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1968-10-08 第59回国会 参議院 災害対策特別委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年十月八日(火曜日)    午後一時十九分開会     —————————————    委員異動  九月十七日     辞任         補欠選任      羽生 三七君     松本 英一君      成瀬 幡治君     前川  旦君  十月五日     辞任         補欠選任      沢田  実君     三木 忠雄君  十月八日     辞任         補欠選任      松本 英一君     成瀬 幡治君      前川  旦君     鶴園 哲夫君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         足鹿  覺君     理 事                 小林  章君                 佐藤  隆君                 武内 五郎君                 塩出 啓典君     委 員                 上田  稔君                 小林 国司君                 田口長治郎君                 中津井 真君                 鶴園 哲夫君                 成瀬 幡治君                 三木 忠雄君                 河田 賢治君    国務大臣        運 輸 大 臣  中曽根康弘君        国 務 大 臣  田中 龍夫君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        総理府特別地域        連絡局参事官   斉藤 清三君        警察庁刑事局長  内海  倫君        警察庁警備局警        備調査官     津田 武徳君        行政管理庁行政        監察局長     諸永  直君        厚生省社会局施        設課長      大和田 潔君        農林大臣官房参        事官       荒勝  巖君        食糧庁業務部長  馬場 二葉君        林野庁長官    片山 正英君        気象庁予報部長  北岡 龍海君        建設省河川局長  坂野 重信君        建設省道路局長  蓑輪健二郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○災害対策樹立に関する調査  (八月中における集中豪雨等による災害対策に  関する件)  (台風十六号による災害対策に関する件)     —————————————
  2. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。去る九月十七日、羽生三七君及び成瀬幡治君が委員辞任され、その補欠として松本英一君及び前川旦君が選任され、十月五日、沢田実君が委員辞任され、その補欠として三木忠雄君が選任されました。また、本日、松本英一君及び前川旦君が委員辞任され、その補欠として成瀬幡治君及び鶴園哲夫君が選任されました。     —————————————
  3. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 本日の理事会の結果について御報告いたします。  本日の議事につきましては、まず前回に引き続き、八月中における集中豪雨等による災害対策に関する件について質疑を行なうことになりました。次に台風十六号による被害状況等について関係各省庁から説明を聴取した後、質疑を行なうことになりましたので、御了承をお願いいたします。     —————————————
  4. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) それでは災害対策樹立に関する調査を議題とし、前回に引き続き八月中における集中豪雨等による災害対策に関する件について調査を行ないます。  まず、飛騨川バス転落事件捜査について警察庁から発言を求められておりますので、これを許します。
  5. 内海倫

    説明員内海倫君) それでは飛騨川におきます観光バス転落事件捜査結果について御報告を申し上げたいと存じます。  去る八月十七日に発生いたしました飛騨川観光バス転落事件につきましては、岐阜警察におきまして詳細な捜査を実施いたしました。本件関係者について、業務過失致死傷事件といたしまして刑事責任の有無を明らかにする、こういう観点から捜査をいたしました。事件発生以来捜査専従員約百名をもちまして、旅行主催者及びバス運転者関係岡崎観光自動車株式会社運行管理関係道路管理関係砂防及び治山関係気象関係最後警察交通規制関係、これらにつきまして関係者約五百名につきまして詳細に事情を聴取いたしますとともに、二十回にわたりましてこの遭難現場の検分を行ない、また学識経験者に対しまして専門的な見解を照会するというふうなことによりまして、慎重に捜査を行ないました。その結果、本件関係者につきまして、業務過失致死傷罪刑事責任を認めることは困難であるとの見解に到達いたしました。詳細はお手元に配付申し上げております資料に記載してあるとおりでございますが、各項目につきまして簡単に説明を申し上げたいと存じます。  まず第一は、旅行主催者及びバス運転関係者につきまして申し上げます。これらのものの措置につきまして、まず出発に至るまで、次は犬山市を出発いたすとき、次は出発直後雷雨の激しくなったとき、それから「モーテル飛騨」において旅行中止を決定したとき、帰路国鉄白川口駅前通過のとき、国鉄白川口駅南方一・五キロの土砂くずれの地点を通過したとき、事故発生の場所に到達した後の各段階ごとにそれぞれ綿密な検討を加え、捜査をいたしましたが、刑事責任を問うべき過失等があったと認めることは困難でございました。  次に、岡崎観光自動車株式会社運行管理関係について申し上げます。これらの運行管理者としての平素における異常気象時の措置についての運転者に対する指導監督状況出発時におきまする指示、指導状況出発後の気象状況の変化に対応する措置等につきましてそれぞれ検討いたしましたが、刑事責任を認めることは困難でございました。  三番目に、道路管理関係について申し上げます。道路の設計、施工及び維持管理道路パトロール及び交通規制、この両面につきまして捜査を行ないましたが、いずれの面につきましてもこれらの関係者刑事責任を認めることはできないと考えられます。  第四、砂防及び治山関係について申し上げます。保安林指定砂防地指定の問題を中心検討をいたしましたが、現場沢付近の過去の実情等から見まして関係者刑事責任を問うべき過失があるとは認められませんでした。  第五に、気象関係について申し上げます。気象通報の発表時期、内容警報伝達適否等について検討を行ないましたが、特に過失があったと認められるような状況はございませんでした。  最後に、警察交通規制関係について申し上げます。警察自身の問題として、警察の行なった交通規制について綿密に検討を加えましたが、これにつきましても過失として認めるべきものはございませんでした。  以上、各項目について簡単に概要を御説明申し上げました。  岐阜警察におきましては、このようにして捜査を終了いたしましたので、書類を作成いたしまして、その捜査結果を岐阜検察庁のほうに送致をする予定で準備を進めております。
  6. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 次に、飛騨川バス転落事故について運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。
  7. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 飛騨川における観光バス転落事故にかかる被害者救済措置について申し上げます。警察当局におきましては、ただいまの御説明のとおり、飛騨川における観光バス転落事件捜査について九月二十六日に発表いたしました。その内容につきましては、事実関係並びに刑事上の責任関係について述べられておりますが、結論としては、本件関係者について業務過失致死傷罪刑事責任を認めることは困難であると述べております。運輸省におきましては、本捜査結果を参考として、自賠法の適用について慎重に検討を進めてまいりました。一週間以内に結論を出すべく関係各省意見も徴して調整を進めていたのでございますが、法律上の問題点等があるため、さらに法務省その他の関係機関調整を行なっている段階であります。しかし、本件事故のような被害者救済については、状況によっては立法措置を講ずる必要があるとも考えられておりますので、この点についても、関係各省との意見調整をあわせて進めております。私の方針といたしましてはでき得べくんば自賠法を端的に適用して救済をいたしたいと、もしそれが困難でむずかしい場合には、自賠法中心にする特例法をつくりまして、できるだけ早い機会国会で御承認をいただいて救済措置を実施したい、この二つの方法を目下考え関係各省との間に調整を行なっておる次第で、できるだけ早い機会結論を出す考え方でおります。  以上、御報告申し上げる次第であります。
  8. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 次に、飛騨川事故について行政管理庁から発言を求められておりますので、これを許します。
  9. 諸永直

    説明員(諸永直君) 飛騨川事故に関する行政管理庁所見につきましては、去る五日付で当委員会に提出した資料のとおりでございますが、詳細はその報告書に譲りまして大要を御報告申し上げます。  第一は、道路後背地等危険個所の総点検を行ない、道路及び治山砂防の各担当部局が相互に密接な連携調整をはかって必要な防護措置防護施設整備することでございます。  第二は、警察道路管理者等関係機関は密接な連携のもとに適切な交通規制を行なうことでございます。  第三は、気象情報の一斉伝達装置整備を促進するとともに、気象通知電報制度への加入促進等気象情報末端への迅速、的確な伝達体制を強化することでございます。  第四は、自動車運行の安全を確保するため、運送事業者等に対する指導監督を強化することなどの対策が必要であるという所見でございます。  行管といたしましては、これに基づきまして関係省庁より具体的な対策についての御回答をまとめました結果、われわれの所見と同趣旨の、しかも非常に具体的な実現性の高い御回答をいただきまして、それらの措置が現に講じられ、または講じられようとしておるのでございますので、今後はこれが真に実効をあげるよう、その励行確保状況について注視をしてまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。
  10. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) これより質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  11. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 運輸大臣運輸委員会との関係があり、二時ごろまでというような理事会等のお話もあるそうでございますので、私はこの際、特別に、もう大臣から先ほど所見、あるいは私の考えというふうに述べられましたことについて、とやかく申し上げることもございませんし、またその考え方を私たちも十分納得ができるものでありますから、大臣のお考えになっておることが一日も早く実現ができると申しますか、実行に移されるよう特に希望を申し上げるわけでございますが、なかなか関係各省庁との意見調整等、むずかしい問題もあるかと思いますが、まあせいぜいいつごろまでですということが、大体無理な話かもしれませんですけれども、迅速、早く、早くといいましてもいつごろを大体目安として仕事を進められておるのか、まずその大体の目安はいつごろかということがお答え願いたいと思います。
  12. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 何月何日というふうに期限を切ることはできませんが、調整状況によりまして時間がかかることになると思うのであります。自賠法を端的に適用できるという結論が出ますれば、これは短時日にまいります。自賠法適用することがきわめて困難であるということになりますと、いまのところは自賠法法律の中で政府の保障事業という項目がございますが、その特例として、飛騨川事件のような異常な事態に対する救済飛騨川事件に限ってこの際は認めるという特例をつくったらどうか、そういう構想を持っておりますので、そういうような法律体系になりますと法務省やら法制局やら大蔵省やら、そういう法律の作業につきまして若干時間がかかることになると思いますが、しかし、この間閣議を開きまして、十月四日に私はこの状況報告しまして、ともかく何らかの方法によって被害者救済しよう、そういう方針はきまっております。したがいまして、ただ方法がいま問題になっているだけでありまして、被害者救済するという方針閣議で決定しておるのでございますから、被害者の方々もその点は御了察をいただきたいと思います。あと立法技術の問題であります。それで、特別に特例法をつくるという場合になりますと、これは国会との関係もございますので、各党の政調関係責任者にも一応御了解をお願いしたほうがスムーズにいくと思いますので、その案ができましたら、そういうようないろいろな諸般の手続を進めてみたいと考えている次第でございます。
  13. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 実は、私は大臣ではなくて、行管が出しました所見に対しまして関係各省のとっておる処置のうち、特に大臣にではなくて、事務当局からの御答弁でけっこうでございます。  「気象情報伝達について」というので運輸省気象庁というふうに分けた書類の中に、終わりから二枚目のところでございますが、この予警報一斉伝達装置整備計画している、四十四年度は十七カ所予算を要求しておる四十五年度は十七カ所を計画しておる、これはいろいろなことがあると思いますが、全国に一体どのくらいのことでこの四十四年あるいは四十五年という、こういう数字が出てきたのか、一体全国的な計画というものはどんなものでございましょうか。またそれに要するところの予算はどのくらいかかるものですか、概算でけっこうでございますからお答え願いたいと思います。
  14. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) たいへん恐縮でございますが、予算編成の基礎にかかる数字につきましては、私はまだよく存じておりませんので、事務当局を呼びますからしばらく御猶予をお願いしたいと思います。——来ていますから、いまお答えいたします。  それじゃ、私はもうよろしゅうございますか。
  15. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 けっこうです。
  16. 北岡龍海

