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説明員(
高田勇君) では、
消防庁から、去る十一月二日午前二時三十分に
発生いたしました
有馬温泉池之坊満月城における
火災の
概要について御報告させていただきたいと存じます。
お手元にお配りいたしました
火災の
資料に基づいて御
説明させていただきたいと存じます。
火災の
発生の時刻は十一月の二日、午前二時三十分ごろと推定されております。そして、それを覚知いたしましたのが、約三十六分たちました三時六分。
有馬出張所に、一一九番の連絡をもって、
消防機関が初めて覚知いたしましたのが三時六分でございます。後ほど御
説明申し上げますが、それから、まっ先に
有馬出張所が
現地に到着いたしましたのが、その四分後の三時十分となっております。それから鎮火が五時四十五分。二時間四十五分弱燃えておったわけでございます。
発生場所は
池之坊満月城、兵庫区の
有馬温泉地区の
旅館でございます。
それで
死傷者は、
死者が三十名、
傷者が四十四名となっておりまして、
温泉関係の戦後の
旅館火災といたしましては、
昭和四十一年に
発生いたしました群馬県の
水上温泉の
菊富士ホテルにおける
火災が
死者三十名でございましたが、
傷者において二十九名でございますので、このほうが、残念なことに、
傷者は四十四名となって、
旅館火災としては戦後
最大となってしまったわけでございます。
原因につきましては、
地下一階の
本丸と仁王殿の
境界部分のうちの
サービス室付近を
中心として
調査いたしておりますが、いろいろ言われておりますが、正確なるところは目下
調査中でございます。
それから、
焼失面積につきましては、六千六百三十平米、これはその次に書いてございます
満月城の
概要で、
延べ面積が一万一千二百四十平米となっておりますが、大体その半分、二分の一強が
焼失いたしたと、こういう形に相なっております。
それから、その
焼失前の
満月城の
概要でございますけれ
ども、
鉄筋コンクリート造と一部
鉄骨耐火造、それと
木造、こういうふうな
構造になっておりまして、地上三階、一部が四階、
地下が二階と、こういう形になっております。そして
木造部分が三十五年以前に建ちました古いものでございます。それから
本丸、
資料の一番最後に表を図でお示ししておりますけれ
ども、この図のところに、
本丸と
天守閣とございますが、
本丸と
天守閣を除きました
部分は三十五年に建設いたしております。それから、
天守閣と称するところが三十九年、
本丸と称するところが四十年の建設になっております。こうして次々と継ぎ足して建てていった
部分は
木造部分とつなげておりました
建築物となっておりましたものでございます。
それから
収容人員は八百六十五名。非常な
最盛期では詰めますと千名弱ぐらいを詰めることができる
収容能力を持った
旅館でございます。
出火当時の
宿泊者は二百五十名で、これは金曜日でございました。これが一日おくれた土曜日であったとすると、非常に悲惨なことになったと思います。それから
出火当時
宿泊従業員は六十名、こういう
状況でございます。
それから
出動の
状況でございますけれ
ども、これは先ほど申しましたように、三時六分に
最初に
有馬出張所が
出動いたしまして、これが
現地に到着いたしましたのが、その四分後の十分ということで、その後、
北神分署、
灘本署、
消防局と、続々第三、第四
出動をいたしまして、
消火に当たった
ポンプ車十九台、
救急車二台という形で
消火活動を行なったわけでございます。
次に、このような惨事を招きました
要因として考えられるものはどういうことが考えられるかと申しますと、
火災の発見及び
通報がきわめておそかったということをそこにあげざるを得ないわけであります。これは
火災が
発生いたしましたのが二時三十分ごろ、それから
消防機関に通知されたのが三時六分でございますので、一般人が一一九番に電話するまで
通報がなかったということでございます。
それから、
夜間における
防火管理の
態勢がきわめて不備であったということをあげざるを得ないと存じます。これは、発見した人がすぐに館内に知らせないで、外の
従業員宿舎のほうに走っていって、そしてその間にどんどん
火災が広がってしまったということで、
夜間における
火災の
発生した場合において、これだけの
収容を擁する
旅館としては、
夜間における
防火管理の
態勢、
火災発生時における
避難の
誘導態勢がきわめて不備であったということがあげられようかと存じます。
それから、
発生いたしました後の
内装材料、これが
不燃性の
材料でなかった、いわゆる煙の量が多かったということから火の回りが早かったのではないかと考えられます。しかし、これは現実にはなかなか燃え尽きてしまったものでございますので、確認ということが非常に困難でございますが、こういうふうなことが考えられております。
