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1968-11-29 第59回国会 参議院 決算委員会 閉会後第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年十一月二十九日(金曜日)    午前十時二十分開会     —————————————    委員の異動  十一月十五日     辞任         補欠選任      二宮 文造君     峯山 昭範君  十一月二十九日     辞任         補欠選任      峯山 昭範君     二宮 文造君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         木村禧八郎君     理 事                 黒木 利克君                 温水 三郎君                 平泉  渉君                 松井  誠君                 黒柳  明君                 高山 恒雄君     委 員                 木内 四郎君                 楠  正俊君                 小枝 一雄君                 佐田 一郎君                 菅野 儀作君                 山本  杉君                 若林 正武君                 渡辺一太郎君                 大森 創造君                 小柳  勇君                 矢山 有作君                 上林繁次郎君                 二宮 文造君                 渡辺  武君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤 忠雄君    説明員        警察庁刑事局保        安部保安課長   小野島嗣男君        宮内庁長官    宇佐美 毅君        宮内庁長官官房        皇室経済主管   並木 四郎君        法務省刑事局刑        事課長      石原 一彦君        大蔵省理財局次        長        谷川 寛三君        国税庁長官    亀徳 正之君        国税庁税部長  川村博太郎君        厚生省公衆衛生        局長       村中 俊明君        厚生省環境衛生        局長       金光 克己君        厚生省医務局長  松尾 正雄君        厚生省児童家庭        局長       渥美 節夫君        厚生省援護局長  實本 博次君        農林省農地局管        理部長      小山 義夫君        農林省畜産局参        事官       平松甲子雄君        労働大臣官房長  岡部 実夫君        労働省労政局長  松永 正男君        労働省労働基準        局長       和田 勝美君        労働省職業安定        局長       村上 茂利君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国家財政経理及び国有財産管理に関する調  査  (国家財政経理及び国有財産管理に関する  件)     —————————————
  2. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員移動について御報告いたします。  去る十一月十五日、二宮文造君が辞任され、その補欠として峯山昭範君が選任されました。また本日、峯山昭範君が辞任され、その補欠として二宮文造君が選任されました。     —————————————
  3. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 国家財政経理及び国有財産管理に関する調査を議題といたします。  御質疑のある方は、順次御発言願います。
  4. 小柳勇

    小柳勇君 私は、去る十月の上旬に、北九州発生いたしました米ぬか油による中毒事件のその後の経過並びにこれからの関係当局対策について質問をいたします。  去る十月四日に、大牟田保健所から福岡衛生部に、油によると思量される中毒患者発生の旨の連絡がありました。同月九日、同保健所調査により、患者九大病院治療を受けていることを探知し、自来約一万二千名の患者が出たのでありますが、そのうち約二〇%が真性中毒患者であるということが明らかになりました。この問題は、衆議院社会労働委員会及び参議院の社会労働委員会でも問題になったのでありますが、なお補償問題など、結論が出ておりませんので、厚生省事件発生以来、今日までとられました対策及び現状について御報告を願います。
  5. 金光克己

    説明員金光克己君) 米ぬか油中毒事件の現在まで厚生省がとってまいりました措置並びに現状につきまして御説明申し上げます。  米ぬか油中毒事件は、ただいま御質問ございましたように、十月四日に、初めて保健所におきまして探知したのでございますが、その後、地元北九州市、福岡県、大牟田市等、並びに関係県厚生省、また関係官庁等、共同で総合的に対策を進めてまいったわけでございます。特に地元におきましては、九大を中心といたしました学術的な面におきます調査研究班を編成いたしまして、これには、もちろん県、関係市等も参画いたしておるわけでございますが、そういった調査研究班等も設置いたしまして、原因究明に当たってまいっておるわけでございます。中央におきましても、厚生省米ぬか中毒対策本部を設置いたしまして、その対策を進めてまいっております。また、この中毒患者は、西日本一帯の各県に発生をいたしておるわけでございまして、それぞれの県におきましても、それぞれ疫学調査、その他必要な行政措置を進めてまいっておるわけでございます。そういうようなことでございまして、現在までにわかっております結果といたしましては、まず患者につきましては、先ほど御質問がございましたように、西日本一帯で約一万二千名という患者届け出があったわけでございます。しかし、これは非常に類似の疾患等も含んでおるというようなことで、各県におきまして再検査をいたしてまいっておるわけでございます。そういうようなことでございますが、この病気そのものが、日本におきます初めての発生でございます。  さようなことでございまして、診断につきましてもいろいろとむずかし面があったのでございますが、現地におきます油症研究班におきまして作成されました診断基準といいますか、診断基準を参考にいたしまして、また各県も現地に参りまして、この患者につきまして勉強いたして患者の再検査をしてまいっております。さようなことでございまして、届け出患者相当数ございますが、そのうち、現在まで届けられた者につきましては一万二千名というお話でございましたが、約一万三千名でございます。でございますが、そのうち、まず定型的な症状を呈している者、まあ一応確症患者と申しておりますが、それが二百八十七名でございます。それに疑わしき患者、疑わしいといいましてもかなり疑わしいという範疇に入るかと思いますが、一応は確定はしていない、疑症と称しております。これが二百七十六名と、かような患者発生状況でございまして、当初非常に届け出がありまして心配いたしたわけでございますが、幸い定型的な重症患者と申しますか、定型的な患者はかなり減ってきたということでございます。患者状況はいま以上のようなことでございます。  それから原因につきましては、十一月二十五日に、中央におきまして米ぬか油中毒事件対策本部打ち合わせ会を開催いたしたのでございまするが、その結果によりますと、先週地元におきます油症研究班におきまして中間報告がなされたのでございますが、その中間報告関係県から出てまいりました資料並びに中央におきまして国立衛生試験所等検査いたしました結果、それらを総合いたしまして中央におきまして対策本部打ち合わせ会を開催して、そういうことで一応の中間報告をいたしたわけでございます。  その結果につきましては、まず第一番に、原因食品につきましては、カネミ倉庫株式会社製油部製造ライスオイルであると断定できる。原因食品につきましては、カネミ倉庫で製造いたしました製品であると断定できるということは、従来いろいろと報告があるわけでございますが、一応二十五日の打ち合わせ会におきまして断定いたしたわけでございます。  それから中毒原因となったライスオイル疫学調査、あるいは製品分析成績などの結果、二月上旬に詰められました製品主体となっておる、いわゆる中毒原因となっておるライスオイルは、二月上旬に製造されました製品主体となっておると考えられるが、なお一部におきまして、それ以外の製品につきましても、ごく一部でございますが、若干問題が残っておるというような状況でございますので、二月上旬の製品に限定してしまうということは、現在の段階では断定できないということで、さらに二月上旬以外の製品につきまして検査を進めていくということにいたしておるわけでございます。さようなことでございまして、おおむねのところは、二月上旬の製品に限定いたしておりますが、さらに検査をして結果を出したい、かように考えております。  それから病因物質につきましては、脱臭工程——製造過程におきます終わりのほうの過程でございますが、脱臭工程に使用されております塩化ジフェニールによる公算が最も大きいということでございます。これは脱臭工程におきまして、油を約二百三十度に熱しまして真空蒸留を行なうわけでございますが、そのときに、この油をあたためる一つ熱媒体といたしまして塩化ジフェニールを使っておるわけでございます。これがこのあたためる方法につきましては、油のタンクの中にステンレスパイプを通しまして、そのステンレスパイプの中に塩化ジフェニールという媒体を通しておるわけでございます。この塩化ジフェニールという媒体は、高温にいたしましても液状を保つということで熱媒体に使っておるわけでございます。これが油のタンクの中のらせん状ステンレスパイプの中に通してあるということで、これから漏れた塩化ジフェニールというものの疑いが濃いと、こういう考え方でございます。  なお、この塩化ジフェニール様の物質が、原因物質として食品からも検出されておりますし、また、患者側からも検出されておるわけでございます。したがいまして、この物質原因物質であろうということは、ほぼ断定に近い段階において判断しているわけでございます。ただ汚染機序につきましては、その後九大等の協力によりまして北九州市がこの製造工程検査をいたしたわけでございますが、このタンクに三つの小さい穴があいておったということを発見したわけでございます。これはタンクが六つございまして、六号かんに穴があいておったということがわかったのでございますが、この穴にいたしましても〇・〇二ミリメートルというような小さいものでございます。そういうことでございまして、もし二月上旬に限定されて汚染されたとなりますと、その後どうなったかということが一つの問題でございまして、かりに想像するといたしますれば、当初穴があいてそこから漏れた、その後この穴が埋まってその後の製品は汚染されていなかったと解釈すべきかという問題も実は残されておるわけでございまして、こうしたことは、全般製品検査の結果と、それからさらにこのピンホールからどの程度漏れ得るかというような物理学的な成績といったようなもの等も勘案し、さらにその他の調査から、この汚染機序がどうなったかということをさらに検討していこうというようなことで、この二十五日の対策本部会議におきましては、汚染機序につきましてもさらにこれは検討していかなければならぬというようなことで、断定的な結論はまだ出てないというのが現状でございます。さようなことでございまして、おおむね原因究明につきましては終わりに近づいているのでございますが、まだ全般的には断定できないということでございます。  さらに研究面におきましては、患者治療方法というものがまだ確立されてないということでございまして、一般的な治療は行なっているということでございまして、さらにこの治療研究をやっていかなければならぬということでございます。  また、塩化ジフェニール様の物質を発見いたしておりますが、これが熱媒体等を通りまして油の中に入って、それがいかようなるものに変化しているかというようなこともさらに研究していかなければならぬ、かようなことで、分析あるいは動物試験等によります発症試験等もあわせて現在実験を進めているというような段階でございます。  大体いままでの経過並び現状、今後の研究調査方向というようなものは、ただいま申し上げたような次第でございます。  以上でございます。
  6. 小柳勇

    小柳勇君 内部のほうを少し具体的に質問してまいりますが、約二千六百名ぐらいの方が現在真性中毒患者として出ているようでございますが、その病状なり、特に黒い赤ん坊——赤ちゃんがまっ黒で生まれた、あるいは死産があったというようなことも報道されておりますが、病状なりについてもう少し具体的な御報告を願います。  なお、性別年齢別及び今後の補償問題とも関連がありますから、治療方法などもいままだ模索中のようでありまするが、治療方法などについてもわかっておる程度、詳しく御報告願います。
  7. 金光克己

    説明員金光克己君) まず、ただいまの御質問のうち、患者症状でございますが、一番の問題といたしましては、痙瘡状の皮しんが出るわけでございます。いわゆるにきびの大きいようなものでございますが、それが顔あるいはからだ、まあ、からだ全般でございますが、それが出るということが一番大きな問題でございます。それからまぶたがはれまして、目やにが非常に出る——眼脂が増加するということでございます。それから爪の変色、両足の浮腫とか、あるいは四肢の脱落感、しびれ、かようなものが大体の主体でございます。  それからその次に年齢別の問題でございますが、確症患者全般につきましての資料をちょっと手元に持ち合わしておりませんが、十一月十八日現在におきます一つ年齢別分布状態でございますが、性別を分けまして男九十五、女百一名という数字でございまして、百九十六名の患者の統計でございますが、男でいいますと、大体年齢的には全般的に分布いたしておりまして、零歳から四歳までが十三人、五歳から九歳までが二十四人、十歳から十四歳までが二十四人、十五歳から十九歳が十七人というように、大体年齢的に分布いたしておりまして、五十歳以上——高齢になるに従いまして患者数は若干少のうございます。一番多いのは、二十五歳から四十歳未満のところにおきましてやや患者が多いという状況でございます。大体全般的に分布しているという状況でございます。  それから黒い赤ちゃんの問題で、まあ乳児の、出産児の問題でございますが、黒い赤ちゃんというようなことで報道されておりますが、油症患者家族——油症患者子供さんの皮膚出生児皮膚が少し着色しているという、油症患者を疑わせる子供が生まれているということが問題になっているわけでございまして、また、それが現在までに死産児が二名出ているということも報告といいますか、報道されておりますが、なお、出生児七名が油症患者影響を受けた子供ではないかということも一応報告されているわけでございます。ただ問題は、現在この出生児が、今度の油症に起因するものであるかどうかという決定はまだ正式には現在されてないという現状でございますが、この油症による疑いというものはかなりあるというのが現状であります。  さようなことでございますが、この子供さんの治療につきまして、かりに油症患者子供油症影響を受けたといたしますと、どういうことになるかということで心配いたしておったのでございますが、先般の対策本部会議におきます報告といたしましては、対症療法の治療によりまして、非常に経過はいい方向に向かう見込みであると、かように承知いたしております。したがいまして、まだ油症影響を受けたものかどうか正式には決定いたしておりませんが、経過といたしましてはいい方向に向かっておる、かように承知いたしておる次第でございます。  大体、以上でございます。
  8. 小柳勇

    小柳勇君 いまの赤ちゃん皮膚が黒い、あるいは死産児があったということは、まだ正式には米ぬか油原因であるということについては決定してない、とおっしゃいましたが、九大油症班では、この米ぬか油原因であるということを断定しておるのじゃございませんか。
  9. 金光克己

    説明員金光克己君) 九大のほうで断定しておるというところまでは、私どもといたしましては、まだ承知してないわけでございます。非常に疑いがあるということにつきましては、承知しております。
  10. 小柳勇

    小柳勇君 私も十一月の八日に調査班として九大に参りまして、九大油症班からの報告を聞いているのですが、いま報告されているのは、結論的に非常にあいまいでして、ただ、そのカネミ製ライスオイル原因であるということを断定できる。あとのことは、カネクロールが実際どれだけ出たか、あるいはいまの赤ちゃんの問題など、原因がどうもあいまいのように厚生省は受け取っておるようですが、そういうことで対策もおくれているのじゃないかと思うんですが、もう一回この原因のところを述べてください。
  11. 金光克己

    説明員金光克己君) まず原因の問題でございますが、先ほど御説明申し上げましたように、カネミ倉庫で製造しました油によるものということは断定いたしておりまして、あと原因物質として検出されております塩化ジフェニールにつきましては、この塩化ジフェニールによる公算が最も大きいというのが先般の対策本部会議の結果でございます。まあ、さようなことでございまして、九大中間報告におきましてもさような考え方でございます。では、もう少し塩化ジフェニールと発病との機序等につきまして、さらに学問的に研究をいたしまして、その上で結論を出したいという考え方でございます。  それから塩化ジフェニールのような物質が検出されたということは間違いないわけでございます。まず間違いないと考えるわけでございますが、これがどういうことで汚染されたか、この油の中に混入してきたかということにつきましては、先ほど申しましたように六号かんの中にピンホールがあった。六号かんの中の塩化ジフェニールを通しておるステンレスパイプピンホールが三つあいておったということでございますので、これから漏れたという判断のしかたもあろうかと思うのでございます。しかしながら、非常に小さな穴でございますということと、もう一つは、その汚染された製品との関係がどうなっておるかということでございまして、二月上旬の製品主体となって汚染されておるということでございまして、その後の製品につきましては、汚染されておるというものは一、二におきまして問題があるものがございますが、全般的にはまずないのではないかという考え方に立っておるわけでございますが、これも現在検査中であるわけでございますけれども、さような状態でございますから、このピンホールの漏れる機序というものがどういう経過をたどったものであるかということにつきまして、もう少しほかの面からもこれを検討して結論を出す必要があるのじゃないかと、かように考えておるわけでございます。  もう一つは、御承知のように、ダーク油の中からも塩化ジフェニールが検出されておるということでございますので、これだけの関連におきましても、その関連究明することによって、なお新しい原因がはっきりしてくる、かように考えておるわけでございます。  なお、ダーク油から発見されております塩化ジフェニールにつきましては、いわゆるタンクから漏れましたものを原油に返しておるということでございますので、ダーク油に入る一つの道筋というものが考えられるわけでございますが、これもダーク油にどの程度入っているかということを、もう少し究明しなければならないというのが、先般の対策本部会議における結論でございます。さようなことでおおむね、さようには原因としては考えられますけれども、最終結論としてもう少し検討したい、かような状態でございます。
  12. 小柳勇

    小柳勇君 時間がございませんから、前後省略しながら問題点だけ質問してまいりますが、まず、治療すれば完全に全治する見通しでございますか。
  13. 金光克己

    説明員金光克己君) これは初めての病気でございますので、当初、非常になおりにくい、どうなるであろうかという心配をいたしておりました。しかし、なおりにくいことは事実でございますが、現在の状況では、かなりこの治癒につきましては、非常に好転してきておる、かように承知いたしておるわけでございまして、実は顔に出ました痙瘡につきましても、あとに非常に穴があいて、被害が残るのではないかという心配をいたしておりましたが、これもそうたいしたことなしに済むのではないか、かような傾向をいまたどっておるわけでございます。
  14. 小柳勇

    小柳勇君 死産のこと、補償などの問題がありますけれども、死産されたのもその油が原因であるということは断定できますか。
  15. 金光克己

    説明員金光克己君) 先ほど申し上げました死産児につきましては、油症影響があるのではないかということは、現在疑いは十分持っておりますけれども、しかし、まだそれとも断定されていない。さらに研究していくということになっておるわけでございます。したがいまして、それらとあわせて死産児の問題は検討しなければならぬわけでございます。そういうことでございまして、現在の段階では何とも申し上げられないということでございます。
  16. 小柳勇

    小柳勇君 現在、対策本部研究費なり、あるいは患者治療費については、国が少しめんどうをみておりますか。あるいは患者が自分の費用で治療しているのでしょうか。
  17. 金光克己

    説明員金光克己君) 研究費につきましては、科学技術庁の特別調整費のこの研究費を回すことにしておりまして、具体的には御相談を進めております。そういうことで、地元九大におきましては、入院患者等につきまして、治療面につきまして、あるいは検査面におきまして、いろいろと研究をいたしておるわけでございます。そういった研究費につきましては、その研究費から出費するようになると思います。  なお、治療費でございますが、その入院患者はそういうことでございますが、大学当局研究によります入院患者につきましては無料でございますが、外来患者につきましては徴収しておるというような状況でございます。
  18. 小柳勇

    小柳勇君 対策本部のほうで、試験の機械などで若干不足しておるようなことを聞きましたので、現地のほうの対策本部とよく御連絡の上、研究費などについての国の援助を希望しておきます。  次に、二月上旬の油が大きな原因である、大部分がそうであろうという判定でございますが、この油の回収なり焼却は済んだのかどうか、及びその他の油についての試験はいつ終了するのか。
  19. 金光克己

    説明員金光克己君) 現在、カネミ油につきましては、使用禁止を命じてあるわけでございます。かようなことでございますが、これをどうするかという問題でございます。先ほど申し上げましたように、この原因につきましては、ごく近々に結論を出し得るというような考えを私は持っておるわけでございます。結論が出ますれば、その上に立ちましてこの製品につきまして、たとえば二月上旬の製品だけが汚染されておって、三月以降の製品につきましては絶対だいじょうぶだと、かりにそういう結論が出ますれば、二月中の製品につきましてはこれは回収を命ずる、そしてそれを処分させる、かような考え方でございます。それから絶対安全だという保証がつく製品につきましては、これは移動禁止を解除する、かような考え方で進めたいと思っております。これはもう少し原因検査等もはっきりしてからにいたしたいと、かように考えております。また、他のいわゆる製品の製造日別の検査の結果でございますが、これも現在非常に急いでやっておる状態でございます。これも前からやっておるわけでございます。さらに最近特に急いでやらしておるような状態でございまして、この結果も近々に出る、かように考えております。
  20. 小柳勇

    小柳勇君 私ども調査した段階では、カネミの倉庫にももちろんたくさん保管してあります。ただ小さい紙のテープで封印したという形をとっております。また民間の倉庫にも回収したものが預けてあるようでありまするが、これが将来どういうふうに処理されるかということについては、非常に大きな問題であります。まだ具体的にはちっとも対策を立てていないようでありまするが、二月上旬の油及びその他のものについての今後の処置についても、もう少しはっきりした方針を立てておいてもらいたいと思っておりますが、いまの答弁では、まだその方針が、試験の結果のようでありますから、あるいは時間がかかるかもわかりませんが、対策があれば御報告願いたい。なかったら、今後どうされるか、意見を聞いておきたいと思います。
  21. 金光克己

    説明員金光克己君) 先ほど御説明申し上げましたように、安全とわかったものは解除する、これは絶対に安全という前提に立つわけでございますが、そうでないものにつきましては、汚染された疑いのあるものにつきましては、これは処分をするということでございます。ただ、回収いたしまして処分をする方法でございますが、これにつきましては、ただいま御指摘がございましたように、これは製造業者自体も非常に研究いたしておると思うのでございますが、また私どもといたしましても、最も合理的な処分の方法はないか、もちろんこれは食用に供されてはたいへんでございますが、さようなことは絶対にあるべきではないことでございますが、いかような処分をするかというようなことにつきましては、なお現在まだ検討中でございますので、今後さらに研究いたしたいと思います。
  22. 小柳勇

    小柳勇君 次は責任の問題でありますが、患者代表は、会社の社長に補償の要求を申し込んだ。また厚生省を中心とする対策本部は、原則については、カネミのこのライスオイル原因であると断定をしておりますが、その責任の追及についてはどのような処置をされたか、またされるか、お聞きをいたします。
  23. 金光克己

    説明員金光克己君) カネミの倉庫の製品によって発病した、この中毒事件発生したということは断定いたしておりますが、まだその汚染経路というものが明確でないのでございまして、製造工程中において汚染されたという公算は大きいのでございますが、まだ断定してない段階でございまして、それが断定されました段階におきましてこの補償の問題は起きてこようかと思うのでございます。また、さように考えておるわけでございまして、断定と申しますか、これが非常にその公算大という段階におきまして問題が出てくるわけでございまして、また補償そのものが断定されてからも起きてくると思うのでございますが、さようなことでございまして、現在汚染経路の究明に専念いたしておるわけで、最終段階の汚染経路の究明の点について努力しておる最中でございますので、その結果によりましてこの問題は扱っていきたいということでございまして、こういった補償問題につきましては、当事者同士の——これは断定されて結果が出た場合のことでございます。当事者同士の折衝というものが第一義的ではあろうかと思います。もちろん行政当局としましても、必要に応じましてこれにつきましていろいろのアドバイスをする等の問題につきましては努力してまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
  24. 小柳勇

    小柳勇君 どうもはっきりしないのですがね。衆議院の社労のときの質問の答弁よりもっと現在はあいまいもことなっておるような印象を受けるのですよ、あなたの答弁を聞いておりますと。このライスオイルがあの病気原因であるということは断定した、ただ汚染経路がまだはっきりしないからその責任の所在も明らかでない、こういうようにいま私あなたの答弁を聞いておると取れるわけですが、そういたしますと、この患者代表などが補償を社長に要求しておられるけれども、これはもう意味がないということになります。実際は発病しておられるわけです。しかも、そのカネクロールという熱媒体を使って米ぬかから食油をつくっておるということも事実でありますし、そのつくっておる過程でどこかでカネクロールが油の中に入って有機塩素の中毒を起こしておる。ここまでは事実であるけれども、その油が原因であるということはわかっておって、なお責任の追及なり補償の対象があいまいもこであるということについては理解できないのですが、その点あるいは私どもも告発の手続をとっておりますけれども、厚生省としては、先日の新聞によりますというと、二十五日の対策本部北九州に告発を電話で指示した、こういう報道がなされておりますが、これは事実でございますか。
  25. 金光克己

    説明員金光克己君) 告発の問題につきましては、二十五日に指示はいたしておりません。もちろんこの告発の問題につきましては、地元から相談は受けておるわけでございますが、先般の対策本部会議等の結果によりまして、さらに原因究明につきましてこういった点について究明する必要があるという結果でございましたので、現在までの結果におきましても、タンクの中のステンレスパイプピンホールが発見されておるわけでございます。かなり疑いは濃厚なんでございますが、もう一つ原因につきまして調査をいたしまして、そうして総合的に判定した上で考慮いたしたい、かようなことで現在まだ告発につきまして国から指示するという処置はとっていないということでございます。
  26. 小柳勇

    小柳勇君 二月にダーク油によって鶏のひなが十数万羽倒れておる。そのときに林兼からも、もしこれが人間であったらたいへんなことだということをこの会社に注意をされておるはずです。にもかかわりませず、二月からこの注意を怠って、検査もしないでこの油を市販しておったというだけでも相当の責任があろうかと思うが、現在のこの食品衛生法の不備で、機械の途中を検査することに規定がなっていない。だから規定上はあるいは怠慢だとは言われないかもしれないけれども、ダーク油で鳥のひなには相当被害があったにもかかわらず、そのままこの機械を使って食用油を製造したこのことだけでも、私は社長なり工場長としては責任があると思う。また皆さんも断定しておられるように、この病気原因はこの油であると断定しておるのであるから、証拠隠滅の疑いもありましょう。なぜ野放しにして、この汚染経路がわかるまでは責任の追及もできないというような処置をされておるのか、理解できないのですが、もう一度答弁を願います。
  27. 金光克己

    説明員金光克己君) 先ほど申し上げましたように、まことに同じことを繰り返して恐縮でございますが、やはり汚染機序、汚染のしかたをもう一つ突き詰めた結果を得て措置を考えたい、かような考え方でございます。
  28. 小柳勇

    小柳勇君 農林省に質問いたしますが、ダーク油事件が起こりましたあと厚生省とどういう連携をとってこの油の毒性についての調査研究をされたかお聞きいたします。
  29. 平松甲子雄

    説明員平松甲子雄君) ダーク油でブロイラーなり産卵用のニワトリが事故を起こしましたのが二月、三月でございますが、その際死んだ鶏が——ブロイラーで四十万ばかりあったということで、私どものほうでは、その毒性の検出に努力をいたしたわけでございますが、なかなかわからないということで、大体二月の上旬にダーク油を配合した飼料によるものであろうということがわかりました段階で、それぞれ会社には指示をいたしたわけでございますが、何ぶんダーク油による事故は、鶏のうちのひなだけが被害を受けて、成鶏のほうはたいした被害ではなかったということと、それからダーク油米ぬか油の精製過程でいろいろな化学操作を経てつくられてくるというようなことでございますので、ダーク油が分離、精製される過程でできたんじゃないかというような考え方をいたしましたことと、それからまた毒物が化学的に何であるということがはっきりいたしませんというような形でございましたので、えさの関係の業者に対して、あるいは関係方面の行政官に対して指示をするということにとどめまして、厚生省とは連絡をいたさなかったわけでございます。その点は、いまにして考えますと、はなはだ残念であったというふうに考えておるわけでございます。で、油症患者が出てまいりまして、厚生省のほうで対策本部をおつくりになるという段階で、私どものほうも参加いたしまして一緒に事情の究明に当たるということになりました。
  30. 小柳勇

    小柳勇君 警察庁に質問いたしますが、十月上旬から西日本一体数県にわたってこのような患者発生して、ほとんど原因も、その油が原因だという断定がなされておるんですが、警察権力はちっとも動いていない、地元民として非常に不審がっているわけです。一人死亡事件がありましても、警察としてはたいへんなことであるのに、これだけの大きな問題が起こっておるのにもかかわらず、警察としてはその十分な捜査もやっていないんで、地元民として非常に不審でありまするが、現在まで警察庁がとられた処置及び今後の対策についてお聞きいたします。
  31. 小野島嗣男

    説明員小野島嗣男君) 今回の米ぬか油中毒事件につきましては、警察といたしましても当初から重大な関心を払っております。今回の事件につきましては、目下中毒原因と見られる塩素化合物の混入経路とか患者の結びつきにつきまして、主務官庁でございます衛生当局によりまして調査が行なわれておりますので、その専門的な、技術的な結論を得て捜査に着手するのが妥当と考えております。しかし、原因も徐々に明らかにされつつありますので、警察といたしましては、関係機関と緊密な連絡をとりながら資料の収集をいたしておるわけでございます。警察といたしましては、小柳先生と同じような気持ちで、衛生当局の技術的な、専門的な結論が早急に出されることを望んでおります。福岡県警といたしましても、いつ捜査に移行してもいいような体制を整えておる次第でございます。  なお、これに関連する報告に関する軽犯罪法違反かということで現在捜査中でございます。
  32. 小柳勇

    小柳勇君 昭和三十年の森永、ミルク事件のときは、発生と同時に工場長など関係者三名逮捕して、取り調べを進められておる。今度の事件については、あの会社が責任があるということは、明らかにしろうとでもほとんど断定されているにかかわりませず、ちっとも——もちろん刑事責任の追及というよりも証拠隠滅などの疑いもあろうかと思ったのに、全然警察権力が動いていないものですから不審がっているわけです。したがって、昭和三十年の森永ミルクの場合と今度の事件の場合とどう違うのか警察当局の見解を聞いておきたいと思います。
  33. 小野島嗣男

