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1968-08-08 第59回国会 参議院 農林水産委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年八月八日(木曜日)    午後二時二十二分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         和田 鶴一君     理 事                 園田 清充君                 任田 新治君                 中村 波男君                 矢山 有作君                 宮崎 正義君     委 員                 岡村文四郎君                 鬼丸 勝之君                 栗原 祐幸君                 小枝 一雄君                 櫻井 志郎君                 田口長治郎君                 温水 三郎君                 堀本 宜実君                 宮崎 正雄君                 森 八三一君                 八木 一郎君                 足鹿  覺君                 杉原 一雄君                 武内 五郎君                 鶴園 哲夫君                 沢田  実君                 向井 長年君                 河田 賢治君    国務大臣        農 林 大 臣  西村 直己君    政府委員        大蔵政務次官   二木 謙吾君        農林政務次官   青田源太郎君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        大蔵省主計局総        務課長      嶋崎  均君        農林大臣官房長  大和田啓気君        食糧庁長官    桧垣徳太郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査米価問題に関する  件) ○食糧管理制度の堅持と昭和四十三年産米政府買  入れ価格の決定に関する請願(第六号) ○林業種苗法改正に関する請願(第九号) ○昭和四十三年産米価値上げ等に関する請願  (第一五号) ○農地法改正法案の再提出及び農業構造政策関連  法案制定促進に関する請願(第二一号) ○毒蛾の防除に対する助成措置に関する請願(第  一四四号) ○継続調査要求に関する件 ○委員派遣承認要求に関する件     —————————————
  2. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  農林水産政策に関する調査として、米価問題に関する件を議題といたします。  本件について質疑のある方は、順次御発言を願います。
  3. 足鹿覺

    足鹿覺君 米価食管制度の問題について、最初に農林大臣に伺いますが、ほんとうは木村官房長官が最初お越しいただいたほうが都合がよかったのですが、何か都合が悪いそうですから、なるべく早く委員長のほうにおいて、御出席方のお取り計らいをお願いいたします。木村官房長官は、私どもの党の公開質問状に対して、佐藤総理にかわり、食管制度根幹については守っていくんだという御回答もありますし、また、先日の参議院本会議において、同僚亀田議員質問に対して、食管制度検討段階に達したと言明をされておりますし、西村農林大臣も同様の御趣旨のことをしばしば述べておいでになります。  そこで最近、仄聞するところによりますと、閣議等、その他明確な会合の名前はわかりませんが、政府内部において国の買い入れ義務を緩和し、または制限する考え方のもとに等外米は買わないとか、あるいは両三年間、農家売り渡し実績を上回る分については買い上げを取りやめるとかいうような相談がなされておると聞いておりますが、その実情について承りたいと思います。
  4. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 食管制度の問題につきましてのお尋ねがありました。食管制度に対する態度は、先日の総理の、政府側といたしましては、所信表明のとおりでございまして、根幹を維持しながら総合農政展開の一環として検討を加える時期がきたという判断のもとに政府は動いておる、これが食管に対する態度であります。そこで、率直に今年度産米に対する態度として、本年度の産米をどうするという問題は、全然政府考えておらない。すでに御存じのとおり、予約も九百万、八百万をこえる予約を受け付けておりまして、買い付けを順調にやってまいる、こういう姿勢でございまして、将来に向かっての課題として、食管制度根幹を維持しながら検討をしてまいる。それも広い視野に立って慎重な態度で臨んでいきたい、こういう態度でございます。
  5. 足鹿覺

    足鹿覺君 私が聞いておるのは、ことしの米について、等外米は買わないとかあるいは両三年の売り渡し実績を上回るものについては、その上回る分だけは買い上げないというようなこと等については、すでに検討が始められておると聞いておるが、事実かどうか。抽象的な御答弁ではなくて、私の質問に端的にお答え願いたいのであります。買い入れ制限等を含む、いま述べたようなことは一切ございませんかということであります。
  6. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 私からお答え申し上げまして、閣僚段階で何らかのお話があったかどうか、その点は大臣からお答え願おうかと思います。事務段階政府部内における各種の協議等があるわけでございますが、その際に等外米の四十三年産米については一切買わないというような話は出ておりません。先般、米の予約買い付けについての政令を出すそれについての告示等をいたしたわけでございますが、その中でも、災害による場合の等外米買い上げは、予約買い付け対象米穀として取り扱う場合を規定いたしておるのでございまして、一切等外米を買わないというようなことは考えておらないのでございます。  それから両三年の売り渡し実績をこえるものについては政府買い上げを行なわないというようなことについて、本年度産米に関しまして、そういうようなことを協議をしておる、あるいは検討しておるという事実もございません。
  7. 足鹿覺

    足鹿覺君 その他買い入れ制限に通ずるようないささかの疑念も持たれるようなことはございませんか。念のためにこの際はっきりさせておいていただきたい。
  8. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 買い入れ制限と申しますか、そういった問題は、当該年度の問題についてもう議論はない、これははっきり御理解願えると思います。問題は、将来の問題として食管制度改善、こういったような中において、食管制度改善根幹を維持しながらどういうふうにこれらの諸問題——この問題だけではありません、食管改善をどうしていくかという問題を将来の問題としてこれから検討をしていく、こういうことなんであります。
  9. 足鹿覺

    足鹿覺君 それでは本年産米についてはない。将来にわたってはこれから検討する、こういうことですね。
  10. 西村直己

    国務大臣西村直己君) おっしゃるとおりであります。
  11. 足鹿覺

    足鹿覺君 わかりました。それでは将来にわたって、何をお考えになっておるかということをこの際明らかにしていただきたいと思うのでありますが、食管制度根幹というものは大体二つないし三つあると思うのです。一つは、農民生産したものを国が買い上げる、また国の責任において配給をする、これを根幹とし、さらに第三条、四条において事実上二重価格制度を今日まで実施してきたことが私は根幹だと思うのです。これらに手を加えて、他にどのような根幹が残るのか。私ども政府の真意を伺いたいと思いますが、改善されることはけっこうだと思いますが、改悪になるのではないか。食管制度のそもそも根幹というものはいま述べた三つだと思いますが、その他にどのような根幹がございますか。どのような根幹に手をつけようとなさっているのでありますか、この辺を抽象的ではなしに、具体的にお示しを願いたい。
  12. 西村直己

    国務大臣西村直己君) まずこれは食管法受け取り方の問題だと思うのであります。問題は、食管法戦時下において食糧が非常に窮屈になった際に食糧管理法として出発したものであって、そしてその第一条に食糧管理法がなさんとする目的がはっきりときまっておるわけであります。これはもうすでに御存じのとおり、国民食糧確保、それから国民経済の安定をはかるために食糧管理し、そして需給価格の調整、配給統制を行なう。そこでその方法として政府必要量を第三条でもって命令の定めるところによって義務的に強権で買う、こういうかっこうになっております。したがって、その第一条の目的というものは、国民経済の安定をはかるために食糧管理する、国民食糧確保、ここの目的達成のためと、こういうふうに私は解釈しております。それからその次の再生産確保、これは当然の問題でございます。もう一つ消費者家計の安定、これが根幹である。したがって、問題は何でもかんでも全部買わなければならぬというところに問題があると思うのです。問題は、国民食糧確保、それに国民経済の安定をはかるというような面から、第三条というものは、命令をもって定めるものは政府に売ってもらいたい、こういうふうになっております。この趣旨を十分生かしていくような意味での私は根幹考えてまいりたい。同時にもちろんこれらをやるに当たりましても、現行の執行しておる、あるいは運用しておる体制、政令等の関係もございます。また食管制度というものが、生産者消費者に非常に大きな長い歴史を持っておりますから、その間に十分各方面の意見を聞きながら改善策考えてまいりたい、こういうふうに考えております。
  13. 足鹿覺

    足鹿覺君 第三条、四条並びに何でもかんでもつくったものはみんな買わなければならぬとは考えないということであれば、事実上根幹に手をお触れになる考えではありませんか。いまの大臣の御答弁を聞いておりまして他の同僚委員もどのようにお受けとめになったかは存じませんが、私の聞き取った範囲内においては根幹に手をつけていく御所存だと私は受け取りましたが、そうでなけらねばもっとはっきり御所信をしていただきたいと思うのですが、なおあわせてこの際申し上げますが、長い歴史を持っておるということは大臣もただいまの御発言でお認めになっておりますが、この食管法はそのまま変えないで運用空洞化をはかっていこうという御意図のように伺えるのであります。これは私は非常に遺憾に思うのであります。  法律の上で昭和十七年当時の記録を調べてみまするというと、井野農林大臣、現にこの本院に議席をお持ちになっております井野さんですが、その井野さんが農林大臣をなさっておる際に、昭和十七年二月五日の「米穀需給調節特別会計法改正法律案特別委員会議事速記録第一号」の第三段において、食管法提案説明の中で、「主要食糧ニ関スル限り農民ガ安ンジテ生産ニ従事シ得ルヤウ生産セラレマシタル米麦ハ必ズ政府が之ヲ買フト云フ態勢明カニ致シマシテ国民食糧確保ト国民経済ノ安定ヲ図ラムトスルノデアリマス、」と提案趣旨において明確にしておられるのであります。いま大臣は、長い歴史にかんがみて慎重にやるんだとおっしゃいますが、この提案趣旨を曲げられたならば、食管法根幹はくずれるのではありませんか。ただ単にことばの上ではなくして、昭和十七年から今日までの長い歴史を経て定着をしたこの制度に、みだりに手をつけるということ自体が不謹慎である。また法の目的を勝手に政府が恣意的に運用面においてねじ曲げていくという考え方は私は許すことができないと考えますが、また、この取り扱い方については、法そのものを変えない限り、命令によってこれを変えていく、あるいは政令によって変えていくということは、私は適法の処置ではないと考えますが、この点についてどのように御検討になっておりますか、しかと御答弁を願いたいと思います。
  14. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 私は、重ねて申し上げますが、食管制度根幹は、米につきましては、国民食糧確保国民経済の安定をはかる見地から必要な米穀政府管理する、そして同時に生産者の再生産確保し、消費者家計確保をする、これが根幹だと思います。なお、食管法解釈については、これはあくまでも法律解釈でございますから、これは必要に応じては法制当局から御答弁を申し上げてけっこうでございますが、いわゆる食管法根幹は、国民においては米穀確保国民生活の安定をはかる見地から政府が米を管理する、再生産確保を旨とする。同時に経済の安定を旨とする。これが食管制度根幹だと考えております。
  15. 足鹿覺

    足鹿覺君 先ほどの御答弁によれば、法律あるいは命令を変えて、将来検討の結果変えていくんだというような意味にとれるような御発言がありましたが、これは法そのものを変えていくということに重点をおいておられるのか、法はこのままにして、命令その他の措置によってその食管制度根幹を維持しながら改善を加えていくというお考えでありますか。先般の衆議院農林水産委員会でありますか、当委員会でありますか、明確に記憶しておりませんが、桧垣食糧庁長官は明らかに法令、政令その他の改正について言及されたと聞いておりますが、今後、食管法根幹を守りながら検討をして、どのような手続によって改善をはかっていこうとされるのでありますか。その内容なり、手続なり、考え方についてこの際、いまの時点において明確になっておる点を御説明願いたいと思います。
  16. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 私の国会における発言についての御質問がございましたので、お答え申し上げますが、私が衆議院農林水産委員会でお答えいたしましたのは、法律解釈上の問題としていかなる見解を持つかという御質問に対してお答えをしたわけであります。私の食糧管理法についての解釈でございますが、いわゆる無制限買い入れ論との関連においての御質問でございましたので、食糧管理法第三条は、第一条の目的でございます国民食糧確保及び国民経済の安定をはかるため必要な米穀を、政府は、命令の定むるところによって、命令をもって定めるものを政府に売り渡すべしという指示をする権能を与えられておる。したがって第三条は、政府強制買い上げをいたします場合の生産農家義務規定である。したがってこの条文自身から無制限買い入れ解釈は私は出ないと考える。ただ、現在の食糧管理法及び食糧管理法施行令第五条の五の規定、その二つから見ますれば、現在の食糧管理法施行令第五条の五に、「米穀生産者は、その生産した米穀政府以外の者に売り渡してはならない。」という規定があるのであります。それにただし書きがついておるわけでございますが、そういう原則的な政府以外に売ってならないという政令食管法委任命令としてある限りにおいては、これは政府全量買い上げるべきである。言うなれば、政府全量買い上げるべき位置にあるということは明確でありますけれども食管法第三条の規定自身は、強制買い上げ権能政府に与えるにあたって必要な、第一条の目的遂行のために必要な限度の権能を与えられておるというふうに理解をすべきであるという法律解釈を申し述べたわけであります。そのことが将来の検討の方向に関連つけて申し上げたわけでもございませんし、その点はより高度の検討結果並びに政治的、行政的判断を必要とすることでございますから、私は触れてないのでございます。
  17. 足鹿覺

    足鹿覺君 施行令の五条の五によれば、「米穀生産者は、その生産した米穀政府以外の者に売り渡してはならない。但し、命令の定めるところにより、その生産した米穀を、命令で定める要件を備え、且つ、命令の定めるところにより農林大臣指定を受けた者(以下「特別指定集荷業者」という。)に売り渡す場合その他農林大臣指定する場合は、この限りでない。」となっておるのであります。  そこで予約制度になったときに、私は当時衆議院議席を持っておりまして、昭和三十年の六月並びに七月に、農林水産委員会において質疑を行なっておるのであります。そのときの食糧庁長官清井正君でありまして、予約制度そのもの食管制度の本来の趣旨にたがうのではないか、こういう質問が与野党から集中をいたしまして、与党の松山委員は「予約の申し込みをした場合に、その点について義務を生ずる、しかし予約を申し込まかなった残りについてはどういうことになりますか。」とただしておるのに対し、清井食糧庁長官は、「本法を改正いたしませんので、売ろうと思いますれば政府以外には売れないのであります。」と、明確に答弁をいたしておるのであります。いまの桧垣さんの御答弁趣旨とはまっこうから対立する法解釈を堂々と述べておられるのであります。もちろん需給情勢は変わっておるといえども法そのものが厳存しておることは何人も疑う余地はありません。先ほどの大臣答弁といい、あなたの御答弁といい、法は法として、命令を変えれば何でもやれるのだ、このような印象を受けますが、私は先ほど後段、御質問申しましたように、食管制度根幹に手をつけながら、なお、改善と欺瞞的なことばを弄せられ、しかもその改善と称する検討内容手続は、政令改正その他必要な命令条項改正によって行なわんとする態度は許すことはできません。なぜあなた方は率直に法を守っていく立場でありながら、事実上においてその法をねじ曲げるようなことをこそこそとおやりになろうとしておるのでありますか。昭和三十年の予約制は厳存しております。予約制の運営は現に厳存しており、何らその手続においては変わりありません。私どもの聞くところによりますと、政府はことしの需給情勢を心配して、手持ち米が多くなることを案じて国から県、県から市町村へと指図をし、その行政指導の環を通じて事実上の買い入れ制限を行なうのではないかという説は、巷間強く流れております。これは一つ政府のいままでとった政策に対する農民の不安と危惧であり、政治不信の一端とも言えますが、そういうことはただいまも食糧庁長官が述べられたような法解釈から漸次かもし出されてくるものと言わざるを得ませんが、この点について具体的に御答弁願いたい。どのような内容によって、どのような手続によって、これを改善という名のもとに改悪をされようとしておるのか、その点が私の質問主眼点でありますから、もっと私の質問をまともに受けて、大臣も第三条と四条棒読みにするような御答弁ではなしに、少し前向きの御答弁をお願いできませんか。
  18. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 私は何も三条、四条棒読みにしておるわけではございません。第一条の目的のために第三条等があるのだということで、法解釈としては行政当局なり必要があれば法制局なりをわずらわしたいと思うのです、そういう法律解釈は。ただ、食管というものは長い歴史を持っていたり、影響が大きいから、したがって、それらを政策としてどういうふうに実現していくかについては、幅の広い視野に立って、時間をかけて、そうして手続等もいろいろきめてまいりたいというのでありまして、ただ単に法律を欺瞞して読もう、そういうようなけちな考え方でやっておるわけではないことは申し上げておきます。
  19. 足鹿覺

