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1968-11-19 第59回国会 参議院 地方行政委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年十一月十九日(火曜日)    午前十時四十三分開会     —————————————    委員異動  十月二十三日     辞任         補欠選任      平泉  渉君     柳田桃太郎君  十一月八日     辞任         補欠選任      多田 省吾君     阿部 憲一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         津島 文治君     理 事                 船田  譲君                 吉武 恵市君                 林  虎雄君                 原田  立君     委 員                 小林 国司君                 斎藤  昇君                 鈴木 省吾君                 増田  盛君                 竹田 四郎君                 松澤 兼人君                 和田 静夫君                 阿部 憲一君                 山田  勇君                 山崎 竜男君    国務大臣        自 治 大 臣  赤澤 正道君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君    説明員        防衛施設庁総務        部長       鐘江 士郎君        防衛施設庁施設        部長       鶴崎  敏君        大蔵省主計局主        計官       秋吉 良雄君        建設省住宅局長  大津留 温君        自治省行政局長  長野 士郎君        自治省行政局公        務員部長     鎌田 要人君        自治省財政局長  細郷 道一君        自治省税務局固        定資産税課長   山下  稔君        消防庁長官    佐久間 彊君        消防庁次長    山本  弘君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方行政の改革に関する調査  (有馬温泉旅館火災に関する件)  (公営交通事業経営改善及び職員給与等に  関する件)  (地方公務員給与に関する件)  (地方事務官制度に関する件)  (基地交付金等の問題に関する件)     —————————————
  2. 津島文治

    委員長津島文治君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  十月二十三日、平泉渉君が委員辞任され、その補欠として柳田桃太郎君が選任されました。また、十一月八日、多田省吾君が委員辞任され、その補欠として阿部憲一君が選任されました。     —————————————
  3. 津島文治

    委員長津島文治君) 有馬温泉旅館火災に関する件を議題にいたします。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  4. 松澤兼人

    松澤兼人君 二日に火災が起こりまして、きょうまで相当の日数を経過しているわけでありまして、こまかい点についてああだこうだと言うことよりも、今後の問題についてわれわれも考え、また消防当局も決意のほどを示していただきたい、こういう趣旨で御質問申し上げたいと思います。  まず第一に、当時の状況から御報告願います。それについてまた質問をさせていただきます。
  5. 佐久間彊

    説明員佐久間彊君) 昭和四十三年十一月二日の二時三十分ごろと推定されますが、神戸市兵庫区有馬町の池之坊旅館から出火をいたしまして、覚知をいたしましたのが三時六分、神戸消防局有馬出張所が一一九番による通報によって覚知をいたしました。鎮火いたしましたのが五時四十五分でございます。その間、類焼いたしまして死者三十名、負傷者四十四名を出すというまことに悲惨な事故となった次第でございます。原因につきましてはなお調査中でございます。  概要は以上でございますが、なおいろいろ御質問によりまして、お答えを申し上げたいと存じます。
  6. 松澤兼人

    松澤兼人君 二年ぐらい前でしたか、水上温泉のやはり事故がありまして、そのときにもこの委員会で同僚の松本賢一君が中心になってこの問題を取り上げまして、委員会としましても、また消防庁としましても、再びこういう大災害は起こさないようにするという言明があったと思うのであります。その後こういう温泉地における、特にお客さんのたくさん集まるそういう旅館消火設備等につきましては、どのような指導が行なわれ、かつまた、どのような効果をあげているかということを聞いておきたいと思います。
  7. 佐久間彊

    説明員佐久間彊君) 水上温泉火災事故につきましては、これを教訓といたしまして、私どもといたしましては、このような惨事を繰り返すことのないようにという心がまえで、その後いろいろ問題点検討し、これに対する措置をとってまいったのでございます。  法令上の措置といたしましては、避難器具設置基準強化をするという改正昭和四十一年の十二月にいたしました。また、防火管理体制強化をするという観点から、防火管理者任務といたしまして、消防計画を作成をいたしまして、これに基づく消火通報訓練を実施をしなきゃならぬということを義務づけることにいたしました。なお、本年の通常国会で御審議いただきました消防法改正の中で、防火管理者任務といたしまして、避難及び防火設備構造につきまして管理する任務を加えることにいたしたのでございます。なお、法令上の問題といたしましては、現在検討中のものが若干あるわけでございますが、たとえば煙感知器旅館ホテルなどにつきましては設置を義務づけることにしたらどうであろうか。あるいは非常警報設備につきまして設置の義務づけの範囲を拡大する。また、その内容につきまして改善をするというようなこと等、現在なお検討をいたしております。  それから、行政指導といたしましては、火災による人命損傷防止ということが何と申しましても一番大事なことでございまするので、一昨年米、火災予防運動のときにおきましてはこの点を一番重点にいたしまして、旅館ホテル等におきまする予防査察を行なわせ、それについての不備な点については改善をさせるという努力をいたしております。なお、火災予防運動に当たりましては、旅館避難経路を掲示するということを必ず励行するようにということも、本年の春の火災予防運動の際には非常に強く指導をいたしたのであります。  なお、水上温泉等事故防止いたしますためには、消防関係だけでは片手落ちになりまするので、建築関係法令改正につきましても、私ども意見建設省に御連絡をいたしまして、建築基準法令改正を御検討願っております。それと同時に、査察をいたします場合には消防機関建築行政機関連絡を緊密にいたしまして、その実効を上げるようにということで、昨年、建設省のほうと御相談をいたしました結果、そのような指導もいたしておる次第でございます。
  8. 松澤兼人

    松澤兼人君 いまお話を聞きまして、まあ改善努力というものは認められるわけですけれども、しかし、実際、旅館ホテル等におきまして改善されているかどうかという問題になると、これまた別の問題ではないかと、こう考えるわけであります。なぜ、それじゃ有馬池之坊におきまして三十人の死傷者を出したかということは、もちろん消防設備あるいは従業員避難訓練、あらゆる悪条件がそろったためにこういうことになったと言えばそれまでであります。しかし、こういうことを国会において議論をしていましても、われわれが旅館ホテル等に宿泊する場合に、もし万一火事でも起こったらどういうことになるかという心配は少しも解消されておりません。まあ消防本部から行けば、それは何とかするだろうと思いますが、われわれ普通に旅行者として旅館に宿泊する場合においては、どこをどういうふうに通って避難したらいいかということは全然わからない。最近、有馬事件がありましてから避難経路などを印刷したものを部屋の中に張ってありますけれども、しかし、それだけでは十分じゃないと思うのです。いろいろと御努力なすったわけでありますけれども、この改善の実が上がっていないということは、はなはだわれわれとしましても残念に思っておるわけでありまして、最終的に地元の消防局からのいろいろ要請も上がっておることと思いますし、われわれもまたいろいろ意見があるわけであります。とにかく三十人というたくさんの人命をなくしたという、この有馬火災事件というものは大きな問題だと思いまするが、さしあたって、どうしてこんなにたくさんの死傷者を出したかということにつきまして、消防庁として何か把握されておられるところがありますか。
  9. 佐久間彊

    説明員佐久間彊君) 三十人の死者を出したということにつきましては、ほんとうに残念なことであり、私どもこの経過というものにつきましては、きびしい反省をしながら今後の対策を検討しなければならぬ、かように存じておる次第でございます。なぜこのような死者を出したかということでございますが、これはいろいろな、先生もおっしゃいましたような悪条件が競合いたしまして、このようになったと思うのでございますが、若干考えられますことは、まず火災発見通報がきわめておそかったということが考えられるのでございます。先ほども申しましたように、火災から覚知をいたしますまでに三十分以上経過をいたしておるということでございますので、自余の措置がすべて手おくれになってしまったということが言えるわけでございます。それから旅館側といたしましては、夜間における防火管理体制というものが不備であったと思います。それから火災による死者の死に至りました状況を見てみますというと、大半が煙による窒息死であったと推定されるわけであります。死体が焦げて発見されました方も、おそらく大部分はまず煙でやられて、そのあとで火で焼かれたということではなかろうかと推測をいたしておるわけでありますが、そこで、そういう煙が多く出たということにつきましては、新建材といわれておりますが、この建築材料に燃えやすい、また有毒のガスを発生するようなものが多く使われておったということも一つ原因ではなかろうかと思います。それから消防用設備の点につきましては、自動火災報知設備が、消防局のほうの勧告にもかかわらず、なお不備でございまして、そのために通報が個々のお客さんのところにいく上に遺憾な点があったようにも思うわけであります。そのほか、いまお話のございましたように、避難経路の案内とか、避難誘導とか、そういう点につきましても、いろいろと不備な点があった、かように思うのであります。さらに、消防側といたしましては、従来たびたび予防査察はいたしておりますけれども、それが十分実効をあげるまでに至っていなかったというようなことにつきましては、消防側指導の上におきましても、なお努力の足らない点があったということも反省をいたしております。
  10. 松澤兼人

    松澤兼人君 いろいろとたくさんの死傷者を出した原因についておあげになりましたけれども消防庁として原因がまだはっきりわかっていないわけですから、的確にお答えもできないと思いますけれども、いまお聞きしたところでは、どうもわれわれしろうとも、多数死傷者を出した原因を私がもし聞かれれば、その程度のことはお答えできると思う。もう少し的確な原因の分析というものが、もうすでに十五、六日ぐらいになっているわけですから、的確に把握されていてもいいんじゃないか。そのほか、私、たとえば自衛消防組織というようなものが十分でなかったということもありますし、あるいは水道の問題もあるでしょうし、道路の問題もあるでしょうし、いろいろ悪条件が重なっているということは私申し上げたとおり。これはあとでまた申し上げますけれども予防査察の点でいろいろと行政指導されたり、勧告をされたりしておりましたことは私もよくわかる。しかし、問題は、いわゆる建築関係でまだ完工届けと申しますか、あるいは竣工届けといいますか、言ってみるならば、新しく建築をした、それは建築基準に合致しているかどうかという問題で、承認とか、あるいは許可とかいうものがあるんだろうと思うんですけれども、この場合、私、一番変に思いますことは、建築基準の上において建築上の一切の手続が終了していないのにお客を泊めて実際の使用を始めている。消防はそういう状況を見て、ここんところはこうしなさい、ここんところはこうしなさいというようないろいろ行政指導をされたらしいんですけれども建築上の問題として完工手続、つまり使用承認という形のものがとられていないのに、消防のほうでは、こういうところに消火器を置きなさいといったような行政指導をしているということはおかしいと思うんですが、これは建設省のほうにもお尋ねしなければなりませんが、そういう点、行政指導をしたしたと言ったって、建築のほうで、これなら完全に使用しても差しつかえがありませんという、そういう承認というか、同意というか、あるいは許可、そういうものがないのに消防だけが一生懸命やってみたところで、たとえば一つ一つのものはうまくできているにしても、渡り廊下でそれをつないで、お客さんが玄関に入ると一つ一つ独立した建築手続でできたものに、自由にあちらへ連れていき、こちらへ連れていきというようなことはどうもおかしいんじゃないかと思うのです。消防当局としてはどうなんですか、そういうことは。完工届けが、手続ができていないのに消防のほうをいろいろと指導されるということは。
  11. 山本弘

    説明員山本弘君) 先生指摘のように、池之坊満月城旅館は、大きく言いますと三つでございますが、小さく申しますともっと多くなりますが、木造の部分鉄骨部分鉄骨のモルタルの部分がございまして、それぞれ建て増しによって大きくなったものでございます。それが廊下等によってつながっております。全体として一つ建物になるわけでございまして、その中で、実は三十九年以降に建てられました部分につきまして、建築確認はいたされておりますけれども、その場合において、もちろん建築を始める場合は、建築に届けるとともに消防同意を出すという制度がございますので、そういうふうに行なっておりますけれども、最終的に竣工検査——こういった特殊建築物竣工検査を受けたあとに使うということになっておりますが、それがなされていなかったということを、実はその後の調査によって判明をいたした次第でございます。  一般的に申しまして、旅館等営業を開始する場合におきまして、建物を建てて旅館営業するという場合は、扱いといたしましては、営業許可をする場合に、建築建築基準法手続が済んでおるかということを手続上実際的にこれを確認をして営業許可をしておるようでございます。しかし、それが増築ということになりますと、もうすでに営業許可が出されております。したがって、増築をした場合に、竣工検査が行なわれない前に営業許可権をすでに持っておりますから、それを使うということが行なわれ得る可能性があるわけでございまして、当池之坊満月城旅館におきましても、そのことがあったわけでございます。したがいまして、この場合は、その後この事件が起こってから以後発見をいたしたということでございますが、消防といたしましては、いわゆる建物があるという立場で、この防火対象物について、消防法にきめられておるところの消防設備がどう設置されておるかということを中心にして、設置義務に適合するように指導をいたしておった次第でございます。
  12. 松澤兼人

    松澤兼人君 建築当局として最終的に使っても差しつかえがないというそういう承認がないときに、消防消火器をどこに置きなさいということをやること自体おかしいんじゃないか。そのときに、消防一体その建築竣工承認といいますか、使用許可というそういうことを建築当局からもらっているかどうかということを第一に考えて、それが出ていないとするならば、これは使用できない建物じゃないかと、まずそっちのほうから先に承認をとりつけておきなさい、こう言うのがあたりまえだと思いますけれども、そういう場合に、消防署としてはそういう権限はないのですか。
  13. 佐久間彊

    説明員佐久間彊君) 消防といたしますると、防火対象物と申しておりまするが、家屋その他の建築物がございますれば、それ自体火災の危険を持っておる物体でございまするから、これを違法建築であるから全然ほったらかしておくというようなわけにはまいらないわけでございます。しかし、お話のように、そのような指導をいたします場合にも、まだ建築承認確認を得ていない、あるいはまた竣工検査が終わっていないということが発見いたしますれば、建築行政機関のほうに連絡をいたしまして、また当人にもまずそれをとってこいというような運用をいたしますことが至当な措置かと思います。その点は建築行政機関消防機関との間に必ずしも連絡がうまくとれてない点もあることは事実でございまするから、今後の運用上の問題といたしましては、ただいま御指摘のありましたような点は十分ひとつ考えてまいるようにいたしたいと思います。
  14. 松澤兼人

    松澤兼人君 前の水上のときもそうでしたし、先般のまた消防法改正の問題でも、高層あるいは地下街の火災の問題についていろいろ論議をしたことは長官も御存じのとおりと思います。そのときにいつも問題となりましたのは、建築建築で、消防消防でということはいけない、いつでも建築消防とは一緒に歩いていなけりゃいけないんだということを申し上げたと思うんです。どちらかと言えば、建築が先に行って、それからあとから消防がついていくという形になっていると思うんですが、こういうふうに、まあ言ってみるならば、いま長官も言われましたように、一種の不法建築——それは現実使用されているから、使用されている限りにおいては、消防設備がどうこうということを行政指導されていることはよくわかるわけですが、末端にいきますと、結局、建築建築、それから消防消防、あるいは食品衛生食品衛生といったようなことでばらばらになってしまって、現実一つの、消防から言えば防火対象でしょうが、建築物旅館というものに対して、一体となった査察なり行政指導なりというものが行なわれていない。これがその大火もしくは事故が非常に大きくなった大きな原因じゃないかと思うんです。その点どうですか、反省されますか。
  15. 佐久間彊

    説明員佐久間彊君) その点はもう従来からも御指摘をいただいておりますように、私どもとしても非常に反省をいたしておるわけでございまして、実は先ほども、ちょっと水上温泉事件にかんがみまして、その後とりました措置一つとして申し上げたのでございますが、建築関係機関消防機関一体になって査察もし、また、その後の改善指導もするという体制をつくらなきゃいかぬ。で、建築関係につきましては、建築確認関係職員全国でおそらく三千人余りでありましょうか、ございまするが、消防関係は御承知のように常勤職員でも五万数千名、全国におるわけでございまするので、やはりこの不法建築があるかどうか、それがまた火災を招く危険を持っているかどうかというようなことにつきましては、どうしても消防職員が活動するというようなことになりませんと実効があがらないわけでございます。しかし、従来、消防職員といたしますと、消防法上の設備が整備されているかどうかということはよく見ますのでありますが、建築基準法関係の防災上の施設が、構造法令どおりに順守されておるかどうかというような点については、ともすると、それほど力を入れていなかった、こういうようなうらみがございまして、昨年、建設省住宅局長のほうからも協力方お話がございまして、これまた私どものほうも、これはごもっともなことだから、ひとつ消防機関が、建築基準法関係につきましても、これが防火上の見地から必要な限りにおいては、査察の際これを点検をいたしまして、建築基準法関係の違反を発見したときに、建築行政機関にさっそく連絡をして、そちらのほうで適当な措置をとってもらう。そういうことをひとつ積極的にやるようにということを、実は建設省と両方で、共同で通達で指示もいたしたような次第でございます。今回もこの事件にかんがみまして、全国温泉観光地における旅館ホテル査察をやろうということにいたしておるわけでございますが、その際も実質的には建築行政機関と私どもとが共同でやるのだというようなかっこうで、しかし、実際は建築関係職員は県におるわけでございまして、それから数も少ないわけでございますから、消防関係職員が主力になるわけでございますけれども査察対象とする事項につきましては、建築基準法関係のことも含めて、そしてまたそれの改善指導につきましては建築行政機関とよく連絡をとってやるというような指導をいたしておるわけでございます。
  16. 松澤兼人

    松澤兼人君 いろいろ今後どうするかという問題につきまして、またあとで御質問申し上げたいと思いますが、ただいままで消防庁中心としてお尋ねしてまいりましたが、建設省、特に建築基準の問題として今度の火災についてどのような結論なり、あるいは感想を持っておられるか承りたいと思います。
  17. 大津留温

    説明員大津留温君) 建築基準の順守がこういう災害防止人命の尊重に非常に重要な役割りを持つものでございますことを深く自覚いたしまして、これが法令上不備な点になるたけすみやかに改正を行ないますとともに、それが的確に守られますように、行政機関といたしましても、また旅館等営業者、あるいはお泊りの方々にも十分その辺のことを指導監督していきたいと、こういうふうに考えております。そこで基準法法律上の改正は、ちょうどそういう過去の事例によりまして、法律上の改正も次の通常国会でぜひ行ないたいと思っております。また、法律に基づきます防火上、あるいは避難上の技術基準を定めました政令の改正も近く、おそくとも年内には改正いたしたいというふうに考えております。また、先ほど消防庁長官お話にありましたように、現地におきますそういう査察と言いますか、現地指導が非常に大事でございます。また一般の方々に対する認識の向上も大事でございますので、消防当局とより一そう密接な連係を保ちながら進めてまいりたい。こういうふうに考えております。
  18. 松澤兼人

