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1968-10-05 第59回国会 参議院 文教委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年十月五日(土曜日)    午前十時四十二分開会     —————————————    委員異動  九月十四日     辞任         補欠選任      鈴木  力君     羽生 三七君  九月十六日     辞任         補欠選任      羽生 三七君     鈴木  力君  十月五日     辞任         補欠選任      北畠 教真君     玉置 和郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         中村喜四郎君     理 事                 楠  正俊君                 小林  武君                 鈴木  力君     委 員                 田村 賢作君                 玉置 和郎君                 川村 清一君                 成瀬 幡治君                 安永 英雄君                 内田 善利君                 柏原 ヤス君                 萩原幽香子君                 小笠原貞子君    国務大臣        文 部 大 臣  灘尾 弘吉君    事務局側        常任委員会専門        員        渡辺  猛君    説明員        人事院総裁    佐藤 達夫君        人事院給与局長  尾崎 朝夷君        総理府総務副長        官        弘津 恭輔君        大蔵政務次官   二木 謙吾君        大蔵省主計局次        長        海堀 洋平君        文部省初等中等        教育局長     天城  勲君        労働省労政局長  松永 正男君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠互選の件 ○派遣委員報告教育文化及び学術に関する調査  (教職員給与等当面の諸問題に関する件)     —————————————
  2. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  理事補欠互選についておはかりいたします。  委員異動に伴い、理事に一名の欠員を生じておりますので、その補欠互選を行ないたいと存じます。互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 異議ないと認め、理事鈴木力君を指名いたします。     —————————————
  4. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 派遣委員報告に関する件を議題といたします。  先般当委員会が行ないました委員派遣報告につきましては、口頭報告を省略して、報告書を本委員会会議録に掲載することとし、これにより御承知願うことといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  6. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 教育文化及び学術に関する調査として、教職員給与等当面の諸問題に関する件を議題といたします。  現在、政府側より灘尾文部大臣二木大蔵政務次官佐藤人事院総裁弘津総理府総務長官尾崎人事院給与局長栗山総理府人事局長海堀大蔵省主計局次長相原主計局給与課長大倉主税局総務課長天城初中局長諸沢人事課長松永労政局長島人事院職員局長が出席いたしております。  本件について質疑の申し出がございますので、これを許します。小林君。
  7. 小林武

    小林武君 最初に人事院給与局長にお尋ねしますが、人事院勧告を終わるというと、政府側でそれに対して、勧告に対して、形式的でもまあ何でもかまいませんが、口頭になっておると思うのですが、これに関しての回答のようなもの、政府態度を明らかにしたようなものが出るわけですかどうですか。
  8. 尾崎朝夷

    説明員尾崎朝夷君) 閣議決定がございましたあと、その文書をちょうだいしておりますけれども、特別にお話はございません。
  9. 小林武

    小林武君 ぼくの質問が悪いのかなあ、しかたが。人事院勧告というのはあれだけの内容を持ったものでしょう、実施の時期も含めて。そういう勧告をなさったら、あなたのほうで、勧告すれば勧告なしっぱなしで、あなたに対しては政府側からころするともああするとも何にもないものなんですか。それとも、内容について、一々これについてはこうしますという回答、あるいはこれは実施できないと、こういう回答があるものなのですかどうですかと、こういうのです。
  10. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 給与局長お名ざしでございますけれども、私でよければ私から答えさせていただきます。  これは御承知のように、私どもが勧告を提出いたしますときに、私自身が、参議院議長あるいは衆議院議長内閣総理大臣、それにお渡しするわけですが、特に内閣総理大臣には二、三十分くらい、ことしは特に長い間いろいろ要請をしたのでありますが、ぜひ完全な実施をお願いしたいということを申し上げてお渡しするわけであります。それはもちろん、これが完全実施については関係閣僚の方々その他広く、実現が完全にまいりますように私自身努力はいたしますけれども、政府側から、どうだいこの際八月でというような話のようなことは、もう絶対ございません。これは政府責任において実施をする。相談ずくできまったというようなものではないわけであります。
  11. 小林武

    小林武君 相談したということじゃないけれども、それならここにしぼって伺いましょう。実施の時期の問題について、八月実施ということにきまった場合、かくかくの理由で八月実施にしたと、そういうことが文書なり口頭なりであなたのほうに伝えられるものかどうか、そのことをお聞きしたい。
  12. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) いま給与局長が答えましたように、閣議決定写しが参ります。しかし、時によっては、その最終段階において官房長官から、あいさつがてら、お金やりくりが何ともつかぬのでこういうことになりましたからと、儀礼的なお話があることも、時によってはあります。普通は、閣議決定写しをそのままちょうだいするということであります。
  13. 小林武

    小林武君 先ほどの局長お話ですと、閣議決定状況を、それでは、何というか、人事院のほうに回されたというそのときの八月実施理由というのは、どういう理由でしたか。
  14. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) ことしの場合はそういう詳しいお話はございません。
  15. 小林武

    小林武君 そうすると、理由なしに、ただ八月から実施するということだけですか。人事院というところは、いかなる理由でこうなったか、あなたのほうでは五月一日から実施するようにという勧告をなさったが、閣議でもって八月から実施するといったならば、人事院に対して、これはどういう理由でこうなったということはないものかあるものか、それを聞きたかったのです。ないのかあるのか。
  16. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) ある場合もあり、ない場合もある。ない場合は、こちらから行って伺うだけのことであります。
  17. 小林武

    小林武君 ことしの場合はどうであって、その理由は何でありましたか。
  18. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) ことしの場合は、お金やりくりが何ともつかぬということであります。
  19. 小林武

    小林武君 予算やりくりが何ともつかぬのである、こういうのですか。そういう、平たいことばでわれわれ言えば、予算やりくりがつかぬと、こう理解してよろしいですね。そのままでよろしいですね。——わかりました。  それでは、次にお尋ねいたしますが、大蔵省にちょっとお尋ねしたいのですが、これは事務局のほうから聞いたほうが私はいいと思いますので、事務的にお答えいただきたいのですが、総合予算主義をとられたということは、もうこれはたいへんな——これは総合予算主義、ずいぶん耳にたこができるほど聞かされたのですが、この場合の、人事院勧告というものを受けることになった場合、その場合に、完全実施ということができるという予算を組んだのか、それとも完全実施なんということが問題ではなくて、これだけ予備費の中に入れておけというようなぐあいで組んだのか、そこら辺どういうことになっておりますか。
  20. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 予算編成期におきまして、人事院勧告が出ておりました場合におきましては、これは当然そこにおきまして、現在法制上人事院勧告制度というものがあるという前提で予算公務員給与改定についての処理がなされたであろうと思います。ところが、御存じのとおり、予算編成時点におきましては人事院勧告というものはなかったわけでございます。したがいまして、予算編成、ことしは総合予算主義、要するに与えられた財源の中におきまして、諸施策斉合性を保持したいという形で総合予算主義というものをとりました。で、その際に、公務員給与改定というものは必ずあるであろうというふうに考えて、予備費充実をはかったわけでございます。その予備費充実をはかるに際しましては、他の諸施策との均衡ということを考えて、予備費充実をはかる以外に、その時点におきましては人事院勧告そのものがないのでございますから、とるべき道がなかったと申し上げるよりほかないと思います。
  21. 小林武

    小林武君 そうすると、これは文部大臣にもお尋ねをしておきたいのでありますが、これは文部大臣文部大臣であると同時に全般について責任のあることはもちろんでありますが、そうすると、いまの大蔵省側の見解だというと、予算均衡上というたてまえで出されているから、勧告がされた場合に、これを尊重するという意図はその中にはなかったわけですね。尊重という意図がなかった。とにかく限られた財源の中で他の諸施策均衡上いろいろ考慮してつくったということになると、これはもう実施するとかしないとかいうことは、これはその頭の中にないと言ってもよろしい、こういうことになると思うのですが、文部大臣はそういうふうに国務大臣としてお受け取りになっておいでになったでしょうか、どうでしょうか。
  22. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 先ほど大蔵省主計局次長からお答え申し上げましたような趣旨予備費は組まれておるわけであります。人事院勧告があるべしという想定のもとに予算は組まれているわけでございます。政府として人事院勧告があった場合にこれを尊重するということは、政府の当然とるべき私は態度であろうと思うわけであります。そういう意味におきまして、勧告がありましたら、これを尊重してやろうという心持ちを持って予算は組まれておるものと私は理解しております。     —————————————
  23. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 委員異動について報告いたします。  本日、北畠教真君が委員辞任され、その補欠として玉置和郎君が選任されました。     —————————————
  24. 小林武

    小林武君 ちょっと最後のところ聞こえなかったのだけれども、大臣としては、完全実施は、いままでとにかく幾多の問題を残してきたわけですが、九回目ですからね、今度は。八回の間、毎年毎年同じことを繰り返してきた、その間において。人事院総裁も、ことしは佐藤総理のところに参りまして、とくと長時間にわたってとにかく話したと、こうおっしゃる。私は、その間において、政府部内においても、来年度はそういうふうなことが起こらないようにやりたいということが出ておったと思うのです。これは予算の審議の過程においても、人事院勧告はほかの諸施策とにらみ合わせて勧告どおりやれるかどうかわからないというふうな意味の答弁は、一回もなかったと私は見ている。そこで、そういうことを聞いているのじゃなく、文部大臣としては、最後のところ、均衡上のほうに主を置いたのですか、それとも人事院勧告があったら勧告どおり実施してやるというふうに政府は考えながら予算を組んだのか、どちらなんです。それだけでいいです。
  25. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 私は、勧告がありましたときにはこれを尊重してやるべしという考えのもとに、この予算編成に賛成したわけであります。
  26. 小林武

    小林武君 これはそうすると、大蔵省のほうは、均衡上というのはあなたのほうはどういうことに理解しているわけですか。
  27. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 予算編成時点におきまして、人事院勧告がそのときに出ておりますれば、これはその時点におきまして、他の諸施策均衡をとって、人事院勧告制度というものの持っている趣旨を尊重して予算編成が行なわれたと存じます。ただ、その時点におきましては、人事院勧告がなかったわけでございまして、したがいまして、将来行なわれるであろう人事院勧告についてどういうふうに措置をとるかということが予算編成時において問題であったわけでございます。その時点におきましては、経済見通しその他に基づきまして、たぶんこの程度のことではないかという想定をとる以外に処理方法がないわけでございまして、その時点におきまして、他の諸施策もまた一定の経済見通しに基づいてとられておりますように、公務員給与勧告に備えましても、将来の見通しに基づきまして予備費充実をはかったということでございます。
  28. 小林武

    小林武君 あなたのおっしゃることは、なかなか遠回しで、なかなかじょうずのようなことを言うけれども、案外的確じゃないですね。お互いに知らないことじゃない。何も知らないでものを言っているわけじゃない。あなたのほうで予算を組むということは、予算でしょう、予算には予算を組むだけの根拠があってやられるわけでしょう。そうでしょう。あなた、いまおっしゃったけれども、経済見通しの上に立ったと。賃金と物価との関係ということもあるでしょう。民間の給与の問題もあるでしょう。労働情勢からいえば、労働力の問題もあるでしょう。そういういろいろな情勢を検討しながら、あなたのほうで予算を組む。そのときは、一体人事院勧告というものは大体どれくらいだということを押えてやるのじゃないですか。押えないでやったのですか。実体がここにないのだから、架空の事実だから、これについては大体、ということじゃないでしょう。あなたのほうで、これで完全実施できるだけの金額だと、少なくとも予算上やったのじゃないですか。そのときには、そうでない別な立場もありますね。こういう情勢ではあるけれども、この状況判断の中で大体ここらで値切ってやればいいのだという見方で予算を組むことができるのです。幾らでもできるのです。あなたのほうでどちらにやったのか。架空に、そのとき人事院勧告がありませんでしたといって、そんなこと言ったら、ほかの予算組まれますか、一体
  29. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 具体的な数字は、編成方針基づまして公務員給与改定に備えて予備費充実をはかるという文章を編成方針に書いてございますが、具体的には、予備費は四十二年度の当初予算が七百億、四十三年度の予算が千二百億で、五百億円の増加になっております。したがいまして、別に幾らが何に充てられるということがはっきりしておれば、予備費に組まなくてもいいわけでございまして、予備費はもちろん将来の不測の歳出の用意に充てるわけでございますが、一応編成方針とそのあらわれた数字からいきますと、大体五百億円というものが、まあそれを決定された方の頭の中にあったんではないかと思います。その五百億円の数字が何に基づいて大体考えられたかということでございましょうが、これはいろいろな点から総合いたしまして約五百億円と数字を出しております。これはここで申し上げるとあるいは公式になっていない数字を申し上げることになろうかと思いますが、ただ過去のことでございますので、思考の過程として申し上げておきたいと思います。  一つは、宮澤長官が、そういう総合予算主義をとるについて公務員給与政定に備えてどの程度の準備をしたらいいかという一つの試案を出されましたのが、消費者物価上昇率で計算してみてはどうか。これはもちろん年間、四月からということでございますが、これが前年、すなわち四十二年をとりますと四・五でございまして、ことしの見込みがたぶん四・八だったと思います。四・五で計算しますと大体四百七十億円程度、四・八で計算しまして五百億をちょっとこえたところというふうな見当ではなかったかと思います。それから、高橋参議院議員高橋構想というものを発表になったと思います。これは過去十年間の日本実質成長率人事院勧告による公務員給与引き上げ率、それとの相関値を求めまして、それを四十三年度の実質成長率にかけて見込みを出していけという話でございます。これも大体五%前後になりまして、金額にして私の記憶によれば五百十八億円程度じゃなかったかと存じます。それからさらに、これはまた違った角度でございますが、企画庁の経済見通しにおきます雇用者一人当の所得の伸びというものが九・八という数字が出ていたと思います。で、そこから昇給による増加額、それから御存じのとおり、去年の人事院勧告によりましてゼロ−二級地に暫定手当の五分の一分をことしの一月からつけまして、本俸にそれを繰り入れ、さらにことしの四月から暫定手当の一段階分の五分の二をつける、そういうものによって約一%程度引き上げが実質的において行なわれているというようなことを考えますと、それも大体五%ちょっとでございまして、五百億ちょっとオーバーする程度の金が推算される。そういったいろいろな角度から検討いたしまして、ほぼ五百億円前後の金が妥当であろうということが決定背景として考えられたということでございまして、確定いたしました金額はあくまで五百億円でございまして、どういう根拠でどれがそのうちの基礎だということは、はっきりとこういう理由だからこうしたということはなかったわけでございますが、いま申し上げましたようないろいろな背景をもちまして五百億円という金額が、最終的に閣議予備費充実として七百億円を千二百億円にされたわけでございます。  ただ、何度も申し上げますように、五百億円を公務員給与に充てるということをきめたわけではございませんで、予備費の七百億円を千二百億円にしたということでございまして、予備費にはあくまで垣根というものはないわけでございまして、結果的には五百億円の充実をはかったということでございます。
  30. 小林武

    小林武君 あなたは大蔵省の人間でしょう。予算大蔵省でつくるんじゃないですか。これはどこかよその人が構想を立てて、その構想に従ってあなたのほうは評論家みたいにまとめるのですか。私は、そういうふうには、あなたたちの出してきた、つくったものを大臣が提案した場合には、予算の何とかということを一生懸命やって調べるのだが、そんなことは書いてないんですがね。宮澤構想、私も新聞で読んだですが、高橋構想なんというものは——宮澤さんは少なくとも閣僚だから、これは責任ある立場経済閣僚をしていられた。大蔵省は、宮澤さんが言った、高橋さんが言った、だれかが言ったというやつ、大体いろいろなことを聞いて、そうしてこの予備費というものをきめられたわけですか。そんなことはないでしょう。ちょっとおかしいじゃないですか。  もうそんなことなら、ぼくは、だから最も責任のある者に出てくれと、こう言っているのですよ。同じ役人の人が出るにしろ、もう少ししっかりあれしていただかなければ困ると思いますね。とにかくあなたのいま言ったことは、五百億程度の金を見込んだということは、宮澤構想高橋構想その他いろいろなあれで出ておるわけだ。しかし、それはあなたのほうでとにかくそろばんはじいたときに、これは大体消費者物価の値上がりを一体何%見るか、宮澤さんのように四・八%に見ると、こういう考え方に立っている。そうして見てあれでしょう、五百億という金をはじいたのは、五百億あれば大体完全実施できると、こう見てやったのか、そうでないのかと、こう聞いておるのです。あなたのほうで責任のないことを言われちゃ困る。よその人が言ったからやったなんというようなことを言われちゃ困るのですよ。
  31. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 何度も申し上げておりますように、人事院制度がある限り、それを尊重いたしますというか、完全実施をしますといいますか、そういう制度になっておることは事実と存じます。ただ、その際に人事院勧告そのものがなかったわけでございまして、その時点におきましては、ほかの施策との関係上こういうふうに処理することが最も妥当だという措置をとる以外になかったわけでございまして、先ほど五百億円見当予備費が増額になっておると申し上げましたが、五百億を公務員給与に必ず充てるのだと、それ以上でもなければそれ以下でもないときめたわけではございません。予備費充実をはかったのは、あくまでも人事院勧告が出た場合にそれを実施できるようにという趣旨予備費充実をはかっておるわけでございます。
  32. 小林武

    小林武君 あなたとやりとりやっているというと、なかなか結論つかぬようだけれども、しかし、これはあなたとぼくとの間でどうしてもきめなければいかぬ。とにかくあなたのほうで何か人事院勧告がなかったと、こう言う。予算というのはとにかくあれでしょう、これから起こり得ることも予想して予算というのを立てるんでしょう。そのための経済見通しであるのじゃないですか。もっとも経済見通しというのは当たったことがないというのですから、これはもうとにかくフグ料理よりもずっと悪いですわね、これはね。そういうことだから、信用しないでやってくれというあなたのお話なら、これは別だ。私はそうは見ない。予算というものはそんなものじゃないと思う、国家予算というものは。だから、一体どうなんだと。この五百億という金は、とにかくいろいろな経済上の情勢から判断して五百億あれば——人事院勧告といえども、何か人事院総裁が頭の中で考えて思いついたからこれをやろうなんということで言っておるのじゃない。いろいろな調査の上に立ってやっておるということは明らかなんだ。そうしたら、大体このくらいの金で見合うということを考えてやったのでしょう。まああなたが答弁できないというなら、二木さんに一言だけ、これはよけい言わぬでいいから、一体完全実施するつもりでやったのか、そうでないのか。まあ多少値切るということを予想してやったのか。そこら、当初のことですよ、当初予算を立てるときに、予算を立ててわれわれに賛成を求めたときには、どうだったのでしょう。
  33. 二木謙吾

    説明員二木謙吾君) ただいま主計局次長が申し上げましたとおり、その当時においては人事院勧告がどのくらいに出るか、あるいはどういう金額が出るかということか不明でありましたから、いま主計局次長が申したように、このぐらいあればできるであろうという観点に立ってきめたものであると、私はかように考えております。
  34. 小林武

    小林武君 これぐらいの金が、というのは五百億程度の金でもって実施できると、こう判断してやられたとあなたはおっしゃる。それは大蔵省としてはそのぐらいの見通しがなかったらいかぬですよ。一体これから先どうなるんだろう、さっぱりわからぬ。日本ばかりでなく、国際的な景気の情勢も判断しなきゃならぬし、いろいろやってるでしょう。その上に立って、このぐらいあれば大体いけるというのでやったんでしょう。完全実施するというのはたてまえでしょう。あなたはいまそうおっしゃったから間違いないでしょう。間違いあるのかな。
  35. 二木謙吾

    説明員二木謙吾君) それはその時点において、まあ昨年度の実施されたことも考え合わせて、まあ五百億ということを予備費にあげたわけでありますが、しかし、その五百億で全部をやると、こういうわけではございません。五百億だけ、五百億をこえてはならぬ、こういうことではございませんよ。それはまたその時点において考えなければならぬ問題であると、かように考えたわけでございます。
  36. 小林武

    小林武君 この点については前回の川村委員質問の中でも述べられているのでありますが、大蔵大臣はその点について、全体の予備費の中で措置するんだから心配はないと。心配はないと大蔵大臣がお答えになったのは、完全に実施できるという見通しに立っておった。ところが、その完全実施できるという見通しがくずれたということになるのかね、今度は実施できないということになると。まあそれはひとつあとで聞くことにいたしましょう。  これについて総理府の御解釈を承りたいんですが、総理府としては一体大蔵省からどういう説明を受けてるんでしょうか。
  37. 弘津恭輔

    説明員弘津恭輔君) 総理府としては、先ほどいろいろ話が出ましたように、総合予算主義をとると。総合予算主義をとるけれども、その五百億という金が給与の金に全部充当される、それ以外は給与には出ないんだというふうな説明は受けていない。要するに千二百億のワクの中でその給与の問題を考えるというふうな一応説明を受けております。
  38. 小林武

    小林武君 それでは、二木さんにお尋ねいたしますが、一体この完全実施やるのにどのぐらい不足だということになっていますか。大体あなたのほうで目分量として五百億盛ったことは間違いない。目分量ではないですか。五百億盛ったことになるが、どのぐらい足りないですか。
  39. 二木謙吾

    説明員二木謙吾君) 完全実施をすれば八百二十億要る予定でございます。
  40. 小林武

    小林武君 そうすると、幾ら足りないか。
  41. 二木謙吾

    説明員二木謙吾君) それだから、五百億から計算をすれば、三百二十億不足ということになる。
  42. 小林武

    小林武君 三百二十億不足。これはあれですか、一月一体幾ら——前回のときには早めましたね。九月が八月になった。これは七月に実施すれば幾らになる、六月になれば幾らになるというのを、ちょっと言ってください。
  43. 二木謙吾

    説明員二木謙吾君) それは主計局次長から答弁させます。
  44. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 先ほどちょっとお断わりしておくべきだったかと思いますが、人事院勧告は一般職公務員だけでございますが、一般会計としては特別職公務員並びに義務教育国庫負担の二分の一ということを全部入れておりますので、一般会計負担分というふうに考えていただきたいと思います。人事院勧告に準拠いたしまして改定する分を一般会計が負担する分全体を含めて言っているということでございます。  五月実施は、先ほど申しましたように八百二十一億円でございます。六月で実施しますと七百六十八億円、七月実施いたしますと六百五十四億円、八月実施いたしますと六百一億円という計算になります。
  45. 小林武

    小林武君 七月のところ、ちょっと言ってください。
  46. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 六百五十四億円でございます。それから、これは、ただし通勤手当は五月から実施するという前提に立っての計算でございます。通勤手当だけはすべて五月から実施するという前提に立った計算でございます。
  47. 小林武

    小林武君 そうすると、七月の場合五十四億ですわね。幾ら足りないか。五百億だから百五十四億ですか、不足というのは。五百億予算盛ったとして、そうでしょう。
  48. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 七月の場合でございますか。七月の場合は六百五十四億円金が要るわけでございます。したがいまして、幾ら足りないかというのは、先ほど申しましたように、予備費千二百億円の中に別に給与改定分を幾らというふうにきめておるわけでございませんので、要するに七月実施の場合には六百五十四億円の額が要るということでございます。
  49. 小林武

    小林武君 六百五十四億ね。  そこで、あなたのほうでさっきいろいろ予備費のことでこの前からのお話し合いが出ているのだが、この予備費には別にはっきりしたワクがないということは、これは大蔵大臣予算の場合に言っているわけだね。そうすると、その間の融通ということはあり得るわけでしょう。去年あれですか、災害の場合とか、去年も予備費ですかね。災害のあれは予備費に組んであるね。
  50. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) もちろん去年も予備費七百億円というものを組みまして、災害その他に備えたわけでございますが、食管の繰り入れその他の需要によりまして、去年は補正予算を組みましたので、災害そのものは全部が予備費で対処されたわけではなくて、一部は補正予算をもって対処した分がございます。
  51. 小林武

    小林武君 そうすると、予備費の中でこれは相互に融通し合うということは可能だということは言えませんか。
  52. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 当然、総合予算主義のもとにおきまして各般の追加財政需要は千二百億円の予備費をもって対処するわけでございまして災害に幾ら公務員給与幾らというふうにきめてあるわけのものではございません。
  53. 小林武

    小林武君 ございませんから、相互間の融通、たとえばこの間の質問でも耳にたこができるほど出ているわけですからね、その中の災害がどうなったとか、その他の予備費で当然支出すべきものが余ったというか、そういう場合は、これは給与費のほうにそれが回るということも認められるわけでしょう。そうでしょう。総合予算主義というものを立てられた場合には特にそういうことになりませんか。あなたのおっしゃるように、いままでのように補正予算組むということになれば、これはまた別個の問題になる。補正予算組まないということになれば、これはもう非常に窮屈な予算なんですから、その間のあれがなかったらだめでしょう、結局ね。もし災害が思いがけなく起こったらどうするつもりかということにもなることは、これはいつも議論になったところですね。そうでしょう。だから、補正予算組んだらどうだ、総合予算主義にあまりこだわるなという議論がずいぶん国会の中でもあった。だから、総合予算主義を堅持していくということになったら、予備費の場合はその予備費の性格上そういうことになりませんか。どうですか。
  54. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 予備費千二百億円というものは、国会の審議において歳出権を政府に承認されておるわけでございますので、その千二百億円は財政需要に応じて支出できることになっておりますので、当然千二百億円の範囲内ではできるだけ財政需要を満たしていくのが政府態度であろうと思います。
  55. 小林武

