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1968-09-26 第59回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年九月二十六日(木曜日)    午前十時四十二分開会     —————————————    委員異動  九月十四日     辞任         補欠選任      北村  暢君     大森 創造君      山本伊三郎君     和田 静夫君  九月十六日     辞任         補欠選任      大森 創造君     北村  暢君  九月十七日     辞任         補欠選任      和田 静夫君     山本伊三郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         井川 伊平君     理 事                 石原幹市郎君                 八田 一朗君                 北村  暢君                 山崎  昇君     委 員                 佐藤  隆君                 柴田  栄君                 長屋  茂君                 山木伊三郎君                 峯山 昭範君                 瓜生  清君                 岩間 正男君    国務大臣        国 務 大 臣  木村 武雄君        国 務 大 臣  田中 龍夫君    事務局側        常任委員会専門        員        相原 桂次君    説明員        人事院総裁    佐藤 達夫君        人事院事務総局        給与局長     尾崎 朝夷君        総理府人事局長  栗山 廉平君        行政管理庁行政        管理局長     河合 三良君        防衛庁参事官   江藤 淳雄君        防衛庁防衛局長  宍戸 基男君        防衛施設庁長官  山上 信重君        防衛施設庁施設        部長       鶴崎  敏君        大蔵政務次官   二木 謙吾君        大蔵省主計局次        長        海堀 洋平君        林野庁長官    片山 正英君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調  査  (国家行政組織に関する件)  (国家公務員給与に関する件) ○国の防衛に関する調査  (北海道長沼地区ミサイル基地設置に関する件)     —————————————
  2. 井川伊平

    委員長井川伊平君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動に伴い理事が一名欠けておりますので、この際、補欠互選を行ないます。  互選は、便宜委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事北村暢君を指名いたします。
  4. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 国家行政組織に関する件を議題といたします。  政府側からは、木村行政管理庁長官田村政務次官河合行政管理局長が出席いたしております。  それでは御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  5. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは行管長官に、まず第一次行政改革方針ですか、第一次案を発表されたようですが、それと、きょうまた五現業に対しての何らかの意思表示をされたのですが、それらをひっくるめてひとつ要点だけ長官から御説明願いたい。
  6. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) 御承知のように、第一次案は八月の三十日に一応決定したような次第なんであります。そのときに決定いたしました内容は、主として許認可事項報告事項、それから行政事務下部機関への委任または地方公共団体への委譲、こういうようなことを主としておりまして、許認可等につきましては千三百八十三件の整理簡素化をやる。報告事項につきましては千五百七十一件の整理簡素化をやる。行政事務下部機構への委任または地方公共団体への委譲につきましては四百二十七件をやる。このほか会計事務だとか人事事務整理簡素化などがあります。いま引き続いて検討を加えておりまするものは補助金整理であります。それから地方事務官制度取り扱い内容の問題であります。それから環境衛生をどうするかという問題であります。それから観光行政などについても目下検討を加えておりまするが、いまだ決定的なものには到達していないのであります。  定員減の問題につきましては、三年間にわたって五%を減ずるという方針を立てまして、それはそのとおりに進めておりまして、公務員については八月三十日、それから五現業については大体きょう内定したような次第なんでありますけれども、その二つにつきまして、具体的なことは局長から説明させます。
  7. 河合三良

    説明員河合三良君) ただいま長官よりお答え申し上げました点につきまして、補足して申し上げます。  公務員のうち、五現業、それから自衛官を除きます国家公務員の四十二年度末総数に対する五%を削減いたしまして、これは四十三年八月三十日の閣議決定でございます。この総数は二万六千二百六十一名になっております。ただこのうち昭和四十三年度ですでに削減いたしております数が七千四百六十八名ございますので、今後三年間削減数は一万八千七百九十三名でございます。なお昭和四十二年度末の定員数は五十二万五千二百二十でございますので、それの五%が二万六千二百六十一名に当たるわけでございます。今後三年間の一万八千七百九十三名につきましては、原則として毎年三分の一ずつ三年間にわたって欠員の不補充によって削減をしていくという考え方になっております。  また、五現業につきましては、現在政府案作成中でございまして、まだ正式に決定いたしておりません。新聞報道は、その作成中の案の答申分新聞責任において発表したものでございますが、大体ただいま申しました五現業以外の非現業公務員と同じ考え方に基づきまして、昭和四十二年度末の定員三十七万三千七百八十四名の五%の削減を行なう、そういう決定をいたす予定でおります。
  8. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そこで、定員削減するという考え方ですね。財政的な問題からきておるのですか、それとも事務合理化というか、機械化と申しますか、そういうものを前提にして考えておるのか、基本的な定員削減考え方について政府の意向をまず聞いておきたい。
  9. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) 基本的なものの考え方は、やはり行政の上に立ってであります。行政の上から行政改革をしなければならない、こういうものの考え方であります。ただそれに大きく付随してまいりましたのが、財政硬直化という問題でありまするが、財政硬直化のために行政改革をやらねばならないということの比重よりも、行政改革をやらねばならないという基本的な態度のほうが重要視されておるのであります。  私、いまの行政について見てまいりましたけれども、行政需要の非常に多くなったものもたくさんございますが、行政需要の少なくなったものも相当あります。そういうようなものに対する改革というものは、今日まで行なわれないできたのであります。それから民間では非常に企業の革新が、産業の革新なんか行なわれましたけれども、そして技術改革が大胆に進んできましたけれども、そういうものに対して行政が非常におくれております。そういうような観点からも、やはり行政改革というものは行なわねばならないものだと思います。  それから、いま非常に大きな速度で進んでおりまするのが行政機械化、コンピューターを導入する問題なんでありまして、これがこれからはますます大きくなっていく傾向にあります。そういうようなものを勘案いたしましたときに、やはり行政改革をやらねばならないという切実な要求なんであります。そして将来を見まして、いま、やはり定員削減をやっておきませんと、そういうような需要に対応ができないだけでなく、将来首切りなどといういやな問題も機械化によって起きかねないと考えまするので、いま定員削減をやっておく必要がある、こういうふうに考えておる次第であります。
  10. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 政府考え方については、観念的にはそういうことが私は言えると思うのです。また、従来の行管長官も、いつもそういうことを言っておるのですが、しかし、行政機構問題全般について認識されておるかどうか。前の行管長官に私いろいろこの問題で論争いたしましたが、末端支分部局と申しますか、各省の末端にいくと、きわめて手不足のところがあるんですね。いわゆる一般国民、県民にサービスする役所が非常に手薄であって、そうでないところが案外、私は豊かとは言いませんけれども、人手が充実しておる。特にこの前の国会においては、私内閣委員会におりませんから十分知りませんけれども、部局の新設というものは、あなたのほうが非常に押えておっても、毎年やはり三つ四つは出てくる。その部局を新設することによって、やはりそこに付随した職員が必要になってくるという実情ですね。こういうものをどう考えておるか。私は、政府考え方に実は疑いを持っておる。事務能率をあげるということについては、これはだれしも考えておることであって、そういう職員の配置というか、国民へのサービスという重点から考えると、政府考え方は私は納得できない。これについて木村長官は、どういう考えを持っておるか。
  11. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) 山木委員から、いまの行政は上に厚く下に薄いじゃないか、大胆に言いますると、第一線に立って働いておりまする現業のほうは非常に手不足なんだ、しかし上層部のほうはゴルフなんかして遊ぶ余裕があるじゃないか、こういうふうなお話だと私思いまするけれども、そういう御指摘はなきにしもあらず、私も心外に思っておることがたくさん見受けられるのであります。それを何とかしてそういうようなものでなくしたいという気持ちで私は取り組んでおるのでありまするけれども、なかなかそういうふうにいかない。思うようにいかないというようないまの膨大な行政組織になっておる、官僚組織になっておるということでは、私は山本委員の御意見に実は賛成せざるを得ない。何とかそれをそういうものでなくしていきたいという気持ちで、一生懸命になって取り組んでおるようなつもりなんでありまするけれども、長鞭馬腹に及ばないような状態なんであります。この問題もやっぱり時をかけて解決していかなければならない、急速な解決はなかなか至難である、時をかけて解決していかなければならない、こういうように長期的にこの問題と取り組んで、山本委員の御指摘のような状態はなくしていきたい、こういう考え方であります。
  12. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 簡単に私の言うことに同調してもらっても困るのです。そういうことをやはりあなたのほうで認識しておるのならば——これは最近の問題ではないのですよ。もうすでに五、六年前から内閣委員会でこの問題が取り上げられて、二、三回私も調査に行ったのですよ。現場の職員の要望というものは一にかかってそういうことですね。しかるにまた今度五%の人員削減、やはり人員削減となるとそういうところに重点がいくんじゃないですか。私は本庁関係は遊んでおるとは決して言っておりませんよ。おのおの仕事があると思うのですね。そういう点をやはり認識した上で削減考えなければ、私は、ますます国民へのサービスは低下すると思う。  それからもう一つ私は長官考え方をお伺いしておきたいと思うのですがね。世上一般行政事務民間会社経営事務と比較していろいろいわれるのですが、この点は少し深く検討しなければならぬと思うのです。私も民間会社に行きまして、案外少ない人数で相当大きな経営をされておる実態を見学、調査もしております。しかし、民間経営事務というものは、これは商売上の問題であって、損得の問題が一つの目標になっておりますね。行政事務はそうではないのです。私もいろいろ末端役所へ行って調べましたけれども、なるほど判こがようついておりますよ。ところが、聞いてみると、やはり、もし万々が一あやまったときには法律上の責任をとらなくちゃいけない。したがって、やむを得ず、責任上これに判を押さざるを得ない。こういうことなんですね。私はこれは考え直さなくちゃいけないと思う。末端事務所に行ってごらんになればわかりますように、窓口におる人は一番しろうとの人です。入ってきて間もない方々窓口におる。その次がちょっと古参の人、そのあとに係長、課長補佐課長、だんだん奥に行くほどよく知っておる人がおる。それが日本の役所機構ですよ。そういうものをそのままにしておいて人員だけ削減して、事務能率があがると思ったら大間違いです。私はそう思っておる。したがって、そういう役所事務機構というものを考えずに、ただ人員さえ削減したらそれでいいんだ、機械化したらそれでいいというわけには私はいかないと思う。行政事務は、これはもう皆さん方専門家ですから、私が言えば釈迦に説法ですが、行政事務機械化には限度があると思う。  これは一つの例でありますけれども、町村の戸籍事務でも、いまできるだけ写すのは機械で写しております。機械で写したほうが間違いはございませんけれども、あれは法律責任のあるものですから一字間違えても責任問題です、司法事務ですからね。これは市町村に委任しております。したがって、かりに写しても、それを十分点検をしなければ交付できない。そういう事務があるのですね。民間の伝票なんか、かりに間違っておれば、あとから直しておけば責任問題は起きない。金銭の問題ですから、あとから返せばそれでいいということになる。そこに私は行政事務の本質上の問題があるんじゃないかと思うのです。  こういうものを十分行管考え事務簡素化等々考えなくちゃ、言うだけで、実際実施されておらない。あなたが先ほど言われたことは、もう十年前から言われておることでしょう。それがまだ遺憾ながら時間がかかるといういまのお話ですね。十年かけてもそういうことできなければ、あと十年たってもできないですよ。あなたが行管長官におる間そんなものとうていできません。あなたがそこにおるというだけであって、また次の人も同じことを言っておる。こういうことでは私はいかぬと思うんですが、勇断をもってやるだけの——この削減ということは、一応こういう計画を立てておられますが、いま私が言ったこと、勇断をもってあなたの在任中にやりますか、それを聞いておきたい。
  13. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) 私の在任中にやれるだけのことは全部やりたいと、こう思っておりまするが、なるほど、山本委員の御指摘のとおりに、歴代の長官と名のつく者が同じことを言ってきたと、十年同じことを言ってるんじゃないかというお話でありまするが、そのとおりかもしれませんです。それで考えて実行しようとした人もたくさんおったに違いないと思いますけれども、それができなかったんだと思います。それをやるからには非常な勇断が必要だと、こういうことだと思いまするけれども、私は、ほんとうにこの問題は勇断をもって解決するべく努力していきたいと、こう考えております。  いま御指摘のその役場の組織を見てみると、新しい者が窓口におって、逐次えらい者がうしろのほうにおるんだと、言いかえれば、えらい者が陣頭指揮をしたほうがいいんじゃないかと、こういうようなお話だと思います。ごもっともだと私考えております。調べまして、そしてどこにどういうような行政管理庁として指令を発したらいいかを調査して、そういうようなことをやらしてみたいと、こう考えております。全く私はそのとおりだと、こういうように思います。国民の早く自分解決してもらいたいものを解決する、そのためのそういうような組織がえというものは大胆にやってしかるべきものじゃないかと、こう思いますので、行政管理庁の範囲内において、できることは思い切ってやっていきたいと、こういうふうにお答え申し上げておきます。  それから民間事務行政事務というものは違うんだと、こういうお話でありまするが、違う点もたくさんあると思いまするが、心組みは、やっぱり民間には結果として損得がつくんだと、したがって損しないように、もうけさせるように、もうけがあれば会社が長続きすると、もうけがなければつぶれる危険があると、したがって長続きせしめるために、もうかるように、思い切って会社の人々が努力する、この精神は私はいい精神だと思います。そういうようなもうけさせるという点で責任を持つという気持ちは、私は行政官全部にあってしかるべきものじゃないだろうかと思う。判を押すことによって責任がのがれられるようなことでなく、やっぱり国民に喜んでもらう、納得してもらうという点に重点を置いた行政をしていくということも非常に必要だと思っております。そういうように、御指摘になりまして、納得いたしましたことは即座に実行さしたいと思います。
  14. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 現在、各役所でも自発的にそういう事務合理化というか、近代化というか、そういう方向に進んでおることは事実です。市長なんかも、みずから窓口のようなところに出て、市民の直接相談に乗るという市長革新的な市長に相当出てきておりますが、私はいいことだと思います。全般にやっぱり国の出先機関がおくれておるのじゃないかと思うのです。こういう点もひとつ、皆さん方調査をしてわかっておると思いますけれども、そういうことによって、私は一般職員のいわゆる労働強化というものが省けるのじゃないか、それが私は官庁民主化に通ずるのじゃないかとも思っておるわけです。これは私の従来の持論であります。しかしなかなか、それは長官、言うべくしてむずかしい。単に行政管理庁からこういう指導がきたからといって、なかなかできるものでは私はないと思う。  それともう一つは、部長局長級といいますか、そういう方々にやはり責任を持ってもらうような考え方をひとつ吹き込んでもらいたいと思うのです。私は全部がそうだとは言いませんけれども、一般に官公庁の能率があがらないというのは、いわゆるそれは高級公務員と言ってもいいと思いますけれども、私は率直に言えば、なるべく責任をのがれる——悪いことばで申しますとそういうことですが、そつのないようにやろうということが自分の身のためですからね。なんぼいいことをやってもそれは認められない。一つ失敗したらそれが自分の命取りになるという官庁のしきたりですよ。だからみんなに率先して、あいつはいいことをやったということよりも、そつのないように、間違いのないようにやるということが、これが自分の身を守るもとですから、それを私は、大臣あたりよく見て、いいといいますか、みずからそういう責任をとってでもやろうという人を見てやらぬといけない。そういう気風がないのですよ。それがいまの行政改革のむずかしいところだと思うのです。私もそう思っておるけれども、残念ながら社会党が天下を取りませんから、そういう主導権がないわけですが、いつも私はそう思っておる。何とかひとつ——いまの佐藤内閣と対決した考えを持っておりますけれども、この問題については勇気を持ってやっていただきたいということで、総理にも予算委員会で相当言っておるのですよ。池田さんにも言った。ところがならぬ。それがいまの現状です。そういうことでありますが、具体的に私は一つの問題、地方事務官の問題、これ長官、いつから問題になったと思っておりますか。地方自治法ができた昭和二十二年からだと思うのですが、それから二十年ほどたってもまだ問題が解決しないのですよ。臨時行政調査会がああいう答申をし、地方制度調査会答申し、しかもまた、行政監理委員会答申して、決議が出ておるのが、まだごたごた言っておるのですね。これでは長官が何を言ったって、国民はこの問題については信用しませんよ。したがって、問題を次に移しますけれども、整理問題について、私はいまの現状では反対です。賛成できません。かりに五%にしても、そういういまの現状をそのままにして、人員だけ削減することには私は反対いたしますが、この問題についてはまたいずれ今後の問題に移します。  第二番目の地方事務官の問題、この処理について、一体いま行政管理庁はどういう方向に進んでおるのか。何か聞くところによると、地方事務官の廃止だけはきめたというが、そのあとはぼやぼやしておるようです。その点について長官に御意見を聞きたいと思う。
  15. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) この前の国会でも、地方事務官制度解決する、こういう方針でお答えしておったのであります。私はそういう決心で、そういう気持ちで明瞭にお答えしておった。ところが労働大臣は、国会では地方事務官制度は廃止しないのだと言っておったそうであります。厚生大臣は条件次第だ、こういうような話をしておった。それから運輸大臣も大体厚生大臣と同じような答弁をしておったということが、四者協議の席上で出てきたのであります。しかし、廃止しないなんというわけにいかないんだ。二十年間たなざらしになった問題だから、とにかくこれにめどをつけるという点にまず一致しようじゃないかということで、こういうことで解決するという根本方針だけはきめてみまして、その解決方針について、いま一生懸命になって精力的に各大臣相談を進めつつあるわけであります。  一番最初には大臣同士で話をしてみました。そうすると、結局国務大臣という立場で主張されるよりも、行政長官としての主張が、言いかえれば、役所答弁と同じような答弁をされる向きも非常に強い。それで今度は役所の人を入れましてやってみて、役所の人に対して私が直に質問をする、こういう方針もとってみたのであります。それから、また、大臣だけで話をする。こういう方針をとりまして、徐々にいま煮詰めつつあります。そうでありまするから、運輸事務官、それから厚生事務官労働事務官というものを同時に解決をし、同時に発表する。一つだけ切り離して解決する、発表すると、やはり逆転する危険があるものですから、解決方針同時解決同時発表という形でいま一生懸命整理して、解決と取り組んでおります。  行政管理庁、私の立場は、私個人の立場でありませんし、これは臨調の答申もありますし、行政監理委員会答申もありますし、その線に沿うて解決してまいりたい、こういう気持ちでいま一生懸命になってやっておる段階でございます。それからもう一つは、やはり時代の流れと、したがって行政が逆行するような流れをすべきでない、こういう気持ちも大きく働いておりまして、取り組んでおります。そこは現在こういう状態になっておるということを実はお話し申し上げて、御援助を得るところは御援助を受けるべきでありますが、そうすると、またこんがらがってしまって、なかなかお役所組織というものは複雑なものである、横の連絡というものも意外に強いものであるということをしみじみ私感じまして、実は苦労いたしておるわけでありまするが、中間の発表だけは、どうもものの解決のためにお許しを願いたいと思います。
  16. 山崎昇

    山崎昇君 私はごく具体的に五%削減に関連して、考えだけ聞いておきます。後日また私も意見を述べたいと思います。  第一は、年間の自然の退職率がどれぐらいで、それが人員がどのぐらいになっておるか。それから、いま説明された人員でいけば、昭和四十三年度の欠員は七千四百六十八名というから、一応これは自然退職と見れば、ほぼ年間退職率というものは一・五%前後になるのではないか、こう私は思うのだが、それが正しいかどうか。それから三点目は、先ほどの説明で、一万八千七百九十三名を三カ年でやる、そしてそれを三分の一ずつやるんだ、こう言うから、三年で割れば、六千二百六十四名来年削ることになります。そこで七千四百六十八名が一応自然退職の数だと仮定をすれば、六千二百六十四名というのは自然退職の数を下回るわけですね。私の聞きたい四点目というのは、七千四百六十八から六千二百六十四名を引くというと、千二百四名という数字が出るが、これは新規採用する数字と見ていいのかどうかということが四点目。それから五点目は、これから三年間でこれだけの欠員を削ってしまうわけですから、したがって、ほとんど五十二万名に対して、新規採用というのはゼロにひとしい状態になる。そうなれば、公務員職員の構成というものをどういうふうにお考えになるのか。これは、いまも岐阜ちょうちんなんていう悪口で言われているわけです。上のほうがすぼんで、下のほうがすぼんで、まん中がふくらんでいるという、ちょうちん型という人員構成になっているのでありますが、それがもっと激しいことになるのではないか。いわばピラミッド型に職員構成が、こういう方式だけでいけばならないのではないかと思うのだが、これについての見解を伺っておきたい。  時間がありませんから、もう一点、長官は私に、三カ年間定員職員については解消いたしますという約束をした。今回の現業の関係を見ても、それから非現業の関係を見ても、定員職員の取り扱いについては何もない、計画が一つもない。一名もこれを定数に入れますとか、解消しますとかいう具体的な案の発表になっていない。一体これはどうされるのか。この間あなたのほうからもらった資料によるというと、十八万名おって、そのうちの三万名は顧問とかあるいは参与になっているから、それを引いても十五万名おることになる。これはどうされようとするのか。具体的な計画が全然発表されないので、これも聞いておきたい。さらに、定数外職員に関連して言えば、中央には案外少ないが、地方に多い。そうしてきょう発表された現業を見ても、一番人員削減される農林省とか林野庁とか、こういうところに多いのですね。私は、この間内閣委員会からの視察で、北海道だけですが、行ってみても、現地はひどい状況にある。これはいずれ石原先生のほうから御報告があって、この内容について私も要望しなければならん点もありますから、あらためてやりますが、現状は、さっき山本さんが指摘したように、地方はひどい現状にある。とりわけ定員職員というものが地方に多い。こういうことを一体どうされようとするのか。全然計画にないので、この機会に見解だけ聞いておきたい。
  17. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) 一年間退職率の問題でありますが、私が聞いておったところでは、自然にやめていく人の半分は削る、それから半分は採用する。そういう方針をとっていけば、御指摘のような岐阜ちょうちんにはならないようなやり方ができる、こういうふうに聞いております。しかし、あなたからいまそういうお話を承りますと、そうじゃないようなお話になりまするが、これは事務当局からもう一ぺんあなたのほうで聞いてください。私もあとからお聞きいたします。  それから定員外の問題でありまするが、ほんとうに私はこれは何とかしなければならないと思いまして、新規採用の中に定員外の者を繰り入れるようにしなさいということは、各省に強く要望しているのであります。具体的にどうだということは申し上げませんけれども、ただ具体的にあらわれてまいりましたのは林野庁なんでありますけれども、雇用制度問題検討会というものを一つの制度としてつくって、そのことを検討するようにしたのだというお話はありまして、実は安心しておったのでありますが、実際にそのとおりになっているかどうかということは、まだ報告を聞いておりませんけれども、もしもそうでなかったといたしますれば、また厳重にそういう点は、定員外の人々は、そこで適格者は早く採用するようにしてくださいということをもっと強く言わなければならない、いまこういうふうに感じた次第であります。
  18. 河合三良

    説明員河合三良君) ただいまの御質問につきまして、長官よりのお答えを補足いたします。  ただいまの御質問中の第一点、離職率につきましては、年によって違いますが、大体四%、公務員の平均で四%をこえております。たとえば昭和四十一年度でございますと、四・二%になっております。そこで、五%削減のうち今後三年間削減する分は大体三・六%でございますので、年率は一・二%の削減になりますので、離職率の中でまかなえるというふうに思います。それから御指摘の七千四百六十八名という削減は、これは四十二年度末——四十三年度ですでに落としておりますので、今後の三年間計画の、ただいま申しました一・二%削減の当初の年次である四十四年の削減とは関係ないわけであります。すでに落としているわけであります。それから新規採用にきましては、必要最小限度に新規採用はこれは考えるという方針でやります。  それから職員構成につきましては、ただいま長官からお答えいたしましたとおりでございます。
  19. 山崎昇

    山崎昇君 七千四百六十八名を落としたということは私も承知しておるのですね。ただ、あなたの説明では、これが欠員だったから落としましたと、こう言うから、それじゃ年間欠員数というものはほぼこれに見合う数字ですかと聞いたわけです。ところが、あなたはいまそうじゃないと、四%と、こう言うのですね、年間の離職率は。ところが、私の見ておる数字では、必ずしもそうならないのではないだろうかという気がするから、私の考えておるのが間違いなのか、あるいは間違いでないのかという点を確かめておきたいということなんです。  それからいま二分の一は何か新規採用をやると、こういうんだが、これも後日詳細に私は数字でお聞きしたいと思っておるんだが、半分は新規採用にならないんじゃないかという気がいたします。これはいまここであなたと論争いたしませんが、いずれ私は数字で聞いてみたいと思って調べておるわけです。  それから長官の言うように、定数外職員を定数に入れていくんだと——何十年かかりますか、十五万人いまおる人を入れていったら。この前も聞いたんだが、あなたはいま北海道開発庁の長官だから、北海道の開発局だけいっても約六千人おるんですよ、定数外職員というのは。そうして今度は約七百五十何人くらい定数を削るのですね。かりに半分入れるというと、私はこの間開発局に聞いたら、二%くらいしか自然退職はない。いま一万一千人、二%というと二百人程度ですね。そのうち七百五十人くらい削る。それじゃ、いまいる六千人の定数外職員は何年かかって入れるのですか。あなたは私に対して三カ年計画の中で解消しますと約束した。その数字は具体的に示しますとあなたは私にこの委員会で答弁をしておる。だからあなたに聞いておる。しかし、この削減のあれには、定数外職員どこに何人入れるなんということは一つも何にも載っておらない。そうでしょう。いま開発庁だけ、これはあなたが一番知っておるから言ったんだが、この六千人どうしますか。そのうち半分の三千人ですら、採用されてから十五年のこれは通年雇用者ですね。俗に言う常勤雇用者、これでも三千人。これをかりに定数内に一年に四、五百人ずつ入れたとしても何年かかりますか。そういういまのこの人員整理のやり方だから、私は山本さんの意見と関連しますが、反対だと言っておる。だからもっとあなた方は定数外職員考え方は、具体的に言うならば、何省で何名来年はやりますと、再来年はやりますと、こういう計画案があわせて出るなら、私はまだ検討してもいいんだが、何にも出ていない。首切りだけ出ておる。その点をもう一ぺん明らかにしてもらいたい。
  20. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) その定員外の人々を全部三年間定員にするんだというような答弁国会で私がやったと、こうおっしゃいまするが、どうも私はやったような——ただ定員外の人々はお気の毒だから、定員に入れるような方針をとりたいと、そういう気持ちで来年度から取り組むんだと、こういうお話は強く言ったと思いますけれども、三年間に全部入れるんだとかりに言ったといたしますれば、それはことばの間違いでありましたから訂正を申し上げたいと思います。なお、それは速記録を調べまして、間違いであったら、そう言ったとすれば、それは訂正させてもらいます。  ただ私が強く申しましたのは、来年度から定員外の人々はお気の毒だから定員に繰り入れるように一生懸命になって取り組むように努力する、その点に各委員の御質問に対しましては同じように答えておったと、こういうふうに思います。ただ、ちょいちょい不用意に飛び出すことばがあるかもしれません。もしもそうだとすれば、その点は訂正させていただきたいと思います。どうかそれはあとで調べて、ありましたならばそれは訂正させてもらいます。ただ、一生懸命になって、その定員外の人々はお気の毒ですから、定員に繰り入れるように努力をすると、そしてそいつは今度の問題でもそういうような方針に取りつけようと、そういうようなことは各省庁に対しては強く言っておるつもりでございますけれども、具体的にどうだと、具体的に何人入れよう、だからこうせい、ああせいというようなことは、こちらは指示しておりませんです。ただ強くそいつを言っておる程度でありまして、そういうことはやはりいろいろな事情もあるだろうから各省庁の自主性にまかしておると、こういうことであります。
  21. 山崎昇

