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1968-10-22 第59回国会 参議院 地方行政委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年十月二十二日(火曜日)    午前十時四十五分開会     —————————————    委員異動  九月十七日     辞任         補欠選任      山本伊三郎君     和田 静夫君  十月二十二日     辞任         補欠選任      阿部 憲一君     多田 省吾君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         津島 文治君     理 事                 船田  譲君                 林  虎雄君                 原田  立君     委 員                 小林 国司君                 斉藤  昇君                 鈴木 省吾君                 増田  盛君                 竹田 四郎君                 松澤 兼人君                 和田 静夫君                 阿部 憲一君                 多田 省吾君                 山田  勇君                 山崎 竜男君    国務大臣        自 治 大 臣  赤澤 正道君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君    説明員        人事院総裁    佐藤 達夫君        警察庁刑事局参        事官       後藤 信義君        経済企画庁国民        生活局参事官   宮内  宏君        日本専売公社監        理官       平井 廸郎君        大蔵省主計局主        計官       秋吉 良雄君        厚生省環境衛生        局公害部長    武藤き一郎君        通商産業省企業        局公害第二課長  斉藤 光雄君        自治政務次官   細田 吉藏君        自治省行政局長  長野 士郎君        自治省行政局公        務員部長     鎌田 要人君        自治省財政局長  細郷 道一君        自治省税務局長  松島 五郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告地方行政の改革に関する調査  (新産業都市における公害対策に関する件)  (地方公務員給与に関する件)  (地方公務員の服務に関する件)  (新宿地区等におけるデモに対する警備に関す  る件)  (地方交付税に関する件)  (基地交付金に関する件)  (たばこ消費税制度の改正に関する件)  (国鉄納付金に関する件)  (広域行政に関する件)     —————————————
  2. 津島文治

    委員長津島文治君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  九月十七日、山本伊三郎君が委員辞任され、その補欠として和田静夫君が選任されました。     —————————————
  3. 津島文治

    委員長津島文治君) 派遣委員報告に関する件を議題といたします。  先般、当委員会が行ないました地方税財政地域開発消防交通安全施設及び交通取り締まり等実施状況調査のための委員派遣について、派遣委員から御報告をお願いいたします。  まず中国班について、増田委員
  4. 増田盛

    増田盛君 増田でございます。御報告申し上げます。  津島委員長竹田委員山田委員と私は、去る十月一日から五日間にわたり、山口県、広島県及び両県下市町村地方税財政地域開発その他地方行政実情調査いたしましたので、その結果を御報告いたします。  まず、最近における両県の地方税財政実情を申し上げます。  昭和四十二年度地方財政は、国の景気調整策等一連施策により、年度中途において国の財政支出繰り延べに伴い、地方公共事業費等国庫支出金繰り延べ地方単独事業費等抑制が行なわれ、投資的経費は低下し、反面人件費扶助費公債費等義務的経費は依然として増高いたしております。地方税及び地方交付税等自主的財源景気の回復に伴い順調に伸びておりますが、その伸び財源地方税の減免、地方債抑制、旧債の繰り上げ償還財政調整基金等積み立て金に充てる方針に沿って極力地方財政体質改善につとめました結果、決算収支において両県及び両県下市町村におきましては、山口県下市町村の三億円の赤字を示したほかは、いずれも黒字基調を堅持いたしております。  その一般会計決算収支状況は、山口歳入五百五十億円、歳出五百三十九億円、翌年度繰り越し額を控除し、実質収支は五億円の黒字山口県下十三市四十三町村歳入は四百二億円、歳出四百四億円、翌年度繰り越し額を控除し、三億円の赤字を示しました。また、広島県は、歳入八百億円、歳出七百六十五億円、翌年度繰り越し十八億円、実質収支は十六億円の黒字広島県下十一市九十七町村は、歳入六百十一億円、歳出五百七十九億円、翌年度繰り越し各種積み立て金等を控除し、実質年度収支は五億円の黒字を示しました。調査各県及び市町村決算は、地方税及び地方交付税の順調な伸び事業繰り延べ等により、前年度地方債国庫支出金等に特に依存した不安定な財政状態からようやく立ち直ったと見ることができます。  昭和四十三年度地方財政は、国の総合予算編成に伴い、両県及び両県下市町村においてもおおむね給与改定等年間所要経費を計上し、または保留しながら通年予算を編成いたしております。その特色としましては、地方税の減税、公債費の繰り上げ償還特別事業債元利補給制度化交通反則金及び自動車取得税創設等によりまして、地方財政の一そうの体質改善につとめております。歳出面におきましては、依然として人件費等義務費増高による財政運営に苦慮しながらも、後進地域開発産業基盤整備交通公害対策その他民生安定諸施策を重点的に実施いたしております。  なお、山口、萩、徳山、岩国、広島福山等の各市、山口県秋芳町等実情を聴取いたしましたが、都市及び町村財政は、市町村税伸び悩みにより、地方交付税、国、県支出金地方債依存度が一そう強く、その財政運営はきわめて困難な面があり、地方交付税等一そうの強化を強く要望いたしております。  次に、両県下地域開発等実情について申し上げます。  山口県は、山陽の瀬戸内海に面した徳山中心とする近代的装置型工業周南工業地帯、宇部、下関を中心とする商工業の飛躍的な発展地区のある反面、県人口昭和三十年を頂点として玖珂郡、阿武郡等いわゆる中国山地、山陰地区人口減少傾向が著しく、昭和三十五年から四十年の五ヵ年間に、県全体では三・五%、五万八千六百人の県外への転出を見るに至っております。その減少一〇%以上をこえた町村は四十七町村に及び、山間部沿いに散在する部落は三〇ないし六〇%と著しい減少傾向を示した地区もあります。  本県産業構造都市構造に問題があると考えられ、県においてはこれら過疎地域について各種施策実施いたしておりますが、目下昭和三十七年に策定した山口県勢振興長期計画を再検討し、広域市町村圏等構想を策定中であります。  また、本県はいわゆる中間県であり、特に後進地域都市及び町村財政地方税の大幅な財源の確保が期待できないのと、地方交付税の算定方式等不十分と見られるので、その改善と、地方交付税等による財政措置についてさらに増強するよう強い要望がありました。  次に、周南地区工業整備特別地域調査いたしましたが、同地域徳山、防府、下松、光、柳井の五市、南陽町ほか三町一村をもって構成し、特に徳山南陽地区においては、出光興産徳山製油所をはじめ近代的石油化学コンビナートの形成は着々と進み、また最近、日新製鋼周南製鋼所等近代重工業が完成いたしまして、飛躍的発展が見られます。  周南工業地区における県及び地元市町村における財政負担は、昭和四十年度から四十二年度において、道路港湾河川、上下水道、教育、公営住宅し尿ごみ処理等県関係二十九億円、市町村関係二十一億円にのぼっております。市町村分財政援助かさ上げ額は一億六千万円交付されておりますが、巨額にのぼるこれら地元負担に対する国の積極的財政援助措置が強く要望されております。  次に広島県の実情を申し上げます。  広島県は、瀬戸内海沿岸、特に広島、呉、福山の各地域は、工業飛躍的発展により県人口は年々増加し、昭和三十五年から四十二年の間に、十五万人増の二百三十三万七千人となっております。昭和三十五年から四十年の人口推移を見ますと、瀬戸内海沿岸一帯六市二十三町において十八万五千人の増加を示し、反面内陸部一帯五市七十四町村におきましては、瀬戸内海沿岸都市へ流出するなど八万八千人の減少を示しております。この傾向はさらに進んでおり、わが国の過密、過疎問題の縮図を示しておるもののように見られます。かように本県経済の目ざましい躍進に伴う農山漁村の著しい人口減少、特に山間部等人口急減地域における生産施設崩壊など深刻な過疎現象を放置することは許されませんので、県におきましては、その基本構想を策定し、農山地域等県費補助率の引き上げ、市町村振興基金十億円の年次計画を立て、辺地整備事業に充当し、また事業費十四億円の年次計画で、ロードスタビライザーによるこれら地域道路簡易舗装実施する等対処いたしておりますが、国において現行の地域開発法律財政的裏づけ過疎地域財政特別措置等の強い要望がありました。  なお、県におきましては、都市と農村とを一体とした開発整備基調として、広域都市圏構想等を策定いたしておりますが、広島地区及び備後地区についてその概要を申し上げます。  広島地区構想は、広島広域都市圏として、昭和四十一年四月推進協議会を設立し、広島市を中心とした半径三十キロメートル、三市三十三町、人口百二十一万人を有する大規模開発都市圏を形成しておりますが、昭和四十一年度県生産額九千八百億円に対し、この地区で六五%を占める六千四百億円の生産をあげております。目下基本計画により、広島、呉、大竹その他五地区の中核となる地域との交通体系産業基盤整備都市近郊農業の確立など実施いたしております。  また、備後地区工業整備特別地域におきましては、昭和四十年指定以降、広島県側、福山、三原、尾道、因島、府中の五市十二町一村をもって形成し、その人口六十二万三千人、その生産額二千七百五十億円、県生産額の二八%を占める工業拠点開発地区であります。この地区は、福山市を中心として近代的重化学機械、繊維などの工業基地を形成いたしております。特に日本鋼管福山製鋼所が本年第二期工事を完了し、将来粗鋼年産一千万トンを目途として躍進いたしております。この地区内産業基盤整備に要した事業費は、昭和三十九年度以降七百十八億円に達しておりますが、そのうち県負担額は百三十七億円、地元市町村負担額は百五十三億円にのぼっております。このような地元負担に対し国の地方財政援助措置を強く要望いたしております。  以上をもって報告を終わりますが、なおその他要望等につきましては、調査いたしました資料によってごらん願いたいと存じます。委員長において会議録に掲載するようお取り計らい願いたいと存じます。  なお、この機会に、今回の調査にあたり関係各位の御協力に厚く感謝する次第であります。
  5. 津島文治

    委員長津島文治君) 次いで東海班船田理事
  6. 船田譲

    船田譲君 東海班について報告いたします。  和田委員山崎委員と私は、去る十月一日から四日間にわたり岐阜三重愛知の各県並びに三県下市等を訪問し、地方財政地域開発消防交通安全対策等について調査を行ないましたので、その概要報告いたします。  まず、地方財政状況について申し上げます。昭和四十二年度普通会計歳入歳出決算は、歳入において、愛知県一千四百二十一億円、岐阜県五百五十七億円、三重県五百十六億円となっております。また、歳出において、愛知県一千三百六十億円、岐阜県五百三十億円、三重県五百五億円となっており、愛知岐阜両県におきましては、前年度に引き続き黒字基調を維持し、三重県におきましては、累年の赤字解消につとめ、前年度三億円の赤字解消して黒字に転じ、いずれも健全なる財政運営を堅持いたしております。  昭和四十二年度は、地方税地方交付税等一般財源が順調に伸びておりますが、特別事業債の廃止に伴い地方債減少し、一般財源に振りかえ、また国の景気調整策による公共事業費繰り延べにより投資的経費伸びが低下し、これに伴い地方単独事業も自主的に繰り延べ等抑制措置がとられ、財政構造の面におきましてかなり改善のあとが見られますが、建設事業費伸び率が、岐阜三重両県におきましては七%ないし八%にとどまり、特に地方道整備等地方単独事業は著しく伸び悩んでおります。  その反面、給与改定の平年度化による人件費増加扶助費公債費等義務的経費の引き続く増高は、依然として財政硬直化傾向を強めておりますので、財政収支の均衡と財政構造改善にはかなりの努力が払われ、節度ある財政規模を堅持いたしておることがうかがわれます。  なお、国直轄事業負担金軽減措置を強く望まれております。  次に、名古屋市における昭和四十二年度決算状況は、歳入六百三十二億円、歳出六百六億円、実質収支は三億円の黒字を示しておりますが、前年度と対比しますと、自主財源伸び悩み、反面義務的経費は著しく増高いたしておりまして、大都市財政運営も一そう硬直化を強めております。  また、投資的経費伸びは前年度を大幅に下回っており、なお、赤字要因として国民健康保険会計支払い繰り延べ用地費分割支払い等その他債務負担がありますので、市財政は楽観を許さない実情にあります。  大都市財政改善について、特に税財源の再配分等による自主財源の増強が強く要請せられております。  また、三県下市町村におきましても、同様、義務的経費増高が著しく、反面市町村道の改良、舗装、下水道、し尿ごみ処理交通公害対策等著しく立ちおくれた状況にありますので、これら公共事業及び地方単独事業の要請はきわめて強く、その財政運営は決して容易ならぬものがあり、地方交付税等自主財源の一そうの強化が強く要請されております。  なお、山間僻地町村におきましては、いわゆる過疎現象が著しく、その財政力は弱体化し、放置すれば生産基盤などの崩壊のおそれもありますので、その対象として、特に財政援助措置が要請されております。  次に、国庫補助に伴う地方超過負担につきましては、依然として地方財政の大きな圧迫要因をなしており、昭和四十二年度決算で、愛知県二十七億三千万円、三重県五億六千万円、岐阜県三億六千万円となっており、最近の地価の値上がり建設費値上がりなど、的確にその実態を把握し、早期に解消をはかるよう一様に望まれております。  公営企業会計につきましては、特に名古屋市における交通事業は、その累積赤字九十五億円を示し、また高速度鉄道事業累積赤字二十七億円など、その再建に苦慮いたしておりますが、国の抜本的対策が急がれております。  次に、地域開発概況について申し上げます。昭和四十一年七月に中部圏開発整備法が施行されたのに基づき、愛知岐阜三重、静岡、長野富山、石川、福井、滋賀の九県と名古屋市において基本計画案を設定し、本年六月、国家計画として中部圏基本開発整備計画の決定を見ております。今後の事業進展に大きな期待が持たれますと同時に、近く改訂される全国総合開発計画の中に中部圏が適正に位置づけされるものと期待されております。  各県におきましては、おおむね昭和四十五年度ないし昭和五十年度目途とする県総合開発計画を策定し、それぞれの特色ある計画重点施策として実施いたしております。  愛知東三河工業整備特別地域を視察いたしましたが、同地域は、工業整備特別地域整備促進法により昭和三十九年に指定を受け、二千八十ヘクタールに及び臨海工業地帯を造成中でありまして、内陸工業団地整備産業基盤としての道路港湾等整備が順調に進捗いたしており、同地域一大工業地帯としての発展が期待されております。本計画達成のため巨額にのぼる県及び地元市町村財政負担に対する援助措置が強く望まれております。  また、岐阜県における大垣市を中心とする地域は、揖斐川と杭瀬川に囲まれた大垣輪中地帯で、広い地域にわたって自噴する良質で豊富な工業用水に恵まれ、内陸工業都市として飛躍的な発展を期しております。  各県における低開発地区工業開発事業山村振興事業離島振興農業構造改善事業等、国の積極的施策並びにその財政措置について、その強化を一様に望まれております。  次に、消防関係について申し上げます。  特に四日市市の港湾消防について視察いたしましたが、四日市港は年々輸送量の増大、出入船舶大型化と、同港を中心とする石油コンビナート地区は、常時石油等貯蔵量二百六十二万キロリットルに及び、防災対策はきわめて重要な地域であります。現在県、市、海上保安部及び各関係企業からなる災害対策協議会を発足させ、万一に対処する体制を整えておりますが、現在、港湾内におけるタンカー等から原油、特殊石油製品等の流出、及び火災に対し化学消化剤などの備蓄は少量しか準備されておらず、また化学消防艇の配置もいまだ財政措置がなされないままであり、放置できない状態でありますので、これらの措置が強く要請されております。  なお、消防力の拡充、救急業務強化が各県一様に強く要望されております。  最後に、交通安全対策について申し上げます。  交通安全施設等に関する緊急三カ年計画自動車取得税交通反則金制度等財政措置により、交通安全対策は各県の重要施策として整備を急いでおります。愛知県二十億円、三重県十二億円、岐阜県八億円の計画をもって実施中であります。  なお、緊急三カ年計画にかかる交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法外二法律については、引き続き昭和四十四年度以降においても補助事業を主体として整備促進するよう要望されております。  以上をもって報告を終わりますが、なお、三県下におきます詳細な調査報告につきましては、その参考資料委員長のお手元に提出いたしましたので、委員長において、本日の会議録に掲載されますようお取り計らいをお願いいたします。  またこの機会に、今回の調査にあたり、関係各位の御協力に厚く感謝する次第であります。  終わります。
  7. 津島文治

    委員長津島文治君) おはかりいたします。  委員長手元に提出されております派遣報告参考資料を本日の会議録の末尾に掲載することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 津島文治

    委員長津島文治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  9. 津島文治

    委員長津島文治君) 新産業都市における公害対策に関する件を議題といたします。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  10. 林虎雄

    林虎雄君 新産業都市関連がありますので、こういう表題になっていると思いますが、本来公害対策特別委員会でお尋ねするのが妥当かとも思いましたけれども、地方自治体の大きな問題でもありますので、この委員会であえてお尋ねをいたしたいと存じます。直接には経済企画庁厚生省、通産省の関連でありまして、自治省には直接御質問は申し上げませんけれども、いずれ自治省でいろいろまとめていただかなければならないと思いますのでお含みおきを願いたいと思います。きょうはだいぶ質疑の通告がありますので、私もごく簡単に要点だけを申し上げて、御答弁を願いたいと思います。  最初経済企画庁にお願いいたしたいと思います。  昭和三十三年に公共用水域水質保全に関する法律というのが出ておりますが、この法律の第五条には、経済企画庁長官は、「当該水域水質の汚濁が原因となって関係産業に相当の損害が生じ、若しくは公衆衛生上看過し難い影響が生じているもの又はそれらのおそれのあるものを、水域を限って、指定水域として指定する。」というのがございます。この第五条に基づいてすでに指定水域として指定した地域というものは、全国でどのぐらいおありですか。それを最初に承りたい。
  11. 宮内宏

    説明員宮内宏君) 御承知のとおり水質保全法に基づきまして水質規制を始めておるわけでございますが、ちょっと経過的に申し上げますと、昭和三十六年に水質調査の十カ年計画というものを考えまして、大体百二十一水域調査対象として進んできたわけでございます。ところがその後、公害問題の発生が各所に予期しないようなところで起き、あるいは緊急性にかんがみまして、促進をはかることになりました。その十カ年計画を改定いたしまして、昭和四十一年度から緊急五ヵ年計画というものをつくりまして、もとの十カ年計画で、これ手続的には官報に、調査する、あるいは指定する水域を告示することになっております。その十カ年計画で公表されておりましたものが七十水域残っておりました。それに新たに調査が必要と思われる水域を約六十、合わせまして百三十水域調査対象にしております。そのうち後者、言いかえますと緊急五ヵ年計画で加わりました水域は、これはまあ先ほど申し上げましたように弾力性を持っておらなきゃいかぬという考えがございまして、毎年その調査に入りますつど官報に告示しております。そういうかっこうで、五十のうち三十六水域が公表され、調査をはかっておるわけでございます。したがいまして、昭和四十三年度までに調査に着手いたしました百二十三水域がございますが、そのうち水質基準の設定を見て指定水域として公示されましたものは二十八水域でございます。本年度は、去年まで調査しました水域の中を解析等を行なっておりまして、まとめにかかっておるわけでございますが、現在七水域を、水質審議会の中にそれぞれの河川ごとに部会を設けまして、現在できるだけ早く結論を出そうという努力をいたしております。こういう事情でございます。
  12. 林虎雄

    林虎雄君 すでに人体影響があるということでいま問題になっております水俣とか、阿賀野川流域とか、あるいはイタイイタイ病で有名になった富山県の神通川、この辺を指定水域としてすでに指定されておるんでございますか。
  13. 宮内宏

    説明員宮内宏君) この点につきましては、先般厚生省、科学技術庁から統一見解が出たわけでございますけれども、経済企画庁といたしましては実は調査はやっておりません。しかし、問題のメチル水銀中毒事件水銀中毒に関係いたしますメチル水銀につきましては、先般大牟田川で水質規制をかけたわけでございますが、そのときにメチル水銀を検出しないことというような規制をかけました。
  14. 林虎雄

    林虎雄君 それじゃ指定されないわけですね、まだ。
  15. 宮内宏

    説明員宮内宏君) はい。各省が調査なさっておりますので、その調査をいただきまして、相談いたしまして、連絡を緊密にとって措置していきたい、こう考えております。
  16. 林虎雄

    林虎雄君 率直にお伺いしますが、実はいま申し上げた水俣阿賀野川、あるいは神通川というような、同じような公害、特に人体影響のあるような問題が、いま長野県の諏訪湖で起こりつつある、御承知だと思いますが。経済企画庁はこの諏訪湖に対して、水質等の検査、調査を行なったと聞いておりますが、その調査の結果といいますか、経過というものを承りたいと思います。
  17. 宮内宏

    説明員宮内宏君) 経済企画庁におきましては、諏訪湖重要性にかんがみまして、四十一年に調査をいたしました。これはいわば概況調査でございまして、水質基準を変える前に、いわゆる水質規制をしなきゃならぬかどうかというふうな立場概況調査でございます。その調査を四十一年に行ないました結果によりますと、実は案外きれいでございまして、たとえばBODで見ますと、上川の河口、その辺で一・四PPM、それから諏訪湖の沖合五百メートルあたりの地点、ここでもって四PPM、それから湖心、ちょうどあれ五キロと三キロぐらいの湖でございます、差し渡し。それの中心あたりで三・二PPMでございました。それで、その当時といたしましては、現状の水質の、たとえば上水道に取り入れます水の水質の基準がBODで三PPMということでございますので、思ったよりもきれいであるというふうな感じでおったわけでございます。しかしながら、先ほどお話ございましたように、この周辺が新産都市指定されておることでもございまして、大いに、大いにというと申しわけございませんが、油断しておりますと汚濁が進行していくだろうということは予想されておるわけでございます。  それで、今後どうするかということなんでございますが、実は四十三年の八月の大蔵省の概算要求の段階では、先ほどの調査の結果を、県のほうでは、そうあわてることはないというふうな受け取り方をしておりまして、実は予算要求の中に、四十四年度要求の中に入れておりません。しかしながらごく最近の新聞で拝見いたしますと、重金属等が出ておるということがわかってまいりましたが、最近、先週の土曜日でございますか、県にも連絡をとりまして、いまのところはまだ定性的に出ておるというような御報告のようなもののみでございますが、それがどの程度含有されておるかというふうな調査について、県自身でやるとおっしゃっておりますが、それの結果を見まして、お説のように水質規制をかけようか、あるいは来年ほかの水域と入れかえまして調査をやっていこうかというふうに考えております。
  18. 林虎雄

    林虎雄君 四十一年に調査されたようですが、いまのお答えでは案外きれいだというお答えで、その当時はどうか知りませんが、つい最近ですね、今年の七月のころだと思いますが、信州大学での小泉教授が中心となって、この諏訪湖の汚濁の調査をしたわけですが、その結果は透明度で一応あらわれております。透明度だけが汚濁のすべてだとは言いませんけれども、これによりますと、摩周湖−北海道の摩周湖は、世界一透明度が高いようで、四十二メートルということでございますが、諏訪湖は二メートルですね、透明度が二メートル。その間に、長野県では青木湖ですね、十四メートル、野尻湖の十一メートル、木崎湖の八メートルというのがありますが、摩周湖が世界一最大の透明度があるが、おそらく諏訪湖の場合は世界最大に透明度が低いということになります。これをもっても非常に汚濁しておるということが明らかでありますけれども、四十一年度の段階と今日とでは、新産都市指定されて以来の工場等が相当集中しております関係で、汚染度が非常に加わったと思いますけれども、経済企画庁のこの調査は、現時点において行なっていただけばずいぶん違うということをまず御認識をいただきたいと思うわけであります。この原因はいろいろあると思います。諏訪湖は古くから世に知られておりまして、一応風光明媚と言われたときもありますけれども、現在では産業文化の発達、社会構造の変化等に伴って特に様相が一変しているように思われるわけであります。しかもこの諏訪湖というのは、最近工場が密集して、その廃液等も流れるということも一つの大きな原因ではありますけれども、同時に諏訪湖そのものが、湖沼学上から言うそうですが、私も湖沼学のことはよくわかりませんが、かつて、数十年前に、湖沼学者の田中阿歌麿博士が「諏訪湖の研究」を発表されたことがありますが、そのときの指摘は、諏訪湖はいわゆる湖水ではない、すでに沼化しておるということを指摘されております。したがって、このまま放置すれば沼になるということを指摘されております。したがって、このまま放置すれば沼になる、どろ沼になるということを指摘されておりますが、まあそれは新しい工場の招致等によりまして一そう拍車をかけて、いまは沼ではなくてどろ沼というような結果になっておるのであります。宮内事官は現状をごらんになったかどうか知りませんが、いまではその諏訪湖に対して悪口を言って、緑湖と言っております。緑と言うときれいなようでありますが、実は小さな水モが繁殖して、それにプランクトンが非常に多いので、汚濁して、においはするし、どうしようもないというような状態になっておりますから、いまお答えいただいたように案外きれいだということは、県のほうも最近そうでないことはよく承知してあわてて検討しておるようですが、その点はひとつ認識を改めていただかなければならないと思います。厚生省のほうにちょっとお伺いします。いま申し上げたような諏訪湖の汚濁状態を放置しておけば、水資源として天龍川水域、非常に長い水域に対して悪影響を及ぼすのみならず、人体にも影響のあるような問題も最近指摘されております。あとで申し上げますが、そこで諏訪湖の浄化ということで、三年前に県と地元の市町村協力しまして、諏訪湖浄化対策研究委員会というものを設けまして、かつて厚生省の環境衛生局長であられる楠本正康博士を委員長として、三年間にわたって検討したわけでございますが、その成果がことしの夏発表されておりますけれども、厚生省はこの結果に対して、御承知だと思いますが、どのようにお考えであるか承りたい。
  19. 武藤き一郎

