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1968-09-10 第59回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年九月十日(火曜日)    午前十時二十八分開会     —————————————    委員の異動  八月九日     辞任         補欠選任      宮崎 正雄君     田村 賢作君  八月十日     辞任         補欠選任      沢田  実君     白木義一郎君  八月十九日     辞任         補欠選任      白木義一郎君     沢田  実君  八月二十九日     辞任         補欠選任      田村 賢作君     宮崎 正雄君  九月十日     辞任         補欠選任      岡村文四郎君     小林 国司君     —————————————   出席者は左のとおり。     理 事                 任田 新治君                 中村 波男君                 矢山 有作君     委 員                 鬼丸 勝之君                 栗原 祐幸君                 小枝 一雄君                 小林 国司君                 櫻井 志郎君                 田口長治郎君                 温水 三郎君                 堀本 宜実君                 宮崎 正雄君                 森 八三一君                 足鹿  覺君                 杉原 一雄君                 武内 五郎君                 達田 龍彦君                 鶴園 哲夫君                 沢田  実君                 向井 長年君                 河田 賢治君    国務大臣        農 林 大 臣  西村 直己君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        経済企画庁国民        生活局長     八塚 陽介君        経済企画庁総合        開発局長     宮崎  仁君        大蔵政務次官   二木 謙吾君        大蔵省主計局次        長        相沢 英之君        農林政務次官   青田源太郎君        農林大臣官房技        術審議官     原  政司君        農林省農政局長  太田 康二君        農林省農地局長  中野 和仁君        農林省畜産局参        事官       平松甲子雄君        農林省蚕糸園芸        局長       池田 俊也君        食糧庁長官    桧垣徳太郎君        食糧庁次長    田中  勉君        水産庁長官    森本  修君        建設省河川計画        課長       渡辺 隆二君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (農政問題及び米価問題等に関する件)  (西日本の干ばつ対策に関する件)  (長良川の河口せき問題に関する件)  (鶏卵問題に関する件)     —————————————   〔理事任田新治委員長席に着く〕
  2. 任田新治

    理事任田新治君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  農林水産政策に関する調査を議題といたします。  農政問題及び米価問題等に関する件について調査を行ないます。  まず、農林省関係における最近の災害状況について説明を聴取いたします。青田農林政務次官
  3. 青田源太郎

    説明員青田源太郎君) 本年八月に台風及び集中豪雨について三つ災害が連続して発生いたしました。  その第一は、台風七号及びこれが前線を刺激して、十七日より十八日朝にかけて集中豪雨をもたらし、岐阜県を中心に数県にわたって被害が発生した災害である。  第二は、二十日、朝鮮北部にあった低気圧が東進した結果、北日本を経て太平洋に至る前線が活発化し、東北地方北部並びに北海道南部に二十一、二十二日の両日集中豪雨をもたらし、北海道、青森県を中心に五道県に相当被害が発生した災害である。  第三は、台風十号が二十九日九州南部に上陸、瀬戸内海を横断し、中国地方を横切って日本海に抜けるとともに、この前後に日本に沿って停滞した秋雨前線を刺激し、このため各地に豪雨、強風をもたらし、関東以西相当被害が発生した災害である。  以上の災害についての農林省関係被害は、道府県報告によれば、第一の災害被害額は、農地農用施設等施設被害約十二億三千万円、林地荒廃約七億八千万円、林産施設約二億八千万円、農作物等被害約六億二千万円で、その他約二億七千万円、合計約三十一億八千万円である。第二の災害被害額は、農地農用施設等施設災害約七億八千万円、林地荒廃約六億四千万円、国有林約四億七千万円、農作物等被害約十三億九千万円、その他約二千万円、合計約三十三億円である。第三の災害被害額は、農地農用施設漁港等施設被害約五十五億二千万円、林地荒廃約四十九億一千万円、国有林約八億七千万円、農作物等被害約八十五億九千万円、その他被害約一億九千万円、合計約二百億八千万円である。  なお、以上三つ災害被害額合計は約二百六十五億五千万円である。以上御報告いたします。
  4. 向井長年

    向井長年君 議事進行ですが、きょう朝、おそらく理事会できょうの委員会の進め方について打ち合わせられたと思います。これをひとつ、一応どういうかっこうであるか、発表していただきたい。  そしてまた、担当大臣が出ていないんですよね。どういう都合でそうなっておるのか、これは理事の方は知っているかしらない。出ていなければわからない。これはひとつ委員長のほうから報告願いたい。
  5. 任田新治

    理事任田新治君) 速記をちょっととめてください。   〔速記中止
  6. 任田新治

    理事任田新治君) それじゃ速記を起こして。次に、消費者米価に関する事情等について説明を聴取いたします。田中食糧庁次長
  7. 田中勉

    説明員田中勉君) それでは、お手元にお配り申し上げてございます、消費者米価改定に関する概要を御説明申し上げたいと思います。  初めにちょっとお断わり申し上げておきたいと思いますのは、政府原案をきょうの午前十時から閣議にいまかけておるわけでございますので、閣議模様等は判明いたしませんが、さしあたり米価審議会諮問いたしました内容、それから答申をいただいた内容、また諮問いたしました消費者米価算定値等について概略説明させていただきたいと思います。  消費者米価改定についての米価審議会を九月三日から四日、五日と三日間にわたって開催いたしました。その際に米価審議会諮問いたしました諮問内容等について概略説明申し上げます。諮問につきましては、お手元にお配り申し上げてございますが、生産者米価消費者米価との関係につきましては、生産者米価決定が先般五・九%引き上げられた結果、末端消費者米価との関係が、さらに逆ざや拡大をいたしましたという実情になってきたわけでございます。したがいまして、現在のこの生産者米価改定に伴います逆ざや拡大の事態に対処いたしまして、これを少なくともそのままの状態で放置するということは望ましくないというような観点からいたしまして、この改定の必要があるというように考えましたのが第一点でございます。それからまた総合予算主義のたてまえというような面から見ましても、そのような状態に放置しておくことは、著しい財政上の困難を伴いますというようなことが第二点でございまして、この際農林省といたしましては、できる限り末端逆ざや解消につとめるべきであるというような考え方米価審議会に臨んだわけでございます。  この米価審議会に出しました政府のいろいろな資料等についてちょっと御説明申し上げますと、御承知のようにこの消費者米価に関しましては、政府売り渡し価格決定は、食糧管理法四条二項の規定によって、家計費物価その他の経済事情を参酌して消費者家計を安定させることを旨として定める、こういう規定になっておるわけでございます。今回もこの規定にのっとりまして、消費者米価改定についてのいろいろ試算をいたしたわけでございますが、この消費者米価算定案のところの家計伸び——可処分所得家計伸びは、これは今度の場合におきまして、六月の数値でございますが、対前年に比べまして二・四%家計伸びが見られているということでございます。したがいまして、かりにこの二・四%の家計伸び一ぱい消費者米価を考えた場合におきましては、現行価格が、乙地価格で千三百九十五円でございますので、一一・四%の上昇家計米価一ぱいに見るということになりますと、千五百五十四円というような一応計算試算が出てくるわけでございます。そこで消費者米価算定にあたりまして、従来たとえば生産者米価にこのすべての政府管理経費を加え、また販売業者マージンを加えるということによって、いわばコスト価格的な考え方消費者米価を考え、試算いたした場合におきましては、精米十キロ当たり千六百九十円という数字になるわけでございまして、これは現行内地米価格の二一%高という試算が出てくるわけでございます。  それからもう一つ試算をいたしてみた数字を申し上げますと、政府管理経費はこれは全部政府が負担をするということで、生産者米価販売業者マージンを加えた場合の消費者米価試算いたしますると、その場合におきましては、精米十キロ当たり千六百四十円ということになりまして、現行価格の一七・六%高になるわけでございます。しかし、昨年の消費者米価改定の際に大体考えておった全国平均生産者米価と、それから消費者米価につきましては全国平均逆ざや解消というような考え方でまあ試算をいたしますると、全国平均政府買い入れ価格というのがございまして、それからもち米加算とかあるいは暫定加算を差し引いた、いわば生産者価格に見合うところの消費者米価を考えた場合におきましては、これが千五百十円ということになりまして、現在の消費者米価に対して八・二%高という数字が出てくるわけでございます。それからなおこの諮問試算の中におきましては、内地米は以上のような考え方で、千五百十円というような考え方で臨んだわけでございますが、現在設けておりまする徳用上米とか徳用米は、やはりこういう配給品目は存続することにいたしまして、この上昇の幅は、現行に対して五・九%アップというような計算でいたしますと、徳用上米千二百五十円、それから徳用米千二十五円ということでございます。  それからなお、従来いろいろ米価審議会等建議なり、そういうものをいたしておりました消費者米価地域格差の是正の問題でございますが、現在の消費者米価地域格差は、甲地から特地までいわば六段階になっておるわけでございます。この間の差がちょうど十キロ当たり三十五円ということになっておりますが、これを今回の改定にあたりましては圧縮をするという考え方に立ちまして、甲地につきましては乙地から十円の上げ、それから丙地につきましては十円の下げということで、従来の六段階を三段階に圧縮することにいたしました。したがって、この甲、乙、丙という三段階になった結果におきましては、甲と丙の間におきましては十キロ当たり二十円の格差ということに縮小いたしたわけでございます。こういう案で米価審議会諮問をいたしまして、いろいろ御論議を願ったわけでございますが、米価審議会の三日目の最終に、お手元にお配り申し上げてございます答申が出てまいりました。この答申はここにもございますが、要約して申し上げますると、やはり現在政府諮問の案として提出いたしました案につきましては、大体末端逆ざやをおおむね解消しているということ、それからさらに総合予算主義のたてまえが貫かれているというようなことで、この政府算定案はやむを得ないという意見が一方にございましたが、しかし他方におきましては、昨年からの繰り越しておりまする持ち越し米について特別の配慮をしていないのみならず、最近の米の供給の過剰化の傾向を反映しておらないというようなことからいたしまして、この消費者物価への値上がりというようなはね返りのおそれもあるので、これを適当でないというような有力な意見がございました。その最終的な意見のとりまとめたものが、「政府消費者米価改定する場合には、以上の事情を勘案して、消費者米価算定案に再検討を加える必要がある」ということの答申をいただいたわけでございます。なお、答申に加えまして、建議が出ております。建議につきましては、現行配給制度及び価格統制制度、その運営が時宜に適さないと認められる点が非常に少なくない。米穀配給改善についての案を米価審議会にお出ししているわけでございますが、その案でもはなはだ不十分である。したがって、政府はすみやかにその配給制度の改廃を含め、抜本的検討を行なって、段階的に刷新を断行すべきであるという建議をいただいたわけでございます。以上、大体米価審議会諮問をいたしました経緯なり、また米価審議会から答申をいただいた内容を申し上げたわけでございますが、きょう閣議におはかりをいたしておりまして、まだ閣議内容等が詳細わかってきませんけれども、一応ここで閣議に持ち出した案を大体そういう意味で御披露申し上げたいと思います。  消費者米価につきましては、十月一日から次のように定めるということで、内地米につきましては、政府試算をいたしました千五百十円というもの、それから徳用上米につきましては、五・九%上昇の千二百五十円、それから徳用米については千二十五円、こういう配給品目価格閣議にかけているわけでございます。これらの平均消費者米価上昇の比率は、総合して八%であるわけでございます。内地米徳用上米徳用米含めまして、総体的に八%上昇ということであるわけであります。それから配給級地格差につきましては、やはり米価審議会諮問をいたしましたとおり、現在の級地段階制を三段階制に改めまして、そうしてその結果、この三段階の中で甲地丙地格差は二十円、従来の六段階三十五円を二十円に圧縮した案でおはかりを申し上げておる次第であります。それから、業務用加算は従来どおり十キロあたり内地米六十円、徳用上米五十円ということでおはかりをしておるわけでございます。  なお、閣議におはかりしている中におきまして、今後の米穀配給については、米価審議会における審議の経緯にもかんがみまして、昭和四十二年産米について、次の措置を講ずるものとするということでございます。その一は、昭和四十二年産米配給量につきましては、米穀管理合理的運営と、消費者の選好とに配慮を加えて、適当に措置をするということが第一点でございまして、それから第二点は、昭和四十二年産米価格については、消費者の需要を勘案して、その円滑な販売及び配給をはかるため、今後の需給事情の推移を見つつ必要に応じ適切な措置をする、こういうことを閣議におはかりしているわけでございます。  以上御報告させていただきます。
  8. 任田新治

    理事任田新治君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  9. 任田新治

    理事任田新治君) 速記をつけて。  次に、これより質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  10. 温水三郎

    温水三郎君 米価と関連があるかないかははっきりしませんけれども、いわゆる百二十億の問題と六十億の問題について質問をいたしたいと思いますが、百二十億というと、おわかりになると思いますけれども、本年産米価決定するに際して、政府は百二十億の農政費を支出することに相なっておるわけであります。さらにまた六十億円の出荷調整費を出すことになっておるのであります。それで百二十億の農政費使い道と、それから六十億の使い道を少し詳細に御説明を願いたい。
  11. 田中勉

    説明員田中勉君) 先般の生産者米価決定の際におきまして、いま御質問のございました農政費百二十億と、出荷調整費六十億というのがきまったわけでございますが、まず最初に六十億のほうの出荷調整費関係を申し上げますと、最近の政府繰り越し米、明年の四十二年産米からの繰り越し米相当膨大な数量にのぼるわけでございますし、またそのことからいたしまして、この新米の出回り期におきまして、生産地方面におきまして、相当倉庫事情が窮屈になっておる実態もございます。そういうことからいたしまして、また同時に現在の四十二年産米約二百六十五万トンが繰り越されるわけでございますが、これを消費地にある程度配置をするにいたしましても、現在の消費地倉庫事情からいたしますと、必ずしもこれを消費地に適正にその時期までに配置するまでにいかないというような事情もございまして、生産地新米出荷に対して相当倉庫事情が影響するということが予想されるわけでございますので、この際全国をそれぞれの早場地帯あるいは中間地帯、おそ場地帯というような地帯ごとに、その地区の過去の出回り状況、また現在の倉庫事情というようなものを勘案いたしまして、各地帯ごとにそれぞれ——まあ大体例年でございますならば、おおむね出荷が終わるであろうという時点、たとえば九割以上が出荷を見るであろうというような時点からこの積算をいたしまして、五カ月間くらいの間にわたって倉庫事情あるいは出荷事情のために調整されるであろうそういうものにつきましては、農家に対しましてその間における金利、倉敷に相当する金額を別途その数量に見合いまして交付をいたしますということでございます。全国を三地帯区分をいたしております。三地帯区分をいたしました理由といたしましては、先ほど申し上げましたように、それぞれ従来からほんとうに早い地帯、あるいは中間的な地帯、おそ場地帯ということに分けられるわけでございます。もう少し詳しく申し上げますと、三地帯の中の第一地区、それから第二地区、第三地区と、こういうことでございますが、第一地区は十一月の十六日から始まりまして、この第一期が十二月の十五日、以下一ヵ月単位きざみで第五期まで設けているわけでございますが、四月の十五日が最終の日になるわけでございます。第二地区はそれからちょうど一カ月おくれたいわば中間地帯、それから第三地区におきましては、さらにそれから一カ月おくれた地帯ということに区分けをいたしまして、五カ月間にわたってそういう出荷調整が行なわれるという場合におきまして、この一期当たりにつきまして——一期というと一カ月当たりでございますが、一俵当たり五十四円、第二期につきましてはその二ヵ月でございますので、その二倍の百八円、それから第三期につきましては百六十二円、第四期が二百十六円、五期が二百七十円という調整金額を交付する、こういうことにいたしておるのがこの六十億の出荷調整金でございます。これによりまして、ある程度現地倉庫事情なり出荷事情に対応するような農家あるいは生産者団体等の御協力がいただけまするならば、そのような措置を別途用意して、この出荷対策に臨んでいく、あるいは倉庫対策に臨んでいきたいということでございます。  それから百二十億の農政費のほうでございますが、これにつきましては、先ほど申し上げました、現在のやはり政府手持ち量の増大、またことしの場合等におきましても、作柄によりまして政府出荷相当見込まれるわけでございますので、これにつきましては、むしろ食糧管理の現状からいたしまして、そういう繰り越し米が増大してきているというような客観情勢、また倉庫不足対策というような観点からいたしまして、これを倉庫建設ということに百二十億の特別融資を行なうということに方針を決定いたしておるわけでございますが、その際の内容といたしましては、長期保管対策長期保管体制ということを、食糧管理実態からいたしましてそういうことを念頭に置いた考え方に基づきまして、低温、準低温というものを含めるわけでございますが、いわゆる長期保管に適するような規格倉庫を整備するということによりまして、大体百万トンのそういう長期保管体制を、しかも倉庫条件の整った低温完備のもとにおいて品質保全をはかりながらそういう対象倉庫の拡充をはかるということで、百二十億を融資することにいたしたわけでございます。この百二十億につきましては、この条件等につきましては目下政府部内でまだ最終的な考えがまとまっておらないわけでございますが、まあ二十年の長期融資というようなことを一応目安に意見調整をいたしているわけでございます。またその融資利率等にいたしましても、この本件の措置長期保管体制なり、またそういう低温倉庫という特別な施設に対する助成でもあるわけでございますが、まあ農林省といたしましては六分五厘のような金利が実現することを念願いたしまして、いま政府部内で調整をいたしているわけでございます。  なお、申しおくれましたが、先ほどの出荷調整対象目標数量といたしましては、総数量二百万トンがこの出荷調整が行なわれるといたしましても、それに対応する金額措置ということを考えている次第でございます。  以上、概略説明いたしました。
  12. 温水三郎

    温水三郎君 百二十億の農政費倉庫不足対策であるということはわかりましたが、これについてもうちょっと詳しく質問をいたしたいのでございますが、その前に、ちらっと聞いたんですけれども、翌年度は半額補助になるというような話があったことはないですか。その点まず明らかにしてください。
  13. 田中勉

    説明員田中勉君) そのようなことは私ども承知をいたしておりません。
  14. 温水三郎

    温水三郎君 それでは、まあその話は消えたんだろうと思いますからけっこうでございますが、ただいま百二十億の倉庫対策に対して、長期保管倉庫、すなわち低温または準低温という話でございましたが、こういうような考え方で百二十億の金を借りて倉庫を建てるということに対する見通しはどうであるかという点をお尋ねしたいのであります。というのは、現在食糧倉庫建設の機運があるのは、低温または準低温ということではなしに、普通の農業倉庫建設意欲がかなりあるようでありますし、かつまたその倉庫もそう大きな倉庫ではないというようなふうに聞いておるのでありますが、低温または準低温倉庫ということになりますというと、なかなかその建設がむずかしいのではないか。そこで、倉庫不足対策としては百二十億円の金が消化されるかどうかという問題と、それからはたして倉庫不足対策に間に合うような倉庫建設がなされるかどうかということが非常に危ぶまれるのでありまして、私は低温または準低温というような倉庫消化能力がもしないとするならば、十分でないとするならば、こういう現在の食糧倉庫に対する建設に対してこの百二十億の長期低利融資をすみやかに行なうことのほうが現実的政策ではないかと思うから聞いておるのであります。そういうことに対して御答弁を願いたいと思います。
  15. 田中勉

    説明員田中勉君) いま御指摘ございました点は、この百二十億の対象としております倉庫規格なり内容というものは大体先ほど私が申し上げたような考え方であるわけでございます。何ぶんにも現地では倉庫が非常に不足しているという現実があるし、また御指摘でございましたように、協同組合等におきましては、それぞれ本年度に入りましても、現地現地でいろいろな倉庫の着工しているものもございましょうし、また着工したもので完成しつつあるというようなものも実はこの点私ども承知いたしているわけであります。しかし、私どもが特に本年度につきましてこの百二十億の長期低利融資というものに踏み切りました一つの背景といたしましては、やはり米が長期保管される、食管特別会計から見ましても、やはり相当長期保管されるという実態がこの背景にあるわけでございまして、その長期保管の中の相当数量の品質保持の観点、またあわせてそれが倉庫収容力の確保についても役立つというような観点からいたしまして、先ほど申し上げました低温または準低温というような規格のもの、それから先ほど申し落としましたけれども、一棟当たり倉庫の規模は百坪以上という、少なくとも一年以上にわたって長期保管をするということになりますと、しかも低温または準低温施設を加えるということになりますと、まず百坪以上のものが単位であろうということでいまのような考え方を進めているわけでありますが、そういう倉庫をあれする以上、かなり低温施設なりあるいは準低温施設については普通の倉庫に比べて費用がかかるわけであります。したがって、そういうものにつきましては二十年にわたる長期融資、同時に金利等につきましても、通常の近代化資金の金利に比べてやはり六分五厘といったようなことで、ひとつこの際措置をいたしてまいることがよろしいのじゃないか、こういうぐあいに考えているわけであります。しかしながら、先ほど申し上げましたように、現地でもかなり普通の規格の常温倉庫建設も進行途上にあることも事実であります。そういうところにおきましては、低温ということになりますと、建設からしてあらかじめ設計をもって進むことが望ましいわけでありますが、準低温になりますと、これは断熱材等を簡単に使用することによって十分そういう準低温規格のものに合致するということになっておりまして、常温倉庫建設の計画の進行途上におきましても、そういうふうに準低温に切りかえるということは比較的簡単にできるものでございますのでそういう点においてやってまいりたいということでございますので、私のほうの方針といたしましては、現在のところ低温倉庫または準低温という規格のものの条件で推進をいたしていきたいというように考えております。
  16. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 関連。  いま同僚温水委員質問に対して、百二十億の融資に対しては補助は考えておらぬ、こういった答弁のように聞いたのですが、私どもの自民党の部会においては、百二十億は本年度融資をして、来年度これを五割の補助に切りかえる、こういう説明があったのですが、その説明とたいへん違うように思いますが、簡単に御答弁願います。
  17. 田中勉

    説明員田中勉君) 百二十億の融資につきましては、本年度においてやるということについては、私どもその方針で進んでおるわけでございますが、来年以降の問題については、先ほども温水先生から御質問ございましたように、私ども承知いたしておりません。
  18. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 関連。質問者がいま中座をいたしておりますので、私御質問いたしたいと思いますが、米の問題くらい私はたいへん変わったことはないと思います。早く出すということで奨励金を出して、早期供出奨励金というのが長年続いてきた。ところが、今年のような事情で、おそく出したら今度は奨励金を出すということになって、両刀が使えることになった。倉庫事情等もあるであろうと思いますが、六十億に対しまする総供出量の、集荷量の何%くらいがその該当する数量になるのか。聞くところによると、二〇%程度ではなかろうかというようなことを承っておりますが、いま農家に、広くは承知をいたしませんが、米を格納しておく従来の倉、あるいは地方では戸だなと称しますが、入れものが、ただいまは生活の様式が変わってまいりましたので、おそらくないと私は思う。それも農林省は御承知の上御決定になって、農家がおそ出し、この制度に乗ってくるであろうと考えておやりになったのか。または、米価の上積みみたいな形でカムフラージュするつもりで六十億お出しになったのか。私は現実として、農家に二〇%の米を何カ月もネズミに食わさないように格納ができる施設は、いまないと考えておるのでございます。どのような観点でこのような政策をおきめになったのか、お伺いをいたしたいと思います。
  19. 田中勉

    説明員田中勉君) 最初に御指摘ございましたように、本年におきましては、従来の時期別加算金、そういう制度は全廃をいたしたわけでございます。そして、それにかわるものといたしまして、暫定的に暫定加算制度をとったことは御承知のとおりでございます。そこで、この出荷調整措置でございますが、これは私のほうからいたしますると、相当昨年から——約二百六十五万トンの前年産米を繰り越して、昨年の実態は前年から繰り越したものが約六十万トンということでございますので、少なくとも前年中二百万トン以上の米が、再盛期に農業倉庫なり、あるいは消費地の営業倉庫に配置されておるわけでございます。そういうことからいたしまして、ことしの米の買い入れのテンポからいたしましても、やはり相当これは倉庫事情のために現地相当苦しむということがあろうかと思います。私どもはもちろん倉庫調達のためにはできるだけ消費地にこの昨年からの繰り越し米をある程度保管がえをするということで運送にもかけておるわけでございますが、それにもおのずから限度があるわけでございます。そういう意味で、やはり現地倉庫対策ということを主体にいたしまして、その結果農家なりあるいは生産者団体の御協力によりまして、従来のテンポをずらすことによって、その間に政府の買い入れが円滑に行なわれるというようなことを所期いたしておるわけでございます。  そこで、数量はどうかというお話でございましたが、先ほど私申し上げましたように、ことしは一応予算措置としては二百万トンということを目標にいたしております。それは全買い入れ量がことしの場合かりに九百万トンということになりますると、二割ちょっとというような数量が該当するわけでございます。しかしながら、これは全国一律に——倉庫事情がその県その県によって違っておる場合もあるわけでございますし、倉庫があいているのにわざわざ出荷調整をするのだというような機械的な指導方針はとっておりませんし、十分その倉庫対策との相談の上においてこれが円滑に行なわれるように配慮してまいりたいということを考えておるわけでございます。  それから先ほど時期別格差ということで奨励金というお話が実はあったわけでございますが、これは農家がかりにそのテンポをおくらした場合におきましては、通常の年であれば代金が入れば金利が入らない、それに見合うものをあれする。それから保管料等につきましても、農家側が負担してその分だけおくらしておるということになれば、その保管料に見合う分だけ農家に出すということで第一期五十四円ということで算定をいたしておるわけでございます。
  20. 温水三郎

    温水三郎君 この倉庫の条件というか、これは百坪以上であって、少なくとも準低温倉庫というようなお話でありますが、そういうようなむずかしい基準では当面の倉庫不足対策にはなり得ないと私は思うわけであります。さらに米が将来いつまでも余るのか、あるいは不足するのかという問題は、これは重大な問題であって、私は必ずしも今後こういうふうに米が余る現象はそう長期間続くものではないと思いますが、この問題はここで御質問申し上げると長くなりますからこれをおきます。  もう一つの問題としては、米をかように余すような状態になったことは、政府のいたずらな増産の政策と、それから米の消費に対する消極的な考え方とに責任があると思うのでありますが、これもここでは論議をいたしません。ただ問題は百坪以上、準低温以上の倉庫でなければならないという根拠が私は非常に薄弱であると思うのでありますから、その根拠について質問するために、前段申し上げた二つの問題を前提にして申し上げるわけでありますが、私はかような百坪以上、準低温というようなことを言わずに、現在つくられつつある、あるいは計画されておる倉庫に対してこの百二十億円を使うことが政策上きわめて妥当ではないか、現実的ではないかと思うのであります。この私の見解に対してひとつ根拠をもって御答弁を願いたいと、こう思う次第であります。
  21. 田中勉

    説明員田中勉君) この対象になる倉庫の適正規模についての御質問でございますが、私どもといたしまして、やはりこの準低温施設なりあるいは低温施設というものを設けるといたしますと、相当長期保管体制ということになるわけでございます。したがいまして、その点からいたしますると、やはり倉庫建設費の中に準低温施設とかあるいは低温施設の経費も相当かさむわけでございますので、適正規模ということからいたしますと、そういう長期保管、あるいは施設に対する単価も上昇しておるわけでございますから、その点からいたしまして、百坪以上が適当ではなかろうかということで、いま部内ではその方針を検討いたしておるわけでございます。
  22. 温水三郎

    温水三郎君 ぼくが言っておるのは、そうするというと、政府はいつまでも米の生産が多くて消費が少なくて米が余る、そうして大量の米を長年にわたって政府が貯蔵しなければならぬという前提で、ものを考えておるように思うのであります。古米古米といって盛んに騒いでおるけれども、もみ貯蔵すれば十年ぐらい味は変わらないということは、これは古来の定説であるかと思います。したがって、こういうような方向も考えるべきであって、いたずらにこういう質の高い倉庫を建てておいて、そして倉庫業者の負担を重からしめることは、私は政策として妥当でないと思うのであります。そういう観点から質問をいたしておるのでありますから、その点について確信のある御答弁をいただきたいわけであります。
  23. 田中勉

    説明員田中勉君) もみ貯蔵のお話が実はございましたのですが、もみの貯蔵の問題につきましては、確かに玄米貯蔵に比べて有利であるというような観点、また長期保管ということになりますると、もみ貯蔵がより合理的であるというようなお話も実はあったわけでありますが、私どもは、現在の需給については先生もお触れになりましたように、まあここ一、二年のものであるか、また将来はどうだということは、これはもう一がいに断定できない問題だと思います。ただ、最近の需要の動向からいたしまして、また生産の水準等からいたしまして、当分の間は相当繰り越し米を保有していかなければならぬというような実情に置かれるのではなかろうかというぐあいに考えておるわけであります。そういう観点からいたしまして、この品質保持の立場からいたしまして、直ちにそれがもみ貯蔵倉庫というようなことでなくて、やはり玄米段階において、収容力ももみ貯蔵に比べましてこれは半分で済むわけでございます。そういうことからいたしまして、多少の手を加えることによってその常温倉庫が準低温という機能を発揮するわけでございますので、その意味におきましては比較的に経費もそうかさまないで、そういう倉庫施設を設けることができるわけでございますので、この際そういう倉庫等につきましては、これはどうもあまり明快な御納得のいくような、規模等については百坪以下では絶対だめで、百坪以上が望ましいのだというようなお答えはできないわけでございますが、百坪以上くらいのものを、長期保管体制倉庫分として別に今度の特別融資措置によってそういうものを設定していくのが望ましい形ではなかろうか、こういうぐあいに考えておるわけであります。
  24. 温水三郎

