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1968-08-10 第59回国会 参議院 予算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年八月十日(土曜日)    午前十時十六分開会     —————————————    委員異動  八月八日    辞任        補欠選任     市川 房枝君      青島 幸男君  八月十日    辞任          補欠選任     大谷藤之助君      佐藤  隆君     鈴木 一弘君      渋谷 邦彦君     矢追 秀彦君      田代富士男君     萩原幽香子君      松下 正寿君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         西郷吉之助君     理 事                 栗原 祐幸君                 柴田  栄君                 玉置 和郎君                 西田 信一君                 前田佳都男君                 秋山 長造君                 山本伊三郎君                 二宮 文造君                 瓜生  清君     委 員                 内田 芳郎君                 岡本  悟君                 梶原 茂嘉君                 川上 為治君                 北畠 教真君                 小山邦太郎君                 郡  祐一君                 近藤英一郎君                 佐藤 一郎君                 佐藤  隆君                 斎藤  昇君                 白井  勇君                 新谷寅三郎君                 内藤誉三郎君                 船田  譲君                 山本茂一郎君                 吉武 恵市君                 川村 清一君                 田中寿美子君                 竹田 現照君                 中村 波男君                 野上  元君                 羽生 三七君                 前川  旦君                 松永 忠二君                 村田 秀三君                 森中 守義君                 渋谷 邦彦君                 田代富士男君                 三木 忠雄君                 萩原幽香子君                 松下 正寿君                 岩間 正男君                 青島 幸男君    国務大臣        内閣総理大臣   佐藤 榮作君        法 務 大 臣  赤間 文三君        外 務 大 臣  三木 武夫君        大 蔵 大 臣  水田三喜男君        文 部 大 臣  灘尾 弘吉君        厚 生 大 臣  園田  直君        農 林 大 臣  西村 直己君        通商産業大臣   椎名悦三郎君        運 輸 大 臣  中曽根康弘君        郵 政 大 臣  小林 武治君        労 働 大 臣  小川 平二君        建 設 大 臣  保利  茂君        自 治 大 臣  赤澤 正道君        国 務 大 臣  木村 武雄君        国 務 大 臣  木村 俊夫君        国 務 大 臣  田中 龍夫君        国 務 大 臣  鍋島 直紹君        国 務 大 臣  増田甲子七君        国 務 大 臣  宮澤 喜一君    政府委員        人事院総裁    佐藤 達夫君        内閣法制局長官  高辻 正巳君    事務局側        常任委員会専門        員        水谷 国一君    説明員        法務省刑事局長  川井 英良君        大蔵省理財局長  青山  俊君        大蔵省理財局次        長        谷川 寛三君        国税庁長官    亀徳 正之君        厚生省社会局長  今村  譲君        食糧庁長官    桧垣徳太郎君        自治省財政局長  細郷 道一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○予算執行状況に関する調査継続調査要求に関する件 ○委員派遣承認要求に関する件     —————————————
  2. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) ただいまより予算委員会開会いたします。  まず、委員異動について報告いたします。  去る八日、市川房枝君が委員辞任され、その補欠として青島幸男君が選任されました。     —————————————
  3. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 予算執行状況に関する調査を議題といたします。  木調査を行なうにつきましては、委員長及び理事打合会におきまして、委員会開会日程等について協議を行ないましたので、その要旨を御報告いたします。  質疑は本日一日間といたしまして、その質疑総時間を百六十分といたし、各会派への割り当ては、自由民主党及び日本社会党はそれぞれ六十分、公明党二十分、民主社会党十分、日本共産党及び第二院クラブはそれぞれ五分といたしました。  質疑順序は、日本社会党自由民主党日本社会党自由民主党公明党民主社会党日本共産党、第二院クラブの順といたしました。  以上御報告いたしましたとおり取り運ぶことに御異議はございませんか。   「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  なお、本日は午後五時終了を目途とすることを申し合わせておりますので、委員各位及び政府側におかれても御協力くださるようお願いいたします。  それではこれより質疑を行ないます。山本伊三郎君。
  5. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 国会もいよいよ本日をもって終わるはずでございますが、締めくくりというわけではございませんが、主として総理に対しまして、沖繩返還その他若干外交問題についてまずお尋ねしたいと思います。  その前に、総理のひとつ見解を聞いておきたいのですが、昭和三十年代初期における国際情勢と今日とはだいぶ変化してきていると私は見ております。東西緊張緩和、安定が相当変わっておると思うのですが、問題に入る前に、総理考え見方について若干お聞かせ願いたいと思います。
  6. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま、三十年代の初期と今日と国際情勢がいろいろと変わっているだろう、かようなお尋ねでありますが、もちろん国際情勢変化いたしております。また、同時にわが国の国際的地位も変わってきておる、そういう立場外交基本路線を守りつつ、それぞれの国際情勢に応じた対策を立てていく、これが私どもに課せられた責務、かように私は考えております。多くは申しませんが、ただいま非常な変化のあることだけは申し上げておきます。
  7. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これで時間をつぶしたくございませんが、私は相当緊張緩和されておる、安定に向かっておるという見方についての総理所見を聞いております。ちょっとそれだけ。
  8. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) その原因はどうあろうと、東西の冷たい戦争といわれたものが、とにかくここで話し合いの方向にいっている、緊張緩和、それが実現しつつある。私どもはそういう立場に立って、国際情勢の推移を見ながら、いまの変化を心から実は歓迎している、かような立場でございます。
  9. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そこで、沖繩返還の問題はたびたび同院でも言われておりますが、まあ締めくくりというわけではございませんが、この問題につきましてはアメリカ政府筋の要人がいろいろ否定的な発言もあるやに聞いておりますが、私はそういうスナイダー氏の発言とか、そういうものは私はあまり問題にする必要はないと思っておる。やはりあなたが昨年、佐藤ジョンソン会談を事実やられたときのあの共同コミュニケというものがわれわれ唯一の足がかりであり、また日本国民沖繩返還に対する一つの大きな証文だと考えておるんですが、この点についての総理の御見解を聞きたいと思います。
  10. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 日米双方にとりまして戦後の重要な問題、そのうちの一つ日本固有領土、これがアメリカに占領されておる、そして、そういう状態が、それじゃいつまで続くのか、これは日本にとりましてもたいへんな問題だし、またアメリカ自身にとりましても、これは占領しているものの領土的野心があるわけではない、これを占領を続けておる、そこにまあ一つの疑義があると申しますか、非常なアメリカとしても関心の深い問題である。ところで、この日本固有領土祖国復帰祖国との一体化をはかる、この立場で戦後種々の折衝をしてきた。これは私が申し上げるまでもなく、山本君も御承知のように、まず潜在主権を認めた、そうして、その潜在主権を認めたその関係においてあらゆる援助方策が立てられた。施政権そのものアメリカが持っておるけれども、ここには潜在主権がある。そういう意味でこの住民は日本国民だ、まず戸籍法が実施される、こういうような形で、日本潜在主権といわれたものがだんだん顕在化しつつある、そういう形である。まあいままでの過去の総理も、一日も早く祖国復帰、これを念願していろいろ努力をし、また各党の方々もこれが実現するように御協力を願ってきたと思います。しかし、それに大きな進展を見たのが、昨年のジョンソン大統領との私の会談ではないかと思います。この会談をめぐり、もうすでに小笠原自身祖国復帰が実現している。もうその一部は実現されました。残っておる沖繩の問題につきましていろいろの意見が出て、ことに最近問題を起こしたのはスナイダー国会における証書だと、かように思います。このスナイダー証言をめぐりまして、その後、国務省筋スナイダー証言意味するものはこういうものだという、そういう意味の声明が二回ばかりあり、また、日本人記者ラスク国務長官を訪問している、その際のラスク国務長官の談話も出ておる。したがいまして、一部で言われておるような誤解は私はないように思います。しかし、この機会に山本君のお尋ねでありますから、私もこの共同コミュニケ、これより以上のものもなければ、これ以下のものもないということを国会で申したが、その共同コミュニケで、それでは両三年のうちに沖繩返還、それにめどをつけるという、そういう確約があるかと、こう言ってお尋ねになれば確約はありません。これははっきり申し上げます。しかしながら、この共同コミュニケでは私はさような確約は取りつけておりませんが、しかし、私の願い、また日本国民の願望というものをジョンソン大統領もよく理解してくれておる。また相手方主張である沖繩基地が、軍基地が果たしておる平和への役割り、これも私も十分理解しておる。そこで、そういうことを前提にいたしまして沖繩基地返還するという、その方針のもとに相互に継続的な協議をしよう、こういう約束はあるわけであります。両三年という期限はつけておりませんけれども、継続的な協議をしよう。しかも、それはただいまの返還というその方針のもとにやろう、こういうことでありますから、私がこの会談を通じて両三年内に返還めどをつけ得る、かような確信を得た、これは私の確信には違いありません。しかし、私のただ単に個人としての表現ではありません。私は一国の総理として、この会談を通じて私の得たこの確信国民の方にも御披露したわけであります。したがいまして、スナイダー証言が間違っているとかいうものではありませんけれども、多く、この会談を通じてそれぞれが受けるもの、それは、私が率直に申し上げてもこれは間違いないのではないか。今日の状況におきましても私のこの確信には変わりがないことをつけ加えて申し上げておきます。
  11. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 だいぶ私の質問の前に総理からいろいろと言われましたのですが、共同コミュニケを、日本語英文を比較いたしましても、総理の言われたとおりだろうと思います。総理は非常に強調して、日本文で見るより英文のほうが、あなたがジョンソン大統領に二人で会われたときだと思いますが、非常に強調された熱意は出ておると思います、この共同コミュニケの二人の間の対話の関係が。両三年の間にぜひひとつ返してもらいたい、こういうことを言われたのだが、ジョンソン大統領は、日本語では、あなたの言うことは、十分理解していると、こう言っておられますが、英語のほうでは、これは言語の相違でありましょうけれどもアンダースタンズ(understands)ということで、あなたの言った熱意については受けとめておりますね。その上に副詞のフーリー(fully)というのがついておりますけれども、このアンダースタンズということが、これが一番この返還に通ずる偉大な、大きなことばだと私は受け取ったわけです。それがあなたの確信あるということに変わっていると思うのですね。私はごもっともだと思うのです。しかし、私はアメリカ大統領を信ずるよりも、日本国民でありますから、日本総理大臣を信ずるほうが私はいいと思っております。したがって、私はこれ以上多くを追及いたしませんが、どうかこの共同コミュニケ国民が非常に、この昨年の十一月十四日、十五日の会談によって、まず小笠原諸島は返り、そうして沖繩返還ができ得るという大きな明るい希望を持ったことは事実でありますけれども、その後いろいろの雑音が入ったために、また非常に不安な気持ちになっておりますので、どうか、大統領があなたに言われた——二人きりの会談でありますから、われわれ知る由もございませんが、あなたが確信を持っているということについて、私は日本国民は全幅の信頼をしていいと思うのですが、この点どうですか。
  12. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いま山本君が意見をまじえて述べられましたとおり、フーリーアンダースタンズ、そういう立場にありますので、私がいまの会談を通じてかような確信を得たという、このことはこれは私の確信には違いありませんけれども、これをひとつ御理解いただきたいと思います。そうして、もうすでにその立場に立っての継続的協議の第一回が行なわれた。この事実を見ましても、これがただ単なる話し合い、あるいはその場限りの問題じゃないということ、これをひとつ御理解いただいて、今後ともこの継続的協議、これができるだけ早いうちに話が進んで、双方の満足のいくような了解のもとにこの問題が解決されることを、この上とも国民の御支援のもとに私は進めていきたいと、かように考えております。
  13. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 もう一点、沖繩問題でお聞きしておきたい。沖繩問題で、返還問題で重要なのは、返される時期とその姿だと思っております。この共同コミュニケにもその点が如実に出ておると思います。第二の姿の問題ですが、どうもこの共同コミュニケによりますと、現在のアメリカ基地をそのまま認めるという条件のような印象を受けるわけなんです。これはきざなことで、原文を引用するわけではございませんけれども日本語の場合はこういう表現をされております。「日本その他の自由諸国の安全を保障するため重要な役割りを果していることを認めた。」、確認した。英文では、役割りを果たしておった以上に、「コンティニュー・ツー・プレイ・ア・バイタル・ロール」(Continue to play a vital role)という、いわゆるコンティニューという、続けていく必要があるのじゃないかと認めたやに受け取られるのですが、現在の基地がこの極東の安全その他に必要な役割りを演じておるのだという、単に現在のいわゆる必要性確認であるのか、今後続いてやはり必要であるという確認にこれが通ずるのかどうか。これは非常に重要だと思いますが、その点について御答弁願いたい。
  14. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 語学になりますと実はたいへん弱いもので、これは外務当局のそのほうの専門家にまかして、私どもその訳文で了解しておるのであります。ところで、いまの役割りを果たして、過去並びに現在、その辺までが私ども考えられるところで、将来にわたっての役割りというものを私自身が承認したと、こういうものではございません。この沖繩基地が過去並びに現在において果たしてき、また果たしておる、その状態は私にもわかる、かように実は申しておるのであります。これはもちろん、この点一番問題になるのですが、御承知のように・沖繩アメリカ施政権を持っておる。そうして自分施政権を持っておる限りにおいては、自由な基地をつくり得る。得ておる。幾ら日本潜在主権を持とうが、またそこにいる人が日本人であろうが、アメリカ自身施政権を持っておる。その立場において基地をつくっておる。こういうことを私どもも承認しなければならない、かように思います。しかし、その基地がそれではこれからどうなるか。こういう問題について、私とジョンソン大統領との間に密約でもあるか——そういうものはございません。だから、私が申し上げましたように、共同コミュニケ以上のものは何もございませんということははっきり言えるのであります。この点はこの際にも私はっきり申し上げておきますが、この基地の今後のあり方についてジョンソン大統領と私どもの間に密約があるかと、かように聞かれれば、さようなものは一切ございません。その基地が果たしておる、また今日まで果たしてきたその役割りを高く評価するというだけでございます。
  15. 羽生三七

    羽生三七君 ちょっと関連。ただいまの問題に関連して簡単にひとつお尋ねいたします。  沖繩返還方式については、総理はいつも白紙と言われておるわけですね。そこで外交交渉相手があることですから、相手出方を見て自分態度をきめていくということが白紙ともとれるけれども、いやしくも一国の総理大臣として、自分としては一定見解返還方式について一定見解を持っておるのだ。しかし、相手出方もあるからという意味白紙なのか。何にも一つ方針がなくて、会談継続協議に今後臨むというのか。これは非常に重要な問題だと思います。自分沖繩返還について望ましき方式はこういうものだ、こういう見解一つ持っておるけれども、しかし、外交相手があることだから、相手出方を見てということを白紙と言っておるのか、ほんとうに何も所見のない白紙なのか、その辺をひとつお伺いしたい。
  16. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまの点が議論になっておるのでありますが、私はもちろん外交交渉いたします場合に、何にも考えなしに、また自分希望意見なしに話しをするということは普通考えられない。これは羽生君の、言うとおりに、そんなめくらめっぽうで会議をするはずはない。しかし、私が申し上げたいのは、相手のあるこういう交渉、しかも、これはたいへん重大な交渉でありますが、そのときに一つ自分主張、そのもとに交渉すると、これはなかなかむずかしいことじゃないのか、かように思いますので、そこのところは十分話し合って、そうしてだんだん煮詰まっていくという、そういう形のほうが望ましいのではないか、かように思っておるのであります。わかったようなわからないような話をして恐縮でありますが、ただいま申し上げますように、一つの固定した考え方で折衝する、そうでなしに、いま御承知のように沖繩基地はもうすでにある。そうして、しかもこれから国際情勢はどういうように変化していくかわかりません。また、一方で軍事的な技術の進歩もあるので、また、日本国民の世論の考え方もある。そういうようないろいろのファクターを持っている外交交渉でありますから、一つ前提をきめて、そうして交渉するということは、どうも不適当じゃないか、かように考えます。そういう意味で私白紙だと、かように申しておるので、御了承願います。
  17. 羽生三七

    羽生三七君 もう一点だけ簡単に。そうすると、総理一つ考えを持っているということは事実なんですね。それをいま明らかにすることはできない、そういうことですか。
  18. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私がいま持っているというのはあるいは言い過ぎかもしれません。しかし、とにかく私の考え方をいま明らかにすることはできないということだけは、これは間違いないことです。そうして、とにかく私ども交渉する場合に、私ども日本の国益また日本国民の要望、それをやはりつかんで交渉する、こういう立場であることも間違いございません。御了承いただきます。
  19. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そこで、それは共同コミュニケによっても、総理が非常にいま苦しいような、わかったりわからぬような答弁をされましたが、そのとおりが如実に出ておるのですね。後段のほうに、いわゆる「同時に」、この基地の問題についてはごうごうということを確認されているのですね、読みませんけれども。したがって、これを通俗的に見ますと、英文学者はどう見るか知りませんが、普通のわれわれが見ますると、返還条件に、「アット・ザ・セーム・タイム」(at the smame time)ということで、同時にこれがきまらなければ返還めどがつかないというとり方をせざるを得ないわけなんですが、この点があなたと二人きりで話されたのですからわからないのですよ。国民はこれを聞きたいのです。この基地をどういう姿で返すかということの了解がつかない限りは、沖繩返還めどさえつかないのじゃないかという不安がありますので、この点を羽生さんも言われておると思うのですが、その点をひとつ聞きたいと思います。
  20. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いままで政府考え方が明確になりましたところは、この施政権返還、これは軍事基地をも含めて、これは一体としての考え方返還と取り組む、また、いわゆる分離返還というようなことは考えていない。こういうことを実は申し上げているのです。そこで、理論的な問題から申せば、理論的にはこの施政権返還基地あり方返還実現後の基地あり方と、これは理論的には分け得るものだ、かように私は思いますよ。しかし、全然わからないで、この基地の問題に全然解決がつくめどもなくてこの返還の問題が進むとは私は思いません。したがいまして、この返還ということはもうすでにアメリカもその方針をきめておるのですから、いつどういうようなことで返還をするかという、それがいま問題になっておる。おそらくその一番の返還を実現する時期にかかわる問題は、その基地あり方だと思います。そこで継続審議をいたしますとおそらく——いまのところまだ基地あり方について両国で話し合っておりませんが、もう少し話が煮詰まると思いますので、私は基地が片づかなければ返還めどは全然つかないんだと、かようには私は思いません。思いませんが、全然煮詰まらないで返還があり得ると、かようにも考えません。したがいまして、私いま重点を置いているのは、この継続的協議を通じてだんだん基地あり方、取り扱い方も煮詰まってくるんではないか、そういうときにはじめてこの返還めどが立ち、その時期も明らかになってくるだろう、かように私は思います。
  21. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あなたの白紙だという態度の表明ですが、どうも私自身もはっきりと理解できないです、いまの御答弁では。しかし、これは繰り返しておる問題ですから、これ以上追及したくはございません。外交というものはそう簡単に割り切れるもんじゃないということを私知っております。相手方のあることでありますから、あなたの言うことが全部通れば、これは問題はございません。通らないことはわかっておりますが、どうもその点が割り切れない。したがって、今後継続的にいろいろ交渉される際に、その点をまず明らかにするよう進んでもらいたい。返ってくるけれども、核つきの基地を持って返るということになれば、爆弾をかかえて里帰りするようなものでありますから、これはとうてい日本としても許せないことでありますので、どうかあなたの白紙というものが徐々に白紙でないように前進するようにお願いしたいと思うのですが、その点どうですか。
  22. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) さきのお答えで、だんだん煮詰まってきて、その姿がだんだん明らかになるだろうと、これで御了承いただきたいと思います。ことに日本の国が、相手のあることだから、その交渉については、これはもうある程度明らかにならないのもこれはやむを得ない。しかしながら、国民を代表しての希望として、ただいま言われますようなのが、核基地は困るという、これはおそらく国民を代表しての発言だろうと思います。私もそういう点では山本君のお話もよく伺っておきます。とにかく継続協議、これが実態であります。その場を通じてもう少し煮詰まらすこと、これが必要だと、かように考えます。
  23. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 沖繩問題については、これはこれ以上追及しても時間かかるだけですから、ひとつ北方領土の問題について三木外務大臣にちょっと聞いておきたい。  昨年だと思いますが、モスクワでコスイギン首相との間にやや明るいような感じのするような中間的措置とか何か、そういうことが報道されましたが、ただ、その後この問題についてはどう日本外交として進んでおるか、この点だけお聞きしておきます。
  24. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 昨年、コスイギン首相との会談によって、何か平和条約に至らなくても中間的措置は考えられないかという提案があった。これに日本は応じておるわけであります。したがって、このことは日ソ間の懸案問題を総ざらいする手がかりになったことは事実であります、この会談が。それに従ってモスクワの中川大使とソ連当局との間に日ソ交渉が始まっておるわけであります。しかし、ソ連は領土問題は解決済みであるという態度を今日までくずしておりませんから、領土問題に関する進展はないのであります。しかしながら日本は北方領土に対する固有領土である、あくまで返還を要求するという態度は変わりませんから、今後しんぼう強く日本の目的が貫徹できるように努力をいたしたいと考えております。
  25. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それではもう一つ安保体制について、これも議論が筋違いになると思いますから、例をあげて総理にひとつお聞きしておきたいと思います。それで外交問題は終わりたいと思います。  総理並びに自民党の諸君は、参議院選挙を通じまして、安保繁栄論を盛んにぶたれたわけなんです。  いわゆるアメリカのあの軍事力で日本は守ってもらうんだ、そのかわり日本基地を提供するんだ、こういうことで、本会議質問の中でも答弁されておるわけなんです。いわゆる安保繁栄論とわれわれは名づけておるわけでありますけれども、私はそういう論議は一応別として、しからばその上に、この点だけ、すでに論議はされたと思いますが、戦時国際法といわゆる安保条約、具体的に第五条の問題ですが、いわゆる例を申しますと、アメリカが他の一国と戦争状態に入った、そうすれば、その相手国は同じく敵国であります。敵国としての権利を持つ、戦時国際法上。その場合、日本は中立国であるけれども、その第三国と申しますか、アメリカとの交戦状態にある国が、日本領土内にあるということでありますけれどもアメリカ基地、敵国の軍事基地ということで攻撃し得る権利があると私は認めるわけであります。その場合に、日本政府はどういう措置をとられるかということ、事実問題とは別であります。あるかないかは別であります。
  26. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私から基本的なお話をいたしまして、なお法律的な補足は条約局なり、あるいは法制局長官からさしたいと思います。  ただいま言われますように、日米安保条約、その結果、日本アメリカ軍事基地がある。そしてアメリカが戦争に入った。日本は中立だ、もちろん入らない。そういう場合にアメリカ基地が攻撃を受ける、これはあり得ることだと思う。そういう場合に一体法律的にどうなるか、こういうお尋ねかと思います。
  27. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 日本がどうするか。
  28. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 日本はどうするかということだと思います。私は日本が、安全保障条約でもアメリカ自身が戦闘基地日本を使うことは事前協議の対象になる。これはもうお断りする。中立、これを厳守する、堅持する、こういう立場だと思います。だから、その点は日本がいわゆる戦争に巻き込まれる危険のないものだと一応御了承いただきたい。ただしかし、アメリカ基地があるからといって、アメリカ基地を攻撃するんだ、こういうことを第三国が言うて現実に攻撃した、こういう場合に、中立国日本はどうなるか。日本の国土を侵害しないで、日本の領海、領空を侵害しないで、日本にある基地を攻撃することができるかどうかという問題だと思います。私は、アメリカ基地とは申しましても、これは日本の領空、領土、領海を侵害しないでそういう攻撃はあり得ないと思います。そういう場合だと、これは日本が攻撃を受けたということになる。その場合には、平和憲法を持っておりますが、私は自衛の権利はある、これはもうもちろん日本本土に対する攻撃をされたように考うべきじゃないかと、かように考えます。そこで、初めて安保条約の危険のないこともおわかりだろうし、また危険がありましても、日本がそれを守り得る権利のあることもおわかりじゃないかと思います。なお、これは法律的にもう少し説明の要することだと思います。
  29. 高辻正巳