    説明員(武藤き一郎君) 楠本博士を委員長といたしますこの委員会報告書については、その内容については、現在部内でも詳細に検討を進めておりますが、湖についてのこういうふうな研究は日本では初めてでありまして、内容等も非常にりっぱなもので、厚生省といたしましては、今後の施策に対しまする対策の参考に十分いたしたいと、かように考えておるわけでございます。
  20. 林虎雄

    林虎雄君 まあそのように諏訪湖は非常に汚濁されて、心配して浄化対策等を進めておる現状でありますが、つい最近非常にショッキングな発表が行なわれたわけです。それは信州大学の小泉教授が諏訪へ参りまして、関係者に、諏訪湖の湖水の貝−タニシでありますが、タニシの中に重金属が検出された、このまま放置しておけば将来人体にも影響を及ぼすだろうというふうなことが発表されたわけです。もっとも小泉教授の分析でなくして、岡山大学の小林教授が諏訪へ参りまして、これはタニシを持っていって分析したようでありますが、ちょうど阿賀野川あるいは水俣というふうに、貝の中に重金属が含まれておることが検出された。さらにフナ等にもそのおそれがあるのではないか。だからいま食べても直ちに人体影響があるとは断言できないけれども、放置しておれば大きな問題になるということを発表されたために、諏訪湖には約五百人くらいの漁業者がおりますが、魚屋さんが、淡水魚の売れ行きがすっかり悪くなって大恐慌を来たしておるという現状でありますが、楠本博士らの委員会によって調査した結果というものは、いみじくも一致しておるわけでありますが、もうすでに、当面はその心配はないとしても、このまま放置しておけば、また水俣病あるいはイタイイタイ病というものが発生する可能性があるというふうに考えざるを得ないわけでありますが、ころばぬ先のつえで、問題が起こってから国のほうで取り上げるのでなくて、いまにしてこの対策を積極的に講ずる必要があると思いますが、厚生省の考えはどうですか。
  21. 武藤き一郎

    説明員(武藤き一郎君) 委員会報告書によりますと、クローム、銅、重金属等がどろの中に若干あるようでございます。委員会報告書によりますと、その程度の、報告書によります程度でありますれば、現状では私どもとしては問題はないと、かように考えております。ただ、まあ委員会のほうの調査は、御承知のようにどろの重金属についてでございます。したがいまして、現在長野県の衛生試験所のほうで魚介類等の検査を現在分析中のようでございます。近く結果がわかるようでございますが、厚生省といたしましても、新聞記事等が出ました関係もありまして、例の水銀事件がありましてから、本年度、来年度と、各地の状況をいま調査を進めておりますが、その中の一つに、諏訪湖におきます魚類等の調査実施する計画を現在やっております。
  22. 林虎雄

    林虎雄君 通産省おいでですね。いまの聞いていただいたように、諏訪湖の汚濁の問題でございますが、いろいろ原因があろうと思います。その一つとして、特に最近恐慌を来たしておる重金属が貝の中に含まれている、いまシジミの検出をやっておるようですが、そのほかどうもフナ、コイその他にも影響しているのではないかとも言われております。これはおおむね従来なかったことでありまして、最近のあの地方の工場地帯として発展してまいりましたその影響であろうと思います、重金属の検出ということはですね。そこで諏訪湖周辺はほとんどが中小企業——中小企業というよりも弱小企業のほうが圧倒的だと思いますけれども、工場の廃液によってこの影響が出てきたのではないかとわれわれ考えざるを得ないわけですが、この諏訪地方には下水道もできておりませんから、ほとんど下水道などの役割りを諏訪湖がしておる結果になりまして、工場廃液に対する処理、監督とかという問題につきましてどの程度国、通産省では考えておられるか、これをまず第一に承りたい。
  23. 斉藤光雄

    説明員斉藤光雄君) 先ほどお答え申し上げた、先ほど経済企画庁から御答弁がありましたように、本地域水質保全法による指定地域にはなっておりませんが、従来とも、東京通産局及び長野県等と十分協力いたしまして、当該地区水質について検討してまいりました。先ほどお話もございました諏訪湖浄化対策研究委員会調査書も私どもも詳細検討しておる段階でございます。それで、ここの地区における通産省所管の業種としては、御承知のようにカメラ、精密機械、時計等でありまして、その他御指摘の中小企業として若干の製糸工場及びメッキ工場がございます。で、これらの工場につきまして、まず水銀についてでございますが、私どもの水銀に対する対策は、先般、これもお話が経済企画庁からございましたが、大牟田で全国で初めてメチル水銀について基準が決定されたわけでありまして、この基準は、メチル水銀を検出せずということでございます。したがって、最もメチル水銀検出の可能性を蔵しておりますアセチレン法塩ビと、それから水銀法電解ソーダ四十九工場について、水質基準の設定を待たず、同じく大牟田と同様にメチル水銀を検出せずということで厳重な通達を出してございまして、なお、あわせて詳細の工場の内容を精査いたしまして必要な指導を行なっております。本地区につきましては、申し上げました二業種は存在いたしませんのと、もう一つ、先ほど申し上げましたカメラでありますとか、精密機械、バルブ等々でございまして、原則的には水銀の使用はないかと思われます。また一方、この対策研究委員会調査書によりましても、おそらくこの地区の水銀は農薬ではないか云々というような指摘もございますが、事が非常に、阿賀野川水俣等深刻な問題でございますので、さらに慎重を期して、ただいま通産局及び長野県と緊密な連絡をとりまして調査を継続いたしております。なおそのほか重金属類としては、メッキ関係についてのクローム等若干の重金属類があるわけでありますが、これらについては、何分にも、中小と申すより小規模零細企業、したがって全国的に同種の問題が若干ずつあるわけでございますが、調査して、調査地域につきましては公害防止事業団の融資も可能でございますので、必要がございましたらそのような融資を通じて、使いまして、企業主等に負担をさせてまいりたいというふうに考えております。
  24. 林虎雄

    林虎雄君 いまお答えがありましたように、弱小企業ですから、廃液を完全に処理してきれいに浄化して流すというには施設が要る、それには金が要る、金がないということになって、そういう状態でありますから、結局これには指導監督と同時に融資とかあるいは補助とか、何か考えておられるのですか。融資は何かあるように聞いておるのですが、この点承りたい。
  25. 斉藤光雄

    説明員斉藤光雄君) 残念ながら直接の補助手段はございません。ただし、技術開発を伴う場合でございまして、特に中小零細企業向けに、このような技術であればということで、申請がございますと通産省から鉱工業の技術補助の制度がございまして、その補助金の対象には内容いかんによっては十分可能でございます。なお加えまして、零細企業では、その補助金というか、みずから開発を行なうこと自体が困難である場合も多うございます。これらにつきましては、その御相談を受けて、通産省傘下十五の試験場がございますが、これらの試験場が必要な技術指導をするということもあわせて行なっております。
  26. 林虎雄

    林虎雄君 きょうは問題提起といいますか、関係各省に諏訪湖実情をいまから検討していただいて、すみやかに、再び第二、第三の水俣病の出ないように、また諏訪湖の浄化に対する根本的な方針を立てることが必要であるということを要望する程度でおきたいと思いますが、諏訪湖の当面している問題は、単に通産省だけの問題でなく、厚生省だけの問題でもない、観光的な問題もありますから、非常に広範多岐にわたっておると思いますが、私一応結論として考えておりますことは、第一には、諏訪湖は少し雨が降るとはんらんする。人口稠密の地帯でありますだけに、市街地に侵水は毎年の行事になっておるわけです。これは河川から流入する水量が、流出するところの天龍川の水門、釜口水門といっておりますが、そこが狭いために、流入する量よりも出るほうが少ないということで、はんらんをするわけです。これはまあきょうはおいで願っておりませんけれども、建設省がかねてから総合開発の見地から着工しております。また画期的なこの工事の転換を、つまり大規模にしよう、つまり従来の放水よりも大規模にしようということで推進をしようとしておるわけであります。これが第一であります。  それから第二に、湖水から、いわゆる湖から沼化しておる、どろ沼化して、しかも死滅しつつあるというのが諏訪湖の現状でありますから、楠本博士の調査報告によりましても、いわゆる若返りをさせなければいけない。それには過度のプランクトンの発生しておるようなどろ沼ですから、泥土をしゅんせつすることが必要である。そして防災が必要である。これが第二のようであります。つまりどろが腐敗して湖水の底に堆積しておりますから、これを上げないと、やはりプランクトンが過度に発生しておる。あるいは緑湖と言われるように、非常に美しいならいいですけれども、きたないモが全面をおおっている状態です。これは厚生省の関係になりますか、主として建設省だと思いますが、これが第二だと思います。  第三には、工場の廃液の処理が緊急の課題であろう、水俣病等の発生の未然防止のためには、工場廃液の当面の処理が必要であろうと思います。  それから第四としては、やはり流域下水道といいますか、一町村だけでなくしてかなり広域にわたった下水道を設置して、諏訪湖が直ちに下水道のため池になることのないように措置しなければいけないと思います。これは費用もばく大なものがかかると思いますが、地元も真剣になってやろうという気がまえを持っております。これが完全にできれば、工場廃液の問題の処理も容易だと思いますが、いま県や市町村計画を進めておるようでありますが、これが具体化した場合には、いままで申し上げたように諏訪湖の広範な問題の解決の一番大きな仕事になると思いますので、各省も積極的に横の連絡もとっていただいて対策を検討していただきたいと、こう考えております。  なお、きょうはあまり詳細な調査でない概要だけをお尋ねしたわけでありますが、必要によって後日、たとえばもっぱら諏訪湖の汚染対策を検討していただいた楠本博士等を参考人に呼んでいただいて承りたいこともあろうと思います。これは地方行政が適当か、災害対策が適当かは別として、そんな考え方を持っておるわけであります。これはまあ後日に譲りたいと存じますが、中央の新聞にも、社会面に出ましたように、水俣病が諏訪湖に発生しようとしつつあるのではないかというようなショッキングなことで戦々恐々としております。いずれ地元、県のほうからもいろいろ要望があろうと思いますが、できるだけ積極的にひとつ取り組んでいただくことを要望して、質問を終わりたいと思います。
  27. 津島文治

    委員長津島文治君) 本件に関する調査はこの程度にとどめます。     —————————————
  28. 津島文治

    委員長津島文治君) 次に、地方公務員給与に関する件及び地方公務員の服務に関する件を議題といたします。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  29. 和田静夫

    和田静夫君 地方公務員月報九月号というのがあるのですね。この中で、「人事院勧告のあり方」という、まあ「時の話題」という形で、森清という自治省公務員第一課長が論文を書かれております。これを中心として二、三まずお聞きをしておきたいと思います。  最初に、自治省の公務員課、いわゆる公務員部公務員第一課というところはどういうことをするところなのかということを明らかにしていただきたいと思います。
  30. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 公務員第一課と申しますのは、地方公務員法の施行を中心といたしまして、特に職員の服務、それから職員団体、こういった関係の仕事を中心といたしております。
  31. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、そういう関係の仕事をする課、この公務員部がつくられるときに、昭和四十二年の八月十八日の衆議院の地方行政委員会で、藤枝自治大臣が幾つかのことについて態度を明らかにされています。いまその説を、重複を避けますが、主たるものを藤枝自治大臣の確認事項としての答弁によって申し上げてみますと、一つは、公務員部は、地方公共団体の労使双方に対し常に公正中立の立場で行政指導、助言を行なう。二つは、公務員部は、財政事情のいかんを問わず、地方公務員の待遇改善、定員確保、権利保護のために絶えず行政上注意を払って積極的に発言し、行政指導を行なう。三つは、公務員部は、労働運動に干渉したり弾圧するためのものでないことを確認する。四つは、公務員部は、地方公共団体といわゆる職員団体等の関係におけるこれらの紛争について地方自治体の自主性を侵すような介入、指導は行なうべきではない。特に任命権者に属する懲戒処分などについて、その具体的な内容にまで立ち入って任命権者に強制を加える指導助言をしない。こういうことで藤枝自治大臣は答弁をされているわけです。このことを次官は確認をされますか。
  32. 細田吉藏

    説明員(細田吉藏君) いまお読みになりました四十二年八月十八日の衆議院地方行政委員会、これは速記そのままではございませんで、それを要約しておっしゃったと思います。ここには、まあ答弁そのものでございますが、お読み上げになりました趣旨につきましては今日といえども何ら変わるものではございません。
  33. 和田静夫

    和田静夫君 そうすると、いま答弁を求めました二つの前提の上に立って、以下具体的な内容に入りたいと思います。  この月報の九月号の森さんの論文によりますと、まあたいへん奇異に感ぜられる、いま言われた趣旨を、確認をした趣旨を阻害をするような幾つかのことが目に入るわけです。まず一つは、こういう文章があるのです。「それにもまして不思議なことは、相変らず人事院が八月勧告、五月実施という、我が国のみならず近代的憲法をもつすべての国において、予算制度の本質を無視しなければ通常は不可能な(例外的な場合に、実行可能な幸運な時はあり得るが)勧告を繰り返し、そのことをめぐって毎年トラブルがあるにもかかわらず、これを改善しようとしない態度である。」、俗にぬすっとたけだけしいといういわゆることばがありますが、まさに私はこのことを言うのだろうと実は思うのであります。トラブルの原因は一体どこにあるのですか。政府の側が、あるいは地方自治団体の側が人事院の勧告なり人事委員会の勧告というものを守っていかない、そこにトラブルの原因があるのではないのですか。言ってみれば、トラブルは、人事院勧告が完全に実施をされるならば、人事院勧告実施という側面では起こり得るはずがないのであります。その実施を怠っておいて、人事院の作業内容そのものにまで及ぶような難くせを、しかも冒頭確認をしたその部の第一公務員課長である人がつける、こういうことについては、全く了解をし得ないものだと思うのですが、どうお考えになりますか。
  34. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) ただいまの私どものほうの公務員第一課長の書いた論文でございますが、この考え方の基礎を流れておりますものはこういうことであろうと私は理解をいたしているわけであります。すなわち、現在ただいま御指摘になりましたようなこの人事院勧告の実施の時期というものが、当初予算が動き出しまして四、五、六、七、八月に出るわけでございますので、当然追加予算というものを組まなければ——ことしの場合でございますというと、予備費に財源留保を行なったわけでございますけれども、いずれにいたしましても、当初予算が動き出してから四カ月をたった時点で勧告がなされて五月実施、こういうことになるものですから、結局財源上の理由で完全実施というものはできない、そういう事態をどういうふうに改善をしてまいったならばよかろうか、こういうことから出発をいたしまして、人事院勧告が完全に実施できるような時期に勧告をする方法というものはないものであろうか、そういったことについての一つの提言といいますか、というものをしたい、こういう考え方から発したものであろうというふうに私理解をいたしているわけでございます。いまお述べになりました時点に、この個所につきましては表現等におきまして若干フレの発したところがあるかと私も率直に感じます。率直に感じますが、言いたい意味はそういうことであろうということで理解をいたしておるところでございます。
  35. 和田静夫

    和田静夫君 言いたい意味を、裏に流れているものを、行間に流れているものを読めということになりますと、いま答弁をされた読み方もあれば、私が述べたような読み方も出てくる。それはいわゆる公務員第一課長がまさに中立的な立場で、そうして法を順守する立場で行政指導を行なうというような形から考えてみれば、たいへんなもう欠格性をこの文章の中に持っておる、こういうふうに述べても、述べられても、指摘をされてもしかたがないのではないか、そういうふうに思うのであって、その辺については十分に今後にわたって注意をするように喚起をしておきたい、こう思うのです。  そこで、二つ目でありますが、引き続いてこういう文章があるのです。「人事院で定めた調査方法に基づいた給与調査の結果の数字によらなければ公務員の給与の勧告はできないと感違いしているのではないだろうか。」、これは人事院総裁、勘違いされているのですか。
  36. 佐藤達夫

    説明員(佐藤達夫君) 御自身が勘違いしていれば、相手方が勘違いしているように思われることもあるでしょうが、私のほうでは勘違いはしておるつもりはありません。
  37. 和田静夫

    和田静夫君 こういう人事院総裁のお答えがあったわけですね。そこで、これはもうやっぱり明確に自由な立場に立って、たとえば批判をし、将来に向かってどう是正をするかというようなものの書き方ではなくて、現在の人事院がやっていることに対して非難を浴びせている、そういう立場だというふうに理解をせざるを得ないと思うのです。その点どうですか、自治省の側。
  38. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) この個所も、私の理解をいたしておりますのはこういうことであろうと思うわけでございます。御案内のとおり、昭和三十九年から政府でも給与関係閣僚会議を持ちましたり、あるいはその他いろいろな機会におきまして、どうすれば人事院勧告というものが完全に実施できるかということにつきまして再三再四検討を行なってまいっておるわけでございます。その内容の詳細はここで申し上げるのは適切でないと思いますけれども、その際に私ども自治省といたしまして公的な意見という形で出しました考え方はこういうことであったわけでございます。すなわち、毎年度、翌年度の当初予算の編成に間に合うように人事院に勧告をしていただけないものであろうか。結局その勧告ということになりますというと、現在のように四月の時点で官民給与の格差を調査いたしましてその格差を埋めてまいるという形の勧告ではございませんで、私どもがそのときに一つの提案として申し上げましたのは、過去のたとえば経済の成長率というものとあるいはこの給与との関連なり、あるいは翌年度の経済の伸び率なり消費者物価指数、そういったようなものを織り込んで、公務員独自の給与のあり方というものがきめられないものであろうか、そういうことで十二月の当初予算の編成の時期に間に合うように人事院が勧告をしていただければ、当然当初予算の中に織り込めるわけでございますから、完全に実施ができる、まさにうまくいくのではないだろうか、こういう提案をいたしておるわけでございます。その考え方がやはりこれの底にあるというふうに私理解をいたしたいのでございます。
  39. 和田静夫

    和田静夫君 そういう建設的な方向に向かっての意見の開陳でないのですよね、この論文そのものは。まあ、いまいろいろの解釈をされようとも、すなおにこれを読んでそういうふうにはこれは解釈できないわけですよ。それがたいへん重要です。なぜ解釈できないのか。十三ページの下段にありますように、人事院勧告というのは完全実施できない、カッコして、「(できないのが当り前である)、」、と書いてある。できないのがあたりまえである。次官に伺いますがね。できないのがあたりまえであると、こう言うのです。それじゃ佐藤内閣総理大臣も含んで政府は、人事院勧告の完全実施については十分に考慮をしていきます、完全実施はする、あるいはその努力をする、こういう形の答えというものをずっと続けられてきておるわけですね。そうするとこの森発言というのは政府機関の発言の内容というものをくつがえしていることになると思うのです。これに対して一体どのような措置をとられるおつもりですか。
  40. 細田吉藏

    説明員(細田吉藏君) 先ほど来お読み上げになっております、たとえば人事院の勘違いだということ、これらは非常に不適当な発言だと思います。それから、「できないのが当り前」というのは、これはよほどの注釈を加えて読まなければならぬ、非常にことばが足りないものがあると思っております。森君の考え方は完全実施をしたいということで、そうすれば毎年いろいろなトラブルも起こらないで済む、それにはどうしたらいいか。これは私は公務員部の一課長として何とかならぬかという強い念願を持っていると思います。これは本人からも事実を私ども聞いております。文章にこれが如実にあらわれておるかどうかということになりますと、私は相当ことばが足りない、あるいは不適当な言辞があると率直に言わざるを得ないと思います。そこで人事院の勧告、いまのやり方で——ことしは総合予算主義ということで、一応予備費である程度のものを見ておる、これを増額するという方向で完全実施の方法もございましょう。しかし予算というものが一方にあるのであるから、できるならばひとつ予算に盛り込むという形で人事院のほうで何とかできないものでしょうか、こういう感じを強く持っておることと思うのでございまして、事実政府の給与関係閣僚協議会の中でも、毎年これでは困ると、したがって何かいい方法はないだろうかということで、相談もここ一、二年いたしております。ことしもいろいろ議論になったことはあるいは御承知ではなかろうかと思うのでございます。しかし人事院との御相談もあるわけでございますが、そういう勧告について、おそらく人事院のほうでもこれは国の予算に間に合うように、できるならばそうしたほうがいいということは総裁もそうお考えになっておると思うんですが、なかなかその方法がつかめない、むずかしい、こういうところで、いま政府全体としていろいろの角度から検討いたしておる、こういうことだと思うのでございます。したがいまして、この森君の書いております文章そのもののお読みになり方によりましては、和田委員のただいまおっしゃるような御解釈ができる。そういう点では不適当な言辞、不十分な舌足らずのところが多いというふうに私思いますのですが、精神としましてはそういうことでございまして、ただいま公務員部長が申し上げておるとおりでございます。したがって政府といたしまして、現行の制度で人事院勧告がございます際に、完全実施をするように自治大臣も本年も相当な努力をいたしております。こういうことでございますが、財政上の理由から、これが残念ながら通勤手当以外については八月実施になる、こういうことでございますので、政府の考え方が、その森君の文章によって全然抹殺されておる、無視されておるということでは私は決してない、かように思っておるわけでございます。
  41. 和田静夫

    和田静夫君 かばわれる気持ちはわからぬわけじゃありませんけれども、できないのがあたりまえであると書いてあれば、もうその裏は一体どういうものであるかなんということを読む余裕なんて少しもない文章です。あたりまえであるという断定なんです。しかし佐藤さんやあるいは官房長官が職員団体の代表にお会いになれば、ことしもそれは人事院勧告というものは守らなければなりません、守ります、努力をいたします、こう答えられているわけです。これは明確にその間には政府を代表する方々が公務員の方々に答弁をされている、その趣旨をここで否定をされておる、こういうふうに考えるのが私はあたりまえだと思うんです。それこそこのことについては、私は単なる注意ぐらいじゃ済まぬと、こういうふうに思うんです。  そこでですね、引き続いてこういう文章が出てくるのですね。「政府との対決を迫られる。人事院は、政府や国会が完全実施できないような勧告を出すことによって、安全地帯に逃げ込んでいるのである。」、こうなれば、ここにはもう人事院に対する侮辱でもありますし、人事院の勧告は御存じのとおり国会に対してもなされておるわけでありますから、これを審議をするわれわれ国会そのものに対してもある意味では無能力扱いですね、こういう状態というものを一体許しておけるのですか。しかも立場が立場の人である、最初に確認したように。これは明確にその責任というものは明らかにしてもらいたい。
  42. 細田吉藏

    説明員(細田吉藏君) 全く不適当なこれは文章だと思います。人事院が「逃げ込んでいる」、「涼しい顔をしていられる」、などというのはもう実にけしからぬことでございまして、不適当だと思います。ここに書いてあります全体を見ますと、「人事院が完全実施できるタイミングで勧告を出せば、」できるということを非常に強く彼は考えておる、この次のところに書いてありますが、そういうところから発したというふうに考えるわけでございまして、完全実施をしなければならぬということ、それから現行の制度での人事院勧告はこれは守らなければならぬということについては、本人としては私は十分わかっておると思うのであります。この発言につきましては、この論文の内容、書き方、「涼しい顔」だとか、「逃げ込んでいる」ということは全くよろしくないことだと、かように考えます。
  43. 和田静夫

    和田静夫君 そのよろしくないということになると、どういう措置をされますか。
  44. 細田吉藏

    説明員(細田吉藏君) 実は先般、衆議院の地方行政委員会でも、この問題につきまして私どもの大臣といたしまして、善処をいたします、こういうことを約束をいたしておるような次第でございます。
  45. 和田静夫

    和田静夫君 いま善処をされるという衆議院の地方行政委員会での大臣答弁があったそうですが、善処をされた具体的な内容については、次回の委員会にでも御発表になると、こういうふうな理解でよろしいですか。
  46. 細田吉藏

    説明員(細田吉藏君) 衆議院におきましては、善処をいたすことについて大臣がお約束をいたしておるのでございまして、行政庁の責任者でございます自治大臣におまかせいただきたいと存じます。
  47. 和田静夫

    和田静夫君 さらにこの文章を読んでいきますと、最後のくだりですが、人事院総裁、これはこれで終わりにしたいと思うのでありますが、確認しておきたいのですが、「完全実施できないような勧告を出して政府や国会を困らせ、公務員の組合の不満を政府に向けさせ、」、したがって人事院は何か公務員の組合と一体になって政府を困らせる役割りを果たす、そうして、「勧告後は涼しい顔をしていられる人事院は、役者が一枚上ということであろうか。」、人事院総裁はそんな役者ではなくて、私は尊敬する学者だと実は思っているのですけれども、これは一体どういうことを意味するのでしょうかね。人事院は無用の長物である。数字をもてあそんでいるにすぎない。出される勧告は完全実施不可能なつくられた数字であると言っているにひとしいのじゃありませんか。公務員たる公務員課長というような立場で一番考えなければならぬことを、もう一ぺん考えてみてもらわなければならぬと思うのです。御存じのとおり、職員組合というものを意識されてこの文章というものは書かれておりますよ。しかし次官に伺っておきたいのですが、多くの公務員の皆さんは組織をされていないのですよ。国家公務員の多くの皆さんは、御存じのとおり職員団体をつくっておらない。これらの方々が期待をしておるものは何か。たいへんな今日の生活苦の中で、人事院勧告が唯一の期待なんです、これらの方々は。そのことについては考慮をする余地なくして、職員団体の動きに対する感情的な側面を頭に描きながら文章が書き続けられ、そこに次官が答弁をされるような不適当な表現となる、こういうことだろうと実は思うのです。組織に入っていらっしゃらない多くの公務員とその家族、その方々が期待をしているところの人事院勧告をこのような形で誹謗し、ほんろうされる、こういう状態というものは、どんなに巧みな答弁があったって、見のがすことができないものであろうと私は思うのです。また、職員組合に対するところの感情むき出しの旧態依然たる思想の発露というものを、私はこの中に一貫して見なければなりません。そうすると、冒頭確認をしましたように、実は公務員第一課長という形におけるそのポストの適性というものを、この書かれた本人に対しては疑わざるを得ません。私は、具体的に善処をすると言われるのでありますから、いま申し上げた私の意見というものを十分に含めながら善処をされる、そのことをお願いをしておきたいと思いますが、いま読み上げましたような文章に対して、人事院総裁はいかがお考えになりますか。
  48. 佐藤達夫