    温水三郎君 百坪以上、準低温以上ということは確定しておるやに承るのでありますが、この点は、もし検討の余地があれば再度検討をして、この条件を緩和してもらうことを要望いたします。  次に、最後に一点だけ質問をいたしますが、米が足りなかった、したがって味の問題はかまわないで増産を奨励した、それから米が足りなかった、だから米の消費を抑制する方向に政策をとっていった、こういう過去の歴史があるわけでありますが、こういう事態になってくると、外米とは比較にならないうまい米をつくるということ、それから、また米の消費を伸ばしていくという積極的な政策が必要だと思うわけでありますが、この問題に対して次長の御見解を、農林省としての見解であればなおけっこうですが、承りたいと思うわけであります。この点の御答弁を願って、時間もまいりましたから質問を打ち切ることにいたします。
  25. 田中勉

    説明員田中勉君) 私からお答えするのは不十分かと思うわけでございますけれども、うまい米づくりということが、特にこういう米の需給が大幅に緩和してまいりますと、それぞれ配給段階、また消費者の側においてそういう要望が非常に高まってきていることも事実でございます。従来におきまして、増産一点ばりというような批判は一部にあるわけでございますけれども、しかし各県の段階等私の承知している範囲におきましては、やはりその県の奨励品種に選ばれるようなものは量も質も相当兼備したものが大体選ばれているように思うわけでございます。もちろんその県において選ばれたものの中で、それが便宜その地帯でなくて特に他の地帯で活用されるというようなことからいたしますると、もう質の問題がそこのところではネグレクトされまして、やはり量の問題に着目される品種が実はあるわけでございます。現在各県で奨励品種に選定されておりますのは、その県あるいはその地帯において相当やはり私は質の面においてもこれは兼備しているものだと思うわけでございますが、問題はそういうものがやはり他の地域まで行っている、そうして量に特に着目されている、こういう問題もあるわけでございます。そこで私のほうといたしましても……
  26. 任田新治

    理事任田新治君) 簡単に願います。
  27. 田中勉

    説明員田中勉君) 極力今後の消費者の需要の動向を反映するようにできるだけ生産者のほうにそういう米づくりの認識を深めていただきまして、そういう指導をとってまいりたいというぐあいに考えている次第でございます。
  28. 温水三郎

    温水三郎君 私の質問の要点は、いまはうまい米よりも増産したほうがもうかるように政策がなっている、だからその政策を改めて品質のいいうまい米をつくればもうかるという政策をとる意思はないかどうか、あるいはまた食生活の改善といったようなことで実は改悪を行なっていると私は思っている、こういうような政策を変換する用意があるのかないのかという点を聞いている。
  29. 田中勉

    説明員田中勉君) お答え申し上げます。  いまのいい米をつくるということを推奨する場合におきましては、やはり価格問題がそこに伴ってくる問題だと思います。また同時に、そのいい米を判定するということになれば、配給段階において消費者の選好というような面を反映させなければならぬ問題もあるわけでございますので、今後、農林大臣も指示されておりますが、食糧管理運営の改善の一環として、そういううまい米というものの位置づけというようなものを検討してまいることが適当ではないかと考えているわけでございます。
  30. 森八三一

    ○森八三一君 関連。  先刻の温水委員質問、再質問を櫻井委員からいたしましたが、百二十億の農政対策費はあくまで融資であって、昭和四十四年度にその半額だけは補助に切りかえるということについては承知いたしませんという御答弁でしたが、これは重大な問題なんですよ。いいかげんに私が知らぬからと、この速記を残した席であたかもそれが政府の見解であるかのごとく説明されては困るのです。私どもは国会の場ではございませんけれども、同様の権威を持った場所におきまして、本年度はいわゆる総合予算主義のたてまえから予算を更改するわけにいきませんので、とりあえず財政投融資から百二十億の融資をする、が、しかし、四十四年度にはその半額だけは補助に切りかえますという説明を明確に聞いているのです。それをただ単に事務的に聞いておらぬからそれが政府の当然の見解であるという答弁ではこれは納得できぬ。その点政府の見解であるかどうか。重大問題だと思うのですが、もう少し明確にしていただきたいのです。これは半額の補助をするということは約束されていることなんです。  それから第二点ですが、百二十億の金で倉庫の建築を奨励するといっても、六十億の金でおそ出しを奨励するといっても、先刻堀本委員からお話があったように農家にはその米を完全に保管、管理をするような施設というものもなくなってしまっている。そうすると、わずかな目くされ金をもらって納屋に積んでおくとネズミに食われてしまう。米が余っているからネズミに食わすことを奨励するために金を出す、皮肉に言うとそうなっちゃうのです。だから、ほんとうにその農家の納屋に置くことが可能であるとお考えになっているのかどうか。そういう調査ができておって、企画が成り立っておるのかどうか、その辺の調査があれば聞かしてもらいたい。私は現に各地に参りましていろいろ伺いますると、とてもそんなことは責任を持って管理をするわけにはいきません、責任だけしょわされて、あとで泣きべそかかなければならぬということになりますのでお断わりしますと、こう言っているのですからね。お断わりするというと、いわゆる倉庫がなければ政府は検査をして引き取らなければならぬわけです。雨ざらしにして放置してしまうということも起こり得ると思うのですが、その辺どうなさいますか。
  31. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 遅刻をしてまいりまして恐縮でございます。百二十億の米の長期保管施設の整備の融資におきまして、明年度からこれを半額補助に切りかえるということは、たしか新聞紙上でそういうような記事がありましたことは私も読みましたけれども政府としてそういう決定をしたということは全く聞いておらないのでございます。聞いておりません限り、承知をいたしませんと申し上げる以外には私は方法がないというふうに思うわけでございます。なお、ほどなく農林大臣もお見えになると思いますが、少なくとも農林大臣からも私どもはそういうことを聞いておりません。  それから、六十億の出荷調整対策費でございますが、これは確かに早々の間に私どももこういう措置をとることの決意をいたしましたのでございまして、農家にどれだけの保管余力があるかということの調査はいたしておりません。いたしておりませんが、御案内のように本米穀年度末には昭和四十二年産米繰り越し米が、玄米では三百万トンに近いものが繰り越されるということが見通されるのでございます。また、本年の産米も順調な生育過程を経ておるという段階でございますので、政府政府指定倉庫で買い入れをするということが、過去のように円滑にいくかどうかについて疑問がございましたので、農家ないし農業団体、農協等の御協力を得て、従来の出荷ピークをくずすことによって政府の買い入れが円滑に行なわれるということを期待をいたしまして、その用意の措置を考えたわけでございます。農家が全く保管能力がないのにこれを押しておるということを考えているわけではございません。ただ、こういう需給事情になりました場合には、この席で申し上げるのはいかがかと思いますけれども政府としても買い入れ保管について十全の努力をすべきであります。その点をいなむものではございませんが、生産者につきましても、現在のようなかつてない需給事情のもとにおきましては、できる限り食糧管理全体の運営が円滑化されるように、御協力を願うという気持ちだけは私は持っていただきたいというふうに思うのでございます。御指摘のように、現在の農家に私どもは大量の負担能力があるとは思いません。思いませんが、農家が少なくとも自家保有米の保有の経験もあることでもございますので、できる限り倉庫事情とにらみ合わせて、計画的に出荷調整をするということに御協力を願えたらという考えでございます。
  32. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 私は米の問題は大臣が来てからお尋ねをすることにいたしまして、四十三年度全国各地に起こりました干ばつの対策について、お伺いをいたしたいと思います。  青田政務次官は、八月中、下旬の台風及び集中豪雨被害について御報告をこの委員会開会当初に行なわれました。まことに御親切な御報告であったと思うのでございますが、干害については一言もお話しになりません。あとで順次御質問を申し上げますが、少し干害対策については冷淡なのではなかろうかという感じを受けるのであります。かつては、干害対策について、それぞれ干害地方に対しまして、このようにすべきである、この問題についてはこのような対策を講ずべきであるという、従来は指導要綱のようなものをそれぞれ配付をいたし、通達をしたものでございます。ところが、今回は、それらの通達もなく、農林省が報告をする災害の中にも四十三年度の干ばつについての御報告がございません。私は何となしにこの干ばつの被害というものを軽視しているのではないかというふうに考えるのでございます。これは御答弁を求めません。お答えしにくいことであろうと存じますので、私は答弁をしてくれと申し上げるのではございませんが、反省はしてもらいたいということは申し上げておきたいと思います。  昨年に引き続いて中国、四国、九州——これは各県でございます。被害をこうむらなかった県はございません、全部被害を受けております。なおその上に、私の手元にありまするデータによりますと、東北、関東、北陸、東海、近畿に至りまする地域にもそれぞれ今年は干ばつの被害を受けているわけでございます。ことしのように雨がだいぶあって、しかも集中豪雨がある年に、干ばつの被害があるなど考えること自体がおかしいじゃないかというお考えを農林省はお持ちになっておられるのではなかろうかと私は心配をするのでございますが、去年のあの七十年来の大干ばつに遭遇いたしました農家は、あるいは農民は、従来ありまする降雨量の約半数程度の水しか確保できておりません。正月あるいは二月、三月、特に四、五、六の水の最盛期になりましても、まだ雨が降りません。所によって違いますが、六月末あるいは七月の二日ごろに降雨があって田植えを始めたというのがことしの例でございます。これらの状況等を通じまして、農林省は干ばつに対してはどのような対策を講じるのか、すでに御研究になっておられることと思いますが、まずそれらの対策についてお伺いを申し上げたいと存じます。
  33. 中野和仁

    説明員(中野和仁君) 堀本先生のお話でございますが、ことしの四月、五月、六月の下旬におきまして、西日本を中心にかなりの干ばつがございました。あるいは先ほど御指摘のように、新潟、愛知、滋賀というようなところにもあったということは、私どもよく承知しております。そこでわれわれとしましても、各県の応急対策に注目しておりまして、このほど被害集計を集めたわけでございます。それによりますと、県の報告によりますれば、総額三十八億五千万円程度の応急対策をやったということになっております。本件につきまして、従来全国的な規模になりました場合は、あるいは水路を臨時につくったとか、あるいはポンプを設置したというような費用について応急対策として、結果を見ました上でしております。本年もいま申し上げたような金額でもございますので、応急対策としての助成措置を講ずべきではないかと私のほうとしては考えまして、目下大蔵省と折衝をしておるわけでございます。そして基本的にはことしも助成をしようという方針を大体内定をいたしまして、それに基づきまして、具体的な基準をどうするかという問題を現在作業をしている最中でございます。
  34. 太田康二

    説明員(太田康二君) 私のほうの関係では、干ばつを受けました数県におきまして、追いまき用の種子の購入費、それから予備苗しろの経費の助成についての要望がございます。これにつきまして、現在関係農政局を通じまして実情の調査をいたしておるのでございますが、われわれといたしましては、従前にもこういったものに対しましての助成をいたした例もございますので、これを参酌しながら現在順次折衝を進めておる、こういう段階でございます。
  35. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 わかりました。助成をしよう、三十三年来干ばつに対する農林省は何らかの助成をしてきたので、今年も干ばつが起こったことは承知をしておる、したがってそれに対する助成を考えて目下大蔵省と相談をしておる、こういうふうに承ったのであります。従来はこういう気象条件になりますと、農林省はそれぞれ指導要綱等を出して、手厚い指導をするのでございますが、米ももうこのくらいに上がってくるから、そうたいして指導するには及ぶまいというようなお考えもお手伝いになったのかとも存じますが、地方ではどういうことであろうか、例年はたいへん懇切に御指導いただいた、今年は通達等もまだ出てこないが、いただけるだろうかということでたいへん心配をいたしております。その点はどうぞ十分にお考えをいただきたいと思うのであります。言いがかりで干ばつだなんて言っているのではないのでありまして、調査の結果、すでに助成金をもらって施設をしておるもの、その他についてはもう重複をする被害等はなるべく除外をして調査をいたしましたものが全国で三十八億でございます。一口に三十八億と言いますけれども、零細な農家にとりましての三十八億というものは実にひどい災害であると私は思っております。  そこで、どうしてこんなふうになりましたかということを一言つけ加えておきたいと思いますが、去年の災害でたいへん困ったから、水位が井戸でも下がってまいりました。池には大体二合半ないし三合水程度しかございません。冬水が入っておりませんから、池が相当に貯水量が減っております。そこで目下二ヵ月も降雨量がない、普通の年の半分くらいしかない。心配のあまり池を掘る、あるいは川から水を導入し、あるいはその他の井戸を掘さくいたしまして、池に再び水を確保する手段を講じたというのでございます。去年のような異常干ばつがなかったならば、私は農家もこれだけに驚かなかったのではないか、それが去年のことでもうほんとうに骨の髄まで干ばつというもののおそろしさ、その被害に連年苦しめられてはというたいへんな心配が高じて、私はああいうふうな施設をしたのであるというふうに理解をいたしておるのでございます。したがいまして、当然御調査をいただきまして、井戸の掘さく、あるいは貯水槽の設置、揚げ水機の設置をいたしまして用水の確保に要しました工費、あるいは直接田に湛水したのではございませんが、ため池に川から水をくみ上げた施設工事、そういうものについては、あるいは揚水機だとか原動機のことを申しますが、そういうものについての購入負担を、あるいは借り入れをいたしましたもの等を区別いたしまして援助をしていただきたい。こういうことは例年あることでございますので、重ねてお願いを申し上げたいのであります。そういう点について御配慮をされつつありますが、まだきまっておらぬとおっしゃるのですから、考えておる点がありますれば、お伺いをいたします。
  36. 中野和仁

    説明員(中野和仁君) いまお話がありました水路の掘さくなり井戸の掘さく、それから揚水機その他応急対策としてやりました施設につきましては、助成の対象にいたしたいというふうに考えて折衝しております。
  37. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 次に、干害というものはもう毎年やってくる。私は四国でございますが、いろいろな統計を見ましても、災害が繰り返し繰り返しある、特に干ばつが多い地帯でございます。これらに対しまして、昨年からであったかと存じますが、干ばつ常襲地帯用水確保に関しまする事業というようなものが三年計画で助成をされて、本年から実施をいたしておるのでございます。これらの応急でなくて恒久的な対策についてどのようにお考えになるのか。あるいは四・三・三ですか、というような補助になって三年間にやるのですが、規模はたいへん小さい規模でございますので、三年の長きにわたらないで、年度じまいを少なくとも一年繰り上げて二年程度でやっていただけまするようにお願いを申し上げます。  それから三分五厘の非補助土地改良の問題、こういうことで水を確保さす方法等もあわせて考えるべきである、こういうふうに私は考える。農林省は予算要求の時期でもございましょうし、これからの農業は水を確保する、ことに畑地にも水を確保するということでございます。そういう時代がまいりました。近く新農政についての御審議をされると伺っておりますが、そういう点について非補助小団地の三分五厘のつまり資金の確保、先ほど申し上げました干ばつ常襲地帯の水資源の確保の事業というものについて明年度も実施をされ、大幅にその資金ワクをつくっていただきたい、干ばつ地帯の農民の声といたしましてそういう声がございます。この点について農林省、できれば農林大臣、大蔵省からおいでになっておられるどなたかにお答えをいただきたい、かように思います。
  38. 中野和仁

    説明員(中野和仁君) 干ばつの恒久対策につきましては、基本的には国営なり県営なり、かんがい排水事業を強化することだと思いますけれども、特に先ほど御指摘になりましたように、四十三年度——年度から干ばつ地帯特別水源整備事業を実施することとしておりますが、その内容は、本年度新設いたしました事業は十五億二千万、本年度の事業費は五億二千万でございます。それで先ほど先生御指摘のように、これを小さな事業を三年もかかってはというお話でございますので、われわれといたしましては、来年度の要求をこれから大蔵省と折衝するわけでございますけれども、二カ年間で完了いたしたい、一つの地域については二カ年間で完了いたしたいということで予算要求したいと思っております。  それからもう一つ、御指摘の非補助融資の問題でございます。非補助融資の希望が最近非常にふえてまいっております。そこで昨年の干ばつの事態にかんがみまして、昨年はある程度の追加までいたしたわけでございます。そこで本年度は初めからそういうことを頭に入れまして、そういう地帯に重点的にいくようなことを含めまして配分をいたしております。また来年もそういう方針に従いまして要求をいたしたいと考えております。
  39. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 私は農政の転換期にあるというふうに思うのでございます。このぐらい私は転換が現実に目に見えて——理論の上では転換だとか近代化だとか言われまするけれども、米にいたしましても、ついこの間まで、いまでも現実にはそうでございましょうが、早く出すことによって名前が変わりましたが、現実にまだ奨励金的なものが残っております。そうして必ず政府に持ってこなければ懲役に入る人たちもあったわけでございます。それが米が余るということで、たとえばおそ出しのほうへ、今度はおそく出したほうにも奨励金がある。昔桑を掘り起こすほうの補助金と新植する補助金が同じ年に二つ出たことがございます。片方は掘る補助金、片一方は新しく植える補助金、しろうとが考えると実に矛盾であろうかと思うのでございます。政府の米の取り扱いがこのぐらいひどく変わったものはない、こういうふうに思うのでございます。そういう場合に、いま何が大切なのかと言いましても、いろいろ大切なことは山積をいたしておりますが、水田の水資源の確保はもとよりのことでございますが、畑作、畑地地帯におきましても水資源を確保する。ことに、これから穀食率が減ってまいりますと、これにとってかわるものは野菜である、あるいは新鮮なくだものである、そういうものに変わろうといたしておりますが、これはみな畑作生産物が主たるものでございます。そういうような状況を踏まえて、今後水資源の確保に格段の政策転換をすべきであるという考え方を持っております。幸い大臣も御出席でございますので、それが果樹、畜産等その他のものにも振り向けられるものと私は思うのでありますが、特に水資源の確保については、この干ばつを受けた質問の中で関連的にお伺いをいたしたい、かように存じます。
  40. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 水資源の問題につきましては、私全く同感であります。これは御存じのとおり、もちろん一つ地区だけでなくて、国全体をあげまして近代社会における水資源をどう確保し、どう配分するかというのが国の政策の上での最大の基本問題ではないか。もちろん、国土の有効利用ということは大きな課題であります。その中においての農政、その場合に必ず水という問題をわれわれは考えなければいけない。そこで、水資源公団等を中心に大きな水系を指定して、総合的な水の配り方を考えると同時に、それらの地域地域におきましても、私どもは今後考えておる農政を転換し、推進をする場合におきまして、畑作等においての水、できるならば、それをかんがいまで展開したい。こういうような方向でやってまいりたいというのが私の所信でございます。
  41. 二木謙吾

    説明員(二木謙吾君) 私はここで傍聴をいたしておりましたけれども、大蔵省の意見をという前にお話がございました。その際申し上げようと思っておったのですが、その際もう次の質問をなさいましたから申し上げませんでしたが、いまあなたがおっしゃいました水資源の確保ということは、非常に私は大事な問題であると思う。日本ではまだ水を粗末にしておる。であるから、これはいま農林大臣もおっしゃいましたように、全国的にひとつ考え、水資源を涵養する、水資源を確保する、こういうことには国がもっと金を出さなければいけない、かように考えております。いままたさらに御指摘がありましたが、農地用のかんがい用水、あるいは水田だけではなくて、稲作についての水の開発というのが稲作だけではなく、あるいは畑地においての水の開発、この野菜とかあるいはくだもの、その他園芸、こういうものに対してもやはり水が必要でございますので、私はこの干ばつで困っておるところを実際視察をいたしましたけれども、そういう面においてもあるいはため池をつくるとか、あるいはまたダムをつくるとか、そういうふうにして水資源を涵養するということは非常に大事な問題でありまして、大蔵省としても農林省から要求があればひとつ全面的に協力したい、こういう私は考えであります。
  42. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 いま大蔵次官からきわめて懇切なうれしい御答弁をいただきました。速記録についておることでございますので、どうぞひとつ農林省から要求がございましたときには、誠心誠意この要求にこたえていただきまするように御配慮をお願い申し上げたい。特にただいまの御答弁は、これから将来に関しまする配慮をするというお話であったかと存じますが、どうぞ、たちまち今年干害を受けて、そうして困窮をいたしておりまする農民を、将来救いますというのではなくて、ただいまの予算についても大蔵省は格段の御配慮をもって予算をおつけになるようにお願いを申し上げたい。  実は相沢主計局次長がお見えになったと存じまして質問をいたしたのでございますが、いまはおいでにならぬようでございます。したがいまして、次官は傍聴でなくて、本農林水産委員会に出席をした最高のスタッフとしてお聞きとりを願って、農林省からのかんがい予算要求に対しましては、全面的にひとつ御援助をいただきまするよう、この機会に申し上げておきたいと存じます。  農林省にもう一、二点申し上げたいと存じますが、これは農林省に伺うのはちょっと変な話なんですが、何か農林省のほうからお話があったやに聞きます。しかし、責任ある方が申しておるのではないというふうに理解をいたしておりますが、干ばつというものは続いてくるものであるというようなことが言われておるやに伺うのでございますが、これは気象庁に伺うのがいいのでございましょうが、最近の気象現象を見ると、干ばつが連続してきているというような感じを受けるのでございますが、これは今年の干ばつは今年の寡雨による水が少なかったということによって起こった現象でございます。それで予備苗しろに少しあわてて施策を急いでやったということも若干加わっておったとも存じます。この点についてどのようにことしの干ばつに対する気象条件、あるいは将来の干ばつに対する気象条件等、もし御研究になっておればこの際承っておきたいと思います。
  43. 原政司

    説明員(原政司君) 私からお答え申し上げますが、堀本先生御指摘のように、何ぶん、気象の問題はきわめて高度の専門的な問題でございますから、御質問の点にお答えするのはいささか場違い、また能力的に問題がございますが、御承知のように長期気象予報につきましては、気象庁におかれましては、毎年三月の十日前後に、春及び夏全体にわたる長期気象の予報を発表なさるわけでございます。その後毎月二十日の日に向こう三カ月の予報が発せられますし、その間に向こう一カ月という長期予報を発表なさることは御存じのとおりでございます。私らといたしましても、気象庁の長期予報に即しまして農作の指導について、地方農政局を通じまして各県に御連絡を申し上げておるというのが実情でございます。本年は三月の初めの暖候期全般予報におきましても、本年も西日本におきましては盛夏におきまして雨が少ないのではないかという御発表がございますし、またその後の長期予報におきましても、同様の趣旨の御発表が続いておるわけでございます。したがいまして、われわれといたしましては、たえずそういう点に注意を払うようにという連絡をしておりましたが、先ほども干ばつについて先生からお話がございましたように、三月、四月、五月あるいは六月における西日本の寡雨状態にかんがみまして、六月の上旬には、稲作といわず果樹、蔬菜につきましても注意を喚起したのでございます。特に西日本におきまして。特にこの夏におきましても、気象庁の注意によれば雨は少ないのではないかという御指摘でございまするので、そういう趣旨を加えまして指導を行なったのでございます。しかし御指摘のような干ばつは年々続いてくるかどうかという点につきましては、気象庁におかれても、過去の統計あるいは世界的な気圧の配置等をいろいろ研究しておられますが、私の承知しておる限りにおきましては確たる御見解があるとは存じておりません。たいへん要領を得ない答えでございますが、以上のとおりでございます。
  44. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 わかりました。  もう最後でございますが、もう一つ申し落としておりましたので申し上げたいと思います。今年の助成に対しまして、最初から苗しろは、自分が耕作する面積に即した苗しろをつくるのが通例です。ところが、だんだんと雨がなくて、植えつけがおくれるとみて予備苗しろをつくりました。これはあとで公文書等をごらんいただいたらわかりますが、県によっては、県がもう水がどうしてもこの状態では植えつけが不能であると思われる面積については、予備苗しろをつくるべきであるというような通達指導をいたした県がございます。それにつきまして、従来なかったことでございますので、これはたいへんおくれると困るという考え方でそのような対策を講じたということを御了承おきを願いたいと存じます。  それから三十八億程度で、しかも集中でない、散漫的に被害をこうむった金額でございますので、激甚災害に指定をされるかどうかということについてはたいへん心配をいたしますが、前年大被害を受けた、今年またその被害を受けたという同じような種目での重ねての被害でございますので、同種類の被害でございますので、この点は御調査の上激甚災害の適用ができまするように、しかも、もう落ち水——落水の時期でございます。この落水の時期になってもまだ対策がどのようにか発表されておらないということで各県の責任者は苦慮をいたしております。のみならず、もう県会におきましても、自分のそれぞれの県でどのようにこれを予算措置を講じなければならぬかということ、九月は予算時期の月でございます。それに中央がまだきまってこないということで、どのように予算を組んでいいのかはっきりいたしません。すみやかにこの問題を解決して、地方に安心をするように御指示をお願い申し上げます。この点はお願いを申し上げます。  園芸局長がお見えのようでございますのでお願いを申し上げ、御意見を伺いたいと存じますが、従来、果樹は産地の畑作に植栽するものである。したがって、最初から水を考えておまえら植えたものじゃないじゃないか、したがって、そういうところに干ばつが起こってもそれはやむを得ないのではないかという——言いはしませんよ、そういう顔をして——農林省はそんなことはありません、園芸局長さんもそういうことはないと思う。大蔵省がとかくそういう顔を、私のひが目か、そういう気がしてならない。私は、いま穀食率が減って、新鮮な野菜やくだものに集中して選択的拡大という名において奨励をいたしてまいっておりまする段階において、園芸作物には水が不要である等のごときお考えはないと思うのでございますが、米と同様に取り扱っていただきまするよう、そういう用意があるかどうか、御決意のほどを承っておきたいと思います。
  45. 池田俊也

    説明員(池田俊也君) 従来たとえばかんきつ等につきまして水が十分でないところに植栽をするという傾向が若干あったようでございます。しかし、私どもはやはりそういう果樹園等につきましても水の問題は大事である、こういう感じを持っておりますし、現在は御承知の果樹農業振興特別措置法がございますので、これによりまして私どもは基本的な方針をまず定めまして、逐次県の段階では具体的な計画をつくっていただいているわけでございます。で、そういうような計画に沿うものにつきましては、極力やはり土地の基盤整備から考えていきたい、こういう気持ちでやっておりますし、今後もさらに農地局等とも御相談をいたしまして、畑地におきます基盤整備については特段の努力をしたい、こういう気持ちでおるわけでございます。
  46. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 最後に、自治省おいでになっておりますか。お見えにならなければやむを得ません、残念ながら省略いたしますが、農林省等からそれぞれ自治省にも渡りをつけてお願いを申し上げておきたいと存じますが、公共団体、すなわち市町村のこれらに関しまする支出に関しましては、特別交付税なりその他の各般の配慮を今後もすべきであるというように考えておりますので、私のほうも自治大臣のほうへ申し入れをいたしますが、農林省としても、農業干ばつに対する対策の一連として、御協力をお願い申し上げ、御配慮をお願い申し上げたい、かように存じます。  もう昼をすぎたようでございますので、私の時間もこれで済んだようでございますから、簡単でございますが、これで終了いたしますが、くれぐれもこの委員会で御答弁になりました御決意は変わらぬようにぜひとも早急にこの問題をお願い申し上げまするよう、特段の御配慮を要望いたしまして私の質問を終わりたいと存じます。
  47. 中村波男

    ○中村波男君 私はまず最初に、災害復旧対策について西村農林大臣にお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、先ほど青田政務次官から災害状況について御報告を承りまして、その総額二百六十五億余に達しておることを承知し、被害の大きさに驚いておるようなわけであります。また、ただいま堀本委員からも西日本一帯の干害について御質問があり、その被害相当激甚をきわめておるようでありますが、災害地を視察いたしまして、ひとしく被災者並びに関係団体が強く要請いたしておりますのは、何とか激甚地指定をしてもらえないだろうか、また天災融資法等々の措置をとってもらわないと復旧もできませんし、農業経営の再建もできないという強い要請が出ておることは、陳情その他で大臣も御承知だと思うのであります。したがいまして、八月十七日、八月二十六日、台風十号等の災害中心に、さらに干害等について、農林省としてはどのような方針で対処されるのであるか、その点をひとつお聞かせいただいておきたいと思うわけであります。
  48. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 第一は、激甚地の指定につきまして、非常に強い現地からの御要望があることは、私もすでに存じております。先般も衆議院のほうにおきましても、強い要請がございましたが、現在の被害額、いわゆる激甚地に指定になるべき国民経済運営のたてまえからいった指定基準には当てはまらない状況に立っておりますが、しかし地域あるいは被害額等の基準だけで、それだけでいいのか、あるいはその対象が小さくとも傷の深い場合、激甚地としてあるいは激甚地と似たような考え方で、別個の考え方をとるべきではないかという強い御意見もあるわけであります。政府全体といたしまして、この問題につきましては考えていかなければならぬ、検討してまいらなければならぬ、こういう姿勢でございます。天災融資法その他につきましては、私どもは比較的激甚地指定の問題よりは、何と申しますか、運用なり適用なりについては前向きに御答弁ができるというふうに考えております。
  49. 中村波男