    足鹿覺君 大臣食管制度根幹ということはどういうことですか。それでは、根幹は堅持するとおっしゃいますが、第一条、第三条、第四条、第八条あたりが最も重要な条項だと思いますが、これには手をつけないという御趣旨でありますか。
  20. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 先ほど来根幹について御説明申し上げましたように、米穀につきましては「国民食糧確保及国民経済ノ安定」、こういう目的のために必要な米穀政府管理する。もう一つは再生産確保消費者家計の安定、これが私ども根幹考えております。
  21. 足鹿覺

    足鹿覺君 それが根幹なんだから、根幹に手をつけられようとしておるのですよ、あなた方は。それを、いま言われたような御答弁で終始されるということは、私は押し問答のようなことになって非常に遺憾に思いますが、あなたの御答弁が私をして押し問答のようなことを残念ながら言わしめざるを得ない結果になっておるのですよ。  では、食管制度根幹というものは何ですか。あなた方の見解を明らかにしていただきたい。あなたが御答弁できないならば食糧庁長官どうですか。食管制度根幹は何条と何条と何条だと。どうですか。
  22. 西村直己

    国務大臣西村直己君) もう一度はっきりお聞き取り願いたいのであります。生産者の再生産確保、これは根幹であります。それから家計の安定、これも根幹であります。もう一つは、国民経済のいわゆる安定をはかるために必要な食糧を国家としてこれを管理する、これが根幹でございます。
  23. 足鹿覺

    足鹿覺君 では、現在八百五万トン必要だと、本年の予算によれば。しかし事実上においては、本年も農作の場合は八百万トンを相当大幅に上回るでしょう。本年は全部買う、買い入れ制限その他のことはやらないという御言明でありますから、それでけっこうですが、次の段階において、必要なものを確保するのだと、いわゆる国民配給するに必要なものを確保するんだと、いわゆる必要ということは、配給に必要なことであって、農民はそれ以上つくっておる、またできておる。としますと、必要な分だけを買い上げればあと残りが出るでしょう。それは自由流通認めるということですか。考え方として御所見を承っておるのであります。必要な量は買うと。では残った分はどうされますか。自由流通現行食管法でお認めになることはできません。それは違法の措置であります。断じて許すことはできません。どうですか。
  24. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 法解釈としては、私は絶対にできないと、こう断言するのも行き過ぎだと思います。食管法というものは、国民に必要な食糧確保するため、配給を行ない、管理をしておるのであります。それがたてまえであります。しかも食管法制定当時においては、今日のような事態は想定しないで、これだけのりっぱな技術が上がり、これだけの古米をかかえてまいる、しかも両三年続くであろうという事態を想定しないで、強制供出までやらなければならぬような前提のもとにおいてつくられた一つ法体系であります。したがって、私ども国民経済の安定、再生産確保消費者家計の安定という三本の柱の中においての必要なものを確保してまいる、こういうように法体系というものはなっておると、こう考えております。
  25. 足鹿覺

    足鹿覺君 いや、それはさっきからの御答弁でわかっているのですよ。だから必要外のものはどうなさるかというんですよ。昭和四十三年度農林予算説明にあたっては、米生産対策麦生産対策等条項において、「稲作生産性の向上と米生産の安定的な維持増大を図るため、土地改良長期計画に基づく生産基盤整備事業の進展とあいまって、高能率、高反収米生産を実現するよう、前年度に引き続き、稲作総合改善集約指導事業、」「米麦生産流通合理化モデルプラント設置事業等の諸施策を推進する。」とあなた方はちゃんとうたっておるじゃありませんか。去年も、四十二年もこれと同じですよ。大体これとほぼ一致しておる。こうして高能率、高反収、それつくれ、それつくれと言って明らかに指導しておきながら、来年になって残ったものは、必要な分だけは買うと、あとは一体どうするおつもりでありますか。私はそれを容認するものでは断じてありませんが、必要なものだけを買うという思想は、食管法思想に反するんです。違法性の強いものである、私どもは承服することはできませんが、いまの議論の過程において、あなたが言っておられる、必要と認められるものは買う、それではその他のものは間接統制あるいは自由流通認めるということですか。もう少し具体的な——押し問答ではなしに、あなた方が、総理施政演説に対する質疑答弁で明らかにしておる段階なんですから、主務大臣としてはもう少し私の質問をまともに受けて、その是非善悪というものは国民がやるわけでありますから、ですからもう少しまともに受けて、あまり木で鼻くくったようないまの御答弁では私は納得がいきません、あなたの御答弁では。とにかく必要なだけは買うのだ、残りはどうするかということについては触れておらぬ。桧垣君、君はどうですか。清井君は予約制度を開いた河野農林大臣の当時に、予約制度をつくったこのときの速記録はいまも私が読んだとおりであります。現に予約制度によっていまの米の取引が行なわれておるのですよ。その実態には変わりがないのですよ。そうすればあなたは食糧庁長官として、大臣を補佐し、主務長官としてはいまの大臣の構想を受けてどうするつもりでありますか、明らかにしてもらいたい。
  26. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) ただいままで私が申し上げましたことは、食糧管理法の法文解釈として私の見解を申し述べたのでございますが、第三条の強制買い上げの数量について、これが無制限に政府が買上げを行なわなければならないという義務づけをした条文とは読めないということだけを申し上げておるのでありますが、施行令の五条の五の現行規定の存します限りは、これは疑いもなく、およそ生産者が米を売ろうとする場合には、政府に売らなければならないということでございますから、その反対解釈として、政府全量買うべき立場にあることは私は間違いがないと思うのでございます。で、食管制度改善について検討を行なう時期にきたということについては、大臣からの御指示も得ておりますけれども、まだ何らの検討の結果も得ておりませんので、そういう検討結果を得た上で、法律解釈等の関係をどう説明するかということは、この段階では私にはできない事柄なのでございますので、御了承いただきたいと思います。
  27. 足鹿覺

    足鹿覺君 大臣の御答弁といい、食糧庁長官の御答弁といい、私は非常に遺憾に思います。国会において私ども質問しておるのであります。新聞社やその他言論報道機関の中には間接統制の意向を政府は目ざしておるのだ、またそうあらねばならぬのだ、こう言う人々をあなた方は米価審議会の委員に任命をして、そしておやりになったではありませんか。この間もあなた方の期待するような御答申を得ておられるではありませんか。すでに腹もきまり、内容もある程度検討は進んでおるけれども、国会の場において発表ができないということはひきょうではありませんか。なぜもっと堂々とこういうことを考えておる、しかしいろいろこれは政局に及ぼす影響やあるいは農民感情や、消費者やすべてのものに影響するというので、いまは言えないのなら言えない、こういう話なら私も事のよしあしは別として、やりとりとしては一応対話になると思うのですが、カニが甲らをかぶったように、サザエがふたをしたように一歩も人の質問に答えようとせず、いまのような御答弁は非常に遺憾に思います。それだったら根本的な改善などはやらない、こう言ってたんかを切るくらいの、開き直るくらいの根性はありませんか。やるでもなし、やらぬでもなし、そうして事実上は食管法空洞化を日に日に進めている。第一、いま申しましたように、あなた方が長い間増産主義を主張して今日の成果が上がってきたのですよ。  長期の見通しについて、それでは農林大臣にひとつ伺いますが、大臣よく聞いてくださいよ。私はいいかげんな場当たりなことを申し上げておるつもりはありませんが、あなたは米の長期の見通しと今後の需給計画について、政府は怠慢を今日まであえてしておると私は申し上げたい。なぜこういうことを申し上げたいかと申しますと、昭和三十六年六月に農業基本法が制定されました。私ども社会党もりっぱな農業基本法を出して戦いましたけれども、残念ながら敗れました。いまの農業基本法が成立いたしました。同法第八条において、「政府は、重要な農産物につき、需要及び生産の長期見通しをたて、これを公表しなければならない。」旨の規定があることは御承知のとおりであります。政府はこの2の規定に基づき、昭和三十七年五月十一日の閣議決定を経て農産物の需要と生産の長期見通しを公表されました。その中で、米の需要量について昭和四十六年度において昭和三十四年度より一割程度増加して千三百十二万トンないし千三百二十九万トン程度になるものと見込んでおります。これは大臣も御案内のとおりだろうと思います。あなたは最近御就任になったから御存じないかもしれませんが、政府のこれは中間報告に載っておるのです。  この長期見通しの前提条件に変化があらわれてきた。去年の大幅な豊作、政府のランニング・ストックを大きく上回る保有量、こういう形になってあらわれてきておることはやむを得ませんが、昭和三十七年五月十一日に公表した長期見通しについて、三十九年までの実情に検討を加えてその結果を昭和四十年十一月に公表をいたし、この中間検討の結果、長期見通しは実情に合わないものとしてきたのでこれを改定することとし、おととし、すなわち昭和四十一年十一月改定案を農政審議会の検討資料として提出されたが、閣議決定を経て公表するところにはならなかったようであります。その中で、昭和五十一年度における米の総需要量は千三百五十三万トンないしは千四百三十八万トン程度と見込んでおられたのであります。昭和三十九年度に比し一割程度の増加と見込んでおられました。ところが、去年の収穫高はこれを上回りまして、千四百四十五万トンという数字に達した。そこで農業基本法が農産物について長期見通しの公表を義務づけておるのは、政府、地方公共団体が施策を講ずる場合の指針にしようとするとともに、個々の農家にとっても経営の方向を見定める場合の目安にさせようとの配慮に基づくものであって、基本農政の推進上きわめて重要な意義を持っておるものと言わねばなりません。  しかるに、本年七月十三日、西村農林大臣、あなたはいわゆる総合農政の展開について指示を与え、その中で需要に適応した生産を進めるため、すみやかに農産物需給の長期見通しを立て、これに基づいて生産対策を確立したいということをおっしゃいました。そうして長期見通しは特に総合農政の展開の必要性ばかりでなく、農基法農政を忠実に推進しようとするならば、もっと早く三十七年の見通しを改定すべきであったと私は思うのです。それを今日までずるずると投げておいて、そうして農民政府の施策に呼応して増産に励み、新聞紙によれば、米が余っておるときに改善だ、増産だといって農民は一生懸命やっておる、何か農民が間違っておるような印象を受けるような記事も散見をいたしますが、そういうあなた方は指導をしてこられたはずであります。そうして今日になって事態が重大化した、それ一時的に米の過剰傾向ができた、これはすべて農民の何か責任で、農民米価の問題を物価との不つり合いから要求をすれば、何か物価値上げの張本人であるようなそしりを受けたり、都会の消費者農民が離反をするような印象を受けたり、非常に迷惑千万なことではありませんか。あなた方の指導のとおり農民はやってきたのだ。それを何ら反省しようともせず、本年の農林政策の基本の柱にもそれをうたっておきながら、今日まで改定を行なわなかった理由は何でありますか。特段の政治的配慮があってなされたのでありますか。それとも自信がなくてこの長期需給の見通しの改定ができなかったのでありますか。農林省の責任は私は重大だと思う。経済企画庁はきょうは呼んでおりません。時間もありませんし、またの機会にいたしますが、主務官庁である、農基法の番人であるあなた方としては、農基法第八条の精神にももとり、怠慢のそしりを免れません。今日の事態は、決して農民の責任ではなくして、あなた方自体の指導した責任がこういう結果になってあらわれてきておるのである。それをあたかも食管法が悪いかのごとく、あたかも農民が何か不当不法な要求をしておるかのごとく何か受け取れるようなことをされることは、私は非見識と言わざるを得ません。はなはだ残念でありますが、そう言わざるを得ません。  したがいまして、現段階における作業内容を米について中間的に公表してもらいたい。昭和四十一年十一月農政審議会に提示した内容と相違があるならば、それは何でありますか。農林大臣はその基本について、私がいま述べたことは、あなたはどうお考えになりますか。少なくともあなたは農民の立場に立ってまずものを考えられなければならぬ立場であると思う。国務大臣であると同時に、農林大臣という立場に立ってものを考えられなければならぬと思う。だれが、今日の段階農民の立場に立ってものを考えておるものがありますか。あなたまでもが、農民に失望と怒りを感ぜしめるようなことを、今日まで農林大臣として相当蛮勇をふるってこられたあなたが、この長期需給についての一つの見識も示されないということでは私はおさまらないと思いますが、この点、私が質問をしたことについて大筋を御答弁になり、具体的なことについてはだれからでもけっこうでありますが、この際明らかにしてもらいたい。
  28. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 私から大筋を申し上げますが、確かに農業基本法をつくりましてそれによって選択的拡大をはかりたいという気持ちもあって需給施策を進めたことは事実でありますが、同時にまたその間における食糧、特に米がまだ十分でない、米の増産を進めたことも事実であります。その間に農業基本法に従って長期の見通しも立てた、中間報告もした、これもまた事実で、お説のとおりであります。ただ御存じのとおり経済全体が、非常に高度成長なり、全体の所得水準も上がってまいり、食糧に対する需要の質的な変化、高度化、いろんな変化というものが激しく起こっておるわけであります。したがって、一方において農民の努力によって——生産の技術あるいは努力その他によって米というものは相当自給度を増してきた。特に昭和四十二年度は天候の関係もありまして史上最高である、自給度もたしか百十数%にのぼるというような状況になってきた。一方消費のほうはどちらかというと、国民の全体の人口のわりあいには一人当たりは減りつつある。言いかえれば消費が伸びない。そこにまあ非常なむしろ供給過剰というような現象があり、このままの状態で置いておくことがはたして農民のためになるかどうかということもひとつ出ておるわけであります。  そこで私どもは米だけでなく、全体の農政を見直して農業基本法の精神に返って、総合的な施策でもって進むべきじゃないか。もちろん米は大筋ではございますが、同時にできるだけ農業基本法の求めるところへ返る。それにはしたがって私はことしできるだけ急いで長期の見通し等も正確に立てて、生産対策等に進んでまいりたい。決して私は農民生産というものをおろそかに考えているんではないのでありまして、このままでいいかといえば、やはりこのままではいけない面もあるわけであります。むしろより農民のためになるようにするにはどうしたらいいかという面から考えて、総合農政を展開してまいりたい、こういうことを考えて今日に至っております。
  29. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 農産物の需要並びに生産の長期見通しにつきましては、昭和三十七年以降正式に公表をすることになって四十年に御指摘のように米価審議会に農林省で中間的な検討を終えたものを御審議願ったのでございますが、その際にも問題になったのでございますけれども、ちょうど四十年ころから消費の動向が従来の動向と非常に違ったパターンを示すようになっておりまして、それの計算方式、計測方式というものについて、いろいろ審議会でも御議論があったのでございますが、そういうような傾向はある期間の傾向をとりませんと将来計測方法、計測の結果に間違いが起こるというような問題が提起されまして、その後政府部内でも農林省部内の検討を続けてまいったのでございます。その後、四十一年、四十二年の生産の状況等が、これまた従来の生産の動向から見れば、反収の面では非常にいいというような形を描いたということで、統計学的にも平均反収の求め方をどういうふうに求めるかということについてこれまた農林省内外で議論がいろいろ沸騰いたしまして決定的な見解が得られなかったというようなこともございましたのでありますが、その後統計関係の主務官庁との調整もありまして、一応平均反収についても暫定平均反収というようなものが定まりましたし、また消費の動向についてもある程度コンスタントなカーブが、曲線が描かれてまいりましたので、米の問題と畜産物の需給の問題と、二つの困難な問題がある程度見通しがつきそうであるということで、現在大臣の御指示を受けましてなるべく早い機会に新しい、おおよそ十年後の生産と需要の長期見通しを確定するようにいたしたいということで作業中なのでございます。ただ、米だけを取り出しての長期見通しというのは、農産物の総体需給の見通しを離れてやることがはなはだむずかしい問題があるのでございまして、それは十年後の日本人の一人当たりの摂取カロリーをどういうふうに見るか、そこで米の需給見通しというものを単独ににらみましたものと、それから食構成の関係で、いかなる関係で目標年次の、目標設定年次の需給というものにはまり得るかということの作業が必要なのでございます。そういう作業を現在政府、農林省内部でやっておるという段階でございます。
  30. 足鹿覺