    説明員小野島嗣男君) ただいま御指摘の森永ミルク事件は、昭和三十年の事件でございますが、これは六月の下旬ごろから粉、ミルクによる乳幼児の被害が続発したわけでございます。当然衛生当局者等によりまして原因究明が進められたわけでありますが、約二カ月後の八月二十日に岡山大学で死亡児の解剖結果、砒素中毒によるものということが判明いたし、さらに三日後に森永乳業の徳島工場製の粉ミルクから砒素化合物が検出されまして、中毒原因の毒物と被害との結びつきが明らかになりましたので、またしかも衛生当局の告発も当然予測されましたので、八月二十九日に強制捜査を行なっております。しかし、今回の場合は、中毒原因物質がいろいろ変転をいたしましたり、毒物の混入経路や被害との結びつき等が目下究明中ということでございます。厚生省当局の御連絡では、近々原因がはっきりするということでございますので、森永ミルク事件の場合とは若干の事情が違うような次第であります。ただ、警察当局の考え方といたしましては、衛生当局の技術的な、専門的な結論というものを得て、捜査としてのたてまえを明らかにするという点については、前回の事件と変わりはないわけでございます。
  34. 小柳勇

    小柳勇君 厚生当局にもう一回念のためにお聞きいたしますが、汚染経路についていま警察庁は近々厚生省並びに対策本部のほうで結論が出るようであるという見解のようでありますが、どのような方法でやって、いつごろ出る見通しであるのか、これは長引けば長引くだけ患者も不安でありますし、市民も不安であります。したがって、いつごろ具体的な結論が出るのかもう一回念のために聞いておきたいと思います。
  35. 金光克己

    説明員金光克己君) 汚染経路の結論でございますが、これは現在鋭意その結論を出すように努力いたしておるわけでございますが、先ほど来私がもう一歩確認をいたしたいということを申し上げておるわけでございますが、これにつきましては、現在原因物質等から、こういった面から製造過程で汚染されたものではないかというようなことも推定し得るようないま検査もいたしておるわけでございまして、そういうようなことをあわせて実は結論を得たい、かように考えておるわけであります。かようなことでございますので、これはごく近々におおむねの結論は出したい、かように考えておるということでございます。  以上でございます。
  36. 小柳勇

    小柳勇君 汚染経路が明らかになりましたら告発するのだ、その責任をとらせるということに理解してよろしいですか。
  37. 金光克己

    説明員金光克己君) 結論の結果によりましては、当然さようなことも考慮をいたしたいと思います。
  38. 小柳勇

    小柳勇君 補償の問題でありますが、患者二千数百名、具体的に治療されておる者がそのくらいあるのでありますが、補償の問題も、社長は全財産をかけて補償いたしますとは言っておりますが、私企業であります。これはこの事件だけでありません。たとえば小さい食品会社が出しました食品によってたくさんの死傷者などを出した場合に、ただ刑事責任を追及するだけではほんとうの補償はできぬのではないか。もちろん死んだ方が生き返ることはできまん。補償はできぬのであるが、こういうような食品衛生上あるいはこういう食品業者が自分の製品によって大きな事故を発生した場合、特に人命に死傷事故など発生した場合に補償する能力をどうやって裏づけるかということに最近私も問題を持っておるのでありますが、たとえば補償基金の設置など、この食品衛生業が自発的にやることは当然考えなきゃなりませんけれども、国として、そういうものをお考えになったことはないか。たとえば今度の事件もダーク油だけでも五億に近い金を林兼その他から要求しておる。今回のこの事件も相当の補償額になろうかと思います。金がなきゃ補償できぬことでありますけれども、そういうものについての当局の見解を聞いておきたいと思います。
  39. 金光克己

    説明員金光克己君) こういった、こういったと申しますが、今回のような事件に伴う賠償に対する一つ対策としまして、その業者としての立場におきまして基金をつくるというような問題、あるいはこれを国全般の問題として基金を考えていくというような問題、それに対する行政当局の考え方というような問題につきましては、いままでのところ実は特別に考えてないわけでございます。と申しますのは、食中毒等の問題につきましては、まあ森永事件は非常に大きな事件でございましたが、そうたびたびある事件ではない、またあっては困る事件でございますので、そういうようなことでございますので、かようなものに対する補償基金といったようなものは現在まで考えていないわけでございます。しかしながら、詳細私も承知いたしておりませんが、旅館だとかあるいはそういったような関係の業者におきまして、そういったいろいろの事故に対処するために保険に加入しておるというようなことはやっておるようでございますが、こういったような形のものを団体として考えていくというようなことも一つ考え方ではなかろうかと思うのでございますが、現在までのところ、私どものところでは食中毒患者という立場においてさようなことを考えてないということでございますが、なお御指摘もございましたので、一つ研究課題としては研究してまいりたいと、かように考えております。
  40. 小柳勇

    小柳勇君 それから食品をつくる機構ですね、その過程で非常に複雑な機構がございます。しかも、それに化学薬品など、ある段階で注入したりなどいたします。現在は途中で検査するようになっていないのですね。したがって、製品につきましては検査をして出しますけれども、途中で薬品を化合する過程において検査をやる規定もない、あるいは機械部分などについて定期検査などの規定はないようです。これはその食品だけではありません。食品はほかにたくさんございますが、機械が複雑になればなるだけいろいろ反応も複雑になってまいるでしょう。ほかの食品もこういう事故が起こりかねないと私は思うわけです。現在のこの事件を教訓にして、どういうふうな対策を考えられておるか、また同種のいまのこの事業ですね、食品をつくっておる同種の企業に対してどのような規制措置をされたか、お聞きいたします。
  41. 金光克己

    説明員金光克己君) 食品の製造業者に対します監視につきましては、都道府県あるいは指定市あるいは保健所法に定められております政令市におきまして実施いたしておるわけでございまするが、その監視の目標につきましては、食品衛生法の省令で規定されております。また各都道府県におきまして、この施設の監督基準というものをつくっておるわけでございますが、ただいま御指摘がございましたように、その監視の目標というのは、やはり食品を、全般的にはもちろん衛生的に食品の製造をしなければならぬ、加工しなければならぬということになっておるわけでございますが、具体的な目標といたしましては、やはり食品添加物とか製造の過程におきます食品そのものの監視というものに重点が置かれておるわけでございまして、今回の中毒事件のように、食品には添加しないが製造過程に使う、こういった薬品の監督というものにつきましては、従来かような事件がなかった関係もございまして十分目が届いていない、また、規定の上でも明確にしていないという点は御指摘のとおりでございます。こういったことにつきましては、省令の目標の改正、あるいは県におきます製造基準の改正等によりまして、その点は今後明確にし、また今後二度とこんな事件を繰り返さないようにいたしたいとかように考えておるわけでございます。  なお、こういった製造業種の衛生監視でございますが、これにつきましては、厚生当局が監視するだけでは必ずしも十分なことを行ない得ないという問題がございます。製造方法等は日進月歩の問題でございますので、そういう意味におきまして、こういった製造業種には食品衛生管理者等を置かし、その衛生管理者を十分教育いたしまして食品衛生の万全を期していく。さらに食品衛生管理者の平素監視すべき基準等も設けて具体的に遺憾のないようにしていこう、かようなことも今後研究課題としていま考えておるようなわけでございます。  さらには、同種の業種あるいはこれと同じような形態の食品製造業種というものもあろうかと思うのでございますけれども、こういったものに対しましても、ただいまのような考え方全般的に検討をしてまいりたいと考えております。  なお、油製造業種につきまして熱媒体を使っておることにつきましては、十分遺憾のないようにしてまいりたい、また現在指導しつつある状況でございます。
  42. 小柳勇

    小柳勇君 具体的に質問が展開できない、まだ最終的な原因がわからないとおっしゃいますものですから。補償の問題など具体的にもう少しお聞きしたいのでございますけれども、原因究明されたときに、もう一回具体的な質問をしたいと思いますけれども、ただ私どもずっと事件を見ておりまして、どうも厚生省なり関係当局のやり方が手ぬるいといいましょうか、必死になってこの原因究明して、こういうような事件が再び発生しないようにしたいという熱意がどうも疑われる。で、邪推するというと、政治的に別な圧力が加わって、厚生省も農林省も原因究明をわざとおくらしておるのじゃないかという邪推すらするくらい手ぬるいのです。九大の学者あるいは医者などの御意見を聞きますと、もうはっきり原因については、わかったということで、私も、その原因がわかったのですから、早急に補償しなければならぬし、またあと治療方法等についてもっと具体的に研究していただくようにということをお願いしてきたのでございますが、きょうの答弁は非常に不満です。何かこの前の衆議院なり参議院の社労の答弁よりももっと後退したような印象を受けてならぬのですが、答弁はまあ担当局長ですから慎重のようでありますけれども、政治的な圧力などありませんように、地域の人たちが、食品衛生を管理する厚生省のやり方について安心して生活できるように、ひとつ迅速な措置をお願いしておきたいと思うわけです。この問題については以上で質問を打ち切りたいと思います。
  43. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 答弁要りませんか。
  44. 小柳勇

    小柳勇君 局長から答弁を聞いておきます。
  45. 金光克己

    説明員金光克己君) 原因調査が手ぬるいと、また対策措置が手ぬるいという御指摘でございますが、やはり原因調査を始めました当初におきましては、これが初めての事件でございますので、普通の食中毒原因調査よりは若干手間どったという点につきましては、遺憾に思っておるわけでございますが、その後の原因調査あるいは検査等におきましては、関係者におきましては、まあ非常に熱心にやっておるわけでございまして、決して手を抜いておるというような状態ではないわけでございます。また政治的な圧力等は決してないのが実態でございます。私自身も何もさような圧力を受けてないのが実際でございまして、さようなことでございますので、若干まあテンポがおそいというような御指摘があったわけでございますが、今後の処置におきましても鋭意努力いたしまして、かような食中毒が二度と起きないような対策もあわせて十分考慮してまいりたい、かように考えます。
  46. 小柳勇

    小柳勇君 蛇足ですけれども、私どもも中小企業をつぶすような気持ちで質問しているのじゃありません。ほかにたくさんあれに類する中小企業の製油会社もあるようでありますから、これは保護しなければなりませんが、事件が発生した以上ですね、庶民が安心するように早急に監督指導を強化してもらう、こういう意味であります。なお責任は責任としてはっきりして、補償の問題について十分ひとつ指導していただきたいと思います。以上でこの問題についての質問を打ち切ります。  あと、重度身体障害者、障害児の問題について質問いたします。  この重度身体障害者、障害児対策につきましても、よく委員会その他で再三質問してまいったのでありますが、ちょうど予算編成の時期でありますから、わが党の方針として質問するわけです。この重度身体障害者、障害児対策現状とこれからの方針についてまず御説明を願います。
  47. 渥美節夫

    説明員(渥美節夫君) 心身障害児の中でも特に重度の方々に対しましての施策は、児童福祉法ができました当初、やや立ちおくれであったことは事実でございます。しかしながら最近特にこの五年間ぐらい前から、重度の精神薄弱者あるいは重度の肢体不自由児に対しますところの対策を強化してまいりました。特にそういった子供さんを収容する施設の整備、それからまた収容されないで在宅のまま収容を待っている子供さん方に対しまする対策も進んでまいったわけでございます。具体的に申し上げますと、一般の精神薄弱児施設あるいは普通の一般の肢体不自由児等の施設に対する、特に重度棟を設けるという施策も講じております。そしてまたその一番重度な精神薄弱と肢体不自由ともに重度で重複している子供さん方に対する対策につきましては、重症心身障害児施設という新しい施設体系を設けまして、年次計画を持ちまして、私どもで把握している子供さん方をすべて収容するという計画を実施しておるところでございます。在宅の方々に対しましても、児童相談所等からの訪問指導をいたしておりますし、また重症心身障害児の子供さんのためには、ことしから特に調節が可能であるベットを支給する、貸与するという方策を打ち出しております。なおまた御承知のように特別児童扶養手当、こういった手当も経済的に余裕のない方々に対しましては支給をしておるところでございます。
  48. 小柳勇

    小柳勇君 具体的に四問の一は、施設収容定数の増設で、いま地方でも希望者がたくさんおるのですけれども、なかなか施設が間に合わんのです。具体的に、この定数の増加についての数字を説明願います。
  49. 渥美節夫

    説明員(渥美節夫君) 御質問の趣旨は、重症心身障害児に対する施設の整備と思われますので、それを中心に御説明申し上げたいと思います。重症心身障害児の数は、昭和四十年の私どもの調査によりますると、施設に収容することが必要である方々が一万六千五百人ということに全国的になっております。これに対しまして、昭和四十三年度より特に七カ年の整備計画を打ち出しまして、ただいまその七カ年の計画を実施中でございます。具体的に申し上げますと昭和四十三年度、本年度末までにおきまして、こういった方々に対しまして四千三百六十九床を整備するということにしております。したがいまして、昭和四十四年度以降、昭和四十九年度までに残りの約一万二千床を六カ年で整備する。したがいまして、毎年約二千ベッドを新設していく、整備していくということでございます。多少まだ時間がかかるようでございますけれども、なかなかこういった施設を経営する場合におきましては、特にその看護婦、医師等の確保も非常に困難でございまして、そういったことも勘案しながら最大限の努力ははかりまして、毎年二千床ずつ整備していこうということにいたしておるわけでございます。
  50. 小柳勇

    小柳勇君 いまの施設の職員の問題が非常に悩みでありますが、地方でも病棟は何とか手に入れましても、施設職員がなかなか増加できない現状でありますが、施設職員の増加及び処遇の改善の問題についての見解を伺います。
  51. 渥美節夫

    説明員(渥美節夫君) ご指摘のように非常に医師、看護婦あるいは准看護婦あるいは指導員、こういうような直接子供を介護するあるいは指導する職員は、非常に確保することが困難であるわけでございますが、この重症心身障害児施設におきましては、そういった非常に運営の困難性にかんがみまして、一般の児童福祉施設に支給するといいますか、補助いたしますところの児童保護措置費に三八%の加算額を上乗せいたしまして、それによりまして、いま申し上げましたような介護職員を確保することができるような配慮をいたしておるところでございます。  それから、こういった職員は他の施設と違いまして、子供さん二人につきまして大体一人の介護職員を必要とするというふうなこともありますので、いま申し上げましたような加算額の上乗せのほかに、補給に対しましての特別調整額を支給するという方法も講じまして、職員の確保には腐心をしておるところでございます。
  52. 小柳勇

    小柳勇君 具体的な問題、北九州及び福岡県に一カ所ほしいもんですから努力してやってきたんですが、結核療養所を二病棟ばかり充当してということで話を進めてまいりましたが、具体的に現在どうなっておりますか。
  53. 渥美節夫

    説明員(渥美節夫君) 御指摘の北九州、特に福岡県につきましては、本年度国立結核療養所に重症心身障害児棟として四十床をつくることにいたしまして、目下建築を進めておるところでございます。なお民間の方々でこのような施設を経営していただく、設置経営していただくという場合には、最優先順位によりまして国の補助を出してまいりたい。かように考えております。
  54. 小柳勇

    小柳勇君 いまの民間の施設に対する補助をもう少し具体的に御説明願います。
  55. 渥美節夫

    説明員(渥美節夫君) 児童福祉法によりまして社会福祉法人あるいは財団法人等がこういった児童福祉施設を設置されるという場合におきましては、国の補助が二分の一、都道府県の補助が四分の一、したがいまして残額につきましては四分の一を自己負担ということになっておるわけでございますが、重症心身障害児施設につきましては、それを他の施設よりも優先的に考えていくとともに、自己負担分等につきましても、たとえば社会福祉事業振興会の融資でありますとか、あるいは民間の財源、たとえば自転車の競輪の益金の配分でございますとか、あるいはモーターボート競走の益金の配分、こういった点につきましても、国といたしましてはできるだけのごあっせんを申し上げるということにいたしておるわけでございます。
  56. 小柳勇

    小柳勇君 国立コロニーも五ヵ年計画でつくることはきまっておりますが、現在まだ土地造成中のようであります。四十五年度の後半でないと開所できないというようなことでございまして、世間に騒がれますと予算もよけいつくし、仕事も早くいきますけれども、世間が忘れますとなかなか仕事が進まない。ほかにも予算をもちろん出さなければなりませんけれども、こういうような非常に気の毒な人たちの、あるいは家庭を救う意味で、もっと早く施設及び職員の拡充についてひとつ努力をしてもらいたいと思うわけです。方針だけはわかりますけれども、これがまた予算が削られて、実際決定されるときには、これが半分くらいになるような危険性がありますし、せっかくりっぱな希望を持った計画がありましても、これがなかなか進まぬということでございますから、いまちょうど予算編成期でもありますし、この要求された予算は全部とる。決定すると同時に過去の計画をもっと早めるようにひとつ善処してもらいたい。もう私が何回も言う必要もないと思います。重度身体障害児を柱にくくりつけて生活を営んでおられる家庭を私、まのあたりに見ているものですから、きょう党の要求によって質問したわけですから、もう十分内容はわかっておりますから、ひとつ、今後とも努力をしてもらいたいと思います。
  57. 渥美節夫

    説明員(渥美節夫君) 重症心身障害児対策を中心にいたします心身障害児対策につきましては、私ども児童家庭局におきましても、その仕事の最大の重点といたしまして、これからも進めてまいりたいと思いますし、厚生省におきましても、心身障害児対策というのは大きな重点事項になっておりますので、御指摘のように、今後こういった子供に対する対策をさらに拡大強化していきたい、このように決心をしておるところでございます。
  58. 小柳勇

    小柳勇君 次に、ガン対策について質問をいたします。  この問題も昨年の予算委員会で総括質問質問したのでありますが、昭和四十一年から年次計画で対策の推進をはかっておられますが、なお、専門家の意見によりますと予算が足らない、対策もないといわれております。先般関係者が集まったガン対策の大会で、予算の問題なりガン対策推進法の要求なりがきめられておりますが、ガン対策に取り組んでおられる現状について、まず御説明を願います。
  59. 松尾正雄

    説明員(松尾正雄君) ガン対策につきましては、公衆衛生局関係の集団検診等の事業もございまして、私から一括して申し上げたいと存じます。  御指摘のとおり、ガンの死亡も十万人をこえるような状態になりまして、この対策はきわめて急がなければならないことは御指摘のとおりでありますが、すでに三十七年に国立ガンセンターをつくりまして、ここを中心といたしまして、診療あるいは検査、あるいは職員の養成ということに踏み切ってまいりました。それ以後ただいま先生御指摘のように、四十一年度からこの対策を重点的に進めていくおもな構想といたしましては、この国立のガンセンターを中心にいたしまして、地方の中心になりますような高度の機能を持ったガンセンターを九カ所ほどつくりたい。ただいま九州を除きましては、地方ガンセンターというものはほぼ完成をしているわけでございます。そのほかに、各都道府県に大体二カ所程度、それ以上計画としてはまだございますが、さしあたりは二カ所程度のやはりガンの診療施設を持ったところを整備してまいりたいということで、この計画もすでに大体予定どおり進めておるような状態でございます。さらにこういうような施設がございましても、一番やはり一つの悩みは専門家——医師を初めといたしまして、レントゲン関係あるいは衛生検査といったようなガンの技術者の訓練ということがきわめて急がれておるわけでございます。国立ガンセンターをはじめといたしまして、先ほど来申し上げました地方のガンセンターというものに依託等をいたしまして、こういう関係職員の訓練を急いでおるということでございます。  それから、なおガンに関しまして一番基本的な問題は、その本体が何であるかというようなことがまだ十分に糾明されないというようなところに問題がございます。したがいまして、このガン研究の促進ということが、やはりじみではありましても基本的な問題でございますので、特別に研究費を計上いたしまして、ガンの研究を進めていく。この点につきましては、文部省の研究費と共同いたしまして促進をするような姿勢をとっておるわけでございます。またガンの現在の対策といたしまして、早期診断、早期治療ということが唯一の方法でございます。主として都道府県等を中心にいたしまして、集団検診、子宮ガン、胃ガンを含めまして大体百五十万人程度の集団検診が実施されておるようになってまいりましたが、さらに、こういったような予防検診というものを徹底させて、それとともに、さらにそれを受け、ざらといたしましての治療施設というものを整備していく、こういう形でただいま努力を続けているような状況でございます。
  60. 小柳勇

    小柳勇君 文部省の研究費は幾ら要求してあるのでしょうか。
  61. 松尾正雄

    説明員(松尾正雄君) 私が承知しておりますのは、文部省の研究費の中からガンに支出されましたのが三億三千万。それからそのほかに国立大学等のいわゆる特別会計の中でガンのこういう施設とかあるいは技術者訓練、養成といったようなものを含めまして、約二十億が特別会計に含まれておるというように承知いたしております。
  62. 小柳勇

    小柳勇君 来年度の厚生省の要求が三十九億になっておりまするが、その三十九億にプラス二十億だと考えてよろしゅうございますか。
  63. 松尾正雄

    説明員(松尾正雄君) それにプラス二十億——文部省の来年度の予算はちょっと承知いたしておりませんけれども、おそらくそれ以上にプラスされるというふうにお考えいただいてけっこうだと存じます。
  64. 小柳勇

    小柳勇君 昭和四十一年は十億程度でしたから、前進したことは認めますけれども、専門家の意見を聞きますと、せめて年間二百億くらいありますと、急速にガン対策が前進する。もう一つは、ガン対策促進法といいましょうか、ガン対策法といいましょうか、法的に確立してもらいたいという要請があるわけです。わが党も二年前にガン対策の促進法的なものを二、三立案いたしましたが、まだ公には提案はいたしておりませんけれども、結核予防法があり、精神病対策の法律がありますし、かつて軍部が結核の撲滅のために相当力こぶを入れたということが私も腹にしみておりますものですから、そういう意味でこの予算が前進することは喜ばしいことでありまするが、もう一歩前進をして法的なあるいは制度的な確立をして、画期的なガン撲滅対策ができないものであろうか、これは先般の大会の皆さんの希望でもありました。こういうものについて、さきの予算委員会で質問したときに、まだ法律まではいま考えられぬけれども、検討しましょうという答弁が大臣からなされているわけです。検討しておられるかどうか、お聞きしておきたいと思います。
  65. 村中俊明

    説明員(村中俊明君) ガンの対策につきましては、ただいま医務局長が申し上げましたとおり、研究というのが基本になりますし、さらに発生した患者措置という医療の問題が出てまいる。早期にそれを発見するという予防措置と、まあ三本の柱がガン対策の中心になろうかと考えております。  現在、それぞれの柱に立って措置をされているわけでございますが、私どもが受け持っております予防という面から、一番隘路になっております問題は、二つあると思います。  そのうちの第一点は、技術者の養成が追いつかなくって、せっかく医療施設をつくり、あるいはレントゲン自動車を用意しても、それがフル回転ができないという問題。もう一点は、いま御指摘がございましたけれども、たとえば結核対策のように、原因究明が的確になされていないというふうなことが基本的なと申しますか、根本的な予防対策のできない原因になってまいっております。この点は、今後の医学の開発に大いに期待をいたしておるわけでございますが、それらの問題とからみまして、従来、御指摘のございました結核、精神あるいは伝染病等というふうな一連の単独法を持っております疾病の対策につきましては、一応私どもの行政的な判断といたしましては、社会的な——これをとにかく措置をしなければ病気がどんどんうつっていく、あるいはこれをこのままにしておきますと、自傷他害というふうな問題で社会的に非常に害が強いというふうな問題にしぼりまして、これを社会防衛的な立場から立法をし、措置をしているというのが従来の状況であったわけでございます。ところが、最近のように、死亡が少なくなってきて、死亡率の変化が見られる。さらに、疾病構造の変化、あるいは年齢の、寿命の延長ということにからんで、老齢人口の増加というふうな背景の中で、御指摘のように、社会問題としてガンを含めました成人病というのが出てまいった。しかしながら、いま申し上げましたように、従来、法を立てております疾病と、それからむしろ個人的な防衛の段階で、いま客観的に考えられております成人病とでは性格的に多少のズレがあると私は考えております。いまの段階では何とか予算措置をできるだけ強くしてまいりまして、先般も全国大会で決議がなされましたけれども、特にガンの対策が法律を待たないでも強化をされるようなそういう方向で現在いろいろ努力をしているわけでございますが、これをそのまま法律に持ち込むということにつきましては、最初に申しましたとおり、御指摘になりました例のような疾病とは多少ニュアンスが違うところがあるわけでございます。これと今後のガンの原因究明なり、あるいは検査方法なり、あるいは治療方法なり、それぞれの開発の進行とにらみ合わせまして、今後の問題として検討させていただきたい、こう考えておるわけでございます。
  66. 小柳勇

    小柳勇君 非常に大事な問題でありますから、予算をつけるだけではなくて、もう少し体制的にガンの撲滅に取り組めるように考えてもらいたいと思います。  以上でガン対策の問題の質問を終わります。  次は、元満蒙開拓義勇隊の援護の問題について、これも予算委員会で質問して、宿題になっておりましたから、その後の処置について質問いたしますが、昭和十四年の十二月の閣議決定に基づいて満蒙に渡った義勇隊の人々であります。軍隊ではなかったのでありますが、本人たちは軍人のような気持ちで行っておりまして、向うで疾病にかかり、あるいは亡くなった方もございますが、これを軍人あるいは準軍属として、年金なりあるいは遺族年金なりを支給するようにという要求を予算委員会でしておきました。その後の経過について御説明を願いたいと思います。
  67. 實木博次

    説明員(實木博次君) お尋ねの元満州開拓青年義勇隊員の処遇の問題でございますが、厚生省におきましては、戦傷病者、戦没者遺族等の援護に関する処遇改善、及びまだその処遇の対象になっていない、いま先生のお取り上げになっておられます元満州開拓青年義勇隊員のソ連参戦以前の方々のように処遇されていない人たちの問題、つまり未処遇の問題の重要事項十数目につきまして、昨年来から広く学識経験者あるいは関係団体等の意見を聞きまして、その処遇について鋭意検討を重ねてまいっておるわけでございます。十数目——まあ二十に近い項目がございます。元満州開拓青年義勇隊員の処遇改善につきましては、まだその結論が出ていない状態でございますが、もちろんこの問題につきましては、昭和四十二年に衆議院の社会労働委員会においても援護法の改正に際しまして附帯決議もついてございます。また、今日の先生の御質問の趣旨もございますので、早急にその処遇につきまして、結論を得られるように努力してまいりたいと、かように考えております。いままだ未処遇問題として残っておりますのが数項目ございますので、この結論は来春早々にでも出してまいりたいと、かように考えておるわけであります。
  68. 小柳勇

    小柳勇君 もう少し具体的に、いま数項目とおっしゃいましたけれども、援護関係の審議会でございますか、いま答申を待っておるわけでしょう。そのところをもう少し具体的に御説明願えませんか。
  69. 實木博次

    説明員(實木博次君) この援護法の処遇改善の問題につきましては、大体現在援護法の適用を受けております方々の処遇の改善、たとえば年金額を上げるとか上げないとかいう問題でございますが、そういった現在適用されております人たちの処遇の改善問題が約十二項目ほどございます。それからそのほかにいまの処遇の対象外になっております人で、やはり処遇の中に、対象内に入れたらどうかというふうな方々、たとえばいまの元満州開拓青年義勇隊員のうちソ連参戦前の——後の人は、それはもう準軍属として処遇されておりますが、参戦前の方が入っていない、あるいは昔防空法というのがございまして、防空法の中で防空従事者命令に従って傷つき倒れた方々の処遇の問題といったような、全然いままだ処遇されていないというふうな人、未処遇の人たちについてその処遇を考えたらどうかというふうな項目が約六項目ございますが、そういったものを含めまして、昨年の十月から関係のこういう団体の方々の御意見、あるいは学識経験者の御意見を聞きまして、そういう問題について御意見を伺って処置をきめていきたい、かように考えまして、援護問題懇談会といいますものを設けまして、鋭意十数回にわたりまして、そういう問題につきましての御審議を願ってきたわけでございます。そしてことしの秋に——九月の初めに十数目の答申をいただいたわけでございますが、いまの元満州開拓青年義勇隊、その他三項目ばかりはまだ答申の段階に至っておりませんで、いま鋭意審議をしていただいているところでございます。それが来春早々全部答申が出てまいるという見込みで、いまその答申を待っているというところでございます。
  70. 小柳勇

    小柳勇君 わかりました。この問題はもう何回も予算では質問しておるところでありますから、結論が早く出るように、しかも十四、五才の少年が軍人だと思って行って、そしてあのような終戦で帰って来たのでありますから、ちょうどいま四十二、三才で中堅の人もありますが、身体不自由の方もあります。したがって、早急に結論が出るように御努力を願います。  厚生省関係は、以上で質問を終わります。
  71. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 午前はこの程度として、午後は一時に再開いたします。それでは暫時休憩いたします。    午前十一時五十二分休憩      —————・—————    午後一時十分開会
  72. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 委員会を再開いたします。  午前に引き続き、国家財政経理及び国有財産管理に関する調査を議題とし、質疑を続行いたします。  御質疑のある方は、順次御発言願います。
  73. 大森創造