    ○中村波男君 ただいま大臣としてできるだけ前向きで災害復旧対策に力を入れたいという御答弁をいただいたわけでございますが、私はそういう御答弁をいただきましても何となく空疎に聞こえるのであります。答弁のための御答弁をしていらっしゃるのではないかと疑いたくなるような発言があったやに私は新聞によって拝見いたしているのであります。と申しますのは、八月の三十日の閣議で本年度の米作予想を報告されましたあとの記者会見で「なあに、まだこのあと台風の大きいのが二つ、三つきてくれりゃあ、収穫量はぐっと減るさ」ということは、朝日新聞の「記者席」すなわち囲みに出ている内容でありますが、この囲みによりますと、「記者会見で」という、こういう前書きがあるのであります。大臣としては、いわゆる米の問題についてここ二、三カ月、ことばは悪いかもしれませんけれども振り回わされておられる。これ以上米が豊作であると、いわゆる米の需給上に農林省としてはいろいろ大きな問題をかかえておりまするから、そういう立場で、できたらことしも風が二、三回吹いて、いわゆる千四百万トンとか千三百万トンというような豊作でないほうがよろしいという考え方が語るに落ちるといいまして、こういう御発言になったのではないかと思うのであります。米だけお考えになる立場でそういう御発言をされたというそのことは、農林大臣の立場に立って考えますならば——理解はできませんけれども一そう思われたと私は思うのであります。しかし風が吹くということは、米の豊作を大臣の期待されるように減収をするというだけではとどまらないのであります。それに伴いいわゆる山林、農地、道路、公共土木その他大きな被害をもたらすのでありますから、私はこの発言については事実とするならば取り消しを願いたいし、一国の農林大臣として私は不謹慎きわまる発言であったと思うのでありますが、いかがでありましょうか、お伺いいたします。
  50. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) はっきり申し上げておきますが、私はそういう発言はいたしておりません。問題は、朝日新聞が「記者席」としてかってにひねって書いておるだけであります。それだけははっきり申し上げておきます。「記者席」については自分たちがかってにひねって書いたのだ、こう言っておるわけでありまして、私こそ被害者であります。したがって私はそういうような農林大臣として発言はいたしておりません。台風がいっぱいくればいいという発言はするわけもありませんし、米が減ってけっこうだという発言をするわけもありません。「記者席」という一つの囲みでジョークをまじえて、彼らが自分の立場で自分でジョークとして書いておるのであります。それははっきり申し上げます。  ただ問題は、私は災害につきましては一日も早くその災害復旧をして農民の生産意欲を高めたい、こういう点だけは私も皆さんと同じような熱意を持っております。十三日の日には一日閣議も岐阜県でございますので、その前日には災害地のほうに私も参りまして、直接に災害地の問題等につきましても取り組んでまいりたい。先ほど天災融資法の問題につきましても、現行法というもの自体をどういうふうに運用したらいいかというのではやはり限界があります。そこで対象にならなくても局所の傷の深いようなものは、先般も衆議院で申し上げましたように、あるいは別途のひとつ方法を考えるべきじゃないか、単に準ずるというようなことばだけで政治的に逃げるというようなことは、私はとるべきではない、こういうような御答弁を申し上げて政府においても前向きな扱いについての検討をすべきではないか、こういう所信を持っているわけであります。  天災融資法の扱いにつきましては、おそらくあの地域自体を見ますれば対象になりにくい数字かもしれませんが、地方全体を取り上げて関連をさせるというような方向において、私は天災融資法のほうは何とか解決するような方法の道を発見したいというのが、農林大臣としての所信でございます。
  51. 中村波男

    ○中村波男君 いま大臣は色をなして憤慨をされまして、そういう言明は全くしておらぬということをおっしゃったのでありますが、これ以上私と大臣と、言った言わぬといいましても、私が立ち会っておったわけではありませんから水かけ論になりますので申し上げませんけれども、少なくとも日本の三大新聞か四大新聞の一つである朝日新聞の記者席で、囲みとはいいながら書いておるのでありますから、これを読まれる人は、いま大臣が言われるように、囲みは記者が勝手にもじって書くんだというような、こういう私は受け取り方というのはなさらないと思うのであります。したがって農林大臣の名誉のためにもそういうことであるならば、これはやはり厳重な記事の取り消しを求められるような措置をおとりいただくことが、やはりこの新聞を読みました国民に対する悪影響、また不信感、そのことが政治につながってきますので、措置をおとりいただくほうがいいのではないかということを申し上げて、次の質問に移りたいと思うのであります。  次は、消費者米価の値上げを中心にいたしまして、食管制度の問題について若干質問を申し上げたいと思うわけでございます。本日の委員会に大臣がおくれられました理由としては、本日、消費者米価決定を、閣議決定をなさいまして、記者会見等をされるということを昨日承っておったのでありますが、おそらく正式に消費者米価の値上げを決定になったと思いますので、その内容について具体的に御報告をいただきたいと、こう思うわけであります。
  52. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 消費者米価につきましては本日の閣議におきまして、お説のとおり先ほど了承を得ましてきめました。  そこで内容概略申し上げますと、四十三年十月一日から消費者米価内地米につきまして千五百十円、これは上げ率が八%平均でございます。内地米はしたがって千五百十円、徳用上米が千二百五十円、これが上げ率は五・九ということになっております。それから徳用米が千二十五円、これが上げ率が五・七でございます。これの単位は精米十キログラムあたりのものでございます。こういうふうに決定いたしました。なおあわせまして地域格差につきまして、内地米についての地域格差、地域区分を従来のものを改めまして、甲乙丙、甲地域は地域格差が一〇円、それから乙地域はございません、ゼロでございます。丙地域についてはマイナス十円です。従来の格差が地域によって三十五円ありましたのを、上限、下限、この差が二十円というふうに縮小整理をいたしたわけであります。  なお、この閣議決定の、閣議の了承事項の付帯事項といたしまして、米の配給につきましてでございますが、米価審議会等の経過もございましたので、審議の趣旨等もございましたので、四十二年産米、これは現在の当年米でございます。これがやがて十一月からはいわゆる古米というふうになるわけでありますが、この四十二年産米の扱いにつきまして二つの措置を了承を得ております。一つ配給量であります。配給量につきましては、一つは食管の合理的運営も考えなければなりませんが、同時に消費者の立場、好み、これも配慮を加え、大体従来考えておりましたよりは混合率を引き上げるというふうにいたしたいのであります。  それから、四十三年の四十二年産米、いわゆる前年産米価格につきましては、消費者の需要の関係もございます。したがって、搗精度というものを大体一月から一%高めると申しますか、引き下げます。そして味の品質の保全をやる。それから四月以降につきましては、搗精度であるいは価格差をつくるか、そこいらは今後検討をし、いずれにしましても四月以降にさらに一段と古米格差と申しますか、搗精度と申しますか、これについて努力をする。こういうふうなことでやってまいりたい、これが大筋の消費者米価に対する閣議の了承の内容であります。
  53. 中村波男

    ○中村波男君 いま大臣の御説明によりますと、古米の配給率をいままで考えておったより低くするという御発言がありましたが、きのうの米価関係閣僚協議会後の記者会見では、大体半々にするということが言われておりますが、半々にするということがきまっておるのではなくて、さらに今後検討をするという、こういう内容でありますか。
  54. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) これはいわゆる四十二年産米の、いわゆる近く古米といわれるものの扱いでございまして、配給技術の問題でございますが、おおむね十一月以降三月にかけまして半々にする、五〇%ずつというのが農林省並びに食糧庁の扱いの方針でございます。それもあわせまして閣議で報告はいたしておるわけであります。
  55. 中村波男

    ○中村波男君 それからきのうの記者会見で西村農林大臣は、改廃を含めて配給制度改善を抜本的に検討せよと言いました。米審の建議にこたえる対策としていろいろお述べになっておるのでありますが、この内容についてできるだけ具体的にひとつお考えをこの機会に明らかにしていただきたいと思うわけであります。
  56. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 配給の改善につきましては、現在米価審議会から一応答申を抜本的に、しかしいろいろの摩擦関係と申しますか、混乱を起こしてもいかぬから抜本的に検討して、そして段階的に刷新をはかれ、こういうような趣旨の答申をもらっております。私どもこれを受けまして、農林大臣といたしましては、さしあたりは配給運営面の改善で——詳細は食糧庁のほうから説明をしてもらうことになりますが——市町村地域の登録小売店と消費者の結びつきを、従来緩和すると申しますか、競争原理を入れると申しますか、同一市町村区域内においては登録がえが自由にできるようにする、配給基準量を引き上げるとか等々のさしあたりの改善をやっていこうと思いますが、しかしそれだけにとどまらず、これから検討の目標としては消費者価格末端価格というものを物統令で今日やっておるのがはたして妥当であるか、これをひとつわれわれとしてははずすという方向で検討を私はすべきじゃないかというようなこと、そういうようなことを中心にし、さらに配給基準量等も現在一応配給量というものをきめていかなければならぬのをこういうのをやめてやる。それからもう一つは通帳でございますが、通帳等も今日は実態がかなり失なわれつつあるならば、通帳制度等もひとつやめる、あるいはなくなすというような方向で検討をしていく、これが将来に向かっての私の考え方であるわけであります。
  57. 中村波男

    ○中村波男君 ただいまの説明で三、四明らかになったわけでありますが、小売り商の選択の自由を同一市町村内に許すというこういう構想が出ておりますが、もう一つ各地域で小売り商の卸売り業者に対する登録がえをめぐりまして、裁判ざたになっておるような事例がたくさんあるようであります。したがって、その限りについてはいま私は意見を申し述べませんが、消費者が小売り店の選択の自由を認めることについてお考えのようでありますが、今度は、小売り店が卸売り業者に対するいわゆる選択の自由というものをはずされないという理由はどこにあるのか。まあはずす考えがあるのかどうかお聞きしてからでないとわかりませんが、その点についてはどういうお考えでありますか。
  58. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 現在の配給制度の運用の上では、消費者が小売り店に登録をいたしました場合には、登録小売り店と消費者の間で米穀配給が行なわれる。もしその登録をかえようとする場合は、一カ月の期間を過ぎなければかえることはできないということにいたしておるのでございますが、これを近い将来に多少の準備期間が必要かと思いますが、同一市町村内では小売りに対する業者の登録制度というものは廃止をして、市町村内では自由に小売り店が選べることにいたしたいというふうに考えておるのが大臣のお答えの一部でございます。で小売りと卸の登録関係につきましては、現行制度の運用の上では、卸商の同意があった場合には登録の変更ができるということを認めております。で、もし卸の同意が正当の事由なくして同意が得られないという場合には、行政庁による調整を受けるということが可能になっておるわけであります。この問題も流通の完全な自由化というようなことを前提にいたしますれば、小売り商がどの卸を選んでもいいんではないかという議論になりましょうが、政府配給米を扱います登録業者というのは、一つ配給メカニズムをなしておるのでございますから、これは配給業務の混乱を起こすような秩序の崩壊ということを私どもは防ぐ必要があると思っておりまして、現在の規定はそういうことになっておるわけでございます。卸売り商と小売り商の間には日常の取引がございまして、小売り商と消費者のほうに一回一回の取引で債権債務関係というようなものがなくなるというような性格のものでもございませんし、したがって、現段階におきまして小売り商が卸売り商を自由に選べるというようなことにつきましては、私どもとしても若干の危惧を抱くのでございまして、小売り商が卸売り商を選ぶということについて、運用の問題としてはいわば小売り商の卸売り商の固定的な従属関係というものを排除していくということは、これは考えてまいるべきだと思いますけれども消費者と小売り商の関係と同様にするというのは、やや時期として問題があろうかというふうに考えておるのでございます。
  59. 中村波男

    ○中村波男君 だいぶいまの卸、小売りの登録制をめぐって各地で紛争が起きておるということの裏にはそれ相当の私は理由があろうと思うわけです。したがって、そういう自由に卸売り業者を選べられるというふうにしまする場合に、いまの長官の説明ではですね、弊害が具体的に私たちは理解できないのであります。したがってわれわれが承知いたしております範囲で簡単に申し上げますと、卸売り業者の中によい米をほかに——いわゆる自由米に流しまして、悪い米だけを小売り業者に流すので、うまい米を配給を受けたいという消費者の要望にこたえることができない。こういうことから卸売り業者を変えたいという小売り業者の強い要求という形になって、解決をしない場合は裁判ざたまでなるという、こういう結果が出ておるということがいわれておるのであります。そういう点について全くそういう弊害はない、こういうふうにお考えなのかどうか、重ねてお伺いいたします。
  60. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 卸売り業者が米穀販売業者として尽くすべき義務を誠実に尽くしていない。そういう点に小売りとしての不満があり、そのことのために当該業者との登録を取り消して、他の卸商のところに行きたいというような場合は、私はそれを拒否することは正当な事由とは必ずしも言えないのではないか。ただその事実認識というものに間違いがあればまた別問題でありますが、事実がそういうふうに明らかに卸売り業者としての誠実な義務遂行がないというような場合には、私は拒否する場合に当たらないというふうに思うのであります。それぞれの立場の主張もございましょうから、その点が行政庁として公正な立場で、御指摘のような紛争の場合には対処する必要があろうというふうに思っております。
  61. 中村波男

    ○中村波男君 卸売り、小売り業者の間でそういう問題が出た場合には、いわゆる話し合いによって、正当な理由があるのでありまするから、更新あるいは変更をこばむことはできないという御答弁でありますが、今度は行政官庁として指導官庁としてですね、そういう事実は全くないというふうに認識をしていらっしゃるかどうか、この点はどうですか。
  62. 田中勉

    説明員田中勉君) 事例的な御質問でございますので、私からちょっとお答え申し上げます。もちろん現地のそういう事例につきましては配給責任を負っております地方庁から私のほうはいろいろ報告を徴しているわけでございますが、最近私ども事例的に把握しておりますのは、北海道、宮城、秋田、石川、三重、大阪、熊本、鹿児島、こういうところで事例が発生いたしたわけでございます。この中におきましては、北海道、それから最近は熊本でございますが、熊本と、それから宮城を除くところは大体地方庁が間に入りまして業者間の話し合いがついております。なお、北海道とかあるいは最近でございませば熊本の人吉地区の卸と小売りの関係、こういうところにおいてはなお道庁なり、あるいは県庁が中に入っていろいろ両者の言い分を聞き、調整につとめているというような状況でございます。
  63. 中村波男

    ○中村波男君 そこで卸、小売り両面にそういう疑わしい事例があるのではないかと思うのでありますが、それはもう少しあとにお尋ねいたすといたしまして、農林省が米審に対して八%米の値上げによって家計にどれだけ影響があるかという、こういうことを説明されたと思うんであります。それによりますと、大体配給自由米、いわゆるやみ米でありますが、それを含めても二百五十六円、こういう説明がなされておるようであります。なるほど算術計算でやれば二百五十六円かもしれませんけれども、そのいわゆる配給米と自由米の比率をどこに置いてこういう計算がなされておるか、具体的に御説明を願いたいと思うわけであります。
  64. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 好ましいことではございませんが、現実家計調査の結果を見ますると、正規の配給米として消費者が消費しておりますものの中に非配給米というものを購入して消費をしておるという事実が家計調査上はあるわけでございます。その価格関係につきましては、考え方によっては配給米の平均引き上げ率がそのまま非配給米の引き上げ率になるという推定もできるのでございますが、私どもが米審で説明いたしました資料では、前回、つまり昭和四十年十月におきます価格改定の際に、その後非配給米の価格上昇いたしておりまして、その上昇の比率が今回も同様に再現するのであろうというふうに前提を置いて非配給米価格の上昇率を推定いたしたのであります。この数量価格上昇幅とを引きましたものを合計いたしまして二百五十六円という数字を出した次第でございます。
  65. 中村波男

    ○中村波男君 米審で物価統制令について桧垣食糧庁長官説明をされまして、まあ一大反響を呼び起こしたのでありますが、その説明によりますと、政府消費者価格というのが最高であって、それ以下に値切って買うことは物価統制令違反でないんだと、私も法律の趣旨からいえばそのとおりだと思うんでありますが、そこでお聞きいたしますのは、家計調査によって消費家庭が配給米だけで消費をしておらないというこの事実がはっきり出ておるわけです。したがって、家計に及ぼす影響というものもそれを含めて二百五十六円というのが出ておるのでありますが、いわゆるやみ米は幾らぐらいだということになっておるのでありますか。
  66. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 私は米価審議会の際も申し上げたのでございますが、家計調査によります配給米と非配給米の数量を見ますと、四十二年では非農家家計で一カ月二十四・三三キログラムの内地米の消費をいたしておるのでございますが、そのうち配給米の数量が十六・八五キログラム、非配給米が七・四八キログラムになっております。これは記帳の上から出てきたものでございますから否定をするわけにまいらないのでございますが、米審の際にも、私のやや想像をまじえるわけでございますが、申し上げましたことは、ナショナルベースで見ますれば、これだけの量の比率で非配給米が流通しておるとは思えない。昭和四十一年度産米の生産数量の推定は千二百七十四万トンでございましたが、総生産量のうち農家政府以外への販売数量は七十万トン程度であると推定がされるのでありますが、その数字とは合わないのでございまして、家計記帳をいたします際に、配給米と思って記入したものが配給米であり、私のところでは配給米ではないはずだと思って記帳したのが非配給米として記帳されておるのじゃないかと思われるということでございます。これが直ちに実質的な正規配給の米とやみ米の比率ということにはまいりませんが、記帳上はそういうふうにあらわれておるのでございます。
  67. 中村波男

    ○中村波男君 それは米審にお出しになった資料によりまして、全都市あるいは七大都市、さらに中都市、小都市というふうに分類されて出ておりますが、全国平均で見ましても非配給米が三〇・七、配給米は六八・四、こういう数字が出ておると私は計算をいたしたのであります。  そこで、記憶がはっきりいたしておりませんけれども、これも政府の統計資料によって私は覚えておるのでありますが、農家政府以外に売り渡したといういわゆる消費者に回ります米というのは全需要量の大体八%程度ではないかというふうに調査がなされておった記憶があります。そうなわますと、その差というのは、どういう米が消費者に非配給米として配給されておるかという、こういうことになると思うんであります。  私は実は質問を申し上げます前に、一つの根拠として、東京におられます知人、親戚等十軒ばかり聞いてみたんでありますが、残念ながら一軒もいわゆる内地米としての政府配給米を受けておる人はなかったのであります。これはまあ、十軒だけの調査でありますし、権威のある、根拠のあるものではありませんから、これをもって私は分析しようとは思いませんけれども配給米はまずいから自由米を買っておる、こういう人、あるいは強化米を買っておるという、こういう人、その強化米もいわゆる内地米に強化米として別なものを買って、またまぜてもらって買っておるのではなしに、米屋がそれがうまいですよということで、強化米が食べたいわけではないけれども、強化米がうまいからということで買っておるという、こういう事例が出ておるのであります。毎日新聞に「コメとメシ」という記事が毎日出ておりますが、配給米八割がやみに化ける、こういう記事が出ておることは大臣も長官も御存じであろうと思うんであります。そこで、その量は確かな根拠の統計はありませんけれども、推測するところによれば、政府配給した米が配給米として売られずに自由米として販売をされておるということは相当な量にのぼるであろうし、政府もこれを認めざるを得ないと思うんですが、農林大臣どうです。
  68. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 計数的な問題で申し上げますと、御指摘のように農家政府外へ販売をいたしました数量の比率は、三十九年当時が約一〇%、四十年が八%、四十一年が五・三%、四十二年が五・五%という推測がされておるのでございます。これは収穫量に対してでございます。そこで、それに比較いたしまして、家計調査に出ます配給米、非配給米の比率を見ますと、非配給米が三〇%以上になっているということは、これもまた御指摘のとおりであります。ただ私は、これが直ちにいわゆるやみ販売をした数量として認定することは適当ではないのではないか。と申しますことは、家計調査に記入する家庭の主婦なりが、これもはなはだこういう席ではどうかと思いますが、購入通帳を厳重に提示をしてその上で購入をするという風潮がすこぶる薄くなっておるということがございますから、特にいい米をくださいとか、あるいは強化米はどうですかと言ったら強化米を取りましょうというようなことを言いまして、受け取ったものが非配給米という記入をするのではないかという想定がされるのであります。私は、政府から配給割り当てをされる米のすべてが厳正な意味での配給米として家庭へ全部届いておるというほど事態を甘く見る気持ちはございませんが、この数量が直ちにやみ米として扱われておると考えることはちょっと無理ではないかというふうに思っておるのでございます。
  69. 中村波男

    ○中村波男君 いわゆるやみ米が年配給量に対して何割になるかという議論は、これは根拠があってない議論でありますから、もちろん農林省として、責任のある長官としてそれをお認めになるわけにもまいらぬと思いますが、現実にいま東京で大体自由米というのは十キロ千七百円であります。これは一軒や二軒でなしに調べてみたんでありますが、千七百円でございます。値上がり前の、いわゆる今日の内地米は千四百十円のはずであります。そうしますと、そこに自由米と配給米と二百九十円の差があるわけでありますが、いわゆる物統令における政府のきめました消費者米価というのは最高価格であるというこのことはそのとおりでありましょうが、こういう数字の上に事実が出ているということを考慮に入れて物統令を廃止するという、こういうことについては、私はどうも理解ができないところであります。実際の流通過程を見て物統令を今日はずしても、政府のきめました価格より上がらないというようないわゆる流通状況なり、価格形成の上にそういう要件が今日あるかどうかということになりますと、私は多くの問題があると思うのであります。特に最近になりまして、いわゆる古米が来年の五月、六月まで配給になるというようなこともあって、また配給米がまずいから新米を食べたいということで、大手をふって新米が東京にあるいは都市に流れ込んでいる事実、その価格は、御承知のように、政府配給価格よりもずっと高いわけであります。こういう上に立って、もちろん直ちに廃止するなどとは考えておらないということであろうと思いますが、そういう観点から物統令というものをどのような筋道でいつごろこれを廃止するという考え方においていろいろな流通機構の改革をお考えになっているかどうか、これはひとつ大臣から承りたいと思います。
  70. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 物統令の扱いについての基本的な大臣のお考えは大臣からお答えをいただくのが筋かと思いますが、まず御指摘になりました配給米、非配給米の価格の問題でございますが、私が先ほどから申しております若干の裏づけになるかと思います資料は、総理府の家計調査によります全国、全世帯の品目分類による購入価格ということで、たとえば昭和四十三年の五月の数字を見ますと、配給米の価格がキログラム当り百三十九円五十銭になっているのでございます。それに対しまして、内地米の実効価格、この実効価格というものは非配給米を含めた家計での米の支出金額数量で割ったものでありますが、キログラム当り百四十四円十八銭ということでございます、全国的に見ますれば。それにいたしましても百四十四円十八銭を是認するものではございませんが、最近の需給事情から見まして配給米、非配給米の価格較差は縮まる傾向にあるということだけは言えるのではないかというふうに思います。
  71. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 物統令の問題は、ただいまのところ、私としては一つ検討の目標でありまして、きょう現在きめているわけじゃありません。ただ、物統令によって最高価格というものが一つできているが、うっかりするとそれが物統令によって政府の公定価格が他のいわゆる実在する価格を押し上げるような結果になっているかもしれません。支持価格みたいな形になっている。むしろ物統令によって考えられたものは、これは最高価格的な考え方で物統令としては扱ってきておる。そこでこれらを動かすものは経済現象でございますから、私は他のいろいろな要件というものが整理をされて、米が消費者に的確な、より妥当な値段でいけるような中において、物統令の扱いというものを検討していかなければならない、そういう意味から、物統令そのものだけではございません。物統令をいじる、あるいははずすということにおきましては、他の要件である流通機構その他を、やはりそれにふさわしいように合わせながら考えていって、そこに消費者に米の需給を反映するような妥当な値段というものが出てくるようにしたらいいのじゃないか、こういう考えでございます。
  72. 中村波男

    ○中村波男君 うまい米ということが消費者の強い要求であり、また、それにこたえるような米づくりというものが論議されてきておるのでありますが、それはそれとして、現実配給面で、政府から配給を受けた米が、配給価格配給されずにいわゆる配給をされた米の中の良質米が自由米として、さっきも私が指摘いたしましたように、統制価格を上回ること十キロに対して二百九十円という価格で公然と売られておる、これにほおかむりしておること自体に私は問題があると思うのであります。また、そういう事実を知りながら、それらの点には全く行政的な手を打ってこなかったのではないかと思うのであります。したがって、現実認識について議論をいたしてきたのでありますが、そういうことを離れまして、その量の多い少ない、三割だ、七割だということは別にして、こういう事実があるということは食糧庁として認めざるを得ないでしょう。どうですか、長官。
  73. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 私ども消費者団体等からも、良質米と称して物統令による政府が定めました最高販売価格以上の米を売っておる米屋がある、どうもそれは疑わしいというようなことも耳にしたことがございます。また私どもの尊敬する中村先生からも御指摘があることでございますから、そういう事実が全くないというようなことを申し上げるほどあつかましいつもりはございません。
  74. 中村波男

    ○中村波男君 そこでもう一つは、十月一日から米の値段を上げられることが正式にきまったのでありますが、私たちとしてははなはだ大幅値上げに対して反対でありますし、またそういう立場で政府に強く要求、要請をしてきたところでありますが、そのことと別に、現実に十月一日からお米の値段が上がるのでありますが、そうなりますと、卸売り段階、小売り段階で九月三十日までに政府から買い入れたものはあくる日から高くなるのであります。しかし、たばこその他については現品をきっちり押えまして、その差益金というのをいわゆるそれぞれ徴収し、吸い上げていく措置がとられておりますが、お米についてはそういう措置がとられてこなかったというふうに私は思うのであります。三十七年度の会計検査の決算報告によりますと、卸売り販売業者十一億八千三百三十一万円、小売り販売業者四億八千七百九十五万円、十六億七千百二十六万円のいわゆる消費者米価の値上げによる利益を得ておる。こういうことは望ましいことではないから適当な措置をするようにという、こういう報告が農林大臣に出されておると思うのであります。しかるに四十年の一月  一日、四十一年の一月一日、四十二年の十月一日、さらに四十三年の十月一日と、今回で四回値上げになりますが、そういうこの勧告に対して農林省は何ら考慮することなく放任してきたと思うのでありますが、この点について具体的にお尋ねをいたしたいと思いますが、いま申し上げましたのは金額で、時間もありませんから数量については触れなかったのでありますが、過去三回における大体卸売り、小売り段階における手持ち量と、値上げによる利益というのはどれくらいあったかということを農林省としてつかんでいらっしゃるのかどうか。この点からまず伺っていきたいと、こう思います。
  75. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 卸売り段階につきましては、値上げ価格改定があります日の午前零時現在の在庫というものを押えておりますので、おおむねその数量は大きな狂いはないというふうに思いますが、小売りにつきましては五万数千軒の小売店がございますので、とうていこれを把握することは困難でございますが、推定をいたした数字でお答えを申し上げますと、四十年一月一日の価格改定の際に、卸売段階で約五万一千九百トン、小売り段階で二万六千四百トン、合計で在庫数量は七万八千四百トン程度というふうにわれわれは推定をいたしております。四十一年一月一日の改定の際の在庫量は、卸売りについて五万トン、それから小売りについて二万八千六百トン、卸は五万トンと申しましたが、端数が二百トンばかりございますので、合計で七万八千八百トン程度、四十二年十月一日の価格改定の際には卸売り四万八千百トン、小売りは二万五千六百トンということで、合計七万三千七百トンというものが改定時点において在庫として持たれておったであろうという推定をいたしております。
  76. 中村波男

    ○中村波男君 会計検査院からの勧告と申しますか、指摘農林省として無視されたとはいいませんけれども、具体的に実行がされなかったという理由は何でありますか。
  77. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 四十年一月一日の消費者価格改定以降につきましては、食糧庁としては小売りの段階につきましては確かに差益についての措置をとっておりませんが、卸売りにつきましては改定時現在の在庫数量から、年間買い受け数量の三日分相当分を控除しました残数量について、新旧価格の差額の四分の三を国に納付させるということをいたしてまいっておるのでございます。この問題は一つの問題であることは私どもも認めざるを得ない問題でございますが、食糧管理法に基づきまして卸売りに販売をし、あるいは卸売りが小売りに販売をいたしたものはすでにそれぞれ販売業者の所有にかかる財産になっておるのでございまして、これから差益を取るということについて格別の法規上の根拠がないという点で、この措置に非常に難渋をいたしておるのでございまして、卸売り業者については数も少数でございます。卸売り業者の自主的な納得のもとにこういう措置をとってまいりておる。五万数千軒というような小売りについては納得の上での政府への差額納付ということは非常に困難な問題であるという点が、私どもが現在まで、ただいま申し上げた程度の措置しかとれなかったということの理由でございます。
  78. 中村波男

