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1968-11-22 第59回国会 参議院 産業公害及び交通対策特別委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年十一月二十二日(金曜日)    午前十時二十分開会     —————————————    委員異動  十一月二十一日     辞任         補欠選任      小笠原貞子君     岩間 正男君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         加藤シヅエ君     理 事                 菅野 儀作君                 松澤 兼人君                 内田 善利君     委 員                 青木 一男君                 岩動 道行君                 植木 光教君                 大谷 贇雄君                 木島 義夫君                 櫻井 志郎君                 土屋 義彦君                 矢野  登君                 杉原 一雄君                 成瀬 幡治君                 小平 芳平君                 田渕 哲也君                 岩間 正男君    国務大臣        厚 生 大 臣  園田  直君        国 務 大 臣  田中 龍夫君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        内閣総理大臣官        房陸上交通安全        調査室長     宮崎 清文君        警察庁交通局長  鈴木 光一君        厚生省環境衛生        局公害部長    武藤き一郎君        農林省農地局資        源課長      上田 克巳君        通商産業省政務        次官       熊谷太三郎君        通商産業省企業        局立地公害部長  矢島 嗣郎君        通商産業省化学        工業局長     後藤 正記君        通商産業省鉱山        保安局長     橋本 徳男君        通商産業省公益        事業局技術長   藤井  孝君        建設省道路局長  蓑輪健二郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告産業公害及び交通対策樹立に関する調査  (交通対策に関する件)  (交通安全施設等緊急整備に関する決議の  件)  (公害対策に関する件)     —————————————
  2. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) では、ただいまから産業公害及び交通対策特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について報告いたします。  昨二十一日、小笠原貞子君が委員を辞認され、その補欠として岩間正男君が選任されました。     —————————————
  3. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 最初に、派遣委員報告に関する件を議題といたします。  先般当委員会が行ないました、産業公害現状とその対策実情調査のための委員派遣について、派遣委員から報告をお願いいたします。松澤委員
  4. 松澤兼人

    松澤兼人君 御指名によりまして、先般の委員派遣に関する報告を申し上げます。  公害対策視察の取り組み方については、二つの側面が考えられます。一つは、すでに公害が激化した地域について、発生源除害措置被害者救済措置視察する行き方でありまして、前回の派遣は、この側面から、四日市地区重点に選んで視察をいたしました。  今回は、視点を変えまして、現在は公害に悩まされてはいないけれども、その開発計画から見て発生のおそれが予想される地域を対象に、事前防止対策を主にした視察をしたいと計画したのであります。  選んだ地域は、郡山常磐新産都市を持つ福島県と、鹿島工特地区を持つ茨城県の二県であります。班は、加藤委員長松澤理事内田理事矢野委員の四名で編成し、十月二十八日から三十一日にわたって調査をいたしました。  両県の当局から公害対策全般について説明を聞いたほか、現地視察を行なった施設は次のとおりであります。  福島県では、郡山地区において、まず公園緑地工場と言われるコパル精密視察し、次いで、日東紡績富久山工場保土谷化学郡山工場排水処理水銀処理設備とを見ました。さらに、七十キロ東南に位する小名浜地区に入って、小名浜港の築港状況を見た後、小名浜製錬と東邦亜鉛亜硫酸ガス処理設備視察いたしました。  茨城県では、鹿島臨海工業地帯視察を主とし、途中、大洗の原子力研究所に立ち寄ったのであります。  各施設状況に関する報告を省きまして、視察全般を通じて得た印象と問題点の概略だけを申し上げたいと存じます。  福島県は、豊富な水量と自然の地形に恵まれているという条件があり、また茨城県は、これから企業立地が始まる白紙の段階にあるという条件があって、両県とも公害対策にはきわめて熱心であり、われわれはたいへん心強く印象づけられたのであります。  福島県の公害対策には、三つの特徴が見出されます。  第一は、県当局企業との協力体制が整っていることであります。県下公害源となる企業は七百二十八でありまして、これは、県当局企業経営者との連絡をとるのにほどよい規模の数であると言えます。また、県下にある新産都市は、二眼レフの新産と言われているように、内陸郡山地区小名浜常磐を含む臨海地区とが地理的に截然と区分されております。内陸地区には、機械、精密機器繊維工業等企業立地し、公害問題を起こしがちな、化学、非鉄などの重化学工業臨時地区に集中しておりますので、地区別公害対策を単一化することができるということが、協力体制づくりに有利な条件となっているようであります。したがって、企業側から立ち入り検査を拒否した事例は一例もなく、また、現に公害防除のために改善計画を推進中の企業が七百のうち百一あり、県当局はその資金調達計画の把握と援助に努力中であります。企業側公害防除設備投資としては、四十二、四十三年に二十四億円が投入されたほか、四十四年以降に二十五億円が予定されておりまして、そのうち、中小企業に対しては、年利六分、償還期限五年の公害防除施設整備基金を設け、四十二年から毎年、県費二千万円の予算を計上して助成に当たっているのであります。  特徴の第二は、環境基準を、全国に先がけ、本年十月から適用していることであります。また、その環境基準内であることを条件として、現実に実施可能な特例基準を経過的に七つの企業に設定していることであります。このような特例条例の中で認めることについて私ども疑問を抱いてまいったのでありますが、一つ一つについてその理由をただしますと、もっともなところもあり、また、立地的な自然条件に恵まれた県の特殊事情と、環境基準を実施している意欲とを結び合わせて、了解できるところがあったのであります。環境基準に基づいて、地域別公害防止計画の策定に取りかかっており、その第一号として取り上げているのが、私ども視察した小名浜地区計画であります。同地区立地する小名浜製錬、東邦亜鉛をおとずれた際に、両企業から、工場周辺地域特別工業地区指定することと、住居地区との間に緑地帯を造成してもらいたいとの要望が出されたのでありますが、右の計画によって実現されるものと期待しているところであります。  環境基準の順守を確保するためには、常時の監視体制整備する必要があり、県においても重要な柱として努力している旨の説明がありました。しかし、東邦亜鉛がみずからの負担において望楼を設置し、専任の守衛四人を配置していることを見ますと、なお足らざるものがあるようであります。公的責任において監視体制整備しておくことは、事前防止対策として必要であるだけでなく、事後の紛争処理にあたっても重要なきめ手となるものでありますから、国、自治体とも、さらに一段の努力を注ぐべきであると考えるのであります。  福島県における注目事項の第三として、中央地域指定方針に対する県の態度の問題があります。阿武隈川水質保全水域指定し、また、小名浜常磐地区大気汚染防止地区として指定しようという中央計画について、県当局は、次のような意向を示しております。阿武隈川については、四十一年四月以降、県条例に基づく指導によって、最近は釣り人がつどい、サケが上がってくるほどに浄化されてきている。また、県内のすべての企業県条例による基準に即して公害防止に協力している。そこへ、条例基準よりゆるい基準法律が適用されることになるような指定をされては、いままでの県当局指導がふいになり、また、今日までまじめに協力してきた企業がばかを見ることになる。県がみずからの責任できびしい基準を設けてせっかく規制している地域を、なぜ国が手をつけ、しかもその規制をゆるめるようなことをする必要があるのかわからないと言っているのであります。公害対策の第一次責任のあり力について反省を要する問題の一つであると感じたところであります。  茨城県における公害対策重点は、鹿島臨海工業地帯開発計画一環として展開されております。いかにして「公害のない工業都市」をこれからつくり上げていくかということでありますから、その中心は、事前対策にあります。現地でいま私どもが目に見ることができるのは、工業地帯造成建設工事の姿だけでありまして、公害対策そのものの形は、頭の中に計画を描いてみるほかはないのであります。したがって、今回の視察は、立地予定されている二十三の企業操業を開始する三年先にどのような形となって実現するかを見るための準備とでも言うべき意味を持つものであったわけであります。  開発計画は、鹿島灘砂丘海岸に、五百億の費用と十年の日時をかけて、横浜港の三倍という規模のバースを持ち、貨物取り扱い量横浜の一・六倍、大阪・神戸の二倍とする掘り込み港湾を築造すること、さらにそれを拠点として、周辺一万ヘクタールの地域を開発することによって、京浜工業地帯に匹敵する工業地区を造成するという目標のもとに、二千億円の公共投資と一兆円の企業設備投資がつぎ込まれるというものであります。  海湾工事は、総延長五キロとなる防波堤のうち、延長千二百メートルの北防波堤がほぼ完成し、延長三千八百メートルの南防波堤が六四%の築堤を終えて、水深十六メートルを掘り込んでいく世界最大規模といわれる掘り込み水路の工事に全力が注がれているところでありました。  工場地帯になる地域は、南防波堤南側海辺に、東京電力鹿島火力立地する十七万坪の埋め立てがほぼ完成しつつあるほか、内陸部で、住友金属が占める二百万坪の敷地が整地されているだけでありまして、予定地の大部分はいまだ防風林の松が続く砂丘でありました。しかし、その松の緑の中に、住友金属建設を進めつつある延長一・五キロ、幅百八十メートルのホットストリップミルの建屋が銀色に輝いている光景は、近づく工業化の胎動をほうふつさせるものがありました。  公害対策の中で注目すべきものが三点あります。  一つは、立地する企業に対する施策のきびしさであります。そのうち特記すべきものを拾いますと、風洞実験を経ない企業の進出は認めない、鹿島石油で脱硫した重油以外の使用を許さない、企業排水共同処理施設集中処理をする、立地後に公害防止条項に違反した場合は契約を解除して県が土地を買い戻す、という条項譲渡契約に含めてあること等であります。  第二に、土地提供者が移転する農業団地について、その生活環境を確保するために、工業団地との間に十分な緑地帯を配する立地計画整備していることであります。  第三に、事前調査一環疫学調査が含まれていることであります。進出してくる企業公害責任を明確にするための準備調査として、企業立地する前に維持されていた生活環境、特に公害病に対する住民の現在の健康状況をつかんでおくという調査が行なわれているのであります。  公害のない工業都市を目ざす事前調査には、県費だけでも七千万円が投入され、これに、厚生省、通産省も全国モデル地区として事前調査を行なうなど、工場建設着手前にこれほど徹底した事前対策をしている地区は、ほかに例がないと言われております。しかし、その成果は、一部は明年一月に予定される住友金属操業によって試され、全般的には、二十三の全企業操業を始める三年後の四十六年における実績を待つことになるわけであります。そのときに再度の委員派遣があらためて企画されることの必要を感じながら視察を終えた次第であります。  以上、調査の大要について御報告申し上げました。なお、精細については、別途委員長文書報告を提出してありますので、会議録への掲載方をお取り計らい願いたいと存じます。
  5. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) ただいまの御発言にありました詳細な報告書は、本日の会議録の末尾に掲載することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 御異議ないと認め、さように取り計らいます。  派遣委員報告はこれをもって終了いたしました。     —————————————
  7. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 次に、産業公害及び交通対策樹立に関する調査議題とし、交通対策に関する件について調査を行ないます。  御質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 松澤兼人

    松澤兼人君 この際、交通安全に関しまして若干の質問を申し上げたいと思います。  過去三カ年にわたりまして交通安全のための道路緊急整備ということが行なわれまして、非常に効果をあげているように考えますが、しかし、車の台数増加したり、依然として交通事故というものは減らない状態にあるようであります。  まず第一に、警察当局お尋ねいたしたいのでありますが、現状における交通事故状況といいますか、あるいは趨勢といいますか、まず、お聞かせ願いたいと思います。
  9. 鈴木光一

    説明員鈴木光一君) お尋ね交通事故現状につきましては、すでに皆さま方承知と存じますが、本年に入りましてから依然として増加を続けてまいりまして、まことに、残念ではございますけれども死者の数につきましては昨年に比べまして若干の増加ということでございますが、負傷者の数がきわめて増加しておりまして、昨年に比べまして負傷者につきましては約二五%程度増加を見ているのであります。  数字につきまして若干申し上げますと、手元にあります統計は本年の十月末までの統計でございますが、事故発生件数でございますが、件数は五十一万三千四百八十六件の発生を見ておりますが、昨年に比べまして約二二%の増加を見ております。死者につきましては、一万一千三百八十九名でございまして、昨年の同期に比べますと二百三十七名の増加を見ております。負傷者につきましては先ほど申し上げましたが、本年の十月末までの負傷者の数は六十六万四千三百七十六件でございます。昨年に比べますと二五・八%の増加を見ております。  かような状況でございまして、今後この状況のままで推移いたしますれば、おそらく史上最高という状況になるのではなかろうかということを憂慮している次第でございます。
  10. 松澤兼人

    松澤兼人君 最近、統計を見ておりますと、死亡者が場合によっては減っている月もあるし、必ずしも事故件数増加に比例しておらない。しかし、死亡件数が横ばいか、あるいは減っているような状況にありながら、事故件数というものは非常にふえている、そういう分析をどのようにされておりますか。負傷者が非常に急激に増加している。死亡者が少ないことは何よりけっこうでございますが、そういう事故内容分析というか、警察庁としてはどのように考えていらっしゃいますか。
  11. 鈴木光一

    説明員鈴木光一君) お尋ねの件につきましては、私どもも重大な関心を持ちまして分析をしておるわけでございますが、概括して申し上げますと、自動車台数の非常な伸びに応じまして、交差点等における車両同士衝突事故、これが非常に増加しておるわけでございます。いわゆるむち打ち症の原因になるような追突事故といったものも非常にふえておるわけでございまして、したがって、そういう車両同士衝突事故という事故から死者を出すまでには至りませんけれども負傷者が非常に増加するという傾向がこの種の事故から生じておるわけでございまして、重ねて申し上げますが、昨年と比較して増加いたしておりますのは、車両同士衝突事故という事故件数が非常にふえた結果というふうに考えております。
  12. 松澤兼人

    松澤兼人君 いまでなくてもよろしいですけれども事故内容分析と申しますか、車両同士車両歩行者、そういうような分析がありましたら、またいただきたいと思います。  直接の問題ですが、警察庁としましては、府県公安委員会から、信号あるいは交通標識等に対しましていろいろと要望が上がってきて、それを全体の計画の中で消化して、漸次地元の要望に応じていくという形をとっておられると思いますが、四十三年度ではまだその数字が出ておりませんが、どの程度公安委員会にかかる交通安全施設の完了を見たかということですね。
  13. 鈴木光一

    説明員鈴木光一君) 交通安全施設につきましては、いろいろ道路管理者の行なう安全施設もございますが、お尋ね公安委員会分だけについて申し上げますと、御承知のように、交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法というものがございまして、これに基づいて交通安全施設等整備計画的に進めていくということで三カ年計画があるわけでございますが、四十一年から四十三年までの三カ年の公安委員会計画分といたしましては、六十億三千三百万円という事業になっております。このうち、ことしの八月末までの現在で調査いたしましたところ、五十二億五千九百万円の事業をすでに実施しておりまして、その進捗率は八七%となっておりますが、残りの事業につきましても四十三年度末までには全部完了する見込みでございます。
  14. 松澤兼人

    松澤兼人君 六十億を四十一年から四十三年までに消化するというわけですね。それで、四十一年と四十二年がすでに済みましたから、四十三年度としては約二十八億というものが公安委員会にかかる安全施設整備ということになると、大体そういう計算ですか。
  15. 鈴木光一

    説明員鈴木光一君) 四十三年度につきましては二十八億でございます。  なお、つけ加えておきますけれども、これは緊急措置法に基づく補助事業としての事業量でございまして、これ以外の、県の単独事業として相当の交通安全施設というものが整備されておるわけでございまして、この六十億という——約六十億でございますが、これ以外に、補助事業として約六億の計画外事業を国としては三カ年間に組んでございます。それ以外に、地方単独事業といたしまして、三カ年間で、四十一年に二十二億、四十二年に二十九億、四十三年に三十四億ということで、合計八十六億の単独事業を実施しておる次第でございます。
  16. 松澤兼人

    松澤兼人君 そうしますと、この六十億と、それからほかに六億の別途の仕事がある。そのほかに県単事業で八十六億、これ全体が、まあ緊急であるかどうか別ですけれども、つまり、さしあたっての交通安全の整備事業として公安委員会にかかる分の合計だと考えてよろしいですか。
  17. 鈴木光一

    説明員鈴木光一君) そういうことになりますが、なお、申しおくれましたが、ことしから反則金地方単独事業財源として加わりまして、これを財源にした地方単独事業二十五億を加えますと、補助事業も県の単独事業も加えますと、この三カ年間に百七十七億、公安委員会関係分は百七十七億という事業量になっておるわけでございます。
  18. 松澤兼人