    小林武君 政務次官にお尋ねいたしますが、支出することが可能だということになるというと、完全実施をするということを一つのたてまえとしている以上、これは大蔵省としては、そこにやれることをやらないということはできないわけね、大蔵省ではね。そうでしょう。あなたのほうで当然財政の運用上できることをやらないというわけにいかぬでしょう。特にやれないという理由ありますか。
  56. 二木謙吾

    説明員二木謙吾君) それはできないということはございませんが、まあほかの財政事情等も考慮してやらなければならないと、こういうことでございます。
  57. 小林武

    小林武君 ほかの財政上の考慮ということは、考慮と言ってみたところで、予備費の中で一体どういう目標でもってやったか、その中に別にワクはないのだということは、これは再三大蔵大臣も言明しておる。そういうことになれば、当然その中のやりくりはおのずからつくということは、いまの次長の答弁でもそうだし、あなたもそうだ。やれるでしょう。やれるということですよ。ほかの財政というのは、そのほかの財政はつけたりであって、あるならば、具体的にかくかくの事情だと言わなければならぬ。そこがあなたないから、やれるということは間違いないでしょう。  そこで、ちょっと私は労働省の労政局長にお伺いしたいのですが、これは民間では団体交渉やっている。そして賃金その他の関係のことを決定する。これについて、大体ここ一年ばかりの間で、約束をしたが賃金を支払わないというところありますか。約束を実施しないというところがあるかどうか、そういう件数というのはどのくらいあるか。
  58. 松永正男

    説明員松永正男君) ただいま統計的な資料は持っておりませんが、たとえば労働基準法関係で賃金不払い事件というのが出ております。これは基準局関係の業務の統計に出ておりますので、具体的に基準法違反として、明確に約束をした賃金を払わなかった件というのはそれで明らかになっておりますので、そういう事例がないということはないと思います。
  59. 小林武

    小林武君 あなた勘違いしているんじゃないかと思うのだけれども、賃金不払いというのは、賃金全般について不払いするということ、あるいは何ぼか、半分について不払いするということ、業態の悪いところが。その問題でなくて、たとえば賃金の引き上げについて団体交渉をやって、何%上げるという決定をした。春闘相場と言われるくらいに各企業はそれぞれやるわけですね。その場合に、団体交渉の結果出た、労使双方とも全く合意の上に立ってそれが達した、ストライキもやらない、あるいは途中でやめたということがあった場合、そういうものが一体履行されないで問題が起こったというのはあるのですか、こう聞いておる。
  60. 松永正男

    説明員松永正男君) あるいは御質問趣旨を的確に理解していないかもしれませんが、賃金不払い事件等が起こりますのは、主として中小企業が実態上多いわけでございます。中小企業の場合に、たとえば労働協約がないような中小企業というのも相当ございますので、いま御指摘になりましたように、たとえば春闘相場を形成するような大企業は、労働省では大手百五十七社の賃金を毎年調べておるわけでありますが、そのような大手企業、それから相手は大組合というような場合におきましては、御指摘のような事実は私どもはいままで聞いたことはありません。
  61. 小林武

    小林武君 そういう場合に紛争が起ったら、それに対する労働省関係の官庁において、これに対してどういう手はずをとるというようなことはあるんですか、具体的に。
  62. 松永正男

    説明員松永正男君) 賃金をめぐります紛争はいろいろございますが、やはり春闘相場形成というような関連の企業におきましては、賃金決定の労使間交渉がうまくいかないでストライキになるとか、あるいは中労委にかかるとかいったような事例が主でございまして、さらに、原資がきまりまして妥結をいたしましても、その配分を一体どうするかということで配分交渉でまたもめるというようなことはございますが、そこで協約になった場合にそれについて不払いという事態は、私、寡聞にして聞いていないのでございますが、中小におきましては、先ほど申し上げましたように、経営上困難を来たして賃金が支払われないという事態は、業種によりまして往々にして起こることがございます。
  63. 小林武

    小林武君 その賃金を支払わないという問題は、これはまたちょっと質が違うと思うんですね。賃金を上げるという問題でやる場合には、いま大企業とおっしゃったけれども、中小だって、中小の数は相当多いわけです。あなたのおっしゃるのは零細企業のようなところが多いと思うんですがね。いわゆるそうでない中堅的な産業とか、いわゆる中小というものの中に入るものの中にも、いまや日本の労働界でも、賃上げについて労使ともに一緒になってきめたことについてやらないというところは、私は日本の場合には慣例上聞いたことがない。そういうことがあったとしたらたいへんなことだと思う。だから、私は、そういうことを労働行政の中では非常に大事な指導面の一つとして持っているんだけれども、日本ではそういうことが起こらないところまで来ましたからね、一般的に慣例的に。それであなたのほうでのんびりしておられる。ただし、あなたのところのおひざもとの政府ではそういうことをやっているということをよく記憶しておいてもらいたい。  それから、総理府にお尋ねしたいんですが、いまの話だというと、完全実施やるというつもりでことしは予算組んだ。ところが、災害も幸いなくて、予備費についてはかなり余裕があるということは、これは間違いない。そしてその間の融通ということも可能だという大蔵省の見解も出た。そういう際に、給与担当大臣を出している総理府ですから、これは一体どういうあれをこの際やらなければならぬか、完全実施のあれをやらなければならぬ、あるいは完全実施できないまでもその線に従って何とか努力するとかということは、これは当然のことじゃないかと思うんですが、総理府の考え方をお尋ねいたしたい。
  64. 弘津恭輔

    説明員弘津恭輔君) おっしゃるように、総理府としてはしばしば人事院勧告を尊重するということを約束してまいりましたし、また尊重するという以上は完全実施が望ましいということは当然あるわけでございまして、また政府としても完全実施が望ましいという希望の表明もしていると私は承知しております。そういう意味で、今度勧告が出されまして、その線に沿って実は鋭意努力いたしまして、八月十六日でしたか、第一回の関係閣僚会議を開かれて、五回にわたって会議が開かれまして、去年までは御承知のように予備費という制度でなくして補正予算を組んでおりましたので、これは非常に長くかかりまして、十月半ばから十二月にかかってようやく最終決定を見たということであります。法案が十二月だそうです。そういうことで非常に長くかかりましたが、今回は私のほうの長官官房長官も、その他閣僚の皆さん、できるだけ早く出そう、そのほうが公務員全般に対して非常にいいのじゃないかということから、せっかく予備費もあるので、その予備費の中で最大限の努力をしよう、少なくとも去年並みでは困る、去年以上に一歩でも二歩でも前進したいということで非常に苦心されて交渉された結果、御承知のような結果になりまして、しかしそれは去年より一歩前進だとは思いますけれども、私たちまだこれでは足りないという気持ちは十分持っております。今後もできるだけ努力したいという気持ちでございます。
  65. 小林武

    小林武君 結局あれでしょう、金があるのに一体値切るという理由はないわけでしょう。総理府としては、金がある以上、金のあるだけは出さなければならぬでしょう。どれだけ出すかということについては、それはいろんなあれがあっても、金があるのに出さぬというのは理屈が成り立たぬじゃないですか、予備費の中に。だから、あなたのほうの態度としては、この間あなたのほうの大臣が一生懸命言ったことは、大蔵省側が金がないないと言うからそれには困っているんですという、こういう答弁だったでしょう、せんじ詰めれば。あるということがわかったら、一体あなたのほうではどうなんですか。出させるというのがあなたのほうのたてまえじゃないですか。いま労働省のほうの答弁を聞いたって、民間にはそんなことないわけです。民間を指導する政府一体そんなあいまいな態度でどうかということになるわけです。そうでしょう。だから、あなたのほうで、金があるということになったら出すのが当然でしょう。どうです。予算の中からやれるということです。  しかし、その場合に、去年八百億、七百億、六百億幾らといういろんなあれがあるわけです。そのどこで一体、とにかくぎりぎり予備費というものをあれしていくかということは、それはひとつ解釈するところがあっても、一歩も前進できない。いま先ほどあなたがおっしゃったように、去年よりも一歩でも前進しなければならぬとおっしゃって、一歩前進するあれがあるのに、なぜあなたのほうでちゅうちょ逡巡するかわからないけれども、あなたのほうの態度を聞かしてください。金があるとしたら、やらなければならぬということは、あなたのほうで言明できるでしょう。
  66. 弘津恭輔

    説明員弘津恭輔君) もちろん金があれば出すべきだと思います。金があるかないかという問題については、大蔵省関係各省いろいろ相談して、どの程度金が出せるかということでいろいろ苦心しているんだと思います。私は、金があれば、おっしゃるようにそれは給与のほうに回すのがいい、またやるべきだというふうに思います。
  67. 小林武

    小林武君 相談してといって、相談の結果ないということがわかったのですか。あるということがわかったのですか。あるということがわかっているのでしょう。私のほうでいいかげんなことを言っておるのじゃないですよ。あなたのほうの大蔵大臣だってそう言っておる。大蔵大臣に私のほうの議員が行ってちゃんと聞いてきているのですから、病気中だからといったって、大蔵大臣が言っておる。大蔵大臣をここへお呼びすることができないからまことに残念だけれども、大蔵大臣は、金が余っておると、こう言っておる。税収もとにかくあなたたちの言うような額じゃない。その点では大いに見通しを誤ったとまで言われておる。
  68. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) まず大蔵大臣お話、私伺ったわけではないのでございますが、税収が当初予算に見込んだよりも多少上回るかもしれないというのは常識的な見方じゃないかと思います。したがって、大蔵大臣がおっしゃいましたのは、ことしの税収見込み予算に予定したよりはある程度の額が増加することが期待できるであろうということを申されたのではなかろうかと存じます。  で、その処理といろ問題は別個に残ろうかと思いますが、いま総合予算主義のもとに予備費に余裕があるかのごときお話でございましたが、この人事院勧告の八月実施決定するにつきましては、その時点におきまして、予備費の使用見込みをできるだけ正確につけて、その結果八月の実施決定したわけでございます。  で、その際に、先ほど申し上げましたように、人事院勧告を八月から実施いたしますと、一般会計の負担におきまして六百一億円、概算六百億円と考えたいと存じます。それに対しまして、その他の予備費に対する財政需要といたしまして、災害対策費を四百六十億円と見込んでおります。その他の予備費に対する財政需要といたしまして二百五十億見込んでおります。  で、まず災害の四百六十億円という見込みは、その当時におきましては、一月から七月までは災害報告の実績によってとりまして、八月以降十二月までの災害につきましては、過去三年平均の災害があるであろうと見込んだ数字が四百六十億円でございます。さらに一カ月期間が経過いたしておりますので、現在におきましては八月の実績まで見込めております。その八月実績までをとりまして、九月以降を過去三年平均でとりましても、その四百六十億円は一億円程度減少するのみでございます。したがって、概算四百六十億というものは、現時点で振り返ってみましても、そう間違えた数字じゃないのではないか、将来のことはわかりませんが。  それから、その他の予備費に対する財政需要の二百五十億円という数字は、その当時におきまして、各主計局の関係の主計官から各省に対して予備費の使用見込みをとりまして、それを精み上げて得た数字でございます。で、この二百五十億円は種々雑多な項目から成り立っておりますが、ちなみに同様な追加財政需要、すなわち災害と公務員給与改定以外の追加財政需要が過去においてどうであったかと申し上げますと、四十二年度は二百五十四億円、四十一年度は二百八十九億円でございました。したがいまして、内容的にはそれぞれ入れかわっておりますが、二百五十億というその他の財政需要というものはそう見当が違う数字ではないのじゃなかろうかというふうに考えております。  で、給与のほうが六百億円と考えますと、これを全部足しますと千三百十億円と相なるわけでございます。それで、私のほろといたしましては、八月実施は非常につらいのだということを給与関係閣僚会議並びに閣議においても申し上げましたが、災害については、将来のことでもあるし、その他の財政需要についても、主計局でできるだけ努力をしてそれを押えるようにしろということで、千三百十億円というものを一応予定しながら、六百億円という公務員給与改定決定したわけでございます。したがいまして、いま予備費の中に余裕があると仰せられましたが、現時点における見通しに立つ限りにおいては、決して余裕があるわけではないというふうに考えております。
  69. 小林武

    小林武君 現時点にという断わり書きを入れたのはどういうことですか。
  70. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 先ほど申し上げましたように、災害は八月までは検証できております。しかし、九月以降につきましては、九月は報告がまだ各県から出そろっておりませんし、十月以降については、今後の気象状況その他は、私のほうでは過去三年の平均をとっていくのであって、過去三年の平均に推移するという保証も何もないものですから、現時点に立って見る限りと申し上げたわけでございます。
  71. 小林武

    小林武君 そうしますというと、あなたのほうは天候というようなもの、災害のあれですから、ことによったら余るということもあるわけですね。そうでしょう。あなたの言うのをそのまま一〇〇%信用しても……。
  72. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) これは非常にこまかな話になって恐縮なんでございますが、きのうも衆議院の文教委員会におきまして同様な質問がございましたので、少し数字的にお答え申し上げますと、災害復旧事業費のうちで大宗をなしますのは公共土木災害でございます。もちろん公立文教とか多少その他の災害復旧もございますが、大宗は公共土木災害でございます。そしてその公共土木災害で七、八月は実績で出ておりまして、それが報告ベースで千三十億円という報告が出ているわけでございます。そして九−十二月というものを幾らに見ているかと申し上げますと、過去三年平均で六百五十四億円と見ているわけでございます。九月から十二月までの災害の被害報告額を六百五十四億円と見ておるわけでございます。したがって、ことしの公共土木災害の被害報告は、合計しますと千六百八十四億円、こういうふうに見ておるわけでございます。  このいまの御質問は、九月以降の六百五十四億円がなかったら、あるいは少なかったら、こうい一御質問かと存じますが、この六百五十四億円を初年度国費べースに直していただく場合には、これに二一%ないし二二%——まあ二一%程度かけていただいたものが初年度の国費というふうに考えていただいていいかと考えます。したがいまして、九月以降全然災害がないといたしますと、百四十億円程度の金はその私たちの推算からは減ってまいるということに相なろうかと存じます。しかし、すでに九月も相当な雨による災害が出ておりますので、それは非常に非現実的な計算になろうかと存じます。
  73. 小林武

    小林武君 そこで、もう一ぺんあなたにお尋ねするのですが、災害が非常に頻発したと、これはまあ仮定の話ですけれどもね。これは予備費から災害に関する限りは二十何%という率では、これは総合予算主義である限りにおいてはどんどん支出していくわけですね。そうなると、壁がないわけですから、給与のほうはそれによって減らされていくということになりますね。災害と隣合わせになっておる。そうでしょう。壁がないわけだから、くるわけでしょう。
  74. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) これは総合予算主義をことしの予算の審議の過程で御説明申し上げました際に、総理からもはっきり申し上げておりますように、通年の平常考えられるような災害については、この総合予算主義のもとで処理をいたします。異常なる災害が発生した場合には、おのずから事態は別でございまして、そのときの状況によりまして既定経費の節減、あるいは増収があればそれを充てる場合もあろうかと存じますが、いずれにしましても、補正予算をもって対処せざるを得ないでございましょうということを総理から申し上げているはずでございます。
  75. 小林武

    小林武君 そうすると、賃金の問題は、大蔵省の考えに関する限り、人事院勧告というものは、これから幾らあっても完全実施ということはないわけですな。
  76. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) ことしの公務員給与改定に関する閣議決定に際しまして、決して、ことしはまあこういう事態で八月実施決定せざるを得なかったけれども、四十四年度以降については財政と人事院勧告の調和がとれていくように基本的に四十四年度予算編成期までに結論を得るように検討しようということで、それに終期、つまり四十四年度予算編成時までに結論を得るという終期をつけてその検討を行なうことにいたしております。したがって、今後人事院勧告が他の諸施策との均衡のもとに尊重し得るような体制ができることを非常に強く希望している次第でございます。
  77. 小林武

    小林武君 二木さんにお尋ねいたしますが、あなた政務次官なんですが、大蔵大臣にひとつはっきりさせてもらいたいことがある。予備費並びに税収その他の面から見て、これは実際年度末に行って相当の余裕が出てくるということ、これは大蔵大臣としては関係局長との間の十分な連絡の上について見通しがついたという、そういうことを言われた。あなたたちの考え方とはまるきり違っている。それで、いま聞いているというと、これはこの間から問題になっているんだが、資料を出さないでおっしゃるようなことですから、これは何ぼでも言えるわけです。ですから、私は率直にいって、あなたたちの言うことはあまり信用して聞いていない。大臣が余ると言う、あなたたちは余らぬと言う、余らぬとこじつけているようなものの言い方、そしてひとつそのことを明らかにしてわれわれに、これはもう委員会開かぬでいい、委員会の席上でなくてもけっこうですから、ひとつ回答してもらいたい。どういうぐあいになっているのか、そんなに一体食い違いがどうして起こるのか聞かしてもらいたい。きょうもわれわれはそのことを確かめようと思った。どうしてそんなに食い違いが起こるのか。大蔵省というのは一体そういうでたらめなことなのかどうか。  それで、私は今度人事院の総裁に一言だけ申し上げたいのですが、毎度言うことですが、人事院勧告というものは、もうどうしたって日本予算、財政の面からいったら勧告実施ということはこれはできないという状況にあるのじゃないですか。勧告が完全に実施できないということ、これも九年間もやったのだから、できないということになると私は思うのです。いま長い間質疑をやっても結局おわかりだと思いますけれども、完全実施ということはできないということになってくる。どこに組もうが、予備費に入れてそれをどうしようが何しようが、できないというふうになっているようにお考えになりませんかね。どうですか。私はもうこれは人事院勧告というのはどうやったって制度そのものに矛盾があるんだから、これはどんな正確な調査をして、あなたのほうで数字的に合理的な結論を出しても、結局勧告実施されないということになる。しかも、そのことは、もう毎度言うことですけれども、労働三権の引きかえの上にできているわけです。この引きかえの上にできていて、それが今度実施できないということになるからこれについて抵抗するというと、処分のほうはとにかく違法であるということでやってくるんですけれども、この間一体どういうふうにしたら官公労働者というものは納得することになるのか。処分のほうは的確にやってきていますね、それに対する抵抗に対しては。
  78. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 制度そのものに矛盾があるという御趣旨は、私なりに解釈いたしますというと、いわゆる労働基本権の代償としての勧告制度、その根本について矛盾があるということであろうかと思うのですが、それならばこの問題はずっと次元の高い問題ですから、私はとやかく申しませんけれども、いまの勧告制度そのものに矛盾があると言われたんじゃ、われわれとしてはとてもこれは立つ瀬がないことになります。そういう意味ではないということで承ってよろしゅうございますか。
  79. 小林武

    小林武君 いや、あなたのほうの勧告に矛盾があるということじゃないですよ。
  80. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) それなら安心しました。
  81. 小林武

    小林武君 しかし、あなたのほうがどんなものを出しても、結局いまのようなやり方でいったら実施できないということですよ。そうすると、これはいかなるいい制度——いい制度といって、とにかくある程度、満足しなくても、とにかくこれでいかなきゃならぬと、こう思っているんですからね、受けるほうは。そういう人たちの気持ちというのは何年たっても踏みにじられていくということになる。
  82. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) わかりました。そういう意味でならば了解いたします。その意味において、しからばいまのやり方をとっている以上は絶対に完全実施は不可能ではないかという御懸念が示されたわけで、私は絶対に完全実施不可能であるとは思わないわけです。いまも申し上げますように、たとえば公社、現業の場合の仲裁裁定の実施の例を見ますというと、これは完全に年度半ばに仲裁裁定が出ておりながら完全に四月にさかのぼって実施されておる、ことしの場合のごときは。それらの全体のおそらく八百何十億ですか、ちょうどわれわれのお預かりしておる公務員の五月にさかのぼっての完全実施の経費と同じような経費が、完全に四月にさかのぼって支払われておるということが現実目の前にあるわけであります。それが可能であるとすれば、われわれのほうが不可能であるということには絶対にならない。まあきわめて手近な例を申し上げますけれども、そういうふうに考えております。
  83. 小林武

    小林武君 実際、その点が、やはり人事院総裁の御指摘のように、いわゆる人事院勧告下にあるところの労働者の皆さんのたいへんな不満です。そこへいくと、予算の問題でなくなる。ところが、そうでない個々の場合においては予算予算でもって幾らでも料理できるようになっている。政務次官のことばを借りれば、そのほかの財政上の何とかいうよけいなあれがつく。金があっても出せぬということなんです。たとえば大蔵大臣はことしは税収は意外の伸びを示しているということをおっしゃっている。間違いないと言われる。あなたのように、多少の伸びがあるかもしれないなんていう、そういう表現じゃない。それでも総合予算主義というたてまえからすると、とにかく問題があって、出せないということになる。しかも、今度総合予算主義の中の、予備費の中の金のやりくりさえもやらないような仕組みをとろうといろんな理屈をつけている。そういったことになるならば、私はもうこれは実施意図なしと、こう見るべきだと思うのです。しかも、それが今度最終的にとにかく予算見通しが、大体ことしの予算というのはどのくらいの出入りがあって、余裕がどうだということを明らかになるまで、しかも政府がこれを提案する時期まで見ておって、そうしてとにかく結論を出したというならば、まだかわいいところがあるけれども、八月の三十日ごろくらいまで——たいへん自信に満ちたようなことを局長は言うけれども、あなたそんな年度予算つくるときに一体どのくらい人事院勧告が出るかわからなかったようなことを言っている。そんなあれで、八月三十日のあれでもってできますか。去年の一体人事院勧告が議論になったころの税収の見通しはどうだったかというと、決算のときどのくらい違ったということ知っているでしょう、御自身。たいへんな違いです。そういう一体あれの中では私はもう政府一つの誠意もないというようなふうに考えるわけですわ。  文部大臣にお尋ねいたしますが、いろいろのいままで議論された中で、とにかくなかなか実施困難だという主張をして政府は譲らないようでありますけれども、こういう場合にはあれですか、文部省は矛盾を感じませんかね。たとえば、それに対して抵抗を示した者に対してどんどん処罰をしていくというようなことを言われている。これについて矛盾感じないかね。それから、総理府の総務長官が、違法であるからとにかくそれについては断固たる処置をとると言ったかどうかは知らぬが、そういう意味のことを何か出された、それに対して矛盾感じておらぬのですか。これは人事院の矛盾でなくて政府側の矛盾としてどうお考えになるか。矛盾感じないのかどうか、お二人から承りたい。
  84. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 人事院勧告について完全実施を求められている公務員の諸君のことは、私どもよく承知いたしております。それだけに、御期待に沿うことができないということについては、この前も申し上げたと思いますけれども、私としましてはいかにも残念でありますという気持ちはいたしているわけでございますけれども、いかんせん、先ほど来いろいろお答えを申し上げましたような事情によりまして、完全実施ができなかった。まことにやむを得ざるものありというようなことでございますので、完全実施を望まれる公務員の諸君に対しましては、ほんとうにお気の毒なような気持ちもいたしておりますけれども、政府としましては、しかし今日の予算あるいは財政事情のもとにおいて誠意を持って努力したつもりであります。また、私のほうから申せば、文教関係の皆さん方もきわめて熱心にこの問題については努力してこられたのであります。お気の毒だとは思いますけれども、教育公務員の諸君もやはりぜひそういう点について御理解をいただきたい。  また、先のことを申して恐縮なようではございますけれども、今回閣議決定をするにつきましては、この次の予算編成期までに何とか完全実施の道を発見したい、そういうことで引き続いて給与関係閣僚の協議会も継続して、その中には人事院のほうにも御参加を願って、そうして検討していこう、こういう気持ちでいるわけであります。それらの点についてはとくとひとつ御了解をいただいて、いわゆるストというふうな行為によって、法律に反しているとかどうとかいう問題を引き起こさないように自重してもらいたい、こういうふうな気持ちでいるわけでございます。
  85. 弘津恭輔

    説明員弘津恭輔君) ただいま灘尾文部大臣の申されたことと内容は同じでございますが、給与担当の官庁として完全実施のできなかったことについては非常に残念に思っておりますし、今後のやり方については、事務当局として今後改善の問題点をいろいろ引き出して、いま整理しておりまして、関係閣僚等に集まっていただいて、その問題をもうすでに一回か二回ほどやっておりますが、今後続けて、来年にはぜひ制度的にもこれが可能になるような方法を考えていくということでございますが、ストの問題につきましては、以上のような問題で、私たち非常に残念に思っておりますけれども、一応国家公務員は全体の奉仕者だという立場から、法律的にこういうストが禁止されているという事態のもとにおいて、もし違法行為が起こりました際には、やはり法律によってわれわれは対処しなければならぬという立場にあることもまた御承知いただきたいと思います。
  86. 小林武

    小林武君 あなたにお尋ねいたしますが、全体の奉仕者が憲法上の権利を、実施されない人事院勧告一体奪われていいという根拠ありますか。あなた、処分すると言うのなら、明快な答えをしてみなさい。それ、どこにありますか、そういうことが。憲法上の権利を奪われて処分される、その合理性が一体どこにありますか。
  87. 弘津恭輔