    足鹿覺君 私は、さっき言いましたことを資料としてひとつ要求いたします。新しい見通し、すなわち今年の秋に公表する予定と言われております現段階における作業内容、米についてのみ中間的に公表してもらいたい、もらえませんか。もらえないとするならばなぜか。私はもらえると思います。  それから、昭和四十一年十一月、農政審議会に提示したものと内容に相違があれば、それはどういう事情に基づいて相違があるか、これをひとつ明らかにしてもらいたいと思います。長官、いかがですか。
  31. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 需給見通しの総括的な責任は私でございませんので確たる御返事を申し上げるのはどうかと思いますが、現段階の作業の進捗状態から見ますと、私は公表というような形はとれないのではなかろうかというふうに思いますけれども、私どもも農林省内部で、もし現在の作業段階における米の需給見通しの試算をお示しすることができるようであれば御要望に沿うように官房に対しても連絡をいたしたいというふうに思います。
  32. 足鹿覺

    足鹿覺君 官房がやっているのですか、官房はいないのですか。——米の長期需給議論の対象になるくらいなことはわかっていますよ。官房が来ておらぬというのはどういうことですか。
  33. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 大臣からあるいはお答えがあったかと存じますけれども、私ども昭和三十七年に農業基本法に基づきまして農産物需給の長期見通しを立てたわけですが、その後の事情の変化を見まして、現在米を含めて多くのものについて需給見通しの再検討をいたしておる最中でございます。米の需要も昨年、一昨年あたりから相当急に落ちてきたという事情もございまして、なかなか簡単に結論は出ないかと思いますけれども、現在鋭意その作業を進めておりまして、それほど遠くない時期に農政審議会にかけてまた御審議をわずらわして発表いたすことができるだろうと思います。
  34. 足鹿覺

    足鹿覺君 いや、君はぼくの質問を聞いておられぬのですね、新しい見通しをことしの秋には公表する予定だと言われておった、われわれは期待しておるわけですが、その作業内容は米についてのみ中間的にも公表してもらえますかというのですよ。
  35. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 私どもの現在の作業の大体の計画を申し上げますと、十月、十一月ごろに一応事務的な作業を終わりまして、これは米だけではございません、重要農産物の多くのものについてでございますが、ここで農政審議会の御審議にかけるという予定でございます。したがいまして、現在のところあるいは農政審議会に事務的な案をおかけいたしますときでも、中間的な検討という形では私は発表いたすことはいかがかというふうに思っておるわけです。
  36. 足鹿覺

    足鹿覺君 いま一番問題になっているのですから……、あなたは途中から来て、人の議論を聞いておらぬからそんな簡単なことを言う。この農林省の「昭和四十三年度農林予算説明」の中には、高能率、高反収の米をどんどんつくれといってあなた方はやっている。これをやっておって、長期の需給見通しがまだできません、中間公表はいたしません、——そんな答弁がありますか。農基法の第八条を一体何と心得ておるのですか。今日までこういう需給事情が変化したことに対して、あなた方は長期の需給を、義務づけられたことをやってないのですよ。中間報告でも出しますからごかんべん願いますということはあたりまえじゃありませんか。どうですか、大和田さん。
  37. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) おくれて参りまして質疑の経過を存じないわけでございますが、私どもといいますか、農林省あるいは食糧庁は今年の米価、あるいはごく近い今年から来年にかけましての需給見通しということは、これは長期見通しの結果を待つまでもなくといいますか、長期見通しの結果と関係なしに当然役所としての態度はきめられるわけでございますから、私はことし、あるいは来年の食糧管理制度運用、あるいは米価等について長期見通しが立たないからそういう何らの措置ができないという事情ではないというふうに思います。また、高能率、高反収の農業ということは、いかなる作物につきましても、全体としての需給あるいは作付面積等々、いろんな問題はあるわけでございますが、農業生産力を高めるということは、これはあらゆる農産物について当てはまることでございますから、その点についての矛盾は私はそれほどないというふうに考えます。
  38. 足鹿覺

    足鹿覺君 あなたと議論しているのじゃないのですよ。あなたには中間報告を出しなさいと、それを聞いておるのです。余分なことは言いなさんな。あなたはそんなことを、途中から来て、——矛盾があるとかないとか聞いているのじゃないのですよ。桧垣食糧庁長官、われわれの知らぬようなことが新聞に出ています。それで私が聞いたところでは、この間のいわゆる中立米審といわれる人たちの懇談会で、米の買い入れ制限についての法律上の見解をどう思うかということをある委員が質問したという話を聞いておる、どの委員か知らぬが。だが、そこで法制局見解を求めるということになったそうです。あなたはその席におったと思うのだが、法制局でこの問題についてどういう検討をしておりますか。というのは、これは七月十八日付の朝日新聞です。「配給制度を全廃するのは「根幹」にかかわるとしても、配給通帳や、米屋の登録制の廃止などの改革は差しつかえないという。」云々、「政府が制限を設けても農家が、どうしても政府に売渡そうとすれば拒否するわけにはゆかない。しかし、農家が余った米を配給ルートにのせる形の自由米として売れば、政府に売らなくてもよいと思う」、とあなたが語ったと載っておるのですが、どうですか。きょうあなたがここで言うことと、新聞記者に語ることと二枚舌を使うんですか。新聞を見てもいい。
  39. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 私は法律解釈論では二枚舌を使った覚えはないのでございます。まず法律の三条の解釈として、これは政府全量買い入れの義務を負っているかどうかの規定については、法制局も連絡をいたしてまいりました。法制局から正式に私どものほうへ見解を示されておりませんが、先ほど衆議院農林水産委員会の席上で、法制局長官は非常に精細な法律論を展開されておりましたので、私がそのすべてを口写しで申し上げる能力がないのでございますが、要約して申し上げますと、法律第三条の規定は、第一条の規定を受けて、国民食糧確保及び国民経済の安定をはかるため政府食糧管理して、その需給及び価格の調整をはかっていくということの目的を前提として、そのために必要な米穀については政府強制買い上げ権能をもち、また、その半面においては、政府はそれだけの米穀買い上げ管理をする義務がある。そういう限りにおいて私どもがただいままで解釈上の見解として申し上げてまいりましたことと一致した御答弁であったことをお伝えをいたしたいと思います。
  40. 足鹿覺

    足鹿覺君 この新聞によると、「政府見解について、食糧庁は七月十七日の米価審議会委員懇談会で、政府が一部米の自由流通認める、現行配給制度を改革する、などは「根幹に触れない」というかなり弾力的な考え方を明らかにした。」と伝えている。あなたが伝えたの。農林大臣が伝えたの。まさかこういう重大な記事を新聞社が間違って報道されるはずはないと思う。そうすると、あなたが法制局の長官云々と言うけれども、もう先月の十七日に米価審議会の中で言っているのです。それならここでこういう考え方でございますと言いなさい。言えませんか。さっきから言っているように、必要量というものは買うのだ。余ったものはじゃどうしますか。たとえば残ったものは間接統制の形になると思うのです。そうしますと、ポリエチレンの袋に入れてデパートでもどこでも、一時外米を売ったけれども評判悪くてやめた。今度は内地米を袋に入れて売るようにするとします。いろいろな形で、いわゆる政府に売り渡さない米の自由流通が起きてくると思うのです。あなた方は買う義務がない。そうして一定量に制限を加えてくるということになる。必要な量しか買わないということになる。結果としてそうでしょう。とする場合には、いわゆる重大な問題が起きてくるわけですね。米そのものは事実上間接統制になっていくわけです。根幹はくずれてしまうということになるわけです。そのことについて、すでに米価審議会の懇談会の席上においては、法制局見解も聞き、それについてあなた方の見解も明らかにしておきながら、ここでは何か国会の場ですから慎重を期されるということは悪いことではないと思います。あなた方が慎重を期されるということはけっこうなことだと思いますけれども、だけれど、一方の言論、報道機関に出ているようなことがここでうそならうそだ、違うのだ、ほんとうだと、この程度のことは言えませんか。
  41. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) いま何新聞でございましたか、聞き漏らしましたが、新聞に報道せられているようなことを私が報道関係者に語ったことは一回もございません。
  42. 足鹿覺

    足鹿覺君 うそだと思うならば、朝日新聞だからこれを読んでごらんなさい。ちゃんと出ているんだよ。一面のトップですよ。桧垣さん、とぼけるのもいいけれども、懇談のときにとぼけなさい、非公式のときに。速記をとっておるんですよ。これ読んで、これは間違いなら間違いと言いなさい。これを読んでから答弁してください。
  43. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 米価審議会の委員の懇談会の席上に私どもが呼ばれまして、食糧管理法に関する見解について委員の意見も出され、また私どもの意見も聞かれたことは事実でございます。で、私がこの席上で法律解釈についての見解を、政府の統一見解ではございませんが、私はこういうふうに解釈いたしますということを申したことは事実でございまして、その発言内容は、先ほど来申されました三条に関する見解及び三条と施行令第五条の五の関係からして、現在の法令のもとでは政府以外に売り渡すことを禁止しているということでございますから、全量買い上げということが制度上予定をされております、ただ三条の規定だけから全量政府が買うという義務規定されているというふうには解釈できないということを言ったのでございまして、そのことをあるいは報道機関等でどこからか伝え聞きまして、何らかのイメージに合わして記事にしたのではなかろうかという感じがいたします。
  44. 足鹿覺

    足鹿覺君 天下の朝日新聞にちゃんと載っておるんだが、いまのあなたの答弁は新聞を、権威ある報道機関を侮辱するものだと私は思うんだが、その問題であなたとやり合ってもしようがないから、たくさん国民が聞いておるんですから、報道機関の人も聞いておられるんですから、まあその程度であなたを追及することはきょうはやめましょう。またよく考えて、あなたも一晩寝てまた次の機会までにはよく考えて、きょう私が質問したことについてよく考え答弁しなさい。  大臣にちょっと、うまい米、まずい米ということを、関連して何か食管法が悪いような印象を受けておるので、これはひとつ大臣は農政については詳しいかもしれぬが、米のうまいまずいということの中身について私のほうが詳しいと思うので、私は百姓だから、ちょっとひとつ……。貯蔵の対策というものを政府が怠っておったが、今後どのような対策を講ずるかということを大臣としての構想を、あなたは総合農政ということを言っておられるので、この際明らかにしておきたい。  米がまずいということにはいろいろ原因がありますが、米の早どり品種を奨励したということです、いろんな災害を未然に防止するということ。多収穫品種を奨励したということです。時期別格差をどうしても受けたいというので売り渡しのラッシュになる。で、無理な乾燥をして脱穀調整を急ぐというようなことが一つ。また、お米屋さんも良心的なお米屋さんもあるし、またそうでないのも中にはおられるかもしらぬ。混合率、一等、二等あるいは等外、外米等の混合率が間違っておった場合もあるかもしらぬ。あるいは政府規定した精白度を忠実に守っておらない場合もあり得る。それから、消費者の炊飯方法が変わって、電気がまでろくろくとぎもしないで、とにかくスイッチを入れて寝る。翌日寝ぼけまなこでつとめ人は出ていく、夫婦が共かせぎで出ていく。したがって少量短時間でたき上げるからうまいめしがたけるはずがない、そういうようなことが累積してまずいんですよ。何も食管制度が悪くて米がまずいのじゃないですよ。何かこの辺が私は混同が起きておると思うのです。  そこでこれをうまい米をどうしてやるかということについては、多収穫で品質のいいものというのは、いまの品種学の面からはなかなかむずかしい問題なんです。ですからどうしてもこのランニング・ストック以上に政府手持ち米がふえる場合は低温倉庫をつくらなければならぬ。この低温倉庫が青森県に建設されたのは昭和二十九年のことで今日まで十数年を経過しておるにもかかわらず、その収容能力はたった二十一万六千五百四十トンにすぎない。このうち政府倉庫は驚くなかれ六棟で二万六千トンの収容能力しかない、他の民間のものが若干と農業倉庫が百二十一棟で約十一万トンの収容能力を持つにすぎない。もみ貯蔵で必要なときに今摺にして出せばうまいにきまっている。ところがこれについてはバラ貯蔵と平床貯蔵の二つの方式がありますが、現在収容能力は二万七千トンしかない。この建設費についてみてもモデル奨励は三カ年計画で本年で終わりである。半額の助成もことし打ち切ってしまおうというのでしょう。カントリーエレベーターの方式、あるいはライスセンターの方式にしましても来年からは自費でやれというのですよ。米が余ってしょうがないが、国民にうまい米を食べさせて消費者にも満足を与えようというのが食管法の私はやはり精神でなければならぬと、親切な精神でなければならぬと思うのです。にもかかわらず、このような低温貯蔵といい、あるいはもみの貯蔵に対しましても政府は全く手をこまねいて今日に至ったと言われても大臣申しわけないではありませんか。しかも低温倉庫の保管料は普通の倉庫が一〇%であるのが二〇%の保管料しかない。適用期間は四月から九月までである。建設費は普通の倉庫の二倍もかかる、そういうのを忍んで私も地元の農協の役員をしておりますが、低温倉庫を市街地の周辺につくって、なるべくうまい米を消費民に食べてもらうような努力を無理をしてやらせておりますが、そういう対策が講ぜられますならば食管制度というものが消費者からも見直されるに私は相違ないと思う。今日まで需給の見通しは誤るわ、貯蔵についても何らの手も打たないわ、しかも売ったものもことしで打ち切るわ、そういう行政の怠慢でまずい米をますます食わなければならないようになっているのは、これはどういうわけですか。反省をしてもらいたいと思います。  したがって、今日行政として一番むずかしいのは、足らないときよりも余ったときがむずかしいのです。物が足らないときの行政は比較的楽ですよ。農民から強権供出で、ピストルとジープで取り上げたときのほうが楽なんです。余ってくると物事はなかなかむずかしい。これは農政に限らず、すべてのものがそうなんであります。ですから、安逸に流れないで、きめこまやかなあなた方は地方農政局も持っておるし、大きな農協の組織もフルに動かす力も持っておる。農協も自主的に動く意欲も持っているでありましょう。なぜ、今日のこのような事態まで放任をされたか。国民にうまい米を食わそうとするならば、政府が必要な米だけを買い上げて、あと自由流通にするというような考え方よりも、いま言ったようなもみの貯蔵をはじめ、低温倉庫をもっと大規模にあなた方が指導していけば、国民もうまい米が食えることは私が保証します。万人の認めるところでありませんか。この事態を率直にお認めになり、今後の過剰時代におけるところの貯蔵保管対策に対して、国民にうまい米をどうして供給するかということに対して、その責任ある農林大臣としての御所見と、その御所見を裏づける食糧庁当局の今日までの怠慢をわびて、具体的にこういたしますというものを、今日言われなければ次の機会までに用意をして発言をなさる御意思がありませんか。その点をお伺いしておきます。
  45. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 米の味というのも、一つはこれは感覚の問題でむずかしい問題でもありますが、とにかく米の味がよくないということは一般に言われております。それは事実であります。そして、その理由につきましては、いまあげられた理由が大体私ども当たっていると思います。生産の面、また、消費者の立場、いろいろあると思います。したがって、これにつきましては、生産の面につきましても、私どもはやはり量も大事であるが、同時に質というものもかなり重んずるように総合農政を展開してまいるように努力しなければならぬ。これがやり総合農政と私が言ったゆえんであります。  それから続いて、貯蔵の問題につきましても、確かにもみ貯蔵あるいは低温貯蔵等のいろいろな施設というものは早急に進めてまいらなければならぬので、せっかく私どものほうでもただいま、いわゆる今日滞留しておる、これからもまた滞留するであろうもみの質の保存というものに対して、緊急にいろいろ考え方をまとめておる最中でございます。
  46. 足鹿覺

