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1968-08-08 第59回国会 衆議院 農林水産委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和四十三年八月一日)(木曜 日)(午前零時現在)における本委員は、次の通 りである。    委員長 足立 篤郎君    理事 鹿野 彦吉君 理事 草野一郎平君    理事 熊谷 義雄君 理事 坂村 吉正君    理事 森田重次郎君 理事 石田 宥全君    理事 角屋堅次郎君 理事 稲富 稜人君       小澤 太郎君    小山 長規君       佐々木秀世君    佐藤洋之助君       齋藤 邦吉君    白浜 仁吉君       田澤 吉郎君    田中 正巳君       竹下  登君    中村 寅太君       中山 榮一君    丹羽 兵助君       長谷川四郎君    本名  武君      三ツ林弥太郎君    湊  徹郎君       粟山  秀君    赤路 友藏君       伊賀 定盛君    工藤 良平君       兒玉 末男君    佐々栄三郎君       實川 清之君    柴田 健治君       西宮  弘君    美濃 政市君       森  義視君    神田 大作君       中村 時雄君    斎藤  実君       樋上 新一君 ───────────────────── 昭和四十三年八月八日(木曜日)    午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 足立 篤郎君    理事 鹿野 彦吉君 理事 熊谷 義雄君    理事 坂村 吉正君 理事 森田重次郎君    理事 角屋堅次郎君 理事 稲富 稜人君       小澤 太郎君    佐々木秀世君       齋藤 邦吉君    白浜 仁吉君       田澤 吉郎君    田中 正巳君       丹羽 兵助君    本名  武君      三ツ林弥太郎君    湊  徹郎君       粟山  秀君    赤路 友藏君       伊賀 定盛君    工藤 良平君       兒玉 末男君    佐々栄三郎君       實川 清之君    柴田 健治君       西宮  弘君    美濃 政市君       神田 大作君    斎藤  実君       樋上 新一君  出席国務大臣         農 林 大 臣 西村 直己君  出席政府委員         内閣法制局長官 高辻 正巳君         農林政務次官  安倍晋太郎君  委員外出席者         内閣法制局第二         部長      田中 康民君         農林大臣官房長 大和田啓気君         食糧庁長官   桧垣徳太郎君         食糧庁総務部長 小暮 光美君        専  門  員 松任谷健太郎君     ───────────── 八月一日  国有林野の活用に関する法律案内閣提出、第  五十八回国会閣法第八八号)  農業協同組合法の一部を改正する法律案内閣  提出、第五十八回国会閣法第八九号)  農業振興地域の整備に関する法律案内閣提  出、第五十八回国会閣法第一〇一号) 同月六日  農地法の一部を改正する法律案の再提出等に関  する請願倉石忠雄紹介)(第二九号)  同(小坂善太郎紹介)(第三〇号)  同(井出一太郎紹介)(第三九号)  同(原茂紹介)(第九三号)  岡山県の毒ガ防除事業助成に関する請願大村  襄治紹介)(第三一号)  昭和四十三年産米価に関する請願大村襄治君  紹介)(第三二号)  同(八田貞義紹介)(第三三号)  昭和四十三年産米価等に関する請願原茂君紹  介)(第九四号)  同(平等文成紹介)(第九五号) 同月七日  農地法の一部を改正する法律案の再提出等に関  する請願吉川久衛紹介)(第一二七号)  同(小澤貞孝紹介)(第一九一号)  昭和四十三年産米価等に関する請願小澤貞孝  君紹介)(第一八八号)  同(吉川久衛紹介)(第一八九号)  同(中澤茂一紹介)(第一九〇号)  同(下平正一紹介)(第二一七号)  同(林百郎君紹介)(第二一八号) は本委員会に付託された。     ───────────── 八月六日  野猿捕獲許可手続簡素化に関する陳情書  (第三  四号)  土地改良事業補助基準引上げ等に関する陳情  書  (第三五号)  食糧管理制度存続等に関する陳情書外十四件  (第三六号)  早場米時期別格差金制度存続等に関する陳情  書外十件  (第三七号)  農業者年金制度確立に関する陳情書外三件  (第三八  号)  果樹農政に関する陳情書  (第五四号)  昭和四十三年産生産者米価に関する陳情書外三  十五件  (第五五号)  早場米時期別格差金制度存続に関する陳情書  外二件(第  七二号)  食糧管理制度存続に関する陳情書外二件  (第七三号)  食糧政策樹立に関する陳情書  (第七四号)  乳価安定対策確立に関する陳情書  (第七五号)  林道事業拡充等に関する陳情書  (第一  〇〇号) 同月七日  昭和四十三年産生産者米価に関する陳情書外四  件(第一一  七号)  早場米時期別格差金制度存続に関する陳情書  外一件  (第一一八号)  同(第一四〇号)  食糧管理制度存続に関する陳情書  (第一一九号)  同  (第一四一号)  松くい虫防除に関する陳情書  (第一三六号)  漁業構造改善事業のり養殖防油さく施設特  認に関する陳情書  (第一三七  号)  施設園芸事業災害補償制度確立に関する陳情  書  (第一三八号)  家畜及び家禽のふん尿処理施設費助成に関する  陳情書  (第一三九号)  釜石湾口防潮堤建設促進に関する陳情書  (第一五七号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  農林水産業振興に関する件(米価問題)      ────◇─────
  2. 足立篤郎

    足立委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。  すなわち、  一、農林水産業振興に関する事項  二、農林水産物に関する事項  三、農林水産業団体に関する事項  四、農林水産金融に関する事項  五、農林漁業災害補償制度に関する事項以上の各事項について、衆議院規則第九十四条により、議長に対し国政調査承認を求めることといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  3. 足立篤郎

    足立委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  4. 足立篤郎

    足立委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう取り計らいます。      ────◇─────
  5. 足立篤郎

    足立委員長 農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。工藤良平君。
  6. 工藤良平

    工藤委員 私は、まだ生産者米価決定をいたしておりませんので、この問題に関連をいたしまして、特に食糧管理制度の問題について、以前からの論議の中でまだ釈然としない面がたくさんありますので、その点について、本日はぜひすっきりとした農林大臣考え方伺いたいと考えているわけであります。  まず最初に、米価決定にあたりまして、現在、政府のほうから自由民主党に対しまして、幾つかの問題が提起されておるようでございますが、その中で、食管会計から出荷調整対策費の名目でおそ出し奨励金六十億円、総合農政推進費として財政投融資から百二十億円を支出するというような案が出されておるようでございますが、その真偽についてお伺いをいたしたい。
  7. 西村直己

    西村国務大臣 米価決定はできるだけ早い時期にいたしたい、こう思っております。そこで、米価審議会には政府試算を参考として出したわけであります。もちろんその後におきまして、これは試算でありますから、その他の事情を入れまして党側の意向とも調整をいたしたいと思っておりますが、いまだに調整に至っておりません。  調整の間におきましては、二、三の考え方等も出ております。これはまだ固まっておらないものでありますから、内容についてまだ御説明する段階ではないと思います。
  8. 工藤良平

    工藤委員 それでは、六十億のおそ出し奨励金につきましてはまだ固まっていない、こういうことでございますか。
  9. 西村直己

    西村国務大臣 まだ、党との最終的な決定には至っておりません。
  10. 工藤良平

    工藤委員 しかし、農林大臣としては、その案は当然実施するというようなお考え方を堅持しておられるわけですか。
  11. 西村直己

    西村国務大臣 これは、政府最終価格決定する際に農林大臣としても決定するものでありまして、まだ決定しておりません。
  12. 工藤良平

    工藤委員 私は、この問題については、政府考え方としてきわめてずるい考え方だと思う。おそ出し奨励金というのは、おそらく農家である一定の期間保管をしておく奨励金だと思いますけれども、そういたしますと、政府は当然政府保管料なり、あるいは早く買えば金利を負担しなければならない問題もありますので、そういう点からいいますと、むしろこれは生産者米価とは全然別個に考える性質のものではないだろうかと思うわけでありますが、その点についての考え方をお聞きいたしたい。
  13. 西村直己

    西村国務大臣 まだ案として固まっているわけじゃありませんから、別に私がこれに対してどうこう意見を言う段階でもないと思います。
  14. 工藤良平

    工藤委員 押し問答してもしようがありませんけれども、いずれ農林大臣のほうからこういう案が出されるだろうと思いますが、これは生産者米価の中に含めるものではなくて、食糧管理の運営上必要なものであるという行政費として見るべきだ、私はこういうように考えるわけですが、この点については、ぜひそのような考え方で推し進めていただきたい。  なお、総合農政推進費財政投融資からの百二十億につきましては、これはもちろん財政投融資でありますので、どのような形になるかわかりませんけれども、実質的にはたしてこれからの農業改善にどのようにこれを役立たせようとするのか、よく農林大臣が言われる総合農政というものの一環なのか、その点についても、簡単でよろしゅうございますが、考え方をお聞きいたしておきたいと思います。
  15. 西村直己

    西村国務大臣 まだそれも最終決定に至っていないので、党との間の意見交換程度でありますから、ここで私としては、これが総合農政と直接的にあるいは間接的にどういう関連があるか、これは、最終的なものがきまった段階においてお答えをいたしたいと思います。
  16. 工藤良平

    工藤委員 これらの具体的に出されてまいりました米価決定段階における幾つかの解決策というものは、私は、基本的に考えてみると、ことし二百六十五万四千トンと予想される持ち越し米の問題、さらに、すでに第一次の作況予想が報告をされておりますけれども、すでに千三百五十万トンをこしてことしは米がとれるということが予測をされておる。おそらく、極端な冷害あるいは台風がない限りにおいては、そのことは私ども現在から予測されるわけであります。そういたしますと、来米穀年度の末におきましては、きわめて大量の手持ち米がふえるということになろう。  そういたしますと、農林省は、当然この手持ち米処理という問題について、抜本的な対策を講じなければならないと思うわけでありますが、その点について、いま具体的にどのような構想をお持ちか。来年産の米につきましては、年が明けますと同時に、農村部では苗しろの準備にかかるわけでありまして、その点をいまから明らかにすべきではないかと私は思いますが、その点の構想をお聞かせいただきたいと思います。
  17. 西村直己

    西村国務大臣 今年度の出来秋におきます、一応予測される持ち越し米二百六十五万トン、これは精米トンであります。玄米トンに直しますと三百万トンですが、これは相当な量であり、食管始まって以来の量でもございます。しかし、これをできるだけ冬を越さないうちに処分するということは相当な努力、方法も要すると思います。したがって、これの配給円滑化と申しますか、質を保存するとか、いろいろな点で具体策考えなければならぬと思います。同時にあわせまして、できれば援助を含めた輸出のような面におきましても、こういうものをくふらをこらしてまいるというようなことも、私はやっていかなければならないと思います。  それから、古米と申しましても、必ずしもそれが味が落ちるとかそういう問題ではなく、たまたま出来秋がきて初めて古米になるのでありまして、現在古米ではありません。やはり現在は、新米が出ない以前においては新米なんでございますから、ただ古米ということばのために、消費があまり減らないようにいろいろ考えていかなければならぬ。いろいろなくふうは、私も食糧庁を通してやってまいりたいと思います。
  18. 工藤良平

    工藤委員 私は、これは後ほど大臣と論争をいたしたいと思いますけれども、一応いままでの経緯の過程からいたしますと、法律解釈は別として、運用の面においては、全量買い入れという経緯を経てきたということを、それぞれ政府統一見解として出されたわけでありますが、その全量買い入れということを前提として考えた場合に、いま緊急に、古米処理中心にいたしましてやらなければならない事項は一体どういうことなのか。たとえば、いま大臣がおっしゃったように、古米という名のもとに消費者がそれをきらう、こういうことがありますと、古米というものはいつまでも売れないというかっこうになります。したがって、これに対する対策というのは一体どうするのか、こういうことが出てくるわけでありますが、いま言うように、保管の問題とかあるいはいろいろな問題がありましょうけれども、これらを改善していく道は一体どういうことなのか。  たとえば、昨日も他の委員会で問題になったようでございますが、消費者米価の値上げをするといたしますと、現在政府が買い入れております米と、今度新しく買う米との間においては、当然生産者価格においては開きがあるわけでありますが、消費者米価を値上げいたしますと、これは同一の取り扱いとして、同じ値段で売却をするというのがいままでの食糧庁の方針なんでありますが、この点について、価格差を設けて古米処理をする、こういうようなことをお考えになっているかどうか。これも一つ方法だと私は思いますけれども、それについて考え方をお伺いいたしたいと思います。
  19. 西村直己

    西村国務大臣 私も、一般の消費者感情から申しますと、新しいものと古いものとそこに商品価値が違うじゃないか、だから格差を設けるべきではないかと、一応感情的なものは出てまいります。しかし、御存じのとおり、末端において精白をした場合に、はたしてそれが分け得られるものかどうかという問題、それから古米というものは、御存じのとおり、保存の間において水分がなくなるとか、目減りの問題等いろいろございます。その間における評価損と申しますか、損も立つだろうと思いますが、そういうような要素もあります。したがって古米格差は、従来のようになしでいくという扱いでもいけない面も、今日のような大量の、いわゆることしの出来秋以降の古米というものについては、そういう考え方もしなければなりません。一方また、今日の食管会計というものを見ますと、かなりなよくない会計上の状況に立っておることは、すでに御存じのとおりであります。  そこで、古米取り扱いというものは、消費者米価決定の際において、私どももそれまでに慎重にひとつ考えていきたい、こういうように私は考えます。それは、同時にまた、体系としては、生産者米価についてどういうような形できまってくるかとも関連してくるかと思います。
  20. 工藤良平

    工藤委員 きのう宮澤経済企画庁長官が、これは新聞の報道でありますので、私は事実は知りませんけれども財政的な問題から、当然これは二本建てにすることはできない、また、いま大臣がおっしゃったように、具体的に実行面段階でできるかどうかという点について、疑問があるということをおっしゃっております。しかし、農林省として古米処理考える場合に、そういう措置でもしなければ私は売れないと思う。おまけに来年、また米が千三百五十万トンとれる、古来持ち越しがまたふえるという段階になって、どういう措置をしますか。そういう格差をつけて売却をするなりして措置をするのか、さもなくば、生産者に対して生産制限をしていくのか、そういうことをやらなければ、農林省としては最終的にはどうにもならない事態になるんではないか。その点に対して、積極的な方策というのが当然ここで考えられるべきじゃないか、私はこういうように思うわけです。その点について、もう一ぺんお聞かせいただきたいと思います。
  21. 西村直己

    西村国務大臣 お気持ちはよく私もわかりますし、また、消費者の立場から考えても、そういう気持ちが出てくるだろうと思います。しかし、一方におきまして、それじゃあといって店先で、配給について、安い米は古米でお上がりなさいといった場合に、また逆の庶民感情があるわけであります。貧乏人は麦を食えと言ったように、今度は、金がない人は古米を食いなさい、こういうような形でいき得るかという、一つの逆の問題もまた考えてみなければなりません。ここいらは、いわゆる国民生活感情と、それから私は、財政というよりは食管会計の、やはり一歩でも健全な運営というものを考えていかなければいけない、こういうこともひとつ御了解願いたい。  したがって、消費者米価をきめるような段階におきまして、長い目から見た古米処理というものも考えながら、その中において古米の扱い方を考えていかなければならない。なかなか困難な問題であり、価格の面においても困難な問題であることは、おわかりいただけると思うのであります。
  22. 工藤良平

