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1968-12-17 第60回国会 衆議院 外務委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和四十三年十二月十日)(火曜 日)(午前零時現在)における本委員は、次の通 りである。    委員長 秋田 大助君    理事 青木 正久君 理事 田中 榮一君    理事 福家 俊一君 理事 戸叶 里子君    理事 穗積 七郎君 理事 曽祢  益君       石田 博英君    宇都宮徳馬君       藏内 修治君    小泉 純也君       世耕 政隆君   橋本登美三郎君       福田 篤泰君    増田甲子七君       松田竹千代君    宮澤 喜一君       毛利 松平君    山口 敏夫君       山田 久就君    石野 久男君       木原津與志君    黒田 寿男君       田原 春次君    高田 富之君       帆足  計君    松本 七郎君       渡部 一郎君    斎藤 寿夫君 ――――――――――――――――――――― 昭和四十三年十二月十七日(火曜日)    午前十時二十五分開議  出席委員    委員長 秋田 大助君    理事 青木 正久君 理事 田中 榮一君    理事 福家 俊一君 理事 山田 久就君    理事 戸叶 里子君 理事 穗積 七郎君    理事 曽祢  益君      橋本登美三郎君    福田 篤泰君       松田竹千代君    石野 久男君       黒田 寿男君    田原 春次君       帆足  計君    松本 七郎君       伊藤惣助丸君    斎藤 寿夫君  出席国務大臣         外 務 大 臣 愛知 揆一君  出席政府委員         防衛施設庁長官 山上 信重君         外務政務次官  田中 六助君         外務大臣官房長 齋藤 鎭男君         外務省アジア局         長       須之部量三君         外務省アメリカ         局長      東郷 文彦君         外務省条約局長 佐藤 正二君  委員外出席者         防衛施設庁施設         部長      鶴崎  敏君         科学技術庁原子         力局次長    田中 好雄君         法務省入国管理         局入国審査課長 平野 文夫君         外務大臣官房領         事移住部長   山下 重明君         外務省条約局外         務参事官    高島 益郎君         専  門  員 吉田 賢吉君     ――――――――――――― 十二月十七日  委員渡部一郎辞任につき、その補欠として伊  藤惣助丸君が議長の指名で委員に選任された。 同日  理事野田武夫君十一月三十日委員辞任につき、  その補欠として藏内修治君が理事に当選した。 同日  理事鯨岡兵輔君同月三日委員辞任につき、その  補欠として山田久就君理事に当選した。     ――――――――――――― 十二月十四日  ペルー在留邦人凍結資産に関する陳情書  (第三八号)  在日朝鮮人帰国事業に関する陳情書外三件  (第三九号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  国政調査承認要求に関する件  閉会中審査に関する件  国際情勢に関する件      ――――◇―――――
  2. 秋田大助

    秋田委員長 これより会議を開きます。  長年当委員会委員でありました川上貫一君が、去る九月十二日逝去されました。まことに哀惜の念にたえません。ここに哀悼の意を表し、つつしんで御報告申し上げます。      ————◇—————
  3. 秋田大助

    秋田委員長 国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。  本委員会といたしましては、国際情勢に関する事項について調査をいたしたいと存じますので、この旨議長承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 秋田大助

    秋田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  5. 秋田大助

    秋田委員長 おはかりいたします。  去る十一月三十日理事野田武夫君、また十二月三日理事鯨岡兵輔君が委員辞任されましたので、理事が二名欠員になっております。この際、その補欠選任を行ないたいと存じますが、先例により委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 秋田大助

    秋田委員長 御異議なしと認め、委員長は、理事藏内修治君、山田久就君を指名いたします。      ————◇—————
  7. 秋田大助

    秋田委員長 この際、愛知外務大臣及び田中外務政務次官より、就任につきそれぞれ発言の申し出がありますので、順次これを許します。外務大臣愛知揆一君
  8. 愛知揆一

    愛知国務大臣  一言あいさつを申し上げます。  十一月三十日の内閣の改造によりまして、不肖私、全くはからずも外務大臣という大任を仰せつかりまして、顧みてまことに微力で粛然たるものを感ずるわけでございますが、内外の情勢がなかなかきびしいおりでもございますので、誠意を尽くして努力をいたしたいと存じます。何とぞ委員皆さま方におかれましては、ひとついろいろの意味で御指導をたまわり、またお助けをたまわりますように、切にお願いを申し上げる次第でございます。  まことに簡単でございますが、一言就任に際してごあいさつを申し上げます。(拍手
  9. 秋田大助

  10. 田中六助

    田中(六)政府委員 このたび政務次官を拝命いたしました。よろしくお願いいたします。(拍手)      ————◇—————
  11. 秋田大助

    秋田委員長 国際情勢に関する件について調査に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。戸叶里子君。
  12. 戸叶里子

    ○戸叶委員 外務大臣に御就任されておめでとうございます。  政策マンといわれていらっしゃる愛知さんが外務大臣になられたことは、たいへんに意義あることだと思います。大いに日本国民の声を聞きながら平和外交を進めていただきたいと思います。  そこで、今日、外交上にはいろいろ問題がございますが、一番大切なことの一つとしてまずあげられますことは、日米関係をどうするかということではないかと思います。アメリカではニクソンが大統領になりまして、そして聞き伝えられるところによりますと、また日本をかつて訪問したときの発言等を照らし合わせてみましても、アジアにおいて軍事的、経済的な責任日本が負うべきであるとか、あるいはまたアジアアメリカの青年の血を流すのは当を得ていないとか、そういうような発言が私どもは印象に残っておりますだけに、今後非常に心配になる面があるわけでございます。また一方におきましては、二十三年間の異民族の統治ということに対しての県民の反撃、そして基地で悩まされている沖繩県民反撃ということから、屋良主席が当選をしたわけでございまして、こういうふうな情勢を踏まえての外務大臣でおありになりますから、よほど将来の見通しを立ててがんばっていただかなければならない、私はこう考えるわけでございますが、ここで一番大事なことは、国民世論背景に、そしてまた多くの人たち意見を聞きながら、まずアメリカにははっきりとしてもの申していく。アメリカのいうことに従うということでなくして、言うべきことは言うという外交の転換が、いま一番大事なときではないかと思いますが、これに対しての御決意のほどをまず承っておきたいと思います。
  13. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まず御激励をいただきまして、まことに感銘いたすわけでございます。  日米関係につきましてのお尋ねでございますが、お話しのように、ちょうどアメリカも新しい政権がまさに発足しようとしているときでもございますし、日本側としては、アメリカとの間に多くの問題を持っておることでもございますから、私といたしましても、この際、異常な決心でこのむずかしい局面に当たらなければならないと、かたく覚悟をきめておるわけでございます。  第一に申し上げたいと思いますことは、いまもお話がございましたが、これはアメリカに対するだけではなくて、日本外交の主体性と申しましょうか、日本国民が何を求めているか、何を欲しているかということを十分にわきまえて、これをどこの国に対しましても十分に主張していかなければいけない。この態度が私も非常に必要なことだと思うのでございまして、実は、日米間は、その中でも一番大切な中核になるところであると思いますから、特に対米外交につきましては、その点に十分の配慮をし、また自分としても十分の覚悟をきめて当たってまいりたい、かように存じておる次第でございます。
  14. 戸叶里子

    ○戸叶委員 いま愛知外務大臣から、今後の外交について重要性を認識して、十分に覚悟をきめてやっていただくということでございますから、おそらく言うべきことはどしどし言っていただけるというふうに私は期待をするわけでございます。  きょうは、沖繩の問題を二、三点と、原子力潜水艦の寄港の問題についてお伺いをいたしたいと思います。  そこで、この沖繩の問題でございますが、前の外務大臣三木さんの意見等において、自民党の方々の中にも沖繩返還本土並みというようなことが言われ、それはやはり、国民がせめても本土並みで返してもらいたいという、そういう気持ちであるのを背景にしての御意見だと思います。ところが、総理大臣のほうは、なかなかそうまではおっしゃらずに、早期返還であるならば本土並みはむずかしいというような答弁を、私は予算委員会等でもじっと聞いておりましたけれども、そういうお考えを吐露されております。そうすると、この二つの意見があるわけでございますけれども、これをどういうふうに調整をされていこうとするのか、これをまずお伺いしたいと思います。
  15. 愛知揆一

    愛知国務大臣 この問題につきましては、私はこういうふうに考えておるわけでございます。  佐藤総理がしばしば言われておるところでございますけれども、まず沖繩返還ということが早期に望まれている。このことは何よりも明白な事実であろうかと思いますので、これに全力をあげていきたい。同時に、日本、それから沖繩——施政権返還になればもちろん日本でございますが、沖繩を含む日本の安全を今後確保していく。これはまた一番大切なことではないかと思うわけでございます。また、日本を含み、かつ日本と不可分の関係にある極東の平和、安全を保つということが、私としては非常に大切なことではないかと思います。そういう観点から考えて、現に沖繩アメリカ施政権下にあって、基地を持っておる。そうして、それがわれわれの安全のためにどういうふうに位置づけられておるかということを、これまたほんとうに真剣に取り組んでいかなければならない。この早期返還ということと安全ということ、これはいわば人によっては二律背反的にとる人もあろうかもしれませんけれども、私は、そこの間の調整をはかっていくということがこの問題のむずかしいところではないかと思います。しかし、そのむずかしいところにぶつかりまして・国民考え方、あるいはこれも総理のよく言っておられることでありますが、国際情勢の変化あるいは軍事科学等見通しというふうなこともあわせて十分洞察しながら、適切な道を発見していくこと、同時に、これは現に施政権を持っておりますアメリカが相手でございますから、返還交渉に当たるためには、十分話し合いで、両方率直に意見を交換しながら解決の道を探求していかなければならない。これがまた非常に言うはやすく、なかなかむずかしいところであると思いますけれども、その間に私は誤りなきことを期していきたい、こういうふうに考えるわけでございます。  ただいまもお話がございましたように、いろいろの意見があるということは、ある意味ではこれは当然のことではないかと思いますが、ただ、ただいま御指摘がございました、三木外務大臣あるいは佐藤総理との間に意見の相違があるといわれておりますけれども、私が考えるところでは、これは基本的な考え方には違いがない、かように考えておる次第でございます。
  16. 戸叶里子

    ○戸叶委員 いまの御答弁を伺っておりまして、いろんな意見がある、そうだと思います。そうしてこれから交渉で煮詰めていくのだと思います。しかし、日本政府として、外務大臣として、いろんな交渉をしていく上にあたって、やはり一つ考え方がなければ前進というものはないと思います。第一回の日米のこの問題に関しての会談のときに、アメリカ側のほうから、国民世論はどうであるということはわかったけれども、それでは政府は何を考えているのか、こういうことが聞かれたということも伝えられております。したがって、今後交渉にあたっては、政府は何を考えているか。こういろ意見もございます、こういう意見もございます、これだけ投げるだけであっては前進はしないと思います。私たちはこう思います、こういうことがなければ煮詰まっていかないと思うわけです。そこで、愛知外務大臣のお考えは、先ごろ新聞で拝見いたしますと、本土並みが望ましい、こういうふうなことを言っていらっしゃいますけれども、こういうことをベースにして交渉をお始めになると考えてもよろしいかどうか、これをお伺いしたいと思います。
  17. 愛知揆一

    愛知国務大臣 実は数カ月前でございます。もちろん就任前でございますけれども、私の申しましたことが活字になっておるものもございます。望むらくは本土並みというふうにこれが表現されている部分もございます。で、これは何と申しますか、私のいろいろの前提やいろいろの考えなければならない条件などを別にして、いわば話しことばとして素朴なと申しましょうか、気持ちをあらわしたものでございまして、実際の交渉あるいはそれに臨むわがほらの腹案というものをほんとうにかっちり積み上げてまいりますためには、いろいろまた考えなければならない前提条件や、また希望する項目などもございますわけですから、私の素朴な感情は、もちろん頭に入れながら、しかも実際的で、そして日本国益のためにどうあったらいいか、日本の安全を確保するためにはどうあったらいいか、しかもなおかつ一日でもすみやかな返還を求めるのには最善の選択はどういうところにあるかということを、私自身といたしましてもいまほんとうに一生懸命で探求しておるわけでございます。
  18. 戸叶里子

    ○戸叶委員 その御苦労のほどはわかりますけれども、やはり腹がまえとしてしっかりこうでありたいということがその表面に出てこなければ、そういうことを考えながらもアメリカの言うとおりになっていくのじゃないかという不安が私どもにはあるわけです。  そこで、もう少し具体的にお伺いいたしますと、佐藤総理大臣所信表明演説の中で、日米相互信頼の上に立って安全保障上の要請を踏まえつつ沖繩早期返還実施のために、ということを言っておられます。そこで、日米相互信頼の上に立って安全保障上の要請を踏まえつつということばが、私の耳には残って離れないわけです。国民もおそらくそうだと思うわけです。予算委員会においてもそのことずばりとしてまだ伺っておらないと思いますけれども、たとえば具体的にいって、アメリカのほうから安全保障上こういう基地あり方が望ましい、こういうようなことが言われれば、その要請に応じるというのでしょうか、どうでしょうか。この点をお伺いしたいと思います。
  19. 愛知揆一