    足鹿覺君 桧垣さん、どうなの。
  47. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 食糧庁の立場といたしまして、繰り越し米の増大が見込まれます限り、御指摘のように、その品質を保持するような貯蔵施設の整備という点に、私どもとしても一つの眼目を向けるべきであるという点については、御意見と同感でございます。  ただ、多少役人的な言い方になって恐縮でございますが、農業倉庫ないしカントリーエレベーター等の行政は、直接には私どもの所管でございませんために、関係局とも十分連絡をとって、御指摘の意味を、十分私どもも理解できますので、整備の方向に努力をいたしたいというふうに思います。
  48. 足鹿覺

    足鹿覺君 この食管制度根幹問題について、大臣に最後に念を押しておきますが、これは同僚議員の中にも自民党の同僚がたくさんおられまして、熱心な農政関係の専門家もいらっしゃいますが、自由民主党の政策月報六月号に載っている「わが党は公約する——参議院選挙にのぞむ政策——自由民主党、昭和四十三年五月」の目次「六、農林漁業と中小企業の近代化」の(8)「現行食糧管理制度根幹を堅持し、適正な米価の決定を推進する。」、この条項のあることをしかと忘れないように、農林大臣に申し上げておきます。あまりこれだけで時間をとってもしようがありませんが、根幹の、この自由民主党の選挙公約の中にあるこの問題については、しかと同僚議員も御同感だろうと思うし、よく大臣も銘記しておいていただきたい、公約を守っていただきたいということを申し上げておきます。  それから、おとつい、佐藤総理が亀田同僚議員の質問に答えて、この需要拡大の一つの方向として、学校給食についてひとつの提案をいたしました。ところが、わずかに十九万トン程度で、問題にならぬというようなことをおっしゃいました。それは現在の配給小麦で換算して給食を行なっておるものを、その米に換算して大体小学校が六勺、中学校が八勺、高等学校で一合程度と見られるようであります。これをいわゆるあなた方は需要の拡大ということについて、政府は私は商売人——食管制度を商売だとは考えておりませんが、少なくとも普通の商品でない米という国民の主食を取り扱っておいでになるわけでありますから、いたずらに食生活が変わった変わったといって、そして食管制度に手をつけるというようなことはお慎みになって、いかにしたならばうまい米をいま述べたようにつくって、これを需要を拡大していくか、米というものを再認識せしめていくかということに新しい消費の面を開発していかれる必要があると思う。そのためには学校給食に——私は衆議院文教委員中に脱脂粉乳から生乳へ切りかえのためにずいぶん努力をいたしまして、現在の基礎を同僚とともに築いた一人でありますが、やればやり得るのです。今度の選挙で農村を歩いてみてみんながもっと、なぜあのまずいパンよりも米を子どもに食わせぬかということを皆言っております。そういうことについて御検討になったことがございますか。この間の十九万トンというものの根拠は、現在学校給食をしておるというものを米に換算したのであって、全部の学校にいわゆる需要拡大の面からいって、考えた場合は、私は相当量ふえると思いますが、そういう点についてもひとつこの際お考えを願う必要が私はあると思いますが、あわせて需要の拡大についてただ米が余った、減反をしなければならぬ、買い上げを制限するのだ、すぐ自由流通だというふうに安易な道だけ考えないで、困難であっても一番経済食品であることは間違いありません。そういう点について大臣なり、長官は御尽力になる御用意がありますかどうか、ただいま私が例示いたしました学校給食の点等を御勘案になって御答弁いただきたいと思います。
  49. 西村直己

    国務大臣西村直己君) もちろんただいまでいえばまだ古米じゃございませんが、やがて出来秋には古米になりますものが相当な量になる。したがって古米と申しますか、出来秋の持ち越しを敏活に処理するということは大きな問題でございます。そこで私どもは学校給食なども一つ考え方とは思います。ただしかし、全体的の消費を増進するというふうな形でいかないと、学校へ配ればそれで伸びるかというと、今度は逆に家庭でそれが減るというような形になってしまったのでは意味がないということもありますし、それと同時に、変えるならば人件費、設備費等も相当考えつつやっていかなければならぬという点も考慮して検討してまいりたい、こういうことであります。  それからそれ以外にも米の何と申しますか、消費を増進するには食糧庁中心にいろいろこれは官も熱心にまた深刻にくふうを加えていかなければならぬことは当然のことであります。なお、それ以外にも私どもは海外に対する援助、輸出、こういった面におきましても打開を加えていかなければならない。かたわら今度は米の生産の面におきましても、制限とか、そういうのでないけれども、しかし総合農政全体の中において米のみに中心がいたずらに行き過ぎるというようなことも、いま一度振り返って考え方を少しまとめていくべき時期ではないかということもあわせて御理解を願いたいと思います。
  50. 足鹿覺

    足鹿覺君 あまり熱のある御答弁でなかったようですが、そういうことも考えようということですが、ぜひひとつ考える必要があると思います。  日本の酒造業界がアメリカのカリフォルニアに委託農場をつくって、安い酒造米を入れようという計画を一時新聞で散見したことがありますが、これなんか、私は古米をもってやればけっこう間に合うにもかかわらず、遠くカリフォルニアくんだりまで委託農場をつくってそうして酒米を輸入する。時代逆行もはなはだしいなと感じましたが、とくと各方面にわたって需要を拡大し、ランニングストックを大きく上回っている過剰米の正常化を一面にはかる努力を忘れてはならないということだけを私は申し添えておきます。  食管特別会計の損益の推移といういただいた資料を見ますと、売買損益の売買損というものが、昭和四十三年度の予定が一千百一億円ですね。ところが事務費、つまり食糧検査員等の人件費がおもでありますが、これが二百七十七億、金利が驚くなかれ四百一億です。ですから逆ざやの千百一億円というものの次の一番大きな赤字の原因は金利にある。食糧証券等の金利にあるのですね。膨大な流通量を持っているわけですが、普通の一般の市場流通量を約七兆円程度と見るのが妥当だという、これは学界方面でもそういうふうに見ておられるようでありますが、米だけで一兆七千億ぐらいの流通高があるのですね。非常に大きいものです。ですからこれは国の責任において管理し、国民に食生活を保障しておられるわけでありますが、食管会計には固有の基金がない。昔はどんぶり勘定であったものを調整金制度をつくって今日に至ったわけなんです。赤城農林大臣のときでありまして私が衆議院の大蔵委員長をしておりましたので、よく存じておりますが、今日までその制度が残っておるわけでありますが、そこで大きな食管会計を回すために基金がないので、その財源はほとんど日銀の借り入れですね。日歩一銭六厘、年利にして五分八厘四毛ということになっている。また国庫余裕金、一般会計からの借り入れに依存をしておりますが、国庫余裕金は歳入と歳出の間にズレがあった場合に発生するものでありまして、最近のように国債発行財政下では、歳入超過分を国債発行の減額に振り向けられるから、かつてのように国庫余裕金を大幅に期待することは私はむずかしいのではないかと思うんです。そういろ情勢にあると。何でもかんでも私はあなた方に無理難題をふっかけるわけではないのです。そういう情勢を踏まえてもあまりにも——四百一億ですね、政府管理する食管特別会計の金利が四百一億円、しかもこれは昭和三十八年ごろは六十五億円で済んでおるんですよ。あなた方からいただいたこの資料ですよ、昭和三十七年には五十三億で済んでおる、一番少ないときは。最近は四百一億円も金利にかけておる。これもみんなたたき込んで赤字赤字と騒いでおるんです。  したがって私、農林大臣に申し上げたいことは、赤字の問題についてもっと中を深く検討されて、国庫余裕金の利用率は四十二年度の一七・九%に対して四十三年度は一〇%に低下をしておる。先ほども言いましたように、利用率の最高は三十七年の六一・一%でありますから、それほどは望めないにいたしましても、政府経費の中で最高となっておる金利負担四百一億円をできるだけ押えて利用率を高めるべきだと私は思います。そういう点において私が懸念いたしますことは——大蔵大臣を呼んでおったのはそういう面からですが、厚生保険特別会計の累積赤字が約一千六百億円あって、これにも国庫余裕金が活用されておる。この会計は余裕金のほかに預金部資金年六分五厘を借り入れておりますが、大蔵省としては会計に国庫余裕金を活用したほうが有利であるわけでありまして、したがって、食管赤字を必要以上に増大させないためには、少なくとも三十七年度程度とは言いませんが、五十三億で済んでおったときのことと比べて四百一億円も金利負担を払うような運営をどう食いとめていくかということについてあなたは御配慮ありませんか。何でもかでも食管は赤字だ赤字だと言っている。それも私はあなた方の立場からおやりになっていることでありますから、是と信じておやりになっていることでありますが、私どもの目から見ると、あなた方の行政手腕を疑いたい。どこにでも検討していけば穴はあるんです。もっと埋めていけばいい。たとえば二百七十七億の人件費にしてみても、国家の職員として当然一般行政費でまかなってしかるべきですよ。私は食糧管理法を守っていく立場に立って特にこの人々を、国家公務員として現在いるわけでありますから、したがってこれは国の一般行政費でまかなうものである。しかし一たび自由になったとしても、集荷経費だとか、運賃だとか、保管料というようなものはこれは消費者に積み上げていっても、これは自由経済の場合であったら私はいたし方がないと思うが、少なくとも国の責任において食管制度運用していく場合には、膨大な一兆七千億円からのいわゆる食糧証券を発行するその金利を無利息の国庫余裕金を運用する等の配慮を行なって、そうしてでき得る限り食管会計の赤字を切り詰めていく。また公務員も、あなた方は合理化ということをすぐ言われますが、同じ仕事をしておるんです。これを一般経費に切りかえてくれということは農林省関係の職員の悲願ともいうべきものでありますが、これも一般消費者に頭をかけてきて赤字だといっている。納得のいかないものをたくさん含んでおりますが、これらのものについて御検討になる必要があると思いますが、大蔵省は見えておりますか。だれが見えておるのですか。大臣は見えておらぬですか。——この点は私は大蔵大臣に聞きたかった。農林大臣はこの余裕金の活用問題について、桧垣さん、あんたも同様だが、ことし予算編成のときにどういう努力を払ったか、それを聞きたい。
  51. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) まず余裕金の借入の件でございますが、御指摘になりましたように、今年度の当初予算のときに食糧管理特別会計予算では、一日平均の借入金の合計残高が八千七百八十億円という見込みのもとで大体一〇%程度は国庫余裕金の借入でまかなうということで、予算上それだけの金利の軽減を予算化しておるのであります。御指摘のように、昭和三十七年には、実に国庫余裕金の利用率が六一%にのぼったのでございますが、当時は一日の借入平均残高が二千八百億程度というような時期でございまして、現在の八千七百八十億というような膨大な平均残高のもとでこういうような高率の国庫余裕金を使わしてもらうということはとうてい望むべくもないのでございます。それにいたしましても、私ども予算上予定をいたしました国庫余裕金の借入率以上に、国庫余裕金の余裕があります限り使わしてもらいたいということで、ほとんど連日のように大蔵省とは連絡をして努力をいたしておるのでございますが、現状ではなかなか国庫余裕金からの借入率がふえないという現実にあるわけでございます。私どもも、ことしの総合予算主義のもとで、財源について、詳しくは存じませんけれども、相当に財源を洗って予算を組んでおるというもとでは、なかなか国庫余裕金の総額が多く望めないということも予想されておるのでございますが、今後、大蔵省における国庫余裕金の事態の推移に応じて、私どもはぜひ強く国庫余裕金の借入ということに努力をいたしまして、さなきだにはなはだ苦しい食糧管理特別会計の資金繰りといいますか、収支の改善という問題に努力をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。  なお、御質問に出ました、事務、人件費のたぐいを一般会計負担ということにするということについてどう思うかというような御質問もございましたので、多少私見にわたりますが申し述べますと、御指摘のような二百七十七億という事務、人件費は決して少額のものとは言えない経費だと思います。ただ、特別会計というものを設置いたしますれば、特別会計の業務それ自身に従事する人件費は一般的に特別会計の中で経理をするというのがこれが特別会計一般のルールであろうかと私は思うのでございまして、その際に人件費までも食管特別会計の場合に消費者に負担させるということはおかしいではないかという議論が私は議論としてあり得ると思います。ところが、現実の、現在の食管における生産者米価消費者米価との関係では、とてもこういう経費を負担させる、あるいは御指摘の中に出ました保管料、運送費というようなものを負担させるというような、そんな状態、関係にはないのでございまして、食糧管理特別会計としては最少の生産者コストでございます。最初の生産者米価、その生産者米価というものにさらにただいま言いました政府経費が加わり、運送費、保管料、金利が加わり、配給段階におけるマージンが加わる、元来、そういう経路をたどりコストのかさんだものが、現状では最低のコストであります。生産者米価よりも以下の状態にあるということでございますので、経理の負担区分として人件費をどういうふうに扱うかということは、私はこれ以外に考えようがないということには思いませんけれども、一般に特別会計を設置いたします場合のルールから申せば、それの負担区分をどういうふうにするかということを別にすれば、現在のような特別会計の経理の中で措置をしていくということは決して不自然ではないだろうというふうに思います。
  52. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 私は、国庫余裕金については、国家財政のほうが許せばできるだけ国庫余裕金を回して、そうして金利負担を軽くする、これはもう当然賛成であります。その努力は続けてまいりたいと思います。今後も私はやってまいりたいと考えております。それから人件費その他につきましては、そういう考え方一つありましょう。ただ現実にいまこれが全く逆ざやで、ごらんになればおわかりになるとおり、末端で逆ざやの現象を持つ米価でありまして、これをはずしたから消費者に負担が軽くなるとかそういう問題ではないと思います。ただ、たてまえとして、一体財政の建て方として特別会計からその負担をはずすことがいいかどうかということは、他の特別会計のあり方との関連において国の財政全体として考えていかなければならぬ問題ではないかとこう考えております。
  53. 足鹿覺

