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1968-08-27 第59回国会 参議院 文教委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年八月二十七日(火曜日)    午後二時四十三分開会     ―――――――――――――    委員異動  八月九日     辞任         補欠選任      田村 賢作君     宮崎 正雄君  八月十三日     辞任         補欠選任      小町  明君     成瀬 幡治君  八月二十七日     辞任         補欠選任      内田 善利君     黒柳  明君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         中村喜四郎君     理 事                 久保 勘一君                 楠  正俊君                 小林  武君                 鈴木  力君     委 員                 伊藤 五郎君                 北畠 教真君                 宮崎 正雄君                 大松 博文君                 内藤誉三郎君                 永野 鎮雄君                 川村 清一君                 成瀬 幡治君                 安永 英雄君                 黒柳  明君                 萩原幽香子君                 小笠原貞子君    国務大臣        文 部 大 臣  灘尾 弘吉君        国 務 大 臣  田中 龍夫君    事務局側        常任委員会専門        員        渡辺  猛君    説明員        人事院総裁    佐藤 達夫君        人事院給与局長  尾崎 朝夷君        大蔵省銀行局長  澄田  智君        国税庁調査査察        部長       大島 隆夫君        文部省初等中等        教育局長     天城  勲君        文部省大学学術        局長       宮地  茂君    参考人        財団法人鈴木学        術財団理事長   佐藤喜一郎君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○教育文化及び学術に関する調査  (教職員給与等当面の諸問題に関する件)     ―――――――――――――
  2. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  去る八月九日、田村賢作君が委員辞任され、その補欠として宮崎正雄君が委員に選任されました。また本日、内田善利君が委員辞任され、その補欠として黒柳明君が委員に選任されました。     ―――――――――――――
  3. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  鈴木学術財団の運営に関する件について、本日、参考人として財団法人鈴木学術財団理事長佐藤喜一郎君の出席を求め、その意見を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  5. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 教育文化及び学術に関する調査中、教職員給与等当面の諸問題に関する件を議題といたします。  政府側から灘尾文部大臣佐藤人事院総裁尾崎給与局長諸沢人事課長吉里総務課長安養寺会計課長天城初中局長岩田財務課長寒川特殊教育課長宮地大学学術局長清水審議官石川学生課長三角学術課長、以上の方々出席いたしております。  本件について質疑の申し出がございますので、これを許します。川村君。
  6. 川村清一

    川村清一君 先般八月十六日に、人事院政府並びに国会に対して給与改定について勧告をなされました。それにつきまして、私は教育関係職員給与問題を中心にして若干の質問をいたします。時間がごく限られておりますので、きわめて大事な点だけをお聞きしますので、答弁も誠意ある御答弁を願いたいと思います。  まず最初に、人事院総裁にお尋ねしますが、今回の勧告にあたりまして特に配意された点、従来の勧告に比べまして、ことし特にこういう点が特徴点であるというようなことがありますれば、まずそれをあげて御説明願いたいと思います。
  7. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) これは例年のことでございますが、当然勧告にあたりましては俸給表そのもの改善に一番力を入れてまいったつもりでございます。  この俸給表改善にあたりましては、御承知のように民間初任給も非常に上がっております関係で、かたがたいわゆる上薄下厚の形を民間でもとっております。私どものほうにおきましても、やはり初任給は一番大事でございますので、初任給については相当力を入れますとともに、昨年の階層別のべスアップが大体各階層均一的になっておりましたのでございますが、ことしは、まあ上薄下厚と大いばりで申し上げることはあえていたしませんけれども、去年に比べて上薄下厚の形になっておる、まあ謙虚に申し上げればそういうことでございます。  それから、俸給表はいろいろございますが、これも御承知でございましょうけれども、お医者さんの関係が宵民較差が非常に大きいものでありますから、これにことしは特に重点を入れまして、次いで研究職、それから技能労務者という関係相当力を入れております。  手当関係では、それも御承知のとおりに、国鉄の定期の上がり等も顕著なものがありましたし、かたがた通勤手当を大まかに申しまして五割増しというようなことで手当てをいたしております。  たくさんございますけれども、おもな点をとりあえず申し上げますと、以上の点であります。
  8. 川村清一

    川村清一君 次に、文部大臣にお尋ねいたしますが、今回の勧告にあたって特に文部省としてこういう点について重点を置いてやってもらいたいというような特別の要請、要望がなされたかどうか、なされたとするならば、どういう点において要望されたか、これを御説明願いたいと思います。
  9. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 今回の給与改定につきまして、文部省からも人事院に若干の申し入れをいたしたのでございます。その項目を申し上げてみたいと思います。一つは、大学助手、小・中・高等学校教諭並びに高等専門学校助手初任給引き上げ、それから助教授、講師並びに教授等中堅職員待遇改善、それから文部省所轄機関研究職待遇大学教官に見合うように改善をしてもらいたい、大体このようなものを主たる項目として要望申し上げた次第でございます。
  10. 川村清一

    川村清一君 じゃ、人事院総裁にお尋ねしますが、提出されました勧告内容をずっと見まして、なお給与勧告についても説明書を調べたわけでございますが、説明書の第二、「給与改善内容は次のとおりである。」というところの1の「俸給表改善」でございますが、ここの(1)の中に、ただいま総裁が言われたように、初任給改善については特に留意したと。すなわち、こういうような文章で書かれておるわけであります。「下位等級の引上率を特に高くするとともに」、ここに「特に」ということばを使っているわけであります。そこで、その内容を具体的に調べてみましたところが、これは俸給表(三)のいわゆる義務学校職員でございますが、三等級といいますか、高卒の初任給を見ますというと、一万九千百円が二万一千円になって、一千九百円アップしております。この引き上げ率は九・九%、こういうことになっておりますが、この九・九%という引き上げ率が、ただいま総裁の言われたように特に留意した点であり、この説明書の特に高くしたということば内容的に該当するものかどうかというところに、ひとつ疑義を持っておるわけでございます。したがって、ここで明らかにしていただきたいのは、これは民間給与との比較でございますが、一体ことしの民間給与は昨年に比べて初任給は何%上がっておるか、これを御説明願いたいと思います。
  11. 尾崎朝夷

    説明員尾崎朝夷君) 給与報告書の別表第二に掲げてございますけれども民間における初任給の本年の対前年上昇率は、事務技術者におきましては、高校卒で一二・一%、短大卒で一一・一%、大学卒で一〇・五%、それから高校教諭におきまして一〇・三%ということでございます。
  12. 川村清一

    川村清一君 民間のいわゆる高校卒事務職員が、出されておりますこの資料によるというと、一二・一%上がっております。これに比べて九・九%上げた、これは一体特にということばを使うほどアップされておるかどうか。  さらに私はお尋ねいたしますが、この初任給引き上げというものを過去五カ年にわたってどれだけ上げてきたか、ここで明らかにしていただきたいわけであります。三十九年では幾ら、四十年では幾ら、四十一年では幾ら、四十二年では幾ら、四十二年――ことしは九・九%、これは高校卒です。これは高校卒のいわゆる義務学校職員の分であります。
  13. 尾崎朝夷

    説明員尾崎朝夷君) 高校卒初任給引き上げ率を御指摘のとおりに申し上げますと、三十九年が一三・三%、四十年が一一・〇%、四十一年が八・五%、四十二年が六・七%、四十三年――本年が九・九%でございます。高校卒初任給につきましては、きめ方は、一つには民間給与上昇ということと、それからもう一つは、独身成年男子東京における標準生計費上がりという両者を考慮いたしまして、特に標準生計費上がり関係のほうがやや絶対額では高目でございますので、それによって主としてきめられてきておるというのが実情でございます。
  14. 川村清一

    川村清一君 私は、ことしの給与改定勧告にあたって特に人事院配慮された点は何か、重点が置かれた点は何かということを冒頭お尋ねしておるわけでございますが、それに対して総裁は、初任給を上げることに特に留意した、こういうことを、上薄下厚のそういう俸給表をつくったということを説明されておるわけでございます。それが特徴だということをあなたはおっしゃった。だから、それでこの文章にも「特に高くする」と、「特に」ということばを使っておるから、それでお尋ねしておるわけであります。  そうしていまお尋ねしまして御説明願いましたように、この義務教育学校職員高校卒初任給は、三十九年は一三・三%上がっているのです。四十年は一一%上がっているのです。四十一年は八・五%上がっているのです。四十二年――去年はわずか六・七%しか上がらない。ことしは九・九%なんです。だから、去年に比べてはあるいは特にということばは当てはまるかもしれないけれども、三十九年には一三・三%、四十年は一一%上がっておるのです。過去五カ年のアップ率に比べたならば、「特に」と大げさに言うほど上がっておりますか。特に配意された、努力されたものの姿がこうだ。自慢されるほどのアップ率かどうかということを私は尋ねておるのです。どうですか。
  15. 尾崎朝夷

    説明員尾崎朝夷君) 御承知でございますけれども民間におけるいわゆる労働の逼迫がございまして、初任給が非常に上がってきたのは、三十五年から三十九年まででございます。この間は、たとえば行政職で申しますと、一等級、二等級のほうは数%の引き上げ率でございましたが、下のほうは非常に十何%という引き上げが続いてまいったわけでございます。それで、四十年以降になりますと、こういう初任給引き上げ比較的緩和されてまいっておりまして、大体一〇%以下という感じになってきておるわけでございます。本年は先ほど申しましたように約一二%の民間上昇がございまして、俸給面におきましては先ほど申しましたように九・九%、これは暫定手当及び調整手当、地域給的なものが昨年に比べて変わってきておりますので、これを含めて考えますと、約一一%の上がりという感じでございます。そういう意味合いで相当のやはり力点を置いて引き上げ努力をしたというつもりでございます。
  16. 川村清一

    川村清一君 どうも時間がないのであまり突っ込めないので残念ですが、先ほど生計費の問題を出されて説明されましたね。それで、私どもにお配りになっておりまするこの関係資料を見せてもらいましたが、東京における独身男子十八歳程度の標準生計費調査がございますね。これがやはり一つ基準になったと思うのでありますが、そこで、私は問題にいたしたいのは、独身男子一人当たり食料費が一日二百七十三円五十銭。これは一日二百七十三円五十銭で食事をしておるということなんです。これが基準になっておると。  人事院総裁にお尋ねします。この十八歳の高校を卒業して初めて学校先生になったような、もう非常に元気旺盛な青年が、一日に二百七十三円五十銭でもってめしを食えるかどうか、そうして学校教員としても一体仕事ができるかどうか、総裁、どうお考えになられますか。
  17. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 具体的には個人個人の御事情がありましょうけれども、私ども標準生計費を算出いたします基礎を申し上げますというと、総理府統計局で家計調査というものをやっております。それから、一方、厚生省で国民栄養調査というものをやっておるわけです。私どもとしてはこの二つに基づきまして、いわゆるマーケットバスケット方式によって算定したものが標準生計費でございまして、国民一般の標準的な食料消費実情をそのまま反映するつもりでまあ算定したということで、例年これはやっておるとおりでございます。  ただ、先ほど触れました初任給との関係では、官民比較の場合において、かりに初任給が多少標準生計費を割るような場面が出てくる、そういう場合には、標準生計費をそのささえに使ってこれを押し上げることに使っておる場面相当あるわけでございます。ことしの場合は、高校卒初任給の場合については、標準生計費ささえに使うまでもなく、それよりも三百円高く初任給をきめておるというのが実際でございます。
  18. 川村清一

    川村清一君 時間が忙しいので先を急いで恐縮ですが、あまり議論している時間がないものですから、そこで、お尋ねしますが、標準生計費標準食料費調査してこういう数字が出てきたと。栄養もそれだけとっておけば死なないということなんでしょう。確かに私はそう思うのですが、そこで、二百七十三円五十銭でもって計算して、一カ月に食料費が八千三百二十円、それと住居光熱費が四千二百七十円、被服費が千五百九十円、雑費が五千三百十円、合計一万九千四百九十円、これが基礎になって、それで初任給二万一千円というものをはじき出したと。そうしますと、一万九千四百九十円が生計費であって、二万一千円ですから、若干これは余裕があると、こういうことだろうと思うのですが、これは学校先生ですね。そこでこの研修費、いわゆる書物を読んで勉強せんばならぬ、こういう研修費なんというものは一体どこから出てくるかと、こういうことなんですが、これは人事院はそんなこと調査の対象にならぬということになれば別ですが……。  文部大臣にお尋ねします。この標準生計費は、いま私が言いましたように、食料費住居光熱費被服費雑費雑費の中に入っていると言われれば別ですが、これを含めて合計一万九千四百九十円、これがやはり算定の基礎になって初任給二万一千円、昨年よりも千九百円アップして引き上げ率九・九%、これは特に上げたのだといって人事院は鼻高々なんでございますが、この先生方給与といったようなものをいろいろ心配してやる責任大臣である文部大臣として、一体、二万一千円という高校卒先生初任給は満足ですか。研修費というものを私は問題にいたしたのですが、標準生計費で一万九千四百九十円、そして二万一千円もらって、この中から一体研修費なんというものははじき出されるものなのかどうか。そういうしかけになっておるものかどうか。住居光熱費四千二百七十円といったってこれは問題外でありますが、文部大臣にお尋ねしますのは、文部大臣としてこの二万一千円の中からそういったような、教員という職能である以上どうしても必要なこういう研修費というものをそこから引き出せる余裕があるとお考えになられるかどうか、文部大臣のお考えをお尋ねしておきたいと思います。
  19. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 詳細は政府委員からお答え申し上げたいと思いますが、今回の初任給引き上げにつきましても、一般行政職比較いたしまして若干有利になっておるわけでございますが、私どもとしましては、教員処遇の問題についてはなおよく検討する余地があるように考えております。現状をもって必ずしも十分とは考えておりません。今後さらに努力をいたしていきたい、かように考えておる次第でございます。
  20. 川村清一

    川村清一君 これと関連して、さらにお尋ねしますが、私はただいまは高校卒初任給の問題についていろいろ議論したわけでありますが、今度は大学卒初任給の問題、これと関連して同じ大学卒行政職職員俸給表との関連をちょっと調べてみた、その上に立ってお尋ねをしたいと思うわけです。  現行の規定によりますと、行政職職員大学卒初任給は二万三千九百円、これに対して教育職員大学卒初任給は二万六千八百円、その差は二千九百円、すなわち、教育職員のほうが行政職職員よりも初任給において二千九百円高いわけであります。これはやはり教育という職能が特別の職能である、また専門職であるというような考え方もあるでありましょうし、教育職に広く優秀な人材を得たいというそういう配慮からもなされているものであると、私はこういうふうな判断をしておるわけであります。  ところが、勤務年数がたっていくというと、約二千九百円差があるわけでありますが、この差がだんだん縮小されていくわけであります。そうして経験年数が十三年、年齢三十五歳の段階では、行政職職員俸給は五万一千百円となり、教育職職員のほうも五万一千百円となって、全くここで同額になる。これだけ差があったんだが、十三年たつとここで同じになっちゃうんですね。それから後は行政職のほうが教育職職員のほうを追い抜いて、逆に今度は行政職のほうが高くなる。逆な較差が生じてくるわけであります。そこで、これでは初任給教育職職員のほうを行政職職員より高くしたというその趣旨が途中でこれは無になってしまう。  こういうようなことで、しかも将来においての希望というものも行政職職員よりもないというようなことから、これは文部大臣承知のように、最近におきましては教育界に職を望む教員志望者というものがだんだん少なくなってきておる。優秀な人材がどんどん他の職業に進んでいっておると、こういう現象を生じておる。特に小学校先生方は非常に不足してきておるということは御承知のとおりであります。  今度の人事院勧告給与改定俸給表によってそういう傾向が是正されるのかというふうに考えておったんですが、これもたんねんに調べてみますというと、そうなってまいりません。まあ、これは教員のほうは二万六千八百円が二万九千三百円になって、二千五百円引き上げられました。行政職のほうは二万三千九百円が二万六千三百円となって、その差は三千円、すなわち三千円教育職のほうが高いわけであります。したがって、現行は二千九百円高いわけでありますから、現行のよりも百円教育職のほうが高いということになるわけでありますが、経験年数十三年たちますというと、行政職のほうは五万四千七百円で、教育職のほうは五万五千円、その差はわずか三百円、今度はもう一年たって、経験年数十四年たつというと、これは年齢三十六歳でありますが、逆に行政職のほうは五万七千三百円、教育職のほうは五万七千二百円、すなわち教育職のほうが百円低くなっておる。これはきわめて重大な問題であろうと私は考えるわけです。  こういうような事実があるということを、この教員待遇問題についての責任者である文部大臣は御承知なのかどうか。御承知であるとするならば、これを認められておるのかどうか。認められておらないとするならば、こういったような俸給表の是正を今度の勧告にあたっては強く人事院に対して要望すべきであろう。要望を当然しているはずだと思って最初お聞きしましたところが、別段要望もされておらない様子で、私はがっかりした次第でございますが、一体文部大臣はこういう事実を知っておったのかどうか、これはひとつ文部大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  21. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 勤務年数がだんだん長くなるにつれまして、当初の行政職教育職との比較がそのまま継続せられておらないという事実は、私も承知いたしております。行政職教育職関係比較すると、行政職につきましては、御承知のようにいろいろ職制の段階も多いことでございます。その昇進関係等教職員の場合とは違っております。こういう事実もございますので、簡単に単純に比較するということもなかなかむずかしい問題であろうと考えますが、われわれとしましては、教職員給与改善という問題については深い関心を持っておるわけでございますので、御承知のように、本年度から教職員給与につきましての実態調査等も進めまして、将来その改善のために資してまいりたいというふうな状況でございますが、今後なお十分に努力してまいりたいと思っております。
  22. 川村清一

    川村清一君 人事院総裁は、こういう点御承知かどうか。御承知だとすると、こういう問題についてどう考えているか。ということは、先ほどのあなたの御説明の中に、特に給与改定努力されたものの中に、医療職研究職技能労務職、こういう方々改定につきましては、俸給表改善については努力されたということをおっしゃっておる。私は、教育職もやはり医療職――医療職をどうしてそうされたかということについては、これはお医者さんが不足している。特に僻地にお医者さんが行かないですね。やはりお医者さんの待遇改善をせねばなかなか困るということでそういう配慮がされたと思うんです。それはけっこうだと思うんです。教員の場合も、現に小学校先生なんか、なる者がいないわけですね。優秀な人を教育界に求めるような処置をとらなければ、これは、国家百年の大計なんというとちょっとオーバーかことばかもしれないけれども、やはり重大だと思うんですね。こういう点は、給与責任者人事院総裁として、これは文部省からそういう強い要望があったないにかかわらず、この給与実態、公務員の給与実態というものを、職務の実態給与実態というものを、常にこれを考えて、進んでこういうふうな点を研究すべきであるし、法的にも調査すべきであると書いてあるし、調査すべき問題だと思うんですが、いかがですか、これは。
  23. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) よく御趣旨はわかりました。実は、先ほど医療職研究職技能労務職と申し上げたあとで、教育職のことも一言つけ加えておくべきだったのじゃないかということを実はあとで気がついておったところなんで、いい御指摘をいただいたと思います。  教育職については、御承知のように、毎年毎年力を入れてやっておるものですから、特にここで申し上げることをしなかったのでありますが、これは私の政治性のないところでございます。御了承願いたいと思います。  いま御指摘の点に関しては、先ほど文部大臣からお答えになりましたこととまさにわれわれの見方は同じ見方であると申し上げてよろしいと思うんです。行政職については、管理職になって初めて上がっていくことになりますので、したがって、グラフを――私どものほうもグラフを引いていつも比べておりますけれどもグラフで制度的に上がり得る、グラフとしてはなかなかりっぱな形になりますけれども、現実には欠員がありませんと上に上がらないというのが実際上の実態です。で、グラフで示した制度線との間に相当違いがあるということを御了解願いたいと思いますが、いずれにいたしましても、いま申しましたこのグラフは常ににらみ合わせながら改善につとめてまいっておるわけで、これは口で申し上げますよりも、例年勧告によって、この制度線ではありましても、行政職の場合の線がいかに改善されつつあるかということはおわかりいただけると思います。ことしもその点に意を用いておるわけでございます。また校長さんにおなりになれば、これは校長先生はまあ相当いいところへ行きますが、あれやこれや考え合わせながら少しずつでも改善はしたいという気持ちでこれに取り組んでおるということを御了承願います。
  24. 川村清一

    川村清一君 教育職のほうも十分従来から考えておる、配慮しておるというような御返事でございますが、そのお考えはあるかもしれませんが、それは具体的に何も私はあらわれておらないと思う。若干あったのかもしれませんが、特に教育職のほうは考えておるというほどのものは具体的に何も出されておらないと思うのでありますが、したがって、従来ともやっておったというおことばであるとするならば、そのおことばは私はお返し申し上げたい、こう思うわけです。  それから、もちろん行政職が全部が全部そういうふうにいくものではございません。したがって、全部が部長になり、課長になり、係長になってこう上がっていくものでございませんから、全部ではございませんが、こういう形になって大体平均してそういうふうにいくということを私は申し上げているのです。  しからば、ただいまの話では、校長さんになっていけばということです。ところが、一等級、二等級、三等級とあって、これは一体等級先生の数と、学校のないところに校長はいないわけですから、学校の数と比べてごらんなさい。それは二等級にある人がみんな校長になれる、そんなしかけになっていないでしょう。ですから、私は申し上げている。それからもう一つは、かりに校長になっても、私は差があるんじゃないかと思いますし、もう一つ、これは時間がありませんから申し上げませんが、けしからぬのは、号俸伸ばしをやっている。  その号俸伸ばしのどこを伸ばしているかということをしさいに検討してみたら、校長さんのところばかり、おもに一等級ばかり号俸伸ばしをやっている。どうせ伸ばされるなら、二等級、三等級を伸ばしてくれればいいのに、一等級のところだけ力を入れて伸ばしている。校長ばかり上のほう、先を伸ばすけれども、といったようなことで、校長になれない者は、これは特別のあれはありますけれども、伸ばしておらないという点に不満があります。これはここで……。  次に問題を移します。「俸給表改善」のところの(5)、これはどういうことですか。これは何としても納得がいかないのですね。「なお、勤務成績の特に良好な者に対する特別早給のわくの拡大等を図るとともに」、こういう文章で始まって、最後に、「顕彰と給与上の優遇措置の整備を推進することとしている。」となっている。どうも人事院給与勧告というのはいままでほんとうに何回も出ておりますが、私の経験では、こんなことを勧告したことはいまだかつて記憶がないのですが、ありますか……。それは特に留意した点は何かといったら、(5)じゃないかと思うのです。そのことをさっき人事院総裁はおっしゃられませんでしたが、こういういままでなかったものを特にここにつけたのはどういうわけですか。これをはっきりひとつわかるように説明してください。
  25. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) いま御指摘の点は、これは勧告ではございませんので、報告のほうのたしかしっぽに近いところに入っておったと思います。しかし、いずれにせよ、これは軽々しく入れたわけではございませんので、やはりそれ相当趣旨のもとにやったことなんであります。  御承知のように、現在の公務員制度、あるいは給与法もそうでありますけれども、要するに勤務の実績に基づいてすべて早給させろというのが基本の精神になっておりますので、したがって、その面からそういうようなことが報告の文面にあらわれたということでございます。  要するに、民間におきましても、昇給等の場合には、やはり実績主義でやっている。これはパーセンテージを調べてみてもわかりますように、大多数がそういうことをやっております。で、やはり先ほど申し上げましたように、公務員法あるいは給与法においては、実績主義ということが基本の原理になっておるということから、われわれとしては、かねがね、公務員の場合には年功序列型だという批判を受けておりますが、この際姿勢を正す必要があるだろう。姿勢を正すと申しましても、いままであったことで、これは御承知のとおり特別昇給の制度はいままであった。それがたまたま役所の定員の一〇%ということに限られておりましたものですから、それを今度一五%に広げようということでございまして、従来あった制度を多少伸ばそうという趣旨であります。
  26. 川村清一

