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1968-08-09 第59回国会 参議院 産業公害及び交通対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年八月九日(金曜日)    午前十時二十六分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         加藤シヅエ君     理 事                 菅野 儀作君                 千葉千代世君                 松澤 兼人君                 内田 善利君     委 員                 青木 一男君                 岩動 道行君                 植木 光教君                 木島 義夫君                 黒木 利克君                 古池 信三君                 櫻井 志郎君                 村上 春藏君                 矢野  登君                 山内 一郎君                 杉原 一雄君                 成瀬 幡治君                 山崎  昇君                 小平 芳平君                 田渕 哲也君                 小笠原貞子君    国務大臣        厚 生 大 臣  園田  直君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        科学技術庁科学        審議官      高橋 正春君        厚生省環境衛生        局公害部長    武藤き一郎君        厚生省環境衛生        局公害部公害課        長        橋本 道夫君        通商産業省企業        局立地公害部長  矢島 嗣郎君        消防庁調査官   永瀬  章君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○産業公害及び交通対策樹立に関する調査  (産業公害対策に関する件) ○交通安全施設等整備関係法期限延長に関する  請願(第一〇号) ○交通事故防止行政一本化のため交通省創設等  に関する請願(第六九号) ○交通安全施設整備に関する請願(第一四三号) ○継続調査要求に関する件 ○委員派遣承認要求に関する件     —————————————
  2. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) ただいまから産業公害及び交通対策特別委員会を開会いたします。  産業公害及び交通対策樹立に関する調査を議題とし、産業公害対策に関する件について調査を行ないます。  厚生大臣は後刻おいでくだきるそうでございますが、大臣をお待ちいたしませんで、質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 松澤兼人

    松澤兼人君 大臣が来られましたら、また大臣に対して質問いたしますが、緊急と申しますか、先日の地震によりまして貯油場の油が海に流れ出たという、その実情を報告するために、消防庁から係官の方に来ていただいておると思うのですが、その現況をまず御報告願いたいと思います。
  4. 永瀬章

    説明員永瀬章君) 宇和島におきますところの油の流出いたしました事故につきまして、概要をお話し申し上げますと、今月五日の一時十七分ごろに宇和島湾で地震が発生いたしまして、宇和島大浦字長浦甲三番地の三にございます三原産業株式会社の八基ございます屋外貯蔵タンクのうち、重油を貯蔵しております容量が五百三十キロリットルのタンクから、タンクの底にございますところの水を抜きます配管がございます、この配管の途中のバルブの付近が折損いたしまして、このために貯蔵中の油、当時は三百三十キロリットル入っておったのでございますが、このうちの約百五十キロが陸上及び海上にも流出した状況でございます。  これに対しまして、地元の宇和島消防本部はこの通知を受けまして出動いたしましたが、何しろ火災でございませんので、地上にあふれておりました油に対しまして土砂によりまして拡散防止をいたしまして、一応地上のものは広がらないようにいたしたのでございますが、一部の油が地下を通りまして海岸の石垣から海上に流れ出ました。このためにドラムかんをつなぎまして、これにむしろをかけまして、二重に、約百六十メートルのオイルフェンスといいます油の拡散防止いたします海上の土手みたいなものをつくりまして、一応の拡散防止をいたしました。  一方、会社側は、油を他のタンクに移しかえますと同時に、タンクローリーに移しまして、これを他のほうに輸送いたしまして、その後の流出をできるだけ最小限度にとどめる努力をいたしたわけでございます。  簡単でございますが、以上でございます。
  5. 松澤兼人

    松澤兼人君 タンクに貯油されていた油が流れ出るということが、幸いに火災にならないでけっこうだったと思うわけであります。はたしてこの事態自身産業公害及び交通対策特別委員会調査の対象になるかどうかということは、なかなかむずかしい問題だと思います。先般の国会に油による海水汚濁の問題というものが出ておりました。これは、おもに船舶が投棄するということに中心が置かれていると思いますけれども、しかし海水汚濁ということから生じます、たとえばもし魚介類に、あるいはノリ、真珠等に影響があったとすれば、やはり公害とも考えられるわけです。まあ地震強度は五程度というようなことでありますが、その程度で油が流出するというようなタンク設計というものは、これははたして適当であったかどうか、そういうことがあると思う。一体、そういうタンク設計ということについては、通産省にその責任があるのかどうかという問題なんですけれども、だれが一体そういうことを監督し、あるいは不完全なところがあればそれを指示して直させるのか、どういうところにあるのか。
  6. 永瀬章

    説明員永瀬章君) 石油タンク貯蔵施設につきましては、消防法によりまして許可をいたします。また、その許可に際しましては、技術上の基準政令で定めておりまして、これに適合している場合に許可を下すわけでございます。したがいまして貯蔵タンク強度というものにつきましての規定消防法によりますので、したがって消防庁一半責任があると言えると思います。
  7. 松澤兼人

    松澤兼人君 いまのお話ですと、石油の監督なりあるいは行政の主体となっております通産省自体には、そういうタンク建造設備等には何の権限もないわけですか。
  8. 永瀬章

    説明員永瀬章君) ないと存じております。
  9. 松澤兼人

    松澤兼人君 そうしますと、消防庁が取り締まる。しかし現地は、宇和島消防本部ですか、そこが直接に取り締まっていくわけですか。はたして宇和島消防本部というものが、そういう取り締まりの実力といいますか——それはもちろん法律によって取り締まり指導をやるわけでしょうから、そういう法制的な権限あるいは権力というものを持っていると思います。先ほどお聞きしましたように、震度五ということで、そういうパイプが破損するというような設計は、消防庁としてはお認めになれるような状態であったのかどうか。
  10. 永瀬章

    説明員永瀬章君) 今度事故を起こしましたタンクは、実のところ、これは大正十五年に当時の警察の許可によりまして設置ちれましたきわめて古いタンクでございまして、そのために一審痛みやすいところの、一番底から水を抜きます水抜き管の途中で折損が起こったようでございます。いま御指摘の、タンク設計基準、こういうものにつきましては私どもとしましては、現在の設計基準及び施工の技術及び材質におきましては、事故はほとんど起こらないものと思っております。と申しますのも、実は新潟地震あとでも、特にこの水抜き管が一番パイプの中では弱いもの、腐食されやすいものでございますので、それの取りつけ方法等につきましても、政令基準の一部を改正いたしまして、改修するように措置をとったわけでございますが、先般の十勝沖地震の際におきましても、水抜き管が折損した事故は一件もございませんでした。したがいまして私どもといたしましては、今回のはたまたま申しわけございませんけれども、古いパイプでございまして、しかも地中に埋没されていたために、地震がくるまで弱くなっていたことがわからなかった。しかし、ほかのタンク、新しいタンクにつきましてはさようなことはほとんど起こらないものと思っております。
  11. 松澤兼人

    松澤兼人君 何かテレビを見ておりますと、消防本部ではたびたび会社側注意をしたけれども改善をしなかった。こういうことが見えておりましたけれども、そういう事実は全然なかったんですか。
  12. 永瀬章

    説明員永瀬章君) この点につきましては、政令ができました際に——実はその以前には市町村の条例で取り締まっていた時代がございます、これは消防法に基づきますけれども。その後、政令技術基準をきめるように変わりまして、その際に新しく入りました規定防油堤規定でございます。油を防ぐ堤の規定でございます。これは古いものでございますので、新しく規定ができました防油堤の設置につきましてたびたび基準に適合するように、消防本部から当該会社に対しましては指示をいたしておりました。御質問はそのことではないかと存じます。
  13. 松澤兼人

    松澤兼人君 私は、日本石油と聞いておりますけれども、いま永瀬君のお話では名前が違うようでございますけれども——それだけ注意があったにかかわらず、現実にはそういう築堤ですか、防護壁ですか、そういうものの改善ができていなかった。全国のそういったような古い形の貯油所で、震度程度地震があった場合に危険だと思われるところは、まだほかにもたくさんありますか。
  14. 永瀬章

