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1968-09-17 第59回国会 衆議院 農林水産委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年八月十二日(月曜日)委員長指名 で、次の通り小委員及び小委員長を選任した。  いもでん粉等価格対策に関する小委員       小澤 太郎君    草野一郎平君       小山 長規君    白浜 仁吉君       田中 正巳君    本名  武君       角屋堅次郎君    兒玉 末男君       美濃 政市君    稲富 稜人君       樋上 新一君  いもでん粉等価格対策に関する小委員長                 草野一郎平君 ————————————————————— 昭和四十三年九月十七日(火曜日)    午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 足立 篤郎君    理事 草野一郎平君 理事 熊谷 義雄君    理事 坂村 吉正君 理事 石田 宥全君    理事 角屋堅次郎君 理事 稲富 稜人君       白浜 仁吉君    田中 正巳君       中山 榮一君    丹羽 兵助君       長谷川四郎君    本名  武君      三ツ林弥太郎君    湊  徹郎君       赤路 友藏君    井上  泉君       伊賀 定盛君    工藤 良平君       兒玉 末男君    佐々栄三郎君       柴田 健治君    西宮  弘君       美濃 政市君    森  義視君       神田 大作君    樋上 新一君  出席国務大臣         農 林 大 臣 西村 直己君  委員外出席者         経済企画庁国民         生活局長    八塚 陽介君         大蔵省主計局次         長       相沢 英之君         国税庁直税部所         得税課長    植松 守雄君         農林大臣官房長 大和田啓気君         農林省農林経済         局長      亀長 友義君         農林省農林経済         局保険業務課長 松永 正隆君         農林省農政局参         事官      田所  崩君         農林省農地局長 中野 和仁君         農林省蚕糸園芸         局長      池田 俊也君         食糧庁長官   桧垣徳太郎君         水産庁長官   森本  修君         海上保安庁警備         救難部警備第二         課長      郷原 久照君        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 九月十七日  委員實川清之辞任につき、その補欠として井  上泉君が議長指名委員に選任された。 同日  委員井上泉辞任につき、その補欠として實川  清之君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 八月十日  一、国有林野の活用に関する法律案内閣提   出、第五十八回国会閣法第八八号)  二、農業協同組合法の一部を改正する法律案   (内閣提出、第五十八回国会閣法第八九号)  三、農業振興地域の整備に関する法律案内閣   提出、第五十八回国会閣法第一〇一号)  四、農林水産業振興に関する件  五、農林水産物に関する件  六、農林水産業団体に関する件  七、農林水産金融に関する件  八、農林漁業災害補償制度に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件      ————◇—————
  2. 足立篤郎

    足立委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。樋上新一君。
  3. 樋上新一

    樋上委員 私は、先日山梨県に視察に行きまして、ブドウと桃の被害状況を見てきましたが、それはひどい状況でした。特にブドウにおいては、昨年の農薬被害に続き今回の被害と、農家においてはほんとうにとほうにくれている状態でございます。また、桃においても、ことしは灰星病発生が特に多く、ことしの越冬資金はどうしたらよいか、来年の営農資金はどうすればよいか等、予想以上に被害が多く出ておるので、その点についてほんとうにとほうにくれておる。私は、現地において、国からの最大の援助を求める切実な訴えを聞いてまいったので、これについて若干質問を行ないたいと思います。  ブドウと桃の被害でありますが、政府のつかんでいる被害額等状況について、御説明を願いたいと思います。
  4. 池田俊也

    池田説明員 山梨県におきますブドウと桃の被害でございますが、これはいま先生おっしゃいましたように、かなり大きいわけでございます。  ブドウについて申し上げますと、ことしは、実は当初の気象条件がかなりよくて、一般的には豊作ではないかというふうに期待されていたのでございますが、七月の下旬以降雨が連続的に降りまして、そういう影響がかなりあったと思うのでございますが、玉割れがかなり広範囲に発生をいたしまして、これによります被害は、県の調査によりますと、約六千四百トン、約七億円に及ぶものと見込まれているわけでございます。  また、桃につきましては、これもまた雨の影響がかなりあったと思うのでございますが、灰星病発生が広範囲に見られまして、その被害は、県の調査によりますと、約一万二千五百トン、金額にいたしますと六億八千万円というふうに見込まれておるわけでございます。  この灰星病被害の特徴といたしまして、従来は、大体早生種中心でございましたが、本年におきましては、中生種にもその被害が及んでいるという点が一つの特色のようでございます。昨年も灰星病につきましては、約四億円程度の被害があったわけでございますが、ことしはそれを上回る被害状況でございます。
  5. 樋上新一

    樋上委員 農林当局は、降雨状況から見て、今回のブドウ玉割れ被害は、天災によるものとはいいがたいとおっしゃっておるのですが、日照時間、降雨量、気温にしても、昨年よりも、また平年よりも、条件が悪くなっているのは事実だと思いますが、この点についてどうですか。
  6. 池田俊也

    池田説明員 確かにことしは降雨量はやや多かったようでございます。ただ、たとえばこの灰星病について考えてみますと、昨年もかなり被害があったわけでございます。ことしよりは若干少のうございますが、かなり被害であったわけでございます。ところが、昨年は御承知のようにやや干ばつぎみでございまして、必ずしも雨の被害、雨の影響といえない点があるわけでございます。そういうようなことで、たとえば農薬も現在十分な農薬はございませんけれども、手まめにやるということで若干は防げるという点もあるように考えられますし、それから、特に注意をしなければいかぬと思いますのは、昨年かなり被害発生いたしまして、その病菌が相当圃場に残っておるのじゃなかろうか。だから、たとえば被害を受けました果樹の枝を焼却するとか、そういうようなことを念入りにやりますれば、かなり被害が防げるのではなかろうかという感じをわれわれは持っておるわけでございます。  それから、ブドウ玉割れにつきましては、これは何といいますか、ブドウの根が水を吸いまして、そしてその結果玉が膨張して割れるというようなことでございますので、圃場の排水をよくするとかあるいはわらを敷く等によって、水分をブドウが急激に吸収することのないような措置をとるというようなことで防げる面もあるわけでございます。そういうような点をいろいろ勘案いたしますと、確かに降雨影響はあるのでございますけれども天災というふうに断定できるかどうかという点は、若干疑問があるのではなかろうかと思っておるわけでございます。
  7. 樋上新一

    樋上委員 そうすると、肥料管理をはじめ諸管理が複雑にからみ合って被害発生すると考えられると思うのですが、この点どうですか。
  8. 池田俊也

    池田説明員 そういうようなことであろうと思います。
  9. 樋上新一

    樋上委員 それでは、具体的にいま説明を願ったのですけれども、こういった原因を見通して、対処すべき指導農家に行なっていたかどうか、こういう点はどうですか。
  10. 池田俊也

    池田説明員 これにつきましては、直接農林省山梨県の農家指導したということは、改良普及組織を通ずる指導はあるわけでございますけれども、特にそういう指導をやったというわけではございませんけれども、昨年も被害が相当灰星病についてはございますし、私どもも県の試験場と御連絡をいたしまして、県の試験場中心普及組織との連絡を密接にやっていただきまして、そういう指導は県を中心にした指導になるわけでございますが、かなり広範囲にやっていたように承知しているわけでございます。
  11. 樋上新一

    樋上委員 果樹経営に対する技術指導は、県だけにおまかせになっておるのですか。国から、こういうものに対して指導員を全国的に派遣しているというようなことはなしに、その県その県に指導員が設置されているのですか。この点どうですか。
  12. 池田俊也

    池田説明員 一般的には、農林省園芸試験場がございますし、それからまた各ブロックにその支場がございまして、それぞれの実情に合った技術面のいろいろな研究をいたしております。その成果をいろいろな普及組織等を通じまして、また県の試験場とも御連絡申し上げましてやっているわけでございますが、一般的には、やはり果樹が非常に盛んな県におきましては、県におきましても試験場をお持ちになりまして、密接な指導をやっているわけでございます。山梨県のような場合は、ブドウあるいは桃につきましては非常な先進地でございまして、非常に充実した機構あるいは人員をかかえておられるので、そういうものとも連絡はいたしておりますけれども、やはりそれぞれの地域実情に合った指導ということになると、県の試験場中心になるのではないかというふうに考えているわけでございます。
  13. 樋上新一

    樋上委員 現地のほうでは、国の指導員を末端まで派遣してほしい、また責任ある技術指導をやってほしいと望む声がたいへん多くあったのですね。ただ県にまかしておくのではなしに、昨年に引き続いた膨大な被害——まあ私は現地被害とこらちのほうの被害との金額の差は相当あると思うのですが、これはこまかいことですから申し上げませんけれども、こうした技術指導を徹底しておけば、こんなにまでもならなかったのにということをつくづく考えるのです。  今度のブドウ被害は、特に交通の不便な山間の開拓部落が甚大であった。私は甲府市の郊外の三ツ石部落というところに行ってきたのですが、もう収穫は皆無という状態でございます。この状態を、政府は実際実情を把握しておるか、県だけにまかしておるのじゃなしに。現地に行ってみると、あまりにもひどくて、もうびっくりしているような状態でございます。  また、今回の被害玉割れ、晩腐病、褐斑病、三つも重なってきている。この被害は現在デラブドウだけでありますが、今後はネオマス甲州等にもこの被害発生が予想されると不安を持っておりますが、この点は政府はどう対処しようとされているのですか。
  14. 池田俊也

    池田説明員 確かにいまおっしゃいましたように連続して、特に桃の灰星病につきましては連続して非常に大きな被害が出ておりますので、私ども考え方といたしましては、やはりこれは従来の病菌処理がどうも適切でなかったんじゃなかろうか、こういう気がいたします。もちろん、これは新しい農薬も開発されつつあるようでございますので、そういうものが実情に適することを期待しているわけでございますけれども、当面の措置といたしましては、やはりそういう面に対する指導適確にやるという必要があるように特に本年は痛感したわけでございます。いまおっしゃいましたように、確かにこれは非常に甚大な被害でございますので、私どもといたしましては、もちろん県とも御連絡申し上げまして、農林省としてもこういう被害が来年におきましては出ないように、適確にひとつ指導してまいりたいと考えておるわけでございます。  なお、ブドウ被害につきましては、従来はデラウェアがほとんど全部でございますが、これはほかの種類にも全く発生しないというわけではございませんけれども、大体デラウェア以外は、あまり大きな被害にはならないのではないかというふうに考えているわけでございます。
  15. 樋上新一

    樋上委員 デラウェア以外の被害というものはたいしたことはないとおっしゃいますけれども、事実現場における栽培者は、もう前途暗たんたるものである。ブドウと生活して四十年、五十年、昨年から引き続きましてことしも被害をこうむって、もう転職しようか、こういうぐあいにまで思っている状態でございまして、私はこれはもっともっと真剣に考えてやってもらわなければならないと思います。  また、山梨県における桃の灰星病発生は、これは昭和三十九年より発生して、県販連被害報告によると、ことしはふだんの三倍の十八億円にものぼるということを聞いておりますが、このように毎年起こっておる被害に対し、政府当局としては至ってこの処置は消極的である。大きな被害が起こってから対策を講じようとしても、これはおそいのであります。意欲的に農家の立場に立ち対策を講ずべきであると思います。これは今回の被害だけでなく、すべてに共通する問題でありまして、農業災害に対する政府見解——これは大臣にお伺いしたいと思ったのですけれども、見えませんのですが、こうしたものに対してもっと真剣に取り組んでいただきたいと思います。  ことしの灰星病被害は、当地始まって以来の被害であり、この桃の処理のために、ダンプカーで何回も何回も川に捨てにいった。そのためにその川は、その付近の住民の話によると、数回も桃で川の色が変わったというぐあいに捨てておる。このような実情について、政府はごらんになりましたか、またこれに対する手はどうなっておりますか、これもお聞かせ願いたいと思います。
  16. 池田俊也

    池田説明員 これに対する措置といたしましては、やはり先ほど申し上げましたように、病菌が残ることのないようにするというのが基本でございますので、そういう面の病果処理あるいは病気にかかりました枝の焼却というようなことにつきまして、私どもは昨年あるいは本年の経験を生かしまして、適確処理をするような指導をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。  川に流すというのも一つ方法かと思うのでございますが、やはり一番いい方法は、病果につきましは地中に埋め込む、あるいは枝につきましては焼くというような方法が最もいいのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  17. 樋上新一

    樋上委員 この点につきましては、私は農薬が問題だと思うのです。先日の委員会でも、農薬の中で比較的効果のあるものを使ってひんぱんに消毒する、こういうぐあいに言われておるのですけれども現地では防除対策として、一週間に二度ほど消毒にモノックスという農薬を使っているが、効力が薄い。政府は、別の農薬の使用ということをお考えになっておりますかどうですか。
  18. 田所崩

    田所説明員 灰星病農薬の問題でございますが、現在、灰星病につきましては四、五種類農薬が使用されております。たとえば有機硫黄剤とかいうようなものが使われておるわけでございますが、灰星病御存じのように菌核病でございまして、現在の農薬では十分というわけにはまいらないという現状にございます。特に山梨県においての今度の被害の問題につきましては、七月に相当降雨があったというようなことで、農薬効果が十分出なかったというような面もあろうかと思うわけでございます。  現状においてはそういうことでございますが、新しい農薬につきましては開発中でございまして、現在一、二種のものにつきまして、関係県の桃その他果樹につきまして試験をやっておる段階でございます。もちろん、これが非常によくきくということでございましてその結果がでまして、農薬会社のほうから農林省のほうに登録申請がございましたら、農薬検査所のほうで十分品質効果それから毒性等の問題につきまして検討いたしまして、登録をいたしたいというふうに思っておりますが、現在まだ試験段階でございまして、会社のほうからもそういう登録申請が出ておらないという段階でございます。
  19. 樋上新一

    樋上委員 それは三年間という研究期間がいるということを聞いておりますが、ちょうどことしが三年になるそうでございますが、現地のほうでは、早くこれを登録してやっていただきたい、こういうぐあいに言っておるのですが、そのいい薬を、政府登録がおくれておるのか、それとも積極的にその農薬に対して手を打ってくれないのか伺いたい。その研究された農薬を、一日も早く出していただきたい。  私は、いろいろ農薬のことも調べたのですけれども、時間の関係上省略しますけれども農家生産費の中に占める農薬価格ほんとうにばかにならない。これが農家経済を非常に圧迫している。農業生産の安定をはかる意味においても、そしてこの二カ年続く被害に立ち上がりかねておる山梨県下に対して、この農薬価格の点についても、何とか政府は補助してうんと引き下げてもらいたい、そして一日も早く許可してもらいたい、こういう声が出ておるのですが、この点どうですか。
  20. 田所崩

    田所説明員 現在、被害を受けております農家につきましては、確かに御同情申し上げる点もございますし、非常によくきく農薬がほしいという気持ちは十分わかるわけでございます。そういうようなことで、われわれといたしましてもできるだけそういういい農薬が出回ることにつきまして、非常に希望をいたしておるわけでございますが、御存じのように、昨年でございますか、農薬によりますいろいろな被害というようなことで、問題を起こす場合もいままで多々ございまして、やはり農薬を販売するという場合におきましては、相当慎重な検討なり試験の結果を待ちまして、安全な、また農家が安心して使える農薬というかっこうで出すことが必要ではないか。特に政府といたしましては、農薬検査所でそういう十分な検討を終わりましたものを出すというたてまえになっておるわけでございます。  そういうようなことで、現在の山梨県におきます農家のそういう御事情なり、そういうことは十分わかるわけでございますが、われわれといたしますれば、農薬会社のほうでそういう試験十分データがまとまりまして申請がございましたら、すみやかに検査所のほうで検査をいたしまして、できるだけ早く登録を許可するようにいたしたいというふうに思っております。
  21. 樋上新一