    愛知国務大臣 先ほど申しましたように、私は、一つの大きな問題は、日本及び沖繩セキュリティーということを確保する、このことがやはり大きな命題でなければならないと思うのであります。そういう意味で、日本立場においてどういうふうなかまえ方をしたならばいいのだろうかということを自主的に私は考えるべきだ。そしてそれを腹に持ちながら——率直に申しますと、現在のところはアメリカ施政権者である。そしてそういうふうなセキュリティーの問題の責任をとってくれているわけでございます。その現に責任者である立場において、沖繩地位というものをどういうふうに認識し、どういうふうにかまえているのかということも、私どもとしては返還後のセキュリティーということを考えた場合に、いままでのアメリカ考え方あるいは今後どういうふうに考えていくということも、私ども一つ決心というか対策を立てるためには絶対的に必要な条件じゃないかと思う。そういう意味におきましては、こちら側の主体的な構想を立てるためには、やはり日米間の隔意ない懇談といいますか、相談というものがまず必要ではないか。そういうことをも考えてみますと、いまたとえば私が一つの案を持って、そしてこれでなければだめだと断定的にきめてかかることは、かえって早計であって、当を得たものではないのではないだろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  20. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そこで、二点お伺いしたいのは、先ほどもちょっと触れましたけれどもアメリカ側から日本政府はどう考えているかというようなことを聞かれたときに、いままだ暗中模索ですというお答えをなさるかどうかということが一点。  もう一つは、いま大臣は、自主的に考えて諸般の情勢とにらみ合わせての結論を出していくと言われましたが、このことは、参議院の予算委員会でも、総理が「日本独自の考えを貫きたいと考えるから、アメリカがどう思おうと支障がないというならば、日本が独自のものを強く主張するか、問題はそこなんです。日本が安全だと判断すれば、それ以上のものをアメリカが必要だといっても、さようなものは必要ないじゃありませんかとはっきり申します。」こういうことを言われているわけです。そうなってまいりますと、一体今日の段階において、日本政府としては、沖繩に核というようなものが必要だというふうなお考えを持って臨んでいられるのか、そういうものはいまは必要ないという考えで臨んでいられるのか、ここにやはり重要な観点が、重要な問題が出てくるのではないかと思いますが、それに対するお考えを伺いたいと思います。
  21. 愛知揆一

    愛知国務大臣 暗中模索しているわけではございませんし、それから今後におきましても、一方において世論の動向を見ながら、またただいま申しましたように、アメリカ側アメリカ側立場で、日本及び沖繩あるいはそれと不可欠な関係にある極東の平和、安全ということに対して、沖繩の位置というものをどういうふうに考え、かつこれをどういうふうに活用していこうとしているのかということも、こちら側としては十分にわきまえなければならない。これがやはり日本の主体的な、自主的な立場にも通ずるのではないか。一つのことをこちら側が億測をたくましゅうして、一方的に早計一つの固定した考え方で臨むということでは、私は、ほんとう日本国益に合致するような結論を導くことはなかなかむずかしいのではないか、こういうふうに考える。同時に、私は、外交問題の権威者がおそろいのこの委員会でございますので、たいへんなまいきなことを申すようで恐縮でございますが、同時に、こうした大きな外交問題に対して、いわば外交としての本質というものを考えてみました場合に、早計一つ考え方を断定的に出して、そうしてそれで押していくんだ、できなければどうとかというふうに考えるのは、外交というものの本質からいって、とるべき策ではないんじゃなかろうか。ことに私は、沖繩問題扱い方に対して、日米相互信頼関係の上に立って、あくまで話し合いで煮詰めていかなければならない、これは闘争の外交、対決の外交であってはならないと思います。幸いにして、日米間の関係というものは、これは見る方によってはいろいろの見方もございましょうが、私としては、現在の日米間の関係ならば、ほんとうにもっと突っ込んで十分に話ができる環境にある、またこれを大いに活用しなければならないと思っております。何ぶんにも、この間予算委員会でも問題になりまして、たとえばせっかく佐藤ジョンソン会談があったのに、その後沖繩返還前提にした継続的な協議というものがあまり行なわれていないではないか、五月に一回行なわれただけではないかという御指摘もございました。事実そのとおりであるかもしれませんけれども、これは何も正式のテーブルをはさんで、双方何人も代表を出してというような形だけが私は外交ではないと思います。これは今後まことに微力でございますけれども、私もあらゆる知恵才覚をしぼりまして、いま申しましたような点について探求をいたします。しかし、それはいつまでかかるというような長い時間を前提にするわけにまいりません。まず私自身といたしましても、アメリカ側の率直で真剣で誠実な態度やものの見方というものを掌握したいのでございます。その前に、あるいはまた世論ももうきまっているというふうに見る見方もございましょうが、世論に対しても、問題の所在、私ども考えなければならないテーマを率直に提供いたしまして、そして相ともにまた考えていただくことも必要じゃないだろうか。そういう意味で、私は、総理と同じといいますか、総理はこの問題に取り組んでたいへん熱心に継続的にやっておられますところへ、私が今回こういう地位についたわけでございますから、その総理白紙と言われる気持ちもよくわかるし、いわんや、私としていま白紙以上のことを申し上げるということはできにくい、こういうふうな私の考えでありますことを御了察いただきたいと思います。
  22. 戸叶里子

    ○戸叶委員 外務大臣のいまの御答弁を伺っておりまして、私が質問したことには残念ながら答えていただいておらないと思います。たとえばアメリカ側から日本政府はどういう考え方かというふうに聞かれたときに、いまおっしゃったようなことでは、どうも私どもは納得がいきませんのと、それからもう一つ伺いました、いまのこういう国際情勢、ベトナムの問題等解決しつつあるこういうふうなときに、日本政府として沖繩基地に核兵器を置く必要があると思うのかどうかという質問に対してもお答えをいただいておらないと思います。そのことだけでけっこうですから、お考えのほどを承っておきたいと思います。
  23. 愛知揆一

    愛知国務大臣 私は、実はそれに端的にお答えができないのでありまして、これも総理ことばをたびたび引用して恐縮なんでありますけれども、こういう点については、国際情勢の分析、認識、それから現にあるいは今後予想される軍事科学核戦力といったようなことについての考え方見通しというものももっと突っ込んで真剣に検討し、そして国民の間にも考えていただくために問題を提供しながら、一面において世論を醸成していくというふうに考えるべきじゃないだろうか、こういうふうに思っておりますので、端的にイエス、ノーでお答えする能力も立場もまだ私にはないことを、先ほど申しましたように御了察いただきたいと思うわけでございます。
  24. 戸叶里子

    ○戸叶委員 実は国民の聞きたいところはそこだということを認識しておいていただきたいと思います。  そこで、それではお伺いいたしますけれども総理も、予算委員会等で、大体両三年に沖繩返還をするという中で、もうあと二年のうちには返還をするというようなことをはっきりおっしゃったようでございますけれども、そしてまた、いまの外務大臣の御答弁の中にも、まず早期返還をして、そして基地問題等解決に当たっていく、こういうふうなことでございましたが、それではお伺いいたしたいのは、来年総理の訪米にあたっては、大体基地あり方、態様というもののめどをつけた上で訪米なさろうとしているのか、それとも基地あり方に対してもめども何もつけずに早期返還だけを持っていかれるのか、この辺の心がまえのこともお伺いいたしたいと思います。
  25. 愛知揆一

    愛知国務大臣 この点は、まず第一に、すでに御承知のように、こちら側の心組みといたしましては、来年の秋佐藤総理が訪米してこの問題を煮詰めて決着をしたい、こう考えておることは事実でございますから、アメリカ側の都合もありましょうけれども、わがほうといたしましては、それまでに、こうしていきたいということはもちろん持っていかなければいけないと思っております。その際に、返還だけを考えるのか、こういう御質問でございますが、やはり沖繩返還ということは、日本の完全な領土に復帰してもらうことでございますから、セキュリティーの問題その他もあわせて考えていかなければならない、また、これはワンパッケージとしての中の問題として取り上げていくべきであろう、私はこう考えております。
  26. 戸叶里子

    ○戸叶委員 いまの問題で、どうもいままでの御答弁を伺っていますと、沖繩返還はするけれども基地の問題が何かうやむやになりそうで心配でございましたが、ともかくワンパッケ−ジでこれを解決する、そしてまた、来年訪米までには何らかのめどをつけていくのだ、こういうふうなことがはっきりしたわけでございますが、そのめどがつき次第、こういう形の基地返還をするのだということは、はっきり国民にお知らせになりますね。
  27. 愛知揆一

    愛知国務大臣 それは、そういうかまえで問題を取り上げていくことは当然であろうと私は私えております。
  28. 戸叶里子

    ○戸叶委員 次に、B52の問題を一、二点伺いたいと思いますけれども、B52というのは、四十年の七月二十八日に沖繩に待避していて、そして南ベトナムの戦争に直接参加した。これが初めてでございました。その当時、アメリカの国務省のスポークスマンが、私が知る限り、沖繩基地の爆撃機をこのように使用する場合には、日本政府の事前通告は要らないけれども、事前に通告するのが適当と思うと発表をいたしました。それから椎名外務大臣も、ベトナムヘの直接発進は避けてほしいという申し入れをいたしております。ところが、当時そういうふうに言っておられたのに、四十三年の二月五日ごろから嘉手納にずうっと移動をしてきたわけです。にもかかわらず、通告するのが適当であると思うと言われながら、一体その後日本に通告があったのですか。ベトナムに行きますという通告があったのかなかったのか、それもうやむやにされている。そして、こういうものは県民感情に困るから直接の発進は避けてほしいという椎名外務大臣のそういう要請も、うやむやにされたまま今日まで常駐している。こういうふうに無視されてくるから、そしてひとりでに一つの例を積み上げていってしまうから、いろいろな支障というか、いろいろななめられた外交というものが今日まで行なわれてきたと思うのです。そういうことを一つ一つ区切りをつけていかないところに問題があるわけで、アメリカはそういうふうに通告するのが適当と思うと言いながら、しないでずうっとなしくずしにやっていくという、こういうあり方というものは、私は非常に無礼だと思うのですけれども、この点についてはどういうふうにお考えになりますか。いまいるからしかたないといえばそれまでですけれども、今後のこともありますから、そういう点をはっきりさせておいていただきたい、こういうふうに思います。  そしてそれに関連いたしまして、B52の爆音とかその姿というものは、私はこの間沖繩で飛び立つところを見まして、よく沖繩県民が心臓病にならないなと思うほど、私は心臓がどきどきいたしました。そしてまた非常に心配になりました。そういうふうな点から見まして、そしてまた一日に二回ずつ、午後一時と三時に飛び立っていくわけですけれども、これを常駐ではないと言っておられますが、私はこれはことばのあやだけであって、常駐というふうに見ていいんじゃないか。こういうことをまずはっきりさせていただきたいと思います。
  29. 愛知揆一

    愛知国務大臣 実は私、就任前にどういうふうなやりとりがあったかということは、正確に詳細に承知しておりませんけれども、とにかく私は、いまの御不審あるいは御不満、お考えになっておられる点はごもっともだと思うのです。ことにこれは、かねがね私も外務大臣になる前から心配しておった問題でございますから、就任早々ジョンソン大使を招きましたときにも、沖繩全体の返還問題という大きな問題も控えておりますが、当面緊急の問題といたしまして、私としてあらためてこのB52の問題に対して注意を大いに喚起いたしました。これはまず当面の問題といたしましては、沖繩の県民がほんとにはだに触れて、ほんとにこれはやりきれない思いをしているわけで、それにまずこたえてあげなければならない。これは条約上、法律上の問題からいたしますれば、あるいは事前通告というようなことは必要ないことなんですが、そういうことは抜いてというか、あるいはそれ以前の問題として、私は、沖繩人たち気持ちを自分の心として、何とかこれはやってほしいということで注意を喚起いたしまして、ジョンソン大使としては、一つは、B52の発進基地としてこれを恒久化するものでないということはアメリカ政府態度でございます。これはとにかく再確認はいたしました。それから今後の問題でございますけれども情勢が好転して沖繩をB52が利用しないで済むような状態をつくり上げるということについて、大きく努力をしなければなりませんということは申しておるわけでございますが、これは一度の会談や申し入れくらいで片づく問題ではないと思いますから、今後とも十分現地の情勢も注視しながら、私どもとしてもできるだけのことをしたいというふうに考えております。  なお、本件につきましては、私は旧知の間柄でもございますので、屋良さんの真情あふるる気持ちほんとうに伺い、同感の意を表したようなわけであります。何とかひとつ最善の努力を続けてまいりたいと思います。
  30. 戸叶里子

    ○戸叶委員 ことばにとらわれるわけではございませんけれども、それでは常駐というのは、何年たてば帰りますとか、そういうふうな恒久的な約束なり何なりをしたときに常駐というのであって、いまのように年じゅういても常駐とはいわないのですか。この点がどうしてもいろいろ考えていきますと私はわかりませんので、念のために伺っておきたいと思います。
  31. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これはいわゆる。ペーパーでもってはっきりするというようなことにはいっておりませんから何でございますが、会談の底に流れているものは、恒久ということばが少し悪いくらいで、これは暫定的な処置であるというようにむしろ解すべきではないか、私はそういうふうに期待をしておるわけでございます。
  32. 戸叶里子

    ○戸叶委員 これはほかの委員会でございますけれども、決算委員会でこの問題でやはり質問が出ております。そのときに外務省は、アメリカのほうで常駐するものではないと言った、こういう答弁をしています。ところが、防衛庁の宍戸防衛局長の言うのは、B52が常駐であるか一時的移駐であるかという質問に対しまして、その点も正確にわかりません、防衛庁がそう言っております。正確にわかりませんが、外務省から聞いたところでは、常駐ではないとアメリカが言っております、こういうふうに私どもにとりまして非常にばかにした答弁をしているわけです。政府の部内でもそういう考え方で、はっきりわかっておらない。そこで、ましてや、私たち一般国民にはわからないのは当然でございますけれども、そういう点をことばのあやだけでなくして、常駐するかしないか、これからの問題としても非常に大きな問題でございますので、こういうことがないようにはっきりとしておいていただきたい、これが一つの要望でございますが、この点をまず伺いたいと思います。
  33. 愛知揆一