    ○中村波男君 農林省がこの問題について強硬にいわゆる措置がとれないという理由の中には、一つは米屋が、いわゆる卸売り、小売りを含めまして実際にはなかなか手数料が少ないためにもうからない。だから、こういうときに見のがすというか、目こぼしをする必要に迫られておるのだというような、こういう見方もあるわけであります。私は、やはり小売り段階実態を見てみましても、米屋だけで食っていくということはむずかしいような、正規の配給手数料だけでは実態があると思うのであります。したがって、そういう点については、やはり私は見るべきものは見る。正しくないことは押えていくという、こういうやり方が正しいだろうということを思うのであります。  時間もありませんから、さらに具体的にいろいろお尋ねをしたいと用意はしておるのでありますが、もう一つ、強化米の混米の法的規制の問題であります。もちろん私は強化米と称するのはどういう成分か知りませんけれども、もちろん食糧庁としては御存じだと思いますので、この機会に御説明をいただきたいと思いますが、消費者が強化米を混入することによって栄養的に高くなるということでそれを買わされるということについて規制する必要もありませんし、規制する法律もないと思うのであります。問題は、初めから混米をして、そうして強化米だといって、また、うまいと称して売ることに問題があろうと思うのであります。こういう点について、いわゆる牛乳にも類似した問題が出てきておるのでありますが、少なくとも今日専売である配給米にこういうことが許されるということは法的にも私は疑義があるように思うのでありますが、そういう点について御見解と、今後の規制について全くお考えがないのかということについてお尋ねをいたします。
  79. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 強化米と申しますのは、御承知のことと存じますが、ビタミンB1を主体といたしましたビタミン剤を米に吸着させまして、それを適当量普通の精米に混入をして炊飯をいたしますと栄養上たいへんけっこうであるということが認められておるのでございます。そういう栄養的見地からは厚生省、農林省ともに、そういう米飯のとり方は好ましい方向であるということは推奨いたしておるのでございますが、さて、その強化米を混入して受け取るかどうかはこれは消費者の選択にかかるところでございまして、米屋が強化米を無理に売りつける、あるいは強化米を混入をしていない精米を売ることを拒否するということは、これは米穀配給制度の中では間違いであります。で、私どもも強化米を混入する、あるいは強化米を普通精米と同時に売るということは、精費者の納得の上でやるようにということを指導してまいっておるのでございますが、この点はさらに御指摘のような弊害があるとすれば米穀商に対して厳重に注意を喚起いたしたい。また消費者の方もこういうような問題で強制をされるというようなことがあれば、具体的なケースについても厳正な指導を加えていくということにいたしたいと思っております。
  80. 中村波男

    ○中村波男君 時間が相当経過しましたので、もう一つ、最後にお尋ねをして私の質問を終わりたいと思うのでありますが、ことしの総合予算主義というのは財政硬直化の是正策と物価対策とを兼ねた性格を持っておったと思うのであります。それなるがゆえに、特に今回消費者米価八%、いわゆるげたばきスライド制をおとりになったということは、総合予算主義を貫くという至上命令から出てきておると私は思うのであります。その結果、また物価対策を兼ねた性格の総合予算主義と逆に、米が上がったことによって諸物価の値上がりを引き起こしまして、軒並み物価が上がる傾向が強く出てきておるのであります。私はこの問題について企画庁長官の御出席を要請いたしておったのでありますが、おいでになっておりませんから後日に譲りまして、そこで、今回の消費者米価値上げによって、いわゆる食管会計の損益の内容を具体的にひとつ明らかにしていただきたい、こう思うわけであります。もちろん時間的な問題もありますし、それから相当こまかくお尋ねをいたしたいのでありますから、こまかい点についてはきょうと言いませんから、資料で御提示をいただければ幸いであります。
  81. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 食管特別会計の損益の見通しでございますが、当初予算のときには国内米管理勘定におきます欠損の見通しは二千二百九十五億ということで算定をされておるのでございます。これはいわゆる他の食管繰り入れの額と合わせまして二千四百十五億円という金額の内わけになるわけでございます。生産者米価が五・九%引き上げられました際に、生産者米価の値上がりによります損失の増が六百三十億円、それから私どもは平年作ないしはそれをやや上回る程度の生産を前提に考えまして、政府への集荷量が年内九百万トン程度ということを前提にして算定をいたしますと、数量の増による損失の増が三百九十億、その他の当初予算との対比で損失の増としてあらわれますのが百八十億、合計三千四百九十五億円の損失の合計になります。で、今回の閣議決定を見ました八%の消費者米価の値上げによりまして、それによる利益の増が千百三十億円、食管の運用改善による利益増の見通しの立ちますもの、これは食管が糧券を発行いたしまして支払うべき利子を節減するために国庫余裕金を充当する場合に無利子の金を使いますので、そういうような節減等を主体といたしまして約五十億程度の利益増は見込めるということでございまして、それを差し引きいたしますと食管の損益の見込みは二千三百十五億ということになるわけでございまして、この数字だけで申せば、当初の繰り入れ額から二十億ばかり足が出るということになるわけでございますが、年度当初の調整勘定の残額の見込みが当初予算よりややふえておる点もございます。また、今後輸送、保管等で極力節減をはかっていくということで、当初の予算に計上いたしました二千二百九十五億の範囲内で食管の年間運営をやってまいりたいというふうに考えておるのでございます。
  82. 任田新治

    理事任田新治君) 質疑はこの程度にとどめ、午後二時まで休憩いたします。    午後一時二十四分休憩      —————・—————    午後二時三十一分開会    〔理事任田新治委員長席に着く〕
  83. 任田新治

    理事任田新治君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  まず委員の異動について御報告いたします。本日、岡村文四郎君が委員辞任され、その補欠として小林国司君が選任されました。     —————————————
  84. 任田新治

    理事任田新治君) 休憩前に引き続き、農政問題及び米価問題等に関する件について調査を行ないます。  御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  85. 足鹿覺

    足鹿覺君 先般の委員会で総論的な食管制度のあり方等について大臣の御所見を承りましたが、その後事態が進展をいたしまして、消費者米価決定を見、さらに昨日の閣議におきましては、米穀配給改善対策も決定したやに伺いますが、米穀配給改善対策の骨子ともいうべきものについて昨日閣議決定されましたものはいかようなものでありますか。われわれは新聞を通じてのみ知ることができるのでありますので、この機会に大臣の責任において明らかに御説明をしていただきたい、かようにお願いいたします。  なお、八月二十七日ごろに食糧庁が一つの試案を発表されて、対外的なものをおつくりになっておるようでありますが、おおむねその線と心得てよろしゅうございますか。その点も含めてお尋ねをいたします。
  86. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 先ほど委員会を通しまして御説明申し上げたとおり、昨日は関係閣僚協議会をいたしまして、本日の閣議におきまして消費者米価決定を了承をもらったわけであります。消費者米価自体につきましては、すでに御承知のとおり、内地米につきまして平均八%、それから徳用米徳用上米につきましても五・七、五・九、それから地域間の格差を整理いたしまして、上下十円ずつというものをプラス、マイナスをいたしました。こういう状況であります。  それからなお、それと付帯いたしまして、米価審議会等から出ておりました持ち越し米、いわゆる古米と称されるものが、十一月から発生したものに対しまして当年米の配給量を増額する。そういうことを付帯事項で閣議で了承を得ております。その内容は、すでに申し上げておりますから、簡単に申し上げますと、十一月以降おおむね五〇%ずつの混合率でいきたい。それからなお、将来に対する古米の質を落とさない意味で、一月一日に搗精度を引き上げる、あるいは四月以降に古米に対する格差ないし搗精度をさらにふやすなりあるいは格差を設けるなりして、古米の消費者に対する利用、扱いというものを考えてまいる。これが昨日、きょうの閣議で了承を得ました事柄であります。  なお、その際に、配給改善の問題が先般米価審議会等におきましても言われておりましたし、また食糧庁からも試案を出しましたが、当面といたしましては、市区町村内における登録制を緩和いたしまして、競争原理を入れる、こういう段階でございます。あるいは基準量を引き上げるとか、そういうような三種の項目につきまして報告をいたしております。  それからなお、将来の配給改善の問題につきましては、これは当面すぐ実行する問題ではございませんが、すでにやや空文化になって——空文化というとおかしいのでありますが、いわゆる通帳制度の問題、あるいは配給数量の問題、あるいは末端価格統制の問題、いわゆる物価統制令による価格統制の問題等につきましてはこれは改める、ないし廃止の方向でもってひとつ私どもとしては検討を加えていきたい、こういうことを関連いたしまして報告をいたしておるのでございます。内容はそういう内容でございます。
  87. 足鹿覺

    足鹿覺君 いま重要な点について要項をお話になりましたが、たとえば古米格差の問題とか、あるいは配給通帳の廃止の問題とか、そういう問題は技術的な面もありますし、食管法に関連を持つ重大な点も出てくると思われます。そういう論議は他の同僚議員との時間の振り合いもありますし、大臣の御都合もあるそうで、非常に遺憾に思いますので、簡潔にお尋ねをいたしますが、古米格差はあとで触れることにいたしますが、通帳制度の廃止ということについて、それは御決定になったのでありますか、将来そういうふうにするというのは、近い将来のことでありますか、その点はいかがでありますか。
  88. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 時間もございませんから結論だけ申し上げます。  これは廃止の決定閣議でしたわけではございませんで、いまのような価格統制なり、数量がやはり基準が統制されております。あるいは配給通帳、こういうものにつきましては、将来ひとつこれをやめるということを一つの、私としては考え方等もありますから、これらを目標にしてひとつ検討してみたいが、これはしかしいろいろな諸制度にも関連するから、いま直ちにということでなくて、検討を目標としてやっていきたい、こういうことであります。
  89. 足鹿覺

    足鹿覺君 この配給通帳の廃止というと、消費者にとってはきわめて自由な感じを与えますが、これだけを問題にされることは、私は全体としての構想に欠くるものがあると思うのであります。と申しますのは、現在の都市、近郊市あるいは地方における、事情によっては人口の急激な増加等がありまして、大きな団地等ができた所においては、お米屋さんをつくってもらいたい、こういう要望があると聞いております。しかるに食糧庁が、現在まで新規開店を認めて消費者の利便をはかったという事例はきわめて少ない。まずそういう消費者の不便を解消していくために、許された範囲内において何か法的にも疑義のない点については、きわめて緩慢な措置をとりながら、ただいたずらに通帳の廃止というようなことをおっしゃることは、大臣としてもう少し下情に通じてほしいと私は思います。したがってこの点が一点。  今後そういう点について、もっとお米屋さんを実情に即してふやしていく、そのふやす基準についても大幅に緩和する、こういう対策が一面にとられると同時に、卸業者から小売り業者への結びつきはそのままにしておいて、その変更を拘束しておいて、ただ小売り業者と消費者との間だけを配給通帳を自由にしてどこからでも買い得るというふうな行き方については、商権擁護という立場からのみものを御判断になって、全体との関係において御判断に欠くるところがあるのではないか。その点について大臣としての御所見を、この際、今後十分御善処になる御意思がありますかどうか、承っておきたいと思います。
  90. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 消費者と小売り、それから小売りと卸、こういうような段階の流通機構、こういう問題が一つございます。しかし一方におきましては、今日また配給通帳というものが事実上ほとんど効力を発揮していないとか、使われていないという現実の条件もあります。また同時に、それは一方において流通機構のある程度の見通し等も立てつつ、その中において今度は末端価格が、はたしていまのような物価統制令による価格の統制がいいのか、これもやはり十分に検討に値し、どちらかといえば私どもは、あの戦争あるいは戦争直後の物の足りないときに最高価格制として出てきて、今日ではむしろ率直に申しますと、やみ価格の支持をしてるような部分もあるような面につきましても、十分検討は加えていかなきゃならぬ。私は単に軽率にこれを取り上げているんではなくて、いろいろな与件が、いわゆる条件というものがかみ合って初めてこういう点は論議さるべきでありますから、もちろんそれらの条件をかみ合わして、最終的な結論はつけていきたい。その過程において貴重な御意見というものは十分拝聴してまいるつもりでございます。
  91. 足鹿覺

    足鹿覺君 規則十八条第四項に基づいて善処される御意思があるかどうかということを具体的には申し上げておるわけであります。と申しますのは、最近公取でも北海道においてこれを取り上げた事例もありますし、秋田方面におきましても訴訟が提起されて和解になった事例もある。つまり和解とは、判例と同等の効力を民事訴訟法上有するということになったと聞いております。というふうに、ただ消費者と小売り店の結びつきのみを、ある程度通帳制度をやめることによっていかにも利便をはかり、流通の円滑化を考え、消費者の立場を考慮されたかのごとく言われますが、先ほど私が述べましたように、一面においては急激な人口の増加等に伴うものについては、二百馬力以上の精米能力を対象としたものを基準として認めると申しますと、人口四十万に該当するそうであります。その半分にしましても二十万、こういうことでは、ただ単に通帳を廃止しただけでは、消費者の利便に即応するとは言いがたいと私は思うのであります。そういう点について、大臣は御認識しておられるのかどうかと、ただいまの御答弁は非常に簡単過ぎて、ただ配給通帳制度について検討を加え、これを廃止の方向へいくということだけで、私の質問にお答えになっておりませんので、いわゆる卸対小売り間の結びつきは、小売り業者の意思を尊重して、これを緩和していくと同時に、消費者についても円滑な流通方式をお考えになる、食管法の許す範囲内においてお考えになる。あるいはまた急激な団地における、あるいはその他の事情によって人口に大きな変化を生じたものに対しては、実情に即応したように敏速に、いわゆる米の登録店等を、あるいは登録団体等を急設して、その期待にこたえていくというような点について、とくと御検討になる必要があると思いますが、その点にしぼって御答弁を願いたいと思います。
  92. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) まさに通帳だけのことをおっしゃいますが、全部私は関連して考えたいんです。言いかえれば米の食管制度配給面におきましても、これは消費者のためにある制度でございます。しかも消費者自体の大多数というものは、今日通帳なら通帳というものを使っておらない、これは事実でございます。一部の人は、あるいは利便があるかもしれません。大多数はない。それから価格制につきましても、はたしてこれが妥当な価格制度であるか、戦後のああいう状態の中にできた最高価格制、それから数量制限につきましても、配給して数量制限していくという行き方がいいのか。それからその中においても、今度は消費者に対する流通機構としての小売り店、卸店、こういうたてまえから私は考えながら、しかも流通機構が、やはり米という大事な商品を扱う以上、ある程度はその人たちが商権と申しますか、仕事をしていく中において解決をしていきたい、こういうふうに考えてまいりませんと私はいけないと思う。そこで当面は、私どもは市町村地域内における配給——消費者とそれから小売り店との登録等のきわめて現時的な問題を解決しますが、将来の一つ検討なり課題としては、やはりそういう問題を取り上げていかなければならぬと思います。それからなお小売りと卸の間におきましても幾つか問題があることは知っておりますが、これはひとつ食糧庁長官のほうからでもお答えを願いたいと思います。
  93. 足鹿覺

    足鹿覺君 それでは長官の御答弁は、時間の関係であとで承ることにいたします。またその際に私もさらに追及してお尋ねをいたします。  先ほど大臣は、古米格差はやることにした、新聞の報道するところによりますと来年四月だという話でありますが、古米格差を来年四月まで延期される理由は私は毛頭ないと思います。古米の消費を増大してうまい米を食わせる方法は精白度を高めていくということであり、先ほど大臣もそのように言われておりますが、千四百円の現行価格でもって一%程度精白度を高めていわゆるうまい米にしていけば、十分これは食えます。私もこの点につきましては商人の小売り業者のよく知っている人に、精白度をきちんとしまして農協等でもやらしてみました。われわれしろうとが見ましてもはっきりしておる。たいてい食べてみてもおいしい。ですから、米が余った余った、消費促進の上からも来年の四月まで待つことなく、精白度を政府の強い方針によってこれを高めて、少なくとも一%高めていかれる必要が私はあると思うんです。そういうことによって消費の促進拡大を促し、うまい米を食わしていくということに通ずると思いますが、なぜ来年の四月ということに拘泥をされるのでありますか。直ちにおやりになることが私は好ましいと思いますが、その辺についての大臣のお考え方は、何を理由としてそういうふうにお考えになっておりますか、この点をひとつ伺いたいと思います。
  94. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 私の御説明を受け取っていただかないのは遺憾でありますが、私は精白度を上げるのは四月じゃありません。一月から一%上げたいという考えで先ほど御説明申し上げたのであります。四月になりますと、さらに私どもは精白度を上げるか、あるいは古米格差をつくって別品目としてやるか、そこいらはいましばらく検討を加えてまいりたいというふうにいたして、精白度を上げますのは一月からやっていきたい。そして質の向上と申しますか、味の保存というものをやってまいりたい、こういう考えであります。
  95. 足鹿覺

    足鹿覺君 古米格差はどうされますか。
  96. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 古米格差自体は、したがってさしあたりは十月一日からの値上げにおいては考えておりません。
  97. 足鹿覺

    足鹿覺君 だから私は申し上げておるわけでありますが、一月からおやりになりますことを直ちにおやりになったらどうでありますか。古米格差は考えない、一月からこれを実施するんだと、まだ一月までには小半年あります。一カ月の消費拡大にしましても、やり方によっては非常に違うわけであります。第一、うまい米、まずい米ということがこれだけやかましくなっておるわけでありますから、米を扱う食糧庁としては、みずからサービスをされる必要がないのか。業者に向かって強い方針で御指導になれば事足りるわけであります。私はここに見本を持っておりますが、ごらんいただいてと思うのですが、九〇・五%の搗精歩どまりのものと、八九・五%の歩どまりのものと比べてみますと、全く大きく違うのです。ごらんになってこれだけの違いがあれば、食味の上にどれだけ影響するかということを御存じですか。たいてお食べになった経験がありますかつなぜ直ちに、古米格差は当分やらない。来年の一月から精白度を一%上げるのだ、こういうことで突っ張っておられるようでありますが、もっと配給改善実態で、食管制度に触れないで、消費者に納得がいき、国民も了解していくような対策を、これだけ問題になっておるときには直ちにおとりになることが消費の拡大になり、直ちに在庫量の減少となって、政府のいわゆる出費も軽減できるじゃありませんか。この点について大臣の御決断によってなさるべきだと私思いますが、来年一月に精白度を一%上げる。そのことについては私はとやかく申しません。もっとこれを早められていくことが、古米格差をやれないならば、早められることが消費者に対して親切な行政である、かように考え、また政府の在庫量のなるべくすみやかに減退することにも役立つと思いますが、この点についてあまりこだわらないで、率直に、ひとつ虚心たんかいに御答弁願いたいと思うのであります。
  98. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 別にこだわっているわけでもございません。虚心たんかいに申し上げておるわけでありますが、私は従来の、現在まだ古米じゃございません。御存じのとおり、十一月になりまして初めて前年米になるのであります。従来の例からも年内にそういう問題が、古米であるといって非常に売れ行きが減るとか、そういう問題はないと思います。ただし今回のような状況下においては、去年はたしかやらなかったと思いますが、一月からは精白度を上げて食味をさらに増すようにするという手は私はとったほうがいい、こういう意味でとっておるわけであります。何もここで、十月に、現在食べておる米を、直ちに一日たったら古米になったのだから、そこでもって搗精度を上げて食味を変えなければならんほど私は、ことばは古米になりますけれども、古米というか、前年米になりますけれども、時間で考えますれば、二十四時間たって前年米に変わったというだけであります。従来の例からいっても、私はそういうふうに感ぜられないのであります。  もう一つは、一月に古米格差にしたらどうかという点でありますが、古米格差でわずかなものでいくのがいいのか、搗精度を上げるのがいいかという問題は、技術上の問題、いわゆるお売りになる業者自体の感触等を十分われわれは検討いたしました上で、そういうふうに決定いたしております。
  99. 足鹿覺

    足鹿覺君 大臣に質問を集中せよということでありますので、あなたの便宜をはかって私は言っておるのです。そういう木で鼻をくくったような答弁をなさらないで、親切に御答弁願いたいと思うのでありますが、古米の定義ということは、いま大臣に私は新説を伺いました。一般が考えておることは、政府の手持ち古米がふえた、こういうふうにあなた方が宣伝されたのだ。報道関係を通じてそういう宣伝をされた。いま聞くと、来年の四月にならないと古米と称することはできないのだ、持ち越し米なんだ、こういうこと、をおっしゃることは、私は非常に遺憾に思います。つまり本年の十月一日の新米年度が始まれば、一カ月分ないし二カ月分のランニングストックを除くものがかりに余剰の米といたしますならば、それは明らかに古米であり、この中にはおそらく準内地米も含まれておると思います。したがって、社会通念上、常識上いっておるのは、そのようなものを一般は古米と受け取っておるのです。だから新米が食べたいのだ、こういう消費者が声を出しておるのであります。ですから、新米配給していけばだんだん重なって、古米は消費が減退してまいります。したがって私は、いまこれはあとでごらんいただいてもけっこうでありますけれども、これをすみやかにおやりになれば、これは簡単に片づくのですよ。ある程度うまい米を消費者が食うことができるし、手持ち米の、古米と称することが大臣の定義に合わないならば、政府の手持ち米が在庫が少なくなっていくまず具体的な手段ではないかということを申し上げておるのであって、そう無理ということではないのではありませんか。何かそこに、非常にこう、こだわっておられるように私は受け取りますが、御決断はつかぬでありましょうか。
  100. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 別にこだわっているつもりはありません。米というものは御存じのとおり、何を古米というかという議論はありましょう。しかしいずれにいたしましても、現在当年米でございます。それが十一月になりまして前年米にいわゆる変わっていく。そうしてとにかく通称古米、古米といわれるものがふえますと、これは内容持ち越し米でございましょう。そこで一月かちは搗精度を上げて、食味を増すことを行ないたい。年内にはそれの必要はまずないであろう、こういうのが私の考えでございます。
  101. 足鹿覺

    足鹿覺君 では、配給制度上の問題についてはあとで長官にお尋ねすることにいたしまして、大臣への御質問を申し上げますが、等外上ないしは規格米穀の取り扱いについてお尋ねをいたしたいと思います。  昭和四十三年七年十七日に、長官名をもちまして売買条件の告示なるものが予告でありますか、告示そのものでありますか、よくわかりませんが、私の手元にあります資料では明確ではありませんが、それによりますと、先日私がこの委員会が大臣にお尋ねをいたしましたときには、買い上げ制限は本年度はやらないのだ、若干の例外を除いてはやらないのだと明確に御答弁になりました。しかるにこの告示についてみますというと、その第四項ですか、よくわかりませんが、「規格外の買い入れ、特に等外上の買い入れについては原則として災害の場合に限る方向で慎重に対処する考えである、」こういう通牒を食糧庁から出されておりますが、大臣は御存じでありますか。
  102. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) ええ、存じております。
  103. 足鹿覺

    足鹿覺君 これはどういう意味でありますか。
  104. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 若干文章上の問題もございますので、私からお答え申し上げます。  御案内のように、食糧管理法による第三条の買い入れは「命令ノ定ムル所ニ依リ」「命令ヲ以テ定ムルモノヲ政府ニ売渡スベシ」ということになっておりまして、政府が国民食糧の需給調整上必要とする米は、規格内の米——つまり一等ないし五等の米を命令で定めておるわけであります。等外上あるいは規格外の米につきましては、そういう食糧確保上の見地で買い入れるのではなくて、災害等のために大量の規格外、要するに五等米に合格しないような米が発生をしたという場合に、災害対策として農家の困窮の状態を救う一助ということで、食糧管理特別会計で買い入れる場合があるということになっておるのでございます。本年の通牒については、原則として災害の場合に限るという趣旨で運営をしていくという考え方でございます。
  105. 足鹿覺

    足鹿覺君 これはまた意外千万な御答弁と私は思いますが、大臣それでよろしいんですか。従来は等外の上も、規格外の米穀についても政府は買い上げて徳用米の原料としておったではありませんか。それを本年に限って災害地対策用としてのみ判断をするという食糧庁長官のいまの答弁は、私は聞きのがすわけにはまいりません。徳用米制度を廃止する——低所得者層に対するところの徳用米制度の原料米は、明らかに等外上あるいは水分過多米等をもって充当しておったではありませんか。それのみではありませんか。なぜそのような本年に限って牽強付会な御答弁をなされるのでありますか。
  106. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 従来からいわゆる予約制度に基づきまして政府が買い入れる、つまり農家政府への売り渡しの義務を果たし得る米穀の種類は、一−五等の米であるということは原則であったわけであります。それに対しまして、予約をいたしております農家災害等の事情で既定の規格の米を政府に売り渡すことができない場合に、例外的に等外上あるいは規格外の米を政府へ売り渡すということによって、その義務が遂行されたものとするという例外規定、例外扱いをしてまいったのでありまして、本年の場合の扱いが原則的に変わったわけではございませんで、ただ、四十三米穀年度につきましては、米の需給事情等の変化もございましたので、例外扱いするのは原則として災害の場合に限るということにいたしたのでございます。
  107. 足鹿覺

    足鹿覺君 それは全く承知できません。本年は、——来年はともかくとして、この間の委員会において大臣が、本年は買い上げ制限等の措置はいたしませんとはっきり御言明になったことと相反するではありませんか。従来の例をもっていたしますならば、徳用米の原料としてはいろいろなものが考えられており、その中でも主位を占めておりますものはいわゆる等外上でありまして、これは年産十二、三万トンにも達する。したがって、過剰下にあっては買い入れるということはできないということは、あまりにもこの前の大臣答弁と食い違った、これは許しがたい御答弁と私は承る。災害等従来のそういうふうな表現を使っておられたと申されますが、災害その他の事情によりと昨年は定められておったと思いますが、昨年とことしとなぜ文章上のあやによって事実上買い入れ制限に通ずることを、平然と長官は御答弁になるのでありますか。私は納得できません。大臣においても、昨年のこの事情を著しく変えて、そして徳用米という規格があるにもかかわらず、これを災害等により農林大臣がやむを得ぬ云々、こう改め、災害その他の事情によりと、昨年のものはこの事情によりで通用しておったものが、本年この二字ばかりの差によって事実上買い上げを制限するということは不当である。また低所得者層用の徳用米制度そのものにも影響を及ぼすことは明らかであります。そういたしますと、従来の徳用米の原料は陸稲あるいは準内地米のうちのアメリカのテキサス米、あるいはスペイン米、中国産の常熟米等と私どもは聞いておりますが、そのものが余っているからそのものをもって当てるのだ、そうしますと、国内の農民を犠牲にして外国から買った米をもってこれに充当していくのだ、これは農民に対する裏切りではありませんか。この点について大臣のこの前の買い入れ制限はしない、こういう答弁と矛盾をいたしますので、私は、時間をとりますけれども、この問題については委員長の御了解をいただいて、この前の委員会の発言と食い違うようなこと、食糧庁長官はその場に居あわせておられるのに、その後こういう重大な変更をされることについては、時間をお与えいただきまして、大臣の善処するという答弁をいただくか、あるいはこの前の自分の答弁が誤っておった、買い上げ制限をするのだというふうに御答弁になりますならば、これは心境の変化ならば——政府の政策として農民がどう受け取るかは別として、了承いたしますが、この前の御答弁と食い違うので私は了承することはできない。
  108. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 私は、私の発言と矛盾いたさないと思います。言いかえますならば、今年度に関しては買い入れ制限はいたしません、そのとおりでございます。食管法に基づいて政府として必要なものを確保する、それには規格に合ったものを買い入れる、これについては制限をいたしません、こういう趣旨で申し上げたのであります。
  109. 足鹿覺

    足鹿覺君 これは規格に合ったものを買うということは事実そのとおりでありますが、去年の場合にいたしましても、大体九月の下旬のようでありますが、政府の買い入れ価格一覧というものが例年出ておりますが、それによりますと、等外上は昨年六千五百六十二円、水分過多規格外玄米甲が七千三百八十七円、乙が七千二百六十二円、胴割れ米混入規格外玄米甲が六千九百四十二円等々とちゃんと買っているではありませんか。それをにわかに手のひらを返すようにこのような措置に出られるということは、農民に対する少なくとも——私は大げさな言い方か知りませんが、裏切りではないかと思います。少なくとも買い入れ制限をしないと言った以上は、昨年に比較して、実際上制限になるような措置を講じないという当委員会においての大臣発言と私は理解しておりますが、そのような大臣と食糧庁長官の答弁の食い違いは納得できません。いわゆる規格外であるものは当然でありますが、規格外といえども政府買い上げ米の対象となった昨年の実績というものは尊重されなければなりません。なぜ在庫量がふえたということについては、先ほど私は述べましたが、では徳用米対象は何をもってお当てになるのでありますか。長官、徳用米対象は何をもっておやりになるのか、外米でおやりになるんですか。
  110. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 徳用米に当てますものは、規格、いわゆる五等に適格性を持ちません等外上の内地産米それから準内地米のうち常熟米、台湾米等をもって充てることにいたしておるのでございます。なお徳用米販売の実績等から申せば、ここで私の名前で通牒で出ております売り渡し条件の中でうたっている、災害等により農林大臣がやむを得ないと認めるときはという場合に集荷されるであろう数量であれば十分の数量であることは間違いございません。
  111. 足鹿覺