    山崎昇君 ぼくは長官の態度、全くあなたそれは不遜ですよ。ぼくらは真剣にあなたに質問して、あなたからも私に答弁しておる。そんないいかげんな答弁だというなら、今後あなたに何言ったってしようがないという気もする。しかし、しようがないという気もあるけれども、あなたは政府の閣僚ですから、あなたに言う以外にないから言わざるを得ないと思うが、いまの答弁は全く不謹慎ですよ。幾らわれわれが若くても、そういうでたらめな態度はやめてもらいたい。  なぜ私はそう言うかといえば、あなたはずいぶんいろいろなことを言ったろうけれども、たとえば資料の横書き、縦書きの統一にしたって、何にも実行されてないじゃないですか。出てくる資料を見てごらんなさい。何か実行されましたか、私に言ったので。これは行政改革はきわめて重要だから、あなたはずいぶんいろいろ意見を持ち、十分われわれに意見を聞かせますなんて言っていたのが、ただの一ぺんも聞かせたことがありますか。あなたの言うことは一つも実行されていないじゃないですか。そうして私のほうから言われたら訂正しますの、不用意な発言がありましたの、そういうことであなた委員会をそのときそのときだけ切り抜けようと思ったら大間違いですよ。私は、あなたは各省の悪口もずけずけ言ったから、これはたいしたものだと思って、やってくれると思った。しかしあなたのいまの答弁を聞いて、私は全く不満です。だから以後そういう不謹慎な態度はやめてもらって、一生懸命にやはりわれわれの質問に答えたら、答えたように実行してもらいたい。そういうことでなければ何も進展しませんよ。そういう態度をとる限り、私は中央官庁高級公務員の方だっていいかげんな態度になってくると思う。だから、その点を私は苦言を申し上げておきたいと思う。いずれ行政管理庁機構改革その他の問題については、あらためて私はやりたいと思うので、きょうは私は山本さんの関連質問に立っておりますから、これ以上のことは申しませんけれども、いずれにしても定員職員というものは、これは劣悪な労働条件で勤務しておるわけです。しかし、この人がいなければ行政事務が遂行できないことも事実です。しかし、そういうことも放置をして、単に先ほどから言われておるように、定員ばかり削る、削るというやり方に対して私どもは指摘をしておるわけです。十分ひとつそういうこともお考えの上で、これから適切な措置をとっていただきたい、こういうことをつけ加えて私の関連質問を終わっておきたいと思います。
  22. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) 苦言ありがとうございます。御礼を申し上げまするが、ただ、私が三年の間に定員外の職員は全部定員にするのだということは言った覚えがない、しかし、あなたのほうでは言ったとおっしゃいますから、言ったとすれば自分のことばの間違いであると、そういうことを申し上げたのであります。だから、その点は私も非常識に答弁しておるのじゃありませんし、十五万人もおる定員外の人を三年の間に全部定員内にすることができるのだというような答弁は、自分としてはするはずがないと思っておりますので、そういうようにあなたがお聞きになったとすれば、私の失言であったと、こういうことを申し上げたのであります。  それからあなた方、たとえば横書き、縦書きの問題なんかも、閣議でも十二分にそういうような方針をとってもらいたいということを言っておるんであります。ところが、そいつが実行されていなかったとすれば、何のために実行されていなかったかということは聞きまして、そしてそれは御答弁しておきまするが、言われたことは、私はこの場限りで答弁すればそれでいいんだと、もう外に出れば他人なんだというような気持ちで私はここに出席いたしてはおりませんです。少なくとも私も二十年以上も国会議員をしております。そんな無責任気持ちで人とおつき合いなんかできるものじゃないと思っておりますから、私はそんなふまじめな気持ちでここに出席してはおりません。ただ、言って行なわれなかったことがあるとすれば、それは私のほうで何べんも言ってみよう、そして行なわれなかった事情についてはこうであったという釈明は申し上げておきたいと、こう思います。それから山崎委員のところにもお話をお聞きしに参りますと言いました。そして管理庁のほうから山崎委員のところへいろんな意見を聞きにこなかったといたしますれば、これも私はそれは、行かなかったものについては十二分に、なぜ行かなかったんだといって、これも確かめておきたいと思います。ただ、自分在任期間中に少しでもよくなればよろしいと、こういう気持ちで私はこの問題と取り組んでおりまして、あなたが御指摘になるような、御非難になるようなふまじめな気持ちでは取り組んでおりませんから、どうか、苦言はありがたくちょうだいいたしまするが、今後ともおつき合いをお願い申し上げます。
  23. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 木村長官、あなたはいま言われるぐらい誠意のある人だと聞いております。がしかし、いまの内閣の状態では、まあこれはえらい失礼ですが、大体大臣一年ぐらいですね。言うだけ言ってできないのも、私は無理ないと思うんですが、しかし、いままで言われたことは、私も先ほど聞いておって重要なことだと思いますから、ひとつ議事録を調べてもらって、これははっきりしておかなければいけませんから、もし大臣が三年間にそういうことを解消すると言われたならば訂正をしてもらわぬとね。訂正するのは、単に訂正だけでなくして、なぜそういうことを言われたかということも、ある程度はっきりしておいていただきたいと思います。定員外の問題については、これは非常に大きな問題ですから、その点私からも重ねてお願いしておきます。  そこで、北村君も質問あるようでありますから次に進めますが、いま申しました地方事務官の問題、途中でちょっと切れましたが、これ一体、各大臣意見がそろわぬといいますけれども、臨時行政調査会なり行政監理委員会答申というものを尊重されるんでしょう。私はああいうものをつくって——あれは池田内閣のときに臨時行政調査会をつくったと思う。あれをつくるときも内閣委員会は相当もめたですよ。こういう大げさなものをつくってやれるのかと言ったら、池田さんが、それはやりますと、今度はどうしても行政改革やりますという意気込みでつくったんですが、まあ不幸にして池田さんはなくなられた。佐藤さんも自民党内閣で、それを受けてやられておると思いますが、私は、新聞に出ておりますように、委任事務については、許認可事務について若干こういうことをやっておられますが、一番問題は、地方事務官の問題についてどうするかということを相当やったんですよ。これはとにかく解決しますということでありますが、いま聞きますと、三大臣ですか、四大臣の間にまだ意思疎通ができておらない。しかし、地方事務官を廃止するということは、地方にその身分を移すということだと私は思っておるんですが、そう思っていいんですか。今後やられることは、どの程度にやるかという問題であって、地方にその身分を移譲する、移管するという方向でやられるという理解をしていいのかどうか、率直にそれを聞いておきます。
  24. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) その点でいま検討中なんでありまするが、移管するものもありまするし、移管しないものもあります。それで、内容を分析しながら納得のいくような検討を進めておりまするが、端的に申し上げまして、全部が全部移管するとは言いかねるようでございます。
  25. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 問題のあるのは、まあ言われたとおりに、移管する事務としては社会保険、職業紹介ですか、それから陸運行政、こういうものもあります、大きく分けてね。陸運行政についてはいろいろ問題あります。広域行政というよりも、むしろ府県単位で許認可をでき得ないバス路線とか、いろいろそういうものあります。しかし、その点を言われておるのか。私は一番問題は、やっぱり社会保険が一番広範囲。それから労働——職安ですか、職業安定事務所ですか、そういう問題が一つ大きな問題の論議の焦点になると思うのです。  これは私は労働省なりあるいは厚生省の諸君ともいろいろ話をいたしました、社労委員長もしておりましたのでね。いろいろ厚生省なり労働省の言い分も私はわかる。言い分ですよ。しかしやはりね、私は、たとえば社会保険を一つ例にとりましても、やはりセクショナリズム——なわ張りと申しますか、そういう感じが私はするのです。感じというよりもそれが実態です。たとえば健康保険の事務自体を見ましてもね、御存じのように、政府管掌は厚生省直轄、政府直轄、政府管掌ですね。組合管掌は同じ法の中で、これは地方庁でなくして組合に移管していますね、すでに法律できたときから、組合管掌。国民健康保険は市町村にこれを委任しているのですね。したがって政府管掌の健康保険だけが政府直轄でなければならないというものは出てこない。この行政分離をいたしましてもね。そういうところを考えるとどうも割り切れないのですね。職業安定の問題でも、ILO関係で広域行政と、労働省はそういう見解を持っております。しかし、それは現実の認識がないのです。ILOのあの条約から見ましてもね、なるほど国がやるということがたてまえでしょうが、国が地方庁に委任している事務はたくさんあるのですから、地方庁に委任しても、あのILO条約に違反することはない。これはわかってきたと思う。そうするとその内容の問題です。行管長官は、そういう点を研究されておると思いますがね。いま職業安定というのは、地域住民とのきわめて密着した一つ行政なんです。たとえば東京都の職業安定を見ましても、なるほど地方からの学卒なんかの雇い入れなんかいま直接やっているところもありますね。学校なんかとしているところもありますけれども、これは労働省は監督するだけなんです。みずから受け付けて、そして東京に送るというようなことはほとんどできないような状態ですね。そういうことでありますから、一番大事なのは東京都の都民、大阪市の市民、そういう方々の失業者をどう職業を紹介して安定さすかということが、当面地域住民の生活に直結しておる問題なんですね。そういうことから言うと、地方庁に移管することは当然のことなんです。それが大臣の間で話がなかなか進まないというところに、私は国会議員というよりも、国民の一員として理解できないのですね。したがって、この国会でこういう事情でできないということが明らかになれば、私はいいと思う。しかし、ただ厚生省なり労働省が言うのは、社会保険は国の事業である、だから国がやるのが当然だと、こういうことを言うのですがね。しかし国の仕事だったら全部国でやりますか。普通の委任ではないのですよ。地方自治法の第二条による団体委任ではないのですよ。機関委任として政府のやられる、昔の地方長官ですね、その地位の者に委任しているのが約七割ありますよ、国の事務で。それを全部国でやったらいいと思う、もし国の事業で国がやらなければいけないと言うなら。そういう論理的に言っても、また実際的に法律的に言っても、私は地方事務官の地方委譲ということは当然のことだと思うのですよ。それは最近何か新聞を見ますと、あなたと鈴木善幸さんの話では、公社にしようということを言っておるようですね。公社にするくらいであれば地方庁に委任できないというようなことはないと思うのですがね。公社にするというその構想といいますか考え方の基本はどこにあるのですか。これちょっと聞いておきたい。
  26. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) 鈴木会長——自由民主党の会長をしておりまして、自由民主党のほうでもこの問題に取り組んでおるのだと、真剣にいま案をつくりつつあるのだという話であっただけで、その委員会のほうから、厚生省、労働省の問題の解決は、党のほうでもいまいろいろなことを考えておるから、その前に決断を下すということはしないでもらいたい、こういうふうな申し込みがあったのです。それでどういう考えを持っておるかということを鈴木会長に聞いてみたいと思いまして、きのうお会いしたのです。そうしたら鈴木会長の意見としては、自分のほうでいま考えておることは、公団化してみたいという問題である、こういうお話があったのであります。その前に自治大臣厚生大臣と私とお会いいたしましたときに、自治大臣山本委員と同じ意見なんです。それから厚生大臣は別なんですよ。私は、いまだ裁断を下すべきじゃない、こう思っております。まだ裁断を下しておりません、どうするということは。何となれば、行政管理庁が最初から意思表示をすべきじゃない、一番最後にあらゆる意見を聞いて後裁断を下すべきものである、こういう気持ちを持ってこの問題に取り組んでおるのです、そうでないと混乱するものですから。そういう問題と取り組んでおるそのやさきに、厚生大臣から、特殊法人化の問題も考慮してみようじゃないかという話が出たのであります。唐突な意見だったのです。そういうものが出まして、行政管理庁としてその問題を少しも知らないということであればいかぬから、行政管理庁としても、あらゆる角度からその公社化の問題は検討してみなければいかぬ、こういうことを言っておきまして、検討さしておる最中だったのでございます。そして鈴木会長に会ったところが、党ではいまこういうことを考えているのだというような話をきのうお聞きしたような次第なのであります。  それも含めて考えようというわけで、いま三つの方向があるのです。山本委員のおっしゃるとおりの方向と、それから在来厚生省が、労働省が考えておるような方向と、それから公社化の方向と三つの案を持って、どっちが一体いいか、どっちが国民のためになるのか、そうしてどっちのほうが、将来運営が都合がいいだろうかということを、三つの角度からいま検討をしておる。でありまするから、現在の段階においてあくまで検討段階、山本委員の御質問に対して私の気持をお答えしたいのでありまするけれども、お答えすると途中でわかっちゃうものですから、それはどうか、問題が解決するまで、いま非常に微妙なんです。何としても十月の中ごろまでをめどにしていま取り組んでおるものですから、何か言うと運動が起こってしまって非常にやりにくいわけでありまして、山本委員の御主張を十分にお聞きいたして自分の腹の中に入れておきます。同じような気持ちで非常に熱心に主張しておるのが自治大臣であります。
  27. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 公社化、いわゆる公団化といいますか、社会保険のそういう方法というもの、学者には一説にはそういうものを主張する人もあります。しかし、これは諸外国の例を見てもきわめて危険です。私は時間ないから、それと、社会保険ではいろいろ私も経験上知っておりますから言いたいのですが、公社はどういう公社でも、いろいろの公社は性格がありますから、どういうものを考えておるかわかりませんけれども、御存じのように一つの社会保障の一環としての社会保険ですからね。公社に委任するというところに、その団体の性格によっては運営上いろいろ問題が出てくる。これは原則からいえば、社会保険というのは、これはフランスでもイギリスでもそうでありますけれども、政府一つの省をこしらえて管掌するというのがたてまえでしょう。しかし、それはかりに、そういう政府がやっておりますけれども、実際それはまた地域に事務委任をして基金というものをつくってやっておりますね。したがって、公社説については、これは私は非常に危険があると思うんですよ。善幸さんと会っておりませんからどういう考えかわかりませんけれども、おそらくこの点については私は思いつきじゃなかろうかと思うんですよ。というのは、公社でやると、政府責任があるところで中断されますからね。したがって、赤字が出た場合に、ことしも二百五十億ほど補助をするんじゃないですか。そういうものが一応断ち切れるという考え方が基本であれば、きわめて危険だと思うんですね。いま問題のこれは健康保険だけとっております。ほかのやつも同じことでありますけれども、政府管掌が非常に困っておるというのは、基本的にどこにあるか。これは私あなたに説教するわけじゃないけれども、聞いておいてもらいたいんです。  組合管掌は比較的うまく運営されておる。これはある一説によると、組合管掌は大企業の被保険者が多いから、標準報酬が高いから経済が豊かだ、こういうことを言います。それだけじゃないんですよ。というのは、健康保険は、御存じのように一つの労働対策として生まれたのでしょう、大正十一年に。あの当時のわが国の労働問題を何とか考えなくちゃならぬということでできたのでしょう。社会保険、社会保障よりも労働対策という、あの法律精神が相当入っておりますね。したがって事業主は、社会保険や健康保険を通じて労働者の福祉だという考え方で運営しておりますから、したがって組合管掌の理事長は大体企業の重役か何かが当たるんですね。被保険者も出して、そこで運営しているから、事業主が非常に関心を持っておるんですね、その運営について。ところが政府管掌はそういっておらないんですよ。政府管掌は、御存じのように、小さい事業主が集まって、保険出張所の所長が一応掌握しておるんです。事業主が保険料を出し、被保険者が保険料を出せば、それで政府がやってくれるんだ、こういう考え方しか政府管掌の場合の事業主は認識がないんですね。したがって、自分の雇っておる労働者の健康を守るということが、自分の企業にどれだけの利益があるんだという認識が非常に少ない。それが運営上非常に問題が出て、赤字も出てきましょうし、赤字が出ても、事業主は保険料を払っているんだから、これは政府がやってくれ、こういうことになって、運営上非常に非民主的なものがあらわれてくる。しかも政府は、私調べたところでは、港区の社会保険出張所の管内で六万人幾つの事業主があるらしいんですね。これは五人以上だから、中小企業だから、六万以上だと聞いている。この数字は確かではありません。その事業主を一つの出張所が扱っているんです。それはできませんよ。私は、むしろやるならば地域組合主義でやって、公社というよりも、やるなら監督は政府なり地方庁がやって、そして全部地域の組合組織にして、要するに組合管掌、一方は産業別企業別組合管掌であるから、一方は地域別組合管掌ということもあり得るんじゃないかというのが私の説です。  これが正しいかどうかわかりません。こういう点をぼくはもっと深く考えて、公社にするというねらいは、私は悪く言うと、労働省なり厚生省は関係しておるかどうかわかりませんけれども、それじゃ公社の中にひとつほうり込んで、自分官庁の下請企業のような形で運営しようという考え方があるなら、これは実に重大な問題ですからね。日本の公社というものについては、これだけじゃない。これは問題があると思うんですね。公社組織については、これは道路公団でも私はいろいろ問題があると思うんですよ。これをまあ問題出てこないけれども、いろいろ問題があると思うんですよ。したがって、公社に逃避するというととは逃げることでしょう。政府として私はひきょうだと思うんですね。その点について、公社というものについてはどういうことか。ちょっと新聞にちらっと、あれは読売でしたか、けさちょっと出ていましたね。私はぴんときましたね。一体公社というのはどういう運営をするのかということがありますので、これはもう簡単にあなたが決断されたら、もう一生あなたが汚名を着ることになりますから、十分心して裁断を下してもらいたい。そういう点をつけ加えておきます。  それで、私は自治省と同じ意見でありますが、自治省は私が教えておるのですが、初めあんなことを言っていなかった。だんだん私の説についてきておるのですが、ただ問題があるのです。経営権と人事権の問題でいろいろ問題はあるのですが、しかし、これはなかなか問題があるので、私はここで言うとまたこれもばれますから言いませんれども、それはいろいろ問題あります。あるが、私は身分は一応地方庁に移せ、その上でまた一つ問題が発展してくるのだから、地方自治法附則八条を昭和二十二年でつくったまま今日まで置いておくことはよくないのだから、一応身分を移して、その上でいろいろ問題があるから、解決の方法を見出したほうがいいのだというのが私の説でありますから、最終の終点を、私はそこだと言っておりませんので、この点を私は十分考えていただきたいと思います。したがって、いまここで言うとあなたがぐあいが悪いと言われますけれども、ここで言うとぐあいが悪いということは、私の説にあなたの腹が大体固まってきたという理解をしていいかどうか、この点のちょっと御答弁を願いたい。
  28. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) 十分に承っておきます。
  29. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これ以上言いません、良識あるおのおの国会議員ですから。ただ、おわかりになっただろうと思いますから、もう一点聞いておきましょう。  第二次案でちょっとちらっと見た、これは新聞の情報で聞いたのですが、単純労務者——シンプル・レーバーと言っておりますが、単純労務者は原則として公務員の身分からはずすべきであるというような新聞記事をちらっと拝見したのですが、これはある一つ新聞でありましたので、十分私はわかりませんが、そういう考え方があるのかどうか、これは重大な問題でありますからひとつ聞いておきたい。
  30. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) 局長から答弁させます。
  31. 河合三良

    説明員河合三良君) ただいまの御質問につきましては、現在考えておりますことは、単純労働のうちで、そのほうが経済的である、あるいは合理的であると判断されるものについては民間委託を考えるということでございます。
  32. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 抽象的ですが、経済的か何か言われたのですが、どういう単純労務者を民間委任するのですか。
  33. 河合三良

    説明員河合三良君) そのほうが経済的だという意味でございまして、まあこれもそれのすべてをということでございません。個々の場合に検討するわけでございますが、たとえば製品の運搬作業でございますとか、あるいは技術計算でございますとか、そういうようなものでございます。
  34. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 いまそういうことが地方の場合でも相当考慮されているのですね。計算とか、あるいは建設の設計とか、これはもう現在でも非常に民間に請負に出されている。そういうものについてはわからぬこともございません。下請に出せば非常に安くつく。しかし、そういう傾向がずっと進んでいくと、官庁行政事務というものは一体どうなるかという問題ですね。たとえば橋梁の設計一つ取り上げましても、もしその設計が誤った場合、請負者が責任をとる。しかし、これは請負者だって、請負者は請け負った官庁との責任関係はありますけれども、その橋を利用している住民との責任関係はないのですよ。いまの行政法上ないのです。それは道義的にいろいろ刑事上の問題は出るけれども、行政上の責任関係はないのですよ。したがって、私はその点が非常に問題があると思うのです。しかし、抽象的に言われたから私わかりませんけれども、したがって、そういうものをやる場合には、相当限界があると思う。一つ例をとってみますが、たとえばこういうものはどうなんですか。官庁の自動車の問題ですね。これは経済的に雇ったほうが安くつくということになると、それもそういう範疇に入るのですか。
  35. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) いまのお話は、いま考えていないと言っておきます。そういうものは入らないと思います。
  36. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ぼくは非常にこの問題については地方公共団体、地方自治団体で大きな問題が現在でもあるのです。これは皆さん御承知と思いますが、清掃事業です。これは清掃法によると、市町村長の責任でやるということがたてまえになっております。それが経済的な関係でいま言われた民営に移しているところが相当ある。東京も半分ほど事業団という名前で公社に委任してやっております。これの利害得失の問題は非常に論議されており、学者の間でも論議があるのです。これについては、行管はどう考えられているかわかりませんが、これは地方公共団体の問題でありますから、行管自体の問題ではないと思います。しかし、それは一つ大きい、あなたのほうで出す単純労務者の問題を民営に移すというところにちょっと問題がかかってくると思います。これがいま地方では非常に大きい問題がある。それから病院のいわゆる給食問題について、衛生法でははっきりしているのですが、ところが経済的にはどうも高くつくからというので、民営に移したら、北九州市の問題は御存じのとおりです。清掃の問題にいたしましても、ある人いわく、ああいう清掃にくるあの方々まで公務員というようなことについては、というようなことを言う人がありますけれども、フランスへ行かれたと思いますが、諸外国では都市清掃ということは非常に認識が深いのです。したがって、民営と東京都、私のほうは東京都のほうから直営がきますからいいのですが、民営のところは非常にもう商売的な扱いですよ。まだ私のほうでは下水処理地域でありませんから、きたない話ですけれども、くみ取りですね。それはお金を、袖の下を、チップを出せばきれいにさらえていってくれるけれども、お金の多寡によってはなかなかやらないのです。直営の場合はそうはできない。責任は都にありますから、苦情を持ってくると大きい問題になるから。民営にするとそういうことが末端にあるのです。それがまあ民営のほうが経済的でいいじゃないか、それは経済的ですよ。労賃は安くても、そういうこぼれがあるからあの事業団が民営でやっていけるということになるのです。それが全部市民、都民にはね返っている。  そういうものを経済的にいいからと言う。なるほど官庁側から見ると経済的であるか知れませんが、市民、都民から見ると、きわめて不経済的なことがなされている。こういう点を私は行管がもっと深く検討して考えてもらいたいと思う。まだこれはちょっと新聞に出ただけであって、皆さん方も十分検討されてないと思います。ないと思いますが、そういうところには十分事業の性格というものを検討してもらいたいと思います。その点、大臣の所感だけ聞いておきます。
  37. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) そういう点は十二分に検討さしてもらいます。私は官庁の自動車なんかは民営にすべきではない、こういう考えを持っております。清掃事業なんか民営にしてもいいじゃないか、こういうふうに実は思っておったのでありますが、そういうお話をお聞きいたしましてから、こういう点は十二分に検討さしてもらいたいと思います。ただ、こういう点はこういう場所ですからなにですが、監督を十分にして、監督を非常に厳重にして民営というようなこともなかなかむずかしいでしょうから……。それからまた病院の給食なんかも、そういう事実があったとすれば、そういう点なんか、もしも監督を非常に厳重にして、できるかできないかということを、私自身疑問に思っているんですがね。
  38. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 監督の点ですがね。民営となれば、これは御存じのように民営は利益がなければやらないですよ。清掃事業なんかで利益を得ようという、企業性を持つということは、それは基本的に間違いだと思うんです。都市の清掃ですからね、都市を美しくするということは、知事なり市町村長の責任です。それを、やった人にもうけさすような形で民営に移すということはできないと思う、基本的に。監督というのは限界があります。あなた御存じか知りませんが、私大阪市の出身です。大阪の場合は、戦後民営に一時移したわけです。非常に市の財政が悪かった、地方財政が悪かった。ところが中途で直営に移さざるを得なくなった、市民のそういう要請で。したがって、官公庁の事業が不能率だと一がいにいわれますが、そういう面も私はこれは否定できないと思うんです。民間の人から見たら、あるいはまた不能率である場合もあると思うんです。それには先ほど申しましたように、行政事務となればいろいろとそういう別の責任問題があるということがありますが、単純労務者の場合はそういうことはあまりないと思うんですね。法律上のやつはないと思うんです。しかし清掃とか、いまいろいろそういう病院の問題、病院の給食は、あれは病院自体の責任でやるような法律になっておるんです。あなた御存じのように給食というものは、これは普通の駅弁や仕出し屋の弁当と違うんです。病人に与える栄養食、あれは一つの治療の一環なんですね。給食というのは治療の一環ですよ。その治療の一環を、民営の利益を得るための会社にそれをまかすということは、大臣一体どうなりますか。しかもそれは裕福な財源があれはあれですが、現在よりももっと節約しようというんでしょう、いまの費用よりも。そうして請け負わしたところが利益を得るということは、どうなりますか。どこか手を抜かざるを得ない。仕入れをうまくやるとか、私は仕入れとかそういう問題であれば別ですよ。給食全般を民営に移すということは、民営ということは、企業性を持った利益を得るための会社ですからね。そういうものをつくるときには、相当私は検討しなければならぬと思うんですね。  総括的に言って、結論だけ私言っておきますけれども、行管長官、これから奮闘してもらわぬといけないので言いますけれども、いま地方財政も国の財政も非常に硬直化しておる。何とかこの財政を立て直すためには、もう経済的に何とかやりくりしなければならぬというところに追い詰められたときの一策ですよ。財政的にある程度余裕があれば、こういう問題は起こらないと思うんです。地方財政、ほとんど行き詰まっておりますからね。したがって、何とか安くやるように民営に移したい、そういう考え方ですよ。私市長にもたびたび会っておりますよ。当事者に会っておりますが、究極するところそういうことなんです。理論的に山本さんの言うとおりだと、直営でやりたいけれども金がないのだ、独立採算でやられたらどうにもいかない、こういうことですからね。それを私は立て直してもらいたい。金のために行政を誤らしてはいけませんから、そういう点はひとつ長官は、まあ今度総裁がかわるとあなたもやめられるかどうか、これはまあ非常に不安ですけれども、それまでにひとつ大方針だけ立てていただきたいと思いますが、その決意だけ聞いて、私のきょうのあなたに対する質問を終わります。
  39. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) たいへんいいお話をお聞きいたしまして、ありがとうございました。私、命がいつまであるかわかりませんけれども、在任中だけは一生懸命になってやります。そうして、何としても自分の手がけた問題は、自分在任中に解決したいと思って、最後の努力をしたいと思っております。
  40. 北村暢

    北村暢君 私は、山本さんからいまいろいろ基本的な問題についての質問ございましたが、私も行政改革の第一次案について発表された問題について若干お伺いいたしたいと思いますが、まず一つは、この定員削減という問題が、行政機構簡素化なり事務の地方委譲、許認可、報告等の整理補助金整理、そういう行政改革が行なわれて、そうしてこれだけ人員を減らしてもよろしい、これはまあ理屈的にいって当然そうでなければならぬ。まあその努力をいま行政管理庁真剣に取り組んでおる、まあこういうことなんでしょうが、ところが、それが、前提となるものがあまり徹底しない中で画一的に五%削減、これに対して山本さんも反対、これはそのとおりだと思うのですがね。  そこでお伺いしたいのは、先般自治大臣が地方庁に対して、この行政改革についてのアンケートを出して、その調査の結果を閣議に報告された。いろいろな具体的な問題に対して改革意見が述べられておるわけでありますが、これの取り扱いについて、行政管理庁としては——行政管理庁に関係する部分が大部分でありますが、そういうものについて、この処理をどういうふうにされようとしているのか、この点、まず第一点お伺いしておきたいと思います。
  41. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) 御指摘のとおりに、自治省のアンケートの中には臨調答申や、その他と関係しておるものが相当含まれております。したがって、われわれのほうからいいますると、非常にまあ参考になるアンケートなのであります。それをどういうように取り扱うかという問題につきまして、いま行政改革行政管理庁の独走ということでなく、行政改革閣僚協議会の下部の機構として行政改革本部というものができ上がっておりまして、その行政改革本部の仕事と、こういたしております。そうして、行政管理庁はいわばそこの幹事役というようなことで仕事をやりまするが、行政改革本部を開きましたときに、自治省のアンケートの扱い方をどうするのだと、行政改革とは全然別なものとして扱うのか、それから、これは有力な参考資料として、これも含めて行政改革をやるのかと、こういうことについて協議をいたしたのです。その結果、これは有力な参考資料とすると、こういうことに決定いたしましたから、これも有力な参考資料にしながら行政改革と取り組んでいっております。  ただ内輪話でありまするけれども、そういうときにも、自治省のアンケートというものは、自治省の立場に立ってとったアンケートだからああいうものができたと、ほかの省の立場に立ってアンケートをとれば、別なものが出るかもしれぬぞというような議論もあったりしておったということだけはお含み置きくだされば、非常に幸いだと思います。
  42. 北村暢

    北村暢君 それからもう一つは、いまの地方事務官制度の問題、これは長年の問題としてやっておられる。そのほかに地方自治体に事務委任、あるいはいままでの許認可その他の問題も地方自治体に移管をする、こういう問題が相当出てくる。そうすると、この地方自治体の事務は私は相当ふえるのじゃないかという問題です。国家公務員は減らすが、地方自治体のほうはやり切れなくて、定員がふえる、こういう結果にならざるを得ない場面が相当出てくると思うのです。  そこで、国家公務員現業関係、これを含めて定員削減しようとしておるが、地方自治体のこの事務整理によって起こる過重というもの、地方自治体の過重になってくる問題について、定員の面についてどのように総合的に考えているか、これをひとつお伺いしたい。
  43. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) 中央の事務で何を地方自治体に譲るかというようなことは、まだ決定しておりませんが、そういうようなものが決定した暁には、やっぱりそのことに基づいてその問題だけを取り扱うことについての自治省との話し合いが当然出てくると思いますけれども、いまはまだそこまで話が進んでおりませんけれども、やっぱりそういうことが出てくると思っております。
  44. 北村暢

    北村暢君 これは考え方として国家公務員を五%削減するのだから、自治体もこれに準じて五%削減するように指導するというようなことが言われているようですが、事実問題、仕事がふえて人員削減するということになれば、自治体やっていけないということになる。そこの点をいまひとつどういうふうに考えておるのか、聞いているわけです。
  45. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) 中央の事務が地方に委譲をされた面は、やっぱり考えなければならぬのじゃないかと思います。それから地方自治体も中央に準じていろいろな整理をやれ、人員整理もやれ、こういうような指令は当然出しておるのじゃないかと思います。これはまだ自治大臣にそのことを聞いておりませんけれども、出しておったとすれば、それはそれなりに、その問題はその問題で片づける。中央から委譲された問題は特別ですから、これはそれで考えなければならぬ、こう思います。
  46. 北村暢

    北村暢君 そこで各省の行政改革案について各省の意見を聞いているようですが、先ほども言ったように、機構簡素化ということが人員削減一つの大きな要素になっている。この機構簡素化というのは、一体どのように進んでいるのか。なかなか各省の抵抗が大きい。思ったような簡素化ができない。これが現状のようですね。特にいま自治省のアンケート調査によって、自治省の意見が出されておるのについても、中央官庁出先機関等についてのいろいろ意見がある。ところが一つの例をとれば、地方農政局については、これはもう大きな直轄工事等の事務所程度にして、農政局は廃止せい、こういう意見があるわけですね。それに対して昨年の農林省設置法の機構改革案を見ましても、地方農政局を簡素化するよりも、充実強化するといったような案が出てきている。地方農政局でなくして、地方農林局にして充実強化するということが出てきている。全く反対の意見が出ている。一体こういうものに対して、行管としてはどういうふうに考えているのか。簡素化簡素化というけれども、簡素化は一向に進まないで、なわ張り争い的なものが官庁にあるんじゃないか。先ほども山本委員から断固としてやれ、こういう意見が出ておる。一体簡素化の面について、どんなような情勢になっておるのか。いまの農政局等の意見一つの具体的な例ですから、見解をひとつ聞いておきたい。
  47. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) やっぱり一番役所として簡単なものは、許認可事項だとか、それから報告事務ですから、そいつを前面に出してきたのだろうけれども、そいつも非常に数が多いものだから、整理するために相当時間がかかる。その次が共管競合行政なんですけれども、たとえば営林行政とか観光行政とか、そういうようなものといま取り組んでいる最中であります。これは各省庁から出してきました案を見ますると非常に抽象的なんです。  たとえて言いますると、建設省は営繕行政を一元化したほうがいいというような意思表示をしている。それでその問題と取り組むと、他の省庁では反対だ、こういう態度をとるというわけで、共管競合行政というものの整理もなかなか困難だ。しかし、難航はいたしておりまするけれども、進んではおります。着々と、非常に曲がりなりであり、それからほんとうに完全な一元化というものにはなかなかなりませんけれども、一元化は進みつつあることだけは事実でありますが、非常に難航いたしております。  それからもう一つの問題は、地方支分局、非常に数が多い、郵政を抜きにして一万何ぼあるそうでございますが、そいつを半分に減らす、各省から半分に減らす、こういう指令は出したんですけれども、これも返事がきておりません。いま取り組んでおりますのは共管競合行政、それから地方農政局の問題なんですけれども、私北海道の開発庁の長官をしておりまして、北海道では御承知のように、農林行政と建設行政と、それから運輸省の港湾行政というものは局で一本になっておりまして、今度の十勝沖の地震の対策なんか見ておりますると、各行政にちぐはぐがなくてやりやすい。去年山形と新潟県の水害のときに、農林省と建設省が非常にすれ違いになりまして、地元民からいうと非常に不安だ、そういうような不安は北海道の十勝沖地震ではなかった。こういうような公共事業をやるようなものは一本にしてもいいんじゃないか。ブロック別にして一本にしてもいいのじゃないかと考えまして、そういうようなことを検討してみたい、検討する指令は出しておいたのでありますが、幾つかの案が出るに違いないけれども、幾つかの案をつくってくれないか。その出たものに基づいて、その問題は取り上げてみたい、こういう考えをいま持っておりますけれども、まだそこまでは進んでおりません。進んでおりまするのは共管競合行政と、それから地方支分局を非常に縮小するという問題、それから、これが解決いたしますると、各省の中で整理統合してもいいようなものがあります。それから移動しなければならないようなものもあります。そういうような各共管競合行政でない内部の問題と、その次は取り組んでみたい、このような考えを持っております。順序は、その共管競合行政、それから地方支分局、それから各省内の局の統廃合の問題。しかし、いま御指摘になりました地方農政局の問題は、ただ検討してみなさいと言っただけで、行政管理庁だけの作業としてこれはまだ具体化したものを持っておりません。結果を見て取り上げるか、取り上げないかを決定したい、こういう考え方でございます。
  48. 北村暢

    北村暢君 それから、次にお伺いするのは定員削減の問題について、この削減の要素は、簡素化なり許認可の整理なり何なりということなんですけれども、削減して五%の人員削減に持っていきたい。これはそのとおり削減されれば、人員簡素化されれば、事務なり行政機構なり削減されれば、五%削減ということはわりあい合理的にいくと思うのですが、ところが、これは行政事務のふえる分については何もないわけですね。五%削減考える中に出てくるものは一つもない。今日、公害の問題とか、あるいは消費者行政だとか、あるいは流通の近代化行政だとか、新たな時代の変遷に従って新しい行政需要というものがふえてくるわけですよ。したがって、今日まで各省はふえたものに対しての増員要求というものが当然起こってくる。起きているわけです、事実。それはこの五%削減とは関係なしに起こってくると思うのです。こういうものに対して、一体今後どういうふうに対処するかですね。それから、そういうことですから、いわゆる先ほどの定員職員定員化の問題、これもふえる要因です。ふえる要因のものというのは一切五%削減案の中には出てきてない。だから、これは一体どういうふうにされるか。  一説には、もう新聞等では報道しているんだが、行管長官は、ふえるものはふえるものとして考えると、こう私にも答弁しているんですね。だから、五%を目標に削減はするが、ふえるものはふえるものとして取り扱う、こういう点からいって、各省設置法によって今日定員が管理されているわけですね。それで総合的な一括した定員法がこの前の国会流れているわけです。流れているから、やろうたってできないわけですね、これは。ですからそれらの関係において、定員五%削減というのは法律の範囲内であって、法律改正をしない限りはこの定員というのはあるんだから、削減した分、新しい需要については、理由があるならふやしてもよろしい、こういう運用のしかたになるのじゃないかと、このように思うのですがね、この点についてどんな考え方を持っておるのか、ひとつ答弁していただきたい。
  49. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) その点で非常に苦慮いたしております。総定員法が通っておると配置転換とか、行政需要の少なくなったほうから行政需要の多くなったほうに回してみたい、こういう考えは持っておったのでありますけれども、総定員法が通らなかったので、それができなくて非常に残念に思っておりますが、私の考えはやっぱりそういう方針でやってみたい。行政需要の多くなったものはふやすのだ、そして一方は減らすのだと、こういうことになっていると、結局定員削減というものが行なわれないということになりまするから、配置転換でそれをまかなっていきたい、こういう考えを持っております。それでまた総定員法でお世話にならねばならないわけでございます。  それから、定員外の問題でありまするけれども、定員外の人々の問題は、先ほどもお答えいたしましたとおりに、言いかえますと、その新規採というときに、新規採用の中に数多く織り込ましてみたいというのが私の考えだったのですが、そいつをほんとうに行なわせたいと実は思っておったのであります。  それで、いま山崎委員から非常におしかりをこうむりましたが、先ほど調べてみたのですが、議事録に、ここに書いてありますがね。あなたのおっしゃった十五万人と言われたものですから、とても責任を持てないのです。しかし、常勤的な、ほんとうに一年を通じて働いておられる常勤的な人で適格な人は必ず解決したいと思います。「その三年の間に定員外のものを全部処理するということは、私は大体困難だと思います。しかし、三年かかろうが五年かかろうが、この問題だけは解決したいと考えます。」、こういう答弁をしております。非常に強く山崎さんが要望されたことだけは、この答弁によると事実じゃないかと思っております。こういう答弁を私しております。どうも私がうそを言ったような覚えはないと思っておったのですが、どうかそういう答弁でしたから……。しかし一生懸命になってこの問題は私も見ておりまして、お気の毒だと思います。北海道なんかに参りますと、しつこく言われますし、非常に何とかしなければならないと思っている気持ちは非常に強いのですけれども、何せ私個人の力で在任中だとか、三年間に一気に解決するということは、たいへんむずかしいことでありますけれども、とにかく一生懸命しているということだけは御了承くださるように——その点で間違いがあって、ここをこうしたらどうだ、あすこはこうしたら済むのじゃないかということがありましたら、どうか私にお教えください、私もそういうようにしたいと考えます。
  50. 山崎昇

    山崎昇君 議事録を私は私なりに調べたのですが、いま一部分だけ読まれたが、そうではないので、それはまたあとでやりますが、ただ、いまの定員職員の新規採用のときに考えると言うが、これは長官の言うほどやさしいものではないのです、私の知っている限り。それで私が繰り返し繰り返し言うのですが、なぜならば、いまの新規採用というものは、国家公務員法で人事院の競争試験が原則になっているのですよ。いま役所にいるから、定員があいだがらすっと入れるというわけにはいかないのです。私のささやかな経験だけれども、北海道庁でかつて八百名ほど希望退職をつのりまして、この臨時職員をどうするかというときに、やっぱり人事委員会で約半月ぐらい議論して、結局採用試験ということにならざるを得ないというのがいまの法のたてまえになっているのです。そういうことを私は知っているから、あなたが簡単に新規採用でやります、新規採用でやりますと言うが、私はなかなか言うほどやさしいものではなかったという経験があるからあなたに言っているわけです。だから制度的に具体的に示してくださいと言ったら、あなたは示すと言ったのです。これは後日私は議事録で明らかにします。  ところが、いま北村さんから言われておるように、この三カ年計画のどこを見ても、たとえばここは新規採用どのくらいあるとか、三カ年間定員職員どうするかという計画、一つもないじゃないですか、数字的に。その点あなた方に私は言っているんですよ。これは長官ほんとうに——管理局長も頭でうなずいているような顔をしているけれども、これはなかなか新規採用で簡単に定数内に繰り入れるということはむずかしいんです、人事院との関係もあって。それから職種によってはそうすっと入れられない。専攻もあるし、専門の分野もあるから、そういうことを私は承知の上であなたに聞いているんですよ。だから私は定数外の問題というのは、よほど慎重にやらなければならないし、また相当綿密にこれは計画的にやらないと、なかなかできないということを私は承知しながらあなたに聞いているわけです。ですから、そういう点で十分ひとつ行政管理庁検討の上でやってもらいたい。  それから数字のことですから、これもいますぐ私はきょうノートを持ってきておりませんから言いませんが、人事院が毎年出しておる人事院の勧告報告書を見ても、そんなに人間というものは減ったりふえたりしていない、七月一日、一月一日現在も私見ていると。ところが、政府のほうでは一方では欠員不補充の原則がある、そういう原則がありながらあまり数が減っていないということは、そんなに自然退職があるとは考えられない。したがって、私は先ほど来昭和四十三年度で四十二年の欠員を削ったというから、その数は七千幾らだというから、それは自然退職とみなしていいんですかと冒頭に聞いたわけです。もし、それが欠員の数字だとするならば、三カ年間で一万八千というのは毎年六千くらいじゃないですか、そうすれば新規採用という数字はそんなにないじゃないですか、こういうことを考えておるので、定数外職員の繰り入れなんというのはなまやさしい作業ではないから、ですからその点では私は行政管理庁にもう一ぺんいつかの機会にもっと詳しく聞きたいと思っておりますが、慎重にこれは計画を立ててやってもらいたいということだけつけ加えておきます。
  51. 北村暢

