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1968-11-13 第59回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年十一月十三日(水曜日)    午前十時三十一分開議  出席委員   委員長 八百板 正君    理事 小笠 公韶君 理事 砂田 重民君    理事 粟山  秀君 理事 唐橋  東君    理事 武部  文君 理事 和田 耕作君       青木 正久君    佐藤 文生君       広川シズエ君    木原  実君       戸叶 里子君    村山 喜一君       有島 重武君  出席国務大臣         農 林 大 臣 西村 直己君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局長    柿沼幸一郎君         経済企画庁国民         生活局長    八塚 陽介君         農林省畜産局長 立川  基君         水産庁長官   森本  修君         通商産業省重工         業局自動車課長 田中 芳秋君     ───────────── 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ────◇─────
  2. 八百板正

    八百板委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武部文君。
  3. 武部文

    武部委員 農林大臣の時間があまりないようでございますので、大臣にこれから大体二点について見解をただしたいと思います。  農林省物価問題について非常に重要な役割りを持っておるものと思います。特に最近、肉あるいは牛乳、ノリ、こういった食料品高騰が非常に著しいのでありまして、そういう意味で、農林省物価問題に対する役割りが非常に高いのだと思っておるわけであります。今回初めて農林大臣に御出席をいただいたわけでありますが、私はまず最初牛乳の問題について、大臣なり農林省見解を承りたいのであります。  実は、当委員会は昨年の四月、牛乳代が二円上がりましたときに、非常に時間をかけてこの問題について論議をいたしました。経済企画庁農林省も、この問題についてはたいへん熱心に私どもと一緒に論議をしたことを覚えておりますが、公正取引委員会が当時この値上げをめぐって立ち入り検査をし、現在審判にかかっております。ところが、報道を見ますと、東京都内の各所でさみだれ式に三円の値上がりが始まった、こういう報道がなされておりますが、一体、突然起こったこの三円の値上がりについて、実情はどうなのか、それをまず農林省の側から説明をしていただきたい。
  4. 立川基

    立川説明員 お答えいたします。  十月の中旬ごろから、東京の一部の地域におきまして、牛乳販売店が各家庭小売り価格引き上げ要求するような動きがありまして、その動きに同調するような小売り店が漸時多くなってまいっておるわけでございます。そして都内のかなりの部分の地域に及んでおるような状況でございますが、現在の段階では、東京以外についてはほとんどまだそういうような動きはないというように見られますので、目下その実態調査しておるような状況でございます。
  5. 武部文

    武部委員 私がきょう農林省にお伺いをいたしたいのは、この三円の値上がりが去年の二円とたいへん性格を異にしておる、ここに問題があろうと思うのです。また、この三円の問題をめぐって、生産者団体あるいはメーカー団体、こうしたものが、この末端販売業者の三円の値上がりはけしからぬ、分け前をよこせというような交渉が内々のうちに進んでおる、こういうことがいわれておるのであります。  そこで、まず最初にお伺いをいたしたいのは、現在の小売り一本二十円の販売価格内訳、いわゆる生産者手取りメーカー手取り販売店手数料は一体どのようになっておるか、それをひとつ伺いたい。
  6. 立川基

    立川説明員 現在二十円の手取りは、全国的に見ますと、大体生産者が九円四十五銭、それから処理メーカーが三円五十五銭、小売りが七円ということになっております。
  7. 武部文

    武部委員 そういたしますと、このたび起こっております三円の値上がりについては、卸売り価格とは全然関係がない、かように農林省は見ておるわけですか。
  8. 立川基

    立川説明員 いま申し上げましたように、小売りの一部のところから、労働事情その他の関係自分のところは値上げをしたいということを言っておるわけでございますが、生産者側といたしましては、とにかく、今春の生産者メーカーとの間においては、今年度は末端小売り価格改定がないということを前提にして一応話し合いが済んでおりますので、生産者側からは、そういうような事情があればわれわれとしても、生産費も増高しておるんだからということから、大幅の値上げを予定されておるということも事実でございます。
  9. 武部文

    武部委員 かりに今後生産者あるいはメーカー値上げの要望があった場合、かりにいまの三円はそのまま肯定した場合、そういう要求は三円に上積みをされた値上げをするというふうに農林省は見ておるわけですか。
  10. 立川基

    立川説明員 私といたしましては、現在の小売りの三円の値上げというのが、労働事情その他のぐあいで非常に苦しいという事情がございましても、はたして妥当であるかどうかということについては疑問を持っておりますので、したがいまして、いまの段階で、生産者なりその他からの要求と三円とを足したものを価格として消費者価格がきまるかどうかについては、必ずしもそうとは考えておりません。
  11. 武部文

    武部委員 その辺が非常に重要なんですよ。前回は、二円の手取りのうちの一円二十銭は生産者、三十銭がメーカー、五十銭が販売店手数料であったはずであります。今回は、人件費が上がったという理由をもって小売り店は独自な立場で三円上げたという、こういうビラ消費者に配られておるのであります。いまあなたのおっしゃっておることを聞いておりますと、小売りは三円上げておるけれどもメーカーやあるいは生産者から値上げ要求があった場合には、この三円はあるいは一円になるかもしれぬ、こういうふうにとれるわけですが、そういう意味ですか。
  12. 立川基

    立川説明員 要するに、今回の値上げは従来の値上げのやり方と変わっておりまして、従来は、生産者メーカー、それからメーカー小売り、そういうような形で、三者の間に並列的に価格がきまっておったわけでございますけれども、今回は、小売りのほうの価格値上げで、三円を一挙に労賃その他の事情引き上げるということを言っておりますので、そういう事情が、はたして三円の価格が適当であるかどうかということについては疑問があるということを申し上げておるわけでございます。
  13. 武部文

    武部委員 それならばお尋ねいたしますが、現在の二十円のうちで、あなたは販売店手数料が七円だとおっしゃっておるわけですが、配達一本分について一体どの程度のコストになっておるというふうに農林省は見ていますか。
  14. 立川基

    立川説明員 配達料そのものにつきましては、まだわかっておりません。
  15. 武部文

    武部委員 七円の内訳農林省が知らぬというのは、私はこれはおかしいと思うのです。私ども調査によれば、大体一本一円五十銭であります。この一円五十銭で一人が一日に配達する量は、全国まちまちでありますけれども、大体二百五十本ないし三百本、これが平均配達の本数であります。したがって、かりに二百五十本とすると、これに一円五十銭かけた金額、一日三百七十五円という配達賃、これはパートですからそういう金額になろうかと思います。ところが人件費高騰理由に今回三円上げた。そうすると、かりに全部それが配達賃に回るとすると四円五十銭になります。四円五十銭に二百五十本をかけると一千百二十五円であります。これはたいへんな金額になるのであります。去年は二円についてあれだけ当委員会で問題になり、相当な日にちを費やして論議をしたにもかかわらず、今回三円の問題が出た。ところが私どもの承知するところでは、農林省はこの問題について何ら公式な見解も、あるいは農林省としての今後の対策について発表したということも私どもは聞かないし、見ないのであります。これは一体どういうわけか、非常に不可解であります。  同時に経済企画庁も来ておられますが、去年あれだけ問題になったときに企画庁長官も発言があった。配分の問題についても問題があった。ビールが上がったら、あなたのほうではたちどころに総理大臣まで引っぱり出して文句をつけられた。ところが今度は、三円上がったけれども、うんともすんとも、一言も経済企画庁はこれについて見解を述べられない。これはどういうことか、私どもは非常に不可解に思うのですが、経済企画庁はこれをどう思うか、それをお伺いしたい。
  16. 立川基

    立川説明員 後ほど企画庁からお話があるかと思いますが、農林省といたしましても実は東京都の小売り組合その他の幹部を呼びまして、事情の聴取をするなり、その他いろいろ目下調査中でございます。小売り動きなりその他につきましても、いろいろと微妙な問題があるようでございますので、そういう意味目下調査中ということを申し上げたわけでございます。
  17. 八塚陽介

    八塚説明員 私どもも、今回の東京都におきます牛乳小売り価格値上げの問題につきましては、非常な関心を持っておるわけでございます。当然、現在の物価事情から見まして、いろいろな物価については問題にすべき立場にあるわけでございますから、いまさらその点ではどうこうということはないわけでございます。ただ、ビール等と異なりまして、牛乳についてはなかなか手がかりがない。特に今回の値上げ問題は従来と多少さまが変わっておるということで、現在の私どもの気持ちは、農林省が先ほど来申し上げておりますように、いろいろ調査をいたしております。私ども十分連絡をとりまして、いわば農林省調査あるいは今後の動きというものをバックアップしていきたいというふうに考えておるのでございます。
  18. 武部文

    武部委員 そういう見解は非常に消極的だと私は思うのです。何回も言うようですが、去年の例をことしに当てはめてみると、全く格段の差があります。こういうことではおそらく全国的に波及することは必至だろうと思うのです。  きょうは時間の関係で先を急ぎますから、もう二、三お尋ねをしておきますが、生産者団体が、この三円のうちで一円四十四銭を分け前として要求したということを聞きましたが、そういう事実はありますか。
  19. 立川基

    立川説明員 具体的な数字として一円四十四銭というのを正式にお伺いしたことはございません。大幅な引き上げ要求したいという陳情はお受けしたことはございます。
  20. 武部文

    武部委員 それは三円のうちから分け前をよこせというのですか、そういう申し出ですか。
  21. 立川基

    立川説明員 どこのうちからとか外からということではなくて、生産者としては大幅な値上げをしてもらいたい。末端価格改定をやるのならば、われわれも生産費その他が上がっておるんだから、これに続いて大幅に値上げをさせてもらいたい、そういう陳情を受けております。
  22. 武部文

    武部委員 この辺が非常に微妙なんですよ。いままでの新聞報道をずっと見ておりますと、生産者団体が、この三円の値上げに端を発して、しばしば会合を持っておられるようであります。メーカーもこれには相当関心が深い。いま問題になっておるのは、この三円の値上げをめぐって分け前が大問題になっておる、こういうふうに国民理解をしておるんです。いま畜産局長の答弁を聞きますと、大幅な値上げ要求する。三円の問題がそのまま固定化をして、その上にメーカー手取り、それに生産者手取りというものがくっつくとたいへんなことになるのです。そういうふうな傾向をたどるというふうにあなたのほうは見ておるのですか。それとも、この三円というものについては、あなたはさっき問題があるとおっしゃった。問題があるならば一体どこに問題があるのか。三円が高いならどこに根拠があって高いとおっしゃるのか、それを言ってもらわなければわからないと思うのです。
  23. 立川基

    立川説明員 先ほど申し上げましたように、現在の消費者価格は二十円ということになっておりまして、それが一挙に三円なり、さらにその上に上積みして四円なり五円なりということになると、重要問題であるということは当然のことだろうと思うわけであります。したがいまして、この小売りの三円の値上げがはたして妥当であるかどうか、その問題について私たちは、労賃アップなり何なりの程度の度合いから見ましても、非常に疑問があるのではないかというふうに考えておるわけでございます。いわんやそれが、四円なり五円なりの末端価格引き上げがあるというふうには必ずしも考えておりません。
  24. 武部文

    武部委員 どうも理解ができにくいのです。仮定のことを言ってもしょうがないのですが、東京ではほとんど三円値上がりしておるようであります。全部はしておらないようでありますけれども、おそらくやこれはそのようになるだろうという想定はつくのであります。  そこで一つ伺いをいたしますが、去年、農林省がいままでとっておりました小売り指導価格制を廃止いたしました。その理由は、自由価格なんだから競争によって安くなることは当然あり得るんだ、そのために指導価格制を撤廃するんだということを、岡田畜産局長がこの席で明言されたわけであります。われわれは、それによって上がるんじゃないかということを主張いたしましたが、結果はそのようになりました。今回、この三円の値上げをめぐって、生産者メーカー販売店の取り分をあらかじめきめる、価格体系を整備するよう、そのために四十一年まであった指導価格制政府に対して要求するということを生産者団体等がきめたようでありますが、この指導価格制を復活する意思農林省にありましょうか。
  25. 立川基

    立川説明員 先ほど申し上げましたように、実態がまだ非常に流動的な状況でございますし、事情調査その他も必ずしも十分でございませんので、いま言われました問題も含めまして、どういう措置をするか、今後検討してまいりたいというふうに考えております。
  26. 武部文

