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1968-11-12 第59回国会 参議院 運輸委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年十一月十二日(火曜日)    午前十時三十三分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         谷口 慶吉君     理 事                 江藤  智君                 岡木  悟君                 重政 庸徳君                 吉田忠三郎君     委 員                 佐田 一郎君                 沢田 一精君                 菅野 儀作君                 平島 敏夫君                 前田佳都男君                 木村美智男君                 瀬谷 英行君                 藤田  進君                 三木 忠雄君                 中村 正雄君                 市川 房枝君    国務大臣        運 輸 大 臣  中曽根康弘君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        大蔵省関税局監        視課長      鈴木 邦一君        運輸省鉄道監督        局長       町田  直君        運輸省航空局長  手塚 良成君        消防庁予防課長  高田  勇君        日本国有鉄道常        務理事      湯川 龍二君    参考人        日本航空株式会        社専務取締役   朝田 静夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査   (観光に関する件)   (航空に関する件)   (日本国有鉄道の運営に関する件) ○参考人出席要求に関する件     —————————————
  2. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  運輸事情等に関する調査を議題といたします。  まず、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  運輸事情等に関する調査のため、本日の委員会参考人として日本航空株式会社専務取締役朝田静夫君の出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) まず、観光に関する件について調査を行ないます。  有馬温泉旅館火災について、消防庁当局から発言を求められておりますので、これを許可いたします。
  5. 高田勇

    説明員高田勇君) では、消防庁から、去る十一月二日午前二時三十分に発生いたしました有馬温泉池之坊満月城における火災概要について御報告させていただきたいと存じます。  お手元にお配りいたしました火災資料に基づいて御説明させていただきたいと存じます。  火災発生の時刻は十一月の二日、午前二時三十分ごろと推定されております。そして、それを覚知いたしましたのが、約三十六分たちました三時六分。有馬出張所に、一一九番の連絡をもって、消防機関が初めて覚知いたしましたのが三時六分でございます。後ほど御説明申し上げますが、それから、まっ先に有馬出張所現地に到着いたしましたのが、その四分後の三時十分となっております。それから鎮火が五時四十五分。二時間四十五分弱燃えておったわけでございます。  発生場所池之坊満月城、兵庫区の有馬温泉地区旅館でございます。  それで死傷者は、死者が三十名、傷者が四十四名となっておりまして、温泉関係の戦後の旅館火災といたしましては、昭和四十一年に発生いたしました群馬県の水上温泉菊富士ホテルにおける火災死者三十名でございましたが、傷者において二十九名でございますので、このほうが、残念なことに、傷者は四十四名となって、旅館火災としては戦後最大となってしまったわけでございます。  原因につきましては、地下一階の本丸と仁王殿の境界部分のうちのサービス室付近中心として調査いたしておりますが、いろいろ言われておりますが、正確なるところは目下調査中でございます。  それから、焼失面積につきましては、六千六百三十平米、これはその次に書いてございます満月城概要で、延べ面積が一万一千二百四十平米となっておりますが、大体その半分、二分の一強が焼失いたしたと、こういう形に相なっております。  それから、その焼失前の満月城概要でございますけれども鉄筋コンクリート造と一部鉄骨耐火造、それと木造、こういうふうな構造になっておりまして、地上三階、一部が四階、地下が二階と、こういう形になっております。そして木造部分が三十五年以前に建ちました古いものでございます。それから本丸資料の一番最後に表を図でお示ししておりますけれども、この図のところに、本丸天守閣とございますが、本丸天守閣を除きました部分は三十五年に建設いたしております。それから、天守閣と称するところが三十九年、本丸と称するところが四十年の建設になっております。こうして次々と継ぎ足して建てていった部分木造部分とつなげておりました建築物となっておりましたものでございます。  それから収容人員は八百六十五名。非常な最盛期では詰めますと千名弱ぐらいを詰めることができる収容能力を持った旅館でございます。出火当時の宿泊者は二百五十名で、これは金曜日でございました。これが一日おくれた土曜日であったとすると、非常に悲惨なことになったと思います。それから出火当時宿泊従業員は六十名、こういう状況でございます。  それから出動状況でございますけれども、これは先ほど申しましたように、三時六分に最初有馬出張所出動いたしまして、これが現地に到着いたしましたのが、その四分後の十分ということで、その後、北神分署灘本署消防局と、続々第三、第四出動をいたしまして、消火に当たったポンプ車十九台、救急車二台という形で消火活動を行なったわけでございます。  次に、このような惨事を招きました要因として考えられるものはどういうことが考えられるかと申しますと、火災の発見及び通報がきわめておそかったということをそこにあげざるを得ないわけであります。これは火災発生いたしましたのが二時三十分ごろ、それから消防機関に通知されたのが三時六分でございますので、一般人が一一九番に電話するまで通報がなかったということでございます。  それから、夜間における防火管理態勢がきわめて不備であったということをあげざるを得ないと存じます。これは、発見した人がすぐに館内に知らせないで、外の従業員宿舎のほうに走っていって、そしてその間にどんどん火災が広がってしまったということで、夜間における火災発生した場合において、これだけの収容を擁する旅館としては、夜間における防火管理態勢火災発生時における避難誘導態勢がきわめて不備であったということがあげられようかと存じます。  それから、発生いたしました後の内装材料、これが不燃性材料でなかった、いわゆる煙の量が多かったということから火の回りが早かったのではないかと考えられます。しかし、これは現実にはなかなか燃え尽きてしまったものでございますので、確認ということが非常に困難でございますが、こういうふうなことが考えられております。  それから自動火災報知設備が設けられておらなかった。これは後ほどにもお書きいたしておりますけれども、再三にわたります消防当局警告にもかかわらず、自動火災報知設備というものが長年にわたって設けられていなかったということが、消防法令上の義務として設けられなければならないものが長い間設けられていなかった、自動的に火災を予報する設備がなかったということが、早く避難誘導することができなかった要因原因ではなかったかというふうに考えられます。  それから、避難経路案内避難誘導もなされなかった。これは先ほどの(2)のところの夜間における防火管理態勢と考え方は同じでございますが、避難経路案内ということも、昼間の間にも、常に宿泊者に対し、宿泊時における経路案内、それからそのときにおける、夜間における避難誘導態勢というものもその前になされておらなかったということでございます。  それから消防建築関係法令違反というものが、消防法関係では、先ほど申し上げました自動火災報知設備、それと電気火災警報器、それから避難設備基準の不適合ということがございます。それから建築基準法関係では、無届け建築もございますが、目下建設省調査されていることでございます。  それからその次は、先ほど申しました戦後の多数の死者を出しました火災をずっとあげたわけでございますが、旅館火災といたしましては、戦後最大ということは先ほど申し上げましたとおりでございます。