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1968-09-11 第59回国会 参議院 文教委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年九月十一日(水曜日)    午前十時五十一分開会     ―――――――――――――   委員異動 八月二十九日     辞任         補欠選任      宮崎 正雄君     田村 賢作君      柳田桃太郎君     二木 謙吾君 九月三日     辞任         補欠選任      黒柳  明君     内田 善利君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         中村喜四郎君     理 事                 楠  正俊君                 大松 博文君                 小林  武君                 鈴木  力君     委員                 北畠 教真君                 永野 鎮雄君                 川村 清一君                 成瀬 幡治君                 安永 英雄君                 内田 善利君                 萩原幽香子君                 小笠原貞子君    国務大臣        文 部 大 臣  灘尾 弘吉君        国 務 大 臣  田中 龍夫君    事務局側        常任委員会専門        員        渡辺  猛君    説明員        人事院総裁    佐藤 達夫君        人事院給与局長  尾崎 朝夷君        大蔵政務次官   二木 謙吾君        大蔵大臣官房審        議官       細見  卓君        大蔵省主計局給        与課長      相原 三郎君        文部大臣官房人        事課長      諸沢 正道君        文部省初等中等        教育局審議官   井内慶次郎君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠互選の件 ○教育文化及び学術に関する調査  (教職員給与等に関する件)     ―――――――――――――
  2. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  去る八月二十九日、宮崎正雄君、柳田桃太郎君が委員辞任され、その補欠として田村賢作君、二木謙吾君が委員に選任されました。また、九月三日、黒柳明君が委員辞任され、その補欠として内田善利君が委員に選任されました。     ―――――――――――――
  3. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 久保勘一君から都合により理事辞任したい旨の申し出がございましたが、これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  つきましては、直ちにその補欠互選を行ないたいと存じます。互選は投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に大松博文君を指名いたします。     ―――――――――――――
  6. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 教育文化及び学術に関する調査として、教職員給与等に関する件を議題といたします。  政府側からは、灘尾文部大臣田中国務大臣二木大蔵政務次官佐藤人事院総裁尾崎人事院給与局長宮内総理府人事局次長岩間文部大臣官房長井内初等中等教育局審議官諸沢人事課長細見大蔵大臣官房審議官、以上の方々が出席いたしております。  本件について質疑の申し出がございますので、これを許します。小林君。
  7. 小林武

    小林武君 先に人事院総裁に簡単な点で一、二お尋ねしておきたいのですが、人事院が設置されてから完全実施の問題ではいろいろ御苦労なさったと思うわけでありますが、いままでの経験から、それから人事院が創設されて以来の経過等から判断されて、人事院の設置というものと労働者側労働三権関連ということについて何か所見のようなものを持っておられますか。
  8. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 申すまでもありませんが、昭和二十四年の国家公務員法の大改正によって、公務員団交権争議権が否定されたわけでありまして、その改正の際に、それに伴って人事院が強化されました。そして勧告権というようなものもりっぱな形でお認めいただいた。そういう関係では、いまおっしゃいますように、そこに重大なる関連性があるというふうにわれわれは考えております。
  9. 小林武

    小林武君 重大な関連性があるということをお考えになって、人事院総裁をおつとめになっている、なお再度またお引き受けいただいた、こういうことになりますというと、今年度における勧告についての閣議決定というものがあったようでありますが、そういうことについて一体どうですか、関連性について疑義というようなものをお考えになりませんか。これは強い関連を持っているということは言うまでもないことです。それについては総裁に何べんも私の見解を述べておりますが、これについては非常に関連性が強いということだけで、経験の上からいったら一体これはどうだろうという疑問、こうあってよろしいのかどうかというような、そういうようなあなたについての苦悩のようなものがないものなのかどうか、それを承っておきたい。
  10. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 疑義というようないわばアカデミックな発想ではない、きわめてその点から考えて残念だ、この一言に尽きると思います。
  11. 小林武

    小林武君 これはあまり長く――あとでまたお伺いしますから。  勧告実施時期というのを明記されたのはいつでしたか、またその勧告実施時期というものを明記したときの意味というものはどういうことであったのか、ちょっとお答え願います。
  12. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 勧告の時期を明示しましたのは昭和三十五年の勧告からであります。それは要するに官民比較の上で民間水準公務員給与を合わせるというたてまえから勧告は出発している以上は、四月現在の時点でその官民給与比較がなされておりますから、せめて五月にさかのぼって実施していただかないと筋が通らない、そういうたてまえに基づいているものと考えます。
  13. 小林武

    小林武君 この「せめて」というような、ことばじりみたいなことを言うわけじゃありませんけれども、それまでは勧告の時期というものは明記されてなかった。しかし、意図は、やはり勧告の時期というものはいつからやるべきだということはお考えの中にあったと私は思うのです。それから、労働者側要求もたくさん出ているわけですから、だから、勧告の時期というものをここに明記したということは、この勧告の時期を実行するというところに非常な重点を置かれたと判断してよろしいですか。
  14. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) それはもうあたりまえのことだと思っております。
  15. 小林武

    小林武君 きわめて当然なことがさっぱり行なわれていないということは、あなたのおことばで言うと残念の一語に尽きるというわけですが、労働者とそれから使用者側との賃金の問題で、残念ではおさまらないですね。いわば団体交渉の場合に、これで妥結いたしました、こう言ってから、そのあとについてどうも金やることはやめましたなんということは、これはできないわけですからね。その点の労働慣行のあれと人事院の使命というような問題について、いろいろなお苦しみがあるのではないかと思いますけれども、これもひとつあとでまたお伺いすることにいたします。  処分者総数というようなもの――勧告をめくってのいろいろなトラブルが起こっています。これはあれですか、国家公務員地方公務員関係者で、どのくらい処分者が出たというようなこと、人事院御存じでございましょうか。
  16. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 私ども国家公務員一般職の諸君だけを所管しておりますから、地方公務員については新聞等の報道によって知るほかはないのであります。国家公務員につきましては、最近きわめてその数は少なくなって、一時相当ありました時代もございます。しかし、国家公務員の場合においては処分はほとんどないと言っていいくらいに少ないというふうに了承しております。
  17. 小林武

    小林武君 あれですか、地方公務員のことについては新聞で何か見たことがあるという程度でございますか。いつか総裁のおことばで、いわば地方公務員というのは人事院かさの外だというようなこういうお話、これはきわめて気楽に話されたことばですから、そのことをあれするわけじゃありませんけれども、いわばそういうかさの外だという程度の認識でいまのようなことをおっしゃるのでしょうか。もう力の及ばないところで、これは何を一体やられたかわからないというように、そういう軽くお扱いになっているのか、それともどうかということですが、総裁こまかいことまで御存じでなかったら、ひとつあなたのほうの事務担当の方から、どれくらいというようなことをつかんでいるか、つかんでいないか、つかんでいたら数はどれくらいあるものか、お話を願いたい。
  18. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) ここにはそのほうのまた所管官庁の方もおられますから、私は遠慮して申し上げているわけでございます。ただ、たいへんな数の方々が、いまお話しのよう関係しておられるということは承知しております。
  19. 小林武

    小林武君 人事院総裁についてはあとでまたやることにいたしまして、総務長官にお尋ねしたいのですが、実はこの間ここの委員会で、いつ委員会を開くかということがたいへん問題になったわけです。それで、いろいろ話が出ましたときに、与党のほうから、なかなか結論は出ないよ、例年のことを考えてみろと、こう言われた。十日、二十日たっても政府考え方が急にまとまるということはない、もっとおそく、月末でもいいじゃないかという話が出た。もっともな意見で、私はそのとき聞いておって、そうだなあと思った。例年国会が召集されて、そうしていよいよ提案される、そういう時期のころまで悩みに悩んで、一体労働者要求を聞いてやるかやらぬかということで悩みに悩んでいたと思うのですけれども、いいかもわからぬけれども、われわれのほうからいえば、そのときとにかく何とか一歩でも前進しなければならない、いま何年たっても一体勧告というものが実施されないということはたいへんだということで、国会の中でもその検討もし、さらにいまのような御意見が出てくるのはなるほどだという感じを持っておった。ところが、びっくりしたことは、その話し合いをやったあとにすぐ、閣議決定だと。この閣議決定というのはどういうことに、これどういうあれがあるのですか。どうしてそんなに早くやられるのか。私はあまり意地悪に考えないで善意に解釈すれば、いままでこの問題でずいぶん問題が起こってきた。この際完全実施するという意味でとにかくやろうという、そういう考え方が普通なら出てくるはずだというよう考えますし、だから、何かいいことを考えたのかという気持ちもある反面において、相手はこれについて、とにかくいつまでも実行されないということであるならば、労働者側としても労働三権を取られた今日において、一文句つけなければならない、団結してとにかくこれに当たらなければならないということを考えた。それをひとつ肩すかしを食わしてやって、そうしてまたも今度は勧告実施しないというような、悪意のためにやったのか、いろいろな二つの道が考えられる。あなたはとにかく給与担当大臣、この中に文部大臣もその七人委員会のメンバーである。この間のお話を聞いても、とにかくやはりことしあたりは何とかしたいというふうなお話であって、熱意のある御発言を閣内でもされたということを、私は新聞を通してですけれども見て、たいへんにこれはいいことだと思って感謝しておったわけです。私は、ことしはそういうことで何かいい解決方法があるのではないかと思っていたのですが、出たのを見て実はびっくりしたのです。これは一体どういうことですか。何のためにやったのか、さっきの二つ考え方で、どっちのほうをわれわれがとったらいいのか、ひとつ説明していただきたい。
  20. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 経過お話し申し上げますと、御案内のとおり、ことしは総合予算主義で、予備費財源をあらかじめ計上いたしてあるわけであります。で、従来、人事院勧告が八月に出ました際におきましても、それからあとの組みかえ財源検討その他に非常に苦心をいたしまして、そうしてあるいは節約あるいは組みかえ補正をいたし、そうして臨時国会補正予算を提出いたすのでございます。ところが、御案内のとおりに、本年の場合におきましては、予備費というものが計上されておりまして、で、その間にじんぜん日を過ごす必要もないのみならず、また全官公その他の皆さま方のほうからも、すみやかに決定せよという御要望も再三再四参っておるよう状態であります。かよう考えますれば、われわれのほうといたしまして、人事院勧告に従いまして、許す限り最大限の完全実施目標努力を続けてまいったわけでございますが、政府、特に財政当局等との交渉もいろいろといたしましたが、実は、八月十六日に人事院勧告をちょうだいいたしましてから、個人的にいろいろとお話しいたしましたのは別といたしまして、関係閣僚会合は五回にわたりましていたしたわけであります。そうしてその結果、通勤手当だけは五月にさかのぼってようやく実現することができましたが、他の点につきましてはどうしても八月という線でとどまってしまいましたことは、まことに残念でございますが、万やむを得ない次第でございます。さようなことで、三十日の日に決定をいたしまして公表いたしたような次第であります。  大体、われわれの考え方から申しましても、人事院勧告の本質にかんがみまして、ぜひともこれが完全実施目標に全力をあげた次第でございまするが、これが貫徹し得ませんことにつきましては、はなはだ遺憾に存ずるところでございます。なお、財政の現状その他いろいろと財務当局のほうの強い反対もございました。特にまた、地方財政の非常に窮迫した状態、いろいろな諸般の問題を勘案いたしまして、この八月実施ということに相なったような次第でございます。
  21. 小林武

    小林武君 これはそうすると、いままでのお話は、総合予算主義というものを貫くために完全な実施はしないという意思決定をした、こういうふうに理解してよろしいですか、いままでのお話をまとめて。
  22. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 総合予算主義を貫くために完全実施はしないというのではございません。財政の上から申しまして、われわれはあくまでも完全実施目標に、これをぜひとも貫徹いたしたいといろいろ努力をいたしたわけでございまするが、政府、国全体の財政見通し、あるいはまた財政需要、いろいろの問題を総合的に判断しまして、どうしても通勤手当以外は五月までさかのぼることができなかった次第であります。
  23. 小林武

    小林武君 総務長官にお尋ねいたしますが、そうすると、人事院勧告というものは、勧告がどうあっても、政府の持っている事情によって、実施しなくてもいいものだという理解に立っておるという判断になりますが、そうでありませんか。
  24. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 私はさようには絶対に思っておりません。
  25. 小林武

    小林武君 さように思っていないものが、どうしていまの結論が出るんですか。私はそんな変な言いのがれはやめてもらいたいんですよ。そうでしょう。人事院ができて以来、これ勧告どおりやってくださいというようなことは、何べん一体労働者から血の出るような叫びを聞いているか。そうしてたくさんの犠牲者を出しているということは、いま人事院総裁も言っていらっしゃるじゃありませんか。あなた知らないわけないでしょう。それだけのことをやっておって、大体今度の総合予算を貫くということではないとおっしゃったが、総合予算を貫くということを一生懸命言っているじゃないですか。そのときは物価値上がり四・八%に見込んだんでしょう。四・八%の物価値上がりということを考えながら、労働者賃金のあれを考えたんでしょうが。そんなことしろうとだってみんなわかっているじゃないですか。そうすると、一体どうですか、政府見通しに誤りがあった場合にもやらない、その他いろいろな事情が出てきたら一切やらない、こういうことになる、結論は。そうでありませんか。私はそんなごまかしやめてもらいたいんですよ。人事院勧告というものは、勧告があったところで、政府事情があって、それは実施しないとなったら実施しなくてもいいんだ、こういう考えであるということを、あなたがやはり給与担当大臣なんですから、率直に言ってもらわなくちゃいかぬですよ。そうじゃないですか。どうなんですか。結局理由があるんでしょう。これをやれないという理由は、私はまさか閣議でだれが賛成してだれが賛成しなかったということを聞こうとは思いません、しかしながら、大蔵大臣大蔵大臣で主張したでしょう、反対なら反対だと。まあこの次は二木さんに聞くけどね。一体反対理由はどこにあるのだという問題が出てきたら、答えなきゃいかぬでしょう。結局、あなたたち、勧告勧告だと、政府都合でやらぬでもいいのだという考えがあるんでしょう。  私は人事院総裁にお尋ねいたしますが、いまのことばの中からはあなたの判断はどうなんですか。勧告勧告でも、いろいろな事情があれば、それは労働者に対してはそういう勧告どおりやらぬでもよろしいのだと、こう政府は言っているように御判断されませんか。
  26. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 私どもはきわめて簡単明瞭でございまして、いきさつはどうあろうとも、五月にさかのぼって完全な実施閣議決定がなかったことはきわめて残念である、それに尽きるわけであります。
  27. 小林武

    小林武君 それはもうそういうことを何べん聞いたかわからぬけれども人事院総裁、それだけじゃ、もう一歩踏み出さなけりゃだめですよ。残念であるというだけなら、一体この人事院勧告なんというものは単なる絵に描いたもちのようなものじゃないか。何の役にも立たぬのだということまで、あなたはおっしゃる。良心的発言があってよろしいと思うんですよ、私は。そこまではできないにしろ、何とかもう少し――残念、残念で、あなた残念か知らぬけれども、もらうほうはなお残念だ。そのために、とにかく正当な権利を主張するということのために、将来にうんと影響するような傷を受けながらも労働者は主張しておるんですよ、完全実施してもらいたいということを。そのことをお考えになって私は御発言いただきたいと思うんですけれども、あなたのおっしゃることはいつも同じですから、田中総理府総務長官、どうですか。ぼくの言うことおわかりになりませんか、あなた給与担当大臣ですから。結局、いろいろなことを言ったところで、政府事情でしょう。今度の場合、事情はわからぬですよ。いつかは、かつて私は給与担当大臣から財源がどうしてもないというお話を聞いた。財源があるときにやってくれたかというと、財源あるときもやってくれんかった。金があるないという問題これはもうとにかく企業であるなら、金は絶対ひねり出す。ひねり出さなくても将来のことを考えたらやるという、そういう態度をとるものだ。ところが、政府の場合には、あってもなくても、とにかく横車押して、いままでやってこなかった。やらなかったじゃないですか。そうしたら、人事院勧告というものをあなた方のほうで軽く見ていることは間違いない。そうですと言ってください、これひとつ。
  28. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 人事院勧告につきましては、あくまでもこれを尊重いたしたいという初一念で貫いております。また、私どもも何とかしてこの人事院勧告が完全に実施できるように、それでは、財政等々の議論もありますが、なぜできないのだ。どうしてもいたさなければならぬというために、御案内のとおり四十四年の予算編成までの期間を切って、じゃ、どこに一体そのネックがあり、なぜできないんだということの掘り下げと解決をいたそうということで、御承知のよう関係閣僚会議を引き続いて持っているような次第でございます。  で、人事院総裁も非常にその問題につきましては積極的に御協力をいただきまして、第一回の会合はいたしましたが、来週にでも実務者会議結論を得まして、さらにその障害の打開に大所高所に立って政治的な判断からこれを完全実施ができるような姿に持っていこうということで作業をいたしておるような次第でございます。
  29. 小林武

    小林武君 まああなたはなかなか、口開かせようったって開かないようですから、またひとつ話を変えて、それじゃ、なぜこれ早くやったのですか。政府執行部考え方もとても急速にはまとまらないという、これはもう与党意見われわれ聞いているわけです。それが突如とにかくやったという、その理由はどこにあったわけですか。こういう早い決定をすると、労働者はどんないいことあったのですか。こうやってやったら、毎年毎年反対してくる労働者に何かいいことがあると考えてやったのかどうか。どんないいことあるんですか。何のいいごりやくがあるのか、ちょっとひとつ答弁してください。
  30. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) それは財源を新しく掘り出して、そうしてかき集めてどうこうというよう例年の例とは違いまして、財源予備費に計上されておるわけでございますから、それにつきましてわれわれは、官公労のほうの御要望もありまして、早くきめてほしいという御要望だけでも少なくともそのとおりにして差し上げなければならぬというようなまじめな気持ちから、すみやかに決定をいたした次第でございます。
  31. 小林武

    小林武君 あなたはだいぶおかしいんじゃないですか。公務員共闘、その関係のほうから、あなたのほうに早くきめてくれなんていうことは言うてないはずですよ。あなたはこの交渉をやったんでしょう、写真も出ているし。七人委員会の、さらに組合側意見をとにかく伝えて、そうしてその要望を伝えて討議することを約束するとあなたは言ったと、こういうふうに書いてある。組合側は、このあれを早くきめたことはけしからぬと、撤回せいと、こう言っている。それじゃ、さっぱり組合側意図をくんでやったということにならないじゃないですか。うそではありませんか。そんなことを組合側は言うわけはありませんよ。早くきめてくれということは、早く勧告どおり実施することをきめてくれと言ったので、とにかく勧告どおり実施しないことを早くきめてくれというようなばかなことを要求する労働組合の幹部がどこにいますか。命がけでやろうという労働組合の意気込みからすれば、そんなことは出てこないですよ。うそでないですか。
  32. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 不完全実施でもいいから早くやれというようなことは断じて伺っておりません。完全実施を早くやってくれというお話はございました。それは確かに全官公の方からございました。  それから、いまのその紙上に出ておりますその問題につきましては、それは二度目の公務員共闘との会見のときでございます。公務員共闘会議のほうのいろいろな各項目の中にも、われわれが今後考えなきゃならない幾つかの項目がございます。これは私ども関係閣僚会議でも取り上げて、そしてまじめに検討しなきゃならぬ、こういうことで、その御趣旨のあれを次回の閣僚会議に出そうというようなことを話した次第でございます。
  33. 小林武

