわけですね。だから、わずか二年しか残らないやつを——二年といっても来年の四十四年になると経済見通しで四十五年を出してしまうわけでしょう。まあいえば計画としての遂行は一年でしょう。そんなものは現実の問題としては役に立たぬですね。だから、そこまであなたがお考えになっているのなら、これは改定じゃなしに新計画立案ということになりますが、どうですか。
  63. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 いまお話しのことは私がかつて経験したことでありまして、五カ年計画だったのをやり直して所得倍増計画に変えた。所得倍増計画が十年かからずして六、七年で目的を達成したので、また改正しなければならぬというようなことでありますので、やはり今度の問題もあまりに数字が変わってきておりますから、したがってその基本の材料を再検討して、そして今度の伸びで、あるいは今後の五カ年というようなことで計画を立ててみたい、こう考えておる次第であります。
  64. 堀昌雄

    堀委員 そうするといまの御発言は、改定というよりも、新しい時点にあたって新しい計画を出す、こういうことになりますね、いまのあなたのやつをちょっとコメントをつけると。
  65. 鹿野義夫

    ○鹿野政府委員 計画の補正をするという感じで大臣がおっしゃられたわけであります。いまある経済社会発展計画も、経済審議会におはかりして、長い時間をかけていろいろ御議論の末つくっていただいた、それを政府のほうが受けて、またいろいろ検討した結果、政府計画ということになっております。この次にどういうふうな補正をし、どういうふうにやっていくかという問題につきましても、いまおっしゃられたように、年限の問題も確かに五年くらいにずれたような形になるのではなかろうかと事務当局も思います。もし作業するとすればなるのじゃなかろうかと思いますけれども、そういう点も含めて経済審議会のほうともいろいろ現在の計画実績的な問題も御相談して、そして検討に入っていきたいということになろうかと思います。先ほど来大臣の言われるように、基本的な問題につきまして、つまり経済成長のポテンシャルの問題等につきましても十分検討して計画の問題にかかっていかなければならぬのじゃないかというふうにも思って、やはり時間的にもかなりの時間はかかるというふうに事務当局のほうも考えているということでございます。
  66. 堀昌雄

    堀委員 事務当局の話はそれでいいですが、菅野さんの発言の整理をしますと、前段ではあなたは、ひとつ補正をしたい、こうおっしゃったわけでしょう。補正をするというのは、いまの計画が土台にあるわけですね。しかしこの計画は四十六年でおしまいなんです。だから四十六年でおしまいのこの計画の補正をするということを額面どおりにとると、四十四年の末に出すものは五年、六年の二カ年補正ですよ。いいですか。だけれども、その二カ年の一年分は経済見通し出しちゃうわけだから、一年間だけ補正するということですね。そうでしょう。そうじゃないのですか。二年あっても、それは経済見通し計画は違うわけでしょう。じゃそこをちょっと答えてください。
  67. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 最後の一年、二年という問題じゃなくして、新しく新しい材料によってまた五カ年計画というようなことで考えてみたい、こういうことでございます。しかし、まだ審議会にかけたわけではありませんから、審議会にかけて、私の考えを言って——この前も途中でやりだしたのです。
  68. 堀昌雄

    堀委員 それでいまはっきりしました。要するに菅野さんは、四十五年から新五カ年計画をつくるほうが適切だ、こういうふうにあなた自身は判断しておる、審議会にかけてないからまだ何ともあれだけれども、それがあなたの、企画庁長官としての考えだ、こういうことですね。その点はっきりしました。私もそのほうがいいと思いますよ。いまから一年もかけて、そしてあとのわずか一年分だけの見通しをやるなんということは、やってくれといったら、冗談じゃないといってしかられますよ。だから私はやはり経済審議会の皆さんも、せっかく見直してやる以上は、それはいまあなたのおっしゃるようなことが正しいと思いますから、名前がどうつくかは別として、今度はひとつ……。しかし私ちょっと申し上げておきたいのですけれども、今度の計画の問題で一番皆さんに考えてもらわなければならぬのは、さっき私が触れた政策運営が、ちっとも当初考えられたようにならぬ。政府計画をきめたら、政府はその計画を遂行するための政策運営を行なわなければならぬ責任があるのですよ。いいですか、菅野さん。ところがいつも責任のほうはほっぽらかしといて、ただ計画だけをぽんと独走きせると、もうがたがたこうなって、強いところはどんといく、弱いところはばさっと落ちるということで今日の結果になっているのです。そういう反省はありますか、菅野さん。
  69. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 この前所得倍増計画を立てたときに、私は、ほかの閣僚は、あるいは二月、三月でつくれという話が出ましたから、私の良心ではできません、少なくとも一年かかりますということで了解を得て、一年以上かかったわけです。でありますから、経済企画庁で立てた計画というものは、他の省がそれによって政策を立ててもらう、そういう権威のあるものにしなければならぬという、私自身は考えをしております。今度ももしやるのであればやはり権威のあるものにして、そして各省がその経済企画庁が立てた計画に従って政策を立てるというつもりでやってもらいたいという私は考えを持っております。
  70. 堀昌雄

    堀委員 そこで私は今後の計画の問題について一つ提案をしておきたいのは、ともかくかなりたってからああでもない、こうでもないと言ったって、あまり役に立たぬですよ、実際の政策との関係は。だから計画を立てたら、初年度をやってみたら、初年度実績をできるだけ早く点検をして、そうして初年度から狂ってきたら、一体どこが狂ったのか、それを次年度に生かして政策をやらぬから、こんなふうにたったったっと回避しちゃうのですよ。だから私は、あなた方がかいた絵が間違っているとは思わないし、できるだけ物価を安定したいということはけっこうだけれども、かいた絵のようにいかないのは、やはりそういう試行錯誤を怠っておると思うのですよ。だからやはり点検をして、そしてここが間違っていたら、そこのところを少し、毛沢東じゃないけれども、振り子の振るやつは、たくさん振らなかったら、適度に振ったらちょうどよくなるというのじゃない。たくさん振ったときにちようどいいところに戻るのですね、実際は。だから多少そういう政策態度をとっていかないと、何べんつくったってあまり——ただかいて額に入れておくのはいいかもしれませんけれども経済企画庁が出すのは額に入れるために出すのじゃないのでしょう。やっぱり日々の経済運営の指針にしたいということでしょうから、それには点検をしながら次の政策態度について、もうちょっと企画庁は強く政府の運営に対して発言をしなければいかぬと思うのですよ。だから私も、ただ成長は高かったらいいなんとは思ってないわけです。バランスがとれてなければ、結局それはいまのような物価上昇にはね返ったり、あるいは先でギャップに飛び込むおそれも出たり、だから高きがゆえにたっとからずなんですから、そこらのところは十分考えてもらいたいと思いますが、どうですか、これからそういうふうにやられますか。
  71. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 お話しのとおり、いままでの計画が実際に合わなかったというところにいろいろ批判されてきたと思うのです。しかし私はこれはうれしい悲鳴だと思っておる。日本の経済が予想以上に発展をしてきたのでありますから、発展をしてきた以上は、発展した経済を基礎としてまた計画を立て直す必要がある、こういう考えをしておりますが、とにかくお話しのとおり経済企画庁がせっかく皆さん苦心してやっておるので、これが作文に終わっちゃいかぬと私は思っております。ただ計画を立てること自身に興味を持つようなことじゃいかぬ。この立てた計画を権威のあるものにして、そして各省の政策の基本にするというつもりで今後やりたいという考えを私は持っております。
  72. 堀昌雄

    堀委員 最後に一つ管野さんに私ちょっと提案があるのは、来年度経済見通しの問題なんですが、実は来年度経済見通しというのが一つしか出ておりませんね。一つしか出ないのはしようがないのですが、一つ出すのはどういうことかというと、これはいろいろな要素を含んでいるのです。そうなるであろうという一つの姿もあると思うのですよ。しかし、そうしたいという問題もまたこの中に入っているわけですよね。だから経済企画庁見通しというものは、多面的要素を含んだことになるわけです。私はかねて前にも言ったことがあると思うのですが、もしこういうふうにやらなかったらこうなるというやつ、だから逆の短期予測みたいなものをあわせてひとつ発表をしたらどうかと思うのですよ。もしこの経済見通しの、たとえば民間設備投資が二〇%になったとしたら、その経済の姿はこう変わりますよ——個人消費なんかあまり変わりゃしませんよ。一四%内外のところだし、政府の財貨サービスもきまっているから、輸出入は別として、あまり変わらない。主として変わるのは、在庫と民間設備投資が変わるくらいで、あとはあまり大きな変動はないわけですから、そこの部分がこう変わったらこうなりますよ、それが三年続きでこうきているから、こうなったらそのあとは、ギャップがこういうふうにきて、そうすると四十五年度はこうなりますよというような、少しコメントのついた経済見通しというものを出す必要があるのじゃないか。それが私は親切というものではないかと思うのです。あなた方が一〇%にしたいなんて幾ら念願しても、また菅野さんが訓示を幾らたれてみたところで、そんなものが通用する社会じゃないですね、日本の産業の問題は。現実に何か出たときに初めてわかるのでしょう。だから私はさっきから現実にやることを具体的にだいぶ提案しましたよね。だから現実何かやらないと、一〇%にしてくださいよと、日銀の総裁が気をつけてくれ、菅野さんが気をつけてくれ、大蔵大臣が気をつけてくれなんといったところで、そんなものは実際にはあまり効果はないのですよ。しかしそのためには、もし行き過ぎたらこういう結果になりますよという問題を提示をして、もう少し企業側の責任も感じてもらうようにしたらどうかというのが、一つ私のことしの提案なんですが、どうでしょう、企画庁。
  73. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 いま堀委員の言われることは、これは財政金融政策でもできることなんですね、金利の引き上げとか引き下げとかということは。それでまた金利の引き上げによって設備投資が少なくなるという事実もあります。だからして、そういう面で警告を発することは必要だと思います。そこで、この設備投資というものが非常にむずかしいので、これが合理的な意味の設備投資であれば、これは私は外国との競争上どんどんふやしたほうがいい。しかし、需要のないにもかかわらず盛んに設備投資をして生産が過剰になるというようなことについては、これはできるだけ銀行その他金融、財政を通じて警戒する必要があるということを考えておるのであります。したがいまして私は、通産省時代には、そういうようなことがあれば本人に知らすことが親切じゃないか、こういうことを私は言ってきたのであります。これは通産省あたりでは直接生産に関係しておりますから、そういう場合には、通産省で見てこれは設備が少し過剰過ぎやせぬかというときには注意することがほんとうの親切である、こう私も考えております。
  74. 堀昌雄

    堀委員 いやいや、赤澤さん、私の言ったことにストレートに答えてください。
  75. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 この問題は前から先生から御指摘を受けておる点でございますが、実際問題といたしまして民間等でやっておりますのには、パイロットモデルを使いまして計算しておるものが多いようでございます。企画庁でも現在短期。パイロットモデル、あるいはそのもとになりますマスターモデルを研究いたしておりますが、現在のものはまだまだ精度がそこまでいっておりません。まことに残念でございますが、現在そういった点の研究を進めておりますので、こういったものは未正確ではありますが、私どもは実は見通し作業のときは十分活用いたしております。しかしこれが何もやらぬ場合の一つの見通しというものを外に公表するのには、ちょっといまのままではどうかという点を考えておりまして、先々こういったものが非常に整備されてまいりますと、いまお話しのように、。パイロットモデルを使ってこうなるが、政策要素を加味してやればわれわれとしてはこうしたい、こういうことがいえると思いますので、いますぐ、あるいはここ来年、再来年くらいどうなるかということは、ちょっといまのところむずかしい段階ではないか、かように考えております。
  76. 堀昌雄

    堀委員 よくわかりました。いま企画庁の経済研究所では新しくいろいろシミュレーションのモデルで資料を出していただいております。われわれ、これは非常に参考になります。ただ、こういうものがそういうエコノミストの中の参考という問題よりも、やはりそういうものが政治的に影響力を持つことにほんとうの意義があるので、私も資料をいただいてたいへん企画庁——私は、かねて統計がおそい、何とか早くしろと予算委員会を通じて念願をしてきたことが、最近いろいろなそういう推計をやっていただいて、それがかなり正確に的確に把握されておりますので非常に喜んでおりますんですが、どうかひとつ菅野さんも、そこらのいろいろな幅の問題はありますけれども、それを少し政治的、経済的に有効に使うことをあなたの立場で考えてもらいたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  77. 小峯柳多

    小峯委員長 木野晴夫君。
  78. 木野晴夫

    ○木野委員 先般、当委員会におきまして菅野大臣からごあいさつがございまして、現在の経済情勢と今後の見通し、物価の問題と消費者行政の推進並びに総合開発についてのお話がございました。私その点につきまして二、三質問いたしたいと思うのでございます。  企画庁におきましては長期の、たとえば五年とか十年とかにつきましてはこれを計画と言い、一年度だけの分につきましては経済見通しというふうに使っておるように思っておりますが、実はこの経済見通しにつきましては、長期にいたしましても短期にいたしましても非常にむずかしい問題がある、このことは私も十分に承知いたしておるのでございます。経済専門家につきましても非常にむずかしくて当たったためしはない。当たるも八卦当たらぬも八卦というふうな非常にむずかしい問題であることは私も十分承知いたしておるのでございますが、政府の、経済企画庁の行ないますところの経済見通し並びに計画といいますものは、たとえばこういった見通しである、それによりまして税収は何がしになる、それによりまして政府の施策のこういったものができるのだということになってまいります。また景気が下降いたすという見通しに立ちますと、実は税収も減ってまいりますから、それに応じて施策も十分にできない点が出てまいりますし、また減税も幅が減ってまいるというふうになってまいるのでございます。そういった意味で、この経済見通しが誤りますと、国民といたしましては得べかりし利益を失うということになりはしないだろうか、こういうふうに感ずるのでございます。そういった意味でこの企画庁の経済見通しにつきましては、また計画につきましては、普通一般経済見通しと違いまして慎重に行なう必要があるし、またその責任があると思うのでございますが、一応これにつきましての大臣の御見解をお伺いいたします。
  79. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 経済見通しにつきましては、その見通しの間違った場合もいままでたびたびあるのでありますが、御承知のとおり日本は自由経済主義をとっておりますので、これが計画経済であれば、生産は大体これでとめるとか、消費はこれでとめるというようなことができますけれども民間人が自由に消費し生産するような世の中でありますから、したがって、なかなかこれを確実に見通すことは困難です。しかし、大体の方向見通して、そしてそれによって政府の財政支出なり国民の経済活動もやってもらうということが必要だと思うのであって、そういう意味において間違いの起こらぬように、いろいろ基礎の統計なども確実な基礎の統計を得て、そして計算して計画を立てておる次第でございます。
  80. 木野晴夫

    ○木野委員 ただいま大臣から、見通しについては慎重かつ万全の注意をしてやるというお話がございまして、それでけっこうかと思うのでございますが、企画庁がつくられます経済見通し、これは現状分析からこれこれになるというほかに、一つの願望といいますか、たとえば物価問題にいたしますと、この程度であってほしいという願望というものが入っておるのじゃないかと思うのでございます。またもっと強く言いますと、一つの政策というものが入っておる場合もあると思うのでございます。したがいまして、当然初めから当たらない点もあっていいんだ、願望が入っているんだからこうなんだというふうな点はないのでございましょうか。
  81. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 願望というとどういうように解釈していいかわかりませんが、私は政策的な意味は経済の中に多少含めてもいいのじゃないか。というのは、私がかつてこの経済企画庁長官をしておったときに、所得倍増計画を立てたときに実は成長率を低目に発表したのでありますが、そのときいつも反対したのが池田通産大臣であって、正直にそれを出してもいいじゃないか、こういうことを実は言われたのです。しかし、こういうように景気がいいときにあまりいい数字を国民に示すこと自体が国民に対していいかどうかということは、多少考えてかげんしたほうがいいじゃないかというのが私の意見なんです。その点では、当時の池田通産大臣と意見が合わなかったのであります。しかし、御承知のとおり所得倍増計画は七・二%というのであったが、池田君は九・二%にしていわゆる高度成長政策をとった。これはやはり政策が目標を持って、高度成長さすという意味で成長率を九・二%にした、こう思うのであります。また、それがために日本の経済は非常に高度成長したと思いますが、しかしその弊害もまたあらわれてきたわけであります。でありますからして、政策は、日本の経済はこうあってほしいというような目標を立てて計画を立てることは必要だ、私はこう考えております。
  82. 木野晴夫