    足鹿覺君 そういたしますと、徳用米については中国米あるいはその他の準内地米をもって充てるのみならず等外上を充てる、こういうことである。徳用米は主食としてお認めになっておる。その主食として認めており、従来も実績あるものを本年にこれを買い上げの対象からはずすということは法律違反ではありませんか。明らかにそうでありませんか。告示、命令をもって法律の精神をゆがめるということは許しません。少なくとも当委員会における大臣の答弁は、買い入れ制限はいたしません、はっきり言っておるのであります。その中身をいわゆる広義にとるか狭義にとるか、いずれにいたしましても、国務大臣が、農林大臣が当委員会において、買い上げ制限はしないんだということを言っておきながら、その舌の根もかわかないうちに、主食たるものの徳用米対象である、原料である等外上をことしははずす場合もあり得る、災害地のみに限定をする、かように答弁されることは、私は農民に対する背信行為だと思います。十分御善処をお願いいたしたいと思いますが、大臣のこの前の御答弁が誤りであったと、主食の買い上げを制限するんだと、徳用米といえども主食の対象になっている以上主食であります。それを生産した農民から買い上げないということになれば買い上げ制限であります。第一これをあなた方が買い上げをされない場合は農民は自衛手段でどういう手段に出ますか。これを三、四等に少しずつ入れればどこへ入ったかわからないですよ。あなた方はそういう点についてはわかりませんでしょうが、あり得ることなんです。ですから、むしろ低所得者用に徳用米制度を設け、内地の農民が、日本の農民がつくった米をもって充てるというならば、これを去年の実績に照らして買い上げていってこそ農林大臣の先般の当委員会における答弁と一致するではありませんか。食糧庁長官、あなたは当面の責任者として、いかに去年あなたが長官でなかったとはいえ、あまりにも追随的な立場が過ぎるではありませんか。もう少し、高度な政治判断に立ってものごとを判断されることもけっこうでありましょう。ある一部の力に、圧力に屈することもやむを得ないかもしれませんが、食糧庁本来のあり方に対してもとるようなことをされることは許せません。どのように責任をとられるつもりでありますか。大臣の先般の御答弁が間違いか、あなたのただいまの御答弁を直されるかどちらかにはっきりしていただきたい。私の本旨とするところは、昨年に引き続き等外上をこの災害等という表現に基づいてしんしゃくをされるものと解しておりましたが、意外千万な御答弁を聞きましたので、私はこれ以上申し上げません。そのいずれかを長官なり大臣から御答弁願って、この前の答弁とは違うんだと、買い上げの制限はするんだと、こういう形でするんだ、こういうことであると解してよろしいならば、あえて御答弁は求めません。この点をはっきりしていただきたい。
  112. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 前回答弁いたしましたことと今回食糧庁のとっている措置は私は矛盾しないと思います。言いかえますれば、法の精神は、必要なるものを買う、その必要なるものとは規格に当てはまる必要量を買っていくのだ、その意味において今年度は買い上げ制限というのはありません、これが私の答弁であります。そこで今度は食糧庁としては、規格外のものをきわめて例外的に従来買っておったが、それは災害等の場合には考慮いたしましょう、それ以外の場合につきましては米の需給現状を考え、行政方針としてもこれは買わない、これは何ら私は矛盾しない。一つの国民経済運営の中における食管法、その精神、その条文をもとにしてやっているわけでありまして、かりに制限買い付けということになりますれば食管法自体を変えなければならない、そうではなく、私は法の運用と何らそごしていない、こういうように思っております。
  113. 足鹿覺

    足鹿覺君 あなたがそういう答弁をなさいまして、あなたの当委員会における出席時間がオーバーいたしましても私は納得いたしません。あなたが御退席になってからもこの問題についてさらに御出席を要求いたします。ここで時間を取ってしまうと他の同僚委員の大臣質問にさしつかえますからあえて質問いたしません。いまの答弁は矛盾撞着をきわめた答弁であり、手のひらを返すような言、まことに遺憾千万である、かように申し上げているのであります。  最後に暫定加算についての再検討をする意思ありやいなやということについて伺います。政府生産者米価決定に伴なう暫定加算、すなわち時期別格差決定いたしました。八月十三日でありますが、閣議決定をいたしております。これによりますと群馬、東京、山梨、大阪、奈良、鳥取、岡山、香川、愛媛、福岡、佐賀、熊本、大分、以上の県を除外し、またおそ出し指定県を相当に除外をしている、あるいはランク上粗略に取り扱っている県がございます。そこで私はこの暫定加算の本旨は、少なくとも農民の既得権をいかに正当に基本米価に再現するかというところにあったと思っておりますが、この基準の線の引き方いかんによってはどのようにでも操作される。聞くところによりますと、政府はその当該府県における政府買い上げ米に占める時期別格差該当米の俵数をパーセントで出したものと前年対比と二つをとって、三年平均をとって線を引いたと言われますが、私は少なくともこのような時節であり、米価全国の農民の不満を買い、与党の内部にすらあのような混乱が起こったことは御承知でしょう。できるだけ農民の期待にこたえていくことが妥当だと思います。かりに前年対比でいきました場合に、静岡の一二・八%と鳥取の一一・八%というものとその差一%にすぎません。しかるに静岡はその暫定加算の恩恵に入り、鳥取はこれから除外をされる、その差はわずかに一%であります。このような全くきわどい、線の引き方によってはどのようにでもなるような操作がなされておりますことは私は納得いきません。このようなことは閣議でちらっと一枚の紙を出してそれで了承、了承とおそらくやられたことだろうと思いますけれども、これは少なくとも農民の既得権擁護の立場から、そう簡単に十四、五府県が除外をされるということは、やむを得ないものは例外がありますが、他の場合はほとんど画一的な線の引き方によってこの暫定加算から除外を受けておるのであります。この点について、再度慎重に検討される御意思がありませんか。
  114. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) これは御存じのとおり、早出し米奨励金の廃止にかわってあらわれた一つ制度でございます。暫定加算は。早出し米奨励金も従来から整理廃止したい、これはしばしばこの席を通して言ってきた。ことに今日のような需給の著しい緩和のもとにおいて、早出し米ということ自体については相当世論もやかましい議論があるし、また早出し米自体が必ずしもいい面だけでない面も一面においてある。そこで今回暫定加算ということで、できる限り、従来早出し関係の県等の農民の所得に大きな打撃を与えないようないき方をとろう。しかし、同時に全体の、何と申しますか、米価全体の価格の中での操作でございますから、これを従来どおりとればまた逆の今度は食われ方をするような関係から、いろいろな角度から検討いたしまして、そうして大体県単位でもって百五十キログラム二十五円くらいのところの線で切った。その境目においてどこかで切らなければならぬ。境目においての県というものが一つ発生をしておるということは事実でございますが、ただ、全体に従来の早出し米奨励金の総額というものが減ったわけでありますから、その分はまた全体の県に均てんいたしておりますから、これが約百五十キログラム平均七十七円アップをしております。ベースアップは別でございますが、そういうような操作のもとにできておる暫定加算であって、現在これはすでに決定いたしておりますので、これに基づいてやっておる、こういう状況でございまして、これを改定するという考え方は現在ございません。
  115. 足鹿覺

    足鹿覺君 他の同僚委員の大臣質問のじゃまをあまりしてもいけませんが、いま一問だけお聞きをしたいと思いますが、大臣、都道府県単位でものごとをおきめになるのもやむを得ない一面もあると思います。しかし、もらっておった地域は、これは山間僻地で気象その他の耕作上の条件も、純然たる早場米地帯と何ら変わりのない地帯なんです。行政区域とは別個な問題であります。その証拠には九州の方面においても同様の地帯が、あの暖といわれる地帯においてもあります。寒暖その他の別なく、近来の栽培技術が進歩して三早栽培等が指導奨励をされ、早まき、早植え、早刈り、こういうような行政指導や技術指導が行なわれて増産指導の結果、稲作栽培に大きな変化が起きて、こういう状態になっておるのでありまして、これをただ三年間の実績をもとにして線を引く。しかもそれは都道府県単位に線を引くということは、これは農民の既得権にかかわる重大な問題であります。さなきだに低米価の上に追い打ちをかける結果になると思います。したがって新しくランクをつくるとか、いろいろ温情あるあたたかい措置を講ずるべきだと考えますが、この点については一たんきめた閣議であるから、このこと自体を変えることはできないまでも、少なくとも新しいランクについて再検討するとか、最善を尽くすべきだと私は考えます。御所見があれば承って、あとの大臣質問は同僚議員に譲ります。
  116. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 元来、早場米制度というのは、奨励金制度というのはなくなるべきものではありますが、急激ななくし方をするということはそこに所得に対する急激な変化を与えるので、私どもとしてはできる限りの温情をもってということで漸減方式をとり、しかもそれも早場米という制度では国民が納得いたしませんので、時期いかんにかかわらず……。そうすると、その基準のとり方でありますが、どこを基準にしていったらいいのかということで、大多数のものが入るような基準をとってきた、これが今日のとり方であります、県単位中心——しかし同時に今度は逆にその早場米制度にかわる暫定加算金は、早場米制度が減っておりますからその分が全体にまた今度は底上げになりましてふえていく。こういうふうに私は御理解を願いたいと思います。あとはまあ低米価といわれるベースアップの問題、またこれは別途でございます。
  117. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 私はこの前と同様に一問一答を避けて、質問したいことを申します。だから大臣として誠意をもって答えたいという御判断に立ったら大臣の立場で答弁をいただき、その他は所管の関係局長でけっこうだと思います。  八月八日にここの農水で足鹿委員と私、質問の中で、政府答弁を要約して考えた場合に、第一点は、食管制度の根幹は断じて変わらないということ、第二点は、事、総合農政に関してはまだ十分柱が立っていない、そうして最後に私の立場から富山県の実情等を申し上げ、時期別格差の問題を申し上げたら、いまの答弁にあったとおり、暫定加算で進むという一つ決定があったわけでありますが、その後生産者米価決定いたしました。そうした国会内外の情勢を踏まえて私富山に帰りました。そして農協の責任者あるいは農民の一人一人と可能な限りあちらで話をしこちらで対話を展開する中から見たさまざまな農民の受けとめ方を若干申し上げて、そのことが同時に私の質問であります第一点の今後の食管制度、なかんずく米審についての考え方、同時に総合農政についてもいまこの時点で何もプランがないなどとは私はおかしいと思いますので、あえてこの点についても若干提起をしたい、こう思うわけであります。特に農民と最も関連の深い農協関係、単協ないし地方農協等についてそれぞれ米価闘争等についての総括について意見のとりまとめをお願いし、対話を繰り返す中で、やはりどうしても食管制度を守っていただきたいという結論に到達したようでございます。同時にまた、今次の生産者米価決定にあたって、かなりショックを受け、ある意味ではがっかりしているというのが実態ではないかと思います。とりわけ先ほど議論がありました、自民党の委員の方からも議論があったわけでありますが、おそ出しの五十四円の問題でありますが、農民のほうはそれについてもみずから俵を保管する能力等については全く今日の事情ではないのじゃないか。しかも五十四円とは何事だ、こういう話が農協の責任者なり農民のなまの声として非常に強く打ち出されておったということをお伝えしておきたいと思います。  そしてまた時期別格差の問題等については、これはこの前にも申し上げたように、農民が生産計画を立て、生産に努力をしてきた、しかも終末段階、もうもはや米を手にしようとする段階政府決定されたことに対して非常な不信と怒りを持っております。だから単なる食糧政策の問題のみならず、やはり政治の道義の立場から、政府のおとりなさった措置は、私は農民にとってはきわめて不評であり、不満であることをお伝えをしておきたいと思います。地方農協からは正式な回答を私手にとっておりませんでしたけれども、富山県農業会議会長の名において、私の手元ないし農林大臣にもまいっておりましょうが、八月三十日付公文書による食管制度の堅持に関する要請、こういう形で公文書によって私の手元へも実はまいっております。こうしたことを、農業の問題を最も真剣に考える組織、団体等の中で、食管制度に関する強い今後の要望があること、これをも十分御理解いただきたいと思います。ただ、農民は、私どものほうは早場米でありますが、もうすでに刈り取りを終わってしまった農家相当ありますが、刈り取りを終わったあとで、すぐそのあとすきで耕して、大根を植え、麦を植えて、常に農民は自分たちの生産計画に当たっております。同時にまた、真剣に大臣に考えていただきたいのは、農民はもうすでに刈り取りを終わる時点において、あるいはすでに稲にかまを入れる時点において、種もみの注文を早くとります。種もみは農協からまいります。また、自分のところで種もみをとるということになれば、自分の生産計画がすでに頭にあって、種もみをどれをとるか、どれを保存するかということを、彼らは考えているわけでございますので、農民は、こうした論議をこの委員会でわれわれがしておる以前に、来年の作付なり生産計画を農民自身の手で一生懸命やっているという事実を正しく見抜いていただきたいと思います。  そうした実情報告をしながらも、あえて私はここで、第一点の食管制度の問題、私は四月二十二、二十三、二十四日のあの米審の場合も、全国からはせつけた農民代表とともに農林大臣にも会い、またあの抗議の集会にも参加してまいりました。そしてまた消費者米価決定段階にあたって、去る三日、四日の場合も、これは主婦を中心とした消費者の側から激しい抗議と怒りの集会があったこと、大臣自身も身をもって御承知だと思います。こうした、いわゆるマスコミにいう米騒動、この米価決定の過程をなまで、はだでお感じになっている大臣として、いま、ことし進められた米価審議会、われわれの側からいえば中立米審反対、こういう主張をわれわれが持っておったわけですけれども、このような構成並びに運営、こうした人々の任命等々については、今後ともその形で進めていこうとしておられるのかどうか、そのことを明らかにしていただきたいと思います。そのことが同時にいま、先ほどいろいろ関連しておりますから省略いたしますが、消費者米価、食管制度の根本の問題にも触れるのではないかと考えます。  そこで第二の問題として、総合農政の問題でありますが、すでに農林広報の中で、私は不勉強で承知しておらなかったのでありますけれども、大臣は七月十三日十一時三十分、霞ケ関云々というところで、省議の席上において総合農政の展開について指示をなさっております。各項目にわたった指示があるわけでありますが、この中でも、もうそれからすでに二カ月をけみしておるわけでありますから、生産農家が、政府の政策いかんにかかわらず、みずから来年の生産計画を立てているという現実等も踏まえながら、来年はこうするのだ、農民の皆さん、このような形でやるからひとつ協力をしてほしいという形で、荒筋でもいいから農民にお示しいただくのが大切ではないだろうか。しかも、それはきわめて早い機会になされるのが私、行政当局の当然の任務だろう、このように思っております。そういう点について、この作業をテンポを早めるなり、あるいはまた中間でもいいから、農民が今後の生産に取り組むことについての示唆を農林当局が指導的立場からお示しいただけないものだろうか。このことをまずお聞きしたいと思っております。  そうした中で私非常に心に引っかかってくるのは、大臣の手元にも参っておると思いますが、八月二十六日付の米穀管理制度の改善に関する意見、関西経済連合会から出ておるわけであります。私らもそれをいただきました。この中にやはり重大な問題提起があります。このことについて農林省当局といろいろ御議論なさったと思いますから、それについて一々の御答弁をほんとうは要求したいのでありますが、一番大事なことは、いわゆる直接統制から間接統制に移行してもらいたいという要求、これが第一の柱であります。その次は単協の整備ということで、流通機構の整備という項目を起こしながら、この中で提起されておることは、取引市場の再開の問題が出てまいっております。そこらには日本の財界あるいはそうした方面における考え方があるということがはっきりぼくは出てきたような気がいたします。そうしてなおかつ、転職円滑化措置というような美名のもとに余剰労働力、いわゆる高度成長の経済産業、工業のほうに吸い取っていくというようなことを大前提とした離農者の職業訓練などという若干の温情めいた提案もしておるようでありますが、ここらあたりに、いま世に渦巻いておる米騒動をめぐり、あとに最後に残ったものは何か、何だったのだ、奥底にあったものはこれなんじゃないかということを私なりに判断せざるを得ないのであります。そうしたこと等について大臣もすでにお見通しのことだと思いますから、明確な見解があるならお示しをいただきたいと、このように思うのであります。  時間がございませんので、はしょって申し上げましたが、最後に、先般の質問のときに経済企画庁が出した白書の問題で佐賀の問題を提起いたしましたが、十分答弁をいただけなかったし、質問の趣旨も不徹底であったのでありますが、私幸いにしていまここに新佐賀段階米づくり運動推進要綱というのを入手いたしましていろいろ検討中でございますが、この中でやはり農村のあり方、農業構造の問題が大きく提起されておるわけです。こうしたことについて農林当局が指導助言ないし遠隔操作で無関心の態度を示しておいでになるのかどうか知りませんが、そうしたことがすでに進んでおる佐賀の新しい米づくり運動等についてのいわゆる評価をお聞きすることができればお聞きしたい、このように思うのであります。  以上であります。
  118. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 杉原さんからいろいろと御意見なり、また御質問なりございましたから取りまとめて答弁いたしたいと思います。  第一は食管制度改善の問題でございます。これについてはすでにこの前の国会におきましても、総合農政の一環として食管制度の改善を検討するということは総理大臣の施政方針として出ております。それに従いまして私どもはいろいろな方面の意見をまとめながら食管制度改善のための検討というものを始めるべく努力をしたいと思うのであります。  それから第二の米価審議会の構成問題でございますが、これはまだ現在の委員が任期が来年まであるわけであります。したがって現在この構成をどうするということを言うべき段階ではないと私は思いますが、ただ従来、米審の構成について生産者、消費者意見が反映しないじゃないかという議論、同時にまた利害関係者を抜いていったほうがいいのだという議論もあります。それから今度は逆に、そうでないという反対の議論もしばしば私は聞いております。また国会におけるいろいろな方面の御意見も出ております。したがって中立米審と申しますか、新米審が行ないました経過、また各方面の意見を十分見ながら、やがてこの任期が切れるまでには十分な結論を得ていきたい、こういう考えでございます。  それから総合農政の問題は、当然現在の農業をめぐります諸情勢が非常に大きく変化し、また諸条件がきびしい面もございます。その中において七月十三日に私どもは自分の部局におりますものに対して、総合的な立場でもって農政を推進しなければいけない。この基本はもちろん農業基本法に基づきましての総合農政思想でございます。具体的にこれを実践する方向としてはあれに十項目くらい項目が出ておりますが、具体的にこれをこなしていく場合には、一つには省内におきましては総合農政推進のための農政推進会議というものをつくって推進をしよう、具体策を練るというのが一つ。それからいま一つは予算でございます。昭和四十四年度予算要求の段階が近づいておりまして、したがってこの予算にやはり総合農政の思想をあらわし得るものからあらわしていこう、こういうふうな努力をいたしております。いま一つは、長期の見通し、いわゆる食糧の長期の需給見通しというものを立てる、これは三十七年につくったものがございますが、これだけの環境的激変のもとでは、私どもはさらに観点を新たにして、しっかりした長期需給見通しを立てる、このためにせっかくいま作業を急いでおるわけであります。それからなお総合農政につきましては、あの十項目前後の指示しました中に、すでに国会に提案になっております構造諸政策等は従来に変わらずあの線で推進をしてまいりたいわけであります。農地法も改正になり、あるいは農協法の改正あるいは農村の振興地域の整備に関する一つの法律案、こういうようなものを中心にして構造政策というものを推進していくかたわら、長期見通しにあわせまして生産対策というものを進めてまいる。流通、加工、消費、この面においてもしかりであります。かたわらその一環として、食糧管理制度実態に合うような立場において検討を加えていこう、こういうのが総合農政の推進のしかたでございます。
  119. 沢田実

    沢田実君 お聞きしたいことはたくさんあるわけでありますが、大臣の時間の都合があるようでございますので一点だけ大臣にお尋ねをいたしたいと思います。  政府は前から、米審の答申についてはこれを尊重するという、そういう立場でおやりになっていくことを再々おっしゃっているわけですが、今度の答申については四つの問題がございます。その  一つは、昭和四十二年産持ち越し米について特別の考慮をしていないという点。二つ目は、米の供給の過剰化の傾向を反映していないという点。三つ目は、生産者米価についての答申による額をこえて決定された部分を消費者負担としているように見受けられるという点。四つ目は、消費者物価へのはね返り。こういう四つのことについて答申は取り上げているように思います。  第一番については、先ほどお話がございましたのでこれは省略をいたしますが、二番目の米の供給の過剰化の傾向という問題について、この答申を今度の米価決定についてどんなふうにお取り上げになったかという点をまずお願いしたいと思います。
  120. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 需給自体が著しく緩和したことがまず生産者米価段階においてそれをちっとも反映していないじゃないかというやかましい御議論が出たわけでありまして、これに対しましては、私は今年はすでに作付等も終わり、刈り入れの段階でもあるから、今年は無理であるから来年度以降に向かってこの需給の面を反映する方法を生産者米価決定の際に取り入れたい、こういうことを申しておったわけであります。消費者米価について需給を反映したかということにつきましては、なかなかこれは消費者米価と需給の反映ということ、今日の段階においては困難ではありますが、できる限り需給の中で持ち越し米、いわゆる古米もふえておるのでありますから、混合率をある程度ふやしながら、しかし消費者の動向を考えまして、まずおおむね五〇%程度ということで、さしあたり十一月からやっていくということにして、古米の消費と消費者の選好と食管会計の健全運営、これらの三つをにらみ合わせましてそれらの需給を考えてまいるということにいたしたわけであります。大体消費者米価決定にあたりまして、需給を消費者米価そのものに反映させるのは、一番いいのは古米の値段を下げて新しい値段とは違えるのだという一つの需給反映の方法もあるかもしれませんが、これはそれを扱う業者と申しますか、事態が必ずしもそれによって古米消費がはたしてできるかというと、技術的にはかえってそれより搗精度のほうがはるかにいいというま北技術的な面もありまして、そこらをにらみ合わせまして一月から搗精度のほうで処分の促進をはかる、こういうふうに考えております。
  121. 沢田実

    沢田実君 三番目の、生産者米価についての答申による額をこえたために八%ということになったわけですが、そうでなければ六%くらいで済んだのではなかろうかというぐあいに答申のほうでは言っておるわけです。それで生産者米価のことについては、私は生産者米価が高いといっておるわけではございません。生産者米価は現在の農家に対する育成といいますか、補助といいますか、助成といいますか、そういう意味を含んだ価格も含まれている、政府の農業政策の一環としての金額もその生産者米価の中には当然含まれている、これはけっこうだと思います。ですから生産者米価が高いというのではなしに、そういうものを含んだ生産者米価をもとにして、要するに食管会計が赤字にならないために消費者米価を上げているというふうにしか考えられないわけです。そこで最初政府案として出した八%は、米審が明らかにここで消費者負担になるので、この点については問題がある、一番問題点として答申したにもかかわらず、先ほど御答弁のように八%に決定しておるようでございますが、その辺についていわゆる農業政策上そういうような性質の金額生産者米価に入っておるわけですから、その分についてまで消費者にこれを負担させるという法的な根拠はどこにあるのだという点をお尋ねしたいと思います。
  122. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 生産者米価のとり方でございますが、最初の二・九九あるいは三%と申しますか、その中には奨励費的な、あるいは原価的な要素の薄いものはのけてあったわけであります。それで二・九九というのを出したのでありますが、しかしそれともう一つは需給反映のいわゆるシグマと言われます限界反収から平均反収に近づける操作をやるのが除かれておって二、九九でございますが、今年度すでに刈り入れ等も始まろうとする時期において、いま急激にシグマを言うことはどうか、それから従来与えられておったような部分、メリットの還元とか、そういうものを入れてそれで五・九%ということになったわけであります。したがってこれはやはり本年度米価決定としてはそれぞれ理由ありとして私ども政府において五・九を決定いたしました。それを今度は消費者米価決定する場合に、一つ家計米価というものを考える、大体消費者米価決定前におきましては家計米価の許容し得る範囲は一一・四、その範囲内で押える。そこで逆ざやを一部は残しましたが——末端の逆さやでございます。コスト逆ざやになれば解消できませんけれども末端の小売り段階においての価格生産者価格を割って売っている分は、できる限り——食管のきわめて不健全な運営である、その分を加えて八%を出したのでございますから、私どもはこれは単に何と申しますか、政治的なものを消費者に単純にぶっかけたという解釈をいたさないので、一つの合理性を持ったものをもって逆ざや解消というものも考え、家計米価の許容し得る範囲内において八%平均ベースを出しで審議会にかけ、最終的に結論を得た。したがって、審議会の少数意見ではございますが、この八%はやむを得ないであろうという意見もまた審議会の答申の一部に入っておることは事実でございます。
  123. 沢田実

    沢田実君 家計としてどれだけ負担することができるかということを筋にしておっしゃっているようでございますが、家計費及び物価、その他の経済事情をしんしゃくするということが第四条には載っているのでありまして、しかも消費者家計を安定させるということが消費者米価においては根本ではなかろうか。ところが、これだけは負担できるということで、消費者がこれだけ米価として負担することが可能だという、その計算だけでやられますと、いつまでたっても消費者の生活はよくならないわけです。ですからその点だけで消費者米価をきめていくといういき方について、おそらくこの答申については問題があるということでこの答申が出たんだと思うわけですが、いま大臣は、こういう答申はあるけれども、こちらはこちらの考えでこちらのほうが正しいのだという、こういうお考えのようでございますが、そういうことであれば、最初からきめてしまって、答申で何と言おうと政府できめてしまうということであれば、答申ということが、審議会ということが無意味になってしまうのじゃないか、こういうふうに思いますが、審議会についての大臣の考え方をもう一度お願いしたいと思います。
  124. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 審議会の構成につきましては御異論がありますが、ただ審議会が非常に静かな間に相当勉強されまして、しかも、かなり問題を深く掘り下げて議論されて、いろいろな答申なり建議をなさったわけであります。また私どもとしても、生産者米価はもちろんでありますが、消費者米価におきましても、審議会の答申というものがありました以上、できる限りその答申考え方を生かしていきたい。その努力はいたしておりますので、たとえば消費者米価の上げ幅について、率については総合予算主義であるとか、食管のいわゆる逆ざや解消というような問題を考えますと、なかなかあれしにくいのでありますが、古米処理等の御意見等につきましては、搗精度あるいは混合率、こういうようなものを政府考え方よりは答申考え方に近づけるようにして、今朝来から御説明しましたような形で閣議の了承を得たわけであります。
  125. 沢田実

    沢田実君 時間の都合がありますので以上で……。
  126. 向井長年

    向井長年君 たいへん忙しそうでありますから、私は二点大臣に特に質問いたします。  いま同僚議員からも言われましたが、九月五日に米審の答申が出ておりますが、大体有力意見としては、消費者米価は再検討しろ、こういう答申のように伺うわけですけれども、ところがけさは、きょうの午前中に閣議決定したようでございますが、どうもこの米審の意見を尊重しない、この点についてはまことに遺憾でありますが、特に政府は、当初この生産者米価について二万八十五円ですか、これを予定し、いろいろと問題点があって、この当時から消費者米価を八%というようなことを政府は意図しておったように私は把握しております。その後、いわゆる俗に言う政治加算といいますか、これが加算されて、御承知のごとく千五百十円になった、この値上げとなった。こうなってくると、生産者米価そのものについては、私はけしからぬというものじゃなくて、これは十分認めますけれども消費者米価八%という問題については、おのずから変わってこなければおかしいです、本来から言うならば。ところが、これを堅持しておるということは、特に総合予算主義を守ろうという、こういうところにこの八%を一歩も譲らない、こういう点があらわれていると思うのですが、この点はいかがですか。それと同時に八%をやった場合に、これは企画庁の問題にもなりますけれども物価政策に大きな影響をきたす。もともと本年の当初は経企庁ではことしの物価約三・五%程度見込まなければならぬと言ったのが、ただいまは四・五%である、こういうことを言われておりますが、これも、四・五%の線もくずれるおそれが非常に強いと思うのです。こういう点について大臣として消費者米価決定に伴う措置の現在までの経緯あるいは考え方、これをひとつ答弁願いたいと思います。
  127. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 生産者米価並びに消費者米価というのは、国民の主食でございますし、同時に生産者の生産意欲、また同時に国民の物価に影響するところ大きいのであります。それだけに各界各層が非常な御関心を持つ、これは当然であります。私どもも約半年にわたりまして、この問題は米価審議会以来苦慮しあるいは努力してまいったのであります。そこでおっしゃるとおり生産者米価自体が妥当であったかどうか、これも議論があるところでございましょう。考え方によっては三%も一つ考え方。しかし私どもは、本年度の需給状況から見ますと、政府的な立場では、先ほど杉原さんがおっしゃったように必ずしも満足していないとおっしゃるが、同時にまた消費者のことも考え財政も考えてまいりますと、五・九というそこに一つの積み上げ方式を出しておる。それから今度はもう一つ食管会計が末端逆ざやという現象を出しておる。全体で二千四百十五億円の国家の負担の繰り入れをした上にさらに末端逆ざやが広がっていく方向にいくのではこれは食管が不健全になる一方である。食管が不健全になるということは生産者にも消費者にも非常な不幸であるということから考えれば末端逆ざやの正常化ははからなければいかぬ。そこで八%というラインを出してみたわけであります。しかし消費者家計から見ればこれも下げればいいのでございますが、私どもとしては答申をもらいましてからもずいぶん日にちもかけいろいろ検討もいたしてまいりましたが、無理なことをやって見せかけの食管会計の数字などをこしらえてやったところで結果は出てしまうのでありまして、そのくらいならばやはりこれはやむを得ないということで御了承をいただく以外にない。ただこれもかなりこまかな配慮もいたしておりまして、平均八%でございますから、六大消費府県と申しますか、東京、大阪、神奈川、兵庫、愛知等々の六大消費府県に対しては平均八%よりは下げてございまして、七・八%の値上げ率にしてあるわけです。配給人口の約四割はそれに該当するように、いささかではございますが、そういうような配慮も加えてはやっておるつもりでございます。  それからいま一つ物価に影響するか。——率直に申しまして米自体の消費というものがそれほど伸びておりませんから標準世帯では経企庁の専門筋でも家計支出に与える影響は〇・三である、しかしこのはね返りと申しますか、便乗と申しますか、波及と申しますか、そういうものを加えると〇・六くらいの影響があるのではないか。私ども米価そのものでなくて米価からくる心理作用、波及的な作用というものはやはり警戒はしていかなければならない。四・八というのは本年度の経済企画庁を中心にする消費者物価の年間の値上がり目標でありますが、これをあくまでも努力目標として今後数ヵ月の間政府全体としてはできる限りいろんな操作で努力目標を努力していくということは続けてまいりたい、こういうふうに考えております。
  128. 向井長年

