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1968-12-18 第60回国会 衆議院 建設委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和四十三年十二月十日)(火曜日) (午前零時現在)における本委員は、次の通りであ る。   委員長 加藤常太郎君    理事 金丸  信君 理事 砂原  格君    理事 丹羽喬四郎君 理事 森下 國雄君    理事 岡本 隆一君 理事 佐野 憲治君    理事 内海  清君       伊藤宗一郎君    池田 清志君      稻村左四郎君    浦野 幸男君       大野  明君    仮谷 忠男君       佐藤 孝行君    澁谷 直藏君       正示啓次郎君    田村 良平君       葉梨 信行君    廣瀬 正雄君       阿部 昭吾君    井上 普方君       石川 次夫君    島上善五郎君       下平 正一君    福岡 義登君       渡辺 惣蔵君    吉田 元久君       小川新一郎君    北側 義一君     ――――――――――――― 昭和四十三年十二月十八日(水曜日)    午前十時三十六分開議  出席委員   委員長代理理事 金丸  信君    理事 砂原  格君 理事 丹羽喬四郎君    理事 森下 國雄君 理事 岡本 隆一君    理事 佐野 憲治君 理事 内海  清君       伊藤宗一郎君    池田 清志君      稻村左四郎君    大野  明君       仮谷 忠男君    佐藤 孝行君       正示啓次郎君    田村 良平君       葉梨 信行君    廣瀬 正雄君       阿部 昭吾君    井上 普方君       石川 次夫君    福岡 義登君       吉田 元久君    小川新一郎君       北側 義一君  出席国務大臣         建 設 大 臣 坪川 信三君  出席政府委員         建設政務次官  渡辺 栄一君         建設大臣官房長 志村 清一君         建設省計画局長 川島  博君         建設省都市局長 竹内 藤男君         建設省河川局長 坂野 重信君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君         建設省住宅局長 大津留 温君  委員外出席者         大蔵省理財局国         有財産第一課長 上国料 巽君         専  門  員 曾田  忠君     ――――――――――――― 十二月十日  土地価格抑制のための基本的施策に関する法  律案内海清君外一名提出、第五十八回国会衆  法第二〇号)  急傾斜地崩壊による災害防止に関する法律  案(内閣提出、第五十八回国会閣法第九七号) 同月十六日  都市計画街路放射第十一号線の事業促進に関す  る請願島上善五郎紹介)(第一四六号) 同月十七日  特別不動産鑑定士及び同鑑定士補試験に関する  請願塚本三郎紹介)(第三八一号)  能代川分流案反対に関する請願石田宥全君外  一名紹介)(第八五五号)  町田市鶴川駅周辺都市改造区画整理事業の撤回  に関する請願長谷川正三紹介)(第八五六号)  鎌倉市今泉滝ノ入地区特別保全地区指定に関  する請願小泉純也君紹介)(第八五七号)  都市計画法運用に関する請願増田甲子七君  紹介)(第八五八号)  都市計画街路放射第十一号線の事業促進に関す  る請願鯨岡兵輔紹介)(第八五九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十二月十七日  九州縦貫高速自動車道建設促進に関する陳情  書外一件  (第一六二  号)  国道二号線バイパスの建設促進に関する陳情書  (第一六三号)  中国縦貫自動車道建設に伴う関連公共事業の推  進に関する陳情書  (第一六四号)  大川、竹田両市間主要県道国道昇格に関する  陳情書外一件  (第  一六五号)  公営住宅入居収入基準引上げに関する陳情書  (第一六七号)  公営住宅法改悪反対に関する陳情書  (第一六八号)  都市計画推進に関する陳情書  (第一六九号)  公共用地確保等に関する陳情書外一件  (第一七〇号)  新宿御苑北東側車道計画に関する陳情書  (第一七一号)  淀川水系治水事業促進に関する陳情書  (第一七二号)  水資源開発公団営施設管理費国庫負担に関す  る陳情書  (第一七三号)  東京湾地域規模開発計画実施促進に関する  陳情書  (第一七四号)  流通センター建設促進に関する陳情書  (第一九七号)  江東地区開発促進に関する陳情書  (第二〇五号)  道路災害防除事業費国庫補助増額に関する陳情  書  (第二〇六号)  明石鳴門架橋促進に関する陳情書  (第二〇七  号)  同  (第二七三号)  河川清掃浄化に関する陳情書  (第二七二号)  公共事業等推進に関する陳情書  (第二七四号)  九州横断高速自動車道建設促進に関する陳情  書  (第二七五号)  山陽高速自動車道建設促進に関する陳情書  (第二七六号)  水資源開発利用に関する陳情書  (第二七七号)  宇和島須崎線国道昇格に関する陳情書  (第二七八号)  市町村道整備事業に対する財源措置に関する陳  情書  (第二七九号)  国道五六号線の改修整備に関する陳情書  (第二八〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  建設行政基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 金丸信

    金丸(信)委員長代理 これより会議を開きます。  本日は委員長が所用のため出席できませんので、委員長の指名により、私が委員長の職務を行ないます。  国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。  建設行政の実情を調査し、その運営を適正ならしめるため、本会期中において、  一、国土計画に関する事項  二、地方計画に関する事項  三、都市計画に関す事項  四、河川に関する事項  五、道路に関する事項  六、住宅に関する事項  七、建築に関する事項  八、建設行政基本施策に関する事項 につきまして、小委員会の設置、関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により調査を進めるため、衆議院規則第九十四条により、議長承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。
  3. 金丸信

    金丸(信)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたします。  なお、議長提出する国政調査承認要求書の作成及び手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 金丸(信)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたします。      ————◇—————
  4. 金丸信

    金丸(信)委員長代理 この際、去る十一月三十日建設大臣に就任されました坪川信三君から発言を求められております。これを許します。坪川建設大臣
  5. 坪川信三

    坪川国務大臣 御審議をいただくに先立ちまして、一言皆さまにお礼、お願いのごあいさつを申し上げさせていただきたいと思います。  このたび、はからずも建設大臣の重職を仰せつかったわけでございますが、まことにその任の重きを痛感いたしますとともに、使命のきびしさを深く心に銘じておるような次第でございます。  御案内のごとく、建設行政に関しましては私全くずぶのしろうとでございますとともに、至らない数々のことを考えるときに、幸いにいたしまして、委員長並びに委員各位の限りない御協力、また豊富な見識をお持ちいただいております委員皆さまの御叱正、御鞭撻を仰ぎながらその職責に全身をささげたいと思う次第でございますので、何とぞ委員長はじめ委員皆さまの今後限りない御協力、御叱正、御鞭撻を賜わらんことを心よりお願い申し上げる次第であります。  就任いたしましてもう二週間をこえてまいりましたが、その間つくづく感じますことは、わが国土開発の基盤たる建設行政がいかに重大であるか、また、国土改造の大きな転換期にきておることなどを考えますときに、科学技術の革新によってわが民族の人間性がいかに喪失されておるか、その人間性につながる建設行政使命倫理感のいかに重大であるかを痛感いたしておるような次第でありますが、私はこの気持ちの上に立って、皆さまの御指導を仰ぎながら今後建設行政に専心、全身をささげながら努力をいたしたいと思う次第でございますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。  具体的に申し上げますと、大幅な国土改造期に臨みまして、建設行政の衝に当たることになりましたが、建設行政使命は、国民生活の安定と向上をはかるため、住宅都市河川道路等に関する各般施策を通じて、社会資本を充実させ、住みよい国土建設することにあります。このためには、国民要望に十分こたえる施策が講ぜられなければならないと考えます。  まず、住宅に困窮する国民要望にこたえまして、一世帯一住宅実現目標住宅建設五カ年計画の積極的な推進をはかっておりますが、特に、都市においては、職住近接原則として、土地合理的利用と環境の改善をはかるため、住宅高層化等促進する考えであります。  また、低所得者に対する公営住宅建設促進管理適正化をはかるため、公営住宅法改正を行なう考えであります。  次に、都市の健全な発展と秩序ある整備をはかるため、さきの国会において御審議をお願いし、成立を見ました都市計画法の適正な運用により、道路下水道、公園、河川等の主要な都市施設計画的かつ先行的な整備をはかる所存であります。  また、既成市街地土地の合理的かつ健全な高度利用都市機能の更新とをはかるため、都市開発法案を次の国会において御審議をお願いいたしたいと存じます。  いまや国民的課題であります土地問題につきましては、公共優先観点から、総合的な徹底した土地対策が強力に実施されなければならないことは言うまでもございません。  異常な地価の高騰を抑制し、土地有効利用をはかるため、去る十一月二十六日地価対策閣僚協議会において決定され、同日閣議了承されました地価対策の新しい方針に従いまして、地価公示制度の確立、土地税制改善、宅地の大量かつ計画的供給等一連土地対策を強力に推進してまいる所存であります。  次に、国土保全河川流域開発等をはかるため、本年新治水事業五カ年計画が発足したので、新たな目標に即して、事業量を伸ばし、積極的な推進をはかる所存であります。  なお、第五十八回国会より引き続き御審議をお願いいたしております急傾斜地崩壊による災害防止に関する法律案成立をまって、人命財産保全措置の強化をはかりたいと考えております。  最後に、交通需要の増大に対処し、国土の均衡ある発展をはかるため、道路整備五カ年計画を積極的に推進し、特に、国土開発幹線自動車道建設事業一般国道及び地方道整備を強力に促進する考えであります。  さらに、交通事故の多発にかんがみ、交通安全施設整備をはかるための、新三カ年計画を定めまして独力に推進する所存であります。  以上、建設行政各般にわたり、所信の一端を申し述べましたが、その使命の重大であることを深く銘記し、国民の意を体し、きびしい倫理感をもって建設行政に微力を尽くす所存でありますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手
  6. 金丸信

