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1968-10-29 第59回国会 参議院 商工委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年十月二十九日(火曜日)    午前十時三十五分開会     —————————————    委員異動  十月十四日     辞任         補欠選任      内田 善利君     矢追 秀彦君  十月二十三日     辞任         補欠選任      柳田桃太郎君     平泉  渉君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         金丸 冨夫君     理 事                 剱木 亨弘君                 近藤英一郎君                 小柳  勇君     委 員                 大谷 贇雄君                 大森 久司君                 川上 為治君                 玉置 猛夫君                 平泉  渉君                 山本敬三郎君                 阿具根 登君                 近藤 信一君                 塩出 啓典君                 矢追 秀彦君                 須藤 五郎君    国務大臣        通商産業大臣   椎名悦三郎君        国 務 大 臣  宮澤 喜一君    事務局側        常任委員会専門        員        小田橋貞寿君    説明員        経済企画庁国民        生活局長     八塚 陽介君        科学技術庁研究        調整局長     梅沢 邦臣君        厚生省環境衛生        局公害部長    武藤き一郎君        農林省蚕糸園芸        局長       池田 俊也君        水産庁長官    森本  修君        通商産業政務次        官        藤井 勝志君        通商産業省通商        局次長      楠岡  豪君        通商産業省企業        局立地公害部長  矢島 嗣郎君        通商産業省鉱山        保安局長     橋本 徳男君        自治省大臣官房        参事官      宮崎  剛君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○産業貿易及び経済計画等に関する調査  (ノリ輸入に関する件)  (開発途上国との経済交流に関する件)  (水銀とカドミウムによる公害に関する件)  (バナナ輸入に関する件)  (海洋開発に関する件)     —————————————
  2. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十月十四日、内田善利君が委員辞任され、その補欠として矢追秀彦君が選任され、十月二十三日、柳田桃太郎君が委員辞任され、その補欠として平泉渉君が委員に選任されました。     —————————————
  3. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題といたします。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  4. 近藤信一

    近藤信一君 私がまず申し上げたいことは、国会でいろいろといつも問題になりますのは、バノコンといいまして、バナナノリとコンニャク。これがしばしば国会でも問題になって、いつもこれが黒い霧のうわさの種になっている、こういうことでいつも問題になるわけでございますが、なぜかというと、それらの三点については、何かもうかるものということで、政治家の圧力なんかもいろいろと加わって、業界がいろいろと混乱しておる、こういうふうなことも私聞いておりまするけれども、この問題は、私は消費者行政の立場からものを考えて、いろいろと御質問を申し上げたいと思うのであります。  この春以来、ノリ異常高ということで非常に消費者食ぜんに供せられておりますところのノリに異変が起こったというふうに、いろいろと新聞や雑誌等にも大きく取り扱われておるわけなんです。そこで、私はまずこの点をお伺いするわけでございますが、ノリ国内生産量韓国ノリ輸入問題、この問題についてお尋ねするわけですが、ノリ生産は、かつてはわが国におきまして、特に太平洋ベルト地帯にほとんどの生産地というものがありましたが、やはり工業の発展ということで、これらの太平洋ベルト地帯におけるノリ漁場というものがだんだん狭められた。しかし、そうした太平洋ベルト地帯におけるノリ生産地が狭められると同時に、他方におきまして、いまでは北海道から九州までの広い地域にわたってノリ生産地というものが拡大されつつあるというふうにも私聞いておるわけなんです。そこで、国内生産というものは現在どれほどの生産力を持っておるのか、その点をまずお尋ねしたいのであります。
  5. 森本修

    説明員森本修君) 御案内のようにノリ生産は、海況なりあるいは気象条件によってかなり変動いたしますので、年によって生産のフレがございますが、最近の大体の通常ベースにおける生産の量といたしましては四十億枚前後というのが最近における生産の大体のレベルでございます。
  6. 近藤信一

    近藤信一君 国内生産で約四十億枚ぐらいの生産能力がある。そこで、聞くところによりますると、何か韓国から輸入されております韓国ノリがおおよそ一億枚ぐらいずっと輸入されておりまして、ここ数年間、これがふえてきておるように聞いております。そこで、一体いま韓国からは現在どれだけの輸入がされておるのか、そうして韓国生産力というものはどれほどあるのか、おわかりでありましたならばこの点お聞かせ願いたいのであります。
  7. 森本修

    説明員森本修君) 韓国からの輸入量は、最近年々輸入割り当てのワクは増加をいたしてきておりまして、四十三年の輸入数量——輸入発表された数量でありますが——は、当初きまりましたのが四億八千万枚、それから九月末にさらに一億枚の追加輸入発表をいたした次第であります。  それから韓国におきますところの生産数量でありますが、これはまあ正確には必ずしも十分把握はできておりませんが、四十一年産は約十三億枚程度、それから四十二年はそれよりも若干上回るのではないかというふうにいわれておりますが、まあほぼそういった程度生産が最近行なわれておるというふうに聞いておるわけであります。
  8. 近藤信一

    近藤信一君 で、韓国生産能力というものが、四十一年度十三億、それから四十二年でまあ十三億を上回るのじゃないかと、こういうことを言っておられますが、四十三年の数量はどうですか。
  9. 森本修

    説明員森本修君) 大体生産期日本韓国とは同じでありますから、四十三年はこれからの話ですから、私どもとしては情報としてはつかまえておりません。
  10. 近藤信一

    近藤信一君 それから韓国ノリ国内における販売価格ですね、それから国内ノリ販売価格小売り価格でございますが、これの差異があると思うのですが、一体幾らぐらいで小売りで売られておるのか、この点はおわかりであったならばお知らせ願いたい。
  11. 森本修

    説明員森本修君) ちょっと韓国産のそのものの小売り価格は、必ずしも十分私ども調査をいたしておりませんが、大体国内産のものに対しまして一割五分ないし二割程度下回った形で販売をされておるというふうに聞いております。したがいまして、国内産中庸程度品質価格が一枚当たり二十二円程度でありますから、韓国産のものは約十八、九円ということで販売されておるものと推定をいたしております。
  12. 近藤信一

    近藤信一君 いまのお話でございますると、韓国ノリが一割ぐらい下回っているというお話ですが、私が調べましたところによりますると、韓国ノリは一じょう、十枚ですね、百二十円から百三十円ぐらいだと、そして国内ノリの最高が現在三百二十円から三百五十円だと、こういうふうに私聞いておりまするが、この点だいぶ開きがあるようでございますが、いかがですか。いわゆる国内ノリは二倍以上の販売価格で売られておる、こういうふうに聞いているんですがね。
  13. 森本修

    説明員森本修君) 国内産のものの、先ほど私が申し上げた値段中庸程度品質のものでございます。御案内のように、ノリにもかなり品質によって格差がございますから、あるいは最上級品になれば、先生がいま御指摘になりましたような値段で売っているものもあろうかと思いますが、たとえば総理府の物価統計等によりますと、先ほど私が申し上げましたような価格が、中庸程度値段としてとられておるということでございます。それからなお韓国産のものにつきまして、先ほど私が申し上げました御説明は、一割五分ないし二割程度内地のものと比べて格差があるというふうに推定をしておると申し上げたわけであります。
  14. 近藤信一

    近藤信一君 私がちょうど一昨日ですね、ノリ屋へ行ってノリを買ってきたのです。これは一体どれくらいするか。私が名古屋のノリ問屋へ行っていろいろとお話を聞いてきました。そして問屋筋では、卸値段が、日本内地産のノリで一じょう二百八十円でそこの店は卸しておるのです。小売りで一体これがどれだけの価格で売られていくかということを私はお聞きをしましたところが、いわゆる小売りではだんだん手をくぐっていくという関係もあるが、三百二十円から三百五十円でこのノリが売られておりますという問屋筋お話でございましたが、いまの御答弁からいきますると、だいぶ開きがあるようです。そうしてもう一つは、品質にもよりまするけれども韓国ノリはすさびノリと申しまして、非常に質的には悪い。だから国内産と比較いたしますると、まあ半分くらいの値段だということも言っておりました。特に韓国ノリがいまどういう面に使われておるかということも私お尋ねいたしましたが、そのときに、加工して、いわゆる味つけノリだとかそれから焼きノリですね、それのほうにおおむね韓国ノリというものが使われておるという。ところが今度、焼きノリ味つけノリになりますと、非常に価格的にも高く売れるという、こういう結果が生じて、そのようなことが行なわれておるのじゃないかと私思うのですが、この点はどうですか。
  15. 森本修

    説明員森本修君) 味つけ用になると高くなるというのは、ちょっと私のほうも十分確認をいたしかねるわけでありますが、何ぶんにもそういった加工をいたしまして販売をすると、やはり手間がかかるといったようなことで、あるいは全体を総合いたしますと、販売業者にとっては有利になるというふうな事情があろうかと存じます。その点は私どもとしても十分詳細をきわめておりません。
  16. 近藤信一

    近藤信一君 品質の問題から価格の問題でいろいろと段階があると思うのですが、特に最近ノリが非常に高値を呼んでおりますことは、あなたも御承知のとおりでございまするが、これはノリというものは、天候やいろいろなものに支配されまして、問屋筋思惑買いをやる。それによって高い安いということも影響してくるわけでございまするけれども、先ほど御答弁がございましたように、国内産で四十億枚も現在生産されておる。われわれから考えまするならば、それだけ多くのノリ生産されておるにもかかわらず、依然としてノリはだんだんだんだん高くなる一方なんです、販売は。一体これ、どういうところに原因があるのですか。本来ならばたくさんできれば消費者には安く入らなければならぬと私は思うのですが、逆に、これが多く生産されて、さらにこれが高くなっていくという矛盾した問題がここにあるのではないかと私は思うのですが、この点はいかがですか。
  17. 森本修

    説明員森本修君) 四十二年までの消費者価格の推移を見ますと、年によって多少変動がございますが、総体としては、御説のように値段が上がっております。しかし、その上がり方を見ますと、大体まあ全体の物価指数上昇程度というふうに私どもは通観して見ておりますが、ただ、四十二年産ノリにつきましては、御案内のように、昨年の暮れにおきまして、かなり主産地において災害が発生するとかいうふうな気配がございまして、そういうところから、出回りの初期ないし中期ぐらいまでのノリ産地における問屋買い付け値段は、かなりそういった災害見込みということで上昇をいたしました。そういった関係がございまして、四十二年産ノリは、前年に比べまして二割五分ですか、あるいは三割程度上昇を見ておるというふうなことになっております。
  18. 近藤信一

    近藤信一君 ノリわが国国民生活上、どこの家庭でも非常に重要な一つ食料品にもなっておる。そこで、いま消費者として一番問題であろうというのは、いろいろと諸物価が上がってくる。で、家庭生活にもいろいろと響いてくる。特にノリなんてあんな薄っぺらなものが一枚二十円も三十円もする。いいやつになると三十五円もする。こういうことで、非常に食ぜんにもなかなか供せられないというふうなことで、消費者としてはもっと何とか安くならぬものだろうか。いわゆる常識的に考えるならば、生産が多ければこれは本来もっと安くならなきゃならぬ、こういうものであるのに、依然として高値を呼んでいるということは、消費者としては私は納得ができない、こういうことで、消費者間においてはノリ高値を呼んでおるということに大きな疑問を持っておると思うのです。そこで、水産庁として、ノリ生産業者に対するところの行政指導というものが私はなされておると思うのです。そこで、この流通機構の問題に対して、何かそういう指導的なことであなたのほうは業者お話をしてきたことがあるのかどうか、この点はどうですか。
  19. 森本修

    説明員森本修君) ノリ価格の安定の問題でございますが、一つは、やはり先ほど御指摘がございましたように、各種工業化あるいは都市化といったような関係から、漁場が必ずしも十分な形で確保されないといったような生産面の問題がございます。もちろんそれに対しましては、いろんな技術の指導なり、あるいは構造改善事業等で、生産の確保ということに私ども努力をいたしておるわけであります。そういうことで、根本的には、やはり一つ生産安定的増大ということが価格安定対策の基本になろうかと思います。また、御指摘がございました流通機構あるいは流通体制の問題にいたしましても、従来から問題点指摘をされております。零細多数の問屋の存在、あるいは先ほど御指摘がございましたような、やや思惑というと語弊がございますが、生産初期の一時の生産見込みによって出回りの期間に全部の商品が買いつけられるといったような、平均売りになっていないといったような各種の問題がございます。私どもとしましてもそういった問題につきましては、できるだけ安定的な供給といいますか、あるいは平均的な売り方といいますか、そういったことが行なわれるような方向業界指導していきたいということで、若干従来からもお話し合いを生産者団体等と続けております。何ぶんにも長い過程を経て今日に至った体制でありますし、また業界に、先ほど言いましたようなことで、非常に多くの業者が従来からも存在しておるということで、流通体制の整備も必ずしも早急にはいきかねる情勢もございます。私どもとしても今後そういった実態をつかまえながら、改善努力を引き続き行なっていきたいというふうに考えております。
  20. 近藤信一

    近藤信一君 なぜ私が水産庁でそういう流通機構行政指導をやっているかというお尋ねをしますのは、いわれるところによると、ノリ販売経路というのは非常に不可解な点がある。キャッチボールをやっているというようなこともいわれている。そのキャッチボールというのは何かというと、やはり生産者生産者団体問屋、それから今度は小売り消費者と、こういうふうに段階を経るわけですが、特にノリ問屋日本には約二千店ぐらいある。しかし実際に今度はノリ入札権というものはどうかというと、二千店全部が入札する資格というものはないわけなんです。その二千店の中で生産者から買い付けをやるときに入札をする入札資格者というものは約七百五十店だと、こういわれております。約三分の一なんですね。だから権利を持っているこの七百五十店の問屋筋がまず入札で落とす。権利を持っていないいわゆる入札権のない問屋側は、今度は入札権を持っている問屋から買わなければならぬ。さらにその買った問屋筋は、また小さな問屋に売りつける。こういうことで問屋同士キャッチボールをやっているうちにだんだんと値が高くなっていく。それから今度はそれが小売り屋におろされる。小売り屋でもマージンを取らなければならぬ。こういうふうなことをやっておるから、ノリというものはだんだん高値を呼んでくる。こういうふうにも私聞いておるわけですが、一体こういう販売経路というものに対して、水産庁はどういうふうに指導しておられるのですか。こういうことは好ましいとあなたのほうは考えておられるのか。これは当然だというふうにまた思っておられるのか。もしこれに対して改革する点があれば、改革するような指導というものはなされないのか。この点はどうですか。
  21. 森本修

    説明員森本修君) 先ほど申し上げましたように、かなり問屋の数が多い。かつまた零細な問屋が存在するということでありまして、産地における入札にも必ずしも全部の問屋さんが参加できないというふうな状況であります。まあそういう実態に対しまして私どもとしても流通体制が不十分だということは十分感じております。しかし何ぶんにも存在する業者に対しまして、営業としてやっておるわけでありますから、必ずしも行政指導でもって短兵急にこれを処理するということもなかなかむずかしい事情がございます。そこで、私どもとしてはできるだけ生産者段階が売り渡します問屋は、小売りなり実需者に直接的につながるような形の問屋さんを選んで販売をするといったようなことも検討に価するのではないかというふうに思っております。ただ実際の商業活動に対する指導でありますから、それぞれの多面的な要素も十分配慮してやってまいらなければいけないということで、現在の流通体制が、非常に多くの問屋がありまして、問屋間の売買も行なわれる。いま御指摘になりましたような問題点があるということは、重々了承しておりますので、できるだけそういった流通体制が簡素な形で、直接的に物が流れていくような方向体制が整備されればいいということで、できるだけそういう方向指導していきたいと思っております。
  22. 近藤信一

    近藤信一君 私は、一カ月に一回か二回、朝早く蔬菜中央市場に行きます。そしていろいろと話を聞いたりしておるのですが、蔬菜だと、まず卸屋生産地から買いつけしてくる。それを仲買い人が買って、さらにこれが小売り店へいく、この段階だけですね。ところがノリの場合は、思惑買いというものが非常に多いのでありまして、入札権を持っておる七百五十店ほどの問屋が大口の問屋だと私は思うのですが、それが買いつけて、今度は、たとえば春先だとか秋は祭りシーズンでございますから、祭りシーズンにはよく売れるということは、これはあなたも御承知ですね。そうして、ことしの生産見通しというものを立てて、これが高値を呼ぶか、これまた安くなるかというふうなことで、その思惑買いをやる問屋もあるわけです。それで、持っておるノリが上がってくるであろうというときには、これはその次の問屋におろす。そうすると、ないということになりますると、また問屋同士が奪い合う、問屋同士もあっちこっち、こうくるくるあっちへ売ったり、こっちで買ったりして、キャッチボールをやっておる。こんなことは、いわゆる消費者を無視した、消費者不在ノリ価格だと私どもは判断せざるを得ないのです。そういう点からいくと、現在の高値を呼んでおるノリに対して、あなたのほうとしては、この価格というものは一体適正価格であるかどうか、この点はいかがですか。
  23. 森本修

    説明員森本修君) 先ほど申し上げましたような経緯事情で、四十二年産ノリは前年に比べてかなり高値になっています。ただ、最近の情報によりますと、新しく十月の末、ないし十一月ごろから新ノリが出回ってまいります。在庫もかなり多かったといったような事情もございまして、九月に入りましてからは、卸売り価格指数も下がるというような傾向を示しております。また小売り価格も低下の傾向を示しておるということで、私どもとしましては、これから当面は漸次この価格も落ちついてくるというふうな見通しを持っております。
  24. 近藤信一

    近藤信一君 政府は、安い韓国ノリを何か凍結しておる。この凍結したノリが放出されるならば、国内ノリ価格というものはもっと下がるんじゃないか、こういうこともいわれておるわけでございますが、凍結されておるノリというものが約一億枚あると私聞いておりますが、特に、今年度は、四億八千万枚のノリ輸入されており、その後、韓国のソウルで開かれました日韓定期閣僚会議の席上で、韓国側から強い要請があった。そうして一億枚のノリの再輸入追加輸入、こういうことが韓国側から持ち出されまして、日本政府はそれをのまざるを得なかった。そうして、この一億の追加ノリが凍結されておる、こういうふうにいわれておりますが、これは事実ですか。
  25. 森本修

    説明員森本修君) 先ほど申し上げましたように、四十二年度の当初の輸入は、四億八千万枚、さらに九月の末におきまして一億枚の追加輸入発表をいたしたということでございます。そういうふうに追加輸入発表いたしましたいきさつは、九月末の日韓閣僚会談におきまして、貿易収支改善その他の理由によりまして、韓国側からかなり強い要望があったということでございます。そういうふうな形で輸入発表をいたしましたノリは、現在の状態は、向こうの韓国との間に必ずしもまだ十分値段とかあるいは取引条件とかいうものが——これはもちろん商業ベースで行なわれるわけでありますが——取りきめがなされていない。したがって、荷物としては、輸入が形式的な手続としてはなされていない。発表は行なわれて、外貨の割り当ては行なわれましたけれども目下輸入手続中というのが正確な段階ではないかと思います。ただ、のり協会におきまして、理事会で、こういった時期に追加輸入をするということであるから、従来の慣例からいきますならば、生産期には輸入ノリは放出をしないということになっておるのでありまして、原則としてはそういうことに取り扱うのが通例のようではないか、ただ、今後における需給なり、あるいはノリ価格状況いかんによっては放出することも検討しよう、こういうふうな内容の申し合わせが行なわれておるという段階でございます。
  26. 近藤信一

    近藤信一君 そうすると、追加分の一億枚のノリ輸入に対して、政府はこういう措置をとった。すなわち凍結をするということが、もし業者間でこれがなされて、国内販売価格に異常があるから凍結するということになりますると、それは公取委員会の問題にかかってくると思うのです。そこで政府は、いわゆる一億枚追加輸入は、必ずそれは来年の三月まで凍結するから、この輸入を認めろということで、のり協会に対して水産庁は納得させた、こういうふうにいわれております。そこで、のり協会としても、凍結するならばやむを得ないだろうということで、この一億枚の輸入を認めたというふうにも私聞いておるわけなんですが、このいきさつはいかがですか。
  27. 森本修

    説明員森本修君) 先ほど申し上げましたような経緯で、この一億枚の追加輸入ということが起こってまいりましたので、のり協会の会合では、こういった一億枚を輸入せざるを得ないような情勢になってまいりましたいきさつなり、またそういったいきさつを受けて、政府としても輸入をしてはどうかというふうに考えてまいりました趣旨なりというのを、私どものほうからよく御説明をいたしました。また、先ほど申し上げましたように、従来の慣例としてはこういった時期に輸入をし、放出するということは、輸入ノリと国産のノリとの調整といったような原則からいきまして、やっていないというふうなこともあわせ検討をされました。私ども説明、それからそういった従来の韓国ノリの取り扱いについての慣例といいますか、原則、そういうものをあわせ考慮をされて、先ほど申し上げましたような理事会における取りきめの内定ということになったように私ども承知をいたしております。
  28. 近藤信一

    近藤信一君 私どもしろうとから考えますると、この国内生産が四十億枚も生産される、これに韓国から現在輸入しておるのは、今年は特に多かったのですが、四億八千万枚、そこへ一億枚追加になっておりますが、従来ずっと一億枚から二億枚の輸入でしょう。四十億枚も国内生産高があるのに、わずか二億や三億枚のノリが入ってきても、そんなに国内に影響があって、国内生産業者を脅かすようなことはないと私は思う。特に四十億枚生産されても、それで不足を生ずるというようなことも私聞いておる。ある水産庁の人の言によれば、まあ四億から五億枚ぐらいは輸入しても、日本国内生産にはそんなにこたえることはないでしょうということを私聞いておるわけでございますが、一体わずか二億や三億の輸入に対して、国内生産にそれだけ大きな影響があるものかどうか。私は二億、三億で安くなるということであれば、これは大いにひとつ安いほうにやってもらいたいと、私は消費者の立場からこれを望むわけです。しかし、いろいろとお話を聞いていきますると、四十億枚も国内生産がされる、そこへわずか三億、四億枚、一割足らずのノリ輸入されるのに、業界が反対して、水産庁もなかなかその指導に困っておる、こういうふうなことでは、私はほんとうの消費者不在の行政だと、こう判断せざるを得ないのです。その点はどうですか。
  29. 森本修