    川村清一君 もちろん、従来特別昇給の定めは、これは一般職の職員給与に関する法律八条の七項、これは人事院細則等に出ておる。そこで、従来あったことは私も承知しておるのですよ。それは規則、細則であるならば、人事院がこれは出せるわけですね。ところが、これは勧告でない、報告だ、こうおっしゃっておる。ところが、「給与勧告についての説明」というこれの中に(5)の中に堂々と書かれておる。これは説明書です。いままでこんなことないですよ。だから、特にことしはここに重点を置いておると、こう考えざるを得ないわけでしょう。  そうして具体的にどうかというと、いままでは細則では一〇%であったのを一五%にして、五%アップすると、こういうことですね。やはりこれは重大な問題ですよ。そういうふうにしなければならない――姿勢を正すとかなんとかおっしゃっておりますが、そういうことをやらなければならない状態なのかどうか。特に給与勧告のこの中に、そういうようなものを同時に、報告であっても勧告のような形で出したその意図ですよ、ここが問題になる。出さなければならないそういう事情はどこにあるのですか。いままでだって、こんなものを出さなくたって、法律にあり規則にあるわけです。細則にあるわけですから、やってきておるわけでしょう。それを特にことしはこういうふうにはっきり書いて、そしてこれを強化するということは那辺に意図があるのですか、それを明らかにしてください。
  27. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) これは悪いことであれば別でございますけれども、私どもとしては、先ほど触れましたように、法律の精神からいっても当然のことでございますし、いままで一〇%というワクがあった、これはやはりこの際拡充すべきかということから、勧告にはおっしゃるとおり載せておりませんが、報告の面においてはそれをやはり推進していこうという気持ちを示したほうが適当であるということに出たものでございます。
  28. 川村清一

    川村清一君 さらにお尋ねしますが、最後のところに「顕彰と給与上の優遇措置の整備を推進すること」と書いてある。給与上の優遇措置は人事院の所管事項だと私は思うのですよ。しかし、顕彰となったら、あなたの役所の所管事項でございますか。これは行政的にどうなんですか。越権行為じゃありませんか。人事院として顕彰に足を入れるということはどうですか、これは。
  29. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) もっともな御疑問だと思います。ただ、開き直って申し上げさせていただけば、私のほうは能率の根本基準をお預かりしておりますから――人事局はありますよ、人事局はありましても、根本基準はわれわれのほうで握っておるつもりでございます。越権ではないと、そこまでは開き直ることはいたしません。要するに、各省で御承知のようにそれぞれ顕彰制度をお持ちになっており、それぞれ運用していらっしゃる。ただし、それが各省まちまちであるということは一つありますけれども、これは人事局なり何なりでやっていただけばいいことで、私どもは今回としてはそういう顕彰を受けた人に対しての給与上の措置を十分とっていこうということを給与面からこれは述べておるわけでございます。
  30. 川村清一

    川村清一君 文部大臣にお尋ねしますが、人事院からこういうものを受けられて、どうですか、文部大臣はいよいよもって勤評をしっかりやらなければならぬと、そういうお考えですか。
  31. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 人事院勧告につきましては、その趣旨をできるだけ尊重して取り扱ってまいりたいと思っております。
  32. 川村清一

    川村清一君 人事院はあれですか、特にこういうことをされたのは、各省庁に対して職員をあれして勤評をしっかりやれと、こういう御意図ですか。
  33. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 勤評はもう法律で定められておることでございますし、われわれとしては勤評をぜひ完全に実施していただきたいということを各省に常に推進を申し上げておるわけでありますが、それはそれとして、今度は給与上の措置として裏づけのほうもちゃんとしたものにしておきたいというのが今回の真意でございます。
  34. 川村清一

    川村清一君 それでは、総裁、お尋ねしますがね、この一〇%が一五%に五%上がることによって予算が不足になるわけですね。一体その予算措置はどうなんですか。その財源はどこにあるのですか。
  35. 尾崎朝夷

    説明員尾崎朝夷君) 特別昇給のワクを五%ふやしますれば、やはりそれだけの予算を要するわけでございます。で、その場合に水準がどの程度上がるかという点につきましては、それをいつ実施するかという点にもかかわりますけれども、大体十月あるいは一月から実施するといたしまして、〇・一%弱というふうに考えております。
  36. 川村清一

    川村清一君 これは今度の勧告給与改善八%という、この八%の中に含まれるというのですか。
  37. 尾崎朝夷

    説明員尾崎朝夷君) そのとおりでございます。
  38. 川村清一

    川村清一君 それはもう納得いかないですね。八%を引き上げるということは、これは一般公務員全部民間との差でもって、俸給で七・一%、諸手当で〇・五%、その他で〇・四%、計八%ということなんですね。そうすると、七・一%という中にこれが含まれるということですね。
  39. 尾崎朝夷

    説明員尾崎朝夷君) そのとおりでございます。
  40. 川村清一

    川村清一君 これは重大な問題です。時間がないですから、これに対する議論は後に残します。これはたいへんな問題だと思います。  次に、一番最後の「附記」に、「なお、期末、勤勉手当の支給期別の割り振りおよび期末手当の在職期間に応ずる支給割合について、制度運用上の実情を考慮して合理化を図ることとしている。」という附記がありますね。これは具体的にどういうことですか。
  41. 尾崎朝夷

    説明員尾崎朝夷君) 現在、期末・勤勉手当につきまして運用をいたしておるのでございますけれども、たとえば勤勉手当につきまして申し上げますと、六カ月間の成績によりまして六月に勤勉手当を支給する、それからさらに六カ月間の成績によりまして十二月に支給するという形になっておりまして、さらに年度末三月におきましては、過去一年間の勤務成績によって三月に勤勉手当を支給するという形になっておるわけであります。そういう三回勤勉手当をやっておるわけでございますけれども、その場合の成績の評価がダブって支給されておるわけでございますが、そういうやり方はやはり勤務評定が年一回とか、こういう関係と平仄が合っておりませんで、やはりいろいろ問題がございますので、たとえば勤勉手当は年二回に支給する、六月、十二月だけに支給して、三月の分は六月、十二月の期末手当と振りかえるようにしたらどうか、そういったような考え方を現在事務的に持っておりまして、そういう関係を今後事務的にさらに整備をいたしまして、法律の案を提出いたしますときに、人事院としてもその案につきまして総理府のほうに意見を申し述べたいと考えております。
  42. 川村清一

    川村清一君 そうすれば、こういうことになりますか。期末手当と勤勉手当、現在は期末手当が六月に一・一、十二月に二・二、勤勉手当が三月に〇・五ですか、六月に〇・三ですか、十二月に〇・三ですか、ですから、三月に〇・五、六月に一・四、十二月に二・五、これはいわゆる総体額ですね、これは変わらない。この中でいわゆる合理化するということですか。
  43. 尾崎朝夷

    説明員尾崎朝夷君) そのとおりでございます。
  44. 川村清一

    川村清一君 期末手当を減らして勤勉手当を多くするということにはならないでしょうね。
  45. 尾崎朝夷

    説明員尾崎朝夷君) 期末手当と勤勉手当との関係につきましては、やはり民間における成績、いわゆるボーナスの成績のつけ方等をいろいろ見ておるわけでございますが、現在の期末手当と勤勉手当との割り振りは民間とも大体見合っておりますし、適当であろうというふうに考えております。
  46. 川村清一

    川村清一君 これらの点も重大な問題ですけれども、これもあとでまたやります。  それから、寒冷地手当の問題も総裁にいろいろお尋ねしたいが、これも時間がありませんので、あとに延ばします。最後に、あと五分しかありませんので……。そこで、問題は、せっかく人事院総裁勧告を出された、この出された勧告が完全に実施されるかどうかと、こういうことですね、問題は。そこで、人事院総裁に、私、いまはっきりお尋ねしたいのですが、総裁は、この衆議院、参議院、それから総理大臣に出された報告書のこの一番最後に、こういうことを書いてある。「その実施時期についても勧告どおり実施されるべき筋合のものであるところ、この点についての従来の実績をみると、昭和三十九年以降二度にわたって漸進をみたものの、完全実施との間にはなお隔りの存している事実をここに指摘しておきたい。」と、こう言っておる。これはどういうことなんですか。まことに歯切れが悪いですな。ただここで指摘しただけですか。「完全実施との間にはなお隔りの存している事実をここに指摘しておきたい。」と。ぜひ完全に実施すべきであると、そういうあなたの責任者としての意思を表明したものかどうか。ぜひこれをこのとおりやるべきである、こういう意思の表明なのかどうか。この文章では、何だか、どういうことなのかわからないですね。この点をもっとはっきりここで明らかにしていただきたい。
  47. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) これは、めったにこういうことを書かないのに、まあよく書いたということになろうかとも思いますけれども、われわれの立場としては、これは報告でございますから、報告としては、事実を厳粛に指摘しておけば、もののわかる方であれば十分おわかりいただけるか一いう趣旨でございます。  本体は勧告でございます。勧告の本文のほうに、この頭の表書きにもございますが、「この勧告に対し、国会および内閣が、その実現のため、すみやかに所要の措置をとられるよう切望します。」と、こう表書きに書いてあって、そうして勧告の終わりのところに、また、「改定の実施時期」という見出しをつけまして、「改定内容基礎となっている官民給与較差が、昭和四十三年四月を基準としていることにより、この改定は同年五月一日から実施すること。」と書いてあります。どうぞよろしくお願いします。
  48. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 川村君、おまとめ願います。
  49. 川村清一

    川村清一君 総務長官は、給与担当大臣、責任者として、非常にものわかりのいい方だと思います。人事院総裁はかく言っておられますので、そこで、これは完全実施の意思ありやどうか、端的にひとつお聞きしますので、端的にひとつ決意を披瀝していただきたいと思います。
  50. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) 私といたしましては、人事院から出てまいりましたこの勧告に対しまして、全力をあげてこれの実現をいたすべく邁進をいたしたい、かように考えております。
  51. 川村清一

    川村清一君 最後に、文部大臣のお考えをお聞きしたい。  新聞によりまするというと、文部大臣給与関係閣僚会議では完全実施を主張してだいぶがんばっておられるような模様であります。これは当然なことでありますけれども、敬意を表します。ぜひそれを最後までがんばってもらいたいと思います。われわれのところに地方教育委員会あるいは校長会等から、ぜひともことしは人事院勧告を完全に実施するように努力してもらいたいという陳情が来ております。また、政府が完全実施をしないで組合のストライキ等が行なわれて、そうして処分者が出るようなことになれば非常に困るので、ぜひことしはそういうことがないように努力してもらいたいということが、こういう関係者から陳情が出されてきておる。  そういう意味で、文部大臣がんばっておられると思うのでありますけれども、完全実施しないから組合がこれに抗議して完全実施を要求して実力行使を行なうということは、これは私はまたしかたのないことだと思うのです、ある意味においては当然だと思うのです。これに対しては情け容赦もなく法律違反だと称して一刀両断のもとに処分する、これでは筋が通らないと思うのです。権力を持つほうは法律の趣旨を守らないで、人事院からそういうふうに出ていることを守らないで、そうして使われているほうの者の首だけ切っていく、こんな理屈は私は通らないと思う。ですから、ことしは教員の中から一人の処分者も出ないように、あなたはひとつ職を賭しても人事院勧告の完全実施のためにがんばっていただきたい。そうして大蔵大臣や経企長官は何とかかんとか言っているが、大蔵大臣は議会ではっきり言明している。五百億というワクの中にとらわれない、千二百億の予備費の中で処理するから心配はないということを国会で言っておる。ですから、この大蔵大臣や経企長官がとかく言っても、とにかく全国何十万の教員を預かり守る立場の大臣として、ひとつ最後までがんばってもらいたいということを私は申し上げて、いろいろ聞きたいことがありますが、時間が終わったのでこれでやめますが、最後に文部大臣の誠意ある決意を聞かしてください。
  52. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) お尋ねの点につきましては、私としましては極力努力してまいりたいと思っております。
  53. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 川村君の質問が終了いたしまして、次は宮崎正雄君。
  54. 宮崎正雄

    宮崎正雄君 私は、国立学校の管理運営について文部大臣の御所見を伺いたいのでありますが、これらの問題につきましては、すでにたびたび論議されておると思いますので、重複は避けたいと思います。しかし、私が調査いたしました範囲におきましては、現在の東京教育大学の現状につきましては、まことに憂うべき重大な問題があるように私は判断をいたします。それらの数点につきまして大臣の御所見をお伺いし、また私の見解も申し上げまして、それに対する大臣の御見解も承わりたいと、こういうふうに考えるわけでございます。  第一点といたしましては、御承知のように、教育大学の本部が一部学生の暴力によって点拠され、そうしてバリケードを築いて封鎖されております。事務は全く完全にストップしております。事務職員はようやく付属中学校の一室を借りまして出勤はしておりますけれども事務はほとんどできない、こういう状況でございます。この事務が完全にストップしておるということは、私はたいへんな問題を含んでおると思います。付属中学ももう休みが終わりますから、おそらくその事務室に提供するところの部屋を返してもらいたいという要求が出るのは当然だと思いますが、その際に大学の事務室は大体どこに求めるのか。  しかし、私は、その事務室そのものは、あるいは民家を借りてでもできるかと思いますけれども、しかし、ここで一番問題のことは、封鎖されたのがきわめて突然でございまして、詳しく申し上げますというと、六月二十九日の午後九時ごろに、突然学生がヘルメットと角棒をもって乗り込んで、そうして直ちに封鎖しましたために、事務職員関係書類、資料を全然持ち出すことができないのでございます。したがって、現在はもう資料はございませんから、仕事ができない。これは非常に全学生、あるいは教授に対し、あるいは学校の運営、研究、これに対して重大な支障を私は及ぼしておると思うのでございます。たとえていうと、もう、間もなく学生が帰ってまいりますが、通学定期を購入しようとする。その証明書をもらおうとしても、これはもらえない。あるいは育英資金もこれをもらおうとしましても、その手続ができない。さらに重要なことは、おそらくこれから就職試験が始まりますが、その就職試験に対しましては、単位取得証明書なりあるいは見込み証明書なり、いろんな関係資料を提出しなければならない。こういうものを一切できない。さらにまた、近く教育実習が始まると思いますが、これらに対する準備もできない。また、この状態が続きますというと、もう入学試験準備等はすでに着手をしなければならぬ段階でございますが、これもできないというようなことになると、これはたいへんなことになる。それで、私が教授に聞きましたが、一、二の者は、もう研究室で物品の購入もできないのだ、だから研究もできないのだということを私に訴えておりました。このような事態に対しまして、文部省はどのような見解をお持ちであるか、またこういうような実情については十分御認識であるかどうか、まずその点をお伺いいたしたいと存じます。
  55. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 東京教育大学の実情につきましては、私も時々報告を受けておるところであります。いろいろただいま御指摘になりましたが、現在の状況はほんとうに言うに忍びないような状態であろうかと存じております。このためにいろいろ大学の仕事の上に支障を来たしておるということもそのとおりであろうと私は思うのでありまして、かような状態が継続するということは耐えがたいところであります。したがって、われわれとしましては、極力局面の打開のために、大学がなお一そうの努力をするようにということを注意いたしておるところであります。事実問題としてなかなか容易に解決できないことをいかにも残念に心得ておる次第であります。決して現状を私ども肯定をいたしておるわけではございません。何とか大学の努力によりまして問題の解決をはかり、また現在のような大学の機能がほとんど行なわれないというふうな事態をすみやかに解決すべきものである、そのように存じておりまして、督励をいたしておるような次第でございます。さよう御了承いただきたいと思います。
  56. 宮崎正雄

    宮崎正雄君 第二の問題点は、御承知のように、七月二日から全学ストに入っております。この状態が続きますというと、おそらく学則によって単位認定については一応の規定があると思います。そういたしますというと、いわゆる授業時数が規定の時間数に達しない、こういう事実が生まれてくるのでございますが、そうしますというと、それに対しては単位認定ができない。そうすると、所定の規定の単位認定が得られないということになりますと、学生は次の課程に進級することができません。また、卒業を控えた学生は卒業もできない。また、大体ことしは卒業ができるだろうということで、それぞれ就職に対するまあ試験を受けたり、あるいその口をさがして手続を進めておる学生も相当あるかと思います。ところが、卒業ができないということになりますと、せっかく内定しておりましても、これは就職が実現しない、こういうことに当然なってくると思うのでございます。少数の学生であればこれはまあがまんをしなければならぬ場合もあるかと思いますが、何百人、学校をあげての学生が所定の単位がもらえないで、全部これが留年する、卒業を延期するという事態になりますというと、これはおそらく来年度新入生を採るということも不可能になってくると思うのであります。そういたしますというと、これはたいへんな私は問題だ、このように思うのでございますが、文部大臣はこういう事実に対してどのようにお考えであるか、承りたいと思います。
  57. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 御指摘の問題も確かに、現在の教育大学の実情から申しますと、あるわけであります。いまのような状態が継続いたしますというと、確かに御指摘のようなことになりかねない、かように私どもも心配をいたしております。したがって、大学はもちろんのこと、学生の諸君も、自分にかかわる大切な問題でございますので、一致して局面の打開のために立ち上がって努力してほしいと、こう考えておる次第であります。
  58. 宮崎正雄

    宮崎正雄君 第三に、きわめて重大な問題が教育大学にはございます。それは教育大学の教授が生命の危険にさらされておる、こういうことでございます。そうして現在では各教授ともその生命を守るためにですね、教授会さえ開けない。教授会に出席いたしますというと、どういうことになるかもわからない。おそれをなして教授会に出れない。したがって、教授会を開けない。こういうことになりますというと、大学の意思決定というものがこれは行なわれない、こういうことになると私は思います。  そこで、私は、生命の危険にさらされておると、非常にオーバーな表現で、そんなことが最高学府の大学であるかというお考えを大臣がお持ちになっては困りますから、私が調べました範囲の事実を二、三御紹介いたします。  七月十日の夕刻に教育学部で、橋本、岡という両評議員その他数名の教官が、文学部の教官と立ち会いの上で文学部の学生と話し合うということに大体話がまとまりまして、そうしてその両評議員は会議室に入ったのでございます。ところが、とたんにこの橋本、岡両評議員を囲みまして、二十数時間この両教授を軟禁しておるのでございます。ただそれだけならまだいいんですが、その両教授の足をける、あるいは胸元をつかんでこづき回す、背後から首や背筋をたたく、顔を殴打してめがねが吹っ飛んでしまう、こういう状態を二十数時間続けているのです。とうとうその橋本教授はそのためにむちうち症になりまして入院し、現在では通院しております。これが日本の教員養成機関としては最も古い歴史を有する教育大学における生徒が自分の教官に対する行為でございます。六月二十四日及び二十六日には、理学部の教授会が開かれておるのですが、ところが、またもやそこに参りまして、理学部長を数時間にわたって監禁をし、そうして顔や耳に拡声機を押しつけて、故意に大きな声を出してどなるのです。からだじゅうをこづき回す。こういうことが二十四日と二十六日に行なわれております。七月一日には、今度は農学部長に対してやはり理学部長と同じようなことをやっております。  さらに農学部に行きましたところが、学部長はおらないというので、かってに農学部の教授の部屋に入って、そうしてジグザグ行進や乱暴をやっております。学校におらないものですから、今度は教育学部、理学部、農学部の学部長の私宅の前にビラを張りまして、夜おそく電話をかけたり訪問してベルを鳴らすと、こういうことが行なわれておるのでございます。  大臣は、こういう事実に対してどのようなお感じをお持ちになるかどうか、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  59. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 御指摘のような事件は、もはや論外と申す以外にはないと思います。学生として言語道断な行動であると申し上げても私は過言ではないと思います。しかも、それが教官と学生との間にそのような暴行ざたが学生の手によって行なわれるというようなことは、何と考えましてもこれを容認する何ものもないと私は思います。美しい師弟の関係というものが教育にとりましては何よりも大切なことでございます。特に歴史もあり伝統もある教育大学でこのような事態が起こるということは、大学としましてもきわめて不名誉なことと申さなければならぬのでありまして、遺憾千万という以外にことばがございません。  ただ、大学としましては、もとよりそのような暴行学生に対する教育的立場に立っての判断はあろうかと思いますけれども、やはり常にき然として事柄の処理に当たってもらいたいと思うのであります。そこらの点にあいまいな、また安易に流れるような態度をもって処置すべきではないと、十分教育配慮はなされなければならぬと思いますけれども、常に筋の通った正しい道筋を守って大学は処置していただきたいものと私は希望いたしております。
  60. 宮崎正雄

