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1968-08-26 第59回国会 参議院 産業公害及び交通対策特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年八月二十六日(月曜日)    午前十時五十分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         加藤シヅエ君     理 事                 横山 フク君                 千葉千代世君                 松澤 兼人君                 内田 善利君     委 員                 植木 光教君                 大谷 贇雄君                 古池 信三君                 村上 春藏君                 山内 一郎君                 杉原 一雄君                 成瀬 幡治君                 大和 与一君                 小平 芳平君                 田渕 哲也君                 小笠原貞子君    国務大臣        運 輸 大 臣  中曽根康弘君        建 設 大 臣  保利  茂君        国 務 大 臣  田中 龍夫君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君        常任委員会専門        員        吉田善次郎君        常任委員会専門        員        中島  博君    説明員        内閣総理大臣官        房陸上交通安全        調査室長     宮崎 清文君        警察庁交通局長  鈴木 光一君        運輸省自動車局        長        黒住 忠行君        気象庁長官    柴田 淑次君        建設省道路局長  蓑輪健二郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○産業公害及び交通対策樹立に関する調査  (飛騨川バス遭難に関する件)  (バス旅行等安全確保に関する決議の件)     —————————————
  2. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) ただいまから産業公害及び交通対策特別委員会を開会いたします。  産業公害及び交通対策樹立に関する調査を議題とし、飛騨川バス遭難に関する件について調査を行ないます。  ちょっとごあいさつ申し上げます。去る十八日未明、岐阜白川町において観光バス飛騨川に転落遭難した事件により多くのとうとい人命が失われました。本日、本件調査を行なうにあたり、バス転落事故の犠牲となられました方々及びその御遺族に対し、ここに衷心より哀悼の意を表します。  それでは、本件について総理府総務長官から発言を求められておりますので、この際これを許します。
  3. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 今回の飛騨川バス遭難事件に際しまして、多数の方々が不慮の死を遂げられたことにつきましては、心から哀悼の意を表する次第でございます。  なお、その後の救済につきましても、政府といたしましても鋭意努力をいたしておる次第でございます。  ただいまから、その概況につきまして御説明をいたしたいと思います。奥様ジャーナル社及び名鉄観光サービス社の募集いたしました乗鞍登山者バス十五台は、十七日二十二時二十分ごろに犬山に集合いたしまして、目的地に向かいましたが、豪雨のためにモーテル飛騨から引き返しました。十八日午前一時ごろ土砂くずれのために通行不能と相なりまして、国道四十一号線の事故現場に停車中、五号車と六号車の中間に山がけから沢水とともに土砂流出がございまして、これら二台のバス道路に並行して流れております飛騨川に押し流して水没さしたのでございます。  なお、気象関係といたしましては、大雨洪水雷雨注意報が十七日十七時十五分に解除されました後に、二十二時三十分に大雨警報洪水注意報が発表されております。転落いたしましたバスの乗客及び乗務員は百七名と推定されており、うち三名は救出されております。被害者遺体捜索収容につきましては、四百十六名の警察、二百十五名の自衛隊、そのほか消防団海上保安部等が協力いたして行なっており、現在までに御遺体八十三体が収容されております。  次に、政府措置につきまして御説明をいたしますが、まず、政府におきましては、総務長官主宰のもとに関係省庁局長構成員といたします飛騨川バス遭難対策連絡会議を急遽設置いたしまして、第一回会議を十九日午後三時から開催をいたし、情報を交換するとともに、当面御遺体捜索収容に全力をあげることといたしまして、原因の究明、今後の対策等を検討することといたしたのでございます。  また、去る二十日の閣議におきまして、今後の安全確保被害者救済に対しまする対策が検討されました。さらにまた、二十三日には、弘津総務長官を団長といたしまする政府調査団現地に派遣いたしまして、翌二十四日、同調査団報告を中心に第二回の対策連絡会議を開催いたしたのでございます。  次に、被害者救済措置につきましては、自動車損害賠償保障法によります責任保険死亡者一人当たり三百万円、バス会社の契約した任意保険バス一台当たり一千万円及び旅行をあっせんいたしました名鉄観光サービス社の契約しました傷害保険、死者一人当たり五十万円等によります保険金支払いが目下いろいろと考究されております。このうち傷害保険につきましては、支払いに問題はないものとみられますが、責任保険及び任意保険賠償保険でございますので、事故原因調査がまずもって必要であり、政府におきましても、自動車損害賠償保障法等の解釈につきまして、内閣法制局をはじめといたしまして、関係各省担当者によりまする打ち合わせを行ない、被害者救済のため必要な処置がとられますように検討を進めている次第でございます。  以上簡単でございますが、飛騨川バス遭難事故につきましての御説明といたしたいと存じます。
  4. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 松澤兼人

    松澤兼人君 ただいまの総務長官からの報告で、ほぼ概要はわかったわけであります。しかし、政府の各省庁の間における連絡、あるいはまた責任の問題について、ただいまの報告だけでは十分でございませんので、簡単に質問をいたしたいと思います。  まず、建設省でありますが、四十一号国道ということでありまして、名前は国道でございますけれども、しかし、はたして国道と呼べるかどうかという国道認定基準あるいは規格という問題が、あらためてここで取り上げられるのではないか、そのように考えているのでありますが、国道四十一号線というのは建設省の所管する国道のうちにおきまして、どのくらいの規格——点数でいえば六十点とか、あるいは六十五点とかいうような大体の目安がつくのではないかと思いますが、どのくらいの国道であって、百点満点からするならばどことどこに点のつけられないような欠陥があるかという点について、まず第一に御説明をいただきたいと思います。
  6. 蓑輪健二郎

    説明員蓑輪健二郎君) お答えいたします。  現在の国道一般国道ということになっておりますが、これは三、四年前までは一級国道と二級国道に分かれております。この四十一号はそのときに一級国道になっておりまして、一級国道と申しますのは一号から五十七号までございます。そのうちの一つ、四十七号線でございます。これは御承知のように名古屋から北陸の富山に至る——国土をちょうど縦に割ります重要な幹線ということで国道になったという次第でございます。この規格につきましては、現在この道路は三十四年から直轄で改築工事を始めまして、三十八年に改良が終わりまして、四十年に舗装が終わった次第でございます。幅員は二車線国道でございます。七メートルの車道に七十五センチの路肩をつけまして、全幅が八メートル五十センチという構造になっておるわけでございます。この地形からいいまして、一方が飛騨川でございまして、飛騨川のほうには岩盤擁壁その他をかけまして、また山側の山を削ったところには、のり面防護工法——擁壁及びモルタルの吹きつけその他をいたしております。こういう構造からいいますと、現在の二車線道路としてはほとんどまあ最上の構造規格をとっておるものと思っております。今回の災害はちょうどその沢を渡っておりますところで、その沢の上流はるか山の上から大きな土砂くずれがございまして、それが沢を伝わって道路の上のバスを押し出したというようなことでございまして、私たち道路構造そのものは、道路周辺落石とか土砂崩壊、こういうものに非常に気を使ってこの工事をやっておりましたが、こういう山の上のほうから出てまいります土砂流に対しては十分でなかったということはいえると思います。これはやはり道路だけじゃなくて全体の砂防、治山の問題、こういうものとあわせていかないと、こういうような土砂流を防ぐということはなかなか困難だというふうに考えております。
  7. 松澤兼人

    松澤兼人君 この道路重要性といいますか、北陸岐阜名古屋を結ぶ幹線道路であるということはよくわかるわけでございまして、それだけ重要性があるから一級国道として認定されていると思います。しかし、道路環境と申しますか、道路以外の条件というものは、はたしてそれが安全な国道であるということを断定できるかどうか。いろいろ建設省あるいはまた地元建設局等におきましては、道路そのものからくる事故原因道路が悪かったから事故が発生したと、そういうようには考えられないという、かなり自信のある発表をされているようであります。しかし、現実には事故が起こったのであります。道路そのもの崩壊したというわけではなかったかもわかりませんけれども、道路に関連しているがけあるいは山岳の地すべり、こういうようなことがあったわけでございまして、これだけの集中豪雨があれば、ちょっとした土砂どめぐらいをしたところで、このような災害を防ぐことができたかどうかということは、私自身もはっきり断言することはできませんが、要するに他の国道に比べて、そういう点では非常に危険個所が多いという、この事実は建設省としても認めざるを得ないのではないか。道路そのものはよくとも、道路関係する他の条件に不十分なところがあったために、こういう事故が起こったんだということになりますと、道路は舗装してあっていいかもしれませんけれども、しかし、道路から一歩右側なりあるいは左側なりを見れば、一方は断崖で川である、一方はそれこそががたる山であるというような状態で、それに対してただ川沿いに道をつくる、あるいは昔からあった道を舗装したというだけでは、私は国道としての基準あるいは規格、あるいは交通の安全という面からいって十分に安心できる国道であるというふうには断定できないのではないかと思います。この点いかがですか。
  8. 蓑輪健二郎

    説明員蓑輪健二郎君) 美濃の地形は御承知のように非常に山がございまして、やはり山の中の道路といいますと、川もございますし、また山を切ったり、大きな沢を渡ることは道路としては避けられないものだと思います。これに対してどういうような構造にしたら安全であるかということになりますと、やはりある程度の雨量が降っても、すぐ土砂崩壊するようなことであってはいけないと思います。ただやはり、いまの山の中のそういう道路を、どんな雨が降っても、どんな状態でも安全ということは、なかなかこれは構造上できないかと思います。やはり今後こういうものを防ぐには、この道路がどのくらいな雨にもつか、この沢の上流はどうなっておるか、こういうことについて、やはりある程度以上の雨になれば、そこで危険を防止するための交通規制とか、そういうようなものとあわせて、道路を管理していかないと、ただ道路構造だけですべての天候に対して安全ということはなかなか私たちとしてできないと思います。今後やはりそういう危険な個所についてどういう状況が危険であるか、それによって情報連絡をもっと強力に行ないまして、危険が予想されるならば早く交通規制をするということで、交通の安全をはかっていきたいというように考えております。
  9. 松澤兼人

    松澤兼人君 いまの道路局長お話でありますと、もう交通規制をやるよりほかにしかたがないというようにも受け取れるのであります。この道は昔からあった道なんですよ。岐阜のほうから北陸に抜ける徳川時代からあった道なんですけれども、それを単に多少の拡幅をして、あるいはのり面なり道路の両側をしっかりさせるという程度であったと思うのです。安上がりの道路であることは確かである。私が申し上げたいことは、かような危険のあるところを、昔から先祖伝来踏みならした道というだけの道路考え方でなくてですね、危険な個所があるならば、そこを避けてと言いましても、それは私汽車であそこを通ったことはございますけれども、実際に自動車で通ったことはございません。どの程度迂回路をつくるならば道路の安全が保障されるかということはよくわかりませんけれども、しかし、場合によってはトンネルを掘るなり、あるいは迂回路をつくるなりというようなことも考えられるのではないか。これは技術的に私よく知りませんが、少なくともそうすれば金は高くつきます。金は高くつくけれども、先祖伝来道路拡幅しただけで、それで一級国道だというふうな考え方、舗装して一級国道であるという、そういう考え方にはどうも釈然としないものがあるわけでございます。よく山道へ行きますと、国道でありましても「落石注意」という道路標識が立っておりますが、自動車に乗っている者はどうすれば落石注意することができるかということについては、ただそういうところに行けば頭をすくめて、まあ自動車の中で頭をすくめて通るというだけでありまして、落石注意ならば、そこに網を張るとか、あるいはまたコンクリートで固めるとかというような方法をとって、落石はだいじょうぶと思うけれども、それでもなお落石には注意してほしいということならば、これはわかる。しかし削り取ったままにしておいて、そうして石が落ちるかもしれない、雨が降ったら大きな石がころがり出るかもしれない。それは自動車——つまり通行者注意して通ってもらわないと困るというだけでは、私は納得がいかないのであります。すでにこれは、私の知ったことでありますけれども、「落石注意」で実際に落石自動車に当たって運転者が死亡した。これは道路管理上、十分安全な措置が講じてなかったということで、建設省側といいますか、あるいは国側が敗訴になったということもあるわけであります。ですから、ただ運転者に、あるいは通行者落石があるかもしれないから、注意しなさいというだけでは、私には、道路管理者としての——建設省としての、あるいは国としての十分な、適切な注意をしたというふうには考えられません。この時期になりましては、いままで、つまり先祖代々の人たちがかごをしょって、荷物をかついで歩いたというものを、今日国道に認定されるように規格をそろえたというだけでは十分でないので、やはり金がかかっても近代的な道路というものを検討し、また、それを遂行していく必要があるのではないか。——これは将来のことなんですが、あるのではないかというふうに考えるわけなんですが、道路局長としてはどうですか。
  10. 蓑輪健二郎