    樋上委員 それでは経済局長に最後にお伺いいたしますが、デラブドウと桃の出荷農家は、昨年の収穫数量に対して約五〇%である。ですから価格面から見た場合、商品価値が低いために、収入は収穫量と対象にならないほど低いようであります。また、農薬人件費も平年の倍以上かかっておる。このように見ると、農家被害は国で見ているようなそういう甘いものではないと考えます。政府はこれらの農家に対して、天災融資法またはそれにかわるべき措置を講ずべきであると思いますが、この点はどうですか。
  22. 亀長友義

    亀長説明員 山梨県におきますブドウ、桃の被害の、現在までに判明しておる被害額がございますが、さらに私ども精査をいたしたいと思っておりますけれども、大体、天災融資法発動基準として考えられている額までいくのはなかなか無理ではなかろうか、かように思います。したがって、さらに農家状況その他を十分調査いたしまして、何らか別途の措置を講ずるように努力をしてまいりたい、かように考えております。農林公庫のほうから何らかの手が打てないものか、いま内部で検討中でございますので、なるべくそういう線で、天災融資法ができない場合には対処してまいりたいと思います。
  23. 樋上新一

    樋上委員 この問題は、八月の委員会においても、現地委員から質問が出ておるのですが、そのときも、考えておる、考えておるということでございましたが、もっと早く何とか具体的にやってもらわなければ、もはや希望を失って転作希望しておる者もある。離農を希望する者もある。もうこんなに続いて、政府が甘く見ておるのだったら、これだけの被害をこうむってもういやになったと一面言うておるような状態でございます。また転作補助金など、そういう希望を捨てた農家に対して生きる道を考えなければならないと思うのですが、深刻な状態でございますので、もっとその具体的な方法をいろんな面から考えて手を打ってもらわなければ、いま検討中、検討中では、もう現地においては非常に首を長くして待っておるような状態でございますから、もっと速度を早く検討してもらいたいということを希望しておきます。  また、一ノ宮においてはことしは赤字経営で、すでに若い人は出かせぎに行かなければならぬ。そこで、今回の被害に対して政府は減税や免税等についてどうお考えになっておるか、その点お伺いしたいと思います。
  24. 植松守雄

    植松説明員 所得税のたてまえは、御承知のとおり所得のあるところに課税するわけでございますから、もし天災によって所得発生しなければ、そもそも課税の問題は起こらないというようなことでございます。  さらに所得税法上は、特に農産物等につきまして災害によって被害が出た場合には、その被害は、ことしはもちろん課税にならないのでございますが、翌年にさらに繰越して控除するというような制度がございます。したがいまして、今回の災害につきましては、現在国税当局としましては市町村、農協立ち会いのもとに実情の把握につとめておりまして、適正な措置をいたしたいと考えております。
  25. 樋上新一

    樋上委員 わかりました。十分な措置をとっていただきたいと思いますし、税制の面でも、この被害をつぶさに視察していただきたいことを税務署のほうにお願いしておきます。それでけっこうです。  この山梨地方は、昭和三十四年の台風被害から、いまだに立ち直れない状態である。政府より借りた資金返済がいまだに残っているという状態でございますが、この返済する金はどのくらい残っておるのでしょうか。
  26. 亀長友義

    亀長説明員 山梨県全体の資料しかただいま持っておりませんので、山梨県全体で申し上げたいと思いますが、三十四年度の災害関係資金につきましては、三十四年度に貸し付けました金額が十億、三十五年度に貸し付けた金額が二億六千万でございます。それから農林公庫災害資金山梨県に貸しましたものの延滞状況が、本年の八月三十一日現在で調査をいたしました結果、自作農維持資金関係で三十件、主務大臣指定施設関係で二件というふうな事情でございます。  山梨県が災害関係で、返還状況が必ずしもよくないということは十分いわれておるわけでございます。私どももこういう御要望に応じまして、災害実情を考慮しながら、実態的には公庫のほうで延期等措置も従来考えてまいっておるのであります。
  27. 樋上新一

    樋上委員 先ほど来何回も申しておりますとおり、農家においてはことしの冬をいかにして過ごしたらいいか、来年はどうしたらいいかととほうにくれている状態であります。このような点から、この返済の残に対しましては期間延長等優遇措置をとっていただきたい。それはできますか。その点……。
  28. 亀長友義

    亀長説明員 今次の災害につきましても、従来の災害と同様に、農家被害実情に即するように、同様の措置をとってまいりたいと考えております。
  29. 樋上新一

    樋上委員 農家農林金融公庫等から営農資金を借り受ける際の担保査定でありますが、これが非常に安過ぎる。その基準が、たとえば三十四年に借りたときには、十アール当たり三万円ということで、非常に低い査定でありますが、当然正当な農地価格査定すべきだと思うのですが、この点はどうでしょうか。
  30. 亀長友義

    亀長説明員 公庫担保評価の問題につきましては、四十一年度からかなり引き上げておりまして、それまで時価の五〇%の担保という評価でやっておりましたが、四十一年からは時価の八〇%まで引き上げて運用をいたしております。そういう関係で、三十年、三十五年というふうなころに比べれば、現在は非常に担保評価も上げてまいっておる、かような実情でございます。
  31. 樋上新一

    樋上委員 今回のこういう被害のときには、無担保融資というような融資を行なってくださる決意はございませんでしょうか。
  32. 亀長友義

    亀長説明員 御承知のように農林金融公庫は、他の金融機関から金融を受けることが困難なものに特に金融をする制度でございますので、担保等の制度につきましても、農林金融公庫らしいやり方をいたしていくのが本来であろうと思っております。もちろん、規則の上では担保をとるというのがたてまえになっておりますけれども、実際には担保のない方あるいは不十分な方には、保証人による融資を行なっております。実際の融資の結果の統計におきましては、むしろ担保をとった場合よりも、連帯保証人による融資が多くなっておる、こういう状況でございまして、御指摘の点につきましても、保証人融資等を併用する、あるいは保証人融資だけでやるというようなことで、農家の要請に応じてまいりたいと思っております。
  33. 樋上新一

    樋上委員 まだまだお伺いしたいのですけれども、時間の関係上略しますが、最後に、果樹共済制度が現在行なわれておる。これについても、いま試験的に行なわれていると聞いていますが、この活用状況等を聞きたいのですけれども、それはこの次にいたしまして、農家におきましては、果樹共済制度は必要であるけれども、掛け金が非常に高いのでかけられない、また掛け金のわりに補償が少ないまた全耕地でなく希望耕地のみかけられないものか、こういう点を非常に現地ではいっておるのですが、これに対してどういうお考えですか。また、こういう希望に対して乗っていただけるか、いかがでございましょう。
  34. 亀長友義

    亀長説明員 私が申すまでもなく、現在の果樹保険につきましては、果樹保険臨時措置法というもので、本年度から五年間試験的に実施をする、その後において各種の資料が整備された後に本格的な制度を実施する、かようなたてまえになっておるわけであります。現在三十五都道府県で実施をいたしておりますが、保険料率が問題だという御意見もかなりございます。これは、実は現在の算定基礎が、三十八年から四十一年までの資料を使ってやっておりますので、今後この試験実施を重ねてまいりますと、その結果が利用できるようになってくるので、その結果も織り込みまして、将来料率の適正化という問題を努力していきたい、かように考えております。  それから、全国の果樹の成園面積の一割程度ということで現在やっております。それから、さらに農家の減収が三割、五割というようなことでやっておりまして、この辺にも各種の御意見がございます。何ぶん試験実施の段階でございますので、そういう点は今後の実施の結果をできるだけ現実に織り込んでいく、かような方向で進めてまいりたいと思います。
  35. 樋上新一

    樋上委員 では、最後に農林大臣、いま私は大臣がおいでになるまで、山梨県下のブドウとそれから一ノ宮の桃の被害につきまして、現地の切実なる声、また総額三十億になんなんとする被害を受けております点についてるる述べました。政府としては積極的にこの援助をしてもらいたい、こういうことを種々な点から希望を述べましたのですが、大臣はこの被害状況をどうお考えになっておりますか、最後に一言伺いたい。
  36. 西村直己

    ○西村国務大臣 私も部内におきまして、山梨県等のブドウあるいは桃の被害につきまして、細部にわたりまして承っております。また、その関係向きからも御陳情等も承っております。政府との間にいろいろ質疑応答もございましたと思いますが、できる限りの対策なり手当てなりを私どもはとって、いわゆる主産地としての園芸の育成につとめてまいりたいという覚悟でございます。
  37. 足立篤郎

  38. 兒玉末男

    兒玉委員 水産庁長官並びに農林大臣にお伺いしたいのでございますが、まず長官のほうにお伺いします。  本朝の新聞並びにテレビニュースを通じましても御承知のとおり、長年問題でありました種子島ロケット基地の問題、さらに、先般一応実験を終わりました東大の内之浦のロケット実験に関しましては、先般関係の県並びに団体との間において調印はなされましたけれども、最も生活権を脅かされるところの南郷漁協のシビなわ関係の組合員は、本朝も、ロケット打ち上げにもかかわらず、あくまでも制限区域に出まして強行操業をするというような状況になっているわけでございますが、これに対しまして、特に被害者側にある農林省、水産庁としては、この問題をどういうふうに受けとめられておるのか、いままでとってこられた措置等について長官の見解を承りたいと存じます。
  39. 森本修

    ○森本説明員 御承知のように、政府の内部におきまして種子島周辺漁業対策協議会というのがございまして、関係の各省が集まって、こういう問題について協議をしてきたわけでございます。もちろん水産庁もその一員といたしまして、かつまた、先ほど先生から御指摘ございましたような立場でこの問題については対処をしてまいりました。  たとえば、ロケットを打ち上げますところの機数でありますとかあるいは時期、方向等については、極力漁業に影響のないような形でやっていただく、それから関係の宮崎県等から出てまいりました漁業振興対策事業等につきましても、前向きで政府としては対処をするというふうな数点にわたりまして、私ども政府のそういった打ち合わせの会合におきまして極力主張をいたしてまいりました。  いずれにいたしましても、こういった問題は、私どもの立場としては、関係漁民の十分な御協力を得なければできないわけでありますから、両者が話し合いの上で、円満にものごとが進みますように希望いたしておるところでございます。
  40. 兒玉末男

    兒玉委員 再度長官にお伺いしたいのでございますけれども、現実に漁民がこういうふうな形で、知事等が説得に当たりましたけれども、結果的には、漁民としては自分の生活権にはかえられないというので、去る八月の十五日に南郷漁協の総会においては、あくまでも反対だという正式な機関の決定を見ている状況にもかかわらず、中央段階において強引に調印に持ち込まれたところにこの紛争の、また漁民側を非常に硬直化させた最大の理由があるんじゃないか。  もちろん、水産庁側は被害者の立場であって、その指向する方向は、若干利害が反するわけではございますけれども、やはり関係漁民の側に立って、調印の過程においても、水産庁並びに農林省としては、もう少し慎重に配慮すべきじゃなかったかと思うのですが、その辺の経過はどういう形で行なわれたか、お伺いしたいと思います。
  41. 森本修

    ○森本説明員 これも御案内のことと存じますが、一応現地側のこういった問題に対する交渉の窓口といいますか、話し合いの窓口といたしましては、宮崎県に漁政対策委員会というのができておりまして、政府側としてもそういった委員会が、関係の漁協を代表する一つの窓口であるというたてまえのもとに交渉いたしてきたわけでございます。そういう窓口との間には、関係各省と話がつきまして調印の運びに至っておるということでございますが、ただ、宮崎県内部におきまして、端的にいいますと、そういった漁政対策委員会と傘下の漁協との間に、必ずしも十分の意思の疎通ができていなかったということが、結果的に実はわかってきたような段階でございます。事前にもう少しそういった内部関係にも立ち入って、よく事情を把握すべきではなかったかというお話でございますれば、まさに現段階においてはそのとおりでございますけれども、何ぶんにも私どものほうでは、そこまで細部のことが十分把握ができていなかったというようなこともございます。  今後の問題としましては、そういったことを踏まえまして、ものごとが円満に進むように、私どもも科学技術庁その他とよく話し合いをしてまいりたいと考えております。
  42. 兒玉末男

    兒玉委員 再度長官にお伺いしたいのでありますけれども、これは十分情勢は御承知と思うのですが、このような段階まで追い込まれていった漁民の心情というのは、単に打ち上げに反対をするということだけでなくて、やはり自分の生活権の問題として、昭和二十七年以来リマ水域における約七千平方キロの広大な、いわゆる日米安保条約体制下にあって、日本とアメリカの間において結ばれているこれに関する法律によって、全面的な漁業制限が行なわれております。さらに東大の内之浦、佐多岬の陸上自衛隊の辺塚射撃場、それに海上の航空自衛隊、それに今回の種子島地域におけるロケット基地、こういうことに次々と漁民の漁場というものが奪われているわけであります。  そういう点等から考えますならば——もちろんこの点は、過去二代にわたる科学技術庁長官は、あくまでも漁民の意思を無視しては絶体に強行しないということを再三言明されておるわけでございますが、国の目的である宇宙開発ということに対して、全面反対をするというわけではないのであって、問題は、この漁民の生活の場というものは、それでは一体どういう形で保障されるべきが最も至当であるか、この辺について、おそらく今日まで科学技術庁、水産庁あるいは文部省、こういう関係各省の間でそれぞれの機関が設けられておると思うのですが、こういうことについては、水産庁長官としてどういうふうなことを今日まで主張されてきているのか、漁場が侵害されることに対しては、主官庁として一体どういう立場を主張することが最も漁民の期待にこたえるものであるか、その辺の見解についてお伺いしたい。
  43. 森本修

    ○森本説明員 私どもとしましては、先ほど申し上げましたように、宇宙開発という国家的な事業、そういった要請が一つございますので、そういうことをやってまいりますのに、漁業に対してできるだけ影響の少ないような形でものごとが処理されるということを一つ主張してまいりました。その結果、御承知のように宮崎県のほうからも、機数なりあるいは時期なりまた方向なりについて、それぞれ要望がきております。ほぼそのような要望の線に沿って、政府部内としてはロケット打ち上げをするということになっております。  それから、そうはいたしましても、先ほど御指摘がございましたように、漁業に対してかなりの影響を与えるということは事実でございましょうから、そういう関係については、同じく宮崎県のほうから、漁業振興の策について数点要望がございます。もちろんその中には、かなり予算措置を必要とするような項目も多いわけであります。そういう問題につきまして私どもとしても側面から協力をし——形式的には科学技術庁のほうが大蔵省と折衝して予算的な措置を講ずることになっておりますけれども、側面的な協力をして、できるだけそういった代替の措置について実現がはかられるように努力をしてまいりました。今後もしてまいりたい、そう思っておるわけであります。
  44. 兒玉末男

    兒玉委員 この際農林大臣にもお伺いしたいのでありますが、いままで一応経過の概略について長官から答弁がありましたが、御承知のとおり、きょうの十時半、この種子島の第一回のロケット実験が行なわれるという状態の中において、十八隻のシビなわ漁船は、この制限水域に強行操業するという段階に立ち至っております。この状態では、おそらく打ち上げは不可能であろうということが予測されるわけでございますが、特に大臣にお伺いしたいのは、この調印がなされるまでに、地元の関係漁協の人たちが反対したにもかかわらず、全くその漁民の意思というものが無視された形において、中央において関係者との間に調印がなされた。もちろん、漁政対という漁協を代表する一つの公式機関があるわけでありますけれども、先ほど長官も言われたとおり、関係漁民との間に完全な意思の疎通はなかったということの理解をいただいたわけであります。  そういう状態の中において、やはり漁民は漁業以外に自分の生活を守る場はないのであります。しかも、漁政対等で示した振興策にいたしましても、このシビなわの関係漁民が強行出漁しておりますように、一体自分たちがこれで漁場を失った場合に生活はどうするんだ、この具体的な提起というものが明確に答弁されない限り、漁民は絶対にこれには納得しないであろう。もちろん、その責任の立場にあるのは農林省側でなくて科学技術庁側にあるわけでございますけれども被害を受ける立場にある農林省としては、やはりその旨を率直に科学技術庁側に訴えて、解決のめどについてもう少し漁民の理解できる具体的な事前の話し合いがあってしかるべきではなかったか、こういうふうに考えるわけです。今日このような紛争状態に入っておる時期において、被害者側に立つ立場として、この際大臣の御所見を承りたいと思います。
  45. 西村直己