    政府委員(高辻正巳君) ただいま総理大臣からお答えになりましたとおりでございまして、実はつけ加えるものがないのでございますが、この問題は御存じのとおりに、安保条約の改定の際にしばしば論議をされた問題でございます。要するに、基地の攻撃ということがあり得た場合に、やはりその基地の攻撃というものは、わが国に対する攻撃ということなしにはできない。領土、領海、領空に対する侵犯ということなしには行なえない。その場合には、やはりわが国の国権の一つの侵犯という現実がそこに現出をいたしますので、わが国の自衛権の行使として、それに対しては武力で対抗するということが憲法上可能であるし、国際法上も別に違法とされるものではない。これがしばしばお尋ねに対するお答えでございます。
  30. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それは、この日米安全保障条約の最初の昭和二十七年当時の議事録を見ましたけれども、極東の安全と平和というこういう関連性においては、まことにそういうことも言えるかもしれません。しかし、それでも問題があります。いま総理が、日本領土内にある基地だから日本を攻撃したと同様に認める、これは第五条にそう載っております、事実は。そういうことになります。なるが、私はそこに一つの安保条約の問題点があると思うのですね。たとえば、かつて明治三十七、八年の日露戦争のときにどうだったですか。あの当時、遼東半島にあるロシアの軍事基地は膨大なものがあったですね。その当時はいまの中国の領土です、中華民国の領土です。日本軍は直ちに帝制ロシアと戦うためにあれを攻略したのですね。中国はどういたしましたか。そういうことから見ると、現実にあるないは別として、この安保条約というのは非常に危険性があるということですね。そういうのをそのままに、国民には安保繁栄論を言われることについて私は問題がある、そういう危険のあるということ自体もやはり国民が認めておかなければ私はいけないと思うので取り上げたわけですが、この点について総理考え方をもう一度伺いたい。
  31. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 遼東半島と日本にある基地とこれを比較された。しかし、遼東半島にあったのは、これは租借地としてロシアがその施政権を持っておる、こういうことでございます。しかし、日本にある基地、これは日本施政権を持っておるのでありまして、これは別に日本施政権を排除しておらない、これをひとつ誤解のないように願いたい。したがって、これを同一に考えるわけにはいかない。しかも、日本自身はこれは中立を厳守している。そうして先ほど来申しますように事前協議の条項はあるし、これを厳重に守っている。でありますから、アメリカ基地を攻撃したのだといっても、日本領土、領空、領海を侵害しないでそれが攻撃できるものではない。そういうことを考えると、日本はもちろん戦争には中立、そういう立場に立って、アメリカ基地といいましても、その中立国にある、日本にある基地、これは戦争には使われない基地であります。かように考えると、これを攻撃することは日本領土の侵害である、かように私ども思います。したがって、私どもがこれを守ることはこれは当然であります。ただいま法制局長官の言いましたように、法制上もまたりっぱに説明のつくことは当然の結果だと、かように思います。
  32. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これはあなた日本総理としてそう言えるけれども、戦時国際法で、そういう敵国ということになった場合に、長期の租借地だからこれはやらないのだ、これは日米安全保障条約の続く限りこの基地は続くのですから、これを相当無期限なものと解釈しなければいけない。その場合に、二国間、日米間のこの協定が、第三国の戦時中におけるそういう抗弁は国際社会正義に該当しませんよ。問題を含んでおることは事実であります。時間がありませんから深くこれは私は言いませんけれども、これは相当国際法学者の間に問題があります。しかし、そういうものをかりに日本は宣戦を布告といいますか、戦争状態に入らないけれども、侵略したのだからといって戦闘行為に入れば、これはもう戦争状態に入ることは事実であります。かりに総理のいま言ったことを認めても、日本国民は戦争を好んでおらない。しかし、アメリカ基地日本にあるためにやむを得ず敵国であるその国が攻撃をした、受動的ではあるけれども、これは戦争になる、この危険性は認めるでしょう。この点どうですか。
  33. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私はただいまの点が、こちらから積極的に出て戦争を始めた、こういうものではない。ただいまのように侵略が現実に行なわれる、侵害が現実に行なわれる、そういう場合に私どもが防衛に立ち上がる、これは国民として当然の義務じゃないか、かように思います。でありますから、そこの点をよくお考えいただいて、もう日本に対して侵害するような国がなければ、日本は戦争をやる、そんなことは絶対にない。いままでも何度も説明したとおりであります。これは現実に侵害が行なわれた、侵略行為がある、そういう場合には、日本が防衛に立ち上がる、これはやむを得ないのじゃないでしょうか。
  34. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 具体的に、それでは最後に一問だけで、これはどういう答弁をされようと無意味でありますが、いまアメリカと北ベトナムは戦争状態にありますね。アメリカはどういう関係か北ベトナムを爆撃していますね。その場合、日本国民は北ベトナムと戦う意思は毛頭ありません。現在、沖繩からB52が発進して実は爆撃しているようでありますが、あれがもし板付から爆撃をしておるとなれば、北ベトナムはアメリカ本土を爆撃するよりも、自分のところを爆撃している板付を報復爆撃するのは当然でしょう。それをした場合に、日本は侵害されたというのは、あまりにも国際正義から見て、相手方に対しては酷ではないかと思うのですね。この点を私は言っているわけなんです。日本立場だけでは国際正義は守れません。やはりいずれの国に対しても、敵国となったその国の権利というものを一応認めなければ、国際社会の秩序はないと私は見て、言っておるわけなんです。その点どうですか。
  35. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 答弁を要らないと言われてやっぱり答弁を要求されましたが、先ほど私申しましたように、日本は防衛的な立場には立って日米安全保障条約を使うけれども、これが戦闘、作戦基地になる、戦闘基地になる、要するに、そういうことは絶対にあり得ないのです。したがいまして、あり得ないことを例に引かれて、そのもとにおいてどうするかと言われた。これは私ちょっと無理なんじゃないか。板付がベトナムの爆撃の戦闘基地になるようなことは絶対にございません。したがって、幾ら仮定、仮想の問題にいたしましても、それは全然ないことなんですから、そのことはひとつお引っ込めをいただいて、とにかく一応、日本アメリカ基地だろうが何だろうが、日本領土、領空、領海侵犯されたら、これは防衛に立ち上がるのは私ども当然だ。かように御理解をいただきたい。
  36. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは非常に失礼な言い方ですが、佐藤総理は、そういう問題についてはもっと研究をしていただきたい。そういうことから、いま申しました沖繩をかりに返還するとなれば、そこがひとつ大きい問題が持たされておるのですよ。私はそういう意味において若干提起しておるのですよ。もしあなたの言われる説が、もう日本は絶対やらないのだとなると、沖繩がかりに日本返還されると、アメリカ基地というものが存在価値がないということになるのですね。したがって、私はその点非常に問題を含んでおるので、日本としては相当考えておかなければ、今後、安保条約を自動延長されるか固定的に延長されるかは別として、やはりそういう不安というものがあるということは事実なんですよ。この点は十分、総理自分の国のことを言っているけれども相手国、敵国に攻められておるのですよ。爆撃されて国民は殺されているのですよ、毎日。その発進する爆撃の基礎が日本領土内であるけれどもアメリカ軍事基地だとなると黙っておりますか、やはり日本と変わっても。そういう点をもう少し総理も、私は時間がないからあまり強う言いませんけれども、何かあなた、自分のことだけを考えておる。私は外務大臣の見解は聞きたいのだが、答弁されるならしていただきたいと思いますが、その点だけでこの問題は終わります。
  37. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 総理が、そういうことはあり得ないと、こう言われておるのは、日本の米軍基地を出動の基地、ベトナムに対して出撃する作戦の基地として使うときには、明らかに事前協議の条項にかかるわけであります。総理がそういうことはあり得ないというのは、事前協議として認めないという、日本政府の意思に反してそういうことはやらないのでありますから、そういうことがあり得ないという総理答弁はそのとおりであります。政府の意思に反してアメリカはやらぬという、しかも日本基地を作戦基地として使うときには事前協議の条項にかかるんでありますから、これは総理の言うことが正しいと思います。
  38. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 まあ何ですね、外務大臣もなかなかあなたは研究されていると思うんですが、ぼくは、事前協議をしなきゃ発進しないと言いますが、戦時国際法の観念からいくと、かりに発進しようと発進しまいとも、危険のある基地を持っておるやつはやれますよ、相手方は。これは戦争しているんですからね。それを事前協議で、発進しないからそれで終わりだという考え方についてはもう問題にならぬと思うんです。しかし、この問題はまた私は、次の国会は安保国会といわれるほどこの問題でありますから、そのときには十分やられると思いますから、きょうはこの点でひとつ終わっておきます、残念でありますが。
  39. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いま外務大臣からお答えしたので誤解がないように思いますが、ただ私はいま山本君の言われたことについて、在来の日本本土内の基地については先ほどの説明でこれは終止符を打っていただきたい。重ねての御議論をひとつやめていただきたい。ただ、問題は、いま後にちょっとつけ加えられた沖繩沖繩基地がどう使われるか、これが一つの問題だと、こういう御指摘でございます。私はこれが沖繩返還に、施政権返還に際して私どもが取り組むべき問題だ、ただいまそういう点についてまだはっきりしておらないということを先ほど来申し上げておるのでございますから、誤解のないように願っておきます。  この沖繩と本土とどう区別するか、沖繩は、現状におきまして施政権者であるアメリカがこれを自由自在に使い得る基地であります。それが今日までアジアの極東の平和に果たしておるその役割りというものを、返還後においてもさらに私ども考えなきゃならないのかどうか、これが今後の交渉一つの課題じゃないかと、かように実は思いますので、その意味においての山本君の発言、これは私どももよく考究しなきゃならない問題じゃなかろうか、かように思いますので、私の考え方もつけ加えて御披露しておきます。
  40. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ外交問題はこれで終わります。  次に、これは公務員の給与ですね、財政問題が重点になりますが、公務員の給与でひとつお尋ねしておきたいんですが、まず人事院総裁にちょっと聞いておきます。いよいよこの八月十五日に勧告が出ると思うんです。その時期と、それから、言えれば内容、実施時期についてどういうお考えがあるか、もうあと五日ほどしかございませんから、その点について。
  41. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) お尋ねの給与勧告はことしは免れない、必至であるということで目下盛んに勉強を続けておりますが、大体その時期は初め十五日ということをめどにしておりましたけれども、まあ一両日おくれるとしても来週じゅうぐらいには御勧告申し上げることができると思います。なお、中身につきましては、まあ大体われわれ現在重点を置いているところは、初任給だけはしっかり民間に劣らぬようにしておかないと、これはあとあと困るということ、それからまあ小さい問題かもしれませんけれども、交通——通勤関係の国鉄の定期の値上げなども相当著しいものがございましたし、この辺はよく見きわめて適正な措置をとらねばならぬというようなことで目下盛んに作業中でございます。
  42. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 総理に。予算委員会ですが、特にこの公務員の給与を取り上げたのは、総理にもひとつお聞きしたい。総理府総務長官とか、自治大臣にはしょっちゅう各常任委員会でやっておりますが、総理に特に聞いておきたい。  この前の昨年の場合も、直接ではございませんでしたが、人を介して総理に私の意見をちょっと述べたと思うのですが、いよいよ本年も人事院勧告が、いま答弁のとおり迫っています。公労協の春闘の相場から見ると大体八%以上上回ることは事実だ。人事院総裁は言いませんけれども、八%以上出ることは、私も専門的にやっておりますが、そのとおりでありますが、本年はどうしても勧告どおり五月から、あるいは四月からしていただきたい。公労協はすでに仲裁裁定は四月から実施しておりますから、ぜひ公務員の場合も四月からと思いますが、かれこれ言っても人事院が五月から実施ということになれば、ぜひとも本年は五月から実施していただきたいと思うのですが、この点総理考え方を。
  43. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 政府はかねてから人事院勧告を受けると、その勧告は尊重する、これはもうしばしば申し上げておるのですが、この態度には変わりはございません。その尊重するという立場に立ちまして、実施につきましても、いろいろ全力を傾倒しておる、かように御了承、御理解をいただきたいと思います。いま、何月からこれをやれとか、かようなお話もございますけれども、そこまで私は申し上げかねますので、ただいま人事院勧告がまだ出ておりません。それが出てきてはじめて私ども予算的にこれがこなし得るかどうか、それを考えなきゃならぬ、かように思いますので、その点は保留さしていただきたいと思います。政府はあらゆる誠意をもちまして、あらゆる努力をする、このことを御披露しておきます。
  44. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 人事院勧告を尊重と言われますけれども、尊重することは、実施時期もこれはもちろん利害関係があります。これも含めて尊重ということになると私は思うのです。実施時期は別だ、内容だけ尊重するということでは、これは尊重にはならないわけなんですよ。したがって、同じような関係にある公労協の諸君が四月から実施されているのに、なぜ公務員だけが——人事院でも一カ月値切っておるのでありますから、人事院勧告があったら実施するのは当然でしょう。当然のことがまだ考慮されていただけないというのはどういう理由なんですか、そこがわからないのです。
  45. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 過去におきましての政府態度、これを重ねて私申し上げたのであります。いままで実は不十分だというそういう御非難はございました。しかしながら、政府立場におきましては、あらゆる誠意をもって努力をしたその結果でございますので、それを重ねてお話したということでございます。
  46. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これはもうぼくは総理のいまの立場で、五月から実施するということをここで言明されることについては、いろいろ閣議の関係もあると思いますが、これは本年はぜひひとつその点だけは実行してもらいたいと思うのです。政府自身がいわゆる労働三権を奪われた公務員の賃金をきめる場合に、それがために人事院がある。その人事院が五月から実施すべきであるという、この勧告をしたのを五月からしないということになれば、これはいわゆる法治国だといつも言われますけれども、公務員に対しては政府は法治的な趣旨を守らずに、公務員とか、その他一般国民に法律を守れと言ったって無理でしょう。この点は幾ら答弁を求めても同じことを言うと思いますから、ぜひこの点だけは頭に置いて、今度の人事院勧告についての措置は十分考えてもらいたい、この点を特に私は総理に申し上げておきたいと思います。  それに伴って大蔵大臣に聞きますけれども、大蔵大臣だけは、政府でありましょうけれども、本年度四十三年度は総合予算で補正をしないということをたびたび言ってこられた。総理大臣はこの間の実は本会議答弁では、補正することもあり得る、絶対にないことはないという答弁を言われておりますが、これは総理に尋ねませんけれども、大蔵大臣にお願いしたいと思うのですが、本年の実は国税の収入の見込みについて、この前の本会議では〇・四%、六月現在では率は減っておる、こういうことでございました。いかにも力を入れて言われました。これは理由があるのでしょう。六月現在、昨年から比較して低いのは当然ですよ。酒税の引き上げの問題も、まだ効果が影響していない。いわゆる法人税の基礎である三月決算の状態を見ましても、非常に延納されておる。こういう事実から減るのは当然ですが、事実大体国税の自然増収の伸びは、一体どれくらい大蔵大臣は考えておるか、 この点ひとつ伺っておきたい。
  47. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 六月末の収納歩合が昨年度より下回っているということについては、いまおっしゃられたように、理由があると思います。したがって、税収について悲観をしているわけではございませんが、しかし、いずれにしましても、まだ三カ月たった程度の実績でございますし、これからの見通しにおいて不確定要素をたくさん持っておりますので、まだいま程度で四十三年度の自然増がどれぐらいあるかということの見通しを立てる段階ではないと思います。全くいまのところははっきりした見通しがついておりません。昨年は見通しどおりの税収はなかった、赤字を出したんでございますが、今年度はまた昨年よりも相当当初予算を組むときに、きつい見積りをしておりますので、その点で私どもも、税収については非常に心配して見守っておるわけでございますが、いまのところ、まだはっきりいたしません。
  48. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 税収の伸びにとって一番基礎的に重要な要件は、経済成長率の変化だと思うんです。経済企画庁長官にお尋ねいたしますが、当初予算編成当時は、名目で本年度の経済成長率は一二・一%ということであります。その後いろいろと各経済専門家意見を聞きますと、相当経済成長率は伸びておるということでありますが、経済企画庁として、本年の経済成長率の見通しについて当初どおり、まだ変更する必要はないかどうか、その実態について御答弁を願いたい。
  49. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) ともかく公定歩合を一厘引き下げができるような環境になったわけでございますから、昨年暮れに考えておりましたよりは、ことしの経済の動きは、国内及び貿易、当初考えましたよりは私は順調であろうと思っております。しかし、世界景気の動向、ことに御承知のように、アメリカの景気が先行き落ち始めるということは、ほとんど常識のように思いますので、まあ当面緩和はいたしましたが、先行きは警戒をしておるという状態で、ことに、このたびの経済の好調が、輸出を中心にきておりますので、輸出が落ち始めますと、必ずしも先の状態を楽観することもできない、そういうことでございます。年度が始まりまして、まだ第一四半期の統計がある程度出そろった程度でございますので、見通しを改定するという段階にはございません。  なお、税収につきましては、先ほど大蔵大臣が言われましたように、かなり今回は一ぱい一ぱいに税収を昨年の暮れに見積っておられるように私も承知しております。
  50. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 政府としては、そういう慎重な御答弁にならざるを得ぬと思いますが、各方面のいろいろの新聞情報、その他の専門家意見を聞くと、少なくとも名目では、本年は一四%を上回るという説が私は正しいと思うんです。これは私二、三年前の国会でもいろいろこの点でお話ししたわけでありますが、これはもうかけてもいいぞということで、大蔵大臣とやったわけです。私は今回の場合も、宮澤経済企画庁長官は腹でわかっておるけれども、言わないと思いますけれども、一四%以下でとどまったら、私は皆さん方に平あやまりしてもいいと思うんです。そういう状態は出ておるわけなんですね。それから見ると、税の自然増収も、これは私の試算でありますけれども、二千億以上は実は本年度は自然増収がある。大蔵大臣が、いや、ないと言われても、実際あった場合にどうするかということで、一ぺんこれはかけてみましょうか。あなた、いつも言うが、最後は私のほうが勝っているのだ、この二、三年というもの。しかし、その隠すという、慎重であるという政府態度はわかるんですよ。わかるんだけれども、それがどれだけ悪い影響を与えるかということなんです。したがって、今度は総合予算であると言われるけれども、必ず私は二千億程度の自然増収があることは、当然十数年間そうきているんですから、本年だけが特に経済的な状態でどうか。いま経企長官言われたように非常に上向いているということ、これは外国の要因もありますよ。ありますけれども、これはそれこそ事実なんです。それで補正予算を出さない、公務員の給与についても財源的に押えようという気持ちが出てくるから私はこう言っているわけですね。その点で大蔵大臣、一ぺんどうですか。もし私の言ったとおりになったら、社会党へきて、どうも悪うございましたと書ってあやまるかどうか。私がもしそういうことであったら自民党、政府のほうにあやまりに行きます、新聞記者をつれて。どうですか、実際ここで一回そういうことをやりませんか。
  51. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 税の自然増の見積りは、過去において私はここで答弁したのが二回は間違っておりました。私の言ったよりも税の自然増が多かった、三十六年、七年は。そういうことでございましたが、去年は大体当たって、心配しておりましたよりも、わずか十億でございましたが、予定どおり税収のほうが下回ったということでございますので、その一回は当たりましたが、今度はしたがって当初予算で目一ぱい見ていますから、私も税収を心配して見ているんですが、いまのところではまだ何とも言えません。もう少したたないというと、税収の方向がわからないということでございますので、ちょっといまあなたとかけるわけにはまいらない。
  52. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 笑いごとじゃない。国民に対して非常に重要な問題ですから。  そこで、補正しないと言われるんですが、本年の予備費は、いろいろ公務員の給与等々を入れて千二百億。まあ未曾有の予備費、こういうものを普通で見積れば相当国会で問題になるんですが、その予備費の理由というものはわかっているわけなんですが、この予備費の千二百億で、公務員の給与が八%以上出た場合に——ほとんど出ることは間違いありません。それが五月から実施してやり得る財源をここに見積っておられる。総合予算というのはあらゆる問題を予測して、総合予算で補正しないというんだから、当然それは見積られているものと私は考えておりますが、それはどうですか。
  53. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 今年はいわゆる総合予算で、補正予算を組まないという考え予算の編成をやりました関係から、予備費を当然に充実しておかなければならぬということで、あらゆる努力をして予備費を充実しました。額が千二百億円とありますが、従来この義務的経費の精算とか何とかいうことでもう予備費にまかせて、当初予算であまり正確に計算しなかったようなものも、今年はもう必要なものとして当初予算で計算しているものも多いというような関係で、額はそうふえないようになっておりますが、実質的には予備費は充実していると思いますので、そういう意味で私は、人事院の勧告が出ても相当誠意を持った対処のしかたができるのじゃないかというふうに考えております。
  54. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大蔵大臣のその答弁だけは私は特に受け入れておきます。私の質問に対してそれほど誠意のある御答弁をされたのは、九年間で初めてでありまして、公務員の給与が出れば、それを完全に実施するために誠意を持って対処する、こういうことについては、大蔵大臣の答弁としては十分私聞いておきたい。  そこで、もう一つ聞きますけれども、予備費千二百億というものは、これは私はちょっと概算で拾ったわけですが、昨年を基礎にやったわけでありますけれども、昨年は災害対策費として五百六十九億、公務員給与費として五百四十五億、これは八月から実施ということで五百四十五億、その他いわゆる一般の義務的経費不足補てんが二百二十三億その他百五億、こういうことで見積もりますと、どうしても千四百四十二億要るのです。しかもそのほかに実は生産者米価の引き上げの問題があります。これは政府は消費者米価の引き上げによっていわゆる補てんしようという考えやに聞いておるが、これはなかなかできにくいと思う。そうするとあなたが全然補正しないと言っても、当然要る費用から見ても千四百四十二億は要る私の概算です。これはそうでないというなら、それのひとつ数字を出してもらいたい。これは昨年のことでありますから、本年は台風は一回も日本へこないんだ、もう災害はないんだということであれば、そうではございますけれども、これは実は平均の災害の対策費でございます。公務員給与は、御存じのとおり昨年七・九%に対する五百四十五億、それがしかも八月、本年は五月。こういうことから見ると、生産者米価をそれ以上入れますと、実はもう補正しなければ、いまの財政法からいう予算方式を守る以上は出てこないと思うのですが、そういう金がほかにございますか、大蔵省に。これをひとつ聞きたい。
  55. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 予備費のほかにはございませんが、従来漫然と予備費にたよっておったというような経費を、先ほど申しましたようにいろいろ考えてございますので、そういう去年の計算以外に、実質的には予備費が充実しているというふうには私は考えております。
  56. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 考えているかどうかということですが、私はいけない数字が出ておるんじゃないか。あなたが考えておるといっても、なかなかそうはいかないわけです。千二百億、だから私それでは言いますけれども、最後にどうせこれはわかってくるんですから。どうしても補正をしないということでやっていくということで、補正がもしこの国会、次の通常国会でいいですが、最後で出てきたら、あなたどうしますか。出ない、出さない、しかもそれは全部総合予算の中に含まれておるんだ、そういうことで、もし国会に出してきたときには、政府はどうしますか。
  57. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) この前、総理答弁されましたように、異常な問題が起こって、既定の予備費ではとても対処できないというような問題がございましたら、この補正予算を組むということはありましょうが、普通の場合であったら補正予算は組まぬという意味のことしは予算編成方針でございますので、補正予算は組まないつもりで運営するつもりでございます。
  58. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 もう一つ、普通の場合と異常の場合の境はどういうことですか、それを聞きたい。
  59. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 予測をしない予算の不足に対するものというのが要旨でございますので、予測しないということですから、たとえば大きい災害があったというような場合は、普通の場合でないということになろうと思います。
  60. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃここではっきりしておきますが、毎年くるような災害、まあ台風による災害、集中豪雨による災害という、普通のときの場合には全部含めておる。それ以上の、いままでない、日本の歴史上ないような大きい災害がきたときにはやるのだと、おのずからわかりますね。それ以外、全部含まれておるということですね。それを確認しておきましょう。米価の問題についてもいろいろ問題が出てくると思いますが、それは全部含まれておる。ただ災害だけは大きい問題だというふうに理解していいのですか。
  61. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 米価の問題は、御承知のとおり、自然増を当てにして、従来予算を補正したというようなことでございましたが、今回は当初予算において各経費の均衡をとった配分をするという方針でございますので、食管会計の調整費に事前に、従来は予備費で支出した分の、予算の補正をやったときの金も当初予算ですでに繰り入れておくという措置をとってありますので、この米価の問題もその範囲内で片づけたいということをいま考えておるわけでございまして、従来予備費を使ったり、あるいは新しい補正財源をもって補正した予算を、今度はしないということですから、当初予算の中にあらかじめこれを準備しておいたということでございます。
  62. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 どうも私が押し込めると、何かごちゃごちゃ言われるからわからないのですがね。そうすると、私のは簡単なんですよ。あとでまたわが党の村田君が米価についていろいろやりますが、そのときまた詳しく言われると思いますが、私予算立場から言っておる。総合予算だから、今度は生産者米価については五・五%はもうすぐきめるでしょう。国会済んでからきめる、おくれておるけれども。その場合も公務員の給与は幾ら出ても五月から実施するということをわれわれは考えておる。それらをみな含めてもいまの予算でいけるのだ。私はそれを聞いておる。異常な災害があったときだけは国会に補正予算をお願いするけれども、それ以外はお願いしないということを大蔵大臣明らかにしてもらいたいということなんです。
  63. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 大体そういうつもりでございます。
  64. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 まあ、いま大体と言われたが、私はそれで押し込めません。私はそういうことも政治家としてよくわかりますから、それによって迷惑する方は相当あるのだから押し込めないんですけれども、あなた、あまりにかたいことを言うから少しは肩をもんだわけなんですよ。だからその点はあなたもよく——腹の中はよくわかっておるから、その点は十分考えておきなさいね。  それから自治大臣に申し上げます。  公務員の給与については、国家公務員に準じていつも実は地方公務員はやられておるわけですが、これについては本年もそのとおりやられるかどうか、その点を伺いたい。
  65. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) そのとおりでございます。——国家公務員に今回も準ずるかとおっしゃいましたから、そのとおりでございますとお答えいたしました。
  66. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そのとおりということで、国家公務員に準じてやるということ、それじゃ財源はいま大蔵大臣のやりとりの中で御存じのように、大体総合予算で組んでおるというわけなんです、国家公務員の場合は。地方公務員の場合は、地方財政計画にその点は明らかに組まれておるのですか、その点。
  67. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 一般行政費の中に組まれてあります。
  68. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 一般行政費に組まれておるが、しからばそれは、私はどうも分析しても出てこないのですね。したがって、これは大臣がそこまで言えないか知らぬが、これは重要なことなんです。国家公務員の場合についてはだいぶ私はいろいろと検討いたしましたが、地方公務員の地方財政計画は、あれは計画ですからね、そう数字がはじき出せないのです。行政費、地方財政計画あると思いますけれども、一体行政費のうちのどれだけが今回の人事院勧告に準ずるところの費用になっておるか、それをちょっと説明してもらいたい。
  69. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 補助を伴わない行政費の中に組んでおりますが、金額は現年災引き当ての応急事業費の追加需要額と合わせまして八百五十億円組んでおります。
  70. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 一般行政費は、本年の場合は一兆一千五百何億ですね。そのうちに八百五十億が今度の人事院勧告によるベースアップの財源がここに盛られておる、こういうことですね。そうすれば、それは地方公務員一人平均にして幾らになりますか。
  71. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) ちょっとお尋ね意味がわかりませんでしたけれども……。
  72. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 一人平均して幾らぐらい。
  73. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 大体腰だめと言っては申しわけありませんけれども、まだ人事院勧告も出ない段階できめますので、大体昨年同様ということを基準といたしまして計上いたしております。
  74. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ聞きますけれども、これは地方公務員の場合は、地方財政計画で各都道府県市町村の予算に盛りますから、ここではっきりしておかなければいかぬのですが、しからば昨年並みというと、昨年は一人幾らに計上したのですか、その点一つ
  75. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 大体国家公務員の一・五倍と見込んでおりますが、今回は給与引き当て分として七百五十億円、それが昨年度と同じ金額を組んだという数字でございます。
  76. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 先ほど八百五十億と言ったのは、あれは間違いですか。七百五十億になっているんですか。
  77. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 先ほど申しました数字は、災害の場合の事業費の追加需要額も合わせて八百五十億円。これを割りました場合には、その中で昨年同様の七百五十億円も一応計上してある、こういうことでございます。
  78. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 どうもたよりない。地方財政計画はごまかしの計画であります。時間がありませんから、詳しいことをひとつ自治省に聞きたいのですが、これはまた常任委員会でやるとして、七百五十億、七・九%、地方公務員、これだけ答えればいいですよ、ほかのことは言わぬでもいい。地方公務員の数、これは義務教育の教師も入っておりましょうし、一般行政職も入っておる、警察官あるいはその他入っていますが、それが何人、そして割ってどうなったか、そのことをちょっとだけ、それだけでいいんです。ほかのことは言わぬでいいんです。どうなんです。
  79. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 数字でございますので、説明員をしてお答えいたさせます。
  80. 細郷道一