    北村暢君 そこでもう少しはっきりしておきたいのは、どうなんですか、五%削減しますね。削減は各省一律にやってもらう、ふえるものはふやしますと、こういうことになるんですか。この減らす中にふえるものも含めて実質的に五%は最終的に減るというのですか、それとも行政需要のふえたものについては——それでなければ、こういうことでもやらなければ、毎年一万人くらいずつどんどんふえていってしまう。それを押えるために削減をやるんであって、削減をやっても新しいものがふえてくるから、三年後には現状維持程度になるというのか、ここら辺をひとつもう少しはっきりお答え願いたい。
  52. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) 三年間に五%削減をやる、その削減のワク内で行政需要のふえたものはやるのであって、別に行政需要の多くなったものは増員するという考えじゃありません。ただ今度の五%削減と取り組んだときにいろいろ問題もありました関係で、万やむを得ないものが出た場合においては、行政管理庁長官と担当の者との相談をやる、こういうことはいたしておりまするけれども、原則はあくまでも五%削減のワク内においてやる、こういうことであります。
  53. 北村暢

    北村暢君 そうしますと、今度の五%——一般現業でないほうですね、国家公務員定員には、退職率あるいは仕事の事情等も反映して一律五%、各省は一律五%ではないわけですね。ところがそれでは思い切れないから、あなた方は総定員制というものを考えて、各省間の定員の再配分をやる、こういうことを考えたわけでしょう。それが現状ではできないわけですね、おっしゃるとおり。そうすれば、行政需要の多くなるものと少なくなるものとの、このあんばいした、定員削減等の範囲内でそういうことはごく簡単にはいかないんじゃないか。各省が喜んで定員削減することに協力しないから、一応これは割り当てが表に出ているんだから、私のほうはもっと削減いたします、協力いたしますなんということは出てこないわけです、どう考えてみても。そうすると、これ以上必要だということになってくれば、いま特別の処置を考えるとおっしゃったけれども、これは相当出るんじゃないかという感じがしますね。いろいろ要らないものは整理はしても、新たなものが出てくるということについては、これは否定できないんですよ。だから私はそういう意味において、いままでの方針では、これは必ず行き詰まるんじゃないかと思うんですね、そういうふうに感じられる、従来のいきさつからいっても。それでなければ、結局無理やりに削減して、サービスが行き届かなくなって、かえって国民が迷惑するという結果が出てこないとも限らない。それではせっかくの定員削減も、行政改革も、私は無意味になると思うんですね。ですからその点もう一ぺんはっきりお答えしておいていただきたい。
  54. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) 先ほども申し上げましたとおりに、五%削減したワクの中において、行政需要の多くなったものをまかないたい。それは運用の妙味をそのときに発揮したい、そしてぜひそういうようにこれからの行政の運用を管理していきたい、こういう考えでこの問題と取り組んでおります。そうでありまするから、絶対的とは言いませんけれども、その線は越えないようにしていきたい、こう思っております。
  55. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 本件に関する本日の調査はこの程度にいたします。  午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十八分休憩      —————・—————    午後一時四十二分開会
  56. 井川伊平

    委員長井川伊平君) これより内閣委員会を開会いたします。  公務員給与に関する件を議題といたします。本件につきましては関係当局から、田中総理府総務長官、栗山人事局長、二木大蔵政務次官海堀主計局次長、佐藤人事院総裁、尾崎給与局長、島職員局長が出席いたしております。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。  なおこの際、田中長官より発言を求められておりますので、この際これを許します。田中総務長官
  57. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) 田中でございますが、過ぐる十二日の委員会に際しまして、ちょうど私、一日内閣で、私の所管の行事をいたします関係から、東京を立ちまして現地へ参らなければなりませんでした。さようなことから、当委員会への出席の御要望がございましたのにかかわりませず、出席できませんでしたことを深くおわび申し上げる次第でございます。
  58. 山崎昇

    山崎昇君 委員会の冒頭に私のほうから文句を言おうと思っているうちに、先を越されてあやまったものをたたくわけにもいきませんし、過去のできごとですから、これはこれで私は終わりたいと思います。しかし、以後はやはり国会をもっと重視してもらいたいということだけ冒頭に申し上げておきたいと思います。  そこで一番問題であります公務員給与の問題に先立って、これは総理府の職員ではありませんが、私は公務員のあり方について、人事管理をする総務長官に一言聞いておきたいわけです。それは「時の話題」という欄で「人事院勧告のあり方」という表題で、自治省公務員第一課長というのが投稿しております。これは森清というのだそうでありますが、その雑誌は、「地方公務員月報」九月号に載っておるわけであります。私は、課長であろうとも、部長であろうとも、局長であろうとも、ものごとを批判するということをどうしようとか、あるいはそれを封じようかという考えは毛頭ございません。ただこの一文を読んで、どうしても私は納得できないので、人事管理上、総務長官にお尋ねしておきたい。  それは前段に労働組合の悪口をずっと書いてあります。これは公務員として、あるいは国民の一人として、労働組合の運動についていろいろ言うことについても問題はありますけれども、一応おくとしても、人事院勧告を実施するにあたって、「当局の中にも安易にこれに迎合する者があり、まさしく親方日の丸不沈艦の中で昭和元禄を楽しみながら、勝手気ままなことをしていると世間に非難されているのである。」と、こうなっておる、第一に。  そこで私は、法律に基づいて勧告がなされ、そうしてそれに基づいて労働組合は労働組合の行動をとり、政府政府で労働組合とも話をするし、また、当委員会等で政府の見解等を述べながら、全体的に公務員給与をどうしようかというふうに心配をし、今日まで経過をしているのですが、この一文を見るに至っては、これは批判ではないと思う。一課長の言うことばではない。政府もわれわれも、かって気ままにやっていると、こうなってくると、批判の域を脱して非難ではないか、こう私は思うのですが、人事管理をなさっている総務長官としてどうお考えになるのか。  さらに私は、後ほどもまた聞きますが、人事院勧告についても痛烈な書き方をしています。いわば人事院は何をやっているのだ、あんな勧告はナンセンスでないかというような意味のことを、これから約七点に集約して私は申し上げますが、とりあえず、こういう課長が地方自治体を責任をもって指導すべき立場におり、そうして労働組合にも問題があるとしても、一番対立の接点になっている給与問題を扱う公務員の第一課長として、こういう書き方をしているが、これについて一体総務長官はどうお考えになるのか。
  59. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) ただいま御質問のございました点、私初めてここで拝見いたします次第でございます。御質問のこの点につきましては、遺憾な点が多々ございますと思いますが、なおまた、これを所管いたします自治大臣とも話をいたしまして、さらに明確にいたしたいと思いますが、とりあえず、本日の御注意のございました点は、十分申し伝えてまいりたい、かように考えております。
  60. 山崎昇

    山崎昇君 私もこれを夕べ実は見てびっくりして、自治大臣をここに来てもらういとまがありませんでしたから、本来はこれは自治大臣の管理下にある部下職員ですから、当然私は自治大臣にいろいろなことをお聞きしなければなりませんが、しかし、私は公務員全般の人事管理を扱う総務長官でありますから、いまお聞きをしているわけです。  私は法律についても何についても、欠陥や、あるいはその他を明らかにして、見解を述べることまでとやかく言うわけではありません。これは何人といえども大いにやってけっこうだと思うのです。しかし、現実にいまある法規に基づいて行なっておることが、いま読み上げましたようにかって気ままなやり方だと言われたのでは、われわれ国会議員としても承服できない。あるいはまた、人事管理をやっている総務長官も、こういうことを許されますか。単に自治省におるから調査するだけでは私は済まない。  さらにその次へいきますと、「それにもまして不思議なことは、相変らず人事院が八月勧告、五月実施という、我が国のみならず近代的憲法をもつすべての国において、予算制度の本質を無視しなければ」 実行不可能なことを繰り返すことはナンセンスだと書いてある。続いて、「これを改善しようとしない態度」が問題である。「人事院は、この八月勧告に固守する理由をいろいろあげているが、すべて根拠薄弱である。」、これは私は批判としてはいいと思うのです、根拠があるとかないとかという言い方は。ところが、「人事院で定めた調査方法に基づいた給与調査の結果の数字によらなければ公務員給与の勧告はできないと感違いをしているのではないだろうか。」というに至っては、これは私は人事院総裁にも聞きたいのだが、たあな方は勘違いをして人事院勧告を出しているのかどうか、一課長の言としては私は行き過ぎておる、こう思うのですが、総務長官と、並びに人事院総裁にまずこれ聞いておきたい。
  61. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) ただいまこの所論でございますが、これはまあ一課長の投稿であるわけでございますけれども、しかし立場立場でございますから、軽々に扱うことはできませんが、私どもは、人事院の出していただきます勧告につきましては、政府といたしましては、その価値というものを非常に高く評価もし、また、これを絶対に尊重するという態度で貫いてまいっておるわけでありまして、政府に属する者がかようなことを申すことは、まことに遺憾でございます。のみならず、またわれわれが、この勧告のあり方等につきまして、御承知のとおり閣議決定注1で申しておりますように、勧告の時期その他と予算の編成上の技術上の問題を、これをこれから検討して改善してまいりたいということは事実ございますけれども、しかしながら、このいまの人事院の勧告という貴重な制度に対しまして、われわれは絶対にこれを尊重していくという態度で貫き通してまいる決意でございます。
  62. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) せんだってどこの所属でありましたか、うちの職員がその話を持ち出しまして、えらい記事が載っているぞというわけで、自治省関係のだれが書いたか、赤澤さんが書いたのかと言ったら、いや、そうじゃない、それならまあいいやということで、私はそれ以上深入りして考えませんでした。大臣級ならともかく、若い人が筆のすさびでお書きになったものを本気になって見ていいものやら悪いものやらもございますけれども、しかし、これは、いま御紹介になった記事というものは、はなはだ気分の問題としては不愉快千万なことであります。そのことは率直に申し上げておきます。もしもこういう考え方が自治省全体の考え方としたら問題だと思いますけれども、一応これが自治省全体の総意だということになりますならば別でございますけれども、何も、われわれは、われわれの信念に基づいて、給与法なり公務員法に即して勧告をいままでやってきたので、決してこれナンセンスとは思っていないわけです。ナンセンスとお思いになるなら、地方公務員法と国家公務員法と別々なんですから、いまここで訣別されて、理想どおりの別々の道をお歩きになったらいいだろう、こういうことにまで考えがだんだん貫かれていくわけであります。まあ所感の一端を述べさせていただきました。
  63. 山崎昇

    山崎昇君 まあ私は総裁がおおように考えられる意味もわかります。まあ一課長だからとね。しかし私は、自治省の直接地方公務員を担当すべき課長でありますから重要視をするわけであります。そしてさらに、総裁、「人事院は、政府国会が完全実施できないような勧告を出すことによって、安全地帯に逃げ込んでいる」と、こうなっている。さらに締めくくりにくると、「完全実施できないような勧告を出して政府国会を困らせ、公務員の組合の不満を政府に向けさせ、勧告後は涼しい顔をしていられる人事院は、役者が一枚上」だと、こうなる。これでもあなた笑って済まされますか。人事院から出されたものが権威あるとしてこの国会で議論するのですよ、これから。これがもとで国家公務員約百六十万、地方公務員合わせまして、その家族も入れて何百万という人の生活をきめなければならぬようなこの重大な給与問題について、人事院勧告が、かりに一課長といえども、これだけのことを言われても笑って済ませるかどうか、私はきわめてふしぎだ。これは総務長官、これは単なる調査だけでは済まされない、この問題は。  従来からこの森さんという人はいろいろな言動があった。しかし私ども今日まで取り上げたことがないのです、これは。しかし、この人が全国あちこちへ行って、直接人事委員会であるとか、あるいはその他研修の名目でね、いまの制度を否定するような言辞をずっと弄してきておる。この一文に至って私は承服できない、どうしても。そんなに人事院は「安全地帯に逃げ込んでいる」のですか、あなたは。そうして「勧告後は涼しい顔をして」いるそうですがね。私はあなたにこれからいろいろ聞かなければならぬ立場にあるが、そういう勧告なら私は聞くことはできない。しかし、これは一課長の問題でありますから、私は私の権限に基づいて聞きますけれども、どうですか、総務長官、あなたは全般を統括するのですからね、私は公務員のあり方として聞いておきたい。単に批判ではない、これはもう。
  64. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) なお本件につきましては、自治大臣とも十分連絡をとりまして、事の真偽のほどを明確にいたしたいと思います。
  65. 山崎昇

    山崎昇君 人事院総裁、これでもあなたおおように笑って済ませますか、どうですか。これだけ言われても、単に一課長だから取り上げるに足らずと、こう考えますか。しかし私はそうではないのですよ。どうしても、自治省の公務員第一課長でありますからね、地方公務員に対しては深刻な影響を持つのです、これは。そういう立場にある人なんですから、私ども重要視をしておるのですが、それでもあなたはおおようにかまえるのかどうか。これをところどころ私は読んだわけですがね、これを一文ずっと読みますと、いまの憲法も労働組合の存在も、人事院制度も勧告も、政府のやっていることも、すべてばかがやっているようなことにとれるのです、これは極端に言うならば。そういうことでも、あなた方はやむを得ぬと見るのかどうか。私はこれは単なる処分だけではおさまらぬと思っていますよ、これは。総務長官、心して私はやってもらいたいと思っておるのだが、もう一ぺん人事院総裁の見解を承りたい。
  66. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) まああまり相手にせずに、中身も実はいまの御紹介によって知りまして、だんだんきげんが悪くなってきたというようなことなんでありますけれども、結論は、いまちょっとおことばにありましたように、その課長さんと私とがお互いに討論し合うというような形は、これはおかしいので、山崎議員がそれを正しいと、あるいはそれを非難だとお思いになるならば、山崎議員の疑問を直接お尋ねいただいたほうが私はいいのじゃないか。さっきおことばがありました、まことにそのとおりです。
  67. 山崎昇

    山崎昇君 わかったようなわからぬようなあなたの態度ですが、人事院としても、公務員の倫理の問題と関連をして、私はこういうことが許されていいのかどうか。公然と、それも文章で出されるわけですから。これはあとでまた私は別な機会に——ある県議会の自民党の県会議員はこれと似たようなことを演説しておる。それは研修会と称して集めて、いろいろなことをやっておる。そういうことと私ども考えますというと、単にこれは笑って過ごされる問題ではない。ですから私は、公務員倫理の問題とも関連して、明確に、こういうことは誤りだと、公務員としてね、それならそうと、やっぱりあなたの意思をきちっとここで明確にしてもらいたい。
  68. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) いま御紹介になったこの内容の数点を要約しますというと、大体私どもの勧告のたてまえなり、その理由というものをわかっておらぬということに尽きるわけだと私は思います。したがって、その点を、山崎議員としてさらにこれを私に対する質問として、ナンセンスだと思うかとこう聞かれれば、ナンセンスとは絶対に思いませんと私はお答えします。
  69. 山崎昇

    山崎昇君 まあこの問題はこれ以上やりませんが、いずれにしても、総務長官、もう一ぺん言っておきますが、これはなまはんかな措置では済まない問題を含んでいますからね、その点だけあなたに申し上げておきたい。  総務長官給与について本題で質問したいと思うのですが、八月の十六日に人事院から勧告が出て、そしてことしの場合は二週間後に、八月の三十日に閣議決定が行なわれているわけですね。その間に七人委員会が開催をされて十分検討されたと、こういうのですが、その経過と、それから閣議決定内容をまずお聞きをしたいと思うのです。
  70. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) 御案内のとおりに八月十六日に人事院から勧告をちょうだいいたしました。十六日に第一回の給与関係閣僚会議をいたしましたが、その後五回関係者が集まりまして、いろいろと検討をいたしたのでございます。御案内のとおりに、私どもは人事院の勧告制度というものを貴重なものとして、これを完全に尊重いたしていかなくちゃならないという立場のもとに努力をいたしてまいったのでございますが、例年でございますると、その財源を探求すると申しますか、財源を捻出し、さらにまた組みかえて補正するというようなことのために、非常に日子を要するのでございます。本年に関しましては、御案内のとおりに予備費にこれを計上してあるというような関係もこれありまして、私どもは人事院勧告の完全実施を目標に、関係者とともに、いわゆる財政当局の見解とおのずから立場を異にいたしますもので、論議を尽くしたわけでございますが、他方また人事院の勧告が出ました後におきまして、さような事態であると同時に、またすみやかにこれを決定する必要もございます。かような関係で、政府部内においてかれこれ検討いたしました結果、三十日に結論を出したような次第であります。
  71. 山崎昇

    山崎昇君 いま八月三十日に結論を出された経過を多少述べられました。そこで私のほうからお聞きをしたいのは、八月三十日まで二週間しかないわけなのですが、その間にどういうことが検討されたのか。たとえて言えば、人事院勧告の内容についても、こういう点が問題である、あるいはこういう点が問題になるのではないかということが検討されたのかというのが第一ですね。第二は、いまも長官から言われましたように、財源の問題について、財政当局とずいぶんやり合ったそうでありますが、財政上の問題について、具体的にどういう点が検討されて八月実施ということになったのか。そのまず二点、討議の内容になると思うのですが、お聞きをしておきたい。
  72. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) 人事院の御勧告に対しましては、私どもは、あくまでもそれを尊重するというたてまえのもとに、その中身に盛られました給与の改善の案、ことにまた寒冷地手当の問題でありますとか、あるいはまた通勤手当の問題でありますとか、さような点につきましていろいろと論議もいたしたのでございますが、御案内のとおりに、何とかして人事院からの御要望に沿いたいという気持ちはみな同じでございます。で、最後までたいへんもめたのでございますが、通勤手当に関しましては、これはあくまでも実費弁済的な意味もあり、当然これは五月にさかのぼってやるべきである。とうとうこれもなかなか対立いたしまして、最後まで妥結できませんでしたのでありますが、最後に総理に裁断を仰ぎまして、五月実施ということにようやく踏み切ったようなわけでございます。  なお、そのほか給与の問題につきましての財源措置でございますが、御案内のとおりに、八月実施をどうしてもできない、九月実施に戻すとか、あるいはまた、どうしても八月実施ができなければ、半月でもおくらせるというような意見まで出ましたが、とんでもない話だということで、実はずっと論議を尽くしたわけでございます。まあその結果やむなく昨年同様の八月実施というところがぎりぎりということになりまして、涙をのんであの結論に達したわけでございますが、しかし、これらの財源の問題と相なりますと、さらに地方自治体の財政現状というふうなものまで、やはりいろいろと説明内容といたしましては自治当局からもあったわけでございます。まあ、しかしながら、国家公務員給与に準ずるという準用規定があります以上、切り離して顧みないということも実際はできないことでございます。さような関係で、国家公務員につきましては、人事院勧告の五月実施ということにはほど遠い感がございますが、昨年同様の八月実施の線で、ただまあ通勤手当に関しまして五月実施ということに相なりまして、局を結んだ次第でございます。
  73. 山崎昇

    山崎昇君 私の質問しておるのは、八月三十日に閣議決定を行なったんだが、この閣議決定を行なうにあたって、人事院勧告の内容についても検討されて閣議決定を行なったのかどうかということが一点と、それから二点目は、八月実施にしたんだが、それは財源の問題と関連があることではあるけれども、財源問題に主力を置いて検討して八月一日実施にしたかどうか、そういう検討内容についてお尋ねをしておるわけです。  それは十分あなたのほうで人事院勧告の内容についても検討されたと、もちろんそうなると思うのですが、そうなればあなたに対して、後ほど私は人事院勧告の内容についてどう検討されたのか、これは逐一尋ねなければなりませんので、そこであらかじめあなたにお聞きをしておきたいのは、人事院勧告の内容についても検討されて結論を出したとするならば、検討の過程において、どういう点が人事院勧告の問題点なのか、それに対してどういうあなた方は検討を加えて結論を出したのか、私はお聞きしたい。こういう意味で人事院勧告の内容についても検討されておるかどうかということをお聞きをしておるわけです。ですから質問にきちっとひとつ答えてもらいたいと思うのです。
  74. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) 人事院勧告の内容と申されましても、私どもは人事院勧告の場合、これを完全実施いたしまするだけの財源がございますれば、もちろんこれを五月実施の線で完全実施したい。ところが、それができないという主たる理由というのは、財政上の問題であることは御案内のとおりでございます。いまのその点につきまして、私どもは一方においては、なぜ一体予備金の内容が頭打ちになるのかという面でございますが、この予備金の面で財政当局からいろいろと説明はありますけれども、しかしそこで一番問題になりますのは、予備金としての余裕を十分とり得ないという点に相なるのであります。その予備金の中に十分財源を取り得ないために、やはり人事院勧告というものの時期を、それからわれわれがあくまでも人事院の勧告のとおり完全に実施しようという目的のためにも、やはり勧告自体の時期の点も調整していただきたい、こういう問題が出ております。財政当局におかれましても、あるいはまた経済企画庁のような計画官庁におきましても、その点につきましては、ぜひ完全実施をするためにはどうしたらいいのだろうかという問題と真剣に取り組もうというような熱意を示され、さような結果、注1にありますようなことになり、本年はやむなく八月ということに決定いたしましたが、これで満足するものではないので、どうしても勧告を完全実施できるようにいたすためには、やはり勧告の時期や方法等について、人事院制度というものの尊重の根底に立って、技術的な改善によって調整できる点は改めていこうということになりまして、人事院総裁を加えた関係閣僚会議を機構的に持って、鋭意これの打開に努力してまいろう。かようなことは本年だけではなく、従来からもとかくいわれたことでございますが、しかし従来はただ申しただけで、実際はから念仏に終わっておる。そういうことではいけない。四十四年予算編成までの間においてということは、すなわち本年内に何とか実務上の暗礁を取り除いていかなければならないということから、関係閣僚会議を持ち、同時にまた人事院のほうにも私自身でお願いに出まして、人事院総裁の御快諾をいただきまして、そして関係閣僚会議に人事院総裁も加わっていただいて、そしてこれから打開をはかっていこう、かように考えておったのであります。  で、私のほうといたしましては、その難点が主として財政法上の問題点、予算編成の技術上の問題点と、人事院勧告のこれまた技術上の問題との調整ということが重大な問題でございます。そういう点から、まずもって関係閣僚会議のもとに実務担当者の連絡会議を持ちまして、そして論点を明確にして、そしてそれを今度は関係閣僚で大所高所から政治的に打破して逐次まいらなくてはならないという立場で、今後この会議を進めていく所存でございます。
  75. 山崎昇

    山崎昇君 どうも私の質問とかみ合わないのですけれどもね。私のほうのお聞きしているのは、人事院から勧告を受けて、二週間の間で検討して閣議決定をされたんだが、閣議決定にあたって、文書を見ると、「人事院勧告どおり、俸給表等の改定を行なうものとする。」と、こうまずなっている。そこで、人事院勧告そのものの内容についても御検討されたんですかということを大臣に聞いておるのです。もし検討されたんだとすれば、実施をすべき政府としては、この点についてはこういう問題点があるとか、この点についてはこうだとかという、そういう検討をされたんですかということをあなたに聞いているのですが、あなたのいまの答弁を聞いていると、単に実施時期だけについてとうとうと述べられておる。私はそれだけ聞いているわけではない。勧告というのは何も実施の時期だけをいっているのではない。ですから、政府は人事院勧告を実施するにあたっては、当然勧告の内容についても検討する義務があるし、そうしてその理解の上に立って、このままでいいんだとか、あるいは手直しをするのだとか、こうならなければならないのではないだろうか、私はこう思うのです。しかし、閣議決定の文書を見ると、「人事院勧告どおり」やると、こうなっておりますから、したがって、検討の過程でどういう点が総理府としては問題になったのかという点があれば、出していただきたいということをお聞きをしているのです。もしないのならば、ありませんでした、ただ勧告の時期だけ検討いたしましたのならば、時期だけ検討いたしましたとだけ答えてください。  それから、つけ加えて今後の問題点についてあなたがいろいろ述べられましたが、それはこれからまたその内容についてもお聞きをしなければならないのだが、とりあえず、どういう検討をして閣議決定をしたのか、その検討内容についてもう少し明らかにしてください。
  76. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) これは今回だけではなく、従来ともさようでございますが、人事院は専門的な機関でございまして、人事院といたされましては、詳細な給与表をはじめ諸般の問題につきましても調査研究をしておられるわけでございます。でございますから、私ども政府事務当局は、人事院との間に十分な御連絡もいたしておるわけでございますが、しかしながら、勧告をちょうだいいたしました後の政府といたしましては、人事院の勧告を絶対に信頼をいたしまして、この勧告の内容について、給与表の一点一点までも再検討するといったような態度をとっておりません。勧告どおりいつから実施したらよろしいかということについてだけ論点にして検討をいたしました。
  77. 山崎昇

    山崎昇君 そうすると、長官、端的に言って、人事院勧告を受けた政府は、人事院勧告の実施の時期については相当議論したけれども、その他についてはあまりやりませんでした、簡単に言うと、そういうことに私は理解をしておきたいと思うのです。そうして、さらに通勤手当については中身に入って検討した結果、まあ五月からいいだろう、こうなったというふうに理解をしておきたいと思うのですが、いいですか。
  78. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) 通勤手当に関しましては、特に実費弁済的な内容の問題でもございまするし、また、運賃、の値上げ等の現実に処しまして、これはどうしても五月にさかのぼってやらなければいかぬだろう、こういう点を思ったわけでございます。なおまた、昨年の場合は調整手当のような問題がございましたが、本年はさようなことがございませんので、この点につきましては、人事院の勧告どおり、これを実施時期の問題につきましてのみ論点をしぼりまして、決定したわけでございます。
  79. 山崎昇

    山崎昇君 そこで長官、重ねてお伺いしたいのは、いま明らかにされたことは、人事院勧告については実施の時期と通勤手当だけはずいぶん議論したが、そのほかのことは、簡単に言えば、何もやっていません、こうなると思うのです。そこで人事院勧告の実施の時期について、何か新聞報道によれば、通勤手当の五月実施で長官はもう鼻高々だ、こう報道されておるのですがね。そんなに鼻が高くなるものかどうか、まずお聞きをしたいのですが、それよりも、人事院勧告というものをそのまま実施することがあたりまえなんですね、法律制度や、あるいは今日までの経過から言って。だから政府が八月実施に閣議決定を行なったということは、これはあたりまえのことを政府はやらないんだというふうに私は理解をするわけです。そう思うのですが、どうですか。
  80. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) まず第一段の、五月実施で私が得意であったというようなことは、とんでもないことでございます。いわゆる五月実施の完全尊重ができなかったことにつきまして、まことにじくじたるものがある次第でございます。他方また、いまの人事院制度の問題につきまして、われわれは当然これを尊重しなきゃならない。で、尊重しなかったことについては、非常に遺憾にたえないのでございますが、その原因は那辺にあるかということになりますると、一に財政の問題だということに相なるのでございます。そういう点では私ども財政当局といろいろ論議は重ねましたが、やむを得なかったことを非常におわびをしなきゃならぬ、かように考えております。
  81. 山崎昇

    山崎昇君 これはまあ新聞報道ですから、私はこれだけ取り上げて言うのはおかしいが、これによると、あなたの写真入りで、そして一部完全実施と、鼻高々と写真入りで報道されるものだから、そんなに総務長官は通勤手当の五月実施が宣伝をしなきゃならぬほど、私は成果のあるものかどうかという点に疑問を持つものだからお聞きをした。  しかし、これは新聞報道ですから、これ以上のことは申し上げませんが、いずれにしても、人事院制度ができて、今日までの勧告の経過や、政府のとってきた態度等から見て、人事院勧告がそのまま実施をされないということは、これはやはり普通の状態ではない、あたりまえのことではない。いまあなたが、まことに遺憾だ、こう言うが、遺憾だということは、あたりまえのことを政府がやってないんだというふうに私はとるんだが、それでいいですかと、こう聞いておるのです。どうですか。
  82. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) 人事院制度というものの当然の帰結としまして、政府はこれを完全尊重しなければならぬと私は考えます。それができないというところにいろいろ問題があるわけでございますが、これは諸般の財政事情その他を勘案いたしまして、あのような決定をいたしておるわけでございます。その点につきましては、やはり人事院は人事院の考えがあると同時に、また政府政府としてのやはり責任もあるわけでございまして、完全実施をしなければ相すまぬ気持ちは十二分にございますけれども、できなかったということでございます。
  83. 山崎昇

    山崎昇君 これで押し問答しても進まないから、私は話を進めるのですが、それでは長官、これから私後ほど具体的にいろいろお聞きをしますが、もし人事院の勧告で、内容的に明らかにこれを直さなければ公務員にとってたいへんだというような問題が発生したら、あなたはそれに応じて、法律の改正案を国会に出す際に、人事院の勧告と違った改正案を出す用意があるかどうか。そのくらいの弾力性があるかどうか。これはすべてだという意味じゃありませんが、一つにしろ二つにしろ、私は後ほどこれ指摘をしますが、その点が、あなたもなるほどそうだと思われたときには、直す用意があるかどうか、この点だけ、弾力性についてお聞きをしておきます。
  84. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) まことに御質問自体が抽象的な、同時にまた仮定と申しますか、これからどういうお話になるのか、そのつぼもわからないものでございますから、あらかじめどうということを申し上げることもできませんが、なおこれからの御質問によりまして、いかなることが御指摘になるか存じませんけれども、そういうふうな場合におきましては、人事院ともよく談合いたしまして、善処させていただきたいと思います。
  85. 山崎昇

    山崎昇君 そうすると、いまあなたが、人事院と相談して善処したいと、こう言うのだけれども、多少は幅があるんですね。弾力性があるんですね。閣議決定だから全くこれで動かないのだということではないですね。私、あとで具体的に言います。そのときにあなたに判断してもらいますけれども、ただ、ものの考え方として、ぎちぎちだと、私どもどうもやりにくい。そこで多少でもあなたに、なるほどこれは不合理だ、こういう点があれば、政府としても考えることにやぶさかでないということであるならば、そういうお考えであるなら、それを私も聞きしたいし、また内容として聞きたいと思うのです。ですから、多少そういう幅があるというふうに理解をしてこれから質問してみたいと思うのですがどうですか。
  86. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) 私ども、そちらの閣議決定の注1にもございますように、何とかして改善をしたい、悪いところがあったら直したいという意図で話を進めているわけでございます。もちろんそれは前提がございます。というのは、人事院の勧告を完全に実施するための、私どもはこれから作業をし、談合をして改善していく。と同時にまた、人事院制度というものをあくまでも尊重し、それを侵さないという一つの鉄則のもとに今後相談をしてまいろう、こう考えているわけです。
  87. 山崎昇

    山崎昇君 私がしつこくこれを聞くのは、は自分に都合がよければ、財源がないというて人事院勧告を値切っておいて、片方で、私が具体的に、これは不合理ではないですか、そういう点を指摘して、あなたもなるほどそう思えば直す用意があるのですかと聞けば、人事院勧告を完全実施します、こうなるんでしょう。だから、少しその間に矛盾があるのじゃないですか。だから、私のほうはいま抽象論で言っていますけれども、これからだんだんお聞きしますが、いずれにしても人事院勧告をほんとうにあなたがそのとおりやるというならば、実施期日も入れてそのとおりやりなさい。それは自分たちかってに八月とかどうとか値切っておいて、私のほうからこれから具体的に、人事院勧告のこの点についてはこういう矛盾点があって、これは公務員にとってきわめてまずいではないですかということを指摘した場合に、あなたのほうでなるほどと思えば、それを直す用意がありますか——それは直すか直さないかはあなた方の権限ですから、それ以上のことは言わないけれども、それだけあなた方に幅があるかどうかということをあらかじめ聞いておきたいということで聞いてるわけです。ですから、どうしても人事院勧告を実施したいというなら、実施の時期も含めて完全実施しなさい。都合のいいときだけ値切っておいて、都合が悪ければ完全実施という、そういう言い方はやめてください。
  88. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) お話を承りましてお答えいたします。
  89. 山崎昇

    山崎昇君 そこで、主計局の方が来ているそうでありますから、ちょっと財源で聞いておきたいんですが、今度の人事院勧告を五月から実施したら幾らで、それも一般会計と特別会計、合計。それから六、七、八ですね、それぞれの月で実施したら幾らぐらいであるのか。それから、きょうはまだ自治省が来てないんですけれども、もしおわかりであれば、地方公務員の分についてもお知らせいただければけっこうだ、こう思います。
  90. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 御存じのように人事院の勧告というのは一般職の公務員についてだけ勧告をいただきますのですが、政府が勧告に準拠しまして、他の特別職の公務員につきましてもほぼそれに準拠した改定をいたしておりますので、財源は人事院勧告対象分だけではなくて、そういった準拠——職員の分を計算いたしておりますので、それを申し上げます。それから、率がそれぞれの階層別に違っておりますのですが、それは非常にこまかな計算になるものですから、人事院勧告でいただきました平均率で計算しております。したがいまして多少の相違はあり得ようかと思います。  五月実施の場合におきまして、一般会計が八百二十一億、そのうちでいわゆる給与改定に要する分が八百六億円、それから寒冷地手当の改正に要する分が十五億円でございます。それから特別会計が百八十二億円、給与改定に要する分が百七十九億円、寒冷地手当の改正に要する分が三億円。単純に合計いたしまして千三億円、給与改正に要する分が九百八十五億円、寒冷地手当の改正に要する分が十八億円。ただしこれは繰り入れ等、それから向こうでの改定と、両方とも計上いたしておりますので、その重複分を除きました純計で申し上げますと、国の職員に要する分が八百七十五億円でございます。なお八百七十五億円のうち、給与改定分が八百五十九億円、寒冷地手当の改正分が十六億円ということになります。  参考までに、地方公共団体国家公務員に準拠して同様の改定が行なわれたとして概算いたしますと千九十五億円、そのうちで給与の改正分が千七十三億円、寒冷地手当の改正分が二十二億円というのが五月実施の所要額でございます。  以下全部申し上げますか、一つずつ。
  91. 山崎昇