    ○西村国務大臣 種子島周辺におきますロケットの打ち上げについて、長い間、漁業者の生活権と、それから一方国の要望する宇宙開発目的、これの調整問題で両者非常に苦労し、特に地元の関係者、また知事を中心にした関係者は非常に苦労されております。  御存じのとおり、先般、八月でございますか、一応漁政対策委員会と知事との間に話し合いができて東京に持ち込みました。しかし、いま水産庁長官説明がありましたように、末端において全部これが完全な同意という内容を含んでいないために、今日不幸な状態がまだ残っておる。それに対しまして、さらに進んだ対策をもって、現在宮崎県知事が、御存じのとおり徹夜で現地中心にいろいろ話し合いを進めておるのが現状でございます。  私どもは、もちろんこういったことがないように努力をしてまいらなければなりません。それには、生活権を守りつつしかも国家目的と調和をとるのにどうしたらいいか。そうなると、ある程度国家目的を進めるということを承諾をいただけば、必ずそれに対する影響がある。それに対する対策というものをどうするか。その対策につきましては、私どもは十分責任をもって、科学技術庁の予算において実現せしむるように努力をしてまいりたいと思います。しかし、事柄が完全に一致しない部分を残しながら進むということ自体は、今後できる限り避けてまいりたい、こういうような事柄については避けてまいりたいということを私ども考えております。  今回は、不幸にしまして一部分において話し合いが進まないままに出ておる。そこで、知事が徹夜で毎日折衝あるいはお話し合いを進めておることはわかります。しかし、地元の漁民としても漁民なりの生活権の確立と申しますか、生活を守ってまいるという心理も、私どもはまた漁業者の立場に立ってよく理解し得る立場でございます。したがって、それら両者をよく見詰めながら、同時に今後政府として、地元からあがってくるべきいろいろな意見あるいは対策等に対して、十分漁業者の立場に立ってひとつ推進をしてまいりたい、こういう考えでございます。
  46. 兒玉末男

    兒玉委員 問題は非常に切迫した状態にあるし、しかも解決のめどというのは、知事が調印以来今日まで長期にわたり説得をしても、なおその知事の意向の中に、漁民の理解を得るだけの具体的な提示がなされない、こういうところに私は問題の焦点があると思うのです。  先ほど申し上げましたが、とにかくこれは単に宮崎県だけではないのでありまして、四国、広島、山口、大分と広範な漁場制限というのがリマ水域において行なわれております。さらに東大の内之浦、辺塚と、こういう諸情勢から考えますならば、今後具体的な解決策は、この生活権の根拠である漁場の制限をどう具体的に解除していくかということが大きな政治課題であり、特に農林大臣としては、このリマ水域の制限緩和につきましては、相当前向きの姿勢で対処していかなければ、さらにこの問題は大きく発展していくと思うのであります。昭和二十七年以来、わずかに土曜と日曜だけしか制限が緩和されない。補償を要求いたしましても、漁協側の五十分の一しか補償がされていない。さらに東大ロケットの場合におきましても、当初四、五回程度の打ち上げだから何とかがまんしろ、これがすでに四十数回をこえておるということが、非常に漁民は政府当局の言うことに信頼が置けない。また今度は種子島でわれわれをだますのか、こういう不信感というものが、この中にはたぶん要素として入っておると思うのです。  こういう情勢から考えますならば、大臣も、科学技術庁の間あるいは東大ロケット関係の文部省との間において、もう少し具体的な話し合いをしていくべきではないかと私は思うのですが、これに対する大臣の御所見を承りたいと思います。
  47. 西村直己

    ○西村国務大臣 リマ水域の制限緩和につきましては、われわれもその努力をいたしてまいりたいと思います。  なお、現在非常に差し迫っております問題等につきましては、ただいま中断されておるようでございますけれども、昨晩もおそらく徹夜交渉をやっておると思うのでございます。それらの状況を見ました上、さらにわれわれとしてもよく科学技術庁とも話してまいりたい、こう思うのでございます。
  48. 兒玉末男

    兒玉委員 大臣に再度、これは要望を兼ねてお伺いしたいのですが、とにかく知事が一応一任された形で努力しているわけですけれども、昨夕十八隻の漁船が強硬に制限区域に出漁している。しかも、その間徹宵で交渉が行なわれたにもかかわらず、知事が委任された形における解決策では漁民が納得をできない。こういうことになりますと、やはり問題解決の舞台は、農林省対科学技術庁、それに関するところの地元の漁政対なり知事なり、この三者間における前向きの姿勢の、しかも、あくまでも自分の生活権を守るために出漁している漁民に具体的な答弁というものがない限りは、今回のこの実験はおそらく私は不可能であろうと思う。いままでの経過から長官も御承知のとおり、一部漁民といっているけれども、これは、いわゆる漁政対に組織されている漁協内の全組合員というものは、その大多数は、この制限区域の拡大については根強い反対をしている。その意思というものがいままで表明されてなかったということが、今回のこの強行出漁という形によってあらわれていると私は思うのです。  そういう点から考えますならば、この際私は早急に関係者間において、一体具体的な問題の提起と解決はどこにあるのか、その辺のほんとうの漁民の声というものを大胆に吸い上げるところの指導なりそのような対策を打つべきだと思うのですが、これに対する大臣の御所見を承りたい。
  49. 西村直己

    ○西村国務大臣 ちょうど漁政対策委の結論が出ましてお申し入れがあったときに、私は現地におりました。そして、できるだけ対策委の申し入れについては私も協力しましょうと当時発言をして帰ってきた。その後政府にそれが上がってまいりまして、一応対策委としての対策その他については政府が推進いたし、またロケット打ち上げも進めたい。  ただ、内部におきまして十分な意思の積み上げができていなかった面があると私は思います。したがって、今日南郷を中心に強行出漁、おそらく現在はそういう状況に入っておると思いますが、またきょう不可能でありますか解決するかは別といたしまして、いずれにしましても交渉というものは夕方以降また続けられることは続けられると思います。それを見守りまして、私はその結果いかんによっては、さらに科学技術庁その他とも十分相談して、前向きな対処はしてまいりたい、こういう考えでおります。
  50. 赤路友藏

    赤路委員 ちょっと気になるので、関連で一点だけ聞いておきます。  落下地点における上下周辺に対する波長をどの程度に見ておるか、波長の範囲、これが一つ。それから、落下したことによって魚が逸散しますね。その散った魚が再集団して帰ってくるまでどの程度日時がかかるのか、この検討をしておりますか。どなたでもいい。——それではもういいです。これは演習地における従来からの重要な問題点です。魚は非常に敏感ですから。それがなされていないというところに、やはり一つ問題がある。  私けさのNHKのニュース解説を聞きまして感じたことは、話ができるという感じを私は持った。漁民は、単に何が何でも反対するというのではない、けさのニュースがほんとうであれば。われわれのこれからの生活を一対どうしてくれる、魚がなくなったらどうしてくれるのだ、これを言っている。そうすると、いままでこれが解決つかなかったというところには、私はやはり政府当局の話しをする取り組みに真剣さがなかったのではないかという気がしてならぬ。  変なことを言ったようですが、いま言いましたように、非常に重要な魚の逸散度合だとか、そういうことすらも調べないでやるというのでは、ちょっと押しつけがましいと思うのですが、もう答弁は要りません。
  51. 兒玉末男

    兒玉委員 私は、大臣並びに水産庁長官に、ひとつほんとうに生活権の問題として立ち上がっている漁民の立場というものを十分おくみ取りいただきまして、今後ひとつ積極的にこの問題の解決に取り組んでいただきたい。  それから、海上保安庁のほうに最後にお伺いしたいのでありますが、制限水域内における操業は危険だということで、勧告をするということになっておるそうでありますが、現地からの報告等によりますと、何といいますか、かなり威圧的な言動がある、こういう一つの報告も受けておるわけでございますが、おそらく海上保安庁としても、いま私が水産庁長官なり農林大臣との間において質疑応答を繰り返した中で御理解できるように、やはり漁民の死活の問題として彼らは出ておるわけでありまして、そのようなことについて海上保安庁としては、いわゆる操業区域における漁民とのトラブルが起きないように私は最善の注意を払っていただきたい、こういうことを強く主張したいのでありますが、これに対して海上保安庁からの御所見を一つ承りたいと思います。
  52. 郷原久照

    ○郷原説明員 お答えいたします。  私ども、実験海域の海上警戒を開始するにあたりまして、船長、幹部士官を集めまして、先ほど先生がおっしゃいましたようなことは十分注意するように指導しております。いま御指摘のようなことがもしあるといたしますれば、今後そのようなことのないように、これから十分気をつけたいと思っております。
  53. 足立篤郎

    足立委員長 石田宥全君。  石田君に申し上げますが、先ほど理事会で御相談申し上げたとおり、大臣は十二時から一時まで退席をされますので、御承知の上で御質問をいただきます。
  54. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 だいぶ時間の制約を受けて、理事会では一時間の時間をもらったはずでありますが、三十分もないようなことでは、これはもう一度やり直しをしなければならないのじゃないかと思いますけれども、ポイントだけを質問申し上げますから、簡潔に明瞭にお答えを願いたいと思います。  それで、前段は一切抜きにいたしまして、八月十九日の米価審議会では、委員のほうから、八月三十日までに四十四年度の生産者米価の算定方式を示しなさいという要求があったといわれております。今日の米価審議会委員は、その期間は一年間なはずであります。四十四年度の生産者米価を審議する資格があるのかないのか、私はないのではないかと考える。そういう逆に農林大臣に諮問をするようなことを、大臣は一体約束をしているのかどうか、これをひとつ端的にお答えを願いたい。
  55. 西村直己

    ○西村国務大臣 先般の米価審議会におきまして、本年産米の価格決定に関連いたしまして、来年産生産者米価の決定に関しましてもいろんな議論が出ました。それで、米価審議会委員側から、来年産生産者米価にも需給事情を反映させるべきであるという趣旨の申し入れがありましたことはそのとおりでございまして、これにつきまして、政府は見解を表明いたしました。  米価審議会の審議の範囲でございますが、任期はなるほど一年でございますけれども、審議の対象は、その期の生産者米価に限ると、こういうふうに私は限定されてないと思います。関連してまいりますれば、それに対する審議なり意見具申なりあるいは質問なり、これはあってやむを得ないのではないか、こう思っております。
  56. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 世間でよく御用米審といわれておりますが、あるいはまた裏口米審だともいわれておりまして、表玄関から入れないような米価審議会でありますが、これは政府の御用米審であると同時に、財界の御用米審であるということを端的に暴露しておると思うのです。  そこで、八月三十日までに四十四年産の米価について算定方式を示せといわれておるのですが、その後、これは農林省並びに大蔵省ともいろいろな検討が行なわれておると伝えられておる。たとえば、昨年まで平均収量から標準偏差シグマを引いたものを用いておる。それからことしは〇・九シグマになっておりまして、平均反収を基礎とするパリティ方式をとるということを検討しておる。また大蔵省は特に、予算米価で生産者米価は確定的にしてしまう、あるいは稲の作付転換をする者に対しては補助金を出すということを検討中であるといわれておりますが、この点について農林大臣並びに大蔵省の主計官にお伺いをしたいと思います。
  57. 西村直己

    ○西村国務大臣 米価審議会の申し入れに対しまして、来年度以降に何らかの形で需給を反映させる、これは私どものほうとしては見解表明をいたしております。  ただ、来年以降の米価のあり方につきましては、まだこれは各人各様の意見はあるかもしれませんが、政府なり農林省といたしまして、一つの結論を持っておる段階ではございません。
  58. 相沢英之

    ○相沢説明員 今後の米価のあり方につきましては、ただいま農林大臣から答弁がございましたように、いろいろと検討は進めておりますけれども、今後どのような方向でやるかということについて、何ら結論を出しているわけではございません。  ただ、いまお話がございましたような限界反収のとり方の問題であるとか、あるいは予算米価の問題であるとかいうようなことも、これは事務的には検討の対象とはなっておりますけれども、まだ何ら結論を出しておるわけではございません。
  59. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 検討をしておることは間違いがないようで、私もいろいろ探りを入れてわかっておるわけですが、農林大臣、この点は実はずっと春の予算審議の当時からいわれておったことが、だんだんだんだん一つ一つ現実的なものとなりつつあるわけです。おそらくこれは、専門的な農政に詳しい大臣ならば、かなり抵抗をされるんじゃないかと思うのですが、これは佐藤内閣が、しろうとならば思い切ったことをやるだろうというので、西村農林大臣を任命されたんだと思うのであります。また世間でもそういわれておる。こういう状況のもとで、私は需給事情については、これは必ずしも大臣おらなくてもいいから、需給事情は詳しく、大臣が退席されたあとでもお伺いをいたします。  ただ、ここで伺っておかなければならないことは、食管法の改正ということについて、これは米審の建議も行なわれておりまするし、需給事情というものを中心にいろいろの問題が議論されておるので、実はここで需給事情を数字的に検討したいと思うのですけれども大臣が時間がないということですから、御無理は申し上げませんが、その問題の前提を抜きにしてお伺いをするわけでありますけれども、食管法の改正を準備しておるということは、もう周知の事実であります。これは一体次の通常国会で法律の改正というものを提案するつもりであるのかないのか。あるいは政省令など、大臣の権限や閣議の了解でできる範囲のものにとどめようとするのか。この点はまだ検討中だというように逃げられるかもしれませんが、それはそれなりでよろしいですが、とにかくこれは非常に重要な問題でありますので、はっきり答弁をしていただきたい。
  60. 西村直己

    ○西村国務大臣 米価の問題は純粋の農政上の問題とも考えられないので、一面においては物価、財政、国民生活、また一面生産者の社会的な生活あるいは消費者の社会的な生活等、あらゆるものに関連をしている。その間において食管制度というものも二十年の実績をもっているし、またこれに関連している人も多い、そういう立場でものを考えていかなければならぬと私は思います。したがって、慎重ではあるがしかし幅の広い視野で、しかも、現状にとどまっていることがいいかというと、必ずしも現状にとどまってはおられないといういろいろな問題も出ているのではないかと私は思います。  そこで、食管制度の改善ということばが出てまいると思うのであります。ただ問題は、それじゃそれをどういうふうにやっていくかという場合に、単に食管制度だけでいいのかというと、その米の問題の位置づけ、あるいは米の問題というものは大きな問題であるだけに、全体の農政と申しますか、他の作物との関連も考えてまいらなければならぬし、農業全体のあり方にもいろいろ反省もしてみなければならぬ点もあるかもしれません。そういうような中で考えてまいりたいという姿勢でございます。  したがって、それらを組み合わせまして、私どもとしては、当然法律論でいける部分もありましょうし、あるいは政令分で議論しなければならぬ部分もありましょう。あるいは運用で考えなければならぬ面もありましょう。これらを十分に整理した上で最終的な結論を得てまいりたい。したがって現在、直ちに法律改正にいくのだというところまで結論をまとめている段階ではまだないわけであります。
  61. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 いろいろ御討議が行なわれておるということは承っておりますから、今後その成り行きを見たいと思います。  そこで、大臣にはっきり伺いたいのは、米審における質疑応答がだいぶ外部に漏れておるのですね。ずっと一問一答が出ておる。業界紙はもちろん、朝日新聞などでもかなり詳細をきわめておるわけです。この詳細をきわめておるということは、時間があればこれを読んでお聞きを願いたいのでありますけれども、省略いたしますが、こういうふうに非公開であって、前の委員会では私が昨年の記録を提出を願いたいといったのですが、非公開だから国会にもその資料として記録も提出できないというような状態、国会議員の入場も許さないというような米価審議会の内容が、外部に一問一答の方式でたくさん出ておるということはどういうことなのか。一部の委員がメモを発表しておるのか、あるいは隠しマイクでもあったのではないかということを私は考える。一体、一部の委員が外部にその一問一答のメモを発表するとか、隠しマイクがあるなどということは許さるべきはずではないと思うのですが、この事実についてまずお尋ねをしておきたい。
  62. 西村直己