    説明員細郷道一君) 昨年は七・九%のアップ、地方公務員の総数は、ちょっと正確な数字をいま忘れましたが、百八十万でございます。それから、所要一般財源額は七百四十九億でございます。本年度財政計画並びに地方交付税の算定の基礎に一応昨年との同額のものをそれぞれ計上いたす考えでございます。
  81. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 もう一点だけ確認しておきましょう。昨年より上回った結果になった場合については、自治大臣はその財政措置についてはどうするつもりですか。
  82. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 七百五十億円というのは、ただいま申しましたように、一応昨年同様のものを組んでおいたわけでございますが、ただ、実際勧告が出ました場合には、当然過不足があるわけでございます。不足を生じました場合も、金額によりまするけれども、私ども考えでは、大体いまの財政計画の内部で処理ができる、かように判断いたしております。
  83. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは最後にもう一ぺん総理にお聞きしておきたいと思います。  総理はいつも、あの所信表明の演説でも申されましたが、いまの日本の学生運動ですね、あなたのことばを借りるというと、一部の暴力的な学生と、こう言うわけですが、これは非常に重要な問題が私はあると思うんです。あなたが所信表明に出されるくらいでございますから、これは一つ大きな問題です。これは私の考えをちょっと申しますと、なるほど暴力をやるということには一応問題がありますけれども、そういう学生があくまで、実はああいう運動をしなければならないという政治情勢に対する認識は、一体どうなんですか。私はことしの通常国会まで社会労働委員長をしておりました。医師法改正で各地の大学の医学部の学生が参りました。話を聞きましたけれども、一人一人会いますと、きわめて純真ないわゆる学生であります。しかし、あの学生があくまで、いろいろと政府に対する問題もありましょうけれども、これは一つは政治に対する不信というものも相当あると思うんですね。この点について総理は、いまの学生運動、単に日本だけではないと思うんです。フランスでも相当大きい学生運動が起こりました。これに対する総理考え方について、あれは一部の学生の暴力だ、こういうことで捨てておけるかどうかということについて、ひとつ所見を聞いておきたい。
  84. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま山本君がお尋ねになりましたように、最近の一部の学生運動、これにつきましては、確かに社会一般の方々の批判も受けておるし、また非常な不安も生じておると、かように私は思います。ただ、出てきた暴力行為だけを、警察的な観点から取り締まりをするのはしごく簡単でございます。どうもさような意味でこれを見るわけにはいかない。そのよって来たるところのものは、これはまことに複雑なものがあると思います。政治、経済、あらゆるものと実は結ばれついておると、かように思いますので、やはり基本的なものの考え方でこれに対処しなければならない、かように思います。  ただいまもお話しになりましたように、学生そのものはまことに純真な考え方で、ときにはやむにやまれないというような気持ちで出ておる。一部同情し得るものもないではございません。しかし、いずれにいたしましても、社会秩序を破壊して、法秩序を乱しておる。こういう点については、法治国家として当然きびしい制約を受ける。その法は守っていかなければならない。ここは十分そういう意味の徹底はいたしますけれども、そのよって来たるところのものについて、さらに私どももメスを入れなければならない。私が申すまでもなく、学園、最高学府、そういうところは一体何をするところか。もちろん人間形成の場だと、かように思います。それならば、人間形成の場として十分にその使命を果たしつつあるかどうか。その人間形成の場としての学園、これは広範な自治が与えられ、そのもとにおいてこの成果をあげ得るというのが今日の行き方であります。その他もいろいろこまかな問題ございますけれども、その基幹になる、基礎になるものは、ただいま私が申し上げたとおりでございます。そこで、学園、その経営の衝に当たる者、さらにまた学生自身も、その責任等を十分ひとつ考えていただきたい、かような私ども考え方であります。  そういう気持ちから、文部当局におきましてもいろいろの具体策を立てつつあるわけであります。一番問題になりますのは、この問題と取り組むその姿勢、これが実は大事ではないかと思います。一部の政府だけの独断専行、そういうようなことであっては、学生諸君の共感あるいは共鳴を覚える道でもないだろうと思います。したがって、政府といたしましても、各界各層の方々の意見も徴しつつ、そうしてこれの対策を立てて、その中には、ただいま御指摘になりましたように、政治に対する不信、これまた原因の一つではないか、かように仰せられます。私どもも、そういう点においても政治家たる者、国民の信頼を得る政治活動に徹すること、これは必要だと思います。  とにかく学生運動が政治不信、それから生じた、かように申すわけにはいかないと思います。もっと根幹的なものがあるのだろうと思います。しかも最近の運動は日本だけではありません。御指摘のとおり、各国におきましてさような問題が起こっております。私が所信表明で、まことに簡単ではありますが、私の考え方を披露いたし、同時にまた、各界の皆さま方のこの問題についての積極的な進言も得たい、かように思って所信表明いたしたわけでございます。ただいまも山本君から、その一部について御批評なさいました。私の考え方の方向をただいま申し上げた次第でございます。どこまでも政府自身は、ただ取り締まりの対象、警察的な立場だけでこの問題を解決するつもりはございません。純真なる学生諸君の積極的な自覚、同時にまた、学園の自治、その立場に立っての経営者のあり方等を十分考えまして、そうしてその同意、協調を得るような、そういう方向でこの問題と取り組んでいきたいと、かように考えております。
  85. 松永忠二

    ○松永忠二君 関連。いま山本委員のほうから学生運動の問題についてお話がありました。学生運動については、お話がありましたように、いまの政治の情勢というものに対して、学生としての考え方というものが一つあって、一つの運動の原因をつくっていることは事実だと思うわけであります。それと同時に、私は、このいまの大学の教育の中に非常な欠陥が出てきている。特に私立大学等における非常な大量の生徒に対する教育ということが、事実上生徒と教授の間の個人的な接触の機会を非常に失わしている。また、その私学の授業料というものに対する国立との差、それに対して教授の数あるいは建物の施設、設備の充実という度合いにおいて非常な差がある。  こういうふうなマスプロの、非常な大量の生徒に対する教育の内容というものに対する不満というものも、学園の中における運動の一つの原因をつくっていることは事実だと思う。  こういうようなことを考えてみると、いまの総理大臣答弁にもあったように、各般の配意というものが非常に必要だ。ところが、新聞等に伝えられるところによると、本年度三十億という、特に私学に対する教育の研究費が計上されて、非常な額を大幅に得て、これを私学の研究費の助成に回そうということがすでに予算化されている。ところが、その学生運動等の起こっている、混乱のあるような学校に対しては、この研究費の配分を取りやめるというような、そういうことが一部伝えられて、文部省等の態度として出てきているようであります。むしろ私は、学生運動の起こっているような、そういう学校の中には、学園の教育の問題として、そういう費用が充実されてない、そういうことに対する学生の不満、こういうものもあるわけです。むしろそういう混乱をしているところにこそ私学の助成を充実をさせて、教育の内容を向上させるという努力がしかるべきであると私は思う。したがって、いまの総理大臣答弁等からも、そんなことが行なわれる筋合いではないと私は思うのです。こういう点について総理大臣見解を聞くと一緒に文部大臣からもひとつ、文部大臣おらぬですか。——総理からひとつ私は明確な答弁をしていただいて、やはり学生運動の起こっている原因の中の一つは、政治的な、あるいは社会的な情勢に対する不満もある、同時に学園内における教育の欠陥そのものにも問題が出てきていることを考えて、これを除去する非常ないい機会であるのにもかかわらず、こういう措置が行なわれるということが伝えられているが、こういうことは絶対ないと私たちは確信を持っているので、大臣の、ひとつ総理大臣の確言といいますか、明確な答弁を願いたいと思います。
  86. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 松永君の関連質問、たいへん示唆に富んだ御意見のように伺いました。確かに一般的に政治自身が、先ほども言われたように国民の不信を買っている、こういうことが一つの原因でもあるかというのすが、これでも表現のしかたでは、若い青年諸君がいまのあり方に欲求不満を感じている、こういうような言い方をされるのであります。また、ただいまの教育のしかたが、御指摘になりましたように大量——マス教育とでも申しますか、そういうような意味で施設も、さらにまた、その内容等も不十分だ。昔のように先生と生徒との間のつながりが今日はどうもできておらない、そういうところに人間形成上非常な不都合があるのではないか、あるいは精神的な面が失われておって、そうしてどうも物質的な面にのみ流れておる、いろいろ根本の問題があると思います。そういう根本の問題がありますだけに、これを簡単に対策はこれだということはなかなか言いにくいと思います。  そこで私は、先ほど申しますように、ただ単に警察的な立場に立って、取り締まりということだけでこの問題を見ないで、もっと基本的な問題として十分ひとつ取り組まなきゃならない、かように私は申し上げたのであります。その取り組み方の一つとして、いまの三十億になっておりますかどうか、金額は私覚えておりませんが、この私学の補助等についての計画がある。これを文部当局が特別な観点から、いろいろ問題を起こしているところには出さないとか、こういうようなことをしておるかどうか、私まだ不十分でそこまで勉強しておりませんが、しかし、ただいま申しますように、この学園の問題はなかなか各方面からこれを検討していかないとこの結論はなかなか出てこないと思います。政府自身が真剣にこの問題と取り組む、ただ警察的な観点であるような行政措置や、他の面で行なわれるということも、私これは注意しなければならぬと思います。でありますから、御指摘になりましたように、問題のある学校には一切援助しないんだと、かように問題を片づけることはいかがかと思いますので、もう少しよく文部当局に、実際の取り扱い方について私も相談に乗りたいと、かように思っておりますので、ただいま文部当局のほうからお答えさしたいと思いましたが、私自身のこの問題についての考え方を率直に申し上げまして、御協力をお願いしておきます。
  87. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ一応これで私の質問はこの国会最後の、私の質問としては最後ですが、きょうはいろいろと私は取り上げました。最後に学生問題を取り上げたというのは、やはりこれは政府だけじゃなく、政界自体が考えなくちゃならぬ問題だと思っております。  私は特にこの前の医師法改正のときに、学生のいろいろ陳情を受けたときに痛切に実は感じたわけなんです。総理も忙しいか知れませんが、そういう人々にも、暴力だとそういうきめつけでなくして、政治家は好んでそういう人にも会うという雅量も私は必要ではなかろうかと思うのです。ここに私は大政治家としての、まあ大がついていいかどうかは別といたしましても、襟度があると思うのですね。それがね、おいておくことについては、これは若い世代の人ですから、今後あの人たちが内閣をつくるのですよ。国会を形成するのですから、ああいう人々が。あの人たちに限りませんけれども、そういう大事な若い人々に対して政治家はもっと愛情を持った指導をすべきだ。いまの答弁で、抽象的でありますけれども、いまの佐藤内閣の方針は、単に暴力だけではないのだ、やはりああいう方々についてはもっと総合的に考えて指導しなければいけない、教育しなければならぬという政府態度はわかりましたが、今後はひとつそういうものをともに考えていかなくちゃならぬと思う。  すぐあれが出ると警察官、警察官ですからすぐ取り巻いちゃって、とにかく暴力を——どちらが暴力かわかりませんけれども、そういうことをやることが、付近の住民が迷惑をしているじゃないかということが、いま政治家の見方ですよ。そうではいかない。特に自治大臣は公安委員長ですか、そういう形で出るのは、治安を守るためでありますけれども、初めからあいつは悪いことをするやつだという考え方で行動するから、こちらも、じゃ、やってやろうかということで、角棒と警棒とで戦闘行為が生じてくるのですからね、この点は十分考えていただきたいと思います。どうぞひとつ、政府も今後ともいろいろな問題について精力的に、ひとつ国民のためにやってもらいたいということをお願いいたしまして、私の質問をこれで終わりたいと思います。
  88. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 以上をもちまして山本伊三郎君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  89. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) この際、委員異動について報告いたします。  鈴木一弘君、矢追秀彦君及び萩原幽香子君が委員辞任され、その補欠として渋谷邦彦君、田代富士男君及び松下正寿君がそれぞれ選任せられました。     —————————————
  90. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 次いで、村田秀三君の質疑を行ないます。村田君。
  91. 村田秀三

    ○村田秀三君 まず初めに農林大臣にお伺いいたします。  四十三年度任命され、構成されました米価審議会は、一般に中立といわれておりますが、これは農林大臣もさよう必得ますか、どうですか。
  92. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) ただいま構成されております米価審議会は、まあ俗称と申しますか、俗称には中立といっておりますが、私どもは中立とは別に呼んでおりません。いわゆる米価審議会でございます。ただ、いわゆるいろいろな経緯から利害関係者を除いていると、こういう実態はあると思います。
  93. 村田秀三

    ○村田秀三君 いま利害関係者を除いておると、こういう話でございますが、米価審議会の委員は、これは人間でございます。言ってみますと、米、パンは食しておるものと思いますが、そのような場合にも、なおかつこれは利害関係者でないということが言えるかどうか。
  94. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) まあ一億の国民が米は食べておりますから、その意味ではあらゆる人が利害関係者でございます。
  95. 村田秀三

    ○村田秀三君 そうしますと、私は中立ではない。むしろ一般的に言うならば、これは消費者の側の意見が多く入るという言い方ができると思いますし、同時にまた、今回任命されましたメンバーを見ますると、これはマスコミ関係者であるとか、あるいは農林省出身者であるとか、そういう方々によって占められておる。したがって、これは中立どころか、むしろ財界の意向ないし政府の意向を尊重する審議会であったと言わざるを得ないと思いますが、あなたはどう理解をいたしますか。
  96. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) まあそういう見方をお立てになれば立つのかもしれませんが、私どもはしかし、同時に学者の人たちもおりますし、また、古い農政関係の権威者もおるわけであります。それは、同時に長い何十年にわたって農政というものを研究し、またやっておりますから、必ずしも私は生産者を無視した立場ではない、こう思います。
  97. 村田秀三

    ○村田秀三君 論議は尽きないと思いますからこの程度にとどめます。いずれにいたしましても、いわゆる中立委員というのはあり得ないのじゃないかというのが、これは卒直に言って生産者農民の気持ちでありますから、これだけはお伝えいたしておきたいと思います。  次に、農林大臣に重ねてお伺いをいたしますが、今回の米審に諮問いたしました、結果的には答申が確定をいたしましたが、諮問と確定は同一のものと見てよかろうと思います。その四十三年度産米米価決定の試算数式——基準といいますか、それについて、一つは限界反収方式の変更、二番目といたしまして地代の変更、生産性向上のメリット二分の一還元の取りやめ、また予約概算金の資本利子を控除しないなどと、多くの変更を加えておりますが、この理由は何ですか。
  98. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) 今回政府は、参考試算として米価審議会に提出いたしましたものについて、基本的には従来——昨年あたりの方式を変えておりません。生産費・所得補償方式、そうして積み上げ方式をとっております。  ただその中で二、三改定されておる部分がございます。それは御指摘のような点であります。その点は、一つは原価性としての程度の薄いものである、多少これだけの史上まれに見る需給緩和をしておりますから、それらの状況を反映する、こういう意味でそういう方法をとったのであります。
  99. 村田秀三

    ○村田秀三君 ただいま農林大臣は生産費・所得補償方式はくずしておらない、ただ原価に入れることがちょっと問題ではないかというような、それらを需給状況とにらみ合わせて変更を加えた、こういうことであります。  若干長くなりますので、時間がもったいないのでありますが、とにかく限界反収方式の変更によって農家の方々は三百七十七円、地代変更——これは昨年まで実質小作料をとっておったものが、今回は統制小作料にいたしましたから大きな変更がある。一千百五十八円、生産性向上分の排除によって六十一円、資本利子取りやめによって五十六円の損害をこうむっていると、こう見ることができます。  で、原則的な立場に立つ生産費、所得補償を言うとするならば、これらの損害を与えて何の所得補償かと私は言いたいのでありますが、それについての見解をお伺いいたします。
  100. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) その中でまず申し上げますが、メリットの還元、これは昨年初めて入れたわけであります。むしろこれは生産を刺激したい要素のためにメリットを加えた、生産性の向上の還元であります。これは今日の段階においては、米価の費用の算定には私どもはとるべきではない、こういう理由であります。それから予約概算金の利子、これは元来が無利子で払われるものである。それに対しての計算方法をとることは不合理である。これもいろいろ理由はあると思います。  それから地代でございますが、地代は昨年は確かに実納地代をとったわけでありますが、この実納地代——昨年は、統制小作料が、御存じのとおり改定以前でございました。やがて昨年の米価がきまって後、たしか四倍でございますかに統制小作料が変わったわけであります。そこでその統制小作料を妥当なものとして高率でもって計算をした。それから限界反収につきましては、従来平均反収から標準反収偏差分を差し引くという方式をとっておりますものに対して、十分の一だけを需給緩和意味で標準偏差を本年度はさしあたり入れてみた。しかしこれは生産者には十分その生産性の増産というものに対しての配慮をしながらやる、こういう意味で私どもは合理性があると考えて試算を参考として出したわけであります。
  101. 村田秀三

    ○村田秀三君 幾つかあげましたが、地代の変更、たとえば農林省がことしの七月十六日公表いたしました四十二年産米の実質小作料、これは六千七十二円になっているわけですね。そうしますと大きな開きがある。ここが私は問題だと思います。下げようとしていわゆる算式を変更した。改ざんをした——悪く言えばそう言わざるを得ない、私はこう思います。同時に、また生産性向上のメリット還元の問題であります。これを見てみますと、ことしの四十三年度講ずべき施策の中には、いわゆる高度技術をもって高反収をはかるというのが施策になっておるわけであります。これを廃止するということは、土地生産性あるいは労働生産性を高めなくてもよろしいという政策変更に聞こえるわけでありますが、その点はいかがですか。
  102. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) 地代の問題は、昨年は実納小作料をとりましたのは、まだやみがありましたけれども、実際の統制小作料は御存じのとおり改定以前でございます。非常に低いところでございます。そこで、さしあたり暫定の意味におきまして、昨年は適正米価をつくるために実納小作料をとったわけであります。しかし、その後におきまして、御存じのとおり昨年の九月に改定をいたしました。たしか四倍でございますか、統制小作料をやみに近づけた、こういうわけであります。将来ともこれはまた必要な時期には直していかなければならぬものであります。そうすると、そういう基準ができました、そこでそれをとるのであります。かりにいま実納小作料というものをそれじゃ基準にして地代計算をやってまいりますれば、実納小作料をもし、かりにどんどん上げていきますれば、地代というものは無限に上げていくという要素が発生するわけであります。悪循環をつくる。これは考え方によっては非常に困るという意味から、統制小作料というものを基準にしたわけであります。  それからいま一つは、メリットの還元の問題でございまして、これも昨年からあらためて積み上げてみたのでありますけれども、これだけ需給が緩和している状況下において、もちろん今後とも労働生産性あるいは土地生産性が上がることはけっこうでありますが、それを生産刺激的な要素として考えた場合に、そこまで原価計算に入れる、こういう必要はないのではないか。むしろ奨励的な意味になってしまう、むしろ原価性は少ない、こういうような意味から、一応の理論的なものとして考えますと入れにくい、こういう意味で排除したわけであります。
  103. 村田秀三

    ○村田秀三君 論議をしても結論が出ませんから、これはこの程度で終わります。  もう一つ問題なのは、需給事情を反映させるということであります。需給が緩和したといいますが、その実態をひとつお知らせをいただきたいと思います。
  104. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) 詳細は事務当局から申し上げてもいいのでありますが、概略申し上げますと、四十一年ころから米作は需給が回復をしてまいりました。四十二年には御存じのとおり史上まれに見る豊作、千四百五十万トンという大きな数字になっております。そうして参りました。ところが、後存じのとおり、今度需要の面におきましては、消費が停帯しております。人口はふえておりますけれども、一人当たりは減ってきておる。千二百五十万トンといわれております。そこで、二百六十五万トン、 これは精米トンでありますが、この出来秋に今年の新米が古米として持ち越される、こういうふうな状況に立つわけであります。これはそれじゃ一時現象かというと、私どものほうのいろいろなデータから研究した結果としては、これはここしばらくは恒常的な形になるだろう。農民の努力もございます。また、技術の進歩もございます。あるいはその他資材関係の進歩もございましたが、いずれにしましても、現実の問題としては、今年度かりに平年作でも千三百万トン、そうすると、そこでもまたさらにいわゆる過剰米が——過剰米といっては悪いのでありますが、持ち越し米がふえることは事実であります。そういうような形になってまいりますと、需給は多い。ことにランニングストックを普通考える場合に、最高六十万トン、御存じのとおり四十一年から二年に繰り越すときは六十万トンでも大体四月くらいまでか、五月ころまでこれを使っておったのでありますが、それを考えますと、二百六十五万トンというのは相当な数量でございます。
  105. 村田秀三

    ○村田秀三君 別にまた論議の機会を持ちたいと思いますが、私の資料——これは農林省からちょうだいしたものでありますが、外米の輸入、これと内地米の繰り越し、これを見てみますと、四十二年度までは大きな差がないのですね。たとえば四十二年度は内地米の持ち越し量は五十八万五千トン、外米の輸入は四十五万七千トンでありますから、外米の輸入をしなかった場合には、内地米の古米の持ち越しという事実はあらわれてこない。そして二百六十五万トン云々といいますけれども、これは四十三年度、つまり四十二年度産米の一時的な現象である。日本の歴史の中でかつてないわけですよ、これは。それは認めますな。これが恒常的であるという理論というものはどこからできるのか、私は不可解と存じます。もう一度ひとつお答えいただきます。
  106. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) 少し専門的なことでございますから、細部にわたってはひとつ食糧庁の幹部から申し上げていいのでありますが、私、政府のほうから申し上げましても、過去において確かに昭和三十九年あるいは四十、四十一年等において外米輸入ございました。最近はきわめて微量でありますが、この外米輸入は、その年度においての需給調節でございますから、大体その年度で食べてしまう。したがってこれが押し出してきたものではございません。四十一から四十二、四十二から三へかけましてのこの二百六十五万トン、そうすると、大体やはり水田の面積も相当最近はふえてきておりますし、そこで生産の反収がぐっと上がってきている。そして天候も影響しましょうが、天候にかりに影響されましても、十分に平年作というものは取れるという見通しであります。まあこれは常識的なことでありますが、台風があると、私どもこれは教わった知識で申しわけないのでありますが、一荒れ十五万トンというぐらいでございますから、ちょいとした台風ぐらい来たのでは二百六十五万トンというものがあればもう心配はないというぐらいの、非常にものを持ち、しかもそれだけの技術、それからりっぱな何と申しますか、力を持っておりますから、平年作が千三百万トン、もう一つは消費の面が、これはわれわれもやはり消費増進は進めなきゃならぬのでありますけれども、何と申しましても所得が伸びるに従って食生活の内容が蛋白質を求めてきているという意味から、ずっと米の消費量が個人としては減ってきている、これは事実でございます。そういうところからしばらくこここういうような状態が続くであろうという考え方を持っているわけであります。
  107. 村田秀三

    ○村田秀三君 この論議はあとに譲ります。ただ、しかし私どもはどのように考えましても、つまり生産者米価をことしは三%台にしよう、そのために算式を変えよう、この努力が払われた形跡が十分認めざるを得ない、こういうことだけを申し上げておきたいと思います。  次に、問題は消費者米価に移りたいと思いますが、農林大臣の発言、新聞報道で見る限り、あるいは過般物価特別委員会でもお述べになったようでありますが、ことしは消費者米価を生産者米価が上がれば上げざるを得ない、これは常識である、こういうことを言われておりましたが、上げるとすればどの程度上げるつもりなのか、また上げるための原則的な構想があるのかどうか。
  108. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) 消費者の立場から見れば、消費者米価は上げないほうが非常にいいことであります。しかしながら、食管の健全な運用これは農民のためにも、消費者のためにも大事な制度でございます。そこでこれを健全に運営してまいりますたてまえから申しまし七も、今回、生産者米価が上がりまして、そうして食管のいろいろなやりくりを考えましても、ある程度の消費者に御負担を願わなければならぬ。そこで、これは食管法に基づきまして、家計米価というものを——消費家計の安定、すなわち家計米価というものを限度にいたしますと、約八%というものが天井になる。その許容する範囲内において、生産者米価のきまり方とあわしまして、私どもはやがてこれをきめていきたいと、こういう考えであります。
  109. 村田秀三

    ○村田秀三君 その八%の中には、まあ新聞でこれも見ておるわけでありますが、末端逆ざやの五百十五円の解消も含んでおるわけですか。
  110. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) 末端逆ざやは、御存じのとおり、食管の中には、食管のたてまえとしては大きな逆ざやがあります。これはもう御存じのとおり、一万トン買い入れますれば三万円という一応の赤字が出るという。しかしこの中にはマージンとか管理費、これを別といたしますと末端の小売り価格におきまして生産原価を割ること、百五十キロについて五百十五円というのが現在の末端逆ざやであります。で、この逆ざやというものをそのまま置いておくこと自体が、言いかえますれば食管の需給調整機能を失いつつあると、こういう弊害面に回ってきておる。こういうような意味から、これをできるだけ両価格の正常化——生産者の再生産確保とそれから消費者の家計安定という両米価のたてまえはくずしません。しかし、その中において、両米価の正常化という意味では、せめて小さな末端における逆ざやだけは解消していきたい、それが一応ほぼ三%ぐらいと、しかし、生産者米価等のきまり方いかんによってはこれが一挙に解決できるかどうかはまた考えてみなきゃならぬ点であります。
  111. 村田秀三

    ○村田秀三君 この末端逆ざやの解消、だいぶ根強く大蔵省はじめ考えておられることを、私ども承知はしております。しかし、一挙に解消するかどうかということは考えてみなくてはならない、こういう言い方でありますが、まあいずれにいたしましてもこれは解消したいと、そういうことでありますね。
  112. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) ただいま申し上げましたように、むしろ末端逆ざや——もう生産者から買い取った原価を割って物を売るということは、おそらく食管法自体も前提には考えてない。まあ率直に申しますれば、非常に裕福な人の食べるお米も、犬に与えるお米も、みんなそこに五百十五円ずつ一種の国家の税金で補助をしたようなかっこうで与えられておる。これはおかしな現象です。しかも、それによって、極端なこと言えば、買っては売り、買っては売りという一つの需給調整機能を妨げるような、ぐるぐる回りになるような一つの不健全な要素があり得るわけであります。そういうものも考えてまいりますと、食管の健全化をはかる意味でも、私どもは両価格の関係の正常化だけは少しでも前進してまいりたい。最小限のこれは逆ざや解消、正常化の問題でございます。
  113. 村田秀三

    ○村田秀三君 では聞きますが、この逆ざやというのはどういうことでできたわけですか。
  114. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) 専門的にはひとつ食糧庁のほうからお聞き願いたいんでありますが、私が大体存じておりますところでは、生産者米価はどうしてもいろいろな生産者への再生産確保、適正米価を積み入れて上がってまいります。また、消費者のほうにおきましては、できるだけ下げなきゃならぬという理由もございます。そこで、ある段階まではそれは両方がコストが見合ってやっておった時代もあったのでございます。しかし、最近に至りましてはついにそれがもう末端逆ざやまで出るような状況になってしまったと、こういうことでございます。
  115. 村田秀三