    向井長年君 時間がございませんから……。しかし当初、大臣、これは、八%というのは生産者米価が政治加算する前から考えておったことでしょう。それは私はそうとっておりますよ。
  129. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 実はそうではございませんで、内部のことを申し上げるとあれでございますが、八%の諮問案を審議会にかけまして、その後党といろいろと調節があったことは御存じのとおりであります。その間に私ども閣僚といたしましては八%が限度であろう、大体そのころの家計米価が、一応とってみたところが八%くらいのところになっております。それでそのような意思表示をしたわけであります。その後御存じのとおり日にちもたっておりますし、家計米価というものの一応許容限度というものは上がってはおるのでございます。大体そういうところから八%という数字が出たんじゃないか。われわれ八%が限界じゃないかということを言ったのはたしかでございます。最初から八%をねらったわけじゃございません。党との調節の過程におきまして消費者米価というものを八%が限度だということは意思表示をしたことは覚えております。
  130. 向井長年

    向井長年君 その問題はあとにして、もう一つ大臣、私は四月の予算委員会で大臣に質問いたしましたが、鶏卵輸入の問題について、これがもう、あのときは時間がなくてあまり言えなかったのですが、御承知のごとく、これは三十九年、四十年、四十一年、四十二年、四十三年と毎年倍々というような形でふえてきているのです。したがって四十三年度にはもうそれ以上ふやさないと、こういうことがある程度そういう方向だということは先般も答弁されておるのですが、この点は国内生産との関係、こういう点から考えて自給自足はできるということになるならば、今度約九千万トンですか、これ以上ふやさないということははっきり断言できますか、大臣。
  131. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 四月の予算委員会におきましても先生からその問題が出たわけでありますが、ただ問題は、全体の需要量の中の占める部分の問題が一つと、いま一つは、これが自由化品目になっておりますから、割り当てその他によっていま国際貿易上押えるわけにいかない。そこで国内の卵価というものを撹乱されたりしてはいけないという観点から、状況によっては農林省その他が輸入業界の実態と申しますか、そういうようなことを不断に気をつけながらバランスはとってまいりたいと、こういうふうな考えで、率直に申しますと、いわゆる生産農家被害を与えないような形で解決することにいたしたい、こういう考えでございます。
  132. 向井長年

    向井長年君 どうも大臣、聞くところによると、四月の予算委員会で私がこの問題を取り上げて以後、商社関係がこの際実績をつくろうとしてかえってその動きが顕著になっておる、こういうことを聞くわけなんですが、政府の考えていることと全く逆の方向を進もうとする憂いがあるわけですが、これに対して大臣は、そういうことは絶対にない、そういうことはやらすべきじゃない、行政指導の中からそれはできるだけ制限する、こういうようなことを大臣から答弁できますか。
  133. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) わが国としてはいまのような貿易環境には立っておりますが、しかし農林大臣としては、同時に国内の養鶏業者というものをたくさんかかえておりまして、これが安定ということがより優先していかなければならない、そういう面から輸入業者に対して絶えず指導なり気をつけるということはやってまいりたい。輸入の実情につきましては担当の局長からお聞きとり願いたいと思いますが、私の気持ちはそういうふうにいたしたいと思います。
  134. 向井長年

    向井長年君 この問題に関係しまして、いま社団法人の全国鶏卵価格安定基金というようなものをつくっておりますね。これについては全販連等が中心になっているようですが、政治資金が二億、あるいは地方公共団体が二億、生産者が二億とこういうふうに出ておるのですが、これに対して生産者団体がありますが、こういうところには適用されておらない、こういう現況を私たちは知っているわけです。非常にこれは不合理だ、少なくとも政府資金なり地方公共団体の資金が投入された中で、全生産者に少なくとも公平にこれが適用されなければおかしいのだが、一部のものしか適用できないという状況、この問題については大臣研究されているか、いまわからなかったらけっこうです。局長にまたお伺いしますが、こういう問題について大臣は当然これは生産者全般に及ぶ問題であると、こういうことに私は考えるのですが、大臣はどう考えますか。
  135. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 実は私ちょっと勉強が足りませんで気がついておりませんが、いずれ日を改めまして勉強しまして御答弁させていただきます。
  136. 河田賢治

    ○河田賢治君 時間がございませんから一つだけ伺いたいのです。先ほど社会党の委員からも話がありましたときに、新しい西村総合農政ということを言われましたが、これもまだあまり抽象的でわからぬ。しかし自民党の中にも最近機構改革をやって新農政を打ち出せということを言われているのですが、しかし御承知のとおり、米が相当だぶついていて、しかも農相は米の買い上げは、つくっても全量は買わぬ、これは食管法で別に差しつかえないと言われているわけですが、そうしますと、いまも他の委員から話がありましたように、農民はもうすぐに次の、来年の生産にかかるわけです。その場合、これが数量で制限されるのか、あるいは価格をずっと早目に出して、これによって農民は、引き合わぬから、米はつくらずに他の作物に移ろうとか、こういうようなことも考えるに違いない。ところがこの生産者米価の問題をいつ一体お出しになるのか。聞くところによると、予算編成期に新しい予算の中にもうこれを盛り込んでおくという見解も閣僚やあるいは自民党の中にあるということを聞いております。いつものように、これが六月になりますと、もうすでに米はつくられておる。そうしてしかも、さっきありましたように、五等米は買わぬだとか、四等米の一部しか買わぬというようなことになれば、せっかく農民がつくりましても、また政府に買ってもらわなければ、やみは公然と認めるでしょうけれども、いずれにしましてもそれは大きな問題になる。同時にまた新しい西村農政として総合農政をやろうというのであれば、何を一体日本で次は自給していくか、どのような作物、またどのような価格でやっていくかということを示さなければ、これは進展しないと思うのです。  米は御承知のとおり政府が買い上げますから、そうしてまだまだ生産費価格とはつり合っておりませんけれども、米は今日ある程度の一〇〇%の自給率になってきた。麦などは、これまでもずっと政府はいろいろと政策をやっておりますけれども、これはもうますます減ってきておるわけです。こういうようにして、豚につきましても、他の資料によりますと、二百円の最低価格がいま三百円になっておるとか、こうして間接統制もうまくいかないものがたくさんあるわけです。しかしながらもうこの秋に取り入れたあとに直ちに耕作の準備をしなければならぬ農民、特に積雪の深いところでは裏作はできませんでしょうけれども、そうでないところはもう直ちに裏作に入るわけです。そうだとすると、やはりこういう問題は早く政府が、農民の意見がどこまで入るかこれはわかりません、あるいは農協等のいろいろな意見の相違があるかもしれませんけれども政府自身がやはり生産者米価をどうしてきめるのか、どのような算式でやるか、あるいは買い入れについては数量でやるのか、あるいはまた価格において制限する方法をとるのか、こういうことを早目にやらぬと、新しい西村総合農政にはならぬのじゃないかと思いますが、その点はいかがですか。そうしてまた、いつごろ生産者米価などについて新しくそれを提案されるのか、その辺。それからまた、予算の編成期にこの問題が解決するのかどうか、この点をはっきりお聞きしたいと思います。
  137. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 日本の農業自体というものが一日や二日、一年くらいで急激に変化できるという性質のものでないことは河田君も御存じだと思います。しかし大きな方向としては農政において不断に気をつけていかなければならない。特に最近の国際農業をめぐる状況が大きく変化している。それは一つは需要というものの内容がかなり変わってきている。一つには、簡単に申しますれば、米の消費量というものは今後もしばらくはそう伸びるという見通しはなかなかっきにくい、そうしてむしろ供給のほうはかなり上向きになっていく、こういうような状況で、一方肉とかあるいは野菜とかくだものについては需要はさらにふえるであろう、こういうような需要状況というものは、所得が上がるに従いまして、率直に申しまして生活内容が変わってくると申しますか、によってかなり変わってきている。それに合わせるようなものでなければ、生産農民も長い目で見れば気の毒でありますし、消費者のほうにもまた別な意味のいろいろな負担がかかってくる。そこで私としては農政というものは総合的な観点からながめていく場合に、一つは米作に少し偏重し過ぎた農政であったことは事実でございます。それがまた一面におきましては、非常に米に対する生産力をつけて、今日のような非常に著しい需給緩和を生じた。しかし、一方におきまして、国民が消費し切れないような米というものを一体どう処置するかという大きな問題を当面かかえているわけでございます。出来秋に二百六十五万トン、石に直しますと二千万石ぐらいでございます。さらに来年は三百万トンをこえるかもしれないという中で、味はなかなか——保存、こういうむずかしい面もある品物でございます。そういう中で、やはり農政の方向を出すというためには、私どもは農政としてまず第一は長期需給の見通しというものを早く立てる。そこで一おそらくこの秋にできると思います——長期の需給の見通しというものをがっちり立てて、お米は昨年あたりは一一三、四%になっております。一〇〇%の自給じゃなくて、それをはるかにこえておる。こういうようなものもありますし、また、自給率を上げなければならぬ。一方、海外からは飼料その他を相当買いつけている。濃厚飼料等を買っておって、草地等は非常に少ない、こういうふうなことも起きてまいる。当面これは農林省の予算自体の配分なりあるいは要求なり使い方にも関係が出てまいると思います。四〇%が農林省予算の食管の赤字を埋める費用でございまして、残りの中でかなりの数が米作にやはり投入されていくということを、もう少しバランスをとりながら、さらに総合農政に必要なものをそれに加えていくような形もとらなければならぬ。かたわら、それだけではなしに、構造政策を進めていく。言いかえますならば、土地基盤をやはり広める意味において、あるいは農地を流動化していくように持っていきたい。また、農業地域に対しての保全の施策もとっていきたい。これは農業振興地域の整備に関する法律案の考え方でございます。いま一つは里山、林野等につきましても、相当われわれはこれを活用してまいる。里山開発ということに金を使っていきますならば、単に現在ある農地の流動化以上に経営規模の拡大に役立つ。それから、米以外のいま需要の強い農産物を将来に向ってふやしてまいる方法にもなる。そうして、片や多少の外貨の節約もできる、こういうような考え方の中でいま私どもやっている。したがって、来年の植えつけをいまわれわれが直ちに制限するということではないのです。そういう問題ではないので、大きな方向としてはわれわれもそういう中でそれぞれが考えてまいるというと、おのずから私どもは米についても、主産地についてはこれからも生産性を上げる意味において大いに努力していただき、また、いろいろな土地改良、開田、これが主産地外のところでただ米の値段がいいからといってぐんぐん進めてまいるという傾向については、やはり少し考え方を変えていく必要があるのじゃないか。たとえば砂丘地帯に地面を盛って米をつくればいいのじゃないかというような考え方はもう捨ててもいいのじゃないか、あるいは御遠慮願ってもいい、そういうようなことで私どもは政策を進めてまいりたいというのでございます。私どもはそういう中の一環として、食糧管理制度というものが、どうあるべきか、農民のために、また消費者のためにどうあるべきかということの検討を加えてまいりたいと思います。  いずれにいたしましても、来年の米価をいまどういう形できめるかということは、消費者米価を今日現在閣議決定した段階でありますから、まだきょうの段階においてどうしようという考えは私は持っておりませんが、いずれにいたしましても、来年度の予算というものは、年の終わりか来年の春——一月には来年度予算要求というものを国会に対してお示しをしなければならぬ。その中において、一体現在の食管の会計というものは、どういう姿で、どういうふうな数字でやるべきかということが当然議論されなければ案ができないと思います。それらのもとに、私どもはやはり一つのいまそれがめどになっているのじゃないか、こういうふうに考えて作業を進めてまいりたい、こう考えております。
  138. 足鹿覺

    足鹿覺君 私は経済企画庁と大蔵省に伺いまして、そのあと農林省に、大臣質問に引き続いてお尋ねを申し上げたいと思います。  経済企画庁はどなたでしょうか、長官がおいでになりませんので残念でありますが、国民生活局長にお伺いいたします。  いよいよ米価平均八%の値上げということになり、前国会の論議をお聞きになったと思いますが、経済企画庁は、物価の見通しとして今年度四・八%を目途に押える、こういうことを基本方針として持っておられたと思いますが、これに矛盾を感じておられませんか、いかがでありますか。
  139. 八塚陽介

    説明員(八塚陽介君) いま御指摘がありましたように、経済企画庁のみならず政府の四十三年度物価見通しといたしましては四・八%という数字であったわけでございます。これにつきましては、特に積み上げ的に四・八%という数字をはじいたわけではございませんけれども、たとえば野菜であるとか生鮮魚介であるとか、おもな数字についてはこれくらいのめどでやってみると、あるいは雑費等についてはトレンドで見ていくということで、一応四・八%の内訳ではございませんが、検証材料を持っているわけでございます。その際には四・八の中に、本年度内に消費者米価が値上がりするというのを織り込んでおりません。そういう意味におきまして、いま御指摘のありました矛盾を感じないかという問題が出てくると思います。  先ほど来の御質問あるいは御答弁等にあったと思いますが、本年度消費者米価が十月一日から八%値上がりいたしますと、どういう計算をいたしますか、計算の方法がいろいろあると思いますが、配給あるいは非配給あるいは外食等を計算いたしましても〇・三%程度は波及いたす——上がるわけでございますから、その意味で四・八に〇・三を乗っけますと、明らかに四・八という数字は変わってくるわけでございます。ただ、私ども、現在の段階におきまして、まだそういうふうに算術的な計算をして四・八%はだめであるというふうには考えておりません。と申しますのは、実は今年度の上半期——特に第一・四半期は対前年比およそ五・六%ということで、かなり高い物価水準を示しております。一面これは四十二年度の第一四半期が、三%未満というかなり低い水準で推移いたしておりましたこともございます。確かに現在いろいろ便乗値上げ等が取りざたされておりますが、なお本年度物価最終的にどういうふうになるかというふうに判断するにはいささか早いのではないだろうかと、逆に申しますと、昨年の下期が相当程度、約六%程度の水準で推移いたしましたように——六%にはもちろん至りませんでしたが——相当高い水準で推移いたしましたようなことも考えますと、ことしの下半期がそれほど上がるだろうかという、まあ希望的観測をする余地があるわけであります。たとえば米にいたしましても八%程度の値上がりでございますが、昨年は一四・四%ということでございますから、いわば値上がり率としては一したがってそれによる波及としては、昨年より米についても少ないわけでございます。——等々ございまして、現在の段階では、確かに四・八%ということについては非常にむずかしくなったとは思いますが、なお努力目標として、旗をおろすという判断にはまだ至っていないということであります。逆に申しますと、なお物価上昇をできるだけいろいろな形で押えてまいりまして、この四・八%を確保したいというふうに考えておるのでございます。
  140. 足鹿覺

    足鹿覺君 米価の値上げによって波及的な影響による物価が上がっていくものを、大体予想としてはどういうものをお考えになっておりますか。
  141. 八塚陽介

    説明員(八塚陽介君) 米価の中には、もちろん配給米が計算上これは確実に捕捉できるわけでございますが、さらに非配給米、これはすでに農林省のほうからおよそどれぐらい影響するであろうかというお話があったと思います。さらに、一応昨年の事態をそのまま伸ばして考えますと、たとえば外食等の中には米を使っておるものがございますから、原価的に見ますと、必ずしもその他の事情等を相殺などいたしますならばどうかというようなことも一応論議し得るかと思いますが、外食等には響くということが昨月の例から見ると計算ができるわけでございます。ただ、それ以外のいろいろなものについて消費者米価値上がりに関連いたしまして取りざたされておりますけれども、これは必ずしもいわば米価と直接の因果関係をもって説明できるというようなことでもございません場合が多いわけでございます。むしろいわゆる心理的に、あるいは政府米価を上げたからこの際というようなものがもしありといたしますならば、出てくるわけでございます。それはなかなかどれとどれをあげてどうというふうには非常に言いにくい、あるいは数えにくい。で、そういうことも心理的にあり得る、あるいはないことが望ましいという態度で御了承願いたいと思います。
  142. 足鹿覺

    足鹿覺君 これは取るに足らぬようなことかもしれませんけれども局長、雑誌の記事によりますと、米価の値上げが直接響いて値上げをするものが約五十品目、間接値上げや便乗値上げが約四十品目、合わせて九十余品目がこの秋から足並みをそろえて上がり坂に差しかかるということを報じておる雑誌がある。しかもまことに遺憾千万で、ほんとうかどうか知りませんが、こういった波及値上がりに対して、若干私はみそとかしょうゆとかいうものを上げようと思うならば、これは原料が直接的であるわけですから、これは上がることはやむを得ぬと思います、もし業者が上げようと思うならば。たとえば酒のごときもその一例であります。しかし、これは政府の方針によって、物価政策によって抑制し得るものであります。直接的に他の方法によって抑制できるものだと思います。しかし、あなた方が協力してつくられたといわれておる米価値上げの影響で物価高必至品目というものが雑誌に載っておりますが、それを見まして私は驚いたことには、皮製品が入る、あるいはヘアトニック、チック等化粧品類が入る。しかも「高級な口紅など」と註釈が加えられている。キャバレーやバーや喫茶店が値上がりする。交通費、鉄道、バス、郵便料、電信、電話料、電気、ガス、宝石、貴金属、時計その他舶来品、家具類、銀行貸し付け利子、はなはだしきに至っては墓石に至るまで載っておるのであります。しかも、これは二、三の個人が総合研究をしたものに対して、その協力は経済企画庁物価政策課——こういう課がありますか。——物価政策課がこれに協力をしておると報じておるのでありますが、私はいまのあなたの御答弁とこの表とは全く相反することになると思いまして、あ然としておるわけでありますが、波及的にこのようにあるからこれを押えるんだという、かりに善意に解釈したとしましても、どうして一体墓石やヘアトニック——化粧品や宝石類等に影響するものでありましょうか、私どもには納得いきません。もし米価というものが基準となってこういうふうに上がるんだというものの考え方を示そうとするならば、ぐるぐる回っておるわけでありますから、どの時点をとらえるかということによって、米の時点をとらえていく場合と、あるいは独占物資をとらえていく場合と、いわゆる循環しておるわけでありますから、いろいろなとらえ方によって、これはどのようにでも理屈がつくと思いますが、私は少なくとも消費者保護の立場に立っておられる、消費者省的性格を将来持つであろう経済企画庁ともあろうものが、雑誌に名前まで出して、こういう物価高必至品目を羅列し、これに対する解説も行なわず、いかにしてこういう波及を押えるかということを言及しなかったことはいささか軽率のそしりを免れないと思いますが、その点お気づきになっておりませんか、いささか私はふに落ちませんので、この際御注意かたがた申し上げておきたいと思います。いかなる時点をとらえて今後物価政策を考えていかれようとしておりますか、あくまでも経済企画庁は米という時点をとらえて、それが波及的な物価高を呼び起こすものだ、こういうふうに考えて将来の物価政策を進めていかれるか、もしそうだとするならば、物価抑制のためには万難を排して、食管法自体が二重価格主義に立っておるものでありますから、なぜ米価の八%平均値上げに大臣を初めあなた方は職を賭してもこれに抵抗し、国民とともにがんばれなかったか、私はその真意を伺いたい。
  143. 八塚陽介

    説明員(八塚陽介君) まず一つ釈明をいたしておかなければならないと思います。私も正直に申しまして、御質問の通告がありまして初めてたぶんこれだろうという雑誌を見たのでございますが、その中には、確かにいま先生の御指摘になりましたような米をまずスタートにいたしまして、いわば常識的に考えられないような数字が関連のあるように書いてある表がございました。その中には経済企画庁物価政策課が協力というふうになっておりますから、そういうおしかりを受けることはその表がそのとおりであればまことに遺憾でございます。ただ、私ども、この協力の仕方は、実はこの雑誌社がいろいろ私どものほうの担当官のところへ来まして、消費者米価値上がりの波及効果いかんというように取材にまいりまして、そうしてその前のほうにあるページをごらんいただくとわかると思いますが、これこれ、ただいま私が申し上げましたような外食あたりまでをいわばメンションいたしております。あとはまあそう……、というふうにむしろやや否定的に答えたくだりがございますが、そういう態度で当然応待したわけでございますが、とにかく取材に協力したという意味で「協力」とどうも書いてあるのではないか、決してこういう話を全部私どもがそうだ、そうだということで次から次へとまああげて協力したのではなくて、とにかく役所に来て物価消費者米価の値上がりの話を、まあ相手になったという意味の協力であるというふうに私現在の段階で考えておるわけであります。まあいずれにいたしましても私どももそんなに非常識なことを考えておるのではございませんで、むしろ消費者米価値上げの問題ができました段階では、もちろん影響の大きさということを考えつつも、いわば役所、政府がどういう発言をすればどういうふうな影響が波及するかということは十分考えての発言、これは私のみならず私と一緒にやっております各局員は当然そういう意識を持っていたと思います。で、いずれにいたしましてもそういうことで積極的にあれもこれもあげて協力したという形ではないというふうに信じておりますが、まあその点はもう一度調査をいたしたいと思います。  それから米が物価の中でどういう地位にあるかということでございますが、確かに昔のように米が物価のキングであるというような地位は現在の消費者家計の中におけるウエート等から見てもうなくなったと思います。しかしながら一方では、非常に普遍的にどの家庭もこれを消費するという点、あるいはその価格決定する場合に、政府がこれを決定するというような点で、いわば影響力が通常の需要物資より大きいというようなこと等から見ますと、過去におけるほどのあるいはウエートはございませんが、いまでも消費者米価決定については相当政府としては慎重でなければならないというふうには考えるわけであります。それなるがゆえに私どもそれなりに政府として消費米価についての論議をいたしてまいったわけでございますし、物価政策一般論といたしますならば、やはり物価は一般的に現在の段階では次第に労働力不足の経済に構造的に移行しておる、あるいは低生産性部門としては生産性の向上がなかなか需要あるいは所得の伸びに対応しないというようなところに起因をいたしておる。やはり現在の物価というものは一つの品目がどうこうということではなくて、全体の経済としての構造的な原因というものが相当大きいというふうに考えておるのでございます。しかし、逆に物価対策としましては、いわば現在の消費者米価上昇が構造的なものであるからといって、個々の品目のそのときどきの値上がりについてこれは構造的なものだから神経質になる必要はないということでは実は物価対策というのはうまくまいらないのでございまして、一般的な構造的な問題であると同時に、具体的な個々の物資の値上がりについてはいわばきめこまかく対応していくということが必要だろうというふうに考えておるのでございます。
  144. 足鹿覺

    足鹿覺君 米が物価に及ぼす影響は消費の実情から考えて生活の洋風化等もあって〇・三%だと、そういうことであれば、ますますこういう雑誌の取材に来た記者がかりにそういうことの実態が気がつかなかったならば、よく御説明になって、そして米の占める地位というものは変わってきておるんだと、したがってどの時点物価値上がりの原因をとらえることが最も正しいかという指導をなさることが私は国民、消費者の目を開かしていく上で必要ではなかったかと思うわけでありまして、いまその点については率直に反省もしていらっしゃるようでもありますので、これ以上は多くを申しません。十分御検討をいただきたいと思います。  ただ、この雑誌記事にとらわれるわけではありませんが、局長も御承知でありましょうが、「ひん死のキャベツ産地」という日本農業新聞の最近の記事をごらんになりましたか。この米の値上がりが直ちに野菜の値上がりに結びつくことにこの表ではなっておりますが、これは群馬県の嬬恋村における現地のルポルタージュでありますが、「大型トラクターが広いキャベツ畑にツメをたてる。エンジンの音とともに黒土といっしょに青々としたキャベツがつぶされてゆく……。」というわけであります。なぜかというと、結局一日か二、三日くらいでいままでは暴落のあとには値の回復ということがあったけれども、このたびは一カ月たっても値段が回復しない。したがって運賃、荷づくり費がない、手間賃もないということで、せっかく粒々辛苦をしてつくった野菜をトラクターでつぶしていくという大きな記事であります。すべてがこういう状態でありまして、従来の食糧行政あるいは消費者行政というものを考えてみたときに、米は米だ、麦は麦だ、野菜は野菜だ、こういう観点からなされでおるのかどうか知りませんけれども、ばらばらであることは間違いありません。これを総合されることが私は経済企画庁の任務である、この調整にいかに有効に手を打たれるかということがあなた方の職責でないかと思うわけであります。にもかかわらず、どうもこの御努力が十分でないのではなかろうか。まあ考え方によりますと、各官庁から行政官がみんな出向かれて寄り合い世帯の悲哀もあるいはあるかもしれません。天下に名にし負う有名な保守党のホープをいただかれるあなた方としてはもっときめのこまかいしかも大胆な消費者行政があってしかるべきである。もし米が物価値上がりの起点であると称したならば、一方においては〇・三%なんだから物価の値上がりにはさしたる影響はないと政府みずからが言う、この矛盾を私は追及したい。十分に時間がきょうはありませんから、長官もおいでになりませんし、一方においては〇・三%でたいした影響はないのだ、しかし一方においては言論報道機関に対するキャンペーンはこの物価値上げの原動力はいかにも米であるかのごときキャンペーンが連日連夜にわたって新聞面にこれが浸透していく、ここに私は非常にばらばらの、現実と離れたいまの行政のあり方がこういう結果をもたらすのではなかろうか、かように思うわけでありまして、あえてこれ以上申し上げません。今後物価を押えていく上における具体的なきめのこまかい政策についてこの〇・三であるからたいしたことはない、しかし各家庭の必須消費品目であるから慎重に検討するということでありますが、これを押えていく手段について私は先ほど来お聞きのように食糧庁なり農林大臣にきめのこまかい食糧管理制度の改善の中身について御質問をしたわけでありますが、お聞きになりましたか。
  145. 八塚陽介

    説明員(八塚陽介君) ちょっと私衆議院の産業公害のほうに出ておりまして詳細を……。
  146. 足鹿覺

    足鹿覺君 それではもう、繰り返すことになります、これからまた食糧庁をやりますから、それを聞いてからお尋ねをいたします。  大蔵省に次に伺いますが、この前当委員会におきまして政務次官から私の質問に対して善処を約しておられる問題がありますので、これを相沢次長に確認をひとつしておきたいと思います。  消費者米価平均八%値上げになる。できる限り大蔵省としては直接米の統制をやめて、その節約分を他に回せという従来の主張を持っておられたようでありますが、米の値上げによって国費の節約になったという一面ですね、私は国自体がもっと米の中間経費を——人件費を含めた中間経費を節約することについて国庫余裕金の問題に触れてお尋ねをいたしました。それは詳細は省きますが、食管会計には御承知のように固有の基金がありませんので、その財源はほとんど日銀借り入れの一銭六厘、大体年利五分八厘四毛程度の国庫余裕金を借り入れて使っておるのであります。従来国庫余裕金が一番高いときには、三十七年度におきましては最高の利用率が無利息の余裕金が六一・一%使われておるわけです。それが四十二年においては一七・九%に減り、四十三年では一〇%と見込まれておるのでありますが、来年度の食管会計における中間経費節減上、無利息の国庫余裕金の利用率をどの程度に考えておられますか。これをなるべく大幅に出すということを政務次官は御言明になっておりますが、何でも中間経費は十ぱ一からげにして米の逆ざやのことに結びつける傾向がありますが、米自身の売買増が一千一百億程度あります、御承知のとおり。金利が四百億もある。人件費が二百七十億を占め、その他は倉庫保管料等でありまして、自由であろうが統制であろうが、これは当然のものであり、問題は国が管理する米については当然人件費と金利程度のものは国がめんどうを見るべきものであると私は信じて疑いませんが、何でもかでもすべてが逆ざや、二千四百億円をまるまる逆ざやのごとく国民に思い込ませることは、私は政治の邪道かと思います。正しい行き方ではないと思います。したがって、国の財政節減は、大蔵省にあるといわれる生産制限論あるいは買い入れ制限論等は間違いであって、むしろ食管会計の中身を十分検討して、一例をあげるならば、かつては六一・一%という現在四百五億円もの金利を見ておるこの膨大な食糧証券金利を、少なくともこの程度にまでとはいかないまでも五〇%程度利用していきますならば、私は現在の金利はおそらく半分以下になると思う。そういう具体的なことについて、あなた方はどのような御努力をなされて今日にきておるのでありますか。また来たるべき米穀年度あるいは来年度予算に対して、私がいま指摘する点について、先般の政務次官は、誠意を持って対処し、御趣旨に沿うと答え、随行の説明員もその趣旨に賛成の意見を開陳されました。速記録に残っておりますが、明敏な頭を持っておるといわれる相沢さんの御所見を承っておきたいと思います。
  147. 相沢英之