    武部委員 公正取引委員会、この問題は冒頭から申し上げているように、去年経験済みの問題であります。このたび、ビラを配って直ちに値上げをいたしたという事実がありますが、いろいろ調査をしてみるとたいへん問題が多いようであります。公正取引委員会は、今回突如三円小売り価格を上げたこのことについて、どのような見解をお持ちですか。
  27. 柿沼幸一郎

    柿沼説明員 東京の下町から始まりまして、さみだれ的に牛乳値上げが進行しておるようでございます。公正取引委員会といたしましてもこの値上げにつきまして重大な関心を持っております。前回値上げと今回の値上げを私ども見ておりまして、違う点は、組合なり支部なりという名前を使ってのビラが一切なくなりまして、個々の牛乳販売店名前でもって、いままで私ども手元にまいりましたビラで見る限り、配られておるという点が違っております。それからさみだれ的に値上げが行なわれておるという点が違っております。それらの資料消費者団体等連絡をとって収集いたしながら、私どもといたしましても、この成り行きに深甚な関心を寄せておる次第でございます。
  28. 武部文

    武部委員 私ども調査によると、これは明らかに協定したという事実をつかんでおるのであります。あなたのほうは慎重に調査調査とおっしゃっておるけれども、去年の、摘発して審判にかかったあの事件はどうなっておりますか。
  29. 柿沼幸一郎

    柿沼説明員 前回値上げの場合には、兵庫県、愛知県及び東京都下における、三県の組合あるいは組合支部値上げ独禁法に違反するということで、審査対象になっておりました。そのうち兵庫県と愛知県の分につきましては、一応独禁法違反という結論を得まして勧告をいたしております。杉並の件につきましては、現在結論を出す最終段階にきておる実情でございます。
  30. 武部文

    武部委員 一年半かかってもまだ結論が出ないのだ。そこへもってきて二度目の値上げが起こった。このままではおそらく全国的に波及することは必至です。前回竹中公取事務局長は、この問題にからんで緊急停止命令のことを考慮するとおっしゃった。結果的に、公取内部で異論が出て、何かなじまないとかなじむとかいうような、そういう私どもにははっきりしたことがわからぬままに、緊急停止命令は出なかったのである。結果は御存じのとおりでございます。少なくともこの三円の値上がりというのはたいへん大きな内容を持っておるものでございますから、この際、公取として緊急停止命令を出すように考慮するというような見解はないのですか。そういうことを公取として検討する必要があると思うのですが、その点はどうでしょうか。
  31. 柿沼幸一郎

    柿沼説明員 前回、この席上で武部委員の御指摘もございまして、緊急停止命令という制度公正取引委員会として長期間使われずにおりましたので、いっでもこれが発動できるようにということで内部で十分検討いたしました。そして、緊急停止命令を発動する必要がある場合には直ちに発動できるような体制を、審査部といたしましては、おかげをもちまして、とることができておるわけでございます。ただ、緊急停止命令を発動いたします対象といたしましては、独禁法違反のうちのやはり特定の案件に限られるということでございまして、カルテル問題につきましては、やはり緊急停止命令がなじまない制度であるというのが、現在公正取引委員会として出しております結論でございます。
  32. 武部文

    武部委員 おそらく杉並も今度三円という線にそろっておると思います。おそらくそろうだろうと思います。かりに審判審決が出て、杉並は明らかに協定の事実があった、こういうことがあったにしても、現実牛乳は二十円で一年半も売られておる。そこへもってきてまた三円上がった。前の二円について審決が出ても、現実牛乳が二十三円になる、こういうことを考えたときに、全く公正取引委員会がやっていることには実効がない。これでは国民政府に対して大きな不信を持つと思うのです。それだから、去年はああいうことでできなかったが、ことしは少なくともいま目の前にあるところの問題について緊急停止命令を出す。このような結論を出すことが、公正取引委員会として消費者に対するところの義務だと思うのですが、この点はどうでしょうか。
  33. 柿沼幸一郎

    柿沼説明員 緊急停止命令を出すか出さないかという問題の判断は、現在の独占禁止法解釈では高等裁判所が行なうことになっておりまして、公正取引委員解釈でその判断を変えることはできないかと思います。
  34. 武部文

    武部委員 あなた方がおやりになると言っているのではないのですよ。高等裁判所に対してそのような申請をおやりになる決意をお持ちにならないか、それをやるべきではないかということを言っておるのです。
  35. 柿沼幸一郎

    柿沼説明員 法律に該当する要件がございます場合には、私どもといたしましては直ちに高等裁判所緊急停止命令の発動を申請する用意はいたしております。ただ、価格協定の問題について高等裁判所に申請するつもりは現在のところございません。
  36. 武部文

    武部委員 農林大臣、お聞きのように、去年は大臣出席がなかったわけでありますが、今度の三円の問題は、去年とは非常に内容が違っておるのです。もしかりに畜産局長のおっしゃるように、小売り組合が、三円値上げ自分たち人件費値上がり販売店経営上、どうしても自分たちとしてはこのことは正しいと主張した場合に、メーカー生産者がこれに対してさらに追い打ちをかけて値上げ要求する。こうすればたいへんな金額になるということはあなたもおっしゃった。ところが、一説によると、どうもこの三円の値上がり内容について、先ほどから申し上げるように、配分の問題について話し合いが進んでいるように思えるわけです。こうなってくると、一体何のために三円上がったのか、一体だれがこれを画策したのか、この点に私は非常に疑問を持つのです。去年のようなことならまだ話ばわかります。初めから一円二十銭、三十銭、五十銭。三十銭のメーカー協定については、われわれは公取委に摘発を要求したけれども、証拠がつかめなかった。今回は非常に巧妙です。三円、こういう非常に高い金額、先ほど私が申し上げたような一人の平均配達運賃から見て、三百七十五円が一挙に一千百二十五円になるようなことが、一体どこから計算が出てくるのか非常に疑問に思う。上げておいて三者でもって配分するという約束が事前にあったのではないかとすら思われる。われわれはそういうふうにしか思えないのです。  そこで、農林大臣にひとつお伺いをいたしたいのでございますが、この問題は消費者にとっては非常に大問題です。三円の値上がりについて、これが現実に全国に波及しないように適切な指導農林省としてはおやりになる意思があるかどうか、それを大臣からひとつ最後にお伺いしたい。
  37. 西村直己

    西村国務大臣 ことしの生産者市乳価格につきましては、御存じのとおり、非常に長いもみ合いがありまして、その結果、今年度においては末端価格に影響しない範囲内において一応妥結したわけであります。しかし同時に、生産者メーカー、また小売り業者におきましても、労賃その他の値上がり経営が楽でないという事情は、私どももある程度存じておりますが、今年度はこれで推移するという形でおさまりつつあったところが、残念ながら最近におきまして、ただいままでにお話があったような事態が起こっておる。  そこで、私の基本的な考えとしましては、牛乳の料金に対して、小売りという一つサイドだけでこういう問題を急遽実行するということについては、非常に好ましくない。これは、私は基本的に考えております。御存じのとおり、生産者メーカー、あるいは小売り、こういうものが一つ組合をつくると同時に、消費者、ことに牛乳につきましては大衆商品でありまして、家庭で大きな関心、あるいは影響を持ちやすいものであるだけに、従来の経緯にかんがみましても、こういったワンサイドにおいて既成事実をつくっていくというようなことはおもしろくない。  そこで、私としても単に何ら手をこまねいているのではございません。実は経企庁長官等ともしばしばこの問題については内部的には話し合いをいたしております。ただ、事柄が、当面の問題とそれから来年以降にかけての乳価あり方等も含めまして考えていかなければならぬ点が一つございます。それからもう一つは、ことしの乳価をきめる経緯というような問題もございます。そこで実態というものがまだきわめて流動的であるということもございますので、そこいらも含めまして、私としてはできるだけこの事態の解決に対しては善処をいたしてまいりたい。ただ事柄が、御存じのとおり指導価格ではございません。今日は自由価格という形をとっておるだけに、われわれとしてもよい結論を得るためにはやはりくふうが要ると思います。そういうような意味で、正直に申しまして非常にやりにくい問題ではございますが、ひとつ努力はする決意でございます。
  38. 唐橋東

    唐橋委員 いまの、牛乳小売りの問題について関連質問さしていただきたいのですが、先ほど、小売りの七円という、この七円の中のいわば配達あるいは純然たる小売り、そういう内容については農林省はわからないと言うのですが、生活局公取委のほうではその内容御存じですか。
  39. 八塚陽介

    八塚説明員 私ども、昨年の牛乳問題に端を発しました牛乳調査団の経過がございますので、ただいま手元に持っておりませんが、数字はあるわけでございます。ただ、いわゆる全国平均的な、あるいはこれをもって全般そのとおりであるというサンプル的なものは必ずしも持っておりません。いずれにいたしましても、まことに申しわけないのですが、現在手元にございません。
  40. 唐橋東

    唐橋委員 こういう形になっておるので、ひとつその間の資料なりを私は次回の委員会までにほしいのでございます。といいますのは、メーカー販売店商取引契約をします。その販売店は、今度は一戸一戸に配達する戸配、あるいはまた三十本なり五十本なりまとめて商店に配達する、こういうことになって、メーカーの権限というのは販売店まで及んでおります。その間における契約条項というのは非常にきびしいものがある。こういうように私は現実を考えておるのですが、その間の契約事項というようなものは、おそらく農林省関係とか公取委関係では当然目を通しておいていいと思うのですが、それらについての契約御存じですか。
  41. 立川基

    立川説明員 先ほども申し上げましたように、自由な取引なものですから、われわれのほうとしては、現実にはいまのところつかんではおりませんけれども、今後そういう必要がある場合においては十分調査をいたしたいというふうに考えております。
  42. 唐橋東

    唐橋委員 各メーカー販売店まで必ず契約をしているのです。そして売り上げ代金が多少でも残ってくるといえば、保証人まで財産差し押さえをしてそれを取り上げていく、こういうようなきびしさの中に現実はあるわけです。その場合に、たとえばいま武部委員が言われたように、小売りが三円上げた、そのときに、メーカーが、いわゆる販売店のほうまでそういう権限を及ぼしているメーカーが、その三円について、全然私のほうは関係ないのです、いわゆる小売り業者販売店関係、あるいはその下の小売り、こういう人たちが上げたのですというようなことは、私たちは非常に理解しにくいのです。メーカー側は必ず、いわゆる販売店までおろす価格はこれだけ、それに対する販売店の利潤はこのくらい、小売り店はこのくらい、配達をやる戸配配達の場合はこのくらいということをつかんでいるはずなんですが、これらについてはどのくらい実態をつかんでおるか、いまの質疑応答の中で非常に疑問に思っておるのです。  したがって、時間もありませんので、私はひとつ資料要求しておきたいのですが、牛乳の大メーカー販売店との契約は必ず一律に——一つ一つメーカーは違うのでしょうけれども、必ず一つメーカーは全国の販売店におよそ同じ契約をしておるのです。ですから、その材料をとるということならば、これは至って簡単にとれると思います。あるいはまた販売店に行って、どういう契約をしておるのかということを聞きさえずれば、当然出してくれますよ、全国のものなんですから。ですから、その資料を、これは公取委でもあるいは生活局でもいいですが、ひとつ次回までに出していただけますか、どうですか。
  43. 八塚陽介

    八塚説明員 私ども、先ほども申し上げましたように、直接牛乳を処理しておりません。やはり農林省を通してそういうことをやっております。そういう意味で、農林省のほうからお答えいたします。
  44. 立川基

    立川説明員 ただいまのお話しの点につきましては、いろいろと問題もあろうと思いますので、できるだけその資料を整えまして提出いたします。
  45. 和田耕作

    ○和田委員 いま武部委員とのやりとりを聞いておりまして、一つただしたいと思いますのは、先ほど畜産局長は、農林省の行政指導を、価格指導を含めて検討したいという答弁がございました。それから農林大臣は、小売り商のワンサイドのこのような問題提起には問題がある、検討しなければならぬという答弁がございました。  まず、農林大臣のおっしゃるその意味は、畜産業者あるいはメーカーあるいは卸等のいろいろな価格の取り分の均衡の問題もあるわけでございまして、やはり何らかの形の農林省としての行政指導というようなものが必要ではないかという意味のように聞いたのですけれども、その点どうですか。
  46. 立川基