    説明員蓑輪健二郎君) ただいまのお話路線選定は、昔からの道路じゃなくて、もっといいところもあったのじゃないかという趣旨だと思いますが、実は、あそこについては、路線のときにもいろいろ考えましたが、現道を多少かえたところもございますが、大体は現道沿い拡幅をいたした次第でございます。先ほど言いましたように、やはり雨その他で道路路体がくずれないような川側コンクリート擁壁とか、あるいはまた切り取りをしたところでは、ただ切りっぱなしで岩が落ちることのないように、いろいろのり面防護工法をやっておる次第でございます。またトンネルその他ということになりましても、これは中部の山を全部トンネルというわけにもなかなかいきませんので、やはりトンネルになりますと、これはどうしても沢に顔を出す、あかりの部分が沢に出てくるということになりますと、やはり沢の問題が今度の事故を起こしたケースと同じように出てくるのじゃないかということもございます。ただ、やはりルート選定につきましては、これは日本自体が非常に山の多いところでございます。やはり山の中には比較的岩質が安定している、固い岩盤のところもございますし、また非常な地すべりの地帯もございます。われわれがそういうルート選定のときにやはり一番注意しておりますのは、地すべり地区にいかにして道路を通すかだと思います。地すべりになりますと、今度の事件のような沢に単に出てくるというだけでなくて、山そのものが動いてくるというようなことにもなりかねませんので、地すべり地区道路を通すときには、われわれは路線選定十分注意をいたしております。また、こういう「落石注意」の問題でございますが、これはいまの標識では落石のおそれがあるというようなところには山の絵を書きまして、岩が転々と落ちているような標識を立てております。そのほかに、もっとわかりやすくするために、日本語で「落石注意」というような字を書いております。これは、よく私たち落石注意」という標識を出して何を注意するのだということも聞かれるのでございます。私たちはやはり道路を管理いたします面から、落石についてはできるだけ落石をなくすようなことを、まず考える必要がございます。ただ、網を張ったりしておりましても、やはり大きな落石であると、単に網だけでも防ぎきれない場合もございます。やはり「落石注意」というところは、雨が降ったときにはやはりそれだけ天気のときよりは危険だということもございます。また、そういうところにはできるだけ車をとめないでほしいというような願望もございまして、いまのところ「落石注意」という標識を立てておる次第でございます。実は山に岩が落ちております標識例——落石のおそれありという標識については、これは各国共通標識でございまして、やはり日本だけじゃなくて、各国でもこういうようなものが道路交通の安全のために、ないよりはあったほうがいいということで、こういう標識が採用されているんだと思います。  また、今後の私たちのとりたい態度といたしましては、やはりそういう落石注意をするところ、そういう標識の立っているところの落石をできるだけ防護網を施してなくす、これが大事かと思います。やはりそれには国道のような非常に交通の多いところから山の中の村道までございますが、やはり事故の確率の多い、こういう国道交通量の多いところから重点的に落石防止をやっていきたいというふうに考えております。
  11. 松澤兼人

    松澤兼人君 局長のおっしゃることはよくわかります。これは道路局だけの問題ではないと思います。そういういわゆる鉄砲水がふき出してくるような、あるいはまた全面的に沢がくずれ落ちるというようなことは、地質的にわかるんじゃないかと思う。私はしろうとですからわかりませんけれども。何ミリ以上の雨が降ったらこの沢は水が出てくるぞ、あるいは土砂が流れてくるぞということは、大体見当はつくんじゃないかと思うんです。それは道路行政だけではできない問題であります。砂防でありますとか、他の建設省の所管の局あるいは部課、そういうところと相談をして、これは国道として完成をみたけれども、しかしまあ経験によって、今後もやはりある程度集中豪雨があった場合には、沢の水があふれてくるかもしれない。そういうところは砂防工事建設省としてやるべきではないか。やってもらいたい。ということは、建設省全体の行政の中で連係的に、共同的に取り上げてこそ、「落石注意」ということが実際に生きてくるのではないかと思います。この点につきまして、どうかということ。  それからもう一つは、その当夜はある程度道路パトロールということをされたということが新聞等に伝えられております。その御苦労はまことにわれわれとしましても感謝にたえないところでありますが、これは運輸省にも関係のあることでありますけれども、そういう危険な状態にあるところで道路パトロールをやっておられた。建設省なり、あるいは県の土木部なりその他の人たちが、どのようにしてそこを通行しているバスあるいはトラック、乗用車、そういうものに周知徹底したかということが問題であろうと思うのであります。道路パトロールをやっている現場土木職員、そういう人たちバス通行禁止にする権限があるかどうか、その点はわかりませんが、これは末端はあるいは警察であるかもしれません。どのようにしてそういう危険な状態——前もうしろ土砂くずれをしておるというときに、ほんとうを言うならば、あの飛騨モーテルで先へ行くのをやめて、引き返すという決定をしたときに、朝まで待ってみるとか、あるいは雨のおさまるまで待ってみるとかいう適切な措置が講じられたら、この事故は起こっていなかったかもしれない。その適切な処置をするために、警察なりあるいは道路末端職員が前もうしろも行かれないから、当分はここで待機してほしいという一言の忠告なり警告なりがあれば、それを押し切ってあるいはうしろへ引き返すというようなことがなかったかもしれない。そこが私はこの災害のキーポイントになるのではないか、こう思うのであります。道路局長にはその道路パトロールの現状、それから交通局長には、どの程度末端警察職員が危険に対して把握していたか、またそれを通行する車両に対して注意を与えたか、警告を与えたかということについて承りたいと思います。
  12. 蓑輪健二郎

    説明員蓑輪健二郎君) ただいまのは、こういう事故を防ぐために、いかにして現地状況利用者に知らせるかという問題かと思います。実は十七日には——これは建設省の管理しております——国が管理しております指定区間パトロールにつきましては、大体一日に一往復はするようになっておりますが、特に災害の起こりそうな雨その他の非常のときには、そのつどそのつどパトロールをするように指示してございます。十七日には、十六時に一回美濃加茂から下呂までパトロールいたしました。これは異常ございませんでした。二十二時にさらに第二回目のパトロールを同じ美濃加茂から下呂までいたしまして、これも異常ございませんで、二十二時三十分に美濃加茂出張所に帰っております。二十三時にさらにパトロールを実施したときには白川大洞付近土砂がくずれておりまして、やむを得ず出張所に引き返しておる次第でございます。このようにパトロールをいたしますと同時に、大体二十三時ごろに土砂崩壊連絡がございまして、一応美濃加茂と金山で交通どめの標識を出したのでございますが、そのときにはすでにバスが中に入っておりました。こういうような場合にいかに道路状況利用者バスに伝えるか、これが私たち今後こういう災害を防ぐための一番大きなポイントではないかと思っております。それにはやはりパトロールを強化するということもございますが、さらに警察なり地元消防団の応援も得て、道路状況をできるだけ早くわれわれのほうが知る。それをさらに道路の上を走っておりますドライバーに知らせる。これの方法でございますが、やはり私たち官庁同士連絡も密にする必要がございますが、沿道のモーテルとかガソリンスタンド、これは大体夜は休んでおるところが多いように思いますが、モーテルとかそういうような民間へ、何といいますか、モニターといいますか、そういうようなことを委嘱いたしまして、民間からそういう情報も得るようにし、またそれを民間のそういうモーテルを通じて利用者に知らせるということを、今後情報連絡網の強化ということで至急検討して、実施に移してまいりたいというふうに考えております。
  13. 鈴木光一

    説明員鈴木光一君) 当日の警察措置でございますが、所轄の加茂警察署におきましては、八月十七日の午後十一時五分ごろ管内の白川町下油井地内の国道四十一号線で土砂くずれが発生して交通が危険になったという通報を十一時二十五分ごろ受けまして、隣接の金山警察署と連絡をとりまして、午後十一時三十分ごろバス転落事故現場の約一〇・三キロメートル南のほうの七宗村七宗橋におきまして四十一号線北上禁止の規制を行ないました。金山警察署のほうにおきましては、午後十一時四十分ごろにバス転落事故現場の北約一八・四キロメートルの金山町井尻の三叉路におきまして四十一号線の南進の禁止規制を行ないまして、現場警察官を配置して、規制看板の掲示等を行なってその徹底をはかっておったわけでございます。なおまた、加茂警察署におきましては、この規制と同時に北進する車両を迂回させるために七宗橋から南の二カ所におきまして看板を掲示いたしました。さらに警察官の配置によって迂回指示を行なっておるわけであります。そこで御指摘の被害車両でございますが、これはこの道路規制を行なった当時には、すでにその規制区間の中に入っておりまして、モーテル飛騨というところには二十三時三十五分ごろ到着しております。そこで約三十分くらい協議を行ないまして南下したということになっているわけでありますが、警察官の活動につきましては、このほかにもいろいろ地元の被害も発生しておりまして、それとの関連においていろいろの措置がとられておりますが、当該車両が南下することについての具体的な指示はまだ行なっておらなかったという状況でございます。
  14. 松澤兼人

    松澤兼人君 道路局長、先ほど建設省全体としては土砂どめというようなことを考えてみる必要があるのじゃないかと申し上げましたが、それに対しては御答弁はなかったようですが。
  15. 蓑輪健二郎

    説明員蓑輪健二郎君) 建設省全体としてこういう土砂どめということを考える必要があるのじゃないかということですが、私も全く同感でございます。やはりこの問題は砂防、治山ということになりますと建設省、農林省も入るかと思いますが、やはりこういうような交通量の多い国道の付近の山の土砂防止というのは、これはなかなか道路だけでもできない問題でございますので、やはり建設省及び農林省あわせまして、こういうものをやるべきであるというふうに考えておるわけです。
  16. 松澤兼人

    松澤兼人君 運輸大臣にお聞きしたかったのですが、割り当ての時間が済んでおりますので、ほかの委員の方から御質問されると思いますが、問題は運輸省ならば陸運局の末端なり気象庁の末端、あるいは警察地元駐在所、あるいは建設省ならば県あるいは市町村の土木、こういったように末端については一応機構上筋が通っておったのです。しかし現実には、その末端同士がお互いに協議をするということもなければ、あるいは直接同時電話と申しますか、気象庁なら気象庁がボタンをずっと押せば全部の関係のところに気象の状況が知らされるというような、末端と中央との行政上の指揮命令系統、そういうものが一貫していないというところに非常に末端としては混乱した現象が起こったのではないか。すでにモーテル警察がおり、あるいはまた道路行政を担当しておる県あるいは市町村の土木の係員がおって、運輸省としてはどういうことになるかわかりませんけれども、それらの人たちがそこにいて、この危険な状況では北へ行くことも南へ行くことも不可能であるから、ここでしばらく待機しなさいという相当強い警告なり指示なりを与えておったならば、あるいはこういう災害がなかったと思うのであります。この点につきましては私まことに残念に思いますし、今後各省庁間の連絡及び中央と末端連絡を緊密にする方途をとっていただきたいと思います。一言だけ気象関係について、運輸大臣からその点について御答弁いただければ幸いだと思います。
  17. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 今回の事件はまことに遺憾な事態でございまして、御遺族に対しまして心から哀悼の意を表する次第であります。  ただいま松澤委員から御指摘のありました気象情報末端への浸透及び伝達、そういう問題はまさに御指摘のとおりでございます。管区気象台あるいは府県の測候所からの気象情報末端のドライブインとか、ガソリンスタンドとか、レストランだとか、そういう末端に至るまで周知徹底せしめるようなシステムを、いまつくるべく、さっそく指示いたしまして努力しておる最中でございます。警察官署とか、あるいは鉄道、消防、市町村、そういう部面に対しては従来からあったのでございますけれども、どうもそういう一般の民衆に最も接触する部面に対する努力が足らなかったように思います。その点は御指摘のとおり努力してまいりたいと思います。
  18. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) この部屋は湿度がたいへん高くてお暑いようでございますから、政府側のみなさんもどうぞ上着をお取りくださいまして、おくつろぎください。
  19. 千葉千代世