    松澤兼人君 新聞などにおきまして建築基準法改正の原案がまとまったということを報道されておりますけれども、この中で特に温泉地等の不特定多数の人が集まる密集した地域における建築基準改正の要点というものは、どういうことですか。
  19. 大津留温

    説明員大津留温君) 大体四点ほどございます。  第一点は、こういう不特定多数の人が出入りいたします建築物安全度、また耐火性能等を、その建築物の要素、構造に応じまして強化をいたしたいというのが一点でございます。  第二点は、こういう建築物ができました後に、従来この法律に定める安全あるいは衛生上の基準にその後もマッチ、適合しているかどうかということを、所有者所有者の責任で維持管理をしなければならないわけでございますが、それがいわば努力義務でございましたので、不徹底のうらみがございました。したがって旅館ホテルのような建築物につきましては、建築後も定期的に一定の資格を持った者の検査を受けまして、その結果を報告しなければならないということにいたしたいというのが第二点でございます。  第三点は、先ほどお話の中に出ておりました、新建材が発煙その他の点で防火上問題がございますので、そういうホテル旅館のような特殊建築物に使います場合には、一定基準に基づきまして、建設省の認定を受けたものでなければいけないということにいたしたい。  第四点は、照明、換気あるいは空調等建築設備に関する基準を整備いたしまして、そういう非常事態におきます電源の確保あるいは換気等も十分にできるようにしたい、こういうことでございます。
  20. 松澤兼人

    松澤兼人君 まあ、たいへんいい考えだと思うんですが、しかし、先ほど佐久間長官のほうからお話がありましたように、消防は現場の手足を持っておるけれども、建設当局としては現場に手足を持っていないから、これだけいろいろの改善をしようと考えておられても、現場の査察ということが十分にできないんじゃないか、それでは結局同じことじゃないか。何か新聞には、改善の意図はよくわかるけれども、何か日暮れて道が遠いような感じがするというような報道が出ていたように思います。この末端の検査業務、あるいは査察業務というものに対して、どのように対処されるかということですが、有馬の場合は神戸市の建築当局が所管をしているでしょう。相当人手があるはずなのに、先ほども申しましたように竣工届け完工届けというようなものが出ていなかったということが、あとになって気がついたというようなことでは、どんなに法律あるいは政令の改正をしても、結局こういうことを二度、三度と繰り返す結果になりはしないかと思うんです。一部分消防にその事務を——消防建築のことまで口出すことはどうかと思いますけれども、しかし、安全度というようなことから考えれば、ある程度の消防の肩がわりというようなことも考えられるのじゃないかと思いますが、その点はいかがですか。
  21. 大津留温

    説明員大津留温君) 先生指摘のように、手足が非常に不足しておるという点は、実は私どもの最大の悩みでございます。そこでこれの打開策といたしまして、今度の基準法改正で、なるべく権限を市町村におろしまして、こういう現場に近い段階で確認検査等の監督等の事務をやらせようということを考えております。  それからもう一つは、建築士などの民間の一定の資格を有する者をなるべく活用いたしたい。先ほど申しました、ホテル旅館等が毎年定期的に一定検査をするというような場合は、そういう建築士、一級建築士なら一級建築士の検査を受けて、その合格証明書を届け出るというようなことにいたしたい。  それから第三は、先生指摘のように、私どもとしても一番期待いたしておりますのは、消防当局との密接な連携、共同体制をとりまして、消防庁の御当局で現地査察される際に、建築法規上の不備、違反が発見されましたならば、直ちに御連絡をいただいて、こちらの足らないところを補うというふうにいたしたいと考えておるわけでございます。
  22. 松澤兼人

    松澤兼人君 いまのお考えの中に、できるだけ建築基準法上の権限を市町村に委譲するということ、これはひとつ非常に進歩をしたことだと思うのですが、ほかのところも同様だと思いますけれども、私、兵庫県ですけれども、たとえば有馬神戸市の管内ですか。あそこの住宅局というようなもの、あるいは区役所等におきましても、相当の人員がいるわけなんです。それでもこういうことがあったわけなんです。また同じように、たとえば兵庫県の中に城崎郷という温泉があります。あそこは権限を委譲しても、町役場の職員の数というものは非常に限られている。ところが旅館は何百軒もあるということで、そういうことで、市町村におろしても、また同様、そういうような手が足らないということ、あるいはまた、専門的な知識と経験を持った職員が足らないということがいえるのじゃないかと思います。この点をひとつお聞きします。  と同時に、さて、そういう段階において、消防庁にお聞きしますけれども、城崎町のような消防本部もなければ、消防署というものもない。町長がそういう仕事をやっているというようなところでは、今度末端にいってから、いま建設省の言われますように、そういう建築基準法上の権限は、できるだけ市町村の職員が、消防団員ですね、専門的な消防団員と相談をして、いいか悪いかというようなことの意見を言うことになると思いますが、そういうことになると、消防の仕事の権限を持っている町長なり町役場の職員なんというものは、これまた全く非常に困ることになるのじゃないかと思いますけれども建設省ではいま申し上げましたように、市町村に権限をおろすといっても、実際上やはり優秀な職員が不足するというようなことになると思います。まさか建築基準法上のいわゆる承認とか、あるいは認許可というようなものを、民間の建築士に譲るわけにもいかないでしょう。消防意見を聞くといっても、やはり現場の職員にはそれだけの知識と経験がありませんし、ここで問題はまた非常に難関にぶつかるんじゃないかと思いますけれども、両君の御答弁をいただけたらと思います。
  23. 佐久間彊

    説明員佐久間彊君) 御指摘いただきました点が、私どもといたしましても一つの悩みでございます。まあ最近の方針といたしましては、町村でありましても、温泉、観光地等で旅館ホテルが相当ある。夜間人口は少のうございましても、お客さんまで入れますと相当な人口になり、また防災上の配慮もしなければならぬというところにつきましては、消防本部及び消防署をできるだけ置かせるようにという方向で、政令指定も検討をいたしておるわけでございます。ただ、それにいたしましても、町自体が能力が非常に弱いところにおきましては、消防本部及び消防署を置くこと自体が無理な点もございます。そういうところにおきましては、隣接町村と共同ででも常備消防を持つというような方法で考えられないだろうかということで、これは個々の事情がございますので画一的にはまいりませんけれども検討いたしておるわけでございます。しかしそのような方法がとれません地域におきましては、お話しのように町村役場の職員なり、あるいは消防団の力によらなければならないということになるわけでございます。そこで、そういうところについてだんだんと予防業務がふえてまいりますると、どうしてもある程度専門の職員、かりに役場に職員を置くにいたしましても、専門的な訓練を経た者を置くというようなことにもいたさなければなりませんし、それらの点は実は私どももただいま、今後の研究問題としていろいろ検討をいたしておるところでございます。
  24. 大津留温

    説明員大津留温君) なるべく市町村におろすと申しましても、先生指摘のように、やはり建築の専門的知識あるいはある程度の経験を持った者がいませんと、なかなか実際上にできませんので、その点が一番私ども悩んでおる点でございますが、したがいまして、そういう城崎町のような場合は、やはり県のほうで建築行政は見るということに実際問題としてなろうと思います。その際に、こういう旅館等がたくさんあるような地域に、県としては重点的に建築主事を配置をいたしまして、そういう建築上の指導をいたすように、そういうふうにいたしたいと考えております。
  25. 松澤兼人

    松澤兼人君 私、有馬と城崎の例をとっておりますのは、別に他意があるわけではありませんけれども、対照的に、有馬神戸市ですから人手もたくさんあるけれども、城崎のほうは町で、その職員の人数も限られておりますし、消防及び建築の点から、経験と知識を持っている職員というものを得るのになかなか困難だろうということを申し上げておるわけなんです。先日も、新聞によりますと、城崎で県の消防防災課ですかの方が見えられて、有馬の大火を契機として、城崎町においても予防あるいは消火の設備の点検をしようじゃないかという話し合いがあったそうですが、しかしそれにしても、やはり個々の旅館にとっては相当大きな出費になるわけなんですから、いいことには違いないけれども、それが直ちに旅館に強制的に義務づけるということが非常に困難でありまするし、また月に一ぺんくらい神戸の県庁の方が日本海のほうの城崎まで行って消火あるいはまた建築上の指導をするということも、実際上は困難なことじゃないかと思います。そういう地区に対しましては、これは水上のときにもそういう意見があったと思うんですけれども、特別の消防及び建築一つの、何といいますか、出先機関のようなもの、あるいは出先の事務連絡協議会のようなもの、そういうものがなければなかなか——遠くからたまたま県の消防課の方が見えた、あるいは建築関係の人が見えたということでは、改善に非常にそれこそ時間がかかるのじゃないかと思いますが、これはいま即答するといったって、思いつきのことをお二人が言われても、これは何の役にも立ちませんので、今後建設省消防庁というものが一体となって、末端、特に非常にいなかの温泉地等における消防建築上の問題をどういうふうに処理していくかということ、これは建設省の住宅局と消防本庁とが話し合っただけでは、これは問題解決していかないと思います。末端に至るまで指導し、あるいは監督し、また基準に合わないものに対しては使用禁止というか、あるいはまたは営業停止というか、それまでやって、強い力でもって臨んでいかなきゃならないと思います。これは私の意見として、そういうようにひとつ東京で関係の方々の間で十分な連絡をとっていただきたいと思います。  それから消防組織上の問題としましては、やはりいま申しましたように、末端における消防機能の拡充ということ、これが非常に大切だと思うのでありまして、それにはやはり予算の裏づけ等も必要だと思いますが、こういう町村自身は非常に貧弱な財政の中で、ほかから来るお客さんのために最低限度これだけの施設をしなさいと言っても、金がかかることですし、職員もなかなか置けないしというところにおいては、特別に国が消防上の予算的な措置を講ずる必要があると思うんです。そういう問題について消防庁として、来年度予算等において特別の査察をするような予算をとり、そして非常に基準から見て劣っているところに対しては強力な、県あるいは町の強力な指導をするという、そういう特別の予算をとる必要があるのじゃないかと思いますけれども、この点何かお考えありますか。
  26. 佐久間彊

    説明員佐久間彊君) 水上事故がございましてから、温泉地、観光地町村の消防力の拡充ということにつきましては、私ども努力をいたしてまいっておるわけでございますが、その方法といたしましては、消防本署を置かなければならない市町村といたしまして、多少条件が欠けておりましても、できるだけ優先的にそういうところは消防本部署を置かせるようにして、消防のいわゆる常備化をはかっていく。また消防本部署を置くまでには至りませんところでも、消防団の中にいわゆる常備部というものをつくらせて、若干の常備の消防団員を置くというような方針でやっております。なおまだそうしたことの未設置のところにつきましては、今後さらに検討してまいりたいと思っております。  それから施設の点でございますが、これは消防ポンプあるいははしご車、あるいは防火水槽等の国庫補助金の配分にあたりましては、温泉、観光地は優先的にそちらのほうに重点的に配分する、こういう方針をとっております。なお、さらに特別な財政需要につきまして、交付税上特別な配慮をしてほしいと、こういうような関係町村長さんから御要望もいただいておりまするが、これも今後の問題として検討してまいりたいと、かように思っております。
  27. 松澤兼人

    松澤兼人君 この問題を住宅局長さんにお尋ねするのはどうかと思うわけですが、建築基準法改正ということが論議されている段階ですので、申し上げたいと思うんですけれども、この有馬旅館を見ますというと、ほとんど道一ぱいに建築をしているわけで、私、地図も持ってきておりますけれども、私三日の日に現場へ非公式に行ってまいりました。ちょうど二十九番目の遺体が発掘されたときでした。消防車が通れないような道なんです。あるところまで行って左へ行く道と分かれるわけなんですが、そこまでは大型の消防車が入りますけれども、それからへい伝いに満月城のほうへ行くところでは、もう消防車も入れない。それでコンクリントのへいが立っておりまして、一ぱい一ぱい旅館建物がある。こういう点はいわゆる建蔽率の問題と直接関係はないかもわかりませんが、不特定多数の人たちが出入りする建築物においては、当然自分の土地であっても、消防車の通れるような道幅だけは土地の所有者、すなわち旅館の経営者ですが、それが消防車の通れる道ぐらいは提供といいますか、あるいはもし都市計画、道路計画が神戸市のほうにあるならば、買い取りに応ずるとかいうような義務づけをしたらどうかというふうに、私現場を見てしみじみ思ったんですが、これは直接住宅局の関係でないかもわかりませんけれども、そういう点については、何か改善の方法をお考えでございますか。
  28. 大津留温

    説明員大津留温君) 防災の最も基本的な問題は、そういう防災的な町づくりにあると思います。これは建設省の関連が一番大きいわけでございまして、私どもとしても、その重要性を十分認識しているつもりでございますが、いわゆる都市計画の街路として公道としてつくりますものは、それぞれ市当局なり何なりが適正な道幅の街路をつくるわけでございますけれども、いわゆる末端にいきますと私道ということになりますので、私道がやはりしかるべき幅員、あるいはその他御指摘のような場合に役に立つような構造でなければなりませんので、今回の建築基準法改正の中にも、実はそういう私道を認定いたします場合の基準をきめまして、通常の場合は少なくとも四メートルの道幅を確保いたします。また、相当長い距離にわたります場合には、それ以上の幅を確保させるということによりまして、最低限の消防車の出入りには支障を来たさないということを一応もくろんでいるような次第でございます。
  29. 松澤兼人

    松澤兼人君 この有馬旅館が、先ほどお話し申しましたように、建築基準法上のいわゆる手続も終わっていない。それを現に使用して、あとで気がついたということですから、相当商魂たくましい経営者だと思うわけなんですが、だれが見ましても、自分の土地ならば、一ぱい一ぱい使ってもかまわないということはちょっとおかしいのじゃないか、少なくともそういう公共的といいますか、不特定多数の人たちが出入りするところにおいては、自動車の駐車場も必要だろうし、あるいは周囲の道幅だって、消防車の通れるような道幅を確保するというようなことは、経営者の義務として、当然これは法令上の権威をもって要求してもいいのじゃないかと、こういうふうに思うのです。今度火災がありましてから有馬では、道ばたに駐車してはいけないとかいうようなことでやっているらしいのですけれども旅館それ自身にお客さんの乗ってきた自動車を駐車させるだけの空地をとっていないということは、これはどう考えてみてもおかしいです。自分の玄関先の広場に多少の車はとめられますけれどもあとは四メートルあるいはそれ以上の道に駐車さしているというようなことはおかしいと思うのです。これは今後の問題でもあると思いますが、ひとつ法令改正をやる場合には、もう新規に建てるものは、駐車場と、それから少なくとも消防車の通る道、そういう道は法令上確保し、また、それを強制させる義務づけを行なうということは非常に大切なことだと思うのです。  水上にいたしましても、有馬にいたしましても、あるいはその他伊香保なんかでもそうだろうと思うのですけれども、傾斜地で非常に土地一ぱい一ぱい旅館を建てているのですから、もう初めから危険だということは、常識的に考えてもわかるような状態なんです。ですから、少しゆとりのあるような建築上あるいは消防上の義務づけをさせるということは非常に大切だと思うのです。その点ひとつ御意見を承りたいと思います。
  30. 大津留温

    説明員大津留温君) ただいまの旅館等の道一ぱい一ぱい建てることが、非常にいろいろな意味でまずい点があるという御指摘、ごもっともでございまして、今回の基準法改正におきましても、まあ不十分ながら、そういった特殊建築物につきましては、道路から一定の距離、一定の幅だけ後退して建築しなければならないという内容のものを盛り込むことにいたしております。
  31. 松澤兼人

    松澤兼人君 それじゃ時間がまいりましたので、最後に消防庁長官にお尋ねいたしますけれども水上の問題を契機としていろいろ行政指導されたということはよくわかるわけなんです。いま消防庁からいただきました報告によりますと、発火推定の時間が二時三十分ごろ、それから通報を受けたのが三時六分ということで、三十六分ぐらいおくれているようでありますが、神戸消防局で最初出しました報告書、私、持っておりますけれども、これによりますというと、二時十分ごろ出火したと推定されると、通報があったのが三時七分、あるいはこの中でも三時六分としてあるところもありますけれども、三時六分あるいは七分、その間五十七分経過しているわけなんです。最後の段階でどういうふうになったのか、三十六分ということが消防庁の報告の中に出ておりますけれども、しかもこの通報をした人が旅館の従業員といった、あるいは消火の責任者あるいは防火の管理者、そういう人から通報があったんでなくて、旅館の外の人から通報があったということを聞いているんですけれども、そのために、通報がおくれたためにこういう惨事があったんだと、先ほど佐久間長官がおっしゃったんですが、いま申しましたように、本来ならば出火の発見者がすぐに一一九に通報して火事ですということになればもっと早く片づき、あるいはまた死傷者も少なくて済んだかと思います。いろいろと行政指導されておりますけれども、従業員の中にそういうことすらも、気持ちが動転してしなかったのか、その辺のこともよくわかりませんけれども、せっかく行政指導し、また勧告されても、こんなようなことでは、有馬消防車が何台かあるけれども、大部分のものは神戸の旧市内から山を越えてかけつけてきた消防車ということですから、やはり行政指導するならするで、もうちょっと何というか、根性のあるような防火訓練なり、あるいは防火の管理をしてもらうように行政指導をしていただきたいと思います。  いろいろと消防庁があちこちから文句を言われていると思いますけれども、私、地元の消防局としてはよくやったと思いますけれども通報がおくれたために三十人の死者を出したということ、まことに残念なことだと思います。ひとつ消防庁長官としての御意見なり抱負なりを承りたいと思います。
  32. 佐久間彊