    説明員北岡龍海君) ただいまの予警報一斉伝達装置整備関連いたしまして、気象庁のいま考えておる計画を申し上げます。  四十四年度の予算計画といたしまして、東京管区気象台及び大阪管区気象台の管内全部で十七カ所に対しまして六千二百六十三万一千円の予算を計上しておりますけれども、その後東北管内北海道管内にその次の年度三カ年計画で全国的に完成したいと考えております。
  17. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、この四十四年と四十五年で全国的にまあ大体計画をしておみえになる中央気象台予警報は一斉伝達ができると、こういうことでよろしゅうございますか。
  18. 北岡龍海

    説明員北岡龍海君) そのようなつもりで整備を進めていきたいと思っております。
  19. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それから、モーテルだとかあるいはガソリンスタンドに対する「気象通知電報制度に加入するよう指導する」、これも新しい制度かと思いますが、現にこれはいまやっておりましょうか。
  20. 北岡龍海

    説明員北岡龍海君) いま先生お尋ねは、それを現在やっているかというのは、もうすでにそういうことをやっているか、そういうことを検討しているかという、どっちでございますか。
  21. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 すでに既成事実としてあるのか。
  22. 北岡龍海

    説明員北岡龍海君) 現在はそういうところに通知する制度はございませんし、やっておりません。
  23. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、これはここに「制度」と書いてありますが、「制度に加入するよう指導すること」こう書いてありますが、これからこの制度をつくる、そうしてこれからやるということになるのか、その辺のところをもう少し説明していただきたい。
  24. 北岡龍海

    説明員北岡龍海君) 通知電報式というものは制度としてすでにございまして、これは個人が金さえ払えば、そして地方関係気象台に申請すればできるようになっております。
  25. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これ、もし入る、入らないの問題がございますが、この指導をするところはどこになりましょうか。
  26. 北岡龍海

    説明員北岡龍海君) ちょっと質問が行政的にどこがここに入って、こういう情報をとったらいいということを指導するかということになりますと、ちょっと私にはいまのところ、どこが行政的責任を持っているかということは率直に申し上げられない。気象庁責任といたしましては、一応予警報、特に警報につきましては、法律に定めるところによりまして、必要な官庁に即刻に伝達しなければならないということで、そのほうをやっておりますが、その官庁法律できめましたのは、そこに官庁及び電電公社とか、日本放送協会も入っておりますけれども、それに伝達することによって、必要な予警報はその適当な連絡網によって末端まで伝達し得るものとして法律はきめておるのでございます。
  27. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 行政管理庁としては、一つ所見として、「気象情報伝達について」ということになって、「気象情報末端への迅速、的確な伝達体制の強化につとめること。」こういう所見を出しました。それに対しまして、気象庁だけではなくて、やはり運輸省全体と思いますが、運輸省全体として強力に「指導することとし、関係機関の協力を要請した。」こうなっております。そこで予報部長さんのほうでは、どうも知らぬぞよとこうおっしゃるわけですが、どなたか運輸省なりあるいは気象庁のほうで、しっかりもう打ち合わせをされて、そうして行政管理庁についてこういうことをやりますよという、これは報告書だと思いますから、何かその指導をする責任と申しましょうか、部局と申しましょうか、そういうところがもう明らかにおのずからなっておるというふうに、まあ私としては解釈をしたから質問を申し上げておるんです。
  28. 北岡龍海

    説明員北岡龍海君) 今度の事件の反省といたしまして、われわれのその伝達経路で必要なところには十分伝わるものとして、法律で規定されておりますけれども、それをより利用者に直接できるだけ早く伝達する手段として、モーテル利用とか、それからドライブイン利用ということも考えられたわけでございまして、これらに対して、どのような処置をとらしてやれば最も適切な情報が早く伝達するかという問題については、いま関係部局相談をしておるところでございますが、それを行政的に指導するのは、おそらく気象庁もその一端の何はあると思いますけれども、バス業界その他を指導監督する行政的責任を持っておる運輸省のしかるべき部局もその問題にありましょうし、あるいはモーテルドライブインというものは私は行政的によく知りませんけれども、どこかの都道府県の許可を得て、そういうところにやるといたしますと、都道府県その他の行政指導というようなこともあろうかというような感じがいたしますが、そこらの関係する官庁の間で相談をしながら行政指導をしなくちゃならないのではないかと、これはいまのところ個人的な意見で申しわけないんでございますが、そのような感じを持っております。
  29. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これはこの程度にいたしまして、私は行政管理庁お尋ねいたしたいわけですが、十月五日に発表されました「飛騨川事件について」というこの所見なんですが、いままでに行政管理庁として、しばしばいろいろな災害があったわけでございますが、いままでにこういうような所見を発表されたことがございましょうか。
  30. 諸永直

    説明員(諸永直君) 最近においては、この飛騨川事故だけでございますけれども、たとえば狩野川台風後も行政監察をいたしました。それから伊勢湾台風につきましては応急措置が進みましたあと、これも非常に大きな総合的な行政監察を実施いたしました。それぞれ関係省庁に対しまして改善措置勧告をいたしました。
  31. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 行政管理庁として勧告をされ、いろいろなことをされた、そうしてそれが十分やられてきた、効果を非常にあげている、こういうふうに考えおいでになりますか。なかなか関係各庁なわ張りの問題もございましょうし、予算等の問題もございまして、いろいろな問題があると思いますが、総括してあなたのほうとしてはどういう所見を持っておいでになりますか、あなたのほうの勧告をしたことについて、実施面についての所見はどうですか。
  32. 諸永直

    説明員(諸永直君) 災害関係だけに限りませんで、全般的な勧告実現状況と申しますか、いまここに具体的な詳細なデータを持っておりませんけれども、過去十年ぐらいの勧告に対する各省措置状況を当庁で調査しました結果は、改善率が大体八〇%は平均あります。一部改善を含めますと、もっと高い率になります。ただ災害関係は非常に各省関連がございまして非常に広い分野の行政改善を要しますので、災害関係だけにつきましてどういう改善率になっておりますかは資料を持ち合わせておりませんので、あとで御報告申し上げます。
  33. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 繰り返してはならない災害に対しまして、もちろん関係官庁努力をされますが、行政管理庁としてもその責任等をいろいろ御調査になり、そうして所見あるいは勧告等をしてお見えになる。せっかく出された勧告がいいぐあいにやられておるか、あるいはまたやられていないとするならば、そのネックはどこにあるのか御調査を願い、さらにそのネックに対して勧告が行なわれるというような努力のほどをお願いしておきたいと思います。  そこで、私は続いて林野庁お尋ねを申し上げたいわけですが、いままでの予防治山計画というものが道路対象からはずしておったのです。すべてが多数の人家のあるところ、あるいは公共施設対象にしておって、予防治山というものはやらなかった。これは何か特別な理由がございましょうか。
  34. 片山正英

    説明員片山正英君) 林野庁といたしまして、治山対策というのをやっておりますが、これは一つは大きな意味において復旧治山中心でございます。しかし復旧治山以外に、先ほど先生指摘予防治山を取り上げて実施しておるわけでございますが、予防治山につきましては、われわれとしては、まず人家あるいは公共施設、そういうものを中心にして予防治山を重点としてやってまいったことは御指摘のとおりでございます。しかし道路につきましても、全然度外視したという意味ではございませんが、道路相当部分につきましてございますので、やはり復旧、崩壊、そういうものをまず中心においてやってまいったという実態でございます。
  35. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 まあ予算関係等いろいろなことがあって、なかなか手が回らなかったり、あるいはたいへんなことだ、そういうことはよくわかりますが、一つ道路関係のあれをやった場合に、河川と違いまして、河川砂防じゃなくて、道路砂防というものがございましょうか、私はよくわかりませんですけれども。建設省道路関係で、すぐ道路になっているところを砂防することがございましょうか。
  36. 片山正英

    説明員片山正英君) これは一つの山を保全する場合に、建設省砂防関係、私どもの治山関係がございます。しかし、これは山腹中心として保全をはかるというのは林野庁所管としてやっております。渓流中心として保全をはかるというものは建設省の御所管になっております。したがいまして、これらの関連につきましては、両通達もいたしておりますし、各省とも取りきめもございまして、円滑な運営のための協議会というものを設置しております。そういうような形で、相関連してこれを保全をはかっていくという形で進めておる次第であります。
  37. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 非常にあなたは円滑にいっておると、こうおっしゃいますが、実際円滑でしょうか。自信がおありですか、あなた。
  38. 片山正英

    説明員片山正英君) 先ほど申し上げましたように、山腹を主とするものを林野庁、それから渓流を主とするものを建設省ということで、昭和三年の閣議決定をいたしておるわけでございます。さらに昭和三十八年には、河川局長林野庁長官両名をもって共同通達によってその運営を円滑にするというための中央並びに地方の連絡会議というものを設置いたしておりまして、具体的には、県におきましても、所管課と十分連絡の上に現在実施しておる次第でございます。われわれとしましては、そのような会議を通じて円滑に進めておるわけでございますが、ただいま申しました道路との関連ということについては、今後十分——少し不十分な点もあったように存じますので、道路管理者との連絡をさらに密にいたしまして、これらの連絡は万全を期してまいりたい、かように思う次第であります。
  39. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私は最近の道路建設と申しますか、急速に確かに行なわれております。そしてまたそれだけの開発が建設があるわけでございますから、危険な個所というものはたくさんふえておる。したがって、いままでやってまいりました、たとえばあなたのほうの治山砂防、あるいは建設省がやってまいりました河川砂防等ではとても手が回らなくて、こういう新しい観点と申しますと、道路が建設されたことによって、治山砂防というようなことは真剣に考えていかなくちゃならないのじゃないか。その場合、ここはどうも道路のふちなんだから、建設省山腹砂防ですね、それがあなたのほうの守備範囲になっていくようになるのか、あるいは渓流がそばにあるのだからこれはやはり建設省だ、こういうようななわ張り争いにならずに、河川から上は何メートルまでは建設省で、ここからは林野庁だと、こういうような、ぴしっと何か基準になるようなものがございましょうか。
  40. 片山正英