    ○大森創造君 労働基準行政というのは非常にやりづらいと思うのでございますけれども、大きな事業体について立入検査などをしようとするときに相当じゃまが入ると思うのですが、どうですか。そういう事実は多いでしょう。やりづらいでしょう。
  74. 和田勝美

    説明員(和田勝美君) 労働基準法に基づきまして労働基準監督官がいろいろ仕事をやるわけでございますが、この法律が戦後に誕生しました法律でございまして、当初におきましては先生御指摘のような点が間々見受けられたわけでございますが、日本の経済が漸次拡大をしてまいりましたので、われわれ基準行政を担当しております者もそういう点を考え合わせながら漸次仕事にも習熟をしてまいりましたというようなことがございまして、昭和二十年代あるいは三十年代の初めごろと比較いたしますと、今日では基準行政の考え方、労働基準法の持っております理想というものに漸次御理解をいただいておりまして、運営としてはだんだん円滑に行なわれつつあると、こういうように私ども考えております。
  75. 大森創造

    ○大森創造君 そうすると、労働保護という問題について監督する業務はだんだん拡大強化するという方向を目ざしておるわけですか、労働省としては。
  76. 和田勝美

    説明員(和田勝美君) 労働基準法の掲げておりますのは、労働者の労働条件の保護改善、維持改善ということでございます。そういう基準法の考えております基本線に従いまして基準行政は行なわれておりますし、労働行政全般としましてもそういう形で運営をされておる、かように考えておるわけでございます。
  77. 大森創造

    ○大森創造君 そのくだりについては後段触れますけれども、それでは具体的にお伺いしますが、今月の一日から十日間、非工業部門を重点に監査すると聞いておりますけれども、それでは商業部門で発見された違反件数、特に千人以上の事業所の違反の件数などが現在手元にございましたらば示していただきたいと思います。
  78. 和田勝美

    説明員(和田勝美君) この一日から十日まで全国的ということではございませんが、局によりまして非工業的な事業場の監督を実施するというようなことを局ごとの事情によって行なっておるところがあると思いますが、その結果につきましてはまだ私ども報告を受けておりませんので、ここで御説明をすることができない状況でございますが、全体的に見まして、いままでの傾向からいたしまして、違反件数は率といたしましては、大企業につきましては、小企業と比較いたしますと、違反率は少ないというのが実情でございます。ただその違反件数について、最終的な処理をいたします場合における司法処分、こういうことになりますと、中小企業の場合に比較いたしまして大企業の違反、司法処分率が高くなっておりまして、これは以上で御理解をいただきますように、私どもとしましては、大企業の違反に対しては非常にきびしい態度で臨んでおる。中小企業におきましてはできるだけ指導というようなことで事務の処理をしたい、こういうようなことを表明をしている、かように考えております。
  79. 大森創造

    ○大森創造君 今度の調査というものが大体非工業部門である、商業部門である、そういうものに重点を置くと、スーパーマーケット、ボランタリーチェーンというものに対して重点を置くということを聞いていたけれども、これはおそらくあなたのほうでおわかりにならないと思うので、具体的なことを私のほうで提示をいたします。それは本店が東京の中野区江原町一丁目十三ノ二十二にございます西友デパートと申します。これは西武デパートとか西武鉄道とかと同系列の会社でありまして、大体従業員、派遣店員を入れて六千二百名ございます。四十二の支店を持った大スーパーマーケットです。これについて調べたことがございますか。
  80. 和田勝美

    説明員(和田勝美君) 東京局におきまして、先生が先ほどお話しになりました一日から十日までの非工業部門の一斉監督におきまして、西友デパートについては監督を実施したようでありますが、四十二支店全部についての監督を実施したかどうかにつきましては、各監督署からの報告が取りまとめてございませんので、いまの段階では申し上げかねるようでございます。
  81. 大森創造

    ○大森創造君 調査をして、そして私が以下申し上げるような歴然たる労働基準法違反の数々の問題が調査できなかったということについてはおかしいと思うのです。  そこで、私は具体的な事例を申し上げますけれども、時間外勤務の問題です。そこで、あなたのほうに提示した就業規則というのがございますね、その就業規則があってここに私のほうで、あなたのほうで出した正式の、いわゆる公式の就業規則というようなものを持っておりますけれども、それとは違う。ここに、私のほうにあります、社外秘として「西友ストアーのルール」というものがございまして、この中に就業規則が書いてある、これは随所において違うわけです。  一つの例を申し上げますと、この「西友ストアーのルール」の中の一五ページを見ますと、こういうふうに書いてございます。「しかし早出」、開店前の早出「および残業については、三〇分だけの時間外勤務は認められません。なぜなら三〇分早く出社するのは余裕をもって出社することであり、三〇分遅く退社することは仕事の後片付や明日の仕事の準備を行なっていますと、この位の時間になってしまうからです。通常、早出および残業は一時間以上行なった場合に時間外勤務として認められます。」、こう明らかに書いてあるわけです。ですから、三十分のオーバータイムというのは西友ストアーでは認めませんということを社外秘の「西友ストアーのルール」という冊子の中には明らかにうたってあるわけです。私の考えでは、完全にこれは労働時間ではなかろうか、そしてその事実は、あなた方のほうに届けているところの就業規則には全然うたってないわけです。そして一般社員にはこのルールを順守させているわけです。その他いろんな点が違うわけです。  そこで、私のお尋ねしたいことは、いま読み上げましたこのこと自身が労働基準法違反ではなかろうか、虚偽の申告ではなかろうか、罰金に値することではなかろうか。三十分早く来るということ、三十分居残りして仕事するということは個人的なことではございませんからね。会社のためにそれだけのサービスをせねばならぬということですから、明らかに労働時間だ。それからそれをあつかましくもこういうものを印刷して、みんなに読ませて、このことを順守させるという、こういうこと自体が労働基準法自体の違反ではなかろうか、こういうことについて局長どうお考えでございますか。
  82. 和田勝美

    説明員(和田勝美君) 就業規則につきましては、基準法の九十条によりまして、就業規則を新しくつくる場合あるいは変更いたします場合には、従業員の過半数を代表する組合がある場合にはその組合、過半数を代表する組合がない場合には過半数を代表する者の意向を聞きまして、その意見を添えて労働基準監督署のほうに届けをしていただくということになっております。それだけが有効な就業規則でございまして、それ以外のものは基準法から見ますると有効な就業規則、こういうことは私どもは考えておりません。したがいまして、社外秘というかっこうでありますと、先生御指摘のようなものがかりにありましても、そのことは従業員の皆さんを拘束するものではなくて、役所のほうに正式に届けていただいたものによって私どもが基準法問題の判断をする、こういうことに相なると思います。したがいまして、監督に参ります場合には、役所に届けられた就業規則から見て、この就業規則の内容どおり行なわれておるかどうかということによりまして、基準法違反が存在するかいなかということを判定をいたす、かように考えておりまして、届け出のない秘というようなものの性格につきまして、詳しく私は承知をいたしておりませんが、役所の姿勢としてはそういうことでやらしていただきたいと思います。  なお、早出、残業の三十分問題でございますが、これは使用者側の完全なる支配管理下においてその時間が使われておるならば、当然労働時間の中に算入すべきものでございますが、それは三十分であると、極端に言いますれば一分であろうとも、そういうことであれば、当然労働時間の中に算入すべきものでございます。三十分以下云々というのは、どういう労働実態であるか、あるいは労働でなくて、自分の身の回りの片づけの問題であるのかどうか、そういうような点についきましては、私ここで実情をよく知りませんのでお答えをいたしかねますが、いま申しましたような前提がある限りは、労働時間ということで処理をいたしたいと思います。
  83. 大森創造

    ○大森創造君 よくわかりました。実態は私のほうから申し上げます。この西友ストアーの通常の勤務時間は、午前九時四十五分です。それから退社時間は午後六時四十五分。そこで開店時間は午前十時。十五分前に早く来るということです。それで、閉店は午後六時三十分、ですから、閉店してから十五分だけ居残るようなことにできておりますけれども、実際はその開店前の十五分と閉店後の十五分であと始末をしたり準備をしたりするということは絶対不可能なんです。私は、実態を調べてみますというと、一時間、二時間、三時間、四時間かかってるわけです。そこで、この会社のほうはずっとタイムカードをつくらしておりますけれども、これがずっと廃棄処分にしてるわけです。タイムカードを見ますというと、一つの例は、A君の場合は、昭和四十一年の十一月十六日に就職をして、四十二年の十一月十五日、一年間。そこでこのタイムカードを見ますというと、名前はここで申し上げませんけれども、A君の総残業時間は、この一年間で四百六十六・五時間になるわけです。会社が認めた手当支給の時間というものが百六十一時間にすぎません。差し引き、不法に支払いをしない、超過勤務の手当を支払わない時間が、差し引きますと三百五・五時間になります。それからB君の場合は、昭和四十一年十二月十六日に就職して、やめたのが四十二年十一月十五日、十一カ月間を期間にとりますというと、総残業時間数が五百二十八時間、会社が認めた残業手当の支払いをすべき時間は百十一時間です。そうすると差し引き四百十七時間、これが不当不払いの時間数です。それからC嬢の場合、女の場合は経理勤務でございますが、昭和四十二年三月十六日から、昭和四十二年十一月十五日まで八カ月、その間の残業時間の実績は、このタイムカードによりますと、明らかに百九十八・五時間、それから手当を支払うと認めた会社の公認の時間は六十九時間、不法不払いの時間は、したがって、百二十九・五時間。もう一つ例を申し上げますと、D君の場合は、昭和四十二年四月十六日から四十二年十一月十五日まで七カ月間をとってみますというと、残業時間は二百三十四・五時間、それから手当支払い時間が八十五時間、差し引きますというと、百四十九・五時間、これが明らかにタイムカードにしるされているわけです。それだけの時間を勤務したにかかわらず、会社がかってに時間数を減らしているわけです。そこで、いま申し上げましたものをアトランダムに算術平均しますと、こういうことになるわけです。大体平均月に一人当たり二十五時間の不法不払いがある、オーバータイムがある。先ほど申し上げましたように、全社員三千二百名でございますから、三千二百名を乗じますというと、月に八万時間、年間九十六万時間に及ぶたいへんな時間が支払われていないわけです。これを低目に見て、一日の手当を百五十円と計算しますというと、百五十円かける九十六万ということになると、年間一億四千四百万というものが未払いである、こういう計算になります。この会社は昭和三十八年に操業いたしましたから、これは年数をかけるというと、巨大な金額になろうと思うのです。さらに私のほうでいろいろ計算しますというと、月給平均三万円にした場合には、三百人以上の人をただで使うということになり、こういうことは物的証拠がここにはっきりございますから、これは私がいま申し上げたことは誤りではないわけです。こういう事実が歴然とした場合には、基準局としてはどういう方法をおとりになりますか。
  84. 和田勝美

    説明員(和田勝美君) ただいま大森先生が御指摘のようなことが、先生言われますように、私どもとして事実として確認をされるというようなことが明確になりました場合におきましては、態様がきわめて深刻な状態であると存じますので、いろいろの諸般の事情調査はもちろんいたさなければならないわけでございますが、そういうことが確認された場合におきましては、私どもとしては、相当の覚悟でこの事案の解決に対処しなければならない、かように考えております。
  85. 大森創造

    ○大森創造君 ところでいま申し上げましたことばかりではないわけです。その他の違反事実がたくさんあるわけです。たとえば、宿直手当を支払わない、四日間宿直したにかかわらず、申告の届けをなくしてしまったというような理由で、二日間に値切るというようなことをやる。それから今年の五月からタイムカード方式ではなくて、自己申告方式というものに変えたそうであります。そういたしますというと、社内のムードとして、自己申告をしないわけです。女子職員などの場合には、月に一回、たなおろしのときにだけ公然と、そのセクションならセクション全体が三時間なら三時間というものをオーバータイムとして認めて、これを自己申告をする。あとのやつは、実際にオーバータイムがあってもそのことをあえて申し出ないそうです。こういう事実がある。それからもう一つは、そのタイムレコーダーなどというものを実際に仕事をしているにもかかわらず押してしまう、人事課の係が。そういうことが公然と行なわれてきている。そこで、いまお答えございましたけれども、こういう物的証拠があって、それから社内のルールというようなものもあるのですから、現実にこういうことが行なわれている場合には、これははっきりこの司法処分基準というものに照らして必要な手だてをとってほしいと思うのです。ビッグビジネスについては非常に士気が低、下しておりまして、第一線の監督官はどうせわれわれがやってもだめだ、もみ消されるのだという意識があるようですから、そういうことがないということであれば、この具体的な事実を私はこの委員会で示しましたから、このことに基づいてはっきり、きょうでもあすでもですね、必要な手だてを労働基準局としてとっていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  86. 和田勝美

    説明員(和田勝美君) 正直に申し上げまして、いま初めてそういう事実を伺ったわけでございまして、私がここで直ちに判断をすることもいささか早計と思いますが、先生がせっかく御調査をいただいたものでございますから、そういうものをひとつ十分私ども物的にも拝見をさしていただいて、その上でこの問題に対しての処置をとりたい。実行いたしますのはもちろん東京基準局が所轄の四十二店でございますが、おそらく東京全体にわたると思いますが、所轄の署を通しまして、この問題の究明をするということでございまして、きょうあすという点はいかがかと思いますが、よく後ほどでも伺いまして、物的なものについてお話をさしていただければありがたいと思います。
  87. 大森創造

    ○大森創造君 私がいま申し上げましたようなことが事実であって、私のほうでこういう物的証拠をお貸ししますから、これだけのものが、以上私が申し上げたことが事実であるとすれば、完全にこれは司法処分の対象になりますね。
  88. 和田勝美

    説明員(和田勝美君) いまお話しのありました数々の例示につきまして、それがどういう事情で行なわれ、従業員との関係の問題がどんなような状態であったかというようなことにつきましては、会社側及び従業員の皆さんの意向というものも私どもとしては十分調査しなければならないと思いまして、ここで直ちに司法処分として送検するかどうかということをにわかに申し上げることはいかがかと存じますので、私どもとしては案件は確かに御説明がありました限りにおいては非常に重大な案件だと、こう思っておるのですが、いま申しましたような調査監督を実施した結果につきましては、当面ここでお答えをいたしますことは差し控えさしていただきたいと思います。
  89. 大森創造

    ○大森創造君 そこで、いまの具体的な問題については以上で終わりますけれども、その次に、労働基準局と婦人少年室の地方移管の問題についてお尋ねしたいと思います。いまの段階、どういうことになっておりますか。
  90. 岡部実夫

    説明員(岡部実夫君) 御指摘の労働省の地方行政機関でございまする労働基準局と婦人少年室の問題につきましては、夏以来本省におきまして、いろいろの案について検討してまいりました。政府の全体の行政機構改革の一応のめどが十二月中旬というようなことで、それを目途にその案の検討をして、その限りにおきまして、関係各省との間で話し合いをしてまいりました。  ところが、御承知のように現内閣のもとではこの作業を完了することができないという事態になりまして、関係の各大臣の間で、完了はできないけれどもその間に話してきた点につきましては、ここで三省間で一応了解点の確認をして次期内閣に引き継ごうということになりまして、先生お手元にございますかと存じますが、去る二十六日の日に、労働大臣、自治大臣及び行管長官の間で、おおむね地方の労働行政機関を府県寄りに一体化するという基本的な大綱につきまして一応確認をいたしたという段階でございます。
  91. 大森創造

    ○大森創造君 私の手元にもいま持っておりますけれども、これは二十六日の閣議での申し合わせということになって、それを覚え書きにしたわけですか。
  92. 岡部実夫

    説明員(岡部実夫君) このお手元にございますのは、閣議での申し合わせということではございませんで、閣議では、大臣から承ったところによりますと、行管長官からこの問題について、一応現内閣において関係大臣の間で話し合いがほぼついた点については確認して次の内閣に送ろうという御発言があって、そのあとで、閣議とは全然関係なく、いまの大臣の発言の線に沿いまして、それをはっきりさせるために文書に残して、三大臣の間で覚え書きを取りかわした、こういうことでございます。
  93. 大森創造

    ○大森創造君 私は、非常に重大な、労働行政を根本的に変改するような問題を扱うのに、少し拙速過ぎやせぬかという感じがするわけです。  それで、さっき和田局長からお話ありましたように、非常にやりづらい。じゃまも入るですよ。労働保護ということをいまの世の中で推し進める場合には、当然資本家ともぶつかるし、私がいま例を申し上げましたように、西友ストアーの労働者保護という立場からするというと、やっぱり西友ストアーの経営者のほうとぶつからなければならぬということになっていきますから、そこでILOの精神や、それから一九二三年の例の勧告の精神というものにのっとって、やりづらいけれどもだんだん労働行政というもの、労働基準行政というものを進めていくという基本的態度であるというふうに私は考えるわけです。そのことを和田局長も冒頭におっしゃったように私は聞いている。そういう場合に、今度のこの地方移管という問題は、どういうふうに関連するのか、私は非常に疑問なしとしないわけです。どうでしょう、ILOの精神というものと、それから労働保護というものが、今度言わるるところの地方委譲ということになるというと、だんだんそういう積極面がなくなってくる危険があるのと違いますか。いかがでしょう、率直にお答えいただきたい。
  94. 岡部実夫

    説明員(岡部実夫君) 基準局長の立場から、もしございましたらあとでやらせていただくとしまして、私ども考えましたのは、基準行政の中でいろいろな分野もございますが、全体といたしまして基準行政を総合的に推進してまいる、その場合に、ほかの行政との間でも一体的に総合的にやっていく必要があるという大前提に立ちまして、従来から実は労働省の地方機構がばらばらであったためにいろいろ問題も多かったということで、これを府県の総合的な行政の中に労働行政を一体的に取り上げていくことが、労働行政全般として今後の推進発展をはかるゆえんであろうという考え方が基本でございます。ただ御指摘の監督行政そのものにつきましては、ILOの条約の関係もございますし、それから従来からやってまいりました基準行政のいわゆる基本的な姿勢という問題もございますので、たとえ都道府県に入った場合においても、監督行政につきましてはそれなりの中立性を保障する何らかの方策を講じていくべきであるということで、この覚え書きの中にも労働基準監督制度はこれを堅持するということ、その他を確認をいたしておる次第でございます。そういう方法を現在のところとっておる次第でございます。
  95. 大森創造

    ○大森創造君 労働基準行政、すなわち労働保護行政というものはILOの精神に基づいて推進をするということ、これはいまお答えになったような地方委譲にした場合には、実際問題としてできないのじゃなかろうか。全くできないとは言わないが、私はおそらく骨抜きになるのじゃないかという感じがするのです。地方の政治勢力の中で埋没してしまう危険性がある。これは和田局長にお伺いしますけれども、これは皆さん方専門家ですから、私はここで短い時間で議論をいたしたくはございません。次回に譲ります。いろいろな事情があるでしょう、自治省や行政管理庁の立場あるいは職業安定局、訓練局のことがあるでしょうし、雇用関係のそういう局の立場もございましょう。そこで労働基準局は明らかに違っているのであって、労働基準行政の立場からするというと、私は非常にロスが多いのじゃなかろうか、やりづらくなるのじゃなかろうか。労働基準行政の前進にはならない。その説明は私は省きます。いまの官房長のお答えは総合的に府県に委譲した場合には、自治省の立場あるいは地方の自治体の立場だとか、地場産業の立場だとかいろいろございますけれども、その面において全体的な行政の効果ということはあるいは期待できるかもしれないということは言えますけれども、労働基準行政そのものは昔の工場法時代の例を見てもわかるように、実際は地方権力の中に埋没してしまうという危険性が非常にあると思うのです。いま私は西友ストアーの例を申し上げましたけれども、完全に労働基準行政というものを推進していくとすればじゃまが入る。資本家のじゃまがある。企業主団体からのじゃまが入る。そういうものと直接の関係はないけれども、やっぱり府県の行政あるいは地方議員あるいはそれぞれ国会議員だとか、それぞれのものとつながりがあって、基準行政そのものというものは推進する立場から言えば、そういうそのじゃまをする、いやがられる、そういうものでございますから、推進する姿勢をとらにゃいかぬと思う。そういう立場からする労働基準行政は決して実効を期しがたいと思うのですが、いかがでしょう。労働基準行政そのものからするというと、労働保護の実績は低下するであろう。これは言えますね。
  96. 和田勝美

    説明員(和田勝美君) 労働行政全体の問題につきましては、ただいま官房長からお答えを申し上げましたし、先生からただいま御質問の中で触れられたようなことが十分あると私ども考えております。そういう中で労働基準行政と申しますか、その労働基準行政の中でもILO勧告は、労働監督制度ということで非常に立場をはっきりとしたものを条約と勧告で持っておるわけでございます。その労働監督制度についてはいろいろの影響が確かに御指摘のように考えられると私どもも考えております。いまよりは一そうやりにくくなるか、あるいはそうでなくて進められるかは、監督行政が監督行政そのものだけで伸びていったほうがいいか、あるいは監督行政が指導行政とのつながりの中でものの処理をしていったほうがいいか、こういうようなこととのかね合いがございます。しかし、そういう点から総合的に考えまして、労働省としては、労働行政全体としてはよりベターである、もちろんこれは絶対論というものはあり得ないことでございます。よりベターかいなかということでございますが、よりベターであるということで大臣がああいう確認をされたわけでありますが、しかし、その中でも監督行政そのものにつきましては神経を使っておりまして、覚え書きの中でただいま官房長がお答えをいたしましたように、これをはっきり堅持をするというようなことでございます。その堅持をする中身が予想される弊害といいますか、そういうものとどの程度の弊害に対する抵抗力を持つか、こういうことがこれから私どもが十分に考えていかなければならぬ問題であります。かように考えておりまして、堅持をする内容が今後の私どもから言いますれば大問題でございますが、それはあくまでも労働監督、労働者保護という行政が、いわゆる後退をするという立場から議論されてはならない、こういうように私ども考えているわけでございます。
  97. 大森創造

    ○大森創造君 それは、和田さんのは、私は抽象論だと思うのですよ。実際、何といいますか、労働基準行政を推し進める場合にはじゃまが入る。社会情勢の変化、経済的な情勢の変化ということでございますから、私はここで労働省の中で、基準局というものと婦人少年室というものがやり玉に上がっているのは、それらしい事情があると思うのです。一方雇用関係の安定局とか、訓練局とかいうものは、これはいじらないで、そのままにしておいて、そうして、一番ILOの精神を踏まえて、新憲法のごとく勇気をもって、若干抵抗がありながらでもやっていこうという基準行政というものに、国全体の、佐藤内閣において、いわゆる行政改革というものをスローガンにして、その中で一つ何を整理しようかという場合に、行政そのものの必要性というものを没却して——そうでなくして、この一番抵抗の少ないところ、実は基準行政というのは、これからますます拡大せにゃならぬ、予算もとらにゃならぬ、それから人員も不足だから、人員の拡大もせにゃならぬというのが、私はいままで労働省のとっている態度だと思うのです。和田局長以下労働省のかまえとしてはそういうことをやってきたのだろうと思うのです。そのために、第一線の監督官が非常に苦労しながら抵抗をおかしながら実績をあげてきた。そうしてここまできたのだと思うのです。これをいろんな名目をつけてでも地方に移管するということは、そういう進歩的な芽をつむことになりゃせぬか。そうではない、その面こそこれから問題にして配慮せにゃならぬというふうにお答えでございますけれども、私は、官房長も局長もおわかりだろうと思うのです。絶対に労働基準行政の前進にはならないという感じがするのです。埋没してしまう。くどいようですが、その点についてどうでしょう。私はその意見はだんだん次回の委員会でも議論をしようと思いますが、私はそう思うのです。それはここで議論しても始まりません。まあお答えのようなことになるでしょうが、実際は違うと思うのです。かつての工場法の時代から、今度はそれがいかぬとかいろんな圧力がある。介入、干渉があるから、このようなものを中央に一元化すれば、それはあるでしょう、圧力が。あのビッグビジネスについて、実際にやろうとすると、ほとんどもみ消しとか、圧力がかかるということを私は聞いております。もしなになら次回の委員会あたりでその具体的な例、私ども相当情報が入っておりますから、そのことを出してもよろしい。これを地方に委譲したならば、抽象的にはこの委員会でいろいろなことが問答なされようとも、実際に陥没してしまう。これはILOの精神や勧告の精神というものともまるっきりうらはらだ。労働省としてはいろんないきさつがあって今日まできてしまって、この大臣覚え書きということを取りかわす域まできておりますから、きょうの私の質疑の段階では、そこで、これを撤回するということまでは言い切れないでしょう。こういう立場を擁護するための議論は、いまから何時間議論しても、そういうことを議論するほかないということは、私もあなた方の立場よくわかります。だけど、そのことを離れて、これは大問題ですから、これはよほど慎重にやってもらわにゃ困ると思う。そこで、いままでの手続の上で、これほどの大変革をすることについて、省内でのいろんな会議を持ったり、どのような手続をやったのでしょうか。
  98. 岡部実夫

    説明員(岡部実夫君) この覚え書きで書かれた大綱に達するまでの間には、冒頭に申し上げましたように、省内におきましては夏以来いろいろな案について関係局長の間の話し合いその他をやってまいっております。それでおそらく御指摘の点は地方の責任者等に対してのことであろうかと思いますが、これにつきましては、この案が関係各省と関係いたす点も多いところでございまして、ある程度のめどがついたところで、地方の責任者にこれを発表していろいろな意見を聞こうということで、十八日及び二十五日にそれぞれ関係者を招集いたしまして、本省側の意向を十分説明するとともに、いろいろな議論を取りかわしてまいってきております。
  99. 大森創造

    ○大森創造君 それが私にこれほどの大きな改革をする、方向転換をするということについては、もう少し念入りにやる必要があると思うのです。十八日にそういう会議をやったということも聞いております。それから夏以来いろいろ検討したということも聞いておりますけれども、一番肝心の関係者の意見はほとんど反対ではありませんか、あからさまにおっしゃっていただきたいと思うのです。たとえば地方局長などについて九人の人が、まじめな基準局長がこういうことではとても困るから、もう少しひとつ慎重にやってほしいというような異例の要望書を官房長かどこかに出しているという話も聞いておりますし、会議をやれば積極的な賛成はおそらく基準関係ではないんじゃないですか、少し拙速主義過ぎるのではないかと思うのです。いまからひとつ覚え書きというものが、最初私がお伺いしたらば、まだ閣議で固まったことではないということですから、どうでしょうか長官、初めからやり直すなり撤回するという方向に向かって検討したら——私は大問題になると思うのです。いかがでしょうそういう気持ちはございませんか。
  100. 岡部実夫

    説明員(岡部実夫君) 前段の問題につきましては、あるいは基準局長から答えていただいたほうがいいと思いますが、この覚え書きは、閣議で正式に決定したという性格のものではございません。しかしながら関係三大臣の間で労働行政の、地方行政のあり方について今後この大綱を確認いたしまして、これを次期の内閣に引き継ぐということで、おそらくそれぞれ関係大臣、新大臣にそれを引き継がれていくことと思いますので、今後ともこれがこの覚え書きで定めました大綱が、議論の出発点になってまいると考えております。
  101. 和田勝美

    説明員(和田勝美君) 前段の問題でございますが、官房長からお答えを申し上げましたように、十八日に地方の代表局を招集いたしまして案の詳細な説明をいたしました。二十五日に同じく地方の意見を聞くことを重点的に、地方の全局長に集まってもらいまして意見を聞く会を行ないました。その十八日のほうは、本省側から話をしただけでございますが、二十五日のほうにおきましては、地方の局からいたしますと、きわめて重大な問題である、こういうことからひとつ十分意見を述べたいから、ゆっくりひとつ時間をかしてもらいたいという意見開陳がございまして、ただいま私どものほうでそれぞれブロック会議その他のことを局長の皆さんやっておりまして、間もなく意見が出てくる段階だ、こう考えておりまして、二十五日の場合にはゆっくり考える時間を与えてほしいということと、全般的な問題について意見を出すようにしたいからそのつもりで本省側も見てほしい、こういう意見がございまして、具体的にその場で結論めいたものは出ませんでしたので、近くそれらにつきましての地方局全体の意見がまいるものとかように考えております。
  102. 大森創造

    ○大森創造君 それで十八日と二十五日にそれぞれの会議を持ったのだそうですが、二十五日のやつは、ほとんど私の聞くところによると反対である。昨日も関東甲信越の局長会議があって、ほとんど賛成の意見がなかったということですが、それは事実でございますか。
  103. 和田勝美

    説明員(和田勝美君) 二十五日につきましては、いま申し上げましたように重大な問題であるから、ここで早急に意見を言うことは多少はばかりたいという空気のほうが、私の印象ではむしろ強かったのではないか。ただそういう意味からいたしまして、具体的に賛成反対ということが明確に出たとは言いがたい、かように思います。昨日関東の局長諸君のブロック会議をやられたことは私も承知しておりまして、私も短時間ですがその会議に出まして、しかしその結論が夜に入ってからのようでございまして、その結論をまだ私ども聞かされておりませんから、結論については、ここでちょっと御報告いたしかねるような次第でございます。
  104. 大森創造