    説明員佐久間彊君) お話しのように、私どもといたしましてもいろいろ指導はいたしてまいりましたが、なお徹底してない点が非常に多いわけでございます。まあそこでただいま先生の御指摘になられましたように、旅館ホテル自体防火管理体制をもっと整備をするということも、今後の一つの大きな課題だと存じております。で、防火管理者という制度が現在あるわけでございますが、これが小規模な施設も、また不特定多数の者を収容するような施設におきましても、同一の資格要件で足りることになっておるわけでございますが、まあ私どもといたしましては、この防火管理者にひとつ区分をいたしまして、旅館ホテル等特定多数の者を収容するような施設につきましては、もっと高度の資格要件を要求をし、そうしてまた防火管理者がそれだけの責任を持って、防火上の体制をふだんから心がけていくというようなふうに持っていきたい。そのために若干法令改正を必要とする点もあろうかと存じますが、そういうようなことも今後検討をしてまいりたいと思っております。  それから、消防機関側の体制でございますが、まあ御指摘のございましたように、今回の消防機関といたしましては、出動後の活動はよくやったと私どもも思っておるわけでございますが、なお、この予防査察の面につきましては、従来何回も勧告、警告をいたしましても、その実効があがらないという点があったわけでありますが、それにつきましては、やはり消防機関としても、旅館の経営者側に誠意がない場合には、法律の規定に基づきまして断固たる処置をとる。消防法の規定によりましても使用停止というような処分もできることになっておりまするし、また法令の義務違反、再三命じましても聞かぬような場合には罰則の規定もあるわけでありまするから、そのような場合には告発も辞さない、こういうような態度で臨むべきである、かように存じておるわけでございます。
  33. 山田勇

    ○山田勇君 有馬温泉旅館火災に関する件で質問さしていただきます。先ほど松澤委員のほうからいろいろと質問がございましたので、たいへん重複する点もあると思いますので、簡単に二、三違う角度から質問さしていただきます。  まず通報がおくれたという点についてですが、通報がおくれた場合の非常ベルが鳴らなかったという点がたいへん問題になっております。それについて、火災と電力の関係についてお聞きしたいと思うのですが、通報がおくれるという場合、火災が発生すれば当然電力は自然的に停止する場合があります。しかし、電力会社に聞きますと、できる限り、夜の火災の場合には電力をとめるとまっ暗になる。そういう点で混乱を招くという点において、できる限りぎりぎりまで停電はしていないということなんですが、まあ有馬の場合は火災発生と同時にすぐ停電という原因があったのですが、そのために非常に混乱したということなんですが、そういう点、技術的にちょっとお答えしていただきたいと思うのですけれども、いかがですか。
  34. 佐久間彊

    説明員佐久間彊君) 有馬事故の場合におきまして、出火と同時に停電したというようなまあ先生のおことばでございましたが、まあ私ども聞いておりますところでは、出火後二十分ぐらいたってから停電をいたしておるようでございます。したがいまして、この出火いたしました個所付近に自動火災報知機がございますればもっと早く覚知でき、被害も軽減できたであろうというふうに推測されるのでございます。調べてみますと、出火いたしました個所付近には警報設備設置されていなかったわけでございます。
  35. 山田勇

    ○山田勇君 私も、この火災がありましてから有馬旅館を二、三回ってまいりましたが、非常通報ベルというのはすべて電力によってできるようになっております。そうしますと、自然、火災が発生しまして停電、送電が停止されるといった場合、その非常ベルの役目というのは果たせなくなるのじゃないかと私は思うのですが、そういう点、かりに送電が停止されても非常ベルが鳴る、何かそういうような装置とか、そういうものは業者なり、消防庁独自に何か開発とか研究を進めておられますか。
  36. 佐久間彊

    説明員佐久間彊君) 自動火災報知機の受信機のほうに、かりに普通の電気が停電になりましても、それにかわる予備電源と申しますか、非常電源と申しますか、そういうものを設置させるように今後は法令改正をしたいということで、ただいま検討いたしております。
  37. 山田勇

    ○山田勇君 そこで、池之坊満月城についてもいろいろな問題があると思うのですが、昭和三十五年以来神戸市は十五回も査察し、再三にわたって警告を発しております。この警告が守られなかったからこういう大惨事が起きたと私思っております。しかるに告発もせず、警告の出しっぱなしと、そういう甘い態度で臨んできたのが、こういう大惨事を招いたと私は思うのですが、兵庫行政監察局は神戸市の関係各局について調査をしたというが、行政面での責任をどう処理なされますか。
  38. 佐久間彊

    説明員佐久間彊君) 昭和三十五年以来十五回立ち入り検査をいたしましたのでございますが、これもしかし次々に増築、改築等もございましたので、そのつど必要な査察をし、それに基づきまして所要の改善の指示もいたしておるわけでございまするので、だんだんと改善されてはきておるわけでございますが、なお改善されないままに残っておりましたのが、自動火災報知設備等あったわけでございます。で、その責任ということでございますが、消防機関といたしましては、法令どおり基準が守られていないから直ちに告発だと、こういうことじゃなくて、できるだけ、何と申しますか、権力をかさに着てということではなくて、よく話をし、勧告もいたしまして、早く改善するようにというような指導努力を従来いたしておったわけでございます。普通の場合は、そうして再三注意をいたしますると、経営者の側もそのような改善努力をしてくれておるわけでございますが、この場合におきましては、そうした誠意において欠けるところがあったように思います。そのような場合におきましては、もっと早く消防機関といたしまして、断固たる措置をとるべきではなかったかというような御指摘でございますが、その点は私も同様に思います。しかし従来、全体の考え方と申しますか、なるべくひとつ指導によって改善をさせようと、こういうような考え方でおったために、告発の時期などもおくれてしまったと、こういうことであろうと思います。それらの点につきましては、今後の教訓といたしまして、十分反省をしてまいりたいと、かように存じておるわけでございます。
  39. 山田勇

    ○山田勇君 再三の警告にかかわらず、業者のほうはそれだけの協力をしなかったという点について私もよくわかります。私は現場へ行きまして消防の方に聞きますと、再三再四の警告ということは、簡単に活字に書かれておりますが、あの狭い山道を自転車に乗りまして二人の消防士が満月城に行きまして、そういうことを何度も何度も警告しております。それにもかかわらず、業者のほうはそういう点について反省をしなかったという点はよくわかります。  これまで旅館ホテルで防災設備の不備な点があった場合、消防署の指導改善させるというのが国の方針である、神戸市の場合も告発による捜査、起訴、裁判を待っていたのでは、その間の設備的な面で改善がされないまま放置されることになるので、奏功性に欠けるという点で強い態度に出られなかったといわれております。もしそうであったとしたら、これまでの消防署の指導は間違っていたと私は思います。消防庁は今後、命令を守らないものはどしどし告発せよという方針を打ち出したいというが、業者などからの強い反発もあると思いますが、徹底してやれるかどうかという点と、どうしても有馬という——小さい地域になりますと、消防査察官と旅館業者とのいわゆるなれ合いということが私は十分考えられると思います。これは私が米軍側の消防につとめましたときに、神戸市の消防の方と一緒に査察をやりまして、映画館などの査察をやりましても、消火器をここへ設置しなさいと言いましても、だんだんなれ合いになってまいりまして、そういう点がぼくは多々あったように思います。こういう大惨事を招いたから神戸消防局の直轄の査察下に置くというのじゃなくて、そういう地域的にどうしても業者、消防機関とのなれ合いという点もあると思います。そういう点についてどう思われますか、ちょっと聞いておきたい。
  40. 佐久間彊

    説明員佐久間彊君) 第一点の告発等ももっと徹底してやれという御趣旨でございますが、今回の事故にかんがみまして、私どもも従来のような態度に反省をしなければいかぬということで、相手側に誠意が見られない場合には告発をするとか、あるいはもう一つ、その施設改善されるまで使用停止の処分をするという権限もございまするので、その両方の規定をとることをちゅうちょすべきじゃない、こういう趣旨の通達を私の名前でさっそく出したわけでございまするが、これは通達の出しっぱなしじゃございませんので、今後機会あるごとにその趣旨の徹底をはかりたいと、かように存じております。  それから第二の点でございまするが、これも地域によりましては、そこの旅館ホテルの業者がその地域の実力者でありまして、消防機関がなかなか思い切った措置ができにくいというような事情のあるところもあるというようなうわさを私も耳にするわけでございます。逆にまた、そういう旅館ホテルの経営者が町長になっておるとか、あるいは議長になっておるとか、消防団長になっておるとかいうことのために、非常によく消防、防災に力を入れてもらって好結果を生んでおるというようなところの話も聞いておるわけでございます。これは両面があろうかと思いまするが、いずれにいたしましても、御指摘のようなところがあるといたしますれば、これは是正をせなければならぬことでございまするので、そういう地域に対する県の指導ということをさらに注意をしていかなければならぬ、かように存じております。
  41. 山田勇

    ○山田勇君 たいへんよくわかりました。神戸市は、不法建築防火設備の不十分な旅館ホテルヘの客のあっせんをしないよう、また悪質なものは公表して、観光客が避けるよう指導することにきめて、公営、民間の観光案内所に協力を求めていると言っておりますが、その後、実際にこういうことは行なわれておりますか。
  42. 佐久間彊

    説明員佐久間彊君) そのような方針でだんだんと実行に移されておるというふうに聞いております。
  43. 山田勇

    ○山田勇君 まあここで私は一つ提案したいのですが、現在でも実施できる一つの問題ですので、採用していただければたいへんけっこうかと思いますが、それは簡単なことです。ホテル旅館の部屋に従業員が客を案内したときに、すぐその足で客を誘導して、実際に避難する退路を教えるということ、そういうふうにやれば、有馬の場合でももっと犠牲は少なく済んだんではないかと思います。まあこれはお金のかからないことですから、旅館のほうもそのくらいのことは守ってもらうように、まあそういうふうな行政指導も今後続けていっていただきたいと思います。  次に、人が多人数集まる百貨店、劇場、映画館、旅館、さらに高層建築、さらに地下街の防災という点について、特に義務づけられなければならないと思うんですが、そういう点についてどうですか、特に地下街についてお答え願いたいと思うのです。
  44. 佐久間彊

    説明員佐久間彊君) 前段お述べになりました、旅館お客さんに対して、着くと同時に避難の誘導、あるいは非常口はここにありますよと、こういう場合にはこちらのほうへ逃げてくださいというような指導をするということにつきましては、これはぜひ実行させたいということで、ことしの春の火災予防運動のときにも日観連、国観連という業者の全国組織がございますが、そちらの代表の方々とも話し合いをいたしまして、そちらの方々も、ぜひ必要なことだから、自分たちも協力をするからというようなことで、私どもも関係の市町村が強力な指導をするようにということをいたしたわけでございますが、ところによりますると、非常にその点をよく徹底して実行してもらっておるところもありますが、まだ実行がされてないところもございますので、いまの御趣旨はまことに私どもは同感でございまするので、さらに徹底するように努力をいたしたいと思います。  それから、後段のお尋ねの地下街、高層建築物でございますが、私は、これは特に、まあ先生地下街に重点を置いてお話がありましたが、全く同感でありまして、地下街で火災が起こりました場合には、今回の有馬の温泉のホテル旅館などの場合以上に、非常にまあ多数の者がどっちに逃げていいかわけがわからぬというような混乱の状態が起こって、相当な犠牲者が出るのじゃなかろうかということで心配をいたしております。これの対策につきましては、昨年私どものところに消防審議会という、これは諮問機関でございますが、そこで地下街、高層建築物の防災対策につきまして検討していただきまして、その御答申をいただいておりますので、これを実行に移していきたい。たとえば、やはり何と申しましても煙が一番問題でございますから、地下街には煙感知器というものを義務づけるとかいうようなことも考えておるわけでございますが、そのほか消防用設備、あるいはまた建設構造上も、地下街については特別な規制を加えていただく必要があると思います。この点は建設省にお願いをいたしまして、今回の建築基準法改正の案の中に、相当私どもお願いした点が含まれているというように伺っております。そんなようなことでこの問題も対策を早急にとってまいりたいと考えております。
  45. 山田勇

    ○山田勇君 これを最後に質問を終わらせていただきます。われわれ国民というのは、日ごろの労働とか、それから都会の喧騒から離れて、そういうレジャーと申しますか、そういうのを楽しみに参ります。そういうときに、いつもそういうような火災の危険というものがあれば、実際に旅行の、レジャーのほんとうの意味もなくなってまいります。七〇年には万博が大阪のほうでは開催されまして、旅館ホテルとかいうのは改増築というのがたいへん行なわれております。そういう点で、先ほど松澤先生がおっしゃったとおり、いわゆる建設省消防法というものをよくかみ合わせて、今後とも二度とこういうような大惨事を起こさないように、三十名といいますが、この委員会におります人数は大体四十人ほど数えてみましたらおります。これに近い人間がなくなります。それは二度と起こしてはならない問題でございます。大体世間一般は、どうしても消防というものを軽視しがちです、これは確かに。私は、ですから消防庁ばかりの手落ちを責めるわけではございません。一般の国民も、消防というものに対する理解度というのは若干私は薄いように、希薄であるように思います。特に旅館業者に対しては、そういう点を反省をしていただきたいと私は思っております。人命尊重第一主義でございます。ですから、そういう点十分今後とも適切な行政指導を行なわれることを切にお願いいたします。どうもありがとうございました。
  46. 佐久間彊

    説明員佐久間彊君) 人命尊重が最優先的な事柄でございまするので、本日両先生からいろいろ御指摘のございました点、十分考慮に置きまして、誠意をもって今後対策を検討してまいりたいと存じます。
  47. 津島文治

    委員長津島文治君) 本件に関する調査は、この程度にとどめます。  これにて休憩いたします。午後一時より再開いたします。    午後零時十五分休憩      —————・—————    午後一時十分開会
  48. 津島文治

    委員長津島文治君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  公営交通事業経営改善及び職員給与等に関する件を議題といたします。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  49. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 四、五点特に都市交通の問題についてお伺いをしたいと思いますが、去る十四日に赤澤自治大臣と総評の岩井事務局長との会談によって、十五日の朝に予定されておりました都市交通関係の始業時から八時までのストライキが一応回避されたということは、御同慶にたえないわけであります。その会談の中で、去年の八月分からの貸し付け金の形で地方公営交通企業の職員に支給されている平均三千円の金額を正式に賃上げ分として制度化させる手続を各地方自治体のほうにとらせるように行政指導される、こういうように承っているわけでありますが、これによって各市の企業管理者と労働組合との間の話し合いが進んだわけでありますが、自治省のほうに各市の企業者から出されてまいってきていると思うのですが、再建計画の変更というものがもう、正式ではなかろうと思うのですが、かなり出てきているんじゃないかと思いますが、その辺の状況を御説明願いたいと思います。
  50. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) 公営交通の各企業が一部まだ団体交渉が実っておりませんので、俗に八賃と言っておりますけれども、去年のほうがまだ片づいていない。それを各企業ごとにどういう形で臨時措置をなさったかということは、私はここでは申し上げません、わからぬことはありませんけれども。しかし、すでに九賃が俎上にのぼろうとしております際に、昨年度の分の片すらついていないということはよくないわけですから、それでこれを十二月の議会にでも提案できるようにという御希望がありました。やはり自治省としては指導官庁としてそういう指導をするという方針になりまして、そういうことを私申したわけです。しかし、これはまあ、各企業ごとのそれぞれかかえておる問題点が違うわけですから、一律にということは言いませんけれども、しかし、早くその計画というものをそれぞれの当該市で検討するように、そして解決に向かって進むようにということを指導するということは、やっぱり現段階で私ども任務でございますので、誠意を持って進めるということを申したわけです。団体ごとにやっぱりどうしても事情が違いますので、私どもの見ますところでは、名古屋あたりがトップ・バッターと申しますか、先に問題の解決ができるんじゃないかというふうに感じ取っております。個々の企業それぞれかかえておる問題が複雑でございまするので、一様には申し上げられません。
  51. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 おそらく個々の企業によって状況が違いますから、ある企業は財産処分でやるとか、ある企業は将来の計画変更というようなことでやるとか、いろいろあろうかと思いますが、局長のほうで、大体どんな程度のものがどういうふうになっているか、新しく折衝されていると思うのですが、そういうものをおわかりでございませんか。
  52. 細郷道一

    説明員細郷道一君) 御承知のように、正式申請は議会の議決を経てから来るわけであります。ただいまは事前の内協議、相談にあずかっております。いろいろ各市の事情がございますので、かりに八賃を計画変更に織り込むにいたしましても、その財源はどういうふうに捻出するかということはそれぞれの市によって違っております。私どもは、それぞれの市の事情も伺いながら、各市の案をもとにして御相談を受ける、こういう形でございまして、各市とも、いまの段階でそれぞれ案の精粗の別はございますけれども、それぞれ相談に来ておられます。わりに煮詰まっておりますのが、いま大臣からも申し上げましたように、名古屋ではなかろうかという気がいたしております。  内容その他につきましては、各市におきましてそれぞれ、議会にいろいろ御相談すべきこともございましょうし、あるいは組合側に御相談すべきこともあろうと思いますので、個々の内容については私ここではちょっと申し上げかねますので、そういったようなことで進めております。
  53. 松澤兼人

    松澤兼人君 いま大臣及び財政局長の、竹田さんの質問に対してお答えがありました。全体の今後の論議の参考になると思いますので、一つだけ確認しておきたいと思うことがあります。  各公営企業自体の経理内容等いろいろ事情があると思いますので、十五日に予定されておりましたいわゆるストの回避ができたと、非常にけっこうなことだと思いますが、各都市とも労使の間でそれぞれ、約束と申しますか、あるいは申し合わせというのはできたと思うのですけれども、個々の企業にとりましては特別な事情もあるにいたしましても、スト回避のときに労使の間で話し合われた線というものは、大臣も局長もこれを尊重して、再建計画の変更を十二月じゅうの議会に上程できるように指導されるという、そういう方針には変わりはないし、また個々の事情をよく聞いて善処するというふうに理解してよろしゅうございますか。
  54. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) そのとおりでございます。
  55. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 いま松澤先生の御質問にもありましたように、再建計画を変更していく場合に、いろいろな変更のしかたがおそらくあるだろうと思います。まあ自治省のほうは、給料表等についても、かなり全体として、これは十五日の会談の結果ではなしに、全体としてはおっしゃられているというふうに承っているのですが、十二月の各議会にかけさせるということになりますと、かなり時間的に迫られております。そう考えてみますと、今度の変更の概要というものは、そう大きなものはない、非常に労使間でまた再びその問題が出てくるという大きな変更はない、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  56. 細郷道一