    千葉千代世君 私は、主として補償の問題とその他の援護対策について伺いたいと思いますが、まず総理府総務長官にお尋ねいたします。  先ほどの御報告の中に、旅行傷害保険の五十万円についてはまず問題がないとおっしゃった。それから任意保険、それから自動車損害賠償保障法、俗に自賠法と言われているようですが、それについては事故原因の究明、これに当たっているからまだ結論が出ていないと、こうおっしゃられたわけです。ところが、これは警察庁と関係があるわけなんですが、岐阜県警と加茂警察署の発表の中に二転、三転している面があるわけです。したがいまして、この問題とかなり微妙な関係があるように思うんです。総理府総務長官は、この事故原因調査中だからと、こういうことをおっしゃったわけなんですね。いまの調査の段階は——県警と連絡をとっておるその段階はどういう段階でございましょうか。
  20. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) ただいまの御質問の詳細な点につきましては、担当官がそのほうの連絡をいたしておりますから、担当官からお答えいたさせます。
  21. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) 本件につきまして自賠責の適用があるかどうかということに関しましては、やはり実態がどうであったかということが非常に微妙な点でございますので、これらの点につきましては、現在警察当局が事故原因調査中でございます。したがいまして、その調査の結果を待ちまして早急に検討して結論を出したい、このように考えております。
  22. 千葉千代世

    千葉千代世君 事故の一番初めには、これは天災であるから、不可抗力であるからということを、こぞって言われたわけです。その後——私新聞で拝見いたしましたそのままを申し上げますけれども、その後、八月二十三日になって岐阜県警と地検は運転手の過失と、こういうふうにおっしゃっております。それから二十五日に加茂署と岐阜県警はバス側に刑事責任はないものと云々、こういうことを発表しておられます。これは民事と刑事の問題でだいぶ自賠法にも影響してくるわけなんです。その点はどのようになっておりますか。警察庁がいらっしゃいましたら警察庁からお答えいただきたいと思います。
  23. 鈴木光一

    説明員鈴木光一君) 警察といたしましては、この事故原因調査につきまして、きわめて慎重に現在調査を進めておる段階でございまして、警察といたしまして不可抗力だとか、あるいは過失がないという発表をしたことはないと思います。この問題は、先ほど来からお話のありますように、事故原因調査ということはきわめて大切な問題でございますし、また慎重に、厳正に、予断をもってやらないという考え方で現在鋭意調査を進めておる段階でございます。
  24. 千葉千代世

    千葉千代世君 してみますと、いまの岐阜県警と加茂署の発表は一つの段階として把握してよろしい、こういうわけなんですか。
  25. 鈴木光一

    説明員鈴木光一君) けさの新聞記事のことについては、私どもまだ確かめておりませんけれども、私どもの指導方針としては、現在の段階でそういう発表をするようなことがないようにということでやっておりますので、おそらく、けさの記事は正式に警察側から発表されたものではないと思います。
  26. 千葉千代世

    千葉千代世君 そうしますと、警察本庁としては、まだ何らそれについては結論もなければ、第一の草案といいますか、話し合いもなかったと、こう解釈してよろしゅうございますか。
  27. 鈴木光一

    説明員鈴木光一君) さように理解しております。
  28. 千葉千代世

    千葉千代世君 そこで、これはどちらの係でしょうか。運輸省かと思いますが、自動車損害賠償保障法というのがございますね、この三条の中に、「自己のために自動車の運行の用に供する者は、」云々というのがございますが、この「運行の用に供する者」というのは、この場合自動車をさすのでしょうか。
  29. 黒住忠行

    説明員(黒住忠行君) 御指摘のように、第三条には「自己のために自動車の運行の用に供する者は、」とあります。このほうは、この場合におきましては岡崎観光会社でございます。
  30. 千葉千代世

    千葉千代世君 自動車そのものじゃなくて観光会社をさすと、こういうわけでございますか。
  31. 黒住忠行

    説明員(黒住忠行君) 「自己のために自動車の運行の用に供する者」、「者」でございます。「者」でございますから、自動車の運行の用に供するのは会社でございます。観光バス会社でございます。すなわち、岡崎観光自動車株式会社でございます。
  32. 千葉千代世

    千葉千代世君 そうしますと、私、端的に申し上げたいのですが、警察の結果待ちだとか、総理府ではあらゆる方面と連絡をとって原因の究明と今後の対策に当たるのが任務だということをさっきおっしゃったわけなんです。で、この自動車賠償法の三条と、それから任意保険の問題とがたいへん関連してくるのですが、私はこの自動車賠償法、これを拡大解釈をして、そうして早急に政府のほうで処置するという方法については、何らお話し合いなさったことがありませんか。
  33. 黒住忠行

    説明員(黒住忠行君) 政府といたしましては、先ほどからいろいろ答弁がございましたように、事故に至りましたところの事実関係はどうなっておるのかということ、事実関係の探究の結果、一つは刑事的責任があるかどうか、一つは民事的責任があるかどうかということが確認されるわけでございます。自動車損害賠償保障法におきましては、民事的に自動車会社におきまして責任があれば、その責任を賠償いたしますために、それをカバーいたしますための強制賠償責任保険というのがこの法律に規定されておるのでございます。したがいまして、事実の関係を探究いたしました結果、どこに責任があるかということが最終的に決定されて、法律を適用するかどうかということが決定されるわけでございます。
  34. 千葉千代世

    千葉千代世君 まだ結論が出ていないそうですから、私もこれは仮定として伺いたいのですが、きのう岐阜県警と加茂署の報ずるところによると、刑事的責任はないようだ、こう書いてある。いまおっしゃった中で民事的責任として処置する云々とおっしゃっている。これは民法の適用になるのでしょうか。これは七百九条ですか。
  35. 黒住忠行

    説明員(黒住忠行君) これは民事的責任を規定しておるわけでございます。わが国の民事責任に関しましては、原則は民法の七百九条でもって規定されておるわけでございます。しかし、この自動車損害賠償保障法の第三条は、民法七百九条に対するこれは例外規定でございます。したがいまして、自動車の運行によりますところの民事責任——賠償責任に関する規定はこの三条 によって行なわれるというわけでございます。
  36. 千葉千代世

    千葉千代世君 そうすると、これは三条の「ただし、自己及び運転者が」云々というただし書きのところになるのでしょうか。
  37. 黒住忠行

    説明員(黒住忠行君) 三条の本文におきましては、自己のために自動車の運行の用に供する者は責任が原則としてあると規定してありますけれども、ここで問題になりますのは、自動車の運行に基因したかどうか、そのほかの原因といいますと、たとえば不可抗力であったかどうかということもあります。それから、先ほどから御指摘のありましたように、道路管理上の問題もあるかと思います。自動車の運行ということにある程度基因した場合におきまして、三条のただし書きによります場合におきましては免責理由になっております。
  38. 千葉千代世

    千葉千代世君 それから、ついでに民法適用の問題ですけれども、七百十一条は全然関係はございませんか。生命侵害に対する慰謝料云々ということで、その中に胎児を含むというのがございます、単に生まれた者だけではなくて。
  39. 黒住忠行

    説明員(黒住忠行君) 損害賠償の原則は、先ほど申し上げましたように第三条で規定しておりますが、この賠償保障法の第四条で「自己のために自動車を運行の用に供する者の損害賠償の責任については、前条の規定によるほか、民法の規定による。」ということでございまして、七百九条につきましては例外規定でございますが、そのほか賠償責任に関します必要な面につきましては民法の規定によるということでございます。
  40. 千葉千代世

    千葉千代世君 これは、私は全くのしろうとでございますので、法律のことはよくわかりませんけれども、あの場合、何はともあれ遭難された方、この方々に対する最大の補償とか、援護対策が打ち立てられるようにという、この基本線で総合連絡会議が持たれていると思うんです。しかも、それが相当早急でなければならないと思うのです。そうすると、法の精神を生かしていくという観点に立って、この自賠法の適用という問題については、何らか——たとえば民事的な責任とか、何かこじつけということばではございませんが、ラジオなんかによると、政治的な配慮云々によって三百万円支払う云々ということがときどき使われるんです。で、私はふっと、あの三百万円を支払うための——しかも三百万円といっても、これは最高限度のように伺っているわけなんです。そのための何か政治的配慮というように受けとられたのですが、それでは私は非常に困るのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。困るというのは、一人の過失云々という面と、たとえ運転手一人であっても、やっぱり一人の人権でございますし、なくなった者については、ましてやそうでございますから、いずれが重い軽いという、人権については変わりがないから、その点は、妥当な、公正な判断ということについてはどのように考えていらっしゃいますか。
  41. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 政治的判断をくだすことはございません。やはり法の厳正な解釈に従って行なうつもりでございます。ただ、自賠法の適用は運輸省が所管をしておりまして、事実関係及び警察当局の責任判断の有無等をしさいに点検してみまして、情状酌量ということも法にはございますから、遺族にはお気の毒な面もございますので、その法の許す範囲内においてできるだけ愛情のこもった考え方を適用しようという用意はございます。しかし、やはり法というものは、これは厳正公平に適用すべきものである、そういうたてまえはくずさないつもりでございます。
  42. 千葉千代世

    千葉千代世君 時間がないようですから、あと二点だけで終わりたいと思いますが、この被害者の中に、孤児になった子供が三人というふうにいわれておりますが、学童、生徒、学生は何人でございましょうか、合計でけっこうです。
  43. 鈴木光一

    説明員鈴木光一君) 警察といたしましては、まだそこまで調査が進んでおりません。
  44. 千葉千代世

    千葉千代世君 きのうの「朝日」ですが、「悲しみ・不安つのる初七日」という中に、住宅の問題、育英資金の問題、ずっとたいへん胸の詰まる問題が出ておりますのですけれども、これで見ますというと、高校に行っていらっしゃるお子さん、大学に行っていらっしゃるお子さん、いまの孤児の問題がありますね。孤児の問題で伺いますけれども、かりに——仮定でございますが、さっきの自賠法の中の最高三百万円、それから任意保険のほうで一時金一千万円ということですが、一人当たりにしたらどのくらいになるかわかりませんが、最高ですから小さい方々に対する認定がどうなっておりますか、いろいろな先例もございましょう。そうした場合に、小さい子供がそれをもらった場合には、児童福祉法の児童手当なんかも、基準生計費を掛けて、そうしてそれで生活するだけの間はこれはくれないように大体法律がなっているようですね、大臣。そうすると、こういう問題なんかも、総合的な対策をしてあげないというと、ただ食いつぶしていくだけの糧になってしまうのじゃないかということを考えますけれど、その点、一点伺います。総合対策ですから総務長官ですね、何でも知っているわけでしょう。
  45. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) ただいまいろいろと御質問のように、まず、いかなる法を適用して、どのように救済するかということも、まだ確定いたしておらないような段階でございまして、またその中に遺児になられる方がどれだけおり、あるいはまた学生さんがどれだけおるかというふうなことも、ただいままだここでは、はなはだ申しわけないことでございますが、即答できなかったような段階でございます。いまのお話のような、その後の事後処置についての、他の法制との関連においての救済措置というものは、いまこちらにありますあれでは——さっそく検討いたさせますけれども、ここでどうも御即答がちょっとできかねるのじゃないかと存じますので、しばらく御猶予をいただきとうございます。
  46. 千葉千代世