    ○木野委員 ただいま大臣の話にございましたが、私も、経済見通しその他は客観的な資料に基づいて行なわれる、これが第一義で、その上に政策と申しますか、こうあるべきだという姿を織り込んで、それに向かって進んでいく、特に長期につきましてはそういったのがあっていいのじゃないかと思うのでございます。しかしまた逆に、だから違っておっていいのだ、ザインとゾルレンだということであってはいけないのでありまして、ひとつ客観的な立場に立って、かつ政策を織り込んでやっていただきたい、こう思うのでございます。  ところで、実は経済企画庁見通しなり計画とその実績と申しますか、これが非常に違っておるのでございます。先般の論議を通じまして、見通しにつきましては改定はいたさない、また計画につきましても改定はいたさないというお話がございましたが、三つの考え方があるのじゃないかと思います。一つは、どしどしその数字を変えていったらいいじゃないか。一つは、いやこれは一つの方向だから、これはこれとしておいて見ていくのだ。もう一つは、特に長期についてでございますが、方針は変えないで数字を変えていくのだというふうな、いろいろな考え方があるかと思いますが、これにつきまして、実績見通しとが違っておるという点はもうはっきりしておるのでございますが、大臣の考え方をお聞きしたいと思います。
  83. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 計画を立てるときに目標はちゃんと定めておかなければならぬ。たとえば経済社会発展計画は、物価の安定、経済の効率化、社会開発という目標をちゃんと定めて計画を立てたのですから、その目標は私は変更はできない、こう思いますが、しかしその計画を立てる材料が変わってきたことは事実であって、したがって今日では予想と実績とが非常に違ってきておることになっておるのであります。したがいましてできるだけ確実な基礎に基づいて計画を立てて、そして計画どおりに世の中が進むように念願するところですが、しかし日本の終戦後から今日まで立てた計画はみんな違っております。というのは、予想以上に経済伸びてきておるのです。ということは、われわれ日本人の能力の評価が足らなかったと私は考えておるのであります。これは日本人の努力の結果これだけ経済伸びてきたと私は思うので、日本人の能力ということについての見通しが十分できてなかったために、予想外に発展してきたということが言えるのじゃないか、こう考えておるのであります。その点において日本人の能力を判定すること自体は非常に困難なことでありますが、幸いに日本は教育が進み技術が発展しておりますから、そういう点において今後とも私は日本の経済は発展するという見通しをいたしております。しかしどのように発展するかということについては、やはり今日までの数字を基礎として計算していかなければならぬ、こう考えておる次第であります。
  84. 木野晴夫

    ○木野委員 大臣から先ほどお答えありました、経済見通しは客観的にかっちりとつかんで、かつ政策を織り込んでいくのだということで、池田所得倍増計画のときの成長率の話がございましたが、四十三年度経済見通しが本年の一月二十六日に行なわれておりますが、この計数につきましてそういった政策の織り込まれている点はこれだというのがございましたら、教えていただきたいと思います。
  85. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 いま大臣からお話のとおりでございますが、私ども出します翌年度経済見通しは、御承知のように政府としての経済運営の基本的態度というものを軸といたしまして、いわばそういった経済運営の基本的態度をとり、政策を遂行する場合にこういう形になるのではないかという、経済運営の基本的態度と一体的なものでございます。  そこで、いま御指摘の点でございますが、運営態度のほうにも書いておりますように、全部がそうでございませんが、一つの点を申し上げますれば、設備投資についてはこれを節度のある有効な設備投資をしてもらいたい。あまりこれが大きく伸びて将来過剰設備といった問題を残さないように節度のある投資をしてもらいたい。また政府としてもそういうことに十分協力もし指導もしたいということが運営態度に書いてございます。そういった点から一例をあげて申し上げますれば、今年度当初に立てました経済見通しにおきましては、設備投資の金額等につきましては、そういう配慮を持ってつくられた見通し数字、こういうふうに御了解いただければけっこうではないかと思います。
  86. 木野晴夫

    ○木野委員 経済見通しとそれから経済運営の基本的態度、この二つがからまっておるわけでございます。経済運営の基本的態度というものをきめます場合に、この経済見通しがまた裏づけになるわけでございます。それで実は私が心配いたしますのは、ことしは予算がないから、経済成長を低く見積もっておこうじゃないか、そういうことになってしまいますと困るのでございまして、たとえば大蔵省の予算編成のための経済見通し、これであっては困るのでございまして、この経済企画庁発表されます経済運営の基本的態度、これの裏づけとなった経済見通しであってほしい、これは当然でございますが、重ねてお願いいたす次第でございます。
  87. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 その点はいま先生の御指摘のとおりだと思います。私どもはやはり冷静な目でというか、経済の実勢をよく踏まえましてまず見通しを立てる。そういった見通しのもとに、じゃどういう政策をとるべきかということを盛り込みまして、経済運営の基本的態度並びに経済見通しをつくるわけでございますが、これと、大蔵省の立てます予算で申しますと予算編成方針、こういうものがうらはらになって出てくる、こういうかっこうであろうかと思います。
  88. 木野晴夫

    ○木野委員 実は予算の編成の時期にも当たっておりますし、経済企画庁におきましては一月の下旬に発表するというのじゃなくして、こういった点については早目に前広にやっていただきたい、このことをお願いいたします。  実はロンドンエコノミストの数年前の論文にもありましたが、経済成長率は幾らに見積もるか、それに応じて税収は幾らになるか、それに応じて事業は幾らできるかというふうにやっておる、非常に聡明なやり方だというような論説がございましたが、この経済企画庁見通しといいますのは、民間のアナリストが当たった当たらなかったというのと違うものでございますから、ひとつ慎重にやっていただきたい。これがまずお願いでございます。  昭和四十二年から三年にかけまして私が見てまいりますと、非常にむずかしいときで、これはだれも当てた人はなかったと思っております。弱気の人はもちろん当たっておりませんし、強気の方、たとえば下村博士ですらだいぶはずれておるようでございます。日銀総裁が外国へ行きまして、とにかく何が起こるかわからないと言って帰ってきた時代でございますので、経済見通しその他は非常にむずかしかった時期でございますが、さきに申しました方針でしっかりやっていただきたいと思うのでございます。  私は、経済社会発展計画実績につきまして三十五年ベースで四十一、四十二、四十三と計画実績と対比した表を見たのでございますが、国民総生産は御承知のとおり四十一年度も、四十二年度も四十三年度も上がっておるわけでございます。詳しい数字を申し上げてもよろしゅうございますが、時間をとりますので略させていただきますが、国民総生産は伸びておるわけであります。それに対しまして国民消費、これは大体そのとおり。結局見てまいりますと、民間設備投資が非常にふえておる。先ほど民間設備投資につきましてはいろいろ論及がございましたが、これと逆に政府の公共投資が非常に足らない、マイナスになっておるというふうな状態でございます。私はずっと見てまいりまして、先ほど大臣の話にもございましたけれども民間設備投資をどうするか、それに対応した公共投資をばどういうふうに持っていくか、この調和ある発展に持っていくということが大事だということがございましたが、実はその点を、この表を見てまいりまして痛感いたすのでございますが、大体民間設備投資に対して公共投資はどのくらいの割合であったらいいと考えておられますか。
  89. 鹿野義夫

    ○鹿野政府委員 民間設備投資と公共投資の割合がどうであるかということを客観的にきめるきめ手というものはたいへんむずかしいと思います。現状がやはり公共投資のほうがいろいろな面で立ちおくれているという事実を踏まえて、それをどのくらい程度に高めるかというような観点に立って、計画のほうでは大体それを六割ぐらいのベースに持っていきたい。これは実質のベースでございます。そういうふうな考え方をとっておりますけれども、その六割がはたして具体的に正しいかどうかということについてはなかなかむずかしい問題があるわけであります。公共投資の大きさと民間設備投資の大きさというものは、過去の蓄積がどうであるかという問題もからんで考えなければならぬということもございますので、たいへんむずかしいと思いますが、一応の目安としてそういうところに置いておるということでございます。
  90. 木野晴夫

    ○木野委員 民間投資が十ならば、少なくとも公共投資は見当で六ぐらいにしていかなければならないのじゃないか、特に日本は公共投資がおくれているから重点的に持っていく配慮が必要だというお話でございますが、この四十一、四十二、四十三年の表を見てまいりますと、民間投資はふえておるわけでございます。したがいまして、計画のままで行くならば、民間投資がふえれば公共投資がふえておるのが当然ということになってくるわけでございますが、逆に、たとえば四十一年でいいますと、計画では二兆八千三百億円、それが二兆七千二百億円というふうにマイナスが立っておる。四十二年も計画が三兆一千三百億円に対して二兆九千億円というふうにマイナスが立っておる。四十三年度も三兆四千六百億円に対して三兆一千四百億円というふうに計画に対してマイナスが立っておる。民間投資が伸びればさらにこれが伸びなければいけないのが、計画に対してすらマイナスでございますので、この辺につきましてはひとつ十分な御配慮を願いたい、こう思っております。つきましては、これは実質ベースについての話でございますが、たとえば給与でございましたならば、消費者物価は幾らであるがそれに対してどうであるか対応して論ぜられるわけでございます。この公共投資につきましては、公共投資のデフレーター要素といいますか、その割合は一体どの程度になっておるのですか。
  91. 鹿野義夫

    ○鹿野政府委員 特に公共投資のデフレーターにつきましては、最近賃金の値上がりあるいは木材の値上がりその他建設資材の値上がりがわりに大きいものですから、一般のデフレーターに比べましてたいへん高くなってきております。大体九%をこえるくらいのデフレーターになってきております。これがやはり公共投資を実質的に立ちおくらせる大きな原因になっておりますので、これからやはり公共投資の施行の能率化ということをよほど考えていかねばならぬというふうに考えております。
  92. 木野晴夫

    ○木野委員 消費者物価、卸売り物価等に比べてデフレーター要素が非常に高いということはただいまお答えにございましたが、そういった意味でいきますと、民間設備投資に対して公共投資はいかにあるべきか、またおくれておる段階にありますからそれを取り戻すためにどうあるべきか、特にまたデフレーター要素が強いものでございますから、それを織り込んでどうあるべきかというような点て、これから来年の予算、続いて年次計画がございますが、よほどがんばらなければならぬ、こういうように思うのでございますが、予算編成には大臣も関係しておられますから、その御意見をひとつ聞かしていただきたいと思います。
  93. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 この公共投資と民間設備投資とのギャップですが、これは計画を立てるときには、大体これだけの民間設備投資があれば公共投資はこうしなければならぬということは一応計画するのてありまして、たとえば外国貿易の輸出入がこれだけふえる、貨物がふえるということであれば、現在の日本の港湾能力でそれだけの荷役ができるかどうかということを考えて、また港の増設をするとかいうことで公共投資を考えなければならぬ。こういうことで大体計画を立てておるのでありますが、その公共投資がおくれていたと思うのです。民間投資のほうが早く進んでいたというところに、今日日本の経済上のひずみのいろいろな問題がひそんでおると思うのでございます。したがいまして今後においては、やはり民間の産業を維持発展せしめるために公共投資ということを考えていかなければならぬというように私自身は考えております。したがって、たとえば道路の問題とかあるいは橋の問題とかいうようなこともあわせて、そういうことはひとつ民間産業を発展せしめる上において公共投資を特に重要視していく必要がある、こう考えております。
  94. 木野晴夫

    ○木野委員 公共投資を重視していくといいました場合に、特に重点を置いてやらなければ追っつかないないしは特に重点を置いてやらなければいかぬものがあると思うのでございます。たとえば政府の全般的な予算としまして各省前年の二割増以内というようなことをいっておりますが、私は三割伸ばさなければいかぬ面があるのではないかと思いますけれども、特に重点を置いて伸ばさなければならぬ項目といいますのはどういったものがありますか。一応聞かしていただきたい。
  95. 鹿野義夫

    ○鹿野政府委員 公共投資につきましては全般に立ちおくれている面があるかと思いますが、現在やはり一つは、生産の基盤の隘路となっているような港湾とか道路という面にかなりこれからも力を入れていかなければならないというふうに思います。  もう一つは生活環境の問題で、所得水準が上がるに応じてもっともっと整備さるべきであろうかと思いますが、下水道その他の環境施設の整備も、立ちおくれが諸外国に比べて特にはなはだしいという面がございます。そういう点にも重点を置いていくという形になろうかと思います。
  96. 木野晴夫

    ○木野委員 そういった公共投資をやる必要は当然でございますが、その場合に、全体としまして設備投資関係その他でどういうようにするか。これを解決するのはポリシーミックスだと思うのでございますが、こういった点につきまして十分な配意を願いたい。この点をお願いいたす次第でございます。  次に、経済の発展いたします場合に、民間消費、民間設備投資民間の在庫、政府の投資、その他輸出があるわけでございますが、問題を輸出にしぼりまして二、三聞きたいと思うのでございます。  国際収支は昨年度は非常に好調であったわけであります。国際収支が好調だといいます場合に、日本の国の経済力がそれだけ強いのだということ、これは当然かと思いますが、それとともに海外の要因が非常によかったのではないか。海外要因を重視するということも一つの意見であると思っております。また経済企画庁経済白書におきましても、世界経済の中におきますところの日本経済というふうに、そういった点も非常に綿密に触れておられるのでございます。私はそういった意味で国際経済の動きというものを重視いたしておる一人でございますが、大臣のお話に、米国の経済見通し等楽観することのできない問題があるということばがあるのでございますが、米国の経済見通し等楽観することができない問題があるというのは一体どういうことでございますか、お話を聞きたいと思います。
  97. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 御承知のとおり大統領がかわってきたので、あるいは保護主義をとるのじゃないかということをわれわれは心配しておるのです。そうすると日本の輸出が減ってくる、こう考えております。まだその点はっきりいたしませんが、新しい大統領がどういう経済政策をとるかわかりません。しかし、保護主義的な傾向を持っておる人でありますから、そういう政策をとりはせぬかということを心配しておるのです。
  98. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 ただいまの大臣の御説明にちょっと補足して申し上げますが、いま大臣の申し上げましたようなアメリカの保護主義的な動きに加えまして、御存じのように現在アメリカは、どちらかといえば、ことしの初めから経済は過熱に近いといってもいいような状態でございます。ことしの六月に御存じのように増税法案を通しまして冷やそうということで、懸命に冷やしにかかっておるわけでございますが、第三・四半期までの実績ではまだこの効果が十分あらわれておりません。アメリカの政策当局あるいは民間見通し等からいたしますと、この効果は相当ずれ込みまして、来年に入ってからアメリカの景気というものが相当スローダウンするだろう、こういう見通しが立てられております。日本は何ぶんアメリカと非常に密接な貿易関係にございますので、アメリカの景気がそういうふうに弱まってくる、鎮静化をしてくるということは、私どもの貿易にとって重大な影響がある、そのように考えておるわけでございます。
  99. 木野晴夫