    ○村田秀三君 私は、この逆ざや問題については、いわゆる食管法の精神にのっとって家計米価の安定をはかる、こういうたてまえで必然的に出てきたものであろうと思っております。だとするならば、これはとりわけ食管法の精神にのっとって、故意に解消する必要はないのではないかと、こう実は思うのであります。別に何か意図があるのではありませんか。
  116. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) そこまで参りますと、政策論の基本の問題になります。食管法というものを社会政策的に考えていくならば、そういう論も成り立つと思います。消費者にはもうできるだけ安く、末端逆ざやがふえても国の税金で埋めていくのだ。しかし、今日は、お米は、御存じのとおり、どんな裕福な地位の高い人であろうと、そうでない人であろうと、みんなそれはある意味では国の税金で末端逆ざやまで補助してやる。もし社会政策的な意味でやるならば、私は、そういう米の配給の過程でやるのがいいのか、むしろ社会保障的な面ではっきりこういう金を持つほうがいいか。あくまでも食管会計というのは、一つ国民経済というたてまえの中で、しかも消費者を守り生産者を守るという中で食管経済が健全に運行していくことが農民のためにもなり消費者のためにもなるというのが、私どものたてまえからくる逆ざや解消論でございます。
  117. 村田秀三

    ○村田秀三君 これは他に意図があるのではないかと思いますが、それはまた別な機会に譲ります。ただ、よしんばこれを解消せざるを得ない、このように思いましても、少なくとも国民はいわゆる食管法の精神に基づいて安くしてもらっておったと、こう思っておる方が多いかもしれない。それを一挙に吸い上げるこのやり方、私は非常にいけないのではないかと思いますが、少なくともこれは三年間なり五年間で解消するというような——よしんばその方向が正しいとしても、そういう方法をとるべきであろうと思いますが、いかがですか。
  118. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) 私どもは、これはできるだけ早い機会にこういうものがならないように気をつけるのが元来の食管運営の姿勢であったと思います。しかし、残念ながら諸般の状況から今日そういうものができている。食管の運営上、これはむしろ食管自体を悪い方向へ持っていく要素になっておるのでございまして、そういう意味で、私どもはこれを直してまいりたい。ただし、生産者米価等のきまり方もありますし、そういうような点から、おそらく来年これが直ちに一挙に解決できるかどうかは、まだきまった後のいろいろな諸般の食管の内部、古米の取扱い、いろいろな問題と関連して考えてまいらなければならぬと思います。
  119. 羽生三七

    羽生三七君 関連。農業の基本的な問題は、これから村田委員がだんだん御質問になると思います。  一つは、総理でも、大蔵大臣でもよろしい。外務大臣はおいでになりませんけれども、余剰米を低開発国援助に使えないかどうかということ。これは、国際小麦協定が期限が満了になって、今度新たに国際穀物協定になりましたね。それで、日本は留保条項を付して、農薬、農機具というものを中心にしたわけですね。ですから、農薬、農機具、それはいいですよ。いいけれども、ビルマやタイのような国は別として、インドあるいはインドネシアのような国、それから政治的腐敗を起こすような条件さえなければ、国内価格と国際価格との差額じゃなくて、財政上の差額をどうするかという問題があるけれども、私、低開発国に対して援助するような道を開いたらどうか。四十三年度はとりあえず五十一億二十二万五千トンというふうに日本は一応の予約をしておるわけですが、これは農薬、農機具でこれを補てんしようとしているわけですね。四十三年度は半分で、四十四年度からいま申し上げたような額になるわけです。これは一つの問題として十分検討していただきたいと思います。これは余剰米の消化の一つの方法として、どうであろうかとまじめに私は考えておるのですが、どうでございましょう。
  120. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) 農林大臣としての御返事になるかもしれませんが、私といたしましても、これだけの大きな米を持っておることは、少しでも援助の道等には振り向けたいという気持ちは強いのであります。ただ問題は、相手方がそれに、何と申しますか、日本の米というものに合うかどうかという質の問題、それからいま一つは、価格がかなり違っておりますから、それに対しての問題等々が、諸条件があると思います。しかし、せっかく穀物協定等の中においての食糧援助の項目等もありますので、内部的には私も前々から、外務大臣なり、その他の方面にも御研究は願いたいというようなことはしばしば言っておるわけであります。
  121. 村田秀三

    ○村田秀三君 この機会に、経済企画庁長官にちょっとお伺いします。ことしの物価四・八%上昇予想、この範囲内にとどめるためには消費者米価をどう扱えばよろしいか、何%程度引き上げればよろしいかという問題です。
  122. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 御承知のように、四・八%という数字はこまかく積み上げた数字ではございません。それから、政府の消費者物価上昇の上限としての努力目標であることも、前国会で申し上げたとおりであります。しかし、この四・八%の中には消費者米価は一応上がるということを前提にしておりませんのでありますから、何がしか上がればやはりそれだけ四・八%の維持というものはむずかしくなっていく、こういうことであろうと思います。で、ちなみに米——配給米、非配給米、それから外食の一部に米が入っております。みんな合わせますと、ウエイトにいたしまして一万分の八百四十ほどでございます。で、それに何%上昇するかということをかけまして、かりに十月実施であれば年度に与える影響はその指数の半分ということでございますけれども、従来、消費者米価が上がります時期の統計を見ておりますと、大体理論的にただいま出ます指数、それのほぼ倍くらいの上昇を物価指数に与えておる、こういうのが従来何年かのほぼ平均の計算でございます。
  123. 村田秀三

    ○村田秀三君 農林大臣にお伺いしますが、消費者米価は上げてもらいたくないというのがこれは国民一般の意見であることは、御存じのとおりであります。そういう立場から、私は極力これを押えるということについて要望をいたしておきますが、もう一つ心配なことは、先ほどの逆ざや解消問題、それから派生をいたしまして、昨年の十二月三十一日大蔵省構想なるものが発表されましたその中に、末端逆ざやどころか、米屋さんに売り渡す価格との差、予算上は一千百一億と記憶いたしますが、これを五カ年間で解消したい、こういう構想が発表されております。いままでの経過を見ますと、この構想は、そのような形で進められておる今日の状況を見ますと、いずれかはこれに手をつけるのではないかという不安があるわけです。その辺のところをしかとお答え願いたいと思います。
  124. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) 細部にわたっての数字等をもっての御説明は食糧庁長官から申し上げていいのでありますが、私の基本的な気持ちとしては、末端逆ざやについては、食管の健全な運営のためにこれを直してもらいたい。しかし、その他の御存じの大きな逆ざやと申しますか、マージン、管理費その他からくる赤字、これはまた別の意味があると思います。食管としては別の意味がありまして、いまおっしゃるような意味でこれをただ消していくというようなことでは、そんな観点から食管制度というものを簡単に考えるべきではないと、こういう考えでございます。
  125. 川村清一

    ○川村清一君 関連。私、関連でお伺いいたしますことは、ことしの生産者米価決定にあたりましては、例年にないもろもろの問題があまたあるわけであります。その他いろいろな問題については、また村田委員から質問があろうと思いますが、私ただいま議論されている問題について一つ取り上げてお尋ねしたいと思うわけでありますが、ことしの生産者米価決定にあたりましては、単に農林省だけでなくて、大蔵省、経済企画庁、これが異常にハッスルしているということであります。で、このことは、一つには、何と言いましても、財政の硬直化を是正するために総合予算主義をとった。この総合予算主義をあくまでも堅持する、こういうたてまえの中で、これを至上命令とし、大原則として、この中で生産者米価をきめようとしておるということ、これは一つの大きな特色だろうと思うわけであります。そこで、生産者米価を極力低く押えようとしているということ、それと今度消費者米価との関係でございますが、生産者米価を低く押えてその上がった幅だけをスライドして消費者に負担させるというのでなくして、さらにその上に消費者に何%か負担をさせて、いままでの一般会計から食管会計に繰り入れておるところのいわゆる二千四百十五億ですか、この問題をだんだんこれを解消していこうという、こういう計画があるのではないかと思うわけであります。これが消費者になおさら大きな負担をかける問題になろうと思うわけであります。そこで、宮澤経企長官は、八%だとか、幾ら多くても一〇%以内に押えなければならないと、たとえば最初は三%台で生産者米価が試算されたけれども、その後与党自由民主党話し合いの中で当然五・五%だとか六%とかとなってくると、そうすると、その上にさらに三%、四%かけて消費者米価を上げていくと、こういうような考え方がある。これが非常に大きな特色だろうと思うのであります。  そこで、私はここではっきりしていただかなければならないのは、一体この二千四百十五億の一般会計から食管会計に繰り入れているこの額を何年かかってこれを埋めようとしておるのか。一年でやるということではないでしょう。何年かかかってやる。そうすると、その何年かはいつも生産者米価が上がった分にさらにそれが積み上げられて消費者が負担しなければならないということで、消費者はたいへんな負担をしなければならないと思うわけであります。したがって、どういう計画なのか、これをここではっきりしていただきたいと思うわけであります。
  126. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) お答えいたします。  私が先ほど来御説明申し上げておりますように、私どもは、食管の現在の健全な運営というものがまず当面の私の責務でございます。これが非常にひどい状況になりますれば、極端なことを言えば、米の買い入れにも支障を来たす。あるいは金を借りれば金利がつく、しまいには金利を払うのにまた金を借りるというような妙な形になってしまう食管でございますれば、いけない。それが、食管会計というものを非常に心配しておる。そこで、今日、御存じのとおり、二千四百十五億円というものをもらってはおる、これが補てんになっておるわけであります。しかし、それはさておいて、私どもとしては、当面の逆ざや解消というものは食管の運営の健全な運営にむしろ弊害がある、こういうふうに見ておるものですから、その正常化でありまして、二千四百十五億を、これを直ちにここでもって解消するとか、これをただ穴埋めするために生産者を押えるとか、消費者を押えるとか、こういうような考え方で食管制度をこれから考えていくというのでなくて、むしろ食管の将来の健全な運営、これが農民のためにも、また消費者のためにもよりよい食管制のほうへ行けるのじゃないか、行く道をさがすべきじゃないかというのが食管改善の意見なんです。どうぞそういう意味で、私どものいま逆ざや論というのは、当面しておる末端の逆ざや解消、しかしこれも米価のきまり方いかんによってはやはり本年度だけでは片づかない問題でございます。
  127. 村田秀三

    ○村田秀三君 いまの川村委員も関連をいたしましたが、私がいま申し上げました千百一億の五カ年計画、この問題と同じ性質のものであります。健全な運営とこう言いますが、食管法のたてまえとしましては二重米価は当然であります。だとすれば、その中に多少持ち出しがあることだけはこれは必然でございまして、それを認めない限りはこれは今日の食管制度のたてまえとしてはいけないのではないかと私ども考えておるわけでありますが、さような意味からするならば、いわゆる米屋さんに売り渡すところの千百一億も、総体的に二千四百十五億も、これを解消しようとする考えをいま農林省がお持ちになっておるのかおらないのか、こういうことをお伺いをしておるわけであります。
  128. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) 末端逆ざやは別といたしまして、私は、少なくとも、食管が改善されたにしましても、将来においても、やはり食糧というものは、再生産を確保し消費者の家計安定という柱は大事な柱で、これが根幹になりますから、当然そういうようなある程度のものは相当国家でやはりめんどうを見ることは続くと思います。
  129. 村田秀三

    ○村田秀三君 そうしますと、二重米価制度は認めると、端的に言いましてそうですね。
  130. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) 私は、二重米価と簡単におっしゃいますけれども、いろいろな意味の取り方があると思います。たとえば、生産者米価においては再生産確保という一つの柱、それから消費者米価においては家計米価という限度、これによって目的は再生産確保と消費者の家計安定と、それをきめる場合に両方とも物価その他の経済事情をよく関連してきめる、こうなっております。そこに、ですから、需給が非常に多いときには、やはり需給状況も経済事情の一つでございますから、関連させながら考えていくというたてまえでございますから、割り切った別々の観念から出てきた二重米価というふうには私は考えていないのでございます。あくまでも基本は、食管法第一条にあります国民経済の安定に資するための法律制度でございます。食管制度でございます。この目的を見詰めながらやってまいりたいと思います。
  131. 村田秀三

    ○村田秀三君 家計の安定を尊重するということだろうと理解をいたします。そこで、いままで消費者米価をきめます方式に家計米価方式というのがございます。これをことしもおとりになるのかどうか。
  132. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) これは経済企画庁とも関連ありますが、所得の伸び等を計算いたしまして、家計米価の許容の範囲内で私どもは消費者米価を算定し、最終的に決定いたしたいと、こう思います。
  133. 村田秀三

    ○村田秀三君 私どもが試算をいたしました——これは多少皆さん方のと違いはあるかもしれませんが、従来の方式をとりますると、名目可処分所得はその伸び率一一二・四一%と、こう出ております。これは下がるのではないか、こう思います。そうしますと、八%は確かにこの範囲になります。ところが、実質可処分所得の伸び率を見てみますと、これは一〇七・九%でございます。いま農林大臣がおっしゃいました消費者米価の値上げ率大体八%、こういうことになりますと、実質的にはそれを飛び越える結果になって、家計の安定には通じないということになるわけでありますが、その一つは、名目可処分所得をとっておりましたものを実質可処分所得に変える考えがあるかないか、このことと同時に、とにかく今日までの算定の方式でございますと、これは家計の安定に通じない、つながらないという結果になるわけでございますので、どうしても家計の安定をいま農林大臣がおっしゃられたようにやるとするならば、これは当然実質をとるべきであるし、八%以内、それよりも下回る数値をとる必要があるのではないかと考えておりますが、お答えをいただきたいと思います。また企画庁長官にもお答えをいただきたいと思います。
  134. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) 非常に方式等も専門的になっておりますので、ちょっと食糧庁長官から、これは数字の正式な御答弁が大事な点でありますから、お答えいたさせたいと思います。
  135. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 家計米価の算出につきまして、名目可処分所得の伸び率をもって従来から計測をいたしておるわけでございますが、実質の可処分所得ないし所得の伸びというもので米価をきめるということも、必ずしも考え方としてはあり得ないわけではございませんけれども、もしも実質の可処分所得の伸び、所得の伸びというものを計算するのであれば、米価自身も実質的価格水準ということで対比をする必要がある。むしろ、計算の簡便化といいますか、明瞭な相関関係を求めますためには、いずれも名目で計算するということのほうが適当であるということが一般の見解でございます。私どももそれに従っておる次第でございます。
  136. 村田秀三

    ○村田秀三君 時間がございませんから、これ以上論議はいたしませんが、少なくとも長官の答弁を……。
  137. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) いまの食糧庁長官の御答弁でよろしいわけですが、つまり、実質可処分所得を考えるとすれば、名目可処分所得を物価指数で割るということになるわけでございますが、この物価指数の中には米価の上昇分が当然に入ってくることになりますから、したがって米価を名目——これは当然名目でございますが——で勘定する以上、実質可処分所得も名目で勘定することが理論として一貫するというふうに思います。ただ、村田委員の言われることについては、それに関連して二つばかり同じようなラインでの意見が出ております。一つは、だんだん家計における米の消費の量が減っていくと申すよりは、家計費の中で米に充てる費用の割合が小さくなって、エンゲル係数が小さくなってきての意味であります。とすれば、そういう生活環境の変化を反映するためには、可処分所得一ぱいまでの消費者米価上昇を認めるべきではなくて、その間弾性値を求めて、家計が変化といいますか、近代化した分だけは家計米価の上昇分から落としていくべきではないかという意見、これは米価審議会で先般出ました答申案の中にございます。それからもう一つの実際上私どもがやってまいりましたことは、ただいま仰せられましたようなこともございますから、可処分所得の上昇一ぱいまで家計米価を上げずに、何がしかの余裕を、マージンをとっておく。これは従来大体そういうことでやってきているわけでございます。
  138. 村田秀三

    ○村田秀三君 長くなりますからその論議はやめますが、いずれにいたしましても、国民の皆さんは、今回いろいろなことが言われておりますが、その値上げ幅についてですね、とにかく非常な不安を持っていることは、御存じのとおりであります。要望いたしますことは、四・八%問題に拘泥するしないは別にいたしまして、とにかく家計の安定を優先的に考えられて極力この幅を押えられるようにお願いをしたいと思います。  次に総合予算との関係でありますが、けさの新聞を見ますると、ことしの買い入れが非常に増大をする、九百四十万トンあるいは九百五十万トンにもなるのではないかということが報道されております。農林大臣にお伺いいたしますが、その実情についてお答えをいただきたいと思います。
  139. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) ただいままで、あるいはどういう形で新聞に出ているか、ちょっと数字は間違いのように私は聞いております。今朝まで私聞いたんでは八百六十万トンか五十万トン、その前後の予約の申し入れのようでございます。ただ、ことしの出来秋に向かっての状況がもう少し上昇していくことはあるかもしれないというふうに考えております。現在は八百五、六十万トンの予約の申し入れを、こういうふうに考えます。
  140. 村田秀三

    ○村田秀三君 農林省が公式に申しておりますのは、確かに八百六十万トンでございますが、しかしことしの予約の動向、いろいろ考えまして、九百四十万トンから九百五十万トンが予想できるのではないか、こういう報道でございます。私も、昨年の例に徴しまして、農林大臣も認めておりますように、これが恒常化するのではないかということをかりに前提としてみました場合に、この九百五十万トンもあるいは不可能ではないかもしれない、こういう前提に立ってものを申したいと思うわけでありますが、この場合に予算上どういうことになるのかということであります。
  141. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) まあ大体二千四百十五億円の一種の赤字補てんを行なっておりまして、そうしてまあ食管会計の収支でまいりました場合において八百万トン余、さらにそのある程度の増量分は私どものほうとしてはやれる、こういう計算で一応食管会計の運用は持っておりますが、九百万トンこえてくるというような相当な量になってまいりますと、これは予測した以上の量になります。したがって、よほど特別な国庫余裕金を増して、金利の負担をよほどなくなすとか、いろいろな特殊な手でも打たないというと、かなり困難になるのではないかと思います。
  142. 村田秀三

    ○村田秀三君 大蔵大臣にお伺いいたしますが、一説によると、八百六十万トンであれば食管会計の中の予備費でまかなうこともできる、しかしそれ以上九百万トンあるいは九百五十万トンということになりまするとこれは不足するのではないかということが言われておりますが、その際いかがなされますか。
  143. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) いま農林大臣の言われたようなことで、完全の予測ができませんが、ある程度の買い入れ量の増大ということについてはいろいろ食管会計の中で何とかこれはできるという予算編成のときの見通しでございましたが、これが極端に多くなるというようなことになりますというと、なかなか食管会計の維持というものはむずかしいという事態になろうかと思いますが、いまのところはまだ新聞に書かれているような買い入れ数量になるということでは私はないと思っております。
  144. 村田秀三

    ○村田秀三君 もう米はできておりますね。買い入れは九月、十月、十一月、間もない話であります。したがいまして私は聞いておるわけでありますが、その際どうするのですかと聞いておるわけです。足りないことは間違いないわけです。
  145. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) いままでのところでは、予想し得る数量というものも何とか二千四百億の繰り入れによって対処し得るというふうに私ども考えております。
  146. 中村波男

    ○中村波男君 関連。この機会に政府の統一見解を伺っておきたいと思うのでありますが、それは、食管制度の根幹とは内容的にどういうものであるか。いままで一応木村官房長官等々の談話等によって私たちが知っておりますのは、いわゆる政府の必要な分だけは管理をいたしまするけれども、余分な余った分については自由販売にしてもそれは食管の根幹をそこねるものではない、こういうことが言われておるようであります。しかしながら、一昨日の大蔵委員会における水田大蔵大臣の御答弁を新聞で拝見をいたしますと、明らかにいわゆる支持価格制を打ち出して間接統制を指向し、さらに食管法の改正案を次の通常国会に提案をする、こういうことを言明されたのでありますが、それをきのうは官房長官が打ち消されまして、次の通常国会には食管法の改正案は出さない、まあこういうことを新聞で拝見をいたしたのであります。  そこで、私は関連でございますから、流通制度を認めることが食管法の根幹をそこねるかそこねないか——われわれはそこねるものであると考えておりますが、その議論は別の機会にいたしまして、そういういわゆる施行令の改正によって自由米の流通を認めた場合に、確認をしておきたいと思いますのは、桧垣食糧庁長官が米審の懇談会におきまして答えております内容が問題だと思うのであります。すなわち、政府が制限を設けても、農家がどうしても政府に売り渡そうとすれば、拒否するわけにはまいらない。これは政府の統一見解ではないという断わりがございますので、これを含めてこの機会に食管の根幹という内容について総理からお伺いをしておきたいと思うのであります。  さらにもう一つは、佐藤総理は参議院の選挙中に、秋田発言を皮切りにいたしまして、熊本市、宇都宮市、新潟市等々において、米価に対するいろいろな発言をなすったのであります。その内容を二、三申し上げますと、この秋に米が二百三十万トン余るとしても、食管制度の改廃を論じるのは時期が尚早である、次は、時期別格差金については、急激な変化を与えることは好ましくないのでこれを存続したい、米価は農民の納得いくようにきめる等々の発言が行なわれておるのであります。しかし、七月二十七日の知事会議ではこのことばをひっくり返しまして、知事会議において、食管法の改善はいたしたい、こういう発言をなすっていらっしゃるのであります。これらの一連の発言というのは、明らかに選挙目当ての発言でございまして、公約をなさったと私は考えるのであります。選挙違反にはいろいろございます。文書違反も選挙違反であります。あるいは悪質なものとしては、言うまでもなく買収、供応でございましょう。しかし、利益誘導、権力利用の選挙運動は、最も私は悪質な選挙運動だと思うのであります。こういう立場に立ちまして、総理は選挙公約をどのようにお考えになっておるのか。この公約を果たされようとするならば、総理はいかなるこの発言に責任を持たれようとしておられるのか。したがって、聞くところによりますと、今晩から米価折衝が行なわれると聞いておるのでありますが、最終的には総理の裁断ということも行なわれなければならぬと思うのでありますが、その場合に総理はこの公約をどう織り込んで裁断を下されようとされるのか、これらの問題についてお尋ねをしておきます。
  147. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) まず最初に、お話がございましたから、誤解のないようにお答え申し上げますが、おとといですか、衆議院の大蔵委員会での私の発言は、そういうのではございません。食管法の根幹は維持しながら、改善すべき点があるので、この検討に着手すべき時期に来たと総理が所信表明もしておりますので、これについてわれわれはこれから改善案の検討にかかると申したのでございますが、で、検討ができたらどうするというのですから、いまのところまだ政府意見というものはきまっていませんが、検討ができたときに、政令を直す必要があるということでしたら、これは政令の改正をするし、法律事項であったとすれば、これは国会に提出しなければならぬ、こう言ったわけで、今国会に食管法の全面改正の法律案を出す予定だとかなんとかと、こう申したのではございません。  それから、自由米構想ということでございましたが、これは大蔵委員会で申したことではございませんで、農業団体その他の人が大ぜいいるところで、食管についての改善をわれわれは検討したいが、これは政府の問題よりも、直接農民、農業団体の一番関係のあることであるから、皆さんも考えていただきたい。そういうときに、いろいろ、たとえば新農政を、総合農政を推進するという政府方針だというときには、農協がこの推進の役を引き受けるというようなことができるというならば、この農政費として農協に、現在の農協の存立基礎になっている財政を政府が保証するというようなことで、農政費としてこれを見るという見方もあるし、いろんなことが今後考えられるだろうが、そういう点について利害関係者はやっぱりどんどんひとつ考え意見政府に出してくださいと言ったことで、私の私案でも何でもない問題でございまして、今後こういう問題と政府も真剣に取り組まなければいけませんし、国民もこの問題に関心を寄せて取り組もうとするときでございますから、いろんな考え方がこれから出てきてもいいんじゃないかと、こういうことを言ったまででございますので、誤解のないようにお答え申し上げます。
  148. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) 食管の根幹の問題について、私として申し上げてみたいと思います。  まず、議論が混同されて非常に不安を与えるといけませんので、今年度は少なくとも米の予約制度をとりまして、そして全量買い付けということについては、これは今年産米については問題はないのでございますが、将来どうするかという問題につきまして、私どもはこれから食管制度の根幹を維持しながらその改善を検討してみたい。しかも、それには、ただ独善でなく、十分時間をかけて、そして各方面の意見も聞いてその結論を得たい、こういう態度でございます。  それから、食管制度の根幹と申しますか、根幹の法律的な意味は、結局は、先ほど来申し上げますように、一つは生産者の再生産の確保、それからいま一つは消費者の家計の安定、いま一つ国民経済安定のために国民の食糧を確保すると同時にそれに必要な食糧を管理する。言いかえますれば、食管の根幹としては、何でもかんでも全部買い上げるのじゃなくて、食管法の第一条から出ます精神は、根幹としては、国民の食糧を確保して、国民経済の安定に資するために必要な食糧を管理する、これが根幹だと、こういうふうに考えております。
  149. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま大蔵大臣並びに農林大臣からお答えしたので、事情はよくおわかりだろうと思います。ただ、私自身が選挙中に利益誘導をしたときめつけられたお話でございますが、私も一言申し上げなければなりません。ただいまの話で、食管法との取り組み方、これについてはおわかりがいっただろうと思います。私は所信表明で、その改善について考えるべき時期が到来したということを申しております。まだ具体的な改正方向、その法案がきまっておるわけじゃありません。私が別にこれは食い違っておるとは思いません。これはやっぱり、各界の意見を聞き、しかる後にやっていく、こういうことでございます。  第二の時期別格差の問題、これなども非常に急激な変化を与えては、農村の生産者の方がそれはお困りになることは当然であります。私は今日もそういう考え方でしております。ことに、ただいま生産者米価が問題になっておりますが、すでに植えつけを終了し、ただいまは収穫の時期になっております。そういう際に、過去の考え方と非常な極端な変化があっては、これはお困りのことは当然であります。そういう意味で、そういう御心配のなさらないよう、また、私どもが政治をいたします以上、やはり国民が納得する、生産者もその立場において適正だと、かように考えられるものを私どもは把握して、そうして政治をするつもりでございます。別に利益誘導をしたつもりはございません。
  150. 村田秀三