    山崎昇君 いずれも合計でいいです、六、七、八。
  92. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) それでは六月、簡単に申し上げます。一般会計分が七百六十八億円、特別会計分が百六十九億円、合計しまして九百三十七億円、純計で八百十八億円。地方公共団体分が千二十一億円。七月実施、一般会計分が六百五十四億円、特別会計分が百四十五億円、合計いたしまして七百九十九億円、純計で六百九十七億円。地方公共団体分が八百七十三億円。八月実施、一般会計分が六百一億円、特別会計分が百三十二億円、合計しまして七百三十三億円、純計で六百四十億円。地方公共団体分が七百九十九億円と相なっております。
  93. 山崎昇

    山崎昇君 そこで総務長官にお聞きをしますが、ことしも八月の実施にしたわけですね。そこでいま財源は聞いてみると、八月実施で純粋に要する費用は六百四十億円、こうなるわけですね。そこで七月実施では六百九十七億円、わずか五十七億円違うわけですね。ことしの予算編成のやり方は、総合予算主義ということで補正予算は組まない、予備費でこれはやるのです、こういうことなんですが、一応予備費の中に千二百億円組んでおいて、私どもが承知する限りでは、今日まで約百億円ぐらいは何か十勝沖地震に使われた。あと千百億あって、これからどういうものが起きるかわかりませんが、こういう予算の中で、さらにお聞きするところによるというと、自然増収もかなり見込まれるという財政状況の中で、これは九月期決算まだ終わっておりませんから、正確な数字はもちろんわれわれにわかるわけではありませんが、一、二伝え聞くところによれば、自然増収は一千億ともいわれ三千億ともいわれ、いずれにしてもかなりな自然増収が見込まれる。こういう中でわずか五十七億円、いま示された数字を見れば、あればですね、端的に言って七月実施もできる。これが政府でどうして私はできないのだろうか、どうしてできないのだろうか。これが三百億も四百億もというならいざ知らず、いまお聞きをしても八月実施で六百四十億円、七月実施で六百九十七億円、五十七億円あれば、少なくともあなた方の尊重するという精神が去年よりも一歩前進をする。これがどうしてできないのか。この辺のことがどうしても私どもにわからない。ずいぶんあなた方も検討されたのでしょうが、なぜこの五十七億ばかりが出せないのか。かりに、七月実施がいいと言っているわけではありませんが、一歩でも前進をするというならば、なぜこれができないのか。まずその辺からお聞きをしておきたい。
  94. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) 五月実施にいたしましたところで二百億円ぐらいのものでございます。私どもは完全実施という点におきまして、その総合予算主義というたてまえから、予備費というものの内容検討をいたしましても、何とか、むしろ予備費というものをとってあればこそ完全実施がしやすくなるという実は気持ちさえ持っておったわけでございます。いまお話のように、一カ月繰り上げたって五十七億円、三カ月繰り上げたって二百億足らずのものでございます。それがなかなか、私どもつまり要求の面に立ちます者の強い主張と、やはり財政当局の相反するいろいろ論議もあるわけです。そういう点で、中ではずいぶん論議を尽くしましたのですが、どうしても思いどおりにできなかったことを非常に残念に存ずるわけであります。しかし、関係閣僚会議としましても、ついに最後にやむなく八月実施という線で落ちつかざるを得なかったのでございます。
  95. 山崎昇

    山崎昇君 あのね、抽象的で私はどうもわからないのですよ。なるほど、あなたの言うように、五月実施すれば八百七十五億ですね。それだけでもいまよりもわずか二百三十五億円多いだけ。私は、基本的にはそうですよ、完全実施私どもも迫っているわけですが、しかし、少なくとも政府が、あなたがそれほど尊重尊重と言うなら、せめて七月実施でも五十七億あればできる。どうして七月実施五十七億が出せないのか。この財源については予備費でいまのところ千百億ある。あなた方垣根がないと言うのだから、それは公務員給与に使おうと思えば予備費は使える。さらにいま申し上げたように、不確定な数字であるけれども、国税庁筋からいろいろ聞けば千億ともいわれ、三千億ともいわれるような自然増収があるとも聞く。しかし、これも九月期決算をやっていませんから、確たる数字も公表されておりませんし、私はどうだという断定的なことは言いませんが、一般的に、すでにことしの自然増収はかなりなものだということが報道されているわけですね。そういう中で、ほんとうにあなた方に誠意があるなら、なぜ一カ月でも前進できなかったか、もう少し具体的に私はお答えを願いたい。さらに続いて人事院総裁にお聞きしたいんだが、何か聞くところによると、人事院総裁はことしは七月実施で、来年は六月実施で、昭和四十五年の安保のときには完全実施をするんだと言ったとか言わぬとか報道されて、まことにうがったことだと思っているんですが、そういうものと直接関連はないでしょうけれども、あわせて考えてみると、数字的にもなぜこの五十七億円ばかりが出せないのか、人事院はどれだけこれについて政府に対してがんばったのか、もう少し具体的にひとつお聞きをしたい。
  96. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) ただいまのお話のごとくに、自然増収の問題やら、そのほかいろいろな問題につきまして論議をいたしたわけでございますが、あるいは文部大臣、あるいは労働大臣、私どもと同じような立場に立つ者が多数おるわけでございますけれども、まあしかし、七人委員会におきまして、ついにわれわれの主張が通り得ませんでした微力につきましては、ほんとうに相済まないと私考えております。やむを得ざる姿におきまして八月実施と相なったのでございます。
  97. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) あらかじめわれわれの基本的態度を申し上げておきますが、私どもとしては四月調査の結果に基づくものである以上、五月にさかのぼって完全に埋めていただかないことには、われわれの勧告の筋が通らぬということ一点張りで言っているわけです。その間で八月ならどうだとか、七月ならどうだとか、そういうことはわれわれの筋の問題とは別のことなんです。政治家がお考えいただくのはとやかく言いませんけれども、われわれとしてはそんなことを言うべき立場にない、それが困りますとか。完全実施か不完全実施か二つのうちどっちかしかありません、こういう態度で決定しております。そこで、いまのお話は、私確かに何かの機会に言ったことがあるのです。これは政治家の方だったか、だいぶ前のことですけれども、そういうことを言う人がありまして、なるほどそういう考え方もあるかなといって笑い話で二、三人に話したことはありますけれども、これはわれわれの態度として、そんなことはいい考え方だとか何とか言えた義理じゃないのです。そんなことを、私がそれはいい方法だといって宣伝したようにとられると、とんでもないことになりますから、もし今後そういうことを言う人がありましたら、それは違うんだ、人事院はそんなことは考えていないぞということをひとつはっきりおっしゃっていただきたい。お願いしたいと思います。
  98. 山崎昇

    山崎昇君 あなたがそういうことを言ったか言わないか、あなたは言った記憶があるというのでしょう。言った記憶があるから私のほうに伝わってきている。しかし、あなたの基本線が完全実施だということは前々から表明されているから疑っているわけじゃない。しかし、昭和三十五年以降完全実施が何もできていないでしょう。それについてあなたはただ完全実施、完全実施といっているだけで、何も実現されてないところに、やはり人事院に対する不信が相当あるわけです。しかし、これは政府の問題ですから、主として総務長官にお聞きしているわけですが、そこで、大蔵省の人にもう一ぺん聞きたいのですが、この八月実施の六百四十億の中に、通勤手当の五月実施の分が入っているのかどうか、入っているとすれば幾らですか。
  99. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 八月実施で六百四十億と前提で申し上げましたその数字の中には、通勤手当を五月から引き上げる分が入っております。その分は二十二億円でございます。
  100. 山崎昇

    山崎昇君 だから、政府は通勤手当を五月から実施するのに二十二億円がんばったわけですな。これが鼻高々の原因になっているわけです。だから、二十二億円通勤手当を出せるなら、あと五十七億円で少なくとも一カ月前進するわけです。これができないということを、先ほど来私は、これだけ財政がそう窮屈でもない、それからあなたが主張しておるように、年度当初に予定をされる問題として予備費を組んでいるわけですから、その予備費が何もないということならまたいざ知らず、これはほとんど一割程度しか使われていない。そうしていろいろお聞きをすると、予備費ですからかきねはございません、何に幾ら使うという予定もいたしておりません、こういうあなた方の終始一貫した答弁である。それならば、なぜこの予備費の中であと五十七億使えないのかどうか。これはどうしても私ども納得できないのです。五十七億円予備費を使ったら予備費がたいへんなことになります、将来起きることについてどうしようもありませんというなら、大体何にどれくらい予定をして、予備費というものをあなた方はどういう使い道をされるのか、ここでお示しを願いたいと思うのです。そうでなければ、私どもどうしても納得ができない。せめて、私が言っているのは、完全実施であと二百三十五億ほしいのです。あなた方がせめてこれだけ、二十二億円の通勤手当を五月からやったというのだから、それならもう一歩でも公務員に対して誠意を示すために七月実施になぜできなかったのか、あるいは六月実施になぜできないのか、その金額はわずかに五十七億円ではないですか。予備費の残っている千百億のうちで、なぜ五十七億円出せないのか、こうなると思うのです。そこで、あなたが考えられている、それならば、主計局次長も来ているようですから、予備費で残っている千百億円をこれから来年三月までにどういうものにどう予定されているか。それは出してみなければわからないと言えばそれまでの話ですが、ある程度予定がなければ五十七億円出せないとか出せるとかいうことは議論ができないわけですから、それらの点につきましてもあわせてひとつお考えを出してほしい。
  101. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) いま支出済みのものが約百億円と申されましたが、そのとおりでございまして、現在までに支出しました予備費の額は百三億九百六十三万八千円でございます。これはそのとおりでございます。ただ、予備費の見込みの問題に今後なるわけでございますが、一応、給与改定を別にいたしまして、まず災害の見込みを四百六十億円程度とつけております。この四百六十億円程度とみましたのは、一−七月の災害は実績でみております。これは何も災害復旧費を現在出したというのじゃなくて、一−七月の災害は報告を事実受けまして、決定をするときに受けておりますので、実績でみております。それから今後の八月以降十二月までの災害につきましては、四十二年、四十一年、四十年という三カ年平均で災害が発生した場合における所要額を計算いたしております。この両者を加えますと、約四百六十億円になります。ちなみに、去年災害に要しました金額は五百六十九億円でございます。そのときの予備費の所要見込みでございますが、これを主計局の各担当者から各省にその所要見込み額を一応非公式にサウンドいたしましてとりました。それが約二百五十億円でございます。この二百五十億円が大きいか小さいかということで、参考のために申し上げますと、四十一年度、災害と公務員給与を除きまして予備費を使用し、補正で追加いたしました額が二百八十九億円、四十二年度が二百五十四億円でございます。したがいまして、内容的にはいろいろと出入りがあろうかと思いますが、二百五十億円程度というのは、そう各年度と違った額とは考えておりません。したがいまして、これを両者足しますと七百十億円程度になろうかと思います。そういたしますと、差し引きしますと、おのずから五百億円弱という数字が出てくるわけでございます。それはあくまで見込みの問題でございまして、それでは先ほど申し上げました一般会計負担の六百一億円でございますか、それとの間に差があってできないではないか、こういうことになるのでございますが、災害もどうなるかまだわからぬことでございますし、それからあくまでも予備費見込みでございますので、それは今後自分たちの査定でできるだけ少なくしていきたい、そういったいろいろな努力目標が百億程度のものになろうかと思いますが、そのあたりの見当を、閣議に出したわけではございませんけれども、大臣を通じまして御披露申し上げて御判断を仰いだわけでございます。
  102. 山崎昇

    山崎昇君 いま詳細に聞きました。そこで各省から要求される二百五十億程度の予備費の内容は、こまかに要りませんが、おもに特徴的なことをいえば何なのか、それが一つ。それからもう一つは、先ほど来私のほうから述べておるように、かなりの自然増収があるといま言われているのですが、これは数字的にまだ明らかでありません。ですから、あなたもここで幾らということは言えないと思うが、そういう自然増収があった場合に、それならば自然増収というものをどういうものに大蔵省としては使う予定でおるのか、それは述べれる範囲でけっこうでありますし、また、あなたの見解でもけっこうでありますけれども、われわれの知識として聞いておきたいので、説明を願いたい、こう思います。
  103. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) いま公務員給与と災害を除きました予備費の約二百五十億円程度と申し上げましたのは、個別的に非常にいろんな項目になりますが、わかりやすいものから申しますと、小笠原の復帰に伴うものがございます。それから消費者米価を引き上げますと、これに伴いまして生活保護者その他の基準をその分だけ多少、あるいは監獄にいらっしゃる方々の食費がそれだけはね上がるというふうな問題がございます。それから現在ロケットを種ケ島で打ち上げておりますが、これにつきまして周辺の漁業に対してある対策を講じていこうといたしております。それから公務員の退官退職の希望退職の見込みが、これは各省ともございますが、予定したテンポを多少上回っておりますので、退官退職手当の不足見込み額が相当程度見込まれております。その他非常にこまかいことに、大体十億からせいぜい大きいので退官退職手当なんか三十億くらいで、そういうものがこまごまと積み上がったものでございまして、これが絶対的に退官退職手当の一人見込みがどうかということになりますと、今後の査定の問題でございますので、絶対にそれだけを大蔵省は支出をするかと言われますと、ちょっとそこまでは問題があろうかと思います。しかし、各省とも相談しておりますので、そう見当の違った数字ではないと思います。  それから自然増収の問題でございますが、これはいまのところ七月までの税収の実績がたぶん発表になっておるかと思います。これは前年度の全税収に対する七月までの収納額の比率よりも、ことしの予算に対する七月までの収納額は多少上回っております。したがいまして、もし去年と同じような期別分布で税が入ってくると考えますと、ある程度の増収が期待できると考えるのが常識的だろうと思います。ただし、今後の景気動向その他にもよると思いますが、まず本年度ある程度の自然増収は期待し得るであろうと考えるのが常識的だろうというふうに言えると思います。その場合においてどうするんだということでございますが、御存じのように、増収が得られるのは景気の見通しが経済見通しよりも上回っておるからでございます。したがいまして、現在一〇%をこえる国債を発行いたしておりますので、こういう好況の時期にこそ、ほんとうは国債をなくしておかないと、次の不況期に遭遇いたしました場合に、いわゆる弾力的にフィスカルポリシーを実施するということができかねるわけでございますので、当然、好況による増収は国債の減額に充てていくのが至当であろうというふうに考えられます。
  104. 山崎昇

    山崎昇君 そうすると、もう一ぺん総務長官にお聞きをしたいんですが、いま聞けば聞くほど財政的にそう困窮していることにはならない。それからいま大蔵省から答弁ありましたように、自然増収を期待できる、そう考えるのが常識であろうと、こう言うんですね。私もそうだと思う。そこでかりに千億の増収があったと仮定をして、そのうちで五十七億円だけ国債に回さなければ、将来、国債の償還がむずかしいのかどうか。私は数字ですから、そういうことをやっぱり判断しなければならぬ、抽象論的に言っておるのでは議論が進まないから。ですから私は七月にこだわっておるわけではないが、せめても七月にするにはそれだけの金があればいいわけですから、そういうわけで一歩前進をはかる意味で言っておるわけで七月を肯定しては困ります。困りますが、せめていまの自然増収やら予備費の内容を聞くというと、かなり不確定なものがあります。私から言うとふしぎだ、米価なんというのは去年の予算編成のときに、すでに十月から消費者米価を上げることを考えておったじゃないですか。生産者米価を上げることもあなた方考えておった。これらのことを予備費でやるということは問題があると思いますが、米価にしてもロケットの問題にしてもそうだ。そうすると、二百五十億そのまま使われるかどうかこれはわからない。ですから私はどう見ても、この予備費といま言う自然増収二つ合わせて考えると、五十七億ばかり出せないということにはまずならないと思うんだが、どうしても出せないのかどうかということをもう一ぺん総務長官に聞いておきたい。  もう一つ、これは少しこそくなことだと思うんですが、六百四十億あれば八月分から実施できるんですが、国家公務員の手に渡るときにはすでに所得税が差し引かれるわけですね。ですから実際の現金操作はこれの一割ないし一割五分は要らないんです、実際の金は。支出上は六百四十億だけれども現金操作としては関係ない。それはなぜかというと、渡るときには所得税が差し引かれるわけです。ですから、私はそういう予算支出上の技術的なこともかみ合わせると五十七億や百億の金がこんりんざい出せないというような状態ではないんじゃないか、どうですか。その点については大蔵政務次官も来られておるんだが、一体、大蔵省としてそんなにきちきちな予算で、そうしてこれだけの金を出したら日本の財政がそんなに深刻に影響するのかどうか。なぜ出せないのか。私はしつこいようだけれども、もう一ぺんひとつ総務長官、腹すえて答弁願いたい。具体的に教えてください。私は具体的な数字で聞いているのだから。大蔵省についてもそういう点については大蔵省の判断をもう少し聞かせてほしいと思う。
  105. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) 実は先生の御質問をさっきから私聞いておりまして、ちょうど私が七人委員会で言っているのと同じようなことでございます。それで、いまの公務員の所得税の問題なんかこれは別でございますが、私は立場が違いますからあれでございますけれども、この日本の現在の財政実態から比べて、何にしても人事院制度というものを尊重していくというたてまえをとる以上は、その実施について財源措置を講じなければいけないのだということで主張を続けておるわけでございます。それに対する立場を異にするやはり国を思う意味のつかさ、つかさがあるわけでございます。私の立場とは違いますが、どうしてもその辺がやはり妥結できない難点でございます。私どもはそういう点を一つでも現実に打開しようと思う最後の方法といたしまして、それならばひとつ完全実施をするために隘路をシラミつぶしに打開していこうじゃないかというのが、注一に掲げましたものでございます。それで私どものとりました立場並びに主張いたしましたことにつきましてもどうぞ御了承をいただきたいと思います。
  106. 山崎昇

    山崎昇君 これは大蔵省にももう一ぺん聞きたいんですが、六百四十億出すのに所得税はどのくらいになりますか。それからもう一つお聞きしますが、きょう午前中、行政管理庁長官に聞いたら、現在で七千四百六十八名の欠員がありました。しかし、給与予算にはこれを含んで予算は組んである。したがって、私からいえば七千四百六十八名の人件費は残念だけれども——タコの足を食うようだけれども浮いている。一人年間かりに百万と計算しても七十四億は浮く計算になる、算術計算でいえば。そうすると、私はそういうことをやれという意味ではありませんが、ほんとうに政府がやろうとすれば、税の自然増収やら、いまの予備費の問題やら、所得税を差っ引き支給する現金操作の問題やら、あるいは行政管理庁長官は、これは来年定員からは落とすというわけだから、七千四百六十八名の欠員の人件費の浮く問題やら、いろんな点を考えたら、七月実施や六月実施ができないという計算にならない、どうしてもならないんです。だから、その点は大蔵省の政務次官もきているわけだから決心してください、これだけは。私のほうは具体的に質問しているわけです。ぼくの言うことが違う、それはそんなこと言ってもできないというんならできないでけっこうです。しかし、私も公務員をやったから、予算の編成も支出もわかっておるつもりだ。どうして、端的に言って七月実施をするのに五十七億くらいの金が出せないのか、もう一ぺん聞かしてください。
  107. 二木謙吾

    説明員(二木謙吾君) いまいろいろと数字をあげてのお尋ねでございますが、さきに主計局の次長が申し上げましたように、財政上は非常に窮屈にあるわけでございます。それで、税の伸びもいまお説のとおりに、七月までの実績を見ますというと一・一%昨年よりは伸びているわけでございます。まあ税の伸びもこれから所得税、法人税というものは伸びると思いますが、酒税その他がいままでを比べますと昨年よりは下回っておるという状況でございますので、いま何千億伸びるということははっきり申し上げることはできませんが、まあ伸びがあるということは私どもも申し上げられます。それですから、税の伸びもあるじゃないか、予備費もまた使い方があるのではないか、公務員の五十億の金ぐらい出せば出せぬことはないじゃないか、こうおっしゃるのはごもっともであると考えますが、しかし、現在財政の事情を考えてみましても、本年四十三年後においても一部は公債をもってまかなっておる、こういうような状況でございますから、税の伸びがあれば公債に振り当てる、減額に振り当てる、あるいはまた現在やはり所得税についても中堅サラリーマンの税が比較的高いからそれを減税せよ、こういうような問題もございますし、いろいろ諸般の事情を考え、あるいは災害復旧費の問題等諸般の財政状況等勘案して、まあ気の毒であるが、昨年同様八月実施にしてもらいたいということが閣議の決定であろうかと私は考えておる次第でございます。
  108. 山崎昇

    山崎昇君 所得税は幾らですか。
  109. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 二つ御質問がございましたのですが、初めの所得税が幾らかという点につきましては私実は専門でございませんので、ここで正確な数字を申し上げることはできません。主税局のほうに聞きまして後刻先生のほうに御返事申し上げたいと思っております。  欠員の問題でございますが、先生御存じのように、今度の予算編成に際しまして、三年間に五%の定員削減していくという方針を立てました。ただし、これはあくまで欠員の不補充でやっていくという方針にいたしております。したがいまして、三月の末に一挙に欠員が出るわけでございませんので、徐々に出ていく欠員を埋めないでいきましてそういう目標に達成いたしたいと、こういうことでございます。したがいまして、予算上もある程度欠員が翌年度に備えましてつくられていくということを前提としまして予算の編成を行なっております。ただ、現在の欠員がその予算に見込みました欠員よりやや上回っているんではないのかと思います。それで、どれだけ給与費の中で給与改定に充て得る額が出るかということを現在鋭意検討いたしております。去年そういう形で給与費の不用を給与改定に充てることができました金額は約三十億円でございます。したがいまして、本年度もそういった欠員によりまして、予算上ある程度は見込んでおりますが、それをこえる欠員がある場合には、給与費の中から給与改定に充て縛る額がある程度出るであろうということを期待いたしております。去年はその金額は三十億円でございましたので、まず三十億円、あるいはそれを多少上回る額を期待できるのではないかというふうに考えております。
  110. 山崎昇

    山崎昇君 いま大蔵省から説明がありましたが、これはきょう午前中に委員会で、ほんとうは二万六千二百六十一名の定員を削るんだが、ことしはすでに、四十二年度の末で七千四百六十八名の欠員があるから、これはもう落としまして、一万八千七百九十三名を来年から三カ年間で削りますというのが午前中の答弁なんです。だから、これから七千四百六十八名に来年の三月になるなんという数字ではないのですね。すでにもう欠員がある、こう言うのです、行政管理庁は。したがって、私は予算上には組まれておるのに、欠員としてあって、欠員不補充で済まなくて、さらにこれを定員から落としますと、こう言うのですから、それだけの人件費は当然なければならぬです。それからあなたは、主税局でないから所得税は言わないと言うから、それはしかたがないと思う。しかし、以前に私が聞いたところは、おおむね一〇%ないし一二、三%になる、あるいは大蔵省が予算編成のときに所得税の収入というのを大体一二・四%くらいに見ておるはずなんです。そういう趨勢から見れば、当然、公務員のこの所得税についても、最低限見積もっても私は一〇%ぐらいであろう。しかし、これはタコの足を食うことでありますから、いいことではありませんが、しかし、少なくとも政府が人事院勧告をほんとうに尊重しよう、一カ月でも前進さしてやろうというならば、数字がないということには、金がないということにはならない。いま私から指摘しただけで、かりに一〇%だとすれば、現金操作は、これは六十億要らないのですから。それにかりに七千四百六十八名の欠員があって、半分の人件費だとしても三十億ぐらいは人件費は浮きますよ。これと合わせただけで、すでに九十億ないし百億は公務員みずから労働強化をやっても金は出てくる。さらにお聞きをすれば、自然増収が出ることはそれは常識だと、こうおっしゃる。それに予備費は、先ほど聞いたら、まだ百三億ほどしか使っておらない、実際には千九十何億残っておる。予定されるのはいま聞きました。しかし、これはあくまでも予定だから、ことしも去年同様の災害が起きるとは限らない。そういうふうに私は考えたら、しつこいようだけれども、かりに七月からやろうとすれば、わずか五十七億の金が出てこないなんということにはならない、どうですか、総務長官。それでもあなたはこの金がないと突っぱりますか。また大蔵政務次官は、これだけ私のほうで具体的に述べても——私の言っていることが誤りなら誤りだと言ってください。誤りでないならば、数字がある、金がある。もし金があって、あなた方やらないとすれば、尊重どころではないです。どうやって去年のように八月実施にしようかということだけ一生懸命やっているということになっちゃう。そして公務員だけ責めるというやり方はナンセンスだ、それこそ、私の指摘していることが誤りだというなら、具体的にこの点で誤りだということを指摘をしてください。私はどうしても納得できない。私どもは何も計算する部下を持っておるわけでも何でもないのだ、大ざっぱにめどだけ言っても、いま申し上げたような数字はあるわけです。否定するなら、否定するだけの理由を具体的に述べてください。
  111. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 先ほど申し上げましたように、給与改定を八月から実施するに要する額は六百億余り要るわけでございます。先ほどの災害の見込み、それから災害と公務員給与以外の予備費の使用見込み額というものは七百十億ぐらいになるわけで、そうしますと、差し引きいたしますと四百九十億円程度しか残らないということになりまして、その六百億余りとの間には相当な開きがあるのでございます。先生の御指摘のように、給与費の中からはある程度不用額を見込まれると存じます。去年のその額は三十億円程度でございましたが、ことしもその額、あるいはそれ以上を私たちは期待いたしております。そういたしますと、予備費の中で全体を処理をしようとすれば、たとえばその給与の不用額が三十億円出ましても、まだ相当な不足額が見込まれるわけですが、それは先生の御指摘のように、災害の問題とか、あるいは予備費の使用見込み額についても、さらに精査すれば、そこまで押え込み得るものがないかということを今後努力をしていくということでございます。で、あとのももちろん給与改定をいたしますと所得税はふえると思います。それから税収も好況、政府見通しよりも経済の成長が多少上回っておりますので、ある程度の自然増収が期待できると考えるのが常識的かと存じます。しかし、それは、こういう時期にこそ現在の六千五百億もの、あるいは一〇%をこえる国債費への依存というものをできるだけ縮めていきたい、そうしなければ、また四十年、四十一年ころの不況期がもし参った場合には、財政はそれに対処することができないという事態になろうかと存じます。したがいまして、総合予算主義のもとに、もし税収が予定を上回りました場合には、これは仮定の問題でございますが、やはり現在一〇%をこえている国債依存率を引き下げていくのが財政施策として適切ではないかというふうに考えております。
  112. 山崎昇

    山崎昇君 それは、自然増収を国債の減額に充てるというのは政策ですから、これはあなたからすぐいいとか悪いとかいうことを私は聞いても無理だと思うし、そこまでは責めるつもりはありません。しかし、いまあなたの説明だけ聞いておっても、七百十億ぐらいこれから予備費がかかるであろうと言う。それから、すでに給与費として六百四十億余り見ておるわけですね。そうすると、私はそこでまたふしぎになるのだが、このまま足したなら、千二百億の予備費じゃ間に合わないじゃないですか。その場合に、じゃ補正予算を組みますか。だから、だんだん聞いていれば、この六百四十億も必ずしも、見込みですから、どうなるかわからない。二百五十億も精査すればもっと減るのではないか。そうすると、私はいま出ておる現実の問題を処理するためには、なぜ五十七億や六十億くらいの金が使えないのかどうか、精査したらそれが出ないのかどうか、そうなると、また見込みの問題になると思う。私はほんとうに政府が人事院勧告を少しでも前進させるというほんとうの意味で誠意があるならば、やれないことではないのじゃないですか。いま主計局次長の説明を聞いておっても、このままいったら千二百億をこえちゃうですよ、政務次官。そうすると、補正予算を組みますか、自然増収があるのだし。また、かりに自然増収が出て国債を減額するということになれば、予算全体の問題になってきます。歳入歳出の問題になると思う。政策の問題になってくると思う。それはここの場の議論ではありませんから、一応除いたとしても、私はどうしてもこの数字を固定しなければならぬという理屈にはならない、閣議決定でやった八月実施がどうしても曲げられないという理屈にはなってこないと思うのです。どうですか、長官
  113. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) 財源の問題についての見方は、やはり立場立場がございます。私は公務員給与を完全実施しろという立場で要望する側でございます。そういう観点から見ますれば、先ほど来申し上げておりますように、財源論につきましても、不可能とは思わないのでございますけれども、しかし、財政当局という立場、あるいはまた経済企画庁等の経済政策という立場、さらにまた自治省といったような国家財政と地方財政というふうな立場、おのおのやはり立場立場を異にするものの総合的な協議が七人委員会でございます。そういう点で種々論議を尽くしましたが、遺憾ながらああいうふうな結果に相なったわけでございます。
  114. 山崎昇

    山崎昇君 どうもこの問題ばかりやっていると話はとっても進まないんでね、そこで、これは大事ですし、来月の九日にまた当委員会がありますから、したがって、それまでの間に私のほうの主張点に基づいて二百五十億、さっき説明のありました各省の問題も精査したらどれぐらいに減るのか。それから、これは仮定の問題でありますが、いま聞いてみると、どうもことしの災害はこの程度でないかという意見もある。しかし、いつ起きるかそんなことわかりませんが、いずれにしても四十年から四十二年までの三年間の実績平均の四百六十億というんだが、それがもしかからなかった場合一体どうされるのか。そういう点を含めて、財政問題について、私もこの次の委員会までにまた別の角度でお聞きをしますが、ひとつ検討願って、そのときに御答弁を願いたい、こういうことにして、この問題ひとつ前進をしたいと思うんです。  その次に私はお聞きをしたいのは、人事院の総裁にお聞きをしたいんです。きょうの新聞を見ると、先般の閣議決定に基づいて何か閣僚協議会と人事院総裁が入られて、来年度以降、勧告制度そのものについて改めたい、あるいはどういう方法をやったらいま議論されておる完全実施と予算の問題がうまくいくのか等々の問題についていろいろ協議をされているようであります。お聞きをしますというと、何か事務レベルの協議会もあっていろいろやられていると思うんですが、できれば問題点等を明らかにしながら、討議をされている内容についてひとつお知らせを願いたい。なお、きょうのこれは毎日新聞でありますけれども、何か人事院は条件づきで賛成をしたと、こう報道されているんですが、もしもそのとおりだとすれば、どういう点について条件がつけられて賛成をされたのかも含めてひとつ御説明願いたいと思います。
  115. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) いまの閣僚懇談会につきましては、とにかくこれは人事院の勧告を完全実施できるようにひとついろんな面から考えようという御趣旨でありますから、私どもの立場としても、これは率先喜んでそれに加えていただいて検討をしようというかまえでおるわけです。ところが今回の——これはまあおととしですか、前からこういうことをやられておるわけです。今回の場合は、これは御承知のように、第一回の初顔合わせがございまして、人事局長なり、あるいはその際私からも、一応従来の人事院の考え方を御披露したという程度でございまして、まだ内容には入っておりません。したがって、これから先の問題でございますけれども、いまお話が出ましたし、私どものその関係における気持ちをこの際御了解いただいておくのも悪くないことだろうと思いますので触れておきますが、要するに、いま申しましたように、これは何年か前から同じような検討のための機会が設けられて、私どもも、私も加わって、ああでもない、こうでもないと、いろんな案を練って検討してまいったわけでありますが、これは当時そのつど新聞にも出ておりますように、名案なしということで、やむを得ないから現状でいこうということできておるわけであります。したがいまして、今度の閣僚懇談会に臨みますについても、かつて閣僚懇談会で、これは名案とは言えない、欠点があるということでもう没になったものを今度蒸し返してやられるということはおそらく私はないと思います。そんなことはまああるはずがない。ですから、いままで思い及ばなかったような飛躍的な名案がここに期待される。これは私どもとして、人事院のもちろん同意し得るものであれば大歓迎なんです。その意味で期待を持っておるということであります。  そこで、第二段の問題として出てきますのは、たいへん比較的な言い方でありますけれども、かりに飛び切り上等の名案が出なかったらどういうことになるかという話がまた出てき得るわけなんです。それは現状維持ということに結局なります。そうすると、現状維持と申しましても、今回の、ことしの予算から始められました総合予算主義というものがあって、私どもはこれはどこの委員会でも、確かにこれは前進であると言って、総合予算主義そのものには賛成してきておるわけです。違憾ながら実績を見ると、いま御追及ありましたように、まあ話は飛びますけれども、ことしの参議院の予算委員会でしたか何でしたか、予備費は千二百億あるそうだ。この中にはおそらく鯨が泳いでおるだろうということを申し上げて、足りなければ補正予算をということを申し上げて、その意味で賛成だということを大きな声で申し上げた記憶がありますけれども、実績は閣議決定がおありになっただけで、国会に対する勧告はどういう成り行きになりますか、これはわれわれとしては刮目してその成り行きを待っておりますから、判断は早過ぎますけれども、政府段階の御決定ではちょっと当てのはずれた感じ。そういうことから申しますと、その点は大いにいままでの芽ばえを盛り上げていただきたいというような気持ちがそこにわれわれとしては浮かんでくる、これは当然だと思います。そんな気持ちをいま持ちながら、この問題に臨みつつあるというのが実際でございます。で、毎日新聞でしたか、何新聞でしたか、けさの新聞に出ておるようなことは、いま申しましたような一環のことが基礎になっておるわけで、まだ話も出ないのに、条件つきで賛成もへったくれも、それは実態がないわけでありますから、気持ちはそういう気持ちをおそらく記者の方が汲み取ってお書きになったのじゃないかとは思います。そういう程度だと思います。
  116. 山崎昇