    宮崎正雄君 第四の問題点は、これが教育大学の全学生が同じ歩調でこのような暴挙をやっているということであれば、これは私はいわゆる手も足も出ない、やむを得ないと、こう考えなければならぬかもしれませんけれども、文学部の学生が主でございまして、その文学部といいましても学生が千百五十名おります。その中で、このようなことをやっている学生はわずか二百名足らずでございます。この文学部のわずか二百名足らずの学生によっていままで申し上げましたようなことが行なわれて、そうしてこれに対してどうこうもできないんだということは、私はどうしても納得ができない。  先ほど大臣は、大学も全力を尽くして努力しておるというようなお話でございましたが、もちろん努力はしておられると思います。しかし、何千名の学生の中のわずか二百名、それによって全学が麻痺し、そうして教育の殿堂ともいわれる大学の名誉を傷つけ、そうして教授に生命の危険さえ与えるようなこういうことが、わずか二百名の学生によってやられておって、それに手も足も出ないということは、私はどうしても納得できない。おそらく全部の国民が私は納得できないんじゃかいかと、こう思うのでございます。こういう点について、私は真剣にひとつ考えていただきたいと思います。  最後の問題といたしまして、先ほど大学が努力をしておるということを申されたのでございますが、事実大学は努力をしております。そうして、文学部の学生が主でございますから、学長、事終局長、各学部あるいは教授会が、具体的に申し上げますというと、七月二日には学長から文学部長に対し、五日には事務局長及び農学部長から文学部長に対し、また農学部の教授会は文学部の教授会に対し、七月八日には一般教育委員会――一般教養課程を担当する教官につくっておる委員会だと思いますが、これが文学部長に対し、十二日には学長が文学部長に対し、七月二十九日には事務局長が学長に対し、八月十九日には最後通牒ともいわれるべき趣旨の通牒を文学部長に対し、文学部の学生であるから文学部が自主的にどうかこの問題を解決してほしいという、いわば全学をあげて文学部長あるいは文学部教授会に対して要請をしておるのでございます。ところが、これを受けた文学部長並びに文学部教授会は、言を左右にいたしまして、真剣にこの問題と取り組もうという様子がわれわれとしてはうかがえない。私は、問題の禍根はここにあるんじゃないか。私は確認したわけではございませんが、世間ではこれは教授が学生を扇動し、いわゆるアベック反対闘争をやっているんだとさえ言う者もございます。そういたしますというと、問題は文学部の教授ということになるのでございますが、私は、大学においてこのような行動をとる文学部の教授並びに教授会に対して、文部大臣としてはどの程度の発言権があるのかどうか、その点についてお伺いいたしたいと思います。
  61. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 文部省としましては、大学に対して何かものを言うということになりますれば、学長に対してものを言うことになろうかと存じます。学長を差しおいて直接に各学部長にかれこれものを申すということは、その筋の上においていかがであろうかと存じております。やはり学長に対して、大学の内部の管理の問題としまして御注意申し上げるということになろうかと思います。
  62. 宮崎正雄

    宮崎正雄君 先ほど申し上げましたように、学長はじめその補佐機関である各学部長、事務局長が再三にわたって文学部長に対して、あるいは文学部の教授に対していろいろ要請をし、あるいは指導し、助言をしている。それが全然顧みられない。この現状をこのままほうっておいてもいいんでしょうか。もうなすべき手はないんでしょうか、文部大臣といたしましては。
  63. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 文部大臣が直接権限をもってなすべき手はなかなか見つかりそうにもないと私は思うのであります。しかし、大学においてとにかくそのような事態がいつまでも継続しておるということは、大学全体の問題として私は問題があろうかと思うのであります。そういう意味におきまして、大学側に対して、なお事態の改善のために努力していただきたいということを申し上げることができると思います。また、学長からいろいろ御相談でもあれば、私どもとしてできるだけの御協力はしたいと思っております。
  64. 宮崎正雄

    宮崎正雄君 大臣のお話を聞いていますというと、他力本願といいますか、大学がしかるべくやってくれと、相談にくれば何か知恵をかしてやろうというようなふうに私は受け取ったんでございますが、私は、はたしてそれでいいかどうか。  御承知のように、教育大学は国立大学でございます。国民の税金によって維持管理が行なわれておる。その予算は、文部省が提案して、われわれがこれを可決した予算でございます。その予算が執行にあたって、このような不法状態において予算が執行されるということは、これは大学の責任であると、こういうふうに済ませるかどうか。私は良心的に考えたら、こういうような予算の審議に当たり、あるいはそれを可決した国会議員の一員といたしまして、国民に対してやはり重大な責任を私は感じております。だから、この際制度上の制約があって、文部大臣が国民に対して、国に対して責任を負えないということであれば、負えるようなそういう体制を、そういう制度をおつくりになるべきだと思うのでございますが、その点についての御見解を承りたいと思います。
  65. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 現在は、先ほど来お話もございましたように、大学の内部においていろいろ努力いたしているところであります。大学全体としまして、いかんともしがたい、どうにもならぬ、大学をつぶすわけにもいかない、学生に対して教育することもできない、そのような状態になるということがありますならば、その問題として考えなければならぬと思うのであります。まだ大学側においていろいろ努力いたしているところであります。私どもとしていまかれこれと申すのもいかがであろうか、かように存じておる。大学自体がその機能をとうてい果たすことができないというふうな客観的な事実があらわれてくるということになりますれば、私どもとしましても、これをそのままに放任しておくわけにはまいらない。もしそのために必要なら、そのために必要な措置をとり得るような道を開くことも考えなければならない、かように存じておりますけれども、いまの段階におきまして、私はさようなことをいま申し上げたいとは思っておりません。できるだけ大学において一そうの努力をしてほしいということを申し上げたいと思います。
  66. 宮崎正雄

    宮崎正雄君 時間がございませんので、最後に、これは私の私見を申し上げます。  大臣は、大学の努力の成果をもう少し見きわめてからと、こういうことでございますから、大臣の御答弁は私は求めません。ただ、この問題は、さっき言いましたように、時間的制約がございます。卒業の問題、就職の問題、あるいは事務の問題、ある時点において絶対に解決しなければならぬ、そういう制約がございます。もしそのタイミングを失いますというと、先ほど私が申し上げましたような重大な事態が起こるわけでございますから、これをある時点に解決するためには、私は二つしか手がないと思います。  その一つは、まあともかく事態の成り行きを自然にまかせて、その推移を見守る、これが第一だと思います。  第二は、しかし、それでは多数の学生を卒業させることができない、進級させることができない、就職させることができない、研究、教育にも支障がある、これはいけない。何が何でも少なくとも学校運営を正常に返さなければならぬという場合には、自分たちにその力がないとするなら、警察の協力を得て、そして正常な学校に返す。こういう道が一つあると思います。しかし、警察の力を借りることは、何か非常に悪いことでもするかのごとく、非常にこれを毛ぎらいされておる。私はこの点についての意見はありますけれども、それを討論することは私はきょうは差し控えます。  そこで、成り行きにまかせることもできない、警察を導入することもできない、といって、自分の力で解決することもできない。しかも、国立大学として現状許せないということになれば、残された手は、しかも文部大臣でできる手は、私はたった一つしか残っていないと思う。それはそういうどうこうもならぬ学部は、あるいは学校は、もう閉鎖する以外にないのじゃないか、こういう気持ちを持っておりますが、先ほど言いましたように、まだ事態の推移を見ると、こういう文部大臣のお考えでございますから、この点についての大臣の答弁は求めません。私の意見だけ申し上げまして、質問を終わります。
  67. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 次に鈴木君。
  68. 鈴木力

    鈴木力君 最初に、そろそろ来年度の予算の要求の時期になっているわけでありますが、予算という形ではなしに、来年度予算を通じまして、来年度の文教行政の上に重点をどういうところに置いておるのか。概算要求の骨子がまとまったのかと聞くのが一番すなおな聞き方かもしれませんが、最初にその方針を伺いたいと思います。
  69. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) ただいま概算要求の点につきましていろいろ検討いたしておるところでございます。特にあらたまって新しい重点というようなものを申し上げるものもないように思いますが、従来から引き続いてやっております教育学術文化の面における各般の施策を、さらに着実に進めていきたいと思っておるのでありますが、特に初等中等教育の充実でありますとか、特殊教育の振興、あるいは過密過疎地域における対策、高等教育の整備、私学の振興等は従来からも努力してまいったところでございますが、来年度におきましてもさらに一そう強力に進めてまいりたい、そのような考え方をもって検討しておるところでございます。
  70. 鈴木力

    鈴木力君 それでは、概算要求は大体いつごろまとまる予定ですか。
  71. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 極力急いでおるわけでございますが、大体今月末までには何とかまとめたい、このように考えております。
  72. 鈴木力

    鈴木力君 それでは、まだできていないということになりますから、あとでまたお伺いする機会があると思いますが、いま大臣から、この重点としてたくさんの項目を伺いましたけれども、きょうは時間がありませんので、文部省が初中教育改善考えていらっしゃる中の、特に教職員の定数の問題について文部省の構想を伺いたいと思うのであります。  それはいままでの文教委員会等でもいろいろと御質問申し上げたり、あるいは文部省の見解等も伺っておるのでありますが、少なくともいまの教員定数のあの仕組みでは、いまの初等・中等教育が完全に行なわれるとは思わない。小・中学校の場合ですと、定数法が四十五人、標準法が一ぱいになったわけでありますから、この機会に抜本的な改正をするべき時期だとも思うし、そこでいろいろな問題を解決する時期が来ておると思うのですが、この点については何か具体的な方策が考えられているのかどうか、伺いたいと思います。
  73. 天城勲

    説明員天城勲君) 明年度予算に関連いたしましては、ただいま鋭意検討を進めておるわけでございますが、お尋ねの公立義務教育小学校教員定数の問題でございます。これは御案内のように、二度の五カ年計画を本年度で終わりますので、新しい問題を考えなければならぬ時期に来ていることは御指摘のとおりでございます。  この考え方でございますが、この五カ年間の、最近の五カ年計画の実施の過程でいろいろ新しい問題が起きてきております。また、十分前の計画の中でこなし切れないで残っている問題もございます。それらの点につきましていろいろ検討しておるわけでございまして、いま最終的にどこをどういうふうに直すかということは、まだ申し上げる段階に至っておりませんけれども、総括的に申しますと、最近一般にいわれます過密過疎現象というものが非常に大きく教育の場にも影響を与えてきておりまして、なかんずく教員定数の面から申しますと、過疎地域の措置が大きな課題になってきております。この措置につきましては、定数の上で申し上げますと、こういう地域に多く見られます単級複式学校の措置あるいは小規模学校における教員定数等の問題で措置しなければならぬ問題じゃないかと、このように考えております。また一方、前々からの宿題になっております、五カ年計画の過程で十分に措置されていなかったとわれわれ考えております養護教諭問題、あるいは事務職員の配置の問題、この点も今後の問題として取り上げるべき課題だと考えております。このように問題をいろいろ取り上げながら検討いたしておりまして、最終的には予算の問題でもございますので、総体的にひとつきめたいと、このように考えております。
  74. 鈴木力

    鈴木力君 定数に限って申し上げますと、過疎地域の定数で考えられる問題点はわかるのですが、時間がありませんので、重点的にお伺いいたしたいので、いまお伺いいたしました養護教諭事務職員、これは前からの問題になっておったと局長もおっしゃる。その問題の認識は私ども同じだと思いますけれども、これを解決するために、定数の解決をする機会に、はっきり申しますと、各学校に必置というこれが学校教育法の趣旨でありますから、この趣旨に従って、来年度から抜本的に必置の方向に踏み出す具体的な何か考え方を持っていられるのかどうか、伺いたいと思います。
  75. 天城勲

    説明員天城勲君) 先ほど申し上げましたように、養護教諭の配置につきましては、定数上十分措置がし切れないでおりました。したがいまして、残った問題について次の改善の場合の一つの宿題になっておるわけでありますが、御指摘のとおり制度上の規定もございます。その方向で問題を考えなければならぬと思っておるわけでございますが、最終的には全体の教員定数の中でそれぞれの場面考えるべきものでございますので、一挙動ですべてがなかなか解決つかないことは御了解いただけると思いますので、いまいろいろな方向で考えております。
  76. 鈴木力

    鈴木力君 いまの御答弁のうち、全体の教員定数の中で考えなければならないから、一挙動では解決がつかないと、こうおっしゃるのですが、法の趣旨と、法はともかく――ともかくというのはいけませんが、法律の趣旨というよりも、いまの学校という機能の中での養護教諭事務職員の必要性、必置をうたった法の精神と、その問題と、教員定数全体の中で考えなければいけないとおっしゃった関係をわかりやすく説明していただきたい。
  77. 天城勲

    説明員天城勲君) 養護教諭の必置という制度上のことは、私もよく存じております。ただ、教員定数の問題につきましては他に解決すべき要素がたくさんございますから、したがいまして、養護教諭の問題だけを解決すればいいというわけではございませんから、その問題はその方向で十分了知しておりますけれども、全体の進め方についてはいろいろな方法を考えてまいりたいということを申し上げておるわけであります。要するに、それを実現するための方法論をいま検討いたしておる、そういうことでございます。
  78. 鈴木力

    鈴木力君 ちょっと変な質問をいたしますが、学校長さんがかりに学校数なかった場合に、教員定数全体からいろいろのことを考えなければなりませんという考え方を文部省はお持ちになりますか、お持ちになりませんか。
  79. 天城勲

    説明員天城勲君) 学校運営に必要な職員は、これは当然置かなければならない問題でございます。その原則は私たちわかっております。ただ、御案内のとおり、私、理屈を申し上げるわけじゃございませんから、いままでの過程で、とにかく急増過程を通って、その中から逐次子供の減少という状態の中で、教員定数や学級人員の編制を改善してきたという、こういうその行政のプロセスの中で私申し上げておるわけでありまして、必要な職員がなければ学校を運営できないという基本の問題を私は決して否定して申し上げておるわけじゃございません。
  80. 鈴木力

    鈴木力君 私が申し上げるのも、それは一ぺんに養護教諭をあしたから全部機械的にやれというわけにいかない。しかし、多少文部省考え方にどうもぼくは、誤解であれば幸いですが、誤解をしているといわれるような考え方を持っておる。学校長がいなければ学校運営はできないけれども、養護教諭がいなくとも何とか間に合うのだという考え方が、いままで二十何年間必置制度というものが実現できないできたきわめて基礎的な考え方であります。そこのところがありますから、局長も、原則は認めるけれども、いろいろなその他の事情によって、その原則に近づけるけれどもと言って、なかなかじょうずに逃げようとなさる。基本的にはなければならないのだという認識があるのかないのかというところに、この問題の御答弁のあり方がきまってくると思うのです。その辺はいかがですか。
  81. 天城勲

    説明員天城勲君) 学校のいろいろな仕事の中で、児童の養護あるいは健康管理ということが学校の責任である以上は、その機能を果たさなければならぬ。そのために必要な職員は置かれるべきで、そういう基本論において決して私は先生と異なった意見を持っておりません。ただ、これは繰り返し申し上げているように、現実の行政の仕事の展開の上でありますから、子供が急激にふえていくという過程の中では、これもおしかりを受けている点もたくさんあるかもしれませんけれども、とにかくその子供に見合う職員を最小限度入れなければならぬという苦しい時代もございました。そういういろいろな過程を通りながら、本来の方向に段階を置きながら進めているのだ、その事情をひとつ御了解いただきまして、原則論においては先生と異なった意見を持っておるわけじゃございません。
  82. 鈴木力

    鈴木力君 まあ基本的な考え方は、いま局長考え方とそう違わないのです。ただ私は、法律をつくってから二十数年来放置されている学校考えるわけですよ。その間の定数改正やなんかでは、学校長がおる、そのほかにまあ教頭制とかなんとかいって、そっちのほうの定数はずいぶん一生懸命におやりになるけれども、児童の健康管理をつかさどる、しかも法律では必置制になっておる、それが、当分の間置かないことができるといわれておったのは、当時有資格者が足りなかったからだといわれて、法律をつくるときの考え方は。それの養成制度をつくらなくて有資格者がいないといって野放しにしてきたのが現状だと思う。そこで、事務職員も同様です。必置制になっておる。それが学校という職場が、事務職員がいないために教育職員が雑務に追われて教育能率が非常におくれておる。こういう点に対する親身になった認識があれば、私はやっぱり予算があるないという議論でなしに、もっと積極的な姿勢が出てくるべきだと思うのですが、しかし、いままでは五カ年計画というのがあって、なかなか技術的にむずかしいということを伺ったわけですけれども、今度はチャンスだと思う。  これはいつか変な話を申し上げたんですけれども、土木であったら、絶対必要なものである以上は、たとえばコンクリートの橋をつくる場合、鉄筋とコンクリート、砂と砂利というようなものは、何がどの部分でも、予算が足りないからがまんしてできるというものじゃない。それが足りなければ、普通だったら橋はかけないだろう。あるいは橋をかける場合には、何か財源というものをつくるだろう。しかし、認識の上では、養護教諭なり事務職員なりというものも、いまの橋でいえば鉄筋なり砂なり砂利なりセメントなりというものに該当する。どれが一つ欠けても学校という機能は完全な機能を果たしていないわけです。その場合にいろいろな都合でといって適当に何年も何年もごまかすという姿勢が、私はどうも不満なんです。  こんなやりとりはいつまでもいたしませんけれども、この際やっぱりいままでのそういう趣旨からいって、局長おっしゃったように、基本的な考え方は一致しているのですから、あと相当困難な条件があっても、そういう趣旨にのっとって、今度の来年度からの出発に際しては、十分に理解できるような措置を講じてもらいたい。このことを前もってきょうは申し上げておくだけにとどめます。  その次に、これも局長に伺いたいのです。小学校教員の定数を考えてみる場合ですけれども、いま文部省のほうで、まあ学習指導要領の中身についてはいろいろ議論がありますが、教育課程をつくって教育の水準というものをある程度のものを一つ求める、そういう場合に、いまの定数の考え方で、あの指導要領の趣旨――趣旨というか、その趣旨の中身の議論じゃなくて、少なくとも文部省がこれだけの水準を求めるというものがやられると思うのか、やられないと思うのか。そういう点からすれば、最も大きな欠陥は何であるというふうに文部省は見ていられるのか、その御見解を承りたい。
  83. 天城勲

    説明員天城勲君) 学習指導要領に示されております教育の指導内容の問題でございますが、それは長年の経験と、それから幾つかの研究やあるいは実験の結果から、また子供の発達段階から、小学校の子供として一応の期待される学習の到達度というものを前提に置いているわけでございます。それが一定の年間の指導時間の中でこなされるということを当然あわせて考えなければならない。そのこなされるためには、学校教員の措置とか、あるいは施設とか設備というものもあわせて考えていかなければならない。基本的にはそのように考えておるわけでございます。いずれかがアンバランスに、劣っていたり、またそれらを無視していたずらに高いことを要求すれば、目的も通らないということになりますので、この辺はいつも考えております。たとえば、教育課程審議会から新しい学習指導の概要についての答申をいただきましたときにも、教育課程審議会からも、これを行なわすための条件も同時に考えろということもつけ加わっていることでございまして、関係者の認識はみな一致している、このように思っております。
  84. 鈴木力

    鈴木力君 具体的に伺いますと、いまの小学校教員の、これは中学校もまあ同じようなんですけれども、多少行き方が違うんです。小学校の学級担任制ということを考えてみた場合、かりに小学校の四年生でも三年生でもいい、その教科の授業を終えてあと始末をして翌日の準備をしてと、そういうことになりますと、いまの教員の勤務時間ではおそらく足りないということは文部省も認められると思う、機械的にいって。かりに一日に五時間、五科目の授業をやったと。そのあと始末をやって、五科目の翌日の準備をするということになったら、これは一日の時間で一人ではこなせないということはすぐ想像がつく。それをいままでは、文部省は超過勤務を命じない方針であるからとか、原則なんとかと、適当なことを言ってごまかしてきただけのことである。ですから、私は、もう少し小学校先生といえども、中学校先生も同様なんですけれども、教材研究の時間を十分に与えてやる。あるいはまた、その授業の指導をしたあと始末をするための時間というものを相当時間を与えると。そういうような定数の配置を考えないかということが一つなんです。これは機械的に、どうしたってできっこないです。  いまの学校の生活は、時間がないからあまりしゃべりませんけれども、午後二時なら二時まで授業をするでしょう。それから学校の掃除やなんかも見る。それから、五時間分の、四十何人かの生徒の作品を見たり、いろいろなことをやって、翌日の準備といったら、これは間に合いっこないです。そういう点から、学級数に対する教師の比率というものを、私はこの際抜本的に上げなければ、いまの小学校なり中学の教育というのはできないという考え方を持っておる。だから、そういう点について文部省はひとつ考えないかということを聞きたい。  それからもう一つは、教科担任制をとっている。これはまあいろいろな考え方がありますから、そのことについてのいい悪いは言いません。しかし、私がこの際申し上げたいのは、やはり教科担任の先生がすべて一人であの教科を全部こなしていまの水準にほんとうの教育ができるかどうかということを、これはやっぱり文部省、真剣にこの際考えてもらいたいということです。まあ私はできないと見ている。これは能力だけじゃない。私が教員やっているころは、音楽ができないというのは能力の問題であると。しかし、いまの教師は能力はあるかもしれません。だけれども、理科を考えてみれば、相当に実験の準備が必要でしょう。そうすると、前の時間に体育をやって、次の時間に理科をやり、実験の準備をする。理科をやって実験のあと始末をして、次は国語だとか、算数だとか、そういうことが機械的に一人の教師にできるというふうに思うのか思わないのか。これはもうおわかりいただけると思います。だから、私は少なくともそういう能力の問題とは別に、機械的に準備を必要とするというような教科については、何かこの際定数法を考える場合に抜本的にやっぱり今度は実現をしなければいけないのではないか。早い話が専科制度といいますか、そういうものを相当程度導入をしないと、いまの初等教育は解決ができない気がする。こういう点についての考え方は文部省はいま持っていないのかどうかということをひとつ伺いたい。
  85. 天城勲

    説明員天城勲君) 指導法に関しますいろんな意見や、また研究が出ておりまして、小学校の御案内のように全科担任制度に対して、全面的に専科教員制度という議論は別といたしまして、特定教科についての専科教員制度の導入という議論も出ておりますし、学校によりますれば、現在の教員組織の中で逐次そういうくふうをされているところもあることと承知いたしております。したがいまして、いま専科教員の問題がお話に出ましたけれども、全体として学校の運営を、あるいは学生、生徒の指導を充実するために、学校単位に見た場合の配置ということもやっぱり考えるべき一つのポイントではないか、このようにはいま問題意識といたしましては持っております。そのやり方につきましてはいろいろな方法がございましょうし、また地域による特色もございますので、なお検討を続けたいところでございますが、いま基本的に学校全体としての教育組織の充実という、とは一つの問題点だと、このように認識いたしております。
  86. 鈴木力

    鈴木力君 これも議論をするわけじゃありまけんけれども、私が申し上げるのは、何教科をどうというようなことをいまここで御返事を伺うつもりはありません。しかし、小規模学校になりますと、学級の基準法でいうと、学級数に一・二五倍を掛けるということが基礎になっております。そのような学級数に対して一・二五倍を掛ける程度では、いまの局長のおっしゃるようなことはできない。大規模学校になっても、ずいぶんやりくりがつかない。だから、局長がいまおっしゃるようなある教科と言わなくとも、少なくともそういう数教科というようなものについてはやれるような定数ということを、さっきは過疎地域という話がありましたけれども、過疎地域も含めた小規模学校の最低規模ということは、これはぜひ今度は生かしていただくように。それから、中学校についても同様だと思います。やっぱりこれはまあ教科制度ですから、教育方法とかじゃなしに、機械的に時間が足りないということですね、教師に対して。そういう意味で、学級数に対する比率を今度は大幅に上げる時期が来ている、そういうふうにまあ私ども考えます。十分に御検討いただきたいと思います。こまかい点についてはなおまた伺うこともあるし、御意見を申し上げる機会もあろうかと思います。  それで、もう二、三ちょっと伺いたいのでありますが、同じ教員の定数のうち、法三条の二項のただし書きですね、つまり同一学校で一個学級を編制している場合に四十九人までを認めるというこの考え、これは基本的に私は四十五人で間に合うという考えは持っていませんけれども、もっと下げなければいけませんが、同一学年で一個学級を編制している場合に、特に人数が多くてもいいんだという考え方は、どんなに読んでみても私にはわからぬ。これはわかるように御説明をいただきたい。
  87. 天城勲