    松澤兼人君 ちょっと念を押しますけれども府県は、こういう法律がなかったときにもやはり交通安全の施設をやっていたと思うのですが、いわばまあ経常的な意味交通安全施設事業、そういうものはこの計算の中に入っているのですか。それとも、また別ワクでそういうものを経常的にやっているのか。そういう事業も、いま局長が言われましたこの数字の中に入っているのか。この点だけ明らかにしていただきたいと思います。
  19. 鈴木光一

    説明員鈴木光一君) いまの数字は、三カ年の、四十一年から四十三年までの三カ年でございまして、この三カ年につきましては、国の補助事業といたしましては緊急措置法に基づく補助事業地方におきましては単独事業という形になりまして、先ほど言ったような数字になるわけでございます。お尋ねのように三カ年計画のない時代、四十一年以前の状況につきましては、やはり国は国として補助事業としての予算を組みまして、それを地方に流しておる。それ以外に、やはり地方では単独事業という形で事業を行なっておりますという状況にございまして、数字の多寡はございますけれども、考え方としてはこうなっております。
  20. 松澤兼人

    松澤兼人君 そういう安全施設をつくること、もちろん必要ですけれども、先般も、先ほど報告申し上げました茨城県へ行きましたときに、交通専任警察官といいますか、専門警察官がどうも足らなくて困る、警察庁へいろいろ言ったけれども、してくれなかった、そこで県単として交通警察官を何人か置いたというようなことがあるわけですが、これは交通安全緊急措置ということとは全く別ですけれども、やはりそういう施設を拡充していくことも必要です。同時に、やはり運転者に対して指導するとか、あるいは注意を与えるといったようなことのためには、そういう人間の手が必要だと思うのですけれども、こういう交通専門警察官配置あるいは配分ということについて地方からいろいろと上がってきていると思うのですけれども、来年度等においてはどのように考えていらっしゃいますか。
  21. 鈴木光一

    説明員鈴木光一君) 交通警察官の数につきましては、現状交通警察官として配置されている各県の人員を見ますると、増員の必要があると思いますけれども、これは各府県の中で警察官の数をいかに交通警察に回していくかということが非常に重要な問題になるわけでございまして、安全施設の三カ年計画とあわせて、外勤警察官増員を、警察庁としては一万八千名の増員を実施しているわけでございます。この外勤警察官というものが当然交通警察の活動を実施するわけでございますから、実質的に交通警察に寄与するところが大である。交通警察官増員という問題、そのもの増員ということにつきましては、それらの問題を、実施後の状況、各都道府県における合理的な配置というものを考えた上で、さらに検討をいたしたいと思っております。
  22. 松澤兼人

    松澤兼人君 いろいろとお考えがあるところだろうと思いますが、地方には、そういう交通専門警察官の手が足らないというような希望あるいは実情がありますので、よく御承知願いたいと思います。  それから建設省のほうにお尋ねいたしたいと思いますが、先ほど公安委員会にかかる分につきましては御説明があったわけでありますけれども道路管理者分としてどのような計画であり、どの程度、何%程度増加している、四十三年度でどの程度増加ができる、さらに地方からの要望というものがどの程度まだ残存するかというような点につきまして、特に交通安全という見地からお答えを願いたいと思います。
  23. 蓑輪健二郎

    説明員蓑輪健二郎君) 道路管理者の実施いたします交通安全施設事業につきましては、これは御承知のように、四十一年から四十三年の間で国が補助またはみずからいたしますものといたしまして、七百二十二億を予定しております。四十三年度は最後の年でございます。四十三年度については二百七十四億で実施するようになっております。これが三カ年計画の全体の予定いたしました数量でございまして、四十三年度で全部できる見込みでございます。多少当初の予定より、歩道、横断歩道橋はふえるかと思います。また、これは大体がガードレールをするということと一緒に、歩道をつくるというようなことをやっておりますので、防護さくのほうの延長が多少減りまして、歩道の延長がふえているということになると思います。本年度の事業につきましては、多少横断歩道橋その他で、まだ地元との話がつかなくて延びている点もございますが、本年度末には全部予定どおり完成できるものと思っております。  次に、今後の地方公共団体のいろいろな要望でございますが、これも、四十三年度春からいろいろ、各県、地方建設局合わしまして調査しておりまして、四十四年度以降の三カ年計画を新たにつくりたいというように考えております。まだ、四十四年度以降の規模をどのくらいにするか、はっきりきめておりませんが、私たちの推測では、大体いまのところ、国が補助またはみずから実施いたしますものといたしまして六百億か七百億くらい、それと、交通反則金によりまして県が特定財源によって実施いたしますものとして約三百億程度予定されております。両方合わせまして大体九百億から千億くらいのものを四十六年度までには実施したいというような考えでございます。
  24. 松澤兼人

    松澤兼人君 いまお話がありました歩道橋をつくる場合にいろいろと問題があると思うんですが、現実には、歩道橋をつくってほしいという要望が一方ではあるが、実際に歩道橋の足が自分の店の前に建つということは困るというような問題、そういう地元の調整がうまくとれないということが大きな問題ですか。
  25. 蓑輪健二郎

    説明員蓑輪健二郎君) そういうことでございます。私たち、歩道橋を設置いたしますのには、道路管理者公安委員会といろいろ協議いたしまして、どこに設置をするのが適当か、こういう計画をきめまして、それを大臣の認可を得まして、それに基づいて地元とのそういう交渉をするわけでございます。それで、いまのところいろいろ問題がございますので、できるだけ円満に納得のいくようなところを話し合いをいたしまして、それからかけるように心がけております。
  26. 松澤兼人

    松澤兼人君 緊急整備の七百二十二億ですか、こういう財源の中には、営業の補償とかあるいは代替地をあっせんするとかいうようなものは入っていないんですか。
  27. 蓑輪健二郎

    説明員蓑輪健二郎君) 現在のところ、そういうものは出しておりませんので、七百二十二億の中には入っておりません。
  28. 松澤兼人

    松澤兼人君 そのために、県とかあるいは市とかにおいて、一方では非常に歩道橋をつくってほしいという強い要望がある。一方では困るということで、県、市等において代替地をさがしたり、またはその営業の補償といいますか、何ぶんの見舞金を出すといったようなことが行なわれているという話を聞きますけれども、こういうことは、あまり地方公共団体にそういう負担をかけることはどうかというふうに考えるわけなんです。あなた方がなさることは、やはり国道の安全を確保するということにあるんだろうと思うのです。それを、地元にいろいろと負担をさせるということはどうかと思うのですけれども、今後考えていただけるような可能性がございますか。
  29. 蓑輪健二郎

    説明員蓑輪健二郎君) やはりこういう問題につきましては地元ともよく話し合いをしなきゃならないんでございます。やはりどうしても必要なところ——まあ私たち考えましても、通園路なり、また非常に横断者が多い、まあ四車線以上の道路になりますと、これはもうどうしてもかけなきゃいかぬと思います。そういうところにつきましては、やはり望ましいのは、事前に、道路をつくるときに、そういうような横断歩道橋をつくるための用地を買っておくということが一番望ましいと思います。それができないような場合は、あるいはそういうような横断歩道橋をつくるために新たに用地を買うということも考えられると思います。いまのところ、非常に緊急にやっておりますので、できるだけそういうような地元との話し合いで、多少御無理でも御容赦願ってつけておる例がございます。
  30. 松澤兼人

    松澤兼人君 あまり時間もございませんので、希望的な私の考えを申し上げますけれども、そういう問題があるために、まあ一方では公共の立場から歩道橋をつくってほしい、それからまた一方では、人権とかあるいは営業権とか、そういうようなことのために反対がある、それを調整していくことは必ずしも金だけの問題ではないと思いますけれども、やはり協力をしていただくということ、これが大切だと思いますけれども、そういう協力を得るためにも、やはり物的なものが何かあれば話し合いがうまく進むんじゃないかという感じがするわけです。  もう一つの問題は、同じ国道の中でも、前にも蓑輪局長に申し上げたかもわかりませんが、道のわきのところに、半メートルないくらいのところに白い線が引いてあるだけで、いわゆる、ちょっとことばが悪い——レディーの前で申し上げるには非常にことばが悪いんですけれども、何とか舗装と申しまして、両わきが舗装してないというような、そういう国道もあるわけです。そこはもう草がぼうぼうはえていますから、そこはたとえ歩道であるとしましても、そこを通行する人はないということで、自然車道のほうへはみ出して歩くというようなことが、間々見受けられるんですけれども、それは、いままで県道であったものが国道に昇格した、それが整備されておらないために建設省自身がそこを整備するという段階にならない。いろいろ事情はあると思うんですけれども、これを少なくとも、国道と名のつく限りは、恥ずかしくないような国道に早く整備してもらいたいと思うんです。こういう、あまり整備されてない国道に対する整備ということが、いま局長がお話しになりましたように、四十四年度からさらに実質的にこの法律を延ばして緊急の整備をするという場合においては、そういうまことに国道の名に恥ずかしいような国道までも手をつけて整備していただきたいと思いますが、この点につきましてはどうお考えでございますか。
  31. 蓑輪健二郎

    説明員蓑輪健二郎君) 交通安全施設整備の問題につきましては、これはいまの三カ年計画、さらに今後来年から新しい三カ年をつくりたいと思っておりますが、どちらかといえば応急的な仕事だと思います。いままでの道路に対して不足しておったようなものをつくっていくというような応急的なことだと思います。さらに恒久的には、国道の改修なり県道の改修なりするときには、こういうような、あとから設備をしなくても済むような形で改修していきたいというのがねらいでございまして、これにはやはり、いまの五カ年計画——四十二年度から第二次の五カ年計画が発足しておりますが、いまの交通の状況から考えますと、将来さらにこれを拡大していかないと国道もなかなか全部改良もできない、また国道以外の非常に交通量の多いような県道でさえ改良できないということもございますので、やはり長期的な道一路の整備の拡大ということと、応急的な交通安全施設の拡充という二本立てで交通安全の充実をはかっていきたいというふうに考えております。
  32. 松澤兼人

    松澤兼人君 時間がありませんので、私一応この程度でやめますけれども、田中長官が見えましたら、さらにちょっと質問さしていただきます。それでは、あと残りましたけれども、この程度にしておきます。
  33. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 先回は八月二十六日だったと思うのですが、言うなれば飛騨川事件、百四名のとうとい犠牲を教訓としながら今後この種の事故が再発しないようにそれぞれの機関が努力すべきであるということなんですが、そのときに特に建設省に提起をしておいたことは、国道、県道、その他各道路の危険個所の総点検をお願いしたい、とりわけ私具体的な個所も明示しながらお願いしたわけですが、これは、具体的な問題は別でございますから省きますが、きょうここに一枚の紙で、だれがいつ幾日調査して出したのかわからない文書がありますが、何月幾日現在の調査で、だれが出したのか、その点、まずお聞きをするとともに、できれば、その担当の側から直ちにこの内容の説明をお願いしたいと思います。
  34. 蓑輪健二郎

    説明員蓑輪健二郎君) どうも資料が非常に不備で申しわけございませんが、これは実は、八月の飛騨川の事故がございまして、そのあとすぐ、  こういう事故の再び起こらないようにということで、各地方建設局に、直轄で管理しております国道の危険個所の総点検を命じ、さらにそのとき道路情報網の強化、パトロールの強化ということも  一緒に出したわけでございまして、これが総点検につきましてはその後いろいろ各府県ごとにまとまってまいりました。ただ、いろいろこの中には問題があるものがございます。どういう形でやったのがいいか、こういうような工法上の問題もございます。また、その場所は非常に危険だからもう道路をつけかえたほうがいいというような場所もございまして、なかなか新たにつけかえるということになりましても相当時間のかかることでございますので、とりあえず緊急にやりたいというものが、お手元の資料にありますような数字になった次第でございまして、内地については五百五十二個所——これもまだ再検討しておるものもございまして多少数字は変わると思いますが、その事業費が約三十五億八千百万、北海道を入れまして六百十八個所、四十二億五千六百万ということでございます。これの内容を見ますと、全部で六百十八個所ございますが、各地方建設局及び北海道に分かれておりますが、六百十八個所のうち落石の関係が二百個所くらいございます。また、落石と同じような土砂崩落、こういう個所が約二百カ所ぐらいございまして、この危険個所の大体三分の二は土砂崩落、落石、こういうようなものでございます。その次に多いのは、なだれでございます。なだれが大体五十カ所ぐらい考えられております。そのほかに、いわゆる橋梁の基礎になります川の洗掘その他がございまして、そういうものを全部合わせまして六百十八カ所ということでございます。これにつきましては、四十四年度には全部これに対しては手当てをしたいということで、いま来年の予算で個所をきめていきたいというふうに考えております。
  35. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 そうしますと、これは十月末現在ですか。そうですね。ただ、これは新聞社を疑うか、あなたのほうを疑うかわからないんですが、朝日新聞の十一月十六日、これは社説ですが、この中では、全国二万八千キロの国道のうち、お調べになった結果は、四国は五百二十カ所、中部地方が五百九カ所、全国的に見れば実に二千数百カ所と、こう出ているわけですが、この数字は、けたはずれに大きいわけですね。これは朝日が想定してやったわけでもないし調査網を持ってやったわけでもないから、冒頭に建設省発表によれば、とあるわけですから、この辺の数字の食い違いはどういうことなのか、私ちょっとわからないんです。局長はどう理解しますか。
  36. 蓑輪健二郎

    説明員蓑輪健二郎君) 実は、いろいろ調査の段階でそういう数字が、あるいは私の係のほうから出たかと思いますが、地建の中には各事務所がございまして、事務所ごとの一つの危険の判断にかなり程度の差がございます。そういうのを一応合わせて統一して出したものでございまして、いまの二千数百カ所というのは、私たち考えますのには、あるいはここもやっておいたほうがいいんじゃないかというのも入っての数字だと思います。私たちこの内地五百五十二カ所、北海道六十六カ所、これだけやれば全部安全だと言い切れるものでもない。危険個所の中でこの六百十八カ所をまず優先的にやって、さらにその後また状況によってはこれ以外のものについても危険が予想されればやっていきたいというように考えております。
  37. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 いまの御説明の中で、非常に私重視したいのは、この文章表現では、昭和四十四年度以降そうした危険の個所について逐次改修をしていくという表現になっているわけですが、局長のお話によると、四十四年度以内にやると、がんばると、こういう表現ですが、そう受け取っていいんですね。
  38. 蓑輪健二郎

    説明員蓑輪健二郎君) 四十四年度の予算につきましては、まだきまっておりませんので、はっきりは言えないがと思いますが、私たち当事者といたしましては、この程度のものは四十四年度でやりたいという考えでございます。
  39. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 この調査の中で、特に建設省の考え方、今後の方針も若干述べられているわけですね。とりわけ後半のところの説明がいまの場合省略されているわけですが、若干その点について説明していただきたいと思います。
  40. 蓑輪健二郎

    説明員蓑輪健二郎君) 後半につきまして、実は道路情報の連絡の強化、これにつきましては、これは各地方建設局にまず道路情報センターという名前のものを置きたい。これは、いま地方建設局に道路部がございまして、その中に管理課がございます。これを中心といたしまして、いろいろ外から、あそこの道路はどうなっているのかという連絡が非常にございますので、そういう利用者のサービスということも兼ねまして、また危険の防止ということも兼ねまして、そういうものを強化していきたい。それには、やはり各県にございます国道の工事事務所、維持関係をやっております事務所、これが末端まで自分の管内の道路の現況をよく把握していただかなければならない。それにはなかなか、単にパトロールといいましても、これは人の問題がございまして、必ずしも十分でもないということで、国道の沿道のレストハウスとか、ガソリンスタンドとか、こういうものにモニターをしていただきまして、そういうところから道路の刻々変わるような情報を連絡してもらって、実情に合った道路現状の把握をしていただきたいというように考えております。現に、関東地方建設局ではすでに民間のこういうモニター制度を採用しております。来年は大体千名くらい民間のモニターを委嘱したいというような構想でございます。  次に、異常気象時における交通規制につきましては、これをいま各地方建設局の事務所ごとに、いろいろ警察庁、県警本部と協議させまして、今後どのくらいの雨のときにはどの個所は交通規制をしようというようなことをいろいろ検討させております。これはいろいろ問題がございまして、単に大雨の警報が出たからといって、そこで交通をとめるというわけにはいきません。やはりある程度雨が降り、土砂の崩落のおそれがあるようなときに、その事前に交通を規制するということが一番望ましいのでございます。この辺につきましても、あるいは早く交通規制をするということになりますと行き過ぎが出るかと思いますが、この辺をよく、道路の情報網の強化とあわせまして、ある程度の交通の事故防止のための規制を実施していきたいというように考えております。これは画幅で国が管理をしておる道路についてでございます。都道府県道につきましては、これは都道府県道といいましても、国道に匹敵するようなものと、交通量の少ない道路がございまして、なかなか一概にいきませんので、都道府県でも非常に交通量の多い道路については、直轄と同じようなことにしてやっていきたいということで指導しておる次第でございます。
  41. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 それでは最後に要望申し上げますが、これはきわめて常識的なことなんですけれども、この間も私、四十一号をもう一度点検に個人的に回ったわけですが、それでもなお不十分な点があるわけですね。落石注意などの標識が国道の名においてある。非常にこれは不名誉きわまることですから、そうしたところが一カ所もないような努力を最大限していただきたいということと、同時に、四十四年度からやるんだということで、これはちょっと困るのじゃないでしょうか。とりわけ北海道、東北、北陸のごとき雪の地帯では、いま点検された結果が具体的にどうなっているか私はわかりませんけれども、きわめて重要な個所等もあるのじゃないかと思われますので、そこは局長の判断に従って応急手入れをするというような弾力性のある運用の中で交通事故を未然に防止するという努力をこれからおつとめいただきたいという注文をつけて私の質問を終わります。
  42. 松澤兼人