    説明員弘津恭輔君) この問題、本質的な問題になりますので、私はここで詳しく申し上げませんが、一応法律、現行法というものに照らして私たちは行動をせざるを得ないということだけ御了承いただきたい。
  88. 小林武

    小林武君 憲法は現行法ではないのですか。現行法というものは、憲法は何も問題にしないでやるのですか。すべて全体の奉仕者だから、憲法上の権利を人事院勧告によって弱められても認めていこうと、こう言っている。そして人事院勧告実施ということでとにかく労働者は納得したわけです。納得させられた。それが実施されないということについて処罰されるということは、憲法上、現行法上それは一体合理性があるというのはどこなのですか、それを聞かしてもらいたい。
  89. 弘津恭輔

    説明員弘津恭輔君) 私が申し上げたのは、憲法が現行法でないという意味ではなくて、現在ある法律は憲法に違反しているような法律はないというふうに理解いたしております。
  90. 小林武

    小林武君 あなたと水かけ論してもしようがないが、そんなことないでしょう。それは実施された場合に言えることでしょう。そうでしょう。あなただってそんなことわからぬことはないでしょう。実施されたことに対して、まだ足りないといってやった、そういう場合には、あなたたちの言い分は多少合理性を帯びてくる。九回も一度もやらぬものがそんなことを、口幅ったいことを言う権利はない、何ぼ政府といえども。なるべく文部省も、総理府も、それから各関係官庁も、そういうときにやることについては、とにかく肩をすぼめて、どうぞお手やわらかにお願いしますということで、がまんしているのがほんとうなんです。何で処罰するという大きなことが言えるかということを私は感じている、あるものさえ出すまいとしておいて。  そんな悪口言ってみてもしようがないから、ただあなたのおっしゃっていることでひとつ、まことにできませんといって、おわび申し上げますというようなことがあったけれども、これはあなたまだ努力する余地はありますよ。七人委員会はまだ開かれるあれもあります。きょうはちょうど大臣がおいでにならないから、十分ひとつ大臣も努力するつもりでもあるだろうし、総理府としても責任上ひとつ一生懸命やってもらいたいと思います。  終わります。
  91. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 委員長から大蔵省側にお尋ねいたしますが、この委員会の始まる前に、先般の委員会の補足説明をしたいということの申し出がありましたが、ただいま小林君と大蔵省側の質疑の間に説明が相当了したと思いますが、いかがですか、補足説明があれば、なお求めますが……。
  92. 二木謙吾

    説明員二木謙吾君) いま小林先生との質疑応答で大体皆さんもおわかりになったことであろうかと考えておりますけれども、省略してもよいと思いますが、せっかく用意してきましたから、ひとつ朗読させてもらいます。
  93. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) どうぞ。
  94. 二木謙吾

    説明員二木謙吾君) 本日、この委員会には水田大蔵大臣が出席をいたしまして御説明申し上げるところでございますが、盲腸手術のために順天堂病院に入院中で、出席ができませんのを、まことに私どもも遺憾に存ずる次第でございます。それで、大臣にかわりまして、私から公務員給与改定に関する御説明を簡単に申し上げます。  御承知のとおり、今年は、去る八月三十日の閣議において、公務員給与を八月一日から、通勤手当については五月一日から、人事院勧告どおり改定する方針がきまりました。  本年度予算は、あらゆる経費を同時に比較検討し、経費相互の間のバランスをはかり、もって諸施策斉合性を保持しようという処置に基づきまして総合予算主義をとり、公務員給与改定に備えて予備費充実をはかったのであります。  今回の方針決定にあたりましても、以上の趣旨に基づきいろいろ考慮の結果、八月実施、通勤手当は五月実施の結論に達したのであります。  八月実施の場合の給与改善所要額は一般会計で約六百億円となりますが、この財源につきましては予備費の使用によりまかなう方針でございます。その予備費でございますが、御承知のように本年度は千二百億円計上いたしております。  この予備費の使用がどのくらい見込まれるかにつきましては、まだ年度半ばでございますので、十分申し上げることはできませんが、予備費の使用は通常年度後半に集中をいたしますので、現在では単なる見込みの段階を出ないわけでありますが、現在までの状況、過去の実績等を勘案いたしますと、災害その他におきまして七百十億円程度と見込まれます。その内訳の点につきましては引き続き事務当局より、もし必要があれば説明をいたさせますが、この七百十億円と給与改定の六百億円を合計いたしますと千三百十億円となります。これは千二百億円の予備費を百十億円オーバーしておりますが、災害も「その他」も見込みでありますので、若干の変動する要因を含んでおりますので、今後の努力により千二百億円のワク内におさめ得るようにいたしたいと存じております。  最後に、税の自然増収につきまして申し上げますが、八月末における租税収入状況は、前年度における進捗割合を若干上回っており、今後ともこうした基調が続くものとすれば、予算額に対して相当程度の増収が見込まれるものと考えておりますが、収入がなお予算額の半分に達せず、年末賞与の支給あるいは下期法人の決算状況等多くの不確定な要因を残している現在、増収額につきまして具体的な政策決定の前提とするに足るだけの確度をもっておりませんので、ひとつ御了承をいただきたいと思います。  なお、予備費の使用見込みその他につきましては、引き続き政府委員より、もしお尋ねがあれば御答弁をいたします。  なお、人事院勧告完全実施ということは私どもも考えておりますところで、いま諸般の事情で本年はさきに申し上げましたようにきまりましたが、ひとつこういう事態を繰り返すことのないように、四十四年度の予算には閣議においてもこういうことのないようにという配慮がつけ加えてございますから、あるいは制度上その他のことにつきまして十分検討し、研究をいたしまして、できるだけ完全実施をするようにいたしたい、かように考えておる次第であります。
  95. 小林武

    小林武君 いまのは、資料の説明でしょう、この間の。なぜ配らないんです。
  96. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) いまのは資料説明ではなく、補足説明を求められておったので。
  97. 小林武

    小林武君 資料はどうして出さない。
  98. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  99. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 速記を起こしてください。  午前中の委員会はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時二十四分休憩      —————・—————    午後一時十四分開会
  100. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) ただいまから文教委員会を再開いたします。  午前の委員会に引き続き質疑を続行いたします。鈴木力君。
  101. 鈴木力

    鈴木力君 午前に引き続きですが、私が一番先に聞きたいのは、大蔵省がこの人事院勧告制度にかんがみてのいまの問題をどう考えておるかということを一番先に聞きたい。先ほど小林委員からの質問にもありましたように、どうも大蔵省はまじめに考えていないのじゃないかと思われる。きょうにしてもそうです。私がきわめて不満なのは、いま突然省議があるから退席さしてくれということが一番先だ。いま公務員の人たちはどういう状態になっているのかということを御存じなのですか。それも政府が種をまいているからなんです。しかも、その政府の中でも、大蔵省がという話がちらほら聞こえてきている当の責任の官庁なんです。だから、まず一番先に政務次官に、大蔵省としてこの公務員賃金の問題にどんな考え方でどういう姿勢で取り組んでいるのか、そして大蔵省も含めた、大蔵大臣も含めた政府が八月実施などということをことしもきめたから、そこで公務員はいま非常に騒いでおるが、この事態に対して文教委員会でこういう問題についての質問をしたいからと言っておるのに、二時からは省議だと、そういうことを先にきめて、そうしてこの委員会に臨席をされるという大蔵省態度はどうも私は納得できない。最初にそれらに対する見解をまず聞きたい。
  102. 二木謙吾

    説明員二木謙吾君) いまお尋ねの点については、私どもも人事院勧告は尊重しなければならないと、かように考えております。それで、海堀次長が二時からの省議で行く話もございましたが、ここにおられますから、どうぞ御了承いただきたいと思います。
  103. 鈴木力

    鈴木力君 そうすると、あれですか、私はますます奇怪になってくる。行かなくともいい省議に行くから退席さしてくれとなぜ言ったのです。
  104. 二木謙吾

    説明員二木謙吾君) それは省議も大事でありますが、文教委員会はなお大事でありますから、省議のほうはひとつ、どうしても文教委員会におってくれということであるから、そのほうは出席をやめまして、おると、こういうことでございます。
  105. 鈴木力

    鈴木力君 この点については了解いたします。ただし、よそから言われればおつき合いしますというような態度である限り、私はこの給与問題は解決しない。よそから言われずとも、もう少し積極的に取り組むという姿勢が大蔵省当局になければ、こういう問題は解決しないと私は思いますから、これはいまからでもおそくはないと思いますから、この態度は直してもらいたい。  そこで、先ほど来議論になっておりましたけれども、問題の焦点はこういうことだと思うのです。それはもう口先では人事院勧告というのは全部尊重しなければならない、これはもう制度が始まって以来繰り返して言われたことばなんですね。そこで、この前の委員会でも質問を申し上げたかもしれませんが、御答弁をいただいたかもしれませんけれども、これはどうしてもやはり念を押しておきたいのは、政務次官がいま、尊重しなければならないという立場をとっておる、こうおっしゃいますが、尊重と政府が扱うことばの意味はどういうことなのか、伺いたい。
  106. 二木謙吾

    説明員二木謙吾君) それは尊重をしなければなりませんが、やはりそのときどきの財政事情、あるいはまたその他の事情がございますので、人事院勧告は、本年度はもう閣議決定をいたしておるような次第でございますから、いま閣議の附帯事項になっておる、将来はこういうことのないように、あらかじめ四十四年度の予算においては十分考慮して、こういうような事態が起こらぬようにするということが閣議でも附帯事項となっておる次第でございますから、私も四十四年度の予算につきましては、ひとつこういう事態を繰り返さないようにいたしたい、かように考えております。
  107. 鈴木力

    鈴木力君 私がいま伺っておりますのは、来年の話はしておりません。来年の話をいましても、これは何とかが笑うというのが世間の通り相場です。去年決定いたしましたときに、来年からは何とか実施するように努力いたしますと、これは公式にこの委員会でも答えているはずです。これは政府側がですよ、どの場でもそう答えておる。おととしもそう答えておるのですよ。それから国会でも法案審議の段階では、来年からは完全に実施するよう努力すべきであるという申し入れをしてあるんです。またことしも、来年はということでことしのことをたなに上げて議論することは、私はきょうは聞いておるのじゃございません。ことしのことで聞いておる。むしろ来年でというならば、去年そういう約束をしておった政府が、ことしどうしてくれるかという立場でものを聞いておるのですから、誤解のないように御答弁をいただきたい。  そこで、さっきもいろいろと、まえ諸般の事情とか、財政の事情とかということを伺いました。これはしかし、私は、くどいと思われるかもしれませんけれども、前の委員会でもお伺いいたしましたし、それから私ばかりでなくて他の同僚も聞いておることなんですけれども、何べん伺ってもわからぬですね、この財政事情というのはですよ。だから、私は前提としてですね、先ほど次官が答えていただいたように、前提として人事院勧告というのは尊重するんだ、守らなければならない、そういうことをおっしゃった上でのこの財政事情ということですから、もう少しこれをわかりよく説明してもらわないといけないと思うんです。  そこで、これから若干その点を、私がわからないことをお伺いいたしますから、お答えいただきたい。  それはまず一つは、先ほど小林委員質問に対する次長さんのお答えの中にもあったと思うんですけれども、このものの考え方に、たとえば財政上の伸び率といいますか、税の自然増収、これについては若干見込まれるけれども、期末になってみないとはっきりしたことが言えないから、これは要素に入らないという答弁をされておる。ところが、一方予備費の説明のときには、災害は九月から十二月まではこれこれと見通されておると。これは公務員給与決定の要素に入っておるのですね。災害などということこそですね、われわれに言わせれば不確定要素が非常に多過ぎる。ところが、税の自然増収なんというのは、これはあとでもう少し申し上げたいと思いますけれども、これはもうそれぞれの専門家がいままでにいろんな計数というのがあって見通しを立てておる。その見通しというのはもうほぼ間違いないということは、いままで繰り返したことの経験で明らかである。それなのに、そういうものの言い方をしておるということは、これはちょっとわれわれを納得をさせる説明にはならない。なぜそういう立場をとっているのか、御説明いただきたい。
  108. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 税の自然増収につきましては、現在のところ正確な見込みをつけがたいということを申し上げたのでございますが、さらにそういう詳細な点につきましては、主税局が……
  109. 鈴木力

    鈴木力君 ちょっと、いまぼくは詳細なことはあとで聞きますから、税のほうは不確定要素として要素に入れないで、決定の条件に入れないで、予備費の災害だけはそれを入れるという、そういうものの説明のしかたは一体何かということを聞いておる。
  110. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 税の自然増収をどの程度見るかということは、いま正確には見通せないにしても、ある程度の自然増収は期待できるかと思います。ただし、ことしは総合予算主義をとりまして、経済成長を前提として施策斉合性をはかって予算編成をいたしたわけでございます。その総合予算においては六千五百億円という一〇%をこえる公債をかかえた財政で出発いたしているわけでございます。で、税の自然増収がそれ以上に期待し得るということは、政府が予定した以上の経済成長がそこに実現しているということでございまして、もし税の自然増収がもたらされるならば、これは当然財政経済政策の運営上、現在の一〇%をこえる国債の減額に充てられるものと私たち財政を担当する者としては考えております。  で、片方、総合予算主義のもとに公務員給与改定をどうするかということにつきまして、それのめどを立てる上では、どうしても千二百億円という予備費の中で事を処理するといたしますと、予想される財政需要というものは、一応現時点においてできるだけ過去の資料に基づいて正確な推定をいたしたいということで、災害の見込みはこの程度であろうというふうに見込んでおるわけでございます。  御答弁になったかどうか非常に疑問に存じますが、私たちの立場はそういう立場でございます。
  111. 鈴木力

    鈴木力君 そういたしますとですね、いまの次長さんのお答えは、どんなことがあっても総合予算主義を貫いて、それでどんなに金が、自然増収が伸びてきて余るほど金があっても、これを補正予算という形にして公務員給与のほうには回さない、そういうことですか。
  112. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) ことしの予算編成のときには、一定の経済成長を、どういう成長を前提として施策斉合性を考えて、総合予算主義のもとに、その諸施策斉合性のもとに予備費充実をはかって千二百億円を計上したわけでございます。その予算自体は好ましいことではないのでございますが、一〇%をこえる公債をかかえた財政でございます。で、世界の先進各国におきまして、平時の財政におきまして一〇%をこえる公債をかかえている財政はなかろうかと存じます。  したがいまして、将来の日本経済並びに財政の運営を考えた場合に、予想以上の、予定以上の成長が実現し、それによって税の自然増収がもたらされた場合には、当然それは国債の減額に充て、将来の財政がまた再び不況時に対処し得る体質に戻しておくよう努力するのが当然の措置かと存じます。
  113. 鈴木力

    鈴木力君 やかましいことを言いましたけれども、次長も省議があるということを私は頭に置きながら聞いておるんですから、あまり要らない説明をしなくてもいい。私が聞いておりますのは、この公務員給与決定する際に、どんなことがあっても補正予算を組まないという方針で去年あったのかどうかということを聞いておる。
  114. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 先ほど申し上げましたように、異常なる災害のような事態が生じない限り補正予算は組まないという態度公務員給与の八月実施決定いたしております。
  115. 鈴木力

    鈴木力君 政務次官に伺いますがね、私はこの前の委員会で、必要ある場合には補正予算も組むことがあり得る、こういう総理大臣の答弁を確認するかと言ったら、政務次官は、そのとおりであると。そうして、しかも公務員給与についてもいろいろやりとりがありて、これは私はきょう速記録を持ってきませんから、どこでどうということはないけれども、ただ、そろばんをはじいてみて絶対に必要だということがあれば補正予算も組むことがあり得るという答弁をされておる。そうすると、大蔵省というところは大臣代理の政務次官の答弁と次長の答弁とが、その場その場でみんな違うということになれば、私はどういう立場でものを聞けばいいかわからぬ。これは政務次官に伺いたい。
  116. 二木謙吾

    説明員二木謙吾君) それは国会においても、総理大臣が、非常なたいへんな事態が起こったならば補正予算は多く組むこともあり得るということを総理は言われた。私どもも、異常な事態が起これば、それに対処して補正予算を組まなければならない、かように考えておる。現時点においては、いま主計局次長が申し上げましたとおりに、補正予算を組むということを考えておりません。
  117. 鈴木力

    鈴木力君 もう少し伺います。その異常な事態がなければ組まないとこういうことですから、そうすると、人事院が五月から実施をせよと勧告をした。それを政府——法律的には義務が書いてないとかなんとかそんなことを私は言っているわけではないのです。それを政府がそのとおり実施しない。こういう状態は異常な状態ではなくて正常な状態と大蔵省は解釈しているのか、この点をはっきりお聞きしたい。
  118. 二木謙吾

    説明員二木謙吾君) これはもう閣議決定をいたしておることでございますから、現時点では補正予算を組まないと、かように考えております。
  119. 鈴木力

    鈴木力君 聞いたことに答えてもらいたい。人事院勧告を、これは国がきめた制度だが、この制度政府実施し得なかったという状態を異常と見るのか正常と見るのかということを聞いているのです。どっちですか。
  120. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 四十三年度予算は、御存じのとおり一定の経済見通しに基づきまして、その経済見通しに基づいた国民負担を考えまして、諸施策均衡を考えて編成し、成立を見ているわけでございます。で、人事院勧告といえども、その施策斉合性はやはりとって、人事院勧告を尊重するという立場を重視しながらも、なおかつ各施策との斉合性を保持していかなければならないという観点も同時に配慮して、できるだけのことをした結果が八月の実施ということになったわけでございます。  したがって、異常であるか正常であるかという御質問でございますが、現在の総合予算主義のもとにおきまして施策斉合性を保持しながら政府としてできるだけの努力をした結果が八月実施ということに落ちついたと御了解いただきたいと存じます。
  121. 鈴木力

    鈴木力君 私はそれは了解できないのです。何べん説明をされても了解ができないのです。一言でいえば、政府の都合でこうきめたからそれは異常な事態ではない、こういう言い方をされると、私は了解できない。総合予算主義ということをいろいろ言われるけれども、あの予算決定されるときには大蔵大臣は何と答えたか。これはびた一文もよそのものには出さないのだという答えは全然していないのですよ、大蔵大臣は。しかも、人事院勧告についてはいまの次長のような説明はしていない。完全に実施するようにできるだけ努力をいたしますと、こう答えている。ところが、いま口先ではできるだけ努力いたしますと答えているでしょう。  もう少し私は伺いますけれども、一体このさっき言われましたようにいろいろと説明をしておる最初の腹を私は率直に聞きたいのですよ。さっき数字でいろいろと出てきた。数字でいろいろと出てきたものを合わせますと、結局は最初から人事院は八月実施ということ、あるいは九月実施という腹だったでしょう、人事院じゃなくて大蔵省は。大蔵省は八月実施しかやる気がなかったという、こういうことなんでしょう。それはどうなんですか。
  122. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 先ほど御答弁申し上げましたが、予算編成期におきましては諸施策との均衡を考え、経済見通しに基づきまして、給与改定が行なわれるであろうという見込みで、その見込みに基づいて予備費充実をはかりましたわけでございますが、初めから人事院勧告があればそれを完全に実施しないのだという態度ではなくて、その時点におきましては、経済見通し、諸施策との均衡から考えまして、公務員給与改善についてもこの程度ではなかろうかという一応の試算をいたしまして、しかしながら、それを幾らときめたわけではございませんので、予備費充実をはかったというわけでございまして、当初から人事院勧告を不完全にしか実施できないものを組むという考えを持っておったわけでは毛頭ございません。
  123. 鈴木力

    鈴木力君 そういう見通しでこういう予備費充実したということを言われるけれども、その場合には、見通しが狂った場合にはどうするという考えがあったのですか。見通しが狂った責任はだれが持つのですか、それを聞かしてもらいたい。
  124. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 予算政府において決定し、国会において承認いただいておりますので、提案者である政府がやはり、その見通しが狂ったことが悪かったかよかったかは別といたしまして、見通しの狂いました責任政府にあるだろうと思います。
  125. 鈴木力

    鈴木力君 そこで、私はさっきから聞いておるんですよ。そういう政府責任制度を完全に生かすことができなかった場合に、それを異常と考えるのか、正常と考えるのかと。それをもう一ぺんしつこいけれども、その点の考え方をはっきりしておかないと、これからの議論ができないから、もう一ぺんしつこいけれども伺っておきたい。
  126. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 四十三年度の経済見通し、それに基づきます経済、財政運営の基本的な方針に基づいて予算編成されましたわけでございまして、それをこえる経済の成長があるであろうと見込まれたことは事実でございます。しかしながら、その政府見込みました以上の経済成長というものが、まあ民間給与にはね返ったりしておると存じます。したがいまして、その結果、人事院勧告がそうした経済見通しよりも高く出たということでございますが、これは経済成長が政府見通しよりも高い成長になったということでございますが、政府施策は、少なくとも各般の施策がすべて当初に前提いたしました経済見通し、財政運営の態度に基づきまして行なわれておりますので、その限りにおいては、諸施策との均衡におきましては、人事院勧告が八月実施という形で決定いたしておりますことは、人事院勧告を尊重するという立場から見ると遺憾な点がございますが、他方全体の施策均衡という点から見ますと、やむを得ないのではなかろうかというふうに考えます。
  127. 鈴木力

    鈴木力君 遺憾な点があっても正常と言い張るというんですから、その点は私は聞きません。だから、私は先ほどからしつっこく聞いておるのです。人事院勧告というものを一体どう考えておるのかと言えば、尊重しなければならないと考えておると。そうして尊重しない。尊重しないような結果を出せば、他とのバランス、他とのバランス。これを全部詳細に説明をしろと私が言い出したら、きょうの省議にはとても間に合いませんと。だから、私はそれはわざと言わないでおる。そんなごまかしを何べんも何べんも繰り返しておる時期じゃないと私は言うのです。  これは本音はこういうことなんでしょう。たとえばさっきの説明の数字を聞いただけでもそうだ。全体で千二百億の予算のうち、もう例年の統計からいって災害というのが千九百五億もある。これはまあ公共土木災害ですね。これを別にいいますと、例年は、四十二年度は五百六十九億ある、そういう説明をしておるでしょう。こういうものを先に取っておいて、災害が起ころうが起こるまいが将来の見通しと、こう言っておる。そういう形で抑えると自動的に何%になるかどうかは別としても、いずれにしてもこの金額以外は絶対公務員給与には回さないのだということがこの予算の方針になっておる。私どもはそう見ますけれども、どうですか、その点は。
  128. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) ちょっと、数字でございますが、過去三年平均の公共土木災害の災害額は千九百億円でございまして、そしてことしの一−八月というものの実績は千三十億円でございます。そして九−十二月というものを過去三年平均で見ますと六百五十四億円に相なります。したがいまして、ことしは実績の分はこれはやむを得ませんので、あと見込みで立てておりますのは、六百五十四億円というものを過去三年平均で見通しておりますということを申し上げました。したがいまして、ことしの災害全体といたしましては千六百八十四億円の公共土木災害があるであろうというふうに推測いたしております。六百五十四億円というのは見込みの問題でございますので、これは九月から十二月の見込みでございます。どうなるかということは、九月は相当な災害もあったと存じますし、今後もないとは言えないと存じますが、これが六百五十四億円というのは被害報告のベースでございまして、初年度の国費ベースは大体これに二一、二%をかけていただいたものが国費として要ることになります。それをかけますと、約百四十億円程度金額になろうかと存じます。したがいまして、先ほど災害に要する額を四百六十億円程度と申し上げたと思いますが、その四百六十億円程度というのには九月から十二月までの公共土木災害が過去三年平均であるだろうと見込んでおります。約百四十億円程度金額も含まれておりますと、こういうことでございます。
  129. 鈴木力

    鈴木力君 その中身を議論していると時間が長くなると思いますので、できるだけその中身の議論をしないようにと、こう思っておりますけれども、そうすると、八月までには予備費からどれだけ出してあるのか……。
  130. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 予備費の支出額は災害復旧費につきましては八十六億円支出済み、使用済みは八十六億円でございます。  ただ、注釈をさしていただきますが、既定の災害につきましては、その工事費を査定して計画をつくり、査定をしまして出しますので、現実に出した額とすでに義務とし負っている額には大きな差がございます。
  131. 鈴木力

    鈴木力君 さっきから言われておるように、十勝沖地震には九十四億ですか、そう見られているのですね。それ以来の八月までのが、そうすると、いままで八月までに起こった災害でどれだけ出す計算になっているか。
  132. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) これはいま公共土木災害だけで申し上げましたが、結局正確にここでいま計算したものを持ちませんが、今後の公共土木災害の見込みを百四十億円程度と見ておりまして、その他の災害見込みは四十一億円程度、まあこれを四十億円と一ちょっと初めから申し上げさしていただきます。一−八月までの公共土木災害その他災害によりまして、義務的に国費の支出を要する額は三百十三億円でございます。したがいまして、それとの差額でございますが、そうしますと百四十七億円というものが九月以降の公共土木災害並びにその他の災害。その他の災害と申しますと、主として公立文教施設等の災害でございます。そういうものに対して予定いたしております国費は百四十七億円ということに相なります。
  133. 鈴木力

