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1968-12-19 第60回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年十二月十九日(木曜日)    午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 石田幸四郎君   理事 小宮山重四郎君 理事 齋藤 憲三君    理事 始関 伊平君 理事 福井  勇君    理事 石川 次夫君 理事 三宅 正一君    理事 内海  清君       天野 光晴君    海部 俊樹君       桂木 鉄夫君    石野 久男君       畑   和君    華山 親義君       三木 喜夫君    近江巳記夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      木内 四郎君  出席政府委員         科学技術政務次         官       平泉  渉君         科学技術庁長官         官房長     馬場 一也君         科学技術庁計画         局長      鈴木 春夫君         科学技術庁研究         調整局長    石川 晃夫君         科学技術庁原子         力局長     梅澤 邦臣君  委員外出席者         科学技術庁研究         調整局宇宙開発         参事官     謝敷 宗登君         科学技術庁振興         局長      佐々木 学君         科学技術庁原子         力局次長    田中 好雄君         外務省アメリカ         局外務参事官  大河原良雄君         工業技術院長  朝永 良夫君     ————————————— 十二月十九日  委員角屋堅次郎君、松前重義君及び米内山義一  郎君辞任につき、その補欠として石野久男君、  華山親義君及び畑和君が議長指名委員に選  任された。 同日  委員石野久男君、畑和君及び華山親義辞任に  つき、その補欠として角屋堅次郎君、米内山義  一郎君及び松前重義君が議長指名委員に選  任された。     ————————————— 十二月十日  科学技術基本法案内閣提出、第五十八回国会  閣法第五五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  閉会中審査に関する件  科学技術振興対策に関する件      ————◇—————
  2. 石田幸四郎

    石田委員長 これより会議を開きます。  木内国務大臣及び平泉政務次官よりそれぞれ発言を求められておりますので、これを許します。木内国務大臣
  3. 木内四郎

    木内国務大臣 木内四郎でございます。  このたび内閣改造にあたりまして、科学技術庁長官を拝命いたしました。もとより微力短才、加うるに老骨でございまするので、その任を果たしますにはどうしても委員各位格別の御支援、御鞭撻、御協力を仰がなければならぬと思うのであります。どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。  私は、実は科学技術庁長官になる前から、まあ政治に携わっておるものの常識といたしまして、日本科学技術研究施設、ことに政府関係研究施設がはなはだ貧弱であり、また国費の投入も非常に少ないということを常識として承知いたしておりましたのですが、赴任して事情をいろいろ聞いてみますと一そうその感を深くしておりまするので、今後におきましては、この研究施設整備充実、こういう方面に大いに力をいたしたい、かように存じておる次第でございます。  ことに、物的の研究施設だけでなく、さらに人員、要員充実、育成ということにも力をいたさなければならぬことと思っておるのであります。そうしてこの研究施設要員充実をはかりまして、大いに科学技術開発発展をはかってまいりたい。ただし、こういう研究室内の研究だけではいけませんので、これを実用化し、工業化して、産業、経済、国民生活の向上に資するように努力をいたさなければならぬということはもちろんでございます。  さらにまた、事項別に申し上げれば、皆さん方から、委員各位から格別の御支援、御協力を得ておりまするところの原子力平和利用の問題、あるいは宇宙開発の問題、あるいはまたさらに海洋の開発の問題、こういう方面につきましては各位格別の御支援によりまして着々その体制を整えつつあるのでありますが、そういう方面につきましても微力ながら最善の努力をいたしたいと思いまするし、また災害の防止あるいは公害の除去、こういう方面にもできるだけの努力をいたしたいと思っております。  承りますれば、従来委員各位におかれましては、超党派で科学技術振興のために非常な御支援、御協力を賜わっておるということを伺いまして、非常にうれしく思っておるのでありますが、今後におきましてもどうか超党派的に、この科学技術振興発展のためには格別の御支援、御指導、御協力を賜わりますようひとえにお願いいたしたいと思うのでございます。  なお、ごあいさつとして印刷したものをお配りしてあるようでありますが、私がいま申しました考え方に対して足らないところがありましたら、このお配りしました書類によってごらん願いたいと思いますし、委員長におかれまして必要とお思いになりましたならば、あるいは適当とお思いになりましたならば、これを速記録に御掲載願えればまことにしあわせと思っております。  はなはだ簡単でありますが、一言ごあいさつ申し上げます。(拍手
  4. 石田幸四郎

  5. 平泉渉

    平泉政府委員 平泉でございます。  このたび、全くのしろうとでございますが、科学技術庁政務次官を拝命いたしました。委員の皆さまの御指導、御鞭撻、よろしくお願い申し上げます。(拍手)      ————◇—————
  6. 石田幸四郎

    石田委員長 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。石川次夫君。
  7. 石川次夫

    石川委員 ただいま木内新任科学技術庁長官所信表明を伺ったわけでありますけれども、その基本的な政策いかんについては、あらためて伺う機会もあろうかと思います。  きょうは、実はたいへんに質問者が多くて時間が制約されておりますので、そういう基本的な問題につきましてはあらためて御質問を申し上げることといたしまして、当面する問題一点だけひとつ伺いたいと思います。きょうは、残念なことには、外務大臣が家庭の事情でどうしても御出席になれません。また、アメリカ局長出席できないということで非常に遺憾に思うわけでありますけれども、やむを得ませんので、科学技術庁長官を主とした対象といたしまして、質問をしたいと思っております。  私の質問したいのは、原潜入港許可の問題に関連してであります。これは御承知のように、佐世保異常放射能が検出をされたということに端を発しまして、新聞紙上などでもたいへん大きな問題に取り上げられておる。この問題のそもそもの発端は、科学技術庁が、初め、この異常調査の結果が出たのではないかということに対しまして、実は調査しておらぬということで一時のがれをしようとした。ところが、実際は異常値が出たということで、はっきり申し上げますと、新聞社のほうからすっぱ抜かれたということで、あわてふためいて、その次はどう言ったかというと、これはレーダー影響であるということを言った。ところが、調査をした結果、レーダーの結果ではない。そうしたところが、その次はレーダーの結果ではないとすると、エイジャックスという工作艦そばにあって、それが溶接機械を使った火花影響によって異常値が出たんだという答弁をした。  それじゃ乗り込んで調べるということで乗り込んで調べたところが、実は工作艦溶接火花によるものではないのだ、こういう結果だ。そのあとでいろいろな調査が出まして、その結果は、御承知のように山崎さんをもとにいたしまして、きわめて良心的にやっていただいたと私は思いますけれども、御承知のような報告の結果というのは、「ソードフィッシュ号以外の放射線源については、常識的に考えられるいくつかの原因について検討したが、異常測定値原因となるものは見あたらなかった。したがって、ソードフィッシュ号から何らかの放射性物質放出があったとの疑問を深めるに至った。」こういう結論が出ておるわけであります。したがって、どう考えても、そもそも測定値というものそれ自体は、異常放射能を検出する測定値だ。したがって、過度の異常値が出れば、放射能影響によるものだということから出発するのがほんとうだと思う。  ところが、科学技術庁調査のしかたはそうじゃなくて、まずそうじゃないという原因からだんだん調べて、やむを得ず最後に学者が発表したので、あるいはソードフィッシュ号から何らかの放射性物質放出があったものと認めざるを得ない、こういうさか立ちしたやり方になっておるわけです。  したがって、この調査のしかたは非常に秘密主義で、何か事なかれ主義国民疑惑を与える、こういうふうな態度で今後とも終始をするということについては、われわれは、科学技術庁の公開の原則に立った科学技術の伸展というものに非常な疑惑を持たざるを得ません。こういうことになっておるのだが、この点について長官どう思いますか。
  8. 木内四郎

    木内国務大臣 いまいろいろ、前回の原潜入港の際の問題に関連して御発言があったようでございます。過去におきましては、調査体制が整っておらなかったというような関係からいろいろな手違いなどがありまして、ただいまお話しになりましたような事態があったのだと思うのでありますが、科学技術庁としては、決して秘密主義とかことさら事を曲げて発表するというようなことはやっておったものではないと私はかたく信じておる次第であります。その後、ただいまお話があったことに関連しまして、調査体制などを整備いたしましたので、今後におきましてはさようなことはないと私は思っております。
  9. 石川次夫

    石川委員 木内さんの答弁は、ちょっと的をはずれていると思うのですよ。調査体制が不備だからそうだということじゃなくて、これは放射能原因でこういう測定値が出たんだということをまず考えないで、初めは隠してほかの影響であるということから出発している。こういう考え方のさか立ち、それ自体を直してもらわなければ困るということを私は申し上げておるのです。  それで、時間がないのでたいへん残念でありますけれども、いまでも、これは、ソードフィッシュ号から何らかの放射性物質放出があったとの疑問を深めたという点については、お認めになりますか。
  10. 木内四郎

    木内国務大臣 政府委員から……。
  11. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 ソードフィッシュ号からの疑問を深めたという点におきましては、認めておると思っております。
  12. 石川次夫

    石川委員 では認めるわけですね。  そうしますと、その後アメリカとの折衝で、いろいろな交換文書も行なわれたと思うのでありますが、外務大臣来ておられないわけですけれども、その後どういう合意のもとに今度新しい原潜入港を認めることになったか、その根拠を伺いたいと思います。
  13. 木内四郎

    木内国務大臣 その後米国側と折衝しまして、ことに三木外務大臣から、原潜入港の際不安を与えることのないようにしてもらいたいという申し入れをしまして、一次冷却水放出しないように、その他すべての点について注意深くやってもらいたいという申し入れをしておるわけであります。それに対してアメリカ側からは、通常の場合においては一次冷却水放出しない、その他の排出物についても慎重に対策を講ずるということで、不安を解消する処置を十分にとるからということでありましたので、こちらとしては今回原潜入港は差しつかえない、かように考えた次第だと思います。
  14. 石川次夫

    石川委員 一次冷却水を平常の場合には放出しない。平常でない場合というのはどういう場合ですか。
  15. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 正常でない場合と申しますと緊急その他を私たちは考えますが、普通の場合は一次冷却水を当然通常として出さない、ただし、こういうことの申し入れあるいは回答その他で考えた場合に、理想的にといいますか、ちゃんとものを書くという場合で考えました場合には、やはり万が一ということがあり得るという形のところで、そういう通常ということばを使っておる。したがって、予測のできないことがあり得るということで考えられている、そういうふうに考えております。
  16. 石川次夫

    石川委員 予測できない場合というのは、具体的に言うとどういうことかよくわからないのですけれども、実を言うと原潜入港をして一日、二日だったら、エンジンをとめないで、一次冷却水を出さなくても済む場合もあると私は思うのです。しかし、四日、五日停泊するという場合になると、どうしても一時エンジンをとめ、またエンジンをかけ直すということになれば、一次冷却水放出しないという保証はできないと私は思うのです。いつの場合も一日、二日で帰るということではなくて、今度の場合のように四日、五日停泊をする。最低四日、五日停泊するのでしょう。そうなれば、エンジンは一時とめて、かけ直すということになれば、一次冷却水は出ないで済むということができますか。科学的にその証明ができますか。
  17. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 現在私たちが考えておりますのは、一次冷却水保温設備というのは想定できると思います。それを先生のおっしゃいますように、温度を上げる等の場合のエネルギーというものを、そばにおりますエィジャックスからとって、それでおさめて常に保温しておくという形をとれば、当然できるという可能性は私たち十分考えられると思います。
  18. 石川次夫

    石川委員 これは実際に設計図や何かを見せてもらっていないわけで、秘密になっておりますからわからないわけですが、わざわざ温度をあたためるためによけいな容積を使うということは、まず潜水艦というのは極度に切り詰めてあるという設計になっておりまして、一センチたりともむだはつくってない。最初のあなた方の説明は、このよけいな水は中のタンクのよそのところにためておくのだというふうな説明がありました。私は常識的に考えてそんなことはあり得ないと思うのです。したがって、停泊期間が長ければ、保温だってそう長くは続かないということを通じて、どうしても出港するときには、温度を上げて一次冷却水が膨張して二トンくらいの水は出ざるを得ないというのは、これは常識ですよ。したがって、通常の場合は出さないのだ、こう言いますけれども、通常でない場合はひんぱんとして起こる可能性が多いということ、それから文書の上では一次冷却水が出ないように、こういっておりますが、実際の場合は出ないという保証はどこにもないと思うのです。こういうようなきわめて非科学的な根拠に基づいて、アメリカが言うからだいじょうぶだということで入港を許可するという根拠を私はどうしても認めるわけにはいかない。
  19. 木内四郎

    木内国務大臣 お答えいたしますが、アメリカがいいということを言ったし、一応信頼していることは信頼しておりますが、原子力委員会のほうにおきましても、三木ジョンソン意見交換の様子を見まして、これなら大体自分たちの考えているところによっているから安全である、かように言っておるようなこともあるので、そのことをちょっと申し上げておきます。
  20. 石川次夫

    石川委員 極度に切り詰めた潜水艦設計は、私もいろんな人に意見を伺ってみましたけれども、はっきりしたことはわからないですよ。しかし、常識的に考えて一時冷却水を出さないで済むというわけにはいかぬだろう。したがって、いま木内長官がはしなくも言ったように、大体了承したという程度なんです。大体なんですよ。ほんとうのことはわからない。だからこの一時冷却水というものは、四日、五口いれば、保温装置もそう完ぺきなものでないし、どうしても一時冷却水というものを出さざるを得ないというのがむしろ常識ではないかと思います。したがって、向こうがだいじょうぶだと言った。原子力委員会も大体了承した。大体ですよ。ほんとうに安心だという確認をしたわけではないのですよ。そういう根拠に基づいて一時冷却水を出さないからだいじょうぶだというふうなことは、きわめて非科学的だと思う。それならばなぜ設計図をちゃんと見て、設計に基づいてこれならだいじょうぶだという確認をした上なら話はわかりますよ。確認はしていないでしょう。  あと一つ申し上げたいことは、これは基本的な問題ですからいずれあらためて質問しようと思っておるのですけれども、原子力潜水艦原子炉制御棒が十本内外でしょう。きわめて簡略です。軍事上の目的のために、普通の原子炉とは比較にならぬほど制御棒が少ない。一本当たりの負担が非常に大きいわけです。そういうことを通じてきわめて危険度の高い設計になっておる。これは、だれが何と言ってもそのことは否定できない。したがって事故の出る可能性もきわめて高い。陸上の原子炉とはそういう点で全然危険度が違うのですよ。そういう点も含めてぼくは——もちろんアメリカ側から言わせれば、絶対にだいじょうぶな設計だというでしょう。また、私がだいぶ前に質問をしたときは、制御棒がそれほど少なくて済むように設計できるほどアメリカ技術は向上している、こういうふうな逃げ口上があったわけです。非常に私は憤慨しました。そういうふうなことで、きわめて危険度の高い設計に基づいてつくられた原子力艦水艦というものが公開されていない。そういう点で非常に疑問が多い。  それからあと一つは、サブロックという核弾頭魚雷が乗っかっておることは周知の事実です。これを認めないのは世界じゅうで日本政府当局だけです。サブロックというのは、核弾頭であることはだれもが認めている。政府だけが認めない。向こうで入っちゃいかぬと言うから見るわけにいかない。向こうが乗っけてないから載ってないだろうというだけでしょう。サブロックの機構はおそらく木内さん知らないでしょう。サブロックというのは、それ自体にソーナーがついているのです。ある程度のところで落ちて、向こうの音を聞きながら自動的に魚雷が進んでいくというきわめて精巧なものです。これに普通の火薬を積むなんということは、どう考えたって考えられません。核弾頭であることははっきりしているわけであります。したがって、佐藤さんが言っているいわゆる核三原則で、核を持ち込ませないなんということを声を大にして言っておりますけれども、実は核の持ち込みなんですよ。核の推進機がついていること自体にも問題がある。また、核兵器を持ち込んでおるということは歴然たる事実です。そういうことにことさらに目をおおっている。国民だれだってそんなことは信用していませんよ。日本政府だけですよ。世界のどこへ行ったって、原子力潜水艦には核弾頭に爆弾は乗っかっておりませんというようなことを言っている人はだれもいません。日本政府だけなんです。それで公然と核三原則ということを公表はしていますけれども、実は核弾頭を持ち込んでいることは明らかです。こういうことにことさらに目をおおって、原子力潜水艦寄港を認める、しかも大体だいじょうぶだろうという程度のことで、国民がこれだけ不安感を持っておるにかかわらず、強引に寄港させるということは、どう考えてもわれわれは納得できない。その点をどう解明されますか。
  21. 大河原良雄