    説明員片山正英君) 一つ道路保全でございますが、これは何と申しましても工事を実施する場合に、十分連絡をとる必要があると思いますが、ただ考え方といたしましては、道路に直接被害をもたらすというようなもの、あるいは道路保全上直接必要なものというようなものにつきましては、道路のふちということに相なろうかと思いますので、これは道路事業との関連において建設省にやはり御計画をいただく。われわれはその上部について、それらが被害を及ぼさないように、そういうものについて治山その他保安等の行政措置もあわせてやってまいるということで、十分連絡を密にしてこれをはかってまいる、かように考えております。
  41. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 昭和三年からですか、何か閣議決定がある。それから通達が出たとおっしゃるが、私はそれはそれで、こうしなければならないほどいろいろ問題があったからそういうことをされていると、実はこれは悪く解釈するようで悪いかもしれませんけれども、しかし現実に建設省と農林省が治山砂防等をやっていることは承知している。これがほんとうに実効をあげないでは、この二つが仕事をやるためにその害が思わないところに出てはたいへんなことである。むしろ二つに分かれて砂防をやられることが効果が上がるようなふうにならなければならんと思っております。したがってそのために、ここにも書いてございますけれども、連絡調整会議等を設けてやるのだ、効果を上げているのだよと、こうおっしゃいますが、まあ何にいたしましても、道路の建設等が非常に急速に行なわれる。砂防がそれに追っつかなくなる。その悪い面がこういうところに一つあらわれている。私はそういうふうにとるのですが、ですから、総点検等をおやりになってずっとやるのだ、こういうことになっているようでございますから、ひとつここに報告されている措置が完全に行なえるよう、しかも調査等はやったけれども、今度これを実行に移すということになると、予算段階でたいへん御苦労なことがあるだろうと思います。とすれば、ここは非常に危険な個所なんだ、しかし、ことしはやれない、来年はやれるかもしれない、あるいは再来年になるかもしれない、そうふうな個所が出てくると思いますが、そういうふうな個所については建設省なり林野庁等で御連絡をとられて、そういうような場所については、これは危険な場所だよという表示等はおやりになるのかどうか。どういう計画を、ここは直さなくちゃならん、しかし金がないから、予算がないからやれないのだ、こういう個所が何個所か出てくるのじゃないかと思います。そういうふうなことに対してはどういう措置をしておるのか、承りたい。
  42. 片山正英

    説明員片山正英君) なかなかむずかしい問題でございますが、われわれといたしまして、ただいま申しました人家等の危険個所というものも調査いたしておりますが、道路関係、非常に膨大な延長になりますが、道路関係についても今後十分道路管理者等の連絡をとりまして、どこがあぶない個所であるか、どこが予防治山をせざるを得ない個所であるかというものもあわせて、関係機関、県等も通しまして調査して、点検してまいりたい、かように思う次第でございます。ただ、先生おっしゃいました、ここが危険個所であるというような表示の問題につきましては、まあ今後の検討をさしていただきたい、かように申し上げておきます。
  43. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私は無理な話をしようと思いませんが、このことについては建設省のほうではどうお考えになっておるのか。建設省の方からお答えを願いたい。
  44. 蓑輪健二郎

    説明員蓑輪健二郎君) ただいまのお話の、やはり山の中の道路も相当ございます。これについてどんな雨でも災害のないような道路をつくることが、これは一番われわれがやらなければならぬ仕事かと思います、予算上の制約もございまして……。ここが非常に危険で、まだいろいろ手当ができていなくて危険だという個所につきましては、これはできるだけ私のほうでそういう個所を明示したいと思います。これは道路の標識にそういう標識がございませんが、まあいわば、落石防止というのも、これはまだやはり十分でない。私どもだから利用者については、御注意願いたいという趣旨と同じように、やはりこの砂防については十分今後やらなければ安全じゃないというようなところについては、道路管理のほうからいろいろ利用者にわかるような標識に類するようなものを今後もやっていきたいと思います。
  45. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 あなたのほうの四ページのここに出ております過去の災害に関する資料、「特に降雨量を対象交通規制基準を個所ごとに作成する適切な交通規制を行なうよう指示をし、」これはいろいろないま申しましたような一つの例としてそういうものを書いておるのか。それからこれの個所ごとにということになると、たいへんなことだと実は思っておりますが、いつごろまでにこんなようなものを作業というものはできるのか。たとえば、国道四十一号線にとりましても、ほんとうにたくさんあるのですから、なかなかほんとうにこういうことができるものかどうか。私ども文章としては非常にわかります。しかし、実際やろうとしたら並みたいていのものじゃないと思います。こういうふうな調査をするために予算ということはたいへんなものだと思います。人もたいへんなことだと思いますが、実際やろうとすると。どんなふうにしておやりになるのか。たとえば、何カ年計画でおやりになるのか。実施計画はどんなふうに考えておりますか。
  46. 蓑輪健二郎

    説明員蓑輪健二郎君) ただいま先生の言われましたように、全国の至るところの山間の道路についてやるということは容易じゃないと思います。しかし、まず直轄で管理しておりますいわゆる一級国道の指定区間につきましては、これは交通量も多いことだし、ほかの県道の、山の中の道路と比べますと、やはりそういうものによって利用者に被害を及ぼす危険率が非常に高いところでございます。そういうところにつきまして、できるだけどのくらいの危険性があって、それを防ぐためには、どういう工事をしなければいかぬか、そういうことをきめるために現在直轄のほうで、県もそれをある程度やると思いますが、まず危険の個所のABCぐらいに分けまして、非常にこれは危険だから早く手当をしなければならない、ここはその次、こういうような順序をつけまして、そういうような危険個所調整というようなものを行なっております。これも非常に時間がかかるようなものだと、その対策が延びるというようなこともございまして、十月一ぱいまでにはそういうような危険個所の総点検の計画をうちのほうで集計をいたしまして、まず危険なところには来年度どうするか、ことしの予算の流用あたりでどうするか、こういうことをきめていきたいということと、やはりこれには先ほどのお話もありましたように、道路局だけでできないようなものは、危険の個所について林野庁のほうへお願いをするというようなことも今後積極的に進めていきたいというふうに考えております。ただいま先生のおっしゃいました、まず全国の危険個所を全部洗い直すということは容易でないと思いますが、まず、とりあえず非常に危険性の多いところ、それが地形上危険性の多いところ、やはり交通量からいってそういう危険性の多いところ、こういうところをまず手当をしていきたいというふうに考えております。
  47. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私が質問を申し上げている趣旨はせっかくいろいろなことばが出てくるわけです。ところが金と人に縛られて結局大事故があったときには、こういうようなことばが言われたり、あるいはこういう計画が立てられますけれども、実行そのものがなかなか容易じゃないじゃないか。だから今度はそういうことじゃなくて、ほんとうに何カ年間のうちにはこういう場所を洗い直してほんとうに交通規制の基準を各所に設けて、それがある程度公開をされて道路を通る人たちがそれを見ていろいろ対処していくことになるその姿が好ましい、またそのことをぜひやってもらいたい、ところがなかなか、ことばはあっても、実際できはしないじゃないかということを実際心配して質問しているわけです。ほんとうにやれましょうか。
  48. 蓑輪健二郎

    説明員蓑輪健二郎君) ただいまの先生のおっしゃいますように、非常にこれは県道、市町村道入れますと容易でない仕事だと思います。まず、国道の交通量の多いところ、こういうところについては、もう、ことしじゅうにいろいろ警察その他と協議してどのぐらいの雨があったら、ここは危険だから交通規制をするという個所は数日中にはっきりまとめたいと思います。ただ、これが県道になり、市町村道になりますと、県道についてはまず県道の中の重要な県道からまずこれをやりたいというふうに考えております。  これを全部の道路について及ぼすには、ちょっといまはっきりした期限を言えない状況でございます。非常に国道及び県道の危険な主要な県道については、ことしじゅうに、こういう許可基準をきめていきたいというふうに考えております。
  49. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 あと情報センターとか情報モニターあるいは情報センターの設置は来年度予算に要求している、これはどういうような構想で、そうしてどのくらいのものを要求しておみえになるのか。
  50. 蓑輪健二郎