    立川説明員 先ほど私が指導価格ということを申し上げましたのは間違いでございまして、指導という趣旨のことでございます。それで、どういう形の指導をとるかということでございますが、先ほどお話しのございましたように、本来自由な取引の関係でございますので、指導のしかたが非常にむずかしいわけでございます。ことに、ことしのように末端のほうから声が起こってきて、いろいろ生産者なりその他のお話があるという段階でございますので、非常に特殊なくふうをする必要があるので、いろいろな意味であらゆる方法を研究いたしたいという趣旨におきまして、極力政府としても指導をする場合もあり得るということを申し上げたわけでございます。
  47. 和田耕作

    ○和田委員 大臣、ひとついまの問題について……。
  48. 西村直己

    西村国務大臣 和田先生の御質問、よくわかります。ただ、いかに自由価格であるからといって、政府がこの事態をこのままほうっておくことはできないだろう、こういう気持ちでございます。そして、私の答弁も、おっしゃるとおり現在末端価格は自由になっておる。しかしこの問題につきましては、ことしの乳価をきめる際にもかなりもみ合いまして、ことしは末端までには影響させないで、それぞれの分野において一応おさめたわけでございます。それは将来におけるあり方を多少見通しをつけながらの問題でございます。なるほど生産事情あるいはその他流通事情等々におきまして、労賃その他の値上がりという分野があるということをわれわれは認めながら、しかし昨年の乳価の問題等にもかんがみて、ことしは末端価格には影響させない、そしてことしの事態がおさまったところが、残念ながら一部のワンサイドで既成事実をつくっていこう、この事態に対しては、国民経済としても——それからことに牛乳がいま不需要期でございます。だぶついている時期に、一部新聞等にもあらわれておりますように、そういう思想があればきわめて不道徳だと思います。経済でございますから、正々堂々とやるべきことはやる。そういうタクティックを用いないで、経済でおさめるところはおさめていくということもやむを得ないと思います。ある場合には消費者が負担しなければならないと思いますが、とにかくタクティックを使ってやるようなことであれば、私は好ましくないと思う。  そこで、農林省としても、指導価格にするというような気持ちではないけれども、そこはなかなか——昨年やめたのにまたとうだという、朝令暮改ということを簡単にやるかどうか、そういうようなこともよく考えなければならぬが、しかし行政として手は打つでいく。業者団体なり行政関係の方面とも十分連絡をし合いながら、この事態実態をつかまえて、やはり国民経済の中においておさめるべき姿におさめるように努力していく。しかも、それはここでただ一時の糊塗をしないで、来年に向かっての形を考えつつやっていかなければいけないじゃないか、そういう意味指導する。  ただし、その指導につきまして、私がこういうような場において、あるいは新聞紙上を通して思いつきでぱっと言うことは、一時の効果はあるかもしれませんけれども、それが実際的には何もおさまらないということであっても……。事柄が経済でございますので、内部的に絶えず経済企画庁なりわれわれ、あるいはその他の関係連絡をとり、同時にもちろん世論の強い正しい動きというものも見詰めつつこの処理をしてまいりたい、こういう意味でくふうをこらした指導というものをひとつ考えていきたい。その点は、正直に申しまして非常にむずかしい点でございます。しかし、それが国民経済全体に対する私どもの大事な責任だと考えております。
  49. 和田耕作

    ○和田委員 いまの大臣の言明されました点は、私は非常に大事な点だと思うのです。昨年来の宮澤長官の、政府物価政策に対する基本的な態度に関係する問題だと思うのです。それは、牛乳の問題について何回となく御質問申し上げて、公取委員長にも申し上げたが、はっきりした見解はなく、ただ政府の一般態度としては、自由価格のメカニズムに信頼するという態度をとっておった。しかしこの牛乳のように、小売り店のバックの形であれをするといいましても、この前も問題になりましたように、牛乳小売り店の約七割は大企業の系列下の小売り業だということは明らかです。つまり実態は寡占化されているわけです。これはメーカーにしてもそうです。もっとはっきりしている。こういうふうな実態をそのままにして、自由な価格形成のメカニズムに移していけばいいのだというこの政府の態度は、私は決して物価引き上げをとめるという役割りは果たさないのだということを申し上げたのですけれども、そういう点が現在の牛乳の問題にあらわれてきているわけです。経済企画庁のほうに、長官がいらっしゃらないのですけれども、御見解を承っておきたいと思います。
  50. 八塚陽介

    八塚説明員 いま和田先生のおっしゃいましたように、いつも宮澤長官の答えは、最終的にはやはり自由価格で競争条件の整備をはかっていくかっこうでいきたいということを申し上げているわけでございます。特にまた牛乳の問題につきましては、過去におきまして経済企画庁方面の意向として、いわゆる従来の指導価格という制度をはずしたらどうかということも言ったわけでございます。その意味におきまして、私ども今回の牛乳値上げの問題については、相当考うべき問題があろうかというふうに考えております。と申しますのは、従来牛乳値上げの問題は、多くの場合、先ほど来からお話がありましたように、メーカーあるいは生産者を含めた全体の問題として絶えず起こってきたわけでございます。したがって、また先ほどメーカーの寡占状態云々というようなお話も当然一つの問題であったわけでございます。今回の問題は、本来自由であるべき最終の消費者販売店のところで起こってきているということで、最も競争条件と申しますか、自由競争がうまく働くべきところが、実は今回のようなかっこうになったということで、一般的な議論としては、やはり従来どおり自由競争と申しますか、競争ということに信頼した政策で進めなければならないと思っておりますが、それぞれ具体的な事態、十分に条件が整備されているかいないか、さらに整備されるようにすることと同時に、具体的な問題については、それなりにいろいろなくふうをこらしてやっていくということが必要であろうというふうに考えているわけでございます。先ほど来畜産局長は、今後の指導のあり方を含めて考えてみたいということを言っておりますが、私どもも、一般論は別といたしまして、やはり今後具体的にどういうふうにこの牛乳の問題を進めていくか、農林省ともよく相談をして進めてまいりたいと思っております。
  51. 和田耕作

    ○和田委員 あと一言だけ。私はいままでの、たとえば牛乳等についての政府指導価格制を復活せいとは申し上げていないのです。確かに自由な市場のメカニズムにまかしていくということは、いまでも意味があると思います。と思いますけれども、それだけで価格問題を解決しようという態度が見えてならない。これはむしろ自由な市場にまかすということの名分をとりながら、実際は行政責任を回避している、物価はどんどん上がっているのですから。自由な制度にして下がってきたものは一つもないでしょう。自由な制度にして全部上がっている。しかも、その上がりを公取が見なければならないが、それを見る公取は、武部委員が指摘したとおり、二年も三年もかかって、ほとんどその成果があらわれてもいない。そういうようなことをこの次あたりにはいろいろ検討して、もう一ぺん質問したいと思いますけれども、それまでに、いろいろ行政指導的なものを——これはお酒の問題もそうです。今度の牛乳の問題もそうですが、そういう自由な制度にして物価がどの程度安定したのかあるいは上がったのかというその資料を、この次までにぜひ整えていただきたいと思います。これは政府の現在とっている物価政策の根幹にまたがる問題だと思います。それは寡占の問題についても、全般の問題だと思いますので、いままで自由化された結果、物価が安定したか上がったかあるいはどうなったかという、この資料をぜひひとつ整えていただきたいと思います。  質問は、これで終わります。
  52. 八塚陽介

    八塚説明員 私どもも現在、いわゆる行政指導価格というものの関係がどうであろうかということを、各省の行政指導あるいは各省の所管物資と関連させて検討いたしております。いま御指摘になりましたように、行政指導をやめたことによって上がったという一それが因果関係は別にいたしまして、そういう結果になったという物資もあろうかと思いますが、しかし一方、いろいろな意味の行政指導をはずしたことによって、ある程度下がっていったという傾向のあるものもあるわけでございます。しかし、いずれにしましても非常に広範な物資にわたりますし、それから行政指導価格とが特に照応してこうなったという論証はなかなかむずかしい場合がございますし、計量的にも非常に困難でございますので、和田先生のお話しになりました資料がすぐ整いますかどうかはちょっと検討さしていただきたいと思いますが、いま御指摘になりましたような問題意識で勉強はいたしておりますので、ある時期にそういう点について御説明ができるかと考えております。
  53. 武部文

    武部委員 農林大臣の時間が非常にないようでありまして、食肉行政についてお伺いをいたしたいのでありますが、特に畜産振興事業団のあり方、今後の食肉行政がどうなっていくのか、こういう点をぜひ大臣からもお聞きしたがったのでありますが、時間がなくて途中になるようでありますから、私は、アルゼンチンの煮沸冷凍肉と中国産食肉との関係について大臣見解をちょっとお承りしたいのであります。  中国産の食肉の問題については、国会の場でいろいろ、各種委員会で質疑が行なわれ、当委員会でも昨年質疑が行なわれております。最近では、衆議院決算委員会で大石武一委員から農林大臣にいろいろ質問があって回答が出ておるのであります。きょう私がお伺いをいたしたいのは、アルゼンチン共和国の煮沸冷凍肉と中国産の肉との間にどういう関連があるのか、なぜ別個な差別をおとりになるのか、この点を最初にお伺いをいたしたいのであります。  アルゼンチンと日本政府との協定によりますと、七十度で一分間煮沸したものを日本は輸入することになっておるそうであります。話が前後してたいへん恐縮でありますが、アルゼンチン共和国における口蹄疫の発生状況、これを農林省のほうからお聞きをいたしますと、すでにアルゼンチンでは一九六八年、本年八月までの間に六百二十六件の口蹄疫が発生をしておるという事実があります。その口蹄疫発生のアルゼンチンから、七十度C一分間煮沸をした冷凍肉が輸入になる。ところが、この日本獣医師会発行、農林省の家畜衛生試験所、農林省畜産局衛生課監修「口蹄疫」という本があります。この中に、現在の口蹄疫のウイルスについて調査の結果の発表が載っておるのであります。アルゼンチンは七十度C一分間で煮沸をして日本に入れるということになっておるようでありますが、この試験の結果によりますと、八十度Cで六時間加熱をしてなお全部についてウイルスが消滅していないという事実が、はっきりとここに載っているのであります。少なくともアルゼンチンの煮沸用の肉の三百六十倍の加熱をしてもなお口蹄疫のウイルスが残存をしておるということが、はっきりとこの農林省資料によっても載っております。  ところが、この大石委員の発言にも見られますように、中国にいままで三回の調査団が行かれて、特に大石委員もみずから団長となって四十年八月から中国に行って調べておられる。それには専門の獣医大の教授も同行しておる。その報告書を私ども読ませていただきました。「中国畜産界の学問、技術水準は高いとは言えないが、防疫は強力な政治力と大衆動員で忠実に行なわれておる。」これが四十年の大石武一団長の報告であります。第二回の田中調査団の報告はなお詳しいものであります。この中には数項目について、はっきりと、中国には口蹄疫の発生はない、特に、口蹄疫が発生をし、伝染、感染地域と目される外モンゴル、ソ連との国境については、幅四十キロの無家畜地帯を設けて警戒をしておるという報告が、これにはございませんが、私どもはそういう調査の報告を聞いております。それだけ厳重に警戒をし、口蹄疫の発生をしていない、その中国産の肉をなぜ輸入をしないのか、こういう点について、私ども専門ではありませんが、たいへん疑問に思うのであります。  そこで質問は、最初のアルゼンチンの口蹄疫の発生の現状、それと七十度C一分間煮沸、これによって安全である、このようにお考えになって協定を結ばれた。この本によれば三百六十倍の加熱を加えてもなお残っている、安全性は立証されないということが載っておる。こういう点について、畜産局はどういうふうにお考えでしょう。
  54. 立川基