    大河原説明員 専門的なことにつきましては科学技術庁のほうから御説明があるかと存じますので、私は、今回の交渉におきまして、アメリカ安全性確保につきましてどういう説明をしたかということを御答弁申し上げたいと思います。  十月二十二日に三木外務大臣ジョンソンアメリカ大使との間にかわされました覚え書きの中で、アメリカ大使は、「寄港中における一次冷却水放出例外の場合であり、したがって、今後日本の港においては通常一次冷却水放出されることはなく、これが現在の実施方式に即したものである旨を述べた。」こういうふうにうたわれております。この点につきましてのアメリカ説明は、現在のアメリカの運営の実態から申しますと、日本の港に着きまして、入港寄港にあたりまして一次冷却水放出することはまずまずないということをはっきり申し上げることができる、なぜ絶対にないということを言えないのかということにつきましては、絶対ということは論理の必然として言えないのであって、将来いかなる事態が起きるか、必ずしもあらかじめ想定することができない、そういう場合に絶対に出さないという約束をしたのでは約束違反になるという意味で、たてまえとして余地を残す、例外の場合を残しておくという趣旨であります。まずまずないというふうに、むしろないというほうに重点を置いてお考え願いたいというのがジョンソン大使説明であったのであります。  それからソードフィッシュ号の場合におきまして、アメリカの場合は工作艦エイジャックスという船を使っておりまして、これから電源を補給いたしましたので、一次冷却水ソードフィッシュ号内の原子炉入港後停止いたしましたけれども、一次冷却水をあたためるために特別エイジャックス電源補給に仰いでおりました関係で、特に冷却水放出を必要とするような事態は起きなかったものである、今後ともこういう状態は普通の場合には続けられるのである、こういうふうに申しておるわけでございます。
  22. 石川次夫

    石川委員 時間がないので非常に残念ですが、いまのことはきわめて非科学的ですよ。向こうが言うからだいじょうぶだということだけでしょう。技術的に何らの根拠がないでしょう。常識としては、どう考えても一次冷却水は、緊急出港の場合でなくても、一次冷却水を出さずに済むとは考えられないのです。  それで、最後に一つ伺いますけれども、ささやかな佐世保市民願いとしては、年末年始はぜひ静かな正月を送らせるようにしてくれという非常な切望があったわけですね。それは政府申し入れてもあったはずです。その気持ちをなぜくんでやらなかったのですか。向こうは、たかが何人か知りませんが、わずかな人が日本へあがって休養したいということだけれども、その人たちだけの気持ちをくんで、佐世保の連中及び日本国内の人々の不安というものを全然無視してなぜ入港させたのですか。そのくらい向こうの要求に非常に弱い。したがっていまのような外務省説明は、向こうがそう言うからそうだというだけの話です。向こうの言うことに言いなりほうだいになっている。外務省というのは、外につとめる省なのかということをよく言われます。日本につとめるのではなくて外につとめるというのが、国民の偽らざる感情だと思うのです。そういうことと関連をしまして、静かな年末と正月を送りたいという佐世保市民あるいは国民の期待というものを裏切って、なぜ入港さしたのですか。外務省責任者じゃありませんけれども、伺いたいのです。
  23. 大河原良雄

    大河原説明員 去る五月のソードフィッシュ号事件以来、原潜入港に伴います放射能の汚染の問題につきましては、国民の間に非常な不安が高まりましたので、自来六カ月にわたりましてアメリカと折衝いたしました結果、十月二十二日の覚え書きがかわされたわけでございます。この覚え書きを固めるにあたりましては、外務省といたしましては科学技術庁をはじめ関係の各省と十分連絡調整いたしまして、安全性確保につきまして十分納得がいくということの結論が出ましたので、覚え書き交換したわけでございます。したがいまして、安全性確保につきましてアメリカ側約束を取りつけ、また一方、国内的には調査体制整備が完了いたしましたので、いつでも入港が行ない得るという状態になりましたので、今回原子力潜水艦佐世保入港することになった、こういうことでございます。
  24. 石川次夫

    石川委員 時間がないので非常に残念なんですが、いまの答弁はまさに外につとめる省として  の答弁だと思うのです。せめて静かな正月を送りたいということについて、その市民願いあるいはまだまだ不安を残している国民の不安というも  のを無視して、わざわざ歳末に入港させる必要は毛頭ない。私は、これは最低限度国民の希望だったと思うのです。安全体制ができたといったって、安全体制ができたとは——観測値については、あるいはある程度完ぺきなものができるようになったかもしれません。それだっていままでより、それほど進歩したものだとは私は考えられません。こういうふうな態度は、国民ほんとうにたよりにならない外務省だという感を与えることは当然だと思うのです。  それと、これは原子力兵器が持ち込まれておることはもう周知の事実です。日本政府だけが認めないだけなんですよ。世界じゅうどこでも認めている。あんなサブロックみたいな精巧なものに、普通の火薬を積むなんということはあり得ないのですよ。私は、推進機原子力を使ったということだけでも、軍用の目的に使うということについては非常な疑問を感じている。一たん撃沈されたらどうするのですか。その放射能対策はどうなっているというふうな問題もあるわけです。そういう点で私たちは非常に不安を感ぜざるを得ないし、いまの外務省並びに政府の態度というものは、どう考えても容認できない。幸い、たいした問題は起こっておらぬようでありますけれども、しかしながら、佐世保市民はまだまだ不安におびえていると思うのです。こういう歳末、静かな正月を送りたいというふうな佐世保市民あるいは日本国民の期待にそむいて、安全体制ができたとアメリカが言うからだいじょうぶだと、こういうふうなことで入港を認めるということは、われわれ断じて承知できません。  平行線でありますから、いずれ機会を改めて、こまかい技術的な問題についてまた質疑応答をしたいと思いますが、時間がありませんから打ち切りますけれども、最後にひとつ資料要求をしておきますが、このソードフィッシュ号異常放射能に関連して、外務省アメリカの間でいろいろな文書がかわされていると思うのです。これを公表できますか。資料として要求したいと思うのです。
  25. 大河原良雄

    大河原説明員 米国は、当時原子力委員会から専門家を派遣いたしまして、その報告書をジョンソン大使を通じまして日本政府へ送ってまいっております。これは公表してございます。それ以外には文書はございません。
  26. 石川次夫

    石川委員 そうすると、一次冷却水は平常の場合は出さないというようなことは、文書になっていないのですか。口頭だけですか。
  27. 大河原良雄

    大河原説明員 十月二十二日に外務大臣と駐日米大使との間に覚え書き交換されておりまして、これも公表してございます。その覚え書きの中に、通常の場合には——一次冷却水放出例外の場合であるということがはっきり書いてあるわけでございます。
  28. 石川次夫

    石川委員 じゃ、その資料をひとつ出していただきたいと思います。原文を添えて出していただきたい。
  29. 大河原良雄

    大河原説明員 承知いたしました。
  30. 石川次夫

    石川委員 それから、あとから宇宙開発の問題で質問が出ると思うのでありますけれども、一月十七日のジョンソン大使宇宙開発に関するメモをひとつ御提出願いたいと思います。
  31. 大河原良雄

    大河原説明員 ただいまの最後宇宙開発に関しますメモの点でございますが、私、直接の所管でございませんで、明確なお返事ができませんのを残念に思うのですが、これはいずれにしましても不公表ということで従来扱っておるというふうに私は承知しております。
  32. 石川次夫

    石川委員 これはあと質問にお譲りいたしますけれども、大体翻訳は出ているのですよ。日本語で翻訳が出ておって、原文が出せないなんて、ばかなことはないと思うのです。どういうわけで出せないか。なぜ翻訳したものが出たのですか。翻訳したものが出て、原文が出ないというばかなことはないでしょう。
  33. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 ただいまのジョンソンメモのことでございますけれども、ジョソンメモそのもの、これはジョンソンが総理のところに参りましたときに話をいたしまして、そのときジョンソンメモとして置いていったものでございまして、これはむろん英語でございますけれども、それは、ただいま外務省からお話がございましたように、公表しないという相互の約束になっております。ただ、それの日本語の訳というものは、そのメモを各省が外務省から配付を受けましたときに外務省が訳したものはございます。これは当然英語のものをそのまま訳したものでございますから、同じものでございますけれども、これはまた原文は公表されておりませんので、日本語そのものも全文はいずれにしても公開はいたしておりません。
  34. 石川次夫

    石川委員 質問を打ち切ろうと思ったのですけれども。翻訳がちゃんと出ておって、その翻訳もやむを得ず出したといういきさつは持っておりますけれども、原文が出せないというおかしなことはない。しかも外務省ではちゃんと定訳は出していますね。各省に配っていますよ。それもまた承知しております。そういうことがあって原文がなお出せないということは、何か隠されたものがあるのじゃないかという疑惑を生むだけではないですか。絶対に、この資料は出してもらいたいと思うのです。
  35. 木内四郎

    木内国務大臣 ただいま石川委員からのお話ですけれども、翻訳した分も全文は出ておらないはずです。
  36. 石川次夫

    石川委員 向こうは盛んに隠しておるだけの話で、実はこれは翻訳は出ておるのですよ、非常に数は限られていますけれども。科学技術庁にも一部いっているはずです。それには「協定締結」という文字がはっきり出ておる。しかし、科学技術庁から出しているのは「合意」とごまかしておる。「合意」と「協定」というのは同じことなのです。「アグリーメント」、同じことで、ことばの上でかわせば「合意」であるし、文書に乗っければ明らかに「協定」なのですよ。このことは華山さんから質問があると思いますから、私はこれで打ち切ります。——いまの問題ですが、これは全文を英語でどうしても出さないと、さらに国民疑惑を深めるだけですよ。何かあるのじゃないかということを考えさせるだけです。ぼくは、あそこまで訳文を出しておいて、しかも正式の訳文は外務省でもって定訳として出してある。その原文が出せないというばかなことはないと思うのです。どうしても資料の提出を要求します。
  37. 三木喜夫

    三木(喜)委員 関連。大臣、いま石川さんが言われましたように、この問題は今回も経緯があるでしょう。経団連においてジョンソン大使が発表して、初めてあわてて科学技術庁が出してきたのでしょう。そこに、はや疑問があるでしょう。何というぶざまなことをやるのですかということを、国民なり新聞なり、各新聞おこっておるわけですよ。そうしたところが、原文の中の機密協定に属するようなところだけははずしていた。しかし科学技術庁においては、きのう謝敷参事官もやってきていろいろ弁明されました。いろいろな配慮があった、こういうことなんですけれども、しかし国民は機密のところを隠した、こうやっておりますし、それから各新聞を見てみなさい。あなた方も読まれただろうと思いますけれども、実に日本の国の秘密の外交、科学に対して秘密を持ち込もうとする危険があるじゃないかということをいっているわけですよ。  各新聞、見てみましょうか。朝日新聞は「科技庁、表現変え公表、宇宙開発の米大使文書、米、機密保護協定求む、文書の原文、軍事転用の含みも」、こう書いてある。東京新聞には「〃軍事利用〃かくす、科学技術庁、米の宇宙開発協力文書で」、科学技術庁の元凶ぶりが出ておるでしょう。日経新聞では「ジョンソン・メモの「平和目的」に例外余地、削除発表、政府筋も認める」。あなた方も認めておられる。毎日新聞は「宇宙開発日米協力メモ、原文と違う発表、科学技術庁が意識的に?」こう書いてある、読売新聞は「宇宙協力・米大使メモ、発表内容に削除、平和限定に抜け道、国会で野党追及呼ぶか」と書いてある。東京タイムズは「軍事利用の抜け道、日米宇宙協力、内容削除して発表、科学技術庁」。  科学技術庁というのは、真理を追求するところの省庁だと今日まで思っておりました。そして科学技術庁のやることなら、あるいは法律案につきましても、宇宙開発のあの基本法をつくらなければならぬというときに、わざわざ総理大臣まで来てもらって、自主、民主、公開、平和目的ということを明らかに言ってもらったわけであります。そして宇宙開発委員会がやっとできたと思ったら、その宇宙委員会が軍事機密というような面でこういうやみ取引をし、新聞から一斉に糾弾を受ける、われわれが非常に疑問を持つような状況が出てきたわけであります。官房長はいろいろとこれについては説明をなさっておられますが、木内大臣は、新しい大臣でありますから前々からの関連のことには関係はないと思いますけれども、しかし責任はあると思うのです。したがって、わが党からきのう政審会長が行ってあなたにお会いして、この全文を出してくれということを要求しておるわけです。いま石川さんもその線に沿って要求したわけです。なぜ出せないのですか。その辺をはっきり言ってください。
  38. 大河原良雄

    大河原説明員 交渉中の案件につきましては、テキストは発表しないという外交慣例がございますので、今回の問題につきましても、引き続き交渉中の問題でございますので、原文の発表は御容赦願いたいと思います。
  39. 三木喜夫

    三木(喜)委員 いま木内さんの責任において私は聞いたわけであります。わが党からも要求しておるわけです。その外交慣例によってやっておるということになれば、ジョンソン大使がかえって怒りを爆発しておるわけなんですよ。何しとるかということで、日本秘密ぶりというか、優柔不断ぶりというか、そういうことについて他国の大使が発表しておるものをあわててこっちで発表し、そしてしり抜けのものばかり発表している。こっちは国会で要求しておるわけなんですよ。それに対してぬけぬけと、いま交渉中だからというようなことで言うことになると、国会というところは最高の議決するところの機関、審議するところの機関であると私は思う。もうこれくらいしり抜けになっておるところをなぜそんなに強硬に言うのですか。外務省答弁をした人からその返事をしてください。そのあと、大臣の御答弁を求めます。
  40. 大河原良雄

    大河原説明員 私、先ほど申し上げましたように、原文の発表を御容赦願いたいということを申したのでございまして、科学技術庁から発表されましたのは内容の要点でございます。したがって、原文がそのまま発表されたということではないという点を御了承願いたいと思います。
  41. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そういうことであれば絶対にいけないということが、いままできめてあるわけですか。その辺聞かしてください。あとでまた交渉することがありますから、よく聞いておきたいと思います。あなた、そう言われるなら、ひとつ返事してもらいたい。
  42. 大河原良雄

    大河原説明員 一般的な慣例といたしまして、交渉中の案件については、そのものは発表いたさないという形をとっております。
  43. 三木喜夫

    三木(喜)委員 一般的な慣例ならそれでわかるかもしれませんよ。これだけ国論をゆり動かした問題ですよ。そして、すでにいろいろな問題が出てきておるじゃないですか。それをひた隠しに隠すような言い方が、いままでの一般的慣例にこと寄せて言うことがおかしいということを言っておるのです。これだけ国民は問題にしてきておることですよ。すでにそれが発展して、宇宙協力の機密防衛という、きょうの新聞なんか出てきておるじゃないですか。産業スパイ罪の新設をきめるという対象を科学技術に置いておるじゃないですか。こういう事態が起こってきておるから、それを言うわけなんですよ。すでに内部的にはこれくらい発展しておるじゃないですか。そういうことで私たちはきょう強く言っておるわけです。一般的慣例はそれでよろしい。これだけ事が発展してきて世間を騒がしてきた問題に対して、なぜそれは出せないかということを言っておるわけです。一般的慣例の外務省の見解はわかりました。したがって、木内科学技術庁長官にお聞きしたいと思う。
  44. 木内四郎

