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1968-10-25 第59回国会 参議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年十月二十五日(金曜日)    午後一時二十四分開会     —————————————    委員異動  十月二十二日     辞任         補欠選任      大松 博文君     河口 陽一君     —————————————    出席者は左のとおり。     委員長         伊藤 五郎君     理 事                 内藤誉三郎君                 鶴園 哲夫君                 西村 関一君     委 員                 河口 陽一君                 北畠 教真君                 長屋  茂君                 増原 恵吉君                 山本 利壽君                 川村 清一君                 鈴木  力君                 達田 龍彦君                 藤田  進君                 上林繁次郎君                 春日 正一君    国務大臣        国 務 大 臣  田中 龍夫君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君        常任委員会専門        員        瓜生 復男君    説明員        内閣法制局長官  高辻 正已君        総理府特別地域        連絡局長     山野 幸吉君        科学技術庁原子        力局長      藤波 恒雄君        外務省アメリカ        局長       東郷 文彦君        外務省欧亜局長  有田 圭輔君        厚生省公衆衛生        局企画課長    今野 恒雄君        水産庁次長    森沢 基吉君        海上保安庁警備        救難監      猪口 猛夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する  調査  (当面の沖繩及び北方問題に関する件)     —————————————
  2. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) ただいまから沖繩及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二十二日、大松博文君が委員を辞任され、その補欠として河口陽一君が選任されました。     —————————————
  3. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査議題といたします。  この際、政府より発言を求られておりますので、これを許します。田中総務長官
  4. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) まず最初に御報告を申し上げたいと存じますが、去る十月の九日に沖繩に関しまする日米協議委員会の第十五回会合が、日本側から外務大臣と私が、米国側からはジョンソン駐日米国大使出席いたしまして開催をされました。  議題といたしまして、沖繩住民国政参加問題及び台風十六号によりまする沖繩地域におきまする災害の問題が取り上げられました。  沖繩住民が熱望いたしております日本国政参加の問題につきまして、去る七月一日に開催せられました第十四回日米協議委員会においてわがほうから、「何らかの形での沖繩住民国政参加が望ましいので、日本側としても、法律上の問題等国内的な問題の解決について検討しておる」旨を述べ、「米国政府においてもその早期実現について好意的配慮をしてほしい」と要請いたしたのでありますが、今回わがほうの要請にこたえまして、「一体化施策を含む日本本土沖繩施策沖繩住民の民意を反映させるため、選挙により選ばれた沖繩代表日本本土国会の審議に参加することが望ましく、かつ有益であること」が日米間で合意されたのでございます。沖繩住民の待望久しい懸案でありましただけに、まことに喜ばしいことと存ずる次第でございます。  沖繩住民国政参加の実施のために必要な措置につきまして、日米双方が、沖繩住民要望を考慮しつつ相互に協力することが合意されておりますが、国政参加具体的項目は、本来受け入れ側たる本土国会及び代表を派遣する沖繩側の問題でございますので、国会におきましても十分御協力をお願い申し上げたいと存ずる次第でございます。  次に、沖繩に関します日米協議委員会の第十六回会合は、本日、先ほど開かれましたが、アンガー高等弁務官から日米琉諮問委員会活動に関します報告が行なわれました。また米側から、目下検討中の昭和四十四会計年度日本政府沖繩援助に関します米側提案草案主要項目につきましての説明があり、特に日米琉諮問委員会から勧告されました医療保険生活保護及び各種年金制度の拡充について日本政府が来年度以降の援助におきまして好意的配慮を払ってくれるようにとの強い要望がございました。これに対しまして、政府といたしましても、諮問委員会の成果を基礎といたしまして、また、日本政府一体化調査団調査結果等を考慮しつつ今後の一体化施策を推進する考えでございます。その意味で米側の意向を十分にしんしゃくし、かつ、日本財政事情を勘案いたしまして来年度の沖繩向援助を策定したいと考えておりまするが、沖繩住民生活の安定と向上を確保するために、保健及び社会福祉の諸計画の支援につきまして特に考慮を払う旨を表明いたしました。  以上簡単でございますが、日米協議委員会の第十五回会合及び第十六回会合経過を御報告申し上げた次第でございます。
  5. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 以上で政府からの報告を終わります。  なお、ただいまの政府からの報告及び当面の沖繩及び北方問題等についてあわせて質疑に入ります。
  6. 河口陽一

    河口陽一君 私は北方問題に関する漁船拿捕並びに住民の問題を重点としてお伺いをいたしたいと存じますが、その前に一言申し上げたいのは、私どもの大先輩である岡村文四郎さんには急逝されまして、まことに哀悼にたえないと考えておる次第でございます。本日はその葬儀が行なわれますので、私も出席をいたしたいと考えておりますので、お許しをいただいて先陣を承ったような次第でございますが、質問はごく要点にとどめ、御答弁要点にとどめていただきたいと存じます。  まず、この問題に関連いたしまして、北方領土の問題ですが、この委員会でもたびたび論議がなされて今日に至っておると存じますが、これらの経過に対しては非常に私ども不満を感じておる次第でございますが、それはそれとして、この問題を今後政府はどのように進めていかれるかということをお尋ねいたしたいと存ずるのでございます。  私は、静かに考えますと、この委員会沖繩並びに北方領土問題を審議する委員会でございますが、沖繩小笠原島については明るい見通しを見ておるわけでございますが、北方領土の問題は、両国の意見が平行しておるというような事態でございます。この際、北方問題を処理するために、私どもは今日まで国民世論喚起によってこれらの問題を円滑にあるいは早期解決をしたいと考えておりましたが、これらの問題は国際外交の問題に関するので私どもその内容をつまびらかにすることはできませんが、小笠原島は日本人がそう住んでいないところで、そう騒がなくてもこれが返還になった、こういうことから、北方領土返還ということばも妥当なのかどうか、私どもはしろうとでよくその理解はできませんが、不法占拠、したがって、この島々には日本人がいまそう居住しておらぬ。このことを考えれば、小笠原島と共通したような形になっておると思うんです。したがって、これらの領土返還にあたっては、こうした世論喚起をすることがいいのか、政府におまかせをして静観することがいいのか、この辺についてわれわれは非常に関心の深い問題である。私ども北海道に居住する者としては非常な関心の問題でございますので、これらの点について政府でお考えがあればこの際承っておきたいと存じます。
  7. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) ただいまの御質問お答えいたします。  御質問の中で、政府にまかせて静観をということがございましたが、その点は決してさようではございませんので、小笠原も六月に本土復帰いたし、また沖繩本土復帰が間近いというような状態でございまして、最後に残されておりまする北方領土の問題につきまして、私どもは当初から日本固有領土であるという考え方を貫き通しておる次第でございます。  なおまた、北方におきまして、いろいろと拿捕、抑留されました漁船の数も非常に累増いたしてまいっております。あの李承晩ラインが非常に問題に相なりましたが、李承晩ライン拿捕の件数と比較いたしまして、簡単に申し上げますと、大体李承晩ラインがああいうふうに問題になりましても、拿捕船は三百二十九隻でございます。これに比べまして北方水域の分は千二百七十隻と、約四倍に近い数でございまして、また抑留者も、李承晩ラインの三千名台に比べまして一万七百二十三名という一万人をこえる抑留者でございます。こういうことを考えましても重大な問題でございますので、私ども北方領土の一日もすみやかな解決を、片や、外交交渉におきまして歴代政府は継続的に主張してまいっておるのでございますが、他方、私どもの所管いたしておりまするいわゆる北方領土内政面に関しましても、これらの抑留されました方々やあるいは引き揚げられました方々福祉厚生というふうな面におきまして、あるいは千島会館建設をいたしましたり、そのほか歯舞色丹等のいわゆる交付金等算定基準に対しましても、内政上これを明確にいたす必要もあるわけでございます。そのような次第で、政府といたしましては、ぜひともこの北方領土につきましてはあくまでこれを強く主張し続けてまいり、また、みずからいたすべきことをいたしてまいらなくちゃならぬ、かように考えております。
  8. 河口陽一

    河口陽一君 漁船の問題について御答弁があったんですが、私はこの拿捕の問題に対して、何が原因してこの拿捕されるのか、どちらが悪いというような表現は適切でないと思いますが、拿捕される要因はどこにあるのかをひとりお聞かせいただきたいと存じます。
  9. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) もちろん、本件はあるいは海上保安庁水産庁から詳細に申し述べると存じますが、その根本の問題は、いわゆる歯舞色丹、択捉、国後、これらの国土の宗主権というものがあり、あるいは日本国有領土であり日本本土でございますれば、当然それに囲まれますコンブの採取地域安全操業というものは、必然的に何ら問題がなくなるのでございます。それに対しまして、ソビエト側領土権を主張いたしますがために、ひいては領海の問題ができ、さらにまた、そこの中に入ります漁船領海侵犯という問題にも及ぶ問題でございまして、なお、これらの問題の詳細は水産庁海上保安庁からお答えをいたさせたいと思います。
  10. 森沢基吉

    説明員森沢基吉君) いま長官からお答えになりましたとおりでございますが、御承知のとおり、いわゆる北方領土の周辺には現在ソ連が十二海里の領海線を引いております。日本政府といたしましては、一方的に設定されました十二海里というのは、国際法上も認めることができないという姿勢で、現在たとえばアメリカ合衆国、豪州あるいはニュージランド等ともこの問題につきましていろいろ水域交渉をやりまして漁業協定を結んだ経緯がございますが、ソ連は、御承知のとおり、十二海里の領海を設定いたしております。それで、この付近で操業いたします底びきあるいはタラのはえなわ等の中型の漁船あるいは小型の漁船等がやはり沿岸に近づきますことによって漁獲をあげることができるということで、往々にして接岸をし過ぎる傾向がございまして、そのために、いま先生御指摘の拿捕事件が起きているわけでございますが、私たちは、十二海里というものは認めるわけにまいりませんけれども、ただ、漁船拿捕が起こりまして漁民被害を受けるということのないように、都道府県知事を通じまして、近海で操業する場合には極力注意して操業するようにという指導を現在いたしております。
  11. 河口陽一

    河口陽一君 領土返還についても、拿捕問題にしても、非常に私はむずかしい段階にあると、われわれは判断をし、目下のところは、ことばは悪いですが、泣き寝入りのような状態にある。日本は御案内のように、非常に経済が発展して、世界の大国といわれておりますが、武力についてはこれはもうゼロでございます。そういう中において、こういう国際間の紛争問題を戦後二十年も放置されておるというところにわれわれは非常は不満を感じておるわけで、向こうが十二海里を主張して、わが国がそれに対して受動的なことで処置をしておるというところに漁民が非常な苦難をなめておるというふうに判断されるわけです。こういう紛争が、両国間で外交交渉が進められてまいっておると存じますが、どうしてもその話し合いがつかぬということになれば、これは話し合い解決するより道を持たない日本としては、これをどうしても積極的に進めなければならぬ。そのために国連というような機関もございますから、これに訴えてこの処置の前進をはかるという態度があってしかるべきだと私ども考えるんですが、こうした問題に対して政府はどのようにお考えであるか、また、どのように今後進められるか、この際差しつかえなければ御答弁願いたい。
  12. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 本席に外務省欧亜局長もおられますので、本件外務省からお答えいたします。
  13. 有田圭輔

    説明員有田圭輔君) ただいま、北方領土の問題、それからまた、最近起こりました日本漁船に対する銃撃事件並びに拿捕事件についてお話がございましたように、政府といたしましては、この領土問題並びにこの漁船拿捕事件につきましては、日ソ共同宣言が署名されてから以後も、機会あるたびにソ連側に対してこの問題の解決方要請しております。領土問題とこの漁船拿捕事件の問題の解決は、日ソ両国間の安定した親善関係を打ち立てるためにはぜひとも必要である。したがって、ソ連側においてもし日本との親善関係増進を希望されるならば、この問題を前向きの姿勢日本国民の満足するようなかっこうで解決してもらわなければ安定した日ソ関係の発展は期待できないという点は、歴代外務大臣が、交渉あるいはその他の機会に事ごとに先方に申し述べておる次第であります。御承知のように、ソ連側は、領土問題についてはどこの国とももう解決済みである、日本とも領土問題は解決済みである、しかし日本が、この領土問題についてまだ解決済みでないということであるならば待ちましょうというような立場で、自来この問題については残念ながら進展を見せておりません。一方、拿捕抑留事件につきましては、わがほうといたしましては、事件の起こるたびごと厳重抗議をして、抑留者並びに漁船返還を要求しております。これは先ほど総務長官からもお話がありましたように、戦後約千二百余隻の漁船拿捕され、また一万人にのぼる抑留者がございましたが、今回のわがほうの抗議によって大部分のものは比較的——人によって異なりますが——まあ、そのつど返還しあるいは人員を送還してきておりまして、ただいま現状では約八十数名が抑留されておると思います。これらにつきましても、モスクワ大使館を通じまして、われわれとしてはそのすみやかな釈放を要求しております。われわれといたしましては、この日ソ関係の問題についてはやはり忍耐強く、事ごとに、日ソ親善関係増進がわれわれ両国民にとって最も必要であり、また世界平和のためにもたいへん大切なことであるからという立場からソ連側の反省を促しまして、忍耐強く今後もこの解決に努力していきたいと考える次第でございます。  ただいま、国連の場を通じてこのような問題を督促する方法はないかというようなお話もございましたが、ただいま政府といたしましては、国連を通じてという方法によってはむしろこの解決は必ずしも促進されるという面は少ないのではないかと思います。従来の方針どおり引き続き忍耐強く対ソ折衝をしてまいりたいと、このように考える次第であります。
  14. 河口陽一