    千葉千代世君 それからもう一つは奨学資金の問題ですが、高校のほうでは「授業料やPTA会費は減免するよう県教委に申し込んだ」と、「住居についても、PTAとも相談して、困るようにはさせないつもりだ」、それから奨学資金についても、これは名城大学に行っているようですけれども、「授業料の減免などの点で便宜をはかっていくよう努力する」、こうあるわけです。私は、遺族の方々はほとんど名古屋ですね、これはまた生活の水準もかなり高いところに住んでいらっしゃるし、思いやられるわけなんです。三百万円というお金、それから一千万円を分けたお金、五十万円の中から、これは葬祭費やら医療費やらいろいろなものを差し引いていくと、一体幾ら残るかというお金を、私、計算してみたんですけれども、非常にお困りになると思うのです。そういう中で、学校に行っていらっしゃるお子さん方、この奨学資金は御承知のように普通奨学資金と特別奨学資金があるわけなんです。特別奨学資金は率が高いわけです。大学に行っていらっしゃる方は、自宅から通う場合と、それから寮に入っていらっしゃる場合とで、また違いますけれども。ですから、こういう対策も、一文部省にまかせるとか、一県教委にまかせるのではなくて、やはり総合対策として十分なる御検討をいただいて善処していただきたい。
  47. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) ただいまのような、非常にあとあとまでに思いをいたされました、きめのこまかい御好意に対し、また貴重な御注意をいただきましたことに厚く御礼を申し上げます。ただいまのようなことは、さっそく、そのためにこそ連絡会議が持たれておりますので、先生の御注意等につきまして、各省間で早急に検討いたしまして、できる限りの手厚い処置を講じたい、しかもそれを早急に実施をいたしたい、かように考えております。
  48. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 中曽根運輸大臣にお尋ねいたしますが、何かお昼までというようなこともございましたから端的に伺いますが、いまおっしゃった自賠法適用に対する運輸省の姿勢というものは大体わかりました。そこで、民法なりあるいは自賠法で故意または過失ということがございます。これは警察あるいは検察庁の起訴を前提とされておらない、こういうふうに了解してよろしゅうございましょうか。
  49. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 法の解釈でございますから、専門家の自動車局長に答弁させます。
  50. 黒住忠行

    説明員(黒住忠行君) 先ほども申し上げましたように、一つの事実に対しまして、刑事的責任が問われる場合、そしてまた民事的責任も同時に問われる場合、それから刑事的責任が問われなくて民事的責任が問われる場合、そういうふうにその事故によりまして必ずしも同じでないわけでございまして、刑事責任と民事責任というものは、その場合場合に応じましてその責任が追及せられるわけでございます。
  51. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 自動車局長、少しまわりくどい話はやめて、ここに書いてある民法の七百九条あるいは自賠法の三条であなたのほうが運用されるわけですが、そのときには故意または過失の認定は必ずしも刑事上の責任が問われない場合でもあり得ると解釈されますかと、こう言っておる、運用される場合に。
  52. 黒住忠行

    説明員(黒住忠行君) 刑事責任と民事責任が必ずしも同様でないという前提でございますから、刑事責任がない場合におきましても民事責任があるということが認定されることは、理論上可能でございます。
  53. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 それは当然なことであって、今回の運営にあたっては、したがって刑事責任が追及されなくても、自賠法の適用はある、こういうふうに解釈してよろしゅうございますね。
  54. 黒住忠行

    説明員(黒住忠行君) 刑事責任が追及されるかどうかということは、まだ決定されない段階でございますので、刑事責任が追及されなくても、民事責任が追及されるかどうかという順序にはいかないわけでございまして、事実の関係から見て、両方が追及される場合と、どちらかが追及される——民事責任が追及される場合と、あるいは不可抗力と断定されて追及されない場合があるわけでございまして、現在の段階では刑事責任が追及されなくて民事責任を追及するというふうに申し上げるのは、時期が少し早いのではないかと思います。
  55. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 大臣、やはりあなたに、これは答弁してもらわなければいかぬわけです。不可抗力ということばが一つ出てまいりますが、少なくとも法の運用をされるのは運輸省——大臣の責任なんです。そこで、大臣の姿勢は——非常に遺族が救われる道は、なるほど国家賠償などという道はございます、しかし御案内のとおり、いま高松でありました事件は七年たってまだ係争中なんですね。救われる道はたった一つ、自賠法が適用されるかどうかということなんですね。それに対する最初の御答弁——千葉委員に対する御答弁は非常に遺族に対するあたたかい思いやりのある姿勢であったと喜んでおったわけです。そこで尋ねたいわけですが、必ずしも刑事責任が追及されるという前提に立たずに、民法上の責任はあるのだということ。しかし、それはいま言ったように不可抗力なんということもあり得るでしょう。それは含んでおりますけれども、少なくとも刑事上の責任は追及されなくても、民法上十分考えて法の運用はしていくという方針はよろしゅうございますでしょうか。
  56. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 従来の判例によりますと、民事責任のほうは刑事責任よりも範囲が広くなっております。これは一般論としてそういう判例が成立しておりますので、その具体的な問題にどういうふうにそれが適用されるかということは、今後検討されるべき問題でありますが、そういう可能性がないとは言えないと思っております。ただ自賠法の適用に関しては、「自動車の運行によって」ということばがあるのでございまして、自動車の運行上の問題については自賠法が適用されますけれども、道路管理上の不注意とか過失がもし万一ありとすれば、それは国家賠償法上の問題になりまして、自賠法の問題ではないという面がございます。
  57. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 こちらの話をそらさずに伺いたいと思うのですが、私も刑事責任と民事責任との問題は、疑わしきは罰せずですから、当然民法のほうが範囲が広いということは承知しております。そこで、いままでの事例をいろいろお尋ねしてまいりましたところ、起訴されて無罪になった者に自賠法の適用が実はあるそうです。しかし、起訴されなくて自賠法が適用された、そういう例はどうもないようなのです。そこで私は、非常にあなたたちがこだわってしまって、ことばでは遺族のことをよく考えると言いながら、どうもおかしいほうにいきはしないかということを心配しております。ですから、大臣、これはひとつ一番最初にあなたが言われましたように、あたたかい思いやりのある運営がしていただきたいということを、心からお願いしておきます。大体いろいろなことがございましょうけれども、およそ結論のめどはいつごろ大体出そうでございますか。
  58. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 警察のほうの調べが最終的に終了するのは、あと一週間か十日くらいで内容がわかると聞いております。その警察の調べをよく見た上で、われわれ運輸省としていろいろ協議して態度をきめたいと考えております。
  59. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 それから、これは自動車局長にひとつお尋ねしておきますが、この前の災害対策委員会でいろいろと御質問申し上げて、そしてきょう資料として出てまいりましたのに、四十二年十二月二日自動車局長名で各陸運局長に通達を出されたものがございます。それは、あくまでも年末年始ということが頭にあるわけです。そこで、災害基本法の第四章なり五章に、条文は別として、いろいろございますが、あなたのほうが、いままでいろいろと自動車の運行について、災害防止と申しますか、予見をされるいろいろなことについて通達なさる、あるいはまた、別な省令等に基づいて通達を出されておるものが他にございませんでしょうか。
  60. 黒住忠行

    説明員(黒住忠行君) 基本的には道路運送法に基づきます自動車運送事業等運輸規則という省令がございます。その省令の二十条に「異常気象時等における措置」というのが規定されております。先ほどお話の通達は、昨年の年末に注意をした安全体制の総点検につきまして指示したものでございまして、その重点事項の中に「異常気象及び気象変化を適確に把握するとともに異常気象時における適切な運行指示をすみやかに伝達すること。」というふうに規定されておるわけでございます。
  61. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 いやいや、私が尋ねたいのは、これを見ますと、「年末年始」につき、こう書いてあるわけです。そこで、これは年末年始に限ってしまって一般ではないのじゃないか、こういう気がいたします。したがって、そうではなくて、いまおっしゃる省令等に基づいて、あるいは災害基本法なりあるいは防災計画等に基づいて、バス運行等、三台以上というのですか——一応あなたのほうの旅行関係等に関しては、何かそういうものに対しての指示なり通達というようなものがございましょうかということを聞いておる。同時に、これは「年末年始」という頭がかぶっちゃっているから、一般論にはならないかどうかということも、あわせてお尋ねいたします。
  62. 黒住忠行

    説明員(黒住忠行君) 前段の御質問に対しましては、省令の二十条が基礎でございますが、四十一年の九月に、京都で修学旅行生の事故がありました際に通達を出しております。その中には「運行管理の徹底」というところで、「運行経路に適した車両及び乗務員の選択に留意するとともに、天候及び道路状況等に応じた運行方法について乗務員に対し適切な指示を与えること。」というのがございます。  それから、次の御質問の年末年始につきましては、特に事故が多発するときでございますから注意をしたものでございまして、直接には年末年始の輸送の安全の総点検ということで指示したわけでございます。しかしながら、一般的に年末年始以外におきましても、異常気象等あるいは踏切を通過する場合等は、やはり注意して行なうべきものであるというものであります。
  63. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 黒住局長にいま一つだけ。二十二時三十分の気象状況はキャッチしておらぬということを、この前あなたはおっしゃいました。しかし、二十時の気象情報の問題については、これをキャッチしておるかキャッチしておらぬかは自分はわからぬとおっしゃいましたが、その後どうでございましょうか。
  64. 黒住忠行

    説明員(黒住忠行君) 気象情報をいかにキャッチしたかというような問題は、本件の事実調査につきましてきわめて重要な問題でございますので、これらは総合して警察調査によってお知らせを願うというように考えております。ただ、二十二時三十分の警報につきましては、当時の関係者等が調べ、あるいは陸運局が調査いたしましたことによりまして、一応、二十二時三十分の警報は自動車はキャッチしていなかったというふうに申し上げたわけでございます。したがいまして、警報との関係、あるいは道路規制の消防その他との関係につきましては、警察における調査が進行しておるわけでございます。
  65. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私は、二十時の気象情報はキャッチしていたか、あるいはキャッチしておらないか。目下調査中でわからぬというなら、わからぬ。この二通りしか答えがないわけですが、キャッチしておらなかったのか、あなたのほうがまだ調査中なのか、どちらですか。
  66. 黒住忠行