    木内国務大臣 お答えいたしますが、原文の発表というものは、こういうメモについてはやらないのが外交的慣例であることは、いま外務省から御答弁が出ております。しからば、なぜジョンソン大使がその内容を発表したか。これはもちろん、ジョンソン大使は内容を全部発表したわけではありません。このメモ自体は、もともとジョンソン大使の希望がありまして、これは発表しないということにいままでなっておったと私は聞いておるのですが、そういう関係がありますから、ジョンソン大使も全文を発表したわけではありませんけれども、宇宙開発推進会議、経団連のそこにおきましてジョンソン大使説明の間にその内容の要点を説明した、こういうふうに私ども了解しておる。そこで科学技術庁といたしましては、いままでの慣例、取り扱いに従いまして全文発表はしなかったが、その内容の要点を発表したというのが今度の問題のいきさつだと思います。  そこで、内容の発表を多少隠したのではないか、あるいは多少曲げて発表したのではないかというお話でありましたけれども、そういうことは科学技術庁には全然ございません。科学技術庁におきましては、現在の状態に即して内容を忠実に発表しておると思います。たとえば、さっき問題にされました協定締結という問題をお話しになったと思うのですが、この点だけを私申しますと、英語で「ウイウッド ウォント アン アグリーメント ウイズ ジャパニーズ ガバメント カバリングツー ポインツ」、これはどこの間違いかしれませんが、アグリーメントというのは協定締結と訳しておる。協定締結というとややもすると条約のように見えますけれども、条約とか協定ということで国会の承認を要することでなくて、「ウイウッド ウォント アン アグリーメント ウイズジャパニーズ ガバメント カバリング ツー ポインツ」、このアグリーメントというのは合意である。そこで科学技術庁としては、その点を「合意」と訳して発表しておるのでありまして、それをことさら私どもは隠したりしたわけではありません。たまたまアグリーメントというのは協定締結、どこで翻訳を間違ったか知りませんが、とにかくそういうふうに伝えられたものですから、その点が非常に大きな疑惑を招いたことが第一点であります。  それから、その次の平和利用のためにこれは使うべきである、それにただし書きがついておる。そのほかの場合には、両方の政府の間の協定によれば、これは例外を設けられると書いてある。しかし私どもは、宇宙開発の問題については、初めから平和利用ということ以外は考えてない。そこでこの委員会におかれましても、ことしの議会におきまして、宇宙委員会というものを設置する際に皆さん方から特にお話があったと私は聞いておる。その際に何と言われたかというと、平和利用、自主的開発、それから民主的にこれを開発していく、公開する。この宇宙開発に関する限り、私どもは平和利用以外のことは考えてない。したがってその際に、平和利用以外の問題についてあったことは私どもとしてはきわめて軽いものだ、そうしてああいう約束の場合にはこれを削除したのでありまして、意識的にこれを隠すとかなんとかいうことは毛頭なかったということを、この際はっきり申し上げておきます。
  45. 三木喜夫

    三木(喜)委員 いま私が質問しておることに対しては、大臣答えてない。内容について、その論議はいまから華山さんがやるわけです。その内容についてこうだああだという突き詰めは、いまから華山さんが質問いたします。しかし私は、資料を出すかどうか、軽いものなら出しなさいよ、なぜひたすらにそれを隠しておくかということがおかしいから、大臣の責任において出しますかということを質問しておるのであります。
  46. 石野久男

    石野委員 関連。いま三木さんからお話しのように、平和利用に徹しておる、だからやはりそうたいしたことはないのだ、こういうお話を大臣は言われたんです。しかし、発表しないということになれば、発表して困るような内容があるに違いないのです。これは商業用の機密という場合には、それぞれの各企業ごとにいろいろな話し合いをして進めてきておる。ここで平和利用をやるのに発表しちゃ困るようなものは何だ。われわれが疑問に思うのは、発表して困るということになれば、何か軍事的な機密のようなものを要求していると思うのです。もし発表してはならないような内容として、そういう軍事機密に関連するものがあるのかどうか、ここらのところをはっきりひとつ言ってもらいたい。
  47. 木内四郎

    木内国務大臣 お答えいたしますが、軍事機密に関するようなものはありません。それで、これは軽いから発表したらいいじゃないかとおっしゃるけれども、全文の訳文は、さっき外務省からお話がありましたように、外交慣例上こういうものは発表しないというようになっておるということでございます。その点を了解をお願いします。
  48. 三木喜夫

    三木(喜)委員 一般の場合はそれでいいのですよ。大臣、よくものの条理を考えてください。これだけ問題になったのに、なぜ発表しないんだということをあなたの責任でと言いたいんだが、あなたはまた外務省の言い分のところに逃げたでしょう。そんなひきょうな言い方はないでしょう。あなたがいま、まことしやかにこの宇宙開発について、自主、民主、公開という話でこの話は始まった。それは十分守っておるということをおっしゃいますけれども、自主、民主じゃないのですよ。アメリカの誘導技術、制動の技術を導入しようかどうかという問題になってきたのではないですか。そこに問題があるから、あなたはことばの上で自主、民主、公開、平和の原則、こうおっしゃっておるが、どこかくずれておるのです。それを科学の大臣が、私は守っておりますとおっしゃるけれども、現実くずれてきておるという問題の中に、機密を持ち込む問題が起こってきておるわけで、そんなのけのけしたことを言えるはずはないのですよ。ことばの上だけで自主、民主、公開というようなことを思っておるような、そういう大臣なら全くナンセンスですよ。
  49. 木内四郎

    木内国務大臣 私、申し上げておるのは、全文はそのまま発表できない、これは外交慣例であるからしかたないと思うのです。しかし、内容において、私どもは隠したり何かいたしておるところはありません。ただ、いまの平和利用に対する例外というただし書きがあるじゃないか、その点について私はさっき申し上げたのです。それはもうとにかく平和利用に徹しているんだ、そこらのことは私どもは考えているんだということを申し上げます。
  50. 三木喜夫

    三木(喜)委員 全文出しますか。
  51. 木内四郎

    木内国務大臣 それは、私は外交慣例上出せないということを申し上げておる。その点は御了解願いたいと思います。
  52. 石川次夫

    石川委員 これはあと質問に保留しましょう。とても了承できない。ということは、宇宙開発協力ジョンソン・メモ全文というものは、訳文が出ておるのですよ。この中には「日本政府との協定を希望する。」それから「他に別段の相互合意がないかぎり平和目的のために使用されるものとする。」ことさらに「別段の相互合意がないかぎり」ということを書いてあるけれども、これで非常な疑惑がある。国民不安感におびえておる。これを発表しないとによってますます疑心暗鬼を生む。このメモは全文出ておりますよ。外務省でもちゃんと翻訳をして、非常に限られた部数ではあるけれども各省に回してあります。その中に協定という字がはっきり書いてある。アグリーメントというものは、普通でいえば合意とも協定ともとれますけれども、協定もアグリーメント、ですからはっきりした合意をとろうとすることになれば、アグリーメントは協定にならざるを得ない。合意という訳も間違っておるとは思いませんけれども、協定という訳もできるのです。全文の訳はちゃんと「協定を希望する。」というふうに書いてある。合意を希望するじゃない、この全文は出ていますね。この全文が出ていて、なおかつ原文が出せないということはわからない。こんな明らかなことはない。ここまであからさまになったら、原文がなぜ出せないのですか。外交上の慣例ということは一応理解しますけれども、ここまで来て産業スパイ、あるいは業者間の制約によってこの秘密は守るんだという大きなことと関連することで、非常な不安を持っておる。戦前はみんな見のがしておるうちに、だんだんと積み重ねられて戦争になったという記憶がなまなましいのですよ。どう考えてもそういうことにならないようにするには、どんな小さなことでもわれわれ見のがすわけにはいかぬ。国民に対するわれわれの義務だと思っております。そういう点ではジョンソン・メモの全文が出ておるのに、なぜ原文出せないのですか。ちゃんと出ていますよ。原文が翻訳で……。普通の慣例はわかりますけれども、ここまであからさまにされて、疑心暗鬼を生んだ。原文が発表されなければされないほど、こういうことの政治判断ではますます疑惑を深めるわけです。
  53. 石田幸四郎

    石田委員長 この資料要求の問題については、後ほど理事会で協議をするというふうに取り扱いたいと思いますが、いかがでしょうか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 三木喜夫

    三木(喜)委員 一般の場合はいいですよ。宇宙開発については、特に公開の原則を歴然とうたっておる。それが宇宙委員会の第一の発足の段階において公開を阻害するというような、こういう事態になってくれば、これは根本から問題だということを言っておるわけです。大臣、あなたは口で自主、民主、公開、平和の原則ということをうたい文句のようにいま言われましたけれども、こんなもの、うたい文句じゃありませんよ。原則として考えて、それを実践してもらわなければいかぬから言うのです。その現実がいまここに来ておるじゃないですか、この委員会の席上で……。それをひた隠しに隠されておるところに、科学技術のあり方ということに私たちは非常な疑問と将来の疑念を持つわけです。だから委員長、これは全体の委員意見を一ぺん聞いてみてください。その結果理事会の取り扱いならいいですが、出すことに賛成なら賛成ということで、意見を求めてください。
  55. 石田幸四郎

    石田委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  56. 石田幸四郎

    石田委員長 速記を始めて。  ただいまの問題は、後ほど理事会において取り扱いを協議してまいりたいと思いますが、いかがでございますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 石田幸四郎

    石田委員長 では、さように決定いたしました。  続いて、華山親義君。
  58. 華山親義

    華山委員 経過から考えますと、昨年の一月に申し出がジョンソン大使からあった。そのことを私どもは新聞紙で知るほかなかったのですけれども、何か口頭ででもあったような印象を私はその当時受けました。その後、私は三月七日に本会議場におきまして聞いております。それで私の聞いたことにつきましては、時間もございませんので申し上げませんが、そのときの総理大臣の答弁はこういうことでございます。平和利用に限るということにつきましては、これを強調されましたのでこの点は省きますが、「公開の原則、これは、私どもがすでに採用し、また今日以後におきましても続けられるものであります。宇宙開発の場合におきまして、米国の協力ということも申し出がございます。そうすると、ただいま御心配なように、米国にはいろいろな秘密の事項があるから、そういうものは一体どうするだろうか、公開の原則に反するのではないか、かように御心配でございます。」——これは私が心配しているというのです。「しかし、私は申し上げますが、私どもは自立的なその立場において研究開発をするつもりであります。米国自身が、機密が漏れるような心配があって情報を出さなかったり、技術援助をしないなら、これはもちろんそういうものを私はアメリカから求めるつもりはございません。おそらく、今日の状態では、アメリカも援助するにいたしましても、ただいま申すような機密漏洩の心配のないものについて協力するのだ、かように理解しております。」こういうふうに私に本会議で総理大臣は答弁している。それは、私は知らなかったけれどもジョンソン大使の書簡を受けたあと答弁なんです。この総理大臣の言われたこと、これは今日でも変わっておりませんか。
  59. 木内四郎

    木内国務大臣 お答えいたしますが、全然変わっておりません。
  60. 華山親義

    華山委員 交渉中だというが、何もそうだったらば、この原則からいえば交渉する必要はないじゃないですか。断わりますでいいじゃないですか。何を交渉するのですか。外務省どうですか、どちらでもよろしゅうございますが、何を交渉しているのですか。
  61. 謝敷宗登

    ○謝敷説明員 一月十七日にジョンソン大使から佐藤総理に、平和利用に限りまして、わが国の宇宙開発につきまして、技術、ノーハウ等の援助をしてもよろしい、わが国が希望するならば援助をしてもよろしいという申し出がありまして、その後検討しておりました事項は、私どもといたしましては、外国の技術を導入するという点につきまして、片方で自主技術開発ということを基調としておりますので、この点につきまして新しく設置されました宇宙開発委員会に御検討を願ったわけでございますが、宇宙開発委員会におきましては、八月十六日第一回の会合をいたしまして、その後、わが国の四十八年ごろを目標にいたしまして、人工衛星の打ち上げを中心といたしまする計画をいかように進めてまいるべきかという点を中心にいたしまして、四十四年度の各省予算の概算要求について検討を進めてまいったわけでございます。そのときに、四十六年に電離層観測衛星を上げ、四十八年に静止実験通信衛星を上げるというふうな目標が定まりまして、その目標に向かってわが国の宇宙開発を進めます場合に、自主的な技術開発ということを目標とすることは当然でございますが、その中で、たとえば実験回数を少なくするとか、あるいは必要な部品、高信頼性の部品で少数使われるものについては、たとえば航空機等の例に見られますように、外国から買ったほうが経済的、効率的であるというような考え方がございます。  十一月二十日に四十四度予算の概算要求についての委員会決定がなされておりますが、その中におきましても、必要な、有効適切な国際協力を推進するというふうに書かれてございますが、その内容の一部は、いまの技術導入の問題を含めまして書かれたものでございます。  したがいまして、委員会の決定が自主技術開発を基調とするような、先ほど申し述べましたような理由から技術導入を有効適切にやっていくという方針が定められましたので、それに基づいて、いま、それでは日本の現状の技術と目標とから、どういったものの導入を考えるべきかという技術的な内容の検討をしておりますのと、それからアメリカ側が申し出ました条件についての検討をしておる次第でございます。
  62. 華山親義

    華山委員 何も検討する必要はないじゃないですか、アメリカの要請を。総理大臣は、機密のようなものはアメリカから求めない、自分でやります、こう言っているじゃないですか。総理大臣の言うほうが委員会より上ですよ。どういうわけでそういうことになるのですか。そうして、ジョンソンさんがああいう申し出をしているそのあとで、そういうものは要りませんと総理大臣は言っているんだ。何も交渉する必要はない。交渉するならば、技術はいただきます、御援助はいただきますけれども、公開はいたします。これで尽きるんじゃないのですか。それがいやならやめてください、これだけのことじゃないでしょうか、総理大臣の言っていることは。何かこの原則に変更があるのですか。
  63. 木内四郎

    木内国務大臣 お答えいたしますが、総理大臣の言っている趣旨は、軍事機密の問題とか、あるいは機密保護法まで設けて入れる必要のあるような機密とか、そういうものは、私はないということを言っておると思うのです。商業上の取引によるところのお互いの信義とか機密というものはあるだろう、そういう面についての相当な取引、交渉はやはり必要だと思うのです。そういうことについて、いま私どもの政府委員がお答えしておるわけでございます。
  64. 華山親義

    華山委員 それじゃ、商業上の取引はやるかもしれない。総理大臣も言っておりますね。「なお、この機会につけ加えて申し上げておきますが、いわゆる商業上の問題がございます。」そして「この秘密は保たれなければならない。これは商業上の問題であります。商業道徳を守っていくこと、これは、私ども、いわゆる公開の原則に反するものではない、かように考えております。」こういうふうに言っておるわけです。しかし、今度発表されたところによりますと、商業上のことであってもアメリカから得たところのものについては機密を守る、こういうことがうたってあるのではないですか。読んでみてください、商業上のところを。
  65. 謝敷宗登

    ○謝敷説明員 十三日に科学技術庁で発表いたしましたものによりますと、政府間あるいは民間企業間の協定により提供された技術または設備は、平和目的に用いらるべきである、米国の協力により得た技術または設備は、中共及びソ連には移転さるべきではない、あるいは日米間の取りきめによってのみ移転さるべきである、こういうふうに書いてあります。
  66. 華山親義

    華山委員 それでは、公開の原則を堅持するならば、そういう商業上のノーハウだって得られないじゃないですか。
  67. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 アメリカから技術を導入いたします際には、具体的には、向こうのある会社から、技術導入をいたします日本のある会社がいわゆる技術提携をいたしましてそれを導入する、こういうことになります。その中で、これはおそらくノーハウ等になりますと商業上機密の問題がございましょうから、会社問におきましても、向こうの会社から入れましたものについてはしかじかの約束を守る、あるいはどこそこにかってに移転はいたしませんというような約束を、たぶんその技術契約の中でいたすことになろうかと思います。その技術契約を当然政府としては認可いたすわけでございますから、その際にやはりその契約に盛られました事項について、政府としてもそのように取り運ぶように一定の措置をいたす、こういうことで商業機密を守っていく、こういう扱いになろうと思います。
  68. 華山親義