    松澤兼人君 田中長官がお見えになりましたので、先ほどまでいろいろと質問をしてまいりましたが、特に長官にお尋ねいたしたいことは、新聞等によりますと、交通安全情報がいろいろと検討されておって、来たる通常国会におきましては提案の運びに至るかもしれないという構想があるわけですが、その内容等につきまして、もし差しつかえなければ御説明いただきたいと思います。
  43. 田中龍夫

    ○国務大臣(田中龍夫君) ただいま御質問のございましたその内容の問題につきましては、私よりも事務当局の担当官がここに参っておりますから、担当者からお答えさせます。
  44. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) 御指摘のいわゆる交通安全対策基本法につきましては、先国会におきましていろいろ御決議もございました関係で、現在、私どもと総理府におきまして、関係省庁と連絡をとりながら立案作業を現在行なっている段階でございます。具体的に申しますと、総理府でいま原案をつくりまして、これに対する各省庁の意見を聴取中でございまして、これが終わりますと、総理府として一応最終案の作成の段階に入れるかと存じておる次第でございます。  なお、概要を簡単に申し上げますと、大体御承知でございましょうが、今回私のほうで考えておりますいわゆる交通安全対策基本法の内容といたしましては、従来考えておりました陸上交通の安全のみならず、海上交通、航空交通の安全をも含めまして、これらの交通安全に関します国・地方公共団体の責務の明確化、交通安全行政を推進する組織の整備、交通安全に関する基本計画の策定、交通安全に関します施策の基本等を主たる内容とした交通安全対策基本法案を考えている次第でございます。
  45. 松澤兼人

    松澤兼人君 それだけじゃあまり簡単過ぎていけませんけれども、いずれまた次の委員会等においてさらに詳細な御説明をいただきたいと思います。  田中長官御不在のときにいろいろと質問いたしまして、結局、われわれの感じといたしますと、交通安全のための道路整備計画というものは相当効果をあげているように考えるわけなんです。これをこのままで打ち切ってしまうことは、せっかくやりかけてまだ完成しないものもありますし、地元の要望がだんだんに出てくると思いますので、これをぜひ続けてもらいたい。なお、法律予算等のことにつきましては、政府におまかせするわけでありますけれども委員会としましては、ぜひ実質的にこういう緊急整備の形は継続して、来年度も引き続いて三カ年なら三カ年というようなふうに実施ができるようにしていただきたいと思います。先般のこの委員会におきまして請願が二つ出ておりましたが、一つは岩手県議会から、一つは岡山県議会から、いずれも自民党議員の方が紹介議員になって、採択されているわけであります。そういうこともありますし、また、われわれのところには、地方から、ぜひとも延長してもらいたいという要望も来ているわけでありまするが、実質的に緊急整備の措置法というものを政府としてはどのように考えておいでになるか、これをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  46. 田中龍夫

    ○国務大臣(田中龍夫君) ただいま御指摘いただきました件、まことに私どもも同様に感じておる次第でございまして、交通安全のいろいろな施策なり、皆さま方の御協力が実は非常に大きな効果をもたらしておる、かように私は信じておる次第でございます。さような関係で、今日まで三カ年いたしてまいりましたが、まだまだ解決しなければならぬ問題やら、いろいろな問題がたくさん残っております。今後、これをなおさらに一そう推進すべきであって、ここで打ち切るべきでは絶対ない、こういうふうに考えるのでございまして、四十四年度以降三カ年間、私どもといたしましては従来どおり危険な個所につきましての交通安全施設等緊急整備、その他万般の措置を継続してまいるべきであろうと、かように考えておる次第であります。
  47. 松澤兼人

    松澤兼人君 先般、十一月七日の衆議院の交通安全対策特別委員会で八木副長官が御答弁になったことが会議録に載っているわけです。いま田中長官がおっしゃったことよりも、もう少しいい話がこちらのほうには載っているわけなんです、政府の統一的な見解としては、いま田中長官の御答弁になったことと、それから八木副長官が衆議院においてお述べになったことを合わせて、それが政府の方針だと承ってよろしいのですか。
  48. 田中龍夫

    ○国務大臣(田中龍夫君) 私も相当積極的に、前向きに表現はいたしたと存ずるのでございますが、八木君がどういうことを申したか、私はここで存じておりませんのであれでございますけれども、思いは同じでございまして、私も八木君も、皆さん方と御一緒に、さらに一そう推進してまいりたい、かように考えている次第でございます。
  49. 松澤兼人

    松澤兼人君 ちょっと困まりますね。道路の交通安全の緊急措置法は三カ年延長しようという、そういうことが第一点です。それから通園、通学路の整備については、これは道路整備のほうに吸収をして、実質的な仕事はこれまでと同じようにやっていきますと、それから踏切道の改善については、母法があるのだから、この母法の趣旨に沿って重点的に仕事をやっていきたいと、こういうようにちゃんと幾つも幾つも柱を立てて、きわめて明快に御答弁をなすっている。この八木副長官の御答弁、非常に熱心なところはよくわかるんですよ。こういういろいろな柱があるわけなんです。それを大いに努力してもらいたいということをわれわれは希望的に質問しておるわけです。
  50. 田中龍夫

    ○国務大臣(田中龍夫君) 全く御同感でございまして、そういうふうな、八木君が非常に分類いたしまして、明快にお答えいたしたそうでございます。私ももちろん一心同体のものでございまして、なおさらに一そうそれを推進いたしたいと、かようにこそ考えている次第でございます。
  51. 松澤兼人

    松澤兼人君 いろいろ田中長官からもお話をいただいて、その決意のほどはよくわかります。つきましては、やはりこの際、この委員会といたしましても、今後の交通安全施設等整備につきまして、さらに政府に対しまして強い、要請をし、また、その決意を促したいとこう考えるわけであります。委員長におきまして、よろしくお取り計らいのほどをお願いいたしたいと思います。     —————————————
  52. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) では、この際おはかりいたします。  委員長及び理事打ち合わせ会において御協議いただきました決議案を私から提案申し上げます。委員各位の御賛成を得たいと存じます。  まず、案文を朗読いたします。  以上でございます。  別に御発言もなければ、ただいまの決議案の採決をいたします。  本決議案を本委員会の決議とすることに御賛成の方の挙手をお願いいたします。   〔賛成者挙手〕
  53. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 全会一致でございます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたします。  ただいまの決議に対して総理府総務長官から発言を求められておりますので、これを許します。田中総理府総務長官。
  54. 田中龍夫

    ○国務大臣(田中龍夫君) ただいま全会御一致をもちまして御決議賜わりました皆さま方の御趣旨に対しましても、またわれわれも、これにこたえまして鋭意本件は推進いたさなければならぬ、かようになお一そう思いを新たにする次第でございますが、御趣旨に沿いまして十分作業に当たり、また行政の執行をいたしたい、かように考えております。よろしくどうぞ……。     —————————————
  55. 岩間正男

    岩間正男君 ただいま決議案が出されまして、私たちも、二年ほど前の愛知県の猿投の交通事故が起こりましたあとに、子供たちを交通事故から守る緊急対策というのを党の政策としまして、この問題を鋭意推進してまいりました立場から、簡単に時間の許す範囲内で御質問したいのです。  まず第一に、交通安全施設の問題なんですが、現在、国道ですね、一号、二号の国道を合わせて総キロ数は、これはどのくらいになっているのですか。これに対して、現在の施設、これは大体安全施設といいますというと、歩道、歩道橋、それからガードレール、それから信号機、こういうものになると思うのですが、こういうものが現在どれだけ進捗しておるのか、この点の資料がございましたら、資料をもとにして説明願いたい。さらに、できましたらこの委員会に資料として提出してもらいたい。いかがですか。
  56. 蓑輪健二郎

    説明員蓑輪健二郎君) 現在、国道と称しますのは、昔、一級国道、二級国道と、二つございまして、それが一緒になりまして一般国道となりました。延長は三万七千キロでございます。そのほかに県道が約十二万キロぐらいあるわけでございます。このうちの安全施設の調べでございますが、この二万七千キロのうち、北海道は約四千キロでございまして、これは全部国が管理しております。内地が、残りの二万三千キロ国道のうち、一万キロは国が直接管理しておる状況でございます。あと、残りは県に管理をゆだねておるのでございまして、この一万キロのうちでガードレールを一つとってみますと、現在、直轄で管理しておる一万キロのうちで、これは道路の両側にあるものは全部延長に入れてございますが、約三千五百五十キロくらいかと思います。また、歩道につきましては、やはりそれと同じような数字で、約三千六百キロくらいが歩道ができております。これは、正規の歩道のほかに、いま交通安全施設でやっております簡易歩道も含めてでございます。そのほかに、県が管理しておりますものの中で、これは国道、県道、ちょっと区別はつきませんが、ガードレールについて約六千百キロくらいございます。また、歩道につきましては、約九千四百キロくらいが歩道があるというふうな状況でございます。なお、もう少しこまかい数字につきましては、後刻また資料で。
  57. 岩間正男

    岩間正男君 歩道橋はどうですか。信号機、歩道橋。
  58. 蓑輪健二郎

    説明員蓑輪健二郎君) 歩道橋は、ちょっといまここで資料を持っておりません。後ほど資料で……。
  59. 岩間正男

    岩間正男君 これは大体私たちのいままで調べたところでありますが、国道に対して歩道橋の割合を見ますと、大体十二キロに一つの歩道橋がある形になっておりますね。これはむろん、いなかの道、遠いところは、交通ひんぱんなところに比べれば被害は少ないだろうというふうに考えられますが、しかし、最近は自動車の数はもう一千二百万台をこえておるでしょう。だから、地方とそれから都市というものと、事故発生率から見ましても、あまり変わらない。ことに、地方に最近非常に事故がふえているというのが特徴じゃないかと思うのですね。そういう点から考えますと、歩道橋の建設の問題、これはガードレールその他の安全施設全部でありますけれども、特に歩道橋の建設は、これは鋭意なされなければならないのじゃないだろうかというように考えるわけであります。先ほどのような、いろいろこれを建設するについての問題点も、これはあることはわかっておりますけれども、これはもっと進める、そういう考えがあるのかどうか。それからどんな計画を持っておるのか。この数が押えられていないと言うのですけれども、これはどういうことですか。全体の数がどれくらいあるのか。
  60. 蓑輪健二郎

    説明員蓑輪健二郎君) ただいま数字について、歩道橋のこまかい数字がないと申しましたが、歩道橋につきましては、交通安全施設として全部でこの三カ年間で約三千、地下も合わせまして約三千二百カ所くらいの予定でございます。ただ、このほかに、いろいろ交通安全施設のほかに、道路の改良、ことにバイパスあたりをつくった場合は改築費で横断歩道橋をかけておる場合がかなりございます。そういうものを合わせますと、後ほど正確な数字を提出したいと思いますが、大体四千カ所くらいはあるのではないかというように考えております。これの、国道幾ら、県道幾らという数字は、ちょっといま手元に持っておりません。  今後どうするのか。いま先生のおっしゃいました横断歩道橋をもっとつくったらいいじゃないかということもございます。ただ、私は、やはり横断歩道橋ももちろん軽視しておりませんが、これからの、来年からの三カ年計画ではかなり歩道を重視していきたいというような考えがございます。これはやはり横断歩道橋もそれに伴ってやるのでございますが、現在までの三カ年計画でやっております横断歩道についてはほとんど応急的な歩道をつくっておりますが、やはり用地を買収した新たな歩道をつくるというような事業を相当金を入れて整備していきたい。それとあわせて横断歩道橋をつくっていきたいと考えております。横断歩道橋については、やはりどうもいままでのつくったあれから見ますと、二車線の道路ではなかなか、歩道橋をかけても下の道路の上を横断することも多いのでございまして、やはり四車線以上の道路については、もう漏れなく横断歩道橋をつくっていきたいというように考えております。
  61. 岩間正男

    岩間正男君 時間がありませんから簡単に申しますけれども、いま申しました資料は、これはこの委員会に出していただきたい。全体の国道の総キロ数と、それに対する歩道橋、歩道、ガードレール、信号機、こういうものはいま幾つつくられておるか。それからこの単価ですね。こういうものも実は明らかにしてもらうといいと思う。歩道の場合はどのくらいかかる、歩道橋の場合はどのくらいかかる……、これは、長さとか、そういうようなものでわかるのですからね。それから信号機は幾ら……。とにかく、長官にお伺いしますが、最近地方事故が広がっておるという実情をつかんでおられますか。たとえば、これは静岡県の庵原郡の富士川、蒲原、由比、この辺ですが、これは、道路の許容量からいうと一日七千台から八千台がぎりぎりのところですね。ところが、実際は四万台通る。県の二月の調査によると四万台通った。五倍ですね。その結果どういうことになっておるかというと、結局、ここは歩道もガードレールもない。道路を横断するものは十分も二十分も待っていなければならない。こういうところです。昨四十二年の三町村での一号線の事故を見ますと、七百四十三件、負傷者が五百十七人、民家への飛び込みが二百六十一、被害家屋が六十三件、こういうふうになっております。それから死者の数なんかから見ましても、最近は非常に地方がふえております。山梨県が、これは十月現在でありますが、昨年に比べて四三、六%もふえておる。群馬は二一・五%もふえておる。千葉が二三・七%。負傷者の数なんかは、石川が八〇%、山口が六七・二%、あなたの郷里の山口は六七・二%、北海道は五八・八%、こういうふうにふえておるのでありますから、したがって、都市中心のこういう交通安全対策では間に合わない。そういうようなときに来ておるのですね。こういうような点についてどういうふうにお考えになっておるか、伺いたい。  それから、時間の関係から全部あわせて質問しますが、予算の関係ですね。予算は、いままで出した予算が非常に少ない。三年で四百七十三億ですか。そうして地方の負担を加えて七百八十二億、こういうことになっておるのですが、これは、高速自動車道路計画が五年間で六兆六千億と、こういう問題とあわせ考えるときに、安全のための施設というものは三年間で七百億ですから、全く一%にも満たないというような形に実際なっておるんじゃないですか。こういうことでは非常に問題だと思うので、私は、この決議案というものをむなしくしないためには、こういう点について格段の努力をするということをはっきり言明される必要があると思いますが、この点いかがでしょうか。
  62. 田中龍夫

    ○国務大臣(田中龍夫君) まことに御指摘のとおりでございまして、当初は、都市部だけの交通安全対策ということが非常に重要視されたのでございます。ところが、御案内のとおり、縦貫道その他遠距離高速貨物というふうなものも非常にふえてまいりまして、地方におきましても重量貨物がひんぱんに伸びております。さらにそれに加えまして、特に最近の農村方面におきましては、ライトバンその他をほとんど持っておるような状態になっておりまして、こういうふうな、思い設けないと申しますか、都市部でない、全く農村地帯におきましても交通禍というものが非常に多くなっております。地方におきまする交通事故というものが激増いたしておるような状態でございます。そこで御決議を賜わりましたような次第で、この三カ年間もちろん非常な成果をあげてまいりましたが、これだけではとても足りませんので、さらに全国的な段階に今度は十分なる配慮をしなければなりませんし、同時に、具体的にも予算の裏づけというものは当然私は必要であろうと存じますので、政府部内におきましても鋭意この点につきましては御趣旨を体し、御趣旨を推進いたしまして、われわれ努力させていただきとうございます。     —————————————
  63. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 次に、産業公害対策に関する件について調査を行ないます。  厚生大臣は十二時半までというお約束でございますので、そのお含みでお願いいたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  64. 小平芳平