    説明員永瀬章君) 古い施設で特に危険であるというような施設、これにつきまして、こまかい調査はいたしておりませんので、どれくらいあるか正確な数字はわかりませんが、私どもの知り得ています範囲内におきましては、終戦後、油の需要がどんどん伸びておりますので、したがいましてこれに伴うタンク新設等がございます。また市街地の拡大等によりまして油槽所は郊外のほうにそれぞれ移転をしなければならないという実態が方々に起こっておりますので、そういうこと等を推測いたしますと、きわめてあぶないタンクは非常に少ないのじゃなかろうかと考えております。
  15. 松澤兼人

    松澤兼人君 消防庁にこれを聞いてもちょっと御答弁できないかもしれないが、しろうとの私たちとして、こういう事態が起こった、それに石油を直接所管している通産省は何も発言権もなければ、あるいは設備について、それを審査したりする権限もない。そういう設備自体に対して消防庁だけが責任を持っていて、通産省にないということは、どうもおかしいのですけれども消防庁として、個人的なお考えでけっこうですけれども石油所管としている通産省自身が、そういう設備や何かについて公害が起こるかもしれないといった心配を、自分で特断するというような、そういう行政上の権限、あるいは将来多少——設備許可をする、設備そのものじゃないですけれども貯油所をこしらえることの許可というようなことについて、通産省自身も何か権限一半を持つことがいいように、しろうと考えで思うのですけれども、こういう事件が起っこても、消防庁だけで今後も責任を持ってやれるというふうにお考えですか、その点。
  16. 永瀬章

    説明員永瀬章君) 非常にお答え申し上げにくい点ではございますが、消防庁といたしましては事が危険物でございまして、火災とも直接つながりますし、また安全の維持という立場を持っております関係上、なお今後とも地方の消防機関、実際実施します消防本部、あるいは県、これらの機関指導督励いたしまして今後ともこういう事態の起こらないように、また技術的な面につきましても向上をはかるように、今後とも努力していきたい。それによりまして、こういう危険物施設貯蔵あるいは取り扱いによりますところの災害は防止できるものと考えております。
  17. 松澤兼人

    松澤兼人君 消防庁防止できるというふうにお考えならば安心してやっていただくわけですが、しかし、こういう不測の事態ということは起こり得るのです。震度五といったらそれほど大きな地震でもないと思う。もうちょっと大きな地震でも責任持てるかといって、あなた方を追及する気持ちもございませんけれども、持っていただかなければならない。けれども消防庁だけに一切の権限をまかせて、それで石油を直接所管している通産省にその責任がないというのは、どうも私らしろうととしては、おかしいと思うのです。こういうふうに、こればかりではなく、大きな貯油所というものは各地にできておりますし、あるいはまた製油所などで、二十万トンという大きな油タンカーというものが接岸するなり、あるいは接岸しないでも沖がかりパイプラインでもって原油を製油所に入れるというようなことですら、やはり沿岸の漁業組合あたりは、油がもし万一流れ出たら被害があるからということで非常に神経をとがらせているのです。そういうときに非常に残念なことですが、また、こういう事件が起こって——周囲では、真珠も養殖しているということですし、おそらく漁業もあることだと思うのですが、大事に至らないで、けっこうでしたけれども、この問題は委員会で再度取り上げまして、通産省に何らかの責任の分担をしてもらうことがいいか悪いかということを、検討したいと思います。今後とも、ひとつ消防庁としては、いまはあなたのほうの権限になっております設備あるいは設備改善について努力していただきたいと思います。  それでは、厚生大臣がお見えになりましたので——衆議院において予算委員会がありまして非常にお忙しいところを、わざわざ御出席いただきましたが、先般の参議院選挙で議員の一部も交代しておりますし、参議院自身が新しく構成されたわけでありますので、ひとつ、あなたがお考えになっている厚生行政の現状なり、あるいは将来の見通しなりについて、この委員会で御発言願えれば非常に幸いだと、こういうふうに思います。きょうは総括的な質問で申しわけございませんが、私、委員長をやめまして、こういうりっぱな新しい委員長ができておりますので、今後はひとつ新委員長のもとでわれわれがんばっていきたいと思います。懸案になっておりました公害紛争及び被害者救済制度、この問題を第一に取り上げて、どういう事情になっているかということを御説明願いたいと思います。
  18. 園田直

    国務大臣園田直君) お答えをする前に、選挙後の初の委員会で新委員長を迎えたわけでありますので、お許しを得て、一言ごあいさつを申し上げたいと思います。  先般の激しい選挙で当選をされた方々に心からお祝いを申し上げます。  当公害問題は社会において非常に大きく取り上げられておって、現実には各地公害が続出をいたしております。にもかかわりませず、現状は、御案内のとおりに、その第一歩を踏み出しただけで、必ずしもその体制は整備されておりません。かつまた、公害対策を進めてまいります上に非常に問題になる点は、各方面における公害に対する社会通念が、いままでの惰性で非常な壁になっておる点が多いわけでありまして、この点につきましては、与野党を問わず、委員各位の強力な御指導と御協力を今日までお願いをして進めてまいりました。私といたしましても、公害はきわめて重大な問題であって、人間の生命と健康は何ものにもかえがたい問題でありまするから、鋭意努力する所存でございますが、今後とも引き続いて、委員に就任された方々及び新しく委員に就任された方々、よろしく御叱正と御指導と御援助をお願い申し上げる次第でございます。  簡単でございますが、ごあいさつ申し上げます。  ただいまの質問の、紛争処理の問題でございますが、これは、いろいろな基準の設定の準備、その他の整備のこともありますが、現実の面から一番先に解決をしたかった問題でありますが、御承知のとおりのような政府部内の調整に手間どって今日までおくれたわけであります。明年度重点事項の第一にあげておりますのは、この紛争処理の問題でございます。そこで、ただいま政府部内で折衝をしておりまするが、大体大半は済んでおりまするが、細部の点でなおまとまっておりません。しかし、近々にこれはまとめまして、予算折衝前に解決したいと考えております。したがって、この法律案はなるべく早い機会に、私としてはできるだけ次の臨時国会にはぜひ——できるだけじゃなくて、ぜひ提案をして皆さん方の御審議をお願いしたい、こういうつもりでおります。
  19. 松澤兼人

    松澤兼人君 臨時国会にぜひ提案したいというお話でございますが、それだけ各省の間の話し合いというものが進んでおるならば非常にけっこうだと思います。しかし、現実の問題としましては、まだ水俣病関係も、原因結果の関係がよくわかってないと思います。阿賀野川もやはり同様だと思います。あとは、神通川のイタイイタイ病の問題、その他いろいろと原因と結果のよくわからない問題があると思うのです。特にこういう川の沿岸なり、あるいは水俣病の場合は海でありますけれども原因がはっきり突きとめられない、厚生省としては一生懸命因果関係というものを解明して、ある程度結論が出たようにわれわれ聞いているわけですが、阿賀野川の場合をとってみましても、厚生省がせっかく、昭和電工ですか、そこに原因があるのじゃないかというふうに言ったり、また、イタイイタイ病の場合にも神岡鉱山の鉱石が原因であると、こういうようなふうに言っておりまして、われわれから言いますと、因果関係が解明されたということ自体被害者救済にも非常にいい結果をもたらすであろうというふうに考えておりますと、また他の官庁からいろいろと調査をやったり、また、厚生省結論に対しては多少批判がましいような結論が出てきたり——ですから、各省間における公害因果関係というものに対する認識、あるいは立場、あるいは行政上の違い、こういうものが出てくるという実情であります。そういう調査あるいは調査の結果に対する各省意見食い違い、または調整ということは、どのようにしてなすっていらっしゃるか。特に阿賀野川の問題についてはどのような結果になるのか、お知らせ願いたいと思います。
  20. 園田直