    金丸(信)委員長代理 次に、建設政務次官渡辺栄一君から発言を求められております。これを許します。渡辺建設政務次官
  7. 渡辺栄一

    渡辺政府委員 お許しをいただきまして、一言あいさつを申し上げます。  今回、はからずも建設政務次官を拝命いたしました。まことに非才でございまして、その器ではございませんが、幸い委員長はじめ委員皆さま方の御指導をいただきましてこの責務を果たしてまいりたいと思っております。今日まで委員の一人として何かとお世話になってまいりましたが、今後は格別の皆さんの御鞭撻を賜わりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)      ————◇—————
  8. 金丸信

    金丸(信)委員長代理 建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。岡本隆一君。
  9. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 大臣にはこのたび非常に重要な地位についていただきまして、まことにおめでとうございます。長らく福井の市長もしておられまして、福井市はあの当時としては下水道計画であるとか相当りっぱな都市計画を進めてまいっておられました。したがいまして、そういうふうな、非常に先のよく見える、何と申しますか、先行的な識見を豊富に持っておられる大臣のことでございますから、大いに私ども期待いたしておりますので、ひとつがんばってやっていただきたいと思う次第であります。  きょうは、先ほど大臣から建設行政の基本的な考え方について御説明をちょうだいいたしましたが、それにつきまして、前の保利建設大臣時代からいろいろ懸案事項がございます、もちろん、それについて引き継ぎをしていただいておると思うのでございますが、念のためにそれらの問題点について一応大臣のお考えを伺いつつ、また建設委員会の議論の方向というものを十分認識していただいて、今度の国会に出されるいろいろな法案整備に役立つことができたらと思ってお尋ねをいたしたいと思います。  まず一番大きな問題は、何といっても都市計画法であります。都市三法として先国会でもって都市計画法都市開発法建築基準法の三法が出てくるという予定でございましたが、建築基準法はとうとう芽を出さずじまいでございましたし、それからまた、都市開発法も提案をされましたが廃案になり、都市計画法だけが成立をした、こういうことでございます。そこで、明年の六月から都市計画法が実施されるということでございますが、まだ政令その他の整備のさなかにあるというふうに承っておるのでございますが、大体都市計画法が六月に実施されますと、いつごろまでにどの程度の都市都市計画を立てさせて実施段階に入らせるのか、そしていつごろ大体全国的な規模においてどういうふうな都市都市計画法実施の対象になるのか。このことは、全国の市町村が、都市計画法自分たちの町との関係というふうな点でどうなるのかということで非常に大きな関心を持っておるわけでございますので、その点をひとつ明らかにしていただきたいと思うのであります。
  10. 坪川信三

    坪川国務大臣 岡本委員より友情に満ちた励ましのおことばをちょうだいいたし、心からお礼申し上げます。  御指摘になりました都市計画法が本年おかげさまで議決をいただきましたが、その施行につきましては、政令及び省令等については、明年の六月に予定される新法の施行までにできるだけ早い機会にこれを制定するよう準備中であります。とともに、市街化区域設定及びその整備については、都市計画中央審議会に諮問し、先月その答申を得ましたので、その答申の趣旨を尊重いたしまして新都市計画法施行を進めたいと考えております。また、御指摘になりましたこの市街化区域の規定の基準等については、答申に示されました内容政令に定める考えであり、また、その設定も、答申にもあるとおり、首都圏近畿圏中部圏既成市街地及び近郊地帯、並びに札幌仙台広島福岡北九州の大規模中枢都市について、できるだけ早期区域設定が行なわれるように準備を進めているような次第であります。
  11. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 その「できるだけ早期に」というのがもう少し具体的でありませんと、たとえば市街化区域につきましては、これは都市計画法に基づくところの——いわゆる既成市街地市街化区域になるということは当然考えておられると思うのであります。しかし、近郊整備区域、そのあたりは一体いつごろまでに市街化区域調整区域との区分をしなければならぬのか。市街化区域になるか調整区域になるかということは、財産権内容にも非常に大きな影響をもたらしてまいりますので、だから自治体でもこの線を引くのが相当むずかしいのですね。そのむずかしい問題をいつごろまでに作業を終わらせるのか、やらなければならぬのか。また、われわれの観点から申しますなれば、できるだけ早くこれをやらせることが地価安定の道なんですね。だから、そういう意味では、われわれはできるだけ早くやってもらいたいと思うし、向こうでは、困難な作業だからそうは簡単にいかない、たいへんなことになってきた、こう思っておるのでありますが、その点、都市周辺ではいつごろまでに、あるいはまた、地方都市ではいつごろまでにとかいうふうなことですね、そういうふうな計画をある程度はっきりさしておいていただきたいと思うのですが、もし大臣まだこまかい点まで事務当局との打ち合わせがついておりませんでしたら、事務当局の腹案のようなものでもけっこうでございますから、局長からでもちょっと聞かしておいていただきたいと思います。
  12. 坪川信三

    坪川国務大臣 恐縮ですが、政府委員から答弁させます。
  13. 竹内藤男

    竹内政府委員 私ども作業目標と申しますか、現在、都市計画法普及段階を終わりまして、具体的に市街化区域調整区域設定をどうするかということで、県と建設省あるいは首都圏近畿圏中部圏というようなところで打ち合わせを進めております。その作業目標といたしましては、首都圏近畿圏中部圏の、ただいま大臣の申されました既成市街地近郊地帯、いわゆる通勤圏と申しますか、そういうようなところは最優先にしなければならぬ、それからまた、仙台札幌広島福岡北九州といった大規模中枢都市、これはそこだけではございませんで、その周辺を含みますけれども、そういうふうなところについてもかなり優先的に市街化区域設定をお願いしなければいかぬだろうということで、いま申し上げましたところにつきましては、大体都市計画法施行までに事実上の準備を終わって、そして施行になりましてから法律上の手続に入る。法律上の手続は大体三月ぐらいかかると思いますので、大体九月を目標作業をいたしておる次第でございます。  それから、それ以外の都市につきましては、答申にもございますように、大体考え方といたしましては、ただいま申し上げましたもの以外では、新産業都市とか、あるいは工業整備特別地域とか、あるいは首都圏近畿圏中部圏都市開発区域というようなところと、それから人口十万以上の都市人口増加が著しい都市というようなものを政令で規定いたしまして、市街化区域調整区域設定をしていただこう、こういうふうに考えております。大体いわゆる太平洋ベルトというのは、特別に山などがあるところは別にいたしまして、こういうような基準市街化区域調整区域設定するとすれば大体つながってくるというふうにわれわれは考えております。こういう都市の中で、先ほど申し上げました特に急ぐ都市以外の都市につきましては、来年度末を目標作業を進めております。こういう都市の中で、非常に地元が熱心なところと、まだそれほど熱心でないというところがございますので、その辺の調整をしながら作業を進めてまいりたい、こういうふうに考えているわけであります。
  14. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 都市計画法が一番大きなねらいとしたのは——少なくともこの委員会では地価の安定ということを一番大きなねらいにしておったわけでありますが、それにあわせて建設省側は、われわれもちろんでございますけれども都市の合理的な形成をやらせるという、この二つが一番大きな柱でございますが、それに必要な措置として、税制改革建築基準法改正の問題があるわけですね。そこで、税制改革については従来からすでに手をつけられておりながら、いろいろな勢力の反対があるものでありますから、なかなか思うようにいかないということでございますが、今年度は政府としてはどういうことに方針がなっておるのか。いままでは譲渡所得税でもって取っていこうというふうな、流通過程についての課税考えられておったわけであります。しかしながら、流通過程だけではそうはうまくいきませんよ、どうしても保有課税をやらないとだめだ、たとえて言うなれば、固定資産税とか都市計画税であるとかいうふうなものを強くかけることによって、いわゆる空閑地税もしくは土地利用促進税という形のものを実施しなければだめだ、こういうふうなことも言われておるのでございますが、ことしの政府方針は、両者を兼ね合わせて行なわれるのか、あるいは流通過程に対する課税だけでいかれるのか、また、保有課税をこの際きちっと思い切ってやられるのか、その点についての政府方針を承らしていただきたいと思うのであります。
  15. 川島博