    説明員(相沢英之君) 食糧管理特別会計の中間経費を極力節減すべきことは、まことに先生のおっしゃいましたとおりでございまして、私どもといたしましても、国庫余裕金の利用率を上げることのほか、たとえば倉庫料、運賃あるいは集荷経費等についてもさらにこれを節約する余地がないか、農林省検討を求めているような次第でございます。  国庫余裕金の利用率の問題につきましては、ただいま御指摘のとおり、四十三年度予算では一〇%の利用率を見込んでおりますが、目下これは理財局と折衝いたしておりまして、極力その余裕金を食管に利用できるように、私どもとしても十分努力をしております。昨年が一七%台の利用率だと思いますが、本年度におきましてもできるだけそれに近い利用ができるようにということで理財局に話をしております。往時のように利用率が高くないのは、これは国庫の余裕金が国債を発行するような時期になりますと、きわめてよろしくない。まあ短期証券である蔵券も相当額発行するようなことになっておりますものですから、なかなか国庫余裕金というものが昔みたいにないということが、現在食管において国庫余裕金の利用率が下がっている最大の原因でございます。その国庫余裕金をどの会計にどのように案分するかという問題もございますが、その点につきましては、とにかく食管における財政負担がきわめて大きいということから、これを緩和するという方向で私どもも理財局に要望いたしておりますし、理財局もそのような考え方配慮をしてくれております。極力そういう方向でやっていきたいと思います。
  148. 足鹿覺

    足鹿覺君 主計局次長、四十二年度においては一七・九%であります。私どもが聞いているところでは四十三米穀年度では一〇%程度が見込まれておるということであります。いまの相沢さんのお話では、でき得る限り高額を出したいという御意思はわかりますけれども、一〇%程度ではお話になりません。ものの考え方現実の場合と私は一致してこそいいと思うのでありまして、私は三十七年度程度の状態にしなさいと言っておるのじゃありません。事情の変化があることはやむを得ませんから、少なくとも三十七年度に準ずるところにまで目標を置いて、そうしていくのが妥当であると考える。昭和四十二度の一七・九%、約一八%の二倍と見ましても三十五、六%、少なくともその程度——四〇%程度いけば二百億前後のものは軽減できると思います。そういう具体的な詰め方が足りないのではないか。  あなた方の諮問機関であります財政制度審議会は十ぱ一からげ、まことに調子のいいことを言って御答申になっている。それは私はその自主性に対してとやかく言うものではありませんが、あまりにもおざなり過ぎると思う。食管会計の繰り入れ二千四百億円以上残っているということを問題とされまして、財政資金の効率的使用という観点から好ましくない、こういう答申をされ、少なくとも現在の赤字をこれ以上拡大させないことを最低限の目標とすべきであると答申しておられる以上、私はきょうあなたにお越しを願った以上は、この問題をお尋ねするということは、この前の経過から見て明らかであろうと思うのです。現に赤字だ、赤字だと言うから八%上げたのです。しかし、赤字の内容をしさいに検討して国民に知らせ、そうして政府みずからの、総合的な大蔵省、経済企画庁、農林省が一体となってこの軽減のために努力をしていくことは何人も疑う余地のない必要なことだと思うのです。にもかかわらず、明確な御答弁がいただけないということは私は少し手ぬるいと思うのです。ことばが過ぎるかもしれませんが、ある程度私は二千四百億ということにのみとらわれて中身をこまかく国民に理解せしめ、逆ざやは千百億なんだ、あとは問題となった、ただいま刑事問題となっている日通の運賃の問題にしてもそうです。この国庫余裕金の問題にしてもそうであります。合理的に国の財政負担を軽減する余地もたくさんにあるではありませんか。最近の日通の国からの元請状況を見ると八〇%ないし九〇%だと言っておる。一向に改善のあとは見ない。涼しい顔をして国と契約を結んでおる。他の競争機関に対してはほとんど手が加えられておらない。改善のあとは見られません、これだけ事件を起こしておっても。そういう点についてはなかなか思い切ったメスを入れない。そうして総額が二千四百億だ、二千四百億だと言って大きく世論にアッピールしているということは、国の財政を現実に守り、これを主管しておられる大蔵省としてはもっときめのこまかい私は御答弁を予定しておりましたが、ただいまの御答弁を聞いてまことに残念に思いますが、この点について御所見があれば承っておきたい。大体は大蔵大臣の御答弁をと思ってきょう熱心に要請したわけでありますけれども、いたしかたがありません。  いま二点は、国庫余裕金が少なくなった、私もそれは知っております。その原因の一つとしては厚生保険特別会計の累積赤字が約千六百億円ある。これにも国庫余裕金が活用をされております。この会計は余裕金のほかに預金部資金を借り入れております。大蔵省としてはこの会計に国庫余裕金を活用したほうが有利であるわけではありますが、しかし、食管会計を必要以上に増大させないということが必要だとお考えになるならば、その配分があまりにも一方的に偏せないように御尽力になることは当然ではありませんか。私は国庫余裕金が前よりも窮屈になっておるということは公債発行の事例から見ましても知っております。そういう点をるる申し上げて、私はこの前政務次官の御答弁と説明員の御答弁を願っておるのであります。もう少し具体的に煮詰めたこの新年度はもう二十日後には始まるのであります、新米年度は。ですからこの際は具体的な数字ぐらいの見当をお示しになってもいいんではないかと思ってきょうはお尋ねをしておるわけであります。意のあるところをおくみ取りになっていま一度御答弁をしていただきたい。
  149. 相沢英之

    説明員(相沢英之君) 国庫余裕金の利用率の引き上げにつきましては、もちろん私どもも食管の中間経費をできるだけ節減するという観点から努力していることは申すまでもないのでございますが、一〇%程度で、それは答えになっていないんではないかというお話がございましたが、一〇%と申しますのは、四十三年度、先ほど私が申し上げました当初予算に見込んでおりますところの国庫余裕金の利用率でございまして、先ほど私が申し上げましたのは、その一〇%の国庫余裕金の利用率をできるだけ昨年の一七%台に近づけるように努力したいということを申し上げたのでございます。国庫余裕金の利用率は先ほど御説明ございましたとおり、三十七、八、九年まではかなりな率になっておりましたが、公債発行をいたしました四十年度から、それは非常に下がっております。食管で申しますと、四十年が七・〇%、四十一年が四・三%ということで、四十二年はややこれがよくなっておりますが、いずれにしましても国債発行下では、しかも、相当な大蔵省証券を発行しておりますものですから、国庫余裕金が実際問題として少なくなっておるということは事実でございます。その少ない国庫余裕金を各特別会計で奪い合っているというような現状でございますが、食管の財政負担の点でいろいろ問題があり、かつ国庫余裕金の利用を切望していることは、十分担当局である理財局も了解しておりまして、できるだけその余裕金を食管に回すことに理財局としても努力をしているわけでございます。私どもは、したがいまして、この一〇%を、理財局は一五%ぐらいまでは何とかと言っておりますが、私どもはせめて一七%ぐらいまで何とかならないかということで、これは折衝をしております。四十三年度の食管の収支について、あるいは食糧庁から御説明があったかと存じますが、その中におきまして、私どもは一応国庫余裕金の利用率を一七%、これによる運用の改善を三十五億円というものを一応見込んでいる。その線に従って努力してもらうように理財局にもいま極力頼んでいるというのが現状でございます。
  150. 足鹿覺

    足鹿覺君 最近の株価の暴騰等は、好況の反映とも受け取れますし、アメリカの金不足からくるドルの不安がもたらす間接的な影響であると説いておる学者もあるようでありまして、いろいろな受け取り方はあろうと思います。が、いずれにいたしましても、いわゆる国内の景気が、政府の見解によれば、過熱防止という立場から、これを抑制していくんだ、こういう考え方まであるときでありまして、したがって、収入が相当大幅に増額を見込まれることは間違いなかろうと思いますが、次長の御見解はいかがでありましょうか、専門の立場から。国庫収入は相当大幅に増額される、そういう見通しに立ちましたならば、去年の一七・九%程度を上回るものを、この際思い切って、国庫余裕金を食管会計に回し、その余ったものは、消費者負担の軽減に充てるかあるいは消費者にうまい米を食わすことに尽くすか、あるいは現在問題となっております一部の等外上の買い上げ抑制であるとか、水分過多米の買い上げ抑制であるとか、主食そのものの買い上げを抑制していくようなことのないように措置すべきではないかと私は思うのでございます。少なくとも法律がある以上、主食は、先回の本委員会において西村さんも全量買い上げるということを言いながら、きょうは何か相矛盾するようなことを本人も言い、食糧庁長官も言われておりまして、私は非常に遺憾に思います。食管会計が苦しくなった、在庫が多くなって苦しくなった、だから抑制をするのだ、この圧力の根源は、新聞紙等報道関係の伝えるところによりますと、大蔵省だとも言われております。そういう面で何か私どもすっきりしないものを感じます。追及すべきものを追及し、洗って、洗って、なおどうにもならぬというところまで詰めた議論ではなくして、ただばく然と二千四百億円の赤字だ、こういうことでは、私は心ある国民は食管会計の赤字の内容を知っております。知らない人はたいへんな赤字だといっておそれをなし、また財界はそれをいいことにして米価抑制あるいはその他の間接統制の意向を示唆し、政府に要請するでありましょうが、長い目で見て、私はそういう議論は誤りである。現在の食管制度というものはやはり三十年近い長い伝統と歴史を持って国民生活に密着をしている。午前中から同僚議員からも展開されたでありましょうが、食管制度のいわゆる円滑な運営をはかっていくことによって、現在のまずい米も解消いたします。そういう点を——ここに私は現物を持っておりますが、一%搗精度を上げればうまい米になるのです。こちらが九〇・五%、こちらが八九・五%です。あとで手にとってごらんいただければわかりますが、一%搗精度を上げれば遠目に見えるほどはっきり白いのと黒いのがわかるのです。こういう古米に対する消費拡大の政策というようなきめのこまかいことについては案外冷淡である。そして大きな網で食管会計の赤字を宣伝し、そしてこれを間接統制へ持っていく原動力にしていくという考え方は、私は少し軽過ぎるのではないか。もっと食管会計の中身そのものを検討していけば、たとえば国が管理するのでありますから、専売制度にしてみましても、指導員やすべての職員はみんな国費でまかなう。人件費の二千七百億近いものが消費者に転嫁されておるいまの食管会計の姿はまともな姿とは私どもは受けとれません。これは当然政府の行政費でまかなっていけばそれだけまた浮いてくるわけです。そういう点について、私は、いまこそ中間経費に根本的にメスをいれていく段階だと考えますが、大蔵省主計局としてはいかように今後お考えになりますか、大臣に御答弁願うことだと思いますが、中間経費について再検討をし対処すべき段階だと思いますが、この点について政務次官その他に御答弁があれば承っておきたいと思います。
  151. 二木謙吾

    説明員(二木謙吾君) 足鹿先生の御意見には、私もこの前申し上げましたとおり、全面的に賛成であるということを申し上げて、大蔵省においても十分ひとつ検討したいということを申し上げたわけですが、その後大蔵省においてもいまいろいろ検討をして、主計局次長が申したところまでいっておるのでありますが、いまお話のとおりに、中間経費を節減するということは私どもも十分考えていかなければならない。それについては中間経費のいろいろ分析をいたしまして、そうしてこれを節減していくと、こういうことに私どもはしなければならぬ、かように考えておる次第であります。また国庫余裕金のことにつきましても、できるだけ大蔵省理財局等とも話し合いをいたしまして、ひとつ御期待に沿うよう順次やっていきたい、かように考えております。
  152. 沢田実

    沢田実君 たいへん時間が経過をいたしておりますので、いろいろお聞きをしたいわけでございますが省略をいたしまして、二、三の点をお願いいたします。食糧庁長官にお願いをしたいんですが、今度の今年度産米については十一月以降から配給するという方針でございましょうか。
  153. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 四十三年産米は、九月あるいは十月に一部出荷をされるのでございますが、全国的に四十三年産米いわゆる新米が供給できるような体制が本格的に整いますのは十月、十一月以降、西日本におきましては、むしろ、場所によっては一月以降というところもあるわけでございます。今回早場米が九月に出てまいりますので、全体の需給操作の関係で十月にも地域によりましては一部新米配給をすることはどうしても必要だという場合がございますので、そういうところについては、量はわずかでございますが新米配給も考えておるのでございます。
  154. 沢田実

    沢田実君 一部の報道によりますと、九月、十月は新米配給しないということで、自由米の業者が相当な金を準備して銘柄米を買い入れるために相当の青田買いをやっておるということが報道されておるわけでありますが、そういうことについての対策はよろしゅうございましょうか。
  155. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 本年も引き続き豊作の様相でございまして、全体の米の需給が著しい緩和をしておるという情勢のもとでは、私は率直に申し上げまして、若干いわゆる自由米の流通量がふえるという可能性はあると思います。しかしながら、最近いわゆる政府への農家の売り渡し数量というのはずっと減少の傾向をたどってきておるのであります。またことしの政府への米売り渡しの予約の動向らか見ますと、私は自由米が激増するというようなことも現在の段階ではとうてい考えられないというふうに思っております。
  156. 沢田実

    沢田実君 次に保管の問題、午前中に実は相当倉庫の問題が議論されたわけでございますが、そこで、ただ一点だけ、さっき問題が出なかったところをお聞きしたいわけでございますが、低温倉庫についての建設でございますけれども倉庫業者にこれをやらせようという御方針であるか、あるいは農協等にやらせようという御方針であるか伺いたいと思います。
  157. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 低温倉庫長期保管倉庫の整備につきましては、実は食糧庁の主管ではないのでございますけれども、私どもも関連してその推進というものに当たってまいりたいというふうに思っておるわけでございます。今回考えております低温倉庫長期保管倉庫の整備は、農林漁業金融公庫の資金の貸し付けということを考えておりますので、したがいまして、貸し付けの対象は同公庫法の規定に基づきまして農業協同組合またはその連合会ということに限られております。業者が、営業倉庫等がやります場合には、今回の対策と別途に何らかの資金手当てをする場合に限られるということで別個の問題になるわけでございます。
  158. 沢田実

    沢田実君 低温倉庫について農協というお話でございますが、農協ではすでに低温倉庫を若干持っておりますが、その分については相当の補助金をもらってつくったというわけでございます。今度のお話では低利長期の資金を貸そう、あるいは来年度は違うかもしれないということが先ほど出たわけでございますが、そのように低温倉庫に対する政策というものがはっきりしておりませんと農協でまことに困るわけでございます。最初は低温倉庫に対する保管料についても若干みてくれておったそうでございますが、現在は一般倉庫と保管料も同じだと、こういうことで農協では非常に困っておるわけですが、その点、奨励なさるならば、はっきり保管料が違うとか、あるいは一貫した政策によって低温倉庫の政策を立てるべきじゃなかろうかと、こう思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
  159. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 低温倉庫は確かに建設資金等についても若干の経費の増高がございます。また低温施設等の運営の経費もかかるわけでございますが、同時に、助成なり特別の金融対策で利子を控除するというような場合には、そういうような政策的な配慮という問題とからめて検討する必要があるわけでございまして、低温倉庫等、政府が奨励をいたしまして設置いたしましたものについては、その採算の点等については今後なお十分検討してまいりたい。一律に倉庫料を上げてやるというふうに簡単にはいきませんが、採算等については十分配慮をしていきたいと思います。
  160. 沢田実

    沢田実君 倉庫の不足の対策についてでございますが、岐阜県の一つの例をとってみましても、保管可能が大体十三万五千トン散在をしております。一〇%くらいはこれを引かなくちゃならないと思いますが、現在古米の保有が約四万トンということになっております。四十三年度の買い入れ予想が十二万五千トン、年間消費が九万トンといたしますと、今年もたいへんでございますが、来年になりますと七万五千トンまたたまってしまうということになります。一つの県を見ましてもこういうふうに倉庫が非常に不足をいたしておりますが、先ほどお話があった百二十億で、それだけ不足している倉庫に対する対処ができるのかどうか。あるいは今後どのようなお考えをお持ちであるかへお伺いしたいと思います。
  161. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 現在、食糧庁が使用をし得る倉庫ということになりますと、政府倉庫、営業倉庫農業倉庫政府サイロ、民間サイロというようなものがあるわけでございまして、その総収容量が約一千百万トン余でございます。その一千百万トン余の倉庫スペースをもとにして国内食糧のほか輸入食糧等の保管をいたしておるわけでございまして、本年末における四十二年産米の持ち越し量、さらに四十三年産の米というものの生産の動向等を考えますと、従来にかつて経験していない倉庫事情が窮屈になるということが見通されるのでございます。先ほど申し上げました百二十億円による約百万トンの倉庫整備ができればその問題の解決は非常に容易になると思うのでございますが、なお、今後の需給の見通しに基づきます所要倉庫の問題については引き続き検討をいたしまして、普通倉庫なりあるいは低温倉庫の整備なりについて、政府保有食糧の保管という問題について遺憾のないように処理をいたしたい。また消費地におきます営業倉庫の確保等についても従来から努力をいたしておりますが、それらの点も緊急の事態に即してできる限りの手当てをしていくという努力を続けたいと思っております。
  162. 沢田実

    沢田実君 米の問題は以上にいたしまして、岐阜県の長良川の河口せきについて質問をいたしたいと思います。  最初に、農林省のほうから御回答をお願いしたいわけでありますが、長良川の両側には海抜ゼロメートルの岐阜県としての穀倉地帯がございます。あそこに河口せきをつくりますと川の水位が高くなりますので漏水によって稲作が不能になるのじゃないかということを農家の人が非常に心配をいたしておりますが、農地局長としてはどういうふうにお考えであるか承りたいと思います。
  163. 中野和仁

    説明員(中野和仁君) 建設省が計画しております長良川河口せきがもしできます場合には、長良川沿岸の水位の変化によりまして内水に影響があるということがいわれております。地元からもそういう陳情がきております。そこで、今回はこの基本的な計画がいまあるいは企画庁のほうから御説明があるかと思いますが、できます過程におきまして具体的な調査がやられるということになっております。そのことは、現在つくられておりますこの計画案にも明記されております。農林省といたしましては、地元の農民の納得を得た上で着工されることが必要であると考えております。農林省としましてもその点をさらに十分関係省と協議をしてまいりたいというふうに考えております。
  164. 沢田実

    沢田実君 そうしますと、河口せきをつくれば農家としては心配だ、そのことを目下研究している。そういうことは農作の安全ということばがはっきりしない限りにおいては農林省農地局としては反対だということでございましょうか。
  165. 中野和仁

    説明員(中野和仁君) そういうふうに端的に言われますと困るわけでございますけれども、いま申し上げましたように、現在まだ基本的な計画の段階でございます。そしてもしこれが必要であるということになれば、具体的には高須輪中のことだと思いますが、そこの地域の、たとえば内水が上がってくる場合には排水機を設置するということができますれば、それでその事業はできるわけでございまして、反対であるというふうな趣旨ではございませんで、その計画の具体化の間に調査をされますから、その調査に応じまして対策を考えていった上で十分農家が納得したらやる、納得をさせた上でやる必要があるというふうに考えておるわけでございます。
  166. 沢田実

    沢田実君 次に水産庁のほうにお尋ねをしたいわけですが、河口せきができますと、長良川の魚でございますが、特にアユでございますが、ダムによって遡上しなくなる。そうなりますと漁業関係者が非常に生活ということで心配をしております。その点についてお考えを承りたいと思います。
  167. 森本修

    説明員(森本修君) 御指摘のように長良川の河口せきができますと、アユの下降それから稚アユの遡上に対しましてある程度の影響があり得るということになっております。したがいまして私どもとしましてはそういった具体的な調査に基づきまして漁業に影響を及ぼさないといったような観点からの具体的な措置決定いたしまして、地元の関係漁業団体の了解を得た上で着工することが適当であるというふうに思っております。
  168. 沢田実

    沢田実君 いまある程度影響があり得るというお話ですが、民間のほうで長い間魚を研究しておった人の話によりますと、放流しても魚というものは一たん下流のほうへ下がるのだ、それから遡上するのだから、ああいうせきができてしまうと全く致命的な打撃を受ける、こういうふうに心配しておりますが、そういう例があるとか、あるいはこういうような実績があるとか、こういう研究の結果安心なんだというものがありましたら教えていただきたいと思います。
  169. 森本修

    説明員(森本修君) 私どものほうで現在アユの人工ふ化放流事業というのに着手しておりまして、具体的には静岡県でありますが、そこでは人工ふ化をいたしまして、一定の大きさまでアユを育て上げるということにいたしますれば必ずしも下流に下がらなくても十分漁業が成り立ち得るというふうなこともぼつぼつやっております。そういった観点のことを十分調査いたしまして具体的な対策を決定した上で着手していったらいいのではないか、こういうふうに思っておる次第でございます。
  170. 沢田実

    沢田実君 そうすると、いまのお話は河口せきによって経験をしたわけでございますか。
  171. 森本修

    説明員(森本修君) 具体的に河口せきによってやったわけではございません。したがいましてそういった放流事業の実績、それから河口せきのもちろん構造についても具体的な措置をやっていただかなければならぬことになりますが、魚道をつくる、いろんなふ化放流事業、あるいは河口せきの構造についての具体的な設計といったようなものをあわせまして必要な措置をして関係の漁民の納得を得た上で着工していきたいというふうに思っております。
  172. 沢田実

    沢田実君 次は建設省にお考えを承りたいわけでございますが、河口せきをつくった場合に、洪水のときに大災害になる心配があるということで地元の人は心配をいたしております。その点についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  173. 渡辺隆二

    説明員(渡辺隆二君) 長良川の河口せきにつきましては、洪水時にはせきを全開することにいたしております。したがいまして、洪水時におきましては、治水上、利水上は心配はないというふうに考えております。
  174. 沢田実

    沢田実君 最後に企画庁のお考えをお聞きしたいわけでありますが、いま申しましたように、農家の方々は農地のことで心配しております。漁業関係者もそのようにして反対いたしております。県でもそういうようにいろいろな問題がありますので、県としての態度もまだはっきりいたしておらないわけでございますが、すでに建設審議会やなんかに諮問なさってその答申もあったように新聞は報じておりますが、現地との話し合いもまだつかないまま企画庁としてはどんどん建設するということをきめて進めていらっしゃるようにわれわれは受け取れるわけですが、どうしてそんなに急がなければならない理由があるのか、その点についてお聞かせいただきたいと思います。
  175. 宮崎仁

    説明員宮崎仁君) 木曽川水系の水資源開発基本計画の問題につきましては、御承知のとおり昭和四十年に水系指定が行なわれまして、これに基づく基本計画を策定するということで鋭意調整をやってきたような次第でございます。水資源開発基本計画の性格は、よく御承知のとおりに、この法律によりましてこの水系の総合的な水の開発及び利用に関することをきめる、こういうことでございまして、いわば相当長期にわたる包括的な計画という性格になるわけでございます。そしてまたこの水資源開発水系として指定いたします前に、実はこの問題につきましては、地元三県を中心といたしまして、出先の中央官庁の局長が入って木曽川三川協議会というものがつくられまして計画の具体的内容についておよそ五年くらいの月日をついやして相当の議論が行なわれてきております。そしてこの地元の協議会におきましてただいま問題になっております三つのプロジェクトをやるということにきめまして、そして国のほうに水系指定が要望されてきた、こういう経過がございます。そういう点からいたしまして、私どもは大体こういった地元のほうで御要望してきた計画というものを中心に問題を考えていきたいということが一つございます。同時にまたただいま問題になっております長良川河口せきその他二つのプロジェクトにつきましても、農林省建設省それぞれに具体的な調査を進めてまいりまして、だんだんに計画の内容も固まってまいったわけでございますが、御指摘のとおり特に長良川河口せきにつきましては、この関係の漁業者の方々、それから内水の関係で問題のある地域の方々、こういった方々にまだ反対の空気が非常に強いいうことを私どももよく承知いたしております。こういった問題につきましては調査を担当しております建設省、それから県当局を通じまして、いろいろお話を進めてまいっておるわけでございますが、現在のところまだ十分にお話し合いができる段階にきておらない、こういうところでございます。  ただ一方、この水の需給の面からみますと、木曽川水系の水の開発ということは、やはり相当緊急の事態でございますし、また計画としても先ほど申しましたように、三つのプロジェクトが入るわけでございますので、全体として眺めてみまして、この段階で基本計画としてはきめることが適当ではないか、こういうような判断に立ちまして、岐阜県、三重県、愛知県当局ともいろいろお打ち合わせをして、そういった結論に達したわけでございます。もちろん実際にこれから仕事が着工されますまでには、この法律に基づきまして実施方針というものをつくりまして、そしてこれを水資源開発公団のほうに主務大臣から指示するという段階がございます。この段階でまた関係県の意見を聞くことになっております。さらにまた実際着工するまでには実施計画というものをつくりますが、これは水資源開発公団のほうでつくるわけでございますが、その段階関係県の今度は協議をするということになっております。そういういろいろな過程がまだ今後ございまするし、ただいま問題になっておりますような点につきましては、そういう過程を通じまして十分に関係の方々とお話し合いをして、そして十分御納得が得られるということになれば、着工したらいいんじゃないか、こういう考え方に立ちまして、今度の計画をつくることにしたわけでございます。したがいまして、計画の内容といたしましても、特にこの長良河口せきにつきましては、対策本部の中におきまして、ただし水産業及び長良川沿岸の水位変化による内水等に及ぼす影響調査に基づいて、具体的措置決定の上、工事に着手するものとするというようにうたっております。ただいま申し上げたような趣旨でやってまいるということを明らかにいたしております。  なお、昨日水資源開発審議会にも諮問をいたしまして、一応計画原案どおり御答申をいただいたわけでございますが、この審議会の審議の過程におきまして、やはりただいま問題になっております点について、多数の委員から御発言がございまして、その結果、審議会としての附帯決議といたしまして、この長良河口せきの問題を中心といたしまして、木曽川水系における水資源開発基本計画については一部の地域の住民に深刻な不安と強い反対の声があることにかんがみ、これら関係住民の十分な納得を得た上でこれらに関する工事に着手するよう政府の特段の配慮を要望する、こういうようなことで決議が付されております。その御趣旨に従って今後進めてまいる、こういうふうに申し上げておる次第でございまして、これからの実際に着工までにまだいろいろな段階がございます。その過程において十分にお話し合いをしてまいれば、私はいろいろと御理解はいただけるのではないか、こういうように考える次第でございます。
  176. 沢田実

    沢田実君 ただいまお話のように、水資源の開発の重要なことも承知いたしておりますし、特に中部地方においては、特に名古屋方面は水が必要であることも同感でございます。それで長良川の河口せきは三重県と愛知県ということがいわれておりますが、建設を予定して、すでに愛知県のほうでは工場の誘致等も進められておるようなお話を聞いておるわけでございます。そういうことで、そういう面からは大いに推進をしなくちゃならない問題だと思いますが、いま申し上げましたように、現地に問題がございます。きょうの新聞を見ますと、すでに百三十億円、建設決定したような、こういうような新聞を見ますと、地元の人々は非常に心配するわけでございます。十三日の一日閣議なんかにおきましてもどんなことが起こるかもわからないようなことを心配するわけでございますので、そういう問題については地元の住民がほんとうに納得して、そういうことであれば賛成であるというところまで納得して事を運ぶように特に希望する次第でございます。以上。
  177. 向井長年

    向井長年君 予定の時間がだいぶ延びましたので、私は特に米価問題につきましては物価問題とからんでの問題で質問をする予定でございましたが、これはひとつ次の機会に延ばしたいと思います。そこで私は先ほど大臣がまだ不勉強だといわれたこの問題、二点について質問を若干いたします。ごく簡単にやりますから、まず畜産局長おられますか。  まず第一に、鶏卵の自給自足は日本国内においてできるということと、国際価格にわが国は見合っておるということ、これはもう政府が答弁したそのままであります。そういう中で昭和三十九年には五十三トン、四十年度には八百七トン、四十一年度には二千六百三十七トン、それから四十二年度には八千七百六十四トン、四十三年度の六月までには九千百三十四トン、こういうように毎年毎年ばく大ないわゆる輸入増加でございます。したがってこの七月以降十二月までにこれまた伸びますか。こういう形で伸びていくならば、九千トン程度で押さえるということでなくて、こういう情勢であるならばますます国内生産に大きな圧迫を加えることになりますね、こういう点についてどういう行政指導をしておるかということ、あるいはまたこれに対する何といいますか、しわが——輸入の急増に対する対策をどう考えておるか、こういう問題について、まず質問します。
  178. 平松甲子雄