    国務大臣園田直君) まず、水俣病のほうから申し上げます。  御承知のとおりに、基本法ができまして、公害対策審議会ができまして、初めて窓口が厚生省にきまったようなわけで、委員各位から公害対策行政の一本化を強く言われておりまするにもかかわりませず、いまなお公害対策問題が各省にまたがって困難を来たしておるわけでありますが、そういうことで、水俣病については経済企画庁予算調査をし、それから阿賀野川については科学技術庁の費用で調査をする、富山県のイタイイタイ病については厚生省予算調査をしたわけであります。したがって、そういうことから、この結論が、それぞれ、イタイイタイ病については厚生省水俣については経済企画庁阿賀野川については科学技術庁長官結論を出すという奇妙なかっこうになっておるわけであります。しかしながら、公害対策の本質からして、やはり健康と生命を守るということは厚生省所管でございますから、ぜひ最終責任厚生大臣責任において結論を出したい、こういう念願でございまして、水俣病については、御案内のとおりに、すでに調査は終わっておりまして、その結論も出たと同様なことでありまするが、正式の結論を出さないで調査会その他は解散するという奇妙なかっこうになっておるわけであります。そこで、経済企画庁長官と相談をいたしまして、以上の経緯を申し述べ、水俣病についても調査だけ終わって調査団を解散したという今日、結論も出さずに放任するわけにはいかないから、これはどうしても結論を出したい、したがって、すでにその結果は出ていることであるから、その結論厚生大臣に御一任を願いたいということで、これは両者意見が一致いたしまして、私が最終結論を出すことに相なりました。そこで、奇妙なかっこうでございまするから、私としては、正直に言って、きっかけを失ったようなかっこうでございまするので、阿賀野川結論を出すときに、同時に水俣に対しても結論を正式に出したい、このように考えております。  阿賀野川については科学技術庁長官のほうが最終責任のようなかっこうになっておりましたので、私のほうで結論を出して、この結論でやってもらいたいという報告をしたところ、科学技術庁のほうで異論が出て、その結論がぼやけるようなかっこうになりましたので、それは私として容認できませんので、正式に科学技術庁長官に申し入れをして、その後両者において意見を戦わしておるところでありまするが、これは他の行政と違って、調整とか、妥協すべき筋合いのものではなくて、あくまで現実の資料を学問的に——真実は一つでありますから、両者意見の半分というわけ  にはまいりません。そこで、若干時間が手間どりましたが、両者の間で逐次話し合いが終わり、両者の理解が出てまいりまして、あと、ごくわずかな文字についての意見食い違いがあるわけであります。しかしながら、この文字というのは公害認定を発表するに対しましては非常に重大な問題で、これは単に阿賀野川だけでなく、今後の公害対策にも影響しますので、私のほうではまだこれでは賛成できる立場にございません。しかし、この点も、もうそう時間をかけずに話し合いが終わると思いますので、近い時期にこの結論を出したいと考えております。
  21. 松澤兼人

    松澤兼人君 よくわかりました。そこで、イタイイタイ病の場合は、大体神岡鉱山と密接な関係があるという結論が出ているようであります。その因果関係というものが明らかにならないと、厚生大臣がいまおっしゃっておりましたように、被害者救済の問題にも十分に手が伸びないと思うのです。阿賀野川の問題は、いろいろ話し合いの結果、近く結論が出るというお話でありますが、近くというのは、これ、なかなか話し合いの様子によっても左右されると思いますが、いつごろその結論が出るか、大体の見通し、おわかりでしたらお話し願いたいと思います。
  22. 園田直

    国務大臣園田直君) 時期は申し上げるわけにまいりませんが、近くと申しますのは、半年とか二カ月とか三カ月とか向こうの意味ではなく、ごく近いという意味で申し上げております。
  23. 松澤兼人

    松澤兼人君 いままで私たち委員会の中でいろいろと問題にしてまいりました水俣病の問題、阿賀野川水銀中毒の問題、それから富山イタイイタイ病というようなものの実際の姿というものをだんだん浮き彫りにされてきましたことは、非常にけっこうなことだと思います。その因果関係が明らかになれば、当然被害者に対する救済ということに進んでいかなければならないと思います。従来、たとえば四日市のように、四日市市が主としてその責任を負っていた。最近、調査費というような名目で国からも補助を出しておられるようでありますが、イタイイタイ病の場合には、どういうような国としての患者に対するめんどうを見ておるのですか。
  24. 武藤き一郎

    説明員武藤崎一郎君) いま先生がお触れになりました四日市の例と同じように、愚者の医療費自己負担分につきまして、同じような国からの医療研究補助金を出す予定でおります。
  25. 松澤兼人

    松澤兼人君 因果関係が明らかになれば、できるだけすみやかにそういう措置を講じていただきたいと思うんでありますが、予定であるというふうにいま承ったんでありますが、これは四十三年度でそういうことが実施される見通しでありますかどうか。
  26. 武藤き一郎

    説明員武藤崎一郎君) 本年度予算で、いま予定と申し上げましたけれども現実に支出ができる状態になっております。
  27. 松澤兼人

    松澤兼人君 いま、その予算を実施するのに、何かまだ釈然としないものがあるんですか。
  28. 武藤き一郎

    説明員武藤崎一郎君) 財政当局とも話はついておりますが、御承知のように医療費でございますので、その日その日の医療費年度末までずっと支払われるわけでございますが、市町村なり都道府県が患者の自己負担分につきまして支出しました額につきまして、国がそれにつきまして補助を行なうということで、最終的な金額につきましては、結局年度末で総額が確定するという意味でございます。
  29. 松澤兼人

    松澤兼人君 もうすでにこの問題も多くの人々によって取り上げられており、しかも厚生省が、神岡鉱山のカドミウムであるという、そういう因果関係について断定を下されている。実際の救済といいますか、あるいは医療費の支給というものが、年度末にならなきゃできないということですが、現実にやはり市町村あるいは県などにおいて、愚者の負担にならないように立てかえて支払っていくから心配ないと、こういうふうに言えるかもわかりませんが、しかし、市町村だって、本来国がめんどう見るべきものを市町村で立てかえて支払いをして、その金が年度末にならなければ来ないということになると困るという、そういうことにもなるんじゃないかと思いますが……。
  30. 園田直

    国務大臣園田直君) いまの、ちょっと事務当局の答弁で、わかりにくいような答弁でございましたが、実は前年度予算折衝の場合には、私、いろんな資料を検討をした上で、これは公害と認定すべきものであるという大体の判断をしたわけであります。しかしながら、正式な機関を経て認定しない以上は救済費を予算として組むわけにはまいりませんので、研究費として厚生大臣の手元にお金をいただいておりまして、財政当局の了解を得て、これから救済の費用を支出したわけであります。明年度から正式に費用の組みかえをいたしますが、そういうわけで事務当局が何かひっかかるような答弁をしたわけで、現実には予算を組んだと同様にやっております。なおまた、現地に行ってみますと、非常にありがたいことには、このイタイイタイ病の患者が、健康が漸次回復のほうに向かっておりまして、臨床のお医者さんの話を聞きますと、もうしばらくすると何か治療の方法が発見できるという非常な意気込みを持っておりますので、これに対する研究費のほうも考えまして、ぜひ近い時期にこれに対する治療のめどもつけたい、このように考えて研究費等も支出の準備をいたしております。
  31. 松澤兼人

    松澤兼人君 いまのお話ですと、厚生大臣の手元に予算が認められているというお話四日市のほうは、もうすでに調査費の名目で、研究費の名目で出ている。イタイイタイ病のほうはまだ全然出ていないのでしょう。これを年度末に計算を積み上げていってお払いになるということじゃないのですか。
  32. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) 実際の事務上の問題におきましては現在何ら障害がございません。大蔵省当局とも折衝も済みまして、二千万円の医療研究費補助金のうちのその半分の部分を医療費補助のほうに充てる。あとの半分のほうを十分の十の研究費の補助という形でやっておるということで金額のワクも決定いたしまして、それを県のほうに通知をしております。ただ、いま部長が申しましたように、その支出を最終的にやりますときには、人数が若干動きますから、そのことで年度末にその決算をするときに動く場合があるということでございまして、四日市の場合におきましても、水俣におきましても、阿賀野川におきましても、イタイイタイ病におきましても、医療研究費補助金の執行につきましては、すでに事務当局としてはセットをしておるということでございます。
  33. 松澤兼人