    説明員蓑輪健二郎君) 道路センター、情報センターにつきましては、まずこれを全国に及ぼしたいと思っておりますが、まず明年度は地方建設局の道路部の管理課を中心としてここの道路センターを設けたい、そのために地方建設局の道路部の定員増を要求しております。いま何人の定員増か、ちょっと私資料を持ち合わしておりませんが、それとやはり情報の収集のための地建の事務所にありますパトロール車、こういうものの無線の強化をはかっていきたいというふうに考えております。
  51. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  52. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 速記を始めて。
  53. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 総務長官、私は特別のことはございませんが、ひとことだけでございますが、過半の当委員会における御答弁で激甚指定規準のAB、二項ありますけれども、それではとてもむずかしいじゃないかといったら新しい第三項としてC項というものを検討しているのだというようなお話がございましたが、これは非常にいいことだと思います。特にこういう災害がふえてくる。農村なんかで申しますと、過疎地帯でこういう集中豪雨でやられたようなときには、ほんとうにたいへんなことになって、その措置といいますか、政府がとられようとする措置というものを希望しているところが非常に多いと思います。まことに切実なものだと思いますが、その後作業等をどんどんとお進めになっておるかどうか、あるいは法制局等の打ち合わせをしなければならない事項等もあって、そういうような作業も進めておみえになると思いますが、まあ経過的にですね、いまのところこんなふうになっておるのだ、中間報告でけっこうでございますが、方針も変わらないことと思いますので、どういうふうになっておるかお答えを願いたいと思います。
  54. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) ただいまのお話でございますが、この問題につきましては、総理府を中心といたしまして関係省庁と再三にわたって協議をいたしてまいったのでございます。特に著しい局地的激甚災害を受けられました市町村に対しましては、当該市町村の公共土木施設等の災害復旧事業、農地農業用施設等の災害復旧事業及び罹災小中企業者に対しまする資金の融通等につきまして、現行法に新たな基準を設けたらどうかということで、各省庁間におきまして作業をお願いしてまいりましたところが、ようやくこの問題につきまして解決の曙光を見出しましたことをここで御報告申し上げたいと存じます。  実は特に財政当局等におきましては、この基準のとり方等によりましても、非常にいろいろむずかしい問題がございましたが、一応町村単位で非常に激甚な罹災をした町村に対しまする救済をしよう、その場合の基準でございますが、税収を基礎に置くか、あるいはまた基準財政収入を基礎に置くか、あるいはまた基準財政需要を基礎に置くか、いずれをとるかという問題と、それから災害という問題につきましても、査定災害を基礎に置くかどうか、こういうふうな問題でいろいろと協議を遂げてまいりまして、この件はようやっと新しく法律をつくりましたり、あるいは特別立法をお願いをいたさないで災害基本法によって第三の基準をつくるということで、ようやっと昨日曙光を見出しましたことを、ここに非常に喜びながら御報告申し上げる次第でございます。
  55. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 長官にお尋ねいたしますが、御努力非常にありがたく思っておりますが、ことしの一月から適用なさるおつもりで進めておられるか、それをひとつお答えいただきたいと思います。
  56. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) これは実現できました暁におきましては、歴年で一月から適用いたしたい、かように考えております。     —————————————
  57. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 次に、台風十六号による災害対策に関する件について調査を行ないます。  まず被害状況等について関係各省庁から説明を聴取いたします。  初めに総理府からお願いいたします。
  58. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) 台風第十六号によりまする被害状況と、台風第十六号に関する政府の措置につきまして御報告申し上げますが、まず最初に、台風第十六号によります被害の状況につきまして御報告を申し上げますれば、この第十六号台風は、去る九月二十二日から二十三日にかけまして、沖繩諸島付近を北上いたし、同二十四日夜半には鹿児島県西部に上陸した後に二十五日には熱帯低気圧に相なりましたが、この台風によりまして九州、四国、中国、近畿の各県にわたりまして、次のような被害が発生いたしました。  一般被害は十月一日現在死者八名、負傷者七十名、家屋の全半壊は三百六十棟、床上、床下浸水一万四千三百三十二棟でございます。  また施設関係等の被害は、公共土木施設等約百四億円、農地等約二十三億円、農作物等約百八十二億円、その他の農林関係施設等約二十二億円、その他約五億円、合計三百三十六億円と相なっております。  なお災害救助法の発動地域は宮崎県、大分県、鹿児島県の二市二町一カ村でございます。  政府といたしましては、これら災害救助法の適用を初めといたしまして、各種応急対策を講ずることとともに、各省庁におきましても、各種の災害関係法令等に基づきまする所定の措置を講ずる等、各般の災害対策につきまして万全の措置を講ずるように努力をいたしておるところでございます。  また同じく、この台風によりまして、沖繩地区におきましても琉球政府の災害対策本部の取りまとめたところによりますると、次のような被害が発生をいたしています。  一般被害は死者五名、重軽傷者十九名、住家全半壊は三千六百五十八戸、罹災者二万八千七百九十名に及んでおります。  この被害額は公共施設約九千五百万円、一般住宅約四億円、農作物約十二億四千四百万円、水産関係約四千万円、その他約八億二千八百万円、合計約二十七億七千万円と相なっております。  この台風第十六号の対策といたしまして、琉球政府は直ちに罹災対策本部を設けまして、活動を開始をいたし、九月二十五日には十カ市町村に災害救助法を発動いたしまして、罹災者の救済災害地の復旧対策に着手をいたしました。  政府といたしましては、私が去る九月の二十八日から三日間、各庁の担当官を帯同いたしまして、現地におもむきまして、被害の状況を直接視察をし、またアンガー局等弁務官及び松岡主席とも復旧対策につきましていろいろと協議を行ない、琉球政府から応急仮設住宅、教科書等の応急援助、住宅再建のための資金、公共施設復旧費等の援助等につきまして要請を受けました。  政府は今回の台風の規模及び被害状況から見まして、昭和四十一年の第二宮古島台風の際に政府のとりました措置に準じまして救援を行なう方針でございます。でき得る限り、現地側の要望に沿いまして救援措置を急いでおる次第でございます。  次に、去る八月の下旬の台風第十号に関しましては、前回の当委員会で懸案と相なっておりました天災融資法の適用について御報告を申し上げまするが、政府は台風第十号によりまする農作物等の被害の状況にかんがみまして、去る十月の七日、政令第三百四号をもちまして天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法を適用することといたした次第でございます。  次に、これとはいささか異なりますが、飛騨川のバス転落事故につきましても、被害者救済いたしまするという方向をもちまして、関係各省と協議をいたしながら、自動車損害賠償補償法の適用につきまして検討を重ねておる次第でございまするが、他方、この種の事故につきましても、被害者救済をはかりまするための立法措置につきましても検討をいたしつつある次第でございます。  以上御報告申し上げます。
  59. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 次に、気象庁にお願いいたします。北岡予報部長
  60. 北岡龍海

    説明員北岡龍海君) 先日の台風第十六号の経過を申し上げます。  九月十二日二時にサイパンの東に発生いたしました弱い熱帯性低気圧が、西ないし西北西に進みながら発達いたしまして、十八日の六時に沖の鳥島南南東二百五十キロの海上で中心気圧九百八十八ミリバールの台風第十六号になりまして、次第に北西方向に進路をとりながら、二十二日の夜半に宮古島付近に達しまして、この付近で最大の最盛期を迎えまして、宮古島付近を通過しまして、二十三日の一時三分には九百四十二・五ミリバール、最大風速五十四メートル、瞬間最大風速七十九・八メートルを記録いたしました。その後、久米島の西から草垣島と臥蛇島の間を通りまして、二十四日の二十二時ごろ鹿児島県の西北部に上陸いたしまして、九州西岸沿いに北上しながら、佐賀県に達してから反転いたしまして、南進して、異常な経路をとりまして、二十五日の十二時に長崎県の東部で弱い熱帯性低気圧に衰弱いたしまして、二十八日の朝ごろまで、その付近に長期停滞いたしまして、温帯低気圧となって衰弱したのでございます。  この台風の特徴といたしまして、台風の最盛期でありました宮古島上陸当時は、大きさは中型でございましたけれども、中心付近の風速は非常に強く大きいもので、いわゆる強い台風でございまして、その性格は九州に近づくまで変わりませんで、九州に近づくにしたがいまして範囲は小さくはなりましたけれども、中心の風速は依然として強いものでございました。しかし上陸後、次第に衰弱いたしまして、先ほど申し上げましたように、九州の西部で熱帯性低気圧に衰弱して、後に温帯低気圧になってしまったのでございます。この台風の性格から、台風が近づくまではそれほど風雨は強くありませんが、台風中心が近づくにしたがって風雨が非常に強くなりまして、鹿児島県及び宮崎県にかなりの強風をもたらしたのでございます。  なお、もう一つの特徴といたしまして、この九州の西方に停滞している間に、三日間にわたりまして、台風に伴います前線が紀伊半島から四国を経まして、停滞いたしまして、そのために四国の東や紀伊半島で約三日間記録的な大雨が続きまして、尾鷲では千五百三十八ミリの雨を降らせたのでございます。  それから暴風といたしましては、鹿児島県の北西部に上陸いたしましたときには、中心付近の最大風速五十五メートルでございまして、そのときの二十五メートル以上の暴風半径は中心から百十キロぐらい、十五メートル以上の強風半径は中心から三百キロぐらいでございます。また鹿児島県枕崎では最大風速がなんと三十七メートルぐらい、最大瞬間風速が五十メートルぐらいとの観測をいたしたのでございます。なお、この台風が接近するに伴いまして宮崎県でたつまきが起こって被害を出したのも一つの特徴でございます。以上で終わります。
  61. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 次に、警察庁にお願いいたします。津田警備調査官
  62. 津田武徳

    説明員(津田武徳君) 御報告申し上げます。  台風第十六号による被害の概要は、先ほど総務長官より御報告のあったとおりでありますが、各地におけるおもな特異な被害の発生状況警察活動について御報告いたしたいと思います。  まず第一番目は、たつまきの発生に伴う被害でございますが、九月二十四日の午後五時二十分ごろから同七時三十分ごろまでの間、宮崎県中部の児湯郡高鍋町及び川南町の地域内におきまして、前後十三回にわたってたつまきが発生いたしました。その規模は大小さまざまでございますけれども、直径およそ五十メートルないし百メートル、高さ二ないし三キロメートル、被害の及んだ長さは、大きいもので三キロメートル、小さいもので四百メートルに及び、風速はその被害の状況より判断いたしまして秒速八十ないし百メートルぐらいと思われるものでございます。このたつまきによりまして住宅六棟が全壊し、十二棟が半壊し、八十七棟が一部損壊を受け、不幸に一名が倒壊家屋の下敷きとなって死亡されました。重傷十一名、軽傷三十一名を出したのでございます。  また次に大分県におきましては、九月二十四日午後十時三十分ごろ、大野郡三重町大字小坂二千百五十二番地の農業佐藤初夫さん方の裏山の土砂がくずれまして、在宅中の本人と主婦千代子さんが生き埋めとなって救助活動のかいもなく死亡されました。  一方、当日午後十一時三十分ごろ別府市内を流れまする朝見川が急激に増水いたしましたため、同市内浜脇一丁目及び三丁目の約千八百世帯六千名の方々が床上浸水に見舞われ、危険を生じましたために、別府警察署からは直ちに三十名の警察官を出動させ、高台にある浜脇小学校と南小学校に罹災者を避難収容いたしました。  なお、この台風とこれに伴う集中豪雨に対しまして警察としてとりました処置について申し上げます。  台風の上陸地となりました鹿児島県警察をはじめ宮崎、大分、熊木及び愛媛の各県警察では直ちに災害警備本部を設けたのをはじめといたしまして、その他の関係十三の県警におきましても早期に警備体制を強化いたしまして、警察官延べ約八千三百名を出動させ、被害防止のため危険地の警戒を行ない、被災地に対しましては所要の警察官を急派いたしまして、関係機関と協力して被災者の救出、救護や交通の確保に当たったのでございます。  以上概略御報告申し上げます。
  63. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 次に、厚生省にお願いいたします。大和田施設課長。
  64. 大和田潔