    山崎昇君 これは総理府の人事局長でもけっこうなんですが、何か事務レベルですでに過去二回やられて、あした三回目の会合をやられるというようでありますが、その中で事務レベルではどういう点が主として議論されておるのか、そしてその議論は大体どんな程度までいっているのか、できればひとつ御説明を願いたい。
  117. 栗山廉平

    説明員(栗山廉平君) ただいまお話がございましたように、最初に六日の日でございましたか、関係閣僚と人事院総裁の初会合がございまして、ここで従来の経過を私のほうから御説明を申し上げたわけでございます。ただいま人事院総裁おっしゃいましたように、人事院の従来のお立場、あるいは実際にこういうことをやっておりますという点につきましては、人事院総裁から御説明があったわけでございます。それで関係省庁の事務レベルと申しますか、先ほど総務長官も申されましたように、事務連絡と申しますか、まあ幹事会と俗称で申しておりますが、それの会合におろしていただきまして、すでに三回いままで検討をいたしておるわけでございます。さらにまた、いま先生おっしゃいましたように、明日をまた予定いたしております。先ほどから、るるお話もございましたように、こういう点につきましては、すでに数年にわたりましていろいろと検討が加えられておるという事実がございまして、いま人事院総裁おっしゃいましたような飛び切り名案といったようなものはなかなか出ないわけでございます。しかし、事務的にいろいろもう一ぺん詳しく、まあ各省の立場もございますけれども、完全実施の方向に向かって検討を加えて問題点をもっと煮詰めまして、何とか折り合えるような点はないものかという点につきましての突っ込んだ、何といいますかフリートーキングをずっと続けているわけでございます。もちろん事務レベルでは完全に煮詰まった案というものが出るのは従来の経緯から見ましておそらくなかなかむずかしいというふうには感じられますけれども、なるべくこれを煮詰めるようなところに持っていって、最後にこういう点が一番の壁であるというところまでできれば持っていきたいということで鋭意検討いたしておるわけでございます。経緯としましては、従来、数年にわたっていろいろ出ました案がやはり基礎になりまして、それについてのいろいろの利害得失と申しますか、長所、欠点といったようなもの、それに対してどういう観点からどういうように考えていったらいいかというような自由な意見の交換をいたしておりまして、なるべく前向きの方向の態度で検討していきたいということで、目下鋭意検討いたしておる最中でございます。
  118. 山崎昇

    山崎昇君 そうすると、あれですね、きょうの毎日新聞のこの報道は誤りだということになりますね、そういうように考えていいですか。
  119. 栗山廉平

    説明員(栗山廉平君) ただいま私が申し上げましたように、従来いろいろな案が出てございます。その案をもとにいたしまして、広い見地から広い意見を出し合っているところでございまして、人事院がこういう態度であるということを御証明になるというようなことは、いままで実はなかったわけでございます。
  120. 山崎昇

    山崎昇君 人事院総裁にお聞きしますが、この毎日新聞の報道は誤りですね、これは。確認しておきます。
  121. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 誤りということばを使わないように、さっきえんきょくに、こういう考え方の基礎になっておるだろうということを申し上げたわけなんです。ただし、たとえば人事院が態度を決定したという文字がありましたですね。たしか。それは私、人事院の末席に連なっておりますけれども、そういう態度を、会議を開いて御決定になったということは、つゆ知りませんでした。
  122. 山崎昇

    山崎昇君 そうすると、あれですか、トップの人が末席と言われると困るんだが、こういう内容については、人事院は検討はしておるが、条件つきにしろ何にしろ、賛成した覚えはございません、そういうことになりますですね。人事院総裁どうですか。私ども新聞より知る方法がないのですよ、あなた方の議論というのは。そこで、やはり残念でありますけれども、新聞報道を見ると、人事院がすでに賛成したと、こう報道されるものですから、ほんとうは内容について、二十八条の条文から始まって少し聞こうと思ったら、ところがそうでないと、あなた、こう言うのですが、この内容については、人事院としては検討しておる、こういうようなことについて検討をしておる、こういうことですか。
  123. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) さっきから雑誌の記事だとか新聞の記事だとかを手がかりにお尋ねをいただいておりますけれども、単刀直入にこれはこうだ、あれはどうだと、こう追及されれば、もう全部私どもの考え方をお聞きいただく絶好の機会だと思いますので、時間のたつのも超越してこれは申し上げます。それで、いまのお尋ねですけれども、結局は先ほど申しましたように、何年来これは閣僚協議会で私も一緒になって検討してきました。その中には幾つも案が出ました。出ましたけれども、これはむずかしい。大体、法律を、給与法を改正しなければできないようなものが多かったですから、これもだめ、あれもだめ——だめという表現は失礼なんですけれども、これも望ましくない、あれも望ましくないということで、いままでの段階で残ったのは、要するに、財政上十分な措置をすること、これはもう当委員会でもたびたび附帯決議で御決議いただいたことでございます。これはわれわれとしても、もちろん望ましいことです。今日までの段階ではそれにずっと集中している。これでいくほかあるまい。これでひとつお願いしたい。そういう態度できたわけです。そこで、先ほど触れたお話につながるわけです。そこで総合予算制度で、予備費か何か知りませんけれども、ちょっとでも見てくださると、実はそれはちょっとであったわけですけれども、それの芽ばえを置いていただいた。そこで財政上十分の手当てをするとおっしゃることは、それをどんどん伸ばして、枝を張り、葉を茂らすということにつながるわけでありますから、それはけっこうだということは、前から私ども基本的に考えていたわけです。ただ、いま飛び切りの名案が出てくるかもしれない。それはそれとして期待をしつつ、それが出なければ、やはり財政あるいは財源上の問題として処置をしていただくほかにあるまいという一連の流れのもとに今度の記事も出ておる、これはそのとおりだと思います。
  124. 山崎昇

    山崎昇君 そうすると、総裁、どうしても私どもこういうものでしか知り得ませんからお聞きをするのですが、いずれの報道を見ても、解説を見ても、予備勧告制度ということばを使われるのですね。これはどこからそういうことばになるのか。これは総裁の見解をお聞きしたいのです。
  125. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) これはまことに適切なお尋ねであると思います。予備勧告ということばが一体どこから出たのか、先ほど申しましたように、二、三年前からの研究の段階で、ある種の案をとらえて予備勧告ということばが出たのではなかったかと思いますけれども、いま平たく予備勧告という名のもとに扱われておる考え方を見ますと、これは御承知のように、新聞の記事によるというと、同じソースから出た記事——これは人事院のソースから出たのではありませんけれども、同じソースから出たと思われる記事が、各新聞によって違ったニュアンスで出てきておるわけであります。そこにやはり予備勧告ということば自身の非常に不正確さ、危険さがある。で、予備勧告賛成なんと言われても、私どもは、ものによっては絶対反対の予備勧告もあり得るわけであります。それでいま思いつきますことは、予備勧告の名において考えられておる二つの考え方があるのじゃないか。一つは、これは昔からあった考え方ですけれども、人事院が過去にさかのぼってどうこうと言うのは困る、そこで来年四月以降のいろいろな賃金情勢その他の経済情勢を人事院が予測をする、そうして来年四月から何%上げてくださいと、もういままでやっておるような給与勧告のような形で予算編成前にやったらどうだという話がある。それがほんとうのかっちりした意味の予備勧告ということになりましょうが、なぜ予備と書いてあるかというと、おそらくこれはよけいなせんさくでありますけれども、一応それでやろう、そうして法案を通常国会に出して予算も一緒につける。これは予測でありますから、そこで人事院はいままでどおり四月調査でもう一ぺん本調査をやりなさい。やって本勧告をやりなさい。そうして前の第一次の措置じゃもう少しこれは上げ足りなかったというなら、これは今度は本勧告でまた調整をするというような二段階の考え方というものが前提になっておる。だから、その意味での第一次勧告を予備勧告ということじゃないかと思います。これは私が言ったことばじゃないですから、世間にいわれておるのはそれじゃないか。それが予備勧告の一つなんです。もう一つは、予算の財源をとっていただきたいという意味の単なる財源上の措置として、いままでは人事院が全部ストレートにおまかせしておったわけでありますけれども、それを何か人事院から呼びかけて、ぜひこれだけの財源はとっていただきたいという形の呼びかけを、勧告の形になるかどうなるか知りませんけれども、それは別として、財源保留上の要請をしていく。どうもきのうの新聞の記事を見ますと、この二色の考え方が同じ名前のもとに見られておるのじゃないか。これは推測でありますけれども、そういう気がするということを申し上げておきます。
  126. 山崎昇

    山崎昇君 そこで総裁、少し技術的なことをお聞きすることになると思いますけれども、国家公務員法の二十八条の第一項の勧告と第二項の勧告、とどういうふうに違うのか。それから財源の問題だけだということになれば、これは政府考えることであって、財源の留保について人事院がとやかくすべきものではないのではないか。第一にそういう点が私どもわからないわけでありますね。それからかりに財源を保留をせいということについても、俸給表について具体的に変更させなければ、これは一体、第一項の勧告なのやら第二項の勧告なのやら私はわかりませんけれども、勧告という限りにおいては、そういう具体的な内容が入らない限り意味がないのではないか。単なる報告ではないのだろうか、いまの俸給表がいいとか悪いとか。だから予備勧告と言おうが何勧告と言おうが、第一項でやられるのか第二項でやられるのか。しかし第二項は、これは明らかに五%以上変更する場合の勧告になって、いまやっておる勧告なんですね。そうだとすれば、かりにこの新聞報道等にありましたことをあなた方議論しておるとするならば、いま定義のありました予備勧告というのは第一項なのかどうなのだろうか。第一項だとすれば、これは政府に対することではないのですね。第一項に、ここには内閣なんて書いてない。国会が変更する場合に人事院は勧告を怠ってはいけませんよ、しなさいよということであって、そうすると、いまあなたの言っている予備勧告にしろ、どういう性格のものになってくるのか、どうも私はこの二十八条と関連してわかりませんから、もう少し説明願いたい。
  127. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 私も正確なところは何もわからぬと申し上げたほうが率直だろうと思います。先ほど申しましたように、そういう話が閣僚の懇談会か何かで出てきて、一体どうだと、ちょうどいまお尋ねになるようなことがあれば条文とも照らし合わせた上で研究しましょう。方向としてはあまりわからぬとも思いませんけれども、なお法律的に検討しましょうと言って引き下がって勉強するつもりでおったわけです。たびたび申し上げますけれども、きのうの朝、各新聞に出たのは人事院から出たあれじゃないのですから、どこか違うところから出たソースなんですから、それをあまり微に入り細にわたってお尋ねになりましても、私どもとしてはこれから出る問題だなあという気がまえでいるということだけははっきり御了解願っておきたいと思います。
  128. 山崎昇

    山崎昇君 あなたのことばじりをつかまえるわけじゃないけれども、あなた、いいことを聞いてくれたと言ったから、絶好のチャンスだとあなた言うから、だから私は法律上のことについてお聞きしているのです。ちょっと取り違えないでほしい。  そこで、それはあなたのほうから出したことじゃないのかもしれぬけれども、やはりこれを見ると、公務員の人だっていろいろ疑問点がある。こんなことをやっているのかということにもなる。だから、私は当然こういう機会でなければ私はあなた方の真意を聞くことはできないし、誤った報道だけでものを言ってはいけないから、だから、いまつけ加えて二十八条の第一項と第二項に関連してあなたの見解を聞いているわけです。だからもう少し、これにこだわらなくてもけっこうですけれども、その第一項と第二項とは一体事実上はどういう違いがあって、それからもしもこれから内容的なことをあなた方が検討されるとすれば、二十八条との関係がどうなってくるのか、この機会にもし述べられれば述べてほしい。
  129. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) いいことを聞いていただいたと申し上げましたのは、勧告制度がいま方々の論議の関心の対象になっているときに、非常にいまの予備勧告か何か、予測勧告か何か知りませんけれども、ことばづかいが違っておって、それをめぐって人事院の真意がどうであるかと即断されてははなはだ心外ですから、その辺のことを皆さんには申し上げたほうがいいというので申し上げたわけであります。ただし、それから先へ深入りして、二十八条がどうのこうのということは、六法全書がいまここにきておりますけれども、これを見て私はこう思いますということを申し上げるだけの自信も何もありません。
  130. 山崎昇

    山崎昇君 私どもがこういう委員会で聞けば、検討中だとか、いま申し上げられませんとかと言うが、事実は進行して、事務レベルでも何でもどんどん、それはいずれの場合でもそうです。そうして私どもが聞いたころにはそうなりましたということになる。だから、私は新聞をまるきり全部信用するということを言っているわけではありませんが、かなり、これだけ断定的なことが出ればよほど進行しているというふうに私ども考えてあなたに聞いているわけです。しかし、いま公式にあなたから、内容的なことはわれわれも考えているけれども、そうじゃないと、こう言うのだから、なお今後も検討すると言うのだから、それを信用してきょうは一応おさめておきたいと思う。  そこで今度は少し勧告の内容について聞かせてもらいたいと思う。それはほんとうはノート一冊くらいあるのだから詳細に私はこれは聞きたいのです。そこで人事院総裁にお聞きしたいのだが、しぼって聞きます、もうだいぶ皆さんのほうからいや気がさしたような顔が出ているから。第一は、あの勧告を見ますというと、民間の春闘の四月に遡及した分を二・六%くらい見ているのですね。そこで五月に実施したところもあれば、六月に実施したところもあれば、あなた方で調査されなかった部分もあると思う。そこでお聞きをしたいのは、二・六%だけ入ったが、入らない部分ですね、どのくらいあると推定されるのか。私がそれをお聞きしたいのは、公務員については民間の賃金を土台にしてきめているのだが、春闘の成果の入らぬ部分はまるまる一年間公務員についてはあけっぱなしになるのですね。ですから、そのあけっぱなしになる部分がどれくらいあるのか、その点からまずお聞きをしたい。
  131. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 御承知のように、以前は春闘は大体早目に完了しておりまして、さればこそわれわれとわれわれの先輩が四月調査の原則を打ち立てたのだろうと思いますが、私が総裁になりましてから、どういうかげんですか、これがだんだんとおくれてまりまして、その関係から、いま御指摘のように、積み残しを一年おくれにするとは何事だと、何か私が春闘の時期をおくらせたように思われんばかりの攻撃を受けておったわけです。したがいまして、考えてみると、私どもの責任ではありませんけれども、しかし困るのは公務員諸君なんですから、やはりおくれが非常に著しいという場合はできるだけの手をやはりそのときの勧告で打つべきだということで、これは私としては大英断だったと思います。当時は皆さんから拍手かっさいを受けた覚えがございます。そこで春闘の積み残しということを拾えるだけ拾おうということでまいりまして今日に至っておるわけであります。したがいまして、それが精密なる調査でやれるはずはないので、大まかだと言えば大まかです。しかし、やらぬよりはいいでしょうということで今日まできておるわけです。そこで来年度にどのくらいに持ち越されるか。ことしの場合は私は非常に拾い方がよけい——あまり漏れるやつはないと思いますけれども、これもたびたび申し上げたと思いますけれども、翌年の官民格差というものでそれが出てくる、決算の形で出るわけです。翌年の官民格差が少なく出れば、なるほど前年度分はだいぶ消化してあったということで、われわれその観点からも格差をずっと見てまいりましたけれども、御承知のように、それをやり始めてから大体五・何%でございますかですね。来年の場合どのくらいになりますか、そんなに残らないのではないかと思っております。それ以上のことは、これは何も、事柄が事柄だものですから、精密なことはこれは申し上げられませんですけれども、できるだけ拾おうという気持ちでこれに臨んでいることだけは御了承願いますということです。
  132. 山崎昇

    山崎昇君 総裁の答弁で私も満足するわけじゃありませんが、ただ、あなたのほうから出された資料を見ると、数字で計算されているのですね。たとえば二二・七%平均上がっておって、それに二四・三%くらいはさかのぼって支給したであろう、そして二・六%という数字を出している。そうすると、私は逆に言えば七五・七%としては何も入ってないということになると思うのですよ、あなたの数字が出ているのですから。ただ、あなた方がある程度の推定でこの程度だというのならこれはともかく、きちんとしてあなた方算式を出しておるわけだから、そうすると、残った七五・七%くらいの数字が一体どのくらいのパーセントになるかということはどうしても私ども聞きたい。資料を出してほしいということを言えばなかなかむずかしいでしょうけれども、それがどのくらいになるのか。推定でいいからひとつ給与局長でもいいから。なぜかというと、いま総裁は、来年の官民格差に出てくるというけれども、八月実施になればまるまる一年間公務員は何もこれは適用にならないのです。だから春闘で上がった分は二・六%しか公務員に入ってこない。民間賃金というものは正確に公務員にははね返ってこない。そういうことがあるから、一体どれくらい積み残っておるのか。給与局長でもけっこうです、大ざっぱでもいいですから教えてもらいたい。
  133. 尾崎朝夷

    説明員(尾崎朝夷君) 人事院といたしましては、四月現在における官民の格差を調査するということで、四月分として四月に支払われた額に調査が行くわけでございます。しかしながら、その際に、この調査は実際問題としては五月の休み明けから六月十五日までの間に行って調査をするわけでございますが、そのインタビューをした場合に、四月分としてさかのぼって支給されるということがはっきりきまっておると、その時点においてきまっておるという事業所がございました場合には、先ほど総裁の申されましたような趣旨でとらえまして、それを加味するということをいたしておるわけでございまして、わがほうの調査員が、そういう事業所がございましたらすべてとらえまして、行った場合に、そういう事業所がございました場合には、それは全部とらえるということで、ことしは二四・三%の事業所がそうであったということでございます。
  134. 山崎昇

    山崎昇君 だから、あなたの言うことはそれで私は理解をするのですよ。だからね、私の聞いているのは、二四・三%だけはあなた方が調査して入ったというのだ、だからほんとうは、それじゃそうでなかったものはどれくらいで、五月ではどうで、六月ではどうでと、ほんとうは聞きたいのだけれども、そんなことをいまここで詳細に聞くことは省略して、あなたのほうで数字を出しているから、ほんとうの積み残した分はどれくらいと推定されるか、わかったら教えてもらいたいということを言っているのです。さらに、ほんとうはこの数字について聞いておきたいのですが、なぜ一回分の昇給をはずして計算するのか。公務員だけ年三回の昇給計算をされる。民間は四回の昇給で計算されているのです、この算式からいえば。そういう点についても私はこまかに聞きたいのだけれども、そういう時間がないようだから、大まかでけっこうですから、二・六%だけ見ているけれども、それが二四・三%、ひっくり返してこれを見れば、全部民間がかりに何がしかの賃上げをやったら七〇何%のものは入ってこないことになるのだから。そうでしょう、だからそういう意味で、それらがどのくらいに該当すると思われるのか、推定してひとつお知らせ願いたい。
  135. 尾崎朝夷

    説明員(尾崎朝夷君) 調査のしかたはただいま申し上げたとおりでございまして、実際に調査をいたしました事業所の中で、四月分、四月にいわゆるベースアップをしまして、四月分ですでに支払われたというものが三割ぐらいございます。それ以外の事業所につきまして追い払い、それ以外の事業所につきまして、すべてが何といいますか、いわゆる春闘でやっているわけじゃないわけでございますけれども、何割かの事業所が四月に支払われたというものと合わせまして、いわゆる春闘という形で春季に給与改定をしておるということがございまして、その残りの事業所の中で、実際に四月に追い払いされたという事業所につきまして調査員が行って確認したものはすべてつかまえまして、それが二四。何%でございます。それは事業所数でございますから、大きな会社はたくさんの事業所を持っておりますから、そういう関係はむろん入ってきておるわけでございますけれども、そういうものを含めまして二四%が入ってきておる。残りのものにつきましては調査員が行っておりませんので、そういう関係が明らかになっておらないということはございます。しかしながら、行ってつかんだものはすべてその割合を全部入れておるということでございますから、統計上のいわゆる操作といたしましては相当のものが入っておるという気持ちではおるわけでございます。
  136. 山崎昇

    山崎昇君 私は厳密なことをあなたに尋ねているわけじゃないのだ。なぜなら、それじゃあなたは基礎数字になっている一三・七%というのはどこから持ってきました。これは労働省発表の春闘全体の上がった相場を出しているじゃないですか。そういうものを基礎にして、そしてあなた方はやっているんでしょう。これは一三・七%はどこから持ってきましたか。
  137. 尾崎朝夷

    説明員(尾崎朝夷君) ただいま申し上げましたように、人事院及び地方の人事委員会の調査員が参りまして調査をいたしました際に、四月に支払われませんでしたけれども、その四月に追い払いされるという事業所が二四%あったわけでございますが、それぞれの事業所のいわゆるベースアップ率というものを全部調査をいたしまして、その平均が一三・七%ということになったわけでございます。これはたまたま労働省の調査の結果が一三・五%ということとまあ近くなっておるということはございます。
  138. 山崎昇

    山崎昇君 これはあとで私資料をもらいに行きます、調査したところ。それからあなたに幾ら聞いても、幾らぐらい積み残っているのだということをなかなか言わないのだけれども、もちろん調査していないから言えないのだと思うのだが、これは少なくとも私はやっぱり推定でもいいから出してもらいたい。というのは、公務員から言わせると全く入らないからね、民間賃金上がっている分が。ですから、そういう意味で後日にまたあなたに聞きますが、そういう点を指摘をしておきたいと思います。  その次にお聞きをしたいのは、昭和三十三年までですね、この賃金数学上で言えば三つの方式があるわけだけれども、三十四年からラスパイレスに変えているのですね、三十四年から。そこで聞きたい一点は、なぜラスパイレスに変えたのかということ、それから私は、まあ本を読んでいますが、こういう高等数学はあまりわかりません。そこで、あなたのほうの出したこの「政府の窓」という本を読んでみると、ラスパイレスについて多少の解説をされているわけですね。それを見ると、ラスパイレスというのは事業所方式ではないのですね、これは。これを見ると、官民格差のやり方というのは、公務員の数に民間給与をかけてそれを民間人員で割っているのですね。そうして差を出しておる。ですから、全従業員の平均を出さなければ官民格差が出てこない。ところがあなたのほうでやっているいまのやり方というのは、事業所方式でやっているのですね、やり方というのは。そこで私は第一にお聞きをしたいのは、なぜ三十四年から、昔はパーシェ方式でやっておったものをラスパイレスに変えたのか。そこで、ラスパイレスで計算をすれば今度の格差の一〇五・四になると思うのだが、これをパーシェでやったらどうなるか。あるいはフィッシャーでやったらどうなるか。これは、昔はね、あなた方三十一年にはちゃんと資料に出しておる。そして、私の見る限りでは、ラスパイレスでやると一番低いですね、当時の資料見るというと。だから、ラスパイレスに変えた理由と、それからラスパイレスの方式を見るというと、あんまりむずかしい算式はわからぬが、この解説によると全従業員方式をとっておるのだが、人事院のやっている事業所方式とどう違うのか。その辺のことを、簡単でいいですからお知らせください。
  139. 尾崎朝夷

    説明員(尾崎朝夷君) 御指摘のように、ラスパイレス式とか、あるいはパーシェ式とか、あるいはフィッシャー式という三つの種類は、物価指数を、物価の変動を測定するために考えられた方法でございます。で、これはいわば、私どもが何といいますかラスパイレス式を使っておるというのは、そういういわば類似しておるということで使っておるということを御了解いただきたいと思いますけれども、現在私どもがいわゆるラスパイレス的な方法をやっておるのはなぜかということを申し上げますと、結局、官民比較をいたしましてその格差を埋めるということでございまして、公務員のいわば一人一人につきまして、たとえば私なら私という人につきましては給与が幾らである、で、それと同じ仕事をし同じ資格を持っておる人が民間では幾らであるかということが違いがございました場合に、かりに一万円違った場合にはその一万円をその人に補充をするという方式でございます。したがいまして、その方式で公務員の一人一人について補充をするという方式でございまして、その平均がまあ三千九百七十三円とか、そういう金額になるわけでございまして、比率とすれば八・〇%ということになるわけでございまして、そういう方式をまあいわば物価指数の算定方式として見ますれば、それはラスパイレス的なものになるということでございまして、ですから、民間公務員との格差を埋めようという方法としまして、それはまあラスパイレス的なものだということでございます。
  140. 山崎昇

    山崎昇君 そうすると、あれですか、この「政府の窓」で言っているラスパイレス算式の説明は、あなたのと少し違いますね。確かに物価変動についてのこれはやり方なんだ。ところが先ほども言ったように、昭和三十一年の勧告の資料を見ると、ラスパイレスで計算をして一〇八・九、パーシェで一一六・一、フィッシャーで一一四・二と、こうなっておる、数字が。したがって、私が聞きたいところは、一番低いラスパイレスにあなた方は三十四年以降踏み切っておる。これはちょうど政治論議で言えば、三十五年以降の所得倍増政策とぼくら関係があるのではないか、うがった見方をすれば。そこで、人事院は物価変動について一番低い方式に変えたのではないかと、こう疑って見ているのだが、そこまで言わぬにしても、過去の計算例で言えばラスパイレス方式というのは一番低いのだ。だからほんとうはフィッシャー方式でやったら今年はもっと高くなっているかもしれません。それは計算してみなければわからないと思うのです。しかし、これから類推すると私はそうなると思うのです。そういう意味で、なぜラスパイレスに踏み切ったのかという理由について明らかにしてほしいということと、それから、これを見ますというと、あなたの言うようなことにはなっていない。これは物価変動のやり方を応用したとは書いてある。しかし、この算式を見ると、公務員給与民間給与すなわちP1を支給したとすれば、これに要する支給総額が幾らになって、実際払われた公務員給与の差を見ますとこうなる。だから私はラスパイレスを使う限りそういう形で一〇五・四というのが出てこなければおかしいのではないか。そうすれば当然従業員方式というものが考え出されるのではないですか。個々の格づけの問題になれば確かに事業所ということになると思いますが、そうではないと考えられるので、私の考えが間違っておったらここが間違いだと指摘してもらえればいいのですが、お聞きをしておきたいと、こういうのです。
  141. 尾崎朝夷

    説明員(尾崎朝夷君) ラスパイレス式でやるかパーシェ式でやるかというようなことは、いわば、何と申しますか、一つの比喩でございまして、その中身はただいま私が申し上げましたようなことでやっているわけでございます。つまり、同じような条件にある人を民間とそれぞれ比較いたしまして、その格差がある分だけ埋めるということでございますから、公務員の一人々々についての格差でございますから、公務員のその平均で割るという、平均をとるというのが当然でございまして、それがラスパイレス式でございます。パーシェ式というのはそれを民間の人間の平均をとるということでございますから、それでは全くナンセンスなことになるわけでございますから、やはりこれは従前の——三十何年かのことについては私は承知しておりませんけれども、やはりやり方としては現在のラスパイレス的なやり方が当然だと思うわけでございます。
  142. 山崎昇

    山崎昇君 これは私ももう少し賃金数学を見てからまたあなたにも聞きますが、三十二年からとにもかくにも当時の資料を見るというと一番低いラスパイレスに変えておることに私ども疑問を持っているので、したがってそれは疑問として申し上げておきたいと思うのです。  その次に、はしょっていきますが、国家公務員法の六十四条によると、人事院の給与のきめ方というのは、民間の賃金と生計費とそれに人事院が必要と考えられる条件をつけ加えることになっているわけですね。そこで従来の勧告をずっと見るというと、一番中心的な存在というのは、民間賃金が土台となっているわけです。それに多少初任給の場合には標準生計費を見てやっている、こうなると思うのです。そこで私がお聞きをしたいのは、いま国家公務員には十六の俸給表があるのですけれども、そのうちの五つについては職種別に比べると公務員が高いと、人事院はこう言うのです。それからあとの五つぐらいについては、民間に比べる職種がない。たとえば公安職であるとか、そういうようなもの。そうすると、十六職種ある俸給表のうち、職種別に比較をすれば十ほどは民間の賃金は土台にしてきめているということにはなってこない。そこで私は、国家公務員法の六十四条にいう、公務員俸給表をきめるにあたって民間の賃金を土台にするとか云々と書いてあるが、実際上は民間の賃金を土台にするということは無理ではないか。そうすれば、人事院は何を土台にして今度の勧告を出したのか、あの俸給表をきめたのか、この点がまず第一です。それから、職種別にはずいぶんいろいろな変動があるのに、全部ひっくるめて合併格差というような名前のようでありますけれども、そういう形で一〇五・四というパーセントを出しておる。そしてそれを職種別に分けて、そして統計別に分けて上げ方をきめておるのだが、それは何に基準を置いて今度のような上げ方にしたのか、私ども資料がありませんのでわからないわけですから、大ざっぱでけっこうですが説明願いたいと思います。
  143. 尾崎朝夷

    説明員(尾崎朝夷君) 給与の官・民間の比較をするわけでございますけれども、その場合に、民間公務員とで両方の対比をいたします場合に、両方に通常あるような職種につきましてはすべて比較をするということがたてまえだろうと思います。そういう意味合いで、現在いわゆる比較職種ということで、特別に比較できない税務、公安等の職種を除きまして、すべて比較をしておるというのが現在の比較のやり方でございまして、もちろんその中には、民間のほうが高いという場合もございますし、それは通常でございますけれども、逆に公務員のほうがやや高いという職種もないわけではございません。しかし、やはり両方に通常あるという職種につきまして除きまして差のあるものだけとるというわけにはやはり比較の方式ではまいらないのではないかというふうに考えておるわけでございます。  それから比較の方式といたしましては、そもそも賃金、給与がどのようにしてきまるのかという関係が重要でございますので、現在の日本の賃金の決定の場合には、やはり職種、それから等級、あるいは学歴、年齢、そういう条件によりまして比較して賃金決定が行なわれますので、そういう条件をもって比較するということにしておるわけでございまして、そういう比較要素につきまして、それぞれ何といいますか、格差というものがあり得るわけでございますけれども、それを全体として提示いたしましたのがまあことしは平均として五・四%というわけでございますけれども、それを職種ごとに一応分解して御説明申し上げておるということでございます。あるいは等級ごとにそれぞれ分解して表示するということも可能でございまして、そういう等級ごとの統計をいたしますと、各等級ごとあるいは職種ごとの官民格差というものが一応平均的な形で出るわけでございます。そういうことも考慮いたしますとともに、それからやはり民間におけるいわゆるベースアップの上下の傾向というもの、こういうものを考えまして、その両者を勘案して公務員内部のバランスということを中心にしてきめるというのが現在の俸給表の改定のやり方でございます。
  144. 山崎昇

    山崎昇君 時間がないそうですからあと一、二でやめますが、いま給与局長答弁がありましたが、そんなことではありませんよ。十六の俸給表があって、そのうちの十の俸給表は比較するものがないのですよ。特に五つについては民間にないですよね。ないのです、比較するといっても。それからあなたのいま言われておる海事職の(一)とか。とか、こういうのは職種でいわば公務員のほうがかなり高くなっておる。ひるがえってあなたのほうの勧告を見ると、こういう諸君の上げ方が高くて、うんと低い医療職のほうがたいして上がっていない。だから、私は何を基準にして職種別、俸給表別にいったら勧告の上げ幅をきめたのかわからぬ。さらに等級別に言えば問題がありますが、時間がないから私はこの程度でやめますが、六十四条の民間の賃金その他人事院の決定する適当な事情——私は今度の勧告を見ると、何に主力を置いたかというと、人事院の決定する適当な事情が中心ではないか。しかし、もっともらしい資料を見るというと、民間の賃金だとか標準生計費とか出ている。現実に私が調べてみたらそういうことにはならない。私が言いたいのは、もうすでに民間の賃金を土台にして公務員の賃金をきめる時代ではなくなってきているのではないかということを言いたいのですが、いずれにしてもあなたの答弁では納得できない。みそもくそも一緒にして、平均すれば一〇五・四という数字になる。そうすれば、何のために俸給表を十六分類しているのか意味がない。そういう意味で、あなた方の出している勧告というものをもう少し資料を出して調べてみたいが、隣から時間がない、時間がないとせっつかれますから、この程度でやめたいと思うのです。九日の日にもう一ぺん技術的なことで詳細に聞きたいと思いますから、きょうはやめます。  最後に、石炭寒冷地手当だけ総裁に聞いておきます。  これも内容的にはたくさんありますが、端的に言って、五等級の十三号以上は全部減額になります、来年以降は。ことしは減額措置がないわけです。それからさらに、私の計算に間違いがなければ、八等級の場合も三年目には赤字に転落する、いままでよりは低くなってくる。その計算を皆さんに申し上げればいいのでありますが、時間がないようですから省略いたしますけれども、そういうかっこうになる。だから、今度の寒冷地手当の勧告というのは、きわめて反動的な、後退した勧告だとまず言わなければならない。これがまず第一。  それから第二は、八月からかりに政府のいうように実施したとしても、五等級九号、なぜ旧俸をとらなければいけないのですか、基礎に。八月からかりに政府がそのように実施したとしても、旧俸給表の五等級の六万七千円の俸給表はなくなっている。新俸給表をなぜとらないのか、二万六千八百円を出したそうですが、なぜそういうことにしたのか、新しい俸給表を基礎にしてなぜ定額のほうを計算しなかったのかなど、これも詳細に聞きたい。  この間北海道に行きましたが、石炭の問題についてずいぶん問題があります。けさのNHKのニュースを聞いておっても、北海道で石炭一トン九千二百円から九千三百円、内地では一万三千円から一万四千円だとけさのニュースで言っている。石油についてもリッター五十円上がった。北海道の人事委員会の資料を見ても、何を基準にして人事院がこういう単価をきめたのかわからぬようなことになっている等々、数多くの問題がありますが、いずれにしても来年以降はかなりダウンするものが出てくる。特に若い諸君もそうだし、上級職もそうだし、扶養家族が多ければ多いほど損する仕組みになっている。こういう寒冷地手当というものはあり得ないと思う。私は人事院がまっ先になって所得政策を導入して政府に迎合したんじゃないかと勘ぐっているんですがね。そういう点だけきょう指摘しておきます。九日の日にもっともっと詳細に聞きますが、いずれにしてもそういう点だけもう一ぺんあなたのほうで検討願っておきたい、こう思って、私の質問は、せっつかれておりますから、きょうはやめます。
  145. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 答弁はそのときでいいですか。
  146. 山崎昇