    鈴木力君 一月から八月までの災害は、どれどれの災害をさしておりますか。つまり十勝沖地震は九十四億、これはもう査定済みだから、それ以後八月までの間であと二百何十億か出さなければならない災害というのは、いつのどこの災害をさしているのか聞きたい。
  134. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 私は災害担当ではございませんので、ここに詳しい資料を持ち合わせませんが、これは各県からの被害報告に基づきました実績でございますので、各県別の被害報告額を、もし御必要でございましたら、いま手元にございませんが、提出さしていただくのはやぶさかではないと存じます。
  135. 鈴木力

    鈴木力君 どうも納得ができないのですね。この前の文教委員会のときあたりまでは九十四億だったのですよ。十勝沖地震の災害で、これはもう査定済みだということになっておる。そのあと急に八月までの間に、あの十勝沖地震の何倍かの災害があったという話もどうもわからぬ。しかし、これはまあいままでの数字があるでしょう。それはあとでいただいてもよろしい。しかし、これは必要ですから、資料としてほしい。
  136. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 実績でございますから、各県別——ただ、いまとの程度に整理できているか知りませんが、公共土木災害の一−八月の実績の報告が千三十となっている数字は、私のほうにいただきました県からの報告をまとめまして提出さしていただきます。それから、その他の公共土木災害が実績で一−八月のきまっておる額が三十七億円と、国費ぺースで三十七億円となっておりますから、そのほうは各係のこまかい公共文教とか、それぞれ合わさなければいけませんので、多少時間の猶予をいただく必要があろうかと思います。
  137. 鈴木力

    鈴木力君 じゃ、それはあとでまた伺います。  その次に、さっきその他として二百五十億というのが必要だと、こう説明をされているのですね。このその他二百五十億というものの内訳は何ですか。
  138. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) これは非常に項目が多いのでございまして、一つ一つ申し上げてもどうかと思いまして、例をあげさせていただきますと、十月から消費者米価の引き上げを行ないましたに伴いまして、生活保護者の基準がその米価のアップ分だけ変わるということに相なるかと存じます。それから、小笠原諸島の復帰に伴いまして住民の施設その他の引き継ぎに要する分。それから、種子島の周辺でロケットの打ち上げ等を行なうために、その周辺の漁業について所要の措置を講ぜざるを得ないこととなっております。それから、退官退職手当が相当当初予算に見込んだものから不足を見込まれております。これは三年間に定員の五%を欠員不補充によって落としていくという措置に基づきまして相当な退職金を組んだつもりでございましたが、高給の長期間勤務者が予定よりも多いというふうなことで不足を来たしております。それから、原爆の被爆者に医療手当を出すというふうな措置予算決定後に政府の方針としてきまりましたというふうな事例もございます。そういった各般の要請でございますが、これは二百五十億そのまま、先ほど申し上げましたように、私のほうの各予算の係が各省の意見を聞きまして推算した額でございまして、この額そのものが、大蔵省が必ず予備費で出すのだということを決定した額ではなくて、これからのものは大いに査定していきたいという考えのものでございます。だから、二百五十億そのものが確定した予備費の使用額でないことは何度も申し上げたとおりでございます。これをもう少し削減していかなければ、先ほど申し上げましたように、全体の計が千三百十億円になっておりますので、これをここで二百五十億円をそのまま支出していたのでは公務員給与改定を現在の八月に実施することは実現できませんので、私たちとしてはできる限りこの二百五十億円を削減し、それから災害が九月以降少ないことを念願している次第でございます。
  139. 鈴木力

    鈴木力君 大体その大蔵省の考え方はわかりました。要するに、まとめて言うとこういうことですな。いまの二百五十億というのがあって、それで給与費がないという説明をずっといままでしてきた。だがしかし、聞いてみると、この二百五十億というものの中には、これが予備費から出すか出さないのかまだ確定していないものがだいぶある。どれだけかという数字はもう一々あれしません。そういう予備費から出さないで公務員給与に回せるような要素のものもここの予備費のところに入れてある。それから、災害にしてもですよ、いま次長が説明した限りにおいても今後百四十億というやつがある。これはどうも災害対策本部やなんかからわれわれが聞いてみると、いまの次長の説明とはだいぶ違うような気がしてならない。これはあとの問題になりましょう。それは違う違わぬと水かけ論しても意味がないから、それはここでは言いませんけれども、そういう形でもってきて、公務員給与というのはこれ以上は出せませんですという説明をしている。だから、これは予算を組むときに最初からもうこれだけの金しか出さない方針だったということになる。そうでなければ、予備費から出さなくて済むものをわざわざ予備費の必要経費の中に入れて公務員給与はこれだけしか出せませんという説明にはならない。  私がいまお伺いしたいのは、そういうことならば、はっきりそう言ってもらいたい。大蔵省はもう、公務員給与なんというものは、人事院勧告なんというものは、こっちの金額がきまれば、最初からもう勧告なんかどうにもならぬのだ、そういう態度をとっておったということならば、そういう態度をとっておったと。いままで私がお伺いしてお答えをいただいた限りにおいてはどうもそうだ。それならばそうと、はっきりそう言ってもらいたい。どうでしょう。
  140. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 当初の予算は、当初の経済見通し、それに基づきます経済、財政上の基本的態度、さらに予算編成方針に基づきまして施策斉合性を保持して編成をいたしました。その際におきまして、公務員給与につきましても、人事院勧告に備えまして予備費充実をはかったわけでございまして、初めから人事院勧告を完全に実施しないことを予定して予算編成を行なったわけではないと存じます。しかしながら、実際人事院勧告が出てみますと、その完全実施ということは総合予算主義のたてまえから見ると非常に困難でありますので、各般の財政需要を勘案しますとなかなか八月実施も困難だということで、私のほうもいろいろと給与関係閣僚会議なり閣議にそのゆえんのものを申し上げましたが、それはそれとして、八月実施は絶対に行なうようにというお話でございました。それは六百億円の財源を一般会計予算予備費の使用によらざるを得ない。そういたしますと、いま私たちが予備費に対する需要を積算してみますと、災害において四百六十億円程度、その他の事項におきまして見込みとして二百五十億円程度になります。それらを合計いたしますと千三百十億円程度になりますが、今後の努力によりましてそれを千二百億円の予備費のワク内に何とかおさめたいということを考えていると同時に、それから災害等が今後少なくおさまるようになることを希望しているわけでございます。
  141. 鈴木力

    鈴木力君 もうその同じことを何べん言ってもらっても、わからぬことはわからぬ。言い回しだけなんですね。それはかりに完全実施するつもりだったとすれば、人事院勧告がうんと低く出てくることを予想したということにしかならない、予想が違った責任は持たない、一口でいえばこういうことなんだ。そういうことだから、いま私が一番先にお伺いしたように、この責任をどこにどう持っていくかということが、これは一番重要な問題だと思うのですね。  しかも、さっき、まあこれは時間もあれですからあまり聞きませんけれども、財政の伸びがあった場合、自然増収があった場合大体公債に振り向けるのだ、こう言っておる。新聞を見ますと、全部一ぺんに公債に振り向けると景気の刺激をするから、これは少し手控えようという議論が大蔵省の中にある。これは専門家筋の間違いない見方である。しかも、自然増収というのは予算で考えていなかったことだから、もしこれが公債消化に向けられなくても、それは国がひっくり返るような大騒ぎではない。そうすれば、公務員に金をやるよりは公債でも消化しておったほうがいい、こういう考え方にしかならない。正常異常といえば、異常なのは遺憾であるけれども、異常ではないというような言い方をしておる。こういう大蔵省立場、考え方というのはもうはっきりわかったんですけれども、これではしかし私どもはどう考えてもなるほどということにはならない。  しかも、さっき言いましたように、これは次官に聞きたいんですけれども、こういうような説明をしながら、公務員に対して、いま公務員は非常に強い要求を——強い要求というのは不当な要求でもなんでもないんですよ。人事院勧告した五月からやってくれというもの、それを強い要求としていまやっておるわけです。こういうことに対しては大蔵省一体どういう考え方なのか、どういう責任を持ってどう臨むつもりか、これは次官からお伺いしたい。
  142. 二木謙吾

    説明員二木謙吾君) 現時点において私のほうは、公務員の諸君には非常に気の毒であるけれども、八月実施ということが閣議でも決定をしておることでございますから、ひとつ忍びがたきを忍んで、がまんをしていただきたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  143. 鈴木力

    鈴木力君 もう、白々しいことを言ってもらうためにぼくは聞いているんじゃないんです。いまずっと私は数字をあげて、あと不確定な分がありますけれども、その説明の中にも不確定な部分がだいぶあるわけだ。ただ、五月にいくには足りなくて八月にきめたというのは、どうしても納得できないような数字が出ている。そうしておいて、何ですか、忍びがたきを忍んでとか、できないのにやれると思ってそう言うなら、政府はできそうなところまできているものをできないことにしてやらないんだから、それこそ政府ができそうなことをやってみたらどうなんです。これは私はやっぱり大蔵省にもう一ぺん数字を洗い直して、それから、しかも税収の伸びというやつはあるんだから、これはさっきも、幾ら数字は出さないにしても、あるということは間違いないんだから、そういう点からもう一ぺんこれは検討し直してもらいたい。これを強く要望いたします。  続いて、文部大臣にお伺いいたしますが、いま申し上げたように、どう見ても従来のように金がないから出せないということでは、これは私どもでも納得できる説明ではない。ほんとうに公務員がいま苦労しておることをまじめに考えるならば、これは私は再検討の値打ちというのは相当あるような気がするんです。で、いま率直に申し上げますと、十月の八日というものを公務員の組合も何か統一行動をやるというところまでいま来ているわけです。それからまた、全国から学校長が来て、これは私どものほうにも参りまして、何とか五月実施について公務員の言うことは正しいんだから、五月実施にして、そうしてああいう不幸な事態に至らないように働いてくれ、これはものすごい要求なんですね。もうそうしない限り不幸な事態は避けられないというのが校長たちの見方でもある。こういうところに来ているときに、私は文部大臣にいまのような状態からほんとうに洗いざらい洗い直してもらって、そうして五月実施に持ってこれるように善処をしてもらいたいと要望申し上げるんです。これは同時に、文部大臣だけではなくて、総務長官のほうにも御要望申し上げたいと思います。いかがですか。
  144. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 午前中小林委員にもお答えしたことでありますが、金があるとかないとかいう議論も盛んに行なわれるわけであります。人事院総裁お金やりくりの問題だと、そういうふうにおっしゃったのでありましょうが、その点につきましては、現在政府としましては、今年度の予算編成方針の上から申しますれば、いわゆる総合予算主義をとっている。そうして補正予算は組まない。もっとも特別に異常な災害等があれば別でありますが、原則として補正予算は組まない。こういうたてまえのもとに予算ができているわけでございます。したがって、いま考え得る問題は、予備費の範囲で何とかやれるかやれぬか、こういう問題になってくるわけであります。この方針を変更するということになれば、これは別の話になってまいりますけれども、私どもとしましては、予算編成の方針の大原則というものの中でいろいろのものを考えているわけであります。予備費の問題については、先刻来主計局次長からいろいろ御説明を申し上げているところでありまして、われわれといたしましても、何とか人事院勧告の線に沿って、その完全な実施をしたい。やむを得ないとしても、できるだけそれに近づくようにしたい、こういうふうなつもりでいろいろ予備費やりくり等の問題につきましても関係閣僚の間で相談をいたしたわけでございますけれども、遺憾ながらどうも閣議決定の御承知のような線に落ちつかざるを得なかった。まことに私自身は、しばしば申し上げておりますように、結果としては残念でございますけれども、現在のたてまえから申しましてやむを得ない、あきらめざるを得なかったような次第であります。  公務員の諸君、また教育公務員の諸君が、完全実施を非常に熱心に希望しておられる、その事情についても私も十分心得ておるつもりであります。また、教育関係の方々からも非常に熱心に要望せられているところでありまして、全国の教育委員長あたりも一致した決議をもって私に完全実施の実現を要望してこられたのであります。そういうことでありますから、教育界において非常にこれを強く要望しておられるということは十分承知いたしておる次第でありますけれども、いま申しましたような事情のもとに閣議決定をせざるを得なかったのでありまして、その事情については、ぜひひとつ御了承をいただきたいと思う次第であります。  十月八日を期して実力行使といいますか、ストライキというふうなことを計画しておられるということも伺いますので、いかにもそのお気持ちが私どもにとりましてはお気の毒だと、かようには存じますけれども、やはり何と申しましてもそういうふうな事態に入ってくるということについては、ぜひこの間の事情を御了承願って自重していただきたい。その趣旨のことを地方に対しても、教職員の諸君に対してもお願いしているところでございます。繰り返して申し上げるようでございますけれども、かような閣議決定をせざるを得なかったということについては、いかにも残念に考えておりますけれども、みんな完全実施を目標としまして努力はいたしたのであります。そういう点については、ぜひ御了承をいただきたいと存じます。
  145. 弘津恭輔

    説明員弘津恭輔君) 二つの点で、私たちがやっております問題をちょっと御報告して、御了承願いたいと思います。  一つは、実はこういう完全実施がいつもできないという状態が毎年繰り返されるということのないように、これが先ほど申されましたが、正常化するようなことのないように、来年からは何とかしてこれを制度的にも確保できるような方策がないかということで、閣議決定の注の方針に従いまして、目下具体的に検討を始めておりまして、閣僚関係の懇談会もやっております。いままで私が拝聴しておりますところでは、単なる形式的な会合ではなくて、何かもっと実質的な成果があがるような期待を持ち得る状態と私は個人的に感じております。これはしかし、もっと真剣に今後はやっていく、これが第一点。  もう一つは、十月八日の問題を控えまして、皆さんからも非常な御要望がありますので、閣議決定の線は変えられないにしても、閣議決定のワクの中で、何とかもっと思いやりのある方策がとられないものかどうかという、非常にない知恵をしぼって、きのうも関係七人委員会閣僚懇談会を開きまして、二時間にわたっていろいろ具体的なこまかい問題を全部洗いざらい出しまして議論をやった。しかし、これもまだ皆さんに納得のいただけるような結論に達しておりません。しかし、最後まで努力をするつもりで、月曜日の朝もう一度会議をしようということになっております。  まあ以上の点は、実は私たちが今度のとりました措置について、決して満足していないということを感じている点だけは、これでおわかりになると思いますが、できるだけ前向きで検討したいと思っております。
  146. 鈴木力

    鈴木力君 もうこれ以上伺いませんけれども、いまお答えいただきましたように、どう見たってこれでいいということには、どなたもそうお考えになっていないということがわかる。りっぱなんだというのは大蔵省だけです。したがって、私は最後に要望申し上げたいのは、ぎりぎりまでやっぱり努力をしてもらいたい。どう見ても私は金があると見ざるを得ない。特に、いまごろになって総合予算主義だから、よそに金があるけれども、これは使えないんだというようなことを言っておる。しかし、やり方によっては、たとえばここの二百五十億の予備費から出さなくてもいいものが入っておる。最初からそういうものを全部外に出せば、これでも相当五月にほぼ近づけるんです。そういうような観点から、これはもうやっぱり最大の努力にしてもらいたい。閣議決定したからあとは知りませんというような、こんな冷たいようなものの言い方でいまの公務員を納得させるということはできないだろうと思う。したがって、私はそういう意味から、閣議決定とかそんなことに、自分たちの立場だけにこだわっていないで、ほんとうに公務員の真情ということを考えて、何べんも検討してもらいたい、これを要望として申し上げまして、私の質問を終わります。
  147. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 小笠原君。
  148. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 この委員会におきましても、いままで人事院勧告制度、そして今回出されました人事院勧告内容、そしてまたどうしても五月実施だけはやってほしいというような、そういう問題については、幾日も幾時間もかけられて話し合いがされているわけです。しかし、いまずっとこの経過を見てみますと、政府側の答弁されている内容は、私たちに対しては納得させる力は持っておりません。皆さん方のほうではそれで通る理論とお思いになるかもしれないけれども、私たちは全然納得できない。まして、生活をかかえ、またよき教育者としての自分たちの良心から立ち上がろうとしているたくさんの教職員を納得させることは、いまの段階ではとうてい無理なところまで来ていると思うんです。こういう事態の中で。十月八日が目前に迫ってきているわけです。  で、やはり私たちは子供たちの教育をほんとうに正しい、いい教育へ発展させていこうとするならば、この十月八日にまた去年のような十万からの大量処分を出すということは、これはとても忍び得ないことだと思います。先ほどから、来年度についてはこういうことがないように、もうこの時点を通り越して、来年度についての決意は出ているわけでございますけれども、一体いまの段階でもう少し具体的に努力をされるという、そういう考え方、どういう方法をお持ちになっていらっしゃるかどうかということをお伺いしたいと思います。いままでのありきたりな答弁ではなくて、ほんとうにこの十月八日でまたあれだけの処分をことしも出されようということになりますと、子供に与える影響から見ても、これはとうてい教育を守ろうとする立場に立っては許せない、そういう事態だと思う。文部大臣としても、文部大臣としての誠実なお答えをいただきたいと私は考えているわけです。そしてまた、いままでこういう問題について教員組合とも話し合いもされていないというようなことも聞いておりますが、ほんとうに話し合って、たくさんのいろいろな意見を率直に聞こうというようなおつもりがあるのかないのか、その辺のところを伺わせていただきたいと思います。
  149. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 先ほど来お答えを申し上げたところによって御了承をいただきたいと思うのであります。われわれの気持ちからいえば、できるだけ人事院勧告完全実施ということの実現にあるわけでございます。その方向において及ばずながら努力をしてまいったわけであります。午前中から、またただいまもお答えしましたような事情のもとに、五月からの実施ということができないと、こういうふうなことになりましたわけでありますが、その点については繰り返して申し上げる必要はないと存じますが、御了承をいただきたいと思うのであります。  なお、いま申し上げましたように、政府としましては、御指摘にもありましたけれども、これまで何回となく同じような形を繰り返してきたということは、いかにも遺憾なことだと私は思う。何とかこういうふうな姿にならないようにということを強く考えております。ひとり私だけではございません、やはり完全実施をすべきである、こういうことの考え方においてはみんなそういう考え方をしておるわけであります。そこで、ことしはこういう結果になりましたけれども、明年は何とかそういうことにならないようにやっていこうじゃないかということで、給与関係閣僚の懇談会も閣議決定後もそのまま継続いたしまして、そしてまた人事院の方々にも参加していただきまして、どういうふうにやったら完全実施ということができるか、これにはいろいろ問題があるようでございます。人事院勧告の時期と予算編成の時期との関係でありますとか、そのほかいろいろむずかしい問題もあるようでございますけれども、まずもって完全実施という方針を立てて、これをどうやって実現するかということでくふうしていこうじゃないか。そこで、閣僚の懇談会の下部組織といえば少し大げさかもしれませんけれども、各省のそれぞれの事務当局のいわば幹事役のようなことで勉強をしてもらって、その研究の結果に基づきまして、閣僚問においても、もちろん大蔵大臣も入れまして、十分ひとつ討議をして、そうして何とか来年の問題としては解決しようじゃないかという熱意を持っておる次第であります。御了承をいただきたいと思います。
  150. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 来年度への決意をまた伺ってしまったようなわけでありますけれども、いまの時点で、先ほどまた閣僚会議というものが持たれるというようなことでありましたけれども、それじゃ教員組合と話し合ってみようかというようなことは全然考えていらっしゃらないのでしょうか。  それからまた、口だけ——たいへん失礼な言い方ですけれども、口のほうでは残念だ、お気の毒だというようなことばが毎回何回となく繰り返されているわけですけれども、それでは、そういうような気持ちでいらっしゃって、しかも五月実施さえもできないということに責任をお感じになるならば、これに対して立ち上がった労働者に対してこれを処分するというようなことがもしほんとうなら、それはちょっと考えていただかなければならない問題だと思うんですけれども、お気持ちと実際になさっていらっしゃる間と、その辺は一体どういうふうに考えたらいいでしょうか。
  151. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 人事院勧告に対しまして、もちろん先ほど来の御質問でもよくわかるわけでありますが、皆さんがそれぞれ不満を持っているという、勧告に対する政府の処置に対して不満を持っていらっしゃるということはよく了解できるわけであります。しかし、政府としましては、あのような閣議決定をせざるを得なかったという状況のもとにあるわけでございます。そのことについては、公務員の諸君にもぜひ了解していただきたいと実は思うわけであります。公務員の諸君の不満ということももとよりよくわかるところであります。また、先ほど来申しておりますように、私どもお気の毒にも思っております。思っておりますけれども、そういうような事態に対処して、ただいま小笠原さんはそういう不満のもとに立ち上がると、こういうふうなお話もございましたが、私どもとしましては、なるほど政府のやったことに対し御不満はありましょうとも、御不満はありましょうとも、それはまた公務員の諸君のいわゆるストライキとかそういうふうなことを合理化するという、ないし合法化するものでないと思います。願わくば、この間の事情をよく了承していただきまして、ぜひ自重していただきたいというのが私どもの心持ちでございます。  教員組合の諸君と会ったか会わないかということでございますが、教員組合の方々の希望についてはよく承っておりますし、また別に教員組合の方と会って御相談しようというふうなことは私としては考えておりません。
  152. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 繰り返すことになりますから、もうこれでおしまいにしたいと思いますが、やはり口ではいろいろとおっしゃっていても、自分のほうではするべきことができなかったという責任はあっさりと回避なすって、しかたがないから納得しろと、そして公務員であるからストライキというようなやり方はいけない、あくまでこれには向かっていくという文部大臣として権力的な立場であるということがはっきりしたと思います。これで私は繰り返して申しません。  次に問題を進めまして、大学紛争のことについて大臣にお伺いしたいと思います。  去る三十日から一日の未明にかけての日大の話し合いの場、あの場に大臣はいらっしゃらなかった、そのあとで開かれた閣議大臣はいらっしゃらないというようなことを新聞でも拝見いたしました。それまで私たちここで聞いておりました限りでは、大臣は大学の自主的な決解を待つと、大臣としてはそれをしばらく静観したい、そういう態度で発言をされていたように思います。あのあと新聞などで見ますと、非常にこれは強硬な意見として発言されているようでございます。お立場としての考え方は、やはり大学の民主的な解決にまかせていくといういままでのお考えと別に変わっていらっしゃらないのでしょうか。
  153. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 大学のいわゆる紛争の問題につきましては、私どもも非常に心配をいたしております。ひとり私のみならず、皆さんも心配していらっしゃると思います。何とかあのような事態が改善されることを望んでおるわけであります。その改善のためにとるべき処置というものはいろいろあろうかと思います。ただ、私は、現に大学において学生と大学側との間でいろいろ事態解決のために努力しておられる。その努力しておられる最中に外からかれこれと意見を差しはさむと、ああしろこうしろというふうなことを言うのはいかがであろうか。これはいかなる場合といえども、せっかくやっているのに、はたからかれこれ言うというのはどうであろうかというような考え方でございます。  また、大学の問題は、やはり大学の現在自治があやぶまれておる状態ではありますけれども、やはり大学の内部で何とか解決するということが大学の自治を守り秩序確立するゆえんだと、こう思いますので、私は常に、もちろん大学側からいろいろ連絡を受け、御相談を受けることがありますけれども、こちらのほうからあれこれああしたらこうしたらという指図がましいことは言わないで今日までやってまいっております。今後もそういうふうな事態に対しましては、まずいままでのような態度を持ち続けてまいりたいと思いますが、まだ事態がどういうことになりますか、どうしてもものを言わざるを得ないということになりますれば別でありますけれども、いま直ちに態度を変えようということは考えておりません。
  154. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いま日本各地で大学の紛争が数多く出されておるわけですけれども、それぞれの大学では紛争が起きた原因というのは違っているわけです。いま各大学というふうに一般的に言ってしまうと、なかなか時間もかかりむずかしいことだと思いますけれども、たとえば具体的な日大の問題から考えてみましても、この解決策というのは一体どれが一番解決策としてはあるだろうか。その解決策のまず手がかりになるのは、やはり学生の要求というのを正しく聞くということが第一ではないか。学生の要求を全く聞こうとしないで拒否をし続ける、そうしてあげくの果てには警官を導入するという権力的な介入の道をつける、こういうことになったことが、あの日大の問題一つ考えてみても、話し合いを拒否して、そうして力で押えるという、ここにどろ沼に引き込んだ大きな原因があったのではないかと思うのであります。当然話し合いということがまず解決の第一だということは大臣にも御異議がないと思うのです。そうしてまた、その話し合いのやり方については、もちろん民主的な話し合いというものが当然なされなければならないということも、これも大臣もそうだろうと思います。私もそうだろうと思っております。  しかし、あの日大の三十日からの団交というようなことが、まるで人民裁判のような集団の圧力で行なわれたということが非常にいま宣伝もされているし、また事実そうだと思っていらしゃる方がたくさんあると思う。しかし、まあいろいろな新聞の中で、たとえば二日の朝日新聞を見ても、「一万人の集会の議事が、学生たちの議長団によって進められたこと、さらに、特定教授の学外追放という学生側の要求に対し、大学側が、不当な干渉であると、これをはっきり拒否できる空気があったことは、一方で認めねばなるまい」。と、こういうふうにも書いているわけでございます。ですから、あれが全くひどいやり方だと、むちゃくちゃなやり方だということで、その現象面だけをとらえて非常に大きく見るということは、あとでも申しますが、非常に危険だということをここで指摘したいわけでございます。それからまた、あの会場に古田理事長以下が出席したということは、やはりもう話し合いをしなければ解決の道が全くないということを考えてあそこに出られたということも、まず考えておかなければならないと思うのです。  で、そうしますと、大学側にほんとうに学生と話し合って解決しようという、そういう誠実な姿勢というものがあれば、私はもっと解決策というものは早く正常な形でくるのではないだろうか。たとえばみんなと会うと、暴力学生によるつるし上げが行なわれる、ヘルメットや角材のもとでは会いたくない、それは当然だと思うのです。そうしたら大学側としても話し合いはしたい、だけれどもそういう暴力のもとでは話し合いはできないのだと。だから、全学ほんとうに話し合いをしようじゃないかと、こういうふうな姿勢がはっきりされれば、学生も決して、アルバイトをしながら毎日学校でああやってあばれているということをやりたくて入学したのではないと。だから、たくさんの学生は大学がそれだけの誠意を持って話し合おうとするならば、あの一部の学生はあれはやり過ぎだから、おれたちでみんな立ち上がろうというふうになって、民主的な話し合いと、そうして解決への第一歩が進められるというふうに私は考えられる。で、大臣もそうは考えていらっしゃるのだろうと思うのです。とすれば、やはりまず大学側に話し合うという姿勢、これがいま一番解決策の重要なかぎであると、結論的にいえば私はそういうふうに思うのですけれども、大臣はいかがでしょうか。
  155. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 問題の解決について双方が隔意なく話し合うというようなことは解決を進めていきます上におきましてきわめて適切な考え方ではないかと思います。そのように私も思っております。
  156. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そういうことでいま事態をずっと見ていますと、各大学でも話し合いの場というのから解決へのきざしというのが見えてくるように私は見ております。中央大学でも、また東洋大学でも、あの三十日の日大の話し合いの場よりずっとよりよい秩序が保たれて話し合いが進んできた。また、大学の先生たちも、こういう話し合いの場はやはり出ていって話し合うべきだ、そういうふうに言われている。こういうふうに着々、といえば、またいろいろと語弊があるかもしれません。しかし、解決の場が出てきたというふうに私は思います。大臣もそう見ていらっしゃるかどうか。  それからまた、日大には一昨日ですか、三日午後教授と助教授など教官組織として生まれた日大教員連絡協議会が教員全学集会というのを開いております。そして日大の紛争に関する大学紛争対策問題閣僚懇談会など政府側の動きに抗議する声明を決議しております。そしてまた、大学側の理事と評議員、監事に対し即時辞任を要求するということも決議しております。こういうふうになってまいりますと、これは単に学生だけの要求というのではなくて、全学生、全教官の全学的な統一された要求である、こういうことが考えられると思うのです。  そうすると、この全学的にも統一されてきた要求、この要求を取り上げるということがいま非常に大事な段階に来ていると思う。これをまた拒否する。これをまたあの団交は認めないというような形でまた元へ戻すというような危険も考えられますけれども、やはりこういうような全学的な要求が明らかになったということは、いまの時点で非常に大きな解決の糸口だと思います。やはり話し合うという、このことが解決の一番の第一歩であるというふうなことが私は言えると思うのです。  私が第一番目に質問いたしましたのは、十月三日の読売に出ておりますけれども、「大衆団交の集団圧力で学生側のいいなりになったのでは、大学問題が解決したようにみえても、それは表面的なもので、そんなものは解決になりはしない。」、大臣はこういうふうに言われているわけなので、ちょっと心配いたしましたが、先ほどお伺いしたら、やはり考え方としては前と同じでいらっしゃる。そうすると、解決の話し合いのめどというのが立ってきた。そして方々でもそれがいま進みつつあるという段階、いま非常に大事な段階だと思います。こういう段階においても、大臣が、これからもやはり大学側が自主的に学生と教官、理事者側と話し合いをして進めるという、民主的な話し合いで大学自身によって解決するという立場に立っての御発言はけっこうだと思いますけれども、少なくとも政治的な介入と考えられるような発言や言動については十分に私は考えていただきたい、そう考えているわけです。
  157. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 従来でも別に政治的な介入というような発言はしておらないつもりでございます。先ほど申しましたような心持ちで対処いたしているわけであります。いろいろ問題がありますときに、関係者の間でよく話し合って、そうして問題の解決をはかっていくというこの方式というものは、やはり問題解決の適切な方式であるというふうに私は思っております。日大がどうであるとかこうであるとかいうことで、かれこれ言うことは考えておりません。大学の内部でいろいろ問題点をとらえて、そうして隔意なく話し合っていくということを決して否定するものでも何でもございません。  ただ、私どもの心配しておりますのは、そういうふうな話し合い話し合いといいながら、実はそうでない。ことに大ぜいの人たちが一方的な主張をただやるだけであって、そうしてその主張を聞き入れなければどうでもこうでも解放もしない、こういうようなことでは私はやはり自由な話し合いということにはならない。やはり私どもの話し合いというものは、自由な零囲気のもとにお互いに隔意なく言うべきことは言う、その間に合理的な解決を求めていくということでなければならぬ。一方的にただいやおうなしに言うことを聞くまでは押しつけていくというふうな態度は、私は話し合いとは言えない。そういうようなことになっても困りますし、同時にまた、その話し合いが何か非常に脅迫といいますか、威迫といいますか、そういうふうな空気を感じさせるような零囲気のもとに話し合いをするというようなことも、私ども自由な話し合いとは言えぬと思う。やはりどちらも節度をもって、礼儀をもって、そうして整然とした話し合いを行なうということなら、どしどしおやりになったらよろしいんじゃないか、こういう気持ちでおるわけで、心配するのは、いま申しましたように、そこに圧力がかかるとか、圧迫が加わるとか、いやおうなしに押しつけられるというような形の話し合いということはいかがであるか、そういうことはぜひやめてほしいものである、そのように思っておるわけでございます。
  158. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いまおっしゃった心配、もっともだと思います。私が申し上げたいのは、いま非常にどろ沼に入っちゃって、お互いにエキサイトしている中で、すぐに、そういうふうになるのは当然望ましいけれども、その過程の中で起きた現象を中心に据えてしまって、昔でいえば角をためて牛を殺すというような、その現象だけでもって判断をして、重く見られて、せっかくの話し合いというものがまたできなくなるという、そういう逆効果にならないように私は心配して申し上げたわけなんです。これにはお答えいただかなくてもけっこうでございます。  次の議題に移りたいと思いますが、家永東京教育大学教授の教科書訴訟で、東京地裁がこのほど二部と三部両方から教科書調査官の意見書、評定書などの文書の提出を被告国側に命じました。これに対して、文部省は不服であると即時抗告をされております。文部省がこれらの命令された文書の公表を拒否されて不服であると抗告されたその理由というのは一体どういう理由か、まずお伺いしたいと思います。
  159. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) その問題につきましては、政府委員からお答え申し上げます。
  160. 天城勲