    工藤委員 どうも私はその点について、農林省考え方について非常に大きな疑問を持つわけであります。     〔委員長退席坂村委員長代理着席〕 たとえば、木村官房長官が、三日の本会議終了後の記者会見におきまして、食管の問題に触れまして、自由米の採用は根幹を侵すことではない、こういうような解釈をつけ加えているのでありますが、そういうことでありますと、自由米構想というものはなお根底にしっかりと皆さん方持っていらっしゃる。それじゃ自由米構想というものを打ち出した場合に、出来秋の新しいたいへんうまい米を自由米として市場に出していく、残った米を農林省がお買いになる、こういう事実が起こってまいりますよ、全量買い入れという一つ前提に立ってものを考えた場合に。  そうすると、現在のままでまいりますと、食糧庁というのは、古米を一生懸命あっちに回しこっちに回しすることが仕事だ、こういうことになりまして、農林行政上、食糧行政上からきわめて重大な問題を残すのではないか。この点について、大臣農林大臣としての卒直考え方を明らかにしていただきたい。
  23. 西村直己

    西村国務大臣 お説のように、やり方いかんによっては食管会計というものが不健全な形で、しかも、古米中心にし管理体制に追い込まれるという点なきにしもあらずで、そこに、私どもは非常に苦労をいたしております。  そこで、一つ生産体制価格体制構造体制等々のいわゆる全体の体制の中で、米というものを、良質な、しかも国民の好むような方向に誘導してまいるということとあわせて、食管についてもいろいろくふうをこらし、同時に、古米処理考えていかなければならぬ。これは、長期的にはそうしなければいかぬと思います。  ただ、卒直に申しまして、ことしの出来秋にすぐに、本年度の産米を制限買い付けにするとか、そういう考えはないことを、いま申し上げておるわけであります。
  24. 工藤良平

    工藤委員 制限買い入れの問題については、これから私は論争いたしますが、大臣、私さっきから申し上げますように、農林省が現実に年々増加をしていく古来をどのようにして処分していくか、これは、やはり具体的にいま農林省自身考えるべき事項ではないか。それは、新米古米というものの売却格差をつけるなり、あるいは、さもなくば作付制限をしていくというような方法をとらざるを得ないのではないか。私は、作付制限をするということについては、もちろん基本的に反対でありますけれども、いずれかの方向をとっていかなければならないでしょう。大臣、その点についてはどうですか。
  25. 西村直己

    西村国務大臣 私は、長い目で見ますと、作付制限というような割り切った考え方ではないにしても、国民の需要に応じたような食糧生産体制、これに入っていくことは当然だと思います。そのほうが生産農民のためにもなるし、消費者のためにもなる。  ただ、古米ができることによって、しわ寄せを農民がかぶってくるというようなことがあってはいけない。それから、一方におきまして、古米につきましても、やはり古米国民に安心して食べてもらう。別に古米だからといって味が変わるのではないし、あるいは、やり方によってはいいんだというようなくふうもこらす必要があるでしょう。それから、一面、感情の問題では、格差というものをつけたことによって、国民がかえっていいという考え方を受け取るようなものであれば、そういうようなくふうも食管会計の中で考えることも必要であります。これらは、やはり両方あわせながらやっていかなければならないと私は思います。
  26. 工藤良平

    工藤委員 どうも、はっきりした歯切れのいい御答弁をいただけないわけで、私はたいへん不満であります。これからどのような結果になるか、私も農林省対策を注目してみたいと思います。おそらく来年度あたりには、農林省はお手あげの状態が生まれるだろう、このことをいまから私は指摘をしておきたいと思います。  そこで、食糧庁長官にお伺いをいたしますが、食糧庁長官は七月二十五日の委員会におきまして、兒玉委員の質問に答えまして、現行食糧管理法趣旨につきまして御答弁がございました。私は、ここでいまさら読み上げる必要はないと思いますが、「政府需給調整上必要とする米穀については、命令の定むるところによって、生産者政府に売り渡すべき旨の義務を課する規定でございます。したがって、この条文から全量政府が買い上げるのであるという意味は出てこない。」このような解釈食糧庁長官はなさっていらっしゃいます。したがって、食糧管理法は、あくまでも全量買い入れというものは規定していないんだ、しかし運用としては、政令の五条の五ですね、これによりまして、命令によって政府が買う、生産者政府以外に売ってはならないということを運用としてやってきたんだ、このようにおっしゃいました。このことは間違いございませんですね。
  27. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 私の答弁趣旨は、ただいま工藤委員のおっしゃったとおりであります。
  28. 工藤良平

    工藤委員 しかも、あなたはそのあと、この法律というものは、客観情勢に応じて解釈をされるものなんだ、こういうことも答弁をなさいました。これは会議録に載っております。法律がちゃんと何年かにできた、客観情勢が動いてきた、法律はそのままにしであるけれども解釈は、客観情勢に応じて変わることがあるのだということをあなたはここで答弁をされたわけですが、そのことも法律運用として間違いございませんですか。
  29. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 実は、はなはだ申しわけないのですが、私は、答弁をいたしました速記録を読み返しておらないのでございますが、私が当時申し上げましたのは、法律が制定されますと、その法律自身は、客観的な存在として客観的に解釈をされるべき性格を持っておるものである、そういうことを申し上げたのでございまして、もし、御指摘のような表現に速記録で受け取られるようでございますれば、私の舌足らずだということを申し上げて御了承をいただきたいと思います。
  30. 工藤良平

    工藤委員 それでは、私はこの食糧管理法の本文の問題について、はっきりとした御回答をひとついただきたいと思います。  この食糧管理法昭和十七年にできておりますが、その当時は、御存じのように非常に食糧の足らない、しかも、戦争に突入するという事態を迎えての食糧管理法の制定でありまして、食糧の不足をした時代にできた法律の中で、全量買い入れを規定しているというふうに常識的にお考えになられますか。
  31. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 私は、いまの工藤委員の御質問の裏側の意味として理解されるところでございますが、食糧管理法昭和十七年に制定されました際に、国民食糧の確保ということを掲げましたこの法律が、米穀について過剰な状態が起こることを予想していなかったのであるということを、私も同様に理解をいたすのでございますが、さればといって、この食糧管理法が第三条で、およそ米穀の生産者が生産いたしました米について、全量政府が買い上げる義務を規定したというふうには読めないというふうに申し上げておるのでございます。
  32. 工藤良平

    工藤委員 そういたしますと、あなたの御答弁では、政府需給調整上必要とする米穀について、必要な場合には生産者から命令で買うのだ、必要がなくなった場合には、全量買い入れをする必要はないという解釈が生まれる。これは、確かにそういう解釈をしていけばそのとおりだと思いますが、長官は、そのようにいまお考えになっているわけですね。
  33. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 私が、そう考えておるというふうに端的に申し上げますと誤解が生じますが、私は、法律解釈上は、三条が全量買い上げを政府に義務づけたものではないということを申し上げておるのでございまして、現実には、現在の食糧管理法及びその施行令において規定をいたしておるのでございます。現体制は、政府全量を買い上げるという趣旨の規定になっておるわけでございますが、私は法律解釈、三条の解釈としては、全量買い上げの義務を政府が負うものではないというふうに読みますけれども、それを全量買い上げをやめていい、制限買い入れをしていいかどうかというようなそういう判断は、別問題でございますということを申し上げておるのでございます。
  34. 工藤良平

    工藤委員 私は、政令による運用という問題を論議する前に、食糧管理法の本旨についてはっきりしたいということを申し上げているわけです。  これは法制局のほうにお伺いをしたいと思いますが、その法律というものが、第三条の解釈というものが、制定当時から現在までどのように改正をされて、どのように解釈をしたらいいのか私は迷いますので、その点をお示しいただきたいと思います。
  35. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 御質問の本旨を、必ずしも十分に受け取っていないかもしれませんが、食糧管理法は、御存じのように確かに昭和十七年に制定されまして、それ以後食糧事情の変化に応じて、たとえば麦の統制がはずされ、イモ類の統制がはずされるとか、そうして現在の制度ができ上ったというような経過はございますが、これは一々申し上げるまでもないと思います。  問題は、やはり法律が制定された場合に、それがその後の事情の変化によって、自由自在に解釈ができるものかといえば、それはそうではなくて、食糧庁長官もそういうことをおっしゃったわけではなくて、たとえば、法律の立案をいたしますとき、あるいは国会で審議いたしますときに、問題にならなかったような事態が新たに発生する。そういう事態に対して、一体食糧管理法はどう解釈すべきかというような新たな事態というものがありますから、それは事態に応じて解釈をするというのではなくて、その事態について適切な解釈をするということはむろんございます。ございますが、それは御質問の御趣旨も、そんなことを考えていらっしゃるとはむろん思いませんけれども、それは法律を、新しい事態が生じたからかってに解釈していいということは、むろんないということを申し上げさせていただきたいと思います。
  36. 工藤良平

    工藤委員 そういたしますと、私も常識的に、法律というものは一ぺんできますとそれを忠実に守っていく、それに基づいて、細部的な問題は政令なりそれぞれできめていくということになるのだろうと思います。したがって、もしも米が非常に余るという事態に入ってきたというときには、不足の時代にできた法律というものが客観的な情勢に合わないということであれば、それを法律改正という形の中で国会の論議を経て決定する、それに基づいた具体的な政令なりがそれに伴っていくというのが、私は法のたてまえではないだろうか、こういうように考えるわけでありますが、その点、長官どうでございましょう。
  37. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 確かに、それが一つ方法であることを否定はいたしません。しかし、法律がただいまの事態について、制定されましたときと現在は事情が違うわけでございますが、そういう事情が違ったといたしましても、法律が所期しているところ、これは実は一つであろうと思います。その所期しているところは、二十三日の速記録を拝見いたしましたし、ただいまの質疑応答も私は伺っておりますけれども、やはり基本的なことは、食糧管理法が、これは条文に書いてあるとおりでございますが、「国民食糧ノ確保及国民経済ノ安定ヲ図ル為食糧ヲ管理」することが法の目的であって、その法律に基づいて食糧管理制度ができておる。その食糧管理制度が、いま申した目的によって貫かれているものであります以上は、国民食糧の確保とそれから国民経済の安定をはかるという目的を達成するための食糧の管理にどうしても必要な米穀の数量、これは、法律が売り渡し義務の課さるべき数量だとしているものだと私は客観的には思います。そういう数量の買い入れ制限ということは、これは、食糧管理法を実施するという限りではあり得ないことだと思います。昔は足りなかった、いまは足りるようになったということで変わるのではなくて、昔もいまもその点は変わりがないと私は思っております。  しかし、そういうような米穀数量をこえる数量というものがだんだんできてきたということになれば、その数量の買い入れ制限については、それが全然できないという法律上の根拠はない。それが、先ほど食糧庁長官がおっしゃるところにつながるわけであって、大切なことは、その前段もやはり大切であるということを、特に私は指摘をしたいと思います。
  38. 工藤良平

    工藤委員 私も、食糧庁に二十数年勤務をしてまいりまして、かつては強権供出ということで、最前線で農民から米を徴収してきた一人なのであります。したがって、私はそれなりに非常に現時点における責任を感ずるわけであります。私は、この食糧管理法が制定をされました昭和十七年の国会の会議録をいまから読み上げて、当時の精神というものを、食糧庁長官、あなたが現在解釈をなさる時点における参考にぜひしていただきたい。はっきりあとで意見をお伺いしたいと思います。  これは昭和十七年の一月二十四日、十一時三十分に開会をいたしました。井野国務大臣が提案理由の説明をいたしております。その一節を読みます。「其ノ第一ハ、主要食糧の国家管理体制ヲ強化セントスルコトデアリマス、一昨年来政府ハ米穀ノ国家管理制度ヲ実施致シマシテ、次イデ麦類ニ付キマシテモ略々之ニ近イ制度を実施シテ来タコトハ、御承知ノ通りデアリマス、何分ニモ初メテノ試ミデアリマスノデ、其ノ成果ニ対シマシテハ、色々心配モ致シテ居ツタノデアリマスガ、一年有余ノ経験ニ鑑ミマシテ将来ノ見透シモ付キマシタノデ、此ノ際此ノ制度ヲ整備強化致シテ参リタイト存ズルノデアリマス、」これからが問題です。「即チ主要食糧タル米麦ノ確保ト云フコトハ、」これはもちろん戦争下でありますから、「長期戦下ノ重大問題デアルバカリデナク、東亜共栄圏内ノ食糧事情ヨリ考ヘマシテモ、米麦ノ国家管理ヲ単ニ臨時応急ノ措置タルニ止ラズ、恒久的制度トシテ確立スルコトが緊要デアルト信ズルノデアリマス、即チ主要食糧ニ関スル限り、農民が安ンジテ生産ニ従ヒ得ルヤウニ、生産セラレタル米麦ハ、必ズ政府が之ヲ買フト云フ態勢ヲ明カニ致シマシテ、国民食糧ノ確保ト国民経済ノ安定ヲ図ラントスルノデアリマス」これが本会議並びに委員会における井野農林大臣趣旨説明であります。  それと、これは委員会の質疑応答の中で、平野力三委員が質問をいたしております。「第三条ノ命令ヲ以テ定ムルモノヲ全部政府ニ売渡スベシト云フ此ノ解釈ハ、農家ノ飯米以外ノモノヲ全部売渡セ、斯ウ云フコトニ解釈シテ宜シイノデスカ」これに対しまして、当時の食糧管理局長官の湯河政府委員は、「大体左様デゴザイマス、米ニ付キマシテハ只今自家用保有米制度ヲ米穀管理ノ制度デ認メテ居リマスガ、之ヲ除キマシテ其ノ他ノモノヲ政府ニ売渡スベシ、斯ウ云フコトニナルノデゴザイマス、」このように当時はっきりと法律趣旨というものを説明しているわけであります。  もちろん、戦争下における食糧政策というものと、現在の食糧政策の客観的な情勢は変わりましょう。しかし、この中にも書いてありますように、強権的に持っていくという体制の中におきましても、農民が安んじて生産に従い得る条件をつくることが、この食糧管理制度をつくる本旨だということがうたわれているわけであります。しかも、第三条についても、全量買い入れというものをはっきり明言をしているわけであります。私は、この趣旨が、その後客観情勢に応じて変えられたとは聞いておりません。こういう問題をどのように私ども解釈をしていけばいいのか、私は、その点をぜひ御教示をいただきたいと思います。
  39. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 るるおっしゃっておられます御趣旨はよくわかるわけでございますが、いま私が申し上げることは、実は、先ほど申し上げたことと同じことでございますので、それをもう一ぺんお聞き願いたいと思うのですが、要するに食糧管理法、確かにさっき法律解釈論が出ましたが、むろんその法律解釈というものが、そうかってに変わっていいものでないことは先ほど申し上げたとおりであります。しかし、その解釈というのが、むろん正当な解釈でなければならぬことは言うまでもございません。  そこで、現在の食糧管理法、これは昔できたときと多少変わっておりますけれども、本質的な部分、米穀についてはほとんど変わっておりませんから、その点は問題がございませんけれども、先ほど申し上げましたように、その食糧管理法国民食糧を確保する、それから国民経済の安定をはかる、これは大きな公共の福祉上の要請であると認めて、これを確保するために、あるいは安定をはかるために食糧を管理する、この基本の目的がまずある。これは非常に貴重な目的であるわけですが、その目的に従って実は制度ができておる。その制度は、目的と一緒に考えなければならぬことも言うまでもないと思います。  そこで、そういう目的を達成するための食糧の管理というものには、どうしても必要な量というものがないわけではない。必ずこれはある。このできました当時は、食糧が非常に不足しておりまして、国民食糧を確保して経済の安定をはかり、みながひとしくこの食糧を得られるという状態を実現するためには、その当時は、少なくも全量を買い上げてやらないことには、法の目的は達せられなかったわけです。その点は、実はいまでも変わりがない。やはり法の目的を達成するために必要な食糧の確保、これは売り渡し義務を課して、そうして政府が買い上げる。これは全然変わりがないわけです。しかし、その量をこえる量、これはほんとうにもうダブついて——いまの状況がどうか、これは私にはわかりませんが、それまで買って配給なり何なりして統制しなければならぬというのではなくて、法がもっとぎりぎり一ぱいの、国民食糧を確保し国民経済の安定をはかるということによって公共の福祉を実現する、そのためには、むしろ政府に強権を与えて、そうしてそれを買い入れる義務を課して、むしろ権能として政府はこれを取り上げるのがいまのたてまえでございます。それをこえるような数量、それまでも買えというわけではないだろう。しかし、だからといって、まさに結局は量になってしまいますけれども、もう大部分買わないでいいのだとかいうようなことはあり得ないので、現実問題と照らして考えなければなりませんが、法の目的が全くそこにある。  したがって、由来いろいろ論争の種になっておりましたでしょうが、法律もまた、生産者の生産した食糧命令の定めるものを、政府が強権的にといいますか、強制的にこれを買い上げて販売に供するというようなことになっている。法律の現在のたてまえもそうである。食糧管理法の施行令の五条の五というのがございますが、これも、むろん法律の根拠なしに現在の政令はできません。食糧管理法の九条に載っているわけです。条文を見ればすぐわかりますが、特に必要があると認めるときには、譲渡の制限について必要な命令を発することができる、こういう仕組みになっておるわけです。したがって、やはり買い入れ制限をすることができるかどうかというその一点については、まあ簡単にお答えすればできるということになりますけれども、やはりその前段には、いま申し上げたような仕組みの上に乗っかってのことである。その点を私は特に申し上げたいと思うわけであります。
  40. 工藤良平