    愛知国務大臣 先ほども申しましたように、B52の問題については、いろいろの過程があったように私も聞いておるのであります。それから比較的最近におきましては、外務省当局とアメリカ大使館係官との間にもいろいろの話し合いがあり、そのある部分は公表もされておるようでございますが、私といたしましては、少なくとも私自身がその衝に当たって口火を切り、また私としても心証を得て今後の措置に備えたいと思いましたものですから、ジョンソン大使との間にもこの問題を提供し、注意を喚起し、そしてアメリカ政府の代表者としての大使としての言動に私も自分自身で心証を得たい、こう思いまして話を切り出したわけでございますから、ひとつ今後の推移も十分私は見守ってまいりたい。これからいろいろの見方や情報も流れるかもしれませんが、私も一生懸命やりますから、ひとつ御信頼をいただきたいと思います。
  34. 戸叶里子

    ○戸叶委員 私、もう少し沖繩の問題を聞きたいのですけれども、何か時間がないようですから、穗積委員から五分ほど時間をいただきまして、原潜の問題に触れてまいりたいと思います。  原子力潜水艦がまた佐世保に入ってくるということを私ども新聞で知ったわけでございますが、これは何の目的で入ってくるわけですか。
  35. 愛知揆一

    愛知国務大臣 原潜につきましては、実は今朝八時十分過ぎにアメリカ大使館側から正式な通告がございました。潜水艦の艦名はプランジャー号、明十八日午前九時佐世保港入港、こういうことでございます。これはこの通告には入っておりませんけれども昭和三十九年以来の、休養といいましょうか、ああいう目的で入ってくるものと理解をいたします。     〔穗積委員「ついでに目的と期間を言ってくだ   さい」と呼ぶ〕
  36. 戸叶里子

    ○戸叶委員 私も次にそのことを聞こうと思ったのですが、目的と期間……。
  37. 愛知揆一

    愛知国務大臣 期間は、停泊期間約三日間ということでございます。目的は、いま申しましたように、これは昭和三十九年以来の目的と同一の目的である、かように理解いたしております。
  38. 戸叶里子

    ○戸叶委員 原子力潜水艦が五月九日に入港したあとで放射能が測定されまして、そして日本の学者の間でも、その原潜から出された放射能であるのではないかというような疑いも持たれました。それに対してアメリカ側ではわざわざ人をよこして、そうじゃないというようなことを言いまして、まだその間の調整はとれておらないと思います。その調整のとれないうちに今回入ってくるということに対して、私どもは非常に不安を感ずるわけです。日米の両方の専門家の意見が一致しておらないうちに入ってくるということに対して、入港されるということは非常に不安に思うわけでございます。  またもう一つの疑問は、そういう問題があって、そしていろいろとアメリカ政府日本との間に話し合いをしていたことはわかりますけれども、その間七カ月というものは入らないで済んだわけです。そういうことから見れば、何も入らないでも済むのではないか。にもかかわらず、わざわざ今回また休養という名前で入って一おそらくこれからどんどん入ってくるでしょう。七カ月も入らないでいたのだから入らないで済むのではないかという気持ちを裏切って、入ってくる。こういう点、私どもは単なる休養とかなんとかいうことでごまかされるのはどうも不安であり、不満でしかたがないわけです。むしろ休養ならばよそへ行って休養してもらったらいいのじゃないか、こういうふうに考えるわけでございますけれども、わざわざ休養の地として日本を選ばなければならないということについての理由をお聞きになっていらっしゃいますか。これは法律上はできないにしても、日本国民感情を背景にしてそのくらいのことは聞いてもいいのではないか、こう思いますけれども、この点はいかがでございましょうか。
  39. 愛知揆一

    愛知国務大臣 先ほどのお答え申し上げましたことを補足させていただきます。  艦名とそれから滞在期間を申し上げましたが、目的として補給と休養、それから乗り組み員は百十七名、士官十三名、下士官、兵百四名、こういうふうなことで、本日午前八時十分外務省に対しまして通報があった次第でございます。  それから、これはもうよく御承知のことですから詳しくは申し上げませんけれども政府立場といたしましては、原子力委員会が、御案内のように五月二十九日でございますか、見解をまとめたものが四点ございますが、そのうち三つの点につきまして、三木外務大臣との間に話し合いが行なわれて、本年十月二十二日に会談覚え書きというものが合意されました。これで本件についての疑義は解消した、こういうことで従来に返りまして、入る希望があればこれを受けるのが自然であろう、こういう態度で、今回も通報を受けましただけでとどめたわけでございます。
  40. 戸叶里子

    ○戸叶委員 政府のほうは、日米会談覚書を十月二十二日に出して、これでもう問題は解決したとお思いになるかもしれませんけれども国民は感情として解決しておりません。なぜならば、日本の学者の中にも、原潜の残した放射能であるのではないかというような疑いがいまだ晴れておりません。しかし、いま水を取ってきてどうするといっても、これはできないことではございますけれども、まだそういう疑いは晴れておらないし、国民自身も、この覚え書きが出たからもう原潜が入っても安心ですよとおっしゃっても、少しも不安は減りません。不安で一ぱいでございます。なぜならば、政府は今度は予備費から測定器をちゃんと備えておいて、そして放射能が放出されたかどうかを調べるとか、あるいはまた一々きょうは放射能がありませんでしたとか、ありましたとかということをどんどん報道する、そういう機関を設けたから安心だとおっしゃってみても、それは放射能というものが出てからの問題であって、出るのじゃなかろうか、放射能にまた悩まされるんじゃなかろうかという不安は、私は原潜の寄港する限り解消できない。これは機械でもって検査をして、出たか出ないかを調べて、出ましたよ、出ませんよというだけの問題であって、不安感ということからいえば、少しも不安感はなくなっておらないと思います。  さらに、覚え書きでございますけれども、その中で、原子炉の第一次冷却水が艦外へ放出されないことという日本の要望を出されたと聞いておりますし、また、いつか委員会三木さんも、第一次冷却水が放出されないようにいま申し入れをしているということもおっしゃったはずでございます。ところが、その返事として得たことは、通常一次冷却水は放出されないとして、例外があることを覚え書きに書いてあるわけです。だとしますと、こういうふうな例外を認めているならば、何かいままでとちっとも変わらないじゃありませんか。通常は出さないけれども、例外のときは出しますよ、こういうふうにいわれておるのですから、私たちは非常に心配になるわけで、こんな覚え書きは、かえってこういうものをごまかしに出して、そしてその上で原子力潜水艦の寄港を認めさせるための手段に使ったとしか思えないような覚え書き、抜け穴だらけの覚え書き、こういうふうに思うわけでございますが、外務大臣はその点についてどうお考えになりますか。今後において、こういう問題についても、もっと原則的な問題に立ち返って交渉をしていただけるかどうかを伺いたいと思います。
  41. 愛知揆一

    愛知国務大臣 いまの覚え書きでございますが、これができました経緯やあるいは文言の書き方というものは、私は非常に科学的なものではないかと思われるのであります。しかし、専門的なことになりますから、場合によりましては、こういう点は科学技術庁か原子力委員会からお答えしたほうがより科学的かと思いますけれども、当時、十月二十二日の覚え書き並びにその公表に際しまして、私の承知しておりますところでは、原子力委員会というわが国最高のこの方面の権威と責任を持っているところが、これで、何といいますか、けりがついた、こういう解釈と理解を示しておる。これを私どもとしては、政府として尊重といいますか、その意見どおりにわれわれの意見をまとめたわけでございますから、決して国民全般に御不満をかけることは万々あり得ない、かように考えておるわけでございます。  なお、これも私からお答えするのは適当でないかもしれませんけれども、科学技術庁等におきましては、日本側としてとるべき調査体制の整備拡充ということについては、万遺漏なきを今回も期しておるはずでございます。
  42. 戸叶里子

    ○戸叶委員 時間がないそうですから、あと一点だけにしますけれども、ちょうど異常放射能事件が起きた五月六日のときに、アメリカ側の声明は、一滴たりとも放射能は出さなかった、こういうふうにがんばっておって、出港時の胎動も一次冷却水を出さないで済むということを明らかにしているわけです。アメリカがそうしておきながら、今回は例外としてあり得る、こういうことを押しつけられたということは、何か日本政府がそれをのまされてしまったような感じがするわけでございまして、こういうこともよく踏まえて交渉をしていただきたい、これが第一点でございます。  もう一つは、三木さんがたしかおっしゃったと思いますけれども、この覚え書きは沖繩での米原潜の行動も規制すると思いますが、これはいかがでございますか、この二点を伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
  43. 愛知揆一

    愛知国務大臣 私はおことばをとらえるわけではないけれども、第一のごまかされたというようなことは、私ども考えておりませんで、私は実はこのとき当事者ではございませんが、この文章並びにそこに至る日米の技術的な意見の交換その他は、私は非常に徹底してよく行なわれたのではないかと思っております。したがって、この文言も、私さっき申しましたように、非常に科学的な良心的な文言でつくられておるもの、私はこういうふうに当時から理解しておりました。現在ますますそう感じておるわけでございます。  それから第二の沖繩の問題は、これも先ほどのB52の問題と同じなんでございますけれども、特に屋良新主席と懇談してみまして、これは科学的な調査というようなことについては、おそらくアメリカとしても現に行なっております米琉共同調査とか、それから、たとえばサンプリングをします場合にも、資料をわざわざアラバマに送ってその結果を公表するというようなことで、アメリカとしては相当良心的にやっていると思うのです。しかし、そういうことだけでは、沖繩の県民の方々の満足を得ることはできないし、不安を消すことはできない。そこが問題だと思うのです。そこで、アメリカ側から言わせれば、科学的に十分良心的なことをやっておるのですから害はございませんというけれども、それをほんとう沖繩の漁民なり住民なり、その人たちに納得をしてもらうためのやり方、あるいは通報のしかたというようなこと、あるいはその調査のしかた自身にも、何か沖繩の人の気持ちを反映するようないい措置ができるはずじゃございませんか、いまわれわれ残念ながら施政権者ではないけれども、あなた方のそういう、もう少しきめのこまかい配慮をしてくれなければ困るではないですかということに対して、私の意見に対して、なるほどということで、考えましょうということにはなっております。したがって、こういう点は、現在の沖繩アメリカ施政権下にあるのでは、法律的にとやかく言うことはできませんが、実際問題として、同じ日本国民である沖繩県の人たちの庶民感情からいいましても、もう少し理解が求められるようにすることが、私は絶対に必要だと思っております。ですから、原則的にはそれこそ日本本土並み、そうしてまた、戸叶さんは御満足いただけないかもしれませんが、少なくとも日本の中でやっているような、国民に理解を求める方法などについては、沖繩でも十分考えてもらう、そういうことになることを私は現在期待しておりますが、ぜひそういう方向に進めたいと思っております。
  44. 戸叶里子

    ○戸叶委員 覚え書きは規制しますか、しませんか。
  45. 愛知揆一

    愛知国務大臣 しません。
  46. 戸叶里子

    ○戸叶委員 しませんじゃ、三木さんの答弁と違いますね。
  47. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ちょっと一言つけ加えさしていただきたいと思います。  いまの戸叶さんの御質問に対して、フラットに適用されないと申しましたが、そうだけだと誤解を生みますから、この文言あるいはこの文章は、沖繩にそのままアプライはされないが、同様のことをアメリカ政府としては考えますということは言っておりますから、その意味からいえば、この精神なり趣旨なりはアプライされる、この文言それ自体はアプライされない、こういうふうに御解釈をお願いいたします。
  48. 秋田大助

    秋田委員長 帆足計君。
  49. 帆足計

    帆足委員 戸叶女史の質問に関連いたしまして、私は、外務大臣の御答弁にまだ不満足でありますからお尋ねいたしますが、第一次冷却水は原則として放出しないように努力する、しかし例外的にあり得るというのは、どういう例外であると御理解ですか。
  50. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これはどうもその辺のところ、私はあまり率直に申しますと言い過ぎるかもしれませんが、ごかんべんいただきたいのですが、向うは出すことはあり得ないという観点に立っているように私は理解しております。しかし、文言に書いて、こうこうこういうことをやる場合においては、こういうふうにしておきますが、内容的にはそういうことは現在あり得ないし、またするつもりももちろんないということが、この中のほんとうの真意である、こういうふうに私は考えておりますが、なお、その点は、いま失礼しました原子力局次長も来ておりますから、技術的にはそのほうから答弁してもらいたいと思います。
  51. 帆足計

    帆足委員 では専門家から御答弁願います。
  52. 田中好雄

    田中説明員 補足させていただきます。  米側から申しておりますのは、例外的に出ることを考えて、ということでありますが、例外の場合を除いて出さないといっておりますけれども、これを聞きましたところ、予測し得ない事態が起こることが考えられるので、こういうことでございます。それ以上突っ込んで聞きましても、事例的にどういうものがあるか、なかなか申しておらないのでございますが、内容的にわれわれの技術的な判断で考えられますことは、通常の場合、一次冷却水が出ますのは出港のときといわれております。出港のときどうして出るかといいますと、船が入りまして、いままであたたまっておりましたリアクターが冷えてまいりますが、そのときに水が少し減りますので、それを一たん補給しまして、再びあたためますと膨張いたしますから、膨張した分が出てまいるわけでございます。そういう点を考えますと出るわけでございますけれども、ところが、これはひとつくふうをいたしまして、実際には原子炉は非常に保温をよくしてございます。外へ熱が出ないようにくふうしてございますから、その面を考慮いたし、外へ出ないようにすれば、中はあたたまっているわけでございますから、したがって、補給水が要らないわけでございますから、その中の温度をある一定の温度、これは定格温度と申しておりますが、この定格温度に保つようなくふうはできるわけであります。この前の事例で申しますと、工作艦が横におりましてくっつくわけでございますけれども、そうなりますと、工作艦から電源をもちまして定格の温度に保つ、こう申しております。そういうや方は技術的にいろいろな先生方に聞きましても可能である。といいますのは、保温がよくできておりますので、リークを起こさない。漏洩して出てしまう温度、言いかえますと、温度が下がるというのを防ぐのはわりに楽なはずだ、こう申しております。したがって、そういうやり方などしておりますから、通常の場合は出ないわけでありますが、それでは例外的に何があるかということになると、われわれとしては考えられませんが、たとえば緊急に出るような場合に、いま申しました水が少し減っているようなのを補給して緊急に出ていくということがございますれば、あるいはそういう場合を考えて例外的にといっているのかな、かように考えておる次第でございます。
  53. 帆足計