    説明員(大和田潔君) 災害救助法の実施状況につきまして御報告申し上げます。  災害救助法につきましては、九月二十五及び二十六両日にわたりまして大分県、宮崎県、鹿児島県の三県にわたりまして災害救助法の発動を見たわけです。すなわち、大分県につきましては別府市、宮崎県におきましては宮崎市、高岡町、高鍋町、鹿児島県におきましては上甑村、これらの二市二町一村に災害救助法の発動が行なわれたわけでございます。  この災害救助法の発動に基づきますところの実施状況につきましては、まず大分県でございますが、大分県におきましては避難所二カ所を設置いたしまして、被災者の二百人を収容いたしました。これらの被災者に対しまして、さらに自宅におきまして炊事不能の世帯に対しましてたき出しを実施いたしました。さらに千九百世帯に対しまして被服、寝具等の一万五千二百点の支給を行なったわけでございます。なお日赤におきましても毛布とか、日用品セット等の生活必需品の物資を急送いたしまして救護活動に当たったわけでございます。  次に、宮崎県でございますが、宮崎県におきましては避難所の二十八カ所を設置いたしまして、被災者千百人を収容いたしました。これらを対象といたしましてたき出しを実施いたしましたほか、九百世帯に対しまして被服、寝具等の一万一千二百点を支給いたしたわけでございます。さらに応急仮設住宅を十戸設置いたしまして、そのほか医療につきましては、地元の医療機関及び日赤の宮崎県支部の応援によりまして医療活動を行なったわけでございます。それからさらに住宅の応急修理等を実施いたしましたし、また学用品の支給も行なったわけでございます。さらに日赤等におきましては、毛布とか、日用品セット等の物資を送ったというような活動を行なっております。  最後に、鹿児島県におきましては、避難所の五カ所を設置いたしまして、被災者五百人を対象といたしました。これらに対しましてたき出しを実施いたしましたほか、七十三世帯に被服、寝具等の七百点の支給を行なったわけでございます。また応急仮設住宅の三戸を設置し、さらに応急修理等を行なっております。また日赤等におきましては、先ほど大分、宮崎等におきまして行ないましたような生活必需品の物資を急送いたしております。  次に、水道施設につきましては、熊本県一カ所、宮崎県七カ所、鹿児島県三カ所、合計十一カ所の被害を受けております。これにつきましては、すでに、直ちに応急仮工事を行ないまして、すでに現在全部完了いたしております。給水には支障はございません。なお本復旧につきましては、できるだけ早急に現地査定ができますように、関係県を指導いたしておるところでございます。以上でございます。
  65. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 次に、農林省にお願いいたします。荒勝事官
  66. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) それでは御報告いたします。  農林省の関係台風十六号に伴います被害につきましては、いわゆる鹿児島県を中心といたしまして相当な被害を出しておる次第でございます。被害の総額といたしましては約二百三十七億四千万円前後でございまして、その内訳といたしまして、農作物等の被害につきましては約百八十二億二千万円、農地、農業用施設並びに林業用施設等の施設災害につきまして約三十一億八千万円、林地荒廃等が約十億一千万円、そのほか国有林被害が約十一億八千万円ぐらいでありまして、大体先ほど申し上げましたように二百三十七億四千万円程度になっております。これはただいまの段階では県からの報告でございまして、農林省といたしましては現在さらに鋭意今後調査を続けてまいりたい、こう思っております。  対策といたしまして、災害発生後直ちに林野庁、並びに地方農政局の職員を現地に派遣いたしまして現地調査をいたしますとともに、応急工事の指導に当たらせました。  なお、被災者救済のためにわずかでございますが食糧約三十キロほどの応急配給を実施いたしました。  それから農地農業用の施設並びに林業用施設等につきましては、暫定法に基づきまして助成を行なうとともに、早期にこの災害査定を実施いたしまして、復旧をはかりたいと思っております。なお、林地の荒廃の復旧についても人家公共施設保全上放置しがたいというものについては、緊急治山事業によって早急にその復旧をはかりたい、こう思っております。  なお、施設の災害保全、農作物等の被害につきましては相当被害が甚大でございますが、現在統計調査部の被害集計を鋭意検討しておりますが、その結果によりましては天災融資法の発動もまた検討いたしたいと思っております。それにつきましては、資金需要等も見て十分今後その活用をはかりたい、こう思っております。それとともに自作農維持資金につきましても、その資金需要を把握した上で、また天災融資法の発動要件等もあわせて検討して今後まいりたいと思います。  大体以上でございます。
  67. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 次に、建設省にお願いをいたします。坂野河川局長
  68. 坂野重信

    説明員(坂野重信君) 建設省関係を御報告いたします。  気象庁からお話がございましたように、特に雨量の多かったのは宮崎、大分両県でございます。全体の被害額は公共土木施設で直轄関係が八十四カ所で九億五千万円でございます。補助関係が五千九百二十八カ所、八十一億三千五百万円でございます。合計いたしまして六千十二カ所で九十億八千九百万円、都市施設が別に二カ所ございまして、全体を合わせまして被害の合計が六千十四カ所で九十一億でございます。関係県は三重県外二十一府県にわたっております。その内訳を簡単に御説明いたしますと、直轄災害につきましては、河川関係は大淀川あるいは大野川等の増水が特にひどかったわけでございます。  直轄の道路関係につきましては、個所数が先ほど申し上げましたように十六カ所、六千三百万円ばかりでございまして、主として個所の多かったのは大分県、宮崎県でございます。直轄の路線名といたしましては大分が二百十号、宮崎が二百二十号等が代表的なものでございます。  補助災害につきましては、特に災害の激甚であったのは宮崎県でございまして、宮崎県では千七百七十カ所の三十三億一千三百万円でございます。主として一ツ瀬川、あるいは宮崎を中心とする中小河川、あるいは高岡市内を流れる河川道路といたしましては、国道の二百十八号、二百十九号、二百二十二号等でございます。その次に多かったのは大分県でございまして、大分県の特に先ほどお話がございました別府市内を流れている朝見川がはんらんいたしました、その他被害を受けまして七百五十カ所の十三億三千七百万でございます。  都市施設は、宮崎県の高鍋町でございました。公園、排水路におきましてのり面の崩落が二カ所出ております。  住宅の関係では、床上浸水が三千百十三戸、床下浸水が一万一千百八十七戸でございます。その他一部破損、全壊、半壊等が若干ございます。  対策及び措置でございますが、公共土木施設といたしましては、私自身、それと防災課長が直ちに鹿児島、宮崎、大分のほうに参りまして災害の実情を調査したわけでございます。  直轄河川につきましては、現地を調査いたしまして近く予備費を要求することにいたしております。  直轄道路につきましては、交通の不能個所につきましては、すでに既定経費をもって応急工事を行なって一車線以上確保しております。本復旧につきましては、早急に現地調査を行なって予備費を要求する予定でございます。  補助災害につきましては、現在急ぐものはすでに応急の復旧の作業を実施いたしておりますが、緊急的に復旧を要するもの以外のものにつきましては、現地の準備完了を待ちまして早急に査定を実施する予定でございまして、まあ主として十月の下旬から十一月、十二月にかけて本査定の査定官を派遣する予定でございます。  都市施設につきましても準備完了を待って早急に査定を実施する予定でございます。  住宅被災者につきましては、特に住宅金融公庫から災害復旧のための金融の特別貸し付けを行なう予定でございます。  以上でございます。
  69. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 御苦労さまでした。  以上で説明聴取を終わりました。  これより八月中における集中豪雨による災害対策等に関する件及び台風十六号による災害対策に関する件について、引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言をお願いいたします。
  70. 武内五郎

    ○武内五郎君 総務長官の時間の関係もありまするので、私は二点にしぼって質問申し上げたいと思います。  第一点は、いま長官から説明がございましたように、八月中の災害に関する取り扱いについて、先回の本委員会成瀬幡治委員からの質問に対する長官の御答弁の中でたいへん決意のかたい御答弁がありまして、私どもそれに大きな期待をもって成り行きを見ておったわけであります。いまその取り扱いの経過の報告がありまして、新たな基準を設定し、災害——局地的な激甚災に対する取り扱い等についての考え方が明らかになったのであります。なお私はいろいろこれについて質問を申し上げたいのでありまするけれども、先ほど申し上げましたような時間の関係もありまするので、基準が設定された段階において、なお私どもなりのこれに検討を加えることにしたいと思いますので、それは割愛いたします。  そこで次に、先ほど長官からも御報告がありましたが、長官が沖繩の災害について現地へ行かれて、なまの姿を調査されてまいった、その労苦はたいへん私は敬意を表したいと考えます。そこでこれも時間の関係いろいろありまするが、御承知のとおりいまきわめて沖繩に対する日本の施策というものが微妙な関係にあり、重大な段階にあると考えます。この点について私は、たとえば外交上のあるいはその他の関係は抜きにいたしまして、この災害に対して、政府がどういう態度で——沖繩並びに特に非常に激しい災害を受けました宮古島を中心とする災害に対する政府の態度をお伺いしたい。それは御承知のとおり沖繩の県民が——県民です、沖繩の人々は沖繩県と言って、みずから日本の領域の一部だと強い意識を今日持っておることは御承知のとおりであります。そこでこれに対する政府として、基本的にどういうふうな態度、単なる日本の領土内の地域の災害に対する援助という態度をとるのか、あるいは日本の本土に準じた災害復旧の施策をとっていくのか。この重大な対策を私はお伺いしたいのであります。なお詳しいことは私どもまだ資料が十分手に入っておりませんが、いずれこれも政府のそういう基本的な態度を伺って検討したいと思います。
  71. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) ただいまの御質問につきましてお答えいたしますが、私どもは沖繩の災害に対しましては、内地の一県と同じ気持ちをもってこれに対処しなくっちゃならぬ、かように考えております。なおその中におきまして、特に緊急を要する問題と、それから予算的に資金的に考えますると、来年度予算になります分と二つに分かれる。すなわち緊急対策と恒久対策と二つに分かれます。今回の宮古島の災害は、前回の宮古島の被害に比べますると、非常に幸いにも軽かったわけでございまして、前回は三十時間ばかりの間あそこに低気圧が、台風が滞留いたしたのでございますが、今回は風速は非常に激しく、久米島、宮古島におきましては約七十九・八というような、秒速八十メーターのような烈風でございましたけれども、滞留期間が非常に短かったという点と、それから宮古島の場合はこれは返り風がなかった。むしろ久米島のほうは台風中心が、目が通った関係で返り風が瞬時に逆方向をとりました。かような関係で大体末口一尺五寸ぐらいの松が地上三メートルぐらいのところでボキボキ折れておるといったような非常な酸鼻な状態を呈しておるのでございます。で、これに対しましてまずもって処置をしなければならない問題は学童の教科書等でございましたが、これは日本航空等におきましても無償でこれを送達してくれるといったような特段の便宜処置を講じてくれ、また教科書の中のいろんな銘柄につきましても非常に早く整理をされておりましたので、すでに教科書等は先方に届いておると存じます。なお、そのほかのいろいろな救恤品でございますが、これは沖繩自体の要望がございまして、できるだけこの地元に金が落ちるような姿において処理してもらいたい。つまり言えば現品を送達するというよりも資金的な関係で、沖繩において買い付けて沖繩において給するという方法をとってほしいという要望がございました。  それから前回の宮古島台風と今回との違いの中で、前回応急措置の中にはジャガイモの種イモに対しまして非常に要望がございましたが、今回の場合には種イモのジャガイモの要求は一件もございません。これは非常に客観条件が違ってまいったのだろうと存じます。それから前回産業青年開発隊ですか、つまり労力が非常に足りないから青年隊をよこしてくれというようなことがございましたが、今回はこれもございませんで、できるだけ地元の労力でやりたいという希望でございます。さような関係から緊急措置を要しまするものは十三万一千ドルでございます。そうしてその他あるいは応急仮設住宅等々も一部この中に入りますが、復旧住宅といったようなもの、さらに特に低所得層の前回つくりました緊急応急住宅が、ほとんど全部やられておるというような特異な現象がございます。これらの緊急住宅はまたそれをいたしましても元来が非常に生活能力の低い保護世帯といったような方々でありますので、また緊急的なものを出したといたしましても、これは大体耐久期間が二年といったような緊急住宅では、現地と内地との間では状況が非常に違う。むしろ低所得層に対しまするこの公営住宅を緊急につくってもらいたい。また耐久年限二年といったようなものよりも、そういうふうな緊急ではありますが、低所得層の公営住宅といったようなものを出してほしい、こういうような特殊な要望がございました。そこでそういうふうなものを整理いたしまして、緊急に要する資金十三万一千ドル、恒久対策で年度予算に組み込む関係のもの百三十五万ドルほどに相なります。で、こういうふうな分類から、さらに対日要望の金額を算出し、被害金額は二十七億、その中におきましていま申しましたような三百三十何万ドルというものが対日要求になって出ておるような次第でございます。  それからもう一件は、ある程度沖繩の特殊事情を認めていかなくちゃならないではないかと、で、私どもは今回の台風の現地を視察いたしまして、琉球政府が非常に迅速な処置をとったことに対しましては、敬意を表します。二十八日でございますか、先方に参りましたときには、すでに各町村のほうから、町村長を通じての被害集計がなされておりまして、三十日の出発の日に連絡官会議をいたしましたときには、すでにその中でさらに精査いたしまして、対日要望を項目別に資料として提出せられ、日本側のほうの、あるいは厚生省、あるいは建設省、あるいは農林省等々の担当官の方々と詳細にわたっての具体的なお打ち合わせまですることができましたことにつきましては、非常に琉球政府の措置の迅速的確でありましたことを喜ぶものであります。なお、これはむしろ風害でございまして、長雨なんかと非常に違うという点もございまするが、同時にまたたび重なる台風によりまして、そういうふうな機構的にもだんだんなれてくる、同時にまた日本本土の災害対策というものと一体化の姿におきまして、非常に統計あるいはまた要望の線がすでに内地並み、内地と同じような集計ができるように相なったということを非常にうれしく思うものでございます。なお、これらの措置につきましては、今後ともに具体的な、ケースバイケースですみやかな復興をいたすべく努力をいたしておりまするが、日本に帰りました翌日、担当官会議をいたしまして、さらに各省別に現地に送るべきものは送る、さらにまた予算上計上すべきものはすみやかに計上して、来年度の要望に対する、それからまた明日開かれます日米協議会におきましても、こういうふうな問題につきまして、災害対策上日米両国間におきまして行なうべき協議の面、非常にこの災害対策につきましては、迅速に運びつつありますことを御報告を申し上げます。
  72. 武内五郎