    川島(博)政府委員 土地税制に関しましては、御案内のように、本年の七月二十六日の税制調査会の総会におきまして答申が決定をされたわけでございます。内容につきましては先生すでに御存じのところと思いますが、地価対策としての税制目的は何かということは、まず土地利用供給促進が第一、それから投機的土地取引抑制、これが第二、土地値上がり利益社会還元、この三つの目標考えられるわけであります。これらの目標を達成いたしますために今後改善すべき土地税制といたしましては、答申によりますと、まず個人譲渡所得課税改善、これは、短期保有土地譲渡については重課し、長期保有土地譲渡については当面軽課し、逐次税率を上げていく、こういう内容でございます。それから資産につきましては、事業用資産居住用資産ともに買いかえ制度原則として廃止する、特定の政策目的に資するものだけを例外的に残そう、個人居住用財産については、一千万円の特別控除だけを残してあとはやめる、こういう内容でございます。それから、これは譲渡あるいは買いかえの問題でございますが、保有課税につきましては、当面固定資産税都市計画税の扱いが問題になるわけでございます。これにつきましては、固定資産税は次の評価時期が昭和四十五年が予定されておりますから、その際には評価適正化を実施すべきであるという内容でございますし、都市計画税につきましては、現在御承知のように千分の二の制限税率課税が行なわれておりますが、これが若干低過ぎるのではないかということから、この制限税率はある程度引き上げるべきだという内容になっておるわけでございます。保有課税につきましては、固定資産税都市計画税のほか、空閑地税が議題にのぼったわけでございますが、空閑地税創設につきましては、基本的方向としては賛成であるけれども空閑地税をかける前提要件である土地利用計画がいま少し詳細なものがほしい、そういったものを踏まえた上で空閑地税は実施すべきだ、こういう内容答申になっておるわけでございます。  私ども建設省といたしましては、この税制調査会答申は来年度から完全に実施してほしい、さらに、空閑地税創設についても、所要の補足的な措置と並行いたしましてこの実現努力をしてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  16. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 従来から、空閑地税をかけることによって土地利用促進せよという意見に対しまして、土地利用区分が確立しなければだめだというので、その土地利用区分を確立させるためにわれわれは都市計画法協力して成立さしたわけですね。そうするとまた今度は、それではだめだ、さらにもっとはっきりした用途地区区分をはっきりさせるようにしませんとそうはいかないんだ、こういうふうなことが大蔵省やあるいは土地保有者の間から出てきて、また一つ注文がついてきた。だから今度は建設省はそれに対してまた別段の措置をやらないことには、空閑地税といった形の土地利用促進はどうやら制度としてうまく実を結びそうにないというので、作業をある程度急いでおられるというふうなことも、新聞を通じて知っておるのでございますが、それは一体どういう構想なのか、そしてまた、そういう点について、いわゆる課税をする側は、これは大蔵省であり、同時に自治省でありますが、それらの役所との間にはどういう話が進んでおるのか、その点をもう少しわかりやすく説明をお願いしたいと思います。
  17. 川島博

    川島(博)政府委員 土地税制によりまして土地の供給ないし利用促進させようというため保有課税を強化するということは、一般的に有効な方法かと考えられます。しかし、その中で具体的に何税をどの程度にするかという問題は、保有課税全般としまして、単に空閑地税だけでなく、固定資産税都市計画税あるいはその他の新税もいろいろ考えられるわけでございますが、そういったものの全体の課税が供給の促進に役立つようにいたす必要があるわけでございます。たとえて申しますと、現在、固定資産税調整措置によりましてかなり安い税金が課されているわけでございますが、これはある程度適正評価をし適正課税をすれば、やり方いかんによっては私どもはやはり空閑地税の効用をそれによって果たすことも可能である、また都市計画税にいたしましても、改善のやり方によっては当然空閑地税と同じような効用も果たし得るじゃなかろうか。ですから、土地利用促進をはかるための税制は、空閑地税だけが万能なわけではございませんで——しかしながら、従来からのいきさつから申しまして、そう固定資産税なりあるいは都市計画税で供給の促進に目立って効果のあるような改善措置を直ちに加えるということはなかなかむずかしゅうございますので、大都市周辺の特に宅地需給の逼迫した地域におきましては、新しい税によって供給を促進するということも当然考えるべきじゃなかろうか。ただ、税制調査会から御摘摘を受けましたように、土地利用計画についていま少しく詳細な検討がほしいということでございますので、現在省内におきましては、この市街化区域内におきましてこの公共施設等の整備が進みまして、当然ここは遊ばせておいては困る、また遊ばせておくにひとしいようなきわめて低利用では困るというような地域をはっきりときめまして、その中では少なくとも所有者にある程度土地高度利用する義務を課する、そういった地域におきましてなおかつ遊ばせている地主には空閑地税を課する、こういう体系の新しい立法措置が必要ではないかということで、ただいま検討を続けておる段階でございます。
  18. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 そういたしますと、今度の新しい建築基準法の中に用途区分がございますね。それを適用することによってもうそういうふうな区分はすでに十分である。だから、各自治体が都市計画を持つ、そうしてまた基準法上によるところの——今度は六段階になるのですか、その基準法の区分によるところの、たとえば工場地域であるとか、あるいは住宅専用地域、それも一種、二種というふうに分けておりますね、あるいは高度利用すべき地域というふうな指定をいたしますね、そういうふうな地域として指定されれば、そこは当然もう市街化地域の中の住宅地域ということになっておるのでありますから、したがって、そういうところについては、遊ばせておけば、当然そこはだんだん高率の固定資産税がかかってくる、漸進的に遊ばせておく年数が長くなればなるほど税率が高くなっていくという固定資産税をかけていけば、それによって空閑地税的構想は十分満たされると思うのでございます。だから、今度の建築基準法整備によって、もう一つの別の法律をつくらなくても十分その目的が達せられる、私はこういうふうに思っておるのであります。とにかく私の意見は、流通過程に税金をかけたって、それはなかなかうまくいかない、それよりも保有に対してかけなければだめなんだということを前から言っているわけなんですね。ところが、その保有に対して課税するということについての抵抗がきついですね。そうして何のかのと言いながら——岡本君、そんなことを言ったって、とにかく土地利用制度を確立せにゃだめじゃないか、だから都市計画法ができるまではそれはだめだということで、それなら協力しようといって、都市計画法にわれわれはずいぶん協力いたしました。ところが、それができてみると、まだやっぱりだめだ、もっと用途区分を確立せよ、こういうふうなことを言って、一つ問題が片づけばまた一つ注文をつけてくる——ということが一つの抵抗なんですよ。だから、その抵抗を突き破ってもらわなければだめなんですね。これは大臣にお願いなんですが、実際土地保有者地価抑制についてのものすごい抵抗があって、それをどうして突き破るかということがこの建設委員会の一同の強い念願なんですね。それがなかなか突き破れないのです。だから、そういう意味で、相当建設省も強腰で臨んでもらわなければ困るし、また大臣も、地価安定閣僚協議会ですか、というふうな——地価問題というのはそれほど重要な問題を持つところまで今日政府でも認識が高まってきておるのだが、なかなかその壁が突きくずせないというのが今日の現状なんですね。だから、そういう意味で、私はもう機は熟しておると思いますので、きょうは議論するということよりも、大臣へ、次の来国会に出していただく諸法案あるいは来国会に臨んでいただく施策の基本的な態度ということについての御注文を申し上げるということでございますので、建設委員会は、いまは住宅問題は土地問題なんだ、その土地問題を解決するために都市計画法成立さしたのだから、その都市計画法をさらに実を結ばせるためにはどういう施策を打つべきかということがいま一番重要な課題に建設省としてはなっておるし、われわれもそういうことであれば全面的な御協力をするつもりでございますので、その点ひとつ大臣に十分な認識を持ってがんばっていただくようにお願いをいたしておきたいと思います。
  19. 坪川信三