    説明員(黒住忠行君) その件につきましては、目下のところ確認いたしておりません。
  67. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 運輸大臣、最後ですが、この災害岐阜県側のほうで申しますと、家は流される、そして死亡者が出ておるわけです。こちらのほうではバスの百三名の方がなくなった。バスの百三名の方には自賠法の適用があるというふうに新聞がどんどん報道しておるわけです。ところが、岐阜県側のなくなられた多くの方々は、いま申しましたような、そういうようなことに対して何ら補償というようなことがないということで、アンバランスが非常に出てくると思います。しかも事故発生場所は岐阜県側でございます。そしてバスでなくなられたお方は名古屋のお方——愛知県のお方、こういう地元感情というものを、いろいろそんたくしてまいりますと、非常にデリケートな問題があると思うのですよ。したがいまして、片方では自賠法の適用がされるものと確信をしております。とすると、岐阜県側のほうで災害でなくなられたお方たちに対して、私はやはりいまの災害救助法なり、いろいろなものを持ってまいりますと、なかなか容易ではございません。この前の山梨県のときに森総務長官が一人当たり三十万円の見舞い金を渡したらどうかということをおっしゃいました。しかし、これは言われただけで、から手形に終わっております。このバランスと言っちゃおかしいですけれども、とにかくそういう面がありますから、運輸大臣が法の運用をされる場合には、そのことにこだわって運用を誤られると、たいへんなことになると思います。とともに田中総務長官にお願いしたいのは、そういう立場でございますから、この県民感情と申しましょうか、こういうものも十分そんたくをされて、私は被害者の側に立ってやはり遺族のお方をなぐさめられるというような措置——法はないのだという血も涙もないようなことを言わずに運用を——たとえば岐阜県側においてそういうことを県知事の判断において運用されたら、それに対して、たとえば特別交付税の中でそういうようなことについて十分みるというような運用の妙を発揮されるような運営をしていただきたいということを、心からお願い申し上げるものでございます。それに対する御所見を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  68. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 本件に対処します考え方の問題ですが、これは政府関係者みな同じと存じますが、何とかしてお気の毒な方々を救助しなければならぬという気持ちで一ぱいでございます。ところが、それをいたしますにつきましては、法の適用をしなければならぬ、その法の適用の根拠として思わざる民事——刑事の罪人をつくってもいけないし、何とかうまく措置をしたいものだというのがわれわれの念願で、連絡会議を持っている次第でございます。ただいまのお話のような法の運用の妙を発揮して、そして実現するようにという御希望に対しまして、私どもも、そういうふうなことができるだけ、できるようにいたしたい、こういうふうに考えておりますが、なかなかそのところがむずかしいところでございまして、連絡会議等でみんな鳩首協議いたしておるところでございます。  それから、ただいまのお話地元岐阜県に起こったことでございますが、罹災者の方々に県外の方がたくさんおありだというふうな問題、こういうふうな問題は、たとえばそういうふうなものを特別交付金なんかであとでその県に見ても、これはなかなか実はむずかしい問題がございます。災害の起こった県でないところに相当被害者がいる。たとえば山岳地方の災害で、長野県とか群馬県とか山梨県、こういうふうなところは、そのために非常に大きな負担を地元の町村は負うておりますけれども、同時にその罹災された方々が県民ではなくて、よそのところから来られた方、そういうふうな方に対する救済をどうするかとか、また地元負担をどうするか。これはなかなかむずかしい問題がたくさんふくそういたしておりますので、その点をただいまみんなで協議をいたしておるところでございますが、御趣旨に沿いましてできるだけのことはいたしたいと存じております。
  69. 内田善利

    ○内田善利君 再び自賠法について御質問いたします。警察の結論がまだ出てないようでございますが、あとまだ一週間から十日間もかかるということでございますが、この点については慎重を期せねばなりませんが、犠牲者の立場に立ちまして早急に結論を出して、犠牲者に対する損害補償をしていただきたい。このように思うわけでございますが、警察当局でいまだに結論が出ない理由が知りたいのですが、わかりましたらお願いしたいと思います。
  70. 鈴木光一

    説明員鈴木光一君) 警察調査につきましては、非常に広範囲に調査を進めておりまして、なるべく早く結論を出すように督励はしておりますけれども、やはりこの問題は慎重を期さなきゃいかぬということもありますし、また関係者がいろいろ任意で調査をしておりますので——普通の捜査の場合には強制の形でやれば早く片がつくんでございますけれども、任意でいろいろやっておりますので、他のいろいろな関係者のほかの事情もございまして、なかなか私どもが考えているような時間内に処理できないという面もございます。そういったようないろいろな事情がございまして、なるべく御趣旨のように早く結論を出したいと思っておりますが、現在この段階では早くも今週一ぱいというふうに考えております。
  71. 内田善利

    ○内田善利君 早急にお願いしたいと思いますが、考えられる補償はどういうものがあるか、お教え願いたいと思います。非常に素朴な質問でございますが。
  72. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) 先ほどから申し上げておりますように、原因調査にまだ結論が出ておりませんので、これは全く仮定の問題になるわけでありますが、一つの問題といたしましては、先ほど運輸大臣それから自動車局長がいろいろと答弁されておられますように、自賠責の適用の問題でございます。それからもう一つの問題は、これも仮定の問題でございますが、道路の設置管理にかりに万一瑕疵があったということでありますと、これは国家賠償法の第二条の適用の問題が生じてまいります。大体そういうところではないかと思います。
  73. 内田善利

    ○内田善利君 補償の責任の所在をお聞きしたいと思います。
  74. 宮崎清文

    説明員(宮崎清文君) 自賠責の適用の問題は、これは先ほどから運輸省でるるお答えを申し上げておりますとおり、もしかりに自賠法上の責任ありということになりますと、これは一般の民法の不法行為による責任でございまして、これは自動車運行の用に供している者、それから国家賠償法でございますと、これは国になるわけでございますが、その場合に国と申しましても、実際問題としては道路管理責任を持つ建設省が第一次的な当事者となろうかと思われます。
  75. 内田善利

    ○内田善利君 事故が起こって犠牲者が出なければいろいろ補償の問題等は改良されないという現在の政治のあり方、こういったものについては公明党といたしましては強く政府責任を追及するわけでございますが、自賠法につきましても、一人当たり三百万円を七百万円に引き上げるように強く主張しているわけでございますが、この点についてどのように運輸大臣はお考えであるか、お聞きしたいと思います。
  76. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) その点につきましては、最近の賠償額の推移にかんがみまして、五百万ないし六百万程度に至急に引き上げたいと思いまして、大蔵省当局と目下交渉さしております。
  77. 内田善利

    ○内田善利君 至急ということでございますが、大体いつごろか、めどを……。
  78. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 可能な限り早期に行なおう、ただし、これは保険料の引き上げとか、あるいは保険数理の計算関係というものもございまして、多少時間がかかります。やはり第一には大蔵省の特別会計になっていますから、大蔵省を説得して、大蔵省を賛成させることが第一でありまして、最近大体大蔵省もなびいてきたようであります。そういうふうに手続がセットしましたらできるだけ早期に実施したいと思っております。
  79. 内田善利

    ○内田善利君 話を変えますが、今回の運転手の免許証の問題でございますけれども、新聞の報道するところによりますと、大型トラックの二種の免許証を持った者が——大型バスのベテラン運転手が非常に少ないというそういう関係で、大型二種の免許証を持ったトラック運転手がだいぶ起用されているというような報道がされておりましたが、この点についてお伺いしたいと思います。
  80. 鈴木光一

    説明員鈴木光一君) 免許の種類といたしましては、大型トラックという免許はございませんので、大型の免許、それの第二種ということで職業運転手という形になるわけでございますが、大型の第二種免許という免許を持った者が運転するということでございます。
  81. 内田善利

    ○内田善利君 大型二種の免許を持ったトラックの運転手がバスの運転のほうに回っている、このように報じているわけですが。
  82. 鈴木光一

    説明員鈴木光一君) 大型の第二種免許であれば、バスも運転でき、大型のトラックも運転できるわけでございます。
  83. 内田善利

    ○内田善利君 今回の運転手は、大体どういう免許証を持っておったか、御存じですか。
  84. 鈴木光一

    説明員鈴木光一君) 現地においてそういう面の調査を進めていると思いますが、私の手元にまだ具体的なそういう資料がございませんので、後ほど調べて御連絡申し上げます。
  85. 内田善利

    ○内田善利君 そういった点もやはり警察側の、事故が起こってからきょうは十日目でありますし、あとまだ一週間ないし十日かかるということでありますが、そういった点についてひとつよろしく御指導をお願いしたいと思います。  次に、国道の問題でございますが、当日の国道の管理上の注意、これはどのようになされておったか、お伺いしたいと思います。
  86. 蓑輪健二郎

    説明員蓑輪健二郎君) 先ほどもちょっと申し述べましたけれども、国道につきましては、当日異常な天候のくずれと同時に、まず情報のキャッチとパトロールの強化ということを実施いたしまして、これは情報につきましては二十二時三十分に大雨警報が出まして、これは気象協会から名古屋の中部地方建設局が受けまして、これによって現地岐阜にございます岐阜国道工事事務所を通じて現地美濃加茂道路の維持出張所、さらに金山にあります出張所の詰め所、そういう連絡系統で気象関係情報連絡すると同時に、十七日の十六時からパトロールの強化を実施しております。十六時、二十時、二十三時、さらに十八日に入りまして二時というようにパトロールの強化をして、それに基づきましていろいろ交通規制その他を実施いたした次第であります。
  87. 内田善利

    ○内田善利君 道路の管理の問題ですけれども、雪害等の場合はすぐ警報を出されまして、交通ストップ等の処置がよくなされるわけですが、雨の場合はなかなかそういったことがなされないで、無理をして運転している、そういった傾向が非常に強いわけです。そういった面から現在の国道状況に照らしてみますと、どうしてもそういった注意報などがあった場合には——非常に気象通報が当たっておりますし、そういった警報があった場合には交通をストップするという、そういうことが人命尊重の上から——災害防止の上から必要なんじゃないか、そのように思うわけです。そういった交通ストップがかけられなかったのかどうか、これをお伺いしたいと思います。
  88. 蓑輪健二郎

    説明員蓑輪健二郎君) 道路の管理につきましては、やはり交通の安全と交通の円滑を期するために十分な措置をとらなければならないと思います。今度の例をとってみますと、やはりもう少し早く車をとめておけば、観光バスもあそこに入らなかったのじゃないかということになろうかと思います。その辺の判断の問題でございますが、やはり道路そのものが、車の交通の用に供すると  いうことで、できるだけ道路は不通にしたくない。車を通しておきたいということもございまして、危険が予報されれば当然とめるのでございますが、どの程度の危険が予報されて、どの程度になればとめる、その辺が非常に、ことばでは危険が予報されれば早くとめればいいのではないかということの一言に尽きるのでありますが、現地状況を判断いたしますと、やはり早くからとめて何にもなかったときの非難もございます。やはりこの辺がこれから私たちかなり真剣に検討していかなければならない問題だと思いますが、非常に状況の判断にむずかしさがあろうかと思います。この状況の判断を的確にするには、やはりいまの国道の現況を把握する、情報連絡網をもっと密にする、もっと確実にするということがまず第一ではないかというように考えております。
  89. 内田善利

    ○内田善利君 あの現場近くでは昨年七月と、ことしの三月に同じような自動車事故土砂くずれが起こって、一時交通が麻痺したことがあるわけですが、そういった危険地帯ですから、こういった面を考慮して、今度の場合にはそういった交通規制をすべきではなかったか、このように思うわけですが、いかがでございましょうか。
  90. 蓑輪健二郎

    説明員蓑輪健二郎君) 今度の場合も二十三時以後に交通規制をしております。ただ、なかなかいま言いましたように、土砂がくずれておるのが確認できれば、すぐに交通どめにするということになるのでございますが、何分雨が降り出したのが二十二時に入ってからでございまして、その間にパトロール及び民間のいろいろな情報連絡を受けまして、二十三時以後に交通どめの標識を出したのでございますが、その間にすでに車が入ってしまったという結果、こういうような不幸な事件になったと思います。これを救うには、先ほど言いましたように、やはり今度の場合でも飛騨のモーテルでそういうことが的確にわかれば、観光バスの運転手もそこから引き返すというようなことがなかったのではないかということもございますので、やはり一番車の利用者が利用いたします国道沿いモーテル、そういうところを、私たち、今後の交通規則の標識を出すべき場所にし、かつ、そういうところからいろいろ国道についての連絡を得るように改善をはかってまいりたいというふうに考えております。
  91. 内田善利

    ○内田善利君 建設省にお伺いしたいのですが、国道は一時間五十ミリの降雨に対して耐えられるように設計されておるということですが、五十ミリ程度では今度の災害にいたしましても、非常に甘いのじゃないかと、このように思うわけですが、現状のこの基準でいいかどうか、お伺いしたい。  もう一つは、こういった道路環境の再点検といいますか、これの整備、こういったことについての今後の対策をお伺いしたいと思います。
  92. 蓑輪健二郎