    足鹿覺君 とにかく私が明らかにしておきたいことは、非常に逆ざやを案じておる人が多いのです。逆さやと見るべきものは、売買損益——差損金は一千百一億円ですよ。あとは、自由経済になっておったら集荷経費も要るのだ、運賃も要るのだ、特に運賃のごときは、統制経済いわゆる計画経済の場合は、ある一定の方向に向かって計画的な輸送その他が行なわれますが、自由経済になれば錯綜輸送になる。よけい運賃その他コストが高くなってくる。これはもう従来の食糧操作体系からいって明らかであります。また商売人も大きな利益を見込むでありましょう。したがって、現在の食管特別会計によって運営されておるいわゆる中間経費と称するものは一七%前後であり、米の自由流通当時のときは三〇%程度の中間経費がかかっておったのです。どちらが国民のために親切な制度であるかということは、この一事をもってしてもわかると私は思います。したがって、この食管制度を堅持しながら、その持つ運営上の、差損金、差損金といって逆ざやだけを取り上げるのではなくして、その他の総合的判断に立って、いかにしたならばこの制度を守って、よりよく国民から喜んでもらえるようにするかという努力を払わずして、私は何か食管制度にけちさえつければいいというような一つの方向が独走しつつあるような形に対しましては非常に遺憾の意を表し、農林当局も心を新たにして、そういう方面で国民や言論報道機関にも理解を求め、そうしてこの食管制度を堅持していく、間違いなく運用していくということに御努力を願いたい。  ちなみに、私は、まだ食糧が不足しておった昭和二十五年から二十九年当時の輸入食糧価格調整補給金というものを調べてみましたところが、昭和二十五年には当時の金にして八十五億五千六十九万八千円、二十六年は二百三十六億三千五百二十四万六千円、二十七年は二百九十四億三千四百八万円、二十八年は三百三十一億一千六百六十八万一千円、二十九年度といえども九十八億八千百八十五万三千円という、当時の貨幣価値としては膨大な、食糧が足らなくて輸入補給金を国の税金を使って国民をまかなった事例があるのであります。いま少々米が余ったからといって、何か食管制度が悪いことをしているような印象を消費者大衆に値えつけるような考え方や、行き方というものは私は間違いだと思う。足りないときは、今日の紙幣価値に換算すれば莫大な輸入補給金をまずい外米に払って国民を養ったではありませんか。今日、一千億やそこらの売買損の逆ざやを何か鬼の首を取ったように攻撃をしていくようなその考え方が、いかに短見的なものの見方であるかということを私はこの当時の記録からいって申し上げて差しつかえないと思う。もっと長期の展望に立って——いつまでもこのような状態が続くものではありません。食糧政策は農業政策ではない。大きな民族が繁栄をしていく基本政策一つであるという認識の上に立って、国民生産者消費者もすべてがその精神をよくくんで、民族の繁栄と国家の盛衰も食糧の自給にあるという考え方に立って、お互いが今後食管を堅持していくことが望ましいと私は思います。そういう方向について、この委員会を通じて国民の皆さんの理解を得たいし、特にその衝に当たっておられる農林当局は財政審議会等の一方的な答申に屈することなく、もっと断固として私が述べたような所信に向かって邁進してもらいたい。  財政制度審議会が昭和四十二年度予算編成について昭和四十二年十二月二十五日答申したものの第三項「食管特別会計への繰り入れ」という点について、「昭和四十二年二千四百億円以上の繰り入れをしたことは好ましくない。今後食管制度の根本的検討と相まって、現在ある過大な赤字を漸次解消していくよう、生産者米価消費者米価との価格関係の正常化をはかる必要がある。」と。価格関係の正常化のみに力こぶを入れたような答申をうのみにするようなことは間違いだと思う。いま私が指摘したように、足りないときはお互いの税金でお互いを国民がまかなったのだ。この事実をのど元を過ぎて忘れるようでは一国の農政を担当する資格はない。私はそのことを申し上げておきたい。  特に農林水産関係の予算比率を見ましても、そう大したびっくりするようなものではありません。昭和二十五年の七千百六十七億九千三百万円の当時の一般会計歳入総額に対して、農林水産関系予算は四百八十億九千六百万円である。六・七%にすぎないときにこの巨費が投じられているということを農林大臣お忘れにならないように願いたい。そうして最近の一方的な食管制度に何かくぎを打っていけばそれで事が足りるような考え方はやめてもらいたい。お互いが、この委員会においては少なくともそれぐらいの決意で、満場一致の決議案ぐらいを採択して政府に猛省を促し、国民にも理解せしめるような態度が私はほしいと思う。きょうはまだ準備をしておりませんけれども委員長においても、私がいままで無理な質問をしているかどうか、よくお考えになって、同僚委員の皆さんにも御了解を願って、次の機会にはぜひそういう提案をしたい。国民にも理解をしてもらう。農林当局もその線に沿ってやっていくことをいまからお互いが検討しておきたいと思います。  大蔵当局がおいでになりましたようでありますので、ちょっとまた話がダブってしまうのですが、食管会計の食糧証券の発行高が一兆七千億にも達する。そこで、この資料によりますと、一番大きいのが差益損、売買の差損です。その次に大きいのが金利なんです。四百一億円というものがみてある。国庫余裕金をもってこれに充てることはできませんか。もっと国庫余裕金を注ぎ込んでもらいたい。こういうことについて桧垣君は、あなた方大蔵省当局とやったけれどもなかなか聞いてもらえなかった、大臣はこれから聞いてもらうように努力する、こういうことだったわけです。  そこで、次官、大臣がおいでにならないので次官の見識によって答えてほしい。三十七年度は五十五億円で済んでいるのです。一番少ないのですね。三十八年度は六十五億円で済んでいる。赤字赤字という内幕を洗ってみればこういうことなんですよ。ですから、行政努力によって、しかもこれに政治的配慮を加えますならば、心配されておる赤字の解消は、私は、ある程度可能である。そのためには大蔵省も財政制度審議会の答申だけをうのみになさらないで、ひとつ食管会計のいわゆる金利がかからないような国庫余裕金の活用について御配慮が願いたい。農林大臣はそれが一番いいと言っているのです。あなたのお考えをひとつ、大臣ならなおいいのだが、お聞かせ願いたい。
  54. 二木謙吾

    政府委員(二木謙吾君) ただいまの御説は私もごもっともと考えておる次第で、いまお話しのことにつきましては、大蔵省といたしましてもせいぜい努力をいたしまして御期待に沿いたい、かように考えております。
  55. 足鹿覺

    足鹿覺君 おつぎの人は……。
  56. 嶋崎均

    説明員(嶋崎均君) お答えいたします。  御指摘のように、食管管理経費の中で金利が相当のウエートを占めておるということは事実でございます。で、実は昨年まではあまり国庫の余裕金の活用というようなことについて当初の予算ではあまり見込んでおりませんでしたけれども、四十三年度予算案におきましては国庫余裕金をまず一〇%は活用できるだろうということで予算の積算を行なっているわけでございます。しかしながら、御承知のように、ひところの国の財政と違いまして、四十年度以後は公債発行下の経済運営、財政運営をやっておるような実情でございまして、公債、国債発行の場合にも一銭六厘の金利はかかるわけであります。余裕金の金額というものを考える場合でも、公債を発行してその一般会計の負担において余裕金を運用するということでは、真実国庫余裕金の運用ということにはならないわけでございますので、そういう苦しい財政の中でも去年の財政運用においては相当国庫の余裕金の活用ということに努力をしまして、率としてはたしか、私明確に記憶しておりませんが、一六%近くの余裕金の活用を行なったと思っております。本年もできるだけ活用する方向で理財局のほうにもお願いをし、事務を取り進めておるわけでありますけれども、何ぶんにも財政、特に食管の繰り入れ額というものが大きくなっておりますので、絶対的な率として昨年と同様なものが確保できるかどうかということはなかなかむずかしい事情にある模様でございます。しかし、先ほど政務次官からお話のありましたとおり、できるだけわれわれとしては国庫の余裕金が優先的に食管で使えるようにということで部内でそういう方向で努力をするという決意をしておる次第でございます。
  57. 足鹿覺

    足鹿覺君 近く予算の編成期も来るわけでございますので、とにかく、二千四百億の赤字だ赤字だと言って、水鳥の飛び立つ音に驚く平家の武士のようなことはやめて、もっといかにしたならばむだな経費を省くことができるかということにお互いが総合的な知恵と努力を払う、新しい年度を迎えて、特にお考えを願いたい。また今度、一応は四百一億円ということになっておりますが、いまも課長が言明され、政務次官が大臣にかわって御答弁になったわけです。これから会議は始まるわけであります。聞けば財政収入もだいぶんよろしいようなお話を承っておりますので、余裕金も期待できるように私は思うんであります。そういう見地からも、運用に十分本年度産米の買い入れと、食糧証券の発行に対する国庫余裕金の活用については、本年はもちろん来年度以降においても、ぜひ格段の御努力をはらっていただきたいということを強く御要請を申し上げ、水田大蔵大臣にもぜひその趣旨をお伝え願いたいと思います。  私ばかりが長談議をして恐縮でありますが、最後に農林大臣に、あなたの一枚看板の総合農政ということについてひとつ伺ってみたいと思います。  あなたは、いつまで農林大臣をされるおつもりか私は存じませんが、長いこと農林大臣をやって、そして、あなたの言われる総合農政というものを——どういうことか存じませんが、やってもらいたい。中身によっては私どもは賛成もしましょうし、反対もいたしますが、いいことはいいで大いに応援をいたすつもりでありますが、さて、いままでの実績を見ますと、どうも政府がいろんなことを言うけれども、事業の進んだためしがない。農業基本法ができて七年になってもこのていたらくですから、農林省の内部にいろんなものをつくられたからといって、直ちに農政が大きく転換するとは私どもは期待しておりませんが、少なくとも、倉石農林大臣が構造政策推進会議なるものを農林省の中につくられた、まだその結末もついておらないときに、また今度はあなたが農政推進会議ですか、七月十六日閣議決定の何ですか、農政推進会議というものですが、どういうものですか、これは。承りたい、この際ですね。柱はどういうものですか。
  58. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 私が実は七月のはなに農政に対する自分の所信を事務当局に示しました。それは総合農政の展開というたてまえでやったわけであります。御存じのとおり、もちろん農政には農業基本法というものがありまして、これはもう当然われわれも中心にやってきたわけであります。農業基本法の中で、いろいろな施策ということは、法令の改正もあり、またそれに必要な予算等も盛られまして行なわれてまいりました。しかし、必ずしもそれが十分農業基本法の意図するところに沿うてまいったかどうかということ、万全でないことは足鹿君御指摘のとおり。  それから、私の前大臣のときに構造政策として関連法案等も改定をいたしたいということで、そのうちには資金等の関係におきましては国会で成立を見たのでありますが、他の農地法改正等々一連の法案は目下国会に懸案事項になっており、あるいは再提出の機会を与えられれば、御審議をさらに願うというようなことであります。しかし、構造政策だけではなくして、長期見通し等に立った生産対策、こういうものも需給の関係から考えてまいりました場合に、先ほどお話申し上げましたように、需要構造が非常に変わってきております。これに合うような生産対策の方向へ進めていかなきゃならぬ。特に一番大事な点は畜産等を中心にしたものでありますが、先ほど食管の問題につきましても、いろいろな強い御意見がありました。わかります。しかし、それじゃ現実に食管の農林省予算に占める数字というものは、農林関係予算の中の三八%、これがこのまま推移いたしますれば、うっかりすると半分は食管のただ赤字補てんの農林予算になってしまってもいけないのであります。そういう中で私どもは、米ももちろん必要であるが、ほんとうに生産性の高い米を取る。同時に食需要の強い他の部門をどう展開させるか、こういうような面についても相当ウエートを置いていかなければならない。  それから同時に、農林省には価格の問題がたくさんございます。他の酪農関係をはじめとする価格についても当然これをやはり適正なものに煮詰めると同時に、それからもう一つ御存じの消費の面、流通加工消費という面も農林省としては責任を持たされている。こういう面についても相当な努力をしてまいらなければ、今日非常に需要増大している国民生活におきましてはマッチしません。ただそれをほおっておきますというと、外貨、いわゆる外国産のものに頼っていくという方向が御存じのとおり進んでまいる。ことに現在農産品だけでも二十三億ドルに達する外貨支払いをしているこの現状を少しでも改善をしてまいるということも必要でございます。かたわら今度は農村の経営自体につきましても環境づくりなり、さらに進んでは土地基盤等の問題、土地政策等の問題にも入ってまいります。  私としての念願は、願わくば前向きのひとつ財政確保というものをはかりつつすべてを解決していく、こういうような趣旨のもとにこういうような考え方を述べましたが、これはしかし私一代でできることではないかもしれませんが、しかし、これは農業基本法の精神を時代に沿うて展開してまいるということとして当然私の職責でありまして、その第一歩であろうが、第二歩であろうが私は築いてまいる。しかし、そのためにはまずみずからの省の行政のあり方というものをそういう方向へ少しでも意図的に結びつけていく。しかし、同時にこれは広く関係方面の意向も聞かなければなりません。農政審議会等でさらに今後生産者団体等の御意向等も伺いあるいは御協力も願いつつその考え方というものを展開してまいる、そうして必要な法律法律なりに国会で御審議を願い、予算措置をとるべきものはとっていく、こんなようなのが私の考え方と御理解願いたい。
  59. 足鹿覺