    ○村田秀三君 問題がちぐはぐになって何でございますが、先ほど私は総合予算の中にこれをまかなえ切れるかどうかという問題を提起をしておるわけでありますが、大蔵大臣のお答えだけでは了解できません。あらかじめ用意した数字を申し上げますが、しかとひとつお答えをいただきたいと思います。  八百五十八万七千トンを買い入れるとするならば、これは予算上八百五万トンでございますが、これだけを買い入れるとするならば、食管会計の予備費のワク内でまかなえる、しかしながらこれをこす場合にはまかない得ないという数字が明らかに出てくるわけであります。とすれば、これは当然一般会計から繰り入れをしなくてはならないということで、総合予算がくずれるのじゃないかと私は考えておりますが、この点はいかがでございますか。
  151. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) いまお話のございました数量の程度までは予算上の数量をこえて食管の予備費で買えるはずであるというお話は、政府が米穀の集荷をいたします際に一応八百万トンの集荷を予定いたしておりましても、その歳出権のほかに予備費として歳出権を与えられておるということでございまして、さらにそれを超過をいたす買い入れが必要である場合には弾力条項の適用があるわけであります。ただ、この問題は食管の経理の上で生じます赤字の補てんとは無関係の問題でございますが、大蔵大臣等がお答えをいたしておりますのは、二千四百十五億という一般会計からの補てんの中でどの程度の舞いが舞えるかということを申し上げておるのでございますが、私どもとしては、今後の米価のきまりぐあいにもよるわけでありますが、八百万トンを相当量上回る程度までは二千四百十五億でまかなってまいることは何とか可能であろうというふうに考えておるのでございます。
  152. 村田秀三

    ○村田秀三君 重ねてお伺いいたしますが、弾力条項を適用するとこういうお話でございますが、それは十一条第三項でございますか、これは承知をいたしておりますが、価格の変動——この価格の変動の分、それを適用するということは私はできないのではないかという考えを持っているわけでありますが、その点はどうですか。
  153. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) ただいまお答えをいたしましたように、予備費の使途は、これは食管特別会計として予定をいたしておりませんような変動に対処する歳出権の付与でございますから、予備費の使用と弾力条項の発動をもってすれば、価格の変動及び物量の変動に対して対処できるというふうに考えております。
  154. 村田秀三

    ○村田秀三君 疑問がありますが、それはそれにしておきます。  なお、お伺いをいたしますことは、ただいまは米価の問題を申し上げましたが、今度は国家公務員の給与改定の問題がございます。  これは新聞情報だそうでありますけれども人事院総裁は八%前後ということを漏らしたとか漏らさないとかあるわけでありますが、いずれにいたしましても、この八%上がると想定をいたしまして試算をするならば、これまた一千二百億を一般会計の予備費の中でまかない得るかどうかという懸念を持っておるわけでありますが、大蔵大臣どうでありますか。
  155. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) これは、先ほどお答えしましたとおり、勧告がありましてから私ども考えますが、いまのところでは、本年度の予備費の実質を見まして、何とか勧告があったら誠意を持って努力したいというふうに考えております。
  156. 村田秀三

    ○村田秀三君 どうも現時点において論議をすればそういうお答えが成り立つかもしれませんが、しかし勧告は出ることは必至であります。だとするならば、これは大蔵大臣のような無責任な発言は私はいかがと実は思うのでありますが、実際にそういう状態になったらどうするかということでありますが、総理大臣は本会議答弁の中で、これは補正予算もあり得るというようなことを申しておるわけでありますから、その点はそう固執なさらないで、ざっくばらんにお答えいたしましても一向に差しつかえないのではないかと私は思うんですが、どうですか。
  157. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 税収のさっき御質問がございましたが、ことしの税収についても見通しはいまのところないということでございます。というのは、かりに税収がそう確保されておっても、今年度の予算編成のときには、相当目一ぱいの税収を事前に見て、そうして経費の削減もやって、特に予備費の充実をはかったということでございますので、もしも人事院の勧告があっても、補正財源がないというような事態があったら、これはどんな勧告が出ても実施する方法はございませんので、昨年の税収の実態というようなものを見まして、本年は非常に用心してそういう事態のないように事前にこの予備費を充実させておいたという事情でございますので、この範囲内において私は必ず何とか人事院の勧告に対処できるというふうに考えております。
  158. 村田秀三

    ○村田秀三君 どうも了解できませんが、次に移ります。  先ほど中村委員が質問いたしました食管の問題のこれは統一見解ですが、その統一見解の話を聞いておりますと、その根幹の意味するものは、再生産を確保し、家計を安定し、国民経済の安定に資するというふうに理解してよろしゅうございますか、総理大臣から。
  159. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) 再生産の確保、家計の安定、これはもう当然のことでありますが、いま一つは量の問題であります。食管法の第一条、目的、国民経済の安定に資するため国民の必要なる食糧を確保する、こういうのでございますので、私どもとしては食管法の法そのものからは全量買い付けというようなことは考えていない。むしろ三条は義務を命じておる、こういうふうなたてまえになっておる、こういうふうに考えております。したがって、国民経済の向上、国民の食糧確保、そのために必要なものを確保する、これがやはり根幹だと思っております。
  160. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま農林大臣からお答えいたしましたように、この根幹ということは政府部内で統一した見解でございますので、ただいまのように説明をしておりますから御了承いただきたいと思います。
  161. 村田秀三

    ○村田秀三君 そうしますと、私は聞きたいのでありますが、今日まで、買い入れ制限であるとか、あるいは自由米構想、これはうらはらの問題だと私は思うのでありますが、少なくともただいま統一見解をお示しになりました必要な食糧を管理するという問題と重要な関連が私はあると思うんです。つまり、八百五万トンこれはことしは必要なんだ、九百五十万トンとれるかもしれないけれども、百五十万トンは必要ない、これは自由販売してもよろしい、こういうようなことがいまの統一見解の中からは事実上の問題として出てくるような感じがするわけでありますが、その点はどうですか。
  162. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) いまのそれは法律解釈論から出てまいりまして、現行の食管法としては、御存じのとおりに、それに政令がついておりまして、五条で今度、生産者は他へ売ってはならない、こうジャッキがかかっております。したがって、現行体制の仕組みでは、私はそう簡単に、制限買い付けをするんだ、こう簡単にも——政策としてそういう政策をとっておるわけです。ただこの結論を、したがってそういう根幹を維持しながら改善をしていくと。御存じのとおり、食管というものが今日の状況でいいかというと、より生産者のためにも消費者のためにもなるような前進をしなければならぬということは、これは多くの方が御異存がない。ただ、現状で食管法を守っていればいいんだという御意見もあるかもしれませんけれども、私は多くの声は、何か生産者のためにも消費者のためにも安定するようなよいものに持っていってもらいたいというならば、根幹を堅持しながらやっていく。その根幹というものを法律で解釈を求められれば——ただし、それをどういうふうに具体的にそれでは結論をつけて、どういうふうな考え方で最終的にまとめるかというのは、時間をかけたり、あるいは関係方面の意見を聞いたり、慎重な態度でいかなければならぬと同時に、私はそれは当然農政全体としてもいろいろ関連してくるところでありますから、総合農政的な立場において、総理の所信にも、総合農政の一環として考えていきたい、こういうふうに述べられていると思うのであります。
  163. 村田秀三

    ○村田秀三君 いままでこれは買い入れ制限も自由米もありません。だから、現行体制を将来とも維持するとするならば、私はいままでの統一見解でよろしいかと思う。しかしながら、それを改善するということであるならば、その改善の方向は具体的にどうであろうかという疑問を持つ。そうすると、今日まであちらこちらで適当な発言をしたというような言い方がされておりますけれども、これは自由米構想と買い入れ制限という問題が必然的に出てくる。もしも買い入れ制限をし自由米構想を実施するならば、いわゆる根幹を守る、再生産を確保し家計を安定するということに通ずるであろうかどうかということについて重大な私は懸念を持っておりますから、それをお伺いするわけでありますが、その改善をするという方向、具体的に統一的に総理大臣からお伺いしたいと思う。
  164. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 今日たいへん食管法そのものが問題になっております。問題になったのは一体どういうことかと、まあ最近の食糧事情、需給関係のたいへんな変化——これはあまり変化はないという村田君の先ほど来の御質問でもあると思いますが、しかし私少なくともこの食管法を制定したその当時と今日では非常な変化がある、これは明らかにそういうことが言われる。国民からもそういうことを申しております。それからもう一つは、この食管法でやっぱり皆さん方と私どもと非常に意見の食い違っておるものは二重米価の問題であります。とにかく、生産者米価、消費者米価、その二つがやっぱりいままでも時期を別にしてきまっておる。同時に審議してはいかぬというような考え方もございましたが、これあたりも、国民の結局負担の問題ですから、この正常化をはかるべきではないか、こういうことも一つ考えなきゃならない。もう一つは、財政的な硬直化を打開する。まあこの点は比較的弱い問題だと思いますが、最初申しました一と二、これについては全部がかなり真剣になって考えなければならないと、かように思っております。  ところで、米価を決定する時期、その時期はいままでは——ことしはたいへんおくれましたけれども、もっと早目に、大体植えつけが終了するその途中においてこのものがきまる、生産者米価がきまるというのが普通の状態であります。また、できるだけ生産者米価を早目に決定して、そうして生産者に便するように、生産に便するようにきめていかなければならないと思います。ことしは特殊な例だ。参議院選挙が行なわれて——これも前からわかっていたじゃないかという御批判もありますが、とにかく参議院選挙が行なわれた。そういうことがこの米価の決定を少しおくらした理由にもなっております。いずれにいたしましても、時期としては今日はあまり適当でない。ただいまのような観点から、今後どうあるべきかということをいま問題に提供しておるわけで、しかし政府が一体はっきりした意図を持っているのか、これは先ほど来たびたびお答えいたしましたように、政府がただいまもはっきりした意図を持って、そうして方向をきめて、ただいまのような食管法の改正を意図しておる、こういうわけではありません。これはただいまも、生産者の立場からも、また消費者の立場からも、国民生活にほんとに溶け込んだ食管法でありますから、これに手を染めるということはそう簡単なものではない、これに慎重でなければならないということを再三繰り返して申しておりますし、またその立場において各界の御意見も聞かなければならない、かように私は申しておるのであります。少なくとも皆さん方の不安をなくするためにも、この方向についてはガラス張りの中で——隠れた方向でその方向をきめるのでなしに、これはガラス張りの中で公開して、ただいま申し上げるような実情の変化、さらに生産者米価と消費者米価の正常化等々の問題を真剣に取り組んでいくべきであると、かように私は考えております。ただいまいろいろお話があって、お尋ねになりましたことも、とにかく国民生活に重大な影響のある問題だから一日も早く国民にその方向を示せとおっしゃるその気持ちはよくわかりますし、私どももそういうふうなものを持っておりますれば、この際に申し上げるのは当然だと思います。私がただいま御披露いたしましたように、ただ所信表明でその方向、その問題を投げかけた、そういう状態でありますから、これから先にガラス張りのうちでこういう問題を国民とともに話し合っていく方向でありたい、かように思います。
  165. 村田秀三

    ○村田秀三君 慎重な御答弁であり、考え方であるようでありますから、私はこの際了承せざるを得ないと思います。とにかく慎重にやっていただきたいと思います。と同時に、統一見解として、食管の根幹を守るというそのことが、文字どおり施策として映るとするならば、やはり現行体制を維持するということとあわせて——私は時間がありませんからいろいろお聞きいたしませんが、少なくとも改善が進行していることだけはこれは事実であります。と同時にまた、米作地帯におきましては、四六運動などと称して、県政の中でこれが宣伝をされておる、施策として行なわれておる。しかも、四十三年度農林予算の説明書の中ですら、米の増産を明らかにうたっておるわけであります。そういうことを言い、しかもそれをわれわれに報告をし了承を求めたのは、わずかこの前、五月でございます。にもかかわらず、今日食管問題は大きな論議の対象になっておるということは、私はきわめて遺憾なことだと、こう思います。いずれにいたしましても、とにかく必要な量を生産する耕地の規模、その経営規模の中において食管を、現行体制を維持するというのが、再生産をはかり、消費者の家計を安定させ、国民経済に寄与することであると私は考えておるわけでございまして、少なくともそういう方向で今後の施策を進めていただきたいという希望を申し上げておきたいと思います。  時間がございませんので、もう一点だけひとつ御了承いただきたいと思いますが、今回の米価決定、まだ決定をされておらないわけでありますが、その作業の推移であります。少なくとも今回の米審は、私ども意見を無視して、生産者あるいは消費者、国会代表を除いて、政府の意のままに構成をした審議会であります。その審議会に農林大臣は自信を持って諮問案をこれは出しておるわけでございますが、その結論を得た今日なお、自民党が米価を決定すると称して折衝が行なわれておる。これに対して総理大臣はいかようにお考えになるか、お答えをいただきたいと思います。
  166. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほど来申しますように、ことしの生産者米価、これが時期がおくれてまだ決定をみていない、こういうことは、生産者の皆さん方ばかりではなく、国民に対してもまことに相すまないと、ふようにおわびをいたします。ただ、政府といたしましては、政府の本来の与えられた行政権限から申しまして、ぜひとも早くつくりたいとかように考えておる、決定したいとかように思っておりますが、なかなか問題が、先ほど来のお話からも容易に考えられるように、生産者、また消費者、そのいずれにも重大なる影響があり、また国民経済にも強く根ざしておるものでございますから、米価審議会の答申を得たからといって、それだけで簡単にきめるわけにもまいりません。過去二年間、米価審議会の答申を得ないで、そのもとにおいて政府が責任を持ってこれを決定したということはございますが、私どもは、この米価審議会を設けた以上、その答申は尊重していかなきゃならぬと思っております。しかしながら、同時に、ただいまは政党政治でありますから、そういう意味で、政府が気づかない点について与党からもいろいろ注文が出ることは、これまた当然のことであります。そういうような点で、いろいろ打ち合わせに手間どったと、これは冒頭に申しましたように、ことしはたいへん申しわけない、残念なことだとかように思っておりますが、今後できるだけ早目にこれを決定したい。私はすでに本会議でも申しましたように、総理、総裁に相談しないでこういうものが決定されたらたいへんけっこうでありますが、しかしもうそろそろ私の出る幕だろう、かように答えたような次第もありますので、したがいまして、これは政府が責任を持ってきめるにいたしましても、関係者の十分の了承を得たい、そういうような政治的配慮もいたしまして、そうして最終決定をする、これが同時に国民が納得するゆえんでもあろう、私はさように思いますので、これは自民党総裁という意味ではなくして、総理といたしまして、やはり各方面の意見を十分聞いた上で、そうして責任のとれる米価を決定する、そういう私の態度でもありますので、その点は御了承をいただきたいと思います。
  167. 村田秀三

    ○村田秀三君 まだ疑問がありますが、やめます。
  168. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 以上をもちまして村田君の質疑は終了いたしました。  一時五十分まで休憩いたします。    午後一時十八分休憩      —————・—————    午後二時一分開会
  169. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 予算委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  大谷藤之助君が委員辞任され、その補欠として佐藤隆君が選任されました。     —————————————
  170. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 休憩前に引き続きまして質疑を行ないます。二宮文造君。
  171. 二宮文造

    ○二宮文造君 昨日来、衆参両院の予算委員会におきまして、米価の問題あるいは公務員給与改定あるいは安保体制とか沖繩返還、当面の重要な問題について論議が重ねられてきたわけでありますが、私はこの際、持ち時間の関係もありますので、質疑の順序を変更しまして、国有財産の管理の問題について若干お伺いをしてまいりたいと、このように思うわけであります。  その第一点は、高輪の旧御用邸の交換払い下げの問題でありますが、総理はこの点についてお聞き及びでありますか。
  172. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) だいぶんもう古い問題でございまするので、私も一時大蔵大臣をしていてその関係をしたことはございますが、しかし、その後の最終的な結論は聞いておりません。
  173. 二宮文造

    ○二宮文造君 ならば、経緯をひとつゆっくりお聞きをいただいて、あとで総理の御所見を伺いたいと思います。  大蔵大臣、報告を受けておりますか。
  174. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 大ざっぱな報告は受けております。
  175. 二宮文造

    ○二宮文造君 大ざっぱな——どれぐらいの報告でございましょうか。
  176. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) その一番の大もとは、私が前回大蔵大臣をしておりましたときに起こって、その当時もうすでに問題になっておりましたが、あすこは払い下げできないと言って私ども断わってやめたあとから訴訟問題が起こったりなんかした問題でございます。問題は昭和二十一年ごろからあの場所についての申請者がたくさん出てまいりまして、払い下げを受けたいとかあるいは使用許可を願いたいというような希望者がたくさんございましたが、二十六年ごろに京浜急行から申請が出まして、その申請によると、あそこの土地の利用について、ちょうど品川駅の前で、あそこが発展しないのは、あの屋敷がやはり関係している、したがって、あの付近の開発をするためには、あすこにホテルができたり商店街がつくられたりするということは非常に土地の発展のためにいいというようなことで、京浜急行の申請の内容が、いままで申請されたもののうちで一番いいということと、それからもう一つは、いまから十何年前の——十七年くらいもう前の話になりますから、当時はいろいろ公務員の宿舎の問題に困っていたりしたときでございますので、大蔵省としては、公務員宿舎の建設とかなんとかいうことから見ると、京浜急行の持っている土地にほしいところがたくさんある。で、そうならば、それとの交換ということはいいことではないかというようなことを考えて、三十何年でしたか——九年でしたか、一応審議会に出して、この交換を審議会の意見として認めてもらったというようなことから今日まで交渉をしておったんですが、その間、交換の中に入って審議会が認めた物件が一つありましたが、これは不適当だと言ってこの物件を落としてあとだけの交換をしましたために、金額的には京浜急行のほうが政府に対して六億円以上の支払いをするということになって、これの支払いを政府にするというようなことで結着したという、大体のあらましはそういうことだろうと思います。
  177. 二宮文造

    ○二宮文造君 それでは、政府委員のほろから、この内容の概略について説明をいただきたいと思うんです。交換に至る経緯につきましては、いま、不十分でありますけれども大臣からお話がありましたが、これはもう過去のことです。現実の時点だけ、御説明いただきたいと思います。
  178. 青山俊

    説明員(青山俊君) お答えいたします。  渡し財産と受け財産の内容について御説明いたします。渡し財産は、ただいま御質問のございました高輪の土地でございまして、全体で二万四千九百五十四平米、これに対しまして受ける財産が三田の四国町、それから羽田の鈴木町、老松町、それから港南団地、八景団地、この五つの財産をこちらが受けるわけでございます。  渡し財産のほうの評価額が約三十七億、こまかく申しますと三十七億五十七万一千百円、それから受け財産が三十億五千五百万、こういう状態になっておるわけでございます。受け財産のほうの三田が二千二百二十平米、羽田が一万四千八百三十七平米、老松町が七千二百五十平米、港南団地が四地区ございまして、二万九千九百八十八、三万五百七十二、二万三百五十三、二万九千百三十、八景団地が六万三千二百四平米、こういうふうになっております。
  179. 二宮文造

    ○二宮文造君 この高輪の御用邸の問題につきましては、本院の決算委員会で両三回にわたりまして政府の善処方を私のほうから要望いたしておきました。これは従来の経緯が非常にややこしい。たとえば東亜開発とか、あるいは前住者の東久道家とか、それからまた中央労働福祉センターの問題とか、こういう非常にややこしい状況があるので、評価の問題についてはあとで絶対に問題を起こさないようにと、こういうふうな私どものほうから善処を要望しておったわけですが、そういうことも考慮の上で今回の交換契約を完了されたか、従来のいきさつを御承知の上で契約をされたかどうかこれを確認しておきたいと思います。
  180. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 従来のそういういきさつがございますので、評価の点については特に慎重を期して法のとおりにこれを評価するという、慎重にも慎重を重ねて決定した次第でございます。
  181. 二宮文造

    ○二宮文造君 どうも答弁が非常に妙なニュアンスになってきておりますが、従来の経緯がありますので評価の問題については慎重に慎重を重ねてきました、こういう答弁ですが、私どもは、従来ややこしい問題があるので評価の問題についてはあとでとやかくのことが起きないように御注意願いたい、こう言ったわけです。この辺はどうですか。評価は厳正にやりましたか。従来のいきさつにとらわれて評価をしましたか。これはどうです。
  182. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 御承知のように、土地の評価は、相続税、固定資産税の評価と、それからいままでその付近にある売買実例、あるいは民間精通者の鑑定というようなものを基礎として一定の計算方法に従って算定するということでございます。その場合におきましても、こういう相当古いときからいろいろ問題のあるところでございますから、特にこれが不当に安く処分されるとかいうようなことのないように気をつけて査定をしたということでございます。
  183. 二宮文造

    ○二宮文造君 今回の交換契約書を見ますと、渡し財産の評価坪当たり平均四十九万円になっております。付近の人の話によりますと、第一京浜国道、しかも国電の品川駅のまん前ですから、どう見ても百万円、四十九万円ならだれでも買いたい。どうして京浜急行に、あれほどの問題になった京浜急行に対して、こういう世人があっと言うような価格で払い下げをするのだろうか。まだまだ政治というものは、そういうふうに国民から見て納得のいかないことが多いのだろうか、こういわれておりますが、この点について大蔵大臣どうですか。
  184. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 評価のしかたにいろいろございまして、たとえば道路に面しているところはどうとか、うしろの出口のない袋小路の住宅地はどうとか、いろいろ評価のしかたはございますので、私の聞いておるところでは、この土地は広いのですから、いいところ——道路に面しているほうはほとんど百万近い評価になっており、その中間と、一番奥のいわゆる袋小路で出口のないというような土地の評価は下がっておるというようなことで、平均して大体五十万程度のものになっておるのでございますが、一律に評価したのじゃなくて、土地を詳しく分けて適当な評価をしているというようなことで、この点はやはり気をつけて評価していると私は考えております。
  185. 二宮文造

    ○二宮文造君 原則的なことをお伺いしたいのですが、交換あるいは払い下げにあたっては、国有財産の処分は一円でも高く売る、払い下げをすると、これが私は原則だと思うのですが、大臣どうでしょう。
  186. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 国有財産でございますので、安売りはしないという方針でございます。
  187. 二宮文造

    ○二宮文造君 私の質問に対しての答えにはなっていない。一円でも高く売るというのが原則ではないか、こういうことです。
  188. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 私が自分で評価したわけでございませんで、報告を一々受けておりましたが、私の考えでは、いまあなたのおっしゃられたように、計算は少し高くなっているんじゃないかと思うくらいで、安売りというような形勢はこの土地については絶対ないと信じております。
  189. 二宮文造

    ○二宮文造君 御承知だろうと思いますが、この第二京浜国道のほうはいま拡幅中です。したがって、そのために付近にいる商売人が転居しなければならぬ。これはもうかねてからの問題でありまして、その人たちとしては、長年ここで営業してきたので、幸い高輪の御用邸が払い下げの対象となるのであれば、われわれのほうにもひとつ払い下げを考慮していただけないか、その場合には、もしも京浜急行が買うのであれば、その二割がたは私どもは高く買ってもよろしい、こういうふうな、あの土地に住んでおりまして、もうせっぱ詰まった気持ちでそういうふうな意思を大蔵省のほうに表明いたしてきたことがあると思うのですが、大臣はこの点はお聞き及びになっておりませんか。
  190. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) その点は私は聞いておりません。昭和三十九年の審議会でこの問題が通っておる、その線に基づいて今回実施をしたというふうに聞いております。
  191. 二宮文造

    ○二宮文造君 概略申し上げましょう。  ここに、三十九年の十一月の十八日付で、ときの田中大蔵大臣に対して出ております、そういう趣旨のものが。そうしまして二十五日に国有財産の審議会が開かれたわけです。そこで京浜に払い下げしてもよろしいと、こういう決定が出ております。ただし、そのときの大蔵省側の委員の説明は、京浜急行以外に競願者はおりませんという説明です。ならば、この人たちの申請はどうなったかといいますと、大蔵省の当面の方があっせんをして、この人たちとそれから京浜急行との間に覚え書きをつくらして、そうしてこの競願者はないことにしたわけです。したがって、そういうふうに、この土地の問題については非常にのどから手が出るほどほしいところの力の弱い商売人がたくさんいたということをまず頭に置いていただきたいと思う。それから、だれが聞いてみましても、品川の駅前で四十九万円という土地はないのです。これはもう大臣が自分のお金で土地をおさがしになるとすぐわかる。ありません。国有財産なるがゆえに、なるほど、あの一万坪に近い土地を道路側あるいは奥と、このように評価はしておりますけれども、付近の人の言うのは、ひっくるめて百万円と言っております。国が交換をしたのはひっくるめて四十九万円。ここに非常に問題が出てくるわけです。なぜこういうふうな納得のいかないような単価になったか。これが問題です。  そこで、論点を変えますが、この前住者の東久邇家に対しまして、今回交換を受けた京浜急行が、約三億円の現金とそれから月々五十万円の手当を支給しておるという話でありますが、これは大臣はお聞き及びですかどうですか、こういう話は。
  192. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 月々東久邇家に京浜急行から一定の金が出ておるという話は聞いております。
  193. 二宮文造

    ○二宮文造君 じゃ、国税庁で、私がいま申し上げました三億円の問題と、それから月々五十万円、これは一体いつから東久通家に入っているか、この問題をどのように掌握をされているか、御報告をいただきたいと思うのです。
  194. 亀徳正之

    説明員(亀徳正之君) お答え申し上げます。  ただいま、いつからというのがちょっと的確でございませんが、毎月、いまおっしゃいましたように、五十万程度のものが東久通氏に払われておることは事実でございます。それで、課税上の問題でございますが、毎年の東久通氏の所得税の確定申告に含められて申告されております。そのことは承知をいたしております。  それから、もう一点の三億円相当の価格の支払いがまとめてされておるというお話でございますが、この点につきましても概略承知いたしておりまして、この支払い金額は京浜急行の決算上は建設仮勘定に計上されておりまして、当事者の間で、この金額が御用邸の土地と京浜急行の所有地との等価交換問題の終結後精算処理すると、こういうことになっておりまして、まだその処理が明確にされておりません。したがいまして、現在処理いたしておりませんが、御案内のように、最近この問題も結着がつきまして、済みましたので、早速この点を調査いたしまして、双方の意思を確かめて適切な課税を行なうべく手はずを整えておるところでございます。
  195. 二宮文造

    ○二宮文造君 国税庁ではその三億円はどういう性質のものだと理解されるわけですか。
  196. 亀徳正之

    説明員(亀徳正之君) お答え申し上げます。  京浜急行と東久邇氏との間でどのような形で処理されておりますのか、決算上は一応建設仮勘定ということで、最終の処理を見ませんと確定的にどうだということは申し上げかねるわけでございます。まあ一種の権利金のような形で支払われたのではないかと思いますが、いずれにしろ、決算上はそういうことでまだ最終の処理をいたしておりませんので、私の口からこうだとちょっと断定しにくい。いずれにしろ、双方の意思がはっきりいたしましたところで課税当局の処理をきっちりいたしたい、かように考えております。
  197. 二宮文造