    河口陽一君 まだ十分にお尋ねしたいのですが、時間がございませんので打ち切りますが、去る九月二十八日の根室沖におけるソ連日本漁船に対する銃撃でございますが、それは、もう武力的な解決をしないという国の船に対して銃撃を加えてくるということは、私は静かに見ておりますと、ソ連チェコに進駐したという経緯から見まして、非常に私はこの問題は重大視して扱わなければならぬと考える。今後北海道に居住する者としては不安の気持ちを一そう重加したと、こう私は思っておるのでございまして、単にこれは信号砲であるというようなことが伝えられておりますが、そのようなことだけでこれを見過ごすわけにはいかぬ、今後かかることが絶対に起こらないように対処していかなければならぬと考えるわけですが、こういうことがチェコに進駐したような事態に発展するのではないかということでほんとうに神経をすり減らしておるわけであります。国連総会におけるソ連代表の御発言では、共産圏に対してはきびしい態度で臨むがその他に対してはそうした考えでないという、抽象的な御発言があったように新聞紙上承知をいたしておりますが、そのことだけでこの問題を処理していいのか。われわれはあくまでも外交交渉によって問題を解決せねばならぬと考えその道を忠実に守っておるとするならば、こうしたことに対しても私は日ソ間の交渉だけではなかなか問題が処理されにくい。積極的にこれを国連に訴えて、そうして少しでも北海道民が安心して生業に携われるような配慮政府要望申し上げまして質問を終わります。
  15. 西村関一

    西村関一君 質問に入ります前に、私は、第三宮古島台風に対しまして本委員会といたしましてはこれが万全の措置を講ぜられたいということに対して深い関心を払っておる者でございますが、先ほど長官の御発言の中にこの問題に対してお触れになるというふうに期待をいたしておりましたが、お触れになっておられませんので、私からあらためて政府のとられた措置についてお伺いいたしたいと思います。ただ、時間がありませんので、きわめて簡潔にお答えいただきたいと思います。
  16. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) それでは台風第十六号の被害につきまして御報告を申し上げます。  時間も非常に制約されておりますので、一応概括的な問題はあとに譲りまして、この宮古島、久米島を中心といたしました沖繩の全域の台風でございますが、人命の損傷、一般家屋公共建物等の倒壊とか、あるいはまた道路の損壊、船舶の問題等々を申し上げますると、死者が五名、重軽傷者が十九名、一般住宅家屋の全壊が九百七戸、半壊が二千七百五十一戸、罹災者数は二万八千七百九十名に及んでおります。被害見積もり額は、公共施設が約九千五百万円、一般住宅約四億円、農作物約十二億四千四百万円、水産関係約一億四千万円、その他約八億二千八百万円でございまして、被害総額は合計約二十七億七百万円と相なっております。  この台風第十六号の対策といたしましては、琉球政府は直ちに災害対策本部を設けられまして活動を開始し、九月二十五日には十カ市町村災害救助法を発動せられ、被害者の救済と災害地復旧対策に着手なさいました。  日本政府といたしましては、私が九月二十八日から三日間各省の担当官を帯同いたしまして現地に参りました。また、直接視察をいたしまするとともに、アンガー局等弁務官及び松岡主席とも復旧対策につきまして協議を行ないました。琉球政府から一応応急仮設住宅、それから教科書等応急援助、それから住宅再建のための資金公共施設復旧費等援助等々につきまして要請を受けました。また、去る十月九日の第十五回の日米協議委員会におきましても、米側から被害状況についての報告がなされ、また政府といたしましては、今回の台風被害につきまして琉球政府要請を検討いたしました結果、とりあえず緊急処置分といたしまして、小中学校の児童用教科書約一万七千冊の購入費及びこれらを空輸、現地に輸送いたしました。なお、応急仮設住宅建設のための援助費等々は近く予備費をもって支出いたすことに相なっております。なお、住宅再建のための資金あるいは公共施設復旧費等に対しまする援助につきましても、引き続き大蔵省と協議をいたしておりまするが、特に本日の日米協議会におきましても米側の強く要請するところでございます。同時にまた、日本側もこれに対応いたしまして、緊急にこれらの処置をいたすことと相なっております。  以上御報告申し上げます。
  17. 西村関一

    西村関一君 私は本日、沖繩県民国政参加の問題について、主として総務長官にお伺いしたいと思っておるのでございますが、その前に、先般自民党福田幹事長沖繩に参られまして、主席選挙応援をなさった際、県民に対するアピールという中で、もし野党候補が当選するならば沖繩復帰はその中身においても変わるであろうし、時期においても非常におくれるだろう、そういう発言をせられたということが新聞等によって報ぜられております。これに対して総務長官はどういうふうにお考えになりますか。
  18. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) ただいまのお話は、まだ秋、公式にも何も承っておりません。公の席で先生から御質問をいただいたのがそもそも最初でございます。まあ、かような次第でございますので、この点につきましてはまだお答えをいたす段階ではないと考えます。
  19. 西村関一

    西村関一君 沖繩の問題に対しては、総務長官はもちろん重大な関心を持っておられると思います。また、今度の沖繩の三大選挙といわれる主席公選をはじめその他の選挙に対しても、もちろん重大な関心を持っておられるのは当然だと思うんです。福田発言に対して全然関知していなかったと言われることは、私は総務長官としてはいかがなものであろうかと思います。新聞をお読みになっておられないと言ってもこれは失礼に当たらないと思うのでございまして、そういう御答弁では私は満足ができませんが、もしそういう発言が事実だといたしますならば、あなたはどういうふうにお考えになりますか。
  20. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 目前に控えました選挙戦でございますので、与野党ともだおのおの攻防これつとめておられるだろうと存じます。私どもは行政の責任をになう者といたしまして、ただいま、まだ知っていないとは何だというおしかりがございましたが、公の連絡としていただいておりません現時点におきましては、お答えをいたすことはできませんが、のみならず、寡聞にして詳細なことを存じなかったことにつきましては、おわびをいたします。
  21. 西村関一

    西村関一君 知らなかったことはおわびすると言っておられますけれども、この問題に対しては現地住民の間に大きな波紋を起こしておるということは、これは現地からのいろんな情報によって明らかでございます。こういうことで自民党の側から選挙干渉が行なわれるということについては、私ども特別委員の一人としては選挙応援にも行くことを控えておるくらいでございます。私も要請がありますけれども、私は沖繩北方領土特別委員ということで差し控えておるような状態でございますので、そういう点は自分が公に知っていないからお答えができないと言われますけれども、そういうことに対して政府としても慎み深い態度を持っていただきたい。政府自民党とは違うと言われればそれまででありますけれども、そういう点については、今後沖繩の帰趨を考えますときにいろいろな問題があると思いますので、その点私から総務長官に対して再度御要望を申し上げておきたいと思います、御答弁は要りませんですが。  そこで、国政参加の問題でございますが、十月九日の日米協議委員会におきましてもこの問題が合意に達したと、先ほどの御発言の中にもそのことが出ておりましたので承知をいたしておりますが、これがために政府といたしましては具体的にどういう案をもって沖繩県民代表を国政に参加せしめようとお考えになっておられるか、どういう方向で、どういう具体的な案をもって国政に参加せしめようとお考えになっておられますか、この点を伺いたいと思います。
  22. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 私ども考えから申しますと、本土一体化を推進していかなくちゃならない、そのためには、今回行なわれまする主席公選と申しまするのは、施政権返還後に沖繩県と相なりました際におきまするいわゆる公職選挙法におきまする知事選挙に類するものでございますので、将来日本本土復帰いたしました際におきまして支障がないように、日本本土選挙法に近い公選によりまして出てまいりますることを期待いたすのでございますが、しかしながら、現在は沖繩におきましては法域を異にいたしておるわけでございまして、さようなことから、われわれは日本の公職選挙法に、また県知事選挙にできるだけ近似した、最大限の選挙制度により選出されることを期待をいたしたのでございます。その要請はいたしてございます。他方また、今度選出せられてまいりまする主席の場合と、さらに今度国政に参加をいたすという場合におきましても、やはり以上のような公職選挙法が、沖繩において期待をいたすものでございます。それから、それによって代表が出てまいりました後におきまする日本国内におきまする受け入れでございますが、これは御案内のとおりに、国会法でございますとかあるいは衆参両院の議院規則といったようなものによってその代表が資格権限を与えられるわけでございます。この点に相なりますると、われわれは行政府の者といたしましてこれを規定いたすわけにはまいりません。ひとえに皆さま方立法府の各位にお願いを申し上げなければ相ならぬのでございまして、この点におきましても、できる限りひとつ日本国内におきまする衆参両院と同じような資格権限によって、日本国民でありまする沖繩の各位の主張が国政に主張できますように、われわれはただ期待いたすのみでございます。
  23. 西村関一

    西村関一君 アメリカの施政権下にある沖繩といたしまして国政参加の問題にはいろんな制約がある。日本国憲法も公職選挙法も適用外にあるという現状におきましては、著しく過渡的、制限的な措置になると思うのでございます。それにいたしましても、沖繩県民の国政に参加するという場合に、できるだけ現地の意思を反映できるような形で受け入れるということが望ましいことは当然だと思うのでございます。それは一にかかって行政府の責任じゃなくて立法府の責任だというふうに言われますけれども、しかし、現地に対しても選挙のやり方については現地の法令によってきめられる点に待たなければならぬと思いますが、受け入れる側におきましてもどういう方式で受け入れるか。伝えられるところによりますというと、表決権は認めないところのオブザーバー制にするというようなことがいわれておりますが、そういうようなことについて政府は何らかの構想を持っておられるかどうか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  24. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 私が前段で申し上げましたのは、先方の選挙制度が、あるいは主席公選にあたっては県知事選挙に、あるいはまた国政参加代表の選出にあたりましては日本の衆参両院の公職選挙法に近づいたものであることが本土との一体化の場合に支障にならない、こういう限りにおいて、違った法域ではございまするが、日米協議委員会において日本側が強く要請したのでございます。それから、ただいまの後段のお話のオブザーバー方式でございますとかあるいはこちらのほうの受け入れ体制の問題につきましては、私、再度おことばを返すようでございまするが、私どもが行政府といたしましてかくあるべしということを申しまするのは権限を越えた問題であると存じますが、しかし、これが憲法論でありますとか法理論ということに相なりますればまた別個に立論をすることもできるであろうと存じますが、その点はひとつ私どもではなく法制局のほうからなり何なりお答えをいたさなけりゃならぬと、かように考えております。
  25. 西村関一

    西村関一君 法制局長官がお見えになっておられますから、その点につきましてどういうふうにお考えになっておるか伺いたいと思います。
  26. 高辻正已

    説明員(高辻正已君) 先ほど総務長官からもお話がございましたように、この国政参加問題についての中身をどうするかという問題につきましては、国会の組織運営に関すること言うまでもありませんので、国会におけるお考えというものがやはり基本的に重要であろうと私ども考えております。そういう意味から、この国会でどういうふうにお考えになるかということを抜きにいたしましてこの国政参加問題をどういう形でするかというようなことを現在法制局といたしまして具体的に考えているわけではございません。これは正直に言ってそうでございます。したがって、何か個別の問題について法律論でもお尋ねがございますならば、これは私どもはこう考えるというお答えを申し上げるべきだと思いますが、中身をどうすべきかということについては、私、この際申し上げるのは適当でもないし、また現にそういう考えを持っているわけではございません。そのことだけさしあたり申し上げさせていただきます。
  27. 西村関一

    西村関一君 私のお伺いいたしたいと思いますことは、日本国憲法が沖繩には適用されないという前提に立っていると思うんですが、それは施政権がアメリカに握られている以上は一応やむを得ないとは思いますけれども、しかし、国政参加の場合においては、日本国憲法、日本国の法律、公職選挙法等に近い線——長官お話しになりましたように、一体化という立場から、施政権返還の暁においてはもちろんそのことができますけれども、施政権返還前といえどもそれに近い線で国政参加をしていただくということを考えていくのが本土側としては当然の責任であると思うのでございます。そこで、先ほどちょっと触れましたオブザーバー制を考える、つまり、本土国会議員と同じ資格を与えるが権限としてはやはり表決権というものを与えるわけにはいけないという考え方もあるようでございます。その他の取り扱いについては本土並みの取り扱いをしていく、ただ表決権は与えるわけにはいけないという考え方がありますけれども、それは本会議におけるところの表決権に限るのか、委員会においては表決権を与えるというのであるか。たとえば西ベルリンにおけるところの代表がドイツ連邦政府に対して同じような形で参加しておるというような点等も考え合わせまして、そういう形式をとるのか。そのいずれをとっていくのが一番妥当であるというふうにお考えになりますか、法制局長官としての御見解を承っておきたいと思います。
  28. 高辻正已