    ○大森創造君 とにかくいままでやりずらい行政を労働省基準局は進めてきた。そこでいろんな抵抗がいままであったに違いないわけです。それにもかかわらずいままでやってきたということは、それなりに非常に価値があったと思うのです、戦後労働基準行政というものは。そこでいままで基準行政というものをなけなしにしようとか、あるいは地方に移管しようというような圧力があった場合には、あなた方はILOの精神を説いたりあるいは勧告の精神を説いていままでやってきたわけですね。そこでいろんな文書があるわけです。これはおわかりでしょうけれども、労働監督の中央直轄の必要性というもの、労働省の労働基準局がつくった労働基準法によりますというと、やれ地方に委譲するというと地方的に寛厳の差を生ずるとか、あるいは政治勢力や地方権力に左右される場合が多かったと、ですから、かつてこういうやりずらいことがあったにもかかわらず、戦後ILOの関係や国際的な慣行に従っていままでやってきたのだ、という説明をつい最近までやってきたのではありませんか。その場合に、今度やられようとしている地方移管というものは、私の頭ではどうしても消化できないわけです。まじめに基準行政を推進しようとする第一線の監督管、あるいは基準局長というものは、一人々心当たってみたら、おそらく私は全部反対ではなかろうかと思うのです。しかし労働省というお役所の中のことですから遠慮もあるでしょうけれども、私はまじめに労働行政というものの将来を考えてみた場合に、反対の声が出るのは当然だと思う。そこで労働省が今後やるべきことは、基準法の内容というものは実情に合わないのではなかろうかとか、そういうことに対する検討、あるいは今後予算が少ないから予算をさらに大幅に獲得しようとか、人員が少ないからそれを補充しようとかという方向に、審議会でもつくって検討するということならよく私はわかるのです。そうでなくて、今度第一線の局長やそれから監督官やその他の関係の人は、個人的には全部反対らしいのです。そういうものが出てくるのは当然であって、それにもかかわらず強引に拙速主義でこういう地方委譲というものをやろうとする意図は何かと言えば、私は佐藤内閣の今度の総裁選挙にからむ改造というものについて、ひとつこういう実績をあげようということではなかろうか。とにかく総裁選挙前に三大臣においてこういう覚え書きをとりかわしておいて橋頭堡をつくっておる、それでこの橋頭堡で大ワクをきめておいて、あと関係者の意見を聞きながら実際はこういうものを橋頭保出にしながらずっと進めていく、それを進めていくと基準行政は骨抜きになる、こういう観点に立たれていると思います。和田局長新任でございますからあなたの責任ではございませんが、私、あなたに要望したいことは、大乗的な立場から労働基準行政はここまでやってきたのだ、逆のほうでは橋頭塗を築いてきたんだ、やりずらい中でこれだけ実績を示したのだ、歴史的な意味があるのだ、国家百年の大計からして進歩的な行政をいままでやってきたのだという、そのたてまえに立ってそうして私はひとつ再検討をされてほしいと思うのです。二十五日の会議でどなたかがおっしゃったそうです。八合目まで登っちゃったからもうおりられないということを言われたそうです。そういう姿勢があるんではなかろうか。まずこの今度の地方委譲の問題を推進しているものはだれかといえば、私は労働省ではないと思う。少なくとも基準局ではないと思うのです、そうではないでしょう。
  105. 和田勝美

    説明員(和田勝美君) 先生からたいへん私どもの行政に御理解あるお話をいただいてかえって恐縮に存じておりますが、お話の中にございましたように、確かに基準行政に従事をしております諸君は、その中でも特に監督官という身分を持っております諸君は、いままでほんとうに営々と努力をいたしまして今日の基準法の施行の実績をかせいできております。そしてそのことは、世の中にいろいろの経過がございましたが、相当な功績としてたたえられておるということも、私自信を持ってこの席でも申し上げられると思います。そういうことは、今後労働者の保護行政を進めていく上において、貴重な財産でございます。この財産を食いつぶすということがあっては、私ども先輩に対してまことに申しわけないし、後輩に対してこれもまた申しわけない次第でございます。そういうようなことのない努力をいたしますことは、当面この衝におります私どもとしては、当然心がけなければならぬ問題である、かように考えております。そういう基本的な基準行政に対する私どものものの考え方の上に立って今度の機構につきましても、労働行政全体として伸びる方向、その中における労働基準行政の位置づけということにつきましては、確かに閣僚の確認事項があるという前提は、私ども役人として認めざるを得ませんが、その中におきましての問題として、今後具体的な展開をしていくことになるわけでございます。その中で先生がいまお話になりましたようなこと、いま私が申し上げたようなことを土台にしながら、基準行政の後退のないような努力をさしていただきたいと、かように考えております。
  106. 大森創造

    ○大森創造君 くどいようですが、これは何といいますか、社会情勢の変化、経済状況の変化というものに対応して、労働基準行政というものを中央勢力の中に埋没させて骨抜きにしてしまうというものが、大体いまごろ出てくるだろうということは想像されるわけです。そこで、自治省のほうは、地方に委譲するというと、自分のほうの権限が大きくなるし、自分のほうの所管の予算もふえるだろうから、これは歓迎いたします。かつての内務省みたいなものになりますから、自治省としては歓迎する。  それで、行政管理庁の方、おいでになっておりますか、これは答弁求めませんけれども、おそらく安上がりの政府ということで、かつては一省一局削限というようなことを言われましたから、そういう観点からこのことを進めるだろうということはわかります。その場合に、労働基準行政という法律そのものの存在理由、それから行政上の実績かつこういうものが没却されて、そうして便宜的にあたかも拙速主義で総裁選挙の前に一応これだけの実績をつくっておこうということでなかろうかと思うんです。その証拠に、労働基準局というものと婦人少年局というものがやり玉にあげられて、その他の雇用関係のものについては、全然いじられていないということです。ですから、労働省内の意見も、私はこの問題については多少ニュアンスが違うだろうと思うんです。そこで私は、地方に委譲した場合には労働基準の実績がない。したがって、ILOの勧告についても、中央の直轄した機関でなければならないということを、くどいほど言っておりますね。だから、そのことを踏まえて、どうしても私はこの際に再検討する方向に持っていくべきではなかろうか、そういう政治情勢に私はなると思うんです。新大臣になってから、和田局長のほうで、いままでの実態とあなたのほうの率直な考えをぶっつけて、そして練り直しをしたらどうかと思うんです。省内の意見もまだまだ固まるどころか、実際にこの仕事に携わっている者は、反対の意見が強いですから、遠慮がちにでも圧倒的に反対の意見が強いということは、この地方委譲の問題の本質をついているからだろうと思います。きょうは西友ストアのことについて申し上げましたけれども、ほとんどビッグビジネスについて調査をしようとしても、もみ消し、圧力が圧倒的に多いということを聞いております。これは政治家もそうだけれども、極端なことを申し上げますというと、労働省の高官が圧力をかけているということがあるだろうと思う。その場合に、そういう事実を踏まえて、いやがられるけれども、進歩的な行政をやる、国民の立場からやらなければならぬ。そういう事務を進める場合に、今度地方委譲した場合には圧力がさらに激しくなって、もう労働基準法違反の事実なんというものは幾らでも出てきて、そうして守られない法律になってしまうのではなかろうか。なるほど委員会のこの場で問答しますというと、たてまえ上はそういうことをしないということをおっしゃいますが、事実はそうなるに違いないと思う。ですから、私は、この際押し問答はしませんけれども、和田局長が大所高所の立場に立って、いままでのいきさつにかんがみて、ひとつ大乗的な立場から新大臣と相談をされて、そうして方向転換をしたらどうか。いかがでしょう。
  107. 和田勝美

    説明員(和田勝美君) 基準行政にたいへん御理解のあるお立場からの御意見でございまして、私どもとしても十分傾聴さしていただきました。ただ三大臣が確認をされたという事実も、これも端的に申しますと、現実の問題としてあるわけでございます。新しい大臣がおきまりになりますか、留任になられますか、わかりませんが、私どもからいたしますると、地方の意見がまとまって出そろうものと考えておりますので、地方の考えております意見は、留任されましたら現大臣、おかわりになりましたら新任の大臣に、地方の意見につきましては率直に申し上げて、私どもの地方の機構がこの問題に対してどういう姿勢であるかということについては率直に申し上げたい、かように考えております。
  108. 大森創造

    ○大森創造君 これは御存じだと思いますけれども、昭和四十二年の労働基準監督官が全国で臨検検査をした事業場の数は二十三万二千八百六十一、そのうちで十六万三千五十五事業場、すなわち七〇%が労働基準法違反があったということが書いてございます、私どもの資料では。七〇%が労働基準法違反、安全衛生基準、それから残業割り増し賃金、労働時間違反、就業規則の違反が多い。きょう申し上げたのも一つの例です。しかも、四十一年に比較して違反件数が二割も増加している。そこで、労働基準法の適用される事業場二百四十万、そこで働く労働者は二千九百万である。そこで、そういう違反の問題について調査をしたりして摘発に当たった監督官の人数は一千七百人にすぎない、十年に一回しか監督できないという仕組みにされているという、こう私のほうの資料に書いてあります。これは事実でしょう。十年に一回しか監督できない仕組みにされていますということが書いてございますが、それは事実でしょう、そういうのが実態ではありませんか。
  109. 和田勝美

    説明員(和田勝美君) ただいま先生がお話しになりました資料はそのとおりでございます。したがいまして、事業数を監督をいたしましたもので、平均的に算術的に割ってしまえば十年に一回というような数字も出てまいるわけでございますが、しかし、基準行政ももう二十何年の経験を経ておりますし、あるいは労働組合の自主的な御活動というようなものもございます。そういうような点をかね合わせますと、どんな事業場でも必ず回らなければならないとばかりも、なかなか申し上げかねるわけでございまして、算術的にはお話しのとおりになりますが、実際としては違反の問題の存在ということに対していろいろの手段で情報もございますし、そういう点からいたしますと、監督の密度、違反発見の密度というものはもう少し高くできるだろうと思います。そのことが実はとりもなおさず、事業場に行ってみますと七割も違反をしている件数があった。これは、そういう点においては情報の相当の正確度もあったというようなことの反映かとも存ずるわけでございまして、ただ何と申しましても、監督官の数の伸びる度合いと事業場及び関係労働者の伸びていく度会いとのアンバランスのあることは、私どもも率直にこれを認めざるを得ないと思います。そういう意味におきましては、監督手法あるいは監督官数の増大というようなことにつきましても、今後私どもとしては、できるだけの努力を重ねてまいりたい、かように考えております。
  110. 大森創造

    ○大森創造君 結局私の言おうとすることは、前向きの労働行政をしたらどうだ、人員が足りない点は補充をする、予算が足りない点は予算を増額するようなことに腰を据えて、労働省が取り組むべきではなかろうか。そこでいろいろなことを言われております。このことは十一月の二十五日の会議で説明された資料を私ちょうだいしております。私が読んでみるとわからないわけです、これは。いままでの労働省の説明したことと、やってきたことと比べてみて、いかにも手のひらを返したような白々しい文句がここに羅列してあります。ずいぶん無理して書いたなというふうに私は感じるわけであります。そこでこの中には、「労働行政の総合的一体的責任体制の確立と不可分である。」とか、あるいは「地域の産業行政との有機的関連をもつことによって一層の実効を期せられることとなる。」、これを裏を返して読むというと、地域の産業行政との有機的関連ということはどうか、この問題に限って議論しても相当あります。地域の地場産業を育成する立場から、労働基準行政というものが中央直轄で一本ボンと入ることはじゃまになるということにも解釈できるわけです。これは聡明な皆さん方、練達な皆さん方はよくわかるだろうと思うのでございますけれども、これは私はそう思うのです。「総合行政たる都道府県行政自体としても、労働行政を総合的に包括することによってその充実発展が期せられることとなる。」、こう書いてございますけれども、これはいまの企業誘致がございます。地場産業の育成という観点もある。そういうものと関連があるのは地方官庁じゃありませんか。そういうものとの関連があるのは府県の労働部長だと思うのです。そういう中に分け入って、労働基準行政が波風を受けながらどういうふうにやっていくかということを考えてみる。それから今後の労働基準局、婦人少年室の方々が今度は地方公務員になってくるわけでしょう。そういう身分の問題、いろいろな問題がございます。そこで和田局長は今後詰めて、新しい大臣が出た場合には、大局的な立場からいろいろなことを考えて相談していくという弾力的な含みのある答弁をされましたけれども、これはどうなんですかね。いろいろな問題について会議をするということはいいのですが、国家公務員である者が地方公務員になるということは、重大な勤務条件の変更ですね。その意味からも全労働などとじっくり話し合って了解を得る必要があるのじゃありませんか。重大な雇用条件の変化でしょう。
  111. 岡部実夫

    説明員(岡部実夫君) 先生御指摘のように、関係職員の身分が切りかわってまいることにつきましては、職員としても重要な問題を含んでおります。したがいまして、すでに私自身も労働省の関係組合と話をしてまいっております。ただ機構の改革そのものにつきましては、これは行政上の責任から大臣が最終的な責任者としてきめられるという立場でございますが、それに関連するいまのような点については、いやしくも移管に伴いまして職員の勤務条件等が絶対に低下しないように、あるいは現実にございます——一、二すでに話が出ておりますが、定年制の問題等につきまして、都道府県と違うような場合には、従来の職員の持っています既得的な立場を十分保護してまいるとか、そういうようなことは万全を期してまいるという方向で、そういう面につきましては十分関係労働組合と話を進めてまいりたい、今後ともまいるつもりでおります。  それからなお、先ほど私の御説明がちょっと不備な点で、今回の改正で安定関係が全然変化ないという御発言もあったように承りましたが、これは私の説明が不行き届きでありました点で、安定関係につきましては、県の段階につきましては、いま地方事務官でやっておりますのを廃止して県に入っていく、そこで県で総合的一体的な組織でやる、こういうことでございますので、その点ちょっとつけ加えて御説明申し上げます。
  112. 大森創造

    ○大森創造君 もうあと一問ぐらいにしますけれども、いままでやってきた労働行政というものを急に変更する事情が私はわからないということです。それは行政改革という政府全体の進めようとすることはわかるけれども、労働省自体が労働行政を推進する立場から考えたことではないということです。ですから、変化といいますか、自治省なり行政管理庁なり、あるいは政府全体がそういう意向になったのであって、そのために労働省労働基準局というものが本来的に考えていることじゃないことを推し進めているということだから、多分に便宜的なものでこういうようにしてやられているのだから、この際ひとつ腰を据えて、今後の労働行政のあり方というものを積極的に考えて、その立場からひとつ新しい検討を加えていただきたいということ、新大臣とともに相談していただきたいということ、今後の推移を私も見守ります。きょうは最初のことでございますから意を尽くしませんし、この問題で抽象的な問答をしても始まりませんから、以上できょうの段階は終わりますが、この際はどうなろうと、労働省全体というものの姿勢、それからいままでやってきたこと、そういうようなものをひとつ検討し直して、前向きの労働省にしていただきたいということを要望申し上げます。  第一回の質問をきょうは終わります。
  113. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 速記をとめてください。   〔速記中止〕
  114. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 速記つけてください。
  115. 二宮文造

    二宮文造君 私は、ことしの二月の二十八日に、国と京浜急行との間に等価交換をいたしました例の高輪の旧御用邸、この問題に関連をしまして、中央労働福祉センターないしは宮内庁が新たに求めました下田方面の御用邸、これらの問題につきましてお伺いをしたいと思うわけであります。過去にも決算委員会とか予算委員会で断片的に問題を出しておりますので、過去の経緯ははしょりまして、時間もありませんから、問題点だけをお伺いしてまいりたいと思うわけであります。  まず、大蔵省のほうにお伺いしたいことは、この高輪の旧御用邸は、御承知のように、東久邇氏が国を相手どって訴訟を提起しております。それが、三十六年の六月二十七日から三十九年の二月の五日まで続きました。その間におきまして、国のほうでこの問題の落着方に何らかあっせんの方法をとられたかどうか。この点をまず大蔵省からお伺いしたい。
  116. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) 少々お伺いしますが、あっせんと申しますと、どういう点でございましょうか、その点だけ……。
  117. 二宮文造

    二宮文造君 立ちのきの問題とか、それからまたその条件とか、そういうことについて、こういうふうにやったらどうだろうということで、者や、あるいは関係者や、そういう方々との間に立って、この問題の解決方にあっせんをされたかどうか。
  118. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) そういうような、大蔵省が介入したことは伺っておりません。
  119. 二宮文造

    二宮文造君 三十九年の二月の五日に、原告のほうから訴訟取り下げがなされております。しかし、その前の時点、問題がほとんど解決を見ましたのは三十八年の十月の二十三日だと、こういうように私ども調べた範囲内で出てまいるのですが、三十八年十月二十三日という日付についてこういうことがあったと、あるいはまたそれに類するような書類が国のほうに出てきたと、こういう記録はありませんか。
  120. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) 私の不勉強かもしれませんが、承知をいたしておりません。
  121. 二宮文造

    二宮文造君 宮内庁長官いかがでしょうか。そういう旧皇族でもありますし、もとは皇室財産でもありましたし、それを大蔵省に移管したわけでありますが、その間には宮内庁としても心痛はされたと思うのです。したがって、その問題の落着について何らかの意思表示をされたことがあるかどうか。
  122. 宇佐美毅

    説明員(宇佐美毅君) 東久邇邸の品川の土地の問題につきましては、私が長官就任以前からいろいろ問題がありまして、二十一年ぐらいから起こっておると思います。もとより皇室と皇室との御縁戚の関係にありますおうちとの関係でございますので、きわめて慎重にいたしました。初めは、御承知のとおりに、御下賜を願うか、あるいは払い下げてもらいたいという申請が出ておったのでございますが、漸次、そういうことにつきまして、われわれとしてもそういう御下賜ということはもう戦後の事情からいってできないわけでございますが、何か払い下げができないかというようなことで、当時の大蔵省のほうにも御意見を伺ったりいたしましたが、なかなかむずかしい問題でございます。そういうようなことで順延をいたしておりますうちに、途中から今度はこれは自分のいただいたものであるという御主張に変わりまして、そしてついに訴訟になったわけでございます。われわれとしても何とか解決をいたしたいといろいろ考えましたのでございますけれども、なかなか適当な案もなく、また外部からも多数の方がこれを放置してはいけないというようなことから、あっせんにかかられた方のことも伺っておるのでございますが、ついにそれが複雑な事情になりまして、解決に至らないことになったわけでございます。そういう状況でございまして、宮内庁としても、白田室用でお使いになりますから宮内庁が管理をするわけでございますが、処分権はないわけでございます。したがって、これをどこにどうするかということは、国有財産管理せられる大蔵省のほうにお伺いしていたすべきことでございます。それにしても、中に入りましていろいろ考えましたが、適当な解決案に至らなかったわけでございます。そのうちに、大蔵省に何とかこの解決について御努力願えないかと、お返ししてその上でできないかということも申し上げたこともございました。そのうちに、それでは大蔵省に返してもらえるならば受け取るということでございまして、われわれといたしましても、すでに周辺の事情から皇室用財産としてこれを長く保存するということもどうかということで、大蔵省にお返しをいたしました。ただ、その中に訴訟事件がありますこと、それからまだこの中に官舎が残っているというふうな問題がございますので、それらはよろしく御処置願いたいということで、お返しをすることになったわけでございます。この間、京浜急行との関係につきまして、私どもは一つもお話を京浜急行とも、大蔵省ともいたしたことはございません。
  123. 二宮文造

    二宮文造君 私の手元に一通の紙片があるわけであります。これを読みます。一枚は承諾書と、こういう表題になっておりまして、  一、港区芝高輪南町所在宮内庁所管土地内私、住居を目黒区上目黒一丁目百二十六番地所在家屋(大蔵大臣御指定)に移転すること。  二、現在東京地裁に係属中の私、国間の前記宮内庁所管土地内の所有権確認に関する訴訟を取り下げること。   大蔵大臣よりお申し越しのとおり右事項を異議なく承諾いたします。   昭和三十八年十月二十三日   東京都港区芝高輪南町十七番地東久邇稔彦 これは印がございません。それから、   東京都港区芝下高輪町五十七番地   立会人大野伴睦印   大蔵大臣田中角栄殿  同じくこれは東久邇稔彦氏の署名のものでございますが、取り下げ書、これが三十九年二月五日付、それから承諾書、「昭和三十九年三月三十一日限り左記土地より移転する。」、これが昭和三十九年二月五日付、これは京浜急行の社長あて。こういう書類がございますが、この書類があっても、大蔵省は話し合いを全然聞かなかったという御答弁でしょうか。
  124. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) ただいま初めて承った次第でございます。
  125. 二宮文造

    二宮文造君 どうしてくれますか、調べてくれますか。
  126. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) 調べましてわかりますかどうか。私どもが受け付けました書類にはございません。
  127. 二宮文造

    二宮文造君 これ、一点調べていただくことにしておきます。  それから国税庁にお伺いをいたしますが、私のほうで調べましたところによりますと、この土地につきましては、非常に賃貸借契約が錯綜しております。これは関係の皆さん御承知のとおりであります。  第一番目の賃貸借契約をやった人は、東亜開発、二番目に賃貸借契約をやった人は、財団法人中央労働福祉センター、第三番目、これは十月二十三日付になっております。これが京浜急行。三つ賃貸借契約が錯綜しております。で、どういう解決になったのかしりませんけれども、東久邇氏は、三十八年の十月二十三日から三十九年九月の八日までに、京浜急行から四億五千万円受け取っております。これがどういう性質のものか、国税庁がもし掌握をされていれば御説明願いたい。  さらに、第一番目の賃貸借契約者であった東亜開発、この代表取締役は堀口という人でありますが、この人は、三十八年五月十五日から三十九年四月二十四日までの三回におきまして一億四千三百六十万、京浜急行から受け取っております。これを国税庁がどういうふうに掌握をされているかお伺いしたい。  さらに、第二番目の契約者である中央労働福祉センターは、これは一括で三十八年十一月十二日に七千万を現金で受け取っておりますが、しかし国税庁のほうで御調査されたのでは、十一月九日、十一日、十二日と三回にわたっての七千万円になっております。日付はそのようにちょっと違うでしょうが、金額においては七千万でありますが、これを国税庁はどういうふうに掌握をされ、どういう性質のものと判断をされているか、税金関係もあわせお伺いいたします。
  128. 亀徳正之

    説明員(亀徳正之君) お答えいたします。  まず、先ほどの四億五千万円の件でございますが、こまかい土地取得をめぐる問題は十分私もつまびらかではございませんが、京浜急行では同額のあれを決算上、建設仮勘定に計上しているようでございます。ただその金の性格につきましては、いろいろまだはっきりしてない点もございますので、最終処理に至っておりませんが、交換問題も終結いたしましたので、この点を的確に今後処理していきたい、かように考えております。  それから東亜開発関係のお話でございますが、これは東亜開発の株式二万五千株の取得価格が一億四千——いま先生がおっしゃった一億四千三百六十万円でございますか、京浜急行が取得しているようでございますが、この株式の譲渡にかかわる所得につきましては、譲渡人に対して全額課税を行なっております。  それからもう一つのこの中央労働福祉センター関係でございますが、当財団が一応公益法人ということになっております。それで、七千万円を取得いたしました時点におきましては収益事業を行なっているという事実は認められませんので、この七千万円については収益事業以外の収入と認められますので、これについての課税は行なっておりません。
  129. 二宮文造

    二宮文造君 ですから、その支払ったほうの京浜急行はおっしゃるとおり建設仮勘定で処理されてよろしいと思いますが、受け取ったほうの金の性質を国税庁はどう理解をされるかということをお伺いしたのが一点。それから、堀口氏に金額課税をしておると、こういうお話でございますが、課税はしておりますが納税はされておりますか。この点を伺いたい。
  130. 亀徳正之

    説明員(亀徳正之君) 御指摘のとおり、受け取った四億五千の課税処理は未済でありますことは、先ほど申し上げたとおりでございます。ただ、この金額、それの性格につきまして、なお若干私のほうでもただしたい点もございますので、それらの点を確かめませんと最終処理をいたしかねる点がございますので、その点を鋭意調査中でございます。  それから、先ほどの課税済みであるが滞納になっていないかという御質問でございます。まあほとんど全額——十万納めておりますが、ほとんど滞納になっております。なお、ちなみに、この方は実は所在不明ということで、遺憾ながら、課税処分はいたしておりますが、大半が滞納になっておる次第でございます。
  131. 二宮文造

    二宮文造君 その滞納になっている金額は一億円以上と私理解しているんですが、それでよろしいでしょうか。
  132. 亀徳正之

    説明員(亀徳正之君) 一億円以上の大きな金額になっております。
  133. 二宮文造

    二宮文造君 それからもう一点お伺いしたいんですが、居住者である東久邇氏は、東亜開発からも月五十万円という借地料を取っております。それが大体総額で五、六百万円、このように推定をされております。それからもう一つ、第二の設定者である中央労働福祉センター、ここからも約五百万近い金を収得をされておりますが、これの税の申告はありましたかどうか。
  134. 亀徳正之

    説明員(亀徳正之君) いま先生の御指摘の点は、了承いたしておりません。存じません。したがって、現在その点の課税をしているという事実はございません。
  135. 二宮文造

    二宮文造君 理財局にお伺いしますが、いま聞いていただきましたように、京浜急行、いわゆる等価交換の相手先である京浜急行は、いま国税庁に御説明をいただいた限りにおきましても、約七億円の金を支払っております一それはなぜかといいますと、高輪の旧御用邸を入手したい一いわゆる裏金であります。こういう膨大な金額を支出したこの京浜急行との等価交換に、大蔵省はその評価に絶対に間違いございませんと、こういうことが言い切れましょうか。この裏金が動いたということについて、理財局の見解を伺いたい。
  136. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) ただいまいろいろ伺いましたが、私どもの評価は、大蔵省できめております評価の基準に従いまして客観的に行なっておる次第でございまして、その限りにおきましては、絶対自信を持っております。決してあいまいな評価をいたしてはおりません。したがいまして、ただいま伺いましたようないろいろなやりとりにつきましては、私どもの交換とは全く無関係、さように御了承いただきたいと思います。
  137. 二宮文造

    二宮文造君 そういうことで国民の皆さんが納得できるかどうか、そういう論議をここで繰り返していたら国会の権威に関すると思うのです。私はすでに二年八カ月前に、この交換契約が行なわれる前に、巷間こういううわさがあるから姿勢を改めてもらいたい、相なるべくならば等価交換などというようなやり方ではなくて、競争入札でこの問題に限っては払い下げていったほうがいいのではないか、こういうふうに姿勢を正す方向にお願いをしてあったわけですが、やはり従来の姿勢のまま行なわれてきた。私非常に遺憾に思います。なお、きょうは時間がありませんので、交換の個々の価格につきましてはなはだ疑問がございますが、これは次回に譲ります。  さて、労政局にお伺いしたいわけでありますが、中央労働福祉センター、これは年金受給者及びその家族、そういう方々の福祉施設をつくりたいという高邁な目的観を持って設立され、しかも労働四団体をあげての財団法人であります。その意味で、労働大臣は公益法人として認可をされたのだろうと思いますが、そのような高邁な理想をもって設立された中央労働福祉センターが、国と係争中のその土地を目ざして、そしてその土地に月々四十万お支払いしましょう、四千万円信託をいたしましょう、そういう条件で賃貸借契約を設定する、こういう行き方は公益法人の行き方として正しいかどうか、認可をされた労働省の見解を伺いたい。また、その当時そういうことを労働省としては御承知であったかどうか、伺いたい。
  138. 松永正男

    説明員(松永正男君) ただいま御指摘がございましたように、中央労働福祉センターは、日本の労働組合のほとんど全部を代表するような労働四団体の議長ないし委員長が設立発起人となりまして設立をいたしました財団法人でございます。したがいまして、その目的は、ただいまお話がございましたように、労働者の福祉向上ということを目的といたしまして、福祉会館その他の施設の建設を中心として事業を営むというのが目的になっておるわけでございます。そこで、ただいまお尋ねの土地の関係でございますが、当時の詳細具体的なことにつきましては、私は存じておらないのでございますが、この福祉センターといたしまして施設を建設をするということになりますと、ただいま御指摘の年金福祉事業団の融資を受けるということに関しましても、土地がまず必要であるということから、土地の取得ということをまず第一にやったと思うのでございます。その際に、ただいま御指摘のようないろいろな事情のある土地を取得したほうがいいか、あるいはもっとすっきりした土地を取得すべきであったかということでございますれば、その他のいろいろな条件はあるかと思いますけれども、公益法人として、すんなりと事業目的を達成するということになれば、むずかしい土地ではなくして、もっとすっきりと入手できる土地を取得するようにすべきではなかったかということにつきましては、私は、そのようにいまお問いになれば、そのように考えられます、というふうに申し上げられると思います。
  139. 二宮文造