    坪川国務大臣 お答えいたします。  最も大事な都市計画推進並びに住宅建設優先いたすものは、いま岡本委員指摘のとおり、この地価対策土地の問題であろうと思うのであります。したがいまして、おかげで通過いたしましたこの法案に引き続きまして、いま御指摘になりました点を十分意を体しながら、今後の具体的方法を進めてまいりたい、こう考えておる次第でありますので、よろしくお願いいたします。
  20. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 数日前でございますけれども科学技術庁の資源調査会で「大都市地価・地代形成理論とその応用に関する報告」というのを発表いたしております。新聞でも出ておりましたし、また、それを科学技術庁からもらって目を通したのでございます。その本文はわりあいに分厚いですが、それの要約、ダイジェストというのですかはほんの薄っぺらなものでございますし、ぜひこれに目を通していただきたいと思うのです。  これの作業の結論的なものは、流通過程課税をしても、地価は上がるだけで抑制されない、地価というものは、土地をほしい人、だから住宅に困って自分のうちを持ちたいと思っている人の支払い可能限度、どこまで地代が出せるかという限度額でもってきまっていくのだ、だから、都心から一時間半から二時間で通勤可能なところで、そしてそれらの通勤者が支払い得る最大限度の金額でもって地価はきまっていくから、交通機関が発達してバスが通えば、そのバスが通うようになったところは、すぐ二、三万は上がってしまう、あるいは急行ができて早くなれば、二時間以内で通勤可能になってくれば、そこはもうすぐに二、三万は上がっていくというふうな形で、地価というものはとにかくそういうふうな支払い可能限度というものが限界になって上がっていくのだというふうな結論を出しておるわけなんです。だから、土地というものは売り手相場であって、しかも持っておる人は、その一時間半、二時間以内の通勤可能な範囲の中にたくさんの空地があるわけですね。そのたくさん遊んでおる空地——それは農地として使われておりますが、そういうふうなところは、一番外から順繰りに、だんだん富士山のすそ野から上が高くなっていくように、都心にいくに従って高くなっていくけれども、その間に土地を持っている人は、すでに一部を売ってアパートを建てたり、あるいはおやじさんはもう働きに出て兼業農家になったりして、別に土地を売る必要はちっともなくなってきている、だから、じっくり値上がりするのを待っておれば、しかも利息よりも地価の値上がりのほうが大きいから、だからよけい待機してじっと待っておるというようなことで、とにかくそういうふうないろいろな地価の構成の過程を観察していくと、結局、保有に対して課税する以外に道はない。だから、保有に対して課税することによって土地の供給を豊かにするとともに、一面、しかし、それらの人が安く手放すことによって生活に非常な影響を与えるといかぬから、それらの人をひとつ家主に転向させよう、家主に転向させるためには、従来、持ち家に対していろいろ融資をしたり、政府が持ち家に対していろいろな補助をしておったが、それを転換して、貸し家に対して融資をせよ、それらの人を貸し家業者に転向さすことによって、自分の持っている土地に公庫その他の公的資金を貸してやって、貸し家を豊富につくらせるということによって住宅難を解決せよというのが結論として出されておるわけなんですね。言うならば、そういう形において持ち家を持たせることによって住宅難を解消しよう、いままでやってきたところの日本の住宅政策というものは失敗に終わった、だから今度は、そういう地主に金を貸してそれによって家を建てさせることによって、貸し家を豊富にすることによって住宅難を解消せよという提唱をやっておるわけなんです。それらの委員というのは、自民党側から言うならば大来佐武郎というような人も入っておりますし、それから都市問題についての学者の磯村さんだとか金沢さんだとか、私らが知っている相当たくさんの住宅問題についての権威者も入っておりますし、財界の人たちも入っております。そういうような相当権威者が集まった資源調査会でやはりそういう結論を出しているわけなんです。だから、そういう意味では、とにかく住宅を持たせようというところの政府の持ち家政策は、零細な土地所有者をつくって、そうしてそれらの人に土地を買いあせらせる、こういうことが結局地価をつり上げてきたのだ、むしろそういうような持ち家政策から貸し家政策に転換すべきだという意見が相当こういう人たちから出てきておるし、また社会党も、古くからわれわれは公的貸し家ということを主張しておったのでありますが、しかし、それが政府としてむずかしいなら、せめてこうした形の貸し家主義に転換していくべきではないか、こう思うのでございますが、政府は今後持ち家主義を固持していかれるのか、あるいはここらでもう一ぺん考え直してみようというだけの雅量を持たれますか、その点について私は大臣の見解をお伺いいたしておきたいと思います。
  21. 坪川信三

    坪川国務大臣 資源調査会から報告されました意見につきましては、私も新聞で読み、また後ほど正式な報告書を受領いたしまして、ただいま検討いたしておるような次第でありまして、岡本委員指摘のごとく、土地所有者に対する援助をいたしましてアパートその他家を建てるというような方向の傾聴すべき意見も十分私はとうとぶべきであろう、こう考えておりますとともに、全般にわたりましてまた考えを異にする面もあろうかと、私はしろうとなりに考えておるのでございまして、これらの点につきましては総合的に十分事務当局で検討を加えた上においてこの報告の意見を尊重いたしてまいりたい、こう考えております。
  22. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 建築基準法改正を今度やられるということでございますが、都市計画法を実施するためには大幅な改正が要る、抜本的な改正が要る、これは私どもも十分わかるのでございますが、その改正のねらいの中に、いままでは確認を受ければそれでもって建築をどんどん進めていく、そしてそれがきちっと確認書に出されておるとおりでなくてもどんどん入居して住んでおるというようなことから、おまけに建築基準法というのは、確認もとらずに建てたって平然と住めるというようなことになっておる。現実にそれが事実なんですね。だから、そういうふうな意味で、建築基準法というものは全くのざる法だというふうな認識が一般にあったわけでありますが、それを今度はびしっと、そんなものじゃないのだというふうなものになる、こう思っておったのが、どうやらそうではなさそうだ。やはり依然としてざる法に終わりそうだということを私どもは懸念しておるのでございますが、そういうふうなことは絶対にございませんと言えるようなものとして出てくるのか出てこないのか。これは都市計画法と非常に重要な関係があるわけですね。都市計画法において、たとえて言うならば、市街化区域については住宅建設促進する、市街化調整区域については建てさせないのだ——かってに建てたら何ぼでも入れる、こういうことなら、調整区域をつくった意味が何にもないですよね。だから、そういう調整区域には絶対に建てられない、違反建築はさせないのだ、もし違反建築があったらどうするか、こういうことまでぴちっと取りきめたような建築基準法改正でなければならぬと思うのでありますが、当局から説明を聞きますと、どうもそんなものではないように思われるのですが、その辺についていかがなっておりますか。
  23. 大津留温