    小林武君 総務長官ね、私はあなたの発言聞いているというと、一生懸命だということは認めますけれども、ちょっとごまかしがあっていけないと思うんですよ。完全実施をとにかく早くきめてくれと言ったのは、そうでしょう。それにこたえてね、実施しないということを早くきめるということは、これはもう平手打ちみたいなものですよ、頼んでいるものに対する。本来ならば、そうきまりそうだったら、きめてくれるなと、閣僚会議で。もう少しやっぱり努力してみると、そういうあれが出てこなけりゃならないはずじゃないですか。私は新聞で見たあれですけれども、厚生大臣が初めからできないできないというような条件だけあげて、そしてこれを完全実施をしないような態度というのはよくないということを発言したと新聞に書いてあった。私はそれ見てほんとうに感心した。少なくとも給与担当大臣であれば、そんな悪い結果が出るならやめてくれと、もっとお互いに努力すべきじゃないかと、もう労働者だましちゃいけないというようなことを、あなた食いとめることが良心的な行動じゃないですか。早くきめてくれと言ったから、とにかく死ぬか生きるかどっちでもいいから早くきめてやればいいだろうという考え方は、それは政治家としても、一人の人間としても、私は納得のいかない発言ですよ。  文部大臣にちょっと話を、ほこ先かえますけれども文部大臣、私は文部大臣のところにたくさん来ていると思う。きょうはぼくはここへ二、三枚持ってきたけれども、来ているのはみな校長。あなたのところにも行っているだろうと思います。その中で、初期のころ来た、早い時期に来たあれにはね、いままで人事院勧告について実施できなかったということについては、やむを得ない諸種の理由によるものと思いますがと、こういうことをとにかく書いて、完全実施をしてくれと書いてある。諸種のいろいろやむを得ない事情があったろうがという、そういう一つの善意な理解に立って、とにかく過去のことは問わぬというか、もうここまで来たらだめですと、こういう言い方をしている。そのあと来るのはどうであるかというと、諸種の理由というのはなくなった。完全実施しないためにもう教育界に混乱が起こって困ってしまっていると、そういうものが今度多くなってきた。これは一番あとに来たあれですけれども、とにかく先生四人、最低の賃金だと、こう言っている。そしてこの校長さんは、敗戦の責任を果たすべく、これから十年を子供たちにささげていきますと、こう書いてあるが、この人はぼくの知っている人で、戦争のとき将校だった。負傷して帰ってきた。この人が書いていることは、とにかくどうするんだということを述べているわけです。諸種のいろいろな事情があるでしょうなんということは、もう書く余地がなくなった。せめて、とにかくわれわれにしても、完全実施してもらいたいということをここに書いてある。校長もそうだと書いてある。この人が正直に、せめて校長でもと書いてある。完全実施してもらいたい。教員は最低なんだと思う、どうにもならぬと、四人の自分の部下に対して書いてある。私は、そういうことに対して、あなた一体どういうふうに理由づけますか。いままでいろいろ校長さんが言うように、実施できなかった事情があったらひとつ述べてもらいたいし、どうしても今度実施できないという事情が、あなたのような政治家としてはまことにとにかく、長い経験と手腕を持った方なんだから、一体ここでどうしても実施できないと、今度も当然おまえらはあきらめろ、そして穏やかにじっとしてがまんせよという理由があるなら、述べていただきたい。
  34. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 今回の人事院勧告に対する政府の態度につきましては、先ほど来総務長官が御説明いたしましたとおりでございます。私の立場といたしましては、前の委員会でも申し上げたと思いますけれども、できるだけ人事院勧告完全実施を期待いたしまして、そのために努力するということも申し上げたようなわけでございます。いろいろ私も給与関係の閣僚の会議のメンバーに加えられまして、その席でもいろいろ意見を申し上げましたけれども、遺憾ながら、内容については勧告どおりといたしましても、実施の時期について勧告どおり実施することができないという結果に立ち至りまして、いかにも残念に思っておりますけれども、わが国の財政、中央地方を通ずる財政の実情からいたしまして、この壁を私の力では破ることはできなかったということを告白せざるを得ないのは、いかにも残念だと思います。  ただ、そういうことをいろいろ検討いたしますと、いまの取り扱い方になお検討を要するものがあるのではないか、こういうようなことで、引き続いて関係閣僚でこの改善の方策について検討を続け、何とか来年からは今回のようなことにならないような方式を発見したい、こういう努力を継続してまいりたいということでございまして、教職員諸君の熱望はよく承知いたしております。できるだけその期待に沿いたいと思っております。今回は遺憾ながらこの間決定いたしましたような結果に相なったのでございます。いかにも残念に思っております。将来を期してさらに努力してまいりたいと思っております。
  35. 小林武

    小林武君 将来を期してさらに努力するという大臣のことばを、次のことに希望を持とうかというあれではないですが、私も、ことしはだめでも来年はどうだということであるならば、大臣のことばをすなおに聞く用意はありますが、何回やったか。私、大臣に聞くけれども、一体幾ら処分をとったのですか。国家公務員の教員は何人、地方公務員は何人処分を受けたか。御存じでありましょう。何人ですか、この問題で。
  36. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 何人あったかという数字は私記憶いたしておりませんが、相当多数の人が処分を受けたということは事実でございます。いかにも残念なことでございます。
  37. 小林武

    小林武君 事務局でけっこうだから。何人ですか。
  38. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) 四十一年の十月二十一日の問題に関連いたしまして、地方の教育公務員で懲戒処分の対象となりましたものが六万五千四百六十三名、昨年の十月二十六日の関係で懲戒処分をいたしましたものが二万八千三百四十二人でございます。
  39. 小林武

    小林武君 それは処分と名のつくもの全部ですか。懲戒ということだけではだめですよ。処分……。
  40. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) ただいま申し上げました人数は、地方公務員法に基づきまする懲戒処分をされました人数でございます。  このほかに、訓告という形で、厳重注意とかそういう形のものが、四十一年の場合五万四千八百八十七人、四十二年の場合十万三千五百二十一人でございます。
  41. 小林武

    小林武君 文部大臣、これはいま地方公務員法なんとか言ったけれども、およそ処分と名前がつけば、いまの教育委員会制度のもとでは、これはもう校長さんになれそうだとかあるいは教頭さんになれそうだという人でも、大体だめだということをいわれておる。処分を受けたら、満足なところにとにかく転任もできないということになっている。例をあげると、私たちは幾らでもある。いつかこの委員会で、あなたのときだったかどうか知りませんけれども、一つの県の端から、時計の振り子みたいに、東と西の間を一年ごとに往復したというようなそういうあれもあるのです。そういう人事を行なわれるという現状からいったら、これはたとえ懲戒処分でなくてもたいへんなことなんです。しかし、それでも主張すべきことは主張すべきであるという考え方に立ってやっているということを、文部大臣、いろいろな事情ではなはだ遺憾であったとか、将来を期してというようなことをおっしゃっても、私はほんとうは納得しないのですよ、これは。  それと、こういう問題が日本の国だけじゃない。私はよその国はともかくとして、イギリスのバーナム委員会というのはだいぶ改組もされたらしいけれども、バーナム委員会であっても、これはもう出たからにはほんとうに全部実施する、こういうたてまえに立っている。こういうたてまえに立った委員会です。これが完ぺきだとは私は言わないけれども、少なくともそういうものがあれば実施するというのがたてまえです。何回やってもそれをやらないというようなやり方の中で、それに抵抗したら処分するというようなやり方は、ことしも処分する勇気おありですか。文部大臣、どうですか。これはひとつやったら、またやりますか。どういう御指導をなさるおつもりですか。金のほうは上げなかったけれども処分のほうは徹底的にやれとおっしゃるかどうか、ひとつ御見解を伺いたいと思います。
  42. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 教職員の諸君が人事院勧告完全実施を熱望しておられることは、よく承知いたしております。われわれもその期待に沿うべく努力をいたしてまいりましたわけでございます。それが意にまかせない事態になりましたことを、いかにも遺憾に存ずるということを申し上げました。その問題が思うようにならないということで、またいろいろ問題を起こし、そうしてそれが処分にまで発展するというようなことは、もとより好むところではございません。私は、そういう問題につきまして、やはり教員の諸君が、熱望は熱望といたしまして、その守るべき節度は守っていただき、問題を起こしていただきたくないということを申し上げたいわけであります。
  43. 小林武

    小林武君 文部大臣、やはりそれはあなた、あまりにそれは片手落ちじゃないですかね。この問題は、まずあなたにこんなことを説法する必要もないけれども労働者として認められているものは、日本国憲法の中では労働三権というものは、これは憲法で与えられた権利ですよ。この権利の行使というのは、一体これをどうこうするということはできないわけです。違法行為でもなければ犯罪行為でもないのですよ、労働三権の行使ということは。労働者の権利なんです、働く者の。そうでしょう。そのことをひとつ取り上げておいてやった制度というものが何年たってもだめだということになって、それに抵抗した者が処分されるということは、これはどういうことです。あなたとここでこんな論争しておるというと時間がなくなるからやめますけれども、あなたそういうふうにお考えになるというのは、実に権力を持てる者のわがままですよ。横暴ですよ。そんなことが一体、国家公務員であろうが地方公務員であろうが、堂々と行なわれるということが私はふしぎでたまらないのです。まああなたがひとつ処分するということは、私はまあ政府はそういう資格はないと思う。処分するなんということは、どこを押したらそんな音が出るかと言いたいくらいです。  このことに関連してひとつ、別件にわたりますけれども、この間通達のことでちょっとお話をお伺いしたのですが、私はあなたはなかなか秋霜烈日というような激しい、きびしい態度をとられたが、そういうことをあなた通達でもやり、人事行政の中でもやっているが、文部省の中にそういうことが何かあった場合には、あなたりっぱにやってのけるでしょうね、もっときびしく。このことをひとつ念のために聞いておきたい。架空の事実についてはなんということをおっしゃらないで、文部省にもしあったら最もきびしくやる、そういう態度をお持ちかどうか、ちょっと承っておきたい。
  44. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) どうもよく御質問のあれがわからないのでありますが……。
  45. 小林武

    小林武君 いや、あったらやるかということです。
  46. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 事法規に関する問題でございますれば、その事実に即応して適当な処分をいたしたいと思っております。
  47. 小林武

    小林武君 まあそうでなかったらおかしいですわね。しかし、まあ伝え聞くところによりますというと、いろいろなことが聞こえてきますから、権力というものがいつでもそういう形をとるということを心配しているのですよ。自分のことについてはなるべく仲間同士の意識を大いに発揮するけれども、そうでないものにはきわめて過酷な条件を出してくるなんというのは、これは歴史的にも幾多の事実があるのです。あなたからきびしくやるというような御趣旨をおっしゃったと思うが、私も肝に銘じておきましょう。  大蔵大臣にお尋ねいたしますが、さきの文部大臣お話でございますというと、実施したくてしたくてたまらないというよう事情実施しなければならぬというたてまえに総理府総務長官も追い込まれているというようなことで、一番これを食いとめたのは日本の財政を担当する大蔵大臣反対ようにぼくは聞こえておった。新聞にも大体そのように書いてあるが、どんな理由がありますか。一体八百億か幾らの金が、これがあれしたらどうなるかというようなことを、詳細にひとつ御説明願いたい。
  48. 二木謙吾

    説明員二木謙吾君) 御存じのとおりに、昭和四十三年度の予算は、総合予算主義の原則のもとに私どもは国家の諸施策を総合的に配慮をして、そうして予算を組み、さらに公務員給与の改定に備えては予備費の支出をはかったのでございます。これは皆さん御存じのとおりです。公務員給与の改定を八月実施にしたのは、これは政府の他の諸施策との均衡上この程度が適切であろうかと、こういうことで閣議決定されたと私は了解をしておる次第であります。大蔵省内においてもいろいろな議論もございましたが、昨年どおり八月実施が適当であろう、こういうことになったわけであります。
  49. 小林武

    小林武君 まあ二木大臣代理には、一応質問やめましょう。
  50. 二木謙吾

    説明員二木謙吾君) それから、ちょっと私は……
  51. 小林武

    小林武君 いや、時間がかかるから、いいです。  人事院総裁に……。いまの答弁お聞きになったでしょう。政府の施策上これが適当だと、こう思う、この程度のことです。人事院というようなものが一体ほんとうに機能的にやれるかどうかという一大危機にきたと私は思っているのです。いまあなたに何か言ってみたところで、しようがありません。そのことはひとつあなたも肝に銘じておいてもらいたいと。私は政治をやっているものとして、こんな中途はんぱないいかげんなことをやって、処分のほうだけはどんどんやっていくというような、そんなばかなことを少なくとも近代国家という日本の中においてはやるべきではないと思うから、このことについて人事院側が相当考慮する問題があるのじゃないかということを私は申し上げておきたいと思います。  総務長官に申し上げたいが、総務長官、あなたいろいろなことをあれするが、どうですか、私は前の総務長官にも話しましたが、人事院というものについて、あなたのほうは何か弱体化をはかるような意向もあるように聞いているし、大体いまのよう人事院をうまく隠れみのにしておいて官公労働者をいいかげんに取り扱うというようなことは、政治の良心に反するのじゃないか、こういうことをあなたはお考えになりませんか。いまの質問を通してみてどうですか、まじめな態度だと思いますか。労使関係の中のいまのあれはどうですか。あなたはその点について、私はわりあいに率直な意見を述べられるような人だと思うからお尋ねしますが、どうですか、一体。
  52. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) ただいまの御質問はとんでもないことだと思います。私は断じてそういうふうなことは考えてもおりませんし、また、私の立場から申しましても、人事院の保護機能、公平機能というものをむしろ強化していかなければならない、その一貫した方針のもとに貫いております。
  53. 小林武

    小林武君 これでおしまいですが、文部大臣、総理府総務長官、大蔵省の大臣の三人の方にお尋ねいたしますが、これは税収が幾らふえても――財政上の理由というのははっきりしないのですよ、先ほどから聞いていると。われわれやはり政治をやっておりますから、財政理由といったら財政理由を数字をあげて説明されなければいかぬですよ。しかし、いまそんなことをやっているひまはありません。余裕が出てもこれでもうこの問題はどうにもならぬ問題で、労働者が何といってもこれはもうことしはこれきりだ、あとはやるならやってみろということなのかどうか。あるいは税収その他いろいろ考えて、なお考慮の余地ありと考えてよろしいのかどうか。このことをとにかくそれぞれの立場から御答弁願いたい。
  54. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) およそ行政の問題は、決定決定でございます。この決定に従いまして万般の措置は講じます。しかしながら、あるいは行政の運営につきましていろいろな欠陥のありまする限りにおきましては、すみやかにこれは除去していかなければなりません。私どもはあくまでも完全実施ということを念願をし、またそれに渾身の努力を重ねておるわけであります。今年度のようなこういうことは、確かに予算編成と、また人事院勧告の時期その他の点についてなお調整できる面があるのじゃないかということから、本件に対しまして、注1にしるしましたように、人事院総裁にも加わっていただいて、そうして関係閣僚におきましてもその欠陥を是正し打開してまいる、かよう考えております。
  55. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) すでに閣議決定をいたしたわけでございますから、この段階において今後この閣議決定が変更されることがあり得るということは、私としては申し上げるわけにはまいりません。
  56. 小林武

    小林武君 あなたたちは、そうすると、きわめて意図的に先手を打って、労働者のとにかく要求をけって、うまいことを言って、来年来年とか言って、来年になればだめなことは、とにかく八回も九回もだめなのだから、だめなことはだめだ。そうして結局、じたばた騒いだら処分してやる、これが政府労働者に対する政策だということは、いまの言動の中から出てきているのでありますけれども、私は皆さんに、給与担当大臣という名前がついているからには、私のほうから希望しておきますけれども、少なくともそんな甘い考えを持ってはいかぬ。どうかひとつこの問題について、ほんとうに労働者全体を信頼して、日本の生産を高め、官公労働者であれば政府の能率をとにかく高めて国民に完全な奉仕をするという角度から、本年度内においてこの問題についてまだまだ努力の余地がある。皆さんは提案なさっても、皆さんだけがこれを勧告を受けたのではないのですよ。国会勧告を受けたのです。これは忘れてはいかぬですよ。政府だけがきめて、おれたちがきめたらあとはどうにもならぬ、こういったところで、そんなうまいわけにはいかぬ。そうでしょう。まだまだ野党があるのです。この点について、われわれも勧告実施についてのあれを受けていくだけの責任があるということを忘れないでいただきたい。もうこれで閣議できめたのですから、あとどうにもならぬと、そんなひからびたものの考え方をしてはいかぬ。国会勧告を受けているのですから、お忘れなく、どうぞひとつ御努力いただきたい。
  57. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 鈴木力君。
  58. 鈴木力

    ○鈴木力君 いろいろお伺いしたいのですけれども、何か総務長官都合があるということなんですから、先に総務長官にお伺いしておきたいのですが、一体、閣僚協議会というものがあるが、この閣僚協議会というのはどういう構成になっておって、任務はどういう任務なんですか、その中でのこの閣僚協議会の主宰者はだれなのか、そこにいる給与担当大臣としての総務長官の任務は何なのか、それを先にお伺いいたしたい。
  59. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 関係閣僚会議は、この人事院勧告につきまして、これをぜひとも何とか完全に実施いたしたいという趣旨のもとに、勧告に基づきまして政府関係閣僚が集まっております。大蔵、文部、労働、それから総理府、経済企画庁、自治省、それから官房長官、これだけで構成いたしております。ただいま人事院勧告を受けまして、おのおの国家公務員地方公務員の各位を抱いておりますものといたしましては、それを代表いたしまして強く主張もし、またこれの完徹を期しているわけでございますが、反面またあるいは経済企画庁、あるいは財政を担当いたします大蔵省、そういうふうなところはこれまた国家財政の上から申しましても、われわれの希望する立場とはやむを得ずやはり対立した立場に立つわけでございます。そういうことでこの関係閣僚会議を経まして、そうして一つの結論を得ましたそれを閣議にはかって決定いたしていく、こういう仕組みになっております。
  60. 鈴木力

    ○鈴木力君 主宰者はだれで、それから総務長官給与担当大臣としての役割りというのはその中でどういうことになっておるのかということを聞いているのです。答えてください。
  61. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) これは私が各閣僚の皆さん方にお集まりを願い、またその間の総合調整をいたしておる次第でございます。
  62. 鈴木力

    ○鈴木力君 ちょっと速記を……。
  63. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 速記をやめて。   〔速記中止〕
  64. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 速記を起こして。
  65. 鈴木力

    ○鈴木力君 人事院総裁にお伺いいたしますが、この人事院が三十五年から勧告をいたしまして今日までの間に、結局、完全に実施されたことがなかったわけです。たいへん残念だという気持ちは、よく繰り返して言われ、先ほどの御答弁わからぬこともありませんが、私が具体的にお伺いしたいのは、この人事院意図したというか、勧告をしたという意味は、これだけあれば日本の公務員賃金が妥当であるという意味での勧告、そこに自信を持たれていると思いますから、それが政府で値切られたために一体どれだけのアンバランスが生じておるのか、それをお伺いしたい。もう少しわかりやすく言いますと、金の面では、平均して一人当たりどれだけもらえば正当なバランスがとれているのに、もらわなかった金額があるのか。それから、実施されなかった月数は一体いままで累計で何カ月になっているか、お伺いいたします。
  66. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) いつぞや同様のお尋ねがございまして、その損失といいますか、これはばく大なものがあるということをお答えしたことがございますが、ただいま詳しい数字をあげてという重ねての御質問でありますから、給与局長からお答え申し上げます。
  67. 尾崎朝夷

    説明員尾崎朝夷君) 三十五年からの計算をいたしてみますと、一人当たり約十二万五千円ということでございます。
  68. 鈴木力

    ○鈴木力君 もう一つ、値切られた月の累計は何カ月になりますか。三十五年から毎年毎年数カ月ずつ切られております。
  69. 尾崎朝夷

    説明員尾崎朝夷君) 三十五年から三十五月分ということでございます。
  70. 鈴木力

    ○鈴木力君 そこでですね、これは私はたいへんなことだと思うのです。三十五カ月いままでに実施されなかったということになりますと、三カ年に一カ月足りなかったわけです。昭和三十五年から、民間との比較でということで人事院勧告をしてきたベースアップが、それだけの回数行なわれているわけですね。しかし、三十五カ月だけは実施されなかったということなんですから、少なくとも三年間に一カ月足りないだけのことはべースアップはされていなかったということになる。そういう考え方は、人事院としてはどうですか、認められますか。
  71. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) ただいまお答えしましたようなことで、さかのぼっていろいろ積算しますというと、相当な額、相当な月数にのぼっておるということは現実でございます。さればこそ、毎年毎年の勧告完全実施をお願いして努力を尽くしてまいったわけでありますが、過去の分は、実はすでに国会で最高機関としての国会がおきめになったことでございますからして、実は数字はこうでございますということは申し上げられますけれども、それ以上のことは、実はもう最高機関の御裁断のきまったことだということで、われわれとしてはもう過去は過去ということにまた一面においてはあきらめざるを得ないと。ただし、あきらめられないのは、たとえばことしの勧告ということになりますと、国会に対する勧告がものをいうのはこれからでありますから、その意味ではその年その年が私は真剣勝負の場だと考えております。したがいまして、今回の勧告については、過去におけるさような実績も十分念頭にお置きいただきまして、ぜひ完全実施ができるようにお力をいただきたいということになるわけでございます。
  72. 鈴木力

    ○鈴木力君 私はもう少しすなおに聞いておるのです。三十五カ月というのが人事院勧告実施をされなかった月の累計になっておるわけです。そういたしますと、人事院は、勧告序する場合には、少なくとも民間と比較をして、これだけが実施されなければ民間並みにはなれませんぞという、そういうことに確信を持って勧告をされているのだと思うのですね。そういたしますと、政府がやったとかだれがやったとかということは抜きにして、公務員にすれば、二年と十一カ月だけはベースアップの恩恵に浴さなかった事実がある。この事実を認めるかということを聞いている。
  73. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) それはもう厳然たる事実であります。認めるも認めないもないと思います。
  74. 鈴木力

    ○鈴木力君 そこで、文部大臣にお伺いしたい。文部大臣閣議等の発言などは新聞でも拝見をしております。非常にわれわれからいえば、われわれと同じよう考え方発言をされたということは新聞にも載っていました。しかし、結果的にはいまのよう状態にことしもなったわけなんで、少なくとも昭和三十五年から給与改定の制度が軌道に乗っておって、そうして三年も実施をしなかった、こうした事実に対して、大体政府勧告を尊重しましたということばを使うのですけれども文部大臣としまして、ことし勧告を尊重したということが言えると思いますか、言えないと思いますか。
  75. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 勧告の趣旨は政府としましては尊重いたしました結果、いろいろ努力いたしまして、先般の閣議決定に至ったわけでございます。尊重するということにおいてはできるだけの努力をしてきたつもりでございます。
  76. 鈴木力

    ○鈴木力君 私はそこのところがよくわからぬ。毎年毎年尊重する尊重するといって、いまのような数字が出てくる。少なくとも三分の二ぐらいしか尊重していないということになると思うんです。その辺の御見解はどうですか。
  77. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 完全に実施できなかったという点からいいますと、そのような御批判もあろうかと存じますが、政府としましては、できるだけのことはやると、こういうたてまえでもって結論を得たわけでございますので、尊重した結果がこのようなことになった、こう言わざるを得ないのでございます。御了承願いたいと思います。
  78. 鈴木力

    ○鈴木力君 もう少しはっきり言いますと、私はどうもいままでの政府のものの言い方は、勧告の体系といいますか、内容といいますか、それをくずさなければ尊重したんだという考え方に立っておって、実施期日ということは非常に軽く見ておるのじゃないかという、そういうふうに見ておったから、いまのような御質問を申し上げたんですけれども、この勧告の中身と実施期日というものの関係は、閣僚協議会として討論される場合にはどういう討論をなさっておるのですか。
  79. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) いろいろ議論をいたしましたわけでございます。できることなら、何もかも含めて人事院勧告どおりというのが私どもの希望でございます。その実現のために一生懸命意見も交換し、議論もいたしたわけでございますけれども、内容的には人事院勧告どおり政府もこれに従うことになりましたけれども財政その他の関係上、五月にさかのぼるという点ができなかったということでございます。
  80. 鈴木力