    工藤委員 どうも、わかったようなわからぬような御答弁をされるわけなんですけれども、これは、はっきりこの法律解釈をしておる限りにおいては、少ないときであろうと多いときであろうと、とにかく全量買い入れというものはもう前提になっているわけでしょう。その法律をかってに解釈するということではなくて、具体的にいまこういうような過剰時代に入ったときに、政策をどうするかということは考えるべきであるけれども法律解釈というものは一本なんで、合わなければ、それは変えるというのが農林省としては筋だと私は思うのです。なぜそれを政府がきちんとやらないのか。それをやって、しかる後に具体的な政策は、こうやらなければなりませんからひとつ御審議をいただきたいというのが私は筋だと思うのです。かってに時の情勢に応じて、余ったからもうおれのところは買わぬでいいぞ、あとは農家がかってにやりなさいということを言って、はたしてそれが政治でございますか。私はそのことを言っているわけです。長官どうですか。さっきあなたの言ったような解釈がこの条文から出ますか。解釈解釈としてきちんとして、具体的な食糧政策はこうしなければならぬから、法律をこう変えたいというのがあなたたちの本来の姿じゃないですか。その点はっきりしてください。
  41. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 食糧管理法第三条の米穀の強制買い上げの規定は、これは先ほど私も申し上げましたし、また法制局長官からも御答弁がございましたように、これは第一条でいう目的達成のために必要な数量について強制買い上げをするという規定であって、およそこの規定から直ちに、政府は需給事情のいかんにかかわらず、生産者の生産した米穀について、いわゆる保有米を除くものは、すべて政府が買い上げをする義務があるというふうには、解釈できないというふうに解釈をいたしておるのでございます。  ただ、多少私、問題があると存じますけれども食糧管理法全体の体系が、たとえば麦の管理の規定につきましては、生産者の申し出により、麦は無制限買い入れをすべきであるという規定がございます。それらの規定を含めて、食糧管理法全体の精神に基づきますと、およそ政府が需給上必要な数量を三条で強制買い上げをすれば、あとの米穀については、生産者側の米の流通の上で、政府による保証を何ら必要としないものであるというようなふうに、そこまで解釈することは、やや行き過ぎではないだろうかというふうに私は思っておりますが、三条に関する強制買い上げの規定は、全量買い上げの義務を政府が負っておるというふうには、私は解釈できないというふうに思います。
  42. 工藤良平

    工藤委員 それでは長官、そういうことであなたは具体的に食糧行政をやった場合にどうなりますか。いまそういうように法の解釈を緩和してまいります、ゆるめます、自由に農家の方々は売ってよろしゅうございます、ことしはもうたいへんでき過ぎたから、政府は七百万トンなら七百万トンだけにいたしますよということであなた方がやった場合に、それでは七百万トンは最後に売りましょうというので、できたものを自由に売ってしまって、残りの七百万トンだけはあなたのところに売りますよということで政府に売り込んできた場合に、具体的に食糧庁はどうなりますか。古米ばかりかかえてあっぷあっぷして、これはどうなりますか。そんなばかばかしいことができっこないじゃございませんか。過剰時代になればなるほど、食糧管理のむずかしさというものが出るのじゃございませんか。どうですか。そんな解釈食糧行政がこれからできますか。私ははっきりとあなたにお聞きします。どうですか。
  43. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 冒頭で申し上げましたように、御質問に答えておりますのは、食糧管理法の法文の解釈について私の解釈を申し上げておるのでございまして、今後食糧管理の現実の運営をどうするかという問題は、これはよほど慎重に検討をする必要がある。いわんや現行の法律及び政令の上では、これは全量をといいますか、政府以外へは原則的に売ってはならないという法律、政令の規定のもとで運用するわけでございますから、本年産米穀について買い入れの制限を行なう等の考え方は、毛頭持っておらないのでございます。
  44. 工藤良平

    工藤委員 それでは、本法で全量買い上げをうたってなくて、政令でそれがうたってありますか。そんなことはないでしょう。本法で全量買い上げをうたってあるからこそ、具体的な政令としてそれがうたえるのじゃないですか。それはまさに、平和憲法九条の論議じゃありませんけれども、軍隊を持ってはいけない、軍隊は憲法に違反しないという論争と同じようなことになりますよ。そんなことではなくて、ちゃんとこれは全量買い入れということをうたってあるわけでしょう。その全量買い入れという法律第一条、第二条、第三条に基づいて政令というものができて、具体的運用というのがなされているわけでしょう。法律というのはそうじゃないですか。長官、その点はどうなりますか。
  45. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 さっき申し上げましたが、第五条の五、これは施行令でございます。その施行令の根拠は、実は食糧管理法の第九条でございます。これは政令を制定します際に、戦後のことでありますが、その根拠規定を、一々官報で公布する際にも書いてございますが、これは法律第九条に基づくということにいたしております。     〔坂村委員長代理退席、委員長着席〕 その第九条は、非常にお詳しい方に読むのは恐縮でございますが、「政府ハ主要食糧ノ公正且適正ナル配給ヲ確保シ其ノ他本法ノ目的ヲ遂行スル為特ニ必要アリト認ムルトキハ」云々、譲渡等に関して「必要ナル命令ヲ為スコトヲ得」という規定に基づいて政令ができておるわけです。  したがって、いままでの政令は、やはりこの条文の規定上必要ありと認めてこれが設けられているのでございます。したがって、その必要ありと認めるかどうかということは、何としても国会で御制定になったこの九条がそれを明確にうたっておる。したがって、勝負はそれできまるというふうにいわざるを得ないと、法律解釈上はなります。
  46. 工藤良平

    工藤委員 さっきから時間のことをしきりに言われておりますけれども、私はどうも釈然としません。長官、なぜ全量買い入れというものをうたっているということをあなたは認められないのですか。はっきりしているじゃないですか。いいかげんなことでやっては困ります、きちんとしているわけですからね。その後の改正があれば改正のあった事実を、後日でもけっこうですから出してください。私がさっき申し上げました昭和十七年にできた食糧管理法の本旨は、いつこういうふうに変わりましたということを、あなたは具体的に示してください。そうすれば私は納得します。そうしない限り納得しませんよ。ただ、過剰時代に入って、具体的に食糧管理法の運営上非常に支障を来たすからこれを改正したいということであれば、私はその場合には十分に論議をしたいと思う。かってにあなたが、いつそういう解釈をしたのか知りませんけれども、私はそのことでは納得しません。  時間をさっきからしきりに言われていますから、私は後日さらにこれは時間をかけて十分に納得するまで論議をしたいと思います。一応きょうはこれで終わります。
  47. 足立篤郎

    足立委員長 西宮弘君。
  48. 西宮弘

    西宮委員 私は、農林大臣食糧庁長官にお尋ねをいたしますが、農林大臣食糧庁長官にあらかじめ折り入ってお願いを申し上げておきますが、時間が限られておりますので、答弁をできるだけ簡単にお願いしたいと思うのであります。そして私も、できるだけイエスかノーでお答えをしていただけるようなそういう形で御質問をいたしますので、その場合には、ぜひイエスかノーだけでお答えをしていただくようにお願いをいたします。私の質問が、そういう形にならない場合はやむを得ないのでありまするが……。  まず、お尋ねの第一は、現在の時点における農林省のあるいは国の意思は、米価についてどういうものなのか。今日まで発表されました米価は、二万百五円、二万三百四十一円、二万四百九十七円、二万五百九十五円、これだけの米価が出ておるわけでありますが、国の意思はどれであるか、大臣。(「まだきまっていないよ」と呼ぶ者あり)
  49. 西村直己

    西村国務大臣 米価決定につきましては、最終責任は政府にあることは申し上げるまでもありません。そこで農林大臣といたしましては、米価審議会に参考試算一つ出しております。そして、それに対する答申をもらっております。それに対して、その後諸般の事情を考えまして党との折衝に入っておる、いずれ近く最終決定をしたい、これが先ほど来の御答弁であります。
  50. 西宮弘

    西宮委員 私は数字だけ読み上げて、そのうちのどれであるかということを、現時点における国の意思はどうだということをお尋ねをしたのです。もちろん、うしろのほうでがやがや言っておられますように、まだきまっておらないことは承知をいたしておりますが、現時点における国の意思は何であるか、この四つのうちのどれだということを端的に一言で言ってください。
  51. 西村直己

    西村国務大臣 農林大臣としましては、御存じのとおり米価審議会に参考の試算を出しております。しかし、あくまでもこれは参考の試算でありまして、それに対する答申をもらって、そこを起点としまして今度は党との調整に入って、いずれは党と十分調整を遂げて、すみやかに最終決定をしたいと思います。
  52. 西宮弘

    西宮委員 それでは進めることにいたしましよう。  これは食糧庁長官にお尋ねをいたします。たとえば、最終段階に発表されました二万五百九十五円という数字でありますが、これは、その前に試算として出しましたのに比べると、私は新聞で読んだのでありまするから、このとおりであるかどうか、大体このとおりであればそうだと言っていただきたいと思いますけれども、そういうふうに修正をした理由は、生産性向上の利益還元六十円を、ことしは落としていたのを、若干上積みをして復活をする。それから二番目には、概算金利子五十六円を、ことしは米価から控除をしていたのを復活をさせる。三番目には、米価算定基準農家を、従来の限界反収農家から平均反収農家に十分の一だけ近づけることにしておったのを四十分の一程度近づけることにした、それが二百八十円になる。四番目には、地代算定基準農地を、従来の六等地から五等地に引き上げて約八十円加算をした、こういうふうに新聞で読んだのでありますが、大体間違いありませんか。
  53. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 政府米価審議会に、審議の参考として提出をいたしました試算の問題については、それぞれ当委員会でも御説明を申し上げたはずでありますが、積算の基礎を明確にして御審議をわずらわしたわけでございます。その後、政府試算に基づきまして政府首脳部、与党幹部との間に、具体的に米価をきめるための折衝が行なわれたことは、私ども承知をいたしております。その間に、たとえば五%アップあるいは五・五%アップというような折衝や上げ幅の御議論があったことも承知をいたしております。  ただ、これは、私どもの理解いたします限りにおきましては、諸般の情勢を高度の政治的な判断をもって、どの程度に配慮を加えていくかということの折衝段階における数字であったと理解いたしておるのでございまして、私ども事務当局としては、その算定要素について関与をいたして、そういう数字を出したというものではございません。でございますので、新聞にかりに報道をされておるといたしましても、私どもとしてはその点について、そのとおりであるとかあるいは違っておるとかいうことを、申し上げるわけにはまいらないのでございます。
  54. 西宮弘

    西宮委員 長官に重ねて、折り入ってお願いをいたします。簡単に答えてください。イエスかノーで答えてくれと言ったんだから、これが大体間違っていないかどうか、間違っているとかいないとか、それだけを言ってください。その経過はわかっていますよ、われわれだって自民党と折衝しているくらいのことは。  長官のいまの答弁の要約は、五%とか何%とかそういう改定をしたけれども、その計算の基礎については、われわれは何らタッチしておらぬ、こういうことですね。そのとおりですね。お答えをひとつ。
  55. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 私の不敏のために、答弁が冗長になることは申しわけないと思いますが、イエスとかノーとか申しましても、イエスともノーとも言えない御質問でございますので、その点は御理解いただきたいと思います。  折衝途中において出ました数字について、事務当局の積算上こういうことであるというような、私どもが参加といいますか、関与いたしていないということは事実でございます。
  56. 西宮弘

    西宮委員 そこだけ答えてもらえばいいんだ。要するに、この数字の積算の基礎には、事務当局としては何ら関係しておらない、だから、全く別のところで何%というようなことから割り出しておるんだ、こういうことですね。そこだけ、これこそイエス、ノーでいいと思うんだ、答えてください。
  57. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 そのとおりでございます。
  58. 西宮弘

    西宮委員 それでは、要するに算定の基礎は全くないんだ、したがって、これは全く自由自在に、伸縮自在に、たとえば、この間の七月三十日の毎日新聞の表現を借りれば、バナナのたたき売りみたいにだんだん上がってきたんだ、こういうことを書いておりますけれども、全くバナナのたたき売りで、したがって、これは自由自在、伸縮自在だということになると思うのですが、それならば、最後に示されたこの二万五百九十五円はどこまでふくれ上がる可能性がありますか、可能性について大臣……。
  59. 西村直己