    説明員天城勲君) ご指摘のように二つの教科書関係の起訴がございますが、これに関連いたしまして、評定書及び調査意見書の提出を求めてきたのでございますが、結果的に私たちのほうといたしましては、これに対する即時抗告をいたしておるわけでございます。  この理由でございますけれども、この関係文書の提出が求められております根拠は、民事訴訟法の規定で、条文の文章を読みますと長くなるから省略いたしますが、これこれこれこれの文書だから提出しろ、こういってきておるわけでございます。ところが、民事訴訟法上のいまの規定の解釈につきましては、私たちとしては裁判所の決定について必ずしも同意しておりませんで、法律上の解釈に問題があるという点が一点と、それが基本でございますが、同時に、言われているように拒否したということの実際にあたりまして、調査員、調査官の意見というものが公表されますと、従来から検定の公正ということを非常に強く考えております立場から申しますと、今後自由な意見の表明が他からの影響を受けたりするようなことも予想されますので、公正で慎重、綿密な検定を行なうという方針の上から影響のおそれがある、このような考え方から高裁に対して抗告いたしたわけでございます。
  161. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 検定の公正ということの問題についてはあとでまたお伺いしたいと思うのですが、検定の公正が保たれているということを私も非常に重要なことだと思うのです。一体その公正が保たれているというようなことはだれが何を根拠に判断して公正であるということが言えるのかどうか、その辺のところをちょっとお伺いしたいと思います。
  162. 天城勲

    説明員天城勲君) 教科書の検定の組織の問題になりますけれども、日本教育は、憲法、教育基本法、学校教育法の目的に即して行なわれていくという大前提がございます。この制度の中で教科書の検定は文部大臣が行なうということの規定がございます。これに基づきましてこの問題を検討いたしておるわけでございますが、その場合に、当然いま申し上げましたような基本的な前提に即して検定が行なわれなければなりません。一方、学校におきます教育課程の基準といたしまして学習指導要領というものがございますが、これも法令上の根拠に基づきまして文部大臣が学習指導要領を定めております。これらの前提に立ちまして検定基準というのがございまして、検定基準の上で、いま申し上げました憲法、教育基本法、学校教育法並びにこの学習指導要領に基づいて教科書というものが検定されると、こういうたてまえになっておりますので、われわれといたしましては、この基準に即して検定することが公正を保つ根拠である、かように考えております。
  163. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 公正妥当なものであるかどうかということについては、いまのお話ですと、文部大臣が検定をすると。そして文部大臣の基準に定められたその基準に従ってやると。そうすると、文部省が責任を負ってやるからそれは公正なんだと、そういうふうにおっしゃるわけですか。
  164. 天城勲

    説明員天城勲君) 筋をそのように申し上げたのでございますが、さらに補足して申し上げますと、現在教科書の検定のために審議会が法律上設けられておりまして、文部大臣が検定をいたしますためには、この審議会、正式には教科用図書検定調査審議会でございますが、これに諮問いたしまして答申に基づいて行なわれる、こういう制度になっております。審議会における審議に先立ちまして、審議会に置かれております教科書調査員というのがございます。これは現場の大学あるいは高等学校以下それぞれの学校の先生方でございまして、この中から選ばれました調査員、それから文部省に置かれております各教科に関して専門的に知識を持っております教科書調査官というものがおります。この両者によります調査を済ませまして、それに基づいてこの審議会が最終の判定をする、こういう制度になっておりまして、現在調査員は、毎年の検定の申請の件数によって動きますが、大体五百人前後の調査員を持っておりますし、文部省におります専門調査官も定員が四十一名おるわけでございます。こういう仕組みによりまして、法律上、最終的に文部大臣がこの答申に基づいて検定というものをいたしておるわけでございます。
  165. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 公正妥当なものでなければならないと。その公正妥当なものであるかどうかという判断でございますね、これは当然広範な、みんなの意見というものも聞かなければ出てこないんではないか。私たちはもちろんその公正であるということを願っておりますし、そのためにはその中身というのをやはり公正なものであるかどうか、それを知る権利が私たちにはあると思うのです。ところが、現在は全く秘密のべールに囲まれて、検定手続がもとでいま御説明いただきましたようなそのすべての中身というのが全く知らされていないわけでございますね。それではほんとうに、公正な判断だとそちらではおっしゃっても、それが客観的に公正かどうかということを私たちも見ることもできないし、そこで自由に討論することもできないのではないか。このことにつきましてはまたあとでお伺いいたします。  もしも文部省側でこの検定については公正であると確信を持っていらっしゃるとすれば、これを、裁判所から出されました命令に従ってこの内容を提出するということは別に差しさわりがないのではないかというふうに考えるわけなんです。差しさわりがないどころか、これを堂々とお出しになって、このように公正な立場でわれわれはやっていたのだと、そこに証拠立てられるべきであると、私はそう考えるのですけれども、いかがでございますか。
  166. 天城勲

    説明員天城勲君) 訴訟になりますと、訴訟はそれぞれ訴訟の手続法に従って相互の議論が戦わされるわけでございまして、やはりルールに従って行なうわけでございます。したがいまして、証拠として出すものにつきましても、それぞれ根拠に基づいてこれが提出されるわけでございます。特にこのたびの裁判所の決定におきまして、民事訴訟法上の規定に基づきまして、こういう書類と考えるから提出しろ、こう言ってきているわけでございますけれども、私たちの考え方では裁判所の言っているような書類と考えないという点が一つございますことと、それからその問題を離れまして、いま御指摘になりましたような別の観点から見ました場合にも、私たちはむしろこの調査委員ないしは調査官のやっております仕事が、先ほど来申し上げましたようなそれぞれの根拠法に基づいて検定という仕事を実施いたしておりますので、公正を期しておるという自信があるわけでございますが、実際には教科書というものは先ほど申したようにたいへん大ぜいの人間が参加いたしませんと十分な審査ができませんので、多くの人間がかかっておるわけでございますが、この人たちが自由に率直に意見を戦わせるように、これ個人の意見できめているわけじゃございませんので、結果的にはある委員の言ったことばもそのまま通っていない場合もあるのでございます。最終的に審議会できめるわけでございます。したがいまして、この過程でだれがどう言った、だれがどういう見解を持ったということを一々発表いたしますことは、かえって検定の公正を保つゆえんでない、このように判断いたしておりますので、申し上げた次第でございます。
  167. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 公正な検定に欠くことのできない自由な討論が阻害されることのないようにと、その辺を心配して出すことをためらったというふうにおっしゃっています。そういうことをすると、いろいろと圧力がかかったり、だれがどうとかというようなことがあるという御懸念もあると思います。そういうような、たとえばそういうことが前には一応出されていたこともありますね。圧力がかけられて非常に困ったような事実があったのかどうか。時間がないのでちょっと続けて質問いたしますが、圧力をかけられて因った、公正な判断をする自由な討論がその圧力で因ったという事実があったのかどうかというのが第一点ですね。  それから、審議会の意向として——審議会の答申ですから、審議会の意向としてこういう中身、議事録の文書を公表するなというような意向があったのか、また公表してはいけないというような何か法令的な根拠というものがあるのかどうかですね、そのことをお伺いしたいと思います。おそれ入りますが、簡単に。
  168. 天城勲

    説明員天城勲君) 前の、過去の例に何かそういうことがあったかということでございますが、ちょっと過去のこまかいことを覚えておりません。  それから、いまの検定のやり方につきまして、法令上、何といいますか、非公開と申しますか、そのことを法律上きめてはございません。しかし、審議会の、いま申し上げましたような趣旨で審議会自身も文部省もそういう方針と慣行でずっときております。
  169. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 小笠原君、まとめてください。
  170. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 はい。初めに予定の時間を伺っていなかったもので、ちょっと時間、一生懸念はしょりますから、お許しいただきたいと思います。  いまの御説明ですと、圧力をかけられたという事実もなかったと、審議会は。そこのところちょっと首を振っていらっしゃいますが、なかったかどうかということはわからないと。大きな事件として、あれば当然御記憶があったと思うんですけれども、まあ、その御記憶がないということですから……。  それから、そういうものを出すべきではないというような法令的なものはないというようなことをおっしゃいました。私のほうも教科書検定課長さんに伺ったら、そういう法的なものはないと。そうすれば、そういう法的な根拠もない、出してはいけないというものもないと。ただおそれるのは、そういうことが名前で発表されちゃって、圧力がかかったら困るということが最後に残されてまいりますね。そこで、そういう御心配なら、だれそれがどう言ったというのじゃなくて、たとえばABCでもいいです、匿名で、やはり私たちは何としても公正であるかどうかという、その事実の経過を知らなければ判断ができないわけでございますから、だから、名前は伏せて、そうして事実が公正であると確信を持っていらっしゃるなら圧力もかかる心配がないわけでございまから、当然その中身をお出しになるということはできると思いますが、どうでしょうか。
  171. 天城勲

    説明員天城勲君) 過去の例についていまとっさの御質問で私記憶していないと申し上げたわけでございまして、教科書の検定をできるだけ厳正にしよう、公正にしようというのがたてまえでございます。いま私が申し上げました理由二つございます。二つ申し上げたのでございますが、単に事実上そういう心配をしておるその点を確保しようというだけじゃなくて、裁判所の決定は民事訴訟法上の一定の規定に基づきましてこういう書類を出せということになっておるわけでございまして、その根拠に基づいております。ですから、現に原告側から東京の地裁の民事に出しております文書提出命令申し立てば二種類の文書の提出を求めておるのでございますが、裁判所は少なくとも一つは該当しないといって本人の原告の申し立てを却下いたしておるわけでございまして、やはり法律に基づいてこの措置をいたしておるわけでございまして、私たち提出命令の来た文書につきましても、これも法律の根拠に基づきまして抗告することができるということで、高裁に抗告いたしておるわけでございます。要求している書類が私たちの考え方としては根拠とされている法律の書類ではないという見解も一つ持っているのでございまして、両者から判断して高裁に抗告することにいたしたのでございます。
  172. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それでは、審議会の委員と、それから調査員、調査官これはどこが任命するのですか。
  173. 天城勲

    説明員天城勲君) 文部大臣が任命いたします。
  174. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それでは、これらの各委員調査員等の任命基準ということが出てくるわけなんですけれども、この任命基準の、私のほうで調査官の選考基準というんですかを見ますと、いろいろなことがありますが、思想が穏健中正と、こういうふうなことが一つ出ているわけです。思想が穏健中正というのは具体的にどういうことをおさしになっていらっしゃるのでしょうか。
  175. 天城勲

    説明員天城勲君) いまのお話は……
  176. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 教科書調査官選考基準でございます。
  177. 天城勲

    説明員天城勲君) これは私たちの内規でございまして、最終的には文部大臣の判断によるわけでございますが、その選考の基準として七つ、八つの条件を内部で一応考えてございます。その中に、いまおっしゃるような穏健中正ということばもございますが、別にどれが穏健中正でどれが穏健中正でないと客観的にここで御説明することは困難でございまして、きわめて常識的な意味で中立的な考えを持っておる人、このように考えております。
  178. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 きわめて中立的な考えということでおっしゃってましたけれども、実はこれは「フォト」の九月十五日号で、総理府で編集されました「戦後の教育は間違っている」「−百年の変遷をかえりみて−」というのに、日本大学教授の高山岩男さんがお書きになっておるのでございますが、この方はちょうど家永教授の「新日本史」の検定の際には審議会委員になっていらっしゃった方です。いま私が伺いました思想穏健中正であるという立場から見ますと、ここに書かれていることはこれで穏健と言えるかどうかちょっと御判断いただきたいと思います。  「新教育制度の罪」として、ここにいろいろ書いてありますが、「大東亜戦争の敗北は、日本人に大きなショックを与えた。」「この精神的敗北は敗北と自覚されないことと、精神病患者が自分を気違いと思わぬのと相似て、容易に治癒できない。この精神的敗北は、憲法から政治制度、その他万般の思想に及ぶが、わけても留意を要するのが教育基本法、新教育制度、及び日教組の革命教育である。」、こういうふうに堂々と書かれて、総理府編集から出されておるのに書かれているのを見て、私もちょっとびっくりいたしました。つまり、教育基本法というようなのも問題だと。先ほど教育基本法、憲法、こうして基準に従ってやっているということを言われましたが、そのものも否定するような、非常に中立と言えないこういう方が、現実にはこの家永裁判のときには審議会委員になっていらっしゃったわけなんです。  先ほど私がお伺いいたしました、たとえば審議会委員のメンバーにしろ、それから調査官にしろ、調査員にしろ、すべてそちらが穏健中正と認めた、そうして文部大臣が適任だと認めた、そうしてここで慎重審議をしたから、だからこれは公正だということだけで、全くその公正であるという客観的に判断される材料は何も出されていないというところが、私たちにとっては非常に疑問であるし、憂慮すべき点だと思うのです。こういうような全部を隠した中でこれがあくまでも公正だとおっしゃることが、私はどうしても納得できないわけなんです。  それからまた、非常に慎重審議をされたというふうなことを言われておりますけれども、一体こういうような家永裁判ではっきりしたことは、たとえば三百カ所から出てくるわけですよ。そういうような具体的なたくさん出てきた問題について、審議会メンバーにその歴史の専門家というのがどれくらい入っておって、そうして一体どれくらい時間をかけて、ことばでは慎重審議でやったとおっしゃるけれども、実際どういう形でどれくらいの時間をかけてやられておるのか、そこをちょっとお伺いしたいと思います。
  179. 天城勲

    説明員天城勲君) 先ほどもちょっと検定のやり方の機構を申し上げましたけれども、申請になります教科書は教科ごとに学年ごとに非常に種類が多いのでございまして、おそらく申請は、いまちょっと数を覚えておりませんが、何百という数にのぼるわけでございます。したがいまして、これを専門別に見てまいりますと、非常に多きにわたりますので、先ほど申し上げたような調査員、調査官、その専門家、しかも現場の教育に実際に携わっておられる先生方を含めてのそれぞれの専門の分野の方にまず専門的に見ていただく、しかもそれを個人でなくて組み合わせによって見ていただくが、その間には非常に、申し上げるとこまかいことになりますけれども、公正を期するためにいろいろのわれわれとしては制度上あるいは運用上のくふうをいたしております。発行者、著者もわからないような形で最初に白表紙でもって見るとか、いろいろな方法をやっておりまして、複数の目で、御専門家の目でこれを見て、だんだん審査を重ねていくというやり方をいたしております。最終的には審議会におきましては、先ほど申したようないろいろな根拠に基づきまして、やはりこれが小学校の教科書として専門家が見てきたことから妥当であるかどうかという判断をいたすわけでございまして、単に専門家ばかりではなく、広い意味の学識経験者、両方の観点から判断をいたしておるわけでございます。  なお、たいへん秘密にやっているようにおっしゃいましたが、秘密という意味は、私たちはそれぞれの調査員の方々が自由にとらわれずにできるようにということだけを考えておりまして、検定基準も天下に公表いたしておりますし、それから申請のあった原稿につきましては、それぞれの段階を経て、問題のあるところは決してばっさりやっておしまいにしてしまうというのではございません。著者を呼んでここがこういう理由でこうなっているのだ、書き直すならばもう一ぺん考えてみたらどうですか ということを全部申し上げた上でやっておるわけでございまして、すべてやみのべールの中でやっておるという意味では毛頭ございませんので、御了承願いたいと思います。
  180. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 最後に、もう時間がありませんから。いまのお話をいろいろ聞いておりますと、なかなかじょうずにお逃げになっていらしゃいますけれども、今度この裁判の中で明らかにされましたこの中身を見てまいりますと、いまおっしゃったことがいかにでたらめかということがわかるんですよ。私もこうやって質問するからには、いろいろと裁判記録も読ませていただきました。各現場の先生や専門家の方々、調査員というものが相当この調査に力を入れておるというふうにおっしゃいましたけれども、事実宮川茂という、この方は審議会委員です。この方がことしの四月十一日の朝日新聞でこう言っております。「調査員は現役で授業をしている社会科のベテランの教師だ。事実のまちがいの修正が大部分で、ほとんど校正係みたいな仕事が多い。」、実際の調査員というのは、その内容にわたって調査するというのではなくて、校正係みたいな、間違いとか明らかに事実の間違いという程度しかやっていないわけなんですよ。  それでは、審議会のメンバーはどうなんだと見れば、メンバーはいまさら私が申し上げなくともおわかりだと思います。そこにはいろいろ大会社の社長さんなり、非常に幅広い方が集められており、実際の教育という問題に責任を持って審議できる方であるか。口でいえば学識経験者とおっしゃいますけれども、実際の教科書を審議するにふさわしいメンバーではないということは、あの肩書きと名前をごらんになれば、そちらでも当然おわかりになっていらっしゃると思う。  また、非常に慎重に討論されているかのようにおっしゃいましたけれども、この裁判記録、これは事実でございます。まさかこれまで御否定にならないと思いますけれども、この中を見ましても、この「新日本史」、昭和三十七年度の申請の検定は審議会では不合格処分になった。それは正確性なり内容の選択について著しい欠陥があるということで不合格処分になっておるんです。このときの審議会における審議経過を見ますと、これは文部省が出した第一回の準備書面ですが、昭和三十八年二月二十日、日本史小委員会が開催され、三名の調査員の意見書と評定書、調査官の意見書と評定書、これが提出され、主査の調査官から説明がなされたとしておる。そうして三名の小委員全員が不合格にしておる。続いて二月二十六日、三月十三日の二回、社会科部会が開かれて同様に不合格処分にしている。ところが、この不合格理由、これは今度の裁判で文部省が初めて明らかにしたんです。今度初めて明らかにした。初めから著者を呼んで、こことここが問題だと、非常に親切に著者の意見も取り上げるというふうにおっしゃっていますけれども、この今度の家永裁判の中で、実に三百二十三項目の膨大な数にのぼっているということも出てきているわけです。  こういうふうにずっと調べてみますと、決しておっしゃるように著者の意見を尊重し、そして十分審議にかけたなんというものじゃない。三百二十三項目からのものを一日や二日でどうして審議できますか。口では慎重審議と言われたって、全く慎重な審議できる時間的な余裕というものが見られていないじゃないですか。そうしますと、この検定というものが公正であるあると言われても、任命するのは文部大臣である、調査官にしても調査員にしても審議会にしても。そうしてその中身というのは明らかにされていない。これで検定は公正だ公正だと幾らおっしゃられたって、公正だということは絶対に私たちとしては考えられない。また、最後に、秘密ではないというふうにおっしゃいました。そして裁判所に提出されないのは、その文書が指定の内容とは違うというふうにおっしゃっていますけれども、それではその裁判所の問題を抜きにいたしましても、秘密主義ではないと、そして公正な審査をしているんだとおっしゃるならば、命令される以前にでも当然出されていいと思うんですけれども、出されないというその理由一体どこなんでしょうか。最後にそれをお聞きしたいと思います。
  181. 天城勲