    説明員蓑輪健二郎君) ただいまの国道道路設計の基準が五十ミリを基準にしているというようなお話でございますが、これはこの前の災害対策委員会でもちょっと申し述べましたが、五十ミリというような数字は、われわれの技術の道路構造基準にはございません。ただ、やはり道路は山を削ったり、沢を渡ったりする必要がございますので、沢を渡る場合には、沢からどのくらいの水が出てくるか、そういうことによって、沢を渡る場合の暗渠の大きさ、その他をきめなければなりません。また、切ったところののり面でも、どのくらいの表面水が出てくるか、これによって排水溝その他をきめなければなりませんので、そういうときに大体いままでとられておる数字が、時間雨量五十ミリということでございまして、当然、道路の本体及びその付属物についてはやはり排水をよくするということをまず第一に考えますと、やはり五十ミリ以上のものがあっても、道路そのものは十分耐えるつもりでございます。ただ、今度のように沢の上流土砂崩壊、こういうことで、水だけでなくて、木や岩石や土が一緒に流されてくるということになりますと、こういうような基準だけで暗渠の大きさをきめても、のみ切れないということになろうかと思いますので、やはり今後の問題といたしましては、そういうものを建設省及び農林省も含めまして、全体の砂防事業と一緒に、そういう山の土砂崩壊を防ぐということが必要かと思います。
  93. 内田善利

    ○内田善利君 最後に一言お聞きしたいと思いますが、これは気象庁関係と思いますけれども、海上を航行する船舶に対する気象通報は完備されておるわけです。今回の災害については、山間部を走るバス、トラック等には、そういった気象通報の伝達、そういったことが非常に困難といいますか、むしろバス会社は一斉にこの伝達網からこぼれておる、そういう状況ですが、このことについて、早急にこういったバス会社を伝達網の中に入れる、こういうことについてお伺いしたいと思うのです。
  94. 柴田淑次

    説明員(柴田淑次君) バス会社に対しまして、気象通報の伝達が現在不備であるという御指摘でございますが、そのとおりでございまして、私たちも今後はバス会社のみならず、走行中のバスに対しましても、できるだけ注意報、警報が伝達できるように、何らかの方法がないかということを検討中でございます。ただし、このことにつきましては、気象庁だけではできませんので、たとえばバス会社であれば、それを指導監督されている運輸省自動車局あるいは警察その他のほうに連絡いたしまして、一緒に相談いたしまして、早急に何らかの措置をとり、善処したいと考えております。
  95. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 まず第一に、道路の安全性について御質問いたしたいと思います。  先ほども御答弁の中にありましたように、大体降水量五十ミリというのが一つの排水の基準であるということを言われましたけれども、今回の岐阜県の場合を見ましても、最大降水量一時間百十四ミリということが記録されております。また、日本の気象状況からして五十ミリを越える場合というのはかなりしばしばあるんではないか。したがって、すべての基準を引き上げるということは財政上の問題からして不可能であろうと思いますけれども、特に重要道路についてはもう少し基準を上げる必要があるんではないか。特にこの重要道路といいますのは、まず第一には交通量が非常に多い道路、それから第二には、万が一にも土砂くずれとか、路肩崩壊とかが起こった場合に災害の非常に大きなものが予想される場合、たとえば今回のように谷底へ転落するとか、あるいは高速道路で追突事故等が起こるとか、こういう非常に大きな被害が予想される道路、こういう重要道路についてはもう少しこの基準というものは上げる必要があるんではないか。この点について建設省の御意見をお伺いしたいと思います。
  96. 蓑輪健二郎

    説明員蓑輪健二郎君) 重要道路については道路構造基準を上げるべきではないかということでございますが、私、基準ということより、重要道路は重要道路なりにやはり十分な安全施設を講ずべきだと思います。  ただいまの五十ミリというようなものの基準でございますが、これは非常に結果論になりますが、ではあのとき、あそこの暗渠を百ミリの雨量に耐えるようにしておいてもいまの土砂流ではどうにもならなかったと思います。ただやはり、これからの重要道路については、先ほども申し上げましたように「落石注意」とかいうようなものがないようにしていきたい、そのためには道路の沿道の近くの山、こういうものについてはやはり道路だけじゃなくて、建設省、農林省の砂防、治山、こういうものと一緒に、あわせて安全を期していきたいというふうに考えます。また、道路の付属物については、これは重要道路には当然ガードレール、その他崩壊を防ぐようなことは今後ももっと厳重にやってまいりたいというふうに考えております。
  97. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 確かに今回のような事故の場合は、常に特殊な条件ということが重なりますので、一つ基準を上げたから、すべて防げるということは考えられませんけれども、基準を上げることによってある程度起こり得る被害というものは防げると思います。特に、これから自動車交通というものが増大の傾向にある、非常にこのウエートも高くなってくるだろう、こういう点を考えた場合にこの道路建設基準そのものを抜本的にやはり変える必要がある。そのためにはかなり財政的な裏づけも要ると思いますけれども、やはりそういう道路建設の資金というものをかなりふやしていく必要があるんではないか、こういうふうに考えますけれども、どうでしょうか。
  98. 蓑輪健二郎

    説明員蓑輪健二郎君) ただいま非常に、これも弁解がましくなりますが、国道の四十一号線、これを一つとりましても、道路には国道、市町村道とございますが、キロあたりの建設費としてはかなり高いものをかけてやっております。この改良工事を例にとりましても、約その建設費の一〇%くらいはほとんどこういう防災工事に充てているものと思います。ただやはり、そういうことによって安心もできませんので、今後はやはり交通量の多い、ことに山岳の道路についてはあらゆる手段を尽くして、その防災的な工事を今後もやっていきたいというふうに考えております。
  99. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 次の問題としまして、先ほどから危険の予知、通報に万全を期するということを答弁の中で言われておりますけれども、これはぜひお願いしたいと思います。ただ、この危険の通報だけですべてが解決するとは思われないわけです。今回の場合でも、観光バス事故にあっておるわけですけれども、この観光バスというのはもともと営利事業である。しかも乗客そのものは、年に一回とかあるいは何年に一回とか、数少ないチャンスのレジャーを楽しみに来ている、こういう状況の中で運転手の判断にしても、取りやめれば会社に対して非常に大きな損失を与えることになる、また、乗客にしてもたまのチャンスだから少々無理をしても行きたい。こういう状況にある中で、運転手あるいは乗客の判断は正しい判断ができるとは思われないわけです。またバス会社にしても、営利事業である限り、ある程度無理をしても金もうけがしたい。こういうことが当然考えられますので、ただ単に注意報、警報を出しただけで、こういう種類の事故は防ぎ切れないと思います。そういう意味で通行どめとか、通行制限の措置が必要になってくると思います。今回も交通措置がややおそきに失した、これが一つ原因だと思いますが、先ほどの御答弁のように通行どめというのはそう簡単にできるものではない。現実の問題としては、土砂くずれがあったり、あるいは危険が非常に差し迫った状態で、初めて通行どめが行なわれるのではないか、それで手おくれになる場合が間々あるのではないかと思います。したがって、通行どめの前に通行制限などの措置をとって、特に観光バスのようにレジャーの目的で来て、遊びに来て被害にあうほどばかなことはないんですから、観光バスとか不急なものについては早目に通行制限をする、そういう措置をとってもらったらどうかというふうに考えておりますけれども、これに対して運輸省の見解をただしておきたいと思います。
  100. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 通行制限のほうは、これは道路管理者のほうの仕事でございますが、われわれのほうとしましては、たとえばバス三台以上で旅行するというような場合には、今度は運行管理についてもう少し知識経験の練達な者をつけなさい——バス三台といえば、まあ三百人とか二百人とか、一個中隊ぐらいになるわけだから、軍隊であればもう中尉ぐらいの者がついていかなくちゃならぬ。そういう意味で観光会社の若い人たちが単なる連絡役についていくぐらいでは無責任だ。そういう意味でやはり社会的にも判断力の十分な者をつけるように、これからは会社でも雇うし、もし雇うことがむずかしい場合には警察署長の退職者とか、あるいは自衛隊の退職者なんかを嘱託として、そのつど雇うようにして、安全運行を期するように。要するに状況判断を的確にやって、過失を犯さないようにやらせるということを、この間指示してあります。
  101. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 ちょっと道路局のほうの……。
  102. 蓑輪健二郎