それから
自動火災報知設備が設けられておらなかった。これは後ほどにもお書きいたしておりますけれ
ども、再三にわたります
消防当局の
警告にもかかわらず、
自動火災報知設備というものが長年にわたって設けられていなかったということが、
消防法令上の義務として設けられなければならないものが長い間設けられていなかった、自動的に
火災を予報する
設備がなかったということが、早く
避難誘導することができなかった
要因、
原因ではなかったかというふうに考えられます。
それから、
避難経路の
案内も
避難誘導もなされなかった。これは先ほどの(2)のところの
夜間における
防火管理態勢と考え方は同じでございますが、
避難経路の
案内ということも、昼間の間にも、常に
宿泊者に対し、
宿泊時における
経路の
案内、それからそのときにおける、
夜間における
避難誘導の
態勢というものもその前になされておらなかったということでございます。
それから
消防、
建築関係の
法令違反というものが、
消防法関係では、先ほど申し上げました
自動火災報知設備、それと
電気火災警報器、それから
避難設備基準の不適合ということがございます。それから
建築基準法関係では、無
届け建築もございますが、目下
建設省で
調査されていることでございます。
それからその次は、先ほど申しました戦後の多数の
死者を出しました
火災をずっとあげたわけでございますが、
旅館火災といたしましては、戦後
最大ということは先ほど申し上げましたとおりでございます。それでここのところは省略させていただきたいと存じます。
それで一一ページ以降にまいりまして、
旅館、
ホテルの
火災予防につきまして、最近
消防としてとっておりました
措置について若干触れさせていただきたいと存じます。
これは
消防用の
設備等について、一昨年、四十一年の三月、あるいはその前の一月に川崎の
金井ビル、あるいは三月の
水上温泉の
火災等もございましたので、
旅館、
ホテルにおける
避難器具を
設置しなければならないということで、それを
強化いたしました。
法令上
施行令を改正いたしまして
強化いたしました。
それから、
防火管理の
管理者というものが
法令上置かれておりますが、これの
権限を
強化いたしまして、いろいろ
避難口とかあるいは
階段とか、
避難のために使います
建築構造上あるいは
設備上あるいは
消防用設備等について、それが一
たん緩急のときに確実に作動し得るような
管理の
態勢の
責任者の
権限を強めたということでございます。
それから
避難経路の
案内の徹底についても、再三にわたり、
火災予防運動を
契機にこれを
実施いたして、
実施当初にはわずか六万八千の
対象旅館のうち二七%がやっておったにすぎないのが、最近にはもっと向上しているものと確信しております。
それから最近、ことしの年度当初にも非常に
火災が多くあったので、
ビルに関して、
ビル火災等について
避難の点を
中心として
点検を全国的に一斉にやれということも
指示し、
有馬地区についても実際にこれを行なった結果というものをこの一三ページ以下にお示ししているところでございます。
それから、その
火災後とりました
措置について、どういうことをとったかと、これについて御
説明申し上げたいと存じます。
まず、
当該火災を起こしました
満月城に対しまして、その残った
残存部分がございますので、先ほど一万一千のうち六千六百と申しまして残った
部分もございますので、これに対しては、
消防法によります、
五条による
使用の
停止の
命令、それから、今回
火災を起こしましたことについて
消防用の
設備等の
設置の
違反があったということから、
消防法の十七条の四によります
措置命令に
違反する
告発ということを、その
点神戸の
消防署がこの
措置をとっております。それから、この
事故を
契機といたしまして、再び全国的に一斉の
点検を行なう。その場合に、特に必要があるものについては、やはり十七条の四、あるいは
消防法の
五条によります
使用の
停止の
命令というものを
ちゅうちょなくかけることを
検討しなければいけないということを、
通達で、
長官名で、これ四日付で出したところでございます。
それから、
法令上の
措置として当面とるべきものとして考えておりますのは、まず、煙によって感知することが必要であるということから、煙のほうが熱よりも早く感知する
場所もあるということから、
煙感知機の開発、この
設置を
法令に義務づけするということ、それから
避難の際に必要な
誘導灯あるいは
誘導標識の
整備をはかり、あるいは
非常警報上の装置の
整備をはかるというようなことを考えております。
建設省におきましても
内装制限その他について当面とるべき
措置についてお考えいただき、私
どももこれと常に協議いたしながらこれを考えてもらっておるところでございます。
概略でございましたので簡単でございましたが、御
説明を終わらせていただきたいと存じます。