    説明員(佐藤達夫君) 大体は、何と申しますか、若い人の雑文みたいなもので、私は、私どもとしてまともに批判する価値すらもうないのじゃないかと思いますけれども、いまいろいろお読み上げになりますところなどを拝聴してみれば、まあ不愉快千万だという一言で尽きるのじゃないかと思います。
  49. 和田静夫

    和田静夫君 次官の御答弁を……。
  50. 細田吉藏

    説明員(細田吉藏君) 私先ほど、ちょっと先に答弁を申し上げたようなかっこうでございましたが、特に最後のところなどは、人事院に対してももう実に失礼な言辞でございますし、いまの人事院制度に対しまして、何かこの書き方、これはたいへんなことだと思いまして、いま人事院総裁がおっしゃったと同じような感じを、私どもも長く給与関係をやっておりまして、そういう感じがいたします。まあ本人の気持は、私は、先ほど申し上げたような、何とかならないだろうかという気持ちから発したものと思いますが、こういう表現につきましては決してよろしいものではない、不適当なことであり、失礼なことであると、かように私も思います。
  51. 和田静夫

    和田静夫君 これは、この文章だけだと思われると大きな誤りをおかされるので、私はここにテープを持ってきておる。何ならかけてもいいのですが、これは森さんのテープです。最近地方に行かれて、何か行政指導をされた、これは速記外すが、これはもう読んでみると、ほんとうに適性を疑います。機会があったら一ぺん次官なり大臣、一体公務員部の第一公務員課というものは何して歩いておるのか点検してもらいたいと思う。藤枝自治大臣がお答えになったところの趣旨というものは一つも守られていない。時間をかけていいのなら、これの一つ一つについてやってもいいのでありますけれども、たいへんなことが出ておるのですね。たとえば、公務員の説明をするにあたっては、公務員は武士なんだ——さむらいですね。さむらいには二言なかるべし、あるいは、さむらいの風上に置けぬやつ、こういうことばがあった。いまの公務員には風上に置けぬやつが一ぱいいる、そういうような表現になってみたり、私はこれはもう明らかに一ぺんしてもらいたいと思います。「特に私が住んでおります東京なんか見ておりますと、東京の区役所なんぞは実にひどいもんであります。それはもう外国じゃもう考えられない。おそらく外国では区役所という自今たちの民主政治の砦になっている大事なところの役人が、そのようなだらけたことをやっていることは絶対考えられないのであります。日本ではどうも役人というものは」、そこにいらっしゃる方々も役人なんですが、「だらけているもんだというふうに思い込んでしまっている。」、こういう形の表現になっている。私は、どこの区役所のだれが、どういうふうにだらけているのか、次回までに調べて、公務員部の責任においてこの委員会に発表してもらいたい。これは森さんの発言なんです。これだけ自信を持って、自分が住んでいると、こう言われているのですから。私はばかばかしくてそこまで自分で調べるあれがありませんから、お調べになって、御報告を求めておきたい、こういうふうに思います。  同時に、この前の委員会で、給与研究会の問題で次官のほうから、再び相談をしてみましょうという御答弁をいただいているわけですね。人事院総裁もお見えになっていますので、特にこの機会にもう一ぺんあれしてもらいたいのですが、人事院の給与局長が、自治省の主催されるところの給与研究会の委員の一人になる。私は人事院の中立性が疑われることになるぞというような意味に基づいて、いろいろな発言も実はしたところです。次官のほうからは、もう一ぺんその趣旨において相談をします、こうなっています。私は給与局長がそういう形の中に入っていらっしゃるから、公務員第一課長の、この論文に見られるような、院を全く無視するような論法が出てくる、そういう原因の一つになっているような気も実はいたすのでありますが、その後何か御相談になっておられることがありましたならば、次官のほうから承りたいと思います。
  52. 長野士郎

    説明員長野士郎君) 給与問題研究会につきましては、この前も申し上げましたが、純粋な意味の研究会でございまして、その研究の結果がどういう結論を出さなければならないとか、そういうことをあらかじめ予定するとかいうことじゃなくて、ここ数年間、そういう給与問題についての、特に地方公務員給与につきまして各方面から取り上げて研究をしていただきたいということで、各界の専門家の方、つまり学識経験者と普通に言うわけでございますが、そういう権威のある方々の御足労をわずらわしているというかっこうでございます。そういう意味でございますので、人の問題等についていろいろお話がございましたが、いろいろ研究いたしましたことでございますけれども、やはり現在のような形で研究会を続けてまいりますことは、これは適当ではないかというふうに考えております。
  53. 和田静夫

    和田静夫君 そうしますと、若干の重複になりますけれども、いま具体的にあげました人事院の給与局長がここにお入りになっている、そういうことに対して人事院総裁としてはどのように一体、人事院の中立性の問題との関係でお考えになって御派遣になっているのか、明らかにしていただきたい。
  54. 佐藤達夫

    説明員(佐藤達夫君) 問題の研究会は、要するに一定の方向をめざして、こう行こうというような目標のもとにやっておられる研究会ではないということを、はっきりわれわれのほうとしては確認をしているわけです。つまり地方の公務員の給与問題をよくしていくためにはいかなる考え方があるかというような点を、純真に皆で検討していこうというようなことでありますからして、これは御承知のように国家公務員と地方公務員とは、全然別の法律に基づくものではありますけれども、現実は非常に実質的に緊密なつながりを持っているというような面がありまして、私どもとしてもこれは等閑に付し得ない問題である。衆議院あたりの地方行政委員会にまいりますというと、人事院は一体地方公務員のことを頭に置いているのかというようなことで、おしかりのことばさえときどき受ける場面があるのであります。まともに頭に置くわけでもありませんけれども、地方公務員の方々をやはり念頭に置きながらいかなければならぬ場面もありまして、そういうことで、これはけっこうなことだということで給与局長に出てもらう、正しい方向の地方公務員給与が確立されるように大いに協力する、こういう気持ちでいるわけであります。
  55. 和田静夫

    和田静夫君 そうしますと、人事院総裁に承りたいんですが、やはり地方公務員の実態というものを十分に認識するためには、職員の代表というようなものも当然そこに加わって論議する機会を与える、そういうことがある意味では無目的な給与委員会であるならば必要なことではないでしょうか。どうお考えになりますか。人事院のいわゆる給与局長派遣をされた立場で、給与局長派遣をされたと同様に、職員代表というようなものを入れたほうがよいと思われるか思われないかということをお聞きしている。
  56. 佐藤達夫

    説明員(佐藤達夫君) それはまあよそ様の話ですから、私としてはとやかく申し上げませんけれども、私たちの立場としては、大体職員団体の方方ときわめてひんぱんにお会いしております。大部分は地方公務員の方々が主力をなしておられる。そういう接触をしております関係上、その方面の事情はわれわれとしては、あるいは給与局長もよく承知の上であるということだけは申し上げ得るわけであります。
  57. 和田静夫

    和田静夫君 あまり期待した答弁になりませんけれども、では最後に自治省にお伺いしますが、いまの具体的な、給与局長を入れる、職員代表を入れる、この二つのことがこの間たいへん問題になったわけですが、それらの点について具体的に後者の部分については御相談の上、何かあらためてその結論が出たんですか。
  58. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) この給与問題研究会の発足の動機なりあるいは趣旨なりというものについては、すでに再々説明をいたしておるわけでございますが、職員代表を入れるということになりますと、それでは今度は使用者代表を入れるか、まあこういうことになりますというと、ある意味におきまして、先ほどまあ人事院総裁、純真な立場でと、こういうおことばをお使いになられたわけでありますけれども、まあ、そう言うとまたおしかりを受けるようになるかもしれませんが、この純真な立場での議論というものに若干ひずみが入るという感じを私どもはどうしてもぬぐい切れないわけでございます。そこで検討の結果といたしましては、これはまあ私どものところへ実は地公労なりあるいは自治労の代表の方々がお見えになりましたときにも再三再四申し上げておるわけでございますけれども、この参考人という形でどしどし意見を述べていただきたい、参考人として私ども機会をつくって、意見をおっしゃっていただく場というものをつくりたいということを申し上げておるわけであります。まあ、そういった形で必要に応じて意見を聴取してまいるという形をとることが適切じゃなかろうか、こういうふうに思います。
  59. 和田静夫

    和田静夫君 何というか、経営者側の代表、財界の代表と言われたか——代表も入れなきゃならぬこともあるからという、まあ敬愛する鎌田さんにしてはずいぶんおかしいことを言われると思うんだけれども、事実、入ってらっしゃるじゃありませんか、十条製紙の社長かなんか。これは経営者団体の賃金専門家という立場であれしたと言われるでしょうけれども、現実、どこかの大きな独占の副社長であることは間違いない。一方が入っておるわけですから、当然職員代表のほうも入れるということが私は合理的な考え方だと、こう思うんです。  で、いまお話がありましたように、参考人として呼ばれると、これはやはり確認をしておきたいと思います。同時にそれは、その研究会のほうが必要だから呼ばれるということじゃなくて、やはりそのことに対してたいへん心配をしている職員の側が希望をした場合には積極的にその意見を取り入れながらお呼びになる、こういう態度というものをぜひ持っていただきたい。よろしいですか。
  60. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 御趣旨の点は十分に尊重いたしまして運用をはかってまいりたいと思います。
  61. 和田静夫

    和田静夫君 引き続いて、「明治百年記念式典の実施について」という各知事あての通達を最近お出しになりましたね。
  62. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 九月三十日付で事務次官名をもちまして都道府県知事に出してございます。
  63. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、何か人事院のほうがお急ぎでありますから、関連で一つだけ。  この通達の中に、実は人事院指令が発せられましたので参照されたいというので、人事院指令まで実はついている。これは読み上げるまでもありません。前後するから何か質問のぐあいが悪いのですけれども、一体、休まされる取り扱いは、人事院、どういう取り扱いで午後——国家公務員の場合も午後でしょう。取り扱いはどういう取り扱いでやられるのです。
  64. 佐藤達夫

    説明員(佐藤達夫君) これは休日ではなしに、業務に支障のない人は休む、休んでもらってよろしい、こういう趣旨であります。
  65. 和田静夫

    和田静夫君 その取り扱い方というのはどういう取り扱い方ですか。いわゆる職務に専念をする義務を全体の公務員の方は持っていますね。それらについてどう取り扱われるのですか。
  66. 佐藤達夫

    説明員(佐藤達夫君) 法律の根拠から言うと、職務に専念する義務というのがございます。これの特例がわれわれのほうでつくれるようになっておりますので、その特例を——ある意味の特例をつくった、こういうことになるわけであります。
  67. 和田静夫

    和田静夫君 そうすると、大体いままでは職務専念の義務を免除する場合には、申請主義といいますか、申請方式ですね、そういう形のものではないということですね。
  68. 佐藤達夫

    説明員(佐藤達夫君) ちょっと突然のお尋ねでどぎまぎしておりまするが、こういう例はいままでにも由あることが行なわれたときには御承知のように例がたびたびありますように、一々休ませてくださいということでなしに、この場合は、あなたは忙しいから残っておいてくださいよと特に言われない限りは休んでいいんでしょう、そういう扱いにしておるように思っております。
  69. 和田静夫

    和田静夫君 忙しいと特に言われない限りは十二時になったら退庁していいと、そういうことですか。
  70. 佐藤達夫

    説明員(佐藤達夫君) これは自治省から応援してもらって……。「について承認することができる。」という表現になっております、表向きの表現では。しかし、これは包括的な承認をもってわれわれとしては臨むという気持ちだったものですから、非常に卑近な表現で先ほどお答えしましたけれども、文章の上では「承認することができる。」、その承認のしかたは、やろうと思えば個別承認もできますけれども、今度の場合には大体包括承認もできる、そういう気持ちで申し上げたのであります。
  71. 和田静夫

    和田静夫君 大臣、まだお見えにならぬものですから次官にお尋ねいたしますが、いま言われたような形で自治省が各知事あてに出された通達。そこで、この明治百年記念式典にあたって政府は昭和四十一年の四月十五日に明治百年記念準備会議というのを設けられたのですが、いわゆる十月二十三日というものに起点を置かれたという理由について、後の休暇との問題、休みとの問題でひとつ明らかにしておいてもらいたいと思うのですが、たとえば、いろいろ考えてみますと、明治天皇の践祚という時期があったでしょう。あるいは大政奉還の勅許の時期があったでしょう。あるいは王政復古の大号令の時期があった。あるいは五箇条の御誓文の発布のときがあった。明治天皇の即位の大礼の日があった。そして明治改元があった。こういうような形のものをもろもろ論議をされた結果、明治改元を起点に置いて満百年後に行なう、こういう形のことをやられたようなんですが、それは一体何か特別の意味がありますか。
  72. 細田吉藏

    説明員(細田吉藏君) 実は自治省としてお答えを申し上げる筋合いの問題ではないと思うわけですけれども、私は当時総理府におりましたので。明治百年の式典の記念の準備委員会というものができまして、各界の大ぜいの皆さん方に委員を内閣がお願いをいたしたわけでございます。  そこで、いまお話がございましたように、いつをもって明治百年の記念行事を行なうか、こういうことについて幾つかございます。いま申されたとおり、大政奉還の日あるいは東京遷都という日もございましょうし、また五箇条の御誓文という日もございます。で、いろいろこれにつきましては委員の中で御議論があったように私承知しております。そこで、これについては議論をしていきますとたくさんいろいろあるわけでありますけれども、ずばり明治改元ということが一番いいんじゃないかというので、たしかこれは旧暦の九月二十六日ですか、旧暦の九月何日でございますが、その日をとることが一番適当であろうというふうにおきめになった、かように承知しておりまして、別にこれが特に意味があってどうこうということでなく、明治百年ということであるから、明治という元号ができたその日から満百年、これを新暦に直して四十三年十月二十三日というふうにきまったというふうに承知いたしております。
  73. 和田静夫

    和田静夫君 実は総務長官、官房長官に来てもらうように要請しておったんですが、何か明日の式典のきょうは練習があるということでこの委員会無視されたんですが、私はたいへん心外に思っているのですが、そのかわり大臣なり次官が出るのだから十分聞いてくれと、こういうことでありますから、そういう立場でお伺いしているんです。  そこで私は、昭和二十年にいわゆる敗戦という歴史的な事実に立って、過去の歴史上特に国家権力の民衆抑圧というような重大な誤りの部分については、再びお互いそのあやまちをおかさないことを誓い合って戦後出直したはずであると思います。しかるに、政府がいま日本国憲法の二十年というような形の記念行事や式典は一向に行なわずに、大正、昭和という年代が今日あるのに、ことさら明治百年と銘打って記念する式典を催す、あるいは地方に対してもそれを指導され、指示される。これは一体どういうことをお考えになってなのでありますか。
  74. 細田吉藏

    説明員(細田吉藏君) 問題がそこまで参りますと、自治省でお答えをする範囲をだいぶ逸脱するようでございますから、私は私見は持っております、持っておりますけれども、ここで私の私見を申し上げることはいかがかと思いますので、しかるべき場所、しかるべき時期に総理大臣なり官房長官または総務長官にお尋ねをいただいて御答弁をさせていただくということが適当であろうと思うのでございます。私自身の考え方はここであえて申し上げることをやめさせていただきたい、かように存じておる次第でございます。
  75. 和田静夫

    和田静夫君 しかし、その辺のことは自治省として不適当ということにならぬのじゃないですか、通達をお出しになったんですから。自治省だってやはり全体のいわゆる動向というものをしっかり踏まえられてさっき確認をされたこの通達を出されたわけでしょう。それはどうなんですか。
  76. 細田吉藏

    説明員(細田吉藏君) 明治百年の記念式典を明日催すということにつきましては、政府として方針を決定したわけでございますから、これを受けて自治省が通達を出すのは、これは行政組織上の当然の措置であると、かように考えておる次第でございます。
  77. 和田静夫

    和田静夫君 そうですかな。そうなってきますと、それじゃ私たちは現行憲法の中でとにかく一切の生活をしている。この現行憲法の記念行事や式典というものについて自治省はどういうふうな一お考えをお持ちになりますか。
  78. 細田吉藏

    説明員(細田吉藏君) 先ほど申し上げましたように、私見について申し上げるという場でございません。したがって、ただいまの御質問については、これは内閣総理大臣あるいは官房長官または総務長官がお答え申し上げる筋合いと思います。そういう意味で私はあえて申し上げないわけでございますから、政府の一員として申しますならば、きょう出ておりませんことはまことに申しわけなく存ずるわけでございますが、いろんな都合で出ておらないと思うのでありまして、私がここでお答え申し上げることはやめさせていただきたい、かように思うのでございます。
  79. 和田静夫

    和田静夫君 そういう答弁になりますと、一応、官房長官がここに出られないということについて、先ほど大臣、次官なりから十分に政府の意思というものを承ってもらいたいということが前提にあったから私了承したんです。しかしながら、御答弁をすることができないということになるならば、官房長官をこの委員会にお呼び願いたい。
  80. 津島文治

    委員長津島文治君) 和田君に申し上げますが、ただいま出席を御要請の両長官、明日の準備のためにどうしても都合がつきかねるということであるそうでございます。その点ひとつ御了承を願います。また、いまおっつけ大臣がお見えになるでございましょうから、大臣へまたひとつお尋ねいたしたらいかがなものかと思っております。
  81. 和田静夫

    和田静夫君 そうしたら、先ほど官房長官、総務長官のほうからの連絡もありますし、大臣がお見えになったときにこの質問は譲りたいと思います。  引き続き、地方事務官制度の問題についてその後の動きを二、三承っておきたいと思います。  この前の委員会で、原田理事やあるいは私のほうから御質問をしたことに対して、自治大臣は明確に、地方事務官はとにかく地方公務員にする、こういう答弁をされておったことはお聞きになったとおりであります。その際に、関係大臣と折衝をして早急に解決するとの前向きの方向で御答弁が、実は次官退席されたあとだったと思うんですが、あったと思うんです。その後の地方事務官の廃止についての話し合いの内容、いきさつ、こういうものについてお伺いしたいと思います。
  82. 細田吉藏

    説明員(細田吉藏君) 本件に関しましては、行政管理庁長官を中心に関係大臣でしばしば会合を開いて話が進められております。ただ、私のほう、事務当局が立ち会わなかった場合もございますが、ほとんど立ち会っておりますので、事務当局からお答えさせます。
  83. 長野士郎

    説明員長野士郎君) 地方事務官問題につきましては、去る九月一日でございますか、行政改革本部で第一次の行政改革についての方針というものがきめられたのでございますが、その内容は第一次計画と第二次計画という二つに分かれておりまして、第一次計画のほうは、各省庁から出しました事務の整理だとか許認可の整理だとかという多少具体的なものが並んでおります。その次の第二次計画については、今後次のような方針でやっていくのだということの取りきめができております中に、補助金の整理だとか共管、競合行政でありますとか人事、会計の扱いというものを並べまして、一つの項目として地方事務官制度というのが入っておりました。そしてこれは今後廃止するという方向で検討するということがきめられております。そういうことで、一応政府全体といたしましても地方事務官制度は廃止の方向で検討するというのは、関係各省大臣の間では廃止に近いという気持ちで了解ができておりますけれども、こういう公の形のものになりますときには近い方向でということばが入っております。しかし、いずれにいたしましても、地方事務官制度を廃止するということについては政府全体を通じて意思を確認をされたものというふうに考えております。それが一段階でございます。それから、その後におきまして、十月中にも二回ばかり行革のいま申し上げました方針をきめますための関係閣僚会議を開きました。そしてそのあと、最近も関係大臣も地方事務官問題で二回ばかり集まりました。その際にもいろいろ取り扱いについて議論と話し合いがかわされたわけでございますが、ただ、最近の状況におきましては、社会保険関係、つまり厚生省の関係の地方事務官問題というものにつきまして、例の社会保険の医療保険制度の根本改革というような問題も例の特例法が来年に期限が参ります。そういうことから、政府、与党におきましても医療保険制度の根本改革というものを検討中であるというようなことがございまして、それとの関係というものも十分考えなければならないというような話が出ておりまして、行管長官を中心にいたしまして、厚生大臣、自治大臣、さらに労働保険関係ということも関連必ずしもないわけじゃないということで、労働大臣等もお集まりになりまして、社会保険関係、つまり医療保険に従事する関係という意味で、社会保険出張所におりますところの地方事務官問題の処理はそういう医療保険の抜本的改革の一つの案というものと並行して考えていくのが妥当ではないかというような考え方が現在関係閣僚の間で話が出ておる。それ以外の地方事務官問題については、大臣同士の間では現在のところそれほど進展をいたしておりませんけれども、行管長官を中心にいたしまして、なお今後とも積極的に回を重ねて話し合いをせられるという、こういうふうな状況であるように承っております。
  84. 和田静夫

    和田静夫君 特にいま言われた厚生省関係ですが、おわかりになれば答弁をしていただきたいと思うのですが、先週開かれた内閣委員会で、木村行管長官が、地方事務官の廃止については三通りの案があるというような形で答弁された。厚生省関係は公社にしたいという意向というものがどうもあるようだということについて触れられているわけですが、この公社案というような形のものが出てきた場合に対処する自治省の考え方、これはこの前私が地方自治法の附則八条の問題に関係して大臣に確認していますように、いわゆる主語が地方公務員である、このことについて強く主張していく立場、そのことについて変えられたということにはなっていませんでしょうね。
  85. 長野士郎

    説明員長野士郎君) 社会保険制度全般の再編成というようなことも医療保険制度の抜本的改革というところの中では関係のところで当然取り上げられておるようでございます。で、問題はそういう意味で全体を通じての職域保険と申しますか、健康保険なりあるいは公務員の共済の関係についてまで職域保険というような考え方で一つとらまえる。もう一つはいわゆる国民健康保険等を中心にしているものと考えますが、地域保険と申しますか、地域保険というような考え方でひとつとらまえる、こういうようなことの考えも相当あるようでございまして、そういう際に、そういうもの全部を統合していくというような場合には、とてもそれは個々の行政というような形でなくて、統合して保険経営と申しますか、そういう企業体的なものを考えていくべきじゃないかというような意見が確かに出ているようでございます。それを考えます場合に行政機関というものから切り離すべきだというような意見、そしてそういう場合にそれを事業団と申しますか、あるいは公団と申しますか、あるいはまた公社といいますか、何かそういうもので取りまとめないと、あるいは関係のところにいままでひっかかっておる組織、いままではそういう統合ができない、そういうふうな考え方が一つ出ておるように私ども伺っております。で、それとの関係でどういうふうになるかということになりますと、おそらくそういうことになれば、たとえば職域保険について申しますと厚生省が担当しており、あるいはその中に労働省の関係がどれだけ入るかわかりませんけれども、そういうものがある。あるいはまた、地方共済とか国家共済というふうなものも入っていくということになりますと、全部が外へ組織が出ていってしまうということになれば、いまのお話のような関係から、この地方事務官問題というのも、地方事務官も外へ出ていってしまう、公社の中に出ていってしまうというような形に、もしそういうことがきまって実現するとなれば、なってしまうということはこれは避けられないのじゃないだろうかというふうに考えております。
  86. 和田静夫

    和田静夫君 それで大体テンポですね、時期的な見通しというものを何か区切りをつけながらいま作業を進められているという形にその後なっているんですか、それが一つと、それからこの間アンケート問題がかなり出たわけですね、アンケートの集約の結果、各地方地方事務官の処遇の問題についても自治省として見解をまとめる資料ですから、その結果はどういう形のものが多数を占めたのですか、ちょっとその二つについて伺いたい。
  87. 長野士郎

    説明員長野士郎君) テンポといいまするが、これは先ほど申し上げました行政改革の今後の進め方というものが政府の中にきまっておるわけでございます。それで第一次計画と第二次計画に分かれていると申し上げましたが、第二次計画につきましてはたしか十二月中旬までに結論を出すということに一応はきまっておるのでございます。したがいまして、地方事務官問題につきましても同じようにその期限というものはあるので、なるべく早くそういう結論が出るように関係のところで努力をもちろんしていただくということに相なると私どもは考えております。それからアンケート調査の結果でございますが、いま手元資料は持っておりませんけれども、地方事務官問題につきましては、非常に高い割合で地方事務官を廃止する。廃止してこれを地方公務員に入れるべきだという意見が出ております。したがいまして、自治省といたしましては、アンケートは、この前も御説明申し上げたと思いますが、百十項目にわたっていたしまして、その中で行政措置として改善できるもの、それから意見の中には必ずしも改革に賛成でないものもございまして、そういうものをはずしまして、九十項目について行政改革に関する意見として取りまとめをいたしました。そして、これは先ほど申し上げました行革本部に提出をいたしております。それから行革関係の閣僚会議にも大臣からその話がございまして、行革本部としては、第二次の以後の行政改革につきましては、この改革意見というものを一つの上台といいますか、資料といたしまして作業を進めていきたい。そういうことになりまして、その九十項目の改革意見の中でまず第一に取り上げるべきもの、それから続いて取り上げられれば次には当然にそれに従って応用がきくもの、それから解決にそれほど困難でないから直ちに着手するもの、こういう三つのグループに項目を整理をいたしまして行革本部に提出いたしておりまして、行革本部としては大体それを中心にしてこれから作業を進めてもらう。こういうことになっております。
  88. 和田静夫