    ○鈴木力君 それでは、あとでまた文部大臣にお伺いするわけですが、先ほどの小林委員に対する御答弁も、財政の壁を破ることができなかった、こういうことなんですから、政務次官のほうから財政的に八月実施をしなければならなかったということをよく理解できるように御説明をいただきたいと思います。
  81. 二木謙吾

    説明員二木謙吾君) それは皆さんの御存じのとおり、さきにも私が申し上げましたとおりに、本年は総合予算主議を採用したわけであります。しかし、公務員の給与につきましては、特別に予備費というものを充実をしてそれに充てる、こういうことにいたしておるのでありまして、この公務員給与の改定を八月実施、こういうふうに決定閣議で見たのでございますが、これはわが国の財政の現下の事情なり、あるいは他のいろいろの施策を行なっていかなければならない、それらの諸施策との均衡上、この程度が最も妥当であろう、こういうふうに考えたわけでございます。
  82. 鈴木力

    ○鈴木力君 私が財政上の理由を聞いているのですから、財政上の理由でこうしましたということじゃ答弁にならぬわけです。その八月にしなければならなかった財政上の理由とは何かということを御答弁いただきたい。それからもう一つは、他の諸施策との均衡と、こうおっしゃいますけれども、他の諸施策とは何を言うのか、公務員を八月にしたということとの均衡とは何をさすのかを御説明いただきたい。
  83. 二木謙吾

    説明員二木謙吾君) いろいろ国の施策というものについては、それは私が説明をせぬでも御存じだと思います。(笑声)
  84. 鈴木力

    ○鈴木力君 委員会で質問しておるんですから、説明せぬでもとは、これはちょっとぐあいが悪いですよ。説明をぜひしてほしい。
  85. 二木謙吾

    説明員二木謙吾君) それはいろいろな、あるいは産業開発もあろうし、あるいは貿易振興もありますし、国土の開発もありますし、あるいは文教のいろいろな施策もございますし、あるいはまた社会保障のいろいろな諸施策等の問題いろいろあるわけでございます。これを詳しくは、何でもあなたが御存じ考えておりますから申し上げませんが、そういういろいろな施策を考えて、そういう面からいたしましても、ことしの財政事情においては、まあ私どもといたしましても、それは完全実施、こういうことが最もよい、そこに勧告理由もある、かよう考えてみて、いろいろ財政上諸般の事情も考慮をして、やはり昨年どおり八月から実施すべきものであろう、かよう決定をしたわけであります。決定をしたというのは、これは私が決定したのじゃない、閣議決定されたのでありますから。大蔵省というものは、閣議決定をされるし、あるいは国会でまたきまればですよ、何ぼ総合予算主義でいこうといったところが、これを出してと、こういうことになれば、それはさいふのひももやはりあく道もあるのでございまして、その辺も御了承願いたい、かよう考えます。  まあ私個人としては、やはり今後の公務員給与の扱いについては、やはりいまのようなことを繰り返すというようなことでは私はいけない。それであるから、閣議においても、四十四年度の予算編成時期までには何らかの結論を得ることを目当てに合理的改善を加えるというようなことが閣議でもきまっておるわけでございますから、ひとつそういうふうに将来はぜひ実施ができるように改善を加える必要があろう、かよう考えております。
  86. 鈴木力

    ○鈴木力君 私は大臣に出てもらうようにお願いをしてあったんですけれども、次官が出て来られたので、私は文句を言うわけじゃない、御都合のある場合には政務次官でもけっこうですけれども、出て来られる以上は、やっぱりそれなりの御答弁をいただかないとぐあい悪い。私個人はと言われますと、個人的にはどうも文句言えない、お互いに。また文句言うつもりありませんけれども、それ以上聞くとぐあい悪い。  しかし、これは私はどうしても明らかにしなければいけないのは、先ほど言いましたように、三十五カ月も、三年も、毎年毎年勧告を尊重した尊重した、毎年ベースアップをしてやったぞというような見せ方をしておるけれども、三十五年からことしまでの間、三年間は泣いておったという結論になったわけでしょう。そういうことをしでかしておいて、しかも、文部大臣ことばにもあるように、財政問題、これは私どもよくわかる。いつでもそういうことを言うんです。それならば、その財政問題が、八月から五月に繰り上がった場合、どれだけの金が要って、その金を出すためにどこにどういうような影響があるかというようなことを、もう少し親切に説明をする義務があると思うが、この点についてはあとでなおお伺いしたいと思います。この点は、しかしどうしても私は「いろいろな」では結局わからぬ。そういうことでは納得できませんから、はっきり御答弁をいただきたいです。  それから、委員長あとやっぱり総務長官が来ないとどうも私の質問はできません。この辺で、あと総務長官来るのを待たしていただきたい。
  87. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 政務次官のほうで何か御答弁ありますか。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  88. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 速記を起こしてください。
  89. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 人事院勧告をめぐりまして、私のところへもいろいろな先生たちからいろいろな手紙が参っております。そこで、私は教育、教員というものは一体どういう役割りがあるのかということから、まことにまあ、ほんとうにこれはこんなことを今ごろ申し上げるのは不勉強はなはだしいということになるわけでございますが、私は教育基本法というものをもう一回勉強し直したわけでございます。ところが、教育基本法の第六条に、「教員は、全体の奉仕者であって、自己の使命を自覚し、その職責の遂行に努めなければならない。このためには、教員の身分は尊重され、その待遇の適正が、期せられなければならない。」こう明記されておるのでございます。ところが、いま教育界の一部にはアルバイト、プレゼント、リベートのいわゆる三トがあることは皆さん御存じのとおりでございます。そうしたものがわかったときには、それぞれの形においての制裁があったことも御承知のとおりでございます。まことに嘆かわしい状態と申さなければなりません。しかしながら、この現象は、ただその当時者を批判し、責めるだけでは解決できるものではなく、基本的な原因である教員の低賃金にメスを入れ、この改善に努力をしなければならないと存じます。  私は昭和六年の卒業でございます。当時教員の初任給は四十五円でございました。そのころの日記を繰ってみますというと、米価は一升十八銭でございました。下宿代は六畳二食つきで大体十二円ぐらいであったと思います。ところが、現在はどうでございましょう。短大卒で勧告どおりになりまして二万四千百円いただくといたしましても、これで下宿をするといたしますと、畳一畳千円、六畳で六千円。さらに、食べることを考えますと、  一日にあの働き盛りの方で五百円は見なければならない状態ではございませんでしょうか、外食でございますが。そうすると、一万五千円、よほど倹約したといたしましても一万二、三千円は必要になってくると思うわけでございます。教師といえどもかすみを食って生きていくわけにはまいりません。といたしますと、大体二万円前後は部屋代と食事代に取られてしまうということになっておるわけでございます。ところが、私は世界の先生たちはどういう状態であろうかと思いまして、「世界の教師」という本を繰ってみたわけでございます。その第三章に、教師の社会的地位というのが述べられておるわけでございますが、これはお読みになります方はぜひ一度繰っていただきとうございます。四十二年に第一法規から出されておる書物でございますが、これを詳しく申し上げることはできませんけれども、諸外国は日本の教師に比べましてはよほど優遇されているということがわかるわけでございます。さらに、民間の企業に比べてみましても、教師の立場はまことに低いということが考えられるわけでございます。こういう状態の中で、十月にはさらに八%の消費者米価の値上げがあり、それとともに諸物価はまたまた上昇するということはまことに明白でございます。こうした中で、教育基本法に示された全体の奉仕者として自己の使命を達成するということは、なかなか至難なことと申さなければならないと思うのでございます。  私は、こうした理由から、人事院勧告についてそのアップもまことに不満でございます。次の世代を背負って立つ青少年の育成のためには、何と申しましても教育界に有為の人材を確保し、教師が希望と誇りを持って教育に当たれる状態を確立することこそ、現代の国家にとって急務ではなかろうかと存じます。戦後二十三年、私は最も置き去りにされたものが教育であったのではなかろうかという感を強くいたします。そうした感はおそらく私一人の持つ考えではなかろうと存じます。その人事院勧告に不満を持っておりましたのにもかかわらず、その勧告の五月実施を無視されて八月になったということを知ったとき、私はほんとうにやりきれない気持ちで一ぱいになりました。  私のところに寄せられた現場の先生方の手紙を紹介してみましても、人事院勧告は何のためにあるのでしょうか、人事院勧告が無視されるということは、必然的に私たちに労働三権が与えられるということになると思いますが、いかがでしょうか、耐乏生活はもうこれ以上不可能でございます、もっと現場の教師のその生活実態を知っていただきたい、こうした手紙が数多く寄せられておるわけでございます。社会的に低い、給料も低い、そういう中で、そういう地位で先生の果たす役割りというものは非常に大きく期待されておるのではございませんでしょうか。現に先生たちは、こうしたことに対して、十月八日一時間カット実力行使しようと計画をしているということでもございます。信頼と愛情を根幹とする教育の場で、はたしてこれでよろしいのでございましょうか。私たちは何としても文部大臣を信頼申し上げ、人事院総裁のこの勧告を信頼しながら、一生懸命努力しているという教職員の立場をお考えいただきたいと思うのでございます。  そこで、教職員の社会的地位、役割りと給与との関連において、基本的なお考え人事院総裁並びに文部大臣から承りたいと存じます。お願いいたします。
  90. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 基本的な考え方としては、いまおことばの中に出ておりましたようなことをわれわれも同じく考えておるわけでございます。特に教員の方々の使命、任務というものは、次の代をしょって立つ若い人たちを育てていくという意識も持ちながら、また一方において技術的な問題としては、それぞれのお仕事の内容が行政職の人々のように階段的な組織のもとに行なわれているものでもないという、あるいは勤務時間などにつきましても、行政職の人々とはまた違って特別の、とらえにくいと申しますか、そういうような環境のもとに仕事をしていらっしゃる、そういうようなこともいろいろ考え合わせて、この給与問題に臨んでおるつもりでございます。  さらに、それについてしからばどれだけ特段の優遇をしておるかということが、おそらくお尋ねのポイントであろうと思います。これはいままでの教員の方々の御要望からいいますと、決して満足されていないことはわかりますけれども、私どもとしては、御承知のように、従来、先ほど申しましたような基本的な立場から、教職の方々の俸給については一般の行政職よりも相当有利な形できめられて出発しておるわけであります。その形はもちろんこのままずっと引き続いてまいっておるわけでございます。たとえば初任給について申し上げますというと、行政職の上級の乙の人たちの初任給よりも大体二号高くきめられておるというようなことで俸給をつくっておるわけでございます。しかし、何ぶん行政職を含めての一般公務員の給与水準自体、私は決してこれは満足ではないと思います。先ほど外国の例をお引きになりましたけれども、外国の公務員の給与は、教師の方々ばかりでなく、私どもような行政職の人々についてもずっと高い水準の俸給を受けております。結局、しからば行政職なり、教師の方々なりの俸給をそこまでなぜ持っていけないのだということにおそらく話がつながってまいると思いますが、そこがやはり日本の賃金水準と申しますか、賃金体系といいますか、そこの基本的な違いが出てまいりますものですから、公務員だけ民間に比べて特段の優遇をしてあげるということは、また納税大衆の関係から申しましても踏み切れない。そういういろいろな苦しい条件のもとで私どもは各種の俸給表を考えていく。また教育職の方々につきましてもそのような趣旨の努力はしてまいっておるということだけを、とりあえず申し上げさせていただきます。
  91. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 教員の処遇の問題につきましては、もとより適正な処遇をすべく研究し、努力してまいることが私どものつとめであると思っております。現在の教員の処遇のやり方があれでよろしいかどうかという点にも大きな問題があろうかと思います。普通の一般の行政職員とはよほど違った職務に携わっておるわけであります。何かその給与につきましても、現在の体系よりももっとその職務にふさわしいような体系があっていいのではないか、こういう気持ちもいたしております。現に、御承知のように、文部省としましては、教職員の給与の実態について調査を進めることにいたしております。その給与の実態を調査いたしました気持ちの中には、何かもっといい給与体系というものはできないであろうか、こういうことも頭の中に置きながら、給与の実態調査を現にやっておるところであります。十分に検討し、努力をしてまいりたいと思います。
  92. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 人事院総裁並びに文部大臣から、今後努力すると、そして教員の実態について非常によく御理解をいただいておりますような御答弁をちょうだいいたしまして、まことにありがたいわけでございますが、さらに、私はこの人事院勧告の中で、通勤手当の改善のみが取り上げられているわけでございますが、さらに教職員の住宅手当並びに研修手当が見送られたという理由について、人事院総裁からお答えをちょうだいいたしたいわけでございます。  教職員は食べることにせい一ぱいと先ほど申しましたわけでございますが、この仕事の性格上から申しますと、研修をするということは、何をおいても大切なことになるわけでございます。そうした大事な研修手当というものが勧告の中に入っておりませんでしたことについて、私は非常に残念に思うわけでございますが、そうしたものが見送られました理由についてお答えをちょうだいいたしとうございます。
  93. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 最初におあげになりました住宅手当でございますが、これは教職員方々ばかりでなしに、一般の公務員諸君のずいぶん長い前からの強い要望にかかっておる手当でございます。私どもとしては、さようなこともありますので、これだけは特に毎年民間の給与についての住宅手当の支給状況をしつこいまでに調査をしてまいっておるわけでございますけれども、民間の大勢は、まだ大多数の企業がこれを支給するまでに至っておりません。そこで、最初に申しましたようなこともあって、われわれとしてはこういう相当大きな手当の問題を民間に先がけてというところまでは踏み切れない立場におりますものでありますから、今後民間の帰趨を見つめてまいりたい、そういう気持ちでおります。  ただ、昨年実施していただきました地域給の一種であります調整手当が、都会地ほど高くパーセンテージがつけられておるというような面から、間接ではありますけれども、多少住宅関係の家賃に対してはこれでカバーできるのではないかという気持ちは持っておりますけれども、ともあれ、住宅手当はそれとして重大な関心を持って今後も臨んでまいるつもりでおります。  もう一つ住宅手当の裏の問題として、公務員の宿舎というものがまだ不十分じゃないかということがございます。当面、公務員宿舎に入っている人と家賃を払って貸し家あるいは貸し間にいる人とのアンバランスをどうしてくれるかということも、一つの裏の要望の大きなささえになってわれわれに攻めてこられるわけでありまして、そういう点もまことにごもっともでございますので、過去数年来住宅施設の拡充強化ということを強く政府要望してまいりまして、ことしも総理大臣、大蔵大臣に直接申し上げてきたわけであります。幸いに、この点は、政府側におきましても着々と公務員宿舎の施設を拡充していただいておりまして、これはこれで喜んでおるわけでありますけれども、そういう問題も住宅手当の問題には裏の問題として含まれておるということを申し上げておきたいと思います。  それからもう一つ、現場の先生方はたまに誤解をされるのでありますけれども、住宅手当の要望人事院が取り上げなかったというと、それだけ給与上の何か削減をされた、値切られたというような感じを特にお持ちになっている方がいらっしゃるわけなんでありまして、これは私ども声を大にして弁明しておかなければなりません。われわれの立場から申しますというと、たとえばことしの場合官民較差が八%でありました。その八%をどういうふうに配分するかという問題でしか考えられないわけでありまして、その中から取り出して住宅手当にどれだけ配分するかということで、その配分を住宅手当のためにはしなかったということは、本俸のほうにそれは回させていただいたということでございまして、決してそれが値切られた、御損になったという絶対的な問題ではないということを、これまた御了承をいただいておきたいと思います。  それから、研修手当も、これは先生方の特に強い御要望で、これは前々から承っておりますけれども、この本質の問題については、正直に申しまして、私どもとしてはまだ手当の問題として、給与の問題としてこれを実施することについてはまだ踏み切っておりません。しかし、その実態の問題としては、たとえば研修のためにある会場までいらっしゃる、その旅費がはたして十分に行き渡っておるのかどうかという問題、あるいは研修のための図書その他の参考書、あるいは研修材料などについても、十分公費による手当てができておるのかどうかという問題が当然このうらはらの問題として私はついて回っておると思う。これは灘尾文部大臣にはこれを申し上げなくても十分御理解をいただいておると思いますから、申し上げておりませんけれども、歴代の文部大臣にはこの研修手当の要望関連いたしまして、こういう面にはぜひ力を入れていただきたいということを申し上げてまいっておるわけでありまして、そういうこともあわせて完全にお手当てをいただきながら、研修手当のほうも私どもは宿題として考えてまいりたい、そういう気持ちでおります。
  94. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 ただいまの御説明をいただきまして、納得をしたというわけではございませんけれども、これからもどうぞひとつ賢明なる御努力をお願い申し上げる次第でございます。  特に、このたびの人事院勧告の中で、勤務成績の特によい者に対して特別昇給のワクを拡大するといったよう項目がございますけれども、そのワクの拡大と申しますのは大体どれぐらいのパーセンテージを占めるものでございましょうか。特に勤務成績のよい者という内容とその尺度について、お聞かせを賜わりたいと思うわけでございます。
  95. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 特別昇給の制度は、御承知のように給与法そのものにございまして、それを受けて人事院実施に当たっておるわけでございますが、いまお尋ねのパーセンテージは、従来一〇%の人たちに限られておったわけであります。これを今回一五%まで広げようということでございます。  なお、どういう条件の人が当たるかということも規則にこまかく書いてございますけれども、勤務成績が特に優秀であることによって表彰を受けた場合、それから、あるいは勤務評定による勤務実績の評語が上位の評語に決定され、かつ能力、適性等が優秀である場合、それから勤務評定の対象外の職員、これは本省の部長級以上などでございますが、それらの人でその勤務成績がよい者と認められる場合、それからさらに、先ほど申し上げました第二の、勤務実績の評語が上位の評語に準ずる職員、それから対象外の職員についてやはり昇格した場合のことがあげられております。
  96. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 その一五%ということは、大体どれぐらいの額になるわけでございましょうか。
  97. 尾崎朝夷