    説明員(高辻正已君) ただいまの御質疑の中にもございましたように、沖繩は御承知のとおりに平和条約によってアメリカ合衆国が行政、立法、司法の三権を掌握いたしております。これは遺憾なことでありますが、この上に立って沖繩の問題についてはいろいろ考えてまいらなければならぬことは申すまでもございません。そういう意味合いから、ただいまのおことばの中にもありますように、これを、そこの選出議員については多少違うところがあるのもやむを得ないだろう、しかし、できるだけ近く、同じような立場に立たせるようにというお話でございますが、それはまことにごもっともなお考えであろうと思います。そこで、違うところは一体何か、尽きるところはそこであろうと思いますが、私ども、前から申しておりますように、この中身について積極的にこうしようという意図を持って申し上げる立場にございませんので、中身についてどういうことであるかということは申し上げられませんが、ともかくも職掌上、憲法上どうであろうかという問題につきましてはお答えをすべきものでございますので、これを正直にどう思うかと言われれば、やはり憲法の四十三条、これは御承知のとおりに国会の両議院の組織員の実は資格を書いております。それは「全国民代表する選挙された議員でこれを組織する」とあるのは御承知のとおりでございますが、この「全国民代表する選挙された議員」でない者が、国会の両議院のいずれかに入ってその議決に加わるということは、これはもう全く憲法違反になるという問題でございます。この問題を考えますのは非常に重要な点でございますので、これはひとり内閣法制局長官がこう思っているというだけではむろん私は足りないと思っております。やはり衆参両院の法制局なり、やはりそういう方々の御意見もよくお聞きいただきたいと思いますが、私が考えておりますのは、やはりこの憲法の前文あたりからもう明らかと思うのでありますけれども、憲法の前文には、申し上げるまでもなく、「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する」という有名な文句がございますが、そこからも明らかなことだと思いますが、代表者を選任する国民というのは、すなわち国政の権力のもとに立ちますとともにその福利を享受する地位にある者をさすと見るのがこれは当然であろうと思います。これはそんなことをわざわざ回りくどく申し上げませんでも、民主的な統一組織の基本原理からいいましても、国政との関係における代表する者と代表される者との等質性ということが基本の原理になっているように考えるわけでございます。したがって、はなはだ遺憾なことでございますけれども沖繩におきましては、日本の統治権は及んでおらない。まさにアメリカ合衆国の施政権がそこに行なわれておる。したがって、施政権が返還というようなことになればむろん何の文句もないわけでございますが、したがって、そういう意味でも施政権の返還というのを一刻も早くやるべきだと思いますが、現状において、そこから選出される議員が全国民代表する議員だというふうに断じ切るについては、皆さん相当深くお考えをいただくべきではないかという考えを持っておるわけであります。  もう一つは、「選挙された議員」というのがございまして、一説によりますと、選挙された議員、選挙の手続は法律で定めると憲法にあるからそれはそれでいいではないか。国法で、向こうで選挙された者を日本の法律で選挙された者とみなせばいいじゃないかということがいわれております。しかし、もう少し深く考える必要があるのではないか。その選挙については憲法のたしか四十四条だったと思いますが、そこには選挙の資格とか、いろいろな選挙の中身についていわゆる平等でなければいけない、差別をしてはならぬという規定がございます。これは憲法十四条から当然に来る平等主義の原則でありますが、選挙については特にそういう規定があるわけであります。したがって、日本の国法が沖繩に適用されていて、同じような公職選挙法のもとに選挙されるということならこれは安心でございますが、やはりいまの立場でいくということになりますと、沖繩における選挙沖繩法令に基づく選挙でございまして、確かに了解事項には、日本の公職選挙法に沿ったものでなければならぬというふうに期待する、向こうも異議がないということは言っておりますけれども、これが同じものであるという保障は何らございません。まあそういう意味で、まさに「選挙された議員」という、その選挙に憲法が要請しているもの、これがそこで十分に要件を満足するものであるかどうか、これは何らの日本の主権が行っておりませんから保障がございません。そういう意味でも、「全国民代表する選挙された議員」と的確に言えるかどうか。そこをかなり神経質にわれわれは考えるわけでございます。まあ、沖繩の事情を考えればその辺はもう少し大ざっぱに見ていいではないかというような御意見もあるいはあるかもしれません。できることならそうしたいのでありますけれども、やはり法律を受け持っております私どもとしては、国権の最高機関の構成員にかかることでございますから、その辺はやはりかなり真剣に、慎重に考えていただきたいというふうに考えるわけでございます。さしあたり、私の意見を長々と申し上げて申しわけございませんでした。
  29. 西村関一

    西村関一君 法制局長官としてのお立場上の御見解はごもっともだと思います。憲法四十三条から来る疑義については私どももわからないではございません。ただ、いまお話ございましたように、アメリカ合衆国政府がこのことに対して前向きな姿勢で協力すると、日本国憲法の条項やら公職選挙法に準じた選挙を行なわしめるという了解が政府の努力によって行なわれた場合においては、いま言われましたような疑義が全部氷解するというわけにはまいらないにしても、より前向きな形で国政参加をしていただけるそういう条件が出てくるんじゃないか。それは法制局長官に伺っても、これはまあ法理上の問題からお答えになるわけだから、そういうような隘路を埋めていく努力を政府にやっていただきたいということが希望でございます。いま法制局長官の言われましたような問題点につきまして、日米合同委員会等の席において、そういう国政参加については大筋においては合意に達しているのでございますから、それをもっと具体的に本土並みの議員としての取り扱いをするようにアメリカ合衆国側の同意を得るという努力を政府としてはしていただくことが必要だと思う。その点、総務長官はいかがお考えでございましょうか。
  30. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) もちろん、おことばどおり、われわれは沖繩代表日本の国政に参画し、同時にまた、十分に国のために発言もできるようにいたしたいと希望もいたし、望んでおる次第でございますが、しかし、何ぶんにもこの問題は非常に重大な法制上の問題とも相関連をいたしますので、私どもはあげてこれらを国会の皆さま方の御判断をお願いを申し上げる次第でございます。
  31. 西村関一

    西村関一君 法制局長官に再度お伺いをいたしますが、先ほど私の触れました、どういう形で国政に参加せしめるかということについての、たとえば表決権を与えない、その他の点においては同等の立場を与えていくという点につきまして、その点はどういうふうにお考えになりますか。それから、例の国会議員の不逮捕特権の問題とか、免責権の問題という点をどう取り扱うかという点についてはいかがお考えでしょうか。
  32. 高辻正已

    説明員(高辻正已君) 実は国政参加問題につきましてその内容をどうするかということは、国民の一人として無関心でないことはむろんでございますが、立法段階におきまして、通常の内閣提出法案のように、法制局が各関係省庁と協議をして中身を固めていくというような場合と実は違いまして、国会の内部の問題がかかわってまいりますので、これはどうもかってに考えをきめてやっていくわけにはまいらぬというところがございます。が、いま御質疑にもありましたように、憲法との関係についてどうかという点はまあいろいろお尋ねもございますしいたしますので、その中身についてはかなり検討をいたしました。特に憲法との関係で最も問題になりますのは、その本会議における表決権の問題だということを申し上げたいと思います。そこで、そのほか中身をどうするかということにつきましてはただいま申し上げたようなことでございますので、私の口から申し上げるのはいかがかと思いますので、控えさせていただきたいと思います。
  33. 西村関一

    西村関一君 もう時間がありませんから、総務長官お急ぎのようですし、あと同僚の質問もありますから、私はこれでやめたいと思いますけれども、いまお聞き及びのようないろんな問題点があるわけで、しかし大筋においては国政参加日米合同委員会で同意を得ておるということでございますが、いまのような形でいろんな制約のもとで国政参加するというようなことはもう返上したほうがいいという極端な意見までが現地において起こっておるということも聞いておるのであります。現地の表情はきわめて暗い表情でございまして、やはり潜在主権のある沖繩に対して、それはいろんな問題があるけれども、法制上の問題はあるけれども、これをアメリカの合意によってどこのように本土並みの国政参加をせしめるかということは、一にかかって政府の責任にあると思うんでございます。もちろん、われわれ立法府の者といたしましても十分に検討しなければならぬと思いますけれども、そういう点につきまして政府の今後の一段の御努力を願いたいということを期待するものでございます。  私は、なお沖繩の問題に対しまして、現地のアメリカの軍人、軍属の犯罪の問題であるとか、あるいはまた原子力潜水艦の寄港の問題第一次冷却水の被害の問題等につきましても、これは先般の三木外務大臣とアメリカ大使との会談においてもある合意に達したということが伝えられておりますけれども、この中身はきわめて不明瞭でございまして、また、きわめてわれわれが納得しがたい点がある。それらも沖繩を含めてその問題が適用されるということでございますから、そういう点に対してもきょうはお伺いいたしたい次第でございますが、時間がありませんから、総務長官お急ぎになっておられるようですから、これは総務長官立たれたあとの時間で、アメリカ局長もお見えになっておられますし、原子力局長もお見えになっています。あとでお伺いいたします。これで一応私の質問を次に延ばします。
  34. 川村清一

    ○川村清一君 私は北方水域におきます安全操業の問題について御質問いたしたいと思います。  まず外務省にお尋ねいたします。九月二十八日択捉島沖で日本漁船三隻がソ連監視船に追跡されまして、うち二隻が拿捕された上、同監視船からの発砲によって乗組員の一人が負傷したという、従来例のないきわめて遺憾な事件が発生したことが報ぜられております。その実情について御報告願います。さらに、このことについて外務省ソ連政府に対し厳重な抗議を申し入れたと報ぜられております。ソ連政府との折衝の模様等についても実は詳細お尋ねしたいのでありますけれども、時間がございませんので、簡潔に要点だけひとつ御報告願いたいと思います。
  35. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 本件は、外務省から御報告いたします。
  36. 有田圭輔

    説明員有田圭輔君) ただいまの件について御説明申し上げます。  御指摘のように、九月二十八日に第一宏和丸と第三十二平進丸、この二隻がソ連側拿捕されまして、その際に銃撃が行なわれ、一名の若い者が負傷したという連絡関係省よりございましたので、従来、まあ拿捕はかなりしばしば起こっておりますが、銃撃というようなことはあまり例がないことでございますので、私ども非常に重視いたしまして、十月一日付でモスコーの日本大使館を通じましてソ連側にまず負傷者の容態を照会いたしますと同時に、厳重に口上書をもって抗議いたしました。  抗議の内容は、わが方の関係官庁よりの情報に基づき、この二隻の拿捕、抑留されたことに対し厳重に抗議をし遺憾の意を表明をし、直ちに船体、乗組員の釈放を請求するとともに、損害賠償の請求等、国際法上の権利を留保するという趣旨のものでございまして、これに対しましてその場でソ連極東部の係官は、銃撃で負傷したということは事実なんであろうかということでやや驚いたような感触のことでございましたが、直ちに厳重に調査するということを申しまして、十月九日に至りまして先方より、先方の調べにおいてはそのような事実はないと、したがってまた、両船の船長の取り調べの結果、領海——いわゆるソ連の主張する領海侵犯の事実が認められたのでこれは抑留し、また船長等は、従来の例によると裁判にかけられる、したがって日本側抗議は拒否すると、このように申してまいりました。わが方といたしましては、その後慎重に事実を取り調べまして、また、この取り調べにあたりましては、実はその関係者は全部ソ連側の手にあるわけでありまして、わが方で直接事情を聴取する方法はございませんが、その後のいろいろな事情を勘案いたしまして、ソ連側に対しては再度、日本側調査によるとソ連側の言うような、これが全く事実ではないということは、そういうことではないと反駁いたしますと同時に、この船体、乗組員のすみやかな釈放を重ねて厳重に要請する所存でございます。  以上、簡単でございますが御説明申し上げました。
  37. 川村清一

    ○川村清一君 それに関連してもう一点お尋ねしたいのですが、第一の抗議の結果ですね、十月九日、先方からこちらのほうに通報されたことによりますれば、抑留乗組員の数とソ連側がわが方に通告した乗組員の数、抑留者の数は一名食い違いがあったというようなことが新聞に報ぜられておりますが、その事実はどうなっておりますか。
  38. 有田圭輔

    説明員有田圭輔君) ただいま御説明が足りませんでしたが、十月九日のソ連側の返事には両船の抑留者の名簿が添付されておりまして、その際に、こちら側の調査によるリストと一名食い違いがございました。その場で直ちにわが方の係官より、たしかこれは第一宏和丸だと思いましたが、船長が一名おらないようだがどうかということを念を押しました次第でございます。で、その後こちらからその点を再度モスクワ大使館連絡いたしまして、大使館のほうからソ連側連絡したところ、実はそのリストはソ連側の間違いで、確かに船長は抑留されておるということで、人数の食い違いは訂正されたような次第でございます。現在においては、その点に食い違いはございません。
  39. 川村清一

    ○川村清一君 その後、この船と別な船で以前に抑留されておる船員が帰ってきまして、それらの人々のいろんな発言によって、確かに負傷者はあるというようなことがまあ新聞に出ておるわけでありますが、負傷者はあった。しかしソ連側は、負傷者はない、そういう事実はないというようなことを言ってきておりますが、これは重大な問題ですから、負傷者の有無はどうなんですか。それから、銃撃はあったのですか、なかったのですか。これは重大な問題ですから、外務省はどういうふうに、これはつかまえられておりますか。
  40. 有田圭輔

    説明員有田圭輔君) ソ連側の回答は、負傷者はなく全員健康であるというようにわがほうに連絡してまいりました。いかなる事態であったかということは、外務省といたしましては、関係官庁よりの連絡に基づきまして、またかつ、外務省といたしましては、直接関係者から事情を聴取するという手段もございませんものですから、それに基づきましてこのような抗議を行ないました次第でありまして、銃撃の有無については、ひとつあるいは海上保安庁なりその他から御説明申し上げたほうがあるいはいいかと思いますが、私の了解するところでは、あるいは信号弾が撃ち込まれたというような事情もあったかのように聞いております。いずれにせよ、何がしかの銃撃が行なわれたということは、これは関係者の話からも間違いないようでございます。
  41. 川村清一

    ○川村清一君 じゃ、銃撃の有無は保安庁のほうにあとでお尋ねしますが、まあ外務省のほうは、何らかの形であったということは、いろんな関係者から聞かれて、そういうふうにつかまえられておられるわけですね。ただ、負傷者があったか、なかったかということについては、向こうのほうでは、ないと言っておる。ないと言っておるというだけであって、事実負傷者がなかったのかあったのか、これは日本政府として確実につかまえておらないわけですね。それで、たいへんなことですね。負傷者はどの程度の負傷をしたものか、それからその負傷者といわれている人の家族は、みないるわけですよ。家族の気持ち考えたら、これは調べる方法がないということで、これは外務省のほうはそれでいいかもしれないけれども、いま拿捕されていって抑留されて、そして負傷したとこういわれておるその人の家族の胸中を思ったときに、それではあまりに無責任な態度ではないかと私は思うのですね。何らかの方法で、負傷者はあったのか、なかったのか、負傷したとすればどの程度の負傷で、現在どのような状態で、どこにいて、治療を受けてるのか、受けておらないのか、その辺まではっきりこれを確かめて、そうして家族に安心させてあげなければならない。私は政府に責任があると思うのですが、この点、外務省はどうお考えになっておられるか。
  42. 有田圭輔

    説明員有田圭輔君) 御指摘のとおりだと思います。私どもソ連側には再三再四今度の銃撃事件抑留者のみならず、先ほど申し上げましたように、現在七十七名抑留者がございますが、その方々の健康かいなか、所在、その他、その都度ソ連側に照会しております。また、今回の事件におけるような、負傷したあるいは病気であるというような点については、十分ソ連側に注意を喚起いたしまして、こちら側の情報を提供すると同時に、ソ連側関係当局で十分これを調査し、かつ、必要な場合には十分な援護措置を講ずるように、その都度厳重に申し入れております。
  43. 川村清一

