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説明員(後藤正記君) お答え申し上げます。
まず、日本ゼオン株式会社の高岡
工場において
発生いたしました
事故の原因から御
説明申し上げたほうがいいと存じます。
事故発生後、日本ゼオンの
事故調査団を編成いたしまして原因究明を行ないました結果、いろいろな原因が考えられまするが、数次にわたります
調査団の
調査の結果といたしましては、原因は次のようであると考えられるのであります。つまり
事故発生時七分ほど前に自動制御系統の一部が故障いたしましたために緊急停止装置が作動いたしまして、その後圧縮機のバルブの操作を誤って排出弁が開いたままになっておりましたために、その排出弁から大量のガスが漏洩いたしまして圧縮機室の内部に流入いたしました。その圧縮機作動用の蒸気配管の高圧部にガスが接触して発火、爆発したものと、こう
調査団の結果としてはなっておるわけでございます。
そこで、通産省といたしましては、
発生の通報を受けまして直ちに地元の県に対しまして現場に急行をいたしますように指示をいたしますとともに、通産本省より担当官及び高圧ガス保安協会の担当理事を現場
調査に急行させました。同時に富山県に対しましては、高圧ガス取締法第三十九条に基づきます、当該
事業所の高岡
工場全般に対しまする緊急停止命令の発動その他の必要な措置をとるように指示いたしました。県はこれを当日即座に実施いたしました。
次に、
事故の原因を、先ほど概略を結論のほうから先に申し上げたのでございますが、
事故の原因を徹底的に究明いたしまして、抜本的な
事故防止対策を樹立いたしますために、学識経験者から成ります
事故調査団を編成いたしまして、九月十九日から十一月十五日にわたりまして前後四回の現場
調査を行ないまするとともに、通産省の付属研究機関でございます東京工業試験所等におきまして爆発着火の原因を究明いたしますために必要な実験を行なうことといたしております。
事故の再発を
防止いたしますために
事故調査団が高岡
工場の保安管理
状況の総点検を実施いたしまするとともに、その結果に基づきまして
県当局からは会社全体の災害
防止対策について
改善計画を立てますように指示いたされました。で、再度このような
事故が起こりますのはたいへんなことでございますので、再度このような
事故の起こりませんように、去る十一月五日
全国都道
府県の担当課長
会議におきましてこの
事故の
報告を行ないまして、各都道
府県におきまする取り締まりの強化
指導方を警告指示をいたしました。
そこで、とりあえず通産省でとりました措置は以上でございまするが、最近、この日本ゼオンの高岡
工場もさようでございまするが、石油
化学等新しい大型のプラントがほうぼうにできておりまして、かような事態が起きますると、先生御指摘のとおり、
工場内労務者に対する死傷はもちろんのこと、付近住民に対しまして、今回は不幸中の幸いと申しまするか、付近の、
工場外の一般住民に対しましては人的被害はなしに、物的損害にとどまったわけでございますが、万一こういう大型の
事故が起こりましてそのようなことになっては非常にたいへんな事態でございます。当省といたしましては、最近の技術進歩に即応いたしまするように、従来から主としてこの種の
事故と申しますか、この種の高圧ガス等を取り扱いまする
工場に対する取り締まり法規といたしまして高圧ガス取締法がございますが、その関係法令を必要に応じて従来とも改正いたしてまいったわけでございますが、一方におきまして石油
化学工場等の密集して
立地いたしておりまするコンビナートの
地域につきましては自主保安のための
基準を省議決定をいたしました。この省議決定は本年の三月でございますが、コンビナート
地域の自主保安のための規範といたしまして「コンビナート
地域の保安に関する
基準」を省議決定いたしたわけでございますが、これに基づきまして行政
指導面におきまして各
企業を強く
指導いたしております。今般の日本ゼオンの高岡
工場の災害につきましても、かように関係の
県当局に対しましての指示と同時に、
企業に対しましては厳重に保安体制の確立を再度要求をいたしまして強く
指導いたしておりますが、今後とも災害の
防止と
地域住民の保護を目的といたしまして保安行政を強化して、一そう検討いたす所存でございます。