    説明員天城勲君) 先ほど来申し上げておりますように、検定の公正を期する、慎重に事を運ぶというのがわれわれの考え方でございまして、それをいまの与えられた法律上の根拠、行政内のくふうによって最大限にいたしておる事情を申し上げたわけでございます。その見地から申しまして、現に調査員の名前も公表しないということは、御本人たちにとっての影響があるわけでございますので、そういう前提に立っておりまして、決して秘密という意味ではございませんで、内部組織の上からいりて公正を期するための処置でございます。したがいまして、繰り返して申し上げますが、各委員の発言というものを公表することは、やはりその人たちに対するいろいろな影響が考慮されますので、私どもは公表しない、こういう考え方をとっているわけでございます。
  182. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 名前を出さなければ、中身だけ公表されるんだったら、何もそう御心配になることないじゃないですか。どうなんですか。中身だけなら、正しいとおたくのほうでおっしゃるなら。いろいろな名前がついて出てくるから自由な討論の妨げになるとさつきおっしゃったわけです。そうしたら、名前を出さないで中身がだいじょうぶなんだと言うんだったら、出せない理由というのはないんじゃないですか。
  183. 天城勲

    説明員天城勲君) 審議会の議論というのは、先ほど来申し上げておりますように、幾つかの段階をとりましていろいろやっております。その間におきます皆さんのお名前をどうこうという問題は別といたしましても、意見というものはそれぞれの立場で自由に述べてもらうという前提になっておりますので、最終の判断とは別の問題でございます。その過程はこの裁判所の言うような書類ではございませんで、行政内部のいろいろなプロセスにおきましてやってまいりますときに出てくる経過上の問題でございます。それは一々われわれとしては外に出す必要はないと考えております。
  184. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 川村君。
  185. 川村清一

    川村清一君 私も人事院勧告完全実施の問題について若干質問をいたしたいと思います。  けさほどからわが党の小林委員鈴木委員からいろいろ質問がございまして、特に完全実施とこれに伴う財政措置の問題について大蔵当局に質問があったわけでありますが、大蔵当局の御答弁をいろいろ承りまして.私も何としても納得できかねるのであります。したがって、その問題を中心にして若干質問したいと思いますが、まず最初に人事院にお尋ねしますが、ことしの公務員給与引き上げ率は八%ということで勧告されております。そこで、昨年から前五年間、昭和三十八年、三十九年、四十年、四十一年、四十二年、この五年間の人事院勧告をいたしました給与引き上げ率をちょっとお知らせいただきたい。
  186. 尾崎朝夷

    説明員尾崎朝夷君) 本年はいま申されましたように八・〇%でございます。それから、昨年の場合には七・九%、その前の四十一年の場合には六・九%、さらにその前年の四十年の場合には七・二%さらにその前年の三十九年の場合には八・五%ということになっております。
  187. 川村清一

    川村清一君 三十八年は。
  188. 尾崎朝夷

    説明員尾崎朝夷君) 三十八年の場合には七・五%。
  189. 川村清一

    川村清一君 昨年の実績は八月実施でございましたが、八月実施に伴って要したいわゆる財政的な措置ですね、総額幾らですか。一般職です。
  190. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 去年の人事院勧告、七・九%の勧告に伴いまして、一般職だけでなくて一般会計負担全体について申し上げますと、五百四十八億円という所要額であったわけであります。ただし、この中には七・九とは別に勤勉手当を〇・一カ月分上げるという所要額が入っておりますので、七・九が直ちにこの五百四十八億ではないのでございまして、〇・一カ月分という格差とは関係のない勤勉手当というものを含んでおります。
  191. 川村清一

    川村清一君 人事院にさらにお尋ねしますが、五月にさかのぼって実施するようにという、これはずっと出ておりますが、特に勧告にそれを強調されて、政府に対してぜひ五月に実施してもらいたいといったようなことをつけ加えて勧告をしたのはいつからですか。
  192. 尾崎朝夷

    説明員尾崎朝夷君) 昭和三十五年からと承知しております。
  193. 川村清一

    川村清一君 それじゃ、大蔵当局にお尋ねしますが、財政法二十四条の規定する「予備費として相当と認める金額」、いわゆる「相当と認める金額」というものが財政法二十四条にうたわれておりますが、この相当する金額というものを大蔵省はどのように解釈されておりますか。
  194. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) たぶんその条項は「予見し難い予算の不足に充てるため、内閣は、予備費として相当と認める金額を、歳入歳出予算に計上することができる。」という規定だろうと思いますが、「相当と認める金額」という意味は、本来、予算というのは国会の審議をいただくわけでございます。で、これは款項に分けまして、項までが国会の議決項目となっております。したがいまして、政府がもしこういう金に使うのだということが明らかになっている場合には、その使用目的を明示して予算の項の姿で国会の審議を仰ぐのが当然の予算制度の前提になっております。ところが、どうしても大きな一般会計予算となりますと、予想されるすべての財政需要を見込んだつもりでございましても、その一年間の年度間にはそのとき予想し得なかった財政需要が出、あるいは予想した財政需要についても不足が出る可能性がある。そういうことを背景にいたしまして、過去の経験その他より見まして、そういう不測の財政需要を処理するに必要最小限度の金額を計上しようと、そういう意味と解しております。
  195. 川村清一

    川村清一君 あまり長々と説明していただかなくてもけっこうなんです。  そこで、昭和四十三年度予算予備費千二百億円を計上されておりますが、   〔委員長退席、理事楠正俊君着席〕 予備費というものは財政法のたてまえからいって、二十四条における「予見し難い予算の不足に充てるため、内閣は、予備費として相当と認める金額を、歳入歳出予算に計上することができる。」というこの規定によって予備費というものが盛られておるわけでありますが、今年度の千二百億という予備費は、いわゆる予見しがたい予算の不足に充てるために設けられたものでありますか。
  196. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) そのとおりでございます。
  197. 川村清一

    川村清一君 そうでなかったら財政法違反です。  そこで、そうしますと、いまのあなたの御答弁からいって、予見しがたい金額が千二百億ある。その千二百億を積み上げる積算の基礎とは、やはりいかに予見しがたくても、そこに予備費として相当と認める金額であると、こういうふうに解釈をしなければならないわけであります。そうしますと、先ほどの小林委員鈴木委員に対する御答弁をお聞きいたしまして私なりに解釈したのでありますが、千二百億のうち、最初あなたの御答弁でいうと、昨年の予備費は七百億である。で、ことしは公務員給与というものを予備費の中に入れるということにした。そこで、この御説明の中にありますが、予備費を、これを非常にふやしたということがここに書いてあるわけでありますね。予備費充実をはかったのでありますと。そこで、そうしますと、公務員給与というものの、給与の相当額は五百億であると、そうそのときにおいては判定されたわけでありますか。こういうふうに積算したわけでありますか。
  198. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 結果的には五百億円だけ予備費が増額された形で四十三年度予算決定されたというのは御承知のとおりでございます。それで、ただ予備費の性格上、それが全体として予見しがたい経費の不足に充てるためのものでございますので、別に公務員給与の分がどれだけと初めからきめてあったものではございません。
  199. 川村清一

    川村清一君 しかし、結論的にいって、いわゆる千二百億の使途でございますが、八月実施ということで六百億、最初は五百億くらいに考えておったのでしょうけれども——まあ考えられておった五百億の基礎については私はまた質問しますけれども、結果的には六百億になって百億ふえた。災害その他で七百百十億、計で千三百十億、これを何とかこれから百億節約して千二百億のワク内でもって操作しようという大蔵当局の御答弁でございます。  ところが、先ほど私が冒頭お尋ねしました過去五年間の公務員給与上昇率というものは、ことしは八%であって、昨年から過去五年間においては大体多いところで三十九年の八・五%、一番少ないのが四十一年の六・九%で、あとは七・五%前後と、八%近い、こういうことで給与引き上げ人事院勧告しておるわけであります。こういう実績がある。さらに.いま次長から答弁をいただいたわけでありますが、四十二年度の実績は、一般職において五百四十八億、これは使っておるわけであります。五百四十八億という実績があるわけです。そうしますと、財政法二十四条に基づいて給与引き上げ財源というものを予備費に求められるとするならば、当然実績というものを勘案して、それが二十四条のいう「相当と認める金額」ということになりませんか。相当という金額というものはやみくもに出てくるのですか。
  200. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 先ほどから御答弁申し上げましたように、予算自体はその予定ですべて組んでおるわけでございまして、四十三年度の経済見通し、その経済見通しにおきます経済運営、財政運営の基本方針を基礎にいたしましてすべての施策が計上されているわけでございます。で、そういう施策との均衡を考えまして、予備費を五百億円充実いたしたわけでございます。その際に公務員給与幾らであるということをきめたわけではございませんが、予備費充実をはかりましたのが五百億円でございました、そういうふうに申し上げているわけでございます。
  201. 川村清一

    川村清一君 まあ大蔵大臣いらっしゃいませんので、財政の最高責任者がおらないので、あなたにお尋ねするのは、これはちょっとおかしいし、また責任ある御答弁もいただけないと思うのですが、ただいまの次長の御答弁では、私はある意味においては財政法違反である、こういうふうに言えるのではないかと思うのですよ。いわゆる財政の民主化のたてまえからいっても、財政法全体のたてまえからいっても、予備費というものがどういう性格のものであるか、財政運用上の都合によって予備なんというものは、あなた、ふやしたり減らしたりするものじゃないでしょう。予備費というものはどういうものですか。ですから、二十四条には「歳入歳出予算に計上することができる」というのです。あとの項目は「求めなければならない」とか、「作製しなければならない」とか、たいていはそういう規定があるのです。この二十四条は「できる」というふうになっている。ですから、まあ極端にいうならば、公務員給与費を予備費に計上するなんということは間違いでしょう。厳密にいったならば、予見しがたいものではないでしょう。毎年毎年の実績があるわけですよ。これが予見しがたいということはどういうことなんですか。しかし、そんなことは大臣でないあなたに聞いても……。予算委員会でないから、これは御答弁は要らないですよ。私はそう思う。  ですから、小林委員鈴木委員の御質問は何回もこの点を繰り返しておるのですが、最初から大蔵当局はもう公務員給与引き上げを、人事院からどんな勧告が出てきたって、それを完全に実施する気はないのだ。最初大体五百億くらい見ておいて、あと五十億、六十億色をつければいいのだ、そんな考え方しかないのですよ。だから、千二百億だ。そして経済成長見通しからどうとかこうとか。そんな経済成長の見通しがどうとかこうとかでもってするならば、これは予備費じゃないでしょう。初めから公務員給与をこの中に入れたことが間違いじゃないですか、どうですか。
  202. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 従来人事院勧告、要するに公務員給与改定については、当初予算編成のときには配慮しないで、そういう事態を考えないで予算編成を行なってきたわけでございます。で、その結果、年度途中で人事院勧告を受けまして、それが処理に非常に難渋いたしまして、なかなか決意ができなくて、九月決算の状況その他を見ながら非常に人事院勧告処理に苦労したということで、しかも四十三年度予算編成にあたりましては、財源経済見通しに基づいて目一ぱい組んであるということから、すべての財政需要をこの際斉合性をもって考えて諸施策に配分する必要があるという観点から、総合予算主義をとったわけでございます。その際に、たとえばすべて施策の中ではっきりと政府だけで措置をとれる面は、そういう経済運営の姿勢、それから財政運営の基本方針に基づきまして、それぞれの措置をとりましたが、公務員給与につきましては、結局人事院勧告そのものがないわけでございますので、やはり経済見通しに基づきまして、それらのほかの施策、たとえば生活保護基準の引き上げその他との均衡を考えて、この程度の額を予定してはどうか   〔理事楠正俊君退席、委員長着席〕 という一応の腹づもりを持ちまして予備費充実をはかったわけでございます。
  203. 川村清一

    川村清一君 それでは、お尋ねしますが、昨年七百億円予備費として計上されまして、それの予算執行の内訳をちょっと御説明願いたい。
  204. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 四十二年度の予備費の使用状況を申し上げます。これは去年は補正予算を組んでおりますので、補正予算で減額した分がございますんですが、予備費として支出した分から申し上げますと、まず災害対策に使いました額が四百二十二億円でございます。これ以外に——災害またことし多く見ているじゃないかと言われる前に申し上げておきますが、補正で百四十七億円追加いたしまして、災害としては五百六十九億円去年は使っておりますが、予備費を使用した額は四百二十二億円でございます。それから、義務的経費の精算に使用しました額が二十二億円、その他に使用しました額が八十三億円、合計いたしまして五百二十七億円予備費を使用いたしております。それ以外に、補正予算におきまして、百七十億円の減額をいたしまして、補正財源に充当いたしております。
  205. 川村清一

    川村清一君 四百二十二億円に、さらに追加災害は幾らだって。
  206. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 四百二十二億円は予備費から支出しました分がそうでございまして、補正でそれ以外に百四十七億円の補正をいたしておりまして、当初予算に対して災害対策費として追加いたしました額の合計は五百六十九億円でございます。
  207. 川村清一

    川村清一君 そのうち義務的経費の精算分二十二億、その他の八十三億、それのおもだったものでいいですから、どういうものですか。
  208. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 申し上げます。  四十二年度の予備費使用額のおもだった項目でございますが、参議院の補欠選挙四億一千五百万円、退官退職手当の不足八億四千二百万円、それからインドネシア経済協力の支出三十六億円等が予備費で出ております。それから、精算不足はこれは義務的経費の不足でございまして、主としては国保、生活保護、義務教育、そういった負担金の不足であろうと推測されます。
  209. 川村清一

    川村清一君 大蔵政務次官、私どもの立場をいまさら言わなくても御了解いただけると思いますが、御承知のように、人事院勧告というものは政府にだけ勧告しておるんじゃなくて、国会にも勧告しておるわけです。で、われわれ国会議員としてぜひ人事院勧告を完全に実施せしめなければならない、こういうことでいろいろと審議しておる。その基本線はひとつ御理解いただきたい。  そこで、小林議員から、けさほど人事院総裁に対して、人事院はこういう勧告をした、ところが政府は八月一白にさかのぼって実施するということを八月三十日の閣議決定した、いわゆる完全実施しない、できなかった理由について政府から何かの話があったかと、理由は何だったか、こういうふうにお尋ねしたところが、人事院総裁のお答えは、要すればお金がないことだと、こういうことです。だから、お金がないということを大蔵当局はるるけさほど来説明をされておるわけです。ところが、われわれは、ないというけれども何とか出てこないか、あと二百億あれば完全に実施できるんだ、五十億あれば一カ月繰り上げることができるんだ、百億あれば六月までいけるんだというようなことで、完全二百億出ないまでも、百五十億出ないか、百億出ないかということでいろいろ質問しておるんだということを含んで、ひとつ御答弁いただきたいのですよ。そこで誠意を持って御答弁いただきたい、ごまかすのでなくて。いま首をかしげていらっしゃいますが。  そこで、いままた次長にお尋ねしますが、昨年の七百億の予備費の実績をいまお尋ねしたのですよ。そうしたら——災害のほうはいいですよ。その他のほうは、義務的経費の精算で二十二億、その他で八十三億、大体百億しか使っておらないんですよ。ところが、きょうはあなたはことしは二百五十億使うんだというんですよ。ことしは二百五十億必要だというんですよ。そこで、昨年の実績は何だと、その内訳は何だといまお尋ねしたところが、御答弁によると、大きなものは参議院の補欠だと。これは予見しがたきものだからいいですね。退官退職も、これは予見しがたいとは言えないのですが、まあまあいいでしょう。次にインドネシア三十六億ですか、これもいいでしょう。ところが、鈴木議員に対する御説明によると、二百五十億の内訳おもなものをあげよと、こう言ったところが、何とお答えになられました。いいですか。第一は消費者米価の引き上げに伴う生活保護基準の引き上げである。これは昨年ありませんでしたか。消費者米価上がったんですよ、昨年も。消費者米価上がるということは初めからわかっておるじゃないですか。生産者米価が上がったら消費者米価が上がるのは、総合予算のたてまえからいえば初めからわかっておる。これは政府の政策じゃないですか。生産者米価が上がると、そのままスライドして消費者米価にかぶせていく。だから、総合予算主義、そういうたてまえをとったのでしょう。これは予見すべからざるものじゃないでしょう。これは最初からわかっておるじゃないですか。わかっておったら、なぜ一般予算の中に計上しないのですか。小笠原島の復帰、これは昨年十二月、佐藤・ジョンソン会談をやって小笠原島が返ってくることはわかっておったじゃないですか。そうして第五十八国会には小笠原島復帰に伴う暫定措置法案がちゃんと国会に出て、そうしてちゃんと国会で成立せしめて政府の政策がなされようとしておるじゃないですか。これもわかっておったじゃないですか。これもなぜ一般予算の中に計上しておかないのですか。次に原爆被爆者に対する医療手当だって、これだってわかっているじゃないですか。これは厚生大臣相当力を入れておったのだから、そういうことだったら、その費用がかかることはわかっていたじゃありませんか。そうして昨年はせいぜい百億で済んだものが、ことし二百五十億というのはどういうことなんです。そのことは、いかにして金がない、ないということを正当化しよう、そうしてわれわれ国会議員をそれでごまかそう、と言っちゃちょっと語弊があるかもしれないけれども、何かすべてそれで承知させる、そういうような意図をもってやっていますよ、それは完全に。そうでしょう、二百五十億は。
  210. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 御質問がありましたから、御質問だけをお答えしましたところ、非常に誤解があるようでございますが、去年はその他の事項として補正を組んでおりますので、予備費使用だけを述べろと言われるから予備費使用だけを申し上げたのですが、初めからお断わりいたしておりますように、去年は予備費と補正をもって追加財政需要に対処いたしましたと初めに申し上げまして、したがいまして、予備費その他で八十三億出しました。それ以外に補正予算で百七十億円追加いたしております。したがって、去年の「その他」の追加財政需要は、これを二つ足しますと、二十億の実は義務費分はネグったわけです。というのは、義務費分までことし考えていたのではとても公務員給与ができませんので、それで義務費分はもうネグりまして、その八十三億円の予備費追加をいたしました分と百七十一億円ばかりの補正で追加しましたもの、それを加えまして去年の災害と公務員給与を除きました追加財政需要は二百五十四億円でございましたと、こういうふうに初めに申し上げたはずでございます。ただ、御質問予備費をどう使ったかという御質問でございましたから、八十三億円と申し上げたのでございまして、決してここでその数字をごまかして何をしようということはございません。考え方の違いはございましても、数字をごまかそうという意図はございませんので、その点御了解いただきたいと思います。
  211. 川村清一

    川村清一君 どうぞ興奮しないでひとつお答えいただきたいのですが、それで、私も最初から申し上げておりますように、昨年補正を組んで処置したような問題は、これはこの予備費に組むべきじゃない。もし予備費に組むのであるとするならば、補正して総体予算を組んだそれだけの額は予備費に組むべきであると、こういう見解なんです。したがって、その二百五十億はそれでわかったといたしまして、であるとするならば、公務員給与についてなぜもっと、五百億のうち百億ふえたのですから、六百億にしましたけれども、昨年の実績、五百四十八億出ておるわけでしょう。昨年よりことしはまた勧告引き上げられた勧告が出て、八%になるか何%になるかわからないけれども、少なくとも五%は上がることはわかるでしょう。それはあなたの盛んに言っている経済見通し経済成長見通し経済成長見通しというから、そうすると、物価上昇も経企庁は四・八%、こういうようなことを言っているのですから、そういうようなことからいったって最低五%上がるということはわかるでしょう。そうすると、昨年五百四十八億使ったとするならば、当然それにまあ最初から五%以上のものをかぶせてとっておかなければいけないでしょう。ところが、まず七百億に五百億しかふやしていない。千二百億。この五百億は今度は給与だけれども、百億こっちのほうからあげてきたということになりますけれどもね。ですから、ぼくの言うのは、あなたのいう経済見通しからいっても実績からいっても、予備費にとるならば、もっと予備費に多くとるべきであるし、またそういうものを予備費にとるのは間違いじゃないかということを申し上げておる。これはどうですか。
  212. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) まず予備費にとるのが間違いじゃないかという問題は、実は予算編成の時期におきまして、党をも含めまして議論がされまして、どういう形で総合予算主義のもとで処理をするのが一番妥当かということにつきまして、経済見通しに合わせまして初めから政府責任給与法を改正をして、その額を予算給与費として組むとともに、法律の改正を国会の審議をお願いするという案が党側から提示されたことは事実でございます。ただ、そういう形で処理をすることは、はたしてそれだけの調査資料なりが内閣、政府にあるかというふうな問題もございまして、初めから給与費に組み込み、給与表を直すということは妥当ではなかろうという結論に達しまして、そうしますと、次にはそういう方法をとらないといたしますと、やはり予備費で妥当な額を考えてみるということだと思います。妥当な額が結果的には十分な額でなかったわけでございますが、それは経済見通しに基づきまして各般の施策ともその経済見通しのもとに施策がとられたわけでございまして、ここで一例をあげますと、たとえば生活保護基準は四十二年度は一三・五%たぶん引き上げられたと思いますが、三十三年度はそれが一三%に落ちていたかと存じます。そういうふうに経済見通しのもとにおきまして、それぞれの施策斉合性をはかって公務員給与改定をも考えまして、予備費充実をはかった、その結果一応数字の上では五百億円が予備費の増額となっておるわけでございますが、別に五百億円というものを、必ずそれ以下でも、あるいはそれ以上でもあってはならないということではないのでございまして、予備費の性格上、そういう不測のといいますか、予見しがたい経費の増加を全体としてカバーするためのものでございますので、それは全体として考えていただいていい問題だろうと思っておる次第でございます。
  213. 川村清一

    川村清一君 総合予算主義のたてまえから補正予算を組まないといういわゆる原則をずっと貫かれておるようでございますが、この考え方は、昭和四十三年度の会計年度内においては一切補正を組まないというお考えなのでございますか。いまそれこそ予見しがたい大災害でも起きない限りは、この本年度の会計年度内においては一切補正予算は組まないという、こういうお考えですか。
  214. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 予算編成方針に基づきまして予算が組まれておりますので、私たちといたしましては、施策斉合性をはかるために総合予算主義をとって、恒例的な予算補正の慣行を排除するんだということが予算編成方針の前文に書かれ、また各論におきまして、そういった恒例的な補正要因となっております公務員給与改定に備えて予備費充実をはかるということになっておりますので、その編成方針に基づきまして現在まで予算の運用を行なってきておりますし、その方針が貫かれるものと考えております。
  215. 川村清一

    川村清一君 九月決算が済んだわけですが、この時点において上期における税収入の伸びはどのくらいに見込まれておるか。それからさらに、下期の見通しはどのくらいに見込まれておるか。先ほども何か御答弁があったようですが、若干なんというようなことでなくて、もう少し具体的な数字で説明してくれませんか。
  216. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 現在までのところ九月決算が終わったと申しますが、九月決算のほんとうの状況が明らかになるのは十一月末ごろになりませんと明らかにならないのは、毎年人事院勧告処理につきまして申し上げていることだと存じます。現在までの八月までの実績で申しますと、去年の決算、要するに、補正で追加いたしました税収に対しましてその八月までに収納された税金の割合、それに対しましてことしの八月までに収納された税金の予算額に対する割合というものが多少上回っているようでございます。したがいまして、このままで去年と同じように各期別推移していくといたしますと、増収がある程度期待できるということは言えると思うのですが、何ぶん八月までだとまだ半分も入っていない時期でございますので、一体どの程度増収額があるかというようなことはなかなかむずかしい問題だと思います。それから、去年の補正後の予算対税収の決算はとんとんでございまして、去年もっと税収があるんじゃないかとおっしゃいましたが、実は決算的にはとんとんでございまして、たぶん十六億七千万の欠減を見ているわけでございます。
  217. 川村清一

    川村清一君 なかなかその点ははっきり説明をしないのが普通ですから、しないと思うんですが、しかし、いままでの経験、それから経済新聞あるいは銀行あたりのいろんな調査部から出ているものなんかを見ますというと、少なくとも一千億、多いのは二千億ぐらいの自然増はあるというふうに言っておりますし、私どももそれを常識的に考えておるわけでありますが、その金額はまず問題にいたしませんが、その歳入の伸びの補正はいつされますか、歳入が伸びるでしょう。歳入のいわゆる補正予算はいつ組まれますか、伸びた分の歳入は。
  218. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 歳入は見積もりでございますので、先ほど申し上げましたように、税収が予定よりも伸びました場合には、一〇%をこえております六千五百億円という国債の発行をそれだけ減額するということに相なろうと存じます。
  219. 川村清一