    ○大津留政府委員 基準法の改正、ただいま鋭意検討を進めておる段階でございますが、おもな改正点は、ただいま岡本委員の御指摘のように、現行制度のもとでは違反建築が非常に多い、取り締まりが徹底を欠いておるという面がございますので、一面では、制度を現状に沿わなくなっておる面を現状に沿わせるように改正するという点が一つでございます。それから一つは、執行体制を強化いたしまして、そういう違反がありました場合にはびしびし是正措置をとるという体制をとらせる。さらには、新しい都市計画法とタイアップいたしまして、まちの合理的な用途あるいは立体的な利用ということを促進してまいる、こういうねらいから改正の研究を進めておるわけでございます。  それで、その第一の執行体制の整備の点につきましては、現在都道府県知事がこの執行の責任者という形になっておりますのを、なるべく下に権限をおろすという趣旨から、とりあえず、二十五万以上の市には執行を義務づける、それ以下の市町村につきましても、その市町村が執行の能力があり、かつ、その意思があれば、知事と協議いたしまして建築行政の全部または一部を行なうことができるということにいたしたいと思います。  さらに、違反の是正措置といたしましては、工事の中止とか、そういう違反建築物の使用の停止あるいは除去の命令、こういうような手続を簡略化するほか、そういう違反を行ないました建築士とかあるいは建設業者に対する監督を強化する、また、悪質な違反の建物に対しましては、水道、電気、ガスの供給を停止し得るという道を講じたいと考えております。  また、都市形成の面からいいますと、用途の純化と高度利用という観点から、住居地域におきます特殊浴場とか公害のおそれのある工場を制限する、あるいは中高層のアパートを立地させる好環境の住宅地として第二種住居専用地域というものを設けるというようなこと、また、従来の高さの制限をやめまして、容積率による制限に切りかえる。それから建蔽率につきましては、実情に合わせるように若干緩和もいたします。また、私道の設置につきましては、明確な指定基準を設けまして、都市計画に合った私道の設定を誘導する、また、この私道協定というような制度も設けるというような内容を考ておるわけでございます。
  24. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 いまの都市計画法を実施していくのに、その調整区域への建築はやらせない、それからまた、市街化区域においても秩序のある町づくりをやっていく、こういうことのためには、いままで確認制度であった建築を、許可制度にする必要があるのではないか。許可を受けなければその建築にかかれない、また、その建築にかかる場合には、必ずこれは許可を受けておるということが明確になるような標識を現場につくる必要があるのではないか、そしてその標識なしに無許可で業者が建築をやったり何かしたら、それはもう登録の取り消しをするぐらいの強い処分をしなければ、いまのようなルーズな基準法というものはきちっとしたものにならない。だから、とにかくそういうふうな違反建築というものは全然やれないというような制度を確立しなければだめじゃないかということが、基準改正についての大きな意見だったわけですね。ところが、いままで御説明を聞いております範囲では、どうもそこまでのものにはならずに、結局そういうふうなわれわれの考え方がずっとしりすぼみになってしまって、中途はんぱなものになって、改正とは名のみに終わるのではないか、やはり依然としてざる法的な性格をそのまま残すのではないかということをわれわれは心配しておるわけなんです。だから、そういう意味では、そういうことのないようなものとして提案していただかぬと困ると私は思うのですね。  それからまた、前から申しておりましたが、せっかく基準法どおりの家は建てました。ところが、いつの間にやらそれを改造して妙なものになってしまっている。だから火災に対しても、初めは安全なものとしてアパートがつくられておったが、いつの間にやらその形が変わっていって、非常に危険なものに変わっているというようなこともあり得るわけでございますから、やはり絶えずパトロールをやらなければだめなんだ。しかし、そんな能力は、いま自治体の中でもそれぞれセクションに分かれておりますから、その建築の確認をやったり許可をやったりするのは、そういうような技術者の集団でありますから、そしてまた数も限られ、その技術者には限界がありますから、勢いパトロールまで手が回らぬということで、ほっぽらかしというのが、いまのパトロールができないで違反建築が乱立していく原因なんですね。だから、そういうパトロールは消防にまかせなさい。消防は防火とか防火の指導とかなんとかでぐるぐる回っておるのですから、回っているときそんなものがめっかったら、建築側と連絡をとって、通報があればすぐそこの現場を見に行く、こういうふうな連係をとればうまくいくのではないかということは、委員会で多くの人から意見も出て、とにかく横の連係というものをもっと密にして、良好な町づくり、同時にまた、良好な建築の秩序の保持ということをやるべきじゃないかということが言われておるのにかかわらず、相も変わらず新法案の中にはそういうふうな配慮が欠けそうなことを私はおそれておるわけであります。だから、そういう点、せっかくいまいろいろ案を練っていただいておるのでありますから、従来委員会においてしばしば取り上げられた重要な問題点については、十分それを盛り込むようにして今度法律案として出していただかないと、やはり大臣も御承知のように、前国会で出そうとして出せなかった、処理すべきであってできなかった大法案がメジロ押しに並んでおるというふうな状態の中で、基準法のようなあまり思想的な対立も何もないというふうな、ただ十分な配慮さえしていただけるなればスムーズに通る法律案が、きわめて案が不備であるがために難航するというようなことでは、ロスが非常に大きいと思うのです。私どもはことさら事をかまえて政府方針にたてつこうというのではない。どうしたらいい住環境が生まれるのか、どうしたらもっとたくさん住宅が建つのか、これはもう政府も私ども野党も同じ気持ちでおるのですね。だから、その同じ気持ちでおるものが、不要な議論で時間を浪費する必要がないようなふうに、政府もひとつ努力をしておいていただきたい。その点、特に大臣にわれわれのそういう気持ちを十分配慮して法律案をつくっていただくように私はお願いをしておきたいと思うのです。  もう一つお願いは、都市開発法でございます。これで質問は終わりますが、この都市開発法につきましては、これはこの前の国会で廃案になりましたね。廃案になったのは、都市再開発の三法として、いわゆる市街地改造法と、それから防災街区造成法と、住宅地区改良法と、従来三法あったものを、これを一つにまとめるべきであるのが、それが住宅地区改良法の思想だけはオミットされて、それで市街地改造法と防災街区造成法だけが一つのものになって都市開発法として出てまいったために、そういうものじゃだめだ、こういうことになったわけですね。だから、先国会に出されました市街地改造法の思想に従えば、これはもう民間の開発組合だけでどんどん作業が進められて、公的な再開発は進められない。したがって、業務用のスペースの再開発ばかりが進んで、住宅用の面開発は進まない。だから、いまの都市人口のドーナツ化ですね。都市には夜間人口がなくなって昼間人口ばかりになって、そうして夜間人口はずっとドーナツ現象を起こして郊外に移動しておる。このドーナツ化をより促進するより役立たない。だから、むしろわれわれがねらいとしておるのは、そのドーナツ化しておるところの市街地から、中心地から離れて郊外に出ていった人口を市街地に呼び戻すことですね。そうして、職住近接をやらせる。職住近接をやり、そのことによって道路とか交通機関の新たな渋滞が避けられるわけですね。みんな職場へ歩いて通えるような都市にしなければだめだ、こういうことをわれわれは考えておるわけですね。ところが、それに逆行するような再開発法になっておる。都心の居住者をいわゆる業務用の面開発によってどんどん外へ追い出すような再開発法ではだめだ、こういうことで、そういうことに対するわれわれの反対が、結局先国会におけるところの再開発法の廃案の原因であったわけですね。だから今度はそうでないようにしてもらいたい。これは前の建設大臣の保利さんにもお願いしておって、いや、それは十分配慮してやります、こういうことでございましたが、一体、現段階で建設省としてはどういうふうなおつもりでおられるのか、われわれが先国会以来主張しておりますことを十分取り入れたものとして出していただけるのか、あるいはそうはまいりませんということなのか、その辺ひとつ大臣のお考えを承りたいと思います。
  25. 坪川信三

    坪川国務大臣 先ほどから御指摘いただきました建築基準法の問題につきましては、非常に国民の立場から考えられましての防火あるいは避難、あるいは非常電源、あるいはその他換気の問題と、あらゆる問題につきましてきめこまかな配慮をいたしながら、いま立法作業をいたしておりますので、先ほど御指摘になりましたとうとい御高見といいますか、資料を十分織り込みまして、御期待に沿うような立法措置を講じたい、こう考えておりますことを表明いたし、御了解をいただきたいと思います。  第二点の問題につきましては、ほんとうに都市開発の問題は、何と申しましても、国民住宅供給を豊かにするということが前提、優先になるべき問題であろうかと思いますので、この大きな社会的要求を根拠に置きまして、これらの立法の改むべき、あるいは皆さまが御指摘になりました点を十分織り込んで結論を出させたい、こう考えておりますので、御了承いただきたいと思います。
  26. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 いろいろお願いしたいことがございますが、建設省の各局長さん方は、いままでの議論の過程の中で、現在までの委員会でわれわれもいろいろなことを申し上げておりますので、十分野党のわれわれの考え方を知っていただいておる、こう思いますから、また、渡辺政務次官も長いことこの委員会の中におられまして、私ども考え方を十分御承知願っておると思いますので、その辺、それらの点についての御配慮を格段にお願いをいたしまして、来国会が波穏やかにいけますように私からお願いいたしまして、本日の質問を打ち切ります。
  27. 金丸信