    説明員森本修君) 御指摘のございましたように、数年前までは韓国からのノリ輸入は一億ということでずっとやってまいりました。しかし、その後もちろん国内の需要もふえてまいりました。生産もまたそれにつれてかなり増強いたしております。まあ政府としてはできるだけそういった国内における需給の関係を考慮し、また韓国との貿易の関係ということもあります。また消費者に対するノリ価格の安定ということも考慮して、漸次輸入数量が増加をして、ふやしてきたことは事実であります。今年も一億枚の追加輸入を加えれば五億八千万枚ということになるわけであります。そういうことから考えますというと、私どもとしてもそういったいろいろな海外の事情なり国内生産需要の状況をにらみながら、適正な輸入数量の決定に努力をしてきたつもりでございます。今回もノリが特に出回り期に競合するというふうな関係がございまして、数量そのものは、もちろん見方によればそうたいした数量ではないということもいえるかと思いますが、時期が時期だけに、やや生産者側は神経質になっているというふうにも私どもは受け取っておるのであります。そういった事情も十分配慮をいたしまして、あらゆる面から見てあまり指弾を受けないような適正な処置をしてまいるように業界指導していきたい、このように考えております。
  30. 近藤信一

    近藤信一君 消費者から申し上げまするならば、やはり一億枚の凍結の問題に集中しておるわけですね。一体なぜ一億枚倉庫の中へしまい込んだのだろうか、消費者は単純に考えているのですよ。四十億枚の国内生産がされるというふうに考えて、一億枚放出されればだいぶ安くなるのじゃないか、こういう安易な考え方だと私は思うのです。それが一億枚が凍結されておる。これはおかしい。新聞なんかでも報道されておるところによると、これはのり協会政治家が圧力を加えて、そうしてこの一億枚の放出をとめておるのだと、こういうふうにもマスコミでは言っておるわけなんですね。そこに私は問題があるのではないか。やはり消費者に明らかにするためには、一体どういう方法で水産庁はこれを指導していくのか、こういう点が私は問題点であろうと思うのですが、いま消費者は一億の凍結されたノリに対していろいろと疑惑を持っておるわけなんですね。これを明らかにしていくことが、水産庁としても消費者に対する答えを出さなければならぬことだと私は思うのです。この点はどうですか。
  31. 森本修

    説明員森本修君) 先ほども申し上げましたように、四十三年産ノリの出回り期にたまたまこういった追加の数量輸入をされるというふうなことになってまいりましたので、従来からの慣例でいけば、生産期には放出しないということであるので、一応そういった原則で処理しようというふうなことに従来のり協会理事会では内定をいたしておるわけでありますが、ただその趣旨は、新しいノリ生産なりあるいは需給状況というものに極端な悪影響を与えないということがその趣旨になっておるのでありますから、そういった観点から見て、それほど影響がないというふうなことであれば、放出することもあり得るということになっております。私どもとしてもそういう事態について適切な判断が下し得るような材料がそろい、またその時期になるということであれば、消費者対策というふうなことも十分考慮に入れ、また従来からとってまいりました国内生産輸入との調整というふうなことについても、それほど大きな支障はないといったようなことも考慮をして、具体的な取り扱いについて業界に対して指導をしていきたいというふうに思っておるわけでございます。
  32. 近藤信一

    近藤信一君 これは九月十九日の日だと思うのですが、本院の物価対策委員会での質問で、この一韓国ノリの問題で質問があったわけなんですが、そのときに西村農相は、いわゆる韓国ノリは加工用なのでこれを放出しても一般のノリ値段というものは下がらないんだ、こういうふうに答弁をしておられます。そうだとすれば、一体凍結した意義というものは私はないと思うのです。それが凍結をされておるということは一体那辺にその意義というものがあるのか、この点はどうですか。
  33. 森本修

    説明員森本修君) その点がなかなか実は具体的な判断としてはむずかしいところでありまして、韓国産のノリが完全に国産のものと代替をするような形になるのか、あるいはまあ入ってきたものの現物のその評価にもからむと思います。まだ十分その「見つけ」をしておりませんので、そのものが一体どういう品質なりグレードのものであるかということにもよると思います。いずれにいたしましても韓国からはすでに五億枚近くの本年産のものが入っておるわけです。そのあと残りのものが入ってくるわけでありますから、品質がどうかという心配もございます。したがいまして、具体的にはそういった品物を見てまいりませんと、大部分は加工用に回るのか、あるいはいわゆる一般の用途に回るのかも判明をしないわけでありますが、あの当時の感じといたしましては、これは確定的な話ではございませんけれども、かなり、残りのものであるから、品質もそう従来のものに比べてはよくないんじゃないかというふうな予測もございまして、そういうところから、大臣の御答弁があったものというふうに私どもは思いますが、いずれにいたしましても現物を見てまいりませんと、はたして国産のものにほとんど影響のない品物であるのか、あるいは相当代替をするような品物であるかというようなことは、きめかねるというふうに思います。私が申しましたのは、従来の、生産期に放出をしないといったような原則から、一応のり協会としてはああいうふうなことをきめたのであるということで、あと需給なり価格、現物を見まして、放出することもあり得るということが付帯的につけられておりますので、今後はそういった付帯的な判断によって、追加輸入をいたしましたものについてどういうふうな処置をするかということを考えていきたいと思います。
  34. 近藤信一

    近藤信一君 私はいまの答弁、まことに不可解だと思うのですよ。農林大臣は影響がないと、こう言っておるのだ。影響がなければどんどんと、何も高い倉庫料を納めて保管していなくても……。消費者は、なぜ一体凍結するのだ、なぜあれを放出しないのかという声が強いわけなんです。だから消費者にこたえるためにも、これは何も影響がなければあなたのほうとしては早いことこれを放出して、そうして消費者の声にこたえるべきだと私はこう思うのです。それがいつまでも凍結されておる。これを放出するというようなこともまた何かきめられたようでございまするけれども、これはあとでまたお尋ねしますけれども、やはりそこに私は問題があると思うのです。せっかく輸入したやつを何も倉庫料を払って凍結していく必要はないと思います。先ほども私が申しましたように、もしノリ業者問屋が凍結ということを前提として輸入をするということになれば、これは独禁法違反にかかる。そいつを水産庁指導して、そうしてこれは凍結するから輸入を認めろ、そういうことで何か業者間の了解を水産庁は求めた。それならばやはり水産庁は独禁法違反の手助けをしているようなものです。そういう私は行政指導というものはあり得るかどうか、非常に疑問なんです。もっと消費者の立場に立ってあなた方もっとちゃんとしてもらわなければ困ると思うのです。一体、この点どうでしょうか。
  35. 森本修

    説明員森本修君) 先ほども申しましたように、一応そういう形で理事会では内定をいたしまして、これから現実の現物を見て、それから韓国側値段その他の取り引き条件の交渉に入ろうというふうなことになっております。ただ、先ほど申し上げましたように、ノリ生産なりあるいは需給事情、現物の事情等を十分勘案をいたしまして、私どもとしても適切な処置をとるようにのり協会に対して話をしたいというふうに思っております。昨日の理事会におきましても、そういった話し合いは適当な機会にひとつやろうというふうなことにもなっておりますので、そういう具体的な事情が判明し次第適切な処置について十分打ち合わせをしてまいりたいというふうに思っております。
  36. 近藤信一

    近藤信一君 政府は九月十七日の閣議でノリの値上がり対策を話し合われた。その際、宮沢長官は韓国ノリの放出を強く要請された。これは新聞にも出ておりました。その結果、西村農相は十月十八日に韓国ノリの放出を検討する、そうして水産庁にこれを指示する、こう言われておるわけですが、そこで私どもといたしましては、何か新聞によりますると、十一月までにこれを放出する。なぜかというと十一月、十二月になってくると、国内ノリ生産シーズンになってまいりますので、そこで十一月までにこの凍結したノリを放出するというふうなことも伝えられておるわけでございますが、一体この時期はいつ水産庁としては凍結されているノリを放出されるお考えであるのか、それからまた経済企画庁のほうでは、国民生活上からいっても、これは物価問題等、大きな影響があるわけでございまするから、長官がこういう事実を言われて、それで農林省というのか、水産庁といいますか、話し合いがどういうふうになっておるのか。すぐ放出して消費者の声にこたえられる御覚悟があるのかどうか、この点はいかがですか。両方から……。
  37. 森本修

    説明員森本修君) 先ほどちょっと申し上げましたが、私どもとしましては、新しくノリ生産なりあるいは価格状況が判明をするというような諸材料がそろいますれば、先ほど申し上げましたようなことで、十分このノリの取り扱いについては検討し、またのり協会に対しても御相談を願うというふうな取り運びにいたしたいと思っております。そういうことでございますので、まあ十一月の下旬ごろには大体そういった初期的な判断ができるような時期がくるものと思っておりますので、そういうときにさような検討をいたしたいというふうに思っております。
  38. 八塚陽介

    説明員(八塚陽介君) 私ども、こういう産品につきまして国民生活上あるいは物価政策上たいへん関心を抱いているわけでございますが、大体二つの点が問題だろうと思っております。一つ国内生産がなかなか十分でなくて需要に対応し切れない場合に、どういうふうに国内生産の増大と調和させながら輸入政策を活用していくかという問題と、調整輸入から消費者の手元までまいります過程で、はたして需給が適切に反映されて消費者の手に渡るかどうかという二つの問題を、特にノリ等について問題にしていいのではないかというふうに考えております。したがいまして、第一番目の問題はさておきまして、第二のほうの、せっかく四十億枚等ある場合に、それが十分消費者の手元における価格としては反映をしてないのではないだろうか、その一つの大きな原因は、生産から消費者までの過程の流通段階、これは先ほど近藤先生がお話しになっておりましたような問題が多々あるのではないか。この点について、私ども専門でございませんから、具体的にどうというわけにはまいりませんが、やはり水産庁のほうで、ぜひひとつ改善指導願いたいということでございます。  それから今回の一億枚の輸入につきましては、私どもとしましては、ただいまのような問題と関連して解決をしてもらいたい。と申しますのは、先ほどお話がありましたように、一億枚を放出することが、ある意見としては、あまり市場価格に影響がないんだという意見があるというお話でございました。そうであるといたしますと、実は消費者にとってあまり関係ないことでございまして、やはり一億枚が放出されるということは、市場価格が下がるということでなければ意味がない。しかし、そうしますと、それは従来の種々の経緯からいろいろ問題があるということのようでございますから、私どもの立場におきましては、そういう国内のいろいろな衝撃あるいは経緯等を、できるだけじょうずに水産庁のほうで御勘案願いまして、しかるべき時期になるべく放出をしていただきたい。そうしてそれが価格について影響がある程度あることがむしろ前提ではなかろうかというふうに考えております。
  39. 阿具根登

    ○阿具根登君 ちょっと関連して。  長官の御答弁聞いておりまして、少し私わからない点がありますので、関連で御質問申し上げますが、たとえば一億枚のノリを凍結するということは、四十億ものノリができておるのに、これは業者に対する考え方のほうが先行しているんじゃないかというような質問がいままでなされてきたわけです。ところが、ただいまの答弁聞いておりますと、このノリをまだ見ておらない、ノリを見なきゃならない、どういうノリかまだ見てもおらない、そうして今度は価格をきめなきゃならない、こういうことを言っておられるわけです。そうすると、一体これはどういうことなんだろうか。凍結をするもせぬも、まだ水産庁のほうはそのノリは見ておらないと、いまから見るんだと、こういう答弁をしておる。輸入される場合には一体ノリ品質というものはどういう見方をされておるのか。これは政治的にきめられた一億枚なら一億枚を悪かろうとよかろうと入れるだけ入れると、こういうことになっておるのか。幾らで輸入されておるのか。そういう点がだんだん政治的な質問になってまいりますと、事務的にまだ品質を見ておらない、そういうことになってまいりますと、いつこれが放出されるのか、その結果によっては何ぼでも延ばされる、私はこういうふうに考えるわけなんです。そういう点をひとつ御説明を願いたいと思います。
  40. 森本修

    説明員森本修君) まあ政府間の話は、われわれとしては、向こうから輸入の要請があり、また輸入することについてきまりますれば輸入発表をするということでございます。で、それに基づきまして民間の取引が行なわれるということになるわけであります。民間の取引のほうは、実際にこちらに到着をいたしました現物をよく関係業者が見まして、韓国側日本との間で幾らで値段をきめて輸入取引をするかということになるわけであります。輸入取引をして初めて日本側の貨物になるということでございます。で、従来からも対外的な取引でございますから、そういった大体慣例ができて手続が進められておる。現実の期間といたしましては、最近はかなり短縮をしてきておりますけれども、現物が到着をし、現物を関係業者がよく中身を吟味し、それから向こうと取引価格をきめるという手続は、一カ月ないし一カ月半ぐらいはかかっておるというような現状であります。
  41. 阿具根登

    ○阿具根登君 じゃその一億枚はいつ入ってきて、幾らで入ったのか教えていただきたい。
  42. 森本修

    説明員森本修君) 幾らといいますのは、先ほど言いましたように、取引価格を現実に業者がきめるということであります。それから現物は、実は大体そういう話ができそうだというふうなことで輸入発表をする直前に、向こうからこちら側の港に送付されてきておるという状況であります。
  43. 阿具根登

    ○阿具根登君 それがいつ入ってきたかというのです。そうしないと、一月か一月半でその手続は終わってしまう、こういっておられるわけなんです。しかし、いまのような答弁を聞いておれば、品質の問題、価格の問題はいまからきめていくのだというようになってくると、何カ月かかっても、これは値段の問題、価格の問題でまだ合意に達しません、あるいは品質の問題でこれはなかなかまだまだ時間がかかります、そういうようなことになってくれば、それは一カ月であろうが三カ月であろうが、あるいはことし一ぱいであろうが、これは倉庫に入っておることになるでしょう。そうすると凍結ということじゃなくて、そういう手続の問題で凍結以上のことをやっていける、こういうことになるのだ、私はこう考えるのですが、いかがですか。
  44. 森本修

    説明員森本修君) 向こうから現物が着きましたのは、たしか、いま具体的な日にちはちょっと覚えておりませんが、九月の下旬あるいは末のうちだったと思いますが、そういう時期であります。従来からも実は非常にこの韓国とのノリの取引というのは、かなりこう値段の交渉なり取引条件で、もめた例がございまして、極端なことを申しますと、非常に両方とも固執をして、半年ぐらいは値段がきまらなかった。そういった歴史もあるわけです。最近は、極力私どもとしましてもまた業界としても、だんだん慣れてき、また早く取引をしなきゃいかぬということで、つとめてまいりまして、先ほど申し上げましたような期間にだんだん短縮をされてきておるというふうな状況でございます。私どもとしましても、そういう観点から、御指摘のようなこともございますから、できるだけ早く現物を見、また取引価格が合意に達するように指導していきたいということでやっておるわけであります。
  45. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうしますと、すでにノリが着いてから一月以上たっておるわけなんです。九月の末にノリはもう一億枚入っておる。それをまだ現物も見ておられない。また値段の話し合いもしておられぬ。これは政治的に引き延ばしておるととられたらどうなりますか。一月以上そのままでしょう。そうして十一月から放出するとか、あるいは農林大臣は放出してもちっとも問題ないのだというようなことを言っておられるけれども水産庁の皆さんが一月以上もまだ現物も見ておらない。価格もきめておらない。いまからやられる。それではちっとも消費者の立場を考えてノリ行政をやっていると言えぬじゃありませんか。そうすると保管料その他もだんだんふえるばかり、ちょうど出るころには、時期を見計らって、ここで幾らできめましょうノリはどういう品質だと、あなた方の自由にされておる、こうなりませんか。
  46. 森本修

    説明員森本修君) 先ほど申し上げましたように、私どものほうで現物を見、値段をきめるということではございませんで、実際は民間のノリ業者なり民間の関係業者にお願いをしてといいますか、元来そういう民間ベースの取引ということに性質としてはなっておるわけであります。先ほど申し上げましたように、これの取り扱いにつきまして、多少ノリの協会等で意見の調整に時間を要するというふうなことでございまして、商業的な取引についても従来よりは少しおくれぎみであるということは私どもも残念に思っておりますが、実は昨日の理事会で、早急にそういった問題については関係業者間で片をつけようというふうなことにきまった次第であります。まあそういうことでありますから、私どももできるだけ関係業界を督励いたしまして、そういった輸入面の手続で不必要に日時を費やさないということで指導をしていきたいと思っております。
  47. 阿具根登

    ○阿具根登君 もうこれでやめますが、そうすると、業界思惑どおりにいけるのですね。あなた方が直接ノリを見るのじゃない、業者に頼んでおるのだ、協会なら協会に頼んでおるのだ、その協会が今日までそれじゃ一カ月以上全然ノリを見てない。価格の交渉もやっておらない。その行政指導監督は水産庁にあるはずだと思うのですよ。だからあなた方を私は責めておるわけですが、ただ業者がそれを自由にできるのだ、協会が自由にできるのだというならば、こういう論争は何にもならない。その点を論争しなければならなくなってくる。その問題をそういう機構でやれるのかどうかということが問題になってくることだ。私は監督官庁が、行政指導されておる皆さんが、そういうことのないように指導をされておると思っていた。だから皆さんの責任を問うておったけれども、一カ月以上もこんなに新聞紙上で騒がれておる問題が、まだ現物も見てない。凍結どころじゃない、出そうにも出せないじゃないですか。業界の手でかってにできるようになっておるじゃないですか。私は非常に遺憾だと思う。関連ですからこれでやめますけれども、やっと一部がわかったような気がいたしました。
  48. 森本修

    説明員森本修君) 先ほども申し上げましたような現状でありまして、私どももできるだけ業界の意見の調整、それから業務の執行につきまして努力をしていきたいというふうに思っております。
  49. 近藤信一

    近藤信一君 先ほども私が申し上げましたように、いまノリ生産というのは広範に国内の沿岸で生産されるようになってまいりました。以前にはまあ限られた地区で、東海地区だとか東北の太平洋沿岸それから京葉というのか、こういう限られた地区でしたけれども、いまでは四国から九州、聞くところによると北海道まで生産地というものが伸びつつある、しかし一方におきましては、やはり臨海工業地帯ということで、工業的に臨海地帯がだんだんと工業の進出によって海水が汚染されたり汚濁されて、だんだんとノリのこの産地というものが狭まったようでございますけれども、他方では伸びておる。これは全体的には国土総合利用計画ということでいかなきゃならぬと私は思うのです。で、将来ノリ生産地域の分布というものが、いまも申しましたように、朝鮮でとれるのだから北海道でもとれるというようなことで、北海道におけるところのノリ生産というものが大きく発展するようにも私聞いております。で、将来政府はこの生産地分布について、どういうふうなお考えを持っておられるのか。特に工業地に接近していて公害問題がやかましくなってくると、いつも問題になりますのは補償問題等がここに起こってまいります。で、こういう補償問題、公害の補償問題ということは、いろいろと山にもあれば海にもあるということで、公害問題がいま大きく取り上げられておる時代でもございますし、そういう立場から考えますならば、一体このノリ生産地域における関係と、それから工業との関係、この両者の調整について、やはりこれは国土総合開発の立場から問題を処理していかなきゃならぬと思う。それを担当しておられるところの経済企画庁は、一体この点をどういうふうに考えておるのか、これは特に長官も御出席になりましたから、長官からお答えが願いたいのであります。
  50. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 国土総合開発の見地から、これから昭和六十年くらいまでのことを各省と一緒になって考えておるわけでございますけれども工業開発もさることでありますけれども、海をどうやって汚染しないでおくかということは、実はいろいろな観点から非常に大きな問題になりつつあるわけであります。一つは、申すまでもなく国民保健の観点から、海水浴場というものがつぶされていくという現状を、実は非常に心配をしなければならない段階にきておるというふうに考えております。これはおそらく勤労者の側でたとえば一週五日制になる。あるいはモータリゼーションが進むということになりました場合に、二日間をどうやって有意義に過ごすかということと関連しておるわけであります。他の観点から申せますことは、いま御指摘のような養殖漁業、魚介類の養殖といったようなことからもそれは必要になる。概して養殖漁業あるいは沿岸漁業というものの保存と、いわばレクリエーションの対象としての海の保存ということは、概して目的は一致するわけでございまして、これはどちらかといえば工業化ということとはなかなか一致しがたい。したがって総合開発の見地からは、たとえば御指摘のような点は、私はたえず大切に考えておかなければならぬと思います。
  51. 近藤信一

    近藤信一君 ノリの需要というものは所得の伸びるということと関連しまして将来非常にノリの需要というものはふえると私思うのですが、この見通しを一体どういうふうに立てておられるのか。そして現在では、先ほど申しましたように国内生産が四十億枚の生産能力というものを持っておる。しかし需要の伸びとともに、これは国内自給だけで将来できるのかどうか、これがいつまで一体続くのか、先ほど申しましたように四十億枚生産されても、現在なお不足を生じておるというふうなこともいわれております。そうすると自給だけでは早晩間に合わなくなる。そういたしますると、やはり輸入量というものが増大していくというふうに私は考えるのですが、この点はいかがですか。
  52. 森本修