    ○小平芳平君 厚生大臣が四日市に行かれましたときに公害病患者の方をお見舞してくださったということで、そのときに厚生省としては公害対策として、いま四日市の公害病患者の方々が一番困っている問題は生活補償の問題、で、医療については市当局予算を計上して、とにかく入院もし、また通院もしていらっしゃる数百人の方が現に公害病患者という指定を受けてやっているわけですが、しかし、この人たちの中には、入院はしているけれども、それじゃ生活ができないわけです。そこで夜は病院で治療を受け、昼間は働きに行くというような現状なんです。そこで大臣に訴えましたところ、大臣が、一つには苦情処理制度は必ず次の国会で整備するようにしますと、また生活補償の問題については生活補償というその名前からすればちょっと問題があるけれども、何らかの形で期待にこたえるようにしていきますというようなことをお話しなさったというふうに伺ったわけですが、私たちとしましても、第一の紛争処理に関する制度を早く立てなければならないということ、また現に生活問題が起きているわけです。公害病患者の方々は昼間働かなければ家族が食べていかれないという現状にあるわけです。この点について大臣の御所信なり将来の見通しについて伺いたい。
  65. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 紛争処理と救済の問題でございますが、紛争処理は、まず第一は、いま御指摘のとおりに、個人または団体、地域住民が自分の受けた被害の生活上の問題ということで苦情を申し立てることができるようにするということが第一であります。そこでこれは各県に機関を設けまして、中央にも機関を設けて、そこへその申し立てによって、いまの場合は被害が大きくなって政治上の問題にならないとこれが公害として取り上げられない、そのときにはすでに被害が広範に及んでいる。こういうことでありますから、早く地元が苦情を申し立てられて、それを直ちにとらえてこの機関が施行する。そこでそれが公害ときまれば今度は救済のほうでこれをやる、こういうことでありますが、いろいろ意見がありまして、この救済についてはいま通産省のほうと私のほうとの意見が基金の割り当ての問題でこれがまとまっておりません。相当強い意見がございますが、私のほうではもう少しというところで努力をいたしておりますが、いま御指摘のこの救済の面と生活の補償の面は残念ながら入っておりません。そこで、その補償をどうするか、将来は保険というものも一つの考え方で私も検討しておりますが、そこで紛争処理の段階において、いま水俣でやっておりますような方法で何とか一方は生活補償のワクを拡大するとか、あるいは研究費のやりくりをするとか、そういうことをしなくちゃならぬのじゃないかと考えております。細部については事務当局からお答えいたさせます。
  66. 武藤き一郎

    説明員(武藤き一郎君) 概要についてはいま大臣からお答えした内容でございますが、大体いま御指摘どおりでございますけれども、生活補償の問題は他の社会保障制度との関連においていろいろ検討を要すべき点もございますし、それから先ほど大臣もお触れになりましたように、紛争処理の中で相手方からいろいろと救済措置を講じていただくというようなこともできるわけでございます。現に水俣の問題につきましては、会社側からいままで三十四年以来毎月生活補償費が出ておるわけでございますので、先ほどの中央公害対策審議会の意見具申におきましては、とりあえず緊急な問題として医療費それから医療手当等の給付を行なうということが適切であるというような意見具申がございましたので、その方向でいま厚生省と各省と調整をしておりまして、生活補償の問題につきましては、繰り返し申しますが、将来の問題として検討をいたしたい、かように思います。
  67. 小平芳平

    ○小平芳平君 ぜひこの生活補償の問題を検討していただきたいと思うんですね。実情は先ほど説明したような実情で、繰り返しませんので。  で、初めの厚生大臣の第一点の御答弁でありますが、新聞で拝見しましても、公害患者の医療救済制度、これが費用負担で食い違いがあって難航していると。で、焦点は財界の分担割合にあるということを報道されております。それで、このために、これはもう二、三年前に公害基本法とともにできてもいい制度であって、これ以上もうおくれるということは非常に困ると思うんですね。ですから、まあいろいろむずかしい難点があるのは、難点があればこそ今日まで延びているわけですけれども、しかし、もうそのぎりぎりで、何とか厚生大臣としては少なくとも四十四年度に救済制度を実現をすると。で、現に四日市市ではやっているからいいんですけれども、かりに四日市市のこの医療救済制度にしても、市がかりに赤字になったような場合にはたちまち行き詰まってしまうわけですから、また、市だけにまかしておくというのは大体政治姿勢としてもそういうことは許されないと思いますし、厚生大臣としてはぜひとも四十四年度に実現するということ、また通産大臣としましても、これはむずかしい問題がいろいろあるにしても、とにかく解決をつけて実現するということをここでお約束できますか、両大臣にお尋ねします。
  68. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 御指摘のとおりでありまして、基金の割合の問題は被害者には関係のない、被害者は早く救済さえやってくれればいいわけでありますから、これは政府部内の問題で、財界のほうとも相談をして、最初は問題にされなかったのが、通産省の御尽力によって約半分のところまできたわけでありますから、財政当局とのからみ合いがあって、できればそれでいいんだとおっしゃる通産省のほうも、最大の努力をしてもらったが、さらに努力をしてもらうということで、私としては次の国会までにはどのようなことがあっても、若干の痛手があってもやりたい、その決意を申し上げておきます。
  69. 熊谷太三郎

    説明員熊谷太三郎君) ただいま厚生大臣のほうからじゅんじゅんとお話がございましたが、通産省といたしましても、来たるべき国会におきまして最終の決定をしたいという考えを持っております。ここでその決意を表明してお答えを申し上げます。
  70. 小平芳平

    ○小平芳平君 よく大臣にもお伝え願いたいと思います。  次に、名古屋市南部それから知多郡にかけて大工場建設が行なわれております。名古屋市南部には現に相当の公害発生しているわけであります。大臣の時間の御都合で私の質問も飛び飛びになってたいへん恐縮でございますが、私がいまここで大臣にぜひお尋ねしておきたいと思います一点は、名古屋市南部の公害現状というものは相当ひどいものがあるのですけれども、これは市と県ではある程度調査はやっているけれども厚生省のほうではあまり的確にそれの報告を受けておられないようです。また現在、実際問題、通産省と愛知県のやったこの事前調査によれば、このままで置いたのではたいへんな公害になってしまう。総合結果として、昭和四十七年の当地区における汚染の状況は、これこれの条件をあげてありまして、〇・五四PPMが予想されたということ、そうなりますともうとても人間の住めるところではなくなっちゃうということが一つあるわけです。  そこで厚生大臣にお尋ねしますことは、この現状はとにかくすごい公害を受けているのですけれども、それを何か苦情を言っていこうとしても行き先がないとか、あるいはその辺の住んでいる町には相当数の従業員がいるとかいうような関係で、結局ほこりや煙や亜硫酸ガスを吸いっぱなしになっているわけです。これは確かに県と市が積極的に動かなければ厚生省は動きようがないのだということも一理あると思うのですけれども、かといってやはり一番厚生省が大もとなんですから、もっと積極的に名古屋市南部あるいは知多郡、この方面の公害調査厚生省として乗り出すときだと思うのですが、これはそのまま置いたのでは四日市や川崎よりもまだひどくなるとともに、また現に相当被害が出ている。これを私言っていると時間がなくなりますので、あとでまた事務的なことは事務当局にお伺いしたいと思うのですが、結論的に厚生省としてもっと積極的な姿勢で取り組んでいくということがいま御答弁願えるかどうか、その点について。
  71. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 御指摘の点は十分承知しておりますのでその線に沿ってやっていきます。この地区におきましては、厚生省においても四十一年から三カ年間にわたって調査しておりますが、御指摘のとおり、年々増大しております。名古屋の都市計画は一時はよかったのでありますが、工業が進出をしてきてその地域住民と工業が隣合わせになっているということなどもございまして、今後厚生省のほうでは進んで積極的に県に対して指導し、さらに厚生省が主体になって県や市に連絡して調査をしたい。なお地域の方の御意見では、健康上の調査もあわせてしてもらいたいという御意見もあるようでございますから、ただいまの御指摘に加えまして、地元の県や市で健康上の調査もするようにこちらからお願いもし、国としては財政的に技術的に最大の援助をしたいと考えております。なお、私の知っているところでは、このおもな発生源である東邦瓦斯の発生防止の装置でございますが、ただいまやっておるコークス炉による防止の装置はどうも不完全だと考えます。この点もその調査の際には事務当局に命じたいと考えております。
  72. 小平芳平

    ○小平芳平君 そうしますと、この大気汚染の調査とともに、また四日市で行なわれたような健康調査を四十四年に始めるということでよろしいのでございますね。  それから、いまの東邦瓦斯その他の問題についてはまたあとで御質問するとしまして、通産省にお伺いしますが、工業立地の問題なんです、これは結局。工場工場の間に町がある、あるいは市営住宅があるのです。それでまともに公害を受けるということ、それからまた大体工場周辺に住んでいる人は従業員が多いということ、それからまたわざわざ、わざわざというか社宅を工場にくっつけて建ててあるのですね。ですから大体まき散らす公害はまともに従業員及びその家族が吸っているという結果になっている。これは非常によくないわけです。ですから通産省として、この工業立地適正化法案は前の国会でも出す出すと言いながら結局実現していないわけですが、これを早急に出されることが一つと、それからその結果として、いまの名古屋、四日市に限りませんが、市営住宅にくっつけてすぐ工場ができるというようなことがないように。それからまた社宅といえども、会社の土地だからといって、そこへ人間が住みつくということがないように、そこまではっきりした規制が必要だと思います。いかがですか。
  73. 熊谷太三郎

    説明員熊谷太三郎君) いまの工業立地適正化法案の問題でございますが、これは御承知のようないろいろ過密問題や公害問題等の解決をはかりますためにも、ぜひとも四十四年度には通産省といたしましては提案したいという考えで、ただいま関係各省とせっかく折衝中でございます。いまの市営住宅と工場との関係につきましては、他の説明員からお答えいたします。
  74. 小平芳平

    ○小平芳平君 時間が来ましたので、私の大臣に対する質問は終わりますが、厚生大臣、通産省はうまく説明するのですけれども、現に、これは工場じゃないですけれども、やっぱりこうした国民の健康、生命を守るということは、ほんとうに厚生省に力を入れてやっていただかないとできないということは、これは私、通告していないことなんですけれども、同じ愛知県のちょっと北部になりますけれども、岩倉というところには住宅公団の近代的な大きな団地があるのです。そこへ小牧市というのが隣接しているわけです。この小牧では、ものすごい大きなトラック・ターミナルを建設しているのです。そして地元のこの団地の人が気がついたときには、各会社が用地は買ってあるわ、もう建物もできつつあるわけです。それで自動車の知識のある人に聞くと、これだけの大きなターミナルができますと、飛行場ぐらいの騒音がある。このほか排気ガスその他を考えれば、そんなわざわざ近代的な公団団地をつくりながら、なぜくっつけてターミナルをつくるか。全く政治不在といいますか、やはりそういう点、厚生省が、生命を守り健康を守るという観点から大いにそういう点を監視もし、監督もしていっていただきたいと思います、いかがですか。
  75. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 発生源が各省にまたがっている関係上いろいろございまして、窓口を一本にきめてなるべく実施しているわけでありますが、発生源をつくるいわゆる都市計画なりいろいろな工業の面から、あるいは場所の設置等については、まだまだ不十分でありますから、御指摘の点十分尊重して、さらに厚生省は生命を守る主管庁であるという立場から綿密にそういうことに目をつけて、閣議が必要であればそういうものを要求をして、事前にそういう点を調整することが最高であると考えますから、そのように努力したいと考えます。
  76. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 委員長から関連して一言厚生大臣に伺いたいのでございますが、いま小平委員から御質問の名古屋市に私も数日前に参りまして、ある製鋼会社が私の目の前でもうもうと濃霧状態で先が少しも見えないほどの黒い煙を上げて、その辺の区域を汚しておりました。で、地元の方たちに聞きましたところが、ここは紡績会社として誘致され、六、七年のうちに製鋼会社に変えてしまった。そしてこういうような公害をまき散らして、それで地元が非常に困って陳情したところが、その集じん施設をつくるための金がないというわけで、県のほうに頼んで相当多額の金を融資してもらって、その施設をつくった。ところが、その施設はついたけれども、それを動かすのには電気がたいへんかかる。そのお金がかかるのがまたいやだ。その会社は相当もうけているにもかかわらず、電気代を使うのがいやだというわけで、しょっちゅう使わないでその機械を休ませておる。そういうようなことで、立ち入り検査が必要か、あるいはどういうふうにしてその集じん施設というものを確実に使用させることができるのか。そして、そういう費用がかかるからいやだというようなこと、またその会社が非常にもうかっているというような話、そういうような事柄は、これは厚生大臣としてどういうような手続でこれをだんだんに住民の福祉のために解決ができると思うのでありますか。ちょっと一言伺いたいと思います。
  77. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) ただいまの御指摘のことは、当然人命が主であって企業はこれに付随すべき問題でありますから、通産省とも十分連絡をとりまして、そういう点をよく統括していきたい。小平委員委員長からいろいろ御指摘がございましたが、他にもいろいろ問題があるようでございますから、とりあえず早急に係官を派遣をして総括的に調査をして、小平委員から御指摘のような計画をつくっていきたい、こう考えます。委員長から御指摘の件もその中に入れて調査することにいたします。
  78. 内田善利

    内田善利君 厚生大臣にお伺いしたいと思いますが、対馬の東邦亜鉛の対州鉱業所ですけれども、そのカドミウムの汚染について厚生省で順次調査をなさっておるわけですけれども、その調査についてはいつ結論が出るのか、お伺いしたいと思いますが、四十年度、四十一年度の調査では、もうすでに、カドミウムが川の水あるいは井戸水あるいは農作物等にも大量に見出された結果が出ております。その結果が出ておりますが、四十二年度は全然調査を打ち切り、ことしになって初めて八月に厚生省調査が再び行なわれたわけですけれども、その結果が出るのは来年のいつなのか。それまでお米は、厚生省調査結果によりますと、最低と最高を申し上げますが、〇・二五から〇.六八PPM、大豆で〇・〇八から一・六一PPM出ておる。それらに対してどういう対策を講じながら本年度の八月の調査に入ったのか。現地の住民の方々にそのお米を食べさしていいのであればけっこうです。その間食べさしていいのかどうか。いま聞くところによりますと、対馬のイタイイタイ病は第三期症状までだと。第一期、第二期、第三期症状はよくわからない、医者に見せますとわかるそうですけれども。第四期、第五期症状になって初めて富山のイタイイタイ病と同じ症状になってくると、そのように聞いておりますが、このお米を食べることに対して食品生活の指導等をなされておるのか、どういう対策が出ているのか、こういう点についてお伺いしたいと思います。
  79. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 対馬の問題では、金沢大学の石崎教授が取り上げられた対馬の厳原町の氷瀬トヨさんという方が昭和四十一年に死亡されておりますが、この教授の所見によりますと、直接診断されたのではなくて二枚の胸部レントゲン写真によって判断をされたものであるということでありまして、これについては、すでに死亡された方でありますから、診療あるいは臨床の諸検査とあわせて診断することが不可能でございまするので、レントゲン写真だけでこれがイタイイタイ病と同じであると医学的に確定することには問題がありますが、しかしながら、本年度現在長崎県が行なっております地域住民の健康診断その他の結果とも相まってこれに対処したいと考えておりますが、いままでの調査及び今後の調査については事務当局からお答えをさして、さらに大臣から答弁したいと思います。
  80. 武藤き一郎