    説明員天城勲君) 現行基準のお話でございますが、現在の基準は、同一学年の児童生徒を一学級で編制している学校、したがって、小学校ですと、各学年一学級ぐらいの学校、こういうことを想定しているわけでございますが、この場合の一学級の児童の数の最高が四十九人。いま御指摘の言外には、普通の学級は四十五人が最高じゃないか、この学級だけ四十九人という点の比率がどうかというお話だと思いますけれども、それは結局こういう学級を四十五人という限度にいたしますと、四十五人と四十九人との間で学級の数が二つに割れるが、一つふえるということに対する特例として残っているわけでございます。御指摘のように、いろいろ問題がございますから、今後の問題としてはやはり検討すべき問題だろうと、そのように考えております。
  88. 鈴木力

    鈴木力君 四十人と四十五人でもいいし、四十五人と四十九人でもいい、同一の学年で一個学級の場合には、二個学級よりも人数が多くても教育ができるんだという考え方を教えてもらいたいんです。
  89. 天城勲

    説明員天城勲君) ですから、そういう教育論を申し上げたのではございませんで、教員定数の積算の上から、いまはそうなっているということを申し上げたわけでございます。教育論を申し上げておるわけじゃございません。
  90. 鈴木力

    鈴木力君 教育論を度外視した学級編制の基準とか、それから教員の定数ということは、私はおかしいと思う。これはいつでも、だから文部省は官僚主義的に、行政が先で教育あとだと私が皮肉るのもそういうことを言っているわけです。今度やはり教育論から、少なくとも学級数という場合には、二個学級も一個学級も同じだという結論に出るべきだ。これは私の考え方ですから、申し上げておきます。あとで、申し上げたことが実現しなかった場合には、もう少ししつこく伺います。  もう一つだけお伺いいたします。中学校の小規模学校に多いんですが、免許を持たない教科を強制的に教えさせられている教師がまだ相当数おりますね。これも予算の都合ということはよくわかる。しかし、教育が無免許運転でされて一生をそこなうということと、交通事故との比重を考えた場合に、どっちが大事だかわからない。この免許法からいって、無免許といっても、もちろん仮免ですか臨免ですかを与えておるということを言うかもしれません。そういう私は手続上のことを言ってるんじゃない。この点については、今度の定数法改正のときには考えているのか考えていないのか、伺いたい。
  91. 天城勲

    説明員天城勲君) 特にいまのお話は中学校の場合だろうと思います。ですから、中学校の小規模学校において、教科別の教員が一定の数がなければできないわけでございますので、この点につきましては、学校の定数を適当な規模にするということと、それから、一面、学校の統合とか、あらゆる方向から適正に教員が配置されるように私ども考えていきたいと思います。
  92. 鈴木力

    鈴木力君 聞いたことを答えないから、委員長、いまの答弁に追加してもらわなければいけない。  私の聞いているのは、数学の免許状を持たない教師で、特に定数の都合から、おまえ数学を持ってくれといって、仮免ですか、便宜的に免許状を持たされて授業されている先生がたくさんおるわけです。英語の免許状を持たない教師が英語を受け持っているんです。皆さんのほうからいえば、事務的に、合法的に仮免とか何かで、無免許ではしません、こうは言うけれども、これでは私はほんとうの教育にならないんじゃないか。予算がないからということで逃げるべきじゃないんじゃないかということを聞いているんです。たとえば僻地の学校で自動車の運転手がいないときに――スクールバスを今度政府の補助金で買った、そのときに定員の都合で、おまえ免許証はないけれども、仮免をやるから運転してくれないか、そういうことは言わぬと思うんです。教育とそういうものとの価値の判断のしかたを私は文部省にものを言っているわけなんです。だから、いろいろの都合でとか、諸般の情勢とか、そんなことは聞かぬでもよろしい。そういう点についても定数をどう配置をするのか。これがつまり過疎地帯の教育の振興とか、小規模学校教育の振興とかに直接結びついているんです。だから、今年は過疎地帯をと考え局長考え方からすれば、この点は今度の来年度予算では解消の道に進むべきだと私は思っている。だから、伺ったのでありまして、この点もいろいろ考えていただきたい。  時間がなくなったので、あとは別の機会にお伺いしたいと思いますが、たった一言だけお伺いしたい。何べんも申し上げていることですけれども教員待遇のうちの旅費ですね。学校先生は、校長も含めて、二等の汽車で出張させられている。正当の旅費をもらって出張していない。行政系統の人は、主事から一等の汽車賃をもらっている。だから、東京へ大臣招集なんかで来れば、主事の旅費で来て晩酌をするような校長さんがいま出ているわけですね。こういう点に対する思いやりを、今度の旅費の要求面で思いやりをかけて解決する意思がないかどうか、この点だけを一つ伺っておきたい。
  93. 天城勲

    説明員天城勲君) 旅費の支給のしかたにつきましては、これは御案内のとおりでございますが、各県の条例規則で定めております。私どもは、それに基づいて正当の旅費を出せるようにという前提で指導もしております。予算の定め方といたしましては、各県の実績を見るという態度でございます。ただ、実際にいろいろな旅費の増額という事態がございますので、負担金の積算といたしましては、実績を見ながら毎年予算の単価としては引き上げている、結果的に実費を負担する、こういうやり方をしている。その点でひとつ御理解を願いたい。
  94. 鈴木力

    鈴木力君 もう一問だけで、あとは言いませんけれども、私が伺っているのは、実績というものは、予算がないから、おまえは減額支給に承知してくれといって判こをつかされるわけです。政府は本人が承諾したのだから二等でもいいということを繰り返しているわけなんです。それを実績だといって、いつでもそれがあたりまえだというような考え方でものを言われては、私は同じことを何べんも言っているんですけれども、これだけはぐあいが悪い。条例規則どおりの旅費というものがいまの学校では通用していない。それを通用させるような旅費というものをやはり真剣に考えなければいけない時期に来ているんじゃないか。  最後に、いまいろいろなことを、こまかいようなことを申し上げましたが、こまかいつもりで申し上げたのじゃなしに、いまの教育の置かれていることと文部省の認識のズレをこまかい例で申し上げたつもりなんですけれども、まとめて文部大臣の御答弁をいただきたい。
  95. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) いろいろの点に触れてのお尋ねでございますが、確かに不十分な点も今日まであろうかと存じております。御質問の御趣旨を尊重いたしまして、われわれとしましても、今後さらに改善については努力してまいりたいと思います。
  96. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 内藤君。
  97. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 私は、医学部の学生処分に端を発しました東大紛争の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  この東大紛争が最近解決の曙光を見出しましたことは、私もほっとしているのでございますが、私はその解決のしかたに疑義がありますし、また東大が全国の大学に与える影響というものが非常に大きいのでございますので、この点について文部大臣の御所見を承りたいと思うのでございます。  まず第一に、医学部の学生の処分については、東大は処分前の状態に戻すということを声明しておりますが、これは私は明らかにその学生諸君が言いました白紙撤回と同じではなかろうか、この面では大学側の完全な敗北だと思いますが、この点については文部省はどういうふうに理解していらっしゃるんですか。この点をまず最初に伺いたいと思います。
  98. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 大学で学生の処分をするという場合には、申すまでもなく、最も慎重な態度でもって決定をすべきものであると思いますが、今回の東大の解決案の一これはまだ案でありますけれども、はたしてそのとおりいくかどうかわかりませんけれども、解決案の中に当初きめておりました学生の処分案を一応元へ戻してあらためて検討すると、こういうふうなまあ仕組みを考えておるようでございます。われわれとしましては、一ぺんきめたことをまた改めるというようなことはあまり感心したことじゃないし、きめた以上はあとでかれこれ直さないで済むようなものをきめてもらいたいと、こう思っております。しかし、現実問題としましては、御指摘になりましたように、東大の解決案の中で別の機関を設けてあらためて審査するということになっておるわけでありますが、この点は遺憾と私ども考えておりますけれども、何だか、どうかなと、こう思う点もございますけれども、しかし、ともかく東大の全学の意思をもってそのような解決案がなされたわけでございます。それによってあらためて公正な処分というものが決定することを期待する以外には道はないと思います。
  99. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 この東大評議会がきめました医学部の学生問題の特別委員会、私はこれの性格に非常に疑問を持っているんですが、これはどういうふうな性格と御理解していらっしゃいますか。医学部の紛争特別委員会というものがございますね。二つございまして、一つは大学の運営に関する特別委員会、私はこれはたいへんけっこうだと思っていますが、いま一つの医学部の紛争についての特別委員会を設けられた。その特別委員会とはいかなる性格のものか。
  100. 宮地茂

    説明員宮地茂君) それは先ほど内藤委員の御質問になられました点は、去る八月十日に東京大学が事態収拾のために告示を出しました。その一つは、先ほどの処分の再審査の問題でございますが、これに関連いたしまして、いまお尋ねのような問題も提起され、具体的には医学部、病院のほうで具体的に考えておるようでございます。まだ実行に移されておりませんが、一応の考え方といたしましては、臨床研修の実習運営につきまして診療科の主任、これは大体教授でございます。
  101. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 そうじゃない。処分の再審査委員会……。
  102. 宮地茂

    説明員宮地茂君) 失礼いたしました。再審査委員会のほうは、これは八月の二十日に設置要領が定められておりますが、その目的といたしましては、今回、前回三月十一日付でなされた学生処分についての事案を公正に再審査するために委員会を置くということでございます。そして組織は、医学部を除きます各学部の教官、これは専任の教授かあるいは助教授、各学部の教官一名の委員を出しまして組織する。それで、委員は各学部の推薦に基づきまして評議会が委嘱する。あくまでも評議会の責任において再審査委員会を設ける、まあこういうことになっております。  やりますことは、事実認定と、また事実を認定しました後にこの事案を公正に評価すると、こういうことになっておりまして、処分は評議会の責任においてつくりますが、評議会から独立して活動する、会議は秘密である、いろいろそういうことになっており、まだこれに基づいて実際に設置はされていないようでございます。
  103. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 私は、この特別委員会は学生を処分する権限はないのじゃないかと実は思うわけであります。本来大学の自治というのは学部教授会だと思う。医学部の学生の処分をするのは、医学部の教授会で処分するのが私は妥当だと思うのです。それを評議会にはかって、評議会の承認を得て発表されている、これは。ところが、今回の案を見ますと、これは特別委員会でございまして、医学部は入っていないわけであります。そうして学生と医学部当局の双方から意見を聞いて――これは意見を聞くだけだと思う。そこで処分をするということは、これはできないのじゃないかと思うのですが、これはどういうふうに御理解になっておりますか。
  104. 宮地茂

    説明員宮地茂君) これは八月十日に出しました告示によりますと「この処分をめぐって広く全学の学生諸君の間に種々の疑惑を生んでいることを憂慮し、この疑惑を解くことが真実を尊重する大学のとるべき態度であると考え、あえてこの措置をとることにした。これは、医学部教授会の申し出に基づき、評議会の責任において設けられる委員会である。」、こういうふうに告示が出ております。したがいまして、手続的には医学部の教授会のほうから、以上のような趣旨で、評議会の責任において全学的なものをつくってもらいたいということで、これは医学部の教授会の申し出でございます。それと現実の東大のこの懲戒の実態は、学部教授会で議しまして、それを総長の承認を経て処分を行なうということになっております。したがって、実質的には教授会できめますが、一応考えました案を総長の承認を経る、総長はその場合に評議会の了承を得て承認を与える、こういう手続になっております。したがいまして、内藤先生のおっしゃいますように、いろいろな現象もございまして多少すっきりいたしませんが、医学部の自治云々ということではなくて、やむを得ない例外的な措置としては一応了承し得るのじゃないか、手続的には。そのように考えております。
  105. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 私は、大学の正規の機関としては教授会しかないと思うのです。それ以外の特別の機関がそういうことをきめてみたところで、学則には何ら効果がないと思います。私はこういう点ではこの問題、疑義を感じておりますので、これが何か世間をごまかす、というのじゃたいへん失礼でございますけれども、学生と教授側双方からいろいろ意見を聞き、そうして真相を明らかにされるということはたいへんいいことだと思いますが、私自身はこの機関で学生処分を決定することは無理じゃないか、こういうふうに思っているし、東大の学則がその機関に学生の処分権までまかしたということはちょっと私言いにくいのじゃないかと思うのですが、いまの東大の学則から見て、局長はどういうふうにお考えですか。
  106. 宮地茂

    説明員宮地茂君) 東大の学内の規則によりますと、先ほど申しましたように、学生の処分は客学部の教授会で議しまして、それを総長の承認をもらって学部長名で執行する。ただその間に、総長は評議会の了承を得て、それに基づいて学部の原案に了承の承認を与えるということになっております。したがいまして、今回のような場合には、再審査するといったような、先ほど申しましたようなものは、学内規則として、手続的に学内規則の改正措置をとったかどうか、私そこまで存じておりませんが、一応実態がそういうことで、学部が主体をとりますけれども、評議会というものの意見を聞いて、総長がそれを執行してよいかどうかをきめる。その場合に、今回は医学部としてもう一回同じように審査しても、これは学生の疑惑は解き得ないであろう、こういうようなことから、きわめて例外的でございますが、今回のような措置をとらざるを得ないということになったものと思います。  そういう関係におきましては、別にこれが非常に、先ほど先生東京大学の措置が全大学に影響を及ぼすような意味のことをおっしゃいましたが、そういった意味で、この措置が非常に模範的だとは全然考えません。しかし、東大の今日の実態考えるとやむを得ない措置じゃなかろうか、こういうふうに考えます。
  107. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 それだとすれば、この委員会で再審査して処分するのに、確かに刑の軽い重いはあろうと私は思うのです。しかし、あれだけの暴力事犯があって、いままで鳥取の大学でも、医科歯科でも処分しているのですね。それを全部撤回したら、私はいまの学生運動というものは収拾がつかなくなると思う。東大だから大目に見るというわけに私はまいらぬと思います。この審査委員会がほんとうに処分するなら、処分するとはっきりしていただきたい。そしてそれはどういう学則の根拠に基づくか、評議会なら評議会でそれをやるということをはっきり確認しておいていただきたいと思う。それは大学局長、お説を信じますから、そういう措置をとっていただきたいと思う。  それから、第二番目の問題は、医学部の紛争の発端になったのは研修医の問題である。確かに研修医制度についてはいろいろ私は問題があると思う。今回、根本の原因である研修医制度について東大が三者協議会を設けられたことは私もたいへん時宜に適した措置だと思っておりましたが、ただ、あれをよく読んでみますと、教授とそれから指導医と、それから学生、三者協議会ですが、四分の三でなければきめられないということが書いてあるのですね。つまり学生側に拒否権があるというふうに私は理解しておるのですが、その理解には間違いございませんか。
  108. 宮地茂

    説明員宮地茂君) 一応東大が、いま御質問の点につきましては、東京大学医学部付属病院臨床研修総則なるものを制定いたしまして、それの細則にはいま御指摘のような意味のことが書かれております。
  109. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 そうだとすると、私はこの間楠委員に対する文部大臣の御答弁を伺っておりましたときに、学生の経営参加というものは認めないと、こうおっしゃった。私はこれは明らかに経営参加じゃなかろうか。つまり、学生側に拒否権を与える。学生の意見を聞くことは私も大賛成ですけれども、拒否権まで与えた場合には、大学教育の運行はできないのじゃないかと実は心配しているのですが、この点に対する御見解を承りたい。
  110. 宮地茂

    説明員宮地茂君) 確かに内藤先生のおっしゃいますように、学生の経営参加につきましては、大臣から前委員会でもお話がございましたが、ただ、その節にもお話があったと思いますが、一般に経営参加とか、あるいは管理運営の参加と申しますか、その参加という中身がどうもはっきりしないわけでございます。したがいまして、この参加といいます場合、その形態なり内容にはいろいろなものが考えられると思いますが、たとえば大学の管理運営の基本的な事項、これは人事であるとか、予算とか、教育内容、たとえばカリキュラム編成の決定権、あるいは学生の身分取り扱いの決定、こういった基本的なもの、こういうようなものはこれは学校当局がきめなければならない問題だと思います。そういうようなものにまで学生が大学当局と対等な立場で参加するということであれば、これはまことにゆゆしい問題だと思っております。  ところで、そういう前提に立ちまして、今回の、これもまだできて発足しておりませんので十分わかりませんが、先ほど申しましたこの東京大学付属病院の臨床研修総則を読みますと、そこで臨床研修について経験のある人々で話し合って、臨床研修の実施運営をスムーズにやっていく。そのためにいろいろな当事者に意見があるであろう。その当事者の意見を十分そこで出し合ってもらいたい。したがって、それが大学の意思になる場合には、ほかに病院長の諮問機関として主任会議というものが持たれておるようでございます。したがいまして、この学生を入れました三者で構成します協議会できめましたことを主任会議で承認を与える。そうすると、病院長はそれに基づいて行なっていくということで、まあ直接そこできまったことがすぐ病院の意思になるわけでもございませんし、あるいはまあそれは形式論だということになるかもしれませんが、実態といたしまして、先ほど私が申しましたような管理運営の基本的な問題ではないように大学も言っておりますし、まだ発足いたしておりませんが、一応私どもとしてはこれが非常に模範とすべきものかどうかにつきましては多少疑念なしといたしませんが、現在のところでは以上申しましたように考えております。
  111. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 それは私ちょっと理解しがたいのですがね。やはり研修医制度の根幹に触れる問題だと私は思うのです。その三者協議会で妥決したものを主任会議で文句をつけるというのは、実際問題として私はあり得ないと思うので、むしろ三者協議会で話がつかなければ主任会議にも上げられないし、せっかくの研修医制度というのが実現できないと思うのですよ。そういう研修医の根幹に触れる私は問題なんで、学生諸君の意見を聞かれるのはたいへんけっこうだと思うが、しかし、彼らに拒否権まで与えて一体いいのだろうか。ここに私は非常に疑問を持っているのですが、この点については文部大臣、どういうふうにお考えですか。
  112. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) このような問題になりますと、いろいろ意見もあろうかと思います。まあそういう協議会を設けるということが一つの解決案の一部として行なわれておるわけでございます。われわれとしましては、その協議会が将来きわめて円満に運営されることを望むわけでございます。学生の拒否権というお話もございましたが、同様に他の二者においてもその意味においては拒否権を持っている。この意見が合わない限りはものごとが進まないことになってくるわけでございます。そういうふうな事態になれば、またそれとして大学側もくふうせざるを得ないだろうと思うのでございますが、おそらく大学におきましても、この協議会がそのようなしゃちこばった気持ちでやっていこうというふうなつもりではないのではなかろうかと思っております。これもやってみないとわからない問題でございますけれども、不当な要求がかりに学生から出たといたします――学生じゃございません、研修医から出たといたしまするならば、おそらくそれは成立しないはずです。そこでまたさらによく話し合う、こういうふうなことになるのじゃなかろうかと思います。  私もやはり参加の問題につきましては相当関心を持っております。とんでもないことをきめられては問題だということで、その点につきましては大学関係者にも将来悔いを残さないようにということは十分申しておるわけでございます。あとはこの機関が三者協調のもとに円満に運営されることを期待する。もしそれがいけないというふうな場合には、また大学としても考えるであろう、このような考え方をしておるわけでございます。
  113. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 私がなぜこんなにしつこく申し上げるかといいますと、大臣も御存じのとおり、いま研修医制度というのは全国的に大問題を起こしておりまして、大臣のお国である広島大学の医学部もそうなんです。京都大学がそうだと思います。全部青年医師連合に支配されていると思うんです。その傾向は、おそらく名古屋大学、それから大阪大学にも私は波及していると思うんです。人命を預かるところの医学研究というのは、私は危機に瀕しているのじゃないかと思うんです。ですから、この点については真剣に、医学教育、研修制度を含めて根本的に検討してみる必要があるのじゃなかろうか。現在の研修医制度にも私は無理があるのじゃないかと、このごろしみじみ感じているんです。  そこで、これは第三の問題でございますが、ひとつ大学院問題を考えていただきたい。というのは、東大で四十年、四十一年、四十二年、三年間大学院に医学部で一人も入っていないんです。こういうばかげた措置が行なわれているところに私は問題があるのじゃなかろうかと思います。だから、本来ならば、大学院を充実して、その大学院で研修医も含んで医師養成ということを真剣に考え段階に来たのじゃなかろうか。これほど全国に問題を起こし、しかも人命を取り扱うところの医学教育が危機に瀕しており、大学騒動の大きな原因になったことを考えますと、私は文部大臣にぜひ、医学教育を、大学院問題を含めて根本的にひとつ御検討いただきたいと思うんですが、これについての文部大臣の御所見を承りたい。
  114. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) いわゆる大学院を持っております医学部の現状につきましては、いろいろ批判もあることだろうと思います。当面の問題の解決について関係者が極力努力してもらいたいと思いますが、同時に、現在の医学部を中心としての医学教育のあり方につきましては、私どもも真剣に検討する必要があろう、そのように考えております。また、御協力もいただきたいと存じております。
  115. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 最後に、大臣、九大の飛行機墜落事件、あのあと始末がこの間新聞に出て、電子計算機の建物の建築が進まないということが出ておりましたが、それのお見通しと、今後どうされるのか、その点を承っておきたいと思います。
  116. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 九州大学のあの不幸な事件でございます。これがいまもって紛争の種となっており、解決を見るに至っていないということは、いかにも私も残念に思っております。この問題は、基本的に申せば、墜落機体をおろす、またその墜落機体についてこれをその所有権者に返すというのが基本の筋であろうかと考えるわけでございますが、この問題をめぐりまして、いろいろ学内におきましても紛争があり、せっかく引きおろそうと努力しましても、それもできない。そういうことで、事態の解決がおくれるばかりだ。一面からいいますというと、その関係上、計画しておられます研究センターの工事も進めることができない、あるいはまた損失補償その他の問題も進めることができない、こういうふうなことに現在なっておるわけでございます。  九州大学といたしましては、一部の学生の非常に強い反対行動のために、思うにまかせないような状態が今日なお続いておるわけでございます。学長以下、この問題の解決のために懸命な努力はいたしております。したがって、私どもも、そう一日二日を性急にかれこれ言うわけにもいかないかと思いますけれども、言いかえますれば、学長その他の努力が効を奏することを念願をいたしておりますけれども、そういつまでもこの問題をこのような状態に放置するわけにもいかぬのじゃないか、こういうような気持ちをもちまして、現在大学の努力の成り行きを見守っておるような次第でございます。
  117. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 終わります。
  118. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 小林君。
  119. 小林武