    ○川村清一君 ぜひひとつ全力をあげて負傷者の状態を御調査になって、そうして家族を安心さしてやっていただきたいということをお願いします。  次に、水産庁のほうにお尋ねしますが、先ほど河口委員に対する御答弁を聞いておりますと、この領海の問題ですが、ソ連は十二海里説を宣言しております。日本政府はそれを認めないで三海里説を主張をしているわけであります。しからば、日本政府の言う三海里説に従って漁民が操業をいたすとするならば、三海里の外はこれは公海でございますから、したがって、漁船の操業は自由になるわけであります。これは法令上はそういうことになるわけですね、法律上は。ところが、現実の問題とすれば、十二海里の中に入っていくとみんな拿捕されてしまう。そこで、どういうような行政指導をされているかというと、先ほどの水産庁の御答弁では、入るなということは禁止できないけれども、注意せいという御指導だというのですね。しかし、注意してつかまってしまった。自由操業であるべきなんです、日本政府の言う三海里領海ならば。公海自由の原則でもって操業して、みんなつかまってしまう。そこで、もう少しきちっとした行政指導されなければ、迷惑を受けるのは漁民ではないですか。この点、もう一度水産庁の御見解を明らかにしていただきたいと思います。
  44. 森沢基吉

    説明員森沢基吉君) いま川村先生のおっしゃるとおりの実態が出ておりまして、いろいろ苦慮いたしておりますが、基本的には、やはり領土問題の解決ということが前提であろうと思います。ただ、これが相手側の事情でいろいろ前進いたしませんことは御指摘のとおりでございます。例の歯舞色丹のコンブの採取につきましては、一応民間協定という形はとりましたけれども、三十八年に大日本水産会と向こうとの協定ができ上がりまして、沿岸の小さいコンブ漁船、あるいは小魚をとる漁船が入漁できるような形で、現実問題としては一歩前進いたしております。それから、国後、択捉を含めまして北方領土全体につきましては、これはむしろ外務省のほうからお答えをしていただいたほうがいいかもしれませんが、政府側といたしまして昭和三十二年以来いろいろ安全操業の問題につきまして交渉を進めておりますが、なかなかこれもいろいろ相互主義の条件等が出てまいりまして、実現に至っておりません。現に、昭和四十年には、当時赤城農林大臣がおられましたころに、いろいろこちらの考え方等も示して交渉を始めようとしたことがございますけれども、これもやはり、日本本土に対しましてソ連の大型の漁船の寄港を認めろというような問題を前提とした相互主義が出まして、基本的な安全操業問題が解決をしていない経過がございます。そういう段階でございますので、不本意ではございますけれども、やはり十二海里付近で操業をする場合には、極力拿捕等の危険を避けるように漁船が警戒注意をして操業をするという指導と、さらに、不幸にして拿捕等にかかりました場合につきましては、それに対する救済措置、あるいは保険措置、そういうものをもってカバーせざるを得ないという考え方で現在対処をいたしております。
  45. 川村清一

    ○川村清一君 総務長官、席をお立ちになるそうでありますから、総務長官に私の希望だけ先に申し上げまして、そうして、あとでまた続けて質問いたしたいと思います。いろいろお伺いしたいこともあるのですけれども、時間がありません。したがって、総務長官は近く北方海域に現地視察をなされるということを新聞承知しております。非常にけっこうなことだと思って私は喜んでおります。実情をどうかひとつ詳しく見てきていただきたいと思います。現在、現地住民の悲痛な叫びを十分聞いてきていただきたいと思います。その理解の上に立って、数多くある北方問題解決のために具体的な施策を打ち立てられて強力に推進されますことを希望します。いろいろ問題がありますが、いずれお帰りになってから私はお尋ねしたいと思います。  それで、一つつけ加えておきますけれども委員長にも申し上げますが、北方問題についてやれやれということを盛んに言われるわけですが、やろうと思うと十分か十五分しか時間をくれないというようなことでは、北方領土の問題その他北方問題をここでいろいろ議論しようとしましても時間がないわけですよ。ですから、ひとつまあ最小一時間くらい、総務長官、からだを与えられて、北方問題について十分審議する時間を取っていただきたいということを希望して私は終わります。
  46. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 いろいろと沖繩国政参加の問題についてお尋ねしたいと思っておりますが、総務長官が四十五分までしか時間が取れないというので、私の持ち時間も十五分間ということで、一応まあその中でお尋ねをしてみたいと、こう思っておったわけでありますが、結局、もう四十五分になりました。きょうは、したがって総務長官にお聞きしてみたところでたいした結論も得られないと思います。きょうは私は長官にお尋ねすることはやめます。  それから、要望しておきたいんですけれども、先ほどから、立つ人ごとに、時間がない、時間がないと言う。非常にみっともない話だと思うのです。もう少し委員会を重視をしていただいて、そして腰を落ちつけてわれわれの話も聞いてもらいたい、こういうふうに考えるわけです。まずその点だけを要望いたしまして、私はきょうはやめておきます。
  47. 春日正一

    ○春日正一君 いまの話のように、総務長官、時間がないそうですから、どうしても長官にお聞きしたいことだけ先にお聞きしますけれども、例の沖繩渡航の問題ですね。私ども沖繩の渡航は、だれでも行けるようにしなければならないという立場でおりますけれども、同時に、こういう問題は具体的にあらわれた個々のケースについても解決していくことがその促進にもなるという立場で、特に共産党議員の渡航拒否という問題を重視してこれまでもずっと質問をいろいろしてきたのです。で、いままでの現状を言いますと、ごく最近、九月二十日に春日、小笠原、衆議院の田代と、三人の議員が沖繩の事情視察と三大選挙の支援ということで申請して、これが拒否されております。  それで、そのあと河田賢治議員が宮古島台風被害調査と見舞いということで申請して、これも拒否されております。  それから、最近では、十月十一日に野坂、岩間、林、松本、この四人の議員が沖繩事情の視察と三大選挙の支援ということで申請して、これも十五日の日に拒否されてきております。  それで、去年の六月から今日まで拒否された回数が九回ですね。そのうち七回は国会の議長の添え書きをつけて出しておるのに拒否されておると、こういう現状です。こういう事実について政府はどういうふうにお考えになっておいでなのか。総務長官としてこれを打開していく、そういうために努力してくださるのかどうか。その点ひとつお伺いしておきたいと思います。
  48. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 春日委員お答えいたしますが、御案内のとおり、まことにいまのお話を承りまして遺憾に存じております。  で、私ども、私の所掌の渡航監理にあたりましては、できるだけ何らそこには差等もなく皆さま方の御渡航のことにつきましてお世話を申し上げておる次第でございますが、先方がこれを許容しないということは、はなはだ遺憾に存ずるわけでございます。なお、今後ともに皆さん方の御申請につきましては、御協力を申し上げます。
  49. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) ちょっと速記をとめてく  ださい。   〔速記中止〕
  50. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 速記をつけてください。  ちょっとこの際、西村君の先ほどの質問に対する答弁について、高辻法制局長官から補足をしたいという申し出がありましたから、これを許します。
  51. 高辻正已

    説明員(高辻正已君) 先ほど西村委員からお尋  ねがありました点について、私、何も申し上げなかった点があったことに気がつきましたから、たいへん失礼ながら、この際補足させていただきます。  お尋ねの問題の中に、議員の不逮捕特権はどうかということがたしかあったと思います。この点に触れずにおりましたので。これは申すまでもなく、議員の不逮捕特権にせよ、発言、表決の免責問題にせよ、これは憲法をお読みになればわかりますように、「両議院の議員」はとございます。したがって、両議院の議員ですから不逮捕特権なり発言免責権があるということになれば、かりにそうでない人にむやみやたらに法律でもってそういう特権なり免責権を与えれば、これは憲法の趣旨とするところではないということになるのが当然だと思います。そこで沖繩代表でございますが、これもさっきから申し上げた憲法上の一番大きな問題点、これはさっき表決権と申し上げましたが、実は「全国民代表する選挙された議員」であるかどうかという点から表決権の問題も出てまいりますので、根本は、「全国民代表する選挙された議員」となるのかならぬのかという点が基本になります。そういう意味からいいまして、おそらくは議員——皆さん、議員が表決権を持っておられる、議員本来の仕事をおやりになる議員がお持ちになるそういう特権なり免責なりをそのままの姿で持つことについては、やはり相当憲法上疑問があるのではないか。ただ沖繩代表国会で、表決権には至らないでも、何がしか権能を持たれることになると思うのでありますが、そういう権能との見合いにおいて合理的に考えられる線、これはおそらくその合理的な線というものが考えられるとすれば、その線の中で特に発言、表決の免責のほうだと思いますが、それをどの程度免責特権が与えられるかどうか、この辺は、代表方々国会における地位といいますか、それとの見合いで考えられなければならぬ問題だと思うわけです。簡単に申しますと、発言、表決の免責なり不逮捕特権なりを、議員と全く同視して同じものを与えることについては、私は憲法上の疑義が大いにありと考えておりますが、かなり全面的なものに至らない部分においてまあ合理的な範囲、それがどこかはちょっと私も申し上げかねますけれども、そういう面では考慮の余地があるのではないかというような感じがいたします。はなはだあいまいな点でござまいすが、答弁を漏らしましたので、この際補足させていただきます。   〔委員長退席、理事内藤誉三郎君着席〕
  52. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それでは、沖繩の原爆被爆者についてお伺いしたいと思います。現在沖繩の広島、長崎の被爆者はどのくらいいるのか、また、どんな現在状況になっているのか、そういった点についてちょっとお伺いいたします。
  53. 山野幸吉

    説明員(山野幸吉君) 現在沖繩の推計の被爆者数でございますが、昭和四十三年の十月現在で二百五十八名と考えております。そのうち、これらの被爆者に対しましては、実は日本側とアメリカ側と覚書をかわしまして、沖繩においても本土被爆者に対する措置と同様な措置をつくってもらいたいということに合意しまして、沖繩でそういう被爆者対策の要綱をつくっております。そして、それに基づきましてほぼ本土と同じような措置をとっておりまして、特別被爆者健康手帳を持っている人が二百三名、一般の被爆者健康手帳を持っている人が三十名でございます。  それからまた、毎年政府のほうから医療班を——専門のお医者さんを沖繩へ送りまして、これらの被爆者の診療その他診察等を行なっておる。しかし、原則は沖繩において治療されるということになっております。これらに要する経費は日本政府で負担するということになっております。
  54. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 まだ連絡がとれないで被爆者手帳を持ってないという、こういうような数が相当あるらしいのですが、こういった点はおわかりになりましたか。
  55. 山野幸吉

    説明員(山野幸吉君) まだ被爆者手帳を交付してない人がたしか二十四、五名いらっしゃるように私は聞いておりますが、あるいは、私どもも実はほんとうに的確な数字をとらえておりませんけれども、そう多くはないと思いますが、そういう漏れた人がありましたら、さらに今年度もそういう医師の方々が向こうに渡られることになっておりますから、よく確認の上でひとつ事務を進めたいと考えております。
  56. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 私が調べたといいますか、聞くところによりますと、手帳を持ってない人が三百人くらいいるというのですね。ですから、三百人からいいますと、もう少し積極的に政府のほうもこの問題については、気の毒な人たちですから、考えていかなければならぬ、こう思います。何といいましても被爆者の悩みの第一は、本土の原爆医療法が、これが沖繩には適用されない、こういう問題だろうと思うのです。いまお話がありましたけれども、どのくらいの差があるのか。いままでは日米琉三者の間で覚書があった。それによって向こうで通用する手帳というのがあるらしいのです。だけれども、それは日本に来ては通用しない。こういった問題があると思うのですが、この点どうなんでしょうか。
  57. 今野恒雄

    説明員(今野恒雄君) ただいまお尋ねの沖繩におきます原爆被爆者の問題でございますが、先ほど総理府から御答弁ございましたように、沖繩のほうの要綱でございまして、また、それに基づく取りきめが取りかわされております。したがいまして、その内容によりまして、原爆に基因すると認められた患者の方で、これは国内のほうの、日本本土の医療機関で治療を要すると認められた方につきましては、これは本土のほうに通用するという取りかわしになっておりまして、そのような方に対しましては、特にそれに関するいろいろな手続なしにこちらのほうの医療を受けられるという形になっております。
  58. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それはわかりました。その医療の関係ですけれども沖繩には原爆に対する完全な医療施設があるとは考えられない。そういう点なんですが、大体、一年にどのくらい向こうに派遣されるのかという問題なんです、その点はどうでしょう。   〔理事内藤誉三郎君退席、委員長着席〕
  59. 今野恒雄

    説明員(今野恒雄君) ただいまお尋ねの点は、診療、医者の派遣の問題かと思いますが、これは四十年から今回まで四回やっております。実際にこちらから参りました人数でございますが、四十年には医者が六人、これは二班に分かれまして、医者が六人、その他二人でやっております。それから、四十一年には医者が四人とそれから衛生検査技師、これが二人と、そのほかの二人という人数で技術援助をやっておるわけでございます。やはり同じように四十二年におきましても医者四名と衛生検査技師一名と、それから本年度におきましては、一班でございますが、医者二名と専門衛生検査技師一名という人員で、沖繩におきます診療、健康診断、そういった技術面の協力をしておるわけでございます。
  60. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それはわかりましたけれどもね、そうでなくて、どのくらいの日数をかけて沖繩でもってその診療が開かれるのか、そういう点を。
  61. 今野恒雄

    説明員(今野恒雄君) これは大体向こうで各地区に分かれまして、おおむね五つの地区に分かれて診断、そういった面をやっておりますが、大体日数はおおむね二週間程度従来行なっております。本年におきましては若干日数が延びまして二週間をこえておりますが、そのような日数で、大体向こうにおきます人員としましては百八十名程度を検診をしておるという実情でございます。
  62. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それで十分足りるのですか、そういう状況で。
  63. 今野恒雄

    説明員(今野恒雄君) これはいまお尋ねのように、このような専門の医者を長い期間派遣して、いろいろ診断あるいは治療という問題も望ましいこととは思いますが、やはりだれでもというわけにまいりませんので、やはりその道の専門のお医者さんということで、こちらからの適当な派遣要請という問題もございます。そういった点もございますので、現在はいま申し上げましたような実情でやっておるわけでございます。なお、この点につきましては、今後実情その他を勘案いたしまして、現地側の要望もございますでしょうし、また、いま申し上げましたような国内の専門医師の実際の要員という問題もよく勘案いたしまして進めていかなくちゃならぬかと思っております。
  64. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 結局はあれですね。そういう状態では十分な治療を与えるというわけにはいかないと、こう考えているわけですね。
  65. 今野恒雄