    松澤兼人君 事務上のことになりますと、ちょっとよく私らにもわからないのですが、市町村がいまは立てかえて医療費を負担している、それを積み上げていって年度末にいま厚生大臣がお持ちのお金で支払いをする、そういう形ですか。それとも毎月毎月幾らかずつ、医療費がどのくらいかかるかということを合計してお払いになるのですか。
  34. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) 金額の点につきましては、県のほうから要求が出てまいりまして、その要求を県とわがほうと事務的にいろいろ検討いたしまして、県の要望額に対して厚生省としてはこの額をめんどうを見ようという案を立てますと、それを大蔵省に持ってまいりまして、これだけのめんどうを見たいということで大蔵省と折衝いたしまして、大蔵省がそれについて同意をするということで、その同意をした金額を県のほうに知らせるということをまずいたします。それから執行の面につきましては、毎月毎月出しておることはいたしておりません。県市がこれだけの金は来るということを頭に置いておりまして、しかもその金は県市が積み上げてきた計算の金でございますから、それを、実際の事務的な手続としましては、最終年度末に全部の精算をして出すということでございまして、県がそれだけのものを通知を受けておりますときには、何ら県のほうは予算の執行について金が来ないから困るという事態はないわけでございます。
  35. 松澤兼人

    松澤兼人君 そうしますと、予算も認められているし、だからそのつど大蔵省に、支払いに対して承認を求める必要はないと、こういうわけですか。
  36. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) 一回ごとに求める必要はございません。
  37. 松澤兼人

    松澤兼人君 それでだいぶわかりましたけれども、実際、公害被害者としましては、国がめんどうを見るといいながら、なかなかめんどうを見てもらえない、そういう点について不満があるのじゃないか、こういうふうに考えるのです。県あるいは市、あるいは町などにおきまして、あらかじめ年度末にもらい得る金額というものが予定されているということであれば、その年度の途中においての立てかえそのものについては別に負担でもないかもわかりません。しかし、考えようによりましては、概算払いということをして、そして年度末に精算をするという形もとり得られるのじゃないかと思いますが、そういうことは会計上不可能なことですか。
  38. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) 研究費の補助金の場合には最初に払い出しております。医療費の場合には最終的に整理をして出すという方式を従来とっておりますが、四半期ごとに払うという方式もございますし、概算払いでできないという問題ではないと思いますが、事務上の問題と一種の慣習上の問題で私どもこういうことをいたしており、それで自治体としても別にそれについての異論も不満もないというのが現在の実態でございます。
  39. 松澤兼人

    松澤兼人君 この問題につきましては、いまも、阿賀野川の問題はもう日の問題であるというふうにお話しになりました。早く国としての統一見解を発表されまして——いろいろと問題を起こしております阿賀野川でも訴訟になっているじゃないですか。そういう問題について国としての見解を明らかにしていただきたいと思います。  次は環境基準の問題ですが……。
  40. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 ちょっと関連ですが。  私、富山の者ですけれども選挙中に大臣も来ておられて、患者にも面接されて激励されたということも聞いているわけですが、七月末現在で、患者が幾らほど登録されていますか。確かにその後、選挙中であったが、地域も広まり、潜在患者が明確になって、ふえてきていると思うのですが、厚生省への申し出把握はどの程度になっていますか。
  41. 武藤き一郎

    説明員武藤崎一郎君) 手元にちょっとことしの春の数字しかございませんけれども、要治療者が七十三人、要観察者が百五十人、かようになっております。
  42. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 春というのはいつですか。
  43. 武藤き一郎

    説明員武藤崎一郎君) 四月の初めでございます。
  44. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 そうすると、先ほど申したように、七月末、その後潜在患者がかなり地域的に、大臣の行ったころよりももっと広がっているのですがね。出ているはずです。だから県から報告があるはずなんですけれども、その掌握はどうなっておりますかね。
  45. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) その点につきましては、事務担当者が県のほうとも毎月人数を確かめております。いま手元にございませんので正確に申し上げられませんが、毎月私どものほうは人数をつかんでおりまして、大蔵当局のほうでも、人数の最終のセットは年度末にならないとまたふえる場合があるということで、ことにイタイイタイ病の場合には、そのようにまだ不安定の要素があるということで、最終のところまで事務的な固めが残されております。ワクとしての問題だけで残されております。
  46. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 基本的な問題ですけれども松澤委員のほうから、阿賀野川の例等もあって、すでにもう裁判になっているのだ、イタイイタイ病のほうももう裁判になっているのだ——もうすでに何回か公判を重ねていると思いますが、園田大臣のような基本的な考え方、行政指導の線をより強化していただければ、おそらく裁判所を経ないで問題の結論が出るのじゃないか。私は、先ほど松澤委員から要請があったように、政府当局のこの種の問題に対する統一した方針、見解を明らかにして、行政的な指導を強化していただきたいということについて希望を一ぱい持っているわけで、ひとつ御苦労ですけれども、すみやかにこの種の問題の方向づけを、人命尊重の立場から努力をしていただきたい。この気持ちで一ぱいです。大臣ひとつがんばっていただきたい。
  47. 園田直

    国務大臣園田直君) 御発言の趣旨は十分了解しております。その方向で進めたいものと、内々関係各省及び地元とも連絡いたしております。  なおまた、要治療者及び要観察者がふえているということですが、要観察者に対する健康診断等もいたしたい。ただ、非常に気にかかりますことは、補償の問題は非常に大きな問題でございまして、こういう意味からも、紛争処理機関、この法律をできるだけ早く出して、補償の問題、現実につくまでの間は国が立てかえて補償する方向にしたいと考えておりますので、この上とも御協力願いたい。
  48. 千葉千代世

    千葉千代世君 一点だけ伺いますが、先ほどの御答弁の中に、県から請求してきた額、それを中央で検討する、いわゆる査定みたようにですね。そうして額をきめてやるようなお話だったのです。そうすると、大体県から請求してきた額の何%ぐらいを支払うのですか。全額ではないようなお話でしたね。
  49. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) 保険の自己負担分でございますから、自己負担分を正確に出しましたならば、そこには両者の異存はございません。研究費の補助につきましては、その範囲等がございますから、それにつきましては若干査定要素がございますが、医療費そのものにつきましては保険の自己負担分ということでございますから、全然……。
  50. 千葉千代世

    千葉千代世君 研究費のほうの関係はどういうふうになっておりますでしょうか、査定の額は。
  51. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) 研究費のほうは、イタイイタイ病のほうの研究費のほうでは、ちょっと非常に不正鵠な数字で恐縮ですが、約三百万弱ではなかったかと思います。で、これは医療費の問題では全然ございませんで、現在原因追求の調査を打ち切りましたが、今後予防のためによく医学的に解明しなければならない要素がたくさんございます。それから、患者とはなっていないですけれども、予防的にどういうぐあいにすれば防げるだろうかという人がございまして、そういう人に対しては保険の自己負担分でそういうめんどうは見られません。そういうことで、そのケースにつきましては予防研究としてめんどうを見ていくという形になっております。そういうことで、二千万のうちの半分のほうの額は、先ほど申しました四つの事件についてのおのおのの十分の十の研究費に割り振ってまいりまして、そのほか理化学的な研究は別の研究委託費のほうでめんどうを見るという形をとっておりますので、富山県のケースにつきましては、相当従来よりも飛躍的に大幅な額が富山県のほうについておりますというのが実際の実態でございます。
  52. 園田直

    国務大臣園田直君) いまの研究費でございますが、査定ということばはちょっと気にかかりますが、これはあくまでも、めんどうを見るのではなくて、公害と認定した以上は国の義務でございまして、また研究費につきましても、査定をして削るべき方向ではなくて、むしろ、このように不可解なもので困っておる人間の病気を解明するということは、人間共同のための非常な功績者でありますから、実はきょうの閣議でも私発言いたしましたが、こういうものについては、奨励の意味と、その名誉を表彰する意味においても、今後は特別研究費またはその栄誉を表彰する何らかの制度を考えたいということを発言いたしましたが、そういうつもりで、削るという意味ではなくて、なるべく早く治療法を発見してもらうという意味で、そういう方針で事務的にも査定させるよう指示しておりますので御了解願いたいと思います。
  53. 千葉千代世