    立川説明員 第一点でございますけれども、アルゼンチンとの協定によりまして、肉のかたまりを七十度一分間の消毒をするということになっておりますが、肉の中心が七十度一分間、こういうことになるのでございます。したがいまして、肉のかたまりといたしましては、大体通常の場合に摂氏八十度で三時間以上処理しなければ、いま申し上げましたように七十度一分の消毒ということには大体ならないようでございます。  二番目に、いま書類で御指摘になりました事例でございますけれども、これは実験のために、特殊な、たとえていえば牛の舌の、ウイルスの増殖性の非常に多い、極端に言いますならば四十億倍に希釈いたしましてもなおかつ死亡率が五〇%というような、非常に増殖率の強いものにつきまして、米国で一九五九年に行なわれた事例のことだろうと思うわけでございます。通常の場合には、たとえばアルゼンチンとの協定のごとく、双方の政府協定によりまして、正常なものにつきまして正常な加工過程で、それで先ほど申し上げましたような形で双方の政府がその施設についてお互いに責任を持ち、いつ立ち入りをしても差しつかえないというような協定を結んで、その上で、汚染国ではございますけれども、通常のいわゆる肉のかたまりにつきましては差しつかえないのではないかというふうに判断したわけでございます。ついででございますけれども、いま申し上げました米国での実験例でございますけれども、その後におきまして米国もやはり同じような基準、七十度一分という基準でアルゼンチンから肉を輸入しておるような実態でございます。  それから第二点でございますけれども、確かに中共からの肉の輸入につきまして、民間から数回にわたりまして調査団が派遣されまして、田中調査団の報告書をわれわれもお伺いしておるわけでございます。しかし、その数回行かれました報告書をお伺いいたしましたところでも、国境地帯なり云々ということも確かにございます。けれどもその中には、たとえて申しますと、口蹄疫にかかりました病患畜をどういうふうにしてなおすかということにつきまして、隔離してなおすというようなことも書いてございます。われわれがお伺いしておるところによりますと、普通ならば、口蹄疫にかかりました偶蹄類につきましては撲殺することが普通のやり方であって、隔離によりましてやります場合には、その菌が一時は表面的にあらわれなくてもなおかつ残存するというようなおそれが非常にあるわけでございます。そういうふうな菌が残っておる場合においては、われわれとしては十分に、何と申しますか、汚染国であるかどうかということがわからないという点が第一点でございます。そのほかにもいろいろ、たとえていえばそういうふうに菌がもし残っておるならば、一時的に平静に見えまして、いわゆる診断した、目に見たところでは普通の状態のように見えましても、ある程度牛の世代が交代することによりまして、子供の代になって発生するというおそれも非常にございます。ヨーロッパあたりで、十年に一回全国的に口蹄疫が起こるというようなことがいわれるのは、やはりそういうような例があるからでございます。そういうふうに、取引をいたしますもとになるべき基礎的な条件について、まだ十分にわれわれのところでわかっていないということで、中共に対してそういう五つの事項につきましていろいろと教えてもらいたい、その上で取引したいということでございます。  それからつけ加えておきますけれども、田中先生の御報告がございまして、前二者の御報告と御当人も加えた上で、学者、諸先生が集まって、いま申し上げました屠殺の方法だとか、あるいは一九六〇年以前に、要するに十年周期説に対してどういうふうに答えるかというような問題だとか、あるいはワクチンの問題なり、その他口蹄疫に類似する病気の問題なり、そういう問題をもう少し調べなければ現実的な取引の段階の問題には入れないんだというお話がございまして、先ほど申し上げましたような五つの事項について、日中貿易協会を通じまして、そういうような事態について事情を明らかにしてもらいたいということを言っておるわけでございます。
  55. 武部文

    武部委員 大臣は外交上の御用だそうですので、最後に一点だけ大臣にお伺いいたします。  いま畜産局長説明によりますと、肉の中心温度とかなんとか言っておりますが、アルゼンチンとの協定には煮沸肉の厚さや大きさなどということは全然書いていない。そういう点は非常に疑問だと私は思うのです。これはあとにいたしましょう。  それから、たとえば中国産の胃だとか腸だとか膀胱だとか、そういうところに対する許可条件については百度C一時間。そういうふうに、アルゼンチンの七十度一分間とは違うのです。それから、いままで鶏とかウサギの肉がたくさん中国から入っておるけれども、これについては何ら病菌が発生したということはない、こういうふうに聞いておる。そういう点をいろいろ考えてみると、今回も大臣はしばしば言明されておりますが、衛生論とか技術論とかいろいろなことをおっしゃっておるけれども、私どもから見れば、これは政治的な配慮によって中国産の肉が入ってこないのではないかということは、もういま世上通例になっておると思うのです。  大臣に最後にお伺いいたしたいのは、少なくともいままでのは民間の調査団であった、こういうことをしばしばおっしゃっておる。そうだとするならば、日本政府の正式の調査団を派遣して調査することもできるのではないか。また輸入牛の係留地に政府の技術者を派遣して、検診とか検疫ということもできるのではないか。そういうふうな前向きな方向で、この中国産の食肉について輸入に対する検討をお始めになる考えが大臣にあるかないか、これを大臣に最後にお伺いしておきたい。
  56. 西村直己

    西村国務大臣 中共肉の問題につきましてしばしばそういう御要望があることは、私も陳情をお受けしたりして聞いております。ただ、これを基本的に政治的に解決せよという御要望がよくあるが、私は次元が違うといつも言っておるのであります。病気の問題を政治で判断してきめるということはあり得ない。問題は、病気は病気として技術的に疫学的な観点からはっきりさせる。それでなければ、次元の違う問題を幾ら騒いでもだめだ、こういうふうに私は言っておる。ただ、肉に対します基本的な政策としては多元的に輸入する、ただし術生上に支障のないという問題を前提として、ということでございます。これは従来も今日も変わっていないのであります。それが何かどの時代にか突然変わったとか言っておられるのば、私は当時の担当大臣にしばしば尋ねてみましたが、そういうことは絶対にないんだ。従来も今日も変わっていない。問題は、あくまでも衛生上の問題としてこれは解決していきたい。したがって、アルゼンチンから煮沸肉を入れるということで、煮沸という工程を経た衛生的な取りきめをして今日入っておる。  中共との場合におきましても、そういうような条件のもとに話が進むならば、その条件が満たされるならば、煮沸であればいい。ただ生肉を入れるという問題になりますと、衛生上の問題がさらにもう一本ある。その場合におきましては、私どものほうは、民間から調査団が行かれた、しかしその調査団の連中でさえも、帰ってきて、やはりこういう点はもう少し解明する必要があるのじゃないかと報告書にすでに述べておる、会議の席で。そこいらの点を解明したいというのが私どものほうの条件でございます。それを申しておるのでございますが、残念ながら今日までその御回答をいただけない。たとえばどういうワクチンをお使いになるのか、その性状等も知らしてもらいたいと言っても、それは国防上の観点から教えられないというような形になると、これはむしろ政治問題に戻ってしまう。あくまでも衛生上の問題として私どもは明らかにして、その上で本問題の専門的な技術検討というものも終えるということを急ぎたい、これが私どもの態度でございまして、何ら他意あるものではございません。できるだけ経済の問題以前の衛生上の問題としてこれを扱ってまいりたい、これが私の考えでございます。
  57. 武部文

    武部委員 時間がないようでありまして中途半ばになりましたから、これはまたあらためて伺うことにいたします。  それでは畜産局に続いてもう二、三点お伺いをいたしますが、牛肉の値段については、非常に高くて手に入らない。したがって豚肉の需要が非常に多くなっておるということもこれまた事実でありますが、いまの豚の白上のキロは相場として大体どのくらいしておるのでしょう。
  58. 立川基

    立川説明員 東京の卸売り市場といたしまして、白の上はキロ当たり大体五百二十円前後でございます。
  59. 武部文

    武部委員 そこで、前々からこの畜産振興事業団の放出の問題買い上げの問題、こうしたことが当委員会でもいろいろ問題になっておりました。五百二十円というのはこれはたいへんな金額だと思うのです。いまさら言うまでもなく、三百二十円から三百九十円という上、下限の操作が事業団の大きな役割りでありますね。五百二十円から三百九十円引いたらたいへんな金額です。この五百二十円という金額が大体いつごろまで続くというふうにあなた方は見ておられるだろうか、その点について……。
  60. 立川基

    立川説明員 御案内のように、五百二十円というのばかなり高い数字になっておりますので、これをなるべく減らしたいということでいろいろな措置をとっておるわけでございます。とりあえずの措置としては、一昨日も約一万トンばかりの輸入の公表をしたわけでございますが、国内の生産のほうも漸次前年と同水準のところまでは返りつつありますので、明春になれば漸次落ちつく状態になるのではないかというふうに考えております。
  61. 武部文

    武部委員 いまの一万トン輸入というのは、いままでの計画外にそれだけですか。
  62. 立川基

    立川説明員 従来六千トン、四千トンと申し上げておりましたほかに、さらに一万トンということでございます。
  63. 武部文

    武部委員 それは輸入先はどこですか。
  64. 立川基

    立川説明員 国別には別に割り当てをしておりませんので、現実の問題としては、アメリカなりカナダなり台湾なりということになると思います。
  65. 武部文

    武部委員 いま、豚の肉が安定をするのは大体明春だというふうにおっしゃった。私も芝浦の市場と松戸の流通センターに参りまして、あそこの相場の具体的なことをちょっとお聞きいたしましたが、やはりあなたと同じことを言っておる。明春にならなければこの値段はおそらく下がるまいということを言うのであります。そうすると、ことしの暮れの豚の肉というものは、いま五百二十円ですが、あるいはもう少し上がるかもしれぬ、大体こういう想定もできぬこともないのであります。  そこで、この事業団が現在四十億円近くの赤字を出しておる、こういう事実があるようでありますが、その四十億にのぼる赤字を事業団が一年間に出したという最大の原因は何だと思っておられますか。
  66. 立川基

    立川説明員 先ほど申し上げました五百二十円の水準そのものが明春まで続くというふうには必ずしも考えてないわけなんで、それがかなりのところへ落ちつくという形がどの程度の時期になるかということでございまして、現在が天井でそのままでというふうには必ずしも考えていないわけです。ただ、それではどこのところまで年末なりことしじゅうに下がるかという点については、明確な御返答は申し上げられないわけであります。  それから、第二の畜産事業団の売買の赤字でございますけれども、売買によります赤字の総累計は、いまお話がありましたように、四十七億六千万円というものでありますけれども、その事業団の一般勘定の運用益、出資金の運用益その他を差し引きますと、約四十億の赤字になるわけでございます。その原因は、結局三百二十円で買い入れて、三百九十円より高いか、あるいはそれより高くなるおそれがある場合に売り出すわけですから、ちょっと考えれば非常にもうかるかもしれないというふうに考えるかと思いますけれども、やはりそれは長期間保管しておきますので、そうするためには冷凍をいたしますので、品質格差の問題が第一にあります。あるいは金利なり倉敷なりその他所要の諸経費がかかりまして、売り価格と買い価格は大体とんとんというところがその実態でございます。
  67. 武部文

    武部委員 佐藤総理は九月十七日の閣議で、畜産振興事業団の問題に触れて、現在の豚肉が非常に安くならないというような点については、事業団がその運営についてお役所的な仕事をしておるところに欠陥があってそういうことになっていやしないかというようなことを発言をしたということが報道されておるわけであります。去年確かに八十九万頭の大量の豚を買い入れた、それが相次いで放出をされて、豚の高騰をある程度安定さしたという事実を私ども否定はいたしません。いたしませんが、現実にここ何カ月も在庫はゼロなんですね。そこへもってきて、豚の値段は上限の三百九十円をはるかにこえて五百二十円、こういうことでは事業団の存在が全く無意味だというふうにしか、しろうと目に考えても思えないのです。そういう点で、今後の事業団の長期的な運営について、農林省としては何かお考えがありましょうか。
  68. 立川基

    立川説明員 現在の規定によりますと、事業団が、下限価格を割る場合に買い上げて、上限価格を上回る場合に放出するというたてまえになっておりまして、あとは生産関係がいわゆるビッグ・サイクルということで、ある程度の波をつくる、こういう措置によって調節を加えるということでございますけれども、別途の措置として、相当な損失なり何なりを覚悟して、たとえていえば外国からでも豚肉を輸入しておく。そう大きな負担を覚悟して放出するということは財政上いろいろ問題がございますので、われわれが現実にやりました売り買いの操作なり、あるいは保管のやり方をもう少し巧妙にするということは事務的にはいろいろ検討すべき点はあろうかと思いますが、その辺の仕組みとしては現在の制度を根本的に変えるということは一応現在のところ考えていないわけでございます。
  69. 武部文