    和田静夫君 大臣お見えになりましたから、ちょっと中断しておったことがあるのですが、それは「明治百年記念式典の実施について」という自治省通達をめぐって二、三の見解をこの機会にただしておきたいと思います。実はいまから述べる問題については官房長官の出席を求めておったのですが、明治の式典のいろいろな準備等があるので、いわゆる閣議を代表して自治大臣にお聞きを願いたい、こういうことで出席をされないことを了としておりますので、したがって、自治省と直接関係しない二、三の問題に触れることになりますが、その点はそういうことで御了承をしておいてもらいたいと思います。  そこで、先ほど次官のほうから、結局大臣がお見えになってからということになったのは、いまの政府が日本国憲法の、いわゆる二十年なら二十年というような形の記念式典、あるいは行事、そういうようなものについては一切行なうことをせずに、大正、昭和という年代がすでにあるのですから、明治百年と銘打って記念式典を催されるそういう理由というものは那辺にあるのか。
  89. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) 先般の閣議で明治改元百年の記念式典を行なうということは決定をいたしました。明治ということは、私どもも明治の人間でございます。しかし、いまの人口構成から申しますと、明治時代の人は二〇%にも足らず、ほとんどが昭和年代の人たちで占められておる。ですから、明治ということについて、格別われわれと同じような感懐を持っておられないと思います。しかし、私どもが日本の歴史をながめて見ました場合に、戦争中にたしか皇紀二千六百年記念式典というのがございました。これは二千六百年という驚くべき長い期間日本民族が生々発展したという、その意味が私はあったと思うのですが、明治百年と申しますのも、徳川幕府時代の封建政治に終止符を打って、新しい民主政治の時代が開かれてきた過程を考えますと、いま日本の戦後の国力の進展の状況を見ますと、明治百年という、最近のこの百年間の日本の歴史において、特に私注目すべき時期であったと思う。ここまで日本が統一した。その中にはいろいろ戦争に勝った負けたという感懐もありましたけれども、そういうことも含めまして、やはりいろいろこの次の百年に処する上においての決心をきめます上においても非常に重大な年であったと考えられますので、そういった意味で、特に最近の百年を回顧して、そうしてその中からいろいろな教訓をさらに学びとり、今後の百年に対処して、そうしてりっぱに平和国家、日本国が伸びていく、そういった動機をつくるための記念式典ではないかと私はひそかに考えている次第でございます。
  90. 和田静夫

    和田静夫君 私は明治百年のいわゆる各種のキャンペーンなり、あるいは準備されてきた記念式典を考えたときに、やはりそこに流れる政治的な意図というものをどうしても感ぜざるを得ないのです。で、いま言われた、ちょうど私ども中学時代に当たりますが、経験させられた二千六百年記念式典の行事は、昭和十五年のあの当時を実は想起しますと、昭和十五年というのは、言うまでもなく、第二次世界大戦、太平洋戦争に入った年です。ですから、だれが何と言われようが、太平洋戦争に国民を総動員する、あるいは決起させる、そういうためのものに結果的に大きく作用していたことは、私は事実だろうと思うのです。今日、明治百年の記念行事あるいは式典は、佐藤総理大臣が言われる、国を守る気概を持てとか、あるいは灘尾文部大臣の言われる国防教育とかは、世間をにぎわしたいわゆる倉石発言と一連のものであって、どうしても一九七〇年というものを前にして国家主義、あるいは富国強兵、こういう国民の精神的な、いわゆる流動を統一しようとするものであって、そういうイデオロギー政策の意味というものを非常に強く持っているように思われてもしかたがないのではなかろうか、こう思うのです。しかも、御存じのとおり、これは日米安保体制という、そういう従属的な軍事同盟体制下で行なうのでありますから、明治維新が最も重要に持っておった側面、いわゆる民主主義と民族の独立という、そういう基本的なものを全く無視する上で行なわれているような感じがどうもしてしようがない。言ってしまえば、明治維新というのは、何といっても民衆の権利解放を求める努力と国家権力の相争いといいますか、相克の歴史であったと思うのです。そうして、太平洋戦争というのはこの国家権力が民権を押しつぶしていったそういう過程のいわば総決算である。その総決算として私たちが考えなければならないのは、日本国憲法は、平和とともに、とにかく押しひしがれていたその民権を回復をしたという厳粛な事実なんですね。その日本国憲法の記念行事はやろうとしない、こういうことについてはどうしても理解をすることができません。それとも、明治百年のこの記念式典実施を契機にして再び日本国憲法の記念行事を復活させることを国民の前に約束される用意があると、そういうことに理解をしてよいのですか。
  91. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) 私、少し深刻に考え過ぎた御意見ではないかと思うのです。何々記念日だとか記念式典、つまり、お祭りみたいなことをいたしますのはどの民族でもあるのです。その中で一番多いのは、やはりこういうことがあってから百年たったとか千年たったとか、こういう年月で計算された場合がかなり私はあると思うのです。たまたま皇紀二千六百年記念は、私は応召中で軍服を着ておったわけですが、これがまた日本精神の振興に役立つために計画されたかどうか話は別であって、たまたまそのときに計算によれば皇紀二千六百年に当たったということだからだと思います。これから三十二、三年たてば、キリスト生誕二千年記念式典もあるいは行なわれるかもしれない。ですから、それが何か特別な意味があるようにまでは考える必要がないので、明治百三十年記念式典などは行なわれませんし、百年目のことですから、そうむきになるほどのことではないのではないか。お祭りはお祭りとして、先ほど申しましたように、次の百年に対する反省を考えてみましても、やはり私は大いに意義があると思うのです。憲法ができましてから二十年の歳月がたちました。私は、顧みればちょうど二十二年前にあの憲法の改正委員をいたしておりました。衆議院のいまの第一委員室で私は憲法の改正委員としてあの改正に参加をしていた。議決した責任もあるわけでございます。当時の憲法の制定状況は、占領直後にあったわけですけれども、そのときを想起すればいろいろな感懐もありますけれども、私はそれはたまたまその場におった者として、審議に参加した者として、あの憲法を私はどう見ておるかということについては申し上げません。しかし、これは、この間の倉石君の発言のことをちょっとお用いになりましたが、あったけれども、国民にはそれぞれ見る目があると思います。しかし、私は現に私たちがいただいておる憲法というものが、これが二十年たったからお祭りをして、式典をしていいとか悪いとかいうことにつきましては私は申し上げる必要もありませんし、それは皆さんがそういう総意で憲法制定二十周年記念ということでおやりになるならそれはまたけっこうでございます。かように思っております。たしか私は憲法ができまして一周年記念日でしたか、全国で憲法の中身を講演して回った記憶もありますし、式典とは申せませんけれども確かにお祝いをした記憶もあります。しかし、そういったことをあまりむずかしく突き詰めて考えなくても、明治改元百年たったからということでその記念式典をすることは私は一向差しつかえないことじゃないかと思います。そのことは憲法制定二十周年記念式典とはおのずから別である、かように考えます。
  92. 和田静夫

    和田静夫君 「おのずから別である」という政府の姿勢にたいへん疑義を感ずるから対比して質問を申し上げておるので、こういうふうに政府は説明をされていますよ。明治百年記念式典とは、明治以来過去百年間の目ざましい発展全国民で祝い、同時に未来に向かって進むべき道標を立てる、というもので、しかし、私たちははたして明治以来過去百年は政府の言うように目ざましい発展のみの百年であったんだろうか、ここが大切だと思うのです。百年を区切りにしてたとえばいろいろなことをやるにしても、明治維新は言われるまでもなく、民族国家を初めて形成したという意味では国民的な統一をなし遂げた。それは私たちは事実だと思います。だが、自由民権運動がああいうような形で抑圧をされていったその直後の過程というものは、私たちはやっぱり戦後の未来を展望する意味で一番大切に実はしなければならないのだと思います。その過程というのは何かと言えば、一口に言えば上からの統一であっただろう。言ってしまえば、国家への国民の総動員であっただろう。そこには民主主義の一かけらもある意味では存在しないまでにいってしまった。こういう形のことを私たちは十分に考えないと、再び歴史がおかしたと同じような悲劇の中に私たちは落ち込んでいく。そう考えたって私たちの思考上に過剰なものがあるとは実は思わないのであります。そういう意味で私はそれらの民衆の権利、自由民権運動がなし遂げようとしたそういうものが基本的にやっぱり生かされておるのは日本国憲法だと、こう理解をします。そうすれば、国民的な統一の基礎、あるいは政府が言うような未来に向かって進むべき道標、こういうものは日本国憲法が基本に置かれなければならないし、これを否定するということに私はならないと思いますが、もちろん否定はされないと思いますけれども、いかがですか。
  93. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) 私はいまの日本国憲法の制定委員でもあったわけですから、私の発言も現に速記に残っておる。ですから、私はいまの憲法というものについて批判めいたことは一つも口にしたことはないわけでした。これはこれなりに非常に意義のある憲法だというふうに考えております。が、憲法の施行二十年記念式典ということにちょっとお触れになったようですけれども、ですから、憲法は毎年制定の記念日もつくっておる。二十年たったから、三十年たったからまた式典をやらなければならないというものではない。憲法は欽定憲法というもので、憲法というものは国の基本法であって、未来永劫続くものであるというふうに教え込まれましたけれども、憲法だって時の情勢で変わることはやむを得ないことでございます。ですから、いまの憲法を現に一行も改正してないで二十年やっているから、その記念式典をやることはこれまた一つのお考えだということを申し上げたわけでございまして、これと明治百年の記念式典とは意味が違う。それでいろいろ百年に起こったことを申されましたけれども、日本の長い歴史をたずねまして、この明治百年よりもっと激動した時代があったかもわかりません。しかし、近く百年の間にはいくさに勝ったこともあるし、負けたこともあるし、また、国の政体なども根本的に変動もしてきてまいっておる。その中にはいろいろな教訓が含まれておるはずでございますし、これをかりにひとつ将来への批判の資料としてその上に立った日本の前進していこうというポイントをここに一つ置くということは私はあながち間違いではないと考えますので、もっとゆとりを持ってお考えいただかなければならないと思います。
  94. 和田静夫

    和田静夫君 いわゆる過去における歴史的なものについての批判を十分にしてと、こういうわけです。それから自治大臣個人は、憲法に対して何も言っているのではない、それは私もそうです。しかし、いまお聞きしているのは、さっき言ったとおり、政府全体を代表する自治大臣に聞きたいんです。そのことは間違いないようにしてもらいたいんです。ただいま言ったように、祝うと言っているんです、祝うと。その言われるような形でもってきびしく批判をし、その中から新しいものを、これに対する教訓を導き出していくんだというような点には、一向にいままでの記念行事その他は触れられていないわけです。それは事実なんですよ。そこで、私たちは一つの危惧を持つのは当然だと、こう思うんです。明治の二つの潮流というのは、それは先ほども言いましたように、富国強兵と自由民権の中であったと思うんですが、いわゆる前者を受け継ぐ部分——帝国主義というか独占奉仕の道、そういうもののみがどうも追求されている。そういう形の記念行事のものが多い。あとから、鹿児島で行なわれている問題とその金の問題について聞きたいと思うんですが、自衛隊の何かがこう出て、そしてたいへんな状態のことが行なわれているのを見ても、いま大臣の答弁の意図がどうあろうとも、現実に動いているところの行事はそういう形になっていっている。したがって、後者を受け継ぐ民主主義体制、大衆奉仕の道、特にその成果としての日本国憲法の意義というものがどうも軽視されていることは許されたい。そういうことを痛感せざるを得ません。そういうことは私たちはどうしても許すことができない、こう思うんです。言ってみれば、明治以来百年の歴史というのは、ただ連なってきた百年の歴史ではなくて、前段の八十年というのは、言われるようにたいへんな八十年であったと、こう思うんです。そして後段の二十年というのは、私たちにとってはたいへん大切にしなければならない、そういう意味の二十年であります。そこを象徴するものが、ある意味では日本国憲法である。こういうふうに考えてみると、年々行なわれてきたところの憲法を中心とするところの式典というものが政府の手によってなおざりにされていって、そして、そのなおざりにされていった上で明治百年の記念式典というものが登場してくる。あるいは記念行事というものが一年を越えてやられる。こういうところに私が疑義を持つのはある意味では当然じゃないかと思うんですね。そういうことを考えてきて、私はこの後段の二十年の平和と民主主義、そういう新生日本の歴史、これを逆コースへ戻そうとする反動的な一つの力というものがどうも動いているように思う。国民の力がやはりその動きを防止してきている。われわれ全体を含んで防止をしてきている。そのことをもっと大切にする、それが歴史的な課題ではないかと実はこう思うんですね。そうなると、その歴史を代表するものが日本国憲法であれば、もっと日本国憲法というものを大切にしなきゃならぬと、こう思うんですね。日本国憲法の中にはもろもろの民主的な諸規定を持っている。そして第八章は地方自治の本旨を明らかにしている。ところが政府は、さっき冒頭に確認をしたんですけれども、この地方自治体の独自性というものを十分に認めないような形でもって明治百年記念式典の通達指示を行なう、こういう形にどうもなってきている。なぜその中で地方議員の表彰をやらなければならないのですか。なぜ自治体職員の休暇をそこでとらせなければならないのですか。その意図というものは一体どこにありますか。お答え願いたいと思います。
  95. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) お祝いということをおっしゃいますけれども、私も、ですから式典と祝典と間違っては困るからと思って、私は現に式典と申し上げているわけです。ただ、式をやることはお祝いという意味に通ずるように日本人の中には考える人があるようですけれども、私はやはり区別しておくべきものであると思います。私は、単に明治百年というものをお祝いするということでなくて、閣議できめましたとおり、これはこの百年の経験と教訓を生かして、さらに世界的視野に立って次の百年に向かう決意を確固としたものにするという厳粛な意味をあらわしていると考えるので、お祭りということはみじんも含んでおらないつもりでございます。ただ、こういう行事をいたします際には、やはりそれにふさわしい、たとえば休暇を与えるとか、あるいはいろんな表彰をするとか、こういうものにはつきものでございますので、これもそうむずかしくお考えになる必要はないと思いますし、憲法だってだんだん定着してまいっております。言うまでもないことであります。それでこれも百年目くらいには当然また特別に国をあげての式典があるかもしれません。しかし、お休みということでは、憲法を制定いたしました記念日には毎年お休みがあっているはずでございます。しかるべき人はまた式典をやっておるかと思います。ただこれが五年たった、二十年たった、三十年たった、そのつど国をあげての式典をやらなければならぬかどうかということになると、これはめいめいの判断次第だと思いますが、すぐその明治改元百年ということにそれほどこだわる必要はないのではないか。憲法と式典はおのずから問題は別だと、こういう考え方を申し上げたのでございます。
  96. 和田静夫

    和田静夫君 祝典と式典の講義を受けたのですが、私も式典と申し上げている。祝典と言ってない。ただ、祝うと言ったのは、政府の側から言っているので、明治以来過去百年の目ざましい発展全国民で祝うと、政府見解を発表されているわけですから、したがって、政府が祝うと言っているから、祝う点でずっとながめていけば私のような論理が出てくるのではないか、こう言っているのです。  そこで、記念式典と記念行事あるいは記念事業に使われた費用は、また、都道府県分として使われるであろう費用はどれだけになるのか、この機会に明らかにしていただきたい。——行政局長はどこへ行ったのですか。
  97. 細郷道一

    説明員細郷道一君) 私のほうも、個々の団体がやるところもあるし、やらないところもある。特別にこれのために財源措置というものを全国的に考えておりませんので、幾らくらいかかるかということは承知いたしておりません。
  98. 和田静夫

    和田静夫君 お調べになったこともないのですか。
  99. 細郷道一

    説明員細郷道一君) 調べておりません。
  100. 和田静夫

    和田静夫君 あのいわゆる記念行事という問題についていろいろ指導をされたことがありますね。指導されておりますね、自治省
  101. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) 明治改元百年記念式典にどういう行事をやるかということについて自治省から格別指導したという私は記憶はないわけでございますが、それぞれ地方団体ごとにこの意味を考えてそれぞれの行事を行なうものと考えております。
  102. 和田静夫

    和田静夫君 何か、行政局長いなくなったですが、たとえばこれが、全国知事会で出している「都道府県展望」というのが、六月号ですか、これに基づきますと、いろいろ百年祭の——祭になりますが、行事やらいろいろのことが載っておりますが、その中で、懸案の事項で、これに籍口しながらたくさん載せているものも、否定すべきものばかりではないですが、たいへん気になるのが二、三あるのです。これらにつきましては、やはり一定の見解をまとめる必要があるような気がするのです。たとえば岡山県の武道館の建設とあるのです。これに二億五千万くらいの金が使われているのです。岡山の財政事情との関係でこれらのことが一体どうなるのかということを一ぺんは調べてみなければならぬ問題だと思うのです。鹿児島県、これはもう明確なんです。明治のいわゆる今度の記念の問題で記念会館の建設費、こういう形のものが二十九億五千万からのものを使おうというのですね。鹿児島の財政事情というものは、これは自治省にいたすぐれた人が知事に行っているのだからあれですけれども、私たちは、一般の鹿児島県の公務員の方々のいわゆる労働諸条件が、常に財政事情を中心にしながら、全国的な平均からたいへん低位に置かれている、そういうことを知っているのだけれども、ともあれ、これらの財政運用にそごをきたした場合、自治省としては特別に何か措置をするのかどうかということはお考えなんですか。
  103. 細郷道一

    説明員細郷道一君) 明治百年の記念式典の財源のために財政事情がそごをきたすという特別の理由でどうこうするということは考えておりません。
  104. 和田静夫

    和田静夫君 大臣、恩赦の問題ですがね、恩赦はどうなりましたか。
  105. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) 恩赦が記念行事になるかどうか、これは議論があるところですけれども、しかし、きょうも閣議でいろいろ議論はありました。しかし、それぞれ甲論乙駁でございますので、やはりこれは法務大臣と協議をして総理がきめるから一任してくれということであったんです。ですから、きょうは何もきまっておりません。
  106. 和田静夫

    和田静夫君 そうなりますと、どうも、これは私の見解になりますが、見解の相違でありましょうが、政府は特別恩赦を実施する方針を固めたというふうにどうしてもいろいろの流れから見て感ずるわけですが、私はそのねらいというものは、たとえば四万人にのぼる失権中の選挙違反者を復権をさせる、まあ、来年中には行なわれるであろうといわれている総選挙で自由民主党の方々の有力な運動員を確保する、こういうようなところに一つはあるように思われてしかたがありません。国民の多くがそう思っておると思うのです。しかも私は、赤間法務大臣は、御存じのとおり、国会では繰り返して明治百年恩赦はしないと答弁していらっしゃるのですね。で、そういう意味では、このような恩赦が行なわれるとすると、私は国会軽視もはなはだしいということになろうと思うのです。ぜひ自治大臣はそういう恩赦が行なわれないように閣議でもっと努力をしてもらいたいと思うのですが、それにも増して明るく正しい選挙を推進をする立場に大臣はいらっしゃるわけですね。その立場からこういう内容を含むところの恩赦というものについて一体どういう見解をお持ちなのか、ひとつこれを承わりたいと思います。
  107. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) ただいま申しましたように、甲論乙駁あったけれども、総理に一任ということできょうは終止符を打ったのでございまして、この席で個人的な見解をさらに重ねて申し上げることはいかがかと思います。  この記念ということですけれども、あまり記念行事、記念行事ということがいま出てくるものですから思うのですけれども、何かそういった記念日を見つけたいという気持ちがみんなにあるものですから記念行事、記念行事と言うので、私が一番頭にくるのは、何が全学連の諸君が記念デーとか記念日を見つけて——調べてみると何か毎日記念日に当たっておるようです。似たようなことじゃないかと思うのですが、そういった意味で私は記念行事をやるということも、大局から考えて非常に有意義なことは大いに記念日をつかまえてやるということはけっこうだと思います。それから、いまの恩赦の問題につきましては、私のほうは選挙を管理していって、それで処罰するという役割りもいたしておりまするので、ほかの皆さんからすると、私は考え方は多少違うと思います。がしかし、総理に一任いたしましたので、私は総理がどういう断を下されるかわかりません。近く下されるはずですが、それについては私はいまとやかくの議論はいたしたくないと思いますが、総体日本の選挙違反の取り締まりの結果を見ますと、とにかく全部と言っていいくらい公民権が停止になっておる。公民権というのは、先ほどから日本国憲法が問題にされておりますけれども、いまの国民が持っておる基本的な権利の中で最も大事なものに属するわけでございますから、これがもう軽々に扱われるということは非常に重大な問題である。外国の例は全部つまびらかにはいたしませんけれども、なかなかそういった選挙関係の法律についてはその事後処理が非常にシビアーのものであるということは、これは異論のないところであると思います。いろいろな各般のことを勘案しながら総理大臣が最終の断を下されることになりましたので、いまの段階でそれを想像するとかあるいは私が異説をここで申し述べるということは差し控えたいと思います。
  108. 和田静夫

    和田静夫君 何といったって選挙関係を担当される大臣ですからね、恩赦がその部分をたくさん含むということになれば、やはりたいへん大切な問題だと思うのですよね。したがって、あなたの立場というのは、やはりこんな不合理な恩赦というのは行なわさせない、そういうような形での立場であってもらいたい。そのことを強く主張して終わります。
  109. 津島文治

    委員長津島文治君) 二件に関する調査はこの程度にとどめます。     —————————————
  110. 津島文治

    委員長津島文治君) この際、委員異動について報告いたします。  本日阿部憲一君が委員辞任され、その補欠として多田省吾君が選任されました。  速記をちょっととめて。   〔速記中止〕
  111. 津島文治

    委員長津島文治君) 速記を起こして。     —————————————
  112. 津島文治

    委員長津島文治君) 次に、新宿地区等におけるデモに対する警備に関する件を議題といたします。  まず、赤澤国家公安委員長から説明を聴取いたします。赤澤国家公安委員長
  113. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) 昨日新宿その他数カ所で非常にやっかいな事件が起こり皆さんにたいへん御心配をかけたわけでございますが、当初からの取り締まり方針におきましても、破壊だとか放火などのいわゆる騒擾的事案が発生すれば騒擾罪をはじめ現行法規をフルに適用して事態の鎮圧と実行行為者の大量検挙を行なうことといたしておりまして、十分な警備体制をもって臨んではおりました。当日新宿駅構内における反代々木系学生らの暴挙は言語に絶するものがありました。暴虐の限りを尽くしたと言っても過言ではないほどの違法行為を繰り返し、高さ三メートルもある鉄さくを打ちこわして駅の構内に乱入をいたしました。この時点ころから、新宿駅構内また外の一帯は異常な雰囲気に包まれまして、騒擾的とも見られるような状態がかもし出されていたのでありますけれども、騒擾罪を適用するような事態に発展させないようにいろいろ努力はいたしました。午後十一時四十分ごろになって、ホームに停車中の電車のいすを持ち出してホームや階段に積み上げて、これに放火するというような暴挙に出た。そのために国鉄駅舎の職員が煙に巻かれまして危険におちいり、また、その他いろいろな目に余る暴行を働き、ついに事態はまさしく騒乱の状態となったわけでございます。そこで東京地検と協議いたしました上、けさの零時十五分、騒擾罪を適用することを決定いたしまして、直ちに全員検挙活動に着手いたしますとともに、首謀者、指揮者を検挙するために拠点大学付近に警備部隊を配備いたしました。けさの八時現在で騒擾罪適用で逮捕した者が二百九十八名。  なお、午前二時ごろから実況を十分検分をいたしますために、公安部長を長とする新宿地区騒擾事件特別捜査本部を設置いたしまして、早期に徹底した捜査を推進することといたしております。このために警視総監を長とする最高警備本部を形成いたしまして、ただいまの段階でも検挙を進めておる次第でございます。
  114. 津島文治