    説明員(今野恒雄君) これは先ほど答弁ございましたように、現在二百五十八名の原爆被爆者として向こうの手帳を持っている者があるわけでございますが、その方々に対する健康診断はおおむね、もちろん受診率その他も考慮いたしまして、ほぼできておるかと思います。その他技術面の協力ということもあるかと思いますが、そういった点をいまの現状のような要員で行なっておるわけでございますが、そのような、いま先生お話しのような点もあるかと思いますので、特に診断した結果、本土において治療するという必要な者が出てきた場合には、それはこちらに——日本本土のほうに来て治療を受けさせるという形で、その意味におきまして、全般を通じましておおむね沖繩における原爆被爆者の医療面、診断面、そういった点の対策は一応できておるかと思いますが、なお、これにつきましては今後さらに実情その他でやって、検討してまいりたいと思っておるわけでございます。
  66. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 その点はわかりました。で、先ほど話がありましたのですが、いまも話がございましたが、日本本土に来て治療しなきゃならないというふうに認められた者はこちらによこす、こういうことなんですが、そういうふうに認められない立場の人もあると思うのですね。しかし、個人の意思としては、もっといい医者にも長期かかってみたいし、治療をしていきたい、何とかなおしたい、こういう考え方を持っている人は相当おるだろうと思う。相当というよりも、ほとんどがそういう願いを持っておると思う。しかし、沖繩本土関係ですから、旅費等を考えた場合に、簡単にそれを実現するわけにはいかないわけですね、個人では。ですから、こういった問題について、来る場合に、認められた場合は、その旅費とかあるいは生活費とか、そういう問題についてはどういうふうになっておるのか。また、これから先、本人が希望する場合、何とか本土へ来て治療を受けたい、そういう人たちに対して、もっともっと門戸を開いてあげるような考え方を持っておるのかどうかという点についてお答えを願いたい。
  67. 今野恒雄

    説明員(今野恒雄君) 先ほどお答えいたしましたように、原爆障害に基因する方々につきましては、それで本人も希望し、また、関係官で認めた者につきましては、いわゆる原爆症患者でございますが、その方々については、こちらで治療するというたてまえでその間の旅費、往復の旅費は見ておるわけでございます。いまお尋ねの点は、そういう病気じゃなくて、いわゆる一般疾病の方々かと思いますが、これは、たとえば原爆症的なものじゃなくて、その他のもろもろの疾病でございます。これは、現在の国内法におきましても、いわゆる認定疾病と、それからその他の一般疾病とございますが、一般疾病につきましては、だれでも、どこの医療機関と称するものでも、申請があれば、できるような形をとっております。したがいまして、一般の病院的な施設、人的の整備されたところでは、これは当然できるような内容のものでございます。ただ、原爆症と称します認定疾病につきましては、やはり、専門的な高度な技術も要りますので、これについては別個な角度から人的、物的の特別の要件を備えたものについて認定しておるというわけでございます。したがいまして、沖繩におきましては、このような特別な高度、専門的な技術を要するような医療につきましては、これは向こうでは無理と思われる点もあるかと思います。こういう点でこちらでやっておるわけでございますが、やはり一般の疾病につきましては、これは医療機関全般の問題で、医療機関では大体できるわけでございますが、そういった点では一般医療機関の不足その他の面があるというならば別でございますが、やはり、原爆障害という面の医療でございませんので、そこまでは渡航、そういった面の援助までするという形は、いまのところ、当面、そこまでは考えておらないわけでございます。
  68. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 私は、一般の疾病の話をしておるわけではないのです。先ほどあなたのほうから話があったように、二百五十八名被爆者がおる、こういう話を先ほど聞きました。こういう人たちを対象にして、いま私がお尋ねした点ですが、それをどう考えるか、こう言っておるわけです。一般疾病についてじゃないのです。
  69. 今野恒雄

    説明員(今野恒雄君) で、二百五十八名の被爆者についての医療は、まあ二種類あるわけでございます。で、その二種類についていまちょっと国内の実情を制度として申し上げたわけでございますが、それには原爆医療と、それからその他の一般医療と二つに分かれておるわけでございます。したがいまして、いろいろむずかしい医療という問題になりますと、これは原爆医療のほうでございまして、これにつきましては、先ほど、そういった方々につきましては国内の医療機関に来る場合には十分見ると、それ以外の一般医療につきましては、それ以外の疾病でございますから、そういった点はいま申し上げたような形でそこまで見るという形にはなっておらないということを申し上げたわけでございます。ですから、あくまで原爆症と称するような疾病につきましては、これは先生お話しのような形でできるように運営されておるわけでございます。
  70. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 最後に、要望のような形になるかもしれませんけれども、先ほどから話がありましたように、認められた者については本土の治療を受けられる、こういうことなんですが、これ身一々認めるとか認めないとかということではなくして、原爆者に対しては本土並みに原爆医療法による適用が受けられるように、こういうふうに私はしてあげたらどうかと思うのですが、その点どうでしょうか。
  71. 今野恒雄

    説明員(今野恒雄君) いまお話しの点でございますが、原爆症につきましては、これは国内でもその認定という非常に厳密な手続がございます。その点はやはり同じような形で沖繩においてやる。ただ、それについてはこちらの意見を求めた形で協議し合ってやるというわけでございます。そういった点では国内法とは、本土における原爆被爆者も手続の点では全く同じでございます。そういうようなことで、実際には同じような形をやっておるということでございます。
  72. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 ちょっとしつこいようですけれども、私の言っているのは、日本とそれからアメリカと琉球政府との三者の間において覚書がある、こういった点もわかっておる。わかっておるけれども、実際には向こうでの被爆者手帳ですか、これによっては本土においてはじかにこちらの被爆医療法ですね、これの適用は受けられない、こういう状況にあるわけでしょう。ですから、それをそういうことでなくて、もっと手帳を持っている者が自由に本土に来てもその治療を受けられると、こういう資格を与えてあげたらどうかと、こう私は言っているわけです。おわかりですか。
  73. 今野恒雄

    説明員(今野恒雄君) それは原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の適用の問題かと思いますが、これにつきましては、まあ、そのまま沖繩におきまして適用するという形はとれないことは先生も御存じと思いますが、そういった点で、なるべく実際面のほうにおきましてそれに近い形をとろうかという点がございます。そういった点で、普通のそのままに適用するという形はとれませんが、特別な場合、先ほど申し上げましたような、特にこちらに来て治療するような方々につきましては、手続上の便宜を計らっておるという形でございまして、先生お話しのように、そのまま適用されるという点はちょっとこれは法的その他の問題がございまして、これはむずかしいと私ども考えております。
  74. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 わかりました。まあ、いろいろともっともっと話をお聞きしたいことがありますけれども、一応この程度でやめておきます。それから、向こうには治療する十分な施設はないわけですから、やはり専門医を長期派遣するという問題もこれから十分考えていかなければならぬ、こういうことだと思うのです。こういう点についてもっともっと積極的に——まあ聞くところによると、いままで年一回だったのを今度二回にするとかというような考えも持っておるようでございます。そういった点も内容を充実して、もっともっと長期にわたって向こうに滞在し治療を施すと、こういうような前向きの姿勢で取り組んでいく必要があるのじゃないか、こういうふうに考えております。この点要望をしておきます。  それからもう一つの要望は、先ほど申し上げましたように、被爆者が本土の病院に行くための旅費だとか、あるいはその生活費の問題こういった問題も私は問題があると思うのですね。医療費だけの問題でなくて、生活という問題があると思う。で、もちろん、被爆者の中でも日々働いている人はおると思う。ですから、そういう働き手がいなくなるということは、あとに残された家族の生活の問題、あるいは本人自体の問題、これはあると思うのです。そういった点も私は考慮に入れて、原爆被爆者のこれからのいわゆる治療、救済という、そういう問題を含めて、もっともっと積極的に私は取り組んでいくべきだ、こういうように申し上げて終わりたいと思います。
  75. 春日正一

    ○春日正一君 さっきの渡航の問題ですけれども、この問題については、四十二年の十二月二十二日のこの委員会でも佐藤総理ははっきりと、参議院の議員が渡航する、それがいまだに行かれない、これについて私たちも善処すべき問題だと、こういうふうに答えているのですね。これは一般的な問題としてでなくて、共産党の議員が公用で行くというのを行かせない、それは問題だ、総理もはっきり認めておいでなんですね。それから田中長官もやはりこの委員会でいままでもその趣旨のことを認めておいでだし、特に最近でも十月十一日の衆議院の沖繩北方問題等特別委員会、ここでのわが党の松本善明君の質問に対してもこういうふうに答えておりますね。監理渡航課で御協力申し上げ、ぜひ渡航許可を出すよう要望なり連絡調整をしていく、今回の渡航についても同様に米側連絡をし協力をしていく、こういうふうにお答えになっているのですね、速記録によれば。きょうの先ほどの答えもほぼその線と同じことをお答えになったと私は理解している。ところが、この十一日の衆議院の委員会での山野局長答弁を見ますと、全くそういうことはやってないという答弁をしておるんですね。やる意思もない。これはどういうことなんですか。総理がやる必要があると言い、長官もやる必要があることを認めてやっておりますと言っておる。それなのに、山野局長は何もやってないと言っている。これはどういうことなんですか。
  76. 山野幸吉

    説明員(山野幸吉君) 私は、ただいま御指摘になりました、端的に、この渡航の促進の問題について私はやらないと、そういうぐあいにはお答え申し上げていないはずでございます。で、一般論としまして、この沖繩本土との渡航が自由化され、促進されることを私どもは願っており、その方向で十分努力しておる。しかし、個々の、何がしを渡航させてくれ、何がしは渡航させないでほしいというような個々的な要請は、原則としてはやりません。しかし、国会から沖繩へ渡航される問題につきましては、これははっきりこの間の委員会でも御答弁申し上げておりますが、総理その他総務長官からお話しのあった点は、十分私ども考え米側との折衝に当たっています。しかし、それがいつだれと会ってどういう促進をしたかという御質問に対しては、これはまあ相手のあることだし外交上の問題であるので、それは申し上げられないけれども、必要な措置はとっております、かように答弁申し上げておるわけでございます。
  77. 春日正一

    ○春日正一君 その点、私くどいようだけれども、これは速記録をここに持っておりますが、そのまま読むと長くなるから書き抜いたもので読みます。渡航事務簡素化、迅速化のために常時米側と折衝しているが、この渡航について迅速にやってくれとか、この渡航についてはどうかと思う、そういう意思は一切アメリカ側に伝えていない、こう言っているのですね。それから、それに対して、いままでの経過で断わられているので、これについては特にアメリカ側と折衝される考えはないか——これは松本議員が質問している。それに対して、私どもとしてはぜひこれを許可してくれ、これは許可しないでほしいとか、そういうことは一切申しません、はっきり言っているのですね。松本議員の質問にしても、きょう私がここで行なった質問にしても、渡航一般のことを言っているのじゃないのですよ。先ほど言いましたように、共産党としては渡航一般許されるべきだと考えておるけれども、それではばあっとしてしまうから、具体的に国会議員が行けないという問題を取り上げて、これを具体的に処理する必要があるのじゃないか。総理もそれは大事なことだと言っておる。それを推進するために、しかも、もう先ほど言ったように、九回も断わられておる。その間にどういう努力をされたのか、こういう質問ですよ。それに対していま言ったような、だれをどうということは一切やりませんということは、これはまじめに質問を聞いていなかった答弁か、それとも、ことさらにそういう答弁をしてはぐらかしたというふうにしか思わざるを得ないわけですよ。
  78. 山野幸吉

    説明員(山野幸吉君) それは一般論としてお答えしましたことをいま御指摘いただいたわけでございますが、そのあとで松本議員から総理、総務長官の御答弁を引用されまして私にお尋ねになりましたその問題につきましては、米側と二カ月ないし三カ月に一回は渡航会議もやっておるし、その他のルートを通じて常時必要な連絡事項をやっています、こう御答弁申し上げております。それに対してさらに、いつ、だれと、どこでどういう内容について折衝したかという御質問がございましたから、それは申し上げかねる、しかし私どもは総理、総務長官国会議員の沖繩渡航問題についての御連絡については十分米側にも連絡しております、こういう御答弁をしておるわけでございます。
  79. 春日正一

    ○春日正一君 くどいようですけれども、ここで松本議員が質問したのも一般論として質問しているわけじゃないでしょう。国会議員の渡航、共産党議員が断られておる、その問題について質問しているわけでしょう。私もここでその問題について質問しておる。それに対して正面から、その努力は長官から言われてやったけれどもそれはいまだにうまくいきません、その程度のことは言えるはずでしょう。ところが、そういうふうにはっきり言わずに、何だかだと言って持って回って、だから松本君がどうなんだと聞いたら、一切いたしません。だから、この結論の印象で言えば、やっていないというふうな印象、これしか受けられない。だから、そういうことになると、国会質問は時間をとるでしょう。せっかく質問しても何のことだかわからぬようなことになるでしょう。それではお互いによくない。私も腹を立てたのです。いままでのここでの質問では、おやりになってくれておると思っておったのに、そういう印象を受けるような答弁をしておられるから、だから、その点で山野局長長官の言われた立場と同じような立場でアメリカ側と折衝されると言われるなら、これはたとえば野坂代表団が不許可になった。これを取り消す。そしていま沖繩選挙が行なわれておるときですから、そうして選挙に対して支援にも行く、沖繩の政情の視察にも行くということで国会議員が四人行こうというのですから、それを断わるというのはアメリカの選挙干渉ですよ、これは。沖繩選挙だから本土の者は行く必要ないというなら、どの党派も行かなければいいけれども自民党では福田幹事長大松さん、みな行っておいでになるし、ほかの党派の方々もみな行っておいでになる。そういうときに、共産党の渡航だけ拒否ということになれば、いま行なわれている沖繩選挙が、へんぱな選挙が行なわれているということにならざるを得ない。そういう意味からいえば、あなた方、沖繩関係の人にしても、当然そのことについてアメリカに要求もし、行かせるべきだということを主張すべきですよ。それをおやりになってほしいと思うのですが、その点どうですか。
  80. 山野幸吉