    説明員平松甲子雄君) 液卵の輸入につきましては、ただいま先生御指摘のとおりでございますが、何ぶん鶏卵の生産量というのはわが国で相当大きな数量でございまして、まだ液卵の輸入量の、鶏卵の供給量に対する自給量ははなはだ低いという状況でございまして、生産者に影響を与えるというようなところまでには達していないであろう、かように考えております。ただそうは申しましても鶏卵の輸入が、液卵の輸入がございまして、国内の卵価に影響を与えるということはまずいというふうに考えられますので、液卵の輸入につきましては、国内の価格が安いときに液卵の輸入がないようにということで行政指導をいたしております。
  179. 向井長年

    向井長年君 もちろん自由化であるという立場から、みずからそういう傾向が出てくるが、やはり国内消費という問題、しかも国内生産という問題、こういうことから考えるならば、自給自足ができる、価格はめちゃめちゃでたたいて売るわけじゃなくて、これも国際価格に見合っている、世界第二位である、こういう中ではやはりこういうようにして毎年ふえていくような状況を、これは行政的にやるべきでないと思うのですよ。それを今日までやってきて、まだこれからも伸びていくという要素があるというならこれは重大な問題です。そうでしょう。こういう問題について、少なくとも九千トン程度、一%程度にしか当たらぬからこれで政府は押さえたい、こういう方向は前にも一ぺん言われたのですよ、予算委員会で。だから今後もそういう方向で進むかどうかということをいま念を押しておるわけです、まず第一に。
  180. 平松甲子雄

    説明員平松甲子雄君) 液卵の輸入増加につきましては最近の量目不足等の事情もございまして、加工業者に液卵に対する特殊用途があるというようなことから需要量がふえてまいっておるということもあろうかと思います。先ほども申しましたように液卵の輸入の増加ということで、そういう事情でございますから、輸入の増加というのも、そう現在までの勢いでふえてまいるかということも疑問であると思いますけれども、先ほども申し上げましたように、液卵の輸入によって国内の鶏卵の価格に悪影響がないという形の指導をやっておるわけでございます。液卵の輸入に対処いたしまして国内で生産される液卵にも競争力を与えるという方向で今後指導していきたいというふうなことを考えているのでございます。
  181. 向井長年

    向井長年君 あなたの言われることは矛盾している。どうしてそれならば——あまり影響を与えないもの、しかし、これからふえていくやつに対しては、これはやはり行政指導をやらなければいかぬというものの言い方は、これはあなた間違っているのじゃないですか。さきほど僕が言ったように、三十九年度から四十三年度までの増加率を見てごらんなさい。三十九年度からずっと伸びていくとすれば影響を与えることは当然じゃないですか。これに対してあなたたちはどういう行政指導をやるのですか。制限をするということをやるのですか。どういう行政指導をやるのですか。
  182. 平松甲子雄

    説明員平松甲子雄君) 現在までのところ実勢を見てまいりますと、輸入のふえておる時期というのはちょうど国内の卵価の高いときでございまして、御承知のとおり卵価については季節的な変動があるのでございまするから、その季節的な変動に対処するという意味において輸入が特殊用途があるということもありまして、現在のところふえているというのが実情でございます。
  183. 向井長年

    向井長年君 卵価が高い。——高くないじゃないですか。岡田局長は卵価は高くないと言った。百七十円−百五十七円。世界の比率から考えれば非常に安いものだ。アメリカの次だ。世界の水準から考えれば非常に安い、こういうことを政府みずから認めておいて、卵価の高いときに——なんて、こんなものは国際価格から見たら高くないのですよ。しかし、オーストラリアですか、豪州等から入ってくるやつは、おそらく国内においてのいろいろな施策をもって、われわれからいえばダンピングをして入れているという状態ですよ。そういう状態の中でわが国の国際価格というこの価格が高いときにというような、そんな、あなた、でたらめを言っちゃだめですよ。だからこの問題については、結論は、六月まで九千百何トン入っておりますが、十二月まではどれくらいになるのか、あるいはこれで押えておるのか。行政指導というのは、いわゆる輸入制限の措置の指導をやっているのか、その点どうなんですか。
  184. 平松甲子雄

    説明員平松甲子雄君) 先生御承知のとおり、液卵につきましては輸入について自由化されておりますので、輸入を抑制するというふうなことを法的な手段によって講ずるということはむずかしい、できないということでございますけれども、先ほども申し上げておりますように、国内の卵価に悪影響を考えないようにということで輸入業者を指導しておる、今後も続けてまいりたいというぐあいに考えておるわけでございます。
  185. 向井長年

    向井長年君 さっき、大臣、そういうことでふやさないように最善の努力をしたいというような答弁があったわけです。だから、そういうかっこうで今後も進んでいかれるということを私は確認したいと思うのです。よろしいですね。  次に、先ほど大臣に聞いたところが、大臣は、ちょっと不勉強だということでしたが、この価格安定基金、この問題について……。この目的は何ですか。そうして、その目的によってやるならば、全生産者に適用しなければならないものでしょう、これは。しかも、これは畜産振興事業団ですか、こういうところを通じて政府資金が二億出ている。地方公共団体からも出ている。そうして生産者からも出ている。こういうことで総合した基金を中心として価格変動に備えて、これがつくられておる、社団法人で。したがって、これは公益法人という考え方を持つわけですが、これに対して、ただ全販連に加盟しておるところしか適用できないということは、これはちょっとおかしいのじゃないですか、政府としても。この点どうなんですか。
  186. 平松甲子雄

    説明員平松甲子雄君) ただいま御指摘全国鶏卵価格安定基金は、昭和四十一年に卵価の異常低落に対処いたしまして、自主的な生産出荷調整をやって、これについて相互扶助の精神で保険金を交付しようという趣旨でできたことは先生御承知のとおりでございます。で、そういう事情でございますから、すべての生産者団体が加入するということが望ましいことであることは当然でございまして、農林省もその方向で指導してまいったわけでございます。現在加入について問題になっております団体につきましては、加入後日の浅い団体もございますし、構成員が散在しておるというようなこともございまして、この基金の定款に定めておりますところの全国的な出荷調整機能というものに該当しないというふうに基金のほうで判定をいたしまして、加盟を拒んでおるというような実情にあるわけでございます。農林省といたしましては、ことほどさようにシビアーに解釈をする必要はないのじゃないかということで指導をいたしておるわけでございますけれども、現在のところまだそういう意思を変えていないということであります。独立の社団法人でございますので強制するというわけにはまいりませんけれども、今後とも農林省としては、当初の方針どおり、全国の生産者団体が加入できるようにということで指導してまいりたいと考えております。
  187. 向井長年

    向井長年君 こういう団体、どういう要件が欠けているのか。いわゆる生産者団体で全鶏連というのがありますね。そういうところが希望をしているのに入れない。そういう義務負担もする、こういうことを強く要望しているにもかかわらず入れないというのはどういうわけですか。しかも、それも任意団体ならばしかりですよ。しかし、政府資金なり地方公共団体の資金を導入した、しかも価格安定のそういう社団法人に対してほかの人が入れないというようなことはおかしいじゃないか。農林省としてはどういうところに欠陥があるか、つかんでいることをひとつ発表していただきたい。
  188. 平松甲子雄

    説明員平松甲子雄君) 先ほどもお話申し上げましたように、農林省がそういう決定をいたしておるということではございませんで、社団法人でございまして、社団法人の理事会で、全国的な出荷調整機能を果たしていない、もう少し具体的に申しますならば、価格形成機能なり分荷機能なりというものを果たしていないのだという認定を社団法人のほうの理事会決定しておる。私のほうではまあそう解釈をシビアーにする必要はないじゃないかということで指導をいたしておりますけれども、まだ向こうさんが私どもの見解に近づいてまいるということになっていないというのが現状でございます。そういうような方向へぜひ近づけてまいりたいというふうに考えておるわけであります。
  189. 向井長年

    向井長年君 あなた全鶏連というのはそういう資格持っていないと思いますが、全国的な出荷規模が、その点どうですか。
  190. 平松甲子雄

    説明員平松甲子雄君) 御承知のとおり全鶏連は四十一年にできた団体でございますので、全国的な規模でということになりまして、その解釈をどういうような形で解釈するかということも一つ問題がございましょうけれども、そういう基金側の解釈というものも、場合によるとあり得るかもしれませんけれども、畜産局としては、そういうような形の認定をいたしておるわけでございます。
  191. 向井長年

    向井長年君 何を言っているんだ。意味をなさんよ。思っていますかと、そういう要件を満たしていると思いますか、満たしていないと農林省は見ているかということを聞いている、全鶏連は。
  192. 平松甲子雄

    説明員平松甲子雄君) このことに対する解釈としては非常に幅のある問題でございますので、畜産局としてどういうふうに認定をするかということにつきましては、私どものほうで、そうシビアーに解釈をしないで、というふうな形のことで指導いたしておるということで御了解を願いたいと思います。
  193. 向井長年

    向井長年君 政務次官ね、大体全販連というのは、加盟しておる養鶏者、これは大体いわゆる全生産者の何%あると思いますか。大半が外ですよ。そうして政府資金を出しているんですよ。われわれの調査では加盟しておるのは二一%程度だと思うのです。そこに基金のいわゆる優遇を受ける、生産者は。その他の人はそれを受けていないわけですよ。受けるように指導するのがあなたたちの役目じゃないですか。そのために政府から資金を出している、事業団を通じてやっても。それを一部の諸君に対して、そういう価格安定のための有利な特権を与える、その他の諸君に対しては、それは事業団、社団法人が理事会決定していないからだめだだめだ、こういうことは許されないのですよ、政府資金を出している以上は。かってに個人が、生産者が出した基金であるならば、これはそういうことは言えない。しかし政府なり地方公共団体が出している資金というものは公平に全般の生産者に及ぼさなければならぬというのが原則なんです。その原則がどういうところに欠陥があるか。義務負担したいから入れてもらいたいという要望を強く持っているにもかかわらずこれを社団法人では拒んでおる。こういうことについてはあなたたちがそれこそほんとうの行政指導を行なって一日も早く価格安定のためにその努力をしなければならぬというのが、これが当然じゃないか。政務次官どうなんです。
  194. 青田源太郎

    説明員青田源太郎君) おっしゃるとおりでごもっとものように思うわけでありますが、ただこの卵価安定資金というものにつきましては、社団法人という公益性のものにやらしておるというような関係上、まあそこの役員等が自主的にそういうふうにやっておるようにお聞きすると思うのでありますが、もう少し、広義に、おっしゃるとおり、みんなの、一人でも多くの方がこの恩恵に浴するように持っていきたい、かように存じておりますが、いま初めてそういうような——相当この組織に加わっていないということが多くあるというふうなお話でございますので、これはひとつ当局でも十分検討いたしまして、向井先生のおっしゃるような趣旨に沿うようにやってまいりたいと思います。
  195. 向井長年

    向井長年君 時間もございませんからこれで終わりますが、きょうは大臣か局長質問する予定でしたが、局長が出られないで参事官が出られたわけですが、いま申しましたようなこういう事態はまことに不合理だと思います。したがって、アウトサイダーといいますかね、こういうところが逆に、入らない、入りたくないというようなことが世間には往々あることだ。しかし、これに入れてもらいたい、それに対しての資金も出そうと、こういうところを排他的に入れない、こういうことは許すべきじゃないと思う。農林省としては、畜産局としては、少なくとも資金を出している以上は、やはりできるだけ加盟させて、そして価格安定につとめるべきだ、こういう努力はしなければならぬと思いますが、されますか。
  196. 平松甲子雄

    説明員平松甲子雄君) 最初に申し上げましたように、農林省としてはそういう方向が望ましいということで対処してまいりましたし、今後もその方向で努力をしてまいりたいということを申し上げたわけでございますが、現在のところそういうふうな形で指導するという方針には変わりございません。
  197. 河田賢治

    ○河田賢治君 食糧庁の長官にお伺いしたいと思います。  第一は、いま米の供給がだんだんふえてきたと。消費の問題についていろいろな意見が出ておりますが、まずその前に、食糧庁のほうでは、いろいろな災害に対して、少なくとも大きな災害があった場合に、どれだけの備蓄が必要だと、そういうことを計算して、しかもそれが備蓄ができるような、そういう施設を持っておられるわけですか。一つは、たとえば深川を昨日見ましたけれども、御承知のとおり東京の米は大体深川に集められている。しかもあれは大正時代の倉庫建設で、地盤がどんどん沈下して、床が土地より低くなって、土地自体も引っ込んでいるというような、ああいう低地帯になっているわけでしょう、大阪や名古屋でもかつての台風あるいは高潮があったときには、海岸はすっかりやられちゃったわけです。おそらく私はこれに耐えるだけの設備ができていないと思うのです。そういうことを考えたならば、北海道のあの十勝地震でも一カ月間こちらへ荷物が来るのがずっとおくれてきて途中切れたということが言われている。そうしますと、東京あたりのような大消費地で、しかも震災で、前の関東震災のようなことはないにしましても、そういう災害というものを考えて、やはりある一定の備蓄をする必要があるのじゃないか、こういう問題について食糧庁のほうは、これは政府全体の問題だと思いますけれども、食糧庁のほうはどういうお考えでやっておられますか、その点をちょっとお聞きしたいのです。
  198. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 全国的な見地からする災害用の備蓄の問題というのは、従来からも重要消費地点については、そのときどきの需給事情の許す限り施策をしてまいるというようなことで考えてまいりましたけれども、御案内のように昭和四十一年までは、国内は米穀の不足時期でございましたから、思うにはまかせなかったということで、正直申しましてぎりぎり一ぱいの需給操作をやってきたわけでございます。今日になりますと、全国的なベースでものを考えますれば、もはや少々の災害では困るような需給事情ではなくなったのでございます。そこで大消費地に対する手当ての問題でございますが、現在東京都、東京周辺では、——東京都ということでけっこうかと思いますが、大体全消費量の二カ月を上回るものを集積して、管理をいたしておりますので、よほどのことでない限り需給の心配は全くないというふうに御安心いただいてけっこうかと思います。
  199. 河田賢治

    ○河田賢治君 私は場所が問題だと思うのです。ああいう低地帯でしょう、現在ゼロメートルと言われている。しかもずっと荷物が来るのが、貨車が来るのがだんだん東北とか北陸とかが多いわけですね、山手のほうは土地が高いでしょうけれども、やはりああいうところにも倉庫を建てるとかあるいは全国のことですからどこにまあ地震やあるいは大災害が起こるかもしれませんけれども、やはりそういう全国的にそういう配置をしてですね、いつの場合にでも困らぬようなことをするのが私は必要じゃないかということを言っているわけです。
  200. 田中勉

    説明員田中勉君) 東京の倉庫事情のお話でございますので、ちょっと私から申し上げたいと思います。確かに東京の営業倉庫地帯というものは、まあこれは港湾、海に近い、それから深川とかそういう地帯に片寄っている。しかしながらこれらの営業倉庫は大体米のみならずその他の物資も非常に大きなものを貯蔵しておるわけであります。今後私ども考えておかなければならぬと思いますのは、やはり米専門的な営業倉庫をつくるということであります。その場合におきましては、御指摘もございましたように、いわば東京の奥地、三多摩方面あるいは山手地帯とか、こういう地帯に最近米専門的なそういう分散倉庫的なものがだんだんできておるわけでございますので、こういうものをやはり推進していく必要があるんではないか、こういうぐあいに考えております。
  201. 河田賢治

    ○河田賢治君 私がそのことを言うのは、最近地震があるわけですね、だいぶまあ学者あたりが周期的には相当大きな地震が関東とかあるいは大阪あたりにあるんじゃないかということを言っておるわけですね、やはり私たちはそういう点も考慮して、政治の上で特に食糧をつかさどるところではそういう米が余ったことについては、すぐにこれは赤字だとか何とかいって大騒ぎしたり、あるいは足らぬといってべらぼうに輸入したり、そういうまあその日暮らし的な対策でなくて、やはり相当長期にわたった、国民生活を安定させ、あるいはまた消費者の需要に応じていくというような、まあこれは相当長期にわたる施設の中でそういうことを考えるべきじゃないかということを申し上げたのです。  それから第二点は、御承知のとおり先ほど足鹿委員からも出ましたけれども、中間経費というものをまあ最近はみな赤字だ赤字だといって、盛んにマスコミでも攻撃しておりますけれども、私たちは別に食管制でしかも二重価格制、生産者の生産費を償う補償方式あるいは消費者のほんとうの家計を安定させるというこの二重価格の方式をわれわれは考えております。また維持しなくてはならぬと考えておりますが、御承知のように、しかしながらやはり政府のこの管理上のいろいろな問題についても、先ほど三つの問題が出ましたが、あれなどについては相当世間からも疑いを持たれておる。こういう問題について現実にあそこの契約なんか再検討してあるいは契約の結び直しというようなことをやられたんですか、その点をお聞きしたいと思います。
  202. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 食糧庁では米穀その他の食糧の需給の調整をいたします限り、荷物を一定の地点から一定の地点に運ぶということは、当然起こってくることでありますから、運送ということ、またその運送のために経費がかかるということも避けがたいのでございます。で昨年までは御案内のように、全国に発着両地点に運送力を持つ唯一の運送業者ということで、日通に全面的な運送委託をいたしておったのでございますが、本年度からは全国通運、新免業者の育成の件、また今日の需給事情から見て輸送等に対する食糧庁の需要というものの変動がございますこと、また若干でも競争的なものが加わることが適切であろうというような考え方をもちまして、全国通運も参加をさせることにいたしたのであります。で食糧庁の輸送に関しまする運賃の問題につきましては、毎年運送実績を調査いたしておるのでございます。運送実績で把握できました単価をもって翌年の単価を査定するということを、財政当局と一緒になってやってまいっておるわけでございます。で、本年度の輸送計画では、前年の単価を用いれば支払わなければならぬであろう金額から約一億五千万円程度の運送費の節減をやるということでございまして、毎年この問題については、食糧庁当局としては真剣に不必要経費の支出ということを避けるという努力をしてきておるつもでございます。
  203. 河田賢治

    ○河田賢治君 御承知のとおり日通事件というのは非常に大きな社会的な問題にもなっておるのですから、わずか一億五千万円というのでは、あまりに少ないんじゃないかというふうに考えるわけです。この点はさらに検討をしていただくこととして、御承知のとおり、いま倉庫が足らぬので、東北方面から東京へ荷が入りましても、この暑い夏に貨車がそのまま四、五日も米がおろされずに置かれる。相当鉄なんかで周囲ができておりますから、中は蒸れると思いますね。これによって品質も落ちましょうし、それからまた外国からの輸入なども、普通一カ月の手持ちがあればいいと言われておるのに、現在二カ月とか、ときには二カ月半くらいにもなる。しかも船が、大体において輸入商社が一度にずっと運んできて、したがって倉庫もいっぱいだ。そういうところへ、はしけへ積んで、はしけが大体一カ月くらい陸揚げできないような事情もあるということを聞いているわけですね。したがって、それで品も落ちますし、またアメリカから輸入される場合には、一%か何ぼかの規格がありますね、その規格の範囲内まで、いいものがあっても、そこへいろんな不純物と申しますか、そういうものが入ってくるというふうにして、若干品質の落ちるようなものを規格の、それぞれ個々にとってみればいいんでしょうけれども、全体としてそういうものがまざっているというようなこともうわさに聞いております。こうして船が一度にどって持ってくれば結局倉庫へ入りませんし、はしけに長く置いている。そうすれば品も落ちますし、また保管料もそれによって費用もたくさんかかるわけですね。こういうような食糧庁の、需給関係について大きな代理商社ですね、輸入商社、これらにすっかりなめられておるのじゃないかという気がするわけです。内地米の運輸保管にしましても、若干のズレは出るでしょうけれども、長く鉄道へ積んだままで置いておくようなことは、特にいま品質のやかましいときですから、こういうものはやはり業務関係が十分倉庫あるいは出荷関係ができていないのじゃないか、計画と実際にやるのに、こういう点はどうですか。
  204. 田中勉

    説明員田中勉君) 船の関係が、輸入する場合に船の関係でいわばだんごになって入ってくるので、相当港湾のそういう作業をにぶらしているのじゃないか、こういうお話でございますが、現在、小麦を例にとりますと、約四百万トンの小麦の輸入を年間通じて食糧庁でやっておりますが、この小麦の輸入につきましては、年間、平均的に国内在庫が一定になるような形で平均的な買い付けを行なっておるわけでございますが、少なくとも小麦の輸入につきましては、その輸入のベースは大体平均的に行なわれておる、こういうことでございます。  それから外米の問題でございますが、昨米穀年度から準内地米とそれから普通外米、砕け米ということで約二十七、八万トン輸入したわけでございますが、何分にも米は北半球にできるわけでございます。やはり買い付けの時期がどうしてもある一定の時期に限られるということからいたしまして、それからまた同時に品質保全の面からいたしまして、その輸入は日本のつゆ前に港に輸入するということが望ましいというようなことで、米につきましては、どうしても上半期に片寄ってくる、こういうことが言えると思うのであります。  それから規格の問題等についていろいろ海外から買い付けのものについて疑わしいものがあるというような御発言のように承ったわけでございますが、あるいは聞き違いかもしれませんが、私のほうといたしましては、あくまでも海外から、たとえば小麦を輸入する場合にいたしましても、発地ファイナルということでなくて着地ファイナルということで、着港検査に合格したものを政府が買う、こういうたてまえになっているわけでございます。  それから国内の米の輸送、これは膨大な米の輸送を、先ほど長官から申されたように生産地から消費地へという配給計画にのっとってこれは運送をいたしておるわけでございますが、これはほとんど年間を通じてこの運送が行なわれておるというのが現状でございます。したがいまして米の輸送の面から見ますると、実は夏の非常に暑い時期は、本来なら一カ月ぐらい避けたほうが私は米の品質保全上はいいんだろうと、こういうぐあいに思うわけでございますが、どうもやはり年間を通じて一定の量をどうしても運ばなければならぬ、また国鉄の貨車事情からいたしましても、どうしても平均的にならざるを得ない。平均的になった場合は夏場の暑い二カ月程度において消費地に到着した場合において、貨車事情、それからまた貨車積みおろし倉庫と列車との連結、これがどうしてもうまくいかなければ貨車の中で滞貨をするということが避けられない現状である。特に昨年からことしにかけまして、非常に従来と違ってまいりました点は、やはり倉庫地の倉庫事情がなかなか窮屈な事情にあるということ、それから生産地のほうにおきましてもやはりある程度の繰り越し米消費地に運送いたさないと新米の買い付け上倉庫繰作上非常に困る、こういうことがございまして、特にことしの場合には顕著に、この七月以降の暑い時期にやはり消費地に米を運ぶというようなことが出てきているわけでございます。その結果が、やはり消費地の受けの状況と関連いたしまして、いささか駅頭滞貨というようなことが貨車の中で行なわれまして、品質保全上あるいは荷繰りの関係上望ましくない形であったわけでございますが、まあここへまいりまして、大体それらの点もある程度倉庫対策の一環としてその辺が打開されつつあるわけでございますので、できますならば、やはり米の輸送につきましては夏の暑いときは避けたほうが本来の品質の都合上もよろしい。それにはやはり生産地消費地の関連を円滑に結びつけていくような具体的な作業のめどがついた上でないとやりにくい、こういうふうに考えております。
  205. 河田賢治

    ○河田賢治君 きょうはだいぶ低温倉庫という話がありましたけれども、若干産地においてもこれは必要だと思いますけれども低温倉庫から出せば大体十五日くらいで消費者のところへ行かぬとやはり品質が非常に落ちるということが言われているのですね。そうしますと、東北やあるいは北海道あたりで倉庫に入れる、盛んにそちらのほうにつくることを奨励なさっている。ところが貨物の関係、それからまたこちらへ来て卸売り商から小売り商、それからほんとうに今度は消費者に入るときは、この短い期間だと、うまく十五日以内に消費者の中で消費できないのじゃないか。そうすると非常にこういう新しい一たとえば冷蔵庫の中に入れた品物を出すとわりあいくさりが早いということがある。それと同様にこの点は消費地でどの程度置くか、また生産地の若干消費も考えて、どの程度置くかということをある程度やはり、主食をできるだけおいしく食べさせるか、また保管をうまくやって、できるだけ国の経費を、むだ米をつくらない、くず米をつくらないようにすることは必要ですから、そういう点で全国的なそういうもののいわば配置関係、それから容量の関係、こういうものはもっとほんとうの腰を据えた計画をお立てになるのが正しいのじゃないかと私は思いますが、いかがですか。
  206. 田中勉

    説明員田中勉君) いま御指摘のお考えにつきましては、非常に私も全面的に同感をいたしております。低温倉庫の運用につきましては大体二つの型が実はあると思いますが、消費地低温倉庫の機能からいたしますると、これは少なくとも夏の暑いとき、まあ秋に入りかける頃に低温倉庫から出した米は、なかなかみずみずしくて、すぐそのまま配給過程に乗っていく。消費地低温倉庫からはそういうことでございます。生産地低温倉庫につきましては、御指摘のような点があるわけであります。確かに夏の暑いときに、生産地倉庫から出して、消費地消費者のところに届けようといたしましても、確かに先ほどの貨車事情、それからいろいろな繰作上の事情からいたしまして、本来の低温倉庫の持っておる品質保持が、どうしてもそれがうまくいかないどいうことがあるわけでございまして、生産地低温倉庫は、むしろ夏越しをして翌年へ繰り越されるという米についてその品質保全をはかっていく。その米を気候のいいときに消費地に運んでくる。こういうことが望ましい。こういうぐあいに考えております。それから消費地におきましても、いわば夏の暑いときにそういうものを右から左に出すという機能と、それからもう一つは、相当これだけの繰り越し米が、先ほど御指摘もございましたように、大消費地において少なくとも二カ月なり、三カ月なり持つことがいろいろな意味において望ましいということになりますれば、そういう米については、やはり夏越しをするということでやってまいりたいということでございます。
  207. 河田賢治

    ○河田賢治君 もう一つだけ最後に、米の需給関係政府の買い入れ米が非常にふえる。と同時に、人口のいわば過密過疎という関係で、農村地帯あるいは裏日本地帯はだんだん人口が減りあるいは消費も減っていく。しかも大都市に米が集散され、そこで配給されるわけです。そうすると事業量が非常にふえるわけですね。ところが御承知のとおり、政府では五%の人員を三カ年で大体削減するという。農林省では三カ年間に六千人ばかりの人員を削るというこの間発表がありましたのですが、おそらく私たちは食管制というものを守り、したがって、まあ食糧庁というものの機構が存続すべきだと考えておりますが、そういうふうにして米の取り扱い量がふえ、しかも今日は定員はどんどん何といいますか、欠員は補充しないというような形で、どこでも入れてないようです。そうすると、相当ここでは、一方においては労働量が強化され、またいろいろな意味で日曜も出勤しなくちゃならないということもしばしば聞いております。こういう事情についてあなた方は、やはりたくさんの職員やあるいは従業員も使っておられるわけですから、特にまた、本省におる者は若干エリート的で、出世も早いとか、なかなか待遇もいい。地方事務所、地方の食糧事務所あるいはその他の出張所、こういうところになりますと、ずっとまた落ちるということも聞いております。こういうふうに米の需給がふえて労働が強化されるにもかかわらず、これはいつまでも不補充でいくものか、さらにまた三カ年先に六千人減らすのか、食管制がだいぶ攻撃を受けておりますから、相当食管関係の人員も減らされるのじゃないかと私たち思うわけですが、しかし働いている人たちにとれば、職員にしろその他の従業員にしますれば、やはりこういう大消費地でますます仕事がふえるという場合に、一体食糧庁の長官はどういうぐあいに人員削減問題についてお考えになるか、われわれはこういうことは必要でないと考えておる。むしろ仕事に応じて人もふやし、仕事のなくなったところは減らすと、こういうふうに考えるのですが、いかがですか。
  208. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 国家公務員の定員の計画的な削減ということは内閣の基本方針でございまして、わが国全体として労働事情が窮屈であるという際に、できるだけ能率を上げて過剰といいますか、余裕のある定員を整理していくということは、私は現在の時勢から見てやむを得ない方向ではないかと思うのでございます。私どものところも検査員等におきまして、二万七千人の職員を擁して仕事をしておるわけですが、米の生産量の増大あるいは保管量の増大面で仕事の量は確かにふえております。ただ、検査等の面におきましては、需給の逼迫したときと違いまして、検査期間が一時に集中するということはある程度までは避けられるというようなこともございますので、実態に即して定員の配置を考えてまいりたいというふうに思っております。また、どうしても必要な定員については、その確保のためには努力をいたしてまいりたいというふうに思っておるのでございます。
  209. 任田新治

    理事任田新治君) 他に御発言もなければ、本件に関する質疑は本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時六分散会