    ○西村国務大臣 米価審議会は非公開にして、自由濶達に意見を述べてもらう仕組みになっております。したがって、その内容についていろいろな角度からの、また委員個人としての、委員一人一人の立場としての意見はいろいろ出ておりますが、それらは米価審議会が開かれました場合に、会長または会長代理から正式な記者会見等を通して出しておるわけでありまして、それがどういうふうな形で編集されるかは、これは各新聞の御自由でありまして、発表は、会長または会長代理から内容を発表いたしております。
  63. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 しかし、十問も一問一答、一問一答で出るなどということは、従来の会長の記者会見では出ておりません。私はよく知っておりますが、そういうことは許さるべきものではないのではないかと私は聞いておるのです。どうでしょうか。
  64. 西村直己

    ○西村国務大臣 私どもとしては、個人の委員がどういうふうにされるかは、これは個人の立場の問題でありますが、審議会とされては、会長または会長代理がその日のうち一回か二回——二回ぐらいでございますか、正式に記者会見の席を通しまして内容、経過を発表する、これがいまの方法であります。
  65. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 そこで委員長にお伺いしますが、いま私が質問をしておるように質疑応答がたくさん出ておって、しかも、それに対する批判なども朝日新聞などが相当大きく出しておるわけですよ。そうすると、これは単なる会長の記者会見の発表とは受け取れないのです。そういうものに対して国会議員も入場させないし、そうしてまた国会で本委員会が記録を要求しても、非公開の会議だからといって記録も出していないでしょう。これは国会軽視もはなはだしいものですよ。国会においてこれ以上審議することはできませんよ。  そこで委員長に伺いたいのは、少なくとも資料としてその記録を提出せしむべきではないか。米審の任命の経緯にかんがみて、前の通常国会会期中に解決がつかないで、来国会でさらにこれを各党間で協議をするということになっておるという経緯にかんがみて、当然記録は本委員会提出すべきであると私は考える。委員長は、委員会の議決をもって資料の提出を求むべきであると思うが、委員長の意見を承りたい。
  66. 足立篤郎

    足立委員長 委員長にお尋ねでございますが、この問題につきましては、後刻理事会等で御相談の上で結論を出したいと思います。
  67. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 これは理事会で当然御相談になることだろうと思いますが、少なくとも従来の政府のとってきた態度というものは、許しがたいものであると私は断ぜざるを得ないわけであります。  そこでもう一点、大臣まだ時間があるようでありますから——委員長、どうも二十分ではちょっと無理なようですが、私もあまり無理はいたしませんけれども、次に買い入れ制限の問題についてお伺いをしたいのであります。買い入れ制限は現行法のもとでも違法ではないということを、農林大臣食糧庁長官もまた木村内閣官房長官も言明をしております。高辻内閣法制局長官も、数量の買い入れ制限ということは、これは、食糧管理法を実施するという限りではあり得ない、こう言っておる。ところがあとのほうで、そういうような米穀数量をこえるような数量が出てきたということになれば、その数量の買い入れ制限については、それが全然できないという法律上の根拠はない、こういう答弁をしておるのです。どうもこれはすっきりしないのです。現行法体系のもとで買い入れ制限をすることもあり得ると受け取らざるを得ないのでありますが、どうでしょうか。同じ法体系のもとで、多くの農民が食管法の違反事件として処罰を受けたのであります。また最近は公然といわゆるやみ取引なるものを認めて、しかも東京近県からは、一日一千俵を上回るといわれておるような取引が行なわれておるが、これは放置してある。一面において買い入れ制限をするということは、私は農民感情として、私も米を供出する者でありますが、これは許さるべきではないと考えるのであります。特にこの問題と関連して大蔵省は、先ほども申し上げましたように、作付転換をする農家に対しては補助金を出そうということを検討しておると伝えられておる。  そこで、買い入れ制限について考えられることは、配給に必要とする量に限定をするということが第一。第二には、過去の供出の実績に基づいてやるということ。第三には、等級によって買い入れを制限するということが考られる。もう一つは食味によってやる。たとえば、陸稲を買い入れからはずすということも考えられないことではない。こういうふうに考えてくると、米作農業は非常な危機に直面しておるといわざるを得ないのでありまして、この点についての御答弁をいただきたいと思います。
  68. 足立篤郎

    足立委員長 石田君に申し上げますが、きょう十二時からの農林大臣の御用件は、外国からのお客さんとの会食でどうしても時間におくれられないと申しますから、いまの答弁は大臣からでなければならないならば、午後にしていただけませんか。
  69. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 それじゃいいでしょう。
  70. 足立篤郎

    足立委員長 いまの答弁は、保留したままで続けてください。
  71. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 やむを得ない事情だそうでありますから御無理を申し上げませんが、大臣に対する質問は保留するといたしましても、たとえば最近、従来慣例として毎年行なわれてまいりました等外米というものが買い入れの中からはずされておる、こういう実情にあるわけでありますが、これも買い入れ制限の一部であるという理解を農民のほうではいたしておるようでありますが、食糧庁長官から率直にお伺いをいたしたいと思います。
  72. 桧垣徳太郎

    ○桧垣説明員 本年の等外米、規格外米の扱いにつきましては、先般告示をいたしました農林省告示によりまして、食糧管理法に基づきます政府の費い入れ米の規格は、一等から五等までであるということにいたしておるのでございますが、ただ災害等による場合であって、農林大臣がやむを得ないと認めた場合には、規格外の米穀であって農林大臣が指定するものについては、買い入れる場合があるという告示をいたしておるのでございます。この点は、政府買い入れの基本的な考え方としては従来から変わっておらないのでありまして、一ないし五等についての買い入れの制限はいたさないということを、少なくとも昭和四十三年産米については明らかにいたしておるのでございます。  ただ、例外的に買い入れをいたします場合は、これは主として災害等による不可避の品質低下というものが、農家に与える激甚な経済的の打撃というものを緩和する一種の災害的な対策という観点から措置をしてまいっておるわけで、そういう例外については、制度の上で、農林大臣がやむを得ないと認めるもので、農林大臣が指定するものが、場合により買い上げられることがあるということでございますから、ものの考え方としては、私は従来と変わっていないと思います。  ただ、今日のような需給事情になってまいりますと、その範囲についてどういう考え方をするか。私はやはり需給事情を考えた扱い方であってよろしいのではないかということでございますが、まだ政府内部で根本的なというか、最終的な決定をいたしておりませんけれども、前々回の当委員会でございましたか、私は、災害等によりまして集団的に低品位の米が生産をされて、そうしてそれが農家の経済に大きな影響を与えるという場合には、全く例外的な扱いとして買い入れの措置検討いたしたいというふうに申し上げてまいっておるのでございます。私は、いわゆる買い入れ制限とは別個の問題であるというふうに思っております。
  73. 足立篤郎

    足立委員長 関連質問を許します。井上泉君。
  74. 井上泉

    井上(泉)委員 いま食糧庁長官が、災害等の場合に例外的に買い上げの方途を検討したいというような話をされておったのですが、大体規格外の米、特に胴割れ米の本年度の発生は自然現象であって、これはどうにもならない現象である、たとえば高知県の食糧事務所の事務所長は、そういう報告をなされておるのです。それで早場米の政府売り渡しの時期というのは、ちょうどいまが最盛期になるわけです。八月の終わりから九月、十月の初旬が最盛期になるわけですが、そういう場合に検討検討というて時間をとるとたいへん農民としては不安を覚える。検査を受けて、そこで等外で規格外として買い上げの対象にならない。ならない場合にはすぐそこでやみ商人が来て、一俵五千五百円とか六千円とかいうことで買いたたいておる。こういうような状態で、非常に農民としては不安を覚えておるのです。早急にひとつ結論を出すべきじゃないかと思うのですが、どうですか。
  75. 桧垣徳太郎

    ○桧垣説明員 胴割れ米の問題も、ただいま申し上げましたことの例外ではないわけでございますが、ただ、米の生産を行ないまして、そうしてそれを通常の注意をもって収穫調製をいたしますれば、胴割れ米の発生は避けられるというような場合、たまたま胴割れ米が出たというような程度でございますれば、私どもは実は災害というふうには考えられないということでございます。いま申し上げましたように、災害等の不可避の理由によりまして規格外米あるいは等外米が発生をしたという場合には、私はそういう場合に限って政府として手当てをする必要があるであろうというふうに思っておりますが、まだ政府内での意見調整が終わっておりませんので、できるだけ早急に固めたいと思っております。  なお、例年この問題につきましては、おおむね九月下旬には方針がきまることでございますので、本年も大体そういう日程をめどに結論を出したいというふうに思っております。
  76. 井上泉

    井上(泉)委員 いまとにかく売り渡しの最盛の時期にあるわけですから、農民に対する思いやりの気持ちがあれば、できるだけ早急ということではなしに、もう今月中には決定をしていただきたいと思います。食糧事務所が、「本年の胴割米の発生は、気象上の不可抗力的要因によるものと判断されること。」これは農民がいっておるのでなくて、食糧事務所の方がそういっておるのですから。また「早期米全般にその被害を受け、大部分のものが下位等級に格付され、加えて、不合格品のため、予約未達成農家が続出するとなると農家経済に与える打撃は極めて大きいものがある」ともいっている。さらに、「検査に対するはね返りが強くなって、円滑な検査を推進していくうえに支障をきたしていること等から綜合判断して事情止むを得ないものがあると思慮されるので、申請書のとおり胴割規格外米穀の買入れ措置を早急に決定方、格別の御配慮をお願いする。」といっている。これは食糧事務所から出されておる文書ですから、これはあなたが言われるとおり、ほんとう災害による不可抗力の要因による胴割れ米ですから、これも早急に決定する必要があると思うのです。特に高知県とか鹿児島県、ああいう早場米の地域における胴割れ米の発生が台風四号、台風十号の被害によることは歴然たる事実でありますから、いつというめどをつけて——役人がいわれる早急ということは一カ月になったり二カ月になったりするのですから、早急というのはいつごろというめどをお示し願いたい。
  77. 桧垣徳太郎

    ○桧垣説明員 私としましては、いまの高知県の扱いをどういたしますという……(井上(泉)委員「高知県は例としてあげただけですから」と呼ぶ)例として承っておきまして、災害による胴割れ米、規格外米の政府買い入れの方針につきましては、今月中に結論を出したいと思っております。
  78. 井上泉

    井上(泉)委員 それからこの機会に、非常にくどいようですがお伺いしておきたいと思います。かりに対象にならない規格外の米、買い上げの規格を設定をしない場合に、これは米として扱うのか、何として扱うのか、この点食糧庁長官の見解を伺いたい。
  79. 桧垣徳太郎

    ○桧垣説明員 食糧管理法上の米といいます場合には、たとえ規格外、政府買い入れに該当しないものであっても、米であることに間違いないのでありますが、ただ、食管法三条にいう「命令ヲ以テ定ムルモノ」というものには該当しない。したがって、現行法上は一応食糧管理法の規制下にあるが、ただし、御案内のように、いわゆる等外米、規格外米すべてを含めまして、低品位米については必ずしも政府への売り渡しを強制していない。つまり、食糧管理特別会計を通ずることなくして流通する道を認めておるのでございます。いわばそういう点について、規格米と法律的性格を異にしておるということでございます。
  80. 井上泉

    井上(泉)委員 そういう場合に、規格外のそういう米というのは、大体一反歩の中で一部分出るというのではなくて全体に出るわけでしょう。全体に出るのですが、そういう場合は、やはり米でないから共済の対象には当然なると思うのですが、そういう点について……。
  81. 松永正隆

    ○松永説明員 お答え申し上げます。  共済制度におきましては、原則的に品質というものは共済の対象に考えておらないわけでございます。物量当然でございます。品質が一等であるとか二等であるとかいうことは関係ないのでありますが、ただ、災害によりまして政府の買い入れ対象にならない低品位米が集団的に多量に発生いたしました場合におきましては、損害評価上特例的な措置を従来講じております。  その内容は、政府の買い入れ対象になっております最低品位の等級を基準にいたしまして、それと比較をいたしまして、買い入れ対象外の米につきましてそれを搗精をいたしてみまして、搗精歩合の減じた部分に相当する量を減収として扱う、こういうような特例的な措置を従来講じております。
  82. 井上泉

    井上(泉)委員 もう一点伺いますが、流通過程に自由に出すことを認めるということを食糧庁長官は言われたのですが、政府買い上げの対象にならない米はどういうふうに売っても差しつかえない、こういうわけですか。
  83. 桧垣徳太郎

    ○桧垣説明員 現在の食糧管理関係規定によりますと、規格外の米、低品位米につきましては、所在の食糧事務所長の承認を受けて実需者がそれを買うということについて知事の証明を付してまいりました場合に、食糧事務所長が承認をすればそれは自由に販売してよろしい。現在の規則のもとでは、そういう規格外米でほしいというときには、それを買い取ってよろしいということで知事の売買証明がついておるということになっております。  ただし、現在私どもといたしましては、従来の需給の窮屈でありました時代の規定でございますので、なし得ればそういうような繁雑な手続を要しないことに改めたいということで、目下研究をいたしております。
  84. 井上泉

    井上(泉)委員 それでは胴割れ米の規格外の米の買い入れの基準を設定することは、今月中にこれを定めるというふうに理解しておってよろしいわけですね。
  85. 桧垣徳太郎

    ○桧垣説明員 そういうことをめどに私どもはつとめております。
  86. 足立篤郎

    足立委員長 午後一時に再開することとし、これにて休憩いたします。     午後零時十七分休憩      ————◇—————     午後一時十一分開議
  87. 足立篤郎

    足立委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  午前の会議に引き続き質疑を続行いたします。  先ほどの石田宥全君の質疑に対し、農林大臣の答弁が保留されておりますので、まずこの答弁からお願いいたします。農林大臣
  88. 西村直己

    ○西村国務大臣 米の買い入れ制限についてどんな考えを持っておるか。食管法の三条一項の規定は、生産者に、生産した米穀で命令に定むるものを政府に売り渡す義務、これを規定している。ですから、これは法律のたてまえからいうと、必ずしも政府に無制限買い入れを義務づけているものではない、こういうふうに私どもが解釈しているのは、先ほどの御質問の過程においてもあったわけであります。  ただ、食管法の従来からの運用の経緯とか、生産者の利便というようなものも考えてみますと、ただ法律上可能であるからというだけで、事柄をただ簡単に当否をきめるというわけにもまいらぬわけでありますので、これらは慎重に検討してまいりたい、こう考えておる次第であります。
  89. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 慎重に検討されるということでありますが、それは当然のことなんですね。  そこで、一言申し上げておきたいことは、日本の農業というのは、何といっても米作が中心をなすものでありまして、一部には大農保護だ、価格だけで保護政策をとるのは、大農保護に資するものではないかという議論もありますけれども実情は、いろいろ議論されておりますように、日本の農業というものは複合的な経営なんでありまして、たとえば、四十アールか五十アールを耕す農家であっても日雇いをする、出かせぎをする、あるいは養豚をやる、養鶏をやる。それはいずれも採算に合わないというような事態であっても、米だけは一応安定している。価格も安定し、作柄もほぼ安定している。そういうところに米作というものの農業に占めるウエートというか、その重要性というものがあるのであって、それを無視して、ただ米を単作的に考えたならば、日本の農業全体にとってきわめて重要なマイナス要因をつくることになるのであろうということをひとつ指摘をいたしまして、時間がないそうでありますから、次に移らしていただきます。  来年度の米価についての算定方式については、かなり論議が進められておるようでありますから、ここでこの点について、食糧庁長官でけっこうですが、あまり長くならないように要領よく答弁をしてもらいたい。
  90. 桧垣徳太郎