    川村清一君 いや、その歳入が伸びる、それを歳入とする予算、あなたはそれを一〇%をこえる国債の減額に向けるだろうということを言われていますが、それは一体だれがきめるんですか。大蔵のあなたがきめるんですか。政策じゃないですか、そういうことは。だから、そういうことを、歳入歳出の予算の補正をいつやるかということです。
  220. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 税収がふえまして、国債をそれだけ減らす。歳出予算増加するのではない場合には補正予算を必要といたしません。歳入は見積もりでございますので、税収がふえて、国債をもってしなければならないと思っていた分をカバーいたしまして、その結果国債を減らすということは内閣の権限においてやれることでございまして、予算補正はその場合にはいたす必要はないわけでございます。
  221. 川村清一

    川村清一君 そうしますと、ことしはそれはそういうたてまえでもって、いまのところ補正予算は年度内には絶対組まないという——まあ絶対といってもたいへんな事態が起これば別でありますけれども、いまの状態では組まない。それから、その国債の減額に向けるのは四十三年度の予算執行の中においてやるのですか。それは四十四年度に繰り越して四十四年度予算でやるのですか。
  222. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 四十四年度は四十四年度予算として歳入を含めまして国会の議決を要するわけでございまして、これはもちろん四十三年度の税収の増加分は、四十三年度発行予定をいたしております公債をその分だけ減額するということでございまして、四十四年度は四十四年度としてどういう予定を立てるかということをきめまして国会の議決を仰ぐことに相なっております。
  223. 川村清一

    川村清一君 そうしますと、こういうふうに了解していいのですか。ことしは金額ははっきりしないけれども、税の自然増収はある。そしてその分の使途については、これは一〇%超過しておる六千五百億に及ぶ国債の償還に充てる。この充てるということは、すでに閣議決定でございますか。
  224. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) まだ税の自然増収が幾らあるということも確定いたしておりませんので、したがいまして、その分を国債の減額に充てるということももちろんきめておるわけではございません。ただ、財政運営の基本的な考え方から見まして、事務的にはそういうふうに考えられると思いますということを申し上げたわけでございます。
  225. 川村清一

    川村清一君 そうしますと、国債の減額に充当するということも、それは財政当局の事務当局としてはそういうような考え方であるけれども、これは政策に関する問題であるので、いずれにいたしましてもこれは閣議において決定される問題である、こう了解してかまいませんね。  それからもう一点、金額は明らかでないけれども、税の自然増収はこれは確かにある。まあ若干ということばが当てはまるか、ある程度ということばが当てはまるか、とにかくある。これははっきりしていますね。
  226. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) まず、もし税の自然増収の見込みが立ちまして、それを国債の減額に充てるという私たちの考え方がとられるといたしますと、それは大蔵大臣限りでできることでございまして、閣議にはたぶんその旨を報告するということになるだろうと思いますが、権限といたしましては大蔵大臣限りでできることでございます。  それから、税の自然増収が必ずあるということをここで申し上げられるかということでございますが、これは私、税金のほうを担当いたしておりませんが、八月までの実績によりますと、その収納の割合は前年度の収納割合よりも多少上回っておりますので、もし去年と同じような税収の期別配分といいますか、期別に入ってくるとすればある程度の増収が期待できるのではないかというふうに推測できる程度でございまして、必ずあるということを私の口からはちょっと申し上げかねると思います。
  227. 川村清一

    川村清一君 ただいまの御答弁は予算額に対しての収納率でございますね。私は収納率も確かにそれは一つの大事な要素でありますけれども、いわゆる法人税、法人事業税の問題ですが、いまの非常な景気の回復によって、その点からいって課税率が、課税金額が高まるということは、これは事実でございましょう。そうすると、収納率が同じでも、収納される金額は多くなりませんか。この点は予算額をオーバーするということになりませんか。
  228. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) ちょっと私にはよくわからぬのですが、弾性値の問題をおっしゃられているのだろうと思いますが、実はここにございますのは、ことしの予算の税金が幾らあって、それに八月までに幾ら収納されている、その割合は幾ら幾らだ、去年は決算額だ、決算に対しまして去年の八月までに幾ら収納されているか。もちろんことしのもう予算額というのは去年の予算額よりもずっと大きいわけですから、金額対比ではいきませんので、去年の決算額に対しまして、去年の八月までに収納された税金の割合とことしの予算額に対してことしの八月までに収納された金額の割合を比べますと、ことしのほうが多少その割合が高くなっておりますから、同じように今後も、そういうふうに各期別の配分が去年の税収の配分と同じように推移すれば、多少の増収は期待できると考えるのが常識的ではないかということを申し上げたわけです。
  229. 川村清一

    川村清一君 そこで、大蔵大臣一つの権限でございますが、その自然増収分を結局国債減額に充てるということは大蔵大臣の権限であると、閣議報告する程度でいいのだという御答弁でありますので、そこまでよく勉強していないので、一応それはそういうことで了解いたします。  次にお尋ねしておきたいことは、大蔵大臣がもしその自然増収分を別なほうに、こういう面に使うということであれば、これは年度内における補正予算を組んでやることは、これはできるわけでしょう。
  230. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 予算を補正するということになりますと、これは大蔵大臣の権限ではございませんで、内閣において決定をいたしまして、内閣から国会に提出するということで、大蔵大臣はその原案を閣議に出しまして、閣議におきまして決定をいたしまして国会の審議をいたすということであります。
  231. 川村清一

    川村清一君 もちろん.私が申し上げておるのは、大蔵大臣が総理大臣でもありませんし、そういう権限は全部オールマイティーにあるのではなくて、そういう腹であれば大蔵大臣はそういう原案をつくって閣議に提出して、そうして内閣の意見がきまればそれを国会へはかりまして、国会で審議する、こういう段取りであるということを私は申し上げておるのです。  そこで、人事院総裁に私はお伺いしたいのですが、人事院総裁公務員給与改定の問題について政府並びに国会に対して勧告を出しております。これは内閣総理大臣、それから衆参両院議長というものは同じウエートにおいて当然出していると思うわけです。そこで、内閣のほうはそれを受けて八月三十日にもうすでに閣議決定しておりますが、国会のほう、この勧告を受けました衆参両院議長から人事院総裁のほうに対して何かお話ございましたか、御返事なりあるいは御相談なり何なりありましたか。
  232. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 参議院の場合はたまたま副議長がおられまして、これもしばらくいろいろお話をしまして、ぜひとも完全に実現するように強力なる御支援をお願いするということを申し上げました。そのほかいろいろお話を申し上げましたけれども、何ぶん勧告書をお届けしての話でありますから、それについての御感想というようなものはその際には出ておりません。
  233. 川村清一

    川村清一君 行政府においてはそのように決定いたしましたが、人事院総裁といたしましては、立法府の国会に対して何を期待されておるか。何を期待されておるかというのはちょっとおかしいですが、どういうことを期待されておるか。と申しますのは、政府給与法の改定なりそういったような法案を国会に提案したときに、その法案審議の過程の中において、人事院勧告が完全に実施されるようにこの法案の修正を期待されておるのか、あるいはそういうことになれば、今度予算措置が必要になってきますが、そういう予算措置政府になさしめて、出てきた予算はぜひこの国会において成立さしてもらいたいのか、といったような、勧告を出したと、出しっぱなしでなくて、出した以上はぜひやってもらいたい。ぜひやってもらいたいということは、行政府と立法府は違うのですから、権限が違う、構造の内容も違うわけですから、具体的に国会に対してどういうことをしてくれということをあなたは期待しておるか、それをお聞きしたい。
  234. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 私が期待しておると申し上げますよりも、国家公務員法はいかなることを期待するかというほうが正しい答えになると思います。たまたま私、国家公務員法の立案にも携わっておりますし、法の趣旨はこうだろうと思っておりますところを申し上げればお答えになると思います。  この国会に直接政府機関が勧告を申し上げるという制度はいま日本のあらゆる法制を通じてないわけです。これはすなわち国家公務員法としては人事院勧告というものを非常に重く見ておるということが当然その裏づけになっておるわけであります。そこで、国会がこれをお受け取りになった場合に、これに対してどういう処置をおやりになるか、これは法律的に申し上げれば、いまお話にありましたように、政府原案が出てくる、これを御審議になる、そして適当な修正をされる。もちろんこれは当然の国会の権限でございましょうし、あるいはまた唯一の立法機関として給与法の立法権を国会はお持ちになっておるわけでありますから、議員立法の発動として直ちにこれをお取り上げになって給与法を御制定に相なることも考えられる。まあ法理論としてはさようなことを公務員法は期待しつつ国会に対する勧告制度を設けたのじゃないか、私はそう思います。
  235. 川村清一

    川村清一君 きょうは官房長官も総務長官もいないので、ちょっと大事なところをお聞きをして責任ある御答弁いただけないのですが、総理府の長官の代理の方にお尋ねしたいのですが、総務長官給与閣僚会議の主宰者ということでぜひお尋ねしておきたいのですが、閣議決定する前に内閣は当然国会の衆参両院の議長の意向ぐらいは尋ねるべきじゃないか。と申すのは、昨年はたしか十月の二十三日か四日、ちょっと日にちの正確なところは忘れましたが、閣議決定したのですが、その前にたしか十月の二十日から二十三日ぐらいまでの間で衆参両院の内閣委員会においてそれぞれ人事院勧告完全実施すべき旨の決議をしておるのですね。やはりそれは政府が国会の決議をいれるいれないは——去年はいれなかったわけですが、これは財政上の問題でいれなかったわけでありますけれども、しかしながら、やはり国会の意思というものが閣議決定に反映しておるわけですね。ことしの場合はどうですか。ありましたか。あなた、衆参両院の議長の意向など聞きましたか。
  236. 弘津恭輔

    説明員弘津恭輔君) 私の記憶によりますと、総務長官官房長官が衆参両院議長にこういうふうにしたいということを連絡されたと私は思っております。たしかされたと思います、記憶に間違いなければ。
  237. 川村清一

    川村清一君 大事なことですから確認しておきたいのですが、こうしたいということを内閣のほうから、政府から両院の議長に話があって、そうして両院議長はそれを承知したのですか、して閣議決定されたのですか。
  238. 弘津恭輔

    説明員弘津恭輔君) 承知したという意味でなしに、連絡された。もちろんこれを了承してくれとか、そういうのでなしに、こういうふうにしたいからという事前の連絡というふうに御了承を願います。
  239. 川村清一

    川村清一君 最後でございます。大蔵政務次官にお尋ねします。けさほど来みんなで財政問題をお尋ねしているわけであります。それで、特にことしは総合予算主義のたてまえをとって補正予算を組まない、予備費千二百億の中で操作する、こういうことでございますので、そこで千二百億の予備費の使途についていろいろな角度からお尋ねしているわけです。すでに六百億というものは給与費に向けられることは確実になったわけですね。ところが、千二百億ですから、あと六百億を、財政当局の説明によるというと、七百億災害復旧対策費——その他二百五十億入れて七百億円、千三百億必要なんだけれどもこのうち百億を何とかまあこれから削って、そうして千二億にして六百億必要だ、こういうことなんです。そこで、その他二百五十億をそっちに向けますと、あと災害のほうは三百五十億しかないわけです、六百億ですから。そうすると、そのいろいろ説明を聞いたのです。だけれども、個々のこの災害で幾ら、ここの災害で幾ら、この災害で幾らと、「その他」のこの基準の引き上げ幾ら、何で幾ら何で幾らという数字が出てこない。まとめてとにかく七百億。そして百億ここから削って六百億にして、公務員のほうを六百億にして、千二百億につじつまを合わせた。これではわれわれはとても納得いかないのです。ですから、ぜひもっとこまかに、具体的に……。いただきましたが、これじゃ処置ない。わからない。これじゃ数字がないわけです。そこで、もっとわれわれは、二百億ないならば、百五十億ないか百億ないかと、バナナのたたき売りではないけれども、幾らかでもないかと思って、ぎりぎりそういう前向きでもって審議しているわけです。ですから、ぜひひとつわれわれが納得いくような資料を出してもらいたい。これで百何十億、これで三百何十億、これで四百六十億なんというつかみ金でなく、もっと具体的に数字がきちっと出たものを出していただきたい。これはお願いしたいのですが、出せませんか。
  240. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 先ほど申し上げましたように、実績として、たとえばいまここに再度の御質問でございますが、公共土木災害の七、八月の被害報告は千三十億になっておりますという、こういう先ほど出せというもの、至急取り寄せましてそれは出せるわけでございます。そういう実績別で出しているのは実績で、どの災害にどれだけの被害が出ておるということは出せるわけでございます。それから、それ以外はどういうふうに見ているかと申しますと、九月から十二月までは、過去三年平均の災害があったら幾ら要るかという見方をいたしておるわけでございまして、これは今後の見込みの問題でございますので、先ほど公共土木災害の被害のほうは過去三年平均で六百五十四億円ということに相なるというふうに御説明申し上げたわけでございます。それから、その他の二百五十億円と申しますのは、これは予備費の使用見込みを個別にいろんな事項を各省に当たりまして集計いたしましたが、これそのものは実は別にいまのところきめたものではございませんので、幾ら幾らとここに個別に出すことはいろんな意味で問題がございますので、その点はごかんべんをいただきたい。ただ、その二百五十億なら二百五十億円というものは、今後個別の査定を通じまして、できる限り削減いたしてまいりたいということでございまして、しかも、その事項が必ず起こるかと言われますと、これは必ず起こるとも申しかねる分もございます。逆にそこに入っていないものが必ず出ないかと言われますと、あと半年のことでございますので、何が出てこないともわかりません。ただ現状において一番自分たちが考えられるものを一応あげると、こういうことになるというものを集計したもので申し上げたわけでございます。  その数字が千三百十億円というふうに、百億円程度オーバーいたしておりますので、私たちといたしましては、今後の災害がまず少ないことを心より願うとともに、その他二百五十億と申し上げましたのは、できるだけ削減をしてまいりたいということでございます。それで、去年その二百五十億円にどの程度の金が要ったかと申しますと、二百五十四億円の金を要している。おととしは二百八十九億円の金を要している。したがいまして、そう申し上げている金が、私たちの見込みは努力が足りないかもしれませんが、過去の実績から見まして二百五十億円というのはそう無理のない数字ではなかろうかというふうに御推察いただきたいと存じます。
  241. 川村清一

    川村清一君 まあ私たちもどうしても了解できないのは、出発点から了解できないわけですね、災害費とかその他の二百五十億等につきましては。次長の御答弁はいわゆる過去の実績というものが三カ年の実績の平均額というものを基礎にして組み立てられておるのです。だとすれば、同じ考え方でなぜ公務員給与についていわゆる過去の実績というか、いままでのいわゆる経過というものについてもっと的確な積み上げをやって、そして予算を組まなかったということを、そう言われれば突かざるを得ないわけです。  そこで、人事院勧告の過去の五カ年の実績というものは先ほど申し上げたようなぐあいでいっているわけですから、それから金額にして昨年は五百四十八億の金を使っているわけです。そうすると、そういう実績を前提にして当然ことしも補正予算を組むべきであり、まず一歩譲って予備費に組むのなら、これはやむを得ないとしたならば、当然予備費の中にそれを入れて組むべきであろう。ところが、その点になりますというと、経済成長見通しの上から立って、他の諸施策との斉合性の上に立ってこれはやったんだと。ここのところだけは経済見通しでやって、他の諸施策との斉合ということを強調されている。こちらのほうはこれは過去の実績、過去の実績の平均だ。平均を基礎にして予算を組まれたならば、どうしてこの点その平均というものを基礎にして予算を組まれなかったかということを私どもは指摘したいわけです。  ですから、これはあなたのお話を聞くというと、もう一文も出てきそうもないわけでありますが、しかし、われわれはとても納得いかないので、まだわれわれ自身もこれは検討してみますが、われわれもこれは大蔵省だけの意見を聞くのではなくて、今度は総理府の統計であるとか、あるいは建設省だとか、農林省だとか、そういうものについて、一体災害の報告がどれぐらいあるかということをもっとほかの役所からも調べてきたいと思っておりますが、いまその資料がありませんので、あなたのおっしゃったことにいわゆる反駁する資料がございませんので、これは一応そういうことがあるかということにいたしましょう。  そこで、最後に、総理府長官おりませんが、代理の方にお尋ねしますが、何か聞くところによりますというと、公務員の組合では閣議決定されてから非常に憤慨された。これは当然だと思うのですよ。いわゆる労働基本権であるところのストライキ権も団交権も取っておいて、その代償として人事院勧告、それで勧告完全実施するというたてまえで現制度をやってきて、過去において八回も一度も実施しない。ことしは九回目。九回目も実施しないということになると、当然これは憤慨して抗議の行動を起こすと思うのです。そこで、公務員の組合がストライキ宣言をやった。ところが、それ以後担当の大臣は一切この公務員の組合とは話をされておらないということを聞いたのですが、ほんとうですか、それは。
  242. 弘津恭輔

    説明員弘津恭輔君) 一つも話をしないというのはちょっと不正確なように思います。というのは、総評あるいは全労の最高幹部に長官は会っておられます。いろいろ公務員共闘あたりの代表とも会って、局長その他会っております。
  243. 川村清一

    川村清一君 話し合いをされているという御答弁であれば、私が聞いておったのは間違いで、ほんとうに、労働組合がスト宣言をやったら、事務当局の人は会うけれども、最高の責任者の大臣は絶対会わない、こういうように聞いたわけですから、これはとんでもない話だということで、いまちょっとお尋ねしたのですが、そこでわかりました。  重ねて、これは最後のお尋ねですがね、私が言うまでもなく、国鉄当局等は先月の十九日でしたか、いわゆる五万人の合理化反対といったようなことでストライキ宣言をやってやりましたが、動力車あたりは午前七時かに話し合いがついてストライキを打ち切りましたがね、結局最後まで労使双方は何とか話し合いでもってこれをストライキに入らないように解決しようとして努力している。これはまあ汽車とめられたらたいへんだから努力しているのか知りませんけれども、ところが、一体公務員給与の問題はどうなんですか。閣議決定は、これは金がないからもうできないのだ、おまえらストライキやりたかったらかってにやれ、やったらそのかわりばっさり処罰してやるぞ、こういう考えで、これを話し合って何とかしてこういうことをさせないように両方が努力して煮詰めていくという、そういった一体基本的なそういう姿勢がないのではないかと思うのですが、どうですか。それは考えないのですか。
  244. 弘津恭輔

    説明員弘津恭輔君) 私のほうはできるだけストライキは避けるという、これは国民の願いでもございますし、当然政府としてもストライキはやってもらっちゃ困るということで、非常に回避の努力はしております。しかし、けさほどから申し上げましたように、どういうふうな問題で色をつけるといいますか、閣議決定のワク内で考えられるかという問題、いろいろ検討して、まだここで回答する段階にはなっていない。それから、いまの労使——労使といいますか、労働者関係の人とあまり会わないのかという御質問でございますが、これは私はここではっきり申し上げられない非公式な接触というものは、私自身も数回やっております。私たち決して会わないのではなしに、むしろお互いに会って話し合うということはいろんなところでやっておりますけれども、これは表面的に言うべき事柄ではないと思って、あえて新聞にも発表しておらないわけであります。
  245. 川村清一

    川村清一君 それでは、これはほんとうの最後ですがね、いまのお話では、これからでもなお最後まで話し合って、そうして何とか解決するために努力をすると、こういうお考えで、したがって、閣議決定はされておるけれども、なお七人委員会ですか閣僚会議などもまだやる考えもあるし、最後最後までひとつそういう最悪の事態を迎えないように努力すると、こういうお考えであると、こういうふうに了解してよろしゅうございますね。
  246. 弘津恭輔

    説明員弘津恭輔君) はっきりそういうふうに御了承願いたいと思います。
  247. 川村清一

    川村清一君 それじゃ終わります。
  248. 鈴木力

    鈴木力君 資料要求について一言。いま農林省からさっき私災害の資料をもらいましたけれども、これは予備費のほうから査定済みで幾ら出したのかということを災害ごとにほしい、こういうことをお願いしたのですけれども、これは実績報告ですか、その資料をちょうだいしたので、これはむしろ総理府のほうに、総理府が災害対策本部ですから、災害対策本部で、最近のやつはわからないかもわかりませんが、わかるだけのものを本年度の災害ごとの予備費から出すことに査定をした金額をあとでお出しいただきたい。
  249. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) いまの資料、よろしいですね。  四時四十分まで休憩いたします。    午後四時二十二分休憩      —————・—————    午後四時四十七分開会
  250. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) ただいまから文教委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を続行いたします。安永君。
  251. 安永英雄

    ○安永英雄君 私も公務員給与関係について質問を申し上げます。  ことしの自然増収の問題について大蔵省のほうにお尋ねをいたしますが、先ほどのお話で、八月現在の税収の伸びの昨年との比較、これについては計数をあげて説明がなかったんですけれども、この点だけはひとつお願いしたいと思うんです。所得税の特に源泉の問題ですね、源泉で昨年との比較でどうなっているか。それから法人税、酒税、それから物品税、印紙税、各項目ごとに昨年度の八月当時と比較しての伸びの状態を計数で示していただきたいと思います。
  252. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 八月までの収納割合を数字で申し上げるようにということでございましたので申し上げますと、所得税の合計におきましては、去年の収納割合に対しまして四・九%上回っておるようでございます。それを源泉分と申告分に分けて申し上げますと、源泉分が五・八%、申告分が二・九%上回っておるようでございます。法人税が一・八%上回っておるようでございます。全体では、一般会計の全体におきましては、二・一%前年度の収納割合を上回った実績が出ております。
  253. 安永英雄

    ○安永英雄君 大体いまの計数を基礎にして——これは一応政策決定の前提とする計数にはならぬかもしれぬけれども、一応いまから下期までのそういった計数を見通しての見通しですね、そんなものを概数を出していただきたい。
  254. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) それは八月までの収納の絶対額で申しますと、予算に対しまして四〇・九%収納されているわけでございます。したがいまして、実は今後のウエートのほうがもちろん大きいわけでございまして、これは九月の法人の決算の状況、それから十二月のボーナスの状況というふうなものによって非常に大きく異動いたしますので、いまの段階でどの程度予算を上回るかという試算は主税局自体がまだつけていないのでございまして、実は内部のことを申し上げて恐縮でございますが、私のほう、主計局の側からしますと、早く見込みをつけていただきたいということをるる申し上げているわけでございますが、現段階におきましては、まだどの程度ことしの予算額に対してことしの税収が上回るかという見込みは、主管の主計局自体がつけていないということが事実のようでございます。
  255. 安永英雄

    ○安永英雄君 これは政府のほうの現在の基本政策として、人事院勧告完全実施と、こういう政策を持っておられて、何回聞きましても、完全実施ということはこれは当然なことで好ましいことだという政策は述べられますけれども、先ほどのように、予備費の中では全く出ない、それから税収の伸びについても皆目見当がつかない、こういう御答弁ですけれども、先ほどから税収の伸びについては、これはある程度若干の伸びはある、こういうことで、早々とその使い方も国債の減額、こういった事務局態度を出されているようでありますけれども、この点について、さらに今度は予算の上で昨年の人件費の不用額は幾らあったか、ちょっとお聞きしたい。
  256. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 最終的な不用額はいまちょっと手元にないんでございますが、予算に際しまして精査いたしまして、その額を補正の際に給与改定費に充当いたしました金額は三十億円でございます。
  257. 安永英雄

    ○安永英雄君 人件費の不用額が、一応予算の中で、人件費の中で三十億、これが去年の一応不用額として出ている、こういうことですから、私が聞いたのは、いわゆる予備費、こういった中で検討するとなかなかむつかしい。税収の伸びと、こう言っても全くいまのところ皆目見当がつかない。しかし、それは急務の問題です、ことしの人勧実施という。そして、しかもこれは政府の基本政策。そうすると、いまみたような人件費ということしの予算の中で、予備費ということに限らない予算の中で、あるいは三十億とか、ことしはおそらく三十億をこすでしょう、不用額は。そういった金額をいろいろ全予算にわたって検討して、そして五月実施ができなければ五月実施に近づける、こういった努力が大蔵省のほうとしてはなされないお考えですか。
  258. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 給与改定所要額六百億といたしますと、先ほど申し上げましたように、予備費に対する需要から考えますと、なかなか全体として処理が困難でございますので、もちろん人件費に不用額があればそれを充当させていただきたいと思うのでございますが、現在それも調査しておりますが、何ぶん年度の半ばでございまして、必要な額を組んでおりますので、今後の欠員の出方とか、そういうことをあまり強く見ることもいかがかと存じますので、まあ前年程度の不用額が出ればということを期待しておりますので、もちろんそれらも精査いたしまして、できるだけ給与改定財源として充当したいというつもりで鋭意精査をいたしております。
  259. 安永英雄