    山崎昇君 いいです。
  147. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ、時間が相当過ぎておりますから、田中長官に重要な問題について聞いておきたい。  十二日の内閣委員会で、木村官房長官がお見えになって、政府が八月三十日に閣議決定したことについての問題点を実はここで相当追及した。というのは、わが参議院内閣委員会では人事院総裁の勧告の説明も聞いておらないのに、政府は八月の三十日に閣議決定をした、これはもう事実です、明らかな。参議院では内閣委員会を開いておらない、勧告の説明も実は聞いておらない。人事院勧告は、御存じのように、参議院議長重宗雄三氏にあてて来ている。当内閣委員会は担当委員会ですから、説明も聞いていない前に閣議で決定とは何事だと追及いたしましたら、次の閣議で報告をいたしまして、方針は変えられるかどうかわからないけれども、閣議の状態を本日ここで報告する、木村官房長官が出られないなら、田中長官が出られる場合に田中長官からそれを聞こう、議事録を見てもらったらわかるのですが、そういう約束です。閣議で私の言ったことについてどう報告され、それが閣議でどう問題になったか、その報告を聞きたい。
  148. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) ただいまの御質問は、私が閣議に報告をするということですか。
  149. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 官房長官が。
  150. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) 官房長官が行なった参議院の内閣委員会で質疑がありましたという報告でございますか、それは官房長官内閣委員会に出られたことは、これは事務連絡として報告がございます。ですけれども、ただいまのお話ちょっと私趣旨がわからないのでございますが、もう一ぺんちょっと教えていただきたい。
  151. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そういうことだから、実はもうわれわれ信用をしないのですよ。委員長がそばで聞いておったんでしょう。あなたはたまたま一日内閣で岐阜に行っていておられなかった。それも相当問題になったのですけれども、それはきょう言いません。委員長も非常につらい立場だったのです。そのときに木村官房長官は約束をしたのですよ。それを閣議で報告もしていないのですか。
  152. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) ただいま私が申しましたのは、官房長官内閣委員会において質疑があったということは事務的に報告がございました。しかし、いまのお話はそれよりもさらに一歩進んだことのように思いますが、それはいまの事務連絡といいますか、事務報告では、私は聞いておりません。
  153. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 だから、木村官房長官にきょう出てもらいたかったのですよ。そのとき言ったんですよ。あなたが今度出られない場合には田中総務長官が必ず出られるでしょう、今度はおそらく出ないということはないと思われる、総務長官にそうことづけてもらいたい、そこで閣議の模様を報告してもらいたい、こう言っているのです。どうも木村官房長官は実に約束を守らない。あなたもそうか知りません。そういうことでは困りますよ。というのは、こういうことなんですよ。いま申しましたように、参議院の担当委員会のわれわれが人事院総裁説明を聞いていなかった。その前に閣議で先に決定しちゃった。そういうことがありますか、それはもう国会軽視もはなはだしいと言って追及したのです。あなたどう思いますか。それをまた木村官房長官が閣議にも報告していない。事務的に報告したけれども、それは事務的に出席したということだけで、それは報告せぬでもわかる。そういう点は長官どう思いますか。委員長委員列席しておったけれども、委員長委員長として出席しておったのです。それは議事録に載っておると思いますよ。それを知らないというようなとぼけたようなかっこうでは困る。あなたどう思いますか。かりに報告がなかったならば、それは別として、三十日に閣議決定したけれどもわれわれは全然聞いていなかった、だから、三十日の決定というものは国会無視だからもう一ぺんその点については閣議に報告してもらいたい、報告の上三十日の閣議決定はくつがえすことができないという決定であればそれはやむを得ないだろう、閣議自身がきめるのだからね、しかしわれわれには異議がありますよということで、るるこれだけで一時間やったのですからね。ほかの審議が一つもできなかった。それで山崎君はきょう長い間やったのですがね。そういうことを全部聞いていったんですよ。
  154. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) 人事院の勧告は、政府とそれから衆参両院におのおのなされるわけでございます。で、いまの人事院の勧告に従いまして政府決定いたしたことは、後にまた法律案となりまして御審議いただく上に、当然衆参両院に勧告をなさるわけでございます。さような次第で、受けました政府といたしましては、すみやかにたとえ政府の態度を決定いたしましても、それはさらにまた法律案となりまして国会の御審議をいただくわけでございます。私はただいまの非常にむずかしい御論議のございましたことを初めて承るのでございますが、しかし私自体法制的に考えますとすらっといくのでございますが、何かこうございましょうかしら、ちょっとお伺いしたい。
  155. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これについて一時間ほどやったのですから、それを二分間くらいに言うたので、あなたわからないということは当然です、よほど頭のいい人でないと。これはあなたに求めようとはしておりません。それはたあなの言われたようなことを、あるいは御存じのように、両院議長と——両院議長は国会ですね、両院の国会に実は勧告をする。一方、内閣総理大臣、これは内閣に実は勧告しているのだから、内閣自体きめることについては合法的であることは、これは異議がないのですが、いまの政治的に見て、この国会に勧告するというのは、人事院の給与の勧告以外にないのですよ。国権の最高機関としての国会に対して勧告というおこがましいような行動というものは、この人事院の勧告以外にないのです。それほど重要な勧告が国会に出された。議長が受け取ったことは事実でしょう。参議院の場合は、副議長がかわって人事院総裁から受け取ったから、人事院の手続は終わっておるのです。院内においてわれわれは、この常任委員会、内閣委員会は担当委員会ですから、そこのメンバーが勧告の内容説明も聞かずに、その前に閣議で決定するというようなことは、政治上あり得ますか、常識上。ほかの問題なら大きい問題になりますよ。そういうことをるる言ったときに、木村官房長官なるほどということで、あやまちとは言わぬけれども、政治的に問題があるということで、次の閣議に報告をして、それでその結果をここで報告をする、こういうことです。だから、あなたが知らないなら知らぬでいいが、私はこの一事をもって見ても、誠意のないことは明らかになったですね。だからその点では、答えられなければ、それで私は、次の閣議で木村官房長官と話をして、もう一ぺんやってください、出てないんなら。佐藤総理にそれを言っておいてもらわぬと困るのです。参議院を全く軽視しているじゃないですか。全然問題にしてない。それでは困るのです。もう一ぺんやってください。時間がないから、きめつけるだけきめつけておきますから、よく考えておいてください。  それで、人事院総裁に聞きますが、いろいろ注文がありますが、私は単刀直入に聞きますが、今度の閣議決定で、内容はまあすべて尊重した——通勤手当についても一応は五月実施だから尊重されたんだが、ほんものの公務員給与の引き上げについては八月にした。これは人事院として、ほかのことは言わぬでもいい、人事院として、人事院勧告を尊重しておるか、してないか、それだけでいい、どちら。
  156. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) いつかもこの委員会で私はたんかを切ったことを思い出すのでございますが、先ほど山崎委員の御質疑にもちょっとそれらしきことを申し上げましたけれども、私どもとしては、完全実施か、不完全実施か、その二つしかないわけでございまして、政府側には非常にことばの豊富な字引きをお持ちでございましょうけれども、われわれの持ち合わせております字引きにはきわめて単純なこの二つのことしかないというようなことで、尊重とかなんとかということばはわれわれの持ち合わせの字引きにはございません。完全実施か、いなか、これだけのことばしか載っておりません、こういうことです。
  157. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ぼくはほかのことを聞いていないのです。完全実施をしてないことは事実ですね。完全実施をしてないということは、人事院勧告を尊重してないことでしょう。これは日本語御存じでしょう、あなたも。いつも内閣総理大臣なり担当大臣は、尊重します、こう言うのだな。そこの問題です。私言っておきますよ。田中総務長官聞いていてください、あとでお聞きしますから。勧告ですから、そのまま実施するかどうかということは国会と内閣できめる、これは事実です。しかし、尊重するということについては、完全に実施しなくてもそれは尊重しているという人事院としてのお考え方かどうかを聞きたい。
  158. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) それでありますから、尊重ということばはいろいろなニュアンスを持って使われる。したがって、そういうことばに対しては、われわれとしては、そのことばをもってどうだということをこれは申し上げる必要はないので、これは完全実施ですかと聞かれれば、不完全実施であります、完全実施ではありませんということをお答えすればいいのであります——と思います。
  159. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あなたは何で、尊重するか、尊重しないか、そのことばにこだわるのですか。政府はいつも、本会議なんかで、尊重いたしますと、こう言っている。問題はここなんです。よく聞いてください。私、あなたを引っかけて何かいい答弁をとろうというようなことは考えておりません。尊重ということは一つ問題があるのです、国会で。尊重するということは、完全実施しなくても尊重ということになるかどうかという問題なんですね。私は、尊重にならぬと、こう見ているのです。そういう点において、人事院からあなた勧告をしたんでしょう、内閣なりまたは国会にしたんでしょう。それは完全実施しなかったら、これはやむを得ぬということですか。けしからぬ、尊重しないということになるのじゃないですか、しつこいようだけれども。
  160. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) いや、政府のお使いになることばをどうのこうの申し上げるよりも、今度の政府のお取り扱いは完全実施と思うか、ノー、満足か、ノー、それでいいのじゃないかと私は思っております。
  161. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 どうなんです、満足ですか。
  162. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) ノーと言っている。
  163. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 英語で言われたのですね。そこで言いますが、田中長官内容については、もうそんなことは言いません。三十五年からずっと勧告が出ているのですが 実施時期について人事院の表現が変わってきている。それはどう変わっているか、調べられましたか、ひとつそれを聞いておきたい。
  164. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) ただいま担当に聞きましてお答えをいたします。人事院の勧告自体が、できるだけ尊重ということから、五月実施ということに変化をいたしているそうでございます。
  165. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 人事局長ですか、もっとはっきり教えなさいよ。四十一年までは、五月一日から実施することを適当と考える、こういう表現なんです。昨年——四十二年度から、五月一日から実施すること、命令文なんです。ここに私は人事院が——長い間私は言ったのです、あいまいなことばを使ってはいかない、昨年から改めた。この語尾の変化だけじゃないんですよ。人事院が相当の決意をして、完全実施を実は考えている。人事院総裁は苦労人だから、ここではあまりはっきり言わぬけれども、不満だということぐらいしか表現として言わないけれども、これは完全に実施はしておらない。尊重もしておらない。この点をぼくは相当政府考えてもらいたい。先ほどから山崎君から長らく言われたが、なかなか言わない。  そこで、私はどうせこの問題は最後は力関係だと思うのです。そこで言いたいのだが、人事院ができた背景なり由来ということは、ここできょうは長くなるから言いませんが、昭和二十三年の、これはまた占領軍からの勧告、サゼッションもあったと思いますけれども、公務員から労働三権を取る代償としてできた。給与については勧告を守ると、勧告によって公務員の生活を守るという趣旨で人事院の勧告ができたんですね。その勧告を完全に実施しない政府が、今度——具体的に私はずばり言いますが、十月八日には、せめてはその政府に対して反抗の意思表示として、ほんとうにわれわれから言ったら実に子供じみたような一時間のストライキをやるんですよ。これは実に社会的、経済的に及ぼす影響というのは私はほとんどないと思う。国鉄とか動力車のように半日もやれば相当日本の社会、経済に及ぼす影響は大きいけれども、そういう意思表示に対して、田中長官は違法であるから処分をするというようなことを言っておるんですが、私は、処分あなたがしてもいいですよ、しかし、それが将来どう公務員の思想上悪い影響を及ぼすかということについて考えたかどうか、まずこれを先に聞いておきましょう。
  166. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) 人事院の保護公平機能というものに対しまして、私ども政府の者が真剣にこれを尊重いたし、同時にまたあらゆる面からその保護公平機能というものを傷つけないように、また同時に、その給与の問題だけでなく、給与以外の面におきましても人事院の独自性というものを私どもは尊重いたしておる次第でございます。反面また、公務員国民全体の奉仕者としての職責の遂行から申しまして、争議行為等のこれを行なうということは、これは非常に国民に対してよろしくない、まあそういう点から、これに対しては争議権というものにつきましても制約をいたしておる次第でございます。ともあれ、いかなる理由がございましょうとも、違法な実力行使というふうなものは許されるものではございません。万一このような事態が生じました場合におきましては、政府としてはやはり法の規定を厳正に行なっていく以外にはないのでございます。
  167. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これはあなた、全く形式的な答弁ですがね。公労協のいままでの歴史、経過は御存じでしょうね。たぶん昭和三十七年だと思いますがね、仲裁裁定はそれまで完全に実施しなかった、そこで、法律を守らぬ政府に対してはということで、もちろん三公社五現業——公労協ですがね、大闘争を展開して、国鉄だけで七十人も処分されたことがある、首切り。それでようやく政府は完全実施になってきたんですね。そういうことから見ると、田中長官国会に勧告をしてもこれはだめだと、いわゆる国権の最高機関の国会に人事院が勧告しても、政府は聞かないんだ、国会も聞かないんだ、政府に勧告しても聞かないんだとなると、その人らは一体何にたよって自分らの目的を達成しようとするんですか、実力以外にないでしょう。いまの学生運動でもいろいろ言われておりますけれども、権力で押える場合には被圧権力者が対抗するのはそれ以外にないでしょう。その理由を私はわきまえてもらいたいと、この前も木村官房長官にるる説明したわけなんです。地方行政委員会では赤澤自治大臣にも私は言いました。人事院が唯一のこの公務員方々が、自分らの生活を守るために給与の勧告をしてくれたけれども、国会も聞かない、政府も聞かない、一体だれにたよったらいいのですか、たよるものないでしょう、実力以外にないでしょう。それが、公労協はかつて長い間、十幾年かかって闘争を展開した。ようやく、三十七年だと思いますけれども、完全実施する、四月から実施になった。そうすると、ぼくらがかりにその立場に立っても、やらなければだめなんだ、どんなに法律があっても。公労協もストライキできなかったのですよ、処分されたぐらいですから。しかし、やれば通るのだというこの思想がいまの日本の政治に不安を招いているのではないですか。力のあるものを押える、それに反発する力は当然出てきますよ。私はそれがおそろしいと言うのですよ。五月実施が八月になった、その三月間の問題ですよ。三月間の差額をもらうために公務員の諸君が、あなたから言えば違法だということで、処分もあえて乗り越えてやろうというこの心情というものは、政府なりわれわれが見なければ政治は行ない得ませんよ。このことを私は閣議で木村官房長官から佐藤総理に言ってくださいと——言ったかどうか知りません。佐藤総理は予算委員会で私いつも会っておりますから、私の言ったことを知っていると思うのですがね。そこを考えてくれ。朝からいろいろ、この八月実施いろいろ問題ありましたけれども、三月間の差額ぐらいの問題で公務員の諸君がそんな荒行事をしませんよ。政府のこのとった態度に対する忿懣というものがあらわれてくるのですね。これを政府がどう受けとめるかということについて、田中長官が総理大臣にかわってひとつ答弁をしてもらいたい。
  168. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) さようでございまするから、私どもは政府部内におきまして、完全実施、まあ一〇〇%の尊重を強く主張いたしておるわけでございます。で、御案内のとおりに、政府と申しましても、私どものごとき給与担当の立場に立つ者と、あるいはまた財政経済の立場に立つ各位との間には、やはり考え方も違い、いろいろとまた実施の処置につきましても異にするものがございます。しかしながら、私どもはあくまでも民主政治というたてまえのもとに法の精神をどうでも尊重しなければならぬ、そういうふうなことから申しまして、いわゆるスト権というふうなものが、民間労使間におきましては力関係の違法性の阻却という問題がございますが、公務員におきましては国民の奉仕者という一つ立場があるわけでございまして、さような意味から、公務員に関しての場合はこの力による解決というものはいかぬのだというところに人事院制度というもののたっとさがあり、また本質があるわけでございます。私どもはあくまでも人事院の立場というものを守り、またこれを貫いていくということが、これが私は民主政治を守り、また法治国家としての当然あるべき政府の態度として邁進いたしておるわけでございますが、どうぞこの点を御了承賜わりたいと思います。
  169. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 了承せよと言っても、なかなか了承できません。これは田中長官も、それは苦しい答弁だと思いますよ。それはあなたの閣議における発言も聞いております。仄聞しておりますから、あなたの心情たるや、きわめて私はれんびんの情というわけではありませんが、非常にお気の毒だと思っておりますが、しかし、これは単に個人的な問題ではなくて、あなたが何ぼ主張されても、閣議で決定したことはあなたの責任ですよ。だから、あなたの努力したということの申しわけはここでは必要ありませんよ。総理大臣にそのことを言って、総理大臣が、それはやむを得ないのだ、どれほど公務員の人があばれてもしかたがないと言って……。国会自身にも問題もあるのですよ。田中さん、私は何度もくどく言いますが、わかっておるでしょう。国会は民主的にできた国会ですよ。その国会に勧告を受けた。その勧告も、国会はそのとおりにやらない、政府はもちろんやらない。民主的な国会すら人事院の勧告を無視して押し通してしまったら、一体公務員はだれにすがるのですか。たまたま公務員という皆さん方の権力関係の下におるから抑えつけられますけれども、一般の問題であればどうなるのですか。これは一つの騒動が起こりますよ。しかも、九回も続けて同じことをやる。ただ公務員なるがために、やはり良識というもあるでしょう。あまりなことをする必要はないという、あなたの言う全体の奉仕者として自粛されておると思うのですが、もう今日その自粛も限界に来ておる。政府が今回、まだ閣議決定ですから、最後の決定じゃありませんね。最後の場合法律が出てくるんですから、私はまだ政府で思い直す点が出てくると思う。その点については十分考えてもらいたい。人事院勧告の内容については不満がたくさんあるのですよ。ぼくらはこれで七年間やりました。いま出ましたラスパイレスとかいろいろの問題が、三十四年であったか、三十五年であったか、そのときにずいぶん論議になったんです。内容についてはもういろいろあるんですが、それはまあ一応いいじゃないかと、問題を出してやりますけれども、結局人事院勧告を完全に実施してもらうというのが主要な要求なのですね。長官、私はくどいことは言いませんけれども、もう一ぺん閣議でその点考えてもらいたい。八月実施の理由は一つもないんですよ。八月から実施するということになったということの根源は、財政的と言われましたね。もう一つ、私はこれだけ言っておきますから、財政的ということは、総合予算からきておるんでしょう。大蔵大臣ぜひ出てもらいたいと言ったら、盲腸を切って悪いというので出られない。非常にいいチャンスをはずしておりますが、総合予算で予備費に計上した以上は、財政的に出さないといえば、政府公務員に対して所得政策を実施したということになる。その言いわけはできませんよ。そういうことはもう先ほど主計局次長いろいろ説明したけれども、そんなことは当初予算に織り込んでいるのですよ。一般行政費の伸びなんか予算委員会で論議した。ずっとやっている。災害費も四百五十億と見ておるのです。そういうものをちゃんとやっておって、残るのは五百億余りだった。それ以上出す意思はもうなかったんでしょう、その当初から。そこで私は、予算委員会でやらなかった、そのときは。衆議院でやったようでありますけれども、決してそれは五百億に限定いたしません、千二百億あるのだから決して所得政策じゃないという答弁をしておるのですが、そういう点田中長官はぼくらの納得する答弁をいただきたいですね。これは政府だけの答申なり勧告であるならば、私は言いませんよ。米価審議会が農林大臣に生産者米価を答申した。問題はありますが、あれは行政府のやったことである。でも無関心ではありませんよ。国会には勧告してない、答申もしてない、政府責任でやれということ。この人事院勧告については、わわれにも勧告しておるのです。ぼくらも一蓮托生になるのです。政府がやったことが、国会議員が全部、それに賛成、反対はあっても、国会できめたことになるのですよ。そういう国議会員の立場もあなた考えておりますか、どうですか。
  170. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) 私も国会に議席を持っておりますので、議員としての立場もよく了解いたします。なおまた、給与担当者といたしまして、今日先生方が公務員給与に対しまして非常に強く御支持をいただいておりますることを、また私の担当といたしましてもありがたく思っている次第でございます。しかしながら、政府全体といたしましての最終的結論は御承知のとおりの結果と相なっておりますことを、私もまことに残念に思っておりますけれども、とは申しながら、公務員立場というものも、これは給与関係だけではなく、またあらゆる総合的な面におきまして、人事院を中心といたしまして、その保護をし、公平を期している次第でございます。
  171. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あなたは時間がきたらやめるだろうというような気持ち答弁しているだろうけれども、さっきと同じような答弁ばかりです。人事院の意向を尊重して何とかと言っておられますけれども、尊重してないのです。私の言う、なぜあの五月実施と勧告したやつを、あれだけ明白なやつを八月ときめた。その理由は財政的だというけれども、財政的ではない。もともと八月しかやるだけの財源しか組んでおかずに、しかもそれは総合予算と言って、補正しないと言っておけば、予算を組むときからやる気というものはなかったのじゃないかということ、これは所得政策になるでしょう。そういう点が、私は、政府が賢明なというか、政府は非常に意図的に、言えば腹黒い計画であったと思うのです。予算委員会で私は言ったでしょう。あなたは聞いておったかどうか知りませんけれども、もう税の伸びというものは明らかに伸びておりますよ。また、伸びる可能性があります。そこで私は総理大臣に言ったでしょう。それはあと検討すると言って別かれられたが、私が言っているのです。私の言うことはわかるでしょう。そういう財源が今後ないということになれば、私は八月でも九月でも十月でもやむを得ない。政府は金がないのに増税までして、国債を募って公務員給与を上げるということは、これは非常に無理であろう。しかし、財源があるということになれば、先ほどから聞いておれば、国債に回すのは当然だと言う、これは一つの政策ですよ、一方公務員に義務を果たさずして政策だけをやったらいいというわけじゃないでしょう。私はそういう点に、政府の非常に、私はこのことについてだけしか言わないでしょう、政府の全く誠意のないというか、悪だくみといいますか、公務員を説得する力は毛頭ない。しかもそれが、十月八日に何かやると法に照らしてやるというのでしょう。やりなさいよ。やればますますこれは広がりますよ。私も実は昨年の一〇・二六の問題のときにはいろろろ、一カ月延ばすということで、政府もこうだからということで、私は非常に職場では突き上げられたけれども、やめるべきであるという意見を出した一人であります。去年については、景気も非常に下降状態であるといわれたから、事実はそうではなかったのですが。しかし、今度の場合はそうはいかない、景気は上昇状態である。停滞しているというけれども、私は、あの設備投資の状態機械受注の状態、経済企画庁の出したのを見ますと、これは相当伸びますよ。そういう状態があって、なおかつ五月に実施してわずか三百億ぐらいの数字でしょう。私は、そういう点を政府考えないとなれば、将来の政治の責任は一体どうなるか、どうですか。
  172. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) 政府は所得政策をとらないという行き方を守っているわけでございますが、同時にまた、人事院の勧告によりまして、われわれの給与体系もきめていく。また、そういう点から、給与表というものはあくまで人事院の力によって出していただくという姿を貫いております。そういうことから申しまして、財政の問題とも相関連いたしますが、しかし、今度の予備費に計上いたしましたというのは、むしろ当初におきましては、より一そう人事院勧告を完全に実施することができ、尊重することができることを期待してやっておったわけでございます。しかしながら、この問題が、いまのあり余る財源を予備費に繰り込む場合におきましては、いろいろの中間の議論で、底上げになるとか、また不足のものを計上すれば押え込みになるとか、いろいろと論議されたことは御承知のとおりでございますが、しかしながらそういうふうなこと自体にやはりどうも不都合がある、何とか人事院勧告をすなおに、スムーズに一〇〇%実施にもっていかなければならぬ、こういう点から、その制度上の予算編成と人事院勧告との調整をぜひしなければならないというのが、注1で私どもが考えておりますところでございます。そういう点で、われわれは人事院勧告の完全尊重というたてまえのもとに真剣にこの隘路を打開していこう、こういうふうに私どもは考えて、今後関係閣僚と人事院総裁も加わっていただまして、これを打開していこう、かように考えておる次第であります。
  173. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あなた方の考えはいいんですが、それはあんたのほうは権力を持っているのだから、これはわれわれ少数野党が幾ら言ったって、理屈は通っても実際負ける。それでわれわれとしてはあきらめますよ。しかし、これがどういうぐあいに将来政治的に出てくるかということを心配しているのです。私がかりに公務員の諸君の会合に出ると、国会一体何しているのだ、国会は、勧告出ておるのに、政府がきめたとおり、おまえらは反対したかもしれないけれども、これは通っているじゃないか、国会というのはどういうところなんだ、人事院が出した勧告すら認めないで、国会意思表示もしていないじゃないか、政府の言いなりじゃないか、こういうことがいま流布されておるのですよ。この場合に、おそろしいのはどこにあるか。国会不信ですよ。もちろん政府不信になります。それからくる政治的な不安というものを、あなた方は一片の処分をすれば済むということでは終わりませんよ。国家公務員の諸君はそれは全体の奉仕者として良識ある行動をしてくれると思うけれども、それを押える、説得させるわれわれに一つの理由もない。それであなた方が幾ら言ったって、ここであんたが幾らどうこう言ってみても、あんたが主張して通らなかったのだ、閣議にはいろいろ意見があると思いますから。大蔵政務次官に聞きますが、先ほどからあんたの答弁を聞いていると、私は納得するところは一つもない。主計局次長おらぬから、あまり同僚として責めることは遠慮して押えておきますけれども、大体大蔵省はかってですよ。ぼくが問題というのは、筋を通しておけば、それが低くなっても、高くなっても、納得する。そういう点で、大蔵政務次官として、一応閣議でそういう決定をされたけれども、なおかつこれは大蔵大臣にその点の説得をしてもらいたい。あとで問題起こっても、これは責任負えませんよ。  それから、田中長官、もう一つあんたに言っておきますが、先ほど言った、閣議でこの点の報告を一ぺん木村官房長官相談してやってもらう。  それからもう一つは、あんたの誠意がないということは、われわれには団体交渉権がないのだけれども、代表者が会いたいと言っても、なかなか会わぬらしいですね、あしたも実はあなたに対していろいろ意見を聞きたいということを申し入れたけれども、だめですということで、総務副長官ですか、何か会うということに、あなたができないからそういうことになったのですが、あなたあした何か会えないのですか。
  174. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) 私、明日は閣議がございまして、また青年の船の出港のあれがございましたり、予定がございますけれども、またいまのお話は承りまして副長官とも相談いたしましょう。
  175. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そういう点、政府もいろいろと誠意を示してもらいたい。政府は八月実施ということで決定したについては、政府には政府なりのやっぱり理由があると思うのです。それはよくわかっているのです。しかし、その理由というものは一つも通らぬ理由だから、われわれ問題にするのです。ただ財政上の都合で——財政上といったって、数字からいったら別に財政上の都合でもない。ただ八月から実施しなければならないというわれわれに説得さす一つの方法がないので、これはあしたあなたのほうへ私から電話をかけてもよろしいが、あなたの時間の都合を見て当事者が会いに行きますから、もしあなたが都合が悪ければ、あなたのかわりをひとつ政府考えてもらいたいと思う。こういうことをここで言わなければならぬくらい情けないことはないですよ。それほど政府はこういう問題に実は理解がないんですね。したがって、その点は、さっきの答弁では、あした何ですか、何とかの青年の船ですかに関係がある、だから時間があれば会うということに受け取っていいですか。
  176. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) まだどういうふうな時間の御要望があるのか、帰りまして調べて善処いたします。
  177. 二木謙吾

    説明員(二木謙吾君) あなたのとうとい御意見はよく拝聴いたします。また、大蔵省内におきましてもいろいろ検討もしてみたいと、かように考えております。あなたが公務員のことを常に思われることに対しましては、心から敬意を表したいと思います。
  178. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あなたに敬意を表されても心苦しいんですが、それでこれは委員長なり理事の方にちょっとお願いしておきたいんですが、委員長、私の持論ですが、国会は衆議院では委員会において勧告の意思表示を一回したことがあるんです。それでこれは私ここで委員長答弁を求めません。理事打合会でこの取り扱いについて国会が何らかの意思表示をしなければ私はいけないと思うんです。そういう点でひとつ今度の理事打合会でこの勧告の取り扱いについてきめてもらいたい、それだけ委員長にお願いをしておきます。  それから、人事院総裁に最後に——九日に時間があればやりますけれども、ぼくはちょっと来られないかもわかりませんので言っておきますが、あなたは非常に根性のあるりっぱな人事院総裁ですよ。だからその点は敬意を表しているんですが、最後のときにやはり妥協しちゃうんですね。それが私は玉にきずだと思っております。したがって、今度の場合でも、あなたがもし真正面から首をかけて、これをやってもらわなければ私は人事院総裁つとまりません、何のかんばせあって人事院総裁やれますかということで、辞表をふところに入れて総理大臣に会いなさいよ、総理がどう言うか。あなたをやめさすわけにはいきませんよ、国会で承認しているんだから。それくらいの実は根性があって、一ぺん総理の肝っ玉がどこにあるかということを見てもらいたいと思うんです。私ら言ったって、のらりくらりで、質問しても、時間がくれば山本はやめてしまう、委員長が「本日これにて散会いたします」で終わり。あなたの場合はもそうはいかない。総裁の生命かけて一ぺん、どうしてくれるのか、ここまであなたいけば、もう時代の英雄というのじゃないが、歴史に残る私は人事院総裁だと思う。これはあなたを比喩しているわけじゃないですよ。私はこの前の入江総裁に一ぺん言ったことがある。ちょっと病弱の方でしたが、すぐなくなられて、私は非常に気の毒だと思っているんですが、勧告をして政府が守らぬというんだから、一ぺん総理にそれくらいの根性を見せてもらったら、新聞社どう書くか知りませんよ、悪く書くかよく書くかわかりません、それは新聞社に一つ考え方がありますからわかりませんが、やっぱり人事院総裁、九回実施していないんですからね。一ぺんこの点は人事院総裁、そういう根性があるかどうか伺ったら、どう言われるかおもしろいと思いますが、そこまで私は根性悪い質問いたしませんが、もし答弁ができたら私の言ったことに対して答弁していただきたい。しかし、それは非常に問題があるから沈黙を守ろうと言われるなら、沈黙を守ってもらってもけっこうであります。  私はこれで質問を終わります。
  179. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) ちょっと気になるのは、いままで妥協したきた、どたんばで妥協してきたというのは、どういう根拠に基づいているのか、これはちょっとふに落ちかねるのですが、それはそれとして、私はいろいろな処世術はあると思います。辞表も実は、ここには持っていませんけれども、机の引き出しにはごらんになればちゃんと入っているのですけれども、しかししぶとくいきたい、これが私の当面の信念でございます。
  180. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 たいへん時間がおそくなりましたので、簡潔にお願いします。  先ほどからいろいろ聞いておりまして、今回の公務員給与の改善につきましては、完全実施はできないとしましても、少なくとも昨年より上回る実施、これは先ほどから聞いておりましても絶対できそうに思うのです。先ほどの話を聞いておりましても、総務長官きょうも全部で五回ほどおっしゃいましたけれども、要するに公務員給与はぜひとも完全実施をしたいということをおっしゃっております。そういうような点から考えてみまして、私はいま思うのですけれども、ほんとうに初めから、先ほども話がありましたけれども、完全実施の気持ちがあったのか疑わしくなってくるわけです。実際のところ。また私は、すでに閣議決定したものでありますから、これをくつがえすことはできるのかどうかわかりませんけれども、もう一回検討する余地はないのかどうか、この点お伺いします。
  181. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) 閣議決定閣議決定でございまして、決定いたしましたことについて、根本的な事情の変更その他不測の新しい問題は別といたしまして、決定いたしましたことは御承知のとおりでございます。なおまた、私は、この人事院制度というものの本質にかんがみまして、どうしてもこれを尊重して完全に実施の線に持っていかなくちゃならないと、ほんとうに心からそう思っておる次第でございます。決して口先だけで答えをしたりすることは絶対にいたしておるのではございません。
  182. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 先ほどから話の中で、昨年は予備費を七百億とってある。それでことしは千二百億。ことしから総合予算制になりまして、予備費をとってあれば完全に実施できることを期待してこういうぐあいにいわゆる総合予算制を組んだ、そういうような話がございましたけれども、よくよく考えてみますと、予備費の中でいわゆる公務員給与の改善費というのは五百億になるわけですね。ということは、初めから大体公務員給与に必要な金額は五百億だと、こういうふうにきめたのですか、この点ちょっと。
  183. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) さようなことは絶対にございません。
  184. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 実際上、いままでいろいろ聞いておりまして、もう詳しく申し上げませんけれども、きめておったととられてもしかたのないようなことがさんざんありました。実際私は思うのですけれども、こんなものは総合予算主義を貫くとすれば実際上できない、だからもう総合予算主義はやめて、従前どおり補正予算を組んで、そして完全実施に踏み切ったほうがいいのではないか、そうでないと、結局は総合予算主義そのものがいわゆる人事院勧告を無視して公務員給与を押える結果になる、私はこのように思うのですが、長官いかがですか。
  185. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) 総合予算主義なるものは、私はあたりまえだと思っております。予算に総合性のない予算があったらとんでもないことになりますし、また通年予算を組んだのがいかにも珍しいようでございますが、予算というものは通年に組むのがあたりまえでございまして、通年の総合性を持った総合予算、これはいつの予算でも総合予算であろうと思います。何かことしだけとりわけ総合予算主義をとったためにどうこうというふうなことは、まあ財政硬直化というふうなことと一つの対句みたいになりまして使われておりますが、しかし何はともあれ、十分にゆとりを持って人事院の勧告を受ける体制を組んだということにつきましては、私はよかったと実は思っております。ただ、それが非常にそれこそ硬直化いたして融通性がなくなるということにつきましては、これはまた考え方が違うわけであります。そういうことからも、先般の閣僚会議におきまして、こういうふうなにっちもさっちもいかないような姿がそもそもいけないのだ、そういうことで、いかにして予算を組み、いかにして人事院の勧告を受けるかという、その両者の調整を制度的に考えなくちゃならぬ、技術的に考えなくちゃならぬということで、注1というものを置いたわけであります。
  186. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 もう一つ、今後のこともありますから申し上げのですが、先ほどの公務員給与を完全実施する決意である、こういうぐあいのことをたびたび発言されておるわけです。今後私はこう思うのです。こういうことを発言するときには、やはり財源的裏づけがなければこれは空論になるわけです。ですから、実際に幾ら完全実施の決意があっても、財源の見込みが全然ない、予備費が全然足らないということになれば、結局言っていることが何にもならないわけです。私は、そういうような意味から、当然予備費からこういうぐあいにして出すとか、または明確な財源を、いわゆる財源を確保してからしっかりその裏づけなるものを見つけるというか、根拠をちゃんとして、その上で当然こういうぐあいにして完全実施するのだ、こういうぐあいに言うべきだと思います。そうでないと、口先だけだと言われてもしかたがないと思うのです。  それからもう一つ、先ほど質問がありましたけれども、昨日私がちょっと新聞を見たのですけれども、総務長官のストライキに対する談話ですけれども、あれも私もほんとうに遺憾に思うのですけれども、一体今回の公務員給与の完全実施に踏み切らなかった、完全実施できなかった責任はだれなのか、よくよく考えてみると総務長官自身にあるのじゃないかと思うのです。総務長官自身が、給料を上げてやらないで、おまえらストライキだけはやめろとこう言うのは、ちょっと矛盾していると思うのです。実際のところ、給料も完全に実施をしてこうだからこうしろというなら、意味はわかると思うのですけれども、そういう点がなくて、一方的に言うのは、やはり私は非常に行き過ぎのところがあるのじゃないかとこういうふうに思うのですが、いかがですか。
  187. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) 人事管理の責任を持っております者といたしまして、公務員の諸君が国民の奉仕者であるという立場を忘れないように、そうして平穏裏に事を解決するように望んでやまないわけです。なおまた、一方においての給与の問題のみならず、給与以外の総合的な公務員の処遇その他の面におきましても、われわれは誠意を持ってこれに対していかなければならない、かように思っております。
  188. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それじゃ、あと時間があまりありませんので、人事院総裁にお願いいたします。  勧告では、俸給表の改定にあたりまして、下位等級の引き上げ率を特に高くすると同時に、中位等級の昇給間差額を改善する、こういうぐあいに配慮したと言っておりますけれども、現実には、引き上げ率ではなくて引き上げの額で見てみますと、指定職甲の一万五千円昇給に対し、行(二)五等級の初号では十分の一の千五百円になっております。また、このため公務員給与の上下の倍率は、中卒で十七倍、高校卒で十四倍と拡大しております。極端な上厚下薄という、そういうふうな状態になっておりますが、この点どうですか。
  189. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 昨年に比べますというと、ことしの場合は特に下位等級のほうに力を入れておる、こういう意味で私どもは御説明を申し上げておるわけでありますが、そのほかに、御承知の通勤手当でありますとか、あるいは今度の寒冷地手当の大改正でありますとか、こういうものをあわせて勘案いたしますというと、実は上薄下厚ということばは私ども使わないことにしておりますが、俗にいうところの上薄下厚ということばに非常に適切に該当するという結果になるのではないか、こういうふうに考えております。
  190. 峯山昭範