  28. 北側義一

    北側委員 まず最初に、坪川さんが建設大臣に就任され、また、同じ委員会理事であった渡辺さんが政務次官に就任されましたことをお祝い申し上げます。  さて、ただいま建設行政方針大臣から明らかにされたわけでありますが、その中でも特に感じますことは、住宅建設五カ年計画、その他道路建設、いろいろな場合に一番大事なことは、大臣が先ほど言われたとおり、地価対策、これが一番大事であろう、このように私思うわけであります。  ところが、それに反するようなことを多々、最近見受けたわけです。と申しますのは、現在都市周辺は非常に都市化傾向が激しいわけです。したがって、その都市周辺部の地価というのは、御存じのとおり、非常に値上がりを示しております。昨年あたりで、ひどいところは約二〇%、関西あたりで一四、五%、このような値上がりを示しておるわけです。ところが、そういう周辺部の地価が急騰しておる、そういう事実の反面、法定外公共財産といわれる普通河川及び認定外道路、そういう特別法の適用外の国有財産ですね、これが現在一応は都道府県知事がこれを委託管理、このようになっておるわけです。ところが、管理主体が、現在は委任事務で、はっきりしておらないわけです。不明確なわけです。それと同時に、たとえば、そういうところが宅地化されますと、そこにあったいわゆる河川法、道路法以外の里道、水路、こういうものですね、たとえば幅六尺の水路、またその横の土を上げるために幅一尺五寸ずつとっておる、そういうのが非常に不法占拠されている率が多いわけなんです。そしてそれが、どこにどういうものがあるということがなかなか現在わからないのですね。というのは、明治七年の太政官布告、それ以来これについてあまり手をつけておられないわけです。ところが、最近、周辺部でも坪四万円も五万円もする時代になっております。昭和三十年当時わずか千円ぐらいのものが、もう三十倍近い三万円とか、このようになっておるわけです、現実の問題として。そういう都市周辺部の問題について、不法占拠されておるということがたくさんあるわけなんです。特にひどいのは廃川敷とか廃道路敷、こういうものはともかくとしても、そうでない場合には水路のはけ口がないわけですね。そうして川がはんらんしたり、また道路が非常に通行に支障を来たす、こういう実例が方々で出てきておるわけです。これについて大臣にお答えを願いますのは無理かと思いますので、どなたでもけっこうですから、現在どのような考え方でこれを処理していくのかということについてまず最初にお伺いしたいのです。
  29. 志村清一

    ○志村政府委員 北側先生御指摘のとおり、管理法の適用を受けます公共用財産につきましては、管理法によりましていろいろな手当てがなされておりますが、里道、水路といったような法定外の公共用財産につきましては、その取り扱いが必ずしも十分でございません。これは先生も御指摘になられましたように、明治初年に一応国の財産というふうなことで切りかえられたわけでございますが、切りかえられた当初におきましてもたいへん不明確な点が多うございまして、その後もその状況が続いてまいってきております。これに対しましては、行政管理庁あるいは会計検査院等々からもいろいろな御指摘がございます。当委員会におきましても、北側先生からいろいろ御注意があるわけでございますが、これらにつきましては、何にせよ現況がどうなっているかという把握が一番大事かと存じまして、実態調査ども昨年来つとめておるわけでございます。また、不法占用というような事例も相当あることは事実でございます。不法占用によりましてせっかくの里道等の効用が阻害されているという場合におきましては、原状回復を早急にやらねばならぬというのは当然でございます。それらにつきましては、官房長あるいは事務次官名によりまして、地方公共団体に対しまして適切な指示をするように指導を強化いたしているわけでございます。また、だいぶ時間のたっておる里道、水路等ございますので、すでに公共性を失っておるというものも相当あると考えられます。それらのものにつきましては、むしろ、法定外の公共用財産というのでなくて、公共用財産であることを廃止したほうが事態に適合する、こう考えられるわけでございますので、そういったものにつきましては効用廃止の手続を進めまして、建設省所管の分につきましては、これを普通財産として大蔵省に引き継ぐように事務の促進をはかっております。実はこれらにつきましても、従来、手続上いろいろやっかいな点がございましたが、本年、私ども大蔵省と相談をいたしまして、これらの用途廃止の処理につきまして手続を簡素化するというようなこと、あるいは手続促進につきまして都道府県にある程度の費用がかかりますので、その一部の補助をするというようなかっこうで進めてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  30. 北側義一

    北側委員 これは大臣にも一応知っていただきたいと思いますので、一応、私のほうの調べたところによると実態がどのようになっておるかということをお話し申し上げたほうがいいんじゃないかと思います。  これは昨年六月の委員会に私ここで一ぺん取り上げたことがあるのです。そこでは、ある宗教団体がゴルフ場として約一万五千平米の不法占拠をしておったのです。また、会計検査院のほうから——私、大阪だけを調べてみたわけですが、あそこでもずいぶんあるわけなんですね。たとえば大阪府の高槻市においては、普通河川の敷地が一千四百八十二平米不法占拠されておる。これは会社が会社の敷地としてやっておるわけです。また、枚方市中振については、やはり普通河川の敷地が千百八平米、これもやはり会社です。また、同じ枚方市の中宮というところでは、法定外道路敷が七十六平米、普通河川敷が六千六百三平米、こんなようになっております。また、大阪市の東住吉地区、この辺では地価が現在十四、五万円しております、大阪市内ですから。そこでもやはり普通河川が二千六百四十平米、そのほかに、私の調べたところでは、現在大阪府下でも、小さいのを入れると、この資料のようにものすごいのです。これが全部そうなんです。何件あるか、現在わかっているだけで大阪で約七十件近くあるのです。その中でも大きいのを拾いますと、貝塚市で三千九百四平米、また、同じこの方面の泉南郡で  九千九百平米、このような不法占拠がなされております。これは解決した分もあります。また、東京のほうを見ますと、やはり東京のほうでも——これは資料をもらったわけですが、このようにたくさん不法占拠されておる。全くひどいものなんです。これは宅地業者が多いわけですね。見てみますと、宅地がほとんどなんです。御存じのとおり、こういう法定外公共用財産の場合ですと、官民境界がはっきりしてないわけです。たとえば二メートルの河川が流れておる。ところが、その二メートルの川が流れておっても、事実は宅地造成されていて、どこに河川があったかわからない。道路敷がどこにあったかわからない。そうしてそれをかりにつけかえたものとしても、小さいものをつけかえておって、坪四万も五万もするようなところが、言うならばいわゆる国有地がそのようになっていること自身が——その一番大事な地価の問題をやはりひとつここいらで取り上げなければいけない、そういう時期が来ているんじゃないか。都市化はおそらくこれからますます激しくなるんじゃないか。そうすると、どうしてもそこで宅地造成がなされる。そういうものを知っておる不動産業者、こういう人たちがもし悪意があるとするならば、これは実際どうにもできる問題なんです。国としてそういうものを明らかにするような方法というものをこの段階で考えなければいけないし、そういう時期がもうすでに来ておるのじゃないか、このように私は思うわけなんです。官房長が言われたように、予算を組んでそういう手続も簡略にする、このようにおっしゃっておられるわけですが、私の聞くところによりますと、昭和四十二年度では五百万、四十三年度では九百万、予算措置はこのように私は聞いておるわけです。これではどうにもならないと思うのです。これをやはりもっと的確なやり方に変えなければいけないんじゃないか、このように私考えるわけなんです。やはり付近にたくさんの住民がおりますので、住民福祉、そういう問題を考えても、これは当然国としてやらなければいけない。過疎地帯はともかく、過密地帯ですね、この辺は特にこれから大きな禍根を残すのではないか、このように考えるわけなんです。その点どうなんですか。ことしの予算措置は、官房長、どのくらい考えておられるのでしょうか。
  31. 志村清一

    ○志村政府委員 ただいま御指摘ございましたように、法定外公共用財産の不法占用の状況は相当ございます。これらにつきましては、私どもといたしましても、不法占用の状況を解消するように、委任をいたしております各公共団体に対しまして累度通達するとともに、関係者も集まりましてお互いに協議する、さらには、各地元におきまして、大蔵の管財関係の出先と知事と合わせまして会議をつくって、そこで相談をしていくというような方法などを講じさせておるのでございますが、私は、一つには法定外公共用財産のうち、先ほども申し上げましたように、一般公共の用に供されない、もう公共性を失っているというものは、できるだけ廃止したほうがいいんじゃないか、そして公共用に役に立っておるというものについては、管理法体系にできるだけ乗せるべきじゃないか。たとえば、里道としてありますけれども、実際問題としては市町村道として十分役に立っておる、一般の方々もどんどん使っておるというものについては、できるだけ市町村道に認定をして市町村長がおやりになればよろしいわけですから、そういう実態は地元が一番よくわかっておるわけでありますから、できるだけ管理法体系に乗せるべきじゃないかというようなことも考えまして、担当の各公共団体の職員に対しては十分その趣旨等についても連絡をいたしておるわけでございますが、しかし、仰せのとおり、それらを調査しまして、あるいは財産の処理等につきまして相当の費用がかかるわけでございますので、それらにつきまして公共団体に国としても管理をお願いしておる事態でございますので、費用の補助をするのはしかるべきじゃないかということで、実は先生御指摘のように、昨年は五百十五万、本年度は九百七、八十万というような予算を計上しておりますが、来年度といたしましては三倍ないし四倍程度の予算をいただきたいというふうなことで大蔵省とも折衝しているような状況でございます。
  32. 北側義一