    ○桧垣説明員 来年度の米価の算定をどうするかという問題につきましては、先日米価審議会のほうから、どういう考え方を持っておるのか、具体的方策について明示をしてもらいたいという申し入れがありました際に、政府といたしましては、最近の需給事情等を考慮していくという必要性については、根本的にそういうふうに考えておるけれども、食糧管理制度の改善についての検討ということの一環として、米価の算定という問題も関連のある事項として出てくることであるので、その検討を待って初めて明白になることであって、その点は、何らかの食糧管理制度の改善と関連をして米価の算定について、新しいといいますか、四十四年産米についての考え方が出てくれば、米価審議会の意見も聞いて決定をしてまいりたいということを答え——答えというよりも、むしろ所信の表明を大臣からいたしていただいたわけでございます。それ以上のことは、現段階で、私どもはいまどういうようなことを考えておる、あるいはどういうようなことを予定しておるということはないのでございます。
  91. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 先ほど来大臣の答弁の中にもありましたが、米の需給事情が緩和したということ、これが米審でも大きな問題点となり、米価を審議するにあたって、需給事情を考慮せざる価格の決定というものはあり得ないというような議論がだいぶ行なわれておるようであります。  そこで、私は、需給が緩和した要因というものと、もう少し掘り下げたその前の事情というものを明らかにしなければならないと思うのでありますが、いろいろ要因はあります。開田が最近ブームを呼んでおるというようなことも私は承知いたしておりますけれども、まず第一に、本米穀年度末における古米の手持ち量が幾らあるのか、それから昭和三十九年度以来の輸入高がどういう数字になっておるかを明らかにしていただきたい。
  92. 桧垣徳太郎

    ○桧垣説明員 昭和四十三年米穀年度末の古米といいますか、四十二年産米の繰越し量の見込み数量は、二百六十五万四千トンと見込んでおるのでございます。  それから、輸入量につきましては、これは会計年度になるのでございますが、三十九会計年度の輸入総量が四十三万五千二百九十八トン、四十会計年度が九十八万六百九十八トン、四十一会計年度が六十万二千八百九十六トン、四十二会計年度が二十六万四千九百九十七トン、四十三会計年度は途中でございますが十一万三千九百八十一トンが輸入されておるということでございます。
  93. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 どうもいまの食糧庁長官の答弁はちょっといただけないのですがね。本委員会提出されたこの横刷りの資料が手元にございませんか。これは同じ会計年度です。これによっていただきたい。本委員会にわざわざ提出された数字と全然違った数字を述べられたのではわからないのです。
  94. 桧垣徳太郎

    ○桧垣説明員 私どもが手元に持っております資料とお配りいたしました資料とに誤差がございますことは、いま調べましてそのとおりでございますが、どういう事情であるかちょっと私どもわかりません。いずれも会計年度別になっておりますし、原穀千トンでございますし、数量はBL面記載数量であるということで、この辺私はこの場で明快にできませんが、数量の違いにつきましては、後刻調査をいたしまして御報告申し上げます。
  95. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 いずれにしても、総数量幾らかを言って下さい。
  96. 桧垣徳太郎

    ○桧垣説明員 総数量といいますのは、会計年度……(石田(宥)委員「三十九年、四十年、四十一年、四十二年」と呼ぶ)私が申し上げましたのは、判明をいたしましたが、砕け米を加えていない、砕け米が別になっておったからでございまして、数字の差は砕け米の差でございます。  それで、三十九年から四十二年までの会計年度の合計を足しますと、約二百六十五万トンでございます。
  97. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 大臣、これを聞いておっていただきたいのですが、古米の持ち越し量が二百六十五万数千トン、これは精米トンでありますが、こういうふうに発表されておる。だから米の需給が緩和した、こういわれておるわけでありますが、いまお聞きのように二百六十五万トン、これは玄米トンでありますけれども、その差はわずかなものでありまして、政府の古米持ち越し量ほぼ相当分の外米の輸入が行なわれたという事実、これを抜きにして需給緩和の議論はできないと思うのです。そこで、そういう数字上の認識をまず新たにしてもらいたい。  それからもう一点伺いますが、食糧小麦の昨年の一—十二月の輸入量は幾らでございますか。
  98. 桧垣徳太郎

    ○桧垣説明員 お配りをいたしております資料でごらんを願いますと、この点は四十二年の会計年度になっておりますが、麦の合計は、飼料用の小麦及び大麦を含めまして四百八十三万トンでございます。
  99. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 全量で四百八十数万トンでありますが、この前の本委員会の懇談会では、食糧小麦は暦年で四百二十万トン、こういう数字を発表しておりますね。そのつどそのつど数量を変えるというのは一体どういうことですか。米穀年度なら米穀年度で統一した答弁をしなさい、会計年度なら会計年度で統一した答弁をしなさい。そうしてそれを大臣にもよくのみ込ませておきなさい。そうでないと、需給が緩和したなんという議論はできないですよ。
  100. 桧垣徳太郎

    ○桧垣説明員 内地産の米につきましては、米穀年度で需給を計画し、また需給の結果を見ざるを得ないのでありますが、輸入米麦につきましては、予算との関連等もございまして、会計年度別に整理するというやり方をやっておりますために、お話しのように米穀年度と会計年度と、違った統計資料というものが作成されまして、やや混淆をいたしておりますことは、私も認めざるを得ないと思います。その点は、同一時点における需給の関係が明瞭になるような整理のしかたを試みたいと思います。  ただ、米の需給の問題を見ます場合に、米穀年度を離れて会計年度で見るということは、非常に困難な状態をつくりますので、別途の見方からする整理のしかたは、私どもも今後努力をといいますか、気をつけてまいりたいと思います。
  101. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 そのこともさることながら、いま申し上げるように、米は米年度でやるのもやむを得ないかもしれない、あるいは麦は暦年でやるのもやむを得ないかもしれない。いずれでもよろしいけれども、これをちゃんと統一をして、いつでも答弁のできるような状態でなければならないのではないか、これを指摘しておるのです。質問を受けてから、あっちこっちひっくり返して調べて計算をして出すというような状態では、はなはだたよりのない話だから、それを私は申し上げておるわけです。  次に伺いたいのでありますが、古米の在庫というものは、過去四年間の輸入量とひとしいものである。四年間外米を輸入しなかったとすれば、持ち越し量はほとんどなかったという計算が明らかになりました。これは明らかです。そこで、昭和四十三米穀年度のことはまだ明らかにならないかもしれませんけれども、少なくとも四十二年度の在庫米の金利、倉敷料など保管に要する経費というものがどれくらいかかっておるのか、これはおわかりだと思います。本年度は、もし集計がなければよろしい、あればひとつ出していただきたい。
  102. 桧垣徳太郎

    ○桧垣説明員 いまの御質問あるいは御意見の中で、実はそのお答えを完全にするための私の資料の整理が確かに不完全だということを身にしみるわけですが、少なくとも過去四年間の輸入数量が在庫量に匹敵するのは、数字として同じようなものであることは私も否定をいたしません。ただ昭和四十一米穀年度末、つまり昭和四十二年十一月の内地米の持ち越し量は十八万六千トンでございますから、したがって、昭和四十二会計年度の半ばまでに持ち越されました古米が、今日の在庫に何ら影響しているものではないということだけは申し上げておきたいと思います。  それから、在庫米が食糧管理特別会計に経費として影響を与えます金額でございますが、非常に大ざっぱなことを申し上げて恐縮でございますが、運送賃を別にして内地米一トン当たりの年間の金利、倉敷等の政府経費は約一万円ということでございます。
  103. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 大蔵省の主計官おられますか。——来ていない。それでは時間がたつばかりですから、これは後ほどに伺うことにいたします。  農林大臣に伺いますが、外米の輸入量と古米在庫量がほぼ匹敵するものであって、なお食糧小麦が米換算で三百万トン以上のものを去年一年間で輸入しておるわけですね。そういたしますと、これは六百万トン近くのものが外国の食糧に依存することになるわけです。それでも需給は緩和したというお考えをお持ちになるかどうかお伺いをしたいと思います。
  104. 西村直己

    ○西村国務大臣 過去の外米輸入の累積の数字が二百六十万トン、これと四十二年産米の持ち越しの二百六十五万トンの数字そのものは一致いたしますが、外米の輸入というものはそのつどそのつど、米年度に従いまして足りない面を補って、大体ある程度の持ち越しを持ちまして消費されていっておったのでありまして、ちょっとこの数字が合ったからといって、それで押せ押せになってここに持ち越しが出た、こういうふうには私は受け取れないのでございます。むしろ米そのものにつきまして、昨年の六十万トンの持ち越しからことしの二百六十五万トンの持ち越しになったのは、史上まれに見る豊作と、一方におきましては消費の増がないという横ばい状態、これが大きな理由であると思うのであります。  それから、食糧といたしましては、確かに小麦の輸入というものも私は食糧の大きな一部であると思いますけれども、これ自体は米に代替し得るものであるかどうかというと、必ずしも代替し得ない部分も相当ある。こう考えてまいりますと、現在のいわゆる通常考えられる平年作ないしそれ以上の作柄が続いてまいりますと、米の持ち越し量というものは減るよりはむしろふえる傾向にある。したがってそれは需給の相当な緩和である、こういうふうに判断せざるを得ないと思うのであります。
  105. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 食糧庁長官に伺いますが、農林省から提出された資料によりますと、昭和三十一年に六十九万三千トン、三十二年に三十二万四千トンの古米在庫があったということになっておりますね。これは時間の関係で私のほうで読み上げておりますが、間違いないでしょうな。そのときにどういう議論が起こったか、これは農林大臣考えていただきたいのですが、その当時は、米の需給事情が緩和した。河野農林大臣は、稲の作付転換をしなければならないということを至るところで言って歩いた。池田内閣当時でありまして、総理大臣もその意見と同様だという見解を当時国会で明らかにしております。これほど需給が緩和したと言われた。そして一人一年当たりの需要は減少しつつある、こういう議論が行なわれた。私どもは、そうではないのだ、人口は増加するし、まだ米の需要は伸びるであろうと言って、これは対決をしたことがある。  ところが、われわれが指摘したとおりに漸次手持ちが減少いたしまして、昭和三十八年には一万五千トン、三十九年には一万三千トンにまで落ち込んでまいりました。米不足、食糧危機で、新潟の農協の諸君が供出をすると、そのあとから全部運んでしまって、在庫が全くないために農協の運営に困るので、もうしばらく倉庫に置いてもらいたいと言って陳情に来たことを覚えております。これは否定されないと思うのですが、そういうふうにただ一年や二年の需給緩和をもって、ずっと長期間にわたって緩和するという見方は、私は短見であるといわなければならないと思うのです。  最近のように買い入れの制限をするとか、生産者米価の算定方式を変えるとか、あるいはまた水田をほかの農作物に転換すれば補助金を出すというようなことは、かつて議論が行なわれたことです。いまここで再び同じようなことが言われ出しておるのです。そのときに、需給が緩和したからといって政策転換を行なうというがごときは、これは許しがたいことであって、再びまた食糧難におちいるのではないか、こういうことを指摘せざるを得ないわけです。私どもずっと長いこと農林水産委員会におって議論をしたことを、またここで繰り返すようなことになったわけでありますが、この点について、先ほどの農林大臣の答弁では、はなはだ短見にすぎるのではないかという考えを持つわけですが、所見をお伺いしたいと思います。
  106. 桧垣徳太郎

    ○桧垣説明員 大臣からのお答えの前に、需給の大筋の数字を申し上げますが、お話しのように、昭和三十一年当時、一時若干の古米持ち越しをしたことがあるのでございますが、当時はまだ一人当たりの消費量の減少の率も少のうございましたし、人口の増加を考えますならば、御指摘のように、総消費量というものは伸びる傾向があったわけであります。昭和三十八年が国内の米消費量の最大のピークを築いたのであります。約千三百五十万トンの消費をいたしたのでございます。  ところが、その後人口の増加はございますが、一人当たりの消費量は減少をいたしまして、三十五年をベースにいたしますと、四十二年の食糧需給表で見ますと、九二・一というふうに約八%程度減少いたしておりますし、また四十三年も引き続き減少しておると見受けられます。昭和四十一年の生産量は、御案内のように千二百七十四万トンということでございましたが、消費量は千二百五十万トンということでございました。それがさらに昭和四十二年には、まだ集計は終わっておりませんが、十万トン程度消費が落ちておるのではないかということが考えられますので、おおむね国民の総消費量は千二百四、五十万トンというふうに見受けられるわけであります。  一方、昭和四十二年の生産が千四百四十五万トンということでございます。四十三年産米につきましても、八月十五日の予測では、平年収量に対して一〇七ということでございますから、作付面積を昨年と同様というふうに計算をいたしますと、千四百十一万トンということでございます。かりに平年作といたしましても千三百二十二万トンということでございますので、三十年当時の米の需給状態とは、本質的に変わっておるというふうに私ども考えておるのでございます。
  107. 西村直己

    ○西村国務大臣 もちろん、この米の需給は大事な問題であります。しかし、いわゆる所得が上がってまいりますれば生活、特に食生活の高度化、多様化、この現象は私は世界共通の考え方ではないかと思うのであります。  そこで消費の伸びが横ばいになっていく、千二百五十万トンというのは大体ここのところ続く。そうなってくると、米の供給量のほうにおきまして、非常な農民の努力その他の条件が備わってまいりました結果、平年作においても千三百万トンをこえるくらいのところにくる、いわんやこれに二年続きの豊作がある、そうなれば、古米のいわゆる持ち越し量というのは相当なものになってくる、こういうような状況下に置かれて需給が緩和した、こう判定するのがいいのではないか。ただ、これは長期にわたってはいろいろな意見が立つでありましょうけれども、ここのところしばらくの間はそういう状況は続く、こう見ていいのではないか、こう思っております。
  108. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 時間がありませんからあと経済企画庁に伺いたいと思いますが、御承知のように、米価は物価のバロメーターだということがよくいわれるわけであります。私ども承知しておるところによると、徳川時代から大工や左官など職人の一人手間は、米三升というのが数百年のこれは一つ基準になっておる。今日、一日の手間賃は米一斗ぐらいになっておるわけであります。こういうふうに非常な変化があるということをまず指摘をしておきたい。  そこで、最近とかく米価と物価の問題が議論になっておりまして、消費者米価の値上げがきまったとたんにパンやあるいはビールの値上げが行なわれております。これは消費者米価の値上げが実現をしないうちに上がっておるわけですね。これを一体どういうふうに経済企画庁ではお考えになっておりますか。
  109. 八塚陽介

    ○八塚説明員 ただいま先生がお話しになりましたように、少なくとも過去の日本の国民生活の中では、米が非常にウエートが高くて、いろいろな基準になっておった時代があったと思います。昨今は御承知のように、家計費の中で六%ないし五%というような状態でございますから、昔の経済状態のときの、いわゆる米価は物価のキングであるというようなこととは、かなり事情が変わってきておると思います。ただ、何といいましても日本の各家庭では、おそらく全部米を消費いたしております。かつ必需品でございますから、きわめて普遍性に富んでおるというようなことからいいますと、やはりいろいろなものごとを考える場合に、一つのめどになっておると思うのであります。さらに加えまして現在の物価情勢は、いろいろな観点からそれぞれの業態をつかまえますと、現状のままでありますと、いわゆるコストアップの要因というものをみなかかえておるわけであります。何かあればそのコストアップを価格に転嫁したいという、いわば潜在的傾向を持っておる。  そういう際に、そのような地位にあります米価、それは特に政府がきめております。そういうものが上がるということになりますと、つまりきっかけになると申しますか、契機になる。あるいは相互に顔を見合わせて上げたい上げたいと思っておるのに、いわば一種の合い図になるというような形で消費者米価というものが、何と申しますか、ことばは妥当ではございませんが、まあ使われる場合があるというふうに考えております。  そういう意味におきまして、ビールはビールで過去におけるいろいろな経緯もございましたし、あるいは私どもパンも、必ずしも全部上がったというふうに見ておりませんが、いろいろな要因をかかえておる。その際に消費者米価値上げというものが、いわば社会的、心理的な影響を持つということが考えられるというふうに見ておるのでございます。
  110. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 それでは、農林省で配ったこの資料の四ページ、ここで、生産者米価は昭和二十八年にきまってそれから七年間据え置きであったわけですね。据え置きで一銭も上がっておりませんが、その間消費者物価指数は幾ら上がっておるか。要するに三十五年まで七年間生産者米価は据え置きであるが、消費者物価指数は幾らになっておりますか。
  111. 桧垣徳太郎