    ○木野委員 ただいまの大臣のお話局長お話とを総合いたしますと、もちろんニクソン政権になりますと、従来の発表その他から保護主義的ななにが出てくるのじゃないかということが一つございますが、それ以外に、アメリカの経済は昨年の増税と歳出削減、これをきっかけとして締まってくるのじゃないか、また、昨日金利の引き上げもございましたし、そういったものを裏づけるものがあるのじゃないか、こういうことだと思いますが、国際貿易の動向、これが伸びないと日本経済が幾らがんばったところで貿易が伸びないわけでありまして、私もこの点非常に注意を払っておるのでございますが、そういった場合に国際貿易を伸長さすために、大学なり専門学校で語学なり貿易なりを中心とする必要を、これは実は外国を回ってまいりまして非常に感じたのでございますが、これは経済企画庁の所管ではないと思いますが、こういった貿易伸展にからむ一つの施策として考えておられるかどうか、必要があると思うのでございます。
  100. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 その問題につきまして、私が通産大臣のときに貿易大学校をつくるという案を出しまして、それでもう開校しておるのかどうか知りませんが、静岡県にその校舎を建てることになっております。お話しのとおり、貿易の専門家を養成したい、大学を出ただけではいかぬ、語学もたんのうであるし、その外国の事情もよく知っている人、そういう人を養成して外国貿易の発展に資したい、こう考えております。
  101. 木野晴夫

    ○木野委員 貿易に限らず、たとえば技術の問題にいたしましても、語学が日本の一つの隘略になっているような気がいたしますので、カレッジでもけっこうでございますから、そういったものを積極的にふやすというようなことも考えていただきたい。  その他自由化問題、特恵関税問題もありますが、時間もございませんので、その次の問題に移りまして、大臣は、国際金融情勢推移など、楽観を許さない問題があると言っておられます。この点について具体的にどういうことを言っておられるのですか。
  102. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 御承知のとおり、国際通貨の不安の問題などで、国際金融がいろいろ影響を受けますから、それがまたやがて日本の貿易あるいは金融の上にも影響を及ぼすということを心配しておるものです。
  103. 木野晴夫

    ○木野委員 国際通貨不安の問題は、新聞でも伝えられておるところでございますが、昭和四十二年十一月のポンド引き下げ、それと前後いたしますところのゴールドラッシュ、また本年のフランの問題、マルクの問題等々あるわけでございます。私もこういった国際通貨が不安になってまいりますと、貿易そのものが慎重にならざるを得ないということで、マイナスの要因として働くんじゃないかと思うわけでございますが、たとえばポンド地域にものを出しておるというところは、ポンドが下がりますと損をするわけでございます。また逆に、マルクがもし切り上がるということになれば、そこから金を借りておるところは損をするというふうに、国際通貨の変動によりまして不測の損失ないしはいろいろ起こってくると思うのでございますが、それに対しまして、たとえば貿易会社等におきまして、それに対しての対応策が講ぜられてしかるべきじゃなかろうか、また国全体といたしましてもそういった場合に英知があってしかるべきじゃなかろうかと考えるのでございます。それで、たとえば損失準備金制度とかないしは保険制度とか、そういったものについてどういうふうにお考えでございますか。
  104. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 国際貨幣の動揺によって、日本の貿易、日本の経済が影響を受けます。私が通産大臣時代にポンドの引き下げがあったのでございますが、そのときの大蔵大臣の話では、損害を受けないようにちゃんとした処置をした、こういう報告を聞いております。そういう点は大蔵省がやっていることだ、こう存じております。民間会社もみななかなか鋭敏ですから、政府の役人よりも民間人のほうが鋭敏ですから、そういう点についてはみなそれぞれ準備してやっていることだ、こう考えております。
  105. 木野晴夫

    ○木野委員 国際通貨の問題につきましては、ほんとうに楽観を許さない問題があるわけでございまして、国でありましてもまた民間としましてもどういった施策をとるかが大事かと思うのでございます。大臣の話で、民間のほうが政府よりもう一つ賢明だということなら、政府民間よりもう一つ賢明に考えていただきたい、このことをお願いいたすのであります。  次に、時間もございませんのであと一つ二つ簡単にお聞きいたしますが、国と地方公共団体、これが、公共投資その他になるわけでございますが、私、外国を回ってまいりまして、地方公共団体が非常にがっちりしておる、非常にゆったりしておる、そうして事業は地方公共団体がやっておるというふうに感じておるのでございます。一方、日本に帰ってまいりますと、交付税の三二%をめぐっての論争とかいうことで、非常にぎしぎしした議論がなされておりますが、国と地方公共団体につきまして、国の公共投資全体に占める役割りといいますか、割合といいますか、そういったものは日本ではどれくらいか、外国ではどれくらいか、事務当局にお聞きいたします。
  106. 鹿野義夫

    ○鹿野政府委員 専門でございませんので、あまり明確にお答えできないかと思いますが、日本の場合、公共投資の補助率は、ベースになっているのは大体二分の一でございますね。それで、重要なものについては三分の二、場合によっては四分の三というような補助率あるいは国の負担率というのがあります。平均すればおそらく三分の二よりもちょっと低いところぐらいの部分を国が負担し、残りを地方が負担する、そのほかに、地方は単独の事業というものがかなりございますから、全体として割り振ってみれば、地方と国との関係がどれくらいになるか、半々か、あるいは若干国が多いかというふうな感じを持つわけです。いまちょっと手元に資料がないから正確に申し上げられませんが、外国の場合は、ほんとに国国によっておそらく違おうと思います。道路やなんかつくるにしても、国が全部見ておる場合もございますが、日本のように国と地方か、あるいは道路の管理責任者か、また小さい道路については地方になっているところもございますが、管理の形態等が違いますので、何とも一がいに申し上げれらないと思います。
  107. 木野晴夫

    ○木野委員 国と地方公共団体の公共投資率の問題は、これは国と地方公共団体の間の問題でございます。しかし、企画庁といたしましては、国なり公共団体がする公共投資は変わりがないのでありますから、ひとつこういったものにつきまして、中の割り振りは、なわ張りは向こうの問題でありますが、十分につかんでやっていただきたい。私、外国を回ってまいりまして、地方公共団体が非常にいい、空港くらいは地方公共団体でいけるというふうなことも聞いております。この旨につきましてはひとつ大所高所から判断いたして、国全体の公共投資が少しでも多くなるようにしていただきたい、このように考えておるのでございます。  最後に国土の総合開発につきまして一言だけお尋ねいたしますが、いろいろ論議を聞いておりまして、公害問題あり、交通問題あり、通信問題あり、生活環境問題あり、すべてにからまるわけでございますが、しかも一方では、都市に非常な集中を見せておる、過疎過密、うらはらになりまして、日本の国全体の問題になっておると思うのでございます。そういった場合に、企画庁のほうでいろいろ新産都市その他やっておられますが、それとは別に、さらにこの際一歩進めて総合開発庁といいますか、国土省といいますか、そういったものをつくるという時期じゃないかと思うのでございますが、それにつきましての大臣の見解を聞きたいと思います。
  108. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 国土総合開発の計画をいまやっております。この間第二次の発表をいたしておるのであります。これはもうお話しのとおり全国的に見て国土開発をやろうということでやっておりますが、御存じのとおり各地方地方に地方開発計画があり、あるいは新産業都市があり、あるいは離島振興とかいろいろみなありますが、全体的に国全体としてひとつ国土開発をやるべきじゃないかということで、いま計画を進めておる最中であります。
  109. 木野晴夫

    ○木野委員 時間も来ましたので、以上で終わりますが、先般国民所得の発表がございまして、日本は自由主義国では西ドイツに並んで、やがては抜くんだという話がございました。ただし、一人当たりにいたしますと二十位程度だというふうなことも書いてございました。しかしながら、見てまいりますと、あれは日本の四十二年度におきますところの一年間の国民所得であって、国民全体の生活レベルといいますか、生活内容といいますか、それは先ほども話がございましたが、ストックがないものですから、また土地が狭いものですから、それほど比べて裕福なものではないのでありますが、先ほど大臣から、一生懸命働いてそうしてそれだけ上げたということでありまして、時計の針で言いますと、秒針のように、土地が狭い、だからこつこつ回ってそれだけかせいだということではなかろうかと思う点もあるわけであります。そこでたとえば外国では非常にゆったりしておりますから、公害問題を起こしてまでそういうものをつくる必要はない。これはなまけているといえばそうかもしれませんが、しかしそれだけゆとりがあるといえばゆとりがあるわけであります。私は国民所得のあの数字から見まして、日本のいまの問題としましては、公共投資のおくれを取り戻す、これにつきましてわれわれは一段の努力を重ねていく必要があるのじゃないかとつくづく感じておるのでございます。予算の時期に入ってまいります。経済見通しはこのもとをなすものでありますから、しっかりとつくっていただいて、そうして先ほど申しました公共投資のおくれ、これに対して万全の配意と措置を願いたい、このように考えております。  以上で質問を終わります。
  110. 小峯柳多

    小峯委員長 岡本富夫君。
  111. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 時間があまりありませんから、簡単に率直にひとつお答え願いたいと思います。  経企庁長官に今度新しくなられました菅野さんは、前、通産大臣をしておられましたから、通産行政についても非常によく御存じだと思いますので、特に国民の立場から、国民感情を中心にして計画を立てていくことが経企庁じゃなかろうか。したがって、いま国民が何を一番願っておるか、それは物価問題であります。至るところで物価が高い。もう将来どういうようになるかというので非常に不安でありますし、物価を上げる措置を考えずにひとつ下げるほうに力を入れていただく。こういうわけで、きょうは一つ二つ提案をしまして御意見を伺いたい、こう思うわけであります。  公共料金の値上げが物価に大きく響くわけでありまして、この公共料金に一つ一つメスを入れて、そうして物価を押える、また下げていく、こうしてこそ現代の国民に一審かなうところの政治ではなかろうか、こう思うわけであります。そこできょうは、最初に一つだけ、公共料金の中で電気料を取り上げてみたいと思うのでありますが、これは通産省の関係になりますけれども長官にひとつこれからの論議を聞いていただいて、そしてどの辺にメスを入れて物価を下げていくか、こういうことでありますので、最初にひとつ決意を伺いたいと思います。
  112. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 公共料金の値上げの問題につきましては、いままでたびたび答弁いたしておりますとおり、公共料金ですからして、やはり一つの価格であります。したがって、その意味においては最近のはやりことばの受益者負担ということばも活用されるわけですが、しかし公共料金であるがゆえに、またそれが公益事業であるがゆえに、やはり国民全体の経済の発展ということもあわせ考え料金をきめなければならぬ。単なる需要供給だけできめてはいかぬという考えをいたしております。同時に、物価の上昇しておるときには、公共料金を上げることが他の物価に波及する点が非常に多いのでありますから、したがって、物価の上昇しておるときには公共料金は特に上げないような方策をとるべきではないかという考えをしております。物価が上がってないときであれば、公共料金を少々上げたところで問題ないと思いますけれども、昨今のような物価上昇のときには、公共料金は上げるべきでないという考えをしております。
  113. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 それで長官にお聞きしたいのは、公共料金を上げる、こういうようなことではなしに、下げる話をしていただきたい。下げるほうにメスを入れていただく考えがあるかどうかを聞きたい、こういうことです。
  114. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 下げることのできるものがあればもちろん下げます。
  115. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 そこでこの電気料金は公共料金であり、供給する電力会社は、この電気事業法の第五条に「公共の利益の増進のため必要であり、かつ、適切であること。」こういう目的であるがゆえに国の手厚い保護を受けてきた、こういうわけでありまして、競争のない独占企業である、したがって、その料金は、消費者である国民が明らかに納得できるものでなければならない、こういうわけであります。ところが、電気料金を調べてみますと、とても複雑で、これは納得できない。同時に、通産省の公益事業局ですか、聞いてみても、これは全然わからぬというわけですね。あまりにも仕組みが複雑で、料金屋に聞けば一番よくわかるのですが、それでもなかなか納得できないような状態であります。  そこで、総体的に見まして、二十九年の改定当時のこの電気料金というものは原価主義をとっておった。そのときには、まず火力発電の原価が一キロワット五円九銭でした。ところが、現在では、重油燃料費の低下、あるいはまた、機械が大型になりましたその技術革新によって二円四十銭を割っている。だのに、その料金が下がらない。こういう点を考えたときに、非常に電力会社がもうけ過ぎておるんではないか、こういうわけでありますが、これはまず長官よりも通産省の本田公益事業局長、来ていますか。
  116. 本田早苗

    ○本田説明員 御指摘のように、火力発電所につきましては、二十九年の料金算定の際には、小規模な古い型の石炭火力が非常に多かったという事情で、高い原価を見込んでおります。その後、大容量の重油火力設備の増設が進みまして、このために熱効率あるいは燃料費の低下等で、御指摘のように、昨年では二円四十三銭というふうにキロワットアワーで下がっておりますが、他面、水力発電コストのほうは、御承知のような、原価の高い工事費にだんだんなってまいっておりますので、新しい水力発電所がだんだん高くつくという状態になっております。ことに、貯水式の水力発電に比重がだんだんかかってまいりまして、三十四年ごろには、古い水力を中心にして、キロワットアワーで一円を割っておった水力原価が、最近は一円五十五銭というふうに上昇してまいっております。そのほかに、電力会社は電力を、公営の電力事業者あるいは電発からも買っておるわけでありますが、こういうのは他社受電ということで組んでおるわけであります。これも、従来に比べまして、一円以上上がってくるというふうな事情がございまして、発電の原価は、水、火力、受電で総合で見まして、若干上昇してまいっておるという実態になっておるわけであります。
  117. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 二十九年の時分は、水力が六〇%、それから火力が四〇%だった。水主火従というのですか、これが現在では、水力が三〇%、火力が七〇%、こういうように変わってきておる。したがって、原価の安いもののほうがよけいできておる。こういう面から見ますと、これは電気代が安くなるのはあたりまえである。そこで、これはもう一ぺん聞きますけれども、次に、料金の立て方が原価主義をとっておるために、各施設の償却率、これが非常に影響する。当初二十九年に電気料金改定したときは定額法を実施しておった。定額法と定率法と二つありますけれども、この定額法で当時この原価を立てたわけでありますけれども、現在では、いつの間にやら定率法になっている。そのために、一つ例をとりますと、四十一年度の通産省の調査によると、九電力の総施設が二兆七千九百億、そしてその償却は千八百八十億、これを定額にしますと、千三百十五億でありまして、その差五百六十五億も不当の利益を、九電力全部ですけれどもうしろへ隠している。償却すると帳簿に出てこない。もっと早い話をすると、四十二年の定率法でもって電気料金計算した総収入が、九電力全部合わしまして二千百四十億ですか、これを、定額法、要するに、二十九年当時の定額法で計算すると、千四百六十億、その差六百八十億、こんな大きな不当資産と申しますか、それを償却として隠している、こういうことが見られるわけです。これは年々、定率法でいくとふえてくる。したがって、四十二年を見ましても、この四十二年の六百八十億は、これだけは電気代を下げることができるのじゃないか、こういうように大まかにいって言えるわけですが、どうですか。
  118. 本田早苗