    説明員細郷道一君) まあ大きいか小さいか、当初の計画のつくり方にもよると思います。それから、今後の各市の交通事業の将来と申しますか、将来性と申しますか、そういったことも左右すると思います。したがいまして、一がいに大小とも申し上げかねまするが、ただ私のほうでは、各市がいろいろ持っておられました中には、あるいは企業の合理化を進めることによって財源を生み出す、あるいは市電の撤去計画を繰り上げて再建期間全体を通じて財源を生み出すと、あるいは将来バス路線等について多少の手直しをも考慮に入れてやるとか、あるいは市電を撤去した結果不用になった財産を売却するとか、まあいろいろな案が出ております。あるいはそういったいま申し上げましたものを組み合わせたりいたしましたり。したがいまして、その内容が組合との交渉でどういうことになるかということにつきましては、いままでのいきさつ等も個々にあろうかと思いますので、ちょっと私どものほうだけで一がいに申し上げることはむずかしいと思います。
  57. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 私どものほうも、当然こういう問題は各市の企業管理者と労働組合の間で話し合いによっておさめるべき問題であろうかと思いますから、その辺の事情については、むしろそうしたところにまかしていくべきである、こういうふうに思いますから、あえてその辺の質問はとどめておきたいと思いますが、ただ、今日の大都市の再建団体の指定をされております再建計画というものを見ますと、どうもその計画に沿って企業が実際の実績を出しているというふうにはなかなか実は思われないわけであります。おそらく再建計画の承認の際の考え方というのは、その再建計画というものが合理的に完遂をしていくというような立場でおそらく計画は自治省としては御承認になったと思うのですが、どうも私ども見ておりますと、その点が非常に、変更計画というものが、言うならば、若干形式的に流れていやしないか、もう少し実現可能性のある計画というようなものが一体立てられないかどうか、この辺に非常に疑問を持って見ているわけですが、その辺は、承認の際の考え方というのはどういう考え方でいらっしゃいましたか、お知らせいただきたいと思うのです。
  58. 細郷道一

    説明員細郷道一君) 承認をいたしますときには、私のほうだけでこうしろといって押しつけても、なかなか、各市、議会もありますし、組合もありますし、そう簡単にもまいりません。したがいまして、七年間なり、八年間なり、あるいは十三年間なり、こういう方向で再建をしていこうという再建方針をそれぞれ各市がお立てになったわけであります。それは各市において、十分市の内部においても、あるいは議会におきましても、あるいは組合との間におきましても、十分御議論がなされて、その結果できた再建計画でございまして、合理的ということばもいろいろむずかしい問題も含んでおるかと思いますが、少なくとも私どもは、その計画に沿って関係者が強い態度でいくならばやはり可能であろう、こういうことで当時いたしました。ただ、やりましてから長いのが二年、短いのでも一年余りをたったわけでございますが、非常に急激にバスの乗車人員が見込みより減ってまいった市がございます。それが那辺に原因があるのかはよく突き詰めてみなければならないと思うのでございますが、そういった面での収入減、また企業合理化のおくれといったようなものもございますし、それから反面、人員の配置転換が順調に進んだ、初年度の計画を上回ってできたというところもございます。したがいまして、そういったようなものをずっとながめながら今回の変更に臨みたいと思っておりますが、ただ、いろいろ社会経済の急激な進展に原因しているのではないかと思われるような事情につきましては、なお私どもも、今後その原因の究明に当たり、対策の樹立をはかってまいりたいと、こういう考え方であります。
  59. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 若干九賃にも及ぶと思いますけれども、今度出されてくる変更計画というのは、自治省のほうでは八賃問題に限っての変更というのか。あるいは、将来いまのような経済の情勢では当然生活費というものが上がっていくだろうと思うのですが、いつまでもベース改定もしないで働け働けと言ったところで、これは市の一般会計の均衡もありましょうし、またその他の一般経済、労働経済の情勢もあろうと思いますが、ころいうふうにしますと、今度の各市から出されてくる変更計画というものが一体どういうものであるか明らかでありませんので、かなり長期的な立場に立っているとは私どもは考えられないのでありますが、実際には都市によっては、八賃どころか、年末の期末手当等にも実際上事欠くという企業もおそらくあろうと思うのですけれども、そういう点を考えてみますと、この再建計画というものがどうもあまり実効性のない再建計画というような気がするわけです。特に私は申し上げたいのは、まあ大体各都市の再建計画を見ますと、路面電車、それからバス、トロリー、こういうものを——あるいは高速鉄道の入っているところもございますけれども、大体一括して、総括としての再建計画、こういうふうに出されているのじゃないかと思うのですが、そこで軌道事業というのは、再建計画の中でも、六大都市の場合を見ますと、おそらく京都を除いては、大体早期に路面電車ははずしていくという、そういう再建計画だろうと思います。そう考えますと、交通関係の赤字の一番累積の大きいものというのは軌道関係じゃないだろうか、こういうふうに思うのですが、そうしますと、この軌道、バス、トロリーあるいは高速鉄道というのを含めて総括的な再建計画ということでいきますと、常に路面電車のほうでは、早急な赤字解消のきめ手というのはおそらくなかろうと思うのです。電車を走らせれば走らせるほど赤字が累積をしていく、こういうことだろうと思うのです。そういう点で、軌道事業というものを一つの再建計画の中に入れておくということが一体どうなのか、そういう形で入れておくということは全体の再建計画をむしろおくらせるし、その再建計画を実効性のあるものにしていかない大きな原因がむしろこの軌道事業にあるのじゃないかと思うのですが、その辺についてどんなふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  60. 細郷道一

    説明員細郷道一君) 私どもは、やはり再建計画は、極端に言えばやる気になればやれると、こう考えております。ただ、先ほど申し上げましたように、社会経済情勢の変動によります部分、そういったものについては今後の措置が必要であろう、こういうふうに考えます。なお、再建計画がまあおっしゃる実効性がないじゃないかと、こういうお尋ねかと思うのでございますが、私どもはやはり、実効性あるものをつくっていこうということから、地下鉄などにつきましては当初から計画から除外をして実はつくっておるのでございます。そこで、軌道とバスと別々にというお考えかと思います。これにはいろいろ議論のしかたがあるのだろうと思いますが、やはり公営企業が交通事業としてやっていきたい。そこに、バスによるのか、電車によるのか、電車のお客がバスに行くのか、そういったような交通機関を別々でなく、交通機関全体を経営している市当局としては、それを通じてやはり考えていくべきではないだろうかというふうに思うのでございます。事実、過去におきましても、電車がよくてバスが悪い時代も、それによって経営をまかなってまいりました。逆に、わりに最近では電車は悪いけれどもバスが比較的いいというようなことで、全体として交通企業を成り立たしてきたといったようないきさつもございます。そういう考え方から、地下鉄は多少例外として除外をいたしておりますが、ほかのものにつきましてはこれを一体としてやっていくというのが私どもとしては基本の態度として必要なんではなかろうか、こういうふうに思っているわけでございます。
  61. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 いまの局長の御説明は、ちょっと理解がつかないのでありますが、結局自動車事業のほうの黒字で軌道事業のほうの赤字を埋めていくというのが大まかにいっての原則だろうと思うのです。そこで、それじゃ自動車事業の中で一番の収入といえばまあ乗車料の収入だろう。いま局長のお話ですと、バスの料金というのはある程度かってにきめていかれることができるような考え方のように私は聞こえるのですが、バスの料金というのはおそらくそういう形できめられていないのではないだろうか。バス事業全体のいろいろな経理的な内容、あるいは他の事業との関連、こういうことで、幾らにしたならば自動車事業というのは大体採算がとれていく、こういう形で料金というものはきまっているだろうと思うのですが、それは違うのですか。
  62. 細郷道一

    説明員細郷道一君) おっしゃるとおり、バスはバス、電車は電車としての、それぞれの原価計算をして料金をきめておるのでございます。
  63. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 そうしますと、自動車事業の中で黒字を生み出して、それで軌道事業の赤字を埋めるということは、どうもおかしいのじゃないか。自動車事業は自動車事業としてのいまおっしゃられたような原価計算に基づいて大体料金が出ているとするならば、軌道事業の不良債務というのはどこの都市でも多額にわたっていると思うのです。そういう意味で、むしろ私は、軌道事業を一緒にかかえてやるということになれば、これからのバス事業としてそんなに大きく乗車率が向上するというようなことは、よほど郊外を専門的にやっているところでなければ、都心のバスなんていうのは実際問題なかなか動きがとれない。一つの路線の往復の時間にしても、これは最近たいへん延びておる、時間がかかり過ぎる。こういうふうなことで、おそらくこれからバスの乗車効率というものを非常に低下さしていく原因が相当たくさん目の前にあると思うのですね。そうしますと、いまも御答弁の中でありましたように、自動車事業の中でも、再建計画と違ってむしろ赤字がふえていく、赤字の累積が出てきそうだというようなところも非常に多くなってきていると考えるわけですが、そういたしますと、どうしたって、自動車事業で軌道の赤字を埋めるどころか、むしろ逆に自動車事業の再建すら足を引っぱる、こういう形になりはせぬか。いつまでたっても再建計画というものが実効性のない、常に変更に変更を重ねて、しかもその結果がそれでは上向きのものになっていかない、こういうことになるのじゃないかと思うのです。そういう意味でも、どうも私は、そういう考え方というのは自動車事業の再建をすらむしろ危うくしていく、こういうふうに思うわけですが、そういう意味で、私は軌道事業は別個の取り扱いをすべきだ、こういうふうに思うのですが、その辺ひとつ大臣の考え方を聞きたい。
  64. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) 何も別個に扱う必要はないと思います。ただいま局長が申しましたように、バスはバスでそれぞれ原価の計算もいたしますが、ただ交通事業ということでこれを一括いたしましても決して不都合は起こらぬ。いわゆる小分けすればできぬことはありませんけれども、むしろ私はそのほうが不合理だというふうに考えます。
  65. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 どうもその答弁がよくわからないわけですが、それでは、自動車事業の黒字を増進していくということは具体的にどういうふうに自治省ではやっていけ、こうおっしゃるのですか。料金は原価計算の中できまっている。かなり最近はワンマンカーにもされてきているわけです。しかも、道路交通というのは非常に混雑をしております。こういう中で、抜本的に自動車事業の黒字で軌道事業の赤字を埋めるというには一体どうしていくのか、これはむしろ御教示願いたいと思う。
  66. 細郷道一

    説明員細郷道一君) そういう点を考慮に入れまして実は当初再建計画をつくったわけでございます。で、いまお話しのように、それぞれ原価計算で料金がきまるのだから、できぬものはできぬじゃないか、こういうことかと思いますが、私はやはりそこに経営のいろいろな苦心というものがあるのではないだろうか。たとえばバスの路線にいたしましても、どういう路線を走らせるようにするか、再編成をしていくかどうかといったようなこともあろうと思います。それから、お話のように、電車はだめだからバスと別々だということになりますと、電車にいままで乗っておったお客はどこに逃げてしまうのか。やはり市が市民の足をあずかっている立場ですと、電車のお客は何とかしてバスに引きとめていきたい、そういったような考え方も必要だろうと思います。したがいまして、そこは交通事業一体としてやはり計画を立てて、そうしてやってまいりませんと、早い話が、人員の配置転換等にいたしましても私はスムーズにいかないのではないのだろうかというふうに考えております。そういう意味合いにおいて、私どももいろいろ各市と御相談の上で計画をつくったわけでございます。その後、先ほどもちょっと申し上げましたように、バスの乗車人員がそれに見込んだより減っているというような都市もございます。これは都市によっていろいろ違います。そこで減っているから、もうすぐバスもずっと赤でいくのだということには、私はならないだろうと思うのです。やはりどういう路線でどういう時間のお客が減っているとかいうようなことをもう少し突き詰めて議論をしてみないと簡単に結論が出ないのではないだろうかというようなことで、私どもはなおそういう点については先ほど申し上げましたようによく掘り下げて検討をしてまいりたい、こういうふうに思っております。
  67. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 局長のおっしゃることは非常によくわかるが、ことばの上では。しかし、現実にどこの市でも、おそらく電車の路線を廃止したところは、大体電車にかわるということで、将来はどうか知りませんけれども、いまは路線には大体バスを走らせて、電車のお客をバスに収容をしていく、こういうことはやっているわけなんですが、しかし、問題はそういうところではないのじゃないかと私は思うのです。むしろ公営交通としての公共性というようなことから、ある一角に団地ができた、その団地の通勤者をそのままではどうにもできない、だからここに新しいバス路線を引く。しかし、その団地の規模によっては採算がとれるかもしれませんけれども、団地の規模によっては採算のとれないようなところにもおそらくバスを走らせざるを得ないと思うのですね、通勤通学のことを考えてみますと。それを廃止すれば確かに、赤字路線をそれだけ切っていくわけですから、これは赤字の累積にはならないと思うのですが、公営交通の公共性ということから考えてみると、ある程度の団地なり何なりができれば、やはりそれに路線を設けざるを得ない、こういうことになってくると、まず局長の言っていらっしゃることがそう簡単に現実にはできない。局長は、たとえばそういうものはもうどんどん切っていけと、こういうふうに、簡単に言えば、赤字路線というのはどんどん切っていけ、こういうふうにおっしゃっているのですか、どうなんですか、その辺をはっきりさせてください。
  68. 細郷道一

    説明員細郷道一君) いきなり切ってしまえというような乱暴なことは申し上げていないつもりであります。そこに非常にむずかしさがあると思います。同じ東京の中でも、団地によっては非常に利益のあがる団地路線もございます。また団地によっては、一日の回数その他から見まして、利益にならないところもございます。そういうようなものをいろいろな路線を組み合わせてやっていくところに、私は苦心があるのではないだろうか。したがいまして、いますぐ、料金の決定のシステムが違うのだから、あるいは全然赤字のところでももう必ずバスを走らせなければいけないのだというように一義的に割り切ることはどうであろうかというふうに思うのでございまして、そこらはもう少しお互いに研究をしていく必要があるのではないか。まことにささいなことでございますが、東京あたりで電車路線を廃止をいたしまして、その路線にかわりのバスを走らせました。そのバスに代替何番という札をかけてございます。電車の昔の路線名の番号と同じものをかけてございます。そのために、お客さんの中には、これは普通では乗れないのだ、こういうふうに思っているお客さんもあるのでございます。そういうことから、もう月日もたったのだからああいう番号札をやめていこうじゃないかといったようなこと、まことにささいなことのようでございますけれども、そういった点もあるのでございまして、やはりいろいろ計画を立て、路線を変え、代替バスにしていくといっても、住民になじむ度合いといったようなことも十分考えていって経営をやるべきであろうと、こういうふうに思っております。
  69. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 お話の上ではごもっともなことだと思うのですが、それならばいままでの再建計画の中でそういう問題がもう少し具体化してきていいはずだと私は思うのですがね。たとえば、横浜の場合は最初の計画を変更をしております。そういう際に、もう少し自治省と横浜市なら横浜市の交通局との間に一つ一つの路線の検討というようなものが具体的にあったわけですか。これは課長さんにお聞きしたほうがいいと思うのですが、そういう形で再建計画というものがほんとうに討議をされているのですか。
  70. 細郷道一

    説明員細郷道一君) 一つ一つの路線について各市ごとに私ども検討するということは、これは時間的にもなかなかむずかしいことだと思います。しかし、各市でいろいろくふうをされた問題点というのは一応伺っておりますから、その問題点についてはいろいろ相談に乗っております。そういう意味では、だんだんこまかくなってまいるかもしれません。しかし、そういった努力もできるだけやるべきであろう、こういう考え方でございます。
  71. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 私は、いま局長がおっしゃられていることは、各市としてはたいへんな赤字をかかえて給料も出ないということですから、私は相当程度検討していると、これはそのときの社会情勢、経済情勢によって違ってくるでしょうけれども、これは自治省がとにかく経営をやっているわけではございません、各企業管理者が具体的に経営をやっているわけですから、その点では私は自治省以上に現場の管理者というのはそういうことをおそらくやっているだろうと思います。だからあえて、バスのワンマン化なんかも考えてみますとかなり危険なやり方だと思いますが、ワンマン化のためにおばあさんとかおじいさんなんかがなかなか十分確認できなくてひき殺されたというような例もあるのですから、ですからそういう意味ではかなり危険な合理化というものをやっているのじゃないかと思うのですが、それ以上に問題なのは、おそらくこれからのバス路線というのは、人が集まるところへ行く路線というのは、これは乗車効率も当然よくなる。しかし、人が集まるところに路線を集中していくということになると、今度はバスの回転率あるいは乗車効率というものは、これは当然落ちていくだろうと思うのです。逆に、ほかの鉄道とかあるいはタクシー、こういうようなものにむしろかわっていくのじゃないか、そう考えてみますと、今日の道路事情の中でバス事業というものがもっともっと乗車効率をよくする、こういうことは口では言えますけれども現実の問題としてはかなり困難な問題だと思います。しかも、自動車事業というものは、その料金の決定というのは、企業管理者の自分の経営だけの問題できめられるものでもない、他の競争的なバス路線との関連もある、こういうふうになりますと、私は、自動車事業の再建ができるどころか、むしろ自動車事業の赤字というようなものも、今後解決をしていくのじゃなくて、ますます累積をされていく危険性のほうがより強い、そういうように思わざるを得ないわけですが、そういう点を一体自治省はどう考えているか。たとえば大量の通勤通学客の輸送のためには特に何か道路を優先して使用させるとか、こういうような措置をとらない限りは、幾らバスをふやそうが何をしようが、私はバス事業の今後の成り行きというようなものの向上は考えられないと思いますが、その辺について何かお考えがございますか。
  72. 細郷道一

    説明員細郷道一君) バスのスピードが落ちておりますので、優先通行ができることが望ましいと私どもは思っております。  そこで、先般来大臣のお骨折りで、交通閣僚会議でもいろいろ議論がなされました。現在東京、大阪等の大都市におきましては、警察の当局をも交えまして、交通関係者が一緒になって、どこの地点のどういう路線のどういう時間のバスが停滞するというようなことを具体的に当たって、いろいろ対策を実は練っておるのでございます。事柄は何ぶんにも公共の道路でありますので、一律的強制的ということはなかなかむずかしい事柄でございますので、そういったいま申し上げましたような個々具体的な方法によりまして少しでもこの改善をはかってまいりたいというのがいま私どものとっている態度でございます。
  73. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 おそらくそういうような措置を相当強固に講じていかない限りは、私は近くで見ていて、なかなか自動車事業の経営が黒字になって、しかも路面電車の赤字を埋めていくことによって改善がされていくというふうには私は思いません。幾ら御説明があっても、その点についてはどうも納得いたしかねるわけであります。こういう形で今後進んでいくと、どうも自治省の承認する再建計画というのは空理空論にすぎないのじゃないか、こういう感じを実は深くするわけでありますが、時間の関係もありますので、まあその辺もう一度考えていただいて、実際上実効のあがる、そうして他の第三者から見ても確かに再建ができるのだ、こういうようなひとつ計画というものに、一ぺんに仕上げろといってもこれはむずかしかろうと思うのでありますが、そういう点では、だれが見てもこういう形でいけば交通事業の再建はできるのだということについてひとつ今後とも考えていただかなければどうもいけないのじゃないか、こういうふうに思うわけですが、どうなんでしょうか、その点は。
  74. 細郷道一