    華山委員 それが商業秘密でなくて、何か国際的ないろんな、その他の目的に使わないとか、場合によっては使うみたいなことも書いてありますけれども、そういうような商業上の取りきめでもできないのじゃないですか。いまの、あちらから提示されたメモではできないのじゃないですか。できるのですか、その点は。商業上の取引において得たものであるならば、拘束されないのですか。国と商業上と並列しておるのじゃないですか。
  69. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 向こうから技術をもらいます前に、このジョンソン・メモによりますと、政府間または民間企業間の協定によると、こういうふうに書き分けてございますけれども、実際上は向こうから導入をいたしますその技術は、向こう開発されましたときには、向こうの特定の会社がアメリカ政府から委託を受けて開発した技術でございましょうけれども、どこかの会社の特許あるいはノーハウになっておるはずでございます。それをこちらが受けます際のこちらの受ける主体は、おそらく大多数の場合は日本のある会社になるはずでございますから、会社間でそれを取引いたしますときには、当然技術導入に関する契約は商業上の契約としてあるわけでございます。(華山委員「それを聞いておるのじゃない」と呼ぶ)契約の中で、どこそこの国に出すとか出さないとかいうことは契約条項として入っておりましょうから、これは契約上守らなければいけませんけれども、そういうことでございます。
  70. 華山親義

    華山委員 大臣に聞きますけれども、そう言うならば、そのジョンソン・メモは、国と国の間ばかりでなくて、商業上のそういうふうなことでも日本に機密保持の責任があるんじゃないですか。メモから当然それが出てくるのじゃないですか。出てきませんか。
  71. 木内四郎

    木内国務大臣 私が先ほど申し上げましたのは、機密保護法をつくってまで守らなくちゃならぬような機密あるいは軍事機密、そういうものは私ども言うつもりはありませんし、おそらく向こうからもよこさないでしょう。しかし、商業上の取引によるところの制約というものは、当然それに伴ってくるので、私は排除している意味ではないと思います。
  72. 華山親義

    華山委員 くどいようですが、その文章から見たら、商業上の契約であっても、あちらが注文しておるところの、何か外国には輸出しないとかいろいろな問題、場合によっては、これが平和目的以外に使われることがあるとか、そういうふうなことまで商業上の問題でもひっかかるのじゃないかということを聞いておるのです。商業上のことであるならば機密保持——会社と会社との間の機密保持、これは別といたしまして、国は何の責任もないのですから、そういうふうな、外国から買ったそのとたんに、メモが有効であるとするならば、そのメモに同意したとするならば、そういう拘束力を国がしょうのではないか、そういう点を聞いておる。
  73. 木内四郎

    木内国務大臣 お答えいたしますが、そこを先ほど私どものほうの官房長がお答えしたのでありまして、そういう契約を政府が認可する、それは政府においても責任はあります。責任はありまするけれども、しかし、それは普通の政府の監督行政の範囲内でこれを処置し得るもの、私はかように思っております。
  74. 華山親義

    華山委員 大臣は、時間がないのですから、それは時間を空費すればそれだけいいでしょうけれども、私の言うことにあなたは答えていない。それはそういう商業上のことであっても日本政府が拘束されるんじゃないのか、機密保持について拘束されるのではないかということを私は聞いておる。国は拘束されませんか、商業上のことであれば。
  75. 木内四郎

    木内国務大臣 お答えいたしますが、それですから、私は先ほどから申し上げておるように、機密保護法までつくって政府がそれを守らなければならぬような政府の責任はとるつもりはない。そういうことをやるつもりはないのですけれども、一般監督行政の面において、そういう商業取引に基づくところのものは守るようにということの監督をする責任は、私はあると思うのです。
  76. 華山親義

    華山委員 そうしますると、商業上のことから得たものについては非公開になりますね。そう了解していいのですか。
  77. 木内四郎

    木内国務大臣 いま御質問のように、ものによってはそれは外に、一般に公開できないものもあり得るだろうと思いますね。
  78. 華山親義

    華山委員 それは重大な発言です。公開の原則に反するでしょう。あなたは、公開の原則には一部ならない場合があるということをいま言われたわけですね。そう了解してよろしゅうございますか。
  79. 木内四郎

    木内国務大臣 お答えいたしますが、それは私は非常に誤解だと思うのでありまして、商業上のそういうことは、商業だからといって何もかも出し得るというものではありません。たとえば特許というものについても、これは外部にそれを全部出してしまうということはできるものではない。いかに公開といえども、そういうことまで無視して公開するということは私はできないと思います。
  80. 華山親義

    華山委員 それは当然でしょう。特許法もあれば、国際的な特許法で保護されておる。それはあたりまえでしょう。それは当然ですよ。そういうことを聞いておるのではない。そういうふうなものは特許法なら特許法、そういうもので保護されるのであって、それは人に見せてはいけないというものではないでしょう。説明のできないというものじゃないでしょう。どうなんです。
  81. 木内四郎

    木内国務大臣 それですから、私は先ほど来申し上げているのですが、機密保護法までつくって守らなければならぬような機密、これはもちろん公開できない性質のものだと思うのです。軍事機密その他の問題は、これは私どもは入れるつもりはないのですが、その他商業取引においても公開しないという約束をしながらそれを公開する、そういうことは、私は信義の原則からいっても、商取引上からいったってできないと思うのです。そういうことを私は言っておる。何もかも出してしまう、それは商業取引からいってもできない。
  82. 石田幸四郎

    石田委員長 華山君に申し上げますが、時間がだいぶ経過しておりますので……。
  83. 華山親義

    華山委員 それで、ほかのことも聞きたいのですけれども。もう一度聞きますけれども、公開といいますか、そういうことのために輸出をしてはいけないとか、それからこれはインテルサットで自分が世界の平和国を支配しようとする意図も出ておると思うのだが、日本だけのことにしか使ってはいけないとか、いろいろなことがあるでしょう。公表されたものの中にもそういうものが——商業的なものであってもできないのかということを聞きたい。
  84. 木内四郎

    木内国務大臣 私が申し上げておりまするように、商業上の取引でこれは外へ出さないと約束しているものは、その会社としても出せませんし、それは信義の原則からいって私は出せないと思います。
  85. 華山親義

    華山委員 商業上の点について出さないという約束がなかった場合、どうなんです。出していいのですか。
  86. 木内四郎

    木内国務大臣 商業上そういう約束がない、何も約束してないというものなら、これは私は出しても差しつかえないと思います。
  87. 華山親義

    華山委員 それじゃ、アメリカから日本へ商業上の目的である技術を入れた、それでつくった。それは、アメリカの希望しない国がありますけれども、たとえばソ連とか中共とか、そういうところに輸出してもいいですね。
  88. 木内四郎

    木内国務大臣 そういうことにつきましても、そういう約束がないものであるならば、これは公開は自由だと思いますね。
  89. 華山親義

    華山委員 約束がなければ輸出してもよろしい、拘束されない、こういうことですね。  それで、とにかく公開の原則が冒頭から非公開になっておる。出せません、正式の文書が出せないというのだから、公開の原則に立つところの理論、そのいうふうなものがもう冒頭から非公開になっているのですね。そこに国民疑惑を持つのは当然なんだ。アメリカからものを入れることをやめなさい。ほんとうに自主でやりなさいよ。自主でやるならば、アメリカの言うように外国に輸出するのはやめろとか、そういうふうなことはない。  それから、そういうふうな宇宙衛星は日本国内だけで使えるのだ、そういう拘束を受ける必要がないじゃありませんか。おくれて困るという、大体あなた方もうおくれちゃっているのですよ。私にはインテルサットの総会のあるまでには完成すると言ったけれども、もう間近じゃないですか。そして、大体東大宇宙研究所のつくったものがどこに輸出されたか。その当時の共産圏のインドネシア、スカルノ体制のインドネシアとかチェコにいったのですよ。そういうめちゃくちゃな武器の輸出なんかに鈍感なことをやるから、アメリカがこういうことを言ったとも言えるわけですよ。東大宇宙研究所には外国の武官が研究生として入っておる。そういう実態があった。そういう実態があったから、ジョンソンはこんなことを言ってきたのじゃないかと私は思う。日本はそういう点、だらしがないですよ。これは余談ですけれども、ほんとうに私は希望する。何も急ぐ必要はない。アメリカからいろいろな拘束を受けて、日本のためにしか使えない宇宙衛星とか、ほんとうに平和の目的のためでも外国に輸出もできないとか、そんな窮屈な開発はやめてもらいたい。どうしてもインテルサットの総会までには間に合わないのですからね。  このことを申し上げまして、時間がないそうですから、これで終わります。
  90. 石田幸四郎

    石田委員長 続いて、石野久男君。
  91. 石野久男

    石野委員 時間が二十分と制限されておりますから、私もなるべく要領よくお尋ねするつもりですから、大臣のほうからもひとつ簡潔に御答弁をいただきたいと思います。  最初に、先ほどから問題になっておるように、これは大臣の先ほどの御答弁などを伺っておりますと、大臣は本委員会に対する資料の提出を非常に軽く見ておるように思うのです。委員長あいさつをなさるときに、委員長はいろいろとお話しになって、別に資料が配ってあるようですが、その中でもし委員長で重要だと思うのがあったら入れてくださいなどというような、非常に不遜なあいさつのしかたをしておる。これは実にけしからぬと思うのですよ。何のためにわれわれにこのあいさつの文書を出しておるのだ。こういう委員会に対する態度が、率直に言って第一気に食わぬですよ。こういうことは改めてもらわなければ私は困ると思う。これは最初に私は、とにかく委員長に対して注意を喚起しておきます。本委員会は、そんなになまはんかな立場で論議を進めておるのじゃないのですからね。もう少しまじめにひとつ。何のためにこういう資料を配ったのですか。この中からいいところがあったら委員長が入れてください、こんなあいさつのしかたがありますか。これは注意してください。  それから、私はメモの問題や何かについてお聞きしたいこともたくさんありますけれども、それはまた理事会で論議されるようでございますから、きょうは原子力平和利用の問題について、いろいろ問題があります、その中で立地条件の問題についてお聞きしたいのですけれども、その前に、平和三原則について大臣はどういうふうにお考えになっていらっしゃるかということを、最初にひとつ聞いておきたいのです。  原子力については、やはり平和三原則がわが国の基本法の中心でもありますし、この問題を中心にこの委員会は運営されているのです。だからこの原子力平和利用、とにかく自主、民主、公開というものを委員長はどういうふうに理解しておるのかということを最初にひとつ聞いておかなければいけない。あまり理屈は申しませんけれども、ビキニの被爆を受けて、国民がこの問題で大騒ぎをする中で三千万署名をとって、そういう中から、自主、民主、公開の三原則というものは、日本学術会議が第十八回総会で採択した六つの条件の中から出てきているものですよ。これはきわめて重要でありまして、この問題に対する大臣の基本的な考え方、いま華山委員からありました公開の問題なんかもそうなんですが、とにかく大臣の三原則に対する考え方だけを簡単にひとつ聞かしてもらいたい。
  92. 木内四郎

    木内国務大臣 お答えいたしたいと思います。  先ほどの私のごあいさつのしかたがはなはだ不遜であって、異例であるというおしかりを受けまして、非常に恐縮いたしております。ところが、すでに私のごあいさつというものは印刷してお配りしてありますし、それを読み上げるのはあまりにも形式的だと思いましたので、私は所感を申し述べまして、なおこのごあいさつは速記録に必要とお認めになるならば御記入を願いたい、かように申し上げたわけでございます。まことに申しわけない次第でございます。その点はおわびしたいと思います。別に他意があってやったわけではありませんから、御了承願いたいと思います。  なお、平和三原則、これは原子力委員会でもすでに決定しておるということはいまおっしゃったとおりでありまして、原子力基本法の第二条にも書いてあります。私はこの際、あくまでも平和利用に徹しなければならぬと思います。それからいまの三原則、自主開発、民主的に運営する、また公開の原則、これもしごくごもっともなあれでありまして、私は、当然守るべきものである、かようにかたく信じております。ほかの軍事利用とかその他のことは私は考えておらないのでありまして、そういう意味で先ほど来いろいろな御答弁にあたりましても引用した次第でございます。その点、御了承願いたいと思います。
  93. 石野久男

    石野委員 問題はたくさんありますが、特に原子力平和利用をするにあたりまして、やはりわが国は電力の開発等を含めて非常に重要な問題をかかえております。その中で、特に立地条件の問題は、地域住民との関係で非常にむずかしい問題を各地でかもし出しているわけです。  昨年、私どもは、いまここにおいでになります福井先生を団長にしまして海外の視察をしました。そのときに、この原子力施設の立地政策関係の問題で、私たちはこういうようなふうに各地を見てまいりました。特にアメリカでは、こういうふうに私たちは見てきたわけです。短いものですから、その中のことをちょっと読んでみますと、「米国に於ける立地関係の現在の最大の問題の一つは原子力ブームによって建設される発電所の人口集中地区に対する近接の度合を如何にするかである。」こういうことが非常に問題である。特に原子力合同委員会の公聴会において、「AEC関係者はもう数年の運転経験を積まないうちは都市近郊に原子力発電所を建設することは承認したくないとの意向を表明している。」とわれわれは視察で感じてきたわけです。その際に、この都市近郊というのは大体十二・五マイル、約二十キロ以内、こういうことになっているわけです。日本は土地も地域も狭いわけですから、アメリカのようなわけにはいかないけれども、しかし、この考え方は、特にわれわれは経験がないので——たとえばAEC関係者は、「もう数年の運転経験を積まないうちは」と、日本よりも経験を積んでいるアメリカで毛、こういう考え方でこの立地条件の問題を考えているわけです。  そういう観点から、原子力施設については、原子力委員会が立地条件を審査される場合、いわゆる安全性の審査をするにあたりましては、少なくとも、昭和三十九年でございましたか、審査指針というものを立地条件についてつくっておるはずです。これは原子炉から非居住地域にある距離だけは設けること、ある地域をそういうもので設けること。第二番目には、その外側にある距離の地域は低人口地帯にすること。三番目は、原子炉の敷地は、人口棚密地帯からある距離だけを離れていることが満たされることが必要だ。こういうように立地基準をつくったはずです。原子力委員会の運営にあたりましてはこういう考え方はやはり今日でも貫かれておるのでございましょうか。
  94. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 貫かれております。
  95. 石野久男

    石野委員 そこで、いま問題になるのは再処理工場の問題です。この再処理工場の問題は、先般来非常に問題になって、もう敷地はきまりましたか。
  96. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 再処理の場所の問題でございますが、これはいま茨城県にできるだけの御協力を得て、全般的に十分納得をしていただいて、あそこでぜひやらしていただきたいという交渉を現在行なっているところでございます。
  97. 石野久男

    石野委員 ほかの地域を再処理工場の問題について調べるということを、本委員会に前の長官約束しているわけですよ。有澤委員もその問題についてはやりましょうということを言っておったが、調べておりますか。
  98. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 有澤委員、また前大臣から、一応日本全体としての場合として、どういうところがあり得るかという下調べをしてみろというお話でございましたので、われわれ下調べいたしておりますが、現在やはり、前に茨城県を考えました当時、いわゆる諸条件と申しますか、研究者がそばにおりまして非常に協力姿勢がとれる等、いろいろな条件からいきますとあそこがいいという考え方で、なおできるだけあそこでやらしていただきたいという考え方をとっております。しかし、下調べは一応いたしております。
  99. 石野久男

    石野委員 再処理工場は、もう来年の四月には着工したいというふうにわれわれは皆さんの意向を聞いているわけです。下調べをしているけれども、茨城県以外は、東海以外はどこにも交渉はしていないというのですね。
  100. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 まだ私たちのほうでどこの場所がいいだろう、そこへ直接交渉する、こういうことはいたしておりません。
  101. 石野久男