    ○本田説明員 御指摘のように、料金原価の算定の際には、減価償却の額は定額で一〇〇%見込むということになっております。その事情は、火力等の設備を新設して、新鋭火力の時期には稼働率をうんと上げまして、当初うんと稼働させまして、古くなるに従って予備火力として稼働率を落としていくというような事情がございますし、あるいは、やはり技術革新が激しいために、法定耐用年数よりも経済耐用年数のほうが短くなるというような事情もございますし、本来ならば定率法で減価償却率を見込むのがいいというのが三十三年における料金制度審議会の答申であったわけでございますが、しかしながら、料金の引き上げ幅という問題になりますと、定率で組みますと、非常に大きくなりますので、当面、やはり定額で料金は組もうということになっておるわけでございます。  いま御指摘のように、定額法で組んだ料金であるにかかわらず、最近の決算において、定率法の償却で、かなり高い率の定率償却が実施されており、その差額は五百億ないし六百億ということに相なっておることは、その御指摘のとおりでございますが、経理の規定から申しましても、減価償却については定額で見込む、しかし、定率償却ができる場合には定率償却をしていいということになっております。料金の決定の仕組みが、料金決定後二カ年間の収支が見合うということで料金の算定をいたしておるわけでございますが、三年以降はその状態推移するというふうに一応料金の原価の計算を立てておる。ところが、御承知のように、需要が順調に、当初の見込みよりも経済成長が高くて、伸びておるというようなこと、あるいは当初見込んだ燃料費がその当時よりも下がっておるというような事情から定率償却が可能になったということで、今後の電力は需要が大幅に伸び、設備の増強をかなり高いテンポでやっていくという際に、内部留保によって今後安定した料金で供給し得る基盤ができるという意味で定率償却が可能だということが、将来の電力料金の安定に資するというふうに考える次第でございます。
  119. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 公益事業局は、消費者、要するに国民の側に立って、国民の納得のいくような、会社のぐあいが悪いときにはどんどん助成はするけれども、どんどんもうけさしていったならば、今度はやはり国民のほうに戻してくるのだというような考えがなくては、これは公益事業局ではなくして私企業事業局、こういうようなことを言っている人もいるわけです。  そこで、あなたはいま技術革新によって耐用年数が非常に少なくなった、こういうことを言っておりますけれども、私の調べたところでは、火力、水力、それを構築物と機械に分けまして、この耐用年数というものは非常に多いですよ。これを一つずつ言いましょうか。水力ですと構築物は五十七年、機械が二十二年、火力が構築物は四十一年、機械が十五年、いろいろありますけれども、総合しますとそういうことになっておる。それから送電線が三十六年、地下ケーブルは二十五年、これだけ長い耐用年数があるわけです。これはこの次の問題にしますが、とにかく耐用年数はこんなに長い。そうすると、機械は、もともとあった帳簿価格から耐用年数を引きますと、ゼロもしくは金額にしてもとの固定資産よりも多く引いているということになる。ということはうんと償却をし過ぎているということになる。これは一ぺん大きな面からあなたのほうで計算してみてください。これはぼくは大まかに言っておるわけです。そうすると、電気事業というものは固定資産が非常に大きいわけですから、その固定資産の償却する率によって内部保留するところのお金がうんと出てくる。この利益を今度は隠すところがないものですから、どんどん増資をやっている。だから東電のごときは二十九年から九回増資している。この増資する金というものは、ほんとうは国民に返すべきものです。需要家に返すべきものです。それであるのに増資のほうにばかり回して、株主のほうに無償で配付する、そして国民のほうからしぼり上げておる。逆にいえばそういうような現在の姿です。ですから、私言いたいのは、もっと電気料金に対してメスを入れなければならぬ。  そこで、四十一年分を算定してみますと、電気料金がどのくらい値下がりするかということを一ぺん計算してみましたところが、定額法によって償却したのと定率法によって償却したのでは、差額が五百六十五億、すなわちそれだけよけい電力会社が取っているわけですから、これを電力会社の総収入からどれだけ下げられるかということを計算しますと、電灯代のほうにまとめると一五%下がるのです。電力のほうにまとめると九%、北陸電力を除いて、全国で六%の値下げは可能である、こういう計算になってくる。だから経済企画庁長官——ちょっと居眠っておらずに聞いてください。起こしてください。あなたは聞いてないとだめなんです。あなたは前に通産大臣だったから、博士だから、寝てもみんな知っていると思いますけれども……。そこで、そういうように値下げは可能である。いま公共料金をストップするのだとか、あるいはもう少しは値上げをしてもいいのだ、こんなことを言っている最中ではない。値下げをして、これだけでも国民の皆さんに、いまの政治はこういうように値下げをいたしました、こういうようにこたえるのがあたりまえじゃないかと思うのですが、経企庁長官、どうですか。
  120. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、値下げのできるものは値下げしたい、こう考えております。いまどれが値下げができるかということについては、私どものほうではまだ調査いたしておりませんから、調査でき次第、値下げのできるものは積極的に値下げするというように前向きに考えたい、こう思っております。
  121. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 そこで、公益事業局長にもう一ぺん言いますけれども、電気事業の償却というものは非常に大きく料金に影響するということは先ほど言いました。フランスやあるいはアメリカでは定額制をとっておる。あるいはまた、ドイツでは公私混合形態でありますから、いろいろありますけれども、あなたのいまの話を聞いていると、電気事業が非常に好転してきたために定率法で償却をするのが可能になったからそういうようにしているのです。これでは、企業の立場、国民の側から見れば——そっちのいろいろな監督をするほうの立場から見れば、今度は電力会社がどんどんよくなってきたら、では料金を下げて国民に返していく、消費者に返していく、あなたはこういう面を考えなければならぬと思うのですが、どうですか。
  122. 本田早苗

    ○本田説明員 御承知のように、電力事業につきましては、今後の需要の増加に備えまして、大規模な発電設備の増設が必要になっております。ことに燃料の問題等ともからんでまいりますと、大規模な原子力発電を相当なテンポで開発する必要がございます。そのほか公害対策のための諸設備、あるいは大都市における架空配線がだんだん不可能になってまいりまして、配線地中化の必要が現に進みつつあるわけでございます。配線地中化等につきましては、架空配線の約十倍のコストがなければならぬというような事情もございます。今後電力事業がかなり大規模な設備投資を必要とする、しかも、その設備投資をしなければ、輸入できないエネルギーの供給が不安定になるということを考慮いたしますと、定率法による償却を進めて内部留保を持ちつつ今後の設備投資を安定してやるということが必要であろうというふうに考えるわけで、長い目で見ますると、それがやはり主要エネルギーである電力供給を安定させ、また電力料金の引き上げを抑制できることになるというふうに考える次第でございます。
  123. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 電気料金の抑制をずっとしておらない、途中で、三十七、八年でしたか、改定したりしておりますが、それはそれとして、そういうようにこれからどんどん設備に金が要るから内部留保させるのだというあなたのお話でありますけれども、この内部留保があまりにも多額過ぎる。したがって、この金がだぶついてしかたがないからいろいろなところに投資している。この投資の一つ一つについてぼくは言おうと思ったけれども、時間がありませんから言いません。中には事業に関係のないところにまで投資しなければならぬくらい金が余っている。これは長官、また調べてください。旅館だとかゴルフ場にまで出資しなければならない、こんなばかなことはありませんよ。金があまりだぶつくので、こういうように変なところに使ってしまうわけです。したがって、もしもそうした設備投資に金が要るならば、これは政府の施策としてどんどん開発銀行なり、いろいろなところの低利子の金を融資するとか、ひるがえっていえば、国民の金をしぼり取って、そしてこの設備に使うだけならいいですけれども、長期投資の額もものすごいですよ。百五十億、これはちょっと内訳はいま言いませんけれども、そっちにはわかっているはずです。関係会社に対しては百五十五億、総計三百億近い金が関係会社、あるいはまたこの中を調べてみると、事業に関係のないところに——電力事業をしなければならぬところに対しての投資なら話はわかるけれども、そうでない遊びのところの投資までしている、長官、あなたは前に通産大臣をやっておったのですが、こういう事実を御存じですか。
  124. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 そういう事実を私はまだ知っておりません。
  125. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 だから私はいまこういう面を調べて、そして公共料金を下げていきなさい、こういう提案をしているわけです。中国電力が昨年値下げしました。その理由は水島あたりにたくさんの工場ができて、そして電気が必要になってきた。そのときにあまり電気代が高いので、それじゃ自家発電をするぞということになって、やむなく値下げをしたということは、下げる余裕が十分にあることを示すものなんです。競争条件が変わってくると値下げが可能であるという姿ではないでしょうか。  それからもう一つ、公益事業局長は先ほど、電源開発から電気を買っているから高くなっている、こう言っていますけれども、電源開発の固定資産の償却を見ますと、これは定額法でやっているのです。そして、定額法でやった安い電気をこのあと東電なりが買っている。ですから、考えればこれは国策によるところの会社では安くさせておいて、そしてそこから買って電力会社、民間会社はもうけている、こういうことになるのです。きょうは時間の関係で一々申しませんけれども、いずれにしても定額法で固定資産を償却すれば一〇〇%、これを見ますと大体定率法で五七・九%くらい下がる、ダウンする、こういうところから見れば、この電気料金というものは相当コストダウンできる、これを一つ一つチェックする考えがあるかどうか、当面の責任者である本田さん、どうですか。
  126. 本田早苗

    ○本田説明員 先ほど長期投資がかなり多額にのぼっている、これは電力料金収入から得た利益を投資したので、こういうものは料金引き下げのほうに回し得るものだという御指摘がありましたが、長期投資の株その他のお金は、税法上認められておる減価償却の引き当て金とか、退職給与引き当て金とか、いろいろな金がございますし、こうした金を運用する、あるいは借り入れ金によって株を引き受けるというような形で行なわれておるものでございまして、利益で奉仕するということに考えるのは必ずしも適当でないのではないかと思うわけでございます。  それから先ほども申し上げましたが、もう一点電発の料金が定額で組まれておる、御指摘のとおりでございます。料金については、先ほども申しましたように、全体として定額償却で料金の算定を行なうということになっておりまして、ただ電発の場合にはむしろ償却資産に対する一定率ということではなくて、最初の投資資産額に対してそれを分母にいたしまして、それに常に一定の比率料金をかけるということでありますから、償却が済んでも、現在のところは料金は変わらないという立て方をいたしております。  それから、先ほども申し上げましたように、いま定額制と定率制で、償却方法でかなりの差があるということはもう御指摘のとおりでございますが、今後の電力の事情からいきまして、資本費の増高あるいは諸設備の投資の増強、送電系統の強化とかいうことでいろいろコストアップの要因があるわけでございます。それがありつつ設備投資を大規模に行なわなければならぬということでございますので、今後の安定料金による電力の安定供給ということを考えますと、やはり定率が可能な場合には定率法による償却をやって、そして今後の安定した供給を確保していくということが必要であるというふうに重ねて申し上げたいと思います。
  127. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 どうしても定率でやらないとだめだ、あなたはこういうふうに頭からきめておられるのですが、いま国民の声を聞いてみなさい。税金が高い、公共料金が高い、物価が高いというのは怨嗟の声になっているのです。このときにおいて、内部留保の金をうんとふやして、次の設備のために、こういうことをあなたは口実にしていますけれども、先ほど言いましたように、電気事業以外のところに相当なお金が流れておる、こういうものをとめなければならぬと私は思う。あなた、どうですか。公益事業局長でしょう。私企業の事業局長じゃない。こういうふうにみな言っている。だから何らかの圧力によってとても電気料金に手を出せませんというならしかたがありませんけれども、もう一ぺんここのところをあなた考えて、そうして一つ一つについて、じゃどの電力会社——北陸電力とか四国電力というのはあれですけれども、東電、関電あるいは中国電力、こういうところの原価計算なり、どれだけもうけてどうなっておるかということを、もっと強力にあなたは調べて、そうして国民の要望にこたえなければならぬと思うのですが、どうですか、本田さん。
  128. 本田早苗

    ○本田説明員 各社の経理状況については一応決算期ごとに報告が参っておりますので、概要はわれわれのほうでもわかっておるわけでございますが、値下げするとかしないとかいう問題は、今後の相当な先のことも考慮しつつ判断をする必要があろうと思います。そういう意味で考えますと、むしろここ当面は電力料金を据え置いたままで電力需要の増加にこたえていく、そうしておそらく大規模原子力発電が順調に稼働し始めますと、現在の発電原価というものはかなり値下がりが見込まれるということが考えられるわけでございます。大規模原子力発電が大規模に稼働するというような時代になりますれば、値下げの可能性があろうというふうに考える次第でございます。
  129. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 ここ当分据え置くというのは関電の社長が言うていることであって、あなたの言うことと違うのです。そこで次の機会にもっと詳しく、こまかくあなたに話して、そして考えを一ぺんに変えてもらいますけれども、まずどうしても原価主義をとるところの電気料金の監督官庁の通産省がこの経理の内容をもっと検討しなければいかぬ、そして通産省の電気料金算定基準ですか、これに照らして、もっともっと原価の問題を検討して、いまも経企庁長官が下げられるものなら下げるようにする、こう言明しているのですから、もう一ぺんひとつ検討できますか、どうですか、事業局長、本田さん。
  130. 本田早苗

    ○本田説明員 原価の内容については検討をいたすことに、いつもしておるわけでございます。
  131. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 じゃ、わかりました。原価の内容を検討する、こういうようにいま聞きましたから、この点はこの次にお聞きしたいと思います。  そこで、時間がありませんから、原子力発電について、いまちょっと話がありましたから、そっちへ論点を移します。  原子力発電、原子力発電といってアメリカからえらい宣伝で売りにきて、それに飛びついているわけですけれども、聞くところによると、どんどん値上がりをしているらしい。行くたびに、話すたびに値を上げられている。その点もよく政府のほうで見てやらないと……。  もう一ぺん話が戻りますけれども、電力会社はお金がだぶついてくると変なところにどんどん使うことになってしまうわけです。そこで原子力発電もまだその経済性の基礎をもっともっと研究せなければいかぬ。また安全性ももっと研究せなければいかぬ。この安全性はまだまだはっきりしてない。外国でも例を見ますと、これはあなたのところで出たものですけれども、四七%しか使われていないのです。日本はおくれているとかなんとかいいますけれども、あまり使われてない。もしも安全性から見れば、いま計画を聞きますと、日本海側にずっと関電やあっちこっちが競争で原子炉をつくろうとしておりますけれども、地上にそういう原子炉をつくりまして、もしも一朝事ありまして、国籍不明の潜水艦がばんと一発それをやりましたら、これは原爆を投げると同じ効果がある。ちょっと計算してみますと、東海の炉、あそこに一発食らいますと、約二時間くらいで京浜地区にその雲が出てくる。また、いま敦賀につくっておりますけれども、ここで一発やられると阪神一帯は大体幅六十キロから長さ百キロくらいの間が汚染されてしまう。東海にやられると二時間で東京にぶわっと来る。東京のこの人たちが二時間で全部立ちのきはできませんよ。こういう面から考えますと、これは相当危険性がある。一つの提案としまして、今後あなたのほうで各電力会社に指示するときには、当分は地下方式、上へ出さぬ、地下に入れる、こういうことも大事じゃないか、こういうことを一つ提案しておきます。  いずれにしても基礎技術の蓄積がまだまだ必要であって、原子力発電といって飛びつく必要はない、こういうような意見もあるわけです。そこでそういう面もあなたに取り締まり官庁として意見を開陳して、その点をひとつ研究してもらいたいと思うのですが、どうですか。
  132. 本田早苗