    ○二宮文造君 前回の私この問題を質疑をいたしましたときの大蔵省の答弁は、東久通家はこの土地に対しては地上権もない、あるいはまた借地権もない、借家権もない、そういう権利は一切認めません、こういう明快な答弁でありました。いま伺ってみますと、どうもその土地にからんで三億円のお金が動いている、こういうことでありますが、どうでしょう。いまもって大蔵省としてはこの土地に対する東久邇家の権利一切は認めない、こういう立場をおとりになりますか。
  198. 青山俊

    説明員(青山俊君) お答えいたします。  御質問のとおり、私のほうは一切権利関係は認めないという立場で評価をいたしたわけでございます。
  199. 二宮文造

    ○二宮文造君 非常に疑問な点が出てまいります。といいますのは、もうこの土地にからんで——前にやりましたので詳しいことは避けますけれども——三社、四社がからみ合って、そして結論的にこういうような結果になってきたわけであります。  もう一つ先に進みまして、鎌倉に在住をしております逸見何がしという方と国税庁との間にいま税務行政の上での係争事件ありますか、お伺いいたします。
  200. 亀徳正之

    説明員(亀徳正之君) お答え申し上げます。逸見氏から、苦情相談というような形で、逸見氏が課税処理を受けましたことについての訂正方の要求が出ておることは承知いたしております。
  201. 二宮文造

    ○二宮文造君 その苦情の内容はちょっと個人的なことになるのでお聞かせいただけるかどうか私よくわかりませんけれども、その苦情の申し立ての趣旨は、この京浜急行側から運動資金として政界筋に相当のお金が流れた。いまはなき実力者の方も何か大枚な金額をもらったと、こういうふうな話も出ておるわけでありますけれども、その政界に流れた運動資金だと称して自分の税金に、課税に対して苦情を申し立てているのではないかと想像するのですが、これはどうでしょう。
  202. 亀徳正之

    説明員(亀徳正之君) お答え申し上げます。  実は私、逸見さんのお話がきょう出ると承知しておりませんので詳しく——苦情処理ということが出ておることは承知しておりますが、こまかい内容をよく存じておりませんが、いろいろいまそういう資金で出たかどうか私は承知しておりませんが、問題はやはりいろいろ支出した内容について十分認めてもらいたいというようなことが中心の議論かと聞いておりますが、私こまかいことはなお目下調査中でございます。私その程度で、非常に恐縮でございますが……。
  203. 二宮文造

    ○二宮文造君 長官は御存じないのですが、こういう大事な問題でございますから、私も性質上前もって当局のほうとは打ち合わせをして話を進めていることを御理解いただきたい。決して当てずっぽうで申し上げているわけではございません。  さらに次に進みまして、大臣は御存じないと思うのですが、交換受け財産の評価のほうで特に問題なのは泥亀町です。ここの土地のことでございますが、このいきさつは局長御存じないかもしれませんが、次長は御存じのはずです。京浜急行と横浜市との間で土地造成の契約をやっているその土地です。その辺のことをちょっと御説明いただきたい、どういう契約をしたか。
  204. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) 私も十分な事情は承知しておりませんが、もとあの土地は蓮池であったようでございますが、横浜市が区画整理事業の一環といたしまして、あすこを公団が整備するというふうに計画をいたしまして、京浜がその造成事業を受けたようでございます。
  205. 二宮文造

    ○二宮文造君 総額幾らで受けたのですか。
  206. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) 金額は十分承知しておりません。その土地造成代金の見返りといたしまして、私ども交換受けをいたしました八景団地を払い下げてもらったような事情を概略承っております。
  207. 二宮文造

    ○二宮文造君 あの四万八千坪を造成してその総額は九億円です。ところが、今回受け財産に入りますのは約二万坪——一万九千坪で十二億三千四百万、渡し財産のほうは、先ほど申し上げましたように、納得のいかない評価額、安い評価額で、受け財産のほうは、これは幾らになりますか、その大体半分か、三分の一で、一倍半の金額を国は受けておりますが、この辺はどうしてこういう評価になりましょうか、御説明していただきたい。
  208. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) お答え申し上げます。  まず申し上げておきたいのですが、お話のように、昭和何年でございましたか、土地造成代金の見返りといたしまして払い下げを受けましたときの坪当たりの単価は相当安いものであったかもしれませんけれども、団地が造成されまして、かつ、その団地を縦断いたしまして、国道何号線でございましたか、国道が開通をされました。それがあの地区の非常な発展でございまして、そういう事情からいたしますと、若干その土地が値上がりするのはしかたがございません。先ほど大臣からお答えがありましたように、評価自体といたしましては、交換渡し財産も、交換受け財産も、大蔵省で定めました評価の基準にのっとりまして、厳正に評価をしておりまして、決して渡すものを安くして、受けるほうを高くということはございません次第でございます。
  209. 二宮文造

    ○二宮文造君 数字で説明してください。
  210. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) 数字を持ってまいります。  八景団地は、たくさんのブロックに分かれておりますが大体……
  211. 二宮文造

    ○二宮文造君 平均でよろしい。
  212. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) 大体坪当たり六万四百円余りと評価いたしております。
  213. 二宮文造

    ○二宮文造君 原価は二万円ですよ。
  214. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) 原価は二万かもしれませんが、先ほど申し上げましたように……。
  215. 二宮文造

    ○二宮文造君 完成した日はいつですか。
  216. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) 完成いたしましたのは、私承知いたしておりませんが、非常に事情が違いまして、先ほど大臣からもお話を申し上げましたように、私どもの評価の基準の中に時価で評する部分がございますので、売買実例を参考にする部分がございます。ところが、申し上げましたような事情で、その近くで売買自体、非常な高目のものが出ておりますから、これはどうしてもやむを得ないかと思っております。評価には全く誤りはないと確信をいたしております。
  217. 二宮文造

    ○二宮文造君 総理、どうでしょう。私はこういう国有財産は、ほんとうに梨下に冠を正さずというようなことばのとおり、やはり競争入札といいますか、そういうふうな原理を取り入れるべきではないか。過去にそのような悶着があったものを、過去に決定したからといって、どうしても掘った穴の中に自然に落としてしまうというようなやり方は国民は納得できぬと思うのですが、総理いかがですか、この次にも問題出てきます。
  218. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 国有財産についてはいろいろな問題が起こる、また疑惑を持っていろいろ見られる。そういうことで、取り扱い者に対する大臣なり私ども考え方としては、本来どうしても離さなければならないもの、また処分しなければならないもの、それについてはどうか厳正にやってくれと、強く監督もし、そういう指示もしております。また、大体国有財産の利用というような方向でものごとを考えられないか。どうも払い渡す、そういうことに問題があるようですから、その所有権を移動しないで、何かこの利用を進めるような方法はないか等々のくふうをしております。そういうような事柄が、払い下げの場合におきましても、国有財産管理委員会ですか審議委員会等の各界の人たちの集まりの意見も聞いて処理する、こういうようなことになっております。ずいぶん手続も煩瑣になっております。ただいま言われるように、いままでのところ、私どもは間違いなしにやられておると思いますが、しかし、さらにいま言われるように、処分するような場合に競争入札をひとつ取り入れる、こういうようなくふうをしろ、こういうような点については、さらに私どもは研究すべき問題だろうと、さように思います。なかなか競争入札と申しましても簡単にはいかない。本来からいえば、やはり希望者が出てきておれば、そういう問題もありますけれども、競合するような場合にはやはり競争入札のような方法をとるだろうと思います。しかし、これを前もって発表してそうして土地の売買業者に利用される、そういう筋でもないだろうと思いますので、そこらに、競争入札を取り入れる方法につきまして、具体的にさらに検討しなければならぬかように私は思っております。
  219. 二宮文造

    ○二宮文造君 大蔵大臣にお伺いしたいのですが、大蔵省が仲に入って相当めんどうを見てあげた付近の業者との協定の覚え書きです。これについては京浜がすでに土地を入手したわけですから、さらにやはり今後の大蔵省の指導として、付近の業者の方の側に立って調整をしてあげるべきだと私は思うのですが、こういう考え、ありますか。
  220. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 私はそのお話はきょう初めてお聞きすることでございますので、そういうことがあったかどうか、これから調べてみたいと思います。
  221. 二宮文造

    ○二宮文造君 そういうことがあったかどうかということなので、理財局のほうでひとつ補足していただきたい。
  222. 青山俊

    説明員(青山俊君) 私も実は最近就任したばかりで、その件について、まだ十分に勉強いたしておりませんので申しわけございませんが、よく実情を調べさせていただきたいと思います。
  223. 二宮文造

    ○二宮文造君 議場の答弁話し合いとはだいぶ変わってくることはいたしかたないと思うのですが、かほど変わるとは思わないのです、ほんとうに。しかし、私はこの付近の業者が区画整理のため、道路の拡幅のために取り上げられるのですよ。そのことで従来から話になっていた。ですから、善処いたします。あるいは調べますということじゃなくて、ひとつ前向きにめんどうをみてあげる考え方を持っていただきたい。この点ひとつ大臣に確認しておきたいと思うのですが。
  224. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) さっきのお話を聞きますというと、そういう付近の申請が出ておったのに、何かそれが引っ込められて、そうしてそのあとで審議会が決定したということでございますと、この審議会の決定するときにこの問題はもう立ち消えになっておるかどうかという問題も全然わかりませんので、やはり調査してみたい、こう思います。
  225. 二宮文造

    ○二宮文造君 それじゃそれはそれでまた次の問題にします。  これからまた総理、顔をしかめられますが、ベルの問題です。これはまた現状を厚生大臣が報告してくれますから、厚生大臣にベルの現状をひとつ報告を願いたい。
  226. 園田直

    国務大臣(園田直君) この問題も決算委員会はじめしばしば指摘を受け、新聞にも出たことでありますから経緯は詳細申し上げませんが、問題点を申し上げますると、ただいま負債が四十二年の七月末の調査で一億七千七百万ございます。この中で建設関係の支出が、これを内訳けを申しますと、建設関係の支出が建設費四億五千三百十八万、土地四千七百三万、会館一億九千五百万、聴能訓練の機械が四千百八十万、それから三〜六階の施設が一億五千万。収入は三億八百二十九万円。マンションの売り上げが二億一千四十四万、助成金が九千七百八十五万出ておりますが、この助成金は国庫補助が三千万、それから自転車振興会補助三千七百六十二万、一般寄付金が三千二十三万。建設関係の赤字が一億四千四百八十九万円で、あと一億三千二百六十四万円は利子とか運営上の赤字でございます。現在、赤字は二億七千七百万。そこでこの問題になります点はいろいろございまするが、第一は、ただいま会館の授産所を除いた部分が金融業者によって事実上差し押えられておりまして、会館の業務の主要な部分がその機能を停止しているような状態であります。それから建設地は、元国有地が社会福祉法人の楽石社に払い下げられて、ベル福祉協会がさらにこれを買い受けたものでございますが、大蔵省と楽石柱の間で土地譲渡に関して訴訟があり、これに関連してベル福祉協会が楽石社から土地明け渡しの訴えを受けていると私は承知しております。なお、そのほか現在三十名の者を収容しておりまして、聴能訓練等実施をいたしておりますが、この活動はきわめて不十分であります。このようにいろいろ問題がありますが、この会館はろうあ者のためのきわめて少ない総合的な施設でありますから、何とか再建の方法を講じたいと、御指摘もございましたし、事務当局において調査をし、あるいは再建の策を講じられておりまするが、正直に申し上げまして、理事も当初は財界人を入れて十一名の理事がおられましたが、非常に不安を感じて逐次辞任をされて、ただいま理事は三名になっている。そこで、なおまたいろいろ調査その他をいたしてみますが、だんだん赤字が増してくる。それから事務能力等も非常に低いので、このままでまいると、私のほうでは、こういう事業でありますから、何とか再建したいという考えもあるし、もう一つは、最悪の場合にはこの会館に対する融資はこれを何とかかっこうつくかもしれませんが、助成金の欠損があきますので、そういうこともありましていろいろやっておりまするが、このままいくと元も子もなくなるので、やはりこの際は当事者に向かっていろいろ指示をして、ある期間が来たならば最後の決をせざるを得ない、こういうところまで来ているのが現状でございます。
  227. 二宮文造

    ○二宮文造君 厚生省のほうもせっかく苦労されて理事長と折衝されているようですけれども、私は、おそらくは再建は不可能ではないか、こういうように見られてしようがありません。しかも、遺憾とするのは、そういうふうな状態でありながら、まだ経理が公私混淆されている。いままでの経理もそうです。まあその一例としまして、四月以降に、理事長の紹介でその選挙関係者と見られる人が延べ数百名ここで宿泊をされております。この事実について、ちょっと、その選挙関係者かどうか私はわかりませんが、理事長の紹介でその関係の方が泊まっているその状態を、ちょっと、どれほど宿泊されたか、報告をいただきたい。
  228. 今村譲

    説明員(今村譲君) お答え申し上げます。  この宿泊施設にはろうあ者とか一般の人方も泊まっておりますが、四月の初めから毎月三人、月延べにしますと九十名というのが四、五、六、七の十五日まで、これが三人ずっと泊まっております。
  229. 二宮文造

    ○二宮文造君 三百四十九人ですね。
  230. 今村譲

    説明員(今村譲君) それから十五日から二人ということでございます。
  231. 二宮文造

    ○二宮文造君 延べ三百四十九人が宿泊してますが、ここは一般者は八百円の宿泊料なんです。その三百数十名の宿泊料が納入されているかどうか、これもお調べいただいたはずですが、どうでしょう。
  232. 今村譲

    説明員(今村譲君) お答え申し上げます。  一日八百円で約二十八万円になりますが、これはまだ納入されておりません。この事実は、私ども、実は宿泊者全部を調べておるわけでなかったものですからうっかりいたしておりましたが、その事実を知りまして、至急それは払うようにというようなことを会館のほうに申しております。
  233. 二宮文造

    ○二宮文造君 厚生大臣も再建が不可能ではないかと、こういうお話なんですが、総理も御承知のように、これは、この建物は日本全国のろうあ者の唯一のセンターです。そういう重要な建物です。しかも、これが公私混淆されている。そういうわけで、是が非でも総理の手によって再建のめどをつけていただきたい。これが私どもの要望であります。総理の御決意を伺っておきたい。並びに、理事長に対する指導もやっていただきたい。
  234. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほど厚生大臣からるる御説明いたしましたが、まあ私、そこまで全部を指導するわけでもございません。本来のベル協会が福祉事業で、この意味で設立されたのでありますから、その目的を達するようにこの上とも努力すべきだ、かように私も思います。  ところで、ただいま、理事長にもそのことをよく申しつけろと、かように言われるのですが、かつて山下君が理事長であった、かように私は聞いております。いまなお理事長は山下君ですか。
  235. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうです。
  236. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) その点、私、不明確になっておりますが、こういう点は私総理として直接指導するのもどうかと思いますので、厚生大臣に十分監督いたさせたい、かようなことで御了承願いたいと思います。
  237. 二宮文造

    ○二宮文造君 再建のほうはどうでしょう。
  238. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 再建についてのただいまの御要望、とにかくろうあ者の唯一の福祉事業、福祉会館と、さような意味でこれの内容を充実するように、さらに厚生省にもくふうしていただくように検討させます。
  239. 二宮文造

    ○二宮文造君 厚生大臣、最後に伺っておきますが、うっかりしますと、これは建物が処分されてしまうかもしれません。こうなりますと、元も子もなくなるのですが、いわゆるろうあ者のセンターとして再建していく決意はあるのですか、どうですか。あるいは取りつぶしをするのですか。その点、ほかの説明は要りませんから、結論だけお伺いしておきます。
  240. 園田直

    国務大臣(園田直君) ただいま総理答弁にもありましたが、理事の問題でございますが、正直に言って、いま理事の更迭を命じても、このような状態でありますから、みんな不安がってあとを引き受ける者がいないわけでありますから、そこで私は、事務当局には、実情調査の上、当事者に向かって財政再建及びその後の方針についての最後の督促並びに検討を命じておりまするが、正直に言って、この際どうするとは申し上げられませんが、私の見通しでは、助成金その他の欠損等、おしかりを受けることを心配して、このままほうっておくと、ますます深みに入って、そして本来の目的が抹消されるおそれがありまするから、最悪の場合といえども、この授産訓練の施設だけは国から助成をし、あるいは融資をした問題もありまするから、取りとめて、これは他の法人等でも、厚生省が主体になって相談をすれば引き受けてくれると存じまするので、ある期間を置いて、当事者で再建ができなければ、最後の断を下して、その上に再建の法を考えなければならぬのではないかと、私はただいま判断をしておるところでございます。
  241. 二宮文造

    ○二宮文造君 まだ聞きたいことがあるのですが、あまり問い詰めるとつぶしてしまうおそれがありますので、この辺でとどめておきます。  次に、日通事件の問題に入りたいと思いますが、法務大臣、事件のもうすでに捜査の段階は終了しておりますが、法務大臣、事件の概要の報告を受けましたか。
  242. 赤間文三

    国務大臣(赤間文三君) 事件の概要につきましては、新聞その他で十分御承知のことと思いますので、私は簡単に大筋のところを申し上げたいと考えています。  まず、この日通事件については、検察当局は、日通の役員らが受領したと認められる多額のリベートの使途の糾明に当たったのでございます。その結果、さる七月二十二日までに日通の前役員の十二名、及び国会議員二名の起訴処分を終え、捜査を終了したものでございます。なおまた、政治献金については、 職となるものがあるかないか、あるいは公職選挙法違反事件に該当しやしないか、あるいは政治資金規正法違反の事項があるかないかというような点につきまして、あらゆる角度から検討を加えましたが、起訴処分となった国会議員二名のほかには証拠上違法な献金と認められるものはなかったと、これがこの事件の概要でございます。
  243. 二宮文造

    ○二宮文造君 そこで、私はここに某新聞に掲載されました「金の流れ」という図表を大きく書いてまいりました。問題はやはり事件の概要というものをはっきりとさしておかなければならないと思うわけでして、もちろん、新聞のあれですから、数字に誤りがあるかもわかりませんし、法務省のほうで、刑事局長が、御苦労ですけれども、誤りがあれば、それを訂正しながら御説明をいただきたいと思います。——刑事局長、説明してくださいよ。
  244. 赤間文三

    国務大臣(赤間文三君) これは七月二十四日付の東京新聞の「資金の流れ」の図表と承知をいたしております。この表は地検の発表を基本としまして、またその地検の発表以外の資料を総合してつくられたものと私は推定をいたします。この中で、まずわれわれといたしましては、地検が談話の形で発表した分を指摘する。その他のことにつきましては私は申し上げるわけにはまいらない。で、この図面の左の欄の下のほうの裏金のリベート三億五百七十万円というのは、地検が発表したところに相当します。まん中の欄の下のほうの田村、長谷川の消費一億八千七百四十万円も地検の発表と合致をいたしております。左の欄の一番上の政治献金一億八千七百八十万円、これも地検の談話と一致をいたしております。  次に、起訴した分をあげると次のとおりであります。大倉議員へのわいろが二百万円、池田議員へのわいろ三百万円。それから、まん中の欄の役員やみ給与、約合計一億一千余万円、これも地検の談話と一致します。その下の福島らの別荘購入費約七千万円も大体において合致をしておるというふうに考えております。ただし、両議員へのわいろの出所、使途ここに書いてありますが、すなわち、表金から出たか裏金から出たかというような説明は、これは将来の公判にいろいろ関係がありますので公にはいたしていない、かように承知をいたしております。またやみ給与、別荘の購入費等の金額も必ずしも正確に合っておるということについては、申し上げることを、公判の関係で、差し控えたいと、かように考えます。以上が大体……。
  245. 二宮文造

    ○二宮文造君 こっち側の分はどうですか、政治献金。
  246. 赤間文三

    国務大臣(赤間文三君) その他の部面につきましては、新聞社が他からいろいろと資料をお集めになったものと想像し、私が申し上げた点は、検察庁が談話の形で発表した部分を申し上げたわけであります。
  247. 二宮文造

    ○二宮文造君 ありがとうございました。  そうしますと、検察当局で押さえた政治献金というのは一億八千万円であって、約四億円ではないということですか。
  248. 赤間文三

    国務大臣(赤間文三君) お答をします。  一億八千万はやみの金に相当するもので、しかも、検察庁が最も力を入れて調べたものであります。やみのところが多く不正のもとになりますので、この点を十二分に調査し、また、表のところのものは、どこそこに幾ら、どこそこに幾らと明確に記載がしてあるものにつきましては調査はしましたが、やみになる事項というのは、見当たらない、こういうような趣旨でございます。
  249. 二宮文造

    ○二宮文造君 法務大臣、その金額ですよ、表のほうの。法務大臣、表の金額。
  250. 赤間文三

    国務大臣(赤間文三君) 刑事局長から詳細お答えいたします。
  251. 川井英良

    説明員(川井英良君) 裏金というものは会社の経営者が不正な手段で集めたものと理解されますので、その金額を確定しその使途を解明するということが検察に課せられた使命である、こういうふうな観点からこの捜査が進められてまいったのであります。その過程におきまして、不法に費消された金額を確定する過程におきまして、ただいまおあげになりました一億八千何がしの金額が、政治家に献金として流れておったということが明らかになりましたので、裏金の解明という限度におきまして、地検のほうからその部分につきましても若干の説明が行なわれたわけでございます。なお、裏金の金額を確定する必要上、表金につきましても若干の調査が行なわれております。その過程におきまして、表金のほうからも若干の献金が行なわれているということが判明いたしております。ただし、表金のほうからの献金につきましては補助帳簿に記載もあり、また領収書の備えつけもございまして、それはただいま施行されております現行法規の罰条に何ら、いささかも触れるものではない、こういうふうに判明いたしましたので、表金のほうから出されたいわゆる献金の総額並びにその内容というふうなことについては一切当局から発表されておりません。
  252. 二宮文造

    ○二宮文造君 肝心な点が伏せられるんで非常にやりにくいわけであります。しかし、総額四億円というふうな形になっておりますので、この日通事件につきまして、われわれ国会議員の側からしますと、やはり問題は、政治献金が、おのおのの考え方というのが問題になってくると思う。ここで、ある新聞の社説があります。時間を食うわけですが、御理解をいただいてちょっと早口で読ましていただきます。「現代、政治家の汚職の原因の最大のものは、選挙その他日常の政治活動にカネがかかりすぎることにあると言われている。代議士生活は、歳費その他の収入の何倍かのカネがかかるのが常識とされている。そのため代議士は、利権をさがし、会社からカネをもらって、その会社の利益のために政治や行政を曲げる。政財界、それに官界の密着といわれるこういう仕組みそのもの、体制そのものにも問題がある。だが、こういう政治の仕組みになれ切って、その汚職に首までどっぶりつかっている政治家の姿勢こそ問題にされなければらならない。それに政治家は、秘書や車をもち、私生活もぜいたくになって、一般国民とひどく食いちがっているのは金銭感覚ばかりではない。汽車の切符一枚でも、政治家は自分で並んで買ってみればよい。自民党の議員だけでなく、野党の議員も胸に手をあてて考えてみてほしい。いまの政治家にモラルを説いても始まらないというかも知れないが、やはり政治家が姿勢を正すことが必要であることに変わりはない。」、こういう提言であります。この提言を総理はどのようにお聞きになるか、私、感想を伺いたい。
  253. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) もちろん、ただいまの提言に対しまして私どもも謙虚に聞かなければならないと思っております。でありますからこそ、所信表明におきましても、私は最終的な結びにおいて、われわれ政治家のとるべき態度について私自身が所信表明でも申し上げたとおりであります。これはあらゆる機会にあらゆる努力をして、不断の努力こそ初めて成果のあがることではないだろうか、かように思いまするので、ただ単に口頭禅に終わらないようにしなければならない、かように思います。
  254. 二宮文造

    ○二宮文造君 法務大臣にお伺いしたいんですが、昨日から、四十七名の名前というのが非常に問題になっております。しかし、法務省としては出せないということですが、非常に残念なのは、新聞を見ておりますと、池田、河野、大野という、なくなった方の名前は平然と並んでおります。死人に口なしということばがありますけれども、これらの人は弁駁ができません。ならば、死んだ人の名前は出てもいいんだ、生きている者は出しちゃいけないのだ、こういうお考えでしょうか、この点お伺いしたい。
  255. 赤間文三

    国務大臣(赤間文三君) お答えを申し上げますが、法務当局といたしましても、検察当局といたしましても、死んだ人であろうと生きておる人であろうと、一切名前を発表したという事実はありませんので、その点を御了承願います。
  256. 二宮文造

    ○二宮文造君 ならば、生きた人も死んだ人も取り扱いを厳重にしていただきたい。でなければ、新聞に名前が出るはずがない。  さらに総理にお伺いしたいのですが、起訴をされなければ刑事責任はない、これはもう当然であります。起訴をされなければ刑事責任はない。ただし、政治家あるいは国会議員の場合は、道義的な責任は私は当然出てくると思うのですが、この辺はどうでしょう。
  257. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまの、起訴されなければ刑事上の責任がない、とにかく刑事上の責任があれば起訴をする、あるいは起訴に準ずるような処置がとられる、これは当然であります。  ところで、ただいま言われる道義的責任、これはおそらく法律的な責任よりもより重いものを要求される、かように私も思いますが、昨日もこの道義的責任についていろいろ私の感じ、所感等を求められましたので私も申し上げたのですが、政治家である限り、あらゆる点において昔のような師表になれと、かように私申しませんけれども、みずからがその身を律すること厳に、そして法律的な責任はもちろんのこと、道義的責任も十分とり得る、そういう態度で処置、処理してほしい、かように私も思います。ただいま言われるのはどういう意味かわかりませんが、私の聞き取ったところでは、このように考えております。
  258. 二宮文造

    ○二宮文造君 刑事局長が、昨日わが党の衆議院の山田太郎議員の質問に答えて、名誉棄損というのは、個人も政党も法人もあるのだと、こういうようなお話でで、政党別の数字はあげられないと、こういうようなお話でありましたが、これは確認です。そのとおり答弁されましたか。
  259. 川井英良