    西村国務大臣 ただいままで、まあ率直に申しますと、自民党と政府は一体でございますので、政党政治でございますから、あくまでも内部で十分仲よく意見を交換し合っている段階でございます。それらの意見が十分出た上で、法律に従って政府最終決定をする、こういうわけでございまして、その間しばらくお待ちを願いたいと思います。
  60. 西宮弘

    西宮委員 わかりました。それではこの問題はこれだけにいたしますけれども、要するに、事務的には何ら算定の基礎が明白でない、こういうことを食糧庁長官が明言をしたわけでありますから、これは私は非常に重大だと思うので、問題をあとに保留いたしたいと思います。  大臣にお尋ねをいたしますが、今回米価がいまもってきまらぬ、こういう混乱の原因、この問題がつまずいた原因は、その一つは、いわゆる中立米審と称するあの米審に由来をしたのではないかというふうに私は思いますけれども大臣はそう思いませんか。
  61. 西村直己

    西村国務大臣 見方によれば、そういう見方に立たれる方もあろうと思います。しかし、私は、今回の米価をめぐる諸情勢が非常に環境が変わっておる、言いかえますれば、食管会計の内容につきましても相当苦しい状況である、また、需給のほうも史上まれに見る状況である、また、生産者の立場におきましても、非常に熱意を持って増産されてこられた経過にかんがみて、さらに諸般の物価も上がっている中において、どういう生産者米価が出るかということに非常に熱意を持っておる、こういう諸般の激しい環境の中から生れた状況であろうと思います。  したがって、私どもとしては、できるだけ各方面の意見をその中で反映しながら、最終解決をしたいと努力をしているわけであります。
  62. 西宮弘

    西宮委員 私は、大臣一つ警告をして、最後に、来年はどうするんだということだけをお尋ねいたします。  私がここに御紹介をしたいと思うのは、朝日新聞の社説であります。こういうふうに書いておるわけであります。「審議会のねらいの一つは、」これは米審ですね。「審議会のねらいの一つは、政府決定する前の段階で、利益代表間の意見調整することにある。行政決定に先立って政治的対立を吸収するわけであるが、国会議員と利益代表をはずしたのは、構成を変えることによって行政に対する政治の介入を排除しようとしたものであろう。しかしその後の経過は、農協が直接自民党に働きかける結果を招き、行政の主体性はかえって影を薄くしている。政治を排除しようとした行政は、政治によって復しゅうされつつある」これは実は六月二十日の朝日新聞の社説であります。六月二十日というとかなり前のころでありますけれども、おそらくこの社説の記者は、今日のこの米価の混乱を見て、ますますこの感を深くしていると思うのでありますが、あの米審から利益代表者をはずしたということが、かえって逆に今日では政治によって行政が復讐を受けつつあるんだ、こういうふうに非常に強い表現で述べておるのであります。私は、このことは十分に政府考えてもらいたいことであります。  同時にまた、この前に申し上げた米審の問題は、何回も申しましたので繰り返しませんけれども、たとえば、この前各党の懇談会の中で、「今回の米価審議会委員の任命はその内容及び手続において十分なる配慮を欠いているので、この際少なくとも生産者及び消費者の代表を加える様再検討すべきである。」こういうことが各党間で申し合わせをされたのでありまするが、これらは完全にじゅうりんされてしまったわけであります。要するに、民主主義の原則を弊履のように拾ててしまった。こういうところに、今日の混乱の原因がそもそも発生しているのだ、私はかように考えるわけであります。  したがって、お尋ねをしたいのは、来年はどういたしますか。
  63. 西村直己

    西村国務大臣 中立米審と申しますか、新米審と申しますか、いずれにしましても米審構成について、非常に御論議があったことは事実であります。私も各党間の折衝を見守り、そこでよい結論が出れば、それに従いたいとお待ち申しておりました。しかし、不幸にしてそれがまとまりませんでした。法律は、御存じのとおり米価審議会に諮問しなければならない。そこで、行政府の長に立つ者としましては、米審が構成されたのでそこに諮問をいたした。  ただし、今後の米審の構成のあり方につきましては、前に委員会で申し上げておるように、従来の論議の経過、また、今回構成されました米価審議会のあり方、経過等を十分検討いたしまして来年度においては処してまいりたい、こういう考えでございます。
  64. 西宮弘

    西宮委員 次の問題に移ります。  今回、突如としていわゆる平均反収に近づける、こういう算定の方式を出してきたのは、これは何らの予告なしに今回出してきたわけであります。私は、このことは農民の、いわば一種の期待権の侵害である、こういうふうに考えるわけでありまするけれども、この点について、政府の所見はどうかということをお尋ねいたします。  農民の期待権というものの論拠は、第一は、標準偏差を差し引くということをきめましたのは、御承知のように昭和三十四年の小委員会決定をして、昭和三十五年から適用をいたしましたが、昭和三十五年にこれを適用いたしました際には、米の豊作、凶作とは何の関係もないのであります。ただ、当時の政府価格算定要領に示されておりますのは、「米販売農家の平均反収より標準偏差に相当する数値を控除した反収で除して算定する」こう書いてあるだけで、これがいわゆる不作、凶作による減収、そういうものに対する対策だということは、もちろんどこにもないわけであります。  にもかかわらず、今度突如として平均反収に近づける、こういうやり方をとってまいりましたのは需給の緩和によるものだ、こういうことがしばしばうたわれておるわけであります。つまり、言いかえれば、ことしは豊作だからそうするのだということがいわれておるわけでありますけれども、それでは、今日まで不作のときにはどうしてきたんだということをお尋ねをいたしたいと思います。
  65. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 政府試算におきまして、適正限界反収というものをどういうふうに見るかというにあたりまして、従来、一シグマを平均反収から差し引いておりましたのを、〇・九シグマ差し引いたということは、当委員会にも御説明を終わっておることと思いますけれども、元来、お話しのように、三十五年から平均反収で評価がえ平均生産費を除するという、いわゆる平均的な反収当たりの生産費を出すというにあたりまして、反収分布表の中から求めました標準偏差を差し引きましたのは、これは、その後米価委員会の検討の中でも、米穀の需給事情から見て、長期的に生産の増強をはかっていく、集荷の円滑化をはかっていくというような観点をも織り込んで、適正限界反収を求めるものとして理解をされるというふうにその趣旨解釈いたしておるのでございます。  今回一シグマから〇・九シグマにいたしましたのは、これも説明を要しないと思いますが、現段階におきます米穀の需給事情等から見て、需給事情を反映させるという算定の一手段として、一シグマ引いていたものを〇・九シグマ、十分の一シグマだけ適正限界反収の限度を引き上げたということでございます。
  66. 西宮弘

    西宮委員 そういうことはよくわかっておりますから簡単に答えてくださいよ。これは折り入ってお願いしておるのですから、三拝九拝お願いをいたしますから、わかっておることは言わないでください。  いま標準偏差を引いたということは、生産の増強とあるいは集荷の安定ということを目的としたというお話だけれども、そういうことは、いやしくも農林省の出した文書にはどこにも書いてありませんよ。一つも書いてありませんよ、私は全部読みましたが。もしあったらあとで見せてください。どこにもそういうものはありません。にもかかわらず、ことしは豊作だという理由で、突然こういうものを出してきたということは、農民にとってはまさしく期待権の侵害だと私は思う。しかも、今日まで一生懸命生産に励めということを言ってきたのは農林省じゃありませんか。  私は、この前、農林大臣の所信表明を御紹介いたしましたけれども、たとえば、米審でさえも全く同じようなことを言っているわけですよ。昭和三十九年の米審ではこう決定をしている。「政府は、農民の生産意欲を昂揚し、米穀の生産の確保と生産性の向上を図るとともに、需給の安定に関し万全の措置を講ずべきである。」それから四十年の米審では、「一、本年産米の生産対策に万全の措置を講ずること。三、農民の生産意欲を昂揚し、食糧自給度の向上に関し最善の努力を払うこと。」これは米審の決定でありますよ。その次の年からは米審の答申がありませんからわかりませんが、ついこの前までは、米審自身がこういうことを答申しておる。しかも、その中の同じ米審のメンバーが今度も入っておって、今度は手のひらを返したような答申をしておる。  大臣、「昭和四十三年度において講じようとする農業施策」これは農林省が出した政策ですよ。この中にそういうことがどこにありますか。ただ一つもない。むしろ全く逆に、たとえば、農地の造成についても、「農地造成を図る観点から大幅に拡充実施をする。」これは農業生産基盤の整備のところに書いてあるわけですよ。あるいは「高反収の稲作経営の確立普及を図る」とか、「地域全体としての稲作生産技術の向上に資する」こういうことだけがあって、豊作だからセーブしよう、こういう政府の政策がどこにありますか。今日までこういうことでどんどん増産をしろということをやらしてきて、突如として今度はでき過ぎたから安くしろ、こういうことがどこから言えるのか。私は全く言語同断だと言わざるを得ないと思うのであります。  それでは、さっきお尋ねをいたしましたけれども、豊作だから安くしろというならば、逆に凶作のときにはどういたしましたか、大臣。——わからないなら私が答弁いたします。要するに、豊作だから安くするというならば、不作のときには高くする、こういうことがなければならないのだけれども昭和二十八年にいわゆる減収加算をしたわけですよ。昭和二十八年には石当たり五百五十五円の減収加算をした。昭和三十年には石当たり百四十円の減収加算をした。このときだけすよ。たった二回しかない。減収だから米価を上げようという政策は、これ以外に一つもない。だから、要するに減収のときには何の手も打たないで、豊作だから安くしろ、こういうことがどこで言えるのだろうかということが、私どもの最大の疑問であるわけであります。  続いてお尋ねをいたしますが、今日米価が高いのだ、ことに、たとえば外国食糧に比べて非常に高い、こういうことが言われておりまして、したがって、これを押えなければならぬということが、米審等でも盛んに議論をされているわけです。それならば、私がお尋ねをいたしたいのは、かつて安い値段で買ったときの米価農民に補償すべきだ、補てんすべきだ、あるいは還元すべきだ、こういうふうに考えるけれども、そういう御意思はありませんか。
  67. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 最後の部分についてお答えをいたしますが、過去の米価は、それぞれそのときの事情において適正に決定されてきたものと私は考えるのでございます。したがいまして、過去に凶作あるいは需給事情のきびしい時代があったといたしましても、現段階でバックペイするというような必要もなく、また、そういうことをするという考えはございません。
  68. 西宮弘

    西宮委員 適正ではないと思うのです。その一つに、たとえば今日、いわゆる輸入食糧に比べて日本の米価が高い、こういうことが議論の中心になっておるわけだけれども、それならば、かつて輸入食糧よりも日本の米価ははるかに安かったわけだ。これは申すまでもなく、当時GHQががんばっておって、そのために非常に安く供出させられた。それは国全体の国民生活の安定という立場からやったのではありましょうけれども、とにもかくにもあのときの米価が非常に安く抑制されたということは明らかだと思う。  したがって、それならばお尋ねをいたしますが、その当時、そういう外国食糧に比べて安かった額はどのくらいでありますか。おわかりですか。
  69. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 ただいま手持ちの資料の中に、いまの数字はございませんので、内外米の過去の価格差、その後の価格差等、後刻資料として提出いたします。
  70. 西宮弘

    西宮委員 資料として提出いただかなくても、これまた私のほうから答弁をいたしますが、その当時、いわゆる価格差補給金として、つまり外国食糧が高過ぎる、日本の米価が安過ぎるので、配給食糧のために価格差補給金として政府が出しました金は、昭和二十四年に四百五十三億、昭和二十五年二百五十四億、昭和二十六年三百二十二億、二十七年四百二十七億、二十八年二百三十一億、こういう金ですよ。この前大臣にも申し上げたように、昭和二十八年から日本の国は独立をいたしましたから、そこから生産者米価も若干上がりましたけれども、いわゆる独立をする前までの日本の米価は、非常な低米価に押えられてきたわけです。こういうばく大な金を払って、当時外国食糧を安くして国民に食わしておった。昭和二十四年の四百五十三億といえば、かりにいまの値段に計算をすると、これは国の総予算で比べますと、当時の国の総予算は今日のちょうど八分の一であります。したがって、これをかりに八倍として計算をすると三千六百二十四億になるわけです。日本の国内の米価を安く押えて、外国食糧とつり合わせるために、一年間に三千六百二十四億という金を払って、それでようやく国民食糧をまかなっておった。つまり、それだけ日本国内の食糧を安くたたいておったわけです。三千六百二十四億、これは一年分ですよ。それが数年間続いておる。これは払ってあげるべきだと思う。三千六百二十四億という金はたいへんな金ですよ。いま食管の赤字が騒がれているが、それどころの金じゃない。そういう金を払って、米価を安く押えて国民食糧をまかなってきた。こういうことを考えると、私は、今日もし米価が高いのだ、だからそれを安く下げるのだというならば、安くたたいたときの米価を補償すべきだ、こういうことを主張しなければならぬと思います。  時間がありませんから、食管制度の問題について、先ほど工藤委員が詳細にお尋ねをいたしましたが、私も、この問題について若干お尋ねをいたします。  それでは大臣にお尋ねをいたしますが、もし買い入れ制限、こういうことをやりまする際には、現行法そのままでやりますか、いかがですか。
  71. 西村直己

    西村国務大臣 さっきの食管法三条云々の解釈は、私も食糧庁長官あるいは法制局長官の考え方と同じだと思います。ただし、これはあくまでも法律解釈の問題で、したがって食管制度全体の運用、たてまえ、今日の形からいきまして、今年度制限買い付けをするとか、そういうことは毛頭考えておりませんことは、そのとおりでございます。  問題は、将来に向かってどうするかという問題が一つ出てくるわけでありますが、それはすでに総理の所信表明にもありましたように、食管制度の根幹を維持しながら食管制度の改善をはかるという中で、国民経済的な広い視野に立ち、また私も所信表明に出しておりますが、十分な時間をかけ、各方面の意見をいれてその最終結論を生みたい。そのために、まず省内においてそのための検討を将来始めよう、こういう段階であります。その結論を得るのはこれからであります。
  72. 西宮弘

    西宮委員 繰り返して申し上げますが、要点だけお答え願いたいのです。お尋ねをいたしましたのは、もし制限買い入れをするというならば現行法そのままでやりますか、法律改正をいたしますか。
  73. 西村直己

    西村国務大臣 私の先ほどの御答弁で御理解いただけたと思うのであります。すべてこれは食管の制度の問題でもありますから、これから検討を加えていく、こういう段階であります。
  74. 西宮弘

    西宮委員 実にだらしないと思うのですね。これは大臣をはじめとして食糧庁長官も、法律には全く違反しないということを言っているのでしょう。それでいてこれから検討するというのはどういうことですか。
  75. 西村直己

    西村国務大臣 法律の問題というのは、あくまでも法律解釈上の問題でさっきのような結論を持っておるわけであります。しかし、問題は、これをどう国策の上に具現していくかという問題になりますと、食管制度というものは各方面にいろいろ大きな影響を与える問題でありますから、したがって、国民経済的な広い視野に立って、しかも、十分に念を入れて結論を出してみたい、こういうわけであります。
  76. 西宮弘