それでここのところは省略させていただきたいと存じます。  それで一一ページ以降にまいりまして、旅館ホテル火災予防につきまして、最近消防としてとっておりました措置について若干触れさせていただきたいと存じます。  これは消防用設備等について、一昨年、四十一年の三月、あるいはその前の一月に川崎の金井ビル、あるいは三月の水上温泉火災等もございましたので、旅館ホテルにおける避難器具設置しなければならないということで、それを強化いたしました。法令施行令を改正いたしまして強化いたしました。  それから、防火管理管理者というものが法令上置かれておりますが、これの権限強化いたしまして、いろいろ避難口とかあるいは階段とか、避難のために使います建築構造上あるいは設備上あるいは消防用設備等について、それが一たん緩急のときに確実に作動し得るような管理態勢責任者権限を強めたということでございます。  それから避難経路案内の徹底についても、再三にわたり、火災予防運動契機にこれを実施いたして、実施当初にはわずか六万八千の対象旅館のうち二七%がやっておったにすぎないのが、最近にはもっと向上しているものと確信しております。  それから最近、ことしの年度当初にも非常に火災が多くあったので、ビルに関して、ビル火災等について避難の点を中心として点検を全国的に一斉にやれということも指示し、有馬地区についても実際にこれを行なった結果というものをこの一三ページ以下にお示ししているところでございます。  それから、その火災後とりました措置について、どういうことをとったかと、これについて御説明申し上げたいと存じます。  まず、当該火災を起こしました満月城に対しまして、その残った残存部分がございますので、先ほど一万一千のうち六千六百と申しまして残った部分もございますので、これに対しては、消防法によります、五条による使用停止命令、それから、今回火災を起こしましたことについて消防用設備等設置違反があったということから、消防法の十七条の四によります措置命令違反する告発ということを、その点神戸消防署がこの措置をとっております。それから、この事故契機といたしまして、再び全国的に一斉の点検を行なう。その場合に、特に必要があるものについては、やはり十七条の四、あるいは消防法五条によります使用停止命令というものをちゅうちょなくかけることを検討しなければいけないということを、通達で、長官名で、これ四日付で出したところでございます。  それから、法令上の措置として当面とるべきものとして考えておりますのは、まず、煙によって感知することが必要であるということから、煙のほうが熱よりも早く感知する場所もあるということから、煙感知機の開発、この設置法令に義務づけするということ、それから避難の際に必要な誘導灯あるいは誘導標識整備をはかり、あるいは非常警報上の装置の整備をはかるというようなことを考えております。建設省におきましても内装制限その他について当面とるべき措置についてお考えいただき、私どももこれと常に協議いたしながらこれを考えてもらっておるところでございます。  概略でございましたので簡単でございましたが、御説明を終わらせていただきたいと存じます。
  6. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) それでは、本件に対する質疑を行ないます。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  7. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 昭和四十一年の三月二十九日、参議院運輸委員会で、やはり水上温泉菊富士ホテル火災問題について質問が行なわれております。木村委員から克明に質問が行なわれておって、政府委員から答弁があるのですけれども、当時の中村大臣からは、今後このような悲惨な事故の起こらないように鋭意努力をして関係各省庁との間に一つの機関をつくって対策を立てようといったような答弁があるわけです。しかし、この菊富士ホテルのとき以上の犠牲者が出ているわけなんですが、いまお聞きしますと、消防法違反ということもあった、基準法違反については目下調査をしていると、こういうことなんですが、この従業員誘導がよろしきを得なかったとかどうとかいうことは、火災のときには人間というのは、お客もあわてるでしょうけれども従業員だって人間だからあわてることは同じなんだ。そううまい措置ができるかどうかということは、期待してもしようがない。だからやはり、火事になってもうまく逃げられるような構造にしておくこと、それから火災がすぐにわかるようなしかけを考えておくという点で、基準法なり消防法なりというものがちゃんと守られているかどうかを査察しておく必要がある。で、その法に従わない場合には営業させない。あるいは営業させる場合にも、玄関のところに、ここの旅館消防法違反をやっておって火災の際には非常に危険である、お客はそれを承知で泊まってくれとか、何かそういうような方法でもって警告をする。何らかの方法を講じないと、法令違反が行なわれても何となくそのまま見過ごされるということであれば、この種の事故あとを断たないと思うのですけれども、この法違反に対する制裁措置なりあるいは事故防止の具体的な方法について、政府としてはどのような措置を講じたらいいとお考えになるか、その点をお伺いしたいと思います。
  8. 高田勇

    説明員高田勇君) 従業員誘導がどうとか、それはなかなか期待できないから、設備あるいは構造の面であらかじめ担保して、そのための査察というものを強化しておくべきだということは、確かに先生のおっしゃるとおりだと存じます。私どものほうでも、まず基本的にはそういったことをさせるべきじゃないだろうかということで、設備あるいは構造の面のこれは法令上の強化をいたしますとともに、それを具体的に活用できるような態勢というものをふだんからつくっておく必要があるのではないかということで、その一環といたしまして、先ほど御説明申し上げました中で、避難態勢旅館に着いたらすぐにこの設備というものは、有効活用する方法はこうだ、避難経路は、この部屋から非常口に出る一番最短の経路はこの経路だということを旅館等で先に案内する、そういうようなことも必要だと考えております。それから、消防関係としましても、その点の査察構造設備の面についての査察ということを強化するということは、これは確かにもっとやらなきゃいけない必要性があろうかと存じます。それで、その査察というものをやった場合に、その査察というものがむだにならない、効用を発揮させる手段というものも考えなければいけないのではないかということも十分検討しなければいけないということでございます。それで目下、そういうようなことにつきまして私どもでも、大臣からも強い指示もございまして、各省関係、文部省、運輸省建設省、労働省、それと私どもということで、各省でそういった旅館対策について何か査察というものを活用できるようなことも考えていかなければいけないというので協議会を発足いたしまして、すでに第一回目を行なって、第二回目についても目下検討をいたしておるという段階でございます。
  9. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 前回水上火災事故あと委員会質疑、これを議事録をもう一度読み返して見たんですけれども、同じことを繰り返すのはほんとうにつまらないことなんですけれども、結局前回指摘をされたことが今回もやはり現地では守られなかったということになるわけですよ。大臣答弁の中では、お客さんがたくさん泊まったときに、一日に一回ぐらい退避のための訓練をやる、お客も、従業員も一生懸命に訓練をやるというような話もあるのですけれども、宿屋に泊まりに行って、一番最初退避訓練か何かやらされたんでは、これはなかなかどうも容易じゃないと思うんですよ。だからそういうことは、毎日毎日退避訓練なんかやったんではお客が来なくなってしまう。だから、こういうことは実際に行なえればいいかもしれないけれども、実際問題としてなかなかむずかしいことだと思うから、それよりも構造上の問題、火事になった場合にどこへ逃げていいかわからないような構造、そういうような構造上の欠陥というものは指摘して直させなきゃいかぬ。それから、消防法違反などというものも見のがしちゃならぬと思う。もし、それが指導しても、警告しても旅館が言うことを聞かない、実施をしてないという場合に、遠慮なく営業停止、そのくらいの処分をしないと、私は徹底しないんじゃないかと思うんです。そこまでできないのかどうか、この点をお伺いしたいと思うんです。
  10. 高田勇