    ○武内五郎君 たいへん御苦労さまでした。  それで突っ込んで少し聞きたかったのでありまするが、それはまた後日に譲ることにいたします。  日本の政府が沖繩に対して、四十二年度四十三億、本年度に百三億円という援助が出ております。これがもちろん今度の災害とは別でありまするが、今回の災害に対して、いま長官が本土と同様にということばで表現されておりますように承りましたが、私はやはりそういう立場で沖繩対策を立ててもらわなければならぬと思うのであります。  そこで、たとえば今度の災害では、沖繩の本島はもちろんのこと、宮古島諸島等におきましても、これは住民の大多数は、特に宮古島の全部は、これは農業を業としておる人たちであります。そうしてしかもそれはサトウキビを主栽培しておる。サトウキビ、サツマイモ、バナナ、パイナップルというような亜熱帯植物の栽培によってかろうじて生計を細々と立てている農民たちであります。これがほとんど全滅しておる。しかも宮古島のごときは、昭和四十一年にきわめて激しい災害を受けておる。それがかろうじていまようやく立ち上がってまいったときに、今回また災害が起きた、こういうようなことでございまするので、私は非常な決意を持って、大幅な再起復興の施策をもって臨む必要があるのではないかと考えるわけです。特に私は、たとえば日本における法律をそのまま領域外の地域に適用することはできない。だがその精神は持っていけると考えます。政策の趣旨をそのまま持っていって、罹災農民の救済、罹災された人々の救済に当たることができるのではないかと考える。たとえば農民に対しては、いまわれわれが委員会でいつも問題になりまする日本の天災融資法あるいは農地の復旧に関する融資の法律、あるいは自作農維持資金等に関する諸法律というような、日本の農民が受けている諸法律の適用を、そのまま法律条文を持っていくことはできないけれども、施策を持っていくことができると考えるのだが、政府はどういうふうにお考えになっておりますか。
  73. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) ただいまお話しの中で、沖繩の基幹産業と申すべきものは、何と申しましても砂糖、パイナップルでございます。特にこの際サトウキビが徹底的にやられたというのでございまして、これの救済処置をどうするかということは、非常にむずかしい問題でございます。というのは、一方におきましては農業共済というものは、砂糖についてございません。それから本土のいわゆる粗糖の買い上げ値段という問題でこの問題を処理しなければならぬ、こういうことに相なるのでございます。  なお詳細につきましては、沖繩を担当いたしております参事官がいますので、どうぞ具体的なデテールにわたりましてのお答えは、担当者からひとつお答えさせます。
  74. 斉藤清三

    説明員(斉藤清三君) ただいま御指摘のございました、本土に準じた災害対策というお話でございますけれども、琉球政府におきましても、琉球政府自体におきまして本土に準じた災害対策、各種の災害対策措置を講じておるわけでございまして、本土に見られます天災融資法と同じような融資措置もございますし、また先生指摘の農地、農業用施設に対する災害復旧対策も、琉球政府独自におきまして災害対策措置を講じております。
  75. 三木忠雄

    三木忠雄君 第二宮古台風につきまして、いろいろ私調査いたしましたが、今回第三宮古島台風によりまして、私も現地のほうへ調査に行ってまいりました。その結果につきまして、具体的な問題について実は長官に一つ一つお伺いをしたいと、こう考えておったわけでありますが、いかんせん時間の関係でできないそうでありますので、まあいずれにいたしましても、先ほどの質問のとおりに、本土と同じような対策を講ずるという総務長官の御答弁であります。どうか住民の希望にこたえて、そうして日本政府が誠意ある援助をしていただきたい、このことをまず第一に心からお願いするわけであります。  何といいましても、私も現地に行きまして一番困った問題は、電気あるいは通信施設の問題が非常に問題だったわけであります。長官も視察に行かれましていろいろ調査をされたと思いますが、残念ながら泊っていただければもっと詳しくわかったんじゃないかと思いますが、三カ月間無灯である。こういうふうな状態で、実際に非常に人心としては不安を感じているわけであります。こういう問題についても、やはり私は、まあ技術者を派遣するとかあるいはまた復旧資材を早急に送るとか、こういう点をもっと手を打っていただければいいのじゃないか、こうも考えるのですけれども、こういう問題についてはいかがなものでしょうか。
  76. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) このいまの御指摘の電線の問題でございまして、現地に参りますると、まさに電柱は倒れ電線は寸断いたしておるというのが現状でございますので、いまお話しのように、この復旧には二、三カ月を要するというふうな琉球政府の回答もございます。で、技術者の派遣は、沖繩本島におります技術者が罹災現地に派遣されまして復旧に当たっておりますが、琉球政府から技術者の派遣につきましての要請がございますれば、関係各省と協議をいたしまして、いつでもこれに対しましての派遣いたしまする用意がございます。  なおこういうような風害が始終あるところであって、これを架空線にしないで、地下埋設線にしたいというようなお話がございました。私もさようなことを感じたのでございますが、しかし現地のほうにいろいろ聞いて見ますると、これを地下埋設するということは容易なことではない、やはり一応は架空線でなければならぬのだそうであります。なお必要に応じましていつでも技術者を派遣する用意がございます。
  77. 三木忠雄

    三木忠雄君 特に先ほども話がありましたが、第二宮古台風で被災を受けた住民たちが、日本政府の援助によって仮設住宅のうち今回約九割が全壊しておる。長官も御存じのとおりだと思いますが、こういうふうな九割までも倒れるような住宅を、どうして日本政府が援助をするかと、こういう問題についてお伺いしたいと思うわけであります。
  78. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) その点でございますが、これはずいぶん現地におきまして議論をいたしたところでございます。で、御案内のとおりに、災害の緊急住宅と申しますのは対用年限が二カ年ということに実は相なっておるのでございます。なおまた沖繩のようなところでは、内地でつくっておりますようなプレハブ住宅ではとてもだめなのでありまして、やはり同じ緊急住宅でございますが、木造の違った規格のものをいたしております。で、そこの中で特に目立ちますことは、床のところがコンクリートになっておりますが、そこのところからチェーンを屋根にかけております。このチェーンをかけております分は倒壊してはおらない。チェーンをかけておらない分はみんな倒壊しておる。まあこういうふうなことで、やはり緊急仮設住宅でありましても、沖繩は特殊な烈風というものを想定してチェーンをかけるということ、さらにそのためにはやはり土台のセメント打ちの場所を全部やはり巻いたほうがいいといったようなことから、さらに単価も三百ドルというのを四百五十ドルにしたいといったような要請や希望もございました。そこで、先ほど申しましたように、低所得層の方々が、前回台風で仮設住宅に入っておられる方が、これはほとんどまた家が倒れてしまった。こういうことからいわゆるその低所得層の方々が仮設住宅に入られて、そうしてその間に今度は公営住宅に住宅融資を受けられて切りかえるという、その経済力がない対象の層の方が多い。こういう点から、先ほど申しましたような単なる内地のような緊急住宅ではなくて、いわゆる低所得層を対象とした公営住宅の分、それをむしろこの災害対策としては出してほしいというのが沖繩の現地の非常な要望でございました。そうなってまいりますと、内地と同じような関係の、本土と同じような関係の緊急仮設住宅というものと、それから公営住宅というものとのあり方につきまして、非常に本質的な問題がありますので、それは先生もよくお調べいただいたと存じますが、そこになりますとなかなか厚生省、建設省並びに各省庁の間におきまして議論の存するところでございまして、今後ともにその問題はできるだけ現地の要望にこたえて、同時にまた現地に合うような考え方のもとに解決をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  79. 三木忠雄