    足鹿覺君 私はもう一問で……。時間もきたようでありますが、いまの御答弁はきわめて抽象的でありますので、具体的に一点だけ伺います。  かつて佐藤総理が去年の衆議院総選挙に松山市において「農民にも恩給を」という公約を行なった。これを受けて倉石農林大臣も、その後農民年金問題研究会というものをつくられ、この会は大沢融君を会長とし、去る七月十日最終報告を取りまとめて農林大臣に報告したと伝えられております。この報告をわれわれ委員にひとつ御配付をいただきたい。よろしくお願いをいたします。  そこで、六月十三日、日本農業新聞の報ずるところによれば、この案によると、農民だけを対象として、現在五千円国民年金を一万円の年金にし、現在六十五歳の支給年次を六十歳からにこれを繰り下げて支給するとすれば、国庫補助率を四〇%見込んで、月額なお二千四百円程度の農民の掛金をしなければ財政的には成り立たないと報じております。たいへんなものですな。一体総選挙のあったのは去年の一月ですよ。もう二年を迎えようとしている。この間佐藤さんは——きょうはこの委員会に来てもらいたかったんでありますが、お越しにならぬし、官房長官もお見えになりませんが、いずれまた機会を持ちます。  米価は自民党できめる、こう言って、いまだにこの国会を通じて米価について国民に具体的に明らかにする措置も講じない。閣内不統一をさらけ出して、十日じゅうに米価を決定すると木村官房長官が談話を発表すると、あわてて、それは違うと言ってまた押える。こういう閣内不統一を露呈しておるのが最近の実情であると思いますが、去年の一月のこの農民に対するせっかくの農民の老後の保障の充実という問題について大澤委員会は、全く絶望的な結論を出しておると私は思います。これに対して、総合農政をモットーとされるあなたは、この農民に対する年金問題について大澤委員会の結論をどのように受けとめて、これをあなたの総合農政に織り込もうとしておられますか。やがて予算の編成期もくるでありましょうが、厚生省等とどのような話し合いをし折衝をしてこれを実現されようとしておるか。いやしくも一国の総理が二年近く前に国民に公約し、農民に公約したことがいまだにこういうていたらくでは、他は推して知るべしであります。私はゆえなくしてあなたを難詰しようとも思いませんが、えてしてこういうものであります。多くを申し上げません。これを踏襲し、総理の去年の総選挙の公約を総合農政の一環として、農民を取り巻く環境の改善の柱として、老後にいこいと安心を与え、長い間の労苦に報いる御努力を続けられますか。その点、大津委員会の方針と、これに対する農林大臣としての御所信を明らかにしていただきたい。これで私の質問を終わりますが、少なくとも総理が選挙で公約したことは、これを国民は忘れません。二年近くなって、四十四年の予算にもこれが計上されないということになれば、佐藤さんは農民を欺いたというそしりをお受けになるでありましょうし、佐藤さんの直系の実力者として高く評価されておるあなたの責任ですぞ。これはどうですか。その点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  60. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 私がこの間述べまして正式に文書として知事会等にも示しました中にももちろん農民年金の問題も扱っております。総合農政の展開も構造政策一つとしてこういう年金を検討し、かつ成案を得ていきたいという趣旨を述べております。大澤委員会で確かに一つのそれに対する案を出してまいっております。案と申しますか、一つ考え方を述べております。ただ問題は、これ自体がまだ未成熟なものであります。農民年金が経営移譲というものを中心として、あるいは老後保障の年金というような面も入れる。しかし同時に、離農に対する問題等は触れておりませんが、いま一つは、国民年金というものが現在あります。国民年金との関連においてこれをどうするか、こういう問題が当然出てまいらなければならない。  御存じのように、最終的にはこの問題は国民年金審議会でございますか、国民年金制度審議会の議を経て最終結論を得るということになってまいると思います。元来は、これはさっきおっしゃるように、単にスローガンだけでいけるものではございません。年金経済という一つのものが入ってまいります。そうなるというと、国の負担あるいは経済運営についての受益者と申しますか、それを受け取る方のいわゆる積み金負担の問題、この面をよく考えて成り立っていくようにしていかなければならぬわけで、時間のかかるのは私は当然だと思います。またそれができるということは当然拙速でなくて、十分に効果のあるような年金制度に持ってまいるように努力をしてまいらなければならぬ。私はしたがって、その総理の言われました一つの方針に対しましては、きわめて忠実に、しかし拙速ではなくやってまいるつもりであることを御了解願いたいと思います。
  61. 足鹿覺

    足鹿覺君 もう時間もありませんし、年金の問題については非常に重大な問題であり、首相の公約でありますから、いまの御答弁では満足いたしません。また日をあらためてこの問題についてはとくとお尋ねをし御意見を申し上げたいと思いますが、いまの御答弁では来年度予算には間に合わない。もう予算編成がそろそろ始まりつつある時節でありますが、間に合わないと解釈せざるを得んという印象を受けましたが、そういうことで総理の公約が宙に浮いていいでしょうか。この辺で私の質問をきょうは打ち切っておきます。よくお考えおきを願いたいと思います。
  62. 宮崎正義

    宮崎正義君 米価の問題に関することを私は経緯的に考えてみます。政府食管制度の再検討、そうしてまた総合予算主義に従って消費者米価へのスライド実施という二つの大きな問題をかかえて、答申を出せる審議会をつくったというようにも思えるわけですが、そういうことをまた言いかえてみれば、意見の対立の初めからないような審議会をつくろうと望んだようにも思いますし、政府案は審議会もおおむね支持するといって答申が出されたのを見ていきましても、昨年も一昨年も無答申であったという、そういう筋合いをなくするためにも答申を直ちにいれるというような行き方の構成のようにも考えられる。メンバー等を見ましても間接統制論者が多いといわれておりますし、政府においても各種委員の通称顔なじみ、そういったような委員で占められておるといわれておりますし、大きなのは、これに生産者の代表を含めなかった。このことから生産者の要望と米審の答申の内容との間に大きなギャップができておる、こういったような実情に沿わないものができておるがゆえに、初めから、この審議会のスタートそのものから問題点があってきたのじゃないか、こう私は思うわけです。この点について御説明を願いたいと思います。
  63. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 新しい米審構成につきましては、この国会と申しますか、前の国会を通じて非常に御熱心な御論議が出た、その経過等を私あえて申し上げません。したがって、無答申を続けたということのために、どうしても一ぺんああいうことをせざるを得なかったという政府の立場を御理解願わなければならぬが、同時に、利害関係者のない米価審議会というものに対して必ずしも十分でないという御意見も成り立つわけであります。そこで党なり政府としてはもちろん生産者の意向をくみ上げるという努力はいたしてまいるつもりでございまして、将来の米価審議会のあり方につきましては、先般もこの委員会で申し上げましたように、従来からの御論議、それから現在あります米価審議会の経過等を見まして、やがて将来——来年でございますか、運営すべき米価審議については、さらに私は検討をしてみたい、こういう考え方であります。
  64. 宮崎正義

    宮崎正義君 これは考え方によると思うのです。利害関係のある人たちを含めていかなかったという——この利害関係があるということ自体も引っくるめた上の私は審議会のメンバーの構成である、そこで討論をし、審議をし、そしてりっぱなものができ上がるのじゃないか、こういうふうに思うわけです。そういうふうな立場の上から見ていきますと、今回の算定方式にいたしましても、米価審議会の焦点となってきている昨年の積み上げ方式、米の需給事情を加味して修正していく。そして百五十キロあたりの二万百五円、昨年に比べますと二・九九%増、五百八十四円高というようにもなっております。この基本の試算と加重平均方式による二万八十五円という参考試算の二本建てで大体提出されている。いずれの算定方式をとったとしても、生産者が要求している二万三千百十円からほど遠いものがある。したがいまして、今回のようにスピード答申がそのまま出されてきているということは、いま申し上げましたように、利害関係の者を含めていない中から、早くいえば政府のいう、政府の構成メンバーであるといってもいいような審議会委員のメンバーであるというところからこういうふうなことになると私は思うわけです。したがいまして生産者米価を極力押えていって、値上がり分は消費者米価のほうにスライドさせていく。政府価格政策はいよいよ食管制度、こういうものを踏みにじっていくのだ、こういうふうに言われもし、また生活を圧迫していく意図を持っているのだ、こういうふうに言われているわけです。この点について足鹿委員も言っておられましたけれども、もう一回大臣のほうから、生活を圧迫していくような意図を持っているのじゃないかという国民の声に対して御答弁を願いたいと思います。
  65. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 政府米価審議会委員を任命するにあたって、これは前任者が任命したのでありますが、政府の立場において低米価とか抑制米価をつくるために私はああいう任命をしたのではないと思います。従来の経緯から無答申、とにかくごらんになればおわかりのような状況において混乱を続けるというよりは、何らかの一つの答申を得たいという意味でございますから、政府の出しました試算に対しましてもいろいろ今回激しい批判のあったことは事実でございまして、必ずしも政府の言うとおり唯々諾々として米価審議会の委員が動かれたということはないのであります。ただ、ああいう審議会の構成者から、あるいは生産者があるいは利害関係者が抜けていることはいいことか悪いことかということについては、またその問題も一つの大きな問題でありますから、将来に向かってこれは十分検討は加えてまいりたい、こういう意見であります。
  66. 宮崎正義

    宮崎正義君 こういうふうにも言われておるわけですが、生産者消費者から強い反対を受けてごたごたしているということ、政府案を望む財界の意図とちょうど板ばさみに政府はある、生産者消費者からの猛烈な反対にあい、一面には政府案を望んでいる財界の意向との板ばさみになっている、そしてついにこの臨時国会前に決定ができなかったというようなことは、おそらく異例じゃないか、こういうふうに思うわけです。そうして佐藤総理は六日の参議院の本会議の席上で、私自身が取りまとめに出る時期と考えているのだと、こういったような意味合いのことを言った答弁がありましたけれども、これなんかも、総理みずからが最初からこの審議会の中に自分自身が入り込んでともにやっていかなければならない、それが国民大衆のための真剣な総理としてのとるべき立場じゃないかと、こういうふうにわれわれは思うわけであります。  いずれにしましても、臨時国会で米価が問題にされている。これが決定できない。あるうわさによれば、佐藤総理自身の三選が危ぶまれる、それを避けるために臨時国会だけはそっとしておいて、終わったならばこの米価の問題に対して真剣に取り組んで、ほとぼりの、冷却期間を置いてそうして価格をそのあとできめていこう、こういったような考え方を持っていると思うのですけれども、こういうことについて私は非常に遺憾だと思う。しかも農林省では、六日、今年度の新米の出荷期日がもう迫っている、生産者米価がきまらないために暫定価格をきめて、そしてその仮払いをする、各都道府県の食糧事務所にこういう通達を講ぜられているということなんですが、これなんかもどうなんですか。
  67. 西村直己

    国務大臣西村直己君) ことしの生産者米価が国会開会前にきまらなかったことは残念に思います。ただ、それじゃといって、異例だとおっしゃいますが、最近残念ながら米価の決定につきましては、毎年米価の要求をどう妥当な適正米価に押えていくかという点については、御承知のとおり激しい御意見がいろいろ各方面から出てまいっておるのであります。そこでことしはこういう状態でございますが、私どもとしては国会がありますので国会の審議のお妨げにもなってはいけないので、国会が済みましてから直ちにこれを決定いたしたい、こういう考えでおるのであります。ことにことし非常に熱心な御論議がかわされておりますのは、米をめぐります情勢も昨年とはだいぶ状況が違うということも一つあると思います。生産者のほうにおきましても、いろいろな、非常に増産が進んできたというたてまえからの御意見も出てきております。それから同時に消費者のほうにおきましても、三年続きで四年目の消費米価が上がるのではないかという問題もありましょう。一方におきまして、とにかく食管始まってと申しますか、われわれ経験しないような政府手持ち米を持っておる、あるいは持たんとしておる、こういうような状況にもなっておる。こういうような中での米価決定だけに、環境がきびしい。それからいま一つは、食管会計そのものがもうかなり窮屈な状態にきてしまっている、こういうようなことも種々条件になってきているのではないかと思います。
  68. 宮崎正義

    宮崎正義君 環境がきびしいその中には、いま大臣がそうおっしゃられましたけれども政府と自民党との間で、また自民党内の間で激しい突き上げ等があってきめられてきてない、こういうふうにも私ども大臣がおっしゃられた環境のきびしいという点に含めて考えてみたいと思うのです。まことに毎年毎年、米価の問題については、いま大臣がおっしゃるように今回ばかりが異例じゃないのだ、この前も異例だったのだと言わんばかりのお話でございますけれども、こういう時間の浪費あるいは農民に与えるそういう不安、不信感というものは、やはり農政の私は一貫した欠如のもとからこういうふうな姿になるのだ、こういうふうに思うわけです。この点、もう一度お考えを聞きたいと思うのであります。
  69. 西村直己

    国務大臣西村直己君) その意味で、いかにしたら価格決定を正常な場面でやるかというのも、一つの中立委員をつくった理由にもなっておると思うのです。しかし、それ自体も、必ずしもそれでは完全であるかというと、またそれには別な意見も出たわけであります。米価というものは国民の非常な関心事であり、また多数の熱心な生産農民をかかえているだけにむずかしいことではある。しかし、できるだけこれを静かな形で、静かと申しますか、落ちついた中できめるようなふうに将来とも持っていきたいというふうに考えております。
  70. 宮崎正義

    宮崎正義君 先ほども長い間論議をされておりましたけれども、率直にお伺いしたいと思うんですが、食管制度に対する改廃を主張なさるのかどうか所見を伺っておきたいと思いますが、また古米余剰という食管赤字の二つの理由であるならば、これもまた非常に薄弱な理由じゃないか、こう思うわけですが、大臣食管赤字を解消するためには食管制度改善する時期にきたというふうな発言もなさったと思うんですが、この点についてお伺いしておきたいと思います。
  71. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 私、農林大臣としてでなくて、政府全体、総理大臣自体は、すでに今日のいろいろな状況を考えて、食管制度根幹は維持するけれども食管会計を検討すべき時期にきたと判断すると、したがって、政府全体として食管制度改善検討は——私どもは直接の担当ではありますが、やがてはこれは検討していかなければならないと思います。
  72. 宮崎正義

    宮崎正義君 私どもは、現在の食管制度に対して、国民経済に寄与している意義の重要性については、あくまでもこれは堅持を主張してきているわけです。ともすれば、その中立米審のあり方を委員の構成等でやってみたり、また、あるいは総合農政という先ほどのお話のもとに食管制度というものを改革していこうとする、また大蔵省や経済企画庁もこういう面に対しては同じような主張を持っているということを聞いております。また、第四には臨時国会の首相の所信表明の中でも、制度根幹は維持しつつ、需給動向に対応した総合農政推進の一環として、国民経済的な視野に立って改善を行なうよう検討に着手すべき時期にきたと、いま大臣がおっしゃられたとおりのことを言っておられます。ところが、参議院選挙中の発言と全くこれは打って変わった姿勢を示している、こういう豹変の理由とまたその具体的な面について、大蔵省のほうの考え方農林大臣考え方というものもあわせてもう一度伺っておきたいと思います。
  73. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 農林大臣といたしましては、先ほど申し上げたとおり、総理所信に従って私どもはそういう検討の時期がきた、したがって検討はいたしていきたいと考えます。
  74. 二木謙吾

    政府委員(二木謙吾君) 米価の問題は、これは非常に重要な問題であろうかと思います。私どもはどこまでも適正な米価を決定すると、こういうことでなければならぬ、かように考えておるものでございますが、食管制度につきましては、ただいま農林大臣からお話がございましたとおりで、これは政府としても各省十分話し合いをいたしまして、このうち総理答弁をなされ、いま農林大臣が御答弁になったとおりでございます。私どもも十分検討をしなければならない問題であろうかと、かように考えておる次第であります。
  75. 宮崎正義

    宮崎正義君 ついでにお伺いいたしますが、御存じのようにイギリスあたりで大体農業人口が非常にわずかな六%と言われておりますが、その国家予算の一割を大体農産物の補助に充てているということから考えてみましても、わが国の一般会計からの約五%という食糧対策費は非常に少額である。四十三年度予算の面からいきましても、一般会計の五兆八千百八十五億九千八百万円に対して財政投融資計画は二兆六千九百億円が充てられておる。そのうちの食管特別会計への繰り入れば調整勘定で二千四百十五億にしか満たない、こういったような少額であるということ、ここに私は保護農政という面からどこの国でも、みな保護農政に変わっている。その保護農政の上から考えてみまして、財政措置が非常に少ないのじゃないかと、こう思うわけであります。先ほども足鹿委員のほうから国庫余剰金の行き方、考え方についてのいろいろお話がありましたけれども、こういう点につきましては私もお伺いしようと思いましたが、省略いたしますが、基本的な考え方も次官のほうからお伺いしておきたいと思います。増額していくか。
  76. 二木謙吾

    政府委員(二木謙吾君) 私は、やはり日本の農業は食糧自給、こういうことを根幹に置いて考えなければならないと、かように考えておるのでございまして、そういう点につきましては、ただいまも農林大臣からお話がございましたように、これから農業の総合的な施策を立てて、そうしてほんとうに農民の諸君も安心して農業に従事されるような農業政策をとっていかなければならぬ、かように考えておるものであります。
  77. 宮崎正義