    ○桧垣説明員 消費者米価につきまして五ページの表が示しておりますのは、三十二年から三十七年まで五年間据え置かれたのでございますが、昭和三十二年、最初の改定の当時に一〇八・九%の消費者物価の指数が、三十六年には一一九・七ということでございますから、その間に約一一%上がっておるということに相なります。
  112. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 とんちんかんな答弁をしなさんなよ。ちゃんと二十八年を一〇〇として一一九・七じゃないですか。そうすれば一九・七%上がっているでしょう。その前のページに生産者米価はちゃんとありますよ。二十八年が一万六百八十二円で、自来ずっと上がったり下がったりしているけれども一銭も上がっていないで、昭和三十六年になって初めて一万一千二十四円五十銭になったでしょう。生産者米価は七年間一銭も上がっていないけれども、消費者物資は一九・七%上がっているということを書いておるじゃないですか。何をとぼけているのです。そういう答弁をするから、これは大臣にずっといてもらわなければだめですよ。そんな不手ぎわな答弁がありますか、一体。あなた専門家でしょう。もう一度はっきり答弁しなさい。
  113. 桧垣徳太郎

    ○桧垣説明員 私、多少御質問の趣旨を取り違えていたかと思うのでございますが、四ページで生産者米価が、二十八年から三十五年まではむしろ上がったり下がったりしておりますが、全然上がっていないということであり、三十六年になって初めて若干引き上げられたという計数を示しておるのであります。生産者米価と消費者物価の関係を答えろということでございますれば、お話しのように二十八年から三十六年の間には消費者物価は一九・七%上がっておる。ただ私、普通の常識から考えまして、物価に影響しますのは消費者米価との関係と思いましたので、五ページの消費者米価と物価との関係を申し上げたのでございます。
  114. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 どうも答弁がまちまちなんですが、次に消費者米価を伺います。  消費者米価は、三十二年から五年間一銭も上がっておりませんね。据え置きですね。この五年間の据え置きの中で、消費者物価指数は幾ら上がっておりますか。
  115. 桧垣徳太郎

    ○桧垣説明員 先ほどお答えしましたのがそのことなんでございますが、三十二年から三十六年の間に消費者米価は据え置かれておりましたが、一般物価は約一一%アップをいたしておるのであります。
  116. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 これは経済企画庁の国民生活局長のほうでひとつお考えを願いたいのですが、生産者米価が上がれば一般消費者物価が上がるように世間ではいわれておる。ところが過去においては、七年間生産者米価は据え置きであったが、消費者物資は一九・七%上がっておる。消費者米価は昭和三十二年から五年間据え置いたけれども、その間消費者物資は約一一%上がっておる。この事実を一体国民に知らされたことがあるかどうか。知らされていないのではないか。だから生産者米価を上げれば物価が上がる、消費者米価を上げれば物価が上がると世間は大騒ぎをするけれども、大騒ぎするほどのことではないのではないか。先ほど局長が言われたように、心理的な影響であるとか公共料金であるとかいうもののほうが、むしろ物価の値上げに大きな影響をもたらすのではないかということを私は指摘をしたいのです。局長のお考えを承りたい。
  117. 八塚陽介

    ○八塚説明員 消費者米価あるいは生産者米価と物価の関係ということでございますが、御承知のように、物価の上昇の原因というのはきわめて構造的と申しますか、あるいは多方面な要因に基づいて上がっております。したがいまして、一つの物資の値上がりも因となり果となるというような関係にあるわけでございますけれども一つをつかまえて、あるいはその一つだけを問題にすれば物価問題が解決するというようなことでは毛頭ございませんで、あらゆる物資について、あるいは物資という視点から離れて、いわば経済の基本的な運営というような態度から物価対策というものはやっていかなければいけないというように考えております。  ただ、先ほど申し上げましたようにかなりな普遍性を持ち、かなりないわば社会的影響を持っておるということもこれまた事実でございますから、やはりそういう点については、いろいろな他のものとある程度同様にと申しますか、あるいはその時期、時期に応じてそれなりに気をつけていくということは、これは私どもの物価対策としてはどうしても必要なことであろうというふうに考えております。一つだけが問題であるというふうには毛頭考えておりませんが、次々に出てくるいろいろなものは、それぞれ私ども物価対策の観点からは大いに注目して、できるだけの対策を講じていくということが私どもの基本的な態度でございます。
  118. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 経済企画庁は、本年度の物価の値上がりは四・八%くらいだと当初いっておった。宮澤長官は最近になって、物価値上げを抑制する意味において、かなりきびしく押えたいという意図のもとに四・八%ということを言ったんだ、こういうふうに言い直しておりますが、最近の物価の値上がりの状況ではとうてい四・八%ではおさまらない、六%くらいになるのじゃないかと、至るところで専門家は申しております。経済企画庁の内部では、どの程度値上がりとお見込みですか。ちょっと局長では無理かもしれませんけれども……。
  119. 八塚陽介

    ○八塚説明員 四・八%という昭和四十三年度の消費者物価の上昇の対前年比の見通しでございますが、これは私どもたぶん間違いないと思いますが、予算委員会当時から、これはある程度の努力目標であるということを言っておったと思います。ただ、その考え方の中には、いわば消費者米価の本年度内における値上がりというのは、実は考慮しないで見通しをしておるということも、これまた再々企画庁長官からお答えをしておったところであろうと思います。  ただ、先ほども申し上げましたように、消費者物価を構成いたしますその要因はいろいろでございまして、必ずしも一つのことが予想にはずれたからといって他のことが予想どおりになるということでもございませんので、現在の段階では、いま先生がお話しになりましたように、私どもが四・八といういわば目標をはずしたからといっていいことは一つもないわけでございますから、やはり私どもとしては、なお当分これを目標にして物価対策のめどにしたいというように考えております。  いま、専門家等で六%という声も出ておるじゃないかというお話がございましたが、銀行、金融機関筋等では、当初から政府の見通しよりもやや上回る見通しを出しておりまして、最近でもそういう声は私ども聞いてはおりますが、私どもとしましてはいまのような態度でございますから、単に物価の見通しだけを問題にするのではなくて、経済の全体の見通しというものを見直す時期があれば別でございますが、ただいまのところ、特に物価指数の問題について見直しをするというふうなことはやっておりません。現在はどちらかといいますと、私どもの問題意識からいいますと、いわば戦いの最中にあるので、もう一ぺん旗じるしをどうこうするというような時期ではないというふうに考えておるのであります。
  120. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 長くなりましたからあと一問くらいにしたいと思うのですが、大体最近専門学者などの議論の中には、六%くらいのところに落ちつくのではないか、あるいはそれよりオーバーするのではないかという議論が多いわけです。これはあなたに質問しようと考えておるわけではございませんで、これは農林大臣に聞いておっていただきたい。  そこで、ことしの生産者米価は五・九%値上げでございまして、その他のものはありますけれども、それはその他のものであって米価そのものではございません。おそ出し奨励金などというものは、農民のふところに入ると思ったら大間違いになるのでございまして、諸物価が六%値上がりをするとすれば、五・九%の生産者米価の値上がりというものは実質的にはむしろ値下げになった、こういうふうに考えなければならないと思うのです。そこで、私どもも農民の立場から、生産者米価が高くなりさえすればよろしいとは必ずしも考えておりません。生産者米価も安いほうがよろしいのですけれども、きょうは時間の関係で申し上げませんが、農林省統計調査部の統計資料に基づきましても、肥料、農薬、農機具、建物費、水利費などが一六、七%上がっておる。地代を含めれば去年は二五・五%生産費が上がっておるわけです。かりに地代をはずしたといたしましても二〇%以上生産費が上がっておるというのに、五・九%の値上がりで物価が六%上がれば、実質的にはかなり大幅な値下げになるということをお考えを願いたいのです。御意見があれば伺います。  そこで私どもの主張は、生産者米価も安いほどよろしいけれども、農業用資材の肥料、農薬、農機具その他のものがこれはかなり利潤が高い。ある機械のごときは、生産原価の倍くらいに売られておる。そうして二泊三日くらいの旅行に連れて歩くというような状態です。これは私は問題があろうと思いますけれども、きょうは、ここでは詳しくこれを述べる時間を持ちませんからあとに譲ります。  せんだっての米価審議会の中で出された問題の一つに物価統制令の問題がありますね。物価統制令は終戦直後にできたものであって、これはもう現在の時点ではどうも適用すべきものではないかのような議論が行なわれたようでありますし、農林大臣もまた、これは廃止する方向で検討するということを言っております。私は、むしろ今日物価が無限に上昇する中で、国民の最大関心事は物価問題にかかっておるときに、物価統制令というものを廃止の検討をするというようなことは、これは許さるべきではないのではないか。私は、いま農業だけにしぼって話をしておるわけでありますけれども、むしろ肥料、農薬、農機具等農業用資材などに原価計算方式をとって不当な利得を押える、そういう姿勢こそが、今日農林省のとられる農政の根幹となるべきものではないのか。これがこの米審で論議を呼んだ以降、いろいろな場でいろいろな議論が行なわれておるけれども、いずれも、古いものであるからこれは廃止にしようという意見が多いようであります。私は、逆に今日こそ物統令というものを生かし、活用して、そうして農民がもっと生産者米価が安くともなお引き合うような体制をつくるということに重点が置かれた農政でなければならないと考えておるのでありますが、農林大臣の御所見を伺いたい。
  121. 西村直己

    ○西村国務大臣 まず五・九%の米価値上げが安いか高いか、この問題はいろいろな御意見があろうと思います。これは多くは申しませんが、いずれにいたしましても米価の決定にあたりましては、資機材あるいは労賃等そのときの物価情勢に合わせまして計算がえをして積み上げ方式をとっておることは御存じのとおりでありまして、物価情勢がすでに五・九の中にある程度反映されておるということはいえると思います。それから農民自体の手取りからいいましても、これだけ供給量がふえておるというときに、手取りの量からいきますればむしろ相当ふえておる、こうも考えられるのであります。  それからいま一つは、物統令の問題等につきましても御議論があろうと思います。しかし、ただいま私ども検討の方向としては、物資が足りない時代、あるいは公平な配給をする、そこに価格の騰貴が出てくるのに対して、物価統制令というような緊急勅令を出してやってきたのですけれども、いまの米のこうした状況下において、最高価格をきめて取り締まりをやって、しかも、それに対して刑罰法規までつけていくことがはたして妥当であるか、こういう別な意見も立ち得ると思いますので、そういう点から私ども検討を加えてまいりたいと思うのであります。
  122. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 いまの農林大臣の答弁でははなはだ不満なんです。農業用資材で豊富な利潤を得て、さっき指摘したように二泊三日の旅行に連れて歩くほどの余裕のあるような価格で売っておるものに対して、何らかの規制措置というか政府指導の姿勢というか、そういうものを私は言っておるのであって、いまの物価統制令がもしそれにふさわしくないならば、これは改正をするなり何なりして、やはり抑制すべき点を抑制し、そうして生産者米価はもっと安くとも農民が満足できるような状態にするのが、農政の正しい方向ではないかということを指摘しておるのです。もう一度御意見を承りたいと思います。
  123. 西村直己

    ○西村国務大臣 私どもは、資材等におきましても競争原理が大いに働きまして、しかも、それによって価格が少しでも、農民のサイドに立った意味におきましてむだな費用が省かれて、適正な値段がきまるようには気をつけてまいりたいと思うのであります。ただ、ものを一つの統制の形の方向へ持っていきますと、質は必ずしもよくはならないで、しかも最高価格についていこうという傾向が強くなりまして、この統制の弊害というものも、ここに出てくることは御存じのとおりだと思います。
  124. 足立篤郎

    足立委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  125. 足立篤郎

    足立委員長 では速記をとってください。西宮弘君。
  126. 西宮弘

    ○西宮委員 私は、ぜひお尋ねをしたい大事な問題がたくさんありますが、限られた時間でありますから、できるだけ大臣にお尋ねをするような事項についてだけお尋ねしておきます。  本論に入る前に一つだけお尋ねしておきたいのでありますが、去る八月三十一日の新聞の囲みの欄でありますけれども、「豊作の報告に浮かぬ顔」こういう題で大臣のことばが載っておるわけであります。「「今年もお米は豊作です」と西村農相は三十日の閣議に浮かぬ顔で報告した。」予想収穫量は千四百十一万トン、そこで豊作の知らせはありがた迷惑というところで、その後の記者会見で、「なあに、まだこのあと台風の大きいのが二つ、三つきてくれりゃあ、収穫量はがくっと減るさ」こういうことが載っておるわけでありますけれども大臣はどういうお話をされたのですか。   〔委員長退席、草野委員長代理着席〕
  127. 西村直己

    ○西村国務大臣 この記事は、私自体が非常に迷惑な話で、「記者席」というところでお書きになって、記者がかってにもじって書かれたもので、決して私の真意ではございませんし、またそういう意味の発言はいたしておりません。
  128. 西宮弘

    ○西宮委員 いわゆる「記者席」という欄は、かなり興味本位に扱うということはわれわれも長い経験で十分承知しております。しかし、これに類することは一言も、みじんも言っておりませんか。
  129. 西村直己

    ○西村国務大臣 私といたしましては、今後の推移は、台風その他を見なければ計算のしっかりした基礎は出てまいらぬ、それしか言っておりません。それ以上は、記者が自分の主観でもじって書いておる。これが、私といたしましてはまことに被害を受けておるところであります。
  130. 西宮弘

    ○西宮委員 もし大臣被害を受けておるというなら、何らかの方法で抗議を申し込むなり訂正させるなり、そういうことをなぜおやりになりませんか。
  131. 西村直己

    ○西村国務大臣 私は、他の記事におきましても、その新聞はいささか私の言動を間違えて書いておって、かつてそれをやかましく申し入れたこともございます。したがって、その書かれた記者自体がおそらく御自身で反省をなさっておると私は思っております。
  132. 西宮弘

    ○西宮委員 その記者が反省をしただけでは足りないと思うのです。もしそれが間違いならば、当然間違いであることをその新聞を通して明らかにしなければならぬと思いますが、なぜそれをおやりになりませんか。
  133. 西村直己

    ○西村国務大臣 私は、あまりにも事柄を大にして、「記者席」というところでかってにお書きになりましたものをかれこれ言うのもおとなげない。これが本記事になれば、私はき然として取り消しを申し込みます。「記者席」というところでもじってお書きになった記者の考えというものは、私としては十分に批判を受けるべきものだと思います。
  134. 西宮弘