    千葉千代世君 大臣のいまおっしゃった趣旨はわかりますが、私社会労働のほうを担当しておりましたときに、阿賀野川の問題がかなりいろんな内容はらんでおったんです。いわゆる企業者偶、それから被害者側、これはもう私が述べるまでもなく、十分御承知と思うんですけれども、小委員会の名前さえ発表できないという、こういう段階の中でほんとうに妥当に正当に調査が行なわれたかどうかという、そういうふうな問題もありましたので、そして調査研究費という問題もありましたから、そこで私伺ったわけなんです。ですから、査定ということばでは妥当でなかったかもしれませんけれども、十分な調査研究費というものがその効力を発揮するようにはたして使われておったかどうかという——富山の問題は私はよく詳しくは存じませんが、少なくとも阿賀野川の問題については非常に問題があったということ、こういう点で伺ったわけです。  以上です。
  54. 松澤兼人

    松澤兼人君 さっき環境基準の問題に移ろうと思っておりましたが、いま問題が出ましたことは、原爆被害者の問題でもそうなんですけれども、医療保護だけでは十分じゃない。生活扶助と申しますか、あるいは生活保護、そういうところまで進まなければならないということで、新しい立法を要求している声が原爆被爆者の中に相当強いと思うのです。もしイタイイタイ病公害病であるというふうに認定されるならば、やはり医療費だけではなくて、生活費のめんどうも見てあげなければいけない、そういうことに必然的に発展してくると思いますが、この問題につきましても、もし、因果関係が明らかになっていますが、被害者救済の立法ができるようになりますと、生活のめんどうも国が全部あるいは一部見てあげようというところまで行き得ますかどうか。とてもそこまでは決意がないと思います。しかし、原爆被爆者の要求も、もうすでに大臣お聞きになっていらっしゃると思うのです。そういうところまでいかなければほんとうではない。これは普通の個人的な病気じゃないのだから。国が公害病であるというように認定した以上は、そこまでやはり進んでいかなければならないと思うのですが、この点いかがですか。
  55. 園田直

    国務大臣園田直君) 御意見でございますが、現実においては、たとえば水俣病におきましてもまだ公害と認定してはございませんが、会社から補償しているわけでございますが、その月々に渡る手当を生活保護費の中から割り引きをしておるというのが現実でありまして、これは事務的にいろいろ問題はあるようではありますが、あるいはこれによって年金その他の基本がこわれるという事務関係者の意見もございますけれども、国が払うのでなくて個人の企業が払う補償を生活保護費の中から差し引くということはどうも道理にかなわぬと思いますので、何とか明年の予算においては、そういう点から解決したいと考えております。  なおまた、こういう特殊な、個人の責任によらざる公害あるいは原爆等については、原爆の法律案が、この前、援護法をつくるべきであるという主張の中に、措置法ということで、あいまいなことで終わったいきさつも御承知のとおりでありますが、その後まだこれが実施されない先に、適用範囲であるとか、あるいは認定の問題とか等で、現地からいろいろ意見も承っております。その意見の中に、なるほどもっともであり、答えるすべのない必然性の問題もございます。財政上の関係もございまするが、やはりこういう問題は将来改善の方向に向かって進むべきであると私考えております。  なお、その他の公害につきましては御指摘のとおりでございます。まだようやく公害の認定をして、そうして国がその救済、医療の問題をどのように万全を尽くすかということで精一ぱいであって、いまのところ生活の保護までにはいかぬと思いまするが、そういう面に向かっても配慮していかなければならぬと考えておりますので、そういう問題の検討も行なってまいりたいと思っております。
  56. 松澤兼人

    松澤兼人君 いまの段階で大臣からはっきりそういう答弁をいただくこともちょっと無理でございますが、厚生行政、特に公害行政につきましては、大臣が御就任以来相当進歩発達したと思うのです。この機会に、さらに一段と前進されるように御希望申し上げます。
  57. 小平芳平

    ○小平芳平君 大臣の御都合もございますので、私もひとつごく概略だけの質問なんですけれども、一つは、先ほど来お話がありました公害病の認定ですが、イタイイタイ病は、大臣はじめ厚生省の認定を得まして、公害に関する救済、あるいは一方進んだ公害防止の上に大きな一つの時期を画したと思います。たいへん幼稚な質問ですけれども、そうした公害病として厚生省が認定する上に、一つは、先ほど来お話のような、科学技術庁ではどのような研究をして、どういう結論である、通産省がどういう研究をしている、そういうことはおかしいのであって、やはり、公害であるかないかという因果関係の究明というものは、これは純粋な学問的な問題であると思うのです。それで、厚生省で認定する上の難点といいますか、近く大臣が、阿賀野川あるいは水俣病、これについても結論を出すというふうにおっしゃっておりますが、どういう難点があるかですね、大体近くということは、そう何カ月も先という意味じゃないということもおっしゃっておられますので、先ほどの御答弁の意味は、その後の近くをいつにするか、それこそ、いつごろまでには公害病として認定すると、こういう御答弁であったと承ってよろしいかどうか。  それからまた、公害病と認定になった場合に、やはり争いは残ると思うんですが、この争いがきっぱりと裁判も全く必要のなくなるように結着がつくわけでもないと思いますが、厚生大臣としては、少なくとも公害病として認定した場合に、どういう結果を期待されるか。具体的には——研究費、医療費については、いまお話がありましたが、そのほかにも公害病であると政府が認定した——厚生省が認定したという場合に、どういう結果を大臣として期待されるか。  以上二点について、第一の質問はわかりにくいかと思いますが、今後の公害病に認定する阿賀野川水俣、そのほかにも厚生省で検討中のものがありますかどうか。あるいは認定する上には、純粋の学問的な立場で研究をされるべき問題であって、その今後の見通しです。  それから、もう一つは、それに対する効果、以上二点について。
  58. 園田直

    国務大臣園田直君) 公害を認定いたします際に、特に現実に、ただいま科学技術庁と私のほうで意見食い違いがありますのは、認定の基本方針に相違があるわけであります。私のほうでは、裁判のように、公害というものはすべての証拠があがってしまわなければ、認定できないものではない。これは学問的にあるいはそれぞれの権威者がそろって調査をし、資料を集めて、その上でこれ以外にないという断定ができたら、これは公害と認定すべきである。学問といいましても、まだ完全にいってないわけでありまして、しかも微量な毒物が蓄積作用あるいは相乗作用の繰り返しによって、何年かの間にどういうふうにたまって、それが人体にどういう影響を及ぼして、どういう経緯で出てくるかということは、いまの学問の世界では確実な証拠はわからぬわけであります。しかしながら、全般の資料を集め、権威者が集まり、学問的にこれ以外にないということはわかるわけであります。したがって、裁判と公害と違うところは、裁判は証拠がなければ、犯人だとわかっておっても罰することができない。しかし公害は、これ以外にないとなれば、これは認定すべきであるという私の考え科学技術庁では、最後のとどのつまりまで全部証拠をあげなければならない。こうなれば、今日の状態において公害と認定できるものは何もない。これが今日まで、公害はどの問題でも、足尾銅山でも何でも何十年もかかって、それがきまったときには、もう被害者がなくなっているという状態が出ておる。そこで、この点が一番困るわけでありまして、イタイイタイ病についても私は、公害病というものを認定する場合、これが犯人だ、これ以外に毒を排出するものはいないとわかれば、それを認定するのが当然であって、今後はそういう方面で公害の認定はすべきだという基本方針を確立することが、私は第一のねらいであると考えております。時期については、御発言にありました想像どおり、きわめて近い先にやる所存でございます。  そこで、なお一番私がいま苦にしておりますのは、ただいま準備しておりまする救済紛争処理法律案におきましても、やはり公害の中には犯人がいない公害がやっぱり出てくる可能性がきわめて多いわけであります。そこで、そういうものをどうするか、補償について一つのやはりきめをつけておかなければならぬのじゃないか。それから、公害に認定した場合に、いろいろ意見が出てくると思います。出てくるとは思いますが、私は、その場合には、やはりいま申し上げましたようなことで、これ以外にないということであれば、これはやはりそれで押し通すべきである、こう考えております。  もう一つは……。
  59. 小平芳平