    説明員細郷道一君) 再建計画を実効あらしめるためには、いろいろな要因があると思います。いまお話の出ておりましたバスのスピードを上げるといったようなこともございましょうし、またやはり大都市におきます道路、あるいは立体交差、そういった整備ということも必要でございましょう。あるいは交通信号の統一性、系統性といったようなことも必要でございましょう。いろいろそういったいわば外部的要因といったようなものについても、私どもできるだけ努力をしてまいりたい、かように思っております。反面、企業の中におきましても、やはり企業内の努力というものがもうこれが限界だというふうにはまだ言い切れないものがある、まだやれる余地があるのじゃないかと私どもは思っております。したがいまして、再建計画を実効あらしめますためには、どれかその一つだけをとらえて問題の全部を解決するということはむずかしいのでございまして、幅広くいろいろな問題をあわせ考えながらやっていくということが一番必要であろう、こういうふうに思っております。
  75. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 さらに高速鉄道のことについて若干お聞きしたいと思いますが、まあ路面電車はだめなんだから、路面電車はやめて、そうして高速鉄道のほうに振りむけていくというのが、各市の大体基本的な考え方だろうと思うのです。今日高速鉄道といっても、結論的には地下鉄という形で出てまいっておりますが、まあ高速鉄道の現在のやり方で、一体また再び高速鉄道が再建計画をつくらざるを得ないというような心配も実はあるわけなんですが、たとえば大阪交通なんかのことを聞きますと、まあおそらく四十八年末には五百九十二億くらいの不良債務が出るのじゃないかというような観測も実はされているわけであります。そのほかにおいてもまあ不良債務が出てくるのじゃないか、こういうふうに言われているわけなんですが、こうしたものを自治省のほうではどういうふうにして改善をしていくつもりなのか、高速鉄道に対するいろいろな自治省のお考えもあるようでありますけれども、その辺の事情についてお聞かせを願いたいと思います。
  76. 細郷道一

    説明員細郷道一君) 高速鉄道の将来については、私はいろいろ基本的な考えを立てなければならぬといったことも実は認めております。いろいろ外国の例を見ましても、どこの都市におきましても、高速鉄道については、日本のように単純に起債、借り入れ金だけで建設してやっていくというところはほとんどないようでございまして、何かほかの、税金でありますとか、非常に低利の借金でありますとか、あるいは別の会社でありますとか、いろいろな方法を苦心してやっているようでございます。そういった基本的なことにつきましては、私どももなおいま少しく掘り下げて検討をすべきであろうと、こう思っております。ただ、当面私どもといたしましては、地下鉄事業につきましては、その時異性にかんがみまして、御承知のように、国の負担あるいは関係の地方団体の負担等も入れていくべきではなかろうか。そのほかなるべく、借り入れ資本が、借り入れ金が多うございますので、その金利を薄めて、条件を緩和していくといったようなことに当面取り組んでまいりたいと、こう思っております。
  77. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 まあ私は、いまのような形を続けていけば、おそらく高速鉄道の事業というものも、やはり金利あるいは元金償還、こういうことで行き詰まってしまうと思う。いま各都市もかなりこの点には、先ほど言われました都市交通の重要な分野を担当するということでかなり張り切ってやっていると思うのですけれども、いまの時期において、やはりその点では、根本的な将来やっていけるという対策を立ててやらないと、結局そっちのほうでも行き詰まってしまう、こういうふうになってしまうだろうと思うのですが、自治大臣もだいぶ大蔵省のほうとかけ合っていらっしゃるというお話を聞いているのですが、その辺の見通しについて自治大臣からお聞きしたいと思うのです。
  78. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) 公営交通の現状は非常に問題になっておりますけれども、これは言うまでもなく、株主は地区住民でして、社長が市長で、経営の重役的な者がそれぞれ企業の内部に従っておるということですから、ですから利用者のない交通を置いておく必要はないわけなんです。ですから、極端に言えば、やめてしまわなければならぬ場合もあり得る。これは私たちが言うのでなくして、地区住民の判断として、こういうのは、これほど赤字を生むのなら要らぬという結論が出るかもしれない。しかし、私どもは、いかに交通機関があれこれ発達し、自動車の台数がふえたからといって、やはり大衆の足というものは最終確保しなければならぬ。その大衆の足というものが、一人でも二人でも大衆の足かといえば、これはまあ議論のあるところでありますけれども、現状ではできるだけ公営交通というのは、最初これを計画いたしましたのは、どうにかペイするということでやっておるわけですから、しかし、御案内のとおりに、この企業経営を困難にする外的な要因というものが数々積み重なってきたために、この公営交通の最初企画したときとは状況がよほど違ってきている。ですから、ものによってはやはりこれを国のほうで解決できるものはしていかなければならぬ。これはいま交通混雑緩和対策を真剣になって検討を始めたところでございます。多少自動車が自動車らしい動きをするようにしてやらなければ、お客だって来ませんからね。  それから、大蔵省へどういう話をしているかというお話ですが、私のほうは、企業自体が赤字になったからそれを公費でカバーするという、そういう道を開いたら、だれでも経営して損しっこないわけですから、そこが非常にむずかしいところだと。よく要求として、赤字を一般会計で持ってくれなんという暴論が出てまいりますけれども、それは簡単に私どものみ込まない。第一義的には、企業努力ということを要求するわけです。だから、企業努力ということを積み重ねて、単に企業努力と言っても、何か目標がないようにおっしゃっているような気がするのですが、そうでなくして、同種の民間企業というのがそれをそろばんをとってやっているのです。だから、経費というものは車キロ当たり幾らかということは、民間交通でも幾らという計算が出ている。車キロ当たりの経費の割合が、公営交通の場合、やはり路線の関係で、特に企業外のそういった要因が累積している面があるわけですけれども、そういう点まで考えて、いろいろわれわれも苦慮する。その若慮が、たとえば資本費の重圧などが著しいために、経営困難になってくる。そうすると、一義的には、やはり政府の良質の、すなわち低利長期の資金などをできるだけ公営交通に流してもらいたいということを大蔵大臣に強く要請しておるとか、あるいは公庫の融資対象として大都会の東京、大阪なども入れるとか、こういったことをいろいろ考えている。それから、この経費でも、筋が立つ公費で負担する部分があれば、負担区分というものをできるだけ変えて、一般経常費で出しても差しつかえないものがあれば、そういうものはやはり取り上げて一般会計で負担させる。いろいろやらなければならぬことがたくさんあると思うのです。これは、こういう企業の実態にかんがみて、そういうものはあらゆる手だてを尽くそうといま努力しておる最中ですが、にもかかわらず、いますぐどうするかとおっしゃいましても、なかなか完全な解決は困難です。困難ですけれども、やはりこれは時間もかしていただかなければなりませんし、またこの団体交渉の過程にあるものを自治省が指導官庁として事前にいろいろ相談も受け、そして企業の内容というものもよく承知して、そしてわれわれとしてできるだけ手をかせられる面があったらかしていこうということでつとめている最中でございますので、まあとにかくいま困ったからすぐ何とかせいということはなかなかむずかしいというふうに考えております。
  79. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 私は、特に今後の高速鉄道、この問題について実はお聞きしたいと思っているのですが、いまのような形でいくと、将来の高速鉄道も、やめたほうがいいと、あるいは民営に移してしまったほうがいいと、こういうふうな形になってしまうのじゃなかろうかということを非常に心配しているわけです。そういう意味では、いま高速鉄道というのは東京、大阪あたりではかなり進んでおりますけれども、その他の都市では、いまやっと緒につこうかどうかと、こういう時期になってきていると思うのです。そういう意味で、確かに既存の公営交通というのは、おっしゃるように、一挙にして解決できるとは私も思っておりませんが、しかし解決しなければならぬ問題だと思っております。しかし、新しくあちらこちらで発足されつつある高速鉄道の問題も、これはそう簡単な問題ではないと思うのです。そういう問題について、ここでかなりはっきりした基礎というものをつくっておかないと、やはり二の舞いになってしまうのではないか、このことが私は次の問題として非常に心配なのです。そういう点について大臣の御見解を承りたいと、こう思ったわけです。
  80. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) それはごもっともな御質問だと思うのです。私の申し上げましたのは、いま混雑している公営交通で、何とか抜本策はないかということをいま検討しておりますが、その一つとして、今後救う道はやはり地下鉄を含む高速鉄道というものを考えていかなければいけないのです。ですから、これはやはり、その表面の路面交通がこういうことになっておるのは、つまり車の増加のわりあいに道路の幅員も伸びませんし、道路の改良というものが不十分である。それにはむしろ地下に、あるいは高架ということで何か解決の方法が求められないかということに、みなそこに思いをいたすわけでありますが、しかし地下鉄は一キロ当たり六十億円かかるといわれますし、かりに六十億円かかってもやはりこれは将来のことを考えた場合にこれをとるより今日の交通混雑を緩和する方法はないわけですから、ですから、いま大蔵当局にも激しく働きかけて、とにかくこういう料金は受益者負担が原則といいながら、とうてい負担し切れない料金がここに出てくることですから、そういうことでは、新しい地下に、あるいは地上に道路をつくっただけの意味をなしませんので、この補助の意味合いなどについて非常にやかましく大蔵省と交渉しております。しかし、まだなかなかいろいろな段階を経ることになりますけれども、方向としてそういうことを考えて進めておる最中でございます。
  81. 斎藤昇

    ○斎藤昇君 ちょっと関連質問ですから簡単にお伺いいたしたいと思いますが、あと資料があったら出していただきたいと思います。  公営バスとそれから民営バスとの人件費といいますか、従業員一人当たりの人件費あるいは給与水準、これが非常に違っているか違っていないか。以前は相当違っておったように思いますが、最近はどんな情勢ですか。最近のもしお調べがあれば、公営バスの従業員の一人当たりの人件費と民営バスの一人当たりの人件費とお比べになったものがあればお示しをいただきたい。
  82. 細郷道一

    説明員細郷道一君) 人件費の高さの比較は実はなかなかむずかしいのでございまして、会社によりましてもいろいろ違っております。ただ一般的に申し上げられると思いますことは、ひところよりは差が縮まってきておるということだと思います。公営バスにつきましても、いろいろ手当等何十種類もあった手当をかなり整理をしてまいりました。そういったこともございまして、ひところよりは縮まってきておる。それからもう一つは、公営と民営との違いとしては、年齢別の給与の違いという点がございます。公営に比較的高年齢層の方がおる。民営では若年のほうに数をなるべくそろえ、そしてそれに対する給与をなるべくよくするといったような傾向等を見受けております。
  83. 原田立

    ○原田立君 公営企業の話が出たので、関連してお伺いしたいのですけれども、公営企業の料金の値上げ、それはその後どういうふうな動きになっているか、おわかりの点を御説明願いたい。
  84. 細郷道一

    説明員細郷道一君) いろいろ公営企業の種類によって違うと思うのでございますが、交通につきましては、昨年ほとんどの都市が値上げをいたしました。その値上げをもとに再建計画をつくった。それから水道事業につきましても、ちょっといま資料を持っておりませんが、たくさんの団体が、水道事業経営者の事業数にして約一割ぐらいの団体が料金の値上げをいたしております。しかし、水道料金につきましては、なお、去年値上げができなかったり、あるいは値上げをしたけれども、最近の建設増強計画等から見まして、いま少しく値上げをしなければならないといったような企業も大都市等に出ております。
  85. 原田立

    ○原田立君 それは資料で出していただければと思います。  それで、これは財政局長にお伺いするのはちょっと無理なんだろうと思うんですけれども、いまの政府は、物価安定のために何とかいろいろ措置を講じたいということを政府は一枚看板でやっているわけです。ところが、公共料金に準ずる、すなわち公営料金なども——それは、再建計画、それはもちろん当然やらなきゃいけないけれども、片っ方では物価の安定ということを言いながら、片っ方で公営料金をどんどん値上げしていくというのは、これは非常に矛盾しているんじゃないか、こう私強く思うわけです。で、再建計画という面での指導、それもおありだろうと思うんです。物価安定という立場においての自治省の指導はどういうふうな基本方針でやっておられますか。
  86. 細郷道一

    説明員細郷道一君) 物価問題は非常に広範にわたる問題でございますので、私のお答えだけで尽くせるとは思いませんけれども、公営企業の料金につきましては、私どもはやはり適正な料金、適正な受益者負担というのは、これは基本として求めるべきではないか、こういう考え方に立っております。何でもいまの料金を一切上げないんだ、こういう考えではございません。やはり独立採算でございますから、そのコストから出てきます適正な料金というものは、これを受益者の負担として求めるべきだ、こういう基本の考え方を持っております。しかしながら、料金につきましては、非常に心理的な影響もあろうと、こう考えますし、そういう点もございますので、たとえばある種のごときは、料金の引き上げにつきましても、二段階にして、段階を分けて少しずつ引き上げをしておるといったようなところもございます。料金そのものは、御承知のように、生計費に占めております水道とか、交通のコストはそう大きなものではございません。したがいまして、その生計費に及ぼす影響等も考慮しながら、いま申し上げたような段階的な適正化への近づき、あるいは同じ料金を引き上げるにいたしましても、時期を、いろいろ他の料金と見合いながら時期をいろいろ変えていくといったようなことに配慮をいたしておるのでございます。
  87. 原田立

    ○原田立君 ことばじりをとらえるわけじゃないですけれども細郷局長の御説明では、段階的値上げ論である、こんなふうに見えるわけなんですけれども、これは物価安定という立場からいけば、きちんとしたコスト、平均されたものにしなきゃいけないというあなたの意見もわからないことはないけれども、とにかく物価安定ということを片っ方では盛んに言っているわけです。その片方に公共料金の値上げをやるんでは、非常に自己矛盾しているわけです。だから、自治省としてこういう公営企業の料金は、値上げなどの方法によらないで、他の方法はないのかどうか、その点についての研究はなさっているのかどうか、その点はどうですか。
  88. 細郷道一

    説明員細郷道一君) まあ私が申し上げるまでもなく、物価とこうした公共料金の関係は非常に複雑でございますので、一律的にはなかなかきめられないと思っております。ただ、私ども公営企業の将来を考えてまいりますと、いろいろ料金面への影響ということもあろうかと考えまして、資金コストをできるだけ引き下げるというようなことによって安定した適正料金を得るようにしたい、こういうつもりでおります。明年度等もそういう構想のもとに資金コストの引き下げに努力していきたい、こう思います。
  89. 原田立

    ○原田立君 東京都の水道料金の値上げを今回きめたのでありますけれども、これも人口増が今後もどんどんあるでしょうし、勢い供給不足が目立ってくる。そうすると、またぞろ値上げというような動きが出てくるのじゃないか、こう心配するわけなんです。これは地方のほうでやるのだから、こっちは関係がないということではなしに、この問題についてどう対処なさるのか。
  90. 細郷道一

    説明員細郷道一君) 都の水道の将来につきましては、いろいろ見方があるわけでございますが、都に限らず、公営企業全般につきまして、いま申し上げましたような資金コストの引き下げということをまず第一に考えております。  そのほか、都市によりましては、将来計画を立ててのかなり先行度の高い事業をしていく、将来人口がふえるだろうというような予想のもとに先行度の高い仕事をしている向きもございますので、そういった先行性の高いものにつきましては、その利子負担等につきまして、一般会計との間の負担区分について前向きで検討してまいりたい、こういうふうに思っております。
  91. 原田立

    ○原田立君 九月十日に総理が閣議において、公営企業について強力なてこ入れをすべきときがきた、こういうふうなことが当時新聞で報道されておりますけれども、自治省はこれをどういうふうに受け取っているのか、また、これをどういうふうな形で具体化していくのか、その点はどうですか。
  92. 細郷道一

    説明員細郷道一君) 総理の御発言は、私ども大臣から話がおりてまいりまして、いま申し上げましたようなコストの軽減であるとか、負担区分の是正であるとかいったようなことをぜひ実現をすべく検討いたしておりますし、またそのほかに外部的な要因等につきましても各省とそれぞれ折衝して、先ほど応答のあったようなことをいたしております。
  93. 原田立

    ○原田立君 地方公営企業も親方日の丸的な、ただ一般会計からつまり資金をただめくらめっぽうに導入するということ、それ自体私は反対だけれども、独立採算制をこのまま強行していくということは、公営企業料金をひいては値上げ、値上げ、そちらのほうへばかり追い上げていくのじゃないか、こう考えるんです。この総理の発言等も含めて、独立採算制度というものについてもっと内容を抜本的に改良すべき点があるんじゃないか、こう思うんですが、どうですか。
  94. 細郷道一

    説明員細郷道一君) 独立採算は、やはりたびたび申し上げますように、たてまえであろうと思っております。しかしながら、社会経済の情勢が動いてまいりますと、全部が全部を独立採算のワク内に閉じ込めてすべて料金に転嫁するということにつきましても議論があると思うのでございまして、私どもは、先ほど申し上げましたような、一般会計との間の負担区分の漸進的な是正といったようなこともあわせて考えることによって実現をはかってまいりたい、こう思っております。
  95. 原田立

    ○原田立君 そうすると、独立採算制度は今後もずっと持続していく、こういうことですか。
  96. 細郷道一

    説明員細郷道一君) そのとおりでございます。
  97. 原田立

    ○原田立君 要するにそこのところなんですね。公共料金、公営企業の料金が値上げのほうばかりに向かないか、それを心配して言っているわけなんですよ、さっきから。ないと断言できますか。
  98. 細郷道一