    説明員(武藤き一郎君) 四十年、四十一年に厚生省が行ないました結果につきましては、結論としてはイタイイタイ病類似の所見の患者は発見されなかったわけでございました。それから先生御指摘の水、米等も調査いたしましたが、他の、たとえば問題になっております富山と比較しますと低うございますし、問題はないというような判断を当時いたしまして、実は四十二年度は実施しなかったわけでございますが、さらに富山の問題等が起きまして、また地元でもいろいろ重ねて不安を訴えられるような御意見もありましたので、さらに四十三年度八月、十月、二回にわたりまして調査をいたしまして、その結果は来年の二月末あるいは三月に出る予定でございます。なお、いま大臣から御答弁がありましたうちの過去に死んだ方についての問題提起もございましたので、早急に健康診断の必要があるということを県と打ち合わせまして、十一月の十八日から二十一日まで三百人の検査をいたしまして、さらに精密検査も行なう予定でございます。この精密検査にはイタイイタイ病についての専門家を参加さして十分検討いたしたい、かように考えておるわけでございます。
  81. 内田善利

    内田善利君 そのときの結果は障害はないということですが、「特に樫根部落において多くみられることは、重金属による障害の存在を推定せしめるものがあり、この点さらに詳細な追跡調査を実施する必要があるものと考えられる。」こういう結論です。重金属による障害の存在を推定せしめるものがあるという一節はやはりカドミウムの存在が確認されたわけですし、それに対してはやはり対策を——特に農作物に対する対策は人命にかかわることでございますので、当然対策を講ずべきである、このように思うわけです。特に先ほど大臣から申されましたように、石崎教授の、なくなった方ではございますが、イタイイタイ病かというような新聞報道を見ますと、いよいよ住民は非常に不安にかられております。いままではないじゃないかということのようでありましたけれども、また新聞によりましてさらに不安がつのっております。そういうことに対しましては調査調査として進めながら、対策対策として講じていっていただきたい、このように思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
  82. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) いま御指摘の樫根部落の健康診断の結果、尿の糖であるとか蛋白の陽性率が対象とした他の部落より非常に高うございます。なお高いということは一般に原因がそこにあると考えられますし、御指摘のように川水、井戸水、農作物、土壌等に含まれるカドミウム等の分析を実施した結果も、樫根部落の米が〇・三四から〇・六八、それから大豆が〇・六二から一・六一PPM、現在調べておりますところでも他の部落よりも高いわけでありまして、これを二十年、三十年の長期にわたって摂取すればいろいろ心配があるが、短期間では心配ないということで、重金属の環境汚染の存在が推定されることは御指摘のとおりでございます。ただいま再び詳細な環境測定調査を行なっておりますから、これと相まって御指摘のような処置を講じたいと考えております。
  83. 内田善利

    内田善利君 八月ないし十一月十八日からのそういった一切の調査は、いつ終わりますか。
  84. 武藤き一郎

    説明員(武藤き一郎君) 八月、十月の最終の結果は、明春には結果がわかることになっております。それから健康診断の結果——十一月十八日から二十一日にやります結果につきましても最終的な診断は来春に持ち越す。要するに結論としては本年じゅうは無理ではないか、かように考えます。
  85. 内田善利

    内田善利君 来春とか明春とか言われましたが、いつなんですか、はっきり答えられないでしょうか。
  86. 武藤き一郎

    説明員(武藤き一郎君) 農作物等については三月末までに分析結果を出したい、こういう研究者の御予定でございます。それから精密検査は三百人の検査をいたしまして、さらに精密な検査を要する人をピックアップしまして、それがどういう状態にあるのかというのは専門家の診断が必要でございますので、来年になってなるべく早くやりたい、かように考えております。
  87. 内田善利

    内田善利君 事、人体に関する問題ですから早くやっていただきたいと思うのです。同じ八月に実施した福岡鉱山保安監督局の調査はすでに明らかにされております。同じ採取水をしながらどうしてそんなに違うのか。慎重を期しておられることはよくわかりますけれども、できるだけ早急に——十月にとった農作物が三月末ならば八月の採水結果は来年の一月ごろは出るのじゃないか。このように想像するわけですが、できるだけ早く出して、不安に思っている住民を安心させていただきたい、かように思うわけです。なお、あそこは古い銀山がありまして、その銀山の鉱滓といいますか、からみがずっと堆積されておりまして、銀だけとってあと亜鉛、鉛、カドミウムをとっていない——カドミウムはとれませんけれども、そういったことで非常に地盤そのものがカドミウムで汚染されております。こういったことについても、鉱業所はもちろんですけれども、国としても早く手をつけるべきじゃないかと思います。神通川も十三年、水俣も十五年、もうすでに対馬も五年。小林教授が明らかにされてからすでに五年たっております。一体、対馬は結論が出るまで何年かかるだろう、そのように言われております。ひとつ厚生省の前向きの姿勢をお願いして私の質問を終わります。
  88. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 御指摘のように、これが長期にわたっていけば非常に心配がある、現在のところはいいということで——少なくともその源があり、しかもこれが長期にわたるんでは困るという推定がされるわけですから、再びあのような事件、あるいは被害者が出ないように、結論を早急に出して、これに対する不安を早急に除去することに努力をいたします。
  89. 岩間正男

    岩間正男君 時間がないから簡単に二、三の問題をお伺いしますが、七月に出された生活環境審議会からの答申——硫黄酸化物による大気汚染のための環境基準、これについてまず厚生省の見解、それから通産省の見解を伺いたいと思います。
  90. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 厚生省としては国民の健康を守る立場からこの答申案を尊重——して早期に設定するつもりでおります。
  91. 熊谷太三郎

    説明員熊谷太三郎君) 通産省といたしましても、この基準案につきましては早急に決定してまいりたいと考えております。
  92. 岩間正男

    岩間正男君 これはいいんですか、厚生省と同じですか。この基準を認めると、こういうことですか。この基準の上に立って、それで通産省もあくまで推進する、そういうことですか。そこのところをはっきりさせてください。
  93. 熊谷太三郎

    説明員熊谷太三郎君) 通産省といたしましては、この問題につきまして産業界からはいろいろな意見も出ておりますが、そういう意見には拘束されませんで、総合的な見地から検討を加えまして、できるだけ早い機会に決定してまいりたい、こういうことでございます。
  94. 岩間正男

    岩間正男君 もうこの大気汚染防止法の実施期日というのは迫っておりますね、来月の一日ですか。そうするとそれまでには、これは政令としてこの基準はきめられなきゃならぬ、こういうふうに考えるわけですが、もう時日も何ほどもないのですが、どうなんですか。総合的に検討してなどという段階じゃないというふうに思うのですがね。これはどうですか、通産省、厚生省の間ではっきりそういう見解で意思の統一ができているんですか。
  95. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 通産省はじめ関係各省と折衝中でございまして、正直のところややおくれております。私のほうでは十二月の一日にはこの基準をきめて、それに関連した政令を出さなければならぬとなっておりますが、これがややおくれるのではないかと心配をしております。
  96. 岩間正男

    岩間正男君 実は通産大臣の出席を求めたかったんです。私は水俣病の問題、イタイイタイ病の問題なんかで通産大臣とやりますと、どうもなかなか厚生省との見解が一致しない、そういうところで非常に悩んだわけでしょう、水俣病なんかの場合。そういうことがありますから、今度の問題もこれは法律は出された、さてその一番根幹である基準が明確になって、それが政令として具体的に出されるんでなければこれは意味がない、こういうふうに思うのですね。したがって、この点についてはいまの総合的などということではなく、ほんとうにこの基準を尊重するということで進められたい。しかも私は基準については、厚生大臣の見解を伺っておきますが、これはどうでしょう、完全ですか。この基準で大丈夫やれますか。ずいぶん、なんですね、いま委員会の経過を見ますというと、基準が変わってきたようですね。最初がこれは一日〇・〇五PPM、一時間〇・一PPM、これをこえない、ことしの一月はそうですが、ところが二月の小委員会になりますと、一日〇・〇五PPMをこえない日が八〇%、一時間の〇・一PPMをこえない日が九三%、最後の審議会の答申になりまして、一日〇・〇五PPMが七〇%から八〇%、一時間〇、二PPMをこえない日が九九%となって、だんだん薄められてきていると思うのですが、こういう点と、それからこういうものはきめられても、どうなんですか、法的拘束力というのはどの程度あるんです。どうなんですか。
  97. 武藤き一郎

    説明員(武藤き一郎君) 先生の御指摘の数字につきましては、経過はそういうことでございます。最初の数字は、これは専門委員会におきますいわゆる閾値、それ以下では何も障害がなかった——過去のいろいろのデータで障害がなかったということでございまして、それをもとにして生活環境審議会で審議したわけでございます。その間いろいろ議論がございまして、最終的にはある程度の幅をもって答申が行なわれたわけでございます。  それから第二の、これは法的な拘束力があるかということでございますが、これは公害対策基本法に基づきまして、政府が健康及び生活環境に関する環境基準を設定するというふうになっておりまして、いわば政策の目標でございまして、いわゆる排出基準等のように、それを守らなきゃ罰則がかかるとか、そういったものでもございません。それからこの環境基準を目標にいろんな総合的な施策をやっていく、たとえば排出基準をだんだんに強化していく、あるいは都市計画の住宅地域工場地帯とのいろいろな関係、あるいは気象との関係等、その地域地域実情に応じていろいろ政策を総合的に立てていく、そういう目標でございます。したがいまして私どもは目標でございますので、早急にこの環境基準を設定しないと、その後の対策が進行しないということで、いま関係各省に早急に合意していただくように折衝中でございます。
  98. 岩間正男

    岩間正男君 いま説明がありましたように、これはばい煙排出の許可基準のようにあるいは排出規制をする、そういう法的拘束力はないのですね。これは政治目標、行政指導上の目標ということになってくる。それからこれの施行の問題ですが、これは場所によりますが、四日市のような激甚地についても五年間の猶予期間があるわけですね。そういうふうに見てまいりますと、この法案そのものは非常に検討を要すると思うのです。この基準は、しかもこれについていろいろ問題が出てきているわけですね。どうでしょうね、こういうことで実際四日市の現在の被害を防ぐことができるという、そういう科学的な検討、そういう裏づけがありますか、どうです。非常に現地の人たちは不安に思っているので、基準はもっと厳重なものでなければならぬ、そういうことが非常に要望されているのです。どうなのですか。
  99. 武藤き一郎

    説明員(武藤き一郎君) いわゆる環境基準に関しまして、生活環境審議会が答申いたしました数値は、私どもとしては最小必要限度のものであるというふうに考えておりまして、あるいは衛生学者から言うと多少ゆるいのではないかというような御意見もございます。いわば一口に申しますと、東京、大阪の汚染の中程度基準でございまして、そういう意味ではきびしい側からの御意見からするといろいろ御批判はございますけれども現状としては、いろんな総合的な対策を立てる意味ではやむを得ない最小限度のものである、かように考えております。なお四日市につきましてはだんだん大気汚染が改善されておりまして、現在磯津地区が若干私どもの考えております環境基準をオーバーしているような状況でございますので、この点につきまして、早急に年次対策を立てて——いま先生がおっしゃいましたように五年ということを四日市にまだきめたわけではございませんけれども、なるべくその地域でできるだけ可能なことをやりまして、早急にこの達成の目標に到達したい、かように考えております。
  100. 岩間正男

    岩間正男君 漸次改善されているということでありますが、実は昨日四日市の公害関係医療審査会が持たれた。これは厚生大臣も御存じだと思います。その結論を、けさほど私ども聞いたのです。どうでしょうか。減ってますか、ふえてますか。これは手に入れていますか。きょう入ったのです、手に。これはもし手に入っているなら発表してください。
  101. 武藤き一郎

    説明員(武藤き一郎君) 本年四月から新たに認定されました患者は四十四名、それから認定を取り消したものは、転出、死亡を含めまして六十二でございます。したがいまして、認定患者としては四十三年の四月が三百九十九人、十一月が三百八十一人でございますので、若干減っている状況でございます。
  102. 岩間正男

    岩間正男君 これは昨日の、あなた御存じないようですが、新たな認定患者が十三人ふえているのです、きのう。認定取り消しが五人ありました。それで認定患者の計が三百八十九人になっている。認定患者の延べ全部で五百七十八人、入院患者の計が三十四人、こういうようなことになっているのですが、この今度ふえている認定患者の中で、小学生がふえているのです。そうして十三人の新認定患者の中で八人までが九才以下の子供である。しかも西北の風が吹き、ガスの量の少なくなるこの秋に、このように患者がふえていることが非常に問題である。この現実です。これは時間の関係から、詳細に実は論及すればいいんですが、これはまあそういうことができませんけれども、実際は解消されるどころか進化しているのです。そういうようなところに、しかも先ほども申しました最小限度の基準だ。この基準が法的拘束力をもっていない。それから、しかもそれは五カ年間もの猶予期間がある。そういう案に対しまして実は経団連からこれでもきびし過ぎるというので意見書が出されているわけです。われわれこの意見書を読んだのでありますけれども、実に驚いているのでありますが、この意見書に対して厚生大臣並びに通産省の見解というものを明確に述べていただきたい。いかがでしょう。
  103. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 四日市の患者の問題でありますが、いまの認定の基準等にも私はやはり検討すべき問題があると思いますので、特にPTAの方々に直接会いまして、対策協議会に入っていない方も多いのでございまして、こういう方を入れてもらうようにお願いをしてきまして、そして長期にわたる汚染によって体力そのものが弱くなっている方であるから、認定についてはなるたけゆるくしてもらいたいという意見は言っております。いずれにいたしましても、この環境基準にしましても認定にしましても、現実に応じて人間の健康というものの観点から逐次改善していくのが当然である。環境基準の設定等もほんとうは一律ということはいろいろ問題がありまして、やはり発生源の濃度いかんにかかわらず、その地形、局地風等によって被害が変ってまいります。そこで、ほんとうはいまきめます基準そのものもいろ  いろ問題がありますが、御指摘のとおりにこの程度のものさえも実行できないということでは、公害対策防止などということについては厚生大臣は責任を持てない、こう考えております。そこで経団連からの御意見、私も拝見いたしましたが、私には残念ながら反対される根拠の理論がわかりません。お気持ちはわかりますが……。私の願うところは、企業家の方々のお気持ちを人間の健康と生命が主体であって、それに企業が尽くすべきであるというふうに考え方を変えてもらいたいというのが、私のしょっちゅう力んで訴えてきたところでありますから、私はこの御意見は、理論の根拠もわかりませんが、参考にはしますが、これによって答申の線を変更する意思は全くございません。
  104. 熊谷太三郎

    説明員熊谷太三郎君) この問題につきましては先ほどもちょっと触れましたが、いわゆる産業界にいまお話になったような批判のあることを聞いておりますけれども、通産省といたしましては決してそういう意見に拘束されないで、健康の保護の問題から、総合的見地から検討して、そしてできるだけ適正な案を進めていきたいと、かように思っております。
  105. 岩間正男

    岩間正男君 これはあとでもう少し時間をいただいて質問しますけれども、まあただいまの御答弁を聞いておりますと、非常にこれは通産省と厚生省がすらすらといきそうな印象を持つのですが、それでいて政令ではなかなかまとまらないというところが問題である。実際水俣病の場合、ほんとうに科学的な調査というものを認めた上に立っていないでしょう。行政の見解というものが先に立つ。この答申案を見ましても、これは非常に原則があいまいだと思うのですが、こういうことをいっている。「環境基準は、人の健康の保護を第一義的な要請とし、」、こういうことを一応うたっておりますが、「その確保のうえにたって生活環境の保全と経済の健全な発展との調和が図られるように考慮されているものであること。」、ところが、実際はこれは企業の健全なる発展、企業の利潤というもの、利益追求の企業の立場と、それからほんとうに国民の健康の立場というものは  いつでも背反している。絶えず競合し合っているのです。これを単に文章の上だけでいかに調和するといっても、これは話にならぬ。だから問題は、ほんとうに人命尊重の立場を第一義に貫くのかどうか。企業はこれに従属するのか。当然その立場から企業の態勢も全部整えなければならないのかどうか。そこのところはっきり腹がすわって  いるかどうかというと、そうはいっていない。ほんとうに公害対策基本法でもこの点は企業の創意、発展を阻害しない範囲内というふうにこれはうたっているわけです。ここに根本的な問題があるのですよ。私はこういう点からいいますというと、はっきりここで考えてほしいのですが、この前私も水俣病やイタイイタイ病の調査に参りました。そうしてあそこの富山県の婦中町の萩野医師に会いました。そのときの萩野医師が切々と言われたことばというものは非常に私は重要だと思うのです、いま経団連から出されているこういう意見書を見るにつけて。こう言っているのですね。三井神岡鉱業は年間売り上げ七百五十億という。いま訴訟中の要求額は死者五百万、重症者四百万、かりに二百人に四百万円ずつ払っても八億にすぎない。これが出せないわけはない。この前病院で飼っていた犬が人にかみついた。この萩野病院の犬がかみついた。そのために応急手当てをし、入院中の日当を払い、見舞金、補償金を払った。犬でもかみつけば最低これだけのことはする。まして人の一生をめちゃくちゃにしておいて、補償さえ認めようとしない、こんなことが許されるか。これが文字どおり犬ネコに劣るやり方ではないかと言って、激しくこの現在のイタイイタイ病に対するふんまんを述べておられました。私は、これはほんとうに正義の義憤だというふうに考えるわけですね。こういう形の中で国民の健康が阻害されてきているのですからね。こういうことばというものは、もうほんとうに当事者のその実際の若しみのところを調べ、そうしてともにそういう患者と長い間この治療の問題で苦しんでこられた当事者の切実な声なんですね。この立場に立つか立たぬかというところだと思う。ところが実際そうなっていますか。そうなっていないでしょう、通産省の態度は。私ほんとうに通産大臣と話をしていて痛切に感じたのですが、この点はどうなんです。この点で、はっきり今度の問題について、この基準の問題について通産省は明確な態度をとるのかどうか、どうなんですか。この点まず伺っておきます。あとは時間がありませんからあとにしますけれども、まずその点どうでしょうか。
  106. 熊谷太三郎