    説明員森本修君) 最近までの状況を見ますと、ノリ国内生産も増大の傾向にある。それから輸入数量も先ほど申し上げましたようなことで、相当年々ふえてきておる。したがって需要も増大しつつあるというふうに見られておるわけであります。これがどの程度将来ふえていくかというのは、こういった品物でありますから、的確な予測は必ずしも計数的にはじいてはおりませんけれども、やはりこういった傾向が当分の間は続いていくのではないだろうかというふうに思っております。私どもとしましては、沿岸漁業の関係といたしましては、やはり今後増養殖というようなことが、沿岸漁民の経営を今後伸ばしていく一つの有力な手段でありますから、できるだけ先ほどお話がございましたように、公害問題等との調整に留意しながら、ノリ生産状況なり品質の向上に努力しなければならぬと思っておりますが、また一面、韓国からの輸入数量についても、最近の傾向にもございますように、やはりある程度輸入はさしていかなければならぬのではないかというふうに思っております。
  53. 近藤信一

    近藤信一君 物価問題の観点から申し上げまするならば、国内の需給状況に見合った輸入態勢というものをとらなければならないと思いますが、政府は、一体この点についてどのような見解を持っておられるのか、お伺いいたします。
  54. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 基本的には仰せになりますとおりでありますが、一般に、農水産物につきましては、わが国の経済構造が御承知のようでありますために、国内生産に急激なまた過度な刺激を与え、過度な影響を与えてはいけないという観点がございます。そこでその辺を勘案しながら、できるだけ消費者の利益になるように、両方のかね合いの問題になって今日まで進んできておるように思っております。
  55. 近藤信一

    近藤信一君 長官は、物価対策上からお考えになって、閣僚会議の席上でも韓国ノリの放出をやりなさい、こう強く要望された。農林大臣もこれを認めて、水産庁にそういうふうに指示すると言っておられました。それで先ほど同僚阿具根委員の質問にもございましたように、この放出ノリは依然としてまだ倉庫に凍結されておる。そうしてこれの見通しもまだついていない、こういうふうなことでは、私は実際怠慢もはなはだしいと思うのですよ。それで新聞には十一月中に何とか放出をする、こういうことがいわれておるのです。凍結は来年の三月までを条件としているわけなんですね。いまのような話でいきますると、まだ見てもいない、話もしていない、こういうことになれば、十一月中に放出ということはむずかしいのじゃないか。そうすると、当初のああでもないこうでもないといっておるうちに、三月までいってしまうのですよ。そうすると国民の要望である、いわゆる消費者の要望である韓国ノリの放出ということは、政府の最初の方針どおりの来年の三月までこれはいっちゃうのですよ。そうすると消費者に対するところの、あなたのほうの政府のいわゆるこたえというものは何もないということになる。新聞では何か十一月中には放出するといっている。実際にはまだその話し合いもしていない、こんなばかなことがありますか。一体あなたのほうは農林大臣は十月十八日に経済企画庁長官と約束をしておられる、それからもう十日もたっておる。一体あなたのほうはどうしているのですか。こんなばかなことがありますか。私は消費者の要望にこたえてこそ政府物価対策であり、また消費者行政の立場からいっても、こたえることが私は正しいと思うのです。一体どうですか、この点、長官からお願いします。
  56. 森本修

    説明員森本修君) 先ほど申し上げましたように、韓国からの輸入手続につきましては、早急に現物の「見つけ」をする。それから価格の交渉に入るということを昨日の理事会におきましても確認をし、私どももできるだけそういった手続が早く済みますように督励をいたしてまいりたいということを、先ほども申し上げましたが、繰り返して御答弁申し上げます。
  57. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) いま水産庁長官の言われたように、私も承知をしておるのでございますけれども、一般に農水産物は工業製品と違いまして、わが国生産基盤が零細である。その上にまた築かれております流通機構が、いろいろにきわめて複雑なようでありまして、そこへまた輸入をいたします、今度は向こう側、輸出をするほうの側が、概してそういう農水産物でございますから、またいろいろな複雑な事情を持っておることもあるようでありまして、私どもこの消費者の利益が大切なことは、もうおっしゃるとおりでございますけれども、その辺の行政の細部になりますと、とうていよそのものがあれこれ具体的なことを言い出すということは事実上困難でありますし、また、やりましても効果が非常に少のうございます。やはり所管官庁で、消費者の利益を考えながら行政をしていくということが一番有効なように思います。いまの問題につきましては、水産庁長官の言われましたように、そういう方針で農林大臣が進んでいただいておるように承知をしておるわけでございます。
  58. 近藤信一

    近藤信一君 最後に要望しておきますが、やはり経済企画庁長官は、国民生活、特に国民の台所をあずかっておるというふうな立場であるわけです。それがゆえに長官は韓国ノリの放出を強く要望された。ところが現在、先ほど来お聞きのごとく、その放出の時期もまだはっきりしていないというふうなことでは、私い消費者行政がおろそかになっている、消費者不在の行政であると言わざるを得ないのです。だから、長官が西村農林大臣にお話しになって、西村農相は水産庁に早く指示して、一日も早く放出すると、こういうようなことも言っておられるわけでございまするから、そう凍結されておる韓国ノリを放出して、それが、たとえ現在のノリ高値が下がらなくても、消費者は、ああ政府は凍結ノリを放出したなということで納得すると私は思う。ですから一日も早くその放出を考えていただく、このことを私要望しまして、このノリの問題についてはこれで質問を終わります。
  59. 小柳勇

    ○小柳勇君 通産大臣にお伺いします。開発途上国との経済交流に関して質問いたします。  通産大臣は、去る十月十一日バンコックで開かれた第一回目タイ貿易合同委員会に日本側首席代表として出席されたあとに、イラン、クエート、サウジアラビア、レバノンの中東四カ国を公式訪問されました。それに関連しまして質問いたします。  まず第一に、日タイ貿易合同委員会では、わが国の輸出超過となっておる日タイ貿易の不均衡是正のための討議が行なわれたそうでありますが、その概略をお話し願いたいと思います。
  60. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) ほとんど会議の全体が不均衡是正の問題に関連しておりますので、申し上げるとたいへん時間がかかりますので、要点だけ申し上げますと、日本のタイ国から輸入される余地があるものは、どうしても一次産品ということになりますから、一次産品の問題は日本の農業に至大の関係を持つ。それは工業生産と違って、非常に自然条件に支配される、影響される部面が多いのでありまして、急激に問題を調整するということは、いま工業製品のようになかなかそうすばやくまいりません。したがって、タイ国はいろいろな製品について、これも買ってくれあれも買ってくれというような要求が出ておりますが、こちらの事情はそうおいそれと簡単にはいかない。まあそういうようなことも多分に予想されますので、私は、前もって、この問題が一ぺんや二へんの会議で符節を合するがごとくぴたっと調整はできるものではない。それで、われわれは、この委員会というものをどうしてもつくって、そして長い時間をかけて、そして両国の調整をしていくのでなければ、なかなかその御希望に応ずることもできないし、また、日本のこれに対するやはりいろいろな期待もありますので、それを達成するためにはそう簡単にはできないということを、十分に向こうに説得したつもりであります。まあそういう関係で、タイ国といたしましても、そう性急な結論を出すということは、実際問題として非常に無理だということを十分に考えてくれたと思います。それで、懸案は懸案として残して、そしてわりあいに問題がスムーズに進んだと、こう考えております。  それで、具体的に言いますと、タピオカ・フラワーの日本輸入量をもっと増大してくれという要請に対しては若干の譲歩を示し、またタイ米の輸入については、御承知のように、日本も打ち続く豊作というものによって少しもてあましているという状況にもございますので、さらにタイからこれを輸入するということも非常に困難な事情も向こうにはよくわかっておるが、しかしながら、たまたまケネディ・ラウンドの問題の一つとして、低開発国への食糧援助、これに日本も加わるということになって、具体的にはインドネシアに対して食糧援助を日本がある程度引き受ける。それに関連して、もしインドネシアが承諾するならば、お国の米を買い入れて、そしてインドネシアに対する食糧援助に振り向けるということを考えておる、こういう点を話しました。あとの問題は、すでに二、三日前から事務的にいろいろ折衝しておりましたが、その程度でよろしいということで、まあおもなる項目としては以上申し上げたようなことで、今回はそれで済んだわけであります。済んだわけでありますが、将来に向かって、いろいろなやはり一次産品の輸入増加という懸案が残っておりますので、引き続き日本としては、この問題の解決のためにいろいろ研究し、手を打ってまいりたい、こう考えております。
  61. 小柳勇

    ○小柳勇君 答弁がはっきり聞き取れませんでした。いま不均衡是正の問題で討議された、その内容をお聞きしたところが、具体的に、インドネシアが日本の食糧をほしいならばタイ国が日本の米を買うて、そうしてインドネシアに援助するのだと、こういう具体策が話し合われたと私は受け取ったのでございますが、その不均衡是正の具体策について、いまのようなことも一つの具体策だと思うけれども、その米の問題はいま私がお話ししたような方向に受け取ってよろしゅうございますか。なお、その他不均衡是正の具体策についてお伺いしたいと思います。
  62. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) もう一つ申し上げたのですが、お聞き漏らしのようでございますから申し上げますが、タピオカ・フラワーをもう少し増加してもらいたいという熱心な要望がございましたが、これは向こうの希望した数字はとてもまあ不可能である、とりあえず一万トン増加して輸入をいたしましょうと、まあこういうことを話したのであります。その他あるいは砂糖の開発輸入であるとか、ホタル石の埋蔵が相当あります。ありますが、これはタイの北西部の山岳地帯に埋蔵されておる。ところが交通関係が非常に悪い。でありますから、道路とかあるいはその他の運輸手段というものをまず講ずる必要があると、こういうことで、なかなか向こうとしては困難なようでありますが、ホタル石なんかは開発されるならば、こっちはもう幾らでもお引き受けしましょう。それから現在すでに輸入されておる飼料用のトーモロコシでありますが、これなんかも多々ますます弁ず、もっと増産されるならば相当量引き受けることができる、まあこういうようなことでございまして、お互いの間に研究あるいは努力すべき問題があるわけでありますが、そういうものが解決すれば、だんだん両国の貿易量が増していくだろう、こう考えております。
  63. 小柳勇

    ○小柳勇君 具体的にわかりましたが、タピオカ一万トンについてはもう話がきまったのかどうか。いつからこっちに入ってくるのか。それからホタル石の問題、飼料トーモロコシですね、それから米の問題で、インドネシアが米をほしいならば、タイが日本の米を買って、それをインドネシアに援助するのだと、もう少し具体的にお話でさましたらお話し願います。何でしたら局長から……。
  64. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) 一緒に行った事務の者がおりませんから……。それはタイ国が日本から買うのではなくて、もしトンドネシア側が受け入れるならば、日本がタイの米を買いつけて、それをインドネシアに供与しようというものであります。私は、その話はまあきまっておりますが、インドネシアに対する交渉、それから向こうにどうして届けるかといったような手続上の問題だけが残っておると考えております。それからその内容ですが、金にして五百万ドル、対インドネシアの援助ですね、そのうちたしか肥料が二百万ドルで、三百万ドルが米ということになっておったと思います。
  65. 小柳勇

    ○小柳勇君 随行の局長、担当官見えていないようですから、残念ですが、あとでまた詳しく聞きましょう。  次はイラン、クエート、サウジアラビア、レバノンの中東四ヵ国では、椎名通産大臣はそれぞれ国家元首、首相などと会談されましたが、その際、経済援助、技術援助の問題が取り上げられたと思いますが、各国の要請、意見などを大臣はどのようにお感じになっておられるか、お伺いいたします。
  66. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) まず、イランのほうに参りましたが、これは数年も前から私も承知しておりましたが、非常に両国の間の貿易がアンバランスである。これを何とか是正してもらいたいという要請が非常に強かった。これを聞かなければ、少し強硬な手段でもあるいは取るんではないかというようなけんまくでありましたが、今度はそういったような険しい態度は見られなかった。それで、相当イラン国の国産原油というものを日本に入れておるんですが、それは英米の石油トラスト、そういうものの手を通じて日本が買っておる、相当多量に。それはイランの日本に対する輸出とは直接関係がないんだから、それは勘定外であるということを前回言っておった。しかし、そういうふうに言っておられるけれども、実際問題としては、イランの原油というものが日本に間接的に入ることによって原油輸入額の四〇%はイランの外貨収入として残るじゃないか、そういうことを全然度外視して、これは別問題であって、そして不均衡是正しろということは、ちょっと通りが悪いんじゃないかということを今度は私直接に話しました。それが幾らかわかったようでありますが、そのほか最近LPGですか、それを日本のほうに輸入するということにこれはなっておる。一九七〇年から相当量日本輸入するということに話がきまりました。その準備を目下現地においてやっておる。これなんかも日本業界がなかなか渋いことを言っておりましたが、結局需要がどんどん増大する、そういうような状況にありますので、相当な量を、二十四万トンを一九七〇年から輸入するということになっておりまして、今後この量をどういうふうにするかということは、その上でまた検討してきめていかなきゃならぬ問題だと思います。こういうこと。  それから、あの国は非常に石油の輸出によって資金が相当に用意されておりますので、いろいろな方面に開発事業が行なわれております。それで、日本はこれに参加しておりますが、その状況を向こうが述べて、日本の技術が非常に優秀であって、しかも誠実でごまかしがない、こういったようなことを実際に痛感しておる。そういうことで、日本に対する信頼感が非常に急速に高まっておるのであります。それで、電気通信の問題、そういうようなことで、すでに向こうのプロジェクトを引き受けて実績があがっておる。なお、電気通信の問題の延長で、各国に入札をさせた結果、日本が一番札で落札した。これは電話交換機でございますが、これは年々、古くなれば更新されるということで、ずっといつまでも継続して日本から輸入されるということになるので、負けたほうは非常にあわてて、一番札だけである、これを何とかして巻き返しをしなければならぬということで、いろいろ策動したようでありますが、結局イランのほうの決意は断然かたい、絶対これは日本だということで、これも動かぬようであります。  それから御承知のとおり非常に砂漠地帯が多い。水さえこれに与えればどんどんりっぱな耕地になる。そこで、向こうが考えているのは綿花でありますが、綿花について、日本の綿業調査団が現地に、向こうの要請によって出かけた。そうしていまの栽培法を改良すればどれくらい収穫ができるか、それからまた綿花栽培地域というものと水の開発というものをにらみ合わして、どれくらいどういう地帯に綿作地帯を広げることができるかというような調査をいまやっている。その調査の結論を首を長くして待っている、こういうような状況であります。  それからなお電子工学に関する問題で、何とか日本の技術者をイラン政府の顧問としてひとつ推薦してくれないか、こういったようなことも、私直接に向こうから言われて帰ってきております。ただいま業界に話を移して、そうして考えてもらって、いずれこれは実現するめどがつきそうであります。  そういうようなことで、ずいぶんイランの財政力というものがしっかりしておりますので、各国があすこに行って、いろいろな仕事を取ろうとして競争しているが、その間において、日本が断然非常な信頼を博しているということ、これは非常に得がたい収獲であると私は感じて帰ってきております。  それからクエートとサウジアラビア、これは両国の中立地帯で、すでにアラビア石油が海底油田を開発して、もう数十本掘っておりますが、いずれもからくじなし、掘ればみな当たる、これはちょっと世界でも例がないようであります。これが非常に、偶然かもしらぬが、日本の事業というものに対する考え方をすっかり変えている。それで、クエートなんかでは、非常に金のあるところであります。わずか人口が四十五万で、クエート人がそのうちの三十万ぐらい、あとは近隣から集まった、あるいは西欧あるいは極東から出かけていっている人が全部合わせて、あとの十五万ぐらいが向こうの籍に入っている。入っているのだが、たった四十五万の人口で、たいへんに石油収入がある。こういうことでございまして、ただ、ここはイランよりももっとひどく、全くほんとうの砂漠でありまして、風が吹いたら砂ぼこりがたいへんだということでございましたが、私が行っている間はそういうことはなかった。それで、結局問題は水をどうするか。水を持ってくればどんどん緑地帯が広がっていく、こういうことでありまして、人も住みよくなるし、町もりっぱになる。いま近代都市をどんどん建設しておる。ほとんど古い町は取りこわして、幾らか一部残っておるくらいの程度であります。それで、すでに海水蒸留設備をやっておる。それを、いまたしか日産四百万ガロン、それをさらに倍にするといういま計画をやって、日本の石川島播磨がこれを引き受けてやっております。それを、いま手をつけておる計画をさらに倍にするために、第二期工事をやる計画があるようでありますが、そういうようなことで、金に糸目をつけないで一生懸命やっておるわけであります。日本では工業用水が五円とか、六円といわれておりますが、あそこはたしか水を製造するだけで百円かかった。それをいよいよ設備をして、人家に供給するということになると、二倍半くらいになるとかいっておりました。そういうようなこともどんどん実行しておる。道路もどんどん伸びておるということで、現実に仕事をしておるカフジ、アラビア石油の仕事をしておるカフジというところに参ってみたのですが、砂漠の中に一画築いて、セントラル・クーリングで、中に入るとひやっと涼しい。そういうところで、とにかく皆小さな車を持って、まあ一応あれ以上ということはなかなかむずかしいと思うのであります。職員諸君は生活を満足しておるというような状況でございました。非常に私は、その他の福祉国家としての施設についても、建設途上のクエートに、なるほどこういういろいろな配慮をしておるのだなという状況が見えたのであります。病院であるとか学校であるとか、そういったようなものはどんどんやっておる。ちょっと高等学校を見たのだが、いずれ何年かたったら大学になる。大学はもう少しあるのだそうですが、食わして、教えて、小づかいまでやっておる。学校はただで、食わして、教えて、小づかいまでやっておる。ただで小づかいやっておる。そしてそのうちの幾分かはクエート国民外のアラブの連中、そして相当優秀な、一定の条件にかなった者はどんどん入れる。卒業生は何か義務を課するかといったら、何も義務を課さない。こういうことでアラブ、あの地帯一体の文化国家の中心くらいの目標でやっておるのじゃないか、たいへんな勢いでございました。  それからサウジアラビアに参りましたが、サウジアラビアも非常にあそこは戒律のきびしいところで、同じ回教でも非常にきびしい。道路を歩いておっても婦人の姿は一人も見えない。そうしてずっとメッカに行くメッカ・ロードというのがありますが、そっちのほうへ行ってようやくジッダの郊外へ行くと、貧乏人のおかみさんみたいな女の姿がかろうじて見えて、あとはどこへひそんでおるか一向見えない。そういうような非常に戒律のきびしいところでありますが、それでも非常に近代化というものに踏み切って、どんどん道路を延ばし、建物を建て、そうして住宅を建てて、そうしてやっておる姿が見えますし、それからそのジッダの郊外でやはり海水蒸留に踏み切ってこれからやるのだと、それで各国がいろいろ事業を分担してやって、日本はボイラーを石川島播磨がそれを分担して海岸でやっておる。それも見てまいりました。そういうようなことで、クエート、サウジアラビア両方とも石油収入で非常な恵まれた条件にありますが、やるべきことが非常に多い。クエートのほうが非常にコンパクトで、あれがまあ相当に近代化しておるということがわかります。サウジアラビアもだんだん近代国家になっていくのではないかと、こういうふうに考えておる。かなり日本の商社がサウジアラビアなんかにも入り込んでおります。物の売り買いあるいはそういう特別のプロジェクトの建設ということでなしに、いろいろな仕事を見つけてあそこに商社が入り込んでおる。  最後にレバノンでありますが、レバノンは私は公式訪問したのじゃないので、ただあそこで足休めをして、一晩泊って帰ろうと思ったのでありますが、とうとう向こうに取っつかまって、総理大臣とそれから大統領にお目にかかってまいりました。あそこは非常に貿易のアンバランスのあるところで、輸出が一なら輸入が五、六倍ぐらいありますか、しかし、あそこは中近東のオアシスといわれており、あそこへ来ると山も緑であり海もきれいであるということで、初めてほっとするというようなところでありまして、したがって観光収入であとはまかなっておる。あそこ全体が自由貿易地帯。したがって日本の中近東全般に対して活動しておる日本人の基地があそこにある。どの商社もあそこに一番偉いのを置いて、そうしてあそこの指図であっちの国へ行ったりこっちの国へ行ったりして仕事をしておる。これはただあそこが便利だというばかりでなしに、情報も世界じゅうの情報が全部一番早く入る、こういうことでありまして、あそこが中近東の企業活動の中心地であって、したがって日本の商社も三十幾つぐらいあそこに一番の本拠を置いて、そうして活動をしておる。こういう状況でございまして、これは日本との特別の仕事の関係はそう見るべきものはございませんが、やはりこれは私は別に仕事上の関係はないが、あそこが日本に対して非常な差別関税をまだ適用しておる、日本の繊維に対して。それだけまあ文句を一つ提供してまいりました。  そういうことでございまして、これを要するに、私は全然寡聞にしてわからなかったのでありますが、ああいうような地帯へ行って、日本人の経済活動が意外にたくましく展開されておるということを現実に見て、全く心強く思った。こういうことでございまして、結局は日本の技術力、経営力というものに対して非常な評価をされておる、こういうふうに感じてまいりました。
  67. 小柳勇