    二宮文造君 一つことばを返しておきますが、確かに労働四団体が設立発起人になったセンターではあります。しかし、基本財産は五百万円であります。あなたがおっしゃるとおり、全面的に労働団体がバックアップするような態勢は資金的な面には出ておりません。これはひとつ理解をそのようにしていただきたい。  それからもう一つ、何かこう土地がなければセンターが建てられない、したがって、こういう土地も選んだ、しかし、いまから考えてみればあまり好ましくない、こういうお話ですが、もう一つ事情がある。この土地については、先に東亜開発というところと賃貸契約を結んでいる。その事実を承知しながらこういうえさといいますか、そういうものを突きつけて、そうして名誉総裁に推戴をして土地の入手をはかっていくという行き方が、公益法人として妥当かどうか、これ私は疑問が残るのです。また、その当時労働省はおそらく御存じなかったのだろうと思う。御存じないのだったら、今後そういうふうに労働省の監督下にある法人に対して、われ関せずというような態度では困るので、よくすべての法人についても事情を知っていただきたい。これはまあ脱線したことになりますけれども……。  さて、それで先ほど言いました三十八年十月の二十三日に決定を一その日にちは前後しますが、関係者の間でまとまったことが、金額的には先ほど指摘したこと、もう一つは、労働福祉センターに対しては、国が岩崎邸を世話する、したがって、どこか国家公務員宿舎の用地、それを手に入れなさいという話であったそうであります。したがって、ここで問題の岩崎邸のほうに移ってまいりたいと思うわけでありますが、大蔵省はこの東久留米の土地を中央労働福祉センターが入手するに際しまして便宜を与えました。たとえば——宿舎課というのがありますか、大蔵省に。
  140. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) 財務局にございます。
  141. 二宮文造

    二宮文造君 宿舎課のほうから町役場に対して、電話あるいは口頭をもって町民を説得してもらいたい、国の公務員宿舎が建つのだからといったような援助を与えましたかどうか、これを伺いたい。
  142. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) 大蔵省といたしましては、国の行政が円滑にいきますように、公務員宿舎の建設につきましては一生懸命になっておるのでございますが、何しろ特に東京の周辺におきまして用地の確保がなかなか困難になりましたので、あらゆる機会に用地を確保する努力をしておるわけでございますが、たまたま国有地につきまして払い下げの要請のありました中央労働福祉センターが公務員宿舎として適当な土地があると、つまりこれがお話しの久留米町の門前でございますが、ありましたので、財務局といたしましても、かっこうの土地であると考えましたので、労働センターの土地の入手につきましては、町といたしましてもできるだけ御協力がいただけないかというお話はしたように伺っております。
  143. 二宮文造

    二宮文造君 国家公務員宿舎用地は、こんなややこしい手続をとらないで、国が直接お買いになったらどうですか。何も中央労働福祉センターが土地がほしい、岩崎邸がほしい、それならば東久留米の土地をあっせんしてあげますからお買いなさい、あなたが買った上で岩崎邸と交換しましょう、こういうふうな手続は不必要ではないかと私は思うのですが、そうお考えになりませんか。
  144. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) お話しのような方法もあろうかと思いますが、従来までのところ、不動産の購入費というものは予算では計上いたしませんで、せっかく国有地もあることでございますから、これを適切な方法で交換をいたしますならば、国の必要とする公務員宿舎用地も確保できることでございますので、そういう方法でやっておる次第でございます。お考えのような方法もこれは一つ方法としてはあろうかと思います。
  145. 二宮文造

    二宮文造君 それでは中央労働福祉センターは、岩崎邸と交換をするために大蔵省のあっせんに基づいて東久留米の土地を入手したわけですね。
  146. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) 因果関係ということになりますと、どっちが先ということが問題でございますが、センターのほうで岩崎邸を交換の対象にしてほしいという御要望がありましたときに、たまたまこれもさっき申しましたように、どこか東京周辺で相当な……
  147. 二宮文造

    二宮文造君 時間がありませんので簡単にお願いします。
  148. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) 土地がほしいと思っておったところでございますから応じたということになろうと思います。
  149. 二宮文造

    二宮文造君 そうしますと、中央労働福祉センターが購入した時期、それにプラス土地造成の期間だけですね、国と交換した日にちのズレは。
  150. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) 大体そういうことでございましょうか……。
  151. 二宮文造

    二宮文造君 じゃお伺いしますが、この付近一帯単価は少々違っておりますが、中央労働福祉センターが地主から幾らでお買いになったか御承知になっておりますか。
  152. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) これはその当時わかりませんで、あとになってわかったことでございますが、二万四千円から三万——正確には承知いたしておりませんが三万何がしという価格で、これは宅地見込地でございまして、素地を買った、造成費は別でございます。
  153. 二宮文造

    二宮文造君 だいぶ違います。私、地主から契約書をいただいております。安いところで坪一万九千円、高いところで二万二千円であります。土地の造成費は坪当たり三千五百円であります。合計しましても平均で二万五千円から上にはなりません。ところが、四十年の十二月二十八日に岩崎邸と交換をしましたときに国が評価をしましたのは、坪当たり三万六千五百五十円であります。私が先ほどこんなややこしい手続はとらないで直接お買いになったらどうですかと申し上げたのは、この坪当たり一万円以上の差額が出てくるようなからくり、これは国費の冗費じゃありませんか。問題だと思うのです。この点についてどうお考えになりますか。
  154. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) 先ほど高輪の場合にも申し上げましたが、私どもが土地を交換する場合、あるいはまた買います場合でございますが、評価をいたしますときはやっぱり評価基準に基づきまして客観的に価格を評価いたしております。相続税の価格をもとにいたしましたり、それから国定資産税の価格をもとにいたしましたり、売買実例を参考といたしまして、そうしてそういったものに民間の精通者の公正な御意見も伺って客観的にきめるということでございます。先ほどお話しになりました相手方が買収いたしました素地と開きがあるということは、これはしかたがないのじゃないかと思います。先ほど造成費の話が出ましたが、その素地につきましてさらにその土地の造成費、それからまたいろいろ町に対する負担金等もございましょうし、金利とかその他の管理費も見なければいかぬと思いますので、そういうものを積み重ねて比較いたしますと、私どもはそう違った価格は出ていないというふうに自信を持っております。
  155. 二宮文造

    二宮文造君 その大蔵省の固定資産税の価格だとか付近の売買実例だとか、こういうところに従来問題があり過ぎたわけです。これは国有財産審議会におきましても問題になりまして、評価の点については公正にしなければならない、こういう一項目が、四十年の十月から十二月にかけて大蔵省は当時前向きに検討をするような姿勢を示しておったそのやさきであります。地方に対しましても通牒を出しておきながら、肝心のおひざ元の関財でこういうやり方をするのはよろしくない。次長のおっしゃったような計算になりますと、交換受け財産のほうは、相手方の力によっては受け財産の評価は高くなる、渡し財産のほうの評価は低くなる。論より証拠、あの湯島の不忍池の付近の一等地を三十四万円と評価しているじゃありませんか。私、あの四十一年の二月のときに指摘をしました。七十万——八十万から下ではありません、だれが見ても。それを渡し財産は三十四万で評価し、二万五千円で入手した、造成費を入れても二万五千円で入手したその土地を三万六千五百五十円で評価する。金利がいい、冗談じゃありません。ですから私は購入と造成の期間とこれだけしか期間はあいておりませんねと、かりにかかったとしても一年足らずであります。一年足らずの金利が一万円にも相当しましょうか、非常に問題になると思うんです。この点も実例をもって問題をあとに残しておきます。  さらに、農林省の方お見えになっておりましょうか。——農地、田、畑を宅地に転用するときには届け出ないし許可の申請が要ると思いますが、どうでございましょうか。
  156. 小山義夫

    説明員(小山義夫君) 農地について所有権を移転する場合には、面積によって知事または農林大臣の許可を得なければならないということになっております。
  157. 二宮文造

    二宮文造君 この土地は何万坪でしたか。六万坪でしたか、十万坪でしたか。
  158. 小山義夫

    説明員(小山義夫君) 約二万坪でございます。
  159. 二宮文造

    二宮文造君 二万坪になりますこの該当の土地、この土地造成者は中央労働福祉センターでありますが、地目返還の申請は出ておりましょうか。
  160. 小山義夫

    説明員(小山義夫君) 詳細を確かめておりませんけれども、出ていないんではないかと思いますが……。
  161. 二宮文造

    二宮文造君 出ておりません。現地の農業委員会にも聞きましたところが、あれは国がおやりになったんでしょう。だから全然国からも何らお話もありませんし、あとで気がついてみると中央労働福祉センターらしいと、こういうような言い方ですが、こんなことでよろしいんでしょうか、国の姿勢として。農地法というのが厳然とありながら、少なくとも交換受け地として国が受ける土地に対して、国が法律を破るようなことを相手にあっせんをすることはよろしくないと思うんですが、理財局はいかがでしょうか。
  162. 小山義夫

    説明員(小山義夫君) ちょっとその前に。私、いまことばが足りませんでしたが、もしこの土地を国が取得する場合には、国は許可を得ないでもよろしいことになっております。そこのところだけ補足さしていただきます。
  163. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) いま農林省の方からお答えがございましたように、確かにセンターといたしましては、この農地転用の都道府県知事の許可を得ておりませんけれども、最終的には国がもちろんあの所有権移転の仮登記はございます。農地転用の許可が条件となりました仮登記がございます。そこで、詳しいことを言いますと、センターは所有権移転の請求権を得たことになろうかと思うんですが、国は交換によりましてその地位を獲得いたしまして、その請求権に基づきまして当事者の承認を得まして、地主さんの承認を得まして、最終的な登記を行なっております。これがいま農林省の方からお答えがございましたように、農地法の五条によりまして、国が農地以外に使う場合には、許可は要らないということになっておりますので、違法ではないと思います。
  164. 二宮文造

    二宮文造君 私が言うのは、法治国ですから、法律があるのですから、国が関係する場合には、法律を守らなければならぬ、こういう論点です。国が買う買わないは、交換しなければわからないわけです。所有権移転の仮登記をやったのは中央労働福祉センターです。土地の造成をやっているのは中央労働福祉センターです。これが仕上がらなければ、どこがやるかわかりません。そういう段階にあるのなら、中央労働福祉センターが農業委員会に申請すべきじゃありませんか。また国のほう、大蔵省のほうも、いやこれは将来交換受け地にするのだからという書類でも農業委員会に回すべきじゃありませんか。そうしなければ、法律をきめておいて、国自身がこの法律を破ることになります。
  165. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) 先ほど申しましたように、法律的には私は誤っておらぬと思いますけれども、国の手続といたしましてはいまから考えますと、労働センターにちゃんと手続をしておってもらいたかったというふうに存じております。
  166. 二宮文造

    二宮文造君 農林省にお伺いしますが、そういう考え方で今後もやってよろしいですか。法律は破っておらぬ、手続はしなくてもかまわない、だけれども、いまから考えたらやってもらいたかった、こういうことで農地法のあの条文が生きてきますか。これは重大な問題です、お伺いしたい。
  167. 小山義夫

    説明員(小山義夫君) 国が取得するときに、確かに許可は受けなくてもいいことになっておりますので、その限りにおいては問題はないのでございます。ただ、いまの先生のお話によりますと、センターが許可を受けないでセンターの手で造成されておるように伺います。もしそれがそういう事実がございますと、センターがいわば無断転用といいますか、許可を受けないで転用をしたということになって、その点は問題は大いにあると思います。
  168. 二宮文造

    二宮文造君 大いに問題があるそうです。望ましいことじゃないと思います。前言を改めてもらいたいと思います。
  169. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) 私も手続を踏みませんでしたことは、いまから考えて残念でございます。ことにいまお答えがありましたように、センターが転用許可を受けずに造成をやったということは、たいへん残念だったと思っております。
  170. 二宮文造

    二宮文造君 これは現地の農業委員会は、国にだまされたと言っております。また私の想像ですが、大蔵省から声をかけられますと、町当局としては、何らかやっぱりあとあと関係もありますので一生懸命にならざるを得ない。したがって、町長が一々地主との契約について——福祉センターと地主との契約書に町長が立ち会っております。これほど気を使わした等価交換なんです。等価交換ではない、すべて国のほうがめんどうをみた交換である。しかも価格の点については、先ほど申し上げたような疑問点が出てくる。さらにもっと私は言いたいことは、あの登記簿の中間省略は商慣習としてよろしいというような考え方では困るのです。なぜかといいますと、所有権の移転によらなければ、固定資産税の徴収も、あるいは税の捕捉もできないわけです。大蔵省はそういうことで仮登記をしたまま所有権の移転もさせないで、いきなりもとの地主から国が所有権を引き継いでしまいますと、国が脱税を援助しているようなかっこうになる。商習慣でよろしいなんという大蔵省の考え方は、今日限り改めていただきたいと思いますが、答弁をいただきたい。
  171. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) 先ほども農地の転用許可のことで申し上げましたが、いま御指摘のように中間登記の省略ということは、判例でも学説でも認められておることでございますけれども、国のやることといたしましては、やっぱりこれまたきちんきちんとやっておいてほしかったというふうに思っております。
  172. 二宮文造

    二宮文造君 ほしかった、ほしかったって、まるで人がやったような言い方をされておりますが、あなたのところでやったんですよ。当時おれはその職にいなかったというんじゃなくて、局として答弁していただきたい。
  173. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) それはすべきであったと思っております。したほうがよかったと思っております。
  174. 二宮文造

    二宮文造君 さて、ここで、大体その福祉センターがどういうふうにして岩崎邸を入手したかということについて、大体御理解いただいたと思うのですが、もう一つ、私、福祉センターのことについてお伺いをしたい。  ちょっとその前に、国税庁にもう一ぺん確認したいのですが、国税庁としては、京浜急行から受け取った七千万円を、どういう性質のものであると把握されておりますか。さっきちょっと聞き漏らしましたので、確認をしたいと思います。
  175. 亀徳正之

    説明員(亀徳正之君) どういう性格かというのは、ちょっと私も表現しにくいんですが、ちょうどあの高輪の土地の払い下げの申請を双方競願していたような、まあ京浜急行もあの土地を払い下げてもらいたい、それから中央労働福祉センターも払い下げてもらいたい、まあ双方が競い合っていたような事実を前提にいたしますと、何といいますか、競争者におりてもらう、まあ謝礼のような形でございましょうか、いずれにしろ、そういう七千万円が京浜急行から大体中央労働センターに支払われたというわけでございます。
  176. 二宮文造

    二宮文造君 もう一点お伺いしたいんですが、なるほど中央労働福祉センターは公益法人です。したがって、収益事業を営まない範囲におきましては課税の対象にはなりません。しかし、公益法人から支出をされました金額、これは受け取り方によっては課税の対象になってまいります。そういう意味で、国税庁としては、この中央労働福祉センターからの決算諸表などを取り、あるいはその経理の問題等々につきまして事情を聴取されたり、あるいは検討されたりしたようなことが、今日までありましたでしょうかどうか、これをお伺いしたい。
  177. 亀徳正之

    説明員(亀徳正之君) 調査いたしております。
  178. 二宮文造

    二宮文造君 それでは、私、調査されているんであればお伺いしたいんですが、たとえば、昭和三十八年の四月一日から三十九年三月三十一日、要するに昭和三十八年度の収支計算書によりますと、収入の部に寄付金として七千万円があがっております。これが問題の七千万円だろうと思います。しかし、その相手方、支出のほうに、いきなり行動費として千二百六十一万七千円があがっております。それからもう一つ調査費として、これも大きな額です、二千五百九万六千百円、そのほかに一千万台のものはほとんどない。この項目が特に多いわけでありますが、この行動費、調査費について、証票などを検討されながら、支出を調査されたことがありますかどうか、お伺いしたい。
  179. 亀徳正之

    説明員(亀徳正之君) 先ほど申し上げましたように、中央労働福祉センターは公益法人でございますし、収益事業をやっているという当時では実情ではございませんので、いわゆる普通の調査のような意味ではやっておりません。したがいまして、この支出がどのようなものに使われたか、明らかにすることは困難であります。かなりいろいろな形で使われたかと思いますが、公益事業会計に属する話でございますし、その意味ではなかなか中身ははっきりいたしておりません。
  180. 二宮文造

    二宮文造君 じゃ、決算諸表はお持ちでありましょうか、三十七年度から四十二年度まで。
  181. 亀徳正之

    説明員(亀徳正之君) ちょっとその点あれでございますから、直税部長に。
  182. 川村博太郎

    説明員川村博太郎君) 各事業年度の決算書につきましては取ってございません。と申しますのは、ちょっと御説明いたしますと、この法人が支益事業を開始いたすことに意思決定いたしましたのが三十九年の四月二十八日でございます。これは理事会でそういう意思決定をしたわけでございます。御承知のように、公益法人はその限りにおいては、法人税の納付義務はございませんので、申告は出てまいらない。収益事業の意思決定いたしました年から収益事業会計を設けましてその経理が始まりましたために、三十九年から四十年三月に至るときからは申告書が税務署に提出されております。その時期からは損益計算書及び貸借対照表が税務署に保管されております。
  183. 二宮文造

    二宮文造君 そうすると、先ほどの労働省との見解が変わってまいりますが、労働省は福祉センターをつくる、労働会館をつくるということで、公益法人として認定をされる許可をされた。そうして、いま国税庁で言われた意思決決との食い違いはどうなんですか。
  184. 松永正男

    説明員(松永正男君) 先ほど省略して申し上げましたが、施設をつくるということが主たる事業、主目的だと実質上考えられたのでありますが、そのほかに調査研究等の仕事もやるというたてまえになっております。土地を取得して、いよいよ事業が始まりますというと、収益事業ということになってまいりますので、センターとして判断をいたしましたのは、三十九年度から公益会計と収益事業会計とに分けるということにきめたという説明を私どものほうは聞いております。
  185. 二宮文造

    二宮文造君 少なくともそれ以前のことについては、労働省にお伺いするよりほかにない。したがって、労働省が、千二百六十一万七千円が行動費、調査費二千五百九万六千百円、この中身について証票などを検討しながら、いわゆる監督という立場におきまして証票などを検討しながら事情を聴取した事実がありましたかどうか。
  186. 松永正男

    説明員(松永正男君) この公益法人の民法上の監督者は労働省でございます。したがいまして、民法に基づきまして、毎年の収支決算書等が監督官庁たる労働省に出てまいります。三十八年度の収支決算が出てまいりましたときに、その時点におきましてこの内容について、そのような監査をしたかどうかという点でございますが、私ども当時の記録を調査をいたしましたところ、決算書につきましての監事の所見がついて出てまいりました、監事の所見は公正なものであるというような表現になっておりますが、労働省としてその証票書類にまでわたって検査をしたという事実はどうもないように考えられます。それから、この三十八年度の収支につきまして、実は御質問があるということを承わりましたので、私のほうでセンターの責任者を呼びまして、この七千万円の収入についての使途はどうであるかということを質問をいたしまして、事情を聴取いたしたのでありますが、この点につきましては、すでに四十一年の四月の四日の当決算委員会におきまして、センターの責任者であります今井理事長からの答弁がございます。これは大体の趣旨といたしましては、そのような関係で七千万円を京浜急行からいただいておるけれども、その中から借金でありますとかいろいろの、それまでかかりましたもろもろの経費を差し引きまして、結局のところ、——省略いたしますが——五百万ないし千万程度の金が手元に残ったかと思いますと、こういうことを言っておられますが、私どもが聴取いたしました内容は、具体的にどうということにつきましてまではまだ聴取いたしておりませんが、このような高輪の関係の土地につきまして取得をしようということでいろいろな経費がかかった、その経費の支出である。そして証憑書類等の受け取り等も全部そろっておるし、帳簿も全部きちんとしておる、こういうことでございまして、具体的にそれではどのようにどこに出たかということにつきましては、私どもとしてはまだつかんでおりません。なお必要がありますれば、具体的なものにつきましての報告をさらに求めたいと考えております。
  187. 二宮文造

    二宮文造君 大いに私は必要があると思います。従来、公益法人については、その会計が非常にずさんであって、そのために関係者が非常に迷惑をする一これがそうだとは言いません。そういう例が幾多ございますので、経理の内容にわたってまで公益法人なるがゆえに監督官庁としては注意をし、また指導をしていただく必要があるんではないか、このように思うわけであります。ぜひこの点については調査を願いたい。そしておそらく法人会計でありますから銀行台帳などはあると思う。その銀行台帳の動きを領収書の動きと、これがなければならないと思う。現金決済などというのは少額のものはありましょうけれども、何百万、何千万というような現金決済はあり得ない。私、ここで非常に心配になりますことは、決算諸表を見せてもらってよくわからない。よくぞこれで労働省が監督官庁として今日まで一回も福祉センターに対して注意をなされてないものだ、はたしてこれで経理がうまくいっているんだろうかと、これが私の率直な印象であります。労働四団体の財団法人だけに私はそうあるべきだ。正確であるべきだし、また労働省としても、それだけの神経を使っていただくべきだ。くどいようですが、銀行口座の動きと照らして金の諸表との突合をやっていただきたい。その上で説明を後日いただきたいと思うわけであります。と申しますのは、私のところにこういう書類が手元に入りました。一つは、これは委任状であります。三十八年五月二十二日付委任状とございまして、財団法人福祉センター理事長今井一男氏がある人に対して高輪南町に所在する宅地何坪に中央労働福祉センターを建設するための敷地設定に関する一切の権限、右委任します、こういう委任状が、AならAとしましょうか、A氏にあてられております。そしてまたそのA氏に対しまして七千万円、右金額まさに受け取り候という今井一男氏の領収書が出ております。それからもう一つ念書がありまして、これは今井一男氏からそのA氏にあてて、労働センターと東久邇稔彦氏との間に取りかわした、東京都港区云々の土地に関する契約を破棄し、右土地に関しては今後一切異議を申し立てしません。念のため一札差し入れます。これが十一月十二日付でございます。したがって、推測する限り、A氏は五月二十二日に東久邇氏とセンターとの間のトラブルを解決する委任を受けて、この十一月十二日に解決をしたものと推察ができます。しかも、領収書が出ておりますから、そのための七千万円であろうかと思うのであります。さらにもう一つ、念書というのがございまして、これは非常に差しつかえがございますから名前を伏しますが、念書の趣はこういうことであります。昭和三十八年十一月二日第一ホテル新館において財団法人労働福祉センター理事長今井一男氏並びに外二名の席上——非常にこの並びに外二名というのが問題があるそうであります。席上ある党として東久邇稔彦氏邸の問題は取り上げないと今井氏は小生に言明をした。右のとおり間違なく後日のため本念書をしたためるものなり。A氏の名前でこれは相手方の京浜急行に対してこういう念書が入っております。したがって、私は非常に心配になりますことは、当時はまさに昭和三十八年十一月二十一日が総選挙の投票日であります。金銭の授受がありましたのは十一月十二日、九日前であります。七千万円の金が——現金で受け取った七千万円がそのままその日にセンターの預金口座に入っていれば幸いであります。もしここで何がしかの金額が抜けておりますと、センターの経理は問題になってまいります。また、なぜこういう念書を入れなければならないのか、センターの今井氏は、そういうことを言明しなければならないのか、ここにも私は疑問を持つものであります。もしもかりに、これが世間でうわさされておりますような三千万円行くえ不明、政治献金につながるようなことになりますと、これは重大な刑事問題に私はなると思う。だから労働省としましては、この三十八年の決算、これは税法上からいいましても、この三月三十一日が時効成立の極限であります。あと半年ありません。したがって、その間において調査をし、国税庁も適切な手を打っていただきたいし、労働省としても指導監督を厳重にしていただきたい。これは私の要望であります。  それからもう一つ、この決算諸表を見ておりまして私非常に疑問に思いますことは、いろいろ会計処理が変わっております。会計処理が変わってまいりまして、四十二年度において初めて開業費という口座を起こしております。まあセンターの事業も非常に錯綜してきて、経理も複雑になってきたのであろうと思いますけれども、その中で土地費の振りかえという明細書が出ておりますが、これがはなはだ疑問であります。よく見ておってもわかりません。これは四十一年三月三十一日現在ですから、四十年度の決算諸表の付属資料でありますが、土地費振りかえ分明細書、これが理財局に関係する交換用地の分であります。この項目全体について後日的確に御説明をいただくように調査を願いたい、証票などを検討しながら調査を願いたい。特に、中ほどにあります八洲産業払い差益金八千二百三十八万円というのが、これもまた疑問であります。これはひとつ収益事業にも関係してまいると思いますので、的確にお調べ願いたい、こういうふうにお願いをしておきます。  そこで、理財局次長さんはこういう広告をごらんになりましたか。「湯島ハイタウン」。これが問題の交換渡し財産である岩崎邸であります。二年八カ月前、私は必ず転売されますぞ、こう御指摘をしておきました。そのときに、松永局長は、いやそんな心配はございません、念書が入っております、こういう答えでありましたが、その念書を読んでください。
  188. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) 念書は、今井一男さんから、関東財務局長の岸本に出されておりますが、日付は四十年の十二月十八日でございます。「昭和四〇年七月一六日付大蔵大臣宛提出しました国有財産」、「(土地その他)」と書き込んでございますが、「の交換申請について、今回これが約定成立に際し、下記のとおり誓約し、念のため本書を差入れます。」。「記」といたしまして、「交換契約が成立して、所有権移転登記が完了した日から五年間は、大蔵省の事前の承諾なく、交換によって国から提供を受ける土地につき、これを第三者に譲渡し、又は貸付ることは、しません。以上」と、こうなっております。
  189. 二宮文造

    二宮文造君 その念書と、それからその広告、これとの関係について大蔵省のお考えを承りたい。
  190. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) たいへんどうもむずかしいなにでございますが、最初交換に応じましたときには、その土地に労働福祉センターを、労働者のための福祉センターをつくるということでございました。そういうことからいたしますと、だいぶ今回の御計画は趣旨が違うようでございますが、いろいろその間に資金計画とかいろいろな問題でそごがあったようでございまして、私も率直に申しますと、これを見ますとたいへん残念なんですが、センターといたしましては、非常に努力はいたしまして、これが計画されます過程におきまして、財政再建、それから本来の目的でありました労働福祉センターを、非常に小規模にはなりましたけれども、何とかつくりたい、そうしなければ世間に相済まぬというお気持ちもあったようでございまして、その資金的なものも、ここから出るようにはできぬかというようなお気持ちもあってやったようでございまして、たいへん残念だけれども、この現状においてはこれが次善の策であろうかというふうに考えたわけでございますが、御計画の過程において、何とかもう少し一般に手の出せるようなものにもしてほしいというふうな要望も付しました。AとBとに分けて非常に苦心をしておるというふうには思いますが、率直にいって、どうも当初の目的から、払い下げのときの目的からいたしますと、残念に思っております。
  191. 二宮文造

    二宮文造君 この念書には「大蔵省の事前の承諾なく、」とありますけれども、事前に現在承諾したのですか。
  192. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) 承諾とかなんとかということでございますが、これによりますと、第三者には譲らないというふうに書いてありますが、承諾なしには……。
  193. 二宮文造

    二宮文造君 もう一つあります、貸し付けることもしません、と。
  194. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) 「貸付ることは、しません。」とありますね。厳格に申しますと、新聞にありますようなハイタウンでございますか、これを建てる——契約書に書いてございますが、これができた暁において云々というふうに書いてありますので、そういう段階で相談に来ることを考えておったのじゃないかというふうに考えます。
  195. 二宮文造

    二宮文造君 ばかなことを言っちゃいけませんよ、家が建ってから相談するのですか。建てる前に相談——この事前というのは、完成する前が事前ですか、着工する前が事前ですか、どちらです。
  196. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) 言い方がまずかったかもしれませんが、念書の効力からくるのでございますが、ただいまは交換につきましても、国有財産地方審議会の御答申によりまして、払い下げの場合と同様厳格に用途指定等をつけておりますが、この当時におきましては、交換につきましては、ムードから申し上げますが、交換につきましては、もらうものをもらうについてはかってにもらっておいて、渡すほうについては、こういうふうにいろいろに厳格にあれをするということはどうかということで、条件をつけておりませんでした。しかし答申がその直前にあったわけでございますので、次善の策として念書をいただいたわけでございますけれども、どうも念書の性格からいたしまして、これを法的に厳格に規制していくということがなかなかできないわけでございまして、たいへん残念でございますが、先ほど申し上げましたように、計画について話がありました際に労働省とも御相談をいたしまして、何とか当初の計画——もう少し一般に手の出せるようなものにしてくれというふうな注文をつけて、さっき申し上げましたような苦心をしてもらったところであります。
  197. 二宮文造