    武部委員 それでは時間の関係で、もう一つだけ畜産局にお伺いいたしますが、輸入牛肉が二千トンたなざらしになっておるという報道が相当大々的になされたという経過があります。一体この二千トンもの牛肉が倉庫にたなざらしになって、いたんで買い手がつかぬというような事実がほんとうにあるのかないのか。その点を最後にお伺いしたい。
  70. 立川基

    立川説明員 振興事業団がことしの一−三月に買い入れました輸入牛肉が四千トンでございます。そのうちで、現在約九百トンが残っておるわけでございまして、いまの二千トンがいたんでいままで残っておるということではございません。この九百トンも結局事業団が保管しておるわけでございまして、事業団が海外の市況なりあるいは国内の市況を考えて、ある程度調節するために、保管しておくわけでございますから、輸入したらすぐ売らなければならない、そういう筋合いのものではございませんし、品質そのものがいたんだために売れ残っておるという形ではございません。したがいまして、輸入牛肉につきましても、今後、ことしの年末対策なりその他についてある程度の量の輸入を考えておりますけれども、いままでのものと合わせて、約二千トンばかり売り渡すことにしておるわけでございます。そういう意味で、年末の価格対策なり何なりの調節をするというために残しておるのでありまして、決して物が悪いためにそのまま売れないで残っておるということではございません。
  71. 武部文

    武部委員 それではこの問題はまたの機会にいたしたいと思います。  公正取引委員会に最後にお伺いをいたしたいのであります。  再販価格の問題でいろいろ論議がなされました。本年の初め、具体的には二月二十二日、公正取引委員会は新法の制定を見送った、その当時に公式見解を発表されました。その公式見解の一とか二とかございますが、その一の中に「再販行為は流通段階における不当な価格拘束を通じて、小売り価格の硬直化をもたらし、消費者物価の下支えの一因となるばかりでなく、消費者の利益を無視した流通段階におけるゆがめられた競争をもたらす要因となり、公正な競争を阻害するという弊害が顕著となってきている。」これが公式見解の第一項であります。その後、委員長は当委員会で、現行法の運用を強化することによってその弊害を除去することができる、そのために品目を減らすための洗い直し作業等をやっておる、しばしばこういう言明がございました。あとで私は申し上げますが、この再販行為が現実にこういう具体的な弊害を持っておるという事実を一つ申し上げますので、直ちにここで答弁ができないかもしれませんが、その点は調査をして報告をしていただきたいと思います。  神戸のある医薬品小売り業者名前を言ってもいいですが、チラシを消費者に配りました。そのチラシは「消費者の皆様に訴える!」というチラシでありまして、これは製薬会社ははっきり載っておりますから申し上げますが、「特にSS製薬商品お買上げの皆様に」というチラシであります。その全文は、「SS製薬は近年、公正取引委員会にウソの原価の届出をなし(リベートを小売店に出したり割増し商品を大量に添附したりしている為本当の原価は届出の値段より大変安い)不当に高い利益の確保の為、私的猶占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(第二十四条の二第一項)を悪用し、消費者並びに公正取引委員会を欺まんしております。その上もし小売店が安く売ればその店に対し出荷を停止したり、在庫品を差し押えたり個人の財産まで侵害する等の暴挙を敢えてまでして、価格の吊り上げを強制致しております。消費者の皆様だまされないよう値段を監視致しましょう! 参考に当店のSS製薬の仕入価格を差し上げます。」こういうことがずっと書いてありまして、そうして商品名がここに五つ書いてあります。原価が四十六円のものを再販で百円、これはリベートを加算しております。百十六円のものが二百五十円、あるいは七十七円のものが百八十円、こういうチラシを消費者に配っておる。  そこでお聞きをいたしたいのは、このSS製薬の商品、あとで名前を申し上げますが、このリベート、割り増し計算後の卸原価、これを公正取引委員会にどのような金額で届け出をしておるか、再販の金額は幾らなのか、これをぜひお伺いをしたい。  もう一点の資料は、確実な資料として申し上げます。ちょっと語弊がありますので名前は言いません。A社の本年の下期の販売要領でりますが、この百二十錠のある錠剤、小売り価格は千四百円、卸価格八百四十円、現品添付三五%、特別報償、八%、したがって正味の卸価格は五百五十五円であります。これは三九・六%の卸価格、それを千四百円で売っておる。なおこの会社は、五十万円のある薬を買った場合に海外旅行、東南アジア七泊八日参加の景品もつけておる。行かない人は三〇%、十五万円のリベートを出す。しかし、行けば一人が二十三万円から二十五万円費用がかかるんだから、行ったほうが得ですぞということをつけ加えて書いてある。こういう事実があります。  もう一つB社。これは総合ビタミン剤、小売り価格は千九百円、卸価格は千三百三十円。ところが現品百に対して現品おまけの数量は同じように百。百買ったら百のおまけがついておる。そこで正味卸価格は六百六十五円になります。正味仕入れ価格は三五%です。三五%、六百六十五円で買って千九百円で売っておる再販価格があります。  こういうものがまだたくさんあります。少なくとも再販の精神というものは、委員長事務局長がたびたび当委員会でお述べになったように、あのような精神のもとに行なわておるはずであります。ところか洗い直しをするとか——高級の化粧品についてはいま私、申し上げません。きょうは医薬品だけ申し上げますが、一体このような弊害はあなたたちのおっしゃっておる公式見解の第一の項に該当するのでありますか。こういう事実を御存じでありますか。
  72. 柿沼幸一郎

    柿沼説明員 ただいま御指摘いただきました三件についての具体的事例は、現在手元資料を持っておりませんので、後刻調査いたしまして御報告させていただきたいと思います。  一番最初の神戸のチラシの問題でございますけれども、特に私どものほうでとっておるのでなければ、原価についでの資料は提出していただいていないと思います。おそらくメーカーの製造販売価格小売りとの間のマージンが非常に大きいというような意味での御指摘ではないかと思いますが、同様の問題はあとで御指摘のA社B社を含めまして、メーカーの製販価格小売り価格との間に、リベートまで含めますと相当大きなマージンがある、あるいはその中に現品添付が含まれておるというような事例は、私ども届け出で承知をいたしております。ただいま御指摘のうちのA社の例のような高額な景品については、これは不当景品類及び不当表示防止法違反の問題が含まれておると思いますので、これは具体的に事例を教えていただきまして、検討をいたしてみたいというふうに考えております。その他全般を含めまして、非常にリベート、 マージンが大きいという問題は、一応現在の再販制度が、薬、化粧品等につきましては自由な競争がある範囲内で認めておるという前提になっておりますので、直ちにこのマージン、リベートを公正取引委員会としてどうするということはできないわけでございます。  初めに御指摘ございました再販の告示の洗い直しの作業につきましては、一応ことしの春、事実のいわゆる洗い直しという作業は終わったわけでございますけれども、当時の事情といたしまして、小売り段階に驚ける不安の問題でございますとか、それから化粧品、医薬品ともに非常に外資の流入が激しい業界であるというような事情も勘案いたしまして、その後若干時間をかけまして作業を進めておるわけでございます。そうした面からそう遠くない時期に、一応固まりました範囲内から告示の改正には着手していきたいというふうに考えております。
  73. 武部文

    武部委員 先ほど私が申し上げたのは二月二十二日であります。すでに九カ月近く経過をしておる。洗い直しのことは何回かおっしゃるけれども、一向にそのことについての具体的な事実をお述べにならない。私どもの承知するところでは、ほとんど何らなされておらないということすら聞いておるのであります。なされておるとするなららばお出しになったらけっこうだと思う。全然お出しにならない。そこへもってきて、報道によれば医師の要指示薬あるいは洗たく粉石けん、こうしたものをはずすんだ、こういうようなことが報道されておるのであります。大体、使用に医師の指示の必要なというものが再販に指定されておるのがそもそもおかしいのです。こんなもの指定する必要は一つもない。粉石けんというようなものは、使用の状況から見ても、当然いまの再販の法律内容から見てはずすべきものです。それをことさらに洗い直しの結果こういうものが出ましたとか、出る予定でございますというようなことは、明らかに洗直しということであなた方がお茶をにごしてしまっておる。特に参議院の物価委員会の附帯決議は御存じのとおりであります。消費者保護基本法ができましたときの附帯決議、この精神にこれはそむいておると思うのであります。いま申しましたようなA社、B社の例、全く言語道断であります。あなた方がほんとうに洗い直しをしておるものなら、こういう事実は全部承知をされておるはずなんです。知っておられなければならぬはずです。いままで相当な期間がかかっておる。こういう具体的な一つ二つの例をとってみても、五十万円で二十三万円の旅行をさせるとか、三五%の卸であとの六五%は小売りがもうかるんだとか、そんなばかげたことが堂々と通っておるじゃありませんか。それを洗い直しをして、もう少し慎重にとか、明鏡止水だとか、適当なことばを、あなたがおっしゃったのじゃないが、洗い直す、洗い直すとおっしゃっておるが、洗った形跡はないのです。水につけたままだ、はっきり言えば……。そういうことでは国民としては納得できない。  そこで、何か報道されるところによると、次の通常国会でその内容について明らかにするとおっしゃっておる。そうするともう原案はでき上がっておるはずです、通常国会は来月だから。その点は間違いごぜいませんか。
  74. 柿沼幸一郎

    柿沼説明員 ただいま御指摘いただきました三件のような具体的な内容の問題と洗い直しの問題は、若干次元が違っておる問題かと存じます。洗い直しの問題につきましては、医薬品、化粧品の告示、いずれも相当時代の古いものでございます。この春一応内容についての再検討は事務的に終わったわけでございますけれども、その後の先ほども申しましたような事情も勘案いたしまして、どれだけの範囲の告示の改正ができるかということにつきましては、近く結論を得る予定でございます。当初予定したものの中に、必ずしもできるものとできないものとが含まれておるわけでございまして、洗い直しは、本年の二月の一般方針で申しておりますように、やはり十年に一ぺんというようなことではなしに、毎年見直していくということが必要だと思いますので、現在までに結論の出ております範囲内でもって近く告示の改正をいたすというふうに考えております。
  75. 武部文

    武部委員 それでは、時間の関係でやめますが、先ほどのA社、B社は、資料をとった信義の手前、会社の名前はここで申し上げません。しかし、これは事実ですから、あなたのほうに即刻言いますから、調査をして報告していただきたい。  それから、最後に一つだけ、簡単でけっこうですから、お伺いいたします。  富士、八幡の合併の問題についての審議のスケジュールを、何かきょうもおやりになっておるようでありますが、どういうスケジュールで、いっごろどういう形で結論を出そうとしておるのか、これだけ最後に説明してください。
  76. 柿沼幸一郎

    柿沼説明員 現在、富士、八幡の合併につきましては、週三回委員会を、優先的にこの問題に予定いたしまして、一応問題になると見られております九品目について、その品目別の内容の検討を進めておるわけでございます。この品目別の検討は、一応これは事務的な見通しでございますけれども、現在進んでおるテンポから事務局長といたしまして観測いたしますと、十二月半ばくらいまではかかるんじゃないかというふうに見ております。そういった品目別の検討でいままで済みましたのは、ブリキ及び重軌条でございますけれども、そのほかにまだ七品目ほど残っておるわけでございますから、その上で、各品目別あるいは総合いたしまして、合併の可否を委員会として判断していただくということになるわけでございます。委員会としてどのくらいまでに結論が出るかということは、私としては何とも申し上げかねるような実情でございます。
  77. 武部文

    武部委員 そうすると、十二月半ばまでに品目別の検討を全部終わる、そうしてあとはもう結論を出すだけだ、こういうことですね。
  78. 柿沼幸一郎

    柿沼説明員 これは、検討いたしてまいる過程でまた非常に検討を要するような問題点が出る可能性もあるわけでございますので、品目が終われば直ちにそこで白か黒かという結論を出す段階がすぐくるかどうかはわからないわけでございますけれども、事務的作業のスケジュールといたしましては、そのくらいまでに、自分がタッチして現在準備しておる資料説明は終わっていきたいというふうに考えております。
  79. 武部文