    ○小柳勇君 五年前、私がずっとあの辺を回りまして、日本の商品が安かろう悪かろうという批判をそのころ受けておりまして心配しておりましたが、いま大臣の報告で、非常にその後活発に技術援助なり、あるいは商品の進出があるようでございまして、なお別の機会に詳しくひとつ講演をしてもらいたい。  あと二問でありますが、一つは、今後ますます中近東、東南アジアなどの開発途上国から経済援助、技術援助の要請が強まると思われますが、これに対する政府の基本的な態度をお伺いいたしたいと思います。まず通産大臣、今回の旅行から帰ってからの見解と、経済企画庁長官から政府の基本的な考えをお話し願いたいと思います。
  68. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) 結局、要請されたのは主として技術援助でございました。資金も潤沢なことでありますから、技術問題を非常に高く評価している。研修生の受け入れを、もっとくだを太くしてくれ。それから専門家の派遣も、どんどんこっちの要請に従って送っていただきたい。こういうのが一般の向こうの考え方のようであります。その他の点については経済企画長官から……。
  69. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) わが国は、ことに戦後平和憲法で戦争というものを放棄したのでありますから、第三次大戦が起こらないために、やはりこれは世界の各国間のいろんな意味での格差を解消するということがわが国の憲法で定めた国是であろうと思います。そのためにも、わが国がなし得ることをする。これは金融上の貿易関係の援助にいたしましても、また技術援助にしてもそうであろうと思いますが、したがって、できるだけ貿易で黒字をかせぎながら、それを資本提供あるいは技術提供の形で、格差のある各国に援助の形で送っていくのがわが国の基本的政策であろうと思います。
  70. 小柳勇

    ○小柳勇君 いまの経済企画庁長官が言われました先進国と開発途上国との格差の是正ですね、いわゆる南北問題の解決が焦眉の問題であろうと思う。わが国としても、これの一翼をになわなければならない運命にあると思います。したがって通産大臣、この南北問題を解決するという大きな世界的の命題に立って、わが国として先進国と開発途上国との間の格差の是正に対して、通産省としてはどのような基本的なお考えをお持ちか、お聞きいたします。
  71. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) いろいろ開発の問題に関して経済協力をするということは、これはもう大きく約束しておる問題であります。しかしこれはまあ日本の財政力というものとの相談でやっていかなくちゃいかぬ、それからまた地域的に見ても東南アジアを重点的にだんだん他に及ぼすということにならざるを得ないと思うのであります、例外はあるにしても。  それから最近起こってきた特恵関税の問題でありますが、この問題は日本も内部に生産性の弱い中小企業というものをかかえておりますので、それとの関係を絶えず考慮しながら相当に気を配って特恵問題と取り組んでいかなければならぬ、結局一九七〇年から実施するということになっております。まだいま具体的には始まったばかりであります。日本に入ってくる低開発国の製品に対する特恵をどの程度までにやっていいか、それからまた第三国の市場においてこういう低開発国の製品と日本の中小企業の製品と張り合うということになりますが、そういう場合にどの程度日本としては対外的に注文をつけて、そして活路を開いていくかということだと思いますが、そういう点については、かなりいろいろむずかしい問題があると思いますので、具体的に十分にことごとによくこれを研究いたしまして、そして対処してまいりたいと、こう考えております。
  72. 小柳勇

    ○小柳勇君 質問を終わります。
  73. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 大臣時間があまりないそうでありますが、実はこの間からまたいろいろ問題になっております水銀あるいはカドミウムの問題につきまして少し質問をさせていただきたいと思います。  その前に、通産大臣に対して、産業公害という問題と、それから産業の育成という問題、この問題をどう考えておられるか、基本的な姿勢を、通産省としていままで公害問題にもいろいろ関心を寄せてやってこられたと思いますけれども、はっきりと産業の育成と公害の問題、これは非常に大事な問題であると思います。基本姿勢をまずお伺いしたいと思います。
  74. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) 最近都市集中化ということに関連して産業の公害問題がやかましくなってまいりました。通産省は基本的には産業を育成して、そうして日本の経済発展を推進するというたてまえをとっておる官庁でございますけれども、この公害問題は人命に関する、人間の健康に関する問題でございますので、こういうふうに公害が相当顕著になり、やかましくなってまいりました今日においては、これに過分の意を払って、そして公害のない産業の育成、こういうところをねらっていかなくちゃならぬ、かように基本的には考えておるわけであります。
  75. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 いまねらっていかなければならないと、こう言われましたけれども、実際具体的にいまいろいろ公害が起こっております。これに対してのいままで通産省がとってこられた態度というものは、一方的な見方といわれるかもわかりませんが、どちらかといえば企業のほうに、企業側につくというか、いままでの水俣病にしてもあるいはイタイイタイ病にしても、通産省の態度というものは、絶えず企業のほうに片寄っているような印象を私たちは抱いてきたわけでありますけれども、産業界公害に対してどのようにいま取り組んでおるか、ただ規制があるから、だからその規制の範囲、最小限度守ろうという態度なのか。もっと積極的に——これからますます技術革新のもとにおいて産業が発展すれば、そこにいろいろな公害が出てくる可能性もあるわけです。いま言われたように、公害のない社会をつくるのが理想である。その理想に対してやはり一番気を使ってもらわなくちゃならないのは産業界、企業体であると思うわけです。その企業体に対して通産省はどのように指導をされようとしているか、今後の問題をお伺いしたいと思います。
  76. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) まあ公害をその起こる原因を十分に突き詰めて、そしてその公害が起こらないように、技術的に、科学的に未然にこれを防止するということを探究するということが非常に大きな企業指導上のねらいとなってきておりますので、今後ますますそういう方面に企業のエネルギーを十分に振り向けるように指導してまいりたい、こう考えております。
  77. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 まあそういうふうに指導すると言われますけれども、それでは、この前に公害基本法ができまして、これからいろいろ実施法ができようとしておりますが、たとえば被害者の補償とかそういう問題、あるいは公害の基金をつくるという問題に対して、産業界がいろいろ反発を示しておるというふうなことも聞いておりますが、まあ具体的な問題としてそういう公害に関する実施法に対して産業界の抵抗があった場合、通産省としてはそれを完全に指導をして、あくまでも人命尊重という立場を堅持した上で産業界指導をしていかれる大臣としては強い意思がおありかどうか、その点をお伺いします。
  78. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) まあ実際問題としては、企業の側に対して、通産省としては主として科学的に、技術的に公害発生の問題をこれをあくまで究明して、そして同じような公害問題が再び起こらないように未然に防止するという対策を講じていく、これをまあ通産省としては一番公害問題に対しての通産省の分担すべき最も重点と、こういうふうに考えます。  それからすでに公害によっていろいろな被害をこうむっておる、こういうような点、そういう点は人間の健康問題に関する問題であって、それの認定は主として厚生省にひとつおまかせをして、そして厚生省としてその対策——予防対策はまあこっちのほう、それからすでに被害を受けた、健康もそこなっておる、病気にかかっておる、まあそういったことに対する対策は厚生省の意見というものを主眼にして、そしてこちらはそれに従っていく、まあこういうふうに……。分担をきめないでいろいろな争いが起こってまいりますと混雑をいたしますので、そういう分担で進んでまいりたいと、こういうふうに考えております。その際に、原因となった企業、そういうものがこれに対してどういう責任を分担するかといったような問題に関しては、これは厚生省の全体に対する救済策というものの一部をこっちが分担する意味において、企業のほうにこれを交渉するとか、まあそういうふうにしてまいります。すでに被害が起こった場合、それから新しくこういう公害が起こらないような措置をどうするか、まあこう両面にわたって遺憾なきを期してまいりたいと、こう考えております。
  79. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 いま言われましたその最初の技術的に究明をしていくと、このことについてですが、それでは具体的な問題でお聞きしますが、いま問題になっている水銀の問題ですが、自然界にある水銀がメチル化する可能性があるという意見を言う学者がおりますが、それに対してもこの間これは厚生省ですが、自然界の中のメチル水銀への転換がいわれていますが、正確に水質を確認する必要がある、こういわれておりますが、いま大臣のお話ですが、たとえばこういう自然界にある水銀がメチル化してそうして有害になる、こういうような研究はこれは通産省の分担なんですか、どうなんですか。
  80. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) そういうところはやはり今度科学技術庁ということになるのではないかと思います。通産省としては特定の工場が公害の原因になるかならぬか。それから公害であるとすれば将来どういうふうにすればこれを防止することができるか、そういうことをどこまでも突っ込んでいきたい。それからそうじゃない純然たる科学の分野における研究、そういったようなものはあるいは厚生省、あるいは科学技術庁、そういうふうになっていくものと思われます。それぞれやはり省庁の機能によって分担すべきことはおのずからきまっていく、こう思います。
  81. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 それでは通産省としての分担範囲というのは、もう一回確認しますけれども、たとえばある物質が流れた、それがはたして人体に影響があるかないか、これは厚生省がやる。それが悪い、悪いらしいということがわかってから、通産省が、それを出さないためにはどういう装置をつくればいいか、どういう過程にこれを変更すべきであるか。そういう、要するに公害予防といいますか、そっちだけのことになるわけですか、そう考えていいわけですか。
  82. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) まあチームワークが前提でございまして、自分のほうはこっちだけだから、あとのことは知らない、こういうようなことではいけないので、やはりチームワークでいかなければならない。チームワークの一つの受け持ち分野として、通産省としては工場の操作からそういうものが生まれてくることがもう科学的にわかっておるとすれば、今度はそれをどこまでも探求して、これを絶滅するためには、排除するためにはどうすればいいか、こういうことを追及していく。ただその間にチームワークで、そうして共通の問題というものを十分に念頭に置いていかないと、また間違うと思います。
  83. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 さっき人間のほうは厚生省とか、そういうことを言われるから、じゃ通産省のほうはどこかということをはっきりしてもらいたいということを聞いたら、またチームワークということで困惑させられたようなわけで、チームワークがとれてないから、じゃそういうことをはっきりして、分担があれば分担をはっきりして、そうしてその上でどこが中心的な指導——公害基本法ができて、これからいろいろな機関もできてくると思いますし、そういった点で、公害行政は一本化していかなければいけないと私は考えておりますけれども、それでいま言われた、たとえば工場で物質が有害である、じゃそれをどう処理するかということは通産省がやると言われたわけですが、それではお伺いしますが、一つの例としてカドミウムをあげた場合、カドミウムは、はたしてどの程度の害があるかということはいろいろ研究もされておりますし、イタイイタイ病というのはこれはこの間から問題になりましたが、いまその他の地域で相当カドミウムが実は出ております。大臣も御存じだと思いますけれども。まあイタイイタイ病のようなああいう悲惨な病気は、おそらくいま現在出ておるような量では起こらないと考えられますけれども、しかしイタイイタイ病にはならなくても、たとえば群馬県の安中においては、煙のほうに入ったカドミウムが桑の葉について、それが蚕に対して影響を及ぼしておるということがいわれておりますけれども、そういう具体的な例としてカドミウム一つ取り上げて、じゃそれに対して通産省としては、いま大臣の言われたように——神通川でははっきり害があるというのが出たわけです——その後このカドミウムに対して何らかの研究を進め、その処置を講ずるべく努力をしてこられたかどうか。具体的にお答えを願います。
  84. 橋本徳男

    説明員(橋本徳男君) お答えいたします。カドミウムの問題につきましては、実は鉱山関係といたしまして、これは亜鉛を採掘し精錬するところにカドミウムがあるわけでございます。それで、現在そういった亜鉛を採掘し精錬しておるようなところは、全国で五十五ございます。それで、全国の監督局及び監督部に命じまして、この五十五の鉱山を全部一応試験するというふうなことで、現在それを進めております。すでに問題がない——たとえばカドミウムにつきましてはまだ日本の基準はできておりませんが、国際的にできておる基準から照らして問題がないというふうなところも出てきておりますし、現在まだ調査を、試験をやっておる山もございますし、それから若干問題があるんじゃないかというふうなところにつきましては、沈でん池を拡大せいとか、あるいは排水の処理を改善せいというふうなことで、改善指示をすでに出しておるところもございます。そして、大体この五十五の鉱山につきましては、一応この第二四半期からやっておりますが、三四半期、四四半期で調査は完了する。そして、どうしても非常に不良と思われるところにつきましては強い措置をとってまいりたい、こう考えておりますが、現段階におきましては、改善指示をやることによってかなり排水等の質がよくなっておるというふうな状態に実はなっておるわけでございます。
  85. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 いま鉱山だけ言われましたけれども、この間から、淡路島など、あるいは神戸市では、やはり工場のほうからも出ておるということが調査で明らかになっておりますが、鉱山以外のカドミウムを扱う工場についてはどうされておりますか。
  86. 矢島嗣郎

    説明員(矢島嗣郎君) 御指摘の淡路島の例は、三洋電機のカドミウム電池をつくっている工場でございますが、それにつきましては、通産省といたしましては担当課長を派遣いたしますし、それから現地の大阪通産局を中心として直ちに措置をとりまして、簡単に申し上げますと、従来の装置が一段の排水の処理装置であったのを二段にしたと。要するに二重チェックをやれるような排水処理施設かやらせまして、すでに現在のその二段目の装置が完成しているわけです。これが問題の淡路島の工場のその後のとった措置でございますが、それ以外にカドミウム電池をつくっている工場が全国に五つばかりございますが、そういうものにつきましても直ちに調査を命じまして近辺の工場については担当官を派遣して、そのようなことのないように指導しておるわけであります。
  87. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 またこまかい問題になりますけれども、カドミウムの排水処理を二段にするとおっしゃいましたが、それ以外に何かカドミウムを流さないように、何かで加工させて沈でんさせる、そういうふうな技術的な処理をすることは可能であると思うのですけれども、その点の研究、あるいはもしそういうものがありましたら、それに対する対策を講ぜられると思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  88. 矢島嗣郎

    説明員(矢島嗣郎君) 通産省でとりあえず調査した結果といたしましては、この二段装置にすることによって十分対策になり、しかもその結果についてはさらにチェックしておりますけれども、害になるような程度のカドミウムは出ないものと思っておりますが、なお先生の御指摘もありますものですから、むしろもう少し時間をかけまして別な対策があるかどうかも研究してみたいと思います。
  89. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 さっき言われた世界的な基準ですが、どれを一つの目安とされておりますか。たとえばアメリカの水道の許容量とされております〇・〇〇一PPMを基準にされておるかどうか。
  90. 橋本徳男

    説明員(橋本徳男君) おっしゃるとおりでございます。
  91. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 もう一時になりますので、大臣は時間がないというようなことで、もう一つお聞きしますが、先ほど言われましたそのあとのほうの問題で、要するに紛争が起こった場合の企業に対しての態度でありますけれども、たとえばイタイイタイ病の場合ですね、神岡に対して通産省としては、あの厚生省の発表のときには最終的には裁判に待つよりほかはないと、こういう話が出ておりました。もちろん仲介の労もとられるということもありますけれども、それ以後何か話し合いというか、あっせんを通産省としてはやってこられたのかどうか。またやってこられなければ今後どのようにされていくか。というのは、向こうの患者さんはこれから冬を迎えますと、非常にまた悲惨な状態になりますし、いろいろな面で困っているようでありますので、一日も早く円満な解決を見たいと思うわけですけれども、通産省としては何かされてきたかどうか。この点をお伺いしたい。
  92. 橋本徳男

    説明員(橋本徳男君) 神岡鉱山につきましては、あれが公害であるということがはっきりした段階におきまして、神岡鉱山に対して誠意をもってそれの罹炎者に対する対策を立ててほしいというふうなことは、再三鉱山側に話をしてまいりまして、それで見舞金もそこから支払わせる。それからまた鉱業法によりまして双方の仲介というものをやることが可能でございますので、そういう双方とも話し合いの場を持つというふうなことまで話はかけておりますが、その点は県当局におきましてもまだはっきりとした態度になっておりません。それで現在御承知のように係争中でごいますので、しばらくそういった県に対して仲介の労をとり得るやいなやというふうなことを、現在県に対して話を進めておるような段階でございます。
  93. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 これも大臣にもう一つお伺いしておきたいのですが、基本的な問題ですが、その公害行政の先ほど一本化ということを言いましたけれども、地方自治体との関係もあるわけです。たとえば通産省として出店が各地方にありますけれども、たとえば河川の汚濁、あるいは大気汚染に関してのことをチェックし、あるいはそれを予防していくというふうな体制が非常に弱いと思うのですね。それじゃ地方公共団体、県とか府とか、そういうところで確立しているかというと、それもなかなかできておらない。たとえば大阪府に例をとった場合、公害監視センターというものがあるわけですけれども、まあ所長さんの話を聞きましても、こういうものができたけれども、実際権限があまりない、また人員も不足している、技術員も足りない、そういったところでなかなか十分なことはできない。じゃ通産省として十分なことをやっているかというと、それも非常に人数も少ない、技術員が特に不足しているわけです。したがって、お伺いしたいことは地方公団体の関係です。通産省としては、どういうふうに協力し合っていくか、さっきチームワークと言われましたけれども、それも一つ入ると思います。それからもう一つは、公害という問題を、もっと私は大きく取り上げて、たとえば公害に対する技術員の養成、まあ厚生省でも幾らかやっておられるようでありますけれども、大学の中において講座をつくるとか、あるいはこういった教授陣の養成等も今後考えていかなければならない、こう思うわけですけれども、そういった問題を含めまして、公害行政という問題に対する大臣のお考えをお伺いして、大臣に対する質問は終わりたいと思います。
  94. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) 公害の問題は、最近になって非常に都市集中、それからこの種の工場の数も非常にふえてまいりまして、急速に公害問題が大きな問題になってきております。それで、これに対する行政措置を適正化ならしめるために、第一番目に考えなければならぬことは、公害行政の機能というものを十分に強化していくということにあると思います。この点に関しましては、最近、公害問題を中心にして、それに関連をする技術者あるいは事務官等を含めて、たびたび研修会を開きまして、それに対する体制を固めつつあるような状況でございますので、私はまず、特別に指導するというようなことではなくても、もうすでにそのほうのスタッフがおりますので、研修会もたびたび開くことによってその機能を十分に強化することができる、かように考えております。
  95. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) それでは、ここで一たん休憩をいたしまして、午後二時再開し、自後の質疑を続行いたします。  それでは休憩いたします。    午後一時四分休憩      —————・—————    午後二時十六分開会
  96. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) ただいまから商工委員会を再開いたします。
  97. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 午前中にもいろいろお伺いしましたが、引き続きましてカドミウムの問題、もう少し。いま二カ所の工場のことを言われましたが、そのほかにまだいろいろ現在出ておりますけれども、たとえば対馬の佐須川、群馬県の安中、それから大分県の奥嶽川あるいは北海道の豊平川ですか、さらに諏訪湖のタニシに検出されたとか、そういうのが出ておるのですが、その点については現在調査が進められておるのか、あるいは今後やられるのか、その点について。
  98. 橋本徳男

    説明員(橋本徳男君) お答えします。  いま指摘されました鉱山につきましては、すでに監督局からこの七月、八月ないし十月ということでそれぞれ調査をいたしまして、そのつどいろいろな改善事項等を指示してございます。そしてすでに緊急にやれるような、たとえば石灰を多量に投入してそれによって中和を完全に行なうといったような種類の点につきましては、各鉱山ともすでに実施をしておりますが、設備の改善等を指示した事項については、この十月、十一月に完成するもの、ないしは年内に完成するものというふうに分けまして、現在改善指導をやり、そのつど監督局からその進捗状況を見ながら再度調査を重ねておるというふうな状況となっております。
  99. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 その指示された事項とかあるいはその調査の結果は、資料でいただけるでしょうか。
  100. 橋本徳男

    説明員(橋本徳男君) 各鉱山ごとに指示した事項がございますので、別途資料で提出してよろしゅうございます。
  101. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 次に、いままで通産省のほうからの調査をお答え願いましたが、厚生省としてはどのようにしてこられたか、お伺いいたしたい。
  102. 武藤き一郎

    説明員(武藤き一郎君) カドミウムの問題につきましては、いま先生が言われました対馬、安中、宮城、奥嶽、そういういわゆる亜鉛鉱山等につきましては、私のほうでも調査を進めまして、その結果につきましては、来年の三月に出る予定になっております。
  103. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 私は思うのですけれども、通産省と厚生省、それはさっきの大臣の話ではないんですけれども、人間のほうとそうでないほうと分けて調査されていると思うのですが、どうしてこれが公害という行政の面から一本化ができないか。いろいろな問題があると思うんですけれども、データが同じであればいいんですが、往々にして違っている場合もあるし、また考え方の違い等も出てくる。たとえば神通川の場合、厚生省は原因究明でやられた、通産は予防のためにやられた。税金の使い方が非常にむだなような気も私はするんですけれども、その点について両省でどうお考えになっているか、今後どういうふうにしようとされているか、お願いしたいと思います。
  104. 橋本徳男

    説明員(橋本徳男君) 通産省といたしましては、午前中お話ございましたように、やはり原因を究明し、そしてそれについてあくまでも科学的、技術的な方法によって予防措置を講ずる、しかもその予防措置が完全に行なわれているかどうかといったようなアフターケアをやっていくというサイドから各般の調査をやっておるわけでございます。厚生省といたしましては、また別の立場からの調査だと思いますが、しかしいずれもそういった立場の違いからの調査を持ち寄って双方が研究を重ねることが、一方に片寄らない措置ができるのではなかろうかというふうに考えているわけでございます。
  105. 武藤き一郎