    説明員細郷道一君) やはり国民の所得がふえ、経済活動、社会活動がひんぱんになってまいりますと、どうしてもある程度の物価の値上がりというのは避けられないことだと思います。どこの国の経済情勢を見ましても、物価がまるきり安定している、とまっているという国はないわけでございまして、発展するに従って多少づつ上がる。それをどの程度国民生活に影響を与えていくかというところに、物価対策の問題があろうかと思います。したがいまして、物価対策自体につきましては、私どもしろうとでございますから、あまり口幅ったいことは申し上げられませんけれども、かなりいろんな多方面にわたる基本的な問題を含んでおると思うんでございまして、そういったもの等も見てまいりませんと、公営企業の料金を上げなければ、すべて物価対策になるということでもないんじゃないか。現実問題としましては、やはり公営企業を経営していくためには、人件費の増高といったようなことも一方では出てまいりますものですから、それをコストとした料金の適正な改定ということは私は避けられないと、こういうふうに思っております。
  99. 津島文治

    委員長津島文治君) 本件に関する調査はこの程度にとどめます。     —————————————
  100. 津島文治

    委員長津島文治君) 次に、地方公務員給与に関する件及び地方事務官制度に関する件を議題といたします。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  101. 原田立

    ○原田立君 自治省は、七月一日より地方公務員給与問題研究会を発足されたわけでありますけれども、今日まで何回会合を開かれたのか、また、その経過、内容について、発表できる範囲内でお知らせ願いたいと思います。
  102. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) お尋ねの点でございますが、地方公務員給与問題研究会はことしの七月一日に発足いたしました。あと、会議は、十一月四日までの間に五回会議を持っております。なお、その間におきまして、実態調査という意味合いにおきまして、関西方面及び東北方面に現地調査を実施いたしております。この七月一日、二十九日の二回におきまして、現行の地方公務員給与制度の概要、それから私ども給与問題研究会を持つことを必要と判断するに至りました諸事情につきまして説明をいたしました。八月に、先ほど申しました関西並びに東北の府県市町村、これにつきまして、給与制度の内容、それから運用の実態につきまして、議員さん方に実態調査をお願いいたしました。九月十六日におきまして、その実態調査の結果の文書を一応持ち寄っていただきまして、それからあと十月の十四日に、地方財政計画におきまして、あるいは地方交付税におきまして、給与をどのように取り扱っておるか、それから先般の十一月四日、これにおきましては、現在、一応地方公務員給与は国家公務員に準ずるといたしておるわけでございますが、その本家本元でございますところの国家公務員の給与の決定のあらましというものにつきまして、人事院から説明を聴取いたしまして意見の交換をいたした、こういう形になっています。  あと今後の予定でございますが、次回以降におきまして、地方公務員給与というものにつきまして、先ほど申しましたように、現在、国家公務員に準ずるという指導方針をとっておるわけでございますけれども、この国家公務員に準ずるという指導方針一本がいいのか、あるいはもっときめこまかに、当該地域におきまする消費者物価動向でございますとか、あるいは民間企業の給与の動向でございますとか、あるいは雇用情勢の推移でございますとか、そういうものを織り込んだ地方公務員独自の給与の決定の方式というものも含めまして、いかなる地方公務員給与制度のあり方が適当であるかということにつきまして、あと数回フリートーキングをお願いいたしまして、ある程度の公約数を集約してまいりたい、こういう現在段階に相なっておるところでございます。
  103. 原田立

    ○原田立君 地方公務員法第二十四条に、「生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定められなければならない。」、こんなふうにあるのですけれども、何か話によりますと、自治省はこの法律改正する、改定したいというふうな意思があるというふうなことを聞いたのですけれども、その点はどうですか。
  104. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 結論的に申しますと、第二十四条の三項を含めまして条文をいじる、こういう結論を現在持っておるわけではございません。問題は、先ほども申しましたように、私どもこの公務員給与問題研究会を持つ必要があるということを判断いたしましたゆえんのものは、一つは、地方公務員に優秀な人材を吸収してまいりたいという考え方、もう一つは、この地方公務員法、あるいは国家公務員法を通じてそうでございますけれども、いわゆる職務の性質、責任、こういうものに応じましたいわゆる職務給、さらに突っ込んでまいりますと職階給、こういったものを実現してまいる、こういうためのステップとしてどういうものが考えられるかという両面から、私ども現在の地方公務員給与のあり方というものを考えてまいりました場合に、国家公務員に準ずるという指導でまいっておるわけでございますが、何ぶんにも国家公務員に準ずるというこの方針が非常に幅の広いものでございまして、たとえば給与制度なりあるいはその運用なりというものにつきまして、端的に申しますと、国家公務員にあるけれども地方公務員にはそういう職種がない、逆に地方公務員にはあるけれども国家公務員にはない、こういう職種のものの扱いもございましょうし、あるいは給料表の組み方にいたしましても、国家公務員のことを考えて人事院がおつくりになっておられる給料表というものは、そのまま地方公務員の給料表にぴったり当てはまるか、こういった点もあるようでございまして、そういった意味で、現在の法体制のもとで地方公務員給与のあり方というものを求めてまいる、こういうことに現在全力をあげておるわけでございまして、法律改正をいま直ちに考えておる、こういうことではございません。
  105. 原田立

    ○原田立君 いまのお話がありましたけれども地方公務員給与を決定する場合、その要素となっている生計費、国家公務員給与、それから他の地方公共団体職員給与、民間給与、その他とこの五項目、いずれを重点とするのか、その点はどうですか。
  106. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) まさにその点がむずかしいところでございまして、この二十四条の第三項、これは国家公務員の場合も同趣旨の条文があるわけでございますけれども、この条文だけ読みますというと、ただいま御指摘になりましたような要素をただ並列してあるだけでございまして、どれに重点を置くということについては何もウエートを置いていない、しいて申しますれば、先ほども申したことでございますけれども、国家公務員の給与のきめ方というものがどういうふうに相なっておるかということが一つの範になるわけでございます。国家公務員の給与のきめ方というものにつきましては、これはもうすでに御案内のとおり、民間給与というものとの格差を求めて、その格差というものを埋めてまいる、こういうことをやっておるわけでございますが、その場合に、民間の給与に結局生計費というものが織り込まれておる、こういうことを前提にしながら、しかも民間の給与も、あるいは公務員の給与も同じいわゆる国民総生産というものをどういうふうに分配してまいるかという配分関係でございますので、民間給与というものに——このことばが適当でないかもしれませんが、追随するという方式をとるということで、国家公務員の給与が現在定められておる、その国家公務員の給与に準ずるという方針をとりましたゆえんのものは、一つは公務の類似性というものが国と地方との間にある。それからもう一つは、民間の給与あるいは生計費というものが国家公務員の給与の中に反映されておる。こういうことからいたしまして、国家公務員の給与に準ずるという指導方針をとっておる根拠があるわけでございます。
  107. 原田立

    ○原田立君 そうすると、国家公務員の給与に準ずるという現行の指導方針、これを今後も堅持なさるということですか。
  108. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) たとえばことしの人事院勧告に対応いたしますところの国家公務員の給与、人事院勧告に基づきますところの国家公務員の給与の改定に対応しまする地方公務員給与の改定というものにつきましては、国家公務員に準じて指導をいたしております。ただ、この地方公務員給与問題研究会のテーマといたしましては、この国家公務員に準ずるということに対しまする根本的な再検討と申しますか、ということもひっくるめまして、地方公務員給与のあり方というものについて御検討をお願いいたしておる、こういうことでございます。現在の行政当局の態度といたしましては、現段階におきましては国家公務員の給与に準ずるという態度を堅持いたしておるわけでございますが、給与問題研究会の研究のテーマといたしましては、国家公務員に準ずるということも含めまして、この根本的な再検討をお願いいたしておる、こういうことでございます。
  109. 原田立

    ○原田立君 そうすると、将来それは変更があり得るのだ——ないかもしれない、ただしあり得るほうの方向のほうが強いのだ、こういう解釈でよろしいですか。
  110. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 将来の方向といたしましては、御案内のとおり、たとえば国家公務員の給与につきましても、ただいま大臣出席いたしております給与問題関係閣僚会議の議論も含めまして、給与のきめ方というものにつきまして検討が行なわれておる段階でございます。そういった状況というものも一つございますし、また地方公務員給与問題研究会の一つのテーマといたしましては、たとえば早い話が、国家公務員の給与の場合でございますというと、国全体の民間給与というものと国家公務員の給与との格差というものを職種別に調べて、その平均というものを出して追いつかせておる、こういう方式をとっておるわけでございます。地方団体の場合でございますと、現在都道府県、五大市並びに仙台市におきまして、同じような、人事院とほぼ匹敵するような存在といたしまして人事委員会というものがございます。人事委員会が、国家公務員と同じ方式でこの給与勧告をするということになりますというと、その地域内におきまする公務員、地方公務員と民間給与との格差というものを調査をいたしましてそれに追いつかせる、こういう方式も一つ考えられるわけでございます。  そういった点もひっくるめまして、この国家公務員に準ずるという方式を将来とも変更するかどうか、これは非常に大きな問題でございますので、給与問題研究会でもっともっと詰めた御検討をお願いいたしたいと思っておるわけでございますが、この結論というものを、私どもといたしましては、ある意味において非常に期待をいたして待っている、こういう状態でございます。
  111. 原田立

    ○原田立君 公務員部長の話を聞いていると、よくわからなくなった。  ちょっと観点が別になるのですけれどもね。広島県に府中市というのがあるそうですが、長い間不交付団体であった市が、年間人口増も大きく、行政需要もふえてきたので、職員の定員をふやそうとしたが、そうは簡単にふやせない。そのために労働の過重になる。この府中市で、人事院が勧告したりあるいは人事委員会勧告をしたその線でベアをやろうときめたところ、行政局は、けしからぬと、こういうふうな通達を出したということだが、自主財源もあり、人口増で行政需要もふえているので、勧告の線に沿って実施しようとするのだから、むしろ奨励こそすれストップをかける筋ではないのではないか、こう思うのですが、この点はどうですか。
  112. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) まず何と申しますか、明確にしておかなければなりませんのは、この府中市に対して人事院なり人事委員会勧告をしているわけでも何でもないわけでして、人事院は国家公務員について勧告をし、おそらく例の府中市のことが問題になりました時点におきましては、この広島県の公務員に対します広島県の人事委員会勧告もまだなかった段階のはずでございます。  私が承知いたしておりますところでは、このことしの国家公務員に対しますところの人事院勧告というものが出た。その人事院勧告と同一内容の給与改定というものを五月にさかのぼって実施をしたいということを市のほうでおきめになられたやに聞いたわけでございます。  で、私ども、従来とも、先ほどから申しておりますように、地方公務員給与改定というものにつきましては、国家公務員に準ずるということで指導をいたしてまいっております。これは先ほど申しました地方公務員法二十四条第三項の規定の具体的な私ども指導方針としてそうである。また第二には、地方公務員給与改定の財源というものにつきまして、御案内であろうと思うわけでございますが、かつて大蔵当局と私どもとの間で、財源措置について非常に激しい争いがございました。  で、非常に純粋な考え方をいたしますというと、地方公務員給与というのは、それぞれの団体が財政能力に応じて支払えばいいのだ——まさにいまの府中市の場合など、そうなんだと思います。不交付団体であって、歳入もうんとある。したがって五月にさかのぼって実施をしようと思えばできるからやるのだ、そういうことになります。  そうしますというと、今度は逆にそういうところはそれでいい。しかし財源のないところは、今度は十二月からでないとできない、あるいは十月からでないとできない、こういう、団体の支払い能力によりまして非常に差異ができる。こういうことからいたしまして、結局国家公務員に準じて給与改定を行なうだけの財源というものは、これは地方財政計画なりあるいは追加財源措置の中で措置をしてまいる。それによって全地方団体がひとしく国家公務員に準じた給与改定ができるように措置をしてまいっているわけであります。  そういった意味におきまして、国家公務員に準ずるということにつきましては、給与の水準、それから実施の時期、上げ幅、こういうものを、全部について準ずるということで指導いたしてまいっているわけであります。たまたま特定の団体が、財政が豊かであって支払い能力があるから、他の団体と違って四月あるいは五月にさかのぼって給与改定をやるということになりますというと、地方財源全体の問題といたしまして、そういう特定の団体に財源が、表現が適切でございませんが、余るためにそういうことをやるということになると、むしろ財源調整、財政調整を強化すべきである、あるいは地方財源を剥奪すべきである、そういう一部にありますところの議論に拍車をかけかねない、こういうこともありまして、私どもといたしましては、府中市の当局に対しまして強くこの自粛を要望いたしました。文書でこちらでどうこうということではございません。要望をいたしておるところでございます。
  113. 原田立

    ○原田立君 公務員部長の話も、半分ぐらいはわからないことはないんですけれども、国に人事院、地方に人事委員会という厳正中立な機関があって、そこで決定した基準をオーバーするならばいけないということも、これはあり得ると思うんですけれども、そのきめられた基準の中で、ではしようということ、これは一番忠実な自治政治じゃないですか。これをしちゃいかぬと、こういうのはどうもふに落ちないんです。
  114. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 議論のあるところであろうと思います。ただ端的に申しまして、国家公務員につきまして人事院勧告がなされて、それが財政状況によりまして、この八月から実施になっておる。あるいは県の場合におきましても、あるいはその他の団体の場合におきましても、国家公務員に準じて八月から給与改定を実施しておる。たまたま特定の団体だけが、おれのところは不交付団体であって、財政があり余っておるからということで、この五月にさかのぼってやられるということは、やはり、先ほども申しましたように、国家公務員に準ずるということは、財源措置もひっくるめて、実施の時期もひっくるめて、そういう措置をいたしておるわけでございますので、どうも適当でない、適切でない、こういうふうに考えるわけでございます。
  115. 原田立

    ○原田立君 それはおかしいですよ。いま地方公務員のベアは、府県団体、六大都市団体で、国のほうの一三〇%、それから大都市関係で一〇八%、それから町村関係で八二、三%、まあこんなふうになっているというふうに数字は記憶しておりますけれども、この町村が、そうするとあれですか、八二、三%に、普通のベースよりも低いわけですよ。公務員部長は、低い線で他との均衡をはかりながら、低い線でとどめるということをあえて指導なさるんですか。そういうふうにぼくは聞き取れてならないんだが。
  116. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 町村全体のいわゆるラスパイレス指数というのが八十何%であるということにつきましては、これはそのとおりでございます。これは御案内のとおり、給与水準の問題でございますし、また私どもは国家公務員に準じた給与改定を行なうということで、財源措置をやり、またそういう指導方針を行なっておるわけでございます。いまここに出ておりまする問題は、実施時期をさかのぼらせるという問題でございまして、私どもは、くどく申しますけれども地方公務員給与の改定にあたっては国家公務員に準ずるということは、上げ幅と実施の時期、これを国家公務員に準じて行なう、こういうことで指導いたしておるわけでございます。給与水準を八十何%のままで固定をさせる、こういうこととは、この問題は関係がない問題でございます。
  117. 原田立

    ○原田立君 まあ団体によっては、給与を高くして、少数精鋭主義をとったりするところもあるだろうし、その見方はその地方団体自身にまかせるべきである。本省のほうとしては、勧告ですか、指導ですか、それはやるとしても、そういうことをやっちゃいかぬと、こうとめる筋合いはないんだろうと思うのですが、何度も言うようですけれども
  118. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 御答弁のほうも同じことの繰り返しになって恐縮でございますが、いま実は御指摘になられました事項が、私はやはり、地方公務員給与というものを考えます場合に、基本的な問題の一つであろうというふうに考えるわけでございます。と申しますのは、まさしく、いま御指摘になりましたように、その地方団体は地方自治なんだから、その団体の公務員の数というものを、たとえばおれのところは多くしてその給与は安くする。あるいは自分のところは少数精鋭主義で、公務員の数は少なくして、そのかわり思い切って給与を高く出して能率をあげてもらう、こういう考え方がひとつございます。まさに自治の運用の妙味にゆだねるという行き方が一方の極にあると思うわけでございまして、片方におきましては、やはり、今日のように各府県、市町村全体を通じまして、いわゆるナショナルミニマムというものは、少なくとも全国的な統一をとってまいる。こういった中で、しかも限られた財源の中で、地方財政措置をとってまいるという場合でございますというと、ある程度は、やはり統一的な指導といいますか、給与におきましても、統一的な給与というものがあってしかるべきではないか。現在の私ども給与についての指導方針は、先ほど申しましたような財源措置の問題もひっくるめまして、国家公務員に準ずるという指導を行なっており、それに対しまして、いままさに御指摘になりましたような考え方というものもあるわけでございまして、そういった問題をひっくるめまして、地方公務員給与問題研究会で根本的な御検討をお願いいたしておるのは、まさにその点でございます。
  119. 原田立

    ○原田立君 その地方団体がいろんな事業をしたり何かして、財源事情も非常によくなった。それで、人事院の勧告を——これは直接的には国家公務員ですが、地方公務員のほうも国に準ずるということなんですから、それに一生懸命達するようにやるということは、むしろいいことであって、そこに達しないほうがおかしいのじゃないだろうか、その点について、いつも皆さん方攻撃されているんじゃないか。  私はその点は別にして、別の問題になりますが、総合予算主義のワクの中で、本年度は国家公務員給与を、予備費千二百億の中に五百億を見込んだが、四十四年度は完全実施を実現すべく、予備費算入制度とか、あるいは予備費を増すとか、考慮していると報ぜられております。地方公務員給与についての明年度の計画ですね、それはどういうことですか。
  120. 細郷道一

    説明員細郷道一君) ただいま、政府部内でいろいろ明年度の給与改定のあり方について検討いたしておりますが、その推移を見まして対策をきめてまいりたい、かように思っております。
  121. 原田立

    ○原田立君 きょうは給与関係の閣僚懇談会だそうだからあれだけれども、何か練りあげたものはないのですか。
  122. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) この給与関係閣僚会議、新聞その他でも報道せられておりますように、毎年、人事院勧告の完全実施ということをいいまして、労使関係は不安定である、こういうことを根本的にこの際解決しようじゃないか、それで、人事院勧告の完全実施ということを前提にいたしまして、どういう方法を講ずれば完全実施ができるのかということについて、関係閣僚の間で御討議をいただくということで、今日までまいったわけでございます。この点につきまして、十幾つ案が考えられたわけでございますが、最終的には新聞等に載っておりますような、人事院が予備勧告というものを、年度当初の予算編成に先立って行ない、そうして年度計画において本勧告を行なって、その増高分というものを再度改定を行なう、こういうような案で検討するということに、前回はそれを中心にして検討するということに相なっておったわけでございまして、現在、引き続いて行なわれておるわけでございますので、ちょっとその結果をまだ私ども承知いたしておりませんけれども、何らかの結論に達するということで、努力しておられるように伺っておる次第でございます。
  123. 原田立