    委員長津島文治君) 質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  115. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 ただいま国家公安委員長から概略の報告があったわけですけれども、まず第一に、警備の状況というものについてもう少し詳しく説明していただきたいと思います。従来のこういう問題と比較してはたして警備体制が十分であったのか、あるいはなかったのかというような点に問題があると思うわけであります。
  116. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) ただいま申し上げましたとおりに、一応十分な警備体制はつくったつもりでおります。今回の特色は、全国広範にわたりまして、集会デモだけでも、去年と同じ国際反戦統一行動と申しますか、この種の集会と比較いたしましても、うんと動員力を上回っております。去年の状況が三百八十四カ所で二十一万二千人集まりましたのに、今度は五百六十四カ所で、二十八万九千人が動員されております。それから労働組合による実力行使にいたしましても、これまた昨年が六万九千五百人の動員であったものが、今回は十九万七千人も動員されておる。こういうことでございますので、警察としてもなかなか万全と申しても、やりようでございますけれども、私服も加えまして約一万四千名を動員して警備体制を張ったわけでございます。何ぶん、同時に各所で多発しておりまして、東京都内にいたしましても、これは明らかに暴挙ですけれども、こういったはね上がりの学生諸君の行動計画を仄聞いたしますのに、防衛庁を襲撃するとか、あるいはアメリカ大使館に突入するとか、あるいは総理官邸、国会に入るとか、あるいは最終は新宿駅構内に集まっていわゆる米軍タンクローリーを粉砕すると言ったか、阻止すると言ったか覚えませんけれども、そういう行動に出るというふうなことでございまするので、最初はやはりまんべんなくこれを規制するという態勢をとらざるを得なかった。しかし、最終の段階では、もう全部警察力は新宿へ集結いたしまして、その時点で騒擾罪の適用に踏み切ったものですから、検挙者も七百数十名を数えるに至ったわけでございます。ですから、最初から全勢力を新宿に投入しておれば事態は変わっておったかもわかりませんけれども、われわれとしては広範な地域に対処して最も効果的であるという計画を採用した次第でございますので、一般市民に迷惑がかからないように、また、けが人が出ないようにずいぶんいろいろな配慮をいたしましてあの状態を鎮圧にかかりましたけれども、結局、昨晩からけさにかけての状態になった次第であります。
  117. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 警備の人数とかあるいは体制とか、いろいろな機密に属することもあるかと思いますけれども、機動隊なり、あるいは各警察署の警察官あるいは私服をフルに動員したものと見えますけれども、こういう体制上の欠くるところがなかったかどうかという点をお伺いしたいと思います。
  118. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) フル動員とは申しません。また、事態に応じて配備のやり方は幾種類もあるわけでありますが、昨晩からけさにかけましては、ただいま申しましたような、どこもまんべんなく一応規制するという計画を採用したわけでございます。
  119. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 きのうの新宿事件は相当大規模であるし、混乱も起こったことは確かですが、いま国家公安委員長が言われましたように、相当に多方面にわたって、まあ攻勢をかけるといいますか、襲撃を計画したと申しますか、多方面であったように思うのです。そういう状況は的確に、公安委員長としてもしくは警察当局として把握できていたのかどうかという問題ですが、いかがですか。
  120. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) 的確に把握はいたしておりました。
  121. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 的確に把握していたとすれば、必ずしも警備の体制が効果をあげていなかったようにも思うのですが、結果から見ましてどうなんですか。
  122. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) それはこういう事件の常といたしまして、相手方も始終移動するわけでありますから、最初は情報を正確にキャッチいたしまして、これで万全であるという、これは全体を薄くということになりはしましたけれども、配備をいたしました。しかし、事件の進行に従いまして彼我ともに移動することになりましたので、最終はけさのような状態になったということを申し上げたわけであります。
  123. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 結果においては新宿駅周辺の混乱というものに対して騒擾罪を適用するということになったわけですか。
  124. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) 一応いたしました条件はあそこが一番備わっておりますもので、あれでやりましたけれども、しかし取り調べが進めば、おそらくは他へ分散しておりましたものも一部は、これは陽動作戦であろうとか、いろんなことが考えられましたけれども、それぞれ関連があればあわせて騒擾罪の対象になるかもしれませんけれども、これは調査の結果を待たなければまだいずれとも申しかねます。
  125. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 国家公安委員長の談話というものがけさの新聞に載っておりましたけれども、それには新宿駅周辺の混乱というものに対して騒擾罪を適用するというような談話になっておりましたが、当日、あるいはアメリカ大使館とか、あるいは国会とか、あるいは防衛庁とか、その他各所に、小規模であったかもしれませんけれども混乱が起こったものに対しては、いわゆる国家公安委員長が言うような騒擾罪の適用は法律的にはないものと、こう考えていいんじゃないですか。
  126. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) ですから、取り調べの進行につれまして、ばらばらでやっておりましたものが、やっぱり単一の者に指揮されておったのか、あるいは全部の首魁者があるのか、そこら辺のところがまだ調査が行き届いておらぬわけでございます。取り調べの結果によってはこういうものが全部共同意思が確認されることがあるかもしれませんし、しかしいまの段階では何とも申し上げようがありませんが、騒擾罪に踏み切った条件がそろいましたというのがとりあえずは新宿であったわけでございます。
  127. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 取り調べの結果、だんだんとその騒擾罪の適用の範囲と申しますか、適用の人員と申しますか、取り調べに従ってだんだんとふえていくということでは、非常に危険な状態になってくるんじゃないかと思いますが、新宿駅周辺の事態に対して騒擾罪の適用があったものというふうに言うならば、まだわかりますよ。といいますことは、学生と一般の群衆といいますか、そういうものがまあ新宿駅の周辺ではほとんど一体となった、あるいは巻き込まれていたということで、たまたま顔写真をそこでとられたというような事態になってまいりますと、その範囲が非常に広くなってくるんじゃないですか。われわれが騒擾罪の適用というものに非常に慎重であるべきだという立場というものは、いまの御発言だとだんだんくずれてきてしまって、非常に広範囲に、一般群衆までもたとえば顔写真をとられたならば騒擾罪の適用を受けるかもしれないということになると、非常に危険じゃないかと思うんです。この点ははっきりと区別できますか。
  128. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) それは、私はそうではなくて、申し上げることは、こういう大規模な行動が全部関連性があったかなかったかということの調査が進めば、また事態は新しい方向へ発展するかもわからぬということを申し上げたわけであって、付和随行した者が顔写真をとられた、それを顔写真をとられてそれがみな適用を受けるんだということとは全然性質が違うわけです。これは付和随行したって、そこらで石なんかをほうって抵抗した者はやはりそれ相当の処罰を受けなければならない、こういうことです。ただそこにおったからということで群衆が犯罪の対象になるというふうには考えておりません。
  129. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 国家公安委員長はそうおっしゃるけれども、しかし顔写真をとるのは何のためにとるかということになれば、やはり騒擾の中にいた騒擾罪の適用を必要とするような人間の顔写真をとるというようなことになるわけでして、たまたまその中に巻き込まれて、あるいは間違って警察官に連行されるというような場合には、多少おれは何も関係ないんだと言って抵抗するかもしれない。それを一々顔写真にとられて、そして騒擾罪の対象になるということになると、これはもう無制限に擾騒罪というものは適用される、いわゆる人権というものも、そういう擾騒罪ということによって人権がじゅうりんされるという危険もあるわけです。その点はっきりとやはり、いわゆる学生デモといいますか、そういう人々と、それから一般の巻き込まれた傍観的な群衆というものと区別するということは非常に必要だと思う。騒擾罪の適用があったからといって、だれでもそこにいた者を引っぱっていって顔写真をとるというようなことだったら、非常に人権というものが無視されるんじゃないかと思うんです。その保障がありますか。
  130. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) 松澤先生とあべこべのことを一般国民の多くは考えておられるのだと私は判断しております。写真をとるということは採証の一部には違いありませんが、顔が写った者が犯罪者であるということはだれも考えていない。ただ、いままでも騒擾罪を適用いたしましたあと始末を見ますと、むしろ騒擾を起こした者が全部無罪釈放になってしまって、結局騒擾罪なかったと同じような結果になっているのが現実です。一体これでいいのかということが世論としてほうはいとして起こっておることは、これは松澤先生も御承知のとおりである。ですから、実際ああいうことをしでかした者が正しい罰を受けるのは当然であると思うし、反面、ただそこにおって顔が写ったからといってそれが犯罪者として断定されるなんということは、私どもは全然考えてもおりませんし、またあり得ようはずはない。それどころか、現にやった者でさえなかなか立証がむずかしくて釈放されておる現状でございますので、むしろその点を憂慮しておるという段階でございます。
  131. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 公安委員長がそういうふうに言われるなら、私のほうでも言いたいことがあるんですけれども、それは結局、大学の学者などでも、騒擾罪の適用の結果多数の逮捕者ができた、これをいよいよ公判にかける、裁判にかける、その立証がはたしてできるかどうかということは非常にむずかしい問題である。第一に意思の共謀といったようなことが実際にあったものか、あるいは首魁はだれだというようなこと、あるいは他の勢力をかけてその勢いを増すといったようなことがはたしてあったのかどうかということになりますというと、よしんばいま大臣が言われましたように、騒擾罪の適用をかけた、かけたといったところで、裁判の結果、それも長年かかった裁判の結果、あるいは無罪になる。無罪になるというようなことは、私も考えていますよ。そうだからといって、顔写真とったっていいじゃないかというようなこととは、また問題が違ってくるんじゃないですか。それははっきりとそこのところを区別して、一般の巻き込まれた群衆と、それから、これはいいか悪いかわかりませんけれども、騒擾を計画しこれを行動に移したという人たちとは、厳に区別をしなければいけない、こういうのが私の考え方です。
  132. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) なかなかむずかしいことをおっしゃいますけれども、写真というものが——現状では指紋をとるとかなかなかそういうわけにまいりませんので、写真をとるということが採証の有力な手段になっていることは、御承知のとおりでございます。ただ、いつか問題になったことがあるように記憶いたしますが、人には写真を写されたくないという権利もあるということですね。そういった議論をすれば果てしがないことですが、しかし、採証のための写真をとります際に、群衆だけは除いて写真を写すということは、常識的になかなかできぬことでございますので、あわせて写したものの中からやはり証拠が求められるべきものなんじゃなかろうか。現に、羽田事件のときに学生の轢殺事件などがあって、これなんかも、運転しておった者の顔写真もできているけれども、その時点で運転しておった者がだれかということが立証しにくい状態であやふやに置かれているということは、松澤先生も御承知のとおりでございます。ですから、顔写真とったからといって、写った者が犯人ということは断定もいたしませんし、そういう性質のものじゃなかろう、かように考えております。
  133. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 顔写真ということに焦点が集中されまして、それがいいか悪いかというようなことになりましたけれども、私は騒擾罪の適用ということは慎重でなければならぬと。そこで、さっき公安委員長が言われましたように、新宿周辺ということで、まあ騒擾罪の適用に踏み切ったということですけれども、それがだんだんと拡大していって、国会に侵入しようと考えてあるいは多少の行動をしたということもやはり騒擾罪の適用を受ける、あるいは防衛庁の場合もそうだ、総理官邸もそうだ、アメリカ大使館もそうだということになってくると、そうすると騒擾罪の適用というものは、もう昨晩なりあるいはその前の日なりに東京都内で起こったものに対しては全部騒擾罪の適用を受けるのだという結果になるととを一つは心配をする。一つは、先ほど申しましたまあ顔写真ということに非常に焦点が当たってしまいましたけれども、一般の群集とそれからそういう行動をあらかじめ考えていた人たちとの間の区別ということをはっきりつけなければならない。それが混乱するということになると、騒擾罪の適用ということが人権のじゅうりんとかあるいはまた非常に広範囲になってしまって、平和に、そしてその行動自体とは何の意思の通謀もない、そういう通行人までが、たとえば顔写真をとられて問題の渦中に巻き込まれてしまうというやはり心配がある。そういうことに対する保障というものをはっきりとしていただかなければ、騒擾罪の適用ということがいい悪いという議論はできないと思うのです。この点を私は問題にしたい。
  134. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) 騒擾罪を適用いたしますのにはその要件が、条件がそろわなければいけないということをいま申し上げましたが、まあ世間ではなぜ騒擾罪に踏み切らないのかという声が非常に強かった。しかし、私どもといたしましては、条件がそろわなければ軽々に適用すべきじゃないという判断のもとに、いままでだって幾度かもう条件がそろったやに見えた場合もあったものの適用は差し控えました。ゆうべの場合も、ぎりぎりの状況を見て、ただいま申しましたように、放火はする、汽車の信号機はぶちこわす、いろいろこういうことが起こりましたので、もうこれ以上遷延を許しませんから適用に踏み切った、こういうことでございます。ですから、この適用なり、また取り調べなりにあたりまして、単に巻き込まれてこの騒擾には何の関係もなかった人が処罰されるはずもありませんし、もちろん国民各人の人権等を守らなければならぬということにつきましては最初から慎重に配慮をいたしておりまするので、先生が御心配になるようなことは起こり得ないと、かように私どもは考えている次第でございます。
  135. 竹田四郎

    竹田四郎君 関連して。ゆうべの新宿のデモについては、私もずっとテレビの報道を実は見ていたわけですが、たしか昨日の午後十一時半に秦野警視総監が記者会見をやられたと思うのです。そのときの記者会見の内容は、現在の状況は騒擾罪を適用するぎりぎりの限界だ、こういうふうに記者団の諸君に話をしておったということが報道をされました。その記者会見の途中におきまして、新宿の南口の階段に放火がされた。それによって三十名程度の駅員の生命の危険が感じられる、こういう事態が起こった。したがって、この放火を契機として騒擾罪の適用に踏み切ったと、こういうふうにその後の記者会見——おそらく零時二十分ごろの記者会見だったろうと思いますが、そのときにそういうことで騒擾罪に踏み切ったと、こういうふうになりますと、先ほどの都内何ヵ所かで起きている、あるいは防衛庁、アメリカ大使館、国会、そうしたところに起きている学生で新宿にあとで移動した者については、これはまた問題は一応別だろうと思うのですが、新宿に移動しなかった者というものについては、これは当然騒擾罪の適用というものは免れるべきではないか、騒擾罪を適用したきっかけがそういうことであれば当然それは免れていいのではないか、こういうふうに私ども報道を見ておりまして思ったわけでありますが、その点はいかがですか。
  136. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) そこは私どもと見解が違うわけですね。騒擾罪はそういうものではないと思っております。まあ罰せられるべき首魁だとかあるいは指揮者という者が現に逮捕の対象になっていなくても、その場にいてもいなくても、事後でいろいろ取り調べた上でこれだということにきまりました場合には、これが国会に行っておろうが、防衛庁に行っておろうが、やはり新宿で踏み切った騒擾罪の対象と私どもは考えております。大体、こういう席に呼び出されて、私は警察を所管しております関係から一人で答弁しておりますけれども、騒擾罪は、御案内のとおりに、現地の指揮官が騒擾罪適用の条件がそろえば踏み切る。しかし、かってなことはできませんので、やはり地検とも協議をいたしまして、判断を請うております。最終段階では、国家公安委員長にも協議をしております。私たちの立場は、公安委員というものはこういう問題に対する国民の世論というものを警察管理の上に反映するのが最大の役割りだと思いますし、ですから最近の公安委員会の席上では、頻発して起こっておりますこういう事案に対してどう対処するか、国民の世論はいかんということを中心話題といたしまして、いろいろ討論をいたしておりました。昨晩は私が委員長としてただ一人おったわけでございますけれども、十分、委員諸君のこういった問題に対処する気がまえというものを、またぎりぎり踏み切らざるを得なくなった周囲の状況、世論等を勘案いたしまして私も対処をいたしたわけでありまして、ですから、いま秦野警視総監が十一時四十分とおっしゃいましたけれども、そのとき記者会見をして、騒擾罪適用のボーダー・ラインぎりぎりの線にあるということを申し上げましたのは、それらの適用条件というものを勘案して、現地の指揮官としてそういう認識を持った、かように考えておるわけでございます。
  137. 竹田四郎

    竹田四郎君 いまのお話で、その他で起きた問題に騒擾罪を適用するか適用しないかという問題は、これは共同意思があったということが明確に認定されたときに適用さるべきであって、それがない時期においてこれを適用されるというのは少しおかしいじゃないかと、こう思うのですが、どうですか。
  138. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) それは全くそのとおりでございます。法律をそういうふうに考えております。
  139. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 刑法の百六条は、ずいぶん昔の法律ですから書き方もちょっとわれわれおかしいと思いますけれども、騒擾罪の適用に踏み切ったということになりましても、たとえば「首魁」は、「首魁」ということばは一体どういうことなのか。それから「他人ヲ指揮シ」ということが、単にやれやれと号令をかけたということが「指揮シ」ということになるのか、あるいはもう少し権限を持った上から命令をして指揮すると、その辺のところ。あるいは「他人に率先シテ勢ヲ助ケタ」といったところで、どういう、これは裁判の争いになってきますと、はたしてそのことが立証されるかどうか。これは治安当局と関係なく独立した司法部としての見解が出てくるだろうと思うのですけれども、騒擾罪の適用に踏み切ったとしても、いま申しました首魁の問題、あるいは他人を指揮した、あるいは他人に勢いをつけたというようなことが、裁判上はたして所期する効果を得るかどうかという問題は、非常にデリケートな問題だと思うのです。騒擾罪の適用ということによって、はたして学生の欲求不満といいますか、学生の行動といいますか、それを今後規制することができるかどうかということに対しては問題があると思うのですけれども、国家公安委員長として、今後学生運動というものはどのようになっていくか、こういう方向でなければもうほかに処理の道はないのかということに対する御意見を伺いたいと思います。
  140. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) 松澤さんも古い法律だとおっしゃいましたが、なるほど平たく考えると、一体この定義はどういうことだろうかと迷わざるを得ない文言もたくさんあります。ですから、先般来、今日の事態に対処いたしますために、現行法で足れりとしないで、やはり解釈を含めて刑法審議会で議論が行なわれている。最近採決まであったわけですが、それを見ましても、いままで現行法での騒擾罪という擾の字も、こんなのは当用漢字にもありませんから、騒動罪と変わるようでありますし、ただいまおっしゃった「首魁ハ」というのも、首魁ということばは平素あまり用いませんから、これは首謀者というふうに変わるようです。それから「他人ヲ指揮シ又ハ他人二率先シテ勢ヲ助ケタル者」というのは、謀議に参与し、群衆を指揮し、もしくは扇動し、または率先して勢いを助けた者というふうに置きかえると、これはだいぶ概念が明確になってくる。また「附和随行シタル者ハ」では、わからぬこともないけれども、これも騒動に参加しまたはこれに関与した者はと、こういうふうになってくれば、だんだんいまのものの考え方と大体一致してきますので、方向はわかるのではないか。ただ、これは法律になったわけではありませんので、前段階の議論の一つでございますけれども、やはりこういうことで次第にただいま御指摘の問題は明らかになってくる、かように考えるわけでございます。  それから、学生運動につきましては、私どもはやはり、こういう無法な学生がなぜ生まれてくるかということにつきましては、これは治安当局が先走ってこういう外にあらわれた行為を取り締まるということで是正するわけにはまいりませんから、これはやはり文教当局の責任において教育というものについて考え直していく必要があるのではなかろうか。しかし、大学の中のことにつきましては、刑事事件でも起こって、そうして大学から協力を求められない限りは、治安当局としては手を出さぬという決意でまいっております。ただ、学生という肩書きがついておるだけで、学外で一般市民に迷惑を及ぼすような行為は許せないので、学生というのは何も別に治外法権的な立場を持っているわけではありませんので、これは一般暴力団と同じように取り締まる、こういうきびしい態度で臨んでいるわけでございまして、将来の学生運動についてどう考えるかということでございますけれども、私どもが学生運動を特に取り締まろうとは考えておらない。ただ、これが法秩序を破壊するような行動に出ます場合におきましては、治安当局としては重大な関心を持たざるを得ませんから、取り締まりの対象にする、こういうふうに考えております。
  141. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 治安当局として、また国家公安委員長として、ただいま、いまの刑法はどうもむずかしいと、まあいま議論している意見の中には、首魁は首謀者であると、こういうようなふうに書き改めるべきではないかという意見があったということです。まあしかし、治安当局としては、現在の法律によって騒擾罪というものを適用してもらわなければ、どこかでそういう意見があったということで、そういう意見まで取り入れて、騒擾罪の内容はこういうふうだということに考えられたら、これはたいへんなことだと思うのです。で私は、ただいまの国家公安委員長の御意見は、全くの私見であると。したがって、昨晩の新宿のいわゆる騒擾事件というものは、現在ある刑法の条文に従ってその処分の内容を考えるということでなければいけないと思うのです。この点少しはっきりしていただかないと、いまどこかにある意見をここに援用してきて言われることは、ちょっと不適当だと思うのです。
  142. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) それは私たいへんな誤解だと思うのです。そのどこかにあった意見ということでなくて、法務省内の法制審議会の刑法部会ですでに案が出まして、第一次案というものが出て、これについて長い間議論が進められておる。その案というものはどういうものかと申しますと、長い間の最高裁の判例だとかいろいろなものを根拠にして、そうして刑法関係の学識経験者でつくられた案、これがいま審議の対象になっているということでございまして、ただどこかから拾ってきたといったような性質のものではありませんので、誤解は解いていただきたいと思います。それから、今回の事案は、冒頭にお断わりいたしましたとおりに、現行法の許す限りにおいてやっておるわけでございまして、それとこれとは全然別問題である。ただ、首魁の意味はどうかとか、あるいは率先助勢——他人を指揮し率先して助勢した者の意味がわかるかとおっしゃいましたから、かりにそういったものはこういうことじゃないでしょうかということを、いまの案を引きまして申し上げたにすぎないわけでございます。
  143. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 なるほど、公安委員長のおっしゃったとおり、私も文言にこだわっているわけじゃない。しかし、大臣が、法務省内の権威のある委員会調査会においてそういう議論が出たと、一次案あるいは二次案ということになったということですけれども、しかし、法律、刑法を改正するといえば国会の審議を経なければならぬでしょう。国会の中でまたどのような意見が起こってくるかもしれない。だから、それはまだ法律としての姿をなしていない意見ですから、そういうことを援用されて議論されることはどうもちょっと困るということを申し上げたわけです。ただ、現行法で判断する場合に、騒擾罪の適用ということをなさっても、裁判における立証なりあるいは効果をあげるということは非常にむずかしいのじゃないかということを私申し上げただけなんです。  時間もだいぶ経過いたしましたので、まあ今後やはり学生運動というものは急に消滅してしまうということは考えられません。これはもう世界的の現象でもあるし、スチューデント・パワーという、体制に対する不平やあるいは批判というものは世界共通の問題だと思うのです。いま赤澤公安委員長の言われましたように、文教の問題は文教当局によってやってもらわなければならぬと、しかし逸脱した者に対してはやはり法をもって臨まなければいけないということは、まことにごもっともなことです。最後に私は、いろいろ学界なんかでも騒擾罪の適用という問題については心配の点もあるしするから、学生運動が続く限り騒擾罪というものは毎回毎回これは発動するのだというようなことであってはいけませんし、もう一つは、いわゆる巻き込まれた傍観者である一般群衆というものと、それをよいとして学生運動を続けようとする人たちと、その間の区別あるいは判別というものは峻厳にやっていただかなければならぬと、こういう御注文を申し上げているわけなんです。
  144. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) 御趣旨はよくわかりました。
  145. 多田省吾

    多田省吾君 昨日の新宿駅周辺の学生デモに対しまして騒擾罪が適用されたわけでありますけれども、いままでの説明でも大体わかりましたが、決定的に適用した理由ですね、また法廷で立証できるという確信を持たれたのは、大体どの点でございますか。
  146. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) 専門家がおりますから、専門家から答弁いたさせます。
  147. 後藤信義

    説明員(後藤信義君) これは、先生御承知のように、先ほどからお話が出ておりまする刑法第百六条の犯罪でございます。これは、先ほど松澤先生おっしゃいましたように、刑法でございますので、非常に簡単明瞭に書いてございます。「多数聚合シテ暴行又ハ脅迫ヲ為シタル者ハ騒擾ノ罪ト為シ左ノ区別二従テ処断ス」とありますが、以下首魁はどうか、あるいは率先した者はどうか、あるいは付和随行者はどれだけ、そういうような構成になっておるわけでございます。  それで、きのうの新宿周辺のあの事態について最近ほとんど適用しておりませんこの騒擾罪を適用したそのきめ手はどうかというお話でございますが、これはすでに大臣からお答えがございましたように、一つには、やはり従来でございますと、学生の不法集団は、機動隊を中心とします警察官の制服部隊を見ると、これに対して石を投げたり、あるいは角材でなぐりかかるというような、そういうようなものが常態でございましたが、きのうの場合は、機動隊目がけて石を投げるというようなことにとどまらないで、機動隊の姿が見えませんでも、交通を、つまり国鉄の交通を麻痺させるような行動をとりました上に、さらに全然関係のない、たまたま停車しておりました電車をも、一枚の正常なガラスもないぐらいにたたき割り、そしてあげくの果てには、中からシートを持ち出して、これに火をつける。そのために、新宿に南口という高いところがございますが、あそこの階段のところにこれをうず高く積みまして火をつけたために、南口に通ずる壁が燃え出して、それがさらに屋根に移り、急を聞いてそこへかけつけました消防車がそれに向ってホースを向けようとすると、ホースの筒先をまた火のほうからのけようとするというような、非常な乱暴ろうぜきを働いたわけでございます。また、交通そのものにつきましても、投石のために石を拾うというようなことの範囲をこえまして、おそらく修理に相当な手間をとるだろうと思います、そのまま進めばおそらく列車が転覆するかもしれない程度に一カ所からひどく石をとるというようなことも行ないましたし、また信号機、これは点滅不可能、つまり石を投げまして信号機が用をなさないようにしてしまいましたわけですから、これは当分国鉄の業務は阻害されて、通常の業務に服するのにはかなり時間がかかるのではないかと思います。また、動員されました学生の数におきましても、これは大体私どものほうで統計をとっておりますが、この前の昭和三十五年の例の安保反対の闘争のころに動員されました学生の数、これに比較しまして、それ以後初めての、最大と申して差しつかえない数の学生が動員されまして、それぞれの計画に従って、最終的にはいま申しましたような形で新宿の駅を中心にたいへんな事態を起こしている、こういうことでございますので、それらを勘案いたしまして、この百六条の適用ということに相なったわけでございます。  申し添えますと、第百六条の、簡単に書いてございますけれども、多数共同して暴行、脅迫ということは、一地方の静ひつを害するに足る暴行、脅迫と、またそうして人数においてもそのような暴行、脅迫をなすに足る多数者でなければならないことが判例の一貫した態度である。私どももまた、そのような観点から今回の事件を見ているわけでございます。
  148. 多田省吾

    多田省吾君 私ももちろん学生諸君の民主的な大衆行動ということを期待いたしますし、また昨日の例は平和、反戦というような目的はありましたでしょうけれども、私たちとしては容認しがたいような暴力行為であると言わざるを得ないとも思っております。しかしながら、やはりこの種の騒擾罪、治安関係の法律の適用については、あくまで慎重を期さなければならないし、また乱用されるようなことがあってはならない、このようにも思っております。先ほど国家公安委員長も、騒擾罪に発展させない努力を極力されたというお話もございました。しかしながら、警察側においても、騒擾罪の適用以前に、群衆整理とか、あるいは予防措置、こういう面でほんとうに効果的な準備が行なわれたか、活動が行なわれたかという観点に関しては、ちょっと疑問が残るようにも思うのです。たとえば、学生が映画の看板やあるいはさくを乗り越えて乱入したとき、あるいは十時から十二時近くまで線路上に多数の群衆が右往左往していたような事態に対して、現地の対策本部長である国鉄側の三坂東鉄の営業部長ですか、この方も、ずいぶん警察に要望したけれども、再三要望したけれども、なかなか来てくれなかったとか、あるいはこんなに人数が少なくて、また弱いものだとは思わなかった、このような正式談話もしているような状況でございますが、このような点に関してほんとうに予防措置あるいは群衆整理に関して遺漏がなかったかどうか、この点をどうお考でございますか。
  149. 後藤信義