    説明員高田勇君) この事故をさらに契機といたしまして、先ほど御説明の中でちょっと触れましたけれども消防庁長官名をもちまして、都道府県知事にあて、四日に、避難警報、その他の消防用設備のみならず、建築物構造設備も含めた防火対策全般に対して、再度一斉点検実施するようにされたい、それでその場合に、点検について、欠陥が認められた場合に、その改善を確実に行なわせるようにし、そのため必要があるときには、消防法第十七条の四ないしは五条の規定による措置命令あるいは使用停止というものもかけ、場合によっては告発措置ちゅうちょなくかけろということを、再度と申しますか、強い通達を十一月四日付で出しております。いままでは、確かに若干根気強く行政指導をして改善をさせるというところに主眼点を置きまして、根気強くやってきたということは事実でございます。ただその場合に、根気強くということも、やっております過程において、今回りような悲惨なる大事故が起きるということもありましたので、やはりそれと並行して、こういう場合によって強い措置というものも当然とるべきであるというようなことを、再度今回の事故契機といたしまして長官名通達いたしたところでございます。
  11. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 その強い措置でもって通達を出すのはいいけれども、それが確実に守られているかどうかが問題だと思う。通達は出ているけれども、実際問題として消防法違反だ、設備の点で不十分だ、基準法違反だ、だからあなたのところは、それが直るまでは営業停止だというようなことは実際に行なわれた例はないでしょう、まだ。そういう例はあるのですか。
  12. 高田勇

    説明員高田勇君) 従来の例といたしましては、先ほどちょっと触れましたように、根気強い行政指導査察は非常によく消防機関では繰り返し行なっております、全国で。ただその場合に、改善——悪い個所が発見されました場合には、根気強い改善指導ということを行なってまいりたいというのが主たる実態でございます。したがって、そういったことで使用の禁止をしたという例はほとんどございません。御指摘のとおりだと存じます。その点も、今回は必要がある場合には、この措置命令、あるいは使用停止、あるいは告発という措置等もちゅうちょなくかけろということを通達いたしたわけでございます。したがって今回この通達というのは、従来の方針が若干その意味においては強化——強化と申しますか変更、強化されたというふうに考えております。
  13. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 それじゃ別の問題もあわせてお伺いしたいと思うんですがね。たとえば旅館等に対して、きめられたことを守らない場合には、これはもう営業停止をする、これは警告をするだけではなくて実際に営業停止する、そのくらいの措置は講じなければならないけれども、いままでは行なわれていないというんでしょう、具体的には。それじゃやはりわかりましたといって頭を下げて、結果的には何もしない、ずるずるべったりということはあり得るわけでしょう。それでは何にもならぬと思うのです。だからそれは今後そういうことは強権をもって——事が人命に関することなんだから、強権をもって、もうどうしても消防法違反建築基準法違反、要するに法に触れるという場合には、強権をもってこれはもう完全に工事ができるまで、設備ができるまでは仕事をさせない、営業をさせないというくらいの思い切った措置ができるのかどうか、それをやらなければ何にもならぬと思うのですよ。実際問題としてそれができるのかどうかということをひとつお伺いしたいということと、それから、たとえばこれは旅館だけじゃなくて、ほかの建物でも問題はあると思う。たとえば議員会館がそうです。議員会館には非常階段なんかないんです。もし下のほうで火事が起きて階段が煙突の役目をした、エレベーターが動かなくなってしまった、どこから逃げていいか、そうすると、あるのは袋でもって逃げるのが一つある。しかし、あれは大量にはいかれませんわね、定員一名ですから、あの袋は。しかも、あれは上からぶら下げたところで垂直にぶら下げたんじゃだめなんです、傾斜をつけなければ。そうするとああいうものが何か非常の場合に、大ぜいの人間が上にいるときに役に立つかどうかというと心もとないと思う。ところが議員会館だって、われわれ火災があったらどうだろうと心配をするわけです。ただはしごの高いやつがいまできておりますけれども霞が関ビルのような、とほうもないああいう高い建物で、はしごを幾ら伸ばしても届かないというところで火災を起こした場合にだいじょうぶかどうかという心配もあるわけです。消防の見地から考えると、旅館だけじゃなくて、われわれが首をかしげざるを得ないようなことがたくさんあると思う。そういう問題についてもやはり検討をして、これはあぶないと思った場合には、やはり非常階段を設けさせるとか、あるいはそのほかに消防のための適切な設備命令するとかいうことが行なわれなければならぬ。火事は何も旅館に限らない。だからそういう点もあわせて行なう用意があるのかどうか、これは大臣がお見えになったので大臣にお伺いしたいと思います。
  14. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) この間の有馬温泉事件、あるいは先般の水上温泉に起こりました事件等は、いずれも施設の不十分、あるいは従業員訓練不足等から起きておるとわれわれも考えます。そのために運輸省といたしましても、以上のような施設及び従業員訓練等につきましては万全の措置をとるように特に観光部長から陸運局長を通じまして、また業者の団体に対して直接いろいろ指示をいたしまして、情勢によっては消防庁の皆さんとも連携をとって点検を行ないますし、またもし反している場合には厳罰をもって今度は臨もう、営業停止処分というようなことも勇敢にやるようにしよう、そういうふうに自治省当局とも話し合っております。
  15. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 本件に対する質疑は、本日はこの程度といたします。     —————————————
  16. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 次に、航空に関する件について調査を行ないます。  まず、日ソ航空協定に関する件について、運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。中曽根運輸大臣
  17. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 十月の二十四日から二十八日まで、モスクワに渡りましてロギノフ民間航空大臣並びにコスイギン首相航空協定の運用の問題についていろいろ討議をしてまいりました。行きますまでのいきさつについては、先般来、岡本議員の御質問にお答えしましたとおりの考え方に基づきまして、いまのような不正常な暫定運航を、あのときのわがほうの発言のとおり二カ年で終息させて、正常な航空協定に基づく自主運航に切りかえよう、そういう目的で行ったわけでございます。  先方でロギノフ民間航空大臣とまず最初に接触していろいろ交渉いたしましたが、先方は従来の言質を繰り返しましてなかなか応ずる気配を見せませんでした。そして向こう側としての要望事項をさらに幾つか提出してまいりました。たとえばいま週一回の便を増便してくれとか、あるいは貨物の専用線を設けろとか、あるいは第三国がもし万一乗り入れる場合についての協力の問題であるとか、あるいはイリューシン62という新型機ができたのでこれを買ってくれ、あるいは使ってもらったらいいとか、そういうようないろいろな点について向こう側の要望もあり、先方側はともかくあの航空路はもうかっておるのだから、そのもうかっておるのをこわす手はないじゃないか、日本側が自主運航自主運航と言うようなことは現実に即さないというようなことを盛んに強調したのであります。しかし、われわれのほうは、航空協定の本旨に基づいて両国の航空機が自分で選択した機種により、自国のパイロットにより、自国の旗を掲げて相手の首都に乗り込むというのが航空協定の原則であり、国際法の原則であるので、この暫定的措置はすみやかにやめてもらわなければ困る。最後には、もしこれが、来年やめるということが——あなた万のこの不正常な運航をさらに継続したいというならば、情勢によってはこの暫定的な共同運航が中止されるという危険性があるということをお伝えする。現在の日本の国会の世論あるいは国民の世論というものは、こういう不正常な状態をじんぜん日をむなしゅうして継続することを国民世論は許さない、そういう状況にあるということをお伝えいたす、そういう強硬な態度をわれわれのほうからも申し述べました。それに対してロギノフ民間航空大臣は、さらにいろいろ論駁をいたしまして、われわれは二年間ということを約束した覚えはない。われわれのほうは義務はないということを重ねて強調したり、シベリア上空の問題というものは、依然として条件は変わっていない。国際情勢その他も変わっていないというような発言を繰り返しました。そうして、ずいぶん問答をやりましたが、結局はコスイギン首相と会って、コスイギン首相との談判に話は持っていく以外にない、そういうことになりまして、二十八日にコスイギン首相と会談したわけであります。