    説明員(山野幸吉君) 私どもとしましては、もう特に総務長官からもお話がありまして、国会議員の沖繩渡航につきましては、特別に連絡はとっていろいろお話し合いはしておるわけでございます。しかし、まあその結果は、いま御指摘のように、不許可ということでございまして、まあ、私どもはなお今後ともそういう事項については十分連絡をしていきたいと思っております。
  81. 春日正一

    ○春日正一君 そこで、その連絡の問題ですけれども、やはりアメリカがこの問題について国会議員の渡航を拒否するということを言う強い立場にはないと思うんですよ。これはアメリカ大使館へもよく行きます、私ども抗議に、施政権がありますと。あなた方も施政権があるからやむを得ないということで引っ込んでいる。しかし、それはこういうことをアメリカは強いことを言える立場には現在ないと思いますよ。たとえばこの委員会でも審議したテレビあるいは超短波の施設贈与、あるいは最近の災害の復旧その他についての援助というようなことも行なって、ここの国会で審議されているんですね。さらに大事なことは、財政援助といいますか、正式な名前はどういうことになっているか、これが毎年きまってもう与えられて、琉球政府でもそれが来るものと当てにして予算を組んでいる。言ってみれば、地方の府県に出す平衡交付金ですか、あれと同じような性質を持った援助をやっておるんですね。そうしてその額もですよ、アメリカ側はまあプライス法によれば千七百五十万ドルというワクをきめておいでになるけれども、これは円に換算したら六十三億円でしょう。しかもそれが今年度は千三百三十三万ドルですから、私のほうの資料によると、三十七億円しか出していないんですね。ところが今年度日本から支出したものは、財投二十八億を含めて百五十三億ですわ。アメリカの沖繩琉球政府の政治資金といいますか、財源といいますか、アメリカの出すものの倍以上三倍近いものを日本の国家財政から支出しておる。そうして当然それが予算として国会に出されて、国会議員が審議する。そうしてその賛否をきめていくということが行なわれておるわけですわ。そうすると、実際上アメリカは、施政権があるなら施政権者らしく、沖繩の県民がそういうことに困らないようにやっていくべきだ、必要な支出をすべきだ。それをしないで日本に肩がわりさせている。そして来年度については何か二百六十億円かそれくらいの要請があった。きょうの長官報告でも、そういう援助の金額は言わなかったが、そういう援助をしてほしいということを向こうから頼んできている。人の国を占領して、その国民を支配しておりながら、施政権はあると言いながら、その日本国民に対して十分なことができぬから日本政府で金を出してくれと頼んでくるという立場、これは施政権がおれにあるんだという強いことを言える立場じゃないんですよ。だから当然それを国会で審議しなければならないんだし、そして支出した金が現地でもって有効に使われておるのか、これで足りるか足りないのか、もっと日本として出さなければならぬものがあるのかということを、政府としてももちろんだけれども国会としても責任上現地に行って視察もし、そうしてそれを国会の審議に反映させる、これは国会議員としての責任ですわ。その国会の責任が果たせないような状態で、金だけ出せと言われて、そうですかと言っておるのか、そういうことになれば、あなた方が言っておるような、施政権があるからどうにも口がきけませんじゃなくて、私は、施政権なんてえらそうなことを言うけれども、施政権者としての責任を果たしていないじゃないか、日本にこれだけやらせておるじゃないか。そうしたらそれだけ施政権を引っ込めるのが当然じゃないか。当然渡航させるべきだ。彼らはそれに対しては堂々たる反論はできませんよ。なぜ日本政府がそれをやってくれないのか。そういう立場でおやりになってほしい。その点どうですか。
  82. 山野幸吉

    説明員(山野幸吉君) まあ沖繩援助費のあり方等についての見解はいろいろな見解があろうかと思いますが、少なくとも私どもはこの沖繩本土との渡航の簡素化促進、自由化をはかっていくということは私どもの年来の希望でありまして、特にいま後御摘になりましたような国会方々沖繩渡航については、ひとつ十分配慮しまして連絡をいたしているわけでございます。しかし何と申しましても、おことばをお返しするようですが、入域の許可権が向こうにあるものですから、遺憾ながら一部の方々の渡航が拒否されているのが現状でございます。なお政府といたしましては今後ともひとつ努力をしてまいりたいと思います。
  83. 春日正一

    ○春日正一君 非常に不満ですけれども、しかし国政参加の問題と関連して、当然そうなれば、政府説明でも、沖繩の法律で選挙が行なわれて沖繩代表が選ばれる、その選挙に際して、共産党の国会議員はもちろん、日本本土から選挙のために応援に行く人の渡航の自由は保障されているのかどうか、この点をお聞きしたい。
  84. 山野幸吉

    説明員(山野幸吉君) その具体的なそういう問題をとらえての許可の見通しでございまして、私現時点でそれに対してその見通しを申し上げるわけにはいきません。私どもとしては、いま申しましたとおり、ひとつ政府としては十分配慮をして努力したいということを申し上げるしかございません。
  85. 春日正一

    ○春日正一君 この問題が解決しなければ、沖繩の法律で選挙をしようと日本の公選法で選挙をしようと、どういう形になろうと、その選挙は公正な選挙として成り立たないというわけですね。だからどうしてもこの問題については選挙に向けては突破しなければならない。それが解決されなければ選挙された者としての資格に傷がつくと思いますが、その点どう考えるか、共産党なんか参加しなくてもいいのだというふうにお考えですか。
  86. 山野幸吉

    説明員(山野幸吉君) どうも私そう詳しく法律上の問題はよくわかりませんが、沖繩で今回国政参加代表を出される場合に、本土の制度に準じてひとつ公正な手続によってりっぱな代表が選ばれることを私どもは期待いたしているわけでございます。
  87. 春日正一

    ○春日正一君 この点は選挙の根本にかかわる問題ですから、どうしても実現させるという方向で取り組んでほしい。このことを要望して、高辻法制局長官に、国政参加の問題は、先ほど来の話でもあるように、非常に法律上むずかしい問題が含まれているわけですから、今後もいろいろ論議をしていかなければならぬ問題があると思いますけれども、きょうは時間がありませんから一番根本的な点、これについて一つ二つお聞きしたいのですけれども、それで一番問題は、先ほど長官も言われたように、憲法四十三条との関係ですが、長官もそこのところに問題がある、だから国会議員と同じというふうに考えることはむずかしいと言われているし、衆議院の委員会では、国会議員と同じということには重大な疑義があるというふうにも言われていると思います。そこでこの問題ですが、憲法四十三条では、両院は全国民代表する、選挙によって選ばれた議員によって組織されるということになっています。そこで、一番根本の問題は、沖繩の選ばれた議員が国会議員としての資格を持つか持たぬかという問題は、この「全国民」という概念の中に、現状において沖繩の県民は入るのか入らぬのか、法理論上。そこをひとつお聞きしたいのですが。
  88. 高辻正已

    説明員(高辻正已君) 全国民に入るかどうかという非常に端的なお尋ねでございますが、実は、沖繩住民日本国民であるということは、これはもう再三申しておるところでございますので、日本国民であるかないかといえば、日本国民——日本の国籍を持っておるものであるということになるわけですが、実はこれは「全国民代表する選挙された議員」に入るかどうかが問題の点でございますので、一部ずつ切り離してどうかというお答えでは、この問題に関する限り実は無意味だろうと思いますが、その点についての御説明は、実は先ほど西村委員に対してるる申し上げたところでございますが、さらに御質疑があれば申し上げます。
  89. 春日正一

    ○春日正一君 そこのところが、つまり、「全国民」の中に入るということになれば、基本的には代表国会に送る資格があるわけです。そうすれば、現状においてどうすれば入れられるかという、選挙法その他の具体的な問題として今度は論議が進むわけですから、初めから入らぬということになれば、先を議論したってどうにもならぬということになるわけで、だから、入るのか入らぬのか、「全国民」に入るのか——日本国民である。そして、いまの日本国会は当然全国民代表する議員で構成されておるのだから、沖繩の県民をも代表して国会として活動していると思うのですよ。だから、援助の問題もやれば、災害の問題もやっておるということになれば、その中に入るのじゃないか。そこですね。
  90. 高辻正已

    説明員(高辻正已君) 確かに国会におきましては、沖繩住民に対して福祉のためにいろいろ援助の法案をつくったりなんかいたしておりますが、これは実は沖繩に限らず、よその国にかりに援助をするとすれば、そういう援助問題をやるのと、実はその限りにおいては同じだと思います。しかし、その問題が実は基本の問題じゃなくて、春日さんおっしゃいましたような、「全国民代表する選挙された議員」、これが国会の組織でございますから、そのほかのものがまざって入るということになると、国会の構成について憲法が要求しているところと違うことになるわけでございますね。そこで、こま切れにしてどうかというお尋ねでございますので、沖繩住民日本国民であるかということについては、これはそういうことを申したことがあると思いますが、日本の国籍を有するものであるというふうに言って国籍法上問題はないと思いますが、問題はそういうことではなくて、やはり「全国民代表する選挙された議員」になり得るかどうか。もしなり得るとするというなら、実はいままで国会にそういう議員がいないことがむしろふしぎなわけでございます。まあ、極端に言えば、それは憲法違反ではないかというような——これは私が申しておるわけではございませんが——そういう論だって、言えば言えないこともなさそうな気がいたしますが、私はいままで、沖繩住民日本の国籍法上日本国民であるといっても、その国政との関係における特殊性と申しますか、そういう観点から、いままで沖繩住民国会議員としての選挙権を持っておらなかったということは、やはりそれ相当の理由があったからであろう、それが現時点においてが然変わるということは、やはりあり得ないことではないか。それははなはだ俗っぽい言い方でございますが、さっき御説明申し上げたとおりのことを繰り返すのはどうかと思って申し上げなかったわけでございますけれども、なおもう一ぺん言えとおっしゃるようでございましたら、もう一ぺん重ねて申し上げさしていただきます。
  91. 春日正一

    ○春日正一君 私この問題、はっきりしませんし、非常に大事な問題だし、もっと詳しくお聞きしたいと思うのですけれども、私の持ち時間過ぎてしまって、ほかに迷惑をかけて申しわけないと思うので、きょうはこのくらいでおきまして、この次の機会にもう少し突っ込んでいろいろお聞かせ願いたいと思います。
  92. 西村関一

    西村関一君 高辻法制局長官に重ねてお伺いいたしますが、九月二十二日付の朝日新聞のトップ記事に、「表決権は認めない」、「衆院五人参院二人本土なみ身分保障」、「沖繩国政参加法案まとまる」、こういう記事が出ております。これはこの記事によりますというと、日米の合意によって政府としては一応法案の用意をしなければならないということで、これによりますというと、一応議員立法で、特別措置法でこれを次の国会に出すということが言われておるのでございます。こういうことであれば、当然内閣法制局において法案の立案をなさる何らかの相談があるはずだ。そういう点について、権威ある朝日新聞がこういう記事を出しておる。私は政治部にその根拠はどうだということを聞き合わしてみたのでありますが、出所については言えない。これは新聞社としては当然であります。しかし、確かな根拠がある、こういうことでございます。そこで、内閣法制局としてはそういうことに対する用意をしていらっしゃるかどうか、その点お伺いしたいと思います。
  93. 高辻正已

    説明員(高辻正已君) 先ほども法制局でどう考えておるかというお尋ねがございました。それは国会の組織運営にも関することであるし、大体はいままでの筋合いとしては議員立法になるのじゃないかと私ども考えておりますが、そういうこともありまして、現在内閣法制局では具体的にどうしたらいいかということを考えておりませんということを申し上げました。それはそのとおりであります。私はやはりその新聞を見まして驚いたものの一人でございます。むろん、何か根拠があったのだと思いますが、私の知る限りにおいて、そういう事実はございません。これはもう誠意をもってお答え申し上げます。ただし、私の知る限りでございます。
  94. 西村関一

    西村関一君 いまの問題につきましては、内閣法制局としては関知しておられない。どこかほかのところで法案の用意をしておられる。用意の用意という程度でやっておられるということだというふうに一応私は理解しておきたいと思います。これはいずれは法制局にかかる問題だと思うのです。議員立法であるにしろ何にしろ、一応御意見を聞かれると思いますが、そういうことはないのですか。議員立法の場合どうなんですか、全然ないのですか。
  95. 高辻正已

    説明員(高辻正已君) お答え申し上げますが、議員立法の場合には、衆議院であれば衆議院法制局、あるいは参議院であれば参議院法制局ということになるはずでございます。そういう意味で、何といいますか、私どもは通常なら、政府提出法案だと、かなりもうやっていてもふしぎではないかもしれませんが、そういう意味で、実はむしろ手を控えておると申しますか、やっておらないのが事実でございます。あるいは御相談があればむろん私どもの見解を述べることもございましょうけれども、私どものほうで審査をするということはいたさないのがたてまえでございます。
  96. 西村関一

    西村関一君 次にお伺いいたしたい問題は、先般三木外務大臣とジョンソン大使との間において覚書が交換されました。原子力潜水艦の第一次冷却水の放出の問題でありますが、これは例外の場合を除いて、原則としては通常の場合はそういうことはしないということが合意されたというふうに伝えられております。きょうは外務大臣お見えになっておられませんが、このことは沖繩の場合も含まれるというふうに言われております。沖繩におきましても原子力潜水艦がしばしば寄港いたしておることは周知の事実でございますし、また、最近原子力潜水艦の衝突事故が那覇軍港においてあった、そのために三人の潜水夫が身体に異常を訴えて就労を拒否したというような事件が起こっております。このような事態に対しまして、政府はアメリカ合衆国当局に対して、いまの三木・ジョンソン会談の中身も含めまして、どういう安全措置をとっておられるか、また、その内容が新聞で伝えられておりますが、外務大臣きょう見えておりませんけれども、アメリカ局長からその中身の点について概要を知らしていただきたい。こういう沖繩の原子力潜水艦の事故に関して、これに伴う危険をどのようにしてなくしていくかということに対して、アメリカ合衆国側との交渉をどういうふうにしておられるか、その点を伺っておきたいと思います。
  97. 東郷文彦