    二宮文造君 事前にあったかどうかということを伺っているのです。その答弁は一つもないのです。事前に承諾があったかどうか。
  198. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) 承諾というようなことは、厳格な意味での承諾とか否認とかということは、ございませんが、いま言ったようなお話があって御注文申し上げました。できるぎりぎりのところで注文をつけたということでございます。
  199. 二宮文造

    二宮文造君 それでは、大蔵省ではその当時、いまも申し上げましたように、四十年の十一月の初旬でありました、中央審議会から、あれは答申が出て、さらに十二月の十五日ごろでした、大蔵省は国有財産の払い下げに関して姿勢を改めるという通達を全財務局に出しているわけであります。この交換はそのあとですよ。通達を出したあとの十二月の二十八日、御用納めのどさくさの日の契約です。次長はあとで議事録をごらんになりますと、何回残念に思いますということが出たか計算願いたい。そういう姿勢で国有財産管理されたのでは、国民はたまったものじゃありません。何のための念書です。念書に効力がないのは最初からわかっております。ならば、なぜ用途指定をしない、そういうような一切のことを通り抜けにしておいて、それであとで残念でありました、気がつきませんでしたということで、従来黒い霧を振りまいてきたわけであります。もう払い下げをすべき国有財産も、いいかげんな管理のためになくなってしまいました。ほんとうに都内で有数なところはあの品川でした。それも何だか変なかっこうで交換されてしまいました。私どもは有効に使われるならけっこう、適正な価格でそれが生きて使われるならけっこう、何もそれについてとやかく申す所存はありません。しかしこれでは国民があまりにもあきれ果ててしまいます。そういうことの過去の累積であります。したがって、次長の答弁はいただきませんが、私はこれはこれなりに法的に追及をしていく方法がある、勉強さしていただきます。留保しておきます。  それから労政局長にお伺いしたいわけでありますが、この湯島ハイタウンは何戸建ちますか、分譲住宅のほうは。
  200. 松永正男

    説明員(松永正男君) 資料を持っておりますが、ちょっと出ません。四百戸と記憶しております。
  201. 二宮文造

    二宮文造君 私お願いしたいことは、藤田組と中央労働福祉センターとの間の建築請負契約書、この原本の写しをちょうだいしたい。それからその中身、単価幾らのものが何室、こういう内訳をお教えいただきたい。それから何回も申し上げますけれども、中央労働福祉センターは年金受給者の関係の福祉施設をつくるというのが、この寄付行為の第二条か第三条かに掲げられております。したがって、入居者はどういう人が入居しているのか、関係四団体の方が何人いるか、これをお伺いいたしたい。もしお手元にあればそれを答弁していただきたい。
  202. 松永正男

    説明員(松永正男君) ただいま資料をさがしますので——第一点の契約書でございますが、ただいまここに契約書は持っておりませんが、その概要について申し上げます。
  203. 二宮文造

    二宮文造君 契約書はけっこうです。あとでその原本の写しをちょうだいすればけっこうです。
  204. 松永正男

    説明員(松永正男君) それからセンターから徴収しました資料に基づきまして、この分譲住宅の概要、単価等について申し上げます。
  205. 二宮文造

    二宮文造君 概要はけっこうです。
  206. 松永正男

    説明員(松永正男君) AとBと二つございまして、A棟のほうが比較的広い。そして単価も高いのでございます。
  207. 二宮文造

    二宮文造君 何万円のものが何戸かわかれば、いまおっしゃってください。
  208. 松永正男

    説明員(松永正男君) B棟から申し上げますと、四百二十万円から七百八十万円までのものが、これは少し形が違いますので種類分けしてありますが、九十六戸と四十八戸と二十四戸……。
  209. 二宮文造

    二宮文造君 ちょっと待ってください。何万円のものが幾らときまっておるわけですから、四百六十万円のものが何戸。
  210. 松永正男

    説明員(松永正男君) いま申されましたのは個個の単価ですか。
  211. 二宮文造

    二宮文造君 そうです。
  212. 松永正男

    説明員(松永正男君) これは個々にはいたしておりませんので……。
  213. 二宮文造

    二宮文造君 それでは手ぬるいです。
  214. 松永正男

    説明員(松永正男君) 何円から何円というような整理をいたしておりませんので……。
  215. 二宮文造

    二宮文造君 要りません。
  216. 松永正男

    説明員(松永正男君) 四百二十万円から七百八十万円までのものが九十六戸と四十八戸と二十四戸とございます。
  217. 二宮文造

    二宮文造君 ちょっと待ってください。非常にお持ちの資料がばく然としておりますから、それは後日ですね、きちっとしたもので御報告をいただきたい。私のお伺いしているのは、四百二十万円のものが何戸、五百万円のものが何戸七百八十万円のものが何戸と、こういうわけであります。局長さんのような答弁ですと、四百二十万円のもの、幾つもあるように聞こえます。あるのは二つか三つです。これは日陰になるところで、どのマンションにもそういうところはできるわけです。それをいかにも安いものがあるような表現をされると、聞く人が錯覚を起こしますので、正確な資料で御報告をいただきたい。  それから入居者。
  218. 松永正男

    説明員(松永正男君) 入居者につきましては、十一月の二日からたしか発売をしたと記憶をいたしておりますが、これにつきましてただいま入居申請をしてまいっておるのでありますが、非常に申請者が多いようでございます。で、この分譲住宅につきましては勤労者向けの分譲住宅ということで、先ほど来御質問がありましたこの湯島の土地の利用につきまして、センターの理事長の今井一男氏から私どもの手元に、そのための適切な価格にしたいということと、それから労働四団体の協力を得て、勤労者にできるだけ入るように、それから社宅事業等を営む企業に働きかけて、そのような勤労者に回るようなやり方をしたいという主要な点、三点でございますが、私どものところに申し入れてございまして、センターとしましてはそういう趣旨で努力をしたというふうに見られるのでございますが、ただいままでの入居の申し込みの方々の具体的な氏名はわかりませんが、その種類分けと申しますか、で見ますというと、給与所得者が大体四二%程度、それから自営業の方が四〇%程度、自由業の方が七%程度といったような大きな種類分けでございますが、このような方々が入居の申し込みをしておられるというような状況でございます。
  219. 二宮文造

    二宮文造君 肝心の労働四団体の関係の方は、何人ぐらい入居希望者がありましょうか。
  220. 松永正男

    説明員(松永正男君) 四団体別に何人というのはまだつかまえておりません。
  221. 二宮文造

    二宮文造君 何か話によりますと、売り出して五日くらいで全部入居者が満室になったそうでございますが、局長さん、そのようにお伺いになっておりますか。
  222. 松永正男

    説明員(松永正男君) 大体そのように、非常に早くきまったというようなことを承っておりますが、そこで労働四団体からセンターに理事が出ておりますので、そこでどういうふうな入居——もし売れないというような場合どうしたらいいかというような相談を何回もされたようでありまして、四団体に入居の推進についての協力委員をお願いをいたしまして、センターから、売り出しをきめました十一月の二日の日付で、四団体傘下の各単産の責任者の方々に、できるだけ勧誘をして入ってもらうようにしてほしいという依頼状を出しております。ところが、実際には非常に申し込み者が早く殺到をしてきたというような事情がございまして、この売り出しをいたしましたときに、非常に早くきまったというふうに伺っております。
  223. 二宮文造

    二宮文造君 私は、その四団体の方、まあ堀井議長の新聞の話によりますと、ぼくなんかとても買えない、こういうような話が出ておりますが、まあ手の届かない金額のものが相当あったんじゃないかと思うわけです。しかし、安いところで手の届くところは、なるべくせっかくの自分たちでつくろうとするセンターという趣旨にのっとって、まあ四団体関係の方には精力的に勧誘をするという措置があってよろしかろうと思うのですが、非常に私疑問に思いますのは、新聞にはその一面全面を使いまして、日本経済新聞には十一月二日付の朝刊あるいは朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、日本経済に至っては二回、全面広告をしております。何か調べてみますと、朝日新聞なんかでは全面広告をしますと、一回六百万円くらいかかるそうです。朝、毎、読三社で二千万円、日経が三百万円くらいとしましても二千五百万円、新聞広告だけで二千五百万円もかける、これじゃ一体どういうものができるのだろうかという心配。新聞にはそのように手早く広告しておきながら、関係四団体にお願いをした、局長さんがおっしゃるこのお願いの日付を見てごらんなさい、十一月の四日ですよ。新聞で売り出したのは二日です。四日の日付で印刷をして、それから発送をして、関係四団体のところからそれぞれ所属の組合員に通達をするのに、どうしても一週間や十日かかります。そうしますと通知はしておりますけれども、関係四団体の方は全然知らないまま、このマンションは売却されてしまったわけであります。事志と変わってしまった。こういうようなやり方がはたして公益法人——しかも規模は小さくなりました、小さくなった。その福祉センターに設置されるものは何でしょうか、ボーリング場であります。私、ボーリングをやったことがありませんのでわかりませんが、相当にお金がかかるそうであります。ならば、この公益法人でつくられていく施設が、一体、四団体の関係者の何人がそれを受益されるだろうか。こういうところにも目をつけて、ひとつ先ほどの経理関係、それから運用の問題、今後の運営の問題について、もう少し目を開いていただきたいと思うわけであります。したがって、入居者とそれから先ほどの戸数と価格の問題、それから経理の内容については、後日、的確に書類をもって御報告をいただきたいし、またその説明を委員会でいただきたいと思うわけであります。その点保留をしておきます。  それから次に、宮内庁長官を中心にお伺いしたいわけでありますが、三十九年十一月二十五日、第五十六回国有財産関東地方審議会におきまして、京浜急行と高輪御用邸の交換が議決されて承認されております。その第六諮問の中に、狼煙崎が御用邸候補地としてあげておりましたのが、実際にははずれてまいりました。これはどういうわけでございましょうか、宮内庁側の御意向をお伺いしたい。
  224. 宇佐美毅

    説明員(宇佐美毅君) この審議会のときに大蔵省とお話がありまして、交換の中に狼煙崎の御用邸をいまのお話のとおり入れたいということでございました。私どもといたしましても、いろいろ御相談いたしたわけであります。もっともずっと前に、三十六年ごろに、当時、東京急行の所有地でございました狼煙崎、その狼煙崎をこちらの職員が視察に行った事実がございます。これはかねて御用邸が沼津といい、葉山といい海の汚染でございますとか、非常に人が多うございまして、御利用にも非常にぐあいが悪いとか、いろいろ事情がございまして、何か将来、新しい御用邸がほしいということで、ずいぶん前から東京から近いところ、まあ大きな目的といたしましては、海浜であって、あたたかくて、できれば温泉が引けるところというような趣旨で各地を見てまいりまして、その一つとして見たことがございます。そうしてこれがそういうことになりまして御相談がございましたが、われわれとしては、もう二年くらい前からこの国会の委員会においても、それからいま御質問二宮議員からも御質問があり、そのとき瓜生宮内庁次長からもお答えしておると思いますが、いろいろ大蔵省の御指導もありまして、われわれとしては、すぐそこに御用邸を建てるかどうかは別といたしましても、将来御用邸の候補地の一つとして、大蔵省が保留されるということについては了承いたしますということだったわけでございます。その後われわれといたしましては、本年、予算で御審議いただきました須崎地方の旧三井別邸を中心とする地域につきまして、かねてあの地方では一番適地であると考えておりましたのが売りに出ましたので、大蔵省とも御相談いたしまして、そうして京浜急行のほうとも大蔵省がお話しくだすって、狼煙崎を交換のほうからはずしてこちらを買収することに予算案を提案して御審議をいただいて議決になったような次第でございます。
  225. 二宮文造

    二宮文造君 そうしますと、大蔵省はそういう関東審議会に提案をしますのに、まだそれがどうなるかわからない、だけれども、取っておこうというふうな考えで交換の案の中に入れたわけですか。
  226. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) さようでございます。ただいま宮内庁長官からお話がございましたような事情で、ここが一番いいというわけじゃございません。三井別邸を中心といたしました須崎地区のほうがベターではあるけれども、中心である三井別邸の入手が当時としましてはなかなか見込みがつきませんでしたので、とりあえず、ただいまお話がありましたような事情で、新しい御用邸の適地をおさがしになっておりました候補地の一つとして狼煙崎を交換の対象にあげたという事情でございます。
  227. 二宮文造

    二宮文造君 そうしますと、その候補地の一つとして交換にあげた。じゃ、地元の下田町に対しましては、狼煙崎を御用邸にするので何らかのあっせんをしてもらいたいというふうな要請の文書はお出しになりましたか、なりませんか。
  228. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) そういうような要請は申していない事情でございます。
  229. 二宮文造

    二宮文造君 下田町におきましては、昭和四十年の七月三十日、三十一日の二日間、いわゆる暁の町会というのを開かれております。これは何を中心にしたかといいますと、狼煙崎が御用邸になる、大蔵省からもそういう通知がある、したがって、そこはもう大半が京浜急行が土地を買い占めた。その中にある道路敷、御用邸になるのに道路敷も京浜急行が持ってないのでは国との交渉もできないし、大蔵省からも話があって、これを無償譲渡してもらい、寄付金は出すけれども無償譲渡してもらいたいという町長の提案であります。それをめぐりまして、二日間深夜にわたって議決をしております。じゃ下田町は大蔵省から何の連絡もないのに、町長はそういう提案をしたのでしょうか。
  230. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) 法的には、私どもで、ただいま申しましたように、何らの御要請は申し上げておりませんが、何か町長さんのほうから、候補地としてあがっておるかという御質問があって、候補地の一つとしてあがっておる、ただ現在のところではそうだが、一応まだ未確定のものとしての候補地なので、どうなるかわからぬという意味の御返答を申し上げたことがあるように聞いております。
  231. 二宮文造

    二宮文造君 そういうことをおっしゃっちゃいけません。下田町長あてに、国有財産局から、この五十七回の審議会の議事録を要約をしまして、マル秘として打って、これに表書きをつけて、町長あてに出しているじゃありませんか。それがなければ、なぜ町長はその道路敷を無償譲渡する議案を提案できますか。公式の文書がないのに、議案の提出はできないでしょう。それじゃまるで議案の提出のしかたが間違いじゃありませんか。出ていますよ、国有財産局からの発送文書をごらんなさい。
  232. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) 出したという話を聞いておりません。
  233. 二宮文造

    二宮文造君 では、これをお貸ししますから、筆跡から何からをよく調べてください。お貸しします。重大なことです。なぜかといいますと、大蔵省が下田町にそういうふうに協力をさせておきながら、須崎地区に変えることについて何らの話もしていない。町民のほうはだまされた、こう言って憤慨しております。  さて、宮内庁長官に伺いますけれども、長官は現地をごらんになりましたか。
  234. 宇佐美毅

    説明員(宇佐美毅君) 現地ということにつきましては、もちろん現在において見ております。見ておりますが、この審議に至る道程におきましては、昔、二度ぐらい旅行して見てはおりますけれども、その目的では行っておりません。
  235. 二宮文造

    二宮文造君 この購入をされる時点でいつごらんになりましたか。御用邸にする、あるいはそういう話になってからいつごらんになりましたか。
  236. 宇佐美毅

    説明員(宇佐美毅君) いまちょっと調べます。
  237. 二宮文造

    二宮文造君 私は二十七日、非常に風の強い日でありました。私、戦前なら問題だと思うのです。事、天皇がお住まいになるのですよ。その御用邸購入の実地検査の日にちを長官がお忘れになるというのじゃ問題だと思う。いや、よろしいです。
  238. 宇佐美毅

    説明員(宇佐美毅君) ちょっと失礼いたしました。いまちょっと……。
  239. 二宮文造

    二宮文造君 じゃ、三井の入り口のところからずうっと海洋研究所までお歩きになりましたか。
  240. 宇佐美毅

    説明員(宇佐美毅君) 全部歩きました。
  241. 二宮文造

    二宮文造君 狼煙崎のほうはお歩きになりましたか。
  242. 宇佐美毅

    説明員(宇佐美毅君) 歩いておりません。
  243. 二宮文造

    二宮文造君 狼煙崎と須崎と比べて見て、須崎がいい理由をあげていただきたい。
  244. 宇佐美毅

    説明員(宇佐美毅君) 要するに御用邸の選定のどういう点で選ぶかということに関係してまいりますが、先ほど申し上げましたように、温暖の地であって海に出られるということ。それから近いということ。それから温泉が引けるというふうなことについて大きな目標といたしております。その点につきまして狼煙崎はそばへ行ってみておりますけれども、中をずっと歩いたわけで、もちろんございませんけれども、非常に周辺が断崖絶壁で、おそらく海面から百メートル以上、百十メートルぐらいあるのじゃないかというふうに思います。片方はそうでなくて、高いところで約五十メートルをちょっと出た程度でございます。そういうようなことで、地形的にもむしろ穏やかであって、それからまあ両陛下の、ことに陛下の御研究からいいますと、相模湾に面したほうがほしいということ、これはずっとさがしてまいりました道程でも、熱海辺から伊東からずっと下がって、実は過去においてさがしておったわけでございます。そういうような点、それから、その御研究のほうから申しますと、いそがあるということ。しかも、いま葉山が非常に困るということは、海がよごれたほかに、もう六月ぐらいからたいへんな人で、外になかなかお出にくいというようなことがございますから、そういうような点から、狭くともあまり混雑しないようなところをさがしたいというような、いろんないままでの経験から考えまして、狼煙崎ではちょっとそれが目的が達成できない。まあ、風の点は、両方とも科学的に測候所で、それぞれのその地点において調べたものはございませんけれども、地元の人の長年の経験、それから聞きましても、あれは関東に台風があれば伊豆半島というのは通り道でございますから、ある程度あるとは思いますけれども、そういう点から申しましても比較的いいのじゃないかというようなことから、どうしても須崎のほうがよろしいという結論になっております。
  245. 二宮文造

    二宮文造君 長官はお歩きにならないで、お聞きになっただけで断崖絶壁だとかなんだとかと言われ、現地の事情は御承知ないと言わざるを得ない。長官はおそらく車でずっとお回りになったのだろうと思います。私は歩きました。須崎のあの三井邸の門のところからずっと歩きました。たいへんな傾斜であります。そうして、また山はだがこういうふうに入り組んでおります。狼煙崎のほうは、がけではありますけれども、ずっとなだらかな——入り組んだがけ地にはなっておりません。また百メートルと五十メートルの違いであります。しかし、その須崎のほうはなるほど相模灘に向いております、外海に直接しております。したがって、その付近の稲取という農業試験場で風力の検査をしましたところが、十五メートル以上の風が過去において十五回も吹いております。五月から十月の季節にはならいと言いまして、付近では有名な風であります。地形は山はだが入り組んでいる。何というのですか、谷間になっている。そうして雑木林。それから三井海洋研究所前の砂浜は、ほんとうにネコの額のような砂浜であります。ただそれだけです、砂浜は、あとございません。財産区のほうにもありません。全部がけ地で、また陛下の研究に非常に適切であるというあれでありますが、狼煙崎のほうには、教育大学の研究室、そこは天皇も再三お出ましになって、そこで研究をされた。そこにいらっしゃる先生は非常に何か過去にお話し合いをされたような方であった。その入り江は油壷と称しまして、付近でも有名ななだらかなところであります。また、須崎は下田から四キロ離れております。狼煙崎は一キロであります。須崎のほうには道路は町道しかございません。舗装もされておりません。ところが狼煙崎はすぐそばまで国道であります。今後のことを考えてみますと、どの条件を比べてみても、須崎を選ばなきゃならぬという理由が、現地に参りました私には出てまいりませんでした。なぜこういう土地を選ばれたんだろう、私は、疑問で疑問でしかたがない。そこで、もう一つそういう点を研究をしていただく。  また、そこで用地の購入の問題をお伺いしたいわけでありますが、須崎がそれほどよかったら、なぜ三井邸と直接交渉されないのですか。これは問題であります。
  246. 宇佐美毅

    説明員(宇佐美毅君) 三井邸のほうは、三十六年から、三十八年と、いろいろ、あちらを歩きましたときに、関係官が見ております。が、三井のほうでは、これをお売りになるということではなくて、たとえばわれわれの職員が参りましたときに管理人がわれわれに見せたといって、管理人がしかられた事実さえございます。そういうようなことで、お売りになるというていさいは何にもなかったのであります。
  247. 二宮文造

    二宮文造君 それは、だいぶ長官のところへの報告が誤りであろうかと思います。三井邸は、ずっとあそこに住んでおりません。もう建物も、ごらんになってわかるように、幽霊屋敷のような建物になっております。人がいなかったということであります。不用な建物であります、土地であります。したがって、三十六年、三十七年、三十八年に東京急行に対して、再三、売却方を申し入れております。ところが、東急のほうは、それが採算に合わないので買わなかったという事情があったわけであります。——まあ、それもいいでしょう。  じゃ、住友不動産が、昨年の五月の十三日に、三井家から買っております。この住友不動産が三井家から買った金額は、大体幾らぐらいか、御承知でしょうか。
  248. 宇佐美毅

    説明員(宇佐美毅君) 私が聞いております限りでは、二億五千万ぐらいだと思います。
  249. 二宮文造

    二宮文造君 ことし、四十二年六月二十七日、約一年の間に、今度は、宮内庁がその土地をお買いになった金額は幾らでありますか。
  250. 宇佐美毅

    説明員(宇佐美毅君) 三億五千百五十五万九千円でございます。
  251. 二宮文造

    二宮文造君 それは誤りであります。建物を除いております。建物を足せば三億五千九百六十五万六千円になります。約三億六千万円であります。一年前、住友不動産が買ったのは二億五千万円、国が一年たって住友不動産から買ったのが、三億六千万円。こんなに値上がりするもんでしょうか。なぜ住友不動産を通さないで、三井邸と精力的に交渉をしなかったか。向こうは売る意思がある。なぜ住友不動産を入れなければならないか、国民のほうは疑問に思います。長官はそういう気持ちをお持ちになりませんか。
  252. 宇佐美毅

    説明員(宇佐美毅君) 当時、私どもが聞きましたことは、住友は三井から委託を受けまして、これの売買の問題がございまして、それで、宮内庁がかねてあそこに希望があるというようなことをどこからか聞かれたのか、お買いになる意思があるかということで聞いてまいったわけであります。しかし、そのときはもうすでに予算編成の時期ははずれておりましたので、われわれとしてはほしいけれども、三井の所有しておる土地だけでは足りませんので、そういうこともあり、予算的な問題もあるので、一年待ってくれればわれわれ研究したいということから、いろいろ研究を始めたわけであります。
  253. 二宮文造

    二宮文造君 その研究料が一億一千万円ですか、おかしいじゃありませんか。
  254. 宇佐美毅

    説明員(宇佐美毅君) 私どもは、結局、一年間要するに向こうが待ってくれる。もしこちらが予算がつかない場合は——あの土地は非常にまあ将来有望で、住友としても買っておいて損はないということで、買ってくれたわけで、予算がつかなければこれは話はできない、一年以上待てないということでございました。それからいろいろ予算的に検討いたしまして、もちろん一年間にある程度の金利も見なきゃなりませんでしょう。それから何と申しますか、いろいろな経費等の問題もあろうかと思います。それから結局われわれが実際予算で買いますときの評価というものによって適正な価格が出るであろうと、それでもちろんこの評価につきましては、大蔵当局と御相談して適正な鑑定人を選んで鑑定をしてもらいまして、御相談をして協議をしてきめていったわけでございまして、われわれは特別な利益を特に与えたということは毛頭ないと考えております。
  255. 二宮文造

    二宮文造君 もう申し合わせの時間が超過しました。皆さんに御迷惑をかけても何だと思いますので、最後に取りまとめて関係の皆さんに答弁もいただきたいし、また将来の方向として研究もいただきたいという問題を申し上げます。  その一つは、給湯権、温泉を須崎まで引く権利、これが十一口あるということで鑑定人に評価をさせておりますが、実際に売買契約書の中にはその温泉十一口の——これは千四十万もするのです。十一口で千四十万の引き継ぎ書がありません。それから三井別邸一のほうには現在は温泉は入っておりません。外浦という所までは来ておりますが、これは下田の蓮台寺から温泉を引かなければなりません。この費用はどうするのか。また蓮台寺の湯はもう限度に近づいてまいりまして、もし御用邸に十一口引きますと、付近の人のそういう要求には応ぜられない、こういううわさも出てまいっております。非常にその点では付近の人か迷惑——迷惑ということはも悪いでしょうが、困ったものだな、こういうふうな表現をしております。この給湯権の問題は国ははっきりと三井別邸から引き継いだかどうか。引き継いだものなら、その資料を御提出願いたい。  それから先ほども問題にいたしましたけれども、道路もない。こういうくぼ地である。砂浜もない。風も強い。しかも、天皇の御研究には狼煙崎であろうと須崎であろうと、むしろ土地カンの事情を御存じの狼煙崎のほうのなぎさのほうがよろしいのではないか。こういうことを考えて見ますと、須崎を選定された理由が私は根拠薄弱になってくる。天皇がこれからお住いになるところですから、かりにそこにきめたといっても、一番いいところに住んでいただくのが、同じようにつくるのだったら、国民の期待であろうと思うわけであります。ましてやこの購入の第一発が一億一千万も不明朗な上積みがされている。こうなってまいりますと、今後の方針についても私は疑念をはさまざるを得ない。したがって、決算委員会に小委員会でもつくっていただいて、全般の問題を含んで、高輪の御用邸の交換から福祉センターから、この新しい御用邸の造営に至るまでの小委員会をつくって、鋭意検討し、世間のうわさも晴らし、そうしてすっきりとした姿勢で、新らしい御用邸にお住まいいただく、こうすべきではないか。これは長官に申し上げることではありません。同僚の委員に聞いていただきたいことであります。私どものほうは、そういうふうに委員長にもお願いをしたいという希望を申し述べておきます。  それから私どもの提案に対しての長官の御意向、それからこういう上積みをするような買い方についての理財局の考え方、それから法務省の刑事局長がずっと御清聴お願いしたわけでありますが、国有財産をめぐって権利にならざる権利を主張して、七億も十億もの金が裏金で動いていく。しかも、またそれが政治献金にも流れたのではないか、あるいは公益法人である財団法人の経理が非常に不明朗である。こういう一連のこと、さらには所有権の移転登記を省略をしたり、あるいは財産の評価についてあいまいなやり方をしたり、国民が納得のできない問題がたくさんございます。刑事事件に発展するような問題の幾多要素を含んでおります。したがって、こういう私の提案に対しまして、法務省当局としての御見解を伺いたい。  それからまた労働省に対しましては、先ほどからたびたびお願いしておきましたように、この指導監督を厳重にやっていただきたい。  また国税庁に対しましては、問題が三十八年であります。五年たちますと、税法上時効になってしまいます。個人の所得については、来年の三月十五日が極限であります。法人につきましても、決算が三月三十一日でありますからもうあと三カ月か、四カ月しかございません。したがって、課税をしながら行くえ不明になっている一億数千万円の滞納者、これに対しては告発をし、そうして身柄を逮捕してでも徴収をする。こういう強硬な手段をとっていただきたいし、東久邇あるいは労働福祉センターの課税の問題については時を失しないように、なれ合いにしないように、時効になるのがもう四カ月しかないんですから、しっかりやるという誓約をしていただきたい。かりに長官がここで交替をしましても、国税庁の面目にかけてこの問題については時効にならないように取り扱うと、この議場で明言していただきたい。  以上のことをそれぞれ御答弁いただいて終わりにしたいと思います。
  256. 並木四郎

    説明員(並木四郎君) ただいま温泉のことで御質問がございましたが、当初やはり十一口というものが検討されたのでございますけれども、先生のおっしゃいましたようにやはりお湯に余裕がない。地元でやはりお湯がほしいという御要望がありましたので、当初十一口は予定しておりましたけれども、この三口は割愛いたしまして、御用邸としてはできるだけ節約するということで、十一のうち二口は割愛して九口だけを御用邸に引湯するということにいたしました関係で、三井から九口だけを買い取っているわけでございます。
  257. 二宮文造

    二宮文造君 引き継ぎ書はありますか。温泉会社は出しておりませんよ、そういう書類は。
  258. 並木四郎

    説明員(並木四郎君) 契約書はございます。
  259. 二宮文造

    二宮文造君 温泉会社とありますか。
  260. 並木四郎

    説明員(並木四郎君) あるそうでございます。
  261. 二宮文造

    二宮文造君 では出してください。
  262. 並木四郎

    説明員(並木四郎君) それから布設の問題ですが、外浦から御用邸に引湯するのは、こちらの建築予算でとりまして、そうして引湯する計画でございます。  それから先ほど問題になりました三井の売り値と宮内庁の買い値が非常に差があるではないかという御質問がございましたが、当初宮内庁は、住友の買いました三井の所有地を全部買い取ったわけではございません。飛び地がございまして、四万四千平方メートルの飛び地がございまして、これは大蔵省でも将来御用邸として使う必要はないんじゃないかということで、住友不動産が三井から買った土地のうち飛び地である四万四千、平方メートルというものは宮内庁で買っておりません。
  263. 二宮文造