    説明員(川井英良君) そういう趣旨の答弁はいたしました。
  260. 二宮文造

    ○二宮文造君 総理にお伺いしたいのですが、武内検事正が記者会見でこういう発表をしております。ただ、今度の事件の場合、日通の経営を発展させるため、献金先は与党に集中していることは事実で、政党別では複数の党だと言えると、これは自民党に対する猛烈な悪宣伝のように私は思うのですが、総理の御所見、どうです。
  261. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) まあ、ただいまのような、武内検事正のそれは率直な言い分かもわかりませんが、そういう事柄はなるべく発表してもらいたくなかったように思います。これは私が申し上げます。  ただ、いまお話しのように、与党である自民党、あるいはまた多数の党員のいる自民党、そういう場合でございますだけに、実際にまことに残念なことだが、ただいまのような検事正の発表したような事柄が該当するんではないかと私も思います。しかし、こういうような事柄が政党に対する国民の不信を買うのでありますと、ただ単に与党である自民党だけではなく、皆さん方にもたいへん迷惑を与えておると、かように私は思いまして、党員として、また党の総裁といたしまして、まことに残念に思うような次第であります。
  262. 二宮文造

    ○二宮文造君 もう一つ。私は、ここまで出てきたら法務大臣にお伺いしたいのですが、複数と検事正が言っているのですね、政党は複数と。複数というのは、二なんですか、それ以上なんですか、お伺いしたい。
  263. 赤間文三

    国務大臣(赤間文三君) 複数とかあるいは三つとかというようなことを一切……
  264. 二宮文造

    ○二宮文造君 三つって私言いませんよ。二かそれ以上か。
  265. 赤間文三

    国務大臣(赤間文三君) ああそうですか。  そういうことについて一切申し上げたことはございません。
  266. 二宮文造

    ○二宮文造君 だから聞いている。
  267. 赤間文三

    国務大臣(赤間文三君) 申し上げることはあまり適当でないと、こういう見地から申し上げないわけでございます。
  268. 二宮文造

    ○二宮文造君 これは非常に問題だと思うのです。検事正は、与党に集中して政党別には複数だ、こういうふうに世の中に対して問題を投げかけておきながら、その複数が二なのかそれ以上なのかということは「適当ではない」ということは、半分しゃべってあと半分は隠して、こういうかっこうになります。これは明快にしていただきたい。言わないなら全然言わないでほしい。
  269. 赤間文三

    国務大臣(赤間文三君) お答えしますが、検察庁の公の談話におきましては話してないのであります。法務省も話していないのでございます。その他のことについては、各個人がどういうことを言ったかは、私は一々それについてどうと言うわけにはまいらない。検察庁並びに法務省ともに各党別のものは発表をいたしておりませんから御了承願いたいと思います。
  270. 二宮文造

    ○二宮文造君 重要な問題だと思うのです。記者会見はどういうお取り扱いをされますか。記者会見はプライベートのものですか、公のものですか。あるいは公の中でもどういう位置に位するものですか、法務大臣の見解を伺いたい。
  271. 赤間文三

    国務大臣(赤間文三君) お答え申し上げますが、記者会見は、やはり公の場合もあれば私的な場合もあります。事柄により、またときにより、またその人によっていろいろ私は違うと、かように考えます。一がいに全部が公的なものであるというようなわけにはまいらない、かように思います。
  272. 二宮文造

    ○二宮文造君 それでは、この場合の記者会見は公の場合でないと法務大臣は断定されますか。
  273. 赤間文三

    国務大臣(赤間文三君) 一つことを何度も申し上げて恐縮でございますが、検察当局並びに法務当局は、この党派別の人間というようなことは一切発表いたしておりませんから、その点御了承願いたいと思います。
  274. 二宮文造

    ○二宮文造君 この場合は公ですか、公じゃないんですか。
  275. 赤間文三

    国務大臣(赤間文三君) その他のことにつきましては私は関知をいたしません。御了承願いたい。
  276. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 二宮君時間が参りました。
  277. 二宮文造

    ○二宮文造君 じゃもう一問最後に一言申し上げておきます。  それでは、ついに時間が参りましたので、残念でありますけれども終わりにしたいと思いますけれども、参考人はいつの段階でその発表をする用意があるのか、これが一つ。  それから総理に、最近は京阪神土地事件に関しましても、新聞で政界人が介在するようなことが云々されております。また、先ほど私が取り上げました高輪の旧御用邸につきましても、あるいは公然の秘密のように伝えられております。これは非常によろしくない。また総理自身が、口を開けば清潔な政治、こうは言いますけれども、これが俗に言う口頭禅に終わってはしかたがない。そこで、私先ほど与党に道義的責任はどうかと、こういうような質問をしましたのは、やはりその与党内にも、あるいは各政党とも責任があると思うのでありますが、関係者についてはその道義的な責任を問うべきである、それぞれに。党内でもけっこうです。総理にその用意があるかどうか、これは与党内のことだけでけっこうでございます。  さらに最後にもう一つお伺いしておきたいのは、問題はやはり政治資金規正法の取り扱いがこの問題を救う何よりの道になってまいります。また、政治家はみずからの姿勢をそういう面で正していかなければならない。でなければ政治に対する国民の信頼は回復しないと私は断定してもいい。したがって、そういう時点においても、なおかつ、総理はあの政治資金規正法の取り扱いについて、従来の考え方にこだわったままでいるか、あるいは新しい時点に立って、国民が納得するような政治資金規正法の改正を検討するか、このことについて御答弁をいただきたいと思うわけです。  なお、外交あるいは公務員給与その他の問題につきましては、時間がありませんです。非常に残念でしたので、質問の主意書という形でわれわれの考え方政府に伺いたい。こういうわけで、そのように取り扱いをさしていただきたいと思うわけです。答弁をお願いします。
  278. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私は所信表明でも申しましたように、政治家が大道を歩むと同時に、清潔な政治、これに徹することが大事だと、かように私考えております。ところで、ただいまも御批判がありましたように、どうもかようには言いながらも、いまおあげになりましたように、国民から政治不信を招く、招来するようなそういう事件が次々に起こっております。私はたいへん残念しごくに思っております。まあ、これらのことがあるにつきましても、さらにこういう問題についてはお互いに身を持することさらに厳でなければならない、かように思います。そういう意味から、道義的責任、いわゆる刑法上の罪にはならなくても、道義的な責任があるものはその責任をさらに追及する、そういう態度で臨めとの御意見、私もしごくもっともだと思います。私は、まず自民党内におきましても、こういう点、十分党員の反省を求めるつもりでございます。  次に、政治資金規正法の問題についてお尋ねがございましたが、私は政治資金規正法、これには過去二回苦い経験をなめております。政界浄化と取り組む、そのためには一歩でも二歩でも前進するということが望ましいのではないかと、かように思っております。第一回はたいへん高度の政治資金規正法案を出してこれがつぶれ、第二回は現実的な問題で前進をねらった案を出した。これまた審議を終了することができなかった。たいへん残念に思っております。私は、現在の選挙制度のあり方や、また政治活動、あるいは国民の政治意識等の問題もございますが、それらを勘案しながら、実情に即して一歩でも政界浄化に役立つ、そういうような政治資金規正法案を、過去の苦い経験にかんがみまして、さらに私はくふうすべきだと、かように考えております。
  279. 二宮文造

    ○二宮文造君 法務大臣。
  280. 赤間文三

    国務大臣(赤間文三君) 参考人はその性質上、刑事政策の上から申しましても、公表をしないことを適当と考えております。御了承願いたい。
  281. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 以上をもちまして二宮文造君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  282. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 次に、瓜生清君。
  283. 瓜生清

    ○瓜生清君 私はけさからの質問を聞いておりまして、時間の関係もございますから重複を避けまして、主として財政と経済問題に集中をして総理並びに関係大臣にお伺いしたいと思います。  しばしば指摘されましたが、本年とりましたいわゆる総合予算主義、こういういき方を来年度の予算編成でも引き続いておとりになる意思があるのかどうか、総理見解をお伺いします。
  284. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 総合予算主義は、ことし初めて採用したと言いますが、まあ本来が予算はかくあるべきものだと、私はかように考えております。ただ問題が、ことし一年総合予算主義を貫き、補正予算を組むか組まないか等々の意見が出ております。また、実際の予算運用上支障があるかないか、これらの経験を生かしていくべきだと、かように思いますが、現在のところ、私は本来の予算は総合予算主義であるべきものだ、かように考えておりますので、来年もこの方向で予算を編成する、かように御了承いただきたい。
  285. 瓜生清

    ○瓜生清君 大蔵大臣いかがです。
  286. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) いま総理のお答えになったとおりでございまして、従来の組み方がむしろ変則であって、予算というものは、やはり当初予算において各経費のバランスをはかる、これがやはり本筋であろうと思っております。
  287. 瓜生清

    ○瓜生清君 そこでお尋ねするわけですが、確かに本来それが正しい姿であるということは理解できないことはありませんけれども、財政の基本については憲法が定めておる。それを受けて財政法がこまかいことを規定しておるわけですが、本年度の予算を見ますと、予備費というものが膨大に組まれておる。こういうふうに指摘できると思うのです。ところがですね、予備費というものは予見できない。そういう目的に使うんだということが財政法の二十四条に明記されておりますが、おそらく私、この予備費というものは、公務員給与ないしは新しい生産者米価の値上がり分による不足の補てん、そういったものに使われる公算が強いと思うし、また、大蔵大臣もそういうことを言っておられるわけです。そこで、公務員の給与なりあるいは生産者米価というようなものがはたして予見できない性格のものであるのかどうか、大蔵大臣に伺います。
  288. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) この人事院の勧告があるであろうということは予見できる事実でございますが、その内容については予見できない。こういうことで、やはり人事院勧告に従った給与表アップというようなものは予見しがたい。予算補正に備えるために一応準備しておくということは正しいことであろうと思います。  それから米価のお話がございましたが、これはやはり毎年補正予算で処理するということでございましたが、今年度はその補正財源をできるだけ必要としないようにという趣旨で組んでございますので、当初予算の中であらかじめ従来は補正財源であったものあるいは予備費を使ったようなもの、そういうものはあらかじめ食管会計の調整費の中に配分しておく。そうして繰り入れておくという措置を今度はとってあるということでございます。
  289. 瓜生清

    ○瓜生清君 しかしですね、つまり、その予見が可能だけれども、使途がまだ未確定という経費を予備費で使うということは、前の国会の議決をとって、その事後承諾を得るという、そういうことになっておると思うのです。そうしますと、今回とられた措置というものは、財政法違反じゃないでしょうけれども、こういうようなことが今後も行なわれるということは、むしろ国会の軽視というようなことに拡大されていくのじゃないか。そういう危険性を私は感じるわけですが、その点について総理いかがですか。
  290. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) この予算もできるだけ実態に即した方向で御審議を願わなければいかん、いわゆる大福帳式な予算はいかん、あるいは非常に予備費が膨大で、そうしてそれで包括的に承認を得たんだ、かようなことがあってはならないと思います。したがいまして、ただいまの、どの程度の予備費が考えられるか、こういうことを考えてみると、私もいま言われたような点を勘案して、そうしてことしの予備費は計上された。これがことしの通常国会において皆さん方も御審議をいただき、当時いろいろの御意見のあったことも承知しておりますが、なお、私が先ほど申したことを誤解のないようにお願いしたいのは、本来かくあるべきものではあるが、ことしの実績等をも十分勘案して、来年の予算は組んでまいりますということを申しておりますので、一つの原則を何でもかんでもその原則を貫くんだ、もう絶対にその他の方向には変えないんだと、こういうものでないことだけ御了承いただきたいと思います。
  291. 瓜生清

    ○瓜生清君 そこで、これは結果論的な意見になると思いますが、この予備費の使い方について、総合予算主義というものをとったがために、財政硬直化からそういう手段がとられると思いますが、本年度に限定してみる限り、米価の問題あるいは公務員給与の問題等々をとらえてみますと、その弾力的運用というものが予備費のワク内に閉じ込められてしまっておるというような印象を私受けるのですが、この点いかがですか。大蔵大臣。
  292. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 要するに予備費の配分をあらかじめどれだけにしておくかというところに問題はあるかもしれませんが、従来は御承知のように、この経済の成長期でございましたので、年度の途中でいろいろの予算の補正ができる程度に自然増収があった。したがって、もうそれを当てにして当初予算においては予見し得るいろんな予算の不足というものがありながら、それを当初予算で考慮せずに、この自然増を当てにして予算を組むということをやっておりましたために、現実にこの自然増があったという場合には、もうほかの経費との均衡も何もなくて、特定のものの補正予算の財源にそれを使うということが慣行でございました。したがって、各経費間のバランスがいまくずれておるということは事実でございます。もし相当大きい自然増収があるということでしたら、本来なら各経費の均衡をとって、社会保障費が不足すればそれをどう補正するとかいうような全般の補正をやることが、この経費の均衡をはかる道だというふうに考えますが、そうじゃなくて、特定のものだけに一定の自然増収を使うというのが過去の慣例でございました。あまりいい慣行ではございませんが、しかし、それができておったときは、まあそれでよかったのでございますが、今後この年度の途中でそういう自然増収があるということを見込めない事態にいまなってまいりましたので、そうしますというと、いままでのように自然増を当てにして、大体予見し得ることがありながらその予算を組んでおかないというようなことをしたら、これはたいへんな結果になりますので、そこで、やはり本来の予算の編成方針に戻って、当初予算において全体の経費のバランスをとって、これだけのものは事前にもうその経費に充てておくという配分の措置をとらぬというと、これはたいへんになりますので、今回からそういう措置をとったということでございます。その場合にどれだけの量を準備しておいたらいいかということにつきましては、過去のずっと経験で見ましても、たとえば食管制度においても、いま言いましたような形で、毎年毎年この赤字繰り入れというものを、ずっと自然増が多くなるに従ってふやしてきたというのが実際でございますが、昨年のように非常な政府買い入れというときに出た赤字ということを一応最高の赤字と見て処理できるじゃないかというようなことで、この赤字の見方も過去における最高の数字をとるというようにいたしましたし、予備費の見方におきましても、過去において一番今度の見方が充実しておるというふうに、これを当初予算の中で、この経費の配分を均衡をとって行なったというのが、今度の予算の編成の仕方でございます。
  293. 瓜生清

    ○瓜生清君 通常国会が終わりまして、二カ月ぐらいしかたたないわけですから、これ以上追及しても、補正予算あり方についてなかなかわれわれの主張というものに耳を傾けられないと思いますから、私は次に進みますが、再び大蔵大臣にお尋ねします。たしか先回の国会で、昭和四十五年には、いわゆる現在の課税最低限八十三万円を百万円にするということを言われましたが、大体私どもが大まかに計算をしますと、十万円底上げすればほぼ一千億円の財源が要る。そうしますと、百万円ということになれば約二千億、さらに先般出されました税制調査会で考慮しておりますいわゆる中間所得層の手直し、こういうものを実行するとすれば、三千億以上の財源が必要になってくると思いますが、いま言われておる財政硬直化のそういうワクの中で、どういう方法で具体的にこれを実現されるのか、ひとつプランがあれば、その大まかなところでけっこうですから、お示しを願いたい。
  294. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 税制調査会の答申が出てまいりましたので、できるだけこの答申の線に沿って、早く減税を実現したいといま考えております。もともと私どもは公約として、四十五年までには課税最低限百万円にするというつもりでございましたが、今回の答申は期限を切らないで、百三万円という数字を示しておりますし、また課税最低限の引き上げだけではなくて、税率の調整というようなもの、所得控除の引き上げというようなもの、そういうものも合わせて答申されておりますが、これをどうかみ合わせて減税案をつくるかというのが、これからの私どもの仕事でございまして、答申を得ましたので、これから作業をするつもりでおります、最初考えておりましたように、機械的にまず課税最低限の引き上げをやって、それが済んでから今度は率の問題にとりかかろう、そうも考えておるということを、前回私はここでよく答弁いたしましたが、いろいろ考えてみますというと、これを機械的に分けてやることはむずかしい、財源のいかんによっては、これを適当に一緒に織りまぜた改正案のほうが好ましいというふうに考えておりますが、これをどういうふうにやるかということは、今後の財政事情、経済の事情によることでございまして、まだ成案は得ておりませんが、いずれにしても相当大きい財源がこれによって必要であるということだけは確かでございます。
  295. 瓜生清

    ○瓜生清君 そこで来年度の予算編成がぼちぼち始まるわけですが、いまの税制の問題について、答申案に基づく大蔵省の考え方というものがまとまるのはほぼいつごろでございますか。
  296. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) やっぱり十一月の末ごろでないと考えがまとまらぬと思います。
  297. 瓜生清

    ○瓜生清君 そこで私さらに大蔵大臣に御質問したいと思うのですが、最近の株式の状況を見ておりますと、相当堅調になってきておりますが、あの状態について大蔵大臣としては、どういうような批判といいますか、見方をされておるのか、お考えを聞きたいと思うのです。
  298. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) もし不健全な様相がございましたら、これは規制とか、適当な措置をとらなければならぬということで、市場の動きを私どもはじっと見守ってまいりましたが、いまのところそう不健全な投機的な動きというものはきわめて少ないというふうに考えております。
  299. 瓜生清

    ○瓜生清君 そこで株式に関連しまして、もう一つお聞きしたいのですが、例の日本証券保有組合、それから日本共同証券、いわゆる株価安定のためにああいうふうな機関ができたのですけれども、それの今後の運用について、あるいは日本銀行から借りている融資の処理について、大蔵省としてはどういうふうな指導のしかたをされようとしておるのか、また日銀からの借り入れ金は一体現在どのくらい残っておるのか、大体の数字でけっこうですから、最も新しいものをお聞かせ願いたいと思います。
  300. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 共同証券のほうは、たしか七月末までの分が七百七、八十億、八百億近い処分をしておると思います。保有組合のほうは二千億以上の処分をしておるという状態でございますので、日銀の借り入れもいま非常に少なくなりまして、もし、間違ったら事務局から訂正していただきますが、私の記憶では共同証券が四百億円前後で、保有組合のほうはほとんど五、六十億と少なくなっておるというふうに思っておりますが、一方、期限は来年の一月に保有組合がきますので、それまでには大体この処分はついていくのじゃないか。それの処分に従って日銀借り入れをなるたけ早く返済するということにしたいと思っております。共同証券が少ないのですから、共同証券が七十億、保有組合のほうが四百億。
  301. 瓜生清

    ○瓜生清君 そこで、たしか先般の衆議院でも、あるいはまた参議院の大蔵委員会でも問題になったと思いますが、この二つの、これは法人の性格が違いますが、機関で、現時点におけるようなまあ値上がりの状況というものを見てみますと、相当大きな利益が出ていると思うのです。返すものを返し、経費を差し引いても、そういうふうに私どもは判断しているのですが、そういうことについて大蔵省としては、ああいうふうな特殊融資をした結果、株価の安定に役立って、そして値が上がれば、そのもうけというものは、そういう機関に一任させる、そういうふうな行政指導のされ方をするのか、それともいま新聞紙上等で伝えられておるような、何らかの利益に対する配分の方法について規制のようなものをされるのか、そのお考えを聞きたいと思います。
  302. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) まあ設立の趣旨にかんがみまして、やはりこの利益がある程度公共的な用途に使用されることが望ましいという考えを持っておりますが、しかし、こうしろああしろということじゃなくて、それについて適当な考え方を業界自身でひとつきめてもらいたいということで、いま業界にもこのあと始末の問題について意見をまとめさせておる段階でございますので、その意見によって、私どもは適当な指導の必要があれば指導をしたいというふうに考えております。
  303. 瓜生清

    ○瓜生清君 次は宮澤長官にお尋ねします。  数日前の新聞に、物価等との関連において所得政策を導入する意図があるかのごとき発言をされたかどうか、その点をお伺いします。
  304. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) ちょうどよい機会でございますので申し上げておきたいと思いますが、実は衆議院で、たしか和田耕作議員からこういうお尋ねがあったのでございます。つまりこういう物価情勢であるので、公共料金等々を少し長期にわたって全部とめてみる気はないか、こういう意味お尋ねでありました。しかも、御質問は非常によくいろいろのことをお考えの上でお尋ねのようでありまして、思いつきのお尋ねではないようでございましたので、私もそれに関連して、二、三日分の考えておりますことを申し上げたわけでございます。そのとき申し上げましたことは、確かに消費者物価情勢容易ならぬものがございますが、もし、いまのように料金、価格をとめるということになりますと、配当であるとか、利子であるとかいう関係もございますが、それがかりに何とか処置がとれましたといたしましても、賃金という問題をどう考えるか、と申しますのは、賃金は年々上昇してきておりますし、それ自身は決して悪いことではないのですが、生産性の低い中小企業でありますとか、サービス業でありますとかいうところでは、人手不足になりまして、どうしても人がほしい。しかも賃金は大企業並みのものを払わなければ人が採れませんので、それを生産性の上昇でこなすことができない。そうしますと、勢いサービス料金、価格等にそれを転嫁するということにならざるを得ないわけでございます。その場合に、その料金のほうを押えてしまいますと、人が雇えない、あるいは賃金が払えないということになるわけでございましょうから、そこで賃金をどうかするかということになれば、これはもう申し上げるまでもなく、非常にむずかしい問題で、国民各層の間でそれについて合意を得るということはなかなか容易なことでないように思います。さりとて、いまのイギリスのようになってしまっていいとは思いませんけれども、どうもその問題をやっぱり軽々に論ずることは、私としては差し控えなければならないし、実際問題としても容易なことでないのではないかと思います。こういうことを申し上げました。これは公開の席でございましたので、各報道機関も聞いておられましたし、速記録にもそのとおり載っておると思います。そこで、ただ非常にふしぎでありましたのは、一つの新聞だけがたまたま、その報道の内容は大体似ておるのでございますが、その結論のところが逆になっておりまして、私もそれを見まして、やや意外に思ったのであります。どういうことでありましたか、おそらくこれはそのジャーナリズムのひらめきのようなものではなかったかと、正直思っておるのでございますが、私の申しました真意は、速記録でごらん願いますと、そういうことは実際問題としては困難ではないかと思います。こういうふうに申し上げたわけでございます。
  305. 瓜生清

    ○瓜生清君 さらに長官、もう一つ伺いたいと思うのですが、私、先国会で現在の物価が値上がりしておる。で、自由経済のシステムですから、なかなかそれを押えるのは、これというどんぴしゃりのきめ手というものは困難だ。そこで、せめて家庭生活に大きな影響を及ぼしておるようなものについては、もう少し指導価格というような、そういった考え方というものを採用してはどうか、こういうことを申し上げたところ、これはたまたま農林問題でありましたが、農林省当局はそういう意思がないという、こういう御回答をもらったわけです。そこで、私は、物価の問題について最も熱心と言われる宮澤長官は、この指導価格の問題についてどういうふうな見解を持っておられるか、お尋ねしたいと思います。
  306. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 問題は、だれがどのようにして指導をするかということになると思うのでございますが、もしほんとうに指導をするということになりましたら、やはりコストをちゃんと調べまして、そうして適正な利潤を見て、それが暴利にならないという範囲のところで指導するということになるのでありましょうが、政府が個々の企業のコストをいろいろ調べるとかいうようなことは、私は結果としては、弊害のほうが多いのではないかというふうに考えております。そこで、やはり自由な競争条件があって、その競争の中で価格が公正に形成されるということが基本的には大切なことではないだろうか、そう思っておるのでございます。
  307. 瓜生清

    ○瓜生清君 そういうことをする意思がないというふうに受け取っていいわけですか、確認したいと思います。
  308. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 先ほども申し上げかけましたように、企業の内部のコストであるとか、あるいは賃金の決定についてであるとか、いろいろなことを公権力が干渉をしないほうがいい。やはり自由な競争条件で市場価格が定まることのほうが望ましいというのが基本の考え方でございます。
  309. 瓜生清

    ○瓜生清君 時間がありませんから、椎名通産大臣に一つだけお聞きします。  例の輸入制限のアメリカの問題につきましては、どうにかうまく片づいたんですが、最近またそれと同じような傾向というものが出てきておる。おそらく大統領選挙が終われば、ああいった南部の保守的な地域から、あるいはまた鉄鋼の企業から、そういった問題が再び起こってくる危険性があるように私は感じるんですが、それに対して政府のほうは、どういうふうな情勢分析をしておられるのか。わかる範囲内で知らせてもらいたいと思います。
  310. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) ちょうどいま八月の三日から来月の四日までアメリカ国会は休会となっております。御指摘の輸入制限の問題でありますが、今年の一三月下旬に、上院で物品税課税法案通過の際に便乗して、ホリングス法案というのが提案されて可決したことがございますが、そこで下院と上院との協議会が行なわれて、下院がこれに反対いたしましたので、否決されました。そしてまあ現在は休会の状態になっておるのでございますが、九月上旬になって再び国会が活動を始めるという段階になりますと、かなり輸入制限に対する動きは、決して終息しておりませんので、再びこれが頭をもたげてくる可能性が出てくるかもしれぬ、こう思っております。  まあ従来はあらゆる方面に働きかけまして、さような輸入制限の措置は、アメリカ自身方針にも反するし、世界の貿易に対する考え方の大勢にも非常に逆行することになるからというので、極力反対して、これを阻止することができたわけでありますが、再びこの問題が爼上にのぼるということになりました場合には、従来どおり、あらゆる方面に働きかけて、法案の提案なり、あるいは通過なりを阻止するというふうに極力努力をしたいと、かように考えております。
  311. 瓜生清

    ○瓜生清君 最後に総理にお伺いしたいと思いますが、今朝来、他の委員から爼上にのぼりました、例の学生運動の問題、これについてはいろいろな要素というものが背景にあると思うのです。しかし私は、その一つの何といいますか、要因として、学校教育法自体が、はたしてこれでいいのかどうか、そういう疑問を持つのですが、それに対して総理はこれを改善するとか何とかという、そういうお考えは現在のところあるのかないのか、その御意見を承りたいと思います。
  312. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) まあ学校教育法は、大体教育の基本に関する問題、その法規でございまするので、そう簡単にあれを改正するとか変更するとか、こう言えた筋のものではないと思います。  ただ、私は、いまも御指摘になりましたように、いま起こっておる学生運動、学生の問題、これはただ簡単に一つだけの問題ではない。あらゆる問題がこれに関連をしておる。そういう意味で、文部当局におきましてもただいま検討中でありますし、また、ただいまもお話しになりますように、瓜生君からも、野党の諸君からも、こういう問題についてはどうか政府に各種の案を、あるいは示唆でけっこうですから、ひとつ聞かしていただきたいと思います。まあただいまの学校教育法も、そういう意味で私どもは検討すること、これはもちろんでございます。ただいまどうこうするというのではない。これもやはり検討の一つであろう、かように私は思います。
  313. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 瓜生君、時間が参りました。
  314. 瓜生清