    説明員熊谷太三郎君) まあ同じようなことの繰り返しになりますが、原則としてはやはりいまおっしゃったような立場を貫くつもりでおりますから……。
  107. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 先ほど、ここにお配りいただいておりますから、委員の皆さんも一応お目通しをいただきたいと思います。  それは九月十八日の十七時十二分に富山高岡の  一角に起こったできごとであります。ここにも書いてありますとおり、日本ゼオンの高岡工場二上プラント、その爆発によって起こった被害は、人的被害として私たちの仲間である労働者が三名死んでおります。重傷一、軽傷六、そうして物的被害として、付近——もちろん会社工場内の施設がめちゃくちゃに破壊されている点もございますが、公害との関連において重視していきたいのは、付近の人家に対して、少なくとも五百メートル内の人家はガラス窓等が破壊されてしまったというできごとであります。このできごとに対して、産業公害としての観点からこの委員会の中で明らかにしていきたいと思うのでありますが、従来の経過等から判断してみますと、この種の問題が今後とも発生のおそれがあると、これは付近の住民がひとしく訴えている危機意識であり、付近住民を包んでいる不安感でもあるわけです。こうしたことを十二分に考慮をしながら、通産省は今日までこの爆発事故の原因、被害の実態、そして調査等の経過を経ながら、会社に対して何を要求し、いかなる緊急処置をとり、指導監督を行なってきたか、同時にまた今後の見通しはどうなのか、企業再建並びにそれに伴うこうした危険がまたもや起こるのではないだろうかということなどについての具体的な指導等について、見通しを含めて報告をまずいただきたいと思うのであります。
  108. 後藤正記

    説明員(後藤正記君) お答え申し上げます。  まず、日本ゼオン株式会社の高岡工場において発生いたしました事故の原因から御説明申し上げたほうがいいと存じます。事故発生後、日本ゼオンの事故調査団を編成いたしまして原因究明を行ないました結果、いろいろな原因が考えられまするが、数次にわたります調査団の調査の結果といたしましては、原因は次のようであると考えられるのであります。つまり事故発生時七分ほど前に自動制御系統の一部が故障いたしましたために緊急停止装置が作動いたしまして、その後圧縮機のバルブの操作を誤って排出弁が開いたままになっておりましたために、その排出弁から大量のガスが漏洩いたしまして圧縮機室の内部に流入いたしました。その圧縮機作動用の蒸気配管の高圧部にガスが接触して発火、爆発したものと、こう調査団の結果としてはなっておるわけでございます。  そこで、通産省といたしましては、発生の通報を受けまして直ちに地元の県に対しまして現場に急行をいたしますように指示をいたしますとともに、通産本省より担当官及び高圧ガス保安協会の担当理事を現場調査に急行させました。同時に富山県に対しましては、高圧ガス取締法第三十九条に基づきます、当該事業所の高岡工場全般に対しまする緊急停止命令の発動その他の必要な措置をとるように指示いたしました。県はこれを当日即座に実施いたしました。  次に、事故の原因を、先ほど概略を結論のほうから先に申し上げたのでございますが、事故の原因を徹底的に究明いたしまして、抜本的な事故防止対策を樹立いたしますために、学識経験者から成ります事故調査団を編成いたしまして、九月十九日から十一月十五日にわたりまして前後四回の現場調査を行ないまするとともに、通産省の付属研究機関でございます東京工業試験所等におきまして爆発着火の原因を究明いたしますために必要な実験を行なうことといたしております。事故の再発を防止いたしますために事故調査団が高岡工場の保安管理状況の総点検を実施いたしまするとともに、その結果に基づきまして県当局からは会社全体の災害防止対策について改善計画を立てますように指示いたされました。で、再度このような事故が起こりますのはたいへんなことでございますので、再度このような事故の起こりませんように、去る十一月五日全国都道府県の担当課長会議におきましてこの事故報告を行ないまして、各都道府県におきまする取り締まりの強化指導方を警告指示をいたしました。  そこで、とりあえず通産省でとりました措置は以上でございまするが、最近、この日本ゼオンの高岡工場もさようでございまするが、石油化学等新しい大型のプラントがほうぼうにできておりまして、かような事態が起きますると、先生御指摘のとおり、工場内労務者に対する死傷はもちろんのこと、付近住民に対しまして、今回は不幸中の幸いと申しまするか、付近の、工場外の一般住民に対しましては人的被害はなしに、物的損害にとどまったわけでございますが、万一こういう大型の事故が起こりましてそのようなことになっては非常にたいへんな事態でございます。当省といたしましては、最近の技術進歩に即応いたしまするように、従来から主としてこの種の事故と申しますか、この種の高圧ガス等を取り扱いまする工場に対する取り締まり法規といたしまして高圧ガス取締法がございますが、その関係法令を必要に応じて従来とも改正いたしてまいったわけでございますが、一方におきまして石油化学工場等の密集して立地いたしておりまするコンビナートの地域につきましては自主保安のための基準を省議決定をいたしました。この省議決定は本年の三月でございますが、コンビナート地域の自主保安のための規範といたしまして「コンビナート地域の保安に関する基準」を省議決定いたしたわけでございますが、これに基づきまして行政指導面におきまして各企業を強く指導いたしております。今般の日本ゼオンの高岡工場の災害につきましても、かように関係の県当局に対しましての指示と同時に、企業に対しましては厳重に保安体制の確立を再度要求をいたしまして強く指導いたしておりますが、今後とも災害の防止地域住民の保護を目的といたしまして保安行政を強化して、一そう検討いたす所存でございます。
  109. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 ずっと前でありますが、県からもらった事故概要の報告と、きょういただいた取りまとめとの間に、切り捨てごめんであったのだろうと思うのですけれども、若干違っておると思うところが一つあるのです。それは物的被害の問題ですけれども、高岡消防署本部の調べによると、近隣民家に与えた窓破壊の問題は百六十二戸——数字が明確であります。それからなお、これは人ではないけれども、鶏等についてもかなりの被害を与えたということが報告されているわけです。これは問題の大小によって選択されたのだと思いますが、ただ経過の報告の中でもう一度確認しておきたいのは、これはずいぶん前の、当時の地方紙が指摘したことで、九月二十五日の北日本紙等でいっていることは、操業施設に手落ちがあるのではないか。だから工場の刑事責任を追及しなければならない、これは警察当局等の判断だろうと思います。なおかつ、労働基準監督署、労働基準局等では労働基準法の四十二条ないし四十五条についての十二分の調査検討をしたいというようなことを当時明らかにしていたわけですが、そうした問題について今日の時点ではそれが結果的にはどうなっているか、そのことをここには省かれているように思いますので、お聞きしたいと思います。
  110. 後藤正記

    説明員(後藤正記君) お答えいたします。  先生御指摘のように当時の新聞等に出ましたところでは、新聞の投書といたしまして、圧縮機室などの換気扇が未完成のまま操業を認める等、県の監督行政がずさんであると、こういう趣旨の投書があったように新聞が報じております。本件細部につきまして県に照会、かつ現地へも参っておりますので、県の回答を求めましたところ、換気扇が未完成であったことは事実であるが、取締法の基準では「高圧ガス設備を設置する部屋はガスが漏洩したとき滞留しない構造とすること」となっておりまして、具体的には「二方向以上の開口部または換気扇を設けること。」、補完基準としてそういうものを設けることになっており、当該圧縮機室には床下に二方向の開口部があり、床上にも窓を数カ所設けてある。したがって、これは取締法の基準に合致しており、ガスの滞留しない構造の基準に十分適合しておったから、県としては操業を認めたものである。しかしながら現実には事故が起こっており、この具体的な基準については、なお検討する必要があることがわかったので、現在、先ほども申し上げました事故調査団等による実験研究を行ないまして基準の改正について検討中であると、かような県からの回答が私のもとに来ておるのでございます。
  111. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 次に、問題の観点を変えますけれども、まあ爆発したところはもともと、報告書にもありますとおり、日本ゼォンというのは昭和二十五年にできたわけですし、また高岡工場は三十一年の十一月にできたわけであるが、いま問題になっているのは二上プラントでございまして、これが四十二年の十一月より云々と、こうあるわけですね。そこで以前のところは別として、もうすでに企業を開始しておるわけです。いま問題になっております二上プラントはナフサによりGPA法で塩ビをつくるという工場なんですけれども、ただこの工場の問題にしぼって申しますと、それはある日突然これが爆発したという限られたものではないということです。すでに今日まで新聞紙上に伝えられるように、去年の十二月の九日ですか、これが一ぺん大きな爆発事故を起こしております。それからことしに入りましても一月九日にこれまた放出弁が漏れて出火しているという、これは新聞には載っていないようですが、住民が目撃をしているという事件もあります。それから一月二十八日にこれは爆発事故があったのですが、新聞は取り上げておりませんけれども、住民はこれをはっきりと認めておるわけです。それから三月の十六日にこれまた爆発事故があって、四キロ程度のところまでその爆音が正しく住民にキャッチされているというようなことがあるわけです。この点は報告書には漏れているわけですが、それはそれで、報告の問題の焦点のしぼり方によってそうされたものだと思いますが、ただ私そうした過去の経過と、いま申し上げた時点における爆発との関連において非常に心配になることは、いま石油化学工業がすばらしいテンポで大型化し、どんどん生産をあげるという段階に入っているわけですが、先ほど局長から御報告があったように各県の担当課長を緊急招集をして、こうした経験にかんがみて今後の注意をする、そういう会議を開いた。これは非常にけっこうですが、ただ私は、こうした新しい技術の導入、新しい技術の開発、そのことが通産行政の立場から見て、今後ともきびしく監督し、あたたかく指導していくということは必要だと思うけれども、問題は企業側における秘密主義というものがあるはずだと思うんです。現にあるはずです。だから通産行政の問題と企業が持っている秘密保持の自由との関連において、かなり行政を進める場合にそのことが障害になっているんじゃないか。しかもその障害が結果的に事故を起こすということに結びついていくことを非常に実は憂えるわけです。その点を通産省のいままでの経験と行政指導の面から見て、どう考えておいでになるか、そのことをまずお伺いしたいと思います。
  112. 後藤正記

    説明員(後藤正記君) お答えいたします。  先生御指摘のとおり、この日本ゼオンの高岡工場につきまして過去におきまして、今般の事故に立ち至ります前に何度も、まあ小規模といえば小規模でございまするが、事故があったことは事実でございまして、これに関しましても厳重にそのつど通産省としては行政指導の限界におきまして十分企業に警告を発しておったところでございます。それが今般のまたこういう事故を起こしました点につきましては、私どもの行政指導が至りません点を深く反省もいたしておりまするが、同時に企業としても厳重にこれは反省をしてもらうように、私からこれはきびしく社長その他首脳部に対し、また担当の保安課長にも十分に警告をいたしまして、この指示に基づきまして日本ゼオンでは現在会社全般の保安体制  人的並びに組織的な保安の強化体制を人事異動を含めまして現在検討をいたしまして、昨日実はその人的な内容についても報告を受けたわけであります。首脳部からしてその責任体制を明確にするためにこういう反省をいたすということを、社長が出頭いたしまして私に申した次第でございます。で、実は今後とも私ども、これは日本ゼオンのみならず、およそ先生が御指摘になりましたようなただいまの化学工業を含めました企業の大型化、プラントの複雑化、こういう問題に関しましてでき得る限りの行政指導をしていきたい、行政指導のみならず取り締まり法規といたしましては高圧ガス取締法を強化いたしましてやっていきたい、かように考えまして今後とも十分に自戒いたすつもりでございます。  ただ、今般の事故につきましても、これは先ほども言及いたしましたように、調査団の結果を総合いたしまするに、直接の原因となったものは誤操作、間違った操作によるものであるということでございまして、この事故対策といたしまして特に現在の法改正の必要はないと考えております。しかし、全く新しい技術がどんどんと出てまいります現状におきまして、その点につきましては先生の御指摘のとおりであると存じますので、この高圧ガス取締法の第五条でこれこれ以上のいわゆる高圧ガスというものについては、その製造の許可−都道府県知事がこれを許可することになっておりますが、許可を審査するにあたりましては、一般の高圧ガス保安関係の規則に定めております技術上の基準以外という面で、少しでもこの点は疑問があるのではないかと考えられる事項がございますときは、直ちに各都道府県知事から通産本省に照会をさせまして、保安価で万全の配慮がなされておるかどうかという点につきまして、慎重に検討をいたす心組みでおります。  なお、先ほど御質問の中にございましたように、企業の秘密保持という問題と、こういう保安関係の監督、取り締まりというものが競合して、企業の秘密というものをある程度尊重するという立場から保安面がおろそかになって、そのために労務者のみならず一般社会に被害を及ぼすというおそれがあるのではないかとの御指摘でございます。この点は申すまでもなく、かような新技術がいろいろ出てまいる点につきましては、企業としても秘密を保持したいという意向は当然出てまいるわけでございますが、私ども保安上の見地からは、特にこれは官庁に勤務いたしております関係もあり、絶対にそういう役所関係では、公務員といたしまして、その公務員の転務に基づいて知った秘密を外に漏らすということは、これは公務員法で固く禁ぜられておるところでございます。国家公務員、地方公務員、都道府県の職員といえども同じでございますが、その点につきましては、企業ではあるいは好まない事態でございましても、保安上の人命保護、一般の社会に及ぼす影響、被害、御迷惑という点につきましては十分に尊重いたしまして、その点については私ども企業の秘密保持という見地と、この保安行政の確保という点と背馳いたさないようにいたす所存でございます。
  113. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 それでは、最後に希望を含め若干の意見も申し述べて、通産当局の今後の御努力要望したいと思うわけです。いま局長が答弁なさったように、高圧ガス取締法の第五条ですか、製造許可の問題でありますが、これは今後とも厳粛に点検なさって、許可を出していただくような配慮をあえて要請いたしたいと思います。  その次に、いま皆さんの調査結果によりますと、ガス漏れ、これは災害の問題ですから、ガス漏れの責任者は結局労働者の操作の誤りだと、それはなくなった仲間の青木君に責任がかかるわけで、私も友人として耐えられない思いをするわけです。ただ、先ほど申し上げたように、過去において何回か爆発事故なりいろいろな事故を重ねてきているというところにもやはり一つの大きな問題があるということ、これをお含みいただくと同時に、ゼオンの労働組合の皆さんがこの事件に対してみずから省み、そしてまた他に訴えているという声明文が実はあるわけです。この中で彼らが強調していることは、やはり人員が合理化されて削減される、そういうところから無理な操業計画、不完全な施設——生産第一主義でそうしたゆがめられた工場施設なり運営が行なわれているということなどを端的に指摘しているわけです。事故勃発当時その担当の責任者が、社員教育という名で実は東京かどっかに出張していたはずです。こういうことはかなりこの会社では熱心に行なわれておるようでありますが、それなりにその理由はあると思いますけれども、やはり企業、会社、工場であろうと、公害の立場あるいはこうした問題の本質からいっても、人命無視をするようなことであってはならないし、生産第一主義であってはならない。あくまで人命を大事にし、安全第一に進めていくこと、そのことが工場という限られた中のものと人との問題においても重要であると同時に、いま付近の人たちはなお戦々恐々としていると思うのです。おそらく爆発したところは来年の春再開される運びになると思いますけれども、そうしたことについても、かなりの不安と要求が折り重なって出ていると思うのでありますが、そういうことをも十分配慮すると同時に、いま聞くところによりますと、こういう事故が起こるのは、労働者と資本家の関係が、何か東大の学生と教授との間のような状況にあるのではないかというような考え方が他から働いているようにも聞いておるわけですが、言うならば労使協調で生産性向上第一主義でいけば、そんなことは起こらなかっただろうというきわめて甘い常識が作用しているようにも聞いているわけです。しかし私は、この声明文を御紹介申し上げる必要はないのでありますが、この声明文の中にも、やはり日本ゼオンに働く労働者としての謙虚な発言があるわけです。たとえば「われわれの過去における安全性への取り組み不足を謙虚に反省するものである。」  云々というふうに彼らは書いているわけで、そうした労働者の意見、労働者のそうした要求等をも大事にしながら、今後この会社はもちろんのこと、地域住民にもそうした不安の起こらないように、御指導なさる場合には配慮して進めていただきたい。もちろんこれは通産行政の範囲を越えている発言も私の内容にあったかと思いますが、しかしいま、西村農相ではないが、総合ということを盛んに使われておるのですから、いまそうした観点からもこの問題の処理に当たっていただきたい。このことを通産当局に特にお願いしておきたいと思います。
  114. 後藤正記