その席には、日本側の中川大使、それから手塚航空局長、松本国際課長並びに日航の松尾社長と朝田専務も同席いたしまして、先方はコスイギン首相、それからロギノフ民間航空大臣、それから外務省の極東部長、それから民間航空省のベセーディンという国際局長等が同席いたしました。また同じようなことの繰り返しがありましたが、われわれは執拗にいままでの条件を言い、そうして、来年四月には、国民世論から見ても休止しあるいは中止されるという危険性がここにあるということをお伝えする、遺憾ながら伝えざるを得ない、そういう強硬な発言をいたしましたら、コスイギン首相とロギノフが耳打ちをいたしまして、そういう情勢では両国の親善、理解のために、積極的態度をとるようにしよう——ポジチブ・ポジションということばを使ったのです。そうしていろいろとロギノフ民間航空大臣が述べた要望がもし実現されるならば、ある程度の考慮をわれわれは払ってもよろしい、そういうところでこの話を終えまして、そうしてその夕方、飛行機が出発する三十分前に飛行場で調印——ジョイント・コミュニケその他を調印した。ぎりぎりまで引き延ばされてやってきたというのがその実相であります。  いろいろ彼我の間に話がございましたが、もしもっと深い真相を申し上げなければならないのでしたら、秘密会議にしていただければ申し述べてもけっこうでございます。  いまの私の予想では、一月に先方から日本へやってまいりまして話があると思いますが、これがまとまれば、近い将来に自主運航が可能になるのではないだろうか、そういうふうにわれわれは観測をしております。
  18. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) それでは本件に対する質疑を行ないます。  御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  19. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 いまの大臣の報告の中に、きわめて重要な発言があるのですね。で、理事会でも、大体、大臣の報告を受ける前でありましたが、国際的な問題あるいは国益に関する問題ですから、きょうの委員会は、やはりいろいろな意味で慎重な配慮をしなければならない点があるのじゃないかということを、特に私は発言したつもりであります。期せずしていま大臣から重要な発言がありましたので、ここのところは、質問をする方も、これは国民もやはりこの日ソ航空協定についてはかなり関心を持っていますから、ある程度のことは実際その折衝に当たった大臣あるいは関係者しか存じ上げていませんから、ここでお伺いをするとすれば、大臣発言によりまするように、私は秘密の会議とすることが適当ではないかと、こう思うのですがね。この点ひとつ、委員長から計らっていただきたいと思うのです。
  20. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  21. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 速記をつけて。  暫時休憩いたします。    午前十一時八分休憩      —————・—————    午前十一時三十七分開会
  22. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。  本件に関する質疑は、本日はこの程度にとどめます。     —————————————
  23. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 次に、日本国有鉄道の運営に関する件について調査を行ないます。  まず、日本国有鉄道財政再建推進会議の意見書について説明を聴取いたします。運輸大臣
  24. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 国鉄財政再建推進会議のことを申し上げます前に、観光のことで一言御報告申し上げます。  本日の閣議で観光関係の閣僚会議をつくることを正式にきめました。閣僚会議には運輸大臣、厚生大臣、文部大臣、農林大臣そのほか関係閣僚が出ておりまして、そうして推進本部をつくって、その推進本部長には国務大臣が当たる、その推進本部の下に各省の次官、実務担当者を網羅しました。下部部局をつくって、その庶務は内閣官房で行なうということであります。私と行管長官との話では、たぶんその推進本部長たる国務大臣には運輸大臣が指定されるのではないかと予想しております。これでいままで懸案でございました観光一元化の問題は、十分ではございませんが曲がりなりにも一応かっこうがついたような気がいたします。  推進本部をつくりました理由は、やはり文部省とか厚生省とか各省にわたる事項を、いままでの閣僚会議というような形ではばらばらになって統一がありませんので、推進本部長という本部長のもとに指揮命令系統を一貫させて協議しながら行なう、そういう構想のもとに本日承認されたのでございます。このことを御報告申し上げます。  それから、国鉄財政再建推進会議につきましては、三十数回にわたり会議を開いていただきまして、最近その報告書を受領いたしました。内容につきましては鉄監局長から御報告申し上げますが、この内容を閣議に報告いたしまして、この趣旨に沿って来年度予算の編成及び施策を実行していただきたいと強く要望いたしました。なおまた、との国鉄財政再建問題に関する臨時閣僚会議を結成いたしまして、関係大臣の参集を求めて、この意見書を中心にして国鉄再建の問題を予算に間に合うように討議するということも決定いたしまして、そのメンバーも発表されました。こういうような諸般の手続を通じまして、この意見書の内容をできるだけ実現するように努力してまいりたいと思っております。内容につきましては鉄監局長から御説明申し上げます。
  25. 町田直

    説明員(町田直君) 去る四月九日付で閣議了解に基づきまして、関係大臣の協力を得て開催してまいりました国鉄財政再建推進会議は、十一月一日に意見書を取りまとめました。ただいまお配りしてございますのが、その意見書でございますが、その内容を簡単に御説明申し上げます。  まず1は、審議経過の説明でございます。それから2は、今後十年間を再建期間として国鉄財政再建措置を集中的に措置すべしという基本意見が述べられております。それから3と4は、従来各方面から国鉄問題について種々の提案がなされましたが、国鉄が今日のような事態に立ち至った理由の一つとして、その対策実施がびほう的、部分的なものにとどまったことを指摘いたしまして、今回はこの各般の施策を一体として確実かつすみやかに実施すべき旨強調されております。それから5につきましては、交通運輸に関する一元的な企画、行政、財政の確立が要望されております。  それから国鉄財政再建措置の内容でございますが、まず基本的な考え方といたしまして、1.において、今後の国鉄の役割りを定め、それから2.において昭和四十四年度以降十年間を財政再建期間として、この間に償却後黒字に転ずることを目標として掲げております。それから3.においては再建期間中の投資額を三兆七千億円としております。それからその次に具体的措置といたしましては、4.において、まず経費面で要員規模の縮減、道路輸送への転換、小駅の廃止または無人化、給与引き上げの適正化等であります。  また収入面では、近代的輸送方式の整備、それから再建期間の初期における一〇%程度の運賃改定と、再建期間中の国有鉄道運賃法の特例取り扱い、公共負担の是正等が提案されております。それから、さらに続いて鉄道新線については、再建期間中建設の重点化をはかる旨提案されております。  それから資金調達及び財政措置につきましては、資金運用部からの借り入れ資金についての再建期間中の事実上の利子の猶予措置、それから国鉄財政再建補助金の拡充、市町村納付金の再建期間中の大幅な軽減等が提案されております。  次に5.におきましては、交通社会資本投資の一元的計画化、競争条件の適正化について早急な検討を進めるべきことが提案されております。  最後に、以上の国鉄財政再建のための各般の施策について実施を確保するため所要の立法措置を講ずべきことが提案されております。  以上、簡単でございますが、提案の内容でございます。
  26. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 次に、函館線奈井江駅構内における列車脱線事故について、国鉄当局から報告を願います。
  27. 湯川龍二