    二宮文造君 なおおかしくなる。
  264. 並木四郎

    説明員(並木四郎君) それから三井さんの持っておるその土地の周辺で民有地を約八千坪、これを住友が買いまして買い足しております。その金額は約六千六百万円でございます。それから飛び地の値段は、これは私のほうの推定で——四万四千平米は私のほうで買っておりませんが、——これは私のほうの推定でございますが、二千八百万円ほどするのじゃないかと思います。そうしますと、宮内庁で、民有地六千六百万円と二億五千万円を足しますと三億一千六百万円になります。三井さんの別邸がありますところとその周辺の民有地でございますね。これは六千六百万円、これを足しますと三億一千六百万円になりますが、それから私のほうで買わなかった二千八百万円を引きますと、それから大体その金利というものが、これは常識で一割あるということを考えますと、差し引き住友不動産が得たであろう利益は一割内外であるというふうに私らは推定しているわけでございます。それが決して不当なものであるとは私ども考えておりません。
  265. 二宮文造

    二宮文造君 それではあなた、そういうふうにおっしゃると、私は言いますが、坪単価は平均幾らで買いました、住友から、四千百円でしょう。単価だけ言ってくれればいい、平均単価四千百円ですか、五千三百円ですか。
  266. 並木四郎

    説明員(並木四郎君) 住友から買いましたもちろん民有地も入っております。民有地約八千坪も入っておりますが、飛び地ははずしております。四万四千平米、坪当たり単価五千五百二十円でございます。
  267. 二宮文造

    二宮文造君 五千五百二十円のうち四万平米は住友からはずしているのですよ、いいですか。四万平米、四万平米ということは一万坪以上でしょう。一万坪以上に五千五百円の平均単価かけてごらんなさい。二千八百万円なんという数字は出ないじゃありませんか。そういうごまかしの答弁をするから、先ほどの理財局長みたいに残念に思いますと言わなきゃならないのですよ、答弁で。買うときには平均単価をかけた、はずしたときには安く見積って、そんなことはございません、一割内外です、こういう言い方をしちゃいけません。住友が民有地を買い足したのと、国が買い残したのといりっこになってパーになるのですよ。そういう計算です。ですから、そういうことは小委員会をつくって、大事な天皇がお住まいになる御用邸ですから、いいもの、そしてほんとうに天皇の老後が安らかに御研究もできて、そういうりっぱなものを国もわれわれ国会もあるいは国民も総力をあげてつくろうじゃありませんか、こう私は申し上げているわけです。それに第一発の購入のときに、こういう疑点が出るのでははなはだ問題になるから姿勢を正していただきたい。こういう私の要望であります。口裏をひっくり返すような答弁は必要ないわけであります、将来にわたっての私の気持ちを申し上げているわけですから。
  268. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 二宮さんに申し上げます。これは資料として出していただくことにしまして、だいぶ時間が超過しているものですから、先ほどそれぞれ質問をしておりますから、御答弁願います。順序ですが、石原刑事課長から順次御答弁願います。
  269. 石原一彦

    説明員(石原一彦君) 先ほど来いろいろな点が御指摘になりまして、ただいま私の立場におきまして、直ちに犯罪が成立するあるいは犯罪が成立しないと申し上げることは適当でないかと存じます。しかしながら、犯罪の捜査につきましては、検察庁のみならず警察も捜査権を持っているのでございまして、犯罪があればもちろん調査をいたすであろう、かように考えております。  なお小委員会の設置についての御意見でございますが、これまた私の立場でとやかく言うことよ……。
  270. 二宮文造

    二宮文造君 それは要らない。
  271. 石原一彦

    説明員(石原一彦君) 控えさせていただきます。
  272. 亀徳正之

    説明員(亀徳正之君) ただいまいろいろ仰せになりました課税問題については、当然のことではございますが、適正に処理いたします。
  273. 松永正男

    説明員(松永正男君) 二点申し上げます。  一つは、先ほどの調査の模様を御要求でございます。たいへんむずかしい調査も入っておるようでございますが、私どもとしてできるだけの努力をいたしまして、できるだけ御要望に沿いたいと考えております。  それから第二点の今後の指導監督でございますが、センターに対する指導監督につきまして厳正にするということはもちろんでございますが、同時に私といたしましては労働四団体の責任者ともよく話し合いをいたしまして、このセンターの運営が適正にいくようにいたしたいと考えております。
  274. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) まず三井別邸の評価について若干誤解があるようですから、私から、たいへん僣越でございますけれども、申し上げさせていただきたいと思います。安く買ったものを国が高く買ったというお話でございましたが、三井さんから住友不動産が買いましたときには、これは公簿面積で買ったようでございますが、実際には実測いたしましたところが、一割二分ばかりの目減りをいたしております。減少をしておりますが、それをそのまま私ども買っておりません。
  275. 二宮文造

    二宮文造君 あなたと関係ないじゃないですか、総理府の関係ですから。
  276. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) 協議を受けている関係で誤解を解かしていただきたい。——簡単に申し上げます。  それから、国が買いましたものは、さっきお話がありましたように、三井の平均の土地よりも劣っておるものは除外をいたしました上に、三井から住友不動産が、民間から買った三井の土地よりも四割ぐらい品位の高い土地を買っておりますので、そういう関係で単価は若干違ってまいる、私はそういう点からいいまして、適正な買収価格であったと考えております。  それからさっきの姿勢の問題でございますが、四十年の十月に国有財産中央審議会で交換につきましても一般の随契等の売り払いと同様に厳正にやるようにという答申がございました。それを受けまして、私どもといたしましては四十一年の五月以降その趣旨に沿いました通達を財務局に流しまして、現在もその方針に従って厳正にやっております。その間におきまして、中央労働センターの払い下げの問題が起こったわけでございますが、やはりこれは厳正な統一通達ができてからこれを適用すべきものであると考えまして、従来もう答申の出る前から交渉の過程に上っておったものにつきましては、念書を一応とるということで、契約にはかけませんでしたけれども、先ほど御指摘がありましたように、厳正な通達のもとに、今後もやっていきたいというふうに考えております。
  277. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 二宮君に申し上げます。小委員会の件につきましては理事会でひとつ……。  それでは速記をとめてください。   〔速記中止〕
  278. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 速記を始めてください。
  279. 渡辺武

    渡辺武君 前回のこの決算委員会で、私は福岡県の職場適応訓練が失業者の正当な要求と国の法律を無視して行なわれていること、それからこの不法不当な職業安定所の行政が、適職がなくて当然失業対策事業に吸収すべき失業者を失業対策事業から排除するための攻め道具として行なわれているということ、このために多くの予算を使いながら、福岡県の深刻な失業問題を解決できないでいることなどの実情について述べました。上原失業対策部長は、実情を調べて改善につとめる旨の答弁をされておったわけですが、その後、実情を調べられたかどうか、またどのような改善の措置を講じられたかどうか、この点について御答弁を願いたいと思います。時間を節約する意味で、実情については私がこの前申し上げた塩田産業、太郎丸身体障害者訓練所、それから橋本組、福智建設、田川の編みもの事業所など、これが職場適応訓練の委託を受ける事業所としての条件を完備していたかどうかという点について、それからまた調査の上で、なおそのほかにそういう問題のある事業所があったかどうか、この点について、実情について、限定してお答えいただきたいと思います。
  280. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) 私、最近職業安定局長にかわりましたので、あるいは答弁につきまして十分でないかとも思いますが、ただいま先生の御指摘のございました福岡県における職場適応訓練の実施状況につきましては、四十一年度に五百三十四事業所、七百六十三人、四十二年度におきましては、五百四十七事業所、九百九十七人に対しまして、職場適応訓練を実施したのでございますが、前回も御指摘があり、ただいまも御指摘がございました例につきまして、簡単に申し上げますと……。
  281. 渡辺武

    渡辺武君 いや、ですから条件を完全に備えていたかどうかということですね、その辺だけでいいですよ。あと詳しいことは、この委員会の終わったあとでけっこうです。
  282. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) これは先生御承知のように、それぞれ条件が違うわけでございます。たとえば塩田産業におきましては、身体障害者の雇用促進の観点から、職場適応訓練を委託した、こういう事情がございます。ところが事業経営の失敗から、賃金の未払いが発生したというケースでございます。で、この点については、賃金の不払いその他非常にこれは重要な問題でございますので、訓練中であった者のにつきましては、指示の変更をいたした、また訓練終了後雇用されていた者については再申請を行なわせ、早期の再就職のための必要な措置をとらせたというように、必要な変更措置をとらした、こういうことでございます。  それから穂波町のガラスボール工場におきましては、二十名について職場適応訓練を実施して、訓練終了者十一名の全員が雇用されましたが、その後転職など本人の都合で離職したため、現在二名が在職しておる、こういう事情を聞いております。また橋本組につきましては、ピンはね、その他の問題の御指摘もあったようでございますが、昭和四十三年七月一日付で、元請である青木興業に吸収合併するという措置をとられましたので、現在は問題はないということでございます。また福智建設の職場適応訓練につきましては、ボタ山におけるボタの選別、積み込みの作業で非常に危険なものがあるんじゃないかという点が問題でございましたが、主として平地で行なわれているものが多い。特に危険な場所で行なわしむるというものはほとんどないというような報告を受けておるわけでございます。  また、田川職業安定所管内における毛糸編みものの職場適応訓練につきましては、これは先生も御承知かと存じますが、同和出身者の就職を促進するため、さらに同和関係者の強い要望がございましたので、実施したものでございます。この地区におきましては、零細企業も多く、いろいろ問題がございますが、いま申しましたような特殊の事情もございまして、技能習得としての観点を重視して、編みものの教習所などを含む事業所に職場適応訓練の委託を行なったわけでございます。  以上、簡単に申し上げました例でもわかりますように、それぞれの事情と条件が違いますので、個別具体的に処理せざるを得ないわけでございますが、必ずしも運用上適切でないと思われるものにつきましては、以上申しましたような点につきまして、是正措置を行なっておるわけでございます。  なお、御承知のように、福岡県におきましては、いわば炭鉱離職者等を含めまして、いろいろ就職には困難な事情もございますが、私どもといたしましては、そのような方々ができるだけ正常な雇用関係に入ることを念願いたしまして、職場適応訓練を実施しておる次第でございますので、その運営につきまして必ずしも本意でないというふうなものにつきましては、必要な是正措置を講じまして、本来の趣旨が達成されますように、できるだけ今後努力いたしてまいりたいと思っておる次第でございます。
  283. 渡辺武

    渡辺武君 いま是正措置と言われましたけれども、私が、この前質問してから一カ月たちました。どういう処置をとられましたか。
  284. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) 先ほど申しましたように、休業状態になったというものにつきましては、種々の変更をしたり、あるいは再申請を行なわせたり、あるいはその下請で、作業形態とか請負い関係が明確じゃないんじゃないかというようなものにつきましては、元請との吸収合併措置をとらせるとか、あるいはそういったそれぞれの状況に応じまして、指導いたしておるような次第でございます。
  285. 渡辺武

    渡辺武君 それは、私がこの前質問したときにすでにそういうことになっていたことなんですよ。だから私質問した以後の措置はどうなんですか。
  286. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) 以上申しましたように、それぞれの条件が必ずしも同一ではございませんので、今後の指導としましては、個別具体的になさざるを得ません。しかしながら、事柄の重要性にかんがみまして、その本来の趣旨が十分達成されることが必要でございますので、先生の御指摘の点も私ども十分かみしめまして、適切な措置をとりたいという観点から、職場適応訓練の実施につきまして、特に実施上必要と思われる点につきまして、内簡で指導をいたすように、その後処置をいたしております。
  287. 渡辺武

    渡辺武君 詳しい内容についてはいずれ伺いたいと思いますが、ほかの点は幾つか申し上げたいこともありますが、やめておきまして、特にこの前私は福岡県、特に炭鉱地帯ですね。あの辺での地場賃金が非常に低くて、その低い地場賃金を基準にして職場適応訓練を終わった人たちが就職せよということを職業安定所から言われて、そのために、そういう安いところに気が進まないものですから、気が進まないということを言うと、それを理由におまえは「誠実かつ熱心」な求職者じゃないんだということを言われて、中高年の措置の認定を取り消されるという事態が頻発しているわけですね。ですからその点について、やはりあまり極端な、日給にして四百円か五百円、とうてい一人の人間が生きていくことのできないような賃金で就職しろと、客観点にそれを強制されているわけですから、そういう事態についてはやはり特別に配慮しなければならぬのじゃないかということを申し上げましたが、その点についてはどうですか。
  288. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) これはなかなかむずかしい問題でございますが、それぞれの地域の事情がございまして、その地域の労働市場の状況その他からいたしまして、一般に正常な雇用にありましても賃金が低いという場合があるわけでございます。そこで、失業しておられる方に職場適応訓練を受けるとか、いろいろ特別な措置を講じられるわけでありますが、より高い賃金を支払われる雇用の機会を求めるということになりますと、その地域で、賃金は低いがその地域で働くか、しからずんば、非常に高い賃金が支払われるような地域に移動するか、基本的にはそのような筋道しか考えられないんじゃないかと思うわけであります。そこで、その賃金は低いがその地域は動きたくない、こう申されました場合に一体どうするのか、そこに失対事業がある。ところが失対事業のほうが一般の正常雇用の場合よりも賃金が高い、そこに入りたい、こういったことになりました場合に、一体職業紹介なり、就職の問題をどう考えたらいいか、これは私はそういった条件をやはり冷静に判断いたしまして処理せざるを得ないんですが、その場合に、地場賃金が低いから上げろと申しましても、これは営業の自由で経営されているところのものでありますから、その低い賃金を上げろと申しましても、私企業にかれこれ申すわけにいかぬのであります。高い賃金を求めて、それじゃ他の地域に転出いたしまして就職するかどうか、こういう問題も出てくるわけであります。そういった点は、私どもは総合的に判断をして考えなければならないと思いますが、ただ、職業紹介機関が職業紹介を行ないます場合の一つの基本的態度といたしましては、やはり紹介する地域の賃金というものを基準におきまして判断するわけでありますから、少なくともその地域で就職をなさる以上は、その地域において支払われている賃金と見合いで考えまして、そう不当なものでないという場合には、ある程度やむを得ないんじゃないかというふうに考えているわけでございます。
  289. 渡辺武

    渡辺武君 職業安定所が地域の業者に対して賃金を上げろと言うことはできないということを言われましたが、それと同じような論理は、労働者に対して、おまえ安い賃金のところへかまわぬから行けということもできないわけです。  それから、いまおっしゃったことは、これはきょう私主要な質問の事項でないので、いずれあらためてもう一回質問したいと思いますが、いずれにしても、賃金の問題が非常に重要になってきて、職業安定所の行政あるいはまた失業対策事業がうまくいくかどうかということの一つの重要なきめ手になっているというふうに、私は思います。そこで、失業対策事業に働く労働者の賃金の計算をどういうふうにして具体的にやるのか、その計算方法及びその計算内容についての資料を提出していただきたいと思うんです。  それからもう一つは、これは職業安定局長の通達、職発第七七五号ですか、あれにいわれております「誠実かつ熱心」な求職者であるかどうかということを判定する基準として賃金の問題がやはり出ていますね。地場賃金の八割以下は断れるけれども、以上ならば断れないのだというようなその計算基準ですね。どういうような計算を具体的にやるのかです。その計算方法、計算基準、その内容ですね。これを福岡県と田川市について資料を提出していただきたいと思います。
  290. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) 賃金の問題ですが、一口に賃金の問題といわれますが、きめ方の問題、額の問題その他最終的にどのような形できめられるかという問題があるわけでございます。失業対策事業で働く労働者の賃金につきましては、御承知のように同一の地域において同一の作業に従事する労働者の賃金を勘案して定めるわけでありまして、これは法律で定められておるところであります。で、問題は資料のとり方であるわけでありますが、まあ全国的な資料といたしましては、これまで先生御承知のように屋外の労働者の職種別賃金調査というのがございまして、毎年やっております。これがいま申しました法律の趣旨から見ても最も近い資料と思いますので、それを重視いたしまして考えるわけであります。
  291. 渡辺武

    渡辺武君 そういう一般的なことは私知っていますから、資料を提出してくださいということで、委員長、これは重要な問題でございますので、資料要求をひとつお願いしたいと思います。
  292. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) それじゃ基準局長、ただいま渡辺さんの要求された資料を提出されるようにひとっこちらから、要望いたしますがいかがですか。
  293. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) ちょっと私答弁させていただきたいんですが、その失対の賃金の順序段階がございまして、実は予算を折衝する場合の予算単価としての労力費と、それから地域で個別にきめます場合の賃金です。そこでこの問題につきましては非常にむずかしい要素がございますので、労働省に失対事業の賃金審議会というのを設けまして、専門家による判断を仰いでおるんであります。したがいまして、そういった資料の点につきましても審議会においていろいろ検討なさるわけでございますから、これは今後の検討にまつわけでありますから、そういった点について、それぞれの専門家が専門的立場から資料をお使いになりまして検討されるわけでございますので、いま直ちに労働省がその審議会の御意見を全然聞かずに出すかいなかという点について答えますについては、よく審議会のほうと連絡をとらせていただきたいと思います。そして先ほど申し上げましたように、予算要求をする場合の労力費の基礎となるもの、これは御承知のように純粋理論的にきまるんじゃなくして、大蔵省と折衝いたしましてやりとりの結果きまるものであります。それがきまりましてから今度は各地域における標準的な金額をきめ、そして種目ごとにあるいは作業ごとにブレークダウンいたしましてきめていく。こういう手順になるわけでございまして、一口に資料と申されましてもまあいろいろな段階がございますので、そういう点、私どもよく検討をいたしたいと存じます。
  294. 渡辺武

    渡辺武君 公務員の賃金について人事院が答申をいたしますが、その場合に何を基準にしてどういうふうな計算方法でどうきまったかというようなことについてだれもがわかるように発表していますね。あるいは米価審議会だって米価の算定について出しているわけです。ところが失業対策事業の労働者の賃金については、そういう発表が一回もいままであったことがないんですこれじゃ予算の審議も、決算の審議もこの問題についてはできないということになりますので、四十二年度のこの失業対策事業に働く労働者の賃金をどういうふうに具体的にきめたのか、その算定のやり方と内容とこの資料をひとつ提出していただきたい。
  295. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) 先生御承知のように、賃金と申します場合には……。
  296. 渡辺武

    渡辺武君 きょうは時間がないので申しわけないのだが資料を提出してくれと申し上げているのです。
  297. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) ちょっと委員長から申し上げますが、予算を要求するときの積算の基礎があるでしょう、それをもとにして大蔵省と折衝するのでしょう。先ほどの答弁ですと、大蔵省と折衝してきまると言われるが、その前に労働省として要求する基礎があるわけですね、それを渡辺さん要求しているのだから、その積算の基礎ですよ、労働省の。それを資料として出していただきたいという御要求です。時間が、質問の時間に食い込みますから、もっとほかに重要な質問をするようでありますから、その点簡潔にひとつ資料を出せるか出せないか御答弁願います。
  298. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) 実は来年度予算要求につきましては、屋外職賃の発表がずっとおくれるものですから当初要求は前年度の形にしておきまして、予算の詰めのときに屋外職賃の発表、その他を待ちまして、資料調査してやるわけであります。そこでいま委員長からお話がありましたが……。
  299. 渡辺武

    渡辺武君 四十三年度、今年度は。
  300. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) それは四十三年度の予算要求をいたしました額につきましては至急検討いたしまして御要望に沿うように、なお、審議会とも連絡をとらしていただきたい、かように思います。
  301. 渡辺武

    渡辺武君 それでは、別の質問をさせていただきますが、私は八月八日付で総理大臣あてに文書質問をいたしました。その題は「職安行政に関する質問主意書」というものであります。それに対する佐藤総理の答弁書の中で次のように答えておられるのです。「失業対策事業に就労する労働者が事業主体に対して行なう正当な団体交渉その他の団体行動は、憲法第二十八条の団体交渉その他の団体行動権の行使に該当する。」これが答弁書の中に言われていることなんですが、労働省は佐藤総理大臣とこの点で同じ見解であるかどうか。それからまた政府は全日自労と事業主体との関係は労使関係と見ているかどうか、この点について御答弁願います。
  302. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) 先生の質問主意書に対しまして、政府から答弁書を出しておりますが、いま御指摘のように失対事業に就労する労働者が事業主体に対して行なう正当な団体交渉その他の団体行動は、憲法第二十八条の団体交渉その他の団体行動権の行使に該当する。御指摘のとおりでありまして、これはいま申しましたように団体交渉がなされ得る関係にあるものと想定しての答弁書であるというふうに私どもは見ております。
  303. 渡辺武

    渡辺武君 事業主体と全日自労との間の関係を労使関係と見るかどうか。
  304. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) これは先生御承知のように、当該事業所についての団交権を上部団体が持つか下部組織が持つか、いろいろな問題がありますことは一般の労働組合と同様だろうと思います。
  305. 渡辺武

    渡辺武君 私の質問の趣旨は、いま大臣の答弁書では、失業対策事業に就労する労働者が事業主体に対して行なう正当な団体交渉その他の団体行動はこれは団交権の行使に該当すると言っているが、全日自労と事業主体との関係を労使関係と見ているのですかということです。
  306. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) ただいま申し上げたとおりでありまして、それは一般の労働組合におきましても上部団体、下部団体の関係があり、それが当該企業との団体交渉においてどのように行なわれるか、これはたとえば石炭産業あるいは私鉄その他わが国には幾多の事例があると私は思うわけでございますが、何か特別な点でもありますか。
  307. 渡辺武

    渡辺武君 どうも私の伺った趣旨に答えていただいてないので、重ねて伺ったわけです。つまり労働省は、失業対策事業で働く労働者とそして職業安定所あるいは労働省との間には労使関係がないのだということを言っておりますね。そうして事業主体と当該事業所で働く失業対策事業の労働者との間では労使関係があるのだ。これは私いまここに持ってこなかったのですが、総理大臣の答弁書の中にもそう書いてありますね。そうでしょう。労使関係あると見ているのですか。
  308. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) 労使関係があるかないかの前提は、当該労働者との関係にある使用者はだれかということになるわけでございますが、それは御承知のように賃金の支払いとか、一般的には使用従属関係にあるとか、いろいろありますけれども、少なくとも労働省とかあるいは職業安定所、こういう機関は労使関係の当事者ではないということは前々から申し上げて、現在も理論的に申しましても、いわゆる労使関係の当事者であるということは私ども認めていないわけでありますが、この答弁書におきましても、「全日自労及びその組合員が労使関係の当事者でない公共職業安定所に対して行なう個別行動」云々と、かように申しておるわけでございまして……
  309. 渡辺武

    渡辺武君 時間もないですから、私の質問に対して直截明確に答えていただけないかと思うのです。いまあなたのおっしゃったことは、私が申し上げたことと同じことでしょう。私の伺っているのは、全日自労と事業主体との間の関係は労使関係と見るのかということなんです。
  310. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) 先ほど申し上げたとおりでありまして、これは労働組合と使用者との団交権の問題が、上部団体、下部団体あるいは連合体の場合と単産その他の場合どうか、こういう労働組合についての一般論から考えられるのじゃないかと、私思うわけでございます。
  311. 渡辺武

    渡辺武君 具体的に聞きますと、たとえば福岡県と全日自労の福岡県本部との間でこれは労使関係は成立しますか。
  312. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) 県が県営事業を営みまして、そして賃金を払ったという場合には、これは使用者になるわけでございます。そういう事業主体としての福岡県というのは、団体交渉の範囲の中に入り得るわけでございます。
  313. 渡辺武

    渡辺武君 そうすると、事業主体である地方自治体は、労働基準法八十九条の規定に従って就業規則を作成しなければならないというふうに思いますけれども、どうですか。
  314. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) 御指摘のような問題がございます。
  315. 渡辺武

    渡辺武君 つまりそうだということですか、作成しなければならないということですか。
  316. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) 労働基準法に規定してございますように、常時十人以上の労働者を使用する使用者については就業規則の作成義務がありますので、これは法律上当然のことであります。
  317. 渡辺武

    渡辺武君 そうしますと、職業安定局長が昭和三十八年十月一日に出した職発七七八号という通達がありますけれども、この中で、各事業主体の作成すべき「失業対策事業運営管理規程は、就業規則たるの性格を有する部分を含んでいるので、労働基準法の定めるところにより就労者の意見聴取、所轄労働基準監督署への届出等の手続を行なうこと。」というふうに述べています。さらに失業対策事業運営管理規程準則なるものを示しているけれども、この準則の中のどれが就業規則たるの性格を有する部分か、その点をお答えいただきたいと思います。
  318. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) 通達を待つまでもなく、施行規則で運営管理規程の内容について定めておるわけであります。この施行規則の文言を労働基準法の就業規則の、いわゆる主要的記載事項などと比較して判断いたしますると、施行規則の第八条第一項の第二号で規定されております「雇用の開始及び終了の時期、」だとかあるいは「作業規律の保持」、「始業及び就業の時刻」等いろいろございますが、そういったいわゆる労働条件に関する事項を定めた部分につきましては就業規則に該当すると解釈いたします。
  319. 渡辺武

    渡辺武君 失業対策事業運営管理規程準則というのがありますね。その準則の中ではどうですか。
  320. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) どうもかわりましてまだこまかくすべて承知いたしておりませんので、なんですが、この準則の「就業の条件に関する事項」、「雇用の開始及び終了の時期」といったような条項、これは一般的に労働条件には何が該当するかという学問的な問題もありますけれども、こういった事項は、いわゆる労働条件に該当するものとして就業規則的な部分であるというふうに私どもは存じております。
  321. 渡辺武

    渡辺武君 その二つだけですか、全部言ってください。
  322. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) たとえば「賃金」に関する事項とかその他ございますが、これは一般的に労働条件とは何か、その範囲につきましては、理論上も必ずしも明らかでありません。学説も分れておるところでございます。したがいまして、この準則を、いまどれがいわゆる労働条件に該当し就業規則というべきものであるかという点については、ことごとくこれを申し上げるのはいかがかと思いますが、「賃金」に関する条項であるとかあるいは「労働時間」等に関する条項は就業規則的な部分に該当すると判断して差しつかえないと思います。
  323. 渡辺武

    渡辺武君 これはあなたのいま持っていらっしゃる労働省の「失業対策事業労務管理提要」というものの中では、もっとたくさんいっていますね。もっとその辺はっきり言っていただきませんと、こういう委員会、重要な場ですから、間違いのないように御答弁いただきたいと思うのです。この労務管理提要の中で説明されているのは、準則の「第五就業の条件に関する事項」、「第六雇用、の開始及び終了の時期」、「第七作業規律の保持」、それから「第八労働時間」、それから「第九賃金」、それから「第十安全及び衛生」、「第十一災害補償及び社会保険」、これらが就業規則に該当する項だということをはっきり言っているじゃないですか。どうです。これは違いますか、このあれは。
  324. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) 私、就任いたしましてこの点を私なりに検討いたしたのでありますが、この管理運営規程——規程と申しまするのは、法律に根拠を持つ規程であるわけであります。たとえば、火薬類等取締法の規定に基づきまして事業主が危害予防規程等を設置するという例があるわけであります。その場合に、危害予防規程のどの部分までが労働条件に該当するかという点については、これは学問的にも非常に問題がございます。法律によって管理運営規程の作成義務を課せられておりまして、そうしてそれには管理的な条項も含まれておるわけでございますから、どの部分が就業規則的な部分で、どの部分がそうでないかという点につきましては、直ちにストレートには比較できないと思いますけれども、特別法によって特別の規定が設けられた場合に、それがどの部分が就業規則的のものであるかどうかという点については、個別的に判断せざるを得ないわけでありまして、あえていまあいまいにいたしておるわけではございません。たとえば、いま申しました社会保険の適用につきましても、第十一で日雇労働者保険法及び失業保険法の定めるところによる旨を定めるといったような事項につきまして、これは労働条件といえば労働条件ですけれども、法律でもうきまったことを当然に記載しておるにすぎない、こういった性格もあるわけでございます。そういった点も考慮しまして、一律にさっと割り切って答弁するという点につきましては、多少ちゅうちょを感じておりますような次第でございます。しかし、従来いわゆる就業規則的な部分につきましては、大体規程の第五以下のものにつきましては、いわゆる労働条件に該当し就業規則的なものであるという見解をとっておるわけでございます。
  325. 渡辺武

    渡辺武君 第五以下といわれましても、これはまた十二まであるんですが、第五から第十二まで大体そうだとおっしゃるのですね。そうですね。
  326. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) 苦情の処理に関する事項というような事柄は労働条件かどうかという点につきましては、もう大体これは労働条件そのものではないのでありまして、苦情処理についての特別の規定であります。したがいまして、そういう機関の設置その他は労働条件に含めるかどうかという点につきましては、問題のあるところ、だろうと思います。
  327. 渡辺武