    ○小林武君 初中局長にお尋ねいたしますが、「教育関係職員の服務の厳正について」という通達は、大臣の指示によってというふうに伝えられておりますが、そのとおりでございますか。
  120. 天城勲

    説明員天城勲君) 去る八月二十三日に「教育関係職員の服務の厳正について」という事務次官名の通達は、大臣の命によるいわゆる依命通知でございます。
  121. 小林武

    ○小林武君 文部大臣にお尋ねいたしますが、この問題は、御存じのように、たいへん新聞も大きく取り上げておる。これに対する影響というものは私は相当大きいと思います。そういう指示によってやられたということは、どういうお考えであったか、ひとつ簡単に、あまり長くやられると時間がかかるから……。
  122. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 教育関係しておる者の間に、先般来続いてまことに残念な事件が起こっております。われわれとしましては、地方の教育行政を担当いたしております都道府県の委員会の委員長あるいは教育長の会議等におきましても、特にその問題につきましては十分注意してやっていただきたいということの要望もしてまいったのでありますが、それにもかかわりませず、いろいろの事件が起こっております。いかにも遺憾なことでございますが、さらに一そう関係者の間でこの種の問題につきまして、それが将来発生することのないように格別の努力をしてもらいたいというつもりをもちまして、特に通達を出すように命じたわけでございます。
  123. 小林武

    ○小林武君 この「教育関係職員」というものの範囲ですね、これを局長にお尋ねいたします。教育職員というものの範囲。新聞の見出しの一部には、「教育者はエリを正せ」という見出しが出ておりますが、その場合には教員なんです。それはあなたのほうの範囲はどういうことを考えてやったか。
  124. 天城勲

    説明員天城勲君) このたび指摘しております事件は、去る三月の問題からいろいろございまして、そこに関係いたしました者の職種と申しますか、その範囲を考えますと、教育関係の中には、いわゆる行政に携わっておる者、教育長あるいは人事関係の主事等もございます。また、校長も教員もあるわけでございます。したがいまして、別に法律上のことばがどうということじゃなくて、   〔委員長退席、理事楠正俊君着席〕 広くこの事件にかかわった者を前提に置きまして、教育関係職員、こういうことばを使ったわけでございます。
  125. 小林武

    ○小林武君 大臣の指示に従ってやったというのですから、これはかなり重要な通達であったと思います。それについてどうですか、教育関係職員というのですから、いまのあなたの範囲ですと、そういう関係局長その他の責任のある立場にある人たちは、省議という場合でもいいし、あるいはどんな名前の会議でもいいのですが、会議を開いて検討いたしましたか。
  126. 天城勲

    説明員天城勲君) ちょっと御質問の御趣旨が受け取りかねるのですが、おそれいりますが……。
  127. 小林武

    ○小林武君 大臣の指示を受けてやったのだから、教育関係職員というのはかなりこれは広い範囲ですね。そうすると、それぞれの責任者というものがあるわけです。だから、関係局長、あるいは課長、審議官等を含めて、大臣の意図がどこにあるかということについて、十分な検討を行なったかどうか、会議を開いたかどうかと、こう聞いておるんです。
  128. 天城勲

    説明員天城勲君) ここにも、この通知にも指摘してございますように、幾つかのケースでございます。事件でございます。したがいまして、所管の範囲におきましても、初中局だけの問題でもございません。大学局に関係することもございます。それからまた、人事に関することもございますので、人事課もございます。それらの関係の者と、特にこれは次官名で出した通知でございますので、次官のところで関係者と協議をして出したわけでございます。
  129. 小林武

    ○小林武君 その際に、文部省政府、まあそういう立場からわれわれもこういう点は大いに反省しなければならぬと、こういう点については今後どう考えなければならぬというようなことがございましたかどうか。
  130. 天城勲

    説明員天城勲君) これはこの文面では、事件の対象になった、事件に関係している関係者を対象にいたしておりますので、その責任者である教育委員会とか、あるいは付属学校、大学の学長というものを対象にいたしておりますけれども、およそ公務員、また教育関係の者がこのような事件に関係するとかいうことは、とうてい望ましいことではございませんし、また職責を自覚して仕事をすべきことは、当然いま先生の御質問にありましたように、われわれも含めての当然なことでございます。特にここで、この通知にもございますように、行政運営の適正ということも、ひとり綱紀の粛正ということでなくして、運営上にもこういうことの起きないように考えなければならぬということも含まれると思いまして、こういう点にも触れたわけでございます。   〔理事楠正俊君退席、委員長着席〕
  131. 小林武

    ○小林武君 文部大臣にお尋ねいたしますが、いまの文部省あるいは政府、そういうものを含めて、当然、これらの問題が起こった禍根、根というのはどこにあるかということをこれは究明せずして、奈良県がどうしたとか、福岡県の教育大学の付属学校がどうしたとかいう問題じゃないと、こう御判断になったから、あなたもそういうふうに指示をなされたと思うんですが、文部省のその立場から考えて、われわれのほうは一体どういうことというようなことを大臣の腹の中におありになってこういう指示をされたかどうか。ありましたら、ひとつ……。
  132. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) このような問題は、ただ単によそに対してのみ要求すべきことではもちろんない。文部省職員の綱紀を正すという問題につきましては、私といたしましては就任以来種々注意をいたしておるところでございます。ことあらためてのことはございませんけれども、その私の気持ちは省内の諸君には徹底しておることと存じます。
  133. 小林武

    ○小林武君 まあ文部大臣もお聞きいただきたいのでありますが、答弁局長でもけっこうですけれども、私はやはりこういう問題を汚職として取り上げた動機になったのは、これはもう間違いなく福岡教育大学の付属の入試、北九州市の教員異動、群馬の中学生の就職あっせん、奈良の教員異動高校入試の問題、いろいろあがっていますね。で、私はまあこの中に、奈良の教育長がすでに逮捕されたということが新聞に出ていますから、私はいまこのお二人にお尋ねしたことは、いまのような御答弁をいただくにとどまるとは考えておらない。もっとやっぱりこの問題に一体影響するというのは、一つの問題じゃありません。もちろんさまざまあるが、あなたが教育局長のお話しになったように行政の運営についての問題をお考えになったら、一体もっと突っ込んだお考えがあってもよろしかったと思うのですが、これはまたいずれ、一回で終わるわけでありませんから、やめておいて、一体あれですか、行政の仕組みの欠陥ということと、いわゆる教育者のモラルの低下、こういう問題のからまり合いというようなものを局長はどう把握になっていらっしゃいますか。
  134. 天城勲

    説明員天城勲君) たいへん複雑なからみ合いの問題があろうと思いますし、一言でお答えするのはおそらく十分なお答えができないと思います。ただ、私たちが考えておりますのは、人事に関連いたしまして起きた不詳事件でございますと、単に関係者の綱紀の粛正という問題にとどまらず、やはり人事行政上の機構とか、あるいは制度上の問題等もあわせて考えなければ抜本的な改正にはならないだろう、このように考えたわけでございます。
  135. 小林武

    ○小林武君 そういう抽象論でなくて……。そういう抽象的なことで通達を出すから、だめだと私は思うわけです、率直に言ってですね。この文章はだれのところへ行くかといったら、あなたのところで出しているのは、付属学校を持った国立大学学長でしょう、一つ教育委員会でしょう、教育委員会はこれは自分のことじゃないと、教員を締めつければいいんだと、そういうふうに考えたら、これは何の効果もないわけですよ。私は決して文部省の中に汚職があるとかなんとかいうことを言ったり、ほかのほうに、何がどこの県にもみなあるというようなことを言っておるのではないのです。ただしかし、われわれが傾聴しなければならないことは、検察当局が奈良の問題について、氷山の一角だと、こう言っておる。教育長引っぱられたことが氷山の一角だという、これは重大なことだということをお考えにならなければいけない。そうしたら、私は一片の通牒をいまのようなお考えで出すということになると、これは親切でないと思う。解決ではないと思います。  私は、本来ならば、文部省こそ一番先に、問題の根本が一体どこにあるかということをお考えになるのが当然だと思う。特に私は灘尾文部大臣というのは、戦後何回も文部大臣をやられておる。われわれもずいぶん論争をやった。われわれとずいぶんいままでの制度等について対立感も起こった。対立してやったこともあるわけです。そういういろいろな経過というものをお考えになって、私どもはこれはもう、われわれが言ったからとか、あなたたちが言われたからとかいうことじゃなしに、日本の教育をどうするのだというたてまえに立って、いまのような検察当局から氷山の一角だと言われるようなやり方を一体解決するにはどうしたらいいか、そういうものでなければならぬと思うのですよ。だから、私は、あなたのほうの通達は見ていない。見ていないけれども教職員というと教育関係者ですわね。教職員というと何か学校につとめておる人だけのことを考えるけれども、これはもうとにかく学校教育関係者、みな学校教育関係しておるものであり、そういう人たちのモラルの低下、そういうものが一体行政の仕組みの欠陥というものとどういうからまり合いがあるのかということを十分究明しなかったら、問題の解決にはならないのですよ。文部省のやっておることは間違いないと、国のやっておることはこれはもう一つも欠けたところがないんです、起こっておるところが悪いんですと、こういうようなものの言い方をするというと、大学の問題の追及にもやはりそういう論法出てくるのですよ。私は大学の問題一つ取り上げても、これらの問題取り上げても、根元の根元からお互いがよく全力をあげて解決策を力を合わしてやらなければならぬと思うから申し上げるのです。  灘尾文部大臣は、これは一体どうなんです。教員悪いと、行政の仕組みについて欠陥があったとすれば、締めつけが弱かったというふうにお考えになっているか、どういう程度の理解なのか、ひとつお話を承りたい。これは少々長くともけっこうです。
  136. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) いわゆる汚職事件というようなものが発生をいたしますにつきましては、究明すればいろいろな要素がそこにあろうかと思います。行政の仕組みの問題というおことばもございました。そういう点についても検討すべきものがあるいはあるのではないかと思います。あるいはまた、職員の処遇の問題等につきましても検討を要するものがあるいはあるかもしれません。また、全然そういうことがないということは、私は言い切るだけの自信はございません。いろいろ検討すべきものはあろうと思います。同時に、教職員のいわゆるモラルの問題という問題も確かに大きな要素をなすものではないかと思います。このような問題につきましても、御指摘もございましたように、掘り下げてやはり検討をしていかなければならない問題だと思っております。そのような点につきましては、文部省としましても、従来の取り扱い方について反省すべきものは反省していかなければならないということは当然のことだと思うのでございます。決して一片の通牒で終われりというようなものでももちろんないと思います。機会あるごとに中央も地方もともにこの種の問題の解決のために検討を加え努力をしていかなければならないと、かような考え方をいたしております。
  137. 小林武

    ○小林武君 具体性がないですね。こういう具体性のないことで一体そういう――こっちも急いでいるから同情しておやりになっているのか知らないが、やはりこれではいかぬと思います。  初中局長にお尋ねをしたいのですが、一体、直接の動機は私が先ほど言った四つの問題でしょう。そのほかにもたくさんあるかもしれないが、直接の動機。おそらく大臣の意向もあなたたちの意向、考え方も、この四つのあれは相当これはたいへんだということになったんだから、その中で、あなた、一番ものすごく教育界の腐敗という問題に一番大きな影響力のあったのを、ひとつ順番に言ってください。学カテストではないですよ、これは。学カテストにこういう式のが相当あったですから。どれが一番大事かという問題。母親が贈賄して収賄したというやつが、これが一番大きなやつでa。教育長が一体金もらって校長のいすやなんかを売ったというのが大事なのか、どこにその問題があるか。あなた、ひとつ順位をきめてください。
  138. 天城勲

    説明員天城勲君) これらの事件はたいへん不幸な事件でございますし、遺憾なことでございまして、それぞれの立場で、もちろん刑事事件という面からも検討が進められておりますけれども、同時に、教育の運営上の全般の問題から見ていかなければならぬ問題だと思います。出てまいりましたケースは、あるいは入学試験であったり、あるいはいろいろございますので……。
  139. 小林武

    ○小林武君 順位。
  140. 天城勲

    説明員天城勲君) それについてどれが一番、その順位というか、重いあるいは悪いというようなことを、一がいに申し上げることはできないと思います。
  141. 小林武

    ○小林武君 文部大臣、私は悪いとかなんとかという、いまそういうものの見方で、こいつが悪くてこいつが悪くないという言い方はしない、こういう問題を扱うときに。そういうことじゃない。禍根がどこにあるかという問題であると思います。そういう場合に、あなた、どうですか。この奈良の教育長の問題、重大だと思いませんか。一番重大だと思うのは私はそこなんです。しかし、これは奈良の教育長というのは――奈良の教育一つだけ取り上げて、奈良だけが悪いと言うのじゃない。私は奈良のいわば、あなたたちも言ったはずなんだね。うみがここに一挙に出てきたということを文部省が言ったとか聞いている。談話のしかたもへたくそだなあと考えておったのですが、うみが一挙に出たという新聞に書かれ方をしている。私はそういうことを言うのじゃないのです。一番やっぱり問題点はここだと、こう思うのですが、文部大臣はそう思いませんか、どうですか。
  142. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 重いとか軽いとかというようなことを一がいに言うわけにもこれはまいらぬ、これは小林さんもそう思っていらっしゃると思います。私どもとして特に重要な関心事でありますのは、何と申しましても、一つの県の教育委員会の教育長がその在任当時いわゆる汚職をした、こういう問題はその影響するところがきわめて大きい、こういうふうに存じております。同時にまた、教育長につきましては、文部省もいわゆる衝撃を受けておるわけでございます。文部省としましても、この問題につきましてはまことに相済まぬことと、かように存じております。したがって、教育長の人事につきましては一そうその適正を期するようにしなければならぬと、かように考えておる次第でございます。
  143. 小林武

    ○小林武君 まあしかし、私は文部大臣は率直にこの問題について取り組むという意思表示がないように思います。やっぱりここでの、国会でのやりとりの問題のように扱っていることはいかぬです。私はこれ一番大きいと思うのは、やっぱりそれは文部大臣という立場、それからいままで文部大臣の歩いてこられた経歴から来る考え方だと思います。私はそうじゃない。教員やった者からものを考えれば、これは一体どういうことかというと、金で校長等のポストをきめるということは、金でいくんだということには、さらにそれに必ず権力のおどかしで人事を行なうということがついてくるのです。これにはまた異動の対象になる方がおべんちゃらでいこうという傾向も起こる。うわべだけでよく思われたいというようなやり方も出てくる。形式だけ整えて内容の伴わないことに走るようになる。一反ぶろしきに三つ帳簿つければ抜てきされると戦前よく言われた。しかし、帳簿が教育をよくするということはなかった。われわれの経験からもそう思うのです。  そこで私は、いまの教育長の問題は日本の教師の間にほんとうに自主性というものがもう失われつつあるということです。モラルの低下というのはそれです。権力にも屈しない、金にも屈しない、正しいことをやり抜くのだ、それが子供に対する、また日本の国民に対する奉仕をする精神だと、こう考えたら、そんなものに乗るはずはないのですよ。そういう者をどうして一体教育長にしたかという問題になると、私はこれはだれが、だれの大臣のときに承認したとかしないとかの問題じゃないのです。これは大臣が悪いと責めるのも、私はそれは無理だと思う。しかしながら、悪いやっぱり一つのあれはあると思う。どうしてそうなったかということは、そういう者をしたということは、一体どういうことから起こったかということは、考えているのですけれども、まず私が言うべきでない、これは。質問するのはぼくで答弁するのはあなたのほうですからね。あなたのほうからひとつお答えいただきたい。
  144. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 先ほども申しましたように、この教育長の人事につきましては文部省も関与をいたしておるわけでございます。したがいまして、その文部省の関与いたしております人事による教育長が不都合なことを行なったということにつきましては、文部省といたしましても反省をしなければならぬ点が私はあると思います。十分に今後は注意してまいりたいと思うのでありますが、そういうような問題についてわれわれももちろん注意をしなければなりませんが、同時に、各地方においてこれを文部省に推薦してくるわけであります。地方におかれましても一そう厳重な注意のもとに人事をやっていただきたい、そういう思いを深くいたしておるような次第でございます。
  145. 小林武

    ○小林武君 局長にお尋ねいたしますが、あのあれの中にも、モラルの低下、そういうことをあなたたちのほうも頭の中に考えて書かれているのです。そういうことを具体的にあなたのほうで、したがって認めているということになる。そういうモラルの低下、教育者のモラルに対する感覚の麻痺というようなことばを使っている。そういうことばを使ったかどうか知らぬけれども、意味のことを言っているらしい。そこまで具体的に言ったら、これは一体どういうところですか。私はここには一つ、やはり教師としての誇り、自覚、自主性というようなものの喪失から起こっていると思うのですが、あなたは一体それについてどういう見解をお持ちですか。これは初中局長ですか。また、その中でいろいろ御議論なさったと、こういうのだから、御議論なさった方からひとつ聞きたいし、あなたのほらでまた教育研究所ですか、お持ちになっている。そういうところの一体研究だってあるはずだ。どういう見解をお持ちですか。
  146. 天城勲

    説明員天城勲君) これはたいへん一般的なお答えになって、また抽象的だとおしかりを受けるかもしれませんけれども、やはり教育者としてのモラルということが一いろいろな議論はありましょうけれども、一言でいえばそういうものが一番大事なことだと思います。その中には、おっしゃるように教師が自主性を持つということも当然だと思います。いろいろな要素があると思いますが、やはりモラルの確立ということが一番大事だ、このように考えております。ただ、それをやはり人事の側から申し上げますれば――いろいろな面が考えられるわけでございますけれども、人事の面から考えますと、人事の行政上のやり方がモラルをそこなうような面があったのじゃないかということが当然考えられなければならないわけでございます。このように存じます。
  147. 小林武

    ○小林武君 時間がありませんから、きょうは一応問題を提起しておきますから、あとで……。どうせこれはもう一回では済みませんから、申し上げておきますが、私はこの問題の中で、直接の動機になった四つを見ると、だれがやはり一番の根源かというと、どの問題も管理職といわれるような立場の者が、これはとにかくあなたたちの言うモラルの低下の一番の重いあれをしていると思う。責任の重い立場をとっていると思う。そうでしょう。教育長でしょう。その下のもう有力な人事を預かる者がそうだ。あるいは教員一体北九州市における異動、だってそうじゃありませんか。付属学校に起こった問題だって、これは一体どこから起こったかといったら、教員はずいぶんたくさんあったそうだ、ずいぶん関係者は多かったというけれども学校内部のそれはあれじゃないですか、管理職の心がまえの問題じゃないですか、それは。管理職そのものがやはり責任を負うべきことじゃないですか。私はこういう管理職の層から一つの問題点を起こしているということを考えますとね、これはあなたたちよく考えにゃいかぬです。このことはやはり直接の動機になった問題ですから、よくお考え願いたい。しかも、このあれを一番典型的にあらわしているのは、奈良の場合だから、私は文部大臣が先ほどおっしゃったけれども、これは文部大臣の責任というものは非常に重い。そういう具体的な事実に対して、これから文部省はもっと追及してもらいたいと思います。私がこの次に質問する場合に、あなたたち、私の言い方がまずかったら、うんと反論してもらいたい。具体的にひとつやってもらいたい、具体的に。そんな抽象論じゃなくて。そのことを一つ問題を提起しておきたいと思います。  もう一つあなたたちに申し上げたいのは、何といってもこういう事態が起こったのは、教育の民主化というものが、やはりもう狂いを生じたということです。教育の民主的運営というものに狂いを生じた。たとえば付属学校の問題は、PTAという教育一つのこの中の重要な機関が、そういう機関になっちゃった、贈わいの機関になっちゃった、こういうことです。それがいずれも有力な、とにかくそれで問題を起こした人たちは有力な父兄であったということになると、これはますます問題です。問題は、やはり民主化の問題だと私は思うんです。民主化の問題ということになると、私は教育委員会制度そのものの問題だと思います。あなたたちは立場は違うかもしれないけれども、私の立場からいうと、教育委員会制度というものが中央集権的な一つの形をとったというところから、今日の問題を起こしたと思う。あなたたちはそうでないと言うならば、その反論をひとつ具体的に私に説明してもらいたい。いわば上から流していくところの中央集権の中から起こってきた腐敗だと思います。あなたたちさえ、あなたたちにだけうまいことを言っていれば、下のほうで適当なことをやってもいいという体制が日本の教育界にあらわれている。ほんとうはこうなんだけれども、長いものには巻かれろというようなことは、これはもう心ある者から相当露骨にこのごろ口から出ている。そうして末端の教師になると、残念しごくということを言っておる。こう私はとにかく私の接する限りにおいては思っておりますから、あなたのほうで、今度あまり時間の制限のないときに、あなたたちのほうからもっと具体的なお話を承りたい。  文部大臣にひとつ民主化の問題について、教育委員会制度に問題ありという私の考え方についての、あなたのお考えをちょっと聞いておきたい。
  148. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 現在の教育委員会制度につきましていろいろ問題点があるとするならば、これは検討するにやぶさかではございません。ただ、現在の制度が直ちにそれが民主化ということに対して妨害となっておる、あるいは非民主化を助長しておるというふうには私は考えません。それは制度の問題ではないと思います。それらの問題につきましては、なおよく私どもも検討をいたしますけれども教育委員会制度がああいうふうな状態であるからものごとがおかしくなるのだというふうな考え方につきましては、御意見としては伺っておきますけれども、必ずしも私賛成するものじゃありません。
  149. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 小林委員の質問は終わりましたのですが、参考人の時間の都合で質問の順序を振りかえまして、黒柳明君から質問を続けたいと思います。黒柳明君。
  150. 黒柳明