    西宮委員 大臣のそのお気持ちはよくわかっていますよ。だから将来もし万一やるとするならば、そのときは現行法のままでやりますか、法律を改正いたしますか。
  77. 西村直己

    西村国務大臣 それをも含めて検討をしてまいりたいということであります。
  78. 西宮弘

    西宮委員 私は、これは実に重大だと思う。たとえば、この間財政制度審議会が制限買い入れをやるべきだということをいったところが、食糧庁長官は待ってましたとばかりに、それは法律的には可能である、こういう見解を発表した。それから農林大臣はじめ官房長官等が繰り返し繰り返し、法律的には何らの疑義がない、こういうことを言ってきたのです。それならば、もしこれをおやりになるならば、いまの法律でそのままできるのではありませんか。それをあらためて検討するというのは、全くその解釈に自信がない、こういうことをみずから証明しているのではありませんか。
  79. 西村直己

    西村国務大臣 もちろん、法律解釈としてはそういう解釈が今日立っておるわけであります。ただし、今日、政令その他の関連もありますし、現実的には、そういうような形をとっておる中で、御存じのとおり食管制度というものは、これだけ大きな論議を巻き起こす問題であります。したがって、それらをも含めて検討をして、政策としては結論を得てまいりたいと考えます。
  80. 西宮弘

    西宮委員 政策としては再検討を要する、あるいは政令の改正等はあらためて検討する、これはもちろん当然だと思う。しかし、いまのは要するに自信がないのだ。もし法律上は何ら差しつかえがないのだというならば、もし万一おやりになるならば、このままでやれるのですよ。それをもう一ぺん検討するなんて自信がない証拠です。そういう態度は全く言語道断だと思うのだけれども、もう少し話を先に進めましょう。  しばしば食管制度の堅持あるいは根幹の堅持ということを言っております。ちょっとその前にお尋ねをいたしますが、堅持と維持とはどう違うのですか。
  81. 西村直己

    西村国務大臣 これは、総理大臣の所信表明で維持ということばを使っております。それで、私の感触でございますが、維持と堅持ということばがどう違うか、これは日本語あるいは漢語の——正解であるかどうか知りませんが、堅持と申しますのは、非常に肩を張ったようなかっこうになるのじゃないか。維持というのは、とにかくもう少しやわらかい形、こういうような感じがします。
  82. 西宮弘

    西宮委員 まあそれはよろしゅうございます。  ところで、いわゆるその根幹の範囲はどこまでなのか。要するに、全量買い上げというのは根幹の中に入っているのかどうかということが問題なんです。それを一つ
  83. 西村直己

    西村国務大臣 食管制度の根幹というのは、先ほど来繰り返しているように、食糧管理制度の根幹で、国民食糧の確保、国民経済の安定をはかるというために食糧の需給、価格調整を行なう、これに必要不可欠な量の管理をやるわけです。そして米については、同時に再生産の確保とか、あるいは消費者の家計安定、これが私は根幹だと思います。
  84. 西宮弘

    西宮委員 それじゃ、時間がありませんから私のほうから意見として申し上げましょう。たとえば、農林省昭和三十六年に、 「米穀の管理制度の運営の弾力的改善とその根幹の堅持に関する構想」これを農林省の名において発表したわけですよ。その中には、いわゆる根幹の堅持の中に、全量買い上げということを明瞭にうたっているわけです。したがって、これは農林省の意思として発表されておるのだから、農林省としては当然にその根幹を維持をしてもらいたい。全量買い上げを、根幹の中の重要なる事項として考えてもらわなければならぬと思います。  それから、私、申し上げたいことがたくさんあったのでありますけれども、時間が足りませんので……。先ほど、工藤委員昭和十七年の速記録紹介いたしましたので、私は昭和三十年の、これは御承知の予約制度に切りかえたときでありますが、そのときの政府答弁でありますけれども、質問者が、いわゆる予約制度で余ったらどうするのかと聞いたところが、当時の食糧庁長官は清井さんだけれども、「本法を改正いたしませんので、売ろうと思いますれば政府以外には売れないのであります。」ということで、あと同じことを繰り返して問答しているわけであります。要するに、本法を改正しない限りは、売ろうと思っても政府以外に売れないのだ、つまり、本法を改正しなければやれないのだ、こういうことを言っておるのだけれども、人間はかわっているけれども法律解釈は不変でなければならぬと思うのだけれども、それについてひとつ感想を聞かせてください。
  85. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 私も、その速記録は拝見をいたしました。非常に細部にわたっての御審議の際に、清井元長官が答えた部分でございますが、本法を改正しなければというのは、正確に言えば、法律ないし政令を含めて改正しないという状態のもとでは、政府以外には売れないということになっておるから、これは全量政府が買い上げるという趣旨であるというふうに申し述べたと私は理解をいたしております。
  86. 西宮弘

    西宮委員 私の質問はこれで終わりにいたしますが、要するに、三条、三条と三条だけを言っておるけれども、私はむしろ問題は一条にあると思う。だから、私は一条の問題を詳しく展開したいのだけれども、残念ながら時間がありません。要するに、三条の問題だけをとってみてもそうでしょう。政府で必要なものは買うのだ、必要でないものは御自由に、こういうことでしょう、長官その他の解釈は。三条の解釈はもちろんそうなんで、そう読めるということで終始一貫しているわけですよ。ところが、政府の都合で買うのだという場合には、あらゆる強権発動ができるわけですよ。今日なお、ありとあらゆる強権を発動できる食糧緊急措置令も生きているわけです。だから、買う分についてはありとあらゆる強権が発動できる。  たとえば、古い記録を見ると、いわゆる強権発動件数は、昭和二十一年だけをとっても一万一千二百二十件、あるいは食管法の違反として検挙された人数は、二十一年が八万八千七百一人、二十二年は二十六万八千三百三十三人、二十三年は四十五万七百三十九人、二十四年は六十九万六千六十一人、二十五年は五十四万七千二百十九人、こういう膨大な人が、あるいは法律の違反に問われ、あるいは強制買い上げをされておる。こういう事態で行なわれてきた食糧管理法ですよ。しかも、私はそういう古いことを言っておるのじゃない。やるつもりならそれが今日でもできる。この緊急措置令なんていうものは、帝国議会できめた法律ですよ。その法律がいまなお生きておる。やろうと思えば今日なおそういう強権発動ができる。そういう政府の都合で、買いたいものは強権発動して買います、しかし、政府で要らないものは御自由に、どうぞどぶに捨ててください、こういうことが言えますか。私は、単に行政とか政策というのではなしに、法律解釈としてそういうことは断じて許せないと思う。時間がありませんから、これはこれで失礼をいたします。  さらに、私が先ほど来申し上げたように、政府の指導に従って今日まで増産をしてきて、今日農民は全部そういううき目にあおうとしておるわけです。これは明らかに国家賠償法第一条の問題にされると私は思う。「国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。」こういう法律がある。もちろん、非常にむずかしい法律ではありますけれども、これにさえも該当するそういう重大な問題だ。こういうことを実に簡単に、財界が取り上げると、待ってましたとばかりにそういう態度を農林省がおとりになるということに、私は重大なる不満を表明して質問を終わります。
  87. 足立篤郎

  88. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 工藤西宮委員に引き続きまして、私からも若干の点について御質問申し上げたいと思います。与党からも一人質問がありまして、このほうは十分ほしい。そうしますと、私の時間は三十分予定しておりましたが、実際問題としてそう多くとれない。これは全体の運営もありますので、そういう点を念頭に置きながら私もお尋ねしますが、大臣食糧庁長官のほうもそういう点を顧慮して、答弁は簡潔にお願いをいたしたいと思います。  まず第一。例年から見てことしの生産者米価決定が非常に遷延をした理由について、西宮委員から米審の構成という問題が一つの要因であるという問題指摘がございました。私は、それが一つのやはり農民の大きな反発の理由だと思いますけれども、同時に、ことしの場合ほど大蔵大臣がものを言い、あるいは経済企画庁の長官がものを言うということはなかった。きのうも経済企画庁の長官が物価問題の特別委員会で、やはり消費者米価の問題についていろいろ意見を言っておられます。こういう本来農林大臣が指導的にやらなければならない米価問題について、従来以上に大蔵、経済企画庁等々から非常に強い意見が出てくる、これに対するやはり非常な反発があると思います。それと、米価試算問題について新しく修正をしてきた。しかも、その修正に基づく試算が例年に比べても非常に低い数字であったということが、やはり一つの問題であろうと思います。同時に、これは他党のことについてあまり差し出がましいことを言うわけじゃございませんけれども、与党の農村議員の危機感というものが、やはり党内事情もからんで、問題を非常におくらしておる一つの要因かと思います。  与党の問題は別にして、給与の問題については、運営が適切であるかどうかは別として、給与の担当大臣がある。それに、関係閣僚が六人ですかきまっていて、そこでやはり公務員給与をどうするかということを全体的にとらまえてやる。ところが米価問題についての、いわゆる内閣として決定をしていく場合に、もちろん、必要な場合には協議されておるそうでありますけれども、これは今後の問題としては、米価問題関係閣僚会議なりなんなりということで、もう少し統一的に閣僚としての運営をし、そうしてそこで議論された意見あるいは方針については、責任ある農林大臣からそういうものが見解として出てくる、こういう道筋が私は必要だと思うのです。過般、大蔵大臣、経済企画庁長官に対しまして、いささか越権ではないかということを言ったのですけれども、これは今後の問題としても、内閣として非常に考えなければならぬ問題ではないか。  米審の構成問題については、きのうの四党の国対委員長会談で自民党の長谷川委員長から、私どもがきょうの国対で聞いたところでは、来年度の米価審議会については、生産者消費者の代表を入れて構成する、野党側の意向を取り入れてやりたい、こういう国対委員長としての見解の表明もされたと報告を受けております。  そこでお聞きしたいわけでありますけれども、米審構成の問題について、来年の新米委員の任命の際に、いわゆる私が指摘をした四つ以上の兼職の者については新委員に任命しないということは、これは閣議決定でもあり、国会の議院運営委員会の申し合わせ事項でもある。したがって、やはり新米委員の任命にあたっては、それを基本として任命をする、同時に、来年は生産者消費者代表はこれを入れる、こういう方向ですべきものだと思いますが、まず新米委員の任命に対しては、先ほど西宮委員に対する答弁もございましたけれども、これは倉石農林大臣がやったときの置きみやげではなしに、新農林大臣としての考え方を率直にお伺いしたい。
  89. 西村直己

    西村国務大臣 新米審と申しますか、現在構成されておる米審につきましては御意見がいろいろ出た、この経過については、もう多くを申しません。御存じのとおりの経過でございます。  将来に向かっての問題でありますが、将来に向かっての問題は、従来出ました貴重な意見、それから同時に現在構成されております米価審議会の運営なり経緯、こういうものをよく見定めた上で、私は最終的に来年の米審構成を考えたい、こういうことでございます。
  90. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 再度お伺いしたいのだが、いまのような構成で来年も任命をするということもあり得るということですか。生産者消費者代表を入れる方向で任命をするということなんですか。農林大臣の基本的な考え方はどちらにウエートがあるのです。
  91. 西村直己

    西村国務大臣 従来出てきましたいろんな意見というものは、十分私も考えには入れなければならぬが、同時にまた、今日行なわれておる米価審議会が現実にいろいろ作業をいたしたり、これからも消費者米価についても諮問を受けて作業をするでありましょう。そういうような経過を見定めた上で私は最終的な結論を得たい、こう思っております。
  92. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 私は、米価の正常な決定一つ前提条件として、米価審議会生産者代表、消費者代表を重点として構成をする、これはぜひやるべきである、こういうふうに考えておりますので、国対委員長の発言と農林大臣の発言に食い違いのあることは問題でありますけれども、ぜひそういう方向でやってもらいたい。  そこで、生産者米価決定がおくれておりますが、これは少なくともお盆前には決定をするわけでございますか。さらに遷延をするということが出てまいるわけですか。農林大臣としては臨時国会終了後数日中に決定をする、こういうことでございますか。この点明確にしておいてもらいたい。
  93. 西村直己

    西村国務大臣 私どもは、国会終了後できるだけすみやかに決定をいたしたいと考えております。
  94. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 新しい米価試算方式、試算の第一、第二は、従来の米価算定の考え方を基本的に変えてきておる要素がございます。特に、限界反収を平均反収に切りかえていくということが御用米審の答申の一項にもあるわけですけれども、この点は、米価決定にあたっては農林大臣としては取り入れていくつもりですか。白紙で検討をしておるわけですか。
  95. 西村直己

    西村国務大臣 政府試算に対しては、確かにそういう試算の形式をとっている。また、米審の答申というものもございます。基本的には生産費・所得補償方式の積み上げ方式をとっております。ただ原価性の少ないもの、需給緩和等の観点から、多少積み上げの中におけるデータのとり方を変えておることは事実でございます。これから党との調整の間におきまして、党は党なりのいろいろ各方面の意見を持っております。また、各方面の意見を吸収されておるわけであります。それらも十分考え合わして、いまのような問題も最終的に考慮してまいりたいと思います。
  96. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 これは白紙で考えているのですか。それとも、その点は入れるという方向農林大臣としては考えておられるわけですか。
  97. 西村直己