    説明員(東郷文彦君) 先般の外務大臣とアメリカ大使との会談の覚書でございますが、これは五月の二十九日にわがほうの原子力委員会から政府に対して、一次冷却水の問題を含めましてアメリカ側に対して善処しろという御意見がございました。六月の初めから親しくいろいろ話をしてまいりまして、ただいま先生お話しの点は、現在の原子力艦船の運航の方式によれば、一次冷却水というのは通常の場合は放出しないようになっておる。全然しないとまで言い切るのは、それは不測の事態ということもあり得るので、そのときに約束違反ということになっては困るということで、理論的にはそういうことはあり得るということで、表現は、例外の場合である、通常は放出しない、こういうことになっておるわけでございます。それに対してわがほうの原子力委員会も、五月の意見と大体において近いものであるということで御了承を得たわけでございます。この六月以来の話は本土の港に関する問題として話を進めてまいったわけでございますが、その内容が沖繩の港においても実施されるということは、きのうも高等弁務官がその趣旨を那覇において発表しておりますとおりでございます。  それから那覇の港において衝突事故があったというお話と、それから潜水夫の病気の問題でございますが、衝突事故というほど大きな問題ではなかったようでございます。それから潜水夫の問題に関しましても、民政府においてさっそく病院に入れまして、詳細な検査を行なった結果、その訴えられた身体の異常は原潜の関係によるものではないという結論が出たと承知しております。那覇におけるこれらの問題の扱いは、現在米国民政府琉球政府との間で措置されておりまして、たとえば原潜寄港の場合の海水その他の検査の問題につきましても、琉球政府当局と民政府当局の者がサンプルを取り、これを直ちに米本土に送って検査するというようなことで、わがほうは琉球政府の検査体制に、たとえば機械をあっせんする、さようなことで、一次的には現地におけると申しますか、まあ、民政府琉球政府当局との間で措置されておるわけでございます。われわれといたしましては、琉球政府と密接にそのつど連絡をとって満足に行なわれていくように見届けておるわけでございます。
  98. 西村関一

    西村関一君 科学技術庁の原子力局長お見えになっておられますか。ただいまのアメリカ局長の御答弁に関連いたしまして、原子力委員会としては、日米合意の点についてはほぼ見解が同じである、こういうふうに答えておられるようでございますが、原子力委員会としてはどういう見解を持っておられますか。
  99. 藤波恒雄

    説明員(藤波恒雄君) 原子力委員会といたしましては、先般の三木・ジョンソン会談でまとめられた覚書の内容並びにその交渉経緯につきまして外務省から説明を聞きまして検討をいたしました結果、ただいまアメリカ局長が申しましたように、結論といたしまして、原子力委員会の先般申し述べた見解にほぼ近いものとして了承すると、こういう態度になったわけでございます。一番問題といたしました点は、いまお話の中にもございましたように、一次冷却水を通常時には出さないと、こういう表現でございますが、これにつきまして経緯あるいはアメリカ側の申しておることを外務省説明を通じまして確認したところによりますと、例外という場合はきわめてまれなケースであって、したがいまして、むしろこの解釈は理論的に考えなければならない可能性を留保したという意味に解せると、こういうことでありまして、したがいまして、絶対出さないという表現はとっておらないけれども、さような意味で原子力委員会の見解にほぼ近いというぐあいに解釈しておるわけでございます。
  100. 西村関一

    西村関一君 この覚書の中身を検討いたしますと、口上書の線から一歩も前進していないという印象をわれわれ受けるのであります。いわばアメリカ合衆国としては明確な回答を避けておるというふうにとられるのであります。そういう点に対して、まれな例外な場合ということ、われわれはそういうことがあってはならないと思いますけれども、まれであってもあり得るということが反面考えられるわけでございます。先ほど申しました衝突事故等も、これはないとは言えない。幸い、いまアメリカ局長の御答弁にありましたように、先般の衝突事故は軽微な事故であったということでありますけれども、今後それが相当大きな事故とかが起こらないということはだれも保証できない。でありますから、原子力潜水艦の、原子力艦船の人口稠密な港湾に入港することについては各国ともかなり神経質になっている。これを認めないというところもあるわけでございまして、そういう点に対して原子力委員会としては、これはもう前々から問題になっておるところでありますけれども、検討せられたことだと思いますけれども、そのまれな場合、通常の場合とかいうような、あるいは例外の場合を除いてというような表現がございますけれども、そのまれな場合に対する措置、そういうことはお考えになっていることがありますか。
  101. 藤波恒雄

    説明員(藤波恒雄君) きわめてまれな場合に出る可能性があるということに関連いたしまして、そのまれな場合の具体的例示はいかんという問題につきましては、原子力委員会といたしましても、できればそれの内容が知りたいと、こういう気持ちはあったわけでございますが、米側のほうは、それはあらかじめ予測し得ない可能性であると、こういうことであります。それからもう一つ、そういう場合に放出される量というものは、もちろん昭和三十九年当時にかわされました口上書に添付されておる声明の基準以内、すなわち具体的に申しますと、港の周辺の一般的な放射能のバック・グラウンドに変化をもたらすような程度の放出はしない。さらに砕いて言えば、国際的に、あるいは日本の安全基準に触れるような量は出さない、その範囲で行なうのであるということは当然である旨を今回も再び文書の上でも確約いたしておりますので、われわれはそれを信じておるわけでございます。
  102. 西村関一

    西村関一君 アメリカ局長にお伺いいたしますが、この覚書を取りかわす交渉の過程において、原子力艦隊の艦上における放射能の状態あるいは環境に対するモニタリング、そういったような点についての交渉があったでございましょうか。その点いかがですか。
  103. 東郷文彦

    説明員(東郷文彦君) 入港時その他の港におけるモニタリングという問題に関しましては、これは御承知のようにわが方の原子力委員会からの一つの勧告事項でございます。それはアメリカ側の参考のために説明した経緯もございます。また、向こう側のモニタリング体制に関しましては、三十九年の口上書にも書いてございますとおり、定期的にも行なう。また、入港時のモニタリングに関してはアメリカ側が責任を負う。その結果は随時わが方に通報する、こういうことで話がございました。
  104. 西村関一

    西村関一君 時間がありませんから次の問題に移りたいと思いますが、例のプエブロ号事件を契機といたしまして、本年二月五日以降、B52戦略爆撃機が沖繩に移駐し始めて、現在伝えられるところによりますと、四十数機移駐しておる、沖繩を基地として。いまベトナム和平の会談がパリにおいて行なわれておりますが、引き続いてベトナム戦線を爆撃しているという状態に対しまして沖繩住民は非常な不安におちいっている。琉球立法院はこれが撤収要求決議を何回かやっているわけでございます。本土にも陳情に参っているのでございますが、政府としては米国側に対して撤収要求をいまだに行なっていない。ただ、これ以上不安を与えることのないような特別な配慮を願うというようなことしかやっていないわけなんでございますが、これに対して、政府はこういう沖繩住民の不安に対してもっと積極的な米側に対するところの要求を出す必要があると思うのです。この点は現在どうなっておるか。
  105. 東郷文彦

    説明員(東郷文彦君) プエブロ号事件突発直後、朝鮮半島その他における韓国の米軍その他の航空機の不足を補うためにB52が沖繩に移駐して参りましたことは御承知のとおりでございます。四十数機とおっしゃいますのは、あるいは私も今日何機駐留しておりますか、正確な数字は存じませんが、四十数機は給油機その他の関連する飛行機を含めた数ではないかと思います。当時の説明でも、B52の移駐は極東の新たな緊張に対処するために取り急ぎ移駐してきたものであるということでございまして、その後の沖繩に駐在しておるB52の現在の活動と申しますか、作戦行動と申しますか、その動きについてはわれわれも逐一その詳細は存じておりません。ただ、この移駐というものは、やはり極東の緊張という問題と直接に関連するところでございまして、そこにB52が必要かどうかというのは、われわれは極東の核抑止力としての一翼をになっているわけではございませんので、直接判断する立場にはないわけでございます。極東の緊張が緩和しまして、これが撤退を許すような時期が来れば、むろん直ちに撤退するものと考えております。
  106. 西村関一

    西村関一君 ちょうどいまその時期ではないか。撤退を要求する時期ではないか。ベトナム戦線が和平に向いつつあり、パリ会談がかなり緊張はいたしておりますけれども、かなり妥結に向かって進められている。双方とも努力を重ねているという時期に、沖繩県民があれだけの強い熱意をもって、B52は帰ってもらいたい、これは与野党とも政党を越えて全県民の要求として、立法院は六回にわたって決議をしておる、立法院自体は。そういう段階で、本土にも強く要請している際ですから、この時期に政府としては、かなり強い態度米側に要求されるべきではないかと思うのです。その点、重ねて御見解を承っておきたい。
  107. 東郷文彦

    説明員(東郷文彦君) 最近二週間ほど、ベトナムの情勢に関しましていろいろ動きがあるように伝えられております。それからまたアメリカ側は、北側から信頼し得る反応の心証を得られるならばいつでも北爆をやめるということを言っておりますが、最近の動きにもかかわらず、はたしてワシントンとハノイとの話がどういう状況にあるか、なかなかつかみがたい状況でございます。われわれといたしましても、むろん先生のおっしゃいますように、双方の、特に北側の反応によって北爆の停止、さらには戦闘の中止、パリ会談における政治的進展ということを心から期待はしておりますが、そういう関係と見合ってB52をどう動かすかという問題は、これはまた先ほどから申しますように、われわれ戦闘の当事者ではございませんので、にわかに結論を下し得るものではないと考えております。むろん、そういうことができるようになる時期を期待するのは、われわれとしても当然のことでございます。
  108. 西村関一

    西村関一君 最近、沖繩におけるところの米軍人の犯罪が激化いたしております。このアメリカの軍人・軍属の沖繩住民に対する犯罪について、琉球政府にはごく限られた場合にしか逮捕権が認められていないのです。すなわち、布令第八十七号「琉球民警察官の逮捕権」によれば、琉球警察は、米官憲が現場に居合わせないときに限って逮捕することができる、逮捕したときには直ちに米官憲に引き渡さなければならないというふうになっておるのでございますが、また、琉球政府には捜査権も一切認められていない。裁判権も米軍の掌握するところになっている。このため、被害者となった沖繩住民は泣き寝入りをする場合が多いのであります。この問題は、人権上ゆゆしい問題であるとして、衆参両院における沖繩特別委員会等でしばしば取り上げられたところの問題でありまして、三木外務大臣らも、日米協議委員会で取り上げる方向で検討したいという旨を述べてまいられたのであります。今日までのところ、同協議委員会でいまだに取り上げられていないのが現状でございます。こういう問題に対しまして、最近の沖繩復帰問題研突会は、米軍人・軍属に対する刑事裁判権に関する研究報告を発表いたしました。復帰までの暫定措置として、日米地位協定第十七条の規定に近づける努力をすべきことを提案いたしております。日本政府も再三言明いたしておることでもあり、復帰問題研究会の提案を機会に、一体化施策の一環として、この問題を日米協議委員会で取り上げるようにすべきであると思いますが、いかがでございましょうか。
  109. 東郷文彦

    説明員(東郷文彦君) 私も、この沖繩における刑事裁判権を日米地位協定十七条と同じような形で、米軍当局と琉球政府との間に取りきめをすることができれば、これはたいへんな前進だと思いますが、しかしながら、地位協定は日米両方、独立と申しますか、対等な政府間の協定として刑事裁判権の分割をやっておるわけでございますが、現在の沖繩の地位は、それとは違いまして、やはり法的に申せば、米軍の施政当局と琉球政府との関係は、本土における日米政府間の関係とは違います。そのような地位協定のような形で刑事裁判権の問題を解決することは、なかなか言うべくして行ない得ないのではないかと、ひそかに考えるわけでございます。  具体的な問題につきましては、協議委員会の場を待つまでもなく、外交ルートにおきまして、われわれ、すなわち外務省、大使館というルートもございますし、その他の日米間の経路によってその改善には努力しておるわけでございます。詳しくはまた特連局のほうでいろいろ事情を御存じだと思いますが、少なくともさようないま申し上げましたような経路で、われわれの承知する限りにおきましては、現実の取り扱いなり、琉球警察当局と米軍との関係におきましても、いろいろと改善が見られているように承知しております。そのような方向に対する改善の努力は、今後ともいろいろな経路を通じて努力してまいりたいと思っております。
  110. 西村関一

    西村関一君 もうこれで終わりますが、委員長に最後に要望申し上げたい。お聞き及びのとおり、非常に重要な問題が提起されているのでございまして、本委員会におきましては外務大臣出席——きょうはよんどころない事情があったということは私も了解いたしますけれども、私は御承知のとおり、衆議院に長くおりまして、やはり沖繩特別委員会の理事をいたしておりまして、必ず閉会中の委員会でありましても外務大臣出席をしておられる。参議院だけ出られないということはないと思うので、本日は了解いたしますが、次回からはぜひとも委員長の計らいで外務大臣出席をせられるように御努力願います。
  111. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 御要望に沿うように努力いたします。
  112. 川村清一

    ○川村清一君 質問が中断されてしまいまして、すっかり気が抜けてしまいまして……。そこでこの際、委員長に私も要望申し上げたい。こういうようなことはまことに私遺憾に思いますから、委員会の運営につきましては、委員長、ぜひ今後こういうことのないように御留意いただきたいと思う。
  113. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) そのようにいたします。
  114. 川村清一

    ○川村清一君 引き続いて若干の時間質問申し上げたいと思いますが、海上保安庁のほうに質問申し上げます。  これはまた領海の問題に関連してくるわけでありますが、釧路保安部、根室保安部にそれぞれ大型の巡視船を持っておりまして、この巡視船があの海域を巡視しております。そこで海上保安庁といたしましては、領海の問題につきまして、漁民に対してどのように指導をされているか、ひとつ御説明願いたいと思います。
  115. 猪口猛夫