    武部委員 終わります。
  80. 八百板正

    八百板委員長 有島重武君。
  81. 有島重武

    ○有島委員 前回委員会でもってお尋ねした点で御回答の漏れがございましたので、きょうはそのほうだけ簡単に伺っておきたいと思います。  それは、自動車のメーカーがコストダウンを宣伝しておりますけれども、その車種にわたりまして製作を中止して、そうでないものをまたつくっていこう、そういうような動きがあったように私聞いたのでございますけれども、その辺の事情を初めに伺いたいと思います。
  82. 田中芳秋

    ○田中説明員 自動車の国際競争力の強化、自由化対策という一環から、私どもといたしまして、大量生産を達成いたしました車種につきましては、ユーザーの期待にこたえて、そういう見地からもできる限り価格の引き下げ等を行なってほしい、そしてまた、販売面におきます実勢価格とのさや寄せというか、そういった面を通じまして流通秩序の確立もはかってもらいたい、こういう要請をいたしましたわけでございます。九月から十月にかけまして、とうしたかなり大量生産を達成いたしました一部の車種、これにつきましてユーザーにもその利益を還元するという趣旨から、価格改定が実現を見たわけでございます。なおこれにつきまして、若干生産計画等も変更はございましたが、これは、こうした値下げを行ないますと同時に、ややそれよりも上級、上のクラスの車種の発売というような面もございますので、ユーザー層の今後の需要動向をも考えて、若干従来の計画の手直しを行なっておる、こういう状況になっておるわけでございます。
  83. 有島重武

    ○有島委員 消費者といいますか、ユーザーといまおっしゃいましたけれども、その側から見ますと、安くなったと喜んでおったら、それは今度生産がストップになるようなことになりますね。その点についていまお答えがなかったものですから……。
  84. 田中芳秋

    ○田中説明員 ただいま価格の引き下げをいたしました車種につきまして、どうも今後生産をやめるのじゃないかという憶測が一部に流れておるようでございます。しかしこの点につきましては、御承知のとおり、この引き下げを行ないました車種は現在輸出の主力になっております車種であります。そしてそのために、仕向け地に対しましても、今後こうした輸出を円滑に行なっていくためにも、これらの車種のサービス部品というものがすでに大量にそういった仕向け地に送られておるわけであります。これをにわかに生産を打ち切るということは、会社としても全然考えていないわけなのであります。また国内的にも、いま申し上げましたように上級車種の一部需要の意向等も考えまして、生産をやや縮小した計画にはなっておりますが、ユーザーの需要がございますればいつでもこの生産計画を変更する。これは、自動車はあくまで現在のところ見込み生産体制をとっておりますので、一応そういう生産計画になっておりますが、需要があれば幾らでも、ユーザーに御迷惑はかけない、こういう姿勢でございます。したがいまして、この値下げいたしました車種が短時日の間に生産をやめるということは会社側も全く考えておりませんし、私どももそのようなことのないように十分指導してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  85. 有島重武

    ○有島委員 それではこの前の宿題の分は大体伺いましたので、私の質問を終わります。
  86. 八百板正

    八百板委員長 木原実君。
  87. 木原実

    ○木原(実)委員 公正取引委員会事務局長さんに最初にちょっとお伺いします。  一つは、この間の委員会で、新聞の定価改定の問題についてここで論議をしたわけです。大手三社同じような値段の引き上げをやった、どうも独禁法に違反するのではないかという問題を提起したのですが、何かその後お調べになりましたか。
  88. 柿沼幸一郎

    柿沼説明員 新聞社各社の値上げの社告は、前回木原委員から御質問がございましたあとも地方的に続々行なわれております。それらの社告の中には、十一月一日に値上げしないという社告のものも若干含まれております。それから、一般の配達用の新聞と駅売り等の新聞で値上げ幅がいろいろ違ったかっこうで行なわれております。その辺の状況を、現在、資料を収集しながら情勢を注視している状況でございます。  それから、若干の消費者団体から提訴がございまして、それらの消費者団体からも事情を聞いておりますが、まだ、現在までのところ、御指摘のような協定があるかないかという問題については、公正取引委員会といたしまして結論は何も得ておりません。
  89. 木原実

    ○木原(実)委員 もう一つそのことで……。実は、前回値上げのときも似たような問題がございましてね。私どもの観点からすると多少うやむやになったきらいがあったと思うのです。前回お見えになりました取引部長さんでしたか、情況証拠ということも考えられるのじゃないか、こういうここでの御答弁もございましたけれども、情況証拠というのはどの程度のウェートを持つのか、私どもも明らかでないのです。なかなかむずかしいと思いますけれども、受けとめるほうは、ともかく大手三社といわれるような大きな新聞が、大体——大体じゃなくて、まことに理由も、定価それ自体も同じような値上げをやっておる。しかもこの話というのは、いわゆる新聞の業界の中ではある意味では公然の秘密——秘密じゃなくて、公然のいろんな話が早くから伝わっていたわけですね。出たものはそれで明らかだ。なかなか法の適用ということについては技術的な問題もあるかと思うのですけれども、やはり出てきた事実についてウェートを置いて御調査いただきたい、このように思うわけです。  それはそれで終わりたいと思いますが、もう一つついでに、これはあとで水産庁長官のほうからもお伺いするわけですけれども、韓国ノリの輸入にからんで、これは参議院のほうでそういう問題の提起があったと思うのですけれども、どうも独禁法違反ではないか、こういう議論があったのですが、その辺についての御見解はどうですか。
  90. 柿沼幸一郎

    柿沼説明員 参議院の委員会で御質問いただきました以後、私どもといたしましても、いろいろノリの輸入機構につきまして検討いたしてみました。で、一般論として申しますと、行政指導がある場合にすべて独禁法に対する免罪符になるかどうかという問題は、経済企画庁でも現在問題にして取り上げておりまして、私ども、検討を要する問題ではないかというふうに考えております。ただ、本件に関しましては相当はっきりと、やはりのり協会の機構を構成いたしますにつきまして農林省の行政指導がございます。直ちに独禁法違反であるというふうには、私ども申せないのではないかという結論でございます。
  91. 木原実

    ○木原(実)委員 その辺がなかなかむずかしいことで、私、きょうこれからカズノコであるとかコンブであるとか、水産物の輸入の関係について質問をしたいと思うのですけれども、これはあとで質問したいのですが、たとえばニシンあるいはカズノコですね、そういうようなものの輸入が、農林省のワクの内示といいますか、割り当てを行なっておるわけですね。それがきわめて限られたものに対して行なわれておる。これは輸入の受け入れの措置だと思うのですけれども、これは水産庁の見解も聞きたいのですけれども、どうも問題があるような気がします。  そこで、いまの御発言とからむのですけれども、やっぱり輸入機構のあり方によって、行政指導があっても多分に独禁法に触れるのじゃないかと思われる側面が多いわけですね。その辺についての何かきちんとした見解は出ないものですかね。少し抽象的ですけれども……。
  92. 柿沼幸一郎

    柿沼説明員 輸入物資につきましては、国内価格と海外価格との間に相当差がございまして、輸入すれば相当利益があがるというようなものが幾つかあるようでございまして、その辺の輸入機構の問題は、国内の業者の実情と、それから直接輸入の衝に当たります貿易商社との関係が、それぞれの物資によって違って、なかなか複雑であるようでございます。一律にどういう形態がいいんだというような結論は出にくいのではないかと思うのでございますけれども、できるだけ筋道の立った制度に乗せていくというようなことで、やはり相当今後検討していくべき問題ではないかというふうに考えております。
  93. 木原実

    ○木原(実)委員 それから本題に入る前に、また暮れが近づきまして、ことしはたいへん消費者物価が上がりっぱなしで、このまま年の瀬を迎えれば、何と言うのですか、季節のことですけれども、これまた非常に諸物価高騰目に見えるような感じがするのですが、たいへん値上げの年であっただけに、せめて暮れくらいは、われわれからいえば政治的配慮、行政的な配慮があって、多少は庶民の口にしたり身につけたりするものの、いわば年末にかけての国民生活に向けての物価対策というようなことはお考えでございますか。
  94. 八塚陽介

    八塚説明員 御承知のように、物価は、やはり生産から始まりまして最終消費ということでございますから、なかなか即効薬がないわけでございますが、具体的には、年末なら年末を頭に置きましての物価対策といえば、やはりバイブの通りをよくする、あるいは供給を円滑にするということになってまいるわけであります。例年、私ども政府におきましては、年末物価対策ということで、関係各省それぞれの立場で対策をお願いしておるわけでございます。今年も実は近いうちに関係各省集まりまして、一応総合的な年末物価対策を立てたいというふうに考えております。年末にいろいろな物資の動きが予想されるわけでございますが、現在の物価状況は、十月はやや九月に比べて落ちつきました。しかしなかなか油断ができないというふうに考えております。そういう意味におきまして、年末だからといって急にあわててどの程度のことができるかということは問題でございますが、しかし一面かなり心理的なものもございますから、近いうちにただいま申し上げましたような対策を立てたいと考えております。
  95. 木原実

    ○木原(実)委員 もう一つ御質問しておきたいのですが、先般、物価安定推進会議から、御承知のように農産物あるいは水産物その他の輸入をふやしたらどうか、こういう提言があったのは御案内のとおりだと思うのです。私の見解では、これはなかなかむずかしい問題で、おそらく一律にはいかないだろうと思う。ただ個々の品物について検討する場合には、やはりそういう提言を取り入れなければならぬ面も多いのではないか、こういう考え方を持っておるわけなんですが、何か御見解はございましょうか。
  96. 八塚陽介

    八塚説明員 物価安定推進会議で「食料の価格安定と輸入のあり方について」という提言がございました。その趣旨は、もうすでに新聞等で御承知だと思いますが、やはり現在のような食糧事情の変化に対応して、従来ともかなり、何と申しますか、第一次産業としては世界的に見ると努力をされておる。しかし足らない面がある。その場合に、今後どう考えていくかということになれば、やはり第一義的には国内資源を有効に活用する。しかし客観的に輸入政策をもっとじょうずに使ったらどうかという趣旨だったと思います。特定の個々の物資についてどうこうということは、物価安定推進会議ではむしろ政府判断にまかせるということでございますが、受けました政府といたしましては、この提言の趣旨に応じて、それぞれの所管省において、特に農林省等が多いわけでございますが、それぞれの所管物資について今後も具体的に考えていただくということを期待しておるわけであります。
  97. 木原実

    ○木原(実)委員 それでは水産庁長官に、個々の物資のことについてですが、一つはカズノコの問題なんですがね。ことしあたりはカズノコの庶民の口に入る値段、末端価格は百グラムでどれくらいになりそうですか。
  98. 森本修

    ○森本説明員 末端価格は、昨年は、御案内のように、前年に比べまして、かなり下がっておりましたが、ことしはかなり上がってまいりまして、私どもの見通しでは、暮れには百グラム当たりで六百円ないし七百円といったような状況ではないかと思っております。
  99. 木原実

    ○木原(実)委員 そうすると、供給量がやはりことしは少し下がったというわけですね。
  100. 森本修

    ○森本説明員 カズノコの国内の生産の状況では、昨年は御案内のようにかなりよけいとれました。それに比較いたしますと、四十三年の生産量は下がっております。ただ、去年とりました分の繰り越しの在庫量がございます。そういうふうな形でアジャストしてまいりましても、あるいは昨年に比べまして多少供給量が落ちるかというふうに考えております。
  101. 木原実

    ○木原(実)委員 あわせて伺っておきますけれども一つはソ連あるいはアラスカから入ってくるものがあるわけですが、ソ連からの輸入量というのは、ことしはどれくらい割り当てがあったのですか。
  102. 森本修

    ○森本説明員 御案内のように、カズノコのほうは、カズノコ自体として輸入するような輸入発表をいたしておるのと、それから、ニシンを入れましてそれからカズノコを取り出すというのと、二つあるわけですが、カズノコ自体の輸入の数量は四百トンということでここ二、三年来やっております。ただ、特殊な商品でありますので、輸入発表した数量までは現実の輸入がないというものは、ほかにはこういう形では存在しないというふうな状況になっております。  ニシンのほうは、御案内のように従来からも、特に北海道の沿岸漁業者と輸入との問題はきわめてシリアスなことでございます。三十五年来、一定の方式によりまして輸入をしてきております。また輸入数量も漸次、当初は六百トン、最近は四千五百トンということで、ふやしてはきておるわけです。ただ、無制限にこれをふやしますことは、北海道周辺の沿岸漁業者との関係もございますし、またソ連との貿易でございますので、いろいろな折衝上のかけ引きといったような、端的に言いますとこういったようなこともございまして、大体四千五百トンでここ二、三年来やっておるというような現状でございます。
  103. 木原実