    説明員(武藤き一郎君) いま通産省のほうからお話がありましたように、鉱山を監督しておられる通産省としてはその立場から、私どもといたしましては健康と生活環境を守るという立場から、それぞれ調査が行なわれるわけでございますけれども、やはりこの調査につきましては、両省が情報をよく交換し、あるいは調査をする場合にはクロス・チェック等の方法をやりまして、あとでいろいろその結果について意見が異なるとか、あるいはデータについていろいろ論争が起きるとか、そういうことがないように、やはりガラス張りでやるべきだと思います。いままで両省間の問題につきましては、先生御不審のように、多少連絡のそごがあったのでございますけれども、今後はそういうことがないようにしたい、かように考えております。
  106. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 そうすると、まあ私は思うのですが、たとえばどこかで被害があった場合、厚生省として調査をすると、こういう点で問題があると、ここから流れておると、その連絡を通産省が受けて、今度は鉱山側に、それに対して流さないように適切な指示をする。その結果は、今度はどうであったかという調査としては、私は、通産省がおやりになるのはいいと思うのですけれども、あくまでも人間のからだに対する影響があった時点から、それからそれを受けて、その連絡なり報告を受けて、通産省が鉱山側あるいは工場側に何らかの指示をして、それがどう行なわれて、その結果たとえばPPMがどの程度完全に下がったかどうかを調査するという形であれば、私はまだ納得できるのですけれども、いまのやり方は何か同じような傾向に、何か事件が起こった、すぐに両方で調査をしておるという感じがする。その点、両方どっちもスムーズにいけば、先ほど大臣の言われたチームワークが行なわれるということになると思うのですが、その点いかがですか。
  107. 橋本徳男

    説明員(橋本徳男君) 鉱山関係といたしましては、カドミウムという金属はごく最近そういうものが健康に非常に有害であるというふうなことがわかりましたが、鉱山は昔からいわゆる一般住民あるいは地域のためにいろいろな公害が発生しないように、先生御承知のように昔からいろいろ煙の害等もございまして、紛争があったわけでございます。したがいまして、そういったいろいろな公害を及ぼさないようにという角度から、保安法ができました昭和二十四年以来引き続き公害防止をやってきているわけでございます。したがいまして、それが別個の形として公害が発生したという段階になって、初めてその角度から取り上げるということでございますので、こういったいわゆる公害防止の問題は、従前から行なわれておるもの、それをまた違った新しい要因に基づく問題として、この違った角度からまた取り上げるというふうなことでございますので、別に厚生省との間に特に大きく行政のダブリとかあるいはそういった権限上の問題だとかというものは、われわれも考えておりませんし、そういうことがあってはならないというふうに考えております。
  108. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 まあそういう点からいいましても、この間十月二十五日の新聞に出ておりましたこれは記事の確認ですが、水質保全あるいは工場排水の規制に関する法律、そういうものを知事に権限を委譲するということを通産省は検討されておるということが出ておりましたが、こういう点がはっきりしてくれば、そういういろいろな検査とか規制ですね、先に県の単位でやってしまって、そうしてそれを通産省が連絡を受けて、それで何らかの処置をしていくというようなことでもいいし、また厚生省がそれに協力をしてやるとか、この点いま言われたように、法律が通産省にある法律、あるいは経企庁にある法律、厚生省にある法律というふうになっているところに、どうしても問題があるのじゃないか、このように思うのですが、その前に、いま申し上げました新聞記事の通産省で検討されている問題について、この新聞の記事どおりと考えていいのかどうか、その点について。
  109. 矢島嗣郎

    説明員(矢島嗣郎君) 私はこの記事を見ておらないのですが、先生の御質問というのは、おそらく工場排水規制のことでございまして、工場排水規制法は経済企画庁が水質保全法によって水質基準をきめた後において、その水質基準どおり守られているかどうかということをチェックするための法律でございます。その監督権限は通産省だけでございませんでして、農林省、厚生省、大蔵省その他五省にわたっておりまして、それぞれその所管業種をそれぞれの大臣がやっているわけですが、ほかの省のことは特に申し上げられませんが、通産省に関して申し上げますというと、その監督権限は、簡単に言えば半分くらいが都道府県知事で、半分くらいが通産局長にまかされているわけです。かねがね大阪等からその通産局長にまかされている業種——業種によってわかれているわけですが——そういうものについては府のほうにまかしてくれという要望があることはあるわけです。そういう点はかねて承知しておりまして、そういう方向で検討しているわけであります。ただ先生も御案内と思いますが、この水というものは川に水が出るわけで、川というものは数府県にまたがっているのでございますね。淀川は御承知のように三県、四県ぐらいにまたがっておる、大和川は二県にまたがっているというわけで、その川筋にそれぞれあるのを、各府県に分けてやるということは必ずしも適当かどうかという問題もありますし、それから業種によりましては、その排水処理施設というのが、生産工程と非常に密接不可分の関係になっております。しかも技術革新の世の中だものですから、生産工程が非常に革新、進歩する。それに伴って処理工程も非常に変わってくるということで高度の技術を要する、あるいは生産に対する深い知識、経験を要するというようなことで、直ちに府県にまかすことは適当であるかどうか問題であるという業種もあるのです。まあそういうふうに川が府県にまたがっておるという問題だとか、あるいは技術革新が非常に激しいという問題がありますけれども体制としては基本的方向としては都道府県の要望もあるので、その線に沿っていきたいと思っておるわけであります。そういう意味におきまして、その新聞記事、私は正確には見ておりませんけれども、私がいま申し上げましたような体制として、基本的方向としては権限をそういうふうにもっていきたいというようなことを書いてあるのではなかろうかと思います。
  110. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 まあ方向としてはいま言われたように渡していきたい。ただし、技術的にまだまだできない問題等については、おいておくということだと思いますが、自治省のほうではこういった問題はどうお考えになっておるのか。特にいまありましたように権限は委譲してもらったら困るというようなことを言う県もあるわけです。近畿方面では、奈良県などではそういうふうに言っておるということが、この新聞で書いてあります。そういう場合、私は考えるのはやはり権限は委譲していくべきだ、そういう力のない県に対してはそれなりの体制をとるべく国が援助をしていく、そういうふうに持っていったらどうかと思うのですが、その点、自治省としての見解をお聞きしたいと思います。
  111. 宮崎剛

    説明員(宮崎剛君) 自治省としての見解をお答えいたします。  ただいま先生言われましたように、公害行政を行ないます場合に、まあ自治省の考え方といたしましては、基準の法律の制定とか、そういうような基本的な事項は国でやって、公害行政の特性に応じまして、実施の段階はすべて都道府県、まあ場合によっては市町村もございますが、原則として都道府県しかも知事に委任して総合的に行なっていくことが最も適当であろうと考えておるのでございます。まあそういう線で従来とも各省といろいろ調整をしておるのでございますが、いま先生が申されましたように、技術的な面とかあるいはまた県によっては非常にまあ力がない県もございますので、今後その実施にあたって十分にその実施を行ない得るような体制になるように、並びにまたそのための財政的な措置も講じてまいりたい、このように考えておる次第であります。
  112. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 ついでに自治省のほうにお伺いしますが、大阪の場合公害監視センターというのができておりますが、実際いま大気汚染についてはいろいろ仕事はやっておりますけれども、いかんせん先ほど申しましたように、体制というもの、権限というもの、また技術員等の問題は非常にお寒い状態です。で、十分その大阪なり大阪府下の公害が出るようなことが考えられる河川、あるいはそういう大気汚染地域の調査は、まだまだ十分にできない。研究機関等もまだあるようでないようで、それからそういうものがない府県もかなりありますので、もちろんその公害の出ないような県もあるかと思いますが、大体今後の日本の将来の産業の発展ということを考えると、やはりかなり公害問題は神経質に考えなくちゃいけない思いますので、やはり全地域にこういう監視センターを置いておくことと、それからさらに内容の充実、いまの権限の委譲と関連してそういうところにもっと力を持たせるという方向が、私は望ましいと思いますけれども、その点についてどのようにお考えになっておりますか。
  113. 宮崎剛

    説明員(宮崎剛君) おっしゃるとおりだと思います。まあ大阪府は、御承知のとおりたいへん財政の豊かなところでございますが、その大阪にいたしましても、まだ十分でないということは、今後公害行政について国なりあるいは府県なりがもっと十分力を入れていかなきゃならぬと考えるものであります。現在のところ自治省といたしましては、これは申し上げましたような交付税の措置、それから特殊な場合は特別交付税の措置、それからあと地方債で公益、たとえば公共下水道とかあるいはまた学校のための防音とか、そういうものについての地方債の措置を講じておるわけでございます。さらにまた税金の面では、御承知のように公害防除設備につきましては、不動産取得税あるいは固定資産税の減免等の措置も講じているのでございますが、今後この公害対策基本法の規定によりまして、さらに具体的な法的な措置が講ぜられる場合には、一そう財政的あるいは税制上の措置を十分講じてまいりたいというふうに考えておるのでございます。
  114. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 具体的の問題になりますけれども、この間から大阪で問題になったのは、水銀を調査しておりまして、非常に高い水銀が出てきた。ただメチル水銀はないというふうな結果で、あまりこわくないということはいわれておりますけれども、要するに警戒ラインは完全に突破をしておるわけです。しかもそれを前々からわかっていながら、発表が非常におくれていた。それが大きな問題になったわけですけれども、これは府のほうでやった問題ですけれども、こういう点についてもいま自治省がいろいろ言われましたけれども、もっと自治省としても公害という問題にも適切な行政指導があってしかるべきではないか。また厚生省や通産省としても、地方の自治体に対して何らかの指導というものをもっとしていかなければいけないと思うのですが、その点いかがですか。
  115. 宮崎剛

    説明員(宮崎剛君) 自治省といたしましては特定の公害の問題というのは、非常に地域性の強い問題でございまして、各県知事が自主的に地域の実情に即した対策を講ずるように指導してまいっておるわけでございます。個々の問題につきましては、それが非常に大きな問題になったような場合には、通産省あるいは厚生省とも連絡して指導する、こういうふうな考え方でおるのでございます。今後ともできるだけ十分この公害の行政につきましては指導はしてまいりたいと思いますが、基本的な考え方は、やはり知事のその地域に即した対策に期待したい、こういうふうな考えでやってまいりたいと考えております。
  116. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 次に通産省にお伺いしますけれども、このカドミウムのことで、群馬県の煙害の問題が出ましたのですが、そうなりますと、このばい煙の排出の規制等に関する法律にも、少しこのカドミウムというものを入れなければいけないと思うのですけれども、その点については何か検討されておりますか。ばい煙は通産省、厚生省どちらでもけっこうです。
  117. 橋本徳男

    説明員(橋本徳男君) 安中のところにおきまする煙ですが、あの煙は実はカドミウムではなくて、むしろ亜硫酸ガスという点ではなかろうかというふうに感じておるわけでございます。
  118. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 その点は学問的に検討された結果、そういう結論を通産省として出されたのかどうか。ただ感じとしてカドミウムは関係ないと、こういうふうに言われているのかどうでしょうか。
  119. 橋本徳男

    説明員(橋本徳男君) その点は科学的に研究する必要があると思いますが、現在専門的な鉱山保安監督官の調査によってみましても、一応テストした結果、これは亜硫酸ガスによるものであるというふうに、現在の段階はなっております。ただ、こういう問題につきましては、科学的な検討は今後必要であろうということは否定できないと思うのでございます。   〔委員長退席、理事剱木亨弘君着席〕
  120. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 これは厚生省、通産省ともにお伺いしたいのですが、カドミウムの問題をいま調査をいろいろお始めになっておりますけれども、今後どういう姿勢で取り組まれるか、やはりカドミウムをひとつの毒物の中に入れられるのか、その点の考え方ですね。外国では、やはり実はアメリカも基準ができておるし、許容量もきまっておりますし、フランスにおいても前々からカドミウム中毒は言われているわけです。日本の厚生省としてあるいは通産省としての方向ですね、これをお伺いしたい。
  121. 武藤き一郎

    説明員(武藤き一郎君) カドミウムの規制の問題につきましては、富山の事件を契機といたしまして、厚生省といたしましては、各地の調査をやっているわけですが、その調査の結果によりまして、水銀その他の重金属とともに、特別の法的な規制が必要かどうかということを、前向きの姿勢で検討したいというふうに考えております。かりに法的な規制にまで至りませんでも、たとえば水銀のようにひとつの環境基準的な許容限度その他を策定いたしまして、水銀に準じまして暫定対策等もきめる必要があるのじゃなかろうか、かように考えております。またいまアメリカの例をお触れになりましたように、水についてはアメリカでは基準をきめております。日本ではまだきまっておりませんが、現在学者に、水についてのカドミウムのいわゆる水道飲料水についての基準の問題を検討さしておりまして、なるべく早く基準を策定したい、かように考えております。
  122. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 約束の時間が過ぎておりますので、最後に経企庁に水質基準の問題で、いまのカドミウムの問題については、厚生省と同じ方向でやろうとされておるのかどうか、お伺いします。
  123. 八塚陽介

    説明員(八塚陽介君) 御承知のようにいまのお尋ねではございませんが、メチル水銀につきましては、遠賀川の水域について規制をいたしたわけであります。メチル水銀については厚生、通産を含めまして科学技術庁が統一見解を出したというような経過もございまして、今後なるべく早急に各必要な河川にメチル水銀については設定をしてまいりたいというふうに考えておりますが、カドミウムにつきましては、先ほど来いろいろお話がありましたように、厚生、通産でそれぞれ御調査になっております。なお定量的にどの程度の基準にすればいいかということに若干の時間がかかるようでございますが、それを待ちまして、私どもの態度をきめてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  124. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 最後に一問だけ。これはさっきも質問したのですが、いわゆる無機水銀がメチル化するかどうかというこの研究は、厚生省として水銀が大きな問題になっておるおりに、やろうとされておるのか、あるいはやっておられるのか。やっておられたら、大体どのような見通しであるか、通産省でもけっこうですが、どっちかやっておられるほうから……。
  125. 武藤き一郎

    説明員(武藤き一郎君) 御質問の点につきましては、学会等でそういう意見があっていろいろ問題になっておりますが、ただいまのところ、厚生省としていつまでに、その問題につきまして学者を動員して検討するという計画はございませんけれども、重要な問題でございますので、前向きに検討したいと、かように考えております。
  126. 近藤信一

    近藤信一君 私は台湾バナナの自由化問題について質問を申し上げたいと思うのですが、実はこの問題につきましては、いまから十年くらい前から、私どもは自由化の問題でいろいろと政府当局にもお尋ねをしてまいりました。当時は、業界ではなかなか自由化に対するところの反対の意見が多かったわけでございます。特に三十六年から三十七年にかけまして、業界では自由化反対だというふうな声もあったわけであります。私たちがこの委員会で自由化を主張いたしましたのは当時バナナ消費者の口に入るのに非常に高い、一本五十円もするようなバナナの状態でございましたから、これを何とか安く消費者に供給する方法はないか。それには自由化をして、そうして多く輸入すれば必然的にバナナ値段というものも下がるのであろう、こういうことで私どもは自由化を主張したのであります。政府といたしましても、当時非常にバナナ値段の高いということをよく認識されまして、ついに昭和三十八年にこれが自由化になったわけであります。ところが、三十八年に自由化になりました台湾バナナが、これまた逆戻りをしたようなかっこうで現在まで進んでおるわけなんです。いま通産当局といたしましては、いわゆる資本の自由化、商品取引の自由化ということで、自由化の方向へもっぱらすべてが向いた行政をやっておられる。しかるに台湾バナナに対しては、逆な方向へこれが推し進められていっておる。せっかく自由化したものを、いわゆるまた統制のような形にした、これは外割り制度でございますが、なぜそういうようなことが出てきたか。また通産省としては、そういうことを指導しなければならぬような結果になったのか、この点についてお答えを願います。
  127. 楠岡豪

    説明員(楠岡豪君) 台湾バナナに対しましては、日本の需要は台湾の輸出供給力と比べてみますと、相対的に相当大きい状況でございまして、その上、台湾政府は輸出をきびしく政府管理をしておる状態でございます。そういうことでわが国輸入業者としては、少しでも多く自分が台湾バナナを扱いたい、こういう要求が強いわけでございますが、一方相手方は、政府一つにやっておるという状況で、過当競争の弊害が非常に目立ってまいりました。この過当競争の弊害を除きまして、輸入秩序を維持いたしますために、やむを得ず昭和四十年の七月から輸入割り当て制度をとった次第でございます。
  128. 近藤信一

    近藤信一君 昭和四十年の七月から輸入割り当て制度が再びとられた。このことは私もしばしば質問しておりまするが、いま次長が言われましたように、いわゆる台湾の業者また政府それから日本業者は、これの自由化がなったために、非常に過当競争がここに生じてきた。そこでこれを何とか調整しなければならぬということで、政府バナナ輸入組合というものを指導されたわけなんですね。それで輸入組合ができまして、その輸入組合に当時加盟しておりました業者というものは、相当数にのぼっておったわけです。しかしその相当数の中にはダミーがあり、いろいろな問題があって、実際に商慣行を行なっていないのにその割り当てだけもらって商売をしておるということが本委員会でも問題になり、さらに本院の農林水産委員会また衆議院においてもこの問題がいろいろと国会で取り上げられまして、いろいろと議論された。そこで輸入組合ができまして、つくるときの条件といいますか、あなたのほうが指導されましたのは、日本業者がどっと台湾に乗り込んでいってお互いに自分のところで輸入を多くしようということで競争をされた、したがって、輸入秩序が混乱する。それが大きな理由だったと思うのです。輸入秩序が混乱するから輸入組合をつくって、それにあなたのほうは外割りをやっていかれる。こういう点であなたのほうが行政指導輸入組合をつくられたと私は聞いております。しかし輸入組合をつくっても、さらにいま私が申しましたようないろいろの関係で、従来の割り当てをどういうふうにするかということが問題になった。そこで私は当時そんなに政府がなぜ急がなければならなかったかということが一つの疑問になったわけであります。割り当てをやるということになりますると、今度は実績によって割り当てをやるということになるわけなんです。そこで私といたしましては、その割り当て制度を一体どこに基準を置いたか。ただ外割りだけもらっておって実際の商慣行をやっていなかった人、いわゆる外割り実績、ここに目標を置くのか、通関実績に目標を置くのかというのが当時の通産省としては非常に重要な点であったと思うのです。急ぐからということで、結局割り当て実績、通産省の割り当て実績によって当時外割り基準というものをおきめになったわけです。それが今日まで続いておるわけなんです。一体この割り当て制度というものは妥当であるかどうか、あなたのお考えはいかがでしょうか、お尋ねいたします。
  129. 楠岡豪

    説明員(楠岡豪君) ただいま申し上げましたような台湾からのバナナ輸入を規制しなければならないという事情は、現在においても変わっていないと存じます。割り当て制度は続けざるを得ないと考えております。
  130. 近藤信一

    近藤信一君 現在なお変わっていない、現在変わっていないということはですね、あなた方のほうが、あの当時に輸入実績で——通関実績で割り当てるか、それとも外割り実績で割り当てるかということであなた方は苦慮されたのです。期間がないからといって、実際商慣行をやっている通関実績、こういうものを除外してしまって、そうして、通産省の割り当て実績だけをお認めになって、それが今日まで続いておるわけなんです。それが妥当であったかどうかということを、私もしばしば前任者にもこれらをお尋ねしてきたわけなんですけれども、そのつどはっきりした根拠は私はないと思うのですよ、御答弁が。ただ急いだからと、こういうことなんで、急いだから実際に商売していなかったものにまで割り当てをやっちゃって、それが今日尾を引いておる。こういう状態じゃありませんか。
  131. 楠岡豪

    説明員(楠岡豪君) 先生の御指摘のように、出発時におきましては、その時間的な制約等もございまして、通関実績でなく割り当て実績を採用することにしたわけでございますけれども、その後現在に至りますまで割り当て制度を続けておりまして、まあ現在におきましても、従来の制度を踏襲することがむしろよいのではないかというふうに考えられるわけでございます。と申しますのは、大体割り当て実績と、それから、それに基づきます輸入の実績というのは大差がないように考えられますし、それから、もう一つ、これは非常に技術的な問題でございますけれども輸入組合では抽せんによりまして組合員の船積み順位の決定を行なっておりますが、こういうことで割り当てと通関とが時期的に両者によってずれることがございます。こういうような状況にありますのを、ある一定時の通関実績をとりまして、それで割り当てをきめるということは、必ずしも適当ではないのではないか、というふうに考えられるからでございます。
  132. 近藤信一

    近藤信一君 私は、この問題についてはいろいろと国会でも問題になっておるいわゆるバナナの黒い霧という、このうわさの種はここにあるわけですね。いろいろと政治家から圧力が加わったのではないか、商売をやっていないものが、その実績だけで、割り当ての実績だけでやっているのではないか、こういうようなことで、これは国会でしばしば問題になっているんですよ。  そこで、私はもう一つお尋ねしたいことは、私がこの問題について輸入業務を担当しておられる次長に質問をしかけてから、あなたが四人目なんですよ。あなたは、前任者がこれでやってきたからこれでいいということではいけないと私は思うのですよ。いままでの次長がみんなそうなんです。前任者がこうしてきたから私もこれでやるということで、どうもうやむやなことになってきている。そんなことでは、私は通産省の基本的な行政指導というものが危ぶまれるんですよ。やはり、いけなければいけないで、それを訂正していく、そういう手腕ぐらい持っていなければ、前任者は事なかれ主義でこれをやっていたから私もそれを踏襲するというふうな考えであったならば、私は、将来のいわゆる行政指導なんということは、とうてい考えられないと思うのですが、あなたはその点どうお考えになっておられますか。
  133. 楠岡豪

    説明員(楠岡豪君) 行政はやはり一貫性が大事だと思いますので、私は、前任者のやってきたことというのはやはり尊重さるべきであると存じます。ただ、先生のおっしゃいますように、経済の情勢というものがやかり変わってくるものでございまして、単に前任者がやったからこうだということではなしに、やはり私自体としては良心的に考えましてやっていきたいと存じております。
  134. 近藤信一

    近藤信一君 それでは、私、重ねてお尋ねいたしますが、現在、台湾以外のバナナが相当輸入されておるんです。その取り扱いの輸入業者は、一体、いまどれぐらい数としてございますか。
  135. 楠岡豪