    説明員(後藤信義君) 予防措置につきましては、これは警視総監のほうから事前に二十一日の予想される事態を話しまして、あの駅を利用される方々、この方々に事前に御注意といいますか、注意方を喚起した。そういう措置、これは談話の形式でございますけれども、新聞紙上にもあらわれているわけでございます。そのほか交通規制の面におきましては、大体あの地区中心といたしますかなりの地点において迂回措置を講じて交通規制もやったわけでございます。しかし、何せあそこはいろいろな線が入っておりますし、特に地下鉄が通っております関係で、私ども予想しておりましたよりもはるかに数の多い、約二万人をこえるような群衆がたむろしてしまったというような状況になったわけでございます。これらの群衆に対しましては、先ほどからお話がありますように、これは随行者と間違えてはいけませんので、単なる見物あるいはやじ馬というもの、これはできるだけ排除をしたいという考えでおったのでございますけれども、どうしてもこれは相当の力を用いないと整理がつかない。また、学生はこれを巧みに利用しまして、群衆を巻き込んで警察に対抗しようという、そういう考えで動いておったように見られます。私どもは、そういう点につきましては、この前の十月八日の事態にも十分反省を加えまして措置をしたつもりでございますけれども、さらに、きのうの状態から、今後同じような場所で行なわれる場合にどのような交通規制ないしは乗客の誘導をするか、そういうことをさらに検討する必要があると存じます。これは今後とも十分に検討しなければならない問題だと思っているわけでございます。そういうことで、付和随行者というものに一般のいわゆるやじ馬が加わられないようにということは、ゆうべの段階で十分に配慮をして、そうして極力行なっている、こういう次第でございます。
  150. 多田省吾

    多田省吾君 先ほど国家公安委員長が、世論というものも重要視しなければならない、その上でというお話もありましたけれども、昨日のいわゆるテレビやラジオの報道においても、きのうは一万二千の警視庁のいわゆる機動隊その他を動員している。いつもよりも新宿駅周辺の取り締まりに対してはちょっと弱体であり、また遠慮しているような姿も見られたのではないか。それはもちろん一般群衆に危害を与えないという配慮もあったでありましょうけれども、昨日はもう十時から十一時半ころまではまことに無警察状態の姿で、駅の構内、特にプラットホームや線路上でたき火をしたりあるいは動き回ったりする付和随行者プラス一般群衆のような姿もだいぶ見受けられたわけでございます。それに対しても適切なマイク等による指示も与えていないような状況もありましたし、また一面においては、これは一部でありましょうけれども、騒擾罪に踏み切る状況をつくるためにわざと手控えたのではないかというような疑問も報道関係者の間から出たようなこともありました。私どもはそう思いたくありませんけれども、昨日の新宿駅周辺に限っては、特にだいぶ時間がかかったし、そして騒擾罪に踏み切る前にもっと何らかの適切な処置ができたのではないか、このようにも思えるわけでございます。この点に関してはいかがでございますか。
  151. 後藤信義

    説明員(後藤信義君) 私ども決して騒擾罪の適用が可能であるような事態を現出しようなどという考えは毛頭持っておらなかったわけございます。これは、先ほど大臣から御説明ございましたように、当日は、新宿駅が最終の目標ではあるけれども、その前に各派閥ごとにそれぞれの襲撃目標をきめまして、一隊は国会乱入を企図する、一隊はアメリカ大使館の乱入を企図する、一隊は防衛庁乱入を企図する、こういうようなかっこうで、最終的には新宿駅に集まる、こういう計画であったわけでございます。それに対する処置は私どものほうでも十分やっておったつもりでございますが、かなり激しい抵抗、激し活動のやり方で攻撃をかけてまいりましたために、事前に相手を考えておりましたより若干手直しをしております。そうして部隊を転進させまして、防衛庁、あるいは国会、アメリカ大使館の前面といったようなところに配置をいたしましたために、当初いろいろな情報が乱れ飛んだわけでございますが、最終的には新宿に来ることは間違いないので、ここにおいては全力をあげて当たれという目算をしておったわけでございますが、向こうの行動が終息をして、これでだいじょうぶだという見通しがつくまでは、やはり現場を離れにくい状態でございました。たとえば防衛庁の例で申しますと、一たん退散をしたものがさらに時間をかけてもう一ぺん突っ込んでくるというような事態がございましたので、部隊の転用等に若干そごを来たして、いま先生御指摘のような残念な事態になったものと思っております。これは、一万二千、一万四千動員したということになりますと、警視庁の定員から申しますと、三分の一、まだ半分までいかない程度の動員でございますから、これはまだ余力はあるわけでございますが、しかし一般の警察の人員もございますし、それからまた、非常に乱暴な学生を相手にいたしますのには、やはり平素から相当な訓練を積んでおります機動隊を中心にいたしませんと、けが人だけが大きく出ましてなかなか思うような活動ができないということもございます。それからまた、そういうことになれておりませんと、場合によってエキサイトして警察官のほうが余分の実力行使をしてしまうということで、相手にけがを与えるというようなことであってはいけません。相互にけが人を出さないというのが一つの基本方針でありますことは、先ほど大臣からお話があったとおりでございますので、かれこれ考えあわせまして、さらにゆうべの問題は検討はいたしますけれども、どうもきのうの状態から申しますと、あのような事態が現出したのは残念でございますけれども、やむを得なかったというふうに考えておるわけでございます。  それからまた、騒擾罪を適用いたしませんでも、二千名ばかりのものがへいを乗り越えて入ってきたわけでございますし、放火もいたしておるわけでございますから、それはそれぞれの罰条に従って逮捕、検挙することも十分可能であるわけでございますから、あえて騒擾罪を適用しなければ検挙が不可能であったとは考えておらぬわけでございます。したがいまして、騒擾罪の適用のできるような事態を現出をしたんだというようなことは、これは全くの誤解でございます。
  152. 多田省吾

    多田省吾君 先ほど自治大臣が、防衛庁あるいは国会方面において乱入した学生デモに対しては、新宿駅につながる陽動作戦と見られた場合は、今後の調査次第では騒擾罪の対象になるかもしらぬというようなことをおっしゃいましたけれども、陽動作戦ではなくてここに乱入したと認めた上ならば、防衛庁あるいは国会方面の乱入に対しては騒擾罪の適用を今後といえどもしないというようなお考えはあるわけですか。
  153. 後藤信義

    説明員(後藤信義君) 若干法律的な問題にわたりますので、私から便宜お答えをさしていただきたいと思いますが、先ほど大臣がおっしゃいましたのは、最も典型的な形で、もうだれが見ても間違いないという形の騒擾罪、これは戦後十何回騒擾罪で検挙した事例がございます。それらは過半数が騒擾罪と認められまして有罪の確定を見ておるわけでございます。つまり、だれが見ましても、従来の判例その他からいって間違いがない、これは騒擾でやらざるを得ない、やるべきであるというような事態は、新宿駅のあの事態でございます。ただしかし、計画といたしましては、これは先ほど松澤先生からもお話がございました、首魁その他の割り出しをどうするかというようなお話もございましたけれども、これは捜査上の問題でございますから、あまり申すわけにもいかぬと思いますけれども、これは前々から一〇・二一というものを本年の最大の闘争の山場であるということをいわゆる反代々木系の学生が考えておったことは間違いございません。そして、いろいろな機会に幹部がアジっておりますし、またその内容が機関紙にそれぞれ出ております。そういうようなことを見ますというと、二十一日のあの事態は、確かに新宿駅が最終の目標ではございましたけれども、あれだけ孤立して行なわれたのではなくして、それぞれの派閥ごとにどこかで乱暴を働いた上で、さらに新宿駅に集まる、こういうことどでございますから、この事態を新宿駅だけにとめるということは、これはやはり捜査の進展上そうはまいらぬで、全体として考えていく段階もあるだろうと思うのでございます。そういう場合に、状況によりましては、あるいはほかのほうにおいてあらわれた事象につきましても、騒擾罪の適用ができないと割り切ってしまうわけにもまいらない、これは今後の捜査の進め方いかんにかかっておる。しかも、首魁とか率先助勢者あるいは指揮者というようなものは、これは派閥は違いますけれども、それぞれ前段として彼らが考えておりました、どうして国会やアメリカ大使館あるいは防衛庁というものに乱入をしたか、乱入をさせようとしたか、そういうものと同じものが新宿の駅におきましても同様の活動を行なっておるという関係にあるわけでございます。
  154. 多田省吾

    多田省吾君 最後に私は、新宿においては特にサイケデリックな風潮というものもありますし、また十分予想された事態でございます。あらかじめ一般群衆の出方というようなものも相当考えに入れなければならぬのではないかと、このように思います。それに対して、やはり予防措置あるいは群衆整理に対して相当甘く考えておられたのではないかという点ですね、それが騒擾罪を適用せざるを得ないような姿になったのではないか、こういう疑問もございます。騒擾罪はあくまでも慎重に適用すべきものであるということも十分私たちは考えておりますし、また今後政府与党の右傾化や反動性いかんによっては、民主的な大衆行動そのものも騒擾罪等の治安関係の法律の乱用が生ずるのではないかという疑問も当然起こってくるわけでございます。ですから、今後ともこういうことに関してはあくまでも慎重を期していただきたい、こういう要望を申し述べまして、私の質問を終わります。
  155. 津島文治

    委員長津島文治君) 本件に関する調査はこの程度にとどめます。暫時休憩いたします。    午後二時三十分休憩      —————・—————    午後三時十五分開会
  156. 津島文治

    委員長津島文治君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  地方交付税に関する件を議題といたします。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  157. 竹田四郎

    竹田四郎君 大蔵省の主計局の方にお聞きしたいと思いますが、最近何か大蔵省のほうでは、地方財政が非常に好転をしてきて地方自治体は金持ちになった、こういうような話が盛んに飛ばされまして、そして地方交付税の法定比率を何とかしようとかいうような話も出ておるようでありますけれども、大蔵省が見ている、地方財政が金持ちになった、非常に余裕ができたというその根拠は、どういうところからそういうふうにおっしゃられているか、その根拠をおっしゃっていただきたいと思います。
  158. 秋吉良雄

    説明員(秋吉良雄君) 御指摘のように、大蔵省から地方財政をながめた場合に、かなり地方財政は好転をしておるものと私どもは考えております。その点につきましては、いろいろの角度からこれを取り上げて観察する必要があろうかと思いますが、まず一番私どもがその指標としてわかりやすいのは、まず決算を拾ってみたわけでございますが、決算からいたしますと、ちょうど地方財政が危機と言われました昭和三十年の当初でございますけれども、約五百億の赤字でございました。最近は、景気の上昇その他国の財政措置の万般の措置によりまして、かなり決算はよくなってまいっておりまして、四十一年末で申しますと、実質収支とそれから剰余金、実質収支積み立て金を合わせまして約二千億近い金になっております。四十二年度でございますが、これは自治省の御数字は私どもいただいておりませんから、あるいは私どもの推計が間違っておるかもしれませんが、私どもは財務部、財務局から集めました数字を一応披露させていただきますが、二千四百五十億になんなんとする数字になっております。したがいまして、こういった決算状況から見ますと、ちなみに国の場合はどうかと申しますと、国の場合も地方と同じような計算をいたしました場合の剰余金は四十一年度五百三十九億でございます。ところが、御承知のように、そのうち三税の三二%は精算払いをするように運命づけられております。したがって、手元に残りますのはわずか三百五十二億しかない。つまり、こういうような国と地方決算面から見ました実質収支の開きでございます。それからよく言われますように債務の依存率でございますけれども、債務の依存率は国の場合はことしは大幅に国債を減らしまして六千四百億に減らしました。減らしましたけれども、財政規模に対する割合は、やはり債務依存率は一〇・九%でございます。それに対しまして地方の四十三年度財政計画ベースで申しますと、債務依存率は四・二%ということになっておりまして、国の半分以下の債務依存率、その他等々、いろいろございますが、いまは単年度の債務依存率でございますけれども、御案内のように、地方財政は過去から累積の借金がございます。そういった累積残高の債務で比較いたしましても、国の場合はここ数年非常なテンポで国債を発行いたしますけれども、四十二年度末では二兆一千六百七十四億の国債現債額となっております。これに対しまして地方の場合は、四十二年度決算はわかりませんが、御参考までに申しますと、四十一年末は一兆六千九百十一億という数字になっております。それからまた、その他財政が硬直しておるかどうかということの指標といたしまして、経常収支比率というものがございます。また、義務的経費の割合というのがございます。この経常収支比率の割合を申し上げますと、四十三年度の予算で申し上げますと、国の場合は九五%の経常収支率になっております。地方の場合は、いろいろのとり方はあろうかと思いますけれども、約八割の経常収支比率になっておるわけでございます。つまりことばをかえて申し上げますと、国は経常収支の五%しか投資的経費に回す余裕がない、それに対しまして、地方のほうは二割、つまり七千億、国の場合は二千五百億しか回す余裕がない、こういうような経常収支比率になっているわけでございます。その他、当然増経費による財政硬直化の問題とかいろいろございますけれども、そういったいろいろの点から考えまして、国と地方と比較いたしますと、私どもの見たところによりますと、国のほうがはるかに地方より余裕が少なくなっておるということが言えるかと思います。
  159. 竹田四郎

    竹田四郎君 三点ほど根拠をあげられているわけでありますが、しかし、実際の財政運営の内容ですね、こういうものについては、大蔵省としては、地方財政の実際の財政がどういう事態になってこういうふうになってきたかという、そういう点はこまかく御検討になっておるだろうと思うのですが、この委員会の当初においても、二方面に視察した報告も読まれて、御存じだろうと思うのですが、私も中国地方班として行ったわけでありますけれども、いずれの地方自治体に行っても、国の財政援助をもっとくれなければしようがない、こういうことが非常に言われておるわけでありますが、大蔵省はそういう地方財政の実際の各自治体における運営というものを相当程度精査した上でこの三つの根拠というものを持たれたのかどうか、お聞かせをいただきたいと思います。
  160. 秋吉良雄

    説明員(秋吉良雄君) 私どもは、まだここで申し上げるのはどうかと思いますけれども、個々の地方財政の実態調査ということは、実は私ども、大蔵省財務部、各県、それから市町村についていたしております。毎度年一回、定期的にいたしております。それからいたしまして、地方財政の行財政運営についても、私どもは十分把握しておるつもりでございますのみならず、最近の単年度収支で一体一億円以上出た市町村はどういうところがあるか、どういうためにそういう赤字が出たかということも、私ども十分精査をしてつかんでおります。
  161. 竹田四郎

    竹田四郎君 これは自治省財政局長でけっこうでございますけれども、いま大蔵省ではそのようなお話なんですが、自治省のほうでは一体そういうものをどのようににらんでおられるのか、自治省の考え方をお聞かせ願いたい。
  162. 細郷道一

    説明員細郷道一君) 先ほど、地方財政の好転している数字をいろいろあげられたわけであります。数字はいろいろこれはとり方がございまして、いまあげられました数字だけで好転しているということを論ずることはいかがかと思っております。いま地方財政については非常によくなってきたと言いながら、一方では住民一般からは施設が十分でないと言われている、こういった現状の原因はどこにあるのかというふうなことをやはり私どもは総合的にも考えていかなければならぬ。そういう角度から見てまいりますと、私どもは地方財政の数字だけで問題をきめつけることはできないのじゃないか。地方財政は、御承知のように、国の財政と違いまして、三千五百の団体がそれぞれ議会を持って住民の意思を反映しながら財政運営をやっておるわけであります。国が、単一の予算の編成権者であり、予算の執行権者として仕事をしておるのとは、非常に違うわけであります。国の場合でありますれば、国の予算では百円つけたものが百円の仕事をするということでございます。地方の場合には、地方に交付税で百円つけたものは、もう一回地方団体がその百円をどう使うかということを議論をしてきめる。こういう基本の、国の財政地方財政の違う前提をまず理解した上でいろいろ議論を進めなければいけないだろう、こういうふうに思うわけでございます。  私どもは、実は地方財政、先ほども話が出ていましたが、決算昭和三十年ころは五百億の赤字であったものが、いまは黒字が二千億ぐらいになった、こういうお話でございますが、昭和三十年ごろというのは地方財政がどん底の時代でありまして、戦後いろいろできました、六・三制でありますとか、あるいはその他の新しい制度、あるいは海外から引き揚げてまいりました六百万にものぼる住民をどこかにかかえ込み、それを処理していくことで地方財政は塗炭の苦しみをしておったのが昭和二十年代であります。その結果が軒並みに赤字が出た。そこで、このままでは放置できないというので、昭和三十年から財政再建を始めたわけでございます。当時は、国は膨大な余剰金を実は持っておったのであります。そういう一番底の、翌日の飯が食えないような時代と比較して、いまよくなったといえば、私はそれはよくなったと思うのです。よくなるのがあたりまえで、少なくともその生活費だけは当然まかなうべきである。しかし、なおかつ地方財政に対する要望は尽きない。市町村道一つを見ましても、現在舗装率というものは五%ぐらい、下水道にしましても、市街地の面積に対する普及率は二〇%ぐらい、そういったような低い比率で、住民の不満は絶えていない。これはやはり、地方財政をあずかるわれわれといたしましては、単に数字の上で赤黒が出たというだけで議論をしていいのかどうか。そういうふうに考えてまいりますと、もう少し実態を見た上で見ていかなければならないのじゃないか。特に昨今、府県で申しますと、四、五億程度の黒字が出ております。しかし、四、五億程度の黒字——事業をしなければ黒字が出る、事業をしたら赤字になる、これが実態でございます。いまバイパス一キロつくれば五億ぐらいの金はすぐかかるわけでございまして、そういうふうに、仕事をしないで黒字になっている。特に四十一年、四十二年ごろは、景気の変動もあり、国としても、公共事業を伸ばそうとしたり縮めようとしたり、いろいろ政策を転換をしておった時代でございます。地方団体としても、多分にそういう意味では事業の支出抑制をした年でございます。そういったようなことから黒字が出たわけですが、先ほど申し上げましたように、実態の議論からもっと地方財政の姿というものを見て、そうしてむしろ私どもは将来の地方財政はどうあるべきか方向づけをしていくべき段階であろう、こういうふうに考えているわけでございまして、大蔵省流の言われる地方財政好転論には、私どもはくみしない、こういう態度でございます。
  163. 竹田四郎

    竹田四郎君 大蔵省の方に伺うのですが、新聞をごらんになったかどうかわかりませんけれども、「日本経済」の十月十日の日の新聞に、日本経済新聞社が調べた人口急増市町の三年後の推計というのをごらんになりましたか。
  164. 秋吉良雄

    説明員(秋吉良雄君) 遺憾ながら見ておりません。
  165. 竹田四郎

    竹田四郎君 ごらんになっていないというのは、非常に私残念だと思うのです。たとえば、この新聞に出ているところの埼玉県の福岡町、ここの財政事情というのは、数字の上で見ますと、これは非常にいい状況、いわゆる大蔵省で言う金持ちの町だ、こういうふうなことになるわけでありますが、しかし実態を見ると、現実にはそうでありませんで、将来のことを、財政というものを考えてみると、やりたいこともやらないでがまんをしておる、こういうところが実は非常に多いんじゃないかと、こう思うんです。特に公共下水道、あるいは都市下水道、こういうものを見ても、そうしたものが整備をされないために、実際は少し雨が降れば、住民は床下浸水、あるいは交通の途絶、こういうような問題も非常にたくさんあります。あるいはごみの清掃の問題にしても、これは人家はふえていく、清掃処理はどうにもできない。この辺にも非常に大きな問題があるし、あるいは人口急増地域においては、たとえば一番基礎的な義務教育の学校用地の取得、こうした問題もほとんど手が伸びない。したがって子共は、小学生の子供が一里もあるようなところの学校に通わなくちゃならぬ、こういうような、あるいは場所によっては非常に住宅団地は開けてきたけれども、その付近の学校はまさにプレハブの、夏は暑くてしようがない、こういうような教育を受けている。こういう点を実際大蔵省の方というのはごらんになっているのかどうなのか。私どもは、そういう点で見ますと、地方財政金持ち論という点については非常に疑惑を持つわけですが、そういう点は先ほどのお話では各財務部あるいは府県を通じて調査をしているというんですけれども、大蔵省の皆さんは、そういうところへ現実に行ってごらんになってお調べになった上で、幾つかの市町村をごらんになった上でそういうふうに言っていらっしゃるのかどうなのか、その点をひとつお聞きしておきたい。
  166. 秋吉良雄

    説明員(秋吉良雄君) 御指摘の点は、まだまだ地方の行財政需要は多々あって、特にいろんな意味で、公共下水道、あるいは都市下水道、ごみ処理等々、あるいは学校、そういったいろいろの社会資本の立ちおくれとか、あるいはそういった文教施設、あるいは社会福祉施設、そういった施設が非常にまだ多々財政需要があるんだということの御指摘でございます。御指摘のように、そういった問題もございますが、これは私どもは、そういった問題については国と地方が御承知のようにともどもやらなくてはならない問題でございますので、国は補助事業でやり、地方は補助あるいは単独事業でやっておるわけでございますが、こういったことについては、それぞれいま政府において、道路については道路五ヵ年計画六兆六千億、住宅についてやはり五ヵ年計画、あるいは下水道についても五ヵ年計画、それから清掃処理等等、最近では交通安全施設についての三カ年計画、これはことしで切れますけれども、そういった万般の各所においてそれぞれ責任を持って長期計画をつくって現在やっておるわけでございます。それに応じまして、補助事業あるいは財政計画におきましては、そういった財政支出を織り込んで地方財政計画を策定しておるわけでございまして、問題は、そういった個々的において、たとえば人口急増地域において財政が逼迫しているという御指摘でございますが、そういったところについては、従来とも自治省においては特に地方債の活用、充実ということもやっておりますし、また今後とも交付税率については、動態的な配分、傾斜的配分ということにつとめていかなければならない問題かと思っております。
  167. 竹田四郎

    竹田四郎君 大蔵省では、これは新聞で拝見したんですが、まあ地方財政が非常に好転してきたから、今度は国のいろいろ補助金で五〇%以上の補助率になっているところは五〇%に落とそうと、こういうようなことが言われておりますが、これは大蔵省でそのようにお考えになってるんですか、どうですか。
  168. 秋吉良雄

    説明員(秋吉良雄君) 補助金の整理合理化につきましては、政府といたしましては従来とも毎年度努力をいたしております。その際の指針といたしましては、三十八年十二月の補助金等合理化審議会の答申、あるいは臨時行政調査会の改革意見なるものがございまして、それぞれ整理基準、合理化基準があるわけでございます。それにのっとりましていままでもやっておるのでございますが、その中に、高率な補助率は、補助金等合理化審議会の答申によりますと、原則として二分の一であるべきだ、こういう答申内容になっております。その趣旨は、御賢察のとおり、補助率が高くなりますといたずらに事業を拡張する、としかも財政資金の効率的運用をするという意欲を阻害するというようなこと、しかもそれが全体の財政支出を非常に非効率にする、国民の租税がうまくメリットが果たせないような運用になっている、そういうようなことを指摘しておるわけでございまして、そういったことを補助金等合理化審議会の答申でうたわれていることは事実でございまして、私どもあの答申については全くそのとおりだと思っておりますが、問題は、過去いろいろの歴史があって、補助率の高いところもございます、また低いところもございます。それについて今後どうするかという問題でございますが、私ども方向といたしましては、高いものは全部二分の一に一挙に下げることがいいかどうか、それはまたいろいろ今後の検討問題かと思いますが、方向といたしましては、高率な補助率については、ひとつ全体を見直しまして、その実態をいろいろ見きわめて、なるべく補助率を引き下げることをはかろうという考え方でございます。
  169. 竹田四郎

    竹田四郎君 まあ補助率を全体的に引き下げていこうという御意向のようでございますが、補助率の比較的高いというのは、都市計画道路、こうしたものは非常に補助率高いですね。これはたしか三分の二のはずですね、都市計画道路については。四分の三ですか——とにかく高いのです。たしか私は三分の二だと思いましたけれども。しかし、いま一番都市で困っているのは、道路がないということですよね。道路が狭過ぎる、道路が少な過ぎる、これが交通混雑の一番大きい原因になっている。しかも、都市及び都市周辺でそうした道路をつくるということになると、おそらくこれは小さな市町村ではつくり得ない、こういうような状態すらあるわけです。しかも、一般的には地価が上がっている。これは一昨年でしたか、一昨昨年でしたか、政府は不況対策として公共事業を優先的に取り上げて、これには特別事業債までつけて、前半に大体六〇%消化しろということでたいへん市町村のしりをたたいたことがあると思うのです。こういうときには、小さな市町村では単独事業というのは全然できないわけです。その地域その地域の特殊性というものを生かすことは、おそらく全然できないと思う。そうして、少しその財政事情がよくなったから今度はひとつ締める、こういうあり方では、市町村の特殊な住民の要求というものは全然満足される時期がないと思うのですね。そういう点について、少なくとも若干余裕ができたときには、その市町村における社会資本に対する投資というものを高めて、当然その地域の特殊事情を満足させるというのが、私は国の指導であっていいと思うのです。国のぐあいの悪いときにはおれの言うことを聞け、ぐあいがよくなったらお前の金をよこせ、これでは私はあまり国の政策というものが地方住民に対して非常に冷酷なやり方だと思うのですけれども、そういう点についてはどのようにお考えになりますか。
  170. 秋吉良雄