    ○木原(実)委員 ソ連から入ってくる、これはニシンで入ってくるわけでしょうけれども、輸入価格はどれくらいなんですか。これは洋上引き渡しということになっているのでしょうが、どれくらい入ってくるのでしょうか。
  104. 森本修

    ○森本説明員 ちょっといま価格の点、資料がございませんので、後ほどまた……。
  105. 木原実

    ○木原(実)委員 実はその価格のところを一番聞きたいわけなんですが、一トン当たり百二十五ドルなんという値が去年かおととしございましたね。その程度の値段でしょうか。
  106. 森本修

    ○森本説明員 ちょっと手元資料がございませんが、大体その程度だということを係官が言っておりますので……。
  107. 木原実

    ○木原(実)委員 おそらくそうだろうと思うのですが、そうしますと、私、計算しましたら、かりにトン当たり百二十五ドルぐらいで入るとなると、カズノコの値段で一キログラム四十円ぐらいじゃないかという数字が出たのですが、大きく間違っているでしょうか、見当つきませんかしら。
  108. 森本修

    ○森本説明員 ニシンのほうからカズノコを取り出すその歩どまりが、時期により、あるいは魚の大きさ等によって違うようでございますので、私ども昨年の実態をよく調べてみませんと、先生のおっしゃったような数字になるのかどうか、ちょっとお答えはいたしかねます。
  109. 木原実

    ○木原(実)委員 私もしろうとなものですから、確かにニシンからカズノコを出して、片方のニシンの本体のほうが身欠きになるというようなことになると、いろいろな計算のしかたがあるだろうと思うのですが、ただ、稚内あたりでの水揚げが一キログラム当たり四百円だなんという相場も耳にしたことがございますので、大きく間違っていないのじゃないかという感じを持っております。  ところが問題は、ここは物価委員会ですから、ともかくかりに四百円になるというのも計算のしかたであれなんですが、いずれにいたしましても末端消費者価格との差がひど過ぎるわけですね。私どもの昨年度の調査を申し上げますと、間違っているかもわかりませんけれども、大体一トン当たり百二十五ドルで輸入をする。四万四千円ぐらいにつくわけですが、それはカズノコに直して一キログラム当たり四十円だ。それが稚内で水揚げされるときは、運賃その他が入るのでしょう、四百円ぐらいだ。十倍にここではね上がる。それで水揚げになる。それから水産加工業者にはそれにいきなり千円乗っけて、千四百円ぐらいで取引をされている。そうしますと、百グラム当たりで小売り価格で八百円ですから、末端価格は一キログラム当たり八千円ぐらいの値段に上がっている、こういうような計算が去年のデータなんかについて調べますと出るわけなんですね。これはどういうことなのかというのがきょう質問を申し上げたい要旨なんですが、その辺の価格動きについて何かおつかみになっていることはございませんか。
  110. 森本修

    ○森本説明員 はなはだ恐縮でございますが、実は昨年のそういった具体的な輸入価格、それからある意味での段階別の流通の価格等、ちょっと私、手元にございませんので、何ぶん計数にわたることでございまして、正確を期しますにはちょっといまお答えをする用意がございませんので、御了承いただきたいと思います。
  111. 木原実

    ○木原(実)委員 私の計算ですから、しろうとの計算ですからあるいは間違っているかと思うのですが、大筋においてどうですか。水産庁としまして、ソ連ものを入れて、それが末端価格は、御案内のように、十年近くカズノコはだんだん庶民のものでなくなっているという現実があるわけです。私驚きましたのは、カズノコというものはまだ大半の国民が郷愁を持っているわけですけれども、しかし、いずれにしましても庶民の口にはもう入らないような値段になっているという事実がございますね。それに対して、おそらくソ連から輸入するものが、あるいはキログラム当たり四十円か五十円か、あるいは六十円かわかりませんけれども、けた違いに開きが大きいというこの事実ですね。この事実はお認めになれませんか。
  112. 森本修

    ○森本説明員 計数的にはあれですが、あるいはさような事実になっておるのではないかという心配はしております。
  113. 木原実

    ○木原(実)委員 私が問題にしたいと思いますのは、ともかくこれが、多少数字が相場のことですから違っておりましても、これはまあ訂正をするにはやぶさかではないのですけれども、あまりにも極端過ぎやしないか。しかもそこに、たとえば輸入ワクの問題、あるいは北海道の漁民の皆さんに対するいろいろな保護上の問題、そういう政策的配慮があるので、あるいはその輸入についても一定のワクを設ける、こういうことになっていると思うのですね。しかしそれももう限度じゃないのですかね。つまり、さっき冒頭に御質問申し上げました物価安定推進会議等がああいう提言を行なった。あれは一律に原則的に受け入れるということについては非常に至難なものがあると思うのです。しかし、いま八塚さんがおっしゃいましたように、個々の物資について検討してみますと、これはもう消費者サイドから見ても、国民経済的観点からいいましても——漁民の皆さんに対する保護を打ち切れということじゃありませんけれども、あまりにもひどいじゃないか。それじゃ一体物価政策なんというものは何だ、こういうやはり問題が出てくるのは、ある意味では当然じゃないかというふうに考えるのです。そういうことについての配慮なしに、水産庁として何よりもやはり漁民の保護が先決だ、こういうことで政策を進めてこられておるのでしたら、これはもうこの辺でかなり思い切ったことをやりませんと、ともかく物価の問題はこれだけエキサイトしてきているときですから、政治的にも行政的にも問題になる、こういうふうに考えるのですがね。どうでしょう。
  114. 森本修

    ○森本説明員 こういった零細な沿岸漁業者がつくっております物資について、物価対策との関係でいかように輸入問題を扱っていくかということは、これはなかなかむずかしい問題だと思います。ただ、先ほど来御引用になりますところの推進会議動きもございますし、またわれわれとしても、単に過大な保護を生産者に与えれば足れりということではございません。そこいらの点をよく調整をとりつつやっていくのが行政のつとめだというふうに思いますので、私ども十分実情調査いたして検討をいたしたいと思います。
  115. 木原実

    ○木原(実)委員 これはもう歴代水産庁長官よく御存じのことだと思うのです。輸入のニシン——カズノコのことでしょうけれども、ニシンの輸入の割り当て、これはことしはどういうことになっているんでしょうかね。四千五百トンの輸入量なんでしょうけれども、割り当て先はどこどこなんですか。
  116. 森本修

    ○森本説明員 これはいわゆる内示書つきの商社割り当て方式と俗にいっておる方式でございまして、北海道の漁連が受け入れ機関となりまして発注書を商社に出す、発注書を受けました輸入商社が輸入割り当てを得て輸入する、こういう形になっております。
  117. 木原実

    ○木原(実)委員 内示書つきの割り当ては北海道漁連だけですか。
  118. 森本修

    ○森本説明員 そうであります。
  119. 木原実

    ○木原(実)委員 北海道といえばニシンということになるのですけれども、それでは青森だとか岩手だとか宮城だとか、あるいは北陸方面からもかつてはニシン漁には出漁したことがあるわけですね。そういう方面の漁民に対する配慮というものはないのでしょうか。つまり内示書割り当てが北海道漁連だということになりますと、北海道漁民は漁連を通じて保護を受けるかもわかりませんけれども……。
  120. 森本修

    ○森本説明員 大宗がおそらく北海道の漁業者ということで、当初輸入をいたしますときにさような方式を編み出したものであろうと思います。その後御指摘のような、他のところにもやはりニシンの漁業があった、あるいはあり得るというようなことで、東北の一部に対してはそういった方式のもとで、現実問題としては多少利益が均てんするようなやり方を講じておるということがあるようでございます。
  121. 木原実

    ○木原(実)委員 私はありていに申し上げたいと思うのですけれども、どうも北海道漁連がカズノコを独占しているわけですね。しかもその背景には非常に政治的な圧力の強い集団になっている。ですから、おそらく水産庁長官からこの場ではなかなか思い切った御答弁が得られないのではないかという予想のもとに御質問申し上げているのですけれども、しかしながら、いま私が計算をしましたことから見ましても、輸入の内示書割り当てを受けて、ソ連からソ連ものを輸入するというだけで、何か北海道漁連はそれだけで六億も七億も利潤を上げるような仕組みになっていますね。これで漁連がもうけるのはいいでしょうけれども、はたしてそれでほんとうに漁民の保護になっているだろうかという疑いも私はあるのです。しかしこのことは問いません。問いませんが、何か輸入の割り当てを北海道漁連が一手に握っておることを通じて不当にカズノコの値段がつり上げられておる、こういう側面が一それは少々のことなら私どもも生産漁家のこともあるわけですから問題にしないのですけれども、カズノコというのは十年来庶民の怨嗟の的ですよ。ソ連なんというところはカズノコなんて食べないから、われわれの仲間がソ連に行ったときにはカズノコを幾らでも売りたい、シャベルで捨てているような話です。しかしわれわれにとってはこれが黄色いダイヤだということになっている。何か輸入のからくりを通じてカズノコの値段が不当につり上げられている側面がある、それだけではないでしょうけれども。しかもそれを握っているのは北海道漁連という一つの集団だ。そこにおそらく政治家も介在をしておるでしょう。それに対して何らの行政的な処置もとれないということになりますというと、庶民のために一体物価政策というものがあるのかないのかと問われるのは私は当然だと思うのですがね。何かこの辺で思い切って手を打つ、そういうきざしもございませんか。
  122. 森本修

    ○森本説明員 確かにいろいろな観点からかような問題を常に検討していくという必要はあろうかと思います。ただ、こういった輸入方式であるがためにものが上がっておるのであるかどうかは、やはり基本的には需給関係ということがありまして、そういった結果として、中間的に何らかの問題が発生しておるというふうに見るのが至当ではないかと思いますが、いずれにいたしましても、御指摘のような事態物価対策、そういった観点からいっても、私どもとしても十分注意を払うべきことでありますから、よく実態を調べまして、またいろいろな観点から十分将来のあり方について検討するということは、行政としてはっとむべきであるというように思っております。
  123. 木原実

    ○木原(実)委員 よくお調べになっていただいてやってもらいたいというのはやまやまなんですけれども、これはきのうきょうの問題じゃないのです。私どもしろうとなものですから、ニシンがとれなくなってカズノコの値上がりがした、これは潮の流れだからしょうがない、こう思って、早い話が、かれこれ十年近くはそういうことで、カズノコというものは、だんだんわれわれの口には入らないものだ、こう考えていたわけですね。ところがどうもそれだけじゃないということは、たとえば、ただいま輸入の問題が出ましたけれども、せめて、こう物価局で庶民が非常に苦しんでおるときは、正月がくればひとつ安いカズノコくらいは渡してやるという配慮は、これは政治的にはあっていいと思う。また行政的な配慮としてあっていいと思う。ソ連からのは、かりにいまの倍額入れたとしても絶対額はそう大したものじゃない。それならばそういう配慮はできないのかということが一つと、それからどうも輸入のからくりというものが、北海道漁連というまことに強大な圧力団体に握られている、と言うと語弊がありますけれども、握っていて、そこにもやはり何か価格を下げるための大きな壁があるような感じがする。それに対して思い切ったアプローチをやりませんというと、それに関与しておる農林省を含めてやはり庶民の怨嗟の的になっているのではないか、こういう事実がだんだん明らかになってくれは、政府は一体何をやっておるのだ——カズノコというのは一つのシンボル、象徴ですよ、そういう印象を私は受ける。それで私は今日質問申し上げたわけなんですけれども調査をしてということはけっこうなんですけれども、しかしそれは長い間の問題でもあるし、何か思い切った手だてを考えてみようという、こういう何か御答弁はいただけませんか。
  124. 森本修