    三木忠雄君 住宅建設資金の融資の問題でありますけれども、前回も第一宮古台風の被害を受けた方々が住宅を建設するために約四千ドルぐらい一戸当たり必要である、しかしながら融資の最高額は千五百ドルないし二千ドルぐらいで、したがってあとの二千ドルを関係者からあるいはまた高利貸しから借りて住宅を建設をしたと、こういうふうな問題が数多くあるわけであります。したがって今回の住宅等の援助資金等も、できれば一戸建てるに必要な金額の八割から九割、これぐらいのやはり融資率を設けなければ、せっかく援助をしてもかえって住宅が建たないと、こういうふうな問題があるんじゃないかと、こういうふうに考えるわけであります。特に第二宮古台風で日本政府から二百五十ドルぐらいの住宅資金の融資が行なわれているそうでありますが、貸し付け条件等が非常にきびしくって、約まだ四十万ドルぐらいが残っているという話も聞いております。こういうふうな面でもっと具体的な、現地の住宅建設に対する具体的な、やはり即応した融資を行なっていかなければならないんじゃないかと、こう考えるわけでありますが、この点いかがでしょうか。
  80. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  81. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 速記つけて。
  82. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) ただいまの件は、具体的なデテールにわたります融資条件その他の問題につきまして、後ほど斉藤参事官から詳細にお答えさしていただきとうございます。
  83. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 河田君、いま言った趣旨で、長官にあればひとつお願いします。
  84. 河田賢治

    ○河田賢治君 沖繩災害の問題で発言したいと思います。  私自身も、実は九月の二十八日から一週間をもって沖繩への渡航申請を出したわけです。ところが沖繩の民政府では何の理由も示さずにこれを拒否してきました。災害調査とかあるいはまあ見舞いをするとかいうことは人道問題としても、われわれ国会議員としての一つの義務だと思うのです。こういうことを民政府が何の理由も示さずに拒否する。しかしながらまた一方では御承知のとおり、わが党以外の党派の方々は、これまたいわゆる特に政府の諸君は、最近ではもうじゃんすか、じゃんすかと沖繩へ行かれて、相当いろいろな運動をやっておられる。これは新聞でもこの間報道されました大なんとかいう、大松ですか、こういう疑惑を受けられて、出航前に取り調べを受けたというような事件が出ております。ところがわが党に対しては何ひとつそういう実際の災害調査することにも許さない。こういうことは、つまり国会の権威を傷つけることだし、また人道問題として私たちの国会議員の任務を遂行する上においても障害があると思うのですが、この点について総理府あたりは、やはりこういう民政府の態度に対して相当な私は処置をされたいということを、まず第一に要望しておきます。  第二は、御承知のとおり、長官はずいぶんと向こうへ行かれまして、忙しい日程の中を歩かれたらしいのですが、しかし地元の新聞を見ますと、これはまあ一部ですけれども、三日間全部そうされたのではありませんけれども、災害地を全く素通りされて、そうして観光地の有名な無人灯台へそのまま行かれたということを言っております。これはここにある、向こうの現地の新聞そのものを私は言うわけです。ところがこれについて、やはり現地でもこのあなた方が行かれたことについて非常な皮肉を言っているのですね。災害視察に来て、一体何のためにああいう無人灯台なんかへ行くのだろうというようなことが書かれてある。そこで、いろいろと先ほど災害報告がありましたが、私自身が行かぬので、決定的なことは言えませんけれども、琉球政府が出しました台風第十六号災害対策の中のたとえばですけれども、たとえばこの中での数字と、それから宮古地方庁の災害対策本部調べで、九月の二十七日の現在で発表しておる数字で、琉球政府の出しましたものは、いわば非常に過小評価になっておる。ところが、宮古島地方庁で出しましたものは相当大きな数字です。これにはまた警察数字が出ております。これは全体を言うわけにはいきませんけれども、一番主要な住宅問題をとりましても、たとえば宮古地方庁で全壊が千百四十七棟、半壊が三千九十一棟となっております。警察では全壊が千四百五棟、半壊が千四百三十七棟、それから琉球政府のほうでは、全壊がわずかに五百九十六戸そして半壊が二千二百九十二、こういうふうに違っております。先ほど統計は相当日本内地と同じように進んでおると、いま長官もおっしゃいましたのですが、これが二十七日に発表しておりますから、おそらくあなた方が向こうへ行かれたならば、この琉球政府の災害報告と宮古島あたりで直接出した発表と、数字がこう大きく違っておるのはこれ以外にもだからずいぶんあると思うのですけれども、例として家の全壊、半壊を出したわけですが、こういうところの調査は、一体どのようなものを信じるようにというのか、この点をはっきり御説明願いたいと思うのです。  それから第三ですが、先ほど救援が非常にうまくいっておると言われておるらしいけれども、この問題は沖繩人民党の中央委員会が琉球政府の松岡主席に出しました報告によりますと、ちょうど二人の者が現地調査をやっております。ところが二十九日現在でも家屋を全壊された被災者をはじめ、すべての被災者に対してはほとんど何らの救援もなされない。ろうそく一本、米一合、テント一枚配られていず、一銭の救援金も配分されていない。しかも亡くなられたところの二人の家庭に対しても、一かけらの救援物資も届いていないということが、この二十九日現在で報告されております。だからこういう点でも向こうの災害救助対策は相当進んでおると言われましたけれども、私たちはその点で一応の疑問を持たざるを得ないのです。ですからこういう点で私たちは——全部話しますが、この前昭和四十一年ですか、二年前の災害のときに政府がお建てになった家、先ほど公明党の諸君からも話がありましたが、ほとんど全部三百戸だったか全壊した。しかも前の台風は八十一メートル瞬間風速であったけれども、そのときには死人がなかった。今度は七十九メートルの瞬間風速で、あそこだけで二人の方が死んでおり、日本の政府が建てた住宅というものがあとかたもなく消えておる。そこで向こうでは、こういうように町の人は非難しております。このようなありさまを見て、朝日新聞の特派員が九月二十五日に報じておりますが、日本政府援助が影も形もなくなったと島民は皮肉っておる。そうしますと沖繩は私たち日本の援助としても、そういう台風銀座と言われるほど台風の激しいところですから、やはりそれに見合った家も建てなければならぬし、設備もしなくちゃならぬ。そこらあたりにある無風地帯に建てるようなバラックのようなものでは、これは役に立たぬ。そうだとすると、こういうことは結局日本政府の住宅——日政住宅と言われておる、こういうものが影も形もなくなって、日本政府自身に対する大きな不信を買っているわけですね。これまた前の災害対策のときにもこういうことがあります。現金で宮古島に送りますと、向こうの政府では品物をそこの在庫品をだっと宮古島の庁内から集めて、ほとんど要りもしない物を配ったということが言われておる。まるきり棚ざらえをやったと言われておる。ですからこういう点も決して、いま琉球政府の方々がやられておることが、かなり適切でない面もあります。したがって私たちは住宅を建てるにしましても、やはりああいう特別な地帯では強固な風にもめげないようなそうりっぱなものでなくても、やはりコンクリートやあるいはその他小さな鉄筋なんかも使って、そして家が破壊されない、そして死人が出ないような、そういうような私たちは処置をとる必要があるんじゃないか。したがって一時のごく二、三年しかもたぬようなものをどんどんつくって、何べんもこれを繰り返すことは、国費の浪費でもあります。また、沖繩県民の日本政府への不信を買う以外の何ものでもない。こういう点については政府は長期の見通しと、やがて沖繩全体が日本へ返ってくるというような、先ほど武内委員からもお話がありましたが、農業共済、特に農民は今日御承知のように米がだんだん少なくなりまして、最近では七、八年前の大体四分の一ぐらいしかつくっておりません。そうしてフランス米とかカリフォルニア米で、どんどん向こうの食糧がむしろ外へ出て、そして安い食糧が沖繩に渡されている。まさに植民地経済です。こういう状態で、したがって向こうの農民が立ち直るということはなかなか困難です。どうしても私たちは、日本のやはり民族の一員なんですから、沖繩を近くわれわれが全面返還をして、そうして沖繩県として日本の政府のもとにある地方自治体としてわれわれはつくり上げなければならない。そうだとすれば、やはりこういう農業共済の面とかあるいは漁業の共済の面とか、いろんなこの島民諸君の主要な産業についても日本と同じような水準に早く近づけるような、こういうやはり私たちは制度をつくらせるような指導なり改善、もちろんアメリカの政府の関係もありましょうけれども、そういうことにびくびくすることなく、われわれはやはり沖繩県がほんとうに日本の内地と水準を同じようにする、こういう施策をいまのうちから私たちはどんどん政府はとるべきではないか、こういうふうに考えます。以上の点について、若干ごたごたいたしましたけれども、長官からお答えを願いたいと思います。
  85. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) まず最初に御渡航の問題でございますが、私のほうの渡航課のほうは御要望に対しまして全部アメリカ側のほうに御連絡をいたしまして御協力をいたしておる次第でございます。  なお、辺名の無人灯台のところでございますが、これはあそこで実は船舶の非常な被害があり、またここに写真もございますが、セメントのへいが根こそぎ風で吹っ飛んでいるといったような、いかに激しい烈風であったかということを一番よくあらわしておりますし、同時にその間、あそこの灯台というのは非常に重要な灯台でございますが、電線が切断されており、その電線が切断されたときには自動的にゼネレーターで灯火がされるというような装置になっており、それがまたいろいろと故障いたしておるといったようなところで、日本政府援助といたしましていたしましたこの無人灯台、最も近代的な装備を誇っておりました灯台でございまするが、あまりにも風がひどいというので、非常な実は被害をこうむっている、その現場を見ましたので、ここに写真もございますので、どうぞよろしければごらんいただきとうございます。  なお、いまのお話の住宅、いわゆる琉球政府の援助でございますが、私は琉球政府がたび重なる災害に対しまして非常に迅速な手を打っておる。内地の町村と比較いたしましても決して、むしろ非常に早かったということを私は喜んだくらいでございますが、しかしながら、現実にろうそくやその他の配給がなかったというような問題につきましては、これはまあ現地のことでございますので、ちょうど私どもが琉球政府に対して日本の本土の県と同じ考え方でこちらも対したいし、また琉球政府自体も、本土の中央政府に対しましてやはり自治体としての自主責任というもので万全をまず第一義的にはいたさなければならぬのでございます。なおまた、死亡されました方々のお宅にもほとんど私お見舞いに参りまして、現地の倒壊いたしております現場を拝見いたしておりますが、また地元の方々のお気の毒な罹災家屋に対しまして、非常にあたたかい救援をいたしておることをあらためて申し上げておきます。  その他住宅建設につきましての考え方等は、先ほどの御質問と同じようなことでございまして、これは担当参事官のほうから今後どういうふうに考えていくべきかということにつきまして、われわれ関係官同士が打ち合わせをいたしました詳細にわたっての御報告も申し上げたいと存じます。  大略、御質問の要点は以上でございます。
  86. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 台風十六号の被害について、先ほど農林省のほうから説明がありまして、その前に鹿児島県及び宮崎県側の被害状況についての要望があったわけでありますが、農林省の説明によりますというと、農林省としての被害状況調査はまだできてないということのようですが、できておれば明らかにしてもらうといいのですが、できてないとなりますと、論議はあとに延ばさざるを得ないというふうに思いますが、私は鹿児島に郷里がありまして、台風が来たときに二回ほど鹿児島県側から被害状況の速報がまいりまして、それを見ていましたら、サツマイモが非常に被害が多いのです。九億だ、十億だ、十五億だという被害がありまして、サツマイモが台風に当たって被害を受けるというのは少しおかしいなと思っておったのです。急に鹿児島に帰ることになって、二十八日の朝鹿児島に着いたのですが、うちへ帰ってみたら自分のうちの庭の木が落葉樹は全部葉が枯れまして落ちて、常緑樹は風の当たったところが全部赤茶けて、なるほど塩害によって、塩風によってやられたのだなと思いました。非常に塩害がひどかったようですね。それからその日に鹿児島市内をちょこちょこ回ったのですが、常緑樹でも風の当たった面というのは全部やけまして茶褐色になって、落葉樹は全部葉が落ちているという状況で、鹿児島の場合は県の報告によるというと百二十九億の被害を受けたというのですが、その中の農作物の被害が百六億、非常に高いわけですね。宮崎の場合は七十六億という県の報告で、その中で農作物は二十億という数字が出ておりますが、塩害がひどかったという。したがってまあ農作物が雨だけではなくて、雨よりむしろ塩害によって非常に被害を受けているというふうに思うのですが、農林省としてはいまの被害の状況については、まだ発表できるようなものはまとめていないわけですか。
  87. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) お答え申し上げます。  農林省といたしましてもただいま鋭意統計調査部で被害県、特に鹿児島を中心といたしまして調査を続行しておりますが、台風とそのほかに多少長雨による被害の分もあわせ調査をいたしております関係もありまして、多少おくれぎみでございます。現在統計調査部からの話によりますと、十月の中旬前後に被害の全体が確定するというふうに聞いております。  それから私もただいま鶴園先生が御指摘になりましたように、サツマイモに被害があるということを県の報告で知りまして、県の農林部長並びに総務部長に再確認的にただしましたところ、やはり塩害が中心で、これ以上、葉が落ちてしまって今後サツマイモの回復は期待し得ない、こういう話でございました。
  88. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 先ほど説明の中にありました、報告の中にありました統計調査部、農林省の被害集計ができなければ、そしてその結果を見なければ天災融資法の発動はできないんだと、こういう話ですね。そういうことですか。そうしますと、十月の中旬ごろにこの農林省の被害集計ができたところで検討をすると、こういう意味ですか。
  89. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 農林省といたしましても、大体県の被害を中心といたしましていわゆる統計調査部から上がってきます統計も勘案しながら、逐次それと並行しながら財務当局とも折衝いたしまして、おおむね被害が固まる前後には、天災融資法の発動ができるかどうかの結論は出してまいりたい、こう思っております。
  90. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それから、この中で等外米、規格外米の買い上げ措置ですね、こういうものはもう措置されたわけですか。あるいはこれもできないわけですね。農業共済のいわゆる水稲なり養蚕等についての概算払いというのも、被害の状況が明らかでないわけですね、まだ。農林省としては明らかでないという見解ですね。
  91. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 統計調査部の被害に基づきます統計は、主として現在われわれとしては天災融資法の発動要件として鋭意調査を進めておりますが、共済金のほうにつきましては、いわゆる県段階の共済連、農業共済のほうで被害の甚大なところにつきましては、早急に調査が判明し次第いわゆる保険金は支払うよう指導してまいりたい、こう思っております。  なお農林省といたしましては、米の買い入れにつきましては、等外米もあるいは出るかとも思いますが、この点につきましては、食糧庁の馬場業務部長がお見えになっておりますので、そちらのほうから御答弁願いたいと思います。
  92. 馬場二葉