    説明員蓑輪健二郎君) 交通どめということは、むやみにやられたのでは、これは非常に利用者が困ると思います。やはりこれを的確にするには、先ほど言いましたように気象及び道路の沿道の状況がいかに的確に入るか、こういう連絡網、情報を強化する以外にないと思います。実はこの四十一号でも、本日は朝からまた雨が降りまして、きょうの三時から交通どめをしておりますが、こういうことがしょっちゅう起こりますと非常に利用者も困ります。やはりいま言いました情報連絡網の強化とあわせて利用者に迷惑が及ばないような形で交通規制をやってまいりたいというふうに考えております。
  103. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 建設大臣にお伺いしたいと思います。  二十三日の災害特別委員会で建設大臣がこういう発言をされております。こうした事故がすべて人災とすれば世に人災ならざるはない、このように割り切ることはできないと、非常に割り切った発言をされているわけでございます。大臣が今度の事故に対して、これは全く天災だというような考え方に立っていらっしゃるとすれば、今後の対策なりまた犠牲者に対する補償についても、いろいろとそこから問題が出てくるのではないかと、こういう心配がされるわけでございます。特に今度の場合は、非常に一般的な事故の対象になっている人たちが多いわけですから、非常にこの大臣の発言に対して、特に婦人や母親の立場に立ちますと、がく然としたわけです。もしこういう考え方であれば、五十ミリ以上の雨が降った、これは天災だ、まあそういう事故のときにはみんなしかたがないからあきらめてくれと、端的に言えば、こういうふうに私たち言われたような気がいたします。非常に大臣の考え方について私は不安に感じているわけです。そういう発言をされた大臣の心境、そしてまた、いまもやはりそういうふうに考えていらっしゃるのかどうか。その点をまず最初にお伺いしたいと思います。
  104. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 人災か天災かというようなことを、私は割り切ってどうもお答えできないと、こういう心意を申し上げて、いまもそういう気持ちでおります。
  105. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 人災か天災かというような問題は、ある程度人間の能力、人間の技術、そして人間の財政的な裏づけによってそれを人災でなくすることができると、こういうふうに考えるわけです。そうしますと、今度の問題の一番原因は何かというと、これが何から起きたかと、その点をはっきりさせなければならないと思うわけです。今度のいろいろな調査がされますまでもなく、現状を見ますと、保安林というものがわずか二百メートルしかない事実。この原因となったのは、その保安林の上から土砂が流れてきて、それが原因になっているわけです。そういたしますと、その保安林というものに対して、道路を安全に守るという立場で、保安林の問題がなおざりにされていた。いろいろな困難があると思います。しかし、その問題についてなおざりにされていたということは具体的な事実でございます。また、ヒューム管がどんな大きな沢も小さい沢も一律に一メートル二十という、この同一規格でつくられたものが置かれている。しかも、そのヒューム管の管理範囲が、奥行きわずかに二メートル、幅が九メートル、こういう管理も考えなければならないと思うし、また、そこの地質が風化花こう岩というように、非常にもろい地質である。また、台風銀座と言われるような台風通過の道である。しかも、そこが観光ブームで非常に車両も多い、こういうふうなことで、この事故が起きる前からこれは非常に危険だと、こういうことが地元でも、通過する者の中でも言われていたわけです。こういうような状態に置かれているのに対して、建設大臣の責任においていままでこういう問題について何らかの対策を立てられていたのか。また、そういう個所が全国にどういうふうにあると、これに対して指導はどういうふうにしていたか。そういうような大臣の責任において、ここの具体的に非常に危険だったというものについて、どういうふうな立場で指導され、行政的な措置を考えられていたか、そのことをお伺いしたいと思います。
  106. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) この間の実に残念な事故は、だんだんお答え申し上げておりますように、午後十時半に警報が出た。それで、それを受けまして、直ちに美濃加茂、金山の道路管理者に通報して、そして十一時には金山にも美濃加茂にも通行どめの処置をした。私は、三十分もかかっておるじゃないか、五分くらいでできないかというふうなおしかりもあろうかと思いますけれども、しかし非常に的確に、わりに早くその処置はできておるんじゃないか。ただ残念なことには、通行どめをしましたときには美濃加茂—金山の間に五十台からの車がすでに入って通行しておったというところに、今回の非常に残念な事態があるわけです。考えますと、いまお話のように、全国の、特に山岳地帯の道路ないしは土質の非常に脆弱な地帯の道路、そういうところには同様の危険を感じますわけでございます。したがって、必ずしも先ほどからお話のように四十ミリでどうだ、五十ミリでどうだということを一律に言うことはないと思うんですけれども、たとえば四十一号線のごとき、そういう国道はほかにもございますわけでございますから、予想せられる限り、ただいま総点検をやっておりますけれども、そういうところはまあ通行者もおそらく土地不案内の方でなしに、大体御承知の方で、あぶないと予感をされれば通られないわけですけれども、そんなことはとにかく、道路管理者としては、治安当局とも連絡をとりまして、なるべくは——あとから非難を受けることがありましても——何でもなかったじゃないかというようなおしかりを受ける場合があろうかと思いますけれども——なるべく事前に通行どめ等の処置をとらしていただくようにして、事故を防いでまいる。同時にまた、そういう脆弱にして当然処置すべきところにつきましては、あるいは急傾斜の対策事業でありますとか、砂防事業でありますとか、そういうものと関連しまして、全国的にやっていかなければならぬのではないか。そういうふうに考えておるわけでございます。
  107. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 この事故に際しての通行どめとかなんとかいう、この場におけるいろいろの御努力ということは、いまの話でわかったけれども、私がお伺いしたかったのは、先ほど言いましたように、土質の面からも、台風の通過道であるという点からも、非常に危険だということが言われていた。そういうところに対して、この事故が起こったからどうしたというのではなくて、こういう事故が起こらないために、建設省としてはその道路の安全を守るという立場に立って、どういうような指導をされ、どういうような対策をされていたか、全く対策はとれていなかったと言われるのなら、そのお答えでけっこうだと思います。事前にこういう問題についてどうしたかということを伺いたかったのです。
  108. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 各地の道路をお通りになってわかりますように、これはどうかなというところには、相当程度の防災措置は講じておるのでございます。ただ一〇〇%、とにかくどんな場合といえども、どんな大地震がこようとも、どんな大雨がこようとも、びくともするものではないというわけには——実際問題としては限度があろうかと思うわけでございます。
  109. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 相当の措置が講じられていたと、いまおっしゃったわけですけれども、それじゃ、この事故の起こったところは保安林はわずか二百メートルだ、その上は全く私有地となって手がつけられない。そういうところは、当然上のほうから流れると予測されるのです。予測されませんか。それはあとでお伺いしたいと思います。しかし、実際考えても、雨が降ったら上から落ちてくるのはあたりまえで、下から上に上がるわけではないから、一番上がきちんとしてあれば当然これは防げると思う。そういうことはされてない。その個所については砂防指定もしてない。こういうような、していないと私たちは判断するのに、大臣は、いまのお答えでは相当のことがしてあったと、こういうふうにおっしゃるわけですか。
  110. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) いまのその事故個所について申し上げているわけではございません。あなたもおそらく全国の道路をずいぶんごらんになっていると思いますが、危険なところについては相当のやはり防災措置は講じてやっている。のり等の相当金がかかっただろうというところもしておるのを、ごらんいただいていることだと思います。  ただいまの保安林云々の何でございますが、それはこの農林省の砂防でございますが、今日になってみれば、何とか、そこにもやっていただいておったらなという繰り言はないでもございませんけれども、保安林——たまたま保安林指定地区と保安林指定地区のちょうど間で今度の事故を起こしておるというように——その保安林も明治四十一年に指定されておるということを聞いております。いま建設省砂防当局と農林省と相談しまして、あの沢の砂防については農林省でやるか、建設省でやるか、とにかくいま相談をしておるように私は報告を受けております。
  111. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 私たち考えれば、保安林というのは非常にいま大きな問題だと思うのです。明治四十一年かに指定されたということで、そのまま、いままできていたわけですけれども、いまの道路事情というものはそのころとは全く違っているし——ということから考えれば、やはり保安林の問題についても、二百メートルというような、わずかなところではなくて、当然稜線まで保安林としての指定をしていただきたいし、そういう努力があってしかるべきではないか、そういうように考えるわけです。それで具体的に全国的一般の話としては、相当の措置が講じられているとお答えになりましたが、事実としてはこの個所に対しては実際にはされていないわけですね、こういう事故が起こったということから考えてみても。そういうことに対して、建設大臣としての責任でも、こういう危険な個所であるのに何ら——一般的な施策ということは言われていても、具体的に重点的に危険な個所に対する措置というものは非常に怠慢であったと、建設省としての、道路管理者としての大臣の責任というものを、私は追及したいわけなんです。  時間がありませんから——そういうことで、大臣としての責任というものは大いに考えていただきたいと思いますが、次に、この問題について、朝日にも、各新聞にも出ておりましたけれども、現地の行監が調査報告をあげております。非常に具体的に事実をあげているわけですけれども、こういう報告について、大臣は、これは正当なものであると、確かにこういう点が不十分だったというふうに考えていらっしゃるか。この現地の行監の報告についてのお考えを伺わせていただきたいと思います。
  112. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 私は、何にもまだその報告をいただいておりません。
  113. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 報告が出ていないといっても、新聞にも出され、そして非常に私たち自身としても関心を持って、以後こういう事故がないようにと真剣に考えているときに、大臣がこの報告を受けてないと、知らないと、こういう答弁。実に無責任だと思うのですが、そういうことはどういうわけなんでしょうか。
  114. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) それはどういうことですか。
  115. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 これは大体、御存じないしおっしゃるのですか。
  116. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 存じません。
  117. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 現地状況を監察官が報告したというのが出ておりますね、非常に具体的に。これは全然御存じないのですか。
  118. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 私は、それをラジオで聞きましたけれども、正式に報告はどこからも受けておりません。
  119. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それは、正式にお伺いしていらっしゃらないとしても、ラジオでお聞きになったということを、いま言われたわけなんですけれども、私たちでも非常にこれは注目して見たわけですね。こういうような原因で、こういう事故が起こったと、これはもう関係各庁に報告されるわけですね。それを大臣はラジオでお聞きになったと、正式に私のところには報告がきていないと、だからそのままだと、そういうふうな考え方でしょうか。これについて何らか大臣は検討される——当然こういう事故が起きて、百四人の人が死んで、しかもその原因というものは、いろいろなこまかい原因じゃなくて、土砂くずれでああいう事故が起きたわけですよね。そういう事故が起きた場合に、当の責任者である大臣が、この報告も知らなかったと——全くひどい答弁だと思うのですがね。もし御存じなかったら、これを読んでいただきたいと思うのです。全然この内容も御存じないのですか。
  120. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 私は存じません。
  121. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 存じませんとおっしゃられれば、これはちょっと時間がないから読むわけにもいきませんけれども、大体この行監が言っていますことは、砂防指定もされていないし、保安林としてももっと私が言ったように広範囲にすべきであったと、わずか二百メートルだけだったという事実もあげておるわけです。そして具体的に出ておるわけですね。じゃ当然これについて、私は大臣としても考えていらっしゃると、そう思って質問したわけです。まあ大臣が全く第一の責任者であるにもかかわらず、こういうのをラジオで聞いたと、しかし中身を知らないとおっしゃったことについては、私はほんとうに今後考えさせられる問題が明らかになったということで、みんなの前にはっきりさせていきたいと思うわけです。そうしますと、私たちにすれば、ここの行政監察員が現地に行って非常にきちっとした報告をされた。たとえば保安林に対して今後どうするかというような問題や、また砂防設備をどうするというような問題。農林省、建設省関係で非常に困難だと、また財政の関係で困難だとおっしゃると思うのです。しかし、その困難だということで、もうそのまま終わらせられれば、いつでも事故が起こったときには、結果的にはそういうことを言われるわけです。そうすると、保安林をつくるということのために、どういう困難があって、そしてどういうふうにその困難を解決するべく農林省と折衝されているのか。また、私が特に強調したいことは、建設大臣として、道路責任者ということであると同時に、まあ佐藤内閣の閣僚のメンバーでいらっしゃるわけです。そうすると、政府責任として、閣僚の中で農林省と建設省と、また、いろいろ関係各庁と、どういうふうな協力態勢をしいて、こういう事故が再び起きないような、そういう努力をされていたのか。いたら、たいへんけっこうですけれども、いままでそういうようなことを考えていらっしゃったか。もしされていないとすれば、今後日本の国民の生命を守るという、その立場に立って、どういう具体的な努力をされようとするのか、その点について伺いたいと思います。
  122. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 農林省でもさようでございますが、建設省といたしましても、この砂防事業に対しましては、防災的な立場から特に力を入れてやらしていただいておるわけでございます。ただ、全国——何さま狭い国土ではございますけれども、かなり広いところでございますから、周到に、もうどこをさしてもだいじょうぶだというわけにはまいらぬので、とにかく非常に急ぐようなところから砂防事業を大規模に進めさせていただいているのも、そういうところにあることを御了解いただきたいと思います。
  123. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 建設大臣としての立場ではなくて、閣僚の立場で、やはり大きく国の責任において私は考えていただきたいと思うのです。事実、道路はよかったというわけですね、道路は別にへっこんだわけでもない。そうすると、全く土砂の流出によって、この事故が起きたと言えますね。そうすると、やはりここには国の責任というものが当然出てくるのじゃないかと思うのです。それはいろいろと困難なことがあったけれども、やはり人の命というものをほんとうに大切に考えていただく——まあ特に佐藤内閣は人間尊重、愛情のある政治ということを非常に宣伝されております。そういう立場に立って政治をなさるならば、当然こういう事故というものを避けられるべき努力というものができていたはずだと思う。そうすると、この事故というのは、バス会社だとか、何だとかいうような、そのあとの責任ではなくて、根本的に、こういう事故が起きたということに対しては、当然国としての責任が私はあると思うのですけれども、それはどうお考えでしょうか。
  124. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) とにかく災害を引き起こさないように、道路にしましても、河川にしましても、できるだけ災害を起こさないように万全を尽くしてまいるということに国の責任はあると思っております。
  125. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 これからの問題ではなくて、万全の策を当然尽くすべきであった、ところが尽くされていなかった。それには非常に困難な、いろいろな条件があったと思いますけれども、実際には万全の策が尽くされていなかったから事故というものが起きたわけでございましょう。そういう万全の策が講じられていれば、この事故は起きなかった。そうすると、万全の策を講じようと思っても、講じられなかった。そうすれば、そこにやはり責任というものが出てくるわけじゃないでしょうか。国としてやるつもりだったけれども、やれなかった。当然それは国の責任になる、私はこう考えるのですけれども、どうでしょう。
  126. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) まあ日々の交通災害等みなしかりだと思っております。何とか交通災害をなくするように、事故をなくするように、努力の上にも努力を重ねまして、交通一つにしましても、何とかもう少し緩和する方法を講じなければならないということで、あるいは道路計画あるいは治水計画等に万全を尽くしておるところでございます。ぎりぎり一ぱいの努力はいたしております。
  127. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 ぎりぎり一ぱいの努力をされているというのはわかるわけです。努力はしていた、だけれども、事実、この事故が起きたということについては、やはり努力と、それからその結果というものとは次元が違うわけですね。努力はしていた——確かにその努力があったといたしましても、実際にはこういう事故が起きたということは、やはりそれは国の責任ではないでしょうか。努力していたから国の責任ではない、こういうふうにおっしゃるわけですか。
  128. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 責任がないとは申しておらぬのでございますが、何とか事故を起こさないように、災害が起きないように努力をしていくべき責任がある、かように申し上げております。
  129. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 努力をしていく責任というのは、これは申すまでもないことで、いまのおことばで申しますと、この事故についても国の責任は当然ないとは言えない、国の責任があるというふうに、いまお答えになったわけですが、そういうふうに了解して次に進みたいと思います。
  130. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) その責任云々のことにつきましては、この飛騨川バス事故につきまして、どの程度責任があるかということにつきましては、それぞれいま調査が進められているわけでございますから、ここでいま責任があるとか、ないとかいうことを申し上げることは慎みたいと思っております。
  131. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 さっきは責任があるとおっしゃった。今度は前言をひるがえされたようですけれども、バスが行くのを止めればよかったとか、連絡を早くすればよかったというような、そういう責任の問題で調査をするというのじゃなくて、私は根本的にいって、さっき大臣がお認めになったことは、雨が降ってきた、それに対して防雪保安林だとか、いろいろな土砂くずれの防止というようなものも、ここは指定されていなかった。実際に努力されているということはあったとしても、事実ここはされていなかったから、こういう事故が起こったと思う。だから、それは当然、結果としてこういうことを起こしてしまったのだから、努力したとかしないとかは抜きにして、当然国の責任があると、こういうふうに私申し上げて、大臣は責任がないとは言えないと、こうおっしゃったんです。そのところが本質だったと思います。時間が経過しましたので……。先ほどから各委員が言われました補償の問題についても、私は自賠法の適用にしても、被害者の立場に立ってと、この法律の第一条で言われております。とすれば、当然この自賠法の適用についても条文的な解釈ではなくて、当の被害者の立場に立って、特に交通遺児の問題は、千葉委員から言われましたけれども、具体的に考えてほしいと思います。被害者全体の問題——私などのように初めて国会に入りました者には、国の政治を担当する国会の中における皆さんの考え方政府側の考え方というものが、非常に国民から遊離しているということを切に感じるわけです。特に子供たちがこういう突発的な事故でなくなられたということについて、どうしても補償ということを考えていただきたい。その考えてくださいということも、どういう立場に立って考えるかということが問題になると思います。いままでの考え方を伺っていると非常に不安でございますが、それぞれの担当の中で、私たちとしてはどうしても人間的な法の解決をしていただいて——運用をしていただいて、そして被害者の方たちの生活を守り、将来を守るという、そういう立場に立って努力をしていただきたい。このことを切に要望いたしまして終わらしていただきたいと思います。
  132. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 関連して、最後に質問をしたいと思いますが、後ほど予定されております決議案の第三項の中で、道路交通云々というところがあるわけですけれども、この決定に参加するにあたって内容的な問題で、若干建設省の今後の対策なり見通しについて——具体的な個所づけの問題について少し聞いてみたいと思います。  そこで、私がいま言わんとする路線は百五十六号線なんです。百五十六号というのは、四十一号——いま当面しておるところの四十一号と、地理的にもいろいろな諸条件が全く同じな路線です。富山、高岡から岐阜を通じていく道路でありますが、その道路の一部には県にまだ管理を委託されているところがあるわけです。先ほど繰り返し答弁の中に「落石注意」ということばがあるんですが、落石注意という標識日本でも一番たくさん出ているのじゃないかと思います、この区間はもちろん舗装もされていないし、現状はたいへんだと思います。だから、そこはいま定期バスは通っておりません。しかし、観光に最も適したところでございまして、観光バスがかなり通るところです。だから、交通労働者と先般話をしておりましたら、私らはそこへ行けという会社の業務命令が出た場合、ほんとうはいやでいやでしかたがないのだけれども、やむを得ず行くのだという交通労働者の悲痛な訴えを実は受けて、——落石注意ではなくて、たびたび落石するわけです。そういうところで実は、私も町村長などにいろいろ伺ってみると、これはことしあたり、かなり道路が改修とか工事が進められると期待しておったけれども、万国博等のことがあったりして、ことしは予定計画がずれたのだという話を聞いたのですが、ほんとうは信じたくないことなんだけれども、そういう問題があるとすれば、百数名のとうとい命の犠牲に対して、建設省、われわれ自身も、いま道路の問題あるいは運輸の問題等についての教訓を得たわけですから、こういう問題についていま個所づけを特に具体的に申したのは、その意味において危険の一ぱいな個所でございます。だから、ここで運輸、建設関係において、その辺のところはこういう手当てになっているのだから御心配なくというような御答弁をいただければ幸いなんですが、いま申し上げた個所はおわかりだと思いますから具体的には申しませんが、百五十六号のちょうど富山県と岐阜県と通ずるごく局部的なところですけれども、いま申し上げたように、片側は飛騨川のような川ではなくて、もっともっと大きな庄川が流れているところですから、より一そう危険な状態に実はあるのです。その辺のところは建設省関係の皆さんは十分把握されていると思いますが、四十一号と同時にこれに対する年次的な考え方、できればこの教訓を教訓として、計画をもっともっと縮めて、早急な対策をとるというような考え方がいま当面あるのかどうか。そうしたこと等をお聞かせいただいて、県段階で集約したのをいろいろ見ますと、百五十ミリ云々という話がよく先ほどから出ますが、そんなことが起こったらたいへんだ。それは市道、県道、国道にかかわらず、富山県のように雪の多く降るところなどは危険が一ぱいなんだという危機感が富山県下に充満しているわけです。そういった県民に対しての安心といいますか、そうしたものを与えていただくような明確な答弁をいただければ幸いだと思うわけです。
  133. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) ひとつ御理解をいただきたいと思っておりますのは、ただいま道路五カ年計画を六兆六千億という規模で進めているわけでございます。そこで、この間から中部圏の基本計画をつくっていただいて、それによりましても北陸側の強い要望は、北陸—東海の高速自動車道路を早くつくってもらいたいということを強く言われているわけです。私は、ただいま御指摘の百五十六号線がお話のような状態でございますから、まず北陸—東海の連絡路として、まあ今度のような事故が起こっておりますけれども、四十一号線が一つ幹線になっているわけですが、百五十六号線という国道があるわけでございますから、これは、いまあなたがおっしゃいますように、できるだけこのほうを先に整備を急ぐということが大事じゃないか。そうして百五十六号線と四十一号線でもってある程度北陸—東海の連絡路というものが確保できるのじゃないか。もちろん日本海側と太平洋岸の幹線連絡でございますから、高速自動車道の必要を認めますけれども、それよりもまず百五十六号線の整備が大事じゃないかということで、道路局とも話をいたしておるわけでございます。具体的な百五十六号線の整備計画がどうなっておるかは、ひとつ道路局長からお聞き取りをいただきたいと思いますが、私はさような認識の上に立っております。
  134. 蓑輪健二郎