    ○森本説明員 基本的には先ほど言いましたように、供給量と需要との関係ということになろうかと思います。したがいまして、私ども今後検討する方向としては、輸入数量についていかように考えればいいかということがやっぱり中心になろうと思います。ただ御案内のように、ニシンの漁獲というのも年によって非常に変動があるわけであります。また輸入するとしても、日本の漁期とソ連の漁期も同じような時期でありますから、国内における豊凶の模様を見て適宜適量に輸入するということは、技術的にいいますとなかなかむずかしい問題を含んでおるというふうにも思います。ただ御指摘のようなことがございまして、私どもも十分事態をよく見きわめて打つべき手は打たなきゃいかぬ、こういうふうに思いますので、そのようなことで検討さしていただきたいと思います。
  125. 木原実

    ○木原(実)委員 もう一つ、それじゃ御質問しておきますけれども、北海道漁連だけでなしに、私はやはりニシン漁というのは、たとえば東北各地の漁民の人たちも、かつては北洋に出かけてニシン漁に参加した実績もあると思うのです。そういうことも配慮に入れれば、北海道漁連だけでなくて、あるいは青森にも、岩手にも、宮城にもというふうに、何といいますか内示書づきの割り当てということをふやすということは不可能ですか。
  126. 森本修

    ○森本説明員 その問題は、先ほど来多少御議論もいただいておりますところの物価対策、あるいは価格問題といったようなこととは側面が違うような感じがいたします。どういう漁連に内示書を発行するのがいいかということで、国内における需要者間のバランスというような話になろうかと思います。従来こういうことにつきましてはなかなか経緯もございますし、いろいろな話し合いでかようなことになってきておるわけでありますからそういった経緯をよく踏まえまして、また、ただいま言われましたようなこともございましょうから、十分また私ども調査検討いたしたいと思います。
  127. 木原実

    ○木原(実)委員 話し合いとおっしゃいますが、この話はたいへん猛烈なものになるという話で、私も仄聞いたしております。長官の立場ではなかなか言えないと思うのですけれども、しかしこれはもう長官にやっていただく以外にないわけです。政治家もいろいろ関与している側面が多いやに聞いておりますけれども、しかし、だんだんこういう事態が明らかになってくれば、先ほど申し上げましたように、行政も政治も何をやっているのだという声があがるのは当然だと思います。それからこういう形になりますと、カズノコなんていうものはもうすでに庶民は自分たちのものでないという印象を持っておりますし、カズノコの味すら知らない世代が成長しておりますから、将来ニシンがたくさんとれるようになってもカズノコの需要というものは伸びないのではないか。値段が上がっていて、もうかっている間はいいけれども、だんだんと自分で市場を狭ばめているのではないかという感じもするわけでありまして、その辺のことも含めて、とにかくことしから来春、輸入品を供給する段階においてはぜひとも思い切った措置をとってもらいたい、こういうことを申し上げておきたいと思うのですけれども、ひとつ前向きのお答えをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  128. 森本修

    ○森本説明員 先ほど来申し上げておりますようなことで、きわめて多面的な要素がございますので、そういうことを十分配慮いたしまして検討さしていただきたいと思います。
  129. 木原実

    ○木原(実)委員 なかなか一回だけではどうもあれなんで、またあらためてカズノコの問題についても論議したいと思いますが、あわせましてコンブの問題について少しお伺いしておきたいと思うのです。  コンブもいろいろとソ連の輸入量をふやしてもらいたいというような加工業界からの陳情等をわれわれも受けておるのですが、コンブも長期的に見ますとたいへん値上がり幅の大きい物資の一つになっておりますね。いまコンブの需給関係というようなものについて、簡単でいいのですけれども、総括的なことがおわかりでしょうか。
  130. 森本修

    ○森本説明員 コンブのほうは、これまた北海道あるいは東北が主産地でございますが、生産の数量といたしましては、なまの数字でございますが、四十年が約十二万六千トン、四十一年が十五万五千トン、四十二年が約十七万六千トンといったようなことで、需要といいますと、なかなか需要の数字も正確にははじきにくいのですが、生産量としてはそういう数字になっております。
  131. 木原実

    ○木原(実)委員 価格動きはどうですか。昨年、一昨年あるいはことしぐらいの短期のことでいいのですが、やはり値上がりぎみでございますか。
  132. 森本修

    ○森本説明員 四十二年までの状況でございますが、三十八年、三十九年に比べまして四十年は多少落ちまして、四十一年、四十二年がまたやや漸騰しておる、一口に言いますとそういった数字でございます。
  133. 木原実

    ○木原(実)委員 それで、ソ連から入ってきておるのがどれくらいでしょうか。昨年はどれくらい輸入しておるのでしょうか。
  134. 森本修

    ○森本説明員 現在のところは輸入はございません。
  135. 木原実

    ○木原(実)委員 それではずっとソ連からの輸入はないのですね。国内産はかりてすね。——そうしますと、ソ連から輸入をしたいとかあるいは輸入をしてほしいという何か要望をお聞きになっておりますか。私のところへは加工業会の方から一千トンぐらい入れてほしいという強い陳情がこの間あったように聞いておるのですけれども
  136. 森本修

    ○森本説明員 そういう要望があるようだということは聞いておりますが、私に直接会ったり、あるいは書類を受け取ったということはございません。
  137. 木原実

    ○木原(実)委員 コンブの増産計画というのはやっていらっしゃるのですか。
  138. 森本修

    ○森本説明員 コンブのほうは、かなり沿岸漁業者、特に北海道のほうは相当これの生産に依存をしておるという関係がございます。それから、最近コンブの養殖といいますか、そういうことがかなり出てまいりまして、沿岸漁業の構造改善事業といったようなものでも、かなりそういうことをやっております。したがいまして、計画と言うと語弊がございますけれども、養殖の生産数量が将来漸次ふえてまいるというふうな見込みは持っております。
  139. 木原実

    ○木原(実)委員 もうすでに養殖計画、増産計画をおやりなんでしょうが、これはいろいろ自然条件その他にもよるのでしょうが、水産庁のほうで御指導なさっていて、計画どおりに、たとえば養殖等が進んでおるのでしょうか。
  140. 森本修

    ○森本説明員 計画と言うと語弊がございますけれども、やはりこういった新しい養殖の技術なり手段でございますから、そうすらすらとはいかないということもございます。ただ、かなりそういったことを熱心にやっておる向きがございまして、私どもとしても、そういうことは将来沿岸漁業の漁民の所得の確保上、きわめて有力な手段ではないかということで、伸ばしていきたいと思っております。
  141. 木原実

    ○木原(実)委員 そうしますと、それじゃ主としてソ連になるわけですが、ソ連から輸入するという計画はいまのところございませんね。
  142. 森本修

    ○森本説明員 ただいま言いましたようなことで、沿岸漁業者が将来かなりこれを伸ばそうということで一生懸命やっておる、希望をつないでおるものでございますので、事情に大きな変化がなければ、輸入問題についてはかようなことでいったらどうかという感じでございますが、事情がまた変化がございますれば、検討するにやぶさかではありません。
  143. 木原実

    ○木原(実)委員 私はここで、私が陳情を受けました加工業者の代弁をしようとは思いませんけれども、いずれにしましても、私どもが問題にしたいのは、コンブ等の、これはまた庶民の食べものなんですけれども価格の上げ幅が大きい、あるいはまた末端価格の値段が下がりそうもない、こういうようなときには、沿岸漁民の人たちにそのことで打撃を与えないという範囲くらいのものについての輸入というようなことは考えていただきたい、と言うと、これは業者の代弁になりますけれども、そういう側面で考える余地はございませんか。
  144. 森本修

    ○森本説明員 いまのところは、先ほど申し上げましたようなことで私どもは参りたいと思っておりますが、なお事情等につきましては、ひとつよく調べてみたいと思います。
  145. 木原実

    ○木原(実)委員 それとあわせまして、前回時間がなかったから……。あとで参議院のほうでも論議がなされましたが、例のノリの問題、このノリの問題というのは、配給機構その他につきまして、これはまたどうも、われわれしろうとでは幾ら調べましてもなかなかわからないような、たいへん複雑なものになっている。そうしてことしの場合も、韓国ノリの輸入の扱い方の問題について御承知のような問題が出た。そういうことになりますと、カズノコの場合もそうですけれども、やはり海産物の輸入という問題について、何か非常に複雑な問題があり過ぎる。これらの問題について、何か全般的にといいますか、長官が掌握をなさっておるそれぞれのものについて、もう一ぺん何か検討を加えて、それでわれわれの要望としては、価格の安定というよりも、末端消費者価格で不当なものについては思い切って下げる、こういう考え方でそういう問題に対処してもらえるようなことは考えられないものでしょうか。
  146. 森本修

    ○森本説明員 私どもも、水産物の流通なりあるいは価格なりについて、合理的な状態が実現できるということはきわめて望ましいというふうに考えております。ただ、御案内のように、国内の水産物につきましても、なかなかこれは豊漁貧乏といったようなこともございますし、とれないと価格が極端に上がるといったようなこともございまして、なかなかその需給関係なり値段の調整のむずかしい品物でございます。そういったものをさらに輸入とからめまして、全体としてどうあんばいしてまいるかということは、私ども十分腐心をしなければならぬところだと存じますが、品物の性質上、かなり生鮮のものでございますし、あまり遠くから運ぶということも性質上むずかしい品物でございますので、事柄としてはきわめてむずかしい部類に入るものではないかと思っております。ただ行政庁としましては、そういった問題は放置することはできませんので、できるだけ努力をいたしまして、何らかの改善方法があれば見出すことにいたしたいと思っております。
  147. 木原実

    ○木原(実)委員 これは私、要望しておきたいのですけれども、ノリの配給機構あるいは輸入に関連する問題、これは非常に複雑でございまして、行政当局がタッチできる側面、これは限界というものももちろんあるでしょうけれども、しかしノリの末端価格が非常に高いというのは、先ほどのカズノコの例と同じことだと思うのです。そうなりますと、どうしてもわれわれとしては、消費者サイドの問題として末端価格を下げていくという観点から、あらためてアプローチしなければならぬ問題がたくさんあると思うのです。そうなりますと、どうもいままで水産庁の御指導になってこられたやり方というものが、どちらかといえば生産者サイドにウエートを置かれた措置の面が多かったような感じがするわけです。しかもその中には——私はあえて申し上げたいのですけれども、カズノコの例を調べていて、北海道漁連というような、まことに強大なプレッシャーグループみたいなものが介在していて、そのことによって何かわれわれにわからないような形で価格の操作が行なわれておる側面がある。そういうことについては、やはり輸入なら輸入の措置を通じて、そういうものを解体させていくというだけの指導をやってもらいたい。ノリの場合も同じことが言えると思うのです。ですから、カズノコとかノリとか、庶民の日常生活にとって非常に深く関連しておる問題だ。しかも価格がべらぼうに高い。その事実に対して、行政的に調整をしていく。そういう調整をしてもらいたいわけですけれども、長官の御決意をこの辺で聞いておきたいと思うのです。
  148. 森本修

    ○森本説明員 従来は御案内のように、水産物はかなり需給関係からいいましても、国内で相当とれればそれほど心配がないといったような状況でありましたけれども、最近は御案内のように、総体としてはむしろ需要に対して生産が追いつきかねるといったような需給関係から、かなり大きな変化があります。したがいまして、先ほど御指摘がありましたように、生産者価格なり流通対策として生産者寄りではないかという御批判は、おそらくそういった従来の需給関係をバックにした水産庁の検討の方向ということでなかったかと思うのであります。ただ、こういった関係に需給がなってまいりました際におきましては、また別途の角度から流通なり需給問題を突っ込んでいくという必要があろうかと私は思います。したがってまた、そういった流通のルートなり介入をする団体のあり方というものも、おのずからそういったものに即応して変化があってもしかるべきだというふうには思います。  御指摘がございましたように、こういった問題が役所の権力なりあるいは行政指導で、いままでの実態をどの程度早急に変え得るかということにはなかなかむずかしい問題があろうかと思います。ただ、私どもとしては、御指摘がございましたようなことは、最近の事態としては留意すべきことでありますから、そういったことを十分頭に置きまして取り組んでまいりたいと思います。
  149. 木原実

    ○木原(実)委員 これで終わりますが、長官に申し上げておきますけれども、当委員会は与野党一致で消費者保護基本法という法律を成立させた、大いに消費者保護を徹底させようという委員会でございますので、ともかくカズノコの値段の高い間は何回でも長官においでを願って追及をいたしますから、これはひとつとくと腹にとめておいていただきたいと思います。  終わります。
  150. 八百板正

    八百板委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後一時二分散会