    ○小平芳平君 効果。
  60. 園田直

    国務大臣園田直君) 認定いたしますと、第一には法律規定されたいろんな医療、研究、救済の方法が講ぜられるわけであります。  それから、もう一つは、でき得れば認定したことによって、被害者と加害者との間に補償の問題が推進されるだろう、こう思っております。
  61. 小平芳平

    ○小平芳平君 それでイタイイタイ病については認定し、きわめて近い将来認定するというものは何々か。
  62. 園田直

    国務大臣園田直君) 近く結論を出したいと思いますのは阿賀野川の問題と水俣の問題であります。  それからもう一つは、これを認定することによって一番大きな効果が実はあるわけであります。それは公害というものは、いつも申し上げますとおりに、野球のボールと同じでありまして、起こったあとを追っかけることはきわめて困難であります。しかもすでに、その場合には被害者は健康のみならず、人生を破壊されているわけであります。ですから、こういう公害というものをびしびし認定することによって、企業家が企業の計画をする場合には一番最初に、利潤と企業計画の前には、人命に害を与えるかどうかという一つのワクをまずきめるという社会倫理をつくることが私の最大の願いでございます。
  63. 小平芳平

    ○小平芳平君 大体大臣のおっしゃる趣旨は、私もそのとおりと思います。私の意見も同感でありますが、やはり今度環境基準についての問題があると思うんですね。やはりいま全く大臣がおっしゃったとおり、公害病だと認定されたからといっても、まるきりもう人生をめちゃくちゃに破壊されて、あるいは死んでしまってから、あの人は公害病で死んだんだという認定証をもらったって、どうにもならないわけですから、そこでもって環境基準をきめるとともに、その公害病と認定したあとの効果についても、先ほどの御答弁の中に、生活保護は無理だということもありましたが、実際現に病気になってしまっている人に対して、あなたはあの公害によって病気になった、それ以外に原因考えようはないのだ、そういうふうに言いながら、しかも生活が破壊された者に対しては救済措置がないということ、それではもうせっかく公害病として認定したという厚生省の大きな一歩前進の措置にもかかわらず——確かにあれが原因で病気になったんですよと言いながら、破壊された生活に対する手当のしようがないというんじゃ困ると思うんですね。したがいまして、環境基準について……。  もう一つは、総括的にこの救済制度について、これは当然もう厚生省としてこの次の段階を考えていらっしゃると思いますが、簡単でけっこうだと思いますが、御答弁をいただきたい。
  64. 園田直

    国務大臣園田直君) 救済のうちの補償の問題と生活の問題でありますが、これにはやはりいろいろ問題があると考えます。それはもちろん国が公害と認定したわけでありますから、国もその義務があるのは当然でありますが、やはり一番先に明確にしなければならぬことは、企業の責任を明確にすることが一番大事であって、いろいろな工場や会社が与えた被害をそのまま、まるまる国が引き取って、そうして国が全部めんどうをみるということは、被害者の側に立つとそうしたいところでありますが、加害者の側を考えると、私はそこにやはり企業家と国との責任をはっきりしたい。それで救済基金の、案文で問題になっている措置法という案を出しているわけであります。そこで、実はそういうことも考えながら、御指摘の生活問題については、やはり早く検討しなければならぬと考えております。やはり企業家の責任ということを私この際力説をしたい。  なお、環境基準につきましても、御承知のとおりに、七月十五日に生活環境審議会から「いおう酸化物による大気汚染防止のための環境基準」という答申がありました。これについても同様なことでありまして、住んでいる人々の面からいえば、あの審議会の答申というものも必ずしも完全であるか——まだなまぬるいような感じもいたします。−方、企業家側からは、内々ならともかく、堂々とこんなことをきめられては企業が成り立たぬという意見が出ているようでありますが、これはもう全然別個の問題だ。企業の生産というものと公害に対する対策とは別個の問題でありまして、これは特に私のほうに零細企業の方々から御意見が十分出ておりまするが、大企業であっても中小企業であっても、零細企業であっても、やはり人命に対する観点は第一に考える。これは次元が違う。そこで、その企業の生産には通産大臣がそのために低利の資金を準備してやるとか、あるいは移転をしなければならない場合には税のいろいろな特典を与えてやるとか、企業の生産については別個に考えるべきであって、企業がならぬからといって公害をおろそかにしていいとか、あるいは少し軽くしていいとかいう問題は、全然別個の問題だ、こういう点ははっきりしていきたい。そういうことで、答申のありましたあれにつきましても、私は答申を大体基準にして、そしてこれを手続的には中央公害対策審議会に一応報告をして、審議を願った上で、公害対策会議にはかって、十月ごろまでにはぜひ告示をしたい、こういうふうに考えております。
  65. 小平芳平

    ○小平芳平君 その七月十五日の答申についてですが、この新聞報道では原案よりも後退となっているが、それはともかく、おそらく大臣のいまいわれた公害対策会議にかけたら閣議決定されることになっているので、さらに後退にならないかというような見通しが出ておりますが、この点についてはやはり企業の側からは、いま大臣が御指摘のような問題が提起されている。しかし厚生大臣としては現在のこの答申をどのように感じておられるか。この新聞では後退と書いてありますけれども……。それから今後、対策会議にかけた場合、さらに後退するのではないかと、新聞がそういうことを書いておりますが、それに対する大臣のお考えはいかがですか。
  66. 園田直

    国務大臣園田直君) 審議会答申について私は批判がましいことを申し上げるつもりはありませんけれども、まあ、われわれの考えておったことよりも少しなまぬるくなったのが正直な心境であります。したがいまして最大限この線を守りたい。そのためには、いま先生から御指摘のあったようないろいろな困難もあると思いまするが、しかしこれ以上やわくされたらもう現時点の問題も、それから将来工場や会社ができる場合も、公害というものはまあまあ世間でうるさくなければという程度でやられた日には、公害がどんどんふえてくるだけでありまして、あと十年もたったらもう対策はないと、私はこのように考えておりますから、きわめて重大な点でありますから、全力を尽くして最大限この線では守り抜きたいというふうに思っております。
  67. 小平芳平

    ○小平芳平君 大臣には、けっこうです。
  68. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 大臣予定のお時間でございます。どうも御苦労さまでございました。
  69. 松澤兼人

    松澤兼人君 先ほど大臣からも、あるいは公害部長からもお話がありました各公害の問題に対する結論でございますが、科学技術庁としましても、先ほど来の御答弁に対しまして、近くたとえば水俣阿賀野川結論を出すということにつきましても、全くいままでのお話のとおりでございますか。その辺をちょっと聞きたい。
  70. 高橋正春

    説明員(高橋正春君) 先ほど厚生大臣からのお答えがございましたが、ことに私からつけ加えまして申し上げることはございませんが、ただ、御了解願いたいことは、私ども各省庁の意見調整という立場に立っておりますので、したがいまして、この当該研究は各省庁の総合研究ということで、厚生省通産省、農林省、経済企画庁、この四省の研究連絡会議という場におきまして、研究の方向その他をとりきめました経緯もございますので、その各省庁の意見調整するということでございます。したがいまして、私どものほうと厚生省という当事者間の話し合いだけではなくて、それをまた、私のほうがそれぞれの御意見関係各省の間にお伝えいたしまして調整をとるという段階を経ておりますので、従来たびたび国会等におきましても御指摘をいただきましたけれども、非常に進度がおくれておりますことを申しわけなく思っておる次第でございます。ただ、先ほど厚生大臣のおっしゃいましたような大体の段階に達しましたので、厚生大臣のおっしゃいましたように、そう遠くない時期におきまして政府の統一見解を出し得ると思っております。以上簡単でございますが、科学技術庁から……。
  71. 松澤兼人