    説明員(楠岡豪君) 四十三年の一−九月の中南米バナナ輸入実績のございます会社の合計は二百九社でございます。
  136. 近藤信一

    近藤信一君 台湾以外の輸入をしておられる大手が二百九社ですか。大手がそんなにあるわけじゃないでしょう
  137. 楠岡豪

    説明員(楠岡豪君) 二百九社のうち、輸入組合の組合員が百三十社ございます。したがいまして、この百三十社は、台湾とそれから中南米と両方扱っていることになると存じます。それから中南米の扱っている業者でございますが、中にはもちろん先生のおっしゃるような大手の商社がございますが、大手の商社のほかに、やはり中小の商社もある実情でございます。
  138. 近藤信一

    近藤信一君 あなたのほうが指導されて輸入組合をおつくりになった当時は、相当数の会社、業者がこれに加盟したと私は聞いております。一体、輸入組合をつくられた当時のこの輸入組合の加盟業者というのか会社というのか、この数はどれほどございましたか。
  139. 楠岡豪

    説明員(楠岡豪君) 四百二十二社でございます。
  140. 近藤信一

    近藤信一君 その後この国会でもダミー等の問題がやかましく言われまして、輸入組合内の会社を整理統合されたというふうに私聞いておりまするが、現在輸入組合に加盟しておる関係社というものはいかほどございましょうか。
  141. 楠岡豪

    説明員(楠岡豪君) 二百五十八社でございます。
  142. 近藤信一

    近藤信一君 そういたしますと、現在では二百五十八社によって台湾バナナ輸入組合というものがつくられておるわけでございますが、この二百五十八社に縮小されたこの中においても、いわゆる外割りの時期になりますると、内部葛藤といいますか、いつもこれがすったもんだという問題を起こしまして、最後に通産省が乗り出していろいろと御相談に応じておられる、こういうふうなことであるというふうに私お聞きいたしますが、なぜ整理統合されて縮小されたこの二百五十八社ですら——四百二十二社あったやつが約三分の二になった。私聞いておるところによるというと、四百二十二社でなくして、もっとたくさんあったようにも私聞いておったのですが、いまあなたが四百二十二社と、こう答弁されたから、私は四百二十二社というところに限定して話をしておるのですが、縮小、整理統合されたその二百五十八社ですら、いまなお割り当て時期になりますると、いろいろと葛藤が続けられておる。あなたのほうで行政指導をしておられるならば、そうして整理統合されて、今後はこれでいくのだぞと、こういうことでおやりになっておるわけでございまするから、その後の混乱というものは私はないはずだと、こういうふうに思うのです。特に輸入組合をおつくりになったのは、いわゆる国内輸入業に対するところの秩序が混乱するから、その秩序混乱を防ぐために輸入組合をつくったと、こう通産省では言われておる。そうしてつくって、これが整理統合されて縮小された今日、なおいろいろと業者間において問題になっておる。一体この原因というものは那辺にあるのですか。
  143. 楠岡豪

    説明員(楠岡豪君) 最初に数字について補足いたします。組合設立当時の組合員数は四百二十二でございましたが、その後六百七十六まで一時ふえております。で、それが現在では二百五十八でございますが、そのうち台湾バナナ輸入実績のあるものは二百四十九でございます。これは補足でございます。その残りました二百五十八社がなかなかまとまりが悪いというお話でございますが、御指摘のようにまとまりはあまりよくございません。やはりこれだけの人数でございますし、人よりもよけいに利益を得たいというものもかなりあるかと思いますので、私ども残念ではございますけれども、理想的な輸入組合という形にはなっていないのではないかと存じます。
  144. 近藤信一

    近藤信一君 それから外国系会社と日本の大手の会社との提携問題がいま起こっております。まあ資本の自由化、商品取引の自由化ということになれば、当然そういうことも出てくるでしょう。そこで、私はいまおおむね中南米における輸入に当たっておるのは大手の商社が中心だと私は思うのです。そうしてしかもこれがアメリカじゃなく、世界で一番、二番といわれるようなバナナ会社と提携をしておるというふうに私は聞いておりますが、あなたのほうはこの点御承知でございますか。
  145. 楠岡豪

    説明員(楠岡豪君) 外国のくだもの関係の会社といわば出資の面で提携しております会社、特にそのうち目立ちますものはユナイテッド・フルーツというアメリカの法人と日本の三井、三菱、丸紅飯田、東食、兼松江商の五社が共同出資で成立させております日本法人でございます極東フルーツがございます。それからあと中南米関係におきましては、これはその合併といった形ではございませんが、アメリカのスタンダード・フルーツと伊藤忠商事が長期契約を締結いたしております程度でございます。で、なおこのユナイテッド・フルーツの輸入はホンジュラスからでございまして、ホンジュラスからの全量このユナイテッド・フルーツが輸入しておりますが、台湾以外の輸入のおおむね七%程度を占めているようでございます。
  146. 近藤信一

    近藤信一君 私が調べましたところによりますると、いまの三井、三菱、東食、それから兼松、丸紅飯田、これが一つのグループになっておる。もう一つあるんですね、エクアドルを中心とした取引関係には伊藤忠と住友、豊田通商、それから東綿、全日青、全バ連、このグループが一つあるんですね、そうでしょう
  147. 楠岡豪

    説明員(楠岡豪君) 中南米のバナナ輸入業者、先ほど二百九あると申し上げました。これが六つのグループに分かれておりまして、それぞれたとえば伊藤忠あるいは豊田通商あるいは住友商事等が中心になりまして、グループを形成しておる次第でございます。
  148. 近藤信一

    近藤信一君 特にアメリカのユナイテッド・フルーツと提携しておるのが三菱、三井それから兼松、東食、丸紅飯田という一流のこれは商社ですね日本では。これとユナイテッドと提携してそうして日本に極東フルーツという会社をつくっております、このこと御承知ですね。
  149. 楠岡豪

    説明員(楠岡豪君) はい。
  150. 近藤信一

    近藤信一君 しかも、この極東フルーツは販売方法は一般輸入業者販売方法などが違うというふうに私聞いておるのです。どう違うかというと、このユナイテッドから極東フルーツに輸入して、そうしてこれを特定の加工業者に加工させ、そうして特定の小売り店にこれを販売さしておる。一般小売業者にはそれがあまりいっていない。いっておるとすれば特定の小売り業者からのまた買いした小売り業者だと私は思うのです。このことについて間違いございませんか。
  151. 楠岡豪

    説明員(楠岡豪君) 私どもの聞いておりますのもほぼ同様でございまして、ただいま申しました五社、それからもう一つ、このユナイテッド・フルーツの支店が日本に設けられております。それが輸入しましたものを極東フルーツというところに売却しまして国内販売をするという仕組みのようでございます。
  152. 近藤信一

    近藤信一君 しかもユナイテッドは日本にも支店もつくって大量的な輸入計画というものを現在計画中だというふうに私聞いておりますが、この点いかがですか。
  153. 楠岡豪

    説明員(楠岡豪君) 今後どのくらいの輸入をする計画であるか、私ども承知しておりません。
  154. 近藤信一

    近藤信一君 それから、これはグループではございませんけれども、伊藤忠はアメリカのスタンダードと提携をいたしまして、フィリピンに農場の確保を着々と進めてきております。そうしてこれは将来、大量生産を向こうでやろうというふうに計画がなされておる。これは私雑誌で伺ったわけでございますが、これはいかがですか。
  155. 楠岡豪

    説明員(楠岡豪君) 伊藤忠商事が先生の御指摘のようにアメリカのスタンダード・フルーツと契約を結びまして、エクアドルからの輸入を行なっておりますが、そのほかにフィリピンのスタンダード・フルーツ・コーポレーションとも長期契約を結んでおりますが、まだ実際には輸入が実現するに至っていないようでございます。
  156. 近藤信一

    近藤信一君 この伊藤忠が計画しておりまするのは、フィリピンのミンダナオ島でございまして、ここにはドールという世界一のかん詰め工場がございまして、ここでパイナップルのかん詰めを年間六百万箱の生産というその強力な生産力を持っておるわけなんです。しかもこのドールという会社は、アメリカ第二のバナナ会社だといわれているところのスタンダード会社の姉妹会社なんですね。これ、御承知ですか。
  157. 楠岡豪

    説明員(楠岡豪君) 申しわけございませんが、存じておりません。
  158. 近藤信一

    近藤信一君 しかも伊藤忠がなぜフィリピンのミンダナオ島に生産場を開拓にかかったかというと、これは従来、伊藤忠はエクアドルが中心だったんです。エクアドルが中心だったけれどもエクアドルから輸入しておるのでは船足が遠いということと船賃が高いということで、とてもこれは台湾バナナと競争ができない。そこで何とかして台湾に近いところに農場をつくって、そうしてそこから日本輸入すれば台湾と競争しても決して負けない。将来勝ち得る、こういう自信のもとにこの伊藤忠はミンダナオにスタンダードと提携した農場というものをつくっておる、計画した。そうして、すでにこれも苗床をつくって苗を植えて、すでに生産にもかかっておるというふうに私伺っておるのです。伊藤忠がなぜそういうことを計画したかというと、御承知のように、台湾バナナ割り当て輸入である。中南米、フィリピンはこれは割り当てでなくして自由貿易で幾らでも自由に輸入ができるという、そういう立場で、そういうふうな計画がなされてきていることは私事実だと思うんです。その点あなた方のお考えはいかがですか。
  159. 楠岡豪

    説明員(楠岡豪君) 私ども詳細を存じておりませんけれども、先生のおっしゃるような事情は十分考え得ると存じます。
  160. 近藤信一

    近藤信一君 しかも、この計画がなぜなされたかというと、現在台湾からの輸入はおおむね年間を通じて八百万から九百万トン。ところが日本バナナ需要というものは年々一〇%ぐらい伸びてきておる。そうすると、どうしても台湾だけでは日本国内の需要を満たすことができない。日本国内需要はここ一、二年のうちに一千万トンを突破するであろう、千二百万トン、千三百万トンぐらいまでいく。そうすると、必然的に四百万から五百万トンぐらいは不足する。それが自由貿易でどんどんと日本に入れることができるという先の見通しから、伊藤忠はこういう生産計画というものを立てたと私は思っております。その点どうでしょうか。
  161. 楠岡豪

    説明員(楠岡豪君) そういうことが当然考えられると存じます。先生御指摘のとおり需要も伸びておりますし、台湾のほうは作付け面積等に制限があるやに聞いておりますが、台湾からの供給力は限度がございまして、したがいまして他地域からの輸入が今後とも相対的に増加してくるということが考えられると存じます。
  162. 近藤信一

    近藤信一君 伊藤忠は将来の見通しの上に立って計画をされておりまして、すでに生産過程に入ったと、こういわれております。で、第一陣が今年の十月ごろにミンダナオから日本輸入されるというふうに私聞いておりましたが、今年このミンダナオ方面から入っておりますか。   〔理事剱木亨弘君退席、委員長着席〕
  163. 楠岡豪

    説明員(楠岡豪君) 現在まではまだ入っておりません。
  164. 近藤信一

    近藤信一君 伊藤忠が、先ほども申しましたように、輸入組合で輸入をする台湾バナナは外割り実績ということで、いわゆる台湾貿易というものは伊藤忠としてあんまりやっていなかったから割り当て実績が少ない。だから割り当て実績を受けない、制約を加えられないところの自由貿易に手を出した、これは伊藤忠だけじゃないのです。日本の一流メーカーといわれる商社がほとんどそのほうに現在では目をつけて、そうしてバナナ輸入という問題に各メーカーが必死になっておる。これは私が先ほどお尋ねしましたように、あなたのほうは一度台湾の外割り実績をそのままずっと今日まで続けておられるから、こういう結果に私は相なったのだろうと推察するのです。いつまでたっても輸入実績ということで、ふえていかないわけなんです。そうすると、そういう制肘を受けない自由貿易をやろうというのは、大商社は当然考えることなんです。そこで一つ困った問題は、一体どこが困ってくるかというと、輸入組合の中の組合員はおおむねこれは中小企業なんです。そうでしょう。これは三菱、三井も入っていますけれども、これは実績からいけばもうわずかなものですよ。中小企業の多くの人が輸入組合をつくっておる。これにはきびしい外割りによって輸入がされなければならぬ。他方、大企業の日本でも一流メーカーの商社は、そういう制約を受けない自由に入るところの貿易をやって、そうしてどんどんと日本輸入してくる。その数も現在ではもう台湾の二分の一ぐらい輸入が入っている状況です。そうしてこうなっていくと、特にいま台湾の端境期だが、現在では台湾より台湾以外から入ってくるバナナが数字的には多いのですよ。そういたしますると、大企業のやるやつは目をつぶって野放しで見ておる、中小企業の商売に対しては制約をしておる、これで通産省のいわゆる輸入に対するところの行政指導というものは、こんなことでいいのですか。
  165. 楠岡豪

    説明員(楠岡豪君) 台湾からの輸入を規制しておりますのは、台湾からの輸入の取引秩序がはなはだしく混乱しているためでございます。先生の御指摘になりました中小企業を押えて、大企業の活動を自由にしているのではないかという点につきましては、台湾からの輸入数量は先方の輸出余力に限度がございまして、台湾の輸入数量を積極的に押えているというよりも、むしろわがほうの輸入の取引秩序を維持するというところに重点を置いて押えておる次第でございます。したがいまして、台湾からの輸出能力に限度がございます上に、内地の需要は、先生の先ほどのお話しのとおり、伸びておりますので、どうしても台湾以外の国に依存する分がふえてくるという状態になっておるかと存じます。
  166. 近藤信一

    近藤信一君 通り一ぺんのごまかしの答弁ではだめですよ。私はいろいろと調査したり、研究したりしておりますけれども、台湾の限度というものは、おおむね九百万かごから一千万かごなんですよ。いな台湾から入ってきておるバナナをあなたごらんになりましたか、とてもひどいのが入ってきておる。それは台湾と日本との契約で何百万かご入れなければならぬということ、ところがいま入ってきているやつは、非常に悪いバナナが入ってきておるのです。それでも輸入業者は買わなければならぬのです、台湾との契約上。どれだけとこう数量がきまっておるものだから、悪いやつを入れてそうして売る。一方はあなたもごらんになったでしょうが、中南米バナナは、非常に見てくれはいい、特にチキータなどのバナナなんかはラベルまではって、りっぱなバナナが店頭に出ているのです。これは限られた小売り屋さん、千疋屋なんか行くとありますよ。一般の人が買うのに一々味をみて買うわけじゃないのですよ。病気見舞いなんかに持っていくやつなら、黒い小さなずんぐりしたやつより、ぴんとりっぱなやつがいいんですよ。その需要というのはふえてくるんですよ。台湾のやつは見てくれが悪いからなかなか売れない、そうすると小売り業者も安く売らなきゃならぬ。ところが現在輸入されて、小売り店で売られておるのは、台湾もそれから中南米も一キロ二百五十円くらいですね。高いときは二百八十円くらいのときもあったが、現在は二百五十円ぐらいだと私は思うんです。そうすると、やはり台湾と輸入商売しておるものは、組合の中で制約を受けておる。一方、台湾以外の中南米から輸入しておるのは、そういう制約がないから、幾らでもどんどんと入れるわけなんです。そういたしますると、やはり私は、あなたが先ほど申されました組合をつくったのは、バナナ輸入の秩序が混乱するからということで組合をおつくりになった。そうして外割りをやられた。いま混乱しておりませんか。台湾以外のバナナがどんどん入ってきますよ。台湾バナナ取引関係は非常に私は混乱しておると思うのですが、あなたはそれでも混乱していないと、こう思われるんですか、どうですかこの点。
  167. 楠岡豪

    説明員(楠岡豪君) 台湾につきましては、組合ができますことによりまして、たとえば価格の決定をするとか、あるいは取引条件の交渉をするとか、あるいは悪い品質のものが入らないようにするというようなことで、台湾についての取引秩序の維持というのは、相当の効果をあげているように存じております。いま先生の御指摘になりました、悪いバナナが入っているという状況でございますが、これにつきましても、組合の幹部が台湾に参りまして、悪いものを日本に積み出さないよう交渉をするところでございます。
  168. 近藤信一

    近藤信一君 しかも、中南米側においては、品種の改良をやりつつあって、いまじゃ台湾バナナと味の点においてもそう変わりのないバナナ生産されております。そうすれば、必然的に台湾輸入のほうだけが制約されて、それ以外の中南米が制約されていないというと……。なるほど台湾バナナだけの輸入問題については、秩序が保たれているかもわかりません、外割り制度で輸入しているから。ところが、バナナ業界全体からいくと、これはあなたが考えておられるような輸入秩序が保たれておるとは私は考えませんが、こういう状態が今後どれだけ続くか。これもはかり知ることができませんが、現在では台湾のほうの輸入のほうが少ない。他のほうは多いと、こういわれておる。実際にはいまあなたのほうの御調査で台湾と台湾以外の中南米を中心とするバナナの比率というのは、どれほどの比率になって輸入されておりますか。
  169. 楠岡豪

    説明員(楠岡豪君) 昭和四十三年の一月から九月までのバナナの通関実績でございますが、数量で申しまして、台湾からの輸入が六百七十一万八千かごでございます。台湾以外の国からの輸入が四百三十四万五千かごでございます。これをパーセンテージであらわしますと、台湾からの輸入は六〇・七%、台湾以外からは三九・三%に相当いたします。
  170. 近藤信一

    近藤信一君 なるほど、その一月から九月までの統計はそういうことになりますけれども、八月からは、この台湾と中南米産のバナナの比率は逆転しておるんですね。あなた御承知でしょう。八、九、十のこの三カ月をとりますと、八月は台湾が三十四万九千かご、九月が二十七万四千かご、十月、いままで入ったのは四十九万七千かご。一方、中南米は、八月が三十七万四千かご、九月が五十三万四千かご、十月になりまして六十一万三千かごと、台湾以外の中南米が入っているんですよ。なるほど年間を一月から十月までの統計をあなた方とられると、三〇何%になりますけれども、これは私の推察でいきますと、来年になれば、年間を通じて四対六の比率になるというふうに考えるんですが、あなたの見通しはどうですか。
  171. 楠岡豪

    説明員(楠岡豪君) 八月の夏場は台湾からの輸入は、端境期になるのだそうでございまして、例年この時期におきましては台湾からの輸入数量は少ないようでございます。なお、中南米からの輸入がふえていることは事実でございます。これは、この春台湾の不作が伝えられましたときに、中南米からの輸入を買い急いだというような事情もあるようであります。  今後どうなるかという点につきましては、私もよくわからないのでございますが、相対的にやはり中南米の比率というものは高まっていくのではないかと想像しております。
  172. 近藤信一

    近藤信一君 しかもですね、この中南米と台湾産を比較しますると、浜相場も、これは中南米は二、三百円ぐらい安いんですね、ずっと。いわゆる安くこう浜相場は売り渡すわけですね。それでも中南米から入れる。これは大手だからできる問題ですね。それじゃ中小がその中南米から輸入しようと思ってもこれはできませんわね、台湾バナナより浜相場二、三百円安いんだから。本来ならば中南米は高いはずなんですね、距離が遠いということで。それが中南米は浜相場では二、三百円安い、それを大手がやっているということは、自由貿易ができるからこれやっているわけなんですね。そうして、将来台湾を圧倒していこう、日本バナナの需要国では世界でも一番といわれているぐらいにバナナの需要率というものはふえていくんですから、ここ一、二年ということではなくして将来の展望の上に立って大商社は中南米との契約をし、はたまたフィリピンのミンダナオ島に農場を持って、将来計画は大きいんですよ。このまま野放しにしておいた暁には、一体どういうことになりますか。一方では割り当てで自由化を禁止している。同じバナナで品種が違うというだけのことで一方の大手の扱うほうは野放しで、制約をしていない。これは行政指導として、私はまことに片手落ちのような行政がとられているというふうに考えるんですが、この点はいかがですか。
  173. 楠岡豪

    説明員(楠岡豪君) 台湾のバナナ輸入を規制しておりますのは、先ほど来申し上げておりますように、輸入秩序を維持するということでございます。したがいまして、数量につきましては台湾側の供給量の許す限り増加しておる次第でございます。したがいまして、また逆に申し上げますれば、台湾のほうの規制は数量を押えるという趣旨でやっておるのではございませんで、ただいま数量と申しましたのは、台湾からの全体の輸入数量でございます。輸入数量全体を押えるという趣旨ではございませんで、あくまでも台湾との取引の条件の日本側にとっての悪化を防ぐという趣旨でございます。したがいまして、特に台湾の扱う業者を押えて他の業者を優遇すると、こういう趣旨ではない次第でございます。
  174. 近藤信一

    近藤信一君 そこで、私はやはりいつまでも通産省の行政指導で台湾バナナを外割りでずっときておる現段階において、それが正しいか正しくないかもうここらでほんとは自由化するのが当然じゃないかというふうにも私は感ずるんです。いままでも何回も私なぜ自由化になったものをあれしたんだと、なぜ世をあげて自由化時代にバナナだけがこう外割りという不純な制度になっておるか、自由化のめどはないかと、こう私がお尋ねしますると、通産省側は、私のほうは自由化にしたいけれども、農林省のほうがなかなかこれは自由化に踏み切ってくれないと答弁をしておられるんです、いままで。それが実際であるかどうかということは、きょう農林省から蚕糸園芸局長さんがお見えになっておりまするから、この点農林省の方針を、まあ局長さんではむずかしいかもしれませんけれども、大臣がいないからね。一体あなたのほうはバナナの自由化についてどのように考えておられますか。通産省では農林省が反対しておると、こう言っておるんですが、この点はどうですか。
  175. 池田俊也