    ○本田説明員 中にはまだ原子力発電について時期尚早である、もっと技術が安定してからやるべきだという御意見があるということは聞いておりますが、大体現在建設あるいは計画中の原子力発電が全世界で六千万キロワットになったという事態は、技術の安定をむしろ示しておるものであろうというふうに考えられるわけであります。今後の燃料事情からいきますと、原子力発電に大いに依存せざるを得ないという事情があるわけでございますので、大体商業炉として開発されたものについては、建設技術あるいは運転技術の習熟がやはり必要であろう、こういう意味からいきますと、もうそろそろ始めるという段階にもなっておるというふうに考えるわけです。  それから攻撃を受けた場合ということで安全性を考えるということはいろいろ問題があろうと思いますが、事故による安全性につきましては、いかなる事故の場合にも核分裂を停止させるような何重もの装置を現在東海においてもつけておりますし、今後のものもつけていくということになろうと思います。  おっしゃるように、安全性の問題については、この間の会議におきましても、世界のいずれの国においてでも事故が起こるということが今後の原子力発電の発展のためには非常に大きな障害になるということから、安全性の確保についてでき得る限りの措置をとるということが必要だろうと思います。これはそういう意味で先ほど御指摘のあった第一号炉、輸入炉について安全性の規格あるいは方法等が改善されますと、それを取り入れるということに伴いまして値上がりが生じておるということがございますが、これは安全性の確保のためにやむを得ない点であろうというふうに考える次第であります。
  133. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 では最後に、企画庁の長官に、ひとつ意見を開陳してあとで聞きたいんですが、昭和四十年の調査によりますと、このときはあなたが企画庁の長官じゃなかったんですけれども、企画庁の中に物価問題懇談会というのがあるらしいんです。あなたのほうの諮問機関ですか、その中で、管理価格の問題として、鉄鋼だとか、電気という公共料金を取り上げようとしたら、何らかの圧力がかかって、大体十月にそうしようということになると、十二月には解散しちゃった、また最近某学者がやはりこの問題を取り上げようとして物懇で話しかけたら、経企庁から圧力があって問題が消えちゃった、こういうようなうわさがある。今後、この物価問題懇談会においていろいろなことがあったときに、圧力をかけたりせずに——そんなことはしないということは言っておりますけれども、やはり国民の声として、また皆さんの世論として、会社が電気料金を取られるということはものすごいものがあるんです。ということは、あんまりもうけ過ぎているということなんです。ですから、もう一ぺんこの点もこういうことをしないように、また公共料金については国民の世論を聞いて、そうしていかにして物価を下げるかというところに力を入れてもらいたいと思うのですが、どうですか。
  134. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 今まで圧力が加えられたという話を私どもは聞いておりません。おそらくそんなことはなかったと思いますが、問題は、いま物価というのは国民全部が関心を持っておる問題であります。物価を上げないで安定さすということがまた佐藤内閣の使命だと私ども考えております。したがいまして、押えることはもちろん、もし下げられるものがあれば下げていくということは、もうちゅうちょせずにやるべきことだという考え方を持っておりますから、いろいろ各方面でこの物価安定のために役立つものがあれば、それをわれわれは活用して物価の安定をさすようにひとつ万全の対策を講じたいと考えております。
  135. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 時間が非常に短かったために簡単に省略してしまいましたから、この次にはこまかく一点一点についてお聞きしたい。あるいはまた、考えを変えていただくために、調査していただくためにやりたいと思っておりますけれども、いずれにいたしましても、この電気料金というものは、国鉄も相当電気を使っており、その他いろいろのものが電力によって相当生産されておる。したがって、この電気料金をたとえ少しでも下げていくということは、各物価に大きなはね返りがあって下がることになるし、あるいはまた抑制する大きな主因になると思うのです。したがって、電気料金についてはコストダウンということが大まかに見ていえるわけでありますので、特に力を入れていただいて、原価を下げていただくことを再度要求し、最後に、もう一ぺん長官の決意を伺いまして終わりたいと思います。
  136. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 電気料金の問題でありますから、通産大臣とよく相談して善処したいと思います。
  137. 小峯柳多

    小峯委員長 本会議散会後再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時四十五分休憩      ————◇—————     午後二時三十五分開議
  138. 小峯柳多

    小峯委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  質疑を続行いたします。中村重光君。
  139. 中村重光

    ○中村(重)委員 経企長官にいろいろお尋ねしたいことがあるのですが、その前に、水産庁の森沢次長がお見えのようでございますからお尋ねをしておきたいことがあるのです。  十八日の委員会だったと思うのですが、塚本委員が韓国ノリの輸入問題について質問をしたわけです。その際、各新聞に報道された小浅商事株式会社、この会社に対して、韓国輸入ノリの第二次の分だと思うのですが、六千六百万円のリベートが出されたという問題、これをただしたのに対して、水産庁長官はなかなかその真相を明らかにしなかったのですけれども、再三再四にわたっての質疑に対して、これはリベートではない、ノリ代金に対する上積みという意味の答弁がなされたのでございます。時間の関係もありますから、私から考え方として申し上げて、一括してお答えいただけばよろしいのですが、この上のせということになってまいりますと、私の聞くところによりますと、一束について二十五円、そのうちの十円はノリの問屋、ノリを扱う問屋でもって組織をつくっているわけですね。その組織、連合会、それから単協というのがある。それがそれぞれ五円当て取って、十五円は調整金——非常に悪いノリもありましょうし、いいノリもある、そこで平均の価格というものが出されなければならないわけですから、調整金を前もって十五円当て積んでおきますと、それによって操作ができる、こういうことになる。そのために十五円の調整金が準備され、いわゆる積み立てられておるのだから、そこで二十五円になるのだ、こういうことのようでして、そうなってまいりますと、ある意味では、この十五円というのは業者自体がみずからの金を出、した、こういうことになってまいりましょうから、そのことがノリの価格を引き上げることになるのかどうか、これはお答え願えばわかるわけですけれども、日ごろ私どもは、どうも韓国から輸入されているノリの流通の経路であるとか、その他価格の形成あるいは保管、放出の時期の問題、それから韓国ノリに対して依然として表示がなされていない、安い韓国ノリか国内ノリか消費者はわからないので、悪いものを高く買わされておるといったようなこともあるのじゃないか。これはもうべらぼうに韓国ノリを扱う商社、これは輸入商社であるとか問屋というものはもうかっておるのじゃないかというようなことを感じ取っておったわけですが、それに六千六百万円というようなリベートの問題も出てまいりましただけに、やはりそうだったかという感じを実は持って、このままではこれは捨ておけない、国会でも徹底的に実は追及をしていかなければならぬと思っておったわけです。ところが、先ほど申し上げましたように、これは参議院でも取り上げられたようでございますが、これはリベートではない、上のせだったというようなことになってまいりますと、その上のせがいいか悪いかは別といたしまして、いわゆるリベートというのは、これまたきわめて不正なことでありますから、リベートではない、上のせだったということ、そうすると、そのリベートということを発表したのが水産庁というようなことが伝えられておりますから、この小浅商事という——これは小浅商事であろうとも別の会社であろうとも同じでございますけれども、事実でないことを発表されるということになってまいりますと、その受ける経済的、精神的な打撃は非常に大きいんじゃないかと思うのですね。だから、それはやはり究明するところはとことんまで究明をしていかなければならないけれども、事実でないことをあやまって水産庁が流したとするならば、そのことをこれまたやつ。はり明らかにして、そして、そういう誤ったことを報道機関に流したことに対しては、それなりの責任をやはり追及されていかなければならないんじゃないかと私は感ずる。  このノリの問題に対しましては、後日、適当な機会に私は、その価格形成の問題、流通経路の問題、あらゆる角度からひとつお尋ねをしてまいりたい、こう考えておりますが、とりあえずきょうは、いまの塚本君が質問してまいりましたこと、それに対する水産庁長官の答弁、報道された新聞記事と事実が違ってきておるということになってまいりますと、その点を解明する必要があると思いますから、一応お答えを願ってみたいと思います。
  140. 森沢基吉

    ○森沢説明員 いまノリの問題についてお尋ねがありましたが、御指摘のとおり、ノリの流通機構というのは非常に複雑でございます。生産から消費の段階に至るまで非常に複雑に国内ノリの場合でも流通機構がなされておるわけでございます。それに、さらに韓国ノリの場合には、御指摘のように、生産者サイドからのいろいろな問題、さらに流通段階における問題等ございまして、先般来新聞紙上等で報道されましたような問題が起こりまして、水産庁といたしましても恐縮をしておるわけでございます。  実は、衆議院の農林水産委員会におきましても、例の韓国ノリの輸入の一つの窓口でございます生産者も入りましたのり協会に対しては、もっと指導をしっかりしろ、それから、末端の価格等につきましても、これは十分水産庁自体としてトレースする、そういうふうな強い御要望が出ております。私たちは、今後、ノリの流通機構全般の問題、さらに韓国ノリの問題等につきまして、そういう世上をいろいろ騒がせました点を十分反省いたしまして、指導の強化につとめてまいりたい、このように考えております。
  141. 中村重光

    ○中村(重)委員 それでは済まないと思うのですよ。私は、いまあなたの御答弁にもかかわらず、徹底的にこの問題は後日究明したい。いわゆる流通経路の問題、それから表示の問題、不当に商社であるとか問屋がこれのいわゆる利潤を取っておる、そして消費者に対して高いノリを食べさせておる、こういうけしからぬことが許されてはならぬと思うのです。菅野経企庁長官もよそごとじゃないと思うのです。いわゆる物価対策の樹立をはかっていかなければならぬ、物価抑制をはかっていかなければならぬところの主管大臣ですから、重大な関心を持ってこの問題についてはあなたも対処してもらわなければならぬのですが、きょうはその問題はまずおいて、さっき申し上げましたように、非常に混乱をさしたことを恐縮しておる、そういうことだけじゃ済まない。やはり特定の商社が取っていないリベートを取ったということを水産庁が発表した、それが報道されて、その商社の受けた、申し上げたように精神的、経済的な打撃はこれは大きいわけでしょう。致命的なことになるかもしれないですね。だからそれは、そういうことに対してはどう措置するのかということ、これはやはりはっきりしておかなければいけないのじゃないですか。
  142. 森沢基吉

    ○森沢説明員 いま御指摘がありましたが、私たち水産庁として調べました範囲内におきましては、小浅商事自体がこの問題にからみまして不正をしたということではなくて、のり協会の理事としての小浅さんについていろいろ問題が出た、こういうふうに私たちは理解をいたしておりますが、今後とも、先ほど申し上げましたように、十分のり協会等に対する監督の強化と流通改善、さらに生産対策、そういうものにつきましては水産庁として努力をしなければならない、こういうように考えております。
  143. 中村重光

    ○中村(重)委員 それは当然なんだ。そういうことで私の質問をそらしちゃいかぬ。そのことは私は後日徹底的にやりますと、こう言っているんだ。だから、事実に相違することを水産庁が発表をしたということになってまいりますと、それは問題だと言うんだよ。それによって特定の個人なりあるいは会社なりというようなものが名誉を棄損されるということになってまいりますと、個人としてもあるいは企業家としても致命的な立場に追い込まれてしまうんだから、事実でないんだったら、それをどう措置するのか。水産庁はその責任を感じておりますというだけでは済まないのだから、その打撃を受けた商社の汚名をいわゆる回復するための措置をおとりにならなければいけない。同時に、そうした誤った発表をしたものに対する責任をとらせなければならぬということに私はなると思うから、そのことだけをきょうはお答えになればよろしい。
  144. 森沢基吉

    ○森沢説明員 私たちは、誤った発表をしておるという御指摘でございますけれども、おことばを返すようですが、水産庁で調べました事実につきましてこうだということを申し上げておるわけでございます、新聞ではいろいろの報道がなされておりますけれども。  したがいまして、先ほどと同じことを繰り返して恐縮でございますけれども、実態に応じまして改善すべきところはする、それから小浅さん自体の問題につきましては、小浅商事の問題ではなくて、のり協会の理事としての問題でございますので、先ほども申し上げましたようなのり協会の監督あるいは運用の強化ということと、それからまた、小浅さん個人の問題につきましては、いろいろ小浅さんともお話し合いをして、本人が御迷惑を受けられました点につきましては、われわれとしても非常に気の毒であるというふうに考えております。
  145. 中村重光

    ○中村(重)委員 小浅さん個人の問題ではない、理事としての小浅さんだったと言われるが、その点、きわめてあなたのお答えはあいまいだ。そうでしょう。理事であったにしても、あるいは小浅商事株式会社の社長であったにいたしましても、やはり小浅さんという人がとった行為が間違っておったのかどうかですね。(「小浅というのは個人でないぞ、個人は白羽だぞ。」と呼ぶ者あり)そうではなくて、小浅さんという人は何ですか。理事というのは、のり協会か何かの理事ということになるのですか。
  146. 森沢基吉

    ○森沢説明員 そうです。
  147. 中村重光

    ○中村(重)委員 それはのり協会自体の責任なのか、小浅という人の理事個人が間違ったことをやったのか、そういう点をはっきりしなければいけない。
  148. 森沢基吉

    ○森沢説明員 失礼いたしました。小浅商事で、個人は白羽さんでございますが、その点は訂正をさせていただきたいと思います。  先ほど来申し上げておりますように、白羽さんはのり協会の理事でございます。白羽さん自体が個人でああいう問題をいろいろおきめになったというようなことは、われわれとしてはなかなか考えにくいわけでございますので、私たちは、やはりのり協会全体の問題として、将来いろいろ改めるべきところは改めていくような指導をしなければならぬ、そういうように理解をいたしております。
  149. 中村重光

    ○中村(重)委員 私はこの問題であまり時間をとろうと思っていないのです。  それで、どうもお答えがわかったようなわからないようなことなんですね。白羽さん個人は、いわゆるリベートを取ったり、その他不正な行為はやっていない、しかしながら、のり協会のいわゆる理事としてとった行為が問題だというようにあなたの答弁からは受け取れるんですよ。そうすると、のり協会の中で白羽さんという人がどういう役割りを果たしているのかわかりませんけれども、水産庁からよくないことだといって問題を指摘される行為をやったのであるならば、当然のり協会の中でそのこと自体問題にならなければいけないことになるわけでしょう。だから、いわゆる上のせした二十五円という金は取っていい金なのか、よくない金なのか、それをひとつはっきりさせておいてください。
  150. 森沢基吉

    ○森沢説明員 簡単に申し上げますと、いま御指摘の二十五円という上のせのお金ですが、これはやはり取るべきでないお金であるというように考えております。
  151. 中村重光

    ○中村(重)委員 取るべきでない金を取った、それがリベートではない、いわゆる価格に対する上のせであった、こういうことですが、そうすると、その取るべきでない二十五円という金を取ったのは、白羽さんのふところにその金は入ったのじゃなくて、のり協会の中で、私が先ほど申し上げたように、一つの組織の中で連合組織あるいは単協というものがある、それぞれにも配分をした、あるいはいわゆる価格調整金としてこれを使った、そういうことであることには間違いないのでしょうか。
  152. 森沢基吉

    ○森沢説明員 白羽さん自体のふところにそのお金が入っておるわけではもちろんございません。適当でないお金であるということを申し上げましたが、これはノリの輸入問屋組合のほうにそのお金が入っておるという経過がありましたが、これは間違いでございますので、ノリの協会のほうにそのお金が入ったというのが事実でございます。
  153. 中村重光

    ○中村(重)委員 どうもこれほど大きく問題になったことに対して、もっと明快にぴしっと答弁できるように、やはりあなたのほうでも真剣に内容を調査し、問題を把握しておかなければいかぬと思うのです。そうでしょう。この問題は残します。それで、先ほど申し上げましたように、このノリの問題はいずれ適当な機会に徹底的に私はお尋ねをし、問題点を指摘してまいりたいと思っております。十分あなたのほうも勉強しておいてください。  それから、通産省の本田公益事業局長お見えでございますが、この間業界新聞を見たのですが、私がいつも問題にしている電気ガス税、これは悪税だ、これを撤廃しなければならぬということを言っている。それから電気ガス税の課税の方法にしても、この前もあなたに申し上げたように、九州電力なんかのような料金の高いところ、それからガスなんかの場合に、供給戸数、区域が非常に狭くて、会社の規模も小さい、そうすると非常にコスト高になるわけですね。高い料金というものを需要者は払っているのです。いわゆる従価税なんだから、それに対して高い税金を払わせられる、こんな不合理な話はない。だから、悪税だから撤廃すべきだが、少なくとも政府としてはこういう不合理な税制そのものも改めていくということは、問題を指摘されるまでもなくおやりになる必要がある、こういうことを私は言ってきた。いわゆる従価税を従量税に直すべきである。そこで本田局長は、自治省であるとかあるいは大蔵省であるとか、関係各省に対して、この電気ガス税はよくない、物価政策からいってもこれは適当でない、これを廃止すべきだということで、精力的に実は交渉を進めているということが伝えられている。四十四年度の中でこれがどういう形になるのか、税制調査会の中でこれはやはり検討されておるのかどうかという点をお答え願いたい。  それから菅野長官にひとつお尋ねをいたしますが、いまあなたがお聞きのとおりですが、これは物価政策からいっても、電気ガス税というのは大衆課税なんです。それから、いま申し上げましたように、従価税というような形で非常に不合理な形もとられておる。だから、物価政策という立場からもこれは廃止する、そうして地方自治体に対しての財源というものは、交付税その他別途の方法をもって補給していくという方法をおとりになる必要があると思うのですね。この点に対して長官はどのようにお考えになるか。それから本田局長も取り組んでおる経過をお答えを願いたい。先に長官からひとつ……。
  154. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 電気ガス税が悪税だということは、いままでたびたび国会において論議された問題でありますが、できればこういう税金をわれわれなくしたいと思っておりますが、これは地方税であります関係上、地方自治との関係上なかなか撤廃がむずかしいのでありますが、しかし、この悪税と見られる税金というものはやはり廃止すべきだという考えを私はいたしております。
  155. 本田早苗