    黒柳明君 私、京阪神土地事件のことを若干やりたいと思うのですけれども、まだ参考人が参りませんので、文部省から伺います。  時間ありませんから、着席しながらお聞き願いたいと思いますけれども、特にきょうは文教委員会だものですから、京阪神の土地問題の中で文部省の認可団体である鈴木学術財団のことを中心にしまして、けさも新聞に出ておりますが、問題の山田さんが再起訴されましたし、沢本さんも起訴された。また、一部の新聞では某代議士も取り調べを受けられるのじゃないかと、このようなことも報道されておりまして、この京阪神土地事件もいよいよ政界に波及か、このようなことも書いてありました。  この中で、特にこの沢本さんが御存じのように山田さんとともに導入預金の主役者でありますし、またこの沢本さんが鈴木財団の専務理事になっておる。そうして三井銀行がこの導入預金の舞台にもなり迷惑をこうむった。その前会長が佐藤さんであり、同じく鈴木財団の理事長が佐藤さんでもある。このようなことから、佐藤喜一郎前三井銀行会長の参考人の御出席をわずらわしながら、鈴木財団のことについて私は質問したいと思います。参考人が来ましたらば、時間がないようなんでそちらのほうに移りたいと思いますが、銀行局長はいらっしゃいますか。  それで、先般大蔵省が三井銀行に対して、本店十名ですか、支店十名、計二十名の職員を動員しまして、いわゆる沢本貫一派と三井銀行との関係について調査をしたと、このようなことがございますが、その結果、事実関係ないしは問題点はどのようなことがわかったのか、御報告いただきたいと思います。
  151. 澄田智

    説明員(澄田智君) ただいまお尋ねの件は、おそらく三井銀行に対する銀行検査を最近いたしておりますので、それについてのお尋ねかと思います。先月の半ばから、これは定例に大体二年間隔で現在銀行検査をいたしておりますが、三井銀行の定例検査といたしまして検査をいたしまして、現在まだ検査中でございます。いま御指摘のありましたように、支店も検査をいたしますし、もちろん本店の検査もいたします。検査の結果に基づきまして、これは一般の銀行の資産運用、その銀行の経営のしぶり、債券の管理の状況等、全般にわたって検査をして、そして注意すべき点は注意をする、それから経営上の指導をすべき点は指導をする、こういうことでやっておるものでございます。特にこういうような問題もございますので、その関係の支店等については入念に検査をするようにというようなことで、現在なお検査中でございます。  検査の結果等は、これはその検査終了後取り才とめまして当該銀行に示達をするというのが検査のやり方でありますので、今回もそういうことになるわけでございますが、まだ検査の途中でございますし、それから検査自体は金融機関の検査の性格上、当該金融機関に注意をする、こういうことでやっておりますので、ことに検査の途中にわける中間の状況ということは、責任の検査官が行って検査をしているということで、私自身もつまびらかにいたしておりません。現在、まだなわそういう状況でございます。
  152. 黒柳明

    黒柳明君 この鈴木学術財団の問題点というのは、先ほども言いましたように、前三井銀行会長の佐藤さんが理事長である、それで現在逮捕されました沢本さんが専務理事だ、こういう関係。さらには沢本、そして山田、この両名が三井銀行神戸支店を中心にして導入預金を行なったと、こういうような関係なんですが、それでもう一つ聞きたいんですけれども、端的に市中銀行の担保の限度額ですが、担保物件に対して何%ぐらいが常識としてその限度額になるのか、常識的なことで申しわけないのですけれども
  153. 澄田智

    説明員(澄田智君) これはそれぞれの金融機関がその判断に基づきまして、担保の物件の状況等によりましてまあきめていると。そのケース、ケースできめるというような場合もあろうかと思いますが、一般的に大体その銀行としてはこのぐらいに見ているというようなこともあろうかと思います。お尋ねが常識的なことだというようなことで、私もまあそういう意味で申し上げるわけでございますが、不動産等の場合でございますと、これも不動産の性格等にもよるわけでございますが、評価額の七割ぐらいのところが通常の常識的な担保の掛け値として見るところではなかろうかと思います。もちろん、債券類とかなんとかということになりますと、また別なことでございます
  154. 黒柳明

    黒柳明君 私も大体常識的にはまあ六割から七割ぐらいじゃないかと、このようなことを承っておりますが、そこで具体的な例を私は述べたいと思うんですが、文部省にお答え願いたいと思うんです。これは文部省のほうからいただいた資料です。これはいわゆる鈴木財団が、正確には賀茂郡東伊豆町奈良本字上当間、こういうところに取得した土地六万、そのうち現在三万坪あるわけです、売却予定がなっておりますが、この三万坪の見込み価格は幾らであるか、見込み価格。これ資料いただいたのがありますが、これに……。
  155. 宮地茂

    説明員宮地茂君) 見込み価格約三億でございます。
  156. 黒柳明

    黒柳明君 これは鈴木財団が六万持っておりまして、このうちの三万を売却して、現在三万坪持っております。それが文部省のほうから提示していただいた資料によりますと、売却見込み価格は約三億と、こうなっております。  ところが、これがその賀茂郡東伊豆奈良本の土地の登記なんです。これを見ますと、この土地が抵当に入っている。どういうふうになっておりますかというと、昭和三十八年四月十三日、大林組が三億の債権額をつけております。さらに、四十一年一月二十九日、同じく大林組が三億四百六十六万三千二十八円ですから、大体合計して大林組が六億の抵当をつけております、担保をですね。まあ、これはともかくとして、その次に昭和四十一年三月十二日、三井銀行から同じく七千八百万、そういう三番抵当がついているわけです。これは現地の話も非常に、三億になんか売れる所じゃないと、こういういろんな話があります。まあそれはともかくとして、売却の見込み予定価格が三億であるにもかかわらず、大林組が三十八年から四十一年にかけて六億の担保に取っている。それはともかくとして、そのあとにまた三井銀行の池袋支店が、これは取り扱い銀行ですけれども、七千八百万の限度額で担保をつけている。これは非常に何かおかしな融資のしかたであると、こう思うのですけれども、私はしろうとでこういう仕組みというものははっきりわからないのですけれども、銀行局長のほうはこれはどのように判断されますでしょうか。
  157. 澄田智

    説明員(澄田智君) 実は、本件、いま御指摘の点につきましては、私どももまだ十分内容調査をいたしておりません。先ほど冒頭御質問になりました検査というのは、私も結果を聞いておりませんし、このことに触れる部分は私存じません。学術財団の関係ということで取り急ぎ状況を聞いてみましたことで、私どものほうも十分調べてあるわけではございませんので、はっきり申し上げられないわけでございますが、私が聞きましたのは、もう少し坪数、おっしゃった坪数三万坪というような話でございましたが、坪数がもう少し多くて、そして評価額、これは信用のある専門家の評価でございますが、もう少し評価額は多いというようなことでありますと同時に、大林組の抵当はその他にも共同担保として取っている物件がありますので、したがって、先ほどのお話でございますと、三億の価値のものに六億の一番抵当があると、それに対して二番抵当として……
  158. 黒柳明

    黒柳明君 一番、二番含めて三番抵当です。
  159. 澄田智

    説明員(澄田智君) ああ、三番抵当ですか。一番、二番が大林ということになりますと、三番でございますが、三番として、その七千八百万円の三井の債権の抵当、こういうようなお話でございますが、評価額は、三井銀行で見ております評価額はもっと高い評価額でございます。それから、いまの大林組の抵当権には共同担保としてそのほかの物件も取っておるので、何と申しますか、当該の賀茂郡東伊豆町奈良本でございますか、その土地に対して全部これが抵当権としてかかってくるというそういうものでなく、ほかに共同担保を取っている物件があるので、残りの担保余力があるんだと、こういう判断で三井銀行の抵当権の評価はなされておると、こういう状況をとりあえず聞いておるところでございます。いまのお話のようですと、それは確かに抵当権の評価としておかしいのではないかと、かように思います。
  160. 黒柳明

    黒柳明君 私は、いま言いましたように、この土地登記も、それからこの土地に関する購入、売却、それから残地云々、これも全部監督機関である文部省からいただいたものです。ですから、私は、これは正確な資料である、こういうような判断のもとでいま質問しているわけですし、また大蔵省のほうが、土地は広いと、さらに見込み価格は多いと、こういうようなことであるならば、ここで結論を出せと、こういうことを要求しても、まだお知りになっておらないということであるなら、今後の調査を待つほかないと思いますけれど、文部省から出たほうは、購入のほうは六万六千八百七十二坪、それに対して四十二年七月六日に売却して、現在、先ほど言ったように残地、残っているところは三万四百三十五坪、要するに三万坪です、概算。その三万坪に対して、残地面積三万坪に対して見込み価格約三億、こうなっているわけです。三億というものが六億になり五億になるということはちょっと考えられない。大体三億である。それから大林側がほかの物件を取っているだろう。私も、ですから、大林のほうには触れておりません。この文部省から出た三億、私の基準にしているのは、この三億に七億の抵当がついているわけです。しかも、最後に抵当権の設定として三井が約八千万円に近い価格の抵当をつけている。こういうやり方、しかも、いまおっしゃったのは、知らないけれどもこのほかにあるのじゃないか、こういうお話がありまして、これまた調べていただけれればいいと思います。ですから、私どもは非常にふしぎである、こういった疑問を投げかけて、そうして早くこの問題を調査してもらいたい、こういうことなんです。また、最後に局長さんおっしゃいましたように、もしこのことが事実であれば非常に問題である。このようなことですが、途中に参考人が来ましたので……。
  161. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) ちょっと黒柳君……。  佐藤参考人に申し上げます。本日は急に、しかも御多忙中に時間もおそく要請いたしたにもかかわらず、時間を差しくって本委員会のために御出席いただきまして、厚く委員長から御礼を申し上げます。  それじゃ、黒柳君。
  162. 黒柳明

    黒柳明君 委員長からいまお話がございましたように、私も緊急に呼ばせていただきまして、ほんとうに雨の中、御多忙の中を御出席をいただきまして、ありがとうございました。まず厚く御礼を申し上げます。  それで、特別なことじゃございませんですが、当然京阪神土地事件が大きな社会問題になり、きょうの一部の新聞によりますと、何か自民党の某代議士が調べられているようなことが相当大きな紙面をさいて書かれておりまして、それを見ますといよいよ京阪神土地事件も政界に波及する、このようなことも読んでおります。そうしてそれにつけても、私が聞くところ、あるいは読むところによりますと、佐藤三井前会長との関係がいろいろうわさされております。非常に御迷惑をこうむっている立場じゃないでしょうか、私はこのように推察しているわけでありますが、このような事件が政界にさらに波及する形勢を見せてきた、こういうようなことで、ほんとうに御無理を願って御出席願ったわけですが、まず第一点、数点だけお伺いしたいと思いますが、当然先ほども冒頭に私申したわけですが、山田さんが舞台として活躍したのは三井銀行の神戸支店である、また沢本さんはもう言うまでもなく、佐藤前会長が理事長をやっていらっしゃいます鈴木学術財団の専務理事である、こういうような関係から、佐藤前会長としてもこの事件に対して、また沢本さんが非常に世間を騒がしたことに関して、いろいろ御所感を持っているんじゃないかと私は推察するわけでありますが、お持ち合わせでしたら、所信のほどから伺いたいと思います。
  163. 佐藤喜一郎

    参考人佐藤喜一郎君) 神戸のお話は、別に所感も何もございません。この間、私聞いているところでは、衆議院の大蔵委員会のほうへ私のほうの社長が出まして、いろいろ詳しい御質問があったのに対してお答えしているようであります。  沢本の件につきましては、私は学術財団の理事長をただいましておりますので、実に困ったことであると思っておる、一口にいえばそれだけのことであります。ただし、本人が何ぶん司直の手で逮捕されておりますので、いろいろな事情でわれわれのわからないことがたくさんあります。調べたいと思っておりますけれども、これもできません。この間も理事の連中と寄りまして、もう少しわれわれも調査の手段が開けるまでしばらくしょうがないんじゃないかというようなことを話をした次第であります。
  164. 黒柳明

    黒柳明君 第二点、お伺いしたいと思いますが、これはお差しつかえがなければお答え願える範囲でお答え願いたいと思うのですが、その京阪神土地事件の主役者となりました山田正光さんと佐藤前会長との出合いといいますか、背景といいますか、接触といいますか、あるいはある人の仲介で前会長にお会いしたとか、こういうようなことをいろいろ聞いております。もしお差しつかえがなければ、その範囲でお述べいただきたいと思います。
  165. 佐藤喜一郎

    参考人佐藤喜一郎君) はっきり記憶しておりませんが、一回ぐらい私は会ったのじゃないかと思っております。もちろん、私も、銀行の責任者をしておりましたときに、それぞれの店で大口の預金者というものについてはときどきぜひ私に会ってもらいたいというような要望がある、そのつど会っていることはございます。おそらく山田君もその一人だったろうと思います。
  166. 黒柳明

    黒柳明君 また、これもくだらないうわさかなんかで、私、事実に反したら、発言することも申しわけないと思うのですが、例の鈴木学術財団で出版した「ジャータカえほん」ですか、これに対して、山田さんが購入したことに対して、まあ当然、佐藤理事長から色紙、感謝状が届いている。このようなことが、うわさであるとは思いますが、もしこれが事実であるかどうか、お答え願いたいと思います。
  167. 佐藤喜一郎

    参考人佐藤喜一郎君) ジャータカの問題で私が感謝状を書いたという記憶は全然ありません。
  168. 黒柳明

    黒柳明君 あと一、二点でございます。  例の山田さんが、不正行為の舞台となった神戸市の葺合区にある熊内台の土地のことですが、これは鈴木財団と山田との間に十億円の売買契約書がつくられた、こう言われて、これはにせである、こういうようなことも一部では言われておりますが、当然、寄付行為――第十七条には、「理事長は、この法人の事務を統理し、また代表する。」と、こういうふうにございますわけですが、理事長である立場で、この売買契約がつくられた、この事実をお知りであったかどうか、いかがでございますか。
  169. 佐藤喜一郎

    参考人佐藤喜一郎君) 全然知りません。
  170. 黒柳明

    黒柳明君 ちょっと問題こちらへそれて、またすぐ御質問したいと思いますが、順序がちょっと逆になって申しわけないのですが、文部省のほうにお伺いしたいと思います。  この鈴木学術財団が、あとで具体的に、まだ時間がございますから事実をあげたいと思いますが、設立目的と反した、要するに不動産業みたいなことをやっているわけですが、これは熱川ジャータカ荘園、そこには残余の九万坪を分譲すると。公益法人としての鈴木学術財団がこういう行為をやること、これは設立目的に違反している。こういうような事実、これは一、二件あるわけですが、参考人のほうにすぐ質問をしたいために、ちょっと急な質問ですけれども、こういう事実に対して知っている範囲で、いかがでしょう。
  171. 宮地茂

    説明員宮地茂君) この鈴木学術財団は、御承知のように昭和三十一年に西蔵大蔵経研究会ということで設立されましたが、その後、鈴木学術財団と名称を三十七年に変えまして、目的は、「西蔵大蔵経に関する調査研究を行ない、その結果を広く世界に発表、提供して、学術振興と文化の向上に寄与する。」と、こういうことが目的で、おおむね、事業といたしましては、「西蔵大蔵経に関する調査研究、翻訳刊行、複製刊行その他資料の収集、その他目的を達成するために必要な事業」と、こういうふうになっております。したがいまして、こういう学術財団といたしまして、いろいろ土地の問題があるようでございますが、この土地の問題につきましては、実は収支決算報告には正式に出ていないのですが、ただ、その際の事業報告の添付資料の財産目録に三十五年度以降土地価額の記載がございます。こういう民法法人がいろいろ公益事業をいたします場合に、ただ自己財源だけで事業をやっていくということは、寄付金等も容易に集まりませんし、そういった関係で基本財産以外の財産を処分するということは間々あることでございますが、いろいろ真相のほどはまだ私のほうも十分調査いたしてみないとわかりませんが、世の疑惑を招くような、しかもこういった大きな面積にわたって、しかも営利企業と間違われてもしかたのないような事業をやっておったとすれば、これは適当なことではない、このように考えております。
  172. 黒柳明

    黒柳明君 いま学術局長から御答弁がありましたように、これはまだお調べがないと。私ども相当早くから資料の提出、あるいは私どもが材料を差し出しまして、こういう事実がある、だから調べてもらいたいということで、相当、一〇〇%くらい学術局長のほうにお知らせしてあるわけですが、まだ調査中というおことば、私ちょっと疑問なんですけれども、それはそうとして、いま言いましたように、この設立目的とは違反した営利事業をやっている。これは明らかにこのパンフレットに書いてある。まだあるのです。  そこで、参考人佐藤前会長、佐藤理事長のほうに、こういうまた事件がある。これも文部省のほうでは知っております。私のほうから、こういう事件があるからぜひ地元に確かめてもらいたいということで、一昨日確かめていただきました。それで確認しております、どういうことか。この鈴木学術財団の、まあこれは当然理事長には何の責任もないし、御迷惑をこうむるまた一つの原因であるかと思いまして、私は、佐藤理事長を責めようとは決して思いません。しかしながら、鈴木学術財団が、いま局長がおっしゃいましたように、非常に営利事業をやっている、うまくない、こういうことの一端がここにあるわけです。どういうことなのか。  これは横浜市戸塚区上京町の二十万坪の土地です。地主三十二名、山林が九〇%で農地が一〇%、それを山林は坪単価七千円、農地は坪単価一万五千円、そしてこの沢本さん、御存じだと思いますが、学術財団の横田さん、この二人がこの三十二名の地主に会いまして、代表は森不二夫さん、安田一夫さん、そしてこの財団は佐藤さんが理事長をやっている。そしてその合計金額十五億、その十五億の金を払っていただいて、契約を結ぶときには佐藤理事長にぜひ会っていただきたいという。すんでのところで、まあこれは不幸中の幸いと思います、未遂に終わったわけです。しかしながら、これも佐藤さんが非常にお人柄がいいために、そういう理事長としてのお役職、あるいは三菱の会長としての社会的名誉を、まあ沢本さんないしは槙田さんという人は私は悪いんじゃないかと推察しますが、そういう方に利用されたわけです。利用される寸前だったわけです。このことは文部省も確認している事実である。いかがですか。
  173. 宮地茂

    説明員宮地茂君) ただいま黒柳委員からお話がございましたような点は、黒柳委員からも、そういう事実があるから、直接、戸塚区の上京町でございますが、そこの本郷農協に確かめてみるようにというお話もございました。私のほうは財団から収支決算報告、事業報告等を徴しておりますが、そういうものには記載がございませんので、十分承知いたしておりませんでしたが、いま申しましたようなお話がつい先般ございまして、現地の本郷農協にこれは一応電話で照会いたしましたところ、ほぼ先ほど述べられたようなことがあったことを本郷農協からは電話で返事を得た次第でございます。
  174. 黒柳明

    黒柳明君 私いま三井と言うべきところを、何か間違ったらしい……。  もう一点だけ。これは時間以内におさめたいと思いますが、いま言いましたように、ジャータカ荘園九万坪の土地の分譲をここに書いてありますが、鈴木財団専務理事沢本貫、こういうことで。それから、いま言いましたように、佐藤理事長の名前を悪用して、すんでのところでこういうような事件が起こるところだった。これは事実でございます。文部省でも確認していただきました。なお詳しいことは調べていただきたいと思います。地主代表も非常に期待しておりました。佐藤さんがいるならばだいじょうぶだ、佐藤さんに会うならば間違いないということで、沢本、横田、――横田は眼中になかった。鈴木財団の理事長が佐藤さんであったから、全面的に……。そういうことで、すんでのところで大きな社会問題になるところであった。このことをぜひ、私は単なるいやがらせではなく、ぜひこういうことを知っていただきたい。  もう一点あるのです。それはどういうことかといいますと、鈴木学術財団、こういうパンフレットをつくって、沢本さんが財団法人学術財団として書いた。ところが、この裏を見ますと、申し込み先がエスエフ高速ボーリング株式会社不動産部、しかも住所、電話、番地、所在地、これは文部省にお答えいただきたいと思いますが、これは全部学術財団の場所であり、電話であり、事務員も学術財団の事務員、そうでしょう。そこだけお答えいただきたい。
  175. 宮地茂

    説明員宮地茂君) 私のほうもとりあえずの調査でございますので、あまりはっきりしませんが、事務員は必ずしも全員が一致しておりませんが、その他場所なり電話なり、こういった点は同一で、いわば同一人が二つの性格の法人と会社をつくっておるといわれてもしかたのないような形態になっていたように承知しております。
  176. 黒柳明

    黒柳明君 私が課長さんと接触したときは、これは文部省からの提出資料で全面的にこれをお認めになった。公式な場所で局長さんが若干の譲歩をされることはわかりますけれども、もう私たちが確認したんじゃない、文部省で確認していただいて、場所から電話から住所から、当然事務員まで全部一致した。だから、鈴木財団というのは、裏を返せば、営利事業を営んでいる、沢本貫が社長のエスエフ高速ボーリング株式会社とイコールなわけです。こういう事実がこのパンフレットを見ても、これは簡単な常識的なことでありますし、これがこういう片一方では営利団体として土地の売買をやる、それがすぐ鈴木財団の看板を表に出す。ところが、事実は沢本が社長になっているエスエフ高速ボーリング株式会社が営利をそこでむさぼっている。こういうことで、文部省もこの事実はつい先だってまで御存じなかったわけです。当然私は佐藤さんがこんなことを知るよしもないと思います。しかしながら、あくまでも文部省の認可団体でございますし、佐藤前三井銀行会長あるいは鈴木学術財団現職の理事長として、こういうことがわかったときには、これは非常に私もその社会的名誉というものが汚されることをおそれる一人であります。皆さんもそういうことを憂えているわけですが、私いまわずかの時間でほんとうに概括だけを取り急いで申したわけですけれども、こういうことに関して理事長としての御感想をお述べいただきたいと思います。
  177. 佐藤喜一郎

    参考人佐藤喜一郎君) いまお手元にある印刷物ですが、これは実は私は全然知らなかったのですが、二、三カ月、二カ月ぐらい前でしょうか、山田の事件が起こりました前後で、だれかが手に入れて、こんなものが出ているのですというので、私、初めて見たような次第であります。  それから、横浜の、神奈川県のどこかの土地という話は、これは全然私は知らないことでございまして、おそらく地主の人がまず、最後にその話をきめる前には私のところに会いに来ただろうと思いますし、また会いに来るはずであったのじゃないかと思いますが、会ったこともありませんし、大体そういう話を聞いたことがないので、何とも私の所信とか所感とかいうものは申し上げかねるわけでございます。
  178. 黒柳明

    黒柳明君 すみません、一問ですが、私もこういう事実、先ほどから言いましたように、お知り合いはない、私もこう確信しております。ですけれども、こういう事実、これは私の主観でも、一方的発言でもなくして、文部省もこの事実を大多数認めております。こういう事実というものが現在ここに出て、鈴木学術財団というものが、裏を返せば、まことに失礼なことばですけれども、それは実は沢本のエスエフ高速ボーリング株式会社という利益団体とイコールだ。  もう一つここに事実があります。時間を長くかけて申しわけございません。この事実も文部省はちゃんと認めております。土地の売買を、転売、移転をやるときに、名目だけ借りておるわけです。鈴木財団からエスエフ高速ボーリングになっておるわけです。交換した土地はありません。名目だけ、名義だけ、そのとき、都合のいいときは鈴木財団、悪くなるとエスエフ、その陰であやつっておるのは沢本個人だ、まあこういうもう一つ材料があります。長くなるので御迷惑で、この場でこの次に発言したい。  こういう事実がここに出てきたわけで、当然この財団設立の趣旨と反しておるし、また文部大臣に御所見をお伺いしなければならないわけですが、民法三十四条にも非常にこれは問題が、こういう学術財団では、私たちしろうとの予側で申しわけないのですが、そういうふうに法律を調べまして感じるわけですが、理事長としてお知り合いがなかったと。いま私が言ったことはうそじゃございません。完ぺきに裏づけがある事実である、こういうふうなことを念を押したいと思うのです。  そういう事実というものを踏まえて、今後理事長として、学術財団をどのように運営していかれるおつもりであるか、最後にお伺いしたいと思います。
  179. 佐藤喜一郎