    宮崎正義君 それがそのとおり行なわれれば非常に幸いだと思いますので、記録にも残るわけでありますので、よろしく来年度予算措置に対しては十分なる配慮を願いたいと思います。  そして問題を変えてみますが、古米対策についてお伺いしておきたいと思います。四十二年度産米の古米は二百六十五万四千トンというふうに言われておりますが、この対策についてどういうふうにお考えになっているかお伺いしておきます。
  78. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 四十三米穀年度の末には二百六十五万トン——精米トンでございますが、二百六十五万トン程度の古米の繰り越し量が予想されるということは御指摘のとおりでございます。これをどういうふうに処置するか、ざっくばらんに申し上げまして、私ども非常に腐心をいたしておる段階でございます。これを国民食糧として有効に活用していくということになるには、いろいろな創意くふうを必要とするであろうというふうに思っておりますが、従来からこういう数量の繰り越しの発生ということが予想されておりましたので、現在といいますか、古米として繰り越されるものは買い入れをいたしました米の中では総体的に品質のいいものを現在管理を続けておるわけでございまして、今後新米穀年度に入りまして、私どもとしては、明年の梅雨期を越しますと相当の品質低下が考えられますので、梅雨期以前に食糧用の配給としてこれを処理するという基本的な方針で短期的にはものを考えてまいりたいというふうに思っておるものでございます。  なお、来米穀年度の末につきましても、繰り越し米の増大が予想されますので、先ほど大臣からもお話が出ましたように倉庫整備についての努力をいたしまして、米の品質保持というようなところに万全の措置をとってまいるようにつとめてまいりたいというように思っております。また、このようなことをいたしますために、たとえば一定の時期における配給古米の混入率というものを時期別に調整を加えていくとか、あるいは価格の面でも新、古米を総合いたしまして時期別の判断を加えて流通にできる限り支障のないようにつとめてまいるということも考えてまいりたいと思っております。
  79. 宮崎正義

    宮崎正義君 昨年の古米が六十万トンといわれておりますが、これが約三月ごろまでかかっております。その点からいきまして、いまのようなお考えではたしてつゆ前に処理できるかどうか、こういう大きな問題が私は残るのじゃないか、この点に対して二百六十五万四千トンと六十万トン余の繰り越し米というものが、どういうふうな処分をしていくかといういまの御説明だけではちょっと納得いきがたいわけですが、もう少し詳細に聞かせていただきたいと思う。
  80. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 現段階で新米穀年度における配給計画が詳細に樹立が終わっておるわけでございませんので、御指摘いただきましたような意味でのお答えができかねるかと思いますが、たとえば昨年の六十万トンの処理が確かに相当の努力を必要としたということは事実でございますが、その経験も十分念頭に置きまして、米穀年度に入ります早々は、古米と申しましても決して品質上の差違はそれほど認められるものではございませんで、これについては古米の配給率を相当高めて考えて、順次月を経るに従いまして古米の配給量を、売り渡し量を減少していくというようなことを考えてまいりたい。また、古米につきましては、大臣もたしか触れられたことと思いますが、新米に対しまして歩どまり比率等が違うわけでございますから、そのような点は、政府の払い下げ価格というような点については十分配慮しつつ流通上支障のないようにできる限りつとめてまいるということで考えてまいりたいと思っております。
  81. 宮崎正義

    宮崎正義君 心配されることは、昨年、あの古い米にカビが発生した、配給不適格な米が相当量あった。これはどのくらいの量がありましたか。
  82. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 昨年の政府管理米の中に保管上の手違い等で若干のカビの発生した米を出したということは事実でございまして、量としてはわずかでございましたが、ただいま手元に資料がございませんので、さっそく調べましてお答えを申し上げます。
  83. 宮崎正義

    宮崎正義君 先ほどから私が心配しているのは、その保管の問題になってくるわけです。先ほど大臣も、低温倉庫のことについて、また倉庫のことについてはちょっと触れられた回答がございましたけれども、カビが生えてくる、そのかびたという数量は、私の手元にあるのは百五十七万トンと、こう私は知っているわけであります。どうなんでしょうか、この数字は。
  84. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 正確な数字は後刻お答えを申し上げますが、百五十七万トンというような膨大な数字でないことは確実でございます。
  85. 宮崎正義

    宮崎正義君 いずれにいたしましても、今度は配給方法の問題が非常に大きな論議になってくると思うんです。いま答弁にもありましたように、古米と新米と配給方法も考えなければならないというようなお話もありましたけれども、古米といってもいきなりすぐそのものがまずいものじゃないというふうなお話もありましたけれども国民感情からいけば、新米を要求していくのは当然だし、また米屋さんにしても新米を求めてくる点が非常に多いわけです。こういう点について二百六十五万四千トンと予想される米に対して、過去に確かに値引きをしたという事例があったと思うんですが、こういうふうなことは考えられておりませんでしょうか。たしか三十四年産米を三十六年の四月ごろから卸売り業者に一%値引きをしたという例があるように思うんですが、その点どうなんでしょうか。
  86. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 古米処理に関しまして、過去におきましても古米について特別の配慮を行なった事例は確かにございます。ただ従来は白米にしました段階では、これは次年度生産の米、つまり新米と価格をひとしくするという扱いをいたしてまいったのでございますが、ただ先ほども申しましたように、古米の歩どまり等について問題がございます。ございますので、そういう点を配慮した政府売り渡し価格の値引きということはいたしてまいっておるのでございます。で今回は、従来事例のなかったような大量の古米の処理でございますので、私どもとしても払い下げの、売り渡しの価格というものについても、慎重に古米の処理ということを円滑にやっていくというたてまえから検討いたしたい。ただ、どういうようなことを考えるかという問題は、実は私どももある種の事業特別会計でございますので、あまりに明確にいたしますことはまた事実運営上の支障もございますので、その点は現段階では十分詰めてもおりませんという事情もございますので、御了承をいただきたいというふうに思います。
  87. 宮崎正義

    宮崎正義君 こまかい話になりますが、先ほどちょっと聞き漏らしたんですが、大体二百六十五万四千トンの古米が来年のいつごろまでに処分ができるかということをちょっとはっきり聞き漏らしたんですが、私の申し上げたのは、六十万トンのものでさえ三月までかかった、二百六十五万四千トンという古米についてはいつごろまでかかる予定なのかということを聞き漏らしたと思うんですが、いつごろまでに処分できるか、つゆ前にはとうていむずかしいのではないか、実際に携わっている者からいわせれば、九月ごろまでかかるんではなかろうか、こういうふうにも聞いている。それでありますから、私は非常に心配するわけなんです。それで、いま申し上げましたような、前のときの前例があるんだから、今度はそれに対しては古米の価格、古米というものについては値引きをしていくような検討も当然、これは九月まで持ち越すようになりますと、これは考えざるを得ない、こう思うわけで、お伺いしたわけなんです。
  88. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 私ども米穀の全面的な直接管理の任に当たっておるものといたしましては、配給用の米として買い取りましたものはやはり本来の目的に沿うごとく処理をするのがわれわれの任務であろうというふうに考えておるのでございまして、そういう見地から、目標といたしましては来年の六月末、つゆどき前に古米の処理を終えるような目標で配給の実務を進めてまいりたいという考え方を持っております。ただ御指摘のように二百六十五万トン全部をはたして六月末までに配給処理を終えられるかという点につきましては、正直に申しまして一まつの不安なきを得ません。ただ、昨年六十万トンの処理に非常に——非常にといいますか、相当の苦労をいたしたのでございますが、これは主として消費地域において処理をいたしたというような事情もございますので、今年の場合はいわゆる生産地におきましてもやはり古米配給ということを考えていかざるを得ない、そういう地域的な広がりという点も念頭に置きつつ、できる限りすみやかに古米処理を進めてまいる。また、そういう努力の結果にもかかわらず古米がつゆを越すというような事情が見通せますれば、つゆ越しの米の貯蔵には、倉庫の選定等に十分意を用いて、自後の品質の保持ということにもできる限りの努力を払ってまいるというふうに心がけてまいりたいと思っております。
  89. 宮崎正義

    宮崎正義君 生産地処理というお話もありましたけれども、事実上はもう新米ができてくると、古米を出さなければ新米を入れられないという倉庫の実情にもありますし、またその前にお伺いしたいことは、政府が買い入れてきたものを卸業者にどういうふうにして出しているのか。抱き合わせでおろしてきている、それがさらに卸業者から抱き合わせで小売り業者に行っているというふうに聞いているわけです。卸業者に抱き合わせに行くということは、どういうふうな保管の上の処置をとっていくのか、どういうふうな抱き合わせをしていって卸のほうに渡しているのか、そういう方法等も多量の品物になってきますと容易なことじゃなかろうと思うのですが、これに対する輸送の関係、そういうこと等をあわせて考えていきますと相当な困難な事態になる、こういうふうに思うわけです。この点についてのお考えはどうなんでしょうかね。
  90. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 現実に売り渡しをいたします場合には、御質問にもございましたように、四十二年産米と四十三年産米、いわゆる古米、新米を一定比率で抱き合わせて売り渡しをするという結果になろうかと思います。生産地におきましても、古米の配給をせざるを得ないという考え方を私ども持っておりますので、計画的に生産地にも古米の在庫を残すということにいたしております。また、消費地に対する輸送は、現在も将来の配給計画というものを念頭に置いて計画輸送を実施いたしておりますので、消費地における古米の輸送集積には問題はなかろうというふうに思っておりますが、御指摘の中にもありましたように、新米との抱き合わせ売り渡しということをいたします場合には、倉庫配置等については十分くふうをこらす必要がある。これも現場に当たっております者どもの経験によりまして、その点に支障のないように配置をいたしておるということでございます。
  91. 宮崎正義

    宮崎正義君 そこで私のお伺いしたいことは、先ほど足鹿委員からお話がありましたけれど、低温倉庫がさっきのお話ですと百六十七倉庫とか聞きましたけれども、そしてまた大体その収容能力というものはどれだけ政府に収容能力があるかということですね、その点について。
  92. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 低温倉庫の収容力は、先ほど足鹿委員からも御指摘がございましたように、それほど現段階では大きいものではございません。全国で政府倉庫、営業用倉庫、農業倉庫を含めまして二十数万トン程度しかないのが現状でございます。政府米穀を保管いたします総体の倉庫収容能力は、大ざっぱに申し上げまして約一千百万トン余でございます。政府に集荷されてまいります米の量がかりに九百万トンといたしますれば、二百六十五万トンの在庫と合わせまして倉庫は不足ということになりますが、これは米が一どきに集まったときのことでございますので、在庫ピークを避けるというくふうをこらしますれば、またいろいろな倉庫の活用についてくふうをこらしますれば、四十三年産米政府買い入れについては大きな支障は起こらないだろうというふうに思っておりますが、ただ地域的に倉庫事情について例年のような円滑な入庫ということがまいらない場合もこれは想像できるのでございまして、それにつきましては倉庫への集中ピークをくずすというようなことについてくふうをしてまいりたい。現地現地の事情において処置をしてまいりたいというふうに思っております。
  93. 宮崎正義

    宮崎正義君 そういうふうになかなかいかないのです。輸入穀物なんかはどうしているのですか。輸入穀物、あるいはその一千百万トンというその総体に収容するだけの能力のある倉庫を持っておると言われますけれども、それにはそれだけではありませんし、九百万トンの米、二百六十万トンの米、それが集中的に来るものではないと言いますけれども、その倉庫の中にはそれだけではないわけです。ですからそこに私は問題があるのではないかと、こう思うわけです。それが心配なんです。輸入穀物も、ほかのものもありますし、あるいはビールとかカラーテレビとかその他の一般的な民需品もはち切れそうになっているのではないかと、こう思うがゆえに心配しているわけです。ですからこの倉庫の実態といいますか、地域的な実態というものを私は知りたいと思う。そこから輸送計画もでき、また需給計画もできるのではないか、こう思うわけで、倉庫数等も聞いてみたわけです。そういう意味合いで御答弁を願いたいと思います。
  94. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 御指摘のように、消費地における倉庫につきましては、民間貨物のふくそう等で、従来の事例に比べますればかなり窮屈な事情になっております。また農業倉庫で申し上げますと、大体東北、北海道、北陸地域、いわゆる米の主産地におきまして、倉庫事情がその生産力に比べて相対的に整備されていないという事情でございますので、消費地域倉庫、あるいは比較的余裕があります他の地域の農業倉庫等の余裕を利用いたしまして、現在懸念をされます生産地の米の計画輸送、計画的な米配置というものを進めておるのでございます。私どもできるだけの努力を続けておるのでございますが、異例の古米の集積量でございまするので、私は、生産地におきましても倉庫事情のピークをくずしていく何らかの方策を講ずる必要があるだろうというふうに思っております。なお、倉庫事情につきまして、詳細の点私もあまりよく知りませんので恐縮でございますが、食糧庁の次長が参りましたので、もし御必要があれば説明さしたいと思います。
  95. 宮崎正義

    宮崎正義君 実はあっちこっちでお手あげしているところがずいぶんあるわけです。それで私は心配している。いまだにそうなんですから、これは非常に大きな問題になってくると思うのです。ですから十分にこの点について意をはかっていただかなければえらいことになると思うのです。先ほどの足鹿委員の言われておりましたことも、低温倉庫は別としても、ほかの倉庫の問題については、これはもう早急に一般需要品等の倉庫の入庫品等と考え合わせて大きな対策を講じなければならぬのじゃないかという点を私は念を押しておきたいと思います。  時間がありませんので、保管料等のことについてこまかく伺いたいと思ってきょうは用意をすっかりしておいたのですが、この次には保管料等の問題についてこまかくやっていきたいと思いますが、時間がありませんので次に移っていきたいと思います。  この「米価に関する資料」というのをいただきましたが、この中で「消費者米価の推移」ということについて私は伺いたいのであります。消費者米価が都市によって違ってくるわけであります。なぜこんなことを言うかといいますと、自由流通米といいますか、一口でいえばやみ米ですね。たとえば東京と千葉との値段が地域によって違うわけです。東京は高いわけですから、千葉で買って東京へ持っていって売れば相当もうかる。大阪、京都は非常に高い。滋賀へ持っていけば相当もうかるという、こういうように消費者価格が都市によって非常に違ってきているということ。「消費者米価の推移」、この1では「地域区分は、次のとおりである。」とかいって甲地、乙地、乙地ですか、丙地、丙地、特地というのがあります。こういったような消費者米価の地域区分によって価格が違ってきているこの行き方を改めませんと、これは自由、要するにやみ米といいますか、やみ米の流れというものはとめるわけにいかないんじゃないかということが一つの私の考え方です。  と申し上げますのは、「米穀需給の現状」というやはりこれもいただいたものの中にあるのですが、これの十六ページに自由米流通量というのが出ております。これが大体七十四万六千トンですか、これだけやみ米が流れているというふうにも思えるわけです。そうしますと、端的にいえば、私どもが食堂でめしを食っているものはいわゆる業務用として配給されているか、あるいは家庭用の一人十キロというのが約六キロぐらいで実際は渡されている。そういう家庭米と業務用米あるいは工業用米、そういうふうに分けられておりますけれども、その自由米流通量というこのやみ米が相当量あるわけなんです。七十四万トンもあるわけです。この流れからいきまして、配給制度のあり方も大きな問題として取り上げていかなければならぬ、こういう時点にも思いをはせていかなければならないときにきているんじゃないか、こう思うわけであります。この点についてどういうふうなお考えを持っておられるか伺っておきたいと思います。
  96. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 消費者米価の地域差の問題につきましては、かつて、生産地の性格を持つ地域におきましてはむしろ自由流通米のほうが値段が安いというようなことで、正規流通のルートでは全国一律の価格を前提にすればなかなか配給が困難である、配給辞退が続出をするというような事情もございまして、この資料にもございますように、甲、乙、乙、丙、丙、特という六段階の地域の消費者米価をきめたのでございますが、これが地域格差が大きければ大きいほどいろいろな難点が生じてくるということは御指摘のとおりでございまして、四、五年前までは、甲地、いわゆる純消費地と、特地——純生産地との間には六十円の値幅があったのでございますが、それを順次圧縮いたしまして現在三十五円ということにいたしておりますが、これは特別な消費者価格を持っております地域はその継続を強く要望をするというような傾向もございますけれども、全体としての食糧需給調整の上で必ずしも永続をさせることは好ましいとは言い切れませんで、今後もこの地域間の格差は順次解消していくという考え方で進めてまいりたいというふうに思っております。
  97. 宮崎正義