    ○峯出昭範君 急いで申し上げますが、次に、国家公務員の六割の者は結局は一時金を含めても実際上生活が非常に苦しい、そういうふうな関係上、内職を行なっておる者も一部にある。また、全国消費生活水準の度合いといわれる生活保護基準すれすれの者が非常に多い。給与改定が物価の値上がりにも満たないいわゆる下級職員について、最低全俸給表の平均引き上げ額であるいわゆる三千五百円まで引き上げるべきだと私は思うんですが、その点どうですか。
  191. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 私どもは、たびたび申し上げますように、官民比較をいたしまして、民間水準ということを重大な基盤として勧告を作成いたします関係上、民間に劣ってはならない。しかし、一方から言いますというと、民間でもお困りになっている方もいらっしゃるだろうという場合を考えますと、公務員も同じ労働者だというような考え方が近ごろ一般に行なわれておりますし、民間の労働者諸君に比べて公務員諸君が特に特権の上にあぐらをかくという考え方は、また別の批判が納税大衆のほうから出てまいりますから、やはり民間に合わせるという鉄則を守っております。したがって、お気の毒な方も出てまいりますが、私どもは、それはそれとして、また標準生計費、生活保護基準等の関係など実は涙ぐましいほどに一々実は当たっておって、そうして俸給表をつくる場合に安心感を得ながらやっておるということだけは、御了承願いたいと思います。
  192. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは次に、初任給の問題について伺いたいと思います。  最近の民間及び公共企業体における初任給は、特に若年労働力の不足というような問題から、非常に高い上昇を続けております。勧告におきましても、民間のいわゆる事務、技術系統の初任給では、昨年に比べて一〇%ないし一四%上昇しております。特に、最近低学歴ほど高率になっております。しかるに、民間の上昇率を下回る低額勧告を行なったのは、非常に私は理解しがたいと思います。  そこで、特に初めに、高校卒の初任給の引き上げ率が他に比較して非常に低くなっておるのは一体どういうわけか。二つ目は、高校卒の上級試験の応募者は年々減少しております。高校卒採用者はこの一年間に一七%も減少しております。それから公共企業体の高校卒は初任給二万二千五百円から二万三千円になっておりまして、両者の間に大きな開きがありますが、高校卒初任給についてはさらに私は引き上げるべきだと思いますが、この点お願いしたいと思います。  それから、先ほどもちょっと出ておりましたけれども、勧告では、医師の初任給について格段の引き上げを行なった、こう言っておりますけれども、実際には、民間の医師が大学卒で二〇・八%、こういうふうに大幅に上がっておるのに対し、勧告ではその半分の一〇・六%になっております。こういうような点から考えて、医師等の初任給は、調整手当改善を含めても、結局医師等の採用困難の実情はまだまだ解消できない、私はこのように思うんですが、この点お願いします。
  193. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 初任給の点はわれわれ最も留意をしておったところでございまして、これはおそらくごらんいただけると思います資料の中に民間の初任給と比べたものを発表しておりますので、それによって決して民間に劣るものではないということを御確認いただいてよろしいと思います。  それから医師の件は、これはおっしゃるとおりなんで、格差を埋めるべく血みどろの努力をやっておりますが、公務員関係ではまた公務部内の均衡の問題がありまして、たとえば大学の教授が大学病院のお医者の仕事をしておったらそれは教育職とすぐ横につながり、あるいはお医者さんが厚生省の課長局長になっておりますと公務部内のバランスの問題もありまして、思う存分のことはできませんけれども、しかしことしの勧告においては非常に力を入れておるということはお認めいただけると思います。
  194. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは次に通勤手当の問題で、ことしの四月国鉄の定期が上がりまして、それを反映しまして五〇%程度の改善が行なわれておりますけれども、最近の住宅事情の悪化とか、そういう点から考えてみますと、結局は通勤距離のいわゆる遠隔化の実情から見まして、現在の二分の一や最高限度額を設けていることは、結局私は問題だと思う。そういうふうな意味で、すでに公務員の皆さんの通勤手当支給率は、現在全額支給者が六一%、それから最高限度額支給者が三四・二%、合わせて九五・二%になっております。私は、こういうふうな実情から見まして、当然通勤手当につきましては全額支給に踏み切るべきではないか、このように思うんですが、いかがでしょう。
  195. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) よくわかりますが、民間の企業におきましても全額を支給しているところは三十何%台にとどまるわけです。わがほうではそういうことも考慮して、いま行なわれております二段階のやり方で全額支給的な要素も相当加味したつもりでおるわけでありますが、まあたてまえとしては現在の行き方がちょうど穏当なところであろうと思います。ただ問題は、全額支給が望ましいという観点から申しますと、たとえば公務員の中には歩いて通っておる人もあるわけであります。全額支給をいたしますというと、原資の配分が交通機関利用者のほうへ今度は行ってしまいまして、歩いている人の分け前が取られてしまうというバランスの面もございまして、なかなか単純には割り切れないという性質のものでございます。
  196. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 次に住宅手当の問題でありますけれども、今回の勧告の中には住宅手当については全然触れてないようでありますが、人事院は民間のいわゆる住宅手当について調査を行なったのかどうか、また行なったのであるならばその結果をなぜ報告してないのか、調査の結果もし民間の支給状況、支給額等がわかりましたら知りたいと思います。
  197. 尾崎朝夷

    説明員(尾崎朝夷君) 民間における住宅手当の支給事業所につきましては、今年は地域に関係ある手当という項目の中の一環といたしまして調査をいたしておりまして、その関係につきまして集計をいたしておるわけでございますけれども、その中に特に住宅手当についてだけ抜き出して先に調査した集計したものの値は四三・一%ということになっておりまして、昨年の三九・五%に比べますというと若干の増加ということでございます。
  198. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 最近民間では、特に住宅費の補助とか、それから独身寮の建設等積極的に行なっております。法定外の福利厚生費とかまたは住宅施設費等の占める割合が大体私四〇%ぐらいに及んでいると、こういうふうに聞いております。こうした中での住宅手当支給率は昨年に比べて四%増と、こういうふうになっておるようでありますけれども、この支給の割合の伸びの開きはいま考えてみましても非常に大きいと思います。人事院はもっと、民間の住宅手当支給率が何%こえたらこの住宅手当を勧告する、そういうふうに考えておられないのか、そこら辺についてお願いしたい。
  199. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 圧倒的な多数の企業体がこれを採用する段になりましたならば、われわれとしても相当力を入れて考えなければなりませんと思いますけれども、その伸びが先ほど申し上げたとおりでございまして、まだとうていそこまでいかない、むしろそれよりもいまおことばにありました公務員宿舎そのものの現実の設備のほうを大いにやっていただきたいということでお願いし、かつそれは着々と拡充されておるという次第でございます。
  200. 岩間正男

    ○岩間正男君 非常に時間もおそくなったようでありますが、最初に委員長並びに理事にこれは要望しておきたいのでありますが、当委員会の運営について非常に熱意のある委員各位の審議がなされているのは喜ばしいと思うわけです。ただ、最後のほうになりますと、時間がないから切り上げてくれ、こういう声がいつも起こる。これは最後にやる者の身になってもらいたい。いつでもそういうことで十分意を尽くさないで終わってしまうのですから、この点についてはわれわれの要望も取り上げて、それが実現できるような運営を願いたい、最初にお願いしておきます。そういう意味で、時間をできるだけ協力をしますけれども、端的に質問したいと思いますから、端的にお答え願いたいと思います。  第一に、総務長官にお伺いします。この前、わが党の衆議院の谷口議員から、国家公務員の賃金に関する質問趣意書が内閣に提出されました。それによりますと、この要点は、国家公務員労働者の中で生活保護基準よりも低いそういう給与を受けている人が多い、ことに高校卒の十八歳一人の場合は、たとえば基準内手取り賃金は一万七千七百七十九円、生活保護基準のほうは二万三千三百下十一円、それから二十六歳二人の場合を考えますと、これは七等級の三号でありますが二万六千七百四十三円、それに対して生活保護基準のほうが二万九千六百十一円、三十歳になって七等級の七号になってようやく三万三千四百五十四円、それに対して生活保護基準が三万三千三百二十一円、結局十三年かからなければ生活保護基準を追い越すことができない、こういう賃金があるという実態、こういう問題について質問趣旨書を出したわけです。これに対して政府答弁の中では、公務員給与について期末、勤勉手当を加えないで算定した額を生活保護基準と比較することは妥当でないというような、まことにこれは通り一ぺんの答弁がなされている。  そこで私はお聞きしたいのだが、この期末手当というのは、これはどういうものなんですか、いまの日本の給与体系の中で一体どういう性格を持つものか、この点をはっきり、これは給与担当大臣から伺いたい。まあ総務長官から大きなのをやってもらって、それから補足説明があったら言ってください。
  201. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) それではお答えいたしますが、先生の政府に対しまする質問書、これは私も拝見いたしております。で、ただいまの御質問の当初の問題でございますが、公務員給与とそれから生活保護法によります給与との関係は、これは本質が違うわけでございまして、いまさら申し上げるまでもございませんが、生活保護法は最低生活を守るという観点に立ってのものでございます。一方において、公務員給与の関係が生活保護法による給与を下回るということは考えられないのでございますけれども、しかしながらよほど多数の家族をかかえておるといったような特殊な場合もあり得るかも存じませんが、こういうような例外的な場合を除きましては、私は公務員給与が生活保護を下回るということはないのではないか。なかんずく、制度的にはあり得ないと考えます。  なお、期末の手当を収入に算入するかどうか、これはいろいろ考え方もあるようでございますが、担当官からお答え申し上げさしていただきます。
  202. 栗山廉平

    説明員(栗山廉平君) 期末手当の性格でございますか。
  203. 岩間正男

    ○岩間正男君 性格を聞いているんです。どういう意味の性格の給与体系か。
  204. 栗山廉平

    説明員(栗山廉平君) 一定の期末に支給を行なうわけでございますが、支給される給与の一部と考えております。
  205. 岩間正男

    ○岩間正男君 給与の一部と言いますけれども、大体給与は月々支給されるものでこれはまかなうというのが原則でしょう。この点が非常に私は問題だと思うんですよね。しかも、いま生活保護の場合は最低基準だということを言った。ところが、最低基準より以下の月々の俸給を受けている人が非常に多いということ、これを相当膨大な数です。これはもうほんとうに人事院あたり、この内容について、あれば資料として出してもらいたいのでありますけれども、最低生活だと言ったが、最低生活じゃありませんよ、これは。生活保護基準で暮らしている人はないわけだ、ほんとうはとてもやれないのだ、生活保護基準でさえも。私はこの前の予算委員会佐藤総理大臣に言った。厚生大臣にも言った。あなたも生活保護基準で、一カ月とは言わないから、一週間やってみなさい、モルモット生活だ。これより以下の基準の賃金があるのだということを私ははっきり明らかにした。結局、月々足らないから、そうすると期末手当で埋めるのだと。期末手当というものは、全くこれは給与の一部分だと言っていますが、月々のこれは給与で生活は一応ささえて、そうしてある種の余裕を与える、あるいは賞与的な意味というものはいままでも持たしておったわけですね。そういうものを全部入れなければ——入れても足らないというのが現在の生活の実態じゃないですか、こういう実態じゃないんですか。こういう実態の上に立って私はこの人事院勧告というものを検討しなければ話にならないのですが、人事院勧告の完全実施とかなんとかと言っても、完全実施したってそのワクそのものがいまのようなたいへんな問題をこれは含んでいるわけです。この現実というものを私はやはりここで明らかにしていくということは非常に重大なわれわれの任務だというふうに考えるのですね。だから政府答弁というものは明らかに自己矛盾なんですね、この質問書に対して。ぬけぬけとこういうことを言っているわけだけれども、こんなことで一体いまの公務員給与というものが規定されているところに、いまの現実の姿がはっきりあるのだということを私は明らかにしておきたいと思うのですね。この点についてどう考えますか、総務長官どうですか、こんな実態でいいですか。
  206. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) いま私申し上げましたように、給与体系の本質が違いますけれども、また事実問題といたしましても、まあ公務員が生活保護基準に下回るということがお示しのように非常に多いということは、私よく存じ上げないのでございますが、人事院によくお調べを願いまして、このようなことがあったらまたたいへんなことだと考えます。
  207. 岩間正男

    ○岩間正男君 たいへんなことなんです。給与担当大臣がその給与の実態を知らないということになったらたいへんです。実際あるんです。われわれこれは調査した結果ですよね、そうなんですよ。はっきりこれは生活保護より低いんですね。高校卒の場合、十三年もたたなければ生活保護と同じになれない、こういう現実があるのですよ。この現実に立って人事院勧告を論議しているわけだ。これはたいへんな問題だと思う。だから、その結果はどういうふうにこれはあらわれているか。ここに資料があります。これは国家公務員労働者の実態について調査したものですが、つい最近の昭和四十三年三月の調査によりますと、この調査の対象は四万八千六百十九人、そしてそれによりますというと、他の収入を加えてやりくりしている、それが何と五九・一%、給料だけで何とかやっている三八・八%、給料だけで少し余裕がある、これは二・一%、おそらくこれは高級官僚の場合がこうなるのだと思いますけれども、もう大半の六〇%近くの者がとにかくやりくりしなければやっていけないという実態です。こういう問題について、これは把握しておられますか、この上に立っての論議ですか。私は、この点を現実の上に立たないで、そうしてここでどんなに千万言を費やしても、話にならぬと思っておる。この実態をつかんでおられますか、どうですか、これは給与担当大臣からお伺いしたい。
  208. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) ただいまの詳細な点は、私どもは人事院の給与規定に基づきましてこれを尊重しておるわけでございますが、さようなことは原則的にあり得ないと考えておる次第でございます。  なおまた、担当者からひとつお答えをいたさせます。
  209. 栗山廉平

    説明員(栗山廉平君) 先ほどの御質問に関連いたしましてちょっと申し上げます。  御承知のように、生活保護の仕事は厚生省でおやりでございまするが、一定の世帯の構成——男であるか女であるか、何歳であるか、義務教育を受けておるかという、そういう世帯の全部の構成の人員、それから家の問題等をひっくるめまして、最低の生活の基準の線を引いているわけでございます。それに対しまして、生活の保護を受けんとする世帯の収入をすべて見まして、それとの差額を生活の扶助として支給するというのが御承知のとおりの制度でございます。これと公務員の場合との比較を先ほど申されたのでございますけれども、われわれほうので、たとえば十八歳でひとり者、一番最初おっしゃいました点でちょっと調べてみましたところ、公務員の収入は、さっきおっしゃいましたように、俸給、扶養手当——ひとりの場合は扶養手当はございませんが、調整手当、それから期末・勤勉手当、これは法律にはっきり書いてある確実に支給される給与でございます。この給与から共済組合掛け金とか税金を差し引いた額、それを十二で割りましてどうなるかという数字を出したわけでございます。そういたしますと、十八歳でひとり者の場合八等級の二号が標準でございますが、公務員の場合が二万五千百八十六円と相なります。これはもちろん調整手当を含めた東京の場合でございます、御承知のとおり。それから、生活保護基準を東京の場合で見ますと一万八千七十四円となりまして、七千百十二円の差し引きの額が出てまいるわけでございまして、生活保護基準よりも上回っておるということに相なるわけでございます。なお、二十六歳、三十歳、三十三歳という場合につきましても、やはり上回っておるという計算がわれわれのところでは出ておるのでございます。
  210. 岩間正男

    ○岩間正男君 だから、あなた方の答弁で、公務員給与は期末・勤勉手当を加えないで算定した額でここで比較してはならぬと、こういう答弁をしているわけだ。しかし、このこと自身が私は非常に大きな問題があるというわけだ。期末・勤勉手当はそういうものではないのですよ。赤字を埋めるそういう性格を最初から持たせておるというなら、たいへんなんだ。しかし、実際はこれは持たせて、毎月の足らないのを全部いわゆるボーナスでまかなっておるわけだ。それでも足らなくて、御承知のとおり、やりくりをやっている。そういう人が五九・一%あるわけです。この現実というものをはっきり見なければなりません。いまのあなたの説明されたものを正確に私たちもやったんです。東京都を例として生活保護基準第一例、第二例、電灯、水道、住宅扶助、それから教育扶助から業種別基礎控除額を加算、そして算定して、その結果対比したものであります。これは何か資料があるなら出してもらいたい。われわれはそれに対してはっきり反論する用意があるんです。こういう形で行なわれている。ここですよ。一番の土台の問題で論議をしないと、私は実態論で論議をしないと困るんですよ。なぜかというと、ほんとうにそのために苦しんでいる薄給の人がいるんですからね。そういう問題から考えますと、大体どうなんです、この給与の中で最低保障給というものは、これはほんとうに人事院勧告で確立されているんですか。大体こういう点でこの物価高の中で一万円の要求を出されているはずでしょう。それに対して、平均三千九百何がしかのこれは回答なんです。これは定昇分も含めたものでありますから、これを引けばもっと少なくなるわけです。そういう中で、どうです、そんな平均基準まで上がっている人が何人いるんです。上がっていないのが大部分じゃないですか。これは平均額に満たない。一般職の公務員を見ますと、行(一)の場合を見ると六四%ですよ、これは調査によるけれども。行(一)の場合を見ると七四%ですよ。ここが問題なんです、底辺がね。ここを問題にしないで、そして全体の平均なんかでやって——上厚下薄の問題についてもあとで触れますけれども——そういうところだけ議論して、いかにもそこのところで手心を加えたとか、差額を少なくした、こういうことが、これは人事院の今度の措置の中で、いかにもこれは宣伝としてうたわれているのだが、実態はどうかというと、こういう問題は解決されないんです。だから、最低生活の保障給としてのこの問題がほんとうにこれは明確にはっきりしていないということになるわけでしょう。それはいつでもこの給与改定になるというと平均率で、それで実際はこれは上厚下薄のそういう体系を依然としてくずしていない。差額は少し変わったでしょう。それは認めます。その努力というものも、これはむだではないと思います。しかし、問題を根本的に解決するところまでいっているかというと、そういうことになっていないことは、先ほど申し上げたように、行(一)の場合、行(二)の場合、ことに行(二)の場合、なぜこんなに一体多いのですか。七四%といったら全く四分の三でしょう。これが一体平均の給与改定額に及ばないということはどういうことなんです。こういうことで実態が解決されると考えておりますか。これは給与担当大臣にまずお聞きしたい。これはあなたたち検討されて閣議決定したはずですね。こういう検討をしないで閣議決定したということになれば、あわてて、大急ぎでいいところだけをなにして、あまり金のかからない交通費の問題なんか、つまみ食いで、二十二億ぐらいだからちょっとやっちゃって、あと少し金が多くなるところはほおかぶり、そういうことでは話になりませんよ。どうなんですか。
  211. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) ただいま御指摘給与表の内容の細部については、担当の局長から答弁いたさせます。
  212. 栗山廉平

    説明員(栗山廉平君) ただいま行(二)のお話が出ましたのですが、また先ほどのことにちょっと関連いたしまして、たとえば四十五歳の女の方で三人養っている。行(二)で五の十四という場合をとってみますと、公務員の場合にはさっき申しました方式で三万八千円の収入になるわけであります。これをもし生活保護の基準で考えますと、もちろん一級地で、東京の問題でございますが、生活扶助、期末一時扶助、冬季加算額というものがございます。これも全部入れまして十二で割りますというと、三万三千五百六円になりまして、やはり四千四百九十四円の差が出るわけでございます。したがいまして、もっと非常に多くの家族をお持ちで養っておられるというような場合には、基準より下回るという例はもちろん出てくるかと存じますけれども、通例の場合には出ないというふうに考えます。
  213. 岩間正男

    ○岩間正男君 平均を聞いてない。人間は平均で暮らせない。具体的な実態に触れなきゃだめなんです。これは政治のまやかしというものです。平均でずっと計算して、いかにもやってるようにやる。しかし、そこから漏れて、それで生活からはずれていった人が何人あるかということをつかまないで、どうして政治と言えますか。だから、あんたたち、都合のいいときはいつでも平均出してくる。平均なんて人間どこにもいない。これは統計上の一つのマジックなんですよ。そんなことで私はお伺いしているんじゃないんですから、はっきりそういう調査が行(一)の場合で六四%、行(二)の場合で七四%。だから、ほんとう言えば、これはやっぱり一律賃上げという要求は決して無理じゃないんです。いまの最低生活をとにかく押える。その上に立って問題をあれするならいいんです。最低生活が全然保障されてない給与体系の上にいま苦しんでいるのが現実じゃないですか。そうでしょう。この格差がどんどん広がった。今度はこの点で幾ぶんの改正がされたようです。今回の勧告では千五百円というのが最低で、最高の場合は一万五千円。約十倍。昨年の場合は最低が八百円で、最高が二万円ということですから、これは二十五倍。二十五倍が十倍になったんだから、たいへんな大改革に見えますよね。ところが、実態を見るとどうですか。こういうのがありましょう。私たちの例をあげれば、行(一)の七等級二号俸の場合は引き上げ率が九・五%で二千四百円、行(一)の一等級二号俸の場合、引き上げ率はずっと低い六・四%ですが、実際は六千円。これは絶対額で議論しなければ話にならないです。ですから、この数字のマジックでやられたら生活の実態は全く困るわけです。こういう現実についてこれはどうなんですか。閣議決定までには全然討議されなかったわけですか。そしてもう人事院にみなまかしておくのだというので、先ほど総務長官が言われたように、これはうのみにしたわけですか。そして交通費のところだけつまみ食い——ちょっとやった、あとはほおかぶり、こういうわけですか。
  214. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) 給与の問題は決して理論ではございませんで、日々の生活につながる重大な問題でございますので、われわれも決して理論一点ばりでこうすることは考えておりません。ただいまの先生からの御質問につきましては、内閣のほうといたしましてもそれにつきまして正式の回答をいたしまして、そして閣議に全部はかりましてお答えを申し上げておるということでございます。決してそれを軽く扱ったりあるいはまた形式的にどうこうということはなく、全閣僚に配付いたしまして御回答を申し上げたわけであります。
  215. 岩間正男

    ○岩間正男君 だから、こういう実態に触れてベースアップの問題を今後取り上げられる、こういうことになるわけですか。したがって、こういう意見をいままで聞いておられると思うのですがね。人事院勧告を出してから、たとえば国家公務員労働者、国公共闘、こういうところと話し合いをいままでやりましたが、やりませんか。どうですか。そういう要求はなかったのですか。総務長官どうですか。
  216. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) 公務員共闘の諸君にも私はたびたびお目にかかっております。なおまた、人事院の勧告自体が、そういうような実態を詳細にお調べになってそして給与表を作成されておるわけでございますので、私どもはそれをあくまで絶対に信頼をいたし、同時にこれを守るという態度にも変わりございません。
  217. 岩間正男

    ○岩間正男君 この給与表を実施される最も該当者、これは国家公務員ですね、あとは準用ですから。したがって、国家公務員とこれは話し合う必要があると思うのですが、そういう要求については公務員共闘とは話し合ったが、国家公務員の場合これははどうなんですか。その中に入っているからということで問題を一般化してはまずいと思うのです。これは官房長官にもこの前質問したのだが、当然会ってこの話し合いをすべきじゃないか。
  218. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) それは公務員共闘の諸君の中にも入っておられますし、また全官公の諸君ともお目にかかっております。
  219. 岩間正男

    ○岩間正男君 だから、公務員共闘と会いますね、要求があったら。
  220. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) いままででもお目にかかっております。
  221. 岩間正男

    ○岩間正男君 そのことは確認しておきたいと思います。  それで、そういう中で、こういう要素を実態として含んでいるんだ。私は時間の関係からほんの二、三しかあげることができないわけで残念ですけれども、それでこの勧告はどんな意味でもこの勧告は尊重されたということは言えないです。それから人事院総裁も、これは不完全だ、不完全実施だということをはっきり認めたんですね。そこで私は佐藤さん、あんたに今度は忠告したいと思っているんだ。いままで何べんもそう思っていました。それはやはり先ほども言われたけれども、この責任はどうなんです。あなたが人事院総裁になってから相当長いわけですね。それで勧告はやりっぱなしということです。努力はしているでしょう。そういうこともわかっているつもりです。しかし、結論においてはほとんど、これは勧告の中身が問題なところに持ってきて、期間の問題で御承知のように逃げられる、こういうかっこうですね。今度のごときは総合予算主義であてがいぶちなんです。最初からきめている所得政策でぎゅっとあてがいぶち、こういうことになってきている。この所得政策にあなたは賛成していられないはずですね。そういういろいろな矛盾の中でこれが実施され、それで大急ぎで閣議で半カ月の間に決定する。あわただしいこういうことをやっているわけですね。この点についてこれはどういうふうに責任を感じておられるか、この際、これは人事院総裁の御所見を承っておきたいと思うのですがね。
  222. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 公務員法及び給与法の上では、法律的には人事院の責任というものは、勧告を出すまで、あとその勧告をどう扱うかについては政府あるいは国会の良識によってこれが実現するだろう。これは法律的たてまえはそうだろうと思います。したがって私どもは、勧告してしまったら、寝ておろうが何だろうが、それはもう責任問題は全然ない。筋道はそうだろう。しかし、責任を持ってこれが正しいと信じて勧告をしたものが、それを寝たままで成り行きを見守っているなんということは私どもの心情としてとうてい許されない。したがって、大いに奮闘して、この場でも、まだ私ども国会に勧告していますから、国会でこれはどういう御裁断を受けるか、それはまだこれからのわれわれの努力にもかかっているということで、ここに来て大きな声を張り上げているということでございます。
  223. 岩間正男

    ○岩間正男君 とにかく、先ほどから聞いていると、あなたの御答弁は非常にうまいですよ。だから、ある意味では政治なれがしているという感じがしたね。あなたの立場としては、私は友人としてとらないのだ、ほんとうは。もう少しやはり素朴でいいのです。非常にうまいんだな話が。しかし、話ははぐらかされている。どうもやはりこういう点はあまり人事院総裁としてそういう形の成長は望ましくないと私は友人として忠告したいと思います。だから、そんな点にはもう少し骨があっていいですよ、あなた男なんだから。だから、何べんも勧告したが、いれられない。そうしたら、先ほど、ほんとうに辞表をふところにという話があったけれども、それくらいの気魄がなければあなた代償機関としての任務つとまりますか。公務員の数百万の争議権を奪っているのですよ。これは釈迦に説法だからあなたに言う必要ないだろうけれども、これは全く私も昭和二十二年の公務員法のとき関係しているのだ。そうして、当時片山内閣でありましたけれども、片山総理に私がこれは質問したことがある、この問題で。ところが、これは実は深いわけがございましてというので、実は押しつけられた。私は承知しなかったけれども、そういうかっこうで通って、それがだんだんさらに改悪され、そうしてこの給与表というのは御承知のように、ほんとうにこれは上厚下薄の体制をとっている。ここのところ公務員制度そのものを支配する道具としてこの公務員給与というものが使われている。そういう面を私たちは見のがすことはできない。ことに公務員は、やはり権力の支配のもとに置かれるというかっこうになってくる。そうすれば、どこで基本権を守るのですか。戦後の少なくとも公務員というものはそういうものではないはずでしょう。戦前のあのあやまちを繰り返さないために、ほんとうに基本的な権利を主張し、そうして、ほんとうに自分たちの正しいと信ずるところをやっていく。その自由を保障する。したがって、生活も保障される。その上に立たなければ、公務員というものの任務は、実は国民の側にある公務員というものにはならないわけです。ところが、再び権力支配の中に閉じ込められようとしている。問題は非常に重大です。そうして、いま申し上げたように、もう大部分の公務員の労働者が、自分給与だけでは食っていけない。やりくりをしなければやれない。こういう人が大量におる。詳細な論議はしませんが、あげろと言うなら、こんなにありますから、たくさん資料を持ってきて、これをぶつけてやってもいいわけであります。  そこで私は総務長官にお聞きしたい。あなたはこのストに対して、何か、これをやめろとか違法であるとか、こういうことを言われている。公務員が生活を守るにはどうすればいいのですか、あなたにお聞きしたい。こういう体制の中で公務員は食えない。これは明らかにひどい。ことに行(二)の人は労働はどうかというと、労働は激しいでしょう。こういう人ほど薄給に甘んじなければならないということはなぜか。こんな給与体系は、これは何です。民主国家もヘチマもないじゃないですか。こういう中でどうしても自分の生活を守れなければ、やむにやまれない、こういうことでしょう。それで争議権は取られてしまう、代償機関が盲腸的存在になってくる。これは佐藤さんに悪いけれども、私のいつでも使う「盲腸的存在」。ほんとうにそうですよ。さっきもだれか——山崎さんにおこられたけれども、出しっぱなしで、あとはのうのうとしておるとあったけれども、そういう形ではまずいのだね。これは総務長官にお伺いします。どうします。公務員はどうして自分の生活を守れるかお伺いしたい。
  224. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) 公務員は他の場合と違いまして、やはり国としての国民の奉仕者でございますから、その点につきましては、公務員におなりになるのですから、よく御理解になっておられる。法を守る、法の護持者として、また同時にその生活につきましても、われわれは真剣に取り組んでおるようなわけでございますから、違法性のあるようなことは、これは当然慎まなければならない。そこにほんとうの公務員としてのりっぱな私は筋合いがあるだろうと思います。
  225. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうも、奉仕者と言うけれども、権力への奉仕者ですか。そういうふうに再編成するのですか。これは人民への奉仕者だということはわかります。そうして、当然それと同時に、これは日本の民主主義を守る、平和を守る、そういう任務もこれはあるわけでしょう。当然、そうなれば、これは団結権、交渉権、争議権というものは、これは与えられなくちゃならないし、諸外国の例をとってみたって、これは非常に多くの国がそれをやっておるわけでしょう。これはアメリカ軍の占領の中でつくられたものです。そういうかっこうで奪われておるその代償機関として人事院があるわけだ。この人事院がその機能を、佐藤さんが奮闘されておっても、十分にそれを果たすことができないという事態になってくれば、当然私は争議権を返上したらいいと思う、奪った争議権を。むしろそのほうがさっぱりしておるのですよ。争議権を返したからといって、何もこれをいつでも使うということじゃないのです。最も公正な、そうしてほんとうに権利と生活を守る労働三権を私は返したらいいと思う。どうなんです。そういうことをしてないで、じくじくと下のほうに追い込んできて、あてがいぶちでやられて生活はどんどんこわれておる。そういう体制の中に追い込まれていて、そうして、しかもこれに対する当然の一つの示威をやれば、これは違法だ、したがってこれに対して厳重な処分をする。これはもう先ほど同僚山本委員が言われたから、私はここで繰り返そうと思いませんけれども、筋が合わぬじゃないですか、これ。どうなんです。私はこういう点で、こんなこけおどしのこういうものを出したって話にならないと思うんですが、どうなんです。あくまでこんなものでやっていくんですか。
  226. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) 私は先生とは見解を異にいたします。
  227. 岩間正男