    説明員(池田俊也君) まあこれはもう先生すでに御存じのことでございますので、繰り返しみたいなことになるかと思いますが、バナナの従来輸入量は、国産の果実の大体一割程度というような感じで、これは必ずしもそうかっちりしたものではございませんけれども、従来きているわけでございます。まあ全体の生産量が大体五百万トンちょっとこえるかと思いますが、そういうことでございますので、現在までのところ大体そんなような感じになっているわけでございます。私どもといたしましては、今後の日本の農業の中でやはり果樹というものは相当需要もふえますし、農業経営といたしましても比較的高採算の部門でございますので、これは極力伸ばすようなふうに考えてまいりたい。まあそういう基本的な考え方があるわけでございます。しかしながら、これは需要の伸びとの関係もございますので、私どもはもちろんバナナ輸入を押えるというような積極的な考え方を持っているわけではございませんけれども、全体の需要との関係で、あまり困難が起きないような状態にあることが望ましい。おそらく従来一割程度ということがいわれておりましたのは、まあそういうような観点がかなりあったと思うわけでございます。しかしながら現在の段階におきましては、先ほど来通産省から御説明がございましたように、私どもは台湾のバナナにつきましては、必ずしも数量制限をするという積極的な意図でやっているわけではございませんので、台湾の輸出余力等を考えまして適正な数量割り当てをする、こういう感じでまいったわけでございます。まあいずれにいたしましても、そういう国産果実の一割程度を占めるバナナでございますので、実際の競合になりますと、競合面でどういう影響があるかということになりますと、これはなかなか判定がむずかしい問題でございますけれども、全般の姿勢といたしましては、私どもはやはりバナナ輸入につきましては慎重に行政指導をしてまいりたい、こういう感じを持っておるのであります。最近、先ほど来御指摘がございましたように中南米バナナが非常に増加をしてきておるわけでありますが、その中南米バナナと台湾バナナとの扱いが若干バランスを失しておるということは非常にごもっともな御指摘だと思うのでありますが、そういう基本的な事情もございますし、また中南米バナナがふえましたのがごく最近の現象でございます。これはいろいろな理由があると思いますが、ごく最近の現象で、将来どうなるかということも必ずしも十分にはまだ把握しにくいような事情にございますので、私どもといたしましてはもう少し状況を眺めまして、事態の推移を見ながら慎重に考えてまいりたいという考え方をしておるわけでございます。
  176. 近藤信一

    近藤信一君 私たちは需要者のしろうと考えからいきますと、このバナナの味とそれからミカン、リンゴの味とはこれは違うのですね。ミカンはおおむね酸味を持っておるのです。それからリンゴはこのごろだいぶ甘いのが出てきたが、ちょっとしぶ味を持っておる。バナナは全然そういう酸味やしぶ味がなくて加工すると甘い味になっておるようです。そうするとやはり消費者は違うのじゃないかと思いますね、顧客は。ミカンの顧客とバナナの顧客というのは。バナナ好きな人はバナナバナナのように甘いのがいやだという人はミカンを食べるわけなんです。ミカンが最盛期になってくる、リンゴが最盛期になってくる、バナナはいまちょうど端境期で入ってこない。そうすると私はミカンやリンゴとバナナと競争するということはぶつかってこないのじゃないかと思うのですが、これはしろうと考えでございますよ。そうしてしかも説明をお聞きいたしますと、果樹のおおむね一〇%程度だということでございますから、そんなに果樹農業に響いてくるとは考えられないと私は思うのですが、だんだんと需要が伸びてくるからいますぐ自由化ということに対してはもう少し配慮をして検討していかなければならぬというようなことを言われておりますけれども、やはり台湾バナナはなるほどそうでございますが、中南米バナナがどんどん入ってくるとすると、これは私は農林省としても、また通産省としても、なかなかいま入ってくるやつをやめろと言うわけにもいかぬでしょうし、私は果樹農業の立場から、なるほど農林省はいろいろと苦慮しておられるかもしれませんけれども、やはり果樹農業の振興策からいくならば、いわゆる国内販売のみではなくて果樹の輸出面においてももっと積極的な指導というものをなされてなければならないと私は思うのですが、この点はいかがですか。
  177. 池田俊也

    説明員(池田俊也君) 実は私ども全く先生の御意見と同じでございまして、今後果樹農業というのは相当伸ばしてまいらなきゃならない。その場合に、大部分は国内需要でございますけれども、やはり新しい市場を開拓いたしまして、そこに輸出をしていくというようなことは、今後特に努力をしなければならぬのじゃなかろうか、こういう考え方を持っておるわけでございます。従来ミカン、それからリンゴが主でございますが、私どももできるだけそういう輸出に振り向けるということで努力をしてまいっているわけでございますが、ただ、まことに残念でございますけれども、いろいろ植物防疫の上の禁止措置というようなものがございまして、たとえばアメリカになまのミカンを輸出をするということは従来できなかったのでございます。これは幸い、最近いろいろそういう技術も進歩いたしまして、また両国の話し合いがつきまして、道が開けたわけでございますが、まあそういうようなことにつきましては、私どもといたしましては、極力今後も努力をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  178. 近藤信一

    近藤信一君 むしろ私は果樹農園がお困りになるということは、バナナ輸入がふえるから困るのじゃなくして、これは豊作、凶作ということに大きく支配される。昨年あたりはミカンが豊作の年だ。国内販売も非常にミカンが安い。そしてどこへいっても安く消費者の口に入るということになる。これがひとつ間違って凶作になりますと、また値段がぐっと上がってくるのですね、ミカンにしてもリンゴにしても。だからこれは私はバナナが値くずしをするということでなくして、国内の豊作、凶作に支配されるというふうに思うのです。それが私は中心だと思うのです。だからぼくはバナナ輸入されても、消費者が、バナナとリンゴ、ミカンの消費者とこれは違うから、私は自由化にしても、そんなに影響があるとは考えませんのですが、これはどうですか。
  179. 池田俊也

    説明員(池田俊也君) これは確かに、他の国内の果実との競合の関係あるいはその他のいろいろな事情もあるかと思いますので、そういうような関係で、この部分が国内果実との競合、この部分がバナナとの競合というふうな仕分けをすることが非常にむずかしいわけでございます。ことしは、まあことしの秋に入りまして、国内の果実の価格は一般に弱含みでございます。これはいろいろな理由があると思います。一つは、たとえばミカンにつきましては、ことしは非常な豊作でございまして、前年に比べますと、約四割くらい増加をしておる。それからことしの気象状況が影響しておるわけでございますが、一般に果実の味が非常によろしくないというふうなことで、桃とかナシ等は、そういう面から需要が非常に伸びなかった、こういうようなこともございます。また一方では、先ほど来もお話しのように、非常に中南米からのバナナ輸入が増加しておる、こういう事情もございます。ところで一方では、そういう国内の果実の価格が比較的弱含みである。これをどういうふうに実は分析をするかということは、私どもも的確な方法がないわけでございまして、直ちにバナナの影響であるとも申せませんし、また全く影響がないとも言えません。まことにはっきりしない話で恐縮でございますけれども、そういうのが実態でございまして、まあそこらについて、はっきりしたことを申し上げられないのはまことに残念でございますけれども、私どもは基本的にはやはりミカンに対する需要もございますし、それからバナナに対する需要もございます。したがいまして、ミカン、リンゴ等との関係だけを考えましてバナナの需要があるものを押える、こういう気持ちはあまり持っていないわけでございます。
  180. 近藤信一

    近藤信一君 農林省では行政指導で青果物の輸出組合というものがつくられておりますね、いま。ありませんか。
  181. 楠岡豪

    説明員(楠岡豪君) 農産物については農産物輸出組合というのがございます。これは輸出入取引法に基づく輸出組合でございます。
  182. 近藤信一

    近藤信一君 何か輸出組合で輸出に対して数量を制限して輸出をしておる。本来ならばもっと輸出できるはずなんだけれども、あまりどんどんと輸出をすると値くずれをするから、数量を制限して輸出しておるというふうに私は聞いておるのですが、これはどうですか。
  183. 楠岡豪

    説明員(楠岡豪君) たとえばミカンのごときはその例でございますが、仕向け国の需要の状況等も考えまして、あらかじめ需要に見合った数量をきめまして輸出をいたしております。なおその場合、国内の輸出向けのミカンの供給状況、そういうものも勘案することもちろんでございます。
  184. 近藤信一

    近藤信一君 そこで私は、そのミカンの輸出においてもですが、やはり高いミカンを十個売るか安いのを百個売るかといえば、外貨獲得の上からいったならば、大量生産して大量輸出したほうが日本のために私はなると思うのですね。そいつを、高いやつを無理して少量輸出による高額単価といいますか、そういうことになると外貨獲得上からいっても、私は国の損なようにも思うのですが、行政指導をやるならば、もっと外貨獲得を多くするというたてまえからいえば、どんどん売れるものならばどんどんと出して、そうして多く利益をあげたほうが得じゃないですか。この点の指導はどうなんですか。
  185. 楠岡豪

    説明員(楠岡豪君) 先生のおっしゃるように、輸出はやはり出せるものはできるだけたくさん出すということが当然でございますが、その間、値くずれをいたしまして輸出価格が非常に下落するというような例が起こりますと、なかなか今度その輸出品の価格をもとに戻すのがたいへんでございます。そういうことで、やはり輸出価格数量とをにらみ合わせながら、やはり先生がおっしゃいますように、できるだけ日本のためになるような状況で輸出したいと、かように考えておる次第でございます。
  186. 近藤信一

    近藤信一君 また輸出の面におきましても、私は限られた輸出だけをそれを守っておるのじゃなくて、やはり新しい市場というものの開拓のためにもう少し指導すべきじゃないかと思う。たとえばいわゆる沿岸貿易におきましても、まだ新しい市場を獲得しようと思えばできると私は思うのです。沿岸貿易なんかでもしばしばこれが問題になっております。青森のリンゴのソ連への輸出の問題がしばしば問題になっているのですが、ところが、これが一向に実現しない。そういう面についてはあなたのほうはどう考えておられますか。
  187. 楠岡豪

    説明員(楠岡豪君) 沿岸貿易におきまして、くだものの輸出を伸ばしたいというのが私どものみならず関係者のかねてからの願望でございます。ただ沿岸貿易は先生御承知のように、見返り物資の輸入が問題になっておるのでございまして、この点、ソ連との貿易会談におきまして、機会のありますごとに、スムーズにいきますように交渉を続けておりまして、今後とも青果物の沿岸貿易による輸出がふえますように努力いたしたいと存じております。
  188. 近藤信一

    近藤信一君 見返り物資の話が出たけれども、見返り物資は幾らでもあるんだよ。政府はそれをやろうとしないからやれぬだけのことで、本委員会で私がやはりコンブの問題では質問したことがあるのですがね。見返り物資、向こうから取ろうと思えば幾らでも取るものがあるんですよ。コンブなんか、ソ連はすぐ出してもいいと言っているんだ、交渉のときに。ところが、コンブ採取業者の保護の問題からこれが引っかかって、これができないということの答弁だった、昨年は。そういうようなことで、やろうと思えばやれる問題は幾らでもあるけれども、それをやらずにおいて、できないできないと言うことは、まことに、何といいますか、その行政指導というものがうまくいっていないのじゃないか、そう私は判断せざるを得ないのです。通産省と農林省がよく話し合えば、私はできると思います。通産省と農林省は常にそういうことで、いわゆる通産省がやろうと思うと農林省が反対だとか、農林省がやろうと思うと通産省が反対だとか、同じ政府の官庁なわ張り主義的なことで、日本消費者のためにならぬ政治が行なわれておる。まことにけしからぬことだと私は思うのです。やはりあなた方のやることは、消費者不在の行政なんだよ。もう少し消費者の立場に立って行政指導をやる、こういう決意を私はしてもらいたいと思うんですよ。そういうことが一向に議論されずに、ただ悪い面だけが国会でも答弁されておる。それでは私は国民は納得しないと思うのですよ。将来あなたのほうは、この国内の果実の輸出市場、そういうものをまだ他に求める、開拓するというふうな計画というものはないですか。
  189. 楠岡豪

    説明員(楠岡豪君) 農林水産物の輸出振興につきましては、私どもと農林省との間に意見の食い違いというものはございませんで、協力して輸出振興に努力しておる次第でございます。が、先生の御指摘のような点は、今後とも十分気をつけてやっていきたいと存じております。で、いま農林水産物の輸出振興につきましては、一例といたしましては日本貿易振興会が農林水産物の輸出振興に努力しておるわけでございまして、たとえばカナダのトロントなどに農林水産物の専門の駐在員を派遣いたしますとか、あるいは海外市場開拓のための宣伝費をリンゴ、ミカン等につきまして計上しておりまして、今後とも外貨手取りの非常に多い、こういう農林水産物の輸出振興に私ども努力していきたいと存じております。
  190. 近藤信一

    近藤信一君 それから、バナナの自由化をやれという私どもの主張は、自由化になって自由競争をやらせればもっと安くなるのじゃないか。昭和二十八、二十九年、三十年ごろは非常に高かったんですね。それで、三十八年に自由化した場合に、ちょっと安くなったんですよ。それがいままでずうっときておるわけですね。いま大量にどんどんどんどん入ってきて、うんと安くなったかというと、そうでもないんですよね。浜相場はなるほど安くなっているんです。ところが、実際に消費者が買う小売り値段というものは依然として三十五円から四十円するのです、一本、台湾で。要するに、一向に安くならぬわけなんですよ。それで私が言うことは、もう現段階においては台湾に匹敵するような中南米のバナナがどんどん入ってくる。ミンダナオ島からも農場を開拓して入っくる。こういうことになれば、もう当然自由化の時代じゃないですか。いつまでも割り当てをやって台湾だけを縛っていく。台湾だけを縛っていくと、やはり輸入組合に加盟しておる中小業者の倒産ということになるわけです。その反面において大企業だけが自由化でございますから、どんどん伸びていく。こんな矛盾した話はないと思うのですよ、私は。日本経済新聞にも十月二十四日に出ているのですね、「価格対策に苦慮」「輸入調整で協調できず」、それがためにバナナ業者の中小業者は倒産するのじゃないかという心配の記事が出ているのですよ。これは当然なんです。いつまでも片方を縛っておいて、片方の大企業のやっていることは野放しにしておく。通産省の方針は台湾バナナを自由化にしないということは大企業をあなた方は手助けをしているようなものだ。こんなばかな話がありますか。台湾バナナのこの外割りというものをあなたのほうは一体いつまで続けていく予定ですか。  さらに、私は先ほども言ったように、前任者は三人の人がずっと一貫して同じことをやってきているのだ。役人根性として事なかれ主義で前任者のままいけばいいというものじゃないですよ。特に今日、物価対策が問題になって、消費者としては少しでも安いもの、少しでも安いものといって血眼になっている。たとえば市場なんかで広告を出す。そうすると、こっちの自分の地元の市場と向こうの市場と比較して、向こうが安いと電車賃を使ってでも安いほうの市場へ消費者は求めにいくというふうなのが今日の様相なんですよ。私は消費者の声にこたえるならば前任者がやってきたからそのままいくというのでなくして、やはりどこかで区切りをつけて、自由化をするなら自由化をするという腹をきめなければならぬと私は思うのです。一ぺん自由化になったものをまた割り当て制度にしてしまったのですよ。だから現在輸入秩序が保たれておると、こう言われたけれども、なるほど台湾だけは輸入秩序が保たれておるか知らぬけれども、こっちだけ保たれても他のほうがどんどん入ってくれば、あなたのほうの方針と違うことになるのじゃないですか。もう自由化の時代に私はきていると思うのだが、自由化になれば私は現在よりは安くなると思うのですよ。一体あなたのほうとしては自由化のめどというものは全くないのか、どの辺にめどを置いておられるのか。前任者のことばを借りて言えば、いつまでも外割り制度というものは続くものじゃない、もう自由化の時期にきているのじゃないかと思うけれども、なかなか踏み切ることができぬということを言っておられたのですよ。しかし踏み切ることができぬできぬで、いつまでもこんなことをやっておったら全く消費者不在の行政だと思う。だれかが勇気を持ってどこかでこれは自由化しなければいかぬと私は思うのですよ。あの昭和三十八年の自由化になったときに、あのときは業界はこぞって反対した。しかし時の通産大臣は自由化に押し切ったんですよ。まああなたがこれやるわけじゃないから、大臣が腹をきめなきゃならぬと思うのですよ。大臣はおられぬのですが、まあ通産大臣、政務次官からでも一ぺん政府見通しというふうなものをお聞かせ願えたら幸いだと思うのですが……。
  191. 藤井勝志

    説明員(藤井勝志君) 先刻来非常に御研究になった御意見を前提に質問承りまして、やはりこの台湾バナナの自由化の歴史を考えますと、一応検討せなきゃならぬ時期が早晩くるというふうに私も思います。ただ、まだ通産省としては、省内でこの問題をめぐって省議をまとめておりません。で、おっしゃるように、まず何よりも大切なものは、安くてうまいバナナ消費者に提供するということがまず基本でございましょう。しかし同時に、このくだものの生産農民に与える影響、同時にまたこれを取り扱う中小企業者、こういったものを総合的に考えて結論のめどをつけなければならぬと、これは申し上げるまでもないと思うのです。そういう点で、ただ漫然と従来の方針を受け継ぐ、こういった考えではなくして、変化する経済の情勢に対処して十分検討さしていただきたい、このように思うのです。
  192. 近藤信一

    近藤信一君 まあ国民生活をあずかっておられる経済企画庁にもお尋ねするのですが、この総体的に物価が上がるということには、もう国民は神経質になっているんですね。下がるということに対しては、もう拍手してこれを迎えるわけです。そういう時代なんですよ。もしこれが自由化になって消費者に安く供給できるというようなことになれば、いま政務次官も自由化にして何とか安くしていきたいとは思っておると、こう言われておるのですが、自由化になれば安くなるというのは、一般的のこれは見方なんですね。しかし、果樹農園や業者努力を考えると、なかなか簡単に自由化に踏み切るわけにもいかぬと言っておられるのだが、国民生活局としては一体どういうふうにこの点を見ておられますか。
  193. 八塚陽介

    説明員(八塚陽介君) ただいまお話がありましたように、一般的に輸入を自由にいたしますと、過去の経験からいたしますと、価格はかなり顕著に下がるわけでございます。一面、国民生活と申しますか、消費者の需要というのは、やはりある時期なかったものでも、欲望が多様化してまいりますから、当然そういう欲望の多様化に対応していろいろな供給の手だてを考える、生産を考える。ただその場合に、自然的な条件等で国内生産できないものは、やはり輸入にまつというようなことで、これはまあ生活の当然の趨勢あるいはこれに対応する供給政策のあり方だというふうに思うわけでございます。そういう意味におきまして、当然いろんな物資が、従来にもまして自由化をされてまいることが国民生活上は望ましいと思いますが、一面、先ほど企画庁長官が申し上げましたように、国民のうちの全部ではなくても、ある種のグループが得ておる所得というものをどういうふうに確保していくか。そのかね合いも、やはり考えてまいらなければならない。そのあたりになりますと、具体的なかね合いでございますから、私どもやや抽象的な仕事をやっておりますところでは、立ち入って申せませんけれども、かつまた、それは当然輸入制度であり、生産制度でございますから、通産、農林両省で具体的にいろいろ、ただいま藤井政務次官がお話しになりましたように御検討に相なると思いますが、その際も、ただいま私が申し述べましたような観点は当然に御考慮されることというふうに考える次第でございます。
  194. 近藤信一

    近藤信一君 いままでの通産、農林省の御答弁から推察いたしましても、自由化するということにはもう全く反対ということではない、早晩これはせなきゃならぬだろう。だがそれに対するところの影響力というものがいろいろな面であるから、そういう点を慎重に考えた上でこれをやらなくちゃならぬというような御答弁でございますが、しかし、これは先ほどのノリの問題じゃないけれども、放出を農林大臣も水産庁に指示すると言いながら、現在まだそれを見てもいないというようなことで、なかなかすぐ消費者の声にこたえることができない。バナナの自由化の問題に対しても、全く私はそれと同じようなことになるんじゃないかと思うのです。ただ早晩自由化にしなければならぬと言いながら、なかなかこれが自由化に踏み切っていくことができない、これが現在のあなた方のお立場じゃないかと私は思うのですが、私がしばしば申し上げておりますように、それじゃ全く消費者不在の行政だと、だからこれを一日も早く自由化にするということのたてまえに立ってものごとをひとつ考えてもらいたい。それで、先ほど来言っておりますように、いわゆる台湾バナナと中南米、またフィリピンと、こうもろもろのバナナ日本に入ってくると、好むと好まざるとにかかわらず、これは大量的にどんどん入ってくることになるけれども、そうすると一方は縛っておく、割り当てで縛っておく、大企業が中心としてやっておる輸入に対してはこれは野放しだ、こういうことになるわけです。  ここで私もう一ぺん質問しますがね、日華バナナ貿易会議で、この八月ごろだったと記憶しているのですが、これも新聞にちょっと出ておったのですが、台湾側から日本側に抗議しておったんですね、何だ台湾の輸入ばっかり縛っておいて、割り当てで、中南米その他の入ってくるバナナに対しては何ら制約をしていないじゃないか、これは不公正な取り扱いだ、だから日本政府としてもこの点を考えてもらいたいと言って台湾側からその日華バナナ貿易会議に申し入れがあったやに私聞いているのですが、この点御存じですか。そうしてその結末は一体どうなっているかお聞かせ願いたいのです。
  195. 楠岡豪

    説明員(楠岡豪君) 台湾側からそういうお話がございまして、まあそれに対して当方は数量を積極的に制限するという趣旨ではない、むろ数量は台湾の供給力に応じてふやしていくというような考えを述べまして、先方も一応それで引き下がったわけでございます。  それから先般、これは十月になってからと存じますが、十月から十二月に至ります間のバナナの積み出しに関しましての同様な会議におきましては、当方からやはり輸入秩序維持のために輸入を規制せざるを得ないことを述べまして、これに対して先方は反対するということはなかったようでございます。
  196. 近藤信一