    説明員尾崎朝夷君) 特別昇給は一号以内のものにつきまして行なうということになっておりますので、特別昇給をする場合に、個々の人については一号、つまり現在の平均は大体四%でございますが、一号昇給ということになっております。その一五%と申しますのは、全体の職員の中で現在一年間に一割という数でやっておるわけでございますけれども、これを一割五分の人に一号を昇給するようにやってまいりたいということでございます。
  98. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 私、前にも申し上げましたように、教育という仕事があくまで信頼と愛情がその基本になってくると思うわけでございます。私も校長をいたしました経験がございますけれども、児童生徒と教師間の触れ合いといったようなものの中で、案外校長――神ならぬ身にと申し上げたらよろしいかと思いますが、その校長の知る由もない問題が多々あるやに私は聞いておるわけでございますし、またそういう体験を持っておりますわけでございます。そういう中で、特に勤務成績のよい者――私は前に勤務評定というものが定められましたときに、非常にこれはむずかしい問題だと、ほかの職種に比べまして、教職員の勤務評定というものは非常にむずかしいものだということを考えたわけでございましたが、この問題にからみまして、やはりこの勤務成績のよい者ということが、私は先ほどの御説明ではどうも納得いたしかねるものがあるわけでございます。何と申しましても、学校の中の和という問題もございましょうし、あるいは先ほど申しました児童生徒と教師の触れ合いの中でという問題も出てくるのではなかろうかと存じます。  そこで、私は、この際、こうした非常に困難な、問題の多い特別昇給よりも、むしろ僻地教育あるいは特殊教育を担当しております、この困難な勤務条件の中で専念しております先生たちに、こうしたものを配分していただくことのほうがより有効ではなかろうか。その点はいかがでございましょうか。
  99. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) その分をいまお示しのような方向に配分してということがございましたけれども、それはそれとしてあずからしていただきまして、いまの、たとえば僻地、特殊教育あたりの関係方々に対しても、私どもとしては相当の配慮をしていることだけは、この機会にお聞き取りを願っておきたいと思います。  国家公務員関係、便宜地方公務員関係方々の分も知り得る限りにおいて申しておきたいと思いますけれども、僻地勤務につきましては、御承知のようにいわゆる僻地手当あるいは僻地教育振興法というのがございまして、百分の二五というようなところにめどを置いて手当が支給されております。それから特殊教育に従事していらっしゃる方、特にこれは国立学校にもございますけれども、養護学校でありますとか、あるいは普通の学校の中の特殊学級の先生、これらの方々には八%の俸給の調整額を設けている。それから盲ろうあ学校、これも同様でございます。それからなお、国ではございませんけれども、定時制の学校関係、通信教育関係の学校、これらの方々については七%の手当が規定されているわけであります。しかし、これで決して満足である、十分だとは私どもはゆめゆめ考えておりませんから、その点は御了承願います。
  100. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 私はこの間養護学校のじぎく学園に参りました。そうして、そのときにしみじみと思いましたことは、これは一ぺん皆さんに、ここでつとめていてくださる先生たちの御苦労を、三日ぐらいここで一緒に生活していただいたらほんとうはおわかりいただけるのじゃないかと、私はこう感じまして、特にこれをお願い申し上げた次第でございます。  特に給与に関連いたしまして、真に児童生徒との心の触れ合う教育をするためには、一学級の生徒数を三十人程度に押えていただきたいということも御要望申し上げたいところでございます。  最後に、これまでるる述べてまいりましたように、現場の教職員の生活実態を十分御調査いただきまして、把握していただいて、教育界に有為な人材を集め、将来の日本を背負って立つ青少年の教育に万全を期するようお願いを申し上げまして、質問を終わらしていただきたいと思います。  これで給与に関する質問は終わらせていただいたわけでございますが、私は、去る二十七日の文教委員会を終えまして、九月八日まで、私が申し上げました特殊教育の問題を知りたいということで、兵庫県、主として山間部の各地を私たちのグループを足がかりにしながら歩いて、特殊教育の実態を調べてまいったわけでございます。ところが、そのときに出ました問題の中で、大学紛争問題に対するそれらの人たちの関心がまことに強いということでございました。文教委員会ではこの問題を一体どのように取り上げていてくださるのか、いくら大学の自治だからといって、いつまでこの状態をこのままにしておくつもりなんでしょうか、学校はもうすでにこうしたことに対して取り締まる力がなくなっているのではないだろうか、自分たちの税金がこのようにむだ使いされていてまことに腹立たしい、こういった声が、私が知りたいと思うこと以上に強い声としてはね返ってきたわけでございます。また、九月の九日の読売新聞調査を見ましても、学園紛争の長引いている原因を文教政策の貧困だといっている者が二三・八%もあるわけでございます。いつ解決するのか、このままでいいのか、この心配を裏書きするよう新聞記事は毎日のように出ているわけでございます。きょうの新聞にも、真の被害者は患者であるといったようなことも出ているわけでございますが、こういうことを私はこれ以上静観していることは国民の不信をさらに強めることになるのではなかろうかと考えるわけでございます。この討議を十分していただきますよう委員会をお持ちいただきますことを、何とかお願いを申し上げたいと思いまして、委員長におはかりをいただきたいとお願い申し上げる次第でございます。
  101. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 突然のことでございますから、処置をどうするかということよりも、お申し出の件はよく趣旨がわかりましたので、後刻、理事会だけでなく、委員の皆さまと御懇談でもいたしまして、その方法、いつやるか、どういうふうにしてやるか、どんな方法でするか、こういう問題について御協議をいたして、萩原さんの御趣旨を尊重して、できるだけ早い機会にそういうことを持つことに取り進めていきたいと思いますから、どうぞ御了承願います。
  102. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 ありがとうございました。
  103. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 小笠原君。
  104. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 時間の関係もございますので、いまの萩原委員の質問に続けてのお答えをいただきたい問題を出していきたいと思います。  先ほどからの答弁で伺っておりますと、人事院総裁も、また文部大臣も、今度の勧告というものは決して満足ではないということをたびたびおっしゃっております。で、満足ではないというそ程度でございます。決して十分ではない、そこまでは行っていないから満足ではないと、こういうふうにも受け取れるわけですけれども、この人事院勧告の中で、まず生活の問題から考えてみますと、満足できないというようなそういう程度のものではなくて、全く、特に教職員の場合は教育労働者としての任務を果たすのには満足でないどころか、これは非常に教育への影響ということから考えても危険なものでしかないと、私はそういうふうに考えてみていたわけでございます。  そこで、この人事院勧告というものが出されて、今回非常に早く閣議でも決定されたと。これでもう一挙に押してこられそうだということになりますと、もう生活防衛の立場に立って、一体どういうふうなお考えでいらっしゃるんだろうかということが非常に率直な疑問点として出てきているわけなんでございます。ここに出されました生計費の関係の中で出ておりますこの生活標準額でございますね、これを見ましても、一人の場合には一人が約九十円程度、ところが五人家族になってまいりますと六十円という数字にぐっと下がってまいります。そこで、具体的に働き盛りの青年が九十円なり、また五人家族で六十円なり、皆さんでしたら一体いま何をおとりになって召し上がるか、そういうことも聞いてほしいというのですね。一体何を食べてこの五人家族がやっていけるか、こういうことなんです。実際問題、何を食べてこれでやっていけるとおっしゃるのかどうか、その辺のところ、お二人どうでしょうか、ひとつ皆さんのお食事とからみ合わせてちょっとお答えいただきたいのでございます。
  105. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) あまり小笠原委員にこの関係の御説明を申し上げたことがないと思いますので、おわかりのこともありましょうけれども、一通り申し上げさせていただきたい。
  106. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 時間がございませんから、私の申し上げたことだけを簡単にお願いしたいと思います。
  107. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) この標準生計費は私どもがただ空にはじき出した数字ではないということ、これはおわかりいただけると思います。それで、何のためにそれを給与勧告に使っているかということが大事だと思います。それは私どもが従来ここでたびたび御説明しているのでありますけれども、高校卒の十八歳の男の人が初任給としてもらうその額をきめますときに、普通原則としては民間との格差をきめますけれども、これらの計算上、標準生計費の一人分というものから見て、それが低過ぎる場合にはこれを押し上げるために使っておりますと、それが表向きのたてまえでございます。  去年、それからことしの場合は、初任給を少し高く――まあ小さい声でしか言えませんけれども、高くきめましたものですから、民間給与よりも実はちょっと上がっておる。いわんや標準生計費も何百円か上がっておるというところできめましたものですから、ほんとうはいままでのたてまえからいうと一向問題にならない。しかしながら、問題にならないのじゃなくて、実はいまおことばにありましたように、二人世帯の人は一体どれくらいなければいけないか、三人世帯はどうだ、世帯をお持ちになる結婚年齢はどうなんだろうかという点について、私どもはやっぱりこの標準生計費の二人世帯、三人世帯ということをながめながら、何等級の何号俸は幾らになるだろうかというところまで考え合わせてきめておるというところの誠意だけはお認めいただきたいと思います。
  108. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 みんな精神主義でおっしゃってしまうのですけれども、これは非常に低いのだということはもうお認めになっていらっしゃるし、まあ努力をすると言われても、結局こういうものが基礎にあっていろいろ考えていらっしゃるわけだと思うのですね。そうすると、これでは、実際問題こういうものでは、いまの現実の物価高では全くこれは非常識なものだというふうに私たちは考えるし、当然、お答えいただかなくても、こういうもので食べていけるとはお考えになっていないと、そういうふうに考えていきたいと思うのです。  また、今度、萩原委員から出されましたけれども、住宅の問題が全く触れられていない。先ほどもこちらに入っていないから本俸のほうに入っていると。まあ入っている入っていないということは抜きにいたしましても、実際にいま住宅がどういうよう状態になっておるかというようなことを、たとえば教育労働者の場合ですと、文部省としても非常にこの住宅問題というものは教育との関係で大事な問題だと。それで、これについての調査というようなものも出されておるのでしょうか。
  109. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) 従来、文部省で教員の住宅に関します施策といたしましては、特に僻地におきます教員の住宅を直接文部省の補助金でやっておるわけでございます。それで、僻地の教員の住宅の施策に関しましては、ただいまお尋ねになりました数値を把握いたしておりますけれども、全数といたしましてはまだ資料が不十分でございまするので、これから実態把握をする企画をいま立てているところでございます。  僻地関係で申し上げますと、現在僻地学校として指定されておりまする学校に勤務しておりまする先生方がおりますが、現有戸数といたしましては大体約二万一千戸、そのうち国庫補助事業で整備いたしましたものが七千六百二十月前後でございます。これが四十三年度の補助金、僻地関係の補助金、それから公立学校共済組合のほうの融資で建てるものもございまして、そのうちの大体三分の一前後が僻地のほうではないかと思いまするので、そういう推計も入れまして、国庫補助事業以外で四十三年末に大体整備されると思われまするのが大体一万三千四百戸ございます。で、差し引きいたしますと、四十四年以降、現在持っておりまする戸数としましては大体六千七百戸ぐらいが不足ということになって、四十四年を迎えるのではないか。この数値を目途といたしまして、僻地の教員住宅につきましては明年度の予算の編成等を通じまして前進の措置をはかってまいりたい、こういうよう考えを持っております。ただ、この数値も、僻地の教員の異動がございまするので、異動する教員の住宅事情は異なっておりますから、この数値も若干は浮動は出てまいろうと思いますけれども、大体状況は以上でございます。
  110. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いま僻地の場合を伺ったわけですけれども、僻地ももちろん住宅はたいへんだと思いますけれども、最近の傾向といたしましては、都市での住宅というものが非常に大きな問題になっておるわけで、ほんとうに、あとで通勤費とからめていろいろ伺いたいと思うのですけれども、そういたしますと、もうこの住宅費というものは、ただでさえも低い賃金、決して十分ではないという中で、住宅費というものが大きなウェートを占めておるわけです。そこで、この標準生計費のうちで住宅費のほうを見ていきますと、まことに漫画的な結果が出てくるわけでございます。五人世帯で六千七百二十円であると。そういたしますと、東京でちょっと借りるといたしますとせいぜい四畳半、安いところで六畳。六畳で五人世帯が住んで、そうして教育者としての生活を保っていかなければならない、こういう数字も出てきているわけなんです。  そこで、お伺いしたいわけですけれども、文部省としては期待される人間像とかいろいろとビジョンをお持ちになっているようですけれども文部大臣としては期待される教員の住宅像というものは一体どういうふうに考えていらっしゃるか、その点ちょっとお伺いしたいと思います。
  111. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 住宅関係の状況が全体的に見ました場合にも大きな問題が残っておるということでございますが、政府としましては、住宅の供給というところをまず大きな政策として推進しておるわけでございます。その間にあって教職員の問題を考えましたときに、人事を円滑にやってまいりますそういう点から考えましても、住宅問題について文部省としても特別な配慮をしてほしいと、こういう心持ちで実は人事院のほうに対しましても、事教職員に関しては住宅手当の問題をお考え願いたいということは始終申しておるところであります。まだ遺憾ながらそこまで来ておらないので、現状は先ほど審議官からお答え申し上げたとおりでございますが、私は教員の特殊事情というものを考えまして、やはり現在の段階においては住宅手当というものについて何とか実現をしたいものだと、こう思って、今後努力は続けてまいりたいと思います。
  112. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 期待される住宅像というのはどうでしょうか。大臣、どういうふうに考えていらっしゃいましょうか。
  113. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) どうも私もよくわかりませんけれども……。
  114. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 どれくらいあったら教員にとってまずまずいいというふうに目安をつけてお考えになられるでしょうか。
  115. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 数ですか。
  116. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いえ、広さです。
  117. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) いまの住宅は、国全体から見ましても、まことにお粗末な住宅が多いのであります。もっと住宅としましては建坪も広いほうがよろしいと思います。まあ教員が落ちついて勉強ぐらいできる、こういうふうな家でなければならぬと思います。特に教員について格別の住宅像というふうなものは、もちろんまだできておりません。
  118. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 先ほど僻地の調査というものは一応伺いましたけれども、やはりこれは僻地じゃなくて都市で非常に大きな問題になっているわけなので、ぜひ文部省としてもこの住宅問題というのを真剣に考えていただけるならば、教職員関係で住宅というものの実態はどうなっているかということを、たいへんなことかと思いますけれども、ぜひ御調査いただいて、これからの住宅の問題を解決する一助にさせていただきたいと思いますので、それをお願いしたいと思います。  それから、先ほど人事院総裁のほうから、まあ民間がそこまで行っていない、だから住宅費という問題は、というようなことがちょっとございましたけれども、民間でも四三・一%くらいは住宅費というものを支給している。特に公務に類する住宅というものについては五五%くらいのところで支給されているというよう状態も現実に出てきているわけです。そうしますと、人事院のほうとしては、民間がどれくらいになったら人事院としてはその住宅費を出そうというふうに考えていらっしゃるのか。常識でいえば、民間でも半分以上は出すようになってきているということでは、当然出すという立場に立っていただけると思うんですけれども、そこはいかがでございましょう。
  119. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) ごもっともなお尋ねだと思います。私どもはそういうお尋ねに対しましては、民間の圧倒的多数が手当を出すようになったら、というような言い方をしておりますけれども、その裏には、どうしてもさっきの配分の問題がこびりついているものですから、たとえば住宅手当は六千円ぐらい出せるようになったら、ことしの賃上げはがまんしてくださいよというにらみ合いの問題がある、そういう問題もひとつ大事だと、そういう気持ちでおります。
  120. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 時間もございません。次に通勤費についてお伺いしたいと思いますけれども、今回三千六百円までということに努力していただいたということは確かでございますけれども努力していただいた分より以上に通勤費というものは非常に上がっております。御承知のように、国鉄は上がり私鉄は上がり、またきょうからはバスも上がるかという各地が出てきているわけなんです。私のほうも、この通勤費というものは非常に配慮されたというにしては実態から非常にかけ離れているということで、いろいろ調べてみたわけなんです。たとえば東京で、これは神奈川県に住んでいて八王子につとめている先生、三千六百円かかるそうです。今度上限三千六百円。しかし、三千六百円まるまるもらえるわけではなくて、二千四百円以上は半分ということになれば、相変わらず六百円の自己負担というのが出てまいります。  今度その奥さんはどうなんだというと、奥さんは南多摩におつとめになっていらっしゃるのです。このごろひとつ出てきたのは、自家用車の問題。自家用車を持つようになってきたから、日本の国民生活は非常に豊かになったというふうに一方でおっしゃられるかもしりませんけれども調査してみますと、決してぜいたく品ではございません。必需品になってきているという関係もございます。特に保育所というものが不足している中で、二人もおりますと、方々連れていかなければならない。この奥さんも自家用車で子供を保育園に預けていく。そして先生としておつとめにいらっしゃる。この場合ガソリン代が月に四千五百円かかる。これがバイク並みの七百円支給になってしまっているわけです。これは東京の一つの例にすぎません。  また、今度神奈川県などに参りましても、たとえば本俸もらっても、扶養手当をつけてもらっても、また通勤費をいただいても、所得税や住宅税、長期掛け金、短期掛け金というような掛け金やいろいろのものを引かれますと、そこから通勤費というものは非常に重くなってきているわけなんです。  そこで、要望といたしましては、これはどうしても通勤費にまで税金をかけるというのは非常に不合理だ。これはもうそちらの関係でないかもしれませんけれども、こういう問題点が一つあると思いますし、また通勤費というのは、たくさんかかったから、たとえば五千円かかったから五千円支給されたとしても、これは出ていってしまうものでございますね。決してもらったものがプラスになるものではないとすれば、またいまの住宅事情から考えれば、やっとさがし当てたという家がはるか遠くにしかないということになりますと、これが個人負担にかかるというのはどうしても納得ができないわけです。そこで、交通費については、実費負担というようなことにまで努力をしていただけないものだろうか。そしてまた、先ほど言いました自家用車の問題についても、バイク並みというのではなくて、ここまで進んできたということの上に立ってその辺のところをお考えいただけないものかどうかということを、ちょっとお伺いしたいと思うわけです。
  121. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 通勤費の問題は、全額を支給せよというような声が相当ありますことは十分承知しておりますし、またそのもの自体相当重要な問題であるということも十分認識しておるわけでございます。したがいまして、ただいまの、今度の勧告にあたりましても、一応前に比べて五割増しということでいっております。したがって、従来一々私どもが距離の輪を書いて、前と今度ということで慎重にやっておりますけれども、従来よりへこむことはまずないという確信を持っております。いいにこしたことはないので、そういう御要望は御要望として今後も十分考えながらいきたいと思いますけれども、ことしの私どもの自慢は、このバイクなどとそれから交通機関との併用ですね、これが長年の御要望であって、なかなかわれわれ踏み切れなかったのですけれども、ことしとうとう踏み切ってしまいまして、この点はおほめいただいていいことだと思います。
  122. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 御努力いただいたという点はわかるわけですけれども、先ほど時間がないから申し上げませんでしたけれども、全国的に見て非常に大きな通勤費というものが負担になって、多いところでは月一万円から負担になっているというふうなこともございますね。そうしますと、これは非常に私たちとしては、もう教育者の場合は特にくたびれるということと一緒に、経済的な圧迫も出てくるわけです。そこで、三千六百円にまで上限を上げていただいたことはいいのですけれども、それはどういうふうな基礎に立ってお考えになったのか、こういうような実態というものは現実に御調査いただいたのかどうか、その辺のところをちょっと伺いたいと思います。
  123. 尾崎朝夷

    説明員尾崎朝夷君) 通勤手当を定めるにあたりましては、民間における実態を調査いたしますとともに、公務員の側におきまして職員がどういう通勤費を払っているかということの関係調査をいたしてございます。最高の三千六百円、通勤費負担といたしましては四千八百円でございますけれども、この限度という関係は大体九五%程度がカバーされる、原則として。例外を除きまして、まず大部分がカバーされるという点で定めているわけでございます。
  124. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 この通勤費の問題ずっと調べていまして、非常にここで大きな問題が出てきましたのは、この人事異動でございます。そこで、文部大臣に、給与とちょっと関係はございますけれども、人事異動のことちょっとお伺いしたいと思うわけですけれども、たとえば高知のほうなんかの実態を見ますと、今度非常に大幅な――毎年高知は特にやられているわけですけれども、人事異動というのが大きく出てきております。そこで出てきているのは、夫婦、親子、家族、ひどいところは三人別居というような問題が出てきておりますし、また特にひどい問題としては、産休中にもう遠隔の通えないようなところに飛ばされたというような、特に婦人教師に対しての圧迫というものが出てきております。それからまた、とうてい通えないようなところに飛ばされるというようなことが出ていますし、また、組合活動で役員をしていたというような方が、非常に私たちに言わせれば報復人事というふうにしか見受けられないようなたいへんな異動がございます。そういうようなことを見てみますと、これはもう教育の効果をあげるための広域人事の交流というようなものではなくて、ある人はもう妊娠していたのを中絶しなければそこへ行けないというような方や、また御病人があった場合には、無医村に行くということになってしまいますと、これは命の問題にかかわってくるわけなんです。こういう広域のミサイル人事などといわれているような事実が私のところに、調べてみましたらもう各地に出てきているわけです。高知だけではなくて、北海道にも出てきている。こういうような実態ですね、こういうような実態を文部大臣として御存じだったのかどうかということなんです。このことちょっとお伺いしたいのです。
  125. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 文部省としましては、地方の教育委員会が人事を行ないます場合にはもちろん公平、適正な人事をやるということが基本の態度でございます。私としまして個々の問題について一々は承知いたしておりませんけれども、そのことがやはり教育行政の信頼を増し、また教育の効果の上においてもいい結果が出るような人事をぜひやってもらいたいものだ、そういう方向で指導はいたしておるところでございます。    〔委員長退席、理事松博文君着席〕
  126. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そういうようなお考えだと承ったわけですけれども、通勤費の問題ともからみまして、たとえば具体的に一つ例をあげますと、高知から須崎というところまで三千五百九十円かかる。須崎からバスで三千三百六十円かかる。それがまたちょうどきょうからバス代が値上がりをいたしました。こういうのが出てまいりますと、一万円くらいかかるというのが出てきております。それで、通勤時間というのがどれくらいかといいますと、ひどいのは片道二時間半でございます。こうなりますと、いろいろなむずかしい判定は抜きにいたしましても、一日二時間半かかって往復五時間電車にゆられバスにゆられ、そうして財政的には一万円近くの負担がかかるということになれば、決して教育者としての任務を十分に果たすことができないというふうに私たちは考えているわけなんでございます。   〔理事松博文君退席、委員長着席〕 そういう点についても、文部省としても各地でこれが、決して御存じないのじゃなくて、具体的な例は御存じないかもしれません、こういう事実があるということについて、文部省はこれについて、こういうことがあるという事実が出ておりますので、これについてどういうふうに善処をされていこうとなさるか。地方教育委員会に対してもちょっとそこのところたいへんな問題として出てきておりますので、お伺いしたいと思います。
  127. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 一つ一つの人事異動ということになりますと、個々のそれぞれの方々の立場上いろいろ問題点もあろうと思うのでございます。そういうふうな点から、いわゆる通勤手当の問題も考えなくちゃならぬ問題でありますし、先ほど申しましたように、人事の異動を円滑にやっていきますためには住宅の入手というふうな問題についてできるだけ便宜をはかりたい、こういう意味で、一般的には住宅の数をふやすということもありましょうが、住宅手当、こういう問題について文部省としては深く関心を持っておるわけであります。何とかその方向で便宜をはかりたいものと思っております。
  128. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いままでのところで、生活の問題を通しまして、この人事院勧告というのが、一万円要求しているという切実な要求に関して、決してその要求には満足どころか、満足ではないなどという程度のものではなくて、これは全くと言ってもいいほどまだ要求が満たされていない人事院勧告でしかないということが、結論とすれば私は出てくるんじゃないかと思うのです。  そこで、次にお伺いしたいのですけれども、そうすれば、いま非常に大きな任務を持たされている教育労働者、また公務員労働者、この公務員労働者に対して人事院というものは一体どういう任務を持って、この教育労働者なら教育労働者に対して人事院というものはどういう立場に立ってなされるかという、人事院というのは一体何のためにあるんだというところですがね、根本的にちょっと教えていただきたいのです。
  129. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) それを本気でお答え申し上げますというと、ずいぶんこれは時間かかると思いますので、省略さしていただきますけれども、給与問題に関して申し上げれば、私どもはやはり公務員の生活権の擁護ということがどうしても第一だということと、もう一つは、やはり人材を確保しなければならぬ、そんなことを基本的な柱として問題に臨んでおるわけでございます。
  130. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それが出されていないわけですね。生活擁護というのはできていない。こういう賃金でこうひどいことをやられるんじゃ、全然先生なんかになり手はないということで、人材確保ということも現実にできていないわけですね。にこにこ笑っていらっしゃるところを見れば、そう思っていらっしゃると思うんですね。そういうふうな人事院の立場でしかないということですね。しかも、この人事院というのが、労働者の権利としての戦う権利も持たされないままに、これが代償として出されたのにかかわらず、これだけの立場には立ち切れないというところに非常に問題点が出てくると思うわけなんです。先ほど萩原委員も出されましたけれども、今度ここのところに、公務員給与における成績主義の推進をはかる上からというようなことがかちんとくるわけでございますね、私たちといたしましては。これはもうそちらとしてはいい意味で成績をあげたいと思っていらっしゃると思うのです。具体的に、先ほどお読みになりましたね、勤務表の上位の評のところが特昇に入ると、そういうようことばでは伺ったんですけれども。  文部大臣にお伺いしたいのですけれども、教師が教育をする立場に立ったときに、業務成績の向上とか教育の能率を増進するというようなものは、具体的に現場で教師が教育する場合にはどういうことをさしているのでしょうか、その辺ちょっとお伺いしたいと思います。
  131. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 政府委員からお答えいたさせます。
  132. 諸沢正道