    帆足委員 例外ということがあるとすれば、やはりわれわれは安心することはできないわけでありまして、大臣は、補償におきまして、漁民が困っておる、魚が売れないという実情を御存じですか。また、大臣にお嬢さんがおられて、御妊娠中や赤ちゃんにその魚を安心して食べさせる御覚悟ができておりますでしょうか、ちょっとお尋ねしておきたい。
  54. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まず第一の問題でございますが、これは場合によりまして政府委員から御説明いたしますが、漁民に対しまして、危険である、どうであるということよりも、危険であろうかもしれないということで、魚が売れない、あるいはとることに意欲が起きないというようなことを含めて、漁民組合を通しての陳情や要望がございましたので、正確の数字は忘れましたが、六百数十万円の補償措置は先般予備費から支出いたしました。  それから、私はもう安全と思っておりますから、私は孫にも何でも食べさせて一向差しつかえないと考えております。
  55. 帆足計

    帆足委員 どうもそういうあぶないものを子供に食べさすということについてだけは、その一点だけはよいパパといえないと私は思います。私だったら妊産婦にはやはりやらないようにいたします。別に魚を食べなくても肉があるのですから、ひき肉でもしてやれるのですから、いいパパではないと思っております。外務大臣になったら急に悪いパパになるようなことではほんとうに困ります。残念なことだと思います。  それから、休養のために寄るといいますが、休養のためならハワイに行けばいいのであって、他国に来てへどを吐くとは何ごとであるか、神州清潔の国に来てへどを吐くとは何ごとであるか、したがいまして、なぜハワイでは済まないのですか、どんどんずけずけおっしゃればいいのではないですか。
  56. 愛知揆一

    愛知国務大臣 それは私も御意見として一応頭に入れておきたいと思います。
  57. 帆足計

    帆足委員 佐世保でも横須賀でも、外国の兵士に対しての売春禁止を非常に寛大にしておると聞いておりますが、売春の事実はありませんか。休養というのは、やまとなでしこを売春の対象にするということも重要な案件の一つだと実際家から聞いておりますが、大臣はその事実を御承知でしょうか。
  58. 愛知揆一

    愛知国務大臣 どうもそこまでは遺憾ながらいま責任を持ってお答えはできません。
  59. 帆足計

    帆足委員 この件につきましては、いずれ治安当局のほうに伺うことにしますが、私どもが現地で承っておることによれば、レクリェーションの重要な一つは売春行為であると聞いておりますから、その点は御記憶にとどめていただきたい。ハワイで一向差しつかえないものについてはす——意見を聞いておくというのは、まことに失礼千万なことであって、ハワイで差しつかえないという判断が常識においてつくならば、私はハワイをおすすめしてしかるべきであろうと思うのでございます。  それから、これはもう少し程度がひどくなっております沖繩におきましては、海水の泥土に多量の放射能が発見され、それからテラピアという魚、これはおそらく熱帯魚でございましょう、これは食用の魚でございますが、これにも相当量の放射能が含まれておるということを学術会議で報告されておりますが、その後の調査はどうなりましたか、お尋ねしたい。これは専門家のほうから、簡単でけっこうでございます、時間がありませんから。
  60. 田中好雄

    田中説明員 那覇港におきます問題でございますが、これは海底上中のコバルト六〇でございますが、これを原潜寄港汚染問題調査研究委員会というのがございますが、そこでおやりになった数字はございます。ただ、これは正式といいますか、こういう委員会のほうでおやりになったのでありますが、私らの聞いておりますところでは、琉球政府及び在日米大使館から発表されたものがございまして、海底上で一キログラム当たり一九四プラスマイナス二一ピコキュリーという数字で、これは沖繩政府によりますれば、人体に何らの影響、危険をもたらすものではない、こういうふうに言っております。
  61. 帆足計

    帆足委員 これは、被告たるアメリカが発表した数字というものは、過小評価しているのに違いないから、アメリカ大使においてはひとつたっぷりテラピアをてんぷらにしてでも食べられることを切望いたしますけれども、私どもの娘や妻にはまっぴらごめんと考えておる次第でございます。  それから、ただいま数百万円の賠償を出したということでございますが、この賠償金というのは当然アメリカからとるべきものと思いますが、終局的にはアメリカからおとりになるお考えですか。外務大臣からお答えいただきます。
  62. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これまでは項目としては見舞い金というかっこうで出しておりますが、もしこれが危険であるということをアメリカ側が認めたという場合ならば、アメリカからということも考えられるかもしれませんけれども、私どもとしては危険でないということで、ただ、これは先ほど申し上げましたように、漁民の立場やあるいは魚の売れ方等からいいまして、不安を与えたその事実を認め、かつその人たち気持ちを理解して、見舞い金ということで予備金から適当な額を支給をした。これが真相であり、またそうすることが妥当であったと考えておるわけでございます。
  63. 帆足計

    帆足委員 しかし、その心配の原因はアメリカがつくったものでありますから、賠償せねばならぬという現実の社会的事実を生んだのはアメリカの行為でありますから、アメリカは御迷惑をかけましたといって賠償金を払うのが当然だと私は思います。われわれの血税でもってこれを払う権利は政府にないと思う。最後のしりぬぐいはアメリカが当然すべきである。そのくらいの道義、礼儀、エチケットがわからないようなアメリカならばおそるべしと思いますが、いかがですか。
  64. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これはただいま私が申し上げましたように、日本の主体的立場で、そうして漁民と日本政府との間の問題と私は考えて、そういう根拠からそういう措置をしたのでございますから、この件につきましては、私はそれをアメリカに要求するというようなことは考えない、こういう態度で私は妥当であろうと信じております。
  65. 帆足計

    帆足委員 しからば、日本の漁民及び日本の消費者たちが、汚染されたと心配される海水の中に住んでいた魚、魚介を食べることが心配だということは、これはノイローゼとお考えなんですか。これは正常な理性の作用じゃないですか。正常な理性の作用が反射的に起こってくる問題については、当然アメリカ責任じゃないですか。
  66. 愛知揆一

    愛知国務大臣 しかし、これは他にも例のあることであると私は思うのでありまして、たとえば日本国内の公害の問題などにいたしましても、科学的にそういうことは危険性はないとこれを断定できる場合でも、やはりいろいろの事情といいますか、社会情勢などを洞察して、これは零細な漁民に対し、さなきだに——何といいますか、水産行政の問題になりますけれども、なかなか手の届かぬようなことが多い。そういうこと等も考慮いたしましてやるべき措置であろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  67. 帆足計

    帆足委員 私はものごとを合理的に考える、そういう立場のものでございますから、そういうことはやはり当然アメリカ責任を負うべきだと思います。したがいまして、主張は撤回いたしませんけれども、これは押し問答でございますから……。  それから、沖繩における軍事基地の問題でございますが、御承知のように、日本は大陸に近い前線基地になっておりますために、日本の安全を保障いたしますために、平和憲法と連関いたしまして、三つの歯どめがあることは御承知のとおりで、直接出撃、それから核兵器の持ち込み、それから事前協議、この三つのことがきわめて重要な問題でございます。これが沖繩に適用されてないということが、沖繩の同胞を差別待遇しているということにもなるわけでございます。したがいまして、基地の問題が起こり、それから行政権返還の問題が起こるとすれば、当然本土並みが望ましい。これは、外務大臣もそういう御所見を漏らしたことは、これは一般的教養ある者として当然まず前提になる問題であろうと思って、この一言を述べられたことに対して、私は外務大臣に敬意を新たにしたわけでございます。しかるに、本日の御答では、少し奥歯に物のはさまったような御答弁でございまして、まことに残念であります。司法権、立法権及び行政権が、沖繩祖国返還ということが日程にのぼりましても、それと不可分の関係基地の問題がせめて本土並みというのでなければ、新憲法とも矛盾いたしますし、現実にはいまの三つの歯どめとも矛盾いたしますから、やはりこの矛盾のために、実際に返還が不可能になるということにぶつかりますから、基地の問題で沖繩が置かれている特殊な基地としての条件というものが、早期返還の問題とからんでおるということは、これはもう不可分の問題としてやはり御研究あらんことを切望する次第でございます。離そうとしたところで、憲法と連関しておる問題でございますから、基本的人権、国民が喜びも悲しみも本土と同じになし得るという権利は、沖繩の県民に保障された権利でありますし、沖繩県を犠牲にして、そしてわれわれがただ安全を楽しむというような戦略の立て方は、国民道徳としても許すべからざる問題でありますから、これは直感的に外務大臣が御念頭にある考えが正しいと私は思いますので、もっと深くこれをお考えくださることを切望いたします。いずれ、この問題について、穂積君からもまたこの委員会において引き続いて要望があろうと存じますから、これを強く指摘しておきます。  次には、朝鮮人帰国の問題でありますけれども、これは政府当局の御努力によってほぼ赤十字ベース、人道ベースということで解決に近づいております。これは外務大臣お忘れにならないと思いますが、官房長官時代に、あれは帰国の人間の数が減ったときには協議して船の数も減らし得るし、ふえるときはふやし得るし、すべて赤十字と相談してやれるということになっていたのを、何をか誤って、事のはずみで帰還協定は御破算になりました。いまさら過ぎ去ったことを言ってもしかたがありませんので、今後は政府ベースでなくて、純粋に赤十字相互間のベース、人道のベースだけで解決しよう、ただ、行政面とさわる点がありますから、その点だけを政府解決しておいて、あとは民間の赤十字ベースにまかせる、私はこの考え方は妥当であると思います。外務大臣にも、いろいろそれに反対の筋から異なる意見の圧力もあろうと思いますけれども、まず妥当な点は、赤十字、民間ベースで解決すること、人道のベースで解決すること、人権憲章その他の今日認められておる国際理性のベースで解決すること、こういうことで、もう御答弁を承らなくても総理並びに書記官長にまかしておけばよい段階になっておると存じます。したがいまして、ただ外務大臣においては、こういう国際緊張と関連のある問題、国際紛糾と関連のある問題については、それが人権と自由に関する限り、赤十字ベース、人道ベースをはずれないように事を処理せねばならぬ、はずれないで処理するならば、外務大臣としても異存はもとよりない、これだけそれについて御理解があり、肯定的であるということだけを承れば十分であろうと思います。
  68. 愛知揆一

    愛知国務大臣 北鮮帰還問題については、私は前にも帆足さんといろいろと御接触の経験もあるわけでございますが、お話のとおりでございます。人道的な問題として赤十字相互間で話し合いをしてもらって決着をつける。しいて一言いたしますならば、朝鮮赤十字側も日本赤十字側と考え方を同じにして、純粋に人道的な問題として取り計らってくれて合意に達するように、しいて私希望を申しますと、そういうことをつけ加えておきたいと思います。
  69. 帆足計

    帆足委員 外務大臣の御答弁で満足でございまして、国際紛糾のために人間の自由、人権が無視されるというようなことがありました節は、すべて国際人権憲章、赤十字の規則等によって解決いたしますことをともどもに希望する次第でありまして、ほぼ解決に近づいておりますから、外務大臣がその常識的な立場を堅持されんことを切望してやみません。  最後に、一昨日の新聞で見ましたが、韓国におきまして、流離の旅を味わっている日本人妻がたくさんこじきになりまして、そして路傍に飢えておる姿を日本の女学生が見まして驚いて帰って、総理に訴えの手紙を出しております。朝鮮の人たちが、かつての支配者たりし日本人がいまやこじきになっておる姿を見て、イルポンサラム、イルポンサラム、あれを見よ、日本人のあわれなうらぶれた姿を、こう言っております風景を見まして心を痛めまして、総理に訴えております。その数は、大使館でも多少御調査に着手せられておられるようですが、六百人を上回るといわれております。これらの人たちは、満州のほうから、中国の東北地方から流れてきた人もおるし、朝鮮でまだ幼いころ孤児になった人もおりますし、また朝鮮で結婚いたしまして、そして離婚した人もおりますし、いろいろな境遇の者がおりますが、ふるさとにおいては戦火のために戸籍が焼かれたり、親族、縁者が散ったりいたしまして、彼らの能力をもってしては日本人だということを証明する戸籍謄本も得がたい実情にあるようでございます。したがいまして、大使館のほうでどなたか担当者をきめまして、そういう人たち調査をいたして、その郷里を聞きまして、郷里の親戚、縁者、友人、同窓、小学校の友だちなどから証明をもらいまして、そうしてふるさとにおいて戸籍謄本ができる道を開きまして、そして帰国の希望があります場合にはわれわれが引き取り、また生活保護法に準ずる方法によって引き取りまして、他国に国民の恥をさらさないようにいたしたいと思うのでございます。こういう事件は戦争の犠牲の一つでございますから、やはりあたたかい手を差し伸べて救うことが、私は適切であると思います。入管の方もおられますから、どうか、この事実をすでに御承知でございましょうから、外務省当局と御連絡をよくなされまして、結局戸籍謄本を入手する方法の問題でございますから、それに対して道筋を開いていただいて、そして六百人をこえるという不遇の日本婦人を救っていただきたいと思います。これに対しまして外務大臣から肯定的な御返答をいただいて、あとは入管と御相談のほどをお願い申したいと思います。
  70. 愛知揆一