    参考人佐藤喜一郎君) いま私としても、またわれわれと一緒にやります理事としても、非常に意外なできごとが続出しまして、理事連中もむろん知らなかった。私自身も、責任は痛感するのですが、善後措置をいろいろと考えている次第でございます。したがって、エスエフボーリングというものの実体をよく調べなければ、鈴木学術財田の財政事情もどういうことにいまなっているのかということもわかりませんし、せっかく非常に有益な仕事であるというのに、続けられるのか続けられないのか、これもいまのところ何とも確言しかねる、こういう状態でございます。
  180. 黒柳明

    黒柳明君 どうもすみません。長い間ありがとうございました。
  181. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 佐藤参考人、まことに御多忙中のところ、御苦労さまでございました。
  182. 黒柳明

    黒柳明君 順序があっちこっち飛びまして申しわけないのですが、先ほどの共同担保の件ですね。これはあくまでも、お調べでない、こういうことですが、このほかにはないのです、担保が。ですから、財団所有の土地はここだけです。ほかにありません。これは私たちは調べました。私たちも、調べた上でこういう発言をしているのです。だから、おかしい。従来から、東京においても導入預金をした疑いがあるのではないかという一部のマスコミの活字も読みましたし、私もそういう疑惑を持っておりました。これは共同担保がここしかありません。財団所有の土地はここしかありません。そうなりますと、ますます、一番最後におっしゃったおことばが、それはぴったりなんです。私たちはそう断言したいんです。まあいま現在事実というものをお知りにならないと、こういうことですけれども、そのことについて重ねて……。ここだけしかない。それにもかかわらず、こういう事実があるということに関して、ひとつ局長の御答弁をお願いしたいと思います。
  183. 澄田智

    説明員(澄田智君) 先ほど申し上げましたように、現在まだとりあえず三井銀行に聞いてみたというところでございまして、三井銀行のほうがそういうふうに申しておりましたことを申し上げた程度でございます。十分調査をいたしまして、その点ははっきりさせたいと思っております。  ただ、いま御指摘の財団所有の土地の件でございますが、先ほどからお話に出ておりますエスエフ高速ボーリング会社という会社の土地が、担保提供者というようなことであるというふうに実は聞いておるわけであります。したがって、そのエスエフ高速ボーリング名義の担保というものがあるということ。それから、私が先ほど申し上げました共同担保というのは、大林組のほうの取っております担保の件でございます。大林組の六億の債権に対する担保の問題、その担保はいま御指摘の土地以外に、ほかに共同担保を、これも熱海市熱海上ノ山とかいうような土地のようでございますが、そういうところに取っておる、こういうようなことで、したがって六億の大林組の債権はこの土地だけで保全されているわけではないので、そういう意味でもって担保余力がなお三井銀行に残されているというのが三井の言っておる言い分でございます。登記その他十分調査いたしたいと思います。
  184. 黒柳明

    黒柳明君 私たちもそのことについては申しわけないけれども、そちらは現地をお調べになっていない、私は調べた、調べた上の発言なんです。ですから、ここで水かけ論になります。ともかく従来言われますように、導入預金が東京でも行なわれているんではないか、こういううわさが非常にあります。向こうの二十億と七千八百万と比べれば、金額はと、こうおっしゃられますけれども、必ずしもこれだけの事実じゃないのです。私先ほど冒頭に申しましたように、文教委員会ですから、だから鈴木学術財団のことだけに限っていまは質問させていただきたい。これからまた決算でも、いろいろの問題が起きておるそのことについては、また後ほどやりたいと思いますけれども、金額としては決してこれだけのものじゃない、こういうことを述べたいと思いますし、またこのことについてもひとつ徹底的なメスを入れていただきたい。まあ重ねての御答弁になりますけれども、いかがでしょうか。
  185. 澄田智

    説明員(澄田智君) 十分調査をいたします。
  186. 黒柳明

    黒柳明君 それで、先ほどのこと、もう一点ですね。これも文部省のほうからいただきました資料があるわけですが、その資料によりますと、エスエフ高速ボーリング株式会社、これはいま言いましたように沢本さんのやっているところなんです。社長です、沢本さんが。そしてこのエスエフ高速ボーリングは、実は鈴木学術財団と表裏一体である。公益法人であるべき財団が、実は営利事業を兼ねていたといってもいい、そういう立場である、こういうわけなんです。こういうこと。  それがまた一つの事実が、熱海の土地の交換という問題。これも文部省のほうの材料です。文部省から教えていただいた事実です。昭和三十八年六月二十七日、鈴木学術財団がエスエフ高速ボーリング株式会社と土地を交換していますね。この交換というのは事実の交換じゃなくて、名義上の交換だけである、こういうことでよろしいでしょうか。
  187. 宮地茂

    説明員宮地茂君) 実は黒柳委員のせっかくのお話でございますが、文部省が教えたというよりも黒柳先生から情報を聞きまして、それを私のほうとしても調査をしたということで、実は私のほうも黒柳先生に教わった範囲内でできる限りの調査を数日間にしてみたところでございまして、そういう前提に立ちまして、昭和三十八年六月にエスエフ高速ボーリング社に鈴木財団の土地が登記上移転をしておるということがわかったということでございまして、まあ財団のお話ですと、その間に、これは責任者の話でございませんからよくわかりませんが、調査をした過程に、必ずしもこれは財団そのものが財産を処分したということではなくて、エスエフ高速ボーリング社のほうの要請によってそういうことがなされたのであるということで、実はいろいろ問題がございますので、佐藤理事長にもお聞きしたいと思いましたが、佐藤理事長はこういうことは御存じではないであろうという財団の職員からの話でございました。
  188. 黒柳明

    黒柳明君 最後に、時間ございませんで、国税庁に一問、文部大臣に一問申し上げたいと思いますが、要するにエスエフと財団とのこの経理、これに対して十分に国税庁当局としてもメスを入れて、土地の取引について適正な措置をしていただきたい。国税庁、これひとつ要望したいと思います。大臣と一緒に答弁していただきたいと思いますけれども、まあそれだけひとつ。
  189. 大島隆夫

    説明員(大島隆夫君) 税務につきまして、財団であると株式会社であるとを問わず、適正な調査のもとに、およそ課税漏れがないようにしていくということは、国税庁の当然の任務でございます。そのような方針のもとに事務を執行している次第でございます。これらのただいま御指摘の法人につきましても、それぞれ調査を遂行しておるところでございますが、ただいまのところでは大きく脱税をしておるというようなものはつかんでおりません。ただ、このように問題が大きくなってまいりました今日におきましては、今後とも検察庁と十分の連絡をとりながら、さらに調査を進めて、いやしくも遺憾な点がないように措置をいたしたいと思います。
  190. 黒柳明

    黒柳明君 最後に文部大臣にお伺いしますが、私いま言ったような事実、これまたまとめて個条書きに言う必要はないと思うのですが、これは明らかに民法三十四条の上で、こういうような財団を放置しておくこと自体いいのか悪いのか、非常に私は疑問だと思います。もしもこういう財団を放置しておきますと、擬装財団が幾つもできると思います。これは文部省責任者ともいろいろ話し合いました。文部省のほうは私たち以上に専門家ですから、御存じでしょう。確かにこれは問題だ。おもて上公益法人、そういう財団が、裏に回れば即営利団体と結びつく、こういうことになれば、これは明らかに擬装的な財団が全部できちゃって始末におえない、こういうような発言を私はじかに聞いております。当然文部大臣はこういうようなことをお知りにならないと思いますけれども、こういう事実というものが明るみに出たときには、責任上これは相当の処置をせざるを得ないんじゃないかと、常識上そう考えるわけでございますが、いかがでしょう。
  191. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 先ほどからの御質問で御指摘のありました問題をよく伺っておったわけでございますが、それによりますれば、鈴木学術財団が財団法人のあり方としましては適当でないというような点があるように私も感じました。したがいまして、なお十分に調査いたしました上で、文部省として監督上の立場から必要な措置を構じてまいりたいと思います。
  192. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 楠君。
  193. 楠正俊

    ○楠正俊君 文部大臣にお尋ねいたしますが、先ほど内藤委員から、東大病院において教授と指導医と学生の三者協議会ができて、管理運営に参加をしておるのではないかと。もしそうであるならば、この間私が文部大臣にお尋ねいたしましたときの大臣の御答弁と食い違っておるんではないか。大臣はそのときに、参加の中身がはっきりしないけれども、意味が明確ではないが、いずれにしても、大学というものの管理運営について学生が学校当局と対等の立場で参加をするということは、日本の大学においては認めることはできないということを御答弁になっておられるのでございますが、その大臣の御答弁とこの三者協議会は矛盾するのではないかということを内藤委員が質問されたわけでございます。そのときに文部大臣局長は、そういったこの参加の意味が今回もはっきりしないけれども、たとえば研修内容とか、それからカリキュラム編成とか、人事とか、そういったような内容的なものまでタッチするというようなことがあっては望ましくないというような御答弁のように承っておるのでございますが、現在のこの学生騒動の状況下にあって、私は教官側と学生側の秩序が確立された中で参加ということがあるならば、それはわれわれが憂えるような参加はないけれども、現在のようなこの暴力学生がバックアップしております現状における参加は、われわれが憂えております経営参加ということになるおそれが多分にあるということを非常に心配いたしておるわけでございます。  そういった心配をいたしておりますところへ、八月二十三日の毎日新聞に、「東大に新しい動き」という大きな見出しで、運営に学生が参加したと。どこでそれが起こったかというと、東大の駒場の教養学部の教養学科で、教授と助教授、専任講師の中から五名、それから助手の中からまた五名、学生からまた五名、合計十五名で三者協議会をつくって教養学科の運営管理に参加するという報道が大きくなされておりますが、この点について文部大臣承知しておられるかいなか、御答弁願いたいと思います。
  194. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 新聞に報道せられておりました事実については、私も承知いたしております。私もこの問題につきましては、内藤さんにもお答えしたわけでございますけれども、きわめて関心の深い問題でございますので、事実は一体どういうことであろうかということで、事務当局に調査を命じましたところ、事務当局の得た大学側からのお話によりますと、新聞に出ておりましたような機関の設置ということについては、まだ全く具体化しておらないように見受けられるのであります。毎日新聞に報道せられましたように、教官、助手、あるいは学生の代表からなる三者協議会が設けられたという事実はない、また教養学科の委員会で三者協議会について正式に議題として取り上げられたこともない、このように実は報告を受けておるのでございます。新聞を見まして、私も心配いたしておりましたわけでございますが、そのような事実がないということでありまするならば、今後また妙なものをつくらないようにという意味で、注意はいたしておるところであります。
  195. 楠正俊

    ○楠正俊君 それはそうしますと、この毎日新聞は非常に具体的に書かれているわけですね。四回まで協議会を持ったと書いてある。五回目が二十八日に臨時協議会が開かれると書いてあるわけでありますから、相当具体的に出ているわけです。  その内容は、この協議会でどういうことをやるかというと、一は、「教養学科に関する事項についての最高協議機関として三者協議会を設ける」、二番は、「三者協は教授、助教授、専任講師から五人」と、さっき申しましたような人数が書いてある。三番目は、「決定には出席者の三分の二以上の賛成を必要とする」、四番目は、「月に何回か定例会を開き」といったような具体的なことまで報道されておるのでございますが、これはそうしますと、文部省が教養学部に調査をしたところによると、全部間違いであると、誤報であるということになるわけでございますか。
  196. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 私ども承知いたしております限りにおいては、まだそのようなことが具体的な事実としてあらわれていないということでございます。内部においていろいろ議論があるいはあるかもしれませんけれども、私ども承知しておるところは、いま申し上げたとおりでございます。
  197. 楠正俊

    ○楠正俊君 それでは、こういったものは具体的には東大の教養学部の教養学科にはないと、私は非常に憂えておりました参加の具体的な形が各所にあらわれたその一端であるということは、これ杞憂であったというように感じておりますが、もしかりにこういったようなものが具体的にできて、われわれが憂えているような事実がもしあった場合に、文部省としてきびしくこれを取り締まっていただくということをお願い申し上げまして、質問を終わらしていただきます。
  198. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 次に萩原君。
  199. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 たいへん時間がおそくなって皆さんお疲れでございます。具体的な身の上相談を紹介しながら、身体障害者の問題について御質問申しあげたいと存じます。  去る八月の二十日、私は一人のお母さんから次のような手紙を受け取りました。「夫を五年前になくして現在は二人の子どもと貧しい生活をつヾけています。姉は二十三才でこれまでたびたび縁談がありましたが、その都度先方からことわられました。理由は弟が脳性マヒだからです。最近では娘は私に話をしなくなり弟につらくあたるようになりました。歩くことも不自由な弟は姉からどんなに云われても黙っています。そんなようすをみていて私はかなしくてたまりません。もっと早く施設か学校にいれておけばよかったとくやまれます。十五才にもなっていますが、今からでもあずかってもらえるのでしょうか。くらい気もちの毎日です。」こういった文章で、たどたどしく訴えられておったわけでございますが、私はこの手紙を見ながら、ほんとうに身障者の家庭というものの悲しさを身にしみて感じたわけでございます。  幾つか私もこれまでそのような問題を聞いてまいったわけでございますが、そうしたようなことに対して、私は何とかこの子たちを救っていただく、この子供の家族たちを救っていただく。こういう脳性麻痺を持つお母さんたちの実例はいろいろたくさんあるわけですが、こういう子供たちを児童福祉法に示された理念に基づいて、本人の持つ能力を見出し、適切な措置によって社会復帰ができるように、また復帰はできなくても、その人間性を尊重した保護と育成をはかることは国として急務だと考えるわけでございます。  私は兵庫県でございますが、わが兵庫県は身障者に対しましての配慮は進んでいると聞いておりますわけでございますが、それでも精薄の子供について考えてみますというと、推定該当者数は二万四千八百五十五名。そうしてその子供たちが、精薄養護学校小学校の特殊学級二百六十七、中学校の特殊学級の百九十、そこで学んでおりますのは四千七百七十七名でございます。一九・二%という比率になっておるわけでございます。また、肢体不自由児を考えてみますというと、該当者は千九百九十名で、実就者は七百四十九名、三七・五%、さらに病虚弱の養護学校に行っている子供を考えてみますと、該当者が七千八百九十五名に対して、実就学の子供は三百三十五名、実に四・四%ということになっているわけでございます。しかし、このパーセンテージは、いずれも全国平均よりはかなり上回っているわけでございます。このほとんどの子供が教育訓練の恩恵に浴していないというのが現状でございます。  そこで、私は、まずお尋ねいたしたいことは、この就学率の低さの原因とその対策についてお伺い申し上げたいと存じます。
  200. 天城勲

    説明員天城勲君) いま先生から兵庫県の実態につきまして就学状況の話がございましたが、私たち昨年度、心身に障害ある児童につきまして実態調査をいたしました。その結果いろいろなことが明らかになってきたのでございますが、そのこまかいことを申し上げると時間の関係もございますので略しますが、各種の障害者を総計いたしまして、現在特殊教育のための教育施設――盲ろう養護学校あるいは普通の学校におきます特殊学級に就学した者が約二五%ございます。その他の者は普通の学校に、学級の中に散在しているというような状況でございます。  これには幾つかの理由があるわけでございまして、一つは心身障害者に対する適正な判別がまだできていないということ、それから就学指導をもっと徹底すること等の問題があると思います。それから、特殊学級なり特殊学校の増設、それから就学の場合に、普通の子供よりもいろんな条件が重いものですから、就学奨励の財政援助をいまでもやっておりますけれども、さらに進めるということで、多方面な措置が必要ではないか、たいへん大ざっぱな言い方でございますけれども、全体としてそのように考えて、できるだけこまかい施策を今後進めていきたいと考えております。
  201. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 聞くところによりますと、中学校では約三分の一の町が特殊学級が置かれていない。その理由は、設置をしようと思っても、教職員定数の関係で無理だというわけでございます。たとえば、五十二人で二学級の予定でありますというと、その普通学級が、たとえば十人の特殊学級を一学級つくったために、残りは四十二人を一学級としなければならない。いわゆるそうしたしわ寄せが多数の子供にあることを思って、どうしてもつくるに忍びないという現実論が出ているわけでございます。さらにまた、特殊学校に一名出したために、自分の学校が一学級減になるというジレンマから、出すことをちゅうちょしているところもあるやに聞いているわけでございます。理論的にはこれは妙な話ということでございますけれども、案外その場にある先生たちにいたしますというと、こういうところにも隘路があるのではないかと考えるわけでございます。したがいまして、特殊学級、養護学校につきましては、もしなおれば原校、原級に復帰することも予想して、原校原級に潜在籍を認めるような融通措置を考えていただくわけにはまいりませんものでございましょうか。その点のお答えをお願いいたします。
  202. 天城勲

    説明員天城勲君) 特殊学級増設について、教員定数の配置が一つのネックじゃないかという御指摘でございますが、実は、私たち、特殊学校の問題は別といたしまして、特殊学級の設置につきましては、地方団体に積極的に設置をすすめております。定数の基準がございますが、この特殊学級については、定数基準でむしろ規制をいたしませんで、各市町村が設置いたしますれば、それは自動的にその教員定数につきましては――結局給与の問題でありますけれども給与負担をいたしますが、定数の措置からいたしますと例外措置をとって、毎年慫慂しているわけでございます。現に地方予算措置として毎年千二百ぐらい増設されるだろうという見込みを立てて給与関係の予算を計上しておりますが、むしろ結果的には千三百ぐらいここ数年できておりまして、それの政府負担をしているわけでございます。その意味では、その定数上いろいろな不便をかけることのないようにということは配慮しているつもりでございます。  なお、個々の学校についていろいろな事情があろうかと思いますけれども、極力この設置は進めてまいりたい、かように考えております。  それから、いまの潜在学級のお話でございますけれども教員定数の上から無理にこういう潜在学級という考え方はとらなくても、必要な学級が置かれればそういうことは見ていく考えでおります。ただ、心身障害者にいろいろな程度がございまして、全く小学校六カ年間ほかの子供たちと全然別の形で教育するか、あるいは障害を中心として特にその点については特殊な学級で指導し、他の子供と行動がともにできる点は一緒に行動させるというようなことは当然考えるべきことでございまして、今後障害の程度別にこの特殊学級の運営というものを考えていきたい、こういうふうに思っているわけでございます。一番はっきりしておりますのは言語障害でございまして、言語障害などはある一定期間治療的な教育と訓練をいたしますれば、決して六年間別の学級に行く必要はないわけでございまして、できるだけ早い機会に治療的訓練を積ませて元の普通の学級に返すような措置をできるだけ推進いたしたいと考えておるわけでございます。
  203. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 特殊教育の正常な発展のために心身障害に対する正確な判別をすることが非常に大切になってくると思うわけでございますが、それで適正な判別委員会の設置を指示されたと承っております。それは何名でございましたでしょうか、またその設置率はどれくらいでございましょうか、お伺いいたしたいと存じます。
  204. 天城勲

    説明員天城勲君) 先ほど申し上げましたように、特殊教育の振興の一番もとには、この適正な判別ということが前提でございます。実はいまお話しのような措置は、たしか三十八年からだと思いますが、進めておるわけでございます。現在の状況でございますが、いろんな形態がございますが、四十三年の五月現在で三十四県の中で市町村がこういう委員会を設けております。そのスタッフには大学の教官ですとかあるいは児童相談所の方とか特殊学校先生方とか、専門の方を集めてやっているわけでございます。  それで、この判別の問題につきましては、なお全体としてもっと徹底しなければならぬと考えておりまして、毎年度この心身障害児童の判別と、それから、就学指導の講習会を、私たち中央と、また各府県で開催いたしております。それから、特に四十二年からでございますけれども、特殊教育の推進地区というのをモデル的に設置いたしまして、現在全国に八カ所ございますが、ここで重点的にこの地域の協力のもとに心身障害児の判別ということと、就学指導の推進ということをいたしているわけでございます。今後は推進地区というものを逐次拡大していくという形で、特殊教育の第一の振興のステップである判別と就学指導をさらに進めていきたいと、かように考えております。
  205. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 判別委員会のスタッフの問題がいろいろ論議されているわけでありますが、そういうことで設置されております市町村は大体どういうふうな状況で、どのようにそれがうまく効果をあげておりますでしょうか。たとえば兵庫県の場合でございますと、ここは非常にそれがうまくやられているとか、あるいは各都道府県の中でその判別委員会が非常に適正にやられているというところがあれば、お教えいただきたいと考えるわけであります。  さらに、就学率というものをよくするために、もちろん私は先ほどのお話のように増設の問題がございますでしょうし、あるいはその設備を充実していただくことや、また就学奨励費というものの拡充もはかっていただかなければならないと存じます。そうしたことは、やがてこの四十四年度の予算もあるわけでございますから、強力にお進めをいただきとうございます。また同時に、特殊教育に関する一般のPRの点で欠けたところがあるのではないか、こういうことを考えるわけでございますが、そのPRについての対策、それをお伺いいたしたいと存じます。
  206. 天城勲