    石野委員 そうすると前の長官約束し、原子力委員会の有澤委員などが私どもに約束したことは、全くほごにされている。国会をばかにしているということですな。その点を明確にしておいてください。
  102. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 先ほど先生おっしゃいました四月ごろにはできるだけ設置しなければならないということで、ことしから始めたいという点が確かに私どもの考え方でございます。  それから場所の問題、これはかようになっておりますが、もちろん前の鍋島大臣から言われました考え方から候補地を調べております。しかし、調べて、どこでもいいからうまくよそにあるぞというような交渉をする交渉のやり方と申しますか、そういう関係としてまだそういうことを明らかにしていっていないというのが現状でございます。決して、鍋島前大臣や何かのおっしゃったことをほごにしているということではございません。
  103. 石野久男

    石野委員 来年の四月、五月ごろまでの間に茨城以外のところで折衝をしてやる気持ちがあるのですか、どうなんですか。
  104. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 もちろん、茨城で全然協力していただけませんでどうにもなりませんとなりますと、いまの考え方からいきますと、一年おくれるというまたそこに困った状況が出てまいります。しかし、やはり再処理工場というのはどうしても日本につくらなければいかぬという考え方を持っておりますので、最悪の場合には、前の鍋島大臣のおっしゃったように早急にまた考えざるを得ないという状態が来ると思います。
  105. 石野久男

    石野委員 大臣お尋ねしますが、自主、民主、公開の原則というのは、政府が考えたり、関係官庁が考えたり、あるいは施設者が考えたことは、何でもかんでもそこでやり通すということではないと私は理解しているのです。地域住民の声がどういうふうにあるかということに耳をふさぎ、目をつむって、それで平和三原則が実行できるとは私は思わないのだ。いまの原子力局長の言い分からいうと、すでに勝田市は五万の人口、いまは六万くらいになっていますが、五千人の人が市長以下全部集まって、市民大会を開いてこれに反対しているのです。それから東海村では、条件をつけて賛成するかのような決議もしておる。そういう事情はあるけれども、この条件をつけて賛成するというものの中にはまた重大な問題がある、射爆場との関係があるわけです。これはできっこありませんよ、率直に言いまして。こういう事実があって、しかも再処理工場は早急にやらなければならぬという必要性に迫られておりながら、立地についてはほかは全然考えていない。やはり権力主義的にあなた方の考え方を押しつけるというやり方であって、決して平和利用原則を地でいっているのじゃないじゃありませんか。こういうやり方を、原子力関係を総括される大臣は指導しておられるのですか。地域住民の声は無視してもやるという考え方ですか。
  106. 木内四郎

    木内国務大臣 お答えいたしますが、再処理工場の早期建設というのが非常に必要だということは、いまお話しのありましたとおりであります。しかし、これに対しましては十分に地元の方々の御了解、御支援を得なければならぬと私は思っております。それでありますから、私は鍋島前長官の言われたことについて別に少しも反対するわけではありません、そのとおりだと思うのですが、とにかくあの土地は、いろいろ調べました結果核燃料サイクル設置のために最も適している候補地の一つでありますので、できればできるだけその土地に皆さん方の御了解を得て、そしてできるだけ早急にこれを設置したい、かように考えております。よろしく御協力をお願いいたしたいと思います。
  107. 石野久男

    石野委員 大臣が一年ごとにかわりますから、前に論議したことなんかみんなわからないのだ。あそこは最も適しているというのは、あなた方の考え方です。しかし、射爆場がすぐそばにあるのですよ。大臣は来年の四月ごろになったら、射爆場はあそこから立ちのけるという自信がありますか、あるいはまた、これの工事をやれば大体二年くらいで工事ができるはずですが、昭和四十六年までに射爆場が立ちのくという見通しがはっきりしますか、そういう見通しを立ててそうおっしゃっているのかどうか、そのところをひとつはっきり言ってください。
  108. 木内四郎

    木内国務大臣 実は私は別に言いわけをするわけじゃございませんが、最近就任したばかりでありますけれども、いまお話しのように、あそこに設置するにつきましては射爆場移転の問題はなかなか困離な問題があります。しかし、困離な問題があるからといって、直ちにそれを放置してすぐに次のところというわけにはまいらないのでありまして、できるだけその困離な問題を解決、克服しまして、そうしてなるべくすみやかに皆さん方の理解と協力を得て設けたい、これが私の基本的考えです。
  109. 石野久男

    石野委員 大臣、あなたはこの再処理工場に幾らの金を使いますか。
  110. 木内四郎

    木内国務大臣 政府委員から……。
  111. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 百七十三億使います。
  112. 石野久男

    石野委員 百七十三億円の金を使う。現地では、たとえば東海村の村会が条件をつけているのは、射爆場と併置されることは絶対に許さないのです、それから岩上知事もそうです、県会でも、どこでもみんなそうです。そうしますと百七十三億円の金を使って工場をつくって、二年、三年のうちに射爆場が立ちのかなければ再処理工場を運転することはできないですよ、地元民の立場からすれば。もしあなた方が自主、民主、公開の立場を尊重して地元民の声を受け入れてやろうとするならば、これは運転することさえもできない。国民の膏血をしぼった百七十三億円の金をそういうようなところにつぎ込んで、そして急ぐんだ急ぐんだと言いながら、射爆場が立ちのかなければそのまま、やはりつくったままで残らにゃならぬですよ。そういうことはわかり切っておっても、あなた方はそれでも立地条件がいいと言うのですか。
  113. 木内四郎

    木内国務大臣 私が先ほど申しましたように、この射爆場移転という困離な問題があることは、私も聞いておりまするし、承知しております。さればといって、さっきも申しましたように困難な問題があるからといって、それを克服し、かつその了解を得る努力をしないですぐによそのところを考えるということは、これは私どもとしてはできません。
  114. 石野久男

    石野委員 大臣、あなたの思いつきだけでものを言っちゃいかぬですよ。これはもう長いこと言ってきているのです。昭和三十五年の段階からこの委員会で論議してきている。そしていま、来年四月までということで、射爆場移転の問題それ自体をとっても見通しは立たないのですよ。東京都は受けるはずはないですよ。むしろある人のことばをかりれば、もしここで新島に持ってきたら、あそこはおそらく一つの大闘争の場になってしまうだろう、こうまで言っているんだ。全学連の巣になるのじゃないかということまで言う人もおるのですよ。そういうような問題をかかえ込んでおって二年や三年では見通しが立たない、各新聞社でもどこでもみなそう言って、早くても五年、八年だ、こう言う。とにかくがけを切りくずすだけでも二年や三年かかっちゃうという、そういうことがわかっているのに、何かあそこでの条件がよくなるのですか。そういう条件は、これは非常に自主、民主、公開の原則を無視しているものです。地域住民の声を無視している。いま事業団から申請が出ておる。大臣は、この原子力委員会におけるところの原子炉安全専門審査会の審査について、地域住民の声というものをどの程度に受け入れるように、聞くように指導なさっていらっしゃるのか。これは無視するつもりですか、どうですか。
  115. 木内四郎

    木内国務大臣 私は、この安全性の問題は、これはもちろん地域住民の意思に重大な影響を及ぼしているものと思うのですが、これは直接の問題ではないと思うのです。安全性の問題は、あくまでそれ自体として、その地域に対する影響その他も考えて安全性原子力委員会のほうで審査していると思います。そして、いまお話のありましたように、まあ困難なことはあるでしょう。しかし、これは考えるとこの問題だけじゃありません。もうあらゆる面において、日本じゅういろいろな問題について、たとえば飛行場建設についても何にでも困難がずいぶんありまするから、困難があるからといって、すぐそれを捨てるわけにいきません。困難を乗り越えて解決をし、努力していくのが私どもの任務だろう、かように考えております。しかし、あくまで地元の皆さま方の十分な理解と御協力をひとえにお願いいたしたいと思っております。
  116. 石野久男

    石野委員 困難を乗り越えてという問題は、やはりあなた方の意見を地域住民に説得するということに受け取れる。だから結局、地域住民の大多数が反対しておってもあなた方の意向をそこに入れていくということのようですから、これはたいへんなトラブルが起きることだけは予想しておいてください。私どもは、平和利用については決して反対はしない。反対はしないけれども、地域住民の反対する理由はいろいろあるわけですよ。私は時間がないからきょうは申しませんけれども、いまの大臣の考え方だったら、地域住民は決して納得しないでしょう。問題はたいへんに大きな問題になってくるだろうし、東海村におけるところの騒動が大きくなったならば、全国におけるところの原子力施設でもおそらく大問題になるだろうということだけ私は申し上げておきましょう。そういうことまでもあなた方はあえて原子力行政施策としてやれるかどうかについては、これはあなた方の責任ですよ。大臣は、そういう点について全然配慮を持たないでやはり困難を克服するということをおっしゃっているのかどうか、この点をひとつはっきりしておいてください。
  117. 木内四郎

    木内国務大臣 お答えいたしますが、そういういろいろなことがあるからやはり困難なんです。そういうことがなければ、これはそうたいして困難じゃないと思うのですが、そういういろいろな困難を頭に置いて考慮して、しかも私どもは、住民の方々の十分な了解も得るようにつとめて、そうしてあらゆる困難を克服していくように努力をいたしたい、こういうことを申し上げておるのです。決してこの方々の意思を無視するということを申し上げておるわけじゃありません。
  118. 石野久男

    石野委員 まあ地域住民の声は大臣は就任以来まだ聞いていないと思いますから、ひとつよく聞いてください。これは原子力局長もよくわかっているはずですから。私は、原子力平和利用はつとめて濶達にやらなければいけないというように考えている。だけれども、地域住民の声を無視したらかえって逆になるだろうということだけは、あとでまた大宮の件なんかが出てくると思いますけれども、これはよく注意していただきたい。  時間がございませんから、最後に一つだけ聞いておきたいのでございますけれども、原子力事業従業員の災害補償制度の問題について、もう時間がありませんからまとめてひとつ聞いておきますが、原子力損害賠償に関する法律が国会で成立したときに、衆参両院で、原子力事業従業員にもその業務等で受けた原子力損害を賠償するよう立法措置を早急にとるように議決されておるのです。それによって原子力事業従業員の災害補償専門部会が設けられて、その答申が昭和四十年の五月に原子力委員会に出ておるわけです。ところがその後三年もたったけれども、何にもそれに対する具体的な行政面の活用が行なわれていないのだけれども、これはどうなっているのかということですね。これが一つ。特にその答申書の中で、労災法に関連して補償対象の拡大という問題がございます。これはたとえば不妊症及び早流産等に対して放射性障害によるものとして補償が行なわれないで、そうしてまたいろいろとそのまま放置されているというような関係がありますので、労基法施行規則第三十五条第四号に掲げておるところの疾病名の認定基準の拡大が必要になっておると思うのです。そういう点はどういうふうになっているか、ひとつこの際はっきり聞かしてもらいたい。  それからもう一つは、みなし認定制の確立の問題でございますが、これもやはりはっきりしない。有害な放射線にさらされておるところの業務の内容及び病名を詳細に規定することから、一定期間以上有害業務に従事した場合においては被曝と疾病との因果関係の認定を不要とするみなし認定制が確立されなければならない、こういうように考えられるのだけれども、そういう点についてどういうふうになっているか、ひとつはっきりさせていただきたい。それについては認定機関の改善だとか健康保険の改善等の問題等もございます。  それからもう一つは、これらのことについて証明をしないというと、社会保障制度の恩恵がなかなか受けられない場合が多うございます。そういう関係で放射線障害の晩発性のものについては、退職後に発病した場合に非常に不利な状態が出てまいります。それなものですから、その記録保持の機関をやはり十分政府としては設置すべきだというふうにわれわれは考えておるのですが、それらの問題についてどういうふうになっているかというような問題、こういう点をひとつこの際お聞かせいただきたいと思います。
  119. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 先生の御質問は三つございますが、最初の賠償制度のときの問題でございますが、これにつきましては四十三年の七月五日から検討会を始めております。そして強力な検討をいま現在進めておるところでございます。  それから労働災害補償保険の問題でございますが、これにつきましては労働省から通達も出していただきまして、できるだけ発生病に対します業務上発生の認定をして、労災法の適用を受けるようにという措置をいまとっております。  それから最後の問題でございますが、当局といたしましては四十四年度の予算で放射線被曝線量の登録管理方式等の検討を進めるための調査費を要求しておりまして、強力に進めていきたいというのが現在の考え方でございます。
  120. 石野久男

    石野委員 みなし認定制の問題なんか、どういうふうになっておりますか。
  121. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 みなし認定の基準については、昭和三十八年に大幅に拡大する通達が労働省から出されておりますが、これをさらに拡大する必要があるかどうかは、労働省とも相談して検討してまいりたいと思うのでございます。
  122. 石田幸四郎

    石田委員長 内海清君。
  123. 内海清

    ○内海(清)委員 新しく長官がかわられましてごあいさつがあったわけでありますが、科学技術振興の基本的な問題につきましては、いろいろまた時を改めて十分御質問申し上げたいと思います。  きょうは、当面の問題として、先ほど来原潜入港の問題と日米宇宙協力の問題でいろいろ論議されてまいったわけであります。私が最初に申し上げたいと思いますことは、私どものこの科学技術委員会は、申すまでもありません、わが国の科学技術振興ということがその基本でありますけれども、やはりこれは政治の一面でありまして、すべての論議は、常に国民の合意を得て、そうして国民の利益のために進めていくという問題でなければならぬ、かように基本的には考えるわけであります。ところが、けさほど来論議されておりますように、科学技術庁が今日まで原潜の問題——これは科学技術庁だけではありません、外務省関係ありますけれども、そういう問題、あるいは日米宇宙開発協力の問題にいたしましても、いろいろ対処されることが、はたして国民感情をよく理解し、国民がそのことに協力するような体制に持っていかれているかどうかというと、はなはだ疑問を持っております。そういう意味からいたしまして、まず私が申し上げたいのは原潜入港の問題でありますけれども、これは御承知のとおり、五月のソードフィッシュ号入港の際、異常放射能が発生したことが原因であります。ところがその後、この原因究明にあたりまして、日本ではできるだけのスタッフを集めてこれを究明いたしました。ところが日米の科学者間において意見の対立が生まれたわけであります。その結果は、国民はなぜ異常放射値が出たかということがいまだにわからないのであります。しかしこれは、国民感情といたしましては、少なくとも日本の科学者の言うことがほんとうじゃないか、こういう感情はあると思います。ところが、それがいまだに解明されていない。これにつきましては、きょうは原子力委員会はおられませんが、原子力委員会の皆さんなり科学技術庁のそれぞれの担当の部面において、あの際意見が対立したが、皆さんははたしてどうお考えになっておるか、この点をまず一つお伺いしたいと思う。
  124. 木内四郎

    木内国務大臣 いまお話しの五月の寄港の際のことでございますが、あの当時におきましては、科学技術庁におけるところの調査体制が実は十分に整っておらなかったように聞いておりまするし、実際どうもそうであったようであります。その結果、いまお話にあったようなやや明確を欠くようなことがあったんだと思いますが、それに対してその後それを反省するといいますか、それを見まして調査体制の完ぺきを期しております。今回などは調査が非常によくいっておると思っておりますから、今後におきましてはいま御心配のようなことがなく、また国民の不安も解消できる体制ができた、かように考えております。
  125. 内海清

    ○内海(清)委員 いまの大臣の御答弁は、その当時は監視体制が確立していないから日本の科学者も十分な自信が持てなかったということかもしれませんが、しかし、その当時の状況において、少なくとも日本のこの方面に対する権威を集めてやったわけであります。監視体制につきましては、私ども当時別の問題を提起いたしました。これはいずれまたあとから、現在どういう体制になっておるか、それぞれ観測機器の問題あるいはまた人の問題、お尋ねする機会があると思いますけれども、いずれにいたしましてもその原因が究明されていないということで、今日なお国民の間に多くの不安感を持っている。政治の最も大事なことは、国民不安感を与えないということでなければならないと思います。ところが、いまなおこれが残っておるわけです。これに対して少なくともその当時対立して意見の一致を見ないから、日本政府はどう考えるということも言えなかったと思いますけれども、少なくともあの当時の状況から考えれば、日本の科学者の言うことにわれわれは信を置かざるを得ない。そうすれば、その後の対米折衝においてはそれを基礎にして折衝されたかどうか。ただ外交的な折衝によってああいうふうなものができたのかどうか。その後の対米折衝は、少なくともその当時の日本の学者の意見というものを尊重して折衝をされたかどうか、その点をお伺いいたします。
  126. 木内四郎