    ○本田説明員 電気ガス税につきましては、御承知のように三十七年から一%ずつ下がって、三十九年まで下がったのが、四十年度以降そのまま据え置きになっておるわけでございまして、御指摘のように、われわれとしては撤廃をすべき税だということで例年かけ合っておるわけでございます。今年は特に撤廃につきまして自治省と強力に折衝いたしておるわけでございますが、本日、二十日でございますけれども、下旬に入って、税調で自治省としても検討した結果を審議願うということになっておりまして、まだ途中の段階でございますが、われわれとしては撤廃を強力に要求しておるわけでございます。
  156. 中村重光

    ○中村(重)委員 次に、水産庁と、それから農林省の森実場課長御出席のようですから、青果市場の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。これは菅野長官もいわゆる消費者物価を抑制するという立場から、これまた重大な関心を持って対処してもらわなければならないことでございますからお答えを願いたいと思うのでありますが、具体的な問題として、わかりやすいことで申し上げたほうがよろしいと思いますから、長崎の例を申します。  実は長崎に、中央部でございますが、いわゆる産地市場である魚市場、消費市場である青果の市場があるわけです。これはいずれも公営になっているわけです。ところが、魚市場が非常に狭隘である。したがって、漁船が魚を荷揚げをいたしますのにも船を係留させる場所がないというようなことで、実は埋め立てを、拡張計画をやっている。これは水産庁御承知のとおりでございますから、あまり内容について多くを申し上げません。ところが、狭隘であり、拡張までしなければならないというようなことなんだから、この青果市場を移転をしてもらわなければならない、そういうことを強く要求をしておる。これに対しましては、当の青果市場は中央部で、非常に地の利を得ているというような関係もある。これは長崎のように、俗にすりばちの底といわれるような狭いところでありますから、なかなか土地がないわけです。どこに持っていくのか。あまり遠隔の地に持ってまいりますと、いわゆる野菜なんかを何百名という小売り商の人たちが入札に参加をして、いわゆるせりに参加をするわけです。参加をしてその野菜を引き取る。そうなってまいりますと、車の運行ということで交通上もたいへんな問題が起こってくる。同時にそのことは、非常にコストが上がってきて、野菜の価格が高くなってくる。野菜だけではない。これはくだものも一切そうなのでございます。したがって、この青果関係の業者だけではなくて、消費者がこれに対しては反対の意向を非常に強めてきている、こういうことです。  そこで、私ども長崎県選出の国会議員は、与野党を問わず、青果市場というものに対してあるいは魚市場に対しましても非常な関心を実は持って、魚市場の拡張をしなければならぬが、青果市場をへんぴなところに持っていくということだけは避けなければならない。ところが、水産庁の方針としましては、ともかくこの埋め立ての計画——第四次漁港整備計画という形になるのだと思うのでございますが、それによって認可をして、そうして予算をつける。工事着工ということになってまいり、青果市場の行く先はきまらないということになってくると、青果市場自体がこの工事のために麻痺してしまう、青果市場は予算をつけてもらっちゃ困る、ともかく公的機関なんだから、この問題の解決なくして魚市場に対するところの予算をつけ、工事に着工するというようなことだけはやめてもらいたい、こういうような要求でございます。  私どもといたしましても、これは消費市場というような点から、野菜の値上がりというので、先ほど申し上げましたように、これは重大な関心を持っている。同時に、この消費市場のあり方はどうあらねばならないのかということは、物価対策の問題及び流通機構の問題という点から、これはそれぞれ農林省といたしましてもあるいは経済企画庁といたしましてもお考え方があろうと私は思いますから、基本的なものの考え方と、それから具体的に私が申し上げました長崎市のそうした魚市場と青果市場の関係、この調整をどうしようとお考えになっていらっしゃるか、伺ってみたいと思います。
  157. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 食料品の卸売り市場、小売り市場は適当な地点を選んで設置してもらって、公正な取引によって適正な価格を形成してもらうということが、ことに公立の市場のねらいだ、こう考えておるのでありますが、それによって不当な価格で売買されないように監視する、あるいは指導する必要がある、こう考えております。
  158. 森沢基吉

    ○森沢説明員 青果市場の問題でございますので、後ほど農林省経済局からもお答えを申し上げると思いますが、御指摘のとおり、長崎漁港というのは、漁港法によります特定第三種漁港で、年間大体二十五万トンくらいの水揚げをしておりますわが国におきましてもきわめて重要な漁港でございます。先生御指摘のように、現在食料品の物価の値上がり等が非常に問題になっておりますので、われわれ水産庁といたしましては、そういう生産地市場を整備をいたしまして、なるべく安定した供給を消費者に行なうことが非常に大事であるという姿勢で現在行なっております。すでにこの長崎漁港におきましては、水産物に限りましても荷さばき用地が非常に狭くなりまして、これをただいまお話しのように、整備計画によって埋め立てをして拡張をして整備をしていきたいという計画がございます。ただ、青果市場、水産物市場と、片や生産地市場であり片や消費市場である。性格は違いますけれども、青果、水産物あるいは生鮮食料品を取り扱うという点は双方とも非常に重要でありますので、いまお話しのような点がありますことを水産庁といたしましても十分承知をいたしておりますので、長崎の市との問でもいろいろお話し合いが進められておるということを承っておりますので、そういうお話し合いの経過等も十分見合いながら、両方が円滑にいくように措置をいたしたいというのが水産庁の考え方でございます。
  159. 森実孝郎

    森実説明員 私からふえんしてお答え申し上げます。長崎県がことしの八月末に提出いたしました市場の整備計画で、長崎市の青果市場は中央市場化するという方向が県としてもはっきり打ち出されております。当初、県や市の提案しました場所は、先生も御承知のように、中里とか山帰来、都女とかいう非常に立地条件としては疑問がある地域であります。そういうことで関係者からも反対がございまして、私どもも若干首をひねらざるを得ない、こんな事情がございまして、現在市役所が新しい別の用地候補地を二つばかり選びまして、その確保の努力に着手したというような段階でございます。私どもといたしましては、長崎は、その都市人口から申しましても、また周辺の流通拠点であるという点から見ましても、青果市場は中央市場化すべきである、その場合、やはり第四次整備計画に基づく水産の産地市場整備計画の工事が本格的に着手される時期までには新しい用地の確保をはかって、市場の整備がはかれるように、県、市、特に市を督励してまいりたい、かように思っております。
  160. 中村重光

    ○中村(重)委員 おっしゃるとおりだと思います。私も中央卸売り市場という形、これにもっていかなければならない。物価対策の面等から私は特に菅野長官に対してそうした基本的な考え方を聞かしてもらいたかったのでございます。これは長崎だけの問題ではないわけであります。  いま中心が長崎の市場の問題になってしまいましたから、それでは重ねてお尋ねいたしますが、いずれも重要度においては変わらない。なるほど県あるいは市において適当な青果市場というものを物色をして、そこへ移していくというような構想を持ってせっかく話し合いを進めておる、こういうことでございますが、成功すれば非常にいいことだ、また成功させなければならないと思います。しかし、経過的な問題もあろうと思いますから、おそらく三月までに整備計画の認定をなさる。調査費はすでに三千万か、これはついておるわけでございますね。そうすると、来年度予算要求という形で七、八億かの工事費というものが要求されておるのではないか、こう思います。それが大蔵省から認められた、これが工事着工ということになった、一方においては青果市場の適当な移転の適地がない、こういうようなことになってまいりまして、もう認可になって予算もついたのだから工事を進めていくのだということになってくると、そこへトラブルが起こって、私が申し上げたようなことになってまいりますから、いずれにいたしましても、いま整備計画として拡張計画があるわけですが、その拡張をさらにいま少しくその埋め立てを拡大、拡張できないのかどうかという点も一点考えなければならないだろうと思います。それから現在のところに置くことがどうしても不可能なのかどうなのかという点の検討も必要であろうと思います。ところが、いま森実課長からお答えございましたように、青果市場、中央卸売市場というような形になってまいりますと、これは当然ああいった狭いところではどうにもならないということになってまいります。ですけれども、申し上げたように、適地がそう簡単に見つからない。へんぴなところはありましょうが、それは猛然と消費者が——いわゆる生鮮食料品の価格が引き上げられ、交通上の問題ということで、これはおそらく市民生活に重大な影響を及ぼしてまいりますから、これは当然問題になってまいります。だから、いずれにいたしましても同時解決をやるということですね。予算をつけて、そして埋め立て工事に着工するというような場合も、この青果市場のほうの問題が解決をしなければ、そういういわゆる予算の交付といったような一方的なやり方をやって混乱をさせるようなことはしない方針であるというように受け取ってよろしいかどうか。
  161. 森沢基吉

    ○森沢説明員 第一点のお尋ねでございますが、埋め立てをもう少し面積をふやせないのか、こういうお尋ねでございます。これは実は漁港の機能自体といたしましては、まき網、以西底びき網、沿岸漁業、その他漁船の大型化等がございまして、そういう泊地の関係で漁港の内部を埋め立てするということが困難であるということと、もう一つ、これと隣接をいたしまして運輸港湾がございます。それとの関連におきまして、技術的に現在の設計をこれ以上埋め立て用地を広げるということは不可能でございます。  したがいまして、第二点のお尋ねに対するお答えでございますが、先ほど御答弁を申し上げましたように、同じ生鮮食料品を扱う農林省の中の問題でもございまするけれども、県、市などの話し合いを十分見守りながら、また農林経済局とも水産庁は十分連絡をとりながら、一方的に水産サイドだけでものをきめてしまうというような気持ちは毛頭ございませんので、慎重にこれは取り扱っていきたいというふうに考えております。
  162. 中村重光

    ○中村(重)委員 一方的にやることはない、円満にいくためには同時解決をしなければならない、いわゆる双方の納得というものが当然条件になってくるのだというように私は理解をしたいと思いますが、そのとおりでよろしゅうございますね。
  163. 森沢基吉

    ○森沢説明員 おことばを返すようでございますけれども、先生の言われる同時解決という意味をどういうふうにお受け取りしていいかよく存じませんけれども、私が申し上げているのは、同時でなければやらないという意味ではなくて、極力青果市場との関係も見守りながら、また地元のいろいろな御意見も聞きながら円滑に処理をしたいということでございまして、同時にやらなければ全然漁業のほうは進めないのだという意味で申し上げておるのではございません。
  164. 中村重光

    ○中村(重)委員 私が言っているのは、いま言うとおり、予算概算要求しているのでしょう。だからして、これをストップするということは、あなたのほうではできない、やはりそれはそれなりに進めていこうとするお考え方だと、いまのあなたの答弁の中からうかがわれたわけですよ。そこで、予算は認められた、その次にくるのは予算の交付という形があるわけですね。ところが、予算の交付はないけれども、もう予算は認められておるのだから、県がいわゆる自己資金をもって、これを見越して工事をやるといったようなことだって起こらないとはいえない。そうなってまいりますと混乱をいたしますから、そういう混乱が起こらないように、青果市場がどうしてもそこに置けないとするならば、青果市場を適当なところに移すというようなことに最大限の努力をして問題を解決する、そういうことに県との話し合いも進めていく、こういうことなのかどうか。それを私はあえて同時解決ということばを使ったわけですが、そのとおりに理解をしてよろしゅうございますか。
  165. 森沢基吉

    ○森沢説明員 いま先生の申されましたような意味の同時解決であるならば、そのとおりでございます。
  166. 中村重光

    ○中村(重)委員 それでは、長官にきわめて初歩的なお尋ねをするようですが、実は、国土総合開発という見地から私は離島振興の問題をお尋ねしたいと思うのでございますが、企画庁設置法の第三条に「任務」というのがある。そこで「経済に関する基本的な政策の総合調整」であるとか、あるいは「長期経済計画の策定及び推進」であるとか、その他物価の問題あるいは経済協力の問題として経済協力基金の問題等々、これは実は経済企画庁の重要な担当事項になっておる、こう思うのです。ところが、この任務にありますように「経済に関する基本的な政策の総合調整」というようなものは、具体的にどういうように進めておられるのか。それから「内外の経済動向及び国民所得等に関する調査及び分析」というような点もあるのですが、これからまいりますと、日本の経済というものは、高度経済成長政策の中でいわゆる工業偏重というようなことにも私はなろうと思うのてございますが、工業水準というものは非常に高まってきたですね。そうして、国民総生産というのは世界で三番目、もう西ドイツを追い抜いてすでに三番目ということがいわれている。ところが、国民の所得というものは世界で二十一番目であるとかあるいは二十三番目といわれるきわめてアンバランスの中にある。これらの点に対して、問題点はどこにあるのか、それから政策の総合調整というような点から、これらのアンバランスを是正をするための施策というものが強力に推進されていかなければならないのであるけれども、これに対しては、経済企画庁としてはどのような取り組みをしておられるのか、まずその点に対してお答えを願いたいと思います。
  167. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 日本の国民総生産が世界の二番、三番というようなことに相なったことは、まことに喜ばしい現象だと思うのでございますが、しかしこれが一人当たりの国民所得に計算しますると、世界で二十番とか二十一番とかいうようなことになっております。これは結局総生産額を人口数で割った平均であります。したがいまして、日本の人口が地域の割合に多いというところから二十番、二十一番というような地位にならざるを得ないことになっておるのでございます。しかし、過去の一人当たり所得の実績を見ますると、十年前から見ると大体四倍になっておるのじゃないかと思う。昭和三十年ごろはおそらく三十番くらいじゃなかったかと思うのです。でありますからして、国民総生産額がふえるに従って一人当たりの国民所得というものはやはりふえる、ふえなければならないものだ、こう考えております。しかし私は、国民総生産量が世界の二番、三番ということでもってうちょうてんになってはいかぬという考えを一つしておるのです。というのは、たとえば西ドイツと比較してもよろしいが、いま西ドイツと日本とほとんど同じような国民総生産量を持っておりますが、人口数からいうと、西ドイツは日本の約半分ちょっとでありまして、したがいまして、卑近な例を申し上げれば、一つの品物をつくるのに、向こうは一人で、日本人は二人かかっておるということです。つまり、日本人の生産性が低いということになると思うのでありますからして、今後日本の労働力をもっと活用すればまだ国民総生産額はふえてくるし、同時に、一人当たりの国民所得もふえてくるということに相なると思うのでありまして、そういう点で、今後労働体制の改善とか、あるいはその他の生産機構の改善とか、いろいろの点について、新しい構造、制度を設けて生産性を高めて、一人当たりの国民所得をもっと高くするように努力したい、こう考えておる次第であります。
  168. 中村重光