    説明員(馬場二葉君) 等外米、規格外米の買い入れについてお答えいたします。  御承知のように食糧庁が買い入れております米は検査等級で一等ないし五等でございますが、玄米につきましては相当やはり等外なりあるいは規格外の発生が見込まれておるわけでございます。本年は昨年と違いまして、そういう低品米の買い入れにつきましては、若干窮屈な状況があるわけでございますけれども、しかし非常な、災害が激甚で、しかも農家経済に及ぼす影響が大きいという場合は、そのつど県を指定いたしまして、いま買い入れるべく財政当局と交渉いたしております。なお規格外の中で水分過多甲玄米、それから水分過多乙玄米、これ両方は本日官報の告示をいたしまして買い入れの道を開いておるという状況でございます。
  93. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 さっき参事官のお話のありました農業共済金の概算払いですね、これは共済組合連合会の被害調査でいいというわけですか。
  94. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 国のほうが払いますいわゆる再保険の関係の保険金につきましては、いわゆる統計調査部の被害報告を待たぬと支出できないんでございますが、単位共済もしくは県連合会の段階での保険金の支払いは可能であると思っております。しかも、それも一部概算払いの道を開かれておる、こういうふうに思っておる次第でございます。
  95. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 水稲は——四十三年産米ですね、水稲は被害を相当受けているようなんですが、こういう場合の、予約申し込みをしておきますね、予約、それが達しないですね、これ、被害を受けますと。そういう場合の措置はどうなさるんですか。
  96. 馬場二葉

    説明員(馬場二葉君) 米作農家が被害を受けまして減収した場合に起こる問題は、予約売り渡し数量だけ売れないという問題がまず起こるわけでございますが、その場合は予約の減額補正という道が残されておるわけでございます。なお、非常に災害がひどくて、例の予約概算金でございます、概算金の返納が非常に困難になるという場合もあるわけでありますが、この場合は集荷指定、集荷承認の代位弁済を認めておるわけであります。その際、政府が概算金を返納していただく場合は、その間の利子を加算していただくわけでございますけれども、これはまあ天災融資法の指定災害による災害であります場合は、その被害の程度に応じて加算利子の減免を毎年行なっておるわけであります。
  97. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 きょうはこのくらいにしまして、あらためてまた伺います。
  98. 三木忠雄

    三木忠雄君 じゃ、先ほどの回答をお願いします。
  99. 斉藤清三

    説明員(斉藤清三君) 先ほど三木先生からお尋ねございました沖繩におきます今次台風被災の住宅対策についてのお尋ねにつきまして、長官がお答えを保留をいたしました点、お答えを申し上げます。  確かに先生お尋ねのとおり、前回の第二宮古島台風におきましては、現地の実情とこちらが予定をいたしておりました単価並びに融資率の点で実情に若干そぐわない、つまりそのために頭金をよけい必要とした、こういう事情もあったようでございます。したがいまして、今回はその点を直しまして、現地の実情に即した形で災害復興住宅を建設いたしたい、かように思っております。簡単に数字を申し上げますと、規模は前回も今回も同様耐火づくりで十坪でございまして、単価は前回が二百ドル、今回予定をいたしておりますのは三百ドル、日本円にいたしまして前回が七万円少し、今回は十万八千円、十一万円弱ということになります。融資率は前回が七五%、今回予定をいたしておりますのが八〇%、この結果融資限度額は前回が千五百ドル、今回が二千四百ドル、日本円にいたしまして前回が五十四万円、今回が八十六万円、この五十四万円を八十六万円を比較をいたしますと約六割融資限度額が引き上げられることになります。したがいまして、先生お尋ねの頭金の負担増ということはかなり緩和される。その点を裏返して申し上げますれば、災害復興住宅はかなり促進される、かように考えております。
  100. 三木忠雄

    三木忠雄君 第二宮古島台風によって倒された住宅で新しく建設された方々が、今回のまた第三宮古島台風によって災害を受けられたのであります。したがって、第二宮古島台風で住宅を建てられ、政府からの資金援助によって二年間の据え置きで住宅を建てたわけでありますが、その二年間の据え置きの期間が本年の十月から支払いをしなければならないと、こういう実態で再び災害を受けたために、支払い能力が非常に不可能になってきたのではないかと、こう考えるわけでありますが、この据え置き期間をあと二年ぐらいは延期をして考えてはどうかと、こう考えるわけでありますがいかがでしょう。
  101. 斉藤清三

    説明員(斉藤清三君) この問題は琉球政府において考えることでございますが、現在琉球政府の災害復興住宅資金融通法によりましても、貸し付け条件の変更が可能でございます。したがいまして、琉球政府で先生おっしゃるように据え置き期間の延長という措置が講ぜられることでございますれば、本土政府におきましても異議なくまたそういう方向で処理をされることが望ましい、かように考えております。
  102. 三木忠雄

    三木忠雄君 この問題については、総務長官からも日本政府からも強力に推し進めていただきたい。現地の要望が非常に強かったのであります。続いて今回の宮古島台風によって先ほども話がありましたが、現地の状況というものが非常にばらばらである。琉球政府の状況報告と、あるいはまた現地の警察報告と、あるいは日本の新聞に報道されている災害状況とばらばらである、こういう問題が非常にあるわけでありますが、私も現地に行きまして、日本政府の沖繩事務所の機能の問題でありますが、実際に琉球政府あるいは米国のほうが実際に宮古島のほうに視察に行っているにもかかわらず、日本政府のほうとしては沖繩事務所からは一人も現地に派遣されていない。私たちが行っても、いや飛行機の切符がとれないとかいろいろな口実があったそうであります。いずれにしても日本の政府の出先機関である沖繩事務所がまっ先に飛んで行って、状況を把握して本土のほうにも連絡をとるべきではないか。もっともっと機能を充実しなければならないのじゃないか、こう考えるわけであります。もっともっと日本政府があたたかく沖繩の人たちに対しても手を打ってやる、こういう考えが見受けられないわけであります。この点についていかがでしょうか。
  103. 斉藤清三

    説明員(斉藤清三君) 今回九月の二十二、二十三日にわたりまして被害があったわけでございまして、総務長官直ちに二十八日に現地視察におもむくと、こういう連絡を現地の沖繩事務所にいたしました関係上、沖繩事務所におきましても総務長官一行と現地視察をする、その前にできるだけ琉球政府と接触をいたしまして琉球政府がとりました情報を私どもに送ってまいる、かような準備をいたしておったわけでございます。なお御指摘のようにまっ先に現地におもむくべきではなかったかと、こういう点は今後十分留意をいたしまして、沖繩事務所等にも必要な指示をいたしたいと存じます。
  104. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) ほかに御発言もなければ、本件に対する質疑は、この程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十八分散会