    愛知国務大臣 この問題は、私も非常に心を痛めておる問題でございます。といいますのは、私就任いたしました次の日に、同僚の足立篤郎議員が釜山から帰国いたしました。釜山で約六百人の日本人妻が窮境にあることをまのあたり見聞してまいりました。釜山の総領事にもいろいろ善後措置を頼んできたけれども、特に日本政府として早急に対策を講じてほしい、こういう申し入れを受けました。また、佐藤総理のところへも同様の話がございましたことは、いまもおあげになったとおりです。さっそくにこの六百人——実は六百人という数字もさだかでないくらい、実態の把握すらもできていなかったわけでございますが、さっそく事務当局にもこれを移し、また関係各省にも協力をお願いしているわけです。  いまもお話がございましたように、帰国の手続をするにしても、従来の手続関係から申しますと、たとえば戸籍謄本の問題をいまおあげになりましたが、そういう点にテクニカルな難点があったようでした。それからもう一つは、実に気の毒な方々が多いようでありまして、かりに帰国ができましても引き取り手がない。あるいは帰ってもどういうことになろうかということで、帰国の申請も——手続上の問題もあるけれども、心持ちとしても、これは帰っていいのだろうかどうだろうかということにも悩みを持っておられる。極端にいえば、ほんとに、ことばは悪いのですが、こじき同様になるおそれすらもある。まさに人道問題でございます。私どもといたしましても、そういうわけでございますので、今月の早々から積極的にかつ迅速に、国内措置の問題もございますから、これは関係各省のあたたかい協力なくしては処理ができませんので、いま一生懸命に協力方をお願いしているわけでございます。
  71. 帆足計

    帆足委員 ただいまの御答弁をいただきまして、まことにありがとう存じます。ぜひとも関係各省御協力の上、轗軻不遇の同胞に対してあたたかい御措置をお願いいたします。  実は、私は少年時代に宇都宮君と同じように父に連れられまして、宇都宮君は京城、私は平壌に長くおりました。朝鮮のことばも多少解し得るので、朝鮮の友のお世話をしておる機会が多いのでありますが、当時やはり日本人妻の轗軻不遇の人たちが相当数おりまして、朝鮮赤十字に参りまして、その人たちのお世話をしまして、赤十字はその方々を寮に集めまして、子供たちには日本語の小さな塾までつくってくれました。やがて日本赤十字の御協力によりまして、日本に引き取ることができました。そのとき、朝鮮政府は一人当たり数万円のせんべつ金まで渡してくれました。また、同じことが中国でもございました。その後も、朝鮮人と結婚しておりまして、望郷の念やみがたく、また離婚等のことがあって、ふるさとに帰らねばならぬというような場合につきましては、朝鮮赤十字に私ども手紙を出しまして便宜をはかってもらうようにいたしております。南朝鮮、韓国につきましても同じような措置がとられると私は思いますから、この際、もう戦後二十年たっております、すでに対策としてはおそ過ぎたのでございますけれども、ぜひともよろしくお願いいたします。
  72. 秋田大助

    秋田委員長 曽祢益君。
  73. 曾禰益

    曽祢委員 愛知新外相をここにお迎えして、お喜びを申し上げるとともに、苦言と言っては言い過ぎかもしれませんが、一言御注文をしておきたいと思います。  愛知さんが就任されましたときに、自分の任務というものは、総理外交を言うならば補佐し、その土台をつくったり、そういうような仕事をするんだ、こういうような趣旨のことをおっしゃいました。それはそれなりに謙虚なお気持ちとしてわかります。また、内閣は一体制であり、連帯制であり、日本の政治の中心は総理大臣にありますから、まあ総理大臣外務大臣が、総裁選挙に出るときになると論争するというようなことは、まことにこれは異例なことではないかと思うのでありますが、この呼吸がぴったり合うことは当然だと思うのです。しかし、やはり外務大臣は、言うまでもなく外交責任者であられるのであって、外交に関しては内閣の連帯制のもとに自分でやるんだ、こういうような気魄を持って、特に総理は忙しい人である、直接の折衝の窓口は言うまでもなく外務大臣、そういう意味で、十分な献策を行ない、そして外交はみずからやるんだという気魄で進んでいただきたいと思うのですけれども、これはいろいろあとに質問する問題にも関連する基本的な外務大臣の心がまえに対する注文という意味で、あなたのお考えを伺っておきたいと思います。
  74. 愛知揆一

    愛知国務大臣 非常に貴重な御助言と申しますか、御忠告をいただきまして、まことにありがとうございました。私としては、申しました意味は、いまも御指摘をいただいたとおりで、内閣全体として外交の一元化ということが絶対必要だ。これは戦前、戦中からいろいろ御指導いただきました曽祢さんは、私の気持ちもよく御理解いただけると思うのでありますけれども、最近の日本の政情だけではなくて、戦前、戦中を通じまして、ともするとそういう点について異常な事態が起こっておる。私ははたから見、あるいは半分片足を突っ込んで見ておりまして、これは非常に日本の国運の伸展を阻害したものである、あるいはもっと極端に言えば危殆におとしいれるおそれすらある、外務省をお預かりすることになりました以上は、このことが一番必要な自分自身の心がまえと思いまして、その一端が総理外交というようなことばで、たいへん未熟であったかもしれませんが、表現されたわけでございます。どうかそういう点を十分御賢察いただきまして、私も大いにがんばり、気魄を持ってやりたいと思いますから、何とぞ御指導、御協力を賜わりたいと思います。
  75. 曾禰益

    曽祢委員 外務大臣外交一元化に関する心境を了といたします。  そこで、さっそく戸叶委員が触れられた問題でありますが、沖繩に関する問題でございます。私は、総理大臣の所見の中で、沖繩早期返還を目ざす、同時に、沖繩が持っている日本及び極東に対する安全保障上の問題を顧慮して、アメリカとけんかではなく、信頼関係の上で沖繩の問題を考えていくこのことそれ自身に反対すべき理由はないと思うのです。しかし、問題は、どうも国民が得ている印象からいうと、早期返還ということに重点を置くならば、やはり国民の言うならば総意であり、日本の原案としては当然であると思われる、沖繩が返ってくる場合に基地がないのが一番いいというのが、偽らざる沖繩人たち気持ちだとは思います。現実の安全保障の問題、アメリカの統治下にあって返ってくる沖繩は本土とも違うというような問題、こういうことを考えたときに、まあまあ残念かもしれないけれども、大体本土並み基地日米安全保障条約が適用された現本土並み基地ぐらいは当然やむを得ないと見ておる、これをひとつ原案としてやるべきじゃないかというのが国民の大体意見ではないか。われわれもそう考えているし、各新聞等の論説もこの点では一致していると思うのです。そこで、それを最小限度の日本側の原案とすることに、どうも交渉者としてためらっておられるのではないか。あんまりそういうふうにきちんと原案はこれだときめてかかると、それは外交に幅がなさ過ぎる、こういう気持ちも、交渉の任に当たる人は外務大臣であり、総理大臣であり、それはわからぬではありませんが、かといって、日本の基本的方針なしに、それだったら向こうの意見も聞いてみなければわからぬというのでは、これは話は進まない。したがって、その点は、やはり基地の態様について日本のきちんとした原案というものをきめて相談にかかるというのは、むしろそれこれ外交としても当然じゃないか。政府が重要な問題で外交に当たるときに、閣議において外交交渉の基本方針をきめないで、向こうと相談してから逐一きめますということは、それこそむしろ異例じゃないかと思うわけです。そういう意味で、どうしてもこの基地の態様については、事前の打ち合わせの段階はこれは打診ですから別として、ある段階になったならば、外務大臣責任において、これでいきましょうという案を閣議にはかる、私はこれは当然だと思うのです。こっちの大まかな原案なしに、ただのれんに腕押しみたいな形でいつまでも内交渉というわけにいかない。これは戸叶委員の言われたとおりだと思うのですね。その点、一体どの段階で日本の原案はこれだという正式交渉にお入りになるのか。むろん、これは総理が直接渡米でおやりになる。しかし、その前にあなたが当然におぜん立てをする。いっその日本の原案というものをおきめになるか、この点を伺いたい。
  76. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まず、沖繩の問題につきましては私の感じや考え方を率直に申しますと、返還に際して基地問題の態様ということが大きな問題になっておる。しかし、その背景は、私は一番最初にこの職につきます前からも心配でありましたことは、これからもいろいろ御質問もあろうと思いますが、いわゆる安保体制というものが、日本セキュリティーのために絶対必要である、実はこういう前提を私は持っておるわけでありますが、安保廃棄あるいは非武装中立ということに関連させた議論というものは、そういう点からいうと、私どもとしては好ましくない。しかし、安保体制ということを前提にして、そして基地の態様ということがたとえば本土並みとか、あるいはしからずとかいうふうに問題提起が起こってまいりましたことは、私はむしろ喜んでおります。そこで、安保体制下における日本沖繩とを考えました場合に、沖繩を含めたわが国の安全保障というのは、この体制のもとでどういうふうに処理していったらいいだろうか、こういうところまで私の気持ちもきているわけでございます。それから先のことになりますと、ただいまおことばもございましたけれども、これには国内世論というものもあり、あるいは科学技術の問題もございましょうし、同時に、対米的にどういうふうにアプローチするかということがこれからの問題になってくると思いますが、いまはまさにおことばにありましたように、アメリカとの関係においてはいわば打診の段階、そして私自身としての心証といいますか、アメリカ側考え方というものも十分掌握しながら——掌握をしたい、したいと打診ばかりしていたのでは案になりませんし、一歩も前進いたしませんが、そうしていながら漸次前進をしたい。これは総理も言っておられるようですが、白紙にいつどういうふうな筆をおろしていくかという時期を考えながら、いま真剣に自分の考えもまとめつつあるわけでございます。今日のところは、そういう意味白紙と申さなければなりませんけれども、逐次いろいろの方法によって自分自身考え方を固めてまいりたい、こう思っておりますので、そういう際でもございますから、いろいろの御意見を拝聴することができれば、またこうして国会の論議を通じましても、私ども考え方をまとめていく上に非常に有力な資料と申しては失礼でございますけれども、いまそういうふうに考えている段階でございます。
  77. 曾禰益

    曽祢委員 今日までは、とにかくある意味では白紙ということは、アメリカに対しても、たとえば核基地つきとか、あるいは自由使用というような、そういう方向も示していない。国民に対してもどっちにいくんだかわからないけれども、ある意味ではアメリカ側に対しても、日本政府基地問題に関する一番重要な、つまり、核問題といわゆる自由使用かいなかという問題についての方向づけがなかったわけですね。それがよかったかどうか。われわれは、もっと早くから、総理白紙でなくて、そういう方向を出してその上に交渉されるのがいいのではないか、こういう意見でしたけれども、その意見の相違は別として、いままでは一応外交の——こまかいことは知りませんよ。しかし、少なくとも議会答弁にあらわれたものに、正しいと信ずるならば、それ以上のことは言っていない。これから筆をおろすというところに非常に問題があるわけですね。今日外務大臣が慎重にかまえておられますから、それはそれなりにわかりますけれども、これからがきわめて重要なんですね。  そこで、どうも総理の最近の態度を見ると、何とはなしに、早期返還のためには、核基地あるいは自由使用の問題で譲ってもしかたがないという方向にとれるそぶりがある。これこそ私はきわめて慎重でなければいけないと思う。たとえば核の問題ですけれども返還後の日本に——その前に、先ほど外務大臣が言われた、いやしくも日本が本来の日本の領土である沖繩返還を求める以上は、返ってくる日本の領土の沖繩日本が守らなくていいというようなことはあり得ない。すなわち、そこが非武装中立というものの弱点だと思いますね。日本の領土を日本で守るのは原則としてあたりまえなんです。プラス、いまのまま返ってくるならば、返ってきた領土に安保条約が自然的に適用されるという関係になろうと思うのです。そこに非武装中立論の沖繩返還の場合の弱さというものが私はあると思うのです。そういう意味で、返ってきた日本の領土に、日本の憲法の許した自衛と、それから安全保障に関するそのときにおける日米間の約束が適用されるであろうことは、これは当然だと思いますね。しかし、その場合に、一体核問題をどう考えるのか。私は、B52の問題一つ取り上げてみても、沖繩に核兵器が残るということがどれほど大きな日本国民の衝撃であり、無理やりにこの核基地を残すということは、日米関係全体に、日米安全保障条約そのものに、これはへたをすれば麻痺させるくらいのマイナス面も当然考えられるではないか。その政治的な大きなマイナス面、日本地域を共同で守るべき日米両国の間に、それだけの心理的、政治的な食い違いがあるような問題を、純粋に軍事的な面で、いわゆる大陸間弾道弾だとかあるいはポラリスみたいな、それほど高度の性能を持った核兵器ではないけれども、もう少し短距離というか、もう少し旧式というか知りませんが、そういった核をぜひともあそこに置いておかなければならぬという、そういった防衛論が純粋に防衛論の立場から成り立つかどうか。私は、少なくとも日本側立場からいけば、核兵器を置くのはかえってマイナスだと思う。そしてこれは、ライシャワー教授のことばを引っぱってきたのでは、ライシャワーさんはアメリカのほうに良識を教えているんだろうと思うので、日本側で借用する議論としては適当でないかもしれないが、少なくともアメリカの事情をよく知っている良識者をして言わせるならば、アメリカの核の抑止力というものが日本の防衛にプラスになることは事実だけれども沖繩というところに、他の、アメリカの核抑止力とは切り離して、たとえばメースBとか、あるいはそれにかわるような、戦術的といいますか、短距離といいますか、核基地を絶対置かなければならない必要はないのだ、こういう議論が出ているんですね。私は、純粋な軍事的な面からもそうではないかと思う。少なくとも日米両国の政治関係と、その政治的の協力と安定関係なしには成り立たない安全保障上の協力という観点から見れば、核基地は初めから問題外だというぐらいにきちんとしておいたほうが、総理なり外務大臣沖繩返還に関するアメリカとの折衝に、スタートからやっかいな荷物をしょい込まないという意味で、かえってさっぱりするんじゃないかということすら考えるのですが、その点はどういうふうにお考えですか。
  78. 愛知揆一

