○亀徳
説明員 これは
制度の問題でございますので、あるいは
主税局長が
ほんとうは答弁したほうがいいと思うのですが、私もいろいろ相談を受けながら、私の意見も申しておりますので、そういう角度からお答えさしていただきたいと思います。
同じ穴のムジナ論があることは、よく
承知いたしております。ただ、いろいろ議論がある
過程において、やはりぜひ誤解がないようにお願いしたい点は、今度できる審判所が、一体司法裁判所的なものと考慮するのか、行政機関の中での
一つの不服を処理する機構と考えるのか。確かに、いろいろ横山
委員がおっしゃっておられる
考え方を突き詰めますと、
ほんとうは租税裁判所といいますか、むしろわれわれの行政を全然別個の
立場から見ていくということを主張しておられるのじゃないか。現在は租税裁判所のようなものを設けておりません。したがって、そういう
考え方をやるためには憲法の改正とか、どえらいことになります。
それからもう
一つは、ただ非常に裁判は時間がかかる。こういう租税
関係の問題としては非常に困るということも他方現実。そうしますと、逆に
一つの
考え方としては、もっと数多くの専門的な裁判官、税務についての専門的な知識を持った裁判がどんどん処理していくというような
意味での租税裁判所というようなものを設けたらどうかという
考え方は、確かに
考え方としては成り立ち得ると思います。ただ、そういう
立場をとるかとらないか、もしもそれをとらないということになって、これは一種の行政官庁としての不服審査の体制、こう考えますと、やはり行政官庁としての責任においてやらなければならぬということにどうしてもなるわけです。
それで、
大蔵大臣についてはどうかとか、いろいろ議論もございます。たとえば関税とかその他はやはり関税不服審査会といいまして、これは
大蔵大臣に付属しております。そのことは、関税行政が関税局といって、結局大臣、次官、関税局長、こういうルートになっておりますから、審査会が
大蔵大臣の
もとにつかざるを得ないということになっておるわけであります。税の
執行に関しては、やはり
国税庁長官に人事権、課税権を——ともかくこまごましたことを大臣が一々見たのではとてもたいへんだというので、長官に一括、税の
執行は実はまかされておる体制でございます。そういう体制でございますと、どうしてもやはりちょうど関税についての審査会を
大蔵大臣の下に設置しておるのと同じ
意味で、
国税庁長官に付属せざるを得ない、こういう
考え方でございます。
ただ、従来いろいろありましたのは、御存じのように、われわれの体制は、少し縦割りといいますか、縦の系統の指導が、率直にいって強過ぎるということで、現在は、国税局に付属して、それからいろいろ審査請求の
段階で、国税局長が協議団の協議を経て決定する。やはり決定権は、国税局長が持っておるというために、実質は直税部なり、間税部なり、あるいは徴収部なり、原局の力がどうしても強くて、それに左右されがちだ。だから、ともかく行政官庁の中でどうしたらいいかということの措置としては、やはりまず国税局からははずしたらどうか。それから一応地方にも——これから
主税局長のところで案を書いてもらうわけですから、それの結果、結論がきまるわけですが、
税制調査会の案によれば、いろいろな通達そのものもやはり批判できる仕組みにする。そして、そのために付議機関も設けて、長官がそれにいろいろ諮問をするという体制をとっておるわけです。
それから先ほどの構成でございますが、これは確かにおっしゃるようにあれであるとともに、じゃ税法を全く知らないしろうとといっては恐縮ですが、民間の方が出ればそれでいいというのには実はあまりにも専門化し過ぎておる。また、処理が非常に恣意的になるということは、かえって国民全体の課税不公平になるということもございまして、どうしてもやはり民間と申しても、税法の知識その他に明るい方になっていただかなければならない。それからまた、ああいう案を書くときは、簡単といっては相すまぬのですが、実際はどういう人を選んで、どういうふうに人事上処遇し、どういうふうに今後の人事をやっていくかという実行が実はたいへん重要だと思っております。たとえば、いろいろ
給与その他もうんとよくせいという、私も極力そうしないといい人も集まらぬと思います。
それからもう
一つポイントは、この審判官になられる方が、やはりほかの仕事を持ちながらやられるということではこれはいかぬと思う。どうしても専担していただかなければならぬ。専担していただく、こうなりますと、進んでなりたいという人がどれだけいるのかいないのか、その点、率直にいって未知数でございます。ただ、少なくとも内部から、あるいはすでにやめて、非常に知識のあった、民間の経験もある人がなるかもしれない。しかし、これは審判官と副審判官とございますが、これのあとの措置は、まだ決定したわけではございませんが、全然署と遮断してしまうということは、逆に全く対立的なことになってうまくいかないということにもなるんではないか。しかし、審判官は相当の高給を与えて、また帰って署長になりたいとかいう希望じゃなくして、むしろ署長とか、場合によれば局長あるいはそれ以上の月給をやるようにして、そのかわりもうそれが残る終生の仕事という感じにしていただかなければいかぬのではないか。ただ副審判官、それを補佐する、いろんな材料を集めたりなんかする人たちは、ある
程度人事の交流も考えないと、この組織が円滑に動かないということになるのではなかろうか。
大ざっぱに、いまそういうふうに考えておりますが、これは最終的には月給を幾らにするということをきめてまた募集すると、実は実施にあたってはたいへんな問題がいろいろあると思いますが、やはり私
どもといたしましては、
税制調査会の
答申の趣旨を十分生かすべく一いろんな御非難ございましょうが、やはりああいう
答申が出た真意というものも十分とらえましてそういうものの実現につとめたい、私はかように考えております。