    説明員(猪口猛夫君) お答え申し上げます。  私たちのほうで、領土問題がまだ解決しておりませんので、この拿捕問題につきましては、漁民あるいは関係者に対しましては次のように指導しているわけでございます。御承知のように、昭和二十一年以降、先ほどもありましたように、相当の漁船が臨検拿捕されているのでございますが、過去の実績に基づきまして、歯舞色丹、国後、択捉、あるいは南樺太の沿岸につきましては、ある線まで行きますと、ソ連の監視船に漁船が臨検拿捕される線がありまして、私たちはそれを拿捕危険ラインと申しているのでございますが、その線以内に入らないようにしなさい、そのために、私たちの巡視船が北海道に十七隻配属されているのでございますが、私たちの巡視船もその危険ラインに配置いたしまして、その線以内に入る漁船に対しまして、拿捕防止の意味合いから入らないようにということで指導しているわけでございます。
  116. 川村清一

    ○川村清一君 それでは海上保安庁の巡視船は、危険ラインから以内に入りますか、入りませんか。
  117. 猪口猛夫

    説明員(猪口猛夫君) 巡視船につきましても、かつてソ連の警備艇から、その危険ライン以内に入りますと退去要求されることがございますので、国際紛争を起こさない意味におきましても、つとめてその危険ラインよりは中に入らないように努力しております。ただし漁船拿捕を防止する意味もございまして、時には中に入りまして漁船を誘導指導した例は過去に数回ございます。
  118. 川村清一

    ○川村清一君 私どもも、当委員会委員も、昨年この海域を巡視船に乗って現地視察をしたわけでございますが、その節も保安庁の巡視船はやはり危険ラインから向こう側には入らないで、日本側のほうの海域を航行して、その船上からわれわれはずっと向こう側を視察をしたと、こういう経験を持っておるわけであります。そこで私は非常に納得いきかねる。日本政府はあくまでも領海三海里ということをまあ主張して譲らないわけです。変わらないわけです。そしてソ連政府は十二海里ということを宣言しているわけです。しかし日本政府はそれを認めないわけです。認めないんですから、当然法的にはそこへ行っても拿捕されるなんていうことは、これは考えられないのであります。拿捕されるとするならば、それは不当拿捕なんです。しかし、それは日本政府だけがそう思っておって、向こうのほうはそう認めておらないわけです。国の巡視船でさえ危険ラインから向こうに入っていかないんです。そうすると実際的には国も認めているということになる。現実の問題として国も、ソ連の十二海里というものをこれは認めない、認めないと言っても認めておる。認めているから国の巡視船でさえその危険ラインから中に入っていかないわけなんです。非常に矛盾を感ずるわけでありますが、この点をもう少し明快に、外務省でもよろしゅうございますし、水産庁でもよろしゅうございますし、あるいは総理府でもよろしゅうございますから、はっきりとひとつ御答弁願いたいと思います。
  119. 有田圭輔

    説明員有田圭輔君) 御指摘のとおり、たいへん割り切れない感じがいたします。ただ、先ほども領土問題のときにいろいろ話が出ましたように、日本政府といたしましては、この北方諸島の国後、択捉、歯舞色丹は、これらは日本の固有の領土であるということで、ただいま事実上ソ連側がそこを占拠しておりますが、それはあくまでも日本側領土として返還交渉を続けておる次第であります。また領海につきましては、やはり同様に、御指摘のように、日本は三海里説、ソ側は十二海里説ということで食い違っております。したがいまして、その間の水域につきましては紛争の起こる危険が非常にありますので、この法的な立場はそうでありますが、事実関係で申し上げますと、やはりソ側は相当の実力を持っておりますし、また、その水域の中では、われわれは不当拿捕と言うし、向こうは不当拿捕じゃない、向こうの国境警備隊の規則を犯したからこれは捕えると、このように申しておるわけでございまして、日本政府といたしましては、なるたけ紛争を回避し、また事件が起こらないというような大局的な立場から、事実上の措置としていろいろの措置をとっておるわけでありますが、だからといって、ソ側の措置を妥当とし、われわれが満足しているという事態ではありません。したがって、モスクワにおきましても、あるいは東京におきましても、ソ側と接触するたびごとにこの問題を提起して、向こう側の反省を促しておる次第であります。  われわれの感情から申しますと、この北方水域のこの問題は、やはり日ソ間の安定した親善関係を発展させるための一番の障害であると考えている次第でありまして、かりにソ側が引き続き日ソ関係を発展させると希望するならば、この問題は早晩解決しなければならない問題だというふうに向こう側も考えることも、われわれとしては期待しております。したがって、われわれとしては引き続き強力にこの点の不合理を先方に指摘いたしまして事態の改善をはかっていきたいと、このように考えております。
  120. 川村清一

    ○川村清一君 私はこの問題は、法理論的にも必ずしも立証されておらないと思います。と申しますのは、御承知のように昨年第八北島丸事件が起きているわけであります。第八北島丸がソ連領海内において密漁をやったと、そこでこれは日本の漁業法違反であると、国内法違反であるということでこれは検挙されまして、これは裁判問題になったわけです。その結果、釧路地方裁判所の判決は、これは行政権の及ばないところである。すなわちこれはソ連領海と認めているのじゃないですか、実際問題として法的に。でありますからこの領海においては日本の国内法は適用されないということで、無罪判決がなされているではありませんか。これは重大な問題であるということで検事控訴となって、現在札幌高裁においてこれはなお裁判中である。まあ結論が出ませんから、ここでしつこく触れませんけれども、こういうように、法理論的にもこれは必ずしもこの問題は立証されないと思っているのです。  ですから私の言いたいことは、何もソ連の言っていることを、主張を認めて言っているのではないのです。日本政府は三海里だと主張する。当然で、日本漁民は、いわゆる三海里から外は公海なんですから、公海漁業の自由の原則に基づいて操業しておる、これは何も法違反ではないわけです。それみな拿捕される、拿捕されて船体は没収、乗組員は抑留、そして家族は非常に生活上の苦しみを受けておるという、こういう実態にあるわけでしょう。ですから、もし政府が三海里ということをあくまで主張しておるならば、法の違反も何もしないで迷惑を受けているこの漁民がもし拿捕されたとしたならば、当然その損害は政府でもって補償してやらなければならないですよ。その家族の援護措置は、政府は責任を持って見てやらなければならないでしょう。私はそう思うのですが、これに対してどうでしょうか。総理府の山野局長答弁してください。
  121. 山野幸吉

    説明員(山野幸吉君) お答えいたします。  拿捕された漁民並びにその家族のいろいろ生活上その他物心両面のお苦しみ、被害に対しましては、これは国内法でもってできる限りの援護措置を現在も実施されておるし、なお現在の措置で足らない面については、今後もひとつ慎重に検討して、十分その措置が果たされることを私どもは検討していかなければならないと考えます。
  122. 川村清一

    ○川村清一君 それじゃ重ねて局長にお尋ねしますが、拿捕された方々、その家族に対してどのような措置——あなたはされておると言うが——具体的にどのような措置をされておるのか、ここではっきりひとつお聞かせいただきたい。
  123. 森沢基吉

    説明員森沢基吉君) 水産庁からお答えいたします。  いま山野局長の言われました内容でございますが、これは日韓の場合にもございましたけれどもソ連関係拿捕につきましては、その救済措置といたしまして、昭和三十四年の五月に閣議の決定に基づきまして、中国大陸及びソ連海域における抑留漁船員、乗組員に対する救済措置と、こういうものが決定をされまして、抑留期間が六十日以上に及びます場合におきましては、その留守家族に対しまして見舞い金を政府のほうから差し上げるという措置になって現在もやっております。その額は月額一万円でございます。さらに、抑留中の死亡がありましたときには、特別交付金として七万五千円という措置が現在行なわれております。さらに、これは政府じゃございませんが、北海道庁におきましては、留守中の見舞い金のほかに、さらに上乗せをして、道自体でも万円を支給しておられるという措置をとっておられますが、こういう問題と、それからもう一点は、いま御指摘のような事情がございますので、漁船拿捕に対しましては、漁船損害補償法という法律がございまして、これは一般の海難事故等に対します普通保険と、いま御指摘のような、拿捕等によります場合の異常に備えまして、特殊保険制度というのがございます。こういう保険によりまして、そういう不幸な事故が起きた場合には漁船に対して保険をする制度があり、政府がこれは再保険を行なっております。それから乗組員に対しまして、やはり船主としては俸給を払うわけでございますので、拿捕等におきまして事故が起きた場合におきましては、漁船乗組員給与保険法という法律がございまして、抑留中の漁船員に対して俸給を支払うことが円滑にできるような措置をとる法律で現在行なっております。これに対しましても政府が九割の再保険を行なっております。
  124. 川村清一

    ○川村清一君 まあ、水産庁の次長はよく御存じだと思いますけれども、この海域には、根室沿岸には引き揚げ者であるとか、とにかく零細な漁民がたくさんいるわけですね。それで、この引き揚げ零細漁民は、どこへ行くと魚がいるかよく知ってるわけですわ。船は小さいですし、したがって、今度拿捕された船はタラはえなわ漁船ですけれども、もっと小さなものになりますと、コンブあるいはホタテあるいはカニ、エビなんていうような底住み魚類をとって細々と生活しておる。そうすると、そういう底住み魚類というのは、御承知のように、ずっと島の岸へ行かないとないわけですから、彼らはもと千島におって、どの島のどこへ行くと何がいる、それをとるとわれわれの生活は楽になる、過去の経験をもってよく知ってるわけですから、行くなと言っても島の岸へ行かざるを得ないわけですわ。この点は十分考えてやらなければならないことだと思うのです。  しかし、まあ私考えると、法と行政とはやっぱり一致しなければならないものじゃないですか。外務省欧亜局長、そうでないですか。法と行政は一致しなければならないですか。法では行ってもいいわけなんですよ。ところが行政的には、水産庁海上保安庁も、行くなと禁止はしないでしょう。行くなとは禁止しないけれども、行かないようにしてくれと指導する。保安庁の船がこれを見つけると、帰れ帰れと帰してしまう。法的には行っていいんです。堂々と行っていいんです。ところが、実際問題としては、これは法がそうなってますから、行ってはいけないと禁止はしない。行ったら処罰するぞということはできないけれども、行くな、行くなと追い返しちまう。たまたま日本の監視船の目をのがれて行ったのがつかまる。日本の監視船の目をのがれ、向こうの監視船につかまったのがつかまっておる、こういうのが実情なんです。ですから、そういう損害を受けた漁船に対しては、もっともっとあたたかい援護措置が必要ではないか。  時間がありませんから最後にお尋ねしますが、これは外務省のほうにお伺いします。これは外務大臣がおられなくて残念でございますけれども領土返還が実現すれば、この問題は全部解決するわけです。北方領土復帰すれば、こういう安全操業の問題なんか全部解決するわけです。ですから、北方領土返還は望んでおるわけです。しかし、ここで長らく議論をしなくてもわかるように、非常にむずかしい問題である。むずかしいけれども、われわれはどんな困難があっても、忍耐強くやはり折衝しながら、何年かかるかわからないけれども領土復帰は、これは必ず実現しなければならないでしょう。それに対して私は異存がない。しかしながら、二十年後になるか、五十年後になるか、百年後になるかわからない。その期間この安全操業の問題をどうするかという問題なんですよ。前にはこの問題について赤城試案という一つの具体案が出てきた。昨年は三木さんがソ連に行ってコスイギン首相と話し合って、何か具体的な問題が展開されるのではないかという一つの明るい徴候をわれわれは見出したような気持を持った。しかし、何もいまだに出てきておらない。ですから、外務省の基本的な考え方としては、この北方領土領土問題と安全操業、こういうものをどういうふうに結びつけて考えていくか。領土問題が解決されれば全部私は解決されると思うのですが、それまでこの安全操業というものをたなざらしにしておくのか、領土問題は領土問題として折衝していくけれども、長い時間がかかる。それまでの間に安全操業の問題は何とか解決するという、こういうかまえでもってこの問題を解決しようとなされておるのか。その基本的な一つの考え方を明らかにしていただきたい。
  125. 有田圭輔

    説明員有田圭輔君) 政府といたしましては、当然、安全操業の問題はきわめて緊急な問題でございますから、できるだけソ側と折衝を進めて、一歩一歩できるだけ早い機会にこの問題を解決したいと、このように考えております。
  126. 川村清一

    ○川村清一君 最後に、これは要望だけでございますが、まず外務省のほうに対しましては、今回九月二十八日に起きた事件について、今後再びこういうような銃撃をするといったような、そうして乗組員を負傷させるといったような、こういう事件が起きないように、十分ひとつソ連当局と交渉してもらいたいということ。  第二点は、この事件によって十七人の乗組員が拿捕されております。この中では負傷したといわれておるのが一名、さらには五十八歳の高齢者も含まれておるわけです。本人はもちろん、留守家族の精神的な打撃は非常に大きなものがございます。したがって、ひとつ力を尽くして、乗組員の早期釈放と拿捕漁船返還が実現されるように積極的な措置をしていただきたい。これを要望いたしますし、それから総理府に対しましては、先ほど長官にも申し上げましたが、長官も山野さんも、今度十一月一日に千島会館の新築落成式にお出になられるそうでありますが、これはけっこうなことだと思うのです。しかし、それじゃ、前々から私山野局長に二度ほどお尋ねして、きょうも山野局長の御答弁をちょっと聞いていると、このき引揚げ者や海域の人たちに、どういう援護措置をなされているかという質問に対しまして、あなたが具体的に答えられているのは、千島会館建設——千島会館というのは建物なんですよ、建物建てたって、そんなもの、引き揚げ者やその辺の住民はちっとも、集まって会議をする場所になりますけれども生活が豊かになるといったようなことにはならないわけですよ。したがって、どういう措置をなされたかということになれば、もっと具体的に、直接彼らの生活向上のためにこうこうこういう措置がなされたということをここで説明されなければ、われわれは納得できないですよ。で、そこでまた私は、それじゃ四十四年度の予算要求を、大蔵省にどういう問題を要求されておるかというところまで突っ込んで聞きたいのですが、きょうはそれはいたしません。また今度の機会に、ほんとうにるる山ほどの問題をお尋ねしますから、ひとつ十分今回行って現地を見てきてください。それから委員長にも、そういう時間を十分にとるようにしていただきたい。  以上で終わります。
  127. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) はい、十分とります。  以上をもちまして、本調査に関する本日の質疑は一応この程度とし、本日はこれにて散会いたします。   午後四時三十一分散会