    ○西宮委員 長い時間をとりたくありませんから終わりますが、これは全国の農民に非常な影響を与えておるわけですよ。たとえば、これは農民ではありませんけれども、九月四日の投書欄には札幌市の鈴木英一という人で、会社員としてありますから農民ではない。四十七才の人から「農相は豊作を災厄と考えるのか」こういう投書でありまして、「あきれ返るより、むしろ憤りをさえ覚える。営々と耕作に励んできた米作農民に対する重大な侮辱だし、一般国民にとっても聞きずてならない。」こういう投書が出ておるわけであります。私は、いやしくも農林大臣たるものは、もしそれが完全に記者の誤報であるとするならば、こういうことは当然取り消すなり次の談話でそのことを明らかにするなり、それはぜひやるべきだと思う。全国農民がこの記事を見て、非常な憤激をしておるということだけは明瞭な事実です。いわんや農民でない者までこういう投書を載せておる、こういうことに大臣は重大な反省をしてもらわなければならぬ。おそらく私は、これは大臣のことば使いはどうであったか知らないけれども、その気持ちの中には、これは予算がたいへんだ、赤字がふえる、こういう心配があるから、浮かぬ顔をされてそういう話をされたんだと思うのですけれども、これ以上答弁は求めません、時間がありませんから。  しかし、こういうことは全国農民に対する影響が非常に大きいので、何らかの方法で、いまからでもけっこうですから釈明してもらいたい。しかも、こういう投書があることは大臣もお気づきになっておらぬだろうと思うので、いま私がそういうことを申し上げたので、ぜひ次の機会にでも何らかの方法でこのことを明らかにして、全国農民に釈明をしておいてもらいたい。いいですか。
  135. 西村直己

    ○西村国務大臣 実際私としては、むしろ私自体が憤慨にたえないのです。そういう発言があれば、ほかの記事自体がきちっとしてお書きになると思うので、むしろ「記者席」という欄を使っていたずらをしたような気持ちを持つわけです。まことに残念です。ただ、これを取り消す取り消さぬの問題はその社の態度であると思いますので、私としては推移を見ていきたいと思います。
  136. 西宮弘

    ○西宮委員 これ以上時間がありませんからやりませんけれども、それは社の問題ではなしに、せっかく私が問題を提起したのですから、農林大臣として何らかの機会に、あれはたいへん迷惑をしている、「記者席」等で取り消してくれ、こういうことをもう一ぺん話をされることが必要ではないかと思うということだけ申し上げておきます。  それからその次は、財政制度審議会が次から次に矢つぎばやにいろんなことを持ち出すわけであります。たとえば米の買い入れ制限をしろ、あるいは米価の値上げをストップしろ、あるいは買い入れ制限ではなしに生産制限をしろ、こういうことの提案をしておる。さらに近々中に食管問題あるいは米作自身について重大なる答申をする、あるいは建議をする、こういうことが報道されておるわけですが、財政制度審議会というのを農林大臣はどういうふうにごらんになっておりますか。
  137. 西村直己

    ○西村国務大臣 財政制度審議会は、財政の立場から財政に関連する事柄を解明し、あるいはいろいろな意見を交換し結論を出す。これは財政制度審議会の権限としてやむを得ない。  ただ、財政制度審議会あるいはその他の審議会でも、参考になる意見もありますれば同時にまた農林大臣として迷惑になる意見もあるということは、この国会を通しても言っております。
  138. 西宮弘

    ○西宮委員 大臣にいま申し上げたのは、財政制度審議会は、いわゆる読んで字のとおり財政制度について審議をする機関なんです。これはちゃんと財政法附則の第八条に書いてあるのですが、「国の予算、決算及び会計の制度に関する重要な事項を調査審議させるため、」云々、こういうことで、あくまでも国の予算、決算及び会計の制度に関する調査審議、こういうことに限定をされておるわけです。それがいま食管制度をどうする、あるいは米価をどうするというような問題のごときは、明らかにこれは財政政策の問題だと思う。財政制度の問題でないことだけは明瞭だと思う。  財政制度審議会発足以来今日までやってきた実績、討議をしてきた項目を私はここに持ってきておりますけれども、それは読んで字のとおり財政制度について論議してきた。それを最近になっていまのような問題についてまで言及をしてくる、こういうことは明らかに越権だと思う。農林大臣としてこれに対して、単にそれが参考になるとかならぬということではなしに、財政制度審議会としては越権ではないかということを、これまた抗議をすべきだと思うが、いかがですか。
  139. 西村直己

    ○西村国務大臣 私は、必ずしも越権と考えておりません。たとえば、医療費の問題につきましても、財政の立場からの意見はあってしかるべきだ。同時にわれわれとしては、今度はわれわれ自体が食管をやる場合におきましても、国の財政について触れていく場合もあるのでありまして、これは、国の政治の中において相互の行政がからみ合っておると申しますか、関連し合う部分において意見が出ておることは、越権ではないと思っております。
  140. 西宮弘

    ○西宮委員 私が特に指摘をしたいのは、この審議会は読んで字のとおり予算、決算等の財政制度に関する審議会なんです。それがいま言ったように、制度をはるかに越えてそういう政策面にまで踏み込んできておる、こういうことは明らかに越権だと思う。したがって、大臣がそうではないと言うならば、これはまたあらためて担当大臣等に意見を聞きたいと思うが、私は、農林大臣としてはやはりこういう問題はちゃんと区分けを明瞭にすべきです、この審議会は財政制度の審議会なんだから。そういう点がごっちゃになっておるから、たとえば米審も、主要食糧の価格決定に関する機関なんだが、それ以上の問題まで建議をさせてというようなことなど言っておる。  それではついでに伺いますが、この間の新聞に出た談話でありますけれども、米審の会長は、必要とあらば食管問題についてもわれわれは審議をしたいと言っておる。それから片や農林大臣は、この問題も米審に相談したい、こういうことを言っておる。一体そういう食管問題等この米価審議会にやらせるおつもりですか。
  141. 西村直己

    ○西村国務大臣 たしか米価審議会の建議の中にも、食管については、他の適当な機関をもってやるべきであるという建議をしているくらいでありまして、米価審議会そのものも食管制度そのものを扱うという気持ちはない、私はそういうふうにその建議を見ておりますし、また、われわれもそういうように考えております。
  142. 西宮弘

    ○西宮委員 それではその点だけは確認をいたしました。  米価審議会は、いわゆる主要食糧の価格決定に関する審議をする、調査をする、こういう機関であって、それをはみ出して、いわゆる食管問題等については何らタッチしない、こういうことが審議会の性格でもあり、同時に大臣としても、その点は明瞭に区分けをしていく、いまの答弁はこういうことで間違いがないと思いますが、もし私の言っていることが間違っておれば訂正してください。また間違っていなければ、私はいまの答弁を、いま申し上げましたように了解をいたします。
  143. 西村直己

    ○西村国務大臣 はっきり申し上げておきますが、毎回委員会を通して申し上げているとおり、米価審議会は米の価格の基本に関してでございます。その基本に関連して、食管の議論が出てくることはやむを得ないが、政府からこれに対して諮問をすることはない。また食管制度自体の問題は、米価審議会としても他の適当な機関でやるべきじゃないかという意見が、たしか建議の中にもうたわれているのは御存じのとおりでございます。
  144. 西宮弘

    ○西宮委員 わかりました。要するに、少なくとも食管制度その他そういう根本的な制度上の問題は、この委員会の所管ではないということが明瞭になったと思います。  その次にお尋ねしたいのは、いわゆる出荷調整費の問題であります。今回、六十億の出荷調整費について食糧事務所長に通知を出しておりますが、これは食糧事務所長に、いわゆる出荷調整をして、要するにおそ出しをやれ、こういうことを指令しておるようでありますが、そのおそ出しをやらせるということを、具体的にはどういう方法でおやりになりますか。
  145. 桧垣徳太郎

    ○桧垣説明員 今回、出荷調整対策を講ずることを決意いたしましたゆえんは、最近の需給事情、特に……。
  146. 西宮弘

    ○西宮委員 そういう点はわかっておりますから……。
  147. 桧垣徳太郎

    ○桧垣説明員 倉庫事情が窮屈な事情にございますので、したがって、政府の四十三年産米の買い入れ保管を円滑ならしめるために、倉庫事情の非常に窮屈なところにおいては出荷の時期を調整しまして、出荷を繰り下げて倉庫事情その他の円滑化を期するということを考え、その出荷がおくれるという場合には、これに対する報償的な意味として出荷調整対策費を加算して支払うということをやりたい。ついては、全国的にはおおむね二百万トン程度の数量を、全体として三カ月程度の繰り下げをはかるということをすれば、かりにことし相当の豊作ということであっても、保管に混乱がないであろう。したがって、現地の事情に応じて計画的に出荷の調整をはかるようにしてもらいたいということを、食糧事務所並びに都道府県等に通達をいたした次第でございます。
  148. 西宮弘

    ○西宮委員 私は、具体的にどういうことをするかということをお尋ねしているので、その一点についてだけ答えていただきたいと思う。どうも食糧庁長官説明が長過ぎる。悪意をもって解釈すると、何か私ども質問を故意に妨害しているのじゃないかという感じさえするわけです。時間が限定されているときに、倉庫が足りないとかなんとか、それはよくわかっていますよ、この中にこまごま書いてありますから。それで、具体的には農民なり農協なり、そういう人たちの協力を得てやるのだ、こういうことをいっているのだが、一体どういうことをするのかということを聞いたのです。  それじゃ簡単にお尋ねをすると、たとえばそういうことで協力を求めてやらせる、それでそのために出荷をおくらせた、こういうことになって——これは大臣にお尋ねいたしますが、その間に、たとえば火災とか水災とかあるいは盗難とかいろいろなそういう問題が農家の中で起こる場合があります。あるいはまたネズミに食われるという問題もありましょう。いろいろそういうような損傷をするという問題があると思いますが、そういうときには、農林省としてはどういう措置をおとりになりますか。
  149. 西村直己

    ○西村国務大臣 これは、あくまでも農家にある米をそのまま倉庫の状況によって協力を得て出荷をおくらせてもらうので、協力が前提であります。そうしてそれに対する金利あるいは倉敷に当たる部分はこちらで持ちましょうというのでありますから、国家の手には移っておりませんから、その責任はやはり保有される農家にある、こういうふうに私ども考えております。
  150. 西宮弘

    ○西宮委員 それは協力というのだから、それでやむを得ないかもしれないけれども、おそらく協力とはいいながら、要するにお役所でやるのだということになれば農民に与える心理は相当強制的になると思う。そのときに、これはお役所のいったとおり、それに従わなければ検査もやってくれない、こういうことにもなる。   「草野委員長代理退席、委員長着席」 そうならざるを得ないと思うが、そのときに、うちに置いておいたら、いま申し上げたようないろいろな災害にあったというようなときに、何らかの補償をする制度というものを明確にしておかなければ、協力の名のもとに強制ということが行なわれる可能性が十分ある。したがって、その協力という名のもとにそういうことが強制されて、しかもその間にそういう災害が起ったというようなときに、これに対する農林省対策というものは、結局何もないわけですか。
  151. 西村直己

    ○西村国務大臣 これはあくまでも協力を願っていく。御存じのとおり今日の倉庫状況等は、現地現地でそれぞれ特徴があると思います。その事情を十分前提にいたしまして御協力を願ってまいるわけでありまして、それ以外は政府としては方法がないと現在考えております。
  152. 西宮弘

    ○西宮委員 それでは大臣にお尋ねいたしますが、六十億の予算を今度組んだ、これはおそ出し奨励金として完全に消化をされるというふうにお考えでしょうか。
  153. 西村直己

    ○西村国務大臣 これは、食糧庁のほうにおいて行政的にあるいは事務的にいろいろ関係の方面と計算を立てて、一応全体で二百万トンくらいが数字の上では目標になるでありましょうが、これをそれぞれの地区または末端との協力関係で実行してまいりますから、はたして六十億がどういうふうな形で運用されるかは、この協力とのからみ合わせになってくるのではないかと思います。
  154. 西宮弘

    ○西宮委員 長官にお尋ねいたしますが、それでは従来の実績、ここでいうところのおそ出しの期間に売り渡しをしておった量はどの程度になっておりますか。
  155. 桧垣徳太郎

    ○桧垣説明員 たいへん大ざっぱに申し上げますが、おおむねこの時期以降に売り渡しをされておったものは一〇%以下でございます。
  156. 西宮弘

    ○西宮委員 私も全国の状況が必ずしも明確ではないのですが、私の住んでおります宮城県の例を申し上げると、十二月十六日以降がおそ出しの期間になる。しかし、十六日で区切るわけにいかないので、十二月一日から数えてみても、昨年の実績はわずかに五・七%ですよ。だからそういう実績で、おそ出しをする農家というのが従来非常に少ないわけです。この六十億の予算を組んで、たとえば一俵ごとに計算をするとこれこれだということで、五・九%の値上がりに加えれば実質は六・四%だ、こういうことがかなり食糧庁当局からも報道されておったし、あるいは新聞等も書いておったわけだけれども、これはこれだけの予算を組んでも、現実におそ出しをしなければもらえない金ですから、去年の五十億とは根本的に事情が違う。したがって、同じくそれを加えて五・九%が六・四%になる、こういう説明は完全に誤りだ。こういうことで、要するに農民をごまかしてきたと私は思うのです。  それではもう一つお尋ねいたしますが、たとえば、それぞれ定められた奨励金がつくということになっているけれども、自分で希望する時期、それはいつでもいいのですが、従来慣行的に供出をしておった時期、その時期に供出をしているのと、それからずっと引っぱっていってぎりぎりの最後に売り渡すと、それによっていまの奨励金がつくわけだけれども、しかしその間に、たとえば早く金をもらえば、その金は預けておいても利子がつくわけです。それとの差額はどの程度になりますか。
  157. 桧垣徳太郎

    ○桧垣説明員 ここで計算をいたしております利子相当分というのは、日歩一銭五厘五毛ということで計算いたしておりますので、これを年利に直しますと五分六厘強ということでございますので、農協定期預金でございますと、ほとんど差はないということでございます。
  158. 西宮弘

    ○西宮委員 農協の金利は六厘ですよ。したがって、普通預金にしておっただけでも最終的に、たとえば私の宮城県を例にとると、十二月十六日からその期間に該当するんですね。かりに九月十五日に出荷をして、その人がそのときに米代金をもらってそれを農協に預金をしておった。日歩六厘の預金をしておった。これは最も安い利子で預けておるわけです。運用の方法はまだ幾らでもあるだろうと思うけれども、最も安い利子で預けておっても、結局最終的には、もらえる奨励金との差額はきわめてわずかな金額になってしまうわけです。その一番最後の五月十五日に出したとしても、この差額はきわめてわずかなものになってしまう。これでは全く奨励金の意味をなさない。ただ、要するに六十億というものを出したというようなことで、ことしの米価が安いといって文句をいわれたので、それをごまかすために出したんだということ以外に、私は説明ができないと思うのです。しかも、そうして無理をしてやった結果は、さっき言ったように、途中でネズミに食われたりいろいろな災害が起こってくる。そういうことを考えると、これは全く意味のない奨励金になってしまう、こういう懸念があるのです。要するに、言いかえればこういうことで、米価が安いといわれたんで、その一つの代償として出したものでありますから、私はその点が問題だと思う。そういう一種の単なるごまかしにすぎなかったということを明瞭にしておきたいと思うのです。その次に、先ほど石田委員もるるお尋ねをされたようでありますが、需給の問題であります。私は、たとえば輸入とかそういう問題を一切抜きにして毎年の米の生産高、日本の国内の内地米の生産高と、それから米の消費高、つまりこれは農民の自家用米も加えて、それを比較をしてまいりますと、私の計算に間違いはないと思うんだが、間違っておったら訂正してください。私は、その不足がずっと続いていて、四十一年でとんとんになって、四十二年で二百万トン近く余った、こういう状態だと思うが、そのとおりですか。間違いないですか。
  159. 桧垣徳太郎

    ○桧垣説明員 昭和三十七年以降四十一米穀年度までは需給は非常に苦しくて、相当の輸入をしなければ米穀の需給の調整ができなかったという状態が続いたことは事実でございます。
  160. 西宮弘