    説明員(湯川龍二君) 去る十月十二日、まことに申しわけない事故を函館本線の奈井江駅で起こしまして、深くおわびいたします。  お手元にある事故概要につきまして、簡単に補足説明さしていただきます。  発生年月日は、四十三年十月十二日の九時一十二分でございまして、天候は晴れておりました。場所は、札幌鉄道管理局管内の函館本線の奈井江駅構内でございまして、この構内に近く踏切がございますが、この踏切から入ってきた車と衝突を起こすということになりました。列車は、上り急行の客車の八一二列車、これはディーゼルの列車であります。名称はかむい一号と称しておりますが、編成両数は八両でございます。重傷三名、軽傷二十六名、計二十九名の負傷ということに相なりまして、この状況はここにかいつまんで書いてございますが、八一二D列車が豊沼という駅を三分三十秒おくれて通過をいたしまして、奈井江の駅にそのままおくれを持ち込みまして到着する予定でございましたところ、この気動車の運転士は時刻表の確認を欠きまして、同駅を通過と誤認をいたしまして、九十キロの速度で力行運転をいたしまして、この駅を通過進行したわけでございます。ホームで列車の監視をしておりました奈井江駅の当務の駅長——助役がその日の当務駅長の業務を担当しておりまして、列車の速度が停車するには早過ぎるということで手信号を出しまして、停止の合い図を表示したのでありますが、運転士がこれに気がつかずに進行いたしまして、一種手動と申しますか、踏切警手のいる踏切でございますが、十五号という踏切を、約百七十メートル前方で進行右側から進入するダンプカー、これは空車でございましたが、これを認めまして、非常ブレーキを使用したのでございましたが及ばずにこれと衝突をいたしまして、百七十メートル行き過ぎて停止をいたしたということでございます。このため、この気動車の四両が脱線をいたしまして、ダンプカーのほうは大破をいたしまして、乗務員が負傷するということに相なりました。この事故のためにダンプカーの運転者が一名重傷をいたしましたのと、旅客二名が重傷、また二十六名が軽傷を負いまして、奈井江町の町立及び方波見病院に収容して治療を行なうという状況になったわけでございます。  原因といたしまして、いろいろ取り調べておりますが、気動車運転士が時刻表の確認を欠いて、奈井江駅を通過したということと、それから通過した——先ほど御説明しましたように、駅の近傍にある踏切を横断中のダンプカーと衝突するということで、こういった傷害が起こる事故に相なったのでございます。  それで関係者は、そこに書いてございますように、気動車運転士が柏木孝謙、それから栗林光雄という、いずれも気動車の運転士でございますが、この二人が、一方が助手として勤務するということで二人乗っておったのです。それから車掌が森江敏雄、今井正。奈井江の手信号を出した助役は川瀬忠治と申します。それから踏切警手は二十八歳の尾崎という者が当たっております。  それで復旧は、当日の十七時三十五分に下り線が復申しまして、さらに二十時十二分に上り線が復旧するということで、架線の復旧も二十二時五十五分ごろに復旧して運転を再開するということになりました。  なお、これに付言いたしますことは、この八一二D列車は、十月一日の今次の時刻改正の後、奈井江駅に停車するということになりました。いままでは急行として走っておったのでございますが、最近の地元の御利用等、サービス面から奈井江駅に停車するということになりました。時刻改正後、この気動車運転士は初めてここを通ったのでこざいませんで、十月七日に——このときは柏木が運転をしておりましたが、この七日のときは補助のほうといたしまして、この補助の機関士のほうは十月四日にみずからが運転士として本務の形で、この駅をこのような運転の形で停止をして運転をしてきた経験のある身でございます。  それから八一二D列車の乗客人員はこのとき三百九十七名でございまして、八両の乗客定数から申しますと、八割五分という定数の利用でございました。それから滝川——岩見沢間バス代行ということで、この復旧する過程の中で皆さま方の輸送に充てるということにいたしました。  それからこの踏切は幅員が十一メートル、横断長十七・九メートルということで、ここの往復客貨合わせまして、この踏切を通過いたします列車回数は一日に百七十回ということになっております。  以上、この事故概要を御説明させていただきました。
  28. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) それでは、本件に対する質疑を行ないます。  御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  29. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 時間的な都合がありますから、こまかくきょうのところはお聞きしませんけれども、この意見書については、われわれもこの意見書に対していろいろ意見がある。社会党にもこの国鉄財政の再建についての腹案があるわけでありますから、やはり多くの衆知を集めて考えをまとめるということが必要だろうと思うのですが、われわれ野党側の意見についても相当これは取り入れてもらわなければいかぬ、こう思うのでありますが、大臣としてはこの意見書を中心にして再建をはかるということをお考えになっておるのか。その場合に、野党側の意見というものをどのように取り入れるおつもりがあるのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  30. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 意見書は、政府の行政機構の内部において成規の手続をもってつくられたものでございますので、この意見書は尊重さるべきものであると考えます。しかし社会党その他の各党におかれて、国鉄再建に関する有益な御意見がございますならば、十分拝聴いたしまして、適当であると思うものはどしどし採用するようにしていきたいと思います。
  31. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 昨日、大臣の地元の高崎の管理局に参りまして、私ども、沿線の国鉄利用者の陳情がございましたから同行したのですけれども、一例をあげますと、十月のダイヤ改正によって急行列車はふえたけれども、一般の急行でない列車の本数はかえって減った。たとえば通勤者はふえたんだが、それにもかかわらず、一般の列車は減った、混雑が前よりも激しくなった、こういう苦情が一つあります。それから時刻改正以後、ダイヤが非常に乱れておる。その原因は何かと思うと、十月のダイヤ改正にかなり無理があるのじゃないか。それは一つの例をあげますと、折り返し時間を短くして、列車の運用効率をよくする、こういう配慮があったのだろうと思いますけれども、たとえば上りの列車が上野に到着をして、折り返しの時間が十一分しかない。十一分しかない場合に、十五分ないし二十分遅延して入ってくる場合は、始発からおくれてしまうことはわかりきったことなんですね。そういうために、たとえば東北線に脱線事故がある、たちどころに東北線のみならず高崎線に至るまでがたがたになる。こういう現象が先般続きました。それで、たいへんに評判が悪いわけです。  だから国鉄の再建というのは、企業性に重点を置くのか、公共性に重点を置くのか、この重点の置き場所によってやり方が変わってくると思うのです。企業の帳じりを合わせるということだけであればきわめて簡単だと思うのです。赤字線区というのはみなやめてしまえばいいのですから。しかしそんなわけにいかぬだろうと思う。とすれば、公共性に重点を置かなければならないと思うのでありますけれども、それらの点について、まあここで多くの議論をしたいとは思いませんが、大臣としては根本的にどういう方針をとっていかれるのか。今度の十月のダイヤ改正がはたしてうまくいったとお考えになっているのかどうか。無理を押してまでもこの合理化を進めるという気持ちがおありになるのかどうか。その点についてお伺いしたい。
  32. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 公共性と企業性の問題でございますが、やはり両方のことを考えて行なわなければいかぬと思います。国鉄は、今回の増発は、一つはお客さまに対するサービスという考えで、かなりの列車を増発いたしましたが、増発された列車はいわゆる急行列車というべきものが多うございまして、優等列車は非常にお客さんが乗ってくれて経済採算が非常にいいという面もありますし、お客さんが便利であるという面もあるように思います。そういう面から普通の列車がある程度余波を受けているのではないかということも懸念をしておりまして、そういう声は若干私も拝聴しております。その点につきましては、国鉄の余力と申しますか、能力に応じまして漸次矯正をしていく必要があると思いますが、しかし、やはり国鉄の採算性あるいはお客への利便性等も考えて、優等列車を優先させるという原則はやむを得ないのではないか、そう思います。  折り返しの時間その他について無理があるのではないかという御質問でございますが、あるいは増強するというためから、多少そういう点が犠牲になっているのではないかとも考えますが、その点は私よく知悉しておりませんので、国鉄当局の湯川君から答弁させていただきたいと思います。