    木内国務大臣 いまお話しになりました問題ですが、その当時の学者の説によってやったかどうかということは、これは、私は学者の説だけじゃないと思うのです。その当時いろいろ国民に不安を与えたということ、その他を考えて、三木外務大臣ジョンソン大使に対して折衝しまして、その結果十月の二十二日に両者の間に覚え書き交換された。アメリカのほうから、入ってくるときに非常に注意する、一次冷却水はもちろんのこと、その他の排出するものも気をつける、こういうことを言っています。その他向こうとしても、監視体制としても大いにやるということを言っております。それから私ども科学技術庁においても、さっき申しましたように機器の増強、人員の養成その他のあらゆることをしまして、いわゆる監視体制といいますか、その完ぺきを期して国民の不安の解消につとめてまいったというのが現状でございます。
  127. 内海清

    ○内海(清)委員 いまの大臣の御答弁を承りますと、交渉は外務省にまかされた、その際外相はこういうことを考えてやったであろう、こういうお話なんです。私はあの当時の状況から考えれば、科学技術庁は、日米交渉にあたってはこういう点をひとつ十分考えて交渉してもらいたいという、一つの外相に対する要求がなければならぬと思う。そういうものがあったかどうか、その点をお尋ねいたします。
  128. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 本年の五月二十九日に、原子力委員会といたしましての交渉に対する、先生いまおっしゃいました条件と申しますか、やはりそういうものをきめて、それを外務省を通じまして向こうと懇談するという形になりました。したがいまして、五月二十九日に、科学技術庁原子力委員会としての向こうに対する意見というものをまとめたわけであります。
  129. 内海清

    ○内海(清)委員 その原子力委員会意見と申しますか、外務省に出されたのはどういう内容ですか。
  130. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 項目のほうを簡単に申し上げますと、一つは、原子力軍艦のわが国寄港中は原子炉の一次冷却水が簡単に放出されないこと。二、一次冷却水以外のあらゆる系統、たとえばドレン系統などから放射性物質が排出されることのないよう従来より一そうその管理が厳重になされること、三、原子力潜水艦寄港中は米国側においても環境モニタリングを行ない、必要に応じて調査データがわが国に提示されるようにすること、四、わが国の放射能調査体制整備強化をはかり、放射能という疑念に対しても原因の解明に役立つようにすること、ということで、国民一般の安心を得るようにこういうことをはっきりしてくれということを申しました。
  131. 内海清

    ○内海(清)委員 そういう科学技術庁から外務筋に注文が出た。その後の折衝で一応の取りきめができたわけでありますが、十月になって、四カ月半かかって、その結果は科学技術庁が満足するような取りきめだと思いますか。
  132. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 その折衝の段階におきまして、米側におきましても日本国民一般の不安の解消に寄与するため最善を尽くすということを初めに述べております。  それからいまの問題の第一次冷却水、これについては先ほど触れましたが、通例としてこれは守ります、しかし通例でない例外ということはどういうことかということを尋ねまして、これはいわばちょっと予想ができないという状態のことという判断が、三木大臣との間でされております。  それからあと二、三、四につきましては、向こうもそれぞれ調査し、調査データーを出す、こちらの言うとおりにやるということで、原子力委員会におきましても、この第一次冷却水について原子力委員会では絶対に出さないということを入れていただきたいということでありましたが、アメリカ測は、出さないのは当然であるが、原子炉その他の関係からして絶対には出さないということは言えないという意味で、通常放出しないという表現を用いたのであるというととで了承しようということで、原子力委員会でも了承していただいたわけであります。
  133. 内海清

    ○内海(清)委員 そうすると、科学技術庁としてはこの折衝の結果が全く満足すべきものではないということになると思う。私どもの見地からいたしますと、この例外が設けられたということはなお国民に多くの不安を残す、こう考えるのであります。したがって、この例外が明らかにならなければ私どもは入港を認めるべきではなかったと考えるのであります。これはけさほど石川委員からもお話がございましたように、あの問題が起きた当時、私はいろいろ御質問申し上げました。冷態起動の場合と温態起動の場合においてこれは出てくるわけであります。しかも原子力潜水艦というものは非常に窮屈なものでありまして、一般の原子力商船の場合は、こういう一次冷却水も別にタンクを設けてこれに貯蔵して、そして外洋に出たときに捨てるという設備があるわけだが、潜水艦にはこの設備がない。そこに私どもは多くの不安を持つわけであります。でありますから、冷態起動の場合は必ずある程度の一次冷却水が出るのではないか。今度の場合は三日ほどでありますから、その点は私ども、あるいは言われるようなことになるかもしれないと思いますけれども、たまたま修理その他で期間を要して長くかかった場合に、そういうことが再び起こるのではないかという一つの大きな不安を持っておる。そのことに対する科学技術庁の御見解はどうですか。
  134. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 ただいまの通例以外はどうかということ、これはそういうことはあり得ないという考え方で、向こうもそういう言い方をしておりますので、それに基づきまして私たちのほうも、そうだということがはっきりするように、現在考えられ得る観測体制をとっております。この際、今度も私のほうから四名各省から参りまして、この観測に重点を置きまして、その観測体制でやはり出ないんだということを明らかにして、いつも見ておることにするということで現在進んでおるわけでございます。
  135. 内海清

    ○内海(清)委員 どうもその点が私どもは納得いかないのであって、監視体制で、出たあとで出たということを文句を言うのじゃ遅いので、出ぬようにしなければならない。だから技術的に考えて、少なくともこれが十日間だろうが二週間だろうが、そういう修理を要した折でも必ず出ないかという、その点に対するあなた方の考え方、どうですか。
  136. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 この前の会談のときに、原子力委員会のほうからも第一次冷却水が出るか出ないかというところの話をしまして、その間に取りかわされたことがございます。それは入港して原子炉の運転が停止されたあとでも、工作艦のエイジャックスが来ておりますが、それに横づけになります。このエイジャックスのほうから電力をとって、寄港中に温度が下がらないようにずっといたしておりまして、この点においては冷却水通常流さないで十分いけるんだということがそこに出ております。したがいまして、原子力委員会も、そういうことがある可能性ということは技術的にもあり得るというところで、この点はだいじょうぶである、そう考えております。
  137. 内海清

    ○内海(清)委員 そうすると、その点についていま科学技術庁でははっきりした自信を持っておられる、こういうことですね。
  138. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 第一次冷却水について、科学技術庁といたしましては、現在そういうことで自信を持っておると申しますか、十分そういうことでありたい、そうであろうと考えております。しかし、それを確認するという形において、さっき申し上げました観測設備を十分にしておきましてその間処理をしたい、こういうことであります。
  139. 内海清

    ○内海(清)委員 なお私どもは不安が残る。国民はその点を心配するわけであります。いま申しましたように、大体ないであろう、まずまずないであろう、こういうことでありますが、万一あったときにはどうなるか。国民はどう考えるか。また政府は、これはごまかしだということにしかならぬ。そのことが政治のあり方として正しいのかどうか、この点が私は問題だと思うのです。いまのようなお話なら、まずないというお考えのようでありますが、しからば例外というのはいかなるものか、現在どういうものかを考えておられるのですか。
  140. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 私たち例外と考えておりますのは、向こうではいまのところ可能性として予想し得ることができないことであるけれども、例外ということがあり得るかもしれないということで続いておるわけだ、こういうことが懇談の間にございました。したがって例外的と申しますか、そういうことで緊急と申しますか、そういうときに出るのは緊急であるが、そういうようなことを一応考えておるかもしれないということは想像されますが、現在のところでは私たちのほうは、そういう例外的なものは予想されないというふうに考えております。
  141. 内海清

    ○内海(清)委員 この議論はいずれゆっくりやらなければならぬと思いますが、少なくともこの点は、今後明らかにされていかなければ国民の不安はなお去らない、こう思うのであります。原因不明のままできて、しかも例外規定が設けられたということに対しましては、国民は大きな不安を持っておると思うのであります。  なお、これは石川委員質問にもございましたけれども、必ずサブロックは積んでおるであろう、これはいわば世界の常識だろうと私も思うのです。しかし、そういうものに対しても積んでいないというのであるならば、核弾頭はないというのであるならば、やはりこれを国民に理解せしめなければならない。こういう点におきまして、どうもくさいものにはふたをするというにおいがあるのであります。今後におきまして、こういう点につきましては十分ひとつ意を用いていただいて、少なくともこういう問題に対しては国民に不安を与えない、こういうことであります。  例外の問題にしましても、少なくともいまの日米の科学者が知恵をしぼるのであるならば、こういう場合は例外としてあるかもしらぬということくらいは明らかにならなければ相ならぬと思う。まずまずないであろう、ところがいま考え及ばぬものが出てくるかもしれぬということであります。少なくともそういう例外というものは、いまの科学者の知恵でいうならばある程度は出ておるであろう。これ以外は、あるいは不時のものがあるかもしれぬということは言い得ると思うのであります。そういう点につきましても十分ひとつ国民の理解を得るように、この原子力関係につきましては、いわゆる平和三原則の問題もあるわけで、ですからあくまでもそういう点はひとつ明らかにして、国民の理解を得て、国民に不安を与えない、このいうことであってしかるべきだと思う。こう点を強くひとつ要望しておきたいと思います。  それから宇宙開発の問題、日米宇宙開発協力の問題でありますが、この問題、もう時間がございませんが、これはもともと日本から協力を要請したものであります。それに対してアメリカから、いわゆるジョンソンメモというものが来た。しかもそれが一月に来て、いまだに日本政府からそれに対する回答と申しますか、折衝が十分ない。これはジョンソン大使があの経団連の席で発表したようなことに相なった。しかも、この問題につきましても十分ひとつ考えていただかなければならぬのは、十二日にジョンソン大使が講演をして、十三日に科学技術庁が御発表になった、その発表がジョンソン大使の講演と食い違いができておる。これはいろいろ翻訳の問題もけさありましたが、そのほかあるいはジョンソン大使の言うたものと違う点が出てきておるということが、これまた国民に大きな不安を与えておる。これの資料の発表につきましては理事会で討議することになっておるようでありますから、これは触れませんけれども、少なくともこの宇宙開発の問題で、私が特に要望しておきたいと思いますのは、なるほど日本はあくまでも平和利用、こういうことであります。ところが、この宇宙開発の基本技術というものは、いわば平和利用にも、あるいは軍事利用にも共通ということがあるわけであります。いわば二面性を持っておるわけであります。このことは私が申し上げるまでもないと思うのであります。日本平和利用が目的だからして、軍事転用の防止については別段何も考える必要はない、そういうことでありますけれども、国民も、今日いつまでも耳をふさいでこういうところに無関心ではないのでありまして、御承知のように、日本の宇宙ロケットがすでに外国に輸出されたこともあります。また、外国のミサイル年鑑には、潜在兵器として日本のことが堂々と記載されておる。このことを考えて対処していただかなければ、やはり国民に多くの不安を与える。国民の間にも、こういうことを十分勉強して知っておる人はたくさんおります。これらの点につきまして、基本的に考えていただかなければならぬと思うのです。ことにこういう問題につきましては、わが国の国民はきわめて敏感である。この国民感情を考えてこれを処置していただかなければ、せっかくの科学技術開発というものが国民に不安を与え、その進展に障害が生じてくるという結果に相なるので、この点は基本的に考えていただかなければならぬ問題がきわめて多いと私は思う。  いろいろ論議したい問題はありますけれども、時間がありませんから、また機会を得てやりたいと思います、そういう点につきまして、今後科学技術庁におかれましては、特に長官もかわられました機会でありますので、基本的にひとつ考え直して処していただきたいということを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
  142. 石田幸四郎

  143. 近江巳記夫

    ○近江委員 科学技術庁は、七カ月前の佐世保の事件といい、今回のジョンソンメモといい、周章ろうばいしておることが続いておるわけです。前の原潜の問題のときにも、結局監視体制の不備ということで原因の究明もできなかった、国民安全性も立証することができなかった。今回の例のジョソンメモについても、先ほどから何回もお話が出ておりますが、一年も前からそれがかわされておったわけです。突然ジョンソン大使からそれが公開され回答を求められた。われわれ国民の立場から見ておって、一体科学技術庁は何をしておるのかと、こう言いたいわけです。このジョンソンメモにしても、一年の間なぜ回答せずにほうっておいたのですか、まずそれを聞きたいと思うのです。
  144. 木内四郎

    木内国務大臣 いま、ジョンソンメモを受けてから今日までだいぶ長い期間がたっているじゃないか、何をしておったかというお話でありましたが、科学技術庁といたしましては、そういう問題もありまするので、宇宙開発委員会を設けてもらうことにいたしまして、この点は国会の承認を得まして設置させていただきました。ところが、いろいろな事情でその発足がおくれまして、八月中ごろまで延びたわけであります。その宇宙開発委員会によりまして、向こうからの申し入れに対する回答について詳細に検討いたしてもらっております。そのほうから答申がありましたなら、それに基づいて、あのメモに従ってどういうふうに、どういう条件、態様でどういうものを入れてもらえるか、こういうことを回答するということになっております。多少時間が延びておりますが、そういう事情であることを御了承願いたいと思います。
  145. 近江巳記夫

    ○近江委員 先ほどのジョンソンメモの原文の公開については、あと理事会でいろいろと審議し、要求することになると思うわけでありますが、正式に私も公明党として、こういう科学技術庁のあり方について、これはもう今後改めてもらいたい、この点を強く要望しておきたいと思います。  実際、軍事面の転用のことについても、いまいろいろ話がありましたが、確かにそういう疑惑に対しては、あなた方はそのようにただ外交上の問題だということだけで、純粋な科学的な立場から、またあなた方の立場のそういう表明を全然されない。ただもう上がこうだからこうだ、いつまでもそういう態度でいけば、こうしたこれからの宇宙開発についても国民協力は私は得らないと思うのです。そういう点で大いに反省し、態度を改めてもらいたい、このことを強く要求しておきます。  それから、私は前に、宇宙開発委員会が発足するときにも、まず順序として、あくまでも基本法を先につくるべきだということを強力に主張したわけです。御承知のように、原子力については完全に基本法の中に平和利用の問題がはっきりとうたわれております。あるいはまた、IAEAのそうした機関からの査察も受けております。そうした厳格な平和利用ということが実施されておるわけです。ところが、こうした宇宙開発のあり方について、全くどちらでも、軍事面においても転用できるということが、はっきりとこうした一つのメモを通じても出てきたわけです。そこで私は、大臣もかわられたことでありますし、基本法をいつおつくりになるつもりか、そのところをはっきりとひとつここでお聞きしたいと思うのです。
  146. 木内四郎

    木内国務大臣 いまお話しの基本法の問題ですが、この委員会法を通していただいた際に、その付帯条件として基本法をなるべく早くつくれという御趣旨がありました。これは私どもも承知いたしておりまして、目下鋭意その案について検討いたしておる次第でございます。しかしそれと同時に、まあ法律はできませんけれども、その間におきましてもできるだけすみやかにこの計画を立てて、そうして遂行していかなければならぬということで、計画のほうはさっき申しましたように委員会にはかって進めておるというようなわけでございます。
  147. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから、今回の原潜問題になるわけでありますが、七カ月前の佐世保港における事件、これも実際のそうした安全性確認とか、あるいはまたその原因の究明とか、そういうことが未解決にされておる。さらにまた、沖繩における原潜問題等も何かうやむやな状態に放置されたままである。そうして今回の入港を迎えたわけでありますが、この安全性科学技術庁確認したのですか、その辺のところをはっきりと聞きたいと思うのです。
  148. 木内四郎