    ○原田立君 これは十八日、きのうの毎日新聞に出ているのですが、大蔵省にちょっとお聞きしたいのですけれども、「大蔵省内には鳩山主計局長のように「本来は政府が財政事情に応じて独自に給与改定費を組み、人事院勧告は参考にとどめるべきだ」」、こういうような発言があった、それからまた、「「財政上給与改定の実施時期を調整し切れない」と、不完全実施を公言する幹部もあるほどだ」と、こういうことが報道されているんですけれども、その点大蔵省どうなんですか。
  124. 秋吉良雄

    説明員(秋吉良雄君) 先ほど自治省の財政局長並びに公務員部長から御答弁ございましたが、実は私地方財政担当の主計官でございますから、地方公務員給与の問題について、制度面について全く無関心ではない立場に置かれておるものの、本問題につきましては、実は担当が違っておりまして、主計局でも給与課長が専管をしてやっておるわけでございます。したがいまして、私からこの問題についての答弁は差し控えさしていただきたいと思います。もちろんいまの御指摘のようなことについて私は関知しておりません。本問題は、ただいま公務員部長から御紹介がございましたように、給与関係閣僚協議会において鋭意検討されているということにとどめさしていただきたいと思います。
  125. 原田立

    ○原田立君 答えられないと言ったんでは、もうそれ以上議論が進まないんですけれども、最後の一つですけれども、人事院勧告は参考にとどめるんだと、これは主計局長から話があったそうだ、その点はどうですか。
  126. 秋吉良雄

    説明員(秋吉良雄君) 私はその事実については関知しておりません。
  127. 原田立

    ○原田立君 そういう考え方は内部であるんですか。あるから発言があったんだろうと思うんですけれども
  128. 秋吉良雄

    説明員(秋吉良雄君) 事実自体については、私は関知しておりませんから、それ以上の御答弁は差し控えさしていただきたいと思います。
  129. 原田立

    ○原田立君 四十三年度においては、給与改定分として一般行政費の中の給与改善費の項目に七百五十億を組み込んでいたが、実際の所要額は、八月実施で七百九十九億になり、四十九億円オーバーしたが、これは何か財政上やりくりできるそうですが、明年度の見通しはどうか。その点はいかがですか。
  130. 細郷道一

    説明員細郷道一君) 明年度につきましては、先ほどもちょっとお答え申し上げましたように、給与勧告制度、あるいは改定の実施方法等につきまして、まだ議論をしている際でございますので、ちょっといまの段階で申し上げかねます。
  131. 原田立

    ○原田立君 それでは、この問題についてはまた次回に譲るとします。  地方事務官制度について簡単にお伺いしたいと思うんですが、最近国及び地方を通じて行政改革が強く要請されているのでありますが、これに関連して早急に解決を迫られている問題として、いま申し上げる地方事務官制度があげられているんですが、これについて自治省の基本態度、すなわち自治体に移管するという一貫した方針だと、こう私たちは思っているんですが、その点はいかがですか。
  132. 長野士郎

    説明員(長野士郎君) 地方事務官制度について、御指摘のように、行政改革本部におきましても早急に解決をするという基本方針を先ごろきめまして、閣議でも地方事務官制度については解決するような方向で検討するんだということに政府としての意思統一がはかられております。自治省としましては、地方事務官という現在の特別な、例外的な組織というものは、地方自治法におきましても、しばしば国会で御指摘のありますとおり、当分の間の措置ということでもございますので、これについては解決をはからるべきだという考え方であります。また、基本的には地方行政に関係の深い行政でありますから、原則として地方の公共団体、特に都道府県の手で行政の処理をしていくということのためには、地方事務官というような国家公務員を例外的に置く必要はないんじゃないかという基本的な考え方を持っております。
  133. 原田立

    ○原田立君 そのように、いまの局長のお話も、特殊な地方事務官というようなものは要らないのじゃないか、こういうことでしたね。そこで臨調とか地方制度調査会の答申がいままで出されているのですが、これを自治省はどう考えているか。
  134. 長野士郎

    説明員(長野士郎君) これは自治省としては、基本的な考え方としてはいま申し上げたとおりでございますが、これにつきまして、地方制度調査会とか、臨時行政調査会におきましてもいろいろと取り上げられて、改革意見が示されております。地方制度調査会の場合は、大体地方公務員に振りかえろというのが御主張の主要な考え方になっているわけでありますが、臨時行政調査会におきましては、地方事務官という制度で仕事を担当しております仕事別に多少のニュアンスの差が少しうかがわれます。つまりそれは、社会保険の関係でありますとか、あるいは職業安定行政に対する関係の場合には、地方の事務として考えるべきだと、こういうことでは地方制度調査会等と同じでございますが、運輸関係の仕事につきまして、原則は原則であるけれども、また、統一的な行政として国が一元的に管理をするものと振り分けて考えてみるべき余地があるのじゃないかとい、うようなことにつきまして、臨時行政調査会——これはちょっと記憶に間違いがありましたが、行政監理委員会でございます。臨時行政調査会は原則として地方へゆだねるような考え方を答申しておりますが、その後臨調の答申を実施するための具体的な意見をまた行政管理庁に勧告するというような形で行政監理委員会という制度ができておりますが、この行政監理委員会では、臨調の答申のその部分につきましては、少なくとも全国統一的な仕事と地方行政になじむものと振り分けて考えるべきではないかという、多少のニュアンスの違った答申を出しております。
  135. 原田立

    ○原田立君 いまも話があったけれども地方事務官制度は、局長もいま話があったように、廃止しよう、こういうふうな一貫した方針でいままでずっときたわけですよ。それが最近になって、陸運行政に対しての、いま御説明があったように、国の出先機関にしようとか、あるいはまた府県内の事務はできるだけ移管しよう、こういうようなことが三者の間できまったということだけれども、それは臨調や地方制度調査会の答申と食い違うのじゃないですか。
  136. 長野士郎

    説明員(長野士郎君) 最近におきまして、運輸省関係あるいは労働省関係等におきますところの地方事務官制度について、行管理庁の長官が主宰をいたしまして、関係各省の大臣が集まりまして、いろいろとお話し合いが進んでおりますが、その場合におきましても、運輸省の関係の仕事につきまして、最近におきましては陸運行政と車検と登録というものと一応分別をいたしまして、そうして陸運行政というものについては、地方行政の総合的な交通行政というものの中でなるべく多く取り入れるほうがいいんじゃないか。それから車検、登録関係については、これは画一的な行政であるから、検査とか登録というものを全国一本でコントロールしていくということがむしろ能率的でもあるし、いいんじゃないかというようなお話し合いがございます。ただその場合にもどういう仕事をどちらへ持っていくか、つまり主として陸運行政関係でございますが、そういうものについて両省間でさらに協議をして話し合いを続けるようにというようなことがございまして、現在話し合いを続けておるという状況でございます。
  137. 原田立

    ○原田立君 それは明らかに後退なんじゃないですか。要するに臨調や地方制度調査会の意見は、地方事務官制度は廃止して地方公務員にしろ、こういう基本方針になっていたのに、現段階にきて、これはもちろん協議し合うのもそれは必要だろうと思うけれども、それが一部は国の出先機関にしようとかいうような動きになったということは、答申の線からだいぶずれているんじゃないですか。私はそう思うのです。
  138. 長野士郎

    説明員(長野士郎君) 地方制度調査会とか臨時行政調査会が最初に出しました考え方からすれば、全面的に地方移管という考え方でございますから、その点からいえば多少違っているという御指摘は確かにそのとおりだと思います。むしろそういう意味では行政監理委員会等の考え方が中に入ってきておるということになるかと思いますが、いずれにいたしましても、現在のところどういう振り分けで具体的に地方の事務、国の事務というものを振り分けていくかということは、事務当局間で協議中でございます。この協議の見込みというものについては、いまのところまだ何とも申し上げられないわけでありますが、そういうことで、内容が十分そういう振り分けをする余地がある内容に一体なるのか、ならないのか、そういうことも非常に重要な点でございまして、そういうことの話し合いが全部完了した上で、そういう問題というものは具体化されていく、そう考えておるのでございます。しかし、いまのところまだはっきりとそういうかっこうには内容は整っておりませんのでございまして、鋭意そういう意味での地方自治行政の将来、あるいは府県行政というものと陸運行政というものとどういうふうに結合させるかということのいい案ができるということでありますならば、多少の調節ということは、これはあり得るだろうというふうに考えております。
  139. 原田立

    ○原田立君 いい考えがあれば調節し得るであろうだなんて、そんなことを言って答申の現段階にきて線がくずされてくるというのはぼくは非常に残念ですね。それで、また都市交通はいよいよ混雑をきわめて、今日地方交通行政の一元化、こういうことを望む声が非常に強いわけです。だからこそこういう地方事務官制度の廃止を、このときにこそ私は一挙にやってしまったほうがいいんじゃないか、こう思っているんです。これはちょっと並行線をたどるようですが、私はそう思う。どうも局長の答弁ははなはだ不満足です。  じゃ、交通行政のほうはいいとして労働省関係、それから厚生省関係、このほうはいまどうなっているんですか。
  140. 長野士郎

    説明員(長野士郎君) 運輸行政の関係についても、もちろんまだいろいろな御意見がございまして、私どもはまだ最終的に固まっておるというふうには理解しておりません。そして、まだいまのところ内容の見通しを申し上げるという段階でもないようにも思っておりますから、考え方としてある程度事務の振り分けを考えるという線があるではないかという御指摘については、そういう考え方が実はあるという点を申し上げたわけでございます。  労働省の関係につきましては、これも現在事務的に話し合いを続けております。これにつきましても、内容が多少多岐にわたっておりまして、まだ私どもがこれをこういう場所で申し上げるという段階になっていないように思うわけでございますが、ただ労働省としましても、基本的に地方事務官問題というものをこの際解決をしたい、その場合に労働行政全体と地方行政とをどういうふうに調和させるかというようなことで、具体的の行政組織なり行政機構について労働省なりの考え方の提示を受けておるわけでありまして、それにつきまして自治省としましてもいろいろ意見を申し述べておりますが、現在まだ最終的に両方の意見が一致したというところまでは至っておりません。現在なお話し合いを続けておる段階でございます。  それから内容につきましては、そういう意味で現在申し上げることは差し控えさせていただきたいと思うのでございますが、社会保険の関係におきましても、原則は先ほど申し上げたとおりでございます。ただ、社会保険につきましては、現在医療保険問題全体についてどういう改革をするかということが、政府あるいは与党の中にも非常に討議が進められておるわけでございまして、特に健康保険の関係での例の特例法というのが来年の八月にはその特例期限が切れるわけでございまするから、そういう意味で医療保険問題全体の改革というものが非常に検討されているわけで、そういう改革の見通しとも非常に密接に関係をするから、現在のところ、その見込みというものについて、もうしばらくそちらの改革の運び方というものを見通し、その上で社会保険関係の地方事務官問題を解決したほうがいいのじゃないかというようなことが関係大臣の間で話し合いとしてされております。
  141. 津島文治

    委員長津島文治君) 本件に関する調査はこの程度にとどめます。     —————————————
  142. 津島文治

    委員長津島文治君) 基地交付金等の問題に関する件を議題といたします。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  143. 原田立

    ○原田立君 前回、基地交付金についてお伺いしたんですが、さらに今回私はこの問題でお伺いしたい。  まず、基地交付金の性格について大蔵省と自治省の間で大きな見解の相違があるということでありますが、大蔵省側ではこれを予算の範囲内で助成交付する恩恵的な交付金と見ているということでありまして、このような見解は私はどうも納得しがたいことでありますが、自治省自体本気で基地交付金を要求する熱意が欠けているのではないか、こう私思うんですが、いかがですか。
  144. 山下稔

    説明員(山下稔君) 私どもは基地交付金は固定資産税に淵源を発する制度であると考えておりますので、対象資産の拡大とともに、その税率と申しますか、対象資産に対する割合も固定資産税相当額が妥当であろうということで百分の一・四の率を乗じた額を四十四年度予算要求として要求いたしておりますし、過去におきましても、不十分ながら、できるだけいま申し上げました線に沿うように予算の確保に努力をしてまいったつもりでございます。
  145. 原田立

    ○原田立君 特に基地公害が大きな問題を起こしているが、現行の交付金の対象資産は、土地千七百九十六億、建物四百二億、工作物四百三十一億、合計二千六百三十億でありますが、これは全く甘い推計ではないか、中身の問題として、このほか飛行場は当然のこと、演習場の建物、工作物あるいは港湾施設等は計算に入るべきである、こう私は思うんですが、その点はどうですか。
  146. 山下稔

    説明員(山下稔君) ただいま御指摘の飛行場の格納庫等の建物、工作物が現在対象になっておりませんし、また、自衛隊の使用いたしております港湾施設対象になっていないので、これは御指摘のとおり、私どもも当然対象にすべきものであろうと考えて、従来は入っておりませんでしたが、四十四年度ではぜひ対象にしてほしいという考え方で予算要求をいたしております。
  147. 原田立

    ○原田立君 それで基地の所在する市町村では相当大規模な資産をそれに当てておりますし、これに対する代償的措置として考えられたのが基地交付金である、かように私は理解しているんですが、しかるに、それらは土地建物の資産価額に対して百分の一・四、これは率として非常に低いのではないか。この低い固定資産税の税率相当分を要求しているのに、実際交付される金額は、昨年度の場合では、三十億円の要求に対して結果としてはわずか十九億円である、これでは市町村は承服できない、こういう声が一般の声です。結局、与えるものはきちっと与える。そうしなければ地域住民や市町村の協力を求めても反発を買うのみで、特に公害の激しい基地周辺の住民からは憎まれる、こういう結果になる。こう私は思うんです。しかも、そういう声が相当あっちこっちであるわけでありますが、これらの点についてもっと手厚くしてやるべきではないかと思うんですが、どうですか。
  148. 山下稔

    説明員(山下稔君) 私ども先ほども申し上げましたように、固定資産税に淵源を発する制度であると理解をいたしておりますので、固定資産税相当額は確保いたしたいということで大蔵省当局の御理解を得るように努力をいたしておりますし、明年度もできるだけ要求の線が確保できますよう努力いたしたいと思います。
  149. 原田立

    ○原田立君 この問題とは基本的に違うのでありますけれども、基地が存在するということによって非常に地域住民が不安感を感じていることは事実であります。それで十一月十四日、米軍のジェット機RF101ブードー戦闘偵察機一人乗りが墜落したが、このため地域住民は非常な不安を持っております。私も現場に行って参ったのでありますが、たいへんなことでした。あの大きな穴に一番近い、至近距離にある家は約五十メートルです。話に聞きますと、あそこの苗代田でありますけれども、ちょうどまだ稲穂を刈り取っていない部分がありまして、これは何で刈り取らないのかと聞いたら、実はけさ刈り取っていたんだ、ちょうど天候が曇りだったもので、やめて引きあげて五分後に落っこった。もしあそこに人がいたらばおそらくやられてしまうでしょう。こういう事件が十一月十四日にあったわけでありますが、去る六月二日の九大電算機センター屋上にF4ファントム戦闘爆撃機が墜落したときも今回も同様でありますが、もう少し片寄ったところに墜落していたらば大惨事を引き起こすところであった。それは係のほうで、十分部長さん、課長さんのほうでおわかりだろうと思うが、まず初めにお聞きしたいのは、福岡市という人口密集地よりわずか三キロしか離れていないところに空軍基地があるということが地域住民に非常な不安を与えているのですが、これらについてどうお考えなんでしょうか。これはほんとうは自治大臣にお伺いするつもりだったんですが、まあ、担当のほうでお願いします。
  150. 鶴崎敏

    説明員(鶴崎敏君) ただいま板付の飛行場の問題でお話があったわけですが、福岡という八十万都市の近傍にああいう軍用の飛行場があるということは適当でないということで、六月の二日に九大の構内にジェット機が墜落したわけでございますが、この問題を契機としまして、政府としましても急拠基地問題閣僚協議会を開きまして検討いたしました結果、政府として板付飛行場を他に移転するという方針を決定をしたわけでございます。その後アメリカ側とも合同委員会で協議しまして、米側も適当な代替地があれば移転するにやぶさかでない、こういうことで日米間に基本方針についての了解が成立しております。その後政府としましても、この問題を事務的にいろいろ検討を進めておりますが、御承知のように、ちょっと新聞にどこどこが候補地であるということが出ますと、すぐ反対運動が起こるというようなことで、この問題はまだ候補地を決定する段階までには至っておりません。なるべく早急に解決したいということで、いろいろの面から検討を進めておるという状況でございます。
  151. 原田立

    ○原田立君 六月十一日の閣僚懇談会のときには、年内移転をやろうと、こういう方向に沿ってやろうと、こういうふうに言っておったわけでありますが、最近の十一月十五日ですか、福岡県の知事、副知事がこちらへ来て木村官房長官にお会いしたところ、年内移転は無理だというような回答があったと新聞報道で承知しているんですが、いろいろな内部の事情、それはわからないことはないんですけれども、私たちは何かぺてんに引っかけられたみたいな感じがしてならない。事務当局の皆さんにお聞きしてもどうかと思うんですけれども、年内移転ということが、現段階に来てそれはできないんだという御発表なんですが、最初から年内移転はもう無理で、ただ表面上言ったんじゃないかと、こう実は思わざるを得ない、その点どうですか。
  152. 鶴崎敏

    説明員(鶴崎敏君) 木村官房長官が福岡県の辻副知事に会われた際にいまのような御発言があったというふうに聞いておりますが、この問題につきましては、事後において私ども連絡を受けたということでございます。初めからどうもできない相談をできるようなことを言っておったのではないかというようなお話でございますが、私ども、政府の方針としまして、なるべく早急にこの問題を解決しなくちゃならないということで、年内にということも政府の方針としてきまっておりましたので、鋭意努力を続けてまいったわけでございますが、先ほど御説明しましたような事情で、何といいましてもこの移転先の決定については地元の住民の方々の御意向ということが一番重要な要素になると思うのですが、まだ飛行場を受け入れてもよろしいというところがございませんので、遺憾ながら現在まで決定を見ていないと、こういう状況でございます。
  153. 原田立

