○安達
説明員 その前にちょっといまの重要遺跡緊急指定調査研究
委員会と今度の調査団との
関係をもう少しふえんさせていただきたいと思います。と申しますのは、今度の杉原先生を団長とする調査団は、調査自体は県の教育
委員会の仕事としてやられたわけでございます。それに対して、三百万円要しまして、その半額を国が補助する、こういう形でございます。したがいまして、事実上はいま杉原先生のおっしゃいましたようなことでございますが、形式的にはあくまでも県の調査であり、それに対して文化庁から補助金を出しておる調査である、こういうことでございます。
そしてその前に、調査をすることにつきまして、文化庁から七月の十三日に県に対しましてその調査についての指示をいたしておるわけでございます。その際は、遺跡全般の
状況を知るために、さらにたとえばいまの武道館の設置予定の個所と同じ遺構群の存在が推定される
工事予定地外をも含めた地域について発掘調査を
実施していただきたい、こういう注文を出したわけでございます。そういうことで八月十六日から九月二十三日まで調査が行なわれたわけでございます。この調査の
内容につきましては、調査団としてのものは県の教育
委員会のほうから文化庁のほうへくる、こういうことでございます。これは形式的なルートの問題でございます。
そこで重要遺跡緊急指定調査研究
委員会というものの性格でございますが、これは現在の
制度上からいたしますと、現在
文化財保護審議会がございまして、その下部機関としての専門調査会というのがございますが、その中の史跡部会――史跡に関する事項を
審議するところの史跡部会、専門調査会があるわけでございますが、部会として史跡部会というのがございまして、さらに史跡部会の
一つの特別
委員会というようなことで、いま問題になっております重要遺跡緊急指定調査研究
委員会というものが設けられておるわけでございます。
この
委員会の任務は、史跡の指定の候補物件について第一次の総洗いをするというような任務でございます。現在全国に十四万個所といわれるような遺跡がいろいろございますが、そのうちで県のほうから、これは考えるに値するというようなものが全国から約六千件集まっておるわけであります。それをこの指定の候補にすべきかどうかというようなことをずっと続けてやっておられまして、現在十八県分が終わったわけでございます。現在は奈良県のものについて御
審議中でございます。ただ、岡山県はまだ
審議されていないという
状況にあるということが
一つございます。
そこで、そういうような機能を果たしておられますけれども、いろいろな問題ができますると、専門家の方々でございまするので、便宜この
委員会におはかりをして御相談をしながらいろいろな仕事をしておるというようなわけでございます。したがって、今度の調査につきましても、いろいろその
委員会の方々に、
委員会としてではなくして、
委員会の先生方に御相談をしながら進めていったというのが実態であり、同時に、
法律上といいますか
制度上の問題でございます。そこで、この
委員会でいわゆる本来の任務であるところの候補指定物件を選ぶということでなしに、まあそういうようなことをやっていただいておるので、この調査の様子等についてお聞きしていただきたいということで、杉原先生が
委員であると同時に調査団長であられるわけでございますので、その
委員会を二十七日に開いて、いろいろ
お話があったわけでございます。そこでは、調査会としてはこの津島遺跡が相当に重要な遺跡であるということについては、おおむね異論がございませんでした。つまり、ここは
決定するところではございませんから、相当に重要な遺跡であることには異論がないという御結論といいますか、
審議の
状況ということでございます。方向だけでございますから。そういうことで、この調査会は、ここで
措置をきめるわけではございません。そういうような遺跡の意味というようなものを見当をつけていただくということ、その過程において、ただいま杉原先生がおっしゃったように弥生時代前期の遺跡として相当に重要なものであるというようなことについておおむね異論はなかった、こういうことを
お話しいただいたわけでございます。
そこで今度文化庁といたしましてこの問題をどう考えるかにつきましては、御案内のとおり文化庁には従来の
文化財保護委員会のなりかわりといいますか、新しくそういう形でありますところの
文化財保護審議会というところにおはかりをして、この問題の処置についてはひとつ慎重に検討したい。それでまあ研究
委員会におきましては、
措置については文化庁の判断にまつべきである、こういうような意味の
お話があったわけでございます。したがって、現在はその県から出されております
報告書、それから重要遺跡調査研究
委員会での
お話の様子等、その他いろんな事柄を十分に検討いたしまして、
文化財保護審議会にはかって、その上で慎重な結論を出したいというようなことでありまして、
先ほどもちょっと申し上げましたように、調査といたしましてはこの
工事予定地域外も含む調査ということでお願いしておることとも関連いたしまして、なお慎重に検討いたしたい、かように考えておるものでございます。