    愛知国務大臣 先ほど申しましたけれども、私は、沖繩返還された場合には、沖繩の県民の人たちに、日本の本土の人たちと同じような生命財産に対する安心感といいますか、安全を守っていかなければならない。同時に、日本の本土の人が亨受しているような、自由で濶達な生活も保障していかなければならない。これは何といっても、その安全を守っていくということが絶対的な要請だと思うのです。その大きなターゲットを達するために、軍事的にあるいはそのほかの面においても、どうやることが一番望ましいか、また日本立場からいっても一番安全であろうかということを基本的な発想として考えていきます場合に、そこで核の問題が現実の課題として出てくると思いますが、この点につきましては、いまもお触れになりましたように、まだ私も研究不十分でたいへん申しわけないのでありますが、いわゆる軍事科学、科学知識の現状あるいは将来の見通しというようなこともひとつ十分検討し、またアメリカが現に安全を守るという立場から、安保条約で協力してくれているわけでありますから、その責任者であるところの彼らが、そういう問題に対してどういう考え方とどういう確信を持っているか、あるいはそれが将来にわたってはこの程度ならば十分であり得るかというようなことも考えられるかと思いますが、そういうことを含めまして、いま白紙だものですから、お答えがクリアカットしておりませんので申しわけありませんが、現状は真剣に考究中であるというふうに申し上げるよりほかにないわけであります。
  79. 曾禰益

    曽祢委員 この核の問題については、これは私の意見。しかし、これはかなり広範な、それこそコンセンサスと言ってもいいのじゃないか、少なくとも本土のコンセンサスに近いものだと思うのです。これは自民党の中にもそういう考え方の方がおられる。これは自民党の名誉のためにも言っておいたほうがいいのじゃないかと思うのですが、そういう意味で核の問題を申し上げたわけです。  もう一つは自由使用であります。これは私もアメリカ人なんかとの接触において、やはり軍事的に考えれば、これはもう一たん日本の領土に返還した、そうして基地だ、そうして第六条付属交換公文、事前協議、要するにうるさいから、現状どおりの一かりに施政権はお返ししても、彼らの見ている極東の平和と安全のためにも、重要な前進基地かあるいは中継ぎ基地かは別として、基地の役割りをフルに動かすためには、基地は自由使用でなければほとんど考えられないというくらいに軍事専門家は言っているようであります。しかし、これについても話を詰めていけば、極東のためにアメリカ日本基地をかってに使用するということが、一体ほんとうにできるのかどうか。本土からの場合を考えてみても、アメリカがかりに大陸のどこかと戦闘状態に入ったというときに、その戦闘状態に入ったことに対して日本側が同じ認識がないときに、自由使用であろうが、あるいは事前協議であろうが、日本国民の多くの意思に反して、一体基地が現実に使えるかどうか、これは大いに私は疑問だと思います。沖繩を自由使用という形にしておけば、かりにベトナム戦争が終結したあとを想定しますと、彼らの見た極東か、あるいは極東に関連する東南アジアか、とにかくアジア大陸あたりでどこかの国ともう一ぺん戦闘状態に入る。自由使用だからかってに使えるか。使えるか使えないかは、現在B52に対する現地の空気から見て、一目りょう然じゃないですか。そういう自由使用ということにあまりかまけた議論をして、一体それは非常にプラスになるのか。その点についても、たびたび引用してライシャワー教授にはたいへん御迷惑かもしれないが、ライシャワーさんあたりが、自由使用、自由使用ということをただがんばるのは大間違いだ。結局そういうことをすれば、日本における基地そのものが、全体として日本国民の意思、気持ちに反して、アメリカ極東のために使えるものじゃないんだ。自由使用、つまり、事前協議制にしようが、事前協議からはずしておこうが、使えるか使えないか。沖繩日本に帰ってきたとたんに、全く本土並みとちっともかわらないものになるのですよ。政治論としては大局的にそうなる。ただ、アメリカを説得する場合に、これはわけのわからないものが多いのですから、事情を知らないのだから、いままでとっておいたものは、アメリカ人から見ればやや戦利品的な感じがなきにしもあらず。軍人さんはどこでもあまりりこうなほうじゃありませんから、純粋な軍事的な狭い希望だけを言い合う。そこを乗り越えるのがステーツマンシップだと私は思うのです。そういう意味で、アメリカ人がこう思っていやしないか、交渉がむずかしそうだということにだけとらわれるのではないでしょうけれども、核の問題も、自由使用の問題も、突き詰めれば、日米間の関係ほんとうにスムーズで、相互信頼関係が残るためには、早期返還と同時に、少なくとも本土以外の現状に近いような基地地位というものをアメリカが固執して、それで返ってくるという形は、これはマイナスをかせいでくるようなものじゃないですか。私はそう思うのですね。だから、自由使用についても、そういうような点を外務大臣はどういうふうにお考えか。いまはまだはっきり言う段階じゃないという御答弁かもしれませんが、少なくとも私が申し上げたことに対する感じだけでもけっこうですから、御答弁をお聞かせ願いたい。
  80. 愛知揆一

    愛知国務大臣 いろいろの点から事理を分けて御説を承りまして、私も非常に参考になるのであります。ただ、四角ばって申し上げるのも恐縮ですが、まず、自由使用であるとか、あるいは核つきであるとか、あるいは本土並みであるとかいうような点については、まだ何も申し上げる段階ではない、と言うよりも、先ほど申しましたように、私自身としてもまだ考えが練り上げられておりませんので、白紙であるということを申し上げざるを得ないのでございますが、御指摘のように、たとえば軍事的な考え方、あるいはステーツマンシップでそれを乗り越えなければならないというような点につきましては、これはたいへん示唆のある御教訓だと私は存じます。
  81. 曾禰益

    曽祢委員 同様に、日米安保条約についても、お互いによく承知しているように、一九七〇年の六月二十三日のいわゆる再検討期を迎えるにあたって、その前に、直接には沖繩返還という形で、これはもうどうしても来年の秋ぐらいと総理は言われているのですが、これはトップ会談交渉に入られる。そのときに、これは沖繩だけの話ではないのですね。条約の体系からいえば、片方は平和条約第三条に関連するのが沖繩である。日本本土のほうは安全保障条約になっております。しかし、これは条約の形の問題で、本質的にはやはり沖繩に関する日米安全保障の協力がどうあるべきかということと、安全保障条約の体制が、私どものように、そうして多くの国民がそうではないかと思うのですけれども日本の憲法に許された、言うなれば限定された自衛力と、これを補う日本地域に関する日米の当面の安全保障の協力が必要である。こういう観点に立ちながら、過去一九六〇年の新安保以来の大きないろいろの変化、この中には、なおかつ日本本土内のいわゆる過密都市化の問題もあろうし、そういう場合に、基地というものがどのくらい大きなマイナスファクターとして、公害として取り上げられるかという問題もあろうし、日米間の国際的な経済力のバランスがわりあいに接近の方向にある。それだけに、日本としての自主性をもっとアメリカも認めていかなければならぬとか、同時に、アメリカ極東全体の政策のかなめは、何といっても、ほかのアジアの諸国全体を合わしたくらいのウエートは結局日本にあるのだ、したがって、日本の意図というものを十分に尊重したアメリカの今後のアジア政策そのものが、そういう姿にならなければならない等々を考えると、やはり安保条約の問題も狙上に乗せて、そして、とにかく一九七〇年の時点においては一体どうなんだ。安保条約は、これはいわゆる条約的には非合法でなくて、革命外交でなくて、廃棄通告はいつでもできるわけですね。一九七〇年の六月二十四日午前零時からはできるわけです。しかし、そういうことがいいのかどうか。そうじゃなくて、いわゆる自然継続がいいのか、あるいはもう少し、長期固定化という議論はないようですけれども、一年間の予告つきでいつでも終了するということじゃ心配だという意見も、確かに自民党の中にはあるわけですね。そういったような安全保障の協力はするとして、安全保障条約の形、その内容等を、ただひたすら自然継続ならノータッチでいこうというふうなのがいいのかどうか。この点は、ほんとう沖繩問題あるいはそれを上回るぐらいの幅と深さを持った安全保障に関する日米間の協力の問題、沖繩も帰ってくるということになれば、普通なれば、日米安全保障協力の一つのパターンに自然にとけ込むぐらい大きな問題なんですね。その安保条約のあり方について、一体どういうふうにしていくのだ、この点について外務大臣の基本的なお考えを伺いたいのです。お答えの前にこういうことを申し上げるのはたいへんに失礼ですけれども安全保障体制は堅持しますというようなだけのことを言っているのじゃないのですよ。どういう点、たとえば基地問題を現行条約のもとにおいてもこれを縮小し整理する、不要不急のものは整理する、これは当然のことだと思うのですね。しかし、それじゃなくて、第六条に関する日本の防衛のための基地というものは、ほんとうに六〇年の時点といまとで同じなのか、私は同じだとは言えないと思うのです。大体において日本の自衛力が正面に立つということで、日本の安全は一応はかれるのじゃないか。そうなってくると、極東のために日本基地を使うというこの体制をこのまま続けていくということが一体いいのかどうか。これは日米最高の政治的な問題として、条約をただあるがままに自然継続するのがいいのだ、外務省と国務省のほうはその点だけは非常に共通点があるのではないか。さわらぬ神にたたりなしというようなタブー視するといいますか、はたしてそれでいいのか、そこにもう少し大局に立った検討が必要ではないかという感じがするのですが、そういう意味において外務大臣の御所見を伺いたい。
  82. 愛知揆一

    愛知国務大臣 私といたしましては、こういうふうに結論めいたものは、曾祈さんの描いておられるところと違うのではないかと思いますけれども、それはともかくといたしまして、私は、安保条約——体制じゃなくて、条約というお話もございましたが、安保条約というものの今日的な意義あるいは今後の将来的意義と申しますか、そういうことについては、もっと日本国民の間でも、もう一度今日的意義について積極的前向きにその意義づけということが理解されなければならない、こういうふうに考えております。同時に、私は、この安保条約下における過去十年あるいは二十年のこの状況において考えますと、一体安保条約というものは、このごろの一部の考え方では、いかにもアメリカの都合によってできているものであって、そういうことに意義があるものだから、日本では要らない、アメリカ・ゴーホームという式の感情が、これまた相当びまんしているのじゃないかと思うのですけれども、私は、過去においてもそうだったし、それから今後におきましてもやはりこれは日本のためにあるのだ、それに対する日米の協力であるという、この部分も非常に大きいと私は思うのですが、そういったような点についても、私はある意味でいまのお話に全然同感ですが、こういう点についても、論議をすることはタブーだというような考え方は私はいけないのじゃないかと思います。したがって、結論としてお考えになっておるような点とあるいは違うかもしれませんけれども、しかし、この安保というものについての考え方、意義づけというようなものについては、それこそもっと国民的に大いに論議が展開されてしかるべきじゃないか。安保廃棄、安保廃棄と言う。しかし、そういう問題の提起だけでは、こういう重大な問題は、私は、ほんとう国民的理解と支持の上に立たなければ律せられない、こういうふうに思うのでありまして、いま御指摘がありましたが、沖繩早期返還、もちろん私どもとしては国策の第一であると考えますが、それにも劣らない、あるは考え方によってはそれにもまさる大きな問題として、いたずらにタブー視することなく、大いに意見を戦わしていくような態勢を私もとりたいと思っております。
  83. 曾禰益

    曽祢委員 時間が来たとの通告でありますから、もう一問だけさしていただいてやめますが、安保条約については、私は、駐留のない、したがって原則的に基地というものはほとんどなくなるような条約に変えていくことが望ましいというふうに信じておりまするが、これらの問題についてはさらに検討を要請し、また議論を重ねてまいりたいと思うので、最後に一つ、ベトナム戦争に関連しての問題で伺っておきたいと思うのです。  多少先走った議論とお考えかもしれませんが、ぜひひとつ外務大臣にお考えを伺っておきたいのは、ベトナム戦争終結のパリ会談が、幸いに南ベトナム側並びに解放戦線側も加えた形で進んで、ある段階になれば全面的な停戦ということにたどりつくのが自然であるし、きわめて望ましい。その時点からもう一つ問題になってくるのは、しからば停戦をどういうふうにして監視し、あるいは今後さらにそのことから、やがては一九五四年型の関係国を加えた国際会議に発展していくのが望ましい。そういう場合に、中国の会議参加はその後の平和安定のためにきわめて必要だと思うのですが、その中国参加についてどう考えるか。  それからもう一つ、国際会議の議題及び国際会議の決定と関連して、あるいはその前にもとりあえず停戦ができたときに、停戦の現実を監視する、そういったような国際的な警察部隊を出すというような問題があり得る。そういう場合に、わが国としてはどうするのか。私は、国際的な部隊は、戦闘部隊ではございません。かりに警察的な部隊であっても、わが国の憲法並びに自衛隊法、参議院における海外派兵はいけないという決議等の見地から、自衛隊を部隊として派遣するというのは適当でない。しかし、監視チーム、たとえばベトナムに現在ありまする休戦監視委員会のような監視チームみたいなものであるならば、文民を日本側が派遣するということはあり得ていいのではないか。ベトナムの終戦並びに東南アジアの平和安定のためには、わが国のいわゆる軍事力でない形の協力、それは平和的な監視委員会的な文民の派遣ということも一つ。  さらにもう一つ大きな問題は、南北ベトナムを含む復興並びに経済安定のためのわが国としての大きな経済援助というような形が考えられてしかるべきではないかと思うのですが、この点に関する御意見を伺って、私の質問を終わりたいと存じます。
  84. 愛知揆一