    説明員天城勲君) いまの判別基準の問題につきましては、私いま各市町村で実施されております事情をつまびらかにいたしておりませんが、これは単にIQの問題だけではなくて、お医者さんも、それから教育学者も、いろいろな方が集まってやるように私たちも考えておりますけれども、また実際にその面で努力されておりますが、なかなか専門家が各地域に十分得られないという実情にあるようにも聞いております。できるだけ総合的な判別を進めたいと、このように考えております。  それから、御指摘の就学奨励でございますが、それも二十九年からいまの就学奨励法で逐年就学援助を進めてまいっております。こまかいことは時間があれでございますから申し上げませんが、大体在学している児童生徒の七〇%はこの就学奨励費によって現在就学している状況でございます。この問題につきましては、御指摘のとおりでございますので、就学奨励の中身をできるだけ充実するとともに、経質的にも拡充してまいりたいと考えております。  それから、PRの問題でございますけれども、先ほど申し上げましたように、まだ一部では特殊教育児童に対する偏見、というとことばは悪いのでありますが、申し出ることをはばかったりする感じもございますが、やはり特殊教育を受ければ受けたなりの効果があるということが次第にわかってまいっておりますので、できるだけ普及という事実が逆に一番大きなPRになると存じますが、同時に、先ほど申しました推進地区というような形でもって地域的な協力を得ながら適切な判別をすることと、就学指導、これを推進してまいりたいと思っているのでございます。  なお、心身障害児童の実態につきまして、先ほど申し上げましたように、必ずしも正確な状況がわかっておりませんでしたので、調査をいたしまして、その結果が明らかになって、この事実も十分にみなさんに知っていただきたいと思いますし、また、それに基づいて国と地方を通じての行政の推進もいたさなければならぬ、このように考えております。
  207. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 実は施設へ行きますというと、私のところで預かるほどのことでもないと断わられ、学校では受け入れてもらえないという、どちらからもはねられているような子供もあるやに聞いております。そういうような子供に対しましては、先ほどの適正判別委員会でも十分お調べをいただいて、そうした子供のないようにお願いを申し上げる次第でございます。  さらに、最近の入学者は脳性麻痺が非常に増加しておりますことは御案内のとおりでございますが、そうなりますと、どうしてもその機能の訓練、言語訓練などの担当の専門職員が多く必要になってくると思うのでございますが、そうした特殊専門職員の現状についてお伺いいたしたいと存じます。
  208. 天城勲

    説明員天城勲君) 御指摘の点でございますが、実は特殊教育の障害の種別が最近医学の進歩によって非常にこまかく出てまいっておるのですが、それに対応する専門家というものが率直にいってまだ不足でございます。これは一番大きな問題でございますので、私たちその専門家の養成という、いろいろな段階があろうかと思いますが、養成を考えていくということと、できますれば学校にも特殊学校にこういう専門家を配置するほうも考えなくちゃいけないのじゃないかということをいま内部で検討いたしておるのでございます。
  209. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 なお非常にこれは不足だということのようでございますが、その確保については特に十分の対策をお願い申し上げたいと思うわけでございます。  最後に、時間がございませんので、まだいろいろとお尋ねしたいわけでございますが、お願いいたしたいことは、子供の障害を確実に鑑別して、その子供をどのコースで教育し育てていくか、オリエンテーションを立てるための基礎的な診断、方向づけをきちっとやっていただくことが何より大切でございます。そのためには、三歳児検診の義務化をお願いしたいと考えておるわけでございますが、三歳児は御承知のように心身ともに非常に大切な時期でございますので、その三歳児検診を義務化していただき、早期治療、早期教育をはかっていただいて、知らなかったための不幸や、決心がつかなかったための後悔がなくなりますような施策をお願い申し上げたいと思うわけでございます。あわせまして、不幸な子供の生まれる原因が親の責任にある場合が非常に多いわけでございます。たとえば脳性麻痺の子供の場合、親に責任のある場合が非常に多うございます。そういうことで、社会教育の一環としてこの不幸な子供をつくらぬ運動というものを展開していただきますようにお願いを申し上げたいのでございます。さらに、特殊教育に従事してくださる先生たちの待遇につきましても、この際十分な御配慮をお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  210. 天城勲

    説明員天城勲君) いま三歳児検診のお話でございますが、母子保健法でございましたか、規定もございますし、これの実施について、厚生省との関連もございますが、私たちはなるたけ早い時期の、早期発見と申しますか、早期発見が大事で、子供のときからの教育、治療というものが大事だということを考えておりますので、十分この方面で関係省と連絡をとりたいと思います。また、最後の点につきましても、かねがねいろいろ配慮してまいったのでございますが、なお十分いまの御趣旨のように配慮していきたいと思います。
  211. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 小笠原君。
  212. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 文部大臣にお伺いしたいと思います。  今年度の予算概算要求の中で、特に新規項目として教育事業費というものが立てられているわけでございますが、新しく教育事業費という名目で立てられたこの中身、概算どれだけを考えていらっしゃるのか。その使い道はどうなのか。そしてまた、一番重要な点は、こういう新規の教育事業費という名目で予算を足りない中からお取りになったその目的をお聞きしたいと思います。
  213. 宮地茂

    説明員宮地茂君) お尋ねでございますが、教育事業費という名目の経費はございませんが、ちょっと先生に接触しました係の者の感じですと、いつか新聞に載っておりましたことのようでございますが、そういたしますと、私どもは学生指導に必要な事業費というふうに考えたわけでございますが、それをいま教育事業費とおっしゃっておられるのでございましょうか。
  214. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いままでの大学の管理運営費と、それから学生対策費というものを含めて、教育事業費というように話されているわけなんです。その辺のところを、もし間違っていましたら正式なところをお教えいただきたい。
  215. 宮地茂

    説明員宮地茂君) 文部省といたしましては、いま先生のおっしゃる教育事業費という名称の項目はございません。と申しますのは、教育事業費と申しますと、文部省の予算ほとんどが教育事業費になりますので、そういう包括的な名称はございませんが、いま学生指導費等というふうなお話でございますが、まあ学生の厚生補導に要する経費といったようなものは、過去からそういう事項を立てております。  で、その従来の中身といたしましては、いろいろ学生の課外活動あるいは課外活動に要する施設設備費、それからたとえば保健管理センター、こういったようなもの、あるいは新入生が入ってまいりましたときに新入生に対するオリエンテーションとしていろんな合宿研修費といったような意味で呼んでおりますが、そういったような費目がございます。
  216. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 今度出されましたのは、従来と同じようなそういう使い方を目的としてお出しになっていらっしゃるんですか。
  217. 宮地茂

    説明員宮地茂君) どうも先生のおっしゃいます教育事業費を新たに出したとおっしゃるのが、たしか新聞に載ったので先生言っておられると思うんですが、私どものほうとしては、教育事業費というものは立てておりません。それで、まだ具体的にはそれらは四十四年度の御質問といたしますれば、いろいろ各大学の要望等も聞きまして、それに文部省考えも十分入れまして予算要求をいたすわけですが、鈴木委員の御質問に対しまして大臣からも答えましたように、大体今月の末までには大蔵省に出さなければいけませんので、目下そういったことで来年度予算の最後の詰めをいたしておる段階で、来年、いま先生がおっしゃいますような新しい費目というのはまだ決定いたしておりません。
  218. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 私は日本教育新聞というのを見まして、これはちょっとたいへんな問題だなと、そう思ったわけでございますけれども、この中身を見ますと、新たに、名前はこれは取り扱い上間違っていたかもしれませんけれども、いままでとは別個に、非常に先ほどから問題になっておりますような学園紛争の問題というのがある、そういうことで、大管法などと、いままでもたびたびお話が出ましたけれども、そういう法的な措置ではできない。ここでひとつ、ここにも書いてあるわけですね、「学生運動の対策費を計上」、「大学側の奮起促す」、文部省の指導、助言を強化することによって。そのための費用として新しく文部省考えていらっしゃる、というふうにこれには出ているわけなんですね。いまお伺いいたしますと、そういうことはないということのようにお聞きしたのですけれども、じゃ、こういうことは全く考え違いというふうにおっしゃられるわけでしょうか。
  219. 宮地茂

    説明員宮地茂君) これはまだ、来年度の予算要求を文部省として決定いたしておりませんので、新聞発表いたしたこともございません。ただ、その記事が出ましたのは、正直に申しますと、こういうことかと思います。ことし、いろいろ、これはまあ例年やっているわけですが、大学予算については文部省だけで考えることではございませんで、各大学からいろいろ考えましたものを私どものほうで事情を聴取いたしまして、それを最後に文部大臣の責任において予算案を出すわけでございます。で、その過程におきまして、従来、大学といたしましては、学部学科をつくりたいとか、あるいは研究費だとかいったようなことで、最近のように、いろいろ大学が学生の問題で頭を悩ましておる。たとえば、そのためには話し合いが必要であるとか、いろいろなことがいわれております。もしそういうことであれば、大学としてお考えがあれば、これは金が要ることであれば予算を要求しなければいけない、そういうことであれば、そういう説明があれば聴取したいといったような話で、ことし予算を聞きました。それに対して御指摘のような新聞記者のほうでは、そこに書かれてあるような感触で報道されたものと思います。
  220. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 この経過をずっと見てみますと、この六月中旬に各大学に、名前はいまおっしゃられたようにそういう正式な名前ではないかもしれないけれども、学生対策費なり大学の管理運営費を内容とする費用を新たに設定した、そういうことが通知されていて、また七月十七日から始まった文部省の各大学の概算要求説明聴取で、各大学は研究費の大幅増額などを一斉に提出をした。この文部省が出そうとしておる、私の考えていたのでは教育事業費というものには、各大学の要求では積極性が全然見当たらなかった。これに対して文部省は、学生対策費にグッドアイデアを持ってきてほしいとして、概算要求の出直しを求め、説明には事務局長でなく学長を呼びつけるというようなことがあった。そうして大学学術局長、おたくのお部屋の前の掲示板に文書で出された。その文書は、「概算説明に当たって、貴大学の最重点事項および大学管理・学生指導についての基本的態度、ならびにその経費について説明願いたい。その際できる限り学長から説明願いたい。なお学生指導に必要な事業費は早急に(おそくとも今月末までに)提出願いたい」、こういう張り紙が出された。その張り紙は写真も出ていたから事実だと思うわけですが、こういうような経過から見まして、私のほうで考えられるのは、これはいままでにない処置をされているわけですわね、いままでとも同じであれば。管理運営費とか、そういうもろもろの費用というのは、特別にこういうような通達を出して、また張り紙を出したりなさらなくても当然のことなのに、わざわざこの張り紙を出して、学生対策費を要求してないからちゃんと出すようにと、それからまた説明には学長が来るようにというような、いままでに前例のないことが出てきているわけなんです。  そこで、私は、直接文部省側としてこういうようなことが出されたことは、法的にいろいろといまの紛争を解決するということが非常に困難になってきている。そこで、こういう財政面から、内容面でこの学生紛争のために大学側を激励して、そうして早期の解決にもっていこうという、非常に財政的な面から介入というような面がうかがわれるわけです。そこで、たいへん心配になってきょうもひとつお伺いしたいと、こう思ったわけなんです。だから、私が申し上げましたのが全く杞憂であると、結論的にいえば杞憂であるということなのか、それとも、こういうような張り紙をなすったり、学長に、いままでとは違う学長に説明に来いというような、そういう処置をとられたのには、やはり何かの理由があるというふうに思うわけなんですけれども、その辺のところ、結論だけ簡単に伺わせていただきたいと思います。
  221. 宮地茂

    説明員宮地茂君) 張り紙といいますか、そういたしたのは事実でございます。で、先ほど来申しておりますように、例年大学の予算と申しますものは、学部をつくりたいとか、学科をつくりたいとか、講座をふやしたい、教官を何名増員したいといったようなことだけでございました。それで、一方におきまして、従来いろいろの委員の方から御質問がありますように、現在の学生の問題というのは、これはみんながひとしく関心を持ち、心配しておる点だと思います。大学は学長以下いろいろこの問題について日夜頭を悩ましておられる、そういうことであれば、従来のように教官だとか学部だとか学科だとか研究費だとかということだけではなくて、たとえば日ごろから学生と話し合いが必要であると、そういうようなこともいろいろ言っておられます。そうすれば、それでは話し合いをする、すると言っても、経費が要るのなら予算に計上しなければいけません。ところが、大学としては要求がございません。したがって、口で経費が要ると言いながら予算を出さなければ――これは話し合いということで、経費の要らない話し合いは、これはまことにけっこうだと思います。これは一例でございますが、そういうことで例年のようにただ普通の予算要求をしてそういう金がないからできませんということじゃなくて、したいことがあるのだったら申し出なさいと。  そこで、一応私どもが事情聴取いたしましたのは七月の初めごろから終わりごろですが、済んだところは、たしか、日にちは忘れましたが、七月二十日前後に大学の予算の説明聴取は終わることになっておりました。で、そういうことであったらあらためて要求しますという大学がありますから、それなら七月末までに要求をしなさい。従来は二十日なら二十日までに要求ということになっておって、それ以後に持ってくるのはいろいろ事務的に煩瑣ですから、一応締め切るというようなかっこうをとっておる。それを、そういうことであれば七月末までということを申しました。  それから、学長さんにもできる限りと言いましたのも事実でございます。これは私ども予算をいたしますとき、先生方文部省内部に来て見ていただけばよくわかりますが、非常に陳情者が多いわけでございます。予算編成まで連日事務局長とか学長とかあるいは各学部長さん次々にいらっしゃって、その応対に私どもは仕事ができないといったようなかっこうなんです。ですから、説明、予算説明を聴取する期間をたしか一ヵ月くらい、各大学、七十幾つの大学を全部聞くわけです、そのほか高専等。ですから、せっかくそういう事情聴取の機会があるのだから、個々にだらだら来られたのではあれだから、できる限り責任のある事務局長さんと学長さんで説明をしてもらいたいということを申した次第でございます。
  222. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いまの御説明伺っておりますと、非常に文部省は親心があって民主的で理解がある態度みたいに思われるわけですけれども、大学側としてはやはり紛争の問題については当事者だから一番の気にもしているし、解決の努力もしょうとしているのだろうと思うのです。しかし、その予算をほしいという場にあたっては、やはり研究費とか大学そのものの非常に必要とするものしか出てこなかったということは、やはりそこに何かのことをちょっと配慮している、心配していろという面も考えられるわけです。そういうところから考えますと、文部省側の考え方と、実際にこの紛争に対する考え方というのには、大学側とはちょっとズレがあるというふうに考えるわけです。  いまのお話で、あとでまた七月の末までですか、要求をするようにというふうにおっしゃったわけですけれども、具体的に七月の末までにそういうような要求というものが、学生対策のための出してやろうとおっしゃる費用に対して必要だというようなのが、どれくらい来ておりますか。
  223. 宮地茂

    説明員宮地茂君) どのくらい来たかと、ちょっとはっきりいたしませんが、これは非常に実務的で恐縮ですが、大学の予算というのはいろいろございまして、中にはこれは表向きは書いてないが、実はこれが一番であるといったような、従来正式に出しますのは文部省ですから、大学の状況は聞きますが、大学としてはいろいろな何と申しますか、作戦と申すんでしょうか、これは当然一番になれるというようなものはうしろのほうに回してといった式のいろいろございますので、七月二十日が問題とか、七月三十一日が問題ということでもございませんので、入学試験の募集を締め切った後にまた再募集といった式に、統計をとっておりません。ただ、多くの大学におきましては、そういうことであればということで、これは事務的にもいろいろ書類を書きかえたりした大学は確かにございます。
  224. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 私はその詳しいことを聞きたいと思ったわけじゃないのですよ。そんなにたいして初めには必要でなかった、それが文部省で言われて、それじゃもらおうかということで出てきたというのが、大体の数でどれくらいの大学というものが出てきたのかなと、その辺のところを伺いたかったわけなんです。  こういう問題はやはり学園の紛争という問題からいろいろ文部省も出されてきたんだと思うけれども、これは文部大臣にもお伺いしたいわけですけれども、やはり先ほどからの話を、いろいろと質問の中身など聞いていますと、この紛争というものの解決ということを非常に皆さんも私も心配しておるわけです。文部大臣は先ほど、大学の自治の中に介入するというそういうつもりはなくて、早期に解決するように大学側に努力してもらいたいと、こういうふうにお話しになったわけなんですけれども、いまの大学の学生運動と、先ほどから学生学生ということばで一口に言われておるわけですけれども、その学生の中で暴力をもって占拠しておるというのは非常に一部の学生でしかないわけですね。そうしますと、佐藤さんの演説でも、この前の文部大臣の演説でも、学生らということで一言で言われてしまう。非常に良心的な学生や、また実際学校に来て勉強しようと思っているのに、こういうことで勉強もできないと悩んでおる学生にとってはたいへん残念な表現で一括されてしまった。そういうことで、いまの一部の学生と他の学生とを区別して、文部大臣はその辺のところもはっきり考えていただけておるんだと思うのですけれども、その辺のところをちょっとお考えを伺わせていただきたいと思います。
  225. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 一部学生ということばを大体いままで使ってきているように思うのでございますが、ときにはあるいは学生というような表現で言っておるかもしれません。前後のことを考えていただければ、一部の学生のことを言っておるというふうに御了解いただけると思います。必ずしもこれを一様に、同じように考えておるわけではございません。と同時に、一般の学生の中にも一部学生のような、あのようなむちゃくちゃな行動にやはりいかないまでも、現状に対して不平もあろうし不満もあろうということは、私どものほうでまた察してあげなければならぬ点もあろうかと思うのでございます。  いろいろな対策を講じます場合に、一部学生に対する対策と一般学生とでも申しましょうか、そういう方々に対する配慮というものは、やはりおのずから違ってくる点もあると思いますが、いずれにしましても、すべての学生ができるだけ学問の府である大学において、冷静に勉強をし、力をつけていかれるようにありたいものと、こういうつもりで予算の問題は考えていこうと思っているわけであります。
  226. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 大学の紛争解決について、私なんかもずっと見ておりますと、やはりいままでの例でも、中央大学の授業料の値上げのときのあの大きな動きも、また法政大学が去年の九月にも大きな問題になっていたけれども、学生と先生方とがほんとうに民主的に話し合って、自分たちで自主的にみごとに解決をしているという事実もあるわけでございますね。そうすると、学生のこの紛争というものをこのままにしておいてはどうにもならなくなるという見方ではなくて、私はやはり学生たちと教授たちとの話し合いで、自分たちの力で解決できると、その能力もあると、そういうふうに考えているわけなんです。大臣の先ほど大学にそういう努力をしてほしいというのは、やはりそういうふうな学生と教授たちの話し合いというものに信頼を持ってしばらく見ていきたいと、こういうふうなお考えにも受け取れたのですけれども、そういうふうに受けとめてよろしいですか。
  227. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 私としましては、大学の内部におきまして、教授、学生、すべてが大学の中における人たちでありますので、りっぱな学園をつくり上げていきますためには、相互に信頼関係を持ち、そしてまたよく話し合ってものごとを進めていってもらいたいというのは、これはもう当然のことでございます。  ただ、学生との話し合いと申しましても、かりに話し合いがついても、それがはたしてみごとな解決であるのかどうなのかという問題になりますと、いろいろケース、ケースによって判断はまた違ってくるであろうと思います。要は、やはり教授と学生との間に心の通うような学園生活というものが一番望ましいと思っております。
  228. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 私もそれを聞いてちょっと安心をいたしましたし、先ほどからの強硬な御意見として、警官導入で解決するよりしようがないだろうというような御意見もあるわけですけれども、警官導入のいままでの例を見ますとね、非常に孤立した学生たちが、あの警官導入で非常に味方をつくって、逆な効果というものがずいぶん出ているわけでございますね。ですから、警官導入などという非常に強い御意見もあったけれども、私の立場としては、そういうことはゆめゆめなさらないで、いま大田がおっしゃったような学生と教授たちとの間での話し合いというものを尊重していただきたいと思います。これは御答弁いただかなくてもけっこうです。  時間がございませんので、最後にもう一つお伺いしたいのですけれども、九大の事故でございますね。これが八月中に予算のほうをきめなければならないので、早急にあれを引きおろしていかなければならない。八月中といいますと、あともう残された日にちはわずかでございます。こういうことを考えますと、あそこの現状も、いまの大学の先生たちも、またあの学生たちと一緒になりまして、非常に統一した立場で正しい解決に持っていこうという努力をしているわけです。しかし、八月中といいますと、もう何といっても日にちがない。そうなりますと、この予算も取れないし、あの電算機センターというようなものもできないというようなことで、非常に心配していると思うのですね。それで、私は撤収費だとか補修費だとか、それから電算機などの借用料などというような非常に予算がかかる面は出てくると思いますけれども、八月ぎりぎりでというような、そういう画一的な御判断ではなくて、解決に向かおうとしているというような場でございますから、その辺のところはもう少し見ていただけるというふうに考えるわけですけれども、そういうふうに考えてよろしいでしょうか。  また、いろいろとこのごろ、東大の閉鎖というようなことも先ほど一つお話が出ましたけれども、非常に大きな問題としてみんなが心配しているわけです。そういうようなことも文部省としては、そんな東大閉鎖なんていうことは考えていたいというふうなお返事だったら、そういうお返事をいただきたいと思うのですけれども、どうぞそれをお願いします。
  229. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 九大の米軍の墜落機の処理の問題でありますが、お話の中にもございましたが、いつまでもあの状態であります限りはいろいろな点で差しさわりを生じてまいります。予算の問題等ももちろん関連をしてくると思います。あるいは損害賠償その他の請求の面においても問題が起こりますし、業者との関係においてもいろいろな問題が起こることでありますし、さらにまた学問を進める上において非常に大きな支障を来たしてくる、こういう問題でございますから、私どもとしましては、一日も早くこの問題の解決を期待いたしておるところであります。九大当局としましても、八月中には何とかしたい、こういう心持ちで今日まで努力せられ、現にその努力もしていらっしゃることと思いますので、私どもその努力の結果に期待をいたしているようなわけであります。  まあここでかれこれ言うのもどうかと思いますけれども、一日、二日のことをかれこれ言うよりも、そんな気持ちで私どもおるわけではございませんけれども、しかし、いつまでもあのような状態でおりますと、四方八方に迷惑がかかる、こういう状態でありますので、何とか一日も早く解決してもらいたいというのが私どもの心持ちでございます。九大当局も非常に苦心をしておられるようでありますので、いろいろまたお考えになる問題があれば学長のほうからも御連絡があるだろうと思いますが、要は、いま申しましたように、一日、二日のことをかれこれ申し上げる必要はございませんけれども、いつまでもああいう状態で、それこそ一部の学生のために大ぜいの者が迷惑をしておるということは何とか早く解決してもらいたいものだと、そういうふうに存じております。  それから、大学の閉鎖云々の問題でありますけれども、大学の閉鎖ということがそう簡単にできるものとはもちろん私は思っておりません。ただ、現在の状態というものが何ら解決の曙光も得られない、そうしていつまでもあのような状態を続けておられまして、大学全体としてその機能を果たすことができないというふうな認識の上に立てば、大学を閉鎖したらどうだ、こういうふうな御意見もあちらこちらからぼちぼち出ておるわけであります。そういうことになってはいけない、かように存じまして、私どもはすみやかにひとつ事態の解決をはかるように、そうしてまた全学一体となってりっぱな学園をつくるようにという方向で極力努力してもらいたいということを考えて、それを促しておるところでございますけれども、事態の推移いかんによりますというと、閉鎖どころの騒ぎじゃなくなるということも全然あり得ないこととは思いませんが、いまそのようなことを私どもが言うべきじゃございませんし、そんなことよりも、早く何とか解決してほしいというのが私でもの心からなる願いでございます。
  230. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 本件に対する本日の質疑はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後七時二十四分散会