    説明員諸沢正道君) 制度の上から申しますれば、教員も含めまして国家公務員地方公務員を通じて勤務評定をするということになっておるわけでございまして、しかし、国家公務員についてとりますならば……
  133. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 すみません。国家公務員でなくて、私申し上げたのは、教育の現場で先生が子供を教育するときに、教育の上で業務成績をあげるということが一体どういう教育をすることなのか。ここに教育の能率増進と書かれているけれども教職員の立場に立てば、この勤務評定される問題としての教育労働者が能率をあげるというのはどういうことをやったら成績があがるのか、ここがむずかしいところなんですよ。製造業なら箱幾つつくればこれは成績がいいというふうに割り切れる。そのむずかしいのを教育労働者に適用した場合には、一体どういうことが業務成績の向上になり教育の能率を増進したことになるか、そこをしぼって具体的にお伺いしたわけなんです。
  134. 諸沢正道

    説明員諸沢正道君) おっしゃいますように、確かに公務員の勤務評定といいましても、一般の行政職の職員と違いまして、教員の場合には児童生徒といった人間を扱うわけでございますから、その評価というものは、したがいまして、非常に機械的、個々評定項目によってなかなかできにくい場合もございますが、実際に評価としましては、校長として当該学校の教員を見ておりまして、それぞれの教員が担当児童の教育を、徳育、知育、あるいは体育、全般的にわたりまして扱っておりますその教員の教務に当たる執務ぶりというものを評価いたしますれば、おのずからそこに従来とも評価はやっておられるという実態であろうと思います。
  135. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 どうもいまのではちょっと具体的ではございません。そうすると、結局、全般的に校長が管理職の立場で見ているというところで判断になるわけですよね。これは実際どういうことでやっているということを答えてほしいということで、私どもが無理だと思って御質問申し上げているわけなんです。教育の場合には、はかる尺度というものが物理的には出てこないわけですから、そういたしますと、この勤務評定的なものが教育職の中に持ち込まれるということは、これは非常に大きな問題だと私は思うわけなんです。  たとえば、これもたいへんな例だと私は思ったんですけれども、子供たちに、自分が一番困ったときにだれに一番先に相談しますかと、こういう子供と教師の立場のことを重視してアンケートを出しますと、先生に相談するというのはわずかに九%しかいないのですよ。私たちの感覚でいえば、一番先生というものが信頼されて、困ったときには相談にのってもらえるんだろうと答えてくれるものと思ったら、わずか九%しかございません。そして、あなたは学校で先生から信用されていると思うか、子供は教師から信用されていると思うか。思うというのはわずかに七・二%、こういうような数字が実際に出てくるわけなんです。そうしますと、今度の人事院勧告の中で、こういうような業務成績、能率増進というようなことで勤評がますますやられるという危険性というのは、これは当然持つと思う。  しかもまた、給与表で見ましても、たとえば一等級ですね、教育職(二)の一等級と二等級の差というものを調べてみましても、去年よりも差が拡大しているわけですね。千二百円ふえておりますよ。それを私たちから見ますと、これも管理職の校長のほうに手厚くして、そして教員という立場の二級職のほうは去年よりも差が広がったということになると、これも一つの勤評の事実ということとして考えられるわけなんです。こういうことから考えますと、教育の場に勤評的な問題が持ち込まれるということ、また給与の中にもこういう点が持ち込まれるということは非常に危険なことだ、こう考えるわけですけれども、その辺の文部大臣のお考えになっていることと、人事院総裁がこういうふうに実際に差がつけられているということについてどうお考えになっていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
  136. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) なかなか実際問題となるとむずかしい点もあろうかと思いますけれども、成績のよい者を優遇するという考え方は、これは認めていただかなければならぬと思います。その結果といたしまして、数字的に差等を設けるということも出てくるであろうかと思います。私もそういう問題については非常にむずかしい問題だということはわかりますけれども、しかしまた、いま申しましたような趣旨をどこかで貫いていかなければならぬというようなことになり、現在のよう人事院の扱いを私どもとしましても尊重して運用したいということになろうかと思います。
  137. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 人事院総裁はいかがですか。
  138. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 申すまでもありません、成績主義と申しますか、実績主義と申しますか、これは公務員法、給与法を通じての基本原則になっているわけで、それに基づいて勤務評定の条文もあり、また特別昇給の条文もあるということであります。私どもは、これらの二つの法律を完全に実施しなければならぬ責任を持っております立場からいって、勤務評定も十分やっていただきたい、特別昇給もそのワクを広めて、よくやってくださる方はその待遇を受けさしてあげるようにしたいということでありまして、要するに勤務評定のやり方が職種によっていろいろむずかしい点は、それはあるだろうと思います。それはその職種職種ごとによって適切な評定のあり方ということを考えて、それに対処していくべきである。公務員法もそれを前提としているというふうに私ども考えて、この問題に臨んでいるわけでございます。
  139. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 この勤評問題については、非常に私たちも重要な問題だと考えているわけです。たとえばユネスコの教師の地位に関する勧告の中を見ましても、六十四号の一に、教員の仕事を直接評価することが必要な場合には、その評価は客観的でなければならない、またその評価は教員に知らされなければならない、こう書かれているわけです。現在の勤評というのは教員には知らされていないわけですね。秘密主義になっております。そこで、先ほど子供が教師を信頼していないという数字をあげましたのも、実はそこに関係してくるわけです。やはり教員とあれども人間で、食べるということは必要な条件になってくる。そうすると、やはりよく評価してもらおうとすれば、子供のほうに目が向かないということは当然出てくるわけでございます。しかも、狭い住宅にごちゃごちゃ住んでいて、給料は足りない。一日六十円でやっているとすれば、ほんとうに能力というものも限界というのが出てくる。そうすると、子供の教育というものは、一人一人の子供の実際を見て、そうしてその子供の全面的な発展というものの立場に立って見ていかなければならないとすると、こういう子供たちの教育というものはとてもできないと思います。それの一つは、いまの先生たちの自主性が失われて、そうして上を向いていかなければ自分たちが生きることができないというようなことも一つの弊害として私は出てくると思うのです。そうしますと、このユネスコの教員の地位に関する勧告の中に出されているように、評価は客観的にされなければならない、またその評価は教員に知らされなければならない。そうしてまた、教員は不当と思われる評価がなされた場合には、それに対して異議を申し立てる権利を持たなければならない。いかなる勤務評定制度も関係教員団体との事前の協議なしには導入され、あるいは適用されてはならない。これは非常に当を得た当然の勧告だと、こう私は思うのでございますけれども、これについて文部大臣はどういうふうに評価なさるか、お伺いしたいと思います。
  140. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 勤務評定の問題は私もだいぶ印象の深い問題でございますが、その実施の成果というふうな問題につきましては、始終われわれも関心を持たなければならぬと思います。どんな手続でこういうふうになっているか、現在のことを私よく承知いたしておりませんけれども、いま御指摘になりました勧告は、われわれとしましては世界各国の教育界に対する一つの勧告だと思っているわけでございます。したがって、その勧告をどのようにわれわれがそしゃくしていくか、消化していくか、こういう問題は、やはりそれぞれの国の実情というものを考え合わしてやっていかなければならぬと思います。勧告の趣旨は、一般的に申しまして、もちろん尊重すべきものだと思いますけれども、どれをどういうふうに扱っていくかという問題については、それぞれの国の実情に応じて行なっていかなければならないというふうに思っております。
  141. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 大臣自身は、いま言ったような内容については、これは妥当だと、正当なものだというふうにごらんになっていますか。
  142. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) その後勤務評定問題について私もあまり勉強いたしておりません。ただ、現在の制度をいま改めるか改めないか、こういうふうなことにつきましては、別に改めようという考え方もいたしておりません。いまの勧告は、十分その趣旨を吟味してみたいと思います。
  143. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 時間がもうあと五分になりましたので、次に移らなければならないわけですけれども、いままで聞いていますと、これは不十分な勧告であるということを認めながらも、こうならざるを得なかったと。その原因というのは、先ほどちょっと伺いますと、予算がないというふうな御説明だったと思います。そうすると、総合予算主義で押えられているからこれは非常にたいへんぐあいが悪いのだということもおっしゃいましたし、戦いのあとのいかんによってはさいふのひもがゆるむこともあると、こういうふうにおっしゃいましたね、先ほどの発言で。それはこれからもそれではみんなでやればさいふのひもはあくんだと、たいへんいいことをおっしゃっていただいたわけなんですけれども、そういたしますと、予算というのはやりくりすれば出てくると、こういうことになるわけでございますね。
  144. 二木謙吾

    説明員二木謙吾君) 私も前に申し上げましたとおりに、やはり勧告が出たらそのとおりにやるべきが至当であろうと、かよう考えておるものでございますが、これは一面やはり国の財政ということをひとつ考慮に置かなければならない、かよう考えておる次第でございまして、いまお話しのとおりでございますが、大体今年度の予備費は千二百億組んでございます。その中でやはり全部みな公務員給与に充てるというわけにもまいりません。大体五月実施にいきますというと、大体  一般会計で八百二十一億……。
  145. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 もう時間がないので、すみません、途中でございますけれども。  それじゃ、来年度予算というのは自然増を幾らくらい見積もっていらっしゃいますか。
  146. 二木謙吾

    説明員二木謙吾君) それはまだ、六月までの税収を見ますると、あまり伸びておりません。しかし、まあいまのこういうような問題が起こらぬように来年度はひとつ私ども考えたい、こういう考えでございます。
  147. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 結論からいえば、文部大臣も、人事院としても、また給与局長としても、この勧告では十分じゃないから出したいのだ、しかし大蔵省の側からいえばこの総合予算主義という国全般の財政の問題からこういう結果になったということになるわけでございますね。
  148. 二木謙吾

    説明員二木謙吾君) 要するに金がないということでございます。
  149. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 金がないと言われると、また非常にひっかかりが出てまいります。時間がないからこれで切って……。ほんとうに非常に残念なところ、いいところがだんだん出てくるのです。  もう一つだけお願いしたいと思います。私たちとしては、これは第三者的に見るのじゃなくて、自分たちの問題になるわけでございます。そうすると、正当な権利としての憲法に保障された労働者の戦う権利というのも取られてしまった。そして代償として出てきた人事院勧告も非常に、精神的に努力をしていただいたということは評価はいたしますけれども、具体的に生活を守り教育労働者としての任務を果たすというところまでには全く不十分な勧告しか出ない。そこで、教員たちはやはり、まずいい教育をしたいというのが教師のほんとうの気持ちでございますし、そのためにも、先ほど小林委員などから言われていたように、たいへんな苦労の中で、いままで教育者として奮闘してきたわけなんです。奮闘いたしますと、すぱっと首切りというのが出てくるわけなんです。そうしますと、文部大臣がいい教師を、これからいい教師として活動をしてもらい、日本の次代をになう子供たちの教育を正しく推し進めるために、また人事院総裁としては、教育労働者の生活を守っていくという立場に立って、一体どうしたらいいという、そういう見通しをお持ちでしょうか。  それから、特に、もう時間がありませんから続けて伺いますが、新聞などの報道によりますと、人事院制度についてA案、B案というのが出ております、十一月調査四月実施というような。そうすると、またもう一つのほうでは、この人事院制度というものじゃなくて、政府が給与決定ということを直接やっていこうというような、そういう動きもあるというよう新聞もちょっと拝見したわけですけれども、まあ第一問として申し上げました、こういう権利は取られてしまった、正しい教育をしようと思えば首を切られる。一体それではどういうふうにしたらいいと、皆さんの立場で、教育労働者の責任者としての文部大臣、それから人事院総裁にお答えをいただいて、そのあと今後出ておりますA案とかB案とかいうような問題について、どういうふうな動きになっておるのか、また担当の立場ではどう改善するというような案をお持ちになっていらっしゃるのか、最後の質問として、それをお伺いしたいと思います。
  150. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) お話の中に、いい教育をしようと思えば首になるというふうなお話がございましたが、さよう考え方は毛頭ございません。いい教員はより優遇されるようにいたしたいと思っております。  今回のこの人事院勧告に対する政府閣議決定の経緯につきましては、先ほど来申し上げておるとおりでありまして、われわれとしましては、少なくとも私の立場におきましては、いかにも残念だということを申し上げざるを取ないと思います。初めから値切るつもりで政府がものを考えるということがあってはならない。できるだけ少なくともその人事院勧告に忠実に、その実現を期していくということが政府のとるべき態度である、かよう考えておる次第でございまして、今回はいかにも残念なことでございますけれども、御期待に沿うことができなかったということであります。  ただ、人事院勧告並びにそれに対する政府の態度という問題については、もっと取り扱い方に検討を要するところがあるんじゃないか。一つのあれとして、よく言われることでありますが、今年度半ばに人事院のほうから勧告をされる、それに対して政府財政的に対応していくというところに、従来からもいろいろ問題があったわけでございますが、A案、B案、C案というお話がございましたが、そういうふうな意見もいままで出てきておる意見でありますけれども結論を得ないままに今日に至っておる状況であります。別にそれにとらわれておるわけではございませんけれども、私どもとしましては、年々せっかく人事院から勧告をいただいても、それが一〇〇%実行し得ない状態で今日まで何年かたってきておるということは、何とかして避けたいもんだ、こういうよう気持ちがいたしております。できることなら一〇〇%実施するということでやってまいりたいという考え方をいたしておりますので、その方向においてこの年末までに、人事院総裁にも加わっていただきまして、よりよい道はないかということを検討してまいりたい、できることなら一〇〇%実施という線を確保したいという方向で努力をしてまいりたいというのが現段階でございまして、これからなお十分研究いたしまして、そういう方向でいい結論が出るようにと努力してまいりたいと思っております。
  151. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 先ほどのことばの中に、勧告自身が不十分だということを私が認めて、にこにこと笑っておるというような御表現がございましたけれども、私はにこにこ笑ってはおりませんので、これは苦笑いをしておったのであります。一万円上げてくれという御要望に対して考えれば、これは残念ながら不十分だと言わなければなりませんけれども、そこで今回の勧告はやはり私どもの立場では正しい勧告だと思っております。その正しい勧告がわれわれの勧告どおりにいっていない。五月にさかのぼって実施していただきたいということを強く要請しておるにもかかわらず、それがそういうふうにいかなかったということはきわめて残念なことなんであって、この措置は私は不十分だということばをそこに使ってよろしいと思われる。  今後の問題として、御承知の、ただいまもお話のありましたように、閣僚協議会が開かれております。私も率先してそこに加えていただいて、私どもの意のあるところ、また要望するところを大いに強調してまいりたいと思っておりますが、要するに結論はお金の問題で、たとえばことしの場合にしても、かりに二百億それにプラスされておったならば、完全に五月から実施されておったはずじゃなかろうかという素朴な考え方もあるわけでございまして、私どもは来年度こそはという意気込みをもって――もっともことしまだ国会に対する勧告がどうなるかということがまだきまらぬというのに、早手回しのことは申し上げませんけれども、少なくとも今後に対しては十分やはり完全実施の方策が確立されるよう努力をしてまいりたいと思います。
  152. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 ちょっと重大な発言が出てきたので……。
  153. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) だいぶ時間が過ぎておりますが……。
  154. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 あと十秒ください。  それでは、総裁としては、この人事院勧告全体のこの額については、もう正しい勧告であると、そうお思いになっていらっしゃるというわけですね。いま残念だというのは、五月実施ということができないだけが残念だと、そういうことなんですか。それじゃ先ほど私が申し上げましたような、この生活費の中でほんとうに生活できるのかどうかということを申し上げましたね。そういう問題についても、これで食べていって教育労働者教育ができると、こういうふうにおっしゃるわけですか。
  155. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) それを申し上げるとまた一時間ぐらいを拝借しなければ私は私の意のあるところをお伝えできないと思います。結論を申し上げれば、あらゆる方面から勘案して今度の勧告自体は正しいと私は信じております。
  156. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 速記をとめてください。   〔速記中止〕
  157. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) それじゃ速記を起こしてください。川村清一君。
  158. 川村清一

    ○川村清一君 私は先般八月二十七日の本委員会におきまして、人事院勧告の内容について、あるいは完全実施に対する関係閣僚の決意いかんといったような問題について、お尋ねしたわけでございます。で、その席におきまして、完全実施につきましては総務長官並びに文部大臣から非常に力強い決意の表明がありまして、私も喜んでおったわけでございますが、舌の根もかわかぬうちに八月の三十日、突如、もうすでに閣議決定してしまったということを私新聞で承知いたしまして、非常に心から憤激を覚えているものであります。いまさらことばじりをとるわけでもございませんけれども、私の質問に対しまして総理府の長官は、「私といたしましては、人事院から出てまいりましたこの勧告に対しまして、全力をあげてこれの実現をいたすべく邁進をいたしたい、かよう考えております。」と、こう答弁しておる。さらに文部大臣に対しまして、私は、あなたは新聞によりますというと非常にこの関係閣僚会議でがんばっていらっしゃるということを聞いて、それは当然のことながら敬意を表しております、ぜひ最後までその態度でがんばってください、ことしは完全実施されないことによって教員組合などがストライキなどをやって、そのことによって末端の校長やあるいは教育委員会を困らせないようにということを申し上げた。それに対して灘尾文部大臣は、「お尋ねの点につきましては、私としましては極力努力してまいりたいと思っております。」こういう力強い御答弁をされたのであります。極力――まあ、ことばじりをとるわけではありませんが、極力ということは力の極限ということでございまして、私はその前提に立って大臣は職を賭してひとつがんばってくれということを申しました。これに対してこういう御答弁があった。ところが、三、四日たったら、もう三十日に閣議決定してしまった。がっかりしてしまったわけであります。  そこで、私はこの際灘尾文部大臣にお尋ねしたいのですが、あなたはほんとうに、極力、力の極限までがんばったのか。閣議決定のときにもあなたは最後まで反対したのか。どうも新聞紙上拝見するところによると、閣議決定はこれは満場一致決定されたようであります。ですから、あなたは最初は反対しておったでしょうが、最後には賛成されたと、こういうふうに受け取らざるを得ないのであります。極力がんばったのかどうか、それをはっきりここでもう一度おっしゃっていただきたいと思います。
  159. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 関係閣僚の協議会の際に、私としましてはできるだけの努力をいたしたつもりでおりますけれども、最終的に、通勤手当の問題を除きまして、他の部分につきましては八月より実施するもやむを得ないという結論になりましたので、そのようにひとつ御了承をいただきたいと思うのであります。いかにも力足らず残念に思っておりますけれども、協議会としてそのようなところで結論を得るに至ったのでありまして、八月実施という問題につきましても、なかなか異論のあった問題でございます。それだけは少なくとも後退することは許されないということで、何か少なくとも前進したいものだというふうなことであのよう結論になったわけでございますし、同時に、先ほど来話にも出ておりましたように、どうも人事院勧告政府のこれに対する対処のしかた等につきましてなお検討を要するものがあるので、引き続いて関係閣僚の間で今後は検討を続けていこうということを付記いたしまして結論を得たような次第でございます。そういうわけでありますので、閣議の席におきましては、この関係閣僚結論を報告することによって他の諸君の御賛成をいただいた、こういうことでございます。
  160. 川村清一

    ○川村清一君 総理府長官がおいでになりましたので、ちょっとお伺いしますが、これはもう新聞の囲み記事の中で拝見したのですが、総理府長官は、記者団との会見におきまして、あなたは、ことしは通勤手当については完全実施したのだということで、通勤手当が五月実施ということを非常に自慢なさったような態度で記者会見をされたように見受けたのでありますが、今度のこの三十日の閣議決定につきまして、あなたはあれですか、満足していらっしゃるのですか。そうしてことしは一部は、通勤手当については完全実施だといって新聞記者団に対して自慢をされると、そういうふうな心境で決定をされたのでありますか。あなたの御心境をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  161. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) お答えいたします。  自慢などできるような立場ではございません。
  162. 川村清一

    ○川村清一君 大蔵政務次官、きょうは大臣来ていらっしゃらないのが残念ですが、政務次官、ぜひ私の質問に対しましては、あなたは自信と確信を持って、そうしてほんとうに大臣の気持ちで責任を持ってお答えいただきたい。  私の一番先にお尋ねすることはですね、ことしは公務員給与アップ分については、総合予算主義のたてまえから、当初予算の中に、四十三年度予算を編成するときにすでに組んであった。で、公務員給与分は五百億予備費として組んである、こういうふうに承っておるわけでありますが、しかし、その五百億を組むについては決してやみくもに組んだわけではないと思うのであります。五百億を組んだ以上は、やはりそこに大蔵省としての積算の基礎があって、そうして五百億を組まれたものと思うわけであります。そこで、この五百億を四十三年度当初予算に組まれたその基礎をひとつここで明らかにしていただきたい。
  163. 二木謙吾

    説明員二木謙吾君) 予備費の中で五百億だけを公務員給与に充てると、こういうことは申しておらぬと思いますが、予備費の中で公務員給与考えると、こういうことでございます。
  164. 川村清一