    愛知国務大臣 パリ会談が直接当事者であるフルメンバーでもって開始されたということは、私としては非常に喜ぶべきことだと思っております。かくなる上は、その結論がすみやかに出て、まず休戦ということになることが望ましい。その場合を想定して、まだ当事者はもちろん関係国の関係もございますから、早計政府としての態度を明確にするという段階では私はないと思いますけれども考え方としては、従来から戦火がおさまることについては大きな期待を持っておりましただけに、部内でも従来から内々ではいろいろの研究もあるようでございます。  さしあたり休戦になったとして、その監視機構がどういう形でつくられるだろうか。これももちろん未決定の問題でございますが、求められれば、まず一つは憲法の問題がございますね。それからもう一つは自衛隊法の問題もございます。憲法や自衛隊法の中で許される限度におきましては、たとえば文民のテクニカルな援助というようなことを協力するのは、私は当然自然の成り行きではなかろうか、こういうふうに考えております。  さらに、それから先、復興という非常に望ましい段階になりますれば、かねがね三木大臣も言っておりましたように、いろいろの構想がある。中には来年度予算にも関連いたしまするような具体的な当面の問題もあろうかと思いますが、たとえば難民の救済であるとか、人道的な問題が最優先されるかと思います。私の現在の考えでは、インドシナ半島全体を念頭に置いて処理すべきではないか、かように私は考えております。  それからもう一つ、一番最初にお取り上げになりました国際会議、これもどういう形でどういうふうになりますか、今後の推移を待たなければならないと思います。中共の参加……。(曽祢委員「中国並びにわが国の参加」と呼ぶ)わが国の参加は、もちろん参加をいたします。中共の問題につきましては、いまここで御答弁申し上げるところまでまだ考えておりません。
  85. 秋田大助

  86. 穗積七郎

    穗積委員 私も質問を用意して通告いたしておりましたが、午後一時からちょっと緊急な用務がありますので、きょうは割愛して、次回に譲っていただきたいと思います。次の質問者に……。
  87. 秋田大助

    秋田委員長 伊藤惣助丸君。
  88. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 先ほど外務大臣から原子力潜水艦の寄港について答弁がございましたが、それによりますと、明日の九時に佐世保に寄港する、この通知があった。その目的は、三十九年以来の休養をするためである。また期間は三日間である。このお話を聞きまして、わが党としては、たとえ原子力潜水艦がいかに安全性を確保して入港したとしても、原子力潜水艦日本に寄港することは、そのままアジアの緊張を高めることであって、決して好ましいことではない。またいざというときにはそのような寄港によって日本が戦争に巻き込まれるおそれもある、こういうふうに危惧をしております。したがって、この寄港については反対でありますが、百歩譲って、外務大臣答弁について国民立場から質問をしたいと思うのです。  その一つは、放射能の体制が完全である、十一月の末で完全な体制になったから入港を許可したんだ、そこまでは言いませんけれども、そのような含みのある答弁があったわけです。この入港までの経緯について、大臣から簡単に御説明願いたいと思います。
  89. 愛知揆一

    愛知国務大臣 この点につきましては、先ほども触れた点でございますけれども、五月九日でございますかに入港いたしました場合に、それまでになかったような異常な検出の結果があらわれたということで、これは大きな問題になりました。この点につきましても、私別に所見を持つわけでございますし、たとえば異常とは申しましても、その前十数回に比べて、ガイガー計にあらわれた数値が多かったけれども、これは人畜に被害というような問題ではもちろんございませんし、また、たとえば隣国で原爆の実験をやって灰が降ってきた、そこから検出されたものよりもはるかに低いというようなことで、これは科学的には私は問題ないと思う。しかし、国民として心配であるという点は取り上げなければならない大きな問題でございますから、政府としてはアメリカ側に対しましても申し入れをし、そしていろいろの措置がとられ、その結果、十月二十二日に会談覚え書きというものの合意ができまして、日本の原子力委員会が真剣に検討した結果、四点の措置を要請したわけでございますが、そのうち一つは、日本側自身で処理すべきことでありますから、これは当然処理済みであります。三点につきましては、原子炉の一次冷却水が艦外に放出されないこと、それから一次冷却水以外のあらゆる系統からの放射能物質が排出されることがないように一そう管理が厳重にされなければならないということ、それから寄港中におきまして、米国側においても環境モニタリングを行ない、その測定の結果が日本側に指示されなければならない、これが三点でございますが、この点について、原子力委員会要請は、会談覚え書きによりまして政府としてはこれで決着がついた、こういう見解に立っておるわけでございます。したがいまして、原子力潜水艦の入港は、昭和三十九年の八月に、米国側に対しまして当時原子力委員会の見解を付して閣議でもって承認をいたしたのでありますから、そして十一月に「シードラゴン」が初めて入港いたしました。そのときに返ってといいますか、その考え方に返って、過去十三回に及んだ入港のときと同様に、アメリカ側が二十四時間以前に通告をしてまいったわけですから、これを受理いたした。これが今日までの経過でございます。
  90. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 きょうの報道によりますと、きょうの午前中に、科学技術庁の赤羽放射能課長ら科学技術庁、外務省、総理府広報室員等が現地に出発した、このように報道されておりますが、これは事実であるか、伺いたいと思うのです。そして、向うに行ってどのような調査をするのか、具体的にお伺いしたいと思うわけです。
  91. 愛知揆一

    愛知国務大臣 今朝通告に接しましたので、直ちに関係各省の専門家が現地におもむいたわけでございます。そして、その任務といたしましては、先ほど申しましたように、日本側としてとるべき措置あるいはアメリカ側がやる措置等につきまして十分連絡して、いやが上にも科学的な調査をし、そうしてその結果を県民、佐世保の市民の方々に不安を与えないように十分説明する、こういう任務を持って出発をいたしたところでございます。
  92. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 具体的なお話が聞けなかったわけですが、向こうと打ち合わせの上やられるというお話ですけれども、非常に問題のあるところです。先ほどの大臣答弁によれば、科学的には問題がない、こうおっしゃいましたが、何を根拠にそのようなことをおっしゃるのか。前回も問題になったのは、一つは、海水さえ採取していればはっきりしたというこちら側の大きな失敗があったわけです。ミスがあったわけです。今回もまた、先ほどの担当官の答弁によりますと、一時冷却水は何かカバーされておって、艦外に出ないというような措置が講じてあると承ったわけでありますけれども、やはり一番大事なことは、科学的にこういうことだから問題はないということをはっきり国民に知らせる必要がある。それにはまず具体的に、潜水艦が入港した、またする前後について、そのときに海水を採取する、または海底の土を採取して、それを分析する、こういう具体的なことがなければ、またその上に立って発表しなければ、科学的に問題がないとかあるとかいうことは言えないことだと思うわけです。その点について大臣答弁をお願いしたい。
  93. 愛知揆一

    愛知国務大臣 実は三十九年に原子力潜水艦が最初に入港します前から、たとえば入港いたしましたならばその周辺の海水を採取して、それをガイガー計によって放射能を測定する、あるいは海底の調査をする、そうしてその結果は、直ちにわかるものが相当多いわけでありますから、直ちにオープンに公表をする、こういうことを初めといたしまして、科学的になし得る限りの調査審査をして発表するということになっておるわけでございます。前回の五月のときに問題になりましたのは、いま御指摘のように、係官の海水の調査のやり方あるいは海水のとり方その他に若干のミスがあった、したがって、公表のしかたがもたもたしたというようなことが、私から率直に言えば、不必要に不安を与えた点もあると思います。この点については、その後十分に、主として科学技術庁でございますが、そのほかに海上保安庁も協力しておりますし、農林省水産庁も協力いたしております。あるいは現地の水産研究所とか県市当局とか、非常な大部隊といってもいいかと思いますけれども、なし得る限りの調査につきまして、政府としては万端の措置をとっておるつもりでございますので、ミスが起こるようなことは万々今度はあり得ない、さように私は考えております。
  94. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 いま大臣が、前に海水をとったとおっしゃいましたが、とったのではなくて、その港湾をガイガー計数器ですか、あれでもって測定しただけなんです。前回は海水はとらなかったわけです。科学者は、とりさえすればはっきりしたんだ、その異常数値の出たときの海水をとっていれば、放射能というのはすぐに消えるわけじゃありませんから、はっきりしたんだ、それが返す返すも残念だった、こう言われているわけです。ですから、今回そういったことが言われているのですから、万端のことをやるとおっしゃいますけれども、はっきり海水を採取する、またはしょっちゅう寄港する海底のどうも採取するということも含まっているかどうか。大事な点でありますので、その点伺いたいわけです。
  95. 愛知揆一

    愛知国務大臣 五月のときに、その海水のとり方あるいは捨て方等において私はミスがあったように聞いております。その点を中心にいたしまして、今回は、先ほど申しましたように、万遺漏なきを期するということになっておりますので、この点は今回は心配ない、かように考えております。
  96. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 時間がありませんから進みますが、そこで、いろいろ新聞には、法治国家である以上、国の結んだ安保条約に従わざるを得ないけれども、不安なものは絶対に入ってもらっては困る、核にかかわる問題については十分な考慮がほしい、これは自民党支持の方が話しておるわけでありますけれども、現在の佐世保では異常放射能事件によって魚が売れなくなった、そしてまた、原潜が再び寄港することについて大きな不安を持っておる、それからどんな状態であろうともわれわれの生活には実害としてある、このような一つの声が報ぜられているわけです。こういう声に対して大臣は、それでも安保条約によるのだから、または安全体制が万全なんだから、その必要はないんだ、またはアメリカがどうしてもというのだから寄港を受けつけるんだ、または認めたんだというのか、その点の外務大臣の見解を伺っておきたいと思うわけです。
  97. 愛知揆一