    ○西宮委員 そうすると、私がいま申し上げたのは事実なんで、要するに、輸入を入れたりなんかするから非常にややこしくなってしまうんだけれども、単年度だけで計算してくると、これは大臣もよく聞いてください、ずっと足りなかったわけですよ。昭和四十一年で初めてとんとんになって、四十二年で二百万トン近く余った、こういうことですね。過去の実績としては、四十二年が一年あるだけなんです。この傾向が将来長く続くかどうかはもちろんわからない。  そこで私は大臣にお尋ねをしたいのですが、先般の国会で都市計画法が改正になりまして、これによっていわゆる農地から宅地に転換をする、こういうことが計画の中に盛り込まれたわけですが、その中で農地から宅地に転換をする、こういうことを決定されたその面積は幾らですか。
  161. 中野和仁

    ○中野説明員 建設省の計画によりますと、市街化区域が現実に指定されておりませんので、正確にはわかりませんけれども、建設省の国会審議の際の推定では、十九万ヘクタールというふうに聞いております。
  162. 西宮弘

    ○西宮委員 私は、これについて大臣から御答弁をいただけなかったというのはまことに残念です。このことは、これだけ土地は壊廃していくわけですよ。そういうのを、それに見合った開田なりあるいは農地の拡張なりやっていかなければとうてい追いつかないと思う。だからそういう問題、これは実に重大な問題だと思う。一官僚だけの問題ではないので、農林大臣としてこれは重大な関心を持ってもらわなくちゃならぬ問題だと思うが、大臣はそういうことについて御承知ない、食糧庁長官も御承知がない、こういうことでは実に私は危険千万だと思うのですね。そういう一方において壊廃をされていく、それに対する対策はどういうふうにお考えですか。
  163. 西村直己

    ○西村国務大臣 市街化区域に入って、もちろん宅地に転換されていくものもありましょう。しかし、一方におきまして国あるいはその他公営等で、開田なりあるいは土地改良なりやっていく面積というものも、土地改良計画で立っているわけであります。同時に民間の開田というものもあります。  しかし問題は、長期の需給計画の中でもって米だけがいいんだという形で、需給の緩和にさらに拍車をかけるような状態に対しては、やはり相当考えていかなければならぬ問題も、また一面あると思います。
  164. 西宮弘

    ○西宮委員 それでは大臣にお尋ねいたしますが、開田計画はどういうことになっていますか。何年までに幾ら……。
  165. 西村直己

    ○西村国務大臣 ただいま長期の土地改良計画がございまして、それらで国としては十分一つのバランスをとって、一応のものを持っておるわけであります。これらの数字は、事務局のほうからお答えをさせます。
  166. 西宮弘

    ○西宮委員 時間がありませんから、事務当局の話を聞いている間がないのですが、私は、少なくとも大臣は、単にバランスをとっていくというようなことではなしに、明確にやはり知っておってもらわなければならぬと思う。それで政府の長期計画は、数次にわたるそういう計画が長期計画として立てられておるのですが、私は、そこでもバランスを失しているという心配があると思う。そういう点を、大臣として十分責任をもって明らかにしてもらいたいと思う。  それでもう一つお尋ねをいたしますが、大臣のお見通しでは、たとえば昨年は、さっき申し上げたように二百万トン近く過剰になった、こういうことなんだけれども、この傾向は将来も長く続くと思うかどうか。たとえば、私は東北の人間でありまするからそのことを非常に心配するわけでありますが、幸いにしてここ何年間か冷害がなかったわけであります。しかし、もしそういう事態が起こったならば、これはたいへんな問題になると思うのだけれども、そういう点について大臣としての御見解はいかがですか。
  167. 西村直己

    ○西村国務大臣 もちろん、私どもはそういった面も考慮に入れながら、しかし同時に消費というもの、いわゆる需要です。この需要に対する見方というものもまた一つ立てていかなければならぬ。生産だけではありません。そうすると、消費はどの程度今後伸びるか、あるいは横ばいになるか、あるいは減る傾向にあるか、そういうことも考えながらいくと、当面の二百六十万トンの持ち越し、平年作が大体考えられましても千三百万トン、いわゆる消費というものは千二百五十万トン前後でおさまるであろうという見通しの中では、ここしばらくは需給は相当量緩和してまいる。そうならばどうしても古米が、さらにもう一ぺんつゆを越すようなものが残ってまいります。国民経済の中でこういうものをつくっていくような行き方は、また一面よく考えてみなければならぬという段階にきていると私は思うのであります。
  168. 西宮弘

    ○西宮委員 時間がありませんから、私はただ問題だけを指摘しておきたいと思うのですが、たとえば東北などは、幸いにしてここずいぶん長い間冷害がなかったわけですよ。しかし、もし一たび冷害が来ましたら、いまの稲作は、申すまでもなく窒素肥料を非常にたくさん使っているわけですから、冷害には最も弱いわけですね。そのときに壊滅的な打撃を受ける、こういうことになるのです。単に東北の農民が困るという問題ではなしに、全国の食糧事情がたいへんな狂いを来たす。こういうことは十分に予想される。たいへん不吉な予想だけれども、そういうことは当然考えておかなければならぬ問題だと思う。  ところが、そういう問題についてほとんど考慮なしに、むしろ、さっき申し上げたことは、これは全くの新聞記者の誤りかもしれませんが、台風がくれば一ぺんに吹っ飛んじゃう、たいへんけっこうだといったようなそういう考え方が大臣にあって、むしろそういうものを歓迎するというような気持ちさえもあるんじゃないか、そういうふうに思われて、私どもはまことに不安にたえないわけですよ。これは問題の提起にとどめておきますけれども、いまの稲作は特に冷害には弱い。それを考えて、東北なり北海道なりそういうところでそういう問題が起きたならば、日本の食糧事情が破綻してしまうのだから、そういうことを十分に計画に入れて、余った余ったということでうちょうてんにならないようにしてもらいたい。うちょうてんではなしに、むしろいまは米をつくるのはあたかも罪悪であるかのごとき宣伝が行なわれているということは、まことに残念しごくだと思います。これは問題の提起にとどめておきます。  次に、農林大臣にお尋ねいたしますが、先般の米価審議会に農林大臣がお出しになりました「昭和四十四年産生産者米価について」という中で、来年の米価の計算方式は、適正限界収量の求め方には修正を加える、こういうことを米審にお出しになったわけでありますが、このいわゆる適正限界収量の求め方に修正を加える、これはどういうことでありますか。
  169. 西村直己

    ○西村国務大臣 米価審議会におきまして、ことしの政府の原案にも、いわゆる需給を反映する意味で、一シグマから〇・一だけ落としてあの原案を出しましたが、その後の政府等の最終決定の段階において、本年度はすでに米の取り入れ段階にまできておるので反映はできなかったけれども、来年度以降はどうするんだという申し入れに対しまして、私どもといたしましては、ただいまの需給状況を見ますと、需給状況の反映というものは、やはり米価の算定の段階においてはあっていいではないか、そういう意味の見解の表明をしておるのがそれだと思います。
  170. 足立篤郎

    足立委員長 西宮君に申し上げますが、先ほどお約束の時間が経過いたしましたので、締めくくっていただけませんか。
  171. 西宮弘

    ○西宮委員 ほんとうは、いまの問題はぜひもっと私は追及しなければならぬと思うのですよ。それはなぜならば、ことしはやらないということは大臣は言明しておるけれども、この標準偏差一シグマを差し引く、これは昭和三十五年につくった制度なんですね。そして農民はそのことを期待して今日までやってきたわけです。農業の場合は、ことに米作の場合には、来年の米作に対するそういう基本的な問題を変更する、それじゃ米作は不利だから急にやめよう、こういうことができないわけですよ。それは何年何十年となく、土壌の改良であるとか、あるいは農業機械の装備であるとか、あるいはまた技術の習得であるとか、そういうことに投資をしているわけですよ。だから、米が余ったから急に変えるというようなことをいわれたって、急に変更はできない状況にある。  たとえば、昭和三十五年にいまの制度をつくったときには、ただこう書いてあるわけですよ。これは農林省価格算定要領の中に、米販売農家の米価を反収より標準偏差に相当する数値を控除した反収で除して算定する、こうあるだけで、米の豊凶とは何の関係もないわけです。これは作柄の豊凶によって移動するというようなことはどこにも書いてないわけです。したがって、米価算定の方式として農民は当然それを信頼して、今日まで何年、何十年となく米作に励んできている。それを急に、豊作になったから来年はそういう米価にするというようなことをいわれても、農家はとても間に合わない。私はそういう点は、いわば農民の既得権なりないしは期待権なりの侵害だということを強く指摘をしておきたいと思うのです。  お聞きしておきたい点がたくさんありますけれども、時間がありませんので、これで終わります。
  172. 足立篤郎

    足立委員長 工藤良平君。
  173. 工藤良平

    ○工藤委員 時間がありませんので、簡単にお聞きをいたしたいと思います。  実は、ことしの干害の対策につきまして、すでに七月十八日の災害対策特別委員会でお聞きをいたしたわけでありますが、昨年に準じて補助金その他の問題については対策を講ずるという御回答をいただいていたわけなんですけれども、その後の経緯、そして大体いつごろにそういう見通しをはっきり立てられるのか、お聞きをいたしたいと思います。
  174. 中野和仁

    ○中野説明員 七月に工藤先生からお話がございまして、その当時われわれとしましては、大体昨年のような考え方でやりたい、努力をしたいと申し上げました。先般、衆議院の災害対策委員会におきまして私のほうの大臣から、基本的にはことしも助成措置を講ずるということにつきましては、大体大蔵省と話がつきましたということを申し上げたわけでございます。それに従いまして現在、この具体的な適用基準をどうするかということで、財政当局と折衝を重ねております。  見通しといたしましては、大体十月中には助成基準その他全部きめたい、こういうふうに考えて作業を進めております。
  175. 工藤良平

    ○工藤委員 そうすると、昨年に準じてということでございますけれども、ことしの被害がどの程度最終的にまとまっておるか、私、判断できないわけでありますが、激甚の指定という範囲に入るかどうか、その点をひとつお聞きをしておきたいと思います。
  176. 中野和仁

    ○中野説明員 最近、県からの被害の集計——被害といいますか、応急対策をとりました事業費の集計を終わったわけでありますが、それによりますと三十八億程度でございます。ところが、昨年激甚災ということで適用いたしましたのは、国全体としましてことしの基準で計算をいたしますと約三十七億ぐらいになるわけであります。県の報告でありますれば全体としてそれに合致するわけでありますけれども、過去の例によりますと、県の報告のときには報告書に載っておるわけですけれども、さて応急対策の補助申請をする場合に大体三割くらい落ちまして、過去のあれでいきますと七割ということになるものですから、そうしますと、大体二十七、八億ということに計算上なります。そうしますと、激甚災の適用というのは無理ではないかというふうに判断をしております。
  177. 工藤良平

    ○工藤委員 激甚災の適用が無理ということになりますと、昨年のこの要綱によります一般の場合の補助対象ということになるわけでございますか。
  178. 中野和仁

    ○中野説明員 われわれとしましては一般の補助対象としまして、補助率その他も普通の年の場合に準じてやりたいというふうに考えております。
  179. 工藤良平

    ○工藤委員 昨年に続いたことしという干害でございますので、できるならば激甚災の対象にしていただいてやることが一番いいと思いますけれども、その点については最終段階でぜひとも努力をしていただいて、少なくともこの最低の線だけは早急にきめていただいて、あと地方自治体に対して指示していただくようにお願いをいたしたい、こういうように考えるわけであります。  さらに、恒久対策といたしまして、これはもう毎年こういうように干害が続いてまいりますと、常襲地帯というのは非常に深刻な問題になってまいりますので、特に干害常襲地帯に対する対策について、米の問題あたりは非常に重要な問題になってきておりますから、対策を打ち切るということになりますとたいへん問題がありますので、これらについてはより積極的に推進する意思があるかどうか、その点お聞きをしておきたいと思います。
  180. 中野和仁

    ○中野説明員 干害地帯につきまして基本的な対策といたしましては、やはり水が必要でございます。そのために米の主産地を中心としまして、かんがい排水事業を国営なり県営なりで起こすということは当然のことでございます。特に過去の西日本を中心にしました干害の状況にかんがみまして、もうすでに本年度から特別の水源対策事業を実施しております。そうして事業費にしまして十五億円、それに対します初年度の事業費が五億円でありまして、それに対する補助金が約二億九百万円ということで実施しておりますが、われわれとしましてはこういう小さな事業につきまして、普通の団体の事業でありますと大体三年から四年かかるわけでありますけれども、早急にため池その他そういう水源施設を必要と考えまして、来年度の予算要求では、ことしやりましたものはもう来年完成をするというつもりで、二カ年計画で全部完了したいということで予算要求をしておるわけであります。
  181. 工藤良平

    ○工藤委員 特にこの水の問題につきましては、農林省が本年度出しました受益面積十ヘクタール、こういうところが非常に必要性を感じておりますので、いま局長もお話しのように、ぜひ積極的に取り上げていただきまして、恒久かんがい対策事業として常襲地帯に対する措置を講じていただきたい、こういうことを申し上げておきたいと思います。  それから、これは別の問題でございますが、実は先般十日に、大分県の清川村という村を流れております奥岳川という地域で鉱山の公害が発生をいたしまして、いまたいへん問題になっておるわけでありますが、この問題について、これは農林省にむしろお願いをしておきたいと思うのですが、水稲それからたばこ、麦という農作物に非常に大きな被害が出ておるわけでありまして、この原因究明というものがいままで非常におくれておりました。この問題提起から、いま県のほうも調査に乗り出しているわけでありますが、特に家畜に対する影響等も出てまいっておりますので、富山県の神通川のカドミウムの被害の報告等からいたしましても、やはり農林省としても重大な関心を払わざるを得ない、こういうふうに考えるわけでありますが、この点について、農林省として積極的なそういう調査の体制というものをとり得るかどうか、ひとつお伺いをしたいと考えます。
  182. 中野和仁

    ○中野説明員 昨日の新聞でも、カドミウムが奥岳川で検出されたということで、緊急に大分県からも報告をとったわけでございますが、それによりますと、現在のところまだ人畜の被害はないようですけれども、先ほどお話のございましたように、農作物、米あるいは麦等が減収をしておるということです。そこで、その原因が何であるか、あるいは被害面積、被害額等は現在大分県で調査をしておりますし、近く大分県では農政系統、水産系統、厚生系統の各課が集まりまして、調査団をつくって現地に派遣するようであります。農林省としましてもそれと緊密に連絡しまして、われわれとしましても農地局あるいは農政局、官房等相談をいたしまして、それからまたこれは厚生省とも関係がある問題でございますので、十分相談をいたしたいというふうに思います。
  183. 工藤良平

    ○工藤委員 この問題については、また後日あらためて詳しくお尋ねをいたしたいと思いますけれども、私どもが聞いておる範囲では、排水口付近で四・四PPM、それから十五キロ下流の大野川の合流地点におきましても〇・〇一PPMというような、神通川の流域よりももっと高いようなカドミウムが検出をされておるというような報告が若干出ておるようでございまして、もしそれが事実とするならばたいへんな問題になるのではないか。しかもこのイタイイタイ病の報告書にもありますように、カドミウムが水稲の玄米の中に相当高濃度のものがあらわれておるというような報告もなされているわけで、この点についてはひとつ全体的に、農業に及ぼす影響という立場から農林省調査をしていただくと同時に、これは食糧庁のほうも、かつて富山県のカドミウムの含まれた米の問題ということが一時騒がれたこともあるわけで、こういう点についてもぜひひとつ総合的な見地から、厚生省と全面的に協力をして農林省として取り上げていただきたい。もちろん私どもも厚生省に対しましては、人体に及ぼす影響という立場からも要請を強くいたしておりますので、ぜひそういう面からの取り組みを積極的にしていただくようにお願いをして、時間もないようでございますから、私はこの程度で終わりたいと思います。
  184. 足立篤郎

    足立委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後二時五十五分散会