○森勝治君 関連。いまの問題で関連した質問をしたいのですが、「私の発言」という命題でしょう、そうですね。そうなれば、その中でその発言する人の持てる思想、あるいはまたその中には雑言もあるでしょう、あるいは今度はその人の発言の見方が皮相な見解、たとえば相反する
考え方を、私が視聴者として聞いて、何だあんなことを言っていると思う場合があり得るでしょう、しかしいやしくも
NHKが「私の発言」ということで、それぞれの方の発言ですから当然その思想がその根底をなすものだと思うのです。それが平面的な表現を用いられようと理論的な用語を用いられようと、それはいずれを問わず当然そこには何かの
考え方がある。それをいまいったように極論するか迂回した発言になるかの話です。当然そうなればこれは「私の発言」では、
NHKのほうで発言を
お願いするときにもうその辺のことは大かた、この人はどういう
考え方を持たれている方かなんということはわれわれ、特に文化人、学者等なれば
社会常識で推測ができるはずであります。そうなれば、もしその人がそういう発言をされた。いま言ったような相対峙する発言であれば、相対的な
関係で相反する
立場の人の発言を充ててしかるべきだと私は思うのです。それを三回させて、四回目に切ったということになると
NHKがかねてからその綱領に高く掲げておる不偏不党
——当
委員会でも前田会長がしばしばこのことについてはお約束され、発言をされておる問題について、これは羊頭を掲げて狗肉を売ったのではないかという視聴者の一部の声が
——一部というか、多くというか、その辺は私はつまびらかにいたしませんけれ
ども、疑問を持つわけであります。ならば、不偏不党という看板はおろしてもらいたい、こう言わざるを得ないのであります。少なくとも三回
放送されたんですから、四回で完結だそうですね。そうなれば、私は四回をさせて、賛否こもごも是非の
議論が成り立つならば、それはそれであらためて対立論を開陳さすべきであって、かりそめにも中途でやめるなんということは、これは
NHKとしてとるべき態度ではなかったと思うのであります。そういうことは、かねてから
常識的にもう推測できるはずであります。たとえば、変な話をして恐縮でありますが、これはこれに当たるかどうかわかりませんが、
社会党の党員を呼んで、あるいは自民党の方を呼んで、それぞれの
立場で
世界観を論じさせた、あるいはまたベトナムの戦争について論争させた場合には、それなら、本人の持つ個性もそうでありますけれ
ども、その人の
考え方が当然これは相対立する場合があります。そうかといって、同一の場所において両方が論争を求めさせる、触れ合いさせる、こういう場合の時間なら、またいずれといたしまして、そこで明らかに双方の思想的な隔たりが明らかになりますけれ
ども、いま言ったように、これはもう大学の学者一人でしゃべるわけですから、それは直ちにそこでその人の御
意見としては当然これは堂々と開陳さすべきであります。そこで、いや、あんたの話はそうじゃない。対話じゃございませんから、そこで時間的空間が、たとえば反論の
立場でこの問題で論争をこれに巻き起こそうとしても、これは時間的空間があるわけですから、当然これは四回なら四回終了させて、しかる後に、そういう
社会的な問題がもし惹起されたとするならば、
NHKは、じゃ、それほど論争をかもし出す問題であるならば、それなら対論者を呼ぼう、
考え方の違った方に、また
立場の違った方に
意見を求める、
お願いする、これが正しいあり方じゃないですか。三回で途中でやめたなんということは、これはもうそもそも
NHKが、いま申し上げた、まことに恐縮だが、不偏不党という看板があせてくる。それでなくとも、ほかの問題でもしばしば
NHKについては、
政府があたかも干渉しているかのごとき印象をぬぐい切れないし、私も先般の当
委員会でこのことについての疑点を晴らした際に若干詰問をしたような記憶を持つのでありますが、いずれといたしましても、そういうことは
NHKのとるべき
措置でなくて、これはひとつ今後、このことばかりでなくて、いずこいずれの場合でも起こるだろうと思うのであります。したがって、いまの皆さんの話を聞いていまして、ぼくは
質疑を中途からですが、聞いておりまして、それなら
NHKにマイクの前に立つ者は、もう「私の発言」などという看板をおろして、当たりさわりのないこと、
世間のざわめきのみを
電波にのせる、それ以外なかろうと思うのであります。それであったらば、また
国民の思想を啓発するという
立場、
社会主義を貫くという
立場、これがことばを変えて不偏不党という文字によって表現される
NHKの綱領というものが、使命というものがその全きを期すことができないようなおそれを私は多分に持ちますので、まあ
鈴木さんの御
意見にありましたように、今後このことについては資料を取り寄せて御検討願えるわけでありますから、私も勉強してみたいと思うのでありますが、ただそういう問題で、私の発言とか、自由に発言させたら、おまえの発言はちょっとけしからぬからやめろなどということでやめさせたということであるならば、これは
NHKの名誉についても非常に重大なことでありますので、私は、一言皆さん方の御
意見をいただきたくて発言をしたわけであります。