    ○原田立君 そこいら辺のところはほんとうは施設庁の長官並びに官房長官等にお聞きしなければいけないところなんで、答弁をお願いするのは無理じゃないかとも思うのですが、それは別問題にして、あとで聞きたいと思うのです。  今回の事故は板付基地を離陸直後の事故である、こう聞いておりますけれども、これはいかがですか。
  154. 鐘江士郎

    説明員鐘江士郎君) 今回の事故は十一月十四日の午前九時十七分ごろ訓練飛行のために板付飛行場を離陸しましたF101ジェット戦闘偵察機がその離陸直後——九時二十分、左のエンジンに故障を生じまして墜落したということでございます。
  155. 原田立

    ○原田立君 このRF101ブードー戦闘偵察機が、航空燃料を満タンの状態で飛ぶとすると一体どのくらいの量になるのですか。
  156. 鐘江士郎

    説明員鐘江士郎君) 二千ガロンというふうに聞いております。
  157. 原田立

    ○原田立君 まだそこは墜落して土中に埋まった部分が引き上げられていないはずです。これらの二千ガロン部分が土中深く埋没しているという現状ですけれども、墜落後燃料の爆発というものはこれは事実なかったのです。簡単にぽっと燃えたのはあったけれども、こんな航空燃料の大爆発というのはなかった。そうしますと、相当量がまだ土中に埋まっているのじゃないか、こう思うのです。爆発の危険とかあるいは飲料水への汚染とかあるいは稲作への被害とか、こういうふうなことが考えられるのですけれども、その点はどういうふうにお考えですか。
  158. 鐘江士郎

    説明員鐘江士郎君) この機体の残骸につきましては、直ちに撤収の作業にかかりまして、十六日、土曜日の昼十二時四十分ごろガソリン燃料も全部くみ取りを終えましたし、飛散しておる機体の部分品、そういったものも全部回収いたしました。
  159. 原田立

    ○原田立君 土中に埋まっておる部分も全部済みましたか。伝え聞くところによると、十五メートルも深く中にめり込んでいるのですよ。それでまだまわりは地域住民の地主さんたちの反対もあって、その交渉が非常に難航していたはずです。まだ土中にあるはずですよ。その点どうですか。
  160. 鐘江士郎

    説明員鐘江士郎君) この墜落によってできました穴は五メートルの深さというふうに聞いております。それらの機体の散乱した部品、すべて回収し終わっております。
  161. 原田立

    ○原田立君 それはわかっておるのですよ。表面上に散らばったのは。だけれども、まだ土中深く十メートル、話によれば二十メートルといっておりますけれども、十五メートルくらいという話がぼくは妥当じゃないかと思うのですが、めり込んでいる部分があるのですよ。その分はまだ引き上げられてないはずです。
  162. 鐘江士郎

    説明員鐘江士郎君) ただいま御質問の、土中に入った部分、それから、衝撃によりまして、土が相当周辺に散逸している。その中にあるいは機体の破片があるかもしれぬということで、そういうものの取り除き、こういうものも米軍の手でこの一週間以内に全部きれいにするということで現在作業中でございます。
  163. 原田立

    ○原田立君 そうすると、爆発の危険等はないということですか。
  164. 鐘江士郎

    説明員鐘江士郎君) さようでございます。
  165. 原田立

    ○原田立君 飲料水への汚染とか稲作への被害等はどうですか。
  166. 鐘江士郎

    説明員鐘江士郎君) これらの被害につきましては、引き続き現在現地で詳細調査をいたしておりますので、まだ詳細な報告は持っておりません。
  167. 原田立

    ○原田立君 航空燃料には四エチル鉛は混入されていなかったのですか。
  168. 鐘江士郎

    説明員鐘江士郎君) これも現在調査中でございまして、まだ判明しておりません。
  169. 原田立

    ○原田立君 この飛行機はいつも——米軍はだいぶん長い間いわゆる常駐しておるのですから、この飛行機について航空燃料がどうであったかということはわからぬとしても、常日ごろ、常識的にはどうなんですか、おわかりになっておるはずだろうと思うけれども
  170. 鐘江士郎

    説明員鐘江士郎君) 現在調査中でございますので、まだ不明でございます。
  171. 原田立

    ○原田立君 調査調査中と言って、十四日に起きた事件ですよ。きょうは十九日ですよ。もう少し早くやってもらいたいと思う。四エチル鉛が入っていたら、これはものすごい有害なんですからね、こういうところはもっと民生安定のためにもはっきりするところは早くしてもらいたいと思う。  それから、米軍板付基地にはRF101ブードー戦闘機が約二十機くらい常駐していて、福岡上空を飛んでいるということだそうですが、その点はどうですか。
  172. 鐘江士郎

    説明員鐘江士郎君) 現在、板付基地にはRF101が十四、五機、それからRB66が四機、それからT33機が一機、C47機が一機、こういうものが配置されているということでございます。
  173. 原田立

    ○原田立君 今回のRF101Cの戦闘機は、前回のあそこに落ちたファントムですか、あれとはまた別な飛行機で、沖繩からこちらのほうにその後移してきたのだということであるのですが、今回結局、結果的には墜落事故が起きて、市民の不安感情が非常に強い。今後の、まあ今後といいますかね、第二、第三、第四の事故が発生しないことを私は祈る気持ちなんですけれども、その点どうですか。
  174. 鐘江士郎

    説明員鐘江士郎君) 私どもといたしましても先生同様、今後事故の起きないことを祈念いたしております。当庁は去る十五日に米側に対しまして厳重なる抗議文を発出いたしまして、今後かかる事故の再発しないよう抗議を申し入れておるということでございます。
  175. 原田立

    ○原田立君 六月二日のときには、あれは夜間でした。だから夜間飛行は中止したという。その決定を聞いて私は非常に憤慨した。飛行機は夜だけ落ちるものじゃない、昼だって落ちるんだと、こう言っていたところ、今回はからずも、今回は朝。こういうふうな墜落事故が起きたんではたまったもんじゃないですよ、地域住民としては。それで、先ほどもちょっと触れたんですが、板付移転について六月十一日、基地問題閣僚協議会で意見交換し、年内移転が一致したと——先ほどの問題です——あらためて一致したと、こう聞いておりますけれども、この点その後どうなっておるのか。
  176. 鶴崎敏

    説明員(鶴崎敏君) 先ほども申し上げましたように、政府の方針としまして、年内に候補地を決定したいということで、まあ、現在まで種々努力を重ねてきております。今後におきましても早急にこの問題を解決すべくいろんな面から努力をしたいと思っておりますが、遺憾ながら現時点においてはまだいろいろな問題点がございまして、決定をしていないということでございます。
  177. 原田立

    ○原田立君 それから福岡県の辻副知事も十一月十五日に上京して官房長官に基地撤去を強硬に申し入れしておりますが、地元の阿部福岡市長も基地撤去を強く主張しておりますし、県議会も市議会も一致して撤去を望んでおります。これらの民意を政府は押しつぶしてしまう気があるんじゃないか、こういうおそれを持っているんですが、その点どうですか。
  178. 鶴崎敏

    説明員(鶴崎敏君) この板付飛行場というような膨大な施設を他に移転するということは、たいへんそれは難事業ではございます。しかしながら、長年にわたって福岡市民からはこの飛行場を他に移転してくれという要望もございますし、政府の方針としてもこれを移転するということでございますので、困難ではございますが、住民の意向を尊重し、この移転を実現したいと、このように考えております。
  179. 原田立

    ○原田立君 六月二日事故以降、防衛庁、防衛施設庁は米軍とどういう取りきめをしたのか、あるいは移転だけの話し合いのみか、それとも現実に飛んでいる飛行機についてどういう話し合いをしたのか。話し合いなさいましたか。
  180. 鶴崎敏

    説明員(鶴崎敏君) 六月二日にファントムが墜落しまして、さっそく米軍に対してはこの事故に対する厳重なる抗議をし、原因調査と今後の明確な具体的な対策の樹立を要求したわけです。その際、先ほどもちょっと先生お話に出ましたが、夜間の訓練飛行は緊急やむを得ない場合を除いてはこれを実施しないという、米側と交渉の結果、了解を取りつけております。現在まで夜間の訓練飛行はやっておりません。これがこの事故原因としました一つの飛行規制の問題として具体的にとった措置でございます。なお、基本的には、先ほどからお話がありますように、板付の飛行場そのものを他に持っていくべきだということで、この点につきましても米側と折衝しまして、適当な代替地があるならば移転を受諾するにやぶさかでないという回答を得ております。
  181. 原田立

    ○原田立君 個々の基地をどうするかという問題については、日米合同委員会——安保条約六条に基づく地位協定二十五条で設置されているわけですが、この日米合同委員会施設分科委員会検討しているという話を聞いておりますが、板付基地移転問題についてはこの委員会検討なされたのですか。
  182. 鶴崎敏

    説明員(鶴崎敏君) 米側と施設委員会、まあ正式の施設委員会ではございませんが、施設委員会の開かれた機会等を利用しまして、いろいろ概括的な条件その他について意向を聴取しております。しかしながら、まだすべての点についての米側の意向は明確になっておりませんけれども、われわれ自身として一応こういうことではなかろうかというような面から、この移転先について現在並行的に検討を進めておるという状況でございます。
  183. 原田立

    ○原田立君 六月の二日に事故があり、不幸にして今回また事故が再発したと。三度、四度とないとまあだれが断言できょうか。断言できるわけないと思う。まあ、人命事故がなかったのは不幸中の幸いであると、こう私どもも思います。だけれども人命事故が今後ないと言い切れるかというと、それもまた言い切れない。結局は、これらの状況を見ると、事故絶滅のためにはどうしてもこれは基地撤去ということを私たち常々主張しているわけでありますが、そうしなければ今回のような事故を、第三、第四の事故を防ぐことはできないのではないか、こう私思うのです。移転については努力するというふうに言われるけれども、この移転だってもう何年先のことやら、半年前の話がいまになってくずれているのですから。そうすると、第三、第四の事故が起きないとはこれまた断言できないではないか、こう私思うのです。そういうような今度第三、第四の事故が起きないような強力な施策をどういうふうに考えて、どういうふうな申し入れを米軍側にし、どういうふうなことを実際にやろうとなさるのか。六月の場合には夜間飛行は中止するというような一項がありました。地元民としては、辻副知事も強く要望しておりますが、昼間の飛行訓練もやめてくれと、こういう強い要望をしております。私もその気持ち同感であります。その点についてどういうふうにお考えですか。
  184. 鐘江士郎

    説明員鐘江士郎君) 昼間におけるところの飛行訓練までやめろ、やめてくれという申し入れに対しまして、この問題は非常にむずかしい問題でございまして、一応当庁といたしましては米側にその申し入れをしたいという意向は持っておりますが、なかなかこの問題について米側が受けるかどうかということは非常にむずかしい問題ではないかというふうに考えております。
  185. 原田立

    ○原田立君 米軍側がむずかしい、といって飛行士は機体からぽんと飛び出して無事故である。多少のかすり傷はしたけれども、前回も今回も人命事故はなかったからいいようなものの、もしあったらどうなるのですか。
  186. 鐘江士郎

    説明員鐘江士郎君) 抜本的には一日も早く板付の代替地をきめましてそちらに移転すべく努力するよりしかたがないというふうに考えております。
  187. 原田立

    ○原田立君 現地に本省のほうから直ちに係官等行って調査を進めるとか、そういうふうなことは具体的にやられるのですか。
  188. 鐘江士郎

    説明員鐘江士郎君) このあと始末と申しますか、補償をいかに賠償するかというようなことで現地に福岡防衛施設局の係官が出向きまして引き続き調査中でございます。
  189. 原田立

    ○原田立君 いま福岡の静間元局長さんですか、私もお会いしてきました。深刻な顔つきをしておりましたよ。あの状況を実際自分の目で見た方は非常に重大問題だと痛感なさるでしょう。皆さん方はまだ行かれたことはないだろうと思うけれども、これはぜひとも行って現場を見てもらいたいと思うのです。  それから、例の落ちたところは苗代田に落ちたのでありますけれども、この補償等は、これは、十分なさるお考えなんだろうと思うが、話によりますと、ああいう油につかりますと、油に浸ると十年間はどうも使えないという、そういう話でありますが、非常に補償問等等でもむずかしい問題になるであろうと思いますけれども、やはりそういう被害者の納得するような十分な補償は、これはぜひともしてもらいたい、こう思うんですが、どうですか。
  190. 鐘江士郎

    説明員鐘江士郎君) 十六日に福岡の副知事さんと私もお会いしましていろいろ現地状況も話をしたわけでございますが、私どもといたしましては、十分な補償を一日も早く早期にお払いするように努力いたしたいというふうに答えておりますし、福岡局を督励いたしまして、一日も早く調査の結果を本庁に報告するように指示をいたしておるような状況であります。
  191. 原田立

    ○原田立君 けさ沖繩の嘉手納基地においてもB52が飛び立ったとたんに爆発事故が起きたそうです。御承知だろうと思いますけれども、こういうふうにあちこちで事故が起きたのでは、地域住民は、幾ら安保条約があるからとこう言ったっても、危険を除くような措置を講じなければ、これは納得しがたいのです。誠意を持って補償はすると言うけれども、補償されたから、あと事故がないというのはだれも断言できるわけではない。だから、基本的には、こういう地域住民の不安を除くためにも、もっと誠意ある態度、もっとはっきりとした態度をもって米軍側との交渉に当たっていただきたい、当たるべきだと、こう私は思うのです。その他いろいろあるわけですが、自治大臣が何か時間がないそうで、大臣もいますでにお聞き及びのとおり、十一月十四日福岡県の小郡におきまして米軍ジェット機が墜落した。このため地域住民が非常な不安を持っております。去る六月二日の九大電算機センターの屋上にF4Cファントムジェット戦闘機が落ちたのでありますけれども、もう少し片寄ったところに墜落していたら大惨事を引き起こすところでありました。  まず大臣にお伺いしたいのは、福岡市という人口密集地よりわずか三キロしか離れていない、そういうところに米軍基地があるということは、地域住民に非常に不安を与えておりますが、自治大臣はこれらの基地のあることをどうお考えですか。
  192. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) 飛行機は落ちることのあるものですから、やはり、民家の密集地帯にあることは適切ではないと思います。ただ、民間機の場合はこれは一般市民が利用いたしますので、あまり遠過ぎてもまずいのですけれども、特に軍用の飛行場などは相当距離が必要である、かように判断しております。
  193. 原田立

    ○原田立君 いま大臣の御発言中飛行機は落ちるものだという意味の発言あったのですが、これは非常に暴言じゃないでしょうか。ちょっと納得しがたいことばです。
  194. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) 空飛ぶものですから、やはり落ちる可能性があるということを申し上げたわけであります。
  195. 原田立

    ○原田立君 私は、そんな笑い話でなしに、今回のジェット機が墜落したことについて非常な不安感を市民が持っている、このことを、地方行政の立場で地方の住民の安寧を守るという立場において自治大臣は地方行政団体の一番先頭に立ってがんばられるわけですから、その大臣が飛行機が落っこちるものだなんて簡単に言われては私ども引っ込みがつかない。
  196. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) 飛行機は落ちることのあり得るものですから、やはり、住民をその被害から守るということはもちろん大切なことですし、ですから、飛行機の進入経路にもよりますけれども、いずれにしても、飛行場は密集地帯からかなり距離のあるところへ置くべきものであるという判断でおります。
  197. 原田立

    ○原田立君 地域住民が心配のあまり一せいに立ち上がっております。現在、政党別を乗り越えて基地撤去を強く要望しておりますし、また、九大の水野学長も学生、市民の先頭に立って撤去運動を展開しておりますが、これらを自治大臣は自治行政の見地から地方行政の福祉向上等のため、そういう見地の上からどう受け取っておられますか。
  198. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) 日本全国どこも地方団体でございまして、どこかに飛行基地を置かなければ飛行機は飛べない。日本は残念ながら国土が非常に狭いわけでして、私どもやはり常識的に考えても板付は適当な場所ではないと思っております。さて、どこへ移転するかということになりますと、やはり飛行機というものはなかなか騒音を立たせるものですし、また、場合によっては落ちることもあり得るので、地域側で受け入れがなかなかむずかしい。そういうことのためにいろいろ政府としての苦慮もありますし、しかし、板付の場合、あすこは適切な場所ではないという判断をいたしております。
  199. 原田立

    ○原田立君 自治大臣は国民の先頭に立って地域住民の福祉向上、安全確保のためにも基地撤去を推し進めるべきではないか、こう思うのですが、どうですか。
  200. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) 何もことさら自治大臣が先頭に立つ必要はないと思います。しかし、ただいま申しましたように、全体から考えまして板付は適当ではないと判断いたしておりますので、これは自治省が何も代替地をさがすということよりは、政府全体としていろいろ苦慮しておりますので、まあ、地域住民に関係ある自治省といたしましては、政府に善処をお願いいたしたい、こう思っております。
  201. 原田立

    ○原田立君 これで終わりにしたいと思うのですが、少なくとも六月二日の九大墜落事故以降、自治省としても大臣としていろいろこの問題をお考えのことであろうと思いますが、自治省はどういう交渉を政府部内及び米軍となされたか、その点はどうですか。
  202. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) 自治省は直接にはいたしておりません。しかし、同じ政府でそれぞれ所管がございまするので、米軍とは厳重にこの交渉をいたしております。
  203. 原田立

    ○原田立君 自治大臣として、先ほどから何度も言うているわけですけれども、この問題について政府部内でもっと地域住民の安全確保のためにも強力な発言をしてもらって、そうしてこういう事故を再発させないように強くしてもらいたい、こうぼくは思っているのです。その点を先ほどから質問をしているわけです。それをなされたか、また今後なさるおつもりか、その点はどうですか。
  204. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) よくわかりました。それはもちろん地域住民に最も密接な関係のある地方団体を指導する立場にありますので、機会あれば発言もいたしますし、また、これは特に自治大臣が言うまでもなく、政府全体、国全体、同じ考えでございまするので、みな同じようにこういう危害から地域住民を守るということにつきましてはそれぞれ発言もあっておるはずでございます。私ども、もちろんその立場からいたしましても問題点を明らかにしていかなければならぬと考えております。
  205. 津島文治

    委員長津島文治君) 本件に関する調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十二分散会