    説明員(秋吉良雄君) 私は、国も地方もお互いが協力をし合って、公経済全体がともども健全な運営をしていくということが、望ましい姿であろうと思います。で、先ほど御指摘がございましたけれども、地方財政は非常に困ったときがございました。その際は、国の財政といたしましては、極力地方財政実情に即するよういろいろな配慮をしてきたわけでございます。たとえて申しますと、地方交付税の交付税率については、昭和四十一年度のときにおいては、当時地方財政計画においては二千五百億の財源不足が見込まれておったわけです。それに対しまして、交付税率二・五%の引き上げによりまして五百八十六億、特例交付金四百十四億、合わせまして一千億の財源措置を講じた。そのほか、ただいま御質問のございました特別事業債千二百億の発行をいたした。そのほか、交付税率はもちろんのこと、臨時地方財政交付金等幾多の交付金が出ております。たとえば四十二年度予算においては、百二十億の臨時地方財政交付金を交付し、また、たとえばたばこ消費税については、二四%であったのを二八・四%に引き上げた等々。また、各種補助率につきましては、過去の地方財政再建ということからいたしまして、公共事業の補助率引き上げがあったわけでございますが、現在それが発展いたしまして、後進地域の補助率引き上げという制度に発展しているわけでございます。等々、いろんなことで、たとえば市町村民税臨時減税補てん債の元利について三分の二の補給とか、あるいは特例事業債の償還交付金については交付団体分は全額交付するとか、そういった各般の措置を実は地方財政の問題について国はやってきておるわけでございます。先ほど私が申し上げましたように、国は債務依存度が一〇・九%であります。地方は四・二%であります。債務現債高は二兆二千億になっております。しかも当然増経費は、本年度では、一応の推計でございますけれども、約七千百億の当然増が期待できる。こういったように、国と財政といたしましては非常に苦しい状況になっているわけであります。私は、国も地方もお互いの財政がともどもやはりそこに有無を通ずる財政運営の円滑化をはかるという形でやるのが一番国民のためにもなるんじゃないかという考え方でいろんな問題について検討を加えておる、こういうことでございます。
  171. 竹田四郎

    竹田四郎君 何か自治省のほうで、最近、人口急増都市の二百三十四市町村ですか、これについて財政需要について御調査になったそうですが、それの結果というものは出ましたですか。
  172. 細郷道一

    説明員細郷道一君) 目下集計中であります。
  173. 竹田四郎

    竹田四郎君 それは大体いつごろ発表されるものでございますか。
  174. 細郷道一

    説明員細郷道一君) 集計いたしまして、よく中身を検討した上で、特にいつ発表するということを考えて実は調査をしたものではございませんで、私どもの執務の参考にしたい、こういうふうに思っております。
  175. 竹田四郎

    竹田四郎君 まだはっきりしないでしょうけれども、四十四年度の基準財政需要額と収入額ですね、これの見込みというのは大体わかりますか、そしてそのアンバランスは大体どのぐらいになるかということわかりませんか。
  176. 細郷道一

    説明員細郷道一君) 財政需要額をやりますときには、国の意図しております法律や予算といったようなことも考慮に入れなければなりません。もちろん地方単独事業も考慮に入れますが、そういったような関係で、ちょっといまの段階ではまだ私どもも取りまとめておりません。
  177. 竹田四郎

    竹田四郎君 それが出ないということですとよくわからないのですが、大体予算の編成期に入ってきまして、現行の三二%ということでやりますと、来年度の交付税総額ですね、これは大体どのぐらいになりそうですか。
  178. 細郷道一

    説明員細郷道一君) たしか一兆三千億ぐらいになると思います。なお、私のほうでは、いま地方財政需要と財政収入を計算いたしまして、足りないからすぐ国から金を出せ、こういうようなやり方ではございませんで、御承知のように、地方には地方税という財源がある。それから地方交付税三二%相当額という財源があるわけでございまして、それを基礎にいたしまして来年の財政のまかないをしていく、こういう考え方でございます。そういう立場に立っておりますので、計算の結果足りない場合に、制度的に何かおかしいことがある、おかしいために足りないのだということであれば、それについて検討を加えてまいらなければなりませんが、もしそういうことでございませんでしたならば、いま申し上げたような財源をもって財政運用をするように指導していきたい、こう思っております。
  179. 竹田四郎

    竹田四郎君 局長さんね、私は、特別な不足額ということじゃなくて、ただ計算上に基づく基準財政需要額と収入額ですね、これは大体どのくらい出そうだということをお尋ねしているわけであって、それをどうしろこうしろということじゃなくて、当然そういうものは交付税なり何なりという財源で充てられるべきものでありますから、その点をお聞きしているんです。
  180. 細郷道一

    説明員細郷道一君) その点は、最初に申し上げましたように、四十四年度についてはまだできておりません。
  181. 竹田四郎

    竹田四郎君 そこで、ことし四十三年度の場合には、交付税の総額から四百五十億ですか、これを国庫のほうに貸し付けをいたしましたね。来年度も、そういう点では、そうした交付税総額と実際の交付額の総計との間に若干の余裕が出てくる可能性があると思うのですが、そういうものが出た場合には、来年度の場合には一体どんなふうに処置をされるつもりですか。
  182. 細郷道一

    説明員細郷道一君) 余裕が出るかどうかということは、今後算定をしてみないとわからないわけでございます。私どもとしては、今年度四百五十億を全額繰り延べいたしましたが、こういう措置は本年度限りの異例の措置というふうに考えております。
  183. 竹田四郎

    竹田四郎君 そうしますと、普通交付税によって交付された総額で余裕が出てきた場合には、これは法定で特別交付税という形で六%ですか、これはその他の態容補正、いろんな補正をやって、そうしたところに交付するようになっておりますけれども、来年度の場合には、そういう場合には、特別交付税という形でそれぞれ関係の府県市町村に交付をされるつもりでいらっしゃるかどうか、この点はどうですか。
  184. 細郷道一

    説明員細郷道一君) 御承知のように、地方交付税の計算にあたりましては、個別の団体ごとに基準財政需要額を算定いたし、個別の団体ごとに基準財政収入額を算定いたしまして、その不足額に地方交付税を平たく言えば案分をいたすわけでございます、その場合に、もし普通交付税の総額を案分してもなお余りがあるということになりますと、法律上その年の年度末の特別交付税に繰り入れをされる、こういうふうになっています。ただ、ここずっと交付税制度、あるいはその前の地方財政平衡交付金制度の時代からかれこれ二十年たっておりますが、普通交付税の算定において年度当初に余ったということはございません。
  185. 竹田四郎

    竹田四郎君 そうすると、去年は無理に交付税総額から四百五十億出した、こういうことになりますか、そうでなくて実際に余ったという意味ですか、どうなんですか。
  186. 細郷道一

    説明員細郷道一君) 去年は無理に四百五十億を出しました。
  187. 竹田四郎

    竹田四郎君 そこで、四十三年度そういうふうなことをするというのは、地方交付税について国のほうが調整をしたりなんかするということは、これはむしろ法律の趣旨に反するんじゃないでしょうか。むしろそれは各市町村でそれをやるべきであって、いろんな条件をつけたり、何かひもをつけたりするということは、むしろ交付税法の趣旨に反するんじゃなかろうかと思うのですが、どうなんですか。
  188. 細郷道一

    説明員細郷道一君) 交付税の大きな目的からは望ましくないことだと思います。したがいまして、昨年四百五十億円を減額繰り延べします際には、交付税法の一部改正をもって国会の御審議をわずらわしました。
  189. 竹田四郎

    竹田四郎君 大体これで結論にしたいと思いますけれども、おそらく先ほどの大蔵省のほうの話ですと、今度大幅にこれを変えてこようという動きがあるわけですね。たとえば三二%を三〇%に率を下げるとか、あるいは国のほうが財政調整をやっていくとか、こういうようなことが盛んに言われて、ある意味では財政制度審議会あたりの答申も一方では得ているようでありますけれども、各市町村としては、まあ私のところへもそうでありますけれども、この交付税の税率を引き下げる、あるいは国のほうが財政調整をやるということについてはかなり強い反対があるわけであります。こうした点に関連して、自治省のほうは一体どういうふうにお考えになって、来年度の交付税についてはどのようにしようとしているのか、この際明確にひとつ自治省の方針をはっきり出していただきたいと思います。
  190. 細郷道一

    説明員細郷道一君) 交付税制度といっても、総額の問題とか、個々の団体の配分の問題とかいろいろございますが、いまの御質疑は総額についての問題だと思います。私どもは来年度も三二%の率を維持する考えであります。いろいろ大蔵省も国庫財政の編成上、御議論があろうかと思いますが、私どもは地方財政の実態から見まして、現行の率をそのまま維持すべきだと、こういうふうに考えております。
  191. 竹田四郎

    竹田四郎君 これで最後にしますけれども、ひとつ大蔵省の主計官のほうにお願いしておきたいと思うのですが、地方財政の実態というのは、大蔵省が数字で考えているほど甘いものじゃないと思うのです。実際は仕事をやりたいんだけれども、それについては相当長期の財源が確保されなければできないからやれない、こういうために出ている黒字、こうしたものがかなり多いと思うのです。そうした実態をつかんで交付税の問題をひとつ取り扱ってもらわなければ、府県、市町村財政というのは住民の要求をささえ切れない、こういうことになるのではなかろうかと思うのですが、その辺について大蔵省はあくまでも税率を引き下げる、あるいは国税全体についての税率にするなり、そういうようなことをあくまでも押し通そうと、こういうふうなお考えなのかどうなのか、少しはその辺にはかなりの幅があるのかどうなのか、あるいはお答えできる範囲ではないかもしれませんけれども、わかっている範囲でお答えをいただきたいと思います。
  192. 秋吉良雄

    説明員(秋吉良雄君) 私どもは、交付税について決して国の一方的な恩恵的な交付金だと、あるいは補助金に準ずるものだと、そういう思い上がった気持ちで交付税を云々しているつもりはさらさらありません。交付税は地方財政運用、財政調整の面から非常に大事なものだということはもちろん十分認識しているわけでございます。地方財政実情も十分私どもは見きわめつつ、かつまた、国の財政とのバランス、そういった国、地方を通じてやはり財政運用の健全化に持っていくということが、方向として望ましいのではないかと思います。したがいまして、交付税率の引き下げ等々のいろいろの問題については、私どもとしては検討に値する問題だと思っており、これをどうするかということはまだ確定、決定を見ていないのですが、いずれにいたしましても検討に値する問題だということで、財政制度審議会等によって審議をわずらわしておる段階でございます。
  193. 竹田四郎

    竹田四郎君 ひとつ自治省のほうでもこの問題については大いにがんばっていただかないと、三百幾つの地方自治団体というのは非常に仕事がやりにくくなると思うのです。そういう意味でひとつ自治省のほうは——私は自治省のほうの考え方のほうがむしろ正しいのじゃないか、大蔵省の考え方は非常に数字的、上っすべりな、地方住民の生活実態がよくわかってないような数字上の考え方ではないか、こういうふうに思うわけです。この前大臣の交付税に対する御意見は承っておりまするけれども、ひとつそうした方針でやっていただきたいということをお願いして、質問を終わります。
  194. 津島文治

    委員長津島文治君) 本件に関する調査はこの程度にとどめます。     —————————————
  195. 津島文治

    委員長津島文治君) 次に、基地交付金に関する件を議題といたします。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  196. 原田立

    ○原田立君 いま地方団体の財政強化のためにということでいろいろ御質問がありましたが、その一つの問題として基地交付金、この問題について若干お伺いしたいと思います。  最近、非常に全国的に都市現象から起こる基地公害が大きな問題となってきておりますが、本年度自治省はこれを四十二億円を概算要求している、このようにお伺いしているわけですが、その四十二億円を概算要求した具体的根拠、それはどういうところなんですか。
  197. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) 基地の交付金の対象となる資産の額を四十四年度推計をいたしまして約三千億円を見込んでおります。それに一・四%相当額を乗じまして四十二億円として概算要求をしているわけでございます。
  198. 原田立

    ○原田立君 内容について。
  199. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) 現行の対象資産になっておりますものが、昭和四十三年度末の推計で、土地で千七百九十六億五千七百万円でございます。建物が四百二億三百万円、工作物が四百三十一億八千八百万円、合計いたしまして、現在対象資産になっておりますものが二千六百三十億四千八百万円でございます。そのほかに私どもかねてから飛行場、演習場の建物、工作物を追加すべきであるとか、あるいは自衛隊の使用しております港湾施設を追加すべきであるとかいうようなことを要求してまいっておりますが、その分といたしまして四百三十二億三千百万円ばかり、合計いたしまして三千六十二億七千九百万円の資産額になるわけでございます。先ほど申し上げましたように、これに百分の一・四を乗じまして四十二億円ばかり要求しておるわけでございます。
  200. 原田立

    ○原田立君 この四十三年度予算に要求した額は同じ四十二億であり、結果としては十九億円にとどまった。そして前年度から比べてみるとわずか二億円の増である、こういうことになるのですけれども、四十三年度四十二億で、また四十二億の要求をしているということなんですけれども、これはもう漸次もっと増加せしめていく問題ではないだろうか、こういうふうに思うのですけれども、どうですか。
  201. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) この基地交付金と言われております国有提供施設等所在市町村助成交付金の問題と関連いたすわけでございますが、私どもといたしましては、一応固定資産にかわるという考え方から、従来から資産価格に対しまして百分の一.四、固定資産税の税率相当分の交付額になるように予算要求をしてきているのでございます。ただいま本年度四十三億を要求したというお話でございましたけれども、昭和四十三年度要求では三十億でございました。来年度はさらにこれに、先ほど申し上げましたような資産の増あるいは新しい対象資産の追加等も考えまして、四十二億円の予算要求をいたしておるわけでございます。結果的には従来から固定資産税相当の要求をしながら、その額になっていないことは、まことに遺憾でございますけれども、この制度が当初できました当時は三十二年度でございましたが、五億円から、その後関係市町村の御協力もございまして、毎年ふえてまいっておりまして、ただいまでは、先ほど御指摘のございましたように、十九億円になっているという状態でございます。この点につきましては、私どもも来年度予算要求にあたりましては、大いに努力してその点の増加をはかりたいと考えております。
  202. 原田立

    ○原田立君 せっかく努力中ということなんだけれども、結論として二億円の増であるということなんですよ。まあ悪いことばで言えば、お涙金みたいなわけじゃないか。ところが現在の基地公害というのは、どんどんどんどん増加してきているときなんですから、そんなみみっちいこと言わないで、基地に交付金というのはもっと手厚くしてやるべきではないか、こういう考え方をしているわけです。ですから四十三年度予算要求、まあ私の記憶では四十二億と、こう思っておったわけですが、四十二年度も同じ四十二億であった、こういうふうに理解しておるもので、いまの局長の説明だと三十億から四十二億にふえたということなんですが、これは固定資産税相当額の半額とかそれ以下という、非常に少ない金額になっているのですね。特殊なことですから、この交付金は、一般の国有財産提供施設に対する考え方と同一に扱うべき性質のものではないか、こういうふうに思うのですけれども、その点はどうですか。
  203. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) 私どもといたしましても、この基地交付金の性格をどう考えるかということは、たいへん大蔵省との間に議論のある問題でございまして、基地公害といわれますようなものにつきましては、基地周辺民生安定法でございますか、そういったものによって、個々の状況に応じて国としては施策を講じていくというようなことになっておりますことでもございまして、私どもとしてはやはりこの基地交付金は、そういった基地におけるいろいろな財政事情ということも考えてまいらなければなりませんが、基本的にはやはり基地が所在するので、相当大規模な資産があるにかかわらず、固定資産税があがらないということに対するいわば代償的な措置として考えられていくのが適当ではないか、かように考えておりまして、従来から固定資産税相当額になるよう予算要求を続けてきているわけでございます。ただ実績は、ただいま御指摘がございましたように、必ずしもその水準に達していないということはまことに遺憾でございます。今後とも私どもといたしましては増加をはかっていきたい、かように考えております。
  204. 原田立

    ○原田立君 せっかく努力中ということだが、見通しはどうですか。また、二億円ばかりふえて、それで努力したのだというようなことでは、はなはだ不満足です。
  205. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) 見通しといわれましても、私どもといたしましては、四十二億円の予算要求をしております以上は、四十二億円に向かって努力をするという以外に申し上げることはないわけでございます。私どもとしては、その線に向かって最大の努力をしていきたいというふうに考えております。
  206. 原田立

    ○原田立君 最大の努力を払うということだけれども、今度の防衛施設庁関係の明年度の予算要求を見ても二百四十九億、前年度から比べてみると四七%増、こうなっております。しかるに自治省基地交付金に対しては、来年度の予算要求は前年度と全く同額であるということになると、何かその点非常にちぐはぐな感じをしないでもない、感じがするわけなんです。ですから防衛施設庁関係では四七%増である、基地交付金においてももっともっと手厚くすべきである、こういうふうに考えるのですけれども、そういう点どうですか。
  207. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) 昨年度の予算要求は、実現しなかったものを申し上げてもどうかと思いまするけれども、三十億円ばかりございますので、今年度の予算要求十二億増は約四割増ということになろうかと思います。問題は幾ら要求をするかということももちろん重要なことでございますけれども、結果が幾らであるかということのほうがより重要でございますので、私どもといたしましては、要求をした以上、その金額になるように、十分積算の基礎も私どもとして確かめた上での要求でございますので、その要求が実現するよう努力をしていきたいと考えております。
  208. 原田立

    ○原田立君 いまの局長のお話の中で、性格上の問題もあるけれども、固定資産税相当額を、それをそのまま与えて交付していく、当然そういう考えなんだということなんですけれども、それは確認していいんですね。
  209. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) 私どもといたしましては、固定資産税相当額ということで予算要求をいたしておりますし、そういう方向で金額の獲得をしていきたい、かように考えております。
  210. 原田立

    ○原田立君 これが実際にはそういう結果になっていないわけです。大蔵省のほうは、この基地交付金についてどういうふうにお考えであるのか、また来年度の予算要求に対して、またことしと同じような断を下すのか、基本的な考え方はいかがですか。
  211. 秋吉良雄

    説明員(秋吉良雄君) お答えをいたします。  従来の経緯がちょっとわかりませんが、いまの先生の御質問について的確な答弁にならないかもしれませんが、私ども国有提供施設等所在市町村助成交付金、いわゆる基地交付金でございますが、これはもう先生方に私からこんなことを申し上げるのはいかがかと思いますが、毎年度予算で定める範囲内において助成交付する金であるということに相なっておるわけでございます。したがいまして、私ども大蔵省の立場といたしましては、これが固定資産税並みというふうに、私どもつまり固定資産にかわるべき代償措置であるというふうには私ども考えてないわけでございます。これは法律にもその点は十分うかがわれるかと思います。したがって、普通固定資産税でございますと地方税でございますから、基準財政収入の計算をいたします場合に、その基準財政収入の中に織り込むわけでございますが、この基地交付金は、したがって基準財政収入から別ワクにしてございます等々からいたしまして、私どもは、したがってこの交付金の性格は、やはり駐留軍または自衛隊の飛行場とか演習地の所在することによって市町村の特別な財政需要があるのだ、あるいは住民感情、そういったことに着目いたしまして、予算の範囲内において助成交付するもの、こういう考え方に立っております。したがいまして、固定資産税の評価額が上がったからといい、あるいは固定資産税相当額の一・四%にしろというような考え方につきましては、私どもといたしましては、そういう考え方はとらずに、それは従来の過去の予算措置に従っている、こういうことだと思っております。
  212. 原田立

    ○原田立君 局長の先ほど言われているようなことと、大蔵省の考え方は全然違うのですな、これでは幾ら予算要求したって、四十二億要求して十九億に削られるのはあたりまえじゃないかというような感じがいたします。先ほども竹田委員の質問の中にもあったように、とにかく何かこう一つの問題について、大蔵省と自治省と考え方が非常にかけ違っているのですね。これはもう少し内部でしっかりお話し合いになって、全部内閣の責任なんですから、各省の責任で分担してやるのだということでなしに、もっとはっきりしたものになりませんか。
  213. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) 一つのものについていろいろな考え方があることは、これはもうそれぞれ考えることでございますので、絶対そういう考え方はしてはいかぬとか、していいとかいうことにはいかぬことかもしれませんが、私どもといたしましては、基地交付金というものができた趣旨が、やはり広大な面積を飛行場等で占めておると、そのために、それが民間の所有地であるならば、固定資産税が当然あがっているはずのものが、やはりあがらない、こういうような事情を考慮してきめられたものというふうに考えております。法律形式的には、ただいま主計官からお話がございましたように、毎年度予算の範囲内で云々というような文句もございます。しかしまた他面を言いますならば、当該固定資産の価格などを基準にしてやるというたてまえになっておりますことは、やはり固定資産税的性格を強く持っているのじゃないかというふうにも言えるわけでございまして、その点についての意見の食い違いというものは、私どもできるだけ努力をいたしまして、調整をしてまいりたいと考えております。
  214. 原田立

    ○原田立君 そうすると、自治省としては、そういう固定資産税並みの交付金を交付するようにせっかく努力すると、これは当然国の義務だ、そういうことで強硬に交渉していくという、こういうふうに理解してよろしゅうございますね。
  215. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) 私どもそう考えております。
  216. 原田立

    ○原田立君 私のほうはそう考えているといっても、実際問題そういうふうになっていないところに問題があるわけですよ。局長の先ほどの四十三年度の実績、数字あげましたが、まさかそんなことになるとは、来年度そんなことになるとは思わないけれども、しっかり努力してもらいたいと思う。  大臣、中座しておられたけれども、基地交付金のことですけれども、四十三年度が四十二億の予算要求で十九億、前年度から二億プラスであった。また来年度も四十二億だというお話を聞き、それでは自治省としては、考え方は後退しているのじゃないか。防衛庁では四七%増というような防衛施設費関係をプラスしていま要求している最中ですね。また固定資産税並みのものを支給するというのは、地方財政強化するために当然の考え方として、強い態度でいくんだといまの局長の答弁、大臣としてはその点いかがですか。基地交付金をもっと手厚く、現段階においてもっと手厚くしていくべきではないかと、こういう考え方を持っているんだが、その点どうですか。
  217. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) 基地交付金は、最初五億という妙な数字から始まって、毎年わずかずつ予算編成のたびにありまして、今日十九億までやっと達しましたけれども、しかし、総資産の、固定資産税の算定方法を普通適用いたしました場合には四十二億になる。よほど金額に開きがありますけれども、おい立ちの点もありますし、これを一挙に四十数億円といいましても、なかなかそこまでは至りませんので、しかしながら、さらに次年度も増額するべく努力はしておりますが、別に基地対策費として基地周辺整備法というものによりまして予算を獲得することになっている。それで基地交付金は言うまでもなく一般財源ですから、何も特に基地周辺の住民に恩恵を与えるものではありませんが、もう一方の基地周辺整備法と申しますのは、実際騒音、その他基地の所在することによって生活に何らかの影響を受けている方々のためにいろいろな施設を整えるという意味でございまして、これも急速に——これは自治省の所管ではありませんけれども、急速に予算を増大するようにこれはこれで努力を継続しております。
  218. 津島文治

    委員長津島文治君) 本件に関する調査はこの程度にとどめます。     —————————————
  219. 津島文治

    委員長津島文治君) 次に、たばこ消費税制度に関する件を議題といたします。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  220. 原田立

    ○原田立君 実は、たばこ消費税制度国鉄納付金、それから基地政策問題、いまの基地交付金と、大体四つ御質問をしたいと思っておるのですが、委員長のほうで一つ一つ区切られるのでちょっとやりにくくてしようがないのですけれども、まああまりくどくならないようにしてやってまいりたいと思います。  最近、税制調査会が長期税制の答申を出しましたけれども、大蔵省は、地方財政好転論を理由に、地方交付税をはじめとして一連の地方財政の圧縮計画を練っておるような感じがするわけなんですが、この問題は、乏しい地方財源に一そうの重圧を加えることにもなり、専売制度に対する根本問題になるので、まず大蔵省にお伺いしたいのですが、このたばこ消費税制度の導入についてどういうお考えなのか、お伺いしたい。
  221. 平井廸郎