    説明員蓑輪健二郎君) ただいま大臣からお話がありましたように、百五十六号につきましては、これは四十一号と同じように、東海、北陸を結ぶ幹線道路になるべき国道だと思います。そういうことで、この改修については力を注ぎたいと思いますが、何ぶんいまの日本道路の実情を見ますと、やはり交通混雑をしておるところのバイパスみたいなものの必要性もございます。また地方の産業を開発するための県道の問題もございます。その中でやはり百五十六号というものをわれわれは東海、北陸を結ぶ幹線として改修を進めていきたいと考えております。まだいつごろ、これがはっきり改修できるかということになりますと、毎年毎年の道路投資の問題もございまして、明言できないような次第でございます。ただ、いまちょっと先生からお話がありました庄川沿いの問題、私もあそこを、現地を走りまして感じましたのは、一方は庄川、一方は山で、今度四十一号の被害があったところとよく似たようなところでございます。あそこにつきましては、はたしてあそこの線で道路改修したほうがいいのか、もう少し岐阜県からトンネルで砺波のほうに出るルートがいいのか、この辺をいま検討しておる次第でございます。
  135. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 これは災害対策特別委員会ではございませんけれども、一つだけ最後にお聞きしたい。田中長官にお願いします。激甚地の指定をたいへん岐阜県のほうは要望しておいでになりますが、いつごろ大体おやりになるのか、お尋ねしたいと思います。
  136. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 今回のこの災害に対しまして、激甚法の指定の御要望だと存じまするが、御承知のとおりに激甚災の指定というのは相当大きな規模でございませんと指定ができないことになっております。そういう点でわれわれ災害を昔からたびたび受けたものにつきましては相当以前から単行法ができておったわけです。その単行法を全部まとめて激甚災の法制化をいたしましたところが、どうもこの間の十勝の場合におきましても、さらにその前のえびの・吉松の場合にいたしましても、局地的な災害に対して激甚災の指定がなかなかむずかしいのでございます。で、今回のこの災害につきまして、激甚災を指定するということは非常にむずかしいのじゃないかと実は考えられておりますが、その点を御参考までに申し上げておきます。
  137. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 もうあなたのほうで検討されて、むずかしいという結論を出したんですか。
  138. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 今回の災害の被害総額は大体三十七億というふうに一応報告を受けております。で、激甚災の立法趣旨は、この災害を受けました地元の市町村の非常な財政負担に対しましてこれを国が救済するということに相なります。三十七億は被害総額でございますから、この中からさらに公共土木等の場合を抽出しまして、それで補助対象のものをピックアップいたしますと、もっとずっと減ります。そうしますと、激甚災の場合、一般の場合は七百何十億という規格になっておりますし、それから地方的なというのも約二百七十何億という基準になっておりますから、そういう点で非常に——大体公共土木災で考えまして、激甚災の場合が八百五十七億でございますか、そういうふうに何しろ非常に大きな規模に適用するようにできております。これはもちろん対象対象によって、あるいは公共土木の関係とか農地の関係とか、共同利用とか開拓とか、いろいろございます。ございますが、しかし今回の災害の場合におきましては、救助法の適用されましたのが約五ヵ市町村ぐらい。それから、そのほかのいろんな災害の規模を見ましても、非常に激甚災の規格にははまってこないんです。  そこで、私どもが先般いろいろと申しましたのは、どうも日本災害というものが、こんな大災害ばかりが毎年毎年あるわけじゃないんで、むしろ非常に局地的な、しかもそこは面積は小さいけれども惨たんたる被害を受けるようなケースが非常に多いので、これは今後、われわれ災害の頻発地帯のものとしましては、どうも激甚災の規格を直すということよりも、こういうふうな局地災害については、別途災害対策の法制化もしなければならぬのじゃないかということを寄り寄り話をいたしておるような状態でございます。しかし、今回のこの災害に激甚災が直ちに自動的に指定できるということは、これはもう非常にむずかしいと存じます。
  139. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) ほかに御発言もなければ、本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。     —————————————
  140. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) この際、古池委員から発言を求められておりますので、これを許します。
  141. 古池信三

    ○古池信三君 今回の飛騨川における貸し切りバス転落事故は、まことに悲惨のきわみ、道憾にたえないところであります。もちろん政府各機関においては、諸般の対策について努力されているわけでありますけれども、今後このような災害を再び繰り返すことのないよう、万全の措置を講ずるために、政府に対し善処を要望し、当委員会として次のような決議をするよう、各派を代表して提案いたすものであります。その案文を朗読いたします。
  142. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) ほかに御発言もなければ、ただいまの古池委員の提案の決議案の採決をいたします。  本決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  143. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 全会一致でございます。よって本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対して、総務長官、運輸大臣、建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。
  144. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) ただいまの御決議に対しましては、御趣旨を尊重いたしまして、関係各省連絡をとりながら早急に対策を考え、処置いたしたいと存じます。
  145. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) ただいまの御決議につきましては、十分にその御趣旨を尊重いたしまして、実現に努力するつもりでございます。
  146. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) ただいまの御決議の趣旨に沿いまして、今後このような事故が未然に防がれまするよう、十分に、この上とも措置を講ずる覚悟でございます。
  147. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) なお、本決議の字句等の整理につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じます。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  148. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) では、本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十二分散会