    説明員(後藤正記君) ただいまの先生の御意見並びに御披露になりましたゼオンの高岡工場の労組からの声明文等の趣旨、まことに私はそのとおりであると、かように考える次第でございます。今後とも企業側に対しまして十分に先生のおっしゃいました御趣旨を周知徹底いたしますとともに、私ども一般の化学工業行政に携わるものといたしましてますます自戒いたしまして、厳重な態度でこの種の事故の再び起こらないように厳重に検討してまいるつもりでございます。
  115. 小平芳平

    ○小平芳平君 時間がたいへんおそくなりましたので二、三点お尋ねして終わりたいと思いますが、通産省、厚生省両方にお尋ねいたしますが、先ほど委員長から御指摘のあった、せっかく公害防止装置をつけながら、電力がかかるからこれを使用しないなんという、これはもう非常にけしからぬ話だと思うのですね。そういう場合、厚生省、通産省としてどんな処置をとれるのか、そのままほうっておくというのではたいへんに住民は迷惑せんばんなんですから、どんな処置をおとりになることができるのか。先ほど厚生大臣は、係官を現地派遣しますというお答えもあったのですが、現地派遣しましても——厚生大臣、もう席にいらっしゃらないのですが、厚生大臣がかつて四日市へ視察に行かれた。そのときに大臣が来られるということがわかっている四日市のある工場では、従業員を集めて、朝礼のときに厚生大臣が視察に来るけれども何も知らないと言いなさいというふうなことを社員に言っている。あるいはそうでなくてさえ県なりあるいは中央からのそういう検査がある場合、視察があるような場合はもうそういうときに限ってうまく引っかからないように公害の排出をぎりぎりにとめたり、そういうようなことをやっているといううわさが町ではもっぱらなんですね。したがって、はっきりそういうような施設があるのに使わないというのがわかった場合にどういう処置をとられるかをお尋ねしたいと思うのです。それで工場の、会社の名前をあげることがちょっと差しつかえがあったら速記録の取り扱いは委員長に御一任したいと思いますが、私は一つ具体的に、利川製鋼というのがあるのですね、利川製鋼というそのすごい状態を見て、東京へ帰ってから厚生省の方にお話をしたら、厚生省の方は、そこはかつて県からこれこれの指示をして装置ができているはずだと、こういうお話があったのですが、しかし実際問題、私と一緒に行った新聞記者の方もいらっしゃるのですが、その人に聞いてもらってもわかりますが、とにかくその粉じんはすごい粉じんで、もう目も口もあけられないようなものを、もうもうとふき出している。ですから、その場合なんかも、はたしてそういう装置をやったのかやらないのか。やったとしたならばなぜそんな公害をふき出している現状なのか、その点どのようにお考えになりますか、お答えいただきたい。
  116. 矢島嗣郎

    説明員(矢島嗣郎君) いま御指摘の愛知県名古屋の利川製鋼の問題について具体的に御説明いたしますが、正確な日にちは覚えておりませんが、本年の春ころその利川製鋼が非常にもうもうたる黒い煙を出して付近の住民に対して非常に御迷惑をかけたという事実があったのです。で、ばい煙規制法——十二月から大気汚染防止法になりますが、まあばい煙規制法といっておりますが、ばい煙規制法の監督官庁は都道府県知事ですから、愛知県庁に話していろいろ注意をしておったのですが、要するに必要な施設をつけない。したがって、すす、粉じんの防除施設が十分でない。そのために付近の住民に迷惑をかけている。こういうことになっております。そこで通産省にも報告がございまして、これをどういうふうに処置するかいろいろ研究しました結果、このまま放置するわけには相まいらぬと口で言っただけでは、言うことを聞かぬということで、ばい煙規制法十六条一項によりまして改善命令というものが出せるわけであります。この十六条によりまして、正式に愛知県知事の名前でもって改善命令を出したわけであります。それがおよそいまから半年くらい前でございます。私どももその後十分チェックしてなかったのは申しわけないわけですが、御指摘のような事実がありまして、その改善命令どおりに改善してないといたしますれば、いかなる措置ができるかということが一番御質問の焦点だろうと思いますが、第一番にこの第十六条の改善命令に違反しているような場合ですが、違反している場合には当然罰則が書かれております。三十三条に基づきまして、一年以下の懲役もしくは十万円以下の罰金に処するという罰則があるわけで、直ちに告発して罰則に引っかけるというわけです。これが刑事的な処置でございます。第二点に行政的な処置といたしまして、同じく十六条の第二項によりますと、いまの改善命令を受けた者がその改善命令に従わない場合には、その施設の「使用の一時停止を命ずることができる。」ということで、行政的にも一時使用の停止を命ずるという措置がとれる。要するに十六条違反ということで直ちに告発してやるということが一つと、それから十六条二項の使用停止ということもあるということだと思っております。まあさらに実際の実情調査した上で、このいずれかの方法を、ほんとうにやってないとすれば、いずれかの方法をとるべきだろうと思います。
  117. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 委員長からちょっと関連して伺います。いま小平委員が御指摘になりましたその工場からもうもうとばい煙、黒煙が出ているのを、私は十一月の二十一日に目撃しているわけです。その現場に参りまして見ているわけです。いま伺うところによりますと、半年前にすでに命令をお出しになったとおっしゃるわけですね。そういたしますと六カ月間もそれに違反していて、てんとして何もないというのが現実でございます。私は十一月二十一日の目撃者でございますから、それではこれはさっそく、いまおっしゃったような違反に対する処置をおとりになるかどうか。その点をはっきり承っておきたいと思います。
  118. 矢島嗣郎

    説明員(矢島嗣郎君) 私も正確な日にちは覚えておりませんが、たしか半年前に改善命令を出したはずでございますから、もし先生がごらんになりましたように、もうもうたる煙が出ているというのがその間に何回もあるとすれば、それはもちろん違反でございます。こまかく申し上げますと、ばい煙規制法では煙をたく最初の段階の六分間でしたかな、六分間だけはばつと出てもいいことになっておりまして、まあたまたまその六分間のたき始めのときにあたっていたかどうかというようなこまかい点もございますが、いずれにしてもそういう先生がごらんになったような事実がある、しかもそれが半年間にわたって放てきされているということになりますと問題でございますので、さっそく直接の監督官庁である愛知県知事に照会いたしまして、必要な措置をとるように命じようと思っております。
  119. 小平芳平

    ○小平芳平君 それから同じ地域で、これも港区ですが、東邦瓦斯、このことについては先ほど厚生大臣からちょっとお話があったのですが、東邦瓦斯の場合は、やはり洗たく物がまっ黒になる、道を歩いている子供の鼻がまっ黒だと、すごいばい煙をはき出すわけですが、これは技術上それを防止することが無理だというお話だったのですが、その点ひとつ明らかにしていただくと、これはやはり公益事業なんですから、通産省で特に監督できると思うのですが、現状はとにかくひどい状態です。いかがですか。
  120. 藤井孝

    説明員(藤井孝君) 東邦瓦斯の港門工場につきましては、ばい煙規制法に対応するような設備がございます。その点につきましては、本年の五月に、名古屋市の公害部とそれから名古屋の通産局と共同で、どうなっているか調査をいたしました。その結果を見ますと、一応関係する施設といたしまして、熱分解ガス化炉、それから接触分解ガス化炉、それからボイラー、それに加熱炉というようなものが対象になっておりますけれども、これらはいずれもばい煙規制法に基づく排出基準、これに対応しますと相当に低く出てまいっておりまして、このほうの問題はまずないというような結論が出ておるような次第であります。ただ先生のおっしゃいましたのは、コークス炉に関係する部分だと思いますので、これについて申し上げたいと思うわけでございます。  コークス炉関係につきましては、いろいろなところに炭じんを出す問題点がございます。まず貯炭場におきまして、風が吹きますと炭じんを飛散させます。それからコークス炉の操業におきましてもまず装炭をする、そのときに、これは最後には燃やして出すわけでありますけれども、その間に炭じんが入ってくる、そのようなおそれがある。それからその前に、今度はコークス炉から消火車に押し出すときにも粉じんが発生する。それから消火等で今度は水をぶっかけて消火する。これが最後に排出されるわけでございますけれども、この関係も粉じんがまじっておるんじゃないか。そのほかコークス自体も、これをふるいにかけたり粉砕したりする場合に粉じんが出てきたりする。それからコークスの積み出しをするというようなときにも出るというような、いろいろな問題がございまして、これらの点につきまして確実に処理するというような方法と申しますか、これはもう各国におきましても検討はされておりますけれども、完全無欠というような方法は現在のところありません。結局は実情に応じてできるだけの処置をするというようなことでやっておるものと思います。この港門工場におきましても、過去におきましてこのようなことに関連しました苦情というものも出てまいってはおると思いますが、会社といたしましては、日ごろから地元住民の代表との懇談会を三カ月か四カ月ごとに開いて、御意見をみんな聞くというような態度でおりますし、苦情が出た問題はそのつど解決し、納得してもらうというような方法でやっておりますので、いまのところ特別にひどい問題が起こっているというようには私どもは聞いていないような状況でございます。
  121. 小平芳平

    ○小平芳平君 これはひどい状況がありますから一ぺんごらんになっていただきたいと思います。特にコークス炉について、ガス会社は全国至るところにあるわけでもないでしょうから、そうしたところを一ぺんごらんになって——それで皆無にあしたからしろと言っているんでもないのです。町内の人は黙っている、けれども町内には社員が相当いるわけですよ。あるいはまた、じゃあ町内会に対してお金をあげたのはなぜですか、会社の人が。そういうようなこともあって、そんな問題がないなんということは全くありませんので、ぜひこれはごらんになっていただきたいと思うのです。  それから総体的にいいまして——先ほど申しました企業調査をされましたね、通産省で事前調査。この事前調査によりますと、四十七年は〇・五四PPMが予想されるということをいい、また企業の最終予測結果、企業でいろいろ回答してきたもの、防止対策に基づいて企業が改善をした結果としては、〇・二PPMをこえる汚染が三時間以上継続して発生することがないことが予測されるということが結論になっているわけです。これはそちらのほうでおやりになったので十分御承知だと思いますが、はたしてそうした企業報告を元にして住民が安心しておられるかどうかということですよ、問題は。確かに、こうして国会で御答弁なさるような法律もあるし、勧告のやり方もあるわけですけれども、実際問題公害が減らないことには困るわけですよ。現在でもそういう状態なのに、これ以上ふえるということは非常に不安があるわけですね。それを通産省にひとつお尋ねしたい点が一つ。  それからもう一つ厚生省お尋ねしますが、以前に名古屋市南部の柴田地区あたりでは非常にぜんそくが多いと地元でいわれていることについてお尋ねしたのですが、そのとき厚生省ではあんまりそういうことは聞いていないようなこともおっしゃられた。しかし実際問題、柴田に限らず、滝春町とか白水町とか、こういう方面では窓をあけておられない。粉じんや悪臭で洗たくものがよごれる、頭が痛い、のどが痛くて水を飲まないとおれないような、そういう環境下に多くの人が住んでおるわけです、現実の問題として。この中のある会社に九州から来て六年前に就職した人がいたのですが、この人などは九州から名古屋に引っ起してきてすぐ奥さんがぜんそくにかかり、そうしていまだになおらないというような状態です。そういう実情をさっき大臣はすぐ調査をなさるというお話でありましたが、もう少し積極的な具体的な施策をお願いしたいと思いますが、いかがですか。
  122. 矢島嗣郎

    説明員(矢島嗣郎君) それでは先生の御質問の第一点、これは通産省の関係でございますから、厚生省に先がけて事前調査の点について御返事いたします。  先生の御指摘のように、四十七年までこのままでもって名古屋南部の工場建設され、新増設されていくと、確かに〇・五四PPMというような非常に高いものになるわけですが、そのままに放置するわけにまいらない。こういうことで、通産省は、そこに現在ある企業、それからさらに今後新増設される企業全部の計画について精密に当たりまして個々に改善指導をした。その結果〇・二PPMで三時間以上続かない、要するに緊急時の措置を要しないという判断ができたわけでありますが、先生はおそらくそれが単に会社の報告程度だから安心ならぬ、こういう御質問の趣旨だろうと思いますが、これは改善指導をした結果は単に企業の単純なる報告というものではなくて、これは全部通産省に対してこういうふうに改善いたしますという一札をとってあって、約束になっているわけですから、企業といたしましてはその約束をほごにするわけにはいかないわけでありまして、その計算の結果は一それは計算ですから神様でない限り若干狂うこともあるかもしれませんけれども、その計算が正しいと思いますから、おそらく私どもとしては〇・二PPMが三時間以上続かないという結果が四十七年にも期待できるのではないかと思っております。  なお、どういう改善指導かと申しますと、簡単にいえば計画に比べて亜硫酸ガスの量を減らすということが一つ。さらに減らした上で集合高煙突によってそれを拡散希釈するという拡散効果、この二つがあるわけでありまして、第一の、減らすというのは、会社の当初計画に比べて一〇%程度亜硫酸ガスの量そのものを減らす。今度はそれだけでは十分でないので、さらにそれを集合高煙突によって——いままでは九本ぐらいしか集合高煙突がなくて、せいぜい全体の五〇%程度しか集合高煙突によって拡散希釈はできなかったわけですけれども、改善指導の結果、十六本の集合高煙突によって八六%拡散希釈ができる、こういう二つの効果が期待されるわけです。そういう点もございまして、私どもとしては予想されます汚染の減少ということが十分期待されるのではなかろうかと、かように考えるわけでございます。
  123. 武藤き一郎

    説明員(武藤き一郎君) たしか八月か、あるいは九月の委員会で、先生から柴田ぜんそくについて御質問を受けたと思いますが、その直後、九月の末だと思いますが、私名古屋にちょうど行く機会を得ましたので、県及び市の責任者とともに柴田地区へ参りまして、先生御指摘の点を県、市の責任者に聞いたわけでありますが、柴田ぜんそくというようなことで、そういう病人が非常に増加しているということについては、県、市の責任者はまだ耳にしていなかったわけでございますけれども、先生のお話の趣旨を伝えまして、その地区についてのいろいろ調査あるいは対策等を十分にやるように私から直接指示してまいりました。その際、地元の責任者のほうは、工場と住宅との近接の問題について非常に頭を痛めている。たとえば市営住宅等も、ほかに土地を求めて移したいのだけれども、新しい住宅用地として適するような所が非常に土地が上がって、移転に市当局としても頭を悩ましているということをおっしゃっていましたけれども、その点については、市としても十分に柴田地区等の状況を考えて、よく対策を立てるように、私から重ねてお願いをしておきました。  いまいろいろ先生から御指摘を受けましたその他の地区の問題、あるいは東邦瓦斯の問題につきましては、厚生省としましてもさらに担当官をできるだけ早い機会に現地派遣をいたしまして、詳細な指導その他をいたしたいと、かように考えております。
  124. 小平芳平