    ○川村清一君 私どもは、公務員給与アップ分については予算費の中に五百億当初において組んであると、こう承っておったので、そうお尋ねしました。  それから、その後国会の中で、特に先般の臨時国会の中で大蔵大臣にお尋ねしましたところが、大蔵大臣は、五百億というワクにはとらわれない、いまの政務次官のお答えと同じであります。千二百億という全体の予備費の中において処置するのだから心配はないのだ、こういうような御答弁が大蔵大臣からなされておるわけであります。この大蔵大臣の御答弁はいまも変わりありませんか。
  165. 二木謙吾

    説明員二木謙吾君) 大蔵大臣完全実施をやるということを申したということは私はまだ聞いておりませんですが、予備費の中で操作をしてできるだけ御期待に沿うようにやる、こういうふうに申したと思っておりますが、いかがですか。
  166. 川村清一

    ○川村清一君 ただいまの政務次官のその御答弁は、大蔵大臣の言われていることと同じなんです。五百億にとらわれない、予備費の中で処置するということなんであります。そうすると、予備費というのは四十三年度予算において千二百億あるわけですから、千二百億のワクの中で処置することになる、大蔵大臣はそういうことを国会の中で言明されておるから。いままたあなたの御答弁を聞いても、大蔵省の方針は変わっていない、こういうふうに私は了解するわけです。  そこで、さらにお尋ねしますが、そうすると、四十三年度の千二百億の予備費の中で、すでに今日歳出決定しておる金額はどの程度ありますか。
  167. 二木謙吾

    説明員二木謙吾君) それは事務当局から答弁させます。
  168. 相原三郎

    説明員(相原三郎君) かわって御答弁いたします。  八月末までに支出が決定しました予備費は約九十四億程度でございます。
  169. 川村清一

    ○川村清一君 八月末まで決定したものは約九十四億、こうなりますというと、まだ千百六億予備費があるわけでございますね。それから、これから来年の三月まで予備費から支出見込みされるものは大体どの程度ありますか。
  170. 相原三郎

    説明員(相原三郎君) 今年度千二百億計上しております予備費の対象となりますものは、公務員給与のほかに災害とその他もろもろあるわけでありますが、その公務員給与以外の分の昨年度の支出あるいは一昨年の支出実績を見ますと、大体七、八百億にのぼるわけです。その大半が災害でございます。これは先生御存じように、災害は秋に多いものでございますから、現在の時点ではまだ幾らになるかということは趨勢としてはつかめません。以上のような状況でございます。
  171. 川村清一

    ○川村清一君 災害はこれはつかめないですけれども、これは国の財政を扱っておるあなた方として、大体長年の経験からいって、八月末で九十四億、これから三月末までかかって災害はどのくらいということは見当つくでしょう。見当つかなかったら、予算なんか組めないでしょう。
  172. 相原三郎

    説明員(相原三郎君) いまの九十四億という数字からも御推測いただけますように、例年八月末現在ではその程度の数字でございます。それが年度末になると大きな数字になるわけでございますから、いまの段階で幾らということを推測することは不可能に近いと思います。
  173. 川村清一

    ○川村清一君 しかし、ことし特に大きな災害が出て、相当予備費が足りなくなった場合においても、あくまでも総合予算主義をとって補正予算は組まないのですか。
  174. 相原三郎

    説明員(相原三郎君) これは大蔵大臣もかねてから御答弁しておるところでございますが、大災害が起こりました場合には補正は組まざるを得ないということは、たしか申し上げておったと思います。
  175. 川村清一

    ○川村清一君 大災害が起きた場合においては補正を組まざるを得ないということであれば、大体平年度において災害がどの程度起きるかということは見当つくでしょう。
  176. 相原三郎

    説明員(相原三郎君) 平年度において、平均はどうであるかということならば、過去の数字があるわけでございます。
  177. 川村清一

    ○川村清一君 それを言ってください。
  178. 相原三郎

    説明員(相原三郎君) それでは、一月から七月までの四十年から四十二年の三年間の、平均を申しますと、大体公共土木関係の災害の報告額の平均は約八百九十億程度でございます。それから、八月から十二月までですと千二十億程度、合計いたしますと千九百億程度の災害報告が過去三年平均では出ておるわけでございます。
  179. 川村清一

    ○川村清一君 千九百億程度の災害報告があって、それで国庫から支出されるものは何ぼですか。これじゃ初めから千二百億じゃ足りないじゃないですか。だから、国庫負担分はどのくらいあるか。
  180. 相原三郎

    説明員(相原三郎君) 千九百億というものは、公共土木関係災害の報告額でございまして、これの大体二三、四%の額がその年度に支出される、こういうことでございます。
  181. 川村清一

    ○川村清一君 そうすると、三百億程度ですか。
  182. 相原三郎

    説明員(相原三郎君) 四百億から五百億の間程度かと存じます。
  183. 川村清一

    ○川村清一君 そうすると、結局、災害の復旧費というものは、これは国が一年で負担するのではなくて、これは三年でやりますから、一年間四百億か五百億ということになると、ことしはあれでしょう、生産者米価、いわゆる米価問題は、いままでの予算からいきますと――補正の要因は一つには公務員給与、一つには米価、一つには災害、この三つが補正予算を組む要素であったわけですね。ところが、ことしは米価が関係ないでしょう。
  184. 相原三郎

    説明員(相原三郎君) 直接には関係ございませんが、たとえば生活保護費のように米価アップ分がはね返るという要素がございます。  それから、いまおっしゃいました公務員給与と米価とそれから災害のほかに、予託金利子等の不足とか、いろいろな雑多な要素がございます。そういう項目例年やはり二百億から三百億程度かかっております。
  185. 川村清一

    ○川村清一君 そうしますと、今度閣議で八月実施ということが決定になりましたね。そうすると、国家公務員につきましては財源が幾らですか。それから、地方公務員については財源が幾ら必要ですか。
  186. 相原三郎

    説明員(相原三郎君) 国家公務員に関しましては、一般会計の負担が八月実施で六百一億、昨年の例で申しますと、昨年はたしか五百四十八億だったんですが、そのうちで不用額が三十億ほど出ております。それで、ことしもある程度人件費の不用額が出るかと思うのでございますが、これはまだいまのところ数字がございません。もう少したちませんと集計ができません。そうしますと、いま申しました六百一億の中からある程度の不用額が出て、その差額を財源措置するということになるわけでございます。  地方公共団体分としては七百九十九億の所要額になっております。これはたしか地方財政計画では七百五十億の措置が計上してあるかと思いますが、ちょっとこれは資料を見ないとわかりません。
  187. 川村清一

    ○川村清一君 そうすると、地方財政計画においては七百五十億計上してある。八月実施で七百九十九億。四十九億ほどこれは不足することになりますね。それから、国家公務員に対しては六百一億ということ。しかし、これは千二百億の予備費の中では地方の公務員のやつは負担するわけじゃないですから、そうしますと、どうも政務次官は先ほどから、総合予算主義の立場をとる、あるいは国の財政全体から見てということが大きな要素になって、結局完全実施しない、八月実施ということに決定したということに受け取っているわけです。そこで、千二百億の予備費の中で、八月実施で六百一億、約六百億として、まだ六百億の余裕があるわけだ。その六百億の余裕の中から、かりに、平年度の災害負担分は先ほどの御説明では四百億から五百億、そして最大五百億取ったところで、なお百億の余裕があるわけだ。その中をとって四百五十億として、百五十億の余裕があるわけだ。  そこで、さっき人事院総裁の話によるというと、五月完全実施ということについて、あと二百億ほどあれば完全実施できるということを人事院総裁が言われておるわけです。そうすると、この予備費の使い分は災害――災害ですから不測の災害が起きたときは足りなくなるのは当然。その場合には補正を組むわけですから、そうすると、平年度の予備費の支出というものは見当がつくわけですから、ついて、さらに相当の余裕があるわけだ。あるにもかかわらず実施しない。  いまお尋ねしますが、かりに完全実施した場合においては、国家公務員については幾ら必要、それから地方公務員については幾ら必要なんですか。
  188. 相原三郎

    説明員(相原三郎君) 五月実施の場合は、国家公務員の負担分は八百二十一億でございます。それから、地方公務員の場合には千九十五億でございます。これは先ほど来国家公務員と申し上げておりますのは、一般会計の負担分という意味でございますから、特別会計はまた別でございます。一般会計の負担分と申しますのは、一般会計の職員分プラス特別会計の繰り入れ分ということで申し上げておるわけであります。それから、地方公務員の場合は、いま申し上げたように千九十五億ということでございます。  それから、いま先生のお話ですが、ちょっと私が舌足らずのために誤解を生じたのではないかと思いますが、私が申し上げたのは当年災だけでございます。過年度の分の負担は別でございますから、いま先生のおっしゃった数字のほかにあります。それから、公共土木以外のその他の災害もございます。
  189. 川村清一

    ○川村清一君 当年災はもちろんですが、過年度災害の負担分も予備費から出すのですか。そんなことはないでしょう。支出の決定しているものを予備費から出すということはないでしょう。
  190. 相原三郎

    説明員(相原三郎君) これは災害のとり方が一月から十二月までというとり方になっておるかと思うのですが、過年災としては四十億程度のものが予定されております。
  191. 川村清一

    ○川村清一君 しろうとだと思ってごまかしてはだめですよ。予備費なんだから、予備費というのは不測の事態が発生したときに出すのが予備費なんだから、当年災の不足はこれは予備費から出すけれども、過年度災害は支出が決定しているわけでしょう。それを予備費から出すと言って、ごまかしてはだめです。何ぼしろうとだって、そんなことはわかりますよ。
  192. 相原三郎

    説明員(相原三郎君) 私の手元の資料ではそうなっておるので申し上げたのでございますが、さらに調べまして御報告いたします。それから、その他の災害でもありますので、これがやはり四、五十億ございますから、いま先生のおっしゃいました災害の数字、四、五百億という数字のほかにこれが加わるわけでございます。
  193. 川村清一

    ○川村清一君 それから、地方財政計画と関連してお尋ねするのですが、これはお尋ねしてもそんなものはわからぬというふうな御返事が来るだろうと思うのですが、ことし、四十三年度予算は総合予算主義で、補正なしで予算が組まれた。その理由は、これは財政が硬直化して弾力性がなくなったからということです。そして硬直化を是正するためにこういう措置をとったということなんで、それから、もういろいろ景気が悪くて自然増収がない、そういうようなことでもう税収がないから、こういう措置をとったというふうにわれわれは大蔵大臣財政説明で聞いておるわけだ。ところが、これは経済が非常に盛り上がってまいりまして、株価はいままでかつてないくらいまで上がっていっているということで、これはまたあれでしょう、自然増は、あなたがわからないと言ったところで、あるでしょう。千億や千五百億あるでしょう。どうですか。
  194. 細見卓

    説明員細見卓君) 税収のことでございますので、技術的に私から申し上げたいと思います。  七月末の税収がただいま手元にわかっております一番新しい税収なのでございますが、これによりますと、大体予算に対しまして、便宜一般会計で申し上げますが、三一・九%ぐらいの収入割合になっております。これが去年で申し上げますと、ちょうど七月末で三〇・八でございますから、そういう意味で一・一ばかりよくなっているわけでございますが、しかし、御承知のように毎年税制改正がございまして、四月から七月という――特にことしはいろいろの関係で酒とかたばことかあるいは物品税などの、ことばは適当であるかどうかわかりませんが、増徴になる法案の成立がおくれましたので、そういうものを平年度に直してみるという問題がございます。それから、昨年度で申し上げますと、利子とか配当とかに関します源泉徴収税率がやはり変わりまして、増徴に、一〇%が一五%になるような形で改められたものが、やはり去年の七月から施行されておるというようなことで、この四月から七月までの趨勢を一年に伸ばすというのは私どもがいろいろ技術的にやりましても一番むずかしいところでございます。特にその年度の初めでありますので、税収もごらん願いますように、三一%程度の収入でございまして、これを年間に伸ばしまして幾らいまの段階で当初予算額を上回るだろうというような御質問をいただきましても、私ども三分の一がやっと過ぎた段階で、一体どのくらいのものが出るというのは、ちょっと予想を申し上げるというわけにもまいらないと、かよう考えておるのでございます。
  195. 川村清一

    ○川村清一君 その御説明で私は納得がいかないのですが、税収のパーセンテージ、いわゆる七月末において昨年は三〇・八%、ことしは三一・九%、若干伸びておるという、その税収のパーセンテージではなくして、私は景気の非常な回復によっていわゆる法人税は伸びるでしょう、九月決算が出ていないからはっきりもちろん私しろうとだからわからぬが。したがって、こういうことを質問したって、あなたのほうは九月決算が終わるまでわからぬというふうに逃げられるということははっきりわかって質問するのですが、伸びることは確実でしょう。去年は不景気だった。ことしは景気がいい。法人税が伸びるでしょう。千億や千五百億ぐらい楽に伸びるでしょう。
  196. 細見卓

    説明員細見卓君) その前に一言申し上げておかなければならないのは、ことしの予算は実は昨年度の予算に対して九千億円の自然増収を見て、その上にでき上がっております。いろいろ新聞などで、去年とことしと比べてことしはよくなったという話がございますが、実はこの税収の中にはそういうものが入っておりません、かように申し上げざるを得ないと思います。
  197. 川村清一

    ○川村清一君 財政当局は、これは地方、国を問わず、財政を預かっているところは、地方なら総務部長、国なら大蔵大臣、とにかくだまかすのですよ。野党をだますだけでなくて、与党もだますのですから。これはさんざん私も地方議会でだまかされて知っているわけですから、ですから、これはないことはないのです。  そうしますと、自然増が伸びますと、国税三税の三二%が地方交付税で地方へ行きますから、地方財政計画も伸びるでしょう。どうですか。いまの当初に積んだ七百五十億以上になることは確実でしょう、これは。
  198. 細見卓

    説明員細見卓君) そこがわかりますれば、われわれも苦労いたさないのでございますが、実はそこがわからないので困っておるわけでございます。
  199. 川村清一

    ○川村清一君 そこがわからないなら、とても八月実施なんということで、はい承知しましたということは、やはり承知できない、国会においては。そこがわからないのに賛成をした総務長官文部大臣は、一体何を承知したのか、私はわからない。総合予算主義だ、これはくずされない、これはもう国の財政運営の基本方針だ、政府としてはこれは絶対守らなければならない、こういう至上命令でおそらく総務長官文部大臣も、まあずいぶんがんばったのだけれども、最終的にはそれで押えられてしまったのだろうと思うんです。ところが、いま聞いてみると、こんなことでは承知できませんよ。  大体八月なら六百一億、五月なら八百、二十一億、あと二百億ですよ。二百億は出てくるんじゃないですか、この予備費の中から。大蔵大臣は、五百億のワクにとらわれない、千二百億のワクの中で処置すると。二木政務次官もそうおっしゃっておる。千二百億の予備費の中で支出されるなら、十分できるんじゃないですか。これは地方財政計画だって、これは明らかにもう千五百億、国税三税が伸びてくれば、今度はビールも上がったし。そうすると、これは三二%地方に行くわけだから、地方財政計画が伸びるでしょう。伸びないわけはないじゃないですか。どうですか。こういうようなことをきちっとこうこうこうだといって説明されて、なるほどと私どもが納得しなければ、はいそうですかというわけにはいきませんよ。どうですか。財政問題、いわゆる国の財政というものは非常に八月実施の重大なポイントになってくるわけですから、その総合予算主義財政計画、これをわれわれ国会議員にはっきりわかるように、納得できるように説明してください。
  200. 細見卓

    説明員細見卓君) 若干筋違いになって、あるいは正確にお答えできるかどうかわかりませんが、御案内ように、この一般会計予算ができ上がっておりますのは、税収のほかに六千数百億の国債も民間からお借りしておるわけでありまして、税がかりに自然増収が出るというようなことがあるいは起こりましたときがあっても、この場合まず財政そのものの体質を改める方向で、国の方で借金しておきながらその借金をそのままにして、少し余ったから使うというわけにもなかなか財政当局としていたしかねる、かように大臣も考えているのじゃないかと思いますが、まして現段階におきましてはその税収もどれだけ出るか実はわからないというわけで、これは責任をのがれるような言い方でございますが、何にいたしましても、三割くらいしかまだ収入が入っておりません段階で、幾ら自然増収が出るということは、これはどなたにお聞きしても無理な推察であろうかと思います。それに、先ほど申しましたように約九千億昨年度の経済に比べましてことしの経済が伸び、その中で税もふえていくだろうということを見込んで予算をつくっておりますので、おっしゃるようなことをそのままお受けいたしますと、昨年に比べてことしは一兆とか一兆何千億という税が出なければならないということになるわけですから、その辺は御賢察願いたいところであります。  そういうわけで、片一方で総合予算主義というものをとっておりまして、その中で財政当局としてはいろいろなバランスを考えて、先ほど政務次官もお答え申しましたように、いろいろなバランスをとりながら、こういうところで八方不満の中にも何とか総合予算主義の筋だけは立てさせていただきたい、かよう考えるわけでございます。
  201. 川村清一

    ○川村清一君 御賢察願いたいと言われたって御賢察できないですよ、そんなことでは。  それで、総務長官給与担当大臣、おそらく大蔵大臣からこういうようなことを言われて、そうしてあなたも最終的には承知したんだろうと思うのですが、いま私と大蔵当局との財政問題のいろいろな議論の中で、私は納得いかないんですが、こういうようなことをあなた納得されて、そうして八月実施という閣議決定に御賛成になったんですか、どうですか。
  202. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) われわれは背後におのおのたくさんの公務員の諸君をかかえております責任から申しましても、ただいまのお話ようなことではなく、さらにいろいろな問題につきまして十二分に議論をし意見を戦わせてやったわけでございます。しかしながら、何ぶんにも財政の責任は私のほうではございませんので、私のほうは主張することは主張いたしましても、まあ閣僚会議におきまして話をまとめなければならぬというふうなことに相なるわけでございます。なお、国といたしまして、いろいろ中央、地方通じまして諸般の財政計画もあるわけでございますが、その点は十分に留意をしたわけでございます。
  203. 川村清一

    ○川村清一君 閣僚会議の主宰者である、しかも給与担当大臣、責任者の大臣として、いまの御答弁はまことにいただけないですね。そんなことで一体いいんですか。  それで、国の何十万、何百万の公務員が、給与についてあなたの一身にみんな期待をかけておる。それが、大蔵大臣がそう言われたと。しかも、言われていることはいまの議論の中にあるようにわけがわからない。財源がない、財源がない。財源あるんじゃないですか。あと二百億ふやせば国家公務員は完全にできるじゃないですか。地方公務員だってできるじゃありませんか。それをいろいろな問題――あなたも国務大臣ですから、いろいろな問題考えなければならないことはこれは当然ですけれども、いろいろな問題の前に、あなたの責任である、この担当大臣として公務員の給与の問題が一番問題じゃないですか。それをいろいろな問題もあるからこれで承知せざるを得なかったなら、まことに情けない話じゃないですか。それなら、もうこの給与担当閣僚会議なんというものはやめちゃって、全部大蔵大臣にまかしたらいいでしょう、大蔵大臣一人に。大蔵大臣が言うままにきまるなら。そうでしょう。もうこれは総務長官文部大臣労働大臣も厚生大臣も要らぬですよ。大蔵大臣一人にきめてもらったらいいでしょう。どうですか、総務長官
  204. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) さような中におきましても、しかし、われわれはどうしても人事院勧告完全実施しなければならぬという目標のもとに、そんならば一体実務的にどういう障害があり、どういう点を打開すればいいのかということの真剣な取り組みをそれではしようということに相なりまして、引き続き閣僚会議を持ったわけでございます。
  205. 川村清一

    ○川村清一君 それはどうすればいいんだと、どういう方法をとればこれはうまくいくんだというようなことを、これは閣僚会議においていろいろ検討するという、そういうことは悪いとは言いません。しかし、そのことはことしの給与に関係ないわけでしょう。それは来年度の問題になるわけでしょう。そうじゃないですか。私はことしの給与、これが不満足だ。人事院総裁は先ほどから言っておる、不満足だと。国会にも勧告されておる。われわれその勧告を受けておる国会の立場において発言をしておる。不満足だ。それでは財源はないのか。ある。それをことしのはどうもやむを得ぬ、来年からうまくやろう。これは去年も同じじゃないですか。毎年毎年そんなことを言っておる。いつになったら一体人事院勧告というものを完全に実施できるんですか。実施できる時期が来るんでしょうか。去年も同じことを言ったでしょう。どうですか、総務長官
  206. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 私どもはさよう関係から、来年度予算の編成時までにこの隘路を打開して、そうして完全実施に向かってやれるようにしてまいりたい、かように時限を切っておるわけでございます。
  207. 川村清一

    ○川村清一君 それでは、私も時間がなくなりましたから、このことを議論しても――またやりますよ。大蔵省、何か言うなら言ってください。
  208. 二木謙吾

    説明員二木謙吾君) 予備費が千二百億、そのうちでいまの八月実施で六百億ちょっと、こういうことになるわけです。そうすると、あと六百億あるからやれるじゃないか、こういうあなたの御質問でございます。それからいえばやれないこともないのでありますが、しかし、四十一年度の予備費の支出を見ましても、災害その他で四十一年度が七百六十三億、それから四十二年度が八百二十三億出しておるわけでございまして、実は私どもも国の財政が許せばあなたのおっしゃるとおり完全実施をしたい、かよう考えておりますが、御承知のとおりに、国家の財政が非常に窮屈でございます。  それから、皆さん御存じのとおりに、今度生産者米価の値上げという、あれほどの農民がはち巻きしてどんどん押し寄せたことも御存じでございますが、皆あるいは百五十キロを二万三千、二万二千、あるいは最低は二万一千にしろ、こういうことでございましたけれども、まあまあこらえてください、国家の財政はこんなに窮屈でございますからというので、とうとう二万六百七十二円で押えてもらったのでございます。それから、米価のことについて申しますると、消費者米価も八%上げるということは、上げるとしても、これは国民の生活費に非常な影響がありますことでございますから、これも私どもは不賛成であります。しかし、国家の財政がやはり許しませんので、これも八%の値上げはやむを得ない。  それほど財政が窮屈でございますから、私どもは上げたいのはやまやまであり、あなた方のお説は賛成でありますけれども国家公務員の方もひとつ今度はごしんぼうをしていただきたい、ここういうことでございますから、ひとつ御了承いただきたいと、こう思います。
  209. 川村清一