    宮崎正義君 この点については十分な措置をしていただかなければならないんじゃないかと思います。いずれにいたしましても、食管法に関して、こういう米の配給ルートの面におきましても、先ほど大臣からもお話がありましたけれども食管法根幹を変えないで検討していくということでありますが、いずれにしましても、今日までの農政の行き方というのが、需給に関する問題も納得のいく事態にきてなかったということは明らかに今日までの農政の失敗である、こういうようにも考えると同時に、今回の生産者米価決定に当たっては総合的な考えの上に立って、生産者がもちろん納得のいくように、そしてまた消費者にしわ寄せのいかないように、いまの配給問題についてももっと具体的に入っていきたいのですが、時間がきておりますのでこれで私はきょうの質問はやめますけれども、次回にはそういう点からも今後の行き方をただしていきたい、こういうふうに思っているわけであります。  ともかくも、抱き合わせの米を配給する。それを卸屋に持っていく。卸屋は小売り屋に持っていく。そのしわ寄せが消費者にくる。一つのそういう配給の姿から見ていっても、消費者にはいつも損の立場、消費者にはいつもしわ寄せをする。こういう単純なことから考えていきましても、消費者に圧力のかかっていくような、生活に圧迫のかかっていくような消費者米価の値上げということは絶対にしないように、私は私としての意見をここで申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  98. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 先ほどわが党の足鹿委員から二時間二十分にわたる長い質疑応答のやりとりがあったわけですが、その中で問題は、第一点として根幹の問題に触れ、第二点として総合農政の問題に触れたと思うのであります。その質疑応答の中で、大体言って、足鹿委員のほうからいわれる食管根幹の問題についてはっきりとしたビジョンと意欲が示されたと思うのでありますが、逆に政府当局の側が、私自身の今日まで歩いてきた人生航路からそういうことが言えるかもしれませんけれども、常に私は被害者の立場に立って今日まで地域社会の活動をしてきたわけですから、皆さんのおっしゃることを常に被害者の立場に立って警戒的に受け取らざるを得なかったわけです。いずれの答弁にいたしましても、私何かこう直面する矛盾をカバーするための逃避の姿勢がちらほら見えて残念でたまりません。きょうは八月八日です。私のいま住まいする地域では、きょうはたしか空中防除をやっているはずであります。みずからの命の危険をおかしながら汗水を流して、困難な中で防除をしているわけです。その農民たちは一日も早く米価の決定することを期待していることは間違いございません。とりわけ農村ではお盆というのは年中行事で非常に大事なんでございまして、間もなくお盆がまいります。そのお盆の中で生産者米価がどうきまるか。そのきまった結果についてある程度ふところ勘定をしながらやはりお盆の楽しい一ときを送ることが可能であろうと思うのでありますが、今日の段階ではなかなかその米価決定が逡巡ちゅうちょしておいでになるようで、農民の期待に沿うようにはかばかしく進まないようですが、国会の中のいろいろな機会で農相の言明があったと思いますが、重ねて御迷惑でしょうけれども米価決定は十日になるのか、十一日になるのか、十二日になるのか、ここではっきりひとつお聞きしておきたいということが第一点であります。  同時に私は、早場米地帯の富山出身でございますので、やはり時期別格差の問題で、早場米地帯、北陸、富山等においては重大な関心があることは農相の手元には多くの陳情がまいっておりますから十分お聞き取りのことだと思います。そこでこの問題につきましても、現在時点でどの程度に作業が進み、どう決定の方向に進んでいるか、おそ出しの奨励金の問題はよく宣伝されておりますので十分理解しておりますが、いままで農民の既得権として、しかも農民はことしの作付をきめるにあたって、早場米の奨励金を計画の中に入れながら作付をしたことは、これは間違いないわけでありますので、この時点で従来の政策が大きく変わるということは、農民としてはたえられない問題であります。狭い範囲のことを申して失礼でありますが、わが県では少なくとも昨年段階では十億円ぐらいの農民の手取りになるわけですから、これがどういう方向にきまるかによって農民の生活には大きな影響を与えますので、この機会を通じて明確な言明をしていただきたいと思うのであります。  その次に等級間間差の問題でありますが、もうそろそろ、私いろいろ食糧事務所等、現場を回るわけでありますが、しきりに皆さんが米を見て、昨年の米でありますが、検査の品定め訓練をやっているわけですが、行政指導等を通じて、あるいは品質基準の厳正という表現のもとで、きびしい等級の格上げの問題が行政指導として進められているのではないだろうか。その辺のところが非常に心配であります。一面は見せかけの米の値を上げたんだ、実は米審からこれだけの答申があったのだけれども、実はこれほど政府の政治努力によって上げたんだといったような見せかけのことを、高米価の——高米価ではないでしょうけれども、そういうことで農民にごまかしをしながら、実質的にはこの米の検査の中で等級を引き上げていくという結果、これは農民にとっては明らかに手取りが少なくなるということは明瞭でございますので、そうした行政指導等が行なわれているのではないだろうかと、私は先ほど申し上げましたように被害者意識の立場から感ぜざるを得ない、直感せざるを得ない。そうしたことがないかあるか、こうした問題もはっきりお聞きをしておきたいと思うのであります。  一緒くたに全部——一問一答すればいいわけでありますが、時間がなくて、しかも農林大臣も非常にお疲れのようでありますから次から次へと申していきますから、あとでそれぞれの関係から明確な答弁をいただければ幸いだと思うわけであります。  で、総合農政の問題が、二百六十五万何がしかの米が余ったからというので、あわててそういうことを使って、つまり今日までの高度成長政策なり農業政策の諸矛盾をそういう形で逃げようとしたり、あるいは米の問題をそういう形の中で、つまり忍術を使おうとするような気配が感じられるわけでありますが、先ほど足鹿委員の発言にあったとおり、総合農政とは一体何だ、その方向はどうなんだということに対して農相の答弁があったわけですが、どうも私にはわからない。わからないのみか、ここへ企画庁のほうからも御出席いただいておると思いますから——企画庁の経済白書が先般出されたわけです。この中に新しい農業の方向について「新しい農業への道」という別項を起こして、あるいは食糧の輸入の問題について、あるいは国内生産の問題について、あるいは佐賀平野の問題等をあげながら農業技術なり農業経営の方向づけなりについてかなりの筆を振っているわけであります。こうしたことについて、先ほど大臣は総合農政についてはこれからだと言わんばかりの発言であったと私は思います。  農業基本法を踏まえるとか食糧管理制度を踏まえるということはこれはわかり切ったことなんで、私たちはそんなことを聞こうとは思わない。少なくとも農民に、今日の米の問題を中心として総合農政の問題に立ち向かおうとするならば、明確なるこういう柱を国民に示すのが、農民に示すのが政府当局の責任だと思うのでありますが、そういう点がきわめてあいまいだったわけですが、幸か不幸か、経済白書にそれがちらほら出てまいっております。私は白書というものがどういう形でつくられて農政当局がそうしたことにどう参画しているか、その機構については知りません、正直に言って。だから、企画課長もおいでになっておるようでありますけれども、もし参画をしながらこうした白書に承認を与えておいでになるとすれば、すでに総合農政の方向が出てきているわけじゃないか。しかもこれは、私は是とする意味じゃありません、そうした関係を明確にしていただいた後、しかるべき機会においてこの白書を中心として農政当局の皆さんと十分対話を深めていきたいと思いますので、そうした問題の取り組みのしかた、進め方、そうしたことについて明確な農政当局の答弁でよろしいと思いますけれども経済企画庁長官の出席を要請しておきましたが、出てきておりませんのでやむを得ないのですが、当局の答弁を求めたいと思うのであります。  再質問をできるだけ避けたいと思いますので、何もかも一緒にやってしまいたいと思いますが、私は一昨年まで九アールの百姓をしておりましたから、いわゆる供出田の農民として自給と同時にまたある程度供出をすることができたわけです。そういう農業をした立場から食管法第三条は身にしみるほど大切だと感じております。昨年から新産業都市の犠牲になって、いま都市生活をしているのでありますが、完全なる配給を受けて生活しております。そうしますと、これまた、第四条の恩恵は身にしみて感じているところであります。そういう立場から今度とも農政当局の皆さんと十分話をしながら、いわゆる生産者の立場、消費者の立場に立って、米の問題について今次の解決はもちろんのこと、今後の問題につきましてもお互いに日本民族の発展をこいねがいながら努力をしたい、こういうふうに思っておりますので、先ほど申し上げたようなことで、質問に当たる点についてのお答えをいただければ幸いだと思います。これで終わります。
  99. 西村直己

    国務大臣西村直己君) まず、米価の決定はいつやるか、これはこの国会終了後できる限りすみやかなる時期に決定をいたしたいと思います。  それから早場米奨励金の問題は、時期別格差ですか、この問題につきましては、私ども政府といたしましては、長い間整理縮小するという方針でまいってきておりまして、今回の政府考え方はこれは廃止をいたしまして、別途の形で何らかの措置をとりたい、こういう考えが現時点の考えであります。  なお、等級格差の問題については、関係の食糧庁のほうから御答弁申し上げます。  それから総合農政につきましては、先ほど私お話申し上げましたが、私ども食管改善そのものを総合農政が直接の目的にするのではなくて、農政全体を見た場合に、今日の農政につきましてはいろいろ御議論があることは、もうすでにここにいらっしゃる方々でも知っておられる。言いかえますれば、必ずしも行政当局だけではない、生産に参加されておる農民の方でも、全国の農民の中からいろいろな意見が出ておるわけであります。それを踏まえまして、私どもとしては農業基本法の本来の姿になるべく近づけてまいる。言いかえますれば、選択的拡大ということばも登場しておりますし、それもずいぶんいわれたことでありますが、そういったような線で、しかも経済がこれだけ成長している中で、それから農民の生活の向上もはかってまいらなければならぬ中において、農政というものはどうあるべきかと考えた場合において、いま米も大事ですが、米だけにただいく農政に少しなりかかっている点をいま少し量から質への転換、生産性を高めるとか、いろいろな点を踏まえながらやっていく。同時に他の需要面というものを伸ばしていく。それには構造政策はもちろんでありますが、生産政策なり、あるいは基盤整備というものに相当ウエートを置いていかなければならない。御存じのとおり、限りある国の財政の中で、国の農林省予算の三八%が食管の赤字だけで補てんされていて、そのままさらにこれを伸ばしていくような形がいいのであるかということもひとつお考えいただかなければならぬ。しかし同時に、食管制度という歴史を持っております中において根幹を守りながら改善をはかる。その根幹とは何ぞやということが皆さん方の御意見と私どもの意見と考え方の相違が多少あるようであります。しかし、これらは時間をかけながら十分に、私どもは広い視野に立って国民経済の中でこれを考え、結論を得て実行に移してまいりたい、こういう考えであることを申し上げたいと思います。
  100. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 等級別格差についての政府考え方でございますが、御案内のように等級間格差が、現行のものがきめられましたのは昭和三十一年でございまして、その後据え置かれているのでございますが、その間に、基本米価といいますか、米価自体の水準が約二倍になっている、にもかかわらず使用されているというような事情にありまして、今日、生産地におきましてもあるいは消費地におきましても米の品質の向上ということに関心が持たれ、また農家としましてもそのように御努力願っておるわけでございまして、品質の上位のものにつきまして優遇をする必要があるということで、米価水準が二倍になっておりますが、一挙にそのような開きを置くことはどうかと考えられますので、この際——四等級間の等級間格差、従来石当たり二百円ということでございましたものを五割引き上げまして三百円の格差にする、四等と五等の間は、従来五百円でございましたものを七百五十円の格差にするというようなことで、品質の向上ということに対する努力に報いるという思想を出してまいりたいという考えをとっておるのでございます。  なお、各等級の規格、基準につきましては、昨年と何ら変更いたしておりません。また、それについて杉原委員のほうからも控え目の表現であろうと存じますが、被害者意識を持ちながら聞いておるんだということ、これが格別に——この検査の規格、基準を厳正にしてやることは当然でございますけれども、検査官をして農民に不利な検査を行なわせるというようなことの指導も、通達もした覚えはありませんので、その点に関しましては、被害者意識をお取りいただいてけっこうであろうかと存じます。
  101. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 経済白書の「新しい農業への道」と、総合農政についてのお話がございましたが、企画庁から来ておりませんから私から申し上げますが、今年の経済白書の農業に関する部分はあくまでも、国際農業の進展という面から農業についての問題点を幾つか取り出しましたことと、佐賀平野に見出されます農業の新しい芽ということで多少の叙述があるわけで、私どももちろん農政をやります上の参考にいたしますことはできるわけでありますが、これによって私どもの農政がいろいろ目指しますところの問題点が解明され、あるいは今後の農政の指針とするほどのものではないわけでございます。  そこで総合農政につきましては、先ほどから大臣が申し上げておりますのであまり長く繰り返必要はございませんが、ここで申し上げておりますことは、まず農業生産力のにない手といいますか、農業をやることによって十分生活のできるような農家をできるだけ多く育成することと、そうはいいましても、農村にはそういうところに達し得ない農家が数多くあるわけでございますから、零細兼業農家を含めて、協業を助長するということで、日本の農業構造の改善をはかっていくということが一つ、さらに米を含めあるいは米ばかりでなくという表現がいいかどうかしりませんが、総合食糧の立場に立って需要がどんどんふえるものについて生産ができるだけこれに追いついていくという生産対策の面と、二つ現在大きな課題を持っておるわけでございます。この二つの課題が実は基本におきましては一つに結びついておると思いますけれども、この二つの問題が合わさりまして、農村の生活環境の改善あるいは生産対策を講ずる場合に、食糧管理制度をどうするかという問題を含めて、ただ米ということではなくて、総合食糧として考える。さらに、ただ構造政策とか、あるいは生産政策とか、価格政策とかということでなくて、それらの農政上のいろいろな手段を合わして総合的に考えるという趣旨で、今後総合農政を進めていくということを最近農林大臣から事務当局も指示を受けまして、その具体化につきまして現在検討いたしておる段階であります。
  102. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 本件についての質疑はこの程度にとどめます。     —————————————
  103. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 請願第六号、食糧管理制度の堅持と昭和四十三年産米政府買入れ価格の決定に関する請願外四件を一括して議題といたします。  本件につきましては、先ほど委員長及び理事打合会におきまして内容検討いたしました結果、請願第六号外三件は、議院の会議に付するを要するものにして、内閣に送付するを要するものとし、請願第二一号は保留とすることが適当であると意見が一致いたしましたので、さよう決定することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  106. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 継続調査要求についておはかりいたします。  農林水産政策に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本院規則第五十三条により、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  107. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  109. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 委員派遣承認要求についておはかりいたします。  閉会中の委員派遣につきましては、その取り扱い等を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  110. 和田鶴一

    委員長和田鶴一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後五時五十二分散会      —————・—————