    ○小平芳平君 とにかく積極的な調査をお願いしまして、あと時間がありませんでたいへん恐縮ですが、一つだけ、水質汚濁の問題なんですが、これは茨城県の稲敷郡阿見町というところの水質汚濁、この場合は水質汚濁なんという問題じゃなくて、まるっきり協和醗酵その他の工場から流し出すものが川へたまってしまう。はたして公害防止として、こうした水質汚濁問題というものをどの程度やはりできるのかということについてお尋ねしたいわけなんですが、こうした協和醗酵その他の工場から流れ出るものが川へたまる、沈でんするために、地元と協和醗酵との間では、たしか年額、最初の年二十万円、それからあと年額五万円だったですか、ちょっと私いまその資料が見当たらないのですが、それだけのお金を会社から地元へ渡しまして、じゃ地元は五万円というお金は何に使うのか、それは沈でん物をかき出すためのお金なんだと言う。そんな程度公害防止では全くお粗末じゃないかと思いますね。また、そういうきたないものを流し出される結果としては、地元としてはものすごくハエが発生する、あるいは蚊がすごく発生する、あるいはたんぼが相当地域にわたって減収になっているというようなことも訴えているのに、これが会社側と地元との間の何年か前の相談では、沈でん物をかき出すかき出し料だという、そんなことではとうてい公害対策なんというものじゃないと思いますが、厚生省としてどのようにお考えか、これをひとつ。
  125. 武藤き一郎

    説明員(武藤き一郎君) 協和醗酵の問題につきましては、私ども報告を受けておりますのは、現在コアミ畜産と日本資糧につきましては、県の指導によりまして処理施設建設中でありまして、本年十二月中に完成する予定であるというように聞いております。協和醗酵につきましては、現在処理施設の能力をオーバーしております。醗酵廃液につきまして一部を動物の飼料としているようでございますが、飼料化をさらに促進しまして、来年三月ごろまでには完全に処理するような計画だと聞いております。  それから醗酵廃液の処理施設による完全な処理は現在困難であるということでございますが、なお処理方法については検討中だという、かような報告も受けております。
  126. 小平芳平

    ○小平芳平君 もう少しはっきりしたことを御答弁できないわけですか。いまのお話だと、私の指摘した点は、この会社の企業公害に対する考え、姿勢についてまず第一に言っているわけですよ。公害を水の中に流している。それをかき出し料だけで、何というのですか、川でいえばしゅんせつというわけですか、そのたまったものを地元の人が取る、その金を出して、それで話がついているんだというような、それが確かにいまの御答弁だと完全になくすことは不可能だと言われる。あるいはまた二〇%ですか、オーバーしているというのですから、この研究が不足ならもっと研究をしなければならないし、とにかく公害に対する考え、公害に対する態度というものがそういうような態度じゃ私はよくないと思う。いかがですか。
  127. 武藤き一郎

    説明員(武藤き一郎君) いま先生のお話の、会社が金を出して地元の方が何か処理をしているというようなお話ですが、私のいまそれをお聞きしました感じでは、会社自身が責任を持って処理するということがやはり必要じゃないか、かように考えます。廃液自身を住民の方に処理させるのでなくして、会社自体が責任を持って処理するということが適当である。かように考えます。
  128. 小平芳平

    ○小平芳平君 どうも実情がよく伝わっていないようですが、私もよくわからないのですが、ここに工場がありますと、ここから廃液を流すわけです。これがあるところでその沈でん物が一ぱいになるわけです。これを取るのに地元にお金を出して、地元でこれを取っているわけです。川へたまるものを取っているわけです。ですから、これを会社が取ってくれたって、そんなにありがたくないんですよ。第一ここから流れ出すものが問題なんです、流れ出すものが。ですから、そういう流れ出してくる沈でん物を川があふれない程度に取ったからといって、これがいま言うようなハエや蚊が発生するということはまだ残るわけですし、たんぼに対する被害も残るわけですから、公害に対する考え方、そういう姿勢は、川へ汚物がたまったら取ればいいんだというものじゃないんじゃないですかと言っているんです。
  129. 武藤き一郎

    説明員(武藤き一郎君) 私が報告を受けておりますのは、その処理方法が非常にむずかしくて、現在検討中だということでございますが、なお醗酵の監督、醗酵廃液の処理の監督官庁は実は厚生省ではございませんので、なお府県等の意見も聞きまして検討いたしたいと、かように思っております。
  130. 内田善利

    内田善利君 通産省関係に質問したいと思いますが、通産省は東邦亜鉛の対州鉱業所に対して、カドミウム対策としてどのように監督指導をされておるか、まずお聞きしたいと思います。
  131. 橋本徳男

    説明員(橋本徳男君) 対州鉱山につきましては、鉱山保安法によりまして昨年十一月に福岡鉱山保安監督局でこの鉱山の廃液を調査いたしました。調査いたしましたところ、ここの処理状況にいろいろ問題がある。その一番典型的なものは、十ほどございまする坑口においてそれぞれ処理しておるといったような非合理的な面もございましたので、これを集約処理し、かつまた中和をさらに効率化するようにというようなことで指示をいたしたわけでございます。そういった集約処理は本年の六月に一応完成を見たわけでございます。  しかし、さらに監督局といたしましては、この鉱山の水質等を検査いたしまして、十月の初め、二日ごろだと思いましたが、さらに薬液の添加装置についての問題もございましたので、さらに薬液添加装置等についての改善指示をいたしまして、その結果十月中にその施設が完了したようでございます。それで、そういった一連の指示のもとに、十一月の六日から八日にかけまして水質を調査し、現在それを分析中でございます。
  132. 内田善利

    内田善利君 十一月八日の新聞によりますと、福岡鉱山保安監督局が先ほど申しましたように、ことしの八月調査したその結果が出ておるわけです。人体許容量を少し上回るような結果でありますが、特に坑内水、それから沈でん水においては〇・〇五あるいは〇・〇七PPMと上回っておるわけですが、これに対してはどのような指導をなさっておるわけですか。
  133. 橋本徳男

    説明員(橋本徳男君) 八月の調査全体につきましては、現在監督局において検討をさらに続けておりますし、それからその処理方法等について問題もあるというふうなことで、先ほど御答弁いたしましたように再度薬液装置等についての改善も指示いたしまして、その結果を現在待っておる段階でございます。
  134. 内田善利

    内田善利君 悪水溝の出口のところの沈でん層、沈でん液ですか、あそこは沈でんはしておりますけれども、流れ口は非常に私たちの目で見れば、これではたしてカドミウムが沈でんしてしまったのかと思うような沈でん液なんですが、この八月の結果も〇・〇五ということであるし、改善する必要があるんじゃないかとしろうと目では見るんですが、この点についてはいかがですか。
  135. 橋本徳男

    説明員(橋本徳男君) 悪水谷の排水処理でございますが、これは御指摘のように二つに分かれまして、一つは汚濁をした水と汚濁をしない水、この二つに分けて現在処理しております。汚濁をしておる水につきましては、これを第一堆積槽で中和して、ろ過して流す、それから汚濁していない水は坑口にある沈でん槽で処理して流しておるわけでございます。大体こういうところで監督局としてはよろしいのではないかというふうに考えておりますが、先ほどのように、さらに総合的にこの十一月の上旬に調査をしておりますので、なお悪いようでしたら改善の指示をしたいというふうに考えております。
  136. 内田善利

    内田善利君 前向きの姿勢で対策を講じておられるということはよくわかりますが、あそこは特異な地域でありまして、休鉱山の、特に銀をとったあとのカドミウム、そういうものが一ばいあるわけです。道を歩いていても鉱石みたいなものがころがっておる。拾って割ってみるとほとんど鉱石そのものである。そういった非常に土壌そのものがカドミウムというところがありますので、特にいまの鉱山、鉱業所から出る水は許容量以下だと、そういうふうに一つ指導していただきたい、このように思います。  次に、厚生省関係でございますが、先ほど大臣には御質問申し上げたわけですけれども、十一月八日に公害病の権威である石崎教授のイタイイタイ病認定の件ですけれども、レントゲン写真の結果イタイイタイ病であると、このように権威のある、しかも厚生省調査団員の一人である教授が発表なさったわけですが、これに対していかに考えられ、どのような対策を講ぜられるのか、まずお聞きしたいと思います。
  137. 武藤き一郎

    説明員(武藤き一郎君) 先ほど、大臣並びに私からお答え申し上げましたが、この件につきましては、以前に萩野博士がレントゲンを学会で発表をされまして、その当時は関係者はレントゲンだけの所見ではイタイイタイ病として断定するのはどうかというようないきさつがあったようでございましたが、その後金沢大学の石崎先生に、個人的に再度萩野博士が意見を求められたら、そうではないかというようなことを個人的に石崎教授がおっしゃったということが新聞に報道されまして、私どももそれを聞いたわけでございます。ただ、私ども厚生省専門家といいますか、厚生省の関係者では、普通患者を断定する場合は、いろんな精密検査その他をやるとともに、やはり患者を直接診察をして確定診断をするというのが通例だというふうになっております。この点は、すでになくなったあと、残ったレントゲンだけでそうではないかというようなことが萩野博士と石崎先生の間でされたということでございまして、その点につきましてはやはり総合的な検査をして、生きておられたときにやはりそういう点を総合的に診断をして判定をすべきではないか、かように厚生省としては考えているわけでございます。しかしながら、そういうように御意見なりがあったということでございますから、早く地元の住民の不安を解消することは、これは一刻も早くしなければならないということで、県で早急に健康診断を重ねて四十一年、四十二年やっておりまして、一応イタイイタイ病患者はないというように私どもは判断したわけでございますけれども、先ほど御説明しましたように、三百名の住民に現在健康診断を行なっているわけでございますから、早くこれを精密検査等も済ませまして、住民の不安を解消したいというところでございます。
  138. 内田善利

    内田善利君 子供の出生直後の死亡率が非常に多いということですが、御存じでしょうか。また、もしそうであれば、これは関係ないかどうか、お伺いしたいと思います。
  139. 武藤き一郎

    説明員(武藤崎一郎君) 対馬のこの地区の乳児死亡率について現在長崎県に問い合わせておりますが、まだ返事がまいりませんが、私の手元にあります長崎県全体の乳幼児死亡率は昭和四十二年には出生一〇〇〇に対しまして二一・六でございます。全国の平均乳児死亡率は出生一〇〇〇に対して大体一五でございますから、長崎県の全体としても乳児死亡率が高いというわけでございます。対馬の乳児死亡率がどの程度であるかはまだ私ども承知しておりませんけれども、一般的に言えることは、農村型の県なりあるいは離島なりというところは、一般的に乳児死亡率がその他の地域よりも高いということが言えると思います。ただ富山の例を見ましても、イタイイタイ病患者は、四十歳以上六十歳ぐらいまでの経産婦、特に子供をある程度持たれた方がなられているようでございます。ただいまのところ、乳児死亡率はいわゆるイタイイタイ病関係のものと関係があるというふうには私どもは判断できない状況でございます。
  140. 内田善利

    内田善利君 私の調査では約三〇%死亡である、こういうことですが、これは関係があるかないかはわかりませんが、富山の場合はたくさん子供を産んだ方——そういった婦人に非常に病気が多いということでありますし、子供がカルシウムをとったそのあとにカドミウムが入る、そのように聞いておりますが、そういった関係と、妊娠中子供に影響を与えていないかどうか、その辺を心配するわけですが、そうでなければ幸いと思います。その次に、農林省の方に特にお伺いしたいと思いますけれども、先ほどから何回も申し上げますように、対州鉱業所の周辺は、非常にからみと言いますか、古い鉱山のそういった土壌そのものがカドミウムに汚染されている。農作物にしても非常にカドミウムの含有量が多いと、そういう状況でありますので、これに対する対策としては、どうしても土壌改良、あるいは客土をすると、そういった措置を国として講ずべきであると、このように思うのですが、この点についてお伺いしたいと思います。
  141. 上田克巳

    説明員(上田克巳君) 公害状況につきまして、昭和四十年四月一日現在で、全国一斉の調査を行ないましたが、そのときの調査結果によりますと、厳原町においては先生の御指摘のような被害は出てまいりませんでした。このために農地局といたしましてはこのことを承知いたしておらなかったわけでございますけれども、最近になりましてこういう問題が出てまいりましたので、長崎県を通じて問い合わせをいたしましたところ、現時点においては、作物の成育状況が若干劣るように見受けられるけれども、減収被害は特に見られないようであるという報告に接しておるわけでございますが、そのために、さしあたって国が土壌改良とか客土とかの仕事に乗り出すというかまえではございません。しかしながら、現在長崎県の耕地課の職員が現地に出向いて調査をいたしております。御指摘のような事実がございまして、地元町から県に対して客土の要望等のことがございました場合には、現在の制度に照らしまして客土事業として助成の対象に取り上げたいと存じております。
  142. 内田善利

    内田善利君 厳原町の被害はなかったとおっしゃいましたが、昭和四十一年度の厚生省調査結果は、大豆にしましても米にしましても検出量が非常に多い結果を厚生省自体として出しておられる。私が指摘するまでもなく、厚生省調査結果として出ておるわけですが、この点についてはどうですか。
  143. 上田克巳

    説明員(上田克巳君) 作物の中に亜鉛とか、鉛とか、カドミウム等の含有量が高いということにつきましても承知しておりませんでしたが、そのことと減収の問題とは少しズレがございますので、必ずしも作物の減収として目立った現象は出ていなかったのではないかと存じます。
  144. 内田善利

    内田善利君 私は作物の減収の問題を言っておるのではなくして、作物が植わっておる土壌そのものが結局米あるいは大豆の中に多量のカドミウムを含む状態になっておるのですが、その原因である土壌を改良する必要はないかということを聞いておるわけで、カドミウムが大豆、米、麦そのものに許容量以上に含んでおる。そういったものをなくするためには土壌の改良の必要はないかと、こうお聞きしておるわけです。
  145. 上田克巳

    説明員(上田克巳君) 昭和二十七年当時に厳原町から県の試験場に相談がありまして、県の試験場の分析能力等の関係から九大農学部の青峰先生のほうにお願いをして、土壌とか作物の分析をしてもらっている事実がございます。それによりますと、土壌とか、それから麦とかの亜鉛、鉛の含有量が比較対象物に比べてかなり多いということでございます。しかし、そのころはカドミウムの微量分析がございませんでしたので、カドミウムについては突きとめていないわけでございます。それで厚生省のほうが県に依頼されている調査においてはカドミウムの含有量の分析をしておられるやに聞いております。そのことは来年の三月にならないとわからないというように承知しておるわけでございまして、土壌それから農作物におけるカドミウムの含有量についてはまだ知るところはございません。
  146. 内田善利

    内田善利君 九大教授が二十七年に調査した調査対象にはカドミウムは含まれてないわけです。カドミウムの検出については全然調査対象になってないから出てこないのが当然です。ただ、私が言いたいのは、四十年、四十一年にやった結果が出ているじゃないか、それに対して一体どう対策を講ずるのかと、そのように聞いているわけです。確かに昭和四十二年に打ち切って、またことしになって八月から再び調査をされておるわけですけれども、その結果は来年の三月でないとわからないということですが、現在住民に対する被害として刻一刻人体がむしばまれておると、そのように感じておるわけです。大豆の中にも米の中にもカドミウムが許容量以上に入っておるという事実は、これは事実でありますから、人体は刻一刻むしばまれつつある。イタイイタイ病は第一期症状から第五期症状まであるというように聞いております。第四期症状、第五期症状はまだ見られない、しかし第三期症状みたいのがある、そのように見られておるわけですが、そういったことに対して私たちは不安を感じますし、地域住民も非常に不安を感じ、特に十一月八日の石崎教授の発表等がありまして、さらに不安がつのっておるわけです。この地域住民の不安に対して、一体どう対策を講じながら来年の三月までその調査結果を待つのか。対策は講じないままそのままいくのか、この辺をお伺いしたいと同時に、三月には必ず調査結果が出ると、そのように私は確認したいと、こう思うわけです。
  147. 上田克巳

    説明員(上田克巳君) 農作物の中に含まれているカドミウムその他の重金属類が、経口的に人体に摂取せられまして、それが地域住民の健康に有害な影響を与えると、こういう問題につきましては、農林省の中では食糧庁の取り扱う問題のように考えられますので、さっそく帰りまして食糧庁のほうに先生の御意見を伝えておきたいと思います。私、農地局の一員でございますので、その点についてはしかとお答え申し上げかねます。
  148. 内田善利

    内田善利君 最後に一言要望を申し上げたいと思いますが、厚生省の八月から行なわれた調査は、できるだけ早く結果を出していただきたい。そうしてその間——出るまでの間、長崎県衛生部当局また保健所当局にもよくひとつ指導方をお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  149. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 本日の調査は、この程度にとどめまして、これにて散会いたします。    午後二時四分散会      —————・—————