  33. 湯川龍二

    説明員(湯川龍二君) ただいまの御質問並びに大臣の御説明に尽きるのでございますが、私若干補足させていただきます。  優等列車をふやして、大都市間あるいは長距離のお客さまの利便ということは、いま大臣のお話のように、われわれも積極的に進めている施策の一つでございますが、一方、都市近郊等における、あるいは都市内における通勤等におきましても、重大な施策のもう一つの柱としましてやっているわけでございまして、それらをかね合わせまして、中長距離の区間等において、普通列車と称する各駅停車の列車が一部急行になった面もございますが、しかしその反面、急行等も現にこまかく、お客さんの御利用に応じて停車駅をふやすということで、両々相まって、両面のお客さんの御利便に供したいと考えておりまして、移り変わりの過程の中でいろいろふなれな面、またわれわれのサービス面で留意すべき点もございますので、そういう点も十分配慮して、最近の状況から手だてを講じていきたいと思います。  それから時刻改正で列車等もふえ、また局地的な乱れが広域に波及するというようなことがあるのじゃないかという御指摘でございますが、現実にそのような状況が十月一日以後若干起こっております。これは一つは、もう今日では安定しておりますが、一つは移り変わりの過程で、われわれももちろんそういった手だてを十分講じてはまいりましたが、今次の時刻改正が大幅であったということで、若干ふなれな面もあったということを率直に認めます。同時に貨物列車等も、地域間急行等でかなり各鉄道局管内を越えまして、またさらには関西から東北へというような長距離の列車があるということで、そういった列車が最近の荷主さんの要望にこたえましてふえてまいっておりますのと、急行あるいは普通列車等でそれぞれ交互に走る形でサービスも上げるという意味で、東北線等では旅客列車の速度も特急並みに百五十キロに上げるという方法でやっております関係上、いままでのような輸送サービスの形態が若干新しい過程に移り変わるという過程の中で若干起こりましたのと、いま言ったような広域な輸送の関係になっておりますので、これらの列車の乱れたときの整備等につきまして、緊急に通信網その他も現象的な面から私たち予定しておりましてやっておったのでございますけれども、さらに現実に起こりました現象を処理するために、指令体系等も、広範囲に情報がとれるような措置もその後講じまして、安定の状態に入っているわけでございます。今後とも御指摘のような面について十分留意をいたしまして、万全の輸送力の安全とお客さま、荷主さんに対するサービスを講じてまいりたいと考えております。
  34. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 これもきのう指摘をされたことだったんですけれども、特急と急行と二本続いて通過する間、通勤列車がある駅で待避をしている、そのために十何分停車しているわけですね、通勤列車が。こういう事実があるわけです。これはダイヤを私も見たんですけれども、そうすると一駅に十何分停車していると、それに乗っているお客は十何分ともかくぼんやり待たされるだけです。こういう不合理なことを通勤時間帯にやるなんということは、ずいぶん私は通勤者をばかにした方法だと思うんです。これはぜひ改める必要があるんじゃないか。こんなことは、こういうふうに待たされるお客の身になってみればたいへんにつまらない。特に満員の電車が十何分も一駅に特急と急行が二本も行く間待つということは、待つ身になってみればこんないまいましいことはない。こういう事例がある。もちろんその間に、今度はふん便のたれ流しの問題に関連してくるんですが、十何分も待っていれば、その間、便所を使う。そうすると一カ所に、線路の特定の個所にそういうものが排出をされる、ホームまでにおうようになるということになるわけです。これもたいへん保健衛生上芳しくないという気がするわけです。この前これは吉田委員のほうから質問があったことなんですけれども、この問題に関連して、このふん便のたれ流し列車の構造の問題もこの機会に検討を加える必要があると思うんです。いまの列車の構造、新幹線はともかくとして、普通の在来車の場合は全部おっことすようになっているわけです。国鉄の財政の再建の際にそんな問題までかまっちゃいられないということになると、これは列車の密度のほうがふえるにもかかわらず、こういう保健衛生上の問題が放置されるということになって、はなはだ遺憾だと思うんでありますけれども、国鉄の財政の再建もしなければならないが、なおかつあわせてこの種の列車便所の改造といったようなことも手がけるというお気持ちがあるのかどうか、この点についても大臣の見解を承りたいと思うんです。
  35. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) この問題については、前の機会以後におきましてもいろいろ論議されたところでありまして、なるほど国鉄の財政は非常にきびしい情勢で、これからの再建方策にもかかっていることでございますけれども、あの問題は放置することを適当としないと思いますので、種々予算の中におきましても、年次計画をもって、ある程度の時間的余裕を持ちながら逐次改革さしていくように努力していきたいと思っております。
  36. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 この意見書がどういう形でもって実際に移されるかという問題になってまいりますと、国鉄財政再建促進法を制定をするというところに集約をされるような気がするのです。国鉄財政再建促進法というものは、どの国会にどういう方法でもって提案をなさるおつもりなのか、その腹案はどのようにして練られるつもりか、それらの点についてお伺いをしたいと思います。
  37. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) この推進会議の意見に盛られました重要なポイントで、法律事項として適当なものの中に織り込みまして、でき得べくんば次の通常国会に提出を間に合わせるように、そう考えております。     —————————————
  38. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 先ほどの空港に関する件について質疑の残りがございましたので、引き続いて空港に関する件について質疑を行ないます。
  39. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 運輸大臣にお伺いしたいわけでありますが、空港の新たな建設の問題についてお伺いしたいと思います。  大臣が地方に行くたびに空港問題が非常に話題になってまいるわけでありますが、今後の新空港の建設計画について、これをお願いしたいと思います。特に北海道であれば、北海道で国際空港をつくる、あるいは関西は、いま淡路島が非常に話題になっているわけでありますが、この問題についていつごろまでにどのような所でつくるかどうか、それをお尋ねいたします。
  40. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 日本の現在の経済成長力の見通し、並びに国土総合開発計画との関連等を考えてみますと、いま成田で第二国際空港を東京周辺としてつくっておりますが、あれだけでは不適当である。そこで関西に一カ所、それから北海道に一カ所、また状況によっては九州に一カ所ぐらいの国際空港は将来必要になるであろうが、特に急を要するものは、関西における国際空港でございまして、現在伊丹で三千メートル滑走路を延長しておりますけれども、あれもいまの情勢でいけば五、六年で詰まってしまう可能性があります。そこで淡路島であるとか、いろいろな所から名乗り出ておるわけでございます。名乗り出てきていただいているということはありがたいことでございまして、いままで運輸省は聞きおくという程度でありましたが、私はこの秋から踏み切りまして、正式に運輸省として名乗り出た所は調査しよう、そうして適格であるかどうか、費用はどうかかるか、工事関係はどうであろうか、気象関係はどうであろうか、そういう点を正式に調査いたしまして、その調査の結果を見て判断の材料にしようと思って、淡路島を直接第一番の調査対象として開始したところでございます。それから北海道の点につきましては、冬季オリンピックを控えまして三省間の協定がございます。防衛庁長官、北海道開発庁長官、運輸大臣の協定で、それを最近再確認いたしまして、できるだけあの原則を具体化しようということを申し合わせしたのでございます。  私の見通しでは、あの千歳を中心とする地帯は、若干の霧がありますけれども、回りに騒音地帯として騒がれる場所がない、及び非常に広大な土地があること、北海道の中心にあってどちらにも交通が伸びられるということ、そういうあらゆる条件を見ますと、あすこは非常に有望な所であろうと思います。