    西村国務大臣 いま、私はここで結論を申し上げる段階でございません。十分党と調整をはかって結論を出したいと思います。
  98. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 一シグマ問題、いわゆる近代統計学における標準偏差問題というのは、これを〇・一削るとかあるいは〇・〇五削るとかいうのは、政治統計学としてはあり得ても、これは近代統計学としては問題なんです。しかも、先ほど期待値の問題を言われましたけれども、これは白紙に返して検討すべきである、こういうように私は思います。  それと、従来、私が米価審議会に二年間入っておったときに、その米審におった諸君、これは、指数化方式を金科玉条のようにがんばっておりましたね。そうして農林省も指数化方式を考えられて、伝統的に指数化方式に固執した。これは政治的な要素が入らない、自動的に計算されていく、こういうことで指数化方式のいわゆる長所というものを盛んに喧伝をした。これが今度音さたなくなったのはどこに理由があるのですか。  しかも、私は指数化方式の算定について資料要求したら、食糧庁のほうからは、先生にだけは差し上げるけれども、これは先生にだけ差し上げるということでとどめておいてもらいたい。その結果は二万九百九十円で、現行に対して七・五%の引き上げと出ておる。試算から見ると、相当やはり上回った数字である。この数字は、政府並びに農林省考えておるよりは高い数字が出てくるので、従来の金科玉条の指数化方式は陰に隠して、一シグマを値切る、あるいは生産性向上のメリットをやめる、地代の評価を去年とは変える、こういうふうに値切る、そのように腐心したのが試算の第一、第二じゃないですか。なぜ指数化方式についてはことしは影をひそめることになったのか。御用米審ではその点については、従来から指数化方式金科玉条の諸君が、一言半句も指数化方式を言わなかったのか、この点を明らかにしてもらいたい。
  99. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 本年度の米価試算にあたりまして、政府内部で見解の統一をはかるためにいろいろな協議、打ち合わせを行なったのでございますが、政府としては、行政的に考えました場合、本年度産米価試算については、最近の需給事情を反映した試算をすべきであるという結論に達しました。その結論に照らして考えますと、指数化方式は、御案内のようにすぐれた点のあることは、お話にもありましたように明らかでございます。それは米の需給の諸条件、つまり、米価形成の諸条件が一定の安定的な状態にあります場合には、すでに形成された価格を一定の指数の変化率によって修正をするということで、自動的に求めるということは、算定方式の安定化という意味で価値があるということでは、私どもそれを否定するわけではないのでございますが、現在のような需給事情のもとにおいて、そういう需給事情を反映させるという考え方に立ちますと、指数化方式には、それらの事情の反映ということが全く許されない方式であるということから、本年度は指数化方式はとらないということにいたしたのでございます。
  100. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 とにかく君子豹変ということばがあるが、われわれがやっておったときには、金科玉条にしておった指数化方式を、今度はなるべく表面に出さないようにし、そうして御用米審の諸君はたなごころを返すように、ことしの答申では、従来の積み上げ方式は政治的要素がある、政治的要素があると盛んに言っておった諸君が、これを基礎にし幾つかの答申の内容を書いておる。これは明らかに政府農林省は、なるべくことしは生産者米価を抑制したい、その点では、指数化では何らの要素を入れなくて、出てくるものについては、農林省の立場から見ると値上げ幅が大き過ぎる、こういう気持ちでしょう。  そこで、食管問題については、単にこの機会ばかりでなしに、いずれ通常国会の段階でも議論しなければならぬ基本的な問題でしょう。私は米審の答申の一々について触れることは、気に食わぬ米審の構成では問題にしたくないんだけれども、ただ、倉石前農林大臣は、任命するにあたって、新しい米審は国会議員を除外いたします、生産者消費者代表も除外いたします、食管問題を定期的に検討してもらって答申を出してもらいたいんだ、こういうことで任命したということが伝えられた。西村農林大臣は米審の席上、倉石前農林大臣が、正式にそういう趣旨でお願いしたとは思わぬと回答されたということを新聞で報道しておりますが、それは別にして、われわれは農林省設置法、米価審議会令、こういうものから見て、本来米価審議会食管制度の基本問題を議論すべき場ではない、法律はそれを認めていない、こういうことを言っておるわけですが、それを受けたのか受けないのかは知りませんけれども、建議の三番目のところで、「米穀の生産対策、管理制度、米価算定方式およびこれらとの関係における米作農家対策につき、政府は適当な審議機関によって検討を行なうべきである。」こういうふうに建議の第三項では述べておる。つまり、これは米審の諸君がそう考えておるかどうか知らぬけれども、この基本問題は米審でやらずに、他の適当な審議機関でやってもらいたいというふうにげたを預けたんだと、私は米審に入っておりませんから判断でございますけれども、そう思う。この点について、農林省総合農政米価食管問題あるいは総合的な問題を検討するといっても、これは事務レベルである。食管問題というものについて、政府・自民党とわれわれの間に基本的な意見の相違はあるけれども、一体政府は検討を開始するとするならば、いかなる機関、いかなる手だてでやろうとするのか、この考え方について明らかにしてもらいたい。
  101. 西村直己

    西村国務大臣 米価審議会から、そういう建議があったことは知っております。適当な機関というようなことばを使っております。また私といたしましても、食管制度の改善ということについては、非常に慎重に、かつ広い視野でやらなければならない。したがって、あくまでも行政の内部だけで意見交換すべきではない、こう思っております。  そこで、私がかりに将来考えるとしましても、あの米価審議会食管制度そのものの結論を得ようというようなことは全然考えておりません。むしろ他の機関、たとえば一つ方法としては、農政審議会というような一つの生産構造等々の農政全般を扱う機関もあります。また、同時にそういうような機関がかりにありましたとしましても、私は、できればそういうような場合に、生産者のような方々の適当な代表者も加わった場がほしい、こういうように考えております。
  102. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 生産者米価問題が非常に難航しておるわけですけれども消費者米価のための米審というのは、日程としてはどういうふうに予定しているのですか。
  103. 西村直己

    西村国務大臣 消費者米価につきましても、設置法に基づきまして米価審議会に諮問せねばならないことになっておりますので、大体九月に入りまして適当な機会、なるべく早い機会に、私ども消費者米価一つ考え方をまとめまして諮問いたしたいと思っております。
  104. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 最後に古米問題、この点について一、二お伺いをいたします。  二百六十五万トン持ち越す、この持ち越しの中には新米が大体何割、古米が何割、その中でいわゆる内地米がどれだけ、準内地米がどれだけ、普通外米はどれだけというふうに見通しておられるのか、概算の数字を明らかにしてもらいたい。
  105. 小暮光美

    ○小暮説明員 古米二百六十五万四千トンを、本年の十月末から十一月一日にかけて、来米穀年度に持ち越すという見込みをいたしております。これは古米といっておるわけでございますから、四十二年産の内地米で、この秋に来米穀年度に持ち越すものという趣旨でございますから、これは全量四十二年産の内地米でございます。
  106. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 そのほかのもので持ち越しは……。
  107. 小暮光美

    ○小暮説明員 同じ時点で、来米穀年度に持ち越しとなりますものは、外国の食糧で準内地米が十七万五千トン、それから普通外米が九千トン、それから砕け米、ブロークンが三万三千トン、外国米合計二十一万七千トンでございます。  それからそのほかに、米穀年度末ということになれば四十三年産米の買い入れが始まっておりますから、そういう意味で四十三年産米の米穀年度末の持ち越しは三百八十七万五千トン、そういうことでございます。
  108. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 私は時間の関係上、古米対策の問題について深く触れるいとまはありません。ただ、大臣にも農林省にも呼びかけておきたいのは、なるべく早い機会に、ことしは従来と違って相当な古来持ち越しのあることは事実ですから、これについて、やはり配給問題あるいは全体的な古米対策、これは倉庫その他いろいろな問題がありましょう。そういうことも含めて、これは私が議論したわけではありませんけれども、おそ出し奨励金というのが自民党で議論になっておるそうですが、配給の場合に、たとえば今月の配給をもらうときに、来月分まで繰り上げて配給をもらう場合には幾ら安くします、これは、そういうことが効果があるかどうかということは別にして、やはり金利、倉敷料あるいは古米格差問題等々も含めて、そういうことでなるべく古米をはかしていくというふうなくふう等も含めて、きめこまかに古米対策というものをやる必要がある。  同時に、外米の輸入問題についても、輸入の時期のコントロール問題、いろいろな点について、私は今日触れませんけれども、やはりもっとことしの新しい事態の中で、古米対策というものについて具体的に、消費者も納得するようにするのにはどうするか、あるいは新しい方法も加えてどういう考え方を出すか、場合によっては、必要なものにはある程度格差をつけた段階のもので増配——かつては労務加配米ということをやりましたが、そういう希望がどの程度あるのかという判断もしなければなりませんけれども、十キロ、これが実際は六・何キロになっており、だんだん下降傾向だといいますけれども、米に対する需要が低下したのではない。やり方いかんによっては、くふうの方法いかんによっては、やはり相当にふやし得る条件もあると思う。そういうことを加えたすみやかな古米対策配給を含めた新機軸をやはり出していく必要がある、こういうふうに考えるわけですが、農林大臣の御見解を聞きたい。
  109. 西村直己

    西村国務大臣 その点は私も全く同感であります。われわれも努力いたしますが、ひとつ、よい知恵があったらぜひお聞かせを願いたいと思います。
  110. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 時間の関係上、残念でありますが、この程度で終わっておきます。
  111. 足立篤郎

  112. 坂村吉正

    坂村委員 私は、いろいろいままで社会党の各委員の方々の御質問がありましたので、こまかいことは申し上げませんが、二つ、三つ大事な問題だけをお伺いしておきたいと思います。簡単に結論だけを私は御質問したいと思いますので、農林大臣もひとつ簡単に、一行か二行で簡明にお答えをいただきたいと思います。  ことしの米価決定が非常におくれたのは非常に残念でございます。きょうもこうして大ぜい農民の皆さんが傍聴しておられる。十三日には盆が参ります。そういう関係もございますので、これはできるだけ早く、ひとつ農民が安心するようにきめていかなければならぬと思うのでございますが、非常に特殊な事情でございますので、ああもやりたい、こうもやりたいといういろいろのことが、この米価決定の過程において政府部内で、いろいろの構想だとかあるいは考え方だとか、あっちこっちから出てまいりました。この御苦心のほどもどもはよくわかるわけでございます。  しかし、やはりいま収穫期を前にしての米価決定でございますから、これはぜひ現行制度の生産費及び所得補償方式を基礎にして、農民の要請にできるだけこたえるように米価を一日も早く決定するんだ、こういう態度を政府として、農林大臣としてはっきり示していただきたいと私は思うのでございます。その決意のほどをはっきりお伺いしたいと思うのでございます。
  113. 西村直己

    西村国務大臣 生産者米価はできるだけすみやかに決定したい、これはもう当然のことで、私もそういう強い熱意を持っております。と同時にまた、生産農民が再生産を確保できるように、これは食管法の命ずるところであります。それに従って十分考えてまいりたいと思います。
  114. 坂村吉正

    坂村委員 その決意でもってぜひ進んでいただきたいと思います。  次に、食管制度の問題でございますけれども、いままでの各委員の御質疑あるいは農林大臣答弁、そういうところでいろいろの議論がなされております。今後とも食管制度の根幹を維持してまいる、こういう政府考え方は非常にはっきりとしておるのでございますが、もう目の前に収穫を控えたことしの米価決定について、その食管制度の根幹に触れるようなそういういじり方といいますか何といいますか、そういうことを取り入れてやってまいるということは、私はこれは農民に対する不信になるのじゃないかというふうな感じがするのでございまして、ことしの米価決定については、いやしくも食管制度の根幹に触れるようなことはやりませんと、こういうことを農林大臣、はっきりと言明していただきたいと思うのでございます。
  115. 西村直己

    西村国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、もうすでに四十三年産米の予約買い付けも、御存じのとおり大量の受付をいたしております状況でありまして、本年度産米について根幹に触れるようなことは、何ら取り入れることはないということを明言いたしたいと思います。
  116. 坂村吉正

    坂村委員 それに関連いたしまして、先ほど来から一番問題になっておりますのは、買い入れ制限だとかあるいは自由米構想だとか、こういうものが、ことしは米価決定の初めから、いろいろそういう構想なり考え方なりが流されておる。そのことが農民に対して、農業団体に対して非常な刺激を与え、非常な不安を与えておるのじゃないかということでございます。  でございますので、ことしの米価決定について、本年産米について農林大臣は、一部買い入れ制限であるとかあるいは自由米構想であるとか、いままでいろいろ流れておったことは、これはいままでの議論の過程の問題であって、絶対にそういうことはいたしませんと、こういうことは明言できましょうか。
  117. 西村直己

    西村国務大臣 食管の改善については、将来の問題として慎重に、しかも幅の広い視野に立ってやっていこうというのでありまして、本年産米につきましては、もうすでに受付も始まっておる状況でございまして、新しい考え方と申しますか、いま一部にいわれているような自由米構想などが入ってくるわけではないのでございます。これはしばしば私も申し上げております。  ただ、論としてそういうものが一部に横行したために、世間では多少疑惑を持ったのではないかと思いますが、農林省自体としても、そういう考えではございません。
  118. 坂村吉正

    坂村委員 絶対にそういうことは、本年産米の米価決定に際しては考えませんと、こういうことを簡明にひとつ明言してもらいたいと思います。
  119. 西村直己

    西村国務大臣 ですから、本年産米につきましては、一部においていろいろ論ぜられ、あるいは報道されておるような制限買い付けというようなことは、取り入ればしないということははっきり申し上げているわけでございます。
  120. 坂村吉正

    坂村委員 それで私は、大体ことしの米価決定についての農民の安心もほぼいくんじゃないだろうかと思っております。いままでの混迷したいろいろな問題を、いまの農林大臣の言明によって私は解消することができたんじゃないだろうか、こういう感じを強く持つのでございます。  さらにもう一つ関連しまして、消費者米価の問題でございます。いかにも生産者米価のしわ寄せが消費者米価にいくというような感じを持っております。これは、政府としては予算の関係その他いろいろありましょう。しかし、消費者米価は、一面において考えてみますと物価の問題もございます。それからまた連続して三年消費者米価が上げられております。そういう点も十分ひとつ考えて、そして物価安定の関係あるいは消費者家計の安定、そういう問題も十分頭に置いて、消費者米価についても私は政府としては慎重な配慮を持ってもらいたい、こういうことを考えるのでございますが、その点はいかがでございますか。
  121. 西村直己

    西村国務大臣 食管法に基づきまして消費者米価も、政府、私ども農林省の所管としてこれを決定しなければならぬ日が近づいておるわけでございます。もちろん、これもまた家計の安定という家計米価の許容する範囲内においてという方針のもとに、しかも連続三年値上げされておるという背景もございます。また、非常に需給の緩和されておるという現実の状況もございます。そこいらも十分配慮しながら、これは最終決定に至りたいと思います。
  122. 坂村吉正

    坂村委員 ありがとうございました。大体米価決定についての根幹の問題だけをお伺いしてはっきりいたしましたので、私はこれで終わります。
  123. 足立篤郎

    足立委員長 午後一時に再開することとし、これにて休憩いたします。    午後零時三十八分休憩      ────◇─────    午後一時十四分開議
  124. 足立篤郎

    足立委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  午前に引き続き質疑を行ないます。神田大作君。
  125. 神田大作

    神田(大)委員 時間が制限されておりますから、答弁される大臣並びに長官には簡明にお答えを願いたいと思います。  まず、大臣にお尋ね申し上げますが、政府は米の生産に対しまして、いかなる方針のもとに今日までやってきたか、それをまずお尋ねをします。
  126. 西村直己

    西村国務大臣 政府といたしましては、もちろん国民食糧の中で米は主要の最たるものでありますから、できる限り自給度を上げたい、こういう形で指導しております。しかし、同時にまた品種の改善であるとか、生産性向上であるとか、こういうものもあわせて指導してまいっておるわけであります。
  127. 神田大作

    神田(大)委員 最近まで政府は、米の生産に対しまして、各都道府県の知事を通じまして、一割増産運動を推進してまいったわけです。このように政府は、非常に大事な米の生産に対しまして力をいたし、ために今日日本の食糧もある程度の増産を来たしておるのでありますが、今日増産をしたからといって、米価につきまして抑制をするような態度をとっておられますが、このようなことは正しいことであるかどうか、農林大臣としての考えをお尋ね申し上げます。
  128. 西村直己