    松澤兼人君 そのとおりだろうと思うのでありますけれども、水の問題だったらやっぱり経済企画庁もありますし、あるいは、たとえば阿賀野川の昭和電工といえば通産省関係していると思うのです。科学技術庁としては科学技術庁立場もあって、自分は何もそんななわ張り争いをしているんじゃないとおっしゃられればそのとおりだと思います。しかし外部——あるいは新聞等で報道されているところを見ると、それぞれやはり何かなわ張り、セクショナリズムというような印象が外部に出てきますので、そこは、もし調整をおやりになる官庁であるとすれば、先ほど大臣からお話しいただいたように、できるだけすみやかな機会に、しかも妥当な結論を出していただけるようにお願いをいたしたいと思います。
  72. 高橋正春

    説明員(高橋正春君) 仰せのとおりいたしたいと思います。
  73. 松澤兼人

    松澤兼人君 もう少し質問させていただきますが、先ほど小平委員のほうから環境基準設定に対する答申について御質問がありました。この問題につきましては、通産省通産省として公害に対する、あるいは工業立地に対する調査会、あるいは委員会というものがあるように聞いておりますが、通産省としてはそういう大気汚染なりあるいは公害防止、そういう立場において環境基準設定に対する生活環境審議会ですかの答申を、まあどのようにごらん——ということは、ちょっとお気の毒な話ですけれども、あなたのほうの立場はあなたのほうの立場で、あると思いますけれども、こういう点について、やはり究極的には各省庁の意見が一致しなければならないと思うので、この問題も遠からずやはり立法の段階に入ってくると思いますが、何か通産省の内部において御意見があるようでしたら、この際承っておきたいと思います。
  74. 矢島嗣郎

    説明員(矢島嗣郎君) 御案内のとおり、ただいまお話厚生省の生活環境審議会の答申というのは、先月の十五日に出されたわけでございまして、この厚生省審議会はいわば事務当局は厚生省だけでございまして、私どものほうは全然関与していないわけなのでございますから、私どもといたしましては先月の十五日になりまして、初めてその結論を承ったような次第でございまして、   〔委員長退席、理事千葉千代世君着席〕 ただいま検討を始めている段階でございまして、本日八月の上旬においては、せっかくの御質問でございますが、まだ省としての意見なり感想なりというものは、ちょっと言えるところまで検討が進んでいないわけであります。いずれまた、もう少し検討が進みまして、また、こういう機会に何らかの考え方を申し上げさせていただきたいと思いますが、ただここで一つ申し上げておきたいことは、これはいずれにしても生活環境審議会にも相当多数——三十数人の委員方、各方面の権威者が集まっておいでになりますし、特に国民の健康保護という観点から、お医者さんその他の関係の方も非常に熱心に討議されたわけですから、これを基本的には尊重いたさなければならぬと思っております。  私どもが検討いたしますと言うのは、これを尊重するとか尊重しないとか、企業の負担が非常に大きいということではなくて、むしろ、実行可能なものであるかどうかということ、せっかく環境基準をきめましても、それが全然実行可能でないということになりますと、これまた問題だろうと思います。たとえば私どもといたしまして一番関心のあるのは、燃料問題でございまして、私ども石油行政をやっておりまして、今回発表になりましたのは亜硫酸ガスの環境基準でございますが、その原因はすべて重油にある。したがいまして、重油のS分——サルファ——というものがどの程度今後下がっていくかということによりまして、この環境基準が完全に実行もできるであろうし、あるいは実行がちょっとおくれるのではないかというようなことも出てくるので、まずもって燃料需要の見通しというものも、さらに一そう環境基準に照らしまして検討いたしたいと思っております。御質問に対して直ちに答えることにならないわけですけれども、一言そのように申し上げさせていただきます。
  75. 松澤兼人

    松澤兼人君 まあ通産省立場としてはそんなことだろうと思います。特に、石油を扱っていらっしゃる通産省としては、硫黄の含有量ということは非常に大きな問題だと思うんです。こういった大気の汚染、あるいは硫黄酸化物というようなものだけを取り上げて、通産省の中の調査会等において議論あるいは研究されたことはございますか。大気汚染の問題、特に硫黄酸化物というような問題を取り上げて、審議会あるいは調査会、あるいは研究会といったようなもので取り上げられたことはございますか。
  76. 矢島嗣郎

    説明員(矢島嗣郎君) 通産省の中ではそういう例はございます。産業構造審議会というのが通産省にございますが、その中にいろいろ部会がございますが、その中で公害部会というものがございまして、その中で、環境基準そのものではございません——当時はまだ環境基準という、そういう概念ができていなかったし、基本法もまだできていないときでございますけれども、環境基準そのものに照らしてはやっておりませんけれども、しかし、いずれにしても、当時から亜硫酸ガス問題というのは相当深刻な問題でございましたものですから、そういう観点から、どういうふうにいくかということを、非常にばく然とではございますが研究した機会はございました。  それからなお、先生先ほどからの御質問で、環境基準の問題を通産省が何か検討するであろう、その際に何か、委員会とか調査会というようなもので研究するのではないかというような御質問が含まれておりましたけれども、先ほども申し上げましたように、先ほど厚生大臣から言われましたように、やはり年内には政府の案をきめなければならぬのでございますから、私どもといたしましては、いまのところは事務的にはいろいろ、さっき言ったような石油需要その他を研究いたしますが、特にそういうものにかけて——せっかく厚生省が生活環境審議会でやったのに対して、その向こうを張って、またほかの審議会にかけてまでやるというところまではまだ考えておりません。
  77. 松澤兼人

    松澤兼人君 これを最後の質問といたしますけれども通産省及び厚生省として、この基準設定に対する答申が出ましてから、いろいろ経済界から、あまりきつ過ぎるとか無理だとかいうようなお話を、新聞等においては拝見しておるわけですけれども——たとえば経団連その他の経済団体なんかから、もう少し緩和してくれというような直接の御要請、意見がございましたか、その点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  78. 武藤き一郎

    説明員武藤崎一郎君) 生活環境審議会の審議の過程におきましても、いわゆる産業についての学識経験のある方の中から、いろいろ先生のいまおっしゃいましたような点につきましては議論があったわけでございますし、それからその後、新聞等を拝見いたしましても、産業側からいろいろこれについてきびし過ぎるというような御意見があるように承っております。ただ私どもといたしましては、このSO2の環境基準につきましては、特に環境基準というものがいわゆる排出規制とか、あるいは最大許容限度とか、あるいは是認限度とか、そういうふうなものではございませんで、いわば大気汚染の状況につきまして健康を保護する観点から維持されることが望ましい一つの行政上の目標を政府として設定する。その目標を設定して、それにつきましていろいろな方法を講じまして、その地域、地域の特性に応じて対策を立てていくというようなことを考えておりますので、そういう点につきましては産業界のいろいろの御意見につきましては、たとえば達成目標の限度をその地域地域において変えていくとか、あるいは方法等もいろいろ考えていくとか、そういうふうなことで、いろいろ御心配の点につきましては十分対処できる、かように考えております。ただ、やはり人の健康を保護するという観点からこの環境基準というものをきめるべきであって、それ以外の要素につきましては、それを達成するためのいろいろの手段によってカバーしていくということが当然であろうかと思います。特に外国では環境基準が日本よりも非常に甘いのだというようなことがいろいろいわれておりますが、外国のいわゆる環境基準といわれておりますものの中には、いわゆる最大許容限度、そこを越しますと直ちに補償義務が生ずるとか、あるいは排出規制に近いような考え方とか、あるいは自動車をストップさせるとか、そういうような強い意味の環境基準的なものがきめられておる国が多々あるわけでございまして、わが国のような、維持されることが望ましい一つの目標としての環境基準というものは外国にはないわけでございます。聞きますところによりますと、やはり日本の環境基準のような考え方に漸次移行すべきであるということは、最近のいろいろな国際機関の会議では唱えられておるようでございまして、そういう点につきましても、私ども考え方がやはり正当に評価されるものと、かように考えております。
  79. 小平芳平