    ○中村(重)委員 考え方はわかります。そういうことでなければならない。国民一人当たりの所得が低いというのはいろいろあるでしょう。道路の問題があるだろうし、あるいは住宅、これは先進諸国と比較するとお話にならない。日本を訪れた欧米諸国民は、全く経済力の発展に驚異の目をみはると同時に、日本の住宅事情の劣悪さにこれもまた驚きの目をもって見ている。それから社会保障が非常におくれておる。同時に、日本の特異な現象であるといういわゆる経済の二重構造、中小企業というものは非常に零細である、農業の生産性いうものは非常に低い、したがって所得も低い。農業基本法というものは、他の産業と農業というものの所得を均衡させるということである。中小企業基本法は、大企業と中小企業の格差をなくして、これを均衡させるということである。これは農業あるいは中小企業憲法としてこれら関係団体というものはこれを非常に歓迎をしている。ところが現実には、御承知のとおりに格差が是正され、解消する方向ではなくて、むしろこの格差を拡大する方向にある。こういうことで、大臣は国民一人当たりの所得は若干伸びたとは言うけれども、今日依然として二十番ないし二十二、三番目にあるというようなことは、これはいま私が指摘いたしましたような問題に対して精力的な取り組みをしていないのである。国民総生産と国民所得というものを均衡させる。端的に申し上げるならば、国民総生産が世界で四番目であるとするならば、日本の国民は、その経済力の発展に伴って世界で四番目の幸福というものを享受するという形のものでなければならないのだけれども、そうではない。したがって経済企画庁は、これらの問題に対しては、その施策を各省にただゆだねるということだけではなくて、この経済企画庁設置法の中にありますところのこの重要な任務を遂行していくという立場から、強力な発言権というものをあなたのほうでは持たれる必要がある、そしてそれを推進していかれる必要があると私は考える。そうしたあなたの考え方だけではなくて、企画庁。長官として、現在のこの企画庁のあり方というものに対して考え直さなければならない点があるのではないか。これらの点に対してお答えを願いたいと思います。
  169. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 経済企画庁が各省の政策に対して推進力を持たなければならぬという説は、お説のとおりでありまして、そういうところに経済企画庁の任務があるのでありますからして、経済企画庁としては従来からそういう方針で仕事をしております。また歴代の長官もそういう方針のもとで指導され、閣議などにおきましても、みなそれぞれ有力な人々が長官になられて閣議の議題を指導しておるのがいままでの貢献でありまして、したがって私もその驥尾に付して、ひとつ経済企画庁で定めた経済計画、これを基準として各省の経済政策を進めてもらうというようにやっていきたい。お話のように、中小企業の問題あるいは農業振興の問題、これはいずれもこれらを振興せしめて所得の格差をなくするというところにやはりわれわれの任務があるのでありますからして、そういう点において今後鋭意努力をしたいと考えております。  なお、先ほどもちょっと話がありましたが、離島の問題その他日本全体を見て、発展してない地域と発展しておる地域とがあるということは、もう申すまでもないことであります。そこで目下国土開発計画を立てておるのでありまして、これによって各地ともに経済の発展に均てんのできるように開発計画をつくりたい、いま第二次ができておりますが、もちろんこれを訂正して、もっと完全なものにしたい、それをつくって、今後これを各省のいろいろの政策の基準にしてもらいたい、こういうつもりでやっております。
  170. 中村重光

    ○中村(重)委員 あなたのお答えではございますけれども、歴代長官のもとで、いまあなたがお答えになったようなことがほんとうに完全に実施されておるのか。必ずしもそうではない。縦割り行政の弊というものを除去しなさいと、私は宮沢さんにも申し上げた。非常にむずかしい問題だ、おっしゃるとおりだが、そうした強い権限を企画庁が持つということについてはなかなか問題があるのだということを率直にお答えになったことがある。たとえば干拓なんかの問題にいたしましても、その県そのものには県の発展計画の中において干拓は必要であろうが、全国的に見る場合に特定県に対して干拓が必要なのかどうかという問題もあったのですよ。あるいは工場誘致というものを特定の県においてやる、そのために積み立てなどをやっていく。ところが、その県だけの発展のためにはそれも必要であろうけれども、これまた全国的な立場に立って、はたしてそれが適当なのかどうかというそれらの点に対しては、私は総合的な立場から企画庁というものはこれに関与していく必要があると思う。ですけれども、現実には、お金を持っている大蔵省、それからそれぞれの担当省と地方自治体の間にのみ折衝が進められておるにすぎない。しいていえば、離島振興法がいわゆる総合主義のもとに立って予算の一括計上というような形式をとっておるのであって、この法律というものが、議員立法でありますが、非常によく働いておるというゆえんは——これを一つの指針として全般的な国策の樹立の上に立って、経済企画庁というものがもっと国土総合開発あるいは各種の国策上の総合調整というような役割りを果たしていく必要がある。答弁だけではなくて、実際にこれを実践していくということを非常に強く求めたいと思います。いろいろ具体的にそうした問題について申し上げたいのですが、時間の関係もございますから、いずれまた適当な機会にそれらの問題については見解をただしてまいりたい、こう思います。  そこで、いま離島振興ということに触れましたから、その点でお尋ねをいたしますが、離島というものが、振興法という法律の中におきましては、いわゆる高率の補助という形において振興されつつある事実は、これは認めるわけでございますけれども、たとえば、その離島なら離島の縦貫道路というものを国道にする、こういうことになってまいりますと、いわゆる国土の総合開発という点、離島振興という立場から大きな効果を発揮してくるであろう。離島といたしましては、主として農業であるとか、あるいは水産業という一次産業ではございますけれども、縦貫道路というものを国道にするという形において、その離島の産業の振興、離島の発展に寄与するところが非常に大きい。ところが、現在では、離島なるがために国道にするというわけにはまいらない、こういうわけで離島の国道というものはなかなかむずかしい。全然そういうところがないとは言わないのですけれども、具体的な問題として、これまた私は長崎の例をとるのでありますが、長崎に壱岐、対馬という島がある。この島は水産業としてはその発展性というものは非常に強い。特に韓国との関係の中において果たしておる役割りは非常に大きいわけです。同時に今度は、観光資源の開発という立場からもその果たす役割りは非常に大きい。ところが、縦貫道路というものが五十年来の島民の要望によって、まだ完成はいたしておりませんけれども、ようやく日の目を見ることになった。これを国道にするということは、これは私は絶対的な要件であると思いますけれども、これに対しては建設省も県道を国道に編入するということについては渋っておるということでありますが、これらの点についてはどう考えるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  171. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 いま離島の道路の整備の問題に関しましての御質問でございますが、私ども離島振興の事業を扱う者といたしまして、いろいろと実情を調べておりますけれども、確かに、離島の道路の現状を見まして非常に道路の整備がおくれておるという考え方でございます。今度の新しい全国総合開発計画お話で、先ほど大臣からお話がございましたが、こういう計画内容におきましても、特に離島について隔絶性を除去していくというような関係から、交通関係の施設整備をひとつ重点的にやりたい、そういう問題の一環として、たとえば架橋の問題でありますとか、あるいは島内道路の整備ということも進めてまいりたい。同時にまた、広域生活圏というようなことを考えておりますが、従来あまり対象となっておらなかった市町村道の整備などについて計画においては重点を置いていきたい。ただ、御承知のとおり、離島の道路の整備につきましては、国道、市町村道を問わず、四分の三という高率の補助が行なわれておりまして、その点では負担の関係で甲乙はないわけでありますが、何といいましても道路の格ということはやはり重要でありますから、今後全国的な目で再検討が行なわれると思いますので、そういった際に、離島につきましても、私どもは、現在の道路法のたてまえあるいは離島の現状というような点を彼此勘案いたしまして、できるだけこういう問題を推進してまいりたいと思っております。
  172. 中村重光

    ○中村(重)委員 蓑輪局長、私はこのことで具体的な問題としてお尋ねをするのですが、壱岐、対馬という島が御承知のとおり長崎県の離島であるわけですよね。そうすると、長崎県から佐賀県へ、それから福岡県へ、それから壱岐、対馬と、こう行く。ところが、今度は対馬の上からこれもまた航路でもって山口県、こういうふうに行くわけです。これは結ばれるわけですね。ですから、いま県道を国道に編入する一つの方針としてどういうことなのか、これを明確にしていただきたいのです。たとえば、重要港湾というものがその途中にあるかどうか、それから市があるかどうかという点、それらの点が一つの要件であるというようにいわれておるわけですね。ところが、いま私が申し上げましたように、離島というものは、その航路は陸の県道であり陸の国道であるという考え方の上に立つならば、やはり県と他の県とを結ぶ途中に離島がある、こういうことで、当然、私は、人口六万も七万もいるような離島の基幹道路というものは、国道にしていく要件というものが満たされておるんだ、またそれでなければ離島の振興というものにはならないんだ、こう思うわけです。そうした基本的な考え方についてはいかがですか。
  173. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 ただいまの県道を国道に昇格する場合の問題でございます。これは御承知のように、現在の道路法の五条で国道の要件がいろいろ書いてございます。ただいま先生のおっしゃいましたような、数市をつないで国のほんとうの縦貫、横断、循環する国道につなぐ、これが国道の条件になっております。現在国道が二万七千キロございます。ただ、このほかにも各地に、離島を含めまして、国道への昇格の要望が非常に多いわけでございます。いまいろいろ全国の道路網という観点——いまお話ししました道路法第五条の案件に適合することは当然でございますが、そういう全国の道路網という観点で国道網の検討をいたしております。これはやはり二十年も将来の、相当自動車がふえます時点での国道網と、いま考えます国道網とは多少違うかと思いますが、将来のあるべき国道網を考えまして逐次県道の国道昇格を実施していきたい、かように考えております。現在いろいろ離島の国道への昇格も含めまして検討中でございます。
  174. 中村重光

    ○中村(重)委員 検討中という以上は、それ以上のお答えはできないのかもしれませんけれども、これはいま申し上げた壱岐、対馬というのを、県と県とを結ぶ途中にある大きな離島として国道に編入する要件というものに欠けているというようにはお考えにならない、いわゆる要件は満たされておる、ただ問題はその時期である、こういうように理解をしてよろしゅうございますか。
  175. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 現在までの国道の中では、たとえば淡路島を通っておる国道二十八号線がございます。これはやはり本州の明石から、あそこのわずかな海峡でございますが、海を渡りまして淡路島に渡る国道になっております。そういう観点から見ますと、佐賀、長崎から壱岐に渡り、対馬に渡るということも不可能ではないと思います。その辺を全国の網と一緒に考えまして、周辺の人口なり生産の規模、そういうものを考えまして国道の基準をきめて逐次やっていきたいというふうに考えております。
  176. 中村重光

    ○中村(重)委員 その点はわかりました。不可能ではないという表現をお使いになりましたが、不可能ではないということは、裏を返せば可能であるということになるわけでございますから、私はそのとおりに理解をいたします。先ほど企画庁の宮崎局長のほうからも可能性についてお答えが実はあったわけですが、ともかく、あまりむずかしく押えていこうとするような考え方ではなくて、やはり離島を振興していく、ともかく本土民と離島民と——離島の経済力というものは非常に弱い。その所得水準はわずかに本土の六〇%でしょう。そして文化的にも非常におくれてきている。あとでお尋ねをいたしますが、医療の問題その他にいたしましても、いかに離島民が困窮しておるか、その離島を国道化することにおいてその産業の振興に大きく寄与していくことができるということになってまいりますと、人間尊重、社会開発という観点からも、万難を排してこれを国道化していく、こういう態度がほんとうの政治の姿勢でなければならぬ、行政のあり方というものも、あえて私は生きた行政というならば、そういう点でなければならぬと思うのですが、どうですか、もう少し積極的なお答えを……。
  177. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 離島振興のために道路が必要だということは、私も現地へ行ってきまして、ひしひしそれを感じます。ただ、国道の問題はやはり全国的に考えなければならないということもございます。また、離島につきましては、ただいま宮崎局長から話がありましたように、実際には四分の三、国道と同じような負担率になりまして、財政的な問題はないと思います。また、どっちにいたしましても、国道になるということが非常に地元民の希望であるとは思っておりますが、やはり道路を早くよくするということがまず第一に必要ではないかというふうに考えております。あろうと県道であろうと、離島のための道路の改良の推進をはかっていきたいというふうに考えております。  また、国道に昇格するかしないかは、もう少し全国的な規模で検討を進めたいと思いますが、やはりいま長い海を渡る場合のいろいろの問題がございまして、それも関係してなかなかいままで国道にならなかったのでございます。さらに全国の内地の国道がふえれば、そういうような障害もある程度は除くことも不可能ではないというように考えておりますし、国道昇格を含めまして離島の道路の振興ということに力を入れたいというふうに考えております。
  178. 中村重光

    ○中村(重)委員 具体的なことで申し上げたのですから、それじゃ、壱岐、対馬の国道編入ということについては、積極的な立場で、いわゆる前向きで検討する、こういうように了承してよろしゅうございますね。
  179. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 それでけっこうでございます。
  180. 中村重光

    ○中村(重)委員 それから、私は蓑輪道路局長にお尋ねをするのですが、いつかの予算委員会でも、私は、県道を国道に編入することについての基本的な方針というか、基準というものが明確でないから、これをひとつはっきりしてもらいたいということを申し上げて、そのとおりだというお答えをいただいたことがあるのです。そのときに、具体的な例として長崎県の西彼杵郡の道路の問題をあげたのです。いわゆる俗にいう内海線というのが、長崎と佐世保をつなぐという形で国道になっているのです。ところが、その国道以外に、大村を経由して行く国道というものがある。ところが、外海線というところは、天下の悪道であるといわれるくらいに道路が非常に悪い。ところが、その道路の価値というものは、長崎県における道路の重要性というものは、内海線と外海線はどちらにウエートがかかっているかというと、外海線にかかっている。いわゆる産業振興という立場からも外海線にウエートがある。それから、これは水産業、あるいは炭鉱は、御承知のとおり、大島であるとか池島などビルド鉱がある。それから観光、これは「明治百年」の中にも大きく取り上げられた観光資源というものもある。いろいろな点からして、当然この外海線というものが現状のような形で放置されておるということは適当ではない。これは循環道として早急に内海線と同じように整備をしていく必要がある、こういうことを強調したことがあるのでございますが、それらの点につきましてはどのようにお考えでございますか。
  181. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 ただいまの西彼杵半島につきましては、ただいま先生のおっしゃいました外海線の国道への昇格の要望もございます。この辺になりますと、全国非常に国道昇格の要望がございまして、約一万数千キロになっておると思います。やはりそうなりますと、全国的な地域の国道網の間隔、この辺を考えていかなければならないと思います。また、内地の国道昇格につきましては、現在の国道の中で、いまは一般国道になっております、前に一級国道と二級国道の差別がございましたが、二級国道の整備率といいますと、主要地方道よりちょっといいのが現状でございます。やはりそういうことも考えますと、要望どおりどれもこれも国道といたしましても、なかなか道路が整備されなければ、せっかくの地元の期待には反するということもございまして、現時点で国道昇格を考えると、ある程度しぼらざるを得ないというように考えております。あるいはまた、いろいろな水産関係で必要な道路につきましては、これは国道だから先にやる、県道だからあと回しにするというようなことではなくて、やはり必要な道路は必要な道路で整備していきたいというふうに考えております。
  182. 中村重光

    ○中村(重)委員 いずれにいたしましても、循環をしているのだから、循環道路として、たとえば、長崎県の例ばかり、ローカル的なことばかり申し上げるようですが、これはやはり一般論では抽象的になるから、私は具体論で申し上げているのですが、長崎県に南高来郡というのがある。これは島原半島を循環しているのですね。これは国道化している。それと同じような意味で、西彼杵半島というものが循環してきている。そして産業振興という立場からは、外海線というものがそのまま放置されてきておる。いまあなたがおっしゃるようなことで、直ちに国道に昇格するということについての問題が、これが振興についての絶対の要件ではないにしても、いずれにしても、いわゆる循環道路として早急に整備をしていかなければならないという考え方は持っておられるわけですね。
  183. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 いま先生のお話しになりました西彼杵半島の外海、西海線の問題でございますので、これもあわせまして、いまの奥地の開発のため、また、地方の現在の交通事情を勘案いたしますと、道路の整備は早急に必要になってくるものがたくさんございます。そういうものの中で、何を重点にするかにわれわれは非常に苦慮するわけでございます。やはりそういう地域の開発、また、現在の隘路の打開、こういうことは優先的に考えて整備をしていきたい。その中でいまの外海線をどう考えるかという問題でございます。これはやはり県のほうとも相談をいたしまして、一体どこの県道を重点に整備をしていくか、いろいろ県としての考えもあると思います。その辺を十分意見を聞きまして整備を進めていきたいというように考えております。
  184. 中村重光