    ○川村清一君 せっかくの二木政務次官のおことばでございますけれども、とてもそれには承服できかねまして、反論をさせていただきますが、ただいま政務次官は昭和四十一年の災害はどうだ、昭和四十二年の災害はどうだ、八百何十億、七百何十億ということをおっしゃった。それだから、私は平年度どのくらいかということを先ほどお尋ねしたのです。そうしたら、四百億から五百億程度、こういう御答弁なんです。したがって、ことしも八百億、九百億、予備費の支出をしなければならないような災害が起きてきても、補正予算を組まないおつもりですか。そうじゃないでしょう。そういうような不測の大災害が起きて八百億九百億のこの災害復旧費を出さなければならない場合においては、当然補正を組むべきでしょう。それでも総合予算主義でやるつもりですか。これが一点。  それから、米価ですね、米審では三%程度、この生産者米価の案を出してきた。それを政府は――政府というよりも与党だ。その倍くらい生産者米価を上げた。そこで政府が米審の案を受けたときにおいては、総合予算主義でいわゆる総合予算を守るためにはどうしても三%程度ではいかぬということで、そうでなければ一般会計からの繰り入れ金二千四百十五億の中で処理できない、そこでその三%程度ということを主張したのです。ところが、実質的には倍くらい上げたのでしょう。六%も上げてしまった。上げても、補正予算組まないで二千四百十五億のワクの中で処理できるというのだから、だからいかに財政運用というものはからくりがあるかわかるでしょう。われわれしろうとにはわからない。大蔵当局の頭がいいというのか、経験が深いというのか、非常に、役人が三%しか上げられないと。ところが、与党がああやって騒ぎだして倍上げた。倍上げても、補正予算組まないでその二千四百十五億の赤字の埋め合わせもその予算で処理できると、こういうことを言っている。しかも、今度は消費者米価は八%も上げる。だから、政務次官、けさの朝日新聞の「天声人語」お読みになりましたか。
  210. 二木謙吾

    説明員二木謙吾君) まだ読んでおりません。
  211. 相原三郎

    説明員(相原三郎君) 政務次官の御答弁の前に、数字のことでございますから申し上げたいと思いますが、災害対策の数字、若干食い違いの数字があるようでございますが、災害対策だけで見ますと、四十年度は五百十五億、四十一年度四百七十四億、四十二年度五百六十九億あるわけでございます。災害対策以外のその他の予備費の使用が二百億程度、合計しますと、先ほど政務次官から御答弁申し上げた四十一年度が七百六十三億、四十二年度が八百二十三億という数字になるわけでございます。
  212. 川村清一

    ○川村清一君 時間がないから簡単にしてください。  政務次官、あなたは七百何ぼとか、八百何ぼと言ったが、違うじゃないですか。
  213. 二木謙吾

    説明員二木謙吾君) 私は災害その他と言ったのです。
  214. 川村清一

    ○川村清一君 その他と言ったってわからないですよ。
  215. 二木謙吾

    説明員二木謙吾君) だから、予備費……
  216. 川村清一

    ○川村清一君 だから、予備費なら予備費千二百億。だから、それから支出する要因は何がありますかということを先ほど聞いているじゃないですか。そうでしょう。そんなことがわかっているから、どういうものとどういうものの要素があるかということをお尋ねしておる。それを言わないで、今度はいまになっていきなりその他二百億と言ったって、だめですよ。時間がないからやめる。  そこで、人事院総裁に、最後にあなたにお尋ねします。八月十六日に勧告を出された。そのときに特に人事院総裁総裁談話を発表されておりますね。その後段にこういうことが書かれている。「公務員諸君におかれては、公務員の給与が、国民の負担によってまかなわれるものであることに深く思いをいたし、全体の奉仕者としての自覚のもとに、綱紀の厳正を期することはもちろん、行政サービスの向上と公務能率の増進に一層の努力を傾注され、全国民の期待にこたえられるよう切望する。」と、大訓示をあなたはされておる。しかし、その訓示というものは、談話というものは、いわゆる人事院勧告しました、その勧告政府が完全に実施するということ、実施したということを前提にしてその談話を出されたものと私は了解するのですが、どうですか。
  217. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) もちろん、われわれとしては完全実施を念願して、ことしの場合もだめだろうなどというよう気持ちでこういう談話を発表しているわけじゃありませんけれども、しかし、これは政府として、公務員諸君のひとつ心がまえとして、わかり切ったことだとは思いますけれども、十分胸のうちに抱いて善処していただきたいという要望でありまして、実は勧告のときの談話に書くのはあの場所は違うんじゃないかということもあるかもしれませんが、かねがね公務員諸君に対して、ごく最近の傾向として非常に風当たりが強いというようなことは御承知のとおりでありまして、新聞の投書欄その他で、われわれ常に心を痛めておるわけで、公務員諸君は、皆さんよくりっぱにやっていただいていると信じながらも、しかし依然として風当たりが強い、そういう世間の目も十分御留意の上善処していただきたい。これは普通の公務員のあり方、あたりまえのこととして申し上げたわけであります。
  218. 川村清一

    ○川村清一君 「改定の内容はもとより、実施の時期についても、勧告が完全に実現されるよう国会および内閣に特段の配慮を要請する次第である。」、前段にこういうふうに書いて、そうして後段にいまのような談話が書かれている。ですから、これは完全に実施されたということを前提にして出されている、そういう談話であります。完全実施されない今日において、公務員諸君に何か談話を出される用意がありますか。
  219. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) これはいま申しましたようにあたりまえのことを言っただけのことでありまして、完全実施されなければ、それじゃあ全然逆をいってもいいよというようなことは毛頭ここに含まれているわけじゃありません。それはもう十分御了承願えると思います。
  220. 川村清一

    ○川村清一君 最後です。文部大臣、ただいま総裁談話、こういう完全実施してくれということを強く要請し、さらに公務員に対してはこういう訓示めいたような談話を出されておる。しかしながら、ことしはもう完全実施されておらない。それだから、ことしもこれは政府のやっていることが不当なので、不当に抗議するところのいろいろな運動が起きると思うが、これに対して大臣としてはどういうような御見解を持たれますか。一方にはやらないでおいて、そして後段の訓示だけは生かされるおつもりですかどうですか。
  221. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 人事院勧告につきまして、一〇〇%実施ができなかったということは、毎々先ほど来申し上げておるとおりに、私ども非常に残念に思っております。しかし、政府といたしましては、この結論を得るまでにいろいろ論議を重ね、意見の交換もし、できるだけ人事院勧告に近づくために努力はしてまいったのであります。決していいかげんのことをやってまいったつもりは私はございません。そういうことでございますので、今回は思うようにまいりませんでしたが、願わくは来年からはこういう嘆きは繰り返さないようにという意味で、総務長官も申されましたように、次の予算編成期までに何とか改善策を考えようじゃないかということになっておるわけでございます。そういう点については、関係公務員の諸君も、十分ひとつ御理解をいただきたいと思うのであります。私のほうとしましては、御不満はもちろんあろうと思いますけれども、われわれとしましてもできるだけの努力はしてまいっておるわけでありますので、御理解をいただきまして、節度ある行動をぜひひとつお願いしたい、かよう考えております。
  222. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 鈴木君。
  223. 鈴木力

    ○鈴木力君 先に大蔵省に一つか二つだけ聞いておきたい。これは念を押しておきたいのですが、さっきの説明で、何ですか、ことしの税収見込みの中に九千億だけ増収を見込んで予算を組んであると。それはその九千億というのは、ことしの予算の――ことしは幾らでしたか、四兆六千九百七十八億ですね、それの中に入っているという意味でしょうか。
  224. 細見卓

    説明員細見卓君) そのとおりでございます。
  225. 鈴木力

    ○鈴木力君 あとは次官に。補正を組むとか組まないとかというのは、課長さんでは失礼ですから、次官に伺います。  前の臨時国会のときに、佐藤総理が参議院の本会議で、絶対に補正を組まないということではない、総合予算主義のときにですね。これは必要なときには補正予算を組むこともあり得る、こう答弁をしておるわけです。だから、どんな場合でも総合予算主義で一千二百億の予備費にこだわるということではない、これは本会議で言明をされておりますから、大蔵省としてはその点は確認できますか。
  226. 二木謙吾

    説明員二木謙吾君) 私も本会議で聞いておりますから、そういうふうに考えております。
  227. 鈴木力

    ○鈴木力君 そこで、これはもう御答弁いただかなくてもいいのですが、いろいろ言い回しはあります。言い回しはあるが、たとえば先ほど川村委員の質問の中にもあった、本年度の税制が伸びがあるのではないか、あるいは自然増収があるのではないか、そういう御質問に、九千億の増徴を見ておりますと答えた。そういう言い方で大蔵省がごまかされては困ると思うのです。われわれが自然増収というのは、それを含んだ本年度の税収に比較して増収があるのではないか、こういうことなんです。その点の御検討をひとついただきたい。と申しますのは、たとえば、私はよくわかりませんけれども、国民経済研究協会で試算をしたものを見ますと、少なくとも経済の成長率の見通しで――政府は本年度初めに一二・一%を見て予算を組んだ。そのうちには、先ほどの九千億を含んでいるのですよ。ところが、この協会の試算をしたものを見ますと、一五・二%ある。これはまあ租税の弾性値ですか、この弾性値のとり方にもいろいろあるだろうけれども、少なくともここで計算したものからいいますと、三千二百十二億という増収があるのではないか、そういう見通しが立てられておる。それからもう一つ、日本経済研究センターが出したものには、一四・二%の、これは名目成長率です、それで計算をすると、やはり二千六百七十八億くらいあるのじゃないか。同じように三菱銀行が試算したのは一五%見ておる、名目の成長率を。そういうことからいいますと、どんなに弁明をしても、当初予算で一二・一%と政府が見たそれから見れば、自然増収があるということは、これはだれが見てもわかるわけです。  それは時間がありませんから全部は言いませんけれども、いままでも同じことを繰り返してきておる。毎年毎年この公務員給与のときには、税制の伸び、あるいは自然増収については、いまのところ何とも言えませんという形で繰り返してきておる。しかし、決算をしてみると、いつでも出ておる。いま、そのときに、たとえば先ほど総裁の言われたように、完全に実施をするのにあと二百億も出してくれればできそうだということが言われておる。その二百億がいまのような情勢の中から、さか立ちしても出てこないなどということはこれは考えられるはずがない。私はそういう見方で、先ほどの大蔵省の説明も、次官の説明もそういう見方で伺いました。  それからもう一つは、たとえば予備費の中の千二百億、確かに十勝沖地震に九十四億使っておることはわれわれも知っておる。しかし、あとの言い方ですね。災害が八百億だ、その他何々だ、その他も必要なんですよという言い方からしたら、それにこだわるということをもし大蔵省が言うならば、人事院勧告制度というものを大蔵省がどう考えているのか。つまり千二百億の予算を組んでいるでしょう。その他も含めると、八百億ということもあり得る。そうすると、四百億しかないということ。そうすると、人事院勧告を受けて政府財源検討するという立場を、大蔵省はどういう立場でこの給与に当たられてきたのか。これも政策的な問題もありますから、次官にお伺いいたしたい。
  228. 二木謙吾

    説明員二木謙吾君) それは大蔵省としても勧告は尊重せなければならぬと、こういうことで考えております。
  229. 鈴木力

    ○鈴木力君 そうすると、私が伺いたいのは、さっきの課長さんの御答弁からいうと、最初から人事院勧告というのは完全に実施できる弾力性がないわけです。ところが、あなたの説明からいうと、ことばでは、完全実施したいというたてまえでもってきておった、そう言う。そうすると、予備費を組んだ段階で、公務員の給与のいまの人事院勧告する今日の制度と給与のあり方については、その段階で大蔵省はどういう立場をとっておったのか、それを聞きたいのです。
  230. 二木謙吾

    説明員二木謙吾君) それはできることなら完全実施をしたいと、こういうことであります。
  231. 鈴木力

    ○鈴木力君 そうすると、さっきの課長さんの答えは、できないという数字を最初から並べておった、予備費でね。まだ執行もしないのに、しかも、災害なんかはまだ起こってこないのに、それを数字を並べておって、できないということを合理化するような説明をずっと続けておった。そうすると、先ほどの課長さんの説明は、大蔵省が当初予算を組むときの意図とは違っておる、そう確認してよろしいですか。
  232. 二木謙吾

    説明員二木謙吾君) 課長が言われたことは、災害というものがどういう状況で起こるかということは未知数のときでございますから、私どもとしてはできるだけ完全実施をしたいと、こういうよう考えで予算を組んでおるのでありますが、しかし現在の状況を見て、閣議のほうでいまの八月実施ということをきめられた。
  233. 鈴木力

    ○鈴木力君 もう私はこれ以上大蔵省とはやりとりしません。少なくともいまの政務次官の御答弁では、最初から公務員給与という問題を――給与ということよりも、いまの公務員給与決定をすべき手順と制度については、大蔵省は口先はりっぱであったけれども、最初から誠意を持っていない、こう確認をせざるを得ないと思うんです。ただしかし、いま二木次官が完全に実施ようとする意図があったと。意図があったということはいまもあるということなんですよ。災害が起こっていないんだから、災害が未知数だから、完全に実施ようとする予算であった。現在も未知数だ。その場合になぜ八月にしなければならなかったのか。それは閣議できめたことだから知らないという意味の御答弁ですから、私はこのあと給与担当大臣にお伺いしたい。  いま大蔵省とのやりとりでおわかりのとおり、先ほど来各委員の御質問に対する御答弁で、態度だけは、完全に実施するべきものである、するべきものであったということだけは、全部の大臣が確認をされている。そういう立場に立ってなぜ八月にきめたかということが焦点なんですけれども、大蔵省の御答弁では、いまのところは決定的に完全に実施できないという御答弁は出ていない、次官の答弁ではですね。そういたしますと、これはもう閣議の状況を聞きたい。閣僚協議会の主宰者であり、担当の責任者である総務長官は、なぜ八月実施ということをどういう理由できめたのかということが一つ。もう一つは、八月中にきめたという理由は何か。これは小林委員の御質問にも御答弁があったようでありますけれども、この二つの点をはっきりお答えいただきたい。
  234. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 御案内のとおりに、関係閣僚会議をいたします前におきましては、逆にうしろへ戻すんだといったような議論までありましたことは御案内のとおりであります。私どもは、どうしても人事院勧告に対じまして完全実施目標に全力を尽くきなきゃならぬというので、文部大臣労働大臣、その他関係閣僚ともよく連絡をとりまして、鋭意五回にわたりましていたしたのでありますが、とうとう最初の晩はケリがどうしてもつきませんで、翌朝は閣議の前にさらにあらためて閣僚会議を持ちまして、そうして通勤手当一件だけをぎりぎり押し込んだよう状態でございまして、そういう点では、私どもはこれはこの人事院勧告の時期と、また財政法に基づく大蔵省その他の予算の編成の技術上の問題と、そこにやはりネックがあるように心得るのでございまして、思いはみんな同じでありながら、そこに実務的にできないというのは、まことに情けないことであります。さようなことだから、それじゃ一体那辺にネックがあるのか、そのネックを取り除かなければ今後ともに完全実施はできない、そういうことから、特に私どもはそれを打開しよう。いままででも事務当局間におきましては、同様の試みが数回あったやに聞いておりますが、しかしながら、それがどうしても突き破れない壁にぶつかってまいっておる。しからば今度は日を切って、四十四年度の予算編成までに、しかもそれは閣僚みずからが、事務当局の障害に対して、どこに障害があるかということを聞いて、大所高所に立って、そのネックを政治的に一つ一つ切り開いていかなければ、これはどうにもならないということから、この注1にございましたような、この関係閣僚会議を直ちに開いて、そうして継続してこの問題の打開に当たっておるような次第でございます。
  235. 鈴木力

    ○鈴木力君 私はいまの御答弁にきわめて不満足です。私は将来どうするという問題が起こっているということは聞いていない、いまは。これは私もたいへんにその問題を感じておりますからね、あとの機会にひとつ質問します。  ネックになっている、ネックになっているというひとが出る。それからまた、財政上の問題ということが出る。ところが、いま私が聞きたいのは、そのネックとは一体何なんだということを聞きたいわけだ。少なくとも大蔵省の先ほど以来の御答弁では、あと二百億追加できないということは、これはもう説明としては出てきていないのです。補正予算はある。それから佐藤総理がはっきりと、補正予算というのは予備費が――総理大臣がはっきりと、補正予算というのは絶対組まないというのじゃないのだ、こういうところまで確認をしておるでしょう。しかも、その完全実施するには国家公務員に限ってはあと二百億か、その内外あればよろしい。その二百億は自然増収で出てこないということは絶対ない。専門家の数字ではもう三千億というあれが出てきておる。こういう中で、ネックだ、ネックだといって、そこのところの説明をしないで、八月しかできませんよと言って、あとのことをものを言っている。このことを私はいわばけしからぬと、こう言っているわけです。だから、先ほど長官はいなかったけれども、毎年同じように口先のいいことを言っている。結果はどうなっているかといいますと、尊重したとか、努力をしたと言うけれども、三十五年以来値切られた月数を考えてみれば三十五ヵ月、いままで三年間はベースアップをされていなかったという事実が出ているのです。これほど問題を深刻に考えておったのか、考えていなかったのか、そこなんです。だから、ことし八月でなければどうにもならなかったというものを、財政的にやってみたら、七月にするには何十億、何で足りなかったのか。そういう点をはっきりと数字で示しなさい。それがいま私が聞いておる質問の趣旨なんです。
  236. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 問題は、本年に関しまする限りの分では、予備費というものがたっぷり盛ってあればよろしいのでございます。ところが、それが財政当局のいろいろな説明なり、あるいはその他のいろいろな検討によりましても、これがわれわれが希望する額がどうしても取れない。特に地方財政の面におきましても非常に隘路がある、こういうふうないろいろな問題がございます。そこで、私ども何とか完全実施目標努力はいたしたのでございまするが、いまの段階におきましては、これができなかったことは非常に残念に思っておるのでございます。そこで、やむを得ず八月ということにいたしたのでございますが、その計数上の詳細につきましては、これは私から申すべきじゃございませんで、財政当局のほうからどうぞ聞いていただきたいと思います。
  237. 鈴木力

    ○鈴木力君 私が聞いているのは、財政のほうは財政当局だから、担当大臣はそこのところには突っ込まずに、八月にきめたということなら、大ごとですよ、これは。閣僚協議会というのはなぜあるのか。そうすると、たてまえとしては大蔵大臣も含めて五月からやるべきだということは全部意見が一致をしておる。それが出し得ないということになれば、文部大臣ことばを借りてみても、財政の壁が厚かったですか、財政の壁を破り得なかった、これは大体わかるのです、その筋は。大体金さえあればという気持ちはそういうお気持でおっしゃったのだろうと思う。そこはよくわかる。ところが、ことしの場合には金がないというこの説明は、五月からやるという前提に立って金がないということはどうしても私はわからない。もしもほんとうに金がなかったのなら、何月かやればどれだけ足りなくて、どこに影響があるのか、それを説明しなければ、ことしは金が足りなかったということにならない。特に予備費というのはそういう意味で組んであった。これは公務員給与の分ですよ、災害の分ももちろんありますけれども。どうにもならぬときには補正予算を組むこともありますよ。総合予算主義というのは絶対のものじゃないのだ。これは総理大臣の答弁です。そういう中で、金がないのだという言い方を納得するように言わなければ、公務員は絶対納得できるはずはないということです。  私が申し上げたいのは、これが去年は完全にやった。しかし、ことしは金がないから八月からでがまんしてくれ、こういうことならまた理屈は違ってくると思いますよ。三十五年から毎年それをやってきておる。そしてことしは総合予算主義ということになれば、初めから政府は、人事院勧告というものはそれはもうどっちでもよろしい、勧告があろうとなかろうと、予備費をやり繰りしで出せるだけ出してみよう、あまりたいして響かない程度に。そういう気持ち政府の本音ではないか、こういうことを聞いておるのです。それならそれで、そうですと言ってもらえば、私はわかりましたと言います。どっちですか。
  238. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 私も御質問の趣旨と全く同意見でございまして、これが八月しかできないというそ財政上の理由なり何なりを国民の皆さん方がよくおわかりになるように、財政当局ははっきりさしていただきたいと私も念願いたしております。しかし、われわれも閣僚会議におきまして何も財政当局の言いなりになっておったわけではございません。これはここに文部大臣も御列席になっておられますが、われわれは何回かこの問題につきましては真剣に財政当局と取り組んでまいったのでございます。私はいまここで皆さま方財務当局がるる詳細に述べましたことを申し上げて、御納得いただくだけの計数も持ち合わせませんし、学もございませんが、しかしながら、実際に、閣僚会議におきましては、ただいまここでお詰めになりましたと同様のことをわれわれはやってまいっております。そしてどうしても八月以前にさかのぼれなかったことを非常に実は残念に思っておるのでございます。
  239. 鈴木力