それでいまの線は、できたら航空自衛隊があの近所に航空基地を求めていただいて、あすこは専用の民間国際空港に格上げしよう、そういう構想でおります。しかし、自衛隊のほうでもいろいろな御意見がございまして、いまにわかにそこへ踏み切ることができない情勢でございますが、私は将来は北半球における北部、つまり北米、カナダ及びソ連、そういう方面との交流、あるいはスカンジナビア半島との交流等を考えてみますと、北海道というものは、なかなか重要な位置を持っている場所にあると思います。そういう意味において土地を確保しておくことは、非常に大事なことなので、あとになって家ができてから土地をといっても、費用もかかるし、騒音の問題が起きてきますから、でき得べくんば、北海道知事が運輸省当局とも相談をして、情勢によっては先行投資という形で土地を確保しておいていただくということも一案ではないか、そういう考えを持っております。  それから、九州につきましても、将来、上海便とかあるいはそのほかのところに定期航空その他が出てくる可能性もないとはいえないので、九州につきましても、いま板付あるいはそのほかの地点について、将来の大陸その他を中心にした国際航空路の拠点としての構想を現在持っております。しかし、具体的にどうするかということは、まだ構想の段階でありまして、申し上げるところまでいっておりません。
  41. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 次に、ジャンボー対策について一、二お伺いしたいと思うわけでありますが、飛行機の大型化によって、羽田にも昭和四十五年ごろまでにはジャンボーの飛しょうが開始されると、このように聞いているわけでありますが、まあ羽田空港における——新空港ができるまで羽田空港においてどのような態勢でジャンボーの受け入れを行なうかどうか、この点について。また、その工事等については、いつごろから開始されるか、そういう問題についてお伺いしたいと思います。
  42. 手塚良成

    説明員(手塚良成君) ジャンボーにつきましては、東京国際空港に入ってまいります時期が一応問題になりますが、私どもの想定によりますと、一番早く入ってくると思われますのがパンアメリカンではなかろうかと思います。で、時期につきましては、早ければ四十四年の秋くらいではないかと。日本航空も、御承知のようにジャンボーについては八機購入予定をいたしておりまして、そのうち三機は四十五年の四、五、六月に各一機ずつ入ってまいります。残りの五機につきましては、四十六年の二月、四月、五月、十一月、十二月、各一機ずつ入ってくる予定になっております。  そこで、ジャンボーがまいりますと問題になりますのは、一機について乗客が四百人内外の客があるということでございまして、この点がまあいろいろ空港施設として問題が生ずるわけでございます。離発着の滑走路の長さにつきましては、現行の滑走路でこれは間に合うと思いますが、いまのお客の問題とエプロンその他の強度の問題というのが二つあるかと思いますし、それからこのエプロンの面積が、従来のDC8などに比べますと約五割くらいよけい占拠いたしますので、エプロンの問題があるというふうに考えております。  そこで、まずエプロン問題からまいりますと、現在、お客、荷物のローディング用のエプロンというものは、三十八バースございますけれども、現状におきましてもピーク時におきましてはこれが不足をいたしております。したがいまして、これを増強しようということで、いま計画といたしましては、新たに十八バースふやして合計四—八バースにしようということで、この工事は今月、十一月から着工を考えております。今年中に二バースふやしまして、あと四十四、四十五年で残りの十六バースを完了する、こういう予定にいたしております。この際には、ただいま申しました強度の問題もあわせて解決をされることになると思います。  問題の大量のお客が一時に到着し、また出発をするということの客さばきの問題があるわけでございまして、この問題につきましては、現在のターミナルビルをそのまま改築、改善をいたしましてこれを使うか、あるいはこれを到着と出発に分けまして、現在のビルは出発にし、新しいビルを到着用として別につくるか、こういう案などがございまして、ただいまのところ、これらの案についていずれにするかということを政府部内でいろいろ検討いたしております。このビルの問題では、特にCIQ関係が一番問題になってまいりますので、そのCIQを所掌いたしております関係各省で、いまの二つの基本的な内容でどれをどうするかということを、いま打ち合わせ中でございます。
  43. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 このCIQの問題等についてはやはりよく打ち合わせをして、法務省あるいは農林省、厚生省あるいは大蔵省との関係を密にして、そうして十分な配慮を払っていただきたい、これは要望でありますが。  次に監視課のほうにちょっとお伺いしたいわけであります。いまCIQの問題が出まして、特に現在飛行機が到着しても二機、三機、一度に着くと税関でごった返すわけであります、混雑をするわけであります。こういう問題について、もう少しCIQの問題、特に税関の問題等については改善策を考慮されているかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
  44. 鈴木邦一

    説明員(鈴木邦一君) 羽田空港におきましては、航空機の到着が夜間に集中しております。大体午後の三時から夜の十一時の間に旅客の七割が到着しているわけであります。税関といたしましてはできるだけ早く旅客の検査を済ますという観点から、第一に、羽田の税関の監視関係の職員の増加を最も重点的にはかっております。で、三十八年度から四十三年度までの五年間に五六%の増員をしている次第でございます。  第二に、夜間に集中するときに対処いたしまして、現在税関の職員の勤務体制は二十四時間制でございますが、羽田の税関ではこれを五班に分けまして、午後の三時から夜間にかけまして二班が仕事に当たるという、夜間に最も多くの人員を投入するという勤務体制をとって、これに対処しているわけであります。  第三に、簡易税率の採用でございますが、従来は、旅客の携帯品につきましても、一般の商品と同じ関税あるいは内国消費税の課税が行なわれていたわけでございますが、品目が非常に多数に分かれておりまして、課税事務に時間がかかるということで、昨年度から、旅客の携帯品につきましては、関税、内国消費税を統合いたしまして、簡易税率という税率を設けまして、これで課税事務を実施しているわけであります。この結果、税関職員の課税に要する時間が非常に格段に短縮されておりますが、来年度においてはさらにこれを推進するために、現在の実施品目を相当程度圧縮するように、現在、法律改正を検討中でございます。  最後に、税関は旅客の検査は迅速にやることは肝要でございますが、同時に、税関の検査の質を落とさないことが重要でございまして、現状におきましては、非常に日本人の観光客等を中心といたしまして、日本人の持ち帰り品が多くて、携帯品の申告の水準も必ずしも高くないのが現状でございます。こういう状況でございますので、私どもとしては、質を落とさないで税関の検査を早くするという観点から、最近米国で実施されております制度あるいはヨーロッパ諸国で実施されている制度等を研究しながら、質を落とさないで、できるだけ旅客の通関を早くするという方向で研究を進めている次第でございます。
  45. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 大臣にお伺いしたいわけでありますが、このCIQ等の問題についても、各役所がばらばらで、羽田の責任者はだれになっているか、こういう点が非常に不明確だ。確かに役所の管轄部門があると思いますが、こういう国際空港等については、たとえば税関長がCIQ全体の指揮をとるとか、こういう点についてもう一歩進めていただいたらどうか、こう思うわけでありますが、いかがでしょう。
  46. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 御意見は非常に大事なことであると思いますので、よく検討いたします。
  47. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 次に、宇部空港の問題について一、二簡単にお聞きしたいと思うのでありますが、特に山口県の宇部空港についてお伺いいたします。  四十一年の七月一日より三種空港として開港されておるわけでありますが、この空港の工事にあたって、二回にわたって官報の訂正が行なわれているわけでありますが、このことについてはいかがでしょうか。
  48. 手塚良成