    近藤信一君 それからもう一つは、政府が台湾側と協約されるときに、数量協約ですね、年間を通じて何百万かごという。そうするとこの端境期になりますると、この品種のいいやつがなくなってくるわね、そうすると品種の悪いのがどんどん輸入されてくるようになるのですよ。業者はそれでも買い取らなきゃならぬですよ。悪いやつでも、これはしようがないなと思っても数量協定になっているものだから、数量で向こうはどんどん送り込んでくるでしょう。それで日本業者はこんな悪いやつと思って、こんなの買ったら損すると思っても、これは買い取らなきゃならぬ、こういう矛盾もあるんですね。だから、実際現在では損しながら商売しておるというふうな傾向があるのですよ。そこで、日本経済新聞で言っておるように、もし台湾のあれと中南米あたりの輸入調整ができれば、それは調整すべきじゃないか。台湾をいわゆる割り当て制限しているならば、いま台湾に追いつこうという勢いで中南米が入ってくるなら、これも当然ほんとうは割り当てにならなきゃならぬじゃないか、こういうことがまた業者間でも出ておるそうでございます。私は直接聞いたことはないが、そんなうわさがあるんです。台湾の取り扱い会社側は割り当てて、中南米の大商社がやっておるのは野放しでおかしいじゃないか、これでは台湾をやっている連中はみんな倒産してしまう、一体通産省は何をしているんだ、縛るなら縛るで全部縛ったらいいじゃないか、自由化にするなら自由化にするということで、いわゆる中南米が自由貿易やっているように、それと同じような扱いをすべきじゃないかということで、いま業界では、いわゆる自由化を早くやれという声と、いやこのままでもっとやってもらいたいという声と両論あるというふうに私聞いておるんですが、これはどうですか。
  197. 楠岡豪

    説明員(楠岡豪君) 台湾との間で数量をとりきめておりますのは、先ほどの日華のバナナに関します会議におきまして四半期別の数量をきめておるわけでございます。そういうことだから悪いものが入るということでございますが、先ほども申し上げましたように、台湾側との間におきましては、輸入いたしますバナナの最低基準と申しますか、一定の基準を設けまして、その基準以上のものを台湾側に供給してもらうように話し合いができておるわけでございます。現実には入らないこともございますようで、先ほど申し上げましたように、日本側が台湾側にそういう状態の是正あるいは悪いものは船積みをしないというようなことを申し入れるというような次第になっておるわけでございますが、仕組みといたしましては、台湾側から申せば輸出基準というものがあるわけでございます。そういうことでございまして、やはり当方が、輸入業者がまとまって先方と当たるということが当方の立場を強くするゆえんでございまして、そういう点でこの輸入規制の効果があるのではないかと考えておるわけでございます。
  198. 近藤信一

    近藤信一君 時間もだいぶおそいようですから、まだあとの質問あるそうですから、私この程度にいたしますが、ただ最後に要望しておきたいことは、次長まだかわられたばかりでなかなか御答弁もお困りだろうと私思うのですが、私はやはりこの問題では自由貿易というたてまえで、とにかく消費者に安く供給できるというたてまえで、消費者行政の立場から私はこの問題について追及しておるわけでございますが、いつまでたっても自由化にならないというふうなことでは私は困る。自由化にするか、全部を縛るか、この二者択一だと私は思うのですよ。でなければ、いわゆる業界にも倒産が出てくるでございましょうし、自由貿易にして、いわゆる国民、消費者の声にこたえるかどうか、この二つの一つだと私は思うんですよ。だから通産省と農林省はひとつよく御相談をしていただいて、そうして一日も早く私は自由化のできるような、自由化実現ができるような措置を講じていただきたい。このことを私は要望するわけなんです。私は自由化になるまでこの問題についてはまだこのあとお尋ねするかもわかりませんが、きょうはもうたいへん時間もおそうございますからこの程度にして私の質問を終わります。
  199. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 私は、海洋開発の問題について科学技術庁にいろいろお聞きしたいと思います。きょうは長官いらっしゃいませんが二、三お聞きして質問を終わりたいと思います。  わが国は海洋国でありながら非常に海洋開発に対する熱意が薄い。そのために外国に比べて約十年のおくれがあると現在言われております。アメリカやフランスは具体的な海洋開発計画を策定して積極的に取り組んでいる。また深海鉱物資源については、イギリスやオランダはもう案を出して全世界の海洋分割図面までできておる。そのように聞いておりますが、わが国海洋開発が、海洋学においては世界一流であると私たちも思っておったわけでありますが、その応用面、実践面が非常におくれておる。そういう点について、科学技術庁といたしましては、なぜそのようにおくれたか、どのように考えておるのか、まずその点についてお聞きしたいと思います。
  200. 梅澤邦臣

    説明員(梅澤邦臣君) 御質問の海洋につきましては、確かに一部おくれております。昭和三十六年にやはり海洋は大切であるということで、総理府も総理大臣直属の諮問機関といたしまして海洋科学技術審議会というものを設けられまして、その後それから二度ほどの答申が出ております。その関係からまいりまして、ちょうどことしでき上がるのでありますが、約六百メーターまで沈められます「しんかい」と名づけました海洋調査船、これが今度でき上がりまして来年から調査に入ることになります。  それから各省とも海洋の問題につきましては、じみではございますがそれぞれ調査関係等の整備をいたしておりまして、しかし、実際に現在おくれておりますのは、先ほど十年とおっしゃいましたが、海洋工学と申しますか、機械化の関係がおくれていることは事実でございます。その他については大体それほどおくれているとは言わなくてもいいのではないかと私たち考えております。したがいまして、その海洋工学の問題、たとえばいまアメリカでシーラブ計画ということで海底百二十メーターぐらいのところで三十日間居住をして、そして下で働いてゆっくり出てくるというような機械開発をしておりますが、こういう問題につきましてもわれわれは早急にかからなきゃいけないということで、本年から基礎実験に入っております。そして来年から約二年間で少なくとも百メートルぐらいまでの実験ができます海底居住機、これの開発をしようというのが「しんかい」の調査船の次に続いております。  それからまた大陸だなにつきましては、やはりまだ測定調査その他がおくれておりますが、モデルケースといたしまして、ことしから日本海の一部をとりましてそこの調査を始めます。その調査によりまして測定機器の開発、その点を突き詰めていこう、そういう段階でいま進んでおりますときに、先ほど申し上げました海洋審議会におきましても、メンバーを一新いたしましてあらためて主として海洋工学関係のことを主体として考えておることを進めようということで、来月早々四十四年度に対処してどういうことをさしあたりすべきかという意見が出されることになっております。また先般、今月の二十一日でございますが、二十一日に総理からこの審議会に対しまして、今後のわが国における海洋の開発計画というものを早急につくってもらって、できれば来年の三月終わりまでにはその意見を出してもらいたいというのが諮問として出ております。そして本格的には四十四年度からその意見に基きまして、海洋の機械化開発と申しますか、そういう関係のほうを本格的に進めていきたいというのが現状の考え方でございます。
  201. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 いま海洋工学の面が非常におくれているというお話でございますが、やはり海洋工学が非常に日本の国がおくれてきたという理由はどこにあるわけですか。
  202. 梅澤邦臣

    説明員(梅澤邦臣君) 海洋工学は、どうも私たち考えますのに、総合技術だと思います。それで電子技術、あるいは造船技術、海洋環境の技術の問題、そういう点がいままである程度ばらばらでされておられまして、それが総合的にまとめていけなかったという点が一番関係していると思います。それからまた、われわれのほうで現在宇宙開発もやっておりますが、人材という関係からまだ海洋関係のほうに十分なる人が回っていなかったというのが原因だと思います。
  203. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 この海洋開発が非常におくれたという一つの理由として、やはりアメリカやあるいはフランス等に比べてはるかに予算が少ない。まあ日本の国の場合見ましても、宇宙開発あるいは原子力開発、それに比べればはるかに予算面でも少ないわけでございますが、そういう点、心ある学者の中では自費でそのような研究をしておる、そういうようなことも聞いておるわけでございますが、そういう今後の予算面についてはどのように考えておられますか。その点をお聞きしたいと思います。
  204. 梅澤邦臣

    説明員(梅澤邦臣君) 現在まで予算面で申し上げますと、たとえばことしでございますが、実際に海洋開発という分野で選んで、まあ特別研究あるいは開発等でやっております予算は約二十億円でございます、各省合わせまして。しかし、これでは確かに、いまおっしゃいますように、非常に弱いと思います。そこでわれわれのほうも各省と打ち合わせいたしまして、これを来年から逐次大きくもっていこうではないかということで、来年度の予算要求に際しましては約その二倍半、五十数億円のところの予算要求を現在していただいております。そして四十四年度より緒につきましたところで、審議会の答申が来年の三月出まして、それが大体五カ年計画ぐらいのものをつくっていただけると思いますが、その線に沿って強硬に予算もふやし、仕事も進めていきたい、そう考えております。
  205. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それで、まあ一つ海洋開発の中で何を重点に開発していくか、そういうことが非常に問題じゃないかと思います。海洋開発と申しましても非常に分野が広い。だから日本の国といたしましても、限られた資金の中で十分な成果を上げるためには、やはりそこに焦点をしぼっていかなければいけないんじゃないかと思うわけです。そういう点で、まあわが国は非常に資源が乏しい、そういう点から考えまして、海底資源の開発というものをこれをやはり重点に行なっていくべきではないか、そのように思うわけでございますが、現在来年度の予算におけるそういう特に重点としている点は、どういう点を重点にしているか、その点をお聞きしたいと思います。
  206. 梅澤邦臣

    説明員(梅澤邦臣君) 確かに、生物資源とそれから鉱物と、石油を含みます鉱物資源の資源開発というものを主体として考えております。ただ、先ほど申し上げました来年度の予算要求という私たちの考え方でいきますと、先ほどの海洋工学でございますが、測定方法、測定機器、まあ作業機器といいますか、それの技術というものがまだおくれておりますので、来年はそれの開発という方向へ向けておりまして、石油そのものをすぐに開発するというところまでの予算要求の段階には至っておりません。早急にそういう開発に必要な機器とそれから調査に必要な機器、こういうものについて進めていきたいという考え方でございます。
  207. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 諸外国の動向から見ましても、この海底開発は非常に緊急を要する問題で、特に海底資源の分轄問題、そういうものが起きてきた場合に、わが国がその国際的な発言権を確保するためにも、早急に取り組んでいかなければならない、そのように思うわけでありますが、現在、海底資源の開発状況というのは、大体どの程度まで進んでいるわけなのですか。日本の場合ですね。
  208. 梅澤邦臣

    説明員(梅澤邦臣君) わが国の海底資源の開発で申し上げますと、大体鉱物関係でございますが、そういう関係でいきますと、秋田、新潟等で天然ガス、それから石油等の開発をある程度やっておりますが、大体まだ浅くて二十メーター程度のところと思います。それから石炭の開発として九州でその点の海底調査というものを進めておりました。それから鉱物といたしましては砂鉄、これが青森その他の砂鉄をとっておりますが、いまだにまだ浅海のところの回収というところが現状だと思います。
  209. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 まあ大体石油の場合だと十億円もあれば日本の周辺の油田の調査ができる、そのように言っている学者もあるわけでありますが、そういうようなことならば、なぜ早くできないのか、そのように私たちも思うわけですけれども、たとえばこの油田の開発という問題にしても、ほかに何か理由があるのかどうか、その点をちょっとお聞きしたいと思います。
  210. 梅澤邦臣

    説明員(梅澤邦臣君) たいへんむずかしい問題でございまして、油田の開発と申しますと、やはりボーリングの問題、それから採油の問題等、機械的な問題点が相当あると思います。したがいまして今度の、先ほど申し上げました審議会での五年計画におきましても、やはりどういう機械だけを開発するという形だけでは間に合わないと思います。やはり差しあたり石油なら石油を取り上げまして、それの開発としてどういう技術を早く確立してそして進めるべきだという方向で、計画を立てていただきたい、そういうことを申し述べておりまして、いわゆる総合技術の石油開発等はどうしても機械的な問題のところ、そういうところにあるのではないか。それからもう一つは、材質の問題で、防蝕関係、それももちろんまだ浅いのですが、深くなりますと圧力の問題ということがひっかかってくると思います。
  211. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 この問題についての日米の協力についてはどうなっていますか。
  212. 梅澤邦臣

    説明員(梅澤邦臣君) 日米で海洋につきましての協力関係、共同研究を進めようという話が先般ございまして、米国との話し合いで両方にコオーディネイターを立てようということで、私のほうは、科学技術庁の中の鈴木審議官というのをコオーディネイターに立てました。そうして天然資源開発の日米間の委員会がございますが、その中の一環といたしまして進めていく。そうして両方のコオーディネイターの間で、これから取りかわします研究課題を決定いたしまして、それを逐次進めていくという形になっております。現在そのテーマの選択その他につきまして、本日帰ってまいりますが、うちの事務次官がそのやり方の問題について、向こうへ行っているところでございます。
  213. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それから一つは、国民に対するそういう国全体に対するPR、そういうことも非常に大事ではないかと思うわけです。そういう、点で、フランスあたりではPR用の映画をつくってどんどんそういう海底開発、海洋開発のことを、国民全体にPRをしておる。そういうような話を聞くわけでございますが、日本においてもやはり国民の関心を高めるために、また、より多くの予算を獲得するためにもそういうPRが必要ではないか、そのように考えるわけですけれども、そういう点についてはどういうように考えておられるかお聞きしたいと思います。
  214. 梅澤邦臣

    説明員(梅澤邦臣君) 実は、PR問題はたいへんだと思います。しかし、現在の政府だけのPRということだけではなかなかうまくいかないのではないか。したがいまして、現在経団連と私たちは連携をとりまして、間もなく経団連の中に海洋開発の特別委員会が設けられることになっております。そこでわれわれとタイアップいたしまして、産官学が一緒になってこの海洋をやっていくという体制を考えよう、こういう考え方でごいます。  実は、海洋につきましては、宇宙だとか原子力とちょっとやり方が違いまして、やはり民間は民間でやるべき問題が相当ございます。したがいまして、国の分担、民間の分担、それから漁民に対するそれの普及活動、そういう点の問題について、経団連と一体化しまして進めていきたいということで、現在経団連と相談中ですが、幸い経団連におきましても、もう間もなく、ことしじゅうにはその委員会ができ上がるということを聞いております。
  215. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それじゃ、先ほど日本の非常に海洋工学のおくれが、総合的なそういう面がなかった、そういうようなお話でございますが、これはやはり今後の研究体制の問題じゃないかと思うわけです。そういう点で、原子力、宇宙開発の場合はそれぞれ原子力委員会あるいは宇宙開発審議会、そういうものができて、体制は一応整備されておるわけでございますが、最近は海洋開発にもだいぶ民間企業等もどんどんやっておるわけでありますが、そういう民間企業との連絡、協力、調整、そういうようなものを今後はどうやっていくつもりであるか、その点をお聞きしたいと思います。
  216. 梅澤邦臣

    説明員(梅澤邦臣君) 実は、海洋は現在まで小さいながらも私たちの総合研究課というところで、各省連絡会議というものを設けて、研究連絡は進めておりましたが、これは非常に小規模でございましたので、今度できるだけ海洋課をつくろう、まず課から発展してはどうかということで、海洋課の案を今度出しておりますし、そして、各省の研究機関の総合協力体制を結ぶことと、それから、海洋課が世界の先進国の情報その他の連絡をとって、それから経団連と産官学一緒になってタイアップをするということで、さしあたりとしては課を創設いたしまして進めていきたいという考え方でございます。
  217. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 もう一つ大事なことは、海洋開発に対する政府の役割りを明確にしなければならぬと思うわけです。たとえば、原子力開発の場合は政府が原子力研究をやり、その実践面は民間の企業がやっておる。宇宙開発の場合は、これは研究もまた開発分野もどちらも政府がやっておるわけでございますが、そういう問題について、海洋開発の場合には現在政府としては今後をどのように考えておるのか、その点をお聞きしたいと思います。
  218. 梅澤邦臣

    説明員(梅澤邦臣君) ただいまの問題、非常にむずかしい問題だと思います。ただ、現在のところでは、いま先生のおっしゃいました点を明らかにした長期計画といいますか、開発計画というものを三月までにつくってくれということで審議会に出しておりますが、その考からまいりますと、大体大陸だなの開発という考え方では、半分は民間、半分は国でございます。その国のほうは調査並びに測定機器の開発等が、あるいは海底居住機器のような共通機器の開発、これが国の仕事になると思います。それがある。石油あるいは石炭、そういうところの開発に使う技術開発という点においては、民間が相当になってくれると思います。しかし、いままでおくれをとりました点は大陸だなでございますが、海外が現在進めておりますのは、もっと深海のたとえば太平洋にございます二千メートル以下のところのマンガンをとると、こういうようなところまでもう意向が出ておりますので、いまの日本の進み方からいいますと、大陸だなと同程度にやはり深海の開発という方向にも海洋工学を進めていかなければならない。この関係からはできるだけその深海の場合の調査方法、それから深海の調査というものは非常にむずかしくて、その測定機器の問題が大切でございますが、こういうものについては、国が相当まるがかえで研究を進めていかなければならない、そういう考え方が出てくるのではないかと思います。
  219. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それともう一つは、わが国のそういう海洋開発がおくれた理由は、そういう国自体としてのはっきりした方針がない、そういうことがいわれております。そういう点からわが国としては、どのような範囲またどのような推進方法でやっていくか、そのようなやはり具体的な基本法といいますか、そういうものを早急につくるべきである、そのように思うわけでありますが、それについてのお考えを聞きたいのです。
  220. 梅澤邦臣

    説明員(梅澤邦臣君) 実は海洋のこの三月に長期計画を出します場合にも、業界からの御要望その他から考えますと、やはり業界に対しては誘導目標、そういうものが入っていないとだめであるということが出ております。したがいまして、国が国策としてやります目標が、業界が今後これはこういう技術を進めていったらいいのだという目標になるという考え方で、立てさしていきたいと思っております。それができた暁におきまして、その実施体制等を考えて、そのときに実は基本法なりあるいは開発法なり法律が要るかどうかということは考えたいという考えで、現在基本法をつくるなり開発法をつくるというところまでの検討——検討はいたしておりますが、しばらくその点慎重に検討さしていただきたいと思っております。
  221. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 すみやかにまずそういう体制ができなければならないと思いますし、よろしくお願いしたいと思います。  それともう一つは、非常にそういう人材がないと、そういうお話でございましたが、それが現在の日本のおくれの原因である、そういうお話でございます。確かにこれは日本の海底開発の第一人者と呼ばれている新野弘博士のお話を聞いた上でのことでありますが、先生もやはり人材の確保と養成が大事だ、そのように言われているわけであります。そういう点で、この人材の確保について、政府はどのような具体的な計画を現在立てているのか、その点お聞きしたいと思います。
  222. 梅澤邦臣

    説明員(梅澤邦臣君) これも、人材の問題につきましても、審議会の一つの問題項目として御審議いただくことになっておりますが、現在確かに総括的に人材が足りません。したがいまして、これをこれからの大学教育なりで養成するというのでは、相当間に合わないと思います。したがいまして、現在のところは民間の産業教育と申しますか、産業内の再教育、それでそちらの海洋のほうに向けていくという措置を何らか考えたいということで、現在経団連その他と人材養成のあり方について考えておりますが、今度の審議会の三月までの答申には、やはり人材をどの程度養成するか、あるいはその分はどういう方法で養成するか、答申をいただきたいと思っております。  しかし、どうも海洋の関係でまいりますと、電子技術や冶金、機械、電気、水産、すべての学問的分野にまたがって、実はそれがお互いに連絡をとって、別の専門が一緒になって仕事をしなければならないというところが問題だと思います。したがいまして、そういう環境をできるだけつくって、そこに興味を持って向かってくださる人材を集めていくというのがほんとうのやり方だと思います。したがいまして、私たちは、さしあたりといたしましては、そういうグループといいますか、違った分野の人たちが一緒になって調和して海洋に当たっていただくというグループの体制というものを研究所内に設けたい、こう思っております。
  223. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 じゃ現在のところ、そういう具体的な計画はまだできてない、来年の三月まではできないと、そういうことなんですね、いまのところは。  それで、これは大学に海洋学部を設け海洋博士を育てる必要があるんじゃないか、そのように言われているわけでありますが、東海大学には一部そういう学部もあるそうですが、もっと海洋工学を主体にしたそういう学部を設ける必要がある。これはもう原子力関係はそういうのができているわけなんですが、そのような点からその必要があるとわれわれは思うわけですが、そういう点についてはどう考えておられますか。
  224. 梅澤邦臣

    説明員(梅澤邦臣君) まだ具体的には出ておりませんが、文部省とわれわれと相談中で、現在のところ東海大学が一つだけああいう形でできておりますが、今後の海洋工学に対する養成として、学部にいたしますか、学科にいたしますか、その養成関係のことを考慮していただきたいということは文部省と相談中でございます。
  225. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 では、いずれにしても、先ほどお話ししましたように非常におくれておる部門でもあり、また、将来、資源の乏しい日本の国としては非常に大事な部門ではないかと思うわけです。そういう点で、いろいろ難関もあると思いますが、ひとつすみやかにそれを実現に移すようにがんばってもらいたい。そのことをお願いいたしまして、本日の質問を終わりたいと思います。以上で終わります。
  226. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 本日はこれをもって閉会いたします。    午後四時五十二分散会      —————・—————