    渡辺武君 それでは、第五以下と言ったのも、これがまた抜けているでしょう。第五以下の中には第十二までの規程も入るのじゃないですか。それを今度、入らないということだと、どこまでですか、第五以下どこまでが就業規則的なものなんですか。
  328. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) ただいま申しましたように、労働法上もどれが労働条件に該当するかどうかといった点については、いろいろ学説はありますけれども、ある程度の考え方というものはあるわけでありまして、こういった苦情処理についての問題が直接労働者の労働条件であるかどうかという点については、そう説明を要しないというふうな判断で第五以下と、こういうふうに申し上げているわけであります。
  329. 渡辺武

    渡辺武君 そうすると、この苦情処理のところを除いて、第十一までということですか。
  330. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) 十一までが当然含まれるものと思います。十二の問題につきましても、これはきめ方いかんによるだろうと私は思います。
  331. 渡辺武

    渡辺武君 そうしますと、労働基準法第二条によりますと、その第一項で、「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである。」というふうに述べて、特に就業規則の作成については第九十条の第一項で、「使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、」それからちょっと飛びまして「の意見を聴かなければならない。」としております。これは御存じのとおりだと思うのですが、全日自労が当該事業場の労働者の過半数で組織しておる労働組合であった場合、事業主体との間に団交権を、先ほどおっしゃったように持っておるわけでありますから、就業規則、したがって運営管理規程の第五から十一までのところですね、この作成は全日自労の団体交渉権の対象であるというふうに思いますが、どうですか。
  332. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) 一般的に申しまして先生の御指摘のとおりでございます。ただ、失対事業の特殊性にかんがみまして、法律に基づきますところの制約がありますことは当然でございます。
  333. 渡辺武

    渡辺武君 その法律に基づく制約というのは、具体的に言うと、どれとどれですか。
  334. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) 先ほども申し上げましたように、失業対策法という特別法によりますと、管理運営規程の作成が事業主体に義務づけられておるわけです。これはつくらなければ法律に反するということになるわけであります。したがって、そういう点で作成上一般の就業規則と異なった規律を事業主体は受けておる、こういうことになろうかと存じます。それから労働条件の中の一番重要な賃金については労働大臣がこれを定める。法律でこうなっておるわけであります。したがって、そういう点については事業主体は当然拘束される、こういうことになるわけでございます。
  335. 渡辺武

    渡辺武君 そうすると、先ほどの第五から第十一の間で法律上の規制があって団体交渉の対象にならないものは賃金についてだけというふうに理解していいですな。
  336. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) 法律を受けまして施行規則で管理運営規程に定めるべき事項が定められておるわけであります。先ほども申し上げましたように、規則の第八条第一項でいろいろな規定がなされておるわけであります。労働時間についても一定の基準が示されておるということでありますので、法律によって委任されたこの施行規則の第八条関係につきましては、法律と同等の効力を持つわけでありますから、これらの点について規制を受ける、こういうわけであります。
  337. 渡辺武

    渡辺武君 そうすると、賃金と、もう一つ労働時間ですか、いまおっしゃったのは。労働時間については、いまおっしゃった施行規則の第八条の第二項に「失業対策事業の事業主体は、当該事業に使用される失業者を、休憩時間を除き、一日につき八時間、一週間につき四十八時間を超えて労働させないようにしなければならない。」ということがきめられていますね。「超えて労働させないようにしなければならない。」その点ですね。
  338. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) この点が法律的に申しますと、たとえば三六協定を結んで時間外延長ができるかどうか、これは重要な交渉であるとすれば時間外延長も可能じゃないかという議論が生じます。労働基準法は三十六条で時間外延長を労使協定で認められております。その点では制限を受けるというような意味もあるわけでありまして、また、一々申し上げるのはなんですけれども、第八条の第一項で、第一号から第四号までいろいろな事項が規定されておるわけでありますが、それらの規定を定めるにあたりましては、一方においては失対事業は国費の補助という形をとりますから、その国費補助の場合の補助条件として、いろんな条件が示されるわけでありますから、それによって規制を受けるという関係もあると存じます。
  339. 渡辺武

    渡辺武君 私の伺っていることは、先ほどあなた言われたでしょう、労務管理、運営管理規程準則ですか、第五から第十一までが就業規則的な性格のものだということをおっしゃったわけですね、そうですね。それで私は、それは団体交渉の対象になるものだということを、労働基準法のたてまえからして、当然そうなるんじゃないかということを申し上げたら、そうしたら、その中で、賃金は労働大臣がきめるから、これは法律的な規制があって、団体交渉の対象にならぬという趣旨のことをおっしゃったんですが、あとそのほかはどうも不明確なんですが、労働時間については、いまおっしゃったように、つまり休憩時間を除いて一日八時間をこえることはできないということが書いてあるから、時間外労働ですね、これはできないんだという趣旨ですね、それについて、就業規則にきめることはできぬ、そういうことですね。
  340. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) 賃金だけという見方をとるか、それは賃金のきめ方だろうと思います。同じ賃金でも、一時間当たり幾らというきめ方もありまして、あるいは一日八時間という前提で賃金を幾らというきめ方もある。これは最低賃金にしても同様でありますが、したがって、その賃金決定の前提条件として、どのような労働の量、それを時間で測定した場合に、どのように判断するかという問題もあるわけでございますから、そういう意味で、賃金は拘束を受けるんだが、その他は拘束を受けない、こういう言い方ができるかどうか、その点については、若干私も問題があろうかと思います。
  341. 渡辺武

    渡辺武君 先ほど法律で規制されていることがあるから、だからその就業規則の中に賃金が入らないんだと、団体交渉の対象にならないという趣旨のことをおっしゃったでしょう。労働時間は、法律で規制された面はいま私が先ほど読みましたように、休憩時間を除いて一日八時間をこえることはできないということだけでしょう。その点について、規制されているという意味ですか。
  342. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) ストレートに書いてあるのは、規則の八条二項ですから、この点に関する限りは、もっと働きたいという労働の意欲がございましても、それは八時間まででとまりだと、三六協定を結んでも時間延長を認めないんだ、こういう一つの歯どめがかかっておる。したがって、賃金をきめられますと、割り増し賃金幾ら払うかという問題が生じないような形になっておる。そういう意味で、労働時間の規制であると同時に、これは賃金にも関係しております。割り増し賃金の問題がございますから、そういう問題が生じます。そこで、先ほど私が言いましたのは、賃金だけしか規制してないかということですが、その賃金のきめ方が、一日八時間労働した場合に幾らときめております場合に、八時間労働しない場合には賃金はどうなるのかということになると、そこに問題が出てきますので、ちょっと重複かと思いますが、申し上げておるような次第でございます。
  343. 渡辺武

    渡辺武君 賃金のことにつきましては、先ほど、法律で規制されているから、労働大臣が決定するということになっているからということを、あなたおっしゃったんです。これはわかっているんです。わかっています、私。いま伺っているのは、労働時間の問題ですよ。労働時間の問題について、法律で規定されている——法律というよりは施行規則ですわね、施行規則で規制されているのは、これは何でしょう。先ほどお読みになった緊急失対法施行規則の第八条の第二項というところでしょう。もちろん労働基準法にもこの労働時間についての規定はありますが、これと全く内容は同じですが、それだけでしょう。
  344. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) 先ほども申し上げましたが、第八条の第一項で、その第一号には、「管理監督の組織、事業の施行日、失業者の雇い入れその他事業の施行の管理に関する事項」、たとえばそういう事項がございます。その場合に、何も基準を示していないから何でもこれはきめられるかと申しますと、たとえば「失業者の雇入れ」云々ということになりますと、予算とのからみで、失業者吸収人員は何名かというふうにきまってくるわけであります。ですから人数はどうなんだということは、別に規則で触れていないからこれはノータッチかと申しますと、それは就労ワクの問題として予算との関係できまってくる、こういうような点がありますので、たとえば第二号で「雇用の開始及び終了の時期、作業規律の保持、始業及び終業の時刻」こうなっておりましても、その予算を流します場合に、賃金計算は一日八時間で幾らかということで流しておりますと「始業及び終業の時刻」もそれを基準にして定めてもらいたい、こういうことが予算の交付と相関連しまして、規制と申しましてもこれはニュアンスの相違はありますけれども、そういった意味の規制は受ける。それに反しまして、補助金を受けながら、補助金交付の基準になった条件と違うような内容を事業主体が自由にきめ得るかということになりますと、その点はある程度の制約を受ける、私はこう申しておるわけであります。
  345. 渡辺武

    渡辺武君 どうも私の伺ったことについて正確にお答えいただけないので、時間がたってしまって困るんですがね。どうでしょう、もう少し直截明確に答えていただけませんか。  いまここで問題になっておりますのは、第八条の第一項の一「管理監督の組織」云々なんというところは問題になっていないのです。あなたがおっしゃったように、第二号のところですね、第八条第一項の二号「雇用の開始及び終了の時期、作業規律の保持、始業及び終業の時刻」云々、ここが就業規則についてきめているところなんだと、あなたさっき申されたでしょう。そうしてこの点からしてこの失対事業運営管理規程準則、この中の五から十一までが就業規則的なものだというふうにおっしゃるから、これが就業規則であるならば、労働基準法の定めによってこれは当然団交の対象になるんじゃないかというふうに伺ったら、いや、法律で規制されているところがあるから、だからそうならないところもあるのだとおっしゃるから、それなら私はどことどこですかと伺っているのです。その中で言われたのは、一つは賃金は労働大臣が定めるというふうに法律できまっているから、これは団体交渉の対象にならないんだとおっしゃる。これは私その見解には賛成しませんけれども、一応あなたの御意見をいま聞いているわけですからね。それからもう一つ、労働時間についておっしゃった。労働時間についておっしゃったけれども、その労働時間についての法律上の規定はどこにあるかといえば、労働基準法と憲法、失対法施行規則の第八条第二項にきめられているだけなんですね。いまあなた賃金との関係でもっていろいろとおっしゃっておられるけれども、しかし、法律でどうきまっているのかということが問題でしょう、どうですか。
  346. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) これは先生御承知のように失業対策事業は失業者を吸収するために特別に国または地方公共団体が公費でもって興こす事業であります。したがいまして、一般の私企業等におきまして重要な団体交渉が行なわれ、それによって労働条件が自由に決定されますけれども、そういった事業の性格上、国費を流すという場合には、補助条件というものがおのずからつくわけであります。したがいまして、たとえば作業の種類あるいは作業方法といったものにつきましてもこれは自由にきめ得るか、作業のやり方は労働条件なんだから自由にきめ得るかと申しましても、国費を補助するその段階におきまして、作業の種類とかそういうものはきめられてくるわけであります。そういう場合に、そういうものを無視して、およそ労働条件については全然その歯どめなしに自由にきめ得るかどうかということになりますと、そこにはそういった面の制約がある。これは好むと好まざるにかかわらず、そういった事業形態でございますから、ある程度の制約はやむを得ない、こういうふうに申しておるわけであります。したがって、労働時間もかってにきめ得るか、自由にきめ得るかと申しましても、その予算を補助いたします際の一つの作業の前提条件というのがありますから、そこで想定されているものと著しく違うというようなものは、一般的には考えられないということを参考までに申し上げたわけであります。
  347. 渡辺武

    渡辺武君 その御見解は私はたいへんな重大な内容を含んでいると思いますね。とにかく御承知のように勤労者の団体交渉権というのは、憲法二十八条で明確に規定されていることですよ。また、私が申しました就業規則は、団体交渉によってきめるという原則ですね。もう少し正確にいえば、労働基準法の第一条の二に「この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。」ということがいわれておりますし、第二条では、これは労使対等な立場に立ってきめなければならぬということを明確に述べております。これは奪うことのできない労働者の根本的な権利です。国民の根本的な権利ですよ。それを作業上の都合だとか、予算上の都合だとかいって平気で踏みにじるようなことを言われては困りますよ、それは。
  348. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) 実は私もついこの間まで労働基準局長をしておりましたので、こういう条文の解釈については承知いたしております。ただ問題は、そういった一般論ではなくて、いろいろ問題を提起しております失業対策事業の運営につきまして、いろんな社会的、経済的な背景があり、それを中心にいろいろ御質問を私は賜わっておると思うわけであります。それが現実に地域におきましてはいろんな争いが生じておるというのも私は承知しておるわけでございます。そこで、私はここで法律解釈の一般論を申し上げておるのじゃなくて、具体的にそのような制約もありますことを念頭におきながら、適正な労働条件が規程として設定されるということを私はこいねがっておるようなわけであります。もちろん先生御指摘のような基準法の条文の解釈については、まさに一般論としてはそのとおりでございますが、失対事業というものの特殊性とその運営について、そしてまたその事業主体が地方公共団体である、予算上の制約が一方においては国会、一方においては地方議会によって制約を受けておるという点を、どう調和させて判断するかということに私どもも非常に慎重な考慮を払っておるような次第でございます。
  349. 渡辺武

    渡辺武君 法律解釈の一般論だとおっしゃいますけれども、この憲法の規定あるいは労働基準法の規定に立って目八体的に起こっている問題を処理しなければ、一体あなた方は、官吏としての立場はどういうふうにして遂行できますか。国できめた法律に基づいてあなた方活動しなければならぬでしょう。それを一般論だと言ってたな上げにしておいて、公然と憲法を踏みにじる、あるいは労働基準法に規定された原則を踏みにじるというようなことをやってもらっちゃ困りますよ。この問題非常に重大な問題ですが、どうも時間がたちますので進めますが、それでは、先ほどおっしゃったこの労務管理規程準則、これの五から十一の中で、団体交渉の対象にならないものは何と何だとお考えになっているのですか。
  350. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) 一般的には、労働条件は団体交渉の対象になるわけですが、ただ、いま申しましたように、失業対策法で賃金は労働大臣がきめるから、これは交渉したとしても、非常に事業主体としては労働大臣の定めた賃金に従わざるを得ない。ということは、交渉は可能でしょうが、受け取る面におきましては、そういう制約がある。こういうふうに私は申し上げておるわけであります。団体交渉権の否定だとか、対等交渉の否定だとかというわけじゃありません。交渉する相手方の事業主体が地方公共団体である。そういう関係から制約がある。法律で明記されておるのは賃金である。しかしながら、地方議会における予算決定、国におきましては予算執行といったような背景がありますので、一般論として全部ワクがないかといいますと、そういう面からする制約があるのではないかというふうに申し上げておるわけであります。
  351. 渡辺武

    渡辺武君 そうすると、賃金だけが団体交渉の対象にならないで、あと、先ほどおっしゃった五から十一までの間のここにうたわれているいろいろな諸項目というのは、全部団体交渉の対象になり得ると理解していいんですね。
  352. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) 私かわりまして早々なものですから、細部にわたりまして尽くしませんで恐縮でございますが、すでに出しております管理規程準則を見ますると、たとえば失業者の雇い入れの場合に、まあ採用が労働条件かどうかという問題がありますが、雇い入れて労働する場合に、たとえば……
  353. 渡辺武

    渡辺武君 問題は、第五から十一までの間のことですから、だからいま四のところをおっしゃっているんですから……
  354. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) そこでいま関連して申し上げているのですが、たとえば雇い入れの場合の条件として、「酒気をおび、」云々といろいろございます。そういった場合には、雇い入れる場合の制限条項になりますが、今度は第七の作業規律の保持という点になりますと、この作業規律に違反する行為としてどのようなものでどういうものを扱うかというのが規定されております。そういった性質の条項をどのように解するかという問題が出てくるわけでありますが、この管理規程準則というのは、全体として、補助をする場合の補助条件というふうになっておりますので、そういった面からも制約が出てくる、こういうことを私は申し上げたいのであります。まあはっきり具体的に申しますと、そういった制約を受けておるということでございます。
  355. 渡辺武

    渡辺武君 重ねて伺いますが、五から十一の間で、どれとどれが団体交渉の対象にならないものですかということです。先ほどは賃金のことをおっしゃいましたね。それだけですかということです。第九の賃金ですね、これが団体交渉の対象にならないとおっしゃるのなら、あと、そうすると九を除いて、ほかの第五からこの十一までのところは、団体交渉の対象になり得るとおっしゃったと理解していいですかと、こういうことです。
  356. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) 交渉は、もちろん先ほども申しましたように、制約はないわけであります。なし得るのですが、事業主体のほうが補助条件等で制約を受けるということを私は申し上げておるわけであります。
  357. 渡辺武

    渡辺武君 だからそれがこの五から十一までの間のどこですかということなんです。
  358. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) 団体交渉はできるわけでありますが、いま言いました予算補助の関係もありまして、事業主体の側が制約を受けるもので、特に典型的な例を申し上げますと、第七の作業規律の保持、これは作業規律に関する規定を設けることと、その規定の内容について定めております。それから先ほど申しました第四になりますけれども、雇い入れのときの条件、これはもう失対事業の性格上、雇い入れとしてもう明確な制限があるわけであります。補助条件としてきわめてきつい、こういった点があるわけであります。
  359. 渡辺武

    渡辺武君 そうすると、なんですか、作業規律の保持、それから先ほどおっしゃった賃金、この二つを除けば、ほかのところは全部団体交渉の対象になり得る、こういうことですか。
  360. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) 全部団体交渉の対象にはなるのですけれども、事業主体側が自由に応じ得られるかどうかという点について、補助条件として制約があるという点について例をあげたのですが、それが第七の第2あるいは第八の第5などが補助条件としてきわめて明確に示されておるということでございます。
  361. 渡辺武

    渡辺武君 ほかのところはいいですな。
  362. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) ただいま申しました点が、特に重要な点として、補助条件としてはきわめて明確になっておるということであります。しかしながら、その他の就業条件が全然自由にきめられる、何らの拘束を受けないかという点になりますと、これはたとえば苦情処理の問題とかいろいろありますが、こういったものにつきまして、当然労働大臣及びかわりまして局長が通達を出しておるわけでございますが、そういうものは尊重していただかなくちゃいかぬ、こういうことになるわけでございます。
  363. 渡辺武

    渡辺武君 そうすると、おっしゃったことを、どうも私のほうでまとめて言ってしまうような形になって恐縮なんですけれども、そうするとあれですか、いまおっしゃったことは失対事業運営管理規程準則の中で、第五から十一までの項については、これは就業規則的なものであるし、同時にまた団体交渉の対象に一応全部なるのだということですね。しかし、賃金については労働大臣が決定するということになっているので、団体交渉の対象にはなるけれども、しかし、その点法律上の制約があるということですな。それから第七の第2ですか、「作業規律に違反する行為は、次の各号に該当する行為を列挙して定める。」といって、いろいろ組合運動のできないようなことを書いてありますけれども、この点も補助条件などの関係で制約があるということですね、団体交渉の対象になるけれども。それから「第八労働時間」の中でも、そのうちの5、「労働時間の利用」の問題、これも団体交渉の対象にはなり得るけれども、しかし補助条件などで制約があるということですね。  わかりました。あとはもう大体そういう制約、ないと理解していいのですね、あとのこの項目は。
  364. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) どうも先生のそういうふうな御質問をいただきますと、非常に答弁に困るのでありますが、その補助条件としてつく部分と、あとは事業の運営につきまして監察をしたりいろいろいたします、その場合に運営が適当かどうかというような問題になりますと、この準則が基準になるわけであります。労働省としましては、失業対策事業がその本来の目的を達成いたしますように、その事業が正常に運営されますように、いろいろな努力を払っているわけでありますから、そういった点につきまして事業主体を指導するといった面で影響はあるわけであります。しかし、これは団体交渉そのものを制限する、制約するとか、そういったこととはおのずから法律的な性格が別になろうかと思います。
  365. 渡辺武

    渡辺武君 私がさっきから問題にしておりますのは第五から十一までの範囲のことを申し上げているので、その範囲からはずれた第四その他をおっしゃっても議論にならぬのですよ。ですから、その第五から第十一までの間でどうですかということです。
  366. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) 補助条件として明確にされている事項と、そうでない事項があるわけでありますが、そうでない事項について、団体交渉はなし得ましても、事業主体側が任意に自由に応じられるかということになりますと、たとえば作業開始、作業終了の時刻等につきましても、極端に短い時刻を事業主体が任意に決定し得るかということになりますと、先ほどの賃金の計算の基礎に労働時間というものがありますから、そういう場合には適当でないという問題が生じてまいります。そういった問題がありますことをつけ加えまして、あとは大体先生が要約されましたあのような姿じゃなかろうかと存ずるわけであります。
  367. 渡辺武

    渡辺武君 そうしますと、法律上で制約を受けているのはこれは賃金だけということですね。そして、そのほかはいろいろ実態上の制約があるということになるわけですか、いまおっしゃった点は。それから労働時間については、労働基準法及び緊急失対法は施行規則の第八条の第二項によって、休憩時間を除いて一日八時間をこえることはできないという制約があるということですね。法律上で制約されているのは、労働時間のその点と、賃金は労働大臣が決定するという、その二点だけですな。
  368. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) 法律という形式の——法律で定まっておりますのは御承知のように賃金でございますが、それが施行規則という法形式でいろいろきめられておるわけでございます。そうして、運営についていろいろ主管大臣がその行政上の指導基準を示す——これはまあ当然のことでございますが、そういった三段階関係があるものですから、法律上明らかに制約されておるものは何か、こういう点で賃金をあげておられるんですが、規則段階のものもこれは法律でございます。そういった意味で、ことばの、用語の問題ございますけれども、趣旨はもう先ほど来申し上げておるとおりでございます。
  369. 渡辺武

    渡辺武君 そうしますと、労働省は、まず第一には職業安定所もしくは労働省とそして全日自労との関係では、労使関係ではないという理由によって、まず団体交渉権を奪っておいて、そうして今度は実際就業規則を制定するという場合の関係では、賃金については労働大臣が決定するから団交の対象にはなるけれども、しかし法律上の制約を受けると、それから労働時間については、先ほど申し上げたとおりで、制約を受けると、団交の対象にはなるけれども。それから、そのほかの点についてはいろいろ実態上の制限があるからというふうにおっしゃった。いろいろな理由はつけておられるけれども、これが憲法二十八条で認められた労働者の基本的な権利である団体交渉権に対して労働省が重大な侵害をやり、制約をやっているということを意味するものだというふうに理解せざるを得ませんよ。そういう行政を法律にも基づかないで、いろいろ予算の補助条件その他行政上の必要から、憲法その他に保障されている勤労者の基本的な権利を踏みにじるというようなことをおやりになるから、だからこの運営管理規程の問題をめぐって労働者との間に激しい紛争が起こらざるを得ないということになるわけで、これは結局責任は私は労働省のほうにあるというふうに判断せざるを得ないのじゃないか。労働者の基本的権利を踏みにじっているのはあなた方のほうなんですね。  その問題はそれくらいにして次に移りますけれども、先ほど申し上げました職発七百七十八号、これは職業安定局長の通達ですけれども、次のように述べております。「各事業主体は、法令に違反しない範囲内において特別の事情がある場合のほかこの準則の定めるところによって運営管理規程を定めなければならない。」こういうふうに一般的に定めなければならないというふうに強制した、特にこの運営管理規程準則の第四の10、失業者を雇い入れない場合の要件、それから第七作業規律の保持の第2、作業規律に違反する行為、それから第八労働時間のうちの5、労働時間の利用という点については、その内容は変更しないものとすること、というふうに規定して、変更を許さないという、非常にきびしい表現をしているわけです。  それからこの運営管理規程準則と同時に出されております運営管理規程参考例というものによりますというと、具体的に一日の始業時間はどれくらいで、終業時間はどれくらいかということまできめて、休憩時間を除いて八時間働くということを具体的な内容とした項目を盛り込んでおります。で、事業主体が、組合との団体交渉を通して、独自に、自主的に決定すべき問題についてこのように強制すること、政府がこのように通達を通して強制するということは、不当労働行為だと思いますけれどもどうでしょうか。また、こういうふうに強制する法的根拠は何ですか。
  370. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) 運営管理規程をつくれというのは、これは安定局長が言っているんじゃございません、法律で事業主体に義務づけておりますことは、先ほども申し上げているとおりでございます。そして、その内容につきまして、主要なものにつきましては施行規則によりまして規定しておりますことは、これも申し上げたとおりでございます。そして事業運営につきまして、いろいろございますが、国費の補助をした府県、あるいは市町村費を使いまして失業対策事業を行ないますが、それは一方においては失業者吸収、こういう目的がありますと同時に、一方におきましては^それぞれの建設業的な仕事をしているわけでございますから、この予算を執行いたしまして、使用目的に合致するような事業運営をせざるを得ない。そういう点から、全国一律に行なわれております事業でございますので、そのやり方につきまして、職業安定局長一つ基準を行政通達として出すということは、これは許されたことではないかと思っております。
  371. 渡辺武

    渡辺武君 いま、基準を行政通達として出すとおっしゃいましたけれども、基準だとするとこれは何ですか。各事業主体がこの基準に必ずしも準拠しなくてもいいということになりますか。つまり、原則としては、各事業主体が全日自労その他との団体交渉によって自主的に決定することができることであって、その決定にあたって、基準としてこれはいわば参考にするというようなことと理解していいですか。
  372. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) 一般的なことと補助の場合と違うと思うのですが、私が先ほど申し上げましたのは、法律の解釈、運用につきまして、あるいは事業の運営につきまして、局長が大臣の命を受けまして通達をするということは、一般的に認められておることであります。そういう意味におきまして通達を出しておると思います、こう申し上げたのであります。問題は、団体交渉をやりましたときに、事業主体のほうでどの程度基準を守ってもらわなければならないかということは、それが交渉の場合、補助条件として明確になっておるものがあるわけです。それは先ほど準則のどれとどれというふうに申し上げましたような次第でございます。ですから、一般的な通達の基準と補助条件としての基準、そこにおのずから性格的な違いがあるというふうに私は考えておるのであります。
  373. 渡辺武

    渡辺武君 いま私が伺いましたのは、この運営管理規程準則というのは、一つ基準なんだということをおっしゃったのですね。そうでしょう。ですから、もし基準ならば、これは強制力がどこから出てくるのかということなんです。つまりこれがただ単なる基準であるならば、この運営管理規程を制定するその内容については、この概括的なことは、先ほど申しましたように緊急失対法施行規則の第八条に出ているわけですね。しかし、それをその第八条に基づいて詳しく具体的にきめる、これは各事業主体が独自に決定できるということであって、しかもその場合、全日自労と団体交渉などをやることが必要だということになると思うのでありますけれども、それでいいのかということなんです。運営管理規程準則が、ただ単なる基準であるならば、原則としては運営管理規程をつくるのは各事業古体の独自性にまかせるということになるのかということを伺っておるのです。
  374. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) その場合に、補助条件としての条件を明示するという場合と、それから法律の施行につきまして基準を示すということで、行政一般の例によりまして局長が通達を出して基準を示す、こういう形があるわけでありまして、両方ともこれは認められた方法ではないかと私存じます。
  375. 渡辺武

    渡辺武君 基準を示すとおっしゃっておられるのですけれども、先ほど私が読みましたように、それが七百七十八号はただ単に基準を示すというようなことじゃなくして一般的にこういうふうに出ているわけです、「特別の事情がある場合のほかこの準則の定めるところによって運営管理規程を定めなければならない。」と。それからこの準則の第四の10、失業者を雇い入れない場合の要件、その他こういう特殊な問題についてはその内容を変更しないものとするというふうにいっているわけです。これはただ単なる基準じゃなくして、これは職業安定局長が各事業主体、特にこれは都道府県知事あてに出しているわけですが、都道府県に対してこの通達の中身は変更してはいけないのだというふうに強制していることです、これは。一体、基準であって、なぜこういう強制ができるのか、その強制力の法律的な根拠は何だということを伺いたいのです。
  376. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) 個々の事項につきましては、先ほどの規程を設置する根拠、賃金決定の根拠ありますが、いま申しました点につきまして失業対策事業とは何かという定義を法律で書いておりますが、それは地方公共団体が任意にできる事業ではないのでありまして、労働大臣が樹立する計画及びその定める手続に従って行なわれる事業であります。したがって法律による個々の規制のほかに、失対事業の運営そのものがある程度の計画性とそうして労働大臣の定める手続に従って行なわれるわけでありまして、その基準を示したということについてあえて根拠をと言われますと、それは一般的な行政上の局長としての権限はございますけれども、特に失対事業につきましては、いま申しました点の制約があるわけであります。そういう点からなし得るものと御理解をいただきたいと思います。
  377. 渡辺武

    渡辺武君 非常に重大な問題を言っておられるのですが、残念ながら時間がないので打ち切ります。この問題はなお継続して質問したいと思うのです。  それで、お願いしたいことは、まあ初めて就任されて十分事情も把握しておられないということでございましたけれども、私の伺ったことについて、やっぱりもっとその焦点について直截明確にお答えいただきませんと、この委員会の時間は非常に貴重な時間でして、いたずらに時間を長く食うということになりますので、その点は今後お気をつけいただきたいというふうに思います。  どうも御苦労さまでした。
  378. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 本日はこれにて散会いたします。    午後六時一分散会