    ○中村(重)委員 それでは時間もだいぶ迫ってまいりましたから、そのくらいにいたします。  それから、航路であるとか、あるいは航空路の問題についてお尋ねをしたいのですが、空港五カ年計画というものがある。これも具体的な問題をあげて申し上げますが、六、七万の人口を擁する離島で空港のない離島が全国にどの程度あるか、ひとつ航空局のほうからお答え願いたい。
  185. 鮫島泰佑

    ○鮫島説明員 たいへん申しわけございませんが、ただいま手元に資料を持っておりませんけれども、あまり多くはないはずだと私は思います。
  186. 中村重光

    ○中村(重)委員 宮崎局長、これは総合開発という立場からお尋ねをいたしますが、離島振興という点から航路と航空路というものはきわめて重要な役割りを果たすということは、これは言をまたないと思うのです。大臣、これも聞いておいていただきたいのですが、長崎の対馬に空港をつくらなくちゃならないというので、水陸両用機というのを実は対馬美津島町の竹敷というところにつくったのです。そのとき、県は、どうも水陸両用なんというものは全国にもあまり例がないのじゃないか、どんなものだろうかとあやぶんだのですね。ところが、航空局のほうで、いや大丈夫だ、こういうわけで、実は竹敷にいわゆる水陸両用機を飛ばすだけのものをつくった。ところが、水陸両用機なんというものは、いまはどうか知りませんけれども、日本全国でその当時どこか一カ所飛んでいるところがあった。もう何回か飛んだら故障してしまってだめなんです。とうとうこれは、一回か一カ月か、幾らかはっきり記憶いたしませんが、何か一億円か幾らか損害があった。それで廃止してしまったのです。それで、あの重要な島——これは委員長もこの間一緒に壱岐、対馬にも行ったのですが、空港がないのですね。それならば、ヘリポートをつくってヘリを飛ばしたらどうだというわけで、六百万円の起債を認めてヘリポートをつくらした。ところが、ヘリは旅客機としては認められていない。何というのですか、準旅客機というようなことで、これは航空局も非常に好意的に取り組んだことは事実なんですけれども、これは実は全然採算がとれないというので、これもまた、もうヘリポートをつくったまま、ただ団体が魚つりするとかなんとかに行くときに使っているときもあるということでございますが、そのままになっておる。こういうことではいけない。少なくとも国が空港をつくります場合は、全額設備費は負担をいたしますけれども、土地を提供するとか、あるいはその他いろいろな付属設備をするためには地元負担というものがある。そういうことで大きな犠牲を払わせながら、これを廃止してしまった。ところが、まだ今日に至るまでいわゆる陸上の空港というものをつくっていない。そのまま放置されておるというような現状で、島民の不満というか憤激というものは非常にきびしいものが実はあるわけですが、離島振興という立場から考えて、この人口六万も七万もあるようなところに空港というものをつくらなくていいものかどうかという点。それから航空局のほうからは、この空港をつくることについてどのようにお考えになっておられるのか、ひとつお答えを願いたいと思います。
  187. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 ただいま御質問にありましたとおりで、対馬の空港の問題、かなり長い懸案でございます。私どものほうでも、やはり離島の特殊性から見て空港の整備というものは非常に重要である、こういう観点からいろいろと検討いたしております。御承知のとおり、なかなか技術的にもいろいろむずかしい点がある、あるいは建設費等も非常にかさむというような状況もございまして、航空局のほうでもいろいろ専門的に御検討していただいておるわけでありますが、まだ具体的な計画が固まっていないという状況でございますが、先ほど新しい全国計画の観点で申し上げましたようなことで、これからの問題として、ひとつ前向きで考えてまいりたいと思います。
  188. 鮫島泰佑

    ○鮫島説明員 ただいま企画庁の開発局長からおっしゃっていただきましたことでございますけれども、御承知のとおりの非常に起伏の強い地形でございまして、陸上の飛行場をつくるのは非常に困難なところでございます。したがいまして、それの建設に非常に大きな事業費がかかるということだけでなくて、計画のよい悪いということが非常にその額を左右する、たいへんむずかしいところでございます。したがいまして、約二年ほど前から調査を開始しておりますけれども、特に一番問題となります工費を左右いたします地質調査につきまして、今年度と来年度にかけまして十分にこれをいたしまして、早急に計画を固めたいというつもりで進めているわけでございます。
  189. 中村重光

    ○中村(重)委員 まあ経済企画庁の宮崎さんの答弁としましては、これは一つのあり方としてのお答えでございますから、強力にこれを推進していただくということを強く求めること以外にありませんが、航空局はそうはまいりません。あなたのほうでは水力両用機を飛ばした。私は、それを飛ばす場合に、委員会で、現実的ではないと言った。だめなんだ。だめになったら直ちに別の方法を講じます——速記録を見られればわかりますよ。強引に水力両用機を飛ばすようにしたのです。ところが、今日、空港五カ年計画の中に入れてないのです。そうして調査費も昨年はつけてない。つけてないが、一般的な調査費の中から県に協力をするという態度をおとりになっておられるのでしょう。だから、四十四年度の中にははっきり調査費を対馬分として計上なさるお考え方であるかどうかということが一点。それから、調査というけれども、もう長い期間にわたって調査はしておられる。どの程度かかるかということはわかっておるはずなんです。だから、空港をいつごろつくるのか、もっと明確にあなたのほうではお答えにならなければいけない。私はいまのような抽象的な答弁では、少なくともここでは航空局は済まされない。はっきりお答え願いたい。
  190. 鮫島泰佑

    ○鮫島説明員 おっしゃることはたいへんよくわかるわけでございます。特に水上、陸上を問わず、過去に飛んでおりましたということは、島民の御不満の非常に強いものだということは十分承知しているわけでございます。  調査費の問題でございますけれども、これはおっしゃいましたとおり、実際につきました後にいろいろ実行の計画を固めてまいります。この対馬の場合につきましては、とにかく事業費を一番左右する大きな問題は地質でございます。それにつきましては、実は県の御協力を非常に賜わっているわけでございますけれども、今年度と明年度で大体の見当をつけられるのではないかと思っております。したがいまして、五カ年計画に入っていないということにつきましては、そういう基本的な計画も立っていない状態で五カ年計画に一つの空港としてのせるわけにはまいりませんけれども、当然、五カ年計画の中には調整項目というのがございまして、これは計画が固まり次第、それを取りくずしてやっていくことは可能なはずでございます。
  191. 中村重光

    ○中村(重)委員 それでは、来年度中にでも調査を完了し、いわゆる五カ年計画の中に入れる、そういう方針であるというように理解してよろしゅうございますね。
  192. 鮫島泰佑

    ○鮫島説明員 私どもの気持ちとしては、全くおっしゃるとおりでございます。ただ、一つ御理解いただきたいことは、航空事業の中でわれわれの扱っております空港の整備事業というのは、非常にふところの小さいものでございます。そのわれわれの整備事業の中でこの空港というのは相当に大きなパーセントを占めるほどの金額がかかるものでございます。したがいまして、われわれといたしましては、実は方々に御迷惑ばかりかけているわけでございます。したがいまして、私自身といたしましては、まず何よりもわれわれの事業の規模というものを拡大する、それを第一にすることによりまして——壱岐、対馬以外にも御迷惑をかけている点が非常に多いものでございますから、まず第一に全力を予算の規模の拡大ということに向けたいと思っております。その気持ちを御了解いただきまして……(「予算陳情だな」と呼ぶ者あり)はい、これはまじめに皆さんのお力をいただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
  193. 中村重光

    ○中村(重)委員 もっと端的にお答えになったほうがいいですよ。いずれにしても、対馬以外にも迷惑をいろいろかけている。対馬のように、航空局がみずから監督し、みずから指導して、そして航空局ベースで水陸両用の空港をつくって、それがだめになって、今日そのまま、人口六万五千もある島に空港をつくらない、離島振興に大きな阻害要因になっているというこの事実、そんなことをあちこちでもやっているんです。そんなでたらめなようなことで航空局の責任というものが果たせますか。私は対馬のような例はそうざらにはないだろうと思うのです。当然整備計画の中に入れる、そしてすみやかに空港をつくる、こういう決意でひとつ取り組んでもらわなければならない。  同時に、これもまたひとつ大臣に伺います。いまお聞きになってあなたも十分御理解になったと思います。当然、離島振興という立場から強力にあなたは推進をしてもらわなければならぬと思う。その点に対してはどのように大臣は取り組みをされますか。
  194. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 この対馬の離島のことについて、きょう初めて承ったのでございまして、私としてはこの知識を十分に持っておりませんが、いままでの経緯を聞きますと、かつて飛んだことがあるという経緯を聞きまして、その点においては、復活してあげるのが順序じゃないか、こう考えております。
  195. 小峯柳多

    小峯委員長 中村君、そろそろ結論にどうぞ。
  196. 中村重光

    ○中村(重)委員 結論に入りましょう。  最後になりますが、離島で一番問題は離島医療の問題です。医療従事者が少ない、こういうことで、離島の関係町村というものはたいへん苦労をしておる。厚生省もこれに対しましては適当な指導をし、また、それなりの、輪番的に国立病院等から出張させるといったようなことをやっておられるとは思うのでございますが、そういうどろなわ的なことではどうにもならない。やはり法的な整備をする必要があるならば法的整備をする、こういうことでなければならぬと思います。したがって、離島の医療対策ということについてどうお考えになっておられるのか。  特にまた、離島におきましては、血液が不足をする、こういうことから、たいへん問題等もかもし出しておるようでございまして、輸血が必要であるところの患者に対して十分な輸血をすることができないという実に悲惨な事例を耳にするわけでありまして、これらの点に対しては、この後どういう態度で臨まれるのか。  それから、私は対馬のことを申し上げましたが、ここでも申し上げますけれども、あの対馬に眼科がない、精神科もない。特に海に面しているところは目が悪くなる。あの対馬に眼科がないということを今日まで厚生省は知っておられたのか知っておられないのか、これを放置している。こういうような無責任な態度では私は許されないと思います。  したがって、この離島の医療対策ということについて、この後どういう態度でお取り組みになるのか、いまの眼科の問題等も含めてひとつお答えを願いたいと思います。
  197. 上村一

    ○上村説明員 お答え申し上げます。離島の中で、私どもの調べでは、無医地区と考えられますものが全国で百三十ばかりございます。こういった無医地区につきましては、御案内のように、昭和三十一年度から、診療所をつくりましたり、あるいは自動車を整備いたしましたり、離島なんかの場合には、患者の輸送艇であるとか、あるいは巡回診療船というものを整備してまいったわけであります。それで、四十二年度末までに私どもの対策として進めてまいりましたものは、離島につきまして診療所が七十五カ所ばかり整備されたわけでございます。ただ、離島の場合一番問題になりますのは、こういった物的な施設の整備よりも、その根底になります医療関係のスタッフの確保でございます。なかなかむずかしい問題でございまして、私どもも苦慮しておるところでございますが、一つは、最近の傾向といたしまして、医療需要が非常に上がってまいりましたし、それから医療の各分野で専門分化が進んでおりますので、全国的に医師が足らない。離島であろうと、山村であろうと、都市であろうとを問わず、医師が足らない。それが一つございます。そうして、その足らない中で特に地域的に偏在があるわけでございます。都道府県別に見ましても、あるいは都道府県の区域の中で見ましても、離島あるいは山村といったようなところは、生活環境も悪い、患者数も少ない、あるいは医師の研究の機会がないというふうな事情もありまして、なかなか行きたがらない。  そこで私どもいまやっておりますことは、まず根っこの医師数をふやしたいということで、文部省とここ数年来話し合っておりますけれども、三十七年、医学部の定員が二千八百名ばかりでございましたのが、ことしは四千名近くまでふえてまいっております。ただ、これは養成に十年近くかかるものでございますから、これまで増員してまいりましたけれども、なかなか急場の間に合わない。  もう一つは地域的な不足対策でございますが、一つは、そういった僻地の診療所につきまして、人件費を含めました赤字の補助というのをここ十年来進めてまいってきております。もう一つは、四十二年度からでございますけれども、国立病院に僻地医療に協力するスタッフを確保できる予算を組みまして、四十二年度は、特に長崎、鹿児島といった、離島をかかえた県と協力いたしまして、そういった地域の医療需要を満たすために派遣いたしております。四十二年は半年分でございましたから、十月からの実績でございますが、たとえば鹿児島なんかの場合には、離島の十二の診療所で延べで約九百人ぐらい医師の派遣をいたしてきております。こういった対策というのはこれからも引き続いて私ども伸ばしてまいりたいと考えております。  それから、対馬に眼科と精神科がないというお話、恐縮でございますが、いま初めて承ったような事情でございます。この眼科、精神科と申しますのは、全国的にはなはだ不足しておる診療科に属する医師でございます。離島なんかの場合には、最初に要求されますのは、内科なり外科といった、相当幅の広い分野が担当できるお医者さんでございます。したがいまして、眼科といったものは、とりあえずの措置といたしましては、巡回診療等を行なう場合に、そういったスタッフの少ない診療科の医師を団員に加えてやっていく方法しか、さしあたってはとれないのではなかろうかというふうに考えております。  それから、血液の問題につきましては、担当課長が参っておりますので……。
  198. 中村重光

    ○中村(重)委員 時間がありませんから、いいです。  では、最後に締めくくりに大臣のお答えを願って終わります。  先ほど大臣は、空港の問題について、復活できるものなら復活したらよろしい——復活できるようなことなら問題はなかった。復活ができないということで、廃止という形に実はしたのだと思う。しかし、これは私の聞き間違いだったかもしれません。復活ということばはそういうふうに聞きとれたけれども、また違ったら言い直してください。  それで、水陸両用で完全に飛ぶような飛行機があるのだったら、それは私も復活していいと思う。いずれにしても、すみやかにこの空港をつくる義務がある、責任が私は運輸省航空局にあるのだと思う。また経済企画庁も、離島の振興、国土の総合開発という立場から強力にこれを推進をしていかなければならない。それもまたあなたのほうの任務だというふうに私は考えるわけです。  もろもろのことを申し上げましたが、いずれにいたしましても、このおくれている地域がそのまま放置されている。ただ離島振興法という議員立法によるこの法律が有効に働いておるので、高率補助によって幾らかでも離島というものは公共事業を中心に振興していることは事実なんでございますけれども、いま私がもろもろの指摘をいたしましたように、医療の問題等を中心にして非常におくれておる。これではいけないのだから、決意も新たにひとつ経済企画庁としてのいわゆる国土の総合開発、それから政策の調整という立場から対処してもらいたい。特に手腕、力量ともに富むところの宮崎局長がおられるわけなんだから、こういう点については、あなたには格段の取り組みをしてもらわなければならない、こう思います。  実はきょうは国際経済協力に関する基本的な政策、計画ということで、インドネシアの援助の問題を私はお尋ねしたかったが、時間がありませんので、きょうはこの質問はやめて、あらためてお尋ねをすることにいたします。  この際、私の質疑をいたしました問題点について、いまひとつあなたの決意を伺ってみたいと思います。
  199. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 私どもの仕事は、やはり全国を一様に観察して、たとえば経済発展であれば経済発展の、全国民がやはりその利益を均てんして受けるという立場から総合国土開発を計画しておるのであります。それは経済に限らず、他の厚生その他教育についても同じことだと言えると思います。その意味において、離島が特別におくれておるということは事実であります。幸い皆さんのお力によって離島振興法が制定され、またいままで離島振興のための経費も相当出したと私は思っておるのでございますが、この上とも足らざるところは補って、ひとつ今後本土並みの生活ができるように努力したい、こう考えております。  それから、先ほど飛行場のお話がありましたが、いままで飛んでおったものがやんだということについても、まことに御同情すべき点がある、そういう点で復活さしていきたいものだということを私は申し上げた次第であります。
  200. 小峯柳多

    小峯委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後四時十五分散会