    ○岩間正男君 見解じゃないんですよ。見解の問題じゃなくて事実の問題ですからね。何よりもこれは数百万の公務員の生活の問題ですから。公務員の生活をくずすということがどういうことになるか。一体日本のこの機構がどういうふうになるか。これがほんとうに人民の利益のために使われない。権力支配の中に閉じ込められていって、再び上からの命令で、右向けと言えば三年も右向く。そういうようなところでは生活権というのは非常に大きな問題です。私らも戦ってきて経験を持っている人間だからはっきり身を持って言うことができるんですがね。そういう点から言うと、暗に権力支配の方向に追い込む、しかも、その手段として上厚下薄の賃金でもって支配する、そうして今度はこれにさらにあれでしょう、勤務評定的なものを加えて、そうしてまた、それでもって期末手当なんかをかげんをしていく、こういうふうになったらどうなるんですか。私は、基本的な最低の生活がはっきり確立された上に立ってそういう差別というものが勤務によってある程度考えられるというのならまだうなずけもしますが、全然基盤がないこういう形で、しかも、これに対するいまのような弾圧の意図だけを明白にしたって問題は解決しないですよ。これはほんとうに内部に矛盾として醸成されていくんですよ。こういうことになりますよ。こういうことについて考えられたことがありますか。私は、もうそういう意味からも、非常に時間の足りないところで不十分でありますけれども、一応問題点としてこの問題を投げかけておいて、またいずれ日を改めてやりたいと思います。  以上で終わります。
  228. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 本件に関する本日の調査はこの程度にいたします。     —————————————
  229. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 北海道長沼地区のミサイル基地設置に関する件を議題といたします。  政府側からは宍戸防衛局長、江藤参事官、山上防衛施設庁長官、鶴崎施設部長、片山林野庁長官が出席いたしております。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  230. 北村暢

    北村暢君 きょうは時間がおそくなりましたので、ごく簡潔に質問いたしたいと思いますが、突然議題に追加してこの北海道空知郡長沼町のミサイル基地設置の問題について質問するに至りましたのは、問題になっております保安林の解除をめぐってあすじゅうにでも措置ができるような緊迫した時期にありますのであえて質問をいたしまするので、御了承いただきたいと思いますが、まず第一番目に、防衛庁が地対空ミサイル、ナイキハーキュリーズの基地を千歳並びに空知郡長沼町に設置するということを発表いたしたようでございますが、その設置に至りました方針決定したのは一体いつごろなのか、そうしていかなる機関でこれを決定したのか、この点まずお伺いいたしたいと思います。
  231. 江藤淳雄

    説明員(江藤淳雄君) お答えします。  長沼町に第三高射群の一個中隊を配備するということを防衛庁で内定いたしましたのは本年四月でございます。設置しますに際しまして、まずこれは国有林でございますので、あらかじめ林野庁とその所管がえができるかどうかというような話し合いは本年の一月から実施してまいっております。で、おおむね所管がえの見通しがつきましたので、防衛庁といたしましては、四月にそこに——長沼に設置しようということを決定いたしたのでございます。
  232. 北村暢

    北村暢君 四月に決定をされたようでありますが、それを関係の町村並びに林野庁が知り得たのは四月ころ、こういうふうに理解していいのですか。新聞によるというと、設置を発表した、公にした、こういうのは五月三十一日のようでありますが、いまのおっしゃる四月というのは、内部的に決定はしたが、正式に関係町村に通告したのは、折衝を持ったのはいつなのか。それをひとつ。
  233. 江藤淳雄

    説明員(江藤淳雄君) 北海道地区に高射群を配備しまして、具体的にどういうところに部隊を設置するかというような調査は昨年度からいたしておるわけでございます。たまたまわれわれとしまして最も適当な地区であるというふうに推定いたしましたところが国有林でございますので、まず国の機関としましては、所有者である農林省のほうにその意向の打診をしなければならぬわけでございます。その打診が本年一月から防衛庁と農林省の間で行なわれました。おおよその所管がえの見通しがつきましたので、防衛庁は長沼に一個中隊設置するということを四月に内定しました。その後引き続き農林省と、具体的には林野庁とさらに協議を進めまして、大体五月になりましておおむね所管がえの最終的見通しがつきましたので、そこでこの地区にナイキ基地を設置するということにつきまして、五月三十一日に地元町に対しましてミサイルの施設を設置するというようなことを現地の札幌の防衛施設局長からお話ししたという経緯でございます。
  234. 北村暢

    北村暢君 所管がえをしたのはいつですか。
  235. 江藤淳雄

    説明員(江藤淳雄君) 所管がえの協議を——本協議をいたしまして、実際に農林省との間におきまして所管がえの本協議の同意を最終的に得ましたのは五月二十九日でございます。
  236. 北村暢

    北村暢君 そうしますと、問題は、所管がえがあってから、その場所が保安林であるということで、保安林を解除しなければいかなる施設も設置することはできない、固定施設はできないわけであります。だから、解除の手続をとらなければならなかったのでしょうが、保安林の解除の申請をしたのは六月三十日のようでありますが、その以前に準備行為として長沼町、北海道知事等に保安林解除についての同意を得る、こういう措置をとったようでありますが、それを受け取ったのはいつごろなのか、この点ひとつ明らかにしていただきたい。
  237. 江藤淳雄

    説明員(江藤淳雄君) この地区が保安林であることは、昨年現地の調査をしている段階におきましてわれわれとしましては十分わかったわけでございます。その後林野庁と所管がえにつきまして交渉していく過程におきまして、その保安林の解除の見通しがつくかどうかということについては、われわれも林野庁と十分話し合いをしてまいりました。おおむね保安林解除の見通しが可能であろうというような心証を得ましたので、具体的に所管がえの手続を進めまして、私のほうの所管がえ手続が一応終わったところで、六月十二日に県知事あてに現地の局長から正式の文書で保安林解除の申請書を提出したということになっております。
  238. 北村暢

    北村暢君 保安林解除の申請の手続をしたのは六月十二日ですか。
  239. 江藤淳雄

    説明員(江藤淳雄君) そうであります。
  240. 北村暢

    北村暢君 そうしますと、長沼町が保安林解除について相談があったのは五月二十一日以降ですね。そうして同意書を出したのは六月十一日、知事はそれを受けて十三日に同意書を送っておるようでありますが、一体この保安林解除という問題が、住民の意思というものを確かめる上において、わずか十日間ぐらいで関係者の意思が確かめられると思うのかどうなのか。長沼町は議会にはかって賛成多数、反対少数でもってやったようでございますけれども、これは明らかに長沼町の当局のとった措置は非常に軽率であったと、私はそう思うのですが、そういう形で出てきた同意書であれば、私は、防衛庁自体が、保安林解除の申請をするにあたって、書類上の手続が終わればもうそれで事が済むと、そういう感覚があったのじゃないか。非常に軽率だと思うのです。だから、そのことがその後における聴聞会等において混乱し紛糾した原因になっておる。憶測の域を出ませんけれども、悪く勘ぐれば、秘密主義でずっとやってきて、そして反対だの何だのということが起こらないように手順を整えておいてばたばたとこの解除の方向に持っていった、こういうふうに受け取られてもこれは弁解の余地がないのじゃないかと私は思う。そういうことを防衛庁はあらかじめ意図してやっていたのじゃないですか。
  241. 江藤淳雄

    説明員(江藤淳雄君) 先ほど来申し上げますように、この地区は国有林でございますので、まずここにナイキの施設を設置するにしましても、あらかじめ国の機関同士の間におきまして、人の財産で、私のほうはどこにナイキの基地をつくるというわけにもまいりませんので、十分林野庁と協議をする必要があったわけでございます。大体その見通しがつきましたので、五月三十一日に町長のほうにお話しし、引き続き町議会の全員協議会のほうにも私どもの係官が出向いて御説明申し上げ、さらに引き続きその後各部落の座談会を開催願いまして、詳細に私どものほうの趣旨を説明してまいりました。できるだけ私ども防衛庁としましては、現地にその趣旨説明をいたしたつもりでございます。
  242. 北村暢

    北村暢君 いま林野庁は、この保安林解除の問題について見通しがあったような話でありましょうけれども、これは、安保林の設置指定をするにあたってはそれなりの理由があるわけだ。保安林の指定解除というのはそう簡単にできるものではない。そのために、いろいろ手続的にも慎重にやるように法律で規定をしている。林野庁は防衛庁との折衝をする中において保安林解除が容易であるという判断をしたように防衛庁は受け取っているようでありますけれども、そういうことは、あらかじめ林野庁は地元の意向なり何なりを聞いて防衛庁にそういう連絡がなされておったのか。どうなんですか、それ。
  243. 片山正英

    説明員(片山正英君) お答え申し上げますが、先生御承知のように、保安林の解除をする場合の条件というのは二つあるわけでございます。第一点は、公益上の理由によって解除する場合、それから第二点は、保安林がその必要性がなくなった場合、この二つが保安林解除の条件でございます。今回の場合はいわゆる公益上の理由、いわゆる第三次防衛計画と申しますか、それに基づく閣議決定に基づくその線によりまして、われわれとしまして公益上の理由からこれは解除することが妥当である。ただそこに問題は、この保安林は水源涵養の保安林でございますので、その水源涵養保安林を解除することによりまするいろいろな影響、その影響をなくする、影響をカバーする、そういう代替施設が完備されるならばこの目的は地元住民にとっても悪影響は持たないと、そういう観点を考慮いたしまして、実は保安林の解除もでき得るのじゃないかということから手続を進めてまいった次第でございます。
  244. 北村暢

    北村暢君 公益のためにこの施設ができればいいと単純に判断したようでありますけれども、それまでに地元の意向、民意というものを確かめたかどうかということを聞いているのです。林野庁単独の判断じゃないですか、それは。
  245. 片山正英

    説明員(片山正英君) 正規の地元の意見というものにつきましては、先ほど防衛庁からもお話がありましたように、六月十一日に町長の意見を聞いたわけでございます。その場合に、町といたしましては、その一日前の六月十日に全員協議会というものを招集されたようでございます。その場合に賛成者が十八名、反対が二名、保留が三名、それから無発言が二名、欠席一名、計二十六名ということで、それを背景としまして町長が賛意を表したわけであります。さらに六月の十七日に町議会が、基地設置反対請願というものがあったわけでございますが、それを否決いたしまして、同日に保安林を解除して基地を設置することを認める決議を条件つきで賛成しておるわけでございます。さらに北海道知事におきましても、六月十三日の解除についてその賛意を表しております。さらに六月十九日の道議会におきましても、防衛という見地から必要であるということから、地元住民の生活に支障のない限り協力するという旨の表明をいたしておるわけでございます。そのような姿の中で一応地元住民の考え方をわれわれは把握していたわけでございます。
  246. 北村暢

    北村暢君 説明はそうでしょうけれどもね、当時の状況からいって、この二十日の北海道新聞の社説等を皆さんごらんになっていると思うけれども、これは単純に公益のためということで結論を出されるべき筋合いのものでなくて、保安林解除に同意ということは、ミサイルの基地というものを設置するということが裏にあるわけであります。だから、これは慎重にやっぱりやるべきである、こういう社説が出ておりますね。しかも、これは道民の全体の運命にもかかわる問題であるから、道民も自分の問題として深い関心を寄せる必要があるだろうと、今後の問題についてそう述べています。そのくらい重要な問題なんです。ところが、これがいま私が質問した中において皆さんは、手続的には短時日の上に手続は踏んでる。だからあなた方は、一応知事の同意書も得たし、議会でもそうやったし、手続的には不備な点はないと、こうおっしゃるね。それはないでしょう。ないが、そう簡単に済まされる問題ではないということなんだ。だから、聴聞会のときにあれだけ混乱をしたわけである。あなたがたは事務的に、役人であるから事務的な手続さえ整えばそれでよろしいと、こう考えたかもしれないけれども.これが大きな誤りなんですよ。だから混乱が起きてるんですね。で、町長自体、町議会でも、もう上からきまってきたことだからもうやむを得ぬということで頭からあきらめてかかってるんです。そういう点で、民意がどうであるかどうかということについての的確な、どういうことになるかという真相そのものもはっきりおそらく知らされていないのではないか。形式を整えただけにすぎないのじゃないかと、私はそう見ておるのです。だから後に混乱が起こるわけなのです。そこで、まあその問題はあなた方はそうおっしゃるから、それなりにまあ手続をとったということはその事実があるでしょう。ところが、それでは、その町長がその説得に当たった際における代替工事なり施設なりというものに対しての予算はどの程度かけてありますというようなことで住民を説得しておるのか。それとあとで聞いたことと非常に違っておるという点も指摘されておる。これは真相かどうかわかりませんけれども、そういうふうにいわれておる。それからもう一つは、保安林解除申請の理由というものは何なのですか。どういう理由で保安林解除の申諸をしておるのですか。
  247. 江藤淳雄

    説明員(江藤淳雄君) 理由は高射教育訓練施設でございます。
  248. 北村暢

    北村暢君 高射教育訓練施設という理由ですね。これは実態と合っておりますか。あなたが最初におっしゃったのは、第三高射群の一個中隊と、こうおっしゃられましたね。そういうことで的確にこの解除申請の理由と実態とは合っているとお考えになりますか。
  249. 江藤淳雄

    説明員(江藤淳雄君) 東京周辺に第一高射群を設置し、あるいは北九州地区に第二高射群を設置してまいりましたが、その当初からのナイキ陣地の施設というものは、すべて高射教育訓練施設ということでまいっておりまして、特に長沼町の場合だけ特殊な名称を使用したということはございません。従来の慣例によりましてこの名称を使用しております。
  250. 北村暢

    北村暢君 従来の慣例と言うけれども、高射教育訓練施設というものは組織規程か何かあるのですか。ここに置かれるのははっきりした部隊でしょう。しかもナイキハーキュリーズは、ホークと違ってこれは固定した陣地でしょう。しかも実戦部隊でしょう。そうでないですか。いかにも高射訓練施設ということであれば高射訓練の施設。訓練をするだけならば、何も保安林を解除してまで設置しなくても、高射砲の撃ち方の訓練や何かだったらどこでもできるんじゃないですか。当然そういうことが起こりますよ。慣例においてこういうことを行なったということはどういうことなんですか。実態と合っていないじゃないですか。これが聴聞会において最大にもめる原因でしょう。そういうあいまいな保安林解除の申請の理由、名目で、それで教育訓練だからというのでたいしたことはないだろうと地元の人が判断したとすれば、これはたいへんな誤りですよ。これは慣例でやったということであれば、そういう慣例はよろしくないですよ。住民をごまかすことになるのですよ。それでいいと思っておるのですか。実態と合っておるのですかどうですかということを聞いておるのですよ。
  251. 江藤淳雄

    説明員(江藤淳雄君) 第二高射群を設置してきた当時以来、国有財産台帳における口座名はすべて高射教育訓練施設というふうになっておりまして、一般にこういう告示とか公文書で使っておる表現ではこういう字を使っております。ただ、高射群につきましては、現地における議会の全員協議会であるとか、あるいは部落の座談会等におきましては、これは具体的に配置される部隊は第三高射群の一個中隊であるということは説明いたしております。
  252. 北村暢

    北村暢君 したがって、この申請理由というものが、慣例なりそういう取り扱いにしていると言っているけれども、妥当ですかどうかと聞いているのです。妥当じゃないでしょう、こんなもの。
  253. 宍戸基男

    説明員(宍戸基男君) ちょっと私から補足して申し上げますが、いま江藤参事官がお答え申し上げましたように、この部隊の部隊編成上の名称は北部方面航空方面隊の第三高射群というふうに予定をいたしております。で、申請のほうもそういうことで第三高射群だということを明らかにしておりますが、同時に、お話しのように、カッコいたしまして教育訓練施設だということも申し出たわけでございます。これはいま江藤参事官から申し上げましたように、国有財産の口座名で従来そうやっているからということでございますけれども、実態と合うかどうかというお尋ねでございますけれども、部隊編成はそういうふうでございますので、実際にそういうふうに部隊編成の名前をつけておりますのは、お話しのように実際に防空任務に当たる部隊であるということは否定できません。そういうふうな予定で部隊をつくるつもりでございます。それで、これは申し上げるまでもないことでございますけれども、もちろん万々一の有事の際に実際に防空に当たるということでございますが、同時に、そういうことのないように、平時におきましては訓練をいたしたい。訓練をする。どの部隊もそうでありますけれども、われわれの目的は訓練するのが任務でありますから、その部隊も当然訓練をいたします。そういう面をとらえて訓練施設というふうにも御説明を申し上げた、こういうことだと思います。
  254. 北村暢

    北村暢君 訓練施設——もちろん実戦部隊でも訓練やるのはあたりまえの話なんだよ。訓練やらないなんていうことはないわけだ。平時訓練が必要なければ自衛隊なんか普通に置く必要はなくなっちゃうので、それは実戦を兼ねて訓練をする。ただ、言っていることは、教育訓練施設という解除申請でしょう。解除申請の理由がそういうふうになっている。それで、あとであなた方は説明として北部方面隊の第三高射群だということを言うけれども、予告の公示には明らかにそうなっている。説明を聞かなければわからないでしょう。で、かりに、いま先ほど言ったように、教育訓練だけならば、何も長沼町の馬追山の保安林を解除してまでそこにつくらなくても、あれでしょう、航空隊の教育訓練するのは入間にもあるでしょう、訓練だけならば。そういう点からいって、実戦部隊になるかならないかということは、これはたいへんなことなんであって、いいですか。   〔委員長退席、理事八田一朗君着席〕 あなた方は、予防措置だの何だのかんだのとると言うけれども、実戦部隊になって攻撃を受けたという形においてとるならば、代替工事も何も吹っ飛んじゃうのですよ。だから保安林の代替工事をやったから安全だとか安全でないという問題じゃなくなっちゃうのですよ。教育訓練施設ということになっていれば教育訓練だけだから、まさか敵の何が来るかわからないけれども、来るなんていうことを想像しない。実際にこれは四六時中レーダーと協力して領空侵犯があったときには撃つかもしれないわけでしょう。そういう実戦部隊だということがやっぱり保安林解除は、平時のときは代替工事でそれで水害もとまるかもしれないけれども、実戦部隊だったらば、四六時中危険にさらされているのですよ。そういうことでしょう。また、あなた方が訓練していつ何どき来ても撃ち落とせるように訓練しているのでしょう。それだから、工事の内容とそれと実態と違うじゃないか。これはあなた方が慣例だの何だのと言うけれども、実際に地元民から言わせれば、異議を申し立てているほうから言えば、この公示はインチキじゃないかと言って抗議している。内容が違うから公聴会に応ずるわけにいかない、もう一ぺん告示の出し直しをやりなさいと言ってもめている。三日間聴聞会をやったけれども、ついに異議意見を一回もしゃべらずに終わっちゃった最大の原因はそこにあるのじゃないかと思うのです。そういうあいまいな慣例だとかなんとかは許されません。悪く言えば、教育訓練施設だということで公示をしておいて実戦部隊というものを実際は隠しておいて、悪く言えば、そういうふうにとられちゃってもしかたがないじゃないですか。なぜそういう疑いを持たれるようなことをあえてするのですか。問題じゃないですか。だから、告示の内容と実態とは違うのじゃないですかと、これは当然の疑問として起こるのじゃないですか。   〔理事八田一朗君退席、委員長着席〕 この点はひとつ今後のこともあることですから、これははっきりしておいてもらわないと、「慣例」で片づけられちゃってはかないませんよ。その点はあなたのところにある保安林の解除だの解除でないのという問題が出たからこれは問題になったので、いまある演習場の中に保安林も何もないというのなら問題にならなかったかもしれない。ところが、現実に地元民に影響が出てくるのですから、そういう意味においてはこれは当然そういう主張がされると思う。私はこれは異議申し立て者のほうから出る意見というものはあまりむちゃなことを言っていないじゃないか、こう思うのですよ。この点はどうですか。
  255. 山上信重

    説明員(山上信重君) 先ほどからの名称の問題でございますが、江藤参事官からお答えいたしたように、従来からかような名称を高射群施設について用いておりましたので、高射教育訓練施設という名称で用いたのでございまするが、しかし、内容といたしましては、これが第三高射群の施設であるということは同時に御説明をいたしてやってまいったような次第でございまするので、地元の方々においても十分御理解になって御同意をいただいておると存じております。
  256. 北村暢

    北村暢君 それは告示のやり直しをせいということが実際に出ている。意見としてはそういうことが出ている。だから、手続的には告示の内容と実態とは違う。そういうことをはっきりしてもらわないというと、意見を述べろ、異議を申し立てろと言ったって述べられないと、こう言っているのです。これはもう説明したとかしないとかの問題ではない。だから、異議の申し立て者が百三十八名も実はおるでしょう。だから、この問題は、やり直すとかやり直さないとかの問題は別問題として、不当であるということだけをここではっきり申し上げておきます。これ以上あなたと論議したってしようがない。  そこで、もう一つは、異議の申し立てがあった場合に聴聞会をやることになっておって聴聞会を開いたわけですが、なぜその現地である長沼町で聴聞会が行なわれなかったのですか。
  257. 片山正英

    説明員(片山正英君) 聴聞会の場所でございまするが、長沼町は確かに現地でございますが、長沼町当局に対していろいろお話し申し上げましたけれども、会場の提供はいたさないという御回答が出たことが一つでございます。  それからもう一つは、札幌市で開催いたしたわけでございますが、公開というのが原則でございますので、傍聴あるいは報道等の関係から、やはりその場所に非常に近い県庁所在地ということで便利な地を選んだというのが第二点でございます。  それからもう一点は、いろいろ公聴会その他で資料その他の要求があるであろうと、その場合に資料の作成、連絡等を事務上円滑に進めていきたいということで営林局を選んだ、かようなわけであります。
  258. 北村暢

    北村暢君 いろいろ三つばかり理由をあげましたけれども、それは事実はそうでなく、百三十八名の異議申し立て者がおるんですから、この人方にあなた方は旅費を払うわけでも何でもない。しかも、農繁期だ。当然長沼町で開くべきだ。役所の不便だとかなんとか、書類がどうだとかなんとかと言っても言いわけにならないんです。ところが、長沼町長は長沼で聴聞会をやってもらうことを断わったんでしょう。あなた方はそれを長沼町でやってもらうように努力をしたんだけれども、会場を貸さない。長沼町では困ると、こう言う。なぜ住民に直接関係のある問題の聴聞会の意見を聞きやすいように長沼町でできなかったか。これは長沼町の町長は、聴聞会をやれば必ずもめるということを予測しているから、迷惑だからということで断わったんですよね。その一事をもってしても、町長のこの問題に対する態度なり何なりというものは、住民の意思を無視してやっていくというのは明らかに出てるんです。これはそう言って差しつかえないですよ。それとも、施設庁のほうで、長沼でやるなということを町長のほうに知恵をつけた——やめろとは言わなかったけれども——知恵をつけたかどうかは知りません。とにかくこの問題はたいへんな問題であることは事実なんで、長沼町でやれば農民に押しかけられてたいへんだと、こういうこともあったのかどうか知らないが、避けてるんですよ。これはもうまことに遺憾だと、しかも、それについて札幌ではだめだから農繁期で来たくても来れないから長沼町で開いてくださいと再々言ったけれども、あなた方は、聴聞会をやる主催者は林野庁ですね。林野庁はそれを強引に断わっておる。断わっておるというのは、あなた方は一週間も十日間も長沼町でやるべく長沼町長との折衝をずいぶんやったけれども拒否されたでしょう。だからやむを得ず札幌でやったのでしょう。そういうことじゃないですか。だから、札幌ではなしに長沼町でやってくれという意見を聴聞会の二日目のときから言ったのに、長沼町長はがんとして応じなかった。言ったって長沼町長は受けてくれないから、あなた方は要求を拒否したでしょう。そういう点からいってまことに不純ですよ。こういう問題はどのように考えておりますか。
  259. 片山正英

    説明員(片山正英君) 長沼町が会場の提供を拒否したという理由その他については私よく存じておりませんが、結果的には提供を拒んでまいったわけでございますが、そのほかに先ほども申しましたように、資料の整備あるいは傍聴、報道というようなことを円滑に進めてまいるという観点から営林局を選んだわけでございます。
  260. 北村暢

    北村暢君 まあ答弁答弁で、私はあまりこの長沼町でやらなかったことについては、これは会場そのものが選定が初めから異議申し立て者の農民の意思というものを親切に聞こうなんていう意思がなかったともう断定していいと思うのです。これはまあ私の意見ですから……。  次に聴聞会が三日間にわたって行われましたが、聴聞会は異議申し立て者のほうは意見は一切言っておらない。したがって、聴聞会は成立しておらない、こういう見解をとっておるようです。ところが、新聞の報道等によるというと、主催者の議長、林野庁指導部長並びに林野庁長官は、意見は出ていなかったけれども、窓口でもって荒れちゃっているわけですから、その中でも意見を聞いた。若干は出ている。あるいは意見書というものが出ておる。したがって聴聞会は成立した、このように判断しているようです。もしそれを強行するならば、異議申し立て者のほうは法廷でも争う、こういうふうなことを新聞で承知しておるわけでありますが、聴聞会が合法的に成立した、このようにお考えですか、どうですか、この点お聞きします。
  261. 片山正英

    説明員(片山正英君) 知事の予定告示をいたしましたあとに反対の意見書が百三十八名から参ったわけであります。したがいまして、法律の定めるところによりまして聴聞会を開いたわけですが、九月十六日から十八日の三日間聴聞会というものを開いたわけであります。その機会に御意見のある方の異議意見を聞くべく再々いたしたわけでございまするけれども、陳述人側といたしましては、異議意見としての発言はしなく、あるいは発言ができないというようなことであったとも私ども聞いております。ただ予定告示の内容説明した際、あるいはそれに対する質問その他の発言の中には、内容的には異議意見と思われる発言があったとも実は聞いておるわけでございます。したがいまして、本聴聞会におきまする資料、実はテープレコーダーや速記やらがちょっと二、三日前届いたばかりでございますので、それらのものを整理いたしまして、その中で慎重に検討の上対処してまいりたい、かように現段階では思っている次第でございます。
  262. 北村暢

    北村暢君 議長は第一日に、終わって散会するときに、第一日目三十何名意見を述べる予定になっておったのを述べなかった、したがって、第二日目は、百三十八名のうち九十名について第二日目に意見を聞きますということを約束しておりますね。したがって、第一日目は三十何名意見を聞いてなかったことは事実、また議長もそれを認めている。翌日は九十名の意見を聞くということをはっきり言っているのです。それから、第二日目も第三日目も窓口論議で論議がなされて、いま長官が言われたように、予定告示の内容等について質問はあったけれども、いいとか悪いとかという意見は一人も述べてない。これは新聞報道も明らかに、一人も意見は述べておらないで散会したと言って報道しておりますから、これはもうそのとおり、意見は述べておらない。したがって、聴聞会そのものについて意見なんか聞かなかったということははっきりしている。また、テープレコーダーその他によってこれから検討するということでありますが、これらの事実をひとつ明らかにしてもらいたいことは、だれが発言をして、百三十八人いるのですから、そのうち一体何人が発言しているのか。意見ではなくても、何人が発言しているのか。そういうようなことを、ひとつ今後の資料として出していただきたい。私は聴聞会は成立しておらぬ、このように考えておりますから、この問題については慎重にいま検討するということで、成立したともしないとも答弁をされておりませんから……また、できないだろうと思う。そこで、もう時間も来ましたから私は最終的にお伺いしますが、私は聴聞会は成立していないと、こう思っておりますから、ひとつこれは聴聞会のやり直しをやるなり何なりをやってもらいたいと思う。ところが、予定告示をしてから四十日たちますというと解除の正式の告示をすることができるように法律の手続ではなっておるわけですね。大体予定告示をしたのが七月十九日ですな。それから四十日というと大体八月の二十八日か二十九日、この辺になるわけです。したがって、この正式な告示をもうやろうと思えば、あなた方聴聞会が合法的に成立したという解釈に立てばできるわけですね。正式な告示ができるわけです。それは私は当然検討する期間、これは慎重に対処せられるべきだと思う。そういうことで、あわてて告示をするということがないかどうか、これをお伺いしたい。  それから解除の手続として、森林法の第二十六条等によりますというと、重要問題については中央森林審議会に諮問することができるということになっておるようであります。したがって、慎重な手段を講ずるとすれば、中央森林審議会に諮問をして、そうして解除を決定するということもあり得るだろうと思うのですね。そういうようなことで、今後の取り扱いとしてどのようにこの解除問題について対処しようとしているのか、この点をひとつ農林省からお伺いしたい。
  263. 片山正英

    説明員(片山正英君) ただいま先生から二つの点の御質問でございますが、第一点の日にちの問題でございますが、七月二十二日に掲示をいたしておるわけでございますが、それからもう一つのやつが八月一日と、二つに分かれておりますが、いずれにしましても七月二十二日と八月一日から四十日加算となりますと、もうすでに四十日はたっておるわけでございます。それはもう当然過ぎているわけでございます。したがいまして、そのような意味から申しますと、もう時期的には法的には過ぎておるわけでございます。ただ、私たちといたしましては、先ほども聴聞会をいたしましたいろいろの諸情勢を十分検討いたしましてそして対処してまいりたいという考えでございます。  それから第二点の中央森林審議会にかけるのかどうか、これはかけなければならないというものではございません。かけることができるということでございますが、これも聴聞会その他のいろいろな資料を十分検討した上でかけるべきかどうかもあわせて検討してまいりたい。かように申し上げておきます。
  264. 北村暢

    北村暢君 まあ、慎重にやってもらいたいと思いますが、そこで施設庁にお伺いしますがね。施設庁は、このミサイル基地の設置について予定はどうなっているのですか。来年の予算との関係もありますがね、今後のこの設置のための計画ですね、どういう計画になって推し進めてきているのか。いずれにせよ、保安林の解除が決定しなければ施設も道路も何もできないのですから、問題は今後ですね。いま林野庁長官は慎重にやることを言っているようでありますが、計画からいえばどうなんですか。防衛庁としては、施設庁としては、これは一日も早いほうがいい。これはもう施設する側からすれば当然ですけれども、計画はどうなっているのですか。予算的なものですね、どういうふうになっておりますか。
  265. 片山正英

    説明員(片山正英君) ちょっと……。先ほど私、日にちをちょっと間違えましたので、訂正させていただきます。先ほどのは掲示をした日にちを言いましたので、実際告示しました日にちは七月十九日、それから七月二十七日、この二つでございます。四十日の経過していることは変わりございません。  以上でございます。
  266. 江藤淳雄

    説明員(江藤淳雄君) 長沼町におきまして保安林の解除ができましたならば、私どものほうは直ちに工事にかかりたいわけでございまして、具体的に申しますと、本年度一ぱいに現地の土木工事を完了いたしまして、来年度に入りまして具体的な施設の建設整備をいたすことになっております。部隊の編成、配備計画は四十四年度になっております。なるべく四十四年度の早い機会に施設の工事も完了いたしたいというふうに考えます。
  267. 北村暢

    北村暢君 それで予算の関係はどうなっているのですか。
  268. 江藤淳雄

    説明員(江藤淳雄君) 施設関係の整備のために現在通っております予算は、長沼の関係におきましては三億七千七百万円でございます。
  269. 北村暢

    北村暢君 それは保安林解除に伴う防災施設の予算でしょう。そのほかに、基地の道路をつけたり、あるいは伐採をして陣地をつくったり、そのほかの施設をするのじゃないですか。
  270. 江藤淳雄

    説明員(江藤淳雄君) 先ほど申し上げました予算の金額は、長沼町の予定地におきまして私のほうの高射訓練施設をつくるための予算でございます。具体的にその地区を整備し、土地の整備をしまして、そこに弾薬庫とかあるいは格納庫とかランチャー——発射台の設置場所をつくるとか、その他のいろんな関連工事、それに要する経費が三億七千七百万円ということでございまして、先生のおっしゃいました補償工事の問題の予算ではございません。
  271. 鶴崎敏

    説明員(鶴崎敏君) 今度の第三高射群の設置に伴いまして保安林の一部指定解除があって木を切ったりするわけですが、それに伴って発生することが予想されます障害につきましては、わがほうで来年度一部予算要求をして、用水対策あるいは洪水の対策というようなことを措置をしてございます。  具体的に申し上げますと、障害防止の関係としまして、いまの用水路——現在南長沼用水路というのがございますが、これの補強、あるいは新設等を計画しております。それからまた、砂防あるいは水防、こういった点でもダムを計画してございます。そのほか農業関係の助成、あるいは道路の整備、こういった点でも助成を考慮しております。ただ、これらの事案につきましては、まだ現実に施設の設置がこれからのことでございますから、一体どの程度の災害といいますか障害があるかということは推測の域を出ませんので、一部につきましてはこれから調査をし、それからその工事の規模等を決定しなくちゃならないというものが含まれてございます。具体的に来年度予算要求としましては、とりあえず工事費あるいは調査費、こういったようなものを含めまして四億三千万ばかり要求してございます。しかしながら、これで全部終わりだということではもちろんございません。その後いろいろ地元からも要望が出ておりますので、その内容検討した上で、必要と思われるものは今後逐次実施していきたい、このように考えております。
  272. 北村暢

    北村暢君 大体計画はわかりましたが、そうすると、高射砲のミサイル基地そのものの施設はおそらく今年度じゅうに完了しないというとぐあい悪いわけでしょう。そういうことのようですね。そうすると、これがもたもたしていれば、雪降ってきますから、工事ができないということになる、事実問題として。そういうことになりますね。そうすると、あなたのほうは年内にこの工事を完了しようということになるというと、保安林の解除を急がざるを得ない。保安林の解除ができなければ一切の固定施設その他工事はできませんからね。あらかじめこれをやっておって解除があとから来たなんということではこれは重大な問題になります。できないです。これ。だから、これは結局保安林解除を急ぐということになる。しかし、いままで質疑いたしましたように、仮処分の申請をして法廷で争うなんということになるとことしに間に合わなくなりますよ。したがって、あなた方が最初に準備よく整えてすらすらすらと解除に持っていこうとしたことが、かえって住民の了解なり何なりを得られないままに予定のとおりいかないという結果になってしまう。したがって私は、こういう重要な問題は、最初に申し上げたように、期間をかけてやはり了解工作を得てそしてやるべきだったと思うんですが、結果的にそういうことにならざるを得ないんじゃないですか。したがって、保安林解除の問題はこれは農林省所管で、あくまでも農林省は地元住民の了解を得ないで簡単にやるというわけにいかない。そういう問題出てきますからね。私は、もしそういうことを無視して強行したならばこれはまたたいへんな事態が起こるんじゃないか、このように思います。  きょうは時間もあれでありますから、これで質問は終わりますけれども、施設庁としてもこの種の問題についてはもっと慎重にやってもらいたいということを意見として申し上げて、きょうの質問を終わります。
  273. 岩間正男

    ○岩間正男君 資料をお願いしておきたいのですが、千歳空港の滑走路増強計画、これについて計画書とそれから予算と目的、この三点についてこれは資料を出してほしいのですが、施設庁ですね、いいですか、千歳空港の拡張計画。
  274. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 本件に関する本日の調査はこの程度にいたします。次回は十月九日午前十時三十分開会の予定でございます。  本日はこれにて散会いたします。    午後七時散会