    西村国務大臣 米が増産され、とにかく相当な供給力を持ったということは、一面において喜ばしいことであります。また、相当な自給量を持っておるということも、ある意味では国の強みであります。また、これは生産農民に対して感謝し、その努力に対して敬意を表します。一面、また技術の進歩もある。しかし同時に、それだけでいいかというと、今度は生産性の非常に悪いところまでただ同じように、このままほうっておいていいかという、また別の面の問題も当然考慮しなければなりません。  そこで、私どもといたしましては、米を一つのあるべき場所の中心に置きながら、同時に農政全体を総合的に推進しようという姿勢をとり、また価格そのものも、もちろん再生産というものを可能ならしめるという食管法の精神は尊重しながら、しかし、一方におきまして食管会計の実情も考え消費者の立場から見る需給緩和というものも多少は反映させながら、こういう中で適正米価を発見してまいりたい、これが私ども考えで、抑制という考えではないのであります。
  129. 神田大作

    神田(大)委員 それでは食糧庁長官に尋ねますが、去年の米価の算定と、本年度政府が中立米審と称する米審に出しました算定と、非常な違いがあると思われますが、その違う点を要領よく簡単に御説明願います。
  130. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 ただいま大臣からお答えがありましたような諸事情を考慮いたしました今回の政府試算が、昨年の積み上げ計算方式、最終的に採用されましたものと違います点は、生産費・所得補償方式を基本にするという点については同一でございますけれども、第一点は、原価性の乏しい算定要素については、これを整理するという考え方で、まず生産性の向上メリット二分の一を農民に還元するということを、この試算では入れていない。  それから予約概算金につきまして、これは金利を付さないで前払いいたしておりますから、当然原価性がございませんので、概算金の利子相当分を控除する。  それから地代につきまして、昨年は小作地についての実納小作料をもって地代の評価をしたという部分を、昨年九月に新しい小作料の統制格価がきまりましたので、新しい小作料統制価格のうち、標準的な水田と目されます六級地の統制小作料をもって評価をいたしたという点が違う点であります。  それから算定の計算方式の中では、午前中も御議論が出ましたが、評価がえの平均反当生産費というものを、平均反収から一シグマ引いたもので昨年は除しておったのでございますが、本年は平均反収から〇・九シグマを差し引いたものをもって除した。つまり、適正限界反収の若干の引き上げを行なったということが違う点でございます。  算定に関係いたします相違点は、以上でございます。
  131. 神田大作

    神田(大)委員 いま長官が言われたように、概算金を、いままで利子を取らなかったものを取ったということでありますが、これはいままでの約束と違うのじゃないですか。概算金というものは利子を取るべき性質のものではなしに、農民も、概算金に利子を払ってまで何も概算金をもらうつもりはないのです。政府はこの概算金制度を実施した場合において、利子を取るぞというようなことを生産者に申しましたか。この点をお尋ね申し上げます。
  132. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 私の御説明が舌足らずか、あるいは不適切であったかと思いますが、若干誤解があるようでございますので、重ねて御説明申し上げます。  予約概算金は、政府は利子を取らないという約束で、本年も同様にいたしております。利子を取りませんから、自己資本というものについては、金利計算をしないのは当然でございます、原価計算としては。それを従来は、利子を取っていないものに利子を加算して計算しておったが、その加算はとりやめたということでございます。
  133. 神田大作

    神田(大)委員 次に、生産性向上に対する還元をとりやめたということでございますが、このことについても、生産性向上には農民の努力が入っておるわけですね。これら農民の努力に対しましてこの還元をしたわけでございますが、このとりやめたことにつきましてどのように考えておりますか。
  134. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 生産性向上のメリットの二分の一を還元をするというのは、昨年初めて米価算定の際に配慮をいたした事項でございます。その趣旨は、生産性向上の利益の一部を生産者に還元することによって生産者の生産意欲を向上し、生産者の労苦に報いようという趣旨であると理解をいたすのでございますが、これはもともと費用の概念には入るものではございませんので、私ども、いわゆる生産費の中で原価性のないものを整理するという考え方から、試算におきましては、この生産性向上メリットの還元ということをやめて算定をいたしたような次第でございます。
  135. 神田大作

    神田(大)委員 これは、米価を低く押えるためにいろいろ理屈をつけて——いままで農民としては、概算金の利子相当額の控除にしましても、生産性の向上のための利益還元にいたしましても、これはいわば農民として今日までとった既得権だ。だから、この生産性向上の還元なんかも農民に当然還元すべきなんだ。農民の努力によって生産性向上がされておる、これも当然計算すべきものであると私は思う。地代に至っては、大体地代の算定で千百五十八円われわれの計算と違いができております。実際に小作料を払ったものに対する平均的なものをいままで見たのを、今度とりやめることになったために、米価は千百五十八円低くなっておりますね。これも問題です。それから、先ほど他の委員からも質疑がありましたが、平均反収と限界反収の差額につきましても、三百七十七円から去年の計算とは低くなっている。  そこで、総体といたしまして約千六百五十二円、算定の違いのために昨年度の計算よりも本年度の計算が減っておるというようなこの現状は、いままで政府が農家に米をつくれ、米をつくれといって奨励をしておきながら、つくったものに対して、今年度このような差額をつけた計算をすることは不当ではないですか。農林大臣、どう思いますか。
  136. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 地代とそれから適正限界反収の見方の問題についても御質問がございましたので、その点について試算考え方を御説明申し上げます。  地代につきましては、昨年の米価の算定にあたりまして、小作地の実納小作料をもって自作地も含めて評価をしたということは、これは私はいろいろ議論の多かった点であったと思うのでございますけれども、昨年は、すでに農林省におきましては、昭和三十年に告示をいたしました小作料の統制が、長期にわたって据え置かれておりましたものを改定をするという方針をきめておったのでございます。改定の方針は、小作料の実勢に合わして検討するということでございましたので、昨年は暫定的な考え方として、統制小作料というものが実情に沿わないという事情のもとで、実納小作料を代用いたして評価をしたというふうな考え方だったと理解をいたしておるのでございますが、御案内のように、小作地の面積は全経営面積の五%程度でございます。五%程度の実納小作料、これが、調査による数字を見ますれば、明らかに統制違反小作料でございまして、統制違反小作料をもって全部を評価することは適当でないということで、新しい統制小作料を用いたのであります。  限界反収につきましては、先ほど申し上げましたので説明は省略いたしますが、現段階における需給事情を反映する算定方式に求められる唯一の方法であるということで、この限界反収の若干の引き上げを行なうという趣旨でございます。
  137. 神田大作

    神田(大)委員大臣 この次でいいですが、大臣答弁してもらわなくちゃならないから、よく聞いてください。  長官、今度標準小作料というものができたからといって、これはいろいろの意味において適正であるとはいえないのです。相当低く押えられておるのですよ。実際に納めておる小作料との違いは、長官もすでにわかっておるでしょう。わざわざ去年実納小作料でやったものを、ことし何もこれを低めて、石当たり千百五十八円も米価を低く押える必要はないでしょう。これは、政府が今度の諮問米価については、米価を不当に押えようとして、このような概算金の利子の問題、生産性の還元の問題、地代の算定というような、こういう問題をことさらに取り上げて、いままで農民が長い間要望し、ようやく貫徹した米価算定の基礎をあなたたちはくずして、そうして低くこれを押えたわけでございますが、これはわれわれとしてはとうてい納得のいかないものであります。  総理も秋田でもって、農民米価要求に対するそういう考え方は、できるだけこれを支持して、農民の意思に沿うような米価をきめたいというようなことを言っておられますが、この算定を見ますと、それと全く逆な算定をしておるのですね。これは参議院選挙前でございますので、選挙に勝つために、農民の関心を買うために、そういうことを総理やあるいは他の閣僚が言って、そうして票を集めて、選挙が終わったらばこのような不当な、去年と比較いたしまして千六百円も低いような価格でもって、これを米価審議会に諮問するというようなことは、これは公約違反じゃないですか。農林大臣はどう思いますか。
  138. 西村直己

    西村国務大臣 生産性のメリットの還元の問題、それから概算利子ですか、それから地代の問題等々、大体基本においては生産費・所得補償方式の積み上げ方式、これをとっております。問題は、それの部分部分のデータのとり方であります。御意見は確かにいろいろあると思います。しかし、昨年のあの積み上げ方式におきましてもいろいろな意見があって、最終的にああいう形をとったわけです。しかし、同時に一面におきましては、御存じのとおりの相当な需給緩和をしておるという中でありますから、全体の手取りその他を考えると、需給緩和というものも多少は考えてもいいのじゃないか。  そこで、平均反収に一歩近づけるような〇・九シグマですか、そういうものが出た。それからもう一つは、いまの概算利子のような問題になると、これは理論的にもちょっと無理じゃないだろうかというような理論構成が行なわれた。それから地代につきましては、昨年はたしか実納の小作料であったと思うのでありますが、その後におきまして統制小作料を数倍上げているわけでございます。その統制小作料を、今後は基本にしてまいったほうがより妥当ではないだろうか、こういう意味でありますから、不当に無理なものをとったのだというのは、また別の立場からの御解釈になるのじゃないか、私はこう思っております。
  139. 神田大作

    神田(大)委員 これはいかに大臣が言いわけをしょうと、去年は九%から米価が上がった。ことしは二・九九%しか上げない。そこに算定に非常な無理をした、農民のとうてい納得し得ないような算定、いままでの実績をくずした算定のしかたをして二万百五円ですかの価格を出したわけですね。これが、そもそも今度の米価が紛糾をいたしました原因です。  去年までは、米をつくれつくれといって農民をおだてて増産をさせて、つくった米に対しまして、去年までやっておったような算定のしかたをくつがえして、いろいろ理屈をつけてこれを下げるということは、私は、今年度の米価について農民が納得しないのは当然だと思います。来年作付するときに前もって、概算金の利子も、これは今度は見ませんよ、あるいはまた、地代も実納じゃなく標準にしますよ、あるいはまた、限定反収にいたしましても今度は平均反収にするぞ、そういうことを政府が言っておった場合においては、これは多少考慮の余地もあるかもしれませんが、去年は何とも言っておらぬ。ことしの米を作付する場合には何にも言っておらぬ。そうして増産をさせておいて、急にこのような低い価格できめるということは、これに対する農民の反発が、今日米価をこのように紛糾させ、きめられない理由じゃないですか。大臣はどう思うのですか。
  140. 西村直己

    西村国務大臣 理想からいえば、作付前に、こういう方式でこういうふうな米価でやりますという決定が行なわれれば、これは一つの行き方でございましょうが、いままでの例から申しますと、そういう形はとっておらないのでございます。昨年も一昨年も植えつけを終わってから、そのときにおいてその年の適正米価をきめておる。そういう形から見ましても、私は、作付が終わってから変えたとか、そういう面も必ずしも成り立たないのじゃないかと思っております。
  141. 神田大作

    神田(大)委員 高くきめるならともかくとして、いまさらこのような算定のしかたによって低く押えるということに対しましては、これは、われわれとしても農民としても絶対に承服できないのでありますし、また自民党の皆さんとしても、公約に違反することでございますから、農民の反撃を食うことは火を見るよりも明らかでございます。十日以後において決定するということにつきまして、大臣はこのことをよくお考えの上御決定を願いたいと、私は強く申し上げたいと思います。  次に、今度おそ出し奨励金を出すというようなことをいわれておりますが、そのような方法考えておるのであるか、あるいは、いかなる方法でこのようなおそ出し奨励金を支給するつもりであるのか、お尋ね申し上げます。
  142. 西村直己

    西村国務大臣 そういうような一部の議論も、党との調整の過程におきましては論議されておりますが、しかし、それはまだ最終的に固まったものでもありませんし、内容的にもまだ固まったものではございませんから、ここで公的に御説明する段階ではないと思います。
  143. 神田大作

    神田(大)委員 いままで早場米奨励金をやり、手のひらを返すごとく今度はおそ出し奨励金をやるというようなことは、まことに農民といたしましても奇異な感じであり、われわれといたしましても非常に唐突な感じを受けるのでありますが、大体、おそ出し奨励金趣旨等を聞いてみますというと、米の保管料とかあるいは金利に充てるという、そのためにおそ出し奨励金が六十億円、パーセントにいたしまして〇・五%の値上がりでございますが、これは、、当然政府保管料として、あるいは金利として負担すべきものであって、米価に算定すべき要素のものでは絶対にないのであります。だから、このようにおそ出し奨励金というようなものを出して、農民にいかにも米価がこれだけ値上がりするかのごとく見せかけることは、これは一つの欺瞞だと私は思うのですが、大臣はどう考えますか。
  144. 西村直己

    西村国務大臣 まだそれは最終的に煮詰めたものでありませんから、いま内容その他についてここで御議論をかわしたり——御意見は承っておきますが、私のほうから公的に、こういうものだからこうだというふうに申し上げる段階ではないのであります。
  145. 神田大作

    神田(大)委員 私は念のために申しますが、米価決定にあたりまして、おそ出し奨励金というものが米価の値上げに加算されるがごとき印象を与えるような発表は、政府としては控えてもらいたい。これは米の保管料その他において支出しなければならぬものでありますからして、当然政府米価と関係なしに支出すべきものであって、〇・五%値上げするということであれば、実質的に米価をそれだけ上げるべきであって、このような誤解を招くような方法ではすべきではないということを強く要望しますが、大臣の見解を承りたい。
  146. 西村直己

    西村国務大臣 御意見として承っておきます。
  147. 神田大作

    神田(大)委員 次に、午前中の委員指摘されましたとおり、制限買い入れば、現在の食管法に基づいて可能であるかのごとき答弁をしておるようでございますけれども、その点について、過般の私の食糧庁長官に対する質問に対しまして、食糧庁長官ははっきりと、自由販売も制限買い入れもいたしませんということを、私にこの委員会の公開の席上において答弁しておりました。きょうの午前中の答弁は非常な食い違いがあるようでございますが、この点、食糧庁長官はいかなる心境の変化を来たしたのか、お尋ねします。
  148. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 おことばでございますが、心境の変化は全くないのでございます。先日お答えいたしましたのは、現在の食管法のもと、現在の政令のもとでは、買い入れ制限あるいは自由米構想というものは許されるものではございません。したがって、四十三年産米の米価決定関連して、さようなことは考えておりませんということを申し上げたのでございます。
  149. 神田大作

    神田(大)委員 四十三年度の米価決定については考えていないが、四十四年、四十五年と将来のことにつきましてはどうですか。これは、ここにおられる坂村委員大臣が、ことしはそういうことをしないということを言っていますが、来年はどうなんですか。来年からどう考えますか。それは大臣食糧庁長官から、両方にお尋ね申し上げます。
  150. 西村直己

    西村国務大臣 御存じのとおり、午前中繰り返されましたのは、食管法第三条の解釈の問題です。これをどういうふうに政策的に扱うかは、別途の問題です。そして、これは食管制度のいわゆる運用なり改善に関係する事柄でもありますから、私どもは、総理の所信のように、国民経済的な広い視野に立って今後検討していきたい、これが来年に対する私の態度でございます。
  151. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 私は、申すまでもないことでございますが、大臣の指揮を受けて事務をとっておるのであります。
  152. 神田大作