    ○瓜生清君 はい。  最後に一つだけ総理に要望しておきたいことがあります。それは、所信表明演説で、清潔な政治を確立するのだということをおっしゃいましたが、その決意はよくわかるのです。しかし、これをひっくり返して言えば、さっきからしばしば言われておりますように、いまの政治というものが国民の不信を買っておる、このことについては、私の知る限りにおいては、いつの国会でも、いわゆる政治家としての姿勢を正すと、こういうことを総理は言われるのですけれども、さっぱりその実効があがらない。だから、たびたび繰り返さなけりゃならないというのが、皮肉じゃなしに実態だと思うのです。したがって、それに対する総理のお考え方を、きょうもしばしば出ましたけれども、もう一ぺん私お聞きして質問を終わりたいと思います。
  315. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 政治の姿勢を正すこと、清潔な政治をすること、これは私の政治的な信念でもございます。しかして、これを毎回同じことを言わなければならないほど何ら改善のあとがない。これは私自身の責任でもあろうと思います。これは政治家全体の責任であろうと、かように私は思います。国民の政治に対する不信を買う最も大きなもの、まあいろいろありましょうが、最も大きなものは政界の汚濁、これが一番不信を買うものです。かように私は思いまするが、その姿勢が直るまで、私自身国民とともにこの政治の姿勢、これについて強く要望しておりますから、自分でこれなら満足がいく、さようなことが言える、それまでは、同じことでありますけれども、私は繰り返し、繰り返しこの所信表明のようなことばを使いたいと、かように思っております。私はどうしても皆さま方の御協力を得ましてこの政界浄化の実をあげたい、かように私は考えております。
  316. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 以上をもちまして瓜生清君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  317. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 次いで岩間正男君。
  318. 岩間正男

    ○岩間正男君 今月八日の参議院内閣委員会で増田防衛庁長官は、自衛隊の治安出動について、自衛隊法の現在の規定には不備な点がある、間接侵略に対する治安出動のあり方について再検討する必要があると述べ、治安行動教範はつくらないが、治安行動に関する指揮官心得をつくる方向で検討したいと述べています。これは、自衛隊の治安出動の際はあくまで警察のうしろだてとして行動することをたてまえとするという政府答弁の百八十度的転換で、時節柄きわめて重大な発言であると思います。  そこで私はまずお聞きします。佐藤総理は、こうした発言について、あらかじめ防衛庁長官の相談を受けられたかどうか、また、このような発言についてどうお考えになるか、この点お聞きしたいと思います。
  319. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 閣僚の発言は一々事前に私に相談をされるようなものではございません。しかしながら、もうかって治安行動、治安の緊急出動等については国会でも問題になっております。そういう点から、こういう重大なる事柄につきましては、それぞれの閣僚において検討願っております。この際の発言にいたしましても、事前に相談があった、こういうものではありませんけれども、問題の所在は私自身もはっきりつかんでおる、かように思っております。  なお、増田防衛庁長官のそのときの発言でございますから、増田君からもお答えがあろうかと思います。
  320. 岩間正男

    ○岩間正男君 このことについてはどうお考えになっておるのですか、発言について。総理
  321. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) まずこの際、明らかにしなくちゃならぬことは、先般来、たびたび国会におきまして、治安行動教範なるものは作成することは望ましからずということを言いましたが、しかし自衛隊の職責は、わが国の平和と安全を守るため、直接侵略並びに間接侵略に対処することを主たる任務とする、こう書いてあるわけでございまして、間接侵略に対処するために各種の訓練を励行することは最も望ましいことであり、必要であると、しばしば国会において明瞭にいたしておりますが、この際、さらにあらためて明瞭にいたします。  それから、治安行動教範なるものは、私自身が勉強いたしております。また部下にも勉強さしておりまするが、大体のところ、治安行動教範はつくらない方向でございますが、しかし、自衛隊法八十九条並びに九十条によりまして、武器を使用する場合が七十八条による治安行動が下命された場合でございます。その場合に、八十九条並びに九十条によって武器を使用する場合があります。その武器の使用というものは、おおむね指揮官の命令によるわけでございまして、その指揮官の心得というものは必要である、こういうふうに考えておる次第でございます。このことを明らかにいたしておきます。この心得についてはいま検討中でございます。いずれ作成を見ることと考えております。  それからその次に、自衛隊法自身につきまして、立法論的には課題があると申しましたことは事実でありますが、しかし解釈論的には何も問題ないのでございまして、すなわち、自衛隊法第三条には、自衛隊はわが国の平和と安全を守るために、直接もしくは間接の侵略に対処することを主たる任務とする、兼ねて必要に応じ、公共の秩序を維持することにある、これは兼ねてやっておるわけでございまして、当然には国家公安委員会が国内の秩序を維持するわけでございます。ところが、これを受けました七十六条には防衛出動の規定がございまするし、つまり直接侵略と間接侵略が主たる任務でございまするが、これに対処することが主たる任務でございまするが、今度は各論的な法律になりますというと、七十六条と七十八条と分けまして、七十六条は主として直接侵略、七十八条は主たる任務のうちの間接侵略と、従たる任務、あるいは兼務といってもいいかもしれませんが、兼ねた任務である公共の秩序を維持する、これは一緒にしてございます。一緒にしてありまするから、立法論的には一つの課題があるけれども、解釈論的には問題ないと思います。といいまするのは、間接侵略並びに公共の秩序を維持するために、一般警察力をもってしては不足であると内閣総理大臣が認めた場合に、治安行動の命令が出るわけでございまして、でございまするから解釈論的には何にも問題がない。ただ、法の整理のしかたとしては、主たる任務と従たる任務と分ければ、そのほうがよろしかったのでありますけれども、解釈論的には少しも問題がございません。
  322. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま防衛庁長官からお答えしたとおり、この結論は私も支持しております。したがいまして、いまの行動教範についても検討するということでありますから、その検討の具体的内容がもっと明確になれば、さらに私は相談をされるものだと、かように期待しております。
  323. 岩間正男

    ○岩間正男君 当然こうなれば、これは増田防衛庁長官も言っておられたのですが、自衛隊の治安出動について十ぱ一からげにしていることは立法論上問題がある、こういうように言っているわけですが、そうなれば法改正という問題になってくるわけですが、この法改正の考えがあるのですか、また、総理はこれについてどうお考えになりますか、この点お聞きしたい。
  324. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 将来、立法論的にはそういう機会があれば、主たる任務は主たる任務として一括する、従たる任務は従たる任務として一括する。そこで主たる任務と従たる任務とを一緒にして七十八条はしてございまするが、同じ治安出動にいたしましても、分けたほうがやはり理論的には正しいと思っておりまするが、しかし解釈論的には少しも差しつかえないわけでございまして、将来の問題としても、現行法で十二分である、こう考えておる次第でございます。
  325. 岩間正男

    ○岩間正男君 現行法で十二分であるというのは、これはいまの説明から考えれば非常に違っていますね。現行法はあくまでも警察を先に立てて、そして後拠支援の立場をとっている、このたてまえでいっているわけです。ところがあなたの場合には、間接侵略の場合にはもうそんなことは間に合わぬ、そういうことはおもしろくない、だからもう直接出動する、こういうことを、これはきのう、一昨日の委員会で言っているわけです。そうすれば性格的には百八十度変わっているわけです。当然七十八条、ここで論議する時間の余裕はないわけですけれども、これはそうなりますよ、これでいいんですか。総理はどう考えますか、その点は。
  326. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) いまの現行法で少しも差しつかえないわけでございまして、ただ区分けをすれば区分けができる状態である、こう言っただけでございます。そこで間接侵略並びに一般の警察力をもってしては秩序の維持が困難であると思われる緊急事態の場合と、すなわちこれは両方にかかるわけでございまして、間接侵略であって、まずこれは警察が先でございます。一般の警察力をもってしては秩序の維持が困難なる場合、国内の緊急事態であって、一般の警察力をもってしては秩序の維持が困難なる場合、こういうものを一括して七十八条に規定してございますが、これで十分間に合っておるわけでございます。
  327. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは精神がまるで違う、たてまえが変わる。この点はそういうあれでは非常に不十分です。結局こういう問題は、いままでのいろいろな関係の取りきめとも関連してくるわけですね。そこで私は赤澤国家公安委員長にお伺いしますが、昭和二十九年に、国家公安委員長と防衛庁長官との間に結ばれた治安出動に関する協定、これがあるわけですね。これには治安出動時における自衛隊の後拠支援としての性格がはっきり規定されているはずであります。ところが増田防衛庁長官の発言によりますというと、間接侵略の場合はこれではおもしろくないと、こう言っているわけです。したがって、この問題について、これは態度が食い違いが出てくるわけです。これについて事前の相談があったか、またこれに対してどんなお考えを持つか、お聞きしたい。
  328. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) お答えします。  話しは合っております。しかし治安確保のために直接民衆と接触するんで、鎮圧する責務のあるのは当然警察であります。基本協定は結ばれてありまするけれども、私どもといたしましては、警察の全責任においてこれに対処するというたてまえでおります。まあ直接侵略などということがあればいざ知らず、でない限り、日本国内に起こりました日本人のいろいろな起こり得る問題につきましては、責任を持って警察が当たるつもりでおります。
  329. 岩間正男

    ○岩間正男君 いまの答弁、増田防衛庁長官、あなたのは、間接侵略の場合は直接出動すると言ったじゃないですか。ところが赤澤公安委員長は、あらゆる場合にと言っている。
  330. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 岩間委員ももう少し勉強してほしいのでございまして、自衛隊法第七十八条には、間接侵略であって——途中を抜いて読みますよ。間接侵略であって、一般の警察力をもってしては秩序の維持が困難なときと、中略で読めばそうなるのでございます。間接侵略は、いきなり警察の関係を抜きにして、私どもが前線に出るということをいまだかつて言ったことはございません。七十八条のとおりでございます。
  331. 岩間正男

    ○岩間正男君 それなら協定をなぜつくったんです。協定要らぬじゃないですか。あなたはこの前こういうことを言ったんですよ。治安行動教範というものは穏やかならぬものであり、つくらないばかりか研究しない、こういうことを言ったわけですね。ところが、さきのような理由をつけて、今度は部隊長心得というかっこうで、こういうものをつくろうとしている。態度が非常に変わっているわけです。百八十度変わっているわけです。そのように変わった一体原因というのはどこにあるんですか、この点を明確にしなさい。わずかに半年足らずです。四カ月だ。参議院選挙の前だ。ところが、最近まるでそういう答弁をしている、
  332. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 一般的にあなたのおっしゃったことを私が肯定をしているわけじゃないのです。あなたが人民を圧殺するような教範はけしからぬとこう言って、あなた自身がまずけしからぬと言っておるんじゃないですか。ですから、そういうようなことはいたさない。それから、昨年の七月四日に、衆議院において武部文君が質問をいたしました。そのときには、まず指揮者を狙撃する、これを倒した効果を見た後に、全面的に武器を使うかどうかというような、そういう教範があるけれども、これはけしからぬじゃないか。大体、いま赤澤国務大臣がおっしゃったとおり、民衆を相手とするときそういう穏やかならぬ文章を使うことは穏当でないということを私は結局あなたと同じような立場において言っておるのに、あなたがけしからぬ、私がけしからぬ、同じけしからぬと言っているのに、あなたはそれは反対だということは、意味をなさぬ発言だと思います。
  333. 岩間正男

    ○岩間正男君 問題を茶化すようなやり方はだめですよ。あなたは、赤城防衛庁長官の出した三十五年のこの訓令、治安出動時における訓令、これをあらゆる訓練の場に使うと言ったでしょう。この中を見たんですか。あなたこれ検討したですか。だからいまのような茶化した青い方で問題をごまかしちゃだめです。態度は豹変したんだ、この四カ月の間に。あなたはいかにもこういうような教範は使わないというたてまえをとって、そしてあの場をのがれようとした。ところが、最近情勢が変わった。それで、しかも弾圧強化という、こういう態勢の中で、間接侵略ということを非常に問題にしてきている。なぜ間接侵略をいまにして問題にしなきゃならない情勢の変化があるんですか。これは佐藤総理にお伺いします。どんな情勢の変化がありますか。
  334. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) まずお答えをいたします。七十八条に間接侵略という字が書いてあるのでありまして、いま私が新たに問題を提起したから、直ちに私の発言が法律じゃないのですから、七十八条にそういうことが書いてあるわけでございます。それから武器の使い方につきましては、八十九条と九十条とにございまして、所定の場合は、そういう現象が起きた場合は——現象というのは非常に複雑多岐であるということは、社会党やその他の方がおっしゃっております。複雑多岐であって、最大公約数というものはなかなか得られないということをある機会において言ったのに、あなたがそれを援用されているのはおかしな話でございまして、あなたは人民を圧殺するというような教範はけしからぬと言うから、そんな教範ならば私も考え直しますと言っただけでございまして、いろいろ飛躍してあちこち言われたって、私も返答に困るわけでございまして、要するに七十八条に間接侵略ということは書いてある。それは昭和二十九年六月八日から書いてあるのであります。
  335. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) どうもお話、やりとりを聞いていて、本筋がぴったり合わないようです。ただ私、先ほど増田君からお答えをいたしましたように、治安行動教範、これはいろいろ誤解を受けるからさようなものは必要じゃないと思う、さらにまた現行の法律で大体十分のように思う、なお不十分な点については検討する、かような意味のような発言だったと思います。過去の言動、発言等についていろいろやりとりはございますけれども、岩間君も、いま現時点並びにこれから先に増田君がどういう考え方をしているか、これはひとついまの答弁で御了承を願って、どうか、私どもも、ただお互いにことばのやりとりだけで議論してもしようがない、かように思います。
  336. 岩間正男

    ○岩間正男君 情勢の変化、言ってください。情勢の変化ありますか、ありませんか。
  337. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いま私はいわゆる情勢の変化がこの問題にあろうとは実は思いませんが、ただいまの現時点において防衛庁長官がお答えした、今後のまた取り組み方、これは明確でございますから、そういう意味でひとつ御了承いただきたい。
  338. 岩間正男

    ○岩間正男君 防衛庁長官の発言は、非常に自己矛盾です。あなた、四カ月前に間接侵略ということがあることを知ってたわけでしょう。そのときには、それに対する即応する態勢というのはたいへんなものなのです。それを知っていなかったのか、あるいは不勉強だったのか、そうしてしかもそういうことを知っていながら最近になってこの間接侵略の問題を出してくるというところに問題がある。大体見てごらんなさい。これを見てください。これは三十五年の安保のときに出たところの訓令です。そうして、いままでこの治安体制というのは三段階を経てきておるのです。第一は、これはあくまで警察の法規をたてまえとして、しかもそのときの使用武器などというものは警職法にきめられた武器に準ずるというのが第一の段階です。それが……。
  339. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 岩間君、途中ですが、時間が来たことを申し上げます。
  340. 岩間正男

    ○岩間正男君 いまの昭和三十五年の安保闘争の中で赤城防衛庁長官の出したこの治安出動に関する訓令を見ますと、陸海空三軍の総合的な人民弾圧機構となっています。そうでしょう。そうして武器も、戦車、火炎放射器から爆撃機を使うことになり、そうしてさらに最近は放射能や毒ガスまで準備したCBR化学部隊が治安訓練にいつでも参加していることは事実でしょう。これは相馬ケ原でもはっきりさせられた。そうして第三段階は、いま新たに間接侵略ということを口実にして、軍隊が直接出動する体制を法的にもつくり上げようとしている。これは全く旧帝国主義軍隊の時代と同じような体制に戻ろうとしている。これはますますこの自衛隊の凶暴な姿というものを私は明らかにしてきていると思うのであります。  そこで、私は最後に総理にお聞きしたい。人民の血税でまかなわれている自衛隊が……。
  341. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 岩間君時間が来ています。
  342. 岩間正男

    ○岩間正男君 人民を殺す訓練をしている。そうしてそのような体制をますます強化している。こういうことは、これは許されないことだと思うのです。したがって、このような企ては取りやめるべきだと思うけれども、このことについてはっきりしたこれは見解を述べてほしいと思います。
  343. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほど増田防衛庁長官がお答えしたとおりであります。その他の事柄につきまして、岩間君の御意見は御意見として伺っておきます。
  344. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 以上をもちまして岩間君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  345. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 次に、青島幸男君。
  346. 青島幸男

    青島幸男君 私は青島幸男でございます。議員になりまして、バッジをいただきましてまだやっと十日目でございますので、このような重大な席に出席させていただきまして、かつまた発言を許していただき、たいへん光栄に思っております。  本日、私は公職選挙法について二、三質問したいと思っております。その前に、政局の長期展望というものを明らかにしておきたいために、次のことをまず総理お尋ねしたい。  来たる十一月に自民党の総裁選挙が行なわれるというふうに伺っております。総理はこれに御出馬なさる覚悟がおありかどうかお答え願います。
  347. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私の三選についていろいろ御心配のようでございますが、ただいまの段階におきまして皆さん方に私が声明する、さような筋合いでないことを御了承いただきたい。
  348. 青島幸男

    青島幸男君 それでは、三木外務大臣に、あなたは自民党総裁の選挙におきまして佐藤さんの有力な対抗候補、対立候補だと伺っておりますが、このたびの選挙には御出馬になる御予定があおりでしょうか。
  349. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 青島君御承知のように、外務大臣として懸命に努力をいたしております。そういうことを申し上げる段階だとは思いません。
  350. 青島幸男

    青島幸男君 わかりました。私はなぜこのようなことを質問したかと申しますと、次期政権の担当者が明確でないならば、いまこの場で何を伺っても、これは誠意のある回答は得られないというような気がしたものですから、お尋ねしたわけです。たとえば沖繩問題としても、総理は個人的な確信を唯一の根拠にして、両三年の間に返還めどをつけると、こういう再三再四表明をなさっております。もし総裁公選に御出馬にならないということになりますと、これはどなたに継承されることになるか。個人的な確信などというものは、どだい他人に継承さるべきものでもなく、したがいまして、引き続きあなたが政権を担当する用意がなければ、沖繩問題に関するあなたの発言は、すべて国民をあざむくものになるのではないか、かように思いますが、その点いかがですか。
  351. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私が総理として発言出することは、総理としての発言なんです。個人的な発言ではない、かように御了承をいただきたいと思います。
  352. 青島幸男

    青島幸男君 それでは三木外務大臣にお難ねします。沖繩問題について、あなたは首相と同じような見解を持っていらっしゃるかどうか。
  353. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 御承知のように、総理ジョンソン大統領会談については共同コミュニケが発表されております。外交はやはり、総理——個人のものでなくして、一国の代表と一国の代表者とが共同コミュニケに発表されたことは、いかなる変化があっても、そのことは何らの変更をもたらすものではない、外交はそれだけの重みを持っているものでございます。
  354. 青島幸男

    青島幸男君 私は、あなたもどういうわけか総理の個人的な確信というものを継承されるというようにお伺いしましたけれども、そう解釈してよろしゅうございますか。
  355. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 共同コミュニケに対して、私も総理と行をともにしたわけでありますから、コミュニケに対する解釈は、総理と私の間に見解の相違はいささかもございません。
  356. 青島幸男

    青島幸男君 わかりました。   それでは、この問題を引き下げまして本論に入りますが、議会制民主主義の基盤は正しい選挙にある、こういうように私は考えるのですけれども総理はこの点いかがお考えですか。
  357. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私どもこれは同感でございます。
  358. 青島幸男

    青島幸男君 ところが、現行の公選法では、たとえば参議院の全国区にいたしましても、十万枚ポスターを張ることが許されております。一枚張るのに、補強その他の手間を考えまして、大体百円かかると考えます。百円のポスターを十万枚張りますとすでに一千万円、ところが現法規の許されております法定費用は六百五十万円です。このこと一つ取り上げましても、現行選挙法は正しい選挙を推進するにふさわしいものではないと私は考えます。先ほど社会党の山本委員が学生問題について質問されました際に、総理は、わが国は法治国家であるからして法の規制を受けるのは当然であると、こういうようにお答えになりました。ところが、現行の先ほど申し上げました公職選挙法では、これを犯さずに当選することはほとんど不可能ということで、この点を見ましても、学生ばかりを責めるというのは多少酷ではなかろうか、すみやかに金のかからない正しい選挙のできる公選法に改めてほしい、こういうように思うのですが、総理並びに関係閣僚の御問答をお願いしたいと思います。
  359. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いまのことばじりをとるわけではないのですけれども、どうもこの法定費用ではやれない、だれもやっていない、青島自身もそれでおやりにならなかった、かようにちょっと聞けるのですが、さような意味ですと、これはたいへんな発言だと思います。ただいまの選挙費用、これはずいぶん問題がございます。第五次選挙制度調査会におきましても、これではたしてできるだろうかどうだろうかと、かような御議論があったことも聞いております。しかし、この法規費用は法定費用なりに選挙運動はできる、かような結論になったように思います。また、選挙費用に計上すべき事柄と、通常の政治活動と、これなどは区別されるというのが現行のたてまえのように思っております。したがいまして、私は、たいへんゆとりがある、かように私も考えません。なかなか苦しい状態だろうと思いますが、いまの制度そのものは、一応これでやり得る、かようになっておる。そのたてまえはやはりお考えをいただきたい。そうして、これでどうしてもできないようなもの、そういうことについては、やはり法的にこれが訂正される、そういう方向であるべきだと思います。選挙制度調査会におきましては、資金の問題ばかりじゃなく、いろいろの点を審議されますから、そういう機会にひとつ譲らしていただきたいと思います。
  360. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 現行の選挙の仕組みについて、青島さん特にいろいろな御批判があろうかと思います。で、これは選挙の制度その他のことにつきましては、なかなか現職の議員だけできめにくいことでございますので、第三者機関として選挙制度審議会を構成いたしまして、長い間かかって、学識経験者も入って、十分議論をしていただきました。一部はおととし、また大部分は昨年の暮れ、答申をいただきました。その答申の意を体しまして、制度の改正の法案を政府で準備いたしましたけれども、御審議いただく段取りになりませんでした。たいへん残念でございましたが。ただいま選挙資金のことにお触れになりました。選挙資金と申しましても、政治活動の資金と純粋な選挙資金というものを混同して考えていらっしゃる向きが多いものですから、実際純粋に選挙に必要な費用というものはそう高額なものではありませんので、いまの法定選挙費でまかなえる部分もある。しかし、だんだん時代も変わっておりまするし、第五次の選挙制度審議会では、実態に即するような形で改めたらよかろうという答申をいただいたわけであります。
  361. 青島幸男

    青島幸男君 そのことで、私は参議院選挙に関して一つの提案があるのです。公選法に関する答申案などを私も検討させていただきまして、政府の方々の御努力を認めないわけじゃございません。しかし、参議院全国区、地方区並びに衆議院、こういうものを突きまぜて、一つの法案の中に包含してこれを解決しようとしておるところに、私は無理があるように感じております。さきの河野副議長の辞任のごあいさつにもありましたように、参議院の性格から、参議院だげは全く別個に、参議院は衆議院と別個に切り離してこのものを考えることが肝要だと思うのであります。参議院は衆議院との機能的な対比のしから申しましても、地方区を廃止しまして全国区のみにして、選挙技術の問題につきましては、発達しておりますマスコミュニケーションを大幅に活用すべきだと考えます。首相は、さきの選挙で一万五千キロを走破して五十万人の人々に親しく会ってお話しした、こうおっしゃられておりますけれども、首相の権力をもってしても一万五千キロ走って五十万人にしか会えない。ところが、選挙民は何と実に六千五百万人だといわれ、従来のようなこそくな手段を踏襲していては、いたずらに数多くの不明朗な問題を生むのみであるというふうに私は考えるのでありますが、私の提案についてはいかがお考えになるでしょうか。
  362. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) ただいま申し上げましたとおりに、選挙制度については非常に古い沿革もございます。いま青島さんが御指摘のとおりに、戦後は参議院議員選挙法というものがございまして、参議院の選挙のしかたはまたこれ独特のものになっておりましたけれども、二十五年に公職選挙法をつくりましたときに、この中に参議院議員選挙法というものが吸収されたわけでございます。しかし、いまの定数だとか、それから全国区、地方区にお触れになりましたけれども、いずれも一利一害でありますし、これを議論いたしますと、勢い参議院の性格にまで触れていかなければ解決のつかぬ問題でございます。それぞれの委員諸先先については、全国区を可とするもの、地方区のみにしぼれというもの、いろいろな御議論が出ております。しかし、審議会に私どもも参加しておりましたけれども、これは選挙制度審議会の第三委員会で時間をかけていろいろ御議論をいただきましたが、これに限ってはまだ途中でございまして、最終的な答申をいただいておりません。こういう制度自体は、やはり国会だけで議論してきめるというわけにはまいりませんので、やはり学識経験者の中立的な御答申をいただいて、それに基づいて仕組みを変えるということに片からなっておりまするので、その点ひとつ御了承をお願いいたします。
  363. 青島幸男

    青島幸男君 いろいろ誠意ある御回答、ありがとうございました。  それでは、最後に総理一つだけお伺いしますけれども総理見解におきましては、一体民主主義というものはどういうふうにお考えになっていらっしゃいましょうか。
  364. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私がただいま民主政治あるいは議会制民主主義というようなことばを使っております。もうすでに御承知のとおり、ただいまは主権在民、主権者は国民でございます。そういう立場に立ってすべての政治が行なわれる、これを基本的に考えていかなきゃならぬ、かように思っております。  したがいまして、この質疑を通じましても、国民の向かうところ、あるいは考えておるところ、これをつかまない限りりっぱな政治はできないんだ、かようにしばしば申しておりますが、この点が、ただいま私の申す民主主義、主権の所在をはっきり認識して、そして政治と取り組むと、この態度でございます。御了承いただきます。
  365. 青島幸男

    青島幸男君 総理のおことば、民衆のための民衆による民衆の政治というのが民三主義だというふうに御解釈いただいたのでございます。それを聞いて私も安心いたしました。実は総理は、財界のための財界による財界の政治というものが民主主義であるんではなかろうかと、そういうふうに私は危惧しておりましたが、伺いまして安心いたしました。今後ともひとつ民主政治のたてまえで十分御活躍いただきますようにお願いいたします。  最後に、私は時間もありませんが、たった五分しかいただけませんでした。今後は無所属がどんどん出てまいりまして、もっと二長い時間いろいろな部門にわたって質問できることを私は確信いたしております。  どうもありがとうございました。
  366. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして質疑通告者の発言は全部終了いたしました。     —————————————
  367. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 次に、継続調査要求についておはかりいたします。  予算執行状況に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本院規則第五十三条により、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  368. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 御異議ないと認めます。  なお、要求書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  369. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  370. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 次に、委員派遣承認要求に関する件についておはかりいたします。  閉会中、予算執行状況に関する調査のため、委員派遣を行ないたいと存じますが御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  371. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 御異議ないと認めます。  つきましては、派遣委員の人選、派遣先、派遣期間等は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  372. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、本院規則第百八十条の二により議長に提出する委員派遣承認要求書の作成等も、便宜、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  373. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四隣二十四分散会