    木内国務大臣 この安全性につきましては、先ほど政府委員からも他の委員に対して申し述べましたように、アメリカのほうにおいても安全性のために最善の努力をする。たとえば一次冷却水放出はしないようにする。その他においても排出物について注意をする。また監視体制についても十分注意する。そこで私どものほうにおきましても、機器の整備あるいはまた人員の増強その他によりまして、監視体制は十分に、完ぺきと言っていいくらいに私は整備できたと思うのでありまして、そういうことによりまして、私どもは今度の入港につきましては何らの不安がないものである、かように考えておる次第でございます。
  149. 近江巳記夫

    ○近江委員 沖繩の件はどうなんですか。
  150. 木内四郎

    木内国務大臣 沖繩につきましては、この前に入港した際におきましていろいろ調査をしました。私どものほうで調査した結果によりますと、まあむずかしいあれですけれども、水とかあるいはどろをとりまして検査しました。そうしますと、私にもちょっとつかめないような数ですけれども、百九十四プラスマイナス二十一ピコキュリーですか、一億分の一キュリーの放射能しか感じられなかった、そういうことでございまして、それは人体の許容量などに対しましてきわめて低いもの、百分の一以下のものであるということを聞いております。  それから当時、同時に沖繩の原水協からこちらのほうの原水協に連絡して、こちらのほうで沖繩原潜寄港対策研究会ですか、名前はちょっとはっきり覚えていませんが、そういう百数十人の学者の集まりで検査した結果によりましても、私どもが琉球政府で調べたものからの報告を受けている数よりも少し多いようでありますが、それも非常に微量なものであったという報告を受けております。人体に対する影響はほとんどないものである、かように考えております。
  151. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから、三木外務大臣ジョンソン大使との間における覚え書きの中で、寄港中における一次冷却水放出例外の場合である、このようにあるわけですが、例外の場合というのはどういうことですか。
  152. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 これは先ほどちょっと御説明申し上げましたが、要するに現在のところ向こうとの会談では、予想をすぐにはできないというような点程度のことの例外であって、それも全くないというふうに言うわけにいかないので、文章としてはそういうふうにしておきたいという、会談の途中にそういう経過がございます。
  153. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうした例外というあなたのその説明だって、全然納得できませんよ。結局うやむやの間にそういうような、同じことが繰り返されておる。国民不安感というものは全然消えないわけです。今回の原潜入港につきましても、安全性についてもはっきりとした、納得させる確証というものはないし、あるいはまた基地のそうした危険性もある、あるいは地元も猛反対だ、そういう中で原潜入港が行なわれたわけでありますが、再びそうした安全性確認なり、もっと国民に納得さすものを、はっきりとここにおいて表明すべきであるし、そうしたもろもろの問題が解決するまでは、私はこうした原潜入港等は拒否すべきである、こう思うわけです。これについてはどう思いますか。
  154. 木内四郎

    木内国務大臣 原潜の問題でありますが、これは日米安保条約との関係もありまするし、また安全性の問題についても、先ほど来申し上げておるように、われわれとしては不安のないものである、かように信じておりまするので、いまそれを拒否するということは考えておりません。
  155. 近江巳記夫

    ○近江委員 すべて一貫して科学技術庁は、要するに安保条約が結ばれておるからということで、外務省がこう言えば、あなた方は全然意見を言えないのですか。純粋な、国民を守る立場で、まだそういうような疑問点が残っておる、これを解決するまでは待ってもらいたいということを強力に、これは外交折衝で幾らでもできるはずですよ。その辺の働きかけをやっているのですか。科学技術庁はどうなんですか、その点。
  156. 木内四郎

    木内国務大臣 いま、いろいろお話がありましたけれども、私ども科学技術庁の立場とすれば、不安がないものである、かように考えておりまするので、さようなふうにやるつもりはございません。
  157. 近江巳記夫

    ○近江委員 不安がないなどと言っても、国民はみな不安を持っているのですよ。現実問題からいえば、佐世保でとれる魚は全然売れない。あらゆる、そういうような問題にまで発展してきているわけです。そういうことを、ただわれわれの見解としては安全性についてもこうだ、そういう態度であれば、これから科学技術をもっと振興しなければならない、そういう立場にある科学技術庁は、国民協力など得られませんよ。そういう点において、私は大臣のそういう態度の猛反省を促します。きょうは時間がありませんので、次にいきます。  大臣も所信表明の中で、海洋開発の推進ということを言われておるわけでありますが、大臣もかわられたわけでありますし、前大臣も四十四年度からは強力に海洋開発を推進していきたい、こうした抱負を言っておられたわけです。その点、まず基本姿勢としてあなたは海洋開発についてどのようにお考えでございますか。
  158. 木内四郎

    木内国務大臣 お答えいたしますが、海洋科学技術開発という問題は、私どものほうといたしましては、原子力平和利用の問題、あるいはまた宇宙開発の問題と並びまして、三つの大きな柱にいまなっておるわけでございます。ところが、この海洋科学の開発というものは非常に広範な問題でございまするので、これについて総理大臣は、海洋科学技術審議会に対して、一体開発計画をどうしたらいいかということを諮問しておるのであります。いまその審議会におきまして詳細に検討していただいておる最中でありまするので、その答申を待ちまして、私どものほうの実行上の開発計画を立てたい、かように存じておる次第でございます。しかし、ことしといいますか、来年度の予算の要求につきましては、相当増額したものを——準備の費用ですけれども計上して、大蔵省のほうに要求しておるわけでございます。
  159. 近江巳記夫

    ○近江委員 実に海洋開発というのは膨大な、そうした内容を持っておるわけでありますが、実際いまのところ、これからどうしていくかという点で、まだ相談の段階であるというのが日本状態ではないか、このように思うわけです。そういう意味で、今後はさらに強力にその推進をしていかなければならないわけでありますが、私は、まず調査のそういう段階、要するにそうした基礎的な問題でありますが、そういう段階もまだほとんど手がつけられておらない、そういう報告も聞いております。まあきょうは、工業技術院長も来ておられますので、もう少し具体的な問題に入りたいと思うのです。  一つは、海洋の地質調査のそうした進捗状況というものは全然なっておらぬ。これでは全然、幾ら推進会議で相談し、何したって、基礎的なことは何もない。その辺のところはどうなっておるか、基礎的な問題として……。
  160. 朝永良夫

    ○朝永説明員 海洋地質調査につきましては、工業技術院の地質調査所が担当しておりますが、従来は北九州沖、有明海、新潟、秋田沖、東京湾、大阪湾等のいろいろな地域を対象といたしまして、いろいろな方法で地質調査を行なっております。これと並行いたしまして、広い海域の調査を効率的に実施いたすための物理探査技術及びそれに関します機器の研究を行なっておるわけでございます。しかしながら、これらの調査研究は、それぞれの必要性に応じまして断片的に行なわれてきたのが現状でございます。海洋地質に関します基礎的データの調査収集は、海洋開発の基本的な前提条件でございます。国が率先して行なうべきでありますので、従来から蓄積してきました技術ポテンシャルを生かしまして、来年度以降、総合的な海洋地質調査計画に基づきまして調査研究を進めていく所存でございます。
  161. 近江巳記夫

    ○近江委員 私は、その地質調査に大規模な体制をまずとって、そうして基本的な体制をまず整えることが一番大事だと思うのです。その辺、姿勢としてどういうような構想を持っておられるのですか。それを院長とそれから長官にお伺いしたいと思います。
  162. 朝永良夫

    ○朝永説明員 地質調査所におきましての計画を申し上げますと、本邦周辺の大陸だなの資源開発に必要な堆積盆の分布、規模、形状などに関します資料を得るために、四十四年度から四十六年度にかけましてまず日本海大陸だなの海域を、それから四十七年度から五十年度にかけまして太平洋岸とその他の大陸だな海域を対象といたしまして、空中磁気探査を主体とする探査を行ないまして、これに基づきまして十万分の一ないし二十万分の一の空中磁気図を作成する計画でございます。このほかに、日本周辺海域の基本的な地質構造の解明方法を確立いたしますために、各所に散在しております既存のデータの活用をはかりながら断層、褶曲、岩石、地層の形状などに関します総合解析を進めることにいたしておるわけでございます。
  163. 石川晃夫

    石川(晃)政府委員 科学技術庁におきましては、科学技術庁の中に海洋科学技術審議会というものを設置いたしておりまして、ここで海洋科学技術開発計画を審議しているわけでございます。当庁としましては、この海洋科学技術審議会におきましては、本年の十一月五日にこの審議会から意見が出てまいりましたし、また十月二十一日に諮問三号というものを行なっておりますが、来年の三月に、この諮問に対する答申を得る段階になっているわけでございます。この答申を得ました上で、各関係の省庁と協力いたしまして、国といたしましてはどういう開発計画をつくっていくか、さらに一そうその開発をどういうふうに進めていくかということを計画する所存でございます。
  164. 近江巳記夫

    ○近江委員 それでは時間がありませんので大臣にお伺いしますが、最後に、海洋開発の一元化ですね、原子力あるいは宇宙は若干進みつつありますが、海洋開発については全く白紙からスタートするというような状態であります。そこで海洋開発一元化についての大臣の所感ですね、それと、先ほど私が申し上げました宇宙に関するそうした基本法、さらに海洋開発基本法、その制定についてどのようにお考えになっておられるか、これを最後に大臣に聞きたいと思います。
  165. 木内四郎

    木内国務大臣 海洋開発調査を一元化したらいいじゃないかということはごもっともな御意見でございますが、現在までの段階では、さっきから説明申し上げているように各省に分かれてきわめて広範な問題でございますので、それを一つの役所にまとめてしまえというようなわけにはいかぬかもしれませんけれども、科学技術庁があります以上は、各官庁の各機関、各官庁の調査の調整をはかっていく、そういう形において一元化をはかっていきたい、かように存じております。予算なども、こちらのほうで持っておって、必要に応じてある程度各機関に分かつというようなことも考えられないではないと思います。  なお、海洋開発基本法の問題も、いまお触れになりましたけれども、これも時期が至りますればやはり考えなくちゃならぬ問題だ、かように考えております。
  166. 近江巳記夫

    ○近江委員 これで終わろうと思ったのですが、その答弁じゃ言わざるを得ないと思うのですよ。前大臣も、この一元化については、あるいは次官も、これについては強力にはかっていく——大臣がかわればそういう消極的な態度になるのですか。調整をはかっていくなんということではいままでと一緒じゃないですか。ものを進めていくためにはどうしても基本法が一番根本ですよ。そういう消極的なことで、これから海洋国日本としての立場はないと思うのです。そんな簡単に大臣が短期に交代されて、そのたびにそういうような姿勢が変わるようなことじゃ私は困ると思うのです。その辺のところをもう一ぺんお聞きしたいと思います。
  167. 木内四郎

    木内国務大臣 いま私が申し上げましたのは、各庁各機関に非常に各方面にわたっている広範な問題でありますので、一元化をはかるという、一口に言えば簡単ですけれども、なかなかこれは一つの役所にまとめるとかなんとかいうことは困難でありますので、その実をおさめるように私のほうで中心になってこれをまとめていく、すなわち一元化をはかっていく、そのためにできるだけ努力する、強力にこれを推し進めていくという考えは、前長官その他と違いはない、そのことを申し上げておきます。  なお、基本法の問題ですけれども、基本法の問題は、宇宙開発につきましても、今日まで相当進んできておるのに、今日なおまだ基本法をつくり得る段階に至っておりません。検討しておりますけれども、そういうふうな状態でありますので、さっきお話がありましたように、まだ空漠としている、その際に、いきなり基本法を直ちにつくり得るという段階に至っていないじゃないかということを申し上げたのでありまして、なるべくすみやかなる機会においてこれをつくったほうがいいということはもちろんのことでありますので、その点については大いに努力をいたしたい、かように思います。
  168. 近江巳記夫

    ○近江委員 それでは時間がありませんのでこれで一応終わりますが、あと関連の人があるらしいです。
  169. 三木喜夫

    三木(喜)委員 関連して。大臣にちょっとお伺いいたしますけれども、いま宇宙開発について基本法ができてないことについてお話しになりましたね。これだけ宇宙開発が進んでおるのに基本法ができていないというような実例があるから、海洋開発についても基本法はあとでよいというようなニュアンスがある発言だったと思います。これは非常に主客転倒した考え方なんです。この前、宇宙開発基本法をつくるべしということについて、総理に出席を求めて、そのことをただしたわけであります。そうすると、これは初めからつくるべきでした、しかしながら、御存じのように東京大学において研究を進めて、ロケットの研究から始まってきた、事実が先行したものだからこういうようにおくれましたということで、総理から特別そんな釈明があったわけです。事は基本法を先につくるべきだということが原則ですよ。それをいま大臣のお話を聞いておりますと、海洋開発についても、そういう例があるからこれもおくれてよいのだというような、こんな基本的な考え方をあなたが持っておられるということになれば、これは主客転倒もはなはだしいと思うのです。そういう点はここに明確にしていただきたい。基本法をつくるべきだということは原則ですよ。私は、その点で非常に疑義を持ったいまの御発言だったと思いますので、ひとつその点は明瞭にしておいていただきたいと思います。
  170. 木内四郎

    木内国務大臣 お答え申し上げますが、私はこちらがおくれているからこっちもおくれていいという意味で申し上げたのじゃないのです。もちろん早くつくらなければならぬということは、先ほども申し上げたとおりなんですけれども、実情におきまして、あれだけ進めている宇宙開発の基本法さえもまだ今日できないというのには、いろいろな困難があるのであります。そういう点を考えてみまして、海洋開発についてすぐつくれといったところで、なかなかそれは実際問題として困難性が伴ってくる。しかし、なるべく早くつくらなければならぬということは御説のとおりでありますので、私どもできるだけの努力をする、こういうことを申し上げたので、それを理由にして、こっちがおくれているのを言いわけにするという意味ではないことを御了解願いたいと思います。
  171. 三木喜夫

    三木(喜)委員 政治の基本は、憲法から始まって各法律ができている。科学技術についてもそのとおりです。これは基本があとになってくるからいろいろ問題が起こってくるわけです。いま宇宙開発につきましても、自主、民主、公開そして平和利用ということを十分に言わなかったら、それで産、学、軍が癒着してくる危険性が出てきたわけです。それは基本法をつくっていないからですよ。そういう基本的なものをあとに残していくというところに問題が発生しておるということを、ひとつ認識してもらわねばいかぬと思います。政治の原則を私は言っておるわけです。口実にあなたが使っておられるとは私は言っておりません。そういう原則を踏まえて科学というものを進めていかなければならないのに、そのことを、さもそういう実例があるかのごとく言われることに、基本的な姿勢に問題がある。だから、これは十分基本法をつくって進めるべきだということを認識していただかなければ困ります。
  172. 木内四郎