    愛知国務大臣 私は先ほど曽祢さんの御質問にもお答えいたしましたように、日米安保条約というものは、今日的に考えましても非常に大きな意義がある、こういうふうに考えておりますから、その安保条約に基づいて付属協定、交換公文その他から出ていますところのアメリカ側の行動の内容については、そこで許されておるといいますか、あるいはこちらが協力を頼みましたその限界内におることについては、これを受け入れるのが当然であると考えております。いわんや、この原潜の問題は、原子力を推進力にしておるところの軍艦であるということに意義があるわけでありますが、いまや原子力を推進力にする船はわが国においてももはや進水し、実用に供されようとしておるくらいでございまして、私は近代科学の立場から申しまして、原子力を推進力にして艦船が運航するということについては基本的に安全なものである、これは世界的にも認められておる、しかもその安全であるということについては、国際的に認められておるような安全審査の水準基準よりも高度なものが日本側にはできておるわけでございますから、そういう知識やあるいは技術をもとにいたしまして、日本側といたしましても、この入港する原潜の周囲その他を念には念を入れて検査をして、先ほど申しましたように、異常だと五月に、言われたけれども、それは従前十二回の入港のときに比べて、ガイガー計にあらわれたものが高かったのであって、その高かった数値は、科学的に人畜に全然被害のないものである、それからある国の原爆の実験のときに降ってきた灰の中から検出された数値よりも低いものであるというようなことは、科学的に近代科学の面からいって証明されておるものだと思いますから、どうぞひとつ、私はこの機会にお願いいたしたいのですが、これも結論を先に出して、原潜だからいけないというんじゃなくて、これはこういうふうなものであるのだからということにもう一歩踏み込んで大いに御論議をいただき、そして御理解に達していただけるように、私は切にお願いする次第でございます。
  98. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 いまいろいろ問題の発言があったわけでありますが、確かに近代科学の進歩によりまして原子力の推進による船舶はできつつあります。わが国でも建造しております。これは決してわれわれは反対なんということは言っておりません。ただ、原子力軍艦、またその中にはポラリスもあるということから、国民が心配するわけです。特にその潜水艦には攻撃用の核搭載可能のサブロックなんかも積んでいるわけです。その併用だから、核はないと言っておりますけれども、しかし、これはもう軍事専門家によれば、いまのサブロックは核専用しかないというようなこともいわれているわけです。われわれはそういうようなことについて踏み込んで調査もできないし、また何らそれをこうじゃないかという決め手がないから言われないだけであって、原子力推進による軍艦、しかも核搭載可能の潜水艦であるからこそ心配をして、先ほどから申し上げているわけです。そしてまた、安保体制によってきめられたのだから、アメリカの一方的な都合だけじゃなくて、日本もそのことを望んでいるというような発言もございましたけれども、このことについても、法的にそうであっても、実際に国民がそのことに危険を感じ、また生命の危険を特に強く感ずる。そういう国民を無視して外交を展開する、これは非常に危険なことではないかと思うわけです。やはり一番外交の基本姿勢で大事なことは、国民世論またはコンセンサスというものを常に背景にした外交、これが大事なのじゃないかと思うのです。  ここで外務大臣に初めてなられたので一言申し上げておきたいわけでありますけれども、わが国の外交はどうも秘密外交のようであります。いままでの平和条約、また安保条約、さらに新安保条約、確かに、考えてみますと、外交上秘密の面は多々あることはわかっております。しかし、そのことを全面的にすべてを隠蔽してといいますか、秘密にして、でき上がったことだけを区切りをつけていく、こういう行き方については、私は非常に問題である、こういう秘密外交の行き方はよくない、こう思うわけです。私は、この点特に新しい外務大臣に期待するわけでありますけれども、そういう外交を続ける限り、常に国論の二分といいますか、不毛の体制といいますか、そういったことが続くのではないか、こうも心配するわけであります。いずれにしても、時間がありませんので、次の問題に移りますけれども、少なくともこの原子力潜水艦寄港については、佐世保市民こぞって全員が反対しておる。安保条約は認めるけれども、しかし、今回の寄港については反対だと、少なくとも時間的な要素を彼らは期待しているわけであります。そういうことからも、私は、この際、政府がそういった国民の声を背景にして、もう少し待ってくれ、また寄港は取りやめてほしいと、そのように米国に申し入れることを要望して、この問題については質問を終わります。  次に、基地問題について伺っておきたいと思うわけでありますが、御存じのように、わが党は基地の総点検を行なっております。その総点検といいましても、三段階に分けて行なっております。実態調査、意識調査、そして総合分析。現在は二段階の意識調査が行なわれております。これは前回の実態調査を上回る五百ページぐらいのものをいま予想してつくっておりますけれども、特に実態調査の中から質問したいことはたくさんありますが、大臣もごらんになったと思いますが、非常にその実態はずさんである。われわれ反対の立場から見ますと、そのように思えるわけです。もちろん、政府・自民党の立場からいえば、安保条約の規定によって施設区域を提供したのだから、向こうが何に使おうとやむを得ないと言うかもしれませんが、少なくともいま国内にある百四十五カ所の基地を取り上げてみますと、大体九十基地返還希望があるわけです。全体の六二%になります。また百四十五カ所のうち、五十一基地、三五・二%の中においては、二十二種類の基地公害があります。さらに三十六基地、これも全体の二四・八%の基地がその地方の都市計画に支障を来たしておる、または目的外使用されている。それから使用状況が不適当なもの、または一部あるいは全面返還可能なところは全基地面積の六三・九%にのぼっております。こういったことは実態報告に出ているわけでありますが、特にきのう、政府が、この二十三日に安保協議会を開いて日本国内の基地返還問題を具体化する、こういうことが記者会見であったようであります。そしてこの基地のことについては、一つは無条件返還されるもの、それから返還はするが、返還後は米軍と自衛隊で共同使用するもの、また三番目には代がえさえあればいつでも返還されるもの、このように三つに分けて、施設庁長官が記者会見で言われたようであります。これは安保条約の取りきめにある地位協定によってであろうと思いますが、この際、基地返還の態様というのはいろいろありますが、第何条に基づいてこのようなことをおっしゃったのかということについて、簡単に伺っておきたいと思います。
  99. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ただいまお尋ねの件につきましては、防衛施設庁長官から詳しくお答えをいたしますが、この際、関連いたしますので申し上げますが、来たる二十三日午前九時から外務省におきまして日米安保協議会を開催することに先ほど決定いたしました。アメリカ側からの通報もございましたので、さように日時と場所を決定いたしました。出席者は、御承知のように日本側外務大臣と防衛庁長官、アメリカ側は駐日大使と新任のマケーン太平洋軍司令官、これはハワイから当日来るはずでございます。その協議会におきましては、主として基地問題につきまして協議をすることにいたしております。二十三日から始まることでございますから、その内容、議題等についてはまだ申し上げられるほど準備が整っておりませんけれども、以上、この機会に御報告申し上げておきます。
  100. 山上信重

    ○山上政府委員 米軍基地、すなわち施設及び区域の問題につきましては、去る九月に日米事務レベルの協議会におきまして、わがほうから、これらについて、原則としては施設及び区域の提供ということはわが国の義務でもあり、わが国の平和と安全のために必要である、これの円滑な運用をはかるということは基本ではあるけれども、米側において十分に利用されていないところ、あるいは使用度が非常に低くて将来あけられるだろう、あるいは都市の中にあってきわめて大きな問題を起こしておるようなところについて、いろいろな検討をしていただきたい。それについては、あるいは自衛隊への使用転換、あるいは移管をする、あるいは民間に対して利用をまかせる返還という方式もあるでしょう。なお、特に問題のあるようなところにつきましては、移転といいますか、たとえば板付の移転というようなこともあり得る。それからさらに、運用上について非常に問題のありますものについては、十分な配慮をしてほしいというようなことの話し合いをいたしたのでございます。自来、そういった考え方に基づいて、日米間でもいろいろ事務的なレベルでの接触を保っておるのでございます。これらにつきまして、ただいま外務大臣からお話のありましたような、近く開かれるであろう外務大臣あるいは防衛庁長官等の大臣レベルの御会合ということも、一つの大きな方向といいますか、そういうことを承れる機会になるのではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  101. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 いま伺いたいことは、私は、地位協定の二条三項または四項の(a)、(b)と、返還の態様はそれぞれあると思うわけです。この施設庁長官の答弁からいいますと、共同使用のものも返還の中の一つである、こういうような意味にとれるわけでございますね。要するに、二条四項の(a)というのは、一定期間を区切って米軍に提供し、あとはこっちが使う、またはその地位協定の二条四項(b)というやつは共同使用である、これも返還なんだということであれば、何のことはない、基地にこういうのはたくさんあるわけだ。だから、考えてみますと、返還するぞ、しかも五十基地くらいについて検討しておる、それも三段階に分けて整理するんだ、われわれから言いますと、すごいことをやるんだなと感じたわけです。ところが、この三つの言い方によりますと、やはり二条四項(a)とか(b)とか、あるいは二条三項によるんだ。私たちは二条三項による全面返還を望んでいるわけですね。ですから、そういったことからいっても、そういったことも返還なんだ、こうおっしゃるのかどうか、そういった点をちょっと伺っておきたいと思います。
  102. 山上信重

    ○山上政府委員 米軍の施設区域につきましていろいろ検討をいたしまして、こういうようなことについて配慮を求めるということの中には、必ずしも返還というようなことばであらわすことが適当であるかどうか、そういうようなものばかりではございません。運用上の規制を求めるというようなこともございますし、米側におけるところのいろいろな要求条項の適用についても考慮を求めるというようなこともございまして、返還ばかりとは申しませんが、普通の返還は、おっしゃるように二条の三項もしくは二項によって事務的に手続する、こういうことになるというふうに考えておるのでございます。なお、日本側返還されたものを米側に共同使用を認める、たとえば自衛隊の東富士の演習場のごとく、自衛隊に使用転換して、それを米側に一時的な使用を認めるというのは、二条四項(b)であると私ども考えておりますが、そういうことももちろん含めて考えておる次第でございます。したがいまして、われわれこれも一つ返還の方式ではあろう、こういうふうに考えております。ただし、二条四項の(a)の場合は、米側の施設を当方が共同使用するのですから、返還ということばには当たらない、こういうふうに考えております。
  103. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 時間がありませんので、簡単にお伺いしたいのですが、われわれの実態調査によれば、全国に十カ所のゴルフ場がある。そのゴルフ場はキャンプ朝霞に始まって雁ノ巣の空軍施設まで入れまして、四千百八十二万六千平米という膨大なところがあるわけです。このゴルフ場を使用させている法的根拠、これは何条に基づいてやっていらっしゃるのですか。
  104. 山上信重

    ○山上政府委員 ゴルフ場その他のレクリエーションの施設は、地位協定の十五条によって差しつかえないものとわれわれは考えております。
  105. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 そうしますと、ここで問題なことが一つあるわけです。昭島市の米軍基地ゴルフ場について、これはやはり訴訟があったと思うのですよ。ところが、これは三十九年の六月二十三日に、東京地裁で、ゴルフ場というのは、行政協定の中に含まれない、ゴルフ場という名目ならば、これは施設区域ということにはならない、だから、これは協定違反だ、そういう判決がおりまして、その後、具体的に今度は民間にことし返還するようになった。そのかわりとして、多摩弾薬庫のあとに四億五千万円もかけてまたゴルフ場をつくったわけです。こういったことについてはどのような見解があるのでしょうか。
  106. 山上信重

    ○山上政府委員 昭島の訴訟につきましては、なるほど第一審ではおっしゃるようなことになりましたが、高裁に国側から提訴をいたしまして、その高裁の提訴中に裁判所等の勧告もあり、和解をいたしたのでございます。その和解に基づきまして、当時昭島にありますゴルフ場をよそに移すということで、米側に返還の合意を取りつけ、かつ会社との間にはそういうことによって和解が成立したというふうに承知いたしております。したがいまして、その際に特にまた考えられましたことは、当時昭島の土地は、現在でもそうですが、民有でございまして、国有ではございませんで、それに対する使用料というものは相当膨大な、いま一億数千万円というような金額にものぼっておりまするので、それらの使用料を取りやめて、国有地に移すということによって、経済的にも相当有利であろう、あの地区の特に経済的発展にも裨益するであろうというような、各種の角度から検討した結果、和解になったというふうな経緯でございまして、必ずしもこれが違法であるというふうには政府考えておりません。
  107. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 その見解には私たちは異論があるわけです。地裁の判決どおりにすべきではないか。国民的な立場からも、ゴルフ場というのは、わが国の防衛にどのような関係があるのかということで、大きな一つの疑問点になっているわけです。  次に、太田小泉飛行場というのがございますが、あそこに観光開発公社という会社がゴルフ場を経営しておるわけです。このゴルフ場について、これはいかなる取りきめで行なわれたのかということであります。その点について……。
  108. 山上信重

    ○山上政府委員 簡単に私からお答えいたしまして、もし十分でありませんでしたら、他の政府委員からも補足させていただきたいと思います。  これは、太田大泉の飛行場は、米軍の物量投下を主たる目的とするところの演習場でございますが、その一部につきまして、米軍の管理権に基づいて——いわゆる案の管理権がございますが、これに基づいて、米軍があそこの観光会社に土地を貸しておる、こういうふうに承知いたしております。
  109. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 単なる管理権ということではわからないわけですよ。私はこれを調べてまいったわけですが、これは非常にずさんな関係だと思うのです。これは三十三年の十一月二十八日、当時の米軍とそれから県において買い受け書が交換されました。その買い受け書によりますと、——この控えはここにあります。時間がありませんから、またのところではっきりさせたいと思うのですが、何のことはない、一つの便法としていままでずっと放置されていたというのが現状です。しかも何とその観光開発公社の裏にはいろいろな財界、政界人、みんな加わっておるわけです。悪く言えば、寄ってたかって圧力をかけた。さらにまた、防衛庁はそれを見のがしておった。あるいはまたどういう法的根拠か知らないけれども、大蔵省が四十二年度あたりから税金をかけた。三十二年からその間については何もされていない。いろいろな面で疑惑がたくさんあります。最近新聞等の報道によりますと、返還が予想されておる。来年早々にあるらしい。しかも、こういった委員会で発表の意図が全然ないのに、ある人から直接に向こうに電話があった。何か知らないけれども、適当なことを裏のほうでやっておる。こういうような姿が見えるわけです。返還されればいいじゃないか、そういえばそうかもしれません。さらにゴルフ場でみんな喜んでおればいいじゃないか、それはそうでしょう。私たちはゴルフ場はいけないと言っているんじゃないのです。また、われわれは返還を促進すべきだと言っているのですから、返還するのが当然だと思う。しかしながら、そのような非常に不明朗な、何回聞いてもわからない、私がきのう行って初めてわかった、そういったような実態があるわけです。もしそんなことが可能であれば、私たちは現在十カ所のこのゴルフ場に行って、地元の担当の米軍の長官から、あるいは担当の人から直接契約して、私たちもゴルフ場を経営したい。そういうことも言えるわけです。そういった使用状況があるということですね。時間がないものですから、さっきから催促されておりますので、まとめて外務大臣、長官に伺っておきたいと思うのです。
  110. 愛知揆一

    愛知国務大臣 基地の問題につきましては、予算委員会でもたしか総理大臣からも御答弁申し上げたと思いますけれども、今回在日米軍の基地について公明党で非常に意欲的な御調査をされた。このことについては敬意を表しておるわけでございます。また、ただいまはいろいろ私の知らないようなお話もいただきまして、たいへんありがとうございました。それらも十分ひとつ頭に入れ、今後のいろいろの場に大いに活用させていただきたいと思います。
  111. 山上信重

    ○山上政府委員 ただいまの問題ですが、われわれの考えておるところでは、米軍が当初現地の県にお貸しして、県から観光開発公社に再委託になったというふうな話のようでございまして、その間に不明朗な話があったかのようなお話でございますが、特に私のほうは不明朗な話は伺っておりませんが、今後施設の運営はもちろん公明にいたさなければいけないというふうに考えておる次第でございます。  なお、公明党におかれまして、いろいろ基地問題についての総点検その他を御検討いただきまして、資料を非常な御努力をいただいたということは、その御努力に対して深く敬意を表するものでございます。ただ私、この際申し上げておきたいのは、あの発表されました資料には、必ずしもわれわれとして同調いたしがたい面が多々ございます。その点につきましては、今後また機会のある際にお答え申し上げたい、かように考えておりまするが、基地の運用につきましては、今後お話のありましたように公明にいくように努力いたしたい、かように考えます。
  112. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 じゃ終わります。      ————◇—————
  113. 秋田大助

    秋田委員長 閉会中審査に関する件についておはかりいたします。  本委員会といたしましては、閉会中もなお国際情勢に関する件について調査をいたしたいと存じますので、この旨議長に申し入れたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 秋田大助

    秋田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時十五分散会