    神田(大)委員 長官はだいぶ神妙な答弁をしておるのでありますが、あなたはこの前、自由販売をするとか、制限買い入れをするとかということを新聞記者に発表して、長官として大臣の指揮を仰がないで放言しておる。それはだいぶきょうの答弁とは食い違っておるようでございます。  そうすると、大臣としては、制限買い入れ等につきまして、来年からは検討をしてやるというふうに、私が受け取ってようございますか。
  153. 西村直己

    西村国務大臣 今朝来の問答で、すでにおわかりいただけたと思いますが、いわゆる食管法三条の解釈としてはああいう解釈が成り立つ。しかし、これを政策としてどう扱っていくかは、食管全体の運用なり改善の問題にからんでまいる。影響するところもあるから、広い視野に立って、十分慎重に扱いながら、その中で結論を得てまいりたい、こういうことでございます。
  154. 神田大作

    神田(大)委員 第三条の解釈あるいは第一条の解釈等において、大臣解釈とわれわれの解釈は非常な違いがある。制限買い入れというものが、食管法の改正なくしてできるはずがない。それを、改正をしないで、制限買い入れあるいは自由販売をやるということに対しましては、われわれは絶対納得がいきません。時間がありませんから、これに対してこまかく追及できないことを残念に思いますが、後刻の機会において質問いたしたいと思います。
  155. 足立篤郎

  156. 樋上新一

    樋上委員 農林大臣にお伺いいたしますが、総理は先日の所信表明演説で、食管制度の根幹は維持すると述べ、また、総合農政についても論及されましたが、食管制度の根幹とは一体どの部分をさすのか、何ら明らかにされておりません。また、政府のいう総合農政のねらいは食管制度の改正の方向に向っている、これは明らかであると私は思うのですが、きょうは時間の関係もありますので、その一部について大臣にお伺いいたしたいと思うのです。  食管制の根本精神は、米の再生産及び家計の安定をはかるという二重価格制にあると思うが、この点は大臣いかがでございますか。
  157. 西村直己

    西村国務大臣 食管制の根幹として大事な点は、おっしゃるとおりでありまして、米穀の再生産の確保を旨とする、それから消費者の家計を安定させる、これが大きな根幹であります。
  158. 樋上新一

    樋上委員 政府は、今日まで消費者米価を三年連続して値上げを行なっていますが、ただ単なる財政事情からであって、政府は家計への重大なる影響を度外視している。これは明らかに食管法軽視であると考えるのですが、この点はいかがですか。
  159. 西村直己

    西村国務大臣 消費者米価につきましてどういうふうな措置をとるか、まだ最終段階に至っておらない。生産者米価等をきめてから後の問題でありますが、私は、食管法の命ずるところは、少なくとも守っていきたい。言いかえますならば、家計米価の許容する範囲内において消費者米価を扱ってまいりたい、こういう考えであります。
  160. 樋上新一

    樋上委員 農業基本法制定以来すでに七年を経過しておる今日、構造改善または選択的拡大、どれをとってみても何ら成果があがっておらないことは、明らかに自民党政府の失政であり、農民不在の農政であったことを如実に物語っておると思う。ここで総合農政推進費として百二十億円云々と、またその場のがれのことを言わず、思い切った予算措置をすべきではありませんか。自民党はだれよりもだれよりも農民を愛しておりますとは、だれかさんの農民大会専用のことばですか。この百二十億円の予算措置について、大臣答弁伺いたい。
  161. 西村直己

    西村国務大臣 百二十億云々の問題は、党と政府調整の間に出ておる論議でありまして、これは、まだ御説明する段階に至っておりません。  ただ、総合農政自体につきましては、食管法改善をねらったものではなくて、御存じのとおり、農業基本法自体においてすでにいろいろうたわれております。しかし、今日農業基本法に沿うていろいろな施策をとってまいりましたが、農業をめぐる情勢というものは、さらにいろいろ客観情勢が変わってきております。そこで、現実の政策としていろいろな施策を総合的に展開しなければならぬという考え方をもちまして総合農政という考え方を持っておる。その中において、米というものがどういうふうな座を占めていくべきか、こういうふうな考え方を述べておるのであります。
  162. 樋上新一

    樋上委員 それでは、その百二十億という予算措置はどういう根拠か。また、それをどういう方面に使おうということを考えておられるのですか。
  163. 西村直己

    西村国務大臣 これは、政府・与党内部でもって折衝の過程において論議がかわされている事柄でございます。これが、いずれ最終的にきまった機会においてひとつ御報告申し上げ、また御説明も申し上げたい、こう思っております。
  164. 樋上新一

    樋上委員 政府は、わが国の食糧自給度について、将来どの程度保持しようとしておるか。特に、主要穀物について明確なる計画をお示し願いたい。この食糧自給度がはっきり定まっていなければ、安定した農政をはかることができないのではないか。特に農産物価格政策においては、確固たる自給率の目標を定めて、初めて政策効果があるのではないか。この点いかがでございますか。
  165. 西村直己

    西村国務大臣 食用農産物の自給率の問題でございますが、全体の総合自給率は、すでに農業白書その他でも発表申し上げておりますように、四十年八二%、四十一年八〇%。ただその中で、個別の自給率は、大事なお米につきましては四十一年が九五%と思っております。しかし、四十二年になりますとこれは一一〇%をこえておる。これは非常にけっこうなことではあります、自給率が一〇〇%をこえたことは。また他の農産物におきましては、八〇とかそれぞれ相当の自給率でありますが、しかし、飼料あるいは小麦等においては自給率が低いのであります。  そこで、全体としましては自給率をこれからも上げてまいるということは、もう当然のことでありましょう。しかしものによっては、国内では自給まではいき得ないものも、自然条件、土地条件から出てまいると思います。私どもとしては、総合自給率はもちろん上げてまいる。それから個別の自給率のうちでも、上げなければならぬものは相当あります。しかし、中には土地条件、自然条件等に制約されて、自給率を上げにくいものもある。  それからもう一つ、長期見通しにつきましては、かねがねこの委員会を通して、私どもはできるだけすみやかに——三十七年に長期見通しを一ぺんつくりましたが、総合農政を将来展開するにあたりましても、もう一ぺん長期にわたっての見通しというものを正確につくってまいりたい、こういうことで、いま作業をいたしておるのでございます。
  166. 樋上新一

    樋上委員 今秋消費者米価が上がった場合ですが、政府がよくおっしゃいます昨年買い入れてある古米に対しては、当然生産者米価も安く買い入れているわけですから、消費者米価もいままでのままで処分すべきと思うのですが、この点はどうでしょうか。
  167. 西村直己

    西村国務大臣 古米の扱い、きょうも午前中委員各位から御質問があった点でございまして、古米というものは、素朴な国民生活感情からいえば、商品価値としても新米格差をつけるべきだ、こういう論も、私は一つの正論であろうと思います。  しかし同時に、また一方におきまして、どういう形でそれではそれを末端において配給上やり得るかという技術上のむずかしい問題もある。末端にまいりますれば、同じようなお米で、同じように精白されたお米です。それから同時に、もう一つ食管会計の中の問題もございます。はたしてそれだけの格差がとり得るかという会計上の問題もございます。そういうような中から、生産者米価がきまった後におきまして、私ども古米取り扱い等を考えてまいりたい、さように考えております。
  168. 樋上新一

    樋上委員 食糧庁長官にお伺いいたしますが、全国の食糧事務所に配置されている食糧検査員は何人で、どのような業務に従事していますか。
  169. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 本年四月一日現在の農産物検査官の数は、総計で二万一千三百五十三名でございます。そのおもなる仕事を申し上げますと、米麦等農産物の検査、それから米麦等主要食糧の買い入れ、保管、運送等の食糧管理関係の業務、それに食糧管理に必要な各種の基礎資料を得るための調査等に従事する、こういうことでございます。
  170. 樋上新一

    樋上委員 検査対象別に見ると、業務量はどのような比率になっているのか。米、麦その他に分けて明らかにしてほしいと思います。米の場合はどうですか。
  171. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 御質問のお答えになっておりますかどうか、農産物検査官の業務内容のウエートでございますが、農産物検査関係で、大体四割程度の事務量になる買い入れ、保管等の食糧管理関係の業務と、調査の関係で、あとの六割程度の事務量のウエートを持たせておるということでございます。
  172. 樋上新一

    樋上委員 米は一億数千俵となっておると思いますが、検査件数は圧倒的に米が多い。しかも、秋の一、二ヵ月の間に集中するが、このピーク時に消化できるように人員は配置されているのですか。その点はどうですか。
  173. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 御案内のように、従来の米の集荷は一定時期に集中的にまいりますために、非常に検査に困難を来たす場合があったわけでございますが、検査事務量の集中の場合には、当該支所の出張所のほかに、他の地域からの応援検査等を得まして、勤務時間も延長する等の措置をもって処理をしてまいっておるわけでございます。
  174. 樋上新一

    樋上委員 米の一日の検査量は、一千二百俵までと規定されているのですが、実際には二千俵をこす場合もある。これでは検査員の一日実働時間が七時間としても、毎分四、五俵のハイピッチとなるが、微妙な等級を肉眼で正確に格づけするということは、物理的にいっても不可能であると思うのですが、その点はどうですか。
  175. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 米穀等の農産物の検査につきましては、御指摘のように機械的検査ということではなく、検査員の熟練による肉眼検査ということをやっており、また、そうせざるを得ない実情であるわけでございますが、検査員の熟練度というものは、私は、流通関係段階の方々の御意向としましても非常に信頼されておると思うのでございますけれども、集中的に検査をやるということから、検査の綿密さという意味においては、今後検討をしてもらいたいという声も聞いておりますので、今後米の出荷の一時期集中というようなことを避けていくことともにらみ合わせ、検査の万全を期してまいるように努力をいたしたいというふうに思います。
  176. 樋上新一

    樋上委員 どうももう一つピントがはずれているんですがね。  農林大臣にお伺いいたします。私が技術者から聞いたことですが、現実には、検査官の検査した米の等級には、大きなばらつきがあるということですが、とてもそんな神わざ的なことが肉眼や勘ではできないと思うのですが、この点について大臣はどうお考えになりますか。
  177. 西村直己

    西村国務大臣 検査官はたくさんおりますが、長い間やって熟練している者を中心に、絶えずこれを指導いたしておりますから、できる限り正しい検査のできるように、私は指導が行なわれているものと思っております。
  178. 樋上新一

    樋上委員 それならば、米の検査時期以外は、かなり閑散となるのではないか。いま米以外の麦、なたね等は、年々生産量は減っているし、ピーク時以外には労力過剰になっているのではないか。この点はどうでしょう。
  179. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 農産物検査の場合に、米の検査が非常なウエートを持っており、米の検査が季節的であるという御意見は、御指摘のとおりでございますが、逆に、今朝来も申し上げておりますように、政府の管理をいたしております農産物の総量というのはふえておるのでございます。したがって、管理業務等につきましては、むしろ事務量としてはふえておるという事情もございまして、事務の内容が季節的に繁閑になることは、私は否定いたしがたいと思いますけれども、そのような事情のあることも御理解をいただきたいと思います。
  180. 樋上新一

    樋上委員 検査官は、年内に何日ぐらい検査業務に当たるか。また、年間の維持費用はどのくらいか。いまそちらのほうでおわかりになりますか。——おわかりにならなかったら、時間の関係上私のほうから申し上げたい。二百三十億円支払われておる。  そういう金が支払われて、その他の日はどうしておるか。このような業務量のアンバランスを放置しておけば、膨大なる過剰人員を必要とする計算になると思うのですが、その費用もばく大なものである。食糧庁は米の検査制度の合理化について、どのような努力をしてきたか、ほとんど改善のあとが見られないと私は思うのですが、この点どうでしょう。
  181. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 検査のやり方につきまして、事務執行上の問題としては、先ほど申し上げました点に触れるわけでございますが、より精度の高い検査を実施させるという意味で、検査官の教育訓練というようなことに努力しているわけでございます。そのほか検査機構全体として、御指摘のありましたような季節的繁閑、時期的な集中等に対処する意味も加えまして、末端の支所、出張所等の統合による総合的な検査機能の充実というようなこともはかってまいっておる次第でございます。
  182. 樋上新一

    樋上委員 検査等級の区分けが細分され過ぎているのですね。だから、一瞬の間にこまかく分けられた等級に仕分けることは非常に困難ではないか。ことしは、政府に対する売り渡し量が九百万トンに達するという。それを一俵一俵全量検査するということは、事実上不可能ではないか。合理的な簡便な方法が私は考えられてしかるべきだ、こう申し上げるのです。  また、米の等級についてでありますが、農家から米を買うときに、一等米から五等米、くず米、規格外に至るまで食糧検査官が調べて格づけをしているが、消費者に渡すときは内地米、徳用上米、徳用米の三段階に分けて配給されております。生産者から買う場合にも、三段階に分けてしたらどうかと私は思うのですが……。
  183. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 お話しのように、生産者サイドでの検査では一等から五等、等外上下、規格外というような規格を設けて検査をいたしておるわけでございますけれども、これが配給段階になりますと、一−四等はいわゆる内地米ということになって、混合された形で配給が行なわれておるわけでございます。その際、一般の需要者側の要望といたしましても、できる限り品質の確保という点を強調される段階になってまいりましたので、むしろ上質の米を生産いたしまして、また、調製その他に十分な配慮を加えたものを買い取ります場合には、それ相応に報いていくということが、やはり私は必要なことではないだろうかというふうに思います。  この段階で、直ちに検査等級を三つに簡略化するということは、いかがかと思うのでございますが、御案内のように、カントリーエレベーターあるいはライスセンターというようなものの普及が進みまして、大量検査あるいはサンプル検査による代表的な検査の方法等が考えられる段階になりますれば、現在の検査等級の問題について検討を加えるべき時期が来るのであろう。そういう時期に備えまして、御意見の点も念頭に置きつつ、私どもも研究をしてまいりたいというふうに思います。
  184. 樋上新一

    樋上委員 特に米の検査制度については、多くの問題をはらんでおるのでございまして、これを農業団体と協調して、より合理化をする考えはございませんか。
  185. 桧垣徳太郎

    桧垣説明員 農業団体あるいは農家というのは、ある意味で被検査者の立場に立つわけでありますが、同時に、検査の結果格づけせられたものがより正確であるというようなことは、共通の利益でもございますので、農業団体から得らるべき協力については、私ども考えてまいりたいというふうに思います。
  186. 樋上新一

    樋上委員 最後に、一言申し上げて要望しておきますが、この検査問題については、農民は非常に悩んでおることを聞くのです。そうして、この検査官にばく大な費用をかげながら、ひまなときは遊んでおるというようなこともよく見受けられますし、その膨大な費用を検査官にかけるより、農民、協同組合、そういったところと協調して、ほんとうに正確な、また合理的な検査をやっていただきたい。先ほど申しましたように、等級の点も、そういう神わざ的な、とうてい人間わざではできないようなことを、昔も今も依然として改良されずにやっておるところに、大きな問題を残しておると思います。今後、そういう点について十分検討していただきたいということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  187. 足立篤郎

    足立委員長 この際、今後の議事について協議するため理事会を開きたいと存じますので、暫時休憩いたします。    午後二時五分休憩      ────◇─────     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