    木内国務大臣 御質問の御趣旨はよくわかりました。できるだけそういう態度でやってまいりたい、これは私の考えでございます。
  173. 石田幸四郎

  174. 畑和

    ○畑委員 時間がわずかに二十分でございますから、できるだけ要点だけを質問いたしたいと思います。  私は、私が住んでおります浦和市のすぐ隣、しかも大宮でありますけれども、大宮と浦和と与野、こうした埼玉県の県南三市、非常に人口稠密した場所に三菱原子力工業株式会社が臨界実験装置をつくるという問題に関連してお尋ねをいたします。  実はこの問題はもうすでに総理の許可状が出てしまったのでありまして、若干手おくれという感じがするんでありますけれども、いろいろ問題を含んでおりますので、ひとつ政府の再考を促したいという意味であります。きょうも読売の埼玉版に出ておりますが、「強まる設置反対運動 三菱原研の臨界実験装置 〃約束〃無視に怒り 底に「都市と原子力」問題」、こういう見出しで書いてあるのを見ましても、ここまできてしまったけれどもなかなか容易ならぬ問題になるのではないかということから質問をいたすわけでございます。  大体、この三菱原子力研究所の臨界実験装置の問題にはずっと歴史がございます。ちょっと御理解を得るために簡単に口早に申しますが、約十年前、昭和三十四年から三菱の研究所というのが在来あそこにあるのです。相当に広い敷地を持ったものがあるのです。ところがそこへ三菱で原子力工業株式会社をつくって、その研究所を在来の研究所に付置することになりました。そこで地元の住民は非常に心配をいたしまして、市議会に対しまして原子力施設の設置に関する反対の陳情というのを出しました。それが当時市議会で採択をされたのでありますが、それを機会に三菱と住民との対話が一応なされた。市が間に入りましていろいろその問題をめぐって対話がなされた。その当時は、三菱は確かにまだ中性子の実験装置だけでありまして、そして臨界には達しないのであるから、そういう程度であるから心配はないのだということ、それから原子炉はつくりません、現地の住民の承諾がなければつくりません、こういうような約束をいたしました。その後、そういう問題を考えて現地に対策協議会というのが生まれまして、市当局、それから住民、さらに三菱側、こういうことで対策協議会が生まれたけれども、その後難なく過ぎておりました。したがって、対策協議会はあまり活動をせずに済んでおった。ところが四十一年の十月十日になって突然市長あてに、臨界実験装置を設置したい、こういう申し入れがあって、また火がついたということであります。しかもそれが非常に唐突でありまして、住民としては非常にびっくりいたしたわけであります。いままで約束があるのになぜ原子炉をつくるんだ、約束違反だということで、非常に住民の感情を刺激いたしておるわけであります。  そこで、これからいろいろこまかい具体的な質問をいたしますけれども、それで結局、そういうことがあっても三菱は許可申請を出して、それをまた原子力委員会で審査をして、それはよろしいということの意見の答申をいたしましたために、意見を尊重しなければならぬということになっておるせいか何か、そのまま四十三年の七月十日付で許可になりました。それに対してもちろん異議の申し立てもなされた。ところが簡単にそれもけられ、しかもその中で、現地の住民との約束などは、これはお互いの民事関係の問題だということで簡単にはねられております。それからさらに、建築審査会のほうの関係へ異議を出しても、これまた、中身の問題はこれは国のやることであって、県のほうの側の建築の審査をやるほうでは機械の申請とかそういう問題は問題外だ、こういうふうにはねられた。そういうことで両方ともはねられて、住民は何としてもこれを阻止しなければならぬということで、最近特に反対運動が盛り上がっておるわけであります。  ところでお尋ねいたしたいのでありますけれども、国のほうといたしましては、住民と直接対話をかわしたことがあるかどうかをまず第一に承りたい。事務当局でよろしいです。
  175. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 陳情をたびたび受けたことはございます。そしてそのときのお話は伺っております。
  176. 畑和

    ○畑委員 それは承っただけで、それから三菱との関係なども調整したことはございますか。
  177. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 この件につきましては、三菱から申請が出まして、そのときに場所の問題、設計の問題、その他すべての資料が出ております。それに基づきまして安全審査会が公正な審査をいたしまして、それでやったわけでございますが、この装置は臨界装置でございまして、その点から安全審査のほうとして見たときには、これは十分だいじょうぶである。それを民間のそば人たちに聞いてどうしなければいけないという審査の方法としてはございませんでした。
  178. 畑和

    ○畑委員 非常に人口密集地帯なんですね。こういうところはほかにございますか。簡単に答えてください。
  179. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 この程度の大きさのものでございますと、ほかにあると聞いております。
  180. 畑和

    ○畑委員 あの地域の人口の稠密の程度とほかのところとの比較について答えてください。そういう意味ですか。
  181. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 この装置の大きさ、中身、設計、その関係が、臨界装置であの地域では十分だいじょうぶであるということでいいということでございます。
  182. 畑和

    ○畑委員 それは非常にお役所的な返答ですよ。そういうことじゃないのですよ。それは許可の基準に合致していればいい、あるいは安全審査会が安全を確かめて、それによって答申をしたのだからそれでよろしいのだという考えが私は間違っていると思う。やはりこれは、こうした人口棚密のところは避けるべきだ。たとえ許可申請が出ても、形式的な学者的な判断だけで基準を当てはめてやることには、とうてい住民が納得しない。日本国民は、御承知のように放射能では非常に悩まされている。そういうことからして、やはりそうした配慮が必要だと思います。例の原子炉の規制に関する法律の第二十四条に、御承知のように許可の基準がございますね。四号までありますが、この第四号が「原子炉施設の位置、構造及び」云々と、こういうことになっておる。これが基準に合っているのだということの御判断でありましょうけれども、この法規を見ますると、これこれの場合に適合する場合でなければ許可をしてはならないのだという書きぶりなんです。その反対解釈をすれば、意味をとれば、何も必ずしもこの基準に合っているから許可をしなくちゃならぬということではない。私は法律家ですからそういうふうに解釈する。何でもかんでも基準に合いさえすれば許可しなければならぬのだという解釈でなくて、この基準に合わなければ許可してはならぬ、こういう書きぶりであります。したがって、そういう諸般の事情等も十分に考慮に入れて、住民との約束、いままでの歴史、さらにまた人口欄密度、市民の感情、こういった点も十分考慮に入れて許可をすべき相当広い裁量権というか、そういうものがあるのじゃないかと私は思うのです。そういう点を私は問題にいたしておるのです。その点、いかがですか。
  183. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 ただいまの住民との約束でございますが、大宮にこの問題が起こりましたときに、実はそのときの規制法からまいりますと、この程度の小さな臨界実験装置は原子炉の中に入っていなかった。その後、規制法を改正しましたときにこれが原子炉の範囲に入りました。そこで、この約束があった、ないというのが三菱との間にあったように見受けられます。しかし、私たちのほうは、会社が約束をした、しないまで、安全審査の場合に考えるということは、ちょっと不可能だと思います。やはり安全審査の場合には、その設置場所の条件その他、法律に書いてございますが、そういう関係で実は安全である。まわりの密集地帯のことももちろん考えました。そういうことで安全であるということを安全審査会が出したということでございます。
  184. 畑和

    ○畑委員 それは形式論だと思います。大体原子炉の定義は法にも書いてありますが、臨界実験装置というものは、最初の当時はいわゆる原子炉ではなかった、ところがその後原子炉の中にこれも含まれた、こういうようないきさつは私も聞いております。しかし、三菱が最初約束した当時は、おそらくもうそういうものをつくるつもりはなかったに違いない。したがって、原子炉ということばを使ったのだと思う。  それで関連して聞きますが、三菱はその当時、昭和三十六年の一月十六日に、東海村に同じく臨界実験装置か何かをすることの申請をして、それが許可になった。ところがその後四年もたって、四十一年六月十三日にそれをみずから取り下げた、こういう事実がありますかどうか、それを聞きたい。
  185. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 申しわけございません。いまちょっと資料を持ってきておりませんので、承知しておりません。
  186. 畑和

    ○畑委員 時間がないから調べてもらえばいいんですけれども、これは現地の連中も調べているし、間違いないと思う。東海村に最初持っていって許可までして、しかもそれを四十一年六月十三日に取り下げて、同じ年の十月十日に大宮に設置する、こういうことを通告してきた。それだから住民がおこるのです。約束があるのになぜ持ってきたか。しかもそれが商業ベースなんです。なぜ設置しなければならぬのかという理由は、よそでやるとばく大な費用がかかります、こういうことです。原子力商船の原子炉をつくるので予算がないのだ。したがって、こんなにたくさんつくって金がかかるのでは困るから、それで大宮は一番スタッフもそろっているし、場合もあるしということで、これ以外にないんだというのが三菱の主張だ。こういうことからすると、あくまで商業ベースだけでやっているようにしか考えられない。そういう点をあなた方がやはり大きな立場からやるのでなければならぬと私は思うのです。ただ許可基準に合っているから合っているからということで、学者的なことだけで判断するから、許可してからわあわあ反対運動が盛んになる、こういうことになるのではないかと思うのですが、それはいかがですか。
  187. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 満足なお答えになるかどうかちょっとわかりませんが、実は今度の炉は、基礎的な炉物理の研究に使う研究用の炉でございます。したがいまして、商業用と申しましても、もちろんそれから波及効果が出て何か製品にいくかもしれませんが、これは研究として使う基礎実験の小さな炉であるわけでございます。
  188. 畑和

    ○畑委員 事務当局では、ただ、この原子炉というか臨界実験装置がきわめて小さい装置であって、だから人口棚密のところであってもだいじょうぶなんだということで通しておられるようだけれども、万一のことがあったらどうしますか。この間の佐世保の問題だって、そんなことないないといったのが、あったのです。そういうことからすれば、住民が心配するのは無理はない。したがって、第一の安全性は、とにかく山の中へでも持っていくのが一番安全なんだ。東海村でけっこうでしょう。東海村は、さっきの話では過度集中というで東海村や勝田市で逆に反対しているようだけれども、とにかく東海村のほうがよっぽど人口が過疎でしょう。ああいうところへそのまま持っていって、最初の申請どおりやらしてということを、あなた方はなぜ三菱のほうへ勧告をしなかったのですか。ただ出たものはしようがない、そのまま許可かどうかきめるんだ、それで許可基準に合っていれば許可するほかはないんだ、これでは私は政治をやる者としてまことに情けないと思うが、その点どうでしょうか、国務大臣の御意見をお聞きしたいのです。
  189. 木内四郎

    木内国務大臣 お答えいたします。  この三菱の大宮の臨界実験装置ですか、これは原子力委員会のほうの安全審査会のほうでも調べてもらったりしまして、全く危険はない、安全である、心配はない、こういう意味の結論を得ておりまするので、いまお話しのように、まわりの方にはいろいろ御心配をかけて非常に恐縮ですけれども、私どもは絶対に安全なもの、かように考えておりまするので、これを許可するということになったもの、かように存じております。
  190. 畑和

    ○畑委員 大臣がもう退席されるそうだからもう一つだけ。  大臣のいまの答弁は、結局事務局と同じようなもので、専門家のほうで、安全審査会が安全であるということだから許可をした、こういうことであるけれども、私が言いたいことは、さっき申したような形の、形式的な基準に合致するかだけではなくて、さらにそれ以上にそうしたいままでのいきさつ——原子炉原子炉でないかという争いもあるでしょう。あるでしょうけれども、そうしたいきさつもある。そういったことも考え、さらにまたあそこが、とにかく日本で臨界実験装置をやっておる中でも一番の人口稠密地帯であるということは疑いないのですから、そういったこと等も考えて、商業ベースでなくて、もっとほかのところでやれ。将来のことを考えれば、三菱のためにも私はそのほうがいいんじゃないかと思うのです。そういった立場で許可をしなければならぬと思うのですが、そういう考え方に大臣が賛成かどうか聞きたいのです。
  191. 木内四郎

    木内国務大臣 先ほど申し上げましたように、これは原子力委員会の専門家が調べまして、全く危険はない、安全だ、こういう判定を下しておりまするので、私は、許可を与え、ここまで運んできたものを、再検討してどうこうするというようなことは考えておりません。
  192. 畑和

    ○畑委員 これは反対運動がもっともっと盛り上がったら、なかなかたいへんなことになると思うのです。幾ら許可になっても、すわり込んだりしたらなかなかできないと思う。そういう点で、もう少し国のほうとしてもその地域のことを考えて、民主、自主、公開の三原則は先ほど何度も言われたとおりあるのですから、これにのっとってひとつやってもらいたい。さらにまた、聞くところによりますると、三菱のほうでもやめてもいい、ほかへ持っていってもいいと思うけれども、経団連筋あたりが、そういうことでやめたらほかの関係にも影響するということで、ひとつがんばれといったようなことでプッシュをしておるというような話も聞いておるのだが、そういうことは聞いておりませんか。
  193. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 そういうことは、私は全く聞いておりません。
  194. 畑和

    ○畑委員 それでは、大臣よろしゅうございます。  時間ですからもうちょっとで質問を終わりますが、法規に従いますると、許可はもちろん大臣がするけれども、原子力委員会の答申を聞いて許可をするということに書いてありますけれども、地元住民あるいは地元の市町村、こうした住民に最も直結をした機関の意見を聞くというような、それを条件にするような措置が必要だと私は思う。それでないと、なるほど大宮市の場合におきましては陳情等が出まして、いろいろ両方のものを採択したり何かしたことはございました。そういう点では関係はしていますけれども、公式に市町村がどうとも言えない。また県のほうとしても、建築審査会が先ほど言ったようなことで、原子炉のこと、中身のことについてはわれわれの関知したことじゃない、こういうことなんだから、そういうことで地方の自治団体にはさっぱり権能がない。これは、私は民主というものにはずれると思う。民主あるいは公開という原則にはずれると思う。したがって、この法規は何らかの形で、この許可にあたって、その前に現地の市町村の意向を聞くということに改むべきだ。これはいま勝田市の場合の再処理工場の問題などにもそういう声が非常に強いのです。権能が全然ないのだ。陳情されたって困っちゃう。だけれども、陳情が出た以上は何とかしなければならぬということだけれども、何とかするしようがない。それがいまの現状だ。したがって、原子力のことは国でやるのだということを——あるいは場合によったら国自身がやるのじゃない。この場合は、原子力商船をつくる三菱が請け負ったその原子炉の実験をするための臨界実験装置だから国のほうは関係ないのだと、こういった形では済まされないと私は思うのです。したがって、そうした地域の住民の意見を聞く意味においても、許可にあたってそうした市町村の何らかの関与の機会を与えるような法規に措置すべきだというふうに考えるのだが、その点は事務当局どう考えていますか。
  195. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 いまの原子力委員会にございます安全審査会は、これは先ほどの民主的な立場で、専門学者、あらゆる学者に取り上げていただいておるわけでございます。したがって、そういうところで民主的におきめいただいているわけでございます。いまの地元の意見をどうこうというのは、これにつきましても国の意見を待とうというようなことを市会としてもきめられたということを伺ってはおりますが、市会あるいは県その他でいろいろ御調整をしていただくということは、この立地問題として審査会から別にそういう問題は起こらないと思います。したがって、それに対する御要望その他については、十分われわれのほうもできるだけ伺いたい、こう思っております。
  196. 石田幸四郎

    石田委員長 時間が過ぎております。
  197. 畑和

    ○畑委員 地元の市町村が国の意見を待とう、こう言われた。しかし、これは最後はそうならざるを得ないのだ。何も市町村が関与できるような法規になっていないのだから。逆に市町村の意見を聞かなければどうなるということは別として、意見を聞かなければ許可ができない、許可までするにはどうしても、一応反対であろうが賛成であろうが、市町村の意見を聞くということをともかく条件として、それから許可をきめる、こういうふうにすべきだと私は思うのですよ。それは大宮市で、結局最後は国が決定するものだから、最後は国の判定を待とうというのはあたりまえです。あなた、そういうことにとってはいかぬですよ。市はそういう意味でいっているんじゃないんだよ。しかたがないから、国が決定することなのだから、権限はわれわれにはないのだから、国の決定に従うほかあるまいというだけのことにすぎません。あなたがそれを逆手にとってそんな答弁をするのは、それが官僚というものだと私は思う。もっと地元民に親切にやらなければならぬですよ。民主、公開、自主の原子力行政に携わるのですから、ひとつそういうふうにやってもらいたい。ともかく、これはなかなか反対運動が盛り上がってしまって困ったですね。ひとつそういう点で将来ともにやってもらいたいと思うのです。何とかひとつこの問題も考慮して、うまく三菱に話すなり何かして、そのくらいのこともあなた方、やってもらったらいいと思うのです。ただ許可するだけの話であって、あとはおまえらがやれということでは、どうも不親切だと思う。その点を申し上げて質問を終わります。
  198. 石田幸四郎

    石田委員長 以上で質疑を終了いたします。      ————◇—————
  199. 石田幸四郎

    石田委員長 次に、閉会中審査申し出に関する件についておはかりいたします。  閉会中もなお、科学技術振興対策に関する件について、議長に閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  200. 石田幸四郎

    石田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  本日は、これにて散会いたします。     午後一時四十五分散会