    ○小平芳平君 それでは私、ほんのあと二、三点で終わりますが、一つは環境基準については、これは客観的にきめることが第一だと思うのです。というのは、住民から苦情が出るか出ないかという問題は、この四日市のように、市営住宅がある、そこに全くくっつけて火力発電所ですかができたというような場合、こういう場合と、それから広いところに大工場が建てられる。そこの工場周辺に今度は社宅を建てて、従業員が何百世帯、何千世帯と住んでおるというような場合、そのまた社宅の人たちを対象にした商店街ができるというような場合、違うわけですね。ですから、そういういきさつはそれぞれ違うわけですね、地域によって。しかし環境基準というものは、国民の健康を守り生命を守るという点においては、あとから工場ができようと、先に工場ができようと、そういうこととは関係なく環境基準というものが設定され、それが守られていかなくちゃならない、このように思いますが、よろしいですか。
  80. 武藤き一郎

    説明員武藤崎一郎君) 原則的には先生のおっしゃるとおりでございます。ただ工場なりコンビナートが現にあるところの、すぐわきに住宅地帯を設定するというようなことは、これは行政施策としては不適当なものだろうと私は考えております。そういうことがないようにして、公害を防いでいかなくちゃならない、かように考えております。
  81. 小平芳平

    ○小平芳平君 それも、もちろん現にあるところのことを言ったわけです。で今度は、したがって通産省の工業立地適正化法案ですね、これが工業立地適正化法案を出すからということで、ずいぶんいろいろ政府部内でも意見があったように国会でもしばしば答弁されましたが、今後の問題としては工業立地適正化法案は当然出されるものと一それでまた工業立地の適正化というもののためには、いま厚生省公害部長が言われたように、せっかく工場はここならいい、工場の立地としては適正だと言っておきながら、そばにくっつけて社宅を建てるというような非常識なことは、今後はもう起きることはないと思いますが、こういう点について通産省は、それをそうだというふうに言えますか。
  82. 矢島嗣郎

    説明員(矢島嗣郎君) 結論から申し上げますと、まさに先生のおっしゃるとおりでございます。もう少しふえんして説明いたしますと、通産省の工業立地適正化法案はいまから二年ぐらい前にすでに立案されたわけでございますが、当時は環境基準というものがいかなるものになるか、全然見当がつかないわけでございますが、しかし、環境基準というものを十分に頭に置きまして、許可基準の際はほかにもいろいろございますが、一つとして環境基準を越えないようなものについては許可する、環境基準を越えるようなものについては制限していくというようなことが基本的な思想になっておりまして、現に、先般来各省折衝しておりました法案の中の許可基準の中には、はっきりと環境基準云々ということが明記されております。
  83. 小平芳平

    ○小平芳平君 出ますね、次の国会に。
  84. 矢島嗣郎

    説明員(矢島嗣郎君) 先般、当委員会の大気汚染防止法、騒音規制法の際に、次の国会に出すようにという当委員会の御決議があって、われわれとしてはそれを尊重することにいたしておりますから、次の通常国会には提案できるように努力いたしたいと思います。
  85. 小平芳平

    ○小平芳平君 最後に、これは厚生省にお伺いして終わりたいと思いますが、この今回の亜硫酸ガスの問題ですね、この亜硫酸ガスの問題は四日市の問題がずっといろいろ取り上げられてきておりますが、たとえば名古屋市に柴田というところがあります。この辺には柴田ぜんそくというぜんそく患者が多い。実際、亜硫酸ガス、そういう有毒ガスは四日市よりも名古屋市の南のほうの柴田辺、そういう辺のほうがさらにきついのじゃないかというような、何といいますかね、町の評判といいますか、うわさといいますか、そういうものがあるわけです。ですから、そういうような点について、厚生省として日本全国、全地域を一斉に調査するというようなことは不可能かもしれないですけれども、やはり四日市なら四日市を例にして、それと大体同じような条件の地域というものはそう全国、全地域にあるわけでもないのですから、そうした名古屋市とか川崎市とか、これは前から工場があって、そうした何十年前から公害をまともに受けながら生活してきている人もあるわけですから、そういう点に対する調査の方法ですね。環境基準というものが設定された、それに対して、じゃ全国的にどういう調査をしていかれるか。いま例としてあげたような名古屋市の南部地区などはどういう調査をやるような計画になるのかということを、具体的にわかっておったらお知らせ願いたいと思います。
  86. 武藤き一郎

    説明員武藤崎一郎君) 大気汚染の状況につきましては、数年前から特に私どもは非常に努力しておりまして、ただいまではいろんな測定網をもちろん全国に着々整備しておりまして、そういう点につきましてはまだ完全じゃありませんけれども、相当の努力をしているわけでございまして、絶えずガスあるいは粉じん、そういうものについての毎年の汚染状況がどうなっておるか、あるいは工場、いろんな開発整備地域をやる場合に事前に通産省ともいろいろ調査いたしまして、その地域地域の気象の特有な状況とその地域との関係というようなものも十分調査しているわけでございます。先生御指摘の名古屋の問題、名古屋の南部地域にぜんそくがあるということにつきましては、そういう報道がありまして聞いておりますが、具体的な問題につきましてはよく愛知県当局とも相談いたしまして検討いたしたいと思います。  それから、人間の健康に対しますいろいろの調査につきましては、私ども数年前から大阪、千葉、四日市等につきまして汚染地域と非汚染地域とのいろいろの比較調査等もやっております。
  87. 小平芳平

    ○小平芳平君 名古屋市南部の場合はどういうことですか、県と協力して何かそういうことをやっていらっしゃるか、あるいはまだやっていなくてこれからおやりになるのか、その点だけ一つ。
  88. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) おっしゃいました名古屋市南部の柴田地区という地点に問題があるということは私初めてわかりました。そういう点で一度名古屋市と愛知県等にそういうことがあるのかどうかということをまず照会をいたしてみます。  現在の段階では汚染測定は常時監視網の中で行なっておりますが、南部の柴田地区の汚染についてはどこの測定点のを見るかということはすぐさま地図の上で浮かび上がってまいりませんので、その点につきましては地元の意見を聞いてみてからにいたします。非常に問題点があるとすれば、私どもどういうぐあいに対処するかということは検討いたしてみたいと思いますが、影響調査というのはかなり相当専門的な取り組みをしませんと問題が起こりますので、影響調査をやる場合にはどういうような方法でやるかということにつきましては、私どももかなり、数年経験を積みましたので、問題が起こりました場合にはそのように対応したいと考えております。その地点がだいじょうぶかどうかということは、この環境基準の数字と、ある程度、合わせてみますと採点表が全部でき上がるという形になっておりまして、その採点表によってどの程度よいところか、どの程度悪いところかということはほぼ現在わかる体制になってきております。かなり進んできておりますが、柴田地区については私どもまだ存じておりません。
  89. 千葉千代世

    ○理事(千葉千代世君) 他に御発言もなければ、本日の質疑はこの程度にとどめます。     —————————————
  90. 千葉千代世

    ○理事(千葉千代世君) 次に、請願の審査を行ないます。  第一〇号、交通安全施設等整備関係法期限延長に関する請願外二件の請願を一括して議題といたします。  これらの請願につきましては、委員長及び理事打ち合わせ会におきまして慎重検討いたしました結果、請願第一〇号及び第一四三号は採択することに意見が一致いたしました。  右理事会一致のとおり、この請願は、議院の会議に付するを要するものにして、内閣に送付するを要するものと決定することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 千葉千代世

    ○理事(千葉千代世君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 千葉千代世

    ○理事(千葉千代世君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  93. 千葉千代世

    ○理事(千葉千代世君) 継続調査要求についておはかりいたします。  産業公害及び交通対策樹立に関する調査につきましては、閉会中もなお、調査を継続することとし、本院規則第五十三条により、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  94. 千葉千代世

    ○理事(千葉千代世君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 千葉千代世

    ○理事(千葉千代世君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  96. 千葉千代世

    ○理事(千葉千代世君) 委員派遣承認要求に関する件についておはかりいたします。  産業公害及び交通対策樹立に関する調査のため、閉会中委員派遣を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  97. 千葉千代世

    ○理事(千葉千代世君) 御異議ないと認めます。つきましては、派遣委員の人選、派遣地、派遣期間等は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 千葉千代世

    ○理事(千葉千代世君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、本院規則第百八十条の二により、議長に提出する委員派遣承認要求書の作成等も、便宜委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 千葉千代世

    ○理事(千葉千代世君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二分散会      —————・—————