    北側委員 官房長の言われることはもっともだと思うのです。この法制化について、これはその所在が全国にわたっておりますので、全部調査するのはたいへんなことだと思うのです。そこで、先ほど申しましたとおり、廃川敷、廃道路敷、これからそうなるところですね、そういうところはやはり都市周辺に多いのじゃないか、このように思うわけです。そういう面から考えて、やはり法制化というのは非常に大事じゃないか、このように思うわけです。ところが、聞くところによりますと、そういう都市化の激しいところでいろいろな弊害を起こしておる、こういうことで、昭和三十八年の二月にその第一次案として一応成案がなった、このように聞いておるわけなんです。ところが、成案になったのですが、その後全然立法化されておらない、これが事実のようです。これにはやはり何らかの理由があったと私は思うのです。たとえば、なるほど、建設省の行政財産だけではなくして、農林省の行政財産もあるでしょうし、また大蔵の関係もあろうと思うのですが、しかし、こういう問題についてそういう各所管の省がそれぞれ自分のほうのことだけを考えてやっていくならば、これはまとまらぬと思うのです。きょうは大蔵省来ておると思いますが、そういう点でひとつがっちり話し合っていただいて、早急にまず法制化をしなければならない。そうしないと、管理するほうもたいへんでしょうし、どこが不法占拠されたか、これもわかりませんし、どこにそういう財産があるか、これもわからない、これではもう、ますますこれからこういう事故は非常に多くなるのじゃないか、こう思うわけです。そういう点どうでしょうかね。大蔵省の方もひとつお答え願いたいと思うのです。
  33. 上国料巽

    上国料説明員 ただいまの御質問でございますが、三十八年の当時つくられました第一次案につきましては、若干意見の対立があったやに聞いておるわけでございますが、その後の考え方といたしましては、先ほど建設省の官房長から御答弁ございましたとおり、とにかくそういったような用途廃止された法定外の公共用財産につきましては、引き継ぎを円滑にいたしまして事務の促進をはかっていくというような考え方をとっておるわけでありまして、建設省とも協議してその処理の促進をはかっておるわけでございます。  なお、法制の点につきましても、先ほどおっしゃいましたとおり、現在都道府県知事が管理することになっておるわけでございますが、より適切な管理をするというような方向で法制の検討もはからなければならないというふうに考えておるわけでございまして、その点について特に建設省との間で意見の対立があるというようなことはないのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
  34. 北側義一

    北側委員 いままでと同じようなことをやっておるのだったら、これは何にもならないわけです。私もここで質問する必要がないわけです。一歩でもこの問題を前進させるために、先ほど申しましたとおり、そういう都市周辺部、そういうところだけでも早くその実態を掌握しなければならない、こう思うわけです。また実態の掌握というものがなければ、これはもう管理のしようがないわけでありますから、幾らちゃんとこれは法制化するといっても、まず実態の掌握をする、どこにどれだけのものがあるか——当然これは全国にわたってはそういうことはできないわけです。少なくとも坪四万も五万もするところはそのようにやってもやるだけの価値があると思うのです。  また、二番目に思いますのは、実態を掌握した上で——実際上不法占拠されていってしまうと、全然官民境界がわからないわけです。官民の境界というものはやはりはっきりさせなければいけない。そういう小さなものでありますので、そういう内容につきましては当然国のほうで全部掌握する、そのようにはいかないと思うのです。当然いままで管理してきた市町村が一番よく実態を知っておるわけです。そういう市町村に対してそういう法定外公共用財産は移譲していく、このようなことも考えられていいのではないか、このように私は考えておるわけなんです。その点どういうお考えでしょうか。
  35. 上国料巽

    上国料説明員 ただいまの点につきましては、まだ最終的に検討いたしたわけじゃございませんので、私から何とも申し上げられないことでございますが、いま先生のおっしゃった御意見につきましては今後十分に検討させていただきたいと思います。
  36. 北側義一

    北側委員 あなたではお答えできないかわかりませんが、この問題については早急にやらねば私はいけないと思うのです。そうしなければ、これからそういう事件はふえてくる一方でありますので、国民財産ですから、それをちゃんと管理していくのは当然われわれの役目なんですから、その点やってもらいたいと思うのです。それにはやはり何らかの手段を講じ、きちんと手を打たなければいけない。そのためには、まずいま私が申し上げましたような方法が一番いいのじゃないか、私はそういう考えを持っておるわけです。たとえば行政財産の場合ですと、用途廃止処分で大蔵へ入っていくわけです。そこでいままでの宅地造成されたものがほとんど全部売却が行なわれておる、大蔵のほうへ金が入る、そういう点でこの分についてはおそらく解決ができないのじゃないか、このように私は思っておるわけです。しかし、もっと大きな視野に立って、もういまから十年も二十年も前と地価の値上がりが全然違うわけですから、それに対応したものをつくらなければいけない、このように私は思うわけであります。最後に、建設大臣もずっと聞いておられたわけですから、この問題についての建設大臣の御意向もお聞きしたいと思うのです。
  37. 坪川信三

    坪川国務大臣 北側委員にお答えいたします。  国民の生活環境の整備の点からも、また、法秩序の維持の立場からも、これらの問題につきましては、建設省といたしましては、関係各省と十分連絡をいたしまして、これらの不幸を早く除去いたしたい、こういう方針で臨み、また、事務当局もその方針で、私の意のあるところを体して進めておることを期待いたしておるような次第であります。
  38. 北側義一

    北側委員 ひとつよろしくお願いしたいものです。  それから次に、題名を変えるわけでありますが、先ほどの建設行政の中で、住宅建設五カ年計画、この問題なんですが、実際の問題として地価が非常に上がっておりますので、政府のいわゆる持ち家政策、これも現在サラリーマン等ではマイホームの実現も非常に不可能、このような実態があらわれておるわけです。そこで、大臣が就任されまして——特に都市化の激しい大阪、名古屋、太平洋沿岸ベルト地帯、この辺の住宅難というのは非常にひどいものなんです。これは私の近所でももうその実態を私この目でよく見ております。ほんとうにそういう住宅事情で非常に不幸のあった人たちもたくさんおられるわけです。たとえば先般守口市にあった事件ですが、この事件なんかは、アパートに住んでおった若夫婦が、子供が泣くのでそこにおれないようになってしまって、追い出された。また子供が泣いてはいけないというので、次のアパートで子供に座ぶとんをかぶせて声をふさいだというのですね。座ぶとんがかぶさって子供が窒息死してしまった。こういう、聞いておりますと非常に悲惨な事件、これはここだけじゃないんです。方々でそういう事件が起こるような状態になっております。ところが、この政府の五カ年計画を見ておりますと、三年度目の本年を入れても約五一%くらいしか達成しない。しかも五カ年で五十二万戸の公営住宅。これも五十二万戸では、実際問題としてどうにもならぬわけです。一番困っている人の公営住宅が一番少ないわけです。これは当然相当な財源が要りますので、ある面ではやむを得ないということも言えるわけですが、これは保利さんの建設大臣のときにもお願いしたわけですが、住宅には、特に都市に住む私たちとして現実をこの目で見ておりますので、全力をあげてひとつ建設大臣に予算獲得にがんばってもらいたい。道路とか河川、このほうは、わが郷土というので、ある程度票にも結びつく、ところが住宅のほうは結びつかぬ、これが実態なんです。どうしても住宅対策がおくれていくような、そのような感じが私はするわけであります。そういう点で、この住宅建設五カ年計画大臣も五カ年計画考えておるとか聞いておりますが、大臣としてどのような所信を持ってやっていかれるのか、それをちょっとお伺いしたいものですが……。
  39. 坪川信三

    坪川国務大臣 北側委員の御指摘になりました住宅問題は、私はほんとうに最も重大な建設行政の一つと考えておるような次第であります。過般の予算委員会におきましても私が答弁申しましたとおり、数多くの国民の皆さんからいただいておる手紙等を拝見いたしますと、住宅に願いを込められた手紙の多いことを思うときに、これこそ建設行政の人間尊重の上に立っての対策を打ち立てなければならぬという決意を新たにいたしておるような次第であります。  北側委員御承知のとおり、最終目標の六百七十万戸の一世帯一戸、これはぜひともその実現目標達成に全力を注がさせていただきたい、こう考えております。とともに、いま御指摘になりましたように、建設省所管の住宅、公団、公庫による公的な資金による住宅の伸び率、あるいは民間の方々の御協力によっていただいている住宅の伸び率等を見ますと、御指摘のとおりにまだ五〇%をややこえたというような程度であることを思いますときに、私といたしましては来年度の予算折衝及び予算獲得に全力を尽くしたい、こう考えております。先ほどお述べになりました公営住宅等につきましても、おかげさまで本年は八万八千戸の目標を順調に進めておりますが、来年はぜひとも十万七千戸に及ぶ公営住宅建設の予算を大蔵省に要求いたしたい、こういうような方針でおりますので、今後ともよろしくひとつ陰に陽に御協力と御指導を願いたい、こう思います。
  40. 北側義一