    ○鈴木力君 もう残念という話は聞かなくてもいいです。何べんか聞かされた。私は残念で逃げようとするその態度が残念だ。もう少しまともに答えてもらいたい。というのは、ほんとうにいろいろと政府の金をはたいて、その中で、なるほどこれしかないのだというときにはがまんしろということもあるわけです。何かありそうになさそうにここに隠しておいて、ないからだめだ、ないからだめだというやり方では、しかも臨時国会がいつ開かれるかわからない。公務員に支給されるのは法律が改正されなければ支給されないでしょう。それをわかっていながら、しかも先ほど来の大蔵省の御説明を聞くと、その中にも、まだはっきり見通しがつかないのだという言い方もある。その言い方に私はいろいろ文句もあるけれども、一面はそういう言い方だって成り立つわけだ。そうなれば、臨時国会をわれわれは早く開けと言っておるけれども、そのかね合いからいえば、その点の努力だってまだまだなせるはずだ。いろいろな点から考えても、私は繰り返しませんが、私はどうも長官のいまの御答弁についてはどうしても承服し切れない。し切れないというよりも、これは公勝負が人事院という一つの制度を守りながら今日までルールに乗っけよう努力してきたものに対して、政府みずからが挑戦をしたものとしかどうしても見られない。こういう形でおまえらは公務員だからただこのワクの中に入って静まれという行き方になってくれば、これは反発ということはどうしてもやむを得ないのじゃないか。そうすると、不測の事態が出てきたというときに、いまの政府がもう少し突っ込んだらという突っ込みようの足りない状態できめてしまったというところの責任がある。そういう点を明らかにしてもらいたいと思うのです。
  240. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 私もどうしても人事院勧告目標に従って最善の努力を尽くしましたが、――遺憾ながら目的を達し得なかったことを非常に残念に思います。
  241. 鈴木力

    ○鈴木力君 最後に一言だけ申し上げます。いま私が言ったように、いままでの説明では、明らかにこれは、はっきりいえば公務員の組合もありますね。組合が人事院勧告で不満だから積み上げろ、それを主にして言っているわけではない。やはり五月からやれと。もちろんこまかいところの手直しという要求もあるけれども、基本的にはそういう制度の上に立ってものを言っているわけです。それに対していまこういう行為に出たということは、それからきょう私どもが質問をしてそれに対するお答えをいただいた限りにおいては、これはやはり挑発だ。最初から人事院の制度なんというのは大事に考えていなかった、こういうふうにしかどうしてもとれない。そうなってきたらたいへんなことになるから、その責任は政府がとるべきであるし、もしほんとうに政府がまじめに考えるなら、いま大蔵省当局の言われておりましたように、あるいは川村委員が言われておりましたように、まだまだ検討すれば検討の余地があるわけです。そういう点を再検討して、閣議としてもう一度これは検討してもらいたい。それがもししないということで、この点で分析なり検討なりをしないで、ばっさり八月を強行しようということになれば、これは組合を挑発した行為である。何かのいろいろな事態が起これば、これはやはり政府は相当責任をとらなければならない、こういう気持ちでおりますが、そういう点を申し上げて、これで質問を終わります。
  242. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 安永君。
  243. 安永英雄

    ○安永英雄君 私もいまの点でどうしてもただしておきたいと思うのでありますが、田中総務長官に御質問いたします。  先ほどから、この前も臨時国会で総理自身が、そういう総合予算主義にはこだわらない、こうおっしゃって、そしていまも大蔵次官のほうからも同じような点が開陳されたわけですけれども、そういう中で八月実施閣議できめたということは、今度の公務員の給与改定については補正を組まないでよろしい、補正を組まない、こういう重要な態度を決定されて、そうして結果としてそういうことになった。そうなればどうしても私は聞きたいのは、やはりそういった給与関係大臣の会議の内容がどうしても聞きたい。したがって、これには自治省なりあるいは大蔵省のほうから資料の提出もあっただろうし、計数的にも説明があっただろうと思うわけですが、その中であるいは五月であればこうなる、六月であればこうなる、こういった資料の提出もあって十分な検討が行なわれておったと思う。そうでなければ腰だめですから、これは重要な問題です。その審議の過程なり、これをもう少し明らかにしてもらわぬことには、どうしてもやはり今日のこの給与改定の問題についての政府考えておられる考え方が、われわれはもちろんですけれども、国民の皆さんにはこれは知られない、そのままいくということは、これは私は政治的にも許せないことだと思う。どういう資料が出てどういう計数をはじいて、そうして喧々諤々こうであったのだ、こういった経過については少し説明をしていただきたい。
  244. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 関連総務長官、安永君がいま指摘もしておりましたが、前からいろいろと問題に出ておりますように、金が足らない場合には補正を組んでまでやるという一つの姿勢があるわけなんです。それは必要があると認めたときなんです。給与を完全実施するには財源がないんだ。だから、補正予算を組まなくちゃならぬことになるということになるかもしれないのだけれども、そういうことまでする必要はないんだ、金がないとするならば必要はないんだと認定をしたということになると、七人の給与関係の大臣がお見えになるようだが、いまお聞きしますと、田中総務長官もどうも賛成をせずに、大体ここで聞いておりますと完全実施の御意見ようです。文部大臣もそうなんです。出ておられるほかの人たちで大蔵が反対したかもしれぬが、あと経企とか、自治とか、労働とか、官男長官はどんな意見だったやら、必要とこれは認めないんだ、完全実施はやらぬでもいいんだ、そう認定をされたその態度は、だれとだれが一ぺんやったんだか、ついでにそこをひとつお聞かせ願いたい。そんなまとめたいいかげんな話じゃ困る。それは片一方のほうでは、いままでずいぶん値切られてきた。しかも片方じゃ必要があれば補正は組みますと、こう言ったんだ。総理大臣が答弁をしておる。しかし、財政上やれぬと言うんなら必要がないんだと認めたその根拠なり理由なり、なぜそうなったかということを明らかにしてもらいたい。
  245. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 安永委員なり、ただいまのお話で、閣僚会議の内容をここで話せというお話でございますが、それはお断わりをいたします。私どもは責任を持った閣僚といたしまして、自分の担当の問題につきましてはやはり全責任を持って折衝いたしております。だれがどう言った、どんな資料がどう出て、どんな議論が出たというようなことを申し上げることは、私は差し控えさせていただきます。
  246. 安永英雄

    ○安永英雄君 逆に聞きますがね、あと二百億あれば五月実施ができる。先ほどから大蔵次官のほうからもお話がありましたが、他の諸政策、これと勘案をしながらと、こう言ってみたり、国民経済全般に影響があるんだ、こう言っておられるが、この二百億がどのような形で事実関連していくのか、それをひとつ説明していただきたい。
  247. 相原三郎

    説明員(相原三郎君) 二百億の財源がどうかという御質問でございますが……。
  248. 安永英雄

    ○安永英雄君 そうじやなくて、あんたじゃ答えられぬですよ。諸政策と勘案をしたり、ほかのことと非常に関係があるんだと、この二百億は。逆を考えればそうじゃないですか。
  249. 二木謙吾

    説明員二木謙吾君) 自然増収があるとあなた方はおっしゃいますけれども、六月末のことはいま大蔵省の説明員が申したとおりでございまして、二百億の金が、それじゃ何に何ぼ要るということは、それは私もよう申し上げられません。ちょいと一例をあげてみれば、米の買い上げについても、二万一千円とかうものを、やはり国の財政考えて、二万六百七十二円にがまんしてくださいと、こういうことを申してがまんをしてもらったわけです。それで、私どもといたしましても、やはり完全実施ということがよいのでありますけれども、まあ公務員の方も御迷惑だろうが、財政事情が困難であるからひとつがまんをしていただきたい。さらにまた、将来の問題についてはこういうことのないように特別にまた考えなければならない、こういうふうに考えている次第であります。
  250. 安永英雄

    ○安永英雄君 いまあなたのほうの説明を聞きますと、総合予算主義という立場はあくまでも堅持する、こういう話ですからね。金額は大きいけれども考え方としては、重箱のすみをつつくような話がいま進んでいるのですよ。だから、この予備費の中の二百億、こういった問題が、そう一例をあげればということじゃなくて、きちんと二百億はこういう関連のほうにその金は行くのだ、どうしても要るのだ、こういう話がいま進んでいるわけですよ。これは補正を組んで、たっぷりでも組もう。そうすると、つかみで、ある程度こちらに――あなたのほうの説明でいいかもしれないけれども、いまは総合予算主義を堅持して、しかもその中の予備費の千二百億の中の、そうしてこれこれというような、小さな重箱のすみをつつくような話の中では、逆に私は他の諸政策とその二百億がどう関連していくのか、それは答えてもらわなければ困ると思う。そんな一例をあげて、米のほうの話やら、そんなことでは了解できませんよ。言わないから逆に聞くのです。それがいやだったら、先ほど田中長官が言わないけれども、そういったいままでの八月実施のこのいきさつ、こういったものを聞かしてもらえば、二百億をあえて聞く必要はないというのです。逆に聞いているのですよ。そんな小さなこまかい話じゃないですか。
  251. 二木謙吾

    説明員二木謙吾君) 先ほどはっきり私が申し上げたとおりですが、いまでも干ばつの災害が起こっております。それからまた、風水害の災害も起こっております。いままでの例年の例を考えてみましても、災害その他で予備費を四十一年には七百六十三億使っております。また、四十二年度には八百二十三億使っております。こういう諸般の状況等も考えて、二百億はなかなか困難でございますので、いまさきにも申しましたとおりに、ひとつ苦しかろうが本年はがまんをしていただきたい、こういうことが私ども考え方であります。
  252. 安永英雄

    ○安永英雄君 ひとつわからぬのですけれどねも、どうしてもやはり八月でなければならぬし、残念、残念言われますけれども、八月という結論が出ているわけですよ。その八月ということに踏み切った根拠というものは、長い間いままでやってきてひとつもおっしゃらない。言わないのですよ。この踏み切って以来、私は地方でよくこういうことを聞くのですよ。金額は二百億ということを一切言わないで、そうしてこの公務員の給与改定を五月実施をしたならば諸般の政策が実行できないし、あるいは国民経済に重大な影響を及ぼす、地方の末端に行けば、あたかもこの公務員の給与を上げたらインフレでもものすごく起こってくるような、錯覚のようなことを言っている向きがあるのですよ。流れている大もとはわかるのです。わかっているのです。そこで、ここに来れば残念だ残念だ、こう言うけれども、どうしてもやはりいま国民の皆さんに明らかにしなければならないのは、この二百億。こういったものをどうしてもつけられない、五月実施ができないという理由を、やはり計数をあげて説明しなければ私は納得できない。もう一回お聞きします。
  253. 二木謙吾

    説明員二木謙吾君) 何回申し上げても、これは閣議決定をいたしたことでございますから、それは私がやるわけにもまいりません。  それから、さきに申したように、災害あるいはその他の経費で、例年のとおりに考えてみれば、四十一年には七百六十三億の予備費を支出しておる、四十二年には八百二十三億の予備費を支出しておりますから、そういう点からも勘案をしてむずかしいと、こういうことなんでございます。
  254. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 関連二木政務次官、これは大臣と一緒なんですよ。大体それで、大蔵省も完全実施の方針なんですと、それをあなたおっしゃいましたね。これは大臣もそうですね。
  255. 二木謙吾

    説明員二木謙吾君) それは当初予算のときは、私どももできることなら完全実施したい、こういう考えを私は持っております。
  256. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そこで、完全実施の方針だったが、完全実施ができなくなったのだ。しかし、必要なら補正も組めるわけです。そうすると、補正が組めない理由が一つということになるから、補正予算を必要と認めなかったというそ理由も結局おかしいのだが、もしやろうとする意思があるなら、あなた方は補正を組まなければならないと思う。やらないのは、補正を組めない理由が一つあるからだと思う。第一は、必要と認めない、補正まで組んでやろうとしなかった理由は何か。それは考えてくると、もういややる必要はない、こんなことはどうでもいいんだという考え方が一つある。そうでなくて、どうしてもやりたかったのだけれども、やれなかった理由は何かというと、補正が組めないという理由になってくる。それじゃどうして補正が組めなかったのか。  もう一つは、今度は五月でなくて八月実施にしたのだから、とすれば、どうしても五月実施でやるには、数字でいえば二百億、ここでいまこれを給与のほうに持っていかれてしまうと、あとたいへんなことになって、予算のやりくりができなくなってしまう。それはあと補正を組めばいいんだけれども、まずたいへんなことになってしまうとするならば、たいへんなことになってしまって、いろいろなものに支出していかなければならない、災害の問題その他あるとおっしゃる。そのとおりだ。あるんだとするならば、災害にどれだけとっておかなければならぬので、だからこれに二百億回せないと、こういうことをあなた説明しなければならない。聞いておってもさっぱりわからない。これは幼稚園の子供にわかるくらいの説明をせぬとわからぬですよ。ごまかしてもだめですよ。
  257. 二木謙吾

    説明員二木謙吾君) 賢明なあなた方にそういうことがわからぬことはない。
  258. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 どうしてもいかぬとなったら、大臣を呼んできてまじめに答弁してくださいよ。皆まじめにやっているのですよ。そんなに、金が出るか出ないかの、単なるどうでもいいような、金のどうとかいう問題ではないのですよ。何百万という人の生活のかかっている問題なんですよ。まじめに聞いているのに対して、ああだこうだと言って逃げられては、何のために審議しているのかわかりゃしない。あなたのほうも、やろうとしたのだけれども、どうにもできませんでしたと言うなら、できなかった理由はかくかくこうなんだ、これはこういうよう理由でできない、これはこういう場合だったけれども、これはだめなんだということを、誠心誠意答弁してもらわなければだめですよ。あなたも大臣のかわりに来たのだから、少なくとも財政当局としての責任ある答弁をしてもらいたいと思う。それを、米がああだとかこうだということはいいのですよ。そうじゃなくて、これにこう要ってしまうのだ、この次にこうなります、だから千二百億の金がどうにもなりませんというならば、それではそういう説明をしてもらわなければいかぬと思うのです。災害、今度起きるか起きぬかわからないことにとっておくなんということはおかしな話でしょう。給与に出しておいて、災害が起きたら、足りなかったら予備費補正を組んだっていい。やる気があればできることです。そう思いませんか。それを、あんたのは、やる気がないのをやる気があるようにおっしゃる、またそれが方針だとおっしゃるから、そのことを聞いておる。  それからもう一ぺん確認しますが、あんたは完全実施が方針だと言うから、そのことを聞いておるわけです。それがどうにもならぬようになったのはなぜなんだということがさっぱりわからぬのです。私の言うことが筋が間違っておるか。
  259. 二木謙吾

    説明員二木謙吾君) 筋が間違ってはおりません。間違ってはおりませんが、財政当局としては、災害のことも考えねばなりません。その他の予備費を使用しておるいままでの慣例等も勘案をいたしまして、そうしていまの八月実施がよかろう、こういうことでございます。それを閣議決定をされた。財政当局でまたこれはさらに補正予算を組んでやれ、こういうことが内閣であるならば、それはまた私ども考えます。それ以上私が今日答弁の資料を持っておりませんから、どうぞ……。
  260. 安永英雄

    ○安永英雄君 それ以上おっしゃれないとなれば、私どもは、これは腰だめできめたということしか言えないのですよ。われわれ、これは報告できない。腰だめです。ふざけた私は決定だと思う。それをおっしゃらない限りにおいて、先ほど鈴木さんからも言われたけれども、私はいま次官のおっしゃったように、必要であればこれは補正を組むのだ、必ずしも総合予算主義にとらわれていないのだ、こういう立場であれば、もう一回この問題については再考をしていただきたい。  それから、次官のほうもうなずいておりますから、再考されると思いますけれども、この点、人事院総裁に私はちょっとお聞きしたい。先ほどから、小笠原委員のほうから質問がありましたときに、きわめて明確に、いわゆる勧告は正しい、こう言い切られた。私はあなたの話を聞いておると、正しいということと食えないということとこれは別の意味ような気がする。   〔委員長退席、理事楠正俊君着席〕 普通、正しいとなれば、これは責任を持って食える、生活できる、公務員としての襟度も保ち、生活できるというこれが正しいと、普通これが常識です。で、いま各県の人事委員会あたりでやはり県に対する勧告の準備をしております。あなたのところも集合さして指導したらしい。これにいま準拠してやろうとしておるが、ここがどこでも引っかかっておる。どこの人事委員会に行きましても、あるいは教育委員会に行っても、地方教育委員会に行っても、口をそろえて言うことは、やはり皆さん方が出しておるところの独身の男子で十八歳で東京で標準生計費が月額一万九千四百九十円、これでは食えませんと。地方の地域においてもこれでは食えません、生活できませんと言っておる。ただ、人事院のほうに講習会に行ったところが、正しい正しいと、こう言う。食えるとは一言も言わない。この点明確にしないと、地方は混乱します。どこだっていまは公務員が各県の人事委員会にそれぞれ交渉を持っておるが、ここでみんな立ち往生しておる。私はもう一回聞くのです。あなたの正しいとおっしゃることは、いま言った一万九千四百九十円で十八歳の青年がこの東京のどまん中で食えるか食えないか、その点をはっきりしてもらいたい。別に説明は要りません。それだけ言ってもらえばいい。食えますか。
  261. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 食えるか食えないかという問題は、これはまたその人その人の具体的な情勢にも関係のすることで、これは一がいに食えると申し上げることは軽率だろうと思います。  ただ、私ども勧告の基礎としているところは、百人以上の規模の民間企業の従業員諸君の給与水準、これには絶対に合わしていただきたいということで一貫しておるわけであります。さらに大規模の大会社と比べたらどうかという御要望もありますけれども、それはまた後の問題で、当面の問題としては、やはり納税大衆その他あるいは零細企業の方々、組織されていない労働者方々というような人たちがまた違った目でこれを見ているのであります。公務員といえども労働者である。特権的な存在ではないという立場があるのであります。やはり百人以上の民間水準に合わせる、これは絶対に完全実施してもらいたいという行き方が、私は当面としては正しい行き方だと信じております。
  262. 安永英雄

    ○安永英雄君 勧告の報告の中に、いわゆる業務成績の向上とか、能率増進、発明考案まで入っているのですけれども、   〔理事楠正俊君退席、委員長着席〕 いわゆるこれを顕彰するとか、こういった形で具体的には特別昇給というもののワクが一〇%から一五%になっている。この五%増というのは、総体的に八%の中に入っていますか、入っていませんか。
  263. 尾崎朝夷

    説明員尾崎朝夷君) 特別昇給によりました場合に、やはりそこに水準の上昇がございますので、八%の中として計算されております。
  264. 安永英雄

    ○安永英雄君 そうすると、人事院がいう完全実施と、こういった場合、八%と言っておるけれども、実際は八五%の者は八%上がらないですな。そうなりますか。
  265. 尾崎朝夷

    説明員尾崎朝夷君) ただいま申し上げましたように、特別昇給の分につきましては、一年間の昇給が四%でございますので、その五%、そのまあ五%と申しますか、そういう関係で水準が上昇するわけでございます。特別昇給をやる時期にもよりますけれども、大体十月から一月ということを想定をいたしまして、〇・一%程度考えているわけでございますが、もちろんその対象は、そういう時期によりまして、その特別昇給をやる実施の時期におきまして対象者が確定をするわけでございます。その関係はほかの手当等におきましてその対象がその実施のつど確定をするということと同じ状況でございます。
  266. 安永英雄

    ○安永英雄君 私はあえてこの勧告の内容の説明を求めたけれども、私の言いたいことは、先ほどの人事院総裁が別に口では、政府ように、内閣のように、もう今度の八月実施にきめたのであるから、これから変えはしないと、こういう態度ではなかったけれども、何かこう人事院総裁のほうでほっとしたような、何か勧告したらそれで終わったような感じがする。迫力が感じられないから、まだまだがんばってもらわなければいかぬわけですよ。あなたが言われている議会に対してもこれ勧告しているのだし、議会の中でもこれは総裁としてはがんばってもらわなければいかぬ。われわれ自身もそうだけれども、あるいはまたいまもおっしゃったように、これはもう一回閣議の中でも再考慮をしようというよう気持ちもおありのようだから、ますますがんばってもらわなければいかぬと思う。そのためには、もう人事院勧告したら、それに対しては不満がないかというと、大いにあるということを私は言いたかった。大いにある。あなたの言うように、五月実施が八月になったから残念だ、この期日の問題だけじゃなくて、やっぱり内容にも非常に問題がある。問題があるけれども、それはそれとして、完全実施しろという私ども考え方というものを、ぜひとも実現してもらわなければならないから、私はあえて言ったんです。まだたくさんあります、内容については。そう正しいと自慢して言うほどの内容じゃないです。その辺も認識していただいて、どうしても再考慮してもらう。動きもしてもらわなければならないし、あるいはまた議会でもこれが実現するように最後の最後まで人事院総裁としてのつとめをひとつやっていただきたい。こういう激励の意味もこめまして、いま申し上げたんです。ぜひともひとつやってもらいたい。  それから、これは文部大臣なりあるいは長官なり次官に申し上げておきますけれどもね、どうしてもやはり形の上で八月実施というものに踏み切ったその理由なり内容というものは、明確に何らかの形でしないと、何度も言うようだけれども、これは腰だめでこういう決定になっているということです。これは国民の一般的に受け取る印象ですよ。これは公務員の皆さんがからだを張ってどうしてもやはり完全実施したいという行動に出たときの責任は、これを明らかにしない限りあなたたちの責任ですよ。これだけは申し上げておきます。  終わります。
  267. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 本件に対する本日の質疑はこの程度にいたします。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  268. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 速記をつけて。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十一分散会