    説明員(平井廸郎君) ただいま先生から御指摘がございましたように、七月に長期税制に関する答申が税制調査会から出されまして、その中で、現在の専売納付金制度をたばこ消費税制度に改める等の制度改正について、すみやかに検討するようにという結論が出されているわけでございます。御承知のように、現在のたばこ専売制度は、公社制度が昭和二十四年に実施されまして、専売公社が創設されて以来、専売公社の手によって運営され、その専売公社がたばこの販売によりまして、総収益から総損失を差し引きまして、一部資産の増額に充てるために留保されるものを除いて、全部納付金として国に納付されるという制度をとっているわけでございます。このような制度をとっていることもありまして、健全にして能率的な経営を目途としてつくられた公社制度が、必ずしも十分な目的を果たしていないというような世間の批判から、その一つの原因としての、総収益から総損失を引いたものが結果的に専売納付金になるというような制度では、経営についての計数的な基準もなく、かつその能率化のための基盤になっていないというような批判があったわけでございます。このような批判を受けまして、各種調査会等でいろいろな検討はされてまいったわけでございますが、その後先生が先ほど御指摘になりました税制調査会におきまして、昭和四十一年度から引き続き数年間、実質的に消費税でありながら、形式的に納付金というような形をとっているために、いわば意図せざる減税が毎年のように行なわれていることは妥当でない。やはり消費税として、実質的な消費税として含まれているものを、はっきりした消費税相当部分と公社の利益相当部分に分離すべきである、こういう考え方が強く打ち出されてまいったわけでございます。さらに近年におきます地方たばこ消費税制度の相次ぐ率の引き上げ等もございまして、実質的に見て国の専売制度としてつくられたたばこの専売制度は、次第にその財政専売の実を失いつつあるというような点も指摘されたわけでございまして、こういった点を前提といたしまして、先ほどの税制調査会の答申が出されたというようなことになっているわけでございます。  このような答申と、一方には、本年の五月から実施されましたたばこの定価引き上げに際して、それが公社の経費の増高によるものか、あるいは国の財政需要によるものかというような点も問題になりまして、このような点からも専売納付金制度というものについて、あらためて考え直すべきだというような意見が出てまいりまして、この点につきましては、大蔵大臣の諮問機関でございます専売事業審議会におきまして、二月以来検討は重ねられてまいったわけでございます。その検討の結果といたしまして、先般専売事業審議会として、いろいろの問題はございますけれども、この際、地方たばこ消費税との調整をはかって、国として、たばこ消費税制度を創設すべきであるという御結論をいただいたわけでございます。また、先生も御指摘のとおり、これは財政制度の一環としての大きな意味も持っておりますので、財政制度審議会におきましてもこの問題は取り上げられまして、昨日その総会におきまして、やはりこの際積極的に制度改正に取り組んで、消費税制度を導入すべきであるという御結論をいただいたわけでございます。  消費税制度の導入にあたりまして、地方たばこ消費税との調整が制度的に問題になる点を申し上げますならば、御承知のように、現在の地方たばこ消費税は、前年度におきまする全国のたばこ売り上げ高を本数で割りまして、いわば全国的な平均単価を基準にして、これに本年度の各府県なり市町村の販売本数をかけて、それぞれの団体にその一定率を税金として差し上げる、こういう形をとっております。いわば消費税という名前を持っておりますけれども、実質的に見て譲与税的な、財源配分的な性質を持った制度になっているわけでございます。そこで一方、国におきまして、先ほど申し上げましたような経緯で実質的な消費税制度をつくるということになりますと、いま申し上げましたような、いわば形式は消費税であるが、実質は譲与税的な内容を持った、財源調整的な内容を持った地方たばこ消費税につきましては、何らかの意味で調整をはからねばならないということは、当然の結論として出てまいるわけでございまして、そういう意味におきまして、これから以上のような審議会なり調査会の御結論を得まして、来月以降、税制調査会におきまして本格的な御審議をいただくということになろうと考えておる次第でございます。
  222. 原田立

    ○原田立君 いろいろ御説明あったのだけれども、結局大蔵当局は、酒税や、あるいはビールの蔵出しの時点で課税する、そういうような国が先取りする方式に改正しようという考え方だろうと思うのですが、これに対して自治省はどうなんですか。
  223. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) 国の税制として、現在の専売納付金制度をやめて、たばこ消費税制度に切りかえるという問題でございますが、私どもといたしましては、現在すでに地方は、たばこ消費税という形で税を納めていただいております。したがいまして、国のほうがたばこ消費税に改めることはいかんのだということには必ずしもならないと思いますが、ただ私どもといたしましては、国がどういうふうに制度を改めようと、そのこと自体は、何も地方団体の現在納めてもらっておりますたばこ消費税に影響を与えるものであってはならないというふうに考えております。
  224. 原田立

    ○原田立君 影響を与えてはいけないものだというわけですね。この制度を導入して現在のたばこ売り上げ高の二八・四%、これを地方団体収入分として維持できる見通しはあるのですか。
  225. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) 私ども二八・四%によって得られます税収入を動かさないというふうに考ええておりませんので、国のほうでどういう改正をされようとも、この額は確保していくべきものと考えております。
  226. 原田立

    ○原田立君 これは減るのじゃないかということがもっぱらいわれておるわけです。そういう心配はありませんか。
  227. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) いまお話のございましたのは、多過ぎるという意味でございますか、ちょっと私先生の御質問よくわからなかったんですが、おそれ入りますが……。
  228. 原田立

    ○原田立君 要するに、たばこ売り上げ高の二八・四%を、その分だけ維持できるかどうかというんですよ。
  229. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) 先ほども申し上げましたように、それは維持していくべきものというふうに考えております。
  230. 原田立

    ○原田立君 要するに、地方財源を減らしてはならない、消費税制度を導入して、そうして地方財政を圧迫するようなことになってはならない、そういう点を私は言いたい。そういう心配は要らないのか、心配はないのか。一連の話によれば、こういういろいろな制度を導入して、いろいろなことを考えて、地方交付税のことにしてもしかり、たばこ消費税のことにしてもしかり、何か地方財政好転論とか何とかということで圧迫して、地方財政をずっと圧縮しようというそういう動きがわれわれとして見える。だから今度のたばこ消費税等によって地方財政が圧迫されるような心配はないのかということをさっきから聞いておる。
  231. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) 国がたばこ消費税制度を導入するかどうかということと、地方のたばこ消費税の多い少ないの議論とは、私は別の問題ではないかというふうに考えております。現在のたばこ消費税が多いとか少ないとかということは、それは人によってあり得ると思いますけれども、それはそれとしての議論はあるのかもしれませんが、国がたばこ消費税を導入するから多くなったり少なくなったりするという問題ではないと私は思いますので、したがいまして、国がたばこ消費税制度を導入するからといって、たばこ消費税を減らすとか、減らさないとかいう問題とは別の問題というふうに考えております。
  232. 原田立

    ○原田立君 たばこ消費税制度の導入にあたって一応心配されることは、消費税制度を採用した場合に、あらかじめ一定の定められた税率で消費税を徴収する場合、早晩経営が行き詰まって、その税率で耐えられなくなりはしないかというようなことがいわれているのですが、大蔵省どうですか。
  233. 平井廸郎

    説明員(平井廸郎君) 国が消費税制度を導入いたします場合に、消費税の税率をどのように決定するかという問題があるわけでありますが、この問題も、今後税制調査会等におきまして、税体系等の御検討をいただいた上決定される問題でありますから、いまの段階でどういうふうになるということも、必ずしもはっきりと申し上げることにはならないと思いますが、一応専売事業審議会で御答申をいただきました税率についての考え方を申し上げてみますと、消費税制度は、現在の納付金制度から切りかえられるという事態を前提といたしますと、一応は専売公社のたばこ事業についての益金率というものがめどになることは当然であろうと思います。ただ益金率そのものの、いわば長期的な見通しというものも立てた上で考えなければならぬと思いますし、さらに専売公社自体が、今後増加していく固定資産の設備投資であるとか、あるいは在庫投資に充てるための内部留保というものも確保されておりませんと、先生御指摘のように、経営上非常に困難な事態というのも起こってこようかと思いますので、そういうものについても、これに必要な適正な内部留保が確保されることが望ましいと、こういうことを言っておるわけでございます。  さらにそのほかに、消費税制度の導入に伴いまして、将来におきましては、民間資金を借り入れるというような事態も起こってこようかと考えられますが、そのような事態のことをも考えまして、先ほど申し上げた益金率の算定にあたって、金利概念を導入して、そういった要素についてもしんしゃくを加える必要があろうと、こういうことを考えておる次第でございます。もちろんこのような内部留保なり、あるいは益金率の計算についての長期的な計算をいたした上におきましても、今後において一般的な物価の動向その他によりまして、永久に定価の改定が行なわれないという事態は必ずしも予想できないわけでありまして、長い期間のうちには、あるいは公社の経営が行き詰まって、そのために小売り定価を引き上げなければならないという事態は起こってこようかと思いますが、これはそういった事態におきましては、当然一般的な消費水準の上昇なり、あるいは物価の上昇とにらみ合わして検討されるべき問題であろうというふうに考えている次第でございます。
  234. 原田立

    ○原田立君 じゃ、たばこ消費税はこのくらいで終わりにしたいと思うんですが、松島局長、たばこ消費税制度の導入にあたって、先ほどの質問とちょっとダブリますけれども、専売公社自身の内部構造の問題で、その益金が、その純益が下がっているような問題を、地方財源であるたばこ消費税そのものに手をつけるというのは、これは筋違いじゃないか。それと私が特に心配するのは、地方財源にマイナスになるような影響性はないのかどうか、たばこ消費税の導入ということがですね。その御見解はどうですか。
  235. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) たばこ消費税制度を国が導入します場合に、どういうやり方でやるかという点については、ただいま平井監理官からもお話がございましたように、まだ具体的にきまっているようでもございませんので、私何とも申し上げかねますけれども、ただ、基本的な考え方といたしましては、すでに地方には地方のたばこ消費税があるわけでございまして、それを国がいろいろな事情で消費税にかえるからといって、地方たばこ消費税の収入に影響を及ぼすようなかえ方をそこでしなければならないという理由は私はないと思いますので、したがいまして、そういうことにならないように、私どもとしては努力をしていきたいと、かように考えております。
  236. 津島文治

    委員長津島文治君) 本件に関する調査はこの程度にとどめます。     —————————————
  237. 津島文治

    委員長津島文治君) 国鉄納付金に関する件を議題といたします。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  238. 原田立

    ○原田立君 国鉄は昨年に引き続いて納付金の廃止を主張して、関係方面に要請しておりますが、納付金の廃止をもって国鉄の赤字対策の一環とするようなことは、全国二千余の関係市町村としても断じて承認できない、こういうふうに思うのでありますが、大蔵省はこの点、国鉄納付金のことについ、どういうふうに思われているのか、この点はいかがですか。——じゃ、自治省
  239. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) 国鉄納付金につきましては、国鉄の経営が最近非常に困難になってきたことから、できるだけ経費を切り詰めていきたい、その一環として国鉄納付金を廃止してもらいたいという御要望がありますことは、御承知のとおりでございます。しかしながら、私どもといたしましては、この納付金制度は、単に国鉄だけの問題でもございません。申し上げるまでもなく、専売公社あるいは電電公社にも納めていただいているものでございますので、国鉄にだけこれを廃止するということは考えられないことでございます。また同じような仕事をしております民間の鉄道につきましても、固定資産税を納めていただいておるわけでございます。国鉄だけが納められないという理由もないのではないかというふうに考えておりますので、私どもといたしましては、国鉄納付金を廃止するというような考え方は持っておりません。
  240. 原田立

    ○原田立君 国鉄のほうではいろんなことを理由にあげて言っているんですね。その中で、納付金は市町村財政に対する臨時的な赤字対策として設けられた、こういうことを言っているんですけれども、これはまさか自治省としては容認しないだろうと思うのだけれども、その点どうですか。
  241. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) この国鉄納付金ができましたのは昭和三十一年度であったかと思います。その当時は、御案内のとおり、地方財政が非常に窮迫をしておった時代でございます。たまたま、そういう時代に設けられましたので、国鉄側では、市町村赤字救済のために設けたのだというようなことを言っておられるように承っております。しかし、国鉄に対します固定資産税相当額課税の問題は、昭和三十一年度ごろ、すなわち地方財政赤字になったころに突如として出てきた問題ではございません。現在の地方税法でありますシャウプ勧告に基づく地方税法ができましたその当時も、国鉄に対する課税については検討すべきであるという条文があって、検討が進められてきたものでございます。そういうことから、この地方税法ができまして以来、国鉄、三公社に対する課税ということは、常に問題にされてきたのでございますが、たまたまその時期がいまのような時期に当たったというだけでございまして、制度としては私は恒久的な制度である、また、そうでなければならないというふうに考えております。
  242. 原田立

    ○原田立君 ことしのその廃止するとかしないとかいうときの予算要求のときに、こんなことを言うとたいへん失礼だけれども、まことに、いまや廃止寸前、廃止確定的なような、そんなようなニュアンスを受けて、自治省もう少ししっかり腰据えてやったらどうだというような感じを実は持ったわけです。ところが、また根強くことしも同じような主張をしているということになると、もうここら辺でそろそろ自治省も腰くだけするんじゃないかという心配もするわけですが、まさかそんなことはないだろうと思うんですけれども、これは最後に大臣に、国鉄納付金、その他の公社等の納付金についても、今後もずっと存続するのである、こういうふうにきちんとした確定的なこととして受け取っていてよろしいんでしょうか。
  243. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) 私どもといたしましては、国鉄納付金を廃止するという意思は持っておりません。
  244. 原田立

    ○原田立君 じゃ、このことは担当の局長は、もう絶対廃止しないということでがんばるのだそうだから、それはそれで了解しておきます。あと大臣お見えになったらば、最終的に大臣のお考えをお聞きして、この国鉄納付金のことについては、がたがた言ってもしようがありませんから、終わりにします。
  245. 津島文治

    委員長津島文治君) 本件に関する調査はこの程度にとどめます。     —————————————
  246. 津島文治

    委員長津島文治君) 次に、広域行政に関する件を議題といたします。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  247. 原田立

    ○原田立君 広域行政問題についてですが、これは過密問題、また過疎問題等が、日本の宿命的に受けたような課題としていま大きくクローズアップされているわけですが、自治省は、特性ある地域づくり、町づくり、この促進を目ざし、広域市町村圏、この広域行政体制の整備をはかるというような方針があると承っておりますが、四十四年度には新たに二億五千万円余の予算を概算計上しておりますが、その具体的内容についてお伺いいたしたい。
  248. 長野士郎

    説明員長野士郎君) 広域市町村圏ということで、最近の住民生活が都市化し、広域化しておりますとともに、都市地域のみならず、農村地域にわたりまして、住民の日常生活圏におきますところの一体的な地域社会というものが、次第に広い広がりで形成されつつある、そういうところに着目をいたしまして、そういう広がりの圏域というもので施設整備をいたしまして、圏域内の各市町村との間の有機的な連携を遂げていくと、こういうかっこうをいたしたいということでございますが、現在ずっと検討中でございまして、そういう意味でそういう市町村圏というものが府県の中に形成され、圏域というものがきめられていくわけでございますが、そういうものの計画を立てますために、とりあえず四十四年度におきまして、百地域ぐらい、そして一地域計画策定に要する経費ということで二百五十万ぐらいというので、二億五千万円という予算要求をいたしております。
  249. 原田立

    ○原田立君 いろいろ広域市町村圏構悪とか、中核都市構想とか、計画が出されるのは、計画をつくるということ自体は何ら悪いことはないんだけれども、それを聞いてみると、もうバラ色の町づくりというようなことで、非常にけっこうな話だが、はたしてこれが現実になるんだろうか、どうだろうかということが一般の大きな疑問点になっている。この点は、まさかそんなふうになることはあるまいと思うけれども、その点はいかがですか。実際に、現実に、本気になってやっていく決心で計画を発表なさったんだろうと思うけれども、その点のお考えはどうですか。
  250. 長野士郎

    説明員長野士郎君) 現在そういう考え方は、まあ社会経済の非常な伸展に伴いますところの実態としては、発想が、一市町村内での日常生活圏域というものが一市町村内にとどまらない現実でございますので、それに着目して、関係市町村協力しながら、そういう住民の生活実態に伴いますところのいろんな行政需要というものに対応する仕組みをつくっていきたい、こういうことでございますから、そしてまた、そのために必要があれば、行政体制というものも整えるようなことを考えてみたいということで、せっかく検討中でございます。したがいまして、まあほかにも、何と申しますか、日常生活圏域とか中核都市とか、いろんな考え方が関係のところで出ておるように私ども伺っておりますが、いずれにいたしましても、そういうものの考え方は、大体非常に近い考え方でございます。その考え方をひとつ相互に調節をはかりまして、そしてこの地域、圏域におけるところの各種の振興施策というものを総合し、統一いたしまして展開をするようにぜひともしてまいりたい。  現在そういう構想が一応新聞等に出たことからいろいろ反響を呼んでおりますが、各県におきましても、すでにそういう意味での圏域というものについてのものの考え方が、非常に現実の準備態勢として進められているような状況でございます。自治省としてはそういう圏域づくり、地域づくりを、地域の特性に応じた施策を十分実現できるように努力をしてまいりたいと考えております。
  251. 原田立

    ○原田立君 その自治省や建設省や経済企画庁、また大蔵省、そういうところでいろいろな構想が打ち出されております。いまも局長がお話しあったように、ある程度類似点があるので、これから話を一そう煮詰めていくんだということですけれども、これはただ単に、また行政機関の割拠主義でばらばらになりはしないかという、そういう心配をするのですけれども、そういう点どうですか。
  252. 長野士郎

    説明員長野士郎君) そういう割拠主義におちいりませんようにいたしますために、やはり広域市町村圏というものに総合的な計画、そういういろんな各省の施策を当然に取り込みまして一つにしまして、これはもろちん市町村圏が中心になって圏域を、総合施策というものを推進していくと、こういう体制をつくることによりまして、各省のいろんな縦割り行政の矛盾というものを統合するようにしていきたい、こう考えておるわけでございますから、こういう体制に進むことが、すなわちいま御懸念のございました問題を解消するということに非常に役立つものだと考えております。
  253. 原田立

    ○原田立君 解決しますか、ほんとうにいままでの例からいって。自治大臣がいる前でこんなことを言うとおかしいけれども、非常に、あまり自治省は力がないと、こんなふうにいわれて、いつもうしろのほうにくっついているというような批判が非常に多い。ましてや、こういう四つの省で、こうやって並行的に計画が打ち出された。並行的な横の連絡だけで広域市町村構想というものがうまくいく自信がおありですか。これはちょっと前途を考えると非常にあやぶむような気持ちが強いのです。
  254. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) 自治省は何も各省のうしろにくっついて歩いているわけではありません。結局構想は同じことに出発をしておると思うのです。国土の均衡ある発展ということから申しますと、何せ人口吸収力の強い大都市に、その発展するままにまかしておくわけにまいりませんので、その分散計画は企画庁あるいは通産、それぞれ所管を通じて、新産都市であるとか、あるいは工特地域、こういうものを盛んに指定をいたしておりますが、これはやはり自然的な条件に左右されるわけでございまして、なかなか所期の効果を十分あげにくい。しかし一方、やはり各地域にはそれぞれ生活圏というものをつくりませんと、どうしても東京や大阪に人が流れる。そのためには、やはりある程度の文化生活あるいは医療水準、こういったものがある地域地域中心としての生活圏、経済圏を考える必要がどうしても生まれてくる。そのために、建設省は建設省なりの、農林省は農林省なりの、それぞれの所管を通じてそういう案を立てておりますし、われわれのほうといたしましても、やはり地方住民を一番お世話する立場にありますので、こういった日常生活圏と申しますか、広域市町村圏という構想をもって全国をまんべんなく繁栄させようという構想はありますが、これはみなそれぞれ違っていると申しますというよりは、発想は同じでございます。そこでこういうものは各省てんでんばらばら、あるいはどこがリードするということでなくて、やはりその主管省は経済企画庁であると思います。そこで全国の総合開発計画をいま立案中でございますけれども、宮澤君の構想はやはりそれを第一部とするならば、各省が持っている、また各地方団体、都道府県あたりが持っております地域内の開発計画というものは第二部という考え方で、それを調整したものを全国開発計画といたしたいという構想のようでございまするので、私どもは、そういうことにも期待をいたしておりまして、自治省の思うとおりに各省を引っぱろうといってもできないことでございますので、やはりそこには構想は同じことでございますので、共通点を見つけて、そうして朝令暮改でない形で、やはり二十年、三十年動かさない構想で諸政策を進めていきたいと、かように考えているわけでございます。
  255. 原田立

    ○原田立君 自治省で過日各地方のいろいろ行政簡素化の問題等についていろいろお調べになった。その調べられた中で、一つの意見として、公害行政、これを各省ばらばらでやるのでなくて、一つに、一元的にしてくれというような意見が非常に強かったと、あの中にもあったのですけれども、今後の日本の都市問題というのは、非常に大きな問題だろうと思うのです。公害以上の大きな問題じゃないかと思うのです。これをいわゆる縦割りですね、縦割りだけで、はたしてうまくいくのかどうか、非常に私は疑問に思うのです。この国で打ち出した広域市町村圏ですか、これを打ち出していくための、何らかの一元的にしていくような、そこできちっと予算措置もしていく、立案もしていくというような、一元的にやっていくような、そういう構想はないのですか。
  256. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) これは私としては、やはり公害行政は所管は厚生省だと考えております。それから実際それを実行いたします下部機構は地方団体にやらすべきであるということは、やはり広域市町村圏なども当然その系列に入るわけでございまするけれども、簡単に申せば、そういう仕組みが一番適切であると考えております。
  257. 原田立

    ○原田立君 まあ私は何も公害のことでなしに、それは一応引例として——この広域市町村構想というものを国が打ち出していく場合、それを一元化していくのですね、そういうお考えはないかということをお聞きしておるわけです。これはちょっと聞きそこなった。
  258. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) つまり各省の構想ですか。
  259. 原田立

    ○原田立君 要するに各省縦割りでいくのでなしに、もっとそれを包含して、国でひとつまとめていく、そういうものをつくるべきではないかということなんです。
  260. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) そのことを申し上げたつもりだったのですが、やはりこれを統一いたしますのは、そのために経済企画庁というものがあるものですから、ここで各省の案というものも調整もしようし、それから、それのみならず、各都道府県はそれぞれ地域開発計画を持っておるわけです。これを第二部として、国の前奏計画とかみ合わせて、やはり全国土の均衡ある開発を行なうべきものであると、かように考えております。
  261. 原田立

    ○原田立君 経済企画庁が各省の案を持ち寄って、それで一元的にしてやっていくのだ、こういうことですね。問題は、計画構想等が幾ら打ち出されても、実際に予算措置がどれだけなされるかということが、これはいつもいつも課題になっているのですね。計画はりっぱだけれども、お金の処置が一つもないというところで計画がお流れになっているということが、いままでももう何回となくあるわけです。今回の広域市町村構想ですね、これなんかもそういう財政的な面でもっともっと強力な処置をしなければならぬと思うのですけれども、今後の見通しはどうですか。
  262. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) むずかしい御質問ですが、こういうふうに国土の再編成やったから、それで急に予算が増加するという筋合いのものでもありませんし、それから盛られた予算をいかに効率的に使うかということが当面の問題点であろうかと思います。ですからこういうふうにブロックごとの行政単位を考えました場合には、その域内においてやはり行政、財政ともに効率的にやるということから、いままでばらばらにやっておったものが、多少住民のために効果的に使われるのじゃないかという期待も持てるわけです。合理化ということになるかもわかりませんけれども、そういうことを通じてやはり地域発展を考えていく、こういうことではなかろうかと思います。
  263. 原田立

    ○原田立君 まあ同じ都市問題ですが、都市の中の公園ですね、児童公園、これらで建設省は何か二十億くらいの予算でやっているということですが、非常に少ないのじゃないか。また公共投資を非常に少なくするような動きもあるように聞いております。非常に、もっと都市問題解決のためにも、そういうふうな動きはまたけしからぬじゃないかというような気持ちもしているわけです。もう少しもっと住みよい地方をつくり上げるなら、そういう面での自治省としてのもっと強い意見ですね、そういうものが各省に反映しなければならぬのじゃないか、私はこう思うわけです。  一例として申し上げているわけですけれども、この公園問題ですね。これは所管は建設省だろうと思いますが、この問題について建設省のほうにどういうふうな強い要望、申し入れ等なされたか、その点のいままでの経緯等お聞かせ願えればお話し願いたいと思います。
  264. 細郷道一

    説明員細郷道一君) 公園費用が少ないことは御承知のとおりでありますが、公園をふやすのは、まあほとんどが用地の買収費でございます。建設省も公園をふやすためにいろいろやっているようでありますが、なかなか国費からは十分出ませんで、私のほうに、たとえば地方債のようなもので公園用地を早く買っておくというようなことをしてほしいという話もございまして、本年度も政保引き受けの地方債資金の中で、約三十億ほど公園及びプールに使うように特別な措置をいたしました。しかし私ども、これだけではまだ十分ではないと考えておりますので、地方財政全体を通じまして、やはり将来の町づくりのために、土地を先行取得するというようなことに持ってまいりたいというふうに思っておりまして、そういう方向で明年度地方財政問題にも取り組んでまいりたい、こう考えております。     —————————————
  265. 原田立

    ○原田立君 だいぶ時間もたちましたので、最後に、先ほど大臣にお伺いしようと思って、ちょうどおいでにならなかったもので、あらためてお伺いするのですが、例の国鉄納付金です。先ほど松島局長からも、国鉄納付金は廃止しないんだ、断固とした決意の御披瀝があったわけなんですが、これは今後もずっと継続していく強いお考えが自治省にはおありだろうと思うんですけれども、その点どうですか。
  266. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) これはそういう話が出てくること自体が不可解に思っておるわけですが、当然どんな企業でも税金だとか、あるいは借金の金利だとかいうものはコストの中に織り込み済みであるはずなのです。だから同種の営業をやっている私鉄や何かだって、あるいはその他の公社関係、すべてそういう関係になっておるのに、ひとり国鉄だけが税金はいやだとか何だとか言っておるようですけれども、これはやはり通らぬと思う。こんなことをやりましたら、他の同種のものは片っぱしから右にならう運動をするでありましょうし、あに国鉄のみにとどまらんやということに必ずなってくる。しかし一方、国鉄の赤字状態はよくわかりますし、非常に公共性の高い国の産業の大動脈でありますから、これが立ち行くようにするということは別の次元で考えるべきものであって、単に納付金が負担になっているから、その分だけ赤字を消すということは、筋が通らぬもはなはだしい、かように思っております。そういう考え方からいたしますならば、まあ税務局長の言うことが本筋であって、私どもはそういう議論の前に出ますれば、一歩も引かぬという考え方でございます。     —————————————
  267. 津島文治

    委員長津島文治君) 本件に関する調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二分散会      —————・—————