    説明員(手塚良成君) 宇部空港は御承知のとおり第三種空港といたしまして、地元公共団体が設置管理する、これに運輸省から——国から補助金を半額出すということででき上がりまして、ただいま先生がおっしゃいましたごとく、昭和四十一年の六月三十日から供用開始になっております。ただ、ここに至ります過程におきまして、御指摘のとおり、告示といいますか、施設の変更申請というのが——ただいま二回と申されましたが、両三回にわたりまして、申請が出ており、その申請に従いまして、審査の結果、告示が三回変更になっております。
  49. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 どうしてこういうふうな官報を変更しなければならないか。特に三十八年の十一月に、一番問題である滑走路の万位が、北五十五度東を五十七度に変更した、こういういきさつについてお伺いしたいと思います。
  50. 手塚良成

    説明員(手塚良成君) 最初、空港設置申請が出てまいりましたときには、滑走路の方向といたしまして、北東五十五度という方向で申請が出てまいりました。しかし、その後、地元と県とのいろいろなお話し合いの結果、騒音関係をできるだけ付近の人家に少なくするということで、少し滑走路を振るということを県が考えたわけでございまして、これを五十五度から北五十七度。東に二度振りますことによって、周辺人家の数で七十戸ばかり騒音から被害を軽減することができるということでございまして、そういう意味合いで、第一回の三十八年の変更申請が運輸省に出されたわけであります。  それから第二回目に出されましたのは、こういった申請が出されましたにもかかわらず、実際に工事がその後進められてでき上がりつつあった途中の過程におきまして、さらにこれを具体的に調査をするという必要が起こりましたが、その調査をいたしましたところが、五十七度にならずに、北五十四度四十六分東という状態になっておる。このときにはすでに大半の工事ができておりまして、あともうわずかなところで完了という状態になっておったわけでございます。いろいろ地元と県との間のお話し合いがあり、実際の姿がこういうことであるということで、あらためて県のほうから変更申請が出されました。これに基づきまして、この事実に即応するような変更を行なうということにしたわけでございます。地元のほうとされましては、当初の五十七度ということで騒音被害が少なくなるので、それを期待されておったわけでございますが、これは実際の建設に当たっておられました県御当局が、おそらくはやや建設上のミスだと思いますけれども、あやまっていまのような状態に変わっているという姿でございましたので、航空のサイドからいたしますと、安全性その他には影響がございません。多額の金を費やして完工直前まで至りましたので、その事実に合わせるという意味で、この変更を認めるということに手続をしたわけであります。  さらに第三回目の変更がございますが、これは標高が申請の場合と間違っておりまして、これをまた事実に合わせざるを得ないということから、事実に合わせた。最初設置申請の場合は、標高五メートルというので出てまいりましたが、これは潮位の基準平面の取り方が間違っておりましたので、実際の標高からいうと、二メートル八十であったということから、その事実に合わせたというのが第三回目の内容でございます。
  51. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 方位というのは非常に重要な問題であり、その問題の二度まで変更して官報に発表されたのを、また新たに調査をしてみると、何ら工事がなされないで、五十四度までになっておる。こういうふうな状態で、測量のミスとかあるいは工事ミスとか、こう言われるわけでありますけれども、何か地元の方のいろいろな話を聞いてみると、確かに変な話ではないか、こういう裏には何か取引がされているんじゃないだろうか、こういうような疑惑すら生まれてくるように思いますが、この点についていかがでしょうか。
  52. 手塚良成

    説明員(手塚良成君) 私どものほうでは、第三種空港で飛行場が設置された場合には、これは三種といわず全飛行場についてそうでございますが、やはり地元、特に周辺地域の住民の方々と、できるだけその被害その他についての調整がとれるということを考えながら、こういう設置を許可し、あるいは国で設置をいたしておるわけでございます。そういう観点から、本件につきましては、当初五十七度ということで変更を申請されましたのは、全く私どもの意図に合致したことで、県の御趣旨に大賛成ということで、そういうふうにいたしましたが、第二回目に、それがまたさらに実際が変わっておったという点につきましては、これは実は私どもとしては、その途中の過程については何ら関知をいたしておりませんので、県自体のなされました建設そのものが結果として間違っておったということだけでございます。ただこの結果につきましては、やはり県自体とされましては、地元の方々との間で非常に遺憾であるというような交渉といいますか、お話がなされたわけでございまして、その結果、聞き及ぶところによりますと、協定が結ばれました。将来について、そういった面に関する緩和を何らかの方法ではかろうというようなことで、相当長文にわたる協定が結ばれたということを聞き及んでおります。
  53. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 その地元と知事との間の協定書の問題ですが、地元が一番心配している問題は、知事が、三年をめどに二種空港にする、こういうふうな発言をしているわけです。はたして宇部空港が二種空港になるかどうか、この見解をはっきりしていただきたいと思うのです。地元は、知事が二種空港にするということをただ一つの頼みにしているような感じを受けるわけであります。こういう問題を、宇部空港が二種空港にならない、あるいはなる、こういう断言をはっきりここでしていただければ次の交渉が進むのじゃないか。知事が二種空港、二種空港ということで何か逃げているのじゃないか、こういうふうにも感ぜられるわけであります。こういう点についてお願いいたします。
  54. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 現在整備を進めておる第二種空港の空港利用客は、ほとんど年間八万人をこえているのでありますが、宇部空港は二万七千人で、その三分の一にすぎない状況にかんがみまして、現在の状態では、同空港を第二種空港に格上げして整備することは困難な事情があります。なお慎重な検討を要すると考えています。
  55. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 最後に、運輸大臣にお願いしたいわけでありますが、このような地元と知事との内容の不履行の問題についていろいろ問題になっているわけであります。公聴会においても、運輸省の幹部の人たちが出かけてこれに参加しているわけであります。こういうふうな紛争の解決に、もっと積極的に国としても解決の道をはかる責任があるのじゃないか。いわんや官報を二度まで、あるいは三度まで変更して、こういうふうな認可をしている以上は、もう少し解決策に積極的な責任を持つべきではないか、こういうふうに考えるわけであります。特に先般も陳情に数多く参っておるわけであります。旅費を使ってまでして、そうしてこの問題を解決したい、こういうような書類が数多くまいっておりますが、こういう問題についても、運輸大臣として責任を持ってこの問題の解決に当たっていただきたい、このことをお聞きしたいわけであります。
  56. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 原則として、地方空港の問題は、知事さんとか、地元の市町村長さん等にいろいろごあっせんを願って調整をしていただいておるのでございまして、ほかの地点は、みな、そういうわけで、主として知事さんや市町村長さんが間に入ってうまく調整しているわけであります。宇部空港の問題につきましてもそれが望ましい姿なので、まあどうしてもデッドロックに乗り上げて地元でむずかしいという問題で、運輸省が乗り出すことが適当であると認める問題や状況が出れば、運輸省は乗り出すことも考えていいと思います。
  57. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 運輸大臣にこういう陳情がまいっておると思うのですけれども、こういう点についても、やはり大臣に陳情までしているわけでありまして、もう一歩、積極的な解決策をはかっていただきたい、こう思うわけであります。
  58. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) ほかに御発言もなければ、本件に対する質疑は、本日はこの程度にとどめまして、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十一分散会