    ○安永英雄君 文部大臣も見えましたので、最後大蔵省のほうに要望しておきたいと思うのです。それは、先ほども触れられましたけれども、この大蔵省のほうで税収の伸びが出て、そしてその金額を国債の減額に充てると。いまさっき聞きますと、これは事務当局の考え方だと、こう言われますけれども、これは非常に国民に対して混乱を招く原因になります。先ほど聞きますと、これは閣議決定ということだ。それに同調するとするならば、こういうことが必要であるというのに、新聞その他で報道機関が、今度は余剰はずいぶん出るだろう、あるところでは一千億出るだろう、あるいは二千億、三千億という推定をやっていますが、それを国債減額に充てるということを大蔵の事務当局は発表しているようです。これは私は今後考えてもらいたいと思う。特にいま公務員が賃金を上げてくれと、人勧の完全実施ということを言っているときに、こういったことしの税は伸びるだろう、伸びても君たちにやるんではないのだ、国債減額にするんだ、こういった立場は軽々に言ってもらっちゃ困ると思う。また、これは言い分があるなら、こういった事務当局がどういう手続で、それからどういう形でそういった考え方を述べたのか開きたいと思うけれども、時間がありませんから、これは要望として、そういった問題については注意をしてほしい。  それから、先ほども人事院総裁からお話があっておりましたが、公共企業体が賃金を決定する場合に、公労委の仲裁裁定、この実施ぶりというのは、過去十年くらいになると思いますけれども、ほとんど完全実施をして、しかも四月実施をほとんどやっている。ことにことしあたりの国鉄ですね、国鉄あたり赤字が出る赤字が出ると、こう言いながらも、やはりこれは完全に実施をしておる。これは実施するのは当然のことです。当然のことですけれども、特にこの公務員に対する人事院勧告、これはもう労働基本権を剥奪をして、その代償としてできておる人事院のこの権威において勧告をしたんですから、これは公労協あるいは仲裁裁定以上に政府は厳重に守ってもらわなければならぬ。また、これは義務もあるし責任もあると思う。  そこで、ひとつ、文部大臣いらっしゃいますから、お聞きしたいと思うのです。大臣が記憶される、閣議決定を一回やって、そしてそれを変更したという例があったら、お話を願いたいと思う。
  260. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 私は、まあ閣議決定が変更せられた例というのは的確に記憶をいたしておりませんけれども、絶無ではないと思います。ただ、それはある時期において閣議決定をした。しかし、その後の事情の変化によってその閣議決定を変える、あるいはやめると、こういう場合はあったと思いますけれども、原則として、閣議決定というものが簡単に変更せられたということはないと思います。
  261. 安永英雄

    ○安永英雄君 それでは、重ねてお聞きしますけれども、私は、一応米価の問題とか、あるいは国債発行の問題とか、こういった問題で変更されたことがあると記憶しておるのですが、たとえば米価の問題等で閣議決定を、さらに再度開いて変更するという条件、こういったことはどんな場合ですか、その点。
  262. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 私は、米価の問題について閣議決定が変更せられたということは、私自身的確に記憶いたしておりません。ただ、閣議決定の変更という場合は、いま申しましたように、ある時期における閣議決定が、その後の事情の変化によってこれを変更するとかあるいは廃止する、こういう例はあったように記憶している、こう申し上げております。
  263. 安永英雄

    ○安永英雄君 先ほど総理府の副長官のほうからお話がありましたが、公務員に対する思いやりのある方法はないか、こういうことで、閣議決定が行なわれているけれども、この閣議決定の範囲内で何かいい方法はないかということで給与関係の集まって検討している、月曜日にも検討すること者がになっていると、こういうことでございますが、文部大臣としてはそういった総理府の方やあるいは給与を担当されている大臣、こういった方々のそういったいわゆる思いやりのある何か方法はないかと、こういったお集まりなり検討なり、これについてはどうお考えになりますか。
  264. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 先ほど弘津長官からお答えになりましたが、昨日も給与関係閣僚が集まりまして、閣議決定を変えるということはなかなか困難なことでありますけれども、そのワクの中で何とか方法はないものだろうかというふうな検討は行ないまして、私も参加いたしました。なお、しかし、なかなか名案が出てこないのであります。それで打ち切ったということではございませんので、われわれとしましてはなおできるだけこの問題についての検討を重ねていきたいというので、先ほど副長官が言われましたように、月曜日にはさらに会合をする予定をいたしている次第でございます。
  265. 安永英雄

    ○安永英雄君 そういう思いやりのある方法ですけれども、できればその会合の中で、閣議というものをさらに白紙に返して、そこで財政上の検討なりやられて、やはり完全実施、あるいは完全に実施できないまでも五月に近づけるという努力は、やはりやってもらいたいと思います。これは先ほども申しましたように、たとえば昨年の人件費の不用額、こういったものが三十億ある、あるいはいろいろな予算全般を検討してもらったり、あるいは税収の伸びも確かにあるということは間違いないわけですから、これについては金がないということでは私はないと思う。やはり基本方針に掲げられておりますような完全実施という政策を貫いていくためには、思いやりのある方法といいましても、何といっても閣議で八月がきまっているものですから、これを一応解いていただいて、そうしてもう一回検討をやっていただくということができれば、ぜひひとつやっていただきたい。さらに、何らかの方法でこれに近づける努力を最後までひとつやっていただきたいというふうに考えます。  それともう一つ、これは鈴木委員のほうから来年のことは聞かないという話がありましたけれども、私はあえて聞きますけれども、ごく最近校長さんやあるいは教育委員の皆さんがいろいろ陳情にお見えになる。ところが、その陳情で来られたときに、政府筋のほうにも行ってみた。行ってみたが、きちんと来年は完全実施をすると言っているということを鬼の首を取ったようにして私どものところに来られるのです、現にきょうも。文部大臣のほうで、完全実施の道を発見したい、あるいは引き続き閣僚関係でこの改善の方策について検討を続け、何とか来年からは今回のようにならないような方式を発見したい。これはこの前おっしゃった。あるいは総務長官のほうで、四十四年度の予算編成時期までに、どこに一体そのネックがあり、なぜできないかということを掘り下げて解決するようにしたい、あるいは他の委員会では、完全実施を目途に検討したい、こういうことばがいろいろ使われておるわけですが、昨年のことしです、昨年も前向きの姿勢で完全実施ができるように検討したい、こうおっしゃっておったのです。私は非常に混乱しますのであえて聞きますけれども、閣議決定を八月にされたときに、この今後の、来年の問題という問題に触れられたそうですけれども、これは正確にどういうことばでなっておるのか、これだけを一応聞きたいと思う、正確に。かってなことを言っていますよ、これは、完全に来年は実施するのだと。できればけっこうなんですよ。
  266. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) お答えいたします。  八月三十日の閣議決定を行ないました際に、これも文章で出ておるものでありますが、注をつけております。その注の一としまして、「今後の公務員給与の取り扱いは、四十四年度予算編成時までに、結論を得ることを目途に、合理的改善を加えるよう検討する」ものとすること、こういう注が文章として出ておるのであります。私どもの気持ちは、いまいろいろいままでの答弁をお聞きになりましたように、完全実施ということを実現いたしますためにこの作業を行なっていきたい、こういうふうに考えておる次第であります。御了承願いたいと思います。
  267. 安永英雄

    ○安永英雄君 重複を避けまして、最後にお願いですけれども、要望を申し上げておきたいと思いますが、総理府のほうで何らかの方途を見つけて、そして十月八日という統一行動をこれに控えて、何とか解決をする努力をやりたいという表明もありましたし、また文部大臣のほうからも、そういった趣旨については賛成だし、積極的にこれについては乗り出して解決の方法を考えたいというおことばもありました。特に金に関する問題ですから、大蔵次官のほうにもお願いしたいのですけれども、先ほどのように、予備費をさけば一銭も出ない、伸びは全く予測がつかない、こういった形で絶対に実施はされないのだという説明を終始しておったと思いますが、私はやはり何といっても政府のほうのこの基本方針として完全実施ということはいまでもこれは変わらない方針なんですから、あらゆる努力をされて、ひとつぜひ実現をしていただいて、五月実施ができなければそれに近づけるという努力は最後最後までやっていただきたい。  それから、人事院総裁のほうにもお願いを申し上げたいと思うのですけれども、あなたのほうでもこの前は、国会に対してこれは勧告をしておるし、われわれはいまからだということばもあったと思います。ぜひひとつ人事院立場からもこの実現方についての努力をしていただきたいと思います。
  268. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 成瀬君。
  269. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 大蔵省にお尋ねしておきますがね、いま灘尾文部大臣が、閣僚懇談会ですか閣議決定ですか、そういうものにされたことについて大蔵者のほうはどういうお受け取り方をされておりましょうか。これは大蔵大臣も中に入っておみえになると思いますが。ですから、来年度の予算編成に関連をすることですから、大蔵省としてはどういうふうにお考えですか。
  270. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 実は四十四年度予算編成時までに結論を得るようにというのは、私のほうが希望したわけでございまして、それで、いままで何度も何度も同じような注がついているわけですが、結論を得ないままに、常にこういうふうな議論を繰り返してきておりますので、いずれにしましても、私のほうとしては財政需要を全部予算編成期に並べて、そうして国民負担との関係を考えざるを得ない、こういう立場にございますので、ぜひ、ともかくも検討していただいて結論を——従来は検討はするということであったのですが、なかなか結論を得なかったということで、ずっと推移してきましたが、問題が問題でございますので、ぜひとも四十四年度の予算編成期に間に合うようにひとつ結論を得ていただきたいということをお願い申し上げて、ああいう注釈になった次第でございます。
  271. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そうすると、大蔵省の考え方はあくまでも、人事院勧告というものがあるんだけれども、しかし金を扱う手前上、無条件に完全実施はできないんだと。いつも大蔵省一つのブレーキ役だと思うのです。ですから、大蔵省人事院勧告を尊重するんだという基本路線というものがいまだにまだ確立しておらぬというふうに考えていいのかな。それよりもなお金のバランスのほうが大事なんだということにこだわってどうもおみえになるようだから、あえてお尋ねするわけです。
  272. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 大蔵省が云々という話じゃなくて、予算編成期公務員給与の問題を議論されますと、他の諸施策全体との関連で、完全実施をすることが重要であるとお考えになれば完全実施予算閣議で組まれると存じますし、そのかわりほかの経費はそれだけ圧迫を受けるかもしれません、国民負担との関連でございますから、いずれにしましても、予算編成期におきまして諸施策が内閣の責任において斉合性をもって論議されることを望みますということでございます。  で、私のほうは、別にどの施策をどうということを、一応原案はつくりますけれども、あくまで内閣が決定されるわけでございますので、その場合におきまして、公務員給与が重要であるかどの施策が重要であるかということを、要するに、いまで申しますと、五兆八千億の土俵の中で議論していただくことを望みます、こういう意味でございます。
  273. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 もう一言だけ。いつも大蔵省がそういう態度で、そうしてそれは閣議予算編成の方針の問題なんだと。だから、斉合性をとってもらわなければなりませんよという話になってくると、完全実施というのは延び延びになってくると思うのですよ。だから、ぼくはまた今度の予算編成の方針なんというものは十一月の総裁公選のあとじゃないとなかなか容易じゃないと思うのですよ。容易じゃないと思うけれども、少なくとも大蔵省が希望をして先ほどの注がついたということになれば、来年は少なくとも完全実施はするようにしたいんだけれども、金がないからできませんでしたとか、あるいは何がどうだったというようなことはできずに、初めから斉合性のほうにとらわれてしまって、総合予算主義のバランスがあるから人事院勧告はこれ以上出たってこれは値引かれますよということが前もって言われるんだと、そういうふうに了解しておってさしつかえないでしょうか。
  274. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 財政の切り盛りをする大蔵省の事務当局のお答えとしては、私はああいうお答えになろうかと思います。何といいましても、全体の財政というものを考えないと何事もできないわけです。これは当然のお話だろうと思っておりますが、ただ、この前閣議決定をいたしました気持ちから申しますと、やはりできることなら完全実施をやりたいという気持ちが前提になっております。ただ、実際、完全実施をやろうとしましても、いまのような方式でやっておる限りはどうしてもそこにちぐはぐを生じてくる。たとえば今度の場合におきましても、財源があるかないかはしばらくおくといたしましても、補正予算の道があるじゃないかということになって、それがだんだん採用されるということになれば、あるいはきょうのお答えも変わってくるかもしれない、こういうことでありますものですから、現在の仕組みでもってやります以上は、やはりそこにむずかしい問題が生じてくる。ですから、私どもがいま検討したいと思っておりますことは、完全実施をやるためにはどういう方式をとったらいいのかということをまず一つ検討していきたい。そうしてそれが何らかの結論に到達すれば、われわれとしましては完全実施の方向で予算編成をやっていこう、こういうつもりで作業をいたしておるようなわけであります。御了承いただきたいと思います。
  275. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 内田君。
  276. 内田善利

    ○内田善利君 まず最初に、大学問題について一言お尋ねしたいと思いますが、先ほどの文部大臣の説明では、大学の自治にまかせるということでございますが、文部大臣としてはこの大学問題について対策は何もないと、こう受け取ったのですが、それでいいでしょうか。
  277. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 御承知のように、大学はやはり大学の自治ということが大きな原則になっているわけでございます。したがって、現在いろいろな紛争が起こっていることは、まことに遺憾でございますが、その紛争の解決については、やはり自治を主張し自治を守らんとする大学内部において、この問題の解決のためにまずもって努力をすべきではないだろうかという考え方に立ちまして、また現実問題としましても、いろいろ関係者の間で折衝し努力している最中で、横からかれこれいろいろなことを言い立てるということは、むしろじゃまにこそなれ、問題の解決にはあまり役に立たない現実があろうかと思います。そういうような心持ちで、当面のあがっている火の手を何とか平静な状態に返すためには、文部省が横からかれこれ言うことはむしろ慎んだほうがよかろう、こういう考え方を持っているわけでございます。  ただ、この問題は、当面の問題を一応平静化するということを望んでおりますが、それだけでやはり問題の解決にはならないのではないか。いまいろいろ問題がございます。また各大学によって事情も違いますけれども、しかし、いろいろ大学の仕組みなり、制度なり、あるいはやり方なり、こういう面について改善を要する点があるということはいなめないと思います。そういうような問題は、いますぐに片づけられるという問題ではございません。やはり十分検討した上で、改善を要する点については改善を加えていかなければならない、こう考えておりますが、そういう点につきましては、文部省はもちろん静観するとか傍観するとかいうような意味のものではございません。十分それに対しましては関心を持って、いろいろな御意見を伺っているところでございます。また、もっともこの問題は、その背景をなすものは非常に広範でもあるし、複雑でもあるし、また深刻なものがある。そういうような問題になりますと、大学の立場から申しましても、いろいろ改善を加えなければなりませんが、広く教育制度全般にわたっても検討を要するものがありやしないか、こういう検討もすでになされておるわけで、そのほかいろいろあろうと思います。私の立場から申せば、教育立場に立って諸制度の改善を要するものはもちろん積極的に取り組んでまいりたい、そういう考え方をいたしておるわけであります。大学の自主的な解決にまかせるというようなことを申しておりますのも、現在の当面いろいろどさくさしております問題についての解決を私どもかれこれ言うよりも、まずもって大学自身の努力によって解決してもらいたい、こういう趣旨でございます。御了承願います。
  278. 内田善利

    ○内田善利君 いままで文部大臣の考え方なりを聞いてきたわけですが、この大学問題は、学生運動は世界的な問題でもありますし、また日本でも相当大学がこういった問題で、非常にわれわれ国民としても不安に思っている実情があると思うのです。で、政府にこの大学問題に介入しろとは言いませんけれども、やはり国として何らかの確固たるビジョンですか、大学当局と学生との一体化、あるいは人間性に基づいた教育、文部行政、そういった何らかのビジョンを国として打ち出すべき時が来たんじゃないか、そのように思うわけですが、これについてはいかがですか。
  279. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) ごもっともなお尋ねだと思います。政府としましても、将来の大学のあり方とか、あるいは改善をしたいと思う事項でありますとか、そういうふうな問題に対する政府の考え方、こういうふうなものを、これを皆さんに申し上げて、そして広く御了解をいただくという努力もしなければならぬことと心得ておる次第でありますが、まあ何にいたしましても、こういうことは軽率なことを申し上げられるものでもありませんし、また国民の皆さん方のお考えもあろうかと思います。いろいろ各方面の御意見なりあるいはお考えというふうなものを十分私どもとしましては参考にいたしまして、今後の教育のあり方、大学のあり方等についても考え方をまとめて皆さんに御検討を願う、そういうふうに考えておる次第でございます。御了承願いたいと思います。
  280. 内田善利

    ○内田善利君 所管大臣としてひとつこの問題については責任がある態度をとっていただきたいと、このように要望して、この問題についてはこれで終わりたいと思います。  次に、いままでいろいろ問題になりました人事院勧告完全実施でございますが、この問題についてもいろいろ先ほどから出ておりますが、総理府の見解としては、金があれば出すべきだと思うと、こういう副長官お話でありましたし、また大蔵省の政務次官は、やれないことはないと、そういうお話でございました。また人事院総裁としては、完全実施ができる、しかし予算やりくりがつかぬと、そのまま申し上げますが、そういう態度でございました。やれないことはないと、このように受け取ったわけですが、やれないことがないことがどうしてやれないのか、私は率直にそう思うわけでございます。何とかしてやるように私は伺っておりますが、やれないことがないことがどうしてやれないのか、そういうことでございますが、先ほど総理府の副長官から月曜日の朝の七人委員会では何とか色をつける、こういうことでございましたので、これは何とか色がつくものと期待してようございますか。
  281. 弘津恭輔

    説明員弘津恭輔君) 金があればやるべきだということは、総合予算主義をとっておりますので、その千二百億の中でいろいろ勘案して、もちろん出すべき余裕があれば出すべきだという態度を申し上げたわけでございます。現在、大蔵省のいろんな説明もございましたが、総合予算主義のワクの中で出ない、なかなか出ないというので閣議決定の線に落ちついた。それはまた五回も閣議をやってずいぶん苦労された各閣僚の検討の結果こういうことになったので、私は現在金があるのにやってないということを申し上げたわけではない。これはひとつ御理解いただきたい。  それから、色をつけるということもですね、色をつけたいという希望を申し上げたわけで、私、ただ、政府としては、ストライキをやらせておいて処分したらいいじゃないか、そのほうがむしろ将来のためにいいというふうな、そういう無責任なことをみんな絶対考えていないわけで、これは国家全体の立場から、ストライキをやるべきではないし、またやらせてはいけないという立場から、まあわれわれも組合の幹部、労働組合、総評その他の幹部にもいろんな接触をしておりますけれども、決して敵対的な態度というものをわれわれはとっていない。できれば一緒になってストライキをやめさせたいという気持ちを持っておりますから、そういう意味で、総務長官官房長官もこういう会合を開いたわけでございますが、閣議のワクを越えない、閣議のワクの中でということでない知恵をしぼっているために、なかなかいい知恵が浮かばない。そのために、文部大臣が申しましたように、もう一度集まろうということになったわけです。非常に苦しい立場にあるということを御理解をいただいて、まあ月曜日にどういうことになるか私全然予想がつきませんけれども、これにあまり過分な期待をされるようなことは、私は実はそこまではとても自信もございません。私のことばをどう受け取られるかですが、非常な期待といいますか、そうでなしに、希望をもってできるだけ何とかしたいという気持ちでやっております。ことばがちょっと不十分かもしれませんが、御了承願いたいと思います。
  282. 内田善利

    ○内田善利君 先ほども話がありましたけれども、この人事院勧告というものは、団体交渉権、争議権を奪われたその代償として、中立的な第三者機関としての人事院勧告をし、それが実施されるようになったわけですが、先ほどからも話が出ておりましたが、九年の間一度も完全に実施していないということですね。これは一体どういうことなのか、政府の失政じゃないか、私はこのように思ったのですが、この点についてお伺いしたいと思います。
  283. 弘津恭輔

    説明員弘津恭輔君) まあ非常にむずかしい問題で、尊重するということはこれは一貫した態度ですが、やはり日本の財政状況その他各般の情勢を検討した結果、ぎりぎりのところでいままで一歩一歩前進してきておるという状況でございまして、九年間完全実施できなかったと一口に言われますけれども、九年間の実績を見ますと、一歩一歩前進しておるということだけは言えるのじゃないか。たとえば九月実施が八月実施になる、その前はもっとひどかったということは、だんだんよくなってきておるということじゃないか。一挙にこれが完全実施に持っていけるかどうか、それだけ日本経済的余力があるのかどうか、この点は専門的立場大蔵省その他各閣僚に検討をしていただいておるところでございますが、長い目で見れば、私は一歩一歩よくなっておるということだけは言えると思うのです。今後これを完全実施に近づけていくという努力は可能でもあるし、またやるべきだというふうに考えております。
  284. 内田善利

    ○内田善利君 最後に、要望ですが、時間がありませんので簡単に言いますと、完全実施という以上は、財源があるから、ないから、時期をどうこうするということでなくて、完全実施する立場から財源をつけていただきたい。人事院勧告を尊重し、完全に実施するという立場から、財源をどうするかというそういうような論点から出発して、閣議なりそういった場所で決定していただきたい。このように要望します。  次に、八月八日の委員会のときに文部大臣に、例の教職特別手当の問題で、一体十五億円をどうするのか、予算措置をしてあるが今後どうするのかと質問申し上げましたところ、大臣は、目下慎重に検討中であると了解するようにということでしたが、その後どのように検討され、結論が出たか、お教えいただきたいと思います。
  285. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) お尋ねの問題につきましては、まだわれわれのところでは結論に到達しておりません。検討中とお答えする以外にはないのでございます。いずれ通常国会も開かれることでございますので、それまでには何とか結論を出したい、かように考えております。
  286. 内田善利

    ○内田善利君 来年度の予算の概算要求にはこの教職特別手当は計上されていないわけですが、文部大臣教職員の超勤手当についてはどう考えておられるのか、ここに計上されていないということから、ひとつお伺いしたいと思います。
  287. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 時間外勤務に対する給与の問題として、さきの国会で、御承知のように超勤手当の方式をとらないで、そして教職特別手当というものを出したわけでございます。これを今後どのように考えていくかということについて、まだ結論を得ていないということでございまして、予算の概算要求には、仰せのとおり、こちらの腹がきまらないものでございますから、まだ出しておりませんけれども、その問題については政府態度がきまり、出すべし、何か出すべしということになれば、それによって予算要求を、追加要求をして差しつかえないものと私は考えております。
  288. 内田善利

    ○内田善利君 再度確認しますが、文部大臣教職員に対して超過勤務があるという事実は認められておられますね。
  289. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 時間外勤務の実態があるということを文部省も認めておりますので、それに対する措置として、超過勤務手当は出しませんけれども、教職特別手当という方式をもってこれにこたえようといたしたわけでありますけれども、それに対しましては、超過勤務手当を出すべしという御議論もかなり強いと同時に、またそうではなくてそういうものを出してはいけないという議論もまた強い。また、われわれとしてとうてい実行もできないような御要求もある。そういうことで、先の通常国会でこの法案が残念ながら廃案になったわけでございます。この間の処置をどうするかということは、私どもといたしましても頭の痛い問題でございます。予算編成の時期、通常国会を控えて、何らかの結論に到達しなければならないと考えております。
  290. 内田善利

    ○内田善利君 ちょっと質問が当たるかどうか知りませんが、教職員が超過勤務をしておるということを認めておりながら、まだいまだに超過勤務手当らしいものは全然出ていないわけであるが、このことは、労働省の方もお帰りになりましたが、労働基準法違反じゃないかと、このように思うのですが、この点はどうでしょう。
  291. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) その問題がいろいろ議論せられて、さきの通常国会のようなことになったわけであります。私どもといたしましても、その実態に対して何とかしなければならぬということを考えておりますけれども、それに対する案が成立しないということであります。現実におきましては、超過勤務手当を出すような財政措置をいたしておらないと、こういうふうになっておるわけであります。したがって、文部省からしいて言えば、なるべくひとつ超過勤務なんということはやらないでやってほしいと、こういうことを言わざるを得ないような立場に立たされておるわけでございます。このように文部省としては考えておるわけであります。
  292. 内田善利

    ○内田善利君 最後に一言申し上げたいと思いますが、教員の立場からすれば、人事院勧告完全実施されない、その上超過勤務手当もまだ全然出ていないと、こういうことで、仕事は多くなる一方でございますし、非常に教員の立場というものは苦しいわけです。たまったものじゃないと、このように思うわけですが、これでは大臣の言われる優秀な人材を教員に集めるということは困難じゃないかと、このように思うわけです。また、奈良県の教育汚職の問題にいたしましても、ひとり奈良県の問題ではありませんし、全国共通の問題じゃないかと、このように思うわけですが、こういった点などからも、今度の人事院勧告完全実施ということについては、ひとつどこどこまでも文部大臣として完全実施を実現するように御尽力願いたいと、こう思います。  以上で終わります。
  293. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 本件に対する本日の質疑はこの程度にいたします。     —————————————
  294. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 大松博文君から都合により理事辞任したい旨の申し出がございましたが、これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  295. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  つきましては、直ちにその補欠互選を行ないたいと存じます。  互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  296. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に久保勘一君を指名いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十六分散会      —————・—————