    北側委員 これは大阪であった事件でありますが、どうしても公共事業の単価が安いので、建設された住宅が、わずか一年余りで地盤が沈下してそうして非常に傾いた、戸もまともに締まらない、こういう実例が大阪で出ております。この問題も大阪府議会で問題となって、新聞にも報道されたわけです。そういう点についても——この問題でやはり建設省として一番問題なのは、地方自治体の超過負担ですね。これは非常に問題になっておると思うのです。今度は公住法も改正される、その要綱も先般私見せていただいたわけですが、そこで心配になりますことは、用地費の国庫補助の打ち切りがいわれておるわけです。この問題については、補助を打ち切って低利の融資にする、このようになっております。ところが、あそこに書いてありますとおり、一種で年三%、二種で二%、こういう利率ですね。また融資率としては九五%を下らない、このようになっております。このように地価が非常に高いときに、これも、各地方公共団体の三十年間の返済といいましても、やはり借金になるわけです。そうしますと、比較的財源のある都市においてはそういう建設意欲の減退ということはないかもしれませんが、しかし、気をつけなければいけないのは、これによってたとえばこの融資率がここまでこない、その場合に地方の持ち出しがある、そうなると、これは全部家賃にはね返ってくるわけです。また、家賃にはね返るだけではなくして、各地方公共団体の建設意欲というものを低下さすのじゃないか、そういうおそれがあるのではないか、そういう点を非常に心配しておるわけです。その点についてはどうでしょうか。
  41. 坪川信三

    坪川国務大臣 御指摘になりました住宅の用地の問題につきましては、やはりこの住宅内容といいますか質の向上、また、その単価の適正化などを行なうのになかなか困難な点もあることは、北側委員御高承のとおりだと思います。したがいまして、これらの隘路を除去いたします上におきましては、やはり用地費の補助制度を改めて融資制度に切りかえまして、長期低利によるところの措置を講じまして、そして住宅政策の適正化をはかるということが一番いい方法じゃなかろうか、こう考えておりますので、この方向に向かって建設省といたしましては配慮を進めたい、こう考えております。
  42. 北側義一

    北側委員 まことに申しわけないのですが、この融資率九五%は絶対に下らないですか。その点どうでしょうか。
  43. 大津留温

    ○大津留政府委員 予算の折衝でございますから、最終的にどういう形になるかわかりませんが、この九五%と申しますのは、従来の補助にかわる融資分、これは一〇〇%、それから従来とも補助側に対しましては八五%の起債が認められておる。したがって、その分については八五%分は見る。といたしますと、合計して平均いたしますと約九五%ということで、そういう意味からいたしますと、これは従来から特別に多く要求したということにはならないかと思うのでございますが、問題は、従来の補助単価が、実際にかかる用地費の半分以下であったということですね。したがいまして、融資に切りかえる際には、その実際にかかる額の九五%を要求しておるわけでございますから、その単価並びに実際にかかる額をどういうふうに見るかによって見解が変わってくる。 こういうことで、先ほど大臣おっしゃいましたように、五カ年計画をぜひとも達成するためには、こういう方法で、地方公共団体が意欲を失わないように——従来は、補助といいましても、持ち出しが非常に多いものですから、意欲を阻害する面が非常に多うございました。したがって、融資額を十分確保することによって意欲をさらに起こさせようというねらいでございますので、私どもも全力を尽くしてがんばるつもりでございますが、御支援をお願いいたしたいと思います。
  44. 北側義一

    北側委員 私は心配しますが、先ほど言いましたとおり、むしろ私は一〇〇%にしてもいいんじゃないか、こう思うのですよ。これは相手の借金になるのですから、何も国がそれを出すわけじゃない。ただ問題は、低利ということ、それが問題であって、結局これだけではないのです。というのは、やはりこれに伴って、地方公共団体としては、その付帯工事として上水道も下水道もやらなければならぬ、学校も全部建てなければいけないわけです。そうすると、財源の苦しい地方公共団体では、この融資率が非常に下がってきますと、これは建設意欲を減退するなといったって、当然減退するようになってきます。そうすると、いま大臣が述べられた五カ年計画六百七十万戸の建設、そのうちの特に公営の分だけ、これは知れていますが、それもむずかしい、このようになってくるのではないか。入りたい人がたくさんある分野が一番困ってくる、こういうことになってくるのではないか、このように私は考えるわけです。そういう点でいまこの問題を私はお尋ねしたわけなんです。これは付帯工事も伴うものがあるわけですから、この融資率が非常に悪くなると、持ち出しがかりに少しでもあるようになると、おそらくこれは家賃にもはね返りますし、非常に大きな問題となってくるのではないか、このように私は思うわけです。そういう点、特にひとつ力を入れてがんばっていただきたい、こういうように思うわけです。  次に、その建てかえの促進、これがあるわけです。ここで私少し考えさせられたことは、建てかえる古いいままでの住宅というのは、非常に安い家賃で入っておる。老朽住宅のために建てかえなければいけない、私、当然だと思うのです。ところが、中に入っておる人の考え方というのは、たとえば、いままでこういう物価高のときに千五百円の家賃を払っておった、それは不当かもわかりませんが、しかし非常に生活が困窮しておる、そういうときに建てかえとなった、家賃が一挙に八千円になった、六千円になった、これでは、反対することは当然と思うのですよ。生活に余裕があればこれはいいと思うのですが、そういう点の考慮はどのようになっておるのでしょうか。
  45. 大津留温

    ○大津留政府委員 御指摘の点は、確かに建てかえを促進する際に居住者の方々から御異論が出る一つの大きな原因だと思います。御指摘のように、現在の家賃が非常に安いというのも事実でございます。それで、入居者の方の中にはその後所得の上がっておる方も相当おられるわけでございます。したがいまして、これを一律に家賃を引き下げるということがいいかどうかということにつきましては、なお十分検討しなければならぬと思いますが、御指摘のような、非常に生活が豊かでない方が急に家賃が高くなるということでは非常にお気の毒でございますから、経過的な措置といたしまして、何年間かは家賃の割引をするというような措置をとることが、実際問題としては妥当な措置じゃなかろうかと私考えておるわけでございます。ただ、法律上そういう何年間何割引きせよということを一律にきめることは、これは必ずしも適当ではないのじゃないか。したがいまして、事業主体が、こういう入居者の方々の家計の状況とか、あるいは現在の家賃の実際の額というようなことを考慮いたしましてそういう措置をとることを私どもとしては期待いたしておる、また、そういう指導をいたしたいというふうに考えております。
  46. 北側義一

    北側委員 これは最後になるわけですが、そういう分が結局またこれは家賃の補助として事業主体の肩にかかってくる、また、これは移転するについても、移転料がやっぱり事業主体にかかっております。こういう問題で先ほど申しましたとおり非常に建設意欲の減退になる、このように私は考えておるわけであります。ずっと法案の要綱を見せていただいて、そういう点の配慮というものがやはりなければ、私は、先ほど言われたこの五カ年計画もますますむずかしくなってくる、このように考えるわけなんです。その点どうなんでしょうかね、大臣。少なくともそういう面の考慮をがっちりやらなければ、これはいけないと思うのです。そういう点は考えておるのでしょうか、その点どうでしょうか。
  47. 坪川信三

    坪川国務大臣 具体的な点につきましては、いま住宅局長が答弁申し上げましたとおりでございますが、最終的な目標に至りましては、全く北側委員とわれわれ建設当局も意見をともにいたしておるような次第でございますので、これらの具体的な問題につきましては、北側委員の御意見を十分そんたくいたしながら立法措置その他財政措置を講じてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  48. 北側義一

    北側委員 もうこれでやめさせていただきます。  また新しく法案が通常国会におそらく出てくると思います。そのときに細部にわたってのことはまたお聞かせ願いたい、このように思うわけですが、まず予算措置ついて時期が来ておりますので、そういう点をひとつどうかくんだ上で大臣は予算措置に全力をあげてやっていただきたい、このように思いまして質問させていただいたわけであります。
  49. 金丸信

    金